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  1. 長崎市議会 2015-01-23
    2015-01-23 長崎市:平成27年世界遺産推進特別委員会 まとめ


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 (3) まとめ   「明治日本産業革命遺産九州・山口と関連地域」及び「長崎の教会群とキリスト教関連  遺産」の世界文化遺産への登録及び世界文化遺産登録を契機とした施策の推進に寄与するた  め、本市に係る構成資産の現状と課題について調査を行うとともに、世界文化遺産登録に向  けての諸方策及び世界文化遺産登録を契機とした施策について検討を行った。   以下、調査の過程で出された主な意見、要望を付して本委員会のまとめとする。 1 2つの世界文化遺産登録の現況について  (1) 「明治日本産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の現況   ア 世界文化遺産登録に向けた経緯と今後のスケジュール     産業革命遺産は、平成18年6月に第127回九州地方知事会議において、「九州近代化    産業遺産の保存・活用」を政策連合の1項目として決定したところから取り組みが始    まり、その後、「九州・山口の近代化産業遺産群」として世界遺産暫定一覧表への追    加に必要な作業を進め、平成19年12月に6県11市の共同提案として22資産で文化庁へ    提案した。     その結果、平成20年9月の文化審議会において世界遺産暫定一覧表への追加が適当    と判断がなされ、翌平成21年1月にユネスコ世界遺産暫定一覧表に記載された。     日本においては、近代の遺産や産業に関する遺産を世界遺産登録した経験に乏しい    ことから、海外専門家に十分意見を聞く必要があり、国内の専門家に加え海外専門家
       の知見を得ながら、推薦書案の作成に取りかかり、平成25年4月23日には国へ推薦書    案を提出し、名称を「日本の近代化産業遺産群-九州・山口及び関連地域」に変更し    た。     同年8月27日には、内閣官房が所管する稼働中の産業遺産を含む産業遺産に関する    有識者会議において、平成25年度のユネスコへの推薦候補に選定されるとともに、再    度、名称を「明治日本産業革命遺産 九州・山口と関連地域」に変更された。     この時点で、文化庁所管文化審議会より教会群も同様に推薦候補に選定されてい    たことから1件に絞り込む必要が生じ、政府により産業革命遺産を平成25年度の推薦    案件とすることが決定され、9月27日に暫定版推薦書、平成26年1月に閣議了解を経    て正式版推薦書ユネスコへ提出し、9月25日から10月6日においてイコモス現地調    査が行われた。今後は、平成27年の5月ごろにあるイコモス勧告を受け、6月から7    月に開催される世界遺産委員会において登録の可否が決定される運びとなる。   イ 産業遺産国際会議     7月14日から15日にかけ、東京のホテルオークラにて、内閣官房、「九州・山口の    近代化産業遺産群世界遺産登録推進協議会一般社団法人産業遺産国民会議の主催    で開催された。従来の世界遺産と異なり、日本では広く一般の人々の認知度が不十分    である産業遺産について、その分野で経験豊富な国内外の専門家が集まり、世界遺産    としての稼働資産の意義や管理保全上の課題、官民のパートナーシップ等に関する議    論をして、稼働資産を含む産業遺産の価値や保全についての理解増進と認知度向上を    図ろうとする趣旨で行われ、2日間で8テーマに関してセッションが実施された。     本委員会では、長崎エリアに関するセッションで出された意見等について次のとお    り報告された。     「造船業の産業遺産」と題されたセッションでは、三菱重工業長崎造船所が所有す    るジャイアント・カンチレバークレーンに関する調査結果について、現存する11基の    大半が既に稼働を停止しており、大変希少性があり、また、ワイヤー、ブレーキ、操    作盤などがオリジナルのままで稼働を続けていることが、その価値をさらに高めてい    る旨の報告がなされた。     「稼働資産の保全への挑戦」と題されたセッションでは、固定資産税の減免や修理    への財政支援が検討されていることの報告がなされた。     「廃墟軍艦島をいかに保全するか」と題されたセッションでは、世界遺産価値の保    全、史跡としての保全、建築物調査生産施設遺構保存RC構造物と護岸の保存    技術について報告、本質的価値の一つである護岸については、島の形状が変わること    や建物の崩壊につながることから護岸の破損は解決すべき課題であるとの意見が出    された。     「ディジタル文書化の勧め、3Dと4K 展示と記録保全」と題されたセッション    では、スコットランド政府が進めている、文化遺産について3Dレーザー測量を行い、    デジタル記録を作成する文化事業「スコティッシュ・テン」プロジェクトが紹介され    た。   ウ 稼働資産固定資産税減免の取り扱い     平成25年12月24日に閣議決定された「平成26年度政府税制改正大綱」において、世    界遺産に登録された稼働中の産業遺産については、地方税の特例措置を行うことが記    載されている。     具体的には、固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の3分の1と    する措置を講ずることとし、対象となる資産が世界遺産に登録された場合に法制上の    措置を講ずることとなる。   エ 端島の台風8号被害     端島において平成26年7月10日に台風8号の接近に伴い、31号棟前、51号棟前の護    岸及び観光ルートが被災したことから、本委員会に次のように報告がなされた。     まず、護岸の被災について、応急復旧の工法としては、海側吸い出し口前に大型土    のうを並べ、水中コンクリートを打設することとし(大型土のうは打設後撤去)、    工事については、その後の台風の接近やイセエビ漁の解禁などもあり、同年9月30日    に工事が完了した。     次に、観光ルートについても被災し、端島見学施設転落防止柵等が損壊、連絡橋    の手すり・転落防止ネットが損壊、瓦れきが流入、立入禁止サインが流出するなどし    たことから、利用者の安全性などを考慮し、見学施設の供用を停止。その後、連絡橋    手すりの撤去と設置、転落防止柵等の撤去と設置、瓦れきの搬出等を行い、ドルフィ    ン桟橋から第1見学広場までは、8月14日に上陸を再開した。   オ イコモス現地調査     9月25日から10月6日までの12日間で実施され、本委員会に次のように報告がなさ    れた。     まず、9月25日に東京で、「産業革命遺産」全体の資産概要説明、評価基準への適    合状況、完全性、真実性など推薦書に記載の内容の説明を行った後、26日から本市以    外の都市の構成資産を調査し、10月3日に「端島炭坑」、4日に、残りの非稼働資産    である「旧グラバー住宅」、「小菅修船場跡」、「高島炭坑」、5日に三菱重工業株式会    社長崎造船所構内の4つの稼働資産現地調査を行った。     調査員は、オーストラリアのイコモスの専門家1名、氏名は非公表である。     調査内容については、大きくは次の3点     ・保全(構成資産周辺の開発行為、観光圧力への対応、保全状況に対する所有者      の現状認識など)     ・範囲設定(国内法での保護、緩衝地帯の意義など)     ・その他(劣化や消滅に対する記録保存方法、子どもなどへの理解促進の手法など)     なお、個々の資産ごと調査内容については、今後のイコモス審査に影響を与える    可能性から、国・関係自治体とも公表しないこととされている。   カ 端島遺構状況記録調査     端島の世界遺産登録後を見据えた保存管理整備活用に資する資料として活用す    るため、平成25、26年度の2ヶ年で長崎大学大学院工学研究科インフラ長寿命化セン    ターに委託し、3Dレーザー計測・撮影及び3Dモデルの作成を行った。     事業の内容は、3Dレーザー計測パノラマ撮影無人飛行機による3D写真の撮    影、計測データや写真を統合する処理、3Dモデルの作成であり、今後の活用として、    遺構の現状記録としての保存、現在策定中の端島等の整備活用計画の基礎資料、ガイ    ダンス施設を整備する際の展示物としての活用を検討している。  (2) 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の現況   ア 世界文化遺産登録に向けた経緯と今後のスケジュール     教会群は、平成18年に世界文化遺産登録への提案が自治体からもできるようになり、    長崎県より関係市町へ提案があったところから取り組みが始まった。同年11月に関係    市町で文化庁へ共同提案をし、翌平成19年、暫定一覧表へ記載がなされた。     平成24年6月には推薦書原案を国へ提出、文化審議会で議論したが、この時点では    幾つかの課題を指摘され、推薦には至らず、このときに推薦決定をされたのが平成26    年6月に世界遺産登録された富岡製糸場である。     平成25年1月に推薦書原案を再提出し、8月の文化審議会において推薦可能と判断    されたが、政府において産業革命遺産を推薦するとの決定がなされた。     その後、平成26年7月10日、文化審議会世界文化遺産無形文化遺産部会が開催さ    れ、平成26年度の世界文化遺産推薦候補として「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」    を文化審議会として選定候補とすることを了承、9月17日に開催された世界遺産条約    関係省庁連絡会議において推薦が決定をされ、これを受けて9月末にユネスコへ暫定    版推薦書を提出した。     平成27年1月14日には再び世界遺産条約関係省庁連絡会議において正式版推薦書    の提出を了承の後、16日の閣議了解を経て1月末までにユネスコ正式版推薦書が提    出される予定である。   イ 長崎県世界遺産学術会議
        長崎県世界遺産学術会議は、教会群の世界遺産登録について、推薦書の内容、構成    資産に関すること、バッファゾーンの設定などを学術的・専門的な立場から検討する    会議であり、学術会議で承認された内容は、最終的に関係首長で構成する「長崎の教    会群とキリスト教関連遺産世界遺産登録推進会議で決定する仕組みとなっている。     本委員会においては、7月30日に開催された学術会議で、構成資産グループ名、    分類、名称変更等が承認されたことについて次のとおり報告がなされた。     「構成資産グループ名の変更」について、よりわかりやすい表現にするという見    直しの観点から「歴史的景観」という表現を「集落」と改めた。     「構成資産の分類と名称の変更」について、長崎市外海の「出津教会堂関連遺跡」    の名称を「出津教会堂関連施設」に名称変更し、分類を歴史的景観という分類から    教会建築へ変更したことと、小値賀町の「旧野首教会堂関連遺跡」を「野崎島の野    首・舟森集落」に名称変更するとともに、分類を教会建築から集落へ変更した。     「資産範囲の変更」について、「天草の崎津集落」の範囲を信仰の歴史をよりわか    りやすく説明するため、関係する遺跡を含んだ範囲にするため拡大した。     また、12月5日に開催された同会議では、平戸市の「平戸島の聖地と集落」が海を    隔てて大きく離れていることから別個の資産とすべきとのユネスコ世界遺産センタ    ーからの指摘を受け、「平戸島の聖地と集落(春日集落と案満岳)」「平戸島の聖地と    集落(中江ノ島)」の2つに分けることが了承され、構成資産数が14になったことが    報告された。 2 「産業革命遺産」の整備工程について  (1) 長崎市に所在する構成資産の保護の状況 ┌─────────┬─────────┬─────┬───────┬────────┐ │  構成資産   │  保全方法   │ 現況  │管理上の問題 │   対策   │ ├─────────┼─────────┼─────┼───────┼────────┤ │         │文化財保護法によ│保存管理計│史跡内「曳き上│・木部腐食部分の│ │小菅修船場跡   │史跡指定    │画策定済 │げ小屋」の損傷│補修      │ │         │・景観法による景観│     │劣化     │・大規模補修の検│ │         │重要建造物指定 │     │       │討       │ ├─────────┼─────────┼─────┼───────┼────────┤ │三菱長崎造船所  │・港湾法による工業│事業活動│事業活動以外 │・通常の事業活動│ │第三船渠     │区の指定     │使用する稼│で発生する追 │を超えて追加的 │ ├─────────┤・景観法による景観│動資産とし│加経費(例:観 │にかかる経費は、│ │三菱長崎造船所  │重要建造物指定 │所有企業│光目的などの │内閣官房の調整 │ │ジャイアント・カン│         │において管│経費)    │の下で公共団体 │ │チレバークレーン │         │理保全  │       │公費負担   │ ├─────────┤         │     │       │        │ │三菱長崎造船所  │         │     │       │        │ │旧木型場     │         │     │       │        │ ├─────────┤         │     │       │        │ │三菱長崎造船所  │         │     │       │        │ │占勝閣      │         │     │       │        │ ├─────────┼─────────┼─────┼───────┼────────┤ │         │文化財保護法によ│保存管理計│史跡の顕在化 │・説明板の整備 │ │         │史跡指定    │画策定中 │       │・本格的な整備に│ │高島炭坑     │         │整備活用│       │ついては整備活 │ │         │         │画策定予定│       │用計画の策定時 │ │         │         │     │       │検討予定   │ ├─────────┼─────────┼─────┼───────┼────────┤ │         │文化財保護法によ│保存管理計│護岸の優先整 │・国や県と協議中│ │端島炭坑     │史跡指定    │画策定 │備及び生産施 │        │ │         │・海岸法による海岸│整備活用計│設の整備   │        │ │         │保全区域指定  │画策定予定│       │        │ ├─────────┼─────────┼─────┼───────┼────────┤ │         │文化財保護法によ│保存管理計│建物の損傷・劣│・保存活用計画に│ │         │重要文化財指定 │画策定中 │化、建物内部の│おいて修理・活用│ │旧グラバー住宅  │文化財保護法によ│     │活用方針等 │計画策定予定 │ │         │重要伝統的構造 │     │策定     │        │ │         │物群保存地区選定 │     │       │        │ └─────────┴─────────┴─────┴───────┴────────┘  (2) 高島炭坑端島炭坑保存管理計画整備活用計画     保存管理計画とは、文化財に関する保存管理の基本方針、保存管理上の課題と対策、    維持管理の方法、現状変更の取り扱い方針及び基準などについての計画を策定するもの    であり、整備活用計画とは文化財の価値を維持しながらどのように活用されるべきかと    いう施設全体の将来像を示し、どのように段階的に整備していくのかについての計画を    策定するものである。     高島炭坑端島炭坑保存管理計画及び整備活用計画は、専門家で構成する高島炭    鉱整備活用委員会において策定することとしており、保存管理計画を、平成26年度中に    中ノ島炭坑まで含めた形で取りまとめ、整備活用計画は、平成26年度、平成27年度で具    体的に保存管理する施設や手法について検討を行い、事業費も含めた形で取りまとめを    行うこととしている。     なお、端島炭坑保存整備については、整備活用計画に基づき計画的に進めていく    が、緊急的に整備が必要な個所については臨機応変に対応することとしている。 3 「産業革命遺産」の整備財源について  (1) 端島の整備パターン ┌───────────────────┬─────────────────────┐ │                   │       価値への貢献        │ │                   ├─────┬──────┬────────┤ │                   │     │「生産活動│「鉄筋コンクリー│ │       パターン        │     │一体となった│ト構造物劣化状│ │                   │概算費用 │超高密な居住│況を調査・分析で│ │                   │     │環境の形成」│きる科学的試供体│ │                   │     │      │の集積」    │ ├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤ │1)延命可能と判断された全ての居住施設 │     │      │        │ │を対象とする外観維持のための整備と失 │  158億円│  ◎   │   △    │ │われた居住施設復元整備       │     │      │        │ ├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤ │2)延命可能と判断された全ての居住施設 │ 151.1億円│  ◎   │   △    │ │を対象とする外観維持のための整備   │     │      │        │ ├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤ │3)代表的な居住施設(歴史的に古く景観に│     │      │        │ │も貢献をしている16号棟、17号棟を現時点│     │      │        │ │では想定)を対象として外観維持のための│ 25.7億円│  ○   │   ○    │ │整備及び、その他の居住施設は現状からの│     │      │        │ │自然劣化を原則許容し、積極的なデータ収│     │      │        │ │集・記録保存             │     │      │        │ ├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤ │4)パターン3)の2棟に加え、端島全体の産│     │      │        │
    │業景観形成に貢献をしている3号棟、65 │     │      │        │ │号棟、70号棟の3棟も対象とし計5棟の外│ 50.2億円│  ○   │   ○    │ │観維持のための整備及び、その他の居住施│     │      │        │ │設について現状からの自然劣化原則許 │     │      │        │ │容し、積極的なデータ収集記録保存  │     │      │        │ ├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤ │5)生産設備と護岸の整備については実施 │     │      │        │ │するものの、全ての居住施設については現│  11億円│  ×   │   △    │ │状からの自然劣化を原則許容し、積極的な│     │      │        │ │データ収集記録保存         │     │      │        │ └───────────────────┴─────┴──────┴────────┘     上記整備パターンの概算費用については、詳細な設計をしたうえでの積算ではなく、    目視や材料調査等を行い、劣化状況や保存方法を判断したうえで、建物の外観面積と    工事の単価より簡易に積算したものである。     今後、平成27年度までに策定する整備活用計画において、保存していく建物、そし    て、それに要する経費等について、より詳細に検討をしていく。     その際、外観の延命措置を図るべき遺構として、生産活動と一体となった超高密な    居往環境の形成の価値に貢献する代表的な居住施設と、現在の端島の産業遺構として    の特徴的な景観形成に大きく貢献していると判断される居住施設のうち、重要性や保    存状況の観点から優先順位を付して検討していくが、現実的な取り扱いとしては、パ    ターン3)とパターン4)を基本とした計画になると考えられている。  (2) 文化財保護にかかる国の補助制度     史跡等・登録記念物・歴史の道保存整備費国庫補助は、国の史跡などの保存活用を図    ることを目的とした経費について国が行う補助である。復旧、修理、整備工事などの経    費が対象となり、補助対象経費の50%が補助金となっている。  (3) 文化財保護にかかる県の補助制度     史跡名勝天然記念物等保存整備事業として、国庫補助対象事業の場合において補助事    業者が市町のときは、補助対象経費から国庫補助額を減じた額の5分の2以内、つまり、    全体の20%以内を補助できることとなっている。     国、県の制度を活用すると、仮に10億円の整備事業を行う場合、国費が2分の1の    5億円、県費が2億円、残りの3億円が市の負担と試算できる。     しかし、これまでのところ長崎市が所有・管理する史跡名勝天然記念物等の保存整    備事業に対し、長崎市が中核市であることなどを理由に、県からは助成されていない    ため、この点については、県に対し財政支援を要望している。  以上、2つの世界文化遺産登録の現況について、及び「産業革命遺産」の整備工程・整備 財源について、本委員会では次のような意見・要望が出された。  ○ 端島の護岸について、今後またこのような被害を何度も繰り返して受ける可能性もあ   るので、一刻も早く国及び県と協議し、市としての一定の方針を公表してほしい。  ○ 端島炭坑の整備について、いくらかかるのかは非常に大きな問題であるので、できる   だけ早くスケジュールをたてて進めてほしい。  ○ 整備活用計画を策定して経費を算定する中で、交通体系の問題も加味し、駐車場の施   設整備費用やそこに至るまでの取り付け道路の費用も検討するべき。  ○ 見学施設の防止柵ネットなど、費用がかからないよう工夫をしてほしい。  ○ 3D映像について、建物の詳細な状況がわかるように常時どこかで展示するべき。  ○ 財源の問題について、国が50%出すとなっているが、財源的には長崎市も非常に厳し   い。県もやはり同様に出すという方向で計画策定の中で十分論議するべき。  ○ 市の負担はものすごく大きく、ほかの事業との関連もあるため、その状況については   随時、国、県の状況も報告するとともに、国、県に対し要望し予算付けをすること。  ○ 高島炭鉱整備活用委員会の調査をする範囲について、高島炭坑は長崎の中心的な炭坑   の柱であったことから、高島炭坑の跡が今どうなっているかも含めて調査すべき。  〇 世界遺産候補の保全整備のための基金の設立に取り組むことで市民の関心も深まっ   ていくと思われるので、具体的なスケジュールを決め、積極的に進めてほしい。 4 観光客受入の取り組みについて  (1) 世界遺産登録に伴う観光動向の見込み   ア 長崎市の観光客数の動向     これまで、過去最高の観光客数は、長崎旅博覧会が開催された平成2年の628万人    で、その後、平成16年まで減少傾向をたどり、平成16年には、493万人まで落ち込ん    だ。しかし、長崎市の歴史や文化を活用し、まち歩きをテーマにしたさるく博の開催    により、平成18年には570万人に回復し、その後も端島見学施設の供用開始や、平成    22年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送、それから、平成24年の世界新三大夜景認    定を活かした夜景観光推進等で、個人客を中心に取り込み、全体として観光客数は増    加傾向となっている。   イ 世界遺産登録に伴う観光客数及び経済波及効果の推計と今後の観光集客の見込み     平成24年度に実施した「長崎市の世界遺産実現による経済効果推計業務調査」によ    ると、産業革命遺産が登録された場合の観光客数の増加は6.5万人から26万人、経済    波及効果は24.3億円から101.2億円と推計される。     また、長崎の教会群が登録された場合の観光客数の増加は21万人から26万人、経済    波及効果は39.4億円から100.9億円となり、両資産が登録された場合には、さらに観    光客数が約2.8万人から2.9万人増加すると推計される。     長崎市の今後の観光客数の見込みについては、平成27年の観光客数を630万人、そ    れから、平成28年の観光客数を650万人と見込んでいる。  (2) 世界遺産登録に向けた観光受入の基本的な方針等   ア 観光受入の基本方針     世界遺産登録の目的である、「顕著で普遍的価値を有する」遺産を損傷、破壊等の    脅威から保護し、保存することを踏まえ、世界遺産登録に伴う観光客の受け入れは、    まず対象資産や地域環境の保全に十分配慮した対応が必要であり、また、物見遊山型    の観光ではなく、世界遺産登録を契機として、長崎のまちや人の「光」をさらに引き    出し、磨き上げ、相乗効果を高めて人に見せるということが、歴史と文化のまち・長    崎の魅力を一層高めることと考えられる。     以上の点から、世界遺産候補の価値について、「明治日本産業革命遺産 九州・    山口と関連地域」は、全国にまたがる構成資産が、群として全体で一つの価値があり、    長崎市の資産がその重要な要素であることを伝えること、また、「長崎の教会群とキ    リスト教関連遺産」は、4世紀にわたるキリスト教の伝播と普及、禁教下の継承、解    禁後の信仰の復帰の経過を示すというところから、その魅力、ストーリー性を来訪者    にしっかり伝えることが重要と位置づけている。   イ 観光受入の具体的な方向性     次の5つの方向性をベースに観光受け入れを推進していく。 ┌─────────┬────────────────────────────────┐ │   方向性   │             主な取り組み             │ ├─────────┼────────────────────────────────┤ │1) 世界遺産と周辺│・事前予約制による、資産の保全に配慮した計画的な観光受入を行う。│ │地域の生活及び民間│・長崎さるくガイド、教会守による注意喚起を行いマナーの周知徹底 │ │経済活動を守る  │を図る。など                          │ ├─────────┼────────────────────────────────┤ │2) 受け入れの充実│・駐車場、交通アクセス、トイレの設置について整備を行う。    │ │と来訪者の満足度向│・着地型インフォメーションセンター機能の強化を行う。など    │ │上を図る     │                                │ ├─────────┼────────────────────────────────┤
    │3) 宿泊・滞在型観│・世界新三大夜景やイルミネーション、長崎ランタンフェスティバル │ │光を推進する   │などの夜景観光素材と連動させ宿泊につなげる。など        │ ├─────────┼────────────────────────────────┤ │4) 情報発信と観光│・JRとのタイアップにより、デスティネーションキャンペーンを実 │ │客誘致の強化を図る│施するなど、民間を中心とした誘致の強化を図る。など       │ ├─────────┼────────────────────────────────┤ │5) 地域及び民間活│修学旅行等を推進する中で、世界遺産学習のリーフレットを活用して │ │力を生かし、地域へ│誘致につなげることと、観光関連事業者と連携するとともに、地域活 │ │の経済波及効果を高│性化を推進する。など                      │ │める       │                                │ └─────────┴────────────────────────────────┘  (3) 事業者との意見交換会    稼動資産を所有する三菱重工長崎造船所の長崎・下関総務統括部次長である蜂谷靜夫   氏、株式会社JTB九州長崎支店の支店長である中川信治氏、九州旅客鉄道株式会社長   崎支社の取締役支社長である山下信二氏の3名を参考人として招聘し、「観光客受入及   び関連施設整備」について意見交換を行った。    その中で、次のとおり意見等が出された。   ア クルーズ船の出航の際など、女神大橋から長崎市民が手を振って見送りをしたら、    費用もかからず名物になると思われる。   イ 大浦天主堂とグラバー園といった、異なる世界遺産が近距離にあるのは長崎だけで、    これをアピールすることは圧倒的な強みだと思う。ただし、なぜこれが世界遺産なの    か、その歴史的背景などをきちんと伝えなければ弱みになると思う。   ウ 宿泊施設については、他の地域と比べると、個人向けのおもてなしをさらに磨いた    ほうがよい印象がある。   エ 旧木型場以外の稼動資産の公開については、発注者の知的財産権の問題、敷地内の    安全上の問題を踏まえて今後検討したい。   オ 史料館について、現在、入館料は取っていないが、世界遺産として公開することに    より、新たに何か対策が必要となった場合には支援を要請する場合もある。   カ 観光として、大村線からの風景は一つの魅力と考えられることから、ゆっくり窓か    ら風景を見るのも売っていきたい。 5 世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みについて  (1) 世界遺産価値の理解促進   ア 明治日本産業革命遺産 九州・山口と関連地域     産業革命遺産の価値は、8県11市の23の資産で産業革命がなし遂げられたことを証    明しているというシリアルノミネーションに特徴があり、国による全体計画等の策定    では、23の資産で1つの価値を証明する必要があり、資産全体の価値とともに、各構    成資産が世界遺産価値にどう貢献しているのかを適切かつ正確に説明することとさ    れている。     しかし、明治日本産業革命遺産の資産は、日本全国に点在していることから、各    自治体が個別独自に理解促進のための事業を展開すると、国民に対し世界遺産の価値    を正確に理解させる仕組みが確立していないということにもなりかねないため、内閣    官房が中心となり、理解促進のための全体計画及びプログラムを策定する予定となっ    ており、この内閣官房を中心とした作業は、世界遺産登録を見据えた重要な取り組み    となる。     理解促進における関係自治体の役割については、内閣官房の全体計画等の策定にか    かわるとともに、プログラムの確実な実行が求められている。   イ 長崎の教会群とキリスト教関連遺産     理解促進のための計画等の策定について、認知度の向上を図るための情報提供を    行っていくとともに、世界遺産価値を正確に伝え、将来に向けて保存・活用をしてい    くための世界遺産センターの設置について、県を中心に検討を行っている。   ウ 市民向け周知活動     現在、広報ながさきでの紹介、子ども向けパンフレットによる教育活動、出前講    座などさまざまな手段で取り組んでいるが、特に産業革命遺産については、稼働中の    資産や端島など、安全上の理由等により見学できない資産があるため、3Dモデルを    作成するなどの方法により周知を図る。  (2) 世界遺産構成資産整備    産業革命遺産のうち、端島炭坑については、生産施設及び護岸は炭坑遺産の価値を   示すものとして現状での保存を基本に整備するものとし、居住施設は、規模や歴史性、   産業景観に対する貢献度を評価し保存状況などを勘案して優先順位を付した上で段階   的に整備を図る。    具体的には、現在策定中の整備活用計画において優先的に延命措置を図る建物とそ   の経費等を検討していく。    旧グラバー住宅については、平成27年度から劣化状況調査と耐震診断を行い、その   結果に基づき、早ければ平成29年度から大規模保存修理を行う予定とし、現在展示して   いる調度品等を、産業革命遺産の価値を伝える適切なものに見直し、また、その他の構   成資産についても、所有者と協議の上、整備活用計画を策定の上、優先順位が高いもの   から保存・整備を行う。    長崎の教会群は、行政、資産の所有者、地域住民、信者の方々が相互に連携し、資   産の保存管理と周辺環境の保存を行うための体制を構築する。    なお、インフォメーションセンターは、明治日本産業革命遺産については、既存   施設を活用しながら、その機能を果たせるよう計画を策定する。教会群については、平   成26年4月にながさき出島ワーフ2階に設置済みである。  (3) 関連資産整備・ソフト面への活用   ア 世界遺産構成資産周辺の主な整備     旧グラバー住宅高島炭坑小菅修船場跡等において、平成26年度中に4カ国語対    応の説明板を設置することとしている。     また、出津教会堂、大野教会堂周辺においては、平成27年度までに駐車場とトイレ、    駐車場と教会を結ぶ歩行者用ルートを整備する予定である。なお、完成までの間は、    仮設駐車場及び仮設トイレを設置することとしている。     小菅修船場跡についても、資産の保全上、支障がない場所への仮設トイレの設置に    ついて、所有者と協議を行っているところである。   イ 世界遺産構成資産以外の資産やソフト面の活用     世界遺産を核として、夜景や観光施設等の観光資源、日本二十六聖人殉教地や浦上    天主堂等の歴史やストーリーを組み合わせ、新しい観光の楽しみ方を旅行会社等に提    案し、広く発信していくことで、宿泊・滞在型観光の推進を図る。     推進に当たり、今後、長崎市宿泊施設協議会等を通じて、世界遺産登録に向けての    官民での観光推進の連携・協力体制を一層確立し、宿泊客の増加や宿泊の平準化の取    り組みを進め、回遊性の向上、滞在時間の延長、夜型観光の推進、観光客増加を促し、    経済効果の増大、リピーター確保へつなげる。     世界遺産と長崎の夜景、世界遺産と長崎の食・観光地巡りなどをテーマとして観光    素材のアピールを展開するなど、新しい発見と感動を生む多彩なストーリーの提供に    よって、何度訪れても楽しめる長崎観光を目指すこととしている。   ウ (仮称)長崎の教会群とキリスト教関連遺産展     平成27年2月19日から4月15日にかけて、長崎歴史文化博物館において開催を予    定しており、現在のところ次のような構成で、県内外のキリスト教関連資料を紹介    し、世界遺産としての価値をわかりやすく説明を行うこととしている。     1 西洋文明の伝播とキリスト教の繁栄     2 キリスト教の禁教から弾圧へ     3 潜伏キリシタンによる信仰の継承
        4 開国とキリスト教信仰の復活     また、キリスト教関係施設や博物館などに対して、踏み絵を含めた貴重な資料借    用に向けて着々と交渉を進めている段階であり、特に東京国立博物館からは、200点    を超える過去最大のキリシタン関係遺品の出品協力が見込まれている。     なお、東京国立博物館に所蔵されている踏み絵の日本二十六聖人記念館への展示    についても、10月31日に文化観光部長が同博物館を訪問し、今後の可能性について    協議を行っている。     その中で、同博物館からは、国の重要文化財である資料の取り扱いに当たり、展    示施設への重要文化財の取り扱い実績がある学芸員の配置や展示室、収蔵庫での重    要文化財を展示できる環境整備がなされ、その上で文化庁から現地視察を含めた許    可がでるのであれば展示も可能との説明を受けており、現在、その点を踏まえなが    ら、二十六聖人記念館と協議を行っている。  (4) 観光プロモーションの実施   ア 観光プロモーションの方向性     観光プロモーションについては、次の3つの方向性により取り組む。     「世界遺産の価値を伝えて誘客促進」として、それぞれの構成資産の価値に加えて、    2つの世界遺産に関する全体ストーリーを伝えていくことに重点を置き、各種媒体を    通じてわかりやすく伝えていくことにより、旅行意欲を喚起し誘客を促進する。     「構成資産以外の関連施設との組み合わせ」として、構成資産以外の関連施設も構    成資産とあわせて価値や関連性を説明し、観光ルートとして情報発信、観光商品造成    を促進する。     「長崎の魅力との組み合わせ」として、長崎の四季折々のイベントや長崎の夜景、    長崎の食など、世界遺産と長崎特有の魅力と組み合わせた情報発信を行うことにより、    相乗効果を図る。   イ 観光プロモーションの具体的取り組み     宣伝活動としては、テレビ、雑誌などの各種媒体を利用した宣伝、ガイドブック等    の宣伝ツール製作、旅行のきっかけとなる情報源として比率が高まってきているWE    B等を活用し情報発信に取り組む。     誘致活動としては、他都市で開催しているイベントでの観光PR、主要都市の大手    旅行代理店に対するセールス活動など、県外で一般観光客やエージェントに対して直    接的にPRを行い、観光客誘致に取り組む。     関係団体との連携としては、県や長崎県観光連盟等と連携し、県内の観光素材と組    み合わせながら、ガイドブックの製作や合同セールス、モニターツアーなどを実施す    ることにより、効率的、効果的な観光プロモーションに取り組む。  (5) 実施体制    庁内推進体制については、市長を本部長、副市長を副本部長とした長崎市世界遺産登   録推進本部の下に、具体的な作業を行う次の4つの部会を設置し、業務を庁内横断的に   作業を進めている。   ア 「進める部会」は、世界遺産推進室が中心となり、登録後の保存管理体制を確立す    るため、保存管理に資する基金の設置に取り組むこととしており、まずは保全に多額    の事業費が見込まれ、基金設置の目的をピンポイントで理解してもらえる端島の保存    整備のための基金について検討などを行っている。   イ 「もてなす部会」は、観光政策課が中心となり、現在の総合観光案内所での観光案    内に加え、長崎駅のかもめ広場かいわいに世界遺産や観光関連の情報提供をする観光    インフォメーションの設置を検討するなどの観光客の受入体制の整備や、大野教会周    辺の道路改良工事等を行うことにより、資産を見学する際の快適性や安全性の向上を    図るなど安全対策の充実などの取り組みを行っている。   ウ 「伝える部会」は、都市経営室が中心となり、子ども向けパンフレットやDVDの    作成など地域や学校での学習活動を推進することにより、世界遺産の多様な価値を理    解してもらうための取り組みなどを行っている。   エ 「活かす部会」は、観光推進課が中心となり、グリーンツーリズムを推進するなど、    地域の関連産業の振興を推進したり、今後、世界遺産に関連した特産品の開発を検討    したり、世界遺産を活用した地域振興にかかるマーケティングの推進についての取り    組みなどを行うこととしている。   また、国、長崎県、関係機関との連携体制は、明治日本産業革命遺産については、国  が作成した管理保全の一般方針及び戦略的枠組みに基づき、内閣官房を中心に関係省庁、  地方自治体らで構成する保全委員会と、県・市・所有者等で構成する地区別協議会が連携  して管理保全等に取り組み、必要に応じて内閣官房が設置した有識者会議により指導・助  言を仰ぐこととしている。長崎の教会群については、関係機関や所有者が情報を共有し、  協議、意思決定を行う組織として世界遺産保存活用協議会を設置し、文化庁や県の世界遺  産学術委員会からの助言等を受けながら関係機関と協働していく体制となっている。   世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みとして、まずは、2つの世界遺産の価値の理  解促進を図るとともに、世界の宝でもある構成資産の保全に取り組み、さらに、2つの世  界遺産に密接に関連している資産や、その他の長崎の魅力とも組み合わせることにより、  長崎の歴史や魅力を発信する。   そのために、庁内での実施体制を継続し、国や県、さらには関係する企業や団体とも引  き続き連携を行っていく。  以上、観光客受入の取り組み及び世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みについて、本 委員会では次のような意見・要望が出された。  ○ 建物そのものに価値があるのではなく、いかにその歴史的背景を打ち出すかという点   において、心の文化が重要であることから考えると、浦上地区というのはストーリーの   大きな柱になると考えられるのでしっかり検証してほしい。  ○ 浦上天主堂を初めとした、二十六聖人など、構成資産以外をプラスアルファしてスト   ーリーをきっちり確証し、市民への周知、理解を進めること。  ○ 東京国立博物館に、踏み絵やロザリオ、親指のマリアなど、もともと長崎奉行所が浦   上の信者から没収したあらゆるものがあるが、しっかりとしたストーリー性をつくる上   でも、ぜひ長崎に持ってきてほしい。  ○ 長崎の文化自体、鐘の音や歌声といった音で感じる部分は他都市にはない特徴的なも   のであり、そういう意味での文化の継承を重要にしてほしい。  ○ キリスト教の祈りと光、平和、夜景とつなげて相乗効果が生まれるような取り組みを   してほしい。  ○ 歴史の中で、キリスト教が伝わった後、仏教の弾圧というのは事実としてあった。こ   の事実についてもしっかりと押さえるべき。  ○ 潜伏キリシタンとして現在も活動している方がいるため、そういう活動を邪魔しない   ような取り組みをすること。  ○ 政府に対して、稼働資産に対する税制支援の中身を充実させるよう働きかけ、そうい   う支援を受けるということで、公開を広げていけるような方策など検討するべき。  ○ 将来を見据えて、ドルフィン桟橋より右側方向や30号棟付近への見学通路の拡大を検   討するべき。  ○ 世界遺産を契機に宿泊する観光客がふえると思うので、平日の観光も含め平準化を検   討するべき。  ○ 高島炭坑を顕在化し、価値感を高めることで、悪天候の時など、端島に上陸できない   観光客をカバーするなど検討するべき。  ○ 三菱重工長崎造船所史料館を最大限活用し、映像などの情報コンテンツを用いて、ス   トーリーをビジュアル化し紹介するべき。  ○ グラバー住宅について、耐震化と調度品の展示方法のあり方について逆になっている   感じがするが、大規模改修がずれ込むと世界遺産決定等の関係からもおくれる懸念があ   るので急ぐこと。  ○ 長崎の交通体系の整備は遅れていると思うので、関連する部署に整備をするよう促し
      てほしい。また、出津の教会群のライトアップなど、周辺の環境整備もあわせて取り組   んでほしい。  ○ 軍艦島周遊クルーズや、外海のバスツアーなどの料金問題について、長崎のイメージ   を大きく左右するので、他都市の状況も調査し、採算が合わない場合は補助をするなど   検討を進めてほしい。  ○ 軍艦島は、シルエットというのも売りであるから、それが見える野母崎の資料館をも   っと充実させるべき。あわせて、今回の世界遺産登録を契機に、伊王島も含めて導線上   にある施設についての整備を進めて、地域の活性化にも取り組んでほしい。  ○ 民間旅行会社やJRと連携して、継続的に集客し、宿泊等につながる取り組みを年次   計画を策定し行うなど、2つの世界遺産に共通する明確な目的性をもって観光客の誘導   とPRをするべきである。  ○ 2つの世界遺産は、他の世界遺産と比べて理解が難しいが、情報発信として、市民か   ら県外への口コミというのは非常に大事と思われるので、周知、理解促進にはいろんな   工夫をしてほしい。  ○ インフォメーションセンターについては、都心部にあるべきなので、場所の確保に努   めること。  ○ 世界遺産に関するフリー素材を提供して、民間で活用できるような取り組みを行って   ほしい。 6 委員会からの提言   以上、本委員会の調査項目についてまとめたが、理事者におかれては、委員会における  調査の過程で各委員から出された意見・要望を十分踏まえ、「明治日本産業革命遺産 九  州・山口と関連地域」と「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の2つの世界遺産候補を  関係県市町と連携して世界遺産への登録を推進しているなか、この機を逃すことがないよ  う、観光客受入体制の充実、市民への周知と理解を深めるための取り組みについて一層努  めることを要望する。   また、上記に加え、世界遺産の保全のための研究や整備、マーケティングの推進、各関  係機関との連携といった業務が多岐に渡っていることから、長崎市世界遺産登録推進本部  の下に設置されている「進める部会」、「もてなす部会」、「伝える部会」、「活かす部会」の  4つの部会のなかで早急に協議検討を重ね、特に次に掲げる項目について具体的に取り組  んでいくことを強く要望する。   (1) 保存管理計画及び整備活用計画の策定スケジュールについて   (2) 保存整備のための基金の設立について   (3) 端島の見学通路の拡大について   (4) 野母崎、伊王島地区の施設整備と地域活性化について   (5) 浦上地区を中心としたストーリーの確立について   (6) 東京国立博物館所蔵のキリシタン関係遺品の里帰りについて   (7) 交通結節点へのインフォメーションセンター設置について   (8) 映像やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の情報コンテンツの    さらなる活用について 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...