長崎市議会 2015-01-23
2015-01-23 長崎市:平成27年世界遺産推進特別委員会 まとめ
│業景観形成に貢献をしている3号棟、65
│ │ │ │
│号棟、70号棟の3棟も対象とし計5棟の外│ 50.2億円
│ ○ │ ○ │
│観維持のための整備及び、その他の
居住施│ │ │ │
│設について現状からの
自然劣化を
原則許 │ │ │ │
│容し、積極的な
データ収集・
記録保存 │ │ │ │
├───────────────────┼─────┼──────┼────────┤
│5)生産設備と護岸の整備については
実施 │ │ │ │
│するものの、全ての
居住施設については現│ 11億円│ × │ △
│
│状からの
自然劣化を原則許容し、積極的な
│ │ │ │
│データ収集・
記録保存 │ │ │ │
└───────────────────┴─────┴──────┴────────┘
上記整備パターンの概算費用については、詳細な設計をしたうえでの積算ではなく、
目視や
材料調査等を行い、劣化状況や
保存方法を判断したうえで、建物の外観面積と
工事の単価より簡易に積算したものである。
今後、平成27年度までに策定する
整備活用計画において、保存していく建物、そし
て、それに要する経費等について、より詳細に検討をしていく。
その際、外観の延命措置を図るべき遺構として、生産活動と一体となった超高密な
居往環境の形成の価値に貢献する代表的な
居住施設と、現在の端島の
産業遺構として
の特徴的な景観形成に大きく貢献していると判断される
居住施設のうち、重要性や保
存状況の観点から優先順位を付して検討していくが、現実的な取り扱いとしては、パ
ターン3)と
パターン4)を基本とした計画になると考えられている。
(2)
文化財保護にかかる国の
補助制度
史跡等・
登録記念物・歴史の
道保存整備費国庫補助は、国の史跡などの
保存活用を図
ることを目的とした経費について国が行う補助である。復旧、修理、
整備工事などの経
費が対象となり、
補助対象経費の50%が補助金となっている。
(3)
文化財保護にかかる県の
補助制度
史跡名勝天然記念物等保存整備事業として、
国庫補助対象事業の場合において補助事
業者が市町のときは、
補助対象経費から
国庫補助額を減じた額の5分の2以内、つまり、
全体の20%以内を補助できることとなっている。
国、県の制度を活用すると、仮に10億円の
整備事業を行う場合、国費が2分の1の
5億円、県費が2億円、残りの3億円が市の負担と試算できる。
しかし、これまでのところ長崎市が所有・管理する
史跡名勝天然記念物等の保存整
備事業に対し、長崎市が中核市であることなどを理由に、県からは助成されていない
ため、この点については、県に対し財政支援を要望している。
以上、2つの
世界文化遺産登録の現況について、及び「
産業革命遺産」の
整備工程・整備
財源について、本委員会では次のような意見・要望が出された。
○ 端島の護岸について、今後またこのような被害を何度も繰り返して受ける可能性もあ
るので、一刻も早く国及び県と協議し、市としての一定の方針を公表してほしい。
○
端島炭坑の整備について、いくらかかるのかは非常に大きな問題であるので、できる
だけ早く
スケジュールをたてて進めてほしい。
○
整備活用計画を策定して経費を算定する中で、交通体系の問題も加味し、駐車場の施
設整備費用やそこに至るまでの取り付け道路の費用も検討するべき。
○
見学施設の防止柵ネットなど、費用がかからないよう工夫をしてほしい。
○ 3D映像について、建物の詳細な状況がわかるように常時どこかで展示するべき。
○ 財源の問題について、国が50%出すとなっているが、財源的には長崎市も非常に厳し
い。県もやはり同様に出すという方向で計画策定の中で十分論議するべき。
○ 市の負担はものすごく大きく、ほかの事業との関連もあるため、その状況については
随時、国、県の状況も報告するとともに、国、県に対し要望し予算付けをすること。
○ 高島炭
鉱整備活用委員会の調査をする範囲について、
高島炭坑は長崎の中心的な炭坑
の柱であったことから、
高島炭坑の跡が今どうなっているかも含めて調査すべき。
〇
世界遺産候補の保全整備のための基金の設立に取り組むことで市民の関心も深まっ
ていくと思われるので、具体的な
スケジュールを決め、積極的に進めてほしい。
4 観光客受入の取り組みについて
(1)
世界遺産登録に伴う観光動向の見込み
ア 長崎市の観光客数の動向
これまで、過去最高の観光客数は、長崎旅博覧会が開催された平成2年の628万人
で、その後、平成16年まで減少傾向をたどり、平成16年には、493万人まで落ち込ん
だ。しかし、長崎市の歴史や文化を活用し、まち歩きをテーマにしたさるく博の開催
により、平成18年には570万人に回復し、その後も
端島見学施設の供用開始や、平成
22年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送、それから、平成24年の世界新三大夜景認
定を活かした夜景観光推進等で、個人客を中心に取り込み、全体として観光客数は増
加傾向となっている。
イ
世界遺産登録に伴う観光客数及び経済波及効果の推計と今後の観光集客の見込み
平成24年度に実施した「長崎市の
世界遺産実現による経済効果推計業務調査」によ
ると、
産業革命遺産が登録された場合の観光客数の増加は6.5万人から26万人、経済
波及効果は24.3億円から101.2億円と推計される。
また、長崎の教会群が登録された場合の観光客数の増加は21万人から26万人、経済
波及効果は39.4億円から100.9億円となり、両資産が登録された場合には、さらに観
光客数が約2.8万人から2.9万人増加すると推計される。
長崎市の今後の観光客数の見込みについては、平成27年の観光客数を630万人、そ
れから、平成28年の観光客数を650万人と見込んでいる。
(2)
世界遺産登録に向けた観光受入の基本的な方針等
ア 観光受入の基本方針
世界遺産登録の目的である、「顕著で普遍的価値を有する」遺産を損傷、破壊等の
脅威から保護し、保存することを踏まえ、
世界遺産登録に伴う観光客の受け入れは、
まず対象資産や地域環境の保全に十分配慮した対応が必要であり、また、物見遊山型
の観光ではなく、
世界遺産登録を契機として、長崎のまちや人の「光」をさらに引き
出し、磨き上げ、相乗効果を高めて人に見せるということが、歴史と文化のまち・長
崎の魅力を一層高めることと考えられる。
以上の点から、
世界遺産候補の価値について、「
明治日本の
産業革命遺産 九州・
山口と
関連地域」は、全国にまたがる
構成資産が、群として全体で一つの価値があり、
長崎市の資産がその重要な要素であることを伝えること、また、「長崎の教会群とキ
リスト教関連遺産」は、4世紀にわたるキリスト教の伝播と普及、禁教下の継承、解
禁後の信仰の復帰の経過を示すというところから、その魅力、ストーリー性を来訪者
にしっかり伝えることが重要と位置づけている。
イ 観光受入の具体的な方向性
次の5つの方向性をベースに観光受け入れを推進していく。
┌─────────┬────────────────────────────────┐
│ 方向性 │ 主な取り組み
│
├─────────┼────────────────────────────────┤
│1)
世界遺産と周辺│・事前予約制による、資産の保全に配慮した計画的な観光受入を行う。│
│地域の生活及び民間│・長崎さるくガイド、教会守による注意喚起を行いマナーの周知徹底 │
│経済活動を守る │を図る。など
│
├─────────┼────────────────────────────────┤
│2) 受け入れの充実│・駐車場、交通アクセス、トイレの設置について整備を行う。
│
│と来訪者の満足度向│・着地型インフォメーションセンター機能の強化を行う。など
│
│上を図る
│ │
├─────────┼────────────────────────────────┤
│3) 宿泊・滞在型観│・世界新三大夜景やイルミネーション、長崎ランタンフェスティバル │
│光を推進する │などの夜景観光素材と連動させ宿泊につなげる。など
│
├─────────┼────────────────────────────────┤
│4) 情報発信と観光│・JRとのタイアップにより、デスティネーションキャンペーンを実 │
│客誘致の強化を図る│施するなど、民間を中心とした誘致の強化を図る。など
│
├─────────┼────────────────────────────────┤
│5) 地域及び民間活│修学旅行等を推進する中で、
世界遺産学習のリーフレットを活用して │
│力を生かし、地域へ│誘致につなげることと、観光関連事業者と連携するとともに、地域活 │
│の経済波及効果を高│性化を推進する。など
│
│める
│ │
└─────────┴────────────────────────────────┘
(3) 事業者との意見交換会
稼動資産を所有する三菱重工長崎造船所の長崎・下関総務統括部次長である蜂谷靜夫
氏、株式会社JTB九州長崎支店の支店長である中川信治氏、九州旅客鉄道株式会社長
崎支社の取締役支社長である山下信二氏の3名を参考人として招聘し、「観光客受入及
び
関連施設整備」について意見交換を行った。
その中で、次のとおり意見等が出された。
ア クルーズ船の出航の際など、女神大橋から長崎市民が手を振って見送りをしたら、
費用もかからず名物になると思われる。
イ 大浦天主堂とグラバー園といった、異なる
世界遺産が近距離にあるのは長崎だけで、
これをアピールすることは圧倒的な強みだと思う。ただし、なぜこれが
世界遺産なの
か、その歴史的背景などをきちんと伝えなければ弱みになると思う。
ウ 宿泊施設については、他の地域と比べると、個人向けのおもてなしをさらに磨いた
ほうがよい印象がある。
エ 旧木型場以外の稼動資産の公開については、発注者の知的財産権の問題、敷地内の
安全上の問題を踏まえて今後検討したい。
オ 史料館について、現在、入館料は取っていないが、
世界遺産として公開することに
より、新たに何か対策が必要となった場合には支援を要請する場合もある。
カ 観光として、大村線からの風景は一つの魅力と考えられることから、ゆっくり窓か
ら風景を見るのも売っていきたい。
5
世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みについて
(1)
世界遺産価値の理解促進
ア
明治日本の
産業革命遺産 九州・山口と
関連地域
産業革命遺産の価値は、8県11市の23の資産で産業革命がなし遂げられたことを証
明しているというシリアルノミネーションに特徴があり、国による全体計画等の策定
では、23の資産で1つの価値を証明する必要があり、資産全体の価値とともに、各構
成資産が
世界遺産価値にどう貢献しているのかを適切かつ正確に説明することとさ
れている。
しかし、
明治日本の
産業革命遺産の資産は、日本全国に点在していることから、各
自治体が個別独自に理解促進のための事業を展開すると、国民に対し
世界遺産の価値
を正確に理解させる仕組みが確立していないということにもなりかねないため、内閣
官房が中心となり、理解促進のための全体計画及びプログラムを策定する予定となっ
ており、この
内閣官房を中心とした作業は、
世界遺産登録を見据えた重要な取り組み
となる。
理解促進における
関係自治体の役割については、
内閣官房の全体計画等の策定にか
かわるとともに、プログラムの確実な実行が求められている。
イ 長崎の教会群と
キリスト教関連遺産
理解促進のための計画等の策定について、認知度の向上を図るための情報提供を
行っていくとともに、
世界遺産価値を正確に伝え、将来に向けて保存・活用をしてい
くための
世界遺産センターの設置について、県を中心に検討を行っている。
ウ 市民向け周知活動
現在、広報ながさきでの紹介、子ども向けパンフレットによる教育活動、出前講
座などさまざまな手段で取り組んでいるが、特に
産業革命遺産については、稼働中の
資産や端島など、安全上の理由等により見学できない資産があるため、3
Dモデルを
作成するなどの方法により周知を図る。
(2)
世界遺産構成資産整備
産業革命遺産のうち、
端島炭坑については、
生産施設及び護岸は炭坑遺産の価値を
示すものとして現状での保存を基本に整備するものとし、
居住施設は、規模や歴史性、
産業景観に対する貢献度を評価し保存状況などを勘案して優先順位を付した上で段階
的に整備を図る。
具体的には、現在策定中の
整備活用計画において優先的に延命措置を図る建物とそ
の経費等を検討していく。
旧
グラバー住宅については、平成27年度から劣化状況調査と耐震診断を行い、その
結果に基づき、早ければ平成29年度から大規模保存修理を行う予定とし、現在展示して
いる調度品等を、
産業革命遺産の価値を伝える適切なものに見直し、また、その他の構
成資産についても、所有者と協議の上、
整備活用計画を策定の上、優先順位が高いもの
から保存・整備を行う。
長崎の教会群は、行政、資産の所有者、地域住民、信者の方々が相互に連携し、資
産の
保存管理と周辺環境の保存を行うための体制を構築する。
なお、インフォメーションセンターは、
明治日本の
産業革命遺産については、既存
施設を活用しながら、その機能を果たせるよう計画を策定する。教会群については、平
成26年4月にながさき出島ワーフ2階に設置済みである。
(3) 関連資産整備・ソフト面への活用
ア
世界遺産構成資産周辺の主な整備
旧
グラバー住宅、
高島炭坑、
小菅修船場跡等において、平成26年度中に4カ国語対
応の説明板を設置することとしている。
また、
出津教会堂、大野教会堂周辺においては、平成27年度までに駐車場とトイレ、
駐車場と教会を結ぶ歩行者用ルートを整備する予定である。なお、完成までの間は、
仮設駐車場及び仮設トイレを設置することとしている。
小菅修船場跡についても、資産の保全上、支障がない場所への仮設トイレの設置に
ついて、所有者と協議を行っているところである。
イ
世界遺産構成資産以外の資産やソフト面の活用
世界遺産を核として、夜景や観光施設等の観光資源、日本二十六聖人殉教地や浦上
天主堂等の歴史やストーリーを組み合わせ、新しい観光の楽しみ方を旅行会社等に提
案し、広く発信していくことで、宿泊・滞在型観光の推進を図る。
推進に当たり、今後、長崎市宿泊施設協議会等を通じて、
世界遺産登録に向けての
官民での観光推進の連携・協力体制を一層確立し、宿泊客の増加や宿泊の平準化の取
り組みを進め、回遊性の向上、滞在時間の延長、夜型観光の推進、観光客増加を促し、
経済効果の増大、リピーター確保へつなげる。
世界遺産と長崎の夜景、
世界遺産と長崎の食・観光地巡りなどをテーマとして観光
素材のアピールを展開するなど、新しい発見と感動を生む多彩なストーリーの提供に
よって、何度訪れても楽しめる長崎観光を目指すこととしている。
ウ (仮称)長崎の教会群と
キリスト教関連遺産展
平成27年2月19日から4月15日にかけて、長崎歴史文化博物館において開催を予
定しており、現在のところ次のような構成で、県内外の
キリスト教関連資料を紹介
し、
世界遺産としての価値をわかりやすく説明を行うこととしている。
1 西洋文明の伝播とキリスト教の繁栄
2 キリスト教の禁教から弾圧へ
3 潜伏キリシタンによる信仰の継承
4 開国とキリスト教信仰の復活
また、キリスト教関係施設や博物館などに対して、踏み絵を含めた貴重な資料借
用に向けて着々と交渉を進めている段階であり、特に東京国立博物館からは、200点
を超える過去最大のキリシタン関係遺品の出品協力が見込まれている。
なお、東京国立博物館に所蔵されている踏み絵の日本二十六聖人記念館への展示
についても、10月31日に文化観光部長が同博物館を訪問し、今後の可能性について
協議を行っている。
その中で、同博物館からは、国の重要文化財である資料の取り扱いに当たり、展
示施設への重要文化財の取り扱い実績がある学芸員の配置や展示室、収蔵庫での重
要文化財を展示できる環境整備がなされ、その上で文化庁から現地視察を含めた許
可がでるのであれば展示も可能との説明を受けており、現在、その点を踏まえなが
ら、二十六聖人記念館と協議を行っている。
(4) 観光プロモーションの実施
ア 観光プロモーションの方向性
観光プロモーションについては、次の3つの方向性により取り組む。
「
世界遺産の価値を伝えて誘客促進」として、それぞれの
構成資産の価値に加えて、
2つの
世界遺産に関する全体ストーリーを伝えていくことに重点を置き、各種媒体を
通じてわかりやすく伝えていくことにより、旅行意欲を喚起し誘客を促進する。
「
構成資産以外の
関連施設との組み合わせ」として、
構成資産以外の
関連施設も構
成資産とあわせて価値や関連性を説明し、
観光ルートとして情報発信、観光商品造成
を促進する。
「長崎の魅力との組み合わせ」として、長崎の四季折々のイベントや長崎の夜景、
長崎の食など、
世界遺産と長崎特有の魅力と組み合わせた情報発信を行うことにより、
相乗効果を図る。
イ 観光プロモーションの具体的取り組み
宣伝活動としては、テレビ、雑誌などの各種媒体を利用した宣伝、ガイドブック等
の宣伝ツール製作、旅行のきっかけとなる情報源として比率が高まってきているWE
B等を活用し情報発信に取り組む。
誘致活動としては、他都市で開催しているイベントでの観光PR、主要都市の大手
旅行代理店に対するセールス活動など、県外で一般観光客やエージェントに対して直
接的にPRを行い、観光客誘致に取り組む。
関係団体との連携としては、県や長崎県観光連盟等と連携し、県内の観光素材と組
み合わせながら、ガイドブックの製作や合同セールス、モニターツアーなどを実施す
ることにより、効率的、効果的な観光プロモーションに取り組む。
(5) 実施体制
庁内推進体制については、市長を本部長、副市長を副本部長とした長崎市
世界遺産登
録推進本部の下に、具体的な作業を行う次の4つの部会を設置し、業務を庁内横断的に
作業を進めている。
ア 「進める部会」は、
世界遺産推進室が中心となり、登録後の
保存管理体制を確立す
るため、
保存管理に資する基金の設置に取り組むこととしており、まずは保全に多額
の事業費が見込まれ、基金設置の目的をピンポイントで理解してもらえる端島の保存
整備のための基金について検討などを行っている。
イ 「もてなす部会」は、観光政策課が中心となり、現在の総合観光案内所での観光案
内に加え、長崎駅のかもめ広場かいわいに
世界遺産や観光関連の情報提供をする観光
インフォメーションの設置を検討するなどの観光客の受入体制の整備や、大野教会周
辺の道路改良工事等を行うことにより、資産を見学する際の快適性や安全性の向上を
図るなど安全対策の充実などの取り組みを行っている。
ウ 「伝える部会」は、都市経営室が中心となり、子ども向けパンフレットやDVDの
作成など地域や学校での学習活動を推進することにより、
世界遺産の多様な価値を理
解してもらうための取り組みなどを行っている。
エ 「活かす部会」は、観光推進課が中心となり、グリーンツーリズムを推進するなど、
地域の関連産業の振興を推進したり、今後、
世界遺産に関連した特産品の開発を検討
したり、
世界遺産を活用した地域振興にかかるマーケティングの推進についての取り
組みなどを行うこととしている。
また、国、長崎県、関係機関との連携体制は、
明治日本の
産業革命遺産については、国
が作成した
管理保全の一般方針及び戦略的枠組みに基づき、
内閣官房を中心に関係省庁、
地方自治体らで構成する保全委員会と、県・市・所有者等で構成する地区別協議会が連携
して
管理保全等に取り組み、必要に応じて
内閣官房が設置した
有識者会議により指導・助
言を仰ぐこととしている。長崎の教会群については、関係機関や所有者が情報を共有し、
協議、意思決定を行う組織として
世界遺産保存活用協議会を設置し、文化庁や県の世界遺
産学術委員会からの助言等を受けながら関係機関と協働していく体制となっている。
世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みとして、まずは、2つの
世界遺産の価値の理
解促進を図るとともに、世界の宝でもある
構成資産の保全に取り組み、さらに、2つの世
界遺産に密接に関連している資産や、その他の長崎の魅力とも組み合わせることにより、
長崎の歴史や魅力を発信する。
そのために、庁内での実施体制を継続し、国や県、さらには関係する企業や団体とも引
き続き連携を行っていく。
以上、観光客受入の取り組み及び
世界遺産登録後を見据えた今後の取り組みについて、本
委員会では次のような意見・要望が出された。
○ 建物そのものに価値があるのではなく、いかにその歴史的背景を打ち出すかという点
において、心の文化が重要であることから考えると、浦上地区というのはストーリーの
大きな柱になると考えられるのでしっかり検証してほしい。
○ 浦上天主堂を初めとした、二十六聖人など、
構成資産以外をプラスアルファしてスト
ーリーをきっちり確証し、市民への周知、理解を進めること。
○ 東京国立博物館に、踏み絵やロザリオ、親指のマリアなど、もともと長崎奉行所が浦
上の信者から没収したあらゆるものがあるが、しっかりとしたストーリー性をつくる上
でも、ぜひ長崎に持ってきてほしい。
○ 長崎の文化自体、鐘の音や歌声といった音で感じる部分は他都市にはない特徴的なも
のであり、そういう意味での文化の継承を重要にしてほしい。
○ キリスト教の祈りと光、平和、夜景とつなげて相乗効果が生まれるような取り組みを
してほしい。
○ 歴史の中で、キリスト教が伝わった後、仏教の弾圧というのは事実としてあった。こ
の事実についてもしっかりと押さえるべき。
○ 潜伏キリシタンとして現在も活動している方がいるため、そういう活動を邪魔しない
ような取り組みをすること。
○ 政府に対して、
稼働資産に対する税制支援の中身を充実させるよう働きかけ、そうい
う支援を受けるということで、公開を広げていけるような方策など検討するべき。
○ 将来を見据えて、ドルフィン桟橋より右側方向や30号棟付近への見学通路の拡大を検
討するべき。
○
世界遺産を契機に宿泊する観光客がふえると思うので、平日の観光も含め平準化を検
討するべき。
○
高島炭坑を顕在化し、価値感を高めることで、悪天候の時など、端島に上陸できない
観光客をカバーするなど検討するべき。
○ 三菱重工長崎造船所史料館を最大限活用し、映像などの情報コンテンツを用いて、ス
トーリーをビジュアル化し紹介するべき。
○
グラバー住宅について、耐震化と調度品の展示方法のあり方について逆になっている
感じがするが、大規模改修がずれ込むと
世界遺産決定等の関係からもおくれる懸念があ
るので急ぐこと。
○ 長崎の交通体系の整備は遅れていると思うので、関連する部署に整備をするよう促し
てほしい。また、出津の教会群のライトアップなど、周辺の環境整備もあわせて取り組
んでほしい。
○ 軍艦島周遊クルーズや、外海のバスツアーなどの料金問題について、長崎のイメージ
を大きく左右するので、他都市の状況も調査し、採算が合わない場合は補助をするなど
検討を進めてほしい。
○ 軍艦島は、シルエットというのも売りであるから、それが見える野母崎の資料館をも
っと充実させるべき。あわせて、今回の
世界遺産登録を契機に、伊王島も含めて導線上
にある施設についての整備を進めて、地域の活性化にも取り組んでほしい。
○ 民間旅行会社やJRと連携して、継続的に集客し、宿泊等につながる取り組みを年次
計画を策定し行うなど、2つの
世界遺産に共通する明確な目的性をもって観光客の誘導
とPRをするべきである。
○ 2つの
世界遺産は、他の
世界遺産と比べて理解が難しいが、情報発信として、市民か
ら県外への口コミというのは非常に大事と思われるので、周知、理解促進にはいろんな
工夫をしてほしい。
○ インフォメーションセンターについては、都心部にあるべきなので、場所の確保に努
めること。
○
世界遺産に関するフリー素材を提供して、民間で活用できるような取り組みを行って
ほしい。
6 委員会からの提言
以上、本委員会の調査項目についてまとめたが、理事者におかれては、委員会における
調査の過程で各委員から出された意見・要望を十分踏まえ、「
明治日本の
産業革命遺産 九
州・山口と
関連地域」と「長崎の教会群と
キリスト教関連遺産」の2つの
世界遺産候補を
関係県市町と連携して
世界遺産への登録を推進しているなか、この機を逃すことがないよ
う、観光客受入体制の充実、市民への周知と理解を深めるための取り組みについて一層努
めることを要望する。
また、上記に加え、
世界遺産の保全のための研究や整備、マーケティングの推進、各関
係機関との連携といった業務が多岐に渡っていることから、長崎市
世界遺産登録推進本部
の下に設置されている「進める部会」、「もてなす部会」、「伝える部会」、「活かす部会」の
4つの部会のなかで早急に協議検討を重ね、特に次に掲げる項目について具体的に取り組
んでいくことを強く要望する。
(1)
保存管理計画及び
整備活用計画の策定
スケジュールについて
(2)
保存整備のための基金の設立について
(3) 端島の見学通路の拡大について
(4) 野母崎、伊王島地区の施設整備と地域活性化について
(5) 浦上地区を中心としたストーリーの確立について
(6) 東京国立博物館所蔵のキリシタン関係遺品の里帰りについて
(7) 交通結節点へのインフォメーションセンター設置について
(8) 映像やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の情報コンテンツの
さらなる活用について
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