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2011-11-15 長崎市:平成23年防災対策特別委員会 本文
2011-11-15 長崎市:平成23年次世代エネルギー利活用特別委員会 本文

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  1. 長崎市議会 2011-11-15
    2011-11-15 長崎市:平成23年次世代エネルギー利活用特別委員会 本文


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1           =開会 午前10時0分= 麻生 隆委員長 出席委員は半数以上であります。ただいまから次世代エネルギー利活用特別委員会を開会いたします。 〔調査順序について協議を行った結果、「自然 エネルギー再生可能エネルギー等の活用可能 性について(意見交換)」と決定した。〕 2 麻生 隆委員長 今回の委員会資料につきましては、各委員の皆様に事前に配付されておりますので、ご確認をお願いしたいと思います。このNEDOの関係の資料と冊子をお配りしたと思っておりますけど、いいですかね。  それでは、本日は参考人として、独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構スマートコミュニティ部主任研究員であります諸住参考人と主査の川名参考人に出席いただいております。「自然エネルギー再生可能エネルギー活用可能性について」の説明やご意見を拝聴し、この活動の参考にしたいと思います。  意見交換の手順といたしましては、まず、本委員会を代表して私からごあいさつを申し上げたいと思います。その後、参考人から説明、また、この冊子に基づいて、一部重複している部分があると思いますけれども、それについては一部割愛をお願いしておりますけれども、そういったものを進めてまいりたいと思いますけど、いかがでしょうか。いいでしょうか。     〔「異議なし」と言う者あり〕 3 麻生 隆委員長 異議ないと認めます。  それでは、参考人の方にご入場いただきますので、しばらく休憩いたします。           =休憩 午前10時3分=        〔参考人入室〕           =再開 午前10時5分= 4 麻生 隆委員長 それでは、委員会を再開いたします。  私は、次世代エネルギー利活用特別委員会の委員長をしております麻生隆と申します。  本日は、本委員会へご出席をお願いいたしましたところ、大変ご多忙の中、快くご出席を賜りまして、ありがとうございます。改めて感謝申し上げます。  本日は、「自然エネルギー再生可能エネルギー活用可能性について」のご説明やご意見をお聞かせいただき、本委員会における調査、検討の参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
     それでは、参考人から自己紹介をいただきたいと思います。       〔参考人自己紹介〕 5 麻生 隆委員長 それでは、参考人にご説明やご意見をちょうだいし、その後、委員から質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  発言に当たりましては、委員長の許可を得た上で、マイクをご使用いただいて、発言をお願いいたします。  それでは、諸住参考人、お願いいたします。 6 諸住参考人 それでは、まずプレゼンテーションの資料に沿ってご説明したいと思います。  それでは、始めさせていただきたいと思います。  この資料の前半のほうは、新エネルギーの現状についてまとめてありますが、この委員会の中ではかなり説明もされているということで、この辺はさらっと説明させていただきたいと思います。  再生可能エネルギーの中で、いろんな種類がありますけれども、日本で中心的なものになるだろうというのは太陽光発電でございます。太陽光発電につきましては、もともとはシリコン結晶型のものが中心ですが、最近はいろんな化合物を使ったものが出始めたというのはご承知のことかと思います。  これをNEDOがPV2030というふうに言っておりますロードマップでございまして、基本的には、割と近い将来に家庭用電気料金に対抗できるくらいのコストに下げる、それから、2020年には業務用の電気料金従量分に相当しますけれども、電気料金を下げる。それから、2030年には産業用の従量分に対抗できるくらいに値段を下げるというふうな目標を掲げて技術開発をしましょうというふうに書いてある絵でございます。  オリジナルの2030はそういうシナリオだったんですが、2030+という2年前に改定された新しいロードマップでは、これが数年ぐらいずつ前倒しになるというような状況になっていますが、一方で、既にこのロードマップが崩れているという説もありまして、先ほどちょっとご紹介したいろんなセルの中で、カドミウムテルルというのが海外でいろいろ今使われ始めています。これは残念ながら、国内では毒物扱いになっている関係で、今、取り扱う企業はいないんですが、これが1ワット当たり1ドルを切ると。一説によると、0.77ドルという話もあるんですが、既にこのロードマップを突き崩すくらいの大きなインパクトが出ているというふうに今言われているという状況でございます。  これは、太陽光発電の「電」が抜けていますけれども、太陽光発電の国の目標として現時点で掲げられているもので、2020年時点で2005年の20倍ということで想定されている28ギガワット、2,800万キロワットの導入量というのが今公式に出ているんですが、実際には多分これよりもどんどん加速される方向にあるというのが今の認識でございます。  世界的に見ましても、太陽光の導入目標というのはかなり積極的に打ち出されておりまして、EU、欧州エネルギー技術戦略計画とか、いろいろなところでかなり高い目標が掲げられているという状況でございます。  また、新エネルギーというと、日本では何か地産地消というイメージが非常に強いんですけれども、ヨーロッパの情勢を見ますと、風力は海の上、太陽光はだんだん砂漠の上という形で、遠いところに大きなものを設置して、それを大量に運ぶという時代に入りつつあると言われています。  地中海ソーラー・プランとかデザーテック、これは太陽熱のほうですけれども、そういう構想があって、サハラ砂漠に巨大な太陽熱設備を投資するというのと、その発生した電気を直流送電を使ってEUに輸出するというふうな構想が今立てられているという状況でございます。  ただし、これらの国が今、いろんな意味で政治的に不安定だというのが投資家にとってはリスク要因ということで、プロジェクト自体はちょっと今とまっている状態ではありますけれども、長い目で見て、例えば、2020年にヨーロッパで180テラワットアワーを入れるというような目標のうちの一部に、こういう砂漠の上にある太陽光発電からの輸入というのを期待しているという状況かと思います。  また、アメリカは最近シェールガスの部分に沸いてはいるんですけれども、その一方で、やっぱりある程度新エネルギーへの投資というのも構想としては進んでいるというふうに聞いておりまして、これはコロラド州のデンバーのそばにある再生可能エネルギー研究所の研究員のレポートなんですけれども、最大800メガワットの巨大なメガソーラープロジェクトを含む100メガワット超メガソーラープロジェクトが少なくとも10件以上はあるという話を聞いております。  風力発電、この辺もいろいろお話を聞いていると思いますが、風力発電と一口に言っても、大きく分けると2種類に分かれると。大体50キロワット以上、基本的にいうと高圧以上、あるいは特別高圧に連系するような大きな風車と、それから低圧の配電系統にぶら下がる小さな風力というふうに分かれるかと思います。  大きな風力は、やっぱり事業投資として進められており、風況のいいところに建てられますので、20%程度の稼働率は確保するというのが一般的なんですけれども、実は小さな風力というのは、実際に設置するとよく回らないということでいろいろな問題になっております。  これについては、また後の議論の中でご説明できればと思います。  風力発電の仕組みというのは、ちょっと省略させていただきまして、風力発電につきましても、かなり各国、世界的にも大きな導入目標が掲げられております。日本でも、ある程度ポテンシャルとかいろんなことを言われていますが、ただし、最近、風力の導入に関しましては、電力会社側のほうが上限枠というのを設定していて、九州電力の管内もその上限枠が設定されているんですけれども、これがある意味で今制約になっていて、実際に導入されている風力の導入量というのは、各電力会社の規模の数%どまりというのが今の現状でございます。  バイオマス、こちらのほうはいろんな種類があって、非常に多様性があります。日本でもいろんなバイオマスが検討されておりますけれども、エネルギー基本計画の中に将来目標として取り込まれているのは、いわゆるガソリンの中にまぜるようなバイオ燃料等の話は出ていますけれども、非常に多種多様なので、導入目標というのははっきりしたものがないというふうに考えていただければいいと思います。  太陽熱、これは世界的には砂漠地域では脚光を浴びておりますが、日本では昔、サンシャイン計画で四国の仁尾で実証されましたけれども、余りいい成績が出ませんでした。最大の理由は、太陽光発電というのは一種のレンズみたいな形で、光を集光しなければいけないんですけれども、日本の場合、特に夏場というのは湿度が多くて、太陽からの直達光よりも散乱光の比率が高くなり、実は焦点が合わないということで余り成績が出ないので、日本には向かないという話になっております。そういう意味では、これは明らかに海外で展開する技術として注目されております。  それから、海洋エネルギー、波力発電とか海洋温度差発電等が今検討されておりますが、これはまだまだかなり基礎研究に近いと思っていただければいいと思います。  海洋温度差発電につきましては、非常に海の深度差がないとできない技術でありますし、それから波力発電というのは、基本的に緯度が高いところほど波力の賦存量が高いという傾向がありまして、日本みたいな中緯度というのは余り高い賦存量を持っていないと言われておりまして、その辺でまだまだ研究段階の技術というふうに思っていただければいいと思います。  そのほか、新エネルギーとして注目されている、昔からあるものとしては中小規模水力、あるいは地熱ということでございます。  特にマイクロ水力というのは、従来は開発途上国の未電化地域の電源として使われていましたが、最近は国内の非常に流量の多い河川とか、それから、ちょっと小さな落差があるところで使われ始めていて、結構引き合いが出ているという話を聞いております。そういう意味では、結構、新エネルギーの中では比較的、太陽光に次いで普及可能性がある程度あるんじゃないかというふうに言われているものだと聞いております。  地熱、こちらのほうもかなり昔からやられております。いろんな方法論があるんですが、基本的には、やっぱり昔から期待されている高温岩体発電という一番難しい技術はなかなか簡単にできないということで、当面やるとしたら従来型の地熱が中心になると思います。  ただし、この地熱は、結構建設までの時間がかかるということもあって、かなり資本力があるところじゃないと耐えられないというところもありまして、そういう意味で、従来、日本で余り普及しなかったというのもありますし、それから、地熱の適地というのは、国立公園とか温泉地と大体重なっているということもあって、そういうところへの環境影響とか観光資源影響というのが懸念されて、いろんな協議になるというケースが多いということで、なかなか日本では賦存量がある割には普及しない新エネルギーとなっております。  特に、太陽光を中心に将来の導入予想と、それからいろんな系統への影響というものを評価したのがこのグラフでございます。  多分、西暦2030年時点の電力の日本全体のピークというのは200ギガワットぐらい。イメージでいうと、ほとんど今と横ばい状態というふうに言われております。これはやっぱり日本の、特に人口はもうこの先伸びないということが非常に大きな要因になるんですが、それに対して新エネルギーが今ほとんどない状態から、多分太陽光発電で、前の自民党政権時代ですけど、麻生ビジョンで言っている53ギガワット、それからPV2030は、これはどちらかというと業界の希望的観測なんですけれども、100ギガワットという導入量を今予想していると。  風力は、それから見ると若干控え目なんですが、国の長期需給見通しでは6.78ギガワット、それから業界側のほうの目標で20ギガワットとか、それから28ギガワットという数字が出ております。  恐らくこの太陽光発電の53ギガワットまで到達すると、多分需要の低い春、秋の平日には昼間に太陽光の電気が余るだろうと言われておりまして、その段階までには確実に電力をためるか、別な方法で出力をコントロールするかということが必要になってくるというふうに言われております。  いずれにせよ、普及に伴って、電力系統にいろんな影響が出てくるというのは、今、予想されていることでございます。  それから、新エネルギーとともにもう一つ、非常に重要な技術が電気をためるほうの電力貯蔵の技術でございます。  電力貯蔵の技術は、基本的には、日本では1970年代から長い時間をかけていろいろ技術開発が継続的に続けられております。ただし、不思議なことに、10年ごとに電力貯蔵の目的が変わっておりまして、70年代はどんどん伸びる電力需要のピーク対策としての電力貯蔵の必要性が叫ばれたんですが、石油ショック以降の80年代は、需要の伸びが停滞した中で原子力の比率がどんどんふえてくるということで、むしろ、夜間の負荷、創生という意味での電力貯蔵が注目されるようになりました。  その後、1990年代から世界的に電力自由化のブームになりまして、このときに、やっぱり日本でもそれほど自由化が進んだわけではないんですが、一部やっぱり自由化が進んで、電力会社が自由化に対するサービスを拡大するという基調になったときに、需要家側における電池というものの技術開発が盛んになって、さらに2000年を越えたあたりから新エネルギーと電力貯蔵を組み合わせるという技術に注目が移っていったという経緯がございます。  電力貯蔵は、巨大な揚水発電から蓄電池、それから、ちょっとこれは順番が狂いましたけれども、フライホイールとか電気二重層キャパシタとか、あるいは超電導エネルギー貯蔵のようないろんなタイプのものがございます。  電池とか揚水発電のところは、ある程度エネルギーがためられて、出力がとれるものなんですが、最後のほうに出てきたフライホイールとかキャパシタ、あるいは超電導エネルギー貯蔵というのは瞬発力、要するに瞬間的にパワーを出すというものに適していて、例えば、産業界で一番頭を悩ましている雷が原因で起こる瞬時電圧低下、そういうものの対策なんかに使われる方向でずっと普及してきました。  エネルギーをある程度大量にためて、大量に時間的にシフトして使うというタイプの使い方は、揚水発電とか電池が中心になるんですけれども、電池は残念ながらまだ技術的に開発途上ということでございます。  これは、三、四年ぐらい前の新エネルギー部会の下の風力対策の小委員会で提出されたもので、若干、これより数字は変わっているんですが、まだまだリチウム二次電池は開発途上でございまして、当時は大体キロワット300万円ぐらいからだんだん安くなっていくというような状況でございまして、例えば、市販されているものでいうと、量販店が出している1キロワットぐらいのリチウムのバックアップ電源みたいなものが最近売られているんですが、これが今キロワット80万円ぐらいのところまで来ているという状況です。  リチウム電池の値段は今かなり下がってきて、自動車用を念頭に置きながら30万円ぐらいまで落ちてきてはいるんですが、まだ完全に量産化体制ができていないということもありまして、小型の二次性のリチウムは別なんですけれども、電気自動車に使われたり、こういう新エネルギー対策用リチウム電池はまだ量産体制に入っていないということもあって、ある程度、量産化のラインができているNAS電池から見ると、まだ高い電池になっているという状況でございます。  ニッケル水素も川崎重工さんが中心になってやっていますけれども、これもまだ量産化が進んでいないところもあって、値段が高いわけでございます。  それから、鉛蓄電池、これは結構評価が難しいところなんですが、自動車用のバッテリーはかなり量産が進んでいますので、これよりもかなり安い。多分NAS電池と書いてある領域のコストになるんですけれども、地面に置いて、ある程度大きな電力をためるという電池になると、これは量産化されていないので、結構まだ高い領域にコストがなっているケースがあります。  この辺はなぜコストが高いかというと、電池のコストがこういうふうに下がる大きな要因というのは量産化ができるかどうかということでございまして、そういう意味では、電池の値段が下がるからマーケットが立ち上がるのか、マーケットができるから電池の値段が下がるのかという意味で、鶏と卵論というのがずうっと続いているというのが一つ、ここら辺の分野の課題でございます。  まず、技術に関しての概要はこの程度にさせていただきまして、特にスマートグリッドスマートコミュニティに関する最近の実証研究の流れをご紹介したいと思います。  NEDOの新エネルギーシステムの開発活動というのは、さかのぼると、2000年以前がサンシャイン計画とかニューサンシャイン計画の中で行われておりました新エネルギー系統連系対策というのがスタートになっております。サンシャイン計画の初期のころに太陽光発電というのを使えるようにするためには、要するに太陽の状況によって変動する出力を電力系統側のほうでバックアップするということが絶対必要だということで、系統連系という概念が出たのは1980年代の初めぐらいなんですが、そのときに、約20年ぐらいかけて単機のそういう太陽光発電を系統に連系するためのいろんな決め事、系統連系の要件みたいなものが決まったというのは2000年以前の話でございます。  ところが、その後、かなり太陽光発電とか風力発電の大量導入が見越せるような時代になって、じゃ、大量導入につながった場合には、その問題点は全部解決できているんだろうかという話があったときに、やはりまだ問題が積み残されているということで、2000年から2010年にかけて、NEDOは新エネルギーの結構大きな系統連系技術の研究、実証を展開しております。  ある程度この答えが出た、大部分は新エネ側の対策を実証するというのが中心だったんですけれども、これをベースにして、2010年以降、こういう技術を中心に海外に売り込むというフェーズに移って、社会システムのニーズを取り込んだスマートコミュニティの実証に展開を進めていったというのが過去の経緯でございます。  ここで、スマートグリッドスマートコミュニティという言葉が出てくるんですけれども、実は皆さん、どういう意味だろうということで、かなりいろんなところでわかりにくいということがあるので、これは一応私の解釈なんですけれども、ちょっとご紹介したいと思います。  スマートグリッド、これは3年前にオバマさんが政策として掲げたので有名になりましたが、言葉としては、それよりも5年ぐらい前から使われ始めた言葉でございます。基本的には、電力システムを対象としたスマート化、つまりICT技術を駆使した電力システムの運用の高度化、これがスマートグリッドの技術でございます。  これが必要になっている一つの理由は、実はユーザー側のほうでもだんだんスマート化が進んでいくと。ビルディングのほうでは、例えば、東京の六本木ヒルズのような、要するに自立ができるようなかなり高度なエネルギーシステムを持ったビル等が登場してきていて、それを管理するビルのエネルギーマネジメントシステム、俗に言うBEMSというものなんですけれども、そういうものが導入され始めておりますが、そういう技術がだんだん家庭に普及するだろうというような形で今考えられています。  そうすると、家庭側のほうで上手にエネルギーを使うという時代になったときに、それに対応して、電力会社は家庭のユーザーを電力会社のほうに上手にコントロールすると。ユーザー側のほうは、自分たちの家庭の中でも、例えば、エネルギーコストを最小化するとか、あるいは利便性を最大化するような使い方を模索するということで、この2つの間で一種のネゴシエーションが起こると。このネゴシエーションが行われるような感じの世界がスマートコミュニティだと思っていただければいいと思います。つまり、スマートサプライヤースマートユーザーの集合体がそういう意味でスマートコミュニティの形態だと思っていただければいいと思います。  これは、スマートグリッドだけじゃなくて、実はこの横にはもしかしたらスマートガス会社があるかもしれないし、スマート水道事業があるかもしれない。ただし、ユーザーは幾つかのスマートサプライヤーと対峙しますので、そういうユーザーとサプライヤーの間のICTを使ったコミュニケーション、それによる社会システム全体のいわゆる運営というのがスマートコミュニティだと思っていただければいいと思います。  多分スマートコミュニティの世界というのは、今から約10年間はいろんな意味でトライアル・アンド・エラーの世界になると思っていただければいいと思います。  最大の理由は、このICTに関していうと、我々の経験からいうと、まだコストが高いと。この通信を潤沢にやるには、多分世代があと一、二世代進んで、もっとコミュニケーションのコストが安くならないと、実はなかなか潤沢にやれない可能性があるんですが、そういう中で、多分2020年ごろから、先ほどご紹介した新エネも安くなって大量に入ってきて、それをコントロールしなきゃいけないので、いや応なく情報化投資を進めなきゃいけないというのが私が見ている世界でございます。  そうすると、都市レベルでやっていたコミュニティが最終的に日本全国津々浦々に広がるソサエティーになるはずでございまして、そのときにどのシステムが生き残るかというのはありますし、それから、ICTが非常に重要なポイントなので、日本の津々浦々普及するのに約10年とか20年という時代がかかるんですけれども、その間に多分ICT技術というのは、今のペースでいうと数世代、世代がかわりますので、そういうものが混在する、数世代の技術が混在するような世界が日本国内で展開するというのがスマートソサエティーの最終的な姿だと思います。  そういう意味で非常に重要なのは、電力を含めた自治体の公共サービスなんかも含めて、どういうふうにICT技術を取り込んで、どういうふうに古くなったICT技術を捨て去るかというのが実は非常に重要なマネジメントになるというのと同時に、これをちゃんと標準化に乗ったものを使うか、そうでないかによって、かかるコストが多分かなり違ってくるという世界になるだろうと予想しております。  それでは、スマートグリッドへの展開ということで、系統連系関連プロジェクトの紹介をしたいと思います。  先ほどご紹介しました2000年から2010年度の間にあった新エネルギーの大量導入を見越したプロジェクトというのは、ここにあります5つの実証研究と蓄電池の1つの技術開発を指しております。  特に、きょうご紹介するのは実証研究のほうでございまして、1つは、一番有名なのは、群馬県太田市の城西の杜というニュータウンで実証しました太陽光発電のプロジェクト、集中連系型太陽光発電システムの実証研究でございます。  このプロジェクトは、決して環境貢献を評価するプロジェクトではなくて、もともと電力会社が懸念していた太陽光の大量接続に対する問題を解決するための大きな実証プロジェクトであったというふうにご理解いただければいいと思います。そのときに、現地に太陽光発電を入れるとともに各戸のところの横に蓄電池を入れると。この蓄電池は、余剰の発電電力をためて夜間に使うということによって、逆潮流、要するに電力会社に流れ込む電力を減らして電圧管理をするということを実証してみせたというのと、それから、ここに実験施設みたいなのが見えているんですが、これは太陽光のインバーター、要するに直流の太陽光の電気を交流にかえる装置なんですけれども、いわゆる停電時に安全にとめるという技術を知見する装置なんですが、そういう保安技術をこのプロジェクトを通して実証しております。  特に重要なのは、この保安技術でございまして、それまでは多分200軒を超える太陽光の1カ所の連系というのを、電力会社というのは基本的には技術的に安全が担保できないのでということでお断りしていた状態だったんですけれども、今はこういう大量連系が可能なインバーター技術を認証品として提供できる状態になりまして、こういう太田市のような500台規模とか、あるいは1,000台規模の太陽光発電住宅がつくれる、そういう時代になったということで成果を上げております。  2つ目のプロジェクトは、最近話題のメガソーラーのプロジェクトがございまして、NEDOは北海道の稚内市と山梨県の北杜市で日本最初のメガソーラーを建設しております。稚内のほうは、結晶系セルを中心として、5メガの太陽光発電所をつくりましたが、ここの重要なポイントは、蓄電池とセットにしたということでございます。  それから、北杜のほうはインバーターを開発しましたが、ここは同時に、ここに書いてあるように、写真にあるように、いろんなタイプのセルを入れて実証を展開して、いわゆる太陽光の性能の比較をしたということも一つのエポックでございます。  それから、風力発電の蓄電池による変動吸収という実験もやっておりまして、これは北海道の苫前の電源開発のウインビラ発電所というところで実証研究を行っておりました。  また、マイクログリッドと言われておりますあるエリアで地産地消するシステムの実証として、愛知、八戸、京丹後というところで新エネルギーと需要を組み合わせた需給管理システムの実証を行っております。  それから、この辺につきましては、例えば、八戸市というのは今回震災のエリアだったんですけれども、ここは実は港のそばなんですが、幸い津波の影響を受けずに、ここにあるガスエンジンが震災後に立ち上がって、非常用電源がわりといいますか、市役所に今つながっているんですけれども、市役所の電源の一部として使われたという話を聞いております。  また、類似のプロジェクトなんですけれども、新電力ネットワークというプロジェクトがありまして、1つは電力系統側のほうの対策の実証だったんですが、もう1つは品質別供給ということで、仙台市で停電とか瞬低を排除するような高度な電力供給を実証するというプロジェクトをやっております。  これもマイクログリッドを形成しておりまして、プロジェクト終了後は、東北福祉大学の病院の非常用発電機として使われたんですが、先日の震災のときも、実はガス配管というのは中圧とか高圧というのは地震に対して結構強度がありまして、ガスがとまらなかったおかげもありまして、翌日から病院の非常用発電機として、仙台地区は少なくとも3日は停電していたはずなんですけれども、病院の電源としては翌日から動き始めたという話を聞いておりますが、そういうような対応ができたというふうに聞いておりまして、そういう意味で、こういう地産地消のシステムは供給信頼度を高める効果があるということを実証できたという形になっております。  それから、こういう2000年代の実証を受けて、我々は今スマートコミュニティのプロジェクトの展開を進めております。国内のほうはいろんな事情があって、最初はNEDOの管轄のもとでプロジェクトが展開される予定だったんですが、最終的には経済産業省の管轄のもとでプロジェクトが展開されますけれども、NEDOも横ではサポートするという体制で展開しております。  NEDOのほうは、いろんな海外での実証研究の展開を行っております。これは、日本の産業として新しい輸出産業を育てるという意味で、いろんなシステム輸出の話が話題になっておりましたけど、その一つとして、こういうグリッド関係、コミュニティ関係のスマート技術というのを対象にしたいということで展開しているプロジェクトだと思っていただければいいと思います。  まず、海外地方の動きからご紹介しますと、我々がやっているプロジェクトの中で最初のものがアメリカのニューメキシコのプロジェクトでございます。このプロジェクトは、ロスアラモスとアルバカーキというところの2カ所で展開しておりますが、アメリカのエネルギー省配下のいろんな国立研究所等とコラボレーションして実証研究を行う予定でおります。  このロスアラモスというエリアは研究所の横にある住宅地域なんですが、特殊なところなので、カウンティが電力会社を経営しているんですが、そこの配電系統の一部に太陽光発電を大量導入して、これを蓄電池とセットでうまく運用することによって自活力の高いグリッドを実証しようというプロジェクトになっております。  ロスアラモスの写真というのはこういう感じでして、この辺に研究所があるんですが、その横にこういう台地があって、ここのところに住宅地が広がっている状況でございます。  その中で、アメリカで注目されているスマートメーターの先をいって、我々はスマートメーターだけではなくて、家庭の中のホームエネルギーマネジメントシステムと太陽光というバッテリーをうまく使った最大限デマンドレスポンスを適用したデモンストレーションハウスの実証もあわせてやるということで、今、現地で展開しております。  また、アルバカーキ側のほうでも、ビルを使って太陽光の変動を吸収するというような、いわゆるマイクログリッド的な実証をやるということで展開しております。これは、実はビルの分散電源を導入するデモンストレーションビルでございまして、現在、工事が始まったところでございます。  こういうような実証を通して得た知見を日米の研究者が寄り添っていろいろ研究をするというスタイルで展開していきたいというふうに今考えております。  ニューメキシコのプロジェクトは、アメリカ人は結構アイデアはあるんですけど、実は物がつくれないという弱みを持っておりまして、そういう意味で、我々がうまく潜り込めたという最初のプロジェクトでございます。  それから、2番目の海外実証は、フランスのリヨンで行われている都市型のスマートコミュニティの実証でございます。  このプロジェクトは、フランスの第2の都市であるリヨンのコンフルエンス地区と言われる再開発エリア、これはちょうど川の中州みたいな形をした地形の場所で、昔は交易の足場だったので、市場みたいなものが雑然とあったエリアなんですが、これをきれいに都市として再開発するというプロジェクトが進行しているんですけれども、その中に日本のスマート技術を取り込むというものでございます。  その中の主なコンテンツは、P-plotと言われる新しいビルに日本製の省エネルギー技術とフランス型の省エネルギー技術を融合させてビルをつくると。ゼロエミッションビルといいますが、いわゆるエネルギー消費がゼロになるというようなビルをつくるというのと、それから現地でPVを大量に導入するという話と、それから電気自動車を導入していきたいという構想にあわせまして、なるべくPVの電気を電気自動車に充電するというシステムをつくる。それと、それを運営するシステムをつくるというポーションと、3つ目は、これは若干、見える化による効果をねらったものなんですが、再開発地域の中で建て替えがない住宅エリアで、各家庭のエネルギー使用量をモニタリングしてリコメンドを返す。こういうふうにやるといいよ、省エネになるよというようなことを返すというふうな実証をやるということを今リヨンで考えております。  全体的に都市が持つエネルギーマネジメントシステムというものをこのシステムの中で構築するんですが、1つは、やっぱりこういうプロジェクトをやっている中での課題は、利用者が電力会社とかカーシェアリングをやっているような会社、民間企業がいるんですけれども、そういう人たちに我々はどういうような権限を持っているのかというのでよく頭を悩ませているみたいでして、これは多分、今後いろんな日本国内の実証でも同じような問題を抱えてくるんではないかなと思っております。  3つ目のプロジェクトは、スペインにおけるスマートコミュニティ実証で、これは完全にEVを対象にしたものになります。  EVというのは普通の車と違って、充電器はどこがあいているという情報を伝えないと、なかなか使い勝手が悪くなるというふうに言われております。なぜかというと、充電器というのは結構電気を食うので、その電力の系統の状況によって時々使えない状況が発生すると。その状況をちゃんとユーザーに知らせることによって、今使える充電器のところにちゃんと誘導してあげるということが必要だというふうに言われておりまして、そういうようなサービスにいろんなコンテンツサービスをつなげるということが今検討されているんですが、それをスペインの交易事業と日本のメーカーが連合して展開するというのがこのプロジェクトになっております。  これはマラガという観光都市で展開される予定でございまして、今、ちょうどそれのステージゲートの段階を迎えているという状況でございます。  それから、ちょうど今、APECが行われましたけれども、ハワイにおけるスマートグリッドのプロジェクトもやっておりまして、これは鳩山・オバマ会談をベースにしてスタートしたものでございます。  特に、マウイ島という島で実証するんですが、ここは1,200メガワットの系統容量に対して30メガワットの風力が入ってきていて、さらに近々、40メガワットの蓄量がふえると言われています。また、電気料金は、30円パー・キロワットアワーで日本よりも高い世界でございまして、そういうこともあって、太陽光の普及もかなりハイスピードで起こっているところなんですが、その新エネの変動によって、もう既に0.4ヘルツくらいの周波数変動が起こるということで、新エネの弊害が既に顕在化している場所でございます。  そういうところで、新エネの変動を緊急時にうまく吸収するようなデマンドサイドのコントロール、特にEVのチャージングを瞬間的にとめるような技術を使うことによって系統安定化するような技術、あるいはPVに関して、周波数が荒れたときにPVの発生を瞬間的にとめるようなスマートインバーターの技術などを実証するということで今スタートしておりまして、ハワイ電力等の現地企業等の協力で展開する話が今スタートしたところでございます。  あと中華人民共和国でも今プロジェクトを展開しております。これもやっぱりスマートコミュニティでございまして、これはすごく発展するというふうに言われている都市を対象にしています。場所は共青城と言われまして、上海から内陸に入った江西省の中の都市なんですが、今、人口は10万人ぐらいなんですけれども、あと10年ぐらいの間に50万人にするという計画都市でございます。  そういう中で、エネルギーの消費がどんどんふえていくんですが、それをなるべくふえないようにマネジメントするというのがこのプロジェクトのポーションでございます。  ここは、太平洋戦争後に共産党の青年団が入植した、ある意味では共青社と言われております、中国の中でも一種の開拓のシンボリックな聖地というふうに言われておりまして、そこで我々は実証研究をやるんですが、住宅地域とか工業地域とか商業地域がきれいに分かれている計画都市なんですけれども、そこで新エネルギーの導入をふやしたり、あるいは省エネルギーの技術をいろいろ展開するということによって、なるべくこれからふえていくエネルギー消費を減らす、あるいはそれをうまくマネジメントするというシステムを提供する実証研究を海外で今考えております。  それから、我々は今、インドとかモロッコとかトルコとかという先進国ではない国でも、いろいろスマート技術についての展開も図っているという状況でございます。  最後に、国内の状況をちょっとご説明したいと思います。  国内に関しては、今いろんな動きがあります。経済産業省だけではなくて、環境省系の話もいろいろあるとは思いますが、特に経済産業省の中の動きをちょっとご紹介したいと思います。  特に今、目玉になっているのは、新エネルギーそのものについては後ほどご紹介します。固定買い取り制度の話が中心になりますけれども、こういうスマートコミュニティ的なシステムに関しては、今のところは実証段階の技術だという前提のもとで実証技術のプロジェクトの展開をしておりまして、まず有名なのは、横浜、豊田、けいはんな、北九州で展開されております次世代エネルギー社会システム実証でございます。  これは、基本的には各地域、先ほどご紹介したBEMS、HEMSといった需要家側のほうのエネルギーマネジメントシステムのいろんなプロジェクトの集合体が形成されていて、それを地域のコミュニティマネジメントシステムで統合するというようなスタイルにはなっていますが、それぞれ技術開発を伴いながら個々のBEMS、HEMSは展開されておりますけれども、一番難しいのは、地域エネルギーマネジメントシステムのほうでございまして、自治体が何かの指令を出して、デマンドレスポンスを出すというような構造にはなっているんですが、問題は、さて、どういう目的でどういう権限を持ってという話はやっぱり大きな課題になっているというふうに思っていただければいいと思います。  その下にあるプロジェクトは、次世代エネルギー技術実証事業でございまして、これはスマートコミュニティに資する技術を実証するプロジェクトに関して、原則2分の1助成になっていたと思いますけれども、すみません、下のほうにNEDOと書いてあるんですが、これは最終的には経産省になったというふうに修正していただきたいと思いますけれども、これは経産省になりましたけれども、助成をするという形で進めているプロジェクトでございます。  ハウステンボスのプロジェクトもこれの中で提案されたものだったというふうに理解しておりますが、これは先ほどご紹介したBEMS、HEMSの集合体の4実証のときに比べればもうちょっと小ぶりなんですが、ある特定エリアを対象にしてスマートコミュニティ的な技術を入れるということで提案したものに対して助成を出すということで、1次公募と2次公募が終わって、多分全体的には6か7事業が採択されております。これは結構いろいろレベル差もありますし、バリエーションのある事業が採択されているという状況になっています。  それからもう一つ、これは事前検討用の予算ということで、スマートコミュニティ構想普及支援事業というのがセットされておりまして、これも国のほうから、多分私の記憶でいうと二、三十ぐらいの自治体が採択されていたと思いますけれども、今後、考え得るスマートコミュニティ化の構想をこの予算を使って練ってくださいねという事業が用意されております。
     最初の4実証の大体のアウトラインを説明しますと、まず横浜でございます。こちらのほうは、主なプレイヤーが東芝、日立、日産とかという企業を中心として、いろんなメーカーが入っております。一番大きいのは、ここに書いてありますようにHEMS、BEMSをいろんな企業が展開する中で、一部熱の融通みたいな話が入ってあるんですが、最終的にはそれを全体的に地域のエネルギーマネジメントシステムで、ある形で束ねようという話になっております。  ここは日産が入っている関係で、イーモバイルは電気自動車が中心というふうに考えてもらえればいいと思います。  2番目、豊田でございます。こちらは中部地域の企業が中心になりますけれども、主としてはトヨタ自動車とデンソー等のトヨタ系の会社が中心になっております。トヨタが非常に重きを置いているのは、今回はHEMSです。住宅のエネルギーマネジメントシステムで、イーモバイルの車はトヨタですので、プラグインハイブリッドになります。トヨタの発想としては、約10年後ぐらい、2020年くらいに新エネルギーが家庭に導入し始めていくのと同時に彼らの売り込んでいるプラグインハイブリット、もしかしたら、その後、EVになる可能性もあるんですけれども、そういうものをどういうふうに融合させるかということを実証するという目的で着手したプロジェクトであるというふうに聞いております。  3つ目、けいはんなのプロジェクトですけれども、これもやはりBEMS、HEMS、特にけいはんなの学研地域を対象にしていますので、その住宅地域を対象にした省CO2化の地域マネジメントをやるということになっております。  当初は、新築住宅を対象に新エネを導入するようなイメージが中心だったんですが、いろいろ経産省との交渉の関係で、やっぱり地域エネルギーマネジメントのところを重視するということで、特にデマンドレスポンスの効果が住宅地域でどれくらい出るのかを実証する方向に今変わりつつあるということで、既築住宅にこのマネジメントシステムをかなり入れて、プロジェクトに参加する家の軒数をふやす方向だというふうに最近聞いております。  4つ目、北九州地域です。これは電力会社が電力を供給している地域ではなくて、新日鉄の東田コジェネという関連会社が電気を供給しているエリアを対象にしているプロジェクトでございます。そういう意味では、もともとある意味では地産地消ができているところで、そのシステムの高度化というのをねらっているというふうに理解してもらえればいいかと思います。  そういう意味では、単に供給側が負荷に合わせるだけじゃなくて、ある程度、需要側のエネルギーマネジメントも組み合わせてこういう地産地消システムを完成させるというイメージを北九州は持っていて、これは海外の独立系統でも使えるんじゃないかという発想で展開しているというプロジェクトでございます。  それから、これはどちらかというと電力会社向けの動きででき上がったものなんですけれども、ちょうど今、メガソーラーブームに入る前に経済産業省とのいろんなつかみで、電力会社の規模に応じてメガソーラーを各電力会社が設置するという目標をしております。その一つ、九州でもたしか大村のほうでやっていたと思いますが、幾つか事例ができ上がりつつあります。  私が実際に見たのは関西電力の堺発電所でございますけれども、先ほど紹介したように、NEDOのメガソーラーのときは、かなり最初のプロジェクトだったということもありまして、結構ちゃんとした基礎をつくって、ちゃんとした架台をつくって建てたので、建設費が大体100万円パー・キロワットぐらいのコストだったんですけれども、この辺の電力会社の時代になってきますと、経験を踏まえて、かなり工法を改良してきていまして、聞いたところによると、堺のプロジェクトなんかでは、かなり太陽電池メーカーは勉強したらしいんですが、30万円パー・キロワットぐらいまで値段を下げるという形になっているということで、かなりコスト低下の効果がこういうプロジェクトを通して出てきているというふうに聞いております。  そういう意味で、今回、固定買取制度が出ました。もともとは、こういう新エネルギーの導入、普及というのは、2002年にできたRPS法で、いわゆる電力会社に一定にRPS活用のある新エネルギーを集めさせると。それを買い取らせるということで実は優遇策をとったんですが、その中で2009年に家庭を対象にして、買い取り価格を倍額に上げるというようなものを始めたということでございます。  これは、基本的には、先ほど最初のロードマップにありましたけれども、業界側のほうは太陽光発電のコストが近々半分になるということを言っていたこともありまして、そういう情報がある程度一般市民にも知れ渡りつつあったこともあって、旧来の太陽光発電は値段が下がるまで導入がストップするんじゃないかという背景があったので始められたという経緯があるんですが、そういう意味で、2009年から家庭に関しては48円、その条件は年々引き下げられていきますけれども、そういうのがスタートしました。  それを受けて、結果的にそのほかの新エネルギーが中心になると思いますけれども、再生可能エネルギー特別措置法とか再生可能エネルギー買取法案が2011年の4月に提出されて、8月に一応衆参両院の全会一致の賛成で成立したという形になっています。  ただし、実は買い取り条件はまだ決まっていないので、幾らの価格というのは多分来年にならないと出てこないと言われているので、皆さん、実はこれで自分たちが計画している新エネルギーの採算がとれるかどうかというのは、今かたずをのんでどこも見ているという状況ではございます。  とはいいながら、かなり早いところで動いているところがありまして、先日も何か新潟でメガソーラーが動き出したという話がありますけれども、長野とか瀬戸内とか相模原とか、これはウェブだけで見た情報ですが、いろんなところが結構大規模な太陽光発電を置くというような動きをしております。ご存じのように、ソフトバンクさんのいろんな動きもあって、そういうような動きになっております。  NEDOは、実はメガソーラーのプロジェクトの成果としてマニュアルみたいなものをつくっているんですが、ちょうど今週、きのうは北海道、多分福岡できょうかあすなんですけれども、そういうプレゼンテーションをして、メガソーラーの事業に興味がある人たちにいろいろな知見を提供するような活動を今しているんですけれども、おかげさまで、東京や大阪は会場の定員100名というのはあっという間に埋まってしまって、1日2回展開するというような状況になっておりまして、かなり関心が高い状況であるというのが今の状況かと思っております。  そういうような展開で今進んでいるところでございますが、まず、ざっとしたご説明は以上にしたいと思います。 7 麻生 隆委員長 どうもありがとうございました。  それでは、委員の皆さんから参考人の方に質問があればお願いをいたします。ありませんか。 8 吉村正寿委員 吉村と申します。きょうはお忙しい中、お話をありがとうございました。  今、NEDOさんが新しいエネルギーの政策に沿って、いろいろおつくりになられているということについてのご説明はわかったんですけれども、政府のほうとしては、日本のエネルギーシステムを3つの柱を持って今やろうとしているというふうに聞いています。  1つは新しいベストミックス、1つが新しいエネルギーシステム、まさに今NEDOさんがなさろうとしていることだと思うんですけど、それと反原発と原発推進の議論というものをやっぱりちゃんとやっていかなくてはいけないということで、この3つを柱にしていますということでちょっと聞き及んでいるんですけれども、その中で、新しいベストミックス、要は原子力とか火力とか、今までつくられてきたエネルギープラス今度新しいエネルギーで日本のエネルギーを賄っていきましょうということなんですけれども、この新しいベストミックスの枠組みをどうも国が決めるというような話もあるんですが、NEDOさんの中では、それぞれのパーセンテージがどのくらいの割合でつくられていこうとしているのか、もしそのあたりの情報としてあれば教えていただきたいなというのがあるんですが、いかがでしょうか。 9 諸住参考人 私自身、ベストミックスに直接携わっているわけでもないですし、それから、個人的にはベストミックスという議論に関して若干違和感を持ってはいます。というのは、ベストミックスというのは、もともと電力会社の負荷パターンを見て、その稼働率から見て、経済的な組み合わせは何でしょうという話でスタートしている話です。  そういう意味で、今言っている話は、本当はベストミックスだけでエネルギーの構成を決めていいのかという話があるかと思います。海外を見ていると、実は各国の電源需要といいますか、電源構成というのは全然ベストミックスになっていないんですよね。例えば、アメリカなんかでは、何だかんだ言いながら、やっぱり石炭とガスに非常に依存度が高いし、フランスに行くと極端に原子力の比率が高い。ドイツは新エネルギーがたくさん入っているんだけれども、原子力がないかわりに石炭を中心とした火力が高いので、結局、新エネルギーを入れても、余りCO2全体が減っていないとか、実は各国、エネルギー需要というのは、それ以外のものではほとんど決まっているような節があって、私の個人的な解釈では、実はエネルギーというのは地政学とか安全保障を中心にして議論するのがやっぱり中心なんじゃないかなという感じで見ています。  事業者側から見ると、供給コスト的にベストミックスをつくるという話はあると思うんですけれども、多分国の政策で見るところというのは、むしろ、そういうところのほうが重要なんじゃないかなという感じがしますね。  アメリカのスマートグリッドも、一応うまく予算が回せていないんですけれども、あれだけ大きな予算をつけられた最大の理由は、彼らのスマートグリッドをよく見ると、国家安全保障という要因が入っているんですね。それから、なぜフランスが原子力に走っているかというと、これは歴史的に見ると、フランスとドイツの間というのは昔からルール炭田の取り合いで戦争をしていたと。有名な話でいったら、最後の授業という、昔、国語の授業とかなんかで出たかもしれないですけれども、あれの話でルール炭田の話だったと思うんですけれども、いつもあそこの取り合いで戦争になるので、フランスが今後ドイツと戦争しないために原子力を選んだという説もあるくらいで、そういう意味で、やっぱり地政学と、そこの国が置かれている状況でやっぱり決める必要性があるんだろうなという感じで見ています。  そういう意味では、やっぱりそういう観点を入れて幅広い議論をしてもらうというのが国に必要かなと思っています。 10 吉村正寿委員 ありがとうございました。私は民主党なんですけれども、民主党の議論と違うところで、やはり科学者としてお話しになられている部分があるのかなあと非常に興味深く聞かせていただきました。  それともう一つは、スマートグリッドを進めるに当たって、今から先、通信料がどんどん低くなっていくことが必要だということでお話しになられたと思うんですけれども、きのうだったか、きょうだったかの報道によれば、通信料についても、今からオークションで高いところに売っていくよという話にどうもなっていっているみたいですね。そうなったときに、全体のトレンドとして通信料が下がる傾向ではなくて、今から事業者がその通信の電波料を国から買わないといけないわけですから、そうなると、高くなっていく方向に動いていくとすれば、このスマートグリッドが進んでいく方向と逆に価格が展開していくのかなというふうに思うんですが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。 11 諸住参考人 多分、収益を上げるという意味でそういうオークションを取り入れられたものですけれども、その前提として、通信事業の技術が向上して世代がかわるということによって、単位通信料当たりのコストは下がるという方向には行くと思いますので、そのトレンドにうまく乗せたいというのが一つです。  スマートグリッドをやっていて痛切に感じるのは、太田のプロジェクトのときに実験的な目的もあって、光フレッツを使って通信をしていたんですけれども、その通信代が1軒当たり月8,000円かかっていたんですよね。新エネルギーの太陽光を入れるためのメリットというのは、1軒当たり月1万円強くらいなので、そういう意味で通信をまぜると、要するに太陽光で出てきた収益が全部ぶっ飛んでしまうという状態になっていると。だから、そういう意味では、もっともっと安価なコストで通信しないと、マネジメントシステムで各戸を結ぶということは簡単にはできないと。  ただし、これも工夫の余地があって、常時監視するのか、たまにデータを取りにいくのか。だから、そういう意味では、1カ月に一回検針するくらいの話だったらそんなにコストはかからないし、常時、何かマネジメントするシステムを見せると通信料がかかるということで、つくるシステムの工夫によってもいろいろ対処はできると思っていただければいいと思います。  あともう一つ、通信の中ですごく痛切に感じるのは、結構日本と韓国というのは光ファイバーの普及率が高いんですが、世界的に光ファイバーが普及する前に、どちらかというと、無線、要するにスマートフォンを中心とした携帯電話のインフラのほうが優先になってきたということで、そういう意味では、ICT技術の変遷がすごくスピードが速いというのを痛切に感じるところですね。 12 井原東洋一委員 今の再生可能エネルギーの議論というのは、特に今回の福島原発という、ああいう悲惨な出来事が起こりまして、急速にやっぱり原発に頼らない、原発にかわるものということが、もともと研究されてきたことではありますけれども、特に最近ではああいう起こしてはならない事故を契機に、やはり原発にかわるものをというふうに全体的になっているんじゃないかなと思うんですね。  そういうことで、私は実は電力出身なんですが、原子力には反対ですけれども、やはり電力の料金のあり方もありまして、大規模に電力施設をつくって一括して送電すると。そして、離島も何でも全部連系するというふうな形がずっととられてきたわけですね。  そういう意味からすると、一時夢の技術と言われておりました核融合という放射性の障害を伴わないそういう大型の施設がなぜ進まないのか、あるいは超電導技術などというのがなぜ進まないのかということが一つありますと同時に、離島などで独立してそこに供給するということが実際上、可能性としてないのかどうかということですね。  それから省エネ、大量供給、大量消費ということじゃなくて、やはりできるだけ電力を使わないという省エネ技術というものが常に進化していかなきゃならんなあというふうに思っているんですが、そういう面についてはどのような研究が行われているんだろうかと。  それから、全く単純な質問ですが、太陽光と太陽熱との違いですね。  それと、この前、沖縄を視察したときに余り温度が高いとだめだという話を聞きまして、素人から見ると、太陽は光が強くて、温度が高いほど発電量が多いのかなあと思っていましたが、そうじゃないんだそうですね。そういう技術的な面での疑問が私たち素人には解けないものですから、その点を教えていただきたいと思います。 13 諸住参考人 質問が多かったのであれですけれども、まずは原発の話というのは、NEDOって基本的に原子力はやっていないんですけれども、個人的に今回の福島の話を見ていると、やっぱり電力会社側のほうの技術が要するに完璧だという前提で電力会社のシステムを組んでいたのが、そうでなかったためにすごく混乱したというのが今回露見したかなと思っています。  だから、そういう意味では、日本の電力系統はそれまで世界で一番スマートだと言っていたんですが、そのスマートなところが全然生かされずに、東京なんかは輪番停電をせざるを得ない状況になったという意味では、さっきの話じゃないんですけれども、セキュリティー的に電源の位置とか、そういうものがちゃんと考慮されていなかったというのがでかかったかなというふうには思っています。  それから、そうはいいながら、新エネルギーは多分、簡単には原子力から置きかわらないというのが現状だと思います。一番の理由は、やっぱり太陽光発電というのを日本でやっても稼働率は12%、それから、風力発電にしても多分20%で、いいところで30%という形ですので、電源の平均稼働率というのは日本国内で大体60%ぐらいなんですけれども、そういう意味では、新エネルギーが既存の電源をカバーするためには、今の火力発電所は原子力発電所の容量の多分四、五倍を入れて、かつ、それの発電した電気をためるというところまでいかなきゃいけないと。  先ほどご紹介したように、電池とかエネルギーをためるコストが今高くて、まだ商用に乗らないことを考えると、当面はやっぱり新エネルギーというのは補完的な役割にしかならないという形なので、最終的には必ずエネルギーをためるという技術が必要になると思っていただければいいと思います。  それが要するに安く潤沢にできるようになれば、初めて新エネルギー主体の系統がつくられるような形になるというふうに理解してもらえればいいと思います。  それから、太陽光発電と太陽熱の違いというのは、太陽光発電というのは、一種の半導体に光自体を当てて、電子を励起させて、そこで電圧差をつくって電気を流すと。  それから、太陽熱発電というのはもっと単純で、単にレンズで光を集めたものでお湯を沸かして、その蒸気でタービンを回したりとか、そういう発電をするということで、機械的に発電するという仕組みになっています。  太陽熱発電が最近、海外で脚光を浴びているのは、太陽光発電は基本的に光がないと発電しないんですけど、太陽熱は一応蒸気の形でためることができるので、発電のタイミングを少しずらすことができるという意味で、出力調整ができるというので海外でも脚光を浴びているんですが、残念ながら、日本は先ほどご紹介したように、秋になると天高く馬肥ゆる秋という、天高くという表現が出るんですけれども、あれというのはすごく直達光の比率が高くなったときの状態で、逆に言うと、夏というのは天が低く見えるということは散乱光によって、要するに太陽以外の方向から来る光の量が多いというのが実態です。  それで、太陽熱というのはうまく焦点が合わないので、なかなかうまく性能が出ないという問題を抱えているというのが今の日本の状況です。  それから、今説明された暑いときに効率が下がるというのは太陽光のほうで、かつ、それはシリコン結晶系のものの話になります。ですから、いわゆる結晶が見えているきらきらしたやつが多結晶で、それから、ちょっと角がとれた四角い板をぺたぺたぺたと張ってあるのが単結晶なんですけれども、あのタイプのものは暑くなるほど効率が落ちるという特徴を持っています。ただし、逆の特性を持っているものがあって、アモルファスと言われている薄膜みたいにシリコンをやるやつは、逆に暑いほうが性能が出るんですよね。ですから、逆にシリコンのやつを稚内に持っていくと、年々性能が劣化するという意味で、寒いところには合わないとか、寒いところに合うやつと暖かいところに合うやつというのが出てきます。  それから、多分、化合物になるとまた特性が違ってくると思いますので、化合物はまだ余りそれほどちゃんとしたデータがなく、聞いていないんですけれども、シリコンのタイプのものでは結晶系とアモルファスでは、まるっきり寒いところで有利、暑いところで有利という違いがあるというのは確かでございます。 14 井原東洋一委員 核融合のことをちょっと。 15 諸住参考人 核融合と超電導の話が残っていましたね。核融合の話に関していうと、やっぱりあれの一番大きなところは、核融合を実現するために多分超電導を含めて、いろんな基礎技術を確立しなきゃいけないんですけれども、なかなかそこまで、すごく技術開発のステップが多過ぎるということで、国際共同核融合実験炉のイーターのところまで今来ているという状態だと思います。  超電導に関していうと、今から約25年前、ちょうど私が社会人になるころに超電導ブームが起こったんですけど、それから25年たってもなかなか商品化しないという状況になっています。  一番大きな理由は、あれは一種のセラミックスの超電導体が発見されて、液体窒素温度でも超電導になりますという形になったんですけれども、実はそれを製品化するというのは非常に難しくて、なかなか安定した製品をつくって量産できるというところまでまだ至らないというのが大きな問題点かなと思っています。  あれの一番大変なところは、超電導状態のところがずうっと続いていなきゃいけなくて、1カ所でも不具合があると、それは超電導でなくなってしまうので、ものすごくレベルの高い品質管理をしなきゃいけないんですけれども、それがまだ確立していないというのが私の解釈です。 16 五輪清隆委員 風力発電のことで1点お聞きしたいんですけど、私も風力の関係はずうっと、議員になる前に仕事の関係で幾らか担当していたんですけど、当初、風力というのは300キロ、600キロ、そして1メガになって、現在2メガというですか、そういう大きな出力を出すような、コンパクトになったやつがされているわけですけど、その中で、いろんな技術的なやつもあるんでしょうけど、当初、いろんな形の中で風力発電を設置するときに、地域の住民の人から設置するに当たって反対ということはなかなか聞かなかったんですけど、ここ近年というのは、何が問題かよくわからんのですけど、この前、ちょうど沖縄の関係で調べておったら、沖縄も風力発電を設置していこうという計画をされておったけど、やはり地域の住民の人から反対を受けてなかなか設置ができなかったということで、いろんな地域でもあるわけですね。そこの一番の反対の要因というのは何なのかというのが一つと、直接ここと関係ないかもしれないんですけど、今度の夏の関係は節電ということで取り組んで、どうにかこの夏は乗り切ったんですけど、ある意味、一人ひとりの家庭もそうなんでしょうけど、企業においても、例えば、今回は土曜、日曜出勤をしたりとか、平日に休んだりとか、そういう形の中の不規則な勤務体系の中で今回乗り切ったんでしょうけど、また今度冬とか、来年も今の現状であったときに、やはりそういうことをやらんことには電力として、日本の電力は足りないのかどうかですね。もうわかる範囲で教えていただければというふうに思います。 17 諸住参考人 まず、風力の話ですけど、最近、住民から受ける反対の理由として一番大きいのは、低周波振動と言われている、耳に聞こえるか聞こえないかというレベルの振動が健康に直接影響するという話がまず1つ。  それから、2つ目は、これは住民かどうかはわからないですけど、結構反対として出てくるのが、バードストライクということで鳥がぶつかる話です。  特に、日本の場合は海岸に沿って風力を建てるんですけど、海岸のがけに沿って、結構鳥って上昇気流に乗って上がってくるらしくて、余り海岸線に近いところにやると、鳥がぶつかるというケースが多いという話を聞いています。  先ほどちょっとご紹介した苫前には、電発の風力発電所と、それからユーラスエナジーの発電所があるんですけど、ユーラスのほうは海側にあって、ユーラス側のほうがバードストライクの事象が多いという話を聞いていますけれども、そういう問題を指摘するところが1つ。  それから、3つ目は、だんだん風車が大きくなってきているので威圧感があるということがあって、景観問題から反対するという意見が出始めているというのが最近の情勢かなというふうに思っています。  そういう意味では、ヨーロッパの風力も今は陸上に設置するというよりか、だんだん海上設置が中心になっていますが、そういう意味では、洋上風力の技術というのは期待されているんですけど、日本の場合は結構海がすぐ深くなるという傾向もあって、浮体式という、ちょっとまだ技術的に確立していないものを目指しているという状態ではありますが、そういう意味では、洋上風力のほうにだんだん期待されるのかなと思います。  ただし、洋上風力自体、もしかして漁業者からの反対が出る危険性もあるというふうな懸念があるというふうには聞いております。  それから、2つ目のご質問は何でしたっけ。〔発言する者あり〕  節電の問題、それから省エネの問題、日本国内でいうと、多分産業のほうは石油ショック以降にかなり省エネが進んでいるので、産業界のところの省エネというのは実はほとんどもう乾いたぞうきんを絞る状態というふうに言われていて、そこがなかなか今難しい状況です。  そういう意味では、最近は民生と住宅のほうに視点が向いているという状態ですが、多分住宅の省エネというのは、電気を使う、使わないというシステムの使い方の問題もあると思うんですけれども、省エネそのものなのか、ピークカットなのかによっても若干違うんですが、省エネを進めようとすると、家の建て方自身からかなり改善しないと、省エネというのは多分使い方のコントロールじゃなくて、最初に効率の高い機器を入れる、それから結構断熱性の高い家を建てるというところのほうがむしろ効くようなので、電気が足りなくなったからといってすぐ節電してくださいねというと、やっぱり我慢の生活にどうしても入らざるを得ないという問題を抱えているので、むしろ地道な高効率機器の導入みたいなことをやらざるを得ないのかなと思っています。  それから、省エネの問題で一番手つかずなのは、中小の業務用ビルでございまして、ここの分野は省エネの世界でいうと俗に暗黒大陸と言われていて、要するに電気の使い方が多様過ぎてよくわからないし、それからエネルギーマネジメントをさせるにしては、要するに個々の事業体が小さいので、ほとんど手つかずになっているという意味で、そこら辺の省エネというのがずうっと課題になっているんですけれども、うまくできていないというのがあります。  だから、何とかその辺でいろんな人と議論したんですけれども、単に温度計一つを渡しておいて、温度だけ見える化するだけでも効果が違うんじゃないのと言っている人がいるくらいなので、そこら辺は結構工夫の余地はあると思いますね。  特に日本の場合ですと、大きなビルは結構エネルギー管理というのはできていますけれども、町を見渡すと、本当に数階建ての小さな業務用ビルというのがたくさんあるわけですから、その辺の省エネというのが最終的に重要なポイントになるんだろうなと思っています。  季節的に見ると、夏は昼間のピークというのが問題なんですけど、冬場ちょっと問題なのは、夕方とか寒くなった時間帯に暖房需要が立ち上がってピークになるので、夏場より冬場のほうが結構家庭に対する何といいますかね、不快感がある可能性が高いかなという気がします。  そういう意味では、意外と東京のほうは供給力が余っていて、災害直後は産業を西にシフトする動きがあったんですけれども、考えてみれば、東京電力に対して関西電力って規模が3分の1なので、東京電力の半分の産業が向こうに移動すると、あっという間に関西が供給不足になるから、余り拙速に動かないほうがいいよという話はしたことがあるんですけれども、やっぱり案の定、関西のほうがむしろ問題になっているし、それから原子力比率の高い電力会社が要するに供給不足の問題に今直面しているという状態になっちゃっていますけれども、そういう意味では、今の情勢だとやっぱり原子力が動かないと、こういう状況というのはしばらく続かざるを得ないのかなというふうには思っています。 18 堤 勝彦委員 きのう思ったことを少し言わせていただきます。  先ほどいろいろご説明いただきまして、こちらの資料の8ページですね。マイクロ風力発電の稼働率が非常に低いということでお話を聞きました。その中で、なかなか風を集め切れないというんですかね、風が当たるところが少ないということだったんですけど、私はきのうちょうどJRの線路の横にいたんですね。電車が通るたびに風圧がかかるじゃないですか。そのとき、このことを思ったんですよね。  小さなマイクロ風力発電というですか、こういう風力発電機を線路のそばなんかに置くことはできないんでしょうかと思ったんですが、それは可能なんでしょうかということと、何か問題はあるんでしょうか。線路沿いにずらっと並べるとかですね。その風圧によって回すということはどうなんでしょうかということを感じたんですが、いかがでしょうか。 19 諸住参考人 多分同じような発想は、ビル風を使うという発想で研究している大学もありますけど、列車の場合だと通ったときしか吹かないので、そういう意味では余り効果はないかなという気がします。  実は小型風車というのは、筑波の話が非常に有名だと思うんですけど、筑波に限らず、余り稼働率は高くないというのが実態です。我々も実際に使ってみたんですけれども、稼働率1%いくかいかないかという世界にやっぱりなりました。  最大の理由は、先ほど言った1メガ以上の大きな風車、要するに100メートルぐらいの高さのところと地面の近くというので、全然風況が違うというのが1つ。  それから、家というのは基本的に昔から風が吹かないところに建てるという傾向があるので、家のそばに建てても余り風況がよくないというのが1つ。  それから、実は一番大変な問題は、こういう小さな風力は、基本的に電力会社でいうと100ボルト、200ボルトの低圧に連系するんですけれども、それってインバーター連系が前提なんですよね。直接発電機をつけると、多分ブレーカーで切れなくなるので、インバーターを通して連系してくださいという話に今なっています。  太陽光発電というのは、例えば、1キロワットの太陽光発電は1キロワットのインバーターでいいんですけれども、風力発電で1キロワットのものというのは、風が吹いたときに2キロワットとか3キロワットまで発電するので、1キロワットの風力に対して2キロワットとか3キロワットのインバーターをつけなきゃいけないんですね。そうすると、インバーターというのは、常時固定的に待機電力がすごく発生する装置で、要するに太陽光発電のときよりも風力のほうがはるかに大きな待機電力を食う装置になっています。  そういう意味で、太陽光発電よりも稼働率が低いんだけれども、待機電力は太陽光発電の二、三倍ぐらい出るというようなシステムになってしまうので、これがすごく発電の稼働率を下げるというふうな仕組みを持っていて、そこのところが解決できないと、なかなか実はマイクロ風力というのは難しいかなという感じを私は持っていますね。  今のところ、専用の風力用のインバーターをつくってくれているメーカーはいない状況だし、基本的には、今、太陽光発電用のインバーターを使わないと簡単に系統連系できないという状態になっている状況なので、インバーターのところを本当に工夫しないとだめだと思います。 20 麻生 隆委員長 いいですか。〔「ありがとうございました」と言う者あり〕 21 永尾春文委員 2点、質問いたします。  1つは、再生可能エネルギーの防災におけるメリット、デメリットがもしあれば、例えば、九電の方のご説明で、とにかく一番心配されていたのは原発の話だったんですけれども、ピークを超えるとブラックアウトといって、町全体が停電してしまうんだとかいう話がありまして、それは原発というよりも全体、電力のあり方の問題点でもあるかと思うんですけれども、これは再生可能エネルギーを利用した場合に何か変わることがあるのか、これが1点と、もう1点は、こういうご説明を聞くと必ず産・官・学とかいって、かなりまちの中心部というか、そういったいろんな条件がそろっているところがよく取り上げられるんですけれども、例えば、この長崎では過疎地域というのが多くありまして、再生可能エネルギーの過疎地域における可能性というか、先生から見て何かありましたら、教えていただければと思います。 22 諸住参考人 まず、防災におけるということでいうと、上手に組めば、いざというときに自活できるシステムはつくれます。ただし、大きなものをねらうと、先ほど言ったように電池の値段が高いので、すごくコストが高くなるという問題を抱えていますけれども、ある程度の規模であれば使い道があると思います。  私が長崎で印象を持っているのは、何年か前にあった水害。水害というのは、必ず地域が分断されますので、そこの間のコミュニケーションがとれるか、とれないかというのが結構安全上重要であって、この前の紀伊半島のやつでも、結構コミュニケーションがとれなくて、被災しなくてもいい人が被災したような状況になったというように理解していますので、そういう意味では、少なくともコミュニケーションのシステムが生きるように電源は確保するという発想はとっておいたほうがいいと思います。  そういう意味では、最近、NEDOのプロジェクトにもNTTドコモさんのようなキャリアが結構関心を示してくれるようになったんですが、彼らとの意見交換を見ていると、やっぱり震災のときに、神戸のときは携帯電話はまだ導入期だったのですごく活躍したんですけれども、今回の震災のときは、逆にあっという間にふくそうしてしまって使えなかったし、それから基地局の電源が途絶したので、だめになって通信できなくなったということで、すごく問題点を彼らは持っているんですね。だから、そういう意味で、災害時にどうやって最低限の電源を確保するかというのは非常に重要な視点になるかなと思っています。  そういう意味では、新エネルギーというのも重要なんですけれども、バックアップ電源という技術は非常に重要だと思っていただければいいと思います。  それから、2番目、過疎地域の話というのは非常にいろいろな話題になっています。新エネルギーかどうかはわからないんですけれども、電気事業者がやっていると、最近ちょっとおもしろい話があって、北海道の過疎地で今問題になっているのが老朽化したガソリンスタンドが廃業してしまうと。タンクを取りかえるのに3,000万円かかって、何年かすると必ず取りかえなきゃいけないんですけど、その費用が捻出できないのでガソリンスタンドが廃業になるという話があって、旭川のそばに層雲峡という有名な温泉地があるんですけど、あの周辺の国道で今120キロメートル、ガソリンスタンドがないエリアができちゃったという話を聞いているんですが、これは中国がまるっきり同じ問題を抱えているんですけれども、要するに過疎地に対するモビリティーの確保、そのときにガソリンとかという燃料の確保というのがどうもいろんなところで問題になり始めていると。そのときに、電気自動車という考えがやっぱりあるかなという話はあります。  電気自動車だと、少なくとも家庭に電気が通っていれば、何とか充電確保できると。ガソリンは、ガソリンスタンドまで行かないと絶対燃料は確保できないという話が意外と電気自動車の普及を後押しし始めているという話を聞いています。  北海道の場合は、残念ながら、冬場の暖房という要素があるので、実は電気自動車にとってはつらいところなんですが、そういう意味では、まだこちらの九州のほうは北海道ほど冬場の暖房のエネルギー消費は少ないので、比較的そういう意味で電気自動車を展開しやすい可能性もあるし、電気自動車自身は今、国内では日産と三菱自動車、いろんな関係したインフラサポートに関しては、長崎にもある三菱重工が結構いろいろそれなりに、NEDOプロでも参画していますので、そういう視点で少し考えてみるというのも一つの手かなと思います。  あともう一つは、電気自動車のVtoH、要するに電気自動車から家庭に電気を戻すという技術が急に震災以降、脚光を浴び始めたんですけれども、さっきの最低限の電源を確保するという意味で電気自動車も使っちゃうというふうに言われてきて、要するに定置型電池じゃなくて使っちゃうという手があると思うので、そういうような発想もどんどん取り入れたほうがいいかなというふうに思っています。 23 五輪清隆委員 すみませんけど、太陽光の関係でもう率直に聞きたいんですけど、いろんな太陽光、ちょうど山梨県の北杜市に行ってみた感じで、いろんな国からいろんなタイプのやつがいっぱいあるわけですね。それは当然用途の関係もいろいろあるのでしょうけど、例えば、地方自治体とか各家庭がつけるときに安く長くもてるというか、そういうところがやっぱり需要としては一番いいのかなということで私自身は思っているんですけど、そうなったときに、どれがいいのか全然わからんというか、当然そういうところはもう率直な気持ちなんですけど、例えば、そちらのことはなかなか言われんのでしょうけど、ここの長崎市の場合、いろんな気候も含めてそうなんでしょうけど、どのタイプが一番合うのかなということを一つ教えてください。  もう一つが、先ほどの風力発電の関係ですけど、風力というものは当然ヨーロッパのほうからずうっと進んできているわけですけど、アメリカは当然ですね。いろんな形の中で、ブレードの接着力が悪くて、宮古島であれば、70メートル以上のやつが吹いたことによって、ヨーロッパ製のやつが何か残骸みたいに抜けたり何かしましたよね。そういうことになったときに、ここ近年というのはそういう事故というか、けがじゃない事故というか、そういうのは発生されていないんですか。 24 諸住参考人 まず、太陽光の種類から話をしますと、例えば、風力のときにいろいろあったケースですけど、自治体がヨーロッパ製の安い風力を頼んだんだけれども、トラブルを起こしたと。修理したいんだけれどもと言ったら、向こうからエンジニアを派遣してくれると。そのときに、エンジニアの費用を持ってくれないと来ないという話で、そこの予算計上で1年かかって、修理するのに2年以上かかったというケースを聞いたことがあるんですが、そういう意味では、最終的にはメンテナンス体制はちゃんと考えておいたほうがいいと思います。  ただし、風力から見ると、太陽光は意外と余りトラブらないですね、今まで見ていると。風力はやっぱり稼働部があるのであれなんですけど、太陽光って稼働部がない分だけ結構安定して動いていますし、それから、過去にいろんなところでいろんな形で設置していますけれども、ほとんど何かトラブルがあって撤去したという事例はないと思います。あるとしたら、インバーターのところのほうがむしろ先に壊れる可能性が高いので、インバーターはちゃんと保守をしてくれる企業を選んだほうがいいかなと思います。  ただ、電圧関係から考えると、余り海外製をそのまま持ってこれるという世界でもないので、そういう意味では、風力ほどは多分それほど何といいますかね、海外製品とかを含めて神経質になる必要性はないかなというふうに思っております。  それから、風力発電のほうに関していうと、大きな事故というと、東北のほうかどこかで風車が倒壊したという事例もあります。そのときの原因はちょっと正確に覚えていないんですけど、もしかして建設の問題なのか、何かの話かと思います。  やっぱりヨーロッパ製の場合、ヨーロッパというのは、基本的にあそこのエリアというのは高緯度地方の嵐はあるんですけれども、台風というのは来ないところなので、そういう意味では、日本である程度ガイドラインみたいなものをつくって、それに合うようなものを選んでくださいねという話はNEDOでも検討していますので、それをちょっと参照していただくというのが必要かなと思っています。  風車に関しては、やっぱりいろいろな国で耐久性とかというのは問題になっている節があって、中国に行くと、もう完全に中国製のものしか大量に入っていないんですけれども、中国で、何年か前に行った風力のワークショップで最大の話題というのは、化学的なコーティングの話をしていたので、やっぱり材質的な問題があって、羽根が割れたりするということが非常によく起こっているみたいでして、風力発電みたいなものというのは技術力とか品質力とかというのが結構重要になってくると思います。
     結構これは試行錯誤の経験が必要でして、日本の三菱重工といえども、昔ハワイに入れたやつは、ハワイ島の例の火山のガスで結構早い段階で劣化していて、私が見に行ったときは10年ちょっとでぼろぼろになっていたんですけれども、そういういろんな事例を受けて改良したものというのがやっぱりタフな装置になると思っていただければいいと思います。 25 堤 勝彦委員 私は、電気自動車、電気バイクを持っているわけじゃなくて、三、四日前に電気自動車に乗せていただいたんですけど、そのときに、前の日に充電して乗るんですよとか、途中で切れたらどうなるんですかと聞きましたら、自動車会社まで行ったら急速充電ができるとかいうことを聞きました。  その中で、素人ながらお尋ねします。  バッテリーに電気をためて走るわけですよね。その中で、よく携帯電話なんかだったら、電気を全部使ってしまってから充電したほうが電気のもちがいいとか、電池のもちがいいとか聞くんですが、車とかの電池もやっぱり同じような仕組みになっているんでしょうか。 26 諸住参考人 実は、電池の種類によって特性が違ってくると思います。リチウム電池というのは、実は満充電の状態になるほど劣化が早いと言われているので、特に携帯電話用の安い民生用の電池はその傾向が強くて、充電しっ放しにすると劣化が早いというのは確かです。電気自動車の電池は、もうちょっとそれよりは改良されている性能のいい電池なので、それほど顕著には出ないと思いますけれども、リチウム電池は全般的には満充電状態よりも空充電状態のほうがもつという傾向は持っています。それの逆パターンが鉛でして、鉛は空充電の状態になるほど劣化が早くて、満充電にしている状態をつくらないと劣化が早くなるというので、電池によって特性が違います。これはメカニズムの違いですね。  電池というのは、大きく分けると二通りあって、電極が溶けたり、また析出したりするというタイプのものが後者の鉛蓄電池だし、それから、ある構造の中に電気が吸い込まれたり出たりするというタイプのものはリチウム電池なんですけれども、電極のメカニズムは鉛とリチウムで違うので、劣化特性もまるっきり正反対になるというような傾向があります。 27 吉村正寿委員 NEDOさんから見て、これからはやっぱりこの発電のタイプ、今、風力だとか太陽光とか、いろんなものがあると思うんですけれども、これがやっぱり今から主流だなあと思われる部分があれば教えていただきたいのと、自分としては今の技術だったら太陽光かなあというふうに考えているんですね。  その中で太陽光をやはり広げていくためには、一般の家庭がどれだけたくさん太陽光を屋根の上につけてくださって、自分のところで発電して、それを自分のところで消費するかということにかかってくると思うんですね。今のところのインセンティブというのは、自分のところで発電したやつを電力会社に買ってもらうというのはあると思うんですけれども、もっと広く使えるようなシステムをつくれないのかなあと。  電気自動車があるとしたら、さっきはVtoHというお話をされたと思うんですけれども、自分のところで発電した電力を、もちろん電気自動車で走るためにも使うんですが、その電気自動車でお母さんがスーパーマーケットに買い物に行くとしますよね。そのスーパーマーケットに接続しました。そしたら、スーパーマーケットで使う電力も、もしかしたら持っている自家用車のほうから、自分のところに帰るにはこれぐらいしか電力が要らないので、これぐらいまでは売っていいですよと。その売ったのが500円だとしたら、お母さんがスーパーマーケットで買い物をしたときに500円割り引かれましたと。もしくは500円までいかなかったら、それがただになりましたというような目に見えたありがた感があると普及も加速度的にふえていくんじゃないかなあというふうに考えるんですね。  そのあたりの研究がどのあたりまで進んでいるのかというのと、実際にそういったことが可能になる社会なのかどうかという部分まで、よかったら教えていただきたいと思うんですけれども。 28 諸住参考人 まず最初の話ですけれども、私も太陽光だと思っています。日本の場合だと、要するに需要の末端、例えば、屋根の上に乗っかるタイプのものを中心にして普及していくんじゃないかなと思っています。最大の理由は、家庭用電気料金が世界的に見るとやっぱり高い水準にあるので、世界の国よりも早く採算がとれるベースに乗りやすいというのが1つ。  それから、メガソーラーまでいかないけれども、ある程度の規模のある太陽光も可能であるとは思うんですが、系統側とどういうふうに接続するかというところでまだ課題があって、多分空き地はいっぱいあると思うんですけど、電線がないので電線を負担してくださいという話があって、これから先、多分いろいろなところで衝突が起こると思ってはいるんですけれども、その辺にまだ課題があると。  ただ、家庭だと必ず電線が来ているので、実際その辺の問題というのはほとんど話題にできないし、電力会社も要求ができないので、家庭のほうがやっぱり置きやすいという状態になると思います。  それから、電気自動車とかを含めてやっぱり重要なのは、日本の電気事業制度というのはどうしてもまだ硬直化しているというか、自由化されていないというところが非常に大きいと思うんですよね。電気自動車の中で今議論されているのは、こういうケースがあると思うんですけれども、例えば、静岡県の静岡市にある電気自動車のユーザーが同じ静岡県の熱海に行って充電したときに、もう電力会社が違うんですよね。中部電力の人が東京電力に行っていて、そのときに、自分は中部電力としか契約がないから、中部電力の電気料金の精算をしたいという希望があると。こういう場合には、電力会社が小さい海外ではもう既に議論されていて、電気料金のローミングサービスというのが出てくるというふうに言われているんですけれども、そういう議論がなかなか日本では真っ正面から言えないのは、日本自体がまだ電力自由化のところまでちゃんとできていないというところもあると思うんですよね。  だから、そういう意味で、日本で実証しようとすると規制制度が強過ぎてうまくできないケースがあるので、どうしても海外に持ち出して実証するということを今NEDOがやらざるを得ないという状況になっているというのが大きなポイントではあります。  自由化論というのは結構難しいところがあって、私なりに、NEDOに来る前の仕事を含めて25年間、そういう電力自由化みたいな話を研究しているんですけれども、まだまだ正しい理解をしている識者は少ないかなと思っています。  基本的に言うと、電力自由化したときには大体配電会社とか送電会社という設備会社が分離するんですけれども、この人たちは中立でなきゃいけないので、むしろ、新エネのために便宜を図るということがしにくくなるというのが一般的です。だから、逆に言うと、海外は新エネの大きな発電所とか、そういうのはもともと送電線があるところのそばに建てるというのが大体鉄則ですね。  とはいいながら、私はやっぱり自由化して進めるべきだなと思うところは、特に末端の計量のところは自由化して、いろんなバリエーションがつくれるように、今みたいに電気自動車の充電を別なところにやったときに、自分の一つのアカウントでちゃんと精算できるようにするためには制度的には改良しなきゃいけないし、それにあわせて、だれがどこで電気を使ったかということを計測するようなインフラを整備しなきゃいけないはずなので、そういうものはだんだん必要になってくるんじゃないかなと思っています。  特に、電気自動車というのは動く電力需要なので、そういう意味では、今まで電気需要が想定していなかった負荷になるはずなので、必ず制度論も含めて議論しないと普及できなくなる可能性はあります。 29 麻生 隆委員長 ほかにありませんか。  それでは、質疑を終結します。  諸住参考人、川名参考人におかれましては、長時間にわたり、貴重な意見をありがとうございました。  本日いただいた意見を参考にしまして、今後、本委員会におきまして十分検討して、また取り入れてまいりたいと思います。  本日はご協力ありがとうございました。  また、引き続き意見交換を重ねたいと思いますので、そのままお待ちください。 〔次回の開催日及び調査項目について、協議を 行った。その結果は次のとおりである。 1 次回開催日については、11月定例会会期中  に決定した。 2 調査項目については、「総括質疑について」  に決定した。〕 30 麻生 隆委員長 ほかに何かありませんか。  ないようですので、これをもちまして次世代エネルギー利活用特別委員会を閉会いたします。           =閉会 午前11時45分=  上記のとおり委員会会議録を調製し署名する。  平成24年1月6日  次世代エネルギー利活用特別委員長    麻生  隆 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...