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◯議長(吉原 孝君)
出席議員半数以上であります。これより議事日程第2号により本日の会議を開きます。
日程1
市政一般質問
について、これよりお手元に配付いたしました質問通告表により、順次、
市政一般質問を行います。17番
宮崎高舟議員。
〔宮崎高舟君登壇〕
2 ◯17番(宮崎高舟君) 自由民主党の宮崎です。きょうは地元からたくさんの方、応援に駆けつけていただきまして、ありがとうございます。そして、きょうは一般質問の一番バッターということで、いささか緊張はしていますが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。
本日は、環境行政と文化行政の質問をさせていただきますので、市長並びに理事者の的確な答弁を求めます。
まず最初に、環境行政についてご質問いたします。
今、地球上では、
地球温暖化の影響と思われる海面上昇、局地的な集中豪雨、台風やハリケーンの巨大化など極端な現象の大規模化、頻発化が問題になっております。この長崎市におきましても、過去50年間で
年間平均気温が0.9度上昇し、真夏日が9日間、熱帯夜が12日間増加し、年間降水量も300ミリ減少しております。昨年2月の新聞報道では、
国連関連機関である気候変動に関する
政府間パネル、いわゆるIPCCが地球の温暖化と今後の見通しに関する、いわゆる第4次報告書を公表したことの大きな報道がありました。これらの報道によりますと、報告書では今既に
地球温暖化が起こっていると断定し、その原因として人為的な
温室効果ガスの増量によるものとほぼ断定をしておりまして、2001年に公表されました第3次報告書よりさらに踏み込んだ表現となっております。また、2099年の地球の
平均気温予測では、化石燃料を主たる
エネルギー源として高い経済成長を求めようとする社会では、最悪のシナリオで6.4度上昇すると予測し、海面の上昇についても59センチとなっており、人類のみならず、すべての生物にとっても危険な状況だと言えます。
日本政府は、IPCCの公表以前の平成17年の京都議定書の発行に伴い、
温室効果ガスの削減に関して、各省庁が連携をして広範多岐にわたる施策を展開しているようでございますが、なかなか削減が容易ではない状況のようです。この京都議定書は、ことしから平成24年までの5年間の第1約束期間に入っており、我が国の場合、平成2年の
温室効果ガスの排出量を約束期間内に6%削減することを世界に約束しております。また、
ポスト京都議定書に向けて国際会議が活発に開催されたり、ことしの7月に開催されたG8
北海道洞爺湖サミットにおいても、2050年までに世界全体の
温室効果ガス排出量を少なくとも50%削減することや、分野別に削減目標を設定することなどが合意をされました。
このような状況の中、長崎市でも市みずからの率先的な取り組みなど進めておられると思いますが、本市の地域全体として、まちづくり、交通対策、吸収源となる森林の保全など各分野における取り組みを総合化し、強化していく必要があると考えます。
そこで、お尋ねをいたします。
現在、長崎市では市民、事業者及び市自体、どのような取り組みが進められているのか、お尋ねいたします。そして、今後、
地球温暖化対策の取り組みをどのように進めていこうと考えておられるのか、今後の計画についてご答弁をいただきたいと思います。
続きまして、西工場の建て替えにつきましては、昨年の9月議会、11月議会から2回にわたり質問をしてきました。また、今期の議会の
文教経済委員会において、
所管事項調査として状況報告が予定をされているようでございますが、私も木鉢町の西工場がある地元の人間として、あえて確認の意味も含めて西工場の
建て替え計画について再度お尋ねをさせていただきたいと思います。
質問の第1点目は、建設地の選定状況についてであります。
昨年の11月議会において、新しい焼却施設については、平成27年度末までの完成を目標として、平成20年度末には用地を選定する必要性があり、本市が所有する土地を建設用地として選定するとのご答弁をいただいておりましたが、先般、
西工場建て替え設置検討委員会から市長へ検討結果が報告されたと聞き及んでおります。その委員会の検討結果はどのような内容であったか。また、その報告内容を踏まえて市として最終的な意思決定をすることになろうかと思いますが、その最終決定はいつぐらいの時期を考えているのかお尋ねをいたします。
次に、2点目の建設までの
スケジュールについてであります。
新しい焼却施設は、平成27年度末の完成を目標とされているとのことですが、
環境アセスメントや実際の施工期間など相当の時間がかかると予想され、これにより地元との協議期間がかなり制約されているのではないかと考えられます。
そこで、市が建設地の意思決定をした後の
新西工場稼働までの具体的な検討が進んでいると思いますので、確認の意味を含めまして、財源や建設手法についてお尋ねいたします。
次に、
新西工場建設に当たっては、市の財政状況や市民の財政負担の軽減という観点から最小限の経費で建設すべきと考えますが、その財源はどのようなものを活用する予定とされているのか、また、建設手法としてPFIも検討するとのご答弁をいただいておりましたが、その後どのような検討をなされたのか、具体的にお伺いいたします。
以上が
西工場建て替えについての質問でございます。
3点目に、前回の議会でも質問をさせていただきました皇后島についてであります。
前回質問をさせていただきましたように、皇后島は長く古き歴史がある島で、そして、何よりも
風致公園地区でございます。しかしながら、前回の議会でもお話をさせていただきましたように、現在は荒野となっており、とても風致公園と呼べるところではなくなってしまいました。
そこで、質問をさせていただきます。
前回の議会後、一度ごみ拾いや草刈りをしていただきましたが、市は風致公園であります皇后島を今後いかにお考えになっておるか、お伺いいたします。
以上が環境行政につきましてのご質問です。
次に、文化行政についてのご質問です。
神ノ島町に所在をしております四郎ケ島についてお聞きいたします。
9月議会でも同じ会派の先輩議員が取り上げておりましたし、また、これまでの議会でもほかの
先輩議員たちが取り上げてきましたように、
四郎ケ島砲台跡は長崎市の歴史に深くかかわりがある島でございます。
この神ノ島町に所在をしております四郎ケ島は長崎港の入り口にあり、台場の築造前までは海に浮かぶ島でございました。そして、築造と同時に両島は陸続きとなり、現在では神ノ島北側や東側の海面は埋め立てられてしまい、長崎の市街地と陸続きになりました。そして、皆様がご存じの佐賀藩が独自になぜ四郎ケ島に大砲台場をつくることになったのか、その経緯について長崎の海岸防備の概要を簡単にお話しさせていただきます。
当時、鎖国政策をとった江戸幕府は日本人の渡航を禁じ、貿易もオランダと中国のみといたしました。幕府は、寛永18年、1641年2月、福岡藩に長崎警備を命じ、同年、港内の西泊と戸町に番所を設け、翌年の寛永19年、1642年3月には佐賀藩にも福岡藩と隔年交代で長崎警備をするよう命じ、以来、幕末までこの警備体制が続いていきます。
両藩は、中老、物頭以下、足軽、水夫など約1,000人、船を約30隻派遣し、西泊と戸町の両番所と台場を守り、
オランダ船が帰国する9月以降は半数で守備をいたしました。
長崎の台場は、承応2年、1653年、平戸藩によって港内に太田尾、神崎、女神、港外に白崎、高鉾島、長刀岩、蔭尾に増築され、これらの7台場を古台場といい、文化5年、1808年の
フェートン号事件以後に増築された新台場と増台場とに区分をされます。ちなみに、
フェートン号事件とは、文化5年8月15日、
イギリス海軍のフリーゲートフェートン、
フリートウッド・ペリュー艦長は、オランダの国旗を掲げ、国籍を偽り、長崎へ入港し、これを
オランダ船と誤認した出島の
オランダ商館員の
ホウゼンルマンとシキンムルの2名は慣例に従い、長崎奉行所の
オランダ通詞らとともに出迎えの船に乗り込もうとしたところ、武装ボートで商館員2名が拿捕され、船に連行をされました。それと同時に、船は
オランダ国旗をおろして
イギリス国旗を掲げ、
オランダ船を求めてボートで長崎港内の捜索を行い、人質の1人、
ホウゼンルマンを派遣し、まきや水や食糧の提供を要求しました。
長崎奉行の松平康英は、港内警備を担当する佐賀藩、福岡藩の両藩にフェートンの焼き討ち、もしくは抑留を命じ、大村藩などにも派兵を促しました。オランダの商館長のヘンドリック・ズーフは
長崎奉行所内に避難し、戦闘回避を勧めましたが、ここに来て
長崎警衛当番の佐賀藩が太平になれて守備兵をわずか150名程度に減らしていたことが判明し、翌16日、イギリス船がオランダ人を1人釈放して、欠乏の食料の供給を求め、供給がない場合は港内の和船、唐船を焼き払うと脅迫をしてきました。長崎奉行から連絡を受けた福岡藩、佐賀藩の出兵はおくれており、襲撃兵力がない長崎奉行はやむなく要求を入れ、食料や飲料水を供給し、
オランダ商館も豚や牛を送りました。このためにイギリス船は残りのオランダ人も釈放し、翌17日に港外に去り、佐賀藩、福岡藩、大村藩の応援兵が長崎に到着したときには既に
フェートン号の姿はありませんでした。手持ちの兵力もなく、侵入船の要求にむざむざ応じざるを得なかった松平康英は、国賊を辱めたとしてみずから切腹し、勝手に兵力を減らした佐賀藩家老数名も責任をとって切腹をいたしました。そして、江戸幕府は佐賀藩が長崎警備の任を怠ったとして、11月には藩主に100日間の閉門を命じ、1825年には
異国船打払令を発令することとなります。
この
フェートン号事件は、幕府、佐賀藩、福岡藩にとって大きな衝撃となり、長崎警備の強化を推進させ、古台場7カ所に次ぎ、
フェートン号事件後、新台場5カ所を増設し、さらにこの12台場の増工事をしました。
その後、外国船の頻繁な来航や、1840年のアヘン戦争などの国際情勢に苦慮した幕府の
老中阿部正弘は、佐賀藩、福岡藩に対し、長崎港の台場について諮問をし、それに対して
佐賀藩鍋島直正は外目の台場を大幅に改築し、大口径の大砲を100門ほど増設することを提案しましたが、幕府は財源の問題もあり、結局、否決をしました。そこで佐賀藩は、自分の領である神ノ島と四郎ケ島間を埋め立てて、大砲台場の増設、築造を決意しました。大砲台場を独自に築造することにした佐賀藩は、その道の権威者と言われた江戸幕府の
江川太郎左衛門の意見を聞き、伊東玄朴を通じて幕府が所蔵していたサハルト八菱城の原本を借り受け研究を進め、そして、佐久間像山らにも相談し、設計図を作成しました。神ノ島と四郎ケ島を結ぶ堤防工事として、人夫約21万6,000人、石工約18万5,000人を要し、その費用は、金に換算しまして約2万8,000両と見積もりました。しかし、堤防工事に着手したものの、予想外の難工事で中断し、工事見直しの見積もりの石工の工事費だけでも6万3,000余両を要することとなり、佐賀藩はやむなく幕府に拝借金を願い出ますが、これはかないませんでした。そこで、佐賀藩は独力で工事を実施することを改めて決意し、90そうの漁船に石材を満載し、これらを海中に投げ入れましたが、激流が激しく押し流され、投げ入れても投げ入れても効果があらわれませんでした。長崎市中では、どんどん転びの堰所の石よ、どこでとまるか行き先も知れぬという歌が流行し、金銀を海底に捨てるものだと嘲笑する者もいたと言われます。そこで、試みに2間に1間半に高さ1丈の枠をつくり、これに石材を充てんして海中に沈めましたところ、それらは潮に流されずにとまり、この方法で神ノ島と四郎ケ島の両端から埋め立てをして、1852年2月から両島の間の漁船の通行を禁じ、145隻の船で一気に
埋め立て工事を急ぎ、月末の29日には徒歩で往来ができるようつながり、さらに7月より石堰工事に移り、ようやく神ノ島と四郎ケ島の間の約220メートルの
埋め立て工事が終了したと言われており、これにより神ノ島、四郎ケ島の台場の増設、築造が完成、そして、佐賀藩は自力で開発した日本で初めての反射炉を使った鉄製大砲を四郎ケ島の台場に設置、ペリー来航の1年前でした。
1854年、幕府の
川路勘定奉行は神ノ島、四郎ケ島、小島など砲台と弾薬庫を巡視し、神ノ島、四郎ケ島、小島からの実弾射撃を見て、川路はこのことを長崎日記に、1月15日晴れ、長崎所々、台場でそのほかを巡視。鍋島直正の新台場まことによろしきできである。16万両かかった由、甚だ感服すと記載されております。長崎で開国を迫ったロシアの
プチャーチン艦隊に対して、幕府の
川路勘定奉行が断固開港を拒否したのは、開発製造したばかりの伊王島、四郎ケ島に強力な台場があったからだとも言われております。
一方、1853年と1854年に来航したペリー艦隊に幕府は開国の要求をのんだのは、江戸港に伊王島、四郎ケ島のような強力な台場がなかったからだと言われており、幕府は江戸の海防の失態に反省をし、佐賀藩に50門の大砲を注文し、
品川の台場に設置をさせました。
このように、この時代から我が国、長崎を守ってきた四郎ケ島に台場が築造されたのは1853年で、現在155年の月日がたっております。そして、何より日本で最初に大砲が据わった場所です。
現在、四郎ケ島は神ノ島から四郎ケ島にかけて約200メートルの堤防があり、昭和の時代に改築され、当時の規模は明らかではございませんが、干潮時にあらわれる石垣は幕末のものだとも考えられております。また、四郎ケ島と小島の間を埋め立てて築造した小島台場、四郎ケ島の山頂部分を削り取って築造したと思われる3カ所の台場があり、一部の欠損がありますが、ほぼ当時の面影を残しております。小島台場の前面に位置する石垣の長さは約70メートル、また、井戸の周辺の石垣は約30メートル、これらの石垣は、専門家の話では高度な技術で積まれているということもわかっておりますし、その眼下にある海岸に沿った巨大な石垣、長さ約95メートルは見る者を圧倒します。山頂の台場に向かう階段、山頂を削り取って築造されたと思われる台場2カ所とそれらの西に隣接する長方形の台場もあり、その間には石組みのトンネルの長さ10メートル、これらの台場は島の地形を巧みに活用されていると専門家は言います。
そして、
四郎ケ島西側の海岸に立てば石切りの跡が多く見られ、海岸の石を切って台場の石垣を積んだと想定され、また、四郎ケ島の近くの中ノ島も台場築造の石切り場であったと伝えられております。このように、四郎ケ島は無人島であったため、ほとんど築造当時の面影を残しています。しかし、北側にある巨大な石垣が1991年の台風により一部崩れ出し、現在は3カ所崩壊をしており、いつ崩れてもおかしくはない非常に危険な状況にあります。
歴史的に価値があり、江戸のものつくりの研究に大変必要となるこの大砲台場、そして、何よりも釣り人や子どもたちがそこを通ったときに崩壊をしたならば大惨事になりかねません。
近年、佐賀の市民団体様や大学の教授、市民の各団体様の必死の調査や地元の皆様のご協力で新聞やテレビ報道など、ようやくこの四郎ケ島が注目をされ、日の当たる場所へ出始めました。
以上を踏まえまして、数点の質問をさせていただきます。
1つ目は、四郎ケ島は市が持ち主ではなく、民間の方が持ち主だと聞いておりますし、また、市のほうも何度か史跡的価値の必要性、または地元の意向もあるということで足を運んだとお聞きしておりますが、そのお話の経過をお伺いいたします。
2つ目に、この四郎ケ島の文化財としての重要度はどの程度で考えておられるか、お伺いいたします。
以上で壇上からの質問とさせていただきます。
答弁次第では自席からの再質問をいたします。=(降壇)=
3 ◯議長(吉原 孝君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
4 ◯市長(田上富久君) 自由民主党、
宮崎高舟議員の質問にお答えします。
1点目の環境行政についての(1)
地球温暖化対策の推進についてでございますが、まず、現在の
取り組み状況についてお答えいたします。
市民に向けましては、環境教育に重点を置いた取り組みを行っております。具体的には、
環境出前講座を開設しまして、公民館、自治会、学校等に職員を派遣し、
地球温暖化対策を重要テーマに、「
地球温暖化と私たちにできること」と題して実施をしております。そのほか、環境省が国民運動として推進しております我が家の環境大臣、
こどもエコクラブへの参加を市民の皆様方に呼びかけております。この我が家の環境大臣は、平成18年度から取り組んでおりまして、自主的に省エネやごみ減量など環境に優しい行動に取り組もうとされるご家庭や団体を登録するものであります。ことしの10月末現在で6つの団体、362世帯の登録がなされております。一方、
こどもエコクラブは平成7年度から取り組んでおりまして、小中学生を対象に保護者や学校の先生がサポーターとなって自主的な環境活動を行っており、ことしの10月末現在で15団体、317人の登録がなされています。
事業者に向けた取り組みといたしましては、同じく環境省が推進しています
環境マネジメントシステムの
国際規格ISO14001の国内版であります
エコアクション21の普及に平成19年度から努めておりまして、これもことしの10月末現在で8社の認証登録がなされ、今年度内にはさらに10社程度の認証登録を見込んでおります。また、学校に向けた取り組みとしましては、本年度から小中学校におけるペットボトルのキャップの
リサイクル活動、キャップくるくるリサイクルなどの普及啓発、それから、小学校4年生と5年生の全児童への環境副読本の配布、
学校版環境ISO、
長崎エコスクールなどに取り組んでおります。そのほかの施策としましては、ライトダウンキャンペーン、
ノーマイカーデー運動、民間建築物の屋上や壁面の緑化に対する補助制度の充実、輸送に伴う
二酸化炭素排出削減につながる食料の地産地消など多くの分野でも取り組んでおります。また、市みずからの取り組みとしましては、市役所自身が大規模な事業者であり、消費者であるということを認識しまして、市の事務事業に係る
温室効果ガス削減計画として、平成12年度に
長崎市役所環境保全率先実行計画を策定しております。省エネやごみの減量とリサイクル、
グリーン購入などに取り組むとともに、17項目の
エコアクションの実行に努めてまいりました。
こういった取り組みの中で、ことし6月の
地球温暖化対策推進法の改正に伴いまして、
長崎市役所環境保全率先実行計画に加えて、地域内施策として、事業者や市民の排出抑制の促進、
自然エネルギーの導入や
公共交通機関、緑地、そのほかの地球環境の整備等の施策を盛り込むことが義務づけられております。そこで、現在、長崎市では公募による市民や市民団体、事業者団体など多くの方々に参画をしていただいて、今年度内の完成を目指す
地球温暖化対策を総合的に推進するための計画づくりを行っております。この計画につきましては、長崎市全体の
温暖化対策の指針となる計画であり、今後は
市民一人ひとりの温暖化防止に向けた取り組みが重要になってくると考えております。
こういったことから、計画をつくった後は、現在、計画策定に参画されている方々や多くの環境活動で活躍されている市民団体の方々、
関係行政機関及び
学識経験者等で構成します推進協議会を立ち上げまして、この協議会を通じて行政、市民、事業者が一体となり、さらなる
温暖化対策の推進に努めていく体制をつくり上げたいというふうに考えております。
次に、1点目の(2)西工場の建て替えについてでございますが、新西工場の建設地の選定につきましては、建設に必要な面積を持つ市有地を
公有財産システムから抽出いたしまして、各所管部局に対する調査を行い、候補地として8カ所を選定いたしました。次に、環境や都市計画など専門的な視点から候補地を絞り込むため、大学の教授等で構成いたします
新西工場建設地検討委員会を設置し、この8カ所の候補地について現地視察を含む6回の委員会で検討をしていただきました。その結果、検討委員会としては、
西部下水処理場の敷地内と
三京クリーンランド埋立処分場3工
区の一部の2カ所が適地であると判断され、ことし11月17日に報告書として提出をしていただきました。
長崎市としましては、検討委員会からの意見を尊重し、今後の建設地決定に適切に反映したいと考えておりまして、建設までの
スケジュール等を勘案して、早ければことしじゅう、遅くとも今年度中には最終的な意思決定をしたいと考えております。
次に、建設までの
スケジュールでありますが、合併特例債の活用期限である平成27年度末の完成を目標として、平成21年度の中ごろまでに建設候補地の地域住民の皆様の理解を得た上で、平成21年度の後半から平成24年度にかけて
環境アセスメントの実施、平成25年度から27年度までが施設の建設という
スケジュールになると考えております。
議員ご指摘のとおり、地域住民の皆様との協議期間はかなり制約されることになろうかとは思いますが、長崎市といたしましては、誠意を持って十分に協議をさせていただきたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
次に、建設に係る財源ですが、循環型社会の形成を図ることを目的として、平成17年度に創設されました
循環型社会形成推進交付金を活用するとともに、地方債としまして有利な起債である合併特例債の活用を予定しております。
次に、建設手法としてのPFIについてですが、
一般廃棄物処理事業においては、PFIが進んでいる分野であると言われておりまして、他都市での実績も数多くありますことから、長崎市においても、財政負担を最小限に抑える方策としてPFI方式の適用についても検討をしております。
次に、2点目の文化行政についての(1)四郎ケ島の史跡化の推進についてでございますが、ご指摘の地元自治会との協議につきましては、これまでも
文化財指定等の関連で必要に応じまして実施をしてまいりました。中でも、ことしに入ってからは、台場跡の保存等を中心に4回の協議を行っております。その中で、自治会としては現在のところ、
四郎ケ島台場跡を地域振興の一つの核として生かすことを最優先に考えておられ、民有地のまま
四郎ケ島台場跡を文化財として指定するのではなく、できれば国も含め、公有化を図った上でそのような文化財指定の手続きへと移行することを望まれているようであります。
そこで、長崎市としましては、地元のご意向等も踏まえながら、台場跡の保存に向け、どのような方法が検討できるのか、引き続き地元自治会と十分協議を重ねていきたいと考えております。
次に、四郎ケ島の文化財としての価値についてですが、四郎ケ島は現在、市内において埋蔵文化財の存在が確認されている240余りの遺跡の一つとして、
四郎ケ島台場跡の名称で工事をされております。ご承知のとおり、島内には当時の石垣や井戸、地下通路などの遺構の保存状態もよく、文化庁もその重要性を認識し、平成15年には遺構の保存状態などの確認のため、近代遺跡の調査を実施したところであります。
このように、幕末期に築造された近代化遺産として、また、近世の貴重な台場の遺構として、
四郎ケ島台場跡は国指定史跡に相当する十分な価値があるものと認識をいたしております。
以上、私の本壇からの答弁とさせていただきます。=(降壇)=
5 ◯道路公園部長(池田敏明君) 次に、1.環境行政について、(3)皇后島(ねずみ島)整備についてお答えいたします。
皇后島、いわゆるねずみ島公園は、長崎港玄関口に位置する面積約1.7ヘクタールの豊かな自然を有する風致公園として、昭和26年に都市計画決定を行っております。
当公園におきましては、毎年、長崎遊泳協会が新年恒例の泳ぎ初め式を開催しており、昨年よりこの開催前に長崎市におきまして、砂浜及び歩道の除草、清掃を行っております。この泳ぎ初め式は長崎の伝統行事の一つとなっておりますので、今後も清掃活動を続けてまいりたいと考えております。また、ねずみ島公園周辺では、県の長崎港港湾計画において港湾施設整備のため、埋め立てと緑地等の整備が計画されております。
このようなことから、ねずみ島公園の整備につきましては、今後、長崎港港湾計画の具体的な整備計画や着手時期等が明確になった時点で、整備計画の中での緑地の整備方針との整合を図りながら、風致公園としての整備を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
6 ◯17番(宮崎高舟君) 環境行政から
地球温暖化の分の再質問をさせていただきます。
ただいまのご答弁では、
地球温暖化対策推進法の改正により、既存の
長崎市役所環境保全率先実行計画と統合して新しい
地球温暖化対策の計画づくりをしているというふうにお聞きしましたが、私が聞いたところによりますと、この
長崎市役所環境保全率先実行計画は総務部の所管ということをお聞きしています。ところが、新しい
温暖化対策の計画は環境部で現在つくられていますよね。市の総合的な
地球温暖化対策として推進していくのであれば、現在2つの部で所管して取り組んでいるのは、ちょっとおかしいと私は思います。体制を一体化して取り組むべきじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
7 ◯総務部長(三藤義文君) 再質問にお答えいたします。
現在、全市的な環境対策と申しますか、それにつきましては、確かに環境部のほうで所管いたしまして、一つの事業所としての市役所の内部的な対策は総務部で所管するということで実施をいたしております。
ただ、議員ご指摘のような点は私どもも感じておりますので、今現在、環境部のほうと調整をいたしまして、今後の対策の推進につきましては、環境部のほうで一元化して対応を行っていきたいということで、今予定をしているところでございます。
以上でございます。
8 ◯17番(宮崎高舟君) わかりました。そういうことであれば、今後とも
地球温暖化対策の推進にぜひ力を入れて頑張っていただきたいと思います。
続きまして、西工場の建て替えについて再質問をさせていただきます。
西工場を建て替えるに当たり、私が1つ疑問に思うところは、現在建っている西工場の跡地ですね、これはどのように活用されるのかというところをひとつお尋ねさせていただきたいと思います。
9 ◯環境部長(溝田弘人君) 再質問にお答えいたします。
先ほど市長も答弁いたしましたように、現在の計画では、新西工場は平成27年度末の完成を予定いたしております。したがいまして、まずは用地の選定を早急に行いたいというふうに考えております。
新西工場が稼働いたしますと、現在の西工場は当然焼却を停止いたします。そうしますと、速やかに工場の解体というステップになろうかと思いますけれども、その解体後の跡地の活用につきましては、解体につきましても、恐らく億単位の財源が必要になるかというふうに考えております。したがいまして、解体の時期とその跡地の利用計画につきましては、タイミングを同じような形で今後検討していきたいというふうに考えております。
したがいまして、現段階で現在の西工場の跡地をどうするかという部分につきましては、特に成案があるわけではございません。
以上でございます。
10 ◯17番(宮崎高舟君) そういうことであれば、跡地活用につきましては、これは私だけの考えなんですけど、現在、西工場から西泊中学校にかけてですが、あそこの道が近年、金水トンネルとか女神大橋ができて、現在、あそこの道の通りが死んだ状態になっておるんですね。だから、西泊中学校と近隣ということもありますので、例えば学校のスポーツに力を入れるとか、そういう意味で、そういう活用の仕方をちょっとお願いしたいし、跡地活用にしてもとにかく何よりも一番に地元と協議していただいて、今後、跡地活用についても考えていただきたいと要望させていただきます。
次に、西工場、先ほどのご答弁でお話をお聞きしましたところ、どっちになるかわからないけど、一応候補地が2つ上がっているということでお聞きしたんですが、あと地元の協議会とか説明会とか、そういうのはどれくらいに予定されているのか、お尋ねさせていただきます。
11 ◯環境部長(溝田弘人君) 再質問にお答えいたします。
先ほど市長答弁でも申し上げましたように、遅くとも今年度中には市としての場所の決定を行いたいというふうに考えておりますが、その後の地元の皆様方との協議のやり方といいますか、どういった手法がいいのかという部分につきましては、それぞれ地元の自治会長さんたちもいらっしゃいますので、そういう皆様とはどういった手法がいいのかという部分につきましては十分協議をさせていただき、そういった形で臨みたいというふうに考えております。
以上でございます。
12 ◯17番(宮崎高舟君) 実際、候補地の中にはもちろん私の地元も入っていますので、ちょっと言わせていただきますけど、今後は地元の人間の声に真摯に耳を傾けていただき、協議会を開くとか、説明会をまめに行うとか、とにかくちゃんとした話し合いをしていただいて、今後この計画を進めていただきたいということを要望します。
そして、皇后島につきましては、先ほどご答弁がありましたように、これは確認なんですけど、毎年定期的に整備に入っていただくというふうに考えてよろしいんでしょうか。
13 ◯道路公園部長(池田敏明君) 再質問にお答えいたします。
皇后島の砂浜及び歩道の清掃、除草につきましては、今年度も含めまして、今後も引き続き続けてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
14 ◯17番(宮崎高舟君) ありがとうございます。
先ほどもお話に出ましたけど、あそこは前回の議会でも私話しましたが、長崎遊泳協会の発祥の地でもありますので、今後とも皇后島を
風致公園地区として整備していただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。
次に、文化行政から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
私は、現在、四郎ケ島が文化庁の近代文化財の五十数カ所のうちの一つの候補に上がっているというふうにお聞きしていますが、市自体はその事実は把握をされているのでしょうか。
15 ◯文化観光部長(樫山敏徳君) 再質問にお答えをさせていただきたいと思います。
四郎ケ島台場跡が国のほうの近代遺産でありますとか、今ご指摘のそういったふうな候補に上がっているということにつきましては聞き及んでおります。
以上でございます。
16 ◯17番(宮崎高舟君) そこのお話に至るまでは、佐賀のNPO法人や、佐賀の大学教授ですね、もちろん地元の方たちの努力があってそこまで話が進んでいったと私は聞いています。
市はそこに至るまで何か施策とか、また、その団体の皆さんにご協力というふうな形はとられたんでしょうか。
17 ◯文化観光部長(樫山敏徳君) 再質問にお答えをさせていただきたいと思います。
台場跡の保存を考える上で、佐賀の市民団体の方々の活動というのは大変心強く受けとめさせていただいているところでございますけれども、そういったふうな指定等に向けて佐賀のそういったふうな関係団体と直接お話をさせていただいたということは、これまではございません。
以上でございます。
18 ◯17番(宮崎高舟君) 他県の皆さんがあそこの台場を文化財にしたいということで、ここまで頑張っていらっしゃるんですよ。もし仮にあそこが文化財として指定されてしまったら、長崎市、何しよっとやと言われかねないんですよ。
先日、私はちょっと佐賀のほうに行ってまいりまして、佐賀の市民団体の代表の方とか、佐賀の大学教授の皆さんとお話というか、勉強会をさせていただいて、その中でやっぱり市民団体の代表の方からちょっとお話が出たのが、ここまでせっかく進んだんだからと、長崎市さんの協力がもう少しあればというお話も私は実際聞いたんですよ。ですから、まだ私は遅くないと思いますので、できれば早急に地元の皆さんとの協議会、そしてまたは、佐賀の市民団体様との連携に努めていただきますことを要望させていただきます。
そしたら、その件に関して市長の意見をお聞きしてもよろしいでしょうか。
19 ◯市長(田上富久君) 宮崎議員の再質問にお答えいたします。
四郎ケ島の台場、佐賀藩、福岡藩が長崎を江戸時代に守ってくれたということで、特に佐賀藩の当番の年にさまざまな事件が多かったと、福岡藩に比べて佐賀藩のときに多かったということもお聞きしております。その影響で佐賀藩の国防意識といいますか、非常に高まって、それが薩長土肥と言われる4つの藩の中の1つに加わることにつながっていくというようなお話もお聞きしたことがあります。そういう経緯もあって、恐らく佐賀藩の皆さん、佐賀の皆さんは非常にさまざまな歴史的な事件があった場所としても、先祖がそこで活躍した場所としても思い出が一定深いのではないかなというふうに思います。そういう思いも受けとめながら、四郎ケ島の史跡化の推進については、今後、積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上です。
20 ◯17番(宮崎高舟君) 佐賀の方たちとやっぱりお話しした中で、今後、市のほうが動くということであれば全面的に協力をしたいという返答もいただいておりますし、また、佐賀で以前、四郎ケ島の150周年記念というものをしたんですが、そのときに佐賀の市民団体のほうでアームストロング砲という大砲をつくってこちらのほうに持ってきて、7発、記念で空砲を撃ったわけですね。だから、そういった感じで、長崎市自体が今後協力をするということであれば、またアームストロング砲を持ってきて撃ってもいいよと言っておりましたので、ぜひ協力のほうお願いいたします。
続きまして質問させていただきますけど、台場の現状は先ほどの質問の中でもありましたけど、石垣の一部が崩壊して大変危険な状態です。この件に関して市はどのような判断をされているのか、お聞きいたします。
21 ◯文化観光部長(樫山敏徳君) 再質問にお答えをさせていただきたいと思います。
台場跡の現況につきましては、今と本壇で議員がおっしゃられたとおりでございまして、特に台場跡の北西部分においては、経年劣化や台風の影響によると思われる崩壊が著しく、今後さらにこの崩壊が進行し、石垣の崩落等、そういったふうな危険性もはらんでいるというふうに認識をいたしております。
以上でございます。
46 ◯2番(内田隆英君) 10市か11市区かですけれども、実際に県都に救命救急センターもない、がんセンター、循環器センター、感染症センター、こども病院もないと、これは全国47都道府県で長崎市だけなんですね。そういう状況において、今回、長崎県が市の計画に対して、もう突如としてこういう高機能医療施設建設を求めてきているということについては、非常に筋違いだと私は考えるんです。なぜならば、これまで長崎県は13カ所あった県立の保健所を8カ所に減らして、県立病院は6カ所から3カ所に減らしているんですね。県として県民の命綱を削り続けてきながら、さも長崎市に高機能医療施設建設を長崎市がつくれと、本来県が責任を持ってこういった高機能病院を率先してつくるような立場で、その上で市民病院等に、市長答弁では財政支援はこれまでなかったと。本来、市立病院が、県都にない県立病院の役割を果たしていると私は感じているんですよ。そういった病院に対して、本来なら県が手厚い援助なりを行うべきだと思うんですけれども、それはやらないと。しかも、市が計画に基づいて動き出しているのに、もう十八銀行体育館も壊していらっしゃるんでしょう。そういう動きをしている中に、余りにも市の計画をないがしろにするような申し入れ、それに対して市長は検討するということですけれども、本壇から言ったように、これまでの長崎市の計画ね、長年論議を重ねてきた計画、これがやっぱりまだまだ不十分であったという認識なのか、そうじゃなくて、県の申し入れが来たから、それに対して検討するということなのか、いかがでしょうか。
47 ◯病院局長(楠本征夫君) 今までの検討が不十分であったのかというご質問ですけど、今までやっぱり長崎市を対象にして、いろいろ長崎市の医療を守るためにどうすればいいかということを検討しておりました。いろいろ欲を言えば、大きな病院がいいということはわかるんですけど、現在の計画では長崎市の医療を守れると、そのように考えております。検討が不十分とは、そんなには思っておりません。
以上でございます。
48 ◯2番(内田隆英君) そこで、今さまざまな問題を言われておりますけれども、例えば、救命救急センターの準ね、そういうセンターをつくろうという考えも長崎市は持っておったわけですね。そういうふうに進めてきたわけですけれども、実際にそうしたことをまた再検討しなければいけないというところに来ているけれども、本来、県が高機能医療センター施設を考えるのであれば、私は現在ある原爆病院等を長崎県が力を入れてもっと充実させる。市民病院にも長崎県が力を入れてもっと市と一緒になって充実させていくと、そういう方向こそ求められているんじゃないかと思うんですよ。何か市の計画に対して、ぽっと思い出したようなことを言っているんですけれども、県知事が持ち出した問題としては、実際に総務省の方針から公立病院改革プラン検討協議会を立ち上げて、そこで、そのことをもとにこういう検討会でも意見が出たということで、長崎市に高機能の施設を備えた病院建設をということを注文つけてきたわけですよ。しかし、この検討会でさえ、日赤長崎原爆病院との再編・統合が提案されたが、次元的な理由から否定的な意見が出され、委員全員の合意には至らなかったというのが、10月27日の協議会の中でもう明確に言われているんですよ。意見がまとまらなかったと。しかし、さも県知事がここで出されたから考えろというようなことを市に申し出てきていると、非常にこれは県のやり方については憤りを感じておりますけれども、この協議会そのものが公立病院改革プラン検討地域分科会で、この分科会そのものは、座長が、これは総務省が提唱された公立病院改革プランというのが本年度いっぱいに県が主体となり、地域と話し合ってプランを提出するということになっておると、そういうことで県が設置した正式な協議会であると。そして、この協議会の意見を各自治体の長に提案して、県としてはこういう提案ですよということを協議会から提案すると。そして、最終的にはその自治体から具体論をいただいて、最終的な調整を図っていこうと。そして、ここで出した意見というのは、あくまでも評論家的な意見ではございません。こうすべきだということに対する発言に対しても、やっぱり責任を生ずるわけでございますということを座長は言っているわけです、分科会で。その座長が言って、皆さんそれぞれ検討した結果が、ここで長崎市地域医療圏5つの病院でのことで、結果として委員全員の合意に至らなかったと。
だから、長崎市は今までの計画どおりに、今の市民の命と健康を守るという施設を2013年開院という立場で進めるべきだと強く主張すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
49 ◯病院局長(楠本征夫君) 先ほども言いましたように、長崎市の医療を守るという点では今までの計画でよかったと思いますけど、今度の提案は少し医療圏を広げたような格好で、医師不足に関しても長崎市だけでなくて、ほかの地域もカバーできるようなというご提案です。それに伴って財政的な負担とか、そういうことをされるというご提案ですから、それは新たな提案として、それがいいのか悪いのかも含めて今後検討すると、そういう状況になっているところでございます。
以上でございます。
50 ◯2番(内田隆英君) 市の考え等もあろうかと思うんですけれども、県知事が直談判したということもあり、むげに断れないということもあろうかと思うんだけれども、今回の提案についても非常にでたらめですよ、県の提案というのは。一部事務組合だとか指定管理者で日赤原爆病院が指定管理の席を受け持つと。言うなれば、市民病院、成人病センターの職員を全部雇いどめにして、そして、指定管理者制度として新たに嘱託かだれかを雇って運営するような、まさに職員の労働力を奪い、首を切る、そういったことと、そして指定管理者を原爆病院に任せると。市長、まさにこれは県の市に対する越権行為じゃないですか。その考えについて検討すると言うけれども、どういう考えなのか。私はこれは越権行為だと思うんですよ。その考えについてはどうですか。
51 ◯市長(田上富久君) ガイドプランの協議会の段階でご提案いただいた分につきましては、市としても十分高度医療、それから急性期医療、そして救命救急機能も担える病院をつくるということでこれまでも計画を進めてまいりました。また、それを今の市民病院の老朽化、狭あい化ということを考えますと、時期は譲れないと、できるだけ早い時期につくるという、そういう機能の面、それから時期の面をベースにして、それを実現できる病院をつくるんだということでこれまで進めてまいりました。ですから、その点につきましては、これまでもその方向で実現できるもの、あるいは取り入れられるもの、それがよりいい医療を提供できるという部分については取り入れていきましょうということを申し上げてきました。
今回の提案は、その提案の後に提案されたものでして、しかも、先ほど病院局長からも答弁がありましたように、さらに県域の医療を少し広げた形で分担してもらえないかというような、その分については相応の負担をするというようなお話であるというふうに理解しています。
ですから、今回プロジェクトチームをつくって検討するという分につきましては、まず案についての検証ですね、今ご提案いただいている分についても、果たして実現が可能なのかという、あるいは長崎市の地域医療は全体にとってどうなのかということの検証をまずしたいというふうに考えております。
以上です。
52 ◯2番(内田隆英君) ぜひ高機能の病院施設運営ができればいいわけですから、市としてもそういった立場からこれまで取り組んで計画を練って進めてきたわけですからね。ぜひその立場を維持して、県がとやかく言おうが、やはり県も市も同じ考えでしょうけどね、そういう高機能も。しかし、市は市でもう2013年開院ということで、土地の取得もほぼ終わりながら進めているわけですから、これまでの計画を無にすることがないようなことで進めていただきたいと思います。
野母崎病院、琴海病院のことについて再質問させていただきますけれども、局長が言われたように、合併してから赤字に転落してきているということですけれども、実際に野母崎病院が赤字経営に陥った背景には人工透析のできるお医者さんがおやめになったと、琴海病院も眼科がなくなったと、こういったことも影響していると思うんですよ。そして、私はこういった病院について、確かに赤字が出ているけれども、今現在、お医者さん1人おれば1億円の収益が上がると言われている時代にやはり医師を確保するということについて、これがやっぱり一番大きなネックになっておると思うんですよ。
全国市長会だとか、いろいろなことで応募されておると思うんだけれども、もっとやっぱり市が長いスタンスで、市長が言われるように、いかにいい病院をつくって、そこに新しい研修医等が学びに来て、そこでとどまるというのが一番いいんですよ。ですから、そういう病院建設をまず進めていきたいというような考えで、それはそれで進めてもらいたいんだけれども、長いスタンスで見て、やはりお医者さんを長崎市の病院に、市立病院にとどまらせるという点では、奨学金制度というのは非常に有効な手段だと思うんですよ。まず病院建設からじゃなくて、そういったことと並行してお医者さんを確保するという、そういう立場が求められていると思うんですけれども、やはり市長答弁にあったような考えなのか、局長のお考えはどうですか。
53 ◯病院局長(楠本征夫君) 医師を奨学金で育てるという考えは長崎県も実施しているわけで、全国的にも幾らかあると思います。それの効果というのは否定いたしませんけど、先ほど市長答弁でもありましたように、即効性はないと。だから、将来的にどうするかということですけど、今それに関しても、いろいろ国のほうで議論されております。いわゆる奨学金をもらったから、その後、いわゆる拘束というような形はとれないという、元労働省、厚生労働省のほうからそういう見解を出されておりますから、それをやれば100%医師不足を解消できるというものではないと思います。それよりは、やはり長崎市に魅力ある病院というのをつくって、ある程度即効性もあるし、将来的にも若手医師、あるいはそれに続く者が育つというシステムをつくったほうがいいのではないかと考えております。だけど、奨学金制度を全く否定するものではございません。
以上でございます。
54 ◯2番(内田隆英君) 私が言ったのは例えで、奨学金制度を含めた、医師を長崎市に確保すると、確実に確保できるというような施策を長崎市としてはやっぱり考える必要があるんじゃないかというのを提言しているんですよ。ですから、奨学金制度に縛られないで、長い目で見て、即効性じゃなくても長い目で見てやらないと、ずうっと医師不足が進んでくるわけでしょう。
局長が言われるように、その背景には国の方針、新臨床医制度等も絡んできていると思うんですよ。この点については、国にもそういうことは見直せと、地域医療がもう守れないじゃないかということは強く今後とも申し入れをしていただきたいと、要望だけしておきます。
最後に、この病院問題ではPFIのことを言われましたけれども、市民の命と健康を守る施設ですから、公設公営で責任を持って運営するということが求められておりますけれども、市としてはPFIという流れで来ているようなことをお聞きしますけれども、その方針はどうなんですか、変わりませんか。
55 ◯病院局長(楠本征夫君) PFIに関しましては、やはり病院運営上、今問題になっています、いわゆる建設費が高いということが一番問題だと思います。それをできるだけ削減する目的でいろいろ方法論を検討し、PFIに至ったと。PFIありきで検討したわけではございません。結果でそうなったということでございます。
以上でございます。
56 ◯2番(内田隆英君) PFI方式で全国的に成功がされていないという実例もある中で、やはり事は市民の命と健康を守る大切な施設ですからね、私はそういったものは責任を持って直営で運営するというのが望ましいんですよ。そして、お金の問題、財政の問題がございます。しかし、私はそういう財政の問題があったにしても、命にかかわる健康の問題については、やはりそれは市が責任を持って何らかの形で財政支援が必要だと思うんですよ。そういったことを強く要望しておきます。時間がありませんから、この問題についてはこれで最後にします。
続いて、合併町の地域振興について質問いたしますけれども、ここでも市長は虹色のまち交流事業として合併地区をめぐるバスツアーだとか、いろいろやっていますけれども、合併町の住民が、ああ合併してよかったと、こういうことが合併してからあって、やっぱり合併はよかったんだというのをなかなか肌で感じられないと。それはバスで来て、旧市内の方と合併町の人たちと交流を深めて、ああ旧市内の方にはこういういいところがあるんだなとかいうことで交流が深まるけれども、そこに住んでいる人たちは、いろんな福祉制度が同一化されてみたり、施設が民間委託、移譲、廃止とか、そういったことで、何かいい印象を受けていないというのが実態なんですよ。だから、合併して何がよかったのかというのが住民の心に残らないというか、よかったというふうに残らないと。
その1つに、私は、例えば先ほど病院問題を言ったけれども、野母崎病院とか琴海病院、建設して6年、琴海が8年目ですよ。それで、本当に旧市民の方が合併町に行って、ああいいところだと、野母崎なんか非常に自然豊かで、魚介類もおいしいところですね。そういったところに移り住もうかというときに、病院がもうなくなる、民間移譲か、診療所化されると、安心して住めるのかということも出てくるんじゃないかと思うんですよ。
そういったときに、合併町の町民は、合併していずれもなくなったわけですね。民間移譲の方向で進んでいるわけですよ。何でかというと、赤字が出てきているからと。こういうときにこそ、長崎市と合併してよかったと。これまでどおり、合併せずにそのまま運営しておっても赤字になったかもしれんけれども。しかし、長崎市になったら赤字になったけれども、長崎市が大きく受けとめてくれて、琴海病院にしろ、野母崎病院にしろ、民間移譲ではなく長崎市が責任を持って運営をすると。そうすることにより、ああ合併してよかったなと、安心して住まれるなと、ここに大きな合併の地域振興策があるんじゃないかと思うんですよ。
確かにいろいろやっています。努力されていることは承知いたしております。しかし、それでは合併した町民、住民に、そのことが本当に合併した効果として受けとめられていないのが実情なんですよ。そういう目に見えた地域振興策、これについてどうお考えになっているのか、答弁をお願いします。
57 ◯企画部長(野田哲男君) 再質問にお答えいたします。
議員ご指摘のさまざまな問題というのは、日本全国でもやっぱり少子高齢化とか、経済の停滞の問題、そういう影響もございまして、合併地域においては非常に厳しい状況があるというふうに認識をいたしております。
市町村建設計画というのは、当然地域の振興を目的として計画を立てておりますので、これを着実に進行していくというのは当然のことでございますが、やはりさまざまな社会情勢の中で合併地域の置かれている状況というのは非常に厳しいという中で、地域住民の皆様方のご意見、さまざまなご提案もいただきながら、やはり前向きに今後どういうふうにしたら地域が本当に活性化するかというのは、幅広く意見を伺っていく必要があるというふうに考えております。
現在、何をやればすぐこうなるかというのは、なかなか難しい問題もございますが、いろんな地域でいろんな特性がございますので、その辺を何か生かす形で地域振興というものを今後とも十分検討してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
58 ◯2番(内田隆英君) 前向きに地域振興を検討されるという答弁ですから、私もそういう期待をしながら、しかし、今現在、地域振興基金が約40億円あるわけですね。こういった基金を大いに活用して、そこに住む住民の生の声をよく聞いて、何が今求められているのかという点では、基金を活用した施策、目に見えた合併してよかったと享受できるような施策をやっていただきたいと。そのためには、市が毎年2,000名から市民の意識調査、私のところにも来ましたけれども、それが中身についてはどこが出したのか、だれが出したのかというのはわからないと。合併町の住民の方が本当に今何を考えているのかということを私は把握する必要があると思うんですよ。もう3年間は激変緩和措置でこのままの体制だと。しかし、激変緩和措置がとれた後に住民はどう考えているのかということは、全市民ではなくて、合併町の住民意識調査というのが必要だと思うんですけれども、それはもうやらないということですけれども、もう一度お伺いしますけど、どうですか。
59 ◯企画部長(野田哲男君) 再質問にお答えいたします。
市民意識調査の中で実施を合併地区の皆さんにも行っておりますけど、やっぱり合併地域の皆様は、全市的な質問というよりは、合併地域に向いたご質問もあろうかと思いますし、全体の数の中でもう少しご意見をいただくために数字的な配慮も必要じゃないかというふうに思っております。
そのやり方につきましては、今後少し検討させていただいて、合併地域の皆様が今後のまちづくりに向けてどのようなことを考えておられるのかというものの把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
60 ◯2番(内田隆英君) ぜひ合併地区の地域振興のことについて考えていただきたいと。
最後に、児童福祉問題で市の考えをお聞きしましたけれども、民間移譲されれば保育士が入れかわると。長崎市は一遍にかわらないように、3カ月間ぐらいですかね、引き継ぎ期間を設けていると。しかし、子どもとしては、本当に民間移譲になれば保育士がかわると。そうなってくると、本当にやっぱり環境は変わるわけですよ。そういう点では、市が言っているようなことにはならないと。
そして、あなた方は一番重要な問題については、こども部幼児課が5月に出した保育民間移譲QアンドAですけれども、私は市は公的保育を放棄しているというように言わざるを得んじゃないかと思うんですよ。この保育士はどうなるのかという点で、民間保育所は若い保育士が多く、経験不足じゃないかと。しかし、あなた方は何と答えておるかと。10年間保育士を新規採用しなかったから、ずっと勤めている方の年齢が上がってきているからベテランになっているんだと。10年間新規採用をしない。もういずれは公的に保育所は市で運営しないという方針を言っているわけですよ。これでは、子どもはたまるもんですか。長崎市の将来を担っていく子どもたちです。その根底には赤字の財政問題があると。
これは病院問題でも一緒ですけれども、命の健康、そして、子どもの問題については長崎市の将来を担うという立場から、財政は赤字で、そういう採算ばっかり考えずに、財政を投入してでも公的保育を守るという立場を堅持していただきたいということについて最後に答弁を求めます。
61 ◯こども部長(松下貞行君) 再質問にお答えいたします。
議員のご指摘の点についてですが、我々も保育士の入れかえに係る子どもへの影響については最小限にしなければいけないということは十分認識しております。そういった中で、実態的に過去に実施した民間移譲の際の引き継ぎの方法、それから、今後につきましては、それらの経験を生かした中で、保育所で働いていた嘱託保育士などを継続して移譲先の法人に雇用をお願いするなど、子どもたちへの影響を最小限にするように努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
62 ◯議長(吉原 孝君) 休憩いたします。
午後は1時から再開いたします。
=休憩 午前11時58分=
───────────
=再開 午後1時0分=
63 ◯副議長(中田 剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。23番向山宗子議員。
〔向山宗子君登壇〕
64 ◯23番(向山宗子君) 皆様こんにちは。公明党の向山宗子でございます。質問通告に従い、以下4点について質問させていただきます。市長並びに関係理事者の誠実かつ前向きなご答弁を期待いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、小中学校図書館における専任の学校司書の配置について、お伺いいたします。
昨年の9月議会、私の初質問で取り上げさせていただいた問題でございますが、学校図書館で子どもたちと本をつなぐ専任の学校司書を配置してほしいとの声は、ますます広がりを見せています。先日も馬場新教育長に対し、学校図書館ボランティアネットワークin長崎「アニマシオン」の皆様が小中学校図書館における専任学校司書配置の要望に関する陳情を行われました。このボランティアの皆様は平成8年に数校で活動を始められ、13年目を迎える現在は市内約40校の小中学校の方が加入されています。一保護者、一地域住民として読み語りや図書館の飾りつけ、本の装備、修理など、子どもたちの読書環境の向上に地道に取り組んでこられています。もちろん、アニマシオン以外の皆様も多くの方がボランティアとして学校図書館にかかわってくださっています。私も娘の卒業した小学校で一ボランティアとして活動をさせていただいておりますが、かかわるほどに、この専任司書の重要性を痛感するのです。保健室に養護の先生がいらっしゃるように、図書館には図書館の専門家が必要です。子どもたちが調べたい資料や読みたい本を探しているときに的確なアドバイスをしたり、授業に役立つ資料としての本を整えるなど、専門的な知識、技能を持った学校司書でなければできないことは数多くあるのです。図書館にどんなに多くの本があっても、それを生かすことのできる人、子どもたちと本をつなぐ人がいなければ宝の持ち腐れです。悲しいことに我が長崎市にはいまだに倉庫のような図書館、かぎのかかったままの図書館がたくさんあるのです。司書を配置することの効果は県が平成17年から実施している学校司書配置事業にもはっきりと出ております。
昨年も申し上げましたが、平成17年度のモデル校4校における図書貸出冊数は配置前と後を比較すると9.1倍を最高に、6.4倍、3.5倍、1.8倍の伸び率となっており、いずれも高い司書配置効果を示しています。全体的に見ても学校司書配置校13市70校における1人当たりの貸出冊数は年平均42.4冊と、公立小中学校平均の24.1冊の倍という結果が出ています。特に町単独で全小中学校に学校司書の配置をしている時津町では85.8冊という数字も出ています。また、子どもたちの成長面においても、ある市立学校の司書さんいわく、この子は本の調べ方ができているな、取り組み方が違うなと思う子は、ほぼ時津出身の子だということを伺って愕然といたしました。やはり習わなければわからないというのは厳然と出ていると思います。
県による学校司書配置事業は5カ年が過ぎ、一たん本年度で終了となりますが、この事業を取り入れた県下10校のうち、佐世保市、島原市、西海市の8校は引き続き市単独でモデル事業を継続する予定と聞いております。他市においても財政が厳しいのは同じわけで、この結果が出ているということはそれだけ事業の成果が高く、市民からの要望が強くあったのではないでしょうか。
さて、ここで興味深いデータをご紹介します。全国学力学習状況調査結果と読書との関連について、文部科学省が調査したことを受け長崎県でまとめられた調査結果です。〔図示表示〕まず、この表ですけれども、小学校6年生、それから下の段が中学校3年生ですけれども、学校図書館の貸出冊数と国語A、Bの平均正答率との関係を示しています。小学校6年生、中学校3年生、いずれも読書活動が活発な学校は学力調査の正答率も高いと言える結果が出ています。小学校では国語A、知識では正答率上位と下位グループでは貸出冊数において1人当たり年間15.5冊、国語Bでは7.8冊もの差がありました。中学校も同様に3.8冊、3.1冊の差となっております。
また、次は、読書が好きな児童生徒と小中学校国語、これは上の段が国語A、下の段が活用の国語Bの平均正答率の関係を示したグラフなんですけれども、このように、また、全体で言いましても読書が好きと答えた長崎県の小学校6年生は73.4%、中学校3年生は75%と、いずれも全国平均を上回っておりました。これは大変喜ばしいことでございます。この表は今申し上げましたように、読書が好きな児童生徒と小中学校国語A、Bの平均正答率の関係をあらわしています。読書が好きな児童生徒は国語では知識の面でも活用の面でも高得点だった上に、また、こちらは算数、数学の正答率との関係ですが、算数、数学でも同じような結果が出ております。こちらのグラフの高いほうが好き、ピンクがどちらかといえば好き。この次が、どちらかといえば好きではない。白が好きではないというこのような、これが小学校と中学校の結果でございます。もちろんこの結果だけですべてを推しはかれるものではありません。しかし、読む力が子どもたちの学力の発達に大きな影響を与えていることだけは明白だと思います。
また、学力だけにこだわるわけでもありません。心を育てることがもっと重要だと私は考えます。心理学者の多湖輝氏は、読書はいい人間関係のもとをつくると言われています。読書は人の気持ちを察することも教えてくれる。読書好きな人は人づきあいも上手で、いい人間関係を築いている人が多いと分析されています。
全国の小中学校で不登校の児童生徒が2年連続の増加という心痛む現状の中、文部科学省が調査したこの不登校の増加の要因のトップ、全体の92.7%に当たりますが、人間関係をうまく構築できない児童生徒がふえているという結果が出ております。この結果からも、小さいときからの読書教育がいかに大切かを確信いたします。
学校司書として40年間本と子どもたちをつなぐ仕事をしてこられた山形県の五十嵐絹子さんの著書の中には、本を読まなかった子どもたちが彼女とのかかわりの中で本に触れ、読書の力で暴力や不登校を乗り越えたことなど、大きく成長していった数多くの子どもたちのエピソードがあふれています。ご自身の経験の中から、読書とは、これから自分の物語を生きる子どもにとって見えない未来をのぞき見るような貴重な疑似体験であり、必ずや生きる力の糧になると訴えておられます。私も全く同感です。少々長く思いを述べさせていただきましたが、長崎市の未来をつくると言っても決して過言ではない重要な事業である、この学校図書館における専任の学校司書の配置について、今後どのような展開をお考えなのか、モデル事業の早期実施の件も含め、ご見解をお伺いいたします。
次に、子育て支援策についてお伺いします。
まず第1点目に、インフルエンザ予防接種の補助拡大についてです。
既に他県においては学級閉鎖も出つつあるように、インフルエンザがことしも流行の兆しを見せています。新型インフルエンザの不安も増大しつつある現在、予防接種を済まされた方や、もうそろそろと考えておられる市民も多いと思います。しかし、補助のない場合、1回の接種にかかる費用は3,500円、小学生は2回接種をしなければいけないため、1人7,000円、子ども3人だと両親も合わせると一家で約3万円もかかるという現実に、この不景気の中、したくてもできないとの悲痛な声が聞こえてきます。
そこでお尋ねをいたします。現在実施されている乳幼児インフルエンザ予防接種の補助対象者を小学生まで拡大できないものでしょうか。
次に、2点目は父子家庭の医療費助成についてです。
本市のひとり親家庭の中でも父子家庭が約1割を占めております。母子家庭に対しては児童扶養手当、福祉医療、福祉資金貸し付けなどの支援施策がなされていますが、同じような境遇にある父子家庭にはこれといった施策はとられていないのが現状です。男女平等との考え方からしても、おかしいのではないでしょうか。父子家庭といっても所得の高い家庭ばかりではないと思います。せめて命にかかわる面での安心だけでも支援すべきと考えます。中核市においても約8割が医療費の助成は行っていることから、本市における父子家庭においても所得制限の範囲の中で母子家庭医療費助成と同様の助成ができないのか、お尋ねをいたします。
次に、大きな3点目、緊急時訪問介護事業についてお伺いいたします。
本市には、主にひとり暮らしの高齢者の方が急に具合が悪くなったり、転倒事故などの不測の事態が生じたときペンダント型の通報装置のボタンを押せば救急車の要請や身近な人への連絡などをしていただけるすばらしい制度があります。多くの利用者の皆様から喜んでいただいている、いい施策だと思います。平成17年の国勢調査では、本市のひとり暮らしの高齢者は約1万8,000人となっております。より安全・安心を図るためにお尋ねをいたします。緊急時訪問介護事業の実施状況、申請状況など、どういう現状であるか教えてください。
最後に、新市立病院の建設問題についてお尋ねします。
午前中、同僚議員も質問されましたが、素人の私にはわかりづらいところもございます。一般市民によりわかりやすく周知するためにも、私なりの観点で質問させていただきます。
本市では、新市立病院の建設について、平成5年に市立病院建設基本構想策定以来、検討を重ね、平成18年7月には建設地を現市民病院用地及び周辺地区と決定、本会議においてもPFI方式の導入問題など種々議論をし、その計画は進捗中と認識をしております。
しかし、先般、県知事より申し入れがあり、救命救急センターの設置を含めた長崎市民病院と日赤長崎原爆病院との統合という趣旨での新たな提案、要望が行われています。この長崎県の提案に対して、市長はプロジェクトチームを立ち上げ、2月市議会で報告するということですが、議会における調査検討がなされないで進んでいくのではないかとの不安もございます。市の方針を決定するに当たっては、市民、議会にわかる最善の方法をとっていただきたいと望みます。
また、一市民の立場からは県都である本市に救命救急センターは欲しいと思いますし、医師数も多いほうがいいと考えるのは当然のことでもあると思いますが、今回の提案の内容に関して具体的には一体どういう問題点があるのか、その問題点を明確にお示しください。また、それをどのような方法で検討しようとなされているのか、考えておられるのかお伺いをいたします。
以上、本壇よりの質問とさせていただき、ご答弁の後、必要に応じて自席より再質問をさせていただきます。ありがとうございました。=(降壇)=
65 ◯副議長(中田 剛君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
66 ◯市長(田上富久君) 公明党、向山宗子議員の質問にお答えします。
まず、3点目の緊急時訪問介護事業についてでございますが、緊急時訪問介護事業は、ひとり暮らしの高齢者の方等に対しまして、急病や災害時の緊急時に迅速かつ適切な対応が図れるよう緊急通報装置を設置しまして、必要に応じて訪問介護員の派遣を行う事業でございます。
この事業は、平成6年の1月から緊急通報体制等整備事業として開始し、平成18年度からは従来の緊急通報体制に加えまして必要に応じて訪問介護員の派遣を行う緊急時訪問介護事業として実施をしてまいりました。対象者は、おおむね65歳以上のひとり暮らし世帯、高齢者のみの世帯、またはこれに準ずる高齢者で身体的、環境的に緊急通報装置の設置が必要な方となっております。緊急通報装置は、緊急時に緊急ボタンを押すと委託先の受信センターに通報が入ることになっています。連絡を受けた受信センターでは、即時に状況に応じて救急車の要請や親族などの協力員へ現地確認の依頼などを行い、対象者の安全の確保を図っています。
この事業の実施状況ですが、平成18年度の利用実人員は989人、平成19年度が988人、平成20年は10月末現在で1,040人となっております。また、申請の手続きは、介護認定を受けている方で介護サービスを利用されている方は担当のケアマネジャーが、それ以外の方は地域包括支援センターが申請の代行を行っています。申請状況につきましては、平成18年度の申請件数144件に対しまして、決定件数は138件となっております。平成19年度の申請件数は192件、うち決定件数は179件となっております。受信センターに対しましては、迅速かつ適切な対応が求められることから随時指導を重ね、事業の適切な運用を図っております。
次に、4点目の新市立病院の建設問題についてお答えします。
現在の市民病院の一番の問題点は老朽化、狭あい化が著しいということであります。こういった状況にあるため、新しい医療機器の導入ができない、あるいは必要な人員をふやそうとしてもスペースがないなど、これからの高度医療を担っていくに当たっては既に限界を超えているという状況にあります。そのため、一日も早く新しい病院に移行できるよう、現在の市民病院の土地及び隣接地で平成25年度中の開院を目指して事業を進めてまいりました。新市立病院の大きな目的は高度医療と救急医療を充実させることにあります。そのため、脳神経外科を新設して脳卒中に対応するとともに、あわせて心筋梗塞、がんなどといった死亡率が高い疾病にも対応したいと考えております。また、現在各地で問題となっています小児医療、周産期医療をさらに充実する方向で計画を進めております。
救急医療に関しましては、現在の長崎市にはない救命救急センターを設置し、24時間365日、安全・安心な暮らしを市民の皆さんに提供できるよう計画をしております。
このような中、県からさらに病床数をふやし、より機能を充実させた病院の建設について新たな申し入れがなされました。その主な内容は、市民病院、成人病センター、日赤長崎原爆病院を統合し、600床程度の病院を建設すること。運営については公設民営とし、日赤長崎原爆病院を指定管理者とすること。建設場所は長崎駅裏の土地とし、取得に当たっては県も応分の負担をすること。また、運営費についても県の負担を考えているということ。そして、これらを一体のものとして提案するというものでありました。
しかしながら、この提案については十分な検討が必要であると考えております。例えば、建設時期が延びる可能性はないのか、3病院を統合して長崎駅裏に集約することへの市民の理解が得られるのか、新しい建設場所を取得するための費用をどうするか、将来の長崎市の医療を着実に実施できる医療体制であるのか、さらには安定的な経営ができるのかなどであります。そこで、こういった課題を検討、解析するために庁内にプロジェクトチームを設置することにいたしました。さらに、これまでの長崎市の医療を守るという視点に加え、もう少し広い医療圏を想定した上での検討も行っていく必要があろうかと考えております。
いずれにしても、平成25年度に新市立病院が開院するという計画を遅延させることはできませんので、限られた時間ではありますが、議会ともご相談しながら県との協議を進め、来年の2月議会までには、その結果をご報告したいと考えております。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
67 ◯教育長(馬場豊子君) 1番目の小中学校図書館における専任の学校司書の配置についてお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、読書は子どもたちにとって想像力や考える習慣を身につけ、豊かな感性や思いやりの心をはぐくむ上で大切な営みであり、人としてよりよく生きる力をはぐくむために欠くことのできないものであると認識しております。
長崎市では、子どもの読書習慣を育てるために全部の小中学校で朝の読書活動の時間が設定されております。また、各学校におきましては全校的な取り組みとして、ブックトーク、読み語り、紙芝居など、さまざまな工夫を凝らした読書活動に取り組んでおります。また、学校図書館は、児童生徒にとって読書を楽しむ場であるとともに貴重な学習の場でもございます。平成20年3月に告知されました学習指導要領におきましても、各教科等における言語活動の充実と、さらなる学校図書館の活用を図ることが必要とされたところでございます。
学校図書館を活用した学習を行うためには、担任の相談に応じて適切に本を選び、学習を支援することができる専門知識を持った司書教諭を中心とした全校体制での取り組みが重要となってきます。今年度は12学級以上のすべての小中学校に司書教諭を配置しておりますが、司書教諭は学級担任や他の校務分掌を兼ねている場合が多く、学校図書館の業務に専念することができない状況があることも認識しております。司書教諭がその業務に専任できますよう、全国都市教育長協議会を通して国に対し、国庫負担による司書教諭の加配をお願いしているところでございます。また、県に対しましても、長崎県市町教育委員会連絡協議会を通じまして、12学級未満の学校に司書教諭の配置を行うこと、また、12学級以上の学校につきましては、専任の司書教諭の配置を要望してきたところでございます。
一方、学校図書館を支えるために、小学校59校、中学校13校、計72校におきまして約830人の図書ボランティアの方々にも活動していただいております。館内美化や掲示物の工夫、読み語りなど、児童に直接かかわる活動にも積極的に参加いただいておりまして、司書教諭と手を携えて読書活動を支える重要な役割を担っていただいております。
学校図書館の機能を有効かつ活性化させるためのあり方につきましては、司書教諭等のスキルアップのための研修や図書ボランティアの方々と連携を密にすること、また、議員ご指摘の専任の司書をモデル事業として配置することも含めまして、さまざまな視点から研究を進めていく必要があると考えております。
以上でございます。
68 ◯こども部長(松下貞行君) 次に、ご質問の2点目、子育て支援策についての(1)インフルエンザ予防接種の補助拡大についてお答えいたします。
乳幼児インフルエンザ予防接種事業につきましては、対象者は生後6カ月以上から小学校入学前までの乳幼児であり、およそ1週間から4週間の間隔を置いて2回接種することで効果があるとされているため、2回分の補助を実施しています。高齢者インフルエンザ予防接種と異なり、予防接種法に基づかない長崎市の独自の単独事業であり、乳幼児の健全育成の促進を目的として、平成17年度から実施しております。なお、この事業は、平成20年11月現在、中核市39市のうち、長崎市を含む4市が実施しておるところでございます。接種に関しては長崎市医師会等を通じて長崎市内の医療機関などと委託契約を結んでおり、委託料1回3,600円の2回分7,200円のうち、保護者の皆様に対しては1回につき1,600円の2回分3,200円のご負担をお願いしているところでございます。また、長崎市より1回につき2,000円の2回分4,000円の補助を行っております。また、市民税非課税世帯、生活保護受給世帯及び中国残留邦人の支援給付が決定されている乳幼児に対しましては、その保護者の皆様の自己負担額は全額免除しており、1人につき3,600円の2回分7,200円を補助しております。また、接種する場所につきましても保護者の皆様の利便性を考慮し、長崎市内のみならず、長与町、時津町の西彼地区や諫早市内の一部の医療機関で委託契約を結んでおり、長崎市民であれば接種した際、長崎市で補助することになっております。
議員ご質問のインフルエンザ予防接種の補助拡大につきましては、13歳未満のお子様も2回接種で効果があるとされていますが、現状では小学生になると本事業の補助の対象ではなくなるため、1人につき、おおよそ2回分で7,000円の出費となり、保護者の皆様にとっては経済的にかなりの負担になっていることは十分に承知しております。しかしながら、本事業を小学生までに拡大した場合、試算で2回分の補助の場合は約1億円、1回分の補助としても約5,000万円の予算計上が新たに必要となります。長崎市の厳しい財政状況を考慮いたしますと、現状においては非常に難しい状況にあるということをご理解いただきたいと思います。
続きまして子育て支援策の(2)父子家庭の医療費助成についてお答えいたします。
父子家庭につきましては、経済的負担を初め、家事や子育てにおいては母子家庭と同様に苦労されており、長崎市といたしましても支援が必要であると認識しております。ひとり親家庭に対する施策は国の制度で行っているのがほとんどでございます。長崎市におきましては、父子家庭が利用できる施策として、相談事業や一時的に生活援助が必要な家庭に家庭生活指導員を派遣する事業などを実施しているところですが、母子家庭と比較すると非常に少ない状況となっております。
医療費助成につきましても福祉医療制度として、長崎市福祉医療費支給条例に基づき一定の所得条件を設けた上で、重度心身障害者、中度心身障害者、乳幼児、母子家庭の母と子、父母のいない子及び寡婦に対し、医療費の一部を支給しているところでございますが、父子家庭を対象とした医療費助成制度はございません。その中、就学前の児童につきましては、乳幼児医療対策事業として対応しているところでございます。医療費支給の財源につきましては、長崎県の福祉医療費補助金がその財源の一部となっております。この長崎県福祉医療費補助金実施要綱では、母子の母と子、寡婦等と医療費支給対象が限定され、父子家庭は対象となっておらず、長崎市の制度も県に対応した形で実施しているところでございます。
他の中核市においては、父子家庭も対象に医療費支給を行っているところもございますが、そのほとんどが県の制度に沿って補助を受けております。したがいまして、同じひとり親家庭で母子家庭と父子家庭を区別しているという点につきましては、十分認識しておりますので、今後も引き続き市長会を通じて長崎県に対して強く要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
69 ◯23番(向山宗子君) 一通りご答弁をいただき、ありがとうございました。
再質問をさせていただきます。順不同になることをどうぞお許しください。
まず、1点目は図書事業について再質問をさせていただきます。
このモデル事業のことも研究してまいりたいという教育長のご答弁でしたが、具体的にモデル事業の実施のあり方をシミュレーションを行って考えられたことはございますでしょうか、もしありましたらお教えください。
70 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
具体的にモデル事業をどういう形で行うかという実施計画まで至っておりません。ただ、図書につきましては、非常に大切なことだという認識は持っておりますので、ぜひそのモデル事業はどうやったらいいのか、またほかの、例えば、今、配置しています司書教諭の方が専任できるような体制づくり、そういうものがどうやってできるのか、そういうことも含めまして研究してまいりたいと思っております。
71 ◯23番(向山宗子君) 例えば、県の施策を受けた佐世保市の例でございますが、小学校2校、中学校2校をモデル事業として実施をされてあります。それで、これはモデル事業ですので、各学校を1年間、学校専任司書が入って、そこで1年間を通して司書教諭や、また、ボランティアのお母さん方と協力しながら成果を生んでおります。そして、次に平等になるように次の年はまたよその学校に移っていくというような、そういう交代でやっていく方式でやっているというふうに伺っています。本当であれば数年同じところですると、もっと効果は出るのかもしれませんけれども、なかなかそういうわけにもいきませんので、たった1年間ではありますけれども、専門の知識を持った専任司書がいて1年間の間に配架の仕方や本の整理、また資料の収集とか、そういうノウハウを伝えながら司書教諭の先生としっかり連携をとってやっていかれることによって司書教諭の先生が育たれているということを伺いました。
今度はそうなると1年間たった後でもお母さん方も、また専任の司書がいてくださることでボランティアも少し力をアップする。また、司書教諭の先生も研修というか、じかに身近な研修を受けられるということで、司書がいなくなった後もまたなるべく図書館の向上、また子どもたちの読書環境の向上に向かっていい成果が出ている。また、司書教諭の先生は普通、学校の教員であられますので、転勤がございます。一度そうやって研修、力をつけられた司書教諭の先生は、また違うところに転勤していかれてもそこでまた立ち上げることができる。そういう目に見えない波状効果が拡大をしていけれるというような、そういうモデル事業のいい効果があるというふうに伺いました。実例としては、お隣の時津東小学校で、あそこはずっと専任司書がいて効果を上げている実例ですけれども、そこで一緒に頑張ってスキルを学んで力をつけた司書教諭の先生が長崎市内にまた転勤してこられて、そこですごく頑張っていらっしゃるという例はたくさんございます。そういう状況もありますので、モデル事業をした場合に、とっても不公平になるのではないかということはないというふうに私は考えております。
予算的な面におきましても、他都市の状況調査において、専任の司書の方を1人雇うとすごく上下の差があるんですが、月額約10万円から約25万円の間ぐらいでお一人を雇用している。また、それを年間に換算すると4人だと年間で480万円から約1,000万円ぐらいの間、それが半分の1校ずつであっても250万円から500万円ぐらいの間というような、考えていただけるそういう予算枠ではないかと私は考えております。また、文部科学省では、新学校図書館図書整備5カ年計画で、これは図書購入費というふうにはなっておりますけれども、平成19年度から平成23年度の5カ年で約1,000億円の予算の措置もなされてあるんですね。そういうことも考えあわせて、今申し上げました、モデル事業のあり方等々、考えを一歩進めてみていただけないか、その考えをお伺いしたいと思います。教育長にお願いいたします。
72 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
今、モデル事業の実例を詳しく説明していただきました。そういう実際効果が上がっているような状況もぜひ参考にさせていただきながら、今後、専任司書の配置も含めまして、また、ほかにもボランティアさん方のいろいろな研修の機会をふやすとか、ボランティアさんも非常に人数が限られてきている実態もありますので、地域の中で広めていくような活動もする必要があるかと思っております。広い範囲で学校の図書館の活性化に向けての研究を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
73 ◯23番(向山宗子君) 今、教育長から言っていただきました司書教諭のレベルアップと研修という意味で、もう一つお願いをしたいことがあるのですが、これはですね、司書教諭というのは学校の先生でありますので、授業を直接行っていける立場にあられる方です。司書教諭と司書というのは全く持っている知識とか、そういうものは違っておりまして、どちらかというと役割も明確に違います。司書教諭は、要するに、学校全体の図書館のあり方というものをしっかりコーディネートするといいますか、学級担任とか、あと普通のほかの教師が図書館を利用しやすいように組み立てていく、またそういうコーディネーター的役割、プロデューサー的役割が求められる。そうなると図書館を活用した授業の組み立てということができるようになります。
この夏に熊本で行われました全国図書館の大会に私も参加させていただきましてお勉強させていただいたんですが、やっぱり、1つの単元、国語でも、理科でも、社会でもそうなんですが、図書館を利用して、いろんな資料を用意して授業を組み立てていくと、ものすごくわかりやすいというか、また、幅の広い授業ができるという実例を幾つも聞かせていただきました。そういう意味において司書教諭のレベルアップ、今教育長言っていただいた、これもすごく大事な点で、そこに学校司書とボランティアがこの三角関係でちょうどきれいにおさまると、ものすごく子どもたちにとって影響力が本当に大きく、いい効果が出ると言われております。
ただ、先ほど教育長も言われましたとおり、司書教諭の先生は担任を持っていらっしゃったり、それから教務主任をなさっていたり、もう本当に忙しい中で必死に頑張ってくださっています。お休み時間に図書室にいてくださるというのが子どもたちにとっては、もう最高のことなんですね。それができないものですから、中学校では往々にしてかぎがかかった状態でだれも図書館に行かないというようなことが起こってくるわけですけれども、そういう意味において頑張ってくださっている先生ほど、ご自分の休み時間を犠牲にして図書館にいていただいて、ご飯を食べる時間もないと。逆に休み時間をずらしてくださるというようなご配慮ができないものかというふうに私も思うんですが、そこら辺になると校長先生の裁量というか、校長先生にも研修を行っていただきたい。ある県北の学校では夏休みに時間をとって校長先生が音頭を取ってくださって、もう全教員を挙げて、またボランティアも全部挙げて図書館の大改造というか、本当に大整理を、図書館整備をしたという話も伺っております。そういう意味で司書教諭ももちろんですが、校長先生の研修とか、司書教諭の研修に関しましては、市の教育委員会の裁量でできる部分があるのかどうか、それをやっていただけるお考えはあるのかどうか、お伺いをさせてください。
74 ◯教育長(馬場豊子君) 長崎市は中核市でありまして、教育委員会としましては研修の権限も持っております。そういう意味で研修の内容については、こちらのほうで組み立てることができるかと思います。
また、学校におきます図書の大切さ、今でも非常に校長先生方も認識されておりまして、全校の一斉の図書活動も中学校においては毎日の状況が、半数以上の学校については毎日行われておりますし、小学校におきましてもほとんどが3日以上の時間を費やしまして、朝の全校一斉の読書時間をとったり、非常に読書については力を入れて、今各学校の中でされておりますので、校長先生方の意識というのも、非常にそういう面では一生懸命されているというふうに認識しております。今後とも研修も含めまして力を入れていきたいと思っております。
以上でございます。
75 ◯23番(向山宗子君) それでは、この質問を最後にしたいと思います。
市長にお答えいただきたいと思います。
この事業に対する市長のお考え、思い、また今後の展開について、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。
76 ◯市長(田上富久君) 向山議員の再質問にお答えいたします。
以前一度、アニマシオンの皆様が実際に活動をしていらっしゃる学校にお邪魔をさせていただきまして図書室の状況も見せていただきましたし、そのときにいろんなことも教えていただいたわけですけれども、確かに、お母さんたちが子どもたちの読書活動を非常によく裏で、また陰で支えてくださっている様子がよくわかりました。また、校長先生、それから司書教諭の先生との連携がやはり、司書がいない状態ですけれども、その中でも非常に重要だという状況もよくわかったような気がいたします。また、図書室の状況が学校によって違うという状況もお聞きしましたし、時津の状況も、そのときにちょっとお聞きしたわけですけれども、最初におっしゃったように、子どもたちにとって読書が及ぼす影響というのは学力の面もそうですし、情操の面でも非常に大きな影響があるというのはそのとおりだと思います。
そういう意味で、これから教育委員会の研究を待って市のほうとしても対応していきたいというふうに考えております。
以上です。
77 ◯23番(向山宗子君) この問題に対しましては予算というのが一番大きなネックになってくるかと思うんですけれども、県の学校司書の配置事業は一応今年度で終わりましたが、例えば、今後同様の施策が県から提示されたときに、今まで長崎市は手を挙げておりませんけれども、今後、積極的に手を挙げるおつもりがあられるかどうか、教育長と市長にお尋ねしたいと思います。
78 ◯教育長(馬場豊子君) 県の事業も5年間の限定ということもございました。やはり今から継続して行う意味では補助事業ももちろん有効に活用する必要があると思いますけれども、継続して長崎市がどうすべきかというのをしっかり見据えながら、使える補助は優先的に使いながら事業を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
79 ◯市長(田上富久君) 先ほど教育長が答弁したとおりでありまして、教育委員会の研究の成果をまた待って対応したいというふうに思っております。
以上です。
80 ◯23番(向山宗子君) では、次に新市立病院の建設問題についてお伺いをいたします。
さまざま問題点、提示していただきましたけれども、それでは、県の提案と市の案を比較して数点お尋ねをいたします。
まず第1点目には、一番私たち女性の問題でございますが、今話題になっております周産期医療の件、また、それに続く小児医療の件が問題となっておりますが、私の身近な身内でも新生児集中治療室の不足のために、わざわざ佐賀まで行って治療を受けなければいけない。子どもをそちらで産まなければいけないというような状況も聞いております。この市の案をやった場合に周産期医療、小児医療を確保できるのかどうかが1点。
2点目には、市の計画では公立病院の改革ガイドラインに対して規模が不十分であるため、医師の確保が困難であるというふうな県の見解でございますが、市の考えているやり方で実施した場合、新市立病院はマグネットホスピタルになり得るのか、それをお伺いしたいと思います。
3点目には、せっかく建設をしても破綻をしている病院が全国で出てきている現状におきまして、開業後、経営が長期的に円滑に行えることが重要なことと考えますが、県と市の案を対比した場合にそこら辺はどのようにお考えなのでしょうか。
以上3点をお願いいたします。
81 ◯病院局長(楠本征夫君) 再質問にお答えいたします。
まず、最初の周産期医療に関してでございますけど、現在ございます市民病院の話で、未熟児の集中治療室3床ありますけど、それを6床にふやすと。それから母親、あるいは胎児の集中治療室、これも6床にするということ。それから全体的に周産期のベッドを増床するということで、現在の状況から判断しますと、周産期に関しましては、長崎市を守るという点では十分ではないかと考えております。それから、小児医療に関しましては、これに関しましては現在小児の外来とか、救急に関しましては、いろいろな問題点は起こっているわけなんですけど、実際の入院に関しましては、大体どこでも病床があきがちというふうな状況でございますから、それに対応していろいろ人の配置とか、そういうことを行っていく必要があると思うし、これは長崎市全体の医療機関で、さらにいろいろ検討する必要があると思っております。
それから、2番目の医師確保についてでございますけど、いわゆるマグネットホスピタルというのは言われたとおり、医師、看護師、あるいは患者さんを集めるような病院ということですけど、規模が少ないからマグネット性がないんだと。それは極端な病床数が少ないときにはそういうことは言える可能性はあると思いますけど、450、あるいは500、そういうレベルになれば高機能、例えば、先ほど言いました集中治療、あるいは救命救急、そういうところも充実できますから、それにあわせてマグネット性というのも十分に確保できると、そういうふうに考えております。
それから、経営に関してでございますけど、これは私たち今でも常々苦労をしております。長崎市と県の経営に関する考え方で一番大きな違いというのは、例えば、入院患者さんの1日の入院費、これの置き方によって相当変わってくるわけですけど、これに現在では大きな違いがあるということでですね。長崎市としてはちょっと遠慮をした数字を出しているんですけど、県としては少し多目の数字を出している。その差が大きいということで、こういうことも今後県との話し合いの中で客観的に比較できる表を十分につくりながら検討していきたいと、そのように思っております。
現在では長崎市の考え方で、それから新病院に移行して徐々に膨らむということからすれば経営的にも十分やっていけると、そのように考えております。
以上でございます。
82 ◯23番(向山宗子君) わかりました。
例えば、一番問題の医師を確保するための魅力ある病院づくりということが本当に大事なのかなとも思いますけれども、ちょっと角度の違う質問をさせていただきたいんですが、例えば、特化した優秀な医師、今、ゴッドハンドとか、神の手とか言われるような、そういう医師がおられますけれども、そういう方を招聘するための施策というか、普通、公立病院ではなかなか厳しいということも聞いたことがございますが、そういう特別な経営のお考えというのはございますでしょうか。
83 ◯病院局長(楠本征夫君) 今言われましたとおり、ゴッドハンドと、そういう言葉で呼ばれるドクターというのは日本でもいろいろおられると思います。そういう人たちをいきなり呼べるかというのはなかなか問題あると思います。だけど、今後来ていただけるような数字をつくれるような病院といいますか、あそこにゴッドハンドと言わなくても、それに準ずる人たちが集まりやすいような病院にはしていきたいとは思っております。
84 ◯23番(向山宗子君) はい、わかりました。より広く市民の声を伺いながら、一番大事なことは私たち市民がよりよい医療を受けるためということが大事なことだと思っております。
一つひとつ今言われた課題に対して真剣な検討をお願いしたいことを要望して、この件に関する質問を終わらせていただきます。
3点目に、緊急時訪問介護事業についてお伺いをいたします。
これは先ほどるるご説明ございましたが、希望をしても申請に至らないケースもあるというふうに伺っております。しかし、ご説明の申請者数と決定者数を見ると平成18年で受けられなかった方は6件、19年度で13件と少ない状況ではあるのですが、ただ、伺ったところによると、やっぱりひとり暮らしでも病気でないといけないんじゃないかとか、受け付けてもらえないんじゃないかとか、同居家族がいるために申請を却下されたとかいうことを伺っておりますが、その周知の方法はどうなっているのでしょうか、これが1点でございます。
2点目には、介護を受けていらっしゃる方は、その申請はケアマネジャーさんが担当していらっしゃるというふうにご説明がございましたが、例えば、ケアマネジャーさんが申請の要件をご自分で判断なさって申請をしなかったりとか、例えば、また市には相談するけれども、ちょっと厳しいんじゃないのかなということを伺ったら申請しないとか、そういうこともちょっと伺ったことがあるのですが、その点はいかがでしょうか。
3点目に、一番問題なのは、おひとり暮らしの方は大分これでケアされていると思いますが、同居家族がいらっしゃる方のその要件というものがあると伺っております。ただ、同居家族がいても日中一人でいなければいけない人もいらっしゃると思いますし、また、生活様式も多様になっておりますので、週に何日かご家族の方がパートに行かれたりとか、例えば、2日に1回はいるけれども、看護師さんだとか、タクシーの乗務員さんだとかでほとんど寝ていらっしゃる、緊急時に対応できないというケースも生じてくることもあるかと思います。そういう同居家族のいる方でも大丈夫なように対象要件の緩和、拡大ということはできないのかどうか、3点お伺いをさせてください。
85 ◯福祉保健部長(山本正治君) 1点目の周知につきましてでございますが、現在、本事業の周知につきましては、広報ながさきやホームページへの掲載、また、介護予防教室での周知など、さまざまな機会をとらえて行っております。
また、ご指摘の2点目でございますが、申請代行人をしていただいておりますケアマネジャー、また、地域包括支援センターにつきましては、相談対応マニュアルというものを配付いたしまして周知の徹底を図っております。今後、さらにこの周知活動を継続して行うことによりまして周知徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
また、最後の3点目でございます。
そういう同居の家族の方がいらっしゃるという場合、これまでほぼ毎日が独居状態ということを一つの基準としておりましたけれども、この本事業につきましては、ご本人やご家族の方が安心して毎日の生活を送っていただくために実施している事業でございます。したがいまして、今後はご指摘の点を踏まえまして、日数などでの機械的なことで判断するのではなく、その実情をよくお一人おひとりお聞きいたしまして、柔軟な対応を図っていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
86 ◯23番(向山宗子君) ありがとうございます。高齢者の方がより安心して利用していただけると思います。そのように、これはもう本当にいい政策ですので、そういうお一人おひとりの状況をしっかり聞いていただきながらご配慮していただきたいと思っております。
最後に、インフルエンザと父子家庭の件につきましては、なかなか財政が厳しい状況の中で厳しいことではあるかとは思いますけれども、本当に今こういう厳しい経済状況の中で少しでも前向きに、また、研究をしていっていただければと要望にとどめておきたいと思います。
それで、最後に市長にお伺いしたいんですが、今回、いろいろな子育て支援政策やら子どもたちのことを質問させていただきましたが、やはりすべてにどうしても施策を行うには予算というものが伴ってくる、やりたくてもなかなか全部はやれない、その中でどうしていったらいいのかということを常々本当に悩むわけでございますが、やはり次の予算を立てるときに一生懸命、市長の政治力と、また、しっかり知恵を発揮していただいて、何とかしてこじあけて子どもたちにより多くの、未来の宝である子どもたちのための予算をかち取っていただきたいと本当に心から思うものでありますが、お考えをお聞かせください。
87 ◯市長(田上富久君) 向山議員の再質問にお答えします。
財政状況が厳しいということは、もうご存じのとおりでして、その中で本当に優先順位をつけながら施策を選択していかないといけないというのは申し上げるまでもありません。その中で子どもたちに対する施策、これはある意味、非常に事案によっては緊急性を要するものもあります。それとともに長い目で見て子どもたちの成果が出てくるのはもう10年後、20年後かもしれないけれども、これも大事だというふうな事業もあります。そういう意味で非常にやりたいけれども、なかなかできないというのがあることも現状ですけれども、その中でやはり子どもたちにとって今何が一番急ぐのか、優先順位をきちんとつけながら、また、その議論も、これから今予算編成時期ですけれども、十分に庁内でして、またその議論の大もとになる市民の皆さん、あるいは子どもたちの状況もできるだけ把握しながら予算の審議、協議を進めていきたいというふうに思っております。
子どもたちが健やかに、あるいはさまざまな体験をしながら豊かに育てるようなまちづくりというのは非常に重要だと考えておりますので、真剣に議論をしながら進めたいというふうに思っております。
以上です。
88 ◯23番(向山宗子君) ありがとうございました。本当に長崎市をつくるのは人であって、その人は本当に10年後、20年後、30年後、築いていくのは子どもたちだと思っております。そのためにも本当にたくさんたくさん職員力、地域力、市民力を総合的に発揮をしながら子どもたちのための政策に本当に少しでも向上するように、また一歩前進するように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
89 ◯副議長(中田 剛君) 次は、14番深堀ひろし議員。
〔深堀ひろし君登壇〕
90 ◯14番(深堀ひろし君) 皆さん、お疲れさまです。14番の市民クラブ、深堀ひろしでございます。
今回は、人命にかかわる問題を中心に以下質問通告に沿って大きくは3項目を質問させていただきます。市長並びに関係理事者の簡潔で明快な回答をよろしくお願いをいたします。
では、まず1項目めは消防行政について質問をいたします。
本市における救急件数は、昨年、1万9,575件で過去最高を記録し、この10年間で約1.5倍に増加しており、その要因は少子高齢時代の到来や社会環境の著しい変化であると分析をされておられます。実に1日に換算すると約54件であります。年間365日、昼夜を問わず市民の生命と安全を守るために迅速な行動や適切な判断が伴う厳しい業務に従事されておられる消防局職員の皆様には、まずもって感謝と敬意を表する次第であります。
さて、そのような救急業務の中で重要視されるのは、やはり迅速な収容、搬送となるわけですが、そのためには現場到着時間の短縮と搬送する医療機関との交渉時間の短縮が不可欠なものであると考えています。幸い本市においては数多くの関係者のご努力により、通報から医療機関へ搬送する平均の所要時間は昨年実績で全国33.2分に対して31.2分という短い状況にあります。しかしながら、通報から現場到着までの時間だけに限定をすると、全国6.9分に対して7.3分という状況になり、また、これを地区別に見てみると、外海地区においては19.8分、茂木地区においては12.7分、式見地区においては12.1分など、地理的要因から地区によるばらつきも発生しているのが実態であります。
そこでお尋ねをいたしますが、管轄区域全体を均一に統一することは物理的に難しい状況であるということは理解しておりますが、何よりも市民の生命にかかわることでありますので、可能な限り地区によるアンバランスを改善する対策をどのように実施検討をされているのか、お示しいただきたいと思います。
次に、医療機関との交渉時間の短縮についてでありますが、先般、全国大の救急搬送の報道がありましたが、救急搬送時に医療機関から3回以上受け入れを拒否された事例が実に2万4,000件に及ぶというものであります。本市においては4回以上の交渉件数、これは3回以上拒否された件数でありますが、全体で102件、全体の0.6%という低い状況ではありますが、6回以上の交渉件数も実に12件発生している状況から、複数回に及ぶ交渉を減少させる方策についてもお示しをいただきたいと思います。
次に、救急救命士と救急車の適正配置についてお尋ねをいたします。
現在、長崎市消防局には47名の救急救命士と12台の救急車が配置されていますが、この体制はどのような基準で整備、配置されているのかをお尋ねいたします。また、救急業務の高度化やメディカルコントロール体制の充実のために救急隊員や救急救命士に対する教育はどのように実施されているのかも確認したいと思います。
次に、救急車を利用する側の問題点についてお尋ねをいたします。
冒頭、本市においては年間1万9,000件を超える救急件数が発生していることを申し上げましたが、このうち軽症者は全体の34.1%、全国大では52%でありますので、長崎においては軽症程度では119番に通報していない傾向にあると言えます。しかしながら、中にはタクシー代がないので救急車を呼んだ、救急車で病院に行くと待ち時間がなくて診察してもらえるなどの理由で通報される市民がおられるのも事実であります。当然のことではありますが、平均すれば1日約54件も出場する救急車であることから、緊急を要する傷病者がこのようなモラルに欠けた利用者の対応のために搬送がおくれるということも想定されるため、できる限りモラルに欠けた利用は減少させなければなりません。
そこでお尋ねをいたしますが、救急車の適正利用については広報活動を実施されておられますが、悪質な利用者に対する措置などを検討されていないか、お尋ねいたします。
次に、消防費委託町負担金についてお尋ねをいたします。
長崎市消防局においては、隣接する長与町、時津町の消防・救急救助業務を受託しておりますが、その負担金について適正な金額で契約をしているのかをお尋ねいたします。以前確認した際に時津町、長与町との協議が難航し、本市が算定した金額よりも少額で契約しているとの話を聞いたことから、その交渉の経過についてもお尋ねをいたします。
次に、大きな2項目め、周産期医療体制についてお尋ねをいたします。
先般、東京都内において体調不調を訴えた妊婦が周産期母子医療センターを含む8つの病院に受け入れを拒否され、結果的には後日お亡くなりになられるという大変残念な事例が発生をいたしました。この問題は全国的にも大きく取り扱われ、厚生労働省と経済産業省の両省は、医師の稼働状況や受け入れ可否を判断できる最新鋭の情報伝達システムを共同開発することなどを決定いたしました。このような状況の中で、長崎県内においては、大村の国立病院機構長崎医療センターが総合周産期母子医療センターとして、佐世保市立総合病院と長崎市の市民病院が地域の周産期母子医療センターとして周産期母子の医療をサポートしている状況にあります。
そこでお尋ねをいたしますが、東京で発生したような不幸な事例が本市において発生するおそれがないのか、総合周産期母子医療センターである長崎医療センターと長崎市民病院との連携はうまくいっているのか、現在の周産期母子の医療をサポートする体制としては十分なものと言えるのかどうかについて、お尋ねをいたします。
また、関連して全国大で不足が懸念されている新生児集中治療室、NICU及び母体胎児集中治療室、MFICUの設置状況について、本市においては不足している状況にないのかをお尋ねしたいと思います。
最後に、大きな3項目めとして、児童虐待等(家庭内暴力)の防止対策についてお尋ねをいたします。
児童幼児虐待については、ここ数カ月の間に10月には大阪、9月には横須賀、静岡、福岡などの各地で母親が我が子を殺害するという極めて不幸な事件が連続して発生しております。特に、5月に発生した兵庫県伊丹市の殺人事件は2年前にも当該幼児、当時2歳の我が子を虐待したとして母親が逮捕され、その後、平成18年からことしの2月まで県の施設であるこども家庭センターで幼児を保護していました。しかし、母親に変化が生まれたとの理由で、ことしの2月に幼児を家庭に戻しましたけれども、4月には地域住民の方から虐待を疑う通報があっていたにもかかわらず、その直後の5月に母親が我が子を殺害してしまうという事件が発生をしてしまいました。このような不幸な事件は個人や家庭だけの問題として考えるのではなく、現代社会の問題としてとらえ、社会全体で対策を講じていくことが重要だと私は考えております。また、同様に男女間での暴力、いわゆるDVや介護を必要とする高齢者に対する虐待など、家庭内で発生している暴力、虐待は表面化していない事例を含めれば膨大な件数になるのではないでしょうか。
そこでお尋ねをいたしますが、子どもたちへの虐待、男女間のDV、高齢者への虐待に関して、本市においては各種の相談窓口を設置し、サポート体制を構築されていますが、それぞれに相談件数及び対応結果についてお示しをいただきたいと思います。また、これらの現状を踏まえ相談窓口を有する行政として、今後どのようにして相談体制を充実し、未然防止策を強化していくのかの見解をお示しいただきたいと思います。
以上で壇上からの質問とし、答弁をお聞きした上で自席より再質問をさせていただきます。=(降壇)=
91 ◯副議長(中田 剛君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
92 ◯市長(田上富久君) 市民クラブ、深堀ひろし議員の質問にお答えします。
1点目の消防行政についての(4)消防費委託町負担金の見直し状況についてでございますが、現行の時津町、長与町の消防・救急業務にかかる負担金につきましては、平成17年5月に時津、長与両町から消防・救急業務の受託継続について要望がなされたことに対しまして、受託継続に際し、ごみ処理問題など広域的な諸問題について話し合う長崎市・長与町・時津町広域事務連絡協議会を設置し、この中で協議していくことになりました。
この協議会において、負担金の考え方につきましては、当初は長崎市から時津、長与両町の消防・救急業務に必要な人員として、両町の人口規模比率に応じて算定した結果、人員70人、負担金額約7億2,000万円を提示いたしました。これにつきましては、従来の負担金が24人分、約2億7,000万円であり、その差が大き過ぎることから長崎市の提示額については両町と合意を得ることができませんでした。その後、協議を重ねた結果、段階的な措置として、平成18年度及び19年度については、負担金を34人分、約3億9,000万円とすること。平成20年度から22年度については、必要な人員について引き続き協議を行うこと、平成23年度以降については、委託のあり方を含めて検討することを内容とする確認書を平成19年1月に取り交わしました。現在、平成20年度以降の負担金について確認書に基づき協議を行っておりまして、平成20年度の負担金につきましても現時点では確定しておりません。
長与、時津両町の負担額につきましては、議員ご指摘のとおり、町民1人当たりの常備消防費にかかる負担額で見ますと平成19年度の決算ベースで長崎市民の約半分となっており、消防・救急業務については全く同じサービスが提供されているということを考慮しますと、現状のままでは市長として市民の皆様への説明責任を果たせないと認識をいたしております。したがいまして、長崎市としましては、住民1人当たりの負担額が同程度となるように両町に負担をいただきたいと考えており、先日、両町長とお会いした際に、この旨をお伝えしたところでございます。具体的には現時点での試算によりますと、必要人員約68人、負担金額約7億5,000万円となり、現在この内容を両町に提示し、協議を行っておりますが、現行の負担金額との間にはなお大きな開きがあるため、いまだ合意には至っておりません。このため、最終的な負担の条件を譲ることはできませんが、両町の財政事情にも配慮しながら段階的な引き上げについて考慮する必要はあるものと考えております。
いずれにいたしましても、引き続き協議を重ね、早期に合意を得られるよう努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
次に、2点目の周産期医療体制についての(1)周産期母子医療センターの設置・運営状況についてお答えします。
周産期母子医療センターにつきましては、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターがあります。総合周産期母子医療センターは24時間体制で妊婦及び新生児を受け入れ、リスクの高い妊娠に対し、高度な周産期医療を行うものであり、長崎県では大村市にある独立行政法人国立病院機構長崎医療センターが指定をされております。一方、地域周産期母子医療センターはリスクの高い妊娠に対し、比較的高度な周産期医療を行うものであり、長崎県では長崎市立市民病院及び佐世保市立総合病院の2施設が認定をされております。なお、地域周産期母子医療センターで対応できない場合は総合周産期母子医療センターに搬送されることになっています。