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  1. 長崎市議会 1995-12-13
    1995-12-13 長崎市:平成7年第6回定例会(4日目) 本文


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(中野吉邦君) 出席議員半数以上であります。これより議事日程第4号により本日の会議を開きます。 日程1  市政一般質問 について、前日に引き続き市政一般質問を行います。19番中田 剛君。       〔中田 剛君登壇〕 2 ◯19番(中田 剛君) おはようございます。  質問通告に基づきまして、質問をいたしますので、市長並びに関係理事者の明快な答弁を期待したいと思います。  最初に、官官接待の問題について質問いたします。  全国的に多くの地方議会で官官接待の問題が論議になっています。私は、まず「官官接待は全面的に廃止をする」との市長の答弁を、その政治姿勢として明確にお答えいただきたいと思います。  長崎市の場合は、平成6年度の官官接待の回数と費用は49回、約485万円となっています。金額や回数の大小にかかわらず、市民の立場から見た場合は、民主政治がこれほど語られている今日、なぜなのかと、このような疑問がわくでしょう。ご承知のように、官官接待は、かつては当然のごとく言われてきた時期もあり、陳情政治の名残との指摘も多いのは現状でございます。しかし、今日においては、不十分さはあっても、地方交付税制度が設定をされ、各都市間への財政配分はルール計算に基づいて措置をされています。特別交付税においても、その都市の実情や緊急性に応じて配分される仕組みが取られています。もちろん、総枠としての交付税が縮小されたり、国庫支出金がカットをされたり、国と地方の本来あるべき財政関係が壊されている事実を無視することはできません。  このように、交付税制度が確立している現在、仮にその必要性を説いてみても、結果として「飲み食いに使われている」と市民から指摘をされても反論の余地は出てこないでしょう。同時に、国や県、市の本来の関係は、憲法や地方自治法の建前から言っても対等・平等で、それぞれが独立した機関であります。ただし、国による地方自治体への多方面にわたる法律上の統制が大きな制約を及ぼしていることを否定するものではありません。また、地方自治法上の財務規定は、その支出行為において、法令や予算に違反してはならないということであり、予算に定めるところに従いというのは支出項目が設定をされ、その範囲での支出であるということであります。  このことは厳密に解釈をすると、近代社会においては、税金は住民の公共の福祉のために使うことが本来の目的であり、それ以外のものであってはならないということは明瞭です。  以上の見解を付して、市長に質問をいたします。1つ、官官接待の大もとと言われている、いわゆる陳情政治の名残、これは廃止をしていくべきであると考えていますが、市長の見解を賜っておきたいと思います。  2つ目に、この際、本市の官官接待の内容は、公開すべきであると考えていますが、いかがでしょうか。見解を求めたいと思います。  次に、都市緑化の問題について質問をいたします。  本格的な冬の到来を迎えまして、街路樹の緑が紅葉し落葉したから指摘をするのではありません。貴重な緑のマスタープランを持ちながら、本市の都市緑化が街づくりの添え物として扱われているのではないか。私は、その印象をぬぐい去ることができないからであります。本市の緑に対する基本的な位置づけは、緑のマスタープラン総合計画に明らかにされているとおりであります。都市と自然との共生を図り、魅力ある長崎市の地域環境の保全、自然緑地と防災対策の関係、河川や海岸線は親水性と緑化の推進で緑豊かなネットワークを形成する。市街地においては、緑の核となる公園、公共施設、商業空間の緑化など今後進むべき理念だけでなく、事業方針も明確に出されているところであります。  具体的に幾つかの例を挙げましょう。浦上川については、浦上川ふるさとの川モデル事業、このように銘打って、プロムナード緑化推進の事業の中心になっています。しかし、植栽以外の事業は、すべて完成しても、例えば稲佐橋から梁川橋までの間、何年たっても1本の木も見ることができません。市街地周辺の斜面地の緑地については、これは死守をすると、このように位置づけ、港湾機能と港の緑を一体化して街をつくっていく等々、多くの事業計画が示されましたが、一向に姿をあらわしてこないのは、どういうことでしょうか。  私も一口に都市緑化と言っても、実際はかなりの困難が伴う、現実的には否定的な要因がたくさんあることは百も承知をいたしております。しかし、構想や計画を持ったら積極的な具体化の努力が必要ではないでしょうか。  そこで質問をいたしますが、マスタープラン実現まで、今日の時点で、どの程度の予算を必要とするのか、現時点での到達点はどのようになっているのか、お示しいただきたいと思います。また、さきに実例として挙げました問題箇所への対応はどうなっているのか、ご答弁をいただきたいわけであります。  次に、斜面地における開発の問題であります。
     かつての7.23大水害、また阪神大震災の教訓から、私どもは一貫して、これ以上の高台地区の開発は中止すべきであると、このように提言をしてきました。しかし、この課題は総論的には納得できても各論になると有効な手が打てない、これが現状であります。したがって、市長におかれましては、意のあるところを酌んでいただき、本市の英断を心から期待をしたいと思います。  私は、まず、この問題との関係で現在、直面をしている地域住民が深刻に悩んでいる内容を簡単に提起をいたします。  秋月町地内の山林、総面積約5万5,000平方メートルに建築面積約2万6,000平方メートルのホテル建設であります。利用計画の中心のホテルは、本館地上10階地下2階、別館1、2棟、13階建てのマンション、そのほか結婚式場や寮等々から構成をされることになっています。該当する建設予定地の山林部の斜面地下の周辺は、すべて人家が密集する居住地でございます。この計画に不安を持つ住民の方々は「この地域にこんなに大きなホテルの建設とは一体何事か」と、このような発言があったり、「少し雨が降ると溝や河川はすぐあふれる、とんでもないことだ」と、このような意見が出されています。また、「大体、大きなビルが建った所の周辺で環境がよくなったと聞いたことがない」等々、率直な意見が出されています。  私も観光地長崎の受け皿としてのホテル建設など根本的に否定するつもりは、もちろんありません。しかし、かつての災害の教訓を真剣に受けとめるならば、本市としての適切な判断が実践に移されるべきだと考えずにはおれません。市長は、どのように考えておられるのか、ホテル建設にかかわる問題点について、まず見解をお聞かせいただきたいと思います。  そこで、なぜ繰り返し、このように高台地区の開発が相次いでいくのか、法律的な視点から検討を加えたいと思います。  今日の都市計画法の特徴は、1つ、都市計画の目標を定めること。2つ、土地利用の方針を明確にすること。3つ、都市施設市街地開発の方針を定めるマスタープランを設定し、これに基づく市街化区域市街化調整区域を区分をすること。4つ、市街化区域は用途地域の指定を行い、ゾーニング制度を整備したこと。5つ、開発や建築を許認可制度で実施し、ゾーニングによる土地利用の制限を確立する。このような形態になっています。  しかし、これらの制度は、確かに過去に比較をしてみますと、制度としての前進はありますが、私は重大な欠陥も共存していると考えています。それは、土地の所有は公共のものでない限り個人のものでありますが、利用や活用についても個人の自由が前提になっているということです。  したがって、さきに述べたように総論賛成、各論は難しいとの見解が導き出されることになるのではないでしょうか。都市という人や建物が集中する地域、ましてや、長崎のように斜面地が大部分を構成する特殊な地形のもとでは、土地の所有は個人であっても土地の利用はおのずと公共性を有するのではありませんか。私は、環境や安全に矛盾しない公共の土地利用計画に基づくべきだと考えています。  以上、これ以上の高台地区の開発は再検討すべきではないかと、この点を率直に申し上げまして、市長の見解を賜っておきたいと思います。  以上、壇上からの質問を終わります。=(降壇)= 3 ◯議長(中野吉邦君) 市長。       〔伊藤一長君登壇〕 4 ◯市長(伊藤一長君) 中田 剛議員のご質問にお答えをさせていただきたいと思います。  まず、第1点の官官接待についてでございます。  いわゆる官官接待につきましては、昨今さまざまな指摘や批判があることは私も十分承知しているところであります。今日、国などにおける予算の編成あるいは各種事業の施行や補助金の配分などに際し、全国的に陳情や要望が激しく繰り返されております。本市においても、これまで国や県などに種々の事業の施行あるいは補助金や起債の確保などさまざまな分野で市議会、県、市長会あるいは各種協議会と連携しながら、機会あるごとに陳情や要望を行ってまいりました。その結果、所期の目的を達成したものも数多くありますし、さらに今後も陳情、要望を重ねることで、一定の展望が開けるものと思われます。また、強力に繰り返し陳情や要望を行わなければ実現が不可能な事項もあるわけであります。  ご指摘のように、陳情合戦が繰り返し行われている状況が全く問題がないとは考えてはおりませんが、現下の国の限られた予算の中で、全国の3,300を超える地方自治体の多数の要望事項が存在し、自治体間の競争のような現状の中にあって、市民福祉につながる各種の要望事項を早期に実現させることは、市の重大な責務であり、私としては、今後もあらゆる機会をとらえて陳情や要望を行っていく必要があると考えているところであります。  ただ、陳情や要望に際してのいわゆる接待につきましては、その経費が市民の負担で賄われており、そのことを十分踏まえ、今後とも社会通念上、最小限必要な範囲内で対応してまいりたいと考えております。  なお、既にご報告していますように、平成6年度における本市の官官接待の状況でございますが、国のみ2回、8万1,573円、国及び県38回、372万2,126円、県のみ9回、104万5,001円、合計49回、484万8,700円となっております。議員ご指摘の官官接待の公開につきましては、今後、慎重に内部的に協議をさせていただきたいと思います。  次に、第2点の緑化対策についてお答えをいたします。  都市における緑とオープンスペースは、市民の生活環境に及ぼす影響が大きく、安全で快適な都市環境を確保するためには必要不可欠なものであります。  本市におきましては、公園・緑地行政の基本であります緑のマスタープランに基づき、山の緑を守る、街の緑を育てる、海の緑をつくることを基本方針として、緑豊かな潤いのあるまちづくりを目指して緑化推進に努めているところであります。  具体的には、総合公園地区公園近隣公園、街区公園などの都市公園の整備、道路、学校など公共施設の緑化、民有地の緑化、緑化意識の啓蒙などの緑化対策を実施しております。特に都心部の緑化については、街路、公園における高木の植栽や建物の建て替え等の際に空地等を確保し、高木の植栽を指導、要望をいたしております。また、建物の屋上緑化を推進するなど緑の質と量の充実を図る努力をしているところであります。さらに、住宅地の緑化については、緑化基金の活用による生け垣、樹木植栽等の助成、並びに緑地協定の締結促進に努めるなど都市緑化の推進を行っております。  議員ご指摘の浦上川右岸の河川敷につきましては、県・市協力を図りながら整備を進めることとしておりますが、膨大な事業費を要し、さらに当該地は、市道などの公道からの出入口が少なく、しかも、民有地の裏側となっており、公園の利用が容易でないことや維持管理が困難なことから、市が管理する都市公園として開設するに当たっては、これらの問題を解決しなければなりません。  そこで現在、県に対してその必要性を唱え、出入口の増設及び公園としての高木の植栽や園路等について協議を行っているところであります。  このような中、市におきましては、公共工事などで移植が生じた樹木等の積極的な活用を図るなど高木を主体とした植栽を行い、今後とも緑化を推進していきたいと考えております。  なお、議員ご指摘の詳細につきましては、担当部長より答弁をいたさせますので、ご了承いただきたいと思います。  3番目の斜面地における宅地開発についてお答えをいたします。  本市は、斜面地等が多いことから、特に防災を考慮した開発の指導を行っているところであります。その斜面地において、一定規模以上の住宅マンション等を目的とした開発行為を行う場合には、都市計画法に基づく許可を受ける必要があります。  具体的には、都市計画法の規定に基づく開発許可の基準に定められた雨水排水基準、環境の保全及び災害防止のための法面や構造物の基準を満足するとともに、河川、水路、道路等の公共施設の管理者、公益的施設の管理者との協議を十分に行い、同意を得なければなりません。これらの基準に適合していれば、開発行為許可申請書を県へ進達し、その後、知事が許可を行うこととなります。  なお、議員ご指摘の秋月町地区は、周囲に住宅、ホテルなどがあり、地区周辺の住環境を損なわないように土地利用を促進し、背後地の自然を配慮した緑化を行うなど良好な居住環境の維持増進を図り、水準の高い市街地の実現を目標に地区計画建築条例制度の導入を図り、市街化区域への編入がなされました。今後とも、秋月町地区などの斜面地の開発行為に当たっては、事前協議などを通じ、県とも連携を保ちながら適正な指導を行うとともに、7.23大水害や阪神・淡路大震災を教訓にして、災害に強い都市づくりを前提にした開発行為の指導を実施してまいりたいと考えております。  以上で本壇よりの答弁といたします。=(降壇)= 5 ◯都市計画部長坂本昭雄君) 緑のマスタープランの実現のための予算、いわゆる投資的支出がどのくらいかということでお答えいたしたいと思います。  緑のマスタープランにつきましては、その実現のため、先ほど市長が申しましたように、自然環境の確保、あるいは都市公園の整備なり、いろいろなオープンスペースの確保、そういう政策を有機的に、いかに効果的に講じていくかというのが一つの課題でございます。  そういう中で、この一つの施策としましては、都市公園あるいは都市緑地都市公園の中でも近隣公園、街区公園、総合公園といった施設緑地、それともう一つには、風致地区あるいは緑地保全、そういった地域性緑地、それと民間の都市緑化などを含めました形での施策を策定しております。全体的には平成22年を目標に策定しておりますけれども、平成22年に市街化区域での一人当たり目標としましては12平方メートルを目標においています。そういう考えになりますと、現在、一人当たり面積約4.8平方メートルでございますけれども、これをいわゆる整備量と整備投資費とを考えますと約7,000億円の事業費がかかる。ただその間には、先ほど申しましたように、地域性緑地なり、あるいは施設緑地をいかに開発あるいは整備と結びつけていくか。そういう一つの施策の中で、方法あるいは整備の手法等も今後考えながらやる必要がある。そういうことでございます。  以上でございます。 6 ◯19番(中田 剛君) 一通り答弁をいただきましたので、最初に官官接待の問題から質問をいたしたいと思います。  財政部長、市長の方から、必要があれば内容を公開したいというお話がちょっとあったんですけれども、今は、情報公開制度もぴしゃっと確立をして、その気になれば内容については、場合によっては一定の制限はあるでしょう、しかし、市民の一人ひとりがぴしゃっと見ることができると、こういう段階に今日あるわけですから、私はこの場で必要なものについては明確にお答えをいただきたいということをご要望申し上げておきたいと思います。  それから、市長これは私は、ぜひこういう立場で努力をしてほしいというように思うことなんですが、結局、地方自治体がお金を支出する場合は、地方自治法その他に基づく財務規定というのが明確にあるわけです。その規定の中には、当然、住民の公共の福祉、あるいはそういう目的に沿ったお金の支出というのが明確化されている。この官官接待に要する費用というのは、そういう具体的には明確なものがないから、いわば都道府県においても、市町村においても、その長の発言というのは、それぞれ違ってくるわけでしょう。「私は、必要だと思う」 「なくさなければいけない」 「最小限にとどめたい」と、いろいろな県とか市の対応というのは、それぞれまちまちなんですよ。だから言っていることはまちまち、対応もまちまちというのが今の現状だと思うんです。これはいわば、そういう規定にないものとして使われているから、そういうことになっているわけです。  今日の民主政治というものを語られる状況の中では、私も市長が今言われたいろいろな陳情であるとか、あるいは交渉で具体的に予算を獲得するということをすべて否定するつもりはありません。いろいろな問題点がありますから、国に通って、場合によっては、お金が要るんだということを説得することも必要でしょう。しかし、それと接待というのはあくまで別問題だというように考えていく必要があると思うんです。残念ながら陳情政治の名残として、そういういろいろな接待がやられているというのが現状であるわけですから、これはひとつ根本的になくしていくと、こういう明確な立場を市長の方でも貫いていってほしいということを私は考えています。  これはひとつ、再度市長の見解を賜っておきたいと思います。  それから、緑の問題ですが、あえて今回取り上げさせていただいたというのは、坂本部長、緑のマスタープランを実現するには、総額7,000億円ぐらいかかるんではないかと、こういう話がありました。この数字は、実を言うと、ときどき答えてもらうとほとんど系統性がないわけです。なぜ系統性がないのか。結局、この緑のマスタープランというのは、周囲のいわば山間部も含めて言っているわけですから、結局、削られると逆に緑をつくっていかなければいかんと、こういう関係というのがずっとあるわけですよ、だから一貫性がないんです。常に揺れているんですよ、この数字は。時と場合には4,000億円ぐらいかかるだろうということがあるんですよ。  私は、せっかくつくった緑のマスタープランが、そういうことではどうなるんだというのを率直に指摘したいんです。今の財政状況を見てみますと、緑化基金であるとか、あるいは果実に基づく一定の措置はありますけれども、緑そのものを街の中に、とにかくつくっていくという特別の予算というのはほとんど組まれていないんではないか。いわば、指摘しましたように一つの添え物になっているという気持ちが私がするんです。  ですから、そういうものではなくって、緑を中心にどう位置づけるかという点を都市をつくっていく一つの中心材料として明確に位置づけてほしいというように考えているわけです。例えば文化情報交流施設ができる。これは確かに土地の制約その他がありますから、建物もぎりぎりいっぱいになるでしょう。その建物を前提にして、あと緑をどの程度植えるかと、大体こういう論議なんです。しかし、そうではなくして、緑もこの辺に確保しようと、建物と同じように主体的なものとして位置づけて論議をしていくと、そういう姿が行政の中にほしいということです。こういう点は、ぜひひとつ肝に銘じておってほしいと思います。  これは、部長の決意あるところをお聞かせいただきたいと思います。  それから、斜面地の問題について質問させていただきますが、今行われておる行政上の判断というのは、市長から答弁があったとおり、そういう経緯を経て最終的には処理がされていくということになります。  この中で、私がひとつ重視をしていることは、例えばこういう高台地区にいろいろな構造物が建てられる、その場合どういうケースになっていくかというと、排水の問題については、ひとつ河川課で検討して、どういうことになるのか結論を出してほしい、必要であればいろいろなそれを解決するための条件も出してほしいと、大体こういう形になっておる。建物そのものの構造物については、これは建築指導課が独自の判断で結論を出していく。そういった形で、いわばそれぞれの問題点を、それぞれの課で個別に処理をして、それが最終的に持ち合わされた形で結論が出るわけです。だから、大局的に全体としてどうなのかと見る部分というのは、ほとんどないわけです。結局、建築指導課というのは、いわば法律に沿って、そういう附帯的な条件をつけて処理をしていくという形になっているわけですから、いわば大局的に見るところがないというのが私は問題だと思うんです。それが今日、7.23以降いろいろな問題点が語られながらも、結局、市内の急斜面地に次から次に上に建物が建っていくということになっているんではないかと思うんです。  私は、そういう点では、企画部長、大局的にもっと検討していくところが必要ではないかと思うんですよ。企画部長は、その辺どのように考えておられるのか、最初に見解をお聞かせください。 7 ◯企画部長(峰 繁紀君) 都市計画法など、一つの法規制というものがございますけれども、これに適合するものであれば規制ができないという問題もございますけれども、今後、この問題につきましては規制をかけたがいいのか、あるいはもう少し柔軟に法令どおりにやったがいいのかという問題もございます。民間の住居の問題とかいろいろな問題がございますので、この辺は都市計画部あるいは都市開発部とも、ひとつ今後の協議の課題にさせていただきたいと思います。  以上でございます。 8 ◯都市計画部長坂本昭雄君) 都市を形成するための緑のマスタープランをベースに、担当部局としての意思表示ということでございますけれども、言うまでもなく、当然、都市についての緑につきましてはレクリエーション、環境、防災、そういう効果がございます。そういう効果の中で当然、現在におきましても、私どもとしましては、開発行為あるいは建物等の協議の中で、行政指導あるいは行政として緑の配置計画なり、量などの指示等をやっているわけでございます。ただ、行政としましても、財源措置の中で、先ほど申しましたように、地域性緑地なり施設緑地なり、あるいは民間の緑化協定等の中で整備の手法等いろいろございますので、そういうものをネット、あるいはリンクさせながら当然我々として考えていかなければならんと思っています。  基本的には、議員がおっしゃるように、緑のマスタープランがベースでございます。これは53年に私ども作成し、2回目の変更のマスタープランでございますので、当然、基本理念にのっとった形でやる考えでございます。  以上でございます。 9 ◯市長(伊藤一長君) 中田 剛議員の再質問にお答えさせていただきたいと思います。  官官接待の件でございますけれども、議員もご指摘になりましたように、あるいは一部ご理解をいただきましたように、市民の皆様方のいわゆる行政に対する要望というのは、ニーズというのは非常に多種多様化しておりますし、その範囲が実は年々歳々年を追うごとにふえてきているということも、ある面ではやむを得ない面かなと思います。それに対しまして、私ども行政としては、それらの要望につきまして整理をした中で、その実現に向けて努力を傾けていく。そのために予算も獲得していくということでございますので、その中で陳情とか要望活動とか、そういうものが県とか国とか各種関係機関に対して行われるという経緯がございましたし、これからも本壇で申し上げましたように、全国3,300の地方自治体が私はある意味では、いい意味で競い合っていくということになろうかなと思います。  その中で使われる、費用につきましては、先ほど本壇でも平成6年度の状況を申し上げましたけれども、私は、今までは長崎市としても相当努力はしてもらっているんではないかなというふうに考えております。  そういうことを踏まえながら、今後、先ほど申し上げましたように、社会通念上、最小限必要な範囲内で、今後ともこれまでの努力を評価しながら私も頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひご理解のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。 10 ◯財政部長(浜崎省吾君) 官官接待ということで、食糧費の取り扱いでございますけれども、これは、当初予算におきまして、各部局に一定の額を計上いたしております。また、各部局の方で執行する場合には、内容等よく判断されて支出をしているという状況にございますけれども、少なくとも、先ほど市長がお答え申し上げましたように、この食糧費の執行につきましては、節度を守りながら、市民の皆様方から少なくとも誤解を招かないような厳正な姿勢に立って対応していただきたいというようなことでお願いをしておりますし、今後も、そのような形で各部局の方と協議をしながら指示をしていくというような考えに立っております。  以上でございます。 11 ◯19番(中田 剛君) あなたは、質問をはぐらかすのも非常に上手になったなと、率直にそういう感じがいたしました。質問の趣旨はわかっているでしょう。  そうでしょう。わかっているんであれば、ぴしゃっと答えてくださいよ。これは時間がないから仕方がありませんけれども、私は、そのことを特に強く要求しておきます。  それで市長、基本的な見解ですけれども、社会通念上許される範囲だとか、必要最小限という言葉が使われておりますけれども、今日の状況の中では、もう内容は特別繰り返しませんけれども、やはり制度の名残として残っていることは私も事実だと思いますし、そのことを否定することはできませんので、市長の政治姿勢として、今後は廃止をしていく。これは端的に言いますと、交付税制度ができて、逆に言いますと、官官接待を設けたから、それによっていくら財源確保できたのかと、こういう質問だってしたくなりますよ。財政部長、先ほどの答弁もできないぐらいですから、ましてや、こういう答弁もできないでしょう。そういう制度だと私は思うんですよ。  ですから、今のそれぞれ国と地方あるいは県と長崎市、長崎市と国、そういう関係においては、既に財政的なルールを確立しているわけですから、その辺はぜひ廃止に向けて市長の努力を要求しておきたいというように、私の見解を申し上げておきたいと思います。  それから、緑のマスタープランの問題です。  稲佐橋から梁川橋の間、膨大な費用というのは木を植えるだけのお金も大変なんですか。そんな話は余り聞いたことがないんです。これは護岸工事だとか遊歩道ができ上がって何年たちますか。もう4年も5年もたつでしょう。ところが、木だって1本も植えられていかないんですよ。みんな思っているんですよ。浦上川は、あの水辺の空間を利用して本当に潤いのある施設をつくっていくんだと、こういうふうに言われて、具体的にその計画までなされているわけでしょう。ところが、1本も木は生えていかないんですよ。だれだって不思議に思いませんか。率直に県の事業、市の事業というのではなくて、話し合いの場はいつでもあるわけですから、本来はぴしゃっと木が植わってきれいになっておかなければいかんところなんですよ。私は、あえて実例を申し上げましたけれども、言いたいことは、そういうことではなくて、全体として緑に対する感覚というのが、ほかの都市づくりの添え物になっているんではないか。  したがって、私は、そういう点では、もう少し緑というのを有効に、しかも、都市づくりの重点的なものとして植えつけてほしいということです。街の緑もそうです。山の緑もそうです。海岸線においては、緑がないどころか砂まで持っていってしまうと、こういう状況でしょう。もっと緑を大切にしてくださいよ。この点はひとつ申し上げておきます。  それから最後に、高台地区の開発の問題は私有権がある。だから、その私有権が所有についても優先されるんですね。これをひとつ公的なものとして位置づけてほしいということです。  以上、意見を申し上げて、質問を終わります。 12 ◯議長(中野吉邦君) 次は、47番中村すみ代さん。       〔中村すみ代君登壇〕 13 ◯47番(中村すみ代君) 質問通告に基づきまして、3点にわたり質問いたしますので、市長の前向きなご回答を期待しております。  まず、1点目ですけれども、米艦船の入港容認問題についてでございます。  被爆50周年、敗戦50周年に当たることし、今後再び原子爆弾による惨禍が起こらぬことを祈って、長崎市民は、核兵器廃絶の願いを新たにしました。市長も就任以来、国連軍縮会議長崎総会、8月9日の平和祈念式典並びに平和宣言の訴えなど被爆都市の市長として大いに努力されてこられました。とりわけ11月のオランダハーグ市での国際司法裁判所における市長の核兵器使用の違法性についての証言は、私たちの期待に十分応えたものであり、国との間に種々経過があっただけに、その決断と勇気に心より敬意を表します。にもかかわらず、被爆50周年を締めくくる本議会で、再度この問題で質問をすることにしましたのは、9月議会での時間切れの質問ということもありましたが、以後の本市を初め我が国をめぐる平和を脅かすさまざまな問題が山積している中で、被爆都市の市長の平和行政の根幹にかかわるこの問題について、もっとさまざまな角度から議論すべきものと判断したからでもあります。  そこで、市長にお尋ねいたします。繰り返しますが、去る6月議会で、また本議会でも1992年のブッシュ声明「米国艦船のすべてから戦術核兵器の撤去を完了した」旨を根拠に、米国艦船に限っては、核兵器は積載されていないものと信じ、たとえ核兵器積載可能な艦船であっても入港を認める発言をされました。しかし、私は、個別艦船からの戦術核の撤去につきましては、9月議会におけるその他の英国の「ミリタリーバランス」1994年から1995年版、ストックホルム国際平和研究所等の資料提示などを含めて、市長のおっしゃっているそのご回答については信頼するとしましても、同じく市長が述べられました「同じ核兵器保有国の中でも、アメリカは非常に核兵器を減らそうと核軍縮に向けて、あるいは核兵器の廃絶に向けて努力をされておるという一定の評価をしておりますので、私は現在でも、あのブッシュ大統領の発言を市長として真摯に受けとめている次第でございます」という認識には決して立てないということです。  なぜかと申しまと、アメリカは、去る5月の核拡散防止条約の再検討会議で、5核大国の核保有を永久に容認する無期限延長によって、核独占を永久化したこと。ミサイル、核弾頭の保有数、核実験回数において群を抜くアメリカは、核抑止力を背景に核超大国として世界に君臨していること。米ソ冷戦構造崩壊後、日本との同盟関係をアジア太平洋地域の平和と安定の維持のために不可欠として、日米安保条約を再定義することによって、アジア諸国との緊張関係を増大させていること。アメリカの軍事戦略に呼応して、我が国は去る11月、新防衛計画大綱を決定し、核抑止力を含め引き続き強大な力を保有する米国との安全保障体制は、我が国の安全の確保にとって必要不可欠であると述べ、事実上、日本がアメリカの核の傘のもとにあることを明らかにし、アジアの一員としての我が国の生き方、アジアとの共生の道をみずから閉ざすなど、これらのことからアメリカは、核のない平和な世界を望んでいる人々の願いとは相入れない軍事大国であるという、こういった認識に私は立っております。  以上のことを踏まえたとき、ブッシュ声明を金科玉条にして米艦船の入港を簡単に容認することは、木を見て森を見ずの例えに等しく、ぜひ市長に発言の見直し、再検討について改めて市長のご見解をお伺いいたします。  2番目、外国人被爆者援護対策について。  11月23日、私は初めての韓国訪問のため長崎を後にしました。3泊4日の短い訪問でしたが、多くの貴重な経験をすることができ、心に残る有意義な旅となりました。今回の韓国訪問は、第13次在韓被爆者調査、徐正雨さん強制連行の足跡をたどる、在韓被爆者訪問という3つの目的を持った総勢6名からなる旅行でした。また私は、この訪問にもう一つの期待を寄せていました。それは私が、かつて日赤長崎原爆病院在職中、日本と韓国の国レベルで進められていた1980年(昭和55)から1986年(昭和61)12月までの渡日治療で韓国よりはるばる来崎し、原爆病院で入院治療を受けた、なつかしい123人の在韓被爆者の皆さんとの再会でした。このような充実した今回のこの訪問に同行することができましたのは、何よりも平野伸人会長を初めとする長崎県被爆二世教職員の会の皆さんの長年にわたる在韓被爆者調査の積み重ねによるものと感謝している次第でございます。  さて、訪問地はソウル、大邱、釜山と韓国の三大都市であり、車で北から南へ縦断する旅となりました。各地で韓国原爆被害者協会や各支部を表敬訪問するとともに、長崎で被爆された方々に直接お会いし、被爆時の状況、原爆手帳の申請などについて具体的な聞き取り調査に参加することができました。  ソウルでは、強制連行され、三菱の徴用工として強制労働に従事させられて被爆、木鉢寮に入寮していた崔 明均さん、盧 在明さん。釜山では、強制連行され、江平町で強制労働に従事させられて被爆。家族12人のうち妻と2人の幼子を含む一家8人が被爆死した季 権伊さん、また悟真寺の近くで生まれ、稲佐国民学校を卒業し、鎮西中学1年生のときに被爆した鄭 泰弘さんなど、当時の日本の植民地支配と侵略戦争により生命・財産を奪われ、二度と再び戻ってこない青春を奪われ、精神的に大きな痛手を受けた被爆者の方々にお会いしたのでした。  また、長崎市在住の徐正雨さんのふるさとを訪ねました。大邱から車で約1時間半ほど走った慶尚南道の山合いの静かな農村で、幼いとき泳いだ川、木登りした木など昔の面影を色濃く残す、まるで日本の童謡「ふるさと」の世界のようでした。しかし、徐さんは、みずからの意思でふるさとを後にしたのではなく、ふるさとから引き裂かれ、みずからの意思に反して強制的に日本に連行されたのでした。約53年前、おばさんと2人で農作業中、わずか14歳のときに、畑の向こうの路上に止まったトラックにいきなり乗せられたまま、ふるさととの永遠の別れをしなければならなかったのです。おばさんは連行される徐さんに、家に戻り着替え2組とおにぎり5個を手渡してくれたそうです。私たちは徐さんが指さす畑に立ち尽くし一緒に泣きました。しばしの沈黙が続きました。徐さんは、幼なじみの南さんと一緒に釜山から下関へ、下関から長崎へ、そして端島の炭鉱で過酷な坑内労働に従事させられたのでした。徐さんの戦後は、飢えと貧しさ、病苦と孤独の連続の中で、まさに文字通り流転の人生となったのでした。  さて、市長は、ことしの8月9日の平和宣言で、謝罪なしの訴え世界に届かぬ、過去の歴史を教訓としてアジアとの共生をということで、次のように述べられました。少々長くなりますが、引用してみます。  今年は、第二次世界大戦終結50周年でもあります。私たちは、アジア太平洋諸国への侵略と加害の歴史を直視し、厳しい反省をしなければなりません。私たちの反省と謝罪がなければ、核兵器廃絶の訴えも世界の人々の心に届かないでしょう。  日本政府は、過去の歴史を教訓とし、アジア諸国の人々と共有できる歴史観をもって、世界平和の構築に努力してください。  世界で最初の被爆国として、我が国は、核兵器使用が国際法違反であることを国際司法裁判所で明確に主張するとともに、非核三原則を法制化し、アジア太平洋非核地帯の創設に努めるべきであります。また、被爆者の実情に目を向け、被爆者援護の更なる充実を図るとともに、外国人被爆者にも援助の手を差し延べることを日本政府に求めます。と訴えられました。  そこで、市長にお尋ねいたします。  1.在韓被爆者の置かれている現状を調査し、交流を深め、我が国の植民地支配と侵略戦争によって多大なる犠牲をこうむった方々への謝罪の意を込めて、韓国を訪問するお考えはないか。  2.被爆者援護法の適用についての国への働きかけについて、そのお考えをお示しください。  以上2点につき、ご見解をお伺いいたします。  3番目、第三次基本計画の策定について。  1996年(平成8)から2000年(平成12)までの5年間を計画期間とする第三次基本計画を本市では策定中です。この計画は、市政推進の要、市政の羅針盤でもあります。  そこで、市長にお尋ねいたします。  1.進捗状況について。  2.総合計画審議会委員の任命のあり方について。  計画策定過程において各界各層の市民からなる幅広い意見や提言を計画の中に積極的に反映すべきではないかと思います。審議会規則によりますと、組織では委員は40名以内で、市議会議員、関係官庁の職員等から任命されるとなっています。現在、31名の委員が任命されておりますが、その顔ぶれを見てみますと、女性がわずか8名、業界代表も大手造船所や商工会議所の幹部、福祉関係団体も当事者はいないなど、大いに工夫し検討する余地があるのではないかと思います。特に、業界関係では、本市の地域経済の現状を考えた場合、製造業を初めとして小売業も厳しい経営環境に置かれており、これらの業界の生の声を政策に反映させることはぜひとも必要で、そのためには委員としてしかるべき発言の場を保障していくべきと考えます。任命のあり方について見直すべきと考えますが、市長の見解をお伺いいたします。  以上、壇上よりの質問を終わります。どうもありがとうございました。=(降壇)= 14 ◯議長(中野吉邦君) 市長。       〔伊藤一長君登壇〕 15 ◯市長(伊藤一長君) 中村すみ代議員の質問にお答えをいたします。  まず、米国艦船の入港問題について申し上げます。  本市は、従来から核兵器保有国の艦船については、核兵器積載の懸念がある艦船のほか、戦闘艦についても入港を回避していただきたいとの立場をとっておりました。しかしながら、アメリカの艦船につきましては、1992年7月のブッシュ大統領声明により、核兵器は積載されていないものと信じ、6月議会において入港を認める旨の発言をしたところであります。また、入港した艦船の乗組員に対し、積極的に原爆資料館を見ていただき、被爆の実相に触れていただきたいと考えております。
     しかしながら、本年9月の米艦船ブルーリッジの長崎寄港につきましては、ことしが被爆50周年という特に意義深い厳粛な年であることから、再三にわたり入港回避を要請しましたが、入港に至ったことは残念であったと思っております。また、ブルーリッジの長崎入港中、市民に銃器を取り扱わせたこと、さらに、沖縄での米軍人による暴行事件の直後にもかかわらず、本市においても乗組員が破廉恥な行為を行ったことは大変遺憾なことであり、厳重な抗議をしたところであります。米国艦船については、先ほど申し上げましたように、核兵器は積載されていないものと信じ、入港を認めるという私の基本的な姿勢にかわりはありませんが、市民に不安を与えるこのような不祥事が起こらないよう、今後とも、米国に対し厳しい処置を要求していく所存であります。  第2の外国人被爆者援護対策についてお答えをいたします。  私は大韓赤十字社の李柄雄事務総長が被爆50周年の長崎県・長崎市共同事業として、ことし9月に開催いたしました「長崎シンポジウム」に長崎・ヒバクシャ医療国際協力会の招待で来日された際に、事務総長とお会いをしたところであります。その席で、日本政府から韓国の被爆者に人道的支援として行われた40億円によって、慶尚南道陝川郡に原爆被害者福祉センターを現在、建設中であり、完成後の開所式に案内したいとのお話と、あわせてセンター内に原爆資料を展示するために、展示資料の提供についてご相談がありました。私としましては、これらのことを念頭に置きながら現在、庁内で慎重に検討を進めているところでございます。  次に、被爆者援護法の外国人被爆者に対する適用についてお答えいたします。  平成7年7月1日に施行されました原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律は、従来の原爆二法を一本化したものでありまして、日本国内在住の被爆者だけに適用されるものであります。そこで長崎市では、在外被爆者が来日された際、法の適用を受けるための被爆者健康手帳が直ちに交付できるよう事前に情報をいただき、被爆事実の確認を行っております。  特別葬祭給付金についても同様の取り扱いをしております。  また、在韓被爆者に対しては、韓国原爆被害者協会での長崎被爆者の登録事務が的確に行えるように平成5年度から情報提供事業、事業費援助を実施し、さらに、専門委員による外国人の被爆者医療の推進について研究・調査し援助施策を検討してまいりました。その結果、平成5年度から韓国人医師との交流が実現するとともに、平成7年度に長崎・ヒバクシャ医療国際協力会において医師の受け入れ研修が実現いたしました。さらに私は、ことし8月の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の平和宣言の中でも被爆者援護のさらなる充実を図るとともに、外国人被爆者にも援助の手を差し伸べることを政府に訴えました。今後とも、私としましては、外国人被爆者に対する援護対策のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、第三次基本計画の策定につきましてお答えをいたします。  第三次基本計画の策定については、本年8月4日に両助役を正副委員長とし、収入役及び各部局長を委員とする第1回総合計画策定委員会を開催し、第三次基本計画の構成、策定体制、策定スケジュール等の策定方針案を協議、決定し、8月11日に基本計画策定説明会を開催して、庁内の全所属に計画原案の基礎資料となる基本計画調書の作成を指示したところであります。11月には、各部局が作成した基本計画調書についてヒアリングを行い、現在は、全庁的な課題整理と調整を図りながら、基本計画素案の取りまとめを行っている状況であります。  長崎市総合計画審議会の組織につきましては、昭和44年に制定されました長崎市総合計画審議会規則の第2条で、審議会は、委員40人以内で組織する。委員は、市議会議員、関係官庁の職員、関係団体の役員、学識経験のある者のうちから市長が任命し、または委嘱すると定められております。  第二次基本計画策定時の委員は、市議会議員7人、関係官庁の職員2人、関係団体の役員20人、学識経験のある者2人、計31人で、そのうち女性の委員は、議員ご指摘のように8人となっております。  第三次基本計画の策定に当たりましては、私も広く各界各層の方々によるご審議をいただきたいと思っておりますので、総合計画審議会委員の委嘱につきましては、議員ご指摘の女性委員の登用を含め、十分配慮したいと考えております。  以上、本壇よりの答弁といたします。=(降壇)= 16 ◯47番(中村すみ代君) 市長からのご答弁本当にありがとうございました。幾つかの点でお尋ねしたいこともありますので、再質問をいたします。  まず、順不同になりますが、外国人被爆者の援護対策についての件から再質問いたします。  市長の訪韓につきましては、先ほどの市長のご答弁ですと、大韓赤十字社の事務総長の方から来年完成予定のセンターの開所式に、ぜひ市長に訪韓していただきたいという要請があったということで、市長もその要請に対して、どうお応えするか慎重に進めているというご答弁を伺ったわけですけれども、ぜひ市長には、韓国訪問が実現できるように、前向きに努力していただきたい。それが実現することができれば、在韓被爆者の皆さんの大きな励ましとなるかと思いますので、ぜひ前向きにご検討していただきたいというふうに思っております。  私も壇上から、このたびの韓国訪問、これはあくまでもプライベートな訪問だったわけですけれども、そのときに先ほど市長がおっしゃった陝川郡のセンターの方も訪問してみました。もちろん、建設途中で骨組みができている程度でしたけれども、交通アクセスの問題や完成後の維持管理、運営の問題などで若干心配しておられましたけれども、徐々にでき上がるだろうと思います。そういった意味も含めて、ぜひ訪韓していただきたいと、市長に要請したいと思います。  次に、援護対策についてですけれども、基本的には、被爆者援護法というのは、国内法であるということで韓国にいる被爆者、また北米や南米にも日系人の被爆者の方が約1,500人ぐらいいらっしゃるということを私も聞いているんですけれども、そういった外国に在住する被爆者の方たちへの適用というのは難しいと、そういうご回答だったかと思います。  先日の読売新聞のアンケート調査などをちょっと見てみますと、これは南米、北米、それから韓国に在住する被爆者の方たちを対象にしたアンケート調査だったわけですけれども、その中でも日本人と同等に扱ってほしいと、国内並みの援護を望む声が強いというアンケート結果が出ておりますし、私が訪韓したときも、そのように多くの要望意見も伺いました。  そして、ことしの6月には、韓国の原爆被害者協会でも在外被爆者にも日本人並みの被爆者援護法の適用を求める要望書を政府に提出しておるということもあります。  そこで、国内法であるから、また長崎市としても手帳申請などについて十分配慮しているということにとどまらず、ぜひ市長としても直接、外務省や厚生省に出向いて、こういった在外被爆者への援護対策の充実強化などについても要望していただきたいというふうに思うわけです。  これは今夏の平和宣言の中で、壇上でも私、引用したわけですけれども、平和宣言を単なる理念として終わらせることなく、具体的な行動計画として示してほしいということも含めて、そういった政府への直接の市長の働きかけについて、ぜひしていただきたいと思いますが、その点についても、ご答弁をお願いしたいというふうに思います。  次に、第三次基本計画につきましては、策定作業が余り進んでいないというふうに私、市長の回答をお聞きしたわけですけれども、この基本計画は、今後の長崎市の市政の基本になる根幹の問題になるわけですが、それが余り進んでいないということは、市長の姿勢にあるのかなというふうに思うわけですが、その市長の計画策定にかける意気込みというものが、熱意とか意欲がなかなか見えてこない。その点について、再度市長のご回答を伺いたいと思います。  また、委員の任命につきましては、女性の委員の問題とか前向きにご検討していただけるようですので、ぜひ委員の任命につきましては、各界各層を網羅した、そして市民の声が十分反映されるような、そういった組織として、今後とも見直しを続けていただきたいというふうに思います。  それを一応、市長の方から答弁をしていただきたいと思います。先にお願いします。 17 ◯市長(伊藤一長君) 中村すみ代議員の再質問にお答えをさせていただきたいと思います。  最後の質問でございますが、第三次基本計画の策定が進んでいないというふうに質問されたようでございますけれども、私は、本壇からの答弁を含めて、これまでの関係議員さん方の質問に対するお答えも含めて、むしろ庁内を挙げて非常に熱心に、しかも、戦後50年の節目の年に就任した私の気持ちも含んで、あるいは長崎市をもっと立派な都市に、お互い総力を挙げてやろうという意気込みも含めて、全庁的に頑張っていただいているというふうに、むしろ進んでいるというふうに、非常に早いペースで進んでいるというふうに私は理解をしているんですが、どこでどういうふうになったのか、その点はちょっと、いささか私も不本意だなというお答えしかできないなというふうに思っております。  私が知り得る範囲では、少なくとも私の気持ちを職員の皆さん方も三役を中心にして理解していただいて、全庁的に第三次基本計画については取り組んでいただいているというふうに理解をしておりますので、その点は誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。  それから、外国人被爆者に対する問題ですけれども、外務省とか国に出向いて再度お願いした方が、そういう方法も含めて検討した方がいいんではないかと、あるいは具体的なアクションを起こした方がいいんではないかということでございますが、これは従来から平和祈念式典を含めて長崎市からずっと申し上げていることでもございますし、特に、ことしは中村すみ代議員もご存じのように、三権の長が全部初めてそろって、もちろん外務省の方もいらっしゃいました。そういう関係の方がいらっしゃる席で、いわゆる長崎の市長としての平和宣言という形で、公式な形で発表いたしましたので、これは国の方も、その中身を私は重く受けとめていただきたいというふうに考えております。  韓国の訪問の件でございますけれども、中村すみ代議員さんの熱い思いは、私も理解はできますけれども、ただ今、いみじくも触れましたように建設が若干おくれているようでございまして、何月ぐらいに開所式を行うのか、どういった規模なのかということを含めて、まだ中身が定かでございませんので、私の方からは、いわゆるどういう対応をした方がいいのかなということの決断をしかねるということを含めた形のご答弁でございますので、ご理解をいただければ幸いかと思います。  以上でございます。 18 ◯47番(中村すみ代君) 第三次基本計画の進捗状況につきましては、基本的な計画の骨子というものはでき上がっておるとは思いますけれども、私が再質問の中で触れましたのは、作業が余り進んでいないのではないか。当初のスケジュールから言いますと、若干おくれているというふうに理解しておりますし、そういったスケジュール的な問題も考えますと、市民、各界各層の声を策定の中に反映していくための、そこが一番重要だと思うんですけれども、その時間が十分確保できていかなくなるのではないかということを危惧しているわけです。  と言いますのは、審議会がそういった意味で形骸化しないようにというような私の危惧がちょっとあるものですから、そういった趣旨の発言として理解していただきたいと思います。  最初に戻りますが、米国艦船の入港容認問題につきましては、市長もそういった判断をされる、結論を出されるときに随分苦慮なさったんだろうと私も推測しておりますし、現在においても、容認発言の撤回とか見直しというものについては考えていないというご答弁をなされていらっしゃると思いますけれども、市長の胸の内を私は推測しかねますが、揺れておられるのかなと、そういうご回答ともとれるというふうに私思っております。  軍事大国としての、とりわけ東アジアでのアメリカの戦略というものについて、私、壇上で、いろいろな角度から質問したわけですけれども、そういった点の市長の認識というのは、いかがなのかなというふうに思うわけです。アメリカの方の公式見解は、核廃絶、核兵器廃絶に向けて努力していると、そして今回の沖縄の問題でも基地の縮小の問題、そういった問題にも言及しているわけですけれども、米国の個別艦船の戦術核の撤去ということだけで、アメリカが平和を希求しているというふうに市長が判断されるのはちょっと早計すぎるのではないか。もう少し、そういったことも含めて、被爆者団体や大勢の市民の声をもう一度、市長もご意見を聞かれて、そして来年に向けて、もう一度、この発言の問題について、再検討していただけるような、そういった柔軟さ、謙虚さ、失礼な言い方ですけれども、そういったことが問われるのではないか。  とりわけ、ハーグでの意見陳述、私どもも伺っていて、「さすが被爆都市の市長だな」というふうに思うと同時に、今回の入港容認発言については、被爆都市の市長として、とるべき態度だったのかなというふうにも思いますので、その点について、もう一度、市長のご答弁を伺いたいと思います。 19 ◯企画部長(峰 繁紀君) 基本計画の件で、市民の意見が反映される機会がないのではないかというご質問でございましたけれども、私どもといたしましては、まず市民の意識調査とか市政モニターのご意見、あるいは市長を囲む会、また長崎伝習所におきます研究の報告書あるいは各政党から行われます政策要求等々を参考にいたしまして、これを総合的に分析判断をいたしまして基本政策の柱を立てます。これに、ことしは選挙もございましたので、市長のそういったカラーというものをどのように位置づけていくかという問題がございますけれども、いずれにいたしましても、そういった形の中で、現在、進捗状況につきましても進んでいるというふうに解釈しております。これは全庁的に職員の皆様の非常な協力が今後も必要でございます。  一応、そういうことで市民のご意見は反映させていっているつもりでございますので、よろしくお願いいたします。 20 ◯市長(伊藤一長君) 中村すみ代議員の再質問にお答えをさせていただきたいと思います。  まず、米国艦船の入港問題についてですが、中村すみ代議員さんは、ご自分の理論を信念等に基づいて申し上げられておりましたけれども、それぞれの立場のそれぞれの考えがあろうかと思いますので、中村すみ代議員さんのご意見という形で私も承っておきたいと思いますので、ご理解をいただきたいと思います。  それから、先ほどの発言の中で、第三次基本計画の件について、私は審議会を形骸化したとか、市民の方にどうだこうだということは全く考えておりませんので、この点は誤解のないように手順を踏まえながら、まず市役所の中から、市役所の職員のそれぞれの各課・係の意見を聞きながら、今ずっと事務的に進めておりますので、その点は審議会を形骸化するとか云々という発言につきましては、ぜひ誤解のないようにご理解をいただきたいと思います。  以上でございます。 21 ◯議長(中野吉邦君) 休憩いたします。  午後は1時から再開いたします。           =休憩 午前11時23分=           ───────────           =再開 午後1時0分= 22 ◯副議長(下条文摩左君) 休憩前に引き続き会議を開きます。25番井原東洋一君。       〔井原東洋一君登壇〕 23 ◯25番(井原東洋一君) 日本社会党の井原東洋一であります。  きょうは、たくさんの傍聴者の皆さん、本当にご苦労さまです。ありがとうございます。  このところ、伊藤一長長崎市長の背丈が伸びた。そういうふうに素直に感じているのは、私一人ではないと思います。国際司法裁判所で、被爆地と市民の心の底からの叫びを訴えられた11月7日の30数分間は、その内容とともに、市長にとっても、長崎市民にとっても、歴史に刻まれる時間となりました。  沖縄の太田知事、広島の平岡市長と肩を並べ、そして、できれば少し頭を出してほしいとの思いは、核兵器の廃絶と軍縮、平和を求める市民の共通項だと考えていますが、その期待に十分応えられました。これは私だけの思い込みではなく、著名なジャーナリスト・嶌 信彦氏もサンデー毎日12月17号で「漂流の時代に勝つ人達」と評しています。  アメリカの出張所ではないかと評されている外務省の執拗なまでの制約の中で、市民による直接民主主義で選ばれた自治体の長として、当然の主張を曲げなかった両市長への評価に加え、国際司法裁判所が正当な判断を下してほしいことをさらに期待したいと思います。  さて、市長には、自治体外交上の主役を果たされるととにも、日々の長崎市民の暮らしの安定と生きがい、安全で文化性に富んだ快適な環境のまちづくりなど主要な役割の推進が強く求められており、就任以来半年の間の市政刷新と運営手法に注目が集中しているところでありますが、率直に言って「政治が動き出した」 「スピードがついてきた」との印象を受けています。しかし、既成概念や慣行の見直し、次の世代を担う職員の直接的な育成の決断等は、既に一部目に見えているようでありますが、民生福祉、教育文化、スポーツ振興、快適環境、地域経済振興、都市施設の整備、財政確立などのすべての分野で明らかにすべき「伊藤ドクトリン」がいまだ不透明な様子に気をもんでいます。  ここはひとつ、優秀で有能な補職者や経験豊かな高齢職員を窓際や会議室の外に押し出すことなく、円卓方式で知恵を出し合い、汗を流して第三次基本計画を発表され、伊藤丸がいち早くスクリュー全開となるのを願いながら、新年度に目を凝らしてみたいと思います。  そこで、今回は福祉、教育、都市計画、都市開発行政の中のごく一部分について質問を行い、ご答弁を受ける中から市長の政治姿勢を感じとってみたいのであります。  1つ、福祉行政について。  今日、福祉行政は、広範囲で複雑多岐、深刻で解決困難な数多くの課題を抱えており、福祉サービスの受け手のニーズも千差万別であります。国は、保健・医療・福祉の連携やマンパワーの確保と充実のためとして、地域保健法の改正や公的介護保険制度を導入するなどの方針を示していますが、いずれにしても、自治体の財政負担の増大と在宅介護による国民負担に依存する方向にあり、深刻度はさらに増してきています。  市長は、6月の施政方針で福祉重点の姿勢を示され、一部実施に移された施策もありますが、豊富な方針の具体化は、新年度予算に待たなければなりません。  そこで、子育てと障害者対策に限って、すぐやるべきこと、すぐやれることの実現を求めるものであります。   子育て支援と保育行政について。今日の少子化傾向は、子供同士の触れ合いの減少等により自主性と社会性が育ちにくいといった影響や年金などの社会保障費用にかかわる現役世代の負担増及び若年労働力の減少等による社会の活力低下など、子供の健全な成長や将来の社会経済に与える影響が懸念されることから社会問題化しているのであります。子供を生むか生まないかは、個人の選択に委ねられるべきことではありますが、子供を持ちたいが持てない状況が解消されない限り少子化傾向の改善は望めないわけで、子育て問題への真剣な取り組みが家庭はもとより社会のあらゆる構成員に求められているのであります。  晩婚化の進行、夫婦の出生力の低下など少子化の原因をつくり出している背景には、女性の職場進出に伴い、子育てと仕事の両立の困難性、育児負担、住宅事情、教育費等子育てコストの増大などがあり、国による子育て支援計画をもとに、これら諸問題について多面的な対策が講じられつつありますが、ここでは保育問題に限って、市長に質問いたします。  ア、乳児保育、延長保育、夜間保育、24時間保育の実施に関する具体的な施策について。  イ、育児休業者が職場復帰時に保育に欠ける子供の優先入所が措置されることはよいこととして、相当数の入園待機者への対策について、どのようにされるつもりでしょうか。  ウ、保育を必要とする児童の保育の方向性について。  エ、無認可保育所への援助と質の向上について、それぞれご答弁いただきたいと思います。  2つ目は、障害児(者)の自立支援対策について。  私は、障害者と高齢者その他の弱者が常にともに生きているということがあらゆる施策の中に息づいていることを基本として、これまで何回も質問してきておりますが、政策の中に息づいているという点について、長崎市政のこれまでの取り組みに不十分さを感じています。  障害者対策は、啓発・広報による健常者の理解とボランティア活動の推進を初め障害者の教育育成、雇用と就業、保健と医療、福祉、生活環境の整備、スポーツ、文化・芸術への参加、国際交流と協力など各分野にわたっての施策が必要ですが、今回は、障害児(者)の自立支援施策の具体化に関して、市長に質問いたします。  知的障害者や精神障害者及び回復者の皆さんは、雇用就業機会の実現と社会復帰を目指し、小規模作業所等で親子一体となり必死の努力を続けておられますが、ほとんどが中小零細企業の下請作業で、単調・低廉、不安定で一般企業への就業機会への適応性の向上に役立つものとはほど遠く、仕事の確保にも難しい状況にあります。また、授産事業などで身につけ製品化した成果品の販売も思うに任せないのであります。  私は、障害者の皆さんに労働の喜び、みずからの労働報酬を手にし自由に使える喜び、長期に安定した安全な仕事の場が確保され、親と子が安心して生きていく喜びを共有できるよう、行政支援による作業種目の開拓と施設設備の整備のために必要な資金の援助について、これまでも強く求めてきましたが、「あじさいボンボン」の名で売り出されている台所用タワシやリサイクル石けんの市役所内使用だけをとってみても、わずかに端緒が開かれたに過ぎません。  そこで、改めて具体的な答弁を求めます。  ア、作業所の主任及び指導員の人件費補助を制度化すること。  イ、作業所の運営費補助金を大幅に増額すること。  ウ、大型公園の清掃や作業種目の開拓について指導援助をすること。  エ、障害者及びその団体で創作された製品を市において一括購入すること。  大きく2番は、教育行政についてであります。  1つ目は、子供の権利に関する啓発について。  「すべて人間は人間としての権利を持つ」という、その人間の中から長い間子供は外されており、奴隷、労働者、そして女性とともに人間としての扱いを受けず、「女」 「子供」などという言葉でべっ視され、半人前としてしか考えられていませんでした。しかし、1924年に子どもの権利に関するジュネーブ宣言で自覚され、1959年の国連・子供の権利宣言から30年目の1989年国連第44回総会で子供の権利条約が採択されました。子供が子供として保護を受ける権利及び自立の権利をうたったこの条約への到達まで実に65年を要し、日本はさらに5年おくれて世界で158番目の条約批准国となり、1994年5月22日にようやく発効いたしました。  最近の学校では「指示待ち症候群」という言葉が流行していると言われており、自発的な行動が乏しく、次の行動を一つひとつ指示しなければならない事態が心配されています。したがって、子供を半人前として大人が囲い込んでしまうことなく、その権利を認め、人間として健全に成長することができるよう、そして、より大切な大人への啓発を強化するためにも、子供の権利条例を制定する行政姿勢が望まれます。この点について、市長の答弁を求めます。  2つ目は、幼児教育センター設置について。  近来の少子化社会では、幼児期に必要な子供同士の遊びや触れ合いなど共同行動の機会が少なくなっており、不登校、いじめなど問題行動の低年齢化傾向が憂慮されています。  幼児期からの教育を重視すべきとの世論の盛り上がりの中で、ようやく文部省も腰を上げ、平成3年3月、第3次幼稚園教育振興計画を策定し、3歳から5歳の希望するすべての幼児を保育する体制づくりを地方自治体に示達し、さらに来年度予算案では、地域に開かれた幼稚園づくり推進市町村モデル事業を全国7市町村で実施する予定を明らかにしています。  長崎市においては、国・県立及び私立幼稚園においては、既に3歳児保育の長い歴史がありますが、創立後110年の歴史を持つ2つの園を含む市立3園においては、3歳児に門戸を閉ざし、依然として4、5歳児に限った保育が続けられています。しかしながら、公立の教育機関として、その責任性を発揮し、保護者や市民の正当かつ適切な要求に応えるべき時期が来ていると思います。  平成13年までの実施期限切れを待つことなく、できるところから3歳児保育をスタートさせ、あわせて市立3園が周辺幼稚園指導に向けた公的機関として幼児教育センター的役割を十分果たせるよう教育内容、人材、施設等諸条件の整備に着手すべきだと考えますが、市長の答弁を求めます。  大きく3番目は、上長崎及び風頭周辺地域の総合整備計画の策定について。  このことについては、片淵・鳴滝地域のまちづくり構想素案がまとめられ、第二次基本計画では、教育・文化ゾーンとして片淵中学校の新築移転を前提条件に、片淵・鳴滝町地域幹線道路の新設第2期工事が進中であります。この計画は、県立女子短大の4年制化を市内、とりわけ現在地周辺に存置させることを強く意識していたものであり、今般、女子大が長与町に移転することのやむなき事情のもとでは、短大跡地利用計画問題にあわせ地域幹線道路の国道接続ルート、取りつけるべき多くの生活道路、公園及びその他の都市施設整備計画など総合的見地から再検討すべき重要課題になっていると思います。  一方、小ケ倉蛍茶屋線新設を重点整備事項とされていることからすると、伊良林、矢の平、風頭公園周辺地域の総合的な整備計画も策定されなければならないと思います。  また、伊良林・風頭地域は、風致地区として、また坂本龍馬ゆかりの地として、地区住民による町おこし、まちづくりの先駆的役割を果たしているところでもあり、風頭公園の重点的整備を含めて、(仮称)町づくり協議会を活性化したものにしなければなりません。両地域の総合整備計画は、中学校区の問題もあり、一体的に進行させるべき課題として早急な対処を望むものでありますが、その際、長崎市土地開発公社による先行的整備の可能性も考慮して、市長の答弁を求めます。  最後に、大きく4番目は、彫刻のある街づくり事業の推進についてであります。  1体5,000万円などの呼び声も高く10カ年計画で進められてきた彫刻のある街づくり事業も折り返し点を迎えました。せっかく設置されたものの、意味不明のもの、水とセットの彫刻物なのに水を出さない未完成品、類似品が多くオリジナリティが損なわれるようなものなど、その評価はいま一つと言えなくもありません。もっと身近に、もっと安価で手触りのできるものを、しかも、郷土作家の創作品でとの願いはなぜ通じないのでしょうか。  教育委員会所管から都市計画部へ、さらに都市開発部所管へと移管したとは言え、文化的施設であることに変わりはなく、郷土の若手芸術家の登龍門的発想で善処できないのか、お伺いいたします。  以上、壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。=(降壇)= 24 ◯副議長(下条文摩左君) 市長。       〔伊藤一長君登壇〕 25 ◯市長(伊藤一長君) 井原東洋一議員のご質問にお答えをいたします。  まず第1点は、福祉行政についてでございます。  女性の社会進出の増大等により子育てをめぐる環境が著しく変化する中で、子育てを支援していく施策は社会全体として取り組むべき課題となっております。  まず、乳児保育についてでありますが、本市における平成7年度の乳児保育の実施保育所は64カ所中61カ所で実施されており、全保育児に対する乳児の入所率は5.9%と、全国平均の3.0%を大きく上回る実施となっております。乳児保育に対する市民のニーズは高く、育児休業明けの緊急入所措置の適用など、制度面においては一定の改善がなされておりますが、乳児を受け入れる乳児室の不足もあり、今後は、乳児の保育に要する基準面積の拡充が必要となってまいります。
     現在の保育所において、どの程度整備充実が可能なのか実態調査を行い、できる限り施設設備の充実を図り、乳児保育の拡大に努めたいと考えております。  次に、延長保育についてでありますが、近年の就労形態の多様化及び通勤距離の伸長等の状況に対応するため、平成7年度には需要があり実施している保育所は7カ園で、午後7時まで1時間の延長保育を行っております。さらに1時間の延長について、各保育園と協議をしていきたいと思います。  また、あわせて長時間の開所に積極的に取り組む保育所の保母配置を充実することにより、早朝、夕刻の保育ニーズの対応を推進するため、開所時間延長促進事業を検討していきたいと考えております。  次に、夜間保育についてでありますが、この事業の実施について示されました国の通知によりますと、入所定員は原則として一保育園で30名の基準となっており、保育時間はおおむね8時間とし、おおよそ午後10時までとなっております。また、施設としても、既存の設備のほかに専用の保育室及び仮眠のための設備を必要とすることになっております。  先般実施いたしました保育行政についてのアンケート調査によりますと、延長保育を希望する利用時間帯としては、午後8時までが大半を占めております。  以上の結果から、10時までの夜間保育所については、今後さらに必要度合い等を勘案しながら検討してまいりたいと思います。  次に、24時間保育についてでありますが、本事業は国の保育事業として示されている事業にはなく、本年7月、全国で金沢市のみが始めた単独施策の事業であります。今後、種々調査研究をしてまいりたいと考えております。  次に、育児休業者が職場復帰時に保育に欠ける子供の優先入所の措置によって、そのために入所できない待機者への対策についてでありますが、育児休業が終了した場合等で、年度の途中で入所措置が必要となった児童については、例外的に定員を超えて入所措置を行うことが認められておりますので、保育所の受け入れ態勢が整っている場合は、定員を超えた入所措置を行っております。  一方、このような定員を超えた入所措置を行うことにより、その他の要保育児童の入所枠が結果として狭められるという状況も残念ながら生じております。  保育行政は、子育て支援の中心的な役割を果たすものでありますので、要保育児童の入所が円滑に行われるよう、今後の保育需要に見合った保育所配置及び定員の全市的な見直しを行うとともに、最近とみに需要がふえた乳児等の低年齢時の入所に応えられるような施設の整備にも取り組み、子育て支援、保育行政の充実を図っていきたいと考えております。  次に、保育を必要とする児童の保育の方向性についてでありますが、保育所への入所については、児童福祉法第24条の規定により、市町村は保護者の労働、疾病など児童の保育に欠ける場合に入所措置を取らなければならないことになっております。現行の入所基準である「保育に欠ける」という規定を「保育を必要とする」に改める考え方については、現在の社会情勢から一定理解はできますが、現行の措置制度のもとでは、保育に欠ける児童を措置することにならざるを得ません。しかしながら、最近の保育ニーズの多様化に伴い、平成2年度に国において制定されました一時的保育事業については「保育に欠ける」という入所基準はなく、社会の変化に対応した「保育を必要とする」という考えに沿った制度となっており、本市においても、平成3年度から実施し、現在5カ園で実施しているところであります。  これからの保育の方向性の考え方としては、保育を必要とするとき、いつでも入所できるという社会環境をつくっていく必要があるのではないかと思っております。  次に、無認可保育施設への援助と質の向上についてでありますが、本市におきましては、無認可保育施設が保育需要の多様化に対応し、認可保育所を補完している面もあるという観点に立ち、昭和56年度から一定の要件を満たす施設に対して今日まで助成を行ってきたところであります。  なお現在、助成対象施設は20施設であり、入所している児童数は836名となっております。  今日の社会情勢の推移を見ると、育児休業制度の普及、女性の就労形態の多様化など社会環境の著しい変化により女性の社会進出の機会がさらにふえてきており、乳児保育、延長保育など多様な保育サービスが強く求められている状況にあります。  今後とも、保育所に欠ける児童が無認可保育施設に入所しているという現実を踏まえて、児童の処遇面の向上のため、現行の助成内容を検討し、あわせて施設の整備や児童の安全並びに保育者の資質を高める等の指導を行い、無認可保育施設の質の向上について努力してまいりたいと思います。  次に、福祉行政の第2点目の障害児(者)の自立支援対策についてお答えをいたします。  本市におきましては、障害者基本法はもとより、国及び県の新しい長期計画を基本とするとともに、障害者の状況など本市の実情を踏まえて、平成8年度を初年度とする10カ年の新長期行動計画を本年度中に策定すべく鋭意その作業を進めているところであります。これらの長期計画の基本的な考えは、障害を持つ人たちが地域の中で安心して日常の生活を送れるよう「ともに暮らし、ともに生き抜く社会」を実現させるため、福祉の問題、雇用の問題あるいは生活環境の整備など今後の長崎市の障害者福祉の指針を策定しようとするものであります。  障害者の真の福祉を図るには、障害者に生計の維持、能力の発揮、社会経済活動への参加が保障されなければなりません。これは個人の尊厳の理念に立脚した福祉には不可欠の要請であり、この3つの要請を同時に実現するものは「職業」であるとされています。  すなわち、障害者の福祉の基本は、職業人として自立することにあります。言いかえれば、雇用の場の確保ですが、これには事業主の協力がなければ不可能であります。一方、事業主は、労働者を使用することによって企業経営を行っており、また、現代の経済社会においては、企業はその重要な構成要素であります。  したがいまして、事業主は、社会の一員として障害者に雇用の場を提供するという社会全体の責務の実現に協力する重大な責務を有するものとされております。  なお、このような社会連帯の責務は、原則としてすべての構成員によって平等に負担されるべきで、障害者に一定の雇用の場を確保するためには、各事業主が、その雇用する労働者数に応じて分担するのが合理的であるとされ、ここに雇用率という考え方が生み出されたことは、議員ご存じのとおりでございます。  本年6月の長崎県障害者雇用状況を見てみますと、障害者法定雇用率(1.60%)が適用されます民間企業(常用労働者数63人以上の企業)561社における雇用率は2.00%と前年よりやや増加しております。しかしながら、雇用率達成企業は345社で61.5%というまだまだ低い状況にございます。  障害者雇用の安定は、事業主の理解を得て初めて達成するものであるところから、例年、9月の雇用促進月間に国、県、市一体となってキャンペーンを行い、企業等へ雇用の呼びかけを実施しているところであります。  一方、一般の事業所に就職することが困難な障害者の就労の場であります小規模作業所が本市には6カ所ありますが、運営面の助成を初め施設の提供、建設用地の貸与など支援対策についても対応してきたところであります。  ご質問の作業所に対する指導員等の人件費補助の制度化、運営費補助金の増額の件でありますが、これは他都市の状況等も十分に調査し検討してまいりたいと考えております。  また、大型公園の清掃など作業種目の開拓の件につきましては、内部で十分協議をして、その可能性を探ってまいりたいと思います。  なお、授産施設や小規模作業所でつくられた製品の販路確保につきましては、粉石けんなど内部で活用できるものについては、全庁的に取り組みを開始したところですが、市役所が配布する記念品などについても活用できるものについては、今後とも積極的に対応するとともに、各種イベントの紹介などできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。  次に、教育行政についてお答えをいたします。  まず、子供の権利に関する啓発でございます。申すまでもなく、子供は、人格を持った一人の人間として、その人権が尊重されるべき存在でございます。昨年5月に発効した児童の権利に関する条約は、そのような児童観に立ち、あらゆる立場における児童の権利の尊重・保護を初め児童の養育にかかる父母等のあり方などについて規定をしております。  すなわち、これからの教育では、国際的な人権尊重精神の普及を踏まえ、子供をかけがえのない存在としてとらえ、学校と家庭・地域社会が緊密に連携して一人ひとりの調和のとれた発達を支援することが重要であると認識をしております。  このような考え方に基づき、教育委員会といたしましては、同和教育研修会やPTA研修、また公民館における家庭教育学級等におきまして、人権尊重の教育のあり方や発達段階に応じた子育てなどについて、研修や啓発を実施しております。  今後とも、引き続きそれぞれの研修・啓発を充実させ、子供たちが健全に成長、自立するように努めるとともに、新たに広報紙などを通じて条約についての周知徹底を図ってまいりたいと考えております。  したがいまして、条約そのものの周知とともに、その趣旨や内容が学校教育や家庭教育の場において適切に具現化されるよう具体的な啓発を重点とするべきであると認識しておりますので、条例化については、現在のところ考えていないところでございます。  次に、幼児教育についてでございますが、幼児教育は、幼児一人ひとりの心身の調和のとれた発達を確保するために極めて重要であると認識をしております。特に最近では、幼児を取り巻く生活環境の変化により年齢相応の発達を保障しにくい状況が指摘をされます。このことを踏まえ、文部省は、平成3年に幼稚園教育振興計画要項を定め、各自治体に3歳児保育の実施を促しております。  教育委員会といたしましては、実施の時期に来ていると認識はしておりますが、私立幼稚園への依存度が高いなどの現状に鑑み、関係機関との協議やもろもろの条件整備が必要となりますので、段階的実施も含めて慎重に検討をしてまいりたいと考えております。  また、幼児教育センターにつきましては、国の動向を見守るととにも、現在実施をしております幼小連携事業の充実を図り、子育てへの悩みや不安に対応できるよう教員の資質の向上や施設設備の整備にも努めてまいりたいと思います。  次に、上長崎及び風頭周辺地域の総合整備計画の策定についてお答えをいたします。  片淵・鳴滝地区のまちづくりにつきましては、昭和63年に上長崎地区において、片淵中学校移転推進協議会が組織され、また、平成5年からは上長崎、鳴滝地区それぞれに地区住民の方々を中心にまちづくりの課題解決に向けた勉強会を進めているところであります。  このような状況の中で、この地域社会で重要な位置を占めていた県立女子短期大学の移転が発表されましたが、その跡地については、現段階においては、県では具体的な利用計画は示されておりません。  本市といたしましては、この地域の総合的なまちづくり計画には、跡地の有効活用が必要不可欠であり、現在の協議会の方々と相談しながら、これまで以上にまちづくり計画を進めていくために、新しくまちづくり協議会を設立し、当地区に不足している公園、生活道路などの都市施設やその他の公共施設の整備、また、斜面市街地の整備などについて、住民の皆様と検討を進めていくことで総合的なまちづくりを推進してまいりたいと考えておりますので、地区の皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。  特に、地区の骨格となる道路整備の必要性につきましては、当地区の大きな課題として認識をしておりますので、新片淵中学校から鳴滝を通り国道34号線へ接続する道路整備などについて、地区住民の皆様と十分に話し合いを重ねてまいりたいと考えております。  次に、風頭公園の件につきましてお答えをさせていただきます。  風頭公園は、昭和26年3月に都市計画決定を行った近隣公園で2.6ヘクタールの面積を有しており、園内には、坂本龍馬の像やあじさい園のほか多数の桜の木があり、中心市街地からも至近距離にあるところから年中、多数の市民や観光客が訪れております。  この公園は、昭和47年度から52年度にかけて整備を行ってきた経緯がございます。整備後20年近く経過しておりますので、部分的な改修の必要はあると判断しており、今後、年次計画で対応したいと考えております。  ちなみに、当年度におきましては、石垣の補修やフェンスの改修等の身近な問題をまず実施する予定といたしております。  次に、風頭地区の生活道路の整備につきましては、過去に地区住民の方々と協議・検討いたしましたが、人家が連檐していることから、沿道住民の同意が得られず中断した経過もあり、早急な整備は困難な状況にございます。  現在、当地区には都市計画道路小ケ倉蛍茶屋線が建設されておりますが、同路線への地区内道路の接続がなされれば、生活道路としての機能向上が期待されることから、今後は、このような幹線道路への接続も含め、小ケ倉蛍茶屋線の整備状況を見ながら生活道路の整備について、地区住民の方々と協議・検討を重ねていきたいと考えております。  次に、長崎市土地開発公社の活用につきましてお答えをいたします。  長崎市土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律により業務の範囲が定められており、公共用地の先行取得、造成、管理、処分など、それぞれに付帯する業務を行うこととなっております。  公社独自の事業として、土地の取得、造成を行い、低廉かつ好環境の住宅として、昭和47年女の都団地、昭和53年西山団地を市民へ分譲しております。しかしながら、低経済成長時代にある現在では、土地を取り巻く環境や長崎市の特殊な地形の中で、用地確保が民間との土地価格差等があり、非常に困難な状況がありますので、西山団地を最後に大型団地の開発は行っていないというのが今日までの状況でございます。  今後は、公共事業を推進する中で、未利用地、道路残地等に関連した小規模開発等を含め、採算性を考慮した良好な住宅用地、代替地に資することが可能な用地については検討を加えてまいりたいと考えております。  最後に、彫刻のある街づくり事業の件につきましてお答えをいたします。  彫刻のある街づくり事業は「長崎市らしさ」「わかりやすさ」 「楽しさ」の3つのテーマを掲げ、主要道路の結接点や街の中心部などの市民生活に密着した都市空間に彫刻を設置することにより、潤いや安らぎのある文化の薫り高いまちづくりを目指して、平成元年度から取り組んでおり、宝町公園の「波貌」4,692万円の作品を初めとしまして、これまでに予定の10体のうち5体を設置してまいりました。現在、5カ年間に要した事業費は約1億9,300万円、そして毎年の維持管理費が年間約160万円となっております。  設置した彫刻に対しましては、井原議員ご指摘のとおり、それぞれに好みもございまして、賛否両論あることは私も承知いたしております。さらに広報紙、パンフレット等を通じ幅広く市民の方々へ彫刻に対する理解を得られるよう努めてまいりたいと思います。  なお、芸術家育成の観点から、郷土作家や若手芸術家の登用ができないかというご意見につきましては、これまでもそういう指摘を踏まえて、平成5年度に稲佐山公園整備事業の一環として、県展知事賞を受賞された地元作家の作品を設置した経緯もありますので、作品、設置場所等を含めて、この彫刻事業につきましては、今後検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  以上、本壇よりの答弁といたしたいと思います。=(降壇)= 26 ◯25番(井原東洋一君) おおむね市長から納得のいく答弁をいただいておりますけれども、なお、強調したい点もございますので、再質問をさせていただきます。  福祉行政の保育についてですけれども、先ほど市長も触れられましたが、最も進んでいるのではないかなと思われるのは、やはり金沢市ではないかというふうに思っております。  そこで、教育厚生委員のメンバーとともに、実は金沢市を視察してまいりましたが、金沢市は、一時保育、延長保育、夜間保育、休日保育、年末保育、24時間保育と、言うならばあらゆる保育ニーズに応えるという形で公立、私立を含めて20億円を超える財政支出をしながら対応しておるわけです。  どうかひとつ、今説明されました市長のお話の中身でもわかりますが、それに加えて、さらに内容を充実されるためには、もう少し専門的にそういう先進地を視察していただいて、長崎市政の中にも取り込んでいただけるように、特にこれは要望しておきたいと思います。  もちろん、金沢市の場合は、市が行う施策について対応できる私立幼稚園に対しては人的な配置、施設の設備改善、冷暖房のことも含めましての設備改善、仮眠室あるいは厨房施設の改善、そういうものも含めまして多面的に助成も行われておりまして、公私円満に行われているということも知っておりますので、ぜひひとつこれは改めて申しますが、専門的に調査をしていただきたいと思います。  次に、障害児(者)等の保育を必要とする児童の問題ですが、いわゆる障害を持つ児童あるいは養育環境に問題がある児童も、実は保育には欠けないけれども、保育が必要という範疇に入るものもありますので、どうか今後、保育行政の中で、そういう問題にも範囲を広げるように努力をいただきたいと思います。  次に、障害児(者)の自立支援ですけれども、今まで本市では、施設あるいは用地を貸与したことはありますが、設備整備の対応、運営費の補助あるいは主任、指導員等の人件費補助、公的施設の清掃と簡易な作業の委託、作業所等製品の買い上げ及び照会、さらには福祉作業所、福祉工場の建設あるいは運営委託という、そういう課題が先進地では行われているわけであります。  ご承知のとおり、現在、民間の企業で障害者を雇用することは非常に困難な状況にあることは申し上げるまでもありません。  したがって、小規模作業所の果たす役割は非常に大きなものがあるのではないかと思っております。  ここに全国の小規模作業所の補助一覧ということで類似都市の調査をしてありますけれども、長崎市、船橋市、新潟市その他ずっと23市ですが、長崎市が小規模作業所に補助している金額は、県が100万円、市が100万円であります。最も高いところは豊中市の1,080万円であります。  こういう内容を見ますと、実は長崎市は、全国の類似都市23市中最下位でありまして、豊中市の5.4分の1。長崎県は、全国の県の下から5番目でありまして、東京の6.5分の1ということになっております。  したがいまして、福祉重点ということを施策の中心に置かれている伊藤市政でありますから、ぜひこういう就業機会の少ない皆さんに対する小規模作業所の重要性を考えていただきまして、これは特段の措置をしていただきたいというふうに思っているわけです。  なお、授産事業その他で仕事を教える、そして製品ができるということが現実にあるわけですが、こういうものが何とか市の主催する各種会合等々の記念品等に活用できないのかということをこれまでもしばしば求めてきたわけです。  (実物を示す)実は、ここに「ラジオ付きライト」があります。ライトが幾つもつくんですが、これは一昨年の自治会長の集いに配布をされましたものです。この「時計付きラジオ」は、ことしの自治会長の集いに配布されたものであります。この種のものを配布されることは、これは結構なことだと思いますけれども、こういう場合に、障害者の皆さんが手づくりあるいは計画的につくったものを配布することができないのかどうかということを、ぜひひとつ検討していただきたいわけであります。  実は、長崎市がこの種会合に配布する記念品類というものは相当なものがありまして、そのすべてに障害者の作品をということにはまいらないと思いますけれども、時にはテレフォンカードを配られることもありますけれども、そういう予算の範囲内で十分に私は適応できるものがあるのではないだろうか。ぜひそういうことにつきましては、関係部門とも連携を取っていただいて、特に、福祉部門が中心になっていただいて関係部局と連携を取りながら、市の主催する事業、要するに関連する各種会合等々に記念品として贈られないかどうか。  例えば町田市では、成人式に記念品を贈っております。その年の成人者の干支を贈っておりますけれども、この干支は全部障害者の手づくりでありまして、1年前から計画的にそういうものを製作し、行政の施策として援助しているわけでありまして、そういう面にきめ細かく指導していただければというふうに思っているわけです。その点、市長の再度の答弁を求めたいと思います。  それから次に、児童の権利条例の問題ですけれども、説明はわかりましたが、子供の問題もですけれども、大人の問題が実は大切だというふうに思っております。子供の権利条約は一定、小学校あるいは中学校等々で学習も行われておるようですけれども、問題は、大人に対する啓発をどのようにするかということが大切ではないか。その辺をあわせて、この点については、特に配慮をして啓発をしていただきたいというふうに思っております。  それから、3歳児保育ですが、ただいま市長から話がありましたように、幼稚園教育振興計画立案、これは平成13年を目途に県市で計画を立てるようになっておりますけれども、長崎市は報告はできておりますが、まだ立案がなされていないと思います。  3歳児については、特に発達特性からして各種の配慮が求められるわけでありまして、とりわけ、幼稚園と家庭その連携が大切であります。そのことからしますと、入退園を直接保護者が手を引いて行うといいますか、そういう私立幼稚園と違って市立幼稚園の特徴もありますから、そういう市立幼稚園こそ3歳児保育については理想的ではないのかなというふうに思っているわけです。  そこで、市長に質問いたしますが、平成7年度中に市としての方向性が出せないのかどうか。もし出せないとすれば、その理由は一体何なのか。  全国の類似都市を調べてみましたが、ほとんどの都市がこれに取り組んでおりまして、長崎県下では諫早市、近くでは熊本市、佐賀市、宮崎市あるいは新潟市、岐阜市、静岡市、松山市、大宮市、福山市等々でも取り組んでおりますが、心配される私立幼稚園に対する3歳児保育を実施するに当たっての援助策というものは一切取られていないわけです。むしろ、公立幼稚園が3歳児保育を推進することによって、私立幼稚園の3歳児の就園率も向上しているという報告もなされているわけでありまして、長崎の33.1%からするならば、全国では39%という3歳児の就園率でもありますので、ぜひひとつここは長崎市立3園について、施設のゆとりもあるようでありますから、早急に取り組みを始められるよう、段階的にでも結構ですから取り組んでいただきたいというふうに思っております。この点、市長の答弁を求めます。  次に、都市計画行政の片淵・鳴滝地区ですけれども、地域幹線道路建設は、現在、第2期工事が進行中であります。しかし、この地域には都市計画道路片淵松ケ枝線、鳴滝及び片淵3、4、5丁目の取り付け道路、河川、水路、通学路の整備、斜面住宅地の居住環境の改善、公園の適正配置計画及び建設、鳴滝熟の復元、県立女子短大の跡地利用計画、中学校移転と跡地利用計画、新商業集積拠点としての新大工町周辺の整備、旧長崎街道の復元、烽火山林道及び八気山たけのこ道路の建設、烽火山・八気山・七面山登山道路の整備、日本山妙法寺別院、仏舎利塔周辺整備、西山ダム周辺及びダム下公園の整備等々がそれぞれ陳情あるいは申し入れ等々で課題になっているところでありまして、どうかひとつ総合計画のもとでの地区計画立案を急いでいただきたい。このためには地域としても十分に話し合いに対応できるものがあるのではないかというふうに思っておりますので、具体的にお願いしたいと思います。  次に、本河内・矢の平・風頭地区ですが、この地域も長崎の開港から100年はおろか数百年前から人々が営みをしてきたところでありまして、ここ数十年間は、特に伊良林地区につきましては、国道34号線の拡幅あるいは日見バイパス関連工事等々大型工事が非常に続いておりまして、下水道の整備もおくれておりますし、ダムの治水化工事もあるいはそれに伴う関連の諸工事も今後長期を要するのではないかというふうに思われるわけです。そのため、全体的な整備がおくれているのではないか。  したがって、今回、小ケ倉蛍茶屋線の早期完成にあわせて、同時に既存の市道と生活道路あるいは水路、さらには公園、また今発掘中でありますけれども、亀山焼窯跡とか亀山社中の跡、風頭公園の取り付け道路、そういう課題について、年次的計画ということもありますが、重点的に拠点整備として計画を立案していただきたいと、そのように考えているわけです。  それぞれ、町づくり協議会を設けて意見を取りまとめるということですけれども、実効あるものにするためには、期限を定めて論議をして結論を得ていくということが必要だというふうに思っております。そういう意味では、人的、財的措置を図っていただきたい。この点もよろしくお願いしたいと思っております。  次に、彫刻のある街づくりですが、稲佐のロータリーに「あなたと(流れについて)」という彫刻物がございます。赤い構築物から水が流れるような水と一体の彫刻物でありまして、この除幕式に私も参加をいたしましたが、武荒さんという作者は、水と一体であるということを強く強調されておりましたが、どうしたことか今、水が止まっております。これはつくった噴水から水が出ないのと同じように、あるいはつくったプールに水がないのと同じように、彫刻物になっていないのではないかというふうに思われます。この点、ひとつ今後とも10年計画の彫刻のある街づくり事業をそのまま続けられるのか、あるいは市長お得意によって見直しをされるのか。そこら辺のことも含めて、ぜひご答弁をいただきたい。水と一体の彫刻物は、ぜひ水を出していただきたい。水のない滝を見ているようで、ちょっと風情がありませんので、その点を含めて答弁をいただきたいと思います。 27 ◯市長(伊藤一長君) 井原議員の再質問にお答えをさせていただきたいと思います。  まず第1点は、授産施設や小規模作業所でつくられました製品につきましての販路拡大を市のいろんな行事を通じて積極的に図るべきであるというご提言でございます。  私も本壇でお答えいたしましたように、極力そういうふうな方向で、各部局を通じて内部的な努力をいたしたいと思います。  特に、粉石けんなどにつきましては、例えば環境事業部とか保育所とか、そういうところにできるだけこれを使うように内部的に検討してくださいという形で、現物も含めて協議の俎上に乗せておりますので、これは井原議員もご指摘のように、今後さまざまな行事等が組まれますので、そういう折に、どういう品物がつくられておるのかということの勉強も含めて、私どもも内部的に検討を進めたいと思いますので、ご理解をいただきたいと思います。  それから、稲佐の三差路のところの彫刻の件でございますが、これは本年3月に設置をし、午前7時から午後11時まで水を出しておりました。しかし、ご存じのように、昨年の異常渇水を教訓といたしまして、節水型の都市を目指す本市といたしましては、この彫刻の水は循環式ですから大量の水を使用する必要はないわけですが、市民の皆様方からは、水をたくさん使っているのではないかというふうな印象も与えかねませんので、9月15日から原則として水を止める方針で臨んでおります。しかし、観光シーズンや稲佐山におけるイベント開催時など特別な場合には臨機応変に対応をさせていただいております。  ですから、例えば8月8日から9月14日までとか、あるいは夜景のウイーク期間の10月13日からの期間とか、そういう場合はさせていただいている状況でございます。  それから今後、この種の事業について、どうするのかというご指摘でございますけれども、先ほど本壇で一部触れましたけれども、いずれにしましても、5体で1億9,300万円の費用を使っておりますし、年間の維持管理費が約160万円かかるということで、これに平和公園の祈念像前の水をリサイクルしているところとか、そういうものを含めましたら1,318万6,800円ほどの維持管理費がかかっておりますので、こういうものを含めて、今後つくることにした場合に、例えばどういうふうにすればいいのかということを含めて議会の皆さん方とも協議をさせていただこうというふうに考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。 28 ◯副議長(下条文摩左君) 本日の市政一般質問はこの程度にとどめ、明14日午前10時から本会議を開き市政一般質問を続行いたします。  本日は、これをもって散会いたします。           =散会 午後2時1分= ──────────────────────────────────────────────  上記のとおり会議録を調製し署名する。   平成8年2月13日                               議  長 中 野 吉 邦                               副議長  下 条 文摩左
                                  署名議員 板 坂 博 之                               署名議員 高比良 末 男 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...