行財政改革については、特に、委託についての具体的な
取り組み状況についてお伺いをいたします。
次に、福祉行政についてでありますが、今回は、保育問題と
心身障害者福祉についてお尋ねをいたします。
市民福祉という中で、保育所の発展の歴史をいま一度顧みてみます。「保育所というのは福祉施設でしょうか、教育施設でしょうか」という問いかけに、多くの人がこの質問に当惑気であります。零歳児から3歳児の場合はともかく、年長児童の場合は、保育所は幼稚園と同じように
教育関連施設だと思っている人も少なくありません。しかし、保育所の出自は、紛れもなく「救貧対策」としての福祉であります。
昭和20年代の保育所は、戦争未亡人を初めとする母子家庭や妻が働かなければ食べていけない低所得者層の人々のための救貧施設でありました。しかし、昭和40年代以降の経済成長が多くの女性労働力を必要としたために、この施設はアッという間に全国津々浦々に普及し一般化するとともに、保育所の救貧施設というイメージも急速に消滅しました。今や
保育所制度は、子育てと就労の両立を支援する施設として大きな役割を果たしています。特に、少子化時代を迎えた今日、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ環境を整備していくことは喫緊の国民的課題であります。
厚生省、文部省、労働省、建設省においても、21世紀の
少子化社会に対応するために
エンゼルプランを策定し、社会全体での
子育て支援策を総合的、計画的に推進することとなっています。その中でも特に、
緊急保育対策等5か年事業においては、7年度より重点的な整備がなされつつあることと思います。
以下、お尋ねをいたします。
1つ、
緊急保育対策等5か年事業に基づき、本市として、さらに進めた事業あるいは進みつつある事業計画があればお示しいただきたい。
2つ、本市の保育料は周知のとおりであります。その保育料の軽減と適正化を図るおつもりはないか、お尋ねをいたします。
3つ、11月30日の長崎新聞の記事によれば、
私立保育園園長会の陳情において「公私立の格差はあってはならない。現在、第三次基本計画や来年度予算編成に取り組んでおり、陳情を踏まえ対応したい」と市長は答えておられますが、
民間保育所に対する
公立保育所並みの援助措置は、平成8年度の当初予算の中に織り込まれると思ってよいのか、お伺いいたします。その中でも、週休2日制に伴う公立並みの対策費、調理員の1名加配、児童用採暖費を含む光熱水費、
施設整備事業等々に対する補助。早朝、夕方及び休憩時間獲得のための超勤手当の増額並びに
定員定額制の導入については、具体的なご答弁をお願いいたします。
次に、心身障害者問題についてであります。
原因のいかんを問わず、障害原因の多発とあわせて障害状況に対する政策的対応が求められて久しくなります。国連は、約15年前の1981年、この年を
国際障害者年と定め、そのテーマとして「全面参加と平等」並びに5つの目的を定めました。その5つの目的とは、障害者の社会への身体的、社会的適合を援助すること。障害者に対して、適切な援護、訓練、治療及び指導を行い、適当な雇用機会を与え、また、障害者の社会における十分な統合を確保するためのすべての国内的、国際的努力を促進すること。障害者が日常生活において実際に参加すること。例えば公共建築物及び交通機関を利用しやすくすることなどについての
調査研究プロジェクトを奨励すること。障害者が経済社会及び政治活動の多方面に参加し、及び貢献する権利を有することについて、一般の人々を教育し周知させること。障害者の予防及びリハビリテーションのための効果的な施策を推進することなどであります。
また、
国連障害者の権利宣言においては、実質的、
普遍的平等保障による健常・健体者と平等の権利を保有することを前提とし、その経済的、社会的保障による相当な生活水準を保つ権利を基礎に、医療保障、教育保障、職業保障、
社会参加保障、さらに
在宅専門施設入所を問わず、住居・居住とあわせてその
生活環境保全整備保障など包括的な施策を宣言しています。
このことに基づき、本市としても、国・県と相まった総合的施策のもと、徐々にではありますが、その推進が図られてまいりましたが、まだまだ取り残されているものが多いと思います。
まず1つ、市長の
障害者福祉に対する理念をお聞かせいただきたい。
2つ、参加型の
福祉システムの基盤にある市民の貢献を物質的に支える新しい
福祉供給システムづくりが課題となっていると思われるが、お考えをお示しいただきたい。
3つ、障害者の就労が非常に厳しい状況にあると思われるが、この打開策があればお聞かせください。
4つ、ミニ授産所といわれる通所型の
無認可施設の経営がなかなか思うに任せないと聞いておりますが、その支援にさらに乗り出すおつもりはないのか、お尋ねいたします。
次に、市長の選挙公約についてであります。
4名の立候補という厳しい選挙戦の中から有効投票の約50%近くをお取りになり当選を勝ち取られた伊藤市長に、まず敬意を表するものであります。
マスコミ報道によれば、市長は「大差での勝利に市民の期待の大きさを感じる」と、新市長としての感想を述べられ、「これまで市役所が長崎のまちをどうしようとしているのか、市民に具体的に示していないことが焦燥感を生んでいる」と指摘。「各種の事業を検討して新たな青写真を示すことを約束した」とあります。
就任よりはや8カ月が経過しようとしています。今回は、市長が公約されているハード部門の3点について、具体的な青写真をお示しいただきたい。
1つ、工業団地、動物園については、その予想される場所、規模、財源措置、
タイムスケジュールについて。
2つ、
公園内コミュニティセンターについては、市内何カ所に、また、どの公園がその対象となるのか、お示しいただきたい。
最後に、平和行政に対する市長の基本的姿勢についてお尋ねをいたします。
戦後50年という節目の年も終わりを告げようとしています。
国連軍縮長崎会議、被爆50周年での記念事業並びに平和宣言、
国際司法裁判所での陳述等々、この節目の年に当たり縦横無尽のご活躍の中、
伊藤長崎市長の名を国際的にも高められ、平和市長としてのみずからの歩みを名実ともに確立されました。
そのような中で、本年を「
核兵器廃絶元年」に位置づける、長崎を
平和発信都市とする旨の決意を表明なさっておられます。
そこで、まず1つ、来年以降の
平和行政取り組みへの基本的な考え方をお伺いいたします。
2つ、市長は、過去の発言の中で、平和行政については「外務省があり外務大臣もいる。国政にかかわる問題は国政の場でやってもらいたい」と、国を乗り越えてかかわり合いを持つべきではない旨の意向を明らかにされておられましたが、このことについては、
国際司法裁判所での陳述を契機に考え方を180度転換され、地方自治体という立場を越え、国の方針を乗り越えた
平和推進活動を今後は推進されるものと考えていいのか。
3つ、
米国艦船入港については、被爆50周年ということで入港回避の立場をとられましたが、来年以降はどうなされるのか、お尋ねをいたします。
以上、壇上からの質問を終わります。=(降壇)=
3 ◯議長(中野吉邦君) 市長。
〔伊藤一長君登壇〕
4 ◯市長(伊藤一長君) 皆さん、おはようございます。
吉富博久議員のご質問にお答えをさせていただきたいと思います。
質問が多岐にわたっておりますので、若干時間を要しますけれども、お許しをいただきたいと思います。
まず、平成8年度の国の
予算規模見通しによる本市への影響につきましてお答えをさせていただきたいと思います。
議員ご指摘のように、平成8年度の国の一般会計の予算規模は約73兆円を上回り、前年度当初予算比およそ3%程度の増と見込まれております。しかしながら、7年ぶりに10兆円もの赤字国債を大量発行するという歳入面での
危機的状況とともに、歳出面でも、過去に発行した国債の償還費が
政策的経費を圧迫する事態が見込まれております。こうした中でも、景気を早期に回復軌道に乗せるために
公共事業関係費は6年連続で4%程度の伸び率を確保するなどの配慮がなされるものと思われます。
こうした国の厳しい財政状況による本市への影響としましては、
地方財政運営の指標となる
地方財政政策が議員ご指摘のように、まだ公表されておりませんので、詳細につきましては判明いたしませんが、
公共事業関係の補助金の圧縮、
地方交付税の
落ち込み等が予測をされるところでございます。
次に、本市財政についての市長の方針につきましてのお答えでございますが、平成8年度における
財政見通しは、歳出における人件費、扶助費及び公債費の
義務的経費の自然増加が確実に見込まれる中、歳入においては、住民税の減税が前年度に引き続き実施されるなど市税の伸びは期待できず、一方では、国の税収減を反映した、先ほど申し上げました
地方交付税の落ち込みが予測されるなど、本市の財政状況は今後とも厳しく推移するものと考えております。
このような財政環境にあって、平成8年度は長崎市総合計画第三次基本計画の初年度に当たりますが、私としましては、私の基本政策でございます「市民とともに歩むまちづくり」「長崎市の活性化」を積極的に推進するとともに、地方分権の流れを的確に把握した総合行政の積極的展開の視点に立ち、平成8年度予算編成に向けて私の政策を具体的に盛り込むように努力を現在している最中でございます。
財政面では、まず歳入において、自主財源の根幹をなします市税の徴収率向上のための方策を先般の決算委員会のご指摘も含めて講じるとともに、
受益者負担の原則に基づいた使用料・手数料の適時適切な改定などの自主財源の確保に努めてまいります。
また、歳出におきましては、将来の公債費の増高に対処するために減債基金の活用による金利の高い縁故債の繰上償還や
借り入れ時点における償還年限の延長等について検討するとともに、補助金、負担金についても見直し等を行うなど、施策の全般にわたって、その緊急性、優先度などについて総合的に検討を実施し、
地域総合整備事業債などの財政上有利な地方債の活用を図り、施策の実現に向け努力してまいりたいと考えております。
平成7年度の一般会計の
収支見込みにつきましてお答えをいたします。
平成7年度の一般会計の
収支見込みでございますが、歳出の今後
補正見込額は、今議会に追加上程を予定しております一般職の給与改定に要する経費など
一般財源ベースで約19億2,000万円であります。これに対して、
一般財源留保額は市税、
普通交付税及び前年度
決算剰余金の留保額でありまして約16億5,500万円であります。この結果、差し引き約2億6,600万円の財源不足が見込まれます。この財源不足に対する措置としては、今後一層の経費の節減に努めることはもとより、今後、
補正見込額の見直しを行い、収支の均衡を図らざるを得ないと考えております。
次に、
財政調整基金及び減債基金の状況でございますが、平成6年度末で約43億9,000万円でありますが、これに平成7年度に5億5,000万円を繰り入れ、平成6年度
決算剰余金及び発生利子約4億円を積み立てることにより、平成7年度末現在高見込額は約42億4,000万円と見込んでおります。
また、減債基金につきましては、平成6年度末で約184億4,000万円でありましたが、これに対しまして、平成7年度に34億1,000万円を繰り入れ、平成7年度発生利子による積立予定額約5億円を積み立てることにより、平成7年度末現在高見込額は約155億3,000万円と見込んでおります。その内訳としましては、
交付税措置により積み立てた
財源対策債償還基金積立金等で64億7,000万円、昭和57年度から
土地売払収入等を積み立ててきた約90億6,000万円であります。
なお、高金利の地方債等の借入金につきましては、先ほど申し上げましたとおり、平成8年度に向けて
繰上償還等について検討してまいりたいと考えております。
平成8年度の予算編成と重要施策につきましてお答えをさせていただきます。
平成8年度の予算編成につきましては、現在、財政課にてヒアリングを実施中でありますが、歳入については、引き続き市税の伸び悩みが予測され、歳出においては、先ほど申し上げました人件費、扶助費、公債費の
義務的経費の増加が確実に見込まれることから、現下の厳しい財政状況は今後も継続することは残念ながら確実でございます。
このように、硬直化した本市の財政構造を改善するために、今後実施される中核市移行を含めた地方分権の推進及び簡素で効率的な
行政システムの確立と自主性、自立性を目指した行政改革の推進の趣旨を踏まえながら所管の予算を根底から厳しく洗い直し、歳出内容の合理化、効率化を図るものとし、そのために各種施策の徹底的な見直し、優先順位の厳しい選択を行い、経費の
節減合理化措置を織り込むことを基本方針として予算編成に臨んでおります。
なお、平成8年度の
予算規模等につきましては、今後の
地方財政計画等の動向によってはかなりの修正が生じてこようかと思われますので、その推移を見守りながら健全な財政運営に当たりたいと考えております。
次に、平成8年度以降におきます重要施策につきましては、現在施行中の
科学館建設事業、
文化情報交流施設建設事業、
総合運動公園整備事業等の大型事業や義務教育、道路、街路、河川等の市民生活に欠くことのできない生活基盤の整備事業が想定されておりますので、可能な限り
地域総合整備事業債等の財政上有利な地方債を活用し、財政運営の弾力性を考慮しながら積極的な事業推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、行政改革における
具体的取り組みについてお答えをいたします。
本市が限られた財源の中で新たな行政課題や
社会経済情勢の変化に的確に対応していくためには、事務事業について抜本的な見直しを行い、緊急度、優先度の高いものを選別し、効率的な事業の実施を図るとともに、
住民サービス向上の観点から事務手続きの簡素、効率化を進める必要があります。
そこで8月28日、
行政改革推進本部を設置し、
行政改革大綱の策定に向けた事務事業の総点検作業を現在進めているところであります。その際、各推進部会が事務事業の見直しを進めるに当たっての判断基準として、廃止するもの、縮小するもの、統合するもの、移管するもの、委託するもの、先送りするもの、改善するもの、拡充するものなど8項目について具体的な判断基準を示し、統一的な姿勢で見直しがなされるよう配慮をいたしました。
特に、議員ご指摘の委託に関する項目については、単純軽易なものなど12のチェックポイントを定める中で事務事業の見直しに遺漏のないよう努めているところでございます。
今後は、提出された
事務事業ごとに行政が行う直接経営方式、公社あるいは第三セクターによる
間接経営方式、民間企業などによる
民間委託方式、住民参加などの
住民委託方式などについてコスト比較、
行政効果比較、
サービス水準比較等を精査し、既成の概念にとらわれることなく最適な方式を選択し、その実施に向けた具体的な検討を進めることといたしております。
次に、保育問題についてお答えをいたします。
本市におきましては、現在、
公立保育所13カ所、
私立保育園51カ園の合計64の保育所があります。児童福祉法第24条の規定に基づき、児童の保護者の就労・疾病等、当該児童を保育することができない場合であって、かつ同居の親族その他の者が当該児童を保育することができないと認められる場合に保育所への入所措置を行い、当該児童の健全育成に寄与しているところであります。
女性の社会進出の増大等により子育てをめぐる環境が著しく変化する中で、子育てを支援していく施策は、社会全体として取り組むべき課題であると考えております。
なかでも、保育所は保護者の就労等により家庭において保育することができない児童を入所させ、保護者にかわり養育する児童の福祉を図る施設として、その果たしている役割は大きいものがございます。
また、保育行政は、子育て支援の中心的な役割を果たすものでありますので、保育に欠ける児童の入所が円滑に行われるよう保育需要に見合った保育所の配置及び定数などの適正化を図り、将来を担う子供たちが健やかに育っていく環境をつくっていくことは重要な課題の一つであると考えております。
昨年、国においては、21世紀の少子社会に対応するため
エンゼルプランを策定し、平成7年度からおおむね10年間で社会全体での
子育て支援策を総合的、計画的に推進することを掲げております。その中でも、特に実施する必要がある
保育対策等の事業については、
緊急保育対策等5か年事業として、平成7年度から重点的に整備を図っていくこととしております。
本市におきましても、国の施策の中で特に取り組んでおります事業としましては、需要の多い乳児保育、
延長保育等の
特別保育事業の推進に努めているところであります。さらには、乳幼児の待機者の解消を図るため、低
年齢児保育促進事業、早朝・夕刻の
保育ニーズに対応するため開所時間
延長促進事業等についても前向きに取り組んでいきたいと考えております。
次に、
私立保育園に対する援助措置についてでありますが、「保育に欠ける児童」という同じ環境にある児童を措置する上で、その保育内容について、また従事する職員の
勤務条件等については、基本的には公立、私立間の格差があってはならないと考えております。
先般、長崎市
私立保育園園長会より、保育料の軽減と適正化について、施設整備への支援、公立・
私立保育所間の格差是正などを主な柱とする多項目にわたる陳情がなされました。その内容については、一定理解できるものもあり、
財政状況等も勘案して、できるものについては早期に実現できるように努力してまいりたいと考えております。まず、保育料の適正化についてでありますが、
保護者負担の軽減及び
少子化対策の観点から、また、他都市の実態等をも参考にして全体的な見直しを図り、適正化に努めてまいりたいと考えております。
次に、公私立間の
勤務条件等の問題についてでありますが、議員ご指摘のとおり、公立においては、平成6年度から週の所定労働時間40時間による週休2日制を実施しているところでありますが、
私立保育所においては、労働時間41.5時間を超える勤務体制によるところが大半であるとお聞きしております。
保育所の運営経費であります措置費の中に、週の所定労働時間を41.5時間以下に定めている施設については、その短縮している時間に応じて人件費に加算措置が講じられております。しかし、実際の運営に当たっては、その経費では不十分であり、週休2日制の導入は困難であるとの指摘がなされており、労働時間短縮に対する社会の情勢、週休2日制の普及などを考えあわせたとき、今後、検討していかなければならない課題であると考えております。
また、調理員の雇用、児童の採暖費や職員処遇等にかかわる問題についても措置費との対比、現実に即した実態等を把握し、児童が健やかに育っていくための条件整備に努めていく必要があると考えております。
施設整備にかかわる問題については、多額の経費を必要とすることもあり、また、老朽化による大規模改修については、県との協議による国の認可の問題もあり、早期に解決できない問題もありますので、年次計画により整備を図っていくことにいたしたいと思います。
次に、
定員定額制の導入についてでありますが、
私立保育所の経営安定を図るという観点からは、一定理解をするところであります。しかし、現在の制度においては、入所要件に該当する子供ごとに措置を行い、その措置費は子供一人当たりの単価で算出・支弁するということになっております。
この問題は、措置費の根幹をなすものであり、今後、国の動向を見守っていきたいと考えております。
いずれにいたしましても、厳しい
財政状況下ではありますが、将来を担う子供が健やかに育っていくため、できる限り
私立保育所の充実に努めていきたいと考えております。
次に、
心身障害者福祉問題についてお答えをいたします。
障害者福祉の基本は、個人の尊厳に立脚した社会的自立、すなわち職業を通じての自立にあり、働く場を得て、健常者とともに社会経済活動に参加し、そこに生きがいを見出すことができるようにすることと思います。
次に、新しい福祉供給システムについての件でありますが、これから4人に1人が高齢者であるという超高齢社会を迎えるに当たり、障害者を含めた在宅福祉はどうあるべきかが私どもが抱える大きな課題であります。これからの福祉は、基本的には官民一体となって支えていくべきものと考えます。それには住民のボランティアに対する理解と積極的な参加が不可欠であり、行政もこれらのボランティアによる市民の貢献に呼応できる環境づくりが大変重要なものと考えており、今後マンパワーの活用のためのネットワークづくりや物質的な支援を含めて検討してまいりたいと考えております。
次に、障害者の就労の件についてでありますが、障害者の雇用の促進等に関する法律等の充実強化に伴い、障害者の職業的自立に向けた種々の援助を行う職業リハビリテーションについての社会的な期待が高まりつつあります。また、障害の重度化、多様化に伴って、就職後においても継続的な指導・援助を必要とする障害者がふえつつある中で、地域における障害者に対する理解の促進及び職業リハビリテーション関係機関、施設等の連携の充実強化が必要とされております。
本県におきましても、障害者の職業的自立に向けての一貫した職業リハビリテーションサービスを実施するために地域におけるネットワークの整備の必要性が強調されているところであります。このため、長崎障害者職業センターを中心として、職業リハビリテーション関係機関、職業リハビリテーションに関する教育・福祉機関などによる地域の職業リハビリテーションネットワークの形成及び有機的な連携を図り、障害者の雇用の促進と職業の安定に資するための取り組みがなされているところであります。
一方、一般雇用につくことが困難な者については、雇用対策及び福祉対策の緊密な連携のもとに各種授産施設などの更生援護施設の充実を図ることが大切であります。
本市におきましては、民間による施設の開設に伴う用地等の提供については、行政における利用計画がない限り対応してきたところでありますが、今後とも、より積極的に支援措置を講じてまいりたいと考えております。
また、ミニ授産所であります小規模作業所は、現在、本市に6カ所あります。運営費助成の増額につきましては、他都市の状況等も十分調査し検討してまいりたいと考えております。
次に、市長の選挙公約につきまして3点お答えをさせていただきます。
まず、工業団地の整備は、地域の経済発展の核として、特に製造業の振興並びに雇用の創出のため有効な施策として認識されております。しかし、バブルが崩壊した後、景気の力強い回復が見られない中、また、円高による製造業の海外進出、すなわち産業の空洞化といった構造的な要因もあり、企業の立地につきましては、都市間競争はもとより、地方と海外との比較の中で苦戦を強いられており、自治体がこぞって開発した工業団地の売れ行きも現在低迷をしております。
長崎市といたしましても、膨大な投資を必要とする工業団地の開発につきましては、厳しい経済環境や財政状況の中ではありますが、経済の活性化に資する有効な工業団地のあり方や企業立地の手法の可能性を探っていきたいと考えております。
具体的には、企業誘致についても、広い敷地を要する労働集約的な工場ではなく、研究開発型の企業、知識集約型の企業の集積、立地基盤の確保・整備に努め、優秀な人材がこぞって集まるような他都市の工業団地にはない魅力あるものを目指してまいります。
また、住工混在地区に立地する工場等の立地環境を改善し、公害の防止、設備投資を促進するとともに、市内の企業の市外への移転を防止し、また、一たん市外に移転した企業が市内へ再移転する際の立地の受け皿としても検討していきたいと思います。
ご指摘の工業団地の場所、規模、財源措置及び
タイムスケジュールについては、私も就任してまだ8カ月でございますので、残念ながら現時点では具体的に言及することはできませんことをご了承いただきたいと思います。神ノ島工業団地を含めまして、今後、第三次基本計画の問題もございますので、鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
次に、動物園の件につきましてお答えをいたします。
動物園につきましては、市民の憩いの場や動物と身近に触れ合う場として、また、社会教育の一環としても必要な施設であり、私はぜひ実現をしたいと考えております。
このようなことから、稲佐山公園、長崎公園、立山公園の動物園を整理統合したいと考えておりますが、動物園の整備に際しましては、気候、風土、植生、水などの生態・生息環境に適合する立地箇所の選定や事業費の確保及び施設や動物の維持管理費用など解決しなければならない多くの問題がありますので、動物園の整備につきましては、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
次に、公園内のコミュニティセンターについてお答えをいたします。
公園内に設置できる施設、いわゆる公園施設につきましては、都市公園法第2条第2項に規定されておりますが、基本的には、都市公園の効用を全うするものとされております。
したがいまして、コミュニティセンターの公園内設置につきましては、当該センターの性格をいかにとらえるかという問題もございますが、公園施設として適合すると判断されれば設置は可能であります。しかしながら、都市公園法第4条の規定により建ぺい率が定められており、その範囲内でしか建築できないこととされておりますので、大規模な建築物を設置しようとする場合には、それ相当の敷地面積を有する公園内に設置する必要があります。
したがいまして、現在取り組んでおりますのは、今後のまちづくりの中で、特に新興団地も含めましたまちづくりの中で、それ相応の敷地面積を有する公園を確保し、地域に密着した施設を検討できないか今、内部で検討しているところでございます。
次に、平和行政に対する市長の基本的姿勢につきましてお答えをさせていただきます。
まず、被爆50周年以降の平和行政についてでありますが、ご承知のとおり、本市は被爆50周年記念事業市民委員会において、各界各層を代表する市民の方々のご意見、ご提言をいただき、33の記念事業を実施することにいたしました。この中で、平和マラソン、国連軍縮会議、平和祈念式典、青少年ピースフォーラム、原爆映画の制作など既に23事業を終了し、この後、国際文化会館の建て替え、被爆50周年記念誌の作成など、残された事業の遂行に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
私は、このような平和の取り組みが被爆50周年だけの一過性のものであってはならないと考えております。ことし8月の平和宣言の中で、私は被爆50周年を「
核兵器廃絶元年」に位置づけ、新たな出発への第一歩を踏み出すことを提唱いたしました。
被爆50周年以降の平和行政の課題は数多くありますが、特に長崎・広島の被爆の実相が世界の人々に十分に知らされていないということ、また、核抑止論に固執する核保有国と被爆都市長崎市民の間には大きなギャップがあることを痛感いたしました。
今後は、被爆写真パネルやビデオ等の映像、通信ネットワークを通じて、被爆の実相と私ども長崎市民の平和の願いを積極的に発信し、核兵器廃絶を求める国際世論の喚起に努力してまいりたいと考えております。
また、戦後生まれの世代が人口の7割にも達している今日の状況を考えるときに、被爆体験の継承が重要な課題であると考えており、現在建て替え中の国際文化会館の機能を十分に生かし、新しい会館が平和について学ぶ拠点となるよう最大の努力を傾けたいと考えております。
したがいまして、市内の児童生徒はもちろんのこと、修学旅行生や観光客の誘致を図り、あわせて観光の浮揚に資するため全庁的に取り組む所存であります。
長崎は、かつては海外文化の窓口として発展したまちでありましたが、私は、被爆都市の市長として、長崎が名実ともに平和の発信基地となるよう一歩ずつ努力を積み重ねていきたいと考えております。
次に、平和行政を進めるに当たっての我が国政府との関係についての考え方について申し上げます。
本市は、原爆の惨禍を身をもって体験した都市として、原爆の悲惨さと平和の大切さを後世に伝えていくとともに、広く世界に向けて訴え続けていかなければならない責務があります。しかし、私は、被爆地の平和行政であっても独自の考え方だけで進めるべきものではなく、国や宗教などさまざまな立場の違いを越えて多くの人々の理解を得ながら粘り強く取り組んでいかなければならないと思います。
艦船入港の問題やこのたびの
国際司法裁判所での陳述において、我が国政府との考え方の相違が明らかになったように、平和行政を進めるに当たっては、国策を預かる国と地方自治体との立場の違いから、このような意見の違いが出てくることはやむを得ない面があると考えております。しかしながら、平和構築のためには、主張すべきことは毅然として主張することが大切であり、今後とも、被爆者の心と被爆地長崎の立場に理解を求めながら、被爆国の政府として世界平和構築への先導的役割を果たすよう積極的に要請を行ってまいりたいと考えております。
最後に、艦船の入港問題について申し上げます。
本市は、従来から何回も申し上げましたように、核兵器保有国の艦船については、核兵器積載の懸念がある艦船のほか、戦闘艦についても入港を回避していただきたいとの立場を取っておりましたが、アメリカの艦船については、1992年7月のブッシュ大統領声明により核兵器は積載されていないものと信じ、6月議会において入港を認める旨の発言をしたところであります。
なお、被爆50周年のことしに限っては、長崎市民が等しく特別な思いで迎えている厳粛な年でもあり、米国艦船であっても入港を回避していただきたいと考えており、本年9月のブルーリッジ入港時には、再三にわたり入港回避を要請したにもかかわらず入港に至ったことはまことに残念なことであったと思います。
また、ブルーリッジの長崎入港中、市民に銃器を取り扱わせたこと、さらに沖縄での米軍人による暴行事件の直後にもかかわらず、本市においても、乗組員が破廉恥な行為を行ったことは大変遺憾なことであり、直ちに米国第7艦隊司令官へ抗議文を送付したところであります。しかしながら、来年以降は、先ほど申し上げましたように、核兵器が搭載されていない艦船については入港を認めるという私の基本的な姿勢に変わりはありませんが、同時に、市民に不安を与えるこのような不祥事が起こらないよう、今後とも米国に対し厳しい措置を要求していきたいと考えております。
以上で本壇よりの答弁といたします。=(降壇)=
5 ◯14番(吉富博久君) 質問が多岐にわたりましたので、再質問をする時間が制限をされてまいりますが、端的に再度質問と要望をさせていただきたいと思います。
まず、財政問題についてですが、おっしゃるとおり、かなり厳しい状況に入ってくると思います。そういう中において、先ほど市長が答弁されました減債基金、これは類似都市の中でも群を抜いて積み上げている長崎市の状態ですので、こういう借入金等高金利のものをしっかり返していきながら財政運営に努めていただきたいというふうに思います。
その中でも、自主財源の確保というのが非常に重要になってまいります。使用料や手数料、こういったものの改定も含めてやっていかなければいけないわけですが、特に市税、この市税については、平成6年度の徴収率が94.3%ということだと思います。これ自体が1%増すごとに5億円の収入がある。通常、97%ぐらいまでは徴収率を上げていかなければいけないというのが基本にあると思います。2%上げる、あるいは97%まで上げるということになれば約13億円近くの自主財源が確保できるわけです。
そういった意味では、総務部長、私は前々から申し上げておりましたけれども、税務部門、こういったところの体制の強化、市長もしきりに今言っておられますけれども、そういう強化等をしっかりやっていきながら、今やっておられる状況だと思いますが、そういう意味では、若手職員の登用であるとか、あるいは登用する中で、また、いろんな形の中で、その人たちの優遇の問題とか、そういうものをかみ合わせながらしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、総務部長としてのご意見をお聞かせいただきたいと思います。
6 ◯総務部長(内田進博君) 市税の徴収率の向上のための方策につきましては、市長が先ほど壇上で、今後も検討するということでございますが、私どもも人事管理面では職員の配置につきまして、職員の適性、年齢などを考慮いたしまして適材適所を念頭に人事異動を行っているところでございます。
議員がおっしゃいます納税課の職員の配置につきましては、今年8月の人事異動におきましても、職員の年齢構成に配慮するなどの措置を講じたところでございます。
今後も、このような考えのもとに、引き続き徴収率を向上させることができるよう人事面からも配慮をしたいと考えております。
以上でございます。
7 ◯14番(吉富博久君) しっかり頑張っていただきたいと思います。
それから、行政改革についてですが、市長は、前回の議会において、板坂議員の質問に対して「ごみの委託は公約ではない」というふうなご答弁をなさいました。そしてまた、今回、松尾議員に対しても「行革は市民サイド」というような形の中で、ボトムアップの中でやっていくということの発言をなさっておられますが、やはり行革はトップダウンという意味では、しっかりしたリーダーシップが必要ではないかというふうに私は考えております。
特に、管理運営事項に関してのいろんな形の行革というのは、しっかり市長が踏まえた上でやっていただかなければできないというふうに判断をいたします。特に、リストラといわれる企業側がやる部門については、会社サイドの中でリストラをやっていくわけで、企業感覚をということであれば、さらにそれを推し進めていくのが本来の姿ではないかというふうに思います。特に民間委託、これは新聞ですけれども、市長も資料を持っておられると思いますが、必ず民間委託となれば、ごみの収集や幼稚園と、必ずごみは上がってくるんです。委託ということになれば、やはりごみという形のものは市民一般にも周知徹底されていると思いますので、その辺のご答弁をお願いいたしたいと思います。
8 ◯市長(伊藤一長君) 昨日答弁したことも含めましてそうですけれども、11年ぶりに発足しました長崎市の
行政改革推進本部でございます。行政改革を進めていくときには、私は、私なりに考えは持っております。持ってはおりますけれども、私とか一部の市役所の幹部とか、そういうメンバーだけでこれだけの世帯を引っ張っていくということも、これは無理なことでもありますし、民主的なことでもないとある面では指摘されるのではなかろうかなということも含めまして、強力なリーダーシップあるいはトップダウン方式というご指摘は私も理解はできます。理解はできますけれども、考え方としては、市役所の皆さん方の考え、特に、市役所の第一線で働いている管理職を含む皆さん方の気がついたことや指摘事項を含めたそういう問題、さらには昨日も申し上げましたように、市民の皆さん方も入っていただいた機関、そういうものをある程度参考にさせていただきながら、いわゆるボトムアップといいますか、皆さん方の意見を整理させていただく中で、最終的には行政改革を強力に推進させていただくという方向になろうかなと思います。
先ほど吉富議員さんがご指摘の清掃の問題にしましても、保育の問題にしましても、さまざまなそういう指摘事項、磯村英一先生の指摘もございますが、そういう指摘事項等も含めて、私も私なりに整理をさせていただいておりますので、お気持ちは、ある面では相通ずるものがあろうかなと思います。しかし、これは関係者の皆さん方の英知とか協力体制、そういうもののプロセスというものもある面では大事ではないかなと思いますので、この点はご理解をいただきたいと思います。
9 ◯14番(吉富博久君) わかりました。
市長自身、心の中に思うものがあるということですから、そういう思うものを精いっぱい発揮して行革に取り組んでいただきたいと、ご要望をいたしておきたいと思います。
それから、福祉問題ですが、保育問題については、特に保育料の見直し等は、見直しを図り適正に進めていくということでございますので、早急に進めていただきたいというふうに思います。
それから、公私格差について、格差あってはならないという明言をまたいただきました。そういう中においては、先ほど週休2日制対策であるとか、採暖費、施設整備、こういう形のものというのは、当然、公立はもうやっていることであって、それに先ほど
定員定額制の導入についても、公立の場合については、もうやっていることなんです。定員割れしても、それなりに運営をきちっと市の財源を持ち出してやっているということです。
財政部長に本当はお聞きをしたかったんですけれども、公立の保育所に対する支出というのは公平な中で当然されていると思います。であれば、公立と同等の形の同じ仕事をしている
民間保育所にも当然出されるのが当たり前の話だというふうに思っておりますので、今後、これからもそういうことについては詰めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
それから、
障害者福祉についてですが、ミニ授産所に対する支援、こういうことですが、これは他都市の状況等も検討していくということですが、もう他都市は出ているんです。長崎市は200万円ですけれども、船橋市880万円、新潟市770円、一番大きいものになると、豊中市では1,000万円の補助が出ています。こういう形の中で、かなり少ないという形になりますので、ぞうど、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。
それから、平和行政につきましては、特に一過性のものであってはならないということですが、しっかり継続をしていただきながら推進をしていただきたいというふうにご要望をいたしておきます。よろしくお願いいたします。
10 ◯議長(中野吉邦君) 次は、44番小林駿介君。
〔小林駿介君登壇〕
11 ◯44番(小林駿介君) 質問通告に従いまして、順次質問させていただきますので、市長並びに理事者におかれましては明快なる答弁をよろしくお願いしたいと思います。
まず、総合運動公園整備事業の進捗状況についてであります。
本年3月実施の市民意識調査報告書によりますと、「市民の皆様が日常一番要望していること、不便・不満を感じているもの」の回答として、第1位が「駐車場不足」、第2位が「スポーツ施設」となっております。平和公園内に松山市営競技場、市営テニスコート等が配置されているものの、質・量ともに不足をすることから、平成2年より総合運動公園整備事業に着手。現在、1期工事約43ヘクタールの整地に取り組んでおられます。
ところで、第1期工事の事業期間は、当初、平成2年から6年の完工、平成7年4月に供用開始となっておりました。その理由につきましては、用地交渉のおくれと伺っておりますが、変更した工期の完工年度は守れるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
次に、教育行政について。
初めに、情報化社会への対応についてであります。
平成2年より、本市におきましては、教育用コンピュータの導入を推進し、平成2年から6年までの5年間に中学校に628台、小学校に58台、合計686台。また、予算では中学校で3億9,570万円、小学校で3,376万円を投入し、小学校に8台、中学校には2人に1台が整備をされました。
これまでのコンピュータ導入における小中学校の教育方針と成果、現在抱えている課題は何か。
また、ここ数年のマルチメディアの急激な伸展によりコンピュータ教育における方針の変化はないのか、お尋ねをしたいと思います。
次に、市立図書館早期建設のための基本計画策定委員会の設置についてであります。
3校統廃合問題に一定の進展があり、次のステップへ何らかのアクションが出てきてもよいのではないかと思います。市立図書館建設に向けて揺るぎない道筋をつけることが肝要と思われます。基本計画策定委員会等の具体的検討は行われていないのか。また、県都で掉尾を飾る市立図書館の建設となるわけでありますので、視聴覚機器はもちろんのこと、最新のコンピュータを駆使して内外の利用者もアクセスできるものにする等のお考えはないのか、あわせてお尋ねをいたします。
次に、石畳舗装のあり方についてであります。
「坂の長崎、石畳」と歌われるとおり、本市は紛れもなく坂の多いまちであります。そこで、もう一方の石畳をふやして観光で訪れる人々に石畳を楽しんでもらおうと、石畳舗装まちづくり特別対策事業が昭和60年度に発足し、総工費約20億円、延長10.5キロ、面積にして3万850平方メートルが整備をされてまいりました。確かに、石畳の雰囲気は、異国情緒を醸し出し、観光客の皆様にも喜んでいただいているのは事実であります。しかし、往時の石畳が敷かれていたと思われる所はさほどなく、資料等を見てもそれは明らかであります。その後も名称は変更されても、次々と石畳の拡張工事は再現なく続いております。
石畳が障害者や車いすなどの歩行障害となっている事例もあり、長期不況の真っただ中にある財政事情も勘案し、石畳舗装について一定の見直しをすべきときにきているのではないかと思料しますが、市長のお考えをお示しください。
次に、大型施設の管理運営費についてであります。
現在、長崎市内には、市の大型施設の建設ラッシュで6施設が平成9年にはすべて姿をあらわしてくる。6施設の総工費は約348億円。平成9年からは平年度ベースで年間約10億円強の運営管理費が見込まれるところであります。本市財政収支の状況の上からも、こうした諸施設のランニングコストが、いわばボディーブローのように徐々に効いてくることになってくるわけであります。
新市長として、諸政策に新機軸を発揮されるためにも、こうした経費の圧縮・削減が重要と思われますが、どのような観点から取り組んでいかれるおつもりか、お尋ねをしたいと思います。
次に、住宅行政の基本的考え方についてであります。
坂と緑に囲まれた異国情緒漂う長崎の街。1,000曲を超える詩情あふれる名曲を生み出したこの長崎をこよなく愛する伊藤市長にお尋ねをいたします。
かつて、あふれんばかりのいろいろな魚の水揚げに沸き、次々と建造される大型タンカーが長崎港を埋め尽くし、観光客で沸き返り、活気あふれた長崎の街が現在は構造不況のあおりを受け、人口も45万人から43万8,000人と減少し、だれ人も伊藤新市長に希望の灯を見出そうとしているのであります。
そこで、だれよりも本市の発展を願い、人口問題に心を痛めている市長に、住宅政策の点からお尋ねをしたいと思います。
住宅政策には3本の基本的な柱があると思います。持ち家政策を進めるのか、公営住宅の建設に力を入れられるのか、民間賃貸住宅の建設に対する支援を強めるのか。この平成2年から6年までの5年間の市営住宅の建設は、建て替え戸数385戸、新設の戸数273戸、総工費約105億5,000万円をかけて取り組んでおられます。本議会におきましても、多くの同僚議員から質問が相次いだわけでございますが、本市の将来を大きく左右する若年労働者や若年夫婦あるいは中堅所得層の流出をいかに防ぐかは重要なポイントであると思います。
市長におかれましては、こうした3本の住宅政策並びに人口減少の原因と住宅政策のかかわりはどうか。この人口流出に歯どめをかけるとともに、呼び戻すための具体的方策はないか、お尋ねをします。
また、近く市営住宅のマスタープランが策定される方向にありますが、市外から長崎への通勤者に対して住宅意向調査を実施するお考えはないか、お尋ねをいたします。
最後に、市有墓地条例の見直しと管理体制についてお尋ねをしたいと思います。
市有墓地条例の見直しと管理体制については、既に平成5年に、同僚網田議員の質問に答えられ、市当局は、条例の見直しと墓地の公募を約束されました。
高齢化社会が一段と進行し、墓地に対する関心もますます高まっております。その後、どのように見直しがなされてきたのか。
また今後、多数の市民の皆さんの要望に応えるために、市は、どのような考えをお持ちなのか、お示しをいただきたい。
以上で壇上よりの質問を終わり、また、自席より再質問をさせていただきたいと思います。=(降壇)=
12 ◯議長(中野吉邦君) 市長。
〔伊藤一長君登壇〕
13 ◯市長(伊藤一長君) 小林駿介議員のご質問にお答えをさせていただきたいと思います。
まず、総合運動公園の進捗状況についてでございますが、柿泊町地区に建設しております総合運動公園は、全体面積約63ヘクタールのうち、1期事業として43ヘクタールを平成2年度から平成6年度までを完成目標に整備を進めておりますが、用地買収及び関係競技団体との協議に期間を要したことに伴い、事業期間を平成2年度から平成9年度までに延長し、現在、その整備を図っているところであります。既に、1期事業分として43ヘクタールの造成工事も終わり、本年度より本格的な施設の整備に着手したところであります。平成6年度までの進捗状況は約50%となっております。
1期事業の施設としては、テニスコート、運動広場、野球場、陸上競技場等の整備を計画しており、その施設の整備が完了次第、逐次供用開始をしていきたいと考えております。しかしながら、公園本体及び取り付け道路等に係る未買収用地があり、また、関係競技団体との協議を重ねていく必要があることなど、全体的にまだ解決しなければならない問題もありますが、現時点においては、平成9年度完成に向け努力してまいりたいと考えております。
次に、教育行政につきましてお答えをさせていただきたいと思います。
情報化社会の進展に伴い、文部省は、平成2年度の小学校指導要領の改訂で、教具として利用することを通してコンピュータに触れ、慣れ、親しまれることを基本とすることとし、平成3年度の中学校の改訂においては、学習指導に活用するとともに、コンピュータに関する理解や能力を身につけさせるために技術・家庭科において情報基礎領域を新設することといたしました。また同時に、平成2年度からコンピュータ整備費補助事業を開始し、学校への教育用コンピュータの導入を積極的に推進してきております。
そこで本市では、学校教育におけるコンピュータの利用を推し進めるために、平成2年度からコンピュータの導入設置を開始いたしました。現在では、基本的に各小学校8台、各中学校21台の教育用コンピュータを学習指導等に利用をしております。過去、コンピュータが一般社会に浸透する以前は、コンピュータが教師のかわりをするというティーチングマシンとしての見方をされたときもありましたが、本市が導入を開始いたしましたときには、既に子供たちの学習の道具としてコンピュータをとらえておりました。
本市教育委員会といたしましては、今後も児童生徒が学校のみならず、家庭や地域社会においても、一つの生活手段としてコンピュータを利用できるよう指導の充実に努めてまいります。
世界的情報通信網でありますインターネットと学校にあるコンピュータを接続して生徒が現時点での世界の情報を収集したり発信したりすることは、教育的効果も高いものがあると認識をしております。
現在、そのための設備・運用の経費等を勘案いたしまして、学校間通信網の整備等の計画とともに検討いたしているところでございます。
なお、平成5年度の通産省の事業により、長崎市立淵中学校には、インターネットと接続可能な状況が整っており、気象衛星「ひまわり」のデータを3時間ごとに収集して、理科や社会科の学習に活用するなどの利用をしております。
また、本年度中には教育研究所において、電話回線を利用した淵中との通信により、インターネットから取り出した情報を教育研究所のコンピュータに蓄積し、各学校に提供できるよう試験的運用に取り組む計画でございます。
次に、市立図書館の建設につきましてですが、市立図書館の建設につきましては、平成5年7月、市立図書館建設基本構想懇話会から、新しい市立図書館の期待される役割を十分に果たすためには、その図書館が幼児からお年寄りまで、すべての市民が気軽に利用できるような市民に開かれた図書館であること、また、新しい時代の要求に応え得る図書館であることなどの基本構想の提言をいただきました。
図書館建設推進の現状でございますが、ご存じのとおり、中央3小学校の統廃合につきましては同意を得ましたが、跡地利用につきましては、地元住民の意見も反映できるような協議の場を設けて、その中で十分検討した後、市立図書館建設基本構想懇話会報告書の趣旨を踏まえて具体的な検討をしてまいりたいと考えております。
視聴覚ライブラリーの構想につきましては、我々がコミュニケーション活動を行う上で、もはやこれを抜きにしては語れないほど、市民の日常生活や文化活動の中に大きな影響を与えています。市立図書館建設基本構想の中に、市民が良質な視聴覚資料に気軽に触れることのできる機会をつくり、市民の多様な資料要求に応えるようにしております。
また、視聴覚資料の持つ特性を生かし、図書資料と結びついた有機的な活用が図れるよう幅広い分野の視聴覚資料の収集に努め、歴史的、文化的に価値のある視聴覚資料を系統的に収集・保存し、市民の利用に提供するとともに、長崎の歴史的、文化的記録として後世に継承する必要があると考えております。
第3番目の石畳舗装のあり方についてお答えをいたします。
長崎の石畳は、幕末から明治の初期にかけて東山手・大浦・南山手地区の長崎外国人居留地を中心に設置され、旧市街地が形成されるにつれて、全市域に展開されたものと思われます。設置状況につきましては、当時の石畳はおよそ2.5キロほどと推測されます。
石畳は、人と車の共存型として発達してまいりましたが、近年、車の増加に伴い、石畳の損傷が著しく、老朽化も進み、その復旧に当たっては、アスファルト舗装など近代的な工法を用いたことにより石畳が減少してまいりました。
申し上げるまでもなく、道路につきましては、機能の充実を第一義的に考えるべきでありますが、一方、「坂の長崎、石畳」などに代表される長崎特有の歴史的な資源としての石畳を復元し、地域性に合った長崎らしい魅力ある道づくりも必要であるとの認識のもとに、石畳による整備を図った結果、現在では55路線、10.5キロ設置している状況であります。板石舗装につきましては、ほぼ計画どおり整備されたものと考えております。
議員ご指摘のとおり、板石舗装の施行箇所におきましては、一部損傷のある箇所も見受けられ、歩きづらい面もございますので、今後は、石畳以外の材質及び施行方法、また、現存する板石の維持管理等も十分研究し、高齢者・障害者の方にも配慮した安全で快適な道路整備を図ってまいりたいと思います。
次に、大型施設の管理運営費につきましてお答えをいたします。
現在、本市は生活関連を重視した社会基盤整備と市民文化の振興のための大型施設の建設に着手いたしております。議員ご指摘のとおり、完成時からは、これら大型施設の維持管理経費が出てまいります。
そこで今後、新規施設の管理運営につきましては、全面委託を原則として考えております。また、今後の財政計画を策定するに当たり、大型施設のランニングコストにつきまして概算額で盛り込んでおり、財政計画上の誤差が生じないよう対応いたしております。また、具体的な経費が出てくる際には、全庁的なバランスを図り、予算査定の際に類似施設等を参考にしながら細部のチェックを行い、経費を抑制していきたいと考えております。
一方、これら大型施設の使用料につきましては、
受益者負担の原則に基づき、適時適切な使用料を定め、健全な財政運営を行ってまいりたいと考えております。
第5点目の住宅行政の基本的考え方につきましてお答えをいたします。
近年の住宅政策は、経済力の向上、高齢化の進展、ライフスタイルの変化などの
社会経済情勢の動向により高度化、多様化するニーズに的確に対応していくことが求められており、新たに総合的な施策の展開が必要になっております。
本市におきましても、現在、平成7年度事業として、地域の特性に応じた具体的施策からなる住宅整備の統合的な計画である長崎市住宅マスタープランを策定中であります。これは約20年の長期的な視点から見た居住のビジョンを示し、平成8年から平成12年までの第7期住宅建設5箇年計画における具体的な住宅政策の展開を示すものであります。
従来、公営住宅の供給のみを住宅行政の対象としておりましたが、今や民間住宅や住宅整備によるまちづくりの分野にまで対象を広げていくことが、議員ご指摘のように求められております。民間住宅を含めた対策が重要な課題となってまいります。
つきましては、このマスタープランの中で、本市における持ち家、公営住宅、民間賃貸住宅など住宅事情の現状分析を行い、地域特性に応じた住宅政策を推進してまいりたいと考えております。
具体的な施策といたしましては、斜面市街地の若者流出による高齢化が進行している中、安全で快適なコミュニティ形成に資する住環境整備を図り、また、都心部空洞化現象に対しては、再開発を行うことで中心部の低密住宅地を高度利用し、住宅供給戸数の増加、都心部の人口回復を図るなどの施策が必要であります。
特に、議員ご指摘の市外流出世帯の本市への呼び戻し対策といたしましては、Uターン等による他都市からの本市への居住を希望する世帯に対し、特定公共賃貸住宅を建設して一定の優先枠を設けるなど、あるいは家賃補助制度等の財政的支援の導入、さらに、市街地周辺・近郊における低廉でまとまった規模の住宅の確保など、本市独自の住宅政策の検討を行い、その構築に向けて努めてまいりたいと思います。
なお、議員ご指摘の提案であります市外より長崎市内へ通勤される皆さん方に対して住宅政策に対する意向調査を行う考えはないかという件につきましては、私ども内部で前向きに検討させていただきたいと思いますので、ご理解をお願いいたしたいと思います。
最後に、市有墓地条例の見直しと管理体制につきましてお答えをいたします。
市有墓地につきましては、浦上墓地、昭和墓地、住吉墓地、家野墓地、大浦国際墓地、坂本国際墓地の計6カ所、1,776区画でございます。
市有墓地の管理につきましては、これまで議会におきましていろいろとご指摘を受け、改善を図っているところであります。特に、平成5年度におきましては、墓地の管理の不適格さや条例の見直し等の指摘を受け、これに対して墓地利用者の把握調査を進め、平成6年9月議会において、外人墓地を国際墓地に名称変更するとともに、墓地使用料の改定のための条例改正案を上程し、承認を受けた後、同年12月より調査で判明した18の空き区画を一般公募し、ことし1月には抽せん会を開催し、3月までには貸し付けを終了しております。
しかしながら、調査の過程において、墓碑は建っていても祭祀者がどうしてもつかめない区画があります。これについては、墓地の祭祀を行う継承者が既に転出等により本市に居住していないものと思われます。これらについては、現在も調査を継続中であり、不明者の把握に努めているところであります。調査の結果、どうしてもわからないものが出てきた場合は、埋葬されている遺骨の保管場所等の難しい問題もございますが、墓地、埋葬等に関する法律による改葬公告も含め検討していきたいと考えております。
以上、本壇よりの答弁とさせていただきます。=(降壇)=
14 ◯44番(小林駿介君) 明快な答弁をいただきまして、ありがとうございました。
少々、再質問をさせていただきたいと思います。
総合運動公園の整備の状況ですけれども、1期工事は、努めて平成9年度の完工。そしてその間、逐次各施設においては供用開始をしていきたいと明確なご答弁があったわけでございますが、例えば19面のテニスコートにおきましては、平成8年8月の供用開始ということを明言されております。これについても、その期限が守れるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
もう一つは、松山平和公園内にある市営テニスコートでございますが、これは市の中心部にありまして、大変利便性も高いところから、ほぼ毎日と言っていいくらい中学生、高校生あるいは一般のご婦人、さらには高齢者に至るまで大変利用度の高いコートでございます。総合運動公園のテニスコートが開設後に、例えば都市整備の上から何らかの変更を加えるということになれば、これは市民が最も身近なテニスコートとして慣れ、親しんでおりますし、また、そういう場を決して奪うことがあってはならないと私は思いますが、それについて、松山の市営テニスコートについては存続はどうなのか、確認をしておきたいという具合に思います。
それから、大型施設の管理運営費のチェックでございますが、これは市としてもいろんな大きな問題がありますので、何か内部のチェック機関を設けて、そしてまた、市の運営の方から別の機関を設けるというおつもりはないのかどうか、お尋ねをしたいという具合に思います。
それから、市立図書館の件でございますが、3校統廃合に絡みまして、地元意見を尊重するということは、よく理解をしておるつもりでございます。しかしながら、それによって、仮に市立図書館の建設が別の方向に向かうというようなことがあれば、これは多くの市民の皆様が願う図書館がまた遠のくことでございます。
現在でも、既に何回もこの市立図書館の建設については場所が変遷をしております。茂里町から新興善の方に移りまして、そして建設の年度も当初から比べれば、また平成15年まで待たなければならないと、こういう具合になっております。少々不安な点もございますので、この際、市長の明快な答弁をいま一度求めたいという具合に思います。
それから、ただいまの住宅政策につきましては、市としても、本格的に市外流出の皆さんを呼び戻す、あるいはUターン就職者の皆さんに対して家賃のいろんな補助なり助成なり、そういった住宅政策の新しい施策を打ち出していくという答弁がございましたので、大変心強く思った次第でございます。これはぜひとも進めていただきたいと、このように思います。
さて、本日の長崎新聞を見ましたところが、県有墓地、面積1万4,000平方メートルが長崎市に移管をするという記事が載っておりました。私も初めてこれを目にしたわけでございますが、例えば、このことによって市の方の合意は既に得られておるのかどうか。あるいはまた、これを引き受けた場合に、メリット、デメリットがどういうふうになるのか、それについてお聞きをしたいという具合に思います。
以上、再質問しますので、よろしくお願いします。
15 ◯都市計画部長(坂本昭雄君) 柿泊の総合運動公園のテニスコートの完成、これが間に合うのかということでございますけれども、私どもとしましては、平成8年8月、これは日・韓・中ジュニア交流のテニス大会がございます。これに向けまして全力を挙げているところでございますので、間に合うということで進めさせていただきます。
それと2番目の松山の既存のテニスコート、中心部で非常に利用価値が高いということがございますけれども、基本的には、これは将来の課題となりますけれども、平和公園の基本計画、これにつきましては陸上競技場等を含めまして、市民の憩いの広場あるいは森ということで私ども基本計画の中では位置づけております。ただ単なるレクリエーションのスポーツ活動だけではなくして、市民の散策あるいは散歩など緑がある広場、そういうもので位置づけをしておりますので、そういう基本理念に基づきまして、関係機関との協議を進めながら、今後進めさせていただきたいという考えでおります。
以上です。
16 ◯財政部長(浜崎省吾君) お答えいたします。
第3点目の大型施設の管理体制、つまりチェック等について別の機関にお願いする考えはないかというご質問でございますけれども、長崎市におきましては、現在建設中でも12の大型施設がございます。そのような施設等につきましては、今後とも全体的な使用料等ランニングコストにつきましては3年から4年周期で内部でいろいろ調整し、一定の見直しを図っているところでございます。また、類似都市等の施設との均衡もございますので、現段階では内部でもろもろそのような事務的な処理等については対応してまいりたいと、このように考えております。
最後に、きょうの新聞に載っておりました県有墓地の移管についてでございますけれども、確かに昨日、県議会の厚生委員会で長崎市への移管というようなご意見があったということを報道されておりますけれども、市としては、本件について、これを受けるとか、受けないとか、そういった具体的な最終的な回答はいたしておりません。少なくとも、長崎市といたしましては、最悪の場合、これを受ける場合には、これに要する財源、人的なもの、そのような諸条件をどのような形で県の方で考えておられるのかということは、まだ全然聞いておりませんし、原則としては、今の段階では受けるというような考えは持っておりません。
以上でございます。
17 ◯市長(伊藤一長君) 小林議員さんの再質問にお答えをさせていただきたいと思います。
図書館の問題でございますけれども、新興善小学校が3校の統廃合という形で、育友会の方々も含めまして、ああいう大変苦しい決断をしていただきまして、私も心から関係者の皆様方のご労苦に感謝を申し上げている次第でございます。
そういうことでございまして、図書館の問題もある意味では白紙に戻ったというふうな理解を実は、私もしております。あくまでも、本壇でもお答えいたしましたように、3校の統廃合のそことの話し合いという問題もございますでしょうが、いずれにいたしましても、新興善の方の関係者の方々の考えとしては、跡地をどうするか協議の機関をつくって、いわゆるそういう跡地利用を検討していただきたいということでございますので、図書館の問題につきましては、大切な課題ではございますけれども、今後、どういった形になるのかというのは、まだこれからの課題になるというふうな形に私も受けとめております。
18 ◯44番(小林駿介君) やめようと思ったんですが、今の市長のご答弁で質問をさせていただかざるを得ません。
市立図書館の建設につきましては、これまで何度も、また、多くの議員から、この図書館建設を、しかも、なるべく急ぐようにということであったはずでございます。例えば地元の声、これを重視しなければならないということはよくわかりますが、では逆に、長崎市全体として、こういった社会教育的な施設である市立図書館の建設はしなくていいのか。これまで多くの市民の皆さんが図書館建設を願ってきておる声は、ではどうなるのか。
その辺について、私は、教育長並びに市長の今回の変節とまでは言いませんけれども、大きな政策の転換とも言うべきご発言には納得しがたいものがございます。その点について、私は、市立図書館とほかの施設が例えば併設をされるという、そういった施設の変更であれば、私は了としたいと思いますが、これは長崎市立図書館がさらに平成15年を待っても建設のめどが全く立たなくなると、このように理解をしなければならないのかどうか。もう一度、市長にお尋ねをしたいという具合に思います。
それから、コンピュータ教育の点についてでありますが、私も大変嬉しく思いました。淵中学校が全国100校の1つに選ばれてインターネットが結ばれておるということで、私も学校に行ってまいりました。そこで、率直な担当の先生のご意見、学校側のご要望でございますが、ご承知のように、NECのパソコンが教室に配備をされているわけでございますが、コンピュータというのは今、非常に進んでおりまして、年々あるいは半年で機種が変わります。
そういったことで、淵中学は英語の教育も熱心だったと、あるいはコンピュータの教育も熱心だということで当初の台数が、平成2年度に一度に22台のコンピュータが投入をされておるわけでございます。そして、それぞれ導入年度によって機種が違うわけです。平成2年度はPC9801-DSと、私も詳しくはわかりませんけれども、平成3年がPC9801-DS、平成4年度がPC9801-FS、平成5年度がPC9801-BX、平成6年度はPC9821-AS、こういう具合に機種が変わってくる。
これが何を意味するかといいますと、実は、その淵中学校に入りましたインターネットが、その教室のパソコンと結べないという事情があるわけなんです。
そこで、実際の問題として、これは2年間の研究になっているそうでございますが、それを本当に生かすとすれば、例えば淵中学校では、その機種を交換をしてあげるとか、あるいは補完をしてあげるとか、そういった手立てをしてあげなければ、せっかくのインターネットが皆さんの授業にはうまく応用できないという実は事情が発生をしているわけでございます。
こういったこともございますし、インターネットにもっともっと関心、または理解を深めていただくためにも、何らかのそういった方策が必要ではないかという具合に思います。
それから、都市計画部長にお尋ねしますが、憩いの場にするということで、松山の市のテニスコートは、総合運動公園のテニスコートが完成後はつぶすと、こういう具合にお教えになったわけですが、私は、そのスポーツの場は、長寿社会の中でこれまで苦労されてきて、そして余生を楽しまれる最も憩いの場になっているのも、スポーツの施設に当たるのではないかという具合に思います。
例えば、散策をするのであれば、すぐその隣には皆さんが整備をされた浦上川もございます。そういったことで、私は、あそこにあえて森をつくるとか、緊縮財政あるいは金がないと、厳しいと言われる中で、そういう施設を壊して新たな財源を投入するのではなくて、今あるこの施設を有効に多くの方に楽しんでいただくと、その方がはるかに有効ではないかという具合に思います。いま一度、都市計画部長の見解を質したいと思います。
19 ◯都市計画部長(坂本昭雄君) 松山の運動施設等につきましては、平和公園の整備が1期、2期ということで将来的につながってきます。そういう整備の状況とあわせて既存の施設、これも45万の都市にどれだけの施設が要るかというのも一つの指標となりますし、長崎の潤いのあるまちをつくっていくためには、浦上川の緑の河川敷、こういう修景も十分大事でございます。そういう意味で、聖域化問題あるいは平和公園の基本計画というものが策定されています。
そういう中に、レクリエーションのみならず、いわゆる平和を希求するそういう緑の広場、そういうものが都心部には不足しておりますので、非常に大事だと思っております。
そういう意味で、その時点におきましては、当面は今の施設を存置しておきますけれども、将来的には、そういう国家百年の大計を見ながら都市の形成を図っていかなければならないと、そういう考え方でおります。
20 ◯教育長(五貫 淳君) 市立図書館の建設推進の問題でございますが、これは地元との新興善の校区との今までの協議の場におきましては、地元の考えといたしましては、市は、白紙撤回をすべきだということを再三にわたって申し入れがありましたけれども、私どもの立場といたしましては、白紙撤回はできないということを明確に回答してきているわけです。
ただ、先ほど市長が申し上げましたように、新興善小学校区の同意を得る過程の中におきまして、賛成と反対の差が僅差であったということから、同意の意思表示後、去る11月15日付をもって新興善小学校区の育成会から要望事項が文書で出されております。それにつきましては、跡地利用についても触れておりまして、跡地利用について、市立図書館案は見直しし、新たに地域の意見が反映できる協議機関を設置されることを要望いたしますという内容でございますから、市が考えている図書館設置を跡地利用の焦点に絞って、市がこれを強引に推し進めるということができないというふうな事態が生じたということで理解をしておりますので、その点ご了承いただきたいと思います。次に、コンピュータのインターネットとの接続の問題でございますが、淵中学校におきましては、通産省のモデル事業としての採択を受けまして、中学校1校のみに接続可能な状況を整備した経過があるわけです。
したがいまして、まだ全小中学校についてインターネットとの接続をどうするかという問題につきましては、市長の答弁にもありましたように、設備とか運用の経費等、そういったものにつきまして慎重な検討が必要であるという考え方でございますので、ご了承を賜りたいと存じます。
以上です。
21 ◯44番(小林駿介君) もう終わりにしますが、国家百年の大計と大上段に言われたんですが、国家二百年の大計から存続をぜひとも要望しておきたいという具合に思います。
それから、淵中のインターネットの問題につきましては、通産省の導入がたまたま1校選ばれたということは、私もよく理解しているつもりでございますので、すべての学校のコンピュータについて、直ちに更新を云々ではなくして、せっかく今、淵中に入りましたインターネットの設備と既存の配備していただいているコンピュータの機種が古いために整合性がない。そこに対しての手立てを何らか考えていただけないかと、こういう趣旨でございますので、ご理解のほどをよろしくお願いします。
それから、図書館の件でございますが、大変重要な問題であると同時に、非常に困難な問題を抱えているということは私も理解をしておるつもりでございます。どうか、市立図書館の建設を一日も早く望む声は強いんだということをよくよくとらえていただきまして、そして、その中で難しい交渉事になろうかと思いますが、そういった声を最終的に無視するような結果にならないように、さらに市長並びに理事者の皆様のご努力を心からお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
大変ありがとうございました。
22 ◯議長(中野吉邦君) 休憩いたします。
午後は1時から再開いたします。
=休憩 午前11時48分=
───────────
=再開 午後1時6分=
23 ◯副議長(下条文摩左君) 休憩前に引き続き会議を開きます。36番池本敏典君。
〔池本敏典君登壇〕
24 ◯36番(池本敏典君) 質問通告に基づきまして、質問をさせていただきます。
本年5月2日、伊藤市長が就任され、はや7カ月が経過をいたしました。漏れ聞くところ、就任以来、1日も休みなく公務に多忙を極めておられる市長の毎日に敬意を禁じ得ません。
さて、私が今回市財政をどのように認識されておられるのかお尋ねしますのは、市長が、長崎を経済活性化による街づくりをしようという、そういう市政刷新の意欲を訴えられ、市民の大多数の方々の支持を得て市長に就任されましたが、本市財政の厳しさ、硬直性は予想を越えるものと認識されたのではないかと思うからであります。
そのために、
行政改革推進本部を設置され、事業の見直しや再点検に着手されているようですが、本市の財政の建て直しにどのような手腕を発揮されるのか。私を初め市民は期待を持って見守っているところであります。
このような前提に立ちまして、本市財政に対する市長の現状認識についてお尋ねをいたします。
国においても1990年度の赤字国債発行ゼロから、現在は公債依存度20%程度に達しております。それは貿易立国である日本経済だけが肥大化し、アメリカとの貿易摩擦が顕在化するとともに、急激な円高、市場開放を求める声を背景に、日本企業の工場の海外シフト化がなされ、国内関連企業への不況、失業等による国民所得の伸び率低下、消費の低下や税収不足が国の財政運営に大きなファクターを与えているというのが、私の現状認識であります。そのために、国の財政の現状をみますと、平成7年度の公債残高は約216兆円に達する見込みでありますし、税収も平成6年度決算において4年連続減少するなど深刻さを一段と増しております。その影響は、当然ながら地方財政にも大きくかかわっており、来年度は、
地方交付税が3年連続で著しい不足になるとも聞いております。これに制度減税による減収が加わるなど、これからの地方財政折衝が地方自治体の予算編成にとりまして大きく影響することは避けられないところであります。
このような中、本市の財政状況をみますと、市税の伸びが全国平均を下回っている一方、公債費など
義務的経費は増高している厳しい財政環境にあることを認めざるを得ません。特に、今回の国勢調査での人口減少による本市財政への影響、市税の減収等や落ち込みなど、ますます困難な財政運営が予想されます。また今後、平成9年4月1日を目指しての中核都市への移行に伴い多額の経費を要することもありましょう。
そこで、以上の状況を踏まえ、市長にとって最初の本格予算編成となるわけですが、現在の
公債費比率、
起債制限比率、
経常収支比率、
財政力指数などの状況を示していただき、現状の本市財政状況をどのように認識し、今後どのように対処していかれるのか、お尋ねをいたします。
次に、行財政改革の推進について。
さきにも触れましたが、市長就任7カ月余り、本市財政の厳しさを身をもって感じられているのではないかと推察するものであります。そこで、市長の政策スローガンである市役所の仕事を見直し、民間委託や市民サービスの向上に努めるといった政策を打ち出すために、本年8月28日、市長を本部長とする長崎市
行政改革推進本部の設置をみたのではないかと思われます。また、設置目的として、地方分権の時代にふさわしい、簡素で効率的な
行政システムの確立と自立性、自主性の強化を目指した行政運営の改革を推進するとうたわれております。まさしく時宜を得た、また、市長の行動力をも示された政策ではないかと大いに期待をしている者の一人であります。
しかしながら、行革をやったからといって、突然まとまった財源が生み出されるというものではなく、問題は金額の多寡ではなく、計画性、継続性をもった取り組みの中で、直接、間接に市民サービスの向上が求められるものであります。幸いにも平成8年は、基本計画の見直し時期でもあり、平成9年4月の中核都市へ向けての作業中でもあり、市長の強力なリーダーシップのもと進めていただきたいと、そう思うものであります。
そこで、推進のための方策として、まず事務事業、組織機構の見直しについて。例えばごみの収集運搬業務の委託化については、事業系ごみの取り扱いや資源ごみ、粗大ごみなど、ごみの種類によって委託範囲の拡大を検討すること。また、直営収集地域の見直しにより業者委託の地域を検討すること。また、ごみや下水の処理場についても、管理監督を行うために必要な最少の職員を残し、施設の維持補修などに係る業務は、すべて委託を検討すること。浄水場においても、そうであります。道路の維持業務については、原則として業者の請負工事とすること。公園の維持管理業務については、都市整備公社などの活用を図るなどして適正に管理すること。このほかにも庁舎や施設の維持管理に係る業務や一般の行政事務についても委託することの可能なものが多数見受けられるところであり、その点、漏らさず検討いただきたいと思うのであります。
また、これら効率化を推進する中で、組織機構の見直しに当たっても十分検討されるよう望むところであります。端的に申し上げて、今の市役所の組織は、市民にとって非常にわかりにくくなっております。確かに、庁舎自体が効率性を妨げるという要素もありますが、組織の名称を聞いても、その課が何をするところなのかわかりにくかったり、同じような仕事なのに別々の部局に分かれていたり、市民が窓口に来て手続きを行う場合に、当然その他の手続きをしなければならないといった内容があるわけですが、その手続きを受け付ける課がなぜか離れた場所に配置されているなど、どう考えても役所の都合だけで組織機構が決められているのではないかと思うものであります。
また現在、国においては盛んに規制緩和が叫ばれておりますが、役所の仕事の中には手続きなどを簡素化できるものがまだまだ多数残されていると思います。
このように、現在進められている見直しの中には、業務委託などによる削減といった内容だけでなく、事務的な仕事のむだについてもあわせて点検し、効率化に向けた検討を進めていただきたいと思います。実は、このような取り組みこそが、国、県からの権限の移譲や中核都市への移行など地方分権の流れの中で必要な取り組みではないかと感じるからであります。しかし、自分の仕事に気づくということはなかなか困難な作業でありまして、その意味からも経営感覚をもった職員の育成に努めていただきたいと思います。
今までも申し上げた事項のほかにも多くの改善点がありますが、いずれにせよ、今は
行政改革推進本部で事務事業の見直し作業が進められている段階であり、また、質問の時間も制約がありますので、とりあえずは、この程度にとどめることにし、この件に関する理事者の答弁を求めることは差し控えたいと思います。
しかし、これまで私が申し上げた事務事業などについては、十分検討いただくよう要望し、また、そうされることを信じつつ、具体的な項目についての質問に移らせていただきたいと思います。
とりあえず、ここでは市長の取り組みに当たっての基本的な考え方を重ねてお示しをいただきたいと思います。
具体的取り組みとして、まず福祉行政について。
福祉行政を取り上げましたのは、高齢化に向けての財政改革とでもいいましょうか、福祉行政のあり方をもこの際再検討する時期にきたのではないかという考えのもとにお尋ねをいたします。
それは、我が国の世界に例をみないほど急速に人口の高齢化が進行しております。現在、国民の7人に1人が60歳以上のお年寄りですが、21世紀には4人に1人がお年寄りになるという事態が来るのであります。このような状況の中で、本市が平成5年度に策定された長崎市老人保健福祉計画によると、平成2年における長崎市の総人口44万4,599人で、そのうち65歳以上の人口は5万6,261人、高齢化率にして12.7%であったのですが、平成12年にはおよそ17.9%になると予測されております。また、同計画を実現するために必要な事業費といたしましては、老人ホームヘルプサービス事業、老人短期入所事業、老人デイサービス事業のいわゆる在宅福祉3本柱だけをとってみても、平成5年度実績の3億2,200万円から目標の11年度には18億9,700万円が必要であると試算されております。これは5年度実績の約5.9倍となるもので、このうち市の一般財源だけを比較しても約5.5倍の増が見込まれております。この中には、施設整備費用等は含まれておらず、しかも、在宅福祉3事業だけの試算であることを考えると、その総額は膨大になるものと思われます。
そこで、こういった事態に対処していくためには、事務事業の見直しが必要であると考えるものであり、私としては、次のような具体策を講じる必要があると思いますが、これに対する所見なり、考えをお示しいただきたい。
まず第1点目は、従来の福祉施策の見直しに取り組むこと、特に、要援護老人等に対する在宅福祉対策を強化するために、限りある財源の有効な使い方として、東京都が平成8年度から実施するとしているように、長寿祝金のばらまき福祉をやめ、その財源を真に需要が大きい分野で効果的に使うやり方に変えたらどうか。また、福祉対策の充実強化と効率化を図る上で民間活力を積極的に導入し、日見やすらぎ荘及び乳児院を民営化する考えはないか、お尋ねをいたします。
第2点目として、要援護老人の多様化するニーズにきめ細かく対応するために、保健・福祉の連携を強化していく必要があり、将来的な保健・福祉の組織統合を見据えた、その間の当面の措置として、高齢者の保健・福祉の相談に親切でわかりやすく、一体的に対応できる相談窓口を設置する考えはないか、お示しをいただきたい。
次に、福祉行政という関連から、同僚議員からも先刻お尋ねがありましたが、保育所への入所については市町村において決定されており、公立も
民間保育所も同じ条件のもとで措置されているところであります。一方、その保育に要する経費としては、一定の基準による単価で児童数に応じた措置費というもので運営されているところでありますが、聞くところによると、
民間保育所と
公立保育所の運営においてさまざまな面で格差が生じているところであります。
民間保育所においては、措置費のみにより運営がなされておりますが、公立においては大幅な市単独予算の持ち出しにより運営がなされているようであります。このことは、何が原因かと探ってみるとき、一部保育料への持出額があるにせよ、そのほとんどが人件費において民間との格差によるものであります。「保育に欠ける」を保育するという条件が同じであることを考えあわせるとき、この際、思い切って
公立保育所の民営化について検討する考えはないか、お尋ねをいたします。
次に、教育行政について。
小中学校の統廃合と公立幼稚園の統廃合について。
中央3小学校の統廃合問題が惹起してから、はや8年が過ぎようとして、やっと解決の同意が得られたようでありますが、今後、学校の統廃合がさらに推進されるのか、また、統廃合の基準などの基本的な考え方があるのか、お尋ねをいたします。
ここで言う私の統廃合は、本市の経済社会の変化の背景に、市街地形成も大きく変化し、人口動態も人口の高齢化が急速に進んでいるとともに、世帯分離による核家族化の傾向などさまざまな要因によって、児童生徒の人口動態のドーナツ化現象によって、市街地学校においても過小規模校、小規模校の実態を見るにつけ、小中学校の適正規模及び適正配置について検討する時期にきているのではないかと思料するからであります。本来、学校教育の目的は、社会の中で独立した個人として生活し得る一人ひとりの能力や適性を可能な限り伸長させることであり、つまり、個人の知的、身体的、情操的な発達における調和と統一を図ることが学校教育の大きな目標と言われております。この目的を達成するには、一人ひとりの個性の伸長が児童生徒の集団の中で行われ、お互いに切磋琢磨し合うことを重視すべきであり、この目的をより効果的に果たすには一定の教育集団としての学校規模を確保することが条件でなければならないと思考するものであります。
そこで、小規模校等の増加の実態に立ち、通学区域を含めた学校の適正化の観点からも学校の統廃合の基準、基本的な考え方があるのか、お示しをいただきたい。
次に、市立幼稚園3園の統廃合の見通しの件でありますが、私自身、幼児期の教育には生涯にわたる人間としての健全な発達を図り、社会の変化に対応する能力を培う上で基礎的なものであり、生涯学習の基礎を培う観点から重要な役割を果たし、保育料が私立の3分の1で、低所得者の入園要望に応じられるということは十分理解しておりますが、現在の長崎市内における幼稚園の状況は、国立・県立各1園と市立3園、私立54園であり、しかも、その充足率は国立が91.3%、県立64.2%、市立41.7%、私立70.4%で、私立の幼稚園が主要な役割を担っていることは周知の事実であります。
このような状況から、市立幼稚園3園の統廃合をする考えがあるのか、お示しをいただきたい。
次に、病院事業について。
病院事業の経営内容については、特別委員会において種々論議がなされているところであり、今さら言及いたしませんが、九州横断自動車道のアクセス道路、田上常盤町線建設計画に伴い、今後新しい市立病院の建設が考えられますが、現在の地域医療を勘案し、どういう病院が必要なのか指針を示していただきたい。
また、新しい市立病院建設計画の中では、高度医療の実施など公的病院の果たす役割や診療科目、ベッド数などの検討も行われていると思われますが、その内容についてもお示しをいただきたい。
なお、新しい市立病院では医療事務など維持業務を積極的に民間活力の導入を図っていくべきと思われますが、その点についても考えを示していただきたい。
最後に、財政の効率的運営につきましては、先ほどの質問とも重複しますが、地域経済の活性化への方策など問題は山積する中で、地方分権の推進は地方の行政責任の増大につながってまいります。行政改革の諸方策はなかなか一朝一夕にできるものではないと思うものであります。効率的な財政運営には歳出面での見直しは当然のことながら、財源の確保による余裕ある財政運営が前提であると思います。
財政改革は、良質な一般財源の捻出と効果的な財源配分に尽きるかと思いますが、市税の徴収率向上、各種補助金等の見直し、使用料・手数料の見直しのみならず、他の方策も検討してみてはいかがかと思うのです。例えば現在、非常に弾力性に乏しい本市財政状況を改善し、より効率的な財源配分を行うための自主財源を捻出する上で、昭和57年度から積み立てられている減債基金の効果的な活用により、
経常収支比率の改善、
起債制限比率の抑制などが図れると思うのであります。単に、減債基金を大型事業の財源として使うのではなく、本来的な目的である公債費の抑制などに活用すべきではなかろうかと思うものであります。
厳しい財政状況の中でも鋭意積み立ててきた減債基金を有効に活用していくことは、他の行政改革の推進をより効果的に行うためにも非常に重要な施策であると考えます。
市長として、このような方策に取り組まれるお考えはないのか、お尋ねをいたしまして、本壇からの質問を終わらせていただきます。=(降壇)=
25 ◯副議長(下条文摩左君) 市長。
〔伊藤一長君登壇〕
26 ◯市長(伊藤一長君) 池本敏典議員さんのご質問にお答えをいたしたいと思います。
冒頭に過分なごあいさつをいただきまして、大変恐縮をしております。これからも一生懸命頑張りますので、ご指導のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、第1点の市財政の現状認識についてお答えをいたします。
市財政の現状認識につきましては、池本議員ご指摘のとおり、市税が伸び悩む一方で、歳出では確実に人件費、扶助費、公債費の
義務的経費の増加が見込まれ、現下の厳しい財政状況は今後も継続することは確実であります。ちなみに、平成6年度決算では
財政力指数は0.641、
経常収支比率は89.3%、
起債制限比率は13.1%となっており、
財政力指数と
経常収支比率につきましては、硬直化した本市財政構造を示しております。また、
起債制限比率につきましては、現在はまだ余裕ある指数を示しておりますが、これも現在進行中の大型事業の影響で、平成10年度以降は15%を超える可能性がございます。
そこで、今後は減債基金の効率的活用を図り、
起債制限比率の上昇の抑制、ひいては
経常収支比率の改善につなげてまいりたいと考えております。
財政力指数は、市税収入に大きく影響を受けるものでありますので、今後は、市税の徴収率向上に努めるとともに、税源の確保のためより活性化につながる施策の展開を図るなど自主財源の確保に努めたいと考えております。
次に、行財政改革の推進につきましてお答えをいたします。
まず、行政改革を推進するに当たっての基本方針であります。
高齢化社会の到来や地方分権という制度改革という大きな流れの中で、今回の行政改革においては厳しい財政状況への対処だけではなく、行政事務のあり方を問い直し、そのことを通じて市民の負託に応え得る自主的、自律的な執行体制の確立に努める必要があります。
そこで、議員ご指摘の内容についても、現在進めております事務事業の見直し作業の中で、例えば既に所期の目的を達成したにもかかわらず、なお継続しているものや、施設、制度等の利用状況が極めて低く、公平・公正な立場から判断し、廃止・縮小しても市民生活に大きな影響を与えないものなどの見直しを図ることといった留意事項をチェックリストなどによって示すことにより、統一した判断に基づき、各推進部会ごとに検討作業を進めているところでございます。
なお、来年9月を目途に策定することとしている
行政改革大綱の中で、明確な基本方針を掲げ、その基本方針に基づき具体的な事務事業の効率化を進めてまいりたいと考えております。
また、今回の
行政改革大綱では、5カ年の実施計画を定めるとともに、事業の進行管理については、議会の皆様方を初め次年度当初に設置を予定している市民等の代表者からなる委員会に対しても、その進捗状況を報告する中で、行政改革の推進に努めてまいりたいと考えております。