伊那市議会 2024-06-18
06月18日-02号
令和 6年 6月 定例会 令和6年6月
伊那市議会定例会会議録 (5-2)1.開会 令和6年6月18日(火曜日)午前9時30分
---------------------------------------2.出席議員の氏名(21名) 1番 池上 謙 2番 伊藤のり子 3番 唐木 拓 4番 小池 隆 5番 篠塚みどり 6番 高橋 姿 7番 高橋明星 8番 三石佳代 9番 湯澤 武 10番 吉田浩之 11番 小林眞由美 12番 田畑正敏 13番 原 一馬 14番 三澤俊明 15番 宮原英幸 16番 白鳥敏明 17番 二瓶裕史 18番 野口輝雄 19番 唐澤千明 20番 飯島光豊 21番
柳川広美--------------------------------------- 欠席議員の氏名 なし
---------------------------------------3.説明のため出席した者の職氏名 市長 白鳥 孝 副市長 伊藤 徹 教育長 福與雅寿 総務部長 城倉 良 企画部長 飯島 智
文化スポーツ部長 飯島伸一 市民生活部長 柴 公人 保健福祉部長 村松義隆 農林部長 松本直也 農林部参事 下島 聡 商工観光部長 重盛 巧 建設部長 橋爪 豊 建設部参事 柴田周二 水道部長 伊藤一真 教育次長 三澤 豊 会計管理者 河上千鶴子 高遠町総合支所長 福澤 清
長谷総合支所長 篠崎和博 危機管理監 埋橋
進---------------------------------------4.職務のため出席した事務局職員 事務局長 白鳥英一 次長 井口大輔 庶務係長 竹中恵子 主査 守屋奈央 主査
福澤優子---------------------------------------5.議事日程 日程第1
会議録署名議員の指名 日程第2 一般行政に対する質問について
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△開議 午前9時30分
○議長(田畑正敏君) おはようございます。 先日までの真夏日がうそのように、今日は低気圧や前線の影響による雨のため、4月並みの気温のようであります。本日から3日間の一般質問、その後、委員会審査と続きますが、体調管理には十分留意していただき、
ベストコンディションでの対応をお願いしたいと思います。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お配りしてあります議事日程表によって議事を進めてまいります。
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△
会議録署名議員の
指名 ---------------------------------------
○議長(田畑正敏君) 日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。本日の
会議録署名議員は18番、野口輝雄議員、19番、唐澤千明議員を指名します。
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△一般行政に対する質問について
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○議長(田畑正敏君) 日程第2、一般行政に対する質問に入ります。質問通告者は19名であります。 質問順序は抽せんで決定した順序で行います。 池上謙議員の質問に入ります。 1番、池上謙議員。 (1番 池上 謙君登壇)
◆1番(池上謙君) おはようございます。1番、池上謙です。 私は通告してあります国土交通省の
天竜川水系河川整備計画に
戸草ダム建設という文言を明記する要望についてと、長野県関係機関等との
戸草ダム建設に係る意思疎通と国への要望活動のさらなる強化について、2点を一般質問させていただきたいと思います。 最初に、国土交通省の
天竜川水系河川整備計画に、「
戸草ダム建設」という文言を明記する要望についてです。 いよいよ今年も梅雨入りの季節となりました。関東甲信地方は梅雨入りの平均は6月7日だそうですが、今年は各地で真夏日が続き、中には35度を超える猛暑日となったところもあり、平年よりだいぶ遅れているようであります。 梅雨の時期の災害といえば、昭和36年の梅雨前線豪雨による災害、いわゆる通称三六災害と呼ばれておりますが、特に長野県南部の伊那谷など、天竜川流域に河川の氾濫や、土砂災害による甚大な被害を受けたことで全国に広く知られ、日本の災害史上に残る大惨事となりました。 昭和36年は6月9日に梅雨入りしましたが、実際は好天候が続き空梅雨が心配される状況にあったようです。同月23日頃から熱帯低気圧の北上に伴い、梅雨前線もようやく北上、活発化し、東北から九州までの広い範囲に雨が降り始めました。当初は恵みの雨とも見なされましたが、翌24日から本州南岸に停滞した梅雨前線は、熱帯低気圧から発達した台風6号の接近に伴い、26日頃より四国、近畿、東海、甲信、北陸、関東各地の44都府県に大雨をもたらしました。6月末から7月初めに一旦弱まったものの、7月3日から5日にかけて東北や九州にも大雨を降らせて、その後ようやく収束しています。 全国の被害は消防白書によると、死者302名、行方不明者55名、負傷者1,320名、家屋の全壊は1,758戸、半壊は1,908戸、床上浸水7万3,126戸、床下浸水は実に34万1,236戸にも上ったようです。 伊那谷の被害としては6月27日、飯田市では当時の6月の平均降雨量230ミリをはるかに超える、降水量325.3ミリを1日で記録。下伊那郡清内路村では、一日降水量が587ミリにも達しました。 これまでの雨で天竜川とその支流には、崖崩れや土石流などにより大量の土砂が流れ込み、支流からのあふれ水が本流の堤防を反対側から破壊したり、本流の川底が急激に浅くなり、各所で水が堤防を越えるなどの事態となりました。飯田市などでは川に流れ込んでいた流木が、下流の決壊箇所から市街地になだれ込んで被害が拡大、飯田盆地の広範囲が水没いたしました。また、下伊那郡大鹿村では大西山が崩壊し、大きな災害となりました。長谷地区も当然のことながら、甚大な被害を受けました。長谷の奥浦集落、戸草集落では壊滅的な被害を受けました。奥浦集落は国有林からの木材生産を中心に24戸が生活していましたが、三六災害により、集落のすぐ下の土地が地滑りを起こしたため、やむなく全戸が移転し、江戸時代から続いた約300年の歴史に幕を閉じました。また、三峰川沿いにあった戸草集落では、全4戸が流出してしまいました。 南アルプスの仙丈岳の山懐に抱かれて、遠くに塩見岳を望み、眼下に三峰川の流れと瀬音を聞きながら、春若葉、夏は青葉に包まれて、秋ともなれば錦絵に、冬来たりなば梢に雪の花が咲く、四季折々に代わる風土の中で林業関係の業務に励み、焼畑を耕し、五穀を栽培の傍ら、山菜・山栗・川魚・野ウサギ・
ニホンジカ・イノシシ・熊など天与の食物に恵まれながらも、厳しい自然環境の中で営々としてたくましく、そしてむつまじく、楽しく支え合って暮らしてきました。 塩平・平瀬を取り巻く広大な林野も、戦前・戦後の乱発により、三峰川上流の大横川、小横川、南北荒川、大黒沢などの各支流が山崩れや洪水により氾濫し、鉄砲水となって三峰川に合流し、近年だけでも昭和34年、36年、昭和57年、58年と三峰川は大氾濫し、人家を襲い、道路も各所で決壊し崩落し、塩平・平瀬は陸の孤島となって、下流域の支援により生計を維持した厳しい時期もありました。 時あたかも、天竜川の氾濫の元凶となっている三峰川の
砂防治水利水計画が具体化され、戸草地籍に
戸草ダム建設を柱とした
三峰川総合開発事業が起業され、平成4年度から水没地の用地買収が始まりました。「住めば都」の言葉のとおり、他人から見れば不便な土地に見えても、先祖の努力の上に築かれた土地、歴代の祖先がおわす墳墓の土地、一木一草から野生動物までが共に暮らした土地、そして努力と汗の結晶で築いた住み慣れた家屋、今は亡き祖父母や両親、そして兄弟の香りの残っている家、集落のよりどころであり少年期を共に集い、学んだ分校も水没することになりました。そして、それぞれの家庭が、新天地に明るい希望を抱いて、名残を惜しみながら住み慣れた土地を後にして三々五々旅立ち、
戸草ダム本体工事の着工を待つのみでありました。 しかし、世相の変化による時の流れとともに、長野県の工業用水と発電用水が不参加となり、待望久しかった
戸草ダム建設計画は、変更を迫られる極めて厳しい事態となりました。 せめて生きている間に、山峡に出現する戸草ダムの満々と水を湛えた晴れ姿を一目でも見たかったと嘆いた古老も、今は亡き人となってしまっております。最盛期の浦集落には70戸ほどの民家があり、昭和43年までは学校、旧伊那里村奥浦分校がありました。当時の浦区は非常に活気があり、長谷村内の区の対抗駅伝が行われた際には、浦区は毎年優勝するなど、どの区にも負けない勢いがあったことを私も覚えています。 しかし、現在の浦区は都会からの転入者を含めても5戸となってしまい、限界集落と化して区の運営はできず、区の機能は消滅しています。長谷地区には美和ダムより上流に杉島区、市野瀬区、中尾区と三峰川沿岸に集落が残っております。いわゆる旧伊那里村地区でありますが、長谷村になった合併時の人口は、国勢調査人口で昭和35年4,655人が、今月6月1日現在の
住民基本台帳人口では1,555人と、3分の1にまで極めて減少しています。伊那里地区全体が限界集落と化する危険性もあります。 長谷地区の過疎の原因は、三峰川の氾濫のおそれが大きく影響していると思います。一刻も早く戸草ダムを建設し、安心安全な地域であると確信できるよう、早急な整備をお願いしたいと思います。 国土交通省の
天竜川水系河川整備計画の変更は、昨年12月の長期的な
天竜川河川整備基本方針の公表に基づき、今後二、三十年程度の中期的な
具体的整備メニューの内容を定める計画として、この4月その原案が公表され、先月16日、
天竜川上流河川事務所による計画内容の地元説明と意見聴取が行われました。 近年の異常気象変動により、激甚化・頻発化する水災害に対処するため、今回この整備計画の変更のポイントとされたのは、一つ、
整備計画目標流量の変更、二つ、失われるなどした河川環境の創出、3、流域治水を踏まえた流域対策の推進との説明でありました。
整備計画目標流量の変更では、さらなる河道掘削や
既存洪水調節施設の最大限活用と
洪水調節機能の強化、土地利用を踏まえた
流域治水対策などの被害軽減対策を行うとしています。 河道掘削は河道内の土砂を掘削することで、川の断面積を大きくして水の流量を多くすることで、水の流れを良くするとします。天竜峡基準点での河川整備流量が、毎秒500立米追加され、4,500立米とされました。この項目は大いに河川整備予算を確保し、早急な危険箇所の改修に御尽力をお願いしたいと思います。
既存洪水調節施設の最大限活用では、美和ダム・小渋ダム・佐久間ダム等、「既設ダムの事前放流、操作方法の見直し、治水・利水の貯水容量の再編等について調査検討を行い、必要な対策を実施します。」とあります。この項目は確かに、既設ダムの下流域で生活する大半の住民にとっては、とても大事な整備メニューであると思います。しかし、ダムの上流域で暮らす長谷や大鹿村の住民とっては、既設ダムの調整ではその効果は全くありません。 次の項目、「さらに
洪水調節機能の増強が必要な場合には、既設ダムの放水能力の増強・堤体のかさ上げ。」とありますが、このことについても、ダム上流域では全く効果がありません。ただ唯一期待できるのは、「新設ダム等に関する調査・検討を行います。」とあります。ダムの上流域にとっては、さらに
洪水調節機能が必要な場合に該当しますので、検討するもなにも絶対に新設ダムの建設が必要であります。 我が長谷地区におきましては、「新設ダム」という文言には非常に期待を膨らませております。もちろん「新設ダム」とは戸草ダムを指す言葉として受け止めてはおりますが、明記はされておりません。
伊那市役所多目的ホールで開催された
天竜川上流河川事務所の
河川整備計画地元説明会において、私も「
戸草ダム建設」を計画に明記するよう要望しましたが、
国土交通省自体はおおむね理解はしてくれていると思いますが、予算確保の関係で財務省がなかなか縦に首を振らない、固有名詞を明記することはできないようであります。したがって地元要望はしましたが、年内の整備計画公表の時点では、「戸草ダム」が明記されることはないと感じています。このことは国土交通省が財務省に対して説明不足であると言わざるを得ません。 それと説明会でもう一つ気になったのは、「新設ダムの調査検討を行います。」の文言です。国土交通省は、「既設ダムの調査検討をしてから、新設ダムが必要かどうかの調査検討を行う。」とのことで、「これから30年の間に調査検討を順次進めていく。」とのことで、まだまだだいぶ先の話に聞こえました。
つまり新設ダムは、今回の変更計画の案の中では、30年先に先延ばしする案であるとも取れます。 既設ダムの上流域には、新設ダムは絶対必要ですので、「戸草ダム」を明記し、早急な工事着工を目指してほしいものです。 6月7日の長野日報の新聞記事によると、今月6日に名古屋市で開かれた
天竜川水系流域委員会に、住民意見聴取後に変更を加えた原案を示し、了承を得たようであります。
パブリックコメントは聞いたにもかかわらず、変更原案には「
戸草ダム建設」の明記はなく、最初に示した原案の微修正にとどまっていたようです。原案の了承をした流域委員会の決定にも、私は憤慨しているところです。 そこで
三峰川総合開発事業促進期成同盟会の会長である市長は、今回の
天竜川整備基本計画の提示に関して、いかように感じておりますでしょうか、お願いいたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 議員御指摘のとおり、6月6日に開催されました
天竜川水系流域委員会で示された整備計画の変更案に、「戸草ダム」は明記はされておりません。 国土交通省の皆さんも、戸草ダムの必要性につきましては、
パブリックコメントや住民説明会でのそうした意見などから、地域住民の切なる要望であるということは十分理解をしていただいていると感じております。
洪水調節機能の強化につきましては、既存ダムを最大限に活用した事前放流、また操作方法の見直しなどの調査検討を行って、さらに増強が必要な場合には、新設ダム等に関する調査検討を行うとされております。その新設ダムが戸草ダムということは、私どもは理解をしているところであります。 この戸草ダムにつきましては、民有地のほぼ100%の用地の取得が済みまして、工事用道路の一部も整備をされているなど、ほかの新設ダムとは異なる歴史、また大きな利点があるのも事実であります。 早期に調査検討が行われて、新設ダムとして戸草ダムの必要性が示されるよう、県や流域市町村と連携をして、引き続いて要望していく考えであります。
○議長(田畑正敏君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) それでは、2点目の質問に入ります。 長野県関係機関等との
戸草ダム建設に係る意思の疎通と、国への要望活動のさらなる強化についてであります。
天竜川河川整備基本計画は今後、長野県知事等の意見を聞いて年内に計画を変更するようです。そこで、
天竜川河川整備計画の変更は、長野県の関係機関や市町村、林野庁、環境省等国の関係機関の意見も聞いて集約されるわけですが、今後は
三峰川総合開発事業促進期成同盟会の要望活動が鍵を握ることになると思います。今後も非常に関係ある方々の御支援をいただいて、ぜひ戸草ダムを早期に着手する方法を御検討いただき、要望を上げていただかなければなりません。 また、
流域治水対策としても、南信地区の絶大なる市町村の協力も得なければなりません。市長として、
三峰川総合開発事業促進期成同盟会の会長として、早急にこれら県の関係機関等との意思疎通を図るとともに、国に対して要望活動をさらに強化する必要があると思いますが、お考えはいかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君)
三峰川総合開発事業促進期成同盟会には、上下伊那の
天竜川沿線市町村長に会員になっていただいております。令和5年2月には、各市町村議会の議長さんの皆さんにも加盟をしていただいて、組織の強化を図ってまいりました。また昨年8月には、上下伊那全市町村の議長の皆さんに現地見学、現地の視察をしていただきました。今年の2月の要望活動には、同盟会の正副会長に加えて、上伊那及び
南信州広域連合の議会の議長さん、それから商工会議所、土地改良区、地元の
地域対策協議会の代表の皆さんと一緒に、長野県、
国土交通省中部地方整備局そして国土交通省の本省、地元選出の国会議員の先生のところに要望活動を行ってまいりました。 諏訪地域におきましては、令和4年11月に
諏訪湖流域治水促進期成同盟会が結成され、天竜川上流域が一体となって、戸草ダムの建設必要性について要望活動を行っております。 今後でありますが、7月22日、23日に
天竜川上流治水促進期成同盟会と合同で国土交通省、財務省、国会議員の先生への要望を予定しております。また、
天竜川水系流域委員会の動向を注視しながら、状況に応じて要望活動をしっかりと行っていく考えであります。
○議長(田畑正敏君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) ありがとうございました。ぜひ、今後も要望活動が計画されているようですので、しっかりと要請をしていただきたいと思います。 平成13年7月、長野県知事から工業用水と戸草発電所の
ダム使用権設定の取下げが申請が行われ、事実上戸草ダムが中止されてから、既に23年が経過しております。 今回の
天竜川河川整備計画も、新設ダムが今後30年間、調査検討だけに終われば、53年間という実に半世紀以上もの間、戸草ダムには手がつけられないことになってしまいます。今後、この計画の変更は、長野県知事等の意見や、国の関係機関の意見を聞く最後のチャンスでありますので、
戸草ダム建設に向けて、各機関早急に御検討をいただき、「30年後には戸草ダムを完成させる」という文言に計画変更していただきたいと思います。ダムが立派に完成し、私もその姿が見られるように、一刻も早く
戸草ダム建設が実現するよう願うものです。無理押しを申し上げておりますが、私と地元の切なる思いを述べさせていただいて、私の一般質問を終了といたします。 ありがとうございました。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、池上謙議員の質問を終了いたしました。 引き続き、湯澤武議員の質問に入ります。 9番、湯澤武議員。 (9番 湯澤 武君登壇)
◆9番(湯澤武君) 9番、湯澤武です。事前の通告に従いまして、戸草ダム、観光、教育の大きく三つの質問を進めてまいります。 初めに大きな一番、流域治水の強化と、
戸草ダム建設推進についてでございます。梅雨の時期に入りました。先ほど池上謙議員からもお話があった後、こうやって質問ができること、大変に光栄に思っております。 国土交通省は6月6日、
天竜川水系流域委員会に、「
天竜川水系河川整備計画の変更案」これを示し、了承をされました。
戸草ダム建設は新たな段階を迎えたと思っております。変更案に係わり3月21日、国と県や上伊那、下伊那、諏訪地方の自治体で作る
天竜川上流流域治水協議会は、近年の気候変動に反映させた、さらに対策を強化推進しようと
流域治水対策の全体像を示し、「
流域治水プロジェクト2.0」に更新をいたしました。 「2.0」では、台風により河川氾濫が多発した昭和58年、1983年と比較して、2024年頃には降雨量が約1.1倍、流量が1.2倍、洪水発生頻度が2倍になるとした試算を反映させております。 そこで伺います。三峰川を抱く伊那市としまして、この「
流域治水プロジェクト2.0」は、市民の防災・減災に対してどのような意味を持つのでしょうか、市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 「
流域治水プロジェクト2.0」でありますが、気候変動に対応した治水対策をまとめたものでありまして、天竜川の上流域について令和6年3月21日に公表をされました。
流域治水プロジェクトでは氾濫を防ぐ、減らす、被害対象を減らす、被害の軽減、早期復旧、復興の3本の対策で構成されておりまして、防災・減災にあらゆる関係者が取り組むプロジェクトであります。伊那市におきましてもできることから、水害対策に取り組んでいるところであります。 天竜川と天竜川最大の支流であります三峰川が流れる伊那市にとって、治水対策これは非常に重要でありまして、引き続いてあらゆる国・県、関係機関と連携をして取り組んでいくつもりであります。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 2番、具体的に伺います。 2024年の想定からしますと浸水世帯、これが従来の想定よりもかなり増えるということでございますが、この伊那市の浸水のリスクまた面積、戸数はどれほど増えるとお考えでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 橋爪建設部長。
◎建設部長(橋爪豊君) 3月に公表されました「
流域治水プロジェクト2.0」の資料によりますと、世界の平均気温の上昇を2度に抑える想定では、2040年頃には降水量が1.1倍、洪水発生頻度が2倍になると試算をされております。 伊那市の浸水面積や浸水世帯数は公表されておりませんけれども、天竜川上流域で約1,625世帯が浸水するとされております。 この「
流域治水プロジェクト2.0」で目標とする事業が実施されれば、浸水被害はおおむね解消されるとされております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 流域全体ではございますが、1,600世帯を超えるこのリスクを持っている、浸水のリスクを持っている、大変大きな数字でございます。 3番、その対策について具体的に伺います。 伊那市は公園、校庭等の雨水貯留施設の整備と設置の促進、これを対策メニューに盛り込んで取り組んでおります。 写真はこの家庭用の140リットル、これは雨水を溜めるタンクでございますが、このような説明もいただいております。具体的な計画、取組、これについてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
○議長(田畑正敏君) 橋爪建設部長。
◎建設部長(橋爪豊君) 令和4年度から市内の建築物に、雨水貯留施設を設置する個人の方に対しまして、予算の範囲内で補助金を交付しております。 補助金の額ですけれども、設置に要する費用、購入費及び工事費の2分の1に相当する額で、タンク容量が100リットル以上、500リットル未満のものは2万5,000円、500リットル以上のものは5万円が上限となっております。 交付の実績ですけれども、令和4年度は500リットル以上の2件を含めました15件に対して32万2,000円。令和5年度は500リットル以上2件を含めた26件に、48万6,000円を交付しております。今年度分は3件申請がございまして、5万4,000円の申請を受け付けております。 また令和5年度から市の公共施設への設置も行っており、伊那北保育園、上の原保育園の2か所に設置し、令和6年度は3か所に設置する予定でございます。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 本当にこの雨水を活用するということで、大きく見ますと流域治水の大切な取組となると思いますので、ぜひとも今お取り組みいただいているように、公共施設に状況に合わせていろいろな家庭菜園でありますとか、また公共施設の花壇の水やりですとか、様々なことに活用できると思いますので、重ねて推進をお願いしてまいります。 4番、さらに伺います。田んぼダムを活用した雨水調節機能、この確保さらなる推進とありますけれども、その検討内容はいかがでしょうか。 例えば将来、東春近の東原地区の圃場整備が進んでおります。そうしたところで、大規模な取組でありますけれども、そこに自動排水栓の活用によるスマート田んぼダムの検討もできるのではないかと、そのように考えますが、市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この
天竜川水系河川整備計画におきましても、田んぼダムの取組が明記をされております。静岡県の菊川市における実証実験も、紹介されているということであります。また天竜川上流水系の「
流域治水プロジェクト2.0」においても、田んぼダムのさらなる推進を図るとしております。天竜川と三峰川の合流点に位置をする伊那市におきましては、流域治水それから地域防災の観点から、田んぼダムの取組というのは重要という認識でありますが、このことについても所有者の理解がなければできないということであります。 御指摘の東原地区の圃場整備事業におきましては、一定規模の取組面積が確保できますので、田んぼダムに取り組む効果が高いと考えておりますが、事業主体の長野県、また地元の実行委員会とも相談しながら、進めてまいりたいと思います。 この自動排水栓を用いたスマート田んぼダムにつきましては、施設管理との調整それから維持費用、機器の操作の運用などについても留意すべきことがございますので、十分に検討した上で進めていく必要があるという考えであります。 先ほども申しましたけれども、田んぼダムの取組、これは農家あるいは耕作者の理解や協力が必須でありまして、どのように取組を広げていくのか、関係者とよく相談をしながら進めてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 私も地元でありますので、今後丁寧にいろいろな関係機関等ともまた相談をしながら、皆さんで力を合わせてまいりたいと考えております。 続きまして、この危機管理課のほうでございますけれども、4月15日待望の「伊那市防災アプリ」、この新規導入をしていただきました。写真を見ていただきますと、皆さんも御活用いただきますように、様々な、今まで分かれていた内容が、一つのこのリンク集として一目瞭然でございます。 次は防災地図で、皆さんの御家庭に配られているものでありますけれども、これが浸水範囲がきちんと色分けをして示されている、こういったものもはっきりと活用ができます。 これは、災害疑似体験のARと言われているもので、現在雨量から天竜川のこの浸水想定が示されて、河川の氾濫前に避難行動につなげられる河川の状況把握、危険把握に役立てることができます。 伊那市は浸水想定範囲が大変広域でありますので、個人や家庭、近隣地域でこういったアプリを活用して、これは少し避難が必要だと、そういうタイミングにおいて、自主判断に大変役立つものだと思っております。 これは雨が降っていない頃だったのでこのぐらいではございますけれども、本当にあっという間に雨が降りますとこのくらい、さらに田原のほうへ行きますと、ここにもう出ないぐらいあふれてしまいます。 5番、そこで伺います。市長のこの防災アプリのを使い勝手につきまして、その感想と今後の普及についてどのようにお考えでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この防災アプリでありますが、議員紹介の防災地図、災害体験AR、こうしたもののほかにも、防災行政無線の放送内容が文字と音声で確認できるお知らせ機能とか、雨量や河川水位がリアルタイムで確認ができる伊那市防災気象情報、また伊那市の防災情報をまとめた伊那市の天気など、情報収集が非常にしやすくなっておりまして、使い勝手はとても良いと感じております。 市民の皆さんはもちろんでありますが、遠方にいる家族とか親戚の皆さんにもぜひダウンロードしていただいて、災害時はもちろん平時から伊那市の状況確認に活用をしていただければと思います。 今後につきましても、「市報いな」、また「いーなチャンネル」などによって広く周知をしていくとともに、防災「おでかけ講座」などにおいても、ダウンロードの方法、また各種防災情報の見方など防災アプリの効果的な活用方法をお伝えしてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 私もこのサイトができまして、本当に活用がスムーズにいっておりますし、今御指摘のように遠方の親戚、また伊那市を訪れていただく、そういう旅行関係、お仕事関係の皆さんも、大いに活用していただきたいなと感じております。 そこで次に伺います。天竜川水系は広域に渡っている中でその協力体制、そういったものがどうしても必要でございます。主導は国交省や県となるかと思いますけれども、伊那市がリードをしてどのようにこの広域でつながっていくか、将来的には企業や大学等との連携、協力の体制づくりが問われていると思います。 6番、そこで伺います。伊那市の持つ市民の連帯の強さ、また新産業技術等の強みを生かしながら、今後広域ではどのような協力体制を構築し、リードしていくお考えか御所見を伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 令和2年からあらゆる関係者が協働して、流域全体で流域治水を計画的に推進していく、
天竜川上流流域治水協議会が設置をされております。この協議会では、天竜川沿線全ての自治体と国土交通省、長野県が構成員となっておりまして、随時、
流域治水プロジェクトの情報共有あるいは流域治水に関して必要な事項の協議、このことを実施をしているところであります。 三峰川に関しましては、三峰川上流域で行われます防災関連事業を円滑に進めるために、三峰川上流域事業連絡会というものを設置しております。 この連絡会の構成でありますが、
天竜川上流河川事務所、天竜川ダム統合管理事務所、南信森林管理署、環境省伊那自然保護官事務所、上伊那地域振興局、そして伊那建設事務所の各長の皆さんで構成をされておりまして、合同で現地確認を行ったり、それぞれの機関の工事の状況のほか、現状についての情報共有というものをしております。 また民間でありますけども、沖電気工業株式会社の協力をいただいて、天竜川・三峰川の水位の上昇の予測、またため池への監視カメラの設置など、水害防止対策の実験も行っていただいております。この取組が流域市町村に広がることも視野に入れての取組ということであります。 今後につきましても、天竜川上流地域治水協議会、また三峰川上流域事業連絡会と連携を図りながら、三峰川が流れる伊那市として、天竜川の流域治水にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 企業の皆さんにも様々な取組に挑戦をしていただいているということで、その御努力に感謝を申し上げたいと思います。 さて、この天竜川水系の河川整備計画については、
パブリックコメントがありまして、6月6日変更案が公表されました。変更案には市民の理解と協力、既設の美和ダムや小渋ダム等の治水機能、その増強検討調査、必要な対策を実施するとあります。 またさらに
洪水調節機能の増強が必要な場合には、新設ダムに関する調査検討を行うと明記されているということであります。伊那市としまして、近年の出水状況、気候変動の変更による激甚化、頻発する水災害に対応するため、一日でも早くこの新設ダムの調査検討が行われますよう、国交省への全面的な協力とともに、三峰川上流・下流域の市民が一体となって、
戸草ダム建設推進に進むべきであります。 7番、そこで
戸草ダム建設による地域づくりの視点から伺いたいと思います。 例えば、戸草ダム歴史の語り部講演会や、三峰川流域での氾濫を収める祭等が幾つかあることを知りましたが、そうしたものの歴史講座、また親子、家族を対象にした三峰川水辺散歩教室、小中学校での総合的学習の取組など、あらゆる角度から
戸草ダム建設へ市民意識のさらなる向上に取り組むべきと考えますが、市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) これまで長谷の公民館では、三峰川の歴史についての講座を開いたり、秋の文化祭では国土交通省で持っている三六災の写真、あるいは美和ダムを建設する当時の写真、こうしたパネルを展示をしております。 また長谷小学校では総合的な学習の中で、美和ダム管理支所や建設中だった美和ダムの再開発事業のストックヤードの施設、あるいはバイパストンネルなどの見学も行ってきております。市民団体であります三峰川みらい会議におきましては、これまで三峰川の源流体験とか、三峰川ウオーキングなどの活動を通じて、次世代に誇れる三峰川の創造というものを目指して、活動を継続していただいております。 昨年6月に開催されました三峰川フォーラムでは、三峰川上流域をドローンで撮影をした映像を流して、戸草ダム計画の現状、これをテーマに勉強会が開催されました。天竜川流域は古くから幾度となく大水害に見舞われてまいりました。莫大な被害をこうむった歴史があり、国や県によって流域全体の安全対策のために、上流域において美和ダムをはじめ様々な治水対策、防災対策を実施をしてきていただいております。災害の歴史、あるいはダムの果たす役割など、
天竜川上流河川事務所などと連携をして、流域の皆さんにも広く知っていただく機会を作ってまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) これまでも取り組んできている状況をお話しいただきました。この市役所のロビー等でも取組をされてきていると思いますが、ぜひこうした梅雨の時期等良いタイミングで、この戸草ダム、またそのこれまでの歴史等々、見やすい展示をまた検討していただければと考えております。 この戸草ダムの建設は、その経済効果もあるかと思いますが、まちづくり、この市民一体となるまちづくりの推進へ大きな機会となると信じておりますので、よろしくお願い申し上げます。 これまで質問してまいりましたように、
流域治水対策を十分行った上で、2倍となる洪水リスクをどのように改善できるのでしょうか。諏訪湖から静岡県までの流域10市12町15村の安心安全を、どのように守ることができるのか。天竜川最大支流の三峰川治水は、その責任を持つ伊那市の大きな役目を担っていると思います。戸草ダムの必要性は、ますます高まっております。 写真を御覧ください。これは国交省が作成した望郷の里平瀬・塩平からの家族写真でございます。本当に仲むつまじい生活があったと見させていただきました。地域の文化がありました。地域の皆さんが、家族同様に力を合わせて暮らしていた様子を拝見をいたしました。 最後に伺います。戸草ダムの言葉にできない深く厳しい歴史を思いますとき、
天竜川水系河川整備計画の変更案に、「戸草ダム」との
名称が堂々と示されなかったことは、多くの市民の皆様や関係者の皆様とともに、痛恨の思いであります。しかし、どのような状況がありましても、堂々と戸草ダムの名を掲げ、次なる段階へ着実な前進をすべきと思います。30年前、
戸草ダム建設のために移転をされた97名の方々の思いを胸に刻まれる、白鳥市長の御所見を伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 先ほど池上議員の質問でもお答えをしましたけれども、整備計画の変更案の中では、既存ダムを最大限活用した事前放流、操作方法の見直し等の調査検討を行い、さらに増強が必要な場合には、新設ダム等に関する調査検討を行うということであります。その新設ダムがイコール戸草ダムということは、自明の理でありますが、新たに長谷に設置されました
天竜川上流河川事務所長谷分室におきまして、新設ダム等に関する調査検討が既に実施をされているということでありますので、早期にそうした方向に行くということを期待をしております。 戸草ダムで水没する地域に暮らしていた皆さん、先祖代々引き継いできた貴重な土地、これを下流域の安全のために譲っていただいて、移転をしてもらったわけであります。移転をしていただいた97名の皆さんの思い、またそのほかの皆さんもたくさんおりますので、そうしたことについてはしっかりと受け止めているわけであります。 気候変動を踏まえた雨量などの調査検討が実施をされれば、戸草ダムの必要性というのはもう明らかになってくるという考えであります。伊那市を含めた三峰川及び天竜川流域に暮らす住民の皆さんが、安心をして安全に暮らしていくためにも、
戸草ダム建設これは流域全体の市町村の願いでもありますので、しっかりと連携して引き続いて強く要望してまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 力強い答弁をいただいたと思っております。 ここで関連質問で一つ伺いたいと思います。今後でありますが、長野県にさらなるこの戸草ダムの建設への理解を深めていただくことが大切だということは、先ほどの池上議員の答弁にもございました。 そこでです。良いタイミングで、長野県知事と長谷対策協議会の皆さんとの懇談会を、当地で御検討いただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 戸草ダムの要望につきましては、今年の2月の頭に知事のところに、それから建設部の長のところに持っていって、しっかりとお願いをしてまいりました。その後、国のいろいろな河川整備計画等がありまして、その前には河川の基本方針の変更がありましたから、そうしたものを踏まえて、取りあえずこの方向というのは示されてまいりましたので、時期を見て県のほうにも要望をして、知事とそうした懇談ができる、そんな機会を取れればと思っておりますので、努力してまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 先ほど市長からのお話もありましたが、下流域の皆様のために移転された方々の、その思いを学ばせていただいた今回の質問でございました。私自身もしっかり胸に刻んで取り組んでいく決意を込めまして、次の質問に移りたいと思います。 次に大きな2番目、教育移住・教育旅行におけるブランド化と、伊那谷フィルムコミッションの強化について伺います。 人々のライフスタイルや働き方の変化、今後のリニア中央新幹線開業、三遠南信自動車道開設に向けて、伊那市の交流人口、関係人口の創出についての質問をさせていただきます。 伊那市観光の目的ですが、一つは市民の幸福度が向上することにあり、もう一つは、伊那市の魅力資源をどう活用して、来訪者の誘客や満足度向上につなげていけるかにあるかと思います。伊那市に求められる消費者の動向を把握しつつ、地域が官民一体となって未来のありたい姿、これを描きながら、その実現に向けて取り組む必要があると考えております。 伊那市は移住関係人口の創出や、促進のためのマッチングサービス「SMOUT」による移住アワード2年連続全国1位となりました。関係機関の御努力を高く評価いたします。 また地域ブランディング事業推進の強化のために、5月には地域ブランディングアドバイザーとして、柘植伊佐夫さんが就任をされました。 1番、そこで伺います。「SMOUT」の評価や柘植さんの任命などから、市長は伊那市のブランディング向上へどのような方向と期待をお持ちでしょうか、御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市には「ひと・こと・もの」など多様で豊富な地域資源がございます。現状として、これらの魅力を地域の皆さん、あるいは企業、団体、行政などがそれぞれ発掘、発信をしているところであります。 また統一的なイメージ、あるいは伊那市らしさというものが定まっておりませんので、地域住民の皆さんがその魅力や価値に気づいていないということも言えるかと思います。 こうした中で、伊那市が独自に持つアイデンティティを明確にし、先を見据えた唯一無二のブランドの形成を行うために、昨年度新たに地域ブランド推進係を設置いたしました。これ伊那市にしかない魅力を創り上げていく中で、戦略的に浸透をさせて差別化を図るということとともに、地域内外に認知、拡散、活用されることを目指しております。 御指摘のように先月7日でありますが、伊那市芸術文化大使で人物デザイナーの柘植伊佐夫さん、この柘植さんに伊那市ブランディングアドバイザーを委嘱をしております。これは事業の連携、調整あるいは効果的な推進を図るということとともに、柘植さんの持つ知見、また豊富な経験などから俯瞰的に、あるいは包括的に御助言をいただくということによって、ブランド力の強化を通じて、関係人口・交流人口の拡大につなげていこうというものであります。 伊那に暮らす人々が地域ブランディングの主役であって、訴求ターゲットでもあります。市民の皆さんの郷土愛が醸成されて、暮らしの豊かさを実感できる地域ブランドを形成をして、伊那市の魅力の再発見あるいはシビックプライドの醸成を図りながら、自分事として関わりを持つことで市民活力を最大限に引き出しながら、つながりができる展開となっていくことを期待しております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 唯一無二のブランディング、私は避暑地効果のある伊那市、また観光要素を重ねましたときに、教育移住に向けた教育旅行や教育キャンプの拡大は、一つの大きな可能性を持つと考えます。伊那市や伊那谷の自然とそこに住む人々、特に教育資源、教育実践の様子、そうしたものを魅力としてさらに発信することは、さらなる教育移住にもつながっていくと考えております。 2番、そこで伺います。ふるさとワーキングホリデー、ワーケーション事業、伊那で育てる保育・教育、農林業体験などを組み合わせたスタイルを検討し、教育移住、あるいは教育旅行・教育キャンプをさらにプロモーションしてはいかがでしょうか。地域ブランドを推進していく伊那市において、将来的にこうしたコンテンツを含めたプロモーション計画を展開する必要があると考えます。 また、8月に伊那市で初開催となるサマースクール「HLAB SHINSHU2024」にも、新たな刺激をいただけると期待をしております。あわせて市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 先ほどの答弁でもお伝えをしましたけれども、自然環境とか農林業の営み、またそれらの暮らしと近いということに加えて、伊那市の特徴的な保育とか、あるいは教育環境というのは注目をされております。近年は教育に関するニーズが大変多くなっているということであります。 ふるさとワーキングホリデーとかワーケーションについては、都会に暮らす方々が一定期間、実際に伊那で働きながら生活をし、伊那ならではの様々な体験とか交流を通じてつながっていくということで、また訪れたい地として関係人口の創出、あるいは増加にもつながっていると思っております。 今年度、伊那市で開催されます初めての開催でありますが、全国の高校生向けのサマースクール「HLAB SHINSHU2024」でありますが、これ商工会議所と伊那市が連携をして進める事業でありまして、伊那市の高校生も含めて、全国から80名の高校生、それから国の内外50名の大学生、国内の大学生が30名、海外からの大学生が20名のようでありますが、こうした皆さんが伊那市を訪れて寝食をともにしながら、様々なプログラムを実施していく。また企画についても進めていくということで、たくさんの若者が、この地域で伊那市を見つめるということで、非常に多感的な視点から伊那市の魅力の発信、発掘につながっていくだろうということで期待しております。 これらの取組でありますが、伊那市のファンとか、あるいはサポーターなどの関係人口の創出ももたらすということと、議員がおっしゃっておりますように、伊那市らしい特徴的な学び、活動というものが魅力として注目されていくだろうということであります。 伊那市が魅力あるまちであり続けるためには、まずここに住む私たちがその魅力や暮らしの豊かさを実感をするということ、そしてそれらが地域内外の人々に伝わっていくことで、感動や共感が生まれて、再び訪れたい、あるいはここに暮らしたいというそうしたものにつながっていくということを、期待をしております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) この伊那市の持つ温かい人々による癒やしの力、また蘇生する力、そういったものがこの教育旅行、教育移住等に込められていけるということを願っております。サマースクールについてはぜひとも継続をして、来年、再来年と継続していくこと、そしてそれが伊那新校や総合技術振興の土台を支える力になっていくことを願っております。 さて、二十数年にわたる伊那谷フィルムコミッションの皆様の努力が、今大きく花を咲かせ始めております。伊那市でロケを行った作品が次々と放映、公開されておりまして、4月から、石原さとみさん主演のテレビドラマ「Destiny」が放映されました。5月末からは、生田斗真さんの主演映画「告白 コンフェッション」が公開、6月7日からは杏さんが主演の「かくしごと」が公開、上伊那唯一のレトロな映画館、旭座で「かくしごと」が多くのお客様を迎えてを封切をされました。 そこで伺います。それぞれの撮影における経済効果はどのくらいあったのでありましょうか。また、伊那谷フィルムコミッションの令和5年度の実績はいかがでしょうか。市長の伊那谷フィルムコミッションへの期待も含めて、伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 重盛商工観光部長。
◎商工観光部長(重盛巧君) フィルムコミッションにつきましては、映画やドラマ、CMなどあらゆるジャンルに対するロケ地紹介、また地元調整などを行っております。また宿泊や弁当業者の皆さんなどを御紹介することによりまして、経済効果も期待できるとともに、エキストラの確保など交流人口の増加も図られ、大きな経済効果が得られていると考えております。 具体的に経済効果が問われております。宿泊やお食事などの直接的な経済効果といたしましては、例に挙げていただいております「Destiny」であれば約150万円、「告白」は約250万円の経済効果と試算をしてございます。「かくしごと」につきましては伊那市が舞台でもありまして、撮影準備や撮影に約3週間ほど要しておりますので、約900万円以上と試算をさせていただいているところでございます。 令和5年度の問合せ実績でございますが、69件のお問合せをいただき、映画が5件、ドラマ7件などを含め、合計で21件の撮影が行われております。主なロケ地といたしますと入笠牧場でありますとか、千代田湖など伊那市らしい自然豊かなロケ地と、通り町商店街など風情ある町並みがその舞台となってございます。 伊那谷フィルムコミッションのメンバーにつきましては、伊那市の魅力を映像などにより広く発信をしてくれております。今まで築いてきました人脈等を大切にしていただきながら、今後もメンバー内で連携して、継続的に活動を進めてもらいたいと考えております。 以上でございます。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) はい、ありがとうございます。本当に私自身、フィルムコミッションの皆さんとお話をしていて感じることは、この伊那市の人柄、おもてなしの力を持って、この縁の下の力持ちとなって、この多くの撮影を支えているところでございます。そうした姿から監督さんが、伊那市の全てを気に入っていただいて、次々と映画の舞台となるようにつながっていると感じている次第でございます。 次に、4番目にいきたいと思います。戦略でございますけれども、大切な点は、この配給会社による全国公開イベントに合わせて、地元も事前のPRを行うのはどうか。また終了後、ロケ地マップの作成や、常設展示、ロケ地の巡回ツアー、舞台挨拶や講演会などを行っていくことに力を入れるべきと考えますけれども、御所見を伺いたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この伊那谷フィルムコミッションでは、市民ホールに常設展示として最近撮影が行われた映画のポスターとかドラマのポスター、また出演者のサインも展示をしております。長野県信州フィルムコミッションネットワークが長野県内のロケ地、長野県内のロケ映画のポスターパネル展というものも開催をしておりまして、県内で撮影が行われた映画のポスターの展示、撮影の支援を行う県内のフィルムコミッションの活動、こうしたものも県民の皆様に知ってもらう機会となっております。 また昨年の3月25日でありますが、伊那市出身のKing Gnuのメンバーの一人として活躍をしております伊那市出身のアーティスト、井口理さん初主演の映画「ひとりぼっちじゃない」という映画の追加舞台の挨拶を、配給会社とそれから伊那谷フィルムコミッションが協力をして、先ほどの伊那旭座で実施をいたしました。大変多くのファンが伊那市を訪れ、経済効果とか関係人口の増加というものにつながっていると思います。 また平成24年のドラマでありますけども、「ゴーイングマイホーム」この放映に合わせて、ロケ地ガイドを作成、配布をしたり、平成25年にはこれまでのロケをまとめた「伊那谷ロケぶらり」というものも作成をしております。今後もホームページ、あるいはフェイスブックなどのSNSを活用して、ボランティアスタッフの募集とか、あるいはロケ情報というものを積極的に発信をしたいということとともに、配給会社等と連携をしながら、交流人口の増加を目指してまいりたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) はい、ぜひともそこで今予算づくりのほうにお話を持っていきたいと思うわけですが、5番です。ぜひ予算化の検討をお願いをしたいと思います。 来年度は、県の地域発元気づくり支援金の申請も含めて検討してはいかがかと思いますけれども、市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 平成20年に、伊那谷フィルムコミッションの活動を開始をしてから、たくさんの撮影などを支援をしてきております。これまでもロケ地マップを作成をしておりますが、近年多くの撮影が市内各所で行われておりますので、ロケ地伊那としてのネームバリューを高めるためにも、マップの更新が必要となってくると思います。 またロケ地を新たな観光資源として発信をしていくということも、重要であろうかと思います。こうした情報発信等によって、さらにロケ地としての採用が増えていくことを願っております。 ロケ地のマップでありますが、観光誘客の手段として重要なアイテムとなるということも考えられますので、長野県元気づくり支援金などの活用も検討しながら、財源の確保というものをしてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) はい、前向きな御回答ありがとうございます。 この質問の最後ですけれども、やはり職員体制の強化、これが大切かと思います。諏訪圏のフィルムコミッションの方ともお話をしてまいりましたけれども、上伊那、伊那市の取組大変高く評価をされていらっしゃいました。伊那市の市長のフィルムコミッションへの信頼度は、先ほど答弁からあったように、大変熱いと感じております。全庁でこの希望する職員が、フィルムコミッションの活動に従事していけるようにしていくことも重要かと思います。また、個々の職員の意欲や、希望を尊重する組織体制を構築しながら、職員の主体的なキャリア形成の支援がなされれば、さらに強くなっていくと考えるわけでございます。 例えば、長野県庁では令和5年6月から創造的活動支援制度、いわゆる20%ルールを導入されておりまして、勤務時間の20%までを自分の所属課以外の業務に充てることができ、手を貸してほしい課が募集をかけ、参加したい業務があれば申請する仕組みだそうです。この制度によりまして、職員の持つ見識や経験、専門性、主体的なキャリア形成の支援、また社会情勢の変化に迅速に対応する創造的かつ柔軟な組織体制の構築を目指す、そういった導入をされております。 6番、そこで伺います。伊那市の組織として、職員の人材育成の観点からも、こうした制度を導入し、フィルムコミッションにもさらに参加しやすい組織づくりの検討を期待をしております。市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この伊那谷フィルムコミッションでありますが、平成20年10月、当時伊那市の職員、今、議員やってる吉田さんあたりを中心に組織がされまして、これは自主研修制度というものを活用をして、職員有志で庁内FCの研究会を設置をしたことがきっかけであります。 現在、職員18名で組織しておりまして、活動参加これは職員の意思によって行われておりまして、職務ということではなくて、職務専念義務免除ということで対応しております。 この伊那谷フィルムコミッションの優位性というのは、単に伊那市だけではなくて、伊那谷というくくりの中で広く捉えております。そうしたこともあって、プロジェクトチームとして活動をしているために、人事異動の影響を受けにくいということ、また制作関係者あるいはリピーターとのつながり、あるいは信頼関係というのが、個々でも築けるということ。他のFCと比較をしても、このフィルムコミッションに携わる職員数が多いということ、メンバーの所属部署が多様でありますので、それぞれの部署の知識、あるいは助言を幅広く得られるということで、公共施設の利用に関して利用調整が迅速にできるということであります。 御指摘のように非常に高い評価をいただいているということの背景には、こうした個人のスキルもさることながら、奇跡のフィルムコミッションと言われておりまして、その採用の確率が非常に高いということであります。そのほか、他方ではメンバーの職層とか、足跡の変化に伴って、フィルムコミッションに活動の影響があるということ、また若手職員の育成にも取りかかっていかなければいけませんので、そうした課題もないことはないということであります。 今後、伊那谷フィルムコミッションの持続可能な体制を構築をしていくためにも、他のフィルムコミッションと比較をして優位な部分、これはさらにブラッシュアップをしながら維持をしていく、またその役割をつないでいく後継者の育成というところに、力を注いでいかなければいけないと思います。 また地域おこし協力隊のミッションとして、フィルムコミッションの活動を実施をしている自治体もあるようでありますので、こうしたことも今後検討をしていく必要があろうかと考えております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 奇跡のフィルムコミッションでございます。ぜひとも、この市長の思いを全庁で共有していただきまして、さらなる組織充実に向けていただければと思っております。 それでは、大きく3番の最後の質問に入ります。フィンランド教育から学ぶ、「日本一の学びのまち 伊那市」についてでございます。 前半少し飛ばしますけれども、この伊那市教育は様々な今、大きな節目にかかっております。フィンランド教育から何を学び、どのように進化していくのか、私は好機到来、何よりも子供さんたちが、その進化を待っていると感じております。 1番、そこで市長と教育委員会に、「日本一の学びのまち 伊那市」についてお伺いをいたします。市長には高遠実学とフィンランド教育の共通点「学び方を学ぶ」の観点からお願いできればと思います。教育委員会には、教育現場での実践等も含め、「はじめに子どもありき」についてお聞きできればと思いますので、それぞれの御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) このフィンランド教育でありますが、世界的にも非常に評価が高い国であります。実践的な教育が行われておりまして、前回は訪問したときにはラップランド大学の附属小学校、昨年の10月には、ヘイナバーラ小中一貫校、ここを視察をいたしました。校長先生とか、教諭から直接お話を聞いてまいりました。 フィンランドの教育というのは、試験のための学びではなくて、学ぶことを理解する、これが一番重要であるという捉え方であります。それぞれの学校では、学ぶことを学ぶと、「誰ひとり取り残さない教育」このことがしっかりと実践されております。例えば、授業の中で分からない、理解が進んでないという子がいると、その子供は教室から離れて別の教室に行って、理解できるまで教えてもらうということ。理解をした上で元の教室に戻って、次のステップに行くということ。だから理解をしないまま次の段階に進むということは、全くありません。 またフィンランドでは日常的に森に行き、国の定めた教育課程に沿った学習を行っておりまして、森から多くのことを学んでいる。森そのものが尊敬に当たる場所であるということ。森によって生かされているということを学ぶ、そんな様子が印象的でありました。こうしたことが、学ぶことを学ぶにつながっているのではないかと思います。 また一方では、我が伊那市、高遠藩の藩校でありました「進徳館」、この「進徳館」の教育の中で、識見を高めたものの中に輪講というものがあります。このいわゆるグループ討論でありますけれども、講義を基に質疑とか議論を行って、自らの意見を述べるということ、これが内容の理解がなくてはできないわけでありますので、思考力を高める学びというものを実践をしているという、個別指導によって個々の特性に合った指導方法がされるということ、年下の子供、生徒がいると、年上の生徒がそれをきちんと教えていくという、その繰り返しが「進徳館」教育にありました。 こうしたことに関しては、フィンランドの教育と非常に相通ずるものがあるなと思っております。いわゆる実学の精神であります。教育の原点というのは記憶力ではなくて、やはりこの実践だということが言えるかと思います。自分が社会に役立つにはどのようなことを学んでいくのか、また実学では社会に求められる人間が最も評価されているんだということ。「進徳館」教育の基本でありました実学、それからフィンランド教育の根底にあります「森に学ぶ」という考え、これは共に社会に役立つことに重きを置く学問というものであります。これを伊那市の子供たちにも、小さいうちから身につけてほしいなと思っております。 フィンランドでの森と学び、それから伊那市の学校現場において行われております取組、これ共通する点も非常に多いものでありますので、伊那市の教育現場においてもしっかりと広げてまいりたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 福與教育長。
◎教育長(福與雅寿君) 「はじめに子どもありき」ということで、お答えさせてください。 子供は学ぼう、伸びようとする存在であり、伊那市の教育理念として、御指摘にありましたように「はじめに子どもありき」を掲げ、「学ぶ人に発し学ぶ人に還る、子どもに発し子どもに還る」そうしたところに努めているところでございます。具体的には、子供の事実から出発する教育活動、あるいは教育実践でありたいと願って進めております。 フィンランド教育と「進徳館」の実学の教え、そして今の伊那市教育の営みは、それぞれ相通じるものがあると感じております。市長も述べているように、学んだことを実践し体得していくことと、具体的には捉えております。 例えば高遠中学校で行われている観桜期の駐車場での活動について、おもてなしをテーマとして目標を定め、企画し実行し、そして自分に返ってくる。そして相手にも返っていく一連の学習活動、これはまさに「子どもに発し子どもに還る」学習活動ではないかと考えております。高遠で大事にしてきた「進徳館」の実学に続くところでもあると感じております。 フィンランドにおける子供の主体性に寄り添った教育は、伊那市の「はじめに子どもありき」と非常に共通点があり、フィンランド教育に学ぶべきは学び、一層の充実に取り組んでいきたいと考えているところです。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) お二人から本当に心のこもる思いをお聞かせいただきましたので、これを一つ一つ形に進めてまいりたいなと強く感じました。ありがとうございました。 さて、今年度から配置されている地域おこし協力隊の方は、未来の教育コーディネーターとして各学校で「森と学び」の取組の展開や、フィンランドの教育現場との交流、情報交換をテーマとして学校の教育現場を主に活動を計画しています。また、学び方を大切にするための保小中の連携モデルについても、模索をしています。 そこで伺います。「小1プロブレム」、「中1ギャップ」と言われるようなその課題の解消を含めまして、森と学びの取組の展開から保小中連携へのモデル、このモデル地域の設置へ、市としましては教育委員会、保健福祉部、農林部の50年の森林推進課との連携をこれからどのように図り、方向性や指導性をどのように発揮していかれるおつもりでしょうか。また具体的なモデル地域として、東春近地域の可能性をどのようにお考えでしょうか、御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 幼保小中の連携につきましては、どのような連携ができるのか、またどういった地区で取り組めるかというものを研究しているところでありまして、現在のところモデル地域の設定までには至っておりません。 東春近地区における取組につきましては、地区の住民の皆さんが主体となって、例えば老松場古墳公園の森、これを整備をしたり、保育園や小学校、市民の誰もが日常的にできる環境というものを作っていただいております。 子供たちが地域の中で豊かな自然、あるいは歴史文化に恵まれたふるさとの魅力を感じて、ふるさとへの誇り、あるいは感謝の気持ち、こうしたものを育んでいることは、郷土愛の醸成にもつながっております。 幼保小中の交流にも活用できるものでありまして、東春近地区の取組というのは、ますます魅力が高まっているという捉え方をしております。 また長谷地域におきましては、昨年度から長谷小学校と長谷中学校が合同で音楽会を開催し、そこへ高遠高校の生徒が参加しているということ、長谷保育園の園児が見学に来るなど、幼児期から少年期の子供との交流というものを積んでおります。 今後こうした取組というものも参考にしながら、地域おこし協力隊の未来の教育コーディネーターから提案をいただく中で、幼保小中の連携の在り方、このことについても関係する皆さんと連携をしながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) はい、そのための予算化について伺います。東春近地域でも検討をされております。また今、長谷地域のお話もありました。協働のまちづくり交付金、この活用を積極的に進めていってよろしいでしょうか、御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この協働のまちづくり交付金でありますが、地域の自然とか文化、そうした資源の特色を生かした地域の課題解決につながっていく、そうした事業に活用をしていただく交付金であります。地域の方々が、身近な里山を再整備するということで、地区の保育園、小中学校の誰しもが親しみを持って利用できる学習の場の交流、こうしたことについては大変良いことだと思いますので、こうしたところにもしっかりと活用していただければと思っております。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 基本となるその組織づくりが、各地域で大切な取組が必要だというふうに思っております。 4番、そこで最後に伺います。まずは、各地域の状況に合わせながら、この自然・火・人が緩やかに付き合っていく、つながり合っていくために、「里山で遊び学ぶ たき火の日」を、市内各地で拡大していってはいかがでしょうか。また、子供の居場所と、ノルウェーやフィンランドで実施されている自然教室というものがあるそうですが、この内容を併せ持つ仮称「伊那市森と学びセンター」、こういったものをミドリナ委員会や上伊那森林組合等を中心に、市民の森に設置することを検討してみてはいかがでしょうか。このセンターには、センターに小中学生を含めた市民が行き来をしながら、「森と学び」を人生の楽しみとして長く充実していければと願っております。市長の御所見を伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市で進めております「50年の森林ビジョン」でありますが、この活動を民間の皆さんが支えるという組織がありまして、それがミドリナ委員会というものであります。あらゆる活動をしていただいておりまして、その中に「たき火の日」というものを月に1回、毎週第一水曜日に、市民の森で行うという非常にすてきな取組もあります。 この「たき火の日」には、一般市民のほかに伊那市社会福祉協議会とも連携をして、学校に行きづらい子供たち、こうした子供たちにも声がけをして参加をしてもらっております。森の中で自由に過ごしながら、様々な大人と接する機会を作るということで、社会への入りづらさを感じている子供たちの居場所としても、非常にいい機能を発揮しているのではないかと思っております。 今の御指摘のといいますか、提案のいただいた「森と学びのセンター」、これも非常に私も共感をするところでありまして、今回のフィンランドの視察をした参加者、10月に行ったときには、森林関係の勉強をする皆さんと、教育関係の勉強する皆さんの一般市民の方たちもたくさん参加をしてもらいまして、こうした視察の皆さんの中から、森と学びのセンターを作ったらどうかというそうした提案がありました。この森林関係の視察の皆さんと、教育関係の視察の皆さん、それぞれ思いがあってフィンランドに行ったわけでありますが、帰ってきてみると教育も、それから森林も同じところから発しているということがよく分かったと思います。 この森と学びのセンターにつきましては、今回の視察へ参加した皆さん、森林関係者あるいは学校関係者、民間の皆さんから多様な意見も出ておりまして、こうした皆さんの力を借りながら、一緒にこの実現に向かって考えていきたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 湯澤議員。
◆9番(湯澤武君) 私も何人かの視察をされた皆さんからも、本当に熱く様々な角度からお話を伺いました。伊那市と本当につながり合っているんだということを、強く感じております。また、「たき火の日」に私もまだ2回ではございますが、参加させていただきまして、そこに来ていらっしゃるお子さんたちがですね、火起こしを一生懸命やっていたり、遊びを自分で考えたり、伸び伸びと自然の中に飛び込んで活動している姿も見させていただきました。 たき火の日は心を癒やし心を開く、そうした市民の憩いの場とともに、子供たちも温かく包む大きな可能性も感じております。また、学びのセンターにつきましても、今、市長から答弁ありましたように、様々な悩みや困難を抱えているお子さんであっても、創造的な力に変えていく、そうしたこの生き方、学び方の拠点として、開設を強く願うものでございます。 全国から求められている伊那市の姿、伊那市に住む私たちの生活の向上、こうしたことを今日各答弁をいただきました中から、幾つか学ばせていただきましたので、共に前進をしてまいりたいと思いました。 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、湯澤武議員の質問を終了しました。 暫時休憩します。 再開は11時15分とします。
△休憩 午前11時1分
△再開 午前11時13分
○議長(田畑正敏君) 休憩前に引き続き、会議を再開します。 原一馬議員の質問に入ります。 13番、原一馬議員。 (13番 原 一馬君登壇)
◆13番(原一馬君) 13番、原一馬です。よろしくお願いいたします。 それでは最初に、信州そば発祥の地伊那を市内小中学校で講演することについて、提案をしてまいります。 地域ブランドを意識した取組は、多くの方面への効果が期待できます。様々な価値が高まることでの経済的効果、観光資源の魅力向上で訪れる人や滞在時間が増える観光効果、自分たちの地域に誇りや愛着を持つようになること、若者の地域に定住する意識の高まりといった社会的効果、先ほどの一般質問でも湯澤武議員の質問の答弁で、地域ブランドについて市長答弁されておりましたけれども、こういった効果があります。地域の伝統文化が、ブランドの一部として守られる文化的効果などあるかと思います。 伊那市においての地域ブランドの一つ「信州そば発祥の地 伊那」について、市では様々な取組がなされていますが、「信州そば発祥の地 伊那」に対する市長の思いを最初に伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 「信州そば発祥の地 伊那」という名のりを上げてから、今日まで市内また県内はもとより、県外にも広く地道にプロモーションを展開してまいりました。その結果、「信州そば発祥の地 伊那」というものが認知をされて、様々なそば関係の雑誌とか、そういったところにも「信州そば発祥の地 伊那」という文字が出るようになりました。しっかりと地域ブランドとして定着をしているのではないかと思います。 また、最近では観桜期をはじめ、週末にもそば店に行列ができているというほどのにぎわいとなっております。また伊那市内には、平成27年10月に設立をしました信州そば発祥の地伊那そば振興会がありまして、そばを提供する側の視点での普及と振興を図っていただいております。 伊那そば振興会あるいは地元のそば店、農家の皆さん、信州大学の先生方など、地域の熱い思いを持った多くの皆さんの力で、入野谷在来そば、たった6粒から復活を果たしたこの在来そばでありますが、信州そば発祥の地である伊那として、そばに対する地域の思いの表れの一つと感じております。 今後も引き続いて、「信州そば発祥の地 伊那」のプロモーションを展開し、伊那そばとそば店の振興を図るということで、さらなる地域の活性化を進めたいと思います。 入野谷在来そばのほかにも、伊那在来というのも見つかってまいりましたので、こうした古くから伝わっているそば、これをしっかりとまた広げてまいりたいと思っております。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 今、「信州そば発祥の地 伊那」について市長の思いを述べられたかと思いますが、この「信州そば発祥の地 伊那」の講演を、市内の小中学校で講演することを提案します。 伊那市議会では、市内高校生との意見交換会を重ねてきましたが、地域の食文化や食に関する興味や取組について、高校生から何度か聞く機会がありました。私にとって意外でしたが、それなりの数の高校生が、地域の食文化に興味を持っていたり、なじみやすかったりしていることが分かりました。高校生でこのぐらいの反応ならば、小中学校の子供たちも意外と響くのではないかと考えました。小学校の評議委員をやっていますが、そばに関する食文化の話について、学校側に当たりをつけてみると、先生たちの反応もかなり良いものがありました。「信州そば発祥の地 伊那」についてその由来や、伊那市にとってのそば、歴史など、小中学校の子供たちの心に残り、地域ブランド、「信州そば発祥の地 伊那」が地域により根差していくことを期待できます。 また、核家族化が進んだ現在において、日本の食文化の継承が家庭であまり行われておらず、特に地域の食文化は廃れていってるのではないかと危惧をしております。家庭で伝承されることが期待できないのであれば、違うところで子供たちに伝えていきたい。子供たちが自分のふるさとのことを知る一つの機会になればと提案します。 この映像は市議会議員になる前に、商工会議所の「食のプロジェクト特別委員会」でそば店開業の支援に取り組んでいた時、伊那そば振興会会長の飯島進さん、元議長ですが、講演に使用したものを一部抜粋しています。 これは「信州そば発祥の地 伊那」という取組を伊那市が始めたんですけれども、中心市街地にその、特に旧伊那市側にそば店がないので、開業を何とかしてもらうと、そういう取組でした。1年ちょっとの活動でしたけれども、旧伊那市ではないんですが、そば店を含め数店開業にこぎ着けています。 講演は、「信州そば発祥の地伊那ってなあに」と題して、ここの映像はそのうちの一部なんですけれども、講演の内容としては、植物としてのソバ、製粉してから食品としてのそば、そばがきやそば団子など、そばそのものの説明、そしてそばの起源やそばの古い記録や歴史、伊那とそばの古い関わり、それは役小角から始まって、そば切り発祥の地や、そば切り日本最古の資料の話、高遠藩主保科正之公に関わるそばの話、最上藩に伝わった寒晒しそば、会津藩に伝わったからつゆの高遠そばと寒晒しそば、江戸のそば文化に与えた影響などになります。 また、信州松本から伝わった出雲そば、上田藩から伝わった出石の皿そば、あとこの講演は、その後にそばに続いて、クイズと続きますが、それは問いに対して答えが三択並んでいて一つを選ぶというものでありますけれども、ソバの自給率や輸入している国や、その割合やランキング、値段や都道府県別の収穫量、国内での割合、収穫量で長野県が全国第2位で、伊那市が県内第1位、これ8年ぐらい前の数字になりますけれども、その年の気候によって変わるようですが、あるいは、講演の内容の中で「信濃1号」がいつ作られたか、ソバ粉が何割入っていればそばと呼べるかといった内容になっていて、講演を興味深く聞くことができる上、大変勉強になる内容になっています。 最近では、上伊那のロータリークラブが一堂に会するイベントでも講演されています。これを子供たちの年齢に合わせて作り直し、講演したら良いのではと考えています。 伊那そば振興会と市の教育委員会、企画部などが協力すれば、きっとすばらしい内容のものが出来上がると思います。伊那そば振興会会長には、以前からこの話をして了解を得ております。 提案をいたします。「信州そば発祥の地 伊那」の講演を小・中学校で開催することを、提案いたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ここにある寒晒しそばでありますが、これも高遠が最初のようであります。日本各地で寒晒しそばと言っておりますけれども、高遠がそもそもだということのようでありますし、高遠北小学校では、「暮らしのなかの食」という授業、これらの全ての小学校でやっている植えて育てて、収穫をして、調理をして、感謝をして食べるという、こうした「暮らしのなかの食」の授業の一環で、この北小学校ではおそばを作っております。単にそばだけではなくて、学年によって豆を作ったり、その豆を今度はみそにしたり、あるいはネギを植えて、そばに使うネギを育てる、またソバの種をまいてソバを育てる。高学年になるとそば打ちをして、地域の皆さんにも振る舞って、自分たちも食べるという、大変すばらしい取組をしてきていただいております。 全校児童でソバの栽培とか、そば打ち、これを学習に取り組んでいるということで、ここには伊那そば振興会の皆さんが講師として対応してもらっております。 また高遠高校でありますが、探求の時間を活用して伊那そば振興会とか、地域おこし協力隊によって高遠そば、入野谷在来そばの復活などを学ぶ講義を受けているという、そんなこともありました。 また令和4年には種まきから収穫、そば打ちまでを自分たちで実践をするという取組もやっているようであります。 伊那を代表する食であります伊那のそばについて、講演会を聞くことで、児童生徒が自分のふるさとをさらに知る機会となって、郷土愛の醸成にもつながっていけばと思います。 また、地域おこし協力隊のミッションの中にも、教育機関における探究学習に協働し、地域の人材育成を図るというものがありますので、今後、小中学校においても要請があれば、地域おこし協力隊を中心に、伊那そば振興会の協力を得ながら、そうしたそばに関する学びの場というものを提供してまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 教育委員会では、どのようにお考えでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 福與教育長。
◎教育長(福與雅寿君) 今、市長も申したとおり、できる限り紹介して学習に生かせる場を用意していきたいなと考えております。 以上です。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 今、旧高遠町のエリアでは、その教育現場でそういったことがされているということで、市内でも要請があればということで、この伊那市の地域ブランド、「信州そば発祥の地 伊那」にある地域ブランドですね、これは教育の現場でぜひ理解をしていただいて、広がっていくことを期待します。また、そういったことを活動してまいりたいと思います。 続けて、地域ブランドに関わる質問を続けます。 二つ目の質問になります。先人の残した400を超える遺跡の活用についてです。 市内には、先人の残した400を超える遺跡が壊されずに残っています。中世、戦国時代の城館遺跡は県内でもその1割が市内にあるとされ、織田軍が武田氏の守る高遠城を攻撃した際に、陣地とした富県の一夜の城には、戦国時代ファンがたくさん訪れていると聞いています。また近年、古墳ブームが盛り上がっていますが、市内東春近の老松場古墳群では、東春近小学校の児童が新たに前方後円墳を発見し、全国的に注目されています。 古墳は今も市内に100基近くが残り、上伊那では古墳の数が一番多く、古墳時代においては、伊那市がこの一帯の中心であったと考えられていて、伊那市の古墳時代の様相が明らかとなっていけば、長野県の古墳時代研究が進むとも言われています。 このように考古学・歴史ファンに注目される観光資源ともなり得るような市内の遺跡の数々ですが、調査・研究がほとんど進んでいない部分もあります。特に老松場古墳群の前方後円墳や、これまでほとんど発掘調査が行われていないそれぞれの地区の古墳についても、地元住民はもちろん、県内外多くの人たちにさらなる調査が望まれています。 この東春近の老松場古墳群については、平成29年から昨年まで関西大学考古学研究室が調査・研究の場として利用しており、その中で多くの学生が伊那市を訪れ、伊那市のことを知る機会となりました。また、調査自体も注目され、発掘調査の説明会には県外からも見識者が訪れ、伊那市をアピールする絶好の機会となっていました。 このような全国にPRできるような遺跡を、研究のフィールドワークの場として積極的にアピールし、長期休暇等を利用してもらい、多くの大学や研究機関に測量調査・発掘調査に来てもらうことはできないでしょうか。その成果により、市の歴史研究が進展することはもとより、その後は子供たちの学習の場、市民の生涯学習の場として活用していきます。 そして調査の説明会等で成果を公表することで、考古・歴史ファンが数多く集う機会が創出でき、市外・県外から多くの人たちが訪れる観光資源へと活用が進んでいくと考えられます。 また、調査・研究で滞在する学生の皆さんには、民泊、ゲストハウス、そばなどで市民と交流する機会も設けるなど、訪れた学生たちに伊那市のことを知ってもらい、市の良いところを宣伝してもらうようなことができると考えられます。 そういった人々の交流や、後に伊那への移住などの効果を生み出すような市のアピールにつながるような研究活動について、宿泊費や研究費等、市から補助を出すなどすれば、より多くの若者が調査・研究に伊那市に訪れるようになるのではないでしょうか。 期待できる効果を整理しますと、一つ、伊那市の価値を高める地域ブランドの向上。二つ目、調査研究関係者の滞在による交流人口の創出。三つ目、長期滞在者との交流、伊那市を知ってもらうことにつながるかと思います。4つ目、市・県の歴史研究の進展。5つ、子供たちの学習の場、市民の生涯学習の場を新たに創出。6つ目、郷土愛の育成、地域に誇りや愛着を持つようになることが期待されます。7つ、成果を公表することで、考古・歴史ファンが数多く集う機会が創出されます。8つ目、全体として伊那市の良さを発信、文教都市のイメージを発信、市内各地で、というか数か所でもいいんですけれども、発掘がずっと継続的にされていくと、本当に文教都市のイメージが発信できるんではないかと思います。9つ目、市外・県外から多くの人たちが訪れる観光資源になります。 一つの事業で、今の時代に伊那市に必要な、9つもの効果が期待できます。まだありそうですが、一つの事業によって、多層的・重層的に数多くの効果を発揮します。 ここで提案いたします。伊那市に壊されず残っている400を超える遺跡の活用、それは地域ブランドの向上、交流人口の創出、市・県の歴史研究の進展、郷土愛の育成、観光資源の創出につながります。研究のフィールドワークの場として積極的にアピールし、長期休暇等を利用してもらい、多くの大学や研究機関に発掘調査に来てもらうことはできないでしょうか、研究の対象として積極的に発信することを提案します。
○議長(田畑正敏君) 福與教育長。
◎教育長(福與雅寿君) 現在、伊那市には420か所の遺跡が存在しております。うち古墳が32か所、上伊那安心安全マップで、その位置や遺跡名等々確認することができるようになっております。また、指定文化財の所在についても、検索することもできるようになっております。大学や研究機関等が、市内の遺跡をフィールドワークの場として活用していくことは、市にとってもメリットがあると考えます。伊那市文化財活用地域計画の中でも、文化財の活用について研究機関などへのフィールドの提供も事業の一つとしております。引き続き、市内の文化財などの情報を、ホームページで公開により提供していきたいと考えております。 また、大学や研究機関等がフィールドワークの場とするに当たって、必要な文化財保護法に基づく諸手続の支援等、可能な範囲で支援していきたいとも考えているところです。 以上です。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 大学やその研究機関等へのそのダイレクトメールをされたり、予算なくとも知恵を絞った行政ができるプレミアをつけて、対応していっていただきたいと思います。 先ほどの地域計画について、また後ほど質問いたしますけれども、インバウンド観光の盛り上がりにより外国人観光客が日本の伝統文化や歴史的遺産に興味を持ち、これが国内での文化再評価につながっているように思います。先を見据えた時代に沿った伊那市に必要な取組であり、市の戦略に組み込むべきものだと考えますので、ぜひ積極的な対応をお願いします。 日本の豊かな歴史と文化の再評価の一つ、古墳ブームも多くの人に楽しみと学びの場を提供します。長野県考古学会の会員からの聞き取りになりますけれども、伊那市の老松場古墳の前方後円墳は、関西大学の調査で5世紀前半の築造と判明して、調査終了となっているようです。実際には、土器や須恵器などの出土品がないので、本当に5世紀前半頃でよいかという疑問が残っているようです。 老松場古墳群に、副葬品に馬に関係するものが出土するかしないかによっても、かなり古墳の評価が変わります。 古墳時代、長野県の場合、5世紀半ばを境に、北信から南信へと前方後円墳の造られる地域が移り変わります。その頃になぜ、北信と南信の中間にある伊那に前方後円墳が造られたのか、謎のままのようです。 長野県考古学会会員や古墳時代研究者からは、老松場古墳群の前方後円墳の発掘調査を、もう少し進めることで明らかになることが多いと伺っています。老松場古墳群調査の経緯と現状について、少し確認をしていきたいと思います。 質問になりますが、5世紀前半の築造と判明して調査終了したと思われますが、この判断の基準について質問いたします。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 老松場古墳群は、平成27年に東春近小学校の6年生の児童が1号墳の形状に疑問を持って測量をした結果、前方後円墳である可能性が高まったということで、平成29年度から市が事業主体となって調査をすることになり、関西大学へ1号墳の形状等築造年代についての調査をお願いしたところでございます。 第4次調査までの結果によりまして、1号墳の形状が前方後円墳であること、築造年代が5世紀前半であるということが確認されたということで、市が実施する調査については完結したというふうにしたものでございます。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 5世紀前半の築造と判明したところで区切ったというその判断の基準は、どういったことになるんでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) すいません、そもそもお願いして、うちとして市として調べたかったのが、前方後円墳であるかということと、その築造年代がどこかということだったので、その二つが判明したということで、市としては当初の目的は達成したということでございます。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) はい、分かりました。老松場古墳群について現場の聞き取りのほか、市のホームページで公開されている議会議事録や市の委員会審議会などの会議録を閲覧していて、少し気になったことがあったので質問いたします。令和元年から令和5年までの伊那市教育委員会の会議議事録が掲載されていませんが、なぜでしょうか。情報公開に関するその伊那市の考え方というか取扱いについて、質問いたします。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 教育委員会の会議録につきましては、会議規則によりまして事務局において整えまして、インターネット等の利用でこれを公開しておくということになっております。議員の御指摘のとおりホームページ確認したところ、公開期限の設定等の誤りによりまして、ホームページに表示されていない議事録がございましたので、公開期限の再設定をして、現在は公開しているところでございます。ただ令和2年、3年の議事録について公開されていないということも確認できましたので、公開できるように準備をしております。情報公開をしていない期間があってしまったという事で、大変申し訳ないように考えております。今後、規則に基づいた情報公開を正確に行っていきたいと思っております。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 分かりました。 伊那市文化財審議委員会は、令和5年度に委員を改選して開催されていますが、今のところ議事録概要書は市のホームページに掲載されていません。令和4年度第1回伊那市文化財審議委員会の議事概要書を確認したところ、委員長からは老松場古墳群に、コロナ禍でも相当多くの人が訪れていて、週に570人、多いときにということですけど、文化財を大切にして来ている人に見ていただき、そしてこの地域を知っていただくということは、非常に大事なことだと述べています。委員からは公園として市の積極的な整備が必要との意見が出ています。また、委員からビジョンはどうなっているか、将来的にはどこまで持っていくか、県までか市で止めるのか等の問いに市は、まず、伊那市の指定をしていきたい、文化財指定ということだと思いますけれども、その回答を何度も述べております。 令和2年3月議会、宮島良夫議員の一般質問、市長答弁では県の指定遺跡に取り上げてもらうべく検討をしてまいりたいとしています。老松場古墳について何度も取り上げていた宮島良夫前市議会議員は、先月亡くなられております。心から哀悼の意を表します。 質問をいたします。令和4年度第1回伊那市文化財審議委員会での考え方は、委員改選後の審議委員会でもきちんと引き継がれているのでしょうか。また、老松場古墳群の市・県の指定文化財などの将来見通しについて、質問いたします。
○議長(田畑正敏君) 福與教育長。
◎教育長(福與雅寿君) 老松場古墳群については貴重な遺跡として、現在の文化財審議委員会の中でも認知されております。伊那市文化財保存活用地域計画においても、貴重な遺産として扱っております。文化財の指定につきましては、まず市の文化財指定を考えているところです。指定に向け、必要な資料を整えるとともに、地域とも調整を図り、文化財審議委員会に諮っていきたいと考えているところです。県の文化財指定につきましては、市の指定後、検討していくというようなところで考えているところです。 以上です。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 分かりました。 令和5年3月議会の予算特別委員会では、令和5年度文化財保存活用地域計画に老松場古墳群も入ってくると、生涯学習課から答弁がありました。今までの答弁の中でも、この地域計画の位置づけに少し触れられておりますけれども、質問をいたします。老松場古墳群の位置づけも含めて、改めてちょっと聞きますけれども、文化財保存活用地域計画について、この計画についても質問をいたします。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 伊那市文化財保存地域活用計画は、文化財の保存活用するための取組を定めた計画で、計画期間は令和16年度までの10年間の計画でございます。文化庁が認定する計画でございまして、本年7月の認定に向けまして現在文化庁を通じて関係省庁の事前協議を終え、認定申請を行う段階となっています。 老松場古墳群につきましては、関連文化財群の章の中で、旧石器時代から古墳時代までの中で取り上げられております。また、関連文化財群とは別に設定した重点区域の章におきましても、老松場古墳群を含めた竜東・竜西の古墳群を取り上げているところでございます。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 重点で位置づけられているということでありますね。今、説明でその取組を定めた、そういう計画であるということで、老松場古墳群についてはどんな取組が、今後想定されますでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 個別に細かくというわけではありませんが、古墳群等につきましては保存を図りながら、広く情報発信をして活用していくというような計画になっております。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 遺跡の関係で、先ほどの最初に提案したものと同じで、老松場古墳群の調査継続は、その古墳の関係のその起爆剤的調査になり得ると思います。しっかりと対応していっていただきたいと思っております。 続けて質問をいたします。老松場古墳群の調査継続についてという質問なんですけれども、お答えいただいてますので、これはちょっと割愛いたします。 遺跡の活用について提案しましたが、遺跡の調査のみならず、市内に数多く残る古文書や文化財等についても、大学やその他研究機関に広く研究の対象としてアピールし、開放することで先ほどの提案と同様の効果が得られると考えます。 例として、現在進められている高遠図書館のアーカイブ作成などに、学生や研究者に参加を呼びかける、それを研究対象にしてもらうなど考えられます。 提案いたします。市内に数多く残る古文書や文化財等について、大学やその他研究機関に広く研究の対象として積極的に発信することを提案いたします。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 古文書それから高遠石工等の資料について、現在デジタル化を進めているところでございます。デジタルアーカイブ、公開していくような仕組みですとか、古文書の報告等につきまして、研究機関や愛好者と連携していくことを今現在、検討しているところでございます。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) ぜひ、伊那市の中だけではなくて大学や研究機関に広く研究の対象として、積極的に発信をしていただきたいと思います。 大きく三つ目の質問に移ります。高校再編伊那市まちづくり推進事業のその後は、として質問をしてまいります。 令和3年12月23日に、伊那市まちづくり推進事業のキックオフミーティングとして市長は基調講演を行い、伊那北駅周辺整備、公共交通の在り方、高校再編とまちづくりの方向性や手法などを説明して、竜西地域の文教圏構想とともに、一緒になって10年、20年先を見据えた夢のある未来型の地方都市を作っていきたいとの思いのほどを述べられました。その半年後、議会一般質問で「高校再編からの中心市街地活性化、未来を見据えた伊那市のまちづくりは」として、伊那市の取組を問いました。市長答弁は、高校再編による伊那新校などの開校から、学生たちの利便性向上のため、伊那北駅前広場や隣接エリアの再生を検討していく、若者らが行き交うにぎわいの町を目指すとして、学生たちが進学や就職を考える観点から、自らが地域を知ろうと、地元の仕事に触れようとする貴重な経験もできる郷土愛の醸成にもつながる場所を、皆さんと一緒に考えていくといった内容でした。 映像にありますけれども、8月だったですかね、その後の執行部から説明のあった伊那市まちづくり推進事業の事業スキーム、映像がそうですけれども、庁内プロジェクトチームが核となり、広く関係者それは関係団体、学生・若者、メタバースなどになりますが、これらを取り込んで運営委員会推進協議会を設置し、分科会がまちづくりの要素、分野ごとの事業化を進めたり、ブランディングの発信といった内容でした。 この事業スキームは現在、もし変わっていても一向に構いませんが、本日問いたいのは、その後伊那市からほぼ何の発信もないことです。市長部局の説明から、市長部局が中心となって音頭を取ると考えていましたが、何ら発信のないまま、市内では多くの市民や様々な団体が、高校再編をきっかけとしたまちづくりに向かって動き始めています。 伊那商工会議所では、「未来の自分をデザインしよう 自分だけのストーリー」として、高校生の企画実行委員会を募集して、高校生を主体とした未来のまちづくりへつながる事業にチャレンジし始めました。 今月6月8日に、「伊那人賑わいガーデン高校生祭」仮称のようですけども、第1回高校生実行委員会を開催しております。高校生は15人、大学生3人、社会人、私とか三澤議員も参加しましたが、今年11月9日の土曜日に、セントラルパークと伊那北公園を開催予定地として、高校生のためのイベント開催を目指しています。高校生が将来この町に生きる自分たちのために、職種や職業の選択から自分の生き方を思い描いていくような事業を目指しています。 またこの夏、伊那市で高校生向けサマースクール「HLAB SHINSHU2024」が開催されます。先ほどの一般質問で市長答弁にもありましたが、これ世界各国の大学生が80名、国内各地の高校生は40名、そのうちの高校生10名ほどがこの地域の高校生になるという予定になっております。 この実行委員会の準備の委員会に、3人の大学生が参加しましたけど、これHLABの企画を運営している方たちです。この方たちも数年前にこのサマースクールに参加して、そのサマースクールのカリキュラムの中に、社会人といろいろな将来に向けての話をしたりする、そういうカリキュラムがあって、そのときに気づきを得て、自分の大学の進路を決めたというような報告もされておりました。 この企画は、伊那商工会議所教育再生特別委員会、田畑和輝委員長とHLABのつながりから、田畑委員長を中心に長野県教育委員会に働きかけが行われ、県の予算の成立後、関係団体と長野県教育委員会との協議調整を経て、伊那市での開催が決定しております。こういった動きを進めるきっかけは、高校再編によるまちづくりであります。 ここで質問いたします。伊那市の動きが鈍い中、こういった動きをどのように思っておられるか、市長に伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ここに出ている事業スキーム、ちょっと古いものでありまして、今次のステップに入っております。まだ公表できる段階ではないんですが、今準備期間、7月を準備期間として8月に設立をしたいということで検討しているところでありまして、今年の11月に「伊那人賑わいガーデン高校生祭」をまた高校生を中心に実行委員会を組織をして、企画から運営まで行うということ、伊那市も共催として当初段階から、始めから関わりを持って、高校再編を見据えた新しいまちづくりにつなげる一つのきっかけとして位置づけております。 そのほかにも議会でもそのまちづくりに関わる特別委員会ができたり、また先ほどありました、サマースクール「HLAB SHINSHU2024」これも伊那市も実行委員会の構成団体の一つとして、一員として商工会議所とも調整を図りながら進めていると。このように高校生あるいは市民団体、議会、商工会議所、いろいろな皆さんがまちづくりに関しての思いがあって、早く議論をしたりイメージを作り上げていきたいということは重々承知しておりますので、そうしたところをみんなで考えていけるような、そうした組織を立ち上げて、しっかり議論をしながら高校再編といっても令和10年でありますので、時間の少ない中で新しいこの伊那市の町、これを考えていかなければいけないと思っております。 多くの市民の皆さん、先ほど申しましたけれども、議会とか団体の皆さんが自発的また主体的にまちづくりに向かって動き出していただいておりますので、こうしたことを上手にコネクトしながら、行政とも一緒になってやっていくということ、これ喫緊の課題であると同時に、待ったなしで早くスピードを上げてやっていかなければいけないということでありますので、またお話をしながら、相談をしながら進めていきたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 今、商工会議所でこういった取組をしている中で、現場の高校生から声が聞こえてきていて、高校生のまちづくりに対する思いが、市政に取り上げられることがあるかと、ちょっと質問を受けて、事前通告はしていないんですけれども、もしお答えいただけたらと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) これは商工会議所とか議員さんとか、あるいはその市民の皆さん、様々な団体の皆さんに合わせて、高校生とか大学生、こうした皆さんも一緒になってそうした議論の場というか、プロジェクトチームを作り上げていきたいという考えでおります。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) ぜひそのように、そういった対応で進めていろいろ意見が反映されていくことを期待しております。 今、市長も言われましたけれども、様々な取組もイメージが共有されていた方がよりよい結果につながります。庁内プロジェクトチームの事業スキームも具体的に実行していく時期になっていると思います。というところで、ここで質問を用意してありましたけれども、今お答えいただいたかなと思いますので、割愛をいたします。 事業スキームにありますけれども、これは竜西地域に集中しているんですね。で、竜東地域のまちづくりも、もちろん考えておられると思いますが、また今、幹線道路の整備が進んでいます。幹線道路が、そこの地面とレベルになってて、幹線道路整備によって町が広がっていく可能性があるのが、用途地域だと上の原になるわけですけれども、ここで質問をいたします。竜東地域のまちづくりと幹線道路整備によるまちづくりについて、どのようなお考えか質問いたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 竜東地域につきましても、道路これから環状北線あるいは伊那バイパス、伊駒アルプスロード、これがだんだんに姿が見えてくるわけでありますので、当然このまちづくりというのは、竜西だけではなくて全体として進めていくべきものだと捉えております。 高校再編を見据えたまちづくりにつきましては、伊那北駅から伊那市駅のエリアということでありますが、先ほども申しましたように、竜東地域も一体的なまちづくりを進める必要があるという考えであります。 今後、道路竜東線の工事だとか、伊那バイパス、環状北線、そうしたところもこれからどんどん進んでまいりますので、全体像を見ながら、またまちづくりの中に取り組んでいかなければいけないと思います。 今後、新しいまちづくりの推進に当たっては、都市インフラあるいはイノベーション、地域ブランド、この3層レイヤーにおいて庁内連携を図りながら、中心市街地全体のエリアの価値の向上を目指していかなければいけないという思いであります。 またこの事業スキームについては庁内プロジェクト、これは一定の役割を終えて次のステップに入りますので、そうしたときに先ほど申し上げたように、学生だとか商工会議所とか、議会とかに加えて、竜東・竜西もバランスよくメンバーに入ってもらって進めていくという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 原議員。
◆13番(原一馬君) はい、分かりました。 最後になりますが、先々週出た商工会議所の高校生の準備委員会ですけれども、ここで高校生が最後、感想を発表するんですけれども、大人たちが本気になるとすごいと言ったり、あるいは大人たちの本気はやばいといったような感想が出ておりました。そこで感じたんですけれども、高校生の君たちのために大人が真剣に精いっぱいやっていることが伝わって、高校生の心に響いたなら、多分高校生の動向に変化が起こります。それは将来、伊那に帰ってきてくれるみたいな、そういったところにもつながっていくのかなということで、しっかりと伊那北周辺のまちづくり、高校生のためにしっかりと心を使って、皆さんで対応していきたいと思います。 以上で質問を終わります。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、原一馬議員の質問が終了しました。 暫時休憩します。 再開は13時30分とします。
△休憩 午後0時0分
△再開 午後1時30分
○議長(田畑正敏君) それでは、休憩前に引き続き会議を再開いたします。 宮原英幸議員の質問に入ります。 15番、宮原英幸議員。 (15番 宮原英幸君登壇)
◆15番(宮原英幸君) 15番、宮原英幸です。さきに通告をさせていただいている大きな2点について、質問をさせていただきます。 まず最初の質問ですけれども、孤独・孤立といった社会的課題への対応についてお願いいたします。 「誰ひとり取り残さない持続可能な未来都市」これについてはこの3月、一般質問でも予算編成に当たって地域包括ケア、こういったような場面から話題といたしましたけれども、先頃孤独・孤立に関する全国調査の公表がありましたので、引き続きこんな点に話題を絞って質問してまいります。 顕在化・深刻化していると言われる孤独・孤立の問題への対応として、その実態調査が行われております。正式名称は「人々のつながりに関する基礎調査」、こういうのだそうであります。「孤独感がある」という回答、これは、「しばしばある」「常にある」とこうした人が4.8%であったと。それから「時々ある」「たまにある」この回答を合計をしますと39.3%、約4割に及んでいるということでございます。 調査は今回3回目ですけれども、この数字ほぼ4割で、この3年間続いています。孤独ということに関して、これは主観的感情の把握ということで幾つか工夫された質問がなされていますけれども、これにも起因して社会的に課題となっているのが孤立問題ということです。 孤立については各種先行研究などを参考に、社会的交流、社会参加、他者からの支援、社会的サポートといった交流頻度からの状況、こちらから把握がなされています。特に社会的交流、これは家族・友人等との接触頻度から測定される孤立状況ということですけれども、同居者以外との対面・非対面交流を合わせて、接触が週1回未満という状態までが、その後の要介護、認知症と非常に関連すると。それから、月1回未満となりますと早期死亡とも密接に関連する交流の乏しさというようなことで、社会的孤立の一つの定義とされております。 国の調査によりますと週1回、すなわちその後の要介護認知症と関連するとされる週1回という、1回未満というコミュニケーションですけども、このコミュニケーション頻度である人は6.3%であると。当市に単純に置き換えますと、6万5,000人の人口としておよそ4,000人ほどの対象者がいるということになります。 さて、全国的にはこのような内閣府調査がありますが、市としての対応に関連して市長にお聞きしてまいります。人々のつながりの希薄化が社会問題とされる昨今ですけれども、市として孤独・孤立こういった実態の継続的把握はされているのでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 孤独・孤立の問題につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響等によりまして、一層深刻化しているとしております。 国では令和3年2月に担当大臣の設置、また担当部署の立ち上げなど取組の強化を行って、令和6年4月1日に孤独・孤立対策推進法が施行されております。 国は基本理念にのっとり、孤独・孤立状態になることの予防、孤独・孤立状態にある者への迅速かつ適切な支援、そのほか孤独・孤立の状態から脱却するための取組に関する具体的施策を取りまとめた孤独・孤立対策の重点計画を策定しまして、計画に位置づけられた施策を進めているということであります。 令和3年12月に、政府では初の孤独・孤立の実態調査に関する全国調査を実施して、令和4年、令和5年と3回実施をしているわけであります。 今年度、伊那市独自で孤独や孤立の実態と、その課題解決に向けたニーズ調査を行う予定であります。今後については、市の調査結果や国の調査結果を参考にして、孤独・孤立対策に関する施策の効率的な推進が図られるように、支援の充実に努めてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 国の調査の資料から、孤独感があるとする人が約4割いるということで、40.3%という数字を引用して、昨年から実証に入っているのが、AIロボットを活用したコミュニケーション推進事業であります。この3月、中間総括ということで報告がありましたけれども、この経過を踏まえたその後の進捗、これについてはいかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 飯島企画部長。
◎企画部長(飯島智君) 議員おっしゃいますとおり、昨年12月からでありますけれども、社会的不安に寄り添いまして深刻化しております孤独・孤立問題への対策、このため市では株式会社ミクシィの会話型AIロボット「Romi」を使ったコミュニケーション促進のための実証事業を始めまして、昨年度でありますけれども、21人の方に御参加をいただきました。あわせてアンケートを行ったわけでありますけれども、その85%の方がこのRomiに「親しみを感じ」、また70%の方が、「継続的に使用していきたい」というような回答でございました。 また今後でありますけれども令和6年度、今年度につきましては参加者を60名まで増やしまして、事業による孤独・孤立の軽減の度合いですとか、あるいは生活の質、こうしたことにつきまして効果測定を行う予定となってございます。 先ほど市長のほうから申し上げました実態あるいはニーズ調査、こうしたものの結果を踏まえまして、実証事業終了後となります令和8年度以降の支援の在り方、また市としてのこの実装モデルの検討というものを進めてまいりたいと存じます。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 昨年度、この自主事業では参加対象者を40歳以上ということで、先ほど21人の参加があったという、皆さんそうだと思うんですけれど、40歳以上としているわけですが、孤立に関しては先ほど示しましたように、4つの角度からの調査が国のほうで行われてまして、社会的交流すなわち家族や友人たちとのコミュニケーション頻度ですね、この社会的交流から測定した社会的孤立と判断できる、週に1回未満の交流頻度と、この人たちが全体で6.3%だそうです。年代別に多いのは80歳以上で、これ9.1%ある。しかしながら実は、20歳から29歳まで5.6%、30歳から39歳まで4.7%ということですので、市の該当世代の人数から推計すると、合わせて40歳未満の人の500人くらいがいるのではないかと推計されるという、非常に深刻な数字だと捉えております。 そこでお聞きしますけれども、この40歳未満、未来を担うべき世代でもあり、当初の40歳以上ということではなくて、それ以下の世代の実情をも対象にして、年齢層別、男女別などによる孤独・孤立の実証調査をすべきと考えますけれども、今後の実証に向けての御意見をお聞きしたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 令和5年に実施をされました内閣府の実態調査においては、最も孤独感を感じている世代、これは30代であって、議員御指摘のとおり孤独・孤立というものは高齢者だけの問題ではないという認識であります。 今後、令和6年度事業の効果検証とか、全年齢層の市民対象に行うコミュニケーション実態調査、これの結果等を踏まえる中で、令和7年度の事業において対象者の年齢等についても総合的に検討してまいりたいと思います。現状については、また担当からお話をさせていただきます。
○議長(田畑正敏君) 飯島企画部長。
◎企画部長(飯島智君) それでは、現状についてお答えをさせていただきます。 まず初めに、内閣府で令和5年度に行いました高齢社会白書、こちらによりますと65歳以上で独り暮らしの方の割合、これは昭和55年、1980年でありますけれども、このときに、男性4.3%また女性11.2%という状況であったわけでありますけれども、これが2020年、令和2年には男性が15.0%、女性が22.1%ということで、この40年間で男性が約3倍、女性が約2倍と、こうしたところまで増加をしてきておりまして、今後もこの傾向は続くものというふうに推測をしているところであります。 この事業でありますけれども、高齢化や核家族化の進行などによります社会構造の変化を背景としまして、深刻化いたします孤独・孤立問題への対策として実施してきておるものでありまして、その中でも特にこの独り暮らしの高齢者への対応というものを、まず市として喫緊の課題として捉える中で、事業を始めてきております。 そうした中で会話型AIロボットを使いましての、コミュニケーションの促進の取組、これ独り暮らしの高齢者の孤独・孤立の解消に有効であると判断をいたしまして、令和5年度につきましては参加対象者を40歳以上として実施をしたところでございます。内訳につきましては90代が2名、80代が4名、70代が9名、60代が4名、40代が1名、お一人は不明ということでございましたが、市長申し上げましたとおり、年齢につきましては議員さんおっしゃるとおり、もう少し若年世代におきましても大きな課題があるということが分かってきておりますので、今後対応してまいりたいと思っています。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) AIロボットの導入も一つの非常に大きな対策になるのではないかなと期待もしております。 今年度、市のほうの実態調査が行われるというようなことですので、その数字を踏まえて、またいろいろな対策を検討いただければと思います。 さて、このような実態に対して、我々ができることは一体何だろうかということだろうと思います。過去また今年度もそうですけども、重層的支援体制整備事業ということで、相談支援等を強化してきておりますけれども、さきの調査では社会的支援、困ったときに頼れる人や相談相手がいるかいないか、この社会的支援の状況からの数字があります。これによりますと、行政機関などから支援を受けている方は全体で7.3%だそうです。その支援者、具体的にどこかというと、国とか自治体がおよそ54%、それから社会福祉協議会、こちらが25%ということで、約8割がこういう関係から支援を受けていると。 福祉相談課にお聞きをしましたら、いわゆる相談に応じた相談の件数なんですけど、年間およそ6,000件の相談があるということでございます。相談内容は、介護保険等の申請に関わるものが多いようですけれども、近頃は相談が多様化、複雑化してきている印象もあるということで、案件によっては対応に御苦労もされているというようなことをお聞きしております。 相談先があるということは、極めて重要なことだと考えております。そこで、市の相談体制及びその後のケア状況について、市長にお聞きをしておきたいと思います。 何でも相談所というような形で名うって市内介護保険事業所様の協力も得て、窓口が開設されています。また、「ひきこもり家族学習会」とか「子どもの未来応援隊」とか、こういったようなことも実施をされていますけれども、相談者の側からしますと、本人はもちろん家族が多いと思いますけれど、約6,000件の相談の中で、孤独や孤立に関する相談、この相談はどれほどでしょうか。 例えば、介護認定があるような方の相談は、昨今の保険制度の充実などである意味比較的対応が的確に行われていると思います。しかし問題は、健常そうに見えて実は孤立している。特に現役世代で、例えば一見、心身に障害があるようには見えない、ないしは外部からひきこもっていると思われるようなこういうような場合でも、家族としては非常に悩んでいるというようなケース、あると思います。また、進んで相談しにくいというようなことで、支援体制の対象から漏れてしまっているようなケース、こういうケースを非常に心配をするわけです。 一方、福祉と言いつつどこまで介入していくのがいいのか、悩ましいことでもあるということを念頭に置いた上でお聞きをしたいと思うんですけれども、先ほどの国の調査のデータで、「支援を受けていない」と回答した人の中で、17.2%が「支援の受け方が分からない」と回答をしております。昨年から、ひきこもり相談の窓口もできていますけれども、その実態を含めて表面化しにくいケース、このようなケースどのように解消していくか。また、掌握していくかについて、お考えをお聞きしておきます。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 孤独・孤立対策推進法によりますと、一般的に孤独は主観的な概念であって、独りぼっちと感じる精神的な状態を指していると、寂しいという感情を含めて用いられることがあると位置づけています。他方、孤立というのは客観的概念であって、社会とのつながりや助けのない、または少ない状態を指すとされております。このような定義の中で、相談内容の統計を取っていないために、具体的な相談件数については把握をしてはおりません。孤独・孤立対策は、自殺防止、生活困窮者支援、子供や高齢者の居場所づくり、ひきこもり支援など幅広い分野にわたるものでありまして、これまでも重層的支援体制の整備事業の中で、支援に取り組んできたところであります。 ひきこもりの支援につきましては、ひきこもり家庭学習会、家族会による当事者同士のヒアリング、ピアカウンセリングの場を社協委託事業の中で実施をしております。この支援の受け方が分からないという方について、客観的に社会とのつながりや支援が少ないという場合には、アウトリーチ等を通じた継続的支援によって、早期発見とともに適切な支援機関へつないでいくということ。独りぼっち、寂しいと孤独を感じている方には、日常にあるつながりを築けるような場所づくりというものを、国の重点計画などを踏まえて進めていきたいということであります。 支援を求める声を上げやすい社会となるように、孤独・孤立に関する理解、また協力を得るための啓発活動にも努めてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) おっしゃるように、なかなか把握がしづらいというようなことも非常にあるので、なかなか形式的な形では掌握ができないというようなこともあると思うんですけど、相談窓口で寄せられる相談案件、これも多様化・複雑化してきているということだろうと思うんですが、当然に守秘性も非常に高いという案件も出てくると思うんです。大変難しいと思いますけれど、その実態把握等、特にその後のケアをどのようにしていくべきとお考えでしょうか。今後の高齢者を含めた独り暮らし世代の増加などによりまして、孤立予備軍とも言える方が相当数いるのだということについて、そもそも相談の仕方、支援の受け方が分からないという方たちに対して、相談窓口があるということをしっかり広報をしたり、それから本人はもとより御家族らの精神的負担や将来生活への不安の解消にも寄与すべきと考えますけれど、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 多様化また複雑化している相談内容につきまして、相談機関が多岐にわたる場合には、重層的支援体制整備事業の中の多機関協働事業において重層的支援会議を開催し、関係機関との情報共有と課題の整理というものを行っております。 この重層的支援会議でありますが、これ個人情報の共有について本人の同意を得て実施しているということ。また本人の同意が得られない場合であっても、緊急性が高い案件については社会福祉法による守秘義務によって、関係機関との情報共有が可能となってくるわけであります。民間も含めた支援機関の連携によって、相談者本人だけではなくて家族も含めた世代全体の支援というものを行っております。 今後につきましては、ひきこもり相談窓口も含め、福祉まちづくりセンターの相談窓口の周知、これをより一層図っていくということ、また一定の専門性を要する支援が必要な課題については、さらなる関係機関の連携強化を進めていくということ、また日常生活の環境における対応が必要な場合というのもありますので、こうした方については相談者に寄り添った伴走支援によって、重層的支援体制整備事業で実施します参加支援、また地域づくりに向けた支援、こういった事業で地域での居場所、あるいは就労支援などの将来への不安解消につながるように、努めていかなければいけないと考えております。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 今お答えいただいた中にも、重複するような話で大変恐縮ですけれども、相談窓口を担当している方々、それから複雑化している相談内容について、特に専門課とつなぐなどの対処を今のようにされていると思うんですけど、その連携やネットワークはきちんと形成されているのか、また適切に行われているのか、また課題は生じていないのか、こんな問題に関してはいかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 相談の内容によりまして高齢者や障害者、生活困窮者の支援、子育て支援などそれぞれの専門機関にある連携のための協議会などによって、課題の共有とか支援方針の検討を行っているのが実態であります。それぞれ専門分野ごとに、適切に実施されていると見ております。 課題が世帯全体に及ぶ場合、こうしたときには重層的支援体制整備事業による多機関協働事業によって連携を図るということ。課題として何らかの支援が必要である場合でも、本人が支援を拒んでいるということもあります。新たな支援策を検討するための情報共有、連携の調整等に時間がかかってしまいますので、結果として最終的な課題の解決には時間がかかる、こうした場合もあります。 相談が寄せられた支援の機関というのは、相談者の話に寄り添い信頼関係をまず築いていくということ、それと同時に各相談支援機関との連携によって、本人の望む支援、これを探し出してこれを実施していきたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 今言われるように、簡単に解決だけはしていかないというような問題、伴走型でやっていかなければいけないような問題、それからいろいろな方面からの相談体制ということで、非常に難しい取組が想定されますし、先ほどもお話ししましたように、独り暮らしの人が増えたりいろいろするという社会関係を考えますと、これからこういった孤独・孤立に関する話題というのが非常に増えてくるのではないかなということで、社会的にも非常に心配をしているわけで、今年度調査されるということですので、実態を踏まえた上できちんとした対応ができるように、庁内でもいろいろ仕組み等も工夫しながら、やっていく必要があるなと思います。 「誰ひとり取り残さない」というこういう理念、非常に良い理念なんですけど、取り残さないというのは非常にある面では非常に難しいなということを思います。ウェルビーイング追求に当たっても、これ表面化しにくい内容について、しっかりしたケア体制を作っていく必要があるのではないかなというふうに思います。 筑波大学の先生、精神医学の先生ですけど、「ケアというのは相手に寄り添ってつながって生きていくことだ。」と言っておられます。コロナ禍で、先ほど市長も言われたように孤立が進んで自殺者が非常に増えたということがあって、自殺について言いますと、一瞬の揺らぎが問題になるんだというようなことを言っておられます。我々のできることの一つというのが、もし心配な人がいたら、まず何らかのサインがあったときに、適切な対応を図ることができる人、先生はゲートキーパーと呼んでるんですけど、そういう人になること。どのように周りがサポートするかということが大切だと言っておられます。 そういう意味では、最終的には地域内で、それぞれどれだけつながりを包括的に保っていけるか、こういうことが決め手になるのではないかなと思います。 国の社会保障も、今まで高齢者中心型だということで、世代間の不公平感の御指摘などもあるわけですけれども、社会福祉法改正にもあるように、やはり住まう地域、時には我々として特有のつながりを保っていく努力を継続してできるようにしていかないといけない、と思います。助ける・助けられる、支援する・支援されるいうこういう関係ではない、お互いさまといったような緩いつながりが必要不可欠になるのではないかなと思います。 大きな二つ目の質問に入ります。「50年の森林ビジョン」における、特にあの私有林なんですけれど、私有林管理についてお聞きしてまいります。 市域の森林面積は約5万5,700ヘクタール、国有林を除く民有林が約3万4,000ヘクタール、そのうちの約77%が私有林です。約2万6,000ヘクタールいうことがデータ的に言われてきております。 何度か今まで話題にしてきていますけど、私有林の森林整備状況これについて、市長にお聞きしてまいります。先ほどの数字に示しますとおり、私有林は極めて広い面積がある。特に個人有林は、そのうちの約55%を占めております。しかしながら境界が不確定だ、あるいは所有者が不明だといったようなことで、森林整備以前の課題、これが山積をしているわけです。 森林環境整備事業などで今年度も予算化されていますけれど、意向調査や境界明確化推進というのが掲げられております。県による境界推測図や、「もりぞん」などの活用も期待されますし、CS立体図活用もできるようになりました。一方でやはり、地域の山林に詳しい人がいるんですね、この人たちが。しかし、この人たちも高齢化をしてきていると、この方たちがお元気な間に、その知見と付け合わせる、こういうことも必要ではないかと考えております。 お聞きをしてまいります。まず、特に私有林のうち個人有林の境界確定、所有者確認、このような事業あると思うんですけど、進捗はどんなふうになっているんでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) これ全国的な課題でありまして、森林所有者の不在化、また高齢化というものが進む中で、所有者不明の森林、あるいは境界が不明な森林というのが増えているというのが実態であります。こうしたことは森林整備を行う上で非常に支障を来しているのが実態でありまして、伊那市でも同様の課題が生じておりますので、今年度から信州大学関係のベンチャー企業に委託して、森林境界明確化事業に取り組んでいるところであります。 森林境界につきましては、従来は現地での立会い等によって確認をしてまいりましたが、この信大関係の企業に委託をしている事業では、最新の技術を活用し、ドローンによる調査を基に森林境界推定図、いわゆるみなし森林境界と言いますけども、これを作成した上で森林所有者の確認や、森林所有者への説明、また同意というものを得てから施業につなげていくということを目指しております。 本年度はこの最初の年でありまして、実証実験的な要素もありますが、「デジタルINAモデル」として手法を確立して、この取組を広げていきたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 伊那市の森林整備計画があるわけですけれど、森林経営計画の策定目標、これは令和9年度に民有林面積の約8割で策定しようとされていますけれど、こちらの進捗についてはいかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市の民有林の面積3万4,115ヘクタールということで、令和6年3月末時点で森林経営計画が策定されているものは、約5,300ヘクタール、民有林面積の約15%となっております。この効率的な森林整備を推進をし、持続的な森林管理を行うためには、施業の集約化を含めて森林経営計画の策定、作成が極めて重要でありますので、これを積極的に行っていく必要があるということであります。 森林整備に関わる国・県の補助制度の中には、森林経営計画の策定が要件となっているものもありまして、伊那市では森林環境譲与税を活用して国・県補助制度を活用した森林整備事業へのかさ上げ補助などを行うなどしておりまして、森林経営計画の策定を促しているところでありますけれども、施業の採算性の問題、また担い手不足の課題というものがあって、現状では策定が進んでいないというのが実情であります。 今後、かさ上げ補助制度の周知、あるいは人材育成支援事業による担い手の確保などの取組を通じまして、引き続いて森林経営計画の策定を促してまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 御指摘のように全国的な課題でもありますし、当市も例外ではなくて、いろいろ先ほどの人材の問題とかそういうことも含めて、多方面からいろいろ検討していかなければいけないという状況だと思います。 ところで前倒し交付が開始されて、今年度から全国で徴収になっている森林環境譲与税なんですけれど、森林整備のこれは重要な財源ということになると思います。そのためには、経営計画など管理が必要ということになりますけれど、所有形態でいきますと、不在者面積が平成29年度のデータでは約7,800ヘクタールあるということなので、今後の対応も相当な困難が予想されます。 そこでお聞きをしていきますけれど、環境譲与税これは経営管理を実行できない所有者に対しては、自治体が代わって管理を行うということも目指しているわけですけれども、市内森林所有者との話合いなどはどのように進んでいるのでしょうか。不在所有者等を含め、今後の方針についてはどのようにお考えでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状につきましては、部長のほうからお話をさせていただきたいと思います。 当面は不在所有者なども含めて、森林経営が可能な森林について、これをまず優先して意向調査を実施するということ。また森林所有者と林業事業体をつないで、森林整備を行っていきたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 松本農林部長。
◎農林部長(松本直也君) 現在、森林経営管理制度による森林所有者への意向調査を行っているところでございまして、市内の意向調査の対象森林は約1万2,000ヘクタールありますけれども、令和6年3月末時点で、このうち林業経営に適した森林、約400ヘクタールに対して意向調査を行いまして、約300ヘクタールの所有者から回答をいただいているところです。回答のうち約7割弱が「市を通じて経営管理を任せたい。」という回答がありまして、これらの森林につきましては、林業事業体にあっせんをしまして、森林整備につなげているという状況でございます。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 対象森林1万2,000ヘクタールに対して、400ヘクタールということでまだまだという感じがいたします。時間をかけてやらなければいけないことでもありますので、引き続き強力に推進していっていただきたいと思います。 富と雇用を支える目指す森林、いわゆる川上から川下への循環があってこそだと思います。川上たる私有林の整備ないし維持管理は不可避の課題ですので、でき得る限り速やかにその地域にその意義を知らしめていくということも重要だと思いますけれど、これについては全く足りないのではないかなと思っています。 それで次の話題なんですけれど、私有林の中で特に生産森林組合というのがありますけれど、これについて市長にお聞きしていきたいと思います。 生産森林組合は組合員が出資して林業経営の協業化を目指す団体で、森林組合法によって森林所有者の経済社会的地位の向上、並びに森林の保続培養及び森林生産力の増進を図るということが目的とされております。しかし、組合員の減少や高齢化で経営継続が困難になりつつあるわけです。 全国的には令和2年でおよそ2,700組合ということですけれども、平成8年にはおよそ3,500組合、このときはピークだったそうで、減少の一途をたどっているということです。市内には24の組合があり、活動しておりますけれど、黒字となっているのはそのうち10組合ほどということです。市では法人税均等割の2分の1を育成補助してきています。今年度、それで84万円の予算計上されていると思うんですけど、そこでお聞きをしますが、市内24の生産森林組合の森林面積は約4,000ヘクタールということで、私有林の中に占める割合は15%ほどになります。市が直接的に関わる団体ではないわけですけれども、しかし、全くの個人所有に比べて、何がしかの森林管理が確保されてきているという点では、重要な森林経営体と言えると思います。市内生産森林組合の実情について、市としてどこまで把握しているでしょうか。また、今後の維持等について積極的かつ適切な助言なりをすべき時期ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 生産森林組合につきましては昭和41年、入会林野等の農林業上の利用を増進するため、国・県の指導の下で全国的に設立をされたという歴史があります。その後、時代の変遷とともに林業の不振、組合員の高齢化などの理由で、全国的には厳しい経営状態にあるということであります。このために国は平成29年に組合員の高齢化、不在村化等によって活動が低くなっていると、また組合員自ら森林の経営事業を行い得る体制を維持できなくなったという、そうした生産森林組合が解散できずに、認可地縁団体等への組織変更ができるよう、森林組合法の一部改正を行っております。 現在伊那市には、伊那地区に5組合、高遠町地区に13組合、長谷地区に6組合の合計24の生産森林組合がありますけれども、少しでも組合員の負担を減らすべく、法人市民税に対して2分の1の補助を行っております。 生産森林組合も地域の林業の重要な担い手であるということ、まさに御指摘のとおりでありまして、森林組合の在り方・活性化について県とも連携しながら、材の有効活用とか有利な補助事業の導入、こうしたことを情報提供を行うなどして、市としても支援をしてまいりたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 生産森林組合は先ほども触れましたように、市が直接的にその経営などに関わるものではありませんけれども、林野庁資料によりますと、2013年度から2020年度に解散ないし組織変更した組合は全国で419あると、そのうち解散し認可地縁団体へ譲渡となった組合が213組合、419のうちの213組合、実に50%が認可地縁団体へ譲渡をされているということですね。結果は令和2年で約2,700組合と、全国的にはそういうことになってるんですが、認可地縁団体への移行となれば、当然に該当自治体との連携が必要になるということになるわけです。 市長もさっきおっしゃったように、市としても、何がしかの関わりを持ってっていく必要があるということが出てくるわけですけれど、今後の各組合の動向については、市としても相当注視をしていくべき事案と思います。住民が出資者たる組合の運営については、直接的あるいは間接的に何らかの関与をすべきと考えますし、期待されていると考えますけれども、具体的なことも含めていかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 生産森林組合は森林組合法に基づいて設立されました組合員の出資と労働によって、森林の共同経営を行うという協同組合であり、そうした性格から考えると、市がその経営に関与するということは実際には難しいわけであります。 ただ、一方では伊那市50年の森林ビジョンについては、「山(森林)が富と雇用を支える50年後の伊那市」これを基本理念として、林業関係者だけではなく、市民が主体となって取り組むということが重要でありまして、生産森林組合が持続可能な経済発展を担う林業、木材活動を支える重要な主体であるということは、認識していかなければいけないと思います。 長野県の上伊那地域振興局が事務局を務めます上伊那地区生産森林組合連絡協議会、これ会長が上伊那森林組合長でありますので、そこの協議会では毎年、通常総会と合わせて研修会を開催しておりまして、生産森林組合の経営改善に向けた講演会等を行っているのが実情であります。 この生産森林組合の維持というのは非常に難しい課題でありますが、こうした研修会などを通じて、情報提供を行うなどの支援をしていくということ、また組織の変更に当たっても様々な課題が存在しますので、県とも連携をして生産森林組合が持続可能な林業経営が行われる、そうした組織としての方策、このことについても研究をしてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 組合の存続が取り沙汰されている理由は何といっても経営問題なんですね。端的に言うと利益が出ない状態になっているということ。法人たる生産森林組合は、法人としての会計処理それから総会等の都道府県への報告なども必要でして、このような事務も負担になっている。さらに高齢化等により、森林管理が実情として次第にできにくくなっているということ等があります。 ちなみに南箕輪生産森林組合は昨年解散しまして、233ヘクタールの森林を村に無償譲渡し、今後の森林管理を託すこととした。55年の歴史に幕を閉じたというようなことが、報道されております。 伐期、木を切る時期、伐期が到来していることは、生産森林組合所有の森林も同じであります。優良材があれば伐出・売却も可能ですけれども、地理的な事情等で搬出までの費用捻出ができかねるケース、こういうケースもあると考えられます。 現在、主伐・再造林ということが行われているわけですけれども、今後長期にわたって森林管理をしていくと、こういう負担は計り知れない状況だということが言えます。その受け手として、住民が声を上げられる状況にはないということです。個人所有林の管理ができない状況と、全く同じ環境が想定をされるということであります。持続的管理には、個人有林とは異なった組合ならではの難しさもあると思います。 過去には、組合員総出の間伐整備作業などを年何回か行い、森林保全を行ってきましたけれども、このままでは解散などの資金的余力さえなくなってくるという可能性もあります。また譲渡先として一番に今考えられるのが、地元の区等ですけれども、まず区が認可地縁団体であるか、さらに区が森林管理を適切に行えるかということを考えますと、組合員がほぼ同じ区の住民であるということを考えますと、相当に厳しいということを考えざるを得ません。区に移行されても、そもそもの森林整備が適切に続けられるとは到底考えられないということです。そうすると全く同じようにいくとして、森林財産が今度は負担になってくるということも思われます。一方で、生産森林組合の所有林は比較的境界などもよく分かっておりますので、それなりの手入れもされてきている事情もありますから、全てとは言えなくても、価値のある森林が残っている可能性があると思います。生産森林組合の所有森林に対して、市としても優先的にその経営管理先として検討できるようにしていってはどうでしょうか。 お聞きします。事情は異なるとはいえ、市内組合もその所有森林を今後どのように処置していくかは、大きな問題となっております。残念ながら今のところ、森林環境譲与税は生産森林組合に直接適用はできません。今後の経営に課題を抱える組合とは、何らかの具体的解決策、計画的管理策を地域事情に応じて共に協議をしてほしいと思いますけれど、重ねてお考えをお聞きします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 林業の振興におきましては「伊那市の50年の森林ビジョン」あるいは伊那市森林整備計画に沿って林業経営に適した人工林の主伐・再造林を進めていく必要があると。そうした中で現在の林業を取り巻く環境、大変厳しいわけでありますが、伊那市としてもできる限りの協力はするつもりであります。 生産森林組合から相談があれば、県とも連携して国・県補助制度の紹介などを行って、具体的な解決策や計画的な管理策、こうしたことを見いだすための情報提供等の支援を行ってまいりたいと。どこの生産森林組合も今大変な状況に置かれておりますので、何らかの形で脱出できるような、そうした解決策を一緒になって考えてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 宮原議員。
◆15番(宮原英幸君) 今御指摘のように、森林組合も法人なので解散するのもただやめるというわけにいかなくて、それなりのお金がかかったりいろいろするわけですけれど、解散に関して国や県の補助金は出ないんですよね、今のところね。確かそうだと思います。まあそんなことで生産森林組合の組織から50年以上経過しているわけで、当初の森林管理ができなくなっている組合が増加しているということですので、相談があればということではなく、市のほうからも積極的に働きかけて、何らかの行動を起こしていただきたいと、こんなことを期待して質問を終わります。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、宮原英幸議員の質問が終了しました。 引き続き、小池隆議員の質問に入ります。 4番、小池隆議員。 (4番 小池 隆君登壇)
◆4番(小池隆君) 4番、小池隆です。さきに通告させていただきました2点に関しまして、お聞きしてまいりたいと思います。 まず初めに、公民館等を活用した子供たちの居場所について伺っていきます。 議会では毎年、高校生との意見交換会を行っております。その中でも共通して挙げられる課題の一つに、伊那市には自習する場所が少ないと、多くの生徒から出されました。確かに、ふと思うと高校生が自習できる学習スペース、学習場所は、いなっせ・伊那公民館など数か所であり、自習のために自由に立ち寄ることができる場所は多くはないと感じました。 そこで伺います。高校生が自由に立ち寄ることができる自習室等の居場所として、公共的施設での開設状況と、高校生から自習スペース・学習場所を増やしてほしいとの声が聞こえる中、高校生の自習スペースを含めた居場所の環境について、市としてどのように捉えているのかお尋ねいたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在、高校生が自由に立ち寄れる自習室等の居場所としては、生涯学習センター、図書館、創造館そしてalllaに自習のスペース、学習場所を設けております。また、伊那・手良・西箕輪・西春近の各公民館でも、職員がいる時間帯には自習スペース、学習場所を設けているということであります。 特にテストの期間中など混雑することがありますが、常に満員ということはないと聞いております。また満員になった場合には会議室を開放したり、近隣の施設を紹介するということの対応を行っております。 現在、開設しております施設によって、ある程度需要に見合った自習スペース、学習場所の提供はできているのではないかと考えております。一方で、開設している施設まで距離があるため、自宅近くに自習スペース等を要望する声もあったわけでありますが、どの程度の需要があるか不明なこと、また施設や人員の状況によって開設していないという状況もございます。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 今、高校生の居場所の現状等をお伺いいたしました。 次に、中学生に視点を当てたいと思います。市では長期休暇中、数日間、中学生を対象に市内で5か所、公民館等で自らの学びの場所として自習室を開設しています。中学生の居場所づくりとしては、とても良い取組であると思います。ただ、長期休暇中の数日間のみ、市内で5か所だけという点が少し残念でありません。 私は以前、中学生の学習向上支援に携わった際、当時、生徒の皆さんと放課後の学習環境について聞いたところ、学校帰りに自由に立ち寄れる自習室があったらうれしいと伺いました。学校や家とは違った空間で学習することは、なぜか不思議と集中できるそうです。 私もかなり前となりますが、高校生時代、当時は自習ができる場所といえば上伊那図書館ぐらいでしたが、確かに家や学校とは違った雰囲気なのか、滞在時間は短時間であっても集中できたような気がしたことを覚えております。 そこで、2点伺います。中学生を対象に、長期休暇中に自習室を開設したきっかけ、またはどのような思いから実施したのか。 2点目、中学生の自習する居場所として、今後、長期休暇に限っただけではなく、ふだんの放課後にも自習室として立ち寄ることができる居場所づくりを検討していく思いはありますでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 中学生の自習室は、春休みの午前中の学習場所と昼食時の軽食を提供することで、中学生が学習支援を受けながら自主的に学びを深め、学力の定着を図ることや、春休み中の生活リズムを整え体調よくして過ごせるようにということで、平成30年度に東春近公民館において試験的に開設したところから始まっております。 令和2年度からは本格実施ということで、現在は夏休み・冬休み等長期休業の休みに開設しておりますが、会場としては伊那・美篶・西箕輪・西春近の各公民館と、やますそで行っている状況です。 放課後等に中学生が自習室として立ち寄れる場所ですが、生涯学習センター・伊那図書館・創造館・alllaにも学習スペース、先ほど申し上げましたがありまして、中学生も利用しているというような状況もあるようです。公民館の活用では、伊那公民館・西春近公民館に自習室を開設して、こちらも中高生が利用しているということでございます。 また常設ではありませんけれど、手良公民館それから高遠図書館では図書閲覧スペースを学習スペースとして利用しているということもございます。今後、他の公民館におきましても、学習スペースの充実が可能か、できることを考えていきたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 今の答弁の中で、今後その地区の公民館等での検討をしていっていただける話がありまして、とてもうれしく思います。ぜひ、地区の公民館との検討も、前向きに行っていっていただくことを願います。 現在、中学生において放課後自由に立ち寄ることができる自習室は、皆無に等しいと私は思っておりましたが、今各場所でもやっていると伺ったので、安心しております。 高校生の自習室も、伊那北・伊那市駅など、駅周辺にはありますが、その他駅から離れた場所、その手良とか西春近とか一定の離れた場所にはあるんですが、その中間地点の辺りにはないのかなと感じております。 私が話した子供たち、生徒によりますと、先ほど市長の答弁にもございましたが、学校と家との間、できれば家に近い箇所に自習室があったらうれしいなということでした。子供たちの思いを受け止めること難しいのかなと思うところですが、ふと思えばその思いに応える場所があります。先ほどから出ている地区の公民館、または地区によっては
名称は違うかもしれませんが、ふれあい館があります。自習室として、子供たちの居場所として活用するには、最高な場所だと私は思います。 ただ、一度に全ての地区の公民館等を子供たちの居場所として活用することは、現実的には厳しいことは分かります。そこで何か所かモデル的に、試験的に地区の公民館等を、自習室を中心とした中高生が自由に立ち寄れる、立ち寄ることができる居場所として、放課後の時間、活用・開放することを提案いたします。 例えばモデルの公民館等は、複数の地区の生徒の皆さんが帰宅途中に立ち寄ることができる公民館、先ほど市長の答弁にもありましたが、その需要がどれだけあるか分からないというところも、確かにあると思います。開設しても全然利用者がいないとかという場合もあると思いますが、そうした中で利用者が多いと見込まれるような、立ち寄れるような場所、例えば伊那東部中学校区で考えると、日影区の公民館、ここは中学生では日影・境区に住む生徒の皆さんが利用できる好条件であります。また、手良地区においてはスクールタクシーの待合場所のすぐそばになりますので、タクシーを待つ間とか、そういったところでも手良の地区の方も使えるのかなと思っております。 また、高校生にしてみると地元区はもちろんのこと、仮に下川手・上川手など美篶地区の生徒の皆さんも、大体が自転車通学ですので、帰宅途中に利用ができます。そのほか考えてみると、中央区の公民館など幾つかあるかと思います。各中学校の公民館等を、多くの中高生の生徒の皆さんが利用し活用していくことができたなら、身近な自習室として中高生が集う新たな居場所となると思います。もしこの居場所づくりの可能性があるのであれば、地区等の事情もありますので、活用開放に当たっては、公民館を所有する区だけではなく、隣接する区を含めた地域の皆さんの御協力をいただきながら、公民館を所有する区に大きな負担がかからないような条件で、複数区と協議していき開設したらどうでしょうか。 また、公民館等での自習室の開設は、生徒たち同士で教え合ったり、地域の方で学習を見ていただける方が来ていただいたりと、さらには高校生の利用もあれば、先輩が中学生の後輩に勉強の仕方等アドバイスをしてくれたりと、子供たちが得るものはとても大きいものではないかと思います。 そこで伺います。地区の公民館を活用した中高生の学習室を中心とした子供たちの居場所づくりを、市として前向きに協議していくお考え、お気持ちはありますでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 各地区にある公民館等につきましては、それぞれの区で管理しておりまして、多くの施設では管理人が常駐していないというのが、現状であります。 こうした施設を利用して居場所づくりを行うためには、人件費、施設使用料等、費用の課題があるということ。またどの程度の需要があるのか、そうしたことが不明でありますので、現在のところは考えてはおりません。当面、現在学習スペースなどを提供しております伊那市立の公民館などの施設では、中学生も利用可能でありますので、利用を呼びかけていきたいと。またこれらの施設で学習スペースの充実が可能なのか、できることも考えてまいりたいと思います。 地域として取り組んでいきたいというそうした意見があれば、そうした公民館とも連携して検討することは可能だと思います。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 伊那市には、基本的にゼロ歳から18歳までの子供たちが利用できる児童館というものがございません。例えば塩尻とか松本市等では、小学校区ごとに児童館があって、高校生や中学生、小学生が利用できる形が小学校区に備わっているというところがあります。この児童館というのを新たに伊那市で建設するとなると、各地区に建てるとなると、どえらい金額がなるので、そういったことをせず、各地区の公民館に児童館的役割の一部を担っていくということも、やり方も一つの考えであるのかなと考えております。 そういった今ある施設、そして地域の先ほど市長の答弁にもありましたが、地域で取り組んでいただくというそういった思いの地区の方々のアンケートでも話合いでもいいので、ぜひそういったところからも中高生の居場所としてこの公民館の活用が可能かどうか、ぜひ地区等にも積極的に伺っていただきたい、子供たちのためにと思いますが、その点積極的に伺っていっていただけるお考えというのはありますでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 先ほど申しましたように公民館、常駐者が一般的にいないというのでありますので、例えば夕方、中学生がそこ使いたいと言ったときには、どなたかがそこに行って開錠したり、また帰ったらまた施錠するということになりますので、そうしたことについてもいいですよという、そうした公民館があれば、これは市のほうとも話をして、開くということは可能だと思います。ただそうしたときの人件費だとか、また安全とか、そうしたところをどうするのかというのは、かなり課題として大きいのかなと思います。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ぜひ行政と、地区もそういったところも協力しながら、公民館等を活用した子供たちが望む自習室の放課後の居場所づくりを推進していただけることを願いたいと思います。 続いて小学生について、視点を当てていきたいと思います。 最近、家の周りを含め放課後、小学生の子供たちが外で遊んでいる姿を見る機会が減りました。確かに現在は、一昔前の時代とは社会情勢も大きく変わり、放課後は学童に通う子供たちや、習い事等に通う子供たちが増え、家に帰って友達と集まって遊ぶ機会が少なくなっている傾向かと思われます。 また、保護者の話では、放課後友達と遊びたいといっても、学習や習い事等で近所に遊ぶ子供たちがいなく、家の中で一人でゲームをして時間を過ごしているといったお話も伺っております。 私が少年時代だった頃は、同級生をはじめ近くの公園に集まり、夕方まで遊んだり、時には学年関係なく、空き地で手打ち野球やかくれんぼ、ポコペン等をして夕方暗くなるまで遊んだことを思い出します。当時遊んでいた場所の近くを通りかかると、本当に懐かしく感じ、これはとてもよい思い出となって心に残っております。 市長に伺います。確かに時代とともに社会情勢の変化により、子供たちが過ごす環境が変わっていくことは仕方がないと思います。しかし、家のそばの公園等に行けば、同世代の子供たちがいて遊ぶことができたり、何かこうかして楽しい時間を過ごすといった環境、私は今でも小学生を含め、子供たちの成長の過程では大切なことの一つでもあるのかなと思うところでございます。市長の少年時代の思い出も含め、市長が子供たちの放課後の過ごし方について、日頃感じていることをお聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ちょっと私の子供の頃の時代というのは随分昔になりますので、記憶にあるのは、家に帰るとどこそこの畑にいるからすぐ来いという書置きが常に置いてある、その思い出しかないですね。つまり昔は、子供たちも労働力の一つとして見られていましたので、休みの日とか夕方はどうしても畑に行くとか田んぼに行くということだったですね。大体ここにいる年配の議員の皆さんも、同じだったと思います。 そうした中で、たまに休みが取れたり、雨が降ったりすると行かなくていいので、そうしたときは工夫をしながら雨の中で遊んだりしたことは覚えております。そうしたときに今の時代と併せてみると、子供たちが夜遅くまでというか、夕方遅くまで遊んで帰ってくるということが当たり前な時代と、今は心配の度合いが非常に高まって、犯罪とか、そうしたことに巻き込まれないかとかいう、そうした社会の変化というのは大変大きくなっておりますので、一概にこの私たちの過ごした時代と同じようなことを、今の子供たちに期待するというか、経験させるということは難しいのかなと思います。 ただそうした中でゲームで夢中になって遊ぶという、これは今から20年、25年ぐらい前からゲームが世の中に出回って、子供は一人でゲーム遊びをするということ、そんなことが一般的になって社会現象としてあったわけでありますが、そうしたときに私の経験の中では、西箕輪の公民館の活動の中で、冬に野外に子供たちを連れ出そうと、冬の自然観察会というのを始めて。今、野口議員とも一緒にやっているんですが、真冬の一番厳しいときに、里山に行っていろいろな遊びをすると、寒さの中で過ごす時間というのを経験してもらうということもやってきたんですが、こうしたことが今だんだんにそうしたリーダーがいるところについては、始まってきているのかなというふうに思います。 特に西箕輪については以前は冬の自然観察会だけだったんですが、今は春夏秋冬とやっておられるようでありますので、そうしたネイチャーゲームだとか自然観察だとか、そうしたリーダー養成をしながら自然の中で過ごせる、また自然の中で過ごす知恵をつける、体験するということを今後、教育委員会も含めて、また民間の皆さんとも一緒になってやっていければ、市としてはこう後押しができるのではないかと思っております。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 西箕輪公民館の取組、すごく今話聞いていいなと、そんな活動が西箕輪だけではもったいないので、この伊那市の公民館いろいろな地区の公民館で少しでもそういった形がなれば本当にうれしいなと、今聞いてる中では思う限りでございます。 私が小学生時代、両親は共働きで今のように学童はありませんでしたので、いわゆる鍵っ子でした。家に戻り、公園に行って遊ぶ日もあれば、そうでない日もありました。ただ、鍵っ子でも寂しいと感じなかったのは、隣に引っ越してきたおじいさん、おばあさんが鍵っ子の私を孫のようにかわいがってくださり、学校から帰っては隣の家にお邪魔し、母が帰ってくるまで時間を過ごすことができたことにあります。今でも覚えていることは、おじいさんおばあさんが、昔の遊びを教えてくださったり、若い頃の話をしてくださったり、一緒に宿題をときにはやってくださったりと、40年近くたってもそのときの様子が昨日のように思い出せることは本当に楽しく、幸せな時間を過ごしていたんだなと思っております。 そのような思い出から、私は地域の方々と子供たちが一緒に時を過ごし、遊びや工作、宿題を含め、いろいろなことを教わり伝えてもらい、放課後のひとときを過ごすことは、10年、15年後、子供たちが成人し社会に出たとき、地域や高齢者の方を大切に思う気持ちが強くなるのではないかと思います。 そこで、核家族化している今こそ、地域の力を活用し地域で子育てしていこうという思いも必要なのではないかと考えます。その中で、団塊の世代の方々のパワーや、高齢者の方々のパワーを存分に生かし、地域で子供たちを見守り育てることは、今の伊那市にとってとても大切だと感じます。 先ほどの西箕輪公民館の例も含め、市長に伺います。地域の力を活用し、地域で子供たちを見守り、子育てしていこうとの思いについて、市長はどのようにお考えでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 地域に協力をしていただいております子供の見守り、あるいは子育ての取組、こうした中では小学校の登下校における子ども見守り隊、総合学習や「暮らしのなかの食」での講師、また伊那市には高齢者の知恵袋事業というのがありまして、こうしたお年寄りの知恵を地域で発表してもらおうということ、核家族化また少子化など地域のつながりが非常に薄くなってきている中で、地域の力を活用して子育て、子供たちを育てていくということは、大変重要なことという思いであります。 子供たちが安心して遊んで、学んで、成長できる環境、これを整えることが極めて重要であり、こうした取組に積極的に関わっていただける地域、あるいはそうした人々とは連携をしていきたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 私は、子供たちが平日の放課後、例えば地区の公民館に行けば友達がいて遊べる、学年を問わず仲間ができる、勉強も遊びも教えてもらえる、公民館に行けば楽しいよと、地域における全ての小学生が安心して楽しめる放課後の居場所づくりが必要であると考えます。 そこで、仮称ではございますが、公民館等を活用した放課後子供たまり場塾を提案いたします。たまり場塾の役割は、子供たちが自由に立ち寄ることができ、地域の方と宿題をしたり、地域の方や友達と遊ぶことができるなど、アットホームな居場所をイメージしております。 こちらも先ほどの中高生の居場所のように、一度に進めるのではなくて、取り組める地区を対象に、試験的に週1回、放課後から午後5時半頃までの1時間半か2時間弱ぐらいを、大きな負担とならないように開設してみたらいかがでしょうか。 例えば私の地元区の伊那東小学校で考えた際は、境区公民館及びふれあい館は小学校から近くであり、境区・日影区の児童の通学路に面しており、また住宅街にあるため帰宅途中や一旦家に戻ってからなど、多くの児童が利用できます。このようにモデル地区からスタートしてみてはいかがでしょうか。そして、講師には団塊の世代の方々や、高齢者の方々の力を借り、学習以外にも遊びも含めたプログラムで、子供たちに放課後のひとときを地域の方と一緒に過ごしていただくと思っております。 参考資料1の、こちらの画像を御覧ください。ちょっとすいません小さくて申し訳ないんですが、こちらは文部科学省で作成された「放課後子ども教室」の概要です。こちらの資料は2023年を目標として、平成30年に作成された資料となりますのでちょっと古くなりますが、この趣旨・目的のところを読むと、「子供たちが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動ができるよう、地域住民等の参画を得て、放課後等に全ての児童を対象として、学習や体験・交流活動などを行う事業」となっており、実施場所では公民館も、小さいんですが含まれております。まさに先ほどの西箕輪とかも、その例に近いかなと思っております。 なお、これらの子供の居場所づくりについては、子どもの居場所づくり支援体制強化事業として、国ではこども政策推進事業補助金等の補助対象事業となっているのではないかなと思われますので、事業費の一部に交付金等を充てることもできると思います。 また、「放課後こどもたまり場塾」が開催されれば、学童に通う児童の中でも、開催日は「たまり場塾」に行く児童もいると思われますので、その日は学童クラブも余裕を持った運営ができることにもつながるのではないかと、「たまり場塾」開設による効果は大きいものになると考えております。 ここでお尋ねします。この地区の公民館を活用した小学生の放課後の居場所である「放課後こどもたまり場塾」の提案について、市としての見解をお聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市としましては、保護者が労働等によって昼間家庭にいない児童、こうした児童に対しては適切な遊びと生活の場を与え、その健全育成を図ることを目的として、学童クラブを全小学校区に設置しているところであります。まずは、学童クラブを確実に運営していくということが大事であるという考えと、そうした放課後たまり塾、こどもたまり塾のような施設の設置というのは現在では考えておりませんが、ただ先ほど来話をしております公民館の活用、この公民館というのは文化活動もまた運動についても、いろいろなことが各公民館の裁量でできますので、非常に自由な活動ができる、そうした機能を持っております。そうした公民館で、それを活用して管理する人もいたり、あるいは安全を見てもらえるような大人がいたり、またその鍵の管理をしっかりしたりと、そうしたことができるような環境になれば、こうしたたまり塾のようなものは可能であろうかと思いますが、これはそれぞれの地区の事情によって違いますので、これそうした公民館の活用いいですよといったところが出てくれば、一つのモデルにはなろうかと思います。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 学童に通う児童以外の子供たちも含めた放課後の居場所、今後考えていっていただきたいと思っております。 子供たちへの子育て教育については、いろいろな思いがあると思います。私は伊那市に育つ子供たちにとって、少しでもプラスだと思うことがあれば失敗を恐れず、まずは実施していただきたいと思っております。そして子供たちに向けた支援は、大人目線ではなくて、子供たちの目線で思い、考え、子供たちがど真ん中をぶれることなく展開していくことを願いまして、次の質問に入ります。 続いて、地域の力を生かした高齢者等世帯に対するごみ出し支援について伺います。 先月、老老介護世帯の介護者である80代の御婦人から、おむつに入ったごみ袋が重く、ごみステーションに持っていくことが困難であるとの話を伺いました。また、重いからといって、小さい袋にすると、おむつは案外かさばるのですぐにいっぱいになってしまい、高価なごみ袋の購入費は家計に重い負担となり、結局は大きな袋を選択せざるを得ず、重くて運ぶことができないとのことでした。 私は赤ちゃんのおむつしかまだ経験はありませんが、数年前、まだ子供がおむつを使用していた際のごみ袋は、確かに重たかったことを思い出しました。 市内では、高齢者等ごみ出しに困っている方に対し、地域社協の一部やシルバー人材センター、民生児童委員、訪問介護委員の方などが、無償あるいは低料金でごみ出し支援を行っております。しかし、各団体等の支援者も限りがあり、担い手がなかなか増えていない状況であることを、伊那市社会福祉協議会や日影区の「あったかご近所ネット」の方から伺っております。 今後、5年後、10年後を見据えたとき、老老介護の世帯、高齢者の独居世帯が増加することが見込まれ、ごみ出し支援利用者が増える一方で担い手不足となると、現在の支援システムが破綻してしまう恐れが懸念されます。 そこで2点伺います。ごみ出し困難者の方へのごみ出し支援事業について、現状の課題と今後の展開についての市の見解。 2点目、今後、今以上にごみ出し支援者を募っていかなくてはならないと思いますが、担い手不足解消のための具体的な対策を考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) まず最初の御質問でありますが、現状については担当のほうからお話をさせていただきたいと思います。 今後の展開につきましては、伊那市の地域社協、これお互いさまの精神でボランティア活動として取り組んでいただいておりますが、より取り組みやすい環境づくりの一つとして、軽作業の単価を見直すことも有効であろうと思います。おたすけ券交付の取得要件、これが地域社協などへの情報提供を難しくしているわけでありますので、こうした要件についても検討の必要があろうかと思います。 シルバー人材センターと協力をしながら、社協を通じて地域社協の「あったかご近所ネット」の拡充に向けて取り組みながら、ごみ出し支援に関わっていただける方、こうした方を増やしてまいりたいという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 村松保健福祉部長。
◎保健福祉部長(村松義隆君) 現状の課題でございますが、ごみ出しは他の軽作業に比べまして、日々の生活に密着した作業でございまして、近年支援が必要な世帯が増えていることは承知しておるところであります。 おたすけ券の軽作業はシルバー人材センター、地域社協や民生児童委員の皆さんにお願いするところであります。民生児童委員さんは、ボランティアとして携わっていただいているところであります。 おたすけ券は通常、家の方が行える日常生活上の軽作業を対象としておりまして、身体的な理由で家の方が行えない世帯に対しまして、所得要件を設けて交付しているところでございます。 必要な作業は世帯ごと異なりまして、支援は一定の自己負担と所得制限を設けております。ごみ出しに限り券が不足する場合は、必要回数分追加して交付してございます。 ごみ出しの単価につきましては、実費の場合シルバー人材センターで550円、地域社協では300円となっております。先ほどのおたすけ券のごみ出しに関わる1回の単価でございますが、利用者は1回50円の御負担をいただいております。 おたすけ券の交付につきましては、所得要件がございますので、現状では地域社協への候補者の情報を控えているのが現状でございまして、こちらのほうは課題としてございます。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 次に、市内のごみ出し支援を今後どのようにカバーしていくか考えていきたいと思います。 現在、「あったかご近所ネット」事業でごみ出し支援を実施している地区社協は、市内で6地区のみとなっております。地域で地域を支え合う「あったかご近所ネット」事業はとてもすばらしい事業であると思います。しかし、「あったかご近所ネット」事業でのごみ出し支援を全ての区で実施することは、現状大変厳しいと伺っております。市内のごみ出し支援については、地区社協をはじめシルバー人材センター等で協力し合いながら、今後は現体制を維持し、拡大していくための施策を考えていかなくてはならないと思います。 そこで、組織の拡大に対し考えられる一つとして、「あったかご近所ネット」事業によるごみ出し支援の組織拡大を考えます。そこで拡大していく手法として、ごみ出し支援を実施している地区を少しずつ増やしていく取組を行う一方で、既に実施している地区社協が隣接する区に手を差し伸べ、活動範囲を広げる。地域の力を通して、市内をカバーしていくといった取組を考えてみました。 私、このようなことが可能かどうか、早速、日影区「あったかご近所ネット」の方に伺ってみました。答えは、状況により可能だと。この提案は、隣接する地区に手を差し伸べていくことで、未実施の地区でも必要性を感じ、地区内での実施に向けて動いていただけるのではないかという期待も込めております。実施の地区が増えていけば、さらに未実施地区もカバーもでき、ごみ出し支援の輪が市内全域に広がっていくと思います。 市長いかがでしょうか、市としても「あったかご近所ネット」事業のごみ出し支援の輪が、今以上に広がるよう後押ししていただけないでしょうか。もしほかにもよいお考えがあれば、ぜひお聞かせいただければと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市では生活支援サービス調整協議体、これを開催をして生活をする上で困っているごみ出し、移動支援、庭木の剪定などを、「あったかご近所ネット」事業だけではなくて、総合事業や「まちの縁側事業」などで活用できないか協議し、良いアイデアを共有しているところであります。他の地域で同じようにごみ出しに困っている方がいる場合、伊那市社協の地域福祉コーディネーターが成功事例を紹介しながら、ごみ出しの輪が広がるように協議をしております。 日影区で実施をしております地域のごみ出し支援の活動につきましては、チラシ、DVDの作成・貸出し、またケーブルテレビやユーチューブで公開をするなど、広報に努めているところであります。 伊那市では関係各課が、このような地域福祉コーディネーターの活動に対して、助言などの支援を行っているわけであります。今後も引き続いて、地域福祉コーディネーターの活動、あるいは市の広報を通じて支援の輪の拡大、これを図ってまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 今、私もご近所ネットの提案もいたしましたが、ただ何かしようと思えば課題というものは付き物だと思います。 そこで、次にごみ出し支援者に対する対価と、ごみ出し支援事業者の負担について考えてみました。 まず初めに、支援者の対価について、利用者が御近所であればともかく、家から離れている場合は支援者は車等で移動し、利用者の自宅からごみステーションまでごみを運びます。現在1回当たりの対価は、先ほどもありましたが、「あったかご近所ネット」事業では300円、シルバー人材センターでは550円と伺っております。そこで、隣接する区に活動範囲を広げていくと考えた場合、現在の物価高・燃料費の高騰を考慮すると、1回400円から500円程度は必要となってくるのではないかと考えます。 次に利用者負担です。利用者は、それぞれ先ほどの金額を負担しますが、おたすけ券受給者、これは先ほどもありましたが所得制限有りの65歳以上で高齢者のみ世帯や、独居高齢者世帯の方に配布されているおたすけ券ですが、年間2,400円分となっております。こちらを利用すれば自己負担は50円となり、差額は市が負担しております。ただ、雪かきや草刈り等にも使えるため、2,400円では足りないとの声も伺います。 また、おたすけ券の配付を受けていない世帯の負担は、1回当たり300円または550円となり、ごみを出すだけで袋の代金を除き、仮に週1回程度利用した場合、年間で約1万4,400円から、2万4,000円の負担となります。 保険料の値上がり、物価高は続いている今日としては、大変厳しいと感じます。そして、潜在的にも含めたごみ出し支援を利用したい方は、市内でどのぐらいいらっしゃるのか、こちらの人数につきましては市としても調査はされておりませんので、例として、市内で要介護度が3、4、5の方々の多くはおむつを使用していると伺っておりますので、要介護度3、4、5の方を介護する方が80歳以上である老老介護の世帯数を伺ったところ、現在、市内で約150世帯とのことでした。仮に150世帯全ての世帯で週1回ごみ出しを利用した場合を考えてみると、市全体で1回当たり500円の場合は年間で約360万円、400円の場合は280万円となります。 参考資料のこちらを御覧ください。 こちらは令和2年度に地方公共団体向けに、環境省へ出された高齢者ごみ出し支援制度の導入の手引きの中の一部です。国でも高齢化が進行する中で、ごみ出し困難に状況が増えてくることが予想され、きめ細やかな支援をしていくことが必要として、特別交付税措置を創設しました。ここにちょっと小っちゃくありますが、特別交付税措置は5割を行って、地方にも積極的に取り組んでほしいとのことです。 以上のことより、国の特別交付税措置が使えるこの事業、既に伊那市でも交付税算入されておりますが、私は特に老老介護の世帯は、介護保険サービス利用料や紙おむつ代等も含め経済的負担は大きいと伺っている中、高齢者等のごみ出しは所得制限を問わず、できる限り負担をかけないように負担の面から見てあげたいと思っております。市内の保育園等ではおむつを市で回収しております。高齢者の方々にも、ぜひ手を差し伸べていただきたいと願います。 ここで市長に伺います。措置率5割の特別交付税措置の対象ともなるこの事業、「あったかご近所ネットワーク」事業拡大一層のためにも、先ほどおたすけ券や1回当たりの料金の見直しをしていく必要があるというふうに、すごく前向きなうれしいお答えをしていただいておりますが、こちらを1回当たりの利用料を400円から500円と設定し、その利用料については交付税措置を利用しながら、全額市が負担することはできないでしょうか。また、全額負担が厳しい場合は、おたすけ券の増額、及び現在所得制限しているおたすけ券の所得制限の解除をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 高齢者等世帯に対するごみ出しの支援制度につきましては、地方公共団体が行う個別回収についても、特別交付税措置の対象となるということは承知をしております。 伊那市では、ごみの収集委託に年間約1億4,000万円の予算を費やしているのが実情であります。現時点では、現在実施をしております支援の充実によって、高齢者等世帯に対するごみ出しの支援を行っていく必要があるということは考えております。 今後でありますが、身体的な理由などでごみ出しに限って、家人が行えない世帯に対しては、引き続いて必要回数分のおたすけ券、これを追加で交付をしていきたいと思います。 ごみ出しにつきましては、所得に関係なく全ての世帯に必要な軽作業でありますので、支援の目的が身体的な状況であれば、所得要件の解除についても検討を行っていきたいと思います。 地域社会における単価につきましては、シルバー人材センターの単価を参考に、要望があれば見直しをしていくということ。今後、他の自治体の状況等も見ながら、対策を検討してまいりたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 前向きな御答弁、とてもありがたく感じます。 私は、今私たちが住みやすい伊那市に住んでいられるのも、また住みやすく感じていられるのも、高齢者の皆さんをはじめ、戦後の日本を立て直し、昭和・平成と日本のために、地域のために頑張ってきていただいたおかげだと思っております。そうした中、頑張ってこられた諸先輩方に、伊那市に住んでよかったと、また子供たちにも伊那は住みやすいから戻ってこいと言っていただけるように、できる限り不便を感じない地域づくりをしていかなくてはならない。そして、5年後、10年後を見据え、今以上に住みやすい伊那市となるよう、今から種をまいていく必要があると思います。子供そして高齢者に優しい福祉が充実した伊那市を願いまして、以上で私の一般質問を終わります。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、小池隆議員の質問が終了しました。 暫時休憩します。 再開は15時20分とします。
△休憩 午後3時5分
△再開 午後3時19分
○議長(田畑正敏君) 休憩前に引き続き、会議を再開します。 柳川広美議員の質問に入ります。 21番、柳川広美議員。 (21番 柳川広美君登壇)
◆21番(柳川広美君) 21番、柳川広美です。 あらかじめ通告してあります大きく4点について、質問させていただきます。 まず1点目ですが、国民健康保険の18歳以下の均等割の軽減についてであります。 日本商工会議所は6月5日、2024年春闘の中小企業の賃上げ率は、3.62%と発表しました。大企業の賃上げ率、正社員は日本経済団体連合会の集計で5.58%と、その格差が浮き彫りとなっています。金額ベースでは中小企業は9,662円、中小企業の正社員は3.62%ですが、20人以下の企業では3.34%、パート・アルバイトでは3.43%、20人以下の企業のパート・アルバイトは3.88%の賃上げ率です。 県内86労組の平均は3.86%、4月23日現在ですが、平均妥結額は1万33円です。同じく6月5日に厚生労働省が発表した4月の毎月勤労統計調査、従業員5人以上では、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は、前年同月比0.7%減、マイナスは25か月連続で過去最長です。物価高騰に賃上げが追いついていません。その中でも、中小零細企業はさらに追い込まれています。その背景には、歴史的な円安を背景とした物価高があり、トラックの運転手不足による輸送コストの増も言われています。 6月からは電気代・ガス代への政府の補助も縮小します。給料が上がっても税金が増えて実質は大して変わらないとの声も聞かれます。また、中小零細企業では定額減税の事務が大変、インボイスで事務量が増えたが、消費税の納税は微々たるもの、何の意味があるのかとの声も聞かれます。 そこで以下、市長に2点を質問いたします。 まず1点目ですが、国民健康保険税の18歳以下の均等割に助成を、であります。全国では、18歳以下の子供の均等割を減免する自治体が増えています。全国商工団体連合会の調べでは、19都道府県の70自治体にまで広がっております。 これ、5月13日現在ですが。群馬県渋川市では、今年度から子育て世帯を応援する国保の助成制度を創設しました。国保に加入する18歳までの全ての子供の均等割相当額、1人当たり年額3万5,000円を助成、対象者は1,200人と想定し、事業費は約2,600万円を確保、財源は国保基金です。対象世帯に申請書を送るとのことであります。 渋川市の人口は7万2,600人、18歳までの子供は9,356人、対象者は子供の中で12.8%であります。伊那市の人口は6万5,119人、18歳までの子供は1万162人、対象者は約11.1%であります。全国的には北海道では旭川市。岩手県で宮古市。宮城県で石巻市、仙台市、大崎市、富谷市。福島県で福島市、白河市、南相馬市。新潟県で佐渡市。埼玉県で川口市、桶川市、越谷市。茨城県では27市がこれを実施しておりまして、栃木県は32市ありますので、84%の市が実施をしております。そのほか、全国的には70の自治体で実施されております。 伊那市で試算を出していただきましたが、昨年度の国保税ゼロ歳から18歳以下の均等割は、総額で1,950万円余であります。対象となる子供は、1,205人であります。国は令和4年4月から未就学児の均等割を5割に軽減という方針を打ち出しております。伊那市の現在の6歳から18歳までの子供の均等割は、1人当たり3万2,200円です。収入がない子供であるのにであります。他の健康保険は、国保ほど高い保険料は払っていません。 そこで伊那市は国保の子供の均等割を半額にすべきと考えますが、いかがでしょうか。中小零細企業や失業者、年金生活者、病気療養中で働けなくて収入がない方などの支援となります。国保の6歳から18歳以下の子供の均等割を半額にするには、幾らかかるのか。また、その実施について市長の見解をお聞きいたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 未就学児の均等割額でありますが、これは半額となっておりまして、軽減分につきましては国の2分の1、県の4分の1、市の4分の1、こんな割合であります。6歳から18歳以下の均等割の半額相当額、これ約840万円となっております。 伊那市では国保の加入者の負担増加を避けるために、歳入が不足する部分については、基金からの繰入によって補っておりまして、国保税を据え置きするとともに、将来に向けて持続可能な財政運営の備えとするために、一般会計から基金積立への繰入を行うなど、被保険者の負担軽減を図ってきております。 長野県は国民保険制度の安定化のために、国保料金保険料水準等の県内の統一に向けて今段階的に進めておりまして、伊那市独自に18歳以下の均等割額、これを半額に補助するということは現状ではできないところであります。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 多くの自治体がやれば、統一になるのではないかと思いますがいかがですか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 今、県下77市町村で進めている取組でありますので、こうしたところで独自ということは考えてはおりません。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 多くの自治体で実施している栃木県のような例もありますので、それほどお金がかからずできるという意味では、統一の基準の中に、この子供の均等割を半額にということも、県に要望するというようなことは必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 村松保健福祉部長。
◎保健福祉部長(村松義隆君) 県の見解でございますけれども、減税は個々の担税力に応じて判断すべきもので、画一的な基準で減免することは適当でないというふうに伺っておりますので、それに従ってまいりたいというところでございます。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 子供は収入があるわけではありませんので、ぜひ検討していただきたいと思います。 二つ目の質問に入ります。2028年度から始まる子ども・子育て支援金についてであります。 政府は異次元の少子化対策の財源として、公的医療保険料に上乗せ徴収する子ども・子育て支援金を、国保制度でも徴収しようとしています。国保では、加入者1人当たり年4,800円と報道されていますが、これはゼロ歳からの子供を含めた試算であります。実際には納税者1人当たり年7,200円、支援金の負担は増えます。今でも高い国保税を、さらに引き上げることになります。 異次元の少子化対策の中身は、今年度は児童手当が12月から拡充となります。3歳未満が月額1万5,000円、3歳から18歳が1万円、第3子以降がゼロ歳から18歳の全年齢で3万円で所得制限がなくなります。来年度からは3人以上の子供がいる多子世帯の授業料無償化の対象を、大学や短期大学、高等専門学校などの授業料や入学金などに充てるとしています。所得制限は設けない方針です。上限額は、予定は大学の授業料減免の上限は、国公立が約54万円、私立は約70万円、大学の入学金の上限は国公立が約28万、私立が約26万円などが言われております。 私は全ての子供を対象に、第1子から対象にすべきと考えます。「子供を育てるのにお金がかかるから、2人目は無理。」という親もいます。全ての親に恩恵があってこそ、子育て支援と言えるのではないでしょうか。 昨年度からは、「こども誰でも通園制度」がモデル都市で始まっております。保護者の就労にかかわらず、時間単位で柔軟に利用できる通園制度であります。月一定時間の利用可能枠の中で利用できます。対象者は、生後6か月から2歳の未就園児。2023年度から実施で、2026年度に全国展開します。利用枠は月10時間で検討されていましたが、利用枠を拡大する方針です。 現在、伊那市では実施していませんが、伊那市は保育士不足の中、2026年度からの実施は困難ではないかと思います。市民からは、「3人目なんてとても産めない。」「3人目を上の学校に行かせられない。」「これでは負担は増えるだけ」との声が聞こえます。保育の現場からも、「たまに来る子供に対応するには、保育士が確保できない。資格がなくてもよいなどとんでもない。他の市町村の子供を受けるのは困難。」との声があります。 国民健康保険は年収400万、4人世帯では年間全国平均で38万7,000円の負担であります。これはサラリーマン片働き、夫婦共40歳未満、子供2人共小学生以上、自宅などの資産なしで試算しております。 2023年度ですね、協会けんぽでは同じ条件で年間21万から18万7,000円です。約2倍の負担であります。この高い国保税に「子ども・子育て支援金」を上乗せ徴収するなど、何のための子育て支援か分かりません。「子ども・子育て支援金」制度について、市長の見解を伺います。 また、伊那市は「こども誰でも通園制度」を実施するのか、そのための人員は、受入れはできるのか、保育士資格者に限定すべきと考えるがどうか、どの保育園で受入れを行うのか伺います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 「子ども・子育て支援金」でありますが、国民健康保険を含めて公的医療保険に上乗せする徴収方法で、全加入者が一定の負担を担うということから、社会全体で子育て支援を行う意識の高まりというものが期待をされております。 その使途につきましては、主に児童手当の拡充に充てられることとされており、手当額それから対象範囲の拡大によって、子育て世帯への経済的な大きな支援につながっていくだろうということが期待をされております。長期的な観点から見れば少子化の進行を食い止め、子育て支援を通じて将来の社会保障費の増大、これを抑制する可能性を含んでいるという考えであります。 「こども誰でも通園制度」でありますが、定員に空きがある場合、親が就労していなくても子供を保育園に預けることができる制度であります。市内の保育園では、特に未満児について空きがない状態でありまして、「こども誰でも通園制度」をすぐに実施するということは、現状では難しい状況であります。 国は令和8年度から、全国の自治体で実施を予定しておりまして、伊那市でもそれに向けて今準備をしていくところであります。「こども誰でも通園制度」これを実施するために、必要な職員数の試算でありますが、保育士が6名新たに必要となります。また子供を受け入れる際には、保育士資格を持つ職員が対応するという予定であります。 「こども誰でも通園制度」で児童を受け入れる保育園につきましては未定でありまして、今後、私立園の意向も確認をしながら、検討を進めてまいりたいと思います。 いずれにしましても人員の確保が必要であり、正規職員も含めて計画的に保育士の採用を行っていくという考えであります。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 全国的に保育士不足の中、本当にこれが可能なのかと思います。また、「子ども・子育て支援金制度」については全ての社会保険加入者から徴収するという意味では、全ての人が子育てを支えるということにはなりますが、一方で本当に大変な人からも徴収するという意味で、本当に子育て支援になるのか疑問であります。 次の質問に入ります。大きく2番目の質問ですが、メタボ検診に歯科検診を追加することについてであります。特定健診いわゆるメタボ健診に併せて、歯科検診や歯科保健指導を受けられるようにすることについて、質問いたします。 信州大学医学部の歯科口腔外科教室の栗田浩教授は、「特定健診に合わせて歯科検診や歯科保健指導などを受けた人は、特定健診のみを受けた人に比べて体の状態のほか、運動や食事といった生活習慣が改善する傾向にある」との研究結果を発表しました。これは4月2日付の信濃毎日新聞に掲載されておりましたが、この研究はサンスターと信州大学歯科口腔外科教室との共同で、塩尻市と協力して研究が行われています。対象者は40代から70代、歯科検診を受けた人は歯間ブラシや洗口液のセットを配付し、使用を促しております。歯科検診と特定健診の両方を受けた方のほうが、特定健診のみの方より、「腹囲が基準以上」が減り、「脂質異常症あり」も減り、「高血糖あり」も減ったとのことです。口の中の健康は全身の健康に影響があると言われています。 塩尻市の広報では、歯周病が悪化するとメタボ該当員数が増加し、高血糖該当者が増えています。また、残存歯数が減少すると肥満該当者が増加しており、歯周病を予防することはメタボの予防に重要である可能性が示されましたとあります。 歯周病の診断は、塩尻市では唾液検査で行っています。その結果、70から80%の確率で、歯周病を見つけることができているとのことです。この唾液検査は、特定検診を受ける希望者に無料で行われています。伊那市でも特定健診だけでなく、歯科検診を全ての人が毎年受けられるようにするべきではないか、医療費の削減にもつながるのではないかと思います。 また、学校での歯科検診について、その後のフォローはなされているのか、お聞きいたします。
○議長(田畑正敏君) 村松保健福祉部長。
◎保健福祉部長(村松義隆君) 市が行っている成人歯科健診は41歳、51歳、61歳、71歳の節目の年に、500円の自己負担で歯科検診が受けられることができまして、令和6年度から21歳、31歳の方も追加しております。令和5年度の成人歯科検診の受診率は9.8%、受診者の90%以上が要指導・要精検でございまして、歯科検診を受けて口腔内の健康状態を把握することは、重要なことでございます。 健康センターで実施しております特定健診では、節目の年齢に該当する方のみ、歯科検診を一緒に受けることができます。 今後でございますが、特定健診と併せて歯科検診を行うことは、受診率を高めるためには効果的でございますが、歯科医師、歯科衛生士との協力が不可欠でございまして、実施は難しい状況でございます。 今後も口の中の健康と、全身の健康の関係性を周知を積極的に行いまして、まずは節目検診の受診を促してまいりたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君) 学校での歯科健診についてですが、学校での歯科健診、毎年6月30日までに行います健康診断に併せて実施をしております。健診結果につきましては、健診後速やかに保護者に通知しまして、必要に応じ医療機関を受診するよう促しているところでございます。 また歯科衛生士を招いて行う歯科指導により、正しい歯磨きの仕方などを学ぶ機会を設けたり、日常の中で食後の歯磨きを丁寧に行うように声がけを行っているところでございます。国の規則では、学校での歯科健診は年に1回ということになっておりますけれど、伊那市では歯科医師会の御協力をいただきまして、先ほどの1回に加えまして、秋過ぎにもう一回ということで年2回の歯科健診を行っておりますので、こうしたことが子供の歯の健康につながっていると考えているところでございます。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 塩尻市では、唾液で歯科検診をやっているということですが、そういう研究はどうでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 村松保健福祉部長。
◎保健福祉部長(村松義隆君) 今後、研究させていただきたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) ぜひ、簡便な方法があるのかもしれない、希望者が全員受けられているということでね、年間800人から900人ぐらいが歯科検診を受けていますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。 3点目の質問に入ります。 離婚後の共同親権についてであります。 婚後の子供の親権について、共同親権を導入する民法改定案が国会で可決成立しました。施行は2年後ということですが、ドメスティックバイオレンスの被害を受けている人や、親から虐待を受けている子供を支援している団体からは、不安の声が上がっております。親権に関わる民法の家族法制の改定は77年ぶりであります。戦後制定された民法でありますので。親権とは親の権利ではなく、子供が安心・安全に暮らせるようにするための親の責務であり、社会による子供の権利と福祉の保障であります。 今回の改定で、民法818条の「子は、父母の親権に服する」を「親権は子の利益のために行使しなければならない」と改めております。国会の論戦では、法務省民事局長は、「別居親の親権の有無の問題と、親子交流の頻度や方法をどのように定めるかといった問題は別問題。」と答弁しています。この改定案は、子供の意見表明権が明記されていません。親権をどうするのか、監護はどちらが担うのか、面会交流はどうするかなど、離婚時に決めるわけですが、子供の意見を聞き、尊重することが必要です。 また、離婚後、別居後などの後にも、子供の進学、就職、重大な手術などの際に、共同親権により話し合うことが大変難しいように思います。家庭裁判所の調査官が関与するとのことですが、そんなに調査官がいないとも言われています。 令和4年の離婚率は、人口1,000人に1.47人でした。結婚後二、三年での離婚が多く、5年から10年での離婚は19.9%とのこと。父母の離婚は、子供の人生を大きく変えます。しかも、一人親世帯は経済的に厳しいことは、伊那市でも同様ではないでしょうか。その背景には、離婚後の子供への養育費が払われていない、もしくは少ないという実態があるのではないでしょうか。 この共同親権によって、養育費が請求しやすくなるのでしょうか。DV被害者や子供への虐待があれば単独の親権も認められるようですが、離婚する際に、DV被害や子供への虐待を証明することが求められますが、これはなかなか困難であります。虐待する人に、精神的に支配されてしまうケースもあります。家庭裁判所が、必ずしも公平な立場とはいえないケースもあるといいます。離婚後の殺人事件なども起きています。離婚したからと、暴力を振るわれなくなるという保証はないわけであります。共同親権でも急迫した際には、緊急の手術など単独で決めてよいとなっています。子供の利益・福祉が本当にこの法律によって守られるのか、そこが問題であります。 そこで以下2点を、市長に質問します。 まず1点目ですが、DV被害者が共同親権という制度改正により、離婚できなくなるような事態が心配されます。市として、共同親権に関する相談窓口を設置すべきではないでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 離婚後、共同親権につきましては、離婚後も婚姻時と同様に父母両者の親権を認めることによって、離婚時に親権争いがなくなる、面会交流・養育費等の取決めがスムーズになる可能性があるわけでありますが、一方の親が虐待・育児放棄などの課題を抱えている場合には、子供の親権等が著しく脅かされることが危惧されているところであります。 様々なケースがありますけれども、現在の相談体制としましては、女性相談窓口として子育て支援課、児童虐待等についてはこども相談室、生活困窮等幅広い相談窓口としては福祉相談課が対応しております。 またこれらの相談窓口が必要に応じて、児童相談所など外部関係機関と連携を取りながら、個々のケースに対応しているのが実情であります。現時点での伊那市独自の共同親権の専門窓口を設置する予定はございませんが、法的な判断、またアドバイスが必要となった場合には、市の無料法律相談や「法テラス」等を案内して、希望があれば相談員が同行するなど、市ができ得る可能な支援等について、継続して取り組んでまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 女性相談窓口とあるんですが、奥さんからのDVもあるんですよね。そういう相談窓口はないんですよね。そういった点もぜひ考慮していただきたいと思います。奥さんからのDVで、本当に大変になったというケースも聞いていますので、ぜひ男性の相談窓口も必要ではないかと思います。 2点目の質問に入ります。離婚後のDV被害、子供への虐待を防ぐことが必要と考えます。全国的にはDVから逃れるために家を出ただけで、子供の誘拐と非難する、誘拐犯での刑事告訴、配偶者や子供の個人情報をユーチューブなどでさらす、ユーチューブで非難するなどの加害が離婚後も起きています。警察との共同で、子供とその保護者を守る体制が必要と考えます。共同親権によって子供やその親は守られるのか、そのための体制について質問いたします。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在もDV等のケースにおきましては、先ほどお伝えしましたそれぞれの相談窓口において、子供や保護者を守るために必要なアドバイスを行っているところであります。特に身の危険がある場合、このときにはまず警察に相談するように、相談員が伝えております。 また、要保護児童対策地域協議会におきましては、警察にもその委員として参加をいただいておりまして、個別のケース会議においても共同して対策を検討し、また対応に当たるということも行っております。 引き続いて、警察をはじめとした関係機関との連携を取り合い、子供や保護者を守るために必要な対応を取ってまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) ぜひここで、共同親権になってしまってその後、大変になるというケースも考えられますので、体制を取っていただきたいと思います。 大きく4点目の質問に入ります。同性パートナーに事実婚と同じ表記を、についてです。 長崎県大村市では今年5月2日、男性の同性パートナーの住民票の続柄欄に、「夫未届」と記入し、申請し受理されていたと報道されております。これまで異性の事実婚に利用されていた表記方法であります。 兵庫県では2020年に、尼崎市でパートナーシップ制度ができ、この制度を使い、この2人は、2023年に結婚式をされたカップルとのことです。その後、生まれ故郷の長崎県で暮らすため、パートナーシップ制度を2023年10月に導入している大村市に今年3月に転居し、4月にパートナーシップ制度の手続をしたそうであります。転居に伴い、事実婚関係が証明されると有利になる事態に直面し、5月2日、世帯を一つにする申請の際に、一方を「世帯主」、もう一人を「夫未届」と申請して受理されたとのことであります。 その後、総務省から、ちょっと調べましたら、大村市には7回にわたり総務省が質問があったということですが、今現在、総務省からは何の指示もないということで、大村市の見解は、市はパートナーシップ制度に基づいて対応しているだけだと総務省に回答しているそうであります。 伊那市でも、長野県のパートナーシップ制度を利用する同性パートナーに、同様の対応をすべきと思います。市長の見解を質問いたします。 また、伊那市独自にパートナーシップ制度を作り、ふるさとに帰ることができるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状におきましては、担当からお話をさせてもらいたいと思います。 伊那市に同性パートナーの転入等があった場合、このときには住民基本台帳の事務処理要領にのっとって、世帯主との続柄、これは「同居人」と記載をするということになります。
○議長(田畑正敏君) 柴市民生活部長。
◎市民生活部長(柴公人君) 長野県の同性パートナーシップ制度を利用するパートナーというところの現状でございますが、本年5月末現在、市民課の窓口ではそのような同姓のパートナーの続柄の表記について、相談を受けた事例はないという状況であります。 住民票ですが、住民基本台帳法により記載事項が定められておりまして、世帯主との続柄もその中の1項目であります。住民基本台帳に関する事務は、市が自治事務として法律や事務処理要領に基づいて行っております。 事実婚は男女が婚姻届けをした戸籍上の夫婦である法律婚に対する言葉で、法律上夫婦ではないが、社会生活上夫婦同然の生活をする内縁の夫婦と同じでございます。 続柄の表記について、住民基本台帳事務処理要領では、「夫未届」「妻未届」は内縁の夫婦の場合には記載するとなっておりまして、関係を具体的に記載することが困難な親族は、「縁故者」と記載することになっております。また、戸籍上も関係がなく血縁も認められない方の場合は、性別を問わず「同居人」ということになっております。 長崎県大村市の報道の後、総務省からの通知等はない状況でありまして、現状では市長の答弁したとおりということになります。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 追加で質問ですけど、県のパートナーシップ制度ができて、それに対応して伊那市の条例・要綱等を改正したものはあるのでしょうか。例えば市営住宅に入居できるとか、中央病院で家族として扱うとかということが県としては言われていますが、市としてそうした条例等全部見直しを行っているのでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 飯島
文化スポーツ部長。
◎
文化スポーツ部長(飯島伸一君) 今、議員御質問の届出制度によりまして、受けられる提供サービス、市の場合ですと、例えば市営住宅、例に出していただいたもの、入居申込み等が考えられるわけでございますけれども、現行制度の中で対応については可能でございますので、条例改正等は行っていないというのが実情でございます。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) この県のパートナーシップ制度に基づいて、ぜひ全ての条例・要綱を見直していただき、例えば、男性・女性の表記のみというような申請書とか、そういったものも必要であれば、男性・女性のほかにその他を入れるとか、記入したくないを入れるとか、表記をやめるとか、そういった対応が必要なものがあるのではないかと思います。 それから、職員のこうした方々への対応について、県のパートナーシップ制度では、職員向けのガイドラインを作成しておりますが、そういったものが伊那市では作られているんでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 飯島
文化スポーツ部長。
◎
文化スポーツ部長(飯島伸一君) 現在、伊那市におきましては、議員が今御指摘されましたガイドライン、手引き等独自のものは作成しておりません。県のガイドライン等につきましては参考にさせていただきまして、利用したいと考えております。 まず伊那市におきましては職員研修等を行う中で、性の多様性等を含めまして人権意識の向上を図る中で、適切に対応していきたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) 実は、上伊那の伊那市ではないんですがほかの市町村で、私が相談を受けた人について、本人の許可なく性的指向、性自認、戸籍上の性別などを私に告げた職員がいます。それは自治体職員ではないんですけれども、自治体に準ずる団体でありますけれども、そういったことが起こり得ないとも限りませんので、県の職員向けのガイドラインについて、本人の同意なく性的指向とか性自認、戸籍上の性別を公表しないと、非常に大事なことですので、やはりきちんとした職員研修を行っていただきたいと思いますが、再度いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 飯島
文化スポーツ部長。
◎
文化スポーツ部長(飯島伸一君) 今議員が御指摘いただいたとおり、そういった事例起こってはいけないことだと思いますので、先ほども申し上げましたけれども、引き続き研修等で意識向上を図りまして、対応間違えがないように行っていきたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 柳川議員。
◆21番(柳川広美君) ぜひ、伊那市もパートナーシップ制度、県のものであっても、伊那市独自の要綱なども必要ではないかと思いますので、またぜひ検討していただきたいと意見申し上げて、質問を終わります。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、柳川広美議員の質問が終了しました。 引き続き、吉田浩之議員の質問に入ります。 10番、吉田浩之議員。 (10番 吉田浩之君登壇)
◆10番(吉田浩之君) 10番、吉田浩之です。本日、最後の質問者になります。さきに通告した2点について、市長のお考えをお聞きいたします。 初めに道路網の整備と渋滞対策等として、春富地域における道路状況についてお聞きいたします。 一昨年度から始まった東原工業団地の整備は、最初の拡張エリアの工事も順次進められており、今年度からは第2期拡張エリアの整備も始まるという状況の中で、A区画に続きC区画も土地の売買契約の締結が予定されるなど、東原工業団地の整備が順調に進められており、このことは地域発展にとって大きな事業となっております。 そうした中で第2期拡張エリアまでの整備が終わると、全部で6区画の用地ができるということになります。既に売買契約の調印が済んだ区画もあることから、全ての区画に新たな企業が入ることも、それほど遠くないことだと思います。これは白鳥市長をはじめ担当職員の、熱心な取組の成果であると言えます。そうなればこの地域は大きな環境の変化も考えられるわけで、今後のそうした環境の変化に伴う交通事情について、市長にお聞きするものであります。 さて、この東原工業団地は6区画が整備されるということで、ここに事業所が決まれば、当然そこに通う従業員もいて、またそこに資材や製品を搬入搬出するトラックや、関係車両も多く行き交うようになるわけです。 担当課にお伺いしたところ、この6画での通勤者は1区画、つまり1事業所当たり約20人、6区画で100人から120人程度ではないかとのことでした。どのような事業所がここに入るかはまだ分からないわけですが、売買契約の調印が行われているA区画やC区画は、物流倉庫や製造工場であり、従業員や大型トラックもある程度見込まれるかと思います。そうした状況になれば、この周辺の交通量も増えることになります。 この東原工業団地とその周辺の道路網について、確認のためこの地図を御覧ください。 この地図ちょっと見づらいんですけれども、この地図は伊那建設事務所で作成したものを、市の建設課からいただいたものであります。 この中で、この四角い青くなってる、ここが今整備している東原工業団地の増設地域になります。それから、この縦に走っているこれ、これが国道153号で上が北になります。この春近大橋から、春富中の前を通ってキッツさん、パネックスさんの前を通って、富県から高遠に出ている、これが沢渡高遠線になりまして、この沢渡高遠線に、2本の県道が交差しています。一つがこれ、伊那生田飯田線というので、駒ケ根の東伊那から火山峠を越えて富県を通り、原新田の交差点ですが、そこで沢渡高遠線と交差して、竜東橋を渡って竜東の方面へ行くというのが一つ。それからもう一つが、東春近田原から、ずっと北上して中殿島の交差点、信号のあるところで、沢渡高遠線と交差して、ここで伊那生田飯田線と合流している。これが2本の県道になります。 それから、このピンク色のこれ、市道ですけれども、ちょうど火山峠を下りたところ、富県の南福地から竹松川沿いにずっと来て、沢渡高遠線と交差して、それで伊那生田飯田線に合流していると、このような道路状況になっていて、あとすいません、破線でずっと来ている赤いの、これが伊駒アルプスロードの予定路線になるというものであります。 こういった道路網となっているわけですが、今申しました3本の県道、沢渡高遠線、車屋大久保線、伊那生田飯田線、これはいずれも朝晩の通勤時間帯に渋滞しておりまして、地域の皆さんにとって大きな課題となっている道路という状況であります。 この各県道でありますけれども朝の通勤時間帯、富県東春近方面から竜東方面、あるいは西春近の国道153号に向かっての渋滞だけではなくて、逆方向の、富県東春近方面へ向かっての渋滞も生じているという状況でありますし、夕方は逆方向での渋滞が生じているということで、朝夕ともに両方向で渋滞しているという状況が発生しております。 そして、この東春近富県方面へ行く車のうち、この東原工業団地へ向かう車も相当数あるということであります。この東原工業団地に通う車のルートについて確認しておきます。現状、この東原の工業団地に通う車は5通りあります。まず一つが、竜東方面からこの竜東橋を渡って、それからこの車屋大久保線に、伊那生田飯田線を右折して入っていって、この中殿島の交差点を左折して上がっていくという。 それからもう一つは、この車屋大久保線に入るんではなくて、この先を行って、この南部線に右折して入ると、それから沢渡高遠線で右折していくという、右折、右折というラインが一つ。 それから、この153号からは春近大橋を渡って、沢渡高遠線へ行くという。 それからもう一つが、この駒ケ根方面からですけれども、火山峠を越えたところ、南部線に入ってずっと行って、この沢渡高遠線を左折するという、もしくはこの伊那生田飯田線を原新田まで行って、ここを左折していくという、この5通りがあるわけであります。 こうしたルートを確認していただいた上で、渋滞対策について話を進めていきます。 渋滞箇所ですけれども、やはりこれも5つあります。 まず沢渡高遠線、この沢渡高遠線に、153号に出る春近大橋、ここのところが非常に混むわけでありまして、30分ぐらいこの153号に出るのにかかるときもあるということであります。 それから次が、この車屋大久保線、この伊那生田飯田線に合流する箇所、ここで渋滞をしているというのが1か所。 それから次が、竜東橋を渡ってこの先ですが、ナイスロードと交差点がある、ここまでの間これが渋滞すると、いずれもあの富県東春近から153号あるいは竜東方面へ抜ける場合の渋滞があります。 それから逆方向の渋滞がありまして、それがこの竜東橋を渡って、先ほど申しました車屋大久保線に入る、ここ右折ということで、ここのところで渋滞する。 それからさらに、この南部線に入るところ、やはりここも右折なのでここ渋滞してるということで、ここでも渋滞するという状況があります。5か所の渋滞が発生しているという状況にあります。 こうした現状の中で、東原工業団地の事業所が増えれば、この渋滞がさらに増加してしまうのではないか、悪化してしまうのではないかと心配する声を、地域の皆さんから多くいただいております。東原工業団地の事業者が増えることで就業の選択肢も増え、地域発展にもつながるという期待もあるわけですけれども、一方で交通量が増えることで、渋滞が悪化するという不安の声もいただいているということであります。 この東原工業団地の横を通る沢渡高遠線、この沢渡高遠線は小中学生、あるいは沢渡駅へ向かう高校生の通学路となっているほか、この沢渡高遠線と交錯する南部線、これは伊那市内へ向かう高校生の通学路となっているということでありまして、東原工業団地へ向かう通勤車両と向かい合う形になるということで、当然交通事故への心配もされているということであります。 現在でもこの南部線は、東原工業団地への通勤車両だけでなく、多くの車両が利用しているわけですけれども、竹松川沿いのところ、富県南福地辺りは道路幅が狭い箇所もあります。また現在、東原工業団地の造成工事で大型ダンプが通っているということの中で、そうした箇所にあってもセンターラインがないとか、あるいは歩道も設置されていないということで、通行に不安という声を聞いているところであります。 そこで市長にお聞きします。この南部線でありますけれども、今後通勤等をはじめ、通行車両が増えることが予想されるため、この道路の拡幅、あるいは歩道の設置が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状については、部長のほうからお話をさせていただきます。 このことに関しましては、地元からも道路拡幅の要望をいただいておりまして、引き続いて整備ができる箇所から拡幅を進めてまいりたいと。また現時点では南部線に歩道の整備予定というものはありませんが、歩行者の利用状況を見る中で、必要に応じてグリーンベルトの設置、また交通安全施設の設置というものを検討してまいりたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 橋爪建設部長。
◎建設部長(橋爪豊君) 市道南部線は東春近六軒屋と富県南福地を結ぶ延長約4.3キロの旧市道でございまして、このうち4.1キロにつきましては改良済みとなっておりますけれども、先ほど指摘のありました南福地地籍の一級河川竹松川沿いの約130メートルについては、住宅が隣接しており拡幅が難しいため未改良となっております。また全線に渡って歩道の整備はされておりません。 それと市道桜井殿島線との交差点から、先ほど申した竹松川沿いの区間については、車道幅員6メートルで順次拡幅を進めてきております。 以上です。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 順次進めていただけるということで、拡幅のほうはまた引き続きよろしくお願いいたします。 先ほども述べましたけれど、沢渡高遠線と南部線との交差点、ちょうどこの工業団地のこの境の交差点ですね。この交差点は今後も交通量が増えることが見込まれます。 また沢渡高遠線と南部線共に児童生徒の通学路となっていることから、安全対策を図る必要があると考えます。この交差点は見通しの良い交差点、障害物が何にもないということであるという理由だと思いますけれども、現在信号機もありません。横断歩道も沢渡高遠線沿いの北側の歩道沿いに1か所あるのみです。 今後、この交差点の北西の箇所に事業所が立つことになれば、見通しが悪くなる可能性もあります。そうしたことから、この交差点に安全対策として信号機あるいは横断歩道の増設が必要ではないかと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 東原工業団地の拡張によりまして、新たな企業が立地をするということになります。そうなれば通勤車、通勤する車や社用車、大型車両等の交通量が増加するだろうと考えるわけであります。 県道沢渡高遠線と、それから市道南部線の交差点、これ歩行者の安全と車両のスムーズな通行を確保する必要がありまして、信号機の設置を含めた交差点改良は必要であると考えております。第2期エリアの整備工事と並行しまして、交差点改良も実施できるよう進めていきたいと思います。 また信号機を設置した交差点改良の実施に向けて、長野県公安委員会と協議を開始しております。なお信号機の設置については、公安委員会が実施をするため、交差点協議と合わせて信号機の設置を要望しているという状況であります。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 信号機の設置ということで、また拡幅も考えていただいているということであります。今後の交通量の増加を考えれば、そういった安全対策というのをしていただけるというのは大変ありがたいかと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、北から、今度は逆に、伊那方面から春富地区へ来る車についての件であります。竜東橋を渡って、この車屋大久保線に右折してあるこの丁字路ですね。この丁字路の交差点付近は、富県方面からの車も多く、現状でも右折しづらいということから、朝晩は両方向とも渋滞が発生しています。そうしたことから、車屋大久保線に入るために、右折レーンの設置が計画されているということで、このことは伊那建設事務所のほうでお伺いしました。 また交通安全対策として、車屋大久保線の交差点から南部線との丁字路までのちょうどこの間、この間に歩道が設置されるということもお伺いしました。 ただ竜東橋方面からの伊那生田飯田線を右折し南部線に入るルート、ちょうどこのここから南部線に入る、ここのところにおいては伊那生田飯田線と南部線の丁字路に、ここには右折レーンを設置する予定は今のところないということであります。確かに、この丁字路付近は盛土してあることから、盛土ののり面の整備など大規模な工事が想定される場所であります。ただ、今後東原工業団地に通う車が増える中で、車屋大久保線を使うルートより、南部線を使うルートのほうが距離も短いことなどから、交通量の増加が予想されます。 実際に、この車屋大久保線を使ってここへ来るのと、南部線を使うのって半分くらいの距離で済んでしまうということですので、多分こちらのほうを使う車が多いのかなというふうに思います。 そこで市長にお伺いします。伊那生田飯田線は県道でありますけれども、渋滞緩和対策として、南部線との交差点について拡幅などの改良をしたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。 また東原工業団地や富県方面へ向かう車の渋滞対策として、市として何かお考えがあれば教えていただければと思います。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 県道伊那生田飯田線と市道南部線の丁字路の交差点付近につきましては、大型車の擦れ違いが困難な状況であります。またここには歩道が設置をされていないと、このため伊那建設事務所において令和5年度より一部改良工事に着手をされておりまして、道路拡幅及び歩道設置がされるという予定であります。 また伊那生田飯田線と車屋大久保線の交差点改良も進められるということ、伊那生田飯田線と南部線の交差点から南側についても、竜東線整備促進期成同盟会において、六軒屋道路改良として要望を行っているところであります。 今後も引き続いて、現在進んでいる道路改良工事が早急に完了するように、県に働きかけていきたいと。また南部線は一部区間を除いて一次改良が済んでおりますが、幅員が狭い箇所がありますので、工業団地の整備後の通勤、交通量の増加に対しては、県道等の幹線道路の利用、あるいはの時差出勤による交通の分散、安全対策などを徹底するよう、状況に応じて工業団地の協議会などを通じて、各事業者へ徹底をしてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 東原工業団地をはじめ富県東春近方面の交通対策について今、お聞きしました。いろいろと取り組んでいただいているということであります。 次に、今度は東春近大橋から国道153号、逆に今度は東春近から西春近へ行く、こちらのほうのこの春近大橋から国道153号へ向かう車、それから富県東春近方面から竜東橋を渡り竜東方面、この上のほう、こっちへ渡る車の渋滞対策についてお聞きします。 初めに、春近大橋を渡り国道153号に出る沢渡高遠線の渋滞対策についてですが、この緩和策として伊駒アルプスロードを整備し、車屋大久保線と伊駒アルプスロードをつなげ、春近大橋での渋滞を分散することで渋滞の緩和を図ると聞いています。それまでにまだ数年はかかると見込まれますが、伊駒アルプスロードが整備されるのを待たざるを得ないのかなと思います。 次に、竜東橋のところの渋滞についてであります。やはり伊駒アルプスロードの整備が進めば、渋滞の解消につながるのではないかと思いますが、ただその伊駒アルプスロードがいつ完成するかということが全く見えておりません。そのため、現状の渋滞の対策については、完成まで待つのではなく現状に対して何らかの対策を取る必要があるのではないかと思います。富県東春近方面から竜東方面の渋滞の一つの要因として、竜東橋北の交差点、ナイスロードとの交差点ですが、この交差点で右折車が多く、直進車や左折車の通行を妨げている状況があります。 そこで市長にお聞きします。富県東春近方面から竜東橋までの渋滞対策として、竜東橋北交差点の右折レーンを伸ばしたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。県道のことなので、市でどうにかできるわけではないのですが、お考えをお聞かせください。 また、市として何かこの渋滞に対しての具体的に検討されていることがあれば、お聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) このことについても、現状は部長のほうからお話をさせていただきたいと思います。 提案の右折レーンの延伸が可能かどうか、また有効な対策であるかを含めて、現地を確認する中で伊那建設事務所と一緒に検討してまいりたいという考え。竜東橋北交差点の各方面からの交通を考えると、右折レーンの通行可能時間を延ばすことで、渋滞緩和が図られると考えられますので、これは伊那警察署と信号機のサイクルなどについて、協議をしてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 橋爪建設部長。
◎建設部長(橋爪豊君) 竜東橋北交差点の富県東春近から竜東方面に向かう車線につきましては、平成9年に拡幅改良が行われて、左折専用レーンが設置をされております。右折レーンは、延長約30メートル設置されておりますが、右折待ちの車等により、朝晩は渋滞が発生している状況です。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 富県東春近方面から竜東橋までの区間、朝夕の通勤時間帯が慢性的に渋滞しているということ、その解消や緩和を求める声が多くあります。ぜひ、この区間の渋滞が緩和されるよう検討をお願いします。ただこうした渋滞はここ最近に始まったことではなく、ある程度の通勤車両などが集中すれば、やむを得ない面もあるかと思います。ただ富県や東春近から竜東方面へ向かう人にとっては、この渋滞に加えて東原工業団地が増設されることで、渋滞がさらに悪化するのではないかと大変に心配しており、不安の声が聞かれます。 そこで市長に提案があります。東原工業団地が増設されることや、近々整備が始まる伊駒アルプスロードが、開通された後の渋滞見込みやその対策などについて、伊那建設事務事務所などと一緒に地元への説明の場を設けていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 今御指摘の箇所だけではなくて、伊那市内の交通量、慢性的に増えているという感じがいたします。この伊駒アルプスロードについては、直轄権限代行事業として国土交通省飯田国道事務所において進められておりまして、これまでも将来管理者であります長野県伊那建設事務所とも連携をしながら、事業の進捗に合わせて地元に対して説明をしていただいております。 天竜川を渡る工区、それを先にまず作って、バイパス的機能を持たせて渋滞の緩和ということで今、用地買収また設計が始まっておりますので、これに期待をするのと。 もう一つ、三峰川を渡る橋、これは早めに架けていかないと、その渋滞の抜本的な緩和にならないと思いますので、このことについても国のほうにお願いをしてまいりたいと思っております。 東原工業団地付近については、今後の予備設計の段階において、同様に説明を行っていこうということと、またこの説明会につきましては、これまでも地元の希望に応じて開催をしておりますので、引き続いて国・県と連携をして、丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 地域の皆さんの不安が少しでも解消されるよう、また取組をお願いいたします。 次に伊駒アルプスロードの整備についてお聞きします。 昨年8月に伊駒アルプスロードの中心くい打ち式が行われ、ようやく本格的にこの事業がスタートしたという印象を多くの方が受けたと思います。令和3年に富県地区での現地調査の説明会が行われ、その際には完成までに20年近くを要するかもしれないとの説明があり、出席者からはため息が漏れたものでした。しかし中心くい打ち式が行われたことで、確実にこの事業が前進しているということが、多くの市民に伝わったことと思います。 現在はこの工事の中で、3工区と言われる天竜川を渡河する工区、つまり西春近から天竜川を渡り、東春近の車屋大久保線までの区間を、伊駒アルプスロードの中で最初に整備を行うということで、用地買収が徐々に進められているようであります。 この工区を優先して整備するというのは、先ほど説明をさせていただいたとおりでありますし、市長からも答弁いただいたところであります。そういうことによって渋滞箇所の回避や、交通の分散が図られるということであります。 これまでの朝の通勤時間帯に、春近大橋を渡り国道153号に出るには、30分以上かかっていましたが、この伊駒アルプスロードの天竜川渡河部の整備がされれば、この渋滞緩和につながることになります。 このように現道の渋滞が回避もしくは緩和されることは歓迎すべきことでありますが、その一方で心配もあります。逆に駒ケ根方面から153号を利用している車の中には、伊駒アルプスロードを使って天竜川を渡り、車屋大久保線を通る車も考えられるわけです。そして、この車屋大久保線は先ほど話をしております、伊那生田飯田線と合流しているわけであります。この合流地点は、先ほど話したように朝夕の通勤時間帯は渋滞しているわけで、その渋滞がさらに悪化するのではないかという声も聞かれます。 そこで市長にお聞きします。この伊駒アルプスロードの3工区が整備されることで、車屋大久保線の交通量がどの程度増え、この区間の交通量にどのような影響を及ぼすか見込みがあるでしょうか。またその対策として、どのようなことをお考えでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊駒アルプスロードにつきましては、事業者であります飯田国道事務所において起点である駒ケ根市の伊南バイパスから、終点であるナイスロードまで、これを5つの工区に分けて考えております。このうち西春近の下牧の国道153号と接続をする新設市道の下牧伊駒線、これから東春近田原の県道車屋大久保線までの3工区については、先行整備区間として事業を進めていただいておりまして、昨年度から用地取得に着手をしております。 御質問の3工区の暫定供用時における交通量の公表というのはされておりませんが、この工区の整備によって、天竜川を渡る橋梁が新設され、交通分散、渋滞緩和が図られると考えております。 県道車屋大久保線につきましては、交通分散による交通量の増加が見込まれるわけでありまして、伊駒アルプスロードの整備に併せ、円滑かつ安全な通行を確保するために、長野県において下殿島から田原の道路改良、六軒屋の県道伊那生田飯田線との交差点改良、これを予定をしております。 今後、両箇所とも用地取得や補償、さらに本工事を進めていくとお聞きしております。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 現在の伊駒アルプスロードの整備事業は、この地域にとっても大変重要な事業であります。ただ全線が開通するまでには、ある程度の年数を要することも考えられますので、渋滞対策や交通安全対策にも取り組む必要があると言えます。そうした意味でも、今、市長から答弁いただいた取組を、積極的に見ていきたいと思います。 車屋大久保線と、その車屋大久保線が接続する伊那生田飯田線は、東原工業団地の整備も相まって交通量の増加が見込まれるわけです。伊駒アルプスロードが全線開通となるまでには、一時的な交通量の増加があるかもしれませんが、それまでの間、この伊那生田飯田線や、車屋大久保線を利用する人に我慢してくださいというのは、あまりにも我慢する期間が長過ぎると言えます。少しでも渋滞を緩和するべく対応していくことが、今道路を利用している方々に対し、必要なことであると言えます。 そうした状況から見ると、天竜川渡河部に次いで、次は伊那バイパスとの接続部分、つまりナイスロードから三峰川を渡り河岸段丘を上って、伊那生田飯田線にあたるまでの区間、5工区と言っておりますが、この区間であります。 先日の伊駒アルプスロードの整備促進期成同盟会においても、そうした要望をされた出席者もいました。また3工区の工事も着工していないため、こうしたことを述べるのは早いかもしれませんが、交通量の集中が激しくなっていることから、渋滞緩和策に優先的に取り組む必要があると言えます。 そこで市長にお聞きします。先ほども市長は、この三峰川を渡る工区のところを優先的にというお話がありましたけれども、その取り組むべきところについて、さらにまたお考えがあればお聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この伊駒アルプスロードにつきましては、沿線であります駒ケ根市、また宮田村を含めた伊駒アルプスロード整備促進期成同盟会として、国・県とも相談する中で、3工区を先行整備期間として進めていただいております。この5工区を含めたその他の区間については、早期に着手できるように要望していく予定でありますし、また三峰川を渡る橋梁についても、青島地区で景観形成住民協定を引いておりますので、この橋のデザインについても景観に配慮したものにしてほしいということを考えております。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) ぜひ5工区が次のところとなるように、取り組んでいただければと思います。 次に、現在取り組み始めている伊駒アルプスロードの3工区の今後の予定についてお聞きします。 具体的な計画は、予算の都合があるために分からないと思いますが、3工区のところ、天竜川を渡る部分の整備目標はいつ頃で、その後のスケジュールなど、伊駒アルプスロードの進捗状況と今後の計画について、分かる範囲内でお聞かせください。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在のところ、3工区の整備目標を含めて全線のスケジュール、これについてはまだ示されておりません。まずは3工区において用地取得を進めているところでありまして、早期に整備効果を表すことができるように、この工区の事業進捗を図っていくという考えであります。伊那市としましても3工区の早期の供用に向けて、引き続いて地元との調整等に協力をしていく予定であります。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 一日も早く整備がされるよう期待して、次の質問に移ります。 次は、自主防災組織施設整備についてであります。 5月28日の大雨は災害対策本部を設置するほどではなかったにしても、この時期としては従来あまりなかった大雨でありました。また、このところ梅雨入り前から大雨を警戒しなくてはならない状況が発生しており、本日も昼頃に大変降雨量が多かったかと思います。 昨年6月の大雨は、市内でも各地に爪痕を残し、道路や農業施設に甚大な災害をもたらしましたし、その復旧工事は今も続いているところです。 さて、梅雨入りするこの時期ということで、災害への対応について質問をさせていただきます。 防災対策の基本は自助、共助、そして公助の三つであると言われています。災害時、この公助が当然市民のために全力で行わなければなりませんが、この公助だけで全てカバーするということは困難ですし、自助だけの力にも限界があります。そこで、自分たちの住んでいる地域は自分たちで守るという地域の人々のまとまった力、これを共助として自主防災組織を位置づけています。この自主防災組織が災害時に有効に機能し、地域の安全を確保するためには、一つには組織が使用する防災資機材がしっかり備わっていることが必要条件になります。自主防災組織の防災資機材については、それぞれの組織によって必要とされるものが異なるでしょうし、何を整備していくかは、各自主防災組織の判断によります。 最近は、自主防災組織の方々も積極的に情報を収集し、自分たちの組織にとって、あるいは地域にとって必要な防災資機材は何かを考え、従来ではなかったものを購入するべく補助金を申請していると、担当課の方にお聞きしました。 最近の異常気象や地震による大規模災害が身近なところで起こり、市民の防災に対する意識も高まってきているということだと言えますし、市民への防災意識の向上に努められた結果とも言えます。 自主防災組織が行う防災資機材などの施設整備を行う際に要する経費に対し交付する補助金として、自主防災組織施設整備補助金があります。令和5年度は24団体から230万円の補助金申請があり、基本的には全て認められているということでした。そして、この自主防災組織施設整備補助金は、前年度にこの補助金を交付を受けた場合、翌年度申請ができないという工夫をし、できるだけ多くの自主防災組織がこの補助金を受けられるようにしているとのことでした。こうしたこの補助金による防災資機材の整備促進とともに、地域住民の意識を高めることなどを目的とした「おでかけ講座」も、自主防災組織をはじめ事業所などで開催され、昨年度は74回、約2,100人の参加があったとのことでした。こちらも市民の参加者数も多く、その意識の高さがうかがえるところです。そうした状況を踏まえ、市長にお聞きします。 自主防災組織施設整備補助金により整備される防災資機材として、最近はどのような傾向があるのでしょうか。また、「おでかけ講座」はどのような内容で開催されることが多いのでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 埋橋危機管理監。
◎危機管理監(埋橋進君) 自主防災組織施設整備補助金は近年、発電機や投光器だけでなく地区の災害対策本部における体制整備としまして、情報収集のためのテレビやパソコンなどを整備する組織が増えております。また、簡易トイレなど、被災後の対応を意識した資機材の購入も増えております。 「防災おでかけ講座」につきましては、地域など地域特性に合った具体的な行動計画の作成を希望する地区が多いため、災害時の行動をあらかじめ整理した地域タイムラインの制作支援などを積極的に実施しております。また、令和6年能登半島地震を教訓としまして、食料や携帯トイレなど生活用品の備蓄といった自助の強化についても説明しているところでございます。 なお、近年の「防災おでかけ講座」の実績としましては、令和2年度は61回、2,300人、令和3年は36回、800人、令和4年は59回、1,400人の参加をいただきました。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) ただ、この資機材整備のための補助金にしても、「おでかけ講座」にしても、それらを活用し防災資機材の充実を図り、災害時に適切に対応できるよう積極的に取り組んでいる自主防災組織もあるでしょうが、一方で、それほどではない組織もあるかと思います。それぞれの組織が抱えている自然環境、地形などから災害の危険度も異なるわけで、それほど意識しなくてもよいと考えているのかもしれません。しかし、近年の災害の状況を見ると、いつどこで災害が起きてもおかしくないと言えます。そうした状況などから、どの自主防災組織においても、防災資機材の充実を図り、「おでかけ講座」で住民の意識の向上を図る必要があるわけです。 そこで市長にお聞きします。自主防災組織の中で補助金や「おでかけ講座」の活用が少ない組織に、積極的にその活用を働きかけてみてはどうでしょうか。またそうした中で、積極的に取り組んでいる組織の事例紹介なども行うことで、より一層の意識を高めることができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この自主防災組織の取組でありますが、地区の規模とか、地区内の災害リスクの有無によって、防災意識に対する考え方に違いが出ているということで、地区によって様々であります。そこで地区による取組の差をできるだけ埋めて、全市、伊那市全体、一体的に防災対応のレベルアップを図るということを目的にしまして、平成30年に市内全地域を対象とした伊那市自主防災組織連絡会を設立をいたしました。この連絡会では、先進的な取組をしている自主防災組織の事例発表を行い、また取組の横展開も図っているところであります。 例えば、令和6年1月26日に開催した研修会においては、先進事例紹介として、西箕輪上戸区の自主防災会、西町区の伊那部自主防災会、それと日影区の自主防災会の役員の方から事例発表をしていただきました。この自主防災組織は、共助の観点から近隣、近所の皆さんそれから地区住民が互いに協力をして活動する任意の組織でありますので、無理なく効果的な活動ができるよう、伊那市でも活動支援の取組、このことを共に続けてまいりたいと思います。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 実際、自主防災の連絡会等の中で、そういった取組もされているということであります。こういった取組が引き続き進められるよう、お願いいたします。 次に、災害時の自主防災組織の取組についてであります。災害が発生した時、昨年の6月2日の大雨の際でありますが、各区の公民館施設は指定緊急避難場所として地区のよりどころになるとともに、区長等を長とする区の災害対策本部が設置される場所として、災害時の情報収集をしていかなければならない施設にもなりました。つまり、区の災害対策本部となる地区公民館においても、迅速・的確に情報を収集するため、ケーブルテレビや有線放送、あるいはWi-Fiの設置といった情報収集のためのツールは、今日の災害時に必要なものになっています。特にWi-Fiについては、災害情報をいち早く取得し対応できるよう、整備する必要があると考えます。 自主防災組織施設整備補助金の中でも、Wi-Fiのルーターやテレビ・パソコンは備品として補助対象になっているということですが、そのための設置工事や毎月の使用料は、補助対象外となっています。しかし災害時の情報収集や自主防災組織の役員等が、情報を共有するために使用するWi-Fiやケーブルテレビを設置することは、災害時には地区単位であっても必要とされるツールの一つであります。そのためこうした情報収集のためのツールに関わる工事や備品は、全ての自主防災組織にとってひとしく必要なものであると言えます。 そこで市長にお聞きします。各自主防災組織が指定緊急避難場所にWi-Fiを整備する際の工事費などについて、従来の自主防災組織施設整備補助金とは別に支援をしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(田畑正敏君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 災害時の情報収集としましてインターネットの活用、これは重要であると思います。災害時に、必ずしも整備工事を行った施設が使用できるとも限らないわけでありますが、整備工事だけではなくて、補助の対象となるポケット型のWi-Fiや、モバイルルーターの機器の購入によって、環境整備を検討していただきたいと考えております。 また、この補助金でありますが、まずは組織の体制整備や強化育成を図ることを目的としておりますので、現時点では使用料などランニングコストに関わる部分、これは補助対象としてはおりません。自主防災組織にはWi-Fiやケーブルテレビの整備を含めて、何が災害に向けて優先すべき設備であるのか、これを御判断をいただいて、今後も現行の補助制度の枠組みの中で計画的に施設整備を進めてもらいたいと考えております。
○議長(田畑正敏君) 吉田議員。
◆10番(吉田浩之君) 確かに、そのポケットWi-Fiというようなお話もありました。指定緊急避難場所としてなっているところでも、必ずしもそのときにはそこが使えなかったりする。そこに整備してあっても使えないということになれば、ポケットWi-Fiのようなものも有効なのかなと思います。 これから梅雨時の大雨が心配されます。そうした中で、全自主防災組織において災害時に適切な対応ができるよう、さらに意識を高めてもらうことが必要であり、共助のための支援についても前向きに取り組んでいただきますようお願いして、私からの質問を終わりにします。
○議長(田畑正敏君) 以上をもちまして、吉田浩之議員の質問が終了しました。 お諮りします。本日はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(田畑正敏君) 御異議なしと認めます。よって本日はこれをもって延会します。
△延会 午後4時42分 地方自治法第123条第2項の規定により署名をする。 伊那市議会議長 伊那市議会議員 伊那市議会議員...