伊那市議会 2023-06-13
06月13日-02号
令和 5年 6月 定例会 令和5年6月
伊那市議会定例会会議録 (5-2)1.開会 令和5年6月13日(火曜日)午前9時30分
---------------------------------------2.出席議員の氏名(21名) 1番 池上 謙 2番 伊藤のり子 3番 唐木 拓 4番 小池 隆 5番 篠塚みどり 6番 高橋 姿 7番 高橋明星 8番 三石佳代 9番 湯澤 武 10番 吉田浩之 11番 小林眞由美 12番 田畑正敏 13番 原 一馬 14番 三澤俊明 15番 宮原英幸 16番 白鳥敏明 17番 二瓶裕史 18番 野口輝雄 19番 唐澤千明 20番 飯島光豊 21番
柳川広美--------------------------------------- 欠席議員の氏名 なし
---------------------------------------3.説明のため出席した者の職氏名 市長 白鳥 孝 副市長 伊藤 徹 教育長 笠原千俊 総務部長 伊藤博徳 企画部長 飯島 智 文化スポーツ部長 宮原貴敏 市民生活部長 城倉 良 保健福祉部長 村松義隆 農林部長 柴 公人 農林部参事 松本直也 商工観光部長 重盛 巧 建設部長 橋爪 豊 建設部参事 鷲見祐人 水道部長 伊藤一真 教育次長 三澤 豊 会計管理者 河上千鶴子 高遠町総合支所長 福澤 清 長谷総合支所長 有賀賢治 総務部参事 埋橋
進---------------------------------------4.職務のため出席した事務局職員 事務局長 久保田 玲 次長 井口大輔 庶務係長 竹中恵子 主査 守屋奈央 主査
下島一志---------------------------------------5.議事日程 日程第1 会議録署名議員の指名 日程第2 一般行政に対する質問について
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△開議 午前9時30分
○議長(白鳥敏明君) おはようございます。今日は大勢の市民の皆さんが傍聴に来ていただいております。今日は梅雨の中休みということで、久々に晴れの気持ちの良い朝を迎えております。先日の台風2号により、中山間地では被害が発生し、市民生活に支障をきたしている地域もあり、早期の復旧を望みたいものです。まだ梅雨の始まりですが、これ以上の災害が発生しないことを願いたいものです。 それでは本日の会議を開きます。 本日の議事日程はお配りしてあります議事日程表によって進めてまいります。
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△会議録署名議員の
指名 ---------------------------------------
○議長(白鳥敏明君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。本日の会議録署名議員は21番、柳川広美議員、1番、池上謙議員を指名いたします。
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△一般行政に対する質問について
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○議長(白鳥敏明君) 日程第2、一般行政に対する質問に入ります。質問通告者は20名であります。 質問順序は一般質問通告者及び質問順序の順序で行います。 それでは、田畑正敏議員の質問に入ります。 12番、田畑正敏議員。 (12番 田畑正敏君登壇)
◆12番(田畑正敏君) おはようございます。12番、田畑正敏でございます。私自身、今回20回目の一般質問になりますが、この6月議会で初めてトップバッターを務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。 本日は、さきに通告してあります地域社協の日帰り入浴事業の再開に向けて、高校生の通学支援に向けた「おのりな号」の有効活用についての2点について質問及び提案をさせていただきます。 はじめに、地域社協の日帰り入浴事業の再開に向けてであります。国が
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを5月8日より、
季節性インフルエンザと同じ5類への移行に伴い、県の対応も大きく変わりました。毎日だった感染症数の発表は週1回となり、感染者に対する自粛要請は求めないなど、
季節性インフルエンザと同様に、個人の判断に委ねられることになりました。 しかし、多くの専門家は、ウイルスがなくなったわけではなく、流行が今後も繰り返すことは間違いない。社会全体が免疫を獲得し、以前からある他のコロナウイルスと同様の、普通の風邪と見なせるようになるには長時間が必要であり、流行が続くことを前提に、いかに共生していくかが今後の鍵になるのではないかと指摘しています。 そうした中、4月16日に私の地元区では、令和5年度の区定期総会が開催されました。
新型コロナウイルスの国内初の感染者が確認されたのが2020年1月15日でしたので、奇しくもその年の4月からは、区の事業年度、会計年度は、行政年度と同じ4月から3月に変更された年でした。そうした経過もあり、今回は実に4年ぶりに開催された区の定期総会でした。 そして、そこで出された意見の中に、地区社協がメイン事業で行っている福祉入浴について
新型コロナウイルス発症以降、中止となっているが、コロナも落ち着いてきているので、ぜひ再開してほしい。高齢者の皆さんは、コロナ発症以降なかなか外出することができないため、行き場所がなく困っている。大変楽しみにしている福祉入浴事業を今年度は実施してもらいたいとの要望でありました。この意見には賛同者も多く、役員の方は、周りの状況を見ながら検討するとの回答でした。 福祉入浴については、地区社協と民生児童委員が協力して、地区の高齢者を対象に実施している事業ですが、私の地区でもこの3年間は
新型コロナウイルスの影響で、福祉入浴はストップしていました。福祉入浴は、伊那市社会福祉協議会が行っているいきいきサロンの補助金対象になっている事業で、福祉入浴としての申請の他、入浴を絡めた交流や昼食会、体操を兼ねての入浴など、地区によって活動は様々なようです。 社会福祉協議会からいただいた資料によりますと、コロナ前の平成30年度には、市内の76地区、これは76行政区という意味ですけども、76地区で188回実施され、4,282人の皆さんが参加し、市内の温泉施設を利用しています。同じく、令和元年度は72地区169回3,722人が参加していましたが、令和2年度は
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4地区で4回51名、令和3年度は5地区で7回88名、令和4年度においては6地区15回で211名の参加者となっています。伊那市のどの地区においても、令和2年度以降は
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、事業が大幅に自粛されていることがうかがえます。 また、実施回数は地区によって異なりますが、年に二回から三回の地区が最も多く、そのほとんどは送り迎えも無料でやっていただけることから、伊那市の温泉施設であるみはらしの湯、さくらの湯、仙流荘を利用しています。令和元年度の利用実績では、みはらしの湯91回、仙流荘24回、さくらの湯16回、さくらホテル1回と、みはらしの湯が圧倒的に人気があり、各地区の社協が利用したことがわかります。
新型コロナウイルスが5類に移行されたことにより、いよいよ地域社協も
福祉入浴事業再開に向けて動き出すと思います。 そうした中で、伊那市観光株式会社からいただいた
地域社協向け入浴プランによりますと、今年度利用できる施設は仙流荘とさくらホテルの2施設となっています。さくらホテルは通年利用可能となっていますが、仙流荘については5月1日から10月31日の6ヶ月間のみの利用となっており、したがって、11月以降については、さくらホテルの1ヶ所のみが
福祉入浴対象施設となります。 そこで質問いたします。 伊那市観光株式会社の施設は仙流荘、さくらホテル、さくらの湯、みはらしの湯の4施設でありますが、今年度の
地域社協向け日帰り入浴施設は仙流荘とさくらホテルの2施設となっています。今までの対象施設であり、人気の高かったさくらの湯、みはらしの湯が
地域社協向け入浴プランの対象施設から外れた理由についてお伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 新型コロナの拡大によりまして非常事態宣言が発令をされ、伊那市観光株式会社に指定管理をしている施設におきましても休業また、飲食の提供の中止ということを余儀なくされまして、入浴施設では現在も簡易な食事を除いて、飲食の提供を中止しているという状況であります。またコロナ禍による利用者の減少が続いておりまして、多額の経費を要する送迎バスも売却をしたという経過があります。 他方で社会福祉協議会としては、地域社協の日帰り入浴事業、これは伊那市高齢者いきいき健康券を利用して施設に行くことで、コミュニケーションを図る思い、また憩いの場あるいは人との交流によって、高齢者の健康増進に役立っているというふうに考えております。 みはらしの湯とさくらの湯の飲食提供を再開させるための急な人員の配置、これは現状では難しいわけでありますが、地域社協向けの入浴プランに、二つの入浴施設を早期に加えるということが、現状ではできない状況であります。そうした中では現段階では、食事提供が可能な施設、これは
高遠さくらホテルとそれから仙流荘のみということでありますので、現状ではこの二つの施設をご利用していただきたいということであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 社会福祉協議会からいただいた資料によりますと、各地区社協の中で、年間の福祉入浴回数が一番多い地区は9回でした。したがって、コロナ前は仙流荘、さくらの湯、みはらしの湯と別々の施設での利用が可能でしたが、今年度の場合は2施設と制限され、かつ11月以降においてはさくらホテルのみとなります。 そこで懸念されるのが、対象施設が11月以降、1施設になると、伊那市外の温泉施設を利用するケースが出てくるのではないかと想定するからです。もう既に令和5年度の申請の中には、箕輪町のながたの湯と計画を出してきた地区社協もあると聞いています。 そこで質問いたします。施設の位置づけを明確にした点については賛同できる部分もありますが、現時点での
地域社協向け入浴プランは仙流荘、さくらホテルの2施設となっています。今後において、温泉施設であるさくらの湯、みはらしの湯が入浴プランの対象施設になる検討の余地はあるのでしょうか、お伺いします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この福祉入浴の楽しみというのは、温泉入浴と食事を含めた交流にあると思いますので、現段階で食事の提供できない施設では難しいというのは言えるかと思います。現在みはらしの湯とさくらの湯では食事の提供を中止をしておりまして、再開には新たな人員配置も必要となりますので、今すぐということでは困難であると言えるかと思います。今後の検討については当然していくわけでありますが、現状では送迎バスを所有をし、また椅子席での利用も可能である
高遠さくらホテル、それから仙流荘というのをご利用していただきたいということであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 一般的に温泉目的の人たちは、観光客も含めてですが、ゆっくり温泉に入って食事や一杯を楽しみに来る人が多いのではないかと思います。飲み物は自動販売機で買えたとしても、食べ物を自分たちで持ち込まないと食べることができないとしたら、銭湯と同じで、伊那市の温泉施設としては不満を持つ市民の皆さんは多いのではないかと察します。今後、世の中の動きがコロナ前に戻ってくればなおさらのことですが、市民の皆さんだけではなく、観光客やインバウンドの期待も膨らむからです。 そこで質問いたします。
地域社協向け入浴プランの対象施設としてということだけではなく、観光という観点からもこの先を鑑みたとき、温泉施設であるさくらの湯、みはらしの湯の飲食の提供は、今後の集客増を狙う上で鍵となる必要なサービスではないでしょうか。伊那市の温泉施設として、総合的観点に立ち、目指すべき方向性について、市長のお考えをお示しください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市の日帰り温泉施設、これ市民の利用が多いということから観光客向けではないところも側面も持っております。さらに言えば、福利厚生の施設であるということが言えるかと思います。今後につきましては、この福利厚生施設として明確に位置づけて、指定管理の経営改善、これを促しながら、市から相応の支出を行って食事あるいは送迎ができる施設というものを目指してまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 伊那市の令和5年4月1日現在の65歳以上の人口は、2万1,078人で、高齢化率は32.1%であります。今後ますます高齢者が増え続けていく中で、元気で長生きしていただくことは、誰もの願いであり、そうした中で、身近な温泉施設で人生の疲れを癒すことのできるのが、福祉入浴事業ではないかと思います。 そこで質問いたします。さくらの湯、みはらしの湯の2温泉施設については、今までの経過からも、福利厚生施設として、充実を図ることが求められていたと理解しています。そうした中で、今後における福利厚生施設としての位置づけ、また他の施設とどのように棲み分けを行おうとしているのでしょうか、お考えをお示しください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) みはらしの湯とさくらの湯の二つの温泉施設はこれまでも市民の方の利用が多く、意味合いとすると福利厚生施設であったというふうに言えるかと思います。伊那市が発行しております伊那市高齢者いきいき健康券のうち、16.73%がこの二つの温泉施設で利用されていることから、そうしたこともうかがえるわけであります。今後につきましてはみはらしの湯、それからさくらの湯を福利厚生施設として明確に位置づけた上で、今年度新たな指定管理の指定を検討していきたいと。検討に当たりましては、食事提供を行っていただいておりました令和元年度の日帰り温泉施設の収支、これ黒字でありましたので、新たな管理者と食事の提供、あるいは送迎の実施についても調整をして進めてまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 温泉施設を今後も維持、継続していくための条件として、福祉目的の位置付けはあるものの、入浴料金については、実態に合った料金を市民の皆さんにご理解いただくことが重要と考えます。そして今後、伊那市の温泉施設が魅力ある温泉施設として生まれ変わり、多くの方に利用していただける施設運営を期待しまして、次の質問に移ります。 次は、高校生の通学支援に向けたおのりな号の有効活用についてであります。伊那市議会は昨年12月19日に伊那西高校の3年生と、また、令和5年3月20日には、
伊那弥生ケ丘高校の1、2年生と意見交換会を実施してきました。 伊那西高校でのテーマは、1、この地域の良いところは、2、議会に若者の力を取り入れるには、についてグループ懇談し、また、弥生ケ丘高校との意見交換会では、1、探究の学習の発表内容について、2、議会の仕組みや仕事について、3、その他要望したいこと等についてグループ懇談をしてきました。その中では、現在の高校生の考え方や思いも聞くことができ、また刺激を受けた意見もありました。両校とも伊那市在住の生徒、また市外から通学している生徒もいる中で、両校の生徒が出された意見の中に、通学問題がありました。交通の便が悪いため、親の力を借りないと学校に行くことができない。特に部活や学校祭の準備等で遅くまで残りたいときには、もう親の迎えがなければ残ることはできない。また、テスト期間中に、午前中で授業が終わったときなど、帰宅方法がない。親も勤めているので、そのために休んで迎えに来てもらうことはできない、との切実な意見もありました。また、電車通学をしている生徒からは、12時台の電車が欲しいとの意見も出されました。 高校生の通学問題については以前より課題となっており、私も高校生を持つ親から常々相談を受けていました。そこで今回、伊那市内の小・中学校と高校の通学の実態について調べてみました。教育委員会からいただいた資料によりますと、伊那市の小学校15校のうち、学校までの通学距離が4キロメートル以上の生徒がいる西箕輪小学校、西春近北小学校、高遠北小学校、長谷小学校の4校が、
遠距離通学児童生徒通学費補助金の対象になっており、スクールバスや路線バス等を利用し通学しています。 また、伊那市の中学校6校のうち、学校までの距離が6キロメートル以上の生徒がいる伊那中学校、東部中学校、春富中学校、高遠中学校、長谷中学校の5校については、スクールバス、スクールタクシー、自転車通学を含めて、
遠距離通学児童生徒通学補助金の対象となっています。したがって、小学校、中学校の遠距離通学については、市の対応で、それぞれの状況に合わせた適切な運用が図られていると認識しました。 しかし、中学を卒業し、高校生になった瞬間から
遠距離通学生徒自身はもちろんのこと、御家族含めて大きな負担になっていることはいうまでもありません。まさしく通学弱者になってしまうのです。そこで、市内の高校の中でも先進的な取組として、スクールバスを運行している伊那西高校と高遠高校の2校について現在の状況を調べてみました。 伊那西高校では、20年ほど前からマイクロバス1台を活用し、長谷の道の駅南アルプスむらから高遠線を通り、東部中学校エリアをカバーして、伊那西高校まで運行しているとのことです。マイクロバスなので人数は限られますが、毎年20人から25人が利用しており、20年前のスタート時から同じ定額料金で運行し、学校としては赤字覚悟の上で生徒さんに来ていただくためのサービスとの考えの中で継続的に実施しているとのことでした。また、学校の授業時間に合わせてバスの運行時間も決められるため、生徒からも喜ばれているとのことです。 一方、高遠高校については、駒ヶ根市にある民間のこまくさ観光株式会社が高遠高校専用のスクールバスとして運行しています。このスクールバスは営業目的という位置づけの中で、生徒たちとは年間契約となっており、料金は乗車場所によっても異なりますが、伊那市内の生徒でも年間25万円以上の個人負担となっています。 また、同業者である伊那バスやJRバス関東の路線は通らない等の配慮もされており、私達の気づかない制約条件の中で運行していることがわかりました。朝の便は3便で、南方面は飯島駅発と駒ヶ根市のこまくさ観光本社発、北方面は箕輪町の
北小河内公民館発となっており、決められたルートに沿って運行されています。飯島駅発は、駒ヶ根市小町屋から天竜川を渡り、中沢、東伊那を経由して火山峠から富県を通り高遠高校へ。また駒ヶ根こまくさ観光本社発は、国道153号線を通り、宮田村から伊那市西春近のニシザワ春近店、伊那市役所、ナイスロードを通って高遠高校へ来ています。 また北方面は
箕輪町北小河内公民館発で、箕輪町役場、南箕輪役場から、西箕輪大萱公民館、伊那インターから前原公民館、そして手良小学校を経由して、高遠高校のルートになっています。毎年、新入生が入学してくる居住地に合わせてルートを決めているということでした。 帰りの便は、早い時間帯と遅い時間帯の2班にわかれており、飯島駅行きと
箕輪町北小河内公民館の2ルートにそれぞれ1便の計4便が運行されており、現在の利用学生は南ルート63名、北ルート27名の合計90名が利用しているとのことでした。 こうした状況を踏まえた中で、質問と提案をさせていただきます。伊那市の令和5年度の予算の中に、
高等学校教育振興として、
高遠高校振興会負担金として300万円、
伊那西高校学校運営補助として104万2,000円が計上されていますが、市として、県立高校である高遠高校に、また私立高校である伊那西高校への支援の目的に至った経過について教育委員会に考えをお聞きいたします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 高遠高等学校の振興会の負担金でございますが、住民の数、また生徒数が減少している地域にあります高遠高等学校の教育活動の充実を図ることを目的にいたしまして、
高遠高等学校振興会が行います、教育設備・備品の購入、またコース制の課程を組んでおりますけど、その充実や講座の開催、またバス通学の生徒への支援などについて高遠高校同窓会とともに必要な経費の一部を支出するものでございます。 令和5年度につきましては、教育設備等の充実や、講座の開催などの教育活動への支援として140万円、バス通学の支援にかかる経費として160万円の計300万円を予算化をしているところでございます。 伊那西高等学校の運営への補助につきましては、私立高等学校での奨学と振興を図ることを目的にいたしまして、市内に学校法人が設置する高校に対し、伊那市学校法人の助成の手続に関する条例の定めるところにより、予算の範囲内で補助をするものでございます。令和5年度でございますが、対象となる伊那市に住所を有する生徒数を170人と見込みまして、総額で104万2,000円これを予算化しているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) ただいま答弁いただきました内容につきましては大変賛同できるものがありますので、今後についても、その趣旨に沿った継続支援をお願いしたいと思います。関連質問ですが、補助金額は先ほど伊那市在住の生徒数割での補助金という考えかたでよろしいというふうに理解をしています。また、この他に、高校への補助事業はあるのでしょうか。教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 三澤教育次長。
◎教育次長(三澤豊君)
高遠高等学校振興会への負担金につきましては先ほど申し上げたとおりですが、高遠高校の振興を図るということを目的にしておりまして、生徒の確保が最大の目的ということで、その支援対象は伊那市在住の生徒には限らず、負担金の額につきましては、定額ということで、支出しております。伊那西高等学校の運営への補助が定額割として60万円、伊那市に住所を有する生徒1人当たり2,600円を補助しております。 この他の補助といたしましては、高校への直接的な支援ではございませんが地域への定住促進を目的に、高遠町または長谷に居住し、高遠高等学校以外の高等学校に通学する生徒の保護者へ定期券、回数券購入費の一部を補助する過疎地域高等学校通学費補助金がございます。 令和4年度の実績といたしましては、高遠町と長谷合わせまして87名の生徒の保護者に対して193万円を補助しているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 現在伊那市では、長谷地区で朝夕は循環バスとして運行している中型バスを利用し、巡回バスの利用時間以外にモバイル市役所、モバイル公民館として活用しています。この画期的な発想を踏まえ、高校生の通学弱者を少しでも解消できる手段はないものかと私なりに模索してみました。その中で市内各地に配備されているおのりな号に着目しました。 福祉相談課からいただいた資料によりますと、現在おのりな号は、伊那市ボランティア移動事業として、富県地区に2台、美篶地区1台、手良地区1台、東春近地区2台、西箕輪地区1台、西春近地区2台、高遠地区2台、長谷地区1台の計12台の軽自動車が配備されています。おのりな号の利用対象者は65歳以上の高齢者のみ世帯で、利用目的は地区によって若干異なりますが、病院の送り迎え、または送りのみ、それに加えまして、西春近地区においては、毎週木曜日の買い物支援、長谷地区においては、第2、第4週の木曜日の買い物支援に利用されています。令和4年度末時点の登録者数は151人。運転ボランティア登録者数は171人となっています。事務局は各支所が社協事務局として担当しており、受け付けた要望を各地区で登録されている運転ボランティアの方に依頼し、その都度対応していただいています。 そうしたおのりな号ですが、平成31年から令和4年度までの4年間の利用実績を見ると、1台当たりの平均利用回数は年間で132回、月当たり平均で11回の実績となっております。つまり、2日に1回の利用となっています。一番利用回数が多い高遠地区においてもひと月当たり22回、1日あたり1回の利用となっています。したがって、地区によって若干の異なりはありますが、おのりな号の平均稼働時間は10から15%、逆の見方をすれば、1日の85から90%は支所の庭に停まったきりになっているのが実態ではないかと推測します。 そこで質問いたします。おのりな号は65歳以上の高齢者のみ世帯を支えてきており、その取組については大変評価するものであります。そして今後においても、おのりな号の運用については、今まで通り継続してほしいと願っています。一方、このおのりな号の空き時間を有効活用した新しい取組として、高校生の送迎に利用することを提案したいと思いますがいかがでしょうか。市長の考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市のボランティア移送、この事業につきましては地区の社会福祉協議会が行っておりますボランティア移送に対しまして、専用車両としてのおのりな号を用意をするということとともに、車両の維持管理に関わる費用については市が負担をしているという事業であります。この事業につきましては八つの地区において実施をしておりまして、今議員おっしゃった地区であります。この利用者の登録でありますが、年間1000円の保険料を負担することでこの事業を利用することができると。この事業の目的、あるいは利用の対象者、運行の日などにつきましては、地区社協ごとに規定を設けておりますが、主な利用対象者というのは、日中独居となる高齢者、あるいは高齢者のみ世帯などで利用目的については通院の送迎でありまして、買い物の支援の実施につきましては、地区社協の判断ということになっております。 また、送迎エリアにつきましては高遠では一部地域で諏訪まで、また他の地区においても上伊那の近隣市町村これを対象としているところもありまして、1回の送迎で午前午後の送迎可能時間を占めてしまうということもあります。運営の状況としましては、各地区とも運転ボランティアの高齢化、それから新たに募集をかけても、なかなか応募がないということが今課題となっております。 高校生の利用を想定した場合、通学時間帯は利用者の通院の時間帯とも重なることが予想されまして、現在利用している方々の利用状況にも影響が出るということも懸念をされます。また、車両や運行の管理を各支所で行っていることの他に、高齢者による安全運転の面から早朝、あるいは夜間などの対応というのは難しいという考えであります。運転ボランティアの皆様には地域福祉の向上のために日々努めていただいておりますので、こうしたことについては本当に感謝を申し上げるところであります。 この現状の運行状況というのを鑑みますと、高校生の送迎を地区社協で行うということはなかなか難しいというふうに考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 高校生を学校まではともかく、JRの伊那市駅、またはJR伊那北駅まで送迎できる体制が取れたならば高校生たちの悩み、ご両親の負担は格段に改善されると思うものです。また、伊那市の人口減少が進む中で、年齢別人口の特徴として20歳代の人口が少なく、進学してから伊那に戻らず、県外に就職するのが原因の一つとされています。その傾向は顕著であり、特に女性に多く見られます。これは間違いなく、将来の少子化、人口減少にも直結する重要な課題でもあります。働きたい職種や採用条件等の課題も当然あろうかと思いますが、違った観点から鑑みたとき、高校時代に通学で苦労したことの思いが心の片隅に残っており、自分自身が将来家庭を持ったとき、親と同じような苦労はしたくない。交通の不便な伊那市に戻っていきたくないと思っている女性もいるのではないかと察するところであります。 そこで質問いたします。私は今回、高校生たちとの懇談会を通じて、また高校生の通学の実態を調べる中で、進学等で一旦伊那を離れた女性が伊那に戻ってこない原因の一つに、高校時代の通学弱者との関係があるのではないかと思うようになりました。今までこのような見方はされてこなかったと認識していますが、この点について市長はどう思われるのでしょうか、お尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 令和3年度に伊那市が実施をしました人口動態の分析結果を見ますと、平成22年度から令和2年度までの11年間における進学、または就職期の社会動態では、1,957名の転出超過となっておりまして、そのうち6割近くが女性が占めていると。また、20代前半においては男性に比べて2倍以上転出をしておりまして、上伊那全体でも同様の傾向が見られております。 同時に開催をいたしました、10代から20代におけるライフスタイルやキャリア形成に関するワークショップにおきましては、男女ともキャリアを積み重ねることを重視をしている一方で、地元や同世代との繋がりが不足している。また、企業や地域の魅力的な情報に触れる機会が少ないということも指摘をされております。また上伊那広域連合におきます令和4年、若者の人材確保調査研究報告書でありますが、この中では、大学卒業後の就職場所として地元の企業への希望は全体の13%にとどまっております。 その理由としましては、都会への憧れ、あるいは首都圏の企業の幅広い選択肢、こうしたことが回答の中に多く見られまして、さらに地元企業、あるいは地元団体における採用状況からも、女性やあるいは文系の就職の間口が狭いということも指摘をされているところであります。 議員から御指摘のありました交通の不便さだけではなく、こうした様々な要因が複合的に絡み合った状況に対処するため、伊那市では、若者を対象としたUターンまた人材確保に向けて、伊那職業安定協会あるいは郷土愛プロジェクト、上伊那広域連合などと連携を図りながら保護者向けのセミナーや、あるいは合同就職説明会を開催するほか、若者世代が交流する場作りや企業のガイドブックの配布、SNSを活用した情報発信などを多方面から取組をしているところであります。関係団体等との連携を図るということでありますが、これを進めながら高校生や大学生への企業や地域の情報の発信、また保護者への就活情報の周知、こうしたことの他に県外の就職者がいつでも地元に帰ってこられるようなキャリア採用というものも視野に入れた就職・転職情報の提供、またイベントの機会というものを図ってまいります。 また、地域のプレーヤーの育成あるいは子育て中のキャリア女性のスキルアップの機会というものを設けて多様な働き方の実現、また地域人材として活躍できる環境の調整というものにも取り組んでまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) おのりな号を活用した高校生の送迎については、多くの課題があることは承知しています。しかし、このハードルを超えない限り、いつまでたってもこの課題は解消されません。 一方、伊那市では移動手段確保のために、ITS高度道路交通システムを活用し、AI自動配車ドアツードア乗り合いタクシーであるぐるっとタクシーの取組により、大きな成果を上げています。そこで近い将来、この技術を水平展開して、高校生の通学支援の取組に活用できたらと思います。 しかし、それを可能にするまでには時間が必要となりますので、当面はぐるっとタクシーと同じように、事前予約を事務局である各支所にしていただく運用で良いと思います。そして何よりも一番の課題は、送迎を誰にお願いするかであります。それは現在のおのりな号のように、ボランティアへの依存だけでは無理があると思うからです。 そこで質問いたします。高校生の事前調査を行った上で、送迎希望者の多い地区においては、支所に集落支援員等を配置しながら、送迎体制の強化を図ることも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。その可能性について、市長のお考えをお示しください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市のボランティア移送のサービス事業につきましては事業の目的、また利用対象者、運行日等については地区社協ごとに規定を設けておりまして、これは主として高齢者の通院送迎、また一部の地区では買い物支援としての送迎であります。地域の中でのボランティアによる支え合い活動でありますので、おのりな号を活用した送迎のための高校生が使うというための人員配置というのは考えてはございません。 移送のために有償で人員配置を行って事業化することにつきましては、ボランティア移送の趣旨から離れてしまうこと、また道路運送法等関連法に基づいて地域の運送サービス事業者との調整というものも必要になりまして、ぐるっとタクシーのような仕組みを早急に整備をするということは困難であろうかと思います。ボランティアの確保など送迎体制の強化というのは重要な課題でありますので、買い物・移動支援地域づくりネットワーク連絡会、あるいは地区の社協との協議というものを進めながら対策を進めていきたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) クリアしなければならない多くの課題があることは想定できますが、まずは実施に向け、モデル地区を想定した中で実証実験を行ったらと思います。今後、伊那市の進めている第2期新産業技術推進ビジョンの取組の力も借りながら、今通学で困っている高校生に、一刻も早く手を差し伸べてあげたい。そして次の時代を担う高校生たちが地域全体で支えてくれているんだと実感できる取組をお願いしまして、質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、田畑正敏議員の質問が終了しました。 引き続き、二瓶裕史議員の質問に入ります。 17番、二瓶裕史議員。 (17番 二瓶裕史君登壇)
◆17番(二瓶裕史君) 17番、二瓶裕史です。さきに通告しました3点、犯罪被害者支援条例について、空き店舗バンクについて、それから第2期伊那市空き家等対策計画について、市長、教育委員会の見解を伺います。 まず犯罪被害者支援条例について質問をいたします。2004年に成立した犯罪被害者等基本法は、被害者を支援する責務を国や地方自治体などに定めており、具体的な措置を講ずるための条例を県内では長野県坂城町、泰阜村、千曲市、佐久市が制定しています。一番直近の事例で見ますと、4月1日から施行されている佐久市の条例では、被害者らに対し、一時金の支給を含め、経済的な援助を行うことや、日常生活を取り戻すための必要な支援を行うことなどが盛り込まれています。一時金の額は、遺族に対しては30万円、大きな怪我をした方に対しては10万円、また引っ越しを余儀なくされた方の転居費用については、上限20万円の補助、また報道対応を弁護士に依頼する場合の補助は上限23万とされています。その他に家事・育児・介護支援サービスを受けるための費用として、1時間4,000円を上限72時間まで、さらにはカウンセリングや弁護士への相談費用など手厚い支援が用意されています。これらは県の条例でサポートしきれていないところや、上乗せ的に補助するものなど様々ありますが、被害者の方にとっては本当にありがたい支援になるものだと思います。 先日中野市では非常に痛ましい殺害事件が発生しまして、それを契機として、犯罪被害者支援条例を制定するとされています。犯罪被害者支援条例は、昨年4月に長野県が犯罪被害者等支援条例を制定した際、阿部知事が、更なる支援の充実のために、各市町村でも条例制定をしてほしいと求めています。それ以降、先ほど紹介した市町村ですが、犯罪被害者支援条例を制定してきています。加害者の人権は非常に手厚く守られているのに、被害者の人権が守られていない、とよく言われます。加害者の方は顔をモザイクかけて名前を伏せるとか、未成年の場合ですね、あるのに被害者の場合は、家族構成から何をしてきた人か、卒業文集から何から報道は紹介しがちです。それが遺族にとってこの子が生きた証を示してほしいという意思があればいいんですけど、そうじゃない過熱したそういう報道とかあった場合、何とか犯罪被害者の方を守る制度、条例が必要であるのではないかと思っています。非常に法整備も発展途上だと言われています。 政府広報では、「犯罪被害に遭う人は特別な人ではなく、社会で普通に暮らしている人たちです。その平穏な暮らしの中で犯罪は突然起きるのです。犯罪被害者等がその受けた被害を回復し、または軽減し、再びそれぞれの平穏な暮らしを取り戻せるように配慮していくことは、誰もが犯罪被害者等になりうる中で、社会全体として取り組むべき課題です。そのためには周囲の人たちが、被害者が置かれた状況をよく理解し、被害者に配慮した対応を心がけることが大切です。」とあります。犯罪被害を受ける可能性は誰にでもあり、その方たちの支援は社会全体として考えなくてはならないということです。 さてこの通告をしたのが6月6日だったんですが、翌日6月7日付の信濃毎日新聞朝刊の一面で、犯罪被害者支援拡充へとの大きな見出しのもとに、犯罪被害者支援としての給付金増額や弁護士制度の導入について、政府が議論を始めると報じられていました。やはりそれだけ求められている支援であるということです。犯罪被害者や家族などの支援の必要性について市長のお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 犯罪被害者支援条例は犯罪被害者等が受けた被害の早期回復あるいは軽減、生活の再建というものを図って、誰もが安心をして暮らすことができる社会の形成促進というのを目的とした条例であります。令和5年4月の現在では、長野県の他、県内では二つの市、一つの町、三つの村が制定をしております。犯罪被害者やその家族などがしばしば犯罪の責任が、被害者自身にあるかのようにみなされたり、また被害の実態を理解されなかったりして社会から孤立をするということも少なくないというふうに思います。犯罪被害者はいつどこで起きるかわからないと、誰もが巻き込まれる可能性がある。また、被害者やその家族にとりましては心身の不調、経済的な困難、周囲のものからの心無い言動、あるいは誹謗中傷とこうしたことに苦しむことがありまして、犯罪被害者等の置かれた状況については、適切な支援というのは必要であるという考えであります。 社会全体で犯罪被害者等の置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性、こうしたことについて理解を深め、二次被害が起きることがないよう、広報啓発活動を実施をしていくということは必要であろうかというふうに思います。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 今市長が答弁にありましたように、被害者が悪いのではないかと言われることがあったり、被害者はただでさえ被害を受けて大変な状況なのに誹謗中傷を受けるとか、非常に踏んだり蹴ったりというかですね、犯罪被害を受けた上にさらに世論からも被害を受けるような、そういう状況があるのでしっかりと社会全体として理解を深めていくという活動は非常に重要になってくると思います。現在の伊那市の施策として犯罪被害者の方々に対して何か支援ができるものはありますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 過去に犯罪被害者等から支援に関するという相談はございませんけれども、市営住宅において緊急に避難を要する場合、こうしたときには一時的な入居というものも可能にしております。また、窓口、専門的な支援等について細かなところについては担当の方からお話をさせていただきます。
○議長(白鳥敏明君) 宮原文化スポーツ部長。
◎文化スポーツ部長(宮原貴敏君) 市営住宅の入居の他、例えば相談を受けた際に、県の長野犯罪支援センターへのお繋ぎすることですとか、伊那市の生活就労支援センターまいさぽ伊那市におきまして、犯罪被害者等の置かれた状況に応じて適切な支援が可能というふうに考えております。いずれにしましても相談等があった場合には、適切な場所にお繋ぎするなど、速やかな対応を行っていく状況になっております。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 緊急避難的に市営住宅の紹介をするとか、県の支援センターへ繋げる、まいさぽを紹介するという状況であるということを今お伺いしました。この後ちょっとお話する条例の方ですが、条例制定して、それと併せて総合相談窓口みたいなのを作っていくことが一般的になってくると思いますが、そういうのでしっかりと伊那市に住んでる方が犯罪被害に遭われて相談に行ったときに、県のこっちに相談してくださいねって言って相談に行くのと、伊那市の相談窓口が責任を持っていろんな支援とか紹介するのとはやはり犯罪被害、ただでさえ大変な状況に置かれてる方の気持ちとしては、また違うものがあるのかなと思いますので、それも踏まえてちょっと条例の話をしていきたいと思います。 中野市のように実際に被害者の方々を支援すべきときというのは突然訪れます。準備をしておく必要があるということが、今回の中野市を見てよくわかったと思います。 令和4年版犯罪被害者白書によりますと、令和4年4月現在、39都道府県、11政令指定都市、453市区町村で犯罪被害者等を支援するための条例が制定されています。警察庁から各都道府県警へ地方公共団体による条例制定に対して協力するように指示も出ているといいます。ちなみに長野県のお隣である岐阜県においては、21市19町2村全ての市町村で条例が制定されております。都道府県によっても結構そういったばらつきがあるような状況です。伊那市においても独自に伊那市犯罪被害者等支援条例を制定することは考えられないでしょうか。市長の見解を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 既に制定されております他の市町村の条例の中では、市町村ごとの支援施策、また内容が異なっておりまして、新たな地域間格差というものを生じさせることが懸念されるということ、また市町村単位の条例対応ではなくて、県と市町村がともに対応できるような体制が必要だというふうに考えます。現時点で伊那市独自の条例制定というのは考えておりませんが、長野県あるいは他の市町村の条例制定状況、また運用実績、そうしたものを注視しながら検討してまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 新たな地域間格差ということで、伊那市だけよければいいという話をするわけじゃありませんが、地域格差によって伊那市がより手厚くなるのであればそれは進めるべきことだと思いますし、長野県という話がありましたけど、県知事の方はどんどん市町村の方でも、条例作ってっていうふうに言ってるところなので、ちょっと前向きに考えていただければありがたいなと思ってます。 次にいきますが、児童生徒が犯罪被害者または犯罪被害者の家族となることも考えられます。人格形成の途上にある少年が犯罪被害を受けた場合には、その後の健全育成に与える影響が大きいとされます。子供が思いがけない形で犯罪被害者となったり、犯罪により家族を失ってしまった場合、様々な困難に直面しますが、自ら保護や支援を求めることは非常に困難になります。平穏な生活が続き等しく教育を受け続けられるために、子供たちの生活を守るための観点から、条例制定も必要ではないかと思いますが教育委員会の見解を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 議員すでにご発言の中にございましたけれども、平成16年に成立をいたしました犯罪被害者等基本法、これは被害者の支援を国や地方自治体の責務、そのように定めていて、その具体的な措置にかかります、犯罪被害者等支援条例につきましては、県内でも県また市町村で制定されてきているところでございます。子供たちが犯罪被害に遭った場合の支援、また安心して暮らすことができるようにするための仕組み、これは大変大事なものであるというふうに思っております。条例を制定することについての要否につきましてはちょっと発言は差し控えますけれども、犯罪被害者への支援は、個人の尊厳が重んぜられること、その尊厳にふさわしい処遇を保障されることが大事である、そのように考えているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 条例の制定についてちょっと発言を控えるという話がありましたけれども、事情があると思いますけれども、子供たちを守っていくために、平穏を保障するために必要なことは、考えられる限りのことをやっていく、事前にやっていくっていうのは必要だと思いますので、市長ともちょっとお話をしていただいて、いい方向にしていただけたらいいかなと思っています。 条例の制定と直接関係することではないのですが、重大犯罪とか凶悪犯罪等が身近で起きた場合、ちょっと身近で起きた場合と通告に書きましたが、身近でない場合も、テレビ報道で衝撃的なVTRを見るとか、今回中野市のようなことがあるとかそういったものを目にした場合、関係者でなくても、非常に心に大きな傷を負うことがあります。特に先ほども言ったように心身ともに未成熟である児童生徒においては、その心の傷というのは生活に大きな支障をきたしたり、将来にわたり影響を与えることも考えられます。学校現場においてこのような場合の子供たちへの現在の支援体制はどのようになっていますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 市内の小・中学校でございますが、児童生徒、またその保護者の抱える不安ですとかあるいは悩みについての相談にあたります、子供と親の相談員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを県とともに配置をいたしまして、児童生徒が安心して充実した学校生活を送ることができるよう、子供や保護者の相談に対応してるところでございます。 また、必要に応じてでございますが、子ども相談室、中間教室、スクールカウンセラーなどと連携をして、相談支援体制を整えて対応するというふうにしているところでございます。被害を受けた子供の変化、また子供の生活ぶりなどについては、学校での教職員や周りの大人の気づきが大切でございますし、また学校としての見守り、相談機能を高めることも同様に大切でございます。 本年度、私ども教育委員会の運営方針の学校教育課の取組の一番に、このように挙げております。保健室等に開かれた相談窓口、相談週間等の一層の機能化による子供の命を守るための学校の見守り、相談機能の充実を挙げましてそれぞれの学校で取り組んできているところでございます。市内の小・中学校には、校長室や保健室に相談窓口を設けております。例えば、いつでも相談に来て、そういった表示もされているところでございます。学校を訪ねられた際にはそうした表示にも目をやっていただけるとありがたいなと、そのようにも思います。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 非常にわかりやすいご答弁ありがとうございます。もう一つちょっとお伺いしたいのが、例えば報道なんかで非常に衝撃的な事件とかが報道されたときに、各クラスで先生がそういうことを積極的に子供たちに話していった方がいいのか。心配しなくていいよとかですね、そういう話っていうのは、先生たちの中ではどういう認識であるんでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) やはり子供たちが、日々の生活を安心して送ることができるようにすると、これ学校の担う大変大きな働きであるというふうに思っております。したがいまして、ときに臨時にあるいは緊急対応的に、先ほど申しましたスクールカウンセラー等を派遣をして相談等に乗るというようなことをすることもございますし、あるいは例えば感染症のときもそうだったんですけれど、校長が全校一斉の放送を入れて、子供たちにも呼びかけをすると、そうしたこともしております。この感染症の対応の際には、市内で共通原稿を準備をいたしまして、全ての学校で朝、校長がそれぞれの学校で子供たちに呼びかけると、そういうようなことをしたこともございます。とにかく子供たちが安心して日々の学校生活を送ることができるようにすると、それは私達の大変大きな務めである、そのように思い取り組んでいます。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) ありがとうございます。この犯罪被害者の支援というのは行政にとっても突然訪れる出来事でありますので、そのときにしっかりと対応ができるように、何もないときに準備をしておくということが災害と同じで、非常に重要なこととなっておりますのでちょっと検討をしていっていただきたいと思います。 次に2番目の質問に入ります。空き店舗バンクについて質問いたします。伊那市ホームページを見ると空き店舗バンクについて、「伊那市では市内にある空き店舗の有効活用を通して地域経済の活性化を図ることを目指して、空き店舗情報登録制度、空き店舗バンクを運営しています」とあります。チラシにも同様の記載がありますが、要綱を見てみますと、対象となる空き店舗は、中心市街地の区域内にあることが必要とされています。 つまり、山寺、坂下、荒井、西町、中央区の一部、高遠町の一部の区域内にあることが条件とされています。空き店舗バンクについてなぜ、中心市街地のみの物件を対象としているのか、そのお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 重盛商工観光部長。
◎商工観光部長(重盛巧君) 既に運用実績がございました空き家バンクに対象範囲を追加する形で令和5年3月から空き店舗バンクを構築させていただいたところでございます。本制度につきましては、空き店舗所有者に対し、物件登録時の清掃代補助や賃貸借契約完了時の成約保証金を設け、物件登録の促進および情報発信の強化を図っております。なお、現在まで登録物件は3件となっておりまして、他に登録まで至らなかった物件も2件ございました。 また、空き店舗利用者に対しましては、平成26年度から中心市街地空き店舗等活用事業補助金を実施しておりまして、中心市街地エリアの空き店舗を小売業や飲食業として利用する場合に物件の改修や家賃への支援を行っている、これはそもそもの制度であります。これまで市では中心市街地の活性化に取り組んでおりまして、空き店舗バンクについても対象範囲を中心市街地に限定することで、商業地域一帯の相乗効果と有効な利活用への誘導を目的に中心市街地を対象とさせていただいております。以上です。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 今部長の答弁にありましたとおり、現在空き店舗バンクのホームページに掲載されている物件は3件あります。そのうち2件は以前から空き家バンクの登録物件として掲載されているもので、空き店舗バンク令和5年3月から新しく始まって、新たに掲載されているというのは現在西高遠の1件のみとなっているとのことで、見てみたらそうでした。この空き店舗バンク、空き家バンクもそうですけど件数を増やせばいいというわけではないと思うんですけれども、要綱でいうその中心市街地以外にも空き店舗は多く存在しますし、それが流通するということも空き店舗バンクの目的である地域経済の活性化に繋がるものであると思います。ちょっとネットで見ましたら、美篶、境、狐島、西春近、東春近など様々な地域に空き店舗っていうのがあります。空き店舗バンクへ登録する条件として掲げてある中心市街地という条件を外すお考えはないでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 中心市街地の活性化を制度の趣旨としておりますので、補助対象となる空き店舗バンクの登録条件から中心市街地を外すということは現段階では考えてはございません。登録店舗数が少ないため、空き店舗バンクの制度を周知をしていくということと、伊那不動産組合など関係各所とも連携をして物件の掘り起こしを進めていきたいという考えであります。 また一方で、起業希望者への情報発信として補助対象とはならないけれども、空き店舗バンク対象地域外である物件の情報について、空き店舗バンクへの登録については今後検討してまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 補助対象とならなくてもということで、補助対象にするかどうかは中心市街地とそれ以外で分けてもいいと思いますけど、空き店舗バンクのホームページ自体は、市内にある空き店舗をしっかり載せてあげた方が、地域の経済の活性化にもなりますし、お店とか店舗とか飲食店がない地域にとっては、そこの地域にお店が一つできるということは非常に大きなことで生活の質も上がりますし、喜ばれることだと思いますので、ぜひ補助金の話はちょっと別に置いといて、空き店舗バンクへの掲載というのは全市的にやっていただいた方がいいんじゃないかなと思っておりますので検討いただきたいと思います。 空き店舗バンクに関してこれは中心市街地でいいんですけれども、空き店舗バンクに関して補助金の充実を考えていただくことは可能でしょうか。新たに店舗となる物件を取得し、事業をスタートさせるまでには様々な過程があります。改修や備品購入の補助、自治体によってはしているところもあります。許認可取得費用の補助など様々な支援が考えられます。地域経済の活性化を図るため、開業までの支援を強化していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 起業創業を考えている方のために、伊那市では商工団体で行っております相談窓口、またその創業セミナーの開催についての支援を行って、起業者のサポートを行っている状況であります。事業者の資金繰りにおきましては、有利な条件で資金調達ができるよう、伊那市の融資制度の中で新規開業資金を設けております。また、中心市街地では開業支援策として中心市街地空き店舗等活用事業補助金を実施しまして、小売り業あるいは飲食業等として空き店舗を活用するものに対しての店舗の改修費、またスタート時の家賃への補助というものも実施をしております。開業支援にかかる補助金の創設につきましては、既に実施をしている補助制度もありますので、現段階ではこれをお使いをいただきたいと。また開業するまでには様々な課題があります。そうした課題を鑑みて、伊那市では補助金を含めた様々なサポートができるよう取り組んでおりますので、ぜひこうしたものをご利用いただきたいというふうに思います。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 今まである補助金で利用される方ももちろんたくさんいると思うんですけども、それで中心市街地がうまく活性化してきてるのかっていうことを考えたときに、本気で活性化したいという目的があるんであれば、もうちょっとしっかりとしたサポートとか、今のとおりというわけではなくてもうちょっと何かを考えていくということも必要じゃないかなということをちょっと申し上げて次の質問に入ります。 第2期伊那市空家等対策計画について質問をします。伊那市は空き家対策特措法に基づき本年度から5年間の計画である第2期伊那市空家等対策計画を定めました。 まず第1期計画の成果について伺います。第2期計画にも若干記載がありますが、第1期計画の成果、課題について伺います。
○議長(白鳥敏明君) 橋爪建設部長。
◎建設部長(橋爪豊君) 第1期計画が平成30年から令和4年度までの5年間、第2期計画が令和5年から令和9年までの5年間の計画でございます。第1期の成果でございますけれども、計画に基づき、空き家の実態調査を実施し、市内で1,165件の空き家を確認いたしました。このうち、危険度の高い1件につきまして、伊那市空家等対策協議会に意見を伺い、令和4年3月に特定空き家に認定をいたしました。 この他、所有者等に対するアンケート調査の実施、空き家等情報のデータベース化、空家冊子の作成配布、空き家の総合相談会の開催、個別相談などを実施してきております。課題といたしましては、調査で明らかになっていない空き家がある一方で、除却により、空き家が解消された事例もございます。第2期の計画期間に、改めて空き家の実態調査を行い、動向を検証していく必要があると考えております。空き家の抑制を図るため、所有者に対し、適正な管理の意識の醸成を図ることが必要であります。管理不全の空き家のうち、所有者が不明な空き家が約2割ございます。 今後ですけれども、第2期計画の基本目標に定めております三つの基本方針、所有者等の意識の醸成、空き家等の利活用の促進、特定空き家等への措置を確実に進めていきたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 空き家対策は大きく分けて、危険な空き家いわゆる特定空き家をどうするかという問題と、流通可能な空き家の利活用という問題の二つがあります。伊那市は後者である利活用については非常に先進的に力を入れていて、実際に大きな成果を上げていると周りからの評価も高いところであります。危険空き家、特定空き家についてという点については、なかなか思うように進んでいないのではないかなという印象も受けています。令和4年に1件特定空き家に認定したという話も今部長の方からありましたけれども、なかなか個人の財産ですので、難しいところはあるのも承知ですし、財産管理人をつけるときの予納金の問題とかいろいろ大変な問題があるということもお話を聞いています。空き家の問題やはり全国的に共通のものとなっていて、国としても様々な対策を講じているところです。 これもまたさっきの犯罪被害者と一緒なんですけど、通告をした次の日に新聞で見たんですけれど、改正空き家対策特措法が参議院を通過したという報道がありました。管理状態の悪い物件を新たに管理不全空き家と規定して、市区町村が指導・勧告できる仕組みとして、勧告を受けた物件は、固定資産税の優遇措置6分の1というのの対象外にするというものです。日々変化を続けていく空き家対策となっているわけですが、今後、伊那市の特定空き家の扱いについて市の基本方針をお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この特定空き家につきましては適切な管理が行われておらず、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼす恐れがある。また、地域住民の命、生命、健康、財産こうした保護を図るとともに、健全な生活環境の保全を確保するために必要な措置というふうに考えております。 特定空き家等の判断につきましては、国から示されているガイドラインに基づいた市の判断基準によって行うものでありまして、案件ごとに順次伊那市空家等対策協議会に意見を求めて認定をしていきたいと。特定空き家等に認定したものにつきましては、法に基づいて助言、指導、勧告、命令、こうした措置を順次講じていきます。 特定空き家等が改善に至るまでは、他市の事例からも相当程度の期間を要するということを承知をしております。特定空き家等の候補物件、あるいは市に寄せられる相談を踏まえて、伊那市空家等対策協議会に意見を求めながら必要に応じて順次認定を進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 現在特定空き家に認定されてるのが1件ということで、街歩いていてもわかるとおり、もうこの建物は朽ちていて、触れれば倒れるんじゃないかなっていう、倒れないでしょうけど、そう言うような物件って結構あるんですよね。それっていうのはやっぱり近所に住んでる人が一番怖い思いをしていて、崩れて通学途中の子供が怪我しないかっていうことから始まって、ネズミとかハクビシンとか虫とか蜂の巣とか、あと整備しない土地の中の草とか木とか、そこからへびが出てきたとか、そういう問題がもう本当に日常的にあるんですよね。もう近所にそういう家が1戸あるだけで生活ってどんよりしてしまったりするから、それを全部綺麗にしていこうという話は到底無理なんですけど、できるだけそういったものを綺麗にしていくと、景観上もよろしくないことですので、ちょっと力を入れて進めていただきたいなと思っています。 次にいきます。計画の8ページに、第2章4、空き家等における課題というものがありますが、ここに所有者等の問題意識に関する課題として四つ、老朽化した空き家等に関する課題として四つ、良好な空き家等に関する課題として九つ課題が挙げられていますが、これらの課題にこれからどのように対処していくのか検討が進められていることと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 所有者等の意識の醸成、適正な管理だとか、抑制というものでありますが、空き家等の利活用の促進、特定空き家等への措置こうしたものの対策を進めていく考えであります。空き家等の適切な管理というものは、第一義的に所有者等が責任を持って行っていただくことが必要でありまして、引き続いて空き家冊子あるいは相談会などの情報発信のツールを活用して所有者等に対して周知をしてまいりたいと。空き家等に対する所有者の意識の低下というのが顕著でありますので、専門家等と連携をして新たな取組が進められるように検討してまいりたいというふうに思います。 それから、高齢者の独り暮らしなど今後空き家となりうる住宅の所有者等に対しては福祉担当部局と連携をして、介護教室、あるいは各戸の訪問時などに空き家の冊子などの配布を行ったりして、空き家等にならないそうした取組も進めてまいりたいと。また、資金的な問題で除却が進まないという状況もあります。こうした場合個人の財産でありますので、市費での対応というのは難しい状況であります。有効な仕組みが構築できるかどうか、関係者とともに相談をしてまいりたいと。また、法の改正、あるいは他市の取組というのも参考にして、空家等対策協議会、専門家等の御意見を参考にしながら、課題解決に向けた取組を進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 二瓶議員。
◆17番(二瓶裕史君) 本当に空き家の課題っていうのは一つではないし、その解決策もこれをすればいいというものなかなか見つからないところでありますので、非常にどこの市町村も困っている課題でありますが、一つ一つちょっと丁寧に伊那市だけで考えず、市長おっしゃるように専門家と相談しながら、例えば挙げられている課題の中に、草とかを刈るのがどこに頼めばいいかわからないみたいな話もありましたが、そういったのっていうのはいくらでもそうやって刈ってくれる業者がいたりとか、紹介できる場所っていうのはあるのでいろんな専門家団体と常に連携しながらそういう情報を集めて相談を受けたときに、紹介できるようなアイテムをたくさん持っておくってことは必要だと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。 すいません、あと1点ちょっと気になったのが、11ページの第4章で、改正前の民法の文言そのまま載ってそれ改正されたので、そこだけまた確認をしていただきたいと思います。 以上になりますが、非常に犯罪被害者についても空き家のものについても、何か事故が起きたらとかではやっぱり遅いので、事前に対策をとっておく、制度を作っておくということが大事だと思いますので引き続きの検討よろしくお願いします。以上です。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、二瓶裕史議員の質問が終了しました。 暫時休憩します。 再開は11時ちょうどといたします。
△休憩 午前10時47分
△再開 午前11時00分
○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 湯澤武議員の質問に入ります。 9番、湯澤武議員。 (9番 湯澤 武君登壇)
◆9番(湯澤武君) 9番、湯澤武です。事前に通告いたしました2点についてお伺いをいたします。はじめに、大きな一つ目の農業振興のためのスマート機器活用、圃場整備、観光との連携等についてでございます。 農林水産省は、来年度に向けて、食料・農業・農村基本法改正案の検討を進めております。目的は国内の生産基盤を強化することで、食料の安定供給を目指すものです。伊那市は、未来を織りなす創造と循環のまちへ、持続可能な循環都市の基盤に農業を据えて、第2次総合計画に取り組んでいます。素晴らしい自然と先人のたゆみない努力によって保たれてきた歴史と文化の上に、食・水・エネルギーの地産地消を目指す、伊那市らしい農業のあり方へ日夜努力してこられています。 私の地元東春近地域の耕作面積は、およそ水田が690ヘクタール、畑地80ヘクタール、計770ヘクタールであります。市の全体の5,700ヘクタールの約13%、水田は17%に当たります。その面積・地形からも、市内有数の優良農地として言われています。また、伊那市全体に通じますが、農地を大切にする気風に富み、意欲的に農業に取り組む認定農業者や農事組合法人の皆さん、それを支える住民の皆さんが多いことは、農地の集積率が60.9%と、市内でも群を抜く高い数値にも表れていると思います。 一方で、農家戸数の減少は1975年、50年前に比べると、専業農家と兼業農家は約半分になっており、今後10年では、農家戸数の減少はさらに急激なものになるというふうに予測されております。世界で数千万人の方を飢餓から救ったと言われるインドの農学者スワミナサン博士は、「人は食を通して自然から命を受け取る。食を大切にする社会、地域は決して行き詰まらない」と述べています。 私は東春近地域に見る農業の成果と課題から、伝統の美田を守る、経営基盤を強化するへ向け、農業者の皆さんと懇談する中で、次の6点の充実が大切と今学んでおります。 一つ、スマート農業の進展、二つ、圃場整備の推進、三つ、集約地以外の家庭菜園農地を守ること、四つ、担い手育成を含む農業関係人口の拡大、五つ、有機的農業への取組、六つ、農業と観光のコラボであります。本日は伊那市全体の農業進展に繋がればと考え、その中からいくつか質問をさせていただきます。 まず、スマート農業の進展についてです。スマート農業は担い手不足や経営体質強化へ向け、経営管理、作業管理、作業の効率化へなくてはならない取組と考えます。市長も先頭に立って、農業分野を含む新産業技術推進に取り組んでこられました。第2期推進ビジョンの中では、第1期に進めてきた農業機械を自動化する技術研究をさらに検証し、実証に近づけようとしております。東春近の農業法人でも、全国レベルの活用が進み、農作業の効率化や省エネ化が進んでおります。 そこで、水管理センサー、自動草刈り機、ドローン活用、今写真に写っておりますアスパラ自動収穫機などスマート農業機器の実証結果の現状と、今後の開発の見通しはいかがでしょうか。またもう一つ、5月9日にオープンしました、産学官連携拠点施設inadani seesはまだ始まったばかりではありますが、農業のコスト抑制やスマート農業推進へ多くの期待が寄せられています。現状、農業分野では、どのような内容が検討されているのでしょうか。国や県との更なる連携・支援強化についても併せて御所見を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状の詳細については担当の方からお話をさせてもらいます。今ご質問にありました自動草刈り機、あるいは自動給水栓につきましては、農家から草刈り作業あるいは水田の水見作業、これが大変楽になったということの声も聞いております。今年度から急斜面の多い中山間地域での自動草刈り機、あるいはさらに格安の自動給水栓の開発、また実証というものを行っていく考えであります。 アスパラの自動収穫機でありますが、令和5年度から7年度にかけてデジタル田園都市国家構想交付金、これを活用しまして、自動収穫機の更なる性能の向上と、夜間の複数ハウスの連続作業、24時間での作業を可能とする改善など、自動収穫機が能力を発揮しやすい圃場の整備等を行いたいと思います。 このご覧いただいてる映像なんですけど、レールを引いてあります。ハウスのパイプ用のどこにでもあるものなんですけども、そこのところを動くということ。それからセンサーをつけております。後ろの機械の横にありますけども、これで画像で太さ、長さ、位置、これを確認をして、それで収穫をしていくと。収穫をするとかごの中に自分で入れていく。ゆくゆくはいっぱいになったら所定の場所に運んでいって、またバッテリーが終わりになったら自分で充電に行って、というようなことでこれ全てこの伊那市の皆さん、伊那市の事業者、会社がみんなで知恵を出し合って作ったものであります。もちろん工科短期大学校も関係しておりますし、こうしたものを地元で開発をして安価でこれを提供できるようなそうした段階に入っているところであります。 それから農地の水、水利施設でありますが、これ土地改でも大変重要事項として捉えておりまして、老朽化したものをどうするかと。自分たちで材料を手配してもらえれば自分たちで直すよというようなことの他に、維持管理の向上を図るために、今まで紙ベースで管理をされてきた情報があります。各地区の土地改でも図面があって、それを知ってる人が位置を教えながら、だんだんに覚えていくということなんですが、これにとっては非常に複雑でありますし、よく知ってる人がいないと管理できないというのが実態でありますので、こうした情報を一つの地図情報システムで管理ができるように取組を令和5年度から令和7年度に行う予定であります。各土地改良区の要望を聞いて仕様などを検討し、衛星測位システムGNSSというものを利用して、地元の受益者の皆さんと協力して使い勝手の良い位置図として作ってまいりたいと思います。 それからもう一つのご質問のinadani sees産学官の連携拠点でありますが、これは農業、また林業から生み出される伊那市の地域資源を活用して、持続可能な地域社会の構築を目指すという施設であります。信州大学農学部の北側でありますが、大萱の団地だった市営住宅のところ、この空き地に作ってございまして、この5月9日に本オープンをいたしました。農業分野におきましては、ドローン衛星画像を活用した農地確認の省力化技術の開発とか、LPWAの通信網を利用した気象データ等の収集と農林業、防災への活用、こうしたものを研究をしている団体が入居しております。10のラボのうち約半分がそうした皆さんが入って順次また審査をしながら入居を進めていきたいと思います。 今後につきましても、スマート農業の推進など、国や県と更なる連携、支援というのは求められますので、しっかりと強化を図って進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 松本農林部参事。
◎農林部参事(松本直也君) これまでの実証結果についてですけれども、平成28年度から令和2年度にかけまして、国の交付金等を活用して、水管理センサー、自動給水栓、自動草刈り機、自動運転トラクター、直線アシスト田植機、ドローンによる農薬散布などの実証を行ってきたところです。その結果ですけれども、水管理センサーは圃場へ行く回数が削減されて水管理時間が14%削減されたですとか、自動給水栓と連動させて運用することによって水管理時間が80%ほど削減されたですとか、草刈り機につきましても、大幅な作業時間の縮減が図られたですとか、どれも同じように作業時間の軽減が図られたという結果、成果が報告されているところです。アスパラガスの自動収穫機につきましても令和2年度から開発を開始しておりまして、これまでJA菜園の圃場を利用して、収穫機等の実証を行ってきたというところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) アスパラ収穫機、本当に多くの収益を上げるということで推進されているわけでありますが、本当にアスパラ収穫しゃがんでの作業が多いため、大変股関節を痛める方が多くいます。そういうことも含めまして、美味しいアスパラをたくさん生産できるよう夜も稼働するということは、本当に思いもよらないとこでございます。さらに実証に向けて期待をするところでございます。各農業法人でもお話聞きましても、機能向上によりスマート機器は本当になくてはならないと、今市長からも参事からも説明をいただきました。同時にさらに活用したいが高価でとても経営体質には合わない、との声を多くいただきます。また、より多く普及を図りながら、何とか安価で使いやすい機器の開発と導入への支援を充実してほしいとの要望は市としても十分届いているものと思います。スマート農業機器等を導入する場合の支援に関する予算は、令和4年度が2,910万円、令和5年度は包括公募型補助金として1,910万円と力を入れていただいています。 しかし、活用主体が現在の機器の価格では高価で経営基盤にはそぐわない、そういう安易に補助金への公募に手を挙げられないのが実際なのだというお話であります。水管理センサーが今、映していただいておりますが、これが一基20万円ほどするセンサーで、20ヘクタールほどの田原地域の水田に設置されておるものです。田んぼ1枚に1基、大きな田んぼには2基以上必要とされておりまして、より低価格の給水栓、水管理センサーの検討と普及、補助金の活用しやすい体制と予算の増額も必要と思いますが、御所見はいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 実証実験の結果、自動給水栓は水管理センサーと連動して運用することで作業の大幅な省力化それから効率化というものが確認できましたが、農家の皆さんが導入をしたい価格といったところまでは至っておりません。今20万円以上するということでありますので、希望としてはこの半額以下にできないかということが私の希望でありますが、たくさん作ってたくさん使ってもらい、VAを使いながら、機能を特化していくということができれば決して不可能ではないと思います。この普及に向けた取組としましては安価な自動給水栓の実証実験を令和5年度から7年度にかけて行うということと、それからその他の農業機器の導入の補助、これも農家の多くの皆さんが求めているものと認識をしておりますので、今後もニーズを把握しながら支援を行ってまいりたいと。また、自走式の草刈り機でありますが、これまでの機械というのは、傾斜への対応また作業速度等の問題がありました。傾斜により強く安価な機械の現場実証というものを行う予定であります。平地、果樹園のような平地の自動草刈り機はあのルンバのような形でこれも24時間自分で草を刈って、バッテリーがなくなるとまた自分で充電するというようなところができておりますので、傾斜の強いところの開発がこれからの課題だということで考えております。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 水管理につきましては先ほど参事からも説明ありましたように、大変時間、労力がかかっております。一方きちんと管理ができますと、雑草の減少から病虫害の防除それから肥料等を施す管理がしやすくなるということも大変に必要でございます。多くの農業者が期待をしておりますので、更なる実証実験を進めていただければと思います。 続きまして、スマート農業機器とともに、トラクターなど大型機器の更新時の費用が大変大きな負担となっております。今の写真は98馬力のトラクター約900万円、付属機器を加えると1,000万円を超えます。なかなか認定農業者の方がすぐに手を出せる価格とはなっておりません。お米の値段でいきますと、800俵分ぐらいになるそうです。東春近地域の土壌ですが、ご存知のように天竜川の荒れ地でありまして、元は。石の多い礫質と粘土質でトラクターのロータリー・ハローの耐久年数もメーカーの算定年数よりも短いとも聞きます。経営基盤の安定に農機具は欠かせないわけでありますが、より作業の効率化のため、性能の良い農機具の更新へ、農業機械等導入事業補助金等の活用も含め、市としての考え方を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市農業機械等導入事業補助金につきましては、令和5年度は1,910万円というものを計上し、農業以外に汎用的に使える機械などを除いて幅広く補助をしているのが実態であります。令和3年度まで法人のみを対象としてまいりましたが、令和4年度から対象範囲を広げて、個人の認定農業者や人・農地プランに位置づけられた農業者も活用できるように改正をしてあります。 ただ、市の財源も限られておりますので、経営規模の拡大、あるいは農地の利用集積などによって、経営の効率化を検討される法人や、認定農業者の皆様は補助上限が高い国の農地利用効率化等支援交付金というものがありますので、こうしたことの活用も検討していただきたいと思います。 それから令和6年度に向けては、希望調査をこの10月に行う予定でありますので、該当する農業者、集落営農組織とか認定農業者でありますが、こうした皆さんには要望調査を配布をして、周知をしてまいりたいと思います。農業機械の導入への補助というのは、農家の多くの皆さんが求めているものというのは承知をしております。今後も農家のニーズを把握しながら補助制度等の周知を図ってまいる考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 今後も現場と行政のこの対話の中で、知恵を発揮していけるよう私自身も勉強してまいりたいと思っております。東春近地域では、農業のネットワークを作り、情報の共有化をさらに図っていきたいとの願いがあります。 一つは農機具の情報交換です。例えば小型トラクターを安く売りたい、またロータリー・ハローの爪が安く手に入らないかなどの農機具を売りたい、買いたいとの情報を共有し、農業法人や認定農業者のみではなく、その他の個人農業者も互いに経費を少しでも軽減し合い、継続的な農作業を可能にしていきたい、農地を皆で守っていきたい、との思いです。 二つは生産方法等の情報共有であります。例えば、将来的に米の作付品種を早生種から晩生種へ多様化することによって、年間の農業作業時間が長くなり、保有機械の台数が少なくなるということがあります。作業も合理化していくことができるのではないか。同一品種の田植えでいいますと、7日から10日かけて、本当にもう一気に休まず行っている状況でありますが、これが多品種となりますと、30日から40日かけて計画的に行うこともできるそうです。田植え機の台数がその分少なくて済みまして、収穫期のコンバインの台数も同様となるのではないかとの考えです。また、圃場の集約化の相談もできるのではないかと思います。 こうした横の繋がりが比較的少なかった農業経営者の皆さんがともに情報を共有し合い、さらに農作業の効率化と協働を進めていきたいとの考えです。課題は様々あると思いますが、今こそ農業者のネットワークと信頼を深め、課題を乗り越えていくときと考えております。 そこで、市としても農業振興センターとしても、こうしたアイディアを生かし、伊那市らしいスマート農業として高めていただきたいと考えますが、御所見はいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 農業を取り巻く現状というのは、御承知のように高齢化、農業離れに加えて、地域のコミュニティの希薄化というものによって横のつながりが大変薄くなっております。御指摘のとおり、農業者のネットワークというのは極めて重要だということは私も認識をしております。伊那市では市内の全ての農業者、市、土地改良区、JA、あるいは農業委員会など農業関係の機関、団体が有機的に結合をして互いの連携を密にしながら協調し、また農業を取り巻く様々な問題解決を目指していくと。このための組織として伊那市農業振興センターというものを組織をしております。平成5年より各種事業の実施がされております。 また、市内の農業者のネットワークとして認定農業者などで組織をする伊那市農業者協議会というものがありまして、会議あるいは視察などを通じて情報共有を図っております。今年度から新たに伊那市農業振興センターの中に、スマート農業専門委員会というものが設置をされました。スマート農業の更なる推進を図ってまいりたいということ。また、農業を取り巻く情勢というのは常に変化をしておりますし、引き続いて県、あるいはJA上伊那等と連携をし、必要な情報共有に努めるということとともに今後どのような支援ができるか、伊那市農業振興センターを中心に考えてまいりたいというふうに考えます。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 本当に今おっしゃるように、現場に本当に知恵があるというふうに私も感じておりますので、更なる対話が促進するよう取り組んで私自身も取り組んでまいりたいと思っております。 次に、伊那市農業振興センターの役割向上で経営基盤強化、その点についてでございます。東春近地域でも、先人から地元企業とも連携して、圃場の区割りを改善し、転借先の農業者がまとまった面積を耕作できるように、土地所有者が協力する体制を整えながら、農地の集約化に努めて来られています。さらに進めることができないか、農作業の省エネ化がさらにできないかと考えます。スマート農業の進展と圃場整備の推進は表裏一体の関係でございます。 東春近の東原地区では、国の経営体育成基盤整備事業に、伊那市、JA上伊那、地区営農センター等の支援をいただいて、約110ヘクタールの圃場整備の準備をしております。7年かけての準備の中で、所有者245名全員の圃場整備に対する賛同をこの度いただくことが出来たとお聞きしました。県内でも有数の大規模な整備であり、全国からも注目をされています。中心者の皆様の50年、100年先の豊かな農地を守るとの強い思いと土地所有者との誠実な話合いにより信頼関係を深めたからこそと敬服をしておるところでございます。圃場整備は時間がかかりますが、農業振興センターの企画力と運営力を向上させていく手立てが大切と考えます。 農業法人を含む経営者が現在より自由に経営を展開できる環境を作るため、振興センターの指導で農地中間管理事業を活用しながら、経営者同士で農地活用のやり取りを工夫できないでしょうか。もう少し面積を増やしたい農業法人、人手が足りないので補ってほしい法人もあります。現在は土地活用の課題について、農業委員会では、農地最適化会議を各地区で月1回開催されているそうでございます。 そこで、農林水産省の機構集積支援事業で今年度から2年間かけて策定予定の地域計画の活用が期待されます。写真で見ていただきまして、このちょっと見にくい写真で失礼でありますけれども、この緑のところが現在一定の担い手の方がいるところ。これをこの緑の部分に集めていく。上の赤の方のところ、水色のところをこういった形で集めていく。そして点在していたものを、大体この圃場を全部つなげるってわけにいきませんので、よりあっち行ったりこっち行ったりして作業せずに作業が効率化されるのではないかということが期待されております。こうしたやり取りを毎年見直しをして検討していくそうです。この目的地図でありますが、これをもとに、今後の更なる農地集積と集約ができないか検討することができると思います。10年後の地域農業のあり方を検討し目標地図を作成する地域計画は、地域の皆さんが納得して、将来の耕作者を準備するため必要な取組と考えます。この地域計画をもとに県や第3セクターなどと連携し、農地バンクの活用をさらに機能させていくことも大切と考えます。 御存知のように、この10年間は農家戸数の減少とコスト削減で、農業委員もJAの営農職員も減少してきている状況があります。ますます農業委員会やJA上伊那の役割強化も必要となってくると思いますが、御所見はいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 地域計画につきましては従来の人・農地プランが法定化されたものでありまして、地域農業の将来設計図として極めて重要という認識であります。特に新たな取組として10年後に誰がどのように農地を使って農業を進めていくか、このことを集落の話合いによって、目標地図を作り、毎年見直していくということが求められております。令和6年度末までの策定が必要ということであります。 また、農地バンク事業でありますが、農地中間管理機構が農地の受け手を探している農家から農地を借り受けて、農業経営の効率化、あるいは規模拡大を考えている農家に貸し付ける事業であります。伊那市では春富それから東部地区が先行してこの事業に伴う機構集積協力金というものを活用してまいりました。今後は担い手への集積だけではなくて団地化をして、担い手の経営効率、これを向上させるための集約化というのはさらに重要になってくると考えます。人口の減少に伴って、農地に関わりをもっておられる方も減少する中で、話合いなどを通じて地域を考える、この地域計画の取組というのは非常に重要であるという考え。また今後、地区単位で地域農業の将来計画というものを集落単位で目標地図を議論、作成をしていただくということになりますが、農業委員会やJA、あるいは土地改良区など多様な主体の参画というものを促しながら、効率的な実効性のある計画となるように努めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) この農地計画の取組、家庭農園など小面積を耕作する農家の支援にも繋がりまして、農地保全の面からも重要と考えますので、ぜひ市としても市報にも載せていただきておりますけれども、更なるこのPRを進めていただきたいと思います。 次に、有機栽培の推進と、農作物の6次産業化。生産者が直接販売できる方法や販路の拡大も大切な視点となります。写真は御存知のファームはせのピクルスでございます。 6次産業の現状は、大変多くの関係者が努力されてきておりまして、代表的なものは今写真にあります長谷の農業生産法人ワッカアグリのこだわりの米を使った酒や甘酒、西箕輪の農業公園みはらしファームでのピクルスや朴葉巻き、農業法人ファームはせ株式会社のジェラート、ピクルス、ゴマ製品等々、地域の皆さんと地域おこし協力隊や集落支援員の方々による不断の努力で6次産業化を一歩一歩実現していただいてきました。 そして、若い年代を中心に、人と人とを繋げ、荒廃農地の再生や交流人口、関係人口の増加へ実績を示し、何より地域の将来へ希望を広げて来られています。地元の私達は自分の所在地の良さが今ひとつわかっていないところもあります。地域おこし協力隊による伊那市の良さと、他地域と比べた良さを発信していただき、農業振興センターを通じて地元農業者を奮起させる誘導をしていただいていると思います。こうした成果に至る経過に、伊那市の戦略と粘り強い支援がありました。各地域で協力隊や支援員のミッションへの達成へのアイディアとネットワークを広げ、地域課題の改善へ地域の協力、官民の一体の力があり、形になってきました。 地域の方も協力隊や支援員の若い力が地域の励みになっていると喜ばれています。そこで、地域おこし協力隊の10周年となる本年、こうした努力を支援するため、市として、例えば地域おこし協力隊や集落支援員、市民や企業からのプレゼンテーションによる農と食のビジネスプランコンテストを開催し、意見交換しながら、連携の強化を図ってはいかがでしょうか。また評価の高い提案に対しては、企業版ふるさと納税制度からスタートアップ資金の活用も考えられます。 御所見を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市では平成26年度からこれまで延べ41名の地域おこし協力隊を採用し、地域おこしに取り組んでまいりました。農林部関係では、延べ12名を採用して現在は5名が市内の様々な課題解決に向けて活躍をしていただいております。特に農林部関係におきましてはみはらしファームを拠点に、農の魅力、食の魅力を開発、また有機農業など持続可能な農業の推進、または地元農産物の6次産業化、そういったものに取り組んでいただいております。 今提案をいただきました農と食のビジネスプランコンテストでありますが、これまでもハッカソンによる罠センサーの開発とか、アイデアソンによる南アルプスむら長谷の農産加工品のブラッシュアップ、こうしたものも行って、6次産業化に向けたアイディアの活用に取り組んでおります。今後も引き続いて、地域おこし協力隊による自主的な取組というのを支援をしながら、このほどできたinadani seesで企てを形にというそうしたものを農業のインキュベーションにも起こしてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 次に、これは写真は2018年に高遠の農家レストランで「御本陣御用書控」という書物を資料をもとに、1845年(弘化2年)の秋に高遠藩主の内藤頼寧公が食した献立を再現したものです。茄子ときのこのぬた和え、松茸や麩の汁、蒸しえび、ブリの照り焼きなど13品を膳にしつらえたものです。味付けも当時なかった本醤油の代わりに、たまりじょうゆや煎り酒を使うなど、江戸時代の味にこだわったことで食品も個人のお宅で保存されていた江戸時代からの漆器のお椀を使い、江戸時代からの伝統の屏風を立て、料金は7000円で提供していたそうでございます。予約制で歴史愛好家や高遠だけでしか味わえない御膳を求めて遠方からも多くの方が訪れたそうです。考案された地元の女性の皆さんからは、ここにしかない御本陣の歴史とおもてなしの文化を何とか後世に残したいとおっしゃっております。 そこで高遠や伊那市の豊かな風土ならではの四季の食材を集め、伊那市の伝統と文化を生かした今だけ、ここだけ、あなただけにとの食文化を形にした殿様御膳、または姫様御膳料金1万円ランチの研究開発を高遠地域を挙げて取り組み、地域での提供を検討してはいかがでしょうか。御所見を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 食による地域振興でありますが、伊那市でも様々な形で取組が進められております。例えばそばについては信州そば発祥の地伊那、そば振興会であるとか、ローメンが伊那ローメンズクラブであるように、いずれも飲食店とか、生産者をはじめとして、意欲的な市民の皆さんが起点となった取組であるというふうに思います。今ご提案のランチの開発につきましても地域、あるいは市民の主体的な取組というものが必要となりますので、まずは地域での検討を深めてもらうということが大事だと思います。伊那市ならではの食材を活用することや、もちろん歴史的な背景を付加価値にしたランチプランというのは、それ自体が伊那市を訪れる目的になるわけでありますので、商品化されれば、市としても大変大きなPRでありますし、そうしたことが始まれば、しっかりと後押しもしてまいりたいというふうに考えます。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) ばらサミット、ばら祭りも好評でありまして、今お話ありましたように市民の努力に対しまして行政が伴走した好事例がばらサミットばら祭りと考えます。多くの知恵をともに育てるひと手間をどのように行っていくか、今後も考えてまいりたいと思います。関係しまして先ほどの殿様御膳を開発した皆様は、御堂垣外宿本陣跡近くでご近所の皆さんと協力し、今後、農家民泊を検討されています。農家民泊のおもてなしの内容は、御本陣の見学とガイド、農作業体験、そば打ち体験、古文書解読、守屋山登山、千代田湖キャンプ、マウンテンバイク体験など、食事においては高遠囃子の伝統芸能を鑑賞していただくことも可能であります。食事の殿様御膳に寒ざらしそばやジビエ料理、有機野菜などで付加価値を高めることができれば、料金1万円というのは一概に高価とは言えません。もちろん庶民目線で1万円のランチは相当なお祝い事でしか食べられないものでございますが、安くて美味しい料理と特別なときに食べる料理の選択肢を広げることが狙いでございます。 こうした願いを形にするため、地域おこし協力隊の派遣もご検討いただければ、意欲ある地域の皆さんのつなぎ役になって活躍してくださり、地域の希望となっていくと考えますが、ご所見はいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 観光分野における地域おこし協力隊は、アクティビティの連携や開発、城下町高遠の街中ホテル化、他にも農家民泊の推進とか、南アルプスジオパーク・エコパークの活動推進また信州そばナンバーワンプロジェクト、こうしたことに対して5名の方が活動をしていただいております。地域としてランチ開発の主体的な取組というものが進んでいけば、ご相談をいただければ、既に活動している地域おこし協力隊との連携も考えられますし、また必要に応じて新たな地域おこし協力隊の採用というのを検討ができるわけであります。ただし、地域おこし協力隊は意欲のある地域の皆さんの繋ぎ役としての活動ということになりますので、やはり基本は地元の皆さん地域の皆さんの意欲、これが一番大事だろうと思います。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 伊那市の各地域に地元には知られていませんが、広げられていない食文化等があります。少子高齢化の課題を市・農家である市民、企業が、新たな農と食と人を繋げることで無限の可能性が開かれることと期待をしております。 農業最後の質問となります。東春近地域の今後の可能性について伺います。伊駒アルプスロードの開通と、三遠南信自動車道路とのアクセスが完成しますと、伊那市の中でも最も中京圏に近い農産物流と観光人口の増加へその窓口になる可能性を秘めております。第2次総合計画にも盛り込まれております米、野菜、花など伊那産ブランドの確立と販売体制の強化、また、6次産業を含めた農産品の販売、観光、防災拠点また農福連携拠点としての道の駅の計画、こうしたものについて具体的な準備を進めてはいかがでしょうか、御所見を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) つい最近でありますけれども三遠南信自動車道の難所であります青崩トンネル、これがいよいよ貫通しました。このことで事業は着実に進んでおりまして、伊那市としても交流人口の増加、浜松を中心とした地域との交流、あるいは物流の促進というものは大いに図られるということを期待しております。道の駅につきましては国道153号のバイパス沿線ということを候補地として、令和2年度に市職員で構成をする庁内検討プロジェクトチームを立ち上げまして勉強会、また先進地視察などを行いながら施設の機能などを検討しているところであります。今後も伊駒アルプスロードなどの開通時期に併せて建設を目指すことができますように、プロジェクトチームにおいて運営また整備の方法の他、御提案の防災、農政、観光、こうしたものも含めた多面的な機能について検討を進め計画策定に向けた準備も進めていきたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) ありがとうございます。道の駅につきましては田畑正敏議員も何度も質問をされておりまして、東春近、また富県、本当に力を合わせて検討ができればというふうに願っております。先人からの多くの願いが込められた伊那市の農業、作業方法は様変わりしていきますけれども、美しい農地を守りたい、携わる方が幸福に、その願いは変わらないものと思います。 時間も限りがありますけれども大きな二つ目の質問に移らせていただきます。 長野県パートナーシップ届出制度に対する伊那市独自の対応についてでございます。3月に一般質問させていただきましたが、長野県は、性的マイノリティのカップルを公的に認める県パートナーシップ届出制度を施行し、届出・受領証等の交付を8月から開始をいたします。7月10日からは、県庁内の窓口での対面受付と電子メールやWEBサイトからの受付も始まります。 誰一人取り残さない人権のまちを掲げる伊那市では、令和4年度に実施した性の多様性に関するアンケートの報告からは、パートナーシップの宣誓制度が必要、またはどちらかといえば必要と合わせて76.5%と、令和2年のアンケート数値と比べますと、関心や理解が高まっていると感じます。3月の質問に対し市長は、県が構築を進めている制度の下で提供可能なサービスを検討している、と県に寄り添い、協力する姿勢を示されました。 そこで、このたび示された長野県パートナーシップ届出制度に対して、市の基本的なお考えはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 全国的に性的少数者に対する理解、また制度に関心が高まってきております。長野県においても、パートナーシップ届出制度が創設をされました。伊那市としては市独自の制度というものを策定する予定はございませんが、長野県のパートナーシップ届出制度に対応して、県内の市町村が共通して取り組む行政サービスなどについて、伊那市も順次提供していくという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) そこで、具体的に県のパートナーシップ認証があれば市営住宅入居等を認めていく方向で検討していただきたいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 詳細については担当からお話をさせてもらいますが、先ほど申し上げましたように県の施行に併せて対応できるように今現在準備を進めているという段階であります。
○議長(白鳥敏明君) 宮原文化スポーツ部長。
◎文化スポーツ部長(宮原貴敏君) 県が制度構築に当たりまして、市町村が足並みを揃えて実施できるようにということの項目がいくつかございます。その中にも市町村営住宅への入居の対応ですとか、また病院における対応ですとか、保育所への送迎ですとか、そういった項目共通して対応ができるようにというような形で県の方からもお話があって、伊那市の方でも、その共通項目に関しましては全て対応するような形で関係課と調整をしておるところでございます。市営住宅につきましても、制度の届出証明書の提示によりまして、入居可能という判断でございます。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) 短い期間に県との調整等、大変努力をしていただいております。市営住宅の入居等は前向きな方向で検討されているということでありがたいと思っております。 続きまして、この制度というのはやはり一つのこの枠、箱でございまして、市民への周知と更なる理解増進、これが大切と思います。また、特に学校教育現場での具体的な取組が大切と考えますけれども、その点についてお伺いをいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市ではこれまでも性的少数者に対する理解度を深めるために、市民対象の講演会とか、講座というのを開催しております。また子育て世代、あるいは中学生に向けて人権啓発のチラシを配布をしたり、また多様な性のあり方についての理解促進も図っております。市の職員につきましても、性の多様性について理解をすることが重要でありますので、この7月でありますが、市の職員対象の研修会、これも予定をしております。今後も市報、広報番組あるいは公式ホームページなどによって積極的な広報活動に努めてまいりたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 学校での取組等に関わってお話をさせていただきます。教育委員会でございますが、毎年度学校人権同和教育推進計画を策定しております。それに基づきまして学校現場の人権同和教育を推進しているということでございます。本年度の計画におきましても、課題解消を目指した取組といたしまして、性的指向、性自認等に関して、このことを取り上げまして同性愛などの少数派の性的指向の人や、性同一障害への偏見や差別の解消のために、LGBT、LGBTQに関する理解を深めるとしております。 議員先ほどお話ありましたように、大変お考えをいただいているところでございます。今年の前回になりますが3月の議会でも、LGBTに当たる方について答弁をさせていただいたところでございます。 本年度の学校での取組について少し具体的に述べますと、市内21校ございます小中学校のうち、19校で授業で取り上げることを計画しています。残りの2校につきましても、教職員向けの研修会などで取り上げる予定でございます。今後も教職員また児童生徒に性の多様性の理解を深める取組を進めまして、1人1人の思いや願いが尊重される、そうした環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 湯澤武議員。
◆9番(湯澤武君) はい、ありがとうございます。3月にも申し上げましたように、ある中学生、現在は20歳を過ぎておりますけれども、やはり本当に自殺を考えた。しかし、学校へ行って先生方に話を聞いていただいて思いとどまったということもお聞きをしました。どうか今後とも前向きな丁寧な行政の、また教育委員会の取組をしていただいておりますので、今後とも、更なる理解増進に繋がりますよう、自分自身も努力してまいります。本日は誠実な答弁をしていただいたと感謝をしております。 これで質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) はい、以上をもちまして湯澤武議員の質問が終了しました。 暫時休憩といたします。 再開は13時30分といたします。
△休憩 午後0時12分
△再開 午後1時30分
○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き会議を再開します。 唐澤千明議員の質問に入ります。 19番、唐澤千明議員。 (19番 唐澤千明君登壇)
◆19番(唐澤千明君) 19番、唐澤千明です。さきに通告しました2点について質問をさせていただきます。 まず一点目ですが小水力発電の推進についてでございます。平成28年に、「伊那から減らそうCO2!!」を合言葉に、木質バイオマス暖房の導入や、小水力発電事業の誘致などの目標を定めた伊那市二酸化炭素排出抑制計画を策定しております。伊那市では豊富な水資源と落差のある地形を生かして、小水力発電所の導入を積極的に進めています。市内には10か所、うち、小水力が5か所の水力発電所があり、最大発電量が12キロワットから2万3,600キロワットと全てが環境負荷の少ない発電所です。 環境省では、小水力発電について、厳密な定義はないが、出力1万キロワットから3万キロワット以下を中小水力発電と呼ぶことが多く、また新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法、新エネ法ですけども、この対象のように出力が1,000キロワット以下の比較的小規模な発電設備を総称して、小水力発電と呼ぶこともあります。法律上の区分や今後の水力開発のあり方などを踏まえ1000キロワット以下を小水力として扱うことにしています。なお、1キロワット未満の極めて小規模な発電をピコ水力として細分化することもあります。 市内の主な小水力発電所には、平成27年9月運用開始した美和小水力発電所と、平成29年4月に運用を開始した春富水力発電所があります。美和小水力発電所は農業用水路を利用し、発電最大出力を12.2キロワットとし、全量売電を行い、収入を農業事業設備の維持管理に充てています。2020年の発電量は約16世帯の年間消費電力量に相当しております。 一方、春富水力発電所は、伊那市春富土地改良区の農業用水路を活用し、灌漑期の4月から9月の6か月間に発電し、全量売電で得た収入を、農業用施設の維持修繕に充てています。最大出力は197キロワットで、発電量は約134世帯の年間消費量、消費電力に相当しております。事業費が4億円。半分を国の交付金で賄い、残りを県と伊那市、土地改良区が負担しております。 ピコ水力として2006年に設置した伊那市役所せせらぎ水路発電所があり、最大出力200ワットで、公園内の夜間照明に充てていますが、せせらぎ水路の水が流れる4月から10月のみの稼働となっていましたが、今では稼働していないとのことです。 先月5月19日の全国農業新聞記事に、中山間地で安定した収入が期待されている栃木県那須塩原市の農業用水路で、小水力発電で大小9基で年間2億5000万円の売電収入があり、発電所を開設前の10アール当たり6000円だった農家からの賦課金を、将来的にはゼロにするのが目標とありました。一度作れば、半永久、50年から100年使えるし、補助制度もあるとしております。数十ヘクタール、数百ヘクタール規模の農業用水で、100キロワットの発電ができる場所は、山間地域を含め、日本にはまだ数多く残されている。また農家や住民5、6人の出資で始めることも可能だ。地域の未来を考える際、選択肢の一つにしてほしいと記されていました。 そこで質問です。カーボンニュートラルの実現に有効な再生可能エネルギーである小水力発電の普及促進に向けて、伊那市の現状と意義について考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。
◎市民生活部長(城倉良君) 小水力の定義はいくつかあるわけですが、ここでは市内の水力発電全体の御紹介します。まず、長野県企業局の発電所が4か所、三峰川電力の発電所が4か所、中部電力の発電所が2か所、土地改良区の発電所が2か所ありまして、合計で12か所の水力発電所が稼働しております。出力につきましては先ほど議員御紹介のとおり、12キロワットから2万3,600キロワットまで大小様々な水力発電所が存在しております。年間の発電可能量は全施設の合計で約3億2,000万キロワットアワー、これは一般家庭約6万6,000世帯分の年間電気使用量に相当します。また1,000キロワット以下の水力発電を小水力というふうにみなしますと、小水力としてカウントできますのが高遠さくら発電所、三峰川第3発電所、三峰川第4発電所、戸台発電所、春富水力発電所、美和土地改良区発電所でございます。 小水力発電は落差と水量で発電規模が決まりまして、伊那市は急峻な地形と二つのアルプスからの豊富な水量によりまして、小水力発電に適した地域であると言えます。 また、小水力発電は24時間365日発電できるとともに、発電設備のメンテナンスをきちんとすることで、小黒発電所のように100年以上稼働するということも可能でございます。施設を長く使えるという点から、また再生可能エネルギーの中でも、特に環境に優しいエネルギーであると言えます。また、建物の中に発電機を設置するので環境への影響も少ないというふうに考えられております。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。
◆19番(唐澤千明君) 3万2,000キロワット、6万6,000世帯がその発電所使ってるということで、そこそこの容量かなというふうに思います。小水力は環境の配慮型で、河川の水を溜めることがなくて、そのまま利用する発電方式です。一般河川、また農業用水、砂防ダム、上下水道など現在無駄に捨てられているエネルギーを有効活用します。小水力の特徴として、太陽光や風力との比較をしてみると、長所では一つに、昼夜年間を通して安定した発電が可能。二つに設備利用率が50から90%と高く、太陽光発電と比較して、5から8倍の電力量を発揮できる。三つ目に、出力の変動がなく、系統安定、電力品質に影響を与えない。四つ目に、経済性が高い。五つ目に、全国小水力利用推進協議会では、1,000キロワット以下の未開発包蔵出力を、300万キロワットと概算している。六つ目に、設置面積が小さい。 一方短所では、一つに落差と流量がある場所に設置点が限られる。二つに水の利用について利害関係がつきまとう。三つ目に法的手続きが煩雑で面倒である。河川法等ですね。それから四つ目に、法的な規制や、多くの申請を必要とする場合がある。五つ目に二つの要素、落差と流量による機器開発が必要である。六つ目に、同じ再生可能エネルギーでも、小水力に関する一般市民の認知度が低い、と言われています。なお、発電原価は小水力発電が8から25円キロワットアワーに対し、太陽光発電は37円から46円キロワットアワーということで、家庭用ですけれどもなっております。 そこで質問です。農業農村整備事業等では、土地改良施設の操作に必要な電力供給などを目的に、これまで全国では、165施設が小水力発電施設を整備し、大半の施設が最大出力1,000キロワット未満です。令和4年3月末時点での出力合計は、4万6,000キロワット、年間約2億2,800キロワットアワーの発電が可能です。約7万6,000世帯の年間消費電力量に相当ということです。農業用水路を利用した小水力発電が多く見られますが、県や土地改良区との連携をもって、農業振興を図っていくことが必要です。小水力発電の未開発の包蔵出力が300万キロワットと概算しているわけですが、単純に出力だけを計算すると、現在の65倍に当たる地域が考えられるとしております。積極的に導入、誘致を進めるべきですが、考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市内におきまして土地改良区が設置をしている小水力発電所は春富土地改良区と美和土地改良区が設置をした2か所であります。それぞれの土地改良区の事業として整備を行って、春富が平成29年に、美和が平成27年に稼働を開始をしております。売電収入につきましては当該発電施設の維持管理費の他、土地改良施設の維持管理費にもあてられて、それぞれ土地改良区で有効に活用されているということであります。小水力発電施設の設置を行うには、落差や水量の検討の他に、実は慣行水利権という厄介なものがありまして、この慣行水利権に関わる協議、いわゆる関係機関との協議また事業化に当たっては、国などの補助事業の導入、そうしたものも検討が必要となってまいります。農業用水路の場合については、季節によって水量が変わることもありまして、年間を通しての発電は難しい場面もありますが、小水力発電による売電収入は土地改良区の運営において貴重な財源となっております。 伊那市としましても、小水力発電施設の設置においては土地改良区や、あるいは意欲のある民間事業者に働きかけて支援をしてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。
◆19番(唐澤千明君) 積極的に、土地改なり、そういった営農関係者のところに声をかけていただければというふうに思います。こういった農業用水路を利用して、小水力発電で農業振興を図るということは、これから重要になってくるかなというふうに思います。 山梨県の北杜市ですが、世界の誇れる再生可能エネルギー先進自治体を目指して、再生可能エネルギーの導入促進をしています。北杜市再生可能エネルギービジョンに位置づけている再生可能エネルギーの推進を図るため、平成29年度から水道施設への発電機を設置するマイクロ水力発電事業に取り組み、この度施設の整備が完了し、令和3年1月14日よりマイクロ水力発電機の運転を開始しました。最大出力は19.9キロワット。年間14万キロワットを発電する見通しで、今後期待される設備となっています。 そこで質問です。伊那市の水道事業が厳しい経営の中、水道施設を活用した小水力発電は、地球温暖化や大気汚染を防ぐ、地球に優しいエネルギーです。浄水場等の電気料金にあてることで、多少でも業績がアップすればいいかなと思います。また、下水処理場から排出される水を利用した発電も検討の余地があります。このような上下水道から、発電をされることについて、考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 水道施設を活用した発電につきましては全国でも導入をしている事業者が増えております。伊那市でも令和3年度に職員が先行事例などを参考に検討した経過もあります。発電量につきましては、水道管の太さや流れる水の量とかあるいは落差というものが関係するわけでありますが、伊那市の水道管でも、最も多く発電できそうな場所で試算しても、北杜市の発電所の半分程度の発電量という試算でありまして、初期費用、あるいは維持管理費などの経費を考えると、採算が取れそうもないという結果が出ております。今後、発電効率が良い製品が開発され、また初期費用、あるいは維持管理費などの経費も安価で採算が取れるようになれば設置は検討していきたいと考えます。また、下水処理場から排出される水を利用した発電についてでありますが、県内の市町村にはまだ例がなく、全国的にも数例あるのみということで広く普及をしているという状況ではありません。今後、市の下水処理場でも設置ができて採算が取れる発電システムというものが出現すればこのことについても検討をしていかなければいけないという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 本管というか管がある程度太くてまた流量が強くないとっていうことで厳しい面があるかと思います。水道の方ですけども。逆に下水道の方の関係ですが、これから下水道、常に排出されているわけですので、その水を活用して、小水力発電をするってことも、今言われたように可能でありますので、今後、取り入れることに対しては期待をしたいと思います。 国土交通省では、小水力発電の普及促進のために小水力発電設置のための手引きを今年3月下旬に作成し、公表しております。小水力発電を検討される皆さんに、制度や手続きについて、より一層のご理解をいただくため、本手引きの改訂を行っています。主な改訂内容は、水利使用に関わる制度や、手続等の紹介を大幅に拡充することや、設置事例の拡充です。水力発電技術は、ほとんど確立しているため、技術的問題で開発ができないということはあり得ません。ただし、工夫や改善の余地はまだまだたくさんあります。 そこで質問です。再生可能エネルギーとしての小水力発電はまだまだ一般市民の認知度が低い状況です。経済性は重要で、経済性の良い地点から開発していくこと、売電収入や電気料金の削減費用により維持管理できることが重要です。半永久的に発電できる小水力発電事業に対して、伊那市として積極的に誘致、関わっていくことが必要です。今後の小水力発電推進に向けた取組など考えをお聞きしたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市では、「伊那から減らそうCO2!!」伊那市二酸化炭素排出抑制計画におきまして、伊那市にふさわしい再生可能エネルギーとして木質バイオマス、小水力、屋根置き型の太陽光発電を挙げ、その普及に取り組んでいるところであります。また、この計画の中では、省エネルギーへの取組として、照明のLED化を推進をしておりまして、CO2削減の他、電気料金の負担軽減などの大きな成果を上げております。 このうち小水力発電につきましては、現在2か所ある土地改良区による小水力発電施設を令和7年度には4か所にする目標を立てております。市内のあらゆる場所で適した小水力発電が普及できるよう、今後も積極的に小水力発電に関わってまいりたいと思います。 また、民間発電事業者等から事業化の問合せがあった場合には、必要な情報を提供するとともに事業実施に向けて事業者に協力をしながら、適切な施設を設置してもらえるように取り組んでまいりたいという考え。事業化に向けて一番の課題になる、先ほど申し上げましたが、慣行水利権。この問題については県に対して、課題解決のための取組を要請をしており、今後国土交通省に対しても県と協力して、小水力発電の足かせとなっている、慣行水利権の規制緩和、こうしたものによってしっかりと取り組んで小水力発電の普及をさらに進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 現在2か所ある農業水路の、発電を小水力を7年度までに4か所にするという目標をお聞きしました。そんな形の今後の取組、本当にありがたいしそんな形で進めていっていただければというふうに思います。再生可能エネルギーとしての小水力発電を、広く認知をしていただき、安定した発電ができるメリットを生かして、伊那市として一層の関わりを持って、推進していただきたいというふうに思います。 次に2点目の地区交通安全協会のあり方についてでございます。伊那交通安全協会は、先月29日の夜、第68回定期総会を伊那市役所で開いています。関係者ら約60人が出席し、今年度の予算や事業計画を承認し、伊那署管内の抑止目標を事故による死者2人以下、重傷者24人以下、死傷者210人以下に決め、交通関係団体と連携して、各種啓発活動を展開し、目標達成に取り組むことを確認しております。伊那交通安全協会は、伊那警察署内にあり、悲惨な交通事故を1件でも減らすために様々な活動を行っております。運転免許の更新時に会費を支払った方は交通安全協会に入会したことになり、支払った会費は、交通安全協会の活動費に充てられています。入会は任意と説明される部分を聞き逃してしまう可能性もありますし、手続きの流れの上で、入会が義務だと勘違いしている方もいるかもしれません。 伊那交通安全協会の下部組織として、伊那市交通安全協会、18地区あるんですけども事務局を伊那市役所に置いております。伊那市交通安全係が開催する各行事等に参加すること、保育園、小学校の交通安全教室に参加要請をしており、安全対策に関わる要望書、申請書の提出先でもあります。18の地区交通安全協会の活動には、地域行事への警備協力、白線引き、いなの日の活動等、全国交通安全運動期間中の活動、保育園、小学校の交通安全教室の参加及び行事に参加などがあります。伊那市は交通事故のない、安全で安心できる社会の実現に向け、交通安全思想及び交通マナーの普及を図るため、伊那市交通安全協会に対し、予算の範囲で補助金を交付しています。補助の対象となる事業は、一つに、交通安全のための意識の普及、啓発及び指導に関する事業。二つに、交通安全運動等における交通防止のための街頭指導等に関する事業。三つに、学校、保育園等における交通安全教育の推進に関わる事業。四つに、前3号に掲げるものの他、市長が特に必要と認めた事業です。 そこで質問です。昨年度、伊那市交通安全協会に補助金170万円を交付していますが、どのような内容だったのかお聞きします。また、各地区交通安全協会との連携による交通安全教室の開催及び各種交通安全広報啓発活動に助成金を出していますが、どのような内容だったのかお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。
◎市民生活部長(城倉良君) 市から伊那市安協への交付金は、伊那市交通安全協会活動事業交付金交付要綱に基づいて交付しておりまして、令和4年度には170万円を交付しております。交付金は、伊那市安協が当該年度に予定している活動に必要な金額を、安協の事業計画書、予算書で確認をいたしまして、伊那市の予算に計上した上で交付しているものでございます。具体的に、令和4年度の伊那市安協の決算は、この収入の他、収入については令和3年度からの繰越金約86万円、諸収入約25万円など収入総額293万円余の中で活動を実施しております。 その活動内容につきましては、総会や役員手当、被服費、消耗品などの総務費が約42万円、事業費として交通安全啓発物品である反射材、のぼり旗、横断歩道に設置する横断旗などの購入費が約100万円、また地区交通安全協会で実施した活動に対する事業助成費が62万円余などとなっております。令和4年度の支出総額は214万円余で、差し引き約79万円を次年度への繰越金としているものでございます。伊那市はこの繰越金をもとに、令和5年度の交付金につきましては150万円といたしまして、市の予算として計上しているところでございます。 なお、交通安全教室や交通安全広報啓発活動等に対する市安協から地区安協への助成金につきましては、基本額として各地区一律1万円、事業活動への出席動員数に応じた手当として全体で約17万円余、また事業活動の実施回数に応じた助成金として14万円余、全体では50万円余を助成しております。この他各地区で啓発活動に必要な物品等約10万円分の現物支給をしているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 293万の予算で若干残って、今年は150万と予算を組んでるということで、大きな金額ではないかなというように思います。それも各地区でそれぞれにどのように集めてるか、会費等集めてることもあるかと思いますけれども、その辺が増えればというふうに思いますけれども、地区に1万円、17万とか等々ですけども、今後また検討いただくような要素になるかもしれませんけども、お願いしたいと思ってます。 地区交通安全協会の活動は、多少の違いがあっても、ほとんど同様の活動をしているかというように思われます。西箕輪交通安全協会の令和5年度の事業計画案、予算案を見せていただきました。事業計画案では、西箕輪2保育園及び西箕輪小学校の交通安全教室への参加、2保育園チャイルドシートベルト着用調査の実施から、全国交通安全運動期間中の街頭活動とポスターの掲示、毎月17日いなの日の街頭活動、のぼり旗、横断旗の交換、カーブミラーの点検交換、各地区交差点への白線引き、西箕輪高原マラソン、寄り合いの庭への協力、保育園・小中学校の各行事への参加、各地区からの要望の対応、定期総会の開催となっております。また、予算案で気になったのが賦課金として入居者全戸1518世帯から1,000円徴収することと、また会長以下42名に役員手当51万円を支払うということです。 そこで質問ですが、西箕輪の交通安全協会の事業計画予算についてはそういう内容ですけれども、他地区の会費の徴収方法とか、役員手当について、どのように取り組んでいるかをお聞きしたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。
◎市民生活部長(城倉良君) 市内18の地区安協に確認したところ、15地区が地区安協の会費を区民から個別に徴収しておりまして、その他の3地区は区費等の中から運用しているということでございました。また、会費を徴収している15地区の徴収方法につきましては、おおむね全戸から徴収している地区が5地区、任意に協力を依頼して徴収している地区が10地区でございました。会費の金額につきましては、区によって金額やその算出方法の違いがございますが、おおむね1世帯500円から1,000円の範囲ぐらいというふうになっておりました。 また、役員手当も地区によって様々でございまして、14地区が手当を支払っておりましたが、手当を支払う役員の範囲や金額、こちらもまちまちでございまして、中ではお金ではなくて、お礼品の支給だとか、地区役員の兼務により手当されているケースもございました。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 18地区のうち、会費をとっているのが15地区で、とってないところが3地区と。15地区のうち、全戸からいただくのは、会費を取るのが5地区で、任意なのが10地区ということで、会費の取り方にはいろいろと違いがあるようです。会費を取らなければ運営できないのかどうかということも検討する余地があると思いますし、また500円から1,000円の日当というか手当を払うって12地区が手当を払っているようですけども、それはやっぱりまだ中には6地区は無償でっていうことですかね。無償で動いてるっていうところもありますので、こういうところの統一性っていうかね、地区だから統一できるかわかりませんけど、その辺のある程度指導というか、標準的なものってのを決めてもいいかなと思います。 会費が多額の地区もある中で、この3年間イベントがなかったり、また保育園や小中学校との交流がなかったりで、決算で大きな金額が残っているというような状況でもあるかと思います。そんな中で会費の見直しとか、手当の見直し等を考えてもいいかなというように思います。活動内容によっては予算の中で補助金を交付していただけるわけですが、多少でも金額を増やしての補助金を支給することはできませんでしょうか。県へのお願いでもありますが、各地区交通安全協会に一定の補助金を交付することについてのお考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在、伊那市内で組織をされております交通安全協会ですが、伊那警察署管内を管轄する伊那安協、それから伊那市内を管轄する伊那市安協、伊那市の各地区を管轄する地区安協、こうしたふうにわかれております。伊那市では伊那市安協を通じて地区安協に対して、各地区からの活動実績報告に応じた事業活動費というものを助成をしております。この他に伊那市安協から地区安協に対する啓発物品等の現物支給がありまして、地区への負担の軽減を図っているという状況であります。また、伊那市からは交通規制に関する地区内の道路など白線引きのペイント資材として各地区からの要望に応じて総額で100万円分の材料現物支給というものを行っております。 伊那市では地区安協に事業の助成費というものを支援をしておりますが、伊那警察署管内の他の町村にはこうした助成はなくて、全て住民の会費で運用されているということのようであります。伊那市のみがそうした支援を行っているのが現状でありまして、助成費については当面、現行の通りの運用としていきたいと考えております。なお、現在長野県が伊那市安協や地区安協に対して補助金等の直接的な支援を行っているケースというものはございません。長野県から地区安協に対する支援については、伊那安協の事務局である伊那警察署に相談をしてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 活動の助成金また現物支給また白線引きでの材料支給等、確かにそういった意味での補助、助成をしているということでいいかと思います。そういう中での何か伊那市以外は助成をしてないっていうことなんですかね。ちょっとびっくりもしましたけどそういったことも考えながら、と思うと、あまり強くも言えませんけれども、ある程度のこういった助成金をしていればいいかなというふうに思います。増やす部分があれば今後考えていただければと思います。 市内で発生した交通事故の特徴は、幹線道路での安全確認不足による追突、出会い頭で、発生時間帯は通勤通学時間帯の朝7時から8時、夕方の5時から7時、お昼休みの正午から午後1時台に多発しているとのことです。市内で最も気をつけなければならない交差点は、市役所入口の信号のようです。 そこで質問です。交通事故のない、安全安心の社会の実現に向け、交通安全のための意識普及啓発および街頭指導、交通安全教育の推進など地区交通安全協会の果たす役割は重要です。ボランティア的要素もある中、継続して活動していただくには伊那市が強く関わっていくことが必要と思いますが、考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 上伊那8市町村のうち伊那市交通安全協会のように、市町村単独で安協を組織しているのは現在伊那市のみでありまして、その事務局は生活環境課交通安全係の中に置いております。また、地域での交通安全啓発活動が継続的に取り組めるように、市が一定の助成費を交付をして、できるだけ地域の負担の少ない形で活動していくようにいけるようにしているのも実態であります。各地区の安協が果たしている役割というのは大変重要なものでありまして、各地区安協の皆さんには日頃、ボランティア要素が強い交通安全啓発活動に協力をいただいておりまして、大変感謝をしているわけであります。市民の安心安全のためにも、地区安協が維持可能な活動を行えるよう、市および伊那市安協として地区安協の活動に引き続いて強く関わりを持ってまいりたいというふうに考えております。
○議長(白鳥敏明君) 唐澤千明議員。
◆19番(唐澤千明君) 地区の交通安全協会が地域に合った活動を展開し、それがそこにまた伊那市が強く関わる中で、連携を取り合って、死亡ゼロを目指していってほしいものでございます。 以上で質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして唐澤千明議員の質問が終了しました。 引き続き、三石佳代議員の質問に入ります。三石佳代議員は一括方式での一般質問となっておりますので、質問時間の制限はありませんが、質問回数は5回までとなっておりますので、御承知おきください。 8番、三石佳代議員。 (8番 三石佳代君登壇)
◆8番(三石佳代君) 8番、三石佳代です。さきに通告した内容について質問いたします。人口減少に伴う地域の役割と林業復活について、お伺いします。人口減少が政治の最大の課題であり、まずは、地域の特性を生かした地方自治の力が問われております。伊那市の特性を何と考えるかが基本となります。そこが食い違っていれば、的外れな政策となり、効果を得ることはできません。伊那市は合併によって誕生した自治体で、各地域によって、特性が違います。人口減少対策の一つとして、政府は町の機能を集約するコンパクトシティを後押ししておりますが、新聞でも報じられていますとおり、中山間地が、環境保全に果たす役割や、地域住民の営みを軽んじるきらいがあります。 私は、伊那市の生かすべき特性は森林であり、人口減少の最大の原因は、林業の衰退と考えます。林業を伊那市の地場産業、企業として復活させ、次世代へ受け継ぐためには、後継者が育つ環境を整える必要があります。後継者世代が適齢で結婚し、子育てをするためには、高水準での安定した収入が必要でありますから、市内の豊富な建築資材を商品化して、価値をつけることが必要であると考えております。一時は伊那市の主力産業であった林業が衰退した原因を伺っておりますと、雨が降ったら傘を返せ、という心無い精神が最悪の結果をもたらしたと言わざるを得ません。林業復活のためには、第1に資金の用意が必要で、今の金融機関と関わりのない資金を用意しなければならず、前回の質問で、伊那市独自の資金調達方法として、宝くじを提案しましたのはこのためであります。人口減少に歯止めが利かない上に、政府は明確な資金調達方法を打ち出すこともできておりません。 この深刻な状況を前に、特区申請はしないとする市長の御答弁は思いもよらないものでしたが、その御答弁にありました内容も先週、維新の会に伝えまして、その上で、私の増税を食い止めるために、税金以外の資金調達が必要であるという考えに賛同をしていただきまして、一任されておりますので、今回の市長の答弁を踏まえた上で、正式な形で政党幹部へ提出いたします。 質問は2点です。伊那市の特性を何と考えていらっしゃいますでしょうか。そしてもう一点は、林業復活についてのお考えをお聞かせください。お願いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) まず、伊那市50年の森林ビジョンまたソーシャルフォレストリー都市宣言というものは50年先の森と人との関わり、また暮らしの隅々まで森が浸透している社会というものを目指しております。森は暮らしを支え、地域をつなぎ、あるいは学びや知恵を生み出して仕事を育んでいるわけであります。また、森を生かす暮らしというものは市民の日常を彩ったり、心の豊かさをもたらしたりしているという一面もあります。 伊那市では一次産業が着実に営まれ、豊かな地域資源の活用によって、食、水、エネルギー、こうしたものを自ら賄い、持続可能な循環社会を形成をする、日本を支える地方都市、それが伊那市であると自負をしております。 また、伊那市では様々な文化や考えを受け入れる素地がありまして、人々が優しく、若者が新しいことにチャレンジできる、イノベーションの原動力に満ちた街でもあります。先人が次の世代を思い、地域で育んできた歴史や文化、美しい景観などのレガシーを今を生きる私達が、地域課題解決のために取り組んでいる最先端技術など自然な形でうまく融合し、調和をしたポテンシャルの高いまちであるというふうに考えております。 もう一つの林業の復活についてでありますが、まず日本では戦後の復興のために木材需要が高まって、政府による拡大造林の政策によって植林をされた樹木が50年以上経過をして伐期を迎えております。 以前の家庭の燃料というのは薪炭、木炭、こうしたものが中心であったわけでありますが、里山の雑木林は農業に必要な肥料また飼料なども採取する場所として欠かせないものでありました。しかし燃料革命とか、あるいは木材の輸入の自由化などによって、国産材の需要が減少して、日本の林業経営というのは大変厳しくなったと考えます。こうした状況を打破するためにも、伊那市では平成28年に伊那市50年の森林ビジョンを策定をするとともに、平成30年度からは全国28地域で採択をされた林業成長産業化地域創出モデル事業にも取り組んでまいりました。また市独自の林業事業体への若者採用補助あるいはフォレストカレッジなどによる人材の育成、ペレット、薪ストーブ、ペレットボイラーなどの設置の補助による自然エネルギーとしての木材利用さらには経木のブランド化、建築物あるいは塀への伊那市産材利用補助による地域材の利用というものにも取り組んでおります。その他、学校の廊下の腰板、あるいは机の天板の地域産材の活用といったものにも力を入れてきているわけであります。 50年の森林ビジョンの推進委員会のご意見も聞いたり、また実行計画の実現に取り組んでおりまして、民間で組織をする50年の森林ビジョンのバックアップをするミドリナ委員会、この委員会によるイベントなどが、市民意識の向上にも繋がっているというふうに捉えております。こうした取組というのは全国的にも非常に先進的だということで、中央省庁だけではなくて、各自治体からもそうした目で捉えていただいているわけであります。 今後でありますが、令和元年度から国の森林環境譲与税の交付が始まり、これまで手のついていなかった森林所有者への意識調査、林地台帳の整備こうしたことを進めながら、今後は林業事業体の考えも聞きながら、森林整備も進めてまいりたいと思います。 毎年、国への事業の提案、また予算の要望活動などを行ってこれから必要になるであろう架線集材期の研修、こうした場所を伊那市に指定してもらうということなど、従来の林業の形とまた違う形の新しい林業の姿、これを伊那から発信をしていくという取組も始まっております。 それから今年の3月に竣工しました産学官の連携拠点Inadani seesにおいては、家庭用のペレットボイラーの研究、これも開発から製造までを進めてもらうということで、木材林業関係者とのマッチングも進んでおりまして、これから新しい姿の林業、材を使うだけではなくて活用するとか、森林の持つ多面的機能というものをしっかりとこの伊那で発言をして、そして林業が真に産業として成り立つような、そうしたことをしっかりとこの伊那から進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 三石佳代議員。
◆8番(三石佳代君) それでは、追加で質問したいことがあるんですけれども、今の御答弁の中で輸入の木材といったことがありましたが、これは輸入のもの、これだけ木がある土地で、輸入のものでおうちを建てているということにとても違和感を覚えるんですが、質が落ちるということなんでしょうか。輸入のものの方が質が良いから輸入のものを使っているということなんでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 昭和40年代から輸入材に切り替わってきたんですが、この一番の理由というのは、価格であります。安い価格。それから海外の材というのは非常にまっすぐなものが多いわけでありますので、ねじれたり曲がったりしていないということで活用もしやすいと。これが輸入材が多く入ってきた背景であります。
○議長(白鳥敏明君) 三石佳代議員。
◆8番(三石佳代君) はい、わかりました。では、伊那市の木材はつまりまっすぐではない。輸入のものに比べて、まっすぐではなくて向いていないといったようにも受け取られるんですけれども。実際のところは、使って建てているような建物もありまして、使えなくはないというように私は伺っておりますので、価格の方が主なのであろうというように受けとめました。 もう一つ伺いたいことは、今たくさんの方面から、お答えいただきましたけれども、優先順位をつける必要があると思うんですね。人口減少というのが今とても大きな課題となっておりますので、位置づけとして最優先にしなければいけない課題ではないかと私は考えるんですが、伊那市は福祉を柱とした政策というのはもちろん承知しております。ですけれども、人口減少というのは全てのことに影響をすることですので、この特性を生かした政策、地方自治の力がこの国の明暗を分けるという局面にありまして、市長が考えている未来構想といいますか、特性を生かした主な政策財源についても触れていただけるようなら触れていただきたいんですけれども、そういったものをお聞かせいただきたく思います。 これは事前に通告しておりませんので後でまとめていただければと思います。 その前に私が簡単に自分の思い描くといいますか、伊那市の特性は森林だと私は一つに絞りました。それはなぜかと言いますと、山林、河川の砂利、砂を資源として考えておりまして、生かすべきところは天然資源を生かして、住宅産業を6次産業として政策としたらどうだろうかと思うわけです。この今の若者たちの調査で、結婚しない、できない理由、子供を産まない理由として、経済的不安があるというところがこれだけ広く報じられています。深刻な問題であるわけです。若者に創業支援、経営支援をすることで経済力を育てるということが望ましいのではないのでしょうか。一つのこの問題を解決することによって的を得たもの、支援であれば、連鎖的に課題は解決をしていくということがございます。 例えば、伊那市のシンボルとなるようなログハウスブランドを立ち上げた場合、地域が今抱えている様々な課題を連鎖的に解決して参ります。モデルハウスというのは展示場が作れます。モデルハウスはそのままいろいろな可能性を秘めたものであって、モデルハウス展示場を作りますと子供の遊び場、イベント会場、緊急時の避難、宿泊施設、シェアオフィスなど経済効果を含めた活用が可能であり、そこにまた多様な雇用が生まれるということが予想されまして、伊那市の資源をお金に変えていく手段にもなり、かつ、伊那市民の今持っている多彩な才能を発揮する場にもなるわけです。そして最も伊那市が弱いとされているのは広報です。広報がなぜ弱いのかと言って調べてみますと、やはり合併を繰り返しておりますから小さなコミュニティが多いわりに、離れ離れになっているんですね。そして、大きな交流の場がないと言ったことはこれは広報が弱いのは行政のせいにばかりしているだけではなくて、場というものを作るという努力も我々は政策の中に入れていくべきではないでしょうか。今のご答弁は大変詳しく説明していただきましたけれども、逆に、1個の的というのが見えづらいといったことにもなります。 まず優先順位というものをつけなければならない。これ基本でございますから優先順位を教えていただきたいということと、また、今の若者の知恵をもってすれば、その単純な住宅をただ伊那市内でということではなくて、日本国内のみならず世界へ名を馳せるようなログハウスブランドに成長するかもしれないんですね。今の中学生・高校生との交流をして対話をしておりますと、非常に視野が広くてその目線というのは海外にまで向いておりますし、知恵があります。これだけの能力を生かせないということは私はとても申し訳ない思いがしますし、それを生かす対策というのを一刻も早く打つべきではないでしょうか。新聞にも報じられておりますが、ログハウスのブランドを手がける会社が今全国展開を目指しているという記事でございます。昭和60年に創業して、2万2,000戸以上の実績があるといった記事でございました。全く売れないものであったら仕方が。
○議長(白鳥敏明君) ちょっとごめんなさい質問の内容が、ちょっとつかめないんで。書いてある内容と違うので、今ここで質問されるとすると、答弁のしようがないと思いますので、何が聞きたいのかもう3回目、4回目だっけ。
◆8番(三石佳代君) 5回ですよね、まとめます最後に。
○議長(白鳥敏明君) 論点をまとめていただけますか。
◆8番(三石佳代君) 最終的にまとめます。いいですか、最終的にはまとめますよ。今とりあえず聞きたいことは、少子化対策について私伺っております。通告してありますよ、少子化対策について伺っているんです。通告とおり。私も市長からどう答弁が来るかは。
○議長(白鳥敏明君) ちょっと通告内容を越えてるので、もっと論点を整理されて、通告してある内容に沿ったことを質問していただけますか。
◆8番(三石佳代君) いただいた御答弁に対してに沿ってということは、いけないんでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 市長はさっき林業についてこういうことですよっていうお答えはしてますよね。それに関して関連質問的にやってくのであれば、一括質問でいいんですけど、なんか話が全然違う方に飛んでいるので、ちょっと内容的には越えてるというふうに判断したいのですが、まとめてください。
◆8番(三石佳代君) はい、ではまとめます。では市長に再度質問したいことは、つまり、今いただいたご答弁の中に、人口減少に伴う地域の役割ということを私初めに通告しています。そして特性を生かした地方自治の力が問われているということもこれもさきに通告してある内容でございます。そしていただいた答弁というのは、特性を1本に絞っておりませんので特性というのは、そこまで、複雑になるものなんでしょうかということをまず聞きたいということです。私は森林ということも、さきに述べておりますし、林業ということも伝えておりまして、そして林業を復活というところに関しまして、市長からいただいたのは、違う形という答弁でございました。違う形というのはどういう形を指しているんでしょうか。 私は、今までのそのいただいた御答弁の中にですね、一次産業というところがあったのでこれに対して今言ってるんです。私がこれから説明したかったのは途中で止められてしまいましたが、6次産業を提案したかったから、今説明を付け加えたわけです。簡単にはまとめますね。市長は1次産業とおっしゃいました。私はこの若者たちに6次産業化するした方が良いと思うんです。木の伐採から設計、基礎工事、建築、解体、販売までの6次にした方がいいと思います。市長は1次の方がよろしいと思いますか。1次産業のままでいいというお考えでしょうか。6次産業として政策にするというお考えはないでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) どの部分を答えていいのかわかりませんけれども、一次産業っていうのは、産業としては農林業水産業ですよね。2次産業、3次産業だんだんあって、5次産業サービスとかいって6次産業というのは最近言われてるんですが、その林業というのは、1次産業であると同時に、6次産業まで全部つながってきます。つまり木を植える、育てる、切る。それを引っ張り出してきて今度は、製材をする、乾燥する、カットをしながら受注に応じていろんなところに売っていくという。まさに6次ですよね。 そうしたことが今日本ではできなくなっているということが一番林業の衰退の原因です。つまり海外から輸入がたくさんあって、国内の木が使われなかった、そういう時代が長く続きました。その間、林業従事者がどんどんと減ってきましたし、高齢化も進んでいく。木は昭和30年後半から40年代にかけて植えられたカラマツ、ヒノキ、スギこうしたものがどんどんと成長していく。成長して27年以上経つと二酸化炭素の吸収量がどんどん減るんですよね。その成長した木はほったらかしになっているので、その木を今切って出してきて使いなさいって言っても、切る人がいない。切って出してきてもこれを製材する大径木の製材所がない、乾燥する場所がないと、これが今の日本の木材、そして森林としての現状なんですね。今、私は、国の方にそうしたものができるような補助なり支援をしてほしいということを要望しております。そうしたことで今まで植えた木を使って、それからまたその後に植えて成長を促して、また使っていくというその繰り返しが、50年サイクルというのが、50年の森林ですね。今海外から入ってくる木がどうかというと、実はウクライナ、ロシアあたりは材木としての輸出は禁止になりました。カナダからもいっぱい入ってきていたんですが、これもアメリカの住宅需要が活性化したことによって日本に来る量が減ってきました。それがウッドショックということであったんですが、さっき言ったように国内のものを使えばいいじゃないかって言っても、構造的にもう使えない状況になってるということですので、それを一つ一つこの伊那で解決をしていきましょうと。 昔のようにチェーンソーで木を切って路網を開けて、それから出してくるということではなくて、高性能機械を使って安全に良い伐採をしていく。グラップルだとかタワーヤーダーだとか、そういったものを使って林業を活性化しながらいく。そこには若者も当然入ってきます。今そうしたことを上伊那森林組合の中でも着実にやっておりまして、林業従事者が増えているということですので日本のことではなくて、この地域でしっかりとした林業の社会を作っていくということが今成り立ってきておりますので、そうしたことについてもう少しまた見ていてもらえれば、なるほどなと。これが伊那市のやり方で日本のモデルになってるなということがおわかりになろうかと思います。
○議長(白鳥敏明君) 三石佳代議員。
◆8番(三石佳代君) はいわかりました。聞きたかった内容が今のお答えで林業についてっていうのはわかりました。それで、伺いたいところなんですけれども、その50年の森林ビジョンと言いますと冊子になっているんですが、その中で、工事についてっていうところ。もう少しちょっと詳しく伺いたいんですが、木のみなのか、木っていうのは下ですね、土の方のことが考えられると思うんです。資源として全てを考えて見てみますと、伊那市の全体的な持っている天然資源というものを市長、砂利とか砂っていうのは、その木材、森林と同じように資源としてお考えになっていますでしょうか。これちょっと通告なくて申し訳ありませんけれども、加えて、今のお話を付け加えというところで少しだけ可能でありましたら、お答えいただきたく思います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 一つ、木についてはA材B材C材D材っていうふうに分けます。D材というのは枝葉の方に入るわけですが、そうしたことについては今まで森に放置してきました。あるいはタンクロといって根元の部分のものも放置してきましたが、これはもう資源として使おうということで伊那市では取り組みを始めてます。それ全ての木、木全てを使い切るというのは向かうべき方向であります。 それから砂利についての質問ありましたけども、これ資源としては当然使えます。使えますが、河川砂利は私達の持ち物ではなくて国の持ち物です。あるいは今、リニアのトンネル工事で発生している土。これも、私達のものではなくて資源としては使えますが、それを買えば、私達はもらえます。工業団地を造成しているときにも、本来であれば大変お金がかかりますけれども、国土交通省と話をして河川砂利が毎年毎年増えていきますので、それをうちが引き取るという形でいただいたり、またリニアの発生土についてもJR東海から伊那市が資源として造成、あるいはこれから作る伊駒アルプスロード、そんなところにも使うということで引き取って生きているということになります。
○議長(白鳥敏明君) 5回目になりますので最後になります。三石佳代議員。
◆8番(三石佳代君) そうしますと、林道というのは今、主に登山に行くために林道を使われておりますが、これは今後は、私は林道というのは産業用のものだという認識なんですが、市長のお考えでは林道というのは今後主にはその登山のことに使われるっていうような形なんでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 林道も道ですので、使い方はいろいろあります。散歩するにも使うでしょうし、山に行く人も、山仕事に行く人も使うし、キノコ採りの人も使うという、これが道であります。林道というのは今言ったように登山者が使うだけじゃなくて、むしろ木を引っ張り出してくるときには作業道を開けます。その作業道から支線を上げて路網をどんどんと広げていって伐採した木をそこから引っ張り出してくるということですね。だからそうした道の果たす役割というのは、林業にも使う、あるいはこれから作る伊駒アルプスロードのようなものについては緊急車両も通るし、産業用道路としても活用できるし、観光用にもできるということで多様な使い道ができるのは、道であり、林道だという考えです。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、三石佳代議員の質問は終了しました。 暫時休憩といたします。 再開は14時50分とします。
△休憩 午後14時37分
△再開 午後14時50分
○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 小池隆議員の質問に入ります。 4番、小池隆議員。 (4番 小池 隆君登壇)
◆4番(小池隆君) 4番、小池隆です。先ほどお昼に帰るときに、車の温度計を見たら30度になっていました。暑い夏が来たなと思って、いよいよ空間のエアコンの効きやすい軽トラのときが来たかなと思って、お昼帰ったところですが、今日は軽トラから車の乗り物に関することと、農業に関することで、さきに通告させていただきました2点に関しましてお聞きをしてまいりたいと思います。 まずはじめに、より利用しやすいふれあい交通サービスを目指して、につきまして質問をさせていただきます。ぐるっとタクシーおよび市街地デジタルタクシーは、市民目線の新しい公共交通として、伊那市が構築する安心生活サービスの高度化の実現の一つとして市民の皆様の期待も大きく、利用者の需要は高まりつつあります。このふれあい交通サービスであるぐるっとタクシーおよび市街地デジタルタクシーについて、スタート時から約3年が経過しました。現状から、市長がこのふれあい交通サービスについて感じること、思うことをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ぐるっとタクシーについては3年近く経って、またデジタルタクシーはまたその後から始まっておりまして、ともあれこの二つのシステム、これは高齢者、障害者また、運転免許証の返納者の皆さん、そうした皆さんの通院や買い物など、日常の移動を支えていくことを目的として運行を開始をしております。これまでの利用実績におきましても、病院や薬局などを目的地とする利用者が最も多いという状況であります。 ぐるっとタクシーの高度化に向けまして、今年の1月に実施をした利用者のアンケートにおきましても、ぐるっとタクシーができて、あなたの生活は変わりましたかとの質問に対して、69%の方から病院に行きやすくなった、との御回答をいただいておりまして、私どもが想像していた以上の効果を発揮しているというふうに感じております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) はい。事業としては、スタート時から3年とまだまだ始まったばかりではございますが、市長が今後このサービスに期待すること、近い将来、どのような姿であるべきと考えていらっしゃるか、市長の思いをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ぐるっとタクシーの利用者アンケートにおきましては、ぐるっとタクシーができたため、運転免許を返納したというふうにお答えになった方も19%おりました。こうした皆さんの移動ニーズに応えていくため、これからも安定的に運行を継続していかなければいけないという思い。それから、この事業に協力をしていただいておりますタクシー会社をはじめ、交通事業者の皆さんとはこれからもしっかりと連携をして、持続可能で利用者と事業者の双方にとって良い交通サービスとなるように取組を進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 続いて財源について伺います。ぐるっとタクシーおよび市街地デジタルタクシーの全体予算額、補助金、交付税措置の歳入を考慮した際、一般財源として市からの支出負担はどのくらいか。また、今後5年先は、どのくらいの支出負担の増を見据えていらっしゃるか伺います。
○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。
◎企画部長(飯島智君) 令和5年度のぐるっとタクシー、それから市街地デジタルタクシー合わせまして、予算額でありますけれども約1億2,900万円でございます。交通対策事業および定住自立圏事業といたしまして、その8割が特別交付税で措置されるため、市の負担額というものは約2,600万円という状況でございます。また、ぐるっとタクシーの利用件数これ増加傾向にありますけれども、運行台数ですとか車両の借り上げ単価それから運行時間や運賃こうしたものに変更がなければ、負担が今後大きく変動するということはないというふうに考えてございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 現在は補助金、交付税措置等があります。しかし、それらが減額、なくなることも想定しておかなくてはならないと思います。そして、この事業を継続させていくためには、限られた予算の中で、市民要望、運行事業者の要望を汲み取りながら進めていかなくてはなりません。全ての要望を受け入れることはなかなか厳しいことでありますが、市民の皆さんに寄り添ったふれあい交通サービスにしていくためには、条件付きでも、段階的にでも少しずつ歩み寄り、利便性の向上を目指していくことも事業を始めた以上、必要ではないかと思います。 しかし、先ほど市長の答弁にもございましたが、一方で、この事業は、運行事業者の協力を得て成り立っている事業ですので、現サービスと同条件でエリアを市内全域、時間を延長とすることは、予算、運行事業者側から見ても現状では不可能に近いと私は理解しております。市民の皆さんからの要望は多々ございますが、その中でも要望の多い事項について条件をつけ、極端な予算増にならないよう考えた提案型の質問として考えてみました。なお、運行事業者の意向もございますので今後、市として、運行事業者とこれから伺う内容について検討協議をしていくお考えがあるか、お尋ねをしていきます。 まず初めに、運行エリアです。現在、ぐるっとタクシーは居住地域と市街地、市街地デジタルタクシーは市街地のみとなっております。そこで、運行エリアを無条件に市内全域に拡大するのではなく、医療施設、健康増進施設など、市が指定する医療、健康に関わる施設の利用のみエリアを解除してみてはいかがでしょうか。また、健康増進施設の利用については、利用回数の条件を付すなどしてみてはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 利用者のアンケートにおきましては、ぐるっとタクシーの運行エリアと運行時間の拡大に関する要望というものもいただいております。また、通院に関しては個々に事情があるということは十分理解はできますが、通院あるいは健康増進施設に限定をして運行エリアやあるいは運行時間を変えるということでは、現時点ではシステムの上においてもまたコールセンターの運用面でも対応することができないという状況であります。市街地デジタルタクシーにつきましても、市街地にお住まいの方へのぐるっとタクシーと同様のサービスを提供するための制度でありまして、ぐるっとタクシーとサービス水準を合わせる運用が求められております。特にデジタルタクシーについては、事業者は当初から非常に難色を示して、これを始められると民業圧迫だということで強く拒否をされたんですが、ぐるっとタクシーと同様に市民サービスを広げたいという思いの中で、担当が何回も交渉をしながら何とかここにこぎつけたという経過があります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) このふれあい交通サービス事業は企画部署が担当しております。利用者等の要望の多くは、医療、健康に関わる施設等の利用についてです。だからこそ私はもっとこの福祉と健康の分野の部署も深く関わり、この事業でカバーできない部分を、例えば福祉タクシー券に相当するお助け券の額などを手厚くするとか、または地域社協で行っているおのりな号の活用など関係部署を含めて、もっともっと協力し市全体として福祉、健康分野で足に困っている方々に、なるべく不便のないよう市として手を差し伸べることが必要と思います。 そこで市として、分野の垣根を越えて協議し課題解決していくことも、この事業には必要と思いますが、いかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 移動とか買い物に支援が必要な方を支える地域作りに向けまして、平成29年度から伊那市社会福祉協議会が主催をする買い物移動支援地域作りネットワーク連絡会に伊那市の福祉、あるいは交通担当者が参加をして毎年数回の会議の中で情報共有を行っております。ふれあい交通サービスもこうした情報交換を踏まえて事業を構想し、現在に至っているということで皆さんの意見がここに反映されているというふうに言えます。議員御指摘のとおり、それぞれの事業におきましては、許認可、またシステム、予算、その他のことが当然ありますので、単独の事業ではカバーできない部分も発生すると。したがいまして引き続いて関係部署間での連携を図りながら、相互に補完可能なことを検討して、よりよい支援、システムにつなげてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 続いて、運行日時についてです。現在利用時間が午後3時までとなっており、午後の診療についてはなかなか受診ができません。医療施設の利用に限り、平日午後3時まで4時半、午後5時までと様子を伺いながら、段階的に延長し、土曜日は医療施設への利用に限り正午まで運行するといった条件付きの時間延長はいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 運行時間の日時の拡大に関しましては、先ほど少し触れましたけれどもタクシー会社は、一般のタクシーの営業に影響が大変大きいと。営業についても圧迫されるということで、非常にこれについては慎重であります。何とか3時という時間も今まで再三にわたる交渉の中で獲得してきておりますけれども、タクシーの運転手の確保、それからタクシーの台数の確保、そうした点においても非常に慎重というか、難しいというふうに私どもも捉えております。 この事業に協力をいただいている交通事業者の皆さんとは、これからも運行内容について検討を重ねてまいりますけれども、現時点では医療施設の利用に限ってであっても、平日の終了時刻の段階的な延長とか、土曜日の午前中の運行、こうした特別な運行というのは非常に難しいというふうに捉えております。とは言いながらも、どこまでできるのかということは、これからも粘り強くタクシー会社と話をしていかなければいけないというふうに思います。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 前向きな御答弁ありがとうございます。粘り強く、ぜひお互いがウィンウィンというか、いい関係である協議を進めていっていただければと思っております。 私は、今回この事業における、市民の皆さんの要望を伺うとともに、この事業を支え、協力をしていただいている運行事業者の方々からも話を伺ってまいりました。とても厳しいご意見も伺い、また市民の皆さんが喜んでもらえるなら多少苦しくてもやりますよ、といった頼もしいお話も伺いました。そこで次に運行に関わる質問です。 現在、この事業に使われている車両の多くは、運転手を除き、二、三人程度の乗車となっております。五、六人が乗車できる車両がもっと増えれば、待ち時間が短縮されることにより、時間の延長、エリアの一部拡大も少しは可能になるかもしれないとの話を伺いました。運行事業者としては、運転手の人手不足の中、台数を増やすとなれば、人も増やさなければならず、とても厳しい。そこで、今いる運転手で、この事業を効率よくやるには、車両を変えるのも一つの手かと。これはやってみないとわからないことですが、もし少しでも望みがあるのであれば、運行事業者と協議していただき、市が車両を一部提供するなどと、実証実験していただければと思いますがいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ぐるっとタクシーで運用する車両でありますが、東部ブロック、高遠町・長谷エリアであります。ここで運用している4台のうちの、実は2台はもうワゴンタイプであります。交通事業者の持っている車両で運用するということを基本としておりますが、環境に配慮した交通システムを目指すという伊那市の視点から、デジタル田園都市国家構想交付金、昔の地方創生推進交付金でありますが、これを活用をし、普通車タイプの電気自動車、これを伊那市が取得をして、ぐるっとタクシー専用車両として交通事業者に貸与して、運用していくということも行っております。データに基づいてお話をしますと、令和4年度のぐるっとタクシーの乗合率41.2%であります。そのほとんどが2名までの乗車でありまして、3名以上の方が一度に乗り合いになるということはほとんどないということでありまして、そうすると現状でやりくりをしていくのが一番効率いいのかなと。現状では、乗車定員の多い車両を導入しても待ち時間の短縮、あるいは運行上の余裕というものが生まれるなどの効果は得られないというふうに予想しております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) はい。次に車両の借り上げ料です。運行事業者は、ぐるっとタクシーの営業時間帯は、その車両および運転手は専念することとなっております。本来のタクシー業は、その方々を除いた運転手で行っております。運行事業者の協力を得なければできないこの事業。現在の車両の借り上げ料金は妥当かどうか。私としては、タクシーの本業をひっ迫している以上、最低でも本来のタクシー車両の借り上げ料、現行だと1時間当たり7500円ということになるみたいですが、この金額で委託すべきと思いますが、もしそうした場合、現状、交付税措置を除いた市の持ち出しはどのくらい増えるのか教えてください。また借り上げ料の見直しは、近々ご検討される予定があるか伺います。
○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。
◎企画部長(飯島智君) 現状のぐるっとタクシーの1時間当たりの借り上げ料、これは交通事業者の所有する車両の場合はですけれども5,000円、これ税込であります。一方先ほど市長も申しましたけれども、EV車のように市が貸与している車両、こちらについては4,600円ということで契約させていただいております。これは先ほど議員御指摘のとおり、一般社団法人長野県タクシー協会の定める普通車両の時間制運賃ということになりますと、標準的に1時間7,500円ということで伺っておりますけれども、これぐるっとタクシーはそういった利用形態ではなくて、年間を通じて一定の台数を継続して借り上げるといった安定した運用でありますので、事業を始めるときに事業者の皆さんと協議をする中でここで折り合いがついたというか、これでいきましょうという単価でありますので、このことについて特別、事業者の皆さんから今あげてほしいとか、そういうような要望をいただいてるということはございません。 仮にですけれども、この車両を全て1時間この県の基準であります7,500円で借り上げとした場合ですけれども、運行経費試算で申しますと年間で約4,500万円の増加ということが見込まれるところであります。借り上げ料につきましては、今後の物価ですとか社会情勢の変化等も影響しますので、これからも事業者の皆さんとの協議を踏まえまして、必要に応じて、場合によってはその見直すという場面もあるかもしれませんが、今のところ現状で進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 物価高騰、燃料費の高騰というのもございます。ぜひ、運行事業者にとって、経営面からも少しでも御理解いただけるよう、また、現在かなり運転手不足なり手不足となっておりますので、この運転手の不足の解消につながるような事業の展開で進めていっていただくことを願っております。 先日、がんを患い、抗がん剤治療を受けている方との話です。抗がん剤等の治療は、治療を受けた後、めまい、吐き気から車の運転ができず、本当に苦しい、病院に行くときさえも、何とか運転ができるかどうか。頑張って働いてきて、税金を納めてきたのに、自分が本当に車を運転できないほど苦しみ、困っているときに、市のサービスであるぐるっとタクシーが65歳未満のため使えない、切ないですと。ぐるっとタクシーは、持病により運転ができないなど、移動が困難な事情がある方は、年齢に関係なく御利用いただけるとなっております。 しかし、その方やまた、ソーシャルワーカーの方もがん患者が該当するとは思ってなく、困り果てていたそうです。先日、議会研修で伺った際、がん患者の方でも運転ができないようであれば、窓口に相談していただければ利用できると伺いました。研修後、その方にお伝えしたところとても助かりますと、そして、もっと早く知りたかったと。 最後に要望です。ぐるっとタクシーおよび市街地デジタルタクシーの対象者のところで、もう少し具体的な例を盛り込んで周知していただけないでしょうか。また、ソーシャルワーカーなど医療に携わる方々にも周知していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ぐるっとタクシーまたデジタルタクシーにつきましては、本当にお困りの方のために作っている制度でありますので、がんを患っている方、知らなかったといいますか周知が足りなかったということがあろうかと思いますが、私どもも柔軟に対応しておりますので、そこについてはもう自由に相談してもらえればと思います。困っている人に手を差し伸べる、あるいは光を当てるというのは行政の役割ですので、こうしたことは遠慮なく言っていただければと思います。それから対象者の要件として、移動が困難な事情があるかというふうについてありますので、こうしたことについても具体例を追加するなどさらにわかりやすい周知を行ってまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) はい、ありがとうございます。本当に困っている方がすぐ使えるように理解していただけるような周知、ぜひともよろしくお願いいたします。 今の伊那市があるのは、今まで頑張って働き、地域を作ってきていただいた高齢者の方々のおかげでもあります。だからこそ、高齢者の方々が少しでも不便を感じない社会にすることは当然のことであり、そのための予算は必要不可欠と考えております。さらには、高齢者の方々が住みやすい地域は、高齢者の方々がご子息をはじめ、伊那市に戻ってこいと呼んでもくれます。このことは、移住定住にもつながり、人口流出も防ぎます。高齢者福祉をどう捉えるか。予算を使うとの一方の見方だけでなく、それがどのように波及効果を及ぼすか見据え、事業を展開していっていただけることを期待しまして最初の質問を終わります。 続いて、農業、農地を守る伊那市型地産地消の確立を、について伺います。私は常々、伊那市の農業、農地を守っていくための一つとして地産地消がしっかりと確立できるかどうかが大きな鍵を握っていると考えております。地域の消費から、農業者の所得向上、作付けにより農地を守る。地産地消はこれからの農業にとっては、なくてはならないシステムと考えております。そこで伺います。市長の地産地消に対するお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君)
新型コロナウイルス感染症の拡大から端を発しました食糧危機、その後ロシアのウクライナの侵攻、これによってその重大さが浮き彫りになりました。日本の食料安全保障を考えるきっかけとなっております。このことは食料だけではなくて肥料、また農業に関わる薬品も入らなくなってきているというのが現状であります。この食料安全保障というものは、国の基本的な責務の一つでありまして、海外に原料を依存していた肥料、飼料、こうしたものは国産化を進めると。また食料の自給率向上に資する政策というものを推進しているわけであります。 伊那市におきましてはかねてから、一次産業をきちんと維持をしていこうと、一次産業を大切にする、そうした地方自治体にしていこうということで取り組んでまいりましたので、伊那市においても食料を自給するということは当然のことと認識をしておりまして、恵まれた農地からの嗜好品を除けば十分可能だと思います。 あともう一つ食べ物に対する要求といいますかね、真冬にスイカを食べたいとか、季節外れのブドウを食べたいとか、そうしたことがなければ、この地域では十分に良い食料の確保、生産ができるというふうな恵まれた土地であります。この地産地消の取組につきましては、食料自給率の向上だけではなくて、地域の農業者の所得向上、あるいは農業者と消費者の交流によって消費者の地域農業への理解の増進とそうしたものにもつながってまいりますので、地産地消については積極的に今後も取り組んで進めてまいりたいという考えであります。 伊那市の場合ですが、地産地消というものは食料だけではなくて、豊富な水を使った小水力発電、あるいは豊かな森林資源を活用したペレット、まきなどの木質バイオマス、こうしたものも活用して、エネルギーの分野でも地産地消という方向に向かっておりますので、海外の化石燃料に頼ると、あるいは原発に頼るということではなくて、この地域の資源を十分に使って地域で賄っていくという姿勢で取組をしております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 続いて伺います。私は市長の農業分野も含めたこの地方から日本を変えるという思い、いつもいろんなところでわくわくしながら聞いて感銘を受けております。市長にとって、伊那市の農業に期待すること、そして市長が考える今後の農業の構想、望む姿、市長の熱い思いを、時間が許す限りお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 限られた時間の中でお話します。農業というのは地域コミュニティの維持、あるいは景観の保全ですね、農業のある姿、この景観、あるいは雇用の創出、そうしたことも含めて地域の振興に直結する大変重要な産業であります。この先ほど申しました、食料安全保障の強化の観点からも、農業は全国的にも見直しがされてきているというふうに感じます。ただ、農業を取り巻く環境というのは農家の高齢化とか、農業離れとか、多くの課題を抱えていることも事実であります。 伊那市ではこうしたたくさんの課題について近年の新しい技術、例えばスマート農業とか積極的に導入をして、高付加価値の農産物によって儲かる農業への転換を図りながら、また若い世代にも農業が魅力ある産業と認識してもらえるように取り組んでいく必要があろうかと思います。 国の、みどりの食料システム戦略というもので示されておりますように、有機農業への取組も非常に重要な方向性を示しております。化学薬品をどんどん使っての作物の生産ではなくて、オーガニック、有機の農業への切替えということで、国も農地の25%、これはオーガニック、有機農業へ切り替えるよという方向を示しておりますので、私達伊那市の農業についてもできるだけ早く有機農業への切替えをしていかなければいけないというふうに思います。 つまり、より安全で安心な食料これを確保すると、より安心安全な食料が伊那だったら確保できると。学校給食も有機を使っていくというようなことで、次第にこの切替えを進めていかなければいけないということと、そうした注目というのは全国からこの伊那に向けられるというふうに考えております。有機農業の取組についてはできるところから始めていこうと。お米、あるいは大豆とか、そうしたものから始めていって、これまでの取組、また人的資源を生かして、有機による例えば、オーガニックバレーのような表現、あるいは雑穀振興によるミレットバレーなどのような地域をいち早く立ち上げて、日本中から注目をされる農業の姿を進めていきたいという考えでございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 4月、先々月ですが、全国農業新聞で輸入小麦を国産小麦に切り替える動きが広がっている。埼玉県では、県産小麦に着目し、県内の生産者や製パン業者と連携してブランド価値を高めながら、国産展開に繋げていこうと、地産地消を後押しすると。また作付けしている品種は、ハナマンテン。これは、2005年に長野県農業試験場で育成されたパンに適している小麦だと思い伊那市の第二次総合計画を見ると、地域で推奨する小麦のハナマンテン等の需要拡大に取り組んでいます、となっておりました。 しかし、私は長野県産や伊那産小麦を使ったパンを手にすることは滅多にありません。せっかく長野県で育成された品種の小麦だけど、県民である自分はあまり食べたことがありません。ショックでした。いやかなりショックでした。私は学校給食で伊那産ハナマンテンを使ったパンを提供できたら、そして私達も普通に購入することができたらと。 また県では、中華麺用小麦としてハナチカラという品種を開発し、推奨し始めました。学校給食では伊那で採れた小麦粉ハナマンテンの中華麺と題し提供しておりますが、普段伊那市で食べる、ラーメンやローメン、ケーキやお菓子が伊那産の小麦だったらなと思ってしまいました。特に私、歌や漫画にもありますが、本当にラーメン大好き小池さんでありまして、ラーメン、ローメン、この信州そば、とにかく麺が好きです。また、ケーキなど甘いものには本当に目がなくて、食後には必ず食べなければいられないほどです。 そのように考えると、小麦の消費拡大に一役買っているのかな、と思ってしまうところですが、そこで質問です。伊那産の小麦で作ったパンを、学校給食に提供していくお考えはありますでしょうか。また、農業関係団体等と連携し、伊那産の小麦を地元の製パン、製菓業者、麺製造業者等に、伊那ブランドとして推奨する取組をしていくお気持ちはありますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 松本農林部参事。
◎農林部参事(松本直也君) まず数字的なものを申し上げますけれども、ハナマンテン、長野県農業試験場で栽培された県の認定品種でございまして、パンや中華麺に適した小麦とあります。多収を見込める耐寒性がやや劣って、性能的には春先の霜などの影響を受けやすいというふうに言われております。市内では令和4年度、約193ヘクタールで栽培されておりまして約559トン収穫しております。ハナチカラにつきましては、こちらも長野県の農業試験場で育成された、こちら県の奨励品種という位置づけになっておりまして、ハナマンテンに比べて反収も良くて1.3倍ぐらいありまして、凍霜害や倒伏にも強いという品種になっておりまして県、JA上伊那とも令和5年度からハナチカラの普及に力を入れていくという計画であるというふうに聞いておりまして、令和5年度の伊那市での作付の予定面積、ハナチカラを179ヘクタールにシフトしていこうという計画で考えております。その場合の計画収量は629トンと見込んでおります。これらの伊那産の小麦の出荷先ですけれども、JA上伊那を通じて多くが県内の製粉業者へ出荷されているという状況です。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 学校給食に関わってお話をさせていただきます。現在伊那市の小・中学校の給食でございますが、年に4回程度パンを提供しております。ですが、市内に学校給食のパンを製造できる業者がないということがありまして、駒ヶ根市と辰野町にある業者にパンを納めていただいています。パンの原料となる小麦でございますが、これは長野県学校給食会が用意をいたしまして、それぞれの製造業者に納品をしてくれています。この学校給食会が用意する小麦でございますけれども、地産地消の推進、またより安全安心な食材を提供するというために令和3年1月からでございますが県内産50%、北海道産50%の配合といたしまして100%国内産の供給を開始をしているところでございます。 伊那市産の小麦で作ったパンの提供ということでございますけれども、これは原料の仕入れ等の手間がかかること、また価格面での課題は大きいところかというふうに思いますけれども、事業者との調整ができれば導入も可能であろうというふうに考えるところでございまして、今後上伊那エリアの他の市町村の動向等にも注目しながら、研究をしてみたいと考えているところです。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ぜひ伊那の小麦とか伊那のものを伊那の子供たちが食べられる学校給食、そんな形を目指していっていただければと思います。 続いて大豆です。大豆は、醤油、味噌など調味料として需要度の高い作物です。先日、ケーブルテレビで市長の家での味噌作りを目にしました。地元の大豆で味噌を作る、いいなと。ぜひ伊那の子供たちの給食に、伊那の大豆で作った味噌、醤油を提供し、味付けしてもらいたいなと思いました。 ここで質問です。市内では、伊那産の大豆で味噌等を作っている団体もございます。ぜひ伊那産大豆で作った味噌、醤油を学校給食に導入していただきたいと思いますがいかがでしょうか。また市内には、大手味噌メーカーの会社もございます。消費拡大に向け、伊那市の大豆を使っていただくよう市として宣伝を行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市におきましては令和4年度産の大豆でありますが、約108トンの収穫があります。これJA上伊那で扱っている大豆はほとんど県外の業者へ販売をされておりまして、主に東京に流通をしているということを聞いております。 市内の大手味噌メーカーで使用している大豆、この多くは海外産であります。アメリカ、カナダ。国内産は約1割ということで、その大手味噌メーカーの話によりますと、伊那市産の大豆を使用したことはないということのようであります。この海外産の大豆を使用する理由としましては、やはり価格面であると。また国内の大豆を使用した味噌を望む声もあるので、国内産の大豆のみで製造した味噌というものも販売を始めているということであります。 地元の大手のお味噌メーカーだけではなくて、例えば東春近にあります、田舎の味噌娘とか高遠の農産加工施設、こうしたところは地元の大豆を使ったお味噌を使っておりますので、小規模な提供であれば、高遠北小学校とかあるいは東春近小学校とか、そういした所には提供できるんじゃないかと思いますので、できるだけ地元のものというのを子供たちに味わってもらいたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 小麦、大豆の消費が地域で確保されれば農家の方の所得にもつながり、また需要に伴い、作付けも増えることから農地が守られていくと思います。そのような観点からも、小麦、大豆に限らず地域の農産物を地元製造会社等に売り込んでいくことについて市長のお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市内で生産された作物、農作物でありますが、市内の加工業者によって加工され、さらに販売されるということは地域資源を活用した、新たな付加価値を生み出すことになります。農林業者の所得の向上、また雇用の創出、農地の保全にも繋がりますので、これまでも目指してまいりましたし、これからもしっかりと進めていかなければいけないことだというふうに認識をしております。 小麦、大豆は土地利用の作物でありまして、伊那市でも転作作物として広く栽培をされておりますが、国の交付金等によって大規模栽培することで利益を得ている現状があります。販売価格の向上が問題であって、大豆は連作ができないわけですのでブロックローテーションということも考えていかなければいけないと。また国産麦、あるいは大豆を使用した製品には、製造する側にしてみると安定的な需要というものが必要でありますので、そうした従来の味噌、醤油といった用途に加えて、パンや中華麺などこれまで外国産を使っていた製品の国産の原料への切替えということも徐々に進んでいるということを認識しております。 伊那市内では、米・麦・大豆をはじめ多くの作物が栽培されておりますが、それを加工できる企業には限りがあるということも事実でありますし、保管をする施設についても限りがあるということも聞いております。新たな需要を開拓すべく売り込みを行っていくということは当然でありますが、麦・大豆の生産振興というものも同時に図っていかなければいけないと思います。今後引き続いて、JA上伊那など関連機関、関係機関と連携をして、市内での利用拡大に向けた取組を行っていくと。また、リニア中央新幹線や、あるいは三遠南信自動車道で繋がる大都市圏への販売にも力を入れていきたいと思います。特に三遠南信、浜松地域とも1時間半で結ばれる大動脈になりますので、長野県の人口よりも多いそうした浜松地域の大消費地、これは2027年の三遠南信の開通前に何回も行ってマーケットの開拓というのをJAと一緒に進めたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ぜひ市長のトップセールスというか営業力で、伊那の作物が地域もはじめ全国へ使ってもらえるような形になることを願っております。 続いて学校給食の牛乳です。現在、市の小・中学校の多くは、瓶詰めされたある山の名前が入った牛乳を飲んでおります。また、私の息子が通う小学校では月1回程度、上伊那の若手酪農家さんが、地域を盛り上げるために作ったおもてなし牛乳というふうに説明があり提供されております。 そこで私は、なぜ毎日上伊那の牛乳じゃないのと思ってしまいました。そこで調べたところ、生産量は問題ないが、おもてなし牛乳は瓶詰めでなく、紙パックで、ゴミの問題もあり毎日の提供ができないとのことでした。そこでJA上伊那さんに伺ったところ、瓶詰めするには、新たにレーンを設けなくてはならず、その費用が結構かかるとのことでした。ただ、学校の栄養士さんからも、おもてなし牛乳は好評であったこと、紙パックがゴミとなる件だけで採用されていないこと。市としても、導入に前向きであれば、JAとしても何とかしたいとの御意見を頂戴しました。 私は長野県下でも、上伊那は酪農が盛んなところであり、地元の新鮮な牛乳を伊那の子供たちに毎日飲んで育ってほしいなと思い、そして地産地消からも地元で消費し、酪農経営を地域で少しでも盛り上げていくことができれば。さらには、酪農家が1軒やめてしまうと、飼料作物を作っている畑が何ヘクタール、いや、10ヘクタール以上もの農地が遊休農地になってしまうこともあります。農地を守っていくためにも、地元牛乳の消費は必要であると思います。 以上のことから伺います。市として、学校給食の牛乳をおもてなし牛乳へ転換することについて、JA上伊那と協議していくお考えはありますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 議員おっしゃるように上伊那というか伊那は、長野県でも最大の酪農地帯であります。その酪農地帯であるにもかかわらず、その牛乳を子供たちが飲めないということ、これは私も非常に気にしているところであります。今おもてなし牛乳の話が出ましたが、これは年に2回程度、給食に提供されていると聞いております。この牛乳につきましては瓶の提供ではなくて、紙パックでの提供ということで、これを学校給食に導入することにつきましては、令和元年にJAと検討しましたけれども、毎日の配送への対応が難しいということで本格導入を見送った経過があります。 地元の牛乳を地元の子供たち飲んでもらいたいという生産者の思い、これは大切にしていきたいと思いますし、地産地消という観点でもとても重要だというふうに思います。本格導入については、紙パックのゴミ問題、配送への対応、価格面などいくつかの課題もありますが、これはできるところからというアプローチもあろうかと思います。全部をおもてなし牛乳に切り替えるということは難しいのであれば、少しずつでも学校単位でも増やしていけるよう関係事業者、また学校と引き続いて調整をしてまいりたいというふうに思います。紙パック一つ一つのちっちゃい紙パックよりも、大きな紙パックを分けて飲むという手もありますので、やり方についてはちょっと知恵を絞りたいというふうに思います。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 先日というか何か月か前に、学校給食から牛乳が消えるっていうようなニュースも見たりする中で、本当に学校給食から牛乳がなくなっちゃったらどうするんだろうっていう不安もございました。ぜひ市長さんが言うように、地元の牛乳何とか少しずつでも多く、転換していっていただけることを願っております。 続いて、誇るべき伊那市のお米についてです。伊那市の米の農薬施肥量等の栽培基準は12成分以下であり、他県と比べると、その基準は半分以下となっております。他県でいう特別栽培米に匹敵しており、伊那市で作るお米は、安全安心なお米となっています。 私は、12月議会でも質問しましたが、今こそ伊那市で栽培したお米を伊那市の推奨米として付加価値をつけ、ブランド化を図り自信を持って、全国いや世界へこの伊那産のお米を発信し、今以上に販路拡大、農業者の所得増大を目指していくべきではないかと思います。また、JA上伊那では慣行栽培基準の5割減の特別栽培米を広げていきたいという話をされておりました。 そこで私考えました。伊那市を特別栽培米の聖地、伊那市として売り込んでみたらどうでしょうか。このネーミングどこかで聞いたような、そうです、12月議会で三澤議員がおっしゃられた昆虫食の聖地、というのがありました。これってパクリじゃないですかと思うかもしれませんが、信州そば発祥の地にしてもそうです。先に言ったもん勝ちかなっていうふうに思っております。 幸い調べたところ、特別栽培米の聖地は今のところありません。白米の聖地とか米の聖地というのは南魚沼産とかであるのですが、特別栽培米の聖地というのはなかったです、自分の調べる中ではですが。これっていうのは絶対に売りにすべきかなと思っております。通告にはございませんが、市長は発祥の地とか聖地という言葉に敏感だと私感じております。嫌いじゃないのかなと。そこで特別栽培米の聖地、伊那市、もしよろしければ、ご感想をお聞かせいただけますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 自然に恵まれた伊那市でありますが、昔から米どころとして稲作を中心とした農業が行われてまいりました。現在は稲作に加えて、野菜、花卉、果樹、畜産、この地域の気候を利用して高品質多品目、こうした作物の生産が行われて大変高い評価を得ております。 お米につきましてもこれまでJA上伊那、長野県農業試験場などにより低農薬で安心安全な栽培基準というものが何回もブラッシュアップされてきたところでありまして、特に三峰川沿いの川下り米、また広くJA上伊那として、伊那市産米を伊那華の米と称してブランドの確立に取り組んできております。新たな取組としましては、令和4年度に、伊那谷有機農業塾を開催して、有機米栽培の先進地の講師を招いて具体的な取組について学ぶ機会を設けたことがあります。私もこの塾のときに参加をしながら取組の具体を聞いた覚えがあります。 令和5年度については、長谷の圃場で長谷さんさん協議会、こうした会が主体となって、有機の稲作勉強会、これを開催しております。この講師には学校給食に全量有機米を取り入れております、千葉県のいすみ市の農家に技術指導をしております、NPO法人の稲作研究所というところから講師を招いて、代かきとかあるいは水管理の指導、これを全部で4回にわたって開催をする予定であります。特別栽培米をうたうからには、一定の制限がありまして、現在生産をしている農家も少ないので、こうしたところは増やしていかないと一定の量が確保できないだろうということと、それから特別栽培米の聖地としてのブランド化について研究をするとともに、引き続いてJA、あるいは県と連携をしてこれまで築いてきた川下り米や伊那華の米、こうしたものの伊那市産米ブランドのPR、販売力の向上、少しでも高く売る、そうした取組、こうしたものに取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ちょっと先に通告じゃないこと言ってしまったので次の質問の回答もちょっと入っちゃったんですが、ちょっと質問の方を繰り返しなってしまうかもしれませんが、質問させていただきます。 先日JA上伊那の組合長さんと話した際、市が推奨米として推奨してくれればJAとしても、それを売りにブランド化し販売につなげていける、実に面白いと。そこで私さらに考えてJA上伊那の組合長さんにも伝えてきましたが、既に先ほど市長の答弁にもございましたが、上伊那産の米は、伊那華の米などブランド化されておりますが、さらにインパクトをつけ、これはあくまで例えばですが、先ほど面積をとにかく増やしていかなければならないということと、農協も5割減の特別栽培米の拡大に向けて動き出したいっていう話を伺っておりましたので、特別栽培米の聖地伊那シリーズとして、西天竜の水で育て、収穫したお米を、天竜すなわち竜、ドラゴンということで、ドラゴン米だとか、三峰川の水で育てて収穫したお米を、先ほど市長のところの言葉にもありましたが、三峰川川下り米などと、シリーズ化して売り込んでみてはと考えてみました。 例として、こちらドラゴン米専用の袋です。ちょっと見づらいかもしれないんですが、ここで重要なのは、先ほどちょっとお伺いしたんですが、特別栽培米の聖地伊那っていう言葉だけとうたってしまうと。さらにこの下、この学校給食でも食べているというのが売りになるのかなと。このドラゴン、ドラゴンボールでいうシェンロンみたいなものですが、これが箸を持ってご飯を食べてる、これがドラゴン米を食べてるよっていう絵になっております。これ例えばの例で、ドラゴン米の袋です、ちょっと考えてみました。 続いて、川下り米専用の袋です。この何というか、学校給食でも使っているっていうところから、この子供たちの絵が載った袋で売るのがいいのかなと思うんですね。 これは大きなおにぎり、川下り米のおにぎりを子供が食べる姿で、ここにちょっと水色のあれがあるんですがこれは三峰川を指しているというところで、ちょっと息子に書いてもらったんですが、慌てて。賞取れるの、と言ったから、市長が見て良かったら市長がきっと答弁で、これは何とか賞って言ってくれるんじゃないのって息子に言ってきましたので、また後ほど何賞かお伺いできればと思いますが、ここで提案です。先ほどとかぶった部分もあるんですが、伊那市のこの水田農業の所得向上に繋がる米のブランド化、ぜひ面積も増やしていくという中で、特別栽培米の聖地伊那市として推奨してブランド化してぜひ売り出していっていただきたいと思います。先ほど回答いただいたので、またお考えいただければと思います。ただ、この絵とか見る中で市長、売り出すお考えはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ちょっとインパクトに欠けるかなという気もしますけどもかわいらしいことは事実です。川下り米という表現が一般的ではありますけど、実は高遠で採れるもの、三峰川の水を使って取れるものとしてはさくら米とかですね。長谷の市野瀬あたりでは河原田米という言い方もしてますし、あとアルプスたろうでしたっけ、そのような表現があったり同じ三峰川の水を使ってできたお米でもそれぞれ名前が違っています。総称して川下り米というふうに言っておりますが、実はその川下り米がなぜ美味しいのかというのを、今から15年ほど前に調べました。信州大学の井上先生にお願いをして、南魚沼産のお米だとか、日本でトップクラスというお米と全て成分を比べてみたところ勝るとも劣らない数字が出まして、場所によってはそのトップクラスよりもさらに美味しいと。食味値いろんな成分だとか、冷たくなったお米を食べたときとか、本当に素晴らしいお米がこの地域は取れるわけですので、これはぜひブランド化するつもりで動いてはいますけれどもなかなか足りないというのが実態であります。 これは何とか高く売れればなということで、私も来週中京方面行って売り込みをしてまいりますけれども、JAの皆さんと一緒にいろいろなホテルとか、あるいは大手コンビニとかそうしたところに足を運んで、価値を高めるという努力をしておりますし、これからもしてまいりたいというふうに思っております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ぜひ伊那のお米が1俵あたり2万から2万5,000とか最低でもそんな価格がつくように、ぜひ市長のセールス、期待しております。よろしくお願いします。 次に米の消費拡大を目指し、JA上伊那さんでは、上伊那産米の米粉を使ったパスタなどを開発しております。米消費拡大に向け、米粉のパンやパスタはぜひ学校給食でも取り上げてみてはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) このJA上伊那で上伊那産の米粉を使ったパスタが開発されました。これ農政懇談会で実際聞いて承知をしているわけでありますが、小麦に対する食物アレルギーを持つ子供にとっては、とても安心して食べられるパスタということであります。今後上伊那産のお米を使った他の商品、これも商品化されると聞いておりますので、給食に導入できないかどうか、また農林部、あるいは教育委員会と学校関係者でも検討をしながら新しい分野への進出、導入を考えてまいりたいと思っております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 先般、農業委員さんと話しました。伊那市のこれからの農業を考えると、新規就農者や農業を継承していく方々を大切に、市として支援をしながら育てていかなくてはならないと。また、この先15年、20年の間を考えたとき、40代後半から60代前後の就農継承者は貴重であり、費用の一部など支援したいが支援に乏しいと。これで農地を守っていくことができるのか不安を感じると。JA上伊那では、この度、事業継承事業、園地継承事業として40歳以上の方にも、技術支援、費用支援を独自でしていく事業がスタートすると伺いました。 私は40代以上の方々が就農し、伊那市を住み良いところだと思っていただければひょっとすると、15年、20年後にその方の御子息などに伊那市は住みやすいから伊那に来いと言っていただけるのではないか。そして、その方々が農地を引き続き守ってくれるのではないかと期待しております。身近な方に言われて、移住定住するケースはとても多いです。このような面からしても、40代以上の方への支援も大切かなと思います。 そこで最後の質問です。40代以上の方への就農支援、農協とタッグを組み、行ってみてはいかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) JA上伊那の農業インターンの事業においては、18歳から49歳までの伊那市で新規就農を希望される方に対しては、研修手当をJAと伊那市が2分の1ずつ負担をして支援をしております。市の単独の事業においては、認定新規就農者に対して農業機械の導入に関する支援というものもあります。伊那市でも就農時に49歳以下の認定新規就農者を対象として、国の新規就農者育成総合対策補助金というものを活用して取組をしているということもございます。今後もJA上伊那あるいは長野県とも連携をしながら、新規就農者に対する支援というのを継続してやってまいる、そうした考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 早期退職をして就農、事業を継承していく方の多くは、50代60代前後の方々もいらっしゃいますので、もしできれば、50代60代前後の方への支援も、市としても考えていっていただければありがたいと思います。 事業によっては、本来の目的とは別に、伊那市にとって良い波及効果を及ぼすことがあります。それは数年後に現れるものもあれば、10年後、15年後など、将来にわたって及ぼすこともあります。伊那市が今行っている事業の多くは、近い将来、本来の目的以上に伊那市のためとなる波及効果を及ぼす事業だと思っております。一つ一つの事業について、事業のその奥に潜んでいる効果を見据えながら事業展開をしていただくことを願いまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、小池隆議員の質問が終了しました。 引き続き、伊藤のり子議員の質問に入ります。 2番、伊藤のり子議員。 (2番 伊藤のり子君登壇)
◆2番(伊藤のり子君) 2番、伊藤のり子です。さきに通告してあります3点について質問させていただきます。 一つ目、公文書管理条例制定に向けて。4月28日付、信濃毎日新聞に「知的資源適正に残せるか 公文書管理条例制定進まず」という記事が載りました。この記事の中で、「歴史公文書の選別をしていないのは、小諸、佐久、茅野、伊那、駒ヶ根、大町、飯山の7市。重要な文書は保存期間を永年にしている、システム上で所在は把握できる、などの説明があった。書庫に抱え込んだままで市民が把握できない状態も見受けられた。 内閣府が昨年7月に公表した公文書管理に関する調査では、歴史公文書を選別していないのは、県内77市町村の7割超え」という記事を読んで、内閣府は、歴史公文書の選別は永年保存すればよいという考えとは異なる解釈をしているのだと感じました。伊那市は歴史公文書の選別をしていないということですが、それで大丈夫かと気になりました。2007年に発覚した5,000万件に及ぶ年金記録が宙に浮いた事件を覚えておられる方は多いのではないでしょうか。それまで私自身、年金記録は国が把握しているのだから間違いないと信じきっていたのを踏み板を外された思いがしたことをはっきりと覚えています。 年金が支給されないことがあるなどと考えた人は、それまでほとんどいなかったと思います。その算定基礎になる年金記録がおろそかに扱われていたとは驚くべき事実です。 この年金記録問題や、厚生労働省のC型肝炎患者リスト放置問題が契機となり、2008年2月末、公文書管理のあり方等に関する有識者会議 尾崎護座長ができ、2009年7月1日に公布され、2011年4月、公文書管理法が施行されました。公文書管理法の第1条目的は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であることを明記しており、第2条では、歴史資料として重要な公文書を歴史公文書等とし、公文書館などに移管されたものを、特定歴史公文書等と呼ぶことを記しています。 ここで質問させていただきます。歴史公文書の選別と永年保存の違いを教えてください。また、伊那市は歴史公文書を選別していませんが、理由を教えてください。市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 内閣府の通知によりますと、歴史的公文書というものは市が職務のために作成、取得した文書で、業務における使用が終わったもののうち、後世に残すべき歴史的価値が認められる文書というふうにされております。歴史的公文書の選別とは、業務の使用が終わった文書について歴史的価値を判断して選別するというふうにされておりまして、また永年保存とは、伊那市の文書管理規程の第44条第1項の規定による保存年限が永年となる文書ということであり、市の行政事務の執行における重要な文書をさして、歴史的価値などの視点は弱いというふうに見ております。 現状としましては、歴史的公文書の選別方法、あるいは施行上の仕組みなどを定めてはおりませんけれども、現在行われております市誌編さんの作業におきまして、歴史的価値のある公文書を選別をしながら保管をしているというのが実情であります。これらの歴史的価値のある公文書の内容につきましては市誌としてまとめ、また市誌として発行される予定だというふうに捉えておるところであります。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 総務課に現状を確認したところ、伊那市は管理規定を設けているから、今のところ問題はないと考えている。大事な文章は永年保存している。むしろ、保管場所の確保が心配であるとのことでした。私はこの説明に納得して帰宅し、一応のつもりで調べてみました。 1.公文書の重要性。公文書は、公共機関が行った意思決定や活動の証拠となり、歴史的な価値や法的な重要性を持つ場合もあります。公文書の管理は、社会的な連続性と透明性を確保し、過去の出来事や行動を追跡・監査するために不可欠です。 2.情報のアクセス権。公文書は、一般の人々が情報にアクセスする手段です。公共の利益に関わる情報は透明性と公平性を確保するために、適切な方法で保護されなければなりません。公文書管理条例は、情報の開示とアクセスに関する基準や手続を定め、情報の公正な提供を保証します。 3.情報漏えいの防止。公文書には、個人情報や機密情報など様々な種類の機密データが含まれることがあります。公文書の管理にはこのような情報が不正に利用されたり、漏えいしたりすることを防ぎます。適切なセキュリティ対策やアクセス制御の仕組みを導入することにより、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。 4.文化遺産の保護。公文書は、地域の文化遺産の一部となることがあります。歴史的な文書や記録は、その社会や文化の価値を示す重要な要素です。公文書管理条例は、これらの文化的な遺産を保存し、後世に伝えるための措置を講ずることができます。 以上のように、公文書管理条例は、公共の利益や透明性、個人情報の保護情報セキュリティ文化遺産の保護など、様々な観点から必要とされています。これにより、公文書が適切に管理・保存され、社会の安定と公正な運用が促進されます、とありました。これを読んで、これらの要件を満たすためには最低限、公文書の分類が適切に行われていなければなりません。 情報公開法では、公開の対象となる文書を現用文書と規定しています。現用文書とは、役所で現に使われている文書を指し、保存期間の満了していない文書のことを言います。保存期間は通常30年を最長とし、10年、5年、3年、1年などと省令等で決められています。保存期間が満了した文書は保存期間の延長か、公文書館への移管か、廃棄かの三つの選択肢があります。これらを判断する決まりを設けることも条例化の必要性の一つと考えられます。 ここで質問させていただきます。公文書管理条例は必要ではないかと思いますが、市長のご見解をお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 公文書管理につきましては、伊那市文書管理規程によって基本的な事項は規定をされておりまして、併せて個人情報の保護に関する法律、伊那市情報公開条例などの法令等によりまして、適正な公文書管理について保管されているという考えであります。 一方で、先ほど触れましたように現状は歴史的価値については考慮されておらず、文書管理規程にその視点を加えることで運用が可能であるというふうに考えますが、条例でなくてはならない理由、また他市町村の条例の制定状況また執行状況、そうしたものを参考にして、条例の必要性というものも検討してまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 前記の新聞記事には、「条例の一番の目的は、住民に対する説明責任。文書を保管し、市民がアクセスできる状態が担保されることが重要だ。県内で唯一条例を制定して10年になる小布施町では文書館を設けて、歴史公文書を移管、地域資料も収集する。」とありました。他県では、文書館を設けても、その維持管理はかなり厳しいもので、休止の選択を迫られる自治体も珍しくないと聞いています。 ここで質問させていただきます。文書館まで設けることは難しいと考えますが、保管場所について今後どのようにされるおつもりか、市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在保存文書の保管場所でありますが、本庁につきましては地下の書庫、高遠町総合支所は庁舎外の倉庫、長谷総合支所は商工会長谷支部内に保管をしております。保存しなければならない文書、これは年々増加してまいりますので、保管場所の確保が必要であると。また安全性も含めて検討しなければいけない項目だと捉えております。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 5月26日付信濃毎日新聞では、「最高裁が永久保存すべき重大少年事件の記録を裁判所が廃棄していたことを明らかにした調査報告書を公表しました。理由は、記録を後世に残すという意識が元々ない、将来的に使用される可能性はほぼなく、紛失や漏えいは何より怖い。保管場所がない等で記録が保存されているという意識もないまま廃棄されたケースが大半を占めた」と報道されました。永久保存すべき重大少年事件がなぜ最初から歴史公文書に分類されていなかったのか疑問が残りました。分類の基準がそもそもなかったのではないか、不思議という他はありません。 公文書管理法第32条では、公文書を適正効果的に行うために、職員に対して研修を行うことを規定しています。また、第34条は、地方公共団体に対し、この法律の趣旨に沿って、公文書管理を適正に行うよう努力することを求めています。公文書は、行政を遂行するための記録であり、保存期間を終えたら、廃棄すればよいと考えているのではないか。公文書が国民の共有財産であるという意識は、公務員にも国民にもほとんどないのではないか。公文書管理に関する研修の必要性を感じました。 伊那市では、研修会は行われているのでしょうか。市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 毎年文書の内容による保存年限の区分、また保存期間の過ぎた文書の廃棄、これを行う文書整理を実施をしておりまして、その際に改めて文書保存年限表、また文書の保管および保存についての周知、こうしたことは職員に適切な対応を求めております。 また、新規採用職員を対象として、起案、文書の受付から廃棄まで、より詳しい文書事務に関わる研修を実施をしておるところであります。今後も引き続いて、文書の保管に関する研修というものは実施をし、適切な管理を行ってまいりたいというふうに考えております。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 最近は電子媒体が主流になっていますが、このデータをどう保存するかが問題とされています。伊那市ではどのように対処しているか教えてください。 市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 行政文書の電子的管理につきましては、国から基本的な方針が示されておりまして、この方針に沿って、公文書の電子的な管理を進めているということであります。 また一方で、現在の公文書の管理というのは、電子化が図られておりません。また、過去の紙の文書の電子化も含めて、電子的管理の導入を検討する必要があるとふうに考えるわけであります。また、先ほどの保管場所の確保の課題についても公文書の電子化というものは大変有効であるというふうに捉えております。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 内閣府では、令和4月4月1日現在の公文書管理のための条例等の設置状況を調査しており、県内19市の状況は規則3市、伊那市と同じ規程16市となっています。公文書管理法の施行から12年、国が実態調査に乗り出したことを踏まえると、今後、法の実効性にも及んでくることも考えられます。この状況を鑑みて、伊那市がいち早く公文書管理条例を制定されることを希望しまして、次の質問に入らせていただきます。 2つ目は、生成AIチャットGPT導入課題の検討です。最近、チャットGPTをはじめとする生成AIの導入について話題が沸騰しています。チャットGPTはインターネット上の膨大なデータを活用し、利用者が質問すると自然な文章で回答するAIで、文章の作成や要約の方が指示に忠実な画像を作ったりすることに活用できる。県内では、飯島町がいち早く試験導入を決め、その後、長野県や各自治体でも試験導入が相次いでいます。伊那市もその一つと聞いています。反面、個人情報の不適切な収集や誤情報の拡散といった危険性を重視して導入しないことを決めた自治体や検討中の自治体も多くあります。 先進事例として、チャットGPTを全国の自治体として初めて全庁で試験導入した横須賀市では、「市の広報文の作成や会議の議事録要約の他、新規事業のアイディア創出などに活用する。チャットGPTの導入で、文書作成の時間が短縮され、職員の負担が軽減される。個人情報の流出を懸念する市民の声もあることから、ロゴチャット自治体専用チャットツールを介して入力した内容はチャットGPTに学習されない仕組みになっている。個人情報や機密性の高い情報は入力しないよう職員に周知し、作成した文書の内容に誤りがないかも職員が随時確認することにしている。」 一方、自治体の意思決定はAIでなく、地域で話し合い決定すべき。機械が生み出した言葉だけで政策決定するのは民主主義の放棄だと反対する意見もあります。生成AIについては、中央省庁での活用を前提に、AI戦略チームが立ち上がるなど、政府主導の動きも出てきています。自治体がチャットGPTを活用するには運用ルールが必要ですし、複数人でのチェック体制も備えておくべきと考えます。 伊那市が早々に試験導入に踏み切った理由や結果はどうであったか、また早期に運用ルールの明確化や最終チェックの徹底をすべきと考えますが、市長の御見解をお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) チャットGPTにつきましては議員の御指摘のとおり、利用にあたっての問題などありますので、業務への活用の可能性、それから情報漏えい等のリスクの検証というものを目的として、情報政策推進課のみに限定をして、試験的に導入をしていると。伊那市では全庁的な導入はしておりません。これまでの検証では、文書作成や作成をした文章の構成などの面で、職員の事務効率を上げることができるということが見えております。 また一方で、検索機能では、誤った情報の提供が多いこと。また入力した情報を記憶して活用する学習機能によって、個人情報あるいは機密情報の流出に繋がる恐れがあるということが見えてまいりましたので、地方自治体での活用、利用については慎重な対応が必要だろうというふうに見ております。 全庁的な導入につきましては、機密情報の取り扱いの他、個人情報および著作権の保護といった課題、またリスクへの対策を講じるという中で、国県あるいは先行自治体等への状況を踏まえながら、総合的に検討していかなければいけない事案と考えております。なお、正式導入が可能と判断した際には、スムーズに開始ができるようにルール化、またチェック体制の整備というものも求められると考えております。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 教育現場での使用は深刻です。与えられた課題を入力すれば、瞬時に回答書を手にすることができてしまいます。考える力の喪失と想像力の欠如につながることが危惧されています。児童生徒や教職員の利用については、学校内で禁止したところで、校外での利用までチェックできるわけではありません。 長野県の内堀繁利教育長は、「生成AIは使い方が重要だ。リテラシー教育(情報を適切に使いこなす知識や能力)もセットでやっていかなければならない。県教育の現場で独自のガイドラインが必要な状況になれば、県教委として市町村に通知することも考える」としています。また、文部科学省は夏までに教育現場における注意点や有効な活用方法をまとめた指針を作成する方針とのことです。 ここで伊那市の状況と対応策について教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 現時点でということでございますけども、教育現場へのチャットGPT等の生成AIの導入に向けた具体的な検討は行っておりません。一方で、社会におきまして生成AIの活用は急速に広がっているところで、今後教育現場への影響も、これはあるところというふうに認識をしております。生成AIの導入について、これは文部科学省の指針、また県独自のガイドラインの他、市の情報政策推進課での検証の結果、また他団体の状況などを参考にしながら研究を進めてまいりたいと考えております。 なお伊那市では、1人1人の子供に自分が大変困難な状況に直面したときに自分の総力を挙げて当たれば何とかなると、そう思えるような知識や技能、またそれらを活用する力などの総合的な力を背景とした、自分の学ぶ力に対する自信を育みたいというふうに思い願って、取組を進めております。生成AIへの対応に当たっては、議員から御指摘がありました懸念の一つであります、子供たちの考える力の喪失、あるいは想像力の欠如、そうしたものにつながることがないよう考えていきたいと思いますし、そのためには、個別最適な学びを進める一方で、学校が持っています子供が集うということの価値、学び。集う学びですね。そのことを大事に、例えば言葉を交わしたりともに作業をしたりすること。また、先生方との関わりによって新しい見方や考え方に出会うこと、そうした学びについてもそれはこれまでとおり、大切にしてまいりたいと、そのように考えてます。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 子どもの健やかな成長を望みまして、次の質問に移らせていただきます。 三つ目の質問です。高遠町文化財保護について。私は4月13日に高遠城址公園内については、商工観光課へ、進徳館については教育委員会へお願いの文書を出しました。公園内は商工観光課、進徳館は教育委員会と管轄がわかれているからです。内容は、公園内については、国の登録有形文化財の指定を受けている高遠閣のペンキがだいぶ薄くなっていることと、桜雲橋の欄干が壊れているので修理していただきたいこと。国の史跡に指定されている進徳館については、屋根の葺き替えをお願いしたいことと、入口の門がガタガタになっているので、修理をお願いしたい。入口の石畳の道材が沈んでしまったこと、木の根が浮き出して危険であること、会津藩校日新館から寄贈された楷樹の標柱の更新、樹木の剪定とたくさんの事項におよびました。このうち、桜雲橋の欄干の修理と楷樹の標柱の段取りと、樹木の剪定はすぐに取りかかっていただきまして本当に感謝しています。残りの案件については、文化庁への申請が必要とのことで、調査を開始していただけることになりました。こちらも大変感謝しています。 ただ、調査・申請・許可とそれぞれに非常に時間がかかり、費用もかなりかかることが予想されます。そこで、どんなに時間がかかっても、文化庁への申請をしてくださると確約していただけますでしょうか。教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 高遠閣につきましては、国の登録有形文化財でございます。それから進徳館につきましては、国指定の史跡高遠城跡の構成要素にもなっております。高遠閣につきましても進徳館につきましても、これ修理とかあるいは現状の変更これらを行う場合には、その都度文化庁の長官宛に届出また申請をして許可を得る必要がございます。史跡全体の保存活用を図ります「史跡高遠城跡保存活用計画」ちょっと長いんですけども、これを令和6度末までに策定を行います。また具体的な事業を行うための「史跡高遠城跡整備計画」これにつきましては、令和7年度中に策定をいたします。これらの計画に基づきまして、国に届出や申請等必要な手続きを進めていくことになります。地域の皆様のお気持ち、お声を今届けていただいたなというふうに思っております。しっかりと受け止めて、必要な措置について丁寧に検討してまいりたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 次に費用面ですが、高遠閣の屋根は全周に足場をかけなければならないこと、塗料も想像ですが、神社仏閣用の特殊塗料ではないか。進徳館の屋根はかやぶきですので、職人の確保、カヤの調達など大きな課題があります。ただ、屋根の寿命が15から20年と言われる中にあって、どちらの屋根も前回手を入れてから既に20年が経過していること、特に進徳館の屋根は劣化が著しく、裏側の屋根はカラスが穂を抜いて巣作りに使っているありさまです。早く手を入れないと、そこから雨漏りがしてくるのではないかと心配しています。大きな費用が想定されますが、予算計上していただけますでしょうか。市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) まず高遠閣の屋根でありますが、平成15、16年度に実施をした耐震化工事で既存の屋根を撤去、張り替えを行っております。進徳館の屋根の葺き替え、これは平成14年に実施をしておりまして、既に21年が経過をしているということで、劣化が進んでいることも承知をしております。高遠閣、また進徳館の修繕につきましては、多額の費用がかかりますので現在策定中の整備計画に基づいて、国県の補助金を活用しながら計画的に進めていく考えであります。 災害や不測の事態で緊急を要するものにつきましては、国と協議をしながら応急的な措置を行い、根本的な修繕等については整備計画に基づいて対応してまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 屋根の寿命は15から20年ということは先ほど述べさせていただきました。10年経過後は5年に一度ぐらい手を入れていくことが望ましいようです。一つ一つの文化財に目を向けることは大変でしょうが、だからこそ計画が必要だと思います。計画的に手を入れていただきたいと願うものです。そして責任をもって管理していく体制も必要だと思います。文化財は先人たちから受け継いだものであり、私達はそれを後世に繋いでいく義務があります。今後どのように文化財と向き合っていかれるお考えか、教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 市では文化財保護のマスタープラン、これ柱になるものですが、「伊那市歴史文化基本構想」これを令和2年3月に策定をいたしました。その基本理念一番の考え方の基ですけれど、伊那市の歴史文化を知ることに始まり、歴史文化資源を生かす取組をしながら、地域ぐるみで将来へ受け継ぎ守るとしております。この基本構想のアクションプランであります伊那市文化財保存活用地域計画について、これ本年度中に策定をいたします。地域計画に基づきまして先ほど申しましたけれども、令和6年度中に「史跡高遠城跡保存活用計画」、令和7年度中に「史跡高遠城跡整備計画」の策定を進めてまいります。これらの計画の整備によりまして、市の諸政策と連携をしながら、統一性を持った文化財保護のための取組を推進し、文化財を市民一人一人が私達の財産として認識した上で、将来にわたって適切に保存活用そして継承していくことを目指してまいります。議員お話の中にありました、先人から受け継いだものとそのお気持ち、大切だというふうに思います。
○議長(白鳥敏明君) 伊藤議員。
◆2番(伊藤のり子君) 答弁を伺って本当に安心いたしました。どうかよろしくお願い申し上げます。 以上で私の質問を終わらせていただきます。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、伊藤のり子議員の質問が終了しました。 お諮りいたします。本日はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(白鳥敏明君) 御異議なしと認めます。よって本日はこれをもって延会いたします。
△延会 午後4時26分 地方自治法第123条第2項の規定により署名をする。 伊那市議会議長 伊那市議会議員 伊那市議会議員...