伊那市議会 > 2023-03-08 >
03月08日-03号

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  1. 伊那市議会 2023-03-08
    03月08日-03号


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    最終取得日: 2024-09-17
    令和 5年  3月 定例会              令和5年3月            伊那市議会定例会会議録               (5-3)1.開会 令和5年3月8日(水曜日)午前9時30分---------------------------------------2.出席議員の氏名(21名)          1番     池上 謙          2番     伊藤のり子          3番     唐木 拓          4番     小池 隆          5番     篠塚みどり          6番     高橋 姿          7番     高橋明星          8番     三石佳代          9番     湯澤 武         10番     吉田浩之         11番     小林眞由美         12番     田畑正敏         13番     原 一馬         14番     三澤俊明         15番     宮原英幸         16番     白鳥敏明         17番     二瓶裕史         18番     野口輝雄         19番     唐澤千明         20番     飯島光豊         21番     柳川広美---------------------------------------  欠席議員の氏名                 なし---------------------------------------3.説明のため出席した者の職氏名       市長          白鳥 孝       副市長         伊藤 徹       教育長         笠原千俊       総務部長        伊藤博徳       企画部長        飯島 智       文化スポーツ部長    宮下宗親       市民生活部長      城倉 良       保健福祉部長      松澤浩一       農林部長        柴 公人       農林部参事       寺田周平       商工観光部長      高嶋利幸       建設部長        橋爪 豊       建設部参事       鷲見祐人       水道部長        伊藤一真       教育次長        馬場文教       会計管理者       河上千鶴子       高遠町総合支所長    山崎大行       長谷総合支所長     有賀賢治       総務部参事       埋橋 進---------------------------------------4.職務のため出席した事務局職員       事務局長        久保田 玲       次長          井口大輔       庶務係長        竹中恵子       主査          守屋奈央       主査          下島一志---------------------------------------5.議事日程   日程第1 会議録署名議員の指名   日程第2 一般行政に対する質問について--------------------------------------- △開議 午前9時30分 ○議長(白鳥敏明君) おはようございます。 昨日に引き続き、これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お配りしてあります議事日程表によって議事を進めてまいります。--------------------------------------- △会議録署名議員の指名 --------------------------------------- ○議長(白鳥敏明君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。本日の会議録署名議員は9番、湯澤武議員、10番、吉田浩之議員を指名いたします。--------------------------------------- △一般行政に対する質問について --------------------------------------- ○議長(白鳥敏明君) 日程第2、昨日に引き続き一般行政に対する質問を継続いたします。 唐澤千明議員の質問に入ります。 19番、唐澤千明議員。     (19番 唐澤千明君登壇) ◆19番(唐澤千明君) おはようございます。19番、唐澤千明です。さきに通告しました2点について、質問させていただきます。 今日の朝来ましたら、19日の駅伝ですかね、大分たくさん旗があって楽しみに待っていますので、よろしくお願いします。 まず1点目、令和5年度当初予算についてでございます。白鳥市長は、3月定例会の初日に、令和5年度の当初予算編成に当たっては、「誰ひとり取り残さない、持続可能な未来都市」の実現に向けた予算編成を指示し、福祉のさらなる充実を図るとともに、移住・定住や環境などの分野においても、重点事業を位置づけながら予算を編成したと述べております。 財政状況は合併当時平成18年度、実質公債費比率20.8であったのが、令和3年度決算では6.9となり、令和4年度決算ではさらに良化すると推測しております。また将来負担比率も、平成28年度以降の「数値なし」を維持しています。厳しい財政状況からよく立ち直ったものだと思います。 白鳥市長のこの13年間は、合併特例債やふるさと納税等の活用で多くの事業を実施することができました。主なものでは、小中学校の耐震補強工事、下水道事業、支所・公民館の改築、保育園の改築、環状南線の開通など、伊那市の遅れていたハードの部分を一気に取り返したというように思います。 そこで質問です。来年度予算規模は、一般会計が367億5,500万円で、そこに特別会計・企業会計を合わせた全会計の予算合計は615億2,985万円となっています。昨年から「なによりも福祉、なんと言っても福祉」と福祉を重視する発言が多くなっていますが、過去を振り返る中、来年度予算の特徴的な内容をお聞きします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 令和2年に発生しました新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、生活困窮者が顕在化するとともにヤングケアラー、また不登校、ひきこもりなど子供を取り巻く環境が大変厳しくなってきている。またその現状が浮き彫りになっているということであります。 その後、原油の高騰、円安あるいは物価高騰、電気料の値上げ、様々なことによりまして市民生活が大変大きな影響を受けているのが現状であります。そうした背景を踏まえまして、令和4年度には全ての福祉に漏れがない取組を実施をし、子供の医療費等の窓口無料化や高齢者のいきいき健康券の用途拡大などの福祉の充実を図るとともに、8回にわたりまして総額42億円の新型コロナウイルス感染症対策事業を実施をしたところであります。 令和5年度の当初予算の編成に当たりましては、「誰ひとり取り残さない、持続可能な未来都市」を主題に掲げまして、全ての市民の皆さんに明るい光を届けるべく、福祉施策のさらなる充実を図っているところであります。 当初予算に計上しました特徴的な事業としましては、生活困窮世帯への食料等の支援を継続するとともに、子育て世帯の負担軽減を図るため、保育園の副食費の完全無償化、また高齢者等の移動を支援するための市街地デジタルタクシーの本格運行、また高齢者等暮らしいきいき応援券の対象の共通化による利便性の向上などがあります。 福祉以外の分野におきましては、再生可能エネルギー設備の設置補助、産学官連携拠点inadani seesを核とした農林業の振興、市内に住宅を取得する方に対して、最大150万円を補助する「いな住まいる補助金」の創設、戸草ダムの建設再開を含めた要望など三峰川総合開発事業の促進、また幹線道路網の整備促進などを計上しております。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 主なものをお聞きしました。福祉の部分が今までと違って大分多かったかなというように感じます。急な質問でよろしいですかね。特に、来年度これはやりたいというものがあれば、なければいいです。あれば、突然の質問ですけどお願いします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) やはりこれからの地方都市の在り方の姿の一つとして、持続可能な地域づくり、これが基本だと思っております。自分たちが食べるもの、農業なんですが自分たちが生産をして、水も自分たちが手当をして、それからエネルギーまで自分たちの身の回りで賄っていくという、そうした社会を築き上げて、その上に製造業あるいは商業、福祉、医療、芸術、教育、そうしたものが乗っているそんな社会、この伊那市を目指していきたいということであります。そのために、足りないところというとやはり人材ですので、能力のある方、またやる気のある方、そうした方がこの伊那に集まってくるような仕組みをしていく。そのためにもブランディングというのは大事でありますし、伊那市というところは日本の中でも特別に違う場所であって、未来にわたって安心して住める場所であるというところの地域づくりを特に主眼とし、意識をしながら進めてまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) ありがとうございます。誰ひとり取り残さない、また持続的な未来都市に向けて、予算編成でも分かりますけども、「伊那に生きる、ここに暮らし続ける」というビジョンを実感できるまちづくりに向けて、どのような未来を描いているかお聞きしたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、まちづくりの基本的な考えとしては、先ほど申しましたように一次産業の振興、これをしっかりやっていくということ。その中でも農業の振興によって食料を供給する、あるいは「50年の森林ビジョン」に基づく林業の振興、これで水源の確保、さらには森林資源を活用したエネルギーの確保を図りながら、伊那市内での食料と水とエネルギー、これを自立をしていく、そんな伊那市の姿を描いております。 一次産業を主要産業として確立をする、その上に二次産業、三次産業、四次産業等が栄えるまち、さらには環境、景観にも配慮をしたまち、そうしたものをつくり上げていく考えであります。 暮らし続けられるまちづくりには、にぎわいも必要でありまして、観光分野では「山・花・食・技」この魅力で満たされる感動のひと時、これをコンセプトに観光の誘客も図っておりまして、あわせて移住・定住事業も重点施策として取り組むなど、交流人口、定住人口の増加によるにぎわい創出を図っているところであります。 さらに、伊那市では令和3年3月でありますが、「伊那市DXしあわせのまち宣言」を行いました。日本を支えるモデル都市として、新産業技術の活用による地域課題の解決に取り組んでいるところであります。今後につきましても、官民協働によるテクノロジーとマンパワーの融合を通じて、困っている人々に希望の光を届け、誰もがひとしく幸福な生活を営むことができ、幸せに暮らし続けられるまちづくりに取り組んでまいりたいと思います。 また、高校再編や再編に伴う伊那弥生ケ丘高校の跡地利用、信州大学農学部、長野県南信工科短期大学校産学官連携拠点inadani seesなどとの連携、それと新しい未来都市、未来の町を意識をしたまちなかの活性化など、情勢の変化あるいは課題等を踏まえながら伊那市の特色を生かしたまちづくり、これを推進をする事業に着手をしたところでもあります。 今後につきましても、基本的なまちづくりを進めた上で、やはり暮らしやすく住み続けられる伊那市となるように、子育ての支援を含む福祉施策の充実、移住定住の促進、観光振興、そして伊那から減らそうCO2!!、道路インフラ整備の促進など様々な施策を今までと同様にあるいは今まで以上に実施をしていくということで、伊那市ならではの他に例を見ないまちづくりを進めてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 市長の熱い思いが伝わってきました。今までも、安心安全なまちづくりとなってきていますけれども、一層のすばらしい伊那市に向けてさらに強力に、取り組んでいっていただければと思います。 次に、2点目の質問に入ります。伊那市の林業振興の取組についてでございます。 伊那市の面積の82%は森林が占めています。森林は昔から私たちの市民生活と深く結びついています。伊那市では豊かな森林を次世代に大切に引き継いでいくことを目指しております。 貴重な地域資源である森林に目を向け活用すべき時であり、活用することにより森林に手を入れ、森林を育て、利用する林業が地域産業として認知され、森林を育て守ることが重要となっております。 地域産材の利活用での取組には、一つに日本のやさしい伝統文化、経木を伊那から。二つに、会議等での木製表示板の使用。三つに、地域材を使った木塀、木の塀ですね。それから4つ目に上伊那発ぬくもりを伝える木のよさ発信事業、5つに保育園などにおける木育推進、6つ目に伊那市木材利用推進方針について、7つ目に伊那市産の木材を住宅、また木の塀等に使用する場合の補助金交付について、8つ目に地域材を活用した木棺、木の棺などがあります。地域産材を積極的に取り入れていくこのような取組は、林業の産業化に向けた第一歩であるかと思います。 中でも地域産材のアカマツの木を紙のように薄く削ってできる経木は、脱プラ、CO2削減に有効であり、抗菌作用や腐敗の抑制効果もあると言われ、水にも強く自然に優しい素材と言えます。 2月下旬の新聞記事に、上伊那農業高校コミュニティデザイン科里山コース2年生が交流を深めている伊那市富県小学校5年生に、木を薄く削った経木を使い、ランプやアート作品を披露した。里山コース2年生は木の伐採から製品化までを行う探求学習を展開、伐採木を経木にして個々にアイデアを練って作品製作に取り組んできたとありました。 そこで質問です。先日、箕輪のお肉屋さんで昔ながらの経木を使ってお肉を売っており懐かしく思いました。以前、市内の飲食店や菓子店にサンプルを配付し、アイデアを募集していますが、どのような状況だったのかお聞きします。経木をどこで売っているのか、現状の売上げ状況も分かればお願いします。 また、イナマツと呼ばれるブランド品のアカマツ100%でできている経木の今後の販売戦略が検討されておればお聞きします。
    ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) この経木でありますが、戦前戦後のあたりには一般的に使われていた包装また敷物にも使ったり、様々な生活の中で見られたわけでありますが、今この経木を作る方が全国の中でも大分減ってまして、今10社ほどしかないという話を聞いております。しかも、その経木を作る機械は非常に古い機械でありますので、壊れると部品取りをしながら何とか回しているという状況であります。 したがいまして、その経木の需要が増えてきても経木の生産が追いつかないというのがこれからの時代の一つだろうと思います。 そうした中、伊那市では令和2年度に、伊那市の飲食店組合を通じまして経木のサンプルの提供を行うとともに、アンケート調査も実施をいたしました。アンケートの結果では、お店で使ってみたい、食材の仕切りあるいは料理などの敷物に利用できそうだという声が多くございました。現在、経木の生産につきましては、市内の1社が月産8万枚の生産を行って、全国約120か所に販売していると。また海外もニューヨークを中心に数か所販売をしておりまして、現在、伊那市とゆかりのあります森の国、あるいはサンタクロースの国として知られるフィンランド、この林業の先進国のフィンランドへの出荷も検討をしているということであります。 また市内では、長谷道の駅、あるいはニシザワ、「あじーな」などでこの経木を販売しておりますし、またこの生産をしている「やまとわ」さんのほうでも実際にその作業も見ることができ、また購入も可能だということであります。ほかにも都会でも日比谷の松本楼、老舗でありますがこのレストランでも経木を使ってもらったり、また丸紅、伊那市も関係がありますけども丸紅の商社、この迎賓館、こちらのほうでも使っていただいたりということで、都会にも大分今販路を広げているところであります。 経木の生産を行っている業者によれば、機械の台数を増やして生産を行っているけれども、注文が多くて全ての受注に対応できてないということのようであります。 今後も経木の生産、先ほど「やまとわ」という名前出しましたが、もう一社、最新の機械を使って地元の企業が作り上げた経木の生産の機械の今試作をしているところが1社ありますので、生産をする2社と連携をしながら、さらなる増産を行いながらイナマツの経木、これをアピールをしていきたいと。 このイナマツという表現は昔から使われている表現でありまして、伊那のアカマツは特別に素性がよくてブランド化されているということで、先ほど市内など国内に10社ほどあると言いました経木の生産をしている会社、こうしたところも伊那からマツを持っていって経木を作っているというような話も聞きます。このイナマツについても松枯れが進行している中ですけども、大事にしながらイナマツの価値をさらに上げていきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 全国で10社しかないという経木づくり、本当に伊那市としての本当にブランドというよりも有名になっていただきたいと思います。月ですか8万枚、今120か所あたり全国で販売しているということで、このアカマツが100%でできているものということで、さらに販売に力を入れていただきたいと思います。 そういう中で、先ほど話ありましたけども、松枯れというか、その辺についてブランドでありますので、きちんとした保存というかアカマツ枯れないようにすることもまた重要かなというように思います。 次に、伊那市木材利用推進方針は公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、県が定めた長野県内の公共建築物、公共土木工事等における県産材利用方針に即して、市が整備する公共建築物及び市が行う公共工事等において積極的に地域材の利用を促進するため、必要な事項を定めています。 そこで質問です。公共建築物の整備における地域材の推進において市が整備する公共建築物について可能な限り木質化、仕上げ材等に地域材を使用することですけども、これについてもできているというように思いますが、可能な限り木造化については今以上に、木造にすべきだというように思います。コスト面等制約を受ける場合もあるかもしれませんが、中・高層建築物も含む原則全ての建築物を木造にすることにより、林業の産業化・活性化が進むと思いますが、考えをお聞きします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、伊那市木材利用推進方針でありますが、平成24年に作ったこの方針に基づいて、伊那市が整備をする公共建築物につきましては、可能な限り木造化、木質化を推進をしております。 公共建築物の発注の際には、上伊那木材協同組合と交わしております地域材利活用推進協定に基づいて、地域材に関わる情報共有を図って、その積極的な利活用に取り組んでいるところであります。で、中高層の木造建築物これ耐震、耐火の面から木材を他の地域で加工後、再び伊那市へ持ってくるという形になりますので、地域内循環から外れている部分が多いわけであります。加えて大幅なコストの上昇を伴うということもあるわけであります。ただ今の中高層建築物の流れとしては、木質化ということが進んでおりまして、先ほど出ましたフィンランドにおいては14階建のビルがもう全て木で作っているというようなことでございまして、私も実際見てまいりましたが、何ら全部木かどうかというのは外からは分からないような状況です。国内でも建築の法律がだんだん変わってきまして、木質化、ビルも木で作っていくというほうに今かじが切られております。 また木造とする場合でありますが、伊那市においては地域産材、地域産の木材を地元で製材をして、地元の職人の手で作ることにこだわっているところであります。 建物の用途また条件によりまして、最適な建築物の構造これを設計士にも検討していただく、また非木造の場合については内装とか家具の木質化によって、地域産の木材利用を推進をする。中高層建築物などは地元の企業と相談しながら、新しい技術などを研究してまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 一昨年の前からですかね、外国産材の価格高騰などでウッドショックが起きている、現在も起きていると思うんですけれども、そんな中で今こそですね、地域産材を活用することは非常に重要だなというように思います。 先ほどのその中高層に向けて伊那市にそういった企業がないからということもあるかと思いますけれども、やはり今、日本の中でも11階建、44メートルの商業ビルとか等々ございます。そういったものを伊那市で云々じゃないんですけれども、やはりある程度のものも特にアパート等なんかも十分3階、4階できますので、その辺も取り組んでいただければというように思います。 林業の成長産業化と、森林資源の適切な管理の両立に向けて、伊那市森林経営管理制度実施方針を示しております。 実施方針では世代交代や森林に対する意識の低下などにより、管理が厳しくなってきている状況であり、長期的な視野に立った持続的な森林整備の計画を立て、環境に配慮した木材の有効活用が図られるよう、計画的な伐採を推進することが重要であるとしております。これまでは森林所有者自らまたは民間事業者に委託し経営管理してきましたが、経営管理が行われていない森林について、市が仲介役となり森林所有者と担い手をつなぐ仕組みを構築するものです。 市にとっては放置されていた森林が経済ベースで活用され、地域経済の活性化に寄与するものであるとし、伐採後の再造林が促進され土砂災害等の発生リスクが低減し、地域住民の安心・安全にもつながるものと見ております。森林所有者は市が介在してくれることにより、長期的に安心して所有している森林を任せられるとし、林業経営者が所有森林の経営管理を行うことにより、所有森林からの収益の確保ができることも期待できます。 地域の林業経営者にとっては、多数の所有者と長期かつ一括した契約が可能となり、経営規模や雇用の安定・拡大につながることや、所有者不明森林も整備ができるようになり、間伐等の施業や路網道路の整備が効率的に実施できます。 そこで質問です。地域の実情に応じて特に整備が必要とされる私有林人工林の所有者に対して、森林経営管理法に基づき適切な森林経営管理の責務があることを伝えるとともに、意向調査を実施するとしています。対象森林面積は市内民有林約2万6,000ヘクタールのうち人工林約1万5,000ヘクタールで、経費は森林環境譲与税をその財源としています。意向調査の現状と市による主体的な整備が進んでいるようでしたら、その点もお聞きしたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 伊那市では森林経営管理制度に先立ちまして、林野庁の林業成長産業化地域創出モデル事業これによりまして平成30年度から西春近、これはスキーリゾートの上のほうでありますが、権現山の辺りであります。それから長谷の溝口、富県の貝沼、下手良、高遠町長藤地域において森林所有者への意向調査を行っております。また今年度につきましては、西箕輪吹上、手良八ツ手で約300件の意向調査も行っております。 この調査結果におきましては、回答をいただいた約7割が伊那市を通じて林業事業体に経営管理を任せたいという意向でございます。この林業成長産業化地域創出モデル事業、この中では西春近地域の一部で林業事業体によって架線集材による森林整備を行いました。今まで林業というのは、林道を開けて、それから木を切ってそのトラックで出すということで、一回出してしまうとその林道は使われないというような形でありましたが、この林道を開けるところの費用も非常に莫大なものがかかりますので、その林道を作らずに遠隔の架線集材で林業を進めていこうということで今始めておりまして、これが西春近の一部で始まり、また下手良地域でも意向調査を行った一部でも森林整備が始まっていると。来年度から長谷溝口地域でも、地元と林業事業体が連携をして森林整備を実施するように、今準備を進めているところであります。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 今年に入ってからですかね、昨年、私のところの山がちょっとありまして、共有名義の山があってたまたま、意向調査がやっていただいたので、お願いするということにしたんですけど。そんなこともあってこんな質問したんですけれども、やはり7割の方が、管理を伊那市に任せたいということで、ほんとこれから、そんな形での森林整備というかそんなのが非常に大切になってくるのかなというに思います。 今年の予算の中では、意向調査に300万ほど入ってましたかね、そんなお金を本当に充実した、十分な使い方をしていただいてその森林整備をさらに促進することを望むわけでございます。 この伊那市森林経営管理制度は「50年の森林ビジョン」の森林の生産力と林業経営の向上の部分で、共有できる取組かなというように思います。秋田県の大舘市の取組ですけれども、令和2年には林務担当職員が3から4名だったのに、この制度などから会計年度任用職員を加え、森林環境譲与税を活用し確保することで、令和4年には17名となるなど体制を充実させております。 そこで質問です。森林振興活性化には、この森林経営管理制度が浸透し、市内全地域で管理対象森林を明確化した上で、森林経営管理権を設定していかなければなりません。長い年月とコスト面、関わる職員の増員も考慮する必要があると思いますが、考えをお聞きします。将来に向けたこの制度の充実は、森林の産業化に向けても重要かというように思います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず現状については、後ほど部長のほうからお話をさせていただきます。で、この森林環境譲与税でありますが、年々こう上積みをされているという制度の設計になっておりまして、この令和6年度からは満額の交付となります。で、伊那市には約9,700万円が交付をされるという予定でありまして、これは毎年来るわけであります。またそのほかにも企業版ふるさと納税、これがCO2削減とか、カーボンオフセット含めてだんだん毎年増えてきておりますので、こうした財源も使っていくという考えであります。 これらの財源を有効に活用するため、これまで手が入っていなかったけれども、森林経営が可能な森林、これを優先して意向調査を行い、森林所有者それから林業事業体とをつなげて、森林整備を行っていくという考えであります。 特に地形的に非常に急峻なところに予算を使っても効果はありませんので、なるべく手がつけやすいところ、効果のあるところを優先をしていくという考えであります。 それから人員体制でありますが、これ事業の進捗状況を見ながら検討してまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。 ◎農林部長(柴公人君) 現状についてですが、森林経営管理制度による意向調査の業務は、地域おこし協力隊にも協力を得ながら現在行っております。市内の意向調査対象森林は約1万5,000ヘクタール、2万筆以上あると想定しております。これまでには、7地域で約500筆の意向調査を実施したという現状でございます。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 2万筆のところ、500筆まで意向調査できているということで、さらに頑張っていただければと思います。 また森林経営管理が可能なところから進めていくということで、順繰りどんどんやっていただきたいというように思います。上伊那森林組合が、先月だか先々月だか、地元の生産森林組合の山林、カラマツ材が多いんですけども、その木を切り出して後で造林までするというような、そんなような営業をかけておりました。そんな話を聞きました。搬出するには、大変な場所なんで本当の驚いたんですけども、ちょっと前にお会いした人で、愛知県庁の職員が森林関係の方でしたけれども、その方の話ですと、その森林組合の関係をやっているようですけど、そのカラマツの材料が、ヒノキの材料と同じ価格じゃないかと、そんなことも言われたんでびっくりしましたけれど、それぐらいカラマツの価値が上がってきているという、昔では考えられなかったんですけど、そんなようなことをお聞きしました。これ確認はしてませんけれども、そんなことです。 私林の人工林、私有林の人工林の所有者との経営管理は、伊那市が関わっていくわけですが、市有林、伊那市のほうの市有林の学校林の管理については、教育委員会が担当しているかなというように思います。 一昨年、伊那西小学校の学校林で多くの木を伐採しその木材で森の教室を建てています。なお、豊かな森の存続を願ったとして、アカマツが枯れるのを防ぐため、五、六年生の児童17人とともに、アカマツ18本に薬剤注入をしております。今年になってから、西箕輪小学校北の学校林で大がかりな伐採が行われました。ほとんどがアカマツ・カラマツで、九十数本が伐採され、サワラ・ヒノキを残している状況です。年輪を見ると100年以上たったカラマツや、直径が1メートル10センチにも及ぶ大木もあったわけです。 そこで質問です。西箕輪中学校グラウンド北もそうなんですけど、そこのところの景色がさま変わりしました。西箕輪小中学校を卒業した者にとって、歴史ある大木がなくなったことに寂しさを感じます。 当時なぜ伐採をするのか、学校教育課に聞きましたら、樹木医からの指示と言われました。危険木、枯損木は数本だったというように思いますが、立派なアカマツ・カラマツを残すことはできなかったのかお聞きします。また、グラウンド北のエリアはそのままにするのか、予定があればお聞きします。 ○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。 ◎教育次長(馬場文教君) 西箕輪小学校・中学校の学校林についてでございますが、ここ数年学校林の危険木がそのまま置かれているというような地域からの御指摘もありまして、樹木医の診断を行って学校林の整備を進めてきているところであります。西箕輪小学校体育館の北側から、西箕輪中学校のグラウンドの北側の学校林につきまして、本年度県の補助金、学校林等利活用促進事業補助金という補助金ですが、こちらを活用いたしまして91本の伐採を行いました。 伐採した樹木、木は全て樹木医の診断により危険木ですとか枯損木ということの診断を受けた木になります。危険木等と診断を受けたものにつきましては、例えば遊具の設置によってついた幹の傷が原因で、心材が腐ってきているというようなもの。また、車両の踏圧で根株が傷んで腐ってきているというようなもの。あと幹の中が空洞化してきているものというようなことで、そういったものが診断として挙げられたものであります。 樹木医の診断の後、危険木と判断された全ての木について担当者が現地で確認を行ったわけでありますが、議員さんおっしゃるとおり全体が枯れている木というのは一部、外から見て枯れているという木は一部でありましたけれども、なかなか一見しただけでは危険木と分からない木ではありました。ただ樹木医の診断に従って行ったというものであります。 昨年度ですけれども、市内の小中学校の敷地内で数件、3件ほど太い枝が折れて落ちるというなケースもありまして、中の一つではその折れた枝が車両に当たるというようなケースも出ております。他県では職員に当たって死亡事故というようなことも発生しているというような状況もございまして、今回伐採をした箇所は児童生徒が使用する体育館のところ、またグラウンドの近くでもありますし、与地辰野線の道路沿いでもあります。危険を回避するということで、児童生徒の安全を最優先して伐採を行ったというところであります。 伐採に当たりましては、事前に西箕輪の地区の区長会に危険木91本伐採するというようなことは、お伝えをしましたし、あと学校に記念樹等が含まれていないか、確認をした上で行ったものであります。 また伐採した箇所の用途でありますが、現在他の用途として利用をする予定はありませんけれども、西箕輪の中学のグラウンドの北側は特に車両の乗り入れ等もありますので、新たな植栽をするというようなことは考えていないところであります。 危険木につきましては、専門的な目で見ていただいて危険を見抜くということで、そういったことをしながら引き続き樹木医さんの意見を聞きながら児童生徒の安全を最優先して、学校林をはじめ学校敷地内、樹木についての整備を進めていきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 樹木医の指示の下でやったということで、ほとんど全てが危険木だったんですかね、ちょっと非常に寂しい思いがしてこんな質問をしたんですけど、本当にすばらしいカラマツで、天然カラ松と思うぐらいのいいものがあったんで、もったいなかったなというように思います。 伐採されたアカマツ・カラマツ材がどこへ行くのか、また何に使われるのかも気になります。ロシアのウクライナ侵略の影響でベニヤ材が品不足と聞いていますが、集成材や木造建築部材としては十分な太さです。来年度、長谷総合支所を木造で建築することを聞いて、いい判断だったというように評価します。 今後の公共建築へのストックも重要です。市有林の伐採木の処理について規定があるのか、今回はどのような使われ方をするかお聞きします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、市有林の伐採木の処理につきましては、規定があるわけではありませんが、搬出された木材これは市場へ出すか、あるいはペレット工場等へ持ち込むという場合がほとんどであります。市有林から搬出された木材を公共施設の建設のためにストックしておくために、屋根付の倉庫等が必要になりますので、これが量が多くなれば管理コストもかかってしまうということであります。 公共建築への地域材利用につきましては、設計段階において市有林等から切り出せる場合は活用するということ。また、伊那市公共施設の整備における地域材利活用推進協定書に基づいて、上伊那木材協同組合の協力を得ながら対応をしてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。 ◎教育次長(馬場文教君) 今回、西箕輪小・中学校の学校林の伐採についてでありますが、こちらの処分につきましては伐採業務の委託の中で、処分についてもお願いしてきたところであります。処分の内容につきましては、伐採を委託した事業者から木材加工業者へ引き渡され、幹の一部は建築材として利用されるということであります。残りの部分につきましては、木材チップにしてパルプ等の原料になるというふうに業者からは聞いております。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 地域材のストックというのは必要だと思うんですね。今、設計段階でいろいろな話が出たから、地域材で云々ということで捉えていくということも当然必要ですけれども、やはりその市有林の材木をどのようにして保管するかとか、どのように使っていくかとか、先を見た使い方というのは、ある程度決めていかなければやはり今後、こういった木造建築、木材を使うという意味で、市としても必要かなというように思います。 産業立地で、土地確保するというそれと同様に、公共建築で使用する木材の計画的な確保ということが非常に重要じゃないかなというに思います。 伊那市西箕輪で建設中の伊那市産学官連携拠点施設は、外構工事に入り3月末には完成の見込みとなっております。農と林から生み出される伊那の地域資源を活用して、持続可能な地域社会の構築を目指す拠点施設として、令和5年度から名称を「inadani sees」として開設します。 この施設は農林業、食品産業、木材産業等の振興、農林業のイノベーション、ビジネスマッチング、起業サポート等の取組を予定しております。 そこで質問です。貸しオフィス10室、22.4平米から108.1平米の入居者を募集しているわけですが、プロポーザル方式により審査を行い、入居候補者を決定するとしていますが、現時点での応募状況はいかがかお聞きします。 なお所管が農林部50年の森林推進室ということもあって、林業に関わる事業意欲のある方の応募が来ているかどうかも併せてお聞きします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) この「inadani sees」の貸しオフィスの入居の募集につきましては、1月24日から募集を開始をして、5社の応募がございました。で、5社の研究内容を見ますと、地域材を地域内循環させるためのシステム作り、また木質バイオマス、ペレットボイラーを家庭用のボイラーに展開しようという研究、それから現在鳥獣対策に活用しているワナセンサーの技術を、気象データ等の収集と農林業・防災への活用、そうしたことも提案されておりまして、それぞれ魅力的な内容であるというに考えております。 現在、書類審査とヒアリングを行っている段階で近々入居者を決定する予定であります。 それから先ほどの地域産材をストックしたほうがいいんじゃないかという話がありまして、私もその意見は賛成です。西春近公民館を造るときにも、2年前から地域の木を切って乾かして使ったり、また新山保育園についても地域の木をあらかじめ切って、それを使うというようなこと、またこれから始まります長谷の総合支所についても、長谷産の木をあらかじめ切って、それを使っていくということで、やはり建築設計が決まった段階で始めても間に合いませんので、あらかじめある程度のものはストックしているということが大事だと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 5社も応募があるということで、もうひと踏ん張りかなというように思います。この「inadani sees」が、産学官の連携により持続可能な地域社会を構築するための施設として、開設するわけですが、改めてここから生まれる役割とか目的がどのようなものかお聞きします。信州大学農学部等と連携した起業サポート等に期待されます。この施設だからこそと特化された方向性あれば、期待も大きくなります。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 今、問合せというか応募が5社という話をしましたが、実は全部埋まってしまうと後からいい企業が来たときに入れないという状況になりますので、5からスタートをしてだんだんにこう埋めていくという考えでおります。 かなり注目をされておりますので、だんだんに応募は増えてくるだろうということでありますので、もう少し長い目で御覧いただければと思います。 この「inadani sees」の役割と目的、方向性でありますが、伊那市は生きていく上で必要不可欠な食料と水とエネルギー、こうしたものを自らが生産できる地域であり、それをまたさらにこうレベルを上げていく、高度化していくということを目指しております。そのためには農業、林業などの一次産業が基幹でありますので、ここのところに力を注いでいきたいと。この施設でありますが、これは信州大学あるいは民間企業と連携をして、全国から農業、食品産業、林業、木材産業そうしたものに関わる多様な人材が集まるということで、仕事の創出と働く場の確保につなげていく、また伊那市が進めております木質バイオマスの普及、あるいはCO2削減等の取組をさらに促進をさせる。地方から日本を支えるための企てという表現をしておりますが、これを形に変えていくそうした場所にしていきたいと。 またこれまでになかった人と人とのつながり、あるいは産業と産業とのつながり、こうしたものを生み出すために、地域を越えて日本中の企業、あるいは個人と伊那のプレーヤー・企業がつながることで、持続可能な地域を目指してまいりたいというに考えております。 このつながりを生む企画としまして、「農と林とデザインを混ぜる、seesschool」、また「伊那の企ての種を探すツアー」、トークイベントや交流イベントなど多様な企画を進めていきたいと。また市民の皆さんも自由に入れるような、そうした入ってこの施設の役割を自分の目で確認できるような、そうしたこともやってまいりたいという考えであります。 さらに今後のフィンランドとの連携事業を進めていくための拠点としても位置づけております。 ○議長(白鳥敏明君) 唐澤議員。 ◆19番(唐澤千明君) 先ほどは地域材、その応募した中に地域材を地域で使ってくという、そういう応募者があったということで、楽しみにしております。 また木質バイオマスの関係とか、そういう中で貴重な森林資源を有効に活用するということが、大事かなと思います。今回は、森林、林業振興での地域材の利活用ということで、中心に質問しました。実際、「50年の森林ビジョン」を通しての取組とかですね、CO2の削減に向けた問題、それから間伐・再造林、またペレットストーブの設置とかですね、森林整備に向けた取組も必要かなというように思います。 地方から全国へ、この施設がさらに年月をかけても、すばらしい施設になるように期待をしたいと思います。 十分な森林資源の活用によって、この産業化をされ、地域活性化に結びついていければいいかなと思います。以上で終わります。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、唐澤千明議員の質問が終了しました。 引き続き、高橋姿議員の質問に入ります。 6番、高橋姿議員。     (6番 高橋 姿君登壇) ◆6番(高橋姿君) 6番、高橋姿議員。 ○議長(白鳥敏明君) 6番、高橋姿です。さきに通告しました1点について、お尋ねしたいと思います。質問の趣旨は、自治会とPTAに改革を、になります。 この二つの組織改革は、これから伊那市に移住する人、定住する人にとって非常に関心の高い部分だと思います。 総務省は令和3年に地域コミュニティに関する研究会の中で、自治会、町内会活動の持続可能性についてとして、自治体による自治会の負担軽減の取組を始めました。PTAも全国的に保護者主導で改革が始まっています。 3月3日付の信濃毎日新聞には、松本市の中学校でPTA解散した記事があり、かなり衝撃的でした。私自身移住してから区の役、保育園、中学校、小学校のPTAと多くの役に関わらせていただきました。しかし、関わりが多いほど、この形のまま続けていくことが難しいと疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。 とある日本のロックシンガーの言葉ですが、「楽しいと楽は違うよ。楽しいと楽は対局だよ。楽しいことがしたいんだったら、楽はしちゃ駄目だと思うよ。楽しようと思ったら楽しいことは諦めなきゃ駄目だね。ただ生活は楽なほうが絶対にいいと思うよ。でも、人生は楽しいほうがいいじゃん。生活は楽に、余計なことには気を取られず人生は楽しく。」ボランティア組織である自治会やPTAはこれに似たところがあるのではと思います。様々提案を交えながら、質問したいと思います。 伊那市まちづくり推進事業の説明会が、昨年12月23日に開かれました。高校再編によってできる伊那新校、信州大学農学部などを中心とした高校生、大学生、若者を中心としたまちづくり構想は、伊那に住む若者を増やし、伊那市の10年、20年先の希望を見据えた夢のある事業になると期待しています。市役所の若手による組織の立ち上げ、産学官拠点の活用など組織育成や新しい建物の活用を組み込むが非常にリアルに描かれていました。 この説明会で市長から、具体的な事例や先進地の視察というものを皆さん考えていると思うが、先進地というものはない、伊那市が先進地になるという言葉がありました。その時代や場所に合ったものを、新しいものを生み出すことは非常に重要だと思います。 徳島県神山町という人口4,000人ほどの小さな町に、この4月に起業家を中心した私学の高等専門学校、高専「神山まるごと高専」が開学します。この町はサテライトオフィスの先進地でもあり、過疎地おける社会増でも知られています。開校初年度の入試には全国、海外からも400人近い受験者が集まりました。一学年40人なので9倍以上の倍率です。そしてこの学校は全寮制で、私学ではありますが、学費は企業からの支援で賄い、無償化を目指しています。 なぜ神山町なのか、その三つの理由は、「自然の中で学ぶ」「イノベーティブな町を体感する」「町と交流しながら共に学ぶ、」この三つは伊那にも通じる部分もあります。 私の娘は中学2年生で来年受験なのですが、この学校の話をすると目を輝かせて、自分から学校のことを調べました。「今まで高校を選ぶ意味が感じられなかったけど、この学校を知って初めて選ぶ意味が感じられた。起業家の大人と話す機会があること。社会に出る前の準備として、経験してみたい。」という結論を出しました。3月末に私は、娘と徳島に説明会に実際に聞きに行きたいと思います。 中学生が大人と話す機会を実は求めていることを知って、非常に衝撃を覚えました。伊那にはキャリフェスという取組もありますが、本来なら地域の大人と話す機会や場所として、先ほど挙げた自治会もその役割を果たしてきたのではないかと思います。 ここで質問をいたします。伊那市のまちづくりについて、市長及び教育委員会のお考えをお聞きします。 一つ目、伊那市として高校再編や産学官を中心としたまちづくりによって、地域にどんな若者を育て受け入れ、伊那をどんなまちに育てたいのか、お聞かせください。 二つ目として、また海外からの留学生も含め、伊那に来たいという学生や若者を受け入れる寮や寄宿舎のような施設の構想は、このまちづくりに盛り込むことはできないでしょうか。よろしくお願いします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) これからの未来を見据えたまちづくりの推進に当たりまして、庁内の若手プロジェクトチームを立ち上げ、検討を本格的に始めたわけであります。今後、学生・若者・市民の皆さんなど関わりのある皆さんに参加をしていただいて、皆でこの考えを進めてまた形にしてまいりたいというふうに思っております。 若者が住みたいまち、住み続けたくなるまち、滞留できるまち、こうしたことを重要なコンセプトとして若者の意見を取り入れながら、期待あるいはわくわく感を持てるようなまちを考えているところであります。 新技術、あるいはITなども取り入れたまちづくりによりまして、まちの魅力やすばらしさ、また、まちへの関心や愛情を深めながら、自分たちのまちを誇りに思い、またまちの未来を夢の実現に向かって一緒になって若者が考え取り組み、行動していくと、こうしたことを期待をしております。 また、高校再編による伊那新校の設置などによりまして、多くの学生が伊那に集まることになります。周辺には小中学校それから高等学校、工科短期大学また信州大学、産学官連携拠点など教育、あるいは学術的な施設が多いエリアとなりますので、全体を文教エリアとしての価値の向上を図ってまいりたいと、そうした町にしたいという考えであります。 学生が集ってにぎやかで活気のあるまち、そして最先端の技術が常に横にあるというまちを考えているところであります。 それから寮の話でありますが、寮や寄宿舎これは学校とか企業などが学生や従業員の居住のために設置をする施設で本来ありますが、民間による若者向けのシェアハウスもあり、また今後になりますけれども、伊那弥生ケ丘の跡地の利用の中にもこうしたことがアイデアとして出てくれば、検討していきたいと。協議の中でそうした意見も出てくれば考えてみたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 今、市長お話がありましたように、やはり若者が集い、そこでその若者が自らの可能性を追求していくことができる、そういう地でありたい、そのように思いますし、また若者が様々な場面でその学びを作っていく過程で、やはり若者が自分の学ぶ力に自信をつけていくことができる、そしてその結果、伊那に生きそれでこの地で生活をし続ける、そういう気持ちを持っていける、そのような環境になること、それを願うところでございます。それにはやはりその過程で、自ら学ぶということが大変大事になりましょうし、そしていろいろな形で参加をし、また発言をしていく、そうした機会が持てるようにしていく、そのことが大事であろうというふうに思われます。 やはり地域で子供の育ちを見守っていく、今私たちが大事に考え取り組んできていること、そのことをこれからもなお大事にしてまいるところと、そのように思っています。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) 自発的な力、非常にいい言葉だと思います。ありがとうございます。 最近、伊那市協働のまちづくり交付金の事業実績説明会に出席しました。この中で、西箕輪羽広公民館の歴史をまとめた発表があり、区民に対するサービスも住民が作り上げようとした努力を、発表からかいま見ることができました。保育所機能も自前で用意していた話には驚きました。結婚式場や葬儀場など、ほとんど使われなかった事例もありましたが、時代に合ったものを住民が常に主体的に考え、変化をいとわなかった歴史が大事だと思いました。 伊那市の令和5年度予算には、集会施設整備補助事業が約3倍に大きく増額され、内容も見直されましたが、この集会施設の補修のために自治会費を積み増している自治会も少なくありません。 ここで質問いたします。集会センターについて市長の考えをお聞きします。自治会が独自に持つ集会センターは、災害時には非常に重要な避難場所となる可能性があります。しかしそのために、ふだんから施設を維持管理することは自治会にとって金銭的にも大きな負担だと思います。集会施設の整備事業は、今後も継続していく予定でしょうか。集会センターの統合に対し、補助を出すなどして重点的な予算化も考えられるかと思います。今後の規模や方向性などお答えください。 ○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。 ◎教育次長(馬場文教君) 集会施設整備事業の補助金につきましては、教育委員会所管の事業ですのでこちらでお答えをさせていただきます。 集会施設の運営また維持管理につきましては、基本的には各地域で担っていただくところというふうに考えておりますけれども、地域の集会施設が福祉の拠点として活用されていたり、緊急避難場所としての役割も担っているということで、公共性が高い施設でありますので、一定の補助が必要であると考えているところであります。 集会施設整備事業の補助制度につきましては、令和3年度に行われました伊那市行政改革審議会による外部評価、こちらが行われまして、その結果いただいた御意見を参考に見直しを行いまして、令和5年度実施分から補助率を引き上げるとともに、補助対象を広げるなど支援の拡大を図ることといたしまして、本議会の令和5年度予算案に盛り込まさせていただいたものであります。 お認めをいただきましたら、申請のありました各集会施設の状態を確認しながら、市で大事にしている照明のLED化ですとか、バリアフリーなどを中心にいたしまして予算の範囲内で支援をしてまいりたいと考えております。 この補助制度でありますけれども、このあり方につきましてはその時々の状況を基に見直しを行ってきているところでありまして、今後もそういった状況を見ながら必要に応じて見直しをしていきたいと考えているところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) 今後も継続していくというような理解でよろしかったでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。 ◎教育次長(馬場文教君) 制度自体は継続していきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) ありがとうございます。 ここでちょっと話を変えて、一つ古典を引用したいと思います。方丈記の冒頭です。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまるためしなし」様々な災害や戦争などで変化する今、この時代を生きた鴨長明の言葉と市長の言葉、そして先ほど出た羽広公民館の歴史には通じる部分があると思います。河の流れのように変化していくことを受け入れ、緩やかに変えていこうとする心構えは、いつの時代もで必要だと思います。伊那市は積極的に移住者を受け入れることとしてきており、令和5年度の新年度予算にも移住・定住促進の取組とかに対しても、5,460万と大きな予算が盛り込まれています。 伊那市がどのような人たちに来てもらえるように、魅力だけでなく伊那市の持つ特性を発信して納得した上で来てもらえるのかは今後重要だと思います。「郷に入っては郷に従え」という言葉が聞かれますが、もともとこれは旅行者に向けての言葉だったようです。住み続ける住民はその地域の特性を十分に理解し、共に地域を変えていくことが理想だと思います。 また、移住者にとって負担が少なく住みやすい地域は、従来住んでいる人にとっても住みやすい地域となると思います。先日、「池田暮らしの七か条」という見出しで、移住者に向けての心得が地元の広報誌に掲載されました。この7か条は、「都会風は吹かすな」「品定めをされるのは自然」などの言葉が並びました。ネットやマスコミの報道で大きく取り上げられました。この町の自治会の自治会長たちがこの7か条を作ったことを思うと、移住を考える人また促進する地方自治関係者の間で炎上してもやむを得ない言葉の選び方だと思われます。 しかし、実はこの7か条お手本があります。全国町村会でも以前取り上げられた和歌山県かつらぎ町天野地区の「田舎ぐらしの7か条」がなります。この条文は非常に秀逸です。読み上げたいと思います。 「私たちは、天野に移り住んでくれる方々を大きな期待を持って出迎えたいと考えます。しかし、自然景観や雰囲気だけで天野に住んでもらうことに一抹の不安を感じます。こんなはずではなかったのにという後悔だけは回避したいのです。そこで、天野を好きな皆さんに、もっと天野を好きになってもらえるよう、私たちが抱えているいろいろな条件を包み隠さず知ってもらった上で、天野の住民としてお迎えしたい。田舎暮らしの7か条を作ってみました。御理解ください。そしてこの7か条を理解できれば、あなたは田舎ぐらしの達人です。」と結ばれています。達人という言葉で移住者に成長を求めるところが、非常にユニークで緩さも感じることができます。 田舎暮らしの7か条について、こちらの資料スライドで御覧ください。特にこの6条の価値観については、「都会で得られた知識や技術に対してまでも否定されるわけではありません。逆に大きな期待を持って迎えられます」と補足書きがあり、移住者に対して否定ではなくむしろ新しい知識や技術を持った人間として見ることも忘れてはいません。 池田町の7か条とは、実はかなり随分違いがあります。自然の驚異として災害のことに触れ、何のための地域の結びつきなのかを具体的に語られているのが印象的です。 自治会に入ることは結婚するようなものだと思います。長所も欠点も最初に理解して、お互い負担のない長い付き合いを続けることが大事なのではないでしょうか。 ここで質問いたします。行政による自治会とPTAの業務見直しについて、市長と教育委員会にお聞きします。 伊那市や教育委員会は自治会やPTAに関して加入を進めていますが、その役割や目的、課題を明確にしていないように思います。「地域の教科書」「PTA新聞」でそれぞれの自治会、PTAの情報は得られますが、行政からそれを変える試みはまだないように思います。任意団体なので、行政から干渉は難しいと思いますが、それぞれの業務が過大にならないようなガイドラインをつくることはできないのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 自治会から高齢化による役員のなり手不足、また働きながら役員をこなすために負担が大変大きいと、行事あるいは会議が多くて大変だという声は聞いております。で、現在各区などに対して、自治会に関するアンケートを実施をしており、この中で運営上の課題また工夫をしている点、市からの支援が必要な事項、生活改善の取組状況などについて回答をしていただくようになっております。 今後、アンケート結果を分析する中で、負担となっている事項や改善ができることなどを洗い出して、その中でガイドラインの設定の必要があれば、検討してまいりたいと。またアンケート結果については、今年度と来年度の区長等に共有をしてもらい、今後の自治会運営の参考としていただく予定であります。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) PTAについてのお尋ねでございます。御存じのように、PTAは保護者と教職員によって構成をされております。家庭や学校の教育についてそれぞれに理解を深め合う、そういう団体でありまして、児童生徒の成長のために大変大きな役割を担っているところ、そのように承知をしております。 運営等に係るあるいは組織等に係るPTAの在り方でございますけれども、これはそれぞれのPTAにおいて十分に議論をし、考えあっていただくそういうものでございまして、教育委員会としてPTAの活動また組織等についてのガイドラインを策定すると、そういうことは考えていないところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) PTA、非常に理解できます。また、こちらからも質問をしたいと思います。 話題を変えて、次に伊那市の自治会に関するデータを示したいと思います。伊那市の自治会加入率の推移について、こちらの資料を御覧ください。 御覧のように伊那市全体で徐々に加入率が下がってきているのが分かります。令和4年度でおよそ3割の世帯が加入していないことになります。第2次伊那市総合計画には、2023年には自治会の加入率が80%と目標が設定されています。75%から下がっていることを追求する気はありませんが、下がり続ける原因を考えることは非常に重要だと考えます。 次に、地区別の自治会の加入率と人口増加率の資料を御覧ください。 地区別のデータで見ると、高遠と長谷は100%に近い加入率ですが、西箕輪地区は60%、伊那地区も約60%になっています。地域によってかなり差があります。行政区別の細かいデータを見ると、最低の区では加入率は30%、最高の区では100%とこれもかなり大きな差が出てきています。このグラフからも分かることですが、自治会の加入率が高い地区ほど、人口増加率が低い、人口流出が起きている現状も見られます。 先ほどのデータを基にした相関係数の資料を御覧ください。自治会加入率と人口増加率では、強い負の相関。自治会加入率と高齢化率では強い正の相関が見られます。区費が高額なことから、高齢者単身世帯が区を抜けている例も耳にしますが、若年層を中心に自治会の未加入率世帯が増えていると考えられます。 ここで質問いたします。自治会の加入率を上げる取組について、市長にお聞きします。自治会加入率は全国的に見ても上がる見込みはほぼありません。自治会加入率を上げることを目指すよりも、下がっても持続可能な仕組を目指すべきではないでしょうか。また、いな住まいる補助金は自治会に加入することが条件になっていますが、加入率の引上げを狙っての取組とこれは解釈してよいでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 地域で長く暮らしていく上において、近所付き合いこれは必要であるという考えであります。それぞれが支え合ったり交流する中で、よい関係を築いていくためにも自治会に加入してもらうということは大事だと思います。このために、新たに移住を希望される方には相談の中で、自治会の様子あるいは行事、負担すべき区費等の情報、こうしたものも事前に提供するということで、自治会の加入に対する不安の解消や後々のトラブルの防止にもつながるように取り組んでおります。 令和5年4月から開始をします「いな住まいる補助金」でありますが、若者世代の定住を促進するもので、これまで過疎地域あるいは田舎暮らしモデル地域に限定をしておりました住宅の新築、購入に対する補助、これを市内全域に拡大しようというものであります。この「いな住まいる補助金」におきましても、自治会加入要件を設けております。結果として自治会への加入は促進されることになるわけでありますが、自治会活動への協力がなければ自治会としての存続は当然難しくなりますし、今後とも自治会活動が継続的に行える仕組みというものを作っていくことが必要であろうと思います。 多様化する生活スタイル、ライフスタイルの中でお互いを尊重し理解をし合いながら自治会活動に取り組める環境の整備、これを図りたいと。また地域の活力の向上、あるいは地域のコミュニティの醸成など、地域の活性化につなげてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) ありがとうございます。 また、PTAの役員についても、自治会の役員と同様のことが言えるかと思います。PTAの役員を決める際に、どのような状況になっているか御存じでしょうか。PTA会長を決める際にも、中学校も小学校も保護者が仕事帰りに学校に集まり、夜の10時や11時まで決まらず話し合うことは珍しくないかと思います。当然、PTA担当の教員も残ります。これが、上伊那PTAの役員を選出しなければならないときは、さらに難航します。共働きで仕事を抱えている家庭が多い現在、仕事が犠牲になる役員の業務は現実的ではありません。 PTAの役員を決める際、引き受けられない理由を一人ずつ前に出てきて説明しなければならない場面が、私が参加したときにはあり、介護、病気、障害のことなどプライベートな部分を聞いていてもつらいと思いました。自治会でも後任の役員を決める際、苦労する話は先ほど市長にもありましたが、よく聞くと思います。 また、これは極端な例ですが、大阪平野区の市営の集合住宅に住んでいた36歳の男性は、2019年の11月、住民の間で当番の班長をくじ引きで決める際、知的障害などを理由に引き受けられないと伝えると、集会所で自治会長や班長から、「障害があります。お金の計算はできません。」と紙に書かされ、この翌日に自殺しました。大阪地裁は、障害の有無や内容のほか、日常生活を営む上で障害によって不得意な事柄を秘匿するという利益を侵害するものだと指摘し、自治会に44万円の賠償を命じました。この例は伊那市では考えにくいとは思いますが、先ほどの例も人権に関わる問題です。個人の尊厳を失わせることは、あってはならないと思います。 本来、自治会やPTAは自由参加です。半ば強制的な加入を前提とするのではなく、共助や集団意識形成という本来の目的と時代に即した魅力のある組織に変え、その地域や学校に所属している人が選択する形が望ましいのではないでしょうか。 ここで質問いたします。自治会とPTA活動の参加について、市長と教育委員会に意見を伺います。基本的には自治会とPTAの加入や役員の同意は、個人の意思を優先すべきだと思います。しかし、それでは地域が回らないという考えも根強くあります。考えをお聞かせください。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 自治会につきましては任意の組織であって、その加入に対して法的な強制力は当然持っていないわけであります。したがって、個人の意思が尊重されるものという考えであります。 しかし、自治会活動があるからこそ例えば防犯灯の設置、あるいはゴミステーションの管理もそうですし、道路の維持また水路の維持、草刈りもありますしあるいは通学路の除雪だとか防災、住みやすい暮らしの環境というものは、その自治会によって維持をされているというのも事実であります。 地域の中で安心安全に暮らしていくためには、やはり住民自治の基本単位であります自治会によるそうした地域活動、これを持続的に行っていくということが重要であると思います。特にその自治会に入りたくないという、その原因というのを明確にして解決をしていくという努力も、当然伴ってくると思います。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) PTAの活動や組織について、これ先ほども述べさせていただきましたけれども、何らかの意見等を申すそうした立場ではないわけでございますけれども、役員の選考等について、大変苦労をしている面があると、そういうことについてはお聞きをしているところでございます。 役員を務める、そのことは大変負担であるとされることがありますけれども、一方で役員を経験された方から、「初めは身構えてしまったけれども、同じ年ごろの子供を持つ親同士で交流ができるいい機会になった。」とか、あるいは「先生方や学校の環境整備にも関わることができて、子供のためにもやってよかったと。」そうしたお声もお聞きしているところではございます。 役員についてということでありますが、一部の保護者にやはり負担がかかり過ぎる、そういうことがないようまた参加しやすい環境づくりをすると、そうしたことについては大切であるというふうに考えます。 保護者また教職員がPTA活動に関わりやすくしていくため、そのために活動ですとか組織をどのようにしていくのがよいのか、PTAの中でやはり意見を交わしていただくことが大切であろうと、そのように考えるとこでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) 教育委員会から何かその辺は、ガイドライン的なものは示すような予定はありますでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) これ先ほど申し上げたとおりでございますが、ガイドライン等は策定するというようなことは、組織的にも、独立した組織に対してでございますので、私どもの行う事柄としてはなじまないところであるなというふうに考えます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) ありがとうございます。またここで、自治会費に関して、私のふるさとの北海道は詳しい資料を公開していました。北海道は移住に関しても先進地であります。 伊那市の自治会費と北海道の市の自治会費を比較した資料をちょっと御覧ください。オレンジ部分が北海道、このグラフを見比べると、明らかに伊那市の自治会費が多いことが分かります。世帯負担の年間の平均額を出すと、伊那市はおよそ1万7,600円、北海道はおよそ5,000円となります。 伊那市の行政区の自治会費、グラフ資料を御覧ください。伊那市で高い世帯は年間5万円、西箕輪の与地ですね、地区単位は高遠、長谷地区、西箕輪地区が高くなっているのが目立ちます。 ここで質問いたします。他の都道府県と比べて高い自治会費の引下げについて、伊那市長に意見を伺います。様々な条件によって自治会費に違いが出ていることは理解できますが、地域間でもかなり差があります。移住・定住を考える上で、大幅な負担の違いがあることは望ましくないと考えますが、いかがでしょうか。 また、単身の高齢者世帯などを中心に、区費の高さで区を退会することも出てきています。御意見を伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) これを見ると、私の中条も高いですね。2番目に高いという。ただ、中条の場合を言いますと、区費のほかに全てのものが消防団だとか全てのものが入ってということですので、ちょっと一応そのように言っておきます。 自治会についてはやはり任意の組織でありまして、成り立ちもそれぞれ違うわけであります。また、地域活動とか保有している資産、森林とか土地とか、それから歴史・文化・伝統の継承、そうしたものにそれぞれ独自で行っていますので、自治会費にある程度の違いのあることはやむを得ないと。その反面、自治会としては会員からいただく会費の使途、また目的を明確に伝えて、納得を得るということも大事であります。 伊那市では移住者向けの教本と言いますか教科書がありまして、これは地域の教科書というもので、市民ホールに置いてあります。この中では、地域の様子また行事、自治会費の情報、様々なものを掲載しておりまして、自治会へ加入する際の検討資料として活用をしてもらっております。入区費あるいは区費が高いという声を聞くことがあります。今後、この伊那市における自治会費等の現状をまとめて、自治会運営の見直しの参考としてもらうよう、情報提供を行っていく考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) ありがとうございます。非常に前向きな提案、ありがとうございました。 ここから、私のほうからも具体的な細かい提案に移ります。自治会の回覧板や学校の配付資料の多くは、いまだに紙で配られるものが多く、配る方も受け取るほうも負担となっております。自治会によるデジタル回覧板の取組、学校ではオクレンジャー等での情報の周知は行われていますが、もう少し進めることが必要かと思います。 デジタル回覧板であれば、区に加入していない世帯でも必要な情報を受け取ることができます。学校のかばんの奥からくしゃくしゃに丸まって必要な学校の書類が出てくることも多々、うちでもありました。確実に情報を届けるという点ではデジタル化、非常に優れていると思います。高齢者もインターネットを利用する人は以前より着実に多くなっていると思います。 ここで質問いたします。様々なプリントのデジタル化について、市長と教育委員会にお尋ねします。 行政として、市民へのプリントのデジタル化を今後進める予定はないでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 市が発行しております配布物のうち市報等の各世帯向けの配布物、これは毎月自治会を通じてお願いをし、また直接各世帯にお届けをしていると。また、隣組で共有する配布物、これは回覧板によってお願いをしているということであります。過去を言いますと、この配布物が非常に多かったわけです。それを今、一本にまとめて一冊の中に全部入れると。例えば公民館にしても、会報にしても議会だとかいろいろなものがそれぞれみんな単独で配布されておりましたが、十数年前にはこれを一本化しようということで、今やっております。 このオンラインで配信をするということ、これ実は私の地域ではもうやっておりまして、全てではないんですが、ここにたけた皆さんがいるともうLINEを使ったり、あるいはネット上でもう全て配信をするということですが、ただ全てが全てできるわけでありませんので、もう一つはそのできる方とできない方がいるので、そこら辺がどうしても全員というわけにはいかないと。 そしてオンラインによれば負担が減って紙などの資源の節約もできる、ただ受け取る側の市民の皆さんにはインターネット環境が整備されていない方、あるいは操作に不慣れな高齢者もいるわけでありますので、紙の媒体による情報の提供というのは、なくすことはできないのではないかと。 また一方でスマートフォン・タブレットの普及で配布物をインターネットで確認をしたいという要望は増えておりますので、伊那市が発行する配布物、これは可能な限りデジタル化をし、伊那市ホームページへの掲載、また安心安全メールによるリンクの配信など多くの手段を講じて、広報に努めてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) デジタル化に関わる御質問でございます。学校から保護者への通知等につきましては、プリントが中心でありますけれども、緊急性の高いものにつきましては安心安全メールまた議員御発言の中にもありましたけれども、クラスごとに連絡については一部の学校においてアプリケーションの活用等もしているところでございます。 保護者への案内でございますけれども、デジタル化に当たりましては市長触れられましたけれども、新たな費用負担が生じる場合がございます。保護者の事情によりまして携帯電話やまたwi-fiの環境がないと、そうしたこともあります。そのことから、プリントによる配布は現状、これは大切であるなと思っているところで、これからも基本的な形はこう維持していくところかというふうに考えているとこでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) 学校のほうの配布物、予算化的なものはされているでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 例えば、今申し上げましたwi-fi環境がないというようなその御家庭への支援等につきましては、一定程度ルーターをお貸しするというようなことについても、教育委員会のほうでも準備をさせていただいて対応できるところは対応してきているところではございます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) インターネットに関する情報弱者、これだけ普及しているものに対して情報弱者ができないような形を、行政にも望みたいと思いますのでよろしくお願いします。 次に、移ります。伊那市では、重層的支援体制整備事業に今年度から本格的に取り組んでいます。この長い名前の事業は自治会が今まで担ってきた、もしくはできていない取組を補完する事業だとも捉えることができます。 昨年の4月の市報にこんな文章がつづられています。「伊那市に暮らす一人一人の多様性や関係性、居場所を尊重し、こうあるべきといった価値観を押しつけない。なから感を大切にしたいという思いが込められています。」とあります。先ほどデータを示しましたが、様々な事情で自治会組織に加わることのできない3割の人、70%加入していて3割の人が加入していない、この人たちにも福祉が届いてこそ、これらボランティア組織本来の意味があるかと思います。 ここで質問いたします。重層的支援体制事業と自治会の関わりについて、市長にお尋ねいたします。 自治会はある程度地域の情報を持っており、解決できない問題も同時に抱えています。今後の重層的支援体制事業と自治会との関わりを一つの軸として、積極的に作っていくべきだと考えますが、市長の考えをお聞かせください。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) この重層的支援体制の整備事業でありますが、複合化した課題あるいは制度のはざまなどの課題に対応するために、相談支援、参加支援、地域づくり、こうしたものを一体的に行って、多機関の協働これによっての連携を図るということであります。相談支援におきましては、自治会の加入、未加入に関わらず相談を受け止めて支援を実施しております。社会福祉協議会に委託をしておりますアウトリーチ事業においても、地域福祉コーディネーターが直接地域と関わりを持って話をお聞きする中で、支援が必要と思われる方の情報等を得て支援をしているという状況であります。 そのほか、介護保険事業で行っております地域ケア会議、この中でも地域の特性を踏まえて買い物支援、ごみ出しなどの困りごとに関して、地域課題を共有をしながら支援を行っているという状況であります。 やはり住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域住民、自治会、関係団体、行政などが適切な役割分担の下に連携をして、解決が難しい問題あるいは地域課題について取り組んでいく必要があると。今後につきましては、来年度策定予定の第4次伊那市地域福祉計画の中において、重層的支援体制整備事業と自治会等との関わりも含めて検討し、連携体制をさらに強化をしていきたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) ありがとうございます。最後に自治会やPTA組織の改革をするに当たって、モデル地区をつくり行政がサポートしながら改革をすることの提案をしたいと思います。 先ほどの市長のアンケートを取ってという話にもつながるところでありますが、同様の取組を塩尻の地域づくり課が今年度に、自治会が先行事例として一つ作りました。一つモデル区を設定し、この地区にいる271人からのアンケートを集め、様々な意見によって今年度から本当はそれで大きく変わるはずだったんですが、実はこのモデル区、今年は変わることはできませんでした。来年に持ち越しということになりました。大きな理由は、地区単位の役員との調整がつかなかったことにあります。自治会は交通安全協会、社会福祉協議会、育成会、学校関係では長野県PTA連合会など上部組織も含めた組織との調整が大きな課題となります。一年単位で交代していく役員にとっては、議論を深めることもなかなかその場ではできないので、出席するだけの会となっている感はこれは否めないのではないかと思います。 自治会に対する市民の意見として、こちらの資料を御覧ください。先ほどの塩尻市の自治会アンケートをワードクラウドでまとめたものになります。「役員」「役」といった言葉や「必要」「負担」といった言葉が目立ちます。役員の必要性、負担を明らかにしていくことは、今後の自治会の活動の継続には不可欠だと思います。また、ジェンダーギャップもあります。「女性」という言葉が役員の下にありますが、伊那市の自治会長は昨年度には女性が一人もいませんでした。来年は一人いるという情報が入っていますが、これ非常に珍しいことになります。逆に、PTA関係の役員は出席者の多くが女性で、負担の男性への分散も望まれることと思います。 ここで質問いたします。自治会とPTAを改革するモデルづくりについて、市長と教育委員会にお尋ねします。 上部団体も視野に入れたモデル区やモデル校を作成して、住民や保護者、教員の意志を確認しながら行政が協力し、自治会やPTAを今後変えていく取組は可能でしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 地域、あるいは各自治会の実態を把握して改善をしていくということは重要だという考えであります。アンケート結果、アンケートを行うと言いましたけれども、アンケート結果や先進事例などを参考にする中で、御提案のモデル区の取組については、今後必要に応じて研究してまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 繰り返しになる部分が多くなりますが、PTAの運営につきましてはそのPTAを構成する方々が話合い、また考え合いながらその内部で自主的また自律的に検討して決めていっていただくものでございます。したがいまして、外部から意見を申し上げるというようなのは基本的に控えさせていただくということで、お答えをさせていただきます。 ○議長(白鳥敏明君) 高橋議員。 ◆6番(高橋姿君) なかなか学校教育委員会からは難しいということで、最後まで丁寧なお答えありがとうございました。 学校の先生も、教員もPTAの活動に業務内で関わっているということで、非常にその辺は実際のところは難しいところではあると思いますが、また今後の検討をお願いしたいと思います。 最初のまちづくりに話が戻りますが、地方都市を若者に負担が少なく住みやすい町にすることは、伊那市ですね、伊那市を若者に負担がなく住みやすい町にすることは都会一辺倒の流れを変え、地方にとって緩さのある持続可能な社会につながることだと思います。 最初に古典を引用して、鴨長明が田舎暮らしを始めるというのが方丈記の話なんですが、そこで10歳の山守の息子の男の子と会ってそこで仲よくなって、それが非常に心地よかったという話が方丈記を読むと出てきます。人のつながりをやはり、一人隠居生活を60歳になってから鴨長明するんですけれども、その中でも人のつながりはとても大事で、それに安らぎを覚えたという話は非常に読んでいて印象的でした。 冒頭に引用したロックシンガーの言葉、楽をしながら楽しみのあるいな暮らしを多くの人に、若者に、子供たちに、この地ですてきな人生を送っていただきたいとこれから切に願います。どんな伊那市にしていくか、ここに議場にいる多くの人、真剣に考えていると思います。私も少しでも楽に、そして楽しみのある伊那市を作っていきたいと微力ながら様々な提案、今後もしていきたいと思います。これで質問を終えたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、高橋姿議員の質問が終了しました。 暫時休憩といたします。 少し短いですが、再開は11時23分とします。 △休憩 午前11時13分 △再開 午前11時23分
    ○議長(白鳥敏明君) それでは休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 小林眞由美議員の質問に入ります。 11番、小林眞由美議員。     (11番 小林眞由美君登壇) ◆11番(小林眞由美君) 11番、小林眞由美でございます。ただいま休憩時間に長谷の太陽ラー油せんべいを口にしてしまいまして、口の中が今辛くて困っております。ですがとてもおいしゅうございましたので、皆さん御利用くださいませ。 さきに通告いたしました2点、まちづくりの推進についてと福祉施策について質問をさせていただきます。 2020年からの新型コロナウイルス感染症の感染予防対策をしながらの日常生活は外出の自粛、ソーシャルディスタンスを意識した行動ということで、近所付き合いも疎遠となり、近隣の情報が全くといってよいほど入ってこない時期もございました。地区などでは会議は対面型から非接触型になり、イベントや行事などはほとんどが中止となるなど、自分自身の習慣だけではなく社会環境を大きく変えてしまったと思います。 こんな状況に慣れてきてしまっていることに、多くの人がこれではいけないと気づいてきております。そしていまだに新型コロナウイルス感染症は収束しておりませんが、5月8日に感染症法上での位置づけを5類に移行されることになりまして、人々の意識と動きが急速に変わってきているように感じております。 まちづくりの推進についての質問に入りますが、第2次伊那市総合計画での将来像を「未来を織りなす創造と循環のまち 伊那市」とし、伊那市都市計画マスタープランの将来都市像を「歴史と文化を大切にし、人と自然に優しく環境と調和する活力に満ちた創造と循環のまち」として、令和23年度、2041年度を目標に快適で持続可能な都市を実現するための様々の施策を展開するという計画がございます。 まちづくりを進めますには、それぞれの地域の資源や特性が生かされていることと、そこにお住まいの皆様が計画内容を理解されていなければ、協力をしていただくことができないと思っております。 新型コロナウイルス感染症感染予防対策で近所付き合いが少なくなり、情報の共有がうまくできていないと思われる地域住民の皆さんに、多くの情報の発信を行い、知っていただくというアクションを起こすときが今来たのだと思います。地域住民の交流機会を活発にしませんと、自治意識を高めることはできないと思います。 昨年9月、10月に令和4年度の市民と議会との意見交換会を3年ぶりに開催いたしました。「新型コロナウイルス感染症拡大により地域の活動が止まってしまった。地域交流の機会が減少して、地域に元気がない。」「地域での世代間交流の機会を増やす行事、井戸端会議など企画をすべき。」などと、地域が元気にあることを願う意見が多かったと感じております。 対面での意見交換は本当にお互いの参画意識が高くなり、参加者の年齢、役職などその立場立場での課題について考えてほしいという発言が多い中、次々に改善を導く発言に変わっていくなど、対面で話し合うことの重要・必要性を改めて認識いたしました。 ちなみに、この市民と議会との意見交換会の開催に当たり、延べ参加者は男性が76名、女性が7名、そしてこの多くが団体の役員の方が御参加くださいましたことに感謝しております。また年齢で見ますと、60代以上の方が73%ございまして、50代から30代に関しましては19%ということになりますと、やはりこの年代的なものについての課題が残ったように感じております。 ここで質問いたします。まちづくり理解者、協力者を増やすために、目標達成に向けての説明や話合いの会を改めて各地域で実施していただきまして、参加者はそれも選ぶのに関しましてですが、地域の多種多様な方、職種や年齢など無作為に抽出するなどして、幅広い方々の参加を求め、各担当する分野の職員の方がその会場に出向いていただき、詳しく説明をされ、そして参加者と意見交換や意見収集を行っていただき、その参加してくださいました参加者には継続的な協力者となっていただける、そういった機会づくりをすることはできないでしょうか。市長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 総合計画また都市計画マスタープランなどまちづくりの基本となります計画の策定に当たりましては、市民アンケート、またワークショップ、説明会などを実施し、ニーズの把握や市民の皆さんの意見を反映するように努めております。 また各分野の代表や識見を有する方、公募による市民の皆さんなどからなる審議会で計画案を検討いただいて、その過程を公表するということとともに、各地域協議会への説明、パブリックコメントの実施などの手続を経て、計画を策定し、策定後は市報あるいはホームページ、広報番組などで周知を図っているところであります。 伊那市では総合計画や都市計画マスタープランのほかにも、環境、保健福祉、産業、教育、防災、その他各分野で計画やビジョンなどを策定し、その中で設定をした目標の達成に向けて事業を推進しているところであります。今のところ、総合計画や都市計画マスタープランについての説明会を各地区で改めて実施をする予定はございませんが、各種計画等に基づいて実施をする事業について、市民の皆さんに理解を深めていただくということは非常に大切でありますので、これまでも丁寧な事業説明会の実施に努めてきたところであります。 まちづくり、地域づくりの担い手の育成は重要なことでありまして、キャリア教育の推進、講演会の開催、地域おこし協力隊あるいは集落支援員の活動などを通じて、担い手人材の育成や協働意識の醸成を図るということとともに、地域の活性化に向けた地域の取組を支援することによって、地域力の向上というものを図ってまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) 御丁寧な御説明ありがとうございます。私が一つ気にしていること、繰り返しの質問になってしまうかもしれないんですけれども、無作為に抽出しましたその方を集めるといったものは、今までにあったでしょうかということを質問させていただいてもよろしいでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。 ◎企画部長(飯島智君) アンケート調査のような、市民の皆さん幅広く状況を正確にとらまえるために、そういった手法としてその不特定多数の皆さんを選ばせていただいているということはありますけれども、その審議会等の会議の中で条例で定められているその人数等の関係もありますし、それについてはより関係の深い皆さん、知見を持っている皆さんあるいはそれに対して公募等で意欲を示されている皆さん、そういった皆さんに御参画をいただきながら、政策に結びつけていると、そういった形で伊那市の場合進めてきております。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) やはり、いろいろまちづくりにつきましては、いろいろな内容の施策がございます。 次の部分になるんですけれども、伊那市の協働のまちづくり交付金や、それから伊那市うるおいの郷づくりふれあい事業(アダプトシステム)などでの支援というのは各地区の活動で大変有効に活用されております。道路、それから歩道、河川、公園などの美化活動のほかに地域づくり活動など、地域住民の支え合いの意識高揚や地元の元気づくりに生かされております。 ここで質問させていただきます。現在、伊那市協働のまちづくり交付金は助成期間が設けられていると思いますが、助成期間を終了した後も継続的な活動が見込まれる団体を対象に、環境保全など地域の活性化につながる取組がなされていることが認められた場合など、地域活動に助成すべきだと私は考えておりますが、市長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) この協働のまちづくり交付金事業でありますが、平成28年から始まって今年で7年目ということであります。地区からは地域に必要な事業であってもなかなか財政面で実施が難しかった事業、こうしたものを中心に有効に活用されているといった意見をいただいております。 また今年度の行政評価の外部評価におきましては、地域の魅力を高めるという点でも、大変重要な事業であるという評価をいただいております。事業の審査については各地域の協議会、地域協議会が行っておりまして、市内統一の採択基準によって実施事業を決定をすると。具体的にはこの交付金を活用することで、今後自立した活動が可能と見込まれる事業であるかが、採否の基準となっておりまして、おおむね3年をめどに自立するということにしております。 この事業の趣旨が地域の課題解決、また活性化を図るための導入資金としての位置づけでありますので、議員御提案の特定事業における助成期間の撤廃というのは現状では考えてはございません。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) 今回の予算的なものにつきましても、大変いいものをいただいていると考えておりますけれども、ただいまの中で新たなそういった助成というものを考えていくということは、お考えにはならないでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。 ◎企画部長(飯島智君) それぞれ地区によって課題も異なりますし、その辺は先ほど市長が申し上げましたとおり、事業の歳費についても各地区のその特性に応じて地域協議会のほうで審査をいただくということになっております。基本として貫いておりますのは、単なる運営資金ではなくて、それぞれの課題解決のために必要な予算、これは導入時に限って支援するという目的でございますので、今後についてもそのような運用を図ってまいりたいというふうに考えてございます。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) やはり導入時ということになりますと、やはりこの地区でいろいろ考えるという新たなものを見出していくためには、大変必要なものであり、またこれが有効活用されているのは事実でございます。これからも新たなそういった動きに対しての補助を続けてやっていただきたいと思っております。 続きまして、福祉の施策についてまいります。資料1、ちょっと小さくて申し訳ございませんが、これは令和4年12月に開設されましたひきこもり相談窓口の御案内のプリントでございます。ここに見づらいところがあるのですけれども、上のほうに吹き出しになっております当事者の声というところがございます。ここには、「ひきこもりは甘えているって言われてしまう、頑張っても外に出られないのに自分もつらい。」「ひきこもりって言われたくないから仕事をしたい。でも、アルバイトに行っても疲れてしまって続かない。」「ずっと家にいると親に心配させてしまう、どこかに自分の居場所があればいいのに。」「もう10年家にいる。仕事もしていないから、自分はどうしたらいいのか分からない。」「自分の感性は理解してもらえない。自分は性的マイノリティー、少数派かも。外に出るのがつらい。」「誰かに相談すると自己否定感が出そうでうまくいきません。共感できる居場所が欲しい。」この6つの吹き出し、私はほかのところでも同じような内容をお聞きする機会がございました。 ひきこもっているというのが本当にいけないのかという問いにも、私は答えられなかったです。でも、どうすることができるのか考える機会があり、今でも数回ひきこもりについて私は視察研修、講演学習をしてまいりましたが、ほとんどの相談事例は1年で解決するものではなく、10年以上対応されて、それでもまだ続いている長期間の相談体制が必要だとお聞きしました。 次の資料にお願いいたします。本市で行われている新たな「切れ目のないひきこもり支援体制を目指して」というプリントでございます。よく小学校のときのひきこもりから、どのぐらい続くのかなと家族から御相談があったとき、今ひきこもりと言いましょうか不登校という部分で、その最近年少化の傾向が見られるというお話も聞きました。ですが、その後、なかなか復帰することができないというその長期間に及ぶ支援というのが必要になります。そして、寄り添った支援も必要です。 今回、こちらのほうを福祉課でされて新しくこの体制を整えていただきました。そこに新、新、新と書いてあるところが新しい御支援ですが、これは私すごくすばらしいものだと思います。この長くというのは、「8050」にも関係してまいります。そんな中で、切れ目のないひきこもり支援体制を目指して、福祉相談課が重層的に支援するということを先日詳しく説明をお聞きしました。 そうしました中で感じましたものは、「相談は当事者だけですか。」という質問に対し、「いえ、そうではなく御家族の相談にも対応いたします。」とお聞きして、安堵しました。この御家族というのは、実はひきこもりというのは自分の部屋に閉じこもっているではなくって、ひきこもりの方は外に出ることも可能な方がいらっしゃる。そういう方がいる中で、家族はどうしてこうできないんだろう、なんだろうと悩んでしまいます。ですのでこの新たなこの支援体制の中で、御家族も相談に乗れるということを、もう少しPRしていただけたらと思っています。 当事者の皆さんは、安全な場所を確認して、それが安全だと分かったところで、「ああ、安心して過ごせるところがあった。」と言って、この認識されるそういったところを、居場所を求めております。地域で居場所づくりが当たり前にこうなるそんな地域、住民の皆様をぜひ作っていただくというよりも、お育ていただきたいと思いまして、質問をさせていただきます。 ひきこもりについて講演会や研修会といいますとひきこもりの御家族の方々、そしてひきこもりにならないためには、そういった内容のものが大変多ございます。ですが、地域の住民の皆様がお互いさま、安心安全な居場所の提供をしますよを自然体でできるような内容の、そんな講演会や研修会、そういったものをぜひ温かい地域づくりとしてやっていただくことはできないものでしょうか。地域の皆さんにひきこもりや「8050」の理解を深めていただく集いなどを企画していただきたいと思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 伊那市では昨年の11月ですが、「ひきこもるこころに寄り添う講演会」と題して、社会福祉協議会と共催で初めて一般市民向けの講演会を開催いたしました。内容は、ひきこもり当事者であった方を講師として、ひきこもりの方の心理、家族や地域の方の好ましい関わり方などについての講演でありました。参加者は新型コロナのこともありまして40名でありましたが、アンケートの結果、参加者の6割、当事者の方やその御家族であって、こうした講演会の必要性を感じたところであります。 また、昨年の12月でありますが、ひきこもりの相談窓口を開設いたしました。ひきこもりについては否定的に捉えることがないように、人生の大切な充電期間と捉えて、当事者の方が安心をして家庭や地域で過ごせるような地域づくり、これが必要だと考えての開設でありました。 このひきこもりによって生じる課題、様々ありますが、「8050問題」も含めて課題を抱えた方々が気軽に相談できる体制を整えることが大切だと考えています。 今後につきましても、社会福祉協議会と共催をして一般市民向けの講演会のほか、当事者の方や御家族の皆さんが集える研修会等も企画をしてまいりたいと思います。この相談窓口については市報またケーブルテレビ等を通じて、伊那市にはひきこもり相談窓口がありますよということも周知をしてまいりたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) この切れ目のないひきこもり支援体制というのも始まったばかりではございますが、私は大変期待しております。長丁場になるかとは思いますが、ぜひともお力添えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、フレイル予防についてお伺いしたいと思います。「フレイル」とは病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい健康と要介護の間の、はざまと言いましょうか、間の虚弱な状態のことでございます。しかし、こちらのほうは適切な対策をすれば、機能を回復段階ということで整えることができると言われております。このフレイル予防に取り組むことにより、要介護にならないよう健康状態を維持する、そういう手助けとなります。市民の皆様が健康になるため、そして地域住民の皆様が健康であること、そういうことだけでも地域の活力になるのではないかと私は思います。 ここで質問いたします。このフレイル予防の取組というものはメリットがあると思いますが、どのようにお考えでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 新型コロナの感染予防のための自粛生活が続いておりまして、多くの高齢者にとっても人とのつながりが薄れがちで、フレイルの悪化というものが心配をされております。伊那市では高齢者の健康づくりに、閉じこもり予防等のために、地域住民が歩いて通えるいきいき交流施設など、市内107か所で「脳いきいき教室」を感染対策を行いながら開催をしております。 また地域で自主的に介護予防の体操教室を行っているグループの活動支援、また講師料の補助というものを行っておりますとともに、栄養指導とか口腔機能の向上を中心に行う「食でいきいき健康教室」といったものも実施をしております。 そのほかにも高齢者の社会参加につながる取組として、「いーな介護支援ボランティア事業」を行っておりますし、ボランティア活動にポイントを付与することで、新規の登録者も増えているということでございます。 令和5年1月末では登録者414名、そのうちの新規が41名ということで、人数的にも増えているということであります。フレイルの心配のある方に対しては、3か月間の短期集中体操教室、こうしたものも開催をし、終了後は地域の自主的な介護予防の体操教室などを紹介をしているところであります。 今後についてでありますが、地域の小さな単位で通いの場としての介護予防活動の展開ができるようにと、そうした人材の発掘養成が必要であり、シルバーリハビリ体操指導士養成事業というものも進めていく考えであります。引き続いてフレイル予防を含めて、介護予防事業に積極的に取り組んでいく計画であります。 ○議長(白鳥敏明君) 小林議員。 ◆11番(小林眞由美君) これから高齢者が増えてまいりますけれども、やはり健康であってほしいと思います。その中で小さな単位での集まり、そしてリハビリ体制を整えていただけるというお話に、大変うれしく思っております。やはり市民の健康を常に考えていただきたいと思っています。 先ほどちょっと言い忘れた部分で、ひきこもりの関係の支援でございますけれども、当事者の居場所のほかに家族の方々が意見を共有と言いますか思いを共有するという話も、先ほど答弁の中にございましたけれども、確か柏崎の取組だったと思いますけれども、やはりこの自助的グループ五、六名で作っていただきまして、そしてその家族の皆様が本音で言える場所、それから心が軽くなる場所というものを作られたことにより、大変その家族の皆様が明るくなり、そして前向きな動きとなったことがひきこもりの改善につながったというお話もお聞きしました。いろいろな方法があるとは思いますけれども、こんな施策、そういったものを展開をされるようなことも願っております。ぜひ福祉に関してはたくさんのものに関わっております。大きな課題にぶつかっている人々のお心を軽くする、そんな場所が多くあることを願っております。ぜひ、これからも福祉の部分について力を入れてしていただくことをお願いしまして、質問を終わりとさせていただきます。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、小林眞由美議員の質問が終了しました。 暫時休憩といたします。 再開は、13時30分とします。 △休憩 午前11時51分 △再開 午後1時29分 ○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 柳川広美議員の質問に入ります。 21番、柳川広美議員。     (21番 柳川広美君登壇) ◆21番(柳川広美君) 21番、柳川広美です。あらかじめ通告してあります3点について質問をさせていただきます。 まず1点目でありますが、前原のメガソーラー計画と伊那市の太陽光発電設備の設置等に関する条例についてであります。 伊那市は昨年3月の議会で、伊那市太陽光発電設備の設置等に関する条例を可決し、4月1日に施行をしました。昨年ですね。 この条例の目的は、「太陽光発電設備の設置が防災上及び自然環境に及ぼす影響に鑑み、その設置に関して必要な規制等を行うことにより、太陽光発電事業と地域との共生及び良好な自然環境等の保全を実現し、市民の生命及び財産を保護すること」と規定しています。 そこでまず基本的なことを質問させていただきます。条例の対象は、発電出力が10キロワット以上のもの、また事業区域の面積が1,000平方メートルを超えるもの、また事業区域内の土地における高低差が13メートルを超えるもののいずれかに該当するものと規定されております。 事業者はこの条例第10条の規定により、規則で定めるところにより、太陽光発電設備設置事業に係る概要書を提出し、市長と協議しなければならない。事業者のうち前条の抑制区域において、太陽光発電設備設置事業を実施しようとする者は、前項の事業概要書の提出後、規則で定めるところにより当該事業の関係法令、この条例及び関係ガイドラインについて市長と協議しなければならない。3項で、市長は前2項の協議があったときは、事業者に対し必要な指導または助言をすることができるとしています。 そこで以下、14点を市長に質問をさせていただきます。まず1点目でありますが、前原で太陽光発電施設の設置を予定して、森林を伐採し造成を始めているS事業者がありますが、市とは協議を開始しているのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 全部で14項についての質問があるようでありますが、私のほうからは市としての考え、私の考えについて述べさせていただきたいと思います。で、それ以外については、担当の部長のほうからお答えをさせていただくということで、この案件については非常に私は重大な案件であるというふうにとらえておりまして、今、顧問弁護士を通して相談をしているところであります。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) では、1番目の質問でございますけれども、前原地区で計画されている太陽光発電事業、平成30年から事業実施に向けた動きがありました。当時運用されていました伊那市再生可能エネルギー発電設備の設置等に関するガイドライン、今後また同じガイドラインのことを言う場合は単にガイドラインとさせていただきますが、このガイドラインに沿って協議を開始しているところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) じゃあ2番目の質問は、協議を開始しているとすればいつでしょうかということですが、ガイドライン上、平成30年のいつからでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) ガイドラインにおける協議を平成30年11月1日から開始しております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 3番目の質問です。条例施行が2022年4月1日ですので、市との協議はそれ以降というふうに私は思っておりましたが、伊那市は経過措置として2022年4月1日以前から協議している事業は、条例施行後3か月以内にガイドラインの条件を満たせば、ガイドラインが適用されるとしていましたが、このS事業者はガイドラインが適用されたのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 令和4年4月1日に伊那市太陽光発電設備の設置等に関する条例、以下、太陽光条例とさせていただきますが、こちらが施行されまして経過措置として6月末までに、地元自治会及び隣接地権者等から同意を受けた事業については、ガイドラインが適用されるというふうにされておりましたが、当該事業につきましては全ての地元自治会及び隣接地権者から同意を得ることができなかったため、ガイドラインは適用されませんでした。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 4点目の質問です。条例第13条では、事業者は太陽光発電設備設置事業に係る申請をする前に、次の各号に該当する者から個人については署名捺印、法人等については署名捺印または記名押印による同意を得なければならないとなっています。(1)所有者等、(2)事業者区域の隣接する土地及び建築物の所有者、占有者及び管理者、(3)地域住民等で構成される自治会の代表者、その他規則で定めるもの、(4)前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認めた個人または組織等の代表者とありますが、このS事業者は(2)の隣接する土地及び建築物の所有者、占有者及び管理者、(3)自治会の代表者などの同意が得られているのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 隣接する土地や建物の所有者等からの同意については、該当する方全員からは得られていません。なお、当該事業の土地所有者が事業予定地の周囲を4メートル幅で分筆登記したということがございました。この部分については、市では分筆登記後の土地所有者を隣接者とは考えておらず、分筆登記前の隣接地権者が太陽光条例上の隣接者と考えております。 また、当該事業で同意が必要となる自治会は、具体的に前原区、野底区、上川手区が該当いたします。前原区からはガイドライン運用時に同意を得ておりまして、同区からの求めに応じて協定も結んでおります。野底区及び上川手区については、地元説明会を開催はしていますが、現在まで事業に対する同意は得られていません。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 5番目の質問です。S事業者は、条例の第17条にある第10条第1項の規定による市長との協議を完了した日から起算して、1年以内に太陽光発電設備設置事業に係る許可申請書を市長に提出し、市長の許可を受けなければならないとありますが、この1年以内はいつになるのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 御指摘の市長との協議とは、事前協議のことでございまして、具体的には関係法令等の所管部署または関係機関との協議のことを言います。協議が完了した日とは、この担当部署等との協議の結果、それらの部署が発行する許可書などの交付を受けた日のことを言います。当該事業の場合は、県から林地開発許可書の交付を受けた令和4年6月13日が太陽光発電設備の許可申請書を提出するのに必要な許可書などを受けた最後の日に該当いたしまして、市長との協議を完了した日から起算して1年以内は、令和5年6月12日までの間ということになると考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) ではこの6番目の質問ですが、この1年以内に許可申請が出されない場合は、市はどのように対応するのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 事前協議の終了から1年以内に許可申請書が提出されない場合は、それまでの市との協議内容等は無効となるというふうに考えております。計画を続けようとする場合は、改めて条例に基づいた対応をお願いすることになります。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 7番目の質問です。この事業者は、伊那市に対して道路の側溝を道路側に拡幅して道路側溝に水を流すための工事申請を伊那市は許可を出しております。この工事申請の際に、S事業者の下請事業者SL社は、伊那市前原太陽光発電所建設造成工事に伴う24条工事のため、既存の側溝U字溝300をU字溝の450に変更する敷設替えの自営工事を市に申請、許可をもらい工事は完了しております。 ところが実際には、このSL社は市へ申請したU字溝ではなく、蓋を置けるタイプのさらに幅の広い側溝を敷設しました。写真を見ていただきたいと思いますが、ここまでのはずだったのですが、この両側ですね、両側の部分が申請よりも幅が広くなっています。なので、道路の歩道はさらに狭くなっております。 この道路は、六道原工業団地から新しく今、造成しています国道153号バイパスへ抜ける道路であり、幅の広い道路で大型トラックがすれ違える道路幅があります。ところがこの側溝の工事によって、歩道は0.5メートル幅ほどあったものが、U字溝により15センチ削られ、さらにこの蓋の部分ですね、蓋の部分が両側に、全部道路側に出ているので約10センチぐらい、削られて歩道は非常に狭くなっております。 次の写真をお願いします。これが、こちら全体の道路の感じなんですが、ここが白線で、この白線と側溝の間が、約5センチぐらいに狭まっております。なので白線も入れても、歩道部分15センチぐらいというふうになっております。この側溝の工事について、この部分の占用を市は許可したのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 橋爪建設部長。 ◎建設部長(橋爪豊君) 業者等による道路構造物の自営工事につきましては、道路自営工事基準に適合し道路の構造、安全面、耐久性等に問題がないかを審査しております。本件の自営工事申請は、開発区域から下流側の延長約250メートルについて、幅30センチの側溝を下流側の断面である幅45センチの側溝に合わせて布設替えする工事となっております。側溝は歩道ではなく路肩に布設されているもので、車両の通行に支障がないと判断し、許可をいたしました。 現状は先ほど議員おっしゃるとおり、申請内容と異なる製品が使用されておりますが、変更承認申請等の提出がなく変更に対する許可は出しておりません。また、工事完了届も未提出のため、適正な手続を指導しているところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 変更の申請出ていないということですが、8番目の質問です。この側溝の拡幅工事に関して、野底区と前原区の了承はあったのでしょうか。道路法第24条では、関係者の同意が必要となっております。関係者というのは町内会長の同意、それから農業用水路の場合は生産組合長の同意、また隣接土地所有者の同意これは乗り入れの場合ですが、このケースの場合、①の町会長の同意というのが必要と思いますけれど、この町会長の同意はあったのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 橋爪建設部長。 ◎建設部長(橋爪豊君) おっしゃるように自営工事承認申請には利害関係者の同意を義務づけております。令和4年6月の許可時点では、計画地の前原区からは同意書を提出していただいておりますけれども、下流区域の野底区については防災調整池の河川放流について、河川管理者である伊那建設事務所が審査をしました防災調整池審査結果通知書、この提示により野底区の同意にかえてもらいたいと事業者が申出がありましたので、野底区の同意があったと解釈をしましたが、後日、野底区説明会で同意がされていないことが判明しております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 市の担当者は、事業者の言うことを信用して申請を出したわけですが、実際は違ったということですが、9番目の質問であります。このSL社は、側溝の工事申請の際に虚偽の報告を市へ行ったと聞いていますが、本当でしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 橋爪部長。 ◎建設部長(橋爪豊君) 経過ですけれども、令和3年の7月、道路側溝の拡幅について自営工事申請がされたわけですけれども、その時点で該当します前原区、野底区両区長からの同意は出されておりませんでした。そこで、両区長の同意が許可の条件であることを説明し、その時点では許可をしませんでした。 その後、先ほども説明をしました令和4年6月、野底区長から同意を得たとの報告があり、同意書に代えて放流河川の管理者である伊那建設事務所が発行した調整池審査結果通知書の提示があり、許可をいたしました。 その後ですけれども、令和4年の11月に業者による野底区への地元説明会の折に、市の担当者が同席しましたけれども、野底区からは同意を得られなかったことが判明をしております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 10番目の質問ですが、虚偽の説明をしたということ、この側溝の拡幅に関してはそもそも太陽光発電施設の設置の排水を一か所にためる調整池がいっぱいになった際に、あふれた水を排水するための工事であり、伊那市は太陽光発電施設の設置に関して条例13条の近隣住民、自治会代表者などからの合意があることを確認してから、この自営工事の許可をするべきではなかったかと思いますが、その点に関してお伺いします。 ○議長(白鳥敏明君) 橋爪部長。 ◎建設部長(橋爪豊君) 先ほど申しましたその防災調整池審査結果というものの審査の基準であったり、また野底区長へ改めて確認するなど、もっと慎重な対応が必要であったというふうに思っております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) この前の教育委員会で遺跡発掘がされなかったという事例も、教育委員会と生活環境課できちんと連絡を取っていれば、こういうふうにならなかったと思うんですよね。同様なことではないかと私は思います。 なので、どの課でもこれは関係してくるということで、もし太陽光発電施設に関する関係する工事とか、関係する申請が出た場合は、必ず生活環境課に連絡を取って現状を聞き、その上で対応するということが必要ではないかというふうに思います。 11番目の質問に入ります。今後、申請と違う工事が行われたことに対して、市はどのように対応するのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 橋爪部長。 ◎建設部長(橋爪豊君) 先ほど申しましたけれど、申請内容と違う工事が行われていることについては、業者に指摘をし適切な手続について指導をしております。 今後ですけれども、法的な指導等につきましては、顧問弁護士に相談中でございます。また、市道などの管理者としましては、各申請あるいは審査について、体制の強化を図っていきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 12番目の質問に入ります。このような、虚偽の報告をする事業者と伊那市は今後も太陽光発電施設設置の協議を継続していくのでしょうか。このS社は市の完了検査を実施していないにもかかわらず、勝手に敷地の排水路を市道の側溝につないだと聞きましたが、本当でしょうか。 次の写真を見てください。この後ろにあるのが、その調整池の大きい壁であります。ここの排水をこのオリフェスというのですけれども、流量を図って道路に流すというものですが、これは県の指導を受けてきっちり作ってあるというふうには言っていましたが、これが道路側溝であります。ここがもう開いて、つながっております。 もう一つの写真ですね。これが調整池のてっぺんで、これが水を流すオリフェスというのですが、流量を調整して流すというものです。で、これが道路側溝ですが、ここがもうつながっているという状況であります。 この写真を撮りに行きましたら、2月27日、S社は、前原の建設予定地に既に交換機、直流を交流に変える機械ですが、これを設置をしていまして敷地内に排水路の工事もしておりました。市の条例の許可が出ていないにもかかわらず、太陽光発電設備の設置が既に始まっております。これに対して、市はどのような対応をするのでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 太陽光条例第18条には、市長が事業を許可しないものとして、「太陽光発電設備設置事業の実施に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めた者」を挙げております。事業者のこれまでの対応を考慮いたしまして、顧問弁護士とも相談しながら、今後適切に判断をしてまいります。 また議員御指摘のとおり、当該事業の事業者は林地開発許可により敷地内に整備した調整池からの排水路を、道路占用の許可がないにもかかわらず市道の側溝に接続をしております。このことについても、顧問弁護士と相談する中で、適切に対応していきたいと考えております。 また、もう一つ御指摘のありました建設予定地に交換機を設置しているということでございますけれども、こちらの調べですと、その直流を交流に変換する機械につきましては、いわゆるパワーコンディショナーというふうに言われるものでございまして、これは太陽光パネルのすぐそば、下あたりに置くのが通例です。恐らく議員がおっしゃっているのは変圧器、電力会社が設置する電柱の上にある低い電圧を高い電圧に変換するもの、これだというふうに考えております。こういったものにつきましては、やはり太陽光条例第2条で、条例が許可すると規定をされております太陽光発電設備について定義しているわけですけれども、それによると太陽光発電設備とは、太陽光を電気に変換する設備及びその附属設備、ただ(送電に係る電柱等を除く)というふうにしてありまして、この規定によりまして電力会社が設置する電柱やポール、またそれに附属する変圧器だとかメーターとか、これについては条例に定める許可が必要な太陽光発電設備に当たらないというふうに考えているものでございます。 今後、建設予定地の状況は常に確認をいたしまして、条例において許可がない、許可が必要となるような行為が実際行われていないかどうか確認をいたしまして、市の許可前に太陽光発電設備の設置が行われることがないように対応していきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 私はどう見ても、太陽光発電設備の一部だというふうに思いますけれどね。その解釈でというのは、ちょっとどうかなというふうに思います。 13番目の質問に入ります。今後、伊那市はこのS社とどう対応するのでしょうか。県へはこのような事業者であることを連絡したのでしょうか、その点についてお伺いします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 顧問弁護士に対しまして常に相談をかけながら、現状の進行状況、また届出がない状況下での工事、そうしたことについては逐次、弁護士のほうとやり取りをしております。 伊那市としては太陽光条例に従って適切に対応するということでありまして、また県の林地開発の許可にも関係する部分があります。このことについてもやはり県とは情報を共有しながら対応していくと。今後も県と連携を図るということは当然でありますが、その上において適切に対応するというのが伊那市の姿勢であります。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 太陽光発電の発電に関して優遇措置をするのは、経済産業省でありますので、経済産業省への通告も含めて、検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 14番目の質問に入ります。伊那市の条例があるにもかかわらず、長野県はこの事業者に森林伐採と土地の造成工事に許可を出しました。ここが国の法律の盲点だと考えますけれども、市の条例で近隣住民の合意が必要と規定されていれば、県も近隣合意が得られた場合に伐採、造成に入ってよいとするべきではないかというふうに私は考えます。県がこの事業者に林地開発の許可を出した目的は、太陽光発電施設の設置であります。こうした法律の盲点を、国や県は出さないことが必要ではないかと考えます。事業者はもし、近隣住民の同意が得られなければ、この林地開発を元に戻し、造成を元に戻し植林をしなければなりません。こうした仕組みについて、市長はどう考えるでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 今回の案件だけではなくて、大規模な太陽光発電設備に係るトラブル、これ県内全国にもたくさんあります。このことにつきまして市町村がどれだけ苦労しているのかということ、これ市町村だけの力では解決が難しい問題ばかりであります。やはり、国・県の制度の手続、あるいは手続そのものにも私は疑問を感じております。基礎的自治体が個々の案件について、本当に苦慮して労力、時間を使いながら対応していく、またそれを無視をしながらどんどん工事を進めていく、それに対してのこう隘路を探し出してやっていく業者に対して、自治体だけではどうしても対応し切れないというのが実態だと思います。 国のほうでは、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて再生可能エネルギー、この利用の促進に向けた特別措置「FIT」、これによって太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及に取り組んでおります。このことについては悪いわけではありませんが、その国のほうで太陽光だと言えば免罪符を得たように、業者は太陽光、太陽光で大規模に森林伐採から山林開発から、農地の利用から、どんどん進めていくということで、本当にそれでいいのかということですね。私は長野県であれば、豊富な森林を使った木質バイオマスによっての発電だとか、発電といいますか利用だとか、あるいは小水力発電、落差を利用したものだとか、あるいは屋根乗せの太陽光だとか、そうしたものに加えて省電力、LEDを使っての電気をなるべく使わないという、そうした取組で長野県は切り替えていくべきだというふうに思っておりますし、県にもそういう動きはあるものの、まだそれが条例化されていないということが今、基礎的自治体、私たちの市町村が苦しいんでいるとこだと思います。 この太陽光設備をはじめ再生可能エネルギーの設置について、やはり国・県において大規模災害の発生の可能性も十分ありますし、景観の保全という観点からも一定の、一定どころかしっかりとした規制が必要であるというに考えております。 県においては現在、太陽光発電設備の設置に関わる条例を策定中のようでありますが、地域住民とのトラブル、これはもう常時発生しているということをよくよく考えていただいて、早く実効的な条例をつくる、それから今、トラブルとなっているところについても県も介在をしながら一緒になって考えるというような姿勢を持ってもらいたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 本当に、国ももう少し近隣住民の合意がないものに関しては、電力の発電を接続しないぐらいの対応をしていただきたいというふうに思いますし、林地開発も、住民合意の上でゴーを出してくれるというふうにしないといけないのではないかというふうに思います。下流の野底区の皆さんが一番心配しているのは水害であります。その点を考慮して、きちんとした対応をしていただきたいというふうに思います。 2点目の質問に入ります。学校などの給食に有機無農薬の野菜をであります。 市内でも有機栽培、また有機無農薬栽培、有機無農薬無化学肥料栽培などに取り組む農家が増えてきました。伊那市が開催しています「伊那谷有機農業塾」にも多くの方が参加されたとお聞きしました。農業を主として営みたいという方も、参加されていたようですが、なかなか販路を見つけ、有機栽培農家として経営を安定化することは容易ではありません。 ある県外のミカン栽培農家さんですが、竹を伐採し、それを破砕機にかけて堆肥の材料にするそうですが、その作業、冬に1週間ほどする間に、破砕機が毎回1回は壊れるとおっしゃられていました。そのほかにも、シイタケの廃棄する菌床をもらうなど、工夫して肥料にしています。販売できないミカンも堆肥にすると言います。この県でもイノシシなど出て、なかなか有機栽培も大変なようであります。 またこれは箕輪町の話ですが、農業をしている方ですが除草をせずにナスやピーマンを育てるということで、これは畑が乾燥せず、とてもやわらかいおいしい野菜ができるそうですが、なかなか周りの畑の持ち主からは理解されないと。草がどんどん生えますので、そういう話をしていました。 市内でも有機農業に取り組み、アルストロメリアの栽培や自家製の堆肥を販売している農家もあります。 株式会社Wakka Agriさん、もう既に有名ですが、化学肥料、農薬を一切使わない自然栽培でお米を生産し、今海外で玄米食専門のお米「カミアカリ」を、ほかに自然栽培玄米などを販売されています。玄米食をする人にとって、無農薬は必要欠くべからざるものなんです。玄米はお米の皮の部分も食べますので、栄養分は豊富ですし、皮膚も非常に丈夫になりますが、ただ農薬が入っているお米ですと、この皮の部分に、農薬が残るというふうに言われていまして、玄米食をしたいけれど、なかなか無農薬の玄米はなかなか値段的に手がでないというのが実情であります。 そういったことで、需要があるんだというふうに思いますけれども、今後世界的には、人口爆発により食糧危機が待ち受けております。玄米食は日本人にとって身近な食糧危機対策になるというふうに考えます。 全国的にも化学肥料、農薬を原則使わない有機食材を給食に取り入れる動きが増えてきています。 千葉県いすみ市では、2012年に環境保全型農業によるまちづくり宣言をしていまして、有機栽培を行う農家を支援し、2017年10月に学校給食を全て有機米に変え、昨年10月には給食費を無償化、地産地消によるまちの活性化や環境負荷の軽減、地域のブランド化にもつながり、農業の新たな活路として注目されているということであります。 ウクライナ戦争で肥料の原料が入って来ない、これはロシアが主な肥料の原料の調達先だそうでありますけども、大きな影響を受けた農業ですが、今後持続可能な農業が農業のメインテーマになっていくというふうに考えます。伊那市での以前の農業は、山から林の下草を刈り、運び、田んぼの堆肥にしていました。牛や馬を飼い、堆肥の原料にしていました。そうした農業の復活が実際には必要なんではないかというふうに思います。そこで、市長と教育委員会に以下3点を質問をさせていただきます。 まず1点目ですが、伊那市の学校給食や保育園の給食にも、市内の農家が栽培している無農薬・有機栽培・低農薬ネオニコチノイドを使わない農産物を購入して使える仕組みを作ってはどうでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 地域の中には有機栽培また無農薬、低農薬に取り組んでいる農家も随分あります。地産地消の面でも可能な範囲で活用させていただいているということでございますが、ただ現状では地域の生産者が減少傾向にあるために、保育園で必要とする量を有機栽培による野菜で全て補うことが難しい状況であり、安定して購入して使える仕組みができれば、積極的に活用していきたいと。また、価格も当然高くなりますが、このことについてはいいものは安く買う必要もございませんので、必要とする流通量を確保できる生産者については、安定な価格で購入をしたいと。また、地元の園、保育園の場合ですが、地元の園を中心に購入先として登録をした上で積極的に活用、また安全で安心な給食を提供してまいりたいと思っております。 また、先日「夜なべ塾」という農家の若手、若手だけじゃないんですけど、そうした皆さんと懇談をする機会があって、有機の話も話題になりました。やはり今、有機やっている皆さん、お客さんがそれぞれありまして、これ以上増やすというのは難しいというふうにやっぱり言っておられますけれども、普通の米の価格よりも高く、また地域のためにあるいは子供さん、子供たちのためにということであれば対応というかトライしてもいいよと言う方もいらっしゃいましたので、そうした方からだんだんに広げていくような形が取れればと。お米のほうからこう入っていくということも、一つのやり方かなと思っています。 ○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。 ◎教育次長(馬場文教君) 学校給食に関わってお答えいたします。伊那市におきまして、学校給食においても地元産の食材を導入していきたいというところでありますけども、有機肥料等を使った野菜については、生産者数が少ないことなどから、やはり収穫時期の可能な範囲での利用をしているにとどまっているとこであります。学校給食の現場では、現在三つの施設で有機農産物を受け入れている状況であります。ただ十分な量の確保が難しかったり、あと下処理に時間がかかるというような課題もありまして、ほかの学校に取組を広げていくには、今後課題を解消していく必要が出てくるかと思います。 課題はありますけれども、地産地消の推進は学校給食における柱と考えておりますので、まずは小規模校での実施など実現可能なところから進めてまいりたいと考えているところであります。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 確かにね、大勢な学校はなかなか難しいかと思いますけれども、お米に関してはぜひ川の上流のほうから始めるのが私はいいのではないかというふうに思います。長谷も、Wakka Agriさんは一番上の田んぼから作っているというふうに聞いていますので、そうしたところが取り組みやすいんじゃないかというふうに思いますので、中山間地の農業の振興になるんではないかというふうに思います。 2番目の質問ですが、伊那地方卸売市場に無農薬、有機無農薬、有機無農薬無化学肥料、低農薬などのコーナーを作ってもらい、学校給食や保育園、幼稚園の給食で使える仕組みができないでしょうか。来年度からは、駒ヶ根の卸売市場もなくなると聞いています。この点についてお伺いします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 結論から言いますと、伊那地方卸売市場で有機野菜を取り扱うということについては、なかなかハードルが高いと思っております。また現状については、参事の方からお話をさせていただきます。 ○議長(白鳥敏明君) 寺田農林部参事。 ◎農林部参事(寺田周平君) 現状について説明させていただきます。伊那地方卸売市場は民間の市場で、丸伊伊那青果等が運営する地方卸売市場の総称になっています。以前、一部の農家が有機農産物を持ち込んでいたことはありますが、現在は取り扱っていないと聞いております。 有機農業の推進について、議員おっしゃられたように「伊那谷有機農業塾」を全6回にわたって開催し、全国的な先進的な取組をしている講師を招いて、伊那谷で農業に関わる人を対象に、講義を実施してきました。第5回の、1月11日に行った第5回では、先ほど話に出た有機米を学校給食に取り入れるなど、先進的な取組をしている千葉県いすみ市から講師をお招きして、有機米を学校給食にという話を聞きました。 ほかにも令和元年からは長谷地域で、有機農業の推進と、都市農村交流を軸に地域振興を目指す「さんさん協議会」という活動も支援してきております。 また道の駅の南アルプスむら長谷の売店には、有機農産物を扱うコーナーを設置するなどして、有機農業の推進に取り組んでいるところです。 以上です。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。
    ◆21番(柳川広美君) ぜひ、どこに行けば買えるのかというのを、意外と皆さん知らないかと思いますので、道の駅もPRしていただきたいというふうに思います。卸売市場というのは、なかなか難しいのかなというところですが、3点目の質問です。 こうした無農薬、有機無農薬、有機無農薬無化学肥料、低農薬の農産物を購入すると、仕入れの値段が高くなります。その差額を市として補填する仕組みを作ってはどうでしょうか。そうすれば、価格も安定し農家は販路を広げるための投資などに利益を回すことができるのではないでしょうか。伊那市の新しい農業振興策として必要と考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 伊那市におきましても学校給食などに有機農産物を取り入れるため、まずは先ほど申しましたけどもお米、あるいは大豆、こうしたものを切り口に価格差をどういうふうにするのかということも検討をし、給食現場また生産者の声も聞きながら、課題解決に向けて検討していきたいと。有機についてはもう高いのは当然なんですが、安心ということで、やっぱり需要はどんどん伸びています。伊那市、あるいは伊那市近郊の生産者からも、実は丸紅の迎賓館というのがありまして、各国からお見えになっている、そこのレストランの野菜は全て伊那から行っています。有機です。これも帝国ホテルのシェフが来て、作りながらやっているということで、莫大な量ではないんですが、安定的にそこで買い取ってもらい、午前中お話をしたように伊那の経木を使ったり、麦のストローを使ったりということで、非常に好評だということを聞いておりますので、そうしたお店なり提供できるところをだんだんに増やしていくと。増やしていきながらブランド化をし、そして生産者にもしっかりとお金が回っていくような、そうしたお手伝いを市としてもやってまいりたいと。 現状につきまして、また参事のほうからお話をさせていただきます。 ○議長(白鳥敏明君) 寺田農林部参事。 ◎農林部参事(寺田周平君) 現状について、説明させていただきます。世界的にも有機農業は急拡大の傾向にあり、現在日本においてみどりの食料システム戦略を発表しているんですが、大きく世界的に見れば遅れを取っている状態だと思います。 食料システム戦略の目標としては、2050年までに化学肥料の使用料を30%落とすということと、有機農業の取組面積ですね、栽培面積を100万ヘクタールまで拡大するということを目指しています。全国的には有機農産物を給食に導入し、有機農業、子供たちの食育推進、ブランド化による地域振興に結びつけている自治体もありますので、それも参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) ぜひ、学校給食に安定的に使えるようにするには、ジャガイモとかニンジンとか、保存のきく野菜を主として保存できる倉庫を造るとか、そういう方法もあるのではないかというふうに思います。提案しておきたいと思います。 大きく3点目の質問に入ります。制服・体操服のジェンダーレス化についてであります。 ジェンダー平等のための自治体の取組、様々に取り組まれていますが、令和元年12月議会で制服のジェンダーレス化について質問していますので、これは2回目の質問であります。 中学校や幼稚園、保育園などで制服が着用されていますが、制服のない保育園もありますが、テレビなどでも制服のスカートが嫌で学校に行けなくなったなど、過去の思い出を振り返る生徒の思いが語られるようになり、中学校の制服をジェンダーレス化する学校も増えてきております。上着を男性用、女性用と分けない。詰め襟をやめる、リボンやネクタイを好きなものを選べるようにする。スカートやパンツも男性も女性も選べるようにするなどであります。箕輪町の教育委員会は、生徒にアンケートを取って、今後、ジェンダーレス制服を取り入れると表明されております。 そこで以下3点、市長と教育委員会に質問をいたします。まず1点目ですが、伊那市も中学校で制服のジェンダーレス化に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。もちろん高い制服になっても困ります。値段の高くないものでということですが、いかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 近年、性の多様性に対する理解が深まる中で、中学校の制服の在り方についても検討が始まっております。市内の中学校でも検討に着手した学校もございます。また、検討にまでは至っていなくても、男女による区別のない運動着を制服の代わりに着用することも認めている、そういう学校もあります。また女子の制服のスカート・スラックスの自由選択、これは全部の学校で認めている、そのように承知しております。 中学校の制服でございますが、これはそれぞれの学校で制服委員会を置くなどして、生徒また保護者の意見を踏まえて決めていかれるものですけれども、御指摘のあった点については費用面の課題も含めて、今後さらに検討が進んでいくもの、そのように理解をしているとこでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) 詰め襟の選択を残すという学校もあるそうですので、そんな点も考慮していただきたいというふうに思います。 2番目の質問ですが、体操服に関して、学年によって色を変えるという中学校が多いんですが、体操服の色を自由化してはどうでしょうか。自分の好きな色の体操服を選べるようにしていただきたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 中学校の運動服についてでございます。議員お話の中にありましたように、1校ですけれど、学年ごとの色を決めている学校がございます。多くの学校は学校で統一した色の運動着、これを採用をしています。運動着の色の自由化という今、御提案でございますけれども、指定の運動着を導入している目的、これは一つは、やはり生徒の安全確保、教職員また地域の住民が一目でどこの中学校の生徒であるか、そのことが認識できるようにするといったこと。また同一のものを数量多く購入することになりますので、価格を抑えるということにもこれつながる面がある、そのように考えられるところでございます。 こうした状況から、いろいろな色、多くの色の運動着を認めるということについては課題も多いところかというふうに思います。 なお、性別による色分けをなくす、あるいは男女兼用の製品を採用する、そうしたことは大変重要なことであります。このことについては全ての中学校で導入をしているところというふうに理解をしております。 いずれにしましても、制服と同様に運動着につきましてもそれぞれの学校でこれは決めているところでございます。御提案の内容を学校にお伝えしつつ、生徒・保護者の意見も聞きながら、性の多様性に配慮したものとなるように検討していただけるよう促してまいりたい、そのように考えます。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) ぜひ自分の好きな色を着たいという気持ちもあるというところを汲んでいただきたいというふうに思います。 3点目の質問に入ります。保育園の園児服に関してですが、現在は水色になっていますが、以前は黄色でありまして、何か汚れが目立つというような理由で多分水色になったんではないかなというふうに思いますけれど、これに関して、もう少しいろいろなピンクとか黄色、だいだい色、緑色など何色かから子供の好きな色を選べるようにしてはどうでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 保育園の園児服につきましては、私立の園では園の特色とそれぞれの選定をする中で行っていると。また公立の中では男女の違いなく、夏服と冬服の2種類を選定をしているということで、それも市内の衣料品店で購入ができるというふうになっております。 園児服の種類を統一することで、価格を低く抑えることができるという、先ほどの話にもありました。また、上の子のお下がりを活用することもできるなど、保護者の負担軽減という面がありますので、そのこと。また安全管理面でも自分の園の子を判別しやすいなど、そうした効果もあるということであります。 園児服につきまして多くの色の選択肢を設けることについては、保護者の経済的負担また園児の安全管理の面からも課題がありますので、保護者、現場の保育士などの意見も聞きながら、今後の研究課題としてまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 柳川議員。 ◆21番(柳川広美君) いろいろな、ただ小さい子供でも、色の好みっていうのはあるんですよね。着たい服があるということですね。園児服なくてもいいのかなというふうにも思うんですけれども、そういう選択もあるのではないかというふうに思います。ただ、散歩に行ったときとか、自分の連れている園の子供かどうかはっきり分かるという必要はあると思いますけれど、それは園児服ではなくてもできるのではないかなという気もしますが、そんな点も含めて選べることも検討していただきたいというふうに思います。 以上で質問を終わります。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、柳川広美議員の質問が終了しました。 引き続き、唐木拓議員の質問に入ります。 3番、唐木拓議員。     (3番 唐木 拓君登壇) ◆3番(唐木拓君) 3番、唐木拓です。初めに私ごとですが、最近スーツを着る際には「イーナちゃん」のピンバッジをつけるようにしています。市議会議員の議員バッジは全国共通でして、この議員バッジをつけているだけではどこの市議会議員か分からないのが現状です。 かつて駒ヶ根市議会議員であった知り合いの方は、議員でなくなった今でも駒ヶ根市のPRキャラクター「こまかっぱ」のピンバッジをつけています。強い駒ヶ根愛を感じます。それを参考にしまして、よいと思うことはまねる精神で、私もイーナちゃんピンバッジをつけ始めました。 スーツを着て出かける際は、必ずピンバッジをつけて出かけるようにしています。このピンバッジを、市役所の1階売店にて300円ぐらいで購入することができます。ぜひ賛同していただける議員さん、職員の方がいらっしゃいましたら、ぜひ今日にでも売店でピンバッジを買って、伊那市をアピールする一助にしていただければと思います。 さて、さきに通告しましたとおり質問させていただきます。ふるさと納税についてです。 私がふるさと納税について疑問に思ったのは、昨年末の12月でした。過剰なテレビCM、インターネットでも多くの広告が表示され、YouTubeでもふるさと納税の広告が何度も流れました。そして新年になると、これらがピタリとなくなりました。 ふるさと納税を仲介する会社のアピール合戦ですが、この広告費の原資はどこから出ているのだと、疑問を持ったわけです。また、さらに仲介会社によっては現金と同様の扱いとなるポイントまで付与される仕組みになっていました。一般的に考えると、ふるさと納税をしてほしい自治体側が、ふるさと納税をしようとしている人に興味を持ってもらうため掲載する手数料が原資になっているのではないかと想像することが容易にできます。 今回はそんなふるさと納税について、取り上げてみたいと思います。 ところで、皆さんふるさと納税しておりますか。ふるさと納税は国民全員へ与えられた権利ですので、個々の判断で行使すればよく、誰がどうこう言う必要はございません。ちなみに、私自身は2014年にふるさと納税をして以降、2015年の初めに青年会議所JCへ入会し、地域のことを考えるきっかけをいただき、その年2015年からは、伊那市の税金が少なくなっては地域のためにならないと思い、ふるさと納税をしていません。 こちら画面は私の過去のFacebook投稿でございます。左側が2014年の投稿でございます。2014年のときには、おかしいと思いながらもふるさと納税をしました。右側は2015年、やはりふるさと納税しないほうが伊那市のためになると感じて、ふるさと納税を控えました。それ以降は、しておりません。 ふるさと納税の理念にはこうあります。「ふるさと納税で日本を元気に。地方で生まれ育ち都会に出た方には、誰でもふるさとへ恩返ししたい思いがあるのではないでしょうか。育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれたふるさとへ。都会で暮らすようになり、仕事に就き納税し始めると、住んでいる自治体に納税することになります。税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか、そのような思いのもと、ふるさと納税は導入されました。ふるさと納税には三つの大きな意義があります。第1に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそその使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分事として捉える貴重な機会となります。第2に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは人を育て、自然を守る、地域の環境を育む支援になります。第3に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは選んでもらうにふさわしい地域の在り方を改めて考えるきっかけへとつながります。さらに、納税者と自治体がお互いの成長を高める新しい関係を築いていくこと。自治体は納税者の志に応えられる施策の向上を。一方で、納税者は地域行政への関心と参加意識を高める。いわば、自治体と納税者の両社が共に高め合う関係です。一人一人の貢献が地方を変え、そしてよりよい未来をつくる。全国の様々な地域に活力が生まれることを期待しています。」と、少し長くなりましたが、すばらしい理念なので全文読まさせていただきました。 現状、このとおりになっているかどうかは分かりません。東京一極集中の時代と言われていますが、田舎から都会へ行き働き出すと、自分の支払う税金は住民票のある自治体に入る形となります。しかし、生まれ故郷に直接納税したいと、そんなことができる制度でございます。 また、日本全国どこの自治体でも選択することができ、自分の選んだ自治体に寄附、ふるさと納税を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除されます。 なお、この自己負担の2,000円は、1回ごとの寄附について必要となるものではなく、一年間これは1月から12月の寄附金額に対して必要となってきます。 また、平成27年、2015年4月からは、確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組み、ふるさと納税ワンストップ特例制度が創設され、納税先の自治体数が5団体以内の場合は、確定申告をせずに済むメリットが出てきております。この場合、所得税から控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で、所得税分も控除をされることになり、よりふるさと納税を利用する側では使いやすさが向上しております。 ただ、この制度を利用された場合、本来所得税こちらは国税ですね、国税からの控除分も住んでいる自治体の住民税から差し引かれるということになります。 伊那市に在住の方が、ほかの自治体にふるさと納税をして、このワンストップ特例制度を利用した場合、伊那市の住民税の収入がさらに減ることになります。 そこで市長に伺います。昨年1月から12月の伊那市民がほかの自治体へふるさと納税した額はどのぐらいで、来年度の収入減の影響はどのぐらいでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 昨年中、1月から12月に伊那市民がほかの自治体に行ったふるさと納税についてお尋ねかと思いますが、この分につきましてはワンストップ特例分も含めて現在申告期間中の令和4年分の確定申告等によりまして、課税が確定しなければ把握することができません。それなので、直近で把握できている令和3年分の金額について御紹介いたします。 ふるさと納税額が約1億8,000万円、市民税控除額が約8,000万円でございました。 ○議長(白鳥敏明君) 唐木議員。 ◆3番(唐木拓君) ありがとうございます。 一方で、伊那市は多くのふるさと納税を市外に住所のある方々から頂いております。平成28年、2016年には72億円というものがありましたが、その後、返礼品の返礼率の規制が入り、ここ3年、2019年度では12億円、2020年度では18.5億円、昨年度令和3年度、2021年度は24.5億円、昨年度は長野県1位、全国では62位と推移しております。順調に増加している背景には、担当職員の頑張りがあるかと思われます。すばらしいと思います。 そこで市長に伺います。この3月議会の初日での修正予算でも少し説明がございましたが、今年度、令和4年度まだ残り1か月ございますが、今年度のふるさと納税受入額はどのぐらいになりますでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。 ◎企画部長(飯島智君) 今年度末までに、25億円を超える見込みとなってございます。 ○議長(白鳥敏明君) 唐木議員。 ◆3番(唐木拓君) ありがとうございます。この25億円全てが純粋に収入になればよいのですが、そうでもございません。 返礼品、またその他に経費がかかるからです。およそ50%が返礼経費になり、半額50%の約12.5億円が差引きの税収になるわけです。さきの伊那市民が他自治体にふるさと納税することによる住民税のマイナス減収に比べ、収入が多いわけですから伊那市の場合はこの制度をうまく活用できていると言えます。 さて、伊那市ではホームページを見ても分かるように4つの仲介会社、ポータルサイトを利用しております。「ふるさとチョイス」「ふるなび」「さとふる」「楽天ふるさと納税」、名前を聞いたことがある方も多くいらっしゃると思います。このようなふるさと納税の仲介会社は現在、規模の大小ありますが20社以上あると言われています。仲介手数料を収入源としてしのぎを削っている状況です。それで、年末の過剰なテレビCMやら、インターネット広告などにつぎ込むわけです。そして実質2,000円自己負担のはずの制度ですが、現金の換算で2,000円以上のポイントが付与される状況になっております。 その仲介会社の手数料が高いところですと12%から13%、平均すると10%ぐらいだそうですので、伊那市の場合、25億円のふるさと納税としますと、約2.5億円が手数料ということになります。 また、ポータルサイトの中にはその手数料が2%とうたう仲介会社もございますが、そのサイトが集客につながるというとそうでもございません。 先日、長野県では手数料の支払いが高いことにより、仲介会社の経由しないふるさと納税直営サイトを作成する方針が打ち出されました。 ここで市長に伺います。このまま手数料は高くても集客力のあるポータルサイトを使い続けてふるさと納税額を増やしていくか、それとも県にならって直営サイトを立ち上げるか、もしくは手数料の安い仲介サイトに移行するか、今後の方針をお聞かせください。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、このポータルサイト4つある状況について、その経費等につきましては担当のほうからお話をさせてもらいたいと思います。 こうした直営サイトにつきましては、手数料等の経費が抑えられるということがありますが、民間のふるさと納税のポータルサイトが充実をしている現状では、寄附者を直営サイトに誘導するというのは非常に難しいと思います。伊那市ではふるさと納税のポータルサイトの発信力、こうしたものを考慮しながら利用するサイトをだんだんに増やしていく、そして現在の4つのサイトに至っているわけでありますが、各サイトにおける返礼品の情報の更新管理、これは全て職員が行っております。こうした管理業務も外部委託する自治体が実際にはありますが、そこでまた新たな経費が発生をすると。また伊那市におきましても業務量、経費、寄附額、こうしたものを考慮しながら、ポータルサイトの活用も含めて現状のやり方を継続していきたいと。自治体のやり方によるという話をしたんですが、実際に扱っている品目も、細かいものをたくさんやって稼ぐというやり方もありますが、高いもので一気に稼ぐというやり方もありますので、そこら辺は担当よく考えながら、商品を選択しているという状況が伊那市であります。 ○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。 ◎企画部長(飯島智君) 先ほど議員のほうからも御紹介いただきました4つのポータルサイト、こちらにつきまして令和3年度の決算額で申しますと、その利用料ですとか加えてクレジット決済に要する費用、これら合わせまして約2億7,000万円、これは寄附額と比較いたしますと約11%に当たる金額ということになってございます。 また、県が来年度から移行すると表明しておりますこの直営サイトですけれども、伊那市では既に、平成28年度から平成30年度までの3年間ですけれども、既にそうしたものを作成し、運営した経過がございます。しかしながら、やはり先ほど市長申しましたように、大手サイトのそのパワーというものと比較いたしますと、なかなかこう誘導ができなかったということもありまして、現在は既に廃止をしているという状況でございます。 ○議長(白鳥敏明君) 唐木議員。 ◆3番(唐木拓君) やはり、現在の納税額をキープするには手数料を払ってでも大手の宣伝力、集客力などを使いふるさと納税を募る方法は私もよいと感じます。 一見、手数料の高さ10%はどうなんだ、仲介会社はもうけ過ぎていないかと思ってしまいますが、仲介会社サイト運営側もユーザーを集めるために数%、高いところですと8%ぐらいユーザーに還元していたりします。納税する側にとったらよいことばかりですが、自治体にとってはどうなんだと思ってしまう部分もございます。ただ、国全体としましてはお金が循環していることになり、経済効果は高いとも言えます。 令和3年度の実績上位は、152億円の紋別市を筆頭に100億円以上が6自治体となっています。上位10自治体、一部受入停止している自治体は除きますが、上位10自治体を調べてみますと、それぞれの魚介類であるとか肉類などの特産はあるものの、軒並み仲介会社の登録サイトが10以上、もしくは返礼品の登録が1,000以上のどちらかでございました。 現状の仕組み、言葉は悪いですがやったもの勝ちの状況でございます。現在の伊那市は登録サイトが先ほどの4つ、返礼品の登録が200ぐらいです。各サイトへの登録など手間がかかることであり負担になると思いますが、多くの返礼品を登録することでふるさと納税の収入を増やすことにつながると感じます。むしろ登録のために臨時職員を雇ってでも、登録数を増やすことが納税額の増加につながると思われます。 伊那市の返礼品の中にも、30万円近い返礼品のラインナップが複数ございます。全額控除される金額の目安は、総務省の運営するふるさと納税ポータルサイトから確認することができます。 例えば、1,500万円ぐらいの所得のある方にとってみたら、実質2,000円でポイントも付与されるので、2,000円相当以上の金券をもらいながら、支払う税金が変わらずに30万円のふるさと納税をすると返礼品は約3分の1ぐらいなので、10万円相当の物が手に入るのです。 こちらはふるさと納税ポータルサイトから確認できるの納税の目安で、全額控除される目安でございます。ちょっと見にくいので、大きくしてみます。1,500万円ですと、単身であるとか共働きですと38万円ぐらい全額控除できる形となります。 ここで1,500万円以上の所得者がどのぐらいいるのかを調べてみました。国税庁の令和4年9月に発表しました民間給与実態統計調査では、一年通じて勤務した給与取得者5,270万人のうち1,500万円以上の所得者は1.4%、全国で73万人います。これは伊那市の人口の11倍以上になります。たとえこの73万人の1%が30万円の伊那市のふるさと納税に納税してくれたら、それだけで21億円になります。 1,500万円ぐらいの高所得者であれば、細かく幾つかの自治体に寄附するより一気に一つの自治体に寄附するほうが手間も省けてよかったりするのではないでしょうか。 本来は納税したいと思う自治外へふるさと納税するのがふさわしいですが、返礼品が目当てになっているのが実際のところでございます。そこで残りの時間を使いまして、私なりに返礼品の例を考えてみました。 10万円以上、特に30万円以上の返礼品を増やす、これは本来の目的に近い都会の高収入者が田舎に寄附をすることにつながることを考えました。さきにも述べましたが、30万円設定ですと手数料などを考えると原価は3分の1ぐらい、10万円相当となります。 一応三つ考えてきました。一つ目、市販されていませんがみはらしの湯、さくらの湯の温泉年間フリーパスはいかがでしょうか。一回600円としまして、一年の半分180日換算で10万8,000円、購入者は必ず市外の方になります。入浴目的で伊那市に来ていただけると、ほかの店にも立ち寄り、また複合的な効果にもつながります。納税者も元は2,000円ですので、三、四回来れば元が取れます。伊那市観光株式会社も10万円の収入になる、伊那市も15万円の税収につながります。 二つ目ですが、りんごの木オーナーを以前JAでやっておりましたが、田んぼのオーナー制はいかがでしょうか。田植え・稲刈りに伊那に来ていただくことも可能ですし、収穫したコメはお送りする。コメの実り具合、取れ高によって返礼するキロ数が変動する。単純にお米を返礼品にしている自治体は多いのですが、ちょっと趣も変わって面白いかと思います。 三つ目ですが、最近多くの自治体で始めているpaypay商品券というものがございます。paypayはスマホ決済業者の中でも有名であり、利用者数は2月6日時点で5,500万人、2人に1人います。ふるさと納税の返礼品としてpaypay商品券が昨年商品化されました。想像どおり寄附した自治体でしか利用できない仕組みになっております。上伊那では既に駒ヶ根市、辰野町、箕輪町が実施しております。利用者側としましても、物のやり取りがないので申し込んで瞬時に受け取り、その場で利用ができます。これはソフトバンク系の「さとふる」でしか取り扱っていませんが、すぐに採用できるものかと思われます。 その他、伊那市観光株式会社の運営する山小屋などの施設の宿泊券、指定管理をお願いしている施設の利用券などを出したりし、民間でやっている体験型のアクティビティなどを出したりしますと、伊那市に足を運んでもらえる返礼品も、ラインナップに上がってきてよいかと思います。 私の友人は、ふるさと納税で家族旅行を計画しまして、「控除額をオーバーしてしまった。」と言っていました。思わず控除額を忘れるぐらい興味深い選択肢が増えれば、それがふるさと納税増加につながってくるのかと思います。 最後に伺います。令和5年度はふるさと納税、幾らぐらいを見込んでおりますでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 返礼品の充実に関しましては、ふるさと納税の担当部署だけではなくて、全庁的に職員からアイデア募集しているのが現状ですが、今、唐木議員のほうから幾つかの興味深い提案をしてもらいましたので、そうしたことも参考にさせてもらえればと思います。 伊那市に来ていただくようなツアーとか体験サービス、これも実は平成29年度以降やってきておりますが、期待したほどは申込みがないということ、全体でも20件を割っている状況であります。 そんなこともあって今、新型コロナウイルスも続いたことから募集を中止しておりますが、これから再開に向けて再度検討してまいりたいと思います。令和5年度のふるさと納税の納税寄附額、これは令和4年度の当初予算と同額の23億円を予算計上しておりますが、当然のことですがこの計上した予算よりも上回るような取組をしていくということで、この数年間、25、26億で推移をしておりますのでこの数字を割らないように頑張ってまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 唐木議員。 ◆3番(唐木拓君) 令和5年度の予算案でも、ふるさと納税の基金を活用した有効利用の項目が上がってきております。特に出産一時金をはじめとする子育ての施策に余裕ある予算をつぎ込めることは、大いに喜ばしいことでございます。 全国のふるさと納税の受入額が1兆円、令和3年度の実績は8,302億円でございました。1兆円になるのも時間の問題であり、この金額がより大きくなればふるさと納税の制度の見直しも行われてくる可能性も出てきます。現行のルールのうちに、多くのふるさと納税を獲得できれば、市政の運営に余裕も出てくるかと思います。 以上で一般質問を終わります。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、唐木拓議員の質問が終了しました。 暫時休憩いたします。 再開は、15時10分とします。 △休憩 午後2時53分 △再開 午後3時9分 ○議長(白鳥敏明君) それでは休憩前に引き続き会議を再開いたします。 野口輝雄議員の質問に入ります。 18番、野口輝雄議員。     (18番 野口輝雄君登壇) ◆18番(野口輝雄君) 18番、野口輝雄でございます。さきに通告しました二つのことについて、質問させていただきます。 初めに、人口減少、そして少子化対策に関わる施策についての新たな提案ということについて行います。少しさきに通告しました通知にはない部分を少し読ませていただきます。 厚生労働省は2月28日に、2022年の人口動態統計の速報値を発表いたしました。それによって、午前中にもちょっと出ましたけど、年間の出生数が、1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込んだという過去最低になったということが判明し、人口減少の加速化が顕著となってきたという報告がありました。 またそれに先駆けて、岸田首相は年頭の記者会見で、「異次元の少子化対策に挑戦する。」と言明し、児童手当等の経済支援、それから学童や病児保育を含めた幼児保育支援の拡充、それから育児休業強化などの働き方改革の三つを挙げて、6月にまとめられる政府の骨太の方針までに大筋を示すという方向で進められているという情報が入ってまいりました。 このように今や少子化や人口の一極集中傾向による人口減少が、全国的になり、各市町村でもその対策に向けて数々の施策を施してきております。 伊那市でも数年前から、市外からの転入者がより入りやすくするための施策を多く実施し、これまでにその効果も出て、移住者・定住者の増加が見られてきており、現在も増加が続いていると思います。 しかし、ここ数年の間に、伊那市以外の市町村でも移住・定住対策は強化され、どの自治体でも市外からの転入者を受け入れるための施策を強化しているのが現状のようであります。このことは、私がいつもやっております蛍に例えますと、どの自治体でも甘い水を用意して「こっちの水は甘いぞ、ほう ほう ほたる来い」とばかり、転入する方を呼び寄せている状況にあると言えます。 しかし、私が一番気になるのは自分の自治体に転入者が増えるということは、取りも直さずどこかの自治体が人口が減っているということになるわけです。これでは、全国的な市町村対抗の人取り合戦を繰り広げていることにほかなりません。市町村はさらに移住施策を強化して、移動人口、施策による移動人口ですけど、徐々に減っていくことが予想されています。 昨日の市長の答弁の中にも、伊那市に入ってくる転入者と伊那市から出ていく転出者のことについて、隣の村にたくさんの転出者が出ているということを発言があり、これの要因についてもちょっと検討しなきゃいけないというな発言がありました。どの市町村でもこのように、自分たちの自治体から出ていくのはなぜかという、やはり要因を見つけるということを必ずやると思います。そうすると、ただ見つけるだけじゃなくて、それに対する対策をすぐに取るということが考えられます。こういうことが、全国的に、全国の市町村で同じようなやり方で、自分の市町村から出ないようにという対策を進めているのではないか、さらにそれが進みますと、やはり移動人口はさらにさらに減っていくと。今後はこれまでの方法では、今までのように大きな成果を期待することはできなくなるのではないでしょうかと予想いたしました。 そこで、私の大胆な提案と言っておきますけども、してみたいと思います。今後は、市外からの転入者を期待するよりも、今いる市民をより大切にすることによって人口増、そして少子化対策まで図る施策のさらなる強化、さらなる強化であります。が必要になるのではないかと考えます。これは今すぐにという提案ではありません。転入者による人口増が期待できなくなってからでは遅いのではないかと考えたわけであります。 先ほどの蛍、そして、その餌のカワニナに例えますと、「こっちの水は甘いぞ」と蛍を呼び寄せても、そう多くの蛍は寄ってきません。また新しい場所に寄ってきた蛍は、定住することも少ない、これ蛍の世界の話ですけども。それよりも今、ここに住んでいる蛍に、カワニナという餌をたくさんあげることによって、蛍は自らどんどん増えていきます。野球で例えると、ホームランを期待して点を取るよりも、チームの守備を固めることによって点を取らせない野球をするということになるんでしょうか。これからの人口減対策として、大事な一つの視点と私は考えております。 ただ私は、今までに市が実施してきた転入者を期待する施策を、すぐにやめろということは申しておりません。昨日の田畑議員の提案のように、進めるべきことはどんどん進めていただいて、どんどん転入者を増やしていただく、これは最も私はそのとおりだと思っております。さらにさらに効果を期待しております。 私が考えているのは、これからのことであります。これまでの伊那市の人口減対策、そして移住・定住対策を継続しながら、予算がたくさんあれば別に問題ないんですけども、予算が限られた予算でありますので、その予算の配分について、徐々に徐々に守備固めの方向に方向転換が必要ではないかというふうに将来的には考えております。 そこで、どのように今いる市民をより大切にしていくのか、そしてそれによってどのように人口減対策や少子化対策をしていくかということについて、具体的に私の考えを、一例ですが述べさせていただきたいと思います。 結論から先に申し上げますと、市民が安心して生活できる、そして市民がより安心して子供を産むことができるなどの、伊那市は住むのには全国で一番いい市だという実感できる市にすることが、一番の人口減対策、そして少子化対策ではないかという提案であります。 このような伊那市になれば、市からの転出者は減り、Uターンによって市へ戻って来る方も多くなるのではないでしょうか。そこのための具体策であります。 これは私の本当に一例でありますが、参考にお聞きいただきたいと思います。まず、私が最初にターゲットって失礼なんですけど、目標にしたいものですね、伊那市出身の大学生へ帰郷を促す新たな、そしてさらに強力な施策を施すことを挙げたいと思います。 私はこのことは今後の人口減対策、そして少子化対策として一番力を入れていかなければならないことではないかと思っております。 伊那市から高校を卒業して市外に出た学生のうち、卒業後にまた伊那市に戻る学生の割合は、半数以下というデータが出ています。特に女子学生の割合が低いとされております。 この子たちはもともと伊那市民でしたので、伊那市に戻ってきても市外からの転入者の範疇ではないと考えております。伊那市の住民票をそのままにして大学に行っている学生も多いのです。もしこの大学卒業生の80%以上の方々が伊那市に戻って来てくれたら、それは毎年大きな人口増になります。ここに強力に力を入れるべきではないでしょうか。 もちろん、本人が都会を希望する方もいるでしょうし、御家族の御意向により都会で頑張れよという家庭もあるかと思います。そういう子たちは除いてということで、80%程度というふうにしてあります。 伊那市はこれまでに学生にコロナ禍の支援物資を送ったり、奨学金返済の補助を行ったりして、学生のコンタクトを密接につけてきておりますので、そのコンタクトルートを使って、あるいはネットを使っての帰郷を促すための新たな対策を進めていけば、帰郷者は必ず増えることと思われます。 例えば学生が卒業する前の年次から、市から大学等に職員を派遣して具体的に直接帰郷を勧めるという、もちろん就活には期間等の制限が設けられていますので、それにのっとってという形になります。そして各大学には意外と長野県人会というものが存在しておりまして、その会を通してでも、あるいは大学の事務部を通してでも、あるいは伊那市がこれまでにしてきたように実家を通して、事前に学生と接触し帰郷の勧めを促すという方法であります。 そのためには、もちろん伊那市が伊那市内の企業等に協力を要請し、帰郷学生を増やしたいという要望が必要であります。伊那市が積極的に市内の企業に関わっていくことも大変大事になるかと思っております。 また、大学を卒業して帰郷してきたときにないと困るものに、運転免許証と車というのがあります。これらについても、大学の在学中に運転免許証を取る場合には、伊那市からの補助が出るようにしたらどうでしょうか。そしてその補助は、市内の企業に就職した場合は、返済は免除するというシステムも一つの方法ではないかなと思っております。 また車の件は、市内に就職した際の車の購入について、伊那市から補助金が出れば、便利な都会に就職した場合と同様に伊那市に就職しても困ることはないのではないかと思います。 さらに学生の帰郷を促すためには、市として就職できる職場の開拓も大変必要になってきます。特に女子学生の帰郷率を上げるために、女性が働きやすい、そして子育てしやすい職場を増やすことも念頭に置かなければなりません。産休、育休、夫の育休も含めてということになりますが、などが取りやすい職場の拡大、そのための市からの市内企業等に積極的な働きかけも必要になります。産休や育休が取りやすい企業を増やし、それを一つの糧として学生たちにアピールしていくことも大変必要になると思います。もちろん、市内の優良企業を増やすための企業誘致も大事にしなければなりませんし、そのための土地の確保も市として積極的に進めていただきたいと思います。 来年度の予算案の中にも東原工業団地の造成等の整備を行う予算が計上されています。大いに進めていただきたいと思っております。いろいろ申し上げましたがとにかく市から、大学に進学した学生に対して、帰郷を促す数々の施策を今後は最大限に強化していただきたいと思います。 伊那市から戻って来いよという訴えを、直接学生に向けていただきたいと思うのです。また学生の帰郷を促すための、市役所内にも特別なプロジェクト組織も必要になるかと思います。頻繁に学生と接触し説明し、納得してもらって、帰郷そして就職を促すことを、今後は今以上に強力に進めてほしいと思っております。それが取りも直さず人口減少に歯止めをかける一方法になると思っております。 ここで市長に質問いたします。今後は市内の高校を卒業した大学生を、また伊那市に戻って来てもらうための施策をより強力に展開することを提案いたしますが、市長のお考えをお聞きいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 令和3年度に伊那市が実施をした人口動態の分析結果によりますと、平成22年から令和2年度までの11年間、この間に就職また進学を契機とした社会動態では、1,957人の転出超過であります。そのうち15歳から24歳が1,784人で、全体の92%を占めていると。こうした若者を対象としたUターン促進事業につきましては、伊那職業安定協会あるいはハローワーク、郷土愛プロジェクトとも連携を図りながら、就活セミナーや合同就職説明会、就活相談会の開催、また企業ガイドブックの配布、LINEを活用した情報発信など、様々な事業に取り組んできております。 また市内の中学生が一堂に介し、地域の産業を知り、文化・伝統・歴史に触れ、地域の人と触れ合う体験を通して、育った場所に対する愛着を深め、誇りをもって地域に貢献をしたいと思える機会として、「伊那市中学生キャリアフェス」を平成29年度から継続的に実施をしております。 また、伊那市では昨年無料の職業案内所の資格を取得しました。市内企業の求人情報を集めて、そして公式ホームページで公開をしているほか、移住・定住相談窓口においても就職のマッチングも行っているということで、今までに比べて大変多くの情報を得ることができるようになりました。各種の補助制度によるUターン支援も有効ではありますが、この地域に戻って働いて暮らしたいと思えるような魅力ある企業、あるいは職業、業種、女性が働きやすい労働環境の整備など、これら全て不可欠なものであります。そのためには行政だけではなくて地元企業の皆さんとも連携をして、改革すべきところは改革をしていくということ、そうした努力が必要であろうかと思います。 今後については、地域のプレーヤーの育成、子育て中のキャリアの女性などのスキルアップの機会を設けたり、地域人材として活躍の機会を創出するような事業も検討していかなければいけないと思います。 議員おっしゃるように、その伊那から都会に行っている学生をターゲットにしてということは、非常に着眼としては私もそのとおりだと思いますので、そうしたところで妙案をまたひねり出しながら対応してまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 私も今まで移住・定住策、とてもいいことでやっていただいてます。何かどこかで引っかかっていて、将来5年後、10年後、本当にこのまま続けられるのかと考えたときに、やはり内部から少しずつ増やしていかなきゃいけないということを考えたときに、目の前に大学生というのが出てきたものですから、やっぱりこれを一番の目玉にして戻って来てもらう、カムバックキャンペーンと言ったらいいんでしょうか、そういうものを大事かなと思って提案させていただきました。 それではその続きもう少しお聞きいただきたいと思いますが、さてその今の市長も言われたようにさらに強力に、戻ってくる方法を考えていきたいということで、それによって学生がUターンしていただいたというふうに仮定し、先ほどの運転免許証、それから車も購入して市内の企業に無事に就職して、順風満帆というかそのように働き出したと仮定しています。もちろんUターンした若者だけでなく、これまでに伊那市に在住する若者も含めての話をしたいと思いますが、この若者一生懸命仕事をして次に考えるのはやはり結婚ではないかなと思います。ここからは、少し少子化対策も含めて提案をさせていただきます。 最近の若者事情では、結婚しない方々が多くなっているという報道がありました。私の身近なところでも確かに独身の男女が多くいるように見受けられます。結婚したくてもその出会いがなくて、機会を失っている方も多くおります。出会いには、職場での出会い、サークルでの出会い、イベントの出会い等々いろいろありますが、ここ数年、コロナ禍のために、その出会いの機会が極端に少なくなっている現状があります。そこで今後、最大限に活躍していただきたいのは、伊那市の出会いサポートセンターであります。これまでにも、多くの活動を通して出会いを作り、出会いのサポートを続け、一定の成果が出ている「いなし出会いサポートセンター」の活動でありますが、今後はその成果をさらに増やしていくために、「いなし出会いサポートセンター」の組織の拡充だとか、活動の拡大、そういったものが必要になるのではないでしょうか。 来年度の予算案の中にも、新婚生活応援事業による結婚子育て支援の充実として、1,350万円の予算が計上されております。意欲的な活動を展開するという意思を、大いに私は認めております。さらなる充実体制をとって、出会いサポートセンターのより活発な活動により1組でも、2組でも幸せなカップルを増やしていただきたいと思います。 そこで市長に質問いたします。今後は、市内に若者が増えることを想定しまして、市内の独身若者の出会いの機会をさらに増やすために、担当職員の増員だとかフロアの拡大、あるいはイベント回数の増加等の組織の拡大、充実さらなるイベントの充実による支援体制が必要ではないかと考えますが、市長のお考えをお聞きいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 現状につきましては、担当のほうからお話をさせていただきたいと思います。出会いサポートセンターのことでありますが、この出会いサポートセンター、最初にできてから今日までかなりの成果を上げてきているということは承知をしておりまして、ただ当初の勢いは今、陰っているかなと、登録者数だとか登録者の年齢等を見ても、若干陰りがあるかなという気がしております。そうしたことを受けまして、増員あるいは支援体制の充実、現状の中でと思ってはいるんですが、それで打破できないことであれば、やはり見直しをかけて出会いサポートセンターについてもしっかりと充実をさせて、今までと同じことの繰り返しではなくて、全く新しい切り口でやっていくということも、一つの手だと思いますので、ちょっとまた改めて検討してみたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 飯島企画部長。 ◎企画部長(飯島智君) それでは、私のほうから現状を申し上げたいと思います。 まずセンターでありますけども、平成28年に御承知のとおり伊那図書館内に移転をいたしまして、現在は週3日、個々の相談者に寄り添った相談活動というものを行っておりまして、これから申し上げる数字はいずれも本年1月末現在でございますけれども、登録者数につきましては168名となっております。 次に、動きとしましてその婚活アプリですとか、相談所の民営化だとか、そういった社会の潮流がございます。そうした中で、この平日については相談業務が少なかったりだとか、そういう分析を踏まえまして、令和3年度からは開設の日数と開設の時間、これを短縮して運用しております。とはいえ、このオンラインの普及もありまして、手軽に相談できるというようなメリットもありますので、むしろ相談件数については増加をしてきているという状況でございます。これも1月末現在で、相談件数3,040件という状況でございます。 次にコロナ禍の関係で、全国的にイベント開催などが見合わせとなったり、出会いの機会が制限されてきたわけですけれども、本市におきましては感染防止等の徹底と工夫をしながら、積極的にこの対面での引き合わせというものを可能な限り行ってまいりました。ということで、1月末現在引き合わせ組数は154組でございます。 また、コロナの状況を見ながらでありますが、徐々にイベントのほうも再開をしてきておりまして、12月には婚活のコーチングセミナーですとか、今月には料理婚活イベント等をそれぞれ開催いたしました。こうしたことの継続によりまして、成婚者数も徐々にコロナ禍前の状況まで戻りつつございます。現在、成婚者数は7組、13名となってございます。 今後でありますけれども、引き続き積極的にその出会いの機会というものを設けまして、成婚につなげてまいりたいというに考えてございます。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 今の報告で大変安心いたしました。やはりコロナの中でしたのでこの3年間は、当然減るのは当たり前のことでありまして、市長言われる、陰ってきたとおっしゃいましたけど、これからきらきら輝く、これでコロナが少なくなってきらきら輝く時期になってきましたので、ぜひさらに力を入れて、充実させたイベント等を含めて、多くの幸せなカップル増やしていただきたいと思います。それによってやはり、まず人口増対策の第一段階のクリアであります。 さて、無事結婚したと仮定して、新しい生活が始まりましたとしますと、やはり次に考えることは子供を産むということが気がかりになってまいります。最近のテレビ報道で、子供のいないカップルが多くなっている現状を見て、「なぜ子供を産まないのですか。」という質問をした調査結果が報告されておりました。 その原因の第1位が、「子供が生まれるとお金がかかる。」ということだったんですね。そして、そのほかにも「生まれた後の先行きが不安である。」というのもありました。これは、子供ができた後、仕事と両立できるかといろいろな不安があると思うんですが、これには女性の子育ての負担を直接軽減させるという施策が必要になってくると思います。 さて、この第1位だった原因の、「子どもが生まれるとお金がかかる。」ということに関わって、伊那市の人口減少そして少子化対策の一つとして、お金がかからない子育て、子供を産んでも先行きが不安にならない施策のさらなる充実が必要ではないかと考えました。 これまでに伊那市では、手厚い子育て支援策を実施してまいりました。ここ数年のコロナ禍においては、コロナ対策の一環として、子育て支援という部分も多くあったわけですが、産前産後の費用の軽減だとか、出産費用の補助の増額、さらには出産お祝い金等の支給、そして子供たちの通院、入院等の医療費の無償化など、費用の面で不安を解消する手だてを幾つかとってまいりました。 来年度の予算に出産祝い金の大幅な増額と、範囲の拡大を挙げております。大変すばらしいことだと思います。また、保育園の給食の副食費を全て無料化するという提案が出ており、子育てにお金がかかる不安を少しでも解消する一つの手なんではないかと、期待しております。 結婚そして出産、育児、保育園等の育児と発達段階に応じて、それぞれ予算を計上して手厚い支援をしてきた伊那市の方向は、とてもすばらしいと私は思っております。 しかし、子育ては保育園ではありません。まだまだ小学校、中学校、高校そして大学まで続いております。この長い、長い長い子育ての期間を少しでもお金がかかる不安を解消することも、今伊那市にいる市民を大事にすることにつながるというふうに私は考えております。 そこで二つの提案をさせていただきたいと思います。最初の一つは、私がもう数年前から何回か、3回目でしょうか、4回目でしょうか、継続的に提案をしてきました小中学校の給食費を段階的に無償化するということであります。急激に予算を増やさないための段階的、私の提案は最初は第3子以上の子供、そして第2子、第1子というふうに段階的なんですが、過日、高橋明星議員から提案があったように、高学年のほうから段階的にという方法も、私はいいと思っております。全て段階的という、これは急激に市の財政を増やさないための方法であります。これなら何かうまくいくんじゃないかというふうに提案してきたわけですが、ここで市長に質問いたします。 子供が産まれた後の金銭的な不安を解消する手だての一つとして、段階的に給食費を無償化するということを、これまでに何度か提案をさせていただきましたが、来年度1年間かけて、ぜひ前向きに検討していただけないでしょうか、お考えをお聞きいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、学校給食に関しましては、法律の中で学校給食の実施に必要な施設、それから設備に要する経費、こうしたものは学校の設置者が負担をすると。それ以外の給食に要する経費、食材等でありますが、これは保護者が負担をするというふうに決められております。 今までは伊那市においても保護者に応分の負担をお願いをしてきたわけでありますが、御提案の第3子以降の年間の給食費の試算、この中では小中学校全体で児童生徒数は約540人になります。およそ3,000万円の負担が必要になると。 また対象者の抽出、また管理に伴う事務が複雑になるのではないかということも見込まれるわけであります。伊那市としては、より若い世代の経済的な負担の軽減を推進する施策を、令和5年度から実施をしていくということにしておりまして、段階的な給食費の無償化も含めて、小学生以上の給食費の無償化については、引き続いて今後の大事な課題として検討させていただきたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 私も、もう4年ぐらい前から同じことを繰り返し申し上げてるんですけれども、やはり保育園のほうも、無料になってきましたので、次はやはり、発達段階に上げて小学校、中学校という形で、ぜひ前向きに検討していただいて、早い段階で段階的に給食費が無償化されればいいなというふうに考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 さて、二つ目の提案でありますが、その前にちょっと違うことをお話しさせていただきます。今日私が持ってきたデータは、フランスの出生率の高さについて考えてみたいと思います。出生率の、最近の出生率ですけども、ちょっと最初の提案したところと、数字がちょっと違っております。最近のデータが出てきました。 日本は、出生率1.3付近動いておりますが、フランスは1.8、ついこの間まで2超えておりましたが、維持しております。この違いは一体何なのかということなんですね。フランスを研究した報告書によりますと、最も大きな違いは国の家族政策の違いということでありました。この家族政策の中心をなしているのが「家族給付制度」というものがあります。フランスでは国を挙げて子育て支援を本格的に行っている結果、出生率が高くなっているということであります。 一例として、家族手当ということについて見てみますと、これは2009年のデータですので、今はもう少し上がっていると思いますが、20歳未満で、子供が2人いる世帯の支給月額があります家族手当、これがひと月1万4,000円、年間16万8,000円で、3人ならば月額3万2,000円、年額38万4,000円の支給があります。そのほかにも、家族補足手当として3人以上いる家庭には月額1万8,000円、年額21万6,000円が支給され、また新学年手当、つまり新しい学年になったときにいろいろお金かかりますので、6歳から18歳までの学齢期の子供がいる世帯には、年齢によって多少差がありますけど、平均して月額3万3,000円、年間39万6,000円という金額になりますが、手当が出ているんですね。 これらの手当を総合的に考えますと、例えば3人の学齢児童がいる家庭では、それらの合計金額を全てもらえるものと仮定すると、年間99万6,000円もの補助金が国から出ている。所得制限のある手当も、もちろんあります。 これ以外に、フランスでは母子家庭や父子家庭への手当、障害のある子への家庭の手当等、本当に手厚い支援が月幾らという形で出ております。これが出生率が高い大きな原因であるというふうに、その報告書は報告しておりました。国策で実施していることですので、一自治体でできるというのは疑問がありますが、これに近いことが自治体でできないかなと思うことがありました。 そこでもう一つの提案、これがまた大胆な提案になりますが、市ではこれまで述べたように、出産・育児、教育に関わって数々の方法で金銭的にバックアップをしてまいりました。 ある調査会社の試算によれば、子供一人を生まれてから大学を卒業するまでにかかる養育費は約1,600万円程度を言われております。 また、別の調査では子供一人の養育費は年間80万から100万とも言われております。これは先ほどのフランスの補助金に本当に近い金額になっておりますが、出産祝金やその他の一時的な補助金の額では、年間の子育て支援に必要な額には到底及ばないのが現実のようであります。もし、伊那市で、これが大胆なことなんですけど、年間の子育てに必要と言われている80万円から100万円近い補助金が毎年出すことができるなら、これは大いに解消されると考えますが、現実的にはこれはもう誰に言っても無理だというにあります。 そこで、私は高額な手当金を出してほしいという提案ではなくて、一時的な支給、支援金ではなくて、まとまった支援金を子育て期間中に、年間単位であるいはひと月単位で支出できないかという提案であります。 例えば仮称として、子育て生活支援金、特別生活支援金としてもいいと思いますが、年間十数万円程度の支援金を第1子までの家庭には幾ら、第2子までの家庭には幾ら、第3子までに幾らというふうに区切って、子育てが終わるまで安定して支給できないかという提案であります。こうすることによって、毎年きちんと支援金が入り、安心して子育てができ、ひいては出生率も上がるのではないかという、これは大胆な提案でありますが、間違って理解していただいたら困るんですけど、私はお金を出すからどんどん子供産んでほしいと言っているのではありません。高額な支援金の支給も無理かもしれません、無理だと思います。でも子供を産んでも、市が必ず温かい、そして手厚い支援をしますので、安心して産んでくださいよと言える伊那市に、さらになってほしいと願っているものであります。 それによって出生率が、徐々に向上すれば、直面する人口減少そして少子化対策に十分になり得ることと思っております。そこで市長に質問いたします。 子育て家庭の不安を解消するために、子育て家庭に対して年間単位で、あるいは月単位で子供子育て期間中に子育てしている家庭に支給できる、子育て生活支援金、仮称ですけど、そういったものの新設が必要ではないかなと、すぐにということではありませんが、今後長いところでぜひ考えていただきたいと思いますが、市長の考えをお聞きいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 伊那市では、子育て世代が安心して子育てに取り組めるように、妊娠・出産から18歳まで、成長段階に合わせた切れ目のない子育て支援策を行ってきております。市独自の経済的な支援としましては、令和5年度から実施の施策も含めて、出産祝金の市内全域での第1子からの支給、おむつ用品購入補助、子供の医療費の無償化、保育料の軽減、保育園の副食費無償化、いな住まいる補助金、奨学金返還支援事業などがありまして、こうしたことを総合的にかつ積極的に取り組んできているところであります。 また国では、現在異次元の少子化対策として児童手当の充実・拡充、所得制限の撤廃、多子世帯への増額、支給対象年齢の拡大など子育て支援の新たな給付制度創設が議論されております。子育て世代に対しまして、子育て期間中、年間単位で支援金を給付していくこと、これは多額の費用が継続的に必要となって、市独自の施策として実施をするということは難しいと考えられます。そのため児童手当の拡充など、今後の国の新たな少子化対策について注視をしてまいりたいと思います。 伊那市では様々な子育て支援策を展開しておりまして、安心して子育てできる町であることを積極的に周知をするとともに、今後も必要とされる子育て支援策について検討してまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 時間がなくなってまいりました。すみません、最後の大事な質問をしたいと思います。 最初に提案いたしました人口減対策、少子化対策の一つとして、今いる市民をより大切にすることをやはり方向づけていく、視点を転換させていく必要がないかなという提案について、市長のお考えをお聞かせください。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 現在、人口減少対策として田舎暮らしモデル地域、過疎地域に対しての住宅の新築・改修・定住・通勤の助成、空き家バンクの制度などによって移住・定住の促進を図っております。また少子化対策としては、子育て支援センター、学童クラブなど安心して子育てができる環境の整備に加えまして、子供の医療費の無償化、保育料の軽減、出産子育て応援給付金、出産祝金、不妊・不育症の治療費の助成など、切れ目のない子育てサポートが行われているわけであります。そのほかブックスタート、ウッドスタート、山保育、ICT教育、小規模特認校、自校・自園給食、そうした特色ある子育て教育にも取り組んできております。 令和5年度から「いな住まいる補助金」を創設をして、住宅新築購入に対する補助を市内全域に拡充をするというほかに、出産祝金それから結婚新生活支援事業、こうしたものをつくりながら新婚家庭の支援、また保育園の副食費の無償化、完全無償化、こうしたことを行いながら、今後こうした取組を、通じて人口の流出抑制また定住対策の充実強化、これをしっかりと進めてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 私の提案していることとほぼ似てると思うんですけども、ぜひその方向で今いる市民を大事にして進めていただきたいと思います。 引き続き、二つ目の質問に入りたいと思います。 住宅用太陽光発電設備の補助金と一般家庭照明のLED化の支援事業の補助金のさらなる継続ということで、大変好評で終わってしまいましたが、2月の終わりに締切りになってきていると思うんですけども、この住宅の移行ですね、たくさん増えて困っているというお話も聞いておりますが、まず一つ、年度が替わったらどうなるかということを先にお聞きしたいと思いますが、まず住宅用のソーラーパネルの関係の補助金、これは来年度からどのような形になるんでしょうか。また今年、余った分があったらそれは来年度に加算されるのでしょうか、ちょっと時間ありませんので端的にお願いいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 端的にお答えしますと、令和6年度以降も令和5年度と同じ、同等の予算計上を考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) ぜひそれは続けていただきたいと思います。大変好評ですので、しっかりお願いしたいと思います。 それから、それではもう一つ心配なLED化のほうなんですが、これは予算が違っております。出る予算の場所が違いますので、コロナ対策の一つとして出ていますので、来年度予算が減ってしまう可能性があると思うんですけど、この辺は来年度LED化の支援事業の方いかがでしょうか、継続できるんでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 今回のLED化支援事業につきましては、予算額3,000万円の全額に国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てました。この交付金には推奨事業として、省エネ家電等への買い替え促進による生活支援が挙げられたこともありまして、購入費用の2分の1という高率な補助金を、市の一般財源を活用することなく交付することができております。 今後ですが、この補助制度継続するにはやはりどうしても財源の確保が必要になりまして、今回のような市町村の自由度の高い交付金が、今後交付されるかどうかは明言できませんけれども、活用できる支援策が出れば、LED化支援の事業実施のほう考えていきたいというふうに思っているところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) ぜひ予算を何らかの形で取っていただきたい。大変好評でして、すばらしい施策だというお話をいただいております。時間がなくなってきましたので、すみません前後いたしますが、先ほどのソーラーパネルの件で、新規の住宅にも適応できないかという御意見があったとのことなんです。この辺のことについてちょっと戻りますが、よろしいでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 城倉部長。 ◎市民生活部長(城倉良君) 新築住宅にも交付対象の幅を広げてみたらどうかという御提案でございますが、現在国では、新築住宅に太陽光発電設備を設置する場合は、政府推進の政策であるZEH、ゼッチと言いますが、ゼロ・エネルギー・ハウス、これを促しているところでございます。このゼッチのタイプは幾つかありまして、1戸当たりで最低でも55万円の補助を受けることができます。さらに、住宅新築後はエネルギー収支がゼロ以上となるために、光熱費の大幅削減、売電収入も得られるということで収支がプラスになるということもございます。こうしたことから、当面、新築住宅につきましては、このゼッチの補助を受けるようにしていただきまして、既存住宅に対する補助金として、今後進めていきたいというふうに考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 野口議員。 ◆18番(野口輝雄君) 分かりました。取りあえずはないということで、違うところで補助できるということですね。ありがとうございました。 私のちょっと進行の不手際によって、質問の順番が変わったりして大変御迷惑をおかけいたしました。先ほどの、全体をまとめてちょっとお話ししたいと思うんですけど、子育て支援の関係なんですけども、ある県のある町は、その出生率が一気に3倍近くなったという町がありました。私そこを調べてみたんですけれども、かなり外から来る方はやはり期待してなくて、内部の福祉だとか、子育て支援だとか、それから補助金の支給だとかに力入れて、数年の間に1.幾つから3まで増えた。この町は子供2人、3人はざらだよというような話もありました。また詳しくは後でお話ししたいと思いますが、そんなところもあるということも、最後にお話をいたしまして、ぜひこれからの人口減、それから少子化対策に向けて、大いに力を発揮していただきたいと思いますので、ぜひ期待しております。 以上で私の質問を終わります。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、野口輝雄議員の質問が終了しました。 引き続き、湯澤武議員の質問に入ります。 9番、湯澤武議員。     (9番 湯澤 武君登壇) ◆9番(湯澤武君) 9番、湯澤武です。本日最後の質問をさせていただきます。事前に通告いたしました3点について、お伺いをいたします。 初めに、性的少数者の人権と共生社会実現についてでございます。性的少数者の皆さんは、「性的マイノリティー」「LGBTQ+」等と呼ばれております。その言葉の響きは、多様な障害を持たれている方々を「障害者」とまとめて表現することに、私は似ているように思えます。また、心と体の性に違和感を感じて来られた方に、医療的な診断がなされた場合、診断名は「性同一性障害」と言われてきましたが、最近は障害ではなく、「性別不合」とも言われるそうであります。 伊那市の在住の伊藤ひよりさん、また松本市在住の長岡春奈さんとお会いをしまして、じっくりとお話を伺い、その思いを伺ってまいりました。詳しい説明は省きますが、この性的少数者に対する社会の理解は、ここ数年で大きく前進しております。2021年電通の国内調査では国民の8.9%、約11人に1人、35人学級であれば3人が「LGBTQ+」に相当すると言われる数です。日本人の左利きやAB型の人数に相当致します。 市議会一般質問では、前田久子議員が初めて取り上げたのが16年前の2007年になります。前田議員が「性同一性障害」についてこの問題を取り上げたときのデータは、ごくごく少数派のこととの認識でありましたが、当事者の皆さんの粘り強い活動等によりまして、人権問題として捉えられるようになり、性的少数者の権利保障に向けた動きが加速され、一昔には考えられないほど日本社会に性的少数者の存在を受け入れる素地ができつつあると感じています。 伊那市もその人権擁護を着実に進めてきました。2017年、18年、企画政策課と企業人権教育推進連絡会との共催により、市民対象のLGBTを理解する研修会、また教職員対象の研修会が続けて開催、2018年9月には、伊那市議会はLGBTを含む「性的少数者への差別解消と社会環境整備を求める意見書」、これを全会一致で国へ提出しております。 また、2020年から21年にアンケートを取りまして、性的少数者、セクシャルマイノリティーに関するものであります。71.8%が「性的少数者またLGBTを知っている」、59.8%の皆さんは、今後の対応として「性の多様性として認めるべきである」「理解に努めようと思う」との回答が寄せられたそうです。 半面、理解は高まってまいりましたが、伝統的な結婚観や家族観を大切にしたいとの思いを持った方がいらっしゃることも現実でございます。しかし、私はこの問題の本質は、御本人の責任ではなく、生まれながら持った課題であるとの事実であると考えます。誰の責任でもない、苦しい思いを背負った方々がこの伊那市で自分も周りにいる人も大切にして生きていきたい。自分らしく生きることを認めてほしいと願っていると思います。 声をなかなか挙げられない性的少数者の皆さん、死にたい思いや学校へ行きたくないとの思いに苦しむ皆さんがいるこの事実を認めるかどうか、大切な問題であります。 そこで、「誰ひとり取り残すことなく光を」福祉を見直し、日本で最も暮らしやすい伊那市を目指す今、性的少数者の皆様の生きる権利を支え、この伊那市で一緒に生きていけると示す、同姓パートナーシップ認証制度を今こそ実現すべきと考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) このパートナーシップ認証制度でありますが、自治体が同性カップルなどに対して、お互いを人生のパートナーとすることを宣言をした事実を証明をすると。そして、様々なサービスや、社会的配慮を受けやすくする制度でありまして、性的少数者の方々の生きづらさを解消し、多様性が尊重される、そうした社会づくりにつながる施策というに考えております。 現在、長野県が長野県パートナーシップ届出制度、これは仮称であります。この構築を進めておりまして、伊那市は制度構築の段階から検討に加わっております。県全域をカバーする制度となることから、県の制度の下で提供できるサービスの検討を行っているところであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 関連して市長、これはやはり一つの人権擁護、こうした大切な課題というふうにお考えということでよろしいでしょうか。 関連質問ですみません。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 私もそう考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 私も本当に同感でございます。本当に地域社会との、この理解を広げていく、理解促進につながる制度ということで、前向きな取組ということで評価させていただきたいと思っております。 続きまして、教育現場の対応についてお尋ねいたします。伊那市の伊藤ひよりさんや長岡春奈さん、先ほど話しましたように幼少からのお話を聞きました。幼少のころより周りとの違いを自覚し、家族から「男の子らしくしなさいとそう言われても、そのとおりにできない。努力しようとしても思いどおりにならない。抜け出せないような苦しみ。」と言われていました。衣服や髪型、トイレや更衣室、身体測定、体育の授業等苦痛が多い上、いじめの対象になり、自分は生まれながらに欠陥品なのか、生きている意味がないのかと自殺を考え、未遂を繰り返してこられたそうであります。 自分の存在意義までも否定するなど、楽しい思い出が一つもない、そんな学生生活であったと話をしていただきました。もし小学校のころに、なぜなのか分かっていたら、悩むこともなく自分らしい生き方、将来の夢を描けたかもしれないと言われておりました。 そこで、実際に伊那市内でも児童生徒から様々な声が上がり、性的少数者がいることを前提に学校生活での見直しが始まっているとお聞きしています。特に制服、運動着への抵抗、こういったものが多いと聞いております。性別に関係なく制服、運動着を選べるように、また「みんなのトイレ」の使用を認めるなど、本人が一体感を持つ性別に合わせた支援の検討が必要と思います。 そこで伊那市の教育現場での実態と、今後の対応についてお聞かせください。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 伊那市教育委員会でございますが、毎年度学校人権同和教育推進計画、これを策定をしております。学校現場におけます人権同和教育、これを推進してきているところでございます。この計画の中で、課題解消を目指す取組として、LGBTについても取り上げてきておりまして、講演会や研修等を実施して差別や偏見をなくす、そうしたことを願っての理解を深めながら、それぞれの小中学校において、それぞれの状況に応じた様々な対応をしてきているところでございます。 具体的な取組、今議員お話の中にありましたけれども、若干具体例を挙げさせていただきますと、例えば小学校では呼び方、呼称ですね、を全校で「さん」づけにする。また文房具等を男女別の色に分けない。あるいは男女共に使うことのできるトイレについての配慮、中学校では女子の制服のスカート・スラックスの自由選択。運動着、上履きについてもジェンダーレスな選択。それから、相談窓口の設置、こうした配慮をしてきております。 取組といたしましては、令和3年度ですが、伊那市学校人権同和教育研究推進委員会、これは市教委とそれから校長会、また先生方に加わっていただいて組んでいる委員会ですけれども、東部中学校を会場にいたしまして、全学年で授業公開をしてくれて、このLGBTについての研究会をもったと、そんなようなことも取り組んできているところでございます。 今後も教職員や児童生徒に対して、性の多様性についての理解を深める取組を進めつつ、相談しやすい体制づくり、これを心がけ一人一人の意志が尊重されるような環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 丁寧にありがとうございます。 続きまして今、教育長のお話の中にも含まれていたかと思いますけれども、やはり当事者の皆さんにとっては、お二人とも、お聞きしたお二人ともやはり担任の先生の、本当に寄り添った対応が本当に生き抜く力となったとお話がありました。全ての教職員の皆さんへのこの理解を深める、また機会を設けていく、そういう研修についてはいかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 基本的に教職員、教員が、やはり指導力を高めると、そのためには研修これは不可欠なものでございます。その研修の取組に誠実であるということ、そのことをぜひ大事に考えてまいりたいと思います。 先ほど申し上げた伊那市学校人権同和教育研究推進委員会でございますけれども、ここでは平成30年度と令和2年度になりますけれど、先ほど議員お名前を挙げられましたその方においでをいただき、またLGBT法連合会の方に講師をお願いをして、教員向けの研修会を開催した、そのようなことも行ってきております。 繰り返しになりますけれど、そうした機会を私たちは意識して積極的に設けて、自分自身の在り方を見返すとともに、力量を高めていく努力、それを欠かさずにしてまいりたいと、そのように考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) ありがとうございます。 私たち議員もまた有志、また共感する皆さんとともに、研修を重ねてまいりたいと思っております。 次に、先ほど市長からも回答がありましたように、長野県は夏以降、この仮称長野県パートナーシップ届出制度の実施を検討されております。まず伊那市としましても、先ほど市長の前向きな回答をいただきました。この具体的なこの窓口対応としまして、これから県と連携を取りながら進めていっていただけると思いますけれども、公営住宅の入居、また公立病院等における親族・家族等の対応など、その準備また伊那市としましてのこの一つの窓口の明確化、例えば伊那市パートナーシップ相談窓口、こうしたものの設置の準備、検討、こういったものについて御所見はいかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 同姓パートナーシップの届出制度に特化した相談窓口の設置というものは予定をしてございませんが、長野県パートナーシップ届出制度の申請の方法、また対応可能な行政サービスなどについて、随時情報を提供できる、そんな体制を整えていくつもりであります。また、身体的な相談とか精神的な相談、子供に関する相談などについては、適切な相談窓口の案内も行ってまいりたいと思います。 社会的にも性的少数者を理解しようとする機運、これ全国的にも全世界的にも高まっておりますので、今後も正しい知識の普及啓発、また多様性を認められる人権感覚の高揚に努めてまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 本当にそのとおりというふうに思います。今後、企業でも配慮が進んでまいると思います。ぜひ、伊那市がリードを務めていただいて、前進していけるようにというふうに思っております。大切な一歩が、今日から始まったというふうに信じて、次の質問に移ります。 次に、松くい虫対策と脱炭素社会進展について伺います。 伊那市は2028年までの第2次伊那市総合計画を策定し、市長は午前中にも唐澤千明議員の質問に対して回答されておりました。農業、林業の一次産業を中心に、「食」「水」「エネルギー」を自ら賄う環境に配慮した持続可能な循環社会の実現、こうしたすばらしい目標に向かって尽力されております。 まず、松くい虫対策からお尋ねをいたします。 ちょっと小さい地図で申し訳ございません。伊那市の全体の図となります。耕地林務課から頂戴をした資料となります。この赤く色塗られてるところが、被害拡大をこの赤いところで防ぎたいというお話でありました。 そして、次出ますでしょうか。これ少し拡大した手良地域も含めたあたりですけども、このバツ印のところがこの松くい虫被害が出ておりまして、現在まだ未処理の地点とのことであります。それからこの紫色の部分が、この守っていきたい、この緑で大きく囲ってあるところは、マツタケ等の特に守りたいという地域だというふうに御説明をいただきました。 伊那市の松くい虫被害はその被害状況は、各地域からのこの各区から、報告が出てきた、そういう申請型のものでありまして、令和元年が約2,400立方メートル、2年が2,700立方メートル、令和3年、3,000立方メートルと被害が増えているところでありますが、その処理量は令和元年が1,800立方メートル、2年が1,600、3年が約900立方メートルとなかなか比例していないところでございます。その理由について幾つか背景があるとのことでございますが、特殊伐採の軽減と樹種転換の拡大のバランスについて、進めてまいりたいと思います。 特殊伐採は御存じのように家屋や道路の人的被害を防ぐために、根本から倒すことなくクレーンなどを使って上から伐採する方法で、通常伐採より多額の費用がかかってしまいます。松くい虫決算に対する特殊伐採の金額の割合は、40%から50%と大変高い割合になってしまいます。増加する松くい虫被害との対策はいたちごっことなっているわけであります。 通常のアカマツの枯損木の処理を進めながらも、広い伊那市の松林の中で、地域ごとに守るべき松林の優先順位をさらに明確に検討すべきであると思います。原因となるマツノマダラカミキリムシ、この移動距離がおよそ500メートルから2キロメートルと言われておりまして、その間をこの樹種転換を図って緩衝地帯にしまして、このカミキリムシが容易によそへ飛び広がらないようにと、そういう取組、囲い込み計画ができないかというふうに考えます。このような施策は、各事業体が主導ではなく伊那市主導で行うべきと考えますが、市長の御所見を伺います。
    ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、特殊伐採に関してなんですが、これ国の補助対象にならないわけでして、予算の制約を受けております。この特殊伐採非常に補助がないがためにというか、高額な費用がかかると、最近の例でいうと三六一を高遠に入っていく避けの部分がありますけども、あそこの上に松枯れが発生しているんですが、あれは特殊伐採でないと除去できないんですね。それ全部、市費でやらなくてはいけないというようなことで、こうしたことが今後もさらに広がってきますので、今、中部森林管理局とか林野庁のほうにも話をして、対象としてほしいという話を今、進めているところであります。 こうした中で、被害の拡大を防止をする樹種転換でありますが、これも松枯れが始まった昭和20年ごろからずっともう言われ続けているんですが、それは実際にはできてないということであります。そうしたある一定のバンドで樹種転換をしたり、あるいはマツを除去したりしたところでも、やっぱり500メートルという最初話があったんですが、風向きによってはもう1キロも2キロも飛びますので、どうしても入ってしまうと。今、この地域でも標高が800メートルから900メートルの間あたりがラインになっておりますので、これが上に温暖化が進むとさらに伸びていくだろうというふうに言われてます。 私たちは今、そうした被害を防ぐための樹種転換というより、むしろアカマツを別な樹種に変えていくという、そうした樹種転換の取組をしておりまして、一定の標高から上については、イナマツというそのブランド品のアカマツは育てられますので、そうした差別化をしていくということが今のやり方であります。 最近では、美篶笠原の天神山、あそこも大分やられました。この地域を中心として、一定の範囲の所有者をまとめて、林業事業体と連携をしながら樹種転換を進めているという地域もあります。 平成30年にまとめました「伊那市50年の森林」のゾーニングの中でも、松くい虫マップを作成し、そして危険な地域、これを標高750メートルというふうになっておりますが、移行地域は875メートルということを設定をして、自然抑制地域これを875メートル以上としてますが、先ほど申しましたように地球温暖化によってこの拡大がさらに心配されているということであります。 マツタケの産地、その産地の代表格でありますが、そうしたことによって被害の拡大、また被害の最先端地を守るべき松林をしっかりと指定をしていかなければいけないと。被害が広がりそうなところを優先をして、緩衝帯となるような取組、樹種転換への整備、こうしたことを行いながら、守るべき松林を守っていくということであろうかと思います。 それを進めるためにも、森林所有者の協力が何よりも必要でありまして、区などの地域あるいは林業事業体と連携をして、森林所有者への働きかけを行って、樹種転換をできるところはどんどんと進めてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 本当に大変な作業ではございます。今、回答ありましたように、このブランド力がある伊那市の松林、本当に長野県の中でも有数な価格、1立方メートル1万5,000円、それが被害に合うともちろんゼロとなってしまうわけであります。そこで、この樹種転換作業これを少しでも効率を上げるために、市としてはこの山林所有者の意識調査、またその推進と対応を行っていただいております。大きく地権者の皆さんの意識は三つかなというふうに思います。 一つは、切り出したいけれど方法や費用が分からず手をつけられない。二つは手放したいがどうすればよいのか分からない。三つは、所有者が相続登記できず不明土地となっている等が考えられます。こうした所有者の意識を受け止める窓口と対応するシステム、これが大切だというふうに思います。 また番地、地番はあるけれども公図、公の図がない場合、隣同士の公図や林班図、昔から伝わっているそういう山の図面ですね、境界図、これが合わなくて空白ができてしまっているような場合があるそうです。隣接する所有者同士で対応する必要があります。さらに、現在の公図は現地の地形の実際の所有者境界とかけ離れており、境界確認の上でなかなか用がなさない状態であります。しかし、構図の作成と整備には、森林に分け入って測定する国土調査が必要でありまして、費用と時間が大変にかかり過ぎるということであります。 この図はちょっと見にくくて恐縮ですけれども、伊那市ではございませんが、この紫のところが昔からある境界でありましてこの水色になっているところ、これは空中からの写真を撮って、判定をしたというこの筆界図と言われる図のイメージでございます。 そこで森林に入らず、机上で地形、森林の状況、地域の森林に詳しい方の意見を反映した図面を、この掲示した図のように、図面を作成し、森林所有者に確認していただき、みなしの境界を定めまして、森林の境界を明確化する筆界図を作成する方策があります。この図面は、地籍調査におけるこの元となる図、元図に当たるもので、境界策定作業の大幅なこの短縮が可能であります。 また、地域の高齢の方に森林境界のこの策定を頼る今だからこそ、早急にこうした筆界図を作成をする、そうしたことに力を入れていったらどうかというふうに思います。 令和元年からは森林経営管理制度がスタートしまして、市町村、伊那市が森林管理のセーフティネットの位置づけを受けているというふうに思います。 伊那市はドローンの活用等も得意でありますので、そうしたものを使いながら積極的にこの筆界図作成へ取り組むべきと考えますけれども、市長の御所見を伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 伊那市耕地林務課におきましては、林地台帳の整備を行ってきておりますが、伊那市は山の地籍調査がほとんどできておりません。公図の空白地帯もありますので、ほとんどの山林で公図と現地の整合性が取れていないのが実情であります。森林経営管理制度に基づいた森林整備を進めていくためには、専用区域または個人の個々の所有者単位での境界の明確化が必要となるわけであります。 伊那市の林地台帳には、航空写真と地形図とそれから公図、あるいは林班図が整備されておりましてGIS上で重ね合わせて見ることができます。また県が作成をしたCS立体図も閲覧ができるということで、林業事業体が森林整備を行うのには、こうしたこれらの図解、図面とそれからGISなども使用することによって、以前より境界が分かりやすくなっている。また現地と図面が合わないことが多くて、森林整備の障害になっているということであります。 県の森林経営管理制度市町村業務マニュアルというものがありまして、この中ではこれらの図面などを重ね合わせて、より精度を高めた境界推測図の作成、それから活用を推奨しているところであります。 いずれにしても境界が分からない、分かっている人がもう存在しないという状況下において、今手元にあるこうした図面等を活用してやっていく方法しかできないのと、合わないところについてはみなし境界、これが設定されて施業できるようにしていくということで、今までの法律がやっぱり大幅にゆるく見直しをかけていかなければ、森林整備は進まないと思っております。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 次に、林業人材の育成が急務でございます。少し内容を飛ばしますけれども、伊那市は新規就業事業者の支援を行っております。包括補助金を活用し、受入れ森林事業体に対して一人上限40万円の補助金を運用しています。技術面では県の研修会がありまして、伐木造材課程や林業架線課程を学ぶそうであります。 写真は御存じのように、この架線作業でございまして、これは長野県のものではございませんけれども、なかなか重機が入れないところにこの架線、林業架線が活躍するということでございます。そこで、伊那市としましても、新規に林業に取組を始める方に対する支援のアップ、また林業事業体支援のこの費用を増やすこと、また架線技術の向上へ市が各林業事業体と連携し、リーダーシップを発揮して研修会を充実するべきだと考えますが、御所見はいかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。 ◎農林部長(柴公人君) 伊那市では平成27年度から、新規雇用をした若者1名につき年40万円を上限としまして、林業事業体に林業従事者育成支援奨励金を交付しております。これまでに延べ32人、1,824万円の支援を行ってきております。このたび確認したところ、上伊那管内では同様の支援を行っている自治体はございません。若者層の林業従事者を増やすことが重要であるので、これを続けていきたいという考えであります。 架線の向上についてでございますが、今年度市長が林野庁に要望を行いまして、長谷黒河内の国有林の現場において、講習会を実施してもらいました。引き続き同様の講習会が、毎年行われるように要望をしてまいりたいという考えであります。 架線集材は機械が一台数千万円もするなど高額でありますので、小規模な事業体には負担が大きいというふうに思いますが、今後の日本の林業にとってはどうしても必要な技術であるというふうに考えております。 また架線集材を行う場合に、長野県で定めている標準単価が急峻な地形などがあまり考慮がされていないということでございまして、見直しを行うように市長会の議題に提案を行っているところであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 本当に伊那市は林業に対するこの取組意識が高いということを感じておりますので、より一層というふうに考えております。 次にこの「50年の森林ビジョン」に沿って学校教育、森林環境教育についても進めていただいております。里山、学校林での樹木とのふれあい、生物多様性、二酸化炭素削減の力を持つ豊かな森林の力を学ぶこと、伊那市の郷土愛を学び自己肯定感を高める大切な取組と思います。教育現場の現状と効果、これからの取組について伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。 ◎教育長(笠原千俊君) 小中学校の森林に関わる学習でございますが、これ学校それぞれの環境によって違いはあるわけでございますけれども、伊那西小学校、林間、子供たちはそのように呼んでおりますが、校舎のすぐ前にあります学校林で、大変ありがたいことに御専門の方、また地域の皆さんのお力を得て、児童が学校林整備に当たったり、あるいはその学校林を活用した様々な学習を展開をしているところでございます。 また、伊那北小学校ここでは上牧里山づくりの会の協力をいただいて、低学年の子たちは落ち葉遊び、高学年では里山整備などを行っております。高遠中学校では実際に、子供たちが学校林の下草刈り、枝打ち、間伐などの整備を行っております。それぞれの小中学校が豊かな自然環境を活用した取組をしてきているところでございます。 そこでは実際にこう作業等体験的、探求的、そうした活動を行うことが豊かな感性を育むことにこれはつながっている、そのように思っているところでございます。 なお、子供たちが自然の恵みを享受しながら森林との関わりを学ぶ機会といたしましては、学校に導入しておりますペレットストーブとか、あるいはペレットボイラーがあります。ペレットストーブを導入した学校には、ペレットストーブを使う理由が分かるチラシを配付をいたしまして、バイオマスまたカーボンニュートラルなどの学習に役立てているところでございます。引き続き「50年の森林ビジョン」実行計画に沿いまして、それぞれの小中学校豊かな自然環境を積極的に活用した森林環境教育を進めてまいる、そのように考えております。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) ありがとうございます。 続きまして、林業最後の質問となりますが、脱炭素社会やバイオマス発電所建設の準備について伺います。伊那市は本当にこのエネルギーも伊那市で地産地消を行う、その建設の意味と規模、活用方法、今からその準備が大切であるというふうに感じています。御存じのように県内でも塩尻市、安曇野市、東御市、長野市等で民間企業と協力して稼働しております。 写真は安曇野市の2,000キロワットアワーの規模のバイオマス発電所ということでございます。市議会でもバイオマス発電の燃料として林業で生まれる販売できない素材、二瓶議員が提案された美和ダム等の流木、クリーンセンターでの受入れが難しい個人の庭木等と、また基準を設けた上で産業廃棄物等も燃料とすることができるそうであります。地域の資源を活用して循環できるこの仕組みが、政策課題となっております。 私は意欲のある地元企業を中心に、建設・経営事業体を立ち上げ、雇用を生み、農業とも連携できる2,000キロアワー程度の活用しやすい規模のバイオマス発電所などのコージェネレーションシステムと言うそうですけれども、発生した熱源を電力や温水などの様々なエネルギーに転換できる、そうしたバイオマス発電所を利用することを必要ではないかと考えます。市長の御所見を伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) まず、2,000キロワット程度のバイオマス発電でありますが、やはり今、県内にあるところは大分止まり始めております。材の供給ができないということ、これができることによって地域の材の価格が乱高下していて、非常にある意味迷惑を被っているということもありまして、一概にこの木質バイオマスの発電がいいということには私は思ってはおりません。むしろ小規模な、これはもちろんFIT狙ってますので、FITではなくて庭木、あるいは果樹、あるいは解体した家の廃材だとか、様々なそうした社会でこう産廃として処理をするような困っているものが随分ありますので、そうしたものを使った小規模な40キロとか45キロ程度の発電、これだったら十分賄っていけるのではないかというふうに思っておりますので、昨年度受けた環境省の地域脱炭素移行再エネ推進交付金、この事業を採択されましたので、この中で45キロワット程度の小規模のバイオマス発電、これを2台考えております。公共と民間というようなことで、これからまた具体的な検討を進めてまいりたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 希望あふれる回答をいただいたというふうに思っております。 大変時間が迫ってきてしまって申し訳ございません。次に最後となりますが、この高校の給付型奨学金の基金、また大学奨学金のこの返還支援についてお願いをいたします。 1月補正においても、ひとり親家庭の高校進学等の準備支援が実施されました。大変に私はありがたい、このよいポイントをついていただいているというふうに思っております。支援を受けた家庭からも、ありがたいとの声が広がっております。そこで少し間を省きますけれども、多くの費用がかかる高校進学また高校での様々な制度が行っているわけであります。 質問に移って失礼ではありますけれども、生まれ育った環境に左右されず自分らしく精いっぱい自分の夢に向かって進んでいける、そうしたこの制度だというふうに、支援だというふうに思っております。 そこで市長がひとり親家庭の高校進学準備支援を決断されたその経緯と、その願いについて、一言お伺いをいたします。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 何度も繰り返しになりますけれども、伊那市では漏れのない福祉施策に取り組んでおりまして、コロナ禍、あるいは物価高騰の影響を強く受けているひとり親家庭等に対しましては、児童扶養手当、またひとり親家庭生活資金貸付、こうしたものに加えて国や市独自の事業によって支援を行ってきております。 そうした中で、ひとり親家庭からは卒業、あるいは入学を迎える時期になると、まとまったお金がどうしても必要だと、しかし蓄えもなく準備ができていないという相談が寄せられておるわけであります。高校進学を志望する児童が、安心して新しい道に進めるようにということを願いながら、保護者の経済的な負担を軽減するために、補正予算によって直ちに支援ができるということを目的に、実施をしたものであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 私も全く同感でございまして、この次の少し説明を省かせていただきますけれども、高校進学に向けての様々な支援が国でも、また行われてきているわけであります。そこで次の質問のところでありますけれども、ぜひとも、一つの財源案、子育て支援によりましてこの準備制度、これは今年一年だけではなくて、ぜひ継続をするという視点について、市長の御所見を伺いたいと思います。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 高校進学を志望する児童、こうした子供たちが安心して新たな道に進めることができるように、ひとり親家庭の高校進学等準備支援事業、このことにつきましては令和5年度以降も継続していくつもりであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) ありがとうございます。私も目に浮かぶ家庭があるわけでありますけれども、本当にぜひともよろしくお願いしたいと思います。時間が迫ってきて大変申し訳ございませんけれども、最後のところで今後、企業とこの皆様の協力金、またこの一般財源そうしたものを活用しながら、仮称子ども未来応援基金というような形で、その中には子ども食堂の支援、また居場所づくりの支援、そして給付型の高校入学奨学金などの支援とこうした幅広い活用ができる、そうした事業があればというふうに考えますが、市長の御所見はいかがでしょうか。 ○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。 ◎市長(白鳥孝君) 令和4年度のひとり親家庭の高校進学等準備支援事業、これにつきましては、新型コロナウイルス感染症の対応地方創生臨時交付金、これを活用して支援を行っております。また令和3年度からは、企業、団体、個人の方から子ども食堂の運営などを行う子どもの未来応援事業、このことに対しての寄附をいただいているわけであります。この寄附の総額が571万ということで、徐々に増えている状況でありますが、有効に活用させて感謝をしているところであります。 ふるさと納税については、令和3年度の寄附が24億5,000万円、そのうち23%約でありますが、5億6,400万円については教育・子育ての充実のために使途を限定して、指定して寄附をいただいております。したがいましてふるさと応援基金を活用した事業というのも、実施ができるわけであります。 それから、企業等の協力金でありますが、これは一般財源を合わせた基金、これを新たに設置をするということは今のところ考えてはおりませんが、今後も引き続いてふるさと応援基金や子供の未来応援事業への寄附、こうしたことを有効に活用しながら、財源の確保、それから必要とされる支援の充実、このことに努めてまいりたいという考えであります。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) 大変、前向きな答弁をいただいたと思っております。次に時間もちょっと迫っておりまして、次二つの質問を、一つにまとめて御解答いただく形でお願いを申し上げたいと思います。 次に奨学金の返還支援です。大学生等になります。この返還が必要な貸与型奨学金の利用者、全国で約129万人、学生の2.7人に1人がこの活用をしているということであります。大変にありがたいこの奨学金の制度であります。奨学金の返還支援については、本当に伊那市も前向きに取り組んでいただいておりまして、私の知り合いの30代の夫婦は、2人で残り約200万円を、月1万2,000円ずつ返還して14年かかると。また、子供も小学校に入り大変楽ではないということも伺っております。 公明党としましても、奨学金の返還支援には充実に力を入れているところでございます。伊那市が企業とも連携をされて、奨学金の返還に取り組むこと、こういったことを伊那市を含む上伊那の未来を担う子供たちにとって、将来の選択肢を増やす重要な取組であるというふうに評価をしております。 そこで後でまとめて市長には御答弁をいただきたいと思いますけれども、もう一つ長野県としまして今、図に出ておりますように、「長野で働こう奨学金返還支援制度 導入企業サポート事業」ということで、上伊那の企業も人材確保の取組を支援しようとしております。奨学金返還支援制度への関心は、今後さらに大きくなると考えております。 伊那市としても進めていただいているわけでありますけれども、そこで若者に選ばれる伊那市を目指しまして、奨学金返還支援制度を市内の小中企業がより多く活用できるよう、また県と市の両方の返還支援制度を活用できることを市が積極的に広報すべきと考えます。市の年額12万円、5年間までとのこの基準、金額と支援期間をもう一歩充実すること、これは大きな意味があると考えます。併せて市長の御所見を伺います。 ○議長(白鳥敏明君) 高嶋商工観光部長。 ◎商工観光部長(高嶋利幸君) こちらの、現在の奨学金の広報ということでありますけれども、こちらにつきましては企業のほうに対しまして市の制度、それから県の制度につきましてはしっかりこれから周知をしていきたいというふうに考えております。返還支援制度の構築について、企業にも働きかけていきたいということであります。 また支援を受ける社会人、それから企業と市からの支援、こういったものにつきましては支援が得られることによりまして経済的な支援、不安が緩和され将来設計が早期に描ける、ひいては伊那市への定住促進、そして少子化対策への効果、そういったことも得られる可能性が十分ありますので、学生に対して積極的に情報発信、それから若者に選ばれる伊那市を取り組んでいきたいというふうに考えております。 また制度の拡充という点でございますけれども、現在県内の他の自治体の制度、そういったところを見ますと、補助率それから補助金額につきましても、伊那市の制度が非常に充実しているという状況でございまして、現在のところ市の制度の変更・拡充までは考えていないところでございます。 ○議長(白鳥敏明君) 湯澤議員。 ◆9番(湯澤武君) ありがとうございました。質問内容も少し端折りまして失礼をいたしました。私自身がこうした奨学金に助けられた一人でございます。この子育て世代の皆様からは、子供たちの世代に負担が軽減されるのは大変にありがたいと。また、地元の多くの企業でぜひこの制度を活用して多くの若者が地元に帰ってきてほしいと、そういう思いも聞いております。今後ともその拡充について取り組んで一緒に考えてまいりたいと思います。 以上をもちまして、質問を終わらせていただきます。今日一日ありがとうございました。 ○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、湯澤武議員の質問が終了しました。 お諮りいたします。本日はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。     (「異議なし」と言う者あり) ○議長(白鳥敏明君) 御異議なしと認めます。よって本日はこれをもって延会いたします。 △延会 午後4時46分 地方自治法第123条第2項の規定により署名をする。       伊那市議会議長       伊那市議会議員       伊那市議会議員...