伊那市議会 2022-12-08
12月08日-04号
令和 4年 12月 定例会 令和4年12月
伊那市議会定例会会議録 (5-4)1.開会 令和4年12月8日(木曜日)午前9時30分
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柳川広美--------------------------------------- 欠席議員の氏名(1名) 8番
三石佳代---------------------------------------3.説明のため出席した者の職氏名 市長 白鳥 孝 副市長 伊藤 徹 教育長 笠原千俊 総務部長 伊藤博徳 企画部長 飯島 智 文化スポーツ部長 宮下宗親 市民生活部長 城倉 良 保健福祉部長 松澤浩一 農林部長 柴 公人 農林部参事 寺田周平 商工観光部長 高嶋利幸 建設部長 橋爪 豊 建設部参事 鷲見祐人 水道部長 伊藤一真 教育次長 馬場文教 会計管理者 河上千鶴子 高遠町総合支所長 山崎大行 長谷総合支所長 有賀賢治 総務部参事 埋橋
進---------------------------------------4.職務のため出席した事務局職員 事務局長 久保田 玲 次長 井口大輔 庶務係長 竹中恵子 主査
守屋奈央---------------------------------------5.議事日程 日程第1 会議録署名議員の指名 日程第2 議案第21号 財産(土地)の処分について 日程第3 議案第22号 伊那市一般職の職員の給与に関する条例及び伊那市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例 議案第23号 伊那市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例 日程第4 議案第24号 令和4年度伊那市一般会計第5回補正予算について 日程第5 一般行政に対する質問について
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△開議 午前9時30分
○議長(白鳥敏明君) おはようございます。今朝の朝刊に、報道各社の協力により昨日の一般質問のトピックスが載っておりました。市民の皆さんの話題にもなっているかと思います。 開会に先立ちまして、本日の会議に欠席の届出がありましたので、御報告いたします。8番、三石佳代議員、病気療養により欠席です。 それでは、これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お配りしてあります議事日程表によって議事を進めてまいります。
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△会議録署名議員の
指名 ---------------------------------------
○議長(白鳥敏明君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。本日の会議録署名議員は20番、飯島光豊議員、21番、柳川広美議員を指名いたします。
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△議案第21号 財産(土地)の処分について
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○議長(白鳥敏明君) 続きまして日程第2号、議案第21号「財産(土地)の処分について」を議題といたします。 事務局をして件名のみ朗読いたさせます。 久保田事務局長。
◎事務局長(久保田玲君) 議案第21号、財産(土地)の処分について。令和4年12月8日提出、伊那市長白鳥孝。 以上でございます。
○議長(白鳥敏明君) 理事者から提案理由の説明を求めます。 高嶋商工観光部長。 (商工観光部長 高嶋利幸君登壇)
◎商工観光部長(高嶋利幸君) 追加議案書の3ページをお願いいたします。 議案第21号「財産(土地)の処分について」を御説明いたします。 最初に下段の提案理由でございますが、伊那市が所有しております
伊那インター工業団地の産業用地、1区画がこのほど売却の見込みとなりました。当該用地は伊那市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第3条に規定する、予定価格2,000万円以上かつ5,000平方メートル以上の不動産に該当するため、議会の議決をお願いするものであります。 中ほどの記書きにございますように、土地の地番は伊那市西箕輪2148番5で、地目は宅地、地積は1万9,582.29平方メートル、売却価格は2億3,890万3,938円で、売却先は上伊那郡南箕輪村4124番地1に本社を置く、株式会社ハーモ、代表取締役は濱秀明氏であります。 次に売却用地の位置を御説明いたしますので、別冊の追加議案関係資料の3ページをお願いいたします。 関係資料は、
伊那インター工業団地産業用地位置図であります。 南隣が
信州伊那国際ゴルフ場に位置するF区画で、JR東海の
リニアトンネル工事と国土交通省の河川工事による発生土を有効活用し、しっかりした地盤に仕上げました。リニア発生土の活用では、市内では初めて完成した区画となります。 左下、売却先の株式会社ハーモは、
プラスチック射出成形機の
自動取り出しロボットの開発・製造・販売と産業用ロボットの周辺機器の製造販売を行っております。 昭年56年12月には伊那市西箕輪に伊那工場を新設いただき、その分野の国内シェアは射出成形機の
取り出し小型ロボットにおいては世界最大のメーカーであり、その分野の国内シェアは30%ほどに及び、競争力が高く技術力と信頼の高い企業であります。 このたび、中期計画を達成するための量産体制を構築し、北米市場のシェアを拡大するため本区画を取得し、工場を建設いただけることになりました。 投資額は8億円、工場は3工区に分けて建設をし、第1工区は令和7年5月の完成を目指して、新規雇用は6名を予定されているところであります。 説明は以上でございます。よろしく御審議賜りますよう、お願い申し上げます。
○議長(白鳥敏明君) これより質疑に入ります。 御質疑ございませんか。 (「なし」と言う者あり)
○議長(白鳥敏明君) 以上をもって、質疑を終結いたします。 ただ今議題となっております議案第21号は、経済建設委員会に付託いたします。
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△議案第22号 伊那市一般職の職員の給与に関する条例及び伊那市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例
△議案第23号 伊那市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する
条例---------------------------------------
○議長(白鳥敏明君) 日程第3、議案第22号「伊那市一般職の職員の給与に関する条例及び伊那市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第23号「伊那市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」の2案を一括議題といたします。 事務局をして件名のみ朗読いたさせます。 久保田事務局長。
◎事務局長(久保田玲君) 議案第22号、伊那市一般職の職員の給与に関する条例及び伊那市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例。 令和4年12月8日提出、伊那市長白鳥孝。 議案第23号、伊那市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例。 令和4年12月8日提出、伊那市長白鳥孝。 以上でございます。
○議長(白鳥敏明君) 理事者から提案理由の説明を求めます。 伊藤総務部長。 (総務部長 伊藤博徳君登壇)
◎総務部長(伊藤博徳君) 議案第22号について御説明申し上げますので、議案書追加分の4ページをお願いいたします。 4ページは、伊那市一般職の職員の給与に関する条例及び伊那市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例でございます。 最初に提案理由を御説明しますので、大変お手数ですが13ページまでお進みください。 13ページ下段は提案理由でございますが、本年8月8日付の人事院勧告に基づき、国の給与制度の改正に準じまして、一般職の職員等の給料月額等の改定を行うため、関係条例の改正をお願いするものでございます。 次に改正内容について御説明しますので、
議案関係資料追加分の4ページをお願いいたします。 議案関係資料の4ページは、給与改定等の概要についてで、本年の人事院勧告における民間給与との格差に基づく給与改定の内容でございます。 (1)は月例給でございますが、民間給与との格差を埋めるため、各給料表における若年層の給与水準を引き上げ、併せて初任給を引き上げます。 また(2)は、特別給いわゆるボーナスでありますが、アとして、表の左端の職員等区分に応じまして、本年度分の引上げを表の右から2列目、12月期の増加月数にございますように、それぞれ0.1月から0.05月の引上げを行うもので、1行目の一般職から5行目の特定任期付職員までは議案第22号で、一番下の特別職及び議会の議員については、議案第23号での改正をお願いするものでございます。 なお、イは今回の引上げ分について、令和5年度からは6月期及び12月期に平準化をするものでございます。 なお5ページは、改正概要と関係条例の相関表で、6ページ以降は改正内容の新旧対照表でございますので、御確認をお願いいたします。 恐れ入りますが、議案書の12ページにお戻りください。 12ページ下段は附則で、第1項では施行日を公布の日からとし、第2項で一部を令和4年4月1日から適用するもので、おめくりをいただきました第3項以降は経過措置でございます。 説明は以上でございます。 続いて議案第23号について御説明申し上げますので、14ページをお願いいたします。 14ページは、伊那市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例でございます。 提案理由を御説明しますので、おめくりいただき15ページをお願いいたします。 15ページは提案理由でございますが、本年の人事院勧告に基づき、特別職の職員等の期末手当の改定を行うため、お願いをするものでございます。 14ページにお戻りください。 改正内容については、先ほど議案第22号で御説明申し上げましたとおり、特別職の職員等の期末手当について、年間で0.05月分を引き上げるものでございます。 なお、下段の附則についても議案第22号同様でございます。 また、議案関係資料の21ページ以降に改正内容の新旧対照表をおつけしてございますので、後ほど御確認をいただければと思います。 以上、2議案について御説明いたしました。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
○議長(白鳥敏明君) これより質疑に入ります。 御質疑ございませんか。 (「なし」と言う者あり)
○議長(白鳥敏明君) 以上をもって、質疑を終結いたします。 ただ今議題となっております議案第22号及び議案第23号の2案は、総務文教委員会に付託いたします。
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△議案第24号 令和4年度伊那市一般会計第5回補正予算について
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○議長(白鳥敏明君) 日程第4、議案第24号「令和4年度伊那市一般会計第5回補正予算について」を議題といたします。 事務局をして件名のみ朗読いたさせます。 久保田事務局長。
◎事務局長(久保田玲君) 議案第24号、令和4年度伊那市一般会計第5回補正予算について。 令和4年12月8日提出、伊那市長白鳥孝。 以上でございます。
○議長(白鳥敏明君) 理事者から提案理由の説明を求めます。 伊藤総務部長。 (総務部長 伊藤博徳君登壇)
◎総務部長(伊藤博徳君) それでは、補正予算書12月補正追加分の5ページをお願いいたします。 議案第24号「令和4年度伊那市一般会計第5回補正予算について」御説明いたします。 第1条は歳入歳出それぞれ2,080万円の追加をお願いし、総額を412億9,160万円とさせていただくものでございます。 今回の補正後の予算規模は、前年度の12月追加補正後と比較をして、約1.7%の減でございます。 第2条は地方債の補正でございますが、別表にて御説明申し上げますので、2枚おめくりいただき、8ページをお願いいたします。 8ページ、第2表地方債補正は変更で、千代田湖周辺整備に過疎対策事業債の充当を計画しておりましたが、
伸和コントロールズ株式会社様からの寄附金を充てさせていただくため、減額をするものでございます。 続いて補正予算の主な内容について御説明いたしますので、恐れ入りますが16ページまでお進みください。 16ページ以降は、歳出でございます。 2款総務費、1項6目企画費の右ページ、人口増推進は
一般社団法人地域循環共生社会連携協会の補助金を活用し、CO2の削減につながる行動に対してポイントを付与する
グリーンライフポイント推進事業を実施をするもので、その上の総務一般事務は、ただいま説明いたしました事業に伴う人件費の財源を組み替えるものでございます。 次の3項1目
戸籍住民基本台帳費の
戸籍住民基本台帳事務は、
マイナンバーカード普及強化月間に既に
マイナンバーカードを申請され、市役所にカードが届いている皆さんに対し、カードの受取りをお勧めする電話連絡をしておりますが、その電話代に国庫支出金を充当するものでございます。 おめくりをいただき、18ページをお願いいたします。 18ページ、7款商工費、1項1目商工総務費の右ページ、
新型コロナウイルス感染症対策(商工)は、燃料高騰等の影響を受けております地域の物流を担う貨物運送事業者を支援するもので、その下、観光施設管理及び
ローズガーデン管理は、
伸和コントロールズ株式会社様からの寄附金を充当し、財源を組替えるものでございます。 以上が歳出でございます。 次に、歳入について御説明いたしますので、お手数ですが14ページにお戻りをください。 14ページは歳入でございます。 16款国庫支出金は
個人番号カード交付事務費補助金、19款寄附金は
伸和コントロールズ株式会社様からの寄附金、20款繰入金のふるさと応援基金は、
グリーンライフポイント推進事業に充当するもので、ばら基金は歳出で説明いたしました
ローズガーデン管理事業の財源組替えによる減額で、
新型コロナウイルス対策応援基金は
貨物運送事業者支援に充当するものでございます。 次の22款諸収入は、
一般社団法人地域循環共生社会連携協会からの補助金、23款市債は地方債の補正で説明いたしましたとおり、減額をするものでございます。 以上、一般会計第5回補正予算につきまして御説明いたしました。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(白鳥敏明君) これより質疑に入ります。 御質疑ございませんか。 21番、柳川議員。
◆21番(柳川広美君)
マイナンバーカード取りに来ない方について電話代ということですけれども、いつまでも取りに来ないものを伊那市が持っていていいんでしょうか。そういう規則、法律はあるんでしょうか。期限があるんですか。
○議長(白鳥敏明君) 城倉市民生活部長。
◎市民生活部長(城倉良君) 一応、
マイナンバーカードが市役所に届いて、3か月間は保管をするという形になっておりますので、それ過ぎれば廃棄することは可能なわけでございますが、そこで廃棄してしまうと一番最初から申請やり直しということもありますので、まだ取りに来ていらっしゃらない方、一度申請をされてますので、取りに来られませんかという勧奨をしているという内容でございます。
○議長(白鳥敏明君) よろしいですか。 ほかにございますか。 (「なし」と言う者あり)
○議長(白鳥敏明君) 以上をもって、質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております議案第24号は、付託表のとおり所管の各委員会に付託いたします。
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△一般行政に対する質問について
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○議長(白鳥敏明君) 日程第5、昨日に引き続き一般行政に対する質問を継続いたします。 飯島光豊議員の質問に入ります。 20番、飯島光豊議員。 (20番 飯島光豊君登壇)
◆20番(飯島光豊君) おはようございます。飯島光豊でございます。私は、さきに通告してあります大きく2項目について、質問をいたします。よろしくお願いいたします。 それではまず、1項目めの
小中学校給食費無償化の意義と効果、財源について伺います。 コロナの休校による給食停止により、その重要性が再認識された学校給食は、未来を作る主体である子供たちの単なる栄養補給だけではない、かけがえのない役割を果たしています。そして今、40年ぶりの消費者物価の高騰に保護者の収入は増えないところから、学校徴収金の負担が極めて重くなっており、給食費無償化の要望が急速に高まっています。 昨年、2021年に認定、
NPO法人キッズドアが行った子育て困窮世帯の緊急アンケートでは、
新型コロナ感染症流行前と比べて収入が減った世帯が7割、今も収入が減ったままだという世帯が5割に上っていると言われます。こうした中において、給食費の無償化を求める願いが急速に広がっており、無償化する自治体が増えています。 伊那市においても、来年度から保育園等の給食副食費が無償化されます。学校給食費の無償化についても、市長は9月議会で徐々に導入する額、あるいは%等を今後検討してまいりたいと、前向きな答弁をされました。 そこで今回は、学校給食の意義と効果、そして財源と題して、今後の学校給食費の無償化の検討に資するために、以下、5点にわたり質問をいたします。 質問の1です。質問の最初に、本来、憲法第26条では無償と定められている義務教育において、保護者から学校給食費をはじめとするたくさんの学校徴収金や負担金をいただいています。私はここに令和4年2月25日付、長野県民新聞を持っています。ここには、令和2年度の全県市町村の小中学生一人当たりのPTAと給食費など学校徴収金の年額が報道されていますが、誤りがないか伊那市の年額についてまず伺います。 そしてこのほかにも、保護者は児童生徒の学校生活や教科に必要とされる費用があります。昨日も、高橋明星議員が全国平均のデータを示して質問されておりましたが、教育委員会でもし分かるなら、伊那市の小中学生一人当たりの入学から卒業までの平均的負担額をざっくりでもいいので教えてください。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 初めに、私から義務教育費の無償ということに関わってお話をさせていただきます。 基本的に義務教育でございますが、これは最高裁の判例また法律によりまして、授業料及び教科書の代金、これを集めないということとしているところでございます。このことが義務教育費の無償の内容ということで、一方これ以外に要する費用については、保護者が負担をするということとされているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) 学校で徴収している金額のお尋ねについてお答えをいたします。 議員おっしゃいました令和4年2月25日付、長野県民新聞で報道された額、それに関わりましての数字といたしましては、伊那市の状況としては小学校7万8,372円、中学校9万2,293円になっております。 このほかの指定かばんですとか制服、運動着、文房具等費用がかかるわけでありますが、こちらにつきまして入学から卒業までの負担額というのは、なかなかそれぞれでありまして算出難しいんですが、全国的な数字ということになるんですが、文部科学省が平成30年度に行った「子供の学習調査」から計算をいたしますと、小学校で26万448円、中学校で27万2,202円となります。 以上です。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) すみません、もう一度金額、最後のざっくりのとこだけ教えてください。書き残します。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) 申し訳ありません。小学校で26万448円、中学校で27万2,202円、全国の数字になりますがそんな数字が出ております。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) ありがとうございました。本当に大変大きなお金がかかるものだというふうに、認識を改めました。それで、特に学校徴収金というお金が取られるわけですけれども、PTA会費のほかに、そのお金の学校、そこに占める学校給食費の額が小学校で3分の2の66.3%、同じく中学校でも3分の2に近い62.8%と、こういうことで大変大きな負担が、いわゆる保護者の世帯にかかっているということであります。 私もその数字見ましたけれども、伊那市の比率と学校給食費の金額と、県平均を見ますと、やはり伊那市は高いのですね。そういうことで、これから進めていきたいと思います。 質問の2になります。学校給食については法令や通達で規定されています。ただいま教育長言いましたけれども、しかしちょっとそれは違う見解が出ておりますので、改めてください。そこで改めて歴史を追って、給食費無償化の法的根拠と存在をひも解いてみたいと思います。よくお聞きください。 そもそも憲法第26条には、義務教育はこれを無償とすると国民の権利が定められていることは、既に寄せられたとおりであります。 しかし、学校給食費をめぐっては自治体が給食費無償化をしない理由、あるいは消極的な論拠として、学校給食法第11条の2項のことを言う自治体もあります。先ほど、教育長もこれをおっしゃられてます。つまり、学校給食費は保護者負担を根拠とするというものでありますが、しかしこれは文科省の前身、文部省の事務次官通達などにおいても、あるいは国会の質疑においても、自治体が全額補助することを否定しないという政府見解や答弁が既に確認されていますので、以下、確認してまいりたいと思います。 まず、1951年3月19日の参議院文部委員会においては、日本共産党岩間正男の参議院議員の質問に対して、当時の文部省は「義務教育の無償をできるだけ広く広範囲に実現したいとして、学用品費、学校給食費などの無償化も考えている。」と答弁しています。 また、1954年の文部省事務次官通達、略称で文官学第543号におきましては、自治体が食材費を負担することを禁じない旨を明記した正式見解が出ております。 このことは最近の2018年の12月6日の参議院文教科学委員会におきまして、日本共産党の吉良よし子参議院議員が、この通達を確認する質問をしております。当時の柴山昌彦文部科学大臣は、「学校給食法の第11条の規定は、1954年当時の文部次官通達のとおり給食費の一部を補助することを禁止する意図はなく、地方自治体等がその判断によって全額補助することを否定するものではない。」とはっきりと答弁しております。 そして、さらに本年2022年10月7日の参議院本会議における日本共産党の小池晃参議院議員における代表質問におきまして、学校給食法第11条の規定は、自治体の判断で給食費の全額を補助することを否定するものではないことを、全国の自治体に徹底すべきだと、岸田首相に確認しましたが、首相も否定をしませんでした。 そもそも、食育基本法には、第2条で学校給食は食育であると定めておりますし、学校給食が教育の重要な一環であることを明記しています。事実、学校の教師が子供と一緒に給食を食べる時間帯というものは、一般の企業の労働者の休憩時間帯とは異なっておりまして、勤務の時間内であり、給食指導の時間であるとされております。まさに給食は教科と同じ学習の場、食育の時間であります。したがって給食の時間については、文科省の管轄とされているゆえんであります。 そこで質問です。市長は9月議会の答弁で、「文部科学省におきましては、学校設置者の判断によって、学校給食費の受ける保護者負担の軽減を図ることは可能という見解を示しております。」と答えていますが、以上の憲法や法令、及び文科省通達、さらには国会質問に対する岸田首相や政府答弁の自治体が全額補助することを否定しない、あるいは割合は地域の実情に応じてというように、もはや学校給食法の第11条第2項をもって、給食費の無償化をしない理由にしないで、伊那市においても学校給食費の保護者の負担割合をゼロにすることを含め、検討していただきたいと思いますが、考えを伺います。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 教育委員会からお答えをさせていただきたいと思います。まず、食育基本法と並びまして学校給食法におきましても、この食育に関わって学校給食を活用した食育の推進、このことを大事に考えているところでございます。で、このことに関わりましては、伊那市「暮らしのなかの食」という取組を通しまして、食育を積極的に行ってきているところでございます。 私どもも給食にはその地産地消、また地域を学ぶといったその食育の働きがある、そのことは大事に考えているところでございまして、今後も「暮らしのなかの食」に引き続き取り組んでまいりたいと、そのように考えているところでございます。 給食費につきましては、議員御発言ありましたけれども、令和2年度の国会答弁につきましても承知をしているところでございます。ただ、現在のところ、伊那市では学校給食法の第11条にありますように、食材費等については保護者が負担をしていく、そのこととしておりますので、今後とも保護者に応分の負担をお願いをしていきたいと、そのように考えているとこでございます。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) ちょっと残念な見解ですが、もう少しよく、国会の事務次官通達やあるいは国会答弁を見ていただきたいと思います。 私も最近見つけた文献ですけれども、学校給食の運営管理に当たって根拠となる関係法令例規集である学校給食執務ハンドブックの1,161ページに、学校給食法の学校給食費の保護者負担についての記載がございました。それによれば、学校給食法第11条第2項については、これら法令の規定は経費の負担区分を明らかにしたものであって、設置者が保護者に代わって学校給食費を負担することを禁止する趣旨のものではないと、はっきりと書かれております。 改めて教育委員会の考えを伺います。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 議員御発言の中にもありましたように、自治体の補助についてはそれを認めているというのは、私どももそのように認識しております。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) そこが大事なんです。それをぜひ押さえてください。 続いて、質問の3に行きます。市長も「実行に移している自治体もあることは承知しています。」と答弁していますが、学校給食費を小中学校とも無償化した全国の自治体が、2017年には76自治体でしたが、今年11月時点では224自治体へと、5年間で3倍に広がっています。そして今年、文科省は物価高騰に対応した学校給食費の保護者負担の軽減について、全国の8割を超える自治体で地方創生臨時交付金を活用した学校給食費無償化及び軽減を実施していることを公表しています。 長野県においても立科町が、この11月から小中学校の学校給食費無償化を実現し、全県では21の自治体で全額無償化、伊那市を含む53の自治体で給食費の一部補助を実現しております。全国の自治体の事例では、人口の多い市や区にも学校給食費の無償化が広がっていますので、そのことを幾つか紹介してみたいと思います。 人口27万人の中核市、青森市は今年10月から小中学校で給食費無償化を実現しています。そして財源は決算黒字だと言われます。 また、人口5万人の宮城県富谷市も来年4月から行います。財源は決算黒字や、地方創生臨時交付金だと言います。 さらに、人口69万人の東京都足立区では、昨年度から第2子半額、第3子以降は全額無償の制度を実現し、財源は蓄えた基金の活用だと言います。 人口46万人の東京都葛飾区では、2013年度に多子世帯の無償化、そして来年度の4月からは完全無償化を実施します。 一方、この伊那市におきましても、市長の答弁において「学校給食費の無償化ということは大変大きな負担となってまいります。」と述べておられますが、前回の一般質問の答弁では、馬場教育次長が市の小中学校の給食費の無償化に必要な予算額を、一般会計全予算額の0.9%、1%以下ですね0.9%、およそ3億円余と言われました。既に伊那市でも学校給食費の財源は、検討を始めていると思いますが、ちなみに9月決算議会で示された令和3年度の伊那市一般会計の決算を見てみると、決算黒字の額は約9億円でありました。 また、現在蓄えている基金におきましても、財政調整基金では約57億円、減債基金では約11億円、ふるさと応援基金では約77億円でありました。伊那市は学校給食費無償化の財源として、こうした市民の税金の有効活用はできないものでしょうか、財源の検討について伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 学校給食の無償化につきましては、それぞれの県内の町村で取り組んでいることを承知しております。このことにつきましては前回もお話をしましたが、大変大きな予算が長く将来にわたって必要とされるということでありますので、このことにつきましては慎重な検討が必要であろうということは変わりはありません。 現在のところ、県内19市における無償化の動きというものはないわけでありますが、国あるいは19市の動向というものも、今後注視していかなければいけないと。 また昨日の高橋議員からの提案といいますか、ありました。分析をよくして、それに基づいた提案ということで、私にしてみても新たな視点からの提案だというふうに思っております。 伊那市としても、引き続いて研究をしてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 少子高齢化の時代、そして子供を増やしたい、あるいは人口を増やしたい、こういうときに全国の自治体がこうした学校給食費の無償化に踏み切って、そうした人口増、あるいは少子高齢化に対応している施策として、重要な柱に、この学校給食費無償化を据えていると、それをぜひ据えていただいて財源の検討、決して財源は少なくないとは思いますが、しかしこれは将来を、この伊那市の将来を担っていただける、子供たちの食べる給食費です。決して私たち、無駄ではないと思います。有効に使えるものと思われます。 財源につきましても、先ほど述べましたように市民の税金があるわけでございますので、それをぜひ有効活用していただくことを検討していただきたいことをお願いをしてまいります。 質問の4に入ります。市長はさきの答弁で、国とか今も言われましたけど、「国とか県の動きも従来とは違ってきているような感じでありますから、注視したい。」と述べております。もし、国や県の財政支援があれば、市町村の学校給食費の無償化はさらに実現可能となりますので、財政支援の要請は必要かと思いますが、考えを伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在、無償化を実施している自治体、これ将来にわたってどのように考えて取組をしているのか、これが非常に重要なところだと思います。国のほうの支援があって、それで進めてみたところ、国の支援が切れたということもよくありますので、そうしたときの財源の確保というのは非常に重要になってくると。 したがいまして、19市の意向、これにも注視をしながら、今後の在り方について検討をしたいという考えであります。で、保護者の負担軽減につながる取組というのは当然、大事だということは認識をしております。国・県に対しまして、何らかの要請をするこのタイミングというのは、状況を見ながらと考えているところであります。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) しっかり要請をしていただくことですけども、私はこの場合、伊那市のこれまで話してきた子供に対する支援の中で、子供の医療費窓口無料化の先鞭をこの伊那市が切ったと、これが上伊那全域に広がり、大きな役割を市は果たしました。大きな評価があります。したがって、今回の学校給食費もやはり19市に先鞭をつけるという意味では、大変重要な観点かと思いますので、ほかの市を見てということももちろん大事ですが、ぜひ伊那市としての主体性を発揮していただきたいと思います。 質問の5であります。この質問は学校給食費の無償化とは直接つながりませんが、子供の口に入る可能性も否定できませんので、伺います。 既に東京都のベンチャー企業S社は、ゲノム編集のトマト苗を来年度小学校に無料配布する計画を発表しています。一方、子供たちがなかば強制的に栽培したり、食べたりするおそれがあることを強く心配した保護者や市民から、こうしたトマト苗を受け取らないでと反対する請願活動が起きています。伊那市議会にも、先の9月議会に請願が出され、趣旨採択とされています。現在は、受け取らないと表明した自治体が、全国で153か所も報告されています。伊那市におきましても、市議会の意思に従って受け取らないでいただきたいと思いますが、考えを伺います。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) お答えいたします。ゲノム編集されたトマトの苗、これを配布する動きがあるということは、9月定例会の、ただいま議員おっしゃいました請願・陳情で承知をしたところであります。これまで、特に県等からの通知はないところであります。 ゲノム編集技術を利用した品種改良につきましては、農林水産省が従来の品種改良と同等のものを効率的に作り出す技術だという見解を示しているところであります。また、ゲノム編集技術によって作られる食品は、厚生労働省が届出により流通を認めている食品でありまして、その旨が公表されているところであります。農林水産省が認めた技術によって作られた食品について、厚生労働省が認めて市場に流通しているものでありますので、今、あえて受入れを拒否するという理由は、ないと考えているとこであります。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 私それは、甚だこの議会のいわゆる採択に教育委員会は従わないということを言っているように聞こえますが、農林水産省の一般論の食品の考え方と、学校の子供たちに食べさせるものと、なぜ同等に考えられるんでしょうか。 私は子供たちのことを心配する保護者の皆さんが、こうやって請願をしてきているときに、あえて拒否しないということをこういう公の場で言うこと自身が、私は大変問題だと思います。私はこれは引き続き問題にしてまいりたいと思いますが、ぜひそういうことがないからまだ知らないということではなくて、もう全国では53自治体が拒否をするということを言っていますから、そこはぜひお願いします。 以上で、1項目めは終わります。 次に、大きく2項目めの伊那市の農業を守る飼料・肥料などの直接支援について伺います。 市長も市長部局も既に御存じのように、今農家や農業生産法人の現場では、飼料をはじめ肥料、資材、燃油などの高騰に農家が苦しんでおります。私はこの間、伊那市の農業を大きく支えている中核的な農家をお訪ねして、その厳しいその経営環境の実態と要求を伺ってまいりました。 そこでまずお聞きしてまいりました農家の声を、少し長くはなりますが、記録に基づきここではなるべくリアルに御紹介申し上げたいと思います。 まず、20ヘクタール以上の耕作面積を持つ大規模稲作経営のAさんの声です。今年の米の収穫量は、昨年に続いていもち病などで大きく減収している。耕作規模の大きい仲間の話を聞いてみると、「もうおれ、廃業するしかないよな。」と言いだした人もいる。仮に来年、肥料が確保できたとしても、肥料などのあまりの暴騰はこれから先、稲作経営を続けていかれるのか、追い詰められている。その上、この2年続きの低米価は本当にやばいんじゃないかと思う。これまで、肥料・飼料・資材などを輸入に頼って来た日本の農政の失敗がここに出てきた感じだ。 食料自給率が38%、今、過剰の米だって使っている化学肥料などはほとんどが輸入品、どっちを止められてもこの国は終わりになると思う。日本が食糧危機に陥るその序盤に来ているのではないか。これまで日本はお金があれば何でも買えると思っていたが、もうお金ではだめだということが分かったと思う。今の伊那市農業の実態は、伊那市政が想像する以上に危機に直面している。市政には将来にわたる農業プランはあるのだろうか。もし、我々が農業経営をやめれば、大きな借金は残るが、困るのは国・県・市、そして消費者だ。 上伊那圏内で畜産農家は、今どんどん減っているが、それがまた減っている。稲作農家もこれから同じようになるだろう。今やっている人の経営が崩れたら田んぼは草ぼうぼうになり、農業委員会も農協も苦悩するだろう。今、営農を続けられるかどうか岐路に立たされている農家がいっぱいいると思う。この秋、これから経費を払うと、年を越す前に営農口座は真っ赤という人は、たくさん出るんじゃないかなと。 また、肥育牛170頭経営のBさんの声です。毎月の餌の口座引き落としの額が、去年に比べ月100万円違う。配合飼料はトン6万円だったものが9万円になった。2年前からすれば、2倍だ。餌米を作って粗飼料にしているが、最終仕上げの濃厚飼料のトウモロコシなどは自給できない。肥育牛はマル金という制度があり、餌の値上がりを補填してきたが、もういつ基金が底をつくか分からない。市の支援はぜひお願いしたい。 次に、酪農50頭と規模の大きい稲作経営のCさんの声です。どうするのえ、というところだ。飼料は2年前の倍、1トン4万8,000円から5万円ぐらいだった飼料が、今は9万5,000円から10万円を超えている。餌代が先月一気にトン1万5,000円も上がったが、それはえらいことだぜ。乳価はキロ10円だけ上がったけど、餌も資材も上がりっぱなしだ。酪農をみんな辞めてしまい、この地域でやっている人はついにうちだけになってしまった。去年だけで30頭から50頭規模の普通の酪農家で辞めた人が五、六件も出た。もう酪農だけでは生活できない。国のクラスター事業を入れた人は大変だと思う。ここにきて子牛の価格も下がって大変。国の根本的で継続的な直接支援がなければ救われない。米は過剰でもミニマムアクセス米だけは入れているような政府はおかしい。昨年の市の畜産農家支援のように支援をしてほしい。 伊那市屈指の多数派養鶏経営のDさんとEさんの声です。餌の値上がりが1.8倍でめちゃくちゃだ。原因は海外からの輸入で餌の奪い合い。もう一つは円安だ。飼料安定基金はあることにはあるが、飼料高騰をもろかぶりだ。赤字垂れ流しの経営にはできないから、飼育羽数を減らして経営を縮小するしかない。今は7割も減らしている。伊那市はかつて養鶏家が40軒もあったが、今は2軒になった。全国では超大手が5軒も潰れている。ただ、今年伊那市が1月にやってくれた飼料高騰緊急支援事業は上限が50万円だけだったけど、本当に助かった。こうした農家の危機的状況を市政が気づいてくれていたという気持ちがすごくありがたかった。生産者はみんな同じ思いだと思う。つまり、伊那市は農業・農家を応援をしていますよというメッセージが、経営継続の支えとなった。要は経営継続の気持ちを折れないようにしてくれたのが伊那市の支援事業だ。これからインボイスが広がったら、辞めちゃう人が当然出てくるだろうが、飼料高騰の全部を見てくれなんて言わない。今年の春に伊那市が支援をしてくれたときは、市長さんが神様に見えた。このことは市長さんにちゃんと伝えておいてほしい。今、伊那市の法人をはじめ規模の大きい農家が崩れたら、耕作地は荒れ果て、伊那市の農業はなくなると思った方がいい。 市内最大規模の農事組合法人Fが配っているお便りの声です。肥料の高騰は容易ならない事態。経費をペイできなくて、自分たちの人件費を切っています。借金で法人を倒すわけにはいかない。去年は肥料を1,000万円購入したが、来年同じ量を買うと2,000万円になります。去年は作業員の追加従事分量配当ができませんでしたが、来年はそれと同額が肥料代のアップで消え、もし余剰金がなくなれば配当は不可能な状態が予測されます。 以上です。 それで質問です。これはほんの一部の農家の声ですが、伊那市農家みんなの声と思っていただいてもいいと思います。そこで質問です。今、農家はこのように危機的状況にあり、市長及び市長部局にはこの苦しみを共有してほしいとの、必死に訴えて、死に物狂いで戦っています。全国では命を絶った畜産経営の夫婦もいるとお聞きします。そこで伊那市の支援策について、市長の認識を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 私は市長就任以来、1次産業というのは基本中の基本だということで、取組をしてまいりました。つまり、私たちが食べるものは私たちの地域で作り出すと。それから水についても同じようにこの地域の森林を手当てしながら涵養をしていくと。加えて、エネルギーも賄っていけるようなそうした地方自治体、伊那市をつくりたいということで今まで取り組んでまいりました。そのために、1次産業の疲弊をしている状況においては、できる限りの支援をしてきていますが、まだまだその支援に対して追いついていないというようなのが、今世界情勢だと思っております。 今回、施設園芸農家の事業継続に向けた経営支援として、燃料費の支援、これを本定例会にも提案をしております。過去にも幾つかしておりますので、これについては担当のほうからお話をさせてもらいますが、必要であれば当然この支援をしていくと、必要であればというか、必要な時期になっているかと思います。自立した活力ある地域づくり、これを進めていくためには、自分の食べるもの、自分たちの食べるものを作る農家、極めて重要な産業であります。 一方で、市ができる支援、これは財源を含めて限りがありますけれども、国・県の支援も当然こう求めながら、また引き続いて関係機関とも連携をし、さらには農業従事、1次産業に携わっている皆さんからの様々な意見、お話を聞きながら支援の内容も考えていかなければいけないと思っております。
○議長(白鳥敏明君) 寺田農林部参事。
◎農林部参事(寺田周平君) 今までにしてきた支援等について、説明させていただきます。飼料価格については世界的に穀物価格大幅に上昇して、配合飼料非常に上昇しています。これによって畜産農家は大きな影響を受けていますし、肥料についても先ほど議員の指摘ありましたように、非常に価格が上がっています。燃料も同様に大きく値上がりしていて、米、野菜農家も甚大な影響を受けていると承知しております。 伊那市ではこれらの支援対策として、6月定例会において伊那市飼料高騰緊急支援事業、伊那市産飼料用米購入支援事業の補正予算をお認めいただき、現在支援を行っているところです。ほかにも昨年度から今年度にかけて、米価下落緊急支援事業や原油や飼料等の高騰に対する支援事業を実施してきました。 先ほど市長も言いましたけれども、今回、施設園芸農家の事業継続に向けた経営支援として、燃料費の支援の予算も本定例会に提案しているところです。 以上です。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) ただ今市長の答弁にもありましたように、必要があれば、必要な時期に来ているという認識をお持ちいただけている、多分この話はテレビや何かで流れていると思います。それを見ている人たちは、畜産農家は本当にぜひという声が聞こえてくるのではないかと思います。 さて、質問2ですが、このような全国的な危機的状況に農家・農民の代表は先月、農水大臣を訪ねて経営危機打開に向けて次のような要請を行っています。 1点目は、飼料・肥料をはじめとした今の生産コストの高騰は、現行の制度では一部しか補填せず、経営が維持できない。コスト上昇分を全部全額補填してほしい。 2点目は、コスト上昇分を農産物価格に転嫁できるよう、国は責任を持って実需者に働きかけてほしいというものです。これは予算があるので、地方自治体では厳しい話ですけれども、国はできる話です。 そこで、こうした声を農家の声を国や県に要請していただきたいと思いますが、市長のお考えを伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市では長野県の市長会を通じまして、この8月29日でありますが、肥料・資材・燃料高騰、こうしたものに対する支援について、県知事緊急要望を行っております。また、機会を捉えながら国・県また地元の選出の国会議員等にも窮状を訴えているところであります。 今後につきましても、引き続いて他の自治体また特にJA上伊那との連携をしながら、地域の実情それから必要な支援、国・県へ伝えてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 質問の3に入ります。来週に行われる国の肥料価格高騰緊急対策事業では、高騰した肥料費についてその7割を支援するといいます。長野県も大方の農家に、化学肥料の使用を減らせば、少なくとも1割の支援はすると言っています。さらに、2割、3割の支援を受けるには、さらに県の厳しい認証を受ける必要があると言います。そこでその支援内容について、詳しく御説明ください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 国の支援の中に、1割加算をして8割補填されるというのは、国の肥料価格の高騰対策事業に取り組んで慣行栽培から化学肥料の2割削減というものに取り組む者となります。国の肥料価格高騰対策事業に取り組む方は必ず1割加算に該当するということのようであります。で、国の支援に2割加算をして9割補填をされるのは、さらに信州の環境にやさしい農産物認証制度、この認定を受けた者となります。 この認定をとるためには、その年の栽培を始める前に化学肥料と化学合成農薬、これの使用量、これを原則50%以上減らして栽培をする計画書を県に提出するということになっておりまして、本年度市内では4者、4人の方が認定をされておるわけであります。国の支援に3割加算をして10割補填をされるというのは、有機JASの認証を受けた者、もしくは環境保全型農業直接支払交付金事業の有機栽培に取り組む者となっております。信州の環境にやさしい農産物認証制度の認定、これは上伊那地域振興局が窓口になっておりますので、市のホームページなどで制度の情報についても周囲を図ってまいりたいという考えでございます。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 農政部から何もないんですか。
○議長(白鳥敏明君) 寺田農林部参事。
◎農林部参事(寺田周平君) 今、市長が説明していただいたとおり、国の支援7割支援がされて、1割は国の支援制度に乗れる取組活動をしてもらった者、2割の補填は長野県の認証制度を受けた者、3割補填は一番厳しいですけれども、有機JASの認定を受けるか、環境保全型の直接支払いを受けている者となっております。 各その長野県の支援を受ける窓口、県の振興局になってますので、そこの認定、来年度受けようと思うと1月までに出さなければいけないので、そこに相談していただくということがよいかと思います。 あと、有機JASの認定とか環境保全支払いの交付金を受けたいということがありましたら、農政課に相談していただければと思います。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) それじゃあ、この県の2割から3割の受けられる農家、先ほど4者って言いましたけれども、私聞いたら現時点、二人だそうです。それからJASを受けている人は誰もいません。つまり、実際にはこの2割あるいは3割の支援を受ける可能性のある人は、伊那市民としては本当に少ない、わずか二人というのが今、振興局の話です。 それで、この認証を取りたいというふうに言ってきた場合に、伊那市はぜひ支援をしてほしいのですが、いかがでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 寺田農林部参事。
◎農林部参事(寺田周平君) 県の認証制度受けられた人、4者認定されて多分2名なんだと思います。同じ人が受けていること、違う作物で受けていることがあるので、そのようになっております。 あと国の支援ですけれども、有機JAS取っておられる人もおられますし、環境保全型農業の直接支払交付金は、すみませんちょっと手元に団体数とかないですが、一定程度環境支払いのものを受けておられる人もおられます。 農林部の支援ということですけれども、まずこういう取組をするんでということで相談に来ていただくということが一番かなと思います。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 本当に、指で数えれるほどしかいないんですよね。それで、ぜひ認証を取るやり方も分かりませんので、窓口を作ってくださいね、市役所の中に。ね、相談窓口をつくってください。そうしないと、実際にはそれを受けられないと、絵に描いた餅になってしまいます。 そこで質問の4に入りますが、伊那市ができる支援策です。伊那市は昨年度、地方創生臨時交付金を活用したコロナ対策、第21弾で飼料高騰緊急対策事業を行いました。牛1頭5,000円、鶏100羽当たり5,000円の支援でした。また米価下落緊急支援事業では全農家20アール、4,500円を支援し喜ばれました。今やその時期よりも、はるかに上回る規模の肥料・飼料・資材高騰です。農家もあの時は、農家の支援があったからこそ営農を続けられたという気持ちになったと言っています。 伊那市の近隣の自治体やJAでも直接支援が始まっていますので御紹介します。箕輪町では全農家に、肥料価格高騰緊急支援事業補助金で、定額で3,000円支給し、さらに肥料購入費用の20%の補助を上限なしでプラスして支援しています。JA上伊那は肥料・飼料・資材、出荷資材代金の5%を購入農家に支援しています。 そこで質問です。近隣では緊急に支援が始まっています。今回、伊那市では補正予算で燃油の支援はしましたが、しかし畜産農家や稲作農家、そしてあらゆる農家がピンチに陥っていますので、支援をしていただきたいと思います。昨年と同様に、少なくとも箕輪町やJA上伊那並みに直接支援を、補正予算を駆使して緊急に検討していただけないでしょうか。農業が基幹産業の伊那市の市長に伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 令和3年度から4年度にかけて、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金、これを活用しながら何回か米あるいは燃油、飼料、野菜、飼料、飼料というようなことで、補正を組みながらやってまいりました。国・県の肥料の高騰対策、これは県の農業再生協議会の方針が決まり、12月中に申請が始まって、2月までには申請をするということとなるわけであります。 国の補助金は他の補助金と重複する場合は減額しなければならないというなことになっておりますので、これについてはかぶらないようにしていかなければいけないと思っております。 また、施設園芸農家への支援としては、先ほど申しましたが、12月の補正予算で燃料高騰対応、施設園芸支援事業というものを提案しております。今まで何回か支援策をやってまいりましたが、状況はまた変わってきておりますので、この状況をよく調査をして、必要であれば支援をするようなそうしたことを進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 飯島議員。
◆20番(飯島光豊君) 一生懸命支援していただいてるという気持ちはうれしいと思います。先ほど私がお聞きした中にも、支援をしてくれたことについて金額は50万円だったんだけど、その応援のメッセージがありがたかったということを言っています。市長は神様に見えたと言ってます。 今回、やはりそれ以上に厳しい状況が来ております。やはり言葉の中にありましたけど、継続的で直接支援がなければ、この農家は救われないのです。どうか伊那市は昨年、緊急支援事業を行っておりますので、それぐらいは最低やってもらわないと、あれ1回で終わりなのかねという話になってしまいます。ぜひそのところは、よく真剣に命を懸けて頑張っている農家の皆さんに、本当に市長から応えてあげていただきたい。心からお願いをして、私の一般質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、飯島光豊議員の質問が終了しました。 引き続き、原一馬議員の質問に入ります。 13番、原一馬議員。 (13番 原 一馬君登壇)
◆13番(原一馬君) 13番、原一馬です。よろしくお願いいたします。この12月議会の一般質問で、初日の唐澤議員の一般質問、市長の回答で新婚世帯の補助金や出産祝金の平準化による大幅な増額、先の9月議会では住宅新築宅地分譲地への手厚い補助金など、今までになかなか出て来なかった少子化人口減対策がここにきて腰を据えた形で出てきたと思いました。 移住・定住による土地建物の売買などの現場で、私は土地家屋調査士として関わっていますが、伊那市の数々の政策は現場で関わる方々に大いに評価されています。効果が上がっていくことが期待されます。伊那市の本気度を感じましたが、心配している市民の皆さんにも、伝わっていくものと思います。 また昨日、二瓶議員の一般質問で、流木を燃料にという発電設備導入の可能性について、以前私も流木や破棄される材木の活用を提案いたしましたが、導入見込みということで少子化、人口減少対策とともに、伊那市は確実に前進しているなと強く感じております。 質問に入ります。伊那市の多くの区や財産区が関わり、市民の多くが関係しているがあまり知られていない分収林、その現状と課題について現場の声を交えながら質問をしてまいります。 分収造林とは、森林の所有者と森林の管理者が異なる造林で、森林管理者が一定の契約期間に造林・保育を行い、契約の満了時に木を伐採して、その収益を土地所有者と管理者で分け合う契約のことを言います。以下、契約者が国の場合を官行造林、国以外の契約の場合を分収造林と呼びます。 全国には様々な分収林の契約形態がありますが、林野庁のホームページを見ますと、「あなたも山づくりに参加しませんか」と、国有林での分収造林を進めています。私のこの質問では、伊那市での主な契約、官行造林、分収造林について取り上げてまいります。 分収林制度は明治以前から行われており、これは東北や九州のほうで行われていたようですが、江戸時代から、大正9年に公有林野等官行造林法が制定されて、この造林事業が開始されております。国が市町村との分収契約に基づき、森林整備を実施しています。 現在、全国に残る官行造林、分収造林の契約は、その多くが戦後の復興期に契約されたものになります。戦時中には軍事物資として、大量の材木を必要とし、戦後は復興のために大量の材木を必要としたことから、国土の森林は大量に伐採されました。先の大戦、本日は12月8日、今から81年前に日本海軍による真珠湾攻撃が行われた日ですが、先の大戦は我が国に大きな爪痕を今でも残していますが、森林についても大きな影響がありました。 戦中戦後の森林の大量伐採の結果、我が国の戦後の森林は大きく荒廃し、昭和20年代及び30年代には、この荒廃した森林に大型台風が直撃して、毎年のように各地で台風などによる大規模な山地災害や水害が発生しています。 当時の災害の資料を見ますと、例えば昭和22年9月に関東北日本を襲ったカスリーン台風、はげ山に大雨が降って起こった斜面崩壊や山津波、大規模な土石流など資料を見ますと戦慄が走るほどの恐ろしさを感じます。罹災者数は埼玉県と東京都だけで72万人と推定され、信じられないような甚大な被害です。国土の保全や水源の涵養の面から、森林の造成の必要性が国民の間に強く認識されるようになりました。当時、国を挙げての植林、造林の機運が高まっております。 また、戦後の復興期、住宅建築等のための木材の需要の高まりから、国産木材価格は高騰していました。そんな時期に、伊那市でも各区や財産区などが多くの分収造林、官行造林の契約をしています。年配の方に当時のことを聞いてみると、官行造林や分収造林の契約をすれば、将来、材木が売れてその収益で公民館が建てらえると話していたそうです。 全国各地で官行造林の契約が急増、急激に増え、国は対応し切れなくなり、昭和36年、公有林野等官行造林法はなんと廃止されています。しかし、官行造林法は廃止されても、契約は残っております。 当時、伊那市で植林されたのは主にカラマツです。当時、植林してから15年ぐらいたって間伐した木材は、建築土木の足場などに利用され、25年ぐらいたってからの間伐材は電柱に使われ、40年もたてば建築材として高値で売れ、区費も要らなくなると大いに期待をしていたそうです。しかし、足場は鉄パイプに代わり、電柱はコンクリートになり、さらにその後の木材輸入自由化などの影響から、国内の山元材木価格、森林に立っている木の価格になりますが、昭和50年代半ばをピークに、現在は大きく値を下げています。昭和30年代の造林契約の幾つかは既に満期を迎え、また多くの契約はこれから満期を迎えていきます。契約満期に伴う処理は、国の持ち分を契約相手型、土地
所有者等が買取りをするという方法が取られることが多く、伊那市で契約満期を迎えたものですけど、500万を超える支払いをしている財産区もあります。市内の多くの区や財産区は、今後、契約満了により高額な支払いをしなくてはならないことが予想され、懸念しております。 ここで質問いたします。分収造林、官行造林は行政側が積極的に進めたのでしょうか、契約当時の状況について質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 市内の分収造林、特に官行造林法は昭和30年代に契約をされておりまして、当時は戦後の復興期から高度成長期に移行する時期でありまして、山の伐採によって多くが、いわゆるはげ山となって、国の拡大造林政策と重なったわけであります。森林所有者には、造林するだけの資金力が十分になかったという背景もあります。議員おっしゃるように、大正9年に制定された公有林野等官行造林法に基づいて、乱伐による荒廃した森林の植栽・手入れを行うということで、森林資源の造成、民有林の治山治水というものを進める、これを目的に、国と森林所有者との間で契約されたものであります。 その後、木材価格などの当時の状況から、契約が有利と考えられて、終戦後に全国で多数の官行造林の契約が始まったものというふうに言えます。 伊那市が契約した官行造林も8か所あります。既に8か所の買取りを行っておりますが、当時、行政側が積極的に官行造林の契約を進めてきたものかどうかというのは分からない、今となっては分からないというのが実情であります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 戦後の復興期、皆がよかれと思って契約をしてきたものだとは思います。 この造林の契約、現在どの区が契約しているのか、関係する市民の数は。また想定される区政への影響はあるか、現在の契約状況について質問をいたします。
○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。
◎農林部長(柴公人君) 市内には現在、契約の箇所数で申し上げますけれども、林野庁との契約が5か所、県とが13か所、森林整備センターとが33か所、県の林業公社とが50か所、計101か所の契約箇所がございます。その多くが昭和30年から40年代にかけて契約されております。 この契約の中で、伊那市以外の区、生産森林組合、財産区、個人等で契約している場所は72か所になります。契約者、現在の区というのはほとんどなくて、生産森林組合、財産区、個人等というのがほとんどという状況でございます。 徐々に契約満期を迎える契約者が出てきておりまして、森林所有者の意向により相手方の持ち分の割合の買取りを行ってきておる状況でございます。契約当時は、契約終了時に伐採を行うことで収益が得られると考えられていましたが、議員おっしゃるように情勢の変化がありまして、現在は十分な収益が得られずに再造林を行う費用が捻出できないというようなことになってきておりまして、相手方の持ち分を買い取る方法が主な方法ということになっております。 今後、買取り時に多額の費用負担が必要となるということが考えられまして、契約している区、生産森林組合、財産区等は必要により契約満了時に向けて積立てや借入等を検討する必要が出てくるというような状況と考えております。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 契約件数については、分かりました。契約をしているのが組合ということで、その組合にはその市内の多くが関係していると思います。ですので、私今回のこの一般質問、この質問は特に、この分収造林に関わることを少しでも周知したい、多くの人に知ってもらいたいということと、あとこの議場にいる多くの市議の皆さんに、相談を受けたり、これから相談を受けるものと思われます。そういったところもあって、その契約をした組合、それに関わる区とあと区の名前と区政への影響はあるかどうかというところをちょっと確認、市のほうでどのように考えているか質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。
◎農林部長(柴公人君) 先ほども少し申し上げましたが、契約しているのが現在の行政区となっているのがほとんどなくて、ほとんどが生産森林組合とか財産区、個人の共有という方が契約をしております。ですのでまた契約によって、権利者の範囲が様々でありますので、一概に区といったところがあまりないという状況であります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) ここで関わってる区を全部つまびらかにするというのが目的じゃないので、次の質問に参りますけれども、大概の区が関わっております。 分収造林制度には全国各地で問題も多くありますが、この制度によって戦後の伐採や土地の造林が飛躍的に進んだことも事実のようです。この分収造林契約、官行造林契約、肝心なのは契約満了時に伴う処理です。 南信森林管理署や伊那市耕地林務課の説明では、契約満了時の処理について三つありますけど、一つ目が契約のとおり伐採し分収後に返地、国の地上権を解く。2つ目、国の持ち分を契約相手方、土地
所有者等が買取りをする。三つ目、契約を延長するとあります。 ここで質問します。なぜ三択になったのか、その経緯について。それと、②の買い取る方法が土地所有者に負担が最小となる方法かどうか、造林契約満期に伴う処理について質問をいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この契約内容につきましては、契約終了時に伐採を行って、収益を分配、分収するということになっておりまして、しかしながら契約どおり伐採を行って収益を分収しても、現在の木材価格の状況では分収された金額、これが伐採後の再造林に係る費用を下回るというふうになってしまいます。そのために、国の持ち分を買い取る方法が費用負担を最小に抑えられるというふうに考えられます。 また、契約期間の延長、これは問題の先延ばしとなってしまいまして、実際にはなかなか認められない状況にあります。買取りも森林経営計画を作成して、国・県の補助金を活用しながら、計画的に森林整備を行うということで、隣地の条件にもよりますけれども、森林所有者に収益金をお返しできることがありますので、前向きに検討していただきたいというに思います。 また長野県の森林づくり県民税、これは来年度以降も継続をされる見込みでありますので、伐採後の再造林費用、これも補助の対象となってまいります。有効に活用をして、買取り後の森林整備に継続してもらいたいというに思います。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) これから様々な契約が満期を迎えますので、しっかりとその伊那市も協力、相談に乗っていっていただきたいと思っております。 分収林契約満期における処理については全国的な問題なので、法律の制定あるいは法改正などへの、そういった方向へ向けての働きかけなどはないでしょうか。先ほどの質問の三つの選択肢以外の例外はないのでしょうか、質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 分収林契約につきましては、これ伊那市、長野県だけではなくて全国的な問題となっておりまして、議会等で質問が出されるケースも多々出てきております。官行造林のもととなりました公有林野等官行造林法、これが昭和36年に廃止をされました。で、それ以前の契約については、同法の効力を有するというふうになっております。 今後、多くの契約地が契約終了を迎えてくるために、森林所有者の負担が少しでも軽減されるように、国・県などに働きかけをしていきたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) ぜひともしっかりと働きかけをしていっていただきたいと思います。 皆伐後、植林を行わず広葉樹の自然林を自生させた育林とした場合、何らかの法律に違反し規制を受けることはあるのでしょうか、質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) まず保安林に指定されてる森林につきましては、規定の年数以内に植栽をしなければいけないわけでありまして、その保安林以外の森林については、広葉樹等による天然更新、これも可能ではあります。しかしながら、水源涵養機能の向上、それから山地災害等の危険防止の面からも、植栽を行っていただきたいと。自然更新と言いましても、やはりニホンジカの被害によって、自然更新ができないというような事例も多々見られます。やはり、切ったら植えるという、再造林をするということが基本だと思っております。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 保安林のその皆伐したときに、その植林をしないような場合は、その何かこう罰則を受けることはあるのでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。
◎農林部長(柴公人君) 保安林の場合もケース・バイ・ケースでありまして、年数の規制等がございます。 罰則については、すみません、今資料を持ち合わせていませんので、また後ほどお答えしたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 分かりました。 今、質問した内容、その罰則規定なんかはそういったことをもちろん気にされる、やむを得ず気にされる方たちもおりますので質問いたしましたが、その一つのケースで、限界集落地区の場合、居住者の多くは高齢者です。医療・日常生活に不便であり、自立生活が困難で、毎年人口が流出しています。動ける高齢者は米と野菜を自給自足して年金で生活をしていることから、造林契約満期時の費用負担の捻出は、どう考えても無理だと当事者の切実な話です。 ここで質問いたします。支払いができない場合、どのような罰則規定があるのか。救済措置は契約期間の一、二年の延長だけか、質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 相手方の持ち分の買取りができない場合、これは契約不履行となるわけであります。で、契約期間の延長につきましては、国は森林所有者の資金力等を判断して、やむを得ない場合に限って資金を用意できる最低限の年数の延長ということが可としております。 また、県につきましては契約を延長することで収益性が向上すると見込まれる契約についてのみの延長を行っているという状況であります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) すみません、支払いができない場合のその罰則規定について、質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。
◎農林部長(柴公人君) 分収林契約、官行造林契約は契約でありますので、その約束が守られないということになりますので、罰則というよりは損害賠償とかそういうものを求められるというようなことになってしまうと思います。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 分かりました。 次の質問になりますが、支払いができない契約者のための対応、基金の設立、貸し出しをするなどのそういった対応は、伊那市のほうで考えられないものでしょうか、質問いたします。
○議長(白鳥敏明君) 柴農林部長。
◎農林部長(柴公人君) 現在、分収林契約を行っている森林所有者には、個人や小さな区、集落、団体等も多数あり、契約終了時に相手方の持ち分買取りに苦慮する森林所有者が出てくるということが考えられます。契約終了時期が分かっておりますので、早目に対応を検討し、積立てや借入れを考えていただきたいというふうに思います。 また買取り後、先ほども少し市長申されましたが、国・県の補助制度を利用しまして間伐・皆伐・植栽・造林等を行うと負担が軽減される場合が考えられますので、市としてはその支援をしっかり行っていきたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 関係者の中には大変難しい方もいますので、これから契約満期を迎えるのが10年先とか、契約も幾つもあります。何らかの対応をお願いしていきたいと思います。 私が相談を受けている造林組合からの話を、ここでちょっと少し紹介をいたします。 造林組合員の話ですが、「私は当該契約造林地に隣接する山間地の地区に住んでおり、造林契約地が荒廃していく様子を何年も見て生活をしてきました。何年か先の水源確保は、地域住民の一番大事なことです。山は手入れをしないと荒山となってしまいます。荒山を再度復元するには、100年単位の年月を要します。水源が枯渇し、確保に窮した時点で気がついても手遅れですので、今から手入れがぜひとも必要です。しかし、今の私の地区の状況では世帯数が激減し、残された老人世帯は自分の身を守る生活の確保が精いっぱいの状況で、水田・畑については耕作放棄地が拡大し、山の手入れどころではありません。このような時代背景で国土保全、水源の確保・治山のために、森林管理署・国は将来に向けてどのような手だてを講じる予定なのかを教えてください。」と話がありました。 限界集落に暮らす高齢者の切実な思いから来るものであると思います。ここで質問をいたします。高齢者が暮らす限界集落の里山において、水源確保・治山のために国は将来に向けてどのように対応していくのでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 分収林契約地でありますが、契約当初に相手方の造林者による植栽、その後の捕植、下刈り、枝打ち、そうしたことが行われて現在に至っているわけでありますが、伊那市では「50年の森林ビジョン」を策定して、市内の森林をゾーニングをするということで、森林整備を行わなくてはならない森林というものを明確にし、森林整備の促進を図っているところであります。 これまでも森林所有者と林業事業体が話合いを進めまして、国・県の補助制度を利用するなどして、森林整備を進めてきております。そのほかにも、新宿区あるいは民間企業からの寄附、そうしたものを活用しての森林整備というものもあります。 今後もさらに森林所有者と林業事業体のマッチングによって、森林整備を進めていかなければいけないという考えであります。で、また平成31年の4月から始まりました森林経営管理制度によりまして、手入れのされていない森林の所有者に意向調査を実施をし、調査結果によって市が林業事業体と協力をして集約化、森林整備、こうしたものを進めていく考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 分かりました。現在の造林契約者の先輩が結んだ分収造林、官行造林の契約ですが、契約を満了させるために必要な買取り費用の負担金を老後の生活費を割いて、現在の契約者たちが支払っても見返りはなく老後保障もありません。次のような選択は可能でしょうか。これ契約者たちからのお願いでありますが、質問します。 買取り費用捻出のため、当該契約造林地を、土地を国に買取りをお願いできないかというものです。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 分収林契約者だけではなくて、最近の森林経営管理制度によりまして、森林所有者の意向調査でも管理に困って森林を手放したい人がたくさんおります。この今の国の方で買い取ってもらえないかという話でありますが、造林契約地を国が買い取るということは、おそらくないと思います。 契約終了時には相手方の持ち分を買い取るということが、一番最善な方法ではないかというに考えるところであります。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 契約者たちのその思いというか、そういったものをストレートに伝えてまいりましたけれども、この買取りの話も市長も答弁にありましたけど、昨今の山林や水源地の売買の問題ですね。外国資本による広範囲な土地の売買、そういったことを考えますと、国やその地方自治体も何らかのその対応を考えていかなきゃならないのかなというふうな思いがいたします。 現場では、ほかにも懸案事項が多くあります。これからも伊那市の積極的な支援をぜひともお願いをいたします。 次の質問に移ります。伊那市の森林資源活用、新宿区との協定について。 新宿区が大都市ゆえに持つCO2排出の問題と、伊那市が以前抱えていた財政的な面等から、進まない森林整備の問題を解決するため、また伊那市と新宿区がよりよい地球環境を構築するために、平成20年2月10日に「伊那市と新宿区との地球環境保全のための連携に関わる協定」を締結しています。平成25年、30年に更新され、主に間伐を中心に市有林が整備され、その累計面積は10年間で234ヘクタールに及んでおり、市有林の整備が飛躍的に進んできました。伊那市の「50年の森林ビジョン」実行計画の策定や低炭素社会の実現に向けた計画を策定し推進していますが、新宿区とのカーボンオフセット事業は、その両方から高い実績を示しています。 平成22年「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が制定されましたが、これによる効果もあり、今年5月の国の白書によると、令和2年の日本の材木自給率は41.8%で、ほぼ半世紀ぶりに4割台に回復、その後も4割台を維持しています。令和3年に「公共構築物等における木材利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」が成立、これにより法律の題名が、題名がみんな長いんですけど、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」改名されて通称都市の木造化推進法、「まち」っていうのはこの「都市」と書いて「まち」と読んでおりますけれども、このように変わるとともに、法の対象が公共建築物から建築物一般に拡大しました。農林水産省は、特別機関として木材利用促進本部を設置しています。 三井不動産と竹中工務店は、カラマツ製の新しい集成材「燃エンウッド」を使い、日本橋で木造17階建てのオフィスビルを計画、2025年に竣工の計画をしています。この「都市の木造化推進法」の概略を示す林野庁のハンドブックには、「始めようウッドチェンジ」として国の基本方針とともに、建築物における木材利用の優良事例が幾つも紹介されております。 木材の強度や耐火性能は進化しており、3時間の耐火性能を持つ木材や、コンクリート以上の強度の直交集成材、CLTと言われる木材の技術開発が進んでいます。鉄骨に比べ建築時に排出されるCO2も少ないのが特徴です。都市部で幾つも計画が始まっており、都市木造ムーブメントが起こっております。木材の需要が高まっているところ、2007年ロシア政府が丸太の輸入に高額の税金を課す方針を発表しました。国内の合板メーカーが主原料として使っていたロシア産カラマツの輸入量が急減、合板業界は国産カラマツへの転換が進められ、北海道に次ぐ有力産地の長野県にも注文が殺到するようになってきているようです。 現在、長野県のカラマツは人気で、価格が上がっています。伊那市の植林された樹種も多くはカラマツでありますので、伊那市の森林資源活用の好機であるとも言えます。カラマツに熱視線が送られております。昨今のウッドショックの影響もありますけれども、中長期的に見ますとウッドショックのこの値動きは警戒が必要だなとは思っております。 国は都市の木造化に向けて、腰を据えて推進しており、市町村が行う森林の間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進を目的とした森林譲与税が、令和元年から始まっています。 これに、伊那市の取組と新宿区との協定を考えると、おのずと見えてくるのが伊那市のマツやカラマツなどを、構造材、集成材として新宿区の公共建築物等に活用していただく新たな協定です。現在の協定を改定、更新するのもいいと思うのですが、国や新宿区とのつながりを生かし構築する森林資源循環の仕組みを生み出す新たな協定です。 ここで提案します。森林資源循環の仕組みを生み出す新宿区との新たな協定への取組について、市長にお伺いします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 新宿区と伊那市との関係でありますが、旧高遠町が昭和61年に友好提携を宣言をして、平成18年の市町村合併を受けて、改めて伊那市と新宿で友好都市・友好提携を宣言して今日に至っているところであります。 その間に、平成20年2月でありますが、長野県の森林(もり)の里親促進事業、これを活用して、伊那市と新宿区との地球環境保全のための連携に関する協定書というものを、当時の中山区長さんと前市長の小坂市長さんとで締結をして、現在までその取組が継続をしているわけであります。 昨年度までに新宿区によって伊那市の市有林約300ヘクタールの間伐が行われ、約4,000トンのCO2の削減が認証されております。つまり、新宿区はCO2をたくさん出すわけですが、その吸収ができないということで、その吸収を伊那市のほうで肩代わりをして森林整備をすることで、CO2を伊那市で吸収をして、それを新宿区のほうにお渡しすると。その代わりに新宿区からは、伊那市の森林整備にお金を投資してくれると、そんな契約であります。さらにこの森林整備だけではなくて、新宿区の財源で伊那市の木工職人が作った木のおもちゃ、これが毎年、新宿区の新生児に誕生祝いとして送られている。約2,000から2,200であります。これも森を通じてのつながりということになろうかと思います。 来年年明けの1月になりますが、令和5年度からの次の5年間、第4期の新たなこの協定の更新に入るわけでありますので、今のところさらに延長ということで、この協定の締結を計画しております。 この新宿区の公共の施設だけではなくて、民間施設にも伊那市の材を活用してもらえるように、新宿区のほうにも働きかけを行っていきたいと。また、新宿区内にも幾つも企業があります。お店屋さんもあります。で、こうした方々にも長野県の森の里親促進事業、あるいは森林由来のJ-クレジットの制度、こうしたものを案内しながら、伊那市の森林整備につなげられるように検討していきたいと。 さらに、先ほどの森林環境譲与税の話でありますが、こうした都会に集中をしている、人口が多いから集中してしまう制度、これも今度一部見直しがありますが、そうした都市部の自治体に集まっているお金、これもぜひ地方に流れてくるようにということで働きかけを行ってまいりたいと思っております。
○議長(白鳥敏明君) 原議員。
◆13番(原一馬君) 国や世の中の状況を見ますと、様々に関係するその大きなベクトルが同じような方向をこう向いていますので、その仕掛けによってはビックチャンスになる可能性があります。きっと取り組んでいかれるんだと思いますけれども、しっかりとまた次誰か一般質問した回答のときには、やりますみたいなことになればいいかな、なんて思いますが。 最後になりますが、分収造林の契約は地域住民のため日本の未来のために正しいと信じて始めていると思います。しかし、未来を見通すことは難しい。分収林のこの結末はしょうがないことだと私は思ってます。ほかにも行政がよかれと思って進めてきたことが、分収林のような結果になっていることは十分に考えられます。今、私たちは60年ぐらい前の契約の尻ぬぐいをしながら、少しでもこういったことにならないよう、今進める伊那市の全ての政策や事業が大丈夫なのか、考えていきたいものだと思います。 以上で質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、原一馬議員の質問は終了いたしました。 暫時休憩といたします。 11時27分までとします。
△休憩 午前11時19分
△再開 午前11時29分
○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 小池隆議員の質問に入ります。 4番、小池隆議員。 (4番 小池 隆君登壇)
◆4番(小池隆君) 4番、小池隆です。さきに通告させていただきました2点に関しまして、お聞きをしてまいりたいと思います。 まず初めに、高齢者の在宅介護に携わる家族支援につきまして、質問をさせていただきます。 全国的に高齢化が進む中、令和4年11月現在、伊那市における65歳以上のみで構成される高齢者のみの世帯数は8,750世帯、うち単身世帯は4,897世帯、2人以上の世帯数は3,853世帯となっております。また、2人以上世帯の3,853世帯のうち、要介護認定者がいる世帯は536世帯となっております。今後、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、要介護認定者の増加ペースがさらに進むものと考えられます。また、このような高齢化の進展に伴い、独居の方や高齢者のみの世帯が増加するとともに、認知症高齢者の増加や老々介護などによる介護力の低下など、高齢者を取り巻く環境は大きく変化してくるものと考えています。 国立社会保障・人口問題研究所の調査・研究の報告書、「介護保険制度下での家族介護の現状に関する研究」によりますと、介護者の現状として、2,000年に始まった介護保険制度が普及・定着してきたものの、家族が介護を支える担い手としての役割がなくなったわけではなく、家族が介護を担っている部分が依然大きいこと。また、50歳代で親の介護、70歳代で配偶者の介護に直面することが多く、将来的な介護に不安を感じている人がほとんどであると報告されております。 介護が必要となったとき、高齢者の中には施設に入所するよりも、できれば住み慣れた地域で、また家族とともに過ごしたいと願う方は多くおられると聞いております。しかし、在宅で介護をされることは、介護を受ける方はもとより、介護をする家族は介護にかかる費用などによる経済的な負担のほか、在宅での365日24時間の介護による、精神的かつ肉体的な負担を抱えられておられ、精神的・肉体的な負担から、虐待や介護放棄などの問題に発展する可能性も懸念されております。 また、2019年3月に策定された第2次伊那市総合計画の基本計画では、こちらちょっと字が小さいですが、マーカーしてありますが、高齢者福祉についての施策分野における現状と課題として、団塊の世代が後期高齢者となる2025年度を見据え、高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療、介護、生活支援、予防、住まいなどを一体的に提供する地域包括ケアシステムを構築していく必要があること。また、在宅医療と介護の連携による継続的な支援体制の整備を行い、地域包括ケアシステムを構築していくことが求められていることが挙げられております。 私は、今年の3月から約9か月の間、老々介護をされている方、親の介護をされている方、在宅看護をされている方々など、実際に在宅介護をされている方々と話す機会をいただきました。 話す中で見えてきた課題は、介護により寝不足を含め体を休めることができない。用事などを含めた外出ができなくなってしまった。そして、やはり体力的な問題、特に女性の方にとっては自分より体の大きい御主人を抱きかかえたりするのが大変で、腰痛を患ってしまったなども伺いました。 そこで私は、心身の介護負担の軽減を図るため、医療と介護の連携推進や介護サービスの充実、地域の見守り等在宅での生活支援を図ることが重要だと考えました。 基本計画の施策と展開方針においても、在宅医療と介護の連携による継続的な支援体制の整備として、医療・介護の関係者の連携を含め、在宅医療、介護連携推進事業の充実を図りますとあります。そこで、この観点から質問をいたします。 まず初めに、伊那市として高齢者の地域での生活を支えるための地域包括ケアシステムの構築を進めていく上での、現状と今後の方向性について伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状につきましては、担当のほうからお話をさせていただきたいと思います。 で、今後については様々な職種の方、また地域と連携を図りながら、いわゆる支える側、支えられる側という従来の関係を越えまして、人と人、人と社会こうしたものがつながり、一人一人が生きがいまた役割を持って助け合いながら暮らしていくことができる、地域共生社会の実現に向けて、これからも取り組んでいきたいというのが基本であります。
○議長(白鳥敏明君) 松澤保健福祉部長。
◎保健福祉部長(松澤浩一君) 地域包括ケアシステムの構築の中でも、特に高齢者イーナプランの中で主要な事業とさせていただいているものについての現状になりますけれども、地域包括ケアシステム構築の中核となる地域包括支援センターの機能強化、こちらにつきましては令和3年度に新しい福祉まちづくりセンターを建設しまして、同施設内の社会福祉協議会と連携しながら、取組を進めているところであります。 また、在宅医療、介護連携の推進につきましては、多職種からなります伊那市在宅医療介護連携推進協議会、これを中心としまして研修会の実施、それから「いーな電子@連絡帳」を活用したスムーズな情報連携に取り組んでいるところであります。 地域ケア会議の推進では、地域と関係機関との連携体制構築のために、市の職員それからケアマネジャー、介護サービス事業所の職員、医療関係者、社協、地元の自治会、民生児童委員、こういった方の参加によります地域ケア会議を開催してきておりまして、今年度までに一地区を除き全ての地区で開催ができております。 また生活支援サービスの充実強化では、社会福祉協議会に委託しまして、地域福祉コーディネーターを7人配置しまして、市と協力しながら各地域での課題を抽出しまして、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体による生活支援サービスや、地域づくりの仕組みを提供してきているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 次に、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組において、医療・介護の連携は大変重要と考えますが、伊那市の在宅医療と介護の連携の現状と考え方について伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 在宅医療介護連携推進事業、これは医療と介護の両方を必要とする高齢者、そうした方が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、医療と介護に関わる多職種の連携を推進しているというものであります。 伊那市では医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、また病院のケースワーカーとか介護保険事業所の職員、こうした方をメンバーとした伊那市在宅医療介護連携協議会、これを設置しまして、在宅介護における様々な課題の解決、そして多職種の連携を進めてきております。 令和3年度からでありますが、連携をさらにスムーズに行うための「いーな電子@連絡帳」を利用した情報連携に取り組んでまいりまして、今、システムの登録者10月末現在で620人という数字に上がっております。また病気あるいは介護が必要な状態になっても、自分らしい人生を実現できるように、自分自身が望む暮らし方、あるいは医療的なケアなどについて、自己決定ができるよう伊那市版のエンディングノートであります「自分ノート」この普及啓発にも努めているところであります。 今後につきましても、医療と介護の専門職がそれぞれの課題について気軽に話し合える関係性、これを作りながらここ2年から3年については、コロナ禍で十分にできていなかった地域住民への働きかけなども含めて、今後とも医療と介護の連携に取り組んでまいりたいという考えでございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 続いて現在、在宅で介護をしている方でも、諸事情により入所施設の利用をせざるを得ないケースもあると思いますが、金銭面を含め入所がスムーズに行なえる状況にあると考えるか、また待機されている人はいないのかをお伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状については、また担当のほうからお話をさせていただきます。 特別養護老人ホームへの入所につきましては介護の様子、また経済的な面なども含めまして、その方の状況にあった施設や制度について、丁寧な案内を行ってきております。また、新たな入所施設としまして第8期介護保険事業の計画、これに基づきまして来年度中に小規模特別養護老人ホーム、定員が29名でありますが、これを伊那市内に開設をする予定であります。
○議長(白鳥敏明君) 松澤保健福祉部長。
◎保健福祉部長(松澤浩一君) 待機者の状況等でございますけれども、令和4年11月30日現在の特別養護老人ホームの伊那市の入所待機者数は、一般の施設が277名、それから認知症対応施設が6名となっております。特別養護老人ホームにつきましては、一部を除きまして各市町村で申込みを受け付けて、上伊那広域で各市町村に配分した枠に従い入所を行う仕組みになっておりまして、入所の順番につきましては要介護度や在宅介護サービスの利用率のほか、在宅介護の困難な方など介護者の状況も含めまして、上伊那の統一の優先入所判断基準に基づきまして、市町村ごとに優先順位を決定して入所になっております。 また、入所する施設につきましては、申請者が選ぶことが可能でありまして、金銭的な事情を考慮して、例えば費用の高い個室ではなくて、低額な多床室を選ぶことも可能であります。 また低所得者に対しましては、食費や部屋代の負担限度額を定め、過度な負担とならないようにする補足給付の制度もありますので、そういった制度についても御案内しているところでございます。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 施設が不足しているかなと思う中で、小規模のそういった施設作っていただけること、すごく期待をするところでございます。 現在、伊那市では家族で介護に携わる方を支援するため、高齢者介護慰労金支給事業などがあります。実際、御家庭で介護されている方にとっては、在宅介護の負担をいかに軽減するかが重要であり、行政からの支援が必要になってくるものと考えております。 今回、定例会の初日に行われました全員協議会では、パワーアシストスーツを介護する家族などの動力を軽減する、介護者向けプログラムを予定していると伺いました。多くの方が利用できるように実現すれば、体力的に不安を感じる方々の大きな味方として期待しているところでございます。 そこで質問です。今後に向け、要介護状態の高齢者を在宅で介護している高齢者及び家族の心身の介護負担の軽減について、どのようにお考えかお伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 伊那市では要介護者を自宅で介護をされている方を対象として、介護慰労金この支給を行っております。ほかに紙おむつの購入補助券、それから福祉タクシーの助成金などそうしたことを進めることで経済的負担の軽減を図っているところであります。 また、介護保険サービスの利用に当たりましては、担当のケアマネジャーがついて、利用するサービスの調整などの支援のほか、要介護者の身体状況だけではなくて介護をしている家族の負担軽減、こうしたことも含めたケアプランというものを作成しております。 その中で介護者の休養のためのショートステイ、この利用も可能でありますし、介護者の負担軽減に有効であるという考えであります。 伊那市では介護者の都合で一時的に介護ができなくなった場合、こうした場合もありますので、その際には介護保険制度とは別に在宅高齢者短期保護事業、こうしたものを実施しており、また介護認定を受けていなくても、基本チェックリストによって総合事業のサービスが受けられる場合もありますので、ぜひ活用していただきたいと思います。 介護者の負担軽減を含む高齢者の介護の悩み事、相談については福祉相談課の地域包括支援センターが窓口となって対応をしております。 ケアマネジャーとも連携をしながら、状況に応じて適切なサービスへおつなぎをしているということでありますので、ぜひまたこの点についてもお気軽に御相談をいただければと思います。 今年度からでありますが、新産業技術の推進協議会の中に新たにコネクテッド保健福祉部会を設けました。先ほどのロボットスーツ等も含めますけれども、このロボティクスの活用等にも取り組んでおりますので、この新産業技術の活用については今後とも引き続いて現場に合ったそうした研究を進めてまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 最後に伺います。家族の心身の介護負担の軽減に併せて、「介護者リフレッシュ事業」が以前は行われておりましたが、参加者数や介護事業の充実などによって、平成25年度を最後に行われておりません。ただ、冒頭でも述べましたが、今後、要介護認定者は増加傾向であり、また介護施設にも数に限りがある中、介護する方も併せて増加していくことが考えられます。 どんな形のものでもよいかと思います。介護する家族の方が日常の介護から一時的に離れ、心身ともにリフレッシュしていただけるような事業を、再度検討し実施していただくことを願いますが、市長のお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) おっしゃるとおり、以前には介護者のリフレッシュのための「介護者リフレッシュ事業」ほかにも介護者の悩みなどを聞く場であります「介護者つどい事業」というものを実施しておりましたが、参加者が少なく事業を廃止をした経過があります。 この介護者のリフレッシュにつきましては現在、ケアマネジャーにも相談をしながら、ショートステイなどのサービスを利用する、こうしたことによって介護者が日常の介護から一時的にこう離れることができると、あるいは自由に使える時間を確保しながらリフレッシュすること、こんなことを進めておるわけであります。 ほかにも市内5か所に認知症カフェ、「おしゃべりカフェオレンジ」というものを月1回実施しておりまして、このカフェについては認知症の介護に限らず、介護者の思いを聞いて、悩みを分かち合う場所となっているわけであります。 で、この介護者のリフレッシュのための事業につきましては、今のところ具体的な計画はないわけでありますが、介護者のニーズを聞きながら、必要であれば検討してまいりたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ぜひ介護者の皆さんの話を聞きながら、必要であればぜひ事業展開していっていただきたいと願います。 私はこう見えて実は、ガラスの腰と言われています。ガラスはガラスでも強化ガラスやペアガラスならまだ強度があるんですが、昔ながらの一枚ガラスであって、少しむちゃをするとピシッと傷みがぴってきて、ヒビが入ってしまうような感じです。腰痛には要注意しておりましたが、数年前に腰を痛めてしまいました。少しちょっと今、滑った感じがしますが、自分すべり症ではなくてヘルニアなんですが、それはさておき一昨年、兄が突然の病で短期間でしたが入院をしました。何度か抱きかかえたりしようと、兄の体を支えようと思いましたが、私より大柄だったこともあって、また私が不慣れだったのか、腰をちょっと気にしてなのか、なかなか思うように支えることができませんでした。今生の別れとなった今思えば、もっとしっかりと見てあげたかったことや、何よりも介護をする方の大変さ、難しさを知る機会となったんだなと思いました。 私の場合は病院でしたので、家で24時間介護をなされる方と比べれば、その大変さは比べものにはなりませんが、本当に心身共々その方にしか分からない。一言では片づけられない大変さがあると思います。何とか少しでも介護する方々の負担が軽減される施策を行い、介護しやすい体制をぜひ目指していってほしいと思い、また期待をさせていただきます。 続いて環境にやさしい農業及び伊那産ブランド確立と学校・保育園等の給食への供給についてお尋ねいたします。 画像にもありますが、私も常にハンドブックだと思って、ちょっと言い過ぎたかもしれませんが、持っておりますが、先ほどの質問の中で第2次伊那市総合計画、こちらですが、に触れました。私はこの総合計画とは市の最上位計画であり、長期的なまちづくりの基本的方向と、施策や事業を総合的・体系的に示すものだと理解しております。 次に、この最上位計画である総合計画の第4章、農業の分野からお伺いしていきます。話すところをマーカーでさせていただいてありますが、まず初めに、現状と、課題の中で農家と関係機関の連携により農薬や化学肥料の適正使用を徹底するとともに、本市の農業の基幹である米や標高差を生かした多種多様な販売農産物の生産履歴の記帳を行い、消費者の信頼に応える仕組みづくりを推進する必要があるとし、施策と展開方針では、利益の上がる水田農業と畑作農業の振興の一つとして、安全安心な農作物を供給するためGAPを推進し、消費者に信頼される生産体制の確立を目指すとしております。 このことについて、質問をいたします。施策と展開方針である、消費者に信頼される生産体制の確立についての取組状況を伺います。また、取り組む中で課題等がございましたら、併せて伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 消費者に信頼される生産体制、これを確立するためにJA上伊那では農産物の出荷時に全ての作物に対して、栽培管理記録簿と生産工程管理チェックシート、この提出を出荷の要件としております。生産工程管理チェックシートにつきましては、長野県が食品安全、環境保全、労働安全の視点から、現在の農業生産活動が適正かどうかを自ら点検できるように定めた長野県の適正農業規範、これを基に作成されております。産地の全体の信頼性が高められるようになっているというに思います。 さらに伊那市では、環境保全型農業の直接支払制度に取り組んでいる農家につきましては、化学合成農薬、化学肥料の使用量の低減の取組状況、廃棄物の削減や適正な処理、農作業の安全に配慮した取組など、こうしたことを行っているかどうかを確認しているところであります。 今後につきましても、引き続いて農家がどのように作物を作っているのか確認をできる、目で見る管理ができる、そして消費者の信頼を得られるようにしていくということが肝要かと捉えております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 続きましてお伺いいたします。伊那産ブランドの確立と販売体制の強化の項目の中で、地域の特性に応じた作物の振興、生産支援、伊那産ブランドの確立により生産者の所得増大を目指すとありますが、この中で伊那産ブランドの確立につきまして、現時点での状況を伺います。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) この地域、かねてから米どころ、県内でも有数のコメどころということで、稲作を中心とした農業が行われてきております。それに加えて酪農も県下最大の産地でありますし、果樹につきましてもリンゴ、梨、ブドウ、その他、大変冷涼な気候また日較差を活用したような栽培ということで高い評価を受け、また野菜、高原野菜も含めて、あるいは花卉、キノコ、様々な形態の農業が展開をされていると。しかも、その品質が非常に高いということで評価を受けております。 特に米のブランドとしましては、三峰川沿いの「川下り米」、これ三峰川の非常に豊富なミネラルの水を活用した米栽培「川下り米」、また広くJA上伊那としては「伊那華の米」ということでブランドが確立をしているということであります。ほかにも信州の伝統野菜の中に、「高遠てんとうなんばん」とか、あるいは「芝平なんばん」というものが登録をされたり、これを使った七味唐辛子等が作られたりしておるわけであります。 そのほか信州大学農学部、JA上伊那、生産者と連携をして「信濃一号」、これは県下で一番普及をしているそばでありますが、「信濃一号」の品質のさらなる高品質化、多収量栽培の研究というものも行ったり、それに基づいてプレミアム伊那そば栽培の指針というものもできてきております。「信州そば発祥の地 伊那」の中では高遠そば、それから入野谷の在来そばというものも認知をされて地域の団体商標登録、こんなものに向けた取組も進められております。 そのほかの取組としましても、伊那市と友好都市であります新宿の日本でも有名なフルーツパーラータカノさん、ここで伊那産の「夏秋いちご」、あるいはブルーベリー、こうしたものを伊那市の日というものを制定して販売したり、また今年度からは新宿区の小中学校の給食の食材として、伊那市の米また野菜、そうしたものを活用をしていただいております。 ほかにも新宿区には伊那市の花卉からアルストロメリア、これを卒業生にお渡しをするとか、様々なチャンスを捉えながら、伊那市の農産物のブランド化というものを進めているのが現状であります。 今後も伊那市の農産物の評価、非常に高いわけですので、さらに高めていくためにブランド化を確立し、高価格で取引ができるように、こうした支援も続けていきたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 私は9月下旬から10月にかけて、美篶上原地区、青島地区などで水田農業を営んでいる減農薬、有機肥料栽培をしている方々や無農薬、無化学肥料、除草剤無使用栽培をされている方と話をしました。その中で、偶然上原地区で減農薬、有機肥料栽培を行う50代農業経営者の方は、突然田んぼに現れた見ず知らずの私に対し、なぜ減農薬・有機栽培をしているのか、栽培へのこだわり、栽培で苦労されていることなど懇切丁寧に教えてくれました。 その中で環境にやさしいおいしいお米を作っても、苦労して作ってもなかなか今一歩、販売及び価格に苦戦をしている面があるとおっしゃっていました。長野県では信州の環境にやさしい農産物認証制度を行っており、ブランド化しております。 また先般、会派視察で訪問した新潟県津南町では、魚沼産で有名なところなんですが、こちらは農薬・化学肥料を慣行栽培基準より削減し、栽培したお米を津南町認証米としてブランド化して販路拡大をしておりました。一俵当たり2万2,000円から2万4,000円ぐらいで売れているという話も伺っております。 私はせっかく苦労して大切に育てた減農薬・有機肥料栽培等の伊那のこのおいしいお米が、世間でメジャーになっていないことを残念に思いました。私は今こそこの伊那市で栽培したお米を、伊那市認証米として付加価値をつけてブランド化を図り、自信を持って全国いや世界へ、この伊那のお米を発信し、今以上に販路拡大、農業者の所得増大を目指していくべきではないかと思います。 そこで提案です。近年、消費者の食の安全や環境に対する関心の高まりに対し、生産者が一定の栽培方法に基づいて生産する農産物を、市が認証することにより、伊那市の農産物に対する消費者の信頼の確保、流通の円滑化及びブランド化を図るとともに、地球温暖化対策や低炭素社会の実現を視野に入れた環境と調和の取れた農業を推進することを目的とし、まず本市の農業の、先ほど市長もおっしゃられましたが基幹であるお米から、伊那市独自のそして米作りの農家の方々が取り組みやすい栽培基準、例えば慣行栽培基準の30%削減など、そういった基準を作り、伊那市認証米としてブランド化することを提案いたしますが、市長のお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) これまでもJA上伊那、長野県の農業試験場などによって低農薬で安心安全のお米の栽培基準というものが進められてまいりました。伊那市の認証米等の独自の取組というものはありませんが、「川下り米」またJA上伊那では「伊那華の米」、「今ずり米」と、そうした名称でブランド化をしたり販売に取り組んでおります。で、伊那市独自と言いましてもやはり農業関係はJAが全体をコントロールと言いますか見ておりますので、伊那市だけでそういうのは進めるというのはなかなか難しいかなということもあります。 ただ、長谷地域で自然農法としてやっているWakka Japan、これは世界を相手にブランド米、ブランドのお米を作って販売をして、全くその生産量が足りないというような方もいらっしゃいますし、またこの地域でも小川さんとか伊藤さんと、昔からそうした有機に関心を持ちながら固定客を作っている方も何人もいらっしゃいます。そうしたことを考えますと、いずれJA全体、組合そのものが有機というふうにかじを切りつつありますので、いずれはそうしたことが一緒になってできる日も訪れようかと思います。それまでは、JAとあるいは県と連携をして、今まで作って来た「川下り米」、築いてきた「川下り米」「伊那華の米」、こうしたものをしっかりとPRをして、それから販売につなげていきたいというふうに思います。 ちなみに津南町とか魚沼産のコシヒカリとか、ブランド米として有名ではありますが、実はその「川下り米」も科学的に分析してみると、その魚沼産のコシヒカリ以上の品質を持っているということも分かっておりますので、そうしたことについてももっと知ってもらって、こうした伊那のお米の優位性、これを広めてまいりたいというに思っております。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 認証米、農協との絡みもあるというところもあるんですが、認証米これは本当に市として栽培基準と認証マークさえ作っていただければいいだけなんですよね。この認証米の基準として栽培するか、またそれをどう活用し販売等に結びつけるかは、農家の方々の思いや努力であって、行政としてはちょっと背中を押してくれるだけでいいんです。私に話をしてくださった、先ほど市長がおっしゃられた小川さんとも話しましたが、上原の名前が出てたので、上原の橋爪さんって方いっぱいいるので大丈夫かと思いますが、橋爪さんはサタケコメドックアワードという、米の食味値表彰で金賞を受賞する方です。その方いわく、賞は取っても有機減農薬で作っても、やはり行政のお墨つきがあるのとないとでは、消費者・販売業者の信頼度も大きく変わってしまうと。市長は新産業技術をはじめ今までの先進的な取組によって、この伊那市を全国区とされました。そのすばらしい功績をさらに生かしていただきたいと、私は思います。 この伊那を全国区とした波及効果として、あの伊那市が認証する米なら安心だ、うまい、おいしいよと、全国いや世界の方々に伊那のお米を知っていただきたい。県ではなくて、伊那なんです。伊那市の力で伊那の米、そして伊那の農業を盛り上げていきたい。その力が伊那市にはあると思います。そのブランド力を築かれた市長どうでしょうか、答弁に対する再質問となってしまいますが、市長のこのパワーを持ってのこの認証米に対する思い、再度お聞かせいただけますでしょうか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 私も就任以来、農業に力を入れてきて、ブランド化というのは常に頭にあります。どのようにしてブランド化を進めるのかということを常に考えながら行動してきたわけでありますが、やはりマーケット、市場ですね、築地だとかあるいは大阪の市場、花だったら中央区の市場とか、そうしたところに出向いて行って、伊那の花だとか、伊那のお米だとか、野菜とかリンゴだとか、それぞれ販売促進をしたり、またコマーシャルをしたりということをずっとやってまいりました。だんだんにそうしたことで認知をされるようになってきてはいるんですが、他地域との差別化といったところ、ここに至るには非常に一市だけでは難しいかなというふうに、実感として思ってます。 やはり県を上げて取り組んでくる、例えばイチゴであれば、とちおとめとか、これは県のパワーを使ってどんどん売り込んでくるというそのイチゴと、伊那市で今始めている「夏秋いちご」これを何とか売り込もうと言っても、やっぱりこう資本力が違っているのは事実です。ただ、そうしたニッチなところ、夏はイチゴがなかなか取れないというそのところを狙って、信州大学と一緒に開発をしてきた「夏秋いちご」、これを今伊那で栽培をして、このイチゴを日本で最も高い、値段の高いと言われているタカノフルーツパーラー、これ持ち込んで今売ってもらっています。 その後、今度私は帝国ホテルに行って、帝国ホテルの総料理長にもお会いをして、ぜひこの伊那のイチゴを使ってもらいたいと。夏のイチゴをですね、というお話をしていたら、フルーツパーラータカノさんに持って行って扱ってもらっているんだったら、うちとしてもそっくりいただければ扱いますよということで、話はまとまったんですが、ただ一日4トンできますかという話になりまして、これでちょっとそこで止まっているんですが、そのようにいろいろなチャンネルを使って私なり、いろいろな皆さんとのつながりを使って、いろいろなところに行って今、売り込みをしている、これがだんだんにこうブランドになっていくなというに思っているところです。 「信州そば発祥の地 伊那」というのは、これが一つのブランドになりました。このようにマスコミとか、いろいろなところとの連携だとか、それからネットワーク、コツコツコツコツとやっていくことによって、伊那のこれはとてもおいしいし安全だしというようなこと、時間もかかるかもしれませんが、そうした地道な努力というのが、この地域の農産物のブランド化につながっていくというに考えておりますので、今後についてもそうした活動をしっかりとやっていきたいというに思っています。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) ありがとうございます。私は先月ちょっと考えたんですけど、もし伊那市のお米が伊那市認証米としてブランド化されれば、絶対に販路は拡大するんじゃないかなと思って、例えば私がコメ農家であれば、伊那市のお米は環境にやさしく栽培されたおいしいお米、伊那市、数字で言えば車のナンバーもそうですが174、伊那市のお米は一味違う、この1を足したら175、イナゴ、減農薬でイナゴもいる田んぼで育った「イナゴマイ」と名づけて売ろうと、私個人的には思うところでございます。 たまたま昨日、三澤議員の昆虫食の質問で、市長が「昆虫食の聖地 伊那市」という話で盛り上がりました。今日も新聞でにぎわしておりましたが、話たまたまかぶっちゃったんですが、伊那市はイナゴも郷土料理として食しますし、当然私もイナゴは大好きで食べます。あの甘さが何とも言えなくて、市長と同様、昨日おっしゃられていたように、私も足を含めて全て食べる派です。たまに足の部分が歯奥に刺さって痛っというときもありますが、カルシウム、カルシウムと思って食べております。でも、「イナゴマイ」の先ほどの話を先月、家内と食事中にしたら、想像してみてと、イナゴとお米あり得ないよっていうふうに、イナゴゆえにバッタ、バッタリ、いやばっさり切られてしまいました。ちょっと寒さを感じましたが、いつもこんな感じなんで、寒さにめげないので安心してください。 自分はパッケージにイナゴの顔がどでかく描かれればいいと思うんですよね。それが家内には受けなかったようであるんですが、でもちょっと皆さんも想像してみてください。イナゴって目が大きくて、よく見るとかわいいじゃないですか。昔の仮面ライダーV3にも似てかっこいいし。市長、通告にはありませんが、このイナゴマイ、私個人的にはこの昆虫食同様、伊那で売るからこそヒットする予感がしますが、市長どう思われますか。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) ヒットするかどうかはマーケットが決めることでありますので、私は何とも言えないと思います。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) なんかちょっとすべっちゃったような感じですので、今日は家に帰って、ちょっと帰れるかどうか分かりませんが、反省会をしてまいります。 とにかく、私は伊那市のお米はおいしいな、うまいな、食べたいな、最終的には買いたいな、欲しいなと、消費者に思っていただきたいと思いますし、言葉からでもとにかく伊那をPRしたい。そして、行政からもぜひ後押ししていただきたいと思っております。 続いて、9月に行われました一般質問の中で、小中学校における給食費の無償化について、現段階での市長の考えを伺ったところ、「まずは安心な給食、今よりもさらに有機等を使った地産地消なもので給食を賄っていくことが、次の段階だと考えている。」と答弁をされました。 また、こちらにありますが施策と展開方針の項目の中では、学校・保育園の給食に地元農産物を供給することにより、地産地消や食育の取組を推進しますとあります。既に学校給食に100%地元、これ上伊那産というふうに伺っておりますが、コシヒカリを供給しており、供給しているお米は約2,000俵と伺っております。 私は答弁を受け、市長は地産地消で農業を盛り上げていく一方で、安心な給食、今よりもさらに有機等を使った食材を子供たちに提供する、すなわち未来をしょって立つ子供たちの体のことを第一に思っていらっしゃるのだなと、私なりに受け止めました。 そこで市長に伺います。無償化よりも先に安心な給食、今よりもさらに有機等を使った地産地消なもので給食を賄っていくと考えられた、子供たちに対する市長のお気持ちをお聞かせください。また、今よりもさらに有機等を使った給食の食材は、市内で供給可能である農産物であれば、一品からでも極力早く、その食材に切り替えていく御意向であるのか、併せて市長のお考えをお聞かせください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 有機でありますが、これはもう世界的な潮流になっています。私から見ると、日本は遅れを取っているなというように見えるわけでありまして、先ほどWakka Japanの「カミアカリ」という品種、これが全世界、特にハワイとかニューヨークとかシンガポール、様々なところで非常にこう引く手あまたであると、これなぜかというと自然栽培ですので、全くこう有機以上に厳しい管理の中で作られているということでありまして、やはり世界ではそうした有機だとか、自然栽培というのは渇望されているというのが事実だと思います。なぜかというと、やはり健康だということになりますので、私は伊那の子供たち、小学校・中学校だけではなくて保育園もそうなんですが、そうした子供たちにはやはり安心な食材、食べ物、これを提供していくのが役目だと、行政の役目だと思っております。100%というわけにはいかないにしても、できるところはどんどんやっていくと、私たちが手が出ないと言いますか、手を出せない栽培するものもあります。例えばバナナとか、南の物、こうしたものがどのように作られているのかって分かりませんが、そうでなくてこの地域で賄えるものについては、もう安心で提供していくということが一番大事だと思います。 国も、農林水産省も今全国での栽培をしている農地のうちの25%、これ約100万ヘクタールになりますが、これを有機に変えるという方向を出しています。今までとは大きくかじを切ったわけでありまして、化学肥料だとか農薬だとか、そうしたものを極力使わないで、有機によって栽培をしていくと、これが25%がいずれは50%、あるいは60%になっていくだろうと思います。 そうしたことがこの伊那の、あるいは日本の農業の基本となっていくことが、私たちの将来にも安全を担保してくれるんではないかという気がいたします。 今、保育園の話もしたんですが、保育園では市内の公立保育園、また多くの私立の保育園、こうしたところでもJAまた地元の商店などを通じて、地域産の野菜また果物、これを利用するようになってきておりますし、また有機肥料を使った野菜については収穫期、収穫量の可能な範囲で積極的に利用をしていること。今、生産者がまだ少ないわけでありますが、それでもINASTA農業塾、あるいは伊那有機の農業に関わる皆さん、そうした皆さんと連携をしながら、ネットワークを組みながら、徐々に増やしていくという取組が始まっているのも事実であります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 分かりました。 現在、行われております伊那谷有機農業塾において、来年1月11日開催予定の第5回目では、オーガニック給食の先進地、千葉県いすみ市であり「有機米を学校給食に」との内容です。聞くところによれば、いすみ市は全国で初めて市内全ての小中学校の給食に100%有機米を導入し、大きな話題を呼んでいると伺っております。 そして、伊那市では減農薬、有機肥料等でお米を栽培されている方々も多くいると伺っております。市長が子供たちの健康第一と、今そういったお考えを伺いましたので、ぜひこの貯蔵とかが可能なお米からでも、先ほど提案した減農薬、認証米があればいいんですが、減農薬・有機肥料を使う環境にやさしい栽培をぜひとも推進し、伊那産のお米を、伊那産100%ということで、伊那の子供たちにぜひ食べさせていただきたいと思うところです。 そこで最後の質問です。減農薬・有機肥料等で栽培した伊那産のお米を学校・保育園、ちょっと保育園は御飯持ってきてるのであれなんですが、学校等の給食へ導入する意向はありますでしょうか。また、意向があるとすれば、時期はいつ頃を目標にお考えになられているかお伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 方向としては、導入を100%まで持っていきたいというのが方向であります。ただそのいつ頃かと言われましても、栽培をする人たちの生産量だとか、またマーケットとの関りがありますので、今作っている皆さん、お客さんがいて作っているので、そのお客さんに渡すものをこちらに回すということが可能かどうか、そこら辺は時間をかけながら、できるところからやっていくということになろうかと思います。 例えば、長谷であればWakka Japanの先ほどの取組もありました。長谷の場合については、100%長谷産だということで、またその栽培場所も耕作放棄地の再生と併せておりますので、地域の皆さんも非常にこう力が入っているということになろうかと思います。 また伊那市内での給食に使われているコシヒカリ、これは上伊那産でありますが、こうしたことも長谷小、あるいは長谷中と同じように、100%地元の長谷産のものが使えるように、市内の給食のお米についても、だんだんにこう切り替えをしていければと、その生産量との相談となりますので、様子を見ながらということになります。
○議長(白鳥敏明君) 小池議員。
◆4番(小池隆君) 前向きなお考え、本当にありがたく思います。ぜひとも、一日でも早く学校給食に減農薬・有機肥料で栽培した伊那産米を提供していただくことを願います。 美篶上原の地区で農業に熱心に取り組む先ほどの橋爪さん、認定農業者の方に伺いました。この方は、子ども食堂にもお米を提供していらっしゃいます。そこでなぜ減農薬・有機肥料でお米を栽培するのかと尋ねたところ、多くの子供たちに本来のお米を味わってもらいたい。おいしいお米を食べさせてあげたい。そして伊那のお米をたくさん食べて、大きく育ってほしいと。そして、何よりもおいしいと言って喜んで食べている子供たちの姿を見たいんだよと、おっしゃっておりました。その方のこだわりと自信、さらにうまい米を作るという挑戦と勝負、まさに米栽培の革命児であり、熱く語るその姿に心打たれ、伊那産米のさらなるブランド化と価格上昇に向けた夜明けとなるのではないかと思いました。そして、自分も伊那の農業を微力ではありますが盛り上げていこうと、有機の話題ゆえに勇気づけられた、ある10月の昼下がりのひとときでした。 以上で、私の一般質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。 (拍手)
○議長(白鳥敏明君) すみません、拍手は議場では御遠慮を。 以上をもちまして、小池隆議員の質問が終了いたしました。 暫時休憩といたします。 再開は13時30分といたします。
△休憩 午後0時24分
△再開 午後1時28分
○議長(白鳥敏明君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 引き続き、池上謙議員の質問に入ります。 1番、池上謙議員。 (1番 池上 謙君登壇)
◆1番(池上謙君) 1番、池上謙です。 私は通告してあります南アルプス林道バス事業について、質問や要望事項を述べさせていただきます。最初に、本年度の南アルプス山岳観光客等、バス利用登山者の運送実績をお伺いしたいと思います。 南アルプス林道バスにつきましては、昨年は降雪と道路凍結のために11月6日をもって終了し、今年は11月15日まで、降雪や凍結による影響を受けずに、例年の予定どおりの営業ができたかと思います。 しかしながら、シーズン中天候に恵まれなかったり、最近はコロナ禍によるマイナスの影響が大きかったり、逆にプラス的な要素といたしましては、山梨県側の林道が災害復旧工事のため年間を通して通行止めになっておりましたので、その分長野県側から南アルプスに入山する登山客が多かったかと思います。 バス利用者の近年の推移を見ますと、令和2年度は新型コロナ感染症拡大に伴い、昭和55年の運行開始以来、初めて全面運休となりました。昨年の令和3年度におきましては、コロナ感染予防対策をしっかり行いながら運行し、年間の入込客数は2万5,264人となり、コロナ感染蔓延以前の約半分の実績でありました。そこで、11月15日に営業を終了した本年度の入込客の動向はいかがだったでしょうか。市長にお伺いをいたします。
○議長(白鳥敏明君) 有賀長谷総合支所長。
◎長谷総合支所長(有賀賢治君) それでは、私のほうから御回答させていただきます。 本年、議員御指摘のように平成29年以降、5年ぶりに自然災害等の影響を受けることなく、予定した期間安全に運行することができました。令和4年度の利用者実績は5万735人でありました。現在、山梨県側の林道復旧が早期に見込めない状況下でありますので、南北部最大の登山口としての責任を果たせるよう今後も林道バスの安全運行に努めてまいりたいというに思っております。
○議長(白鳥敏明君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) 5万人を超えたということで、ほぼ例年並みに近い数字が表れたことに、ありがたく思います。 次に、南アルプス林道バスの駐車場は、今年の7月14日から有料といたしました。5日以内であれば一回1,000円、5日を超える場合は5日を超えるごとに1,000円加算ということですが、今年料金を徴収した初めての年度でもありますので、どれぐらいの駐車場使用料収入があったのでしょうか、市長にお伺いをいたします。
○議長(白鳥敏明君) 有賀長谷総合支所長。
◎長谷総合支所長(有賀賢治君) 駐車場の有料化につきましては、本年6月議会で条例改正をお願いいたしまして、その後諸準備を行いまして、議員御指摘のように7月の中旬から料金を徴収しております。本年度の実績は、1,020万5,000円でございました。来年度以降、運行開始予定日が4月25日ということになっておりますので、その開始日より徴収を行いまして、今後計画しております駐車場整備事業に備えてまいりたいというふうに考えております。
○議長(白鳥敏明君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) 1,000万円を超えたということで、駐車場の借地料というかそういうものと、また当然料金徴収には人件費がかかっていると思いますが、若干余裕がバス事業のほうにも回ってくるかなという感じであります。 続いては、林道バスルートの交通安全施設等の整備についての要望です。南アルプス林道バスは昭和55年に営業を開始してから、本年度まで42年間無事故で来ております。急峻で地質も悪く脆弱な山岳ルートでありながら、無事故が続いているということは非常にすばらしいことだと思います。 林道バスの始発前に行う路線パトロールや運行管理者の点検、またバスの運転手さんのふだんからの体調管理等、並々ならぬ努力の結果だと思います。もちろん自動車運送事業は、乗客の安全輸送の確保が最大の使命でもあり、何よりも優先されるべきことであります。 しかし、交通事故は誰もが予測することができません。最近の大型バスの重大事故といたしましては、平成28年に15人の若者が死亡し、計41人が死傷した軽井沢スキーバス転落事故、また記憶に新しい事故といたしましては、今年の10月に36人が死傷した富士あざみラインでの観光バス横転事故など、登山バスの悲惨な事故も頻発しております。 そこで、延長22.6キロメートルを有する市営バス路線には、落石危険箇所やガードロープのみでガードレールすらない危険箇所も幾つかあります。途中の白岩地籍等崖下400メートルを有する山岳観光ルートを通るという、一旦転落事故を起こせば全員が死亡してしまうという、悲惨な事態になり兼ねません。 落石防止対策や交通安全施設の整備等、新年度予算も非常に厳しい状況下でもあるかと思いますが、事故が起こってからでは取り返しがつきません。今までの無事故の記録を伸ばすためにも、早急に危険箇所の改良をお願いしたいと思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 南アルプス林道につきましては昭和54年完成、翌年の当時の長谷村に管理が移管されて以降既に40年が経過をしております。国また県の支援を受けて、適正な管理に努めてはいるものの、林道全般、全線にわたって地質が悪く、落石・崩落が発生をしているという道路であります。ガードレール等の交通安全施設につきましては、落石あるいは崩落等によって破損することが多く、修繕がしやすいガードロープを設置しているという状況であります。 南アルプス線の安全対策につきましては、国あるいは県と密接な調整を行っておりまして、引き続いて協力を得ながら、危険箇所の改良を行っていく考えであります。 また抜本的な対策として、屋敷沢、唐沢、平右衛門沢、それと藪沢等については、大規模な治山工事が必要と考えておりまして、今、南信森林管理署、中部森林管理局、あるいは長野県の林務部はじめ関係機関との協議を進めているところであります。 また、先日も県の林務部のほうにこの路線についての安全、また落石・崩落防止における要望書も出してまいりまして、県としても前向きに取り組んでいただけるという話でありました。また運転手の高齢化が進む中で、健康に起因する事故はあってはなりませんので、日頃から運転手の健康管理状態、これはしっかりと把握をし指導を行いつつ、乗務前の点検時には特に健康観察を詳細に行って、安全運行を徹底をしているところでありますし、これからもこのことについては徹底をしていく所存であります。
○議長(白鳥敏明君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) ありがとうございました。 続いて、観光客の誘客に関して、伊那市観光株式会社の各宿泊施設等の営業期間を市営バスの運行と連携の取れた形での取組にはできないものでしょうか。 早くから降雪する山頂に近い仙丈小屋、馬の背ヒュッテは無理としても、終点北沢峠のこもれび山荘、バス営業所のそばにあります仙流荘につきましては、南アルプス林道バスがこの42年間、毎年11月15日まで営業と、全国に広報をしてきておりますので、この二つの施設についてはぜひ営業期間を統一していただければと思います。 伊那市観光株式会社に働きかけていただきたいと思いますが、市長のお考えを伺いいたします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 北沢峠のこもれび山荘、これは伊那市山荘条例によって開設の期間が毎年4月25日から10月31日まで及び12月の25日から1月10日までと定めてあります。仙流荘につきましては、伊那市保養センター条例によって定休日を毎週火曜日と定めてありますが、市長の承認を得て使用時間及び休日を変更することができるとしております。 現在、仙流荘はこの条文の規定により承認を受けて、冬期間休業をしている状況であります。今年度は紅葉も長く、また一般観光客も林道バスを利用していただきました。降雪によって南アルプス林道バスの運行期間が10月初め、あるいは11月初めまでに短縮される年もあります。 また、11月の林道バスの利用者は、前月と比較すると15%程度まで減少するという数字も出ておりまして、降雪それから林道バス利用者数を見る中で、施設運営上の費用対効果も考えますと、現時点では10月末までの期間は適切であろうかと思いますが、とは言いながらも、こもれび山荘、林道バスそれから仙流荘、これがセットとしているほうが分かりやすいし、これも登山客に対してのサービスの一環にもなろうかと思いますので、伊那市観光のほうとも相談をしながら、検討を進めてみたいと思います。
○議長(白鳥敏明君) 池上議員。
◆1番(池上謙君) ぜひセットでお考えいただければありがたいと思います。 私は今回、会派平成クラブの行政視察で、年間700万人の観光客を受け入れる北海道小樽市を訪問させていただきました。小樽市は港湾都市であり、観光都市の性格を有しております。特に小樽港クルーズ推進事業について、観光、誘客面での勉強をさせていただきました。 小樽市のすばらしい取組だと感じたのは、市民による観光客、特にクルーズ船乗船客の歓送迎体制であります。ボランティアやパフォーマンスとの連携を強化し、乗船客に感動を与えるおもてなしをしておりました。常に新たな演出や担い手の発掘にも力を入れておりました。 そのほか、全国のクルーズ船推進協議会等との連携であります。 小樽港へのクルーズ船誘致のために結成した地元の小樽港クルーズ推進協議会はもちろん、北海道全体の地域振興に寄与するための北海道クルーズ振興協議会、さらには京都舞鶴港をはじめとする環日本海クルーズ推進協議会等、全国の港湾との有機的な連携、促進を図り、一体的に客船誘致や観光産業の活性化、地域産業の発展に寄与しておりました。 南アルプスの山岳観光は全国的な連携は無理かもしれませんが、一時全国駒ヶ岳サミットが開催されたことはありました。日本の百名山に仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、塩見岳等が選ばれておりますので、何らかの登山者誘致イベントの開催は可能かもしれません。それにはせめて地元の伊那市観光株式会社や、伊那市観光協会との密な連携は最低取っていただきたいと思います。 今定例会の一般質問につきましては、唐澤千明議員から地域資源を活用した観光とサービス産業の振興について質問され、信州そば発祥の地から始まり、南アルプスの山岳観光の山小屋施設や塩見岳の登山道整備等、幅広く質問されましたので、私からの質問や要望は以上とさせていただきます。 私の一般質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、池上謙議員の質問が終了いたしました。 引き続き、田畑正敏議員の質問に入ります。 12番、田畑正敏議員。 (12番 田畑正敏君登壇)
◆12番(田畑正敏君) 12番、田畑正敏でございます。12月議会一般質問、最後の質問者となりますので、よろしくお願いいたします。 本日は先に通告してあります2項目について、質問させていただきます。 最初にお断りしておきますが、既に一般質問を終えました議員と質問が一部重複する内容もありますが、再確認の意味で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。 最初に、不登校・貧困・ヤングケアラー・ひきこもりへの支援についてであります。 「誰一人取り残さない持続可能な未来都市」「コロナから市民生活を守る」「今だからこそ取り組む福祉の棚卸し」を編成方針として、令和4年度骨格予算がスタートし、6月補正予算においては福祉施策の充実に向け、全ての福祉にもれがない取組として、さらに政策的事業に肉づけした予算編成となりました。 6月の補正予算の中では、特にヤングケアラーの支援の充実として、972万2,000円が予算化され、ヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援を実施するためにコーディネーターを任用するとともに、社会福祉協議会と連携して必要に応じてヘルパー派遣するなどの支援を実施していく取組となっています。 また、中間教室の充実として399万7,000円が予算化され、不登校児童生徒を対象として、食農体験型中間教室を開設し、通常の学習に加え畑仕事や調理実習などの体験学習を通じた適応指導を行っていくとなっています。 そうした中、9月議会において「不登校児童生徒に対して多様な学習機会確保のための経済的支援制度の確立を求める意見書」の提出を求める陳情が出されました。 総務文教委員会では、そうした経過も含め、不登校の実態を知るため9月28日に、伊那市のNPO法人子供・若者サポートはみんぐが運営している子供の居場所「オルタ」に出向き、現在の状況について理事長、事務局長から話を聞いてきました。 「オルタ」は上伊那の小中学生の不登校支援やひきこもりの子供、また生きづらさや困難を抱えた若者の居場所として、ボランティアによって運営されていました。本日は、それらの現場の実態も含め、質問させていただきます。 まず、不登校についてであります。長期化するコロナ禍の中で、子供たちの置かれた状況は非常に厳しく、不登校の増加はその現実が顕在化したと言われています。学校に通えない児童生徒が急増しており、文部省が発表した調査結果では2021年度、全国の国公私立小中学校で30日以上欠席し不登校とされた児童生徒が、前年度から24.9%増加し、過去最多の24万4,940人となり、増加率も過去最大になったと報告されています。学校や家庭で何が起きているのか、ストレスを抱えた子供が増えたと感じている教育関係者も多いとし、背景を分析、安心できる環境を整えていく必要があると指摘しています。 一方、長野県教育委員会は10月27日、県内国公私立の小中学校と高校計672校の不登校児童生徒について、2021年度中に30日以上欠席した不登校の児童生徒は、小学校が20年度比16.9%増の1,596人、中学生が同27.7%増の3,111人で、それぞれ過去最多を更新したと発表しました。高校生も787人で、同25.3%増となっています。 いじめの認知件数や暴力行為の件数も、前年度から大幅に増えたと報告されています。新型コロナウイルス感染拡大に伴う学級閉鎖などで、生活リズムが乱れたことも影響したと見ており、また学校行事の縮小や、給食時の黙食があり、交友関係を築くことが難しく、登校する意欲がわかない状態が生まれたとしています。 不登校の理由としては、本人の無気力・不安や家庭環境、学校での人間関係や教職員との関係を巡る問題等が挙げられ、いじめやトラブルといった明確なきっかけがなくても、漠然とした不調で通えなくなる子供たちが多い様子が伺えるとのことです。 ここで質問いたします。現在、伊那市の小学校、中学校の不登校生徒は何人いるのでしょうか、教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) 文部科学省では、不登校の定義として何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因背景による登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的理由によるものを除いた者と、そういった定義をしているとこであります。 令和3年度末の不登校の該当する児童の生徒につきましては、小学校46人、中学校112人であります。令和4年10月末現在の数字でいきますと、小学校39人、中学校86人となっているところであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 不登校は新型コロナウイルスの影響、学校以外の選択肢ができた、何となく行きたくないと様々な要因が考えられる一方、多様な学校現場が子供のSOSを受け止めきれないのではないかという指摘もあります。 また、感染防止が最優先され、少しでも体調が悪いと休むことが求められるようになり、休むことの抵抗感が薄まったとの見方もあります。そして、その子供たちを支えるべき小中学校の現場は多忙で、教員の忙しさは以前から指摘されていますが、コロナ禍はそれに拍車をかけているのではないかというのが、大方の見方となっています。 ここで質問いたします。感染対策やオンライン授業の準備に追われ、一人一人に丁寧に向き合う機会が奪われてきたとしたら、早急に改善が必要ではないかと思います。そうであったならば、市として十分な支援策を講じるべきだと思いますがいかがでしょうか。伊那市の小中学校の現場の状況について、教育委員会にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 小中学校の現場の状況ということでのお尋ねでございます。 議員お話の中にございましたように、新型コロナウイルス感染症の影響、これは大変大きかったというふうに申すことができようと思います。学校現場におきましては、感染症の予防対策、また児童生徒やその家族が感染した場合の連絡調整、欠席や学級閉鎖等に対応したオンライン授業の実施、そうした点で教職員の負担が増大した面がある、そのように認識をしております。 年度当初、校長会で教育長、私からでございますけれども、相談機能の充実を図り、子供に開かれた学校づくりを進めるよう、これを指示、伝達をいたし、一人一人の児童生徒の思いや暮らしぶりに寄り添った支援ができるよう求めてきたところでございます。 一方、市としましても、教育業務支援員これスクールサポートスタッフと、前年まで申しておりましたけれども、の追加配置、ICTを活用して教職員の事務の軽減を図るためのシステム、これ「C4th」とこう言っておりますが、の活用、AIドリルの全校への導入などにより、教職員をサポートしてきたところでございます。 今後も教職員の負担軽減に努めながら、誰一人取り残さないきめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 近年、不登校の児童生徒を無理に登校させる指導は見られなくなり、フリースクールなど個々の適正を踏まえた居場所の確保を目指す取組も広がっています。現状では、子供を抱える事情に対応した居場所は限られるとし、学校とは別に子供たちが生き生きと学べる場を、地域で作ることが必要ではないかという意見もあります。伊那市では集団生活にはなじめないなど、様々な理由で学校に通えない児童生徒を支援するため、中間教室「やまびこ学級」やその分室として「寺子屋」を市内4か所に開設しています。また、この9月からは狐島に食農体験型「一日寺子屋」を新たに開設しました。 ここで質問いたします。現在、それらの教室を利用している児童生徒は何人いるのでしょうか。また、新たに開設した中間教室の状況について、教育委員会にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) 中間教室の今年度10月までの利用の状況について、申し上げます。 「やまびこ学級」小学部が4人、中学部が7人、「寺子屋」が10人、小学生が5人、中学生が5人であります。夜間部が10人、小学生1人、中学生9人でございます。 食農体験型の中間教室、今年度開設をいたしました。9月から10月までの2か月間で、延べ15人、小学校6人、中学校9人の児童生徒が利用をしてきております。 この「伊宝館」でありますが、通常の学習に加えまして、自立支援の活動として畑仕事ですとか、調理実習を行ったり、民間のプールを使って水泳に取り組むなどを行っております。 不登校児童生徒の中には、体を動かしたいですとかコーディネーターと関わりたいというような子供もおりまして、新たな受皿として、子供たちの思いに寄せた支援ができていると考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 関連質問いたします。伊那市の不登校の児童生徒の中で、中間教室に通っていない児童生徒もいるのではないかと思います。行き場のない児童生徒については、どのような対応を取っているのでしょうか、教育委員会にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 不登校児童生徒のうち中間教室に通室をしております児童生徒の割合、これは令和4年の10月現在でございますけれども、小学校で33.3%、3分の1。中学校で26.7%、ほぼ4分の1となります。約7割の生徒につきましては、したがって中間教室に通室をしていないということになります。 不登校児童生徒に対しましては、学級担任を中心に定期的に家庭訪問を行うなどして、本人や保護者と言葉を交わし、児童生徒の状況を把握し、当人に寄り添った支援を行ってきているところでございます。 中間教室への通室以外、具体的な対応といたしましては、例えば定期的に学習に用いておりますプリントを配付するとか、あるいは現在はオンラインで、同時双方向的にこう授業を見るということも、できるようになっております。そうした、オンラインによる遠隔授業、学校への放課後の登校、民間施設の紹介・連携等をしているところでございます。 また、家庭の状況によってはでございますが、スクールソーシャルワーカーを子ども相談室とも情報を共有しながら、それぞれの子供に必要な支援を行っているところでございます。 不登校の理由は実にさまざまであります。一人一人が申せば、一人一人がそのケースでございます。丁寧な聞き取り等によりまして、その子にとってよりよい支援ができるよう、今後も対応に努めてまいりたいと、そのように思っております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 次は、貧困についてであります。 伊那市は令和4年3月に、伊那市子どもの未来応援計画を策定しています。平成26年の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」施行以降、子供の貧困が取り上げられることが多くなり、さらに昨今ではコロナ禍の長期化も貧困対策への注力につながっている状況であります。全国の子供の貧困率は13.5%で、7人に1人の子供が貧困状態であり、特にひとり親家庭では50%以上が貧困状況であると取り上げられています。子供の貧困対策は、社会全体で取り組む必要があり、同時に子育て支援施策の重要な柱の一つであるとの認識の下に、対策を総合的に推し進めることが極めて重要となります。また、子供を取り巻く環境が複雑化している中では、多岐にわたる連携が必要であり、行政のみならず地域の力が重要であると思います。行政にしかできないこともあれば、地域にしかできないこともあり、協力し合いながら課題解決に取り組まなければなりません。 ここで質問いたします。現在の伊那市の貧困の実態につきまして、市長にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) コロナ禍において、その貧困の様子がだんだんにこう明らかになってきたという状況下で、伊那市としましてはその最前線にいる職員に出席をいただいて現状を聞くと、また教育委員会の会議の席にも何回か来てもらって、実情を聞くということをやってまいりました。この貧困あるいはヤングケアラー、不登校、ひきこもり、こうしたそれぞれ本当に悩んでいる子供たちもいるわけですので、そうしたところに手を差し伸べられるように教育現場また市を挙げて対応しましょうということで、取組をしてきております。 この伊那市では、伊那市子どもの未来応援計画これを策定いたしまして、これを基に、令和3年1月には伊那市子どもの生活状況調査というものを実施いたしました。で、この調査は保護者の回答によるおおよその年間収入によって分析を行ったりするため、あくまで参考値でありますけれども、伊那市の子供の貧困率は12.0%という数字をつかんでおります。また、ひとり親世帯の場合の貧困率、これは71.3%と非常に高い数字であります。こうしたことを基に、一つ一つの取組を丁寧に進めていくというのが実態であります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 関連質問いたします。子どもの未来応援計画での重要課題として、早期発見と支援へのつなぎとなっていますが、早期発見するための具体的な取組状況と、支援へのつなぎのポイントについてお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現状の取組の中身については、担当からお話をさせていただきたいと思います。ただ支援へつながっていく場合のポイントと言いますか、これについてはやっぱり関係する機関を越えた連携が重要であるということと、それから複合的な課題を持った家庭が発見された場合には、多機関いろいろな機関の専門職の皆さんがチームとなって、個別のケースの会議を設けて、問題解決の方向性を決定しながら、支援をしていくということをやっております。 令和4年度からは本格実施を始めた重層的支援体制整備事業というものがあります。この事業によりまして様々な機関の連携体制をさらに充実をさせているところであります。市報、ホームページ、市の広報番組、それから子育てガイドブックなどによりまして、子育て支援に関する案内、これをより充実をさせ分かりやすい形、これを今つくっているところであります。
○議長(白鳥敏明君) 松澤保健福祉部長。
◎保健福祉部長(松澤浩一君) それでは早期発見の具体的の取組の部分ですけれども、困難を抱える子供やその家族がもれなく支援につながるように、様々な機会を捉えて気になる家庭の早期発見に努めております。 早期発見の取組の一つとして、妊娠期におきましては妊娠届出時の個別相談を行っておりまして、そこでハイリスク妊婦を把握して、養育支援ネットワーク会議、こちらで支援計画の策定を行い、保健師による訪問等により出産後まで継続した支援を行っております。 また出産後におきましては、乳幼児健診や保健師が新生児の全家庭を訪問しておりますので、そういった場面、それから保育園、小鳩園、子ども相談室、学校等や地域の子育て支援団体、民生児童委員、子どもの未来応援隊による活動の中での見守りが、早期発見の機会となっております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 家庭が困窮状態に陥ることのないよう、子供や保護者の身近に相談先があることが望まれますが、地域や社会から孤立しているために身近に相談できる人がいないケースもあるのではないかと危惧しています。したがって、保護者や子供自身の抱える問題について、相談先が分からず孤立が深刻化することを防ぐことが重要であると考えます。 ここで質問いたします。社会的に孤立することがないよう、切れ目のない支援をするため、関係機関が密接に連携していくことが必要だと思います。複雑、多様化する課題に対応していくために、相談体制などを整備し、計画の実効性を高めていく必要があると思いますが、具体的にはどのような取組を検討しているのでしょうか、考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) まず複雑化、複合化した課題に対応するための相談体制としましては、世代とか相談内容あるいは属性に関わらず、包括的に相談を受け止める重層的支援体制整備事業、これを今年度から本格実施をしているところであります。 単独の支援機関におきましては対応難しいケースもありますので、そうした場合には関係機関の集まり、役割を整理して支援の方向性、これを共有しながら支援を行っていると。また理事者と私どもと教育委員会と、そして保健福祉部による総合子ども支援会議、これを定期的に開催いたしまして、子ども相談室あるいはNPO法人等の現場の声も聞きながら、子供の貧困等の課題に対して連携して施策を実施しているというところであります。 こうした会議には、最前線にいる職員あるいはNPO法人の皆さんにも参加をしてもらって、現場の生の状態を把握するということに努めております。 それから、不登校の子供たちには、学び直す場、あるいはコミュニケーションを回復する場、社会的な自立の糸口となるような体験の場と、こうしたことが必要でありまして、食農体験型の中間教室などにも取り組んでおりますが、今後は関係するNPO法人などとも連携をさらに深めてまいりたいという考えであります。 それから、こうした時代の中で生きづらさなどを抱えている、ひきこもりの状態にある方、その本人あるいはその御家族がより相談しやすい体制を整えるために、この12月の1日からひきこもりに関する伊那市の相談窓口、これを福祉相談課におきまして分かりやすくして、この場所には専門性の高い職員によっての初期の相談を受けながら、支援につなげていく取組を始めたところであります。既に何件かの相談が来ているという実態であります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 次は、ヤングケアラーについてであります。 ヤングケアラーについては、最近特に注目されてきたと感じています。本来大人が担うような家族の介護やケア、身の周りの世話など日常的に行っている18歳未満の子供のことで、ケアの内容は高齢者の介護に限らず、病気や障害のある家族の介助、精神的な問題を抱えた家族の世話、日本語が第一言語ではない親の通訳など多様なケースがあります。幼い頃からその生活が当たり前で、自分自身がヤングケアラーという認識がない子供さんもいるのが実態だと聞いています。 ここで質問いたします。6月補正予算の中では、特にヤングケアラー支援の充実として、972万2,000円が予算化されました。子ども相談室にヤングケアラーの課題を解決するコーディネーター1人を配置し、支援に取り組む方針になっていましたが、計画どおりに進んでいるのでしょうか。その後の取組状況について、教育委員会にお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 馬場教育次長。
◎教育次長(馬場文教君) お答えいたします。子ども相談室ではヤングケアラーを早期発見、把握した場合に適切な機関へつなぎを行う役割を担う職員として、本年10月からヤングケアラーコーディネーターを1人配置してございます。 このコーディネーターは市職員のOBで、業務経験が豊富な保健師であります。子ども相談室の業務内容も熟知しておりまして、既に具体的な取組を進めていただいております。 具体的にはヤングケアラーに関する相談に応じて助言を行うということやら、在籍する学校と関係機関や民間支援団体等とのパイプ役になるというようなことをしております。 支援が必要な子供一人一人の状況に応じて、適正な福祉サービスにつなげていただいているというところであります。それと、またヤングケアラーの支援が必要と判断した御家庭について、ヘルパーの派遣をするというような調整も行っております。このヘルパー訪問支援事業につきましては、伊那市社会福祉協議会へ業務を委託いたしまして、本年8月から実施をしているところであります。 現在のところ、3家庭にヘルパーが訪問をしております。家事の支援、食事を作ったり掃除をしたりというような支援、また養育支援ということで先ほどの中間教室の「伊宝館」への送迎についてやっぱり課題があるということで、そういったところのヘルプをするというようなことを行っていただいてます。利用者から大変ありがたいといった感想をいただいているところであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 計画どおり進めていただいているということで、大変ありがたく思っております。 家族の世話を担う18歳未満の子供、ヤングケアラーについて国が初めて行った調査によりますと、中学生の約17人に1人、高校生の約24人に1人が該当するとなっています。 伊那市では市要保護児童対策協議会が経過を見守る市内約100世帯の中に、ヤングケアラーの役割を担う児童生徒が15世帯、19人いるとしています。今年4月に教育委員会で行うことになっていた児童生徒に関係するアンケート調査の中で、今年度新たに家族に世話をしているかなどの質問項目を追加し、実態把握に努めることになっていました。 ここで質問いたします。7月に実施したアンケートの調査結果はどうだったでしょうか。何か特筆されることがあれば、それも含めて教育委員会にお尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 笠原教育長。
◎教育長(笠原千俊君) 教育委員会、年2回独自にと言いますか、私どもで実施をしてきているわけですが学校・家庭の生活実態調査、これを行なってきております。そこに併せまして、ヤングケアラーに係る実態を把握するために、これ県でもヤングケアラーに関わる実態調査を行ったわけでございますけれども、それに先駆けまして夏休み前、7月に全小学生3,241人、全中学生1,605人、計4,846人になりますけれど、を対象に調査を実施したところでございます。 それぞれの学校の協力をいただきまして、アンケート用紙を配付し調査をすると、回答を求めるという形でございます。その際、担任の先生からは、ヤングケアラーというのはこういう方たちですよという説明も加えてもらうようにしています。 調査結果でございますが、ヤングケアラーの可能性があると感じられる回答をした児童生徒293名、割合は6.0%、これは国が行った調査と同程度の結果でございます。ヤングケアラーとしてどのような経験をしましたかという質問を置いているわけですが、多かった答えを申し上げますと、一つ、「疲れたと感じることが多い」これが81人、二つ「自分の時間が取れない」49人、三つ「学校を休んだ」28人、「宿題などをする時間がない」28人などでございました。 このアンケートの結果を踏まえまして、後日相談の時間等に担任等が聞き取りをしているわけでございますけれども、今のところ重篤な事例の報告はございません。 このアンケートでは、相談をしたいという人は名前を書いていいですよというその項目をつけております。小学生に40人、中学生に1人が記名をして回答をいたしました。で、これらの子供からは担任が丁寧に聞き取りをし、その状況等について具体的に把握をしたところでございます。 また、アンケートの調査後に申出もありまして、子ども相談室で新たにヤングケアラーとして把握できた児童生徒、6世帯8人あります。以前から把握しているヤングケアラーと合わせると21世帯、27人というふうになったところでございます。 今後も、この行ってきております年2回の学校家庭の生活実態調査、これに併せましてヤングケアラーのアンケート、これも継続をして調査をしてまいりたいというふうに考えております。それぞれの経過を見ながら、子ども相談室と学校等で見守っていきたいと考えているとこでございます。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 見ようとしないと見えない存在、見ようとしても見にくい存在とされるヤングケアラーであります。必要なのは、子供の話を丁寧に聞くこと、話しやすい環境、子供の考えを聞く姿勢が大切だと言われています。子供の声に耳を傾けられる社会が求められています。 国の実態調査でも、ヤングケアラーという言葉を聞いたことのない人は、全体の80%超に上がっているということです。伊那市では10月の市報「いな」でヤングケアラーについて解説していますので、市民の皆さんの中にも順次浸透されてくるものと期待しています。 次は、ひきこもりについてであります。社会的ひきこもりは6か月以上にわたり、就労、学業など社会参加を回避し自宅にとどまっている現象のことを一般的に指しています。 国が行った調査によりますと、初めてひきこもり状態になった年齢は、全年齢層に大きな偏りはなく分布しており、男女比率については男性が77%、女性が23%になっています。ひきこもり状態になってからの期間については、3年から5年の者の割合が21%と最も高く、7年以上の者の割合が全体の5割近くを占めている結果となっています。 ここで質問いたします。伊那市全体のひきこもり当事者の人数をお聞きします。また、特筆される内容がありましたら併せてお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 細かな数字につきましては、担当のほうからこのひきこもりに関するアンケートを行いましたので、その数字をお答えさせていただきたいと思います。 伊那市では生きづらさなどを抱えているひきこもり状態にある方、またその家族、そうした皆さんがより相談しやすい体制を整えようということで、12月から市の窓口、相談窓口を福祉相談課に明確にして設定をいたしました。また、社会福祉士また保健師などの専門性の高い職員によって、初期の相談を受けて伴走支援の担当の者を職員を決めて、伴走支援に適していると考えられる連携機関に振り分けを行いながら、支援につなげているという取組をしているところであります。
○議長(白鳥敏明君) 松澤保健福祉部長。
◎保健福祉部長(松澤浩一君) それでは、伊那市のひきこもりの方の人数等ですけれども、伊那市ではひきこもりの方の実態把握のために、今年の10月に民生児童委員の皆様へのひきこもりアンケート調査を実施しました。この調査につきましては、民生児童委員が把握されている方の情報を記入していただいたものであるため、あくまで参考数値でありますけれども、参考数字ですので実数はもっと多いと考えられますが、調査の結果、市内のひきこもりの方の人数は58人でございました。 平成31年にも同じような形で、県が調査しておりますが、その時は50人でした。今回、年代としましては、30代と40代の方が32人というふうに多くて、全体の55%を占めております。また、男性が47人で全体の81%を占めておりますが、これは全国的な傾向と同様でありますので、特筆される内容ではございません。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 関連質問ですが、成人のひきこもりは長期不就労者になっていると想定しています。年齢的にも体力的にも問題なく働くことができそうな人への就労支援等は行っているのでしょうか、お聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) やはり長くひきこもっている方、いた方、対人関係が苦手な方が多くて、体力も低下をしているという傾向があります。社会福祉協議会のまいさぽ伊那市で実施をしている生活困窮者就労訓練事業において、ハローワークへの同行、それから履歴書の書き方の指導、面接の練習またスーツがない方への貸出し、その方の状況にあった就労の支援というのを丁寧に行っているのが実態であります。 そのほか、社会福祉協議会ではひきこもりの方への居場所の支援としまして、「山本の家」というものを運営しております。過去の失敗体験などから、対人恐怖となっている方が多いわけでありまして、そうした皆さんに対しては丁寧なアセスメントを行いながら、簡易な作業などを行って、少しずつ社会とのつながりを持てるような支援をしているという形であります。 今後も伊那市のひきこもり相談窓口への相談を通じて、社協の就労支援、またハローワークなど適切な機関へつなげながら就労支援も行っていきたいと。また伊那市では農福連携、それから林福連携など企業とか農家、林業家、そうした様々な業種の皆さんとも連携を取りながら、ひきこもりあるいは障害のある方、こうした皆さんの就労にも結びつけていくという取組も始めております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 今まで質問させていただきました不登校、貧困、ヤングケアラー、ひきこもりと、これらについては皆相関関係があり、切り離して解決できないテーマだと考えます。また不登校の家が貧困世帯であったり、不登校の原因がヤングケアラーであったりとかぶっていることも想定されます。したがって、そのような実態を正確に把握するためには、積極的な現場への切り込みが重要と考えます。 また、学校の先生、子ども相談室、市の保健師、社協の担当者、地域の民生委員などの皆さんとタッグを組んで連携を密にすることによって、漏れのない情報が取れるのではないかと思います。もし必要ならば、地元の状況が分かっている我々市議会議員の活用も検討してください。そして、これらの情報を個人個人が抱えるのではなく、集約化することを目的に決まった形に整理されたデータの集まり、つまりデータベース化し一人一人の子供の状況を経年変化で見ていく仕組みづくりが必要ではないかと思います。この手の話になりますと、真っ先にそれは個人情報の問題という意見も出てきます。そして、万が一情報流出等により、子供の人権を侵すような事態が起こればどうするのか等の心配から立ちすくんでしまい、活動が表面的になる傾向が見受けられます。しかし、みだりに外へもらすことはルール違反ですが、情報を得た人がデータベースにしていけば、情報をもらすことにはならないと思います。もう既にこのような取組により、実績を挙げている自治体も全国にはあります。 ここで質問いたします。伊那市は新産業技術の先駆的推進をしています。今まで人に頼ってきた属人的な情報管理から、新産業技術を活用してデータベース化することによる見える化、つまり見える管理の一元化に移行すべき時期だと思いますが、いかがでしょうか。市長の考えをお示しください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 子供の貧困それから不登校、ヤングケアラー、ひきこもりなどこうしたことについては複合的な課題でありまして、保健福祉部、教育委員会、社会福祉協議会またNPO法人、こうしたところと連携をしながら対応していく必要があるわけであります。複合的な課題や制度のすき間のはざまの課題につきましては、重層的支援体制整備事業の中で多機関との連携による包括的な相談支援体制の整備に取り組んでいるところであります。 また理事者と教育委員会と保健福祉部による総合子ども支援会議、こうしたものも定期的に開催をし、現場の声を聞きながら、あるいはNPO法人の皆さんの考え、意見を聞きながら、子供の貧困等の課題に対して連携して充実を図ってきていると、施策の充実を図ってきているのが実態であります。 この新産業技術の活用につきましては、新産業技術推進協議会の中に今年度からコネクテッド保健福祉部会というものを新たに設けました。ロボティクスの活用などICTを活用した福祉サービスの提供に取り組んでいるわけであります。子供、あるいは家庭に関する様々な情報というのは、学校や保健福祉部門などのそれぞれの部署に散在をしているわけでありまして、こうした情報を集約をし、見守りや支援の必要な子供たちを見える化するということによって、早期発見につながり、継続して支援ができる体制を作り上げていくということが大変有効だと思います。 個人情報保護あるいは組織体制の整備等の課題はありますけれども、見える化、見える管理の一元化についても、今後の新産業技術推進協議会の中でも検討課題の一つとして、研究を進めていきたいという考えであります。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 子供の状況をデータで示すことで、誰が見ても客観的に観察することができます。新産業技術を大胆に導入して、長期間にわたって子供の状態を見ていく仕組みづくりは必要だと考えます。最初から完璧は不可能ですので、小さい情報をメンテナンスしながらだんだん中身の濃いデータベースにしていけば、課題解決に必ず役立てることができると思います。 本当に困っている人たちに手を差し伸べたい、福祉のはざまにいる人たちを一人でも多く見つけて支援していきたいという思いで毎日仕事をしていますと、これは私に切実な思いで話をしてくれた市の担当職員の言葉です。 誰一人取り残さないためには目標設定を明確にするとともに、関係部門間の縦横の連携と、地域のネットワークを最大限活用しながら、必ずやり遂げる体制づくりをお願いしまして、次の質問に移ります。 次は市民を守る防災行政無線・防災ラジオ整備事業についてであります。 気象警報や地震に関する情報、避難情報などの緊急情報を迅速かつ確実に伝えることが目的である防災行政無線ですが、伊那市は面積の82%が森林を占め、伊那市全域に設置されている防災行政無線拡声支局、すなわち音声スピーカーは、山と山に囲まれていて屋外でも聞きづらい地域や不感地域もあります。また、最近のような気象状況に伴う大雨や暴風雨の中では、室内ではともかく屋外にいても防災行政無線が聞き取りにくいと、市民の皆さんから苦情が寄せられています。 去る10月11日、高遠町総合福祉センター「やますそ」において、「市民と議会との意見交換会」を総務文教委員会の担当で開催しました。コロナ禍ではありましたが、高遠町の区長さんや民生委員さん、また消防団幹部の方々含め36名の参加をいただき、熱のこもった意見交換会となりました。当日は、高遠町の区長会から出されたテーマ「防災対策について」の中でも、防災行政無線が聞こえないので何とかしてほしい。拡声器から流れる声が何を言っているのか聞き取れないと余計に不安を感じる等の切実な意見が、複数の方から出されました。 後日、高遠町総合支所に出向き、高遠町の実態を確認したところ、屋外の防災行政無線のほかに室内用の防災ラジオが各家庭に導入されていますが、ケーブルテレビの光回線を利用しているため、ケーブルテレビに加入していない家庭では防災ラジオが利用できないとのことでした。 また、ケーブルテレビの加入は毎月の費用もかかるので、あまり強制できないとの本音の話も伺いました。また、長谷地区の実態を長谷総合支所で確認したところ、長谷地区においては全戸にケーブルテレビの光回線を利用した防災ラジオ、長谷地区では防災無線と呼んでいるようですが、この防災無線が導入されているとのことで、新しく移住してきた方にも案内し、加入していただいているとのことでした。 一方、旧伊那市では全世帯に統一された防災ラジオは入っていません。唯一、防災行政無線とは直接連動していませんが、伊那市有線放送農業協同組合の有線放送が機能しており、緊急時、情報発信してくれています。しかし、これも有線放送の加入者でなければ利用できません。伊那市有線放送はもともと農協の組織が運営していましたので、加入者のほとんどは農村部が対象となっており、町部の家庭には入っていないのが実態であります。 現在の有線放送の加入状況ですが、11月1日現在の旧伊那市の世帯、2万5,649戸のうち伊那市有線放送加入世帯は5,058世帯となっており、全体の20%しか有線放送に加入していないことになります。そうした現状の中で、伊那市全域に統一された形で導入されている屋外の防災行政無線ですが、スピーカーから遠い住宅まで行き届かせるのは難しく、また山などの地形や付近の建物の配置、雨や風等によって音が遮られたり、反響が原因で聞き取りにくい場合があるなど、防災行政無線で全てを伝えるには限界があるのではと、常々感じています。 また室内用の防災情報発信方法についても、長谷、高遠町、旧伊那市と運用がそれぞれ異なっているのが実態であります。当然、防災行政無線だけに頼るのではなく、伊那市地域安心安全メールや有線放送、ケーブルテレビでの活用により様々な形で、市民の皆さんに情報発信していただいていることは承知しています。 ここで質問いたします。現在、伊那市全域で防災行政無線の音声スピーカーは何か所に設置されているのでしょうか。また、防災行政無線が聞こえない、聞き取りにくいなどの苦情に対して、どのような対策をとってきたのでしょうか、お聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 埋橋危機管理監。
◎危機管理監(埋橋進君) 伊那市防災行政無線同報系屋外拡声子局は、市内全体で206か所設置しております。聞こえにくい、音が大きいとの苦情や御意見につきましては、現場を確認し、スピーカーの向きの調整など、その都度個別に対応しておりますが、市域が広くかつ地形も複雑であるため、防災行政無線による情報伝達は限界があると感じております。 また、防災行政無線の設備は新設や維持管理に大変な費用がかかります。そのため、既存の屋外拡声子局が効率かつ適正な場所かどうか、統合を含めて検討が必要であると考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 平成18年、伊那市、高遠町、長谷村合併以降、市民の命と暮らしを守る防災情報伝達方法として、屋外の防災行政無線は伊那市全域のシステムとして統一されています。 ここで質問いたします。防災行政無線を室内で聞くことのできる戸別受信機の導入、具体的には室内用の防災ラジオ導入など、伊那市全域での統一したシステム検討は今までされてこなかったのでしょうか、お尋ねします。
○議長(白鳥敏明君) 埋橋危機管理監。
◎危機管理監(埋橋進君) 3市町村の合併を受けまして、全市的な防災情報の提供体制見直し、高遠町地区には従前から防災行政無線の戸別受信機が配備されていたため継続使用としまして、長谷地区では全戸がケーブルテレビに加入していることから、防災ラジオを配布しました。また、伊那地区では防災行政無線と有線放送を補完するため、防災ラジオを低価格で販売することにより、全市的な防災体制を整備したところでございます。 伊那市の防災ラジオは当時、防災行政無線がアナログ電波で機能していたことから、アナログ対応でありましたが、防災行政無線のデジタル化により、伊那ケーブルテレビの光回線を活用したシステムに変更となりまして、現在は伊那ケーブルテレビに加入しなければ活用できない状況であります。 悪天候のときには聞こえづらい、屋外拡声子局も代替えとして防災ラジオの効果が高く、その他の方法としてはデジタル対応の戸別受信機の導入も考えられますが、経費や配備先などの課題の整理が必要であります。一方で防災行政無線の屋外拡声子局や防災ラジオは一度限りしか伝えることができないため、聞き逃したり市内にいない場合でも確認できるよう、電話により防災無線で放送した内容を聞くことができる防災無線テレフォンサービスの整備や、伊那市地域安心安全メール、公式Twitterなどを併用しまして、複数の手段で情報提供体制づくりを進めております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 総務文教委員会では、伊那市の実態を鑑みる中で、去る10月6日に防災情報の伝達手段で先進的な取組を行っています岐阜県瑞浪市に行政視察に行ってきました。視察の目的とするテーマ内容は、「280MHz防災ラジオシステム整備事業」であります。瑞浪市の面積は174.8キロ平方メールで、約70%が山林を占め、令和4年10月1日現在の人口は3万6,256人、世帯数1万5,576世帯であります。「ゴルフの町みずなみ」がキャッチフレーズになっているとおり、市内には13のゴルフ場があり、地形的に起伏に富んだ地域であるため、同報系防災無線の不感地域や聞こえにくい地域には戸別受信機を貸与し、防災情報などを伝達していましたが、大雨や防風時には屋外の防災無線が聞き取りにくい、防災情報を家の中でも確実に聞けるよう、戸別受信機を全戸に配布してほしいという要望が、市民の皆さんから多くあったとのことです。 そこで中山間地域においても確実に電波を各家庭まで送信できる情報伝達システムについて調査・検証した結果、280MHz防災ラジオシステムを選定し、平成27年11月より運用を開始しています。この防災ラジオシステムの特徴としては、防災情報伝達体制を強化するため、電波障害に強いポケットベルと同じ周波数の280MHz電波を活用したもので、瑞浪市単独の周波数を利用することにより、他の電波は全く入り込まない専用となっています。そして、瑞浪市では気象情報、地震に関する情報や避難情報などの緊急情報を迅速かつ確実に市民の皆さんに伝えるため、防災ラジオを全戸に、また市内にある事業所を有する事業者に無償で貸与しています。ラジオの機能としては気象情報、地震に関する情報や市からの緊急情報が配信された場合には、スイッチがオフの状態であっても自動的に起動し、割り込み放送を行います。また、聞き直し機能があり、最後に配信した緊急放送を繰り返して聞くことができる仕組みになっています。 そして難聴障害者の2級以上の方は、文字表示付ラジオにより緊急情報が入るとラジオに赤いランプが点滅し、専用の文字表示版にテロップが流れるようになっていました。またふだんはAM・FMラジオとして利用できますし、停電時には乾電池単三3本を入れることによって、3日間程度使用できるメリットもあります。 この瑞浪市の防災ラジオシステムは、当時としては全国で2番目、防災ラジオの全戸への無償貸与は全国で初めての取組であったとのことでした。 ここで質問いたします。現在の伊那市の防災行政無線は、いろいろな課題があると認識しています。そうした中で、この12月議会に防災行政無線親局等更新工事期間の変更の提案が出されています。金額的には令和4年度から令和6年度の3年間で、3億3,776万円が予算計上されていますが、この工事内容とその更新工事により、どのような効果が期待できるでしょうかお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 現在の防災行政無線の設備でありますが、平成18年のデジタル化に伴って整備したものであります。情報を発信する操作卓、電波を送信する親局、電波を中継する中継局、そして放送する屋外拡声子局で構成をされております。整備からもう16年が経過をしておりまして、機器の老朽化それから多様化する各種情報発信システムとの連携、これが取れない状況でありますので、確実で迅速な情報発信体制を整えるために、今年度から操作卓及び親局や中継局などを更新するものであります。 この屋外拡声子局、これにつきましては引き続いて使用するという考えであります。今回の更新によりまして、防災行政無線から放送される内容、これをホームページ、伊那市地域安心安全メール、公式Twitter、ヤフー防災アプリなどへの一括配信が可能となりますので、こうした機能の効果とそれから新規に伊那市防災アプリの導入によって外出時や悪天候のときでも、スマートフォンから防災行政無線の音声を聞くことができるようになります。さらに市外に住む家族や親せきにも、このアプリに登録することで、同じ情報が取得ができると。近年生活スタイルが多様化しまして、常時市内や家庭にいるとは限らないため、どこでもいつでも災害などに関する情報、こうしたものを様々な情報ツールへ速やかに発信ができるということは、大変大きな意味があるというふうに考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 次の質問は、当初計画ですと防災行政無線親局等変更工事は令和4年と5年の2年間で行う計画になっていましたが、12月議会提案では令和4年から6年度の3年間に変更する内容になっています。今回12月議会初日の補正予算の説明の中で、この要因につきましては半導体の影響ということで説明していただきましたので、質問は割愛させていただきます。 次は、外国人に対する防災行政無線活用の対応についてであります。11月1日現在の伊那市の世帯数2万7,430世帯のうち外国人世帯数は1,272世帯で、全体の4.6%となっています。また外国人数は1,866人で、その内訳としては旧伊那市が1,233世帯の1,818人、高遠町が33世帯の41人、長谷が6世帯の7人となっています。一時期より外国人はかなり減少しているのではないかと思いますが、外国人の中には日本語を理解できない方も多いのではないかと察しています。 ここで質問いたします。緊急時の外国人への情報伝達方法は、現在どのように行っているのでしょうか。また、今後においては行政としてまた地域として、どのような対応が必要であるのでしょうか、考えをお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 外国語での防災・災害情報、これは誤った翻訳によって適切な支援につながらない情報となってしまう事例もあります。外国人への情報伝達、これは全国的にも課題となっているというのが実情であります。現在、災害情報につきましては、NHKなどが提供をする各種専用サイトの案内、あるいは翻訳機能を持つTwitterなどから取得をいただけるということでありますが、新型コロナ対応のときには、安心安全メールに外国人向けのリンクを設定するなど、専用サイトへの誘導も図っております。 引き続いて伊那市からの情報取得方法、これを周知するということのほかに、平時から課題解決や情報の意味の周知など、こうしたものについて外国籍の方を対象とした防災研修というものを実施し、内容を理解していただくように計画をしております。 また外国籍の方が所属するコミュニティの状況も把握をし、日頃から連携できる手段の確認、また最終的には外国籍の方が災害時住民支え合いマップの取組に参加をして、平時から地区とのつながり、あるいはつながる体制というものを構築できるように、取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) ちょっと時間がありませんので、質問項目を優先して進めていきたいと思います。 6番目の質問でありますけども、再確認の意味でもう一度質問させていただきますが、今後ますます高齢化が進むことも考慮する中では、防災ラジオが既に導入されている長谷地区はともかく、まだ入っていない高遠町の一部の世帯、そして旧伊那市の全域を対象に防災ラジオを導入すべきではないかと思いますがいかがでしょうか、市長の考えをお示しください。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 先ほど触れましたが、防災ラジオについては長谷地域ではほぼ全ての家庭に、また高遠町地域も大半の家庭で導入をされ、これまでに3,300台程度の販売をしてまいりました。伊那ケーブルテレビの光回線を活用しておりますので、加入者しか防災ラジオを聞くことができないのが実情であります。宅内で防災行政無線が聞こえることは大変有効ではありますが、音声による広報、状況によっては聞き取りにくかったり、聞き逃しが多いということで、様々な情報取得手段を提供することが重要であろうと思っております。 今回の防災行政無線の更新によりまして、情報機能、情報を取得する手段が大変増えるわけでありますので、こうしたことも周知を図ってまいりたいという考えでございます。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 最後の質問になります。7番目の質問でありますけども、現在、危機管理課より様々な形で地域住民へ防災啓発などの支援をしていただいています。そうした中で避難行動が確実に取れる地域の取り組み方についてお聞きします。
○議長(白鳥敏明君) 白鳥市長。
◎市長(白鳥孝君) 平成26年の神城断層の地震の際には、県内で全半壊が256件という大変大きな住宅が被災されました。それから、白馬の奇跡という報道もあった地域もありまして、こうしたことは地区住民の平時からの防災への取組があってこそ共助というものが機能するということを、改めて考えさせられたわけであります。 危機管理課におきましてはまず自助・共助を強化して、地区一帯となって防災活動をする取組、こうしたものを支援を続けてまいりました。現在、地域防災の取組を積極的に進めている地区が増えておりまして、今後も市では継続的に災害時の住民支え合いマップ、地域のタイムライン、地区防災計画など行動計画などの作成支援に取り組んでまいりたいと考えております。また、地区住民が主体となることで、災害を我が事として捉えまして、地域の特性に併せて継続させる仕組みというものも大切でありますので、地域での積極的な取組ということをこれからもお願いをしたいと考えております。
○議長(白鳥敏明君) 田畑議員。
◆12番(田畑正敏君) 地域防災力の向上に向けた継続的な支援をお願いしまして、質問を終わります。
○議長(白鳥敏明君) 以上をもちまして、田畑正敏議員の質問が終了しました。 以上で通告者の質問が終了いたしました。 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。
△散会 午後2時52分 地方自治法第123条第2項の規定により署名をする。 伊那市議会議長 伊那市議会議員 伊那市議会議員...