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12月07日-02号

  • "新型コロナウイルス対策特別給付金"(/)
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  1. 松本市議会 2020-12-07
    12月07日-02号


    取得元: 松本市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-04
    令和 2年 12月 定例会---------------------------------------          令和2年松本市議会12月定例会会議録                 第2号---------------------------------------             令和2年12月7日 (月曜日)---------------------------------------               議事日程(第2号)                      令和2年12月7日 午前10時開議 第1 請願第7号 松本市生活困窮者等支援体制における民間支援団体との連携・協働の強化について 第2 市政一般に対する質問     ------------------------------出席議員(31名)      1番  牛丸仁志          2番  横内裕治      3番  上條一正          5番  内田麻美      6番  塩原孝子          7番  古沢明子      8番  神津ゆかり         9番  土屋眞一     10番  上條敦重         11番  吉村幸代     12番  勝野智行         13番  青木 崇     14番  若林真一         15番  今井ゆうすけ     16番  川久保文良        17番  上條美智子     18番  村上幸雄         19番  上條 温     20番  田口輝子         21番  中島昌子     22番  小林あや         23番  阿部功祐     24番  上條俊道         25番  澤田佐久子     26番  犬飼信雄         27番  犬飼明美     28番  柿澤 潔         29番  芝山 稔     30番  太田更三         31番  近藤晴彦     32番  池田国昭     ------------------------------説明のため出席した者  市長        臥雲義尚   副市長       嵯峨宏一  副市長       宮之本 伸  総務部長      伊佐治裕子  政策部長      中野嘉勝   財政部長      高野一司  危機管理部長    板倉 章   地域づくり部長   市川英治  文化スポーツ部長  村山 修   健康福祉部長    樋口 浩  農林部長      林 浩史   商工観光部長    小原直樹  建設部部長     小林浩之   上下水道局長    森本千嘉  教育長       赤羽郁夫   教育部長      横内俊哉  行政管理課長    小西敏章   総合戦略課長    近藤 潔  財政課長      小口 眞   行政管理課課長補佐兼法制担当係長                             伊東伸次     ------------------------------事務局職員出席者  事務局長      平林 泉   事務局次長     河村知佳  次長補佐兼議会担当係長      主査        中田雅基            住吉真治  主任        上條裕子   主事        小林あゆみ     ------------------------------               本日の会議に付した事件 議事日程(第2号)記載事件のとおり     ------------------------------                                午前10時開議 ○議長(村上幸雄) おはようございます。 現在までの出席議員は31名でありますので、定足数を超えております。よって、直ちに本日の会議を開きます。 最初に、報告事項を申し上げます。 請願書が1件提出されております。請願文書表第1号としてご配付申し上げてあるとおりであります。 次に、陳情書が1件提出されております。陳情文書表第2号としてご配付申し上げてあるとおりであります。これは、所管の教育民生委員会に回付しておきます。 本日の議事は、日程第2号をもって進めます。 なお、新型コロナウイルス感染症対策のため、随時席の入れ替えを行いますので、ご承知願います。     ------------------------------ △日程第1 請願第7号 ○議長(村上幸雄) 日程第1 請願第7号を上程いたします。 内容につきましては、請願文書表第1号によりご承知願います。 席替えのため、暫時休憩いたします。                              午前10時1分休憩                             ----------                              午前10時2分再開 ○議長(村上幸雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。     ------------------------------ △日程第2 市政に対する一般質問 ○議長(村上幸雄) 日程第2 市政一般に対する質問を行います。 質問通告者は、お手元にご配付いたしてあります一般質問者一覧表のとおり18名であります。 一覧表記載の順序により発言を許します。 最初に、6番 塩原孝子議員の質問を行います。塩原議員は質問者待機席へ移動してください。 6番 塩原孝子議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 おはようございます。 日本共産党松本市議団、塩原孝子です。会派を代表いたしまして、池田国昭議員とともに質問を行います。一問一答方式で行いますので、よろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症の第3波の中、感染への不安、暮らしへの不安が広がっています。こうしたコロナ禍の中で、政府は経済効率のみを優先し、社会保障費を削減し、自己責任を押しつける新自由主義の政治を推し進めています。自助を押しつける国の政治の中で、自分の力だけではどうにもならないという悲鳴が聞こえてきます。75歳以上の後期高齢者医療の窓口2割負担化の導入については、さらに受診抑制につながると批判が広がっています。政治の役割は公助、自治体の役割は住民への福祉の向上です。本市が市民の苦難に寄り添う市政であることをまず要望し、質問に入ります。 高齢福祉行政の第8期介護保険事業計画についてです。 介護保険制度が始まり20年になります。介護の社会化として始まった制度ですが、社会保障費削減の下で、この理念が骨抜きになっているのではないでしょうか。次期改正に向けて、厚生労働省で検討が始まっています。人材確保策として元気高齢者等に介護分野に参入してもらうことや、介護ロボットやICT活用の推進を考えています。また、施設利用時の食費、居住費の負担割合を増加、高額介護サービス費の上限額の引上げなどが検討されています。ますますお金がなければサービスが受けづらい状況になることは目に見えています。 本市では、3年を1期とする第8期介護保険事業計画が来年度からスタートします。市民の方からは、高い介護保険料を引き下げてほしい、こういうご要望をたくさんいただきます。この間の本市の介護保険料の推移を見ますと、第3、4、5期は県下15市の中で一番高く、第6期は2位、第7期は3位のトップクラスで、月額基準額が5,890円です。払える介護保険料にすべきと考えますが、低所得者層の普通徴収対象者の収納率は、県下15市中最下位です。普通徴収による滞納者数、収納率を平成29年度から3年間伺います。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 介護保険料普通徴収の収納率は、年度で申し上げますと、平成29年度87.77%、平成30年度90.20%、令和元年度91.18%となっています。また、滞納者数は、平成29年度1,270人、平成30年度1,051人、令和元年度926人となっております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 収納率は上がってきておりますが、毎年度1,000人ぐらいの方が支払いが困難であることが分かりました。 第8期事業計画は、高齢者実態調査を参考に策定されるとしています。この調査結果の中から見えてくることは、経済的にやや苦しいが21.4%、大変苦しいが8.4%、約3割の高齢者が経済困窮の実態にあるということが分かります。介護保険財政の第7期の2年間の特徴として、共に黒字決算で繰越金が増え、介護保険給付準備基金の保有額を増加させています。8億円近い介護保険給付準備基金があります。これを実際活用すれば、引下げができます。試算しますと、7億5,000万円を活用すれば5,784円、106円引下げができます。8億円全て活用すればさらに引下げはできます。介護保険料の引下げを求めますが、いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 第8期介護保険事業計画における介護保険料につきましては、11月の教育民生委員協議会で、第7期保険料と同程度の見込みと報告をさせていただきました。しかし、現在も最新の高齢者数、認定者数の推計や介護保険給付費等の実績を基に保険料を算定しているところでございます。 今後は、国による介護報酬の改定が予定されています。また、事業計画は団塊の世代が75歳に到達する2025年、そして高齢者1人を現役世代が1.5人で支えることが予想される2040年を見据えて策定する必要があります。したがいまして、保険料を決めるに当たりまして、これらを踏まえ、介護保険給付準備基金をどれだけ活用していくかを含め協議をしてまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 年金はマクロ経済スライドで減る一方です。ぜひ払える保険料にお願いいたします。 次期の介護報酬改定については関心が高いところです。この間、介護報酬はほぼ連続のマイナス改定になり、それとともに全国の介護事業所の倒産件数が右肩上がりになっています。本年の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、11月2日時点で既に112件、介護保険が始まって以来最多の数字です。休廃業や解散も合わせますと、過去最高の600件を超える可能性があるとの報道もありました。このような状況の中で、松本市内の第7期においての廃止、休止の事業所数を伺います。どのような種別の事業所が多いでしょうか。伺います。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 第7期中に廃止、休止した松本市内に所在する介護保険事業所の件数は、廃止が40件、休止が12件です。サービス種別の内訳ですが、廃止した事業所は、多い方から居宅介護支援が13件、居宅療養管理指導が5件、地域密着型通所介護が4件となっております。また、休止した事業所は居宅介護支援が1件、訪問介護1件、地域密着型通所介護が2件となっています。廃止した事業所のうち居宅介護支援事業所が13件と多くなっています。これは、同一法人の事業所が統合され、新事業所に移行した件数や事業所名や所在地の変更によって旧事業所が廃止となった件数が含まれていることによるものでございます。廃止、休止した事業所が特定の事業種別に偏っている等の傾向は見られないと考えています。 また、事業所の廃止、休止の理由については、経営難によるもの、廃止後に別の事業に転換したもの、介護人材の不足により一時的に休止するものなどとなっております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 合計52件で、倒産もこれは含まれておりませんので、倒産も含めればさらに多くなるのではないかと推察をします。この中では在宅サービスが多い状況だということが推測されます。 厚生労働省の介護事業実態調査によりますと、2019年度の平均収支比率は2年連続で低下し、過去最低になりました。今年度はコロナ禍の影響で8割が収支比率が悪化をしています。経営が成り立っていない極めて不正常な状況です。 コロナ禍の中で民間介護事業所の経営が立ち行かなくなる中、松塩筑木曽老人福祉施設組合立の5か所の通所介護事業所を来年度から民間貸与するという方針を組合は打ち出しました。松本市内の岡田の里のデイサービスや今井のやまびこの里のデイサービスが対象となります。関係者の方よりお話を伺うと、利用者さんからは、なじみの職員さんがいなくなるのは寂しい、食事がお弁当に変わるのは不安、機能訓練専門のデイサービスに変更になるやまびこの里デイサービスは、入浴や食事サービスがなくなるために、ケアマネージャーさん中心に全員の利用者を市内または塩尻市のデイサービスを利用できるように調整中とのことです。デイサービスの利用回数を減らす等と調整をしなければならない方も出てきているとのことです。山形村、木曽町、木祖村のデイサービスは、受け入れてくれる事業所がないために休止の見込みとお聞きをしています。 高齢者で介護が必要な方はなじみのある場所でなじみのある職員やなじみのある利用者との交流の中で、安心して過ごすことができます。今後の利用者の心身面でも心配されるところです。 民間事業所も経営が立ち行かなくなる中で、介護は行政が支えることが必要ではないでしょうか。公的な介護サービス事業所を守るべきではないでしょうか。こんなときだからこそ介護事業者を守るべきでなかったかと思わざるを得ません。市内全体の介護事業所を守る施策を本市として考えているか伺います。
    ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 介護保険制度が施行されて20年が経過いたしましたが、その間、多くの民間事業者が介護保険に参入し、事業所や施設が増加したことによって、事業者間の競争はより厳しさを増しています。また、議員からもお話ありましたが、全国における介護事業者の倒産が過去最悪ペースで推移しているとの調査結果も報告されています。これは、介護事業に参入した事業者間の淘汰とヘルパーなど介護人材の慢性的な人手不足が背景にあるものと思われます。 市といたしましては、介護を必要とする利用者が置き去りにされることのないよう、第8期計画において、関係機関と連携しながら介護人材の確保や事業者の資質向上に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 事業所が安定的に運営できることで、利用者も安心してサービスを利用し続けることができます。本市として介護事業所を守る具体策をしっかり考えてほしいというふうに思います。 介護保険制度の維持には、抜本的に国の予算を投入し、介護事業所を倒産させない取組が必要です。介護保険財政の中で国庫負担割合は25%です。この負担割合は直ちに10%増やすことをぜひ国に意見を上げてほしいというふうに思います。 次に、総合事業の弾力化問題です。要介護者も総合事業の対象者とする通達が厚生労働省よりありました。国会審議もせずに省令改定のみの改定は、利用者の受給権を脅かす改悪です。これは、今まで要支援1・2の方が利用できた総合事業を要介護1から5まで対象者を拡大するというものです。また、事業サービスの価格の弾力化も可能とするものです。これについては、全国の認知症の人と家族の会の代表理事の方も要介護者の保険給付外しの突破口になりかねないと反対を表明しています。 質問ですが、本市として総合事業の対象者を要介護認定者まで広げるのか、見解を伺います。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 今回の省令改正で要介護者へサービス利用の対象者を広げるのは、総合事業のうち住民主体で行う訪問型や通所型サービスが対象となります。このサービスの利用は要支援者等に限られているため、サービス利用している方が要介護認定となった場合でも、本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続することを可能にするための弾力化となります。 介護保険給付が受けられることに変わりはなく、本人の心身の状態等によるケアマネジメントの上で運用していくことが重要であると認識しております。 なお、本市では、省令改正に伴う対象事業は現在実施しておりません。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 介護保険は、介護の社会化として始まった制度です。保険給付の中で専門家がしっかりと見るべきです。現状の給付水準を充実していくことを求めます。 次に、新型コロナウイルス対策です。 PCR検査の拡充について、全国での感染者が広がり続け、終息のめどが立ちません。長野県でも連日2桁の陽性者数となり、長野市の陽性患者を松本市立病院でも受け入れている状況です。このままでは医療崩壊が起こりかねません。感染経路不明が21.5%から27.8%に増加をしています。市中感染が考えられます。国の方針を待つのではなく、濃厚接触者だけでなく、社会的な検査を行い、無症状でも感染を広げることを防いでいくことが求められます。全国的には、介護施設内でのクラスターが発生をしています。 この間、本市で高齢者や基礎疾患をお持ちの方に対して、希望ある方に抗原検査の費用の一部の助成が実現できたことは一歩前進です。さらに対象者を拡大し、医療関係者、介護、福祉、保育、教育関係者に対してのPCR検査を公費で実施することを要望します。エッセンシャルワーカーと言われるこうした職業の方たちは、人と人との関わりの中で成り立つ仕事です。不安と緊張の中で働いていらっしゃいます。東京都の江戸川区では、集団感染や重症化リスクの高い施設で働く職員2万2,000人を対象に、施設巡回PCR検査を実施をしています。市中感染も疑われる緊急事態です。今こそ緊急的な対応が求められるのではないでしょうか。 医療、介護、福祉、保育、学校教員へのPCR検査を公費で行うことを求めます。いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 現在、県内の検査体制は徐々に拡充してきております。松本医療圏においては、4月1か月のPCR検査315件に対して、11月ではPCR検査986件、抗原検査842件と過去最多となっております。現在、国が示す検査体制では、地域で感染が広がった際に、感染に関係のない店舗や医療機関、施設等でもPCR検査ができるように拡大が図られております。さらに、11月19日付厚生労働省の通知で、特に高齢者施設については、入所者や介護従事者が発熱等の症状がある場合には必ずPCR検査を実施し、陽性が判明した場合には、施設関係者全員に検査することとし、大幅に施設に対する検査が拡充されてきております。 PCR検査はその時点の状態を確認するものであり、1回限りでなく、定期的に実施することにより効果が現れます。また、地域においては感染が蔓延しているときには、感染の危険性の高い人を優先して検査する必要があります。したがいまして、各施設において感染の兆しがあった際には、国の拡充された検査体制の中で的確かつ迅速に検査を実施し、施設内の感染拡大防止が図られるよう、県及び医師会などと相談しながら検査体制の整備を進めてまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 フェーズが変わっているというふうに思います。政府分科会の日本感染症学会では、このままの状況が続けば、通常の医療では助けられる命が助けられなくなると警告をしています。命を守る緊急事態という認識で、ぜひお願いしたいというふうに思います。 次に、相談体制の充実です。 コロナ禍の中で、まいさぽ松本や市民相談課の相談が急増しています。まいさぽ松本の相談件数は、今年度10月末で既に1,878件、前年同月比の3倍近くに増えています。20歳代から30歳代が多く、生活費、家賃の支払いやローンの支払い等の相談が多いのが特徴です。住居確保給付金は家賃補助をするものですが、150件と聞いています。現時点での例年の15倍の異常さです。対応する職員の時間外労働もあるとお聞きをしています。市民相談課の人員配置を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 市川地域づくり部長。 ◎地域づくり部長(市川英治) お答えいたします。 議員ご指摘のとおり、相談は大幅に増加しています。相談件数の増加により業務量は増えていますが、課内で協力体制を取りながら対応してきております。 現在の社会状況の中で、生活に困窮する方への支援については一層の取組が必要と考えていますので、来年度に向けては職員体制の強化を検討しています。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 今後さらに相談者の増加が予想されます。相談者が抱える課題が複雑化しているということもお聞きをしています。増員し、手厚い相談体制を望みます。 市民相談課では、必要な方には生活保護の紹介もし、生活保護課との連携を密に市民相談課での聞き取り内容を再度生活保護課で聞き取るのではなく、簡易的な調査で申請の希望のある方については受理をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) 生活保護課とまいさぽ松本との相談体制について申し上げます。 相談体制につきましては、生活保護課へ直接相談に来られた相談者のうち、生活保護の申請よりまいさぽ松本での支援が適切と判断した場合には、適宜まいさぽ松本と連携を図りながら支援し、対応しております。一方、まいさぽ松本で受けた相談のうち、相談者の生活状況によって生活保護の申請が適切と判断された場合には、生活保護課へ連絡し、短時間での相談の申請受付をしております。新型コロナウイルスの影響が今後どのようになるか不明でありますが、まいさぽ松本と引き続き連携し、相談体制を構築してまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 さらに連携強化をお願いいたします。 10月の失業率は3.1%に上がり、失業者は215万人、休業者は143万人で、前年度より15万人も上回っています。中小企業の労働者で休業手当が支払われない労働者に対しての賃金の8割を支援する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の活用が全国的にわずか8%の低さで問題になっています。会社の協力がないと支給が認められないという制度の不備もありましたが、厚生労働省の運用改善通達により、事業主が休業させたことを認めない場合でも支給ができることになりました。担当部署は勤労者福祉センター内の労政課とのことですが、本市としてこの制度を市民相談課と労政課との連携、市のホームページ等で積極的に紹介し、活用ができるまでの丁寧な支援の必要があると考えますが、見解を伺います。 ○議長(村上幸雄) 市川地域づくり部長。 ◎地域づくり部長(市川英治) お答えします。 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、市のホームページで紹介しています。市民相談課では、雇用主が雇用調整助成金を申請せず休業手当が支給されない方に対して、労働者側が新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請ができることを説明しています。今後も、該当される方に対してはしっかりと制度の紹介をしてまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 必要な方には必要な制度が行き届くことが必要です。年の瀬も迫る中、経済的に困窮する方も増えてくるのではないでしょうか。どこに相談に行けばいいのか、どんな制度があるのか分からない方もいます。インターネットを使えない方もいます。暮らしや雇用を支援する様々な制度へのつなぎのために、新型コロナウイルス感染症総合相談窓口コールセンターの対応として、社会保険労務士等の専門家の協力を得ながら、相談できる体制の強化をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 板倉危機管理部長。 ◎危機管理部長(板倉章) お答えいたします。 本市では、4月24日に新型コロナウイルス感染症に関する総合窓口としてコールセンターを開設しました。開設当初、多いときには1日200件以上の問合わせがありましたが、徐々に件数も減少したため、7月からは件数に応じた通常の体制で対応しております。現在、総合窓口への問合わせは1日に数件ほどとなっていますが、今後、感染拡大や経済状況の悪化に伴い相談件数が増加した場合は、総合窓口の体制を強化するとともに、必要に応じて専門家を担当の窓口に配置する等の対応を検討します。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 市民相談課の件数が3倍になっている現状があります。その中で同じ人員体制という答弁がありました。そうであれば、全庁を挙げての相談体制を強化すべきと考えます。国の制度の雇用調整助成金や緊急小口資金の貸付けなどが延長になりました。丁寧な情報発信と様々な制度へのつなぎをぜひお願いいたします。 次に、住居確保給付金についてです。 住居確保給付金は、離職などにより住居を失った方や失うおそれがある方を対象として家賃を給付するものです。住居確保給付金の申請が例年の15倍に増えています。最大9か月まで延長が可能な制度ですが、4月からこの事業を利用している方は12月末で終了となります。年を越せるのか、年末を前に野宿や車上生活を強いられる方もいると聞いています。市内の困窮者支援をしている民間団体からも、住まいを失った困窮者への支援推進を求める請願書が出されています。12月末で住居確保給付金の適用が外れてしまう方の市独自支援の創設ができないでしょうか。伺います。 ○議長(村上幸雄) 市川地域づくり部長。 ◎地域づくり部長(市川英治) お答えします。 住居確保給付金の給付人数は、4月以降、実人数で150人です。4月から給付を受け、このまま制度の延長がなければ12月で終了する可能性のある方は、現状で15人となっています。国からは、現在、支給期間の延長を検討しているとの通知を受けていて、延長される見通しとなっています。したがって、現段階で独自の支援は考えておりません。詳細が決まり次第お知らせするとされていますので、国の動きを注視し、詳細が決まりましたら、受給中の皆さんへの周知をはじめホームページなどで広く周知を図ってまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 延長になったことはひとまず安心ですが、継続支援を希望する方への丁寧な支援をお願いいたします。 住まいを失うということは大変なことです。期限後の支援策として市独自の支援の創設をぜひ検討してください。生活保護課との連携、民間支援団体との連携強化をぜひお願いします。 年末に向けたコロナ禍の支援制度の延長と拡充についてです。 年が越せるのかという不安の声を多くお聞きしています。市内でも立場の弱い非正規雇用の女性が職を失っています。あらゆる制度のさらなる延長や定額給付金の再度の支給が求められます。この間、全国的には自殺者も増加をしています。11月9日時点で警察庁が発表した本年10月の自殺者数は2,153人で、前年度同月比の39.9%増加です。その中で女性の自殺が増加し、10月では82.6%増加という驚くべき数字です。 浅間温泉の旅館の聞き取り調査では、毎年夏になると学生の団体客でにぎわうが、今年はキャンセルになり、収入が大きく減っている。お客が少ないときは従業員に休んでもらっている。わずかな給付金だけでいつまでもつか心配。東京方面のお客さんには気を遣うとの声。飲食業者からは、この土日の2週間は売上げゼロ、忘年会や新年会での自粛で期待してきた売上げが伸びないので、この先が不安との声。お客さんが来なくても固定費はかかります。コロナ禍の中で、観光、宿泊、飲食業が大打撃を受け、その業種で働く女性の非正規就業者が大打撃を受けています。感染拡大を予防しながら補償もしっかりとしていくことが求められます。 そこで質問ですが、個人事業主や宿泊業者を対象とした国の持続化給付金への本市の上乗せ支給の新型コロナウイルス対策特別給付金の再度の支給ができないでしょうか。伺います。 ○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。 ◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 4月の緊急事態宣言により、人と物の移動が大きく制限され、経済が急激に冷え込む中、国は、大規模な事業者向け給付制度である持続化給付金を創設いたしました。この事態に、松本市でも9億円を超える予算を5月に計上し、独自の上乗せ給付を実施しています。しかし、大きな財政負担を必要とする市独自の給付策は、国の財政支援なしに何回もできるものではないと認識しています。宣言解除後はウィズコロナの時代に入り、感染拡大を抑え、経済活動を再開し、景気を浮揚させる政策に移行しています。 現在、国は、感染拡大防止策、実体経済回復に重点を置いた第3次補正予算を編成していますが、再度の事業者給付の動きはございませんので、議員ご提案の上乗せ給付の再検討はしておりません。本市といたしましても、動き出した経済が停滞しないようにすることが最大の事業者支援と考えており、冬季における消費拡大策として、キャッシュレス決済ポイント還元の第2弾を含むcome to matsumotoキャンペーンを計画しています。ご紹介をいただきました宿泊施設などを含め、多くの業種での利用促進につながるように、現在、上限額や還元率等の見直しを図っており、今会期中の委員協議会で事業の詳細についてのご協議をお願いする予定になっております。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 感染を広げないことと営業を守ることを同時に行うことが大事です。売上げが49%減でも対象にならないこの持続化給付金の改善や、2次給付が求められます。松本市の上乗せの再支給、また小さい事業所にも支援がしっかり行き届く支援策を要望いたします。 次に、水道料金の減免、減額についてです。 水道料金については支払猶予が可能となっていますが、コロナ禍で手洗いが推奨されたり在宅ワークで水道の使用量が増加をしています。こうした中で、全国的に水道料金を減免や減額している自治体が全国で179か所ほどあります。県内では、松川村が基本料金を半年間全額減免をしています。国からの地方創生臨時交付金を活用してのことです。長野県では、県営水道給水区内の生活保護世帯やひとり親世帯に対して減免、減額の支援を以前より実施をしています。本市独自での水道料金の減免、できないでしょうか。伺います。 ○議長(村上幸雄) 森本上下水道局長。 ◎上下水道局長(森本千嘉) お答えします。 本市の水道料金は、1月当たりの平均使用量20立方メートル、口径13ミリメートルで比較しますと、県内19市中低い方から第4位です。消費税率の変更以外、昭和63年以降32年間値上げを行っていない、そういう経営を続けていることをまず申し上げます。 その上で、水道事業は独立採算であり、水道料金は安全な水を持続的に提供するために欠くことのできない大切な財源であります。コロナ禍における社会保障や経済回復は市全体の喫緊の課題であり、今、理事者がるる答弁しましたとおり、市行政施策全体で連携を取って対応をしております。以上の理由から、企業として水道局として料金減免を考えておりません。 現在、水道局では、4か月の料金徴収猶予期間を設け、納期から4か月の時点でお支払いが困難な場合であっても丁寧に相談に対応しております。また、相談内容に応じて福祉部門と連携をした対応を取っております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 塩原議員。 ◆6番(塩原孝子) 〔登壇〕 今後の滞納状況や支払い猶予の相談なども見ながら、ぜひ検討をお願いいたします。 ひとり親世帯への臨時特別給付金は、再支給することが国のほうで決まりました。シングルマザーの方からは、職を失い、生活困窮の相談もあります。一刻も早く12月の年内支給ができるようにお願いいたします。 新型コロナウイルスは災害です。危機管理能力が問われます。災害時の対応として、地方創生臨時交付金や財政調整基金を活用して、あらゆる施策を行うべきと考えます。全庁挙げての対応が求められます。コロナ禍の中で、市民の生活が大変になっています。今こそ命、暮らしを守る市政が求められます。市民の命と暮らしをしっかり守る立場での対応を強く求めます。 これで全ての質問を終わりにいたします。ご協力ありがとうございました。 ○議長(村上幸雄) 以上で塩原孝子議員の質問は終結いたします。 塩原議員は自席へお戻りください。 次に、32番 池田国昭議員の質問を行います。池田議員は質問者待機席へ移動してください。 32番 池田国昭議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 日本共産党の池田国昭です。2回目以降、一問一答で質問をいたします。 最近、市民の方から2つお電話をいただきました。広報まつもと12月号が届いたと。これです。表紙には、豊かさが実感できるまちへと。開いてみると、デジタル化のことばかりで愕然としたと。今コロナ禍で毎日大変なときなのに、涙が出たと。何か行政が私たちから離れ、取り残されている思いだと。もう一つは、世界では核兵器禁止条約が来年1月に発効するというのに、臥雲市長は署名すらしていないというじゃないかと。何を考えていらっしゃるんだというものでした。市政が市民とそして今の情勢と乖離している。今の市民の皆さんの象徴的な声ではないでしょうか。 そこで、以下順番にお聞きします。 まず、平和行政です。 平和首長会議が進める核兵器禁止条約の早期締結を求める署名について、9月定例会以降、検討の結果、臥雲市長は署名をされたのでしょうか。まだだとすればなぜですか。その理由をお聞きしたいと思います。 次に、スーパーシティ構想についてです。 今年5月27日、地方都市を超監視社会の実験場にしようというスーパーシティ法が自民、公明、維新の賛成多数で可決成立しました。スーパーシティとは、ビッグデータやAIなどの最先端のデジタル技術を利用し、オンライン診療、オンライン教育、自動運転、顔認証による交通機関利用などのサービスを一括して住民に提供する都市のことで、政府はまるごと未来都市とばら色に描いていますが、裏を返せば、まるごと監視都市にほかなりません。そして、冒頭に紹介した広報まつもと12月号は特集で、便利で暮らしやすい未来都市を実現と、同じくばら色に描き突き進もうとしていますが、果たして何もかもよいことばかりなんでしょうか。今日は、そのことを質問しながら明らかにしていきたいと思います。 そこでまず、広報まつもとの3面に登場する宮之本副市長は、この間、DXは公共の福祉と基本的人権のバランスをどう保っていくかの問題と発言をされました。それはどういう意味でしょうか。何を想定しての言葉ですか。バランスを保つとはトレードオフという意味なのか、お聞きします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) お答えいたします。 現時点で署名はいたしておりません。その上で改めて見解を述べさせていただきます。 日本は、1976年に核兵器の不拡散に関する条約を批准し、核保有国による核軍縮と非保有国への不拡散を前提として核兵器のない世界の実現を目指してきました。2017年に国際連合で採択された核兵器禁止条約は、全ての国において核兵器の製造、保有、使用などを禁止し、各国が目指す理想を体現したものです。こうした認識の下、お尋ねの署名に関しましては、日本の恒久的な平和と核兵器のない世界の実現に向けて何をすべきかという観点に立って、引き続き署名の必要性について検討をしていきます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 宮之本副市長。 ◎副市長(宮之本伸) お答えします。 確かに、あのとき私は、基本的人権と公共の福祉のバランスということを申し上げました。池田議員のご質問は、基本的人権と公共の福祉のバランスというものは、トレードオフの関係にあるのかどうかというご質問です。私はトレードオフ、つまりあることを採用すれば、ほかのことが犠牲になってしまう、そういうスタティックな関係ではないというふうに理解しています。よりダイナミックでもっとコンプリケイテッドな概念であるというふうに理解しています。だからこそ、あの際、私は適切なバランスを保つためにも、村上議長をはじめとした議員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りたいと申し上げたわけです。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 平和首長会議参加都市の首長がその首長会議が決めた行動と署名にいまだに参加していないと。こんな不合理なことがあるのでしょうか。実に私は市民も含めて理解に苦しみます。 さて、今年の臥雲市長にとって初めての平和記念式典で、臥雲市長はこの核兵器禁止条約には一言も触れられませんでした。あれから批准国は50を超え、来年1月22日に発効いたします。核兵器の開発、実験、生産、保有から使用と威嚇まで違法化し、核兵器に悪の烙印を押す画期的な国際条約がいよいよ被爆75年をたって、核兵器廃絶に向けて本格的になります。日本共産党は被爆者をはじめとする核なき世界を求める世界の声が結実した巨大な一歩を心から歓迎するものです。 そこで改めて、では、市長はこの核兵器禁止条約の意義をどのように理解をされているのかお聞きをします。また、唯一の被爆国である日本政府が参加すら表明していないことについてどのようにお考えですか。お聞きして2回目とします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 核兵器禁止条約の意義についてお答えいたします。 核なき世界の実現を求める国際世論の後押しを受け、核兵器を非人道的で違法と断じる初の国際法、核兵器禁止条約の発効は、批准していない核保有国に将来の条約参加への圧力を強める効果があると考えます。一方で、不参加国には条約の遵守義務がなく、条約の実効性を高めるためには批准国を増やす必要があります。 国民の大多数が核兵器廃絶の目標を共有するものの、日本の安全保障政策は、アメリカの核抑止力の論理に依存しています。当面は核不拡散防止条約の枠組みの中で核軍縮を進めるという政府の姿勢は理解できます。核兵器のない世界の実現という理想に向けて、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器保有国と禁止条約支持国の橋渡し役を果たしていく必要があると考えます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 答弁いただきました。 いわば、禁止条約の効果は認めつつも、結局、でも条約が違法としている核抑止力論の立場と、そして橋渡し役という政府見解の受け売りそのもので、9月定例会と何ら変わっていない。国内世論でも、毎日新聞の世論調査では参加すべきが70%、この数字は、すべきでない17%、分からない13%の合計の2倍以上です。平和記念式典で松本ユース平和ネットワークの信州大学生が、日本は世界唯一の被爆国でありながらいまだに核の傘に守られている現状があり、条約を批准していません。これは本当の平和だと言えるのでしょうか。本当の平和を達成するのは難しいことかもしれませんが、過去から学び、幅広い視野で物事を考えてアクションを起こせば、近づくことができると思いますと。私はそのとおりだというふうに思います。実に頼もしく、そして臥雲市長と比べ、当日際立って力強いものとしてお聞きしました。臥雲市長との違いが歴然でした。 核兵器禁止条約は核廃絶条約ではありません。まず、核兵器を違法化し、禁止する国際規範を確立する。その上で核保有国が参加しなくても、国際世論の力で核兵器の違法性で規制し、なくしていくことを目指すのがこの条約で、観念的な理想論ではなくて、条約そのものがその力を持つ条約、ここに一番の特徴と意義があります。この部分が一番私は大事だと思うんです。日本政府の役割は、今市長が述べたような核兵器保有国の条約参加を促すとか、その保有国との間に入って橋渡しをするということではなくて、日本政府こそ世界世論形成の先頭に立つ役割が求められます。だからこそ、私は松本市がその世論の先頭に立つことの必要があるということを申し上げます。そして、それこそが冒頭に紹介した市民の皆さんの声です。 そこで次に、同じくこの記念式典で市長が触れなかったことがもう一つありました。アジアの諸国民への日本の加害者としての哀悼の念と反省の弁が私には聞こえませんでした。村上議長はちゃんと語りました。さきの戦争の犠牲者は日本人で310万人、アジアでは2,000万人とも言われています。このアジアの人々への加害について言及しなかったのはなぜなんでしょうか。そのことをお聞きしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) さきの大戦において、戦場となった諸国において幾多の尊い犠牲が存在し、今日の日本の繁栄があることは承知をいたしております。式辞では、この歴史がもたらした内外全ての犠牲者に深い哀悼の念を捧げたところであります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 内外の人に哀悼の念を捧げたとおっしゃいましたが、残念ながらそうした言葉はありませんでした。また、その市長の思いも言葉なくして8月15日に私には伝わってきませんでした。そのように受け止めたのは私だけではなかったというふうに思います。 そこで市長にお聞きします。 市長は満洲事変から太平洋戦争までのいわゆる15年戦争、この性格をどのように捉えていますか。この戦争はアジア民族の解放のための正義の聖戦という歴史観がありますが、後にも触れますが、それは誤りです。天皇制の下で、政府と軍が覇権と領土を拡大することを目的とした紛れもない侵略戦争です。 この間私は、歴代の3人の市長に就任時には必ずこのことをお聞きしてまいりました。15年戦争は侵略戦争ですか、それとも違いますか。臥雲市長のご認識をお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 私の個人的な見解をお尋ねいただいたものとしてお答えいたします。 終戦から50年がたった1995年8月15日に、当時の村山総理大臣が閣議決定に基づいて声明を発表したいわゆる村山談話が日本政府の公式の歴史的見解として以後の内閣にも引き継がれています。この談話では、日本は過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで、国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって多くの方々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な苦痛と損害を与えたと明言しています。私は村山談話と同様の認識を持っています。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 分かりました。大事なのは、植民地支配と侵略によってと、一部に侵略行為があったというのではなくて、戦争そのものが侵略戦争かどうかということをお聞きしたかったんです。日本の外交年表並びに主要文書という日本政府と軍部の主要な公式文書集があります。明治百年を記念して外務省がまとめた要は日本政府公認の公式文書集です。その中には、領土拡大と中国支配の要求を公然と掲げている文書がございます。誰が言っているわけでもないんです。時の政府が公式文書集で明らかにしている。あの戦争を侵略戦争と見るかどうか、失礼ですが、その認識はあったかもしれませんが、8月15日には意識がなかったのではないかと思います。これは本物の平和行政を進める基盤の試金石と言えると思います。 さて次に、臥雲市長は市長選のときに、平和推進課の見直しに言及しました。存続させるのか、何をやるのかと、この項目に対して、市役所の建て替えに併せて組織・部署を抜本的に再編したいとの回答でしたが、意味するところの真意はどこにあるのかお聞きしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 議員から紹介がありましたアンケートの回答は、私が当時、市役所全体の組織再編を想定して申し上げたものです。 ここで若干、現在の平和推進課について申し上げます。平成28年の松本市平和都市宣言30周年を契機に、平和への取組の姿勢を明確にして、さらなる平和事業の推進を図るため、平成29年に行政管理課の課長及び行政担当4人の兼務という形で設置をされました。平和推進課が毎年取り組んでいる主な事業は、8月15日に開催している平和記念式典、中学校2年生が参加する広島平和記念式典の参加事業、小・中学生の平和ポスター展などが挙げられます。さらに、ここ数年は市内の大学生らで構成する松本ユース平和ネットワークが小・中学校への出前授業や戦争体験者からの聞き取りなど、平和の連鎖を広げる取組を行っています。 平和推進課の在り方につきましては、時代に即した平和行政はどうあるべきか、兼務の体制がふさわしいかどうか、今後検討してまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 時代に即した、しかも兼務がいいかどうかということでしたが、正直、まだその真意と見通しが伝わってきません。引き続きこれまで以上に充実させるということで独立も含めてということなのか、再度お聞きしたくなります。 さて、松本市の平和行政では、戦争、被爆の被害とともに、日本のアジアの侵略戦争での加害責任を明確にすることこそ、世界と北東アジアの真の平和にとって必須の条件、ますます重要になります。私は、そのためにも体制の強化が必要だというふうに考えます。小・中学校での平和教育をはじめあらゆる機会にそのことを明確に位置づけて初めて平和の施策が生きます。 そこでお聞きします。松本市では、侵略戦争の加害責任については、この平和行政の中でどのように位置づけられていますか。学校教育の現場ではどうでしょうか。さらに、現状を踏まえて、今後どのように展開するつもりかお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 松本市には陸軍飛行場跡や地下式、半地下式の軍事工場跡など、多くの戦争遺跡が残されています。そうした軍事工場の建設には、朝鮮人労働者や中国兵俘虜が強制労働を強いられました。一方、松本地域を含めた長野県全体から旧満州国に国策として送り込まれた大勢の満洲開拓移民が命を落とし、生き残った人たちも厳しい生活を送ったという事実もあります。こうした身近な郷土の史実は、戦時下の日本が歩んだ道を学ぶ上での貴重な財産です。これらの史実を後世に伝えていくことが松本市の平和行政において重要であると位置づけています。実態調査や聞き取り調査を行うとともに、戦争遺跡には記念碑を設置して、その周知と継承に取り組んでいます。さらに、こうした貴重な財産に子供たちをはじめ多くの市民がいつでも触れられるよう、図書館や文書館に平和資料コーナーを設けて、活用をいただいています。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えいたします。 学校教育、特に中学校学習指導要領社会科歴史的分野におきまして、第二次世界大戦と人類への惨禍の項で、「軍部の台頭から戦争までの経過と大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解すること」、「近代日本と世界を大観して、時代の特色を多面的・多角的に考察し、表現すること」と示されておりまして、学校教育におきましては、それにのっとり指導をしております。今後についても同様に進めてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 分かりました。でも、市長の発言の中にも、やはり侵略戦争の問題がきちっと座っていないという印象です。それは今、松本市の図書館と文書館に平和資料コーナーがございますが、その不十分さをやはり指摘せざるを得ません。文書館には侵略戦争をちゃんと位置づけた図書は寄贈されたもの1冊だけでした。あとのほとんどは大東亜共栄圏建設を正義の戦いとする写真集などの内容がほとんどでした。ぜひ御覧になっていただきたいと思います。 また、今、教育長答弁がございましたが、改めてお聞きしますが、学習指導要領の今紹介のあったどの部分にこの侵略戦争のことについて触れられているのでしょうか。お聞きしたいと思うんです。私が見る限りは、その部分が見て取れません。 以上の議論の経過を含めて、今回、幾つかの提案をしたいと思います。1つは、新たに始まった署名、10月29日にスタートしたんですけれども、核兵器禁止条約に批准を求める、あらかじめ通告はしてございますけれども、首長会議の署名すらしないということになれば、時間との関係で割愛せざるを得ません。 次に、松本市の戦争の被害も加害も含めた歴史の実態を常設展示、戦跡のあらゆる保存が必要ではないでしょうか。先ほど指摘した図書館と文書館のことです。戦争の歴史から未来への知恵を学ぼうとするならば、加害の歴史こそが意識的に学ばれなければいけないと思います。 3つ目、今年6月に塩釜神社で終戦直後まで各学校に設置されていた奉安庫が新たに発見されました。その中に納められていた教育勅語の真の意味と当時の役割などの正確な保存、歴史の真実を風化させない取組が必要と考えますが、教育長にお伺いしたいと思います。 提案の4番目、平成27年9月22日に広島の平和の灯から分けていただき、ともし続けていた松本市の平和の灯、今は毎日夕刻消され、朝、ガスコンロでスイッチでつけられています。広島の平和の灯は、核兵器が廃絶されるまで燃やし続けると。これが原点です。松本でも平成30年9月まではそのとおりにやってきました。それが今はいわばただの燃やすガスの炎に過ぎなくなっている。市民にも、全国の方にもその精神をちゃんと引き継ぎ、松本市の平和の意思を示す意味で、24時間365日点灯に戻すべきと考えますが、お聞きします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 松本市の戦争の歴史資料や戦跡のさらなる保存展示についてお答えいたします。 先ほども申し上げました戦争遺跡などの周知継承に加え、最近では大学生を中心とする松本ユース平和ネットワークの協力の下で、ホームページ上のまつもと平和ミュージアムで様々なコンテンツを紹介をいたしております。そうした面の充実をさらに図ってまいります。 平和の灯について申し上げます。 経過につきましては、先ほど議員からご紹介がございました。確認をしたところ、火を譲り受けた千葉県我孫子市では、広島市と同様、24時間ともし続けているとのことでした。経費や防災上の課題もありますが、本来の趣旨を踏まえて、松本の平和の灯として24時間の運用に戻してまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) 教育勅語の歴史、真実を風化させない取組が必要ではないかというご質問にお答えをいたします。 歴史的真実を風化させず正しく伝えていくことは大切なことであると考えております。そこで、教育博物館と位置づけられております国宝旧開智学校校舎などでの展示や講演会といった活動を通して、後世に伝えてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 答弁ありがとうございました。 松本市の平和の灯は戻していくと。私の調査でも、今紹介があった我孫子市を含めてモニュメントを建設してともし続けているところで、着火と消火を繰り返すような都市は1つも今のところありません。 さて時間との関係があるので、最後に、本当の平和のためには、核兵器のこと、侵略戦争の歴史、これと真正面から向き合うこと、それを抜きには平和行政はあり得ません。それが座るかどうか、まさに雲泥の差と言えます。画竜点睛を欠くということがないように重ねて指摘し、次に、スーパーシティ構想に移っていきます。 なぜ副市長にトレードオフの質問をしたか。後で触れます。 そもそも基本的人権は、適正な釣り合いを図る、バランスを取る対象ではありません。またそれは、私たち議員の判断に委ねることではなくて、私は、副市長自身の問題点としてお聞きした。実はそれについての答弁はありませんでした。要は、福祉も人権も両方が大事で、そもそも釣り合いを図る対象ではないのです。 そこで改めてお聞きします。副市長が使われた基本的人権、この基本的人権は、憲法ではどのように規定されていますか。これも発言した副市長ご自身にお伺いをしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) 法律、条文を読み上げる対応になりますので、私の方からお答えいたします。 議員ご承知のとおり、基本的人権は、日本国憲法第11条におきまして、国民は全ての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利として現在及び将来の国民に与えられると。また、第97条におきましては、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し侵すことのできない永久の権利として信託されたものであると規定されております。 また、第13条においては、全て国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とすると規定されております。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 残念ですが、副市長からの答弁ではありませんでした。私は、語られた副市長自身のご認識を聞きたかったのです。侵すことのできない永久の権利が基本的人権です。 さて次に、個人情報を守ることについてお聞きします。個人情報の扱いは本人の同意が原則、個人情報保護法を遵守すると、この間の説明ですが、個人情報保護法制には、個人情報の保護に関する法律と行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の2つがあり、加えて松本市の条例があります。これらの法制の中で、この個人情報の扱いについてはどのように規定をされているかお伺いをします。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 松本市の個人情報保護条例では、個人情報の利用及び提供の制限について第9条第1項で規定をしております。その規定は、実施機関は個人情報取扱事務の目的を越えて個人情報を当該実施機関内で利用し、または当該実施機関以外の者に提供してはならないと規定しております。また、その中で、ただし次のいずれかに該当するときはこの限りではないとして、5つの例外を設けてございます。1つ目が法令の定めがあるとき、2つ目は本人の同意があるとき、3つ目は出版、報道等により公にされているとき、4つ目は個人の生命、身体、または財産を守るため緊急かつやむを得ないと認められるとき、5つ目として、前各号に掲げるもののほか公益上特に必要がありかつ本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるときの5つでございます。 さらに、同条第3項では、公益上特に必要がありかつ本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められ、個人情報を利用または提供しようとするときは、あらかじめ松本市個人情報保護制度審議会の意見を聞かなければならないとしておりまして、個人情報の利用または提供に当たりましては、この審議会の意見を踏まえ運用しているところです。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ただいま松本市個人情報保護条例に関しての説明がございました。大事な点は、松本市の条例も上位法に従うということです。行政機関個人情報保護法の第8条には、行政機関の長は次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用しなおかつ提供することができると書かれています。これが上位法なんです。また、第7条にも、個人情報を収集するときは、本人から収集しなければならないが、ただしと例外があるんです。要は、法令の定め、上位法が認めている範囲で言えば、松本市個人情報保護条例があるからといって保護されないと、私はそのことをお聞きしたかったんですが、残念ながら、行政機関個人情報保護法については言及がありませんでした。そういう仕組みになっていますが、これで個人情報を守ることができるんでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 先ほど議員ご紹介のとおり、松本市の個人情報保護条例は、国の法令にのっとって整備をされているものでございます。 この場合、先ほどお答えしましたとおり、その運用に当たっては、松本市個人情報保護制度審議会の意見を踏まえ運用していくこととしております。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 残念ながら、答弁になっていない。要は、大きな抜け穴があることについて私は指摘をしているんです。しかも、それが国主導で行われてしまう可能性という重大性を指摘しておきたいと思います。 さて次に、この個人情報を含むデータを扱うデータ連携基盤、これについてお伺いしますが、これはただ流通だけで、流通でも問題がありますけれども、蓄積はしないという説明がございました。事実、内閣府発行のスーパーシティ構想の10月版では、欄外に必要に応じてデータ蓄積の許容と書いたポンチ絵が4か所あったが、11月になると、一切それが消されてしまいました。10月版で言っていた必要に応じてデータ蓄積の許容とはどういう意味ですか。また、11月でなぜ消えたのですか。事前に通告してありますが、内閣府は何と説明しているかお伺いしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 内閣府に確認をさせていただきました。その答えは、データ連携基盤については、現在仕様を検討中のものであり、議員がご懸念されているような意図はないとの説明を受けております。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 正直あきれた答弁と言わざるを得ない。聞いたことに全く答えていない。もちろん松本市の責任ではないですけれども、私はここをちゃんと見ていかなくてはいけないなということでご指摘申し上げました。 次に、このデータ連携基盤の日常の管理運営は誰がやるのですか。また、松本市が持つ市民の個人情報が本人の同意なく事業者に提供される危険がありますが、どうなんでしょうか。されないという保証があるんでしょうか。 また、個人情報の提供の可否はいつ誰が決めるか、また区域会議との関係はどうなるのか、お聞きしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 初めに、データ連携基盤の日常の管理運営につきましては、自治体または自治体から委託を受けた事業者が想定されております。これに関しましては、10月23日に開催されましたスーパーシティ構想に係る勉強会において、議員ご自身が内閣府の担当者から確認を得ていると認識をしてございます。 次に、松本市が保有する個人情報の取扱いにつきましては、提供の可否も含めまして、先ほどお答えしましたように、松本市個人情報保護条例にのっとって適正に運用をしてまいります。なお、区域会議は国家戦略特別区域において区域計画の作成や計画の実施について協議を行うために組織するものでございまして、個人情報の提供可否を協議する組織ではございません。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 いただいた答弁を聞いても、私はどうしてもこの懸念は払拭できないということを申し上げます。 次に、国家戦略特区及び区域会議はどんな組織かと。その任務は何なんですかと。先日10月30日に一部変更された一番最新の国家戦略特別区域基本方針の中に実に重要なことが2つ書かれています。1つは、その運用の原則、もう一つは、留意すべき点というふうに書かれていますが、私は時間がないので読み上げませんが、おのおのどのように書かれていますか、ご紹介ください。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 国家戦略特区制度の運用の原則には、情報公開を徹底し透明性を十分に確保すること、スピードを重視し、諮問会議や区域会議等の活用等により機能的運営を行っていくこと、PDCAサイクルに基づく評価を行い、評価に基づく措置を適切に講じること等により、国家戦略特区間の競争を促進することなどが示されております。また、留意すべき点には、日本の社会経済成長に対して、国家戦略特区として指定された地域でなく、日本全体が知恵を出す競争が促されるようにすること、国家戦略特区の取組に当たっては民間活力を引き出すことが重要であり、事業や投資の推進役となるのは民間事業者であることに留意が必要であることなどが示されております。 なお、この国家戦略特区制度の運用の原則、それに基づく留意すべき点につきましては、今回のスーパーシティ型が追加される前から同様な内容が示されているものでございます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 ただいまご紹介がありました。留意すべき点もご紹介がありましたが、ちょっと私が繰り返したいのは、この取組に当たっては民間活力を引き出すことが重要であり、事業や投資の推進役となるのは民間事業者であると。この留意が一番肝心だと書かれている点です。民間活力を引き出し、事業や投資の推進役は民間事業者であることが政府主導で進められるということなんです。 そして、この特区に今後松本市が情報提供者として、とりあえずはするかしないか分からないとの話ですが、もし参加すれば、この個人情報の扱いはどうなってしまうのか。まさに推して知るべしというふうに言えます。 次に、国家戦略特区は規制緩和が必須となります。お聞きします。松本市はどんな規制緩和を考え、どんなまちをつくろうとしているのですか。お聞きします。また、その中には、顔認証のデータというのが入るのかどうかお聞きします。
    ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 この件に関しましては、過日、議員の所属する総務委員協議会にご報告申し上げたとおり、松本の地域課題を松本のマチガラに合った形で解決を図るスーパーシティにしていきたいと考えております。 議員お尋ねの規制緩和や顔認証等、具体的な内容につきましては、現在、事業者からいただいた情報等を参考に検討を進めているところでございます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 分かりました。まだ具体化はこれからで、姿は見えないということです。 次に、市民の意向確認についてお聞きします。 日程的には、いつ、どのようにしてどんな方法で行うのか、この間、明らかになった幾つかの問題点や危険性を事前に市民に知らせて初めての意向確認、十分な市民の皆さんへの周知はどのように行うのかお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 まず、今回のこの住民意向という部分でございますが、スーパーシティ型国家戦略特別区域の区域指定の応募に当たりましては、住民説明会の開催等、事前に住民等の意向把握のための必要な措置を講じることが求められております。住民その他の利害関係者の意向確認につきましては、特区の区域指定を受けた後、来年度以降に策定することとなります基本構想を内閣総理大臣へ提出する前に実施をする手続となります。松本市ではこの方針に従いまして、具体的な内容がまとまり次第、まずは議会にご協議を申し上げ、その後、ホームページ等で公開し、市民からのご意見をちょうだいする予定としております。 また、それと並行いたしまして、市民の皆様へ直接ご説明する機会を設け、声をお聞きするとともに理解を醸成してまいります。さらに、松本市の公式ユーチューブなど動画やSNSなど様々な手法を用いまして、広く市民への周知に努めてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 私がお聞きしたかったのは、手挙げをする前の意向確認をどうするんだと、この必要性もうたわれているはずです。さて、政府がスーパーシティ構想のお手本としてきたのが中国の杭州市です。その杭州市では、顔認証などの個人情報がビッグデータとして扱われ、超監視社会が実に懸念、危惧されますが、いかがでしょうか。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 国は杭州市をお手本としているわけではなく、スペインのバルセロナ、あるいはカナダのトロントなどを含め、あくまでも海外の先進事例として紹介しているものと認識をしております。 松本市が目指すスーパーシティは、松本のマチガラに合った人を大切にする社会であり、議員ご指摘の超監視社会などは考えたこともございません。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 杭州市はただの海外事例の紹介だけではないんです。昨年8月30日、日本政府と中国政府との間でスーパーシティ構想で技術提携をしていく覚書が交わされたことはご存じですか。まぎれもなくお手本にするという政府の姿勢なんです。そして、監視社会における世界のトップランナーは中国です。 以上のように限られた時間でしたが、課題というより問題点を多く含み、憲法にも抵触する可能性を承知で進めていこうとするのですか。これまで行政の管理する個人情報を行政以外の民間に流通させることはありませんでしたが、松本市がこの構想に参加することになれば、まさに行政が市民のプライバシーを民間に提供する危険性が高い施策です。やめるべきと考えますが、お聞きしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 先ほどから政策部長が答弁をしておりますが、松本市が保有する市民の皆様の大切な個人情報を取り扱う権限がスーパーシティ型特区の区域指定を受けることによって民間の事業者に移ることはありません。また、松本市が民間にそうしたものを投げ渡すということもあり得ません。 私にとって、デジタル化は、国による中央集権や東京一極集中から脱却した自律分散型の社会を構築していく上での基盤的インフラであります。デジタル化、そしてデジタルトランスフォーメーションは、松本のまちづくりのための手段であり目的ではありません。さらにスーパーシティ構想はそのデジタル化を進めていくためのツールの1つであります。スーパーシティ構想に応募することを通じて、デジタル化やDXの取組を加速し、誰もが豊かさを実感できるまちづくりを進めてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 池田議員。 ◆32番(池田国昭) 〔登壇〕 市民のプライバシー、情報を投げ渡すことはあり得ませんが、投げ渡してもらっては困るから私はお聞きしているんです。 最後に、時間との関係で意見を申し上げます。松本市の市民データは、今お話があったとおり、民間事業者に移ることはないと。でもその保証がどこにあるのかということが明確でありません。その指摘は当たりませんとしか言っていない今の国会の答弁と何ら変わりがないとしか聞こえません。データを扱うデータ連携基盤の運営は、まぎれもなく民間の事業者が行うことは明らかです。そのことに関連して、先ほども触れましたが、トレードオフもデータ蓄積もいずれもこのスーパーシティ構想に応募する予定の通信大手の企業、事業主の人たちとの学習会の場での話でした。だから質問をしたんです。データ蓄積を文書で禁止するとコストパフォーマンスが悪くなってしまうということで、法律には書けなかっただけではないですかとずばりお話がありました。だから質問したんです。 副市長はその実像をカモフラージュするためか、表向き公共の福祉と基本的人権のバランスと、公共の福祉と基本的人権を並べましたが、その実は公共の福祉ではなくて、企業のもうけと市民の人権、プライバシーのトレードオフになる。そこに本質があります。また、副市長が言うに、世界でこういうことが進んでいるのは全体主義色が強い国、濃い国だと言いましたけれども、やってはならないことなんです。その仕組みづくりを国主導で松本市にやらせようというのが今回のスーパーシティ構想です。 この間、規制緩和、安上がりと効率、そして利潤を追求する市場原理主義の新自由主義の潮流が経済のみならず地方自治体にも押し寄せて、行政の仕事を企業のもうけに投げ出す、そういうことが行われつつあります。スーパーシティ構想はまさにこの新自由主義の路線と軌を一にするものです。その結果が貧困と格差の拡大がますます深刻化し、医療、衛生をはじめ社会保障全体が縮小、削減されることが今回のコロナ危機を生んでいる一番の原因の1つです。デジタル化の遅れではありません。政府のデジタル庁のように、新型コロナウイルス対策を口実にこの際進めようなんていうことはとんでもないことだと思うんです。デジタル化、全てがばら色に解決できると見るのは幻想でしかない。大事なことは、今の事態を生んでいる新自由主義から抜け出すことです。地方行政では人の手、マンパワーをはじめ行政に関わる職員体制の強化こそ誰もが豊かさを実感できるまちづくりの基本になります。 情報セキュリティの世界的権威であるハーバード大学のブルース・シュナイアー博士がプライバシーは世界との関わり方を自分で決めるために不可欠のものであり、プライバシーを奪われることは人間としての尊厳を奪われることと同じだと、このように述べています。 地方自治体の仕事は住民の暮らし、福祉を守ることであり、企業のもうけのためにあるわけではありません。ましてや地方自治体が憲法違反の基本的人権の侵害をして、何で市民の皆さんの暮らしや福祉を守ることができるんでしょうか。自治体本来の仕事を取り戻す、そして今の市民の皆さんの思いにもちゃんと応える、そうした施策こそ、今のこれからの松本市に求められます。 私もそうした施策実現のために全力を挙げることを申し上げて、私の質問の全てを終わりたいと思います。ご清聴、ご協力ありがとうございました。 ○議長(村上幸雄) 以上で、池田国昭議員の質問は終結いたします。 池田議員は自席へお戻りください。 暫時休憩いたします。 再開は午後1時といたします。                             午前11時37分休憩                             ----------                                 午後1時再開 ○議長(村上幸雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。 市政一般に対する質問を続行いたします。 16番 川久保文良議員の質問を行います。 川久保議員は質問者待機席へ移動してください。 16番 川久保文良議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 会派開明の川久保文良です。 土屋眞一議員、青木崇議員、芝山稔議員とともに、一部私見を交えながら一問一答にて質問させていただきます。 まず、学校教育についてそれぞれお聞きします。 長野県は10月22日、令和元年度いじめの状況についてを公表しました。それによると、令和元年度の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のいじめの認知件数は1万198件と、前年度に比べ992件、10.8%増加しています。その内訳は、小学校が7,758件、前年度に比べプラス1,155件、中学校は2,020件、マイナス146件、高等学校が325件、マイナス26件、特別支援学校が95件、プラス9件とのことであり、全国と同様に小学校の認知件数が増加しているとのことです。 長野県のいじめの認知件数の推移は、平成27年度1,567件、平成28年度4,214件、平成29年度5,329件、平成30年度9,206件と年々増加しています。また、いじめ発見のきっかけは、アンケートや学級担任など学校の教職員が発見した割合は56.4%、本人や保護者からの訴えなど学校の教職員以外からの情報による発見が43.6%となったとのことです。 最初に、本市における令和元年度の小・中学校それぞれのいじめの認知件数、長野県のいじめの解消の状況は89.4%とのことですが、本市のいじめの解消の状況も併せてお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 初めに、令和元年度の本市のいじめの認知件数についてお答えいたします。 小学校は775件、中学校は303件で、本市においては横ばいの状況にあります。 次に、いじめの解消の状況についてお答えいたします。 いじめが解消したと判断する要件は2点あります。1点目は、いじめに係る行為が少なくとも3か月を目安としてやんでいること、2点目は被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないことです。そのことを踏まえた令和元年度の本市のいじめの解消率は、小学校が63.9%、中学校が67.7%となっています。小・中学校ともに約3割が解消に至っておらず、解消に向け、声がけや見守りなどの支援を継続している状況にあります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 小・中学校合わせて1,000件を超えているけれども横ばい、本市のいじめの解消率は全県に比べ大分低いのかなということが分かりました。 次に、不登校の状況についてお聞きします。 長野県内における小・中学校の不登校児童生徒数は3,551人であり、前年度から322人、10%増加したとのことです。その内訳は、小学生1,178人、前年度に比べ146人の増、中学生は2,373人、176人の増となっているようです。また、不登校の児童生徒の推移は平成27年度2,209人、平成28年度2,219人、平成29年度2,587人、平成30年度3,229人と、いじめの認知件数と同様に年々増加しています。不登校児童1,178人のうち90日以上欠席している児童は39.3%の463人、同じく中学生は2,373人中53.8%に当たる1,277人とのことです。 本市における児童生徒の不登校の令和元年度の状況についてお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 年間で30日以上欠席をした本市の不登校児童生徒数は、小学校で189人、中学校で270人です。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 昨年10月25日、文部科学省は不登校児童生徒への支援の在り方についてを各都道府県知事などに通知しました。その通知で、不登校児童生徒の中には、学校外の施設において相談・指導を受け、社会的な自立に向け懸命の努力を続けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため、我が国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たす場合にこれらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上、出席扱いとすることができることとするとしています。これを受け、本市においても本年6月29日に不登校児童生徒を支援する各種ガイドラインについてを公表し、ICTを活用した学習を行う民間事業者についてのガイドライン、民間施設についてのガイドラインが策定されています。 松本市においてこの文部科学省の通知にあるように、学校外の施設において相談・指導を受けたことにより出席扱いしてほしいという相談件数と実際に出席扱いとなった児童生徒数、出席扱いとならなかった場合の児童生徒の理由をお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 学校に寄せられました相談件数は1件でございまして、出席扱いとなった児童生徒はおりません。その理由でございますが、施設における支援の内容が6月に策定をしたガイドラインの要件を満たしていなかったものでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 相談件数が1件ということで、まだまだ児童生徒、保護者に周知されていないのかなというふうにも感じます。 次に、来年4月の中核市移行に伴い、松本市立の小・中学校の教員研修は、松本市教育委員会が主体となって実施することとなります。先ほどの質問でお聞きした本市のいじめの認知件数や不登校児童生徒数、本市における学習指導の実態など、本市の義務教育現場の実情をどのように捉えているのか、また、課題はどのようなものがあり、その課題解決に向け、次年度の教育研修をどのようにしていくのかをお伺いいたします。 ○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えいたします。 いじめの認知件数でありますけれども、多い状況だと捉えております。これは、各学校で小さないじめも見逃さない取組が進んできた成果だと考えております。 また、不登校児童生徒数は増加傾向にありまして、不登校になった原因は学業不振、家庭環境、本人の特性によるものなど多様化、複雑化してきているものと捉えております。したがいまして、松本市において大きな課題は、多様化、複雑化している不登校児童生徒の状況に応じた適切な支援を行っていく点にあると考えております。 そこで、本年12月1日、この12月1日でありますけれども、学校と家庭をICTなどで結んだ学習支援ができるようガイドラインを策定し、運用を開始いたしました。この支援が少しでも早く行き渡るよう、来年2月に運用方法を学ぶ職員研修を行うことを計画しております。来年度の研修につきましても、従来の研修に加えまして、ICTを活用する研修の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 ぜひ松本市の現状に沿った研修をしていただければと思います。 次に、松本市が補助金として松本市校長会調査研究に94万円を支出されていますが、その算出根拠と金額の内訳をまずお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 初めに、川久保議員から校長会に関わってのご質問をいただきましたので、校長会について若干ご説明を申し上げます。 松本市校長会は、市内の義務教育を担う学校間の連携を密接にし、適切な学校運営を行うため、長野県や全国の校長会とも連携し、調査研究などの事業を行っている任意の団体であります。また、松本市教頭会も円滑な業務遂行のため学校間の密接な連携や調整を図り、研究を深めることを目的とした任意の団体であります。 そこで、松本市校長会への補助金94万円についてのお尋ねでございますが、市立の小・中学校が47校ありますので、1校当たりの補助単価を2万円として補助しているものでございます。その内訳は、松本市校長会として納入の必要のある各種団体への負担金が59万円、研修費29万円、消耗品費6万円となっています。また、校長会の調査研究事業は、この市からの補助金に加え、各校長からの会費で運営をされています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 次に、先日行われた決算特別委員会での質疑では、校長それぞれが県校長会に納入する負担金への補助を市が支出している旨の答弁がございました。その負担金と補助金は幾らとなるのかお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 さきの特別委員会の答弁と若干変わる部分があるかもしれませんが、ご容赦をいただいて、答弁を申し上げます。 県校長会への負担金は、校長個人としてではなく、松本市校長会が一括で納入をしております。納入金額は、小学校では、県小学校校長会負担金として29万9,600円、県小中校長会事務局運営負担金として23万8,000円となっています。中学校では、県中学校校長会負担金として17万4,800円、県小中校長会事務局運営負担金として16万1,500円となっています。なお、市からの補助金につきましては、その他団体への負担金も含め、その一部について補助をしているものでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 先日の決算特別委員会の答弁とは違うという感じが大分しますけれども、それでは、教頭会への補助はどうなっているのか、また、なぜ校長会へはそのような補助がされているのかをお聞きいたします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 初めに、松本市教頭会へは教頭研修会への運営費や研究費に対して補助をしております。 松本市教育委員会が松本市校長会の国や県などに通じる団体への負担金に対し補助をしている理由でございますが、長野県内全ての市町村と連携し、情報共有、情報交換などを通じて県内教育の充実を図る必要があるためでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 次に、学校で使用する備品、消耗品についてお聞きします。 昨年決算によると、消耗品費として信濃教育会から令和元年度学事関係職員録を1,600円で112冊購入しています。それに加え、松本市校長会から令和元年度教職員名簿を6,000円で44冊買っていますが、松本市校長会から購入した教職員名簿はどのような名簿で、誰が作成しているのかお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 議員ご指摘の名簿は、「小・中・特別支援学校教職員名簿」という名称の名簿となります。この名簿ですが、氏名や生年月日など基本的な個人情報のほかに免許状の種類、在籍年数、どの学校に何年間在籍をしていたかを示す職歴、特技などについて記載されているものです。校長が自校の名簿をそれぞれ作成し、それを校長会で取りまとめ、作成をしているものでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 校長会が自校の名簿を作成し、校長会で取りまとめているとのことですが、県内他市町村にお聞きしたところ、北信版は8,500円、東信版が7,200円、南信版が7,000円、諏訪圏域版が4,000円と、若干100円とか200円違うところもございますが、中信版の6,000円という単価は誰が決めているのかをお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えします。 学校数や教職員数により地域ごとに単価の違いがあると推測をされますが、その単価につきましては校長会で決めております。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 すみません、確認ですけれども、校長会が決めているというのは、中信版を松本市校長会が決めているということでよろしいですか。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 松本市校長会だけではなく、松本市、塩尻市、安曇野市と3つの郡の校長会で名簿を作成しておりますので、その校長会で単価を決めているということであります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 次に、この教職員名簿ですけれども、誰が何のために活用する名簿なのかお聞きいたします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 長野県の教職員の人事におきましては、毎年、県教育委員会と市町村教育委員会との間で覚書を取り交わして進めています。その中で、校長、副校長、教頭を除く教員の人事については、これを校長に立案させることが望ましいとしています。このことを受け、各校長が一般教員の人事異動の原案を作成するために、議員ご指摘の教職員名簿を活用しています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 一般教員の人事異動の原案を作成するために活用しているとのことですけれども、県の義務教育課にお聞きしたところ、この名簿の存在は校長経験者、現役の校長しか知らないとのことでした。先日開催の決算特別委員会でお聞きしたときも、校長が自校の名簿を作成し、それを校長会が取りまとめ製本し、教育委員会がそれを購入し、改めて各校の校長に配布するという答弁であったかと思います。そもそも校長たちが自ら作成し、校長会が取りまとめた名簿をなぜ教育委員会が購入する必要があるのかをお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 先ほども申し上げましたとおり、教職員名簿は校長の職務である人事異動の原案を作成するために必要なものでございます。職務で使用するものでありますので、教育委員会として公費で購入をしています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 次に、今回この名簿の購入について県内の市町村にお聞きしたところ、本市と同じように、その圏域版だけを購入している市町村、全県での人事異動であることから、北信版、中信版、南信版、東信版をそれぞれ購入している市、これならまだ分かりますけれども、それと、そもそも購入していない市町村もございました。本市では、中信版のみ校長数44冊購入していますが、全県での人事異動ということであるならば、なぜそれぞれ県内全域版のものを購入していないのかをお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 教職員の異動は全県的な視野で行われますが、松本市で勤務をされている多くの教職員は市内、塩尻市、安曇野市、周辺の郡部への異動を希望されます。したがいまして、中信地区の名簿があれば、大きな支障がなく人事異動の業務を遂行することができるため、県内全域の名簿は購入はしていません。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 全県的な視野で行われるが、中信地区の名簿があれば業務を遂行できるということで、なぜ製本をし、6,000円とする必要があるのかというちょっと疑問を感じております。 次に、インターネットで検索したところ、県の小学校長会、中学校長会合同でホームページが作成され、パスワード等で管理されていました。そもそもそこで名簿を管理するなり県や市の教育委員会で名簿を作成すればよいのではないかとも感じます。学校ではGIGAスクール構想が推進され、本市でもスーパーシティ構想などデジタル化が進められている中で、名簿を製本し、それによって人事が行われているのは一昔前の話と感じます。このような紙媒体の名簿の売買が行われている現状について、本市のDXやスーパーシティを中心に進められている宮之本副市長の見解をお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 宮之本副市長。 ◎副市長(宮之本伸) ただいまの川久保議員のご質問にお答えしたいと思います。 私も現物を先日拝見したとき、いささか驚きました。令和のこの時代に、あのような内容のものが製本されていると。紛失のリスク、情報アップデートの容易さ、データ検索のしやすさ等から、デジタル化があるべき姿と考えます。 なお、一般に広く売買されているものではございませんので、その点に対しては補足しておきます。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 デジタル化が図られるべきというような答弁だと感じますけれども、昨年、県内77市町村で回答のあった市町村が購入した教職員名簿の合計金額は約247万円でした。何年前からこのようなやりとりがあったのかは分かりませんが、5年で1,000万円、10年となると全県で2,500万円となってまいります。先ほども申し上げましたが、GIGAスクール構想が推進され、教育現場のICT化が進む中で、本市教育委員会が中心となり、他市教育委員会とともに教職員名簿のデジタル化、データ化を県の教育委員会等に提案すべきと考えますが、教育委員会の見解を求めます。 ○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。 ◎教育長(赤羽郁夫) お答えいたします。 先ほど宮之本副市長の答弁にもありますように、今後の方向性としては、人事に関する名簿についてもデジタル化が必要であると考えております。 定期的に開催されております長野県市町村教育委員会連絡協議会や県内19市で構成しております都市教育長協議会などを通じて、長野県教育委員会と県校長会が協議をし、全県の教職員名簿のデジタル化に向け検討するよう松本市教育委員会として働きかけてまいりたいと思います。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 この名簿に関しては、本日13時半から長野県議会環境文教委員会でも取り上げられると、そのようにお聞きしております。 次に、本市の就学援助の状況についてお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えします。 令和元年度末で小学校において就学援助を受けている要保護児童は34人、準要保護児童は1,463人です。中学校において就学援助を受けている要保護生徒は25人、準要保護生徒は912人です。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 次に、中学校の部活動などの校外活動についてお聞きします。 最初に、合唱部や吹奏楽部の演奏会などにおいての肖像権あるいは著作権はどなたにあるのかお聞きします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 中学校の合唱部や吹奏楽部の演奏会などにおける肖像権は、個人に認められた人格権となりますので、演奏会参加者各人にあります。また、児童生徒の写真動画の撮影、公表に当たっては、親の承諾が必要になると認識をしています。 次に、演奏会などにおける著作権につきましては、曲や歌詞を創作した人及び演奏会を撮影するなどして伝える人にも権利があるものと認識をしています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 今年9月に行われた松本市吹奏楽祭、これは中学校吹奏楽部の発表会とのことですが、保護者の方からは、新型コロナウイルス感染拡大により、会場に入れるのは生徒1人に対し保護者が1名と限られたことから、地元ケーブルテレビでの放映を望む声があり、ケーブルテレビ局は積極的であったため、校長会の許可を教育委員会に取っていただき、吹奏楽祭の事務局にお話をさせていただきました。しかし、事務局のお答えは、発表会の映像はDVD制作会社と契約していること、その後、希望する保護者には販売することからその必要はないと。しかし、よいお話であるので、その他の吹奏楽連盟の先生にご相談をし、ケーブルテレビでの放映をお願いするようなら、またご連絡しますということでしたが、結果、連絡はございませんでした。 先ほど、就学援助を受けている児童生徒数の答弁もありましたが、今年度は新型コロナウイルス感染拡大により地域経済への影響もある中で、DVDを販売するのでという発言には正直驚きました。後でお聞きしたところ、発表会は2会場で行われ、1会場ごとブルーレイが作成され、1枚4,500円、2会場だと9,000円であったとのことでした。また、1万円以下は送料がかかるということから、保護者の方何人かまとめて購入したと、そのようなお話もお聞きしました。 最初に、吹奏楽祭は松本市の音楽文化ホールも会場となったとのことですが、当日の会場費はどのような措置が取られたのかお聞きいたします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えします。 音楽文化ホールに確認をしたところ、松本市音楽文化ホール条例施行規則の規定に従い、当日の会場費は全額減免の措置が取られたとのことであります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 全額減免されたとのことですが、それでは、中学生の部活動の発表の場であり、会場費が全額減免された中で、一方で、その映像を特定の業者が独占的かつ永続的に映像化し、販売し、収益を上げていることに対し違和感を覚えますが、見解を求めます。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 松本市中学校秋の吹奏楽祭は、松本市中学校吹奏楽連盟及び松本市中学校校長会の主催事業であります。また、松本市中学校吹奏楽連盟は吹奏楽の普及発達を図ることを目的に組織された長野県吹奏楽連盟の下部組織でございます。松本市中学校校長会と同様に任意の団体でありますので、松本市教育委員会として指導できる立場にはございません。なお、川久保議員からごちょうだいしたご意見につきましては、各団体にお伝えをしてまいります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 松本市中学校吹奏楽連盟と松本市校長会は任意の団体で、指導できる立場にないとのことですが、松本市中学校吹奏楽連盟は松本市立の学校の先生たちで構成されていると思います。また、吹奏楽祭に参加した児童生徒、DVDを購入した保護者は松本市民であると考えます。また、決算特別委員会のときに、県の義務教育課に校長会とはとお聞きしたところ、先ほどの答弁にございました任意の団体であるが、市町村教育長が招集する、市町村教育長からの指示、伝達、情報交換、市町村施策への協議などを行うと当時お聞きしています。また、松本市議会の会議録検索システムで「校長会」を検索すると350件以上、答弁に限ると264件ヒットしてまいりました。そして、その中身は、今、任意団体というふうにございましたが、「校長会と連携し」とか「校長会の中で話し合われた」などが出てまいります。 先ほど答弁がありましたけれども、任意の団体に補助金を出しています。しかし、指導する立場にはないというのは驚きでしかございません。 次に、今回の吹奏楽祭を収録した業者は市外の業者とのことですが、なぜ市内の業者ではないのか。今回はどのように業者を選定し、地元ケーブルテレビ局の放映を収録を拒否されていますが、松本市側の契約当事者は誰で、どのような契約内容であったのかをお聞きいたします。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。 ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 松本市中学校秋の吹奏楽祭の主催団体のうち、松本市中学校吹奏楽連盟が業者を選定し、契約を締結していることを確認をしています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 契約内容についてのお答えがございませんでしたが、松本市中学校吹奏楽連盟が業者を選定し、締結をしているとのことです。今後、松本市立の小・中学校、教育現場での備品、消耗品購入や校外活動、部活動などでの様々な契約は、本市に本店、支店のある業者に発注、契約すべきと考えますが、見解を求めます。 ○議長(村上幸雄) 横内教育部長。
    ◎教育部長(横内俊哉) お答えいたします。 市立小・中学校における備品、消耗品などの購入や各種契約を行う際は、市の契約に係る一般的なルールに基づいて事務執行しておりますので、原則市内本店業者で取扱いがない物品や業務を除き、市の登録業者で市内本店業者を選定をしています。また、松本市中学校吹奏楽連盟などの各団体に対しましては、先ほどの川久保議員のご意見と併せ、お伝えをしてまいります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 それでは次に、件名2に移ります。 本市の外郭団体への市職員の再就職についてお聞きします。 平成31年2月定例会の一般質問で、私は松本市社会福祉協議会についてお聞きしました。その後、高齢者や障害者と接する皆さんから、社会福祉協議会でのサービスを受けるまで数年待たなければならないことや市から再就職された皆さんについてのお話をお聞きすることがあります。例えば、現場の職員の皆さんは非常に頑張っておられるとのことですが、職員が足りず、日常生活自立支援事業を既に1年以上待っている方がいるということや、課長などの立場で市のOBが再就職するので、プロパーの皆さんのモチベーションが上がらないのではないかとのことでした。 平成31年2月定例会の一般質問でも、当時の常務理事兼事務局長を含む市職員OBの方が15名から16名再就職されていること、毎年、人件費不足分を補助金として1億5,000万円前後支出していることなどの答弁がございました。長野県社会福祉協議会では、常務理事、事務局長の計2名、大町市の社会福祉協議会では、事務局長と出先のセンター長2名、計3名が市のOBとのことであります。本市は再就職された方が十五、六名と先ほど申し上げた県や大町市に比べて圧倒的に多く、人件費として市から補助金約1億5,000万円前後が支出されていることに若干の違和感を感じますが、市長の見解を求めます。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 松本市社会福祉協議会は、ご承知のとおり、社会福祉法に基づいて市町村単位に組織された社会福祉法人であります。民間の社会福祉活動を推進することを目的とするとともに、公益性も併せ持つ非営利組織であります。 議員ご指摘の補助金についてでありますが、社会福祉協議会には、介護保険事業など事業ごとに収入を得て運営を賄う事業勘定の部門は別として、自主財源だけでは人件費を補うことができない部門がございます。組織運営を担う総務部門、ボランティアセンターの運営を担う地域福祉部門など、広く公益性を持ちながら収益性が見込めない事業に従事する職員の人件費については、その大半を市が補助しております。これについては、市との協働によって地域福祉を推進していく上で必要なものと認識をいたしております。 一方、職員数についてでありますが、社会福祉協議会全体の職員数およそ450人に対して市の退職職員は16名となっていますが、課長職以上全体12人に対しまして市の退職職員は5人を占めております。私はこうしたことは社会福祉協議会の生え抜き職員の登用の機会を阻害している面もあると考えます。今後は社会福祉協議会が団体としての主体性や独立性をさらに発揮していけるように、市の退職職員の社会福祉協議会への再就職については是正していくことが必要と考えます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 有資格者や専門職など、特に福祉現場が望み、必要な場合もあると思いますので、そういった場合の再就職についてもぜひ配慮していただければと考えます。 次に、本市では、本年3月に退職した方たちの再就職がホームページで公開されています。そうした中で、長野県では外郭団体への再就職に関わる制限として、退職職員が外郭団体、県の事務、事業と密接な関連を有し、かつ県が特に援助し、または配慮することを要する団体として取扱い要綱別表1に定める41団体に再就職する場合は、原則として次の全ての条件を満たす場合に限り認めていますとあります。(1)役員等以外の職員または退職職員がつくことについて、県が特に必要と認める役員等への再就職であること。(2)65歳に達する日の属する年度の末日を超えて在職しないこと。(3)退職金または功労金を受給しないこととしています。 本市では、職員の再就職についてどのような制限があるのかをお聞きいたします。 ○議長(村上幸雄) 伊佐治総務部長。 ◎総務部長(伊佐治裕子) お答えいたします。 本市の職員が外郭団体等へ再就職する場合には、慣例により5年を上限とすることを要請しておりますが、現在のところ、明文化された規定等はございません。 なお、地方公務員法の改正を受けて、平成28年には松本市職員の退職管理に関する条例を制定しております。ここでは、公務の公正性や透明性を確保するため、営利企業等に再就職した元職員に対し退職前の職場への働きかけなどを禁止するとともに、再就職に関わる情報の届出の義務化や、先ほど議員からもご紹介いただきました状況の公表などを定めて、適正な退職管理に努めております。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 慣例により5年を上限としているけれども、明文化されていないとのことですが、県では、外郭団体の役員等これは理事などの役員及び事務局を統括する職並びにそれに相当する職のうち各団体が退職職員の配置を検討している職については、広く一般に公募をするよう要請していますとあります。公募などをそれぞれの団体に要請し、やはり本市においても県の外郭団体への再就職に関わる制限のようなものをつくり、的確に運用していくことが望ましいと考えますが、今後の外郭団体への市職員の再就職についても含め、市長の見解を求めます。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 議員ご提案のとおり、松本市職員の外郭団体への再就職につきましては、これまで明文化されていなかった5年を上限とする期限などを明確にするとともに、外郭団体に対しても広く人材を募集して、一定の競争原理が働く中で役員の配置を検討することを要請するなど、再就職に係る手続の透明性を確保することが必要だと考えています。 併せて、市の職員が在職中に身につけた知識や能力、行政経験を活用したいと考える企業や団体に対しては、再就職を希望する職員の情報を提供する人材活用の仕組みを設け、職員が公務で培った知識や能力を社会へ還元する役割を果たしていくことが必要だと考えています。こうした点を踏まえまして、市の職員の再就職に係る手続について市民の皆様の理解を得られる制度とするように、議員ご紹介の長野県をはじめ、先行自治体の事例も参考にしながら要綱等を定めてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 川久保議員。 ◆16番(川久保文良) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 今以上に市職員の再就職に関し透明性を高めていただくことがより一層市民理解につながると考えますので、ぜひよろしくお願いします。 以上をもちまして私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(村上幸雄) 以上で川久保文良議員の質問は終結いたします。 川久保議員は自席へお戻りください。 次に、9番 土屋眞一議員の質問を行います。土屋議員は質問者待機席へ移動してください。 9番 土屋眞一議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 会派開明の土屋眞一でございます。会派を代表し、川久保文良議員に続き、青木崇議員、芝山稔議員とともに私見を交え質問させていただきます。通告に従いまして、質問は一問一答にて行わせていただきます。 まず、地域交通についてお尋ねします。 ヨーロッパで1985年頃から使われ始めたクロスセクターベネフィットという言葉があります。ある部門で取られた行動が他の部門に利益をもたらす、そういう意味です。交通に当てはめると、公共交通が整備されることにより、高齢者や障害者の方が自由に行動でき外出する機会が増えれば、健康が損なわれず雇用の機会も増え、医療費などの社会保障が抑えられる効果があるというものです。 高齢化と免許返納の増加に伴い、高齢者を中心に公共交通がなくなると生活できなくなるのではないかという声を聞きます。公共交通を誰もが利用しやすいものにすれば、社会全体で出費を抑えられ、他部門に波及して地域の経済効果につながると考えます。 そこで、西部地域コミュニティバス梓川地区の運行について伺います。 西部地域コミュニティバスに私も2日かけて全線乗車してまいりました。地域特性がありますので、梓川地区に絞っての質問をいたします。梓川地区は東西12キロメートル、南北6キロメートル、おおむね三角形の形状をしています。平成22年11月に全地域が市街化調整区域になったことにより、現在の人口は1万2,550人、ピーク時の平成26年の1万3,068人より毎年減少傾向が続いています。これだけの人口がありながら、地区内に鉄道の駅はなく、路線バスも廃止され、波田地区のような地区内を巡る巡回バスもありません。梓川地区のかつての路線バス立田線は昭和30年代から40年代にかけて、通勤ラッシュ時には同じ時間に3本運行されても満員という状況でした。松本電気鉄道の路線の中でもトップクラスの路線であったと伺っております。その後、平成6年12月に減便、路線廃止の申出があり、マイカーの利用者の増加とともに全線が廃止になりました。 コミュニティバスの運行の施策は、全国の地方バス路線に見られるように、乗客の減、減便、廃止という負のスパイラルに対応し、交通空白地帯の移動手段の確保を公的資金で支えるというものです。西部のコミュニティバスの梓川路線は、かつての立田線を小型におおむね置き換えたものです。乗るバス停は決まっていますが、路線沿いならどこでも降りることができるというものです。しかし、利用率は毎年低下しており、利便性に問題があると考えられます。2時間に1本の運行ということではなく、自宅からバス停までのラスト1マイルと言われる1.6キロメートルの距離の問題があります。元気な高齢者が30分で歩ける距離ですが、歩ける方は心配は要りませんが、200メートル歩くのがやっとの方もいらっしゃいます。冬場の降雪時は、バス停まで出ることは困難で危険です。交通手段を持たない高齢者にとって日常の買物、通院等においてバス停までの距離が最大の課題と言えます。 人口密度が低く傾斜地が多い中山間地を含む梓川地域には、家の玄関を含め複数の場所で乗車し、病院や駅など特定な場所で降りる予約型オンデマンド乗り合いタクシー方式が将来的に最適であると考えますが、今後の施策についてお伺いいたします。 ○議長(村上幸雄) 小林建設部部長。 ◎建設部部長(小林浩之) お答えいたします。 デジタル化の進展は、完全自動運転による公共交通システムの実用化など、交通分野にとどまらず、社会システム全体の刷新を可能とするものとして期待しています。松本市が目指すシームレスな交通体系を構築する上で、ドアツードアの交通システムなど市民の移動手段に関わる新技術に関してアンテナを高くし、積極的に取り組んでまいります。 さて、西部地域コミュニティバスC線は、おおむね1台の車両が決まった時刻に決まったルートを走行する定時定路運行となっています。昨年の利用者は1万5,428人であり、一定の住民ニーズに対応していると考えています。議員ご提案のオンデマンド乗り合いタクシーはエリア運行と言われ、決められたエリアや目的地を事前の予約により指定した停留所や自宅から目的地まで乗合運行するものです。メリットとしては、ルートではなく運行エリアを設定するため、交通空白地域の解消に効果的とされております。一方、デメリットとしては、事前の予約が必要であること、通勤、通学、通院など、決まった時刻に目的地に着くことが難しいこと、利用者ごとの乗降場所によっては、結果的に乗車時間や待ち時間が長くかかることが挙げられます。また、運営面では、梓川地区全域を運行エリアに設定するには、複数の車両や運転手の確保、予約配車システムなど、新たな費用負担が必要となります。定時定路運行からデマンド交通、エリア運行に切り替えるには、こうしたデメリット、メリットについて住民の皆様が十分に理解し、現在の利用者に配慮することが大前提であり、現時点で早急なデマンド交通への切り替えは難しいものと考えています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 安曇野市のデマンド交通あづみんが参考になると思います。 次に、JR大糸線梓橋駅のパークアンドライド協力について伺います。 JR梓橋駅は安曇野市高家地区にありますが、松本市梓川地区にとって最短のJRの駅です。松本駅まで12分、運賃190円です。大糸線は梓川地区から唯一梓川の橋を渡らずに市内に行ける公共交通です。距離的には、松本市梓川地区の市境から梓橋駅まで直線距離で490メートルです。松本市内に通勤通学する梓川地区の住民にとっては、アルピコ交通上高地線よりも運賃が安いこともあり、多くの方が利用しています。 しかしながら、梓橋駅は駅前が狭く、通勤通学時間帯は送迎の車も渋滞する状況です。梓川方面からは手前に大糸線の踏切があり、その先、梓橋を渡るための梓橋西の交差点は右折ラインがないため、朝の通勤時間帯には渋滞が激しくなります。途中の車道から降りて駅まで歩く姿もあり、危険な光景も目にします。隣の安曇野市の駅ですが、パークアンドライド駐車場の設置、二輪車の駐車スペースの整備等を安曇野市、松本市両市で協力して進めていただきたいと考えます。梓橋方面から松本市への車の流入を減らすことは、渋滞の緩和につながります。また、梓橋駅近隣の両市民にとっては、マイカー通勤の時間の短縮につながると考えますが、お伺いします。 ○議長(村上幸雄) 小林建設部部長。 ◎建設部部長(小林浩之) お答えいたします。 JR梓橋周辺にパークアンドライド駐車場を設置することは、平成17年4月の4村との合併に関わる協議の中で、旧梓川村から示された新市建設計画要望事業として検討を行いました。当時、隣のJR一日市場駅周辺には、パークアンドライドとしても利用可能な約90台規模の安曇野市が管理する無料駐車場があり、常時満車という逼迫した利用状況ではなかったことなどから、その整備を見送った経過があります。 今後、身体機能の衰えから免許を返納する高齢者の増加や完全自動運転技術の進展などによる、より身近な公共交通に対する市民の期待、重要度が高まることが予想されています。自動車交通量を減らすことによる効果的な渋滞対策や、ゼロカーボンシティーの実現を目指す松本市が広域的な視点から、安曇野市民にとっても重要な大糸線の利用促進、存続につながるパークアンドライド事業の必要性について安曇野市と連携し取り組めるよう、働きかけてまいります。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 ぜひ研究していただきたい課題であります。 次に、高校生のバイク通学について伺います。 鉄道の駅や路線バスが走っていない交通空白地域において、高校生の通学に係る家庭の負担は大きく、親から毎日送り迎えをしてもらっている生徒もいます。交通政策は関係する広域全体で考えるべき政策です。郊外から市内の高校への通学は、自宅から学校まで15キロメートル以上離れているところもあります。交通空白地域では、最寄りの駅まで2キロメートル以上は当たり前です。そのような地域は中山間地域が多く、坂の傾斜が大きい地域です。 市内の高校への最寄りの駅までの交通手段として、郊外の高校へは直接原付バイクで通学を解禁することが望ましいと考えております。原付免許は16歳で取れます。私もバイクに乗る1人ですが、二輪車の重大事故は頭部と胸部損傷が致命傷です。ヘルメットと胸部プロテクターを使用して乗車し、自動車教習所や警察、交通安全協会などで実技講習を含め安全教育をしっかり行うことで実施は可能であると考えます。 茨城県の県立高校では、93校中72校の77%で原付通学を許可しています。公共交通が衰退していく中で、少子化の影響もあり、郊外の高校はなかなか入学者が集まらないのが現状です。駅までつなぐ1つの手段としてだけではなく、進学に影響を与えるアイデアでもあります。高校についての所管は県の教育委員会と私学振興課ですので、高校のバイク通学の可否は別として、松本市の交通政策としてどのようにお考えか伺います。 ○議長(村上幸雄) 小林建設部部長。 ◎建設部部長(小林浩之) お答えいたします。 まず、松本市内の高校のバイク通学の主な指導、許可の状況ですが、バイク通学を許可していない高校が多数を占める中、一部の高校では、自宅から公共交通機関までの距離がある場合や鉄道やバスのダイヤの接続が悪く通学が不便な場所である場合など、各校がそれぞれ条件を付して認めています。 一般論としてでございますが、通勤通学に関わる移動を自家用車からバイクに転換することは、道路の占有面積の削減による渋滞解消やCO2の削減による環境側面から有効性は高いと捉えています。本市の総合交通戦略の中でも、バイクのみならず自転車や公共交通など環境に優しい乗り物への転換は目指すべき政策と位置づけています。 しかしながら、高校生がバイクで通学することに関しては、交通事故などの安全面の懸念が大きいことなどから、各家庭や学校の指導、判断によるものと考えます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 私は近い将来、実現すると思っております。 次に、アルピコ交通上高地線の公有民営化について伺います。 現在、アルピコ交通上高地線については、老朽化した鉄道施設の大規模改修工事に当たり、松本市は国及び県と協調し、整備費を補助しています。アルピコホールディングスの9月の中間決算期の連結決算では、新型コロナウイルスの影響で16億3,000万円の赤字、純損益は18億300万円に達しております。本市の将来の公共交通戦略を前倒ししなければ、現状の維持も不可能になることが予想されます。上高地線については、松本市西部地域の公共交通の要であり、通学、通勤、通院、買物といった日常生活にとってはなくてはならない交通手段です。沿線である波田地区は、近い将来人口増加に転ずる可能性がある地域でもあります。このような地域特性もあり、将来的には乗車率が上がると推測します。 上高地線の朝7時台の通勤通学列車は高校生の乗車率が高く、単線のため増発や一両の増の3両編成の運行はできず、対策ができない状態です。今後も朝の通勤時間帯はさらに混雑することが予想され、乗れなくなる可能性さえあります。地方の公共交通は多くの地域で自治体からの補助金を受けることを基盤に赤字路線を維持するという仕組みになっています。上高地線の鉄道施設や車両における今後の課題としては、奈良井川、田川にかかる橋梁や国道19号の陸橋の老朽化によるかけ替え、駅については乗降に当たり軌道敷を横断するなど、ユニバーサルデザインとはならない状態です。車両についても新車両への更新など、現状を考えると課題が幾つもあります。 鉄道の公有民営方式、いわゆる上下分離方式という施策があります。地方公共団体が事業者の重荷になっている線路や駅舎などの鉄道施設を市へ移行し保有して、これを運行業者に使用してもらい、責任を持って収益を上げてもらうというものです。経営主体が鉄道会社から自治体に移り、いわば鉄道自体が公共施設となり、指定管理方式に近づくシステムです。このことで、収益がすぐに改善するわけではありませんが、鉄道は確実に維持され、その後、交通政策も含めいろんなアイデアが出てくると私は考えています。今年5月には地域公共交通活性化再生法改正案が参議院で可決成立し、地域公共交通計画の策定を地方自治体に努力義務化しました。国土交通大臣の新制度の鉄道事業法の特例措置に従ってということになりますが、上高地線の公有民営化と将来展望についてお伺いします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) お答えします。 アルピコ交通上高地線は、西部地域の生活路線として、上高地につながる観光路線として、松本市の交通の東西の軸となる重要な幹線であると認識をしています。地域鉄道の難しい経営環境の中でも、昨年度の乗客数は175万人で、この10年間におよそ30万人増加し、コロナ禍の前までは事業収支もおおむね均衡していました。これまで松本市は、老朽化した鉄道施設などの改修に対して国や県との協調分に加え、市単独で上乗せの助成などを行っています。また、今年度のコロナ禍における深刻な経営状況の悪化に対しては、バスと鉄道事業に総額でおよそ1億8,000万円を支援しました。近い将来に公共交通を必要とする市民が増える一方で、民間事業者のみで公共交通を支えることが困難になる状況を想定し、松本市として積極的かつ主体的に関わっていくことが重要であると考えています。 その上で、議員ご提案の国が定める公有民営化方式、上下分離方式は、大臣の認定を受けて地方公共団体が鉄道資産などを取得することや、移行後も施設の維持や運行に公費の負担を伴う場合があるなど、現状ではハードルが高く、検討に時間を要すると考えています。今後、松本市が推進するバスと鉄道の公設民営化は、コミュニティバスの在り方を含めてまず路線バス事業を優先して取り組みます。その上で、上高地線については利用や運行の状況などを考慮しながら公設民営化の在り方を入念に検討してまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 いずれ視野に入れていかなければならない課題だと思っております。 要望とさせていただきますが、将来的な夢といたしましては、この上高地線の線路敷に路面電車を導入することを考えております。低床ですので、従来のホームは要りません。乗り降りも非常に楽です。松本駅西口方面から国道158号を走り、消防局の前を通り、奈良井大橋を渡り、松本インター周辺に車両基地を設置し、路面電車をそこから現在の上高地線の軌道に入れます。使われなくなった軌道は自転車や原付二輪の専用道路にします。松本市内への自家用車の流入を抑えるためにも松本インター周辺に大規模な駐車場を用意していただき、県外車や西部地域にお住まいの方も路面電車に乗って市内に入っていただき、回遊、滞留していただきたいと思っております。路面電車の転換は渋滞解消でのバスレーンの設置以上の効果があると考えます。最近の路面電車は非常に格好がいいです。子供たちも乗ってくれると思います。 それでは次に、信州まつもと空港からの交通について伺います。 信州まつもと空港からの移動は、公共交通としてのバスとタクシー、自家用自動車が主な交通手段です。路線バスは1時間毎に、また、信州まつもと空港エアポートシャトルバスは航空機発着時間に合わせて運行しています。時刻表では30分で松本バスターミナルとを結びますが、実際は国道19号鎌田交差点付近から渋滞し、JR線路の陸橋工事が遅れているためさらに渋滞している状態です。タクシーの乗務員の話によると、北の渚方面から迂回して松本駅に入ることもあるそうです。バスの運行については定時制の喪失ということが最大の課題です。 まつもと空港からJRの最寄り駅として広丘駅と村井駅があります。広丘駅は笹賀、今村橋を通り、タクシー利用で8分、村井駅は笹賀、神戸橋を通り11分です。ただし、神戸橋西の流通団地南の交差点が右折ラインがないため渋滞し、また、村井北の踏切も同様に渋滞します。JR中央線への接続を考えた場合、塩尻市の広丘駅利用が最短だと考えております。松本駅及び広丘駅は各駅停車で12分、現在特急は止まりませんが、特急が止まれば6分台で松本駅とつながると予想しています。また、長野と塩尻間は特急しなので60分、広丘駅に停車すれば60分を切ります。諏訪地域からは各駅停車で上諏訪へは23分、下諏訪18分、岡谷15分前後でつながります。松本駅と広丘駅の間のJR運行状況ですが、信州まつもと空港の運行時間午前8時30分から午後5時を考慮して上り電車について見てみますと、午前7時から午後7時までの運行本数は57本、内訳は各駅停車32本、特急25本が運行されています。広丘駅については、9両編成までであればホームに停車可能です。現在JR東海の特急しなのは6両編成、JR東日本の特急あずさは主に12両編成で運行されています。広丘駅に特急が止まれば、まつもと空港方面から松本駅まで乗りかえ時間を除いて14分、現在の各駅停車でも20分でつながります。現在のバスやタクシーの半分程度の時間でつながりそうです。信州まつもと空港からアクセスについてお伺いします。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 初めに、信州まつもと空港からのエアポートシャトルバスが松本バスターミナルを発着地としているのは、長野県内の観光地やビジネスエリアに鉄道やバスなどのあらゆる交通手段でアクセスすることができる県内で最も利便性が高い交通結節点であることが理由の第一でございます。 議員ご提案の最寄りの鉄道駅であります広丘駅にエアポートシャトルバスを運行することは、信州まつもと空港からJR中央本線の乗りかえを考えた場合、松本バスターミナルと比較すると、移動時間から見れば効率的であると考えます。しかし、議員も触れられましたように、広丘駅での移動手段は鉄道のみと限定であり、鉄道ダイヤの調整や特急列車の停車には大きな課題がありますことから、まずは松本バスターミナルを発着とするエアポートシャトルバスの速達性の向上が必要であると考えております。 具体的には、高速道路の利用や松本駅アルプス口の活用が考えられます。引き続き信州まつもと空港の2次交通の向上につきましては、周辺自治体と連携し、バスの運行主体であります長野県に積極的に働きかけてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 信州まつもと空港は国際線の就航や100人以上乗れる機材の導入により、利用者が増えれば広丘駅や村井駅から中間駅に止まらずに松本駅まで運航する普通列車のエアポートライナーを考えてみてもいいと思っております。 次に、信州まつもと空港から上高地へのヘリコプター送迎について伺います。 信州まつもと空港から上高地へは、松本駅経由で約3時間半、空港からタクシーで1時間10分です。シーズン中は渋滞しますので、それより多くの時間がかかります。環境省では、民間企業、団体と相互に協力して、松本が世界に誇る国立公園の美しい景観と滞在する魅力を世界に向けて発信し、利用者の拡大を図るため、国立公園オフィシャルパートナーシッププログラムを推奨しています。 今年10月に第6回の締結式が小泉環境大臣同席の下行われ、今回新たに12社が加わり、全87社となりました。上高地関連では、今回アルピコ交通と濃飛乗合自動車が締結しました。今回ヘリコプター送迎ツアーを企画する企業も初めて入り、時代の新しい流れを感じました。上高地はまつもと空港からヘリコプターで15分程度で到達します。現在、上高地上流に防災の危機管理ということでヘリポートの計画がありますが、進んでいません。上高地周辺でヘリポートを整備することは、大勢の観光客や登山者にけが、病気などの緊急事態発生時に安心を与えます。信州大学医学部附属病院まで20分程度で到達できます。スイスのツェルマットでは、50年以上救助ヘリとして歴史ある企業が観光遊覧飛行をマッターホルンやモンテローザで行っております。ヘリコプターでの運行ができれば、危機管理はもとより民間活動により障害を持った方や裕福層の方、国際線が就航したときには外国人観光客に上高地への利便性を発信でき、国際都市岳都松本を世界にアピールすることができます。空港の活性化にも役立つと考えますが、まつもと空港から上高地へのヘリコプター送迎についてお伺いいたします。 ○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。 ◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 現在、上高地内には環境省が所管するヘリポートが玄文沢に1か所ございます。また、涸沢など山小屋の周辺にもヘリコプターが離発着できる場所が数か所ありますが、その活用は物資等の運搬や山岳遭難救助など、ヘリコプター以外での対応が困難なものに限られています。また、上高地は、国の特別名勝、特別天然記念物に指定されており、この美しい自然環境を保護するために自然公園法や文化財保護法をはじめとした多くの法令により、開発等については厳しく規制されています。 先ほどヘリコプターでの送迎ツアーを企画した企業が環境省と国立公園パートナーシップを締結したとご紹介いただきましたが、この企画につきましても、航空法の許可を含め多くの規制がある中でどのように実現していくのか、今後調整を図っていく段階であるとお聞きをしているところです。 上高地につきましても、様々な厳しい規制があることや、ヘリコプターパイロットが不足しているという現状を考えますと、新たなヘリポートの設置や信州まつもと空港などからの観光目的での送迎の活用につきましては、かなりハードルが高いものと捉えております。 しかしながら、このたびのご提案は、もし実現すれば本市の目指す世界に冠たる山岳観光リゾートがより魅力的なものとなり、議員のご指摘のとおり、山岳の都岳都松本のアピールにもつながるものと考えられますので、今後ヘリポートの設置や既存のヘリポートの活用方法などについて研究してまいりたいと考えております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 ご答弁をいただきました。 まつもと空港から上高地というアピールでもあり、上高地の魅力発信につながると思いますので、ぜひ研究していただきたいと思います。 次に、件名2の遠隔医療について。 診療車両によるモバイルクリニックについてお伺いいたします。 マスコミでも報じられていますが、伊那市は一般財団法人トヨタ・モビリティ基金の地域に合った移動の仕組み作り活動資金を使い、移動診療の実証実験を行っております。全国で27か所が指定されていますが、遠隔医療によるモバイルクリニック事業は伊那市のみです。地域の公共交通の衰退した状況で、中山間地の障害者、高齢者等の移動困難者の課題を解決する新しい取り組みとして採択されたと伺っております。このモバイルクリニックは、医師は車両に同乗せずに看護師が同乗し、患者さんの自宅前まで行き、搭載されている各医療機器を使い、血圧、血糖値などを測定し、オンラインで通信し、病院にいる医師が診察するというオンライン診療の1つです。 患者さんは病院まで行かずに受診できます。移動時間、費用も節約でき、介助者も必要最小限で済みます。通信機器は看護師が操作し、診療に当たり、医師からの指示が直接できるため、安全で質の高い診療を行うことが可能です。また、薬の処方も可能で、オンラインで薬剤師とつながりますので、宅配便や場所によっては公民館等にドローンを使い薬も受け取れます。医師側にとっては往診の移動時間がなくなり、効率的な診療ができます。医療全般から見ると増加する医療費の抑制につながる可能性があります。 中山間地や過疎地において免許返納者が増え、通院困難が増えることが予想されていますが、診療車両によるモバイルクリニックの導入については、市立病院や信州大学医学部附属病院がある自治体の本市として全国に、また世界に発信できる施策の方向性の1つだと考えております。そのことについて伺います。 ○議長(村上幸雄) 樋口健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(樋口浩) お答えします。 移動診療車によるモバイルクリニック事業は、議員がおっしゃるとおり、高齢化の進展に伴い増加する通院困難者の負担軽減と、医師側にとっても効率的な診療が可能になり、双方にとっても負担軽減につながる支援施策であると認識しております。 現在、松本市の安曇地区、奈川地区においては、市立の診療所5か所を運営しており、地域住民に安心安全な医療を提供しております。そして、市立病院にはそのバックアップとして支援を得ており、連携体制を構築しております。今後、中山間地、僻地医療の在り方を検討する中で、医療関係者をはじめ福祉、介護等各方面との意見交換をするなど、モバイルクリニック事業について研究してまいります。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 土屋議員。 ◆9番(土屋眞一) 〔登壇〕 ご答弁いただきました。 感染症や死亡診断書の迅速な手続に対応できると思います。 私も20年近く行政に関する手続を仕事としてやっておりますが、行政といたしましては、新しいことをするとか責任の問題については、国は責任でという形でなかなか進まないのが現状ですが、交通全般といたしましても、航空機とか船、自動車もそうですけれども、それぞれ法律がありまして、法令に従って、その下にまた条例がついておりまして、県の条例があり、その下にまた市町村の条例があり、漁協とか地元住民との協定書もあり、なかなか規制緩和はつくれない状態ではあります。ぜひこれから私も遠隔医療についてとか現場の方を見にいっていますが、実際にやってみると、自動運転についても実際の現場の話を聞きますと、自動運転はもう完成しているんですけれども、安全でストップすることはできますが、ストップした自動車に人とか車とか自転車がぶつかってくるという問題もありますし、ドローンにつきましても、ドローンは飛べるんですけれども、住宅街で家の中が見えてしまうという、そういう問題もございまして、実際は山とか川沿いしか飛べないという、そういう問題もあります。それはやっぱり実証実験をやってみなければ分からないことで、ぜひとも民間の資金なり公的な補助金を使って、実証実験を進めていただきたいと考えております。 また、デジタルの話とはちょっと逆行するかもしれませんけれども、やっぱりそういう新しいことをやる自治体というのは、職員の熱意と下地といって積み重ねが必要ですので、アナログ的な考えではありますが、それがデジタルシティの成功を左右すると私は考えております。ぜひ、デジタル化を進めていっていただきたいと思います。 以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。 ○議長(村上幸雄) 以上で土屋眞一議員の質問は終結いたします。 土屋議員は自席へお戻りください。 暫時休憩いたします。 再開は午後2時45分といたします。                              午後2時26分休憩                             ----------                              午後2時45分再開 ○議長(村上幸雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。 市政一般に対する質問を続行いたします。 13番 青木崇議員の質問を行います。 青木議員は質問者待機席へ移動してください。 13番 青木崇議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 開明の青木崇です。川久保議員、土屋議員、芝山議員とともに通告に従い一問一答方式にて市政一般に対する質問を行います。 初めに、四賀有機センターについて取り上げたいと思います。 こちらにつきましては、昨年9月の経済地域委員協議会で廃止の方針が市から示され、施設閉鎖に向けて取組が進められているものでありますが、方針発表後の調査を踏まえまして、これまでの施設運営の在り方と今後松本市としての財政負担を減らしていくための取組について質問を行います。 四賀有機センターは、平成12年、旧四賀村において合併処理浄化槽と公共下水道の汚泥、そして民間の養鶏場から出る畜ふんなどを原料とした堆肥を製造する施設として建設をされました。今は鶏ふんなどの畜ふんを主な原料として稼働をしています。この施設は、畜産農家から排出される畜ふん等を良質な有機肥料にリサイクルをして、環境に配慮した有機農業を活性化させることで、環境に負荷をかけない資源循環型社会の確立を地域ぐるみで取り組むため、その推進拠点とすることを目的としてこれまで運営をされてきました。この施設ができる以前である昭和60年ごろには、四賀村内で生成した有機堆肥を東京都内に出荷していたという背景もあったそうです。 一方、松本市議会では、平成27年に、関係者の理解を得ながらこの施設を早期に民間へと譲渡あるいは廃止をするということが提言されています。その提言書では、この施設のことについてこのように説明をされています。施設設置時に地元町会と結ばれた協定に基づいて、原料である鶏ふんの持ち込みは、当時の四賀村つまり現在の四賀地区内から排出されるものに限定されています。松本市の一地区のみを対象とする施設となったことで、市の施設としては公益性という観点から課題があるという記載がございました。 そこで、まずは現在の施設の稼働状況について伺いたいと思います。事前に調査したところ、現在、既に内部の設備が動いていないというふうに聞いているところもありますが、故障の状況や来年改修が必要と見込まれている箇所はどこなのか、そして畜ふんの搬入量、今年度の稼働による実績見込み等現状について伺いたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 初めに、施設の稼働状況、畜ふん搬入量の実績及び稼働していない機械についてお答えします。 製造機械、建物とも室内で発生するアンモニアをはじめとする化学物質の影響で、各所に劣化が進んでいます。畜ふんの搬入量は、令和元年度で3,972トンの実績がありました。稼働していない機械につきましては、発酵槽に空気を送る送風機が平成29年度に機能を停止し、現在、ホイールローダーを使用した切り返し作業により機能を代替しています。 次に、来年度の施設修繕予定箇所についてお答えします。 施設内の消防機器、一次発酵槽の送風機の1槽分、脱臭装置2基及びホイールローダーの点検指摘箇所でございます。 次に、本年度の生産量、販売量、戻し堆肥量及び在庫量の見通しについてお答えします。 生産量は895トン、販売量は881トン、戻し堆肥量は531トン、今年度末の在庫量は1,044トンと見込んでいます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 まず、在庫量の見込みについてですが、1,044トンということでありましたが、平成25年度時点では在庫は倍近い2,050トンございました。畜ふんの搬入量が年ごとに大きく減っているわけではなく、かといって製造した堆肥の販売量が増えていない中で、資料を見たところによりますと、年末のこの在庫量が年々減っていって、戻し堆肥を考慮してもこの数字が合わない部分があるのですが、こちらどうなっているのか、今回、時間が足りないので質問としては取り上げませんが、再度、こちらは精査していただきたいと思います。 そして、施設の改修予定についてです。 こちらの四賀有機センター、一次発酵槽、二次発酵槽の2つに分かれていますが、一次発酵槽は全部で8つの槽に分かれています。それぞれに発酵を促すため風を送る送風機が設置されていますが、今の答弁によりますと、それらが平成29年度には全て壊れてしまっていて、設備としてある攪拌機も使われておらずに、今は手作業のホイールローダーにて畜ふんの切り返し作業を行っているということだと思います。そして、来年度には8つのうち1槽、新たに送風機を改修して導入予定だということだと思いますが、ここで、昨年9月の経済地域委員協議会にて示された閉鎖に係る費用について伺いたいと思います。 昨年9月時点で示された閉鎖のためにかかる費用は、解体費用、補助金の返還額合わせまして4億1,937万円と試算されていました。こちらも事前にお聞きしたところ、この金額には施設閉鎖後に解体するまでの間、内部に滞留した畜ふんを処理するための費用が含まれていなかったということでありましたが、これは幾らかかることになるのでしょうか。今年10月の決算特別委員会では、川久保議員の質問に対して、令和5年度中には搬入業者からの畜ふんを受入れ停止したいということでありましたが、受入れ停止した後、建物を解体するまでに内部に滞留した畜ふんを送風機を1基入れて堆肥化するということだと思いますが、それはいつ頃完了することになるのか、それまでには施設の電気代や設備の修繕費、苦情の原因ともなります建物に都度発生してしまう穴等の修繕も含めた維持費用がかかることになります。現時点で既に毎年2,000万円から3,000万円の収支赤字が発生していますが、畜ふんの受入れ停止後は毎年の収入源の1つでもある毎年600万円から1,000万円ぐらいの規模になります畜ふん処理手数料もなくなることとなります。また、過疎債についても返還途中と聞いているところですが、今の計画どおりにこのまま施設を閉鎖した場合、合併した松本市の所管となって以降の施設運営に関わる市の負担する累積赤字額は幾らと見込まれるのかについて伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) 来年度以降の維持管理費等を含めた必要経費の見込み額についてお答えします。 令和5年度末に畜ふんの搬入を停止して、令和6年度末で製造販売を終了し、令和7年から施設の解体をした場合、必要経費は約4億7,600万円と試算しています。 内訳は、建物解体経費約3億円、施設内の機械処理に約4,300万円、ここまでは昨年9月の経済地域委員協議会でお示ししたとおりでございまして、これに補助金返還額は処分制限年数が減っていますので、時点修正しまして約4,100万円、起債の償還額は施設廃止に限らず発生しますことからこれまでお示ししてきませんでしたが、約1,600万円、令和3年度から操業停止する令和6年度までの維持管理費は、変動要素が多いため詳細な試算はしてございませんが、前5年平均の収支差額を参考に試算しますと約7,600万円となります。 次に、合併以降施設廃止までの累積赤字の試算額についてお答えします。 現状のまま推移しますと、施設廃止時点の累積赤字は総額2億5,800万円程度と試算しています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 こちらの額には、これまで建物の修繕に関わった費用であったり脱臭装置を入れる費用というものは、また入っていないと思うんですが、そちらが含まれているのかということも、またもしお答えいただけるものがあれば、後でお答えください。 こちらの答弁を受けまして、在庫量の精査のこともございますが、閉鎖後1年で処理をするという、そういったスケジュールに基づいての試算となっていたと思います。 こちら平成29年に今の四賀有機センターのコンサルタントが市の担当職員とともに今と同じ程度の高さに搬入された畜ふんを積み上げて、臭気対策として密閉された槽において今と同じ条件下、つまり、これから入れ直そうとする同程度の能力の送風機を入れた場合の一次発酵槽の試験というものを行っています。温度変化や水分量、臭気濃度を測定しながら一次発酵が完了したと判断するのにおよそ7か月を要したという報告書を同年市に提出をされています。この後、さらに二次発酵槽に移して、二次発酵の期間が追加してここにかかると想定されます。仮に同程度の性能の送風機を来年1基入れたとして、1槽の処理に7か月かかったとした場合、それを8槽分やることとなれば、単純計算しても3年以上かかることが推測されるんですが、これを1年で処理するというのはどういう根拠で試算されているのでしょうか。お答えいただけるようでしたら、次の答弁か、これは最後の市長への質問の中でもお答えいただいても大丈夫ですので、よろしくお願いいたします。 もちろん完熟堆肥と判断する方法というのは様々ございます。市としては何をもって完熟堆肥とするのか、その判断の根拠もそこには必要となると思います。そこで、生成された堆肥の質について伺いたいと思います。昨年9月の経済地域委員協議会資料においては、施設の密閉化に伴って堆肥の水分量が増えて、製品の品質低下が指摘されるようになったという記載がございます。 まず、発酵には一定の水分量が必要です。しかし、密閉化されたことで風通しが悪くなって、それで水分量が増えたということなら理解できるんですが、この水分量が増えると堆肥の品質が低下するという文章の整合性についてお聞きしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 堆肥の水分量が多いと農地での散布時に固まりやすく、機械による均一な散布に適さず扱いにくいため、そういった意味で、品質が低いと利用者に敬遠される傾向が強いと聞いております。毎年行っている製品の成分検査では数値に大きな変動はありませんが、散布委託業者や大口取引先から、堆肥の水分量が多く、均一な散布が難しいとの指摘を受けています。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 すみません、今の答弁と併せましてもう一つお聞きしたいのが、四賀有機センターにある8つの一次発酵槽と10ある二次発酵槽について、それぞれの役割は何で、完熟堆肥とすることを目標とした場合には、現在それぞれの機能、役割は終えられているのか、今の発酵槽の稼働実態についても伺いたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 一次発酵槽は、原料に酸素を供給し発酵を促し増幅させる役割がございます。二次発酵槽は、安定した発酵状態を維持する役割でございます。現在、発酵槽に空気を送る送風機が機能を停止しているため、代わりにホイールローダーを使用した切り返し作業で送風機の役割に代え、発酵槽の機能を維持している状態でございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 それぞれ答弁をいただきました。 まず、それぞれの発酵槽についてですが、送風機、攪拌機が故障していたということもあって、こういったものを使わずに、今、発酵の機能を維持しているという市の認識がございました。完熟堆肥と今銘打って堆肥を販売している中で、何をもって機能を維持しているということになるのか。これについては、改めて市の方で精査をしていただきたいと思います。 もしホイールローダーで発酵槽の機能を維持できるということなら、来年以降整備を予定している送風機も必要ないということになってしまいます。そして、先ほどの答弁では明確にはお答えをいただいておりませんけれども、堆肥の質が落ちたのは、臭気対策のための施設密閉化によって、個人的には、これは風通しが悪くなってそれで水分量が減少しなくなったからということではないかと推測しています。 そこで、堆肥の質が下がってしまったのであれば、完熟堆肥を生成するために送風機で送る風量を増やすという対策が考えられます。建設当初から関わっている当初のコンサルタントの業務報告書を見ました。平成27年度のある日の報告書におきまして、送風機の送風量の目標値を1分当たり12立米から25立米としています。それに対して8つある一次発酵槽における風量は、1槽当たり2から3立米となる風量のブロワーが導入されています。これらを4つあるいは8つ足し合わせますと、確かに1分当たり12から25立米という風量目標に達するんですが、これはどういった理屈でこの風量の目標値が設定されているでしょうか。 畜産環境技術研究所の出している堆肥生産についての基礎知識というものを私は見ましたが、こちらによりますと、堆肥発酵槽にブロワーで通気をする場合には、その畜ふんの種類や発酵段階によって加減する必要があるものの、畜ふん1立方メートル当たり1分間に50リットルから300リットルの風量が必要だと記載されていました。また、牛ふんは比較的堆肥化されやすいので風量は少なくていいんですが、豚や鳥の畜ふんに当たっては、1立米当たり1分間に200から300リットルの空気がよい発酵には必要であるというふうに記載されています。 仮にこの数値を今の有機センターに当てはめますと、8つのうちの1槽において積まれているおよそ160立米となるでしょうか。この堆積の畜ふんがあるとすれば、そこには1分間当たり3万リットル、つまり30立米の風量が必要ということになります。先ほどの目標数値は目標合計値が1分当たり12から25立米でありまして、1槽当たりは3立米の空気が送られる送風機が備えられているとなっていましたが、こちらについての根拠は何なのでしょうか。また、これとは別に、空気を送りながら堆肥を切り返しを行って攪拌をしていくという作業が必要になります。攪拌の回数は今、月当たり1槽について2回強攪拌をしているという状態です。これも先ほどと同じ畜産環境技術研究所の文書によりますと、空気が入り込めるのは、堆積した堆肥の表面からおよそ30センチメートル程度でありまして、ショベルローダーなどで1週間に一、二回切り返しを行って、堆肥全体に空気が行き届くようにするという記載がありました。つまり月に4~8回の切り返しを要することが推奨されています。松本市が1槽当たり月に2回強の切り返しとしているのはどういう根拠に基づいているものでしょうか。送風機の能力と攪拌機による切り返しは発酵温度や臭気測定の結果など、科学的な根拠に基づいて行っているのかについて伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) 初めに、送風機の風量についてお答えします。 担当課で稼働当初の資料を調べましたところでは、当初の計画から4槽合計の風量の目標値が12立方メートルから25立方メートルと設定されていたということでございます。これによりますと、計画と実際の乖離は生じておりません。 一次発酵槽の攪拌回数についてお答えします。 議員ご質問の攪拌回数は、建設計画から稼働当初のコンサルタント業務を担っていたコンサルタント業者の助言、指導に基づくものでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 通告をした質問では、計画との乖離ということはお聞きはしたわけではございませんが、それは別にしましても、もしかしたら、こちら臭気対策としての密閉化工事前には通気性があったために、完熟堆肥が生成されてきていたのかもしれません。また、設計思想の考え方であったり、堆肥発酵の度合いに対する考え方の違いも多分あるんだと思います。ただ、今堆肥がうまく生成できていないという現状があるのだとしたら、松本市としてそこを検証して改善する取組があってもよかったのではないかと感じるところです。素人目に考えましても、内部の発酵温度がどうなったから切り返すということを想定しますが、発酵状況は温度、臭気濃度と客観的にどのように検証をされてきたのでしょうか。十分な完熟堆肥が生成されていたのはいつまでで、これまで質が落ちた堆肥になってしまった原因に対して、攪拌回数や送風量を改善することなどはしてきたのでしょうか。伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) 各槽の発酵状況の検証についてお答えします。 発酵状況を確認するための温度計測は実施してございます。臭気濃度につきましては、作業員の嗅覚による主観的な検証に頼っているのが現状です。 次に、十分な熟成堆肥が製造されていた時期ということでございますが、施設作業員からは、臭気対策事業として施設の密閉化を実施した平成28年以降頃から品質に変化が生じたとの報告を受けています。 次に、攪拌機や送風機の修繕状況についてお答えします。 攪拌機は平成30年度に大きな修繕を実施しました。送風機につきましては未実施のため、来年度一部を修繕する計画でございます。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 質問としては、これまでの現状を検証した上での改善点ということをお聞きしていたので、運用の在り方についてぜひお答えをいただきたいと思っています。 また、攪拌機は、直ってから、今これ動いているんでしょうか。また、今、この堆肥についても苦情が来ているというようなお話も私お聞きしているんですが、今までは何をもってこちらの堆肥についても完熟していたとしているのかについても、また改めて内部で精査をしてください。 そして、臭気測定は主観的にというふうに答弁がございましたが、アンモニアなど各化学物質の数値変化がどういった堆肥の発酵状況を示しているのかということも、この業界の中では数値があるそうですので、そういったものが把握された上で切り返し等の運用をされているのかについても確認をお願いいたします。 続きまして、製造した堆肥の販売をどの程度販売促進活動していたのかについて伺います。 この施設の収入は搬入されてくる畜ふんの処理手数料毎年およそ600から1,000万円、これと生成された堆肥の売上げ収入、この二本柱となっています。これは平成29年度前後では1,000万円ほどこの堆肥の売上げ収入があるんですけれども、令和元年度はおよそ570万円の売上げとなっています。この施設の赤字額を減らしていくためには、営業促進、販路開拓によって堆肥売上げ収入を増やすことが必要です。昨年9月の経済地域委員協議会資料によりますと、営業の実績は先ほど示した平成29年度のおよそ1,000万円がピークであるとされました。なお、これはトン数ではなく売上げベースでのピークであるということですので、そちらはお聞きしませんが、なぜここが売上げのピークであるとされているのでしょうか。先ほど来、施設運営面での改善要素があることを指摘してきましたが、施設としての処理能力や在庫数等から販売の伸び代があるんじゃないかと感じてしまいます。行政評価を見ますと、堆肥の売上げが昨年度は目標値の6割にまで下がってしまっていますが、この原因は何なのでしょうか。 そして、昨年度のこの570万円の売上げの内訳として、これはどのように買われているのかということも気になります。顧客からの問合わせによるものが多い、内訳としてそういうものであれば、堆肥を売るためにブランディングをしたりプロモーション、販路開拓を行うということも考えられます。これまでの販路開拓や営業活動の取組と平成29年度がピークとされていることについて見解を伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 建設当時の計画処理能力は1日当たり40.5トンでございますが、施設の密閉化や送風機の停止により、現状では計画どおりの処理はできない状況となっております。また、搬入される畜ふんは、議員もご紹介がありましたが、地元との協定により四賀地区内から排出されたものに限られていますことから、処理量を増やすことができない施設でございます。 次に、販売実績の経路別の内訳をお答えします。 令和元年度実績では、直接農家からいただいた注文が全体の76%、小売店への販売が17%、クラインガルテン利用者への販売が7%でございます。 次に、令和元年度の販売促進活動についてご紹介します。 主な活動としては、道の駅や物産センターに製品を置いていただけるようなお願いの営業活動、併せまして、その施設に出荷している農家へ製品をPRしていただくような依頼を行っております。また、地区のイベント、福寿草まつりなどで無料サンプルを提供、また、大口取引先への継続利用依頼などを実施してきました。 次に、令和元年度の売払い実績が目標の6割となった理由でございますが、大口取引先2社のうち1社との取引がこの年途絶えたことが影響しております。 平成29年度をピークとしておりますのは、これまでの実績からのことでございます。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 今時点でも事業者から受入れ量を制限しているということを聞いておりまして、在庫や未発酵の畜ふんも今入れている中で、ほかの地区から入れられないからこれ以上伸び代がないということは、ちょっとどうなのかということを今答弁を聞いていて感じました。 販売促進活動によってどのように増えたのか、そしてその結果はどうだったのかということをちょっとお聞きできないと、こちらについては何とも言えないんですが、新規開拓した部分と、そこによってどうなったのか、そして何が原因で売行きが伸びないのかというところをしっかりと検証をしていただきたいと思います。 販促活動につきましても、どこの道の駅、物流センターあるいは農家に対して、どのように製品利用のPRをされているのかということについて、ちょっとできればお聞きしたいんですけれども、この後もしお答えいただけるようでしたら、お願いいたします。 売上げが6割減となったことについても大口取引先との契約がということでしたが、そちらについても原因がありますので、そちらは共有していただきたいと思います。 堆肥の生成の伸び代を確認する上でも、今の施設の稼動状況についてもお聞きしたいと思っています。平成29年度から送風機が停止されているといった状況で、堆肥生成ができない、停止状態となる日数はこれまでにどの程度あったのでしょうか。こちらについて伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) お答えします。 攪拌機が故障したことにより、平成30年度に100日間受入れを停止したことがございました。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 先ほどの答弁で、ホイールローダーで施設機能を維持しているというふうにお答えいただいていた部分がございます。攪拌機の故障で停止することになるとなってしまいますと、矛盾が生じてしまいますので、こちらも精査をしていただきたいと思います。 続いて、施設としての収入を上げるもう一つの項目である搬入の手数料について伺います。 現在持ち込まれている畜ふん搬入業者の事業者数と全体に占めるそれぞれの比率について伺いたいと思います。 また、こちら処理手数料を収支均衡となる2.45倍にすることとして交渉してきたが、それが合意に至らなかった経過があるということもお聞きしておりますが、その交渉経過についてどのように精査されていますでしょうか。見解を伺います。 ○議長(村上幸雄) 林農林部長。 ◎農林部長(林浩史) 畜ふん搬入業者の数と各社の割合についてお答えします。 本年11月末現在、四賀地区内の3社から搬入を受けています。このうち、A社が全体の83%、B社が14%、C社が3%を占めています。 次に、処理手数料の改定協議の経過についてお答えします。 搬入業者3社と平成30年に6月、8月、12月と計3回協議を実施しております。当時の試算で、収支均衡を保つためには、今ご紹介がありましたとおり、現状の2.45倍に当たる値上げが必要という経営状況を説明し、可能な改定水準、3社での分担方法など具体的な提案協議を重ねて理解を求めましたが、大きな値上げは経営に直結するとの意見が強くありまして、合意には至りませんでした。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 ここまでの答弁を踏まえまして、この施設は、今も受入れ停止となる令和5年度まで畜ふんを受け入れ続けることとなりまして、施設は送風機を1槽分導入して処理する、こういったこととなりますと、令和6年以降まで施設を存続させてこの堆肥化という作業をしていくこととなります。 今回お伝えしたいのは、これまでどおりの運用でこのまま施設の改善をせずに廃止してしまいますと、かえって松本市としての財政負担が増えてしまうのではないか、これを少しでも負担を減らすことができる方法があるんじゃないかということで、そういったことをシミュレーションをした上で検討をしていただきたいということです。 先ほどの搬入手数料につきましても、こちらは先方のあることなので詳しくはお聞きできませんが、残り期間の施設の在りようも含めまして、この手数料の在り方についてもしっかりと精査をしていただきたいと思います。 今、平成29年度から新しいコンサルタントがこの四賀有機センターに入りまして、その方からは、場当たり的な修繕や機器の整備ということをするのではなく、経営状況を改善する取組をしてほしいということについて、提案書が市に対して出されていると聞いています。少なくとも改修予定の機器の性能改善等によって完熟堆肥の生産を行って、販路開拓など営業努力によって在庫を販売した場合、これらの改善によって収支改善の伸び代がどの程度あると見込めるのか収支改善のシミュレーションをした上で来年度の投資は行っていただきたいと思います。もしそういったことをしないのであれば、令和5年といわずに、すぐに廃止するということも考えられるはずです。松本市としての損失を減らすために、そこの部分をしっかりと検証していただきたいです。 また、冒頭触れたとおり、この施設は本来は有機の里づくりとして四賀地区で循環型社会をつくっていくという高い理念を目指して整備されたものであったということもあります。こういった経過も踏まえながら、これまで市長においては様々な施策について転換を図られておりますが、松本市と地域にとってプラスとなるように検証をしていただきたいと思います。この施設の在り方に関しての市長の考え方をお聞かせください。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) お答えいたします。 四賀有機センターは、設備の老朽化、処理手数料の大幅な値上げ、民間への払下げや譲渡の困難さなどを踏まえて、畜ふん搬入業者と協議を重ね、昨年8月に遅くとも令和5年度末に畜ふんの受入れを停止し、その後施設を廃止する方針を固めています。この方針は、昨年9月に開催された経済地域委員協議会で承認をいただきました。既に廃止を決めた施設のため、新たな投資となる建物や機械設備の改修は行わず、必要最小限の経費で管理運営に努め、市の財政負担を軽減することが重要だと考えます。そうした中で、青木議員からの少しでも負担を減らすシミュレーションを行うようにというご提案については、改めて内部で検討させていただきます。 合併により施設を引き継いだ松本市としては、今後、施設の廃止までの間、設置者としての責任を果たすべく以下の点について留意をして、管理運営に努めてまいります。 第1に、旧四賀村が地元の皆さんと交わした施設から公害を出さないなどの約束を尊重すること。第2に、予期せぬ稼働停止によって施設を利用している畜ふん搬入業者に影響を与えることがないように管理運営に努めること。第3に、できる限り早期に施設を廃止できるよう、搬入業者による畜ふん処理体制の整備を支援すること。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 全体を通して、ちょっとお聞きしている質問に対してしっかりとお答えをいただけていなかったところがこの経過の中でございましたので、しっかりちょっと私が今回取り上げたことも含めて、精査をしていただきたいと思います。その上で、この施設の在り方について、なるべく松本市としてどのように向き合っていくのかということをちょっと改めて整理していただきたいなと思っております。 苦情件数等、今推移がどうなっているかということもまた確かめていただきたいと思いますが、公害を出さないという約束を尊重するというところにおいても、当初極力減らすという姿勢によって、この期間、むしろ苦情が増えてしまうということも考えられます。そういったことも踏まえながら、今の状況がどうなのか、有識者や専門家による指導や検証というものを受けて、検証を進めていただくことを求めたいと思います。 続きまして、件名2の文化観光の推進について質問をしたいと思います。 令和2年5月1日に、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律が施行されました。これを文化観光推進法と呼びますが、文化の振興を観光の振興と地域の活性化につなげて、これによる経済効果が文化の振興に再投資される、そういった好循環を創出することを目的としています。このような好循環が生まれるためには、文化施設がこれまで連携が進んでこなかった地域の観光関係事業者等と連携することによって、来訪者が学びを深められるように、歴史的、文化的背景やストーリー性を考慮した文化資源の魅力の解説、紹介を行うこと、そして、来訪者を引きつけるように積極的な情報発信、交通アクセスの向上、多言語、Wi-Fi、キャッシュレスの整備を行うなど、文化施設そのものの機能を強化すること、それらを市域一体となって取組を進めていくこと、こういったことが必要となってきます。このような観点から、文化観光推進法におきましては、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光を推進するため、大臣が定める基本方針に基づく拠点計画、そして地域計画の認定や当該認定を受けた計画に基づく事業に対して特別の措置をするということを定めています。 昨年の一般質問におきまして、私、松本城等の教育施設を市長部局で管轄することについても提案をしてきまして、ほかの議員からも度々指摘をされているところですが、教育委員会の施設を教育委員会のみの視点で捉えることから転換することが求められていると思います。 松本市ではまるごと博物館構想を掲げていますが、文化観光を推進するための市長の考えと文化観光推進法に基づく拠点計画、地域計画の策定に取り組むことについて、市長の見解を伺います。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 文化観光の推進に関するご質問についてお答えいたします。 松本市は、国宝松本城、旧開智学校校舎、美術館、芸術館、多様な博物館施設のほか、日本浮世絵博物館などの民間の施設を含め多くの市民や観光客が訪れる芸術文化施設を有しています。こうした現状を踏まえ、私は世界水準の音楽、芸術、文化を育んできた土壌や人材を経済的価値に結びつけ、クリエイティブ産業の育成を推し進めることを公約に掲げました。これは松本市の強みである芸術や文化をこれまで以上に地域の活性化につなげたいという思いからであります。そのためには、芸術や文化の従来の枠を越えて、観光を主軸に据えた政策を構想し、民間事業者と連携して文化観光を強力に進めていきたいと考えています。議員ご紹介のとおり、政府は文化観光推進法を新たに制定し、文化の振興を観光の振興と地域の活性化につなげ、これによる経済効果が文化の振興に再投資される好循環を生み出す仕組みづくりを進めています。これは私の考えている方向性と合致していると認識をしています。 議員ご提案の文化観光推進法に基づく拠点計画や地域計画、とりわけ地域計画の策定につきましては、文化を最大限活用して地域振興を進めていく上で有効な方策であると考えておりますので、前向きに検討してまいります。なお、この文化観光の分野は、これからの松本市にとって極めて重要な分野であると認識をしておりますので、文化観光に焦点を当てた組織の再編を検討していきます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 お答えをいただきました。 ぜひこの計画策定と国からの支援を受けるということについて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。 続きまして、今の答弁にもありましたが、公約に掲げられているクリエイティブ産業の育成について伺いたいと思います。 今年の9月定例会におきまして、当会派の吉村議員から文化政策に対する質問がございまして、そこの答弁の中で、市長はクリエイティブ産業の育成について触れられています。観光、環境、文化などの幅広い関連分野が連携することで、新たな産業の振興やにぎわいの創出につなげていこうとするもの、そして、文化芸術が人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに人と人を結びつけ、相互に理解し、尊重し合う社会の基盤となるものだと考えていること。そして、その上で事業を行う際、文化芸術に携わる方たちが松本に集まって、そして生活することで新たな雇用が生まれ、クリエイティブな産業が育ち、様々な関連分野へ波及効果をもたらすような仕掛けをつくることが必要なのだというふうに答弁をされております。 先日の新聞報道では、教育大綱にも文化芸術を位置づけるということもございましたし、基本構想2030におきましても3ガク都の「シンカ」というものが中核テーマになりそうだということが表明されました。コロナパンデミックによりまして移動、活動が停滞をしておりまして、世界の在り方が再構築されている今だからこそ、地域の文化芸術の振興に取り組む必要性が様々な点で共有され始めています。コロナ禍で厳しい財政状況の中、経済的にも文化的にも豊かさを実現するのは、私は文化振興ではないかと考えています。この9月の答弁において、文化芸術に携わる人材の集積と雇用創出を行うというふうにされていましたが、公約であるクリエイティブ産業の育成をどのように推し進めていくのかについて伺います。 ○議長(村上幸雄) 村山文化スポーツ部長。 ◎文化スポーツ部長(村山修) お答えいたします。 クリエイティブ産業を育成する仕掛けといたしまして、まずは文化芸術に関する人材の情報や支援等を一元的に管理し、文化芸術を志す方をサポートすることが必要と考えます。具体的には、文化芸術に係る支援制度や活動拠点としての空き家情報の発信、発表の場の創出やフォーラムの開催、イベント主催者とアーティストとのコーディネート機能の強化などが挙げられます。このようなサポートにより、文化芸術を生業とする方が育ち、松本に集まり、生活をし、芸術家同士の横のつながりを創出することで、さらなる文化芸術をクリエイトするというような営みを産業として育てていきたいと考えております。実際に、ICT拠点施設のサザンガクでは、新しい文化でありますeスポーツに取り組む人が集まりまして、育ってきており、新たな産業化が期待されております。推進に当たっては、横浜市や新潟市が文化芸術活動を総合的に牽引するために設置していますアーツカウンシルと呼ばれる専門組織の例を参考に組織体制の検討を始めているところでございます。 以上でございます。 ○議長(村上幸雄) 青木議員。 ◆13番(青木崇) 〔登壇〕 事例としまして、アーツカウンシルという取組について研究を進めたいということがございました。まずはこの文化振興というテーマに努めるということでありますので、ぜひ強力に進めていただきたいと、コロナ禍においてもやっていただきたいと思っております。 そういった中で、市長公約の産業育成というこのフレーズ、キーワードについては、文化振興というところではまだ遠く感じられる部分もございまして、公約達成に向けて、ここの部分については道筋をつけて取り組むことを求めたいと思います。もし何かあればお聞きしたいと思いますが、以上で私の質問は全て通告してあるものは終わりとなります。 冒頭の四賀有機センターのことにつきましては、先ほども触れましたけれども、しっかりとぜひ精査をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上で質問を終わりといたします。ありがとうございました。 ○議長(村上幸雄) 以上で青木崇議員の質問は終結いたします。 青木議員は自席へお戻りください。 次に、29番 芝山稔議員の質問を行います。 芝山議員は質問者待機席へ移動してください。 29番 芝山稔議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 開明4人目、芝山稔でございます。件名ごと一括で質問させていただきたいと思います。 初めに、今回の質問に際しまして、3件の件名に関わる総括的な主張を先にさせていただきたいと思います。 コロナ禍となりまして、社会、経済、働き方、生活様式等が大きく変化したことを踏まえまして、新たな社会の在り方が模索されております。これからの社会の在り方のキーワードの1つは、現在国を挙げて進めているデジタル化です。臥雲市長はこれよりも早く松本市のデジタル化を打ち出しました。このことは評価したいと思います。 市長は既にご理解されていることですが、デジタル化やDXには光と影があります。デジタル化やDXはあくまで手段であり、どんな社会を目指すのか、どんな政策を打ち出すのかが先にあり、それを実現するためにどのような改革を行うのか、ICTやAIの技術をどのように活用していくのかということだと思います。その意味では、改革やDXにも慎重さが求められます。 月刊文藝春秋12月号に、国家の品格の著者である藤原正彦氏の「亡国の改革至上主義」が掲載されています。抜粋して紹介しますと、デジタル化は効率を上げるという点でメリットも大きいが、大きな問題をはらんでいることも忘れてはならない。デジタル化は単純労働を自動化するから、自動化に取り組む高度熟練労働者などは必要だが、単純労働に携わる多くの者は不要となる。行く行くは一部の富裕層とそれ以外の貧困層に分かれていくことになろう。人間社会には効率よりも大切なもの、経済よりも大切なものがあることを肝に銘じないとならないと述べています。 そして、社会の在り方のもう一つのキーワードは、身近な地域コミュニティにおける地域づくりです。地域づくりは、まさに藤原正彦氏が言う人間社会には効率よりも大切なもの、経済よりも大切なものの1つだと考えます。コロナ禍では、テレワーク等が増加することなどにより、自宅で働くことや地域で生活する時間が長くなり、地域包括ケアでの支え合いや生きがいの創造といった地域の役割が増大していくと思われます。これに対しても市長は、地域ごとの特性を大切にしたまちづくりを進めていく方向性を示しました。 市長もご承知のとおり、松本市の地域づくりは、1970年代の公民館づくり運動から市民と行政が議論し、実践を重ねてきました。その結果、松本市には各地区に町会を中心とした自治の基盤と行政が住民自治を支える仕組みが構築されてきました。松本市においては地域づくりに社会教育、公民館が深く関わり、平成7年からはここに自治型の地域福祉を目指す福祉ひろばが加わり、平成26年からは地域づくりセンターを設置して、NPOや企業、大学等、多様な団体や機関と連携して地域づくりを進めてきています。 社会教育、公民館は行政が教え諭す場ではなく、住民の自由で主体的な学習を支援し、地域づくりを通じて住民自治を育んでいく拠点です。地域づくりセンターの設置は、平成18年度から地域づくり推進市民会議等で市民と職員が平場で胸襟を開いて議論を積み重ねてきたことを土台とし、緩やかな協議体というのは、市民会議に参加した町会長が提案したことがきっかけで具体化されたものと仄聞しております。こうしたプロセスを経ることで、市民と職員が理念を共有することができ、自治の基盤づくりにつながったものと考えます。もしこれを行政主導型で進めるならば、自治の基盤は簡単に壊れ、修復が不可能となるでしょう。 実は、前市政においては、当初公民館や地域づくりは余り重視していなかったようです。しかし、自治の基盤が松本市の宝であること、住民自治を育んでいく公民館の重要性を理解してから、地域づくりに対する考え方が変化しました。臥雲市長も自治の基盤が松本市の宝であることには異論がないと思います。市長の進めるDXも地域ごとの特性を大切にしたまちづくりも方向性は理解できます。ただ、それが結果として松本壊しにならないように、ぜひ拙速にならないように、地道に地域で活動している人の声や職員の声を大切にして、ボトムアップで進めていただきたいと考えます。 地域づくりには時間がかかります。こうしたことを踏まえて質問に入りたいと思います。 初めに、総合計画と市役所組織です。 本市における総合計画は基本構想があり、それに即した基本計画があり、実施計画があります。また一方では、刻々変化する行政課題や社会情勢に的確に対応していくために、行政経営指針が策定されております。すなわち、本市における組織を含めた行政経営は、総合計画や行政経営指針を当然踏まえていなければならないものと認識をしております。これまでの組織改定におきましては、こうした営みを踏まえて行われてきたものと認識しておりますが、さきの9月定例会あるいは市長の多事争論会などの新聞報道を見ますと、市長は来年4月、大規模な市役所組織の改編を検討しているようです。現在、総合計画の大元となる基本構想2030は、いまだ検討段階にて議会に提案されるに至ってはおりません。第11次基本計画も、さらに令和3年度からの行政経営指針も策定されておりません。松本市が目指す目標なり方針が決定されない中で、組織を変えることはどのように理解をすればよいのか。今後を展望すれば、基本構想が年度末に議決され、それを踏まえて基本計画と行政経営指針が策定されれば、松本市組織条例の改正は令和3年度になるはずです。 そこで、現在検討されている組織は何を根拠として変えていこうとしているのか。筋道を立ててご答弁願いたいと思います。 以上で1回目の質問とします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 市役所の組織改編に関するご質問にお答えします。 令和3年度から始まる新たな総合計画等につきましては、現在策定に向けて鋭意取り組んでいるところであります。その作成プロセスに併せて、あるべき市役所の組織についても同時に検討を進めています。新しい総合計画等は策定中でありますが、策定後は直ちにこの計画に基づく具体的な施策をこの早い時代の変化のスピード感に合わせて実行しなければならないと考えています。新しい総合計画が始まる来年度の当初のタイミングで組織改編を行う必要があると考えます。 何を根拠に組織改編をというご質問であります。 1点目として、来年度から中核市に移行します。これまで以上に多様化、複雑化する行政課題に弾力的かつ機動的に対応できる部局横断的な組織体制を構築していかなければならないということであります。 2点目として、地域のことは地域の中で決められる、できる限り決められる住民自治の仕組みが重要であるという視点から、住民自治を支える地域拠点の充実強化を図るということであります。この点は、新型コロナウイルスの感染拡大によって一層必要性が高まっていると考えます。 3点目として、行政や社会のデジタル化、文化や観光資源を生かしたまちづくり、山岳観光リゾートの整備、新たな交通政策といった松本市にとって喫緊の課題に腰を据えて取り組むということであります。新型コロナウイルスの感染症拡大によるこれまで想定し得なかった大きな社会の変革の中で、このまちをより強靱で持続可能なものとするために、次期総合計画を見据えた大幅な組織改編を考えています。 以上であります。
    ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 ご答弁をいただきましたが、新たな考え方ということになるんだろうと思いますけれども、それが根拠となり得るものなのかどうか、さらに議論が必要かなと、こんなふうに思っております。 現時点では我々は総合計画も組織改定の内容も不明でありまして、明らかになった段階で改めて議論させていただくということにさせていただきまして、今回の質問はこれで終わりたいというふうに思います。 続いて、市庁舎の在り方についてお尋ねをいたします。 9月一般質問における近藤議員の質問に対しまして、市長は、ICT化、DXが進んだ市役所の姿について、35地区の地域拠点を基本として分散型の市役所を構築すること、それは市民の身近な公共施設であらゆる行政サービスを提供できるようにすること、そして究極的には、市役所へ足を運ばなくても自宅から行政手続が完結する100%デジタルの市役所を想定しているとしました。 そこで確認したいのは、市庁舎機能を分散化して、あらゆるサービスを提供できるようにすることと、デジタル化により市庁舎に足を運ばなくてもよくなることの整合性です。本庁と自宅がデジタルで結ばれれば、中間の機関は必要ないと思いますが、いかがでしょうか。また、あらゆる行政サービスを提供できるようにとはいっても、市民の多くは市役所を訪れることは極めて少ないと考えます。その意味では、現状、市庁舎を訪れる市民の目的を分析しなければ、分散化やデジタル化の議論には進まないと考えますが、ご見解を伺います。 一方で、国においては現在、デジタル庁の主な業務について、自治体システムの統一が検討されているようです。これは自治体が個別で運用している行政システムを全国規模のクラウドに移行し、保守費用の削減へつなげるねらいがあるようです。デジタル化は必要ですが、急ぎ過ぎる余り、国に先んじて屋上屋を架すことのないよう、こうした国の動向も踏まえる必要があると考えますが、ご見解を伺います。 以上、1回目の質問とします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 松本市の広域化や高齢化、ICT、情報通信技術の急速な進展を見据え、市民が足を運ばなくても居ながらにして行政サービスを受けることができる市役所は、これまでも申し上げてきたとおり、究極的な姿であると私は考えます。ただしそれは、もちろんすぐに実現できるものではなく、そこを目指していく過程の姿として、分散型の市役所があると考えています。また、住民が主体となって行う地域づくりを行政が支援し、一緒になって進めていくためには、身近な場所に職員や権限を充実させる必要があり、中央集約型ではない地域分散型の市役所が望ましいと考えます。 市庁舎の分散化を進めるに当たっては、市民の来庁目的を的確に把握することは必要であるというご指摘については、駐車場の利用券データを基に訪問先を整理するなど、今後さらに来庁者の目的を調査して、計画に反映いたします。 さらに、デジタル化の推進については、議員ご指摘のとおり、政府の動向を十分に把握した上で、デジタル市役所の構築に取り組んでまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 2回目の質問です。新たな市庁舎につきまして、機能分散化を念頭に検討が進められているようですが、実は、かつて長野市においても都市内分権ということで、市役所機能分散化が検討された時期がありました。長野市における都市内分権のイメージは大きく2つあり、1つは住民への分権です。これは、地域住民が自主的に地域のことを行えるよう、必要な権限等を住民自治組織に委ねることであります。2つ目は、市役所の分権です。これは支所において窓口サービスができること、また、市域を7か所程度の地域に区分し、地域を管轄する地域総合事務所を設置することです。市役所の事務に関して言えば、本庁では全市的な中枢管理等を行い、地域総合事務所では、地域行政サービスの提供や管轄支所間の調整等、そして支所では窓口サービスの提供やまちづくりの活動支援等を想定していました。 住民分権では、4年ほどかけて住民自治協議会を予定どおり設置する一方、市役所分権では、都市内分権審議会において改めて検討した結果、部局の移転や業務の分散によって市民の混乱、市民サービス、業務効率の低下、大幅な職員数の増加、財政負担の増加を招く等の理由から、最終的に機能移転、業務分散は行わないと結論づけました。地域総合事務所の設置へ向け、ロードマップに沿い、市全体で進めてきた事業が当初の予定を断念せざるを得なかったことは重い結論であったと思います。 市長は地域の権限を強化し、本庁機能をスリム化されようとしておりますが、長野市の事例にもあるように、市役所の制度が専門化、複雑化する中で、私は機能分散は難しいと考えます。具体的にどんな権限を地域で強化し、本庁のどんな機能を分散しようとしているお考えでしょうか。ご見解を伺います。 以上、2回目とします。 ○議長(村上幸雄) 中野政策部長。 ◎政策部長(中野嘉勝) お答えいたします。 長野市が断念した当時とはやはりデジタル化、ICT化の進展ということで、大きな変化があったことは、まずもって考えているところでございます。その上で、窓口サービスにつきましては、市長が6月定例会の提案説明で申し上げましたとおり、デジタル化の基本原則でありますデジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップの3つに照らし合わせ、効率化や簡素化が可能であると考えております。また、そのような中で、新たな人員も生み出されることを期待しているところでございます。加えて、ICTで出先機関をつなぐことにより、福祉や税などの専門的な相談にも臨機応変に対応できる体制が整備できるものを考えております。 次に、機能の強化と分散についてでございますが、現在、市民の利便性を向上させるとの観点から、各分野聖域なく検討を進めているところでございます。その検討状況につきましては、今期定例会会期中に市役所新庁舎建設特別委員会の開催をお願いし、ご報告させていただく予定としておりますので、お願いいたします。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 ただいま答弁いただきましたが、デジタルファーストとかワンスオンリーとかコネクテッド・ワンストップですか、片仮名で言われてもよく分からないですね。ですから、本当に市民に分かりやすい言葉でこういったことを伝えていただかないと分からないと思います。 確かにICTで出先機関を結べば、デジタル的には遜色のない対応ができるかもしれません。しかし、福祉とか税とか非常にプライベートなことに関わることを自宅近くで相談するのかどうか。デジタルに頼る余り、人間的なことが忘れられてはならないというふうに思います。こうしたことを含め、長野市でうまくいかなかったものが本市で果たしてできるのか、もう一度市長の答弁をお願いしたいと思います。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 人間的なことが今の分散型の市役所でできるのかというお尋ねでありましょうか。今回、私が分散型市役所ということを掲げさせていただいたのは、先ほども申し上げましたけれども、高齢化社会の進展や情報技術の進展というものに合わせて我々がこれからの役所の在り方を考えれば、一ところに集中することの非効率性や逆に地域の皆さんの身近なところでサービスを展開することの必要性というものは、私は自明のものであるというふうに考えます。その大きな流れの中でどのような取組をこれから具体的にしていくのか、ベクトルは集約型ではなく分散型であると私は考えます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 ただいま答弁いただきましたが、その件については議論したいところでありますけれども、3回目でありますので、次の質問に移っていきたいというふうに思います。 地域づくりについて伺います。 地域課題が増大、複雑化し、町会と公民館が連携しただけでは解決が難しい課題が増加する中、平成26年に本市はそれまでの8年以上にわたる議論と調整を経て、地域づくりシステムの運用を開始しました。地域づくりシステムとは、地域振興機能を持つ支所、出張所と学習を柱とし、総合的な地域づくり機能を持つ公民館、自治的な地域福祉の拠点機能を持つ地区福祉ひろばが合体して、地域づくりセンターを地域づくりの核として設置をし、横の連携を図りながら地域づくりを進めていく仕組みです。ただ、合体したといっても、センター、公民館、福祉ひろばはそれぞれ所属が違い、独立した機関として位置づけています。この形としているのは、福祉や社会教育の専門情報等を担保するためです。システムの検討途上では、職員への指揮命令を考慮して1つの組織とすることも検討されましたが、多様な地域課題に向き合っていくためには、健康福祉に関する専門情報、社会教育に関する専門情報等が直接入手できる独立が担保された形が望ましいと結論づけ、現状の体制になったものです。 さて、地域づくりシステムには行政システムと地域システムがあり、行政システムは本庁からの依頼を地域の担当にばらばら個別にするのではなく、一度センターで受け、センターから地区へ依頼するように整理をしました。また、地区からの依頼については、例えば複数の課にまたがるような大きな課題となった場合は、各課が集まって、本庁課題解決チームを組織し、地域に赴き共に考える仕組みとしました。一方、地域システムは多様な団体とのネットワーク化を図り、町会を核としながらもその枠を越えた緩やかな協議体を組織し、テーマによってはメンバーを入れ替え、熟議して多くの住民が決定プロセスに参加していく仕組みです。この緩やかな協議体と公民館を含む地区の地域づくりセンター、そして市役所の各部局が連携して、地域課題に取り組む仕組みを地区ごとに構築したのが松本市独自の地域づくりシステムの一番の柱であると認識をしております。 そうした経過があるわけですが、市長は9月定例会、阿部議員の地域づくりセンターに関する質問に対し、組織が縦割りになっていて、一元的な体制になっていないことが地域課題解決のハードルになっていると述べられています。私はむしろ各機関の独立性と専門性を担保し、緩やかに連携していくことが地域主体の地域づくりには有効だと考えますが、9月の答弁の意味するところはどのようなことなのでしょうか。また、先ほど、市民の身近な場所で権限を充実させていくと述べられました。これをセンター長のことと考えますけれども、どのようにこの権限を強化していくのかお尋ねをいたします。 以上1回目とします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 議員ご紹介のあった平成26年の議論を踏まえ、制定された松本市の地域づくりを推進する条例には、センターは地区の支所、出張所、福祉ひろば及び公民館と一体となり、市民による地域づくりを支援すると記されています。住民の地域づくりの活動を三位一体となった体制で支援していくことがあるべき姿とされているわけであります。 しかし、現在の地域づくりセンターの体制では、センター長が公民館の館長補佐を併任するという変則的な形になっていること、福祉ひろばにセンター長の権限が及ばないことなどによって、センター長にとって十分に地域づくりの役割を果たしにくい現状があり、そのことが条例が定める一体的な体制のハードルになっていると考えます。センター長の権限の強化につきましては、地区の職員を束ねるための方策として、まずは福祉ひろば事業の所管を地域づくり部に移し、センターに一元化する方向で調整を進めているところであります。 さらに、地区住民の声を本庁に届けて、市の政策形成に一定の関与をしていくための体制や課題解決のためにセンター長の裁量で執行できる予算の上積みについても今後検討を進めていきたいと考えています。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 では、2回目の質問に入ります。 センター長の権限を強化するというふうにお考えだということでありますけれども、地域では、町会を中心に住民自治の基盤があります。住民は大変だとは言いながら、誰かがやらなくてはならないという崇高な使命感の下に役職を引き受けて地域を運営してまいりました。大変な役職を一生懸命遂行している役員がいる中で、センター長の権限を高めていけば、住民はセンター長を頼り、大変な役は引き受けなくなるのではないでしょうか。つまり、住民の自主性と自治力の低下です。また、財源を強化していくことも表明されていましたが、センター長が仮に権限と財源を持ってセンターを一元的に管理していけば、公民館や福祉ひろばではそれぞれ自主的な活動ができなくなるおそれがあります。公民館は学習の質が低下した講座とイベントをこなす施設へ、福祉ひろばは介護予防施設となり、自治を育み、地域づくりの担い手を育成する機能が低下すると懸念されます。また、センター長は当該地区出身でないことが多く、着任後、真に地域の皆さんに受け入れていただいたときから本当の仕事が始まるのであり、強い権限を持って事に当たっても、地域のためにはならないと考えます。 むしろこれまで松本市が地域づくりの経験を重ねてきたことからすると、センター長の権限の強化が行政主導型の地域づくりにつながり、住民自治の低下を招く危険性が高いと考えますが、いかがでしょうか。 加えまして、センター長の権限の強化とともに、地区への交付金、補助金も増額するのでしょうか。地域づくり推進交付金を増額するとすれば、何に不足しているのか、増額要望は地区から出ていたのか。地区との調整はできているのでしょうか。さらに、上限を1,000万円とする地域振興事業補助金はこれまで何に使われてきたのか。補助金活用についてセンター長は地域への啓発をしているのでしょうか。この辺についても併せてお尋ねをいたします。 以上2回目とします。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) センター長の権限強化が住民自治の低下を招くのではないかとの懸念についてお答えいたします。 センター長の権限強化は、地区の職員を束ねることや本庁を動かすことに対するものでありまして、住民に対しての権限の強化ではありません。議員からは悲観的なシナリオが示されましたけれども、公民館や福祉ひろばの活動に対してもセンター長が責任を持って縦割りを廃止することが重要であり、それによって、活動自体はそれぞれが専門性を発揮しながら取り組めると考えているため、住民自治の低下を招くとは考えません。 次に、地区への補助金、交付金につきましては、増額を検討しています。特に既存の地区団体の活動以外にも移住者や若者をはじめ様々な有志の活動に対する支援を補う必要があるという認識から、少なくともそれらに対応する増額が必要であると考えます。なお、補助金や交付金の増額につきましては、4地区程度をモデル地区に選定し、来年度からの先行実施に向けての調整を進めているところであります。 最後に、地区からの声というご指摘でありますが、これまでに新たな取組を行うために増額を要望する声があったことをお伝えいたします。地区との調整につきましては、なお取り組む必要がある面も残されているため、今後、丁寧に説明をしてまいります。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 市川地域づくり部長。 ◎地域づくり部長(市川英治) 地域振興事業補助金の周知につきましてお答えします。 地域振興事業補助金は、地域資源を活用した地域活性化事業や地域課題を解決するための事業に対し、補助率10分の8以内で、最大1,000万円の補助金を交付するものです。 平成27年度の制度創設以来、これまでに奈川地区のそば安定生産事業、本郷地区のわいわい広場事業の2事業に対して補助金を交付してきました。この制度は大規模な事業への補助を想定しているため、申請額の下限を100万円とするなど、一定の要件を満たさないと活用できないため、地域づくりセンター長が町会長会等で周知し、地域活動の進捗を見極めながら活用を促してきました。 今後はより活用しやすくなるよう、地区の様々な団体等へも積極的に周知をしていきたいと考えております。 以上です。 ○議長(村上幸雄) 芝山議員。 ◆29番(芝山稔) 〔登壇〕 考え方が若干かみ合わない部分もありますけれども、3回目の質問をさせていただきます。 地域づくりの核は学習と実践の繰り返しでありまして、地域で人と活動をつなげることが重要です。先ほども申し上げましたが、勘違いしてはいけないのが公民館や福祉ひろばは市政のサービス機関ではなく、住民の主体的な学びや活動を引き出し支援していく機関であるということです。そうした理解をもっと広げていかなくてはいけません。 松本市地域づくりを推進する条例第3条第2号にも、地域づくりは日常生活圏である地区を単位として、既存の自治の仕組みを生かし、町会と市の協働を基本としながら進めることとあります。今後の最重要テーマである地域包括ケアにおいても、一人一人の顔が見える暮らしと助け合いが何よりも大切です。例えば、要支援者の方を昼は誰が見るのか。夜は誰が見るのかなどをテーマとして災害時住民支え合いマップをつくるなど、地域の人々を大切にし、学習し、課題を一つ一つ解決していくことが重要です。 これまで市民と行政が長い時間をかけじっくり話し合い、試行錯誤を繰り返して今の体制を構築してきました。今後の地域づくりを考えるとき、地域で地味に活動している方々の声を大切にしていくべきです。地域づくりシステムにも課題はあると思いますが、住民とともに職員の意識や力量、そして自治の基盤の構築とも絡み、短兵急に結論を出すべきではないと考えます。公民館や福祉ひろばの機能の再検証や職員の力量を向上していくための担当課の在り方や研修の在り方など、総合的に検証していくことが必要だと強く感じます。 いま一度地域づくりシステムの原点に立ち返り、本当にこうしたシステムが仕組みとして機能しないのか、それともそうした仕組みを理解していなかったのか、検証した上で今後の地域づくりを進めるべきと考えますが、見解を伺います。 以上で全ての質問を終わります。 ○議長(村上幸雄) 臥雲市長。 ◎市長(臥雲義尚) 先ほども申し上げましたとおり、条例が掲げる地区の支所、出張所、福祉ひろば及び公民館と一体となる地域づくりセンターが本来の姿であると考えます。その姿に近づけるため、拙速ではなく、段階的に着実に進めていく考えであり、福祉ひろば事業の移管はその第一段階として取り組むものです。住民の意見を聞くべきとのご指摘につきましては真摯に受け止め、これまで様々なチャネルでご意見をお聞きしたことをさらに深めるとともに、センター長をはじめ現場で向き合っている職員を通じて、これからも地域の皆さんの声を酌み取ってまいります。 一方で、そうしたことをこれまでも続ける中で、既に課題を整理して実行する段階に入っていると私は考えます。組織につきましては現場の取組を踏まえて検証を行い、弾力的に進化をさせていきたいと考えます。 以上であります。 ○議長(村上幸雄) 以上で芝山稔議員の質問は終結いたします。 芝山議員は自席へお戻りください。 席替えのため暫時休憩いたします。                               午後4時9分休憩                             ----------                              午後4時10分再開 ○議長(村上幸雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際お諮りいたします。 本日の会議はこの程度にとどめ、明8日午前10時再開の上、市政一般に対する質問を続行いたしたいと思います。 これにご異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(村上幸雄) ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。 本日の会議はこれをもって散会いたします。 お疲れさまでございました。                              午後4時11分散会...