令和 1年 9月
定例会--------------------------------------- 令和元年松本市議会9月定例会会議録 第4
号--------------------------------------- 令和元年9月11日 (水曜日
)--------------------------------------- 議事日程(第4号) 令和元年9月11日 午前10時開議 第1 市政一般に対する質問 第2 議案に対する質疑(議案第1号から第27号まで) 第3
決算特別委員会の設置及び特別委員の選任
------------------------------出席議員(31名) 1番 牛丸仁志 2番 横内裕治 3番 上條一正 5番 内田麻美 6番 塩原孝子 7番 古沢明子 8番 神津ゆかり 9番 土屋眞一 10番 上條敦重 11番 吉村幸代 12番 勝野智行 13番 青木 崇 14番 若林真一 15番 今井ゆうすけ 16番 川久保文良 17番 上條美智子 18番 村上幸雄 19番 上條 温 20番 田口輝子 21番 中島昌子 22番 小林あや 23番 阿部功祐 24番 上條俊道 25番 澤田佐久子 26番 犬飼信雄 27番 犬飼明美 28番 柿澤 潔 29番 芝山 稔 30番 太田更三 31番 近藤晴彦 32番 池田国昭
------------------------------説明のため出席した者 市長 菅谷 昭 副市長 坪田明男 総務部長 嵯峨宏一 政策部長 横内俊哉 財政部長 高野一司 危機管理部長 森本千嘉 地域づくり部長 守屋千秋
文化スポーツ部長 伊佐治裕子 環境部長 久保田忠良 健康福祉部長 樋口 浩 こども部長 村山 修 農林部長 林 浩史 商工観光部長 小原直樹 健康産業・
企業立地担当部長 小林浩之 建設部長 上條裕久
城下町整備本部長 松崎 勉 上下水道局長 征矢野伸一 病院局長 斉川久誉 教育長 赤羽郁夫 教育部長 山内 亮 行政管理課長 中野嘉勝 秘書課長 羽田野雅司 政策課長 宮尾 穣 財政課長 板倉 章
------------------------------事務局職員出席者 事務局長 市川英治 事務局次長 河村知佳 次長補佐兼議会担当係長 主査 芦田真理 住吉真治 主査 永原浩希 主事 小林あゆみ
------------------------------ 本日の会議に付した事件 議事日程(第4号)記載事件のとおり
------------------------------ 午前10時開議
○議長(村上幸雄) おはようございます。 現在までの出席議員は31名でありますので、定足数を超えております。よって、直ちに本日の会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 犬飼明美議員から請願第3号 地方財政の充実・強化を求める国あて意見書の採択を求める請願書の紹介を取り消したい旨の申し出があります。 本申し出を承認することにご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(村上幸雄) ご異議なしと認めます。 よって、申し出のとおり、紹介の取り消しについては、承認することに決しました。 本日の議事は、日程第4号をもって進めます。
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△日程第1 市政一般に対する質問
○議長(村上幸雄) 日程第1、昨日に引き続き、市政一般に対する質問を行います。 順次発言を許します。 最初に、14番 若林真一議員の質問を行います。若林議員は質問者待機席へ移動してください。 14番 若林真一議員。
◆14番(若林真一) 〔登壇〕 おはようございます。 誠の会の若林真一でございます。誠の会を代表しまして、小林あや議員、阿部功祐議員とともに、一括にて質問をさせていただきます。 まず初めに、地域防災の消防団について質問をします。 消防団員の確保は、ここ数年、大きな課題であり、重大なテーマになっているのは明らかであります。団員もサラリーマンの方が多くなり、会社との折り合いをつけて、忙しい中、消火活動や行方不明者の捜索などに当たっていただいているのが現状で、感謝という言葉しかありません。 さらには、出初め式から始まり、各地域行事に参加するなど、地域づくりの次世代を担う集団が消防団だと思っているところでございます。 そこで、消防団の手当についてスポットを当てると、その低さに驚かされるところです。緊急の出動がかかれば、現地に出向き活動をする。行方不明者の捜索は、拘束時間に終わりが見えないときもあるのだろうと思うところです。 また、
サラリーマン団員は、有給休暇を後日取得している団員がいるということもあるそうで、消防団員という名のもと、市民の安全や安心という面で貢献をされているのに手当が低いのはいかがなものかと思います。 働き方改革が声高に叫ばれる時代、超少子化・高齢化に直面している中で、団員確保もままならない状況下で、安全や安心に対してもそれだけの対価が必要であり、手当の増額をしていく方向で話を進めていくのが消防団員の確保にもつながると思います。 緊急事態のときに、最前線で活動する非常勤特別職の地方公務員という立場であれば、消防団の手当は制度疲労を起こしており、支給制度の趣旨を考えると、制度改革をして、引き上げを図ることが重要であると考えております。 危機管理上、消防団員が気持ちよく活動してもらうには、消防団員の手当の増額は必要な措置と考えますが、どのように考えているのかお尋ねをいたします。 次に、空き家対策の特定空き家についてお尋ねします。 松本市も近年、急増している空き家については、
空家等対策計画を立て、本気で向き合う意思表示ではないかと思っているところです。 1番は、空き家にならないように、未然に防ぐのが住民や行政双方の役割であります。対策計画を立てて、立ち向かう心意気はすばらしいと思いますが、簡単な作業ではないということも想像をするところです。 そこで、松本市
空家等対策計画の中では空き家の現況と課題から始まり、基本方針から具体的な施策へと、市の英断で行う行政代執行、略式代執行まで記載がされております。利活用できるような建物については、あらゆる支援策を検討して対応していくということですが、検討している支援策が有効となれば、早目に実行に移し、市民周知をされることを願います。 しかし、計画の中で一番問題になっているのが、いわゆる管理が行き届いていない空き家であります。国が実施している除去費用の助成制度などを活用した本市の助成制度を検討するとあり、これは所有者がはっきりしていればの話ですが、所有者等が不明の場合の対応として、必要に応じて市が応急的に最小限で対応する緊急安全措置や解体などの略式代執行を行うということです。いわゆる公費を投入して解体作業を行うというわけですが、その判断については、順序があるにせよ、大変重い判断になるのは明らかであります。 しかし、待ったなしの状況に陥っている空き家などがあるのも事実です。放っておけば自然災害による倒壊や最悪人的被害になる可能性があります。 十分な情報収集をして、段階を踏んでの代執行ですが、投入費用の回収がしっかりできるのかは、やや不透明な状態ではないかと思います。 公費投入についての是非があろうかと思いますが、市はやっていくぞという意気込みで、条例にも計画にも記載されていると、私は認識しています。相手があることですが、特定空き家と認定をしての公費投入について、私はやむなしというよりは、やらなければいけないという気概でやっていかれると思っていますが、市はどのようにお考えであるか、お尋ねします。 次に、山岳観光のいがや
レクリエーションランドの改修後の状況についてお尋ねします。 アウトドアと高原リゾートの融合を基本構想として、平成28年からいがや
レクリエーションランドの改修工事が行われました。改修の理由として、乗鞍地区における観光産業の衰退、施設の老朽化、陳腐化による減少傾向が著しい来場客数、廃止された市営のいがやスキー場にかわる市の観光振興策として、昨年営業が再開され、乗鞍地区の一つの名所として期待をされているところです。 さて、いがや
レクリエーションランドの当時の課題を精査した上で、改修構想が平成26年に打ち出され、事業効果やそれに伴う課題が浮かんでいたと想像しますが、その目標数値などは記載をされておらず、うかがい知ることはできません。ただ、改修後に私も家族で何度か足を運んでみると、生まれ変わった施設を体験して、公費を投入してよかったのではないかと思っています。 しかし、現実的に効果というものが出なければ意味がありません。一施設だけでの改修効果もそうですが、人の流れが変わるわけですから、乗鞍地域全体への経済効果の波及は、改修当時、ある程度の数値は考えていたものと思います。駐車場には県外車両が多く見受けられるので、さらに県外者へのPRをしていくことや松本市民向けの今後のPRも考えていかなくてはいけないのだろうと思います。 そこで、いがや
レクリエーションランドの改修後の施設比較状況とそれに伴う乗鞍地域の経済波及効果及び今後のPRについてお尋ねしまして、1回目の質問を終わりにします。
○議長(村上幸雄)
森本危機管理部長。
◎危機管理部長(森本千嘉) 〔登壇〕 消防団についてお答えいたします。 消防団員に対する手当としては、出動手当と団員報酬がございまして、その現状について申し上げます。 まず、出動手当は、出動1回当たり2,260円で、県内19市中、高いほうから4番目となっております。 次に、団員報酬を階層人数の多い順に申し上げますと、団員の6割を占める一般団員が年額1万9,100円で、県内19市中9番目、班長が2万6,400円で13番目、部長が4万4,300円で10番目、副分団長が5万9,500円で7番目、分団長が9万900円で12番目、副団長が12万1,000円で16番目、団長が17万7,800円で14番目となっております。 この水準から判断いたしますと、本市の手当は県内他市と比べて、決して低い金額ではないと考えております。 しかしながら、お仕事を持ちながら早朝、深夜を問わず、危険を伴う現場に駆けつける消防団員への感謝の気持ちは、議員の思いと同じものを強く感じておりまして、県内他市の状況を常に注視し、手当引き上げについて判断してまいります。 以上です。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) 〔登壇〕 松本市の特定空き家における公費投入についてのご質問にお答えいたします。 平成27年5月に施行されました空家等対策の推進に関する特別措置法では、倒壊により保安上、危険のおそれのある空き家や著しく衛生上、有害となるおそれのある空き家などを特定空き家等と規定しております。 平成31年3月に策定いたしました松本市
空家等対策計画では、議員ご紹介のとおり、特定空き家等の対策といたしまして、所有者不明の空き家が地域住民等に被害を及ぼす可能性があり、緊急に対応を要する場合は、市が応急的で最小限な措置や解体などの略式代執行を行うとしております。 特定空き家等につきましては、松本市が市民の生命、財産を守るために略式代執行の必要があると判断した場合は、専門家で組織いたします松本市
空家等対策協議会と連携し、空家等対策の推進に関する特別措置法の手続に従い、速やかに進めていきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) 〔登壇〕 いがや
レクリエーションランドに関する3点のご質問にお答えをいたします。 初めに、改修後の状況についてお答えをいたします。 施設の年間利用者数は、改修前の平成28年度は8,591人で、改修後の平成30年度は1万2,340人、3,749人増加をしております。 利用料収入につきましては、改修前が約570万円、改修後が約2,067万円で、1,497万円の増となりました。 利用人数や収入が増加した要因といたしましては、新たに設置をいたしました
アドベンチャーパークや
オートキャンプ場の利用が好調であることが挙げられます。 次に、乗鞍地域の経済波及効果についてお答えをいたします。 乗鞍高原の宿泊者数は約47万人で、横ばいでございましたが、この宿泊者数に含まれていない、新たに整備をした
オートキャンプ場の宿泊者が平成30年度、約2,700人いらっしゃいました。また、平成30年度の乗鞍岳へのシャトルバスの利用者数は、平成28年度と比較し7,900人、率にして9.8%増加し、約8万8,000人となっております。そのほかにも地域の方から、乗鞍高原への家族連れが多くなり、活気が湧いたという声もいただいておりますことから、確実に乗鞍地域への経済波及効果が出ているものと考えているところでございます。 最後に、今後のPRについてお答えをいたします。 現在、繁忙期や休日以外で安定的に集客が見込めます学習旅行の誘致を積極的に行っており、平成30年度は14団体、1,599人の利用がございました。今後も学習旅行の誘致に力を入れてまいります。 あわせて、松本市にこのような大自然を楽しめる施設があることを市民の皆様にも広く周知をし、家族や学校などで活用いただけるようPRを進めてまいります。 いずれにいたしましても、施設が完成をして1年半が経過をしたところでございます。県内外への情報発信を強化することによりまして、さらなる集客が見込める施設であると考えておりますので、今後も指定管理者とともに宣伝強化に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 若林議員。
◆14番(若林真一) 〔登壇〕 答弁をいただきましたので、2回目の質問をします。 消防団員の手当について、るる説明をいただきまして、気持ちは届いたのかなと、そのように思いますが、消防団員の手当引き上げを判断するということですので、実行に移しながら消防団のPRにも生かしていただきたいと、そのように思います。 今後、消防団の活動も大切ですが、これからは市民が防災や減災の知識や意識をさらに高めていくことが重要になってきます。 そこで、地域防災の防災士について質問します。 自分の命は自分で守る、これは大前提ですが、突然の災害でパニックに陥っているときに、正しい判断や応急処置ができるかは、誰しもが心配するところです。その心配を少しでも軽減していく一つの手段として、防災士という考えがあるように思います。 防災士の役割として、災害時公的支援が到着するまでの被害の拡大の軽減、災害発生後の被災者支援の活動、平常時の防災意識の啓発、自助、共助活動の訓練ということであります。危機管理の専門知識を有する防災士は、民間の資格ですが、市と連携をして地域防災の担い手となれば、松本市の防災、減災という場面でも有意義になると思います。そして、地域の自主防災組織としても、避難所運営に不安がある中で心強い味方になると思います。 しかし、せっかく個人で高い講習代金を支払って防災士という資格を取得しても、活動の場が現時点では限られております。今こそ松本市民の防災、減災、危機管理の意識の向上のために、4月に県の枠組みで長野県
地域防災推進協議会という防災士の組織が発足したということですので、連携に向けて具体的な状況や方向性の確認をしてはと思います。防災士として培った知識が地域の自主防災に役立つとなれば、松本市の危機管理上、有益となり、将来事務局が松本大学にある防災士の組織と連携すれば、防災士の方々も知識を生かし、有意義な活動や活躍の場ができるのではないかと思います。 そこで、市と防災士の組織との連携を視野に話し合いを進めてはと考えますが、どのようにお考えかお尋ねいたします。 次に、空き家対策の計画の進め方について質問します。 特定空き家について速やかに対応を進めるとは、時間を置かずにできるだけ早くということだろうと思います。手順を踏んで、粘り強く淡々と計画に従い、対応を求めます。 そこで、予防、適切な管理、利活用の促進を促し、1割減を目標としますとして、空き家等の数を2018年度が2,839戸に対して、2023年度には2,556戸にするという目標を市は立てています。実情、相談件数が増加していて、今後も増加が予想される中で、窓口はあっても関係する部署が多く、よりスピード感ある対応を可能にするのには、空き家対策を総合的に行う部署をつくることが目標値に向けてのスピード感ある対応になるように思いますので、検討をしてほしいと思います。 今後、計画に対して実行に移すわけですが、10年の基本的な計画期間の中で、5年という区切りで先ほどの目標設定をされています。5年後には再度検討ということで、どうしても長期化してしまうのだろうと思われる作業をスピート感という言葉で一くくりにしてはいけないと思いますが、5年間で1割減という方針を打ち出したということは、やはり空き家対策は喫緊の課題であり、必要性や重要性が高いと認識をしているのがうかがえます。短期的な計画は、どうしても打ち出しづらい空き家対策を5年間で1割減の目標をスムーズに完遂するのに、どのように計画を実行していくのか、お尋ねをいたします。 次に、山岳観光の
ガストロノミーツーリズムについてお尋ねします。 いがや
レクリエーションランドについては、利用者数の増加や経済波及効果があったということで、引き続きPRに努めていただきたいです。 家族連れが多くなり、活気が湧いたということですが、家族連れというのは重要なキーワードであり、今後の利用者数も見込め、世代間交流としても楽しめますので、息の長い施設にしてほしいです。外で遊ぶことの重要性をいがや
レクリエーションランドで学び、子供たちの
スマートフォン依存からの脱却につながればと思います。 そこで、家族連れ、自然と一緒に楽しめるというつながりでいえば、食や温泉、文化などを楽しめる
ガストロノミーツーリズムではないかと思います。 この
ガストロノミーツーリズムは、その土地を歩きながら、その土地ならではの食を楽しみ、歴史や文化を知る旅で、温泉をプラスすると
温泉ガストロノミーツーリズムになるようです。私は暮らすまちの資源を改めて認識する機会となり、松本市には観光資源としての有数の温泉地、松本らしい文化、地元になじんだ伝統的な食があり、食の視点を変えれば、食品ロス削減のPRといった松本の魅力を参加者にダイレクトに感じてもらえる手段の一つであり、地域づくりや健康づくりなど、あらゆる面で開催の効果が見込まれます。 行政視察に伺った姉妹都市の高山市では、めぐる、食べる、つかるといったコンセプトで開催をされていました。今思うのは、松本ではつなぐというような言葉を入れてもいいのかなと思います。参加者と開催地の人をつなぐ、参加者同士をつなぐ、食や文化と人をつなぐ、再び松本へお越しいただけるようにつなぐといったように、
ガストロノミーツーリズムに松本市として
レクリエーション教育というような魂を入れてはと思うところです。 体を動かし、自然を満喫できて、遊ぶ力や学ぶ力が身につけば、教育や観光としても相乗効果があるだろうと思います。 来月には、長野県山ノ内町でONSEN・ガストロノミーウォーキングが開催されるとお聞きをしているところです。高山市のケースを考えると、
平湯温泉観光協会が中心となり、町会や自治体の協力のもとで実施されたイベントでした。やる気のある若手が主体となり、町会や行政までをも引っ張っていった感じを、説明を受けた当時の経済地域委員の誰しもが思ったのではないかと想像をいたします。 人財、財は財産の財ですが、高山市で先頭に立ってイベントの成功に導いた地元の方々は、高山市にとってもかけがえのない財産だろうと思います。 しかし、高山市もそうですが、地域主導といったイベントは、やはり行政のバックアップも、時に必要になるケースもあるのではないかと考えます。 そこで、昨年度の
経済地域委員会の提言書の中でも触れられていますが、開催することで松本市の新たなPRにつながると思いますが、現在市として
ガストロノミーツーリズムについてどのように考えているかお尋ねしまして、2回目の質問を終わります。
○議長(村上幸雄)
森本危機管理部長。
◎危機管理部長(森本千嘉) 〔登壇〕 防災士についてお答えします。 まず、今月7日、8日には、松本大学にて
防災士養成講座及び検定試験が行われておりまして、75名の方が受講されております。本年度はあと2回、講座と試験が予定されているとのことでございます。 防災士は、防災、減災に関する知識を習得しており、社会のさまざまな場で防災力を高める活動が期待されております。 本市といたしましても、災害時はもちろん、特に平時からの活動において、その知識や技術を生かし、地域のリーダー的役割を担っていただきたいと考えております。 具体的な活動としては、町会、団体などへの防災講座や
市内小・中学校の児童生徒に対する防災教室など、現在危機管理部の職員が講師を務めておりますが、防災士の方が同じ市民の目線で講義をしていただければと考えております。 そこで現在、市では、防災啓発活動への参画について、議員ご紹介の長野県
地域防災推進協議会と協議を進めているところでございます。 以上です。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) 〔登壇〕
空家等対策計画の実行についてのご質問にお答えいたします。 計画におきましては、目標達成のため主に空き家の発生予防、所有者等への適切な管理の促進、利活用の促進を促し、取り組むこととしております。 まず、空き家の発生予防につきましては、空き家となる前に所有者に空き家に関する問題につきましてチラシやパンフレットにより情報発信を行い、所有者の意識啓発を行ってまいります。 また、市民の空き家に対する疑問にお答えできるように、専門家と連携した空き家相談会を開催してまいります。 次に、空き家の所有者等への適切な管理の促進につきましては、管理の大切さや所有者の責務を広報紙やホームページを通じて周知してまいります。 なお、松本市に寄せられる管理ができていない空き家につきましては、現在職員が現地を確認いたしまして、所有者に対し、適切な管理の助言を行っております。 空き家の利活用の促進につきましては、現在、松本市独自の空き家バンクの構築を進めており、ホームページに掲載することとしております。利活用できる物件を登録し、情報提供を行うことで、所有者と空き家を使いたい利用者のマッチングを促進してまいります。 また、松本市では、空き家バンクに登録された空き家を対象に、利活用する際の改修費や特定空き家等の解体費への補助制度について検討をしております。 このように、計画に基づきそれぞれの施策を一つ一つ実行し、空き家等対策を総合的かつ計画的に推進してまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) 〔登壇〕 お答えをいたします。
ガストロノミーツーリズムでございますが、議員ご紹介のとおり、食や自然など地域ならではの資源とウォーキングを融合させたもので、欧米で普及している旅のスタイルの一つであります。 日本では、ANA総合研究所が中心となり、平成28年にONSEN・
ガストロノミーツーリズム推進機構が設立をされ、現在民間企業が25社、そして44の自治体が会員となっております。 豊かな自然と温泉、そして食を有します松本市にとりましても、観光の質を高め、滞在型観光を推進する上で、大変有効な事業であり、前向きに取り組むべき事業の一つであると考えております。 そこで、昨年から市内の温泉地に
ガストロノミーツーリズムの取り組みについて働きかけをしており、先ほど議員からご紹介のありました山ノ内町で来月開催されますONSEN・ガストロノミーウォーキングのイベントに市内の温泉関係者とともに視察を行う予定でございます。 今後は、温泉地が主体的に取り組む
ガストロノミーツーリズムの事業が成功するように、市も積極的に支援をしてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 若林議員。
◆14番(若林真一) 〔登壇〕 答弁をいただきましたので、3回目は要望とします。 防災士については、市も連携には意義があるという思いを感じました。 防災啓発活動への参画について協議を進めるということですので、防災士がさまざまな場で活躍ができて、防災、減災の力を市内全域で今後発揮されることを願っています。 そして、市の思い描いているプランもわかり、良好な関係が結べるのではないかと思いますので、丁寧に協議を進めてください。 空き家対策についてですが、増加をさせずに、根気強く計画目標の1割減に努めていただければと思います。 また、利活用の対策が進めば、空き家を活用した地域づくりとしての移住、定住促進も図れると思いますので、計画の実行と成果を期待しています。
ガストロノミーツーリズムについては、提言書でも触れていますし、市も前向きに取り組むべき事業であると考えているということですので、温泉の関係者の皆さんと有意義な話ができればいいなと、そのように思っております。 キーポイントは、地域での事業推進のために先導していただける地元の方々であります。スクラムを組み、地域主導を重視しながら、市も積極的に支援をしていくということですので、バックアップ体制を整えていただき、滞在型観光の一つの目玉になるよう期待をいたしまして、私の全ての質問を終わります。 ありがとうございました。
○議長(村上幸雄) 以上で若林真一議員の質問は終結いたします。若林議員は自席へお戻りください。 次に、22番 小林あや議員の質問を行います。小林議員は質問者待機席へ移動してください。 22番 小林あや議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 小林あやでございます。会派、誠の会を代表しまして、若林議員、阿部議員とともに一問一答形式にて、発言をさせていただきます。よろしくお願いします。 まず、冒頭、昨日発表された森記念財団都市戦略研究所が発表した2019年日本都市特性評価におけるランキングで、松本市は10位となっておりました。昨年は13位でしたので、本市の取り組みがさらに認められたことは、私も大変うれしく思います。 さて、ことしで旧波田町が松本市に合併して10年が過ぎ、私の議員活動もはや10年となりました。節目の年に改選を迎え、初志に立ち返る日々でございます。 私の父も議員でありましたが、当時の波田町は合併、反合併の対立構造が激しく、巻き込まれることをおそれて、自由な発言を控える住民も多く、住みづらいと感じていた人は相当数いたと思われます。父は、そこに住み続ける住民の暮らしを考えるならば、政治とは対立構造を助長することではない、和を持ったバランスを考えることが重要であるという信念を持っていましたが、そのような中での議員活動は大変だったろうと思います。父の背中を見ながら、また陰で支える母の姿を見ながら、私は娘として、これは何て大変な仕事だろうか、絶対に議員と議員の妻にだけはなりたくないと、心に決めておりました。しかし、父が急逝したことで、悩みに悩んだ末、父の思いを継げるのは、一人娘である私しかいないと覚悟を決め、この世界に入ったわけでございます。 したがって、不器用ながらも愚直に市民の皆様とのお約束を議員という立場からどうしたら果たせるか、人生を回顧するときが来て、ああ、松本でよかったと思えるまちづくりをどう具現化していけるかを常に考え、苦しみ、悩みながらその都度、その都度、そのときの自分に許される環境の中で、最善と思われる選択を行いながら、政策を反映させるべく駆け抜けてまいりました。 今回は10年の節目として、私の議員活動の原点とも言える生きづらさを主要テーマに、その他何点かお聞きしていくことといたします。 初めに、現代の子供、青少年を取り巻く諸課題について、今回は3点の項目に着目し、質問させていただきます。 1点目は、子供、青少年の感じる生きづらさについて、2点目はインターネット社会における子供の生活の変化について、3点目は、親によるしつけと称する体罰についてです。 本市は、子どもの権利に関する条例を制定し、子供にかかわる全ての大人が連携、協働して「すべての子どもにやさしいまちづくり」を推進することを目指しています。 しかし、本市が実施しました子どもの権利に関するアンケート調査結果報告書では、ほっとできる場所はどこかという質問に対し、自己肯定感の高い子ほど、リビングなど家で家族といられる場所など、人とかかわれる場所を挙げているのに対し、自己肯定感の低い子ほど、自分の部屋など、家で一人でいられる場所あるいはほっとできる場所はないと回答しています。 また、困ったときやつらいときに誰に相談するかという質問に対して、自己肯定感の高い子ほど、親、祖父母、担任の先生と回答しているのに対し、自己肯定感の低い子ほど、誰にも相談しないという回答が最も多くなっています。つらいことがあっても、誰にも相談できず、部屋で一人で痛みに耐えている子供の姿を思い浮かべたとき、こういう子供たちが現実に存在していることに、私は胸が締めつけられる思いでした。 大人が手を差し伸べるべき子供が確実にそこにいるのに、名前もわからず、どうにも救ってあげられないもどかしさを感じています。 近年、子供たちが顔の見えないインターネット上で、友達をつくるケースが増加しています。インターネット上での友人とは、一定の距離感が保て、リセットやリスタートも切りやすいという点に共感が得られているのかもしれません。 ふだんから顔を合わせる関係においては、摩擦が生じた後の修復には多くのエネルギーを必要とします。しかし、インターネット上で友人を探してしまうそもそもの背景には、最も身近な社会に息つける場所がないという現実があるからではないでしょうか。学校という、毎日顔を合わせる身近な場において、ささいなことでもすぐに悪口を言われる、相手の経験値で自分が恣意的に評価され、見下される、一度いじめの標的にされると、いつまでも欠点を探し続けられる、自分が社会の常識と言わんばかりの態度で気に入らない相手にレッテルを張り陰湿にいじめる、このような状況に陥ったなら、身近な社会に生きづらさを感じ、どこか別のところに居場所を求めようとする心理が働くことは、十分理解できます。 私たちは、誰もが等しく生きる権利を持っており、そこに優劣はありません。しかし、生きづらさを感じる人の生き方自体に問題があると考えたり、インターネット依存する人自身に問題があるというように、私たちのほうが正しくて、彼らのほうに問題があると考えてしまいがちの空気も残念ながら存在しているように見受けられ、この空気がさらに彼らをより生きづらくさせていると捉える流れは、まだまだ少ないのではないでしょうか。 しかしながら、生きづらさから自殺やインターネット依存に走ってしまうその背景を社会全体で受けとめ、解決策を講じていくことこそ、私たち大人に課せられた責務であるように思います。 市長は、就任以来、さまざまな子供施策を行ってきており、これについては市民満足度調査結果や市民の反応などにおいても、一定の評価が出ていると感じられます。 特に、市長4期目の公約におかれては、いのちに着目し、人のきずなの大切さに言及されています。また、まちづくりの方向性として、次代を担う若い人材、ニューリーダーが育ち、若い世代が多様な生き方を選択できる社会を目指し、次代を担う子供たちを健やかに育む環境づくりを進めるとしています。 しかし、こうした取り組みの一方で、時代の変遷とともに、子供や青少年を取り巻く諸課題は変化し、行政サービスもそれに合わせて変えていかねばならないと強く感じています。 こうした新たな問題への対応を考えるに当たり、まずは市長が長年取り組まれてきた子供施策への思いをお聞きいたします。
○議長(村上幸雄) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 お答えいたします。 私は市長に就任した当時、少子高齢化が急速に進展する中、我が国がひたすら経済至上主義に身を委ねた結果として、人と自然、人と社会、人と人との関係があちこちで破綻を来し、大切な何かを失いつつあると感じていました。 そこで、モノ優先社会に一線を引き、いのちの質や生き方の質に注目し、誰もが輝いて生きることができる仕組みをつくりたいとの思いで、行政運営に取り組んでまいりました。その中でも、未来を担う子供たちの政策には、特に力を入れてきたところでございます。 小林議員ご指摘のとおり、昨今の子供や青少年を取り巻く環境は、目まぐるしく変化し、多岐にわたる課題があると捉えております。急速に進んだICT社会がもたらした子供へのさまざまな弊害、虐待、いじめ、不登校、子供の孤立化、個性の埋没、家族のあり方の変化など、枚挙にいとまがありません。 これらもろもろの課題が複合、重層的に弱い立場の子供たちに重くのしかかることにより、成長期にある彼らの心や体へ及ぼす影響に大変不安と危惧を抱いております。 私は、このような諸課題に対し、これまで多様な施策を実施してまいりました。その中でも、先ほど議員からもお話がありましたが、特に平成25年に子どもの権利に関する条例を施行しておりますが、こうした課題により的確に対応するためには、改めて子供の権利を見詰め直すことが重要であると思っております。 これからも子供関連の施策を積極的に推し進め、子供や青少年が自分らしく生き生きと成長できるよう「すべての子どもにやさしいまちづくり」を図っていくことが必須であると考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林あや議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 子供たちの成長を喜び、応援できるような環境づくり、私も本当に必要だと思っております。 それでは、生きづらさについて、具体的に質問をさせていただきます。 子供が個性、多様性を認める柔軟さ、寛容さを身につける環境が整っているのかという問題です。私のところには、仕事柄、生きづらさを抱える子供たちからの相談が多く寄せられております。その多くは、自分の意思を明確に持ち、集団の意思決定に流されない子、何らかの障害も加わったりして、コミュニケーションが得意でない子、体が小さかったり、幼く見える子、瞬時に言い返せない子、家庭に何らかの特徴のある子などです。教室には、がっちりスクラムを組まれたような子供グループが複数存在し、そのどれかに入らないと孤立してしまいます。また、あるグループから締め出されてしまった子を受け入れる別のグループもなかなか見つからず、それが原因で教室や学校に行けなくなってしまうケースも多々見受けられます。 以前、小学校高学年の女子生徒から、放課後児童センターの様子について聞いたことがあります。彼女が使ったそのままの表現を使いますので、お聞き苦しい点はご容赦ください。 上級生が幅をきかせていて、下級生たちはその派閥からはみ出ないように、金魚のふんみたいに一生懸命くっついているのだそうです。保護者の方々からこの状況についてお話を伺うと、現場は人手不足でそういう状況の改善まで手が回らないということのようです。学校でも放課後でも、個性や特徴のある子が子供たちの恣意的な判断によって排他的な扱いを受ける状況が続けば、当然個性をありのままに出すことやほかの子と異なる内容の言動をすることをためらったり、怖がるようになることは、容易に想像できます。 実際に相談に来た子供の中には、自分が発言した際、周りからばかにされたり、からかわれたりしたときの怖さがトラウマになり、以来、発言した後に傷つくのが怖くて、自分の意見を言えないケースも一定数あります。 市長は、先ほどの答弁の中で、子供の権利を見直すことが大切だとおっしゃっております。個性の尊重、多様性を認め合うということはどういうことなのか、成功体験に乏しい子供たちがふえている現状が懸念されております。こうした生きづらさが積み重なると、最も悲惨な状況を引き起こしかねません。 私たちの暮らす地域において、この問題の状況を把握するために、中信地方の20歳未満の青少年の自殺率について、県や全国と比較しての数値をお聞きいたします。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 平成25年から平成29年の5年間の総計で、未成年者の自殺死亡率につきましては、人口10万対比で、男性は全国3.3、長野県4.7、松本保健所管内は3.9、また女性は全国1.5、長野県2.2、松本保健所管内3.1でございます。 このように、男性、女性ともに全国と比較いたしますと、長野県、松本保健所管内ともに高い状況でございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 この地域の未成年者の自殺死亡率は、男女ともにかなり高いことがわかりました。特に女性の数が全国の2倍、非常に衝撃的な数字です。それだけ今この地域での生きづらさをあらわしているということだと思います。何とかしてあげられなかったのか、もっと早く気づいて、守ってあげられなかったのかと思うと、胸が痛みます。 自殺を考える子供たちは、衝動的、突発的ではありません。望みが絶え、生きづらさが諦めに変わる、こうした気持ちの変化が長期に渡り積み重なっていった結果の最終選択です。子供の居場所を初めとして、同級生という身近な間柄の中にさえ生じる個人、個人の違いに対して、否定しない意識を醸成していかなくてはなりません。 生きづらさを抱える児童生徒に対する教育長のご見解をお伺いします。
○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。
◎教育長(赤羽郁夫) お答えをいたします。 私も小林議員同様に、年々生きづらさを抱えている子供たちがふえてきているのではないかと感じております。 現在の子供たちのおかれている状況をわかりやすく話しているラジオ番組で聞きました、児童精神科医の古庄純一先生のお話を紹介いたします。 先生は、最近の子供たちの最も重要な傾向は、根源的な不安を抱いていること、そのために周りの世界にひどく敏感であり、強い被害者意識を抱いている。そして非常に傷つきやすいと述べています。 また、その根源的な不安について、教育学者の佐々木賢氏の言葉を引用して、次の3つが主な不安であると述べています。まず、1つは、将来の自分の仕事はどうなるのか、あすはどうなるのかという将来に対する不安、2つ目は、大人になったとき、やっていけるのかという自分の能力に対する不安、3つ目は、自分自身の存在に対する不安です。 このように、今の子供たちは根源的な不安を抱くがゆえに、昔よりはるかに多くの社会の影響を受けて育っています。そして、SNSやゲームを含めインターネット社会が与える影響もはかり知れません。 また、子供たちにとって本来大切にしたい多くの大人とかかわりながら実体験を踏んでいくことも難しくなっています。その要因として、子供たちがやってみたい、何かを生み出したいという思いを抱き、挑戦する際、膨大な情報や言葉ばかりが先行し、仮想的、擬似的な体験をするだけにとどまってしまうことが挙げられます。 このようなことからも、子供を取り巻く社会の変化が子供の生きづらさにつながっているものと考えています。 今、私たち大人に求められているのは、子供が安心して過ごせる居場所づくりとともに、何よりあなたのことをいつも気にかけているよ、大丈夫だよ、いつでもあなたの味方だよと、身近な子供たちを見守る心の居場所づくりではないかと考えています。 以上であります。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 教育長のおっしゃる子供の心の居場所、そして実体験の大切さ、まさにそのとおりだと思います。自分の特徴や個性を怖がることなく、ありのまま出せる環境は、周囲の子供たちの日ごろの受けとめ方における成功体験の積み重ねにほかなりません。 学校の教育現場での多様性や個性の尊重について、学校ではどのような目標のもと、どのようなフォロー体制で子供たちとかかわっているのかお聞かせください。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 松本市の半数以上の小・中学校では、子供たちの多様性や個性の尊重を大切に考え、学校教育目標に優しさや思いやり、共生を掲げております。また、ある学校では、具体目標として人の特徴や痛み、悲しみを理解し、感謝の心を持ち接する子、また別の学校でも互いのよさに気づき、認め合い、支え合う子を目指して学校づくりを進めております。 学校でのフォロー体制でございますが、まずは担任が児童生徒一人一人に目を向け、小さな変化に気づくよう心がけておりますが、担任が1人で抱え込まないよう学年職員での対応や特に気になる子供につきましては、職員会などで情報共有しながら、全職員でかかわる校内体制をとっております。そして保護者の相談に応じ、ソーシャルワーカーや病院などの外部機関へとつなげております。 また、児童生徒の相談窓口を保健室や教育相談室に設け、個々の悩みを受けておりますが、子供への調査により、集団の中での児童生徒相互の関係性を客観的に把握し、より個に応じた対応をしている学校もございます。 これからの学校では、児童生徒一人一人の違いをよさとして認めながら、温かい人間関係を築けるよう指導するとともに、民間も含めた子供にかかわる諸団体や関連する地域の機関、組織と連携、協働しながら、すき間のない支援体制を構築してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 体制についてのご答弁をお聞きいたしました。学校によって救われている児童生徒たちもいるということがわかりました。 その一方で、私のところに寄せられている相談では、学校側がもっと問題発生の初期段階でフォローしてあげていれば、もっと違う結果になったのではないかなと思うケースも多いと感じています。初期対応の重要性について、ぜひ学校側で課題認識していただけることを要望いたします。 子供の相談に応じて、学校にコンタクトをとったりもしていますが、私が最も驚いているのは個性の尊重、多様性の尊重とおっしゃいながらも、先生たちの視点が集団側、強者の論理にあるのではないかということです。学校でいじめに遭い、今も生きづらさを感じている生徒の例を一部ご紹介いたします。個人が特定されないような表現にいたします。ご了承ください。 その子は、家庭に特徴があることでいじめに遭い、兄弟に特徴があることでもいじめに遭い、同級生から裏サイトに家族のことまで含めて悪口を書き込まれた経験を持つ子です。親が家庭の特徴は、子供には直接関係のないことなのだから、学校からきちんと指導してほしいと、学校に頼んだのですが、学校の反応はしかし本当にご家庭に特徴があるのだから、ある程度言われても仕方がないというものでした。その生徒は、精神的なケアが必要と判断され、医療機関を受診していますが、受診するには定期的に学校を休まなくてはなりません。その生徒にとっては、学校でたまった切なさや親に直接伝えられない悩みなどを吐き出す貴重な避難場所でもあるのですが、今度は進級によって新しくなった担任から、見た目は元気で病院に行くほど弱っていないのだから、もう行かなくていいという趣旨の発言をされたとのことで、病院でたくさんの大人がこうやって私のために一生懸命動いてくれて、私は一人じゃないんだと、ようやく思い始めたのに、学校が私から大事なものを奪っていくと、泣きじゃくったそうです。この担任は、カンファレンスなどの専門的な決定を受けての発言ではなく、自分が思ったことをそのまま生徒に伝えてしまったようです。 なぜ生徒を守るべき立場にある担任の口から生徒を激しく動揺させるような発言が飛び出してしまうのでしょうか。この生徒のケースはあくまで一例であり、氷山の一角にすぎません。強者の論理、集団の論理で生徒と接するだけでは、個性の尊重は実現できません。なぜこの地方の青少年たちがこんなにも生きづらさを抱えたまま暮らしているのか、いま一度考える必要があるのではないでしょうか。 特に過度な固定メンバーでグループをつくり、ちょっとでも自分たちの価値観と異なると目ざとく見つけ、否定しようとする動きが見られたら、絶対に放置すべきではありません。子供たちの個性の尊重、多様性を認め合う環境づくりは、ハード面だけではなく、ソフト面での子供の居場所づくりをふやすことでもあり、今や教育現場での喫緊の課題だと思われます。 今後の学校教育のあり方についてご見解を求めます。
○議長(村上幸雄) 赤羽教育長。
◎教育長(赤羽郁夫) お答えをいたします。 これまで学校に求められる役割が増大し、現在では本来の機能を十分果たすことが難しくなってきているという状況もあります。急激に変化する社会の中で、子供を取り巻く環境も大きく変わり、現在学校が抱える問題のほとんどは、家庭や地域と一緒に解決していかなければならないものと認識しています。 1人の子供が育つには、1つの村が必要であると言われているように、子供の成長には多くの人々のかかわりが必要です。松本市では、地域の子供は地域で育てるという取り組みが多くの市民の皆様の協力のもと、現在進んでいます。個性の尊重や多様性を認め合う環境づくりにつなげるため、今後は今まで学校に集中していた学びという機能を学校、家庭、地域の三者が子供を真ん中に置いて、それぞれがやることを再確認しながら役割を分担し、連携、協働のもと一体となって子供を育てていくフォロー体制を一層充実させていきたいと考えています。 さらに、本年度は、スマートフォンなどメディア依存にかかわる啓発活動のさらなる充実を図ったり、性的指向と性自認に関する教員アンケート調査による実態把握に努めたりするなど、新たな課題への先進的な取り組みも進めております。今後も継続して取り組んでまいります。 教育は、いつの時代にあっても、困難な中に希望を見出していく営みであることを皆さんと共有しながら、確かな歩みを進めていきたいと考えております。 以上であります。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 学校だけで解決していくには、もはや限界がある、多くの人たちとのかかわりが必要というご見解でございました。 地域に開かれた学校として、大阪市立大空小学校の事例をご紹介いたします。大空小学校の実話をもとにして制作された映画「みんなの学校」のサイトから、この学校の取り組みが紹介されていましたので、それを引用しながらご紹介させていただきます。 大空小学校は大阪市住吉区にある公立小学校で、2012年度の児童数約220人のうち、特別支援の対象児童は30人を超えていたようですが、全ての子供たちが同じ教室で学んでいます。教職員は通常のルールに沿って加配されていますが、地域の住民や学生のボランティアだけでなく、保護者らの支援を積極的に受け入れた地域に開かれた学校として、多くの大人たちで見守れる体制をつくっていることが特徴です。 学校の理念は、全ての子供の学習権を保障する学校をつくるであり、不登校はゼロ、唯一のルールとして自分がされて嫌なことは人にしない、言わないというたった一つの約束があり、子供たちはこの約束を破ると、やり直すためにやり直しの部屋と呼ばれる校長室へ行くのだそうです。市内でもこの映画を上映しようと取り組んでいる市民団体もあるということですので、連携していかれることも大きな一歩かと思い、参考までに申し添えておきます。 生きづらさを感じる子供たちには、彼らをありのまま認めてあげる居場所が必要です。第1次南極観測隊の副隊長兼越冬隊長であった西堀栄三郎の著書「技士道十五ヶ条 ものづくりを極める術」の中で個性の尊重について記述がありましたので、抜粋してご紹介します。 あれこれ考えてみた結果、個性とは変えられないものだなという結論に至った。個性が変えられないのなら、むしろ個性を尊重してやっていきたい。つまり自分の型とか自分の理想像をまず棚上げして、欠点があるなら欠点と言われるものをじっくり見詰める。そうすると、その欠点を出させているもとの個性が探し出せるので、それを長所になるように振りかえていける。異なっていることを認めた上で、持ち味の生かし場所を探し出してやるのである。それが友達であったりチームのリーダーであると思う。顔がそれぞれ違うように、ものを見る視点が違うのだから、異なる考え方があってもしかるべきなのに、どうも日本社会の和の考え方には異質が排除される傾向にあるようである。言いたいことも言わず、ご無理ごもっともでやるのは、決して和ではない。言いたいことを大いに言いながら、お互いの考えや意見とか個性というものを尊重して、最終的には共同の目的に最も近いものを取り上げていく、そういう態度こそが本当の和の精神ではなかろうかと思う。 紹介は以上ですが、子供たちの居場所と個性が尊重され、認め合える環境を、命の大切さをもう一度見詰め直せる機会を教育委員会だけでなく市長部局も一緒に連携していってほしいと願います。 このことを強く要望させていただき、子供、青少年の生きづらさに関する質問は終わります。 次に、インターネット社会における子供の生活の変化について質問いたします。 7月27日、Mウイングで開かれました内閣府による第27回青少年のインターネット利用環境づくりフォーラムに参加いたしました。先ほど教育長がおっしゃった件だと思われます。 そこでは、自治体や公共機関、学生などがインターネットの利用についてそれぞれ課題提起をしていましたが、特に気になったのは長野県が県内60市町村を対象に、ことし5月に実施した青少年のインターネットの適正利用推進施策に関するアンケートの調査結果で、自治体が課題と感じていることの第1位はインターネット利用の低年齢化、第2位はインターネット依存の増加、第3位はインターネットを通じたトラブル・犯罪、被害の増加と続いていたことでした。 また、松本市が実施した実態調査においても、既に小学校3年生の時点から親と共有して使うことのできるスマートフォンを持つ児童が目立ち始め、6年生になると自分のスマートフォンを持つ生徒の数は、3年生のほぼ2倍となることがわかっています。また、中学1年生から自分のスマートフォンを持つ生徒数は、親と共有あるいは持っていない生徒数よりも多くなっていることがわかっています。 子供たちはスマートフォンで一体何をするのでしょうか。最も多いのは動画の閲覧です。次に小学生の場合は断トツでゲーム、中学生は情報検索、ゲーム、音楽と続いています。スマートフォンの使用に当たっては、特に中学生において家庭でのルールを設けていないケースも多く見られ、青少年のインターネットとのつき合い方に対し、課題が浮き彫りになりました。今の子供は、外で遊ぶよりも家でスマートフォンを使って遊ぶ子のほうが多いということです。 本市には、青少年の健全育成を目的に設置された青少年育成センターがあり、補導委員が市内の巡回活動を行っています。青少年育成センター設立の背景と現在の活動内容について伺います。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 青少年育成センターは、昭和27年に当時の京都市警察本部に設置された少年補導所が始まりとされています。それ以降、全国各地で設置が進み、地域社会におきまして、青少年育成に係る活動拠点として、機能してきました。 当時の青少年の問題とされていた主なものは、成人映画、飲酒・喫煙、薬物、この当時薬物はシンナーでございますが、それから遊技、これはパチンコです。本市では、昭和43年に青少年の健全な育成及び非行化防止を目的に設立されました。 補導委員の活動内容でございますが、121名の補導委員が1年間に1人当たり20回ほど日中や夜間に中心市街地と地域を巡回し、子供たちへの声がけ、コンビニエンスストアやカラオケ店、ゲームセンターなどに立ち寄りまして、子供たちの様子を聞くなど、いわゆる愛の一声による補導活動に取り組んでおります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 それでは、市内の巡回活動について具体的にお聞きいたします。 今から15年ほど前でしょうか、補導委員が花時計公園を巡回中、女子トイレの床に女子数名が座り込んで、温水トイレ用の電源を使ってホットプレートで鍋をしていた現場に遭遇したことがあったそうです。まさか温水トイレ用の電源を使うとはと、子供の発想に驚きつつ、一部の補導委員の間で語り継がれているそうです。 現在の状況はどうなのでしょうか、補導委員が巡回中に補導した子供の人数の推移について教えてください。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 まず、補導委員が行う補導活動は、特別な権限を持つものではなく、非行に走りそうな青少年を正しく導くよう声がけを行うものでありまして、その数を補導した人数としております。 人数の推移でございますが、10年前のデータを見ますと、補導した子供の数は700人から1,000人ということで、その内容は喫煙やゲームセンター、パチンコでの補導が多くを占めていましたが、昨年度の補導数は230人で、10年前の4分の1から5分の1となりまして、内容も危険な自転車の乗り方あるいは小・中学生だけでのゲームセンターの出入り等となりまして、件数、内容ともに変化してきている状況であります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 自転車の乗り方についてのことが多かったということですけれども、非行に走りそうな青少年に愛の一声をかけるというその活動において、自転車の乗り方の悪さを非行の前段階と受けとめてしまうのは、ちょっと厳しいかなとも思っておりますが、愛の一声ということのほうを中心に考えて活動していらっしゃるのかなとも思います。 何はともあれ、巡回する側としましては、何とかやはり活動しているということを報告しなければならないからだと思いますけれども、ただそれは大人の事情ではなかろうかというふうに思っております。 こうした状況に対して、青少年育成センターに係る経費とそれに見合った活動になっているかどうかということをお伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 今年度の青少年育成センターに関する予算は1,079万円でありまして、その主なものは報酬の943万円でございます。 内容は、日中、夜間を合わせ延べ約2,500回の補導活動に対するもので、そのほかには費用弁償、消耗品等を計上しているものであります。 補導活動には、年間を通して行われる通常の巡回のほかに、長野県が実施する青少年に有害な地域環境実態調査といたしまして、コンビニエンスストアなど、市内にある約280件の店舗を1軒1軒立ち寄り、有害図書の有無、それからWi-Fi状況の聞き取り調査なども行っているところでございます。 このような活動により、実際巡回する店舗からは、万引の未然防止につながっているという声や下校時に巡回することで、子供たちの安全、安心につながっていてありがたいというような声も聞かれております。 人と人のつながりが薄くなっている今だからこそ、地域の大人が子供を見守り、声をかけるということの意味はあると考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 登下校時の見守りにつきましては、例えば民生・児童委員とか、報酬のない地域の見守りボランティアですとか、PTAなどによっても行われているものであり、補導委員活動そのものの効果とするにはどうなのかなという点が少しあります。 それから、万引防止についても、補導委員の巡回時間帯にそもそも子供がいないというところも指摘されておるわけでして、未然防止ということに関しても、議論が分かれるところかなというふうには思っております。 青少年育成センターの活動内容、目的に対しまして活動実績とかかる諸経費について、これが市民に理解されるものとなっているのかなということは、もう一度検証する必要があるのかもしれません。市民の特に保護者世代からは、その経費はもっと必要なところに回すべきではないのかという声も上がっています。 インターネットの普及や子供の生活スタイルの変化によって、まちに子供の姿が見えなくなりました。青少年育成センターの非行から青少年を守るという取り組みは、それはそれで当時の時代のニーズへの反映だったと考えられますので、その役割としては必要なものであったと思っております。しかし現在、その役割が今でも継続するに等しいのかどうかと判断すれば、やはりそれは議論が分かれるところかなと思っておりますので、現在はその役割は果たしたと判断してもいいのではないかと思っております。 子供、青少年を取り巻く諸課題というものは、既に新たな問題にシフトしているのでありまして、より深刻で、より喫緊の課題に対応できるよう体制を構築し直していくべきではなかろうかと思います。 青少年育成センターの役割に立ち返ったときに、設立当時と現代では状況が変わったことは明白です。新たな課題に対してどう捉えているか、また今後のあり方について伺います。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 先ほども申し上げましたが、当時は成人映画、飲酒・喫煙などが主なものということでありましたが、今の子供たちは街頭で補導される件数は減っていますが、議員ご指摘のとおり、スマートフォン、インターネットに依存する傾向が強く、家の中ではオンラインゲームに過度に集中したり、SNS、LINEによるいじめなど、インターネットトラブルが発生するなど、目に見えない形での新たな課題が生じておりまして、大変憂慮しているところであります。 青少年の健全育成を目的とした青少年育成センターとしましては、これらの課題を含めて取り組んでいく必要があると思っておりますが、表にあらわれない課題への対応をどう行うのか、難しい面もございます。 しかしながら、このような街頭にいる子供の数の減少、そして子供たちの生活スタイルの変化による新たな課題を考慮し、補導委員の活動内容や人員の見直しについて巡回による効果を十分踏まえつつ今後検討してまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 国内他都市も同様の青少年育成センター条例が多くありますが、子どもの権利に関する条例を制定するなど、先駆的な立場である本市としてあるべき取り組みとはどのようなものでしょうか。本市の青少年育成センター条例の改正も含め抜本的にこの体制を見直して、子ども・家庭支援センターなど、より現代の諸課題に対応できる体制にシフトすることも考えてみるべきではないかなというふうに思っております。 市民からは、学童保育の人件費やネットパトロールの人件費などに回してほしいという声も聞こえてきます。また、親たちが既に我が子の属するインターネット社会についていけずに、不安を抱える声もあり、親たちも子供に教えるための危機管理意識を身につけたいなどと強く思っているようです。 こうした時代を的確に捉えたニーズへ迅速な対応をいただけますようお願い申し上げ、以上でインターネット社会における子供の生活の変化についての質問は終わります。 それでは、現代の子供、青少年を取り巻く諸課題について、3点目、親によるしつけと称する体罰について質問させていただきます。 近年、親からの体罰により子供が死亡する事件が相次いだことを受け、ことし6月に児童福祉法が改正され、親による体罰禁止が明記されました。 しつけと称する体罰の実例を挙げますと、仙台市で12歳の息子に暴行を加えたとして、父親が傷害容疑で逮捕された際、しつけだったと供述、千葉県野田市で小学校4年生の女児が死亡し、父親が逮捕された事件でも同様の供述をしています。 一方、子供を支援する公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが約2万人を対象に実施した意識調査では、大人の約6割が体罰を容認、子育て中の親では約7割が実際に体罰をした経験があると回答していることがわかりました。 児童福祉法は改正されましたが、民法第822条で認められているのが親の懲戒権です。この規定は体罰によるしつけを正当化しているとして、2011年の改正では削除をめぐって議論がありました。結局、懲戒権の削除については、親がしつけもできなくなると誤解されるなどの理由で見送られた経緯がありますが、懲戒権が残るのは、体罰は時に必要だという意識が社会に根強いためとされています。 実際、今も放映されている誰もが一度は見たことがあるであろう日本の人気アニメの中では、母親が子供の尻をペンペンたたいて指導を行うような表現が使用されていますが、こうした内容について批判的な意見が少ないように思われます。 このような中、家庭内ではしつけと考えられている体罰について、行政では家庭に対しどのような対応ができるのか、お伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 議員ご指摘のとおり、ことし児童福祉法が改正されまして、体罰が虐待に当たると明文化されました。 松本市では、以前から子供がおそれるような体罰は虐待と捉えまして、家庭に入って対応を行ってきております。 具体的には、子供の泣き声が続いているといった通報や保育園や家庭からの相談がありますと、家庭訪問等により保護者の育児に対する悩みを聞きながら、どのようなときに体罰を行ってしまうのか、確認をするとともに、体罰はしつけではなく虐待であることを理解していただくよう働きかけを行い、改善を求めております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 ただ、体罰はだめですよと言ったところで、親も子育てに必死ですから、うまくいかない場合もあろうかと思います。 特に、誰もがまずは自分が育てられた方法で子供を育てることが基本でしょうから、よく親からたたかれた子は、自分が親になったときに無意識に子供をたたいているかもしれません。自分が経験したことのない育て方でちゃんと子供をしつけられるのか、不安になる方も多いかもしれません。 先ほど紹介したセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査結果のように、私たちの6割は体罰を容認し、しつけのためなら、時にやむを得ないと感じている現実を踏まえると、こうした意識からの脱却は時間がかかりそうだと感じます。 しかし、そうはいっても体罰は恐怖心で子供をコントロールする行為であり、虐待につながるおそれがあるだけでなく、虐待そのものの場合もあります。さらに、子供の脳の萎縮を招き、発達に深刻な影響を及ぼすおそれのあることも、近年の研究によって明らかになってきています。 したがって、親の行動変容を促すためには、体罰にかわるしつけのあり方を知ってもらうことが重要だと考えます。社会全体にどう働きかけていくべきか、市の考えをお伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 まず、個別の家庭に対する働きかけにつきましては、家庭訪問の際に体罰にかわるコミュニケーションの方法を提案しております。これはペアレントトレーニングと呼ばれ、保護者に正しいしつけの方法を習得していただくものでありまして、市以外にも病院や児童相談所など多くの機関で受けることができます。 こうしたコミュニケーションの方法が社会全体で共有され、体罰が減少していくことが大切であると考えられます。 市といたしましては、個々の家庭にお伝えしているほか、出前講座等の開催により、しつけのあり方に対する理解を深めていただくよう求めております。 さらには、広報や児童虐待防止推進月間におけます啓発活動を継続し、地道に社会全体への浸透を図ってまいりたいと考えております。 また、年内をめどに厚生労働省から禁止体罰の範囲などを示すガイドライン作成の方針が示されておりますので、しつけと体罰がどのように分けられ、国民に周知されるのか、注視してまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 体罰を法律で禁止する国はスウェーデン、ドイツなど数十カ国以上と言われています。どこからがしつけで、どこからが体罰だと明確に線を引くことは、現実的には難しいかもしれませんが、大事なことはこのくらいならいいだろうという、意識そのものをまずは変えていかなくてはならないのだろうと思います。今後の市の取り組みに注目したいと思います。 以上で1件目の子供、青少年を取り巻く諸課題に関する質問を終わりといたします。 次に、観光政策についての質問に移ります。 長時間滞在を目指す本市の取り組みについて、私自身の経験を踏まえながら質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。 市長公約では、大胆な異次元の観光振興により、地域経済全体を活性化しますという記載もあり、いろいろお聞きしたいところですが、時間の制約上、夜の松本の魅力の掘り起こしなど、新たな楽しみ方の模索、発信に絞りお聞きいたします。 松本は観光資源に恵まれており、ありがたいことにさまざまな方から松本は楽しい、松本が好きというお声をいただいております。こういう方々に夜のまちの楽しみ方をご紹介すると、さらに松本を好きになってくれます。理事者の皆様も行きつけの小さな個人飲食店がおありと思いますが、こうしたお店に行って、店主と気軽に声を交わしながら飲食も楽しむという、その何げない日常が他の地域にお住まいの方、特に大都市圏の方を感動させるようです。 一方、例えば週末は雨というようなニュースが出ると、観光客のキャンセルが相次いでしまうのがサービス提供者の悩みの種ともなっています。 このように、夜の松本の楽しみ方や雨の日の楽しみ方などを、もっと積極的に発信していくことが必要ではないかと感じています。 私もよく松本の紹介の際に使う新まつもと物語は、コンセプトがとてもすばらしい広報サイトだと思います。行政の苦手とするピンポイントの情報提供は、民間の力でフォローされており、松本の魅力を知っていただくには、非常に役立っています。 こうした新たなテーマでの情報発信が積極的にできれば、より松本の魅力が幅広く伝わるのではないでしょうか。体験型観光スポットの情報発信とあわせ、見解をお聞きします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 平成29年度に大幅なリニューアルを行いました松本市の公式観光ホームページ、新まつもと物語でございますが、日本フォトツーリズム協会が主催をいたしますフォトジェニックサイト・アワード2018において、ベストテンに選ばれるなど、外部からも高い評価をいただいているところでございます。 現在、このホームページには、食べる、呑む、買うといった個別のメニューはございますが、松本の夜や雨天時の過ごし方をテーマとしたメニューは掲載をされておりません。夜や雨天時の過ごし方をサイト上でご紹介をすることは、滞在型観光の推進を図る上で、大変重要なことだと考えますので、新まつもと物語プロジェクトの皆様とともに今後検討してまいります。 また、体験型観光スポットの情報発信につきましては、松本市の事業として、本年8月から着付け体験やクラフト体験といった日本や松本ならではの伝統文化が体験できるイベントを年12回開催するとともに、加えて市内で体験可能なプログラムをPRするサイトを新たに立ち上げたところでございます。このサイトにつきましては、新まつもと物語のホームページから閲覧が可能となるように、現在準備を進めているところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 少し前から、ドラマや映画のロケ地を訪れる聖地巡礼の旅が人気を集めています。松本市でも多くのロケが行われてきています。大竹しのぶさん主演の「水色の時」は、松本が舞台だったとのことで、理事者の皆様にとっては懐かしく思い出される方も多いのではないでしょうか。 「白線流し」がはやった年は、ロケに使われた信州大学の出願倍率がかなりふえたことを覚えています。 また、アニメ「お願いティーチャー」では、あがたの森文化会館の建物や敷地の様子がそっくりそのまま高校の校舎として登場していますし、「神様のカルテ」、「orange-オレンジ-」などにおいては、もはや言うに及ばずです。 このように、ロケ地をめぐる聖地巡礼は、その作品好きの人にとって、必ず訪れたいスポットなのですが、その情報収集はなかなか大変なのだそうです。ということは、本市における観光モデルコースの一つになり得ると考えられますので、聖地巡礼コースの情報提供が現在どのようになされているのか、お伺いいたします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 ロケ地に関する情報提供につきましては、一般社団法人松本観光コンベンション協会が映画、テレビのロケ地ロケーションガイドマップを作成し、観光情報センターなどの窓口で配布をしております。 また、同じく主にこちらは映画やドラマの制作者向けでございますが、松本ロケーションガイドというロケ地紹介サイトを立ち上げているところでございます。 なお、新まつもと物語のホームページにおきましては、現在「orange-オレンジ-」の特集ページを掲載しており、映画やアニメなどで舞台となりました観光スポットなどの情報を発信しているところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 誘客効果が期待できるコンテンツの一つとして、ホームページ上に聖地巡礼コースを掲載して、観光モデルコースの一つとしてPRすることを要望いたします。 さて、近年は行政視察や交流事業等で来松する方もふえています。こうしたお客様に対して、現在どのような方法で観光情報を提供しているのか、お聞きします。 これに関連し、職員の皆さんは担当課同士のやりとりや仕事先とのやりとりでメールをお使いになることが非常に多いと思いますが、アドレスの署名欄に新まつもと物語のアドレスを付記したり、名刺にQRコードを記載するなどして、事前に観光情報を提供するような工夫ができないものでしょうか。事前に情報が伝われば、より効果的に松本の魅力をお伝えすることができ、来松される方が滞在時間を有効に過ごせるようになります。ご見解を伺います。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 行政視察などで松本市を訪れた方には、現在、総合パンフレットやまち歩きマップ、季節ごとのイベントパンフレットなどをセットにいたしまして当日お渡しをしております。 議員ご指摘のとおり、本市を訪れる前に、観光情報を入手いただき、訪問先を事前に検討していただくことが長時間滞在にもつながるものと考えますので、メールアドレスの署名欄等を有効に活用し、新まつもと物語のホームページに誘導できるように取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 最近は、お子様の受験などの際にご両親が送迎し、待ち時間で観光したいと希望されるケースもふえてきているようで、ガソリンスタンドや土産物店などで、どこかいい場所がないか、尋ねる人も多いのだそうです。 そこで、新まつもと物語などのQRコードを記載した名刺ぐらいの大きさの簡易パンフレットを作成し、ガソリンスタンドやサービスエリアなどで配布してもらってはどうでしょうか、スタッフの方たちも尋ねられたら安心して応対できますので、喜ばれるのではないかと思います。ご見解を伺います。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 議員ご指摘のとおり、スマートフォンなどの普及に伴いまして、QRコードを読み取ることでインターネットにアクセスをし、情報を得るということが一般的になっており、QRコードを活用することは大変有効であると考えます。 公式観光ホームページの周知方法の一つとして、QRコードを記載した簡易パンフレットをどのように作成し、配布をしていくのか、具体的な配布方法や配布場所など、その手法について新まつもと物語プロジェクトの皆様とともに、今後検討してまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 ぜひ具体的な形でお取り組みされますように期待を申し上げております。 本市では、大型イベントでの誘客が定着したこともありまして、現在複数のホテルの建設が進んでいることは、先日の上條 温議員の質問の中にもあったとおりでございます。大型イベントの期間中は、それでもまだ部屋数が足りないというような話も聞いております。 一方、課題はイベントとイベントの間に宿泊者数を維持できるかという点でございます。今の松本が必要とする旅行者が松本に長時間滞在していただくための策として、夜の松本の魅力掘り起こしなど、新たな楽しみ方を提供する工夫が必要だと思います。 私はかつて、オーストラリアの語学学校に通い、しばらくそこで生活していたことがありますが、オーストラリアはイギリスの流刑地でしたので、刑務所を観光資源として残しているところがあります。デイツアーといって昼のツアーは刑務所の歴史や起こった出来事などを説明し、一方、ナイトツアーではスタッフの声色が変わり、ここはこういう犯罪を犯した凶悪犯罪者の独房だったとか、ここで処刑されたとか、ちょっとだけお客を怖がらせるパフォーマンスでの説明がされていました。今思えば、よく工夫されたツアーだったなと思っております。 姫路城もナイトツアーを開催し、LEDライトのちょうちんを持って庭園を散策したり、廊下を歩いたりできるようです。 そういった中で松本城の庭園を歩きながら二の丸の風俗の様子や敷地内で繰り広げられた騒動など、教科書には載らないようなエピソードを披露するなどして、今までとは違う新しい情報を発信できる松本城ナイトツアーなどがあれば、非常に魅力的だと思います。夜のアクティビティーとして松本城ナイトツアーが実施できないか、その可能性について伺います。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 現在、松本城では、歴史や文化を感じていただくためのイベントといたしまして、夜桜会や薪能、月見の宴を夜間開催しておりますが、開催に当たりましては安全性確保のための警備や会場管理のための人員配置を行い、体制強化を図っております。 また、実行委員会形式で開催されます国宝松本城太鼓フェティバルなどにつきましても同様でございます。 そこで、議員ご提案の松本城ナイトツアーでございますが、ご紹介ありましたとおり、他のお城でも開催されている事例がございます。松本城でも主催団体におきまして文化財保護や参加者への十分な安全対策が担保されていると認められる企画につきましては、開催できるものと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 今のご見解の中に、他市事例では観光コンベンションなどが開催しているというご紹介がありましたので、では観光政策としてのご見解を商工観光部長にお聞きしたいと思います。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) それでは、松本市全体の観光振興という観点からお答えをしたいと思います。 議員ご提案の松本城でのナイトツアーでございますが、観光客の皆さんに昼間では味わえない体験を通して、松本城の新たな魅力を知っていただくよい機会ともなりますし、また長期滞在を促す一つの施策として、ありがたい提案と受けとめております。 しかしながら、先ほど教育部長がお答えいたしましたとおり、まずは参加される皆さんの安全確保、文化財保護の対策が第一でありますので、今後他のお城での事例も参考にしながら、研究をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 大いに研究してください。 これからインバウンドもふえて、彼らにとって魅力のある観光政策が必ず求められていきます。特に欧米からの観光客は長期間旅行する傾向があります。昨晩もコンビニエンスストアに来ていた外国の方と話したら、彼らは何と3週間松本に滞在しているそうです。松本市内での体験型コンテンツをふやしたり、ツアーをつくり出すことは、こうした外国人観光客の滞在を長期化させる効果が期待できます。この件は、また別の機会に扱います。 次に、松本城の公共トイレについての質問をいたします。 春に議会への手紙で、松本城敷地内の公共トイレを広く使いやすくしてほしいという趣旨のご提案をいただき、議長からの要請で教育民生委員長として対応させていただきました。ただし、松本城の敷地内は制約がありまして、工事等は国の許可がないとできないということで、この説明に関してはご納得されましたけれども、黒門南側のトイレに長蛇の列ができているから、おもてなしの精神で、もっと待たなくていいようにしてあげてほしいといったご要望をいただきました。 そこで、トイレの利用を注視しましたところ、確かに黒門南側のトイレが混雑している場面が見受けられました。この場合についてどのように対応しているか、お伺いします。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 議員ご紹介のとおり、黒門南側のトイレは、松本城の正面入り口に当たることから、日常的に利用が多く、特に繁忙期には利用者が並ぶ状況が見受けられます。 このため、建物入り口には、公園内のトイレの配置図や最も近い博物館のトイレが利用できる旨を掲示しております。 また、お困りの際には職員やボランティアガイドの皆さんにより、博物館を初め公園内のトイレをご案内しております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 博物館移転後の対応については、どのようにお考えでしょうか。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 現在、松本城公園内には、議員からご紹介がありました黒門南側のトイレのほかに、本丸内に2カ所、二の丸内に2カ所など、計5カ所、また開智駐車場など公園外に2カ所を加え、計7カ所設置しております。 博物館の移転後につきましては、これらのトイレをご案内するなど、丁寧な対応に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 公園内のトイレの利用状況には差があるようです。利用の少ない場所を廃止して、人通りの多い場所に設置するなどの再配置の検討ができないか、お伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 議員ご指摘のとおり、トイレの利用状況に差があることは承知しておりますが、公園内への出入り口各所に適切に配置しており、特に繁忙期やイベント開催時には多くの皆様にご利用いただいているのが現状でございます。 ご案内のとおり、公園内は国の史跡であることから、議員ご提案のトイレの廃止、新設などの再配置につきましては難しい状況でございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 再配置ができないのであれば、黒門南側から最も近い場所に大手事務所がありまして、ここにもトイレがあります。誰からも目につきやすく、入りやすいように改善することが必要だと思いますが、もし再配置ができないのであれば、こういった場所のトイレを利用していただけるように工夫していく必要があると思います。例えばトイレにつながっていく内壁とかあるいは松本城内のトイレの内壁なども、気持ちが明るくなるようなクロスを張ったりとか、ソフト面での入りやすさ、使いやすさを工夫していただきたいというふうに思いますので、要望としまして観光政策の質問は終わりにいたします。 それでは、病院建設の今後のスケジュールと波田駅周辺のまちづくりについてですけれども、まず病院建設事業の今後のスケジュールについて、経営改革の達成状況に対する判断、具体的にいつの時点での判断を考えておられるのかお聞きします。 また、市立病院の現状及び公立病院としての性質上、経営と建設を明確に分けて考えることは難しいと思われますので、再スタートと経営改革は同時に進めていくべきではないかと考えますが、ご見解をお聞かせ願います。
○議長(村上幸雄) 斉川病院局長。
◎病院局長(斉川久誉) お答えいたします。 まず、経営改革の状況につきましては、補足説明で若干申し上げましたが、具体的な数字を交えて改めて申し上げますと、昨年10月からの経営改革の取り組みにより、患者数が増加し、11月から単月決算が黒字に回復しており、3月まで5カ月間の収支は6,340万円の黒字でございました。 この状況は、今年度も良好に推移しており、4月から8月末までの1日平均患者数は、速報値でございますが、前年度同期14.6%増、平均病床利用率は86.6%で、今年度当初予算の病床利用率目標値80%を上回っている状況でございます。 これらは医師、看護師など全職員が挨拶プロジェクトを通して、患者さんを大事にする意識を徹底し、断らない病院に懸命に取り組んでいる結果でございます。 いずれにしましても、まずは9月末までの上半期の経営改革の達成状況を精査してまいります。 1つ目のご質問の達成状況の判断につきましては、改定後の新公立病院改革プランでは、令和2年までの単年度黒字を達成目標としておりますので、今年度決算の黒字の達成が建設事業再スタートの判断基準になると考えております。 2つ目のご質問、建設事業につきまして、改定後の新公立病院改革プランの黒字達成目標を達成した後は、累積赤字を解消すべく中期事業計画を策定して、経営改革をさらに継続してまいりますので、建設事業と経営改革は同時並行で進めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 現在黒字であり、まずは上半期の状況、そして今年度決算の黒字の達成が判断基準になり得るというご見解、そして建設事業と経営改革も同時並行で進めていくとのご見解は、市立病院を必要としている市民の皆様にとって、一筋の光が差したのではないかと思われます。今回のご見解を大きな一歩であると判断させていただきます。 西部地域とそれ以外の地域との医療格差が2.4倍にも広がっているという状況であること、また分娩数は、市内全域で減少していても、帝王切開などハイリスク分娩を引き受けている市立病院は、民間病院にとっても必要な存在であることなどを考慮すると、西部地域のセーフティーネットとしての役割を果たし続けることが求められております。引き続き全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げます。 病院移転後の波田駅周辺のまちづくりにおいては、本年2月定例会にて質問させていただきました信州地域デザインセンターとの連携を検討するとのことでしたが、改めてどのような組織でどういった連携をしていくのか、お聞きいたします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えいたします。 長野県は、市街地の活性化と快適な生活空間の想像や未来に続く魅力あるまちづくりの実現を推進していくため、本年8月7日に長野市の善光寺へ通じる中央通りに信州地域デザインセンター、通称UDC信州を設立いたしました。 このUDC、いわゆるアーバンデザインセンターとは、公・民・学が連携し、まちづくりの拠点として活動する新たな形の組織であり、長野県と独立行政法人都市再生機構、株式会社まちなみカントリープレス、東京大学、信州大学が構成団体となっております。 全国では20番目の設立となりますが、ほかの地域は特定のエリアを対象としているのに対しまして、県域全体を対象とする広域的な活動をする組織として誕生いたしました。 事業内容でありますが、県内市町村のまちづくりを支援するほか、市町村の職員を対象とするまちづくり人材の育成や県内外の情報収集及び情報発信を行っていくこととしており、今後県内のさまざまなまちづくり事業の課題解決や計画策定に向け相談、ご支援いただくことが想定されます。 新たな組織として今後の活動を模索している段階でありますが、今後松本市においては、都市計画や交通、景観などの計画策定や目的達成に向けた事業の選択などで連携を検討していきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 病院が移転しても、波田駅周辺は地域の核として、広域的な視点でにぎわいあるまちづくりを進めることが大切であります。 住民の中には病院跡地をバスターミナルや人が集えるバルとして整備し、波田駅から新島々駅間は鉄道の軌道を利用するバス運行にしたらどうかという声も出始めています。将来的な人口構成、物流を考慮した波田駅周辺のまちづくりについて、今後の見通しをお伺いします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えいたします。 議員ご提案のとおり、波田地区においては、市立病院や中部縦貫自動車道の建設など当面の課題はございますが、将来に向けたまちづくりにつきましては、広域的な視点と地域の特性を生かした方向性を見据え取り組んでいく必要があります。 平成25年3月に一部改定としてまとめました松本市都市計画マスタープランにおける波田地区の地域別構想では、波田駅周辺は公共施設が集積する松本西部地域の生活の核となる地域であり、鉄道駅周辺の利便性向上や鉄道の利用促進を課題として効果的な交通環境の整備を検討することとしております。この方針をもとに、平成26年11月に松本都市計画と波田都市計画を統合し、区域区分、いわゆる線引きを導入いたしました。このたび都市計画マスタープランの検証と見直しに着手したところでありますが、これは昨年度策定いたしました松本市立地適正化計画の目指す都市像を踏まえ、第7回定期線引き見直し作業と整合を図りながら、交通拠点周辺や郊外のコミュニティ維持に向けた地域拠点周辺の土地利用方針を見直すものであります。 前回の計画策定と同様に、さまざまな機会を捉えまして、地域の皆様からご意見をお聞きしながら、来年度中に地域別構想の見直しを含めた計画策定を行う予定としております。 波田駅周辺のまちづくりを進めるに当たりましては、市立病院跡地も重要な場所として多くの可能性があると認識しておりますので、交通結節点機能の向上といった視点も持ちながら進めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 ぜひ計画での位置づけをよろしくお願いいたします。 最後の項目、松本市内の公共交通の運賃格差についてですが、平成29年9月定例会で質問した際、建設部長から交通事業者への運賃の見直しを強く要望するとご答弁いただいております。その後の取り組みをお伺いします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えします。 松本市では、これまで高校生の通学にかかわる経費負担の観点から、アルピコ交通株式会社に対しまして、上高地線及び市内バス路線の運賃値下げにつきまして協議を重ねるとともに、強く要望してまいりましたが、運賃値下げには至っておらず、その結果、JR線や他のバス路線との運賃格差は是正されておりません。 アルピコ交通株式会社では、上高地線において定期券購入や観光客の利用者がふえていることによりまして、収入は若干回復傾向にあるとのことですが、経年劣化に伴う鉄道設備の更新に多額の経費を要すること、また、市内路線バスは、運行経費の増加に伴い赤字経営が続いており、行政から支援を受けていることからも、鉄道及びバスの運賃を値下げすることは困難な状況であるとお聞きをしております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 小林議員。
◆22番(小林あや) 〔登壇〕 そのような課題が多く、苦戦されているのであれば、一層上高地線の線路敷きを公共化して運行をアルピコ交通株式会社に委託すれば、運賃はぐっと下がるはずでございます。そろそろ松本市交通局をつくってもいいのではないでしょうか。 今回の件は提案のみとさせていただきまして、以上で私の質問の全てを終わります。ありがとうございました。
○議長(村上幸雄) 以上で小林あや議員の質問は終結いたします。小林議員は自席へお戻りください。 暫時休憩いたします。 再開は午後1時10分といたします。 午後0時休憩 ---------- 午後1時10分再開
○議長(村上幸雄) 休憩前に引き続き会議を開きます。 市政一般に対する質問を続行いたします。 23番 阿部功祐議員の質問を行います。阿部議員は質問者待機席へ移動してください。 23番 阿部功祐議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 発言の機会をいただきました会派、誠の会を代表して、若林議員、小林議員に続き、さきの通告に従い一部私見を交え、一問一答方式にて質問をいたします。よろしくお願いいたします。 質問に入る前に、うれしいニュースがありました。先ほど小林議員も冒頭申しておりましたが、森記念財団都市戦略研究所が昨日公表した国内主要72都市と東京23区を対象とする日本の都市特性評価2019について、昨年は13位という高い評価でありましたが、本年は第10位と、昨年を上回るさらなる高い評価をいただきました。松本市を環境分野及び生活・居住分野に大きな強みを持つ、美しい自然と居住環境の豊かさが調和した岳都であるというふうに紹介をしております。また、文化・交流分野でも、昨年よりランクアップ、21位から15位ということでありました。 このような結果が得られたことは、先輩方の取り組みに加え、これまで取り組まれてきた、昨日も成果と評価という質問がありましたが、まちづくりの評価であり、市長に対しましても敬意を表するところであります。 今回、文化と山岳の質問項目についてもさらなるランクアップ、魅力向上につながれば、そんな思いをしながら質問いたしますので、よろしくお願いいたします。 まず、日本浮世絵博物館との連携についてであります。 この日本浮世絵博物館に関して、これまで平成28年と平成29年に質問を行ってきております。これまでも詳しく述べておりますが、若干説明をいたします。 日本浮世絵博物館は、松本インターチェンジの西、島立小柴地籍、歴史の里に隣接をしております。収蔵資料は約10万点、量、質ともにすぐれており、世界一の収蔵であり、ミシュラングリーンガイドの二つ星の認定も受けており、最近は外国人の方が増加傾向となっております。民間施設ではありますが、松本市の大きな観光資源であると捉えているところであります。 これまで日本浮世絵博物館との連携などについて発言をしてまいりましたが、総合割引制度、タウンスニーカー西コース延伸、案内表示の取り組みが実施をされてきております。 加えて市制施行110周年の事業の一環として、松本市美術館での展示があり、浮世絵の持つ魅力を国内外に周知すると同時に、市民の皆様にも改めて貴重な財産であることへの意識を掘り起こすための機会となり、これまでさまざまな連携がされてまいりました。 以上のことからも、日本浮世絵博物館の存在は、松本市にとり大きな存在価値があると感じているところでありますが、今回まず初めに改めて日本浮世絵博物館の松本のまちづくりの中での存在価値についての見解を伺います。
○議長(村上幸雄) 菅谷市長。
◎市長(菅谷昭) 〔登壇〕 お答えします。 日本を代表する国際的文化遺産であります浮世絵を質、量ともに最も収蔵すると言われる日本浮世絵博物館は、我が国有数の浮世絵の殿堂であり、日本文化を保存・継承する上で、多大な功績と役割を担っているものと認識しております。 また、そうした文化財的な側面に加え、浮世絵はそのすぐれた芸術性からとりわけ外国人からの人気が高く、国が観光ビジョン実現プログラム2019に掲げている2020年の訪日外国人旅行者数4,000万人などの目標の達成にも一役買っている観光コンテンツでもあり、経済的な側面においても、さらなる潜在力を秘めていると考えております。 こうしたことを鑑みますと、日本浮世絵博物館は、我が国の歴史文化を伝承し、発信する、まさに日本の貴重な財産であり、松本の魅力を高める大切な資源であると考えております。 日本浮世絵博物館との連携につきましては、これまでも阿部議員からたびたびご提案をいただいておりますが、私自身も酒井館長と何度かお会いし、情報交換をさせていただいております。 私といたしましては、改めて市民の皆様を初め世界中の皆様に日本浮世絵博物館を知っていただき、浮世絵のすばらしさを肌で感じていただくとともに、それを育んでいる三ガク都松本のすばらしさも同時に感じていただけるよう松本の宝としてまちづくりに生かしてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 市長に答弁いただきました。 まちづくりに生かしていきたいということでありました。 2024年度から新紙幣の1,000円札のデザインに採用される葛飾北斎の神奈川沖浪裏があります。日本浮世絵博物館では、本年4月28日、ゴールデンウイークの初日の1日限定の特別展示をしたところ、たくさんの方が訪れたと聞きます。 また、平成29年、オーストラリアで開催した収蔵展でも大好評で、期間の延長をするほどであったといいます。北斎を初め江戸時代後期の浮世絵コレクションでは、世界最大の収蔵であります。 先ほどの答弁にもありましたが、日本の財産であり、松本の魅力を高める大切な資源であります。 また、来年は東京オリンピックの年であり、国の訪日外国人促進施策もあり、今後ますます外国人旅行者の増加が見込まれております。 加えて、日本浮世絵博物館が積極的に連携や周知活動に取り組まれ出したことは、現在の酒井館長が就任してまだ3年のことであり、国内外への発信についても今後大きく期待をされるところであると感じております。 国内、市内においてもまだ知られていない方も多い施設であり、今後松本の魅力を高める大切な資源としてさらなる連携の必要性を感じ、日本浮世絵博物館を活用した観光誘客にどのような取り組みを行っているのか、また今後についてお伺いいたします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 日本浮世絵博物館につきましては、新まつもと物語のホームページや観光パンフレットにおきまして多言語で紹介をしております。また、国・県や3つ星街道観光推進協議会などの広域観光団体が実施をいたします海外メディアや旅行会社の招請事業におきまして、視察コースにこの日本浮世絵博物館を入れるようにしております。 さらに、昨年9月に開催をされました日本最大の旅行博、ツーリズムEXPOジャパンに出展した際には、日本浮世絵博物館の協力を得まして、浮世絵のはがきをつくる体験アトラクションを実施するなど、松本市の観光コンテンツの一つとして活用させていただいております。 今後も引き続きさまざまな観光情報サイトやSNSも活用しながら、国内外に向けてさらなるPRを行ってまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 今答弁にはがきをつくる体験ということがありました。昨年とことしの夏には、浮世絵のすりの実演と体験イベントの開催がありました。昨年は神奈川沖浪裏の実演があり、すり体験では日本浮世絵博物館がオリジナルで作成した松本城の4色ずりのすり体験があり、私も体験をしました。夏休みとあって子供の参加もあり、このような体験も誘客にはとてもいいのではないかというふうに感じたところであります。さらなる官民連携の取り組みとして提案をしたいと思います。 松本市の博物館の収蔵品についてでありますが、浮世絵に関連するものとして何があるのかを調べました。2点について紹介をさせていただきます。 草双紙と松本押絵雛の2つであります。草双紙というのは、江戸時代中期から後期にかけて流行した大衆的な絵入りの小説本で絵草紙ともいいます。中でも江戸時代後期の合巻を指し、草双紙は時代が進むにつれて、筋書きが複雑化して長編になっていきます。長編化するに従い、1冊のページ数がふえて、数冊を合冊するようになりました。これを合巻といいます。合巻は刷付表紙といって、色鮮やかな多色刷りの浮世絵である錦絵を表紙としているのが特徴であります。今月9月の広報まつもとの表紙に使われていました松本中学校開校式繁栄の図、これも錦絵で3枚続きの図柄の左の図が使われていました。草双紙の表紙もこの錦絵と同じで上下2冊の表紙を左右の続いた図柄としたものや上中下巻の3枚続きの図柄、そして北雪美談時代鏡というものに至っては48編にわたって連綿と続く絵柄にまで発展をしたといいます。本市の博物館には、草双紙が収蔵をされています。 次、松本押絵雛についてでありますが、これは松本の伝統工芸品であり、ひな祭りの際に飾ることが有名であります。押絵雛の題材は内裏雛のみならず、当時江戸や上方で流行した浮世絵の人物を立体的にクローズアップさせ、つくり出した作品も多く存在をしております。江戸時代の中期には押絵雛の手引書も出版され、1790年代、寛政年間には浮世絵師の勝川春英がおし絵形という押絵雛の下絵となる浮世絵を描いております。 このようなことから、松本市収蔵の草双紙や松本押絵雛についても、浮世絵とのつながりが考えられると思います。 市立博物館と日本浮世絵博物館の連携は、松本市まるごと博物館構想の理念に沿った活動と考えます。 そこで、博物館が収蔵する草双紙や押絵雛といった浮世絵との関連の深い資料を活用して、日本浮世絵博物館とさらなる連携ができないか、お伺いをいたします。
○議長(村上幸雄) 山内教育部長。
◎教育部長(山内亮) お答えをいたします。 まず、草双紙でございますが、議員から詳しく解説をいただきましたが、時計資料とともに寄贈された資料で、現在時計博物館に所蔵されております。昨年、日本浮世絵博物館のアンテナショップが伊勢町通りに開設されたこともあり、時計博物館での企画展の開催などにより、相互の来館者増加が期待できます。 また、もう一つの松本伝統工芸品である松本押絵雛は、博物館本館に所蔵されており、節句の時期に馬場家住宅などで展示をしております。江戸時代には多色刷りの浮世絵である錦絵を題材とした押絵雛があることから、日本浮世絵博物館との共同企画により、その存在や魅力について多くの皆様にお伝えすることができます。 このように、博物館には浮世絵と関連する資料が所蔵されておりますので、まずは両館の学芸員同士の交流を進め、さらなる連携を深めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 答弁いただきまして、学芸員同士の交流ということが言われました。 今回提案しました草双紙、押絵雛ともに、これまで余り市で展示がされていないものであるというふうに思います。市民の財産であるこれらが市民の目に触れることになるよいきっかけとなりますので、また学芸員の皆さんの意見をいただきながら、ぜひとも開催につなげていただきたいというふうに期待をしながら、以上で1件目の質問を終わりにいたしまして、次に、岳都・まつもとについて、上高地について質問を行います。 上高地は、槍・穂高連峰を中心とした北アルプスの3,000メートル級の山々とそれらの山深くに開けた梓川の渓谷からなる特別名勝及び特別天然記念物に指定された日本が世界に誇る
山岳景観地であります。 そのすばらしい自然と景観を求めて、国内外から多くの観光客や登山者が訪れております。河童橋周辺は、以前は日本人が圧倒的に多かったと思いますが、近年は外国人観光客が大分ふえてきたように感じられます。国内旅行は少子高齢化や娯楽の多様化など、長期的な縮小傾向にありますが、日本への外国人旅行客は国のインバウンド政策により増加しており、東京オリンピック開催に向けても増加傾向であると言われております。 上高地の入り込み数は、過去には200万人ほど来ていた時代もありましたが、最近は国道158号の道路状況を見ても以前ほど渋滞をしていないように感じます。 山岳の岳都を掲げる松本市として、世界に誇る上高地の魅力を発信し、訪れていただいた皆様に、上高地に来てよかった、また来たいと思っていただけるような対応が必要とされているのではないでしょうか。 ただし、最近ではオーバーツーリズムに悩まされている観光地もあります。観光地が受け入れられる許容範囲を超え、自然環境への影響や混雑によって快適な利用環境が阻害されることのないよう、一定のバランスの中で継続的に訪れていただけることが重要であるというふうに考えます。 そこで、質問でありますが、上高地の入り込み状況の変化についての見解を伺います。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 上高地への入り込み客数は、平成6年の208万人をピークに減少に転じましたが、近年は120万人台で推移をしておりまして、平成30年は123万8,100人でございました。 減少の最大の要因は、平成16年に実施されましたバスの入山規制でありますが、そのほかにも景気の後退や団体旅行の減少などが要因として考えられます。 一方、アジア諸国の経済成長などにより、訪日外国人が増加をする中、上高地においても外国人観光客が急増しております。平成30年の外国人観光客の宿泊数は、平成26年と比較して約2倍の1万2,251人となっております。 以上、申し上げましたように、外国人観光客の増加もありまして、近年の入り込み客数は120万人台で安定して集客が維持されております。 旅行者の国際化が進み、そのニーズも多様化している中、今後は国際的な山岳観光都市として、観光の質をなお一層向上させることが重要であります。旅行者に満足いただけるよう、例えば誰もが必要とする情報通信や公衆トイレなどの環境整備が必要であると考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 答弁いただきまして、120万人台で安定しているということで、ちょっとどこが基準かわかりませんが、安定ということでありますが、そして環境整備が必要という答弁もありました。そういう中で国際的な山岳観光都市として、観光の質を向上させることで、旅行者の満足度を高めたいということでありまして、私も観光は量より質が大事だというふうに考えているところであります。継続的な入り込みを確保するために、上高地の自然を守りながら、環境を整備していかなければいけないというふうに思います。 平成22年、特別名勝及び特別記念物上高地保存計画を策定しました。その後、中部山岳国立公園上高地連絡協議会が平成23年に設立され、上高地の現状と課題や目指す姿、適切な連携、役割分担のもと、さまざまな取り組みを進め、協働型の管理体制を構築し、現状と課題、取り組み内容を共有した上で、世界最高水準の山岳公園づくりを目指して、上高地ビジョン2014が策定をされました。 そして、この上高地ビジョンにおける行動計画を踏まえ、松本市の対応方針として、具体的な取り組み事項を目標期間別の計画として、上高地対策短期・中長期計画が策定をされております。 満足度向上のため、環境整備が必要でありまして、この計画や以前の私の質問、そして我が会派に属しておりました忠地義光前議員の昨年の質問をもとに、以降、上高地に関する質問をしてまいります。 まず、公衆トイレ整備についてであります。 上高地の市営公衆トイレは、大正池、明神、徳沢の3カ所あります。利用度が高いトイレとなっている中、くみ取り式で老朽化、におい、そして衛生面の懸念があり、また和式も多く、最近では携帯電話を落としてしまうという話がふえている状況を、地元関係者からお聞きをしております。また、昨年は地元から早期改修の要望も提出をされております。 トイレの整備には多額の費用がかかるというふうに思いますけれども、昨年の答弁では大正池公衆トイレは、環境省直轄での整備が決まったということでありました。また、それ以外のトイレについては関係機関との連携を図りながら、早期の整備に向けて取り組んでいくとのことでありましたが、外国人観光客の増加などもあり、洋式化など早期の改修が地元からも強く要望されていますが、現在の公衆トイレの整備状況についてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 上高地のトイレ整備につきましては、昨年9月定例会におきまして、忠地前議員からの同様のご質問にお答えしておりますが、その後の経過と今後の取り組みについてお答えをいたします。 上高地にあります大正池、明神、徳沢の3カ所の公衆トイレは、長野県が整備をし、現在は松本市が管理を行っております。公衆トイレは外国人を含め誰もが利用する重要な施設であり、その再整備は山岳全体の最重要課題の一つであります。 地元から早期改修の要望を受ける中で、松本市が3カ所全てのトイレを整備することは負担が大きく、また国立公園の利用上、極めて重要な施設でありますことから、環境省へ直轄整備の要望を行ってまいりました。その結果、大正池の公衆トイレは環境省が直轄で整備をしていただくことになりました。昨年から事業に着手をしておりまして、令和4年度には工事完了の予定となっております。残りの2カ所、明神、徳沢の公衆トイレにつきましては、松本市が国の補助金を活用し、改修を行う予定でございます。そのため、現在整備計画の策定に取り組んでおります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 答弁をいただきました。方向性が示されてきたと思います。 トイレの整備というのは、上高地の最重要課題の一つであります。岳都・松本として外国人観光客や子供たちにも使いやすいトイレにしていただくよう、早期に着手をお願いしておきたいと思います。 続いて、上高地の情報インフラ整備についてであります。 この件については、平成27年9月に質問を行い、その後の状況ということも含めて質問をいたします。 上高地エリアは、火山活動を続ける焼岳があり、豪雨による土砂流出などの災害も多く、防災面についても課題があります。平成23年、上高地に通じる県道と国道158号の2カ所で大規模な土砂崩れが発生し、観光客など1,200人が足どめとなり、この際も通信設備の強化を求める声が上がりました。 そして、この災害を契機に、情報通信体制の強化・充実や観光客、登山者、宿泊関係者等の不特定多数に対する危機管理対策として、携帯電話不感地対策として大正池から河童橋、明神、徳沢を経由して、横尾に至るエリアにおいて、携帯電話の利用が可能となりました。 しかし、基地局の整備はされたものの十分でない状況があり、特に横尾地区では一定程度の利用により、不通状態になる状況があり、エリア全体では一層の通信環境整備の必要性について以前指摘をしました。上高地対策短期・中長期計画にも記述をされております。 そこで、質問でありますが、防災対策及びインバウンド対応を踏まえ、Wi-Fi通信も可能な高速インターネット環境整備の現在の状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄) 嵯峨総務部長。
◎総務部長(嵯峨宏一) お答えいたします。 上高地の高速インターネットを初めとする情報通信インフラの整備は、民間による整備を基本とし、松本市では電気通信事業者へ要請するとともに、国の関係機関との協議・調整に協力してまいりました。 その結果、本年4月からはNTT東日本による高速インターネット接続サービスが大正池から河童橋までのエリアについて開始されております。さらにNTT東日本が計画中の高速インターネット接続サービスの順次展開に当たっては、国土交通省松本砂防事務所が所有する情報管路をお借りすることについて、松本市がかわって協議を進めています。この後、明神、徳沢、横尾というように順次展開がされると聞いております。 上高地は、国立公園内であり、かつ自然条件も厳しい環境にありますが、NTT東日本によるサービスが早期に実現するよう国の関係機関との協議・調整に関して、これまで同様、最大限の協力をしてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 本年4月の状況として、順次展開されるということで、しっかりと明言されて、できれば来年4月の開山式に間に合えばなというふうなことを期待しながら、この点の質問を終えて、次は梓川河床上昇対策について伺います。 上高地における梓川の河床は、山岳地からの土砂の流入により年々上昇をしてきており、場所によってはやむを得ず河床の土砂をかき上げることによってできた砂利堤防が景観に悪影響を与えるばかりでなく、大雨時の出水時には被害の拡大が予想されております。 平成29年7月の豪雨では、さまざまな被害が発生し、30年に一度と言われる降雨時において梓川にどのくらいの量の水が流れ、どのぐらいの土砂が移動するかといった状況がわかったというふうに聞いております。 昨年度は、このようなことも含め今までの取り組みにより判明した土砂移動メカニズムを踏まえ、梓川の河床上昇への対応を提示するとし、今年度以降で具体案の事業化に向けて関係機関、地元関係者との調整を図っていくということとしておりました。 この状況をお聞きする中で、上高地対策短期・中長期計画に掲げられた事業のうち、河床上昇対策の取り組み状況と課題についてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えいたします。 梓川の河床上昇対策につきましては、上高地ビジョンに基づき国土交通省松本砂防事務所が平成26年度から実施してきております雨量や水位、土砂動態などの調査結果を踏まえ、昨年10月以降、同事務所が中心となりまして、松本市を含めた関係行政機関連携のもと会議を開催し、具体的な対策案の検討を進めているところでございます。 また、地元からは対策といたしまして、河床の土砂搬出について強い要望をいただいておりますことから、長野県松本建設事務所では、例年行っております河童橋周辺の土砂搬出につきまして、昨年度から搬出量をふやし実施をしております。 今後さらに土砂搬出を進めるためには、搬出土砂の処分方法や仮置き場の確保が課題となっていることから、松本市では関係機関とともに、その対応策について検討を進めております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 搬出土砂の処分方法や仮置き場の確保ということでありますが、例えば多量の盛り土を必要とする中部縦貫自動車道の事業など、公共事業への利活用の検討も必要ではないかと思いますので、検討を要望しておきたいというふうに思います。 次に、管理用道路の整備についてでありますが、本年6月29日から30日にかけて降り続いた大雨により、梓川左岸歩道に土砂が押し出したり、徳沢、横尾の仮設道が流出するなどの被害がありました。大雨による仮設道の被害は、最近では3年続けて発生しており、その都度通行が不能になり、復旧に経費を要しております。徳沢・横尾地区の道路は、自然公園に必要な施設を管理する上で不可欠なものであり、危機管理上もなくてはならないものであります。 また、現在の河川内の仮設道路は景観や自然環境への負荷を与えており、これらのことから適切な管理用道路の早期の整備が求められております。徳沢から横尾までの管理用道路整備について、上高地対策短期・中長期計画では、平成30年度から平成31年度に調整の整った区間から工事の着手予定となっておりましたが、その進捗状況についてお伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えをいたします。 松本市上高地対策短期・中長期計画では、ただいま議員ご紹介のとおり、徳沢から横尾までの管理用道路整備は、平成30年度から平成31年度に調整の整ったところからの着工としているため、それを目標にして取り組んでまいりました。 しかし、管理用道路の整備に当たりましては、さまざまな行政機関が関連していることから、まず必要性についての理解を得るまでに時間を要しました。 さらに、平成30年9月定例会におきまして、忠地前議員のご質問にお答えしたとおり、関係機関との協議におきましてさまざまな調査や組織の設置など、新たな取り組みが必要になりました。 また、ルート選定や構造の検討に当たりまして、調査の手法や検討の進め方について多くのご指摘をいただいたことから、その対応に時間を要しております。 現在の状況につきましては、管理用道路の適切なルート選定や構造検討のための必要な調査を行うとともに、整備計画書の作成を進めているところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 上高地対策短期・中長期計画では、松本市が主体となって管理用道路を検討していくということが記されております。とはいえ、なかなか進まない状況を再度確認いたしました。 そのような中、本年度から一層の上高地対策の事業推進ということで、昨年度まで建設総務課との兼務であった体制を解消し、組織見直しにより上高地対策課を安曇支所内へ設置し、事業進捗を図っていると思います。 この管理用道路は、先ほども述べましたが、松本市が主体となってということでありますので、本年度の組織見直しにより期待が大きいわけであります。この管理用道路について関係機関との協議、調整を進めてきていると思いますが、管理用道路整備の現状の課題と今後の見通しについてお伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えいたします。 管理用道路の整備箇所は、多数の法的観点からの検討と複数の行政機関にまたがる複雑な調整を行う必要があることに加えまして、道路構造の検討等解決すべき課題が数多くございます。 このように、非常に難しい課題を数多く抱えておりますが、令和3年度中の着工を目指し、鋭意取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 ただいま明確に令和3年着工ということが言われました。 これまでのことも考慮すると、厳しい状況ではありますが、今示された目標に向かって取り組まれることに期待をしております。 これまでそれぞれ課題に対して伺ってまいりました。前進していること、まだ時間を要することなどさまざまであります。上高地対策について上高地ビジョン2014の行動計画はおおむね5年以内、上高地対策短期・中長期計画では、この計画の目標期間、短期計画では平成27年度から平成31年度までの5年間、中長期計画は短期計画期間後のおおむね10年、こういったことが記されております。 先ほど来話がありますとおり、上高地は国・県等のさまざまな関係機関がかかわり、規制も多数あります。事業の進捗には難しいことが多くあることと思いますが、そこで策定後5年が経過する上高地ビジョン2014及び上高地対策短期・中長期計画の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) お答えいたします。 まず、上高地ビジョン2014についてであります。 本ビジョンは、おおむね5年ごとに取り組み状況を確認し、必要に応じて見直すこととされております。現在策定の中心となりました環境省中部山岳国立公園管理事務所におきまして、各機関が担当する行動計画の進捗状況を確認中であります。 次に、松本市上高地対策短期・中長期計画では、取り組み内容といたしまして梓川河床上昇対策、徳沢・横尾地区の管理用道路整備、梓川左岸歩道の管理体制の強化、光ケーブルや電源供給施設の整備を含む防災体制の強化、公衆トイレの再整備の5つの項目を掲げており、進捗状況は異なりますが、全ての項目につきまして着手をしております。 その中におきましては、防災体制の強化に含まれる松本市消防団上高地消防隊詰所の建設や上高地観光センターの非常用発電装置の配備は実施済みとなっております。 上高地は、貴重な景観や自然と各種法令による規制が多数あり、保存と利用をどのように両立させるかが事業を進める上で非常に難しい課題でありますが、岳都・松本の推進のため、地元の方々や関係行政機関と連携いたしまして、課題解決を図りながら積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 諸課題の対応には予算も伴ってきますので、そういった点、岳都・松本として、そして地元市として、これまでも積極的な取り組み、こういったことには大変感謝をしているところでありますが、さらなる事業進捗に期待をしていますので、どうぞお願いしたいと思います。 続きまして西山から東山に場所をかえまして、西山同様、日本を代表する山岳観光地である美ケ原高原に関しての質問をいたします。 今回は美ケ原台上道路についてであります。 この件につきましては、我が会派の太田更三議員より、これまで一般質問などさまざまな機会にて発言がされ、また太田更三議員のお父様の議員時代も質問されるなど、また誠の会としても、これを課題として捉えておりますが、長い歴史の課題でもあるところでございます。 美鈴湖から美ケ原高原一帯は景観や眺望がすぐれ、蓼科湖周辺などビーナスライン沿線は、山岳地とはいえ緩やかな傾斜地で、平地が広い山岳地となっております。現在のビーナスラインは、昭和35年の着手以来昭和56年に全線供用開始となるまでの間、自然公園法に基づき、国や県を含む関係団体と議論を重ね建設に至った経過があります。昭和45年には長野県議会で霧ヶ峰有料道路美ケ原線の実施の議決がされ、その後県自然保護の会などが建設中止を陳情し、国が動き、昭和46年10月に、当時の大石環境庁長官が長野県知事にルート変更を要望した経緯があります。その後、昭和51年に環境庁が和田回りルートに公園計画の変更を決定し、昭和52年、扉峠から美ケ原線の工事が着工され、昭和56年4月、ビーナスライン全線供用開始となりましたが、昭和52年には長野県が美ケ原台上保護利用計画を策定する中で、台上の一般車両の通行は禁止とされました。 このことから、昭和56年6月に、松本市美ケ原台上問題対策協議会を発足し、昭和61年、美ケ原台上に係る関係市町村長が意見交換を行うなどし、陳情を行いましたが、長野県の回答は過去の経過や自然保護団体の反対もあり、現状では難しいとのことでありました。 時代は平成にかわり21世紀の美ケ原高原があるべき姿と、自然とどのように共生すればいいのかについて研究するため、平成12年、21世紀の美ケ原高原研究会を発足し協議を行い、平成16年の最終報告の中でも、アクセス道路の改良ということにとどまっております。 道路改良に当たっては、必要に応じて専門家の意見を聞くなど、自然環境の状況を把握し、配慮しながら進めることが必要とされ、県道美ケ原公園沖線等の危険狭隘箇所について早急に対応することが必要とされただけでありました。 平成14年から全ての道路が美ケ原まで無料開放となったことを契機として、現状と課題についてあり方を検討するため、ビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会を平成14年から開催し、平成16年に最終報告書を提出していますが、ビーナスラインの先線については触れられておりません。一貫して今日まで、美ケ原高原台上道路整備はタブーとなっている雰囲気があります。 これまで美ケ原高原の整備について、自分なりに調査をしてまいりました。私自身、小さなころ、家族での美ケ原でのキャンプ、小学校での美ケ原登山、そして平成24年にはパークボランティアの方の説明を聞きながらのロングトレイル9キロコースへの参加など、美ケ原に親しみ、山岳の都、岳都・松本として、大切な山岳観光資源である美ケ原高原の整備という課題から逃げるわけにはいかないのではないか、そんな思いから質問をさせていただきます。 私が今回触れました経過など当局は十分ご承知のことと思いますが、現在の取り組みについてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 美ケ原高原の道路整備に関する経過や状況につきましては、松本市といたしましても十分承知しているところでございます。 議員ご指摘のとおり、鹿の食害、笹の繁茂、それから放牧状況など、美ケ原高原を取り巻く状況が大きく変化をしている中、松本市にとって大切な山岳観光資源である美ケ原高原の活性化という課題に取り組むため、現在関係する市や町と連携し、道路整備を含め再度研究を始めているところでございます。 具体的には、ことし7月、松本市、上田市の副市長と長和町の副町長の3人で現地視察を行い、ビーナスラインから美鈴湖、浅間温泉側にスムーズに車両を通すルートなどについて、意見交換を行いました。改めて道路整備の重要性を再認識したところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 これまで40年以上、半世紀近い課題であります。 以前の会議録で平成5年6月定例会の一般質問の際にこのような発言がありました。美ケ原高原美術館までビーナスラインが開通して、白樺湖から入って料金を払って、美術館まで来て同じ道をくだる、このことが不評となり、ビーナスラインの利用減少となったと発言がありました。道路整備当初はビーナスラインを通って美ケ原高原、松本市内へ入って上高地へのルートを想定したとも聞いております。さまざまな広域観光を推進している現在、山岳観光を中心とした東山と西山をつなぐ魅力あるルートの構築に夢が膨らみます。 本市にとって大切な山岳観光資源である美ケ原高原の整備は今後松本市のみならず、ビーナスライン沿線も含めて大きく期待をされるところであると考えます。 そこで、質問であります。 長期間、美ケ原高原美術館までの袋小路となっているビーナスラインでありますが、美ケ原高原の道路整備について今後どのようにしていくのか、松本市としての考えについてお伺いをいたします。
○議長(村上幸雄)
小原商工観光部長。
◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。 議員ご紹介のとおり、昭和52年に県が策定をいたしました美ケ原台上保護利用計画の基本方針の中には、美ケ原高原台地の中心部は、自動車交通に煩わされない卓越した展望と草原景観を楽しむべき地区であり、一般車両の通行を禁止するとのまとめがあり、以来、美ケ原高原の道路整備に関する議論がタブー視されている状況になっております。 しかしながら、この計画の策定当時から既に40年以上が経過をし、美ケ原高原を取り巻く環境は大きく変化をしております。 加えて、最近の地元新聞の投稿欄には、山歩きできないお年寄りや障害者の方たちが気軽に美しい景観が楽しめるよう台上道路をつくってもいいのではないか、はかり知れない経済効果、観光面での劇的な活性化が望める、海外には標高の高いところにも山岳道路やケーブルがあり、バスや自家用車が走れる道がある。開通当時と比べれば自動車の排ガスは飛躍的に向上し、大気汚染も随分少なくなったなど、ビーナスラインの先線を期待する声も寄せられておりました。 松本市といたしましては、このような状況を踏まえた上で、美ケ原高原の自然環境に十分配慮するとともに、美ケ原高原の利便性を向上させる、そんな持続可能な整備ができないものか、再度そうした議論ができる環境の整備を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 1回目の答弁に美ケ原台上視察とありました。これは平成30年1月に3者の副市長レベルでの美ケ原高原活性化の意見交換会において、坪田副市長から台上視察の提案があって行われたというふうに聞いております。これまでの経過からの強い思い、深い関心があっての行動であったと、推察をするところであり、美ケ原台上の車道問題は昭和、平成にわたる長い期間の課題であります。令和と新しい時代を迎えた今、改めて議論をするとき、考えるときではないかというふうに考えます。視察を提案し3者で視察を行ったことで、美ケ原台上の車道についての考え方、今後の進め方について坪田副市長の見解をお伺いいたします。
○議長(村上幸雄) 坪田副市長。
◎副市長(坪田明男) お答えをいたします。 おっしゃるとおり、半世紀近くたって、今なお東側のビーナスライン先線が美ケ原高原美術館で終点となっておりまして、西側の松本市側の県道と結ばれていないという、こういう状況を見るときに、率直にいって違和感を覚えております。将来にわたってこういう現状を是認することが最良の選択なのかどうか、十分考える、検討する必要があるというふうに考えております。 例えば当時大論争となりました美ケ原高原の台上車道だけに固執しないで、双方の道路をつなげるという単純な発想に立って、いわば連絡道路を整備すると、そういう考えもあるのではないかと思います。 今後、上田市、長和町と合意形成を図りつつ、国・県などのご理解を得ながら、地道にかつ着実に推進すべき事柄だと認識をしております。
○議長(村上幸雄) 阿部議員。
◆23番(阿部功祐) 〔登壇〕 今の答弁、令和のこの時代に新たなスタートを切れる、そんな答弁をいただいたというふうに受けとめました。 実現可能な方法を今後検討していってほしいと思い、時間の都合で大変早口で失礼をいたしまして、おわびを申し上げながら、私の質問の全てを終わります。美ケ原高原の答弁も本当にありがとうございました。期待をしております。
○議長(村上幸雄) 以上で阿部功祐議員の質問は終結いたします。阿部議員は自席へお戻りください。 次に、3番 上條一正議員の質問を行います。上條議員は質問者待機席へ移動してください。 3番 上條一正議員。
◆3番(上條一正) 〔登壇〕 先ほど小林、阿部両議員から触れられましたが、昨日、森記念財団都市戦略研究所が発表した日本の都市特性評価2019で、対象72都市で本市は昨年より3段階アップの10位と、高い評価を受けました。これまでの本市の取り組みが客観的に評価されたもので、私も喜びたいと思います。 評価の詳細につきましては、別の機会に行うこととしまして、それでは質問の機会をいただきましたので、通告に従い、一括にて質問をいたします。 私の住んでいる寿地区から見る東山にも、至るところに松くい虫により枯れたアカマツが見えます。これらを見るにつけ、先日の北九州地区初め中国地方を含む西日本ほか各地で起きている集中豪雨による被害ニュースに触れ、本市防災訓練を経て、台風第15号による災害を身近に感じる中、近年、松本市は人命につながるような大きな災害に見舞われていないことを実感しているところでございます。 集中豪雨等により、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた地域の一刻も早い復旧を望んでおります。 さて、松くい虫被害は、平成16年に島内地区で初めて確認されて以降、岡田、四賀、本郷、山辺、神田、中山地区と北東部の山林をなめ尽くすように広がり、寿、内田を加えれば松本市北東部全ての地域が被害地となりました。その他、河西部や梓川地区等でも被害が確認されており、一部を除き市内全域に広がっています。 松くい虫被害対策に関しましては、これまで本議会で幾度となく議論されているところでございますが、私は松本市が進める松くい虫被害対策基本方針を基本的に是とするもので、今後もしっかり対応いただきたいと考えております。 その中、私が選挙中に訴えてきました松くい虫被害対策の必要性について、本年6月定例会一般質問で、中島昌子議員が松くい虫被害は災害であるとして、倒木及び土砂災害の危険があると、私と同様の認識を持たれた質問をされました。 そこで、市民が安全、安心して暮らせる基本の一つとして森林保全があると考えているところから、大きな災害に見舞われていない現在だからこそ、松くい虫被害及びその対策について災害防止の視点で松本市森林整備計画に基づいて質問を行います。 先ほど触れました松くい虫被害対策基本方針もこの森林整備計画に記載され、計画に基づいて実施されています。 現計画による被害対策の主眼は、主にアカマツ林を守り、森林を整備しようとするものですが、それらに加え、市民の皆様から寄せられる多くの声は、基本方針において手がつけられずに存置している枯損木を中心としたその後の対策は何とかならないかというもので、そこに危機管理の視点を持つことが必要だと考えています。 本論に入る前に、本市森林の基本事項を森林整備計画から押さえておきますと、地域総面積の81%が森林、うち48%が国有林以外の民有林で、樹種はカラマツが樹種全体として民有林の35%を占め、次いでアカマツが16%となっています。所有形態では民有林のうち公有林が47%、私有林が53%で、全国及び長野県の比率、全国69%、県65%ですが、に比して私有林の比率は低いですが、その多くは1ヘクタール未満の小規模な個人所有となっています。 これらから見ると、松本に暮らす私たちにとって、ふだん当たり前に見ている森林の存在がとても大きなものであることがわかるとともに、アカマツは市木であるとともに、森林の多くを占めていること、市民等が個人的に所有する私有林が多く存在していることがわかります。 このような森林について直面している松くい虫被害を通して考える機会を持つことも必要ではないかと考えます。 さて、森林が持っている機能は一般的に森林の公益的多面機能と言われる4つがございます。緑のダムと呼ばれる水源涵養機能、土壌保全・土砂災害防止機能、生態系を守る生物多様性保全機能、二酸化炭素を吸収する地球環境保全機能でございます。加えて、保養、観光、娯楽等の活動の場を提供する保健レクリエーション機能や史跡名勝地と一体となったすぐれた景観等を形成する文化機能、再生産可能な資源である木材を持続的に生産する木材生産機能がございます。 松くい虫被害による松枯れの現状をこれらに照らせば、森林面積全体での割合は、大きくはございませんが、景観的な面は見た目から明らかで、見えない部分、特に水源涵養、土壌保全機能の一部が失われ、土砂災害防止機能の面では枯損木の放置により、根を含んだ状態で倒壊すれば、表土が剥がれるなどして裸地となり、土砂災害リスクが高まることが想像できます。 毎年、今の季節に全国各地で起きている豪雨による土砂災害があす松本に起こっても不思議ではありません。6月定例会で農林部長から、土砂災害防止対策として、個人所有の山林を含め公的な対策が必要であるとの認識の答弁がありましたが、改めて現状認識として何点か伺いたいと思います。 まず、松くい虫被害に対する防災危機意識の有無、対策の必要性があるとの認識の上に立てば、本年度予算に松くい虫対策事業費の被害木の伐採等に関する費用として、委託料・補助金で約1億8,000万円を計上していますが、災害防止対策として十分機能していると考えているか。 次に、森林整備計画において、土砂災害防止の対策につながると考えられる計画では、松くい虫被害にかかわらず、山地災害防止機能/土壌保全機能森林の施業として、裸地の縮小、回復を図るとしていますが、その内容及び取り組み状況をお答えください。 最後に、危機管理及び災害への備えとして、市民に対し身近にある危険を知っていただくため、防災マップを作成し、配布しているところですが、洪水・土砂災害ハザードマップには土砂災害警戒区域及び特別警戒区域が示され、松本市全域にわたり民家間近に存在しています。そして、そこは森林エリア内に多くあると思われるとともに、アカマツ林も重なっている箇所があります。 そこで、最も災害の危険が高いとされている土砂災害特別警戒区域と松枯れ範囲の関係を把握しているのかをお伺いいたします。 以上、1回目の質問といたします。
○議長(村上幸雄) 林農林部長。
◎農林部長(林浩史) 〔登壇〕 4点のご質問にお答えします。 初めに、松くい虫被害に対する防災危機意識の有無でございますが、松くい虫被害対策には、景観の保全、マツタケ産地の保全など、幾つか目的がございますが、中でも土砂災害の防止対策は、最も大きな部分を占めると認識しております。 次に、被害木の伐採等に係る予算は、災害対策として十分機能していると考えるかとのご質問ですが、被害木の伐採は被害の拡大を防止することにより、後年度の枯損の進行、山地の脆弱化を防ぐ機能を果たし、また枯損木の伐採は倒木による被害のリスクを防止すると考えております。 十分かどうかは難しいところでございますが、今年度の予算に関して申し上げれば、伐採処理の現場が実施可能な最大限の事業量を見込んで計上しております。 3点目、松本市森林整備計画における山地災害防止機能/土壌保全機能森林の施業の内容でございますが、針葉樹の最終的な伐採時期を通常の40年以上から80年以上に延ばすよう誘導し、丈夫で根を張る樹木を育てることで森林を維持する施業のことでございまして、ここ3年では旧市、四賀、奈川地区で約50ヘクタールの間伐を実施し、樹木の成長を促しております。 また、災害の危険性の高い森林に対する保安林の指定及び保安林への県による治山事業の導入にも積極的に取り組むこととしております。 最後に、土砂災害特別警戒区域と松枯れ地の関係を把握しているかとのご質問でございますが、森林整備におきましては、議員ご紹介の公益目的を達成するための森林機能の確保につきましては、保安林の指定により実施する仕組みでありますことから、関係は把握していないのが現状であります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 上條一正議員。
◆3番(上條一正) 〔登壇〕 現状認識を確認いたしました。 2回目は、災害防止策としての治山事業についてお伺いをいたします。 現状認識は、対策は十分ではないと私と同様だというふうに感じました。そこで、十分機能するために何が必要かとの視点で、耕地林務課の経常事務としている山地災害及び治山事業に関することとの関係におきまして、先ほど答弁にあった山地災害防止機能施業の実施主体はどこであると考えていますか。 計画書には、松くい虫被害の治山事業として、岡田・四賀地区において枯損木の伐採事業を行ったとの記載がありますが、特に被害が発生するおそれの大きい荒廃危険山地の崩壊等の予防対策としての治山事業の現状はどうなっているかお伺いします。 基本的に治山事業の主体は国または都道府県です。長野県議会6月定例会で県林務部長が松枯れ対策に対し、地域にとって公益的機能維持のため、重要な森林については保安林に指定し、治山事業などを導入するなどして公的な森林管理に努めていると、対応を明らかにしています。本市6月定例会でも県に働きかけている、先ほどの答弁にもありましたが、松くい虫被害を災害と考える中で、私はこれだけ広範に及ぶ松くい虫被害対策でおくれている枯損木処理に優先順位をつけて実施することが重要であるとの考えから、土砂災害特別警戒区域と松枯れの関係について着目しているものでございます。 そこで、先ほど土砂災害特別警戒区域と松枯れとの関係が把握できていないとの答弁でございましたが、災害リスクが高まっていると考える土砂災害特別警戒区域の治山事業は、十分に進んでいない現状と捉えているところでございまして、どのようにお考えでしょうか。 優先順位を含め本市としての考えを的確に持ち、県に働きかけることで動いていただけるのではないでしょうか。 9月1日、本年度の防災訓練が実施されました。私の知る幾つかの単位町会では、地区防災計画の町会版をつくり、ハザードマップに加え、町会内森林で松くい虫被害による土砂崩落が起こり得ることを想定し、避難及び崩落有無の状況調査訓練を実施しております。 市民の皆さんは、松本市地域防災計画のもと、みずから命を守ろうと松くい虫被害を新たな災害リスクと捉え、積極的に取り組んでおられます。 このように避難計画に新たに盛り込んでいるのと比すれば、松くい虫被害という新たなリスク発生源に対する防災、減災対策はおくれていると考えます。 そこで、治山事業として、保安林指定が困難などから県が実施できない、または時間がかかるのであれば、松本市が単独で施行する積極的な対策をとることが危機管理の現市政の姿ではないかと考えます。見解をお伺いします。 加えて、私は災害防止事業として、枯損木等の伐採及び森林再生等を速やかに実施するため、優先的に土砂災害特別警戒区域内の対策を現状の松くい虫対策事業と切り離して行うことが肝要と考えますが、その点についていかがでしょうか。 以上、2回目の質問といたします。
○議長(村上幸雄) 林農林部長。
◎農林部長(林浩史) 〔登壇〕 5点の質問にお答えします。 初めに、山地災害防止機能の施業を行う実施主体はどこかとのご質問でございますが、個々の施業につきましては、森林所有者が実施主体となります。ただし、保安林におきましては、水源の涵養、土砂崩壊の防備等、公益目的を達成するため、県が実施主体となって治山事業を実施いたします。 次に、荒廃危険山地の崩壊等の予防対策としての治山事業の現状でございますが、議員のご紹介にもありましたが、近年では平成27年度から岡田地区と四賀地区で松くい虫被害木の伐採を初めとする森林整備事業が実施されてまいりました。そして昨年度は、四賀地区で枯損木の伐採が、里山辺地区で伐倒燻蒸、樹幹注入及び樹表をきれいにする地掻き事業が実施されました。本年度は昨年度に引き続き里山辺地区で事業が予定されております。 また、松くい虫被害対策以外では、平成28年1月に発生した雨氷被害対策として、入山辺地区で倒木の処理と山腹の崩落防止工事が実施されております。 3点目、土砂災害特別警戒区域での県の治山事業でございますが、我々も治山事業の採択は、十分とは言えないとの感じを持っております。今後、治山事業の要望の際に土砂災害特別警戒区域であることを強く県に訴えてまいります。 4点目、保安林以外で県の治山事業で実施できない、または時間がかかる場所について、市単独で施行することが現市政の姿ではないかとのご質問がありましたが、保安林の指定がなされていないために治山事業が実施できない場所につきましては、山林所有者に勧め、保安林の指定に導き、必要な治山事業の導入に努めていくことが市の役割の第一であると考えております。 あわせて、特に土砂災害防止に着目した土砂災害特別警戒区域への松くい虫被害対策につきまして、部局横断で研究してまいります。 最後に、土砂災害特別警戒区域の被害対策は、松くい虫対策事業と災害防止事業と切り離して行うことが肝要と考えるとのご質問でございますが、松くい虫被害対策は、地元住民の皆さんのご理解とご協力のもと、被害の予防、被害木の処理、枯損木の処理、森林の再生に総合的に取り組むことが肝要と認識しておりますので、今後も被害の進行に対応し、総合的に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 上條一正議員。
◆3番(上條一正) 〔登壇〕 ご答弁いただき、ありがとうございます。 3回目は、質問と要望といたします。 森林づくり県民税の活用事業を検証する、みんなで支える森林づくり県民会議では、道路沿いなどで倒れる危険性のある木や高速道路沿いの景観を損ねている枯れた木の伐採にも取り組むことを確認したと報道がされました。 これに対して、景観に配慮することも大切ですが、優先順位は防災と考えます。森林づくり県民税の活用について、改めて県の考え方を伺うとともに、松本市としての活用方針をお伺いいたします。 森林づくり県民税の活用は、これまで四賀地区で枯損木の伐採等を実施していますが、今以上に活用するとともに、さらに踏み込んで県に働きかけを強めた上で、積極的に治山事業を入れるほか、松本市単独で行うことが考えられないかと申し上げているところでございます。 土砂災害特別警戒区域の対策については、部局横断で研究し、総合的に取り組んでいくとの答弁でございましたが、市が単独で実施できるか、できないかの研究ではなく、実施を前提にした総合的な対策の全体像について研究していくということを強く要望し、前向きな結果を期待しております。 まずは、現状把握することが必要で、ハザードマップに基づく土砂災害特別警戒区域とこれまで実施している枯損木立地と伐採地との関係をはっきりさせるとともに、土砂災害特別警戒区域内の現状を専門的な調査を実施することで、リスクを把握し、市の判断材料とすることが重要と思います。県への働きかけにおいても、明確な根拠を示し、優先順位をつけることが説得力を高めることは言うまでもございません。 最後に、市域の8割が森林である本市にとりまして、今回の質問を含め森林の機能を広く啓発するとともに、松くい虫被害に限らず、枯損木等の状況を科学的な知見を持って把握し、森林荒廃を防ぎ、計画を着実に進め、市民が森林機能を十分享受できるようにつなげていただきたいと思います。 以上を申し上げて、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
○議長(村上幸雄) 林農林部長。
◎農林部長(林浩史) 〔登壇〕 お答えします。 今年度の森林づくり県民税活用事業のメニューには、防災、減災対策等の里山整備の中にライフラインの保全、自立的・持続的な森林管理のための間伐材等の利活用として、枯損木の木質バイオマス燃料への利用、また観光地等魅力向上森林景観整備事業が用意されております。 本市としましては、県と連携を図り松くい虫対策として、できる限り活用してまいります。 今年度につきましては、先ごろの県の内示を受けまして、今定例会に9月補正予算として岡田地区から島内地区に抜ける市道のライフライン保全に140万円、しがビューティフルパークにおける枯損木利活用に200万円、長野道四賀五常沿線の森林景観整備事業に400万円を計上しております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 以上で上條一正議員の質問は終結いたします。上條議員は自席へお戻りください。 次に、8番 神津ゆかり議員の質問を行います。神津議員は質問者待機席へ移動してください。 8番 神津ゆかり議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 神津ゆかりでございます。質問に入る前に、冒頭一言申し上げます。 9月10日から16日は自殺予防週間ということで、けさ庁舎内にある歌が流れました。音楽ユニット、ワカバの「あかり」という曲です。国の自殺対策プロジェクトのキャンペーンソングであり、ファンの方の自死をきっかけに生まれた曲だそうです。どうか消えないで、逃げたっていいよという歌詞が心に響きました。まだ聞かれていない方は一度じっくり歌詞に耳を傾けていただけたらうれしいと思いまして、ご紹介させていただきました。 それでは、通告に従いまして、件名ごと一括で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 松本市では、平成16年に初めて松くい虫被害が確認され、平成25年から本年までの7年間、予防対策として四賀地区で薬剤の空中散布を行ってきましたが、しかし枯れは進んでおり、歯どめがかかっておりません。現在は里山辺、神田、中山、そして内田地区まで塩尻市との境にその先端が広がってきています。 松枯れ予防の対策をどうしていくかが喫緊の課題です。それには、松枯れは突然爆発的に蔓延する松の伝染病という認識に立つことが必要です。豚コレラになぞらえるとわかりやすいかもしれません。法定伝染病である豚コレラウイルスの感染力はすさまじく、感染拡大を防ぐため、経口ワクチンを山にまいたり、予防対策がとられておりますが、野生イノシシが山を自由に動き回り、封じ込めができておりません。 マツノマダラカミキリが病原体であるマツノザイセンチュウをお供に、健康でおいしい松の葉っぱを食べる。センチュウが松に寄生すると松は弱る。そこにカミキリが卵を生む。マツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリがタッグを組み、巧妙に松を枯らせていく、このスピードがとてつもなく速いのです。センチュウに感染した松は、潜在感染木となり、最初はなりをひそめておりますので、見た目ではわかりません。緑の中にぽつぽつと赤く立ち枯れしている松がある状態では、潜在感染木を含めて既に伝染病は蔓延しており、予防対策をとっても既に遅きに失するというわけです。 さて、塩尻市では、本市との境、標高850メートル以下の場所にあるアカマツを500メートルから800メートルの幅で伐採しています。これは松本市からアカマツをつたってマツノマダラカミキリが渡ってこないように、健康な松も含めて全体を伐採して緩衝帯をつくっています。健康な松は木材として売り、材として不適合なものはチップ化し、燃料として販売する、その収益で苗木を購入し植樹しています。植える木はアカマツ以外の広葉樹です。塩尻市は松を徹底的に切って更新伐を核とし、空中散布をしない対策をとりながら、標高の高い松を守ろうとしているのです。 また、安曇野市では、農薬の空中散布の範囲を年々縮小しています。松川村も空中散布以外の方法で対策をしています。上田市や千曲市も以前は実施していた空中散布をやめています。 それでは、質問に入らせていただきます。 松本市は7年間、空中散布をしてきた四賀地区の惨状を分析、省みることなく、いまだに薬剤散布は予防対策として有効な手段であるという考えを崩しておりません。市が空中散布は有効と考える科学的データとその評価の根拠をお示しください。
○議長(村上幸雄) 林農林部長。
◎農林部長(林浩史) 〔登壇〕 お答えします。 平成27年度から平成29年度に実施したリモートセンシング調査の結果をもとに、市がカイ二乗検定により検証し、薬剤散布の有無と枯損木発生割合には、関連があるとの結果を得ております。 このカイ二乗検定は、2つの事象に関連性がないとする仮説を、もし関連がなかったらこうなるだろうという期待値と実際のデータの差を評価して独立性を検定する統計的検定法です。検定の中で仮説が正しい確率P値と呼ばれる値が導かれ、このP値が5%以上あれば仮説が正しい、すなわち2つの事象には関連性がないということになるとされております。 そこで、平成29年度のデータを申し上げますと、リモートセンシング調査の実測値は散布地の枯損木数3,745本、非枯損木数9,333本、非散布地の枯損木数8,451本、非枯損木数1万6,428本、期待値は散布地の枯損木数4,202本、非枯損木数8,875本、非散布地の枯損木数7,993本、非枯損木数1万6,885本です。 そして、仮説が正しい確率P値は、3.9掛ける10のマイナス26乗でございます。この結果、P値が5%を下回りますので、関連性がないとの仮説は棄却され、薬剤散布の有無と枯損木の発生割合は関連がある、すなわち薬剤散布には効果があるとの検証結果でございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 薬剤散布は効果があるということですが、松本市のホームページには被害があった松を助ける方法はありませんとはっきり書いてあります。全国で農薬散布している山林で松枯れがとまったところを知っていますかという質問に対し、市の担当者は、松枯れがとまったことはないと発言されています。 松枯れの研究者である神戸大学の黒田慶子氏によると、森林病害のコントロールの難しさを実感しております。松枯れ対策は長期的戦略を立てる必要があり、松枯れの専門家を中心に実施することが重要と指摘しています。明治の時代に西日本から被害が始まり、過去40年以上、各地で戦ってきても減らない松枯れです。全国の事例や松枯れの研究、最新の知見を取り入れて松くい虫被害対策基本方針を見直すべきと考えております。 では、次の質問に移ります。 松本市生物多様性地域戦略「生きものあふれる松本プラン~生物多様性のホットスポットを未来へつなぐまち松本~」は、平成28年、2015年に策定されました。100ページにもわたる立派な冊子にまとまっています。 このプランは、5年ごとに行動計画を点検・評価し、見直すこととなっております。プランでは、松枯れ対策についても触れられていますが、策定したころよりも松枯れは深刻化しています。 来年度、戦略見直しのタイミングで松枯れ対策を一歩進めて、広く環境問題として取り扱うべきと考えますが、戦略を見直すことについて市の見解を伺います。
○議長(村上幸雄) 久保田環境部長。
◎環境部長(久保田忠良) お答えいたします。 議員ご紹介の松本市生物多様性地域戦略「生きものあふれる松本プラン」は、自然環境を保全し、再生して後世に引き継いでいくため、長野県内の他市町村に先駆けて平成27年度に策定したもので、目標年度を2050年とする長期に渡る計画でございます。 この中で5年ごとに短期目標の見直しをするということとしており、初めての見直しを来年、令和2年度に予定しております。 松くい虫による被害は、多様な生態系、多様な生物相が失われる生物多様性の損失であり、松枯れ対策は議員ご紹介のとおり、戦略策定時から重点施策として記載をしてございます。 したがいまして、現戦略に基づいて引き続き長期的な見通しを持って取り組みを進めてまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 答弁をいただきました。 自然環境への悪影響の視点、配慮は十分とは言えません。生き物あふれる松本の未来をつくるために、生物多様性に配慮した部局横断の新しい発想による見直しの検討を熱望いたします。 それでは次に移ります。 松くい虫被害について、大勢の方から心配する声を聞きます。松が枯れる仕組み、松枯れの状況、市が行っている対策、理解がなかなか広まらないなと感じています。伐倒駆除、更新伐、樹幹注入など専門用語も難解です。 ことし7月、薬剤散布にも使われているネオニコチノイドアセタミプリドが胎盤を通過して母体から胎児へ移行し、新生児の尿から検出されたという論文が発表されました。研究者である獨協医科大学小児科医師、市川 剛氏は、胎児期は感受性が高い可能性があり、副作用が心配だとおっしゃっています。空中散布のリスクについても、いまだ懸念の声が上がっています。 松本市は、松枯れ対策について、市民に丁寧に説明していくことが必要としていますが、これまで一般市民が参加できるような説明会をしてきた経過はないと認識しています。市は松枯れ対策について、一般市民に対してどのような説明をしてきたのか、また本年度開催を予定している松くい虫被害対策の現状と対策の必要性についての市民向け講演会はどのような内容になるのかを伺います。
○議長(村上幸雄) 林農林部長。
◎農林部長(林浩史) 2点のご質問にお答えします。 初めに、市民の皆さんに対して行ってきた説明についてお答えします。 松くい虫被害は、近年、市街地でも発生しているため、市民の関心も高く、問い合わせも多いことから、平成23年度から出前講座を実施しています。 また、予防対策として行う薬剤の樹幹注入講習会なども実施しており、直近の出前講座の実績といたしましては、平成29年度1地区、平成30年度2地区で実施しており、樹幹注入講習会は平成26年度から年1から2回、計9回実施しております。 また、山林を持つ町会では、松くい虫被害対策協議会を設立し、説明会を開催しております。 説明の内容といたしましては、地区の被害状況に応じて行っておりますが、被害の進行状況、松枯れのメカニズムのほかに、予防や被害対策、対策に対する市の補助制度などについて説明を行っています。 次に、今年度開催を予定している講演会についてお答えします。 この講演会では、松くい虫被害対策を理解していただくために開催を予定しておりまして、内容につきましては全国的な被害状況、松くい虫被害のメカニズム、対策の実施事例、マツノマダラカミキリの生態研究などの中から2項目程度を選びまして、開催する予定でございまして、現在講師をお願いする関係機関と調整を行っているところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 ご答弁いただきました。 市民が必要としているのは、正しい情報を得ることができる説明会です。市民に開かれたタウンミーティングのような会を要望して、1件目の質問を終わります。 次に、夜間保育について伺います。 10月の幼児教育・保育無償化で、保育の需要がふえ、保育士不足や待機児童がふえる可能性があります。待機児童の受け皿を担っている認可外保育施設、特に夜間保育について伺います。 公立保育園の延長保育は、おおむね夜7時までとなっており、夜の時間帯で働いている方は夜間に預けることのできる認可外の保育施設を利用しています。都心などには、夜間保育をしている公立保育園もあるようですが、松本にはございません。 現在、松本における夜間保育の現状、事業者数、利用状況などについて質問させていただきます。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 まず、認可外保育施設は、県が届け出の窓口となっておりまして、現在は市内に8つの施設がございます。その中で、現在3つの認可外保育施設において夜間保育を実施しております。 利用状況につきましては、平成30年度においては、毎月25名程度の登録園児がありまして、年間で延べ295名が登録しています。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 ありがとうございました。 夜間保育の事業を実施しているのは、いずれも小さな事業所です。安全な保育、保育の質を確保するために、保育士の数の確保が大前提ですが、どこも財政的に厳しく、公立保育園や企業型保育園に比べて園庭がなかったり、スペースに余裕がなかったりと、施設的に十分とは言えません。保育の質の格差が生まれていると思います。 お話を伺ったある認可外保育園の園長先生は、設備は最低限しかありませんが、子供に寄り添った保育をしています。お子さんは、公立保育園に入れると移っていってしまいますので、経営的には安定せず、毎日10時間から20時間働いています。思いはあるけれども、大変ですと、話してくれました。 どの子にも優しいまち松本、本市において夜間の保育を担い、待機児童の受け皿となっている認可外保育施設について、市が支援策を講じていくお考えはありませんか、市の見解を伺いまして、この件に関する質問を終わらせていただきます。
○議長(村上幸雄) 村山こども部長。
◎こども部長(村山修) お答えいたします。 現在認可外保育施設に対しましては、3歳未満児の預かり状況に応じて県と市で補助金を交付しております。 また、夜間保育や延長保育、休日保育を実施した場合には、園児の年齢を問わず補助金を上乗せして交付しております。 さらに、認可外保育施設に勤務する職員の健康診断に対しましても国・県・市で補助を行っている状況であります。 松本市としては、現在のところ新たな支援策は難しいと考えますが、子供たちの健やかな成長のため、今後も引き続き国・県と連携して認可外保育施設の支援に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 ありがとうございました。 次の質問に移ります。 先日、信州まつもと空港から松本市内へのアクセスについて、本市のホームページではどうなっているのかなと調べてみました。松本へのアクセスというページにも、近くて便利な信州まつもと空港をぜひご利用くださいというページにも、残念ながらその情報は見つけられませんでした。市民の方にとっては、市内と空港へのアクセスは、そんなに難しいことではありません。ほとんどの方が自家用車を利用するでしょう。しかし、観光の方はどうでしょうか。飛行機で空港におりた後、市内へ移動する交通手段や所要時間は知りたい情報の一つです。松本市のホームページを観光客の方への役立つ情報提供のツールとして見直していただけないでしょうか。 ところで、アルピコ交通株式会社の松本ワンデーパスというバスの乗車券があることを知りました。この松本ワンデーパスはどういった内容のものですか、伺います。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。
◎建設部長(上條裕久) 松本ワンデーパスについてお答えをいたします。 松本ワンデーパスは、アルピコ交通株式会社が発行しており、松本市内の定められた路線エリアであれば、1日乗り放題の路線バスの乗車券で、エアポートシャトルやタウンスニーカーにも利用することができます。 この乗車券は平成28年度から販売を開始しており、販売場所は松本バスターミナルのみでございますが、平成28年度は620枚、平成29年度は773枚、平成30年度は919枚の販売実績がありまして、年々利用者が増加しているとお聞きをしております。 また、松本城、旧開智学校、松本市美術館など、松本市内9つの施設で入館料の割引が受けられる特典があり、観光客の回遊性の向上にも寄与するものと捉えております。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 市内のバスが1日乗り放題で800円ということで、大変お得感のある乗車券だと思います。 空港から市内までの直通バスが600円ですので、信州まつもと空港からエアポートシャトルで市内に入り、浅間温泉や美ケ原温泉までバスを利用すれば、普通に購入した場合に比べてもお得です。松本バスターミナルでしか販売していないということですが、空港やバスの中でも買えるようにしていただきたい。より多くの方に利用してもらえるようPRに努めていただきたいと思います。 次に、エアポートシャトルについて伺います。 先日、空港から市内までの直通バス、エアポートシャトルを初めて利用しました。このとき小さ目のスーツケースを持っていたのですが、荷物を預けるトランクルームがなく、狭くて急なステップを、スーツケースを持って乗り込みました。車内にも荷物用のスペースはなく、座席間が狭いため、置き場に苦労しました。スーツケースから手を離してしまった乗客がいて、キャスターつきのスーツケースが猛スピードで座席後方から前方へと飛んでいきました。私はほかの空港でもシャトルバスを利用しますが、このような古いタイプのバスは初めてでした。 エアポートシャトルの運行状況や利用状況とあわせ、車両など、改善に対する市の取り組みについて伺います。
○議長(村上幸雄) 横内政策部長。
◎政策部長(横内俊哉) お答えをいたします。 初めに、エアポートシャトルの運行状況と利用状況についてお答えをいたします。 信州まつもと空港と松本バスターミナルを結ぶエアポートシャトルは、アルピコ交通株式会社が信州まつもと空港の定期便の発着に合わせ1日3ないし5往復の運行を行っております。昨年度は1便当たり平均で8.7人の利用があったと伺っております。 また、運行されている車両につきましては、アルピコ交通の車両繰りによるところになりますが、議員ご指摘のように、通常はトランクルームのない路線バスとして使用されているタイプの車両で運行がされております。 最後に、改善に向けた市の取り組みについてのお尋ねでございますが、議員もご承知のとおり、エアポートシャトルなど、空港からの二次交通につきましては、空港の設置管理者である長野県が責任を持って整備すべきものでございます。 したがいまして、本市としましては、7月に開催をした地元県議会議員との懇談会を初めこれまでもさまざまな機会を捉え、長野県に対し、エアポートシャトルの時間短縮であったり、乗車環境の改善など、二次交通の充実について要望しているところでございます。 以上でございます。
○議長(村上幸雄) 神津議員。
◆8番(神津ゆかり) 〔登壇〕 ありがとうございました。 3回目は要望といたします。 先日、視察に行った九州大分市の駅前のタクシー乗り場で女性のポーターさんがてきぱきと荷物をタクシーに載せてくれました。すてきな笑顔ときびきびとお仕事をされている制服姿は大変印象がよいものでした。駅や空港は、まちの第一印象、まちの顔です。信州まつもと空港は、信州松本の玄関口で、10月からはいよいよ神戸線も就航します。スーツケース、登山リュック、自転車、スノーボードなど、大きな荷物を持ってこられる方もいらっしゃいます。来年は2020年東京オリンピック・パラリンピックの年でもあり、訪日外国人がふえるはずでございます。せっかく飛行機を利用して松本までお越しいただいた方ががっかりしてしまわぬよう、エアポートシャトルの車両を含め所要時間を短縮するなど、改善を求めたいと思います。 おもてなしの心で一歩進めて、これまで以上に県に要望していっていただけるようお願いいたします。 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(村上幸雄) 以上で神津ゆかり議員の質問は終結いたします。神津議員は自席へお戻りください。 次に、2番 横内裕治議員の質問を行います。横内議員は質問者待機席へ移動してください。 2番 横内裕治議員。
◆2番(横内裕治) 〔登壇〕 無所属、グループ未来の横内裕治でございます。 一般質問の最後になりましたが、発言の機会をいただきました。通告に従いまして、一部私見を交えて、件名ごと一括で質問させていただきます。 最初に、公共施設に伴う課題について、2点質問させていただきます。 1つは、公共施設の更新時期とアスベスト対策についてです。 アスベストですが、耐熱性や保温性がすぐれていたため、1960年代から1970年代の高度経済成長期に建設された建物の多くは、アスベストが吹きつけられたり、建材に使用されたりしていました。アスベストが完全に禁止されたのが2006年、平成18年ですから、40年以上にわたり、日本ではさまざまな分野でアスベストが使用されてきました。 また、アスベストが使われた建物の解体は、来年2020年から2030年にかけて集中すると言われております。 アスベストによる健康被害は、30年から40年と言われる長期間にわたる潜伏期間の後、中皮腫、肺がんなどが発症し、発症すると多くは数年で死に至り、静かな時限爆弾と呼ばれています。 平成28年に策定された松本市公共施設等総合管理計画では、松本市では昭和40年代後半から平成10年ごろまでに多くの公共施設が建設され、今後大規模改修や更新の時期を迎える施設も出てきているとあります。 要するに松本市でも1970年代から1990年代に多くの公共施設が建設されているということです。そして、その期間に建設された多くの施設には、アスベストが使用されている可能性が高いです。それらが改修や解体の時期を迎えるわけです。アスベストは非常に細やかな繊維でありますので、肉眼では見えませんし、においもしないことから、ほこりのように飛散し、飛散いたしますと、人は知らず知らずのうちに吸い込んでしまいます。吸い込んだ鉱物繊維は肺では分解されず、消化を試みた肺の細胞は死滅してしまうわけであります。このようにして、起こる健康被害が石綿肺であり、中皮腫であり、肺がんです。 そこで、伺いますが、現在もアスベストを使用している市の公共施設はどのくらいあるのでしょうか、また、このような危険なアスベストは、改修や解体のときどのように処理されるかお伺いします。
○議長(村上幸雄) 上條建設部長。