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  1. 仙台市議会 2017-12-04
    いじめ問題等対策調査特別委員会 本文 2017-12-04


    取得元: 仙台市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-24
    1:                  ※会議の概要 ◯委員長  ただいまから、いじめ問題等対策調査特別委員会を開会いたします。  本日は、田村稔委員より欠席の届け出がありましたので、御報告をいたします。  次に、説明員についてであります。本日は、本市の重要な事案でありますいじめ問題に関して当局に対し質問を行うため、関係する局長及び職員のほか、前回に引き続き、市長、藤本副市長にも出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。  また、このようなことから、開会時間につきましては、当初予定の午後1時開会を午前10時30分に繰り上げております。委員各位並びに御当局の御理解と御協力に御礼申し上げます。  なお、市長、藤本副市長は公務のため、当局に対する質問が終了した後、退席することになりますので、よろしくお願いいたします。  次に、本日の進め方についてあらかじめ申し上げます。本日の日程はお手元に配付の日程のとおり、まず当局から報告の後、各会派持ち時間制により当局に対する質問を行います。当局に対する質問についてはおおむね12時30分終了を予定しております。質問が終了いたしましたら一旦休憩をとり、午後1時20分を予定しておりますが、会議を再開し、有識者からの意見聴取を行います。有識者につきましては、既にお知らせしておりますが、国立大学法人大阪大学大学院片山泰一教授より、発達障害に関する現状及び課題等について、60分程度お話を伺う予定で考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず当局からの報告を願いますが、本日、皆様の机上に追加で資料をお配りしておりますが、これらにつきまして当局からの報告の中であわせて報告願いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、報告を願います。 2: ◯市長  私からは、市長部局の二つの委員会等の状況について御報告を申し上げます。  初めに、いじめ問題再調査委員会についてでございます。  平成28年2月の市立中学校の生徒の自死事案についての再調査を行うために、9月23日に第1回委員会を開催したことについて前回御報告をさせていただきました。  その後、第2回、第3回の委員会を開催いたしました。その概要につきまして、後ほど子供未来局長から報告をさせていただきます。  次に、いじめ対策等検証専門家会議についてでございます。  有識者の皆様方から今後の施策展開に関する御意見を伺うこの会議の第2回を11月22日に開催いたしました。今回の会議におきましては、教育委員会における取り組みだけでなく、学校外の専門機関や相談窓口の有効活用などについても御意見を頂戴いたしました。今後さらに御議論を深められ、より実践的な御意見、御提案をしていただけるように期待をしているところでございます。  当日の概要につきましては、後ほど総務局長から報告を申し上げます。  また、私と教育委員会の連名で行っております体罰等に関する全校アンケートの調査結果でございますけれども、新たに小学校と高等学校分の回答の集計状況につきまして第2回の専門家会議に報告をさせていただきました。こちらの経過につきましては、後ほど教育委員会から御説明を申し上げます。 3: ◯総務局長  私からは、資料1に基づきまして、11月22日に開催いたしました仙台市いじめ対策等検証専門家会議の第2回会議について御報告いたします。  当日は委員5名に御出席いただき、教育委員会いじめ防止等のための対策のほか、発達相談支援センター子供相談支援センターなど、市長部局の専門機関の活用等についても御議論をいただいたところでございます。  委員からいただいた主な御意見は、資料1-2(2)に記載のとおりでございますが、対象や趣旨を明確にした実効性のある啓発等の実施や専門職による支援体制の強化、発達障害等の特性に関する理解の促進、学校以外の相談先の周知と有効活用などについて幅広く御意見をいただいたところでございます。
     今後のスケジュールといたしましては、資料1-3に記載のとおり、12月21日に第3回会議の開催を予定いたしております。 4: ◯子供未来局長  子供未来局からは、いじめ問題再調査委員会について御報告をさせていただきます。  本日配付いたしました、右肩に子供未来局と記載されております資料をごらんください。  資料の1番目にございますように、いじめ問題再調査委員会につきましては、9月23日の第1回委員会で7名の委員を委嘱し、委員会がスタートしたところでございます。その後、2番の開催概要にありますとおり、11月11日に第2回目、それから先週11月29日に第3回目の委員会が開催されました。  いずれも再調査委員会の制度面や会議の公開など、委員会運営のあり方について御議論をいただきましたほか、具体的な調査方法なども含めた再調査の進め方について幅広く意見交換が行われたところでございます。  こうした議論を踏まえまして、先週の第3回委員会におきまして委員会運営に関し大きく2点について基本的な方向性がまとまりました。  1点目は、会議の公開に関するものでございます。御遺族の御要望や今回の事案の検証を通じ、いじめ問題について広く市民の方にも考えていただく機会とすべきといった各委員の御意見なども踏まえまして、再調査委員会の会議につきましては公開を基本とするとされたものでございます。御遺族のほか、それ以外の方にも傍聴を認めるということでございますが、個人情報などに触れる部分については非公開となる方向でございます。  また、傍聴する場合には一定の条件を課すべきといった御意見もございまして、今後、詳細を詰めていくこととなったものでございます。  2点目は、臨時委員の位置づけなど制度面に関するものでございます。これにつきましても、再調査委員会のあり方について委員会としての考え方をまとめ、市に意見書を提出するということになったものでございます。  これまでの委員会でこうした委員会運営の基本的な部分について整理がなされましたので、今後はより調査の中身に踏み込んだ形での議論が進められていくということになろうかと思います。年内中にも第4回目の委員会を開催する予定でございまして、よりスピード感を持った形で調査が進められるものと考えております。 5: ◯教育長  教育委員会より、いじめ問題専門委員会について御報告いたします。  本日配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。  本年4月に発生いたしました自死事案についての調査を行う仙台市いじめ問題専門委員会につきましては、前回の委員会において御報告申し上げましたとおり、9月11日に第1回専門委員会を開催し、専門委員会の委員長に対して調査の諮問を行ったところでございます。また、第1回専門委員会では、御遺族からの要望を受け、御遺族側が推薦する団体から推薦された方を臨時委員として置くことについて決定いたしました。  教育委員会では、御遺族側の御意向も踏まえながら調整を行い、最終的に御遺族側が推薦する三つの団体を含む四つの団体からそれぞれ臨時委員の候補について推薦をいただきました。先月22日には臨時教育委員会を開催し、4名の臨時委員に委嘱することについて決定したところでございます。  臨時委員4名を含めた8名の委員構成については資料のとおりでございます。  教育委員会の決定を受け、委員の方々と日程調整を行い、明日12月5日午後7時から第2回いじめ問題専門委員会を開催することといたしました。当日は4名の臨時委員の方々に委嘱状を交付した後、調査に関する協議を開始することといたしております。まず、事務局から事案の概要やその後の対応状況について説明を行い、その後、今後の調査の進め方について御審議いただくことになると考えております。  事案発生から今回の開催に至るまで7カ月を要することになりましたことを改めておわび申し上げます。  今後、専門委員会において、さまざまな視点から調査が進められることになりますが、教育委員会としてもしっかりと調査に協力してまいりたいと考えております。  次に、体罰等に関する全校アンケート調査の集計等の状況について、資料2に基づき御報告いたします。  体罰等に関する全校アンケート調査につきましては、前回の委員会におきまして、中学校及び中等教育学校前期課程分の状況を御報告させていただいたところでございました。  本日は小学校、中等教育学校の後期課程を含む高等学校、特別支援学校の児童生徒、保護者を対象に実施した体罰等に関するアンケート回収状況等につきまして、教育人事部長より御報告いたします。 6: ◯教育人事部長  それでは、私から資料2に基づき、体罰等に関する全校アンケート調査の集計状況について、今回は小学校、中等教育学校の後期課程を含む高等学校、特別支援学校の児童生徒、保護者を対象に実施したアンケートの回収状況について御報告申し上げます。  このアンケートは、9月4日付で5万5835通、発出しておりましたが、10月31日までに2万6883通の回答がございました。回収率は48.1%でございます。  アンケートの集計状況は、2のアンケート集計状況等と書いてございますとおりでございます。回収数2万6883通のうち4.5%に当たる1,221通が、体罰や不適切な指導を直接受けたり見聞きしたりしたことがあるというふうに回答している状況でございます。  今後のアンケートの処理の進め方でございますが、各学校において校長による事実確認を行います。その後、校長からの報告を踏まえ、教育委員会事務局市長部局職員による事実関係の精査を行う予定としてございます。  なお、中学校及び中等教育学校前期課程分アンケートにつきましては、各学校において校長による事実確認を行っており、この報告を受けまして、その内容を教育委員会事務局等で精査をしているというような状況でございます。 7: ◯委員長  それでは、次に各会派から質問を願います。  質問に当たっては、事前に理事会で確認いたしているとおり、各派持ち時間の中で順次御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、まず自由民主党から発言予定の方は、質問席にお着き願います。          〔柿沼敏万委員、菊地崇良委員、質問席に着席〕 8: ◯柿沼敏万委員  質問させていただきます。  まず、ただいま報告のありましたことについてお伺いをさせていただきたいんですが、資料2の体罰等に関する全校アンケートでございますが、そのアンケートの集計状況の(2)の質問1、体罰や不適切な指導を受けた経験の有無に関する回答状況で、ありとありますのが1,183通ですか。これが体罰や不適切な指導を受けたという数になるのか。というのは、アンケートの原稿というんでしょうか、アンケートを見ますと、ここのあるということについては、中学校で体罰や不適切な指導を受けたことがありますか。またはそれを見たり聞いたりしたことがありますかのあるですね。ですから私は何を申し上げたいかというと、この集計状況のありと見る1,183件が体罰や不適切な指導があったという数字に置きかえて、ここのところがそのような理解でよろしいんでしょうかということをまずお聞きしたいと思います。 9: ◯教育人事部長  資料2にございます小学校の集計1,183通でございますが、これにつきましては今お話しありましたとおり、同様の案件について見たり聞いたりしているということが当然複数あるということも考えられます。まさに直接受けているということも考えられるところでございます。そうしたところをきちんと精査して、今後、数は出していかなければならないというふうに考えてございますので、1,183通そのもの、これが体罰のあった件数というわけでは今のところないということで御理解いただければと思います。 10: ◯柿沼敏万委員  私もそう思うんですね。なぜお聞きしたかというと、この1,183通がひとり歩きする可能性があるんですね、こういう資料だと。だから、アンケートの質問1にある、ある、ないのあるのところの内訳が当然、当事者的なことと、見たり聞いたりしたというところに分類して、そして整理しておくのがよろしいんでないかなと。追ってということでございますから理解はしますけれども、1,183通がイコール体罰、不適切な指導ですということのないような話にしていただければなというふうに思います。  それから、いつ行われたんでしょうかということがあるんですね。ですから、この1,183通に含まれているうちが、今、不信、まさにそういうふうな状況にあるのか、過去にあったのか、それがことしのことなのか去年のことなのか、その辺の状況はアンケートの中には出ていると思うんですが、この集計の中には出ていないわけでございまして、できましたら口頭でも説明される中で、これは去年の話でしたよと。見聞きした内容をせっかくアンケートでとれば、ぜひその辺のことも配慮しながら、やはり資料の作成あるいは配付については十分御留意いただく中でお願いをしたいなというふうに思います。  それと同時に、ちょっと1件確認したいんですが、11月28日に河北新報で、いじめ認知約1万5000件の話がございましたけれども、私は、あれっ、こんなにあるのという実感でしたけれども、その辺について、今平成29年ですからこの数字は平成28年度ですね。平成27年、26年と比べて特に特徴的なもの、あるいはこういうことなんですよという説明がありましたら一言お願いしたいと思います。 11: ◯学校教育部長  ただいまお話がありましたいじめの認知件数ですけれども、お話があったとおり、平成28年度、昨年度1万4000件を超えるような認知件数、これはその前の年と比較してもまだ増加傾向にあるという状況にあります。  このいじめ認知件数の多くは、からかいであるとか冷やかし、そういった様態のものが主なものであります。また、主に件数としては、小学校の低学年、1年生から3年生までの認知件数が全体の6割弱というような状況でございました。 12: ◯柿沼敏万委員  そのとおりなんですね。特に私、学級数がどのぐらいあるかと調べてみましたら、小学校で2,000学級、クラスですね、中学校で900学級で、約3,000近い学級数からすれば、やはりこの数字がそうなのかなと思いつつ、今お話がありましたように小学校の低学年で多数が発生しているということになると、幼児教育から学校教育の共同生活に入ったときの受けとめ方、いじめと受けとめる児童の皆さんのお気持ちがそこにあるのかなと思いますとき、中学校も同様なところはありますけれども、やはり新入生の対応というものが課題なのかなと思ってこの記事を読んだところでございますので、今後、対応をお願いしたいところでもあります。  実は二つ、三つお尋ねをさせていただきたいんですけれども、これは私の持論でもあるんですけれども、ひとつそのようになればなという願いを込めてお話しさせていただきます。  子供さんたち、児童生徒ですけれども、集団で生活していれば、冷やかし、からかいなどのいじめは起こるべくして起こる事案でもあろうかなというふうに思うんですね。そして肝心なこと、肝要なことは、発生したときの対応のあり方、これは友達、あるいは児童生徒、そして教員のところの部分ですけれども、平素より教員の先生方は、やはりいち早く初期の態勢で初期の対応が最も大事ではないのかなと。そうしますとき、私は意思の疎通を図って、コミュニケーションでなくてコンビネーションだと思っているんですね。先生方がお互いにいじめに対する連携、そこには先生方、失礼ですけれども、40年ぐらいの幅があるんですよね。新任の先生から退職間際の先生からすると。その中の経験をいかに活用するように学校で対応すると。いじめは、ほとんどが学校で発生しますので、その発生した現場で対処すると。そのためには先生方がコンビネーションをきちんと組んで、そして子供からやはり信頼される、そしてお話、知らせを受け取る体制を各学校できちんと築いておくことが大事ではないのかなというふうに思います。もちろん体罰はあってならないことですから、体罰の話はこの際抜きの話でありますし、不適切な指導というのがありますけれども、よりよい指導をしようと思っての気持ちがあって、ついとは言いませんけれども、やはり注意する、指導する態度、言葉にあってはならない事柄が含まれるから不適切なという言葉で整理されていると私は思うんですが、そういうことはちょっとこっちに置いて、事いじめに関しては学校の中で完結していくと。先生方は、チームというより、まあ、チームというんでしょうか、コミュニケーションをしっかり持ってそれらに対応していくということが必要ではないのかなと思いますが、現在、学校で取り組んでいると思いますけれども、その辺のお感じ方がありましたら御披露いただければと思います。 13: ◯教育長  今、御指摘にございましたように、いじめの件数、学校現場においては相当あるわけでございますが、そのいじめを発見、認知した際、学校として組織で情報を共有するということ、その中で校長のもとで対応方針を検討して、学校全体で今お話がありましたコンビネーション、いわゆる連携、協力をしながら事案の解決を図っていくと、その後の支援や指導につなげていくことがさらに重要であるというふうに考えております。  基本的には、やはり件数が多いというのは、それだけ子供もいじめという認識が高まっているところでございます。それをできるだけ早く対応していくこと、それが今後、複雑化、困難化していくのを防ぐことにもなろうかと思います。  そのために、学校現場ではやはり日ごろから校内研修などを充実させて、全職員にこうした認識を浸透させるとともに、一つ一つの事案に丁寧に対応しようと努めている状況を私ども教育委員会として学校訪問などを通じて実感しているところでございますので、今後さらにそれを進めていけるよう、私どもも支援を深めてまいりたいと存じます。 14: ◯柿沼敏万委員  私、学校は今、相当努力していると思います。これほどまでに頑張っているんですかという事例を承知しているわけですけれども、実は10月に教育長の指示でといいますか名前で、小中学校含めて全学校に11月中にいじめ防止「きずな」キャンペーン、きずなと言ったら君たちはずっと仲間ですよと、それぞれのそういうことを各学校で意識をしてキャンペーンをしなさいと実施しています。私も何校か小中学校に伺って、どういうふうに実施しているかなということを聞いて、あるいは見てきたわけでございますけれども、その辺の状況がございましたらひとつお話ししていただけないでしょうか。 15: ◯教育長  いじめそのものは、私ども教育委員会学校教職員が取り組むことはもちろんですが、子供たち自身がいじめ問題について考えて行動していく、このことが極めて重要であると考えております。  本市ではこれまでも子供たち自身が主体的にいじめ防止のために取り組む活動として、今お話がありましたいじめ防止「きずな」キャンペーン、これを5月と11月に実施しております。先月1カ月間、このきずなキャンペーンに取り組んできたところでございます。  私どもの今まで行った各種調査によりますと、いじめはいけないというまず基本的な認識、そして自分を肯定して自己有用感が高まっているということからも、子供たちの意識が徐々に向上しているというふうに感じておるところでございます。 16: ◯柿沼敏万委員  私は、今の教育長のお話のとおりだと思っていますね。やはり小学校、中学校がこのキャンペーン期間中に取り組んだ内容を見ますと、率直に言って、よくぞそこまで学校で対応しているなというのが実感でした。いじめの事案が自死の事案を含めて発生して以来、今回のキャンペーンの間に、今取り組まなければいつ取り組むことがありましょうかと、当事者というより危機的な感覚で、先生方も児童生徒の皆さんもそこに気持ちが行っているんですね。これは聞いた言葉そのままなんですが、僕たち、私たち、児童生徒が熱い思いを持って、しっかりとまとまりのもとで、ともにいじめ問題に取り組んでいきましょうよということで、その話を聞いていますと本気度というんでしょうか、その取り組む姿勢が、見るにつけ、聞くにつけ非常に強い。そこまで頑張ってきているんだな、今の時代はと、このときにというふうに思っていました。  学校の校長先生のお話ですと、小学校、中学校もそうですけれども、先ほど教育長もお話しされましたけれども、非常にやはり先生方全員でよくお話をしながら、チームを組んでそれぞれに対応しながら、最終的にはいじめ問題の専任教師、生徒指導の先生、教頭先生、校長先生で決定をして、吸い上げて、下げると。子供たちに話をするときは、児童生徒は児童生徒でクラス会をし、学年会をし、生徒会を持って、こういうふうに頑張りましょうと。いじめはしないんだと、させないんだと、これは許してはだめなんだと、だめなことはだめなんだよねというふうにお互いに全校集会のようなものを持って、先生みたいに私たちはこういうふうに日常生活を学校で頑張りますというふうな宣言をしながら取り組んでいるんですね。  これは小学校も中学校も一緒ですね。ある小学校に行きましたら、皆さん、よく挨拶をしましょう、あったかい言葉でしましょうねと、ちくちく言葉はやめましょうと書いてあるんです。えっ、ちくちく言葉。いい言葉だなと思って。いい言葉というのは、そういうことを心がけるのにいい言葉だなと思って、それを小学校全体でやる。あるいは中学校は、ここに宣誓文もありますけれども、きずな宣言というものをもって、私たちという、児童生徒が、みずからこの問題に立ち向かって頑張りましょうというような話をされているところがあるんですが、私はそれを見ますと、実際にいじめの件数は今後急速に減ってくると思います。そして減っているんではないかと思います。いじめはゼロにはならないけれども、私たちはゼロを目指して頑張りましょうというのが児童生徒の皆さん方の気持ちで意識なんですね。そこにありますときに、本当にすばらしいなというふうに感じて期待するところは大なんですが、その辺の実感はございますでしょうか。 17: ◯教育長  今、お話しいただきましたことに関連しますと、小学生ですと児童会、中学生ですと生徒会、そこで子供たちがみずから議論をして、そして意見をまとめて、いじめ撲滅の宣言、そういうものにみんなで思いを共通にしていると、そういう活動に日ごろから取り組んでいただくようにお願いしております。  その結果として、いじめ防止「きずな」キャンペーン、そこでの活動にもなりますし、ちなみにあした午後には、いじめ防止「きずな」のサミットを小中学生が一堂に会して、他校の生徒さんとも意見交換しながら、それぞれ市全体でいじめ防止に取り組む、そういうお話し合いを予定しております。そういうことで、全体の活動を受けて、またそれぞれが各学校において、ほかのお子さんたちにもそういう思いを伝えていただきながら、お互いこれを浸透、深めていくことがまず地道にいじめ防止につなげていく一歩一歩だと思っております。 18: ◯柿沼敏万委員  最後に市長にちょっとお願いがと思いますが、実は今申し上げたように児童生徒の皆さん、あるいは先生方が懸命にいじめ問題に正面から取り組んで、自分たちの日常生活の中にも必然的というんでしょうか、自然的にいじめをしない、させない、許さないというような道徳心のようなもの、あるいはまた社会の通念的なものを育んできているというふうに思っているんですね。それに向けて今後は学校と家庭、あるいは地域がともに温かく見守りながら、大きく包み込みながら、まさに地域の教育力というようなものを育成、醸成できればいいなと思って、私どももできる限りの努力をしてまいりたいと思っていますが、今頑張ろうとしている、あるいは頑張っている児童生徒、先生方に市長から一言エールを送っていただけると、なお元気づけられて、この問題にさらに取り組んでいくのではないのかなと思いますとき、一言頂戴できればと思いますが、お願いできますでしょうか。 19: ◯市長  未来を担う子供たちが安心して学んで、健やかに育っていく、そういう環境をつくっていくために、子供たちのちょっとした変化、これを一人一人、子供たち同士もそうですし、学校でもそうですし、家庭でもそうですし、地域でもそうですし、ちょっとしたサイン、これを見逃すことなく気づけて、そしてそれに適切に対応していく、そういう環境を整えていくということが重要なのだろうというふうに思っております。  学校においてもさまざまな取り組みがなされているところではございますが、家庭、また地域の方々とも子供たちの様子を共有して、いじめ防止を初め子供たちを支える取り組みについてともに理解とそして御協力をいただける連携ですね、これを深めていきながら、地域全体で子供たちを守り育てていくのだという、その環境づくり、私もなお強力に進められるようにしてまいりたいというふうに思います。 20: ◯菊地崇良委員  市長は市長になられて3カ月たちました。私は、市長は素人の政治家と言わないんですけれども、今までいじめ防止法関連にも携わってこられた第一人者として、この案件についてはよくお詳しいはずです。それが公約の中にもいじめの取り組みは喫緊だというふうに言っているにもかかわらず、いまだ何も具体的な変化がない、ここが私は非常に残念に思うし、この点については強く申し上げたいという観点から、市長の考えについて数点確認してまいりたいと思います。  委員長、資料等配付と提示をお願いします。 21: ◯委員長  それでは配付のほうお願いいたします。                  〔資料配付〕 22: ◯委員長  配付漏れはございませんか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 23: ◯菊地崇良委員  資料は後ほどまた説明したいと思います。  まず、ようやく第3回目のいじめ事案に関する専門委員会が立ち上がりまして、これから実質審議に入ります。ただ、この事実解明は一定の結論を得るまでに相当な時間がかかるでしょう。その間、手をこまねいて対策をしないというわけにはいかないと思います。何をやっていくんですか、お尋ねします。  そして、市長はいじめ防止関連条例をつくられるというふうに公約にも書かれております。これはいつつくるおつもりですか、お尋ねします。 24: ◯市長  現在、三つの第三者機関がそれぞれの事案に関する調査や、本市におけるこれまでのいじめ問題に関する取り組みについての検証などを進めているところでございます。この調査結果や御議論や御提言について、本市の施策に反映していくわけでございますけれども、再発防止の取り組みについては、事案発生後に実施してまいりました緊急対応を含めて、今後も学校の状況をしっかりと把握しながら必要な施策というのを進めてまいりたいというふうに思っているところです。  それから、いじめ防止条例の制定につきましてでございますけれども、私のもとで行っておりますいじめ対策等検証専門家会議におけるいじめ防止対策の議論、また、議会からいただく御提言や御意見などもしっかりと受けとめさせていただきたいと考えております。  仙台市としてどういう条例になるのか、制定の時期も含めて今検討を深めているところでございます。 25: ◯菊地崇良委員  制定の時期の検討が、まだ決まっていないというのは、なるほどと今わかったんですけれども、でもね、いつごろまでやらなければいけないかという市長のお気持ちというのはあると思うんですよ。  また、もう一つ、これまで仙台市には、既に仙台市いじめ問題対策連絡協議会等条例というのがございます。これとの関係についてどうお考えなのかお聞きしたいと思います。 26: ◯市長  今御指摘のいじめ問題対策連絡協議会等条例は、いじめ防止対策推進法の規定に基づいて設置するいじめ問題対策連絡協議会やいじめ問題専門委員会等について、その組織でありますとか所掌事務について、これを規定しているものでございます。  いじめ防止基本条例の制定に当たっては、従来の条例と別に制定をするのか、あるいはまた、従来の条例に取り込むような形で制定をするのが望ましいのかなど、幾つかの方策が考えられるであろうというふうに思っておりますけれども、これも議会の皆様方の御議論なども踏まえて検討してまいりたいと思っております。 27: ◯菊地崇良委員  だから、議会議論も大事なんですけれども、市長としての思いというのはないんですかという話なんですよ。今この3件の事件があって、また起きないようにしなければいけないというのが我々にはもう必須の課題なわけです。スピード感が必要なわけであります。市長も選挙前そうおっしゃっていたと私は記憶しているんですね。ですけれども、できること、例えば条例についてはできるだけ早くやりたい、あるいはできないにしても、こういうところは市長の政治判断としてやりたいというのがあってしかるべきじゃないでしょうか、お伺いします。 28: ◯市長  スピード感も重要だというふうに認識をしております。その一方で、丁寧な議論もあわせて必要であるというふうに思っております。  今、さまざまな第三者機関の議論もございますし、きょうのこの調査特別委員会での御議論もそうでございます。いろいろとお聞かせいただき、判断してまいりたいと思います。 29: ◯菊地崇良委員  スピード感、求めておきます。きょうはこの程度にします。  もう一つ、市長がかねてよりおっしゃられたのは、今回のいじめに関しては、国がつくったいじめ関連法の徹底が不十分だという御発言をされました。この履行が不十分だというのはどの辺を言っておられるのか、具体的に御見解をお聞かせください。 30: ◯市長  ことしの4月に残念ながら発生いたしました事案につきまして、学校では、前の年に起きていた当該生徒に対するいじめ事案を友人同士のトラブルというふうに捉えておりました。保護者への連絡等々を十分行わなかったという事実があったとのことでございます。また、教育委員会におきましても、事案発生当初の判断として、いじめ重大事態としての認識がおくれるといった点があったというふうに私は思います。  法に対する認識、理解が不十分であったのではないかということで、そのような発言をいたしました。 31: ◯菊地崇良委員  より詳細な法の施行状況等に関して、今分析が進んでいるので、ここの解明を待っていきたいと思いますが、しかし条例をおつくりになるという公約がございます。これは誰がつくるのかということについてお尋ねしたい。それは市長がつくるのか、それとも市長を支えている議会の会派の方々がいわゆる議員提案としてつくるのか、どういったイメージをお持ちですか。 32: ◯市長  いじめ防止条例につきましては、先ほども申し上げましたけれども、さまざまな御意見、それから御提言、これを十分に踏まえてまいりたい。そして市民の皆さん一人一人がいじめ問題をしっかりと受けとめて、強い決意を持っていじめ防止に取り組むというこの議会での御議論もございますとおり、それらを踏まえた上で条例の制定に向けて検討を進めていくということでございます。  今この場でどういう形が望ましいのかを言及できるものではございません。 33: ◯菊地崇良委員  市長、今回のいろいろな状況を確認していくという話でございました。  先日11月22日、市長にとっては初めての総合教育会議が開催されました。これは御存じのとおり、大津市の事案があって、首長のかかわりが必要だということから、改正地方教育法の中でつくられたものであります。ここで市長の果たす役割は大きいと思うんですが、どのようなことを議論されたのですか、お尋ねします。 34: ◯市長  私が市長に就任をして初めての総合教育会議、11月22日に開催をいたしました。菊地崇良委員も傍聴に来ていただいていたというふうに認識しております。  会議におきましては、今までのいじめ防止対策に関する検証の必要性や地域における子供の居場所づくりについて、それからまた、児童生徒が主体となる取り組みの必要性や教員の多忙化の解消、専門職を含めた職員の充実など、教育委員の皆様方とさまざまな観点から意見交換をさせていただいたところでございます。  私といたしましては、こうした意見を踏まえまして、いじめ防止対策について今後とも教育委員会とも連携を図りながら、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。 35: ◯菊地崇良委員  総合教育会議の中で市長はいろいろなことを言っておられるんですね。言っているというか、ほとんど、ほかの方が言っていることに関してのコメント的なところなんですけれども、いいなと思うところが一つあります。それは、教育現場だけではもう力足りず、いわゆる地域の力やほかのあらゆる力を使っていかなければいけないということを、ほかの委員さんの御提言に対して、私もそう思うという御認識を示されたと思います。よりそういった御発言を、司会進行役ではなくて、もっともっと御自身の思いを発信していただいてもいいのかなと思います。  そして、その中で取り上げた今の総合教育会議、あるいはより力の結集という場で、ここで今資料を御確認いただきたいんですが、まず初めに、仙台市におけるいじめ自死の表です。ゆうべ急いでつくったので間違っているところがあるかもしれませんけれども、これだけ今、いろいろな会議が立ち上がっていると。先日全国紙で、会議乱立、議論進まずという話がありました。そこには七つの委員会とあったんですけれども、実質的には四つがその議論を深めていくんだと思います。  こういった中で、これだけのあるものを誰が整理をしてあらゆる力を結集していくのかということが今、行政当局には求められると思うんですけれども、市長等の御見解をいただきたいと思います。 36: ◯藤本副市長  ただいま資料御提示の上での御質問でございますけれども、特にいじめに係るこういった複数の所管局が関係するという中で、どういった組織のありようがふさわしい、どうあるべきかということについては、私どもも十分議論をしなければならないというふうに考えております。  御承知のように、いじめの背景には不登校、あるいは貧困、虐待などのさまざまな問題が潜んでいるということもございますことから、これまでも市長部局におけます児童相談所、アーチルなど関係部署と教育委員会が連携しながら対応してきたということでございます。  そういう中にありましても、今般の自死やいじめに関する各種会議、議会における御議論を踏まえますと、教育委員会の取り組みに対する検証、助言など、いわゆるいじめ対策を総括する役割を担う部署の設置の重要性について十分検討する必要があるというふうに至っているところでございます。とりわけ実効性あるいじめ対策を図ることができますよう、その具体化に向けて検討を進めてまいりたいというふうに存じます。  なお、御提示のこの資料によりますと、相当の関係局、とりわけ教育委員会との関係につきまして、市長部局の側においてどうしたら対応ができるかという部分については十分検討する必要もございますことから、二役を中心にした形での本件にかかわる部分についての全体的な調整を着実にきちんと進めるということを一つの作業として自覚しながら対応するというのが1点ございますし、御提示のあります組織の設置、検討についても、そういったことを踏まえつつ、十分検討してまいりたいというふうに考えております。 37: ◯菊地崇良委員  組織については、今いろいろな委員会があって、これだけあると。市長、私だってこんなにいっぱいあって、どれがどういうふうにしているかという管理監督するのも大変ですよ。だから、こういったものを頭の整理をするのは大変でしょうと。こういうことをしっかり支える部署が必要なんじゃないですかというのがまず1点。  2点目、ペーパーの裏面の組織図ですけれども、まさにいろいろな検討をやって、多分いじめ対策等検証専門家会議が、市長のかわりに横断的な全ての部署のものを明らかにしてくれる。でも、これはあくまでも外部委員会だから、その外部委員が言うことの具体的な施策を反映できるのは市長、あなたがつくる新しい組織だということで申し上げたいと思いますが、いかがですか。 38: ◯市長  ありがとうございます。菊地崇良委員にはエールを送っていただいたというふうに思います。  今、設置されている第三者機関がどういう役割を担っているのか、それぞれの役割がございます。そこで今いろいろ議論していただいているわけですけれども、いじめ対策を総括する役割を担っていく市長部局、私のもとに動ける組織の必要性については私自身も認識をしているところでありまして、これからさらに議論、熟慮をした上で検討を進めてまいりたいと思います。 39: ◯菊地崇良委員  市の総力を結集していくのは市長の責務です。以上です。終わります。 40: ◯委員長  次に、公明党仙台市議団から発言予定の方は、質問席にお着き願います。
               〔小田島久美子委員、質問席に着席〕 41: ◯小田島久美子委員  市長、本題の質問に入る前に、今の菊地崇良委員の質問に対しての御答弁の内容を確認をさせていただければと思います。  先ほど、スピード感について菊地崇良委員から質問があったように思います。市長御就任前に、いじめ対策への対応が遅いのではないかという趣旨の発言があったかのように報じられていると私、記憶しておりますけれども、私もどうして進まなかったのか案じておりました。先ほど丁寧な議論も必要だという御答弁でございました。もっともでございます。前市長時代にもその丁寧な議論の上で進められてきたいじめ対策でございます。そのことを踏まえて、スピード感について御発言があったのではないかと記憶しておりますけれども、再度、御答弁をお願いします。 42: ◯市長  新たに私の部局に設けさせていただいた二つの第三者機関の議論が既に始まっております。このことにつきましては、私はようやくでありますけれども、会議を重ねることができたというふうに認識をしております。  スピード感を持ってなお取り組んでまいりたいと思います。 43: ◯小田島久美子委員  市長の言葉に期待をさせていただいて、本題に入りたいと思います。  いじめ問題専門委員会臨時委員が数カ月経過して選任され、ほっとしているところでございます。いじめ問題再調査委員会は、臨時委員も入れた形で立ち上がり、御遺族の御意向を踏まえて改めて再調査となるわけですが、諮問されたところの重点について市長に確認をさせていただきます。 44: ◯市長  今回の再調査につきましては、いじめの実態や学校側の対応について、教育委員会専門委員会の答申と、それからまた御遺族の認識との間に食い違いが見られました。そのことから改めて検証が必要だというふうに判断してこの再調査ということになったわけでございます。  新たな視点での具体的な調査や学校側の対応についての検証を行うとともに、二度とこうした痛ましい事態が起きないように再発の防止に向けた提言をいただくために、今回再調査の諮問をしたところでございます。 45: ◯小田島久美子委員  今後のスケジュールについて、期間や回数、どの程度見込まれているのか伺います。 46: ◯子供未来局長  調査の期間につきましては、どういった調査手法をとるかといったことなどによって変わってくるものでございまして、現時点で明確にお答えすることはちょっと難しいというふうに考えております。  また、委員会の開催の回数につきましても同様でございますが、年内にもう一回開催するなど、今後スピード感を持った形での調査が進められていくというふうに考えております。 47: ◯小田島久美子委員  生徒間の実態とあわせて、学校側が適切な対応となっていたのか注目されているところですので、検証については市長として責任ある立場での説明を求めるところですが、確認をさせていただきます。 48: ◯市長  再調査委員会におきましては、いじめの実態だけでなく、学校側の対応といった部分についても改めて検証を行っていただくものというふうに考えているところでございます。 49: ◯小田島久美子委員  先日の報道で、学校を訪問していただいたとお伺いしております。その所感について伺います。 50: ◯市長  先月の初めだったと思いますけれども、中学校を訪問いたしました。授業中ではございましたけれども、学校全体を案内していただいた後に校長先生初め教員の皆様方、加えて学校に配置をされているスクールカウンセラーの方から、学校における生徒の状況やいじめ防止の取り組みなどについて詳しくお話をお聞かせいただきました。  私自身は、この中で特に生徒が主体になったいじめ防止の取り組みについて強く関心を持たせていただきました。廊下等に子供たちがつくった標語というものも張られていたり、朝の登校時等々の取り組みなどについても感心をするものもございました。  ほかにも校長先生からは、教職員の先生方の日々の多忙な状況ですとか、それから若手の先生の育成についてなど、現場の課題についてもお話を聞かせていただいたところでございます。現場の様子や課題をじかに感じる貴重な機会でありました。  ですので、今後とも教育委員会とも相談しながら学校を含めて教育現場の訪問の機会をつくってまいりたいと、そのように考えております。 51: ◯小田島久美子委員  今の御答弁、どちらかというとお話をお伺いしたという御答弁でございました、各関係者の皆様から。  行って子供たちの様子、それから学校に行く前に市長がこういう目的でこういうところを見てみたい、感じてみたい、そう思ったところの目的は果たされたとお考えでしょうか。もう一度お伺いします。 52: ◯市長  私自身、これまでも教育関係者の方々からお話を聞く機会はございましたけれども、現に子供たちが学んでいる場に参りまして、子供たちの表情あるいはまた活動の様子等々も見させていただき、また学校独自に取り組んでいる状況も見させていただいた、これは大変いい機会だったというふうに思いますし、私自身の目的も果たせたというふうに思っております。しかし1校だけでありますから、ほかにもさまざまな機会を捉えて現場に赴きたいと思っているところです。 53: ◯小田島久美子委員  市長に御就任されて3カ月となりました。3カ月の間、御活動されてきて、改めて仙台市、また仙台市教育委員会においていじめ対策が不十分と思われているところについて、対策を講じてもなかなかいじめ防止に届きにくい課題と思われているところについて市長の御所見を伺います。 54: ◯市長  本市におきましては、自死事案の発生を受けまして、議会における御議論ですとかいじめ問題専門委員会からの御提言を踏まえながら、いじめ対策の専任教諭の配置、それからまた24時間いじめ相談専用電話の開設など、これまでもいじめ防止対策はとられてきたと認識をしております。しかし、例えばいじめ対策専任教諭が何をどのように当たっているのかですとか、また、いじめ相談専用電話の内容についてどのように対応ができているのかなど、まだこれからのところもあるというふうに認識をしておりますし、現実その対応について詳しくどのようにできているのかという検証は、これから必要であろうというふうにも思っているところです。  法や基本方針への学校現場の理解、これが全て整っているのかといえば、まだその辺の不安なところもございますし、それから先生方の日々の多忙さにおいて児童生徒と向き合う時間が十分にとれているのかどうか、このことも大きな課題だというふうに改めて認識しているところでございます。そういうことが主たる課題ではないかというふうに認識をしています。 55: ◯小田島久美子委員  第3回定例会決算等審査特別委員会でもこの問題は取り上げ、委員長報告もあったところでございます。議会でも、先ほど市長御答弁いただきました専任教諭、またいじめ防止対策の相談電話、このことについては今後もしっかりと検証して、その対策にスピード感を持って取り組んでいただければと思います。  本日、御当局から御説明がありましたいじめ認知件数、先ほども委員のほうから質問がありました。2016年度において2015年度より500件増加したことについての要因、先ほどの御答弁で低学年が6割を占めているとありました。その6割を占めている状況、なぜそうなっているのか、考えられる要因についてお答えください。 56: ◯教育相談課長  いじめの認知件数についてでございますが、認知件数が増加傾向にあることにつきましては、学校において相談しやすい環境づくりが進んでいることと受けとめておりますが、いじめをなくすという観点から、件数を減らす必要があると認識しております。  低学年で6割というのは、やはり発達段階の部分で集団生活が始まって、お互いに悪口を言ったりからかったりと、そういった行為が多く見られるというような状況であると思います。ただ、そういった発達段階を踏まえながら、やはり学校としても丁寧に対応して数を減らしていくというような努力が必要だと考えております。 57: ◯小田島久美子委員  その解消に対しては、先ほど低学年、発達の上でのからかいだったりじゃれ合いだったりという、ある程度そんなに重大事案ではないというところでの解消については図られていると思っていらっしゃるのか、御見解をお伺いいたします。 58: ◯教育相談課長  学校のほうでは、把握した事案について組織で丁寧に対応するということを取り組んでおりますし、こちらのほうでも引き続き周知をしてまいりたいと考えております。 59: ◯小田島久美子委員  今回上がってきたこのアンケート調査の結果に対しては、解消が進んでいると認識してよろしいですか。 60: ◯教育相談課長  文部科学省から、3カ年の相当期間を確認する、改めてそういったいろいろな決まり事が出てきたわけですけれども、学校としては丁寧に対応して、ほとんどが解消しているというふうに認識しております。 61: ◯小田島久美子委員  いじめ事案を把握しているというところを理解をさせていただきました。  その認知件数の中から、重大事案につながらないような取り組みを進めていくことが重要だと思います。市長として、市教委の報告を受け、今後の対応についての見解をどう示しているのか、いじめ認知件数への御所見についてお伺いいたします。 62: ◯市長  小田島久美子委員御指摘のところ、重要だというふうに認識しております。  いじめの認知件数が増加をしているということにつきましては、一定程度子供たちのいじめに対する理解が進んだことでもあろうかというふうに思いますが、しかし、いずれにいたしましても、気がかりなことは間違いございません。一つ一つの事案について、学校が子供や保護者の気持ちをしっかりと受けとめつつ適切な対応を図られるように、今後とも学校と教育委員会を支援してまいりたいというふうに思います。 63: ◯小田島久美子委員  先ほどいじめ防止に関する条例の制定について、菊地崇良委員から質問があったところでございます。スケジュールについては明快な回答がなかったところでございますので、今後も求めていきます。言うまでもなく条例制定が目的ではなく、いじめをなくすことが本来の目的だと思っております。市長の御決意を伺います。 64: ◯市長  おっしゃるように、いじめ防止条例をつくるのが目的ではございません。学校や教育委員会はもとより、家庭や地域など子供を取り巻く社会全体でいじめは絶対に許さないんだよという、その共通認識を持ちながら、それぞれの役割のもとで取り組みを進めていくことができるように策定をしたいというふうに考えているものでして、このような条例制定に係る議論も含めまして、いじめ防止について私自身もしっかりと取り組んでまいります。 65: ◯小田島久美子委員  仙台市議会市民教育委員会において大津市に視察に行かれたと、加藤和彦委員より御報告をお伺いしました。大津市では平成25年4月からいじめ防止に関する条例を制定し、市長部局にはいじめ対策推進室を設置。条例の規定に基づき、市長の附属機関として大津の子どもをいじめから守る委員会を常設の第三者機関として設置しておられます。いじめ事案の対応としては、市教委、市長部局、大津の子どもをいじめから守る委員会の3者が連動しながら取り組んでいるようです。  大津市において、ここに至るまでにさまざまな議論が重ねられてきたわけですが、スピード感を持って本市のいじめ問題に取り組むとおっしゃっている市長に今後の取り組みを推進するところのお考えを伺います。あわせて、市長が来年度に向けて予算措置も含めて検討している施策はどういったところなのか。  私のもとには市民の方からも他都市の方からも、新しい市長はどうですか、本気ですかと尋ねられております。いわば本気度について先ほども委員からお伺いしたところでございますけれども、再度市長の御答弁をお伺いいたします。 66: ◯市長  いじめ問題につきましては、スピード感を持って緊急的、早期に取り組むべきもの、それからまた一方では、ある程度時間をかけながら十分な議論を踏まえて中長期的に取り組んでいくもの、充実させていくものなど、現状を踏まえて実施していくことが重要であるという認識でいるということを申し上げさせていただいた上で、先般の総合教育会議におきましても、教育委員の方々とこれまでの施策を踏まえた現状課題について意見交換をさせていただく中で、取捨選択も含めて考えるべきではないか、かなり厳しい御意見もございました。  それらの御意見も踏まえた上で、来年度の予算措置につきましては、本市のいじめ対策の現状や課題をしっかりと見きわめて対応していくことが重要であるという認識でおります。先ほども申し上げましたけれども、総合教育会議において予算に直接つながっていく御議論もございました。現在、来年度の予算編成に向けて内部で熟慮を重ねているところでございます。 67: ◯小田島久美子委員  いじめ防止対策には市長の決断で施策が進んでいくという認識でよろしいですか。 68: ◯市長  私が就任をさせていただきまして、イの一番に取り組まなければいけないのはこの問題だというふうにこの間もお話をさせていただきましたので、そのようなつもりで検討させていただいているところでございます。 69: ◯小田島久美子委員  先月、市民教育委員会において御報告があった仙台市特別支援教育推進プラン2018の中間案に、新たに特別支援教育といじめ防止への取り組みの御提案が盛り込まれており、評価するところでございます。  いじめ防止への取り組みの中で、発達障害の記述だけではなく、発達障害等の可能性のある児童生徒についても留意することが明記されました。改めてその実態と課題、いじめ防止への取り組みに関連づけたプランへの教育長の思いをお伺いいたします。 70: ◯教育長  今、御提示させていただいております中間案、仙台市特別支援教育推進プラン2018、これは初めて今回プラン化することとなったものでございます。この中で、発達に課題のある、またその可能性のある配慮を要する子供たちの中にはいじめに関連するリスクが高い児童生徒がいるという状況にあることをまず認識しております。そういった視点からも特別支援教育からのアプローチが重要となっております。いじめ防止やいじめ案件に関しましては、児童生徒の背景に発達上の課題があるという可能性に留意し、取り組んでいくことが重要であると改めて認識しているところでございますので、本プランにおいていじめ防止への取り組みに関連づけた内容を章を起こして記載し、今後の施策に位置づけてまいる所存でございます。 71: ◯小田島久美子委員  これまで本市のいじめに対する重大事案の中で、発達に特性がある児童生徒への適切な学校等の配慮という視点については、これまでのあらゆる学校へ、教師への聞き取り調査の中で十分に検証、確認されてこられたのか、御答弁をお願いします。 72: ◯特別支援教育課長  発達に特性のある子供への学校の対応状況についてでございますが、保護者と学校との情報共有の状況や、特性を踏まえた担任や部活動顧問など教員の対応状況など、聞き取りはもとより、資料などの提供も受けながら調査を行ってきたところでございます。 73: ◯小田島久美子委員  もう一度質問させていただきます。これまでの重大事案の中で、発達段階に特性があるお子さんにかかわっている学校、それから教師への検証、それから聞き取り調査、これは十分に行われているという御認識でしょうか、お伺いいたします。 74: ◯学校教育部長  ただいま御答弁申し上げたとおり、学校からの記録であるとか、あとは教職員の聞き取りということで調査を進めてきたところですけれども、結果として、御遺族のほうから再調査を求める声などがあった、そして市長のほうでも再調査の必要があるというお話があった、そういったことも踏まえれば、また別な視点で、新たな視点でそういったものを検証していく必要もあるのかなと考えております。 75: ◯小田島久美子委員  私はその点が重要な視点だと思います。先ほど御報告がありました体罰等に対する、また不適切な指導に対するアンケート調査をして、1,000通を超える子供たちが、あると答えた、この回答はしっかりと重く受けとめていただきたいと思います。その上でこのプランの中に、先ほども申し上げましたけれども、可能性があるという子供たちの視点を入れていただいたことは本当に全国的にもないところでございますので、これは評価をするところでございます。  しかし、これだけいじめという問題、それからアーチル、また児童相談所におきまして、こういった特性を抱えている子供たちの可能性に対する適切な対応というものが疑問視されている中で、いじめがあったときに学校で先生方がそういった子供たちにどういう対応をしていただいているのかというところは、真っ先に聞き取りを行われなければいけない視点だと思うんですけれども、教育長、いかがですか。 76: ◯教育長  学校内においていわゆる発達障害の可能性も含めて、やはりそのお子さんにつきましてはより丁寧に事情を確認する、またふだんのお子さんの生活状況、そういう点も含めて丁寧に対応する必要があろうかと思います。  今回、私どもいろいろ反省を含めて、いじめの事案の調査には必ずもう少し広範囲にお子さんにかかわる情報を入手して、その対応をする。そのためにはアーチル等、福祉部門等、そういう関連機関との、今までも連携を行ってはまいりましたが、より深めていく必要があろうかと存じております。 77: ◯小田島久美子委員  発達に特性がある児童生徒への適正な学校等の配慮、プランに入れていただきました。具体的にこれをやっていくという取り組みがありましたら御紹介ください。 78: ◯特別支援教育課長  本プランの中ではいじめ防止への取り組みといたしまして、児童生徒一人一人に応じた支援ですとか、お互いに認め合える集団づくりなどを柱としております。 79: ◯小田島久美子委員  今後は学校や教師のみに任せておくのではなくて、先生方がその配慮を実行しやすい状況をつくるための教室の配置や、特別支援学級、通級指導教室の弾力的な運用、また、スモールステップ等の推進も視野に入れた学校の体制づくり、環境の整備が必要と思いますが、御所見をお伺いします。 80: ◯特別支援教育課長  発達障害の可能性も含め、特別な配慮を要する児童生徒に対しましては、学校体制づくり、環境整備、指導法の工夫など、さまざまな視点で対応することが重要であると認識しております。  小中学校の特別支援学級や通級指導教室においては、これまでも配慮の必要な児童生徒に対しまして取り出し指導を行うなどの対応を行ってきておりますが、今後も国の制度の中で可能なものについては引き続きこのような弾力的な対応をしてまいりたいと考えております。  また、どの子供にもわかりやすく、安心して学習に取り組めるような指導法として、スモールステップでの指導ですとか視覚情報等を活用した指導法などがございます。今後、研修などを通して教員に対してこうした指導法のなお一層の周知を行い、配慮が必要な児童生徒への指導のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。 81: ◯小田島久美子委員  このプランの中に先ほどの問題、健康福祉局、子供未来局においてそれぞれ対応していくとあります。検討しておりますか。 82: ◯健康福祉局長  発達障害につきましては、明確な線引きが難しいという特性がございます。発達障害者支援法の施行とその後の社会における認知度の高まりによりまして、発達相談支援センター、アーチルへの相談件数が増加し、内容も多様化している状況でございます。アーチルでは、発達障害と判断される児童だけでなく、配慮が必要な児童についても障害福祉サービスの対象とし、支援を行っているところでございます。  今後もこうした柔軟な対応を行うとともに、保護者や学校との連携においても面談や連絡票による対応はもとより、アウトリーチによる支援の拡充、さらにこれらの継続した確認など、取り組みを進めてまいりたいと存じます。 83: ◯子供未来局長  子供未来局におきましては、現在、障害児等保育といたしまして、障害が確認された児童だけでなく、発達の状況などから保育に特別な配慮が必要となるというような児童も含めてその対象といたしまして、保育所などでの職員加配など、その児童に応じた保育を実施してきているというところでございます。  また、発達上の課題がある児童への支援の技術の向上などを図るために、発達心理学の大学教授などをアドバイザーとして派遣をいたします保育専門技術向上支援事業を実施しておりまして、今年度からは保育施設だけでなく幼稚園も対象といたしたところでございます。  今後につきましても、これらの事業の対象施設の拡充ですとか、そういった点を検討するなど、保育施設などでの発達上の課題がある児童への適切な対応につながりますよう努めてまいりたいと考えております。 84: ◯委員長  次に、日本共産党仙台市議団から発言予定の方は、質問席にお着き願います。            〔ふるくぼ和子委員、質問席に着席〕 85: ◯ふるくぼ和子委員  まず初めに、発達障害などの課題がある、あるいは何らかの特別な支援を必要とする子供といじめの関係について伺います。  3件続けて起きた中学生の痛ましい自死事案ですが、2件目、3件目については個別の支援が必要な生徒だったのではないかという専門委員会や市の調査から報告が行われています。  発達障害などの特別の支援が必要である生徒といじめやいじめ自死については何らかの関連性があると考えられている向きはありますけれども、支援の必要な子供にだけいじめが起きるという、こういうことではないはずです。支援を必要とする子供については、とりわけより深い理解と対応が求められているということは間違いがないというふうに思いますけれども、いじめは全ての子供に起きることなのだという、こういう認識で今後の対応を行う必要があると思いますけれども、いかがでしょうか、伺います。 86: ◯教育相談課長  学校、教育委員会におきましても、御指摘のように、いじめはどの子供にもどの学校にも起こり得るものであるという認識を持っていじめ対策に取り組んでまいったところでございます。  今後もどの子にも起こり得るという意識の浸透を図り、子供たちの小さな変化やサインを見逃すことのないよう見守りながら、いじめを許さない学校づくりに引き続き努めてまいりたいと考えております。 87: ◯ふるくぼ和子委員  発達障害などがあったことがいじめの原因のような狭い捉え方になっていくと、いじめ防止法で言っている、いじめは全ての子供に起こり得るという、こういう考え方とも大きく矛盾することになります。必要な防止対策をどう講じるのかという検討においても狭めてしまう、こういう危険がありますので、この点はしっかりと確認をさせていただきたいと思います。  もちろん二度とそうした痛ましい事案を起こさせないためには、発達障害などの理解はもちろん、一人一人の子供に寄り添っていくこと、これが今ほど大事になるということは言うまでもありません。重要なのは、いじめは子供の成長過程において全ての子供に起こり得ることだというこの認識で、起きたときには、きちんと大人が見える関係にして、絶対に深刻な事態には進展させない、こういう決意で取り組みを行うことが求められていると思いますけれども、この点の御認識を伺います。 88: ◯教育相談課長  いじめ事案が起きた場合、どんな内容の事案なのかにかかわらず、組織としてその情報を共有し、対応に当たることが最も重要であると認識しております。  校長初め教職員、保護者など、子供にかかわる大人が全力で子供を守るという強い決意を持って取り組みに努めてまいりたいと考えております。 89: ◯ふるくぼ和子委員  いじめの認知件数がふえているということについても、この間、撲滅といった言葉で強調される傾向が進んでいるんじゃないかと、こんなふうに感じるんですけれども、数字上でゼロになればいいのかというと、もちろんそうではないんじゃないかと思います。  先日、市民教育委員会で伺った大津市では、いじめの認知件数がふえる傾向にあっても、子供が言える環境が広がっているんだと、こういうふうに積極的に捉えて、声を上げてくれた子供が今以上に悩んだり追い詰められたりすることがないようにどう支えていくのかということを現場がしっかり考えて、そして深刻な事態には絶対にさせないんだと、こういう決意で対応しているというお話も伺ってきました。  数字を減らすということを追うような目的となっていけば、当事者同士が話し合って謝ったら終わりでカウント1減、こんなことにつながっていきかねない。謝罪し合うという経過を経たとしても、その後の子供たちの様子というのは当然観察をし続けなければならないと思いますし、数字だけを追うということは、こうした子供の成長まで置き去りにしてしまうことになると、そのことにつながっていくと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。認知件数の考え方とあわせて改めてお伺いをしておきたいと思います。 90: ◯教育相談課長  いじめの認知件数の増加は、学校、教員が丁寧に事案を把握し、対応に当たっていることのあらわれであると考えております。しかしながら、さまざまな対策により認知件数を粘り強く減らしていくことも大切であると考えております。  今後も一つ一つのいじめ事案について、謝罪を終結と捉えることなく、丁寧かつ継続した指導、支援により子供の成長を促すことができるよう取り組んでまいりたいと存じます。 91: ◯ふるくぼ和子委員  そうすると、実態として減らしていく、こうした具体的な取り組みをどのように進めていくか、このことが問われてくることになります。  先日行われました総合教育会議、先ほどの議論の中で市長からもいろいろ報告がありました。ある教育委員の方が、市教委中心の特定のイベントだけでいじめを考えるのではなく、子供一人一人が主体的に考えられる取り組みが必要なんだ、こういうような趣旨の発言もされていたと伺っています。  いじめの防止策を考えるときに大事なことは、大人が子供の権利を理解するということはもちろんのこと、子供自身が持っている自分の権利そして他者の持っている権利を理解して、それは絶対に侵害してはならないんだということを学んでいくことです。  世田谷区では子ども条例というのをつくって、教育委員会は小学生の高学年用と中学生用に、条例についてみんなで考えようという冊子を作成しています。この条例には、虐待の禁止や子育ての支援はもちろん、いじめへの対応やいじめの禁止、防止と早期解決への仕組みづくり、こういうものが盛り込まれています。  いじめ防止対策で必要なのは、禁止をして抑制をする枠組みをつくるということではなくて、世田谷区の子ども条例のような子供が健やかに成長する権利、この柱を立てて各施策を展開していくことだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。 92: ◯教育相談課長  いじめを起こさないためには、一人一人の人間が尊厳ある存在であることを子供たち自身が理解し、互いのかかわりの中で正しく判断し、行動する力を身につけていくことが大切であると認識しております。これまでも小中学校において本市独自の副読本、みとめあう心を活用しながら取り組んでまいったところです。  御紹介のありました世田谷区の事例など他自治体の状況も参考にしながら、関係部局とも連携して、より効果的な取り組みについてさらに検討してまいりたいと考えております。 93: ◯ふるくぼ和子委員  いじめ防止条例という議論もありましたけれども、考え方の問題として、この点とても大事だと思います。子供一人一人の権利を柱に立てることを明確にすべきですし、その立場からの具体化、これは教育局だけでなく市長部局に対してもしっかりと求めておきたいと、このように思います。  次に、御遺族との関係をどう持ち続けるかという点についてです。3件目の事案についてはようやく専門委員会の構成が決まって、いよいよ本格的な調査と検討が始まっていきます。具体の内容は専門委員会の議論の結果を待ちたいと思いますけれども、この調査の中で御遺族当事者が御本人の口で率直な気持ちを直接語っていただく、このことが大変大事だと考えています。  この点では残念ながらこれまで教育局、必ずしも成功しているとは感じられていません。人の気持ちというのは時間の経過とともに変わりますし、節目節目に事務連絡とあわせコンタクトをとって面談を重ねていく、こうした関係性の構築が大変大事だと思いますが、これまでの事案で、御遺族とはどうだったのでしょうか。どの程度、直接会話ができてきたのか、事実関係を伺っておきたいと思います。 94: ◯学校教育部長  これまでの二つの事案につきましては、御遺族と直接お会いをし、御要望をお伺いするなど対応をしてまいりました。  本年4月の事案につきましては、亡くなられた日に教育委員会の職員が直接、御遺族にお会いし、その後も事案の公表やアンケート調査の説明、専門委員会の委員構成等について御要望を受ける際などにも直接お会いをし、お話を伺ってきたところでございますが、現在は御遺族の意向により代理の方を通してやりとりをさせていただいている状況でございます 95: ◯ふるくぼ和子委員  3件目では直接対話ができない状況にあるということで、本当に大変な状況だし、残念だと思います。  再調査でも専門委員会での調査でも、御遺族の聞き取り、意向調査など欠かせないものになっていくと思います。とりわけ御遺族自身の思いを直接御本人から伺うということは、御遺族の尊重はもちろん、失われた子供に命に寄り添うことになると思いますし、再び痛ましい事件を起こさない取り組みへのバトンになると考えています。今後、委ねられた委員会の仕事になりますが、御遺族との対話の重要性についての御認識も伺っておきたいと思います。 96: ◯学校教育部長  専門委員会の調査を進めるに当たって、御遺族の御協力は欠かせないものであり、信頼関係を構築し、進めていく必要があると認識しております。
     教育委員会としても、御遺族に調査の進捗状況などを丁寧にお伝えし、お考えを伺うことなどを通じ、専門委員会が十分に調査を行うことができるよう、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。 97: ◯委員長  次に、社民党仙台市議団から発言予定の方は、質問席にお着き願います。            〔ひぐちのりこ委員、質問席に着席〕 98: ◯ひぐちのりこ委員  郡市長は、選挙公約に、いじめ問題について強調していらっしゃいます。各局での会議を複数立ち上げられるなど、奥山前市長からの継承という側面もありますけれども、今も議論にありましたように、就任してから、中学校への訪問などを行っています。これらも含めて市長に就任してからの取り組みについて、まず初めに伺っておきます。  あわせて、スピード感を持って取り組む、この観点も大事なんですけれども、やはり形というのをつくるまでには同時に広範な意見を聞くなど、丁寧な取り組みをすることも肝心です。本当に必要なところは現場サイドで待ったなしで取り組んでいくというふうに思うんですけれども、お考えを初めに伺っておきます。 99: ◯市長  いじめ問題につきましては、スピード感を持って緊急的あるいは早期に取り組むべきものというものがあることは事実でございますし、一方で、ある程度時間をかけながら十分な議論を踏まえて中長期的に充実させていくものなど、さまざまあるんだろうなというふうに思っております。  本市のいじめ防止対策が今後さらに充実するように、専門家会議等の有識者からの御意見や議会での御議論、そしてまた、市民の皆様方の御意見等々も伺いながら、幅広く丁寧にいじめ問題解決のために取り組んでまいりたいと思います。 100: ◯ひぐちのりこ委員  後半の会議があるということについて、本当にプラスになるような形で、これは後ほど質問させていただきます。  有識者からの話などにもあるように、教育現場での多忙さにより生徒に向き合うことについて厳しくなってきているという話もあります。  市長は35人学級を提言しています。現行よりも少人数学級になることがいじめ対策の一つの効果になるという部分もあると思いますが、御見解をお伺いします。 101: ◯教育人事部長  教育現場におきましては教員の多忙化、これは喫緊の課題でございまして、少人数学級は多忙化解消に資するとともに、教員が子供と向き合う時間が確保され、子供たち一人一人により丁寧な指導が可能となるという面で、いじめ対応にも一定の効果がある部分があるというふうに考えてございます。 102: ◯ひぐちのりこ委員  担任だけではなく、やはりいろいろな先生、いろいろな価値観の人と触れ合うということもやっぱり効果になると思いますので、こちらは本当に期待するところでございます。  また、議論にもありましたように、いじめは起こるものだという認識のもと対策を講じるということが言われております。  2017年に文科省が発表したいじめの認知件数の推移では、2015年が22万5132件と過去最多となりました。重大事態の発生件数は314件と前年度を下回っております。  本市においても、いじめの認知件数が、昨年度は一昨年度と比べて増加しています。これまでの議論にもあったようなんですけれども、また、いじめがあるということについては学校の評価が下がり、さらに報告した者の評価が下がり、事務作業もふえると、そういう考える思いがあるという、こういうことは想像にかたくありません。しかしながら、まず実態の調査、公表から対策も始まるので、学校にとってはいじめを隠蔽することがない、そういう報告ができる環境が必要です。報告をすることがモチベーションの高まりとなるような仕組みを担保することが必要と考えますが、お伺いいたします。 103: ◯教育相談課長  いじめの認知件数につきましては、教育委員会といたしましても減らしていく努力をしなければならないと認識をしております。  一方で、いじめの認知件数が多いことは、学校が丁寧にいじめを認知しているものと捉えており、今後もいじめ事案を学校で抱え、困難化することなどがないよう、学校と教育委員会の日ごろからの関係をさらに構築し、機能的に役割を果たすことができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 104: ◯ひぐちのりこ委員  やはり隠蔽するような、抱え込んでしまうということが、また子供たちだけではなく、やっぱりそこの大人の関係もなかなか厳しいようなところでございますので、こちらも期待するところでございます。  さきの委員会で、同僚議員が不登校といじめの関係、これについて言及いたしましたが、その後の調査についてまず伺っておきます。 105: ◯教育相談課長  不登校の事案のうち、いじめが要因と疑われるものについて把握することがこれまでは不十分であったと認識しております。  いじめが要因と疑われる不登校事案の報告につきましては、現在、教育委員会に第一報として報告を行うことや、年4回のいじめ定期報告にその状況を記載するなどにより、学校と教育委員会が情報を共有していじめと不登校の関係について把握するよう努めているところです。 106: ◯ひぐちのりこ委員  関連して、これは年4回あるというんですけれども、一番喫緊の報告というのは大体いつごろになりそうなんでしょうか。 107: ◯教育相談課長  喫緊の報告でございますと、9月末まで各学校から報告を受けた数になります。 108: ◯ひぐちのりこ委員  この報告もやはり本当に実態がわかるような、そういうところを期待するところでございます。  狭い学校、学級だけではいじめが起こりやすいと言われております。先週、社民党会派で視察を行いました。その際行った自治体の観光交流施設が主催した全世代を対象としたロボットコンテスト、主催した側の話を聞いたんですが、優勝したのが中学生のチームだったということなんです。その中学生のチームのメンバーの一人に実は不登校の生徒がいたのですけれども、このことをきっかけとして学校に通えるようになった。主催者側でも本当にこれは思わぬプラスの効果だったというふうに言っておりました。  このように学校以外でも地域など複数の居場所があること、そして居場所、いろいろな関係、そういう情報にアクセスしやすい環境をつくることが大切ですが、お伺いいたします。 109: ◯教育相談課長  登校できない子供たちにとって、その状況に応じた居場所づくり、安心して生活できる環境整備は重要なことであると認識しております。  これまでも本市としては児遊の杜や杜のひろばを設置してまいりました。また、市民団体や企業の御協力のもと、不登校支援ネットワーク事業による体験活動など、子供たちの多様な居場所づくりに取り組んでまいったところでございます。  今後も学校と地域、また関係団体等がさらに連携し、地域資源の周知、活用を図りながら子供たちの居場所づくりを進めてまいりたいと考えております。 110: ◯ひぐちのりこ委員  仙台市はいろいろな市民協働ということで、こちらが子供対象だと考えないところで世代も超えた思わぬ効果があると思うので、その辺の情報のいろいろ共有化、組織の枠を超えた取り組みを期待するところでございます。  また、ひきこもりゼロをなし遂げた秋田県藤里町の社会福祉協議会の会長さんのお話を聞きました。ひきこもり対策というのは誰の視点であるかということに注目し、困難な状況、しんどいよと言っている状況、こういう状況にある方に声をかけて、まずつながり合うこと、そして、大変だね、そういう思う状況を本当に言い合える、福祉だからこそできる支援があるはずだと言っております。そのことが必要なことに私は大変感銘を受けました。  ただ、会議には福祉職からのメンバーも入っていますが、いじめ問題の対策のため、福祉の観点についてお伺いいたします。 111: ◯学校教育部長  いじめや不登校の防止や対応には、その子供の置かれた環境の改善が大切な視点の一つだと認識しております。このようなことから、現在、スクールソーシャルワーカーを活用し、関係機関とのつながりを支援することにより、子供の置かれた環境の改善を図るなどの対策を行っているところでございますが、引き続き、福祉分野も含めた関係機関との連携を図りながら、支援の拡充を進めてまいりたいと考えております。 112: ◯ひぐちのりこ委員  社会福祉協議会の会長さんの話で、病気のようなひどい思いをしていた。風邪を引いたときにはその原因究明よりもまず毛布をかけてあげよう、こういう取り組みというのが結果的には本当にいいような状況になるということ、こういう視点も大変大切だと思いますので、連携について期待するところです。  いじめは人権問題である、このように市長は答弁をなさっています。きょうから人権週間が始まっております。人権擁護委員などが学校に出向いて授業を行っている、こういうことなんですけれども、内容や現状、そして児童生徒の変化についてお伺いいたします。 113: ◯教育指導課長  人権擁護委員による人権教室は小中学校において実施しており、実施校数も年々増加しているところでございます。授業は、ビデオや紙芝居、絵本などを使いながら、児童生徒の人権尊重に対する理解を深めることを狙いとして行われております。  授業後の児童生徒からは、いじめは絶対にしてはいけないことを学んだ、自分と友達を大切にしなければいけないことがわかったなどの感想があり、いじめは人権侵害であるということについて一層理解を深めているところでございます。 114: ◯ひぐちのりこ委員  法務省のことしの強調事項でも、子どもの人権を守ろうという、こういうことがあります。  各局などでいじめに関する会議について、教育委員会の独立性を初め、それぞれを協調し、尊重し、大局的な観点で調整をすることが市長、そして二役の責務と思いますけれども、今後についてのお考えを伺います。 115: ◯市長  いじめに関する会議等の今後についての御質問でございます。  私といたしましては、それぞれの会議や委員会、その目的、役割に沿って調査や審議が行われていて、引き続きそのように進んでいくものというふうに認識をしております。  それぞれの調査結果や御提言、この全体を私自身がしっかりと把握をさせていただいた上で、関係部局ともその認識を共有し、十分な調整を図っていきながら、いじめ対策に関する施策に生かしてまいりたい、その決意でございます。 116: ◯委員長  次に、アメニティー仙台から発言予定の方は質問席にお着き願います。             〔佐藤わか子委員、質問席に着席〕 117: ◯佐藤わか子委員  たくさん聞きたいことはあったんですけれども、私の前に4人の方がお話しになりまして、私が聞きたいことはほとんど出てしまいましたけれども、今回、4月に起きた事案に関するいじめ問題専門委員会が6カ月以上もたってやっと立ち上がりました。これはちょっと時間がかかり過ぎたんじゃないかという思いと、12月5日に第2回目をやるということですけれども、私は、先ほどのふるくぼ和子委員のお話にもありましたように、調査をする上で一番大事なのは御遺族の思いをしっかりと受けとめていただきたいということなんですね。それをお願いしたいということと。  それから、たくさんの第三者機関が立ち上がりました中で、子供未来局に立ち上がりました仙台市いじめ問題再調査委員会についてなんですけれども、この委員を選任するに当たって、いじめ問題再調査委員会いじめ問題専門委員会というのはもともと性質が違うと思うんですよ。それがなぜこの再調査委員会いじめ防止対策推進法の第30条の条例に基づいて常設の委員が決められて、そして遺族推薦の臨時委員が決められるというような形になったのか、まずお伺いします。 118: ◯子供未来局長  再調査委員会の組織運営に関しましては、現在の条例上、常設を前提といたしております教育委員会専門委員会の規定を準用するという形になってございます。そうしたことから、委員会のつくりとしては常設といいますか、そういった委員がまずあって、その後、臨時委員という形の委員さんにも入っていただくという形になったものでございます。 119: ◯佐藤わか子委員  これはなぜ準用するというように決まっているのでしょうか。この条例というのは、再調査委員会をつくるに当たってはこの条例を準用するということにもう決まっていて、変えることができないということですか。 120: ◯子供未来局長  現在の条例の中で、再調査委員会の設置については教育委員会専門委員会の規定を準用するという条文がございますので、それに基づいた形での委員会の立ち上げとなったというところでございます。 121: ◯佐藤わか子委員  再調査委員会というのは、いつ再調査が起きるかという、そういうことは決まっているわけではないんですよ。ですから、再調査委員会が市長のところに来て、市長が判断して、再調査委員会をつくるとなったそのときに委員を選定するということで対応するべきではないかと思うんですね。なぜかというと、臨時委員は委員長とか会長とか副会長になることができないんですよ。再調査委員会という性質上、それを準用しなければいけないというのであれば、そのこと自体を変えて、これからは再調査の事案が起きたときに初めて委員を選任するというようにしたほうがいいと思うんですけれども、この点に関してはどのような御認識でしょうか。 122: ◯子供未来局長  これまでの再調査委員会の議論の中におきましても、再調査の事案が発生した都度、適任者を選任するような制度とすべきであるといったような意見も出されておりまして、そういったこともあって、委員会として市側に申し入れを行うということにつながっているというふうに認識をしております。  今回の再調査事案につきましては、現行制度の枠組みのもとで進めていくということにはなりますが、委員会の御意見も十分踏まえながら、今後の制度的なあり方について検討は深めてまいりたいというふうに考えております。 123: ◯佐藤わか子委員  委員の中からもそういう話が出たということでございますから、今後その辺は十分に検討していっていただきたいと思います。  それから、もう一つなんですけれども、総務局に立ち上がりましたいじめ対策等検証専門家会議なんですが、もちろん体罰についてもさまざまアンケートをとられたりしているんですね。今回も御報告をいただきました。今後のスケジュールということに書いてありまして、体罰のアンケートの集計を今後行っていくということでございます。このアンケートのそれぞれ実態調査をやった後、どのような形で進めていくんでしょうか。今後の専門家会議とそれから体罰のアンケート結果をどのような形で政策にまとめていくのか、お伺いします。 124: ◯総務部長  体罰のアンケートでございますが、ただいまアンケート結果について、学校内での調査、現在中学校で行っているところでございます。その結果、まとまった状況を受けまして、どういったときに体罰が起きているか、そういったものをまとめまして、専門家会議の皆さんにその状況を御説明すると。それを受けまして、場合によりましては関係する学校長等から聞き取り等、そういったものを行う必要があるかなと考えてございます。その専門家会議の中で、その状況を受けての体罰の再発防止のためにどのような取り組みを行うか、そういったことを進めていこうと考えているところでございますが、学校での調査のまとまり状況を見まして、スケジュール等については年度内にまとまる、そういったところまではまだ今現在では申し上げられないところでございます。 125: ◯佐藤わか子委員  今、総務部長がお答えになりましたように、実際にこの会議をつくっているところが総務局ですよね。でも実際に体罰についてどうするかとか体罰が起きないような環境にするためにはどうするかというのは教育局ですよね。会議に出ている専門家の方というのは、諮問とは違いますから、答申とかというのは出てくるような会議ではないんですが、どういうふうに形になって、教育局と会議の委員の御提言がうまくリンクするようになっていくんでしょうか、お伺いします。 126: ◯総務部長  会議のメンバーからいろいろ御提言いただいたものは、この会議は市長のもとに設置してございますので、まずは第一義的には市長として受けとめるという形となります。  そして、その内容ですが、実際、体罰等について具体の施策を行っていくのは教育委員会、学校ということになりますので、その内容をいかに教育委員会側にお伝えしていくかということになるかと思いますが、やはりその部分につきましては総合教育会議の場などを通して、その状況等を市長と教育委員会との間で協議しつつ、体罰防止に向けての話し合いをしていくということを考えているところでございます。 127: ◯佐藤わか子委員  それでは確認ですけれども、諮問しているわけではないので、その都度、その都度、答えが返ってくるということではないので、この会議においていろいろ御提言がありますよね。その御提言いただいたものを市長が受けとめて、それを教育局だったら教育局にやってもらうというような形になるんでしょうか。どういう形で政策としてそれにつながっていくのかお伺いしたかったんですが。 128: ◯総務部長  提言をいただいたものにつきまして、教育委員会で実施しなければならない部分、あとは市長部局の各部署で実施できるもの、そういったものがそれぞれ出てくるかと思います。  教育委員会で実施いただくものにつきましては、やはり教育委員会として行っていただく。また、その際に予算措置等も必要になるかと思います。その際には当然市長の判断というものも出てくることとなりますので、そういった部分を教育委員会と市長との間での協議で進めていくということを考えているところでございます。 129: ◯佐藤わか子委員  何かすっきりしない部分がちょっとあるんですけれども、それで、先ほどの菊地崇良委員のほうからも出ました。それが私はすべていいとは思いませんけれども、大津市のようにやはり市長部局の中に直接のいじめをそのような形で取りまとめて、ほかの局にも広げていくというようなやり方も必要なんじゃないかと思いますけれども、その辺については市長、どのようにお考えでしょうか。 130: ◯藤本副市長  確かに委員御指摘の内容にもございますように、任命権を超えて複数の部局にさまざまな課題なり答えを出していかなければいけないという状況にありまして、そもそも市長部局に設けました理由というのが、ある意味でいじめの問題については学校にとどまらず、市長部局にあります施設においてもあり得るという観点と、あとある意味で当事者ではないさまざまな知見をいただきたいということ、あとはもう1点、市長のもとできちんと考えなさいということから設けたところでございますので、そこから出てきますテーマ、答え、解決策等々については、当然それぞれの局に返していかなければいけないということになりますので、それは市長と教育委員会の検討の場である総合教育会議でありますとか、予算に伴えば補助執行の整理とか、そういったそれぞれの出されました提言を施策として協議を進める中で具体の施策にしていくということになろうかと思います。  その際に組織のありようということについては、先ほど御答弁申し上げましたような形で、大津市の例もあろうかと思いますが、実際の事業を所管している、所管していないというようなことから生じます課題整理もございますので、基本的には、いじめに対する問題は、市長以下二役のもとで総合的に調整していかなければいけないという中にありまして、組織についてもどうあるべきかについて検討を進めたいというふうに考えております。 131: ◯委員長  次に、市民ファースト仙台から発言予定の方は質問席にお着き願います。             〔安孫子雅浩委員、質問席に着席〕 132: ◯安孫子雅浩委員  ただいま各会派の代表からもそれぞれ質疑として出ておりましたけれども、三つの第三者委員会の進捗状況というものがやはり市民は気になるところでありますし、私たち議員もこの動き方がどうであるかということをもって、今後どのような展開が図られるかということを見ていかなければいけません。  改めて、日程的な見通し並びに進捗状況という点についてお尋ねをします。 133: ◯総務局長  私からは、いじめ対策等検証専門家会議の進捗状況についてでございます。  これまで教育委員会での取り組み、それから市長部局、アーチルとか児童相談所での取り組みについて御議論をいただいたところでございまして、それらを踏まえまして、第3回会議、12月21日に開催いたしますが、そこでさらに議論を深めていただきまして、一定の御提言というものを年度内にまとめていただきたいという形で進めております。 134: ◯子供未来局長  私からは、再調査委員会の進捗状況についてお答えをいたします。  これまで3回の会議が開催されたところでございまして、これまでに会議の公開、非公開に関することですとか臨時委員の位置づけなど、制度面に関することについて基本的な部分がまとめられてきたところでございます。  今後のスケジュールにつきましては、年内中にもう一回開催されるという予定でございますので、スピード感を意識した調査という視点も持ちながら、今後具体的な調査に進んでいくというふうに考えております。 135: ◯教育長  私からは、本年4月に発生した事案の調査を行ういじめ問題専門委員会についてでございますが、先ほど御報告もさせていただきましたが、明日5日に臨時委員を含めて第2回の専門委員会を開催する運びとなりました。  今後、この委員会において具体的な審議の方法等を御議論いただきまして、その後、調査を進めていただくことになるわけでございます。日程等、8人の方の日程を調整しつつ、できるだけ速やかに調査が進むことを願うわけではございますが、これは委員長のもとで適切に今後進めていただく結果としてスケジュールがもう少し後から見えてくるのかなというふうに思っているところでございます。 136: ◯安孫子雅浩委員  あえて改めてお尋ねをいたしました。運営する側の当局側の力量も問われているんじゃないかと思うんですよ。それぞれ目的があって、設置目的があって、理由があってそれらを設置していて、それを丁寧に進めていく、それは当たり前のことでありますけれども、しかしそのときに、各委員の構成もさることながら、それを進めていくのは当局側でありまして、それぞれの持ち場においてその力量が問われているということもここで改めて申し上げておきます。  また、屋上屋を架すようなことがあってはいけないわけでありますね。もし今後こういった委員会の中で、こういった切り口やこういう取り組みが必要だというときに、それではまた、そこに向けての検討、協議を進めましょうなどということを繰り返していくのかどうか、その辺の道筋も我々は見ていかなければいけないと考えております。乱立しているなどというふうに言われないように整理をして進めていただきたいと思う。  また、これら第三者委員会についての運営と進捗について、基である教育委員の方々というのはどのように見ているんでしょうか。教育委員の方の声や顔が見えないという話も市民からよく聞かれるところでございますが、その辺はいかがですか。どのように考えていますか。 137: ◯教育長  私も含めて、教育委員会が合議体という形で存在しているわけでございますが、いじめの自死事案が発生した以降、教育委員全体の中でこれは深刻な重大な問題として受けとめ続けております。この前の総合教育会議においても市長といろいろ御協議させていただきまして、そういう中でこの問題を解決していくためにはあらゆる手だてを講じていく必要があるというふうに大体共通認識として持っておるところでございますので、私ども教育委員会がそういう意味では一番責任を負う立場であるというふうに自覚しております。 138: ◯安孫子雅浩委員  教育委員会でありますけれども、教育委員の方々も果たしてどうかということであります。教育委員並びに教育委員会、そして市長ですね。どのような市民の注目が集まっているかという御自覚をいただきたいと思います。  それから、先日、郡市長となって初めて開かれました総合教育会議でございますが、これは私もその内容についてはお伺いしたところでございます。傍聴はできませんでしたが。市長として御所感はいかがでしょうか。 139: ◯市長  総合教育会議におきまして、初めて教育委員の方々と意見交換を行わせていただきました。特にいじめの問題につきましては、今まで以上に教育委員会とその課題や今後の方向性について認識を共有できたのではないかというふうに思っております。  今後も、いじめ問題を初めとする教育課題、さまざまございますけれども、この課題について総合教育会議での議論なども生かしながら教育行政の推進、信頼を失ってしまったとも言える本市の教育行政の再生に向けて鋭意取り組んでまいりたいと思います。 140: ◯安孫子雅浩委員  先ほども同僚議員から指摘がありましたけれども、例えば総合教育会議であるならば、この中における市長のポジション、立場というのは何かということの自覚も、私はできれば重ねていただきたいというふうに見させていただいております。ともすると、さまざまな角度の意見が出てまいりますので、それについて一方的に受益するというか、受ける側だけでいいのかどうか。受けるんであれば、それに対して何かの施策なり予算なり、あるいはもう一つまた新しい委員会なりを立ち上げていくということも求められてくるわけですから、その辺の全体的なバランスというものも教育会議を主催する市長の立場として私は必要であるというふうに指摘をさせていただきたいと思います。  それから、せんだっての会議の中で、委員から教育振興基本計画とその施策に対する意見も出ているようでありますけれども、この意見について、一部マスコミ等にも報道されておりますが、市長並びに教育長はどのように受けとめられておりますか。 141: ◯市長  教育委員からは、本市の中学生の自死事案を重く受けとめて、本市が行っている施策がまだ十分に機能していないのではないかとの視点を常に忘れずに持ちながら対策に当たっていく必要性があるというふうな、そういう御認識の御意見を頂戴いたしました。  教育委員みずから真摯な姿勢で取り組みの必要性を強調されておられまして、私自身も仙台市の教育行政の信頼回復に向けて教育委員会ともしっかりと連携して、さらなる取り組みを進めてまいりたいと、そのように決意をしております。 142: ◯教育長  さきの総合教育会議において、教育委員から厳しい御指摘の発言がございました。まさに教育行政の今後を考えてのものと受けとめておるところでございます。6名の教育委員並びに私の思いといたしましては、我々教育委員会の施策が現場の教職員一人一人にまで浸透していたのか、そして子供たちに届いてていたのか、反省すべきところは真摯に反省し、今後のいじめ防止対策をさらに推進してまいらなければならないと考えているところでございます。 143: ◯安孫子雅浩委員  基本計画なりその施策に対して、魂を入れよというような発言がありました。私はそのこと自体は同感であります。ぜひとも、しっかり、しっかりという表現が出てくるのでいいんですけれども、しっかりやり過ぎて全然動かないということではいけませんので、その辺も柔軟に対応できるような姿勢を求めたいと思います。  それから、きょう、あすで、市長は就任されてちょうど100日という日をお迎えになるのかなというふうに思いますけれども、この間、選挙のときから始まって、まずもっていじめ問題、残念ながらの悲しい事案に対して第一に取り組むということでのスタートであったと思いますが、しかしながら100日を経過したこの段階において、きょうもこの委員会におきましてこのような質疑が繰り返されているということ自体を市長御自身はどのように受けとめられていらっしゃるか。 144: ◯市長  私が就任をさせていただきましてから100日を経過しております。私自身いじめ問題に対する取り組みをしっかり進めていくというのが市長に就任をさせていただき大きな使命であるというふうに捉えてこれまでやってまいりました。市長就任後、第三者機関による調査、審議を順次開始させていただいておりますけれども、なお一層の危機感を持って取り組んでいかなければならないというふうに思っております。  きょう、議員の皆様方の御議論も、本市としてしっかりとした教育行政に対するどんなような市長部局として制度をつくっていくのか、組織をつくっていくのか、あるいは予算をどうするのかといったところも含めて、ある意味での大きな力になっていただけるものというふうに思っておりますけれども、議会での御議論、そしてまた第三者機関からの御意見なども踏まえて、全市を挙げてこの問題に取り組ませていただきたい。学校の中だけでなくて、子供が安心して生活できる地域社会をつくっていくんだという、その気持ちでなお、まだまだ遅いとおっしゃられるかもしれませんけれども、私なりにリーダーシップを発揮してまいる所存でございます。 145: ◯安孫子雅浩委員  先ほど来の同僚委員の質疑にもありましたが、果たして、では具体的には条例の制定なりというものについての取り組みはどう考えているかということもあります。しかし、それには手続もさまざまあるということをこちらも理解をいたしますけれども、まずもって今、これから郡市長が、これまで御発言になったような形で取り組んでいくという意思を表示するということの具体は、それはとりもなおさず新年度の予算でどれほどまで鑑みてこれらにかかわる予算措置をしていくかということでありますけれども、当然に相当力を入れて、新年度予算の中には、これらに対する施策についてと、それに伴う予算をつくるという前提で受けとめていてよろしいですか。いかがですか。 146: ◯市長  これまでも議会での御議論をいただきました。また、総合教育会議、いじめ対策等検証専門家会議、また幅広く市民の皆様方からも御意見を頂戴しているところでございます。  今後の施策を考えるに当たりましては、このような御意見も踏まえまして、本市のいじめ対策の現状や課題をしっかりと見きわめて対応していくことが重要であると認識しております。来年度の予算編成に向けましてはこのような考えのもと、十分に熟慮を重ねてまいりたいと存じます。 147: ◯安孫子雅浩委員  熟慮は大切でありますけれどもね、現場は日々動いておりますし、教育現場は日々大変なんですね。先ほど来、同僚委員の指摘もありましたけれども、どれほど今、日々刻々と動く中で、現場の先生方や学校、子供たちも一緒になって取り組んでいくかどうか、そこを十分に思いをいたしながら、熟慮なりしっかりなりやっていただきながら、ただ、やはりそれは時間には限界があるということも理解の上、進めていただきたいと思います。  委員長、最後に一言なんですが、できればこういった公務についての具体なものは、やはりそれは条例の制定ということでありますが、当局側から出てくるものを待っていては、相当時間がかかってしまうだろう、残念ながら。であるならば、委員長、この委員会の趣旨にものっとって、この委員会の中で何らかの条例の策定に向けての取り組みを委員長の差配に求めさせていただきたいと思います。 148: ◯委員長  次に、みどりの会から発言予定の方は質問席にお着き願います。             〔平井みどり委員、質問席に着席〕 149: ◯平井みどり委員  学校におけるいじめの問題は絶対にあってはなりません。しかしながら、残念ながらいじめはなくならない、それを踏まえて質問いたします。
     まず、学級担任教員が重大事案につながりそうないじめを発見したときに、初動対応としてどのように動くのか、対応の規定はあるでしょうか。あるとすれば、それはどのような動きでしょうか。 150: ◯教育相談課長  いじめに関しましては、その内容にかかわらず、いじめられた側の受けとめ方で深刻な状況になってしまうこともあり得ることを、子供の身近にいる担任を初め全ての教員が認識することが重要だと考えております。その上で、担任としていじめられた子供の気持ちをまずはしっかりと受けとめるとともに、組織対応が速やかになされるよう管理職に報告するなど、情報の共有に努めることが重要であると認識しております。 151: ◯平井みどり委員  次の段階として、担任のほかに学校全体ではどのように対応していくんでしょうか。 152: ◯教育相談課長  いじめ事案が発生した場合、まずはいじめを受けた子供に対し、絶対に守るというメッセージを伝えながら、安全確保と、いじめを行った子供への指導を組織として迅速に進めることが大切であると認識しております。  さらに、保護者としっかりと情報を共有し協力をしながら、継続的な支援、指導を行っていくことが必要であると考えております。 153: ◯平井みどり委員  今回の一連の事案に対応するために仙台市では委員会が二つ立ち上がり、動き始めたところであるとの認識です。さらに、これらについて、いじめ対策等検証専門家会議が開催されていますが、この会議の設置目的は、いじめなどの防止等に関する施策の推進を図るための設置であると定めています。ですから、この会議はいじめの予防については実にさまざま提案されていますが、いじめが起こってしまったときの対処については余り議論されていないように思います。特にいじめの加害をしてしまった生徒についてどのような指導をするのか、加害をしてしまった生徒に対しても精神面などのケアが必要と思いますので、どのように指導、対処するのかお示しください。 154: ◯教育相談課長  学校においては、いじめをしっかりと認知し、組織としてしっかりと対応することが重要であると考えております。その際、事実関係を双方からきちんと聞き取り、いじめた側の子供に対しては、自分の行為が相手をどんな気持ちにさせたのかをしっかりと振り返らせ、見詰めさせた上で反省させることが重要であると考えます。指導が、その子供のその後の成長に生かされるよう努めることが教育として求められているものと考えております。 155: ◯平井みどり委員  また、アンケートによる体罰の有無や個別のいじめ案件については公表されておりますが、では現場の子供たちは実際起こっている一連のいじめ問題についてどう考えているのでしょうか。子供たちの生の声、そして子供たちは今起こっているいじめの問題をどう捉えているのでしょうか。私は、その声を分析し、今後に反映すべきと考えます。現場から上がってきた声をお聞かせください。 156: ◯教育相談課長  いじめストップリーダー研修会や、いじめ防止「きずな」サミットなどの場において、子供たちが自分の言葉で自分たちにできることを真剣に議論し合っている状況などを教育委員会としても把握しているところです。  各学校においても、いじめの未然防止を目的とした子供たちの主体的な活動が年々活発に進められるようになってきており、そのような取り組みを今後も教育委員会としてしっかりと支援していきたいと考えております。 157: ◯平井みどり委員  市長にお伺いいたします。この目に見えない心の問題、私たちはどう向き合うのか、これらのいじめ問題から多くのことを学ぶべきだと思います。市長のお考えをお聞かせください。 158: ◯市長  子供たちみずからがいじめの問題に自分事としてしっかりと向き合って、主体的な活動に取り組んでいくということはとても重要だというふうに認識しています。子供たちの気持ちをしっかりと受けとめて、一人一人の子供たちが安心してそして元気に過ごすことができるような学校づくり、これがさらに進んでいくように教育委員会と連携をしながら、いじめ防止の施策の一層の充実に今後も努めてまいります。 159: ◯委員長  以上で当局に対する質問を終了しました。  それでは、ここで一旦休憩し、午後から参考人からの意見聴取を行いますので、よろしくお願いをいたします。  なお、冒頭申し上げましたとおり、ここで市長、藤本副市長は公務のため退席となります。  この際、暫時休憩いたします。                休憩 午後0時52分                再開 午後1時31分 160: ◯委員長  再開をいたします。  これより意見聴取を行いたいと思います。  既に御着席をいただいておりますが、本日は国立大学法人大阪大学大学院片山泰一教授をお招きいたしております。  冒頭申し上げましたとおり、片山教授からは、発達障害に関する現状及び課題等について、60分程度のお話をお願いしております。その後、質疑応答を20分程度予定しておりますが、質問はその場で挙手していただき、私が指名いたしますので、指名の後、御発言を願います。また、時間が限られておりますことから、質問される方が多い場合は私のほうで調整させていただきますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、片山教授にお話を伺いたいと思いますが、片山教授には大変お忙しい中、当委員会のためにお時間を割いてお越しいただきました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  初めに、私のほうから御紹介をいたしたいと思います。  片山教授は、子供の心の発達について、医化学的見地から研究をされており、発達障害の早期発見に関する専門的、実務的事項への指導助言を行う大阪府の特別参与も務められているほか、公益社団法人子どもの発達科学研究所の理事長も務めていらっしゃいます。  皆様のお手元に御本人の略歴書をお配りしておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。  それでは、早速お話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 161: ◯片山泰一参考人  皆様、こんにちは。初めまして。大阪大学の片山と申します。佐藤正昭委員長、木村勝好副委員長、このたびはこのような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。そして、大変重責であるということを心にしっかりと、務めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本日、発達障害に関する現状及び課題等についてというところでお話をさせていただきます。  今、佐藤正昭委員長からもお話がありましたが、私、大阪大学の連合小児発達学研究科という研究科におります。大阪府の発達障害施策のいわゆる取りまとめを任されているわけでございますが、なぜ大阪大学の研究科の人間がそういうことをするのかというところに関して、お手元の資料の最初の1ページをごらんください。  大阪大学の中に、例えば皆さんが簡単に想像できる文学研究科であるとか経済学研究科とか医学研究科とか、そういったのは何をしているところかというのはすぐに想像できますが、それで同じ範疇で連合小児発達学研究科という研究科がございます。通常であれば、大阪大学にあるので大阪大学の教員だけで運営するところですが、我々のこの研究科は、日本で初めて複数の大学が連合して研究科を運営するという、大阪大学だけでなくて、金沢大学、浜松医科大学、福井大学、千葉大学の五つの大学の中で、いわゆる子供の発達、あるいは子供の心、あるいはそれが大きくなってメンタルヘルス、そういったことに関して文系の先生も理系の先生も一緒になって、多角的に物を見れる人材を育成しましょうということで、平成21年からスタートした研究科でございます。そこで、最も大きな課題として取り扱っている学問が発達障害であるということになります。なぜなら、発達障害というのは、もともと医学的な観点と、それから社会的な観点の両方がわかっていないと理解ができないと、そういったものであるということでございます。したがって、きょうお話しさせていただくのも、そういった観点を何度か反すうしながら、皆様に聞いていただければと思っております。  それから、2ページ目に、公益社団法人子どもの発達科学研究所のことが出ておりますが、我々連合大学院のいわゆるアカデミックな成果というのはなかなか一般の方にはわかりにくいと。これをそしゃくして、社会還元して、保護者であるとか学校現場に届けられるようにしましょうという、そういう窓口的な役割を果たすのがこの研究所でございます。  それから、次に3ページです。そういったことから、私は昨年度から施行されました発達障害者支援法の改正案、これが改正に当たって超党派による議員連盟がずっと議論されてこられたわけですが、その中で7回ある会議の中の1回に有識者の端くれとして参加させていただいた、そういう国の流れというものも踏まえながら、きょうはお話しさせていただきたいと思います。  そうしましたら、本日の流れというところで、まず、はじめにというところ、それから違いを知る違いを認めるという、ここをイントロダクションとしてお話しさせていただいて、ざっくりと発達障害のことを考えるために頭を入れておいていただきたいソフト的な、やわらかい、かた苦しくないお話をさせていただいて、それから発達障害の各論に入っていきます。そして、支援体制の在り方ということ、これは障害者差別解消法という昨年4月から施行された法律に関することに少し触れて、それから乳幼児期に気づくことがなぜ必要かということ、それで違いを知る方法、まとめという流れでお話をさせていただきます。  私の話の中で、今申し上げたように、発達障害理解のために気にとめておいていただきたいこととして二つ挙げさせていただきました。  一つが、まず、当たり前ということに気をつけてくださいということです。当たり前という言葉、これは全て私たち自身、皆さんお一人お一人の認識であって、それでお一人お一人の感覚の問題であるということです。したがって、御自身以外の方が同じように感じていたり思っていたりするという保証はどこにもないということです。ところが多くの場合、何も断りなく何となく事がうまくいっているのは、9割方の人は、自分が当たり前と思っていることは他者もそう思えるからであって、ところがそう思えない感覚であるとか考えを持っている人間からすると、それは理解できませんし、逆に皆さんも他者のことが理解できないケースがあると。これがわがままであるとか、育て方が違って起きているんであれば修正が可能ですけれども、持って生まれてそういったものを持っていらっしゃる方にとっては、全くこれは理解ができませんし、皆さんも多分、青のものをこれが赤だぞと言われたときに、いや、これは青だよというふうに反発したくなる気持ちがあると思います。そういったものと全く同じことでございます。ですので、当たり前ということは、自分が感じていることであるということをわかっていただきたいと。  それから、子供の発達というものには正解はない。正解という言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、つまりは、あなたは3年生なんだからこのぐらいできて当然でしょうとか、中学生なんだからこれぐらいできて当然でしょうということは、発達という軸で考えた場合、当てはまらないことが特にこのごろは多くなってきたと。中学生だからとか、大学生だからとか、ましてやお母さんだから当然知っているでしょうと、あるいはそう考えるでしょうというふうに思ってしまったら大違いで、実は発達の軸で見たときには、大人であっても小学校の低学年ぐらいの社会性の発達でとまっていらっしゃる方がいらっしゃる。そういう方に大人の論理を振りかざしたとしても全く入っていかないですし、むしろ逆効果になったりする。その場合は、やはり3年生や小学生に言うときと同じ方法で支援をしたり言葉をかける必要があるということです。  こういったところは最終的にきょうの最後にまとめますけれども、やはりアセスメントということで、その人がどういう特徴を持っているのかをある程度わかった上で対応しなければいけないということになります。そのためには、5ページの下に書いていますが、事実を客観的に見る癖を時々はつけていただきたい。そんなことばかり考えているとぎくしゃくしますので、つまり根拠であるとかデータ、簡単にやわらかく言うと、物差しなしで他者といろいろなことをシェアするというのは危険ですよということを少し頭にとどめていただきたいと思います。  次に、6ページに行きまして、じゃどういうことかというと、私たちが陥りやすい考え、シャツの柄と子供の発熱というのが書いてあります。これは何のことだろうと思われるかもしれませんが、例えばお子さんあるいはお孫さんを連れてディズニーランドに行きました。そうすると、そこでとってもお気に入りのミッキーのTシャツを見つけました。せがまれてそのTシャツを買って帰って、翌日そのTシャツを着て意気揚々と出かけていく姿をお母さんが後ろから、行ってらっしゃいと見送られると。ところがその夕方、熱を出して帰ってきてしまいました。そうするとお母さんの頭の中では、あんなに張り切ってミッキーのTシャツを着ていったのに、かわいそうに熱出ちゃったというところで、強いエピソードが頭に残ります。数カ月たって、同じTシャツを着ていった日にまた体調を悪くして帰ってきました。そうすると、もうお母さんの頭の中ではTシャツと発熱というのが物すごく大きな結びつきになります。これが3回起きたらどうなると思いますか。もうお母さんは多分、このTシャツを着て行かないでと言うと思います。けれども、統計をきちんととれば、そのTシャツを着て行っても体調が悪くならなかった日のほうが多いでしょうし、そのTシャツ以外の日に体調が悪くなった日もきっとあったと思うんですね。ですので、本当は関係ないのに我々そういうことを常々やってしまっているということです。  それから、たばこを吸われる方がいらっしゃったら申しわけないんですが、たばこを吸われる方がよくおっしゃるのは、たばこが体に悪いのは知っていると。だけど吸わずに我慢してストレスがたまっても体に悪いんだから、吸っても吸わなくても一緒だというふうにおっしゃいます。けれども、これも物差しですね。つまり、たばこを吸ったときに遺伝子に傷がつく。基準となる遺伝子に傷がつく確率と、吸わずに我慢したストレスで同じ遺伝子で傷のつく確率を比べてやると、当然吸ったほうが圧倒的に遺伝子に傷がつく確率が高いということが見えると、できるかどうかは別として、納得はすると思うんです。  このように物差しというのが必要で、こういったことを利用するのが科学であり、あくまでこれはツールです。それで全てが解決するとは到底思えません。我々日本人はやっぱりすばらしい教育、哲学を受けて育ってきていますので、そこに少しこういうエビデンスを使うことによって、より確からしいことが行える、そういう非常にうまく使えばメリットのあることを我々持っているんですよということをちょっと知っていただきたいと。  それで、こういう説教じみた話だとわからないので、実際に違いを知る、違いを認めるということで、次の7ページのドレスを見てください。皆さんのお手元にもこういうドレスの絵がありますが、このドレス、これはネットでも有名になりましたし、NHKのためしてガッテンでも出てきましたが、このドレスが青と黒、あるいは青系の色と灰色系の色に見えるという方はどれくらいいらっしゃいますか。少ないですね。逆に、白っぽい色と金色っぽい色、あるいは黄色っぽい色に見えるという方。わぁすごいですね。金か黄色ですね。皆さんのお手元にある印刷は皆同じなので、同じものを見てくださっているはずなんですが、なのにこれだけ。黒と青という組み合わせと、白と金という組み合わせは、普通に考えたら全く違う色であるというふうに思われると思います。結局これも自分の脳がどのように色を処理しているかということが個々で違うということになります。  それで、ちょっとお見せしますが、青と黒に見えている方は、こんなふうに青と黒のドレスがこうやってくっつくと、こんなふうに青と黒のドレスが強い光に当たってこんなふうな色、今お手元にある色に見えていらっしゃると、こんなふうに見えていらっしゃるんだと。つまりはこの服が強い光に当たっていると脳が処理をしています。これに対して白と金に見えていらっしゃる方は、白と金のドレスが影に入ったということで、このような脳の処理をしているということになります。ですので、同じものを見ていても、脳がどんなふうに処理をしているかというのは個々に違います。脳がどう処理しているかというのは、神経のネットワークが違うわけです。つまり神経細胞がつながっている様子が一人一人ちょっとずつ違う。大まかには10対1でどこかに投射しているとするんですけれども、これが9対2の人、それから8対3の人、さまざまいると。ところが、大抵同じ感じでわかっているんですが、これが大きく違うところにいらっしゃる方にはそうは見えないということですね。今、同じものを見ていただいても、少なくともこれだけ違うように処理されていたということです。  同じような話を、プロジェクターがあると簡単なんですが、これが誰に見えるかということなんですが、皆様、これが誰に見えますか。マリリン・モンローに見える。はい、この前のほうの方はアインシュタインに見えているとおっしゃっていますが、マリリン・モンローに見えますね。ちょっと大きくします。そうすると、どうでしょうか。前のほうの方は、かなりアインシュタイン率が上がってきたんではないでしょうか。これ、お回ししますので近くで見てください。近くで見るとほとんどの方はアインシュタインにしか見えないと思いますので。  つまりこれも、近くの方はアインシュタインと言っていらっしゃる方が多くて、後ろの方ほどマリリン・モンローというふうにおっしゃっている方が多かったわけです。これも脳がどう処理しているかということで随分違ってくるわけですね。しかしながら、手を挙げていただくと、アインシュタイン率が後ろになるほどだんだん下がりますし、マリリン・モンロー率は後ろになると高くなるんですけれども、中間的な方々はかなりばらばらします。つまり、アインシュタインに見えるかマリリン・モンローに見えるかがどこかで線引きできて、ぱんと割れるんだったら簡単なんですけれども、やはり皆さんの脳はちょっとずつ違って、スペクトラムというんですけれども、さまざまな段階でいらっしゃるということになります。  発達障害も同じように、こういうふうに完全に定型に近いものから、完全に定型から離れているところまで、なだらかになっているわけです。ですので、どこかで線引きできるものではないと。それを強引に線引きするということをしているのが医学的な観点であるということです。これに対して、その違いを周りが理解していないと顕在化して、それが困り感になってしまう、その部分が社会的認識という部分になります。ですから社会的に、周りがその違いを認識している限り、その人の違いというのは単なる違いでおさまって衝突する原因にはならないんですけれども、それに理解がないと生きていけない。マイノリティーになる方は非常につらい思いをされるということになります。これが大きなくくりということになります。  それで、その次、8ページにも絵があるんですけれども、これも上の石が黒で下の石が白だというふうに見ていらっしゃる方が多いと思いますが、これも黒と白だと思い込んでいますけれども、こうやって全部閉じていって真ん中の仕切りをつぶして見ると、こんなふうに完全に中の色は一緒になっているわけです。  こういったもので、私たちは目で見ているものは正しいと思っているかもしれませんけれども、実はこれは脳で調節されて認識しています。ですので、感じていることなんていうのは全て脳で調節されているので、自分と他人が同じように感じているかどうかなんてわからないし、むしろ同じであるほうがびっくりだというぐらい実は違うんだということです。  つまり、10ページにこれを簡単にまとめると、自分の見たり感じたりしている世界は、他人の見たり感じたりしている世界と異なっている、違っているわけです。けれども、別に違っていても間違いではないわけですね。皆さん、同じものを見て、誰かが合っていて、誰かが間違っていたりしませんでした。しかしながら、違いを皆さんが知っておくということは非常に大事であって、そのためには客観的な指標が必要になりますよということになります。これが最初のつかみでございます。  11ページに入って、話は変わりますけれども、この数字を御存じですかということで、次の12ページに入ってください。  若者の離職率ということで、中学校卒、高校卒、大学卒、少し古いデータではあるんですけれども、ごらんになってわかりますが、中卒の方の1年目の離職率というのは非常に高く、半数近くがやめてしまいます。そして次に13ページに行くと、ニートが60万人程度で高どまりしていると、なかなか数字が減らない、けれども、むちゃくちゃふえない。これは何を意味しているかというと、ニートというのは、就労できる年齢になって、身体的にも精神的にも特に問題がないのに働かない方のことをニートと言いますよね。ということは、突然ニートがあらわれるわけでなくて、小学校、中学校、小さいときからニートの予備軍を学校現場で育ててきて、そして現場としてあらわれていると。ニート対策をやるので、あらわれてきたニートの人については、働けるように一生懸命施策が機能して数はふえないでとまっていると。けれども母集団が全然減らないので、常に60万人のところでざあっと来るわけです。ということは、やはりもっと小さいころに手を打っておかないと、いつまでたってもニートの数は減らないでしょうということになります。  ニートの内訳を見てみます。ニートの40%は不登校経験者、ニートの55%はいじめ被害の経験者で、子供の自殺は他の年齢層に比べて低いんではあるんですが、他の年齢層が減少しているのに対して、徐々に増加している傾向にあると。やめた理由、コミュニケーション、人間関係、職場のいじめ、仕事が自分に合わないといったことを挙げていらっしゃるわけです。  一方、15ページに入って、就労について。企業が新卒採用に当たって重視した点、トップがコミュニケーション能力、二つ目は主体性、三つ目、協調性、四つ目、チャレンジ精神というのが上位に挙がっています。  16ページに入っていただいて、やめた人。仕事がつまらなかった。人間関係で問題を抱えた。会社でいじめを受けた。人より時間がかかった。期待に応えようと頑張ったが疲れた。人間関係のややこしさ、指示の多さにパニックを引き起こした。自分のペースで働けなかった。仕事をするのが遅いので叱られた。これを言ってやめた人たち、これが実は発達障害の人のやめた理由ということになりまして、企業が求めている人物像と最も離れているということがおわかりいただけるかと思います。  それでは、発達障害の話に入ってまいります。発達障害は、法律的には発達障害と言うままですが、医学的にはDSM-5という診断カテゴリーに変わってから神経発達症という呼び名に変わってきています。今からお話しする話は、医学的理解についてと社会的理解について少し意識しながらお話しします。  18ページに入りまして、発達障害に関してこういう質問をするとということで、まず一つ目、発達障害という言葉を御存じですかと。これは恐らく皆さん御存じだと思います。  二つ目、発達障害は知的障害のことだと思いますかということですが、これは知的障害も含みますけれども、IQが130、140を超える非常に高機能の方から知的障害まで幅広く含まれます。  それから、発達障害は身体であっても心であっても、いわゆる普通と言われる子供よりおくれていれば皆、発達障害であると思いますかということですが、これもノーです。発達しているとか、おくれているということではなくて、偏りがあるということです。先ほどの皆さんの処理の過程が違ったというのと同じことです。人と違う脳の回路を持っているということがポイントでございます。ですので、おくれているということは当たりません。  それから、発達障害は脳の障害であると思いますかということですが、これも昔であればイエスでよかったんです。ところが、きょうの後半でお話ししますが、障害者差別解消法、これは障害者基本法が国際法に批准して実際に2014年から動くようになりました。つまりは、今までは障害というのはその人の持っている機能障害そのものを呼んだんですけれども、国際法では、今の日本はこのルールにのっとれば、障害というのは社会モデル、つまりその人の機能障害のことを考えないでつくられた周りのバリアのことを障害と呼びましょうということになっていくわけなので、単に脳の障害というよりは、発達障害は脳が人と違うというところでとどまっていれば、これは実際には障害レベルになっていないということになります。  その次、発達障害は病気であると思いますか。この話も、病気だと考えて治療対象にするべきレベルの発達障害もいらっしゃいます。つまりは、余りに人と違う回路を持つがために、てんかんを起こしたりパニックを起こしたり、特に外的要因がないにもかかわらずかなり生きづらさを感じるような場合は、何かしら治療という医学的なサポートが必要になってまいります。けれども、多くの発達障害の方は、そういうお薬なんかを使う必要がないものが大半であります。ですので、病気であるというと少し違和感を感じますし、そもそも病気というのは、ある定常状態があって、その定常状態からパフォーマンスが下がる、つまり皆さんが風邪を引くと、風邪を引く前に比べると明らかにパフォーマンスが落ちます。ここに対して治療ということをやってもとの状態に戻る。このダウンしたところを病気と呼んでいるわけで、発達障害の場合は、目が離れているとか耳が大きいということと同じで、別にもとに戻そうということではなくて、別に普通に近づけることではなくて、これはその人が持っている特徴ではあるけれども、別にそれを何かしようとする必要のないことであるということです。ただ、周りとの相互作用で大きな困り感を持ってきたら、困り感に対しては何がしかサポートしたり治療したりする必要があるということです。  最後、発達障害は個性だと思いますか。これも、個性と言いたいんですけれども、個性なんかの範疇におさめてもらっては困るというぐらい困っている人がいらっしゃるので、個性の延長ではありますけれども、困っているという、困り感が出てきたところに関しては個性ではとめずにちゃんとサポートしましょうと、こういうふうな理解になるということであります。  ですので、ある程度の線引きは医学的にはできます。けれども、たとえ発達障害診断があったとしても、周りに理解があれば、困っていないという状態の場合は、これは特段問題ではないわけですね。ところが診断に至らなかった、一応医学的診断上は発達障害には入りませんと言われた、だから大丈夫なんだという人、たくさんいらっしゃるんですけれども、大丈夫とかそういうことではなくて、やはり微妙な人たちというのは多分多くの場合、人とバッティングしてぶつかったり、自分が生きづらさを感じたりしている方がいらっしゃる。これは特に周りに理解がないとそういう状況に陥りやすい。ですので、その場合にその方がどんな特徴を持っていて、どういうところに配慮してもらいたいのかというのは、診断がつこうがつくまいがそこはアセスメントをしておけば、周りの環境で配慮ができるということになります。ですので、そういった観点が必要になるということでございます。  発達障害の種類としては、ここにあるようにASD、自閉スペクトラム症、昔はPDDという広汎性発達障害と呼ばれました。それからADHD、注意欠如多動症、昔は注意欠陥多動性障害と言われました。それからLD、限局性学習症、これまでは学習障害と言われていたものです。それにIDDという知的発達症、これも知的障害と言われたものですね。ここにてんかんを併発する方、あるいは医療的関与が必要な方でトゥレット、それから吃音症、どもってしまう方ですね、それからダウン症、こういったものも全部総称して発達障害というカテゴリーに入れているので、発達障害という一つの障害があるわけではないということがまずおわかりいただけるかと思います。  発達障害のことがなぜここまで大きく取り上げられるようになったかというと、これは多くの方が御存じのように、最初は2002年ですね。通常学級に在籍する児童生徒の中に、学習あるいは行動に特別な配慮が必要な子供たちが6.3%いるという文部科学省の報告がありました。つまりこれが発達障害疑いの子供たちの数ということで、2002年に報告されたわけです。そこで発達障害者支援法が始まり、特別支援教育が始まって10年間、かなり大きく教育現場が変わりました。そして10年後、2012年にデータをとりますと、この数字が6.5%だった。それほどふえていないように見えるかもしれませんが、10年間の中で、今までだったら通常級でやったであろう子供たちのかなりの数が支援学校とか支援学級に流れました。大阪府で言うと大体2%から3%流れていっています。つまり、この6.5%に上乗せしなければいけないので、やはり母集団がふえていると考えざるを得ないということになります。  そして少しイメージを持っていただくために、次の21ページから、ASDによく見られる傾向ということで書かせていただいていますが、こういうことを書くと、これが当てはまったら全て発達障害の人なんだというふうに思われたくはないんですけれども、イメージを持っていただくために少し書かせていただいています。  言葉を意味どおり理解してしまう。1993年5月13日はと言うと、何曜日とぱっと答えられる。急な予定の変更に弱い。決まったとおりの道や時間にこだわる。ファッションや流行に無頓着。小説より図鑑や辞典が好き。百貨店や混雑した地下街などがやがやしたところが苦手。飲み会に行くより図書館が好き。全体より細かいところが気になると。これは一つ、二つは当てはまる方は結構いらっしゃるんじゃないか。あの人そうだって、今ざわついているのは、きっと皆さんの頭の中で誰かが浮かんでいらっしゃるんですね。お医者さんとか弁護士さんとか、高学歴の人は結構このタイプは多いです。  それから、次、ADHDによく見られる傾向ですね。同じところにじっとしていることが苦手。過度なおしゃべり。よく人の会話に割り込んでくる。人の持ち物を断りなく急に触る。飽きっぽい。忘れっぽい。人が話しかけているのに聞いていないように見える。部屋が驚くほど散らかっている。何かやりかけても、そのままほったらかしにする。段取りが苦手と。私もこのタイプなんですけれども、これもいらっしゃいますよね。  それから次、限局性学習症、学習障害です。LDによく見られる傾向。これもがらっと変わって、これは学習障害という名前がついているぐらいです。お勉強という軸が入って見つかることが多いです。  勉強がとってもよくできるのに、本を読ませると非常にたどたどしい。キヨウ、ハ、ワタシ、ハ、ガツコウというふうに読むんですね。そうすると数学とか理科とかむちゃくちゃいい点をとっている子がそういうふうに読むと、先生はつい努力不足だと思って、家で何回読んできたよと言っちゃうわけです。何回読んでも脳の処理過程が違うので、できません、この子たちは。ですので、別の方法で読みを教えてあげなければ、音声を入れてあげないと難しいわけですね。にもかかわらず、努力不足として先生が対処してしまうと、その子は学校に行きたくなくなってしまいます。  同じように、勉強はできるけれども、漢字だけはだめとか、逆に計算だけだめだとか、図形だけだめだとか、人の話が理解できないんだけれども紙に書いてあると理解できる。これは逆のパターンですね。これも怒られるんですね。先生の話が理解できない。ですから先生は、聞いていないように思って怒っちゃうわけです。試験がよくできているので、授業態度が悪いとかとますます怒ってしまうんですね。けれどもそうじゃなくて、耳での音声の処理が非常に苦手な子があります。  逆に、紙に書いてあると理解できないのに、お話をしてもらうとわかる、この子たちも先生は首をひねるわけですね。今こうやって質問したら、すぐにちゃんと答えが返ってくるし、間違っていない。なのにペーパー試験になったらどうしてこんなにできないんだろうということですね。これは先ほど申し上げたように、文字の処理が苦手。例えば行間が詰まっているだけで読めない。これは拡大コピーしてあげると急に読めるようになったりします。これを先生に言うと、この子だけ拡大コピーで試験を受けさせられませんなんて言っちゃいますけれども、実際はそれがまさに合理的配慮ですよね。ちゃんと診断があったりアセスメントして、この子は大きくすれば読めるんだとわかれば、そうしてあげないと逆にこれは虐待ですよね。眼鏡をかけなければ見えない人に対して、眼鏡をかけちゃいけません、みんな眼鏡をかけないでおきましょうと言っているのと同じことになってしまうわけですね。こういったことがあります。  このように、知的障害の人は別として、知的におくれがないのに学習行動面で著しい困難を示す児童生徒みんなに診断がついているかというと、たった0.6%しか診断がついていません。じゃどうして実際にいると推計される6.5%と診断される人、こんなに違うのかということです。そして、そもそも発達障害の人は本当にふえているんですかという議論があります。  まず、どうして診断を受ける人が少ないのかというと、まず、診断できる専門機関が少ないということです。そしてもう一つは社会的背景です。人と同じでなくてはいけないという我が国独特の文化から生まれる親の拒絶というのが大きいと言われています。ですので、乳幼児期に保健師さんから指摘をされるとますます認めたがらずに介入がおくれてしまう。そして、背景にはやはり障害という言葉の持つネガティブなイメージであったり、診断された後の行き先がよくわからないという予後の不安というものが挙げられています。  次に、母集団の話です。発達障害の中の例えばASD、自閉スペクトラム症のきちんとした科学的統計を見ますと、一番最初に、知的障害を伴うような典型的な自閉症としての人数をローナ・ウィングさんという人がカウントしました。1979年に、1万人当たり大体4.9人ぐらいだというふうにデータを出しました。日本の杉山登志郎先生、それから信州大学の本田秀夫先生、このあたりの発達障害の大家の先生も実数調査をされました。年々ふえてきています。そして2006年からはビアードさんという人が、今の知的障害を伴わない、アスペルガー症候群なんかも含む、高機能の自閉症も含めた自閉スペクトラムという概念でデータをとり始めました。自閉症としてもふえていますし、自閉スペクトラムとしても年々ふえていっているということが統計学的にわかります。  このように、生物学的にふえているということが実証され、そしてその理由を説明できる研究がちゃんとあります。  一方で、社会環境の変化に帰着させようとする研究者もいます。これも間違っていません。それから発達障害に関する報道がこれだけふえたことでクローズアップされて、何でもかんでも発達障害と言っているんだという人たちもいます。これも間違っていません。ただ、どれか単独で今の大きな数字を説明できるものは何もありません。これは組み合わさってたくさんの数字になっているというふうに考えるべきだろうというふうに言われています。  なぜふえたかというところについては、例えば生物学的にふえたと言われている部分につきましては、我々も含めて追跡をしている研究者からの報告で、母親の低栄養であるとか栄養の偏り、これはダイエットなんかを含みます、それから母親の喫煙、それから父親の年齢が高くなる、こういったことは統計学的有意な数字が出てきます。これもこういうことを言うとゼロ百で皆さん考えますけれども、そうではありません。もちろんわずかですが、意味のある数字です。少し高くなるんだということについては、高くなったり低くなったりするんではなくて、明らかにちょっとずつですけれども高くなりますということです。ただ、それが一概にネガティブであるかというと、全くそれは言えません。これについてはさらなる検証が続いています。  今お話しさせていただきましたように、神経発達症、発達障害は脳の偏り、つまり定型の人たちとどれだけ離れているかと、昔はこれを障害と呼んだわけです、ということになります。大事なことは、これは持って生まれた特徴ですと。生まれてくるより少し前から生まれて早期までの間、脳の回路というのは大きくつくられます。ですので、脳の回路がつくられる時期に遺伝的であっても環境因であっても、何か人と違うイベントが起きると、人と違う回路を持つことになるということです。ですので、生まれてきてから親が子育てをしくじったから発達障害になりますというようなことは決してないということです。ただし、なりやすい遺伝的背景を持っている人に対して不適切な環境を提供することによって顕在化しやすくなるということははっきりしています。この部分については確かに環境が関係あると言えます。最近の研究では、遺伝的関与と環境要因がフィフティー・フィフティーであるということが主流になってきているということです。  ただし、持って生まれた素因が大きいんですよということを支持する研究はさまざまありまして、まず、29ページの一番左の絵を見ていただくと、自閉スペクトラム症の2歳ぐらいの子供の脳、大脳皮質というのは同じ年ごろの子に比べてかなり大きいということです。これはつなぎ目がたくさんあるので、同じ信号を受けてもいろいろなところに信号が行ってしまって混乱しやすいということの傍証に使われています。  それから真ん中です。これは浜松医大の研究ですけれども、人の気持ちを読もうとしたときに活動する帯状回というブルーの領域です。この領域の活動が定型の人に比べてASD者では弱くなっていると。要するにこれが人の気持ちを類推しにくいということの傍証に使われています。  あるいは右の端ですけれども、これは学習障害の方の脳で見ると、通常は黄色のVWFAというところで視覚を処理しようとして活動するんですけれども、学習障害の方はここが全く使われずに、赤で示されたところ2カ所を使って処理をしていると。ですので、かなり時間がかかると。こんなふうに脳画像で可視化すると周りの人も少し理解できますよね。  それから30ページです。これも私たちの研究科の臨床グループの研究ですが、これは聴覚過敏性のある人とない人を比べています。脳磁図というもので、音を聞かせたときに一次聴覚野という側頭葉に入って、その後大脳皮質に移っていく様子を捉えたものです。一番上の段を見ていただくと、50ミリセカンドで小さな山が来て、その次、100ミリセカンドでまた少し大きな山が来る、これがノーマルな人のパターンです。これに対して、一番下の段を見ていただくと、聴覚過敏のある人は最初の山が71ミリセカンド、そして100ミリセカンドのところで少しまた山が来て、さらにおくれて164ミリセカンドのところにもっと大きな山が来ている。これは同じ音を聞いても工事現場の音のように聞こえているということを意味します。ですので、こういう脳磁図を見ていると、例えば今この部屋はとても静かに聞こえていますけれども、エアコンのシューという音であるとか、マイクのチリチリという音であるとか、そういったものが気になる人にとってはとっても気になっているはずです。それで、ちょっと音がうるさいので静かにしてもらえませんかなんて言っても、こういう絵がなければ、皆さんこんなのどうもないと思っているので、我慢してくださいとかと言ってしまうわけですけれども、一旦可視化をしてあげると、この人はこんなふうに今聞こえているんだ、大変だねと、何か配慮してあげようということになります。耳当て、イヤーマフという、音声は拾うけれども雑音はキャンセルできる機器もありますし、つい立てを入れてあげましょうというようなこともできるわけです。  こういったことがさまざまありまして、トータルで考えると、発達障害というのは胎児期、もしくは生後早期の神経発達の偏りであって、適切に周りが理解していると予後がよくなる。つまり生きづらさを感じずにいけますと。ところが不適切にかかわることで予後が悪化して、二次障害、三次障害と、これは精神疾患に発展してしまうことが考えられますということになります。  そして、次に32ページですが、発達障害と定型発達の境目というのは、今申し上げたように周りの理解があるかないかで境界線は動きます。医学的にはどこかで線は引けるんですけれども、実際困り感として考えた場合、境界線が非常にぶれるわけです。  さらに言うと、人と違う感覚あるいは着眼点を持っているので、社会の進歩に非常に大きく貢献できる人材が豊富です。ニュートン、エジソン、アインシュタイン、最近ではビル・ゲイツとか、皆さん発達障害だということを言われています。  まとめます。発達障害の人の見たり感じたりしている世界は、定型発達の人の見たり感じたりしている世界と異なっている、違っていると。その違いは、脳の神経回路の違いに依存しているわけです。ですので、神経回路が違うと表現型、つまり行動や感覚や会話に違いが出てまいります。  この違いというものを少し知っていただくためにちょっとしたエピソードをお話ししたいと思いますが、今からお話しする一つ目は、信州大学の本田秀夫先生という、発達障害の臨床の大家の先生の講演会の中で非常にわかりやすい例があったのできょう使わせていただくということをお断りいたします。  本田先生のエピソードの中に、小学校1年生の発達障害、ASDの男の子が学校から帰ってきてお母さんに、お母さん、算数って難しいねと言うんですね。どうしてと言うと、ミカンが2個、リンゴが3個、合わせて幾つになるでしょうという問題を聞いて、これがわからない。私たちは何となく、ミカンとリンゴは果物だから、足して5と答えますけれども、その子にとってはなぜミカンとリンゴを足さなければいけないのかと、そこでひっかかっているわけです。すごくおもしろい着眼点です。我々、アリ2匹と戦闘機3機を足しましょうと言われると、いやそれは変でしょうと思うんですけれども、ミカンとリンゴだと何となく足しちゃっているわけですね。これはやっぱりとてもすてきな能力であるんですけれども、これを言うときっと学校では変なやつと思われちゃいますよね。  それからもう一つ、今から言うのは私のお世話になっている療育施設の先生のエピソードです。この先生は横浜にいらっしゃったんですけれども、今、岡山のほうでお仕事をされていて、久しぶりに横浜に戻ったときに、子供のころ診てあげていたお子さんが成人して就職しているという情報を聞いていたわけですね。キイちゃんというあだ名なんですけれども、そのキイちゃんという子が働いているというのを聞いていた。それが蒲田駅でばったり出くわして、キイちゃん、今どこにいるのと聞いたわけですね。そうしたら、電車に乗って蒲田駅に来ていますというふうに答えたわけです。その先生は瞬時にどう思ったかというと、働けるようになってよかった。だけど特性は全然失われていなくて、これもよかったと思われたんですね。私もすごくその気持ちはよくわかります。特性までなくなったら、その個人の本当にいいところがなくなってしまうわけですけれども、それをキープしたまま、ちゃんと社会に出て自立できているということがとてもいい姿だなというふうに感じています。  こんなふうに人との違いということがあらわれます。ただし、今お話を聞いていただいてわかったように、発達障害特性を持っている人たちというのは、通常は説明がなければ皆さんが当たり前だと思っていることが通用しないので、怒られやすいと。だから非常に損をしやすいということがわかっていただけるかと思います。そこで支援体制のあり方というところに入っていきます。  大前提は、包括的な支援体制が必要だということです。医療モデルだけでは決して解決できません。だから、お医者さんに行ったからといって治るものでは全くないということです。それから縦割り行政で決して解決できません。他部門にまたがる事例が多いですと。子育て、教育、障害福祉、就労の場合は商工労働と、さまざまなところが共有しなければいけないということです。そしてネットワークづくりというのが必要になりますし、ライフステージに応じて、かつ一貫した支援体制が必要です。幼少期すごくうまくいっていたのに、学校に入った途端にめちゃくちゃにされてしまったということがよく言われます。また、学校でとても厚い支援を受けていたのに、社会に出た途端にずたずたにされちゃったという話もよく聞きます。こういったことが一貫して同じようにやっていける支援体制が必要だということです。  そしてそのためには客観性のあるツールを用いた、かかわる人たちの共通理解につながるものが必要である。そして、他の障害施策と重ねられるものと重ねられないものがあるということですね。その場合、障害者差別解消法にのっとったものでないといけないんですが、障害者差別解消法、先ほどちょっとお話ししちゃいましたが、36ページです。  障害者権利条約、これは署名自体は2007年に日本はやっているんですけれども、法律としてこれが追いついていなかったわけですが、2014年1月にようやく国連に承認されて、昨年の4月から障害者差別解消法がスタートしていると。先ほど申し上げたように、37ページにありますが、障害者というものに対して、これを社会モデルと考えましょうというふうに変わりましたと。ですので、障害者の機能障害のことを考えないでつくられた社会の仕組み、これがバリア、障害となるんですよということが書いてあります。  38ページには、この法律に該当するものの中にしっかりと、発達障害も含むと書いてあります。  そして39ページ、こういった障害を取り除くために合理的配慮をしましょうということが書かれているわけです。  40ページです。その中に赤で丸をしていますが、公的機関は、この法律が施行されたので合理的配慮の不提供の禁止と。つまり今までは努力義務でよかったけれども、これがきちんとやらなければいけない義務になったということですね。  じゃ、合理的配慮ってどんなものですかということが次の42ページにありますが、例えば精神障害者の職員の勤務時間を変更して、ラッシュ時に満員電車を利用せずに通勤できるように対応するとか、知的障害のある人に対してルビを振ったりわかりやすい言葉で書いた資料を提供するとか、ざわざわした職場においては、その人がざわざわしたところが苦手だとわかればつい立てを入れてあげるとか、先ほどの学習障害の方に拡大したプリントを使うとかあるいはタブレットを利用するとか、こういったことが合理的配慮の範疇になります。建物を建てかえろとかそういうのは入りません。  これからの課題として、施行3年の後に見直しで、合理的配慮の義務を事業者に広げる、つまり民間にも入ってきますよということが明記されています。ですので、今のうちにこういった合理的配慮の考え方を職場で統一しておかないといけないということになります。  次に、44ページです。包括的なものがいいと言っていますが、これは大阪府の資料ですが、一人のお子さんに対してどんなサポートが必要かというと、ここに書かれているようなさまざまな部門がかかわる必要があるということになります。見ていただくと、それぞれそうだろうなと思うようなサポートの名前がいろいろ出てきますけれども、最も必要だと思われるのは、きょう私がここでお話しさせていただいているような正しい知識の啓発ということになります。啓発なしで、例えば企業の中の人事担当者だけが知っているという状況では全くもって実効性はないということです。職場全員が共有して初めて、その人の困り感に配慮ができるということになります。
     もう一つは、その次の45ページを見ていただくと、大阪府のことしの総合支援事業のまとめ図です。これはホームページからとれますので、詳しく見ていただいたらいいと思いますが、乳幼児期、学齢期、成人期に分けてやる事業、これを縦割りではなくて、例えば乳幼児期であれば福祉と教育、健康医療部が一緒にお金を拠出して予算をとっていると、こんなふうに横に連携してやっていくと。それで、どのライフステージでも関係のあるものは大きく横にびしっとつながっている。ペアレント・メンター事業とかペアレント・プログラム事業とか、こういったものが横を貫いているというような絵が描けます。  具体的に46ページ、問題を包括的に考える。これを例えば学齢期で当てはめてみると、真ん中に対象児と書かれている。今、日本がよくやられているのは、対象児にだけ何かアプローチをしようとしていますが、この子が何か問題、困難を抱えているとすると、まず、その保護者の状況はどうなのか、あるいは地域の環境はどうなのか、そういったものをアセスメントする必要がありますし、家庭ではなくて、学校現場では集団としてどのようなかかわりをされているのか、あるいは担任との関係はどうなのか、こういったもの一つ一つをきちんとアセスメントして、トータルでこの子にとってよい環境を提供するということをやっていかないと実効性はありませんよということです。そのためにはやはりデータというものが必要となります。  どんなふうにデータを使うかということなんですが、例えば発達障害疑いの子6.5%と先ほど申し上げましたが、学年別に見てみると、小学校1年生では10%近くいて、中学校3年生ではこれが4%弱になっている。おしなべると6.5%ということ。ということは発達障害って年を経るごとに減るんですかというふうに見てしまいますが、そうではありません。これに呼応するように、右の図を見ていただくと、不登校の数がぐんぐん上がっていきます。つまり学校に来ないのでその数字が減っているだけで、これはきれいに相関しています。これはどこの自治体でやっても同じように出てきます。  次に、いじめの問題です。いじめも、今、文科省がやっているのはいじめの認知件数ですので、非常に高い数字があって、それが一旦おさまって、また高い数字になっておさまって、また高い数字になっておさまって。これはつまり高い数字になっているときに何か大きな事案があったということになるわけで、実際の数をあらわしているわけではありません。ですので、こういった実数を全くとっていないので、何か施策として効果の検証もしようがないということになってしまいます。  次に、ひきこもりですね。先ほどニートの話をしましたが、ひきこもりの23.7%は不登校経験者である、それからひきこもりの42.4%はいじめ被害の経験者である。そして厚労省の調査によると、ひきこもりの95%に診断名がついていて、そのうちの3分の1は発達障害という診断があったということがわかっています。こういったことから、不登校やいじめ、発達障害というものはリスクファクター、危険因子になっているんですけれども、これらのことについて、やはり教育現場での対応というのが不十分であると言わざるを得ないということになります。これは別に先生が悪いと言っているわけでなくて、仕組みとして機能していないというふうに考えているわけです。  ところが特別支援教育はあたかも完成しているかのように、校内委員会設置率99.1%であるとか、発達コーディネーター指名率が97.5%ですから、もう今は98%を超えています。こういった数字だけはできているんですけれども、結局、中身の充実がなされていないので、子供に温かい眼差しをとか丁寧な支援をというふわふわした言葉で抽象的な文言に終始して、何をしていいのかがよくわからない。科学的根拠のない支援が横行していて、経験則のみでやられているものが多いと。ですので、ここに少し科学の数字を使いましょうということですね。  一方、こういう発達障害の人たちもほかの障害の人たちも含めてインクルーシブ教育に向かうわけです。障害者権利条約に批准していますので、入るわけですが、合理的配慮に関するデータベースと言われている国立特別支援総合研究所のデータベース、これは先々月の数字で115件しか登録がない。データベースなのに115件しかない、質、量ともに足りないと言わざるを得ないような状況が続いているわけです。  52ページに入っていただいて、問題を発達から考えてみませんかということですね。先ほど申し上げたように、発達軸というのは教科の学習と違って、教科の学習は学習指導要領で物すごくきれいに日本はでき上がっているので、1年生で習うべきこと、2年生で習うべきこと、これをクリアすればほとんど、勉強の余りできない子でもかなり網羅されて次の学年に行くことができる、これはすごいことです。けれども発達という軸で切った場合、結局、6年生であっても、小学校低学年ぐらいの発達でとまっている子たちもみんなまざっているわけです。その子たちに対して画一的な方法で対応しようとしてもなかなかうまくいかずに、やっぱり一人一人に対応するアセスメントをやって、その子その子に応じた方法をとるべきであるということですね。  そして、対象児童だけにやっても意味がないということも欧米の研究なんかではいっぱい出てきているんですが、日本ではなかなかそういうのができていないんですが、ようやく、我々、文科省から委託を受けて、子どもみんなプロジェクトといって、私たちと同じ方向を向いている10大学がコンソーシアムを組んで、それぞれの大学の所在する教育委員会とタッグを組んで教育現場の課題を大学に投げてもらう。それを大学がそしゃくしてプログラムあるいは研修であるとか調査であるとか、そういったものを今度は現場に返す。そうすると現場は、そんなものはこんな時間のない中で使えませんよといったようなことも、一緒にディスカッションして使えるものに変えていく、こういったプラットホームづくりということを始めて、5年計画の3年目に入っています。実際に学校の現場を測定しましょうということで、一つ大きな成果が上がっているのが、学校の雰囲気をはかる、学校風土をはかるという、学校風土調査というものがこのプロジェクトの中で生まれました。  実はいじめに関する先行研究というのが今出ています。いじめも、やはり学校風土がいいとぐんと下がるということがわかっているんですけれども、日本でこういったことを実際にやっている研究が余りありません。これを日本で標準化された方法でなるべく入れていきましょうということをやるわけですが、当然起きた事案に対して、なぜ起こったかという原因究明は大事なんですが、それ以上に、次起こらないように予防的にどうするかというのは学校の風土を変えるということにかかってきます。  加害者、被害者、傍観者、この三つのアプローチの中で、特に予防として効果があるのが傍観者教育です。傍観者の行動を正しく導くことがいじめ予防にとても重要であるということがわかってきています。傍観者を変えるのは、学校風土を変えなければいけないということになります。あのクラス、いい雰囲気だよね、あのクラスはちょっと何か大変そうだよねというのは先生方も経験されたことがあると思います。そういったことを実は数値化することができるわけです。欧米では100年にわたってこういう研究が進んでいて、規範意識だとか仲間づくりだとか言語発達、こういったものを質問紙でとっていって点数化することができます。それを実際に研究者側が、過去の論文であるとか現場の先生方と非常に密なディスカッションをして、これであればほぼ学校の現状を把握できているんではないかというところまで追い込みました。今から全国で協力してくれるところにデータをとらせていただいて、これが後々に文科省のほうから現場に届けられるようなものになればというスターターの役割をしているということです。  こういった全体に対してアプローチするということがどういうことかということに戻りますが、これは実は発達障害対定型発達という構図ではなくて、発達障害の人が生きやすい社会は全ての人が生きていきやすい社会ですよという、これは本来の特別支援教育の理念に沿ったものが必要ですと。そうすると、例えば市民レベル、あるいは県民レベルであれば、全ての人たちのライフステージごとに生活と発達という軸でデータをもし持っておけば、つまずいたときに、その人がなぜ大変になったのかということがわかります。最初にお伝えしたような強いエピソードだけしか、通常は何かつまずいたときには出てこないですけれども、ためておくと、この人がどんな生育歴を受けたのか、どういったところでつまずいたのかということがわかります。こういったものが必要でしょうということになります。実際、モデル的に、私が今住んでいる大阪府池田市でも同じように発達障害の施策を担当させていただいているんですが、発達障害からさらにもっと網がけをして、全市民を対象にした発達と生活を一生涯記録できるツール、いけだつながりシートというものをつくりました。これは池田市以外では成長ログという名前でソフトバンクさんが展開しようと今されています。ホームページのCSRの説明のところにも出てきます。  Ikeda_sの作成の経緯を読んでいただくとわかりますが、つまりは発達障害にかかわる保護者、教育、保健、医療、福祉、就労、それぞれの部門の人たちに集まってもらって、皆さんの窓口でもし使うとしたら必要な項目というものを、まず我々がたたき台をつくったものをまいて、そして皆さんで共有して合意に至ったものです。ですので、市民であれば誰でも使えて、年齢、障害の有無は問わないと。母子手帳を全ての人が利用するのと同じ、その延長版という形でフェイスシートというもの、これは63ページですが、動かない生物学的データ、それから現在の様子という、発達に応じて刻々と変わっていくデータ、これをためていきましょうというような形の2段組みになっています。成長、発達の過程が俯瞰できるので、生涯にわたって同じシートが使えて、変化が一目でわかったり、要は部門が変わっても、同じ基準で物事を見ているので、特に大きな引き継ぎがなくても本人の状況が部門ごとに共有されるというメリットがあります。そんなことで、合理的配慮の基準づくりにも利用できるということです。  こういったことをまとめて66ページに、ここにプラス医療とのかかわりの中で、モデル的に考えたらこんな感じになりますよというのが一つの形ですが、例えば乳幼児健診や就学前健診で何か指摘を受けたと。そういったときに、まず家庭でできること、それから市役所の窓口から公的機関や民間を紹介してもらうということ、そういった流れがあります。その中でやはりきちんとアセスメントができていれば、この人は単純に家だけ、あるいは集団の中で簡単にやれるようなことでは済まないので個別療育に進みましょう。でも、この子は十分に周りのかかわりがよくなれば、困り感を発生させずに済みますよねというような、こんなことをコントロールできるようなセンター機能があるというのがもしできれば、とてもうまくいくんではないかというふうに言われています。  67ページから、早期の気づきの必要性です。こういったことは実は物すごい小さいうちから見つけることができるんだとわかってきています。  例えばASDの場合、社会性を生み出しているのは社会脳と言われている、この矢印で示す領域ですが、ここの働き方が定型の人と違うわけですので、この働きの違いを早くにわかっておけば、代償機能を使ってやれることが小さいうちだとできるようになります。さらに、それがわかることによって周りに働きかけて、周りのサポートも早いうちからでき上がるので、特に特殊な配慮を必要とせずにいけるケースがあります。つまり、今までは障害者の機能障害のことを障害と呼んでいた場合は、その人にのみアプローチをしていましたが、今は周りも変えていくことと同時に進行していきましょうという考え方に変わっていっているというのが69ページの絵です。  そして、このかかわりは早ければ早いほどいいというのが71ページ、これはノースカロライナ大学のジェラルディン・ドーソンという先生が大規模な統計をとられて出てきたものです。つまり、縦軸が発達水準で書いていますけれども、生活の困り感のない状態だと思ってください。定型の人が年齢とともに得られる生活水準だと思いますと、自閉スペクトラム症の人が何の配慮もなければ追いつくことは永久にないという一番下の紫のバーです。ブルーのラインのところでもし気がついて配慮を受ければ、ある程度追いついてきますけれども、最後まで追いつかない。ところが、もっと超早期に正確に診断されて、周りに早くに配慮を求めることができれば、特性が失われるわけではないですけれども、生活水準としては定型の人と同じレベルにまで行けますよということがもう既にノースカロライナの中では実現できているということがあります。  それから二つ目、早く見つけると、気づきから介入まで時間を減らせます。私ごとで申しわけありませんが、私の下の子供も知的障害のある発達障害ですが、やはり1歳になる前から気がついて、当然ながら私も家内も、その事実を受けとめるのに数カ月かかりました。けれども、早くにはっきりさせたおかげで社会的資源に早く届いて、そして今、高校2年生ですけれども、自立に向けて非常に順調にいっています。  障害受容というのは、統計学的にはやはり3~4年、親御さんはかかると言われていますけれども、ここに客観性があったり非常にわかりやすい説明があると、お母さんがそれを受容するのに時間が短縮できて、その間、不適切にかかわられることが減りますので、二次障害、三次障害の予防になりますよということが73ページに書かれているわけです。  74ページは、もしこういったことに配慮がなければということですが、友達に関心が薄い、仲よくなるコツがわからない。友達の感情に気づけない。自分の感情に気づけない。感情を言葉にすることができない。意思をうまく伝えられない。こういったことに何も配慮がなければ、個人レベルでは当然ながら、抑鬱、不安、孤立、学習困難につながりますし、集団レベルでは、虐待、いじめ、学級崩壊につながってしまうということになるわけです。  一方で、早く見つけてもそういう資源がないじゃないかとおっしゃいます。今まではそうでした。けれども、最近はペアレント・プログラムという、国立リハビリテーションセンターが推奨している方法です。非常に簡便で、子供の行動の理解の仕方を学んだり、否定的な見方を肯定的な見方に変える、お母さん方が考え方を変えるだけで非常にポジティブなアプローチが可能になって、それだけで救われる子供たちがたくさんいますと。それでも難しい子は個別療育に行くべきであって、こういったところが実現すると、施設型療育から地域の子育て支援でカバーできるようになりますよ。それから障害者施策から、誰でも使える子育ての介入というものになっていきますよということが今推奨されるようになりました。  これの根源は、基本、褒めて育てるということを科学的にやっていきましょうということです。別にこれは甘やかすということではなくて、きちんと行動理論に基づいて、知識さえ持っていただければ誰でもできるものであるということです。  そして、早く見つけるほどいい、介入頻度は高いほどいい、早期の統合的アプローチがいいということがわかってきていますので、これは乳幼児健診の役割が非常に重要ですと。日本には世界に誇れる母子健康づくりシステムがあって、特に1歳半健診というのは社会性の発達がはっきりしてくる時期ですので、このときに手を入れるというのが最も効果的でしょうということです。ところが、このやり方については全国まだばらばらであると。厚労省はガイドラインを出していて、例えば情緒、行動問題、自閉傾向、学習障害、心身症等に対して早期発見に努め、適切に援助を行うことと書いています。  こういったものを標準化していきましょうというところで、我々一つの手だてとして、かおテレビというものを今動かしているわけです。かおテレビのところははしょりますけれども、つまりは客観的に、周りが見ても納得できるものをつくりたいということで出てきたものです。簡単に言うと、87ページに絵が載っていますが、お母さんのお膝に赤ちゃんが乗って、画面を2分間ほど見ていただきます。そうすると、画面に提示された動画を赤ちゃんがどんなふうに見ていたかという軌跡が出ますので、終わった途端にその場でお母さんに見てもらうことができます。そうすると、お母さんは通常はお子さんの見ている世界を理解することはないんですが、これをやることによって、あっという間にお子さんの見ている世界を理解されます。そうすると、そこで保健室から何か言われたとしても、あっ物の見方が人と違うから、このことを言われているんだなという肯定的な受けとめをされますが、もしこういう機器がない状態で保健師さんから指摘されると、来月も来てくださいね、少し気になるところがあるのでとか言われてしまうと、お母さんは全否定されたように受けてしまいます。このようにやはり客観的な物差しを挟むということが非常に効果的であるということが大阪府のモデル事業を通してわかってきて、今これは6自治体で行っています。  90ページ、91ページに、実際にかおテレビで撮ったときの軌跡の様子が出ています。点々であらわれているのがその子の見た軌跡です。例えば90ページのお子さんであれば、人の顔と模様と同じ程度を見ていますけれども、91ページのお子さんは人の顔のところしか見ていません。どちらのお子さんも最終的には定型発達であるという判断が出ているんですけれども、こんなふうにお子さん一人一人が実はすごく違うわけなんですね。そういったことをお母さん方が知ることによって、すんなりと周りの子どものことも受け入れるようになるということができるようになってきました。  それで、私たちはこういうことを届けるために、やはり専門オペレーターの役割が必要だろうと。ですので、機器操作をするときに、お母さんにお子さんの見ている世界を説明する。それと同時に専門家には、見ている世界の見立てを科学的に説明できる必要がある。オペレーターの養成というものを今やろうとしています。その際、オペレーターはまずポジティブに伝えるということを基本にやっています。96ページに、このかおテレビを実際に使っている自治体と病院に関して載せております。  かおテレビ活用によって、自治体健診レベルではこういったものが共通の物差しとして使えるということと、お母さん方への啓発につながるということ。それで、一方、これは診断機としても同時に今開発途上です。より正確な診断をお医者さんは求めますので、確かに診断というものをきちんとすることで、手帳交付であるとか、その子がどういうレベルにあるのか、こういったことは知る必要がありますので、診断機としても今、開発が進んでいる段階です。  では、まとめに入ります。まず障害領域を克服するトレーニングを強いるべきではないというのは、申し上げたとおり、もともとその子の特徴を修正するというのは、目を近づけましょうとか、大きな耳を小さくしましょうと言っているのと同じなので、そういったことをするべきではなくて、その人の持っている特性を踏まえた合理的な配慮を受けるような方向性で考えるべきでしょうと。  先ほども出てきた本田秀夫先生は、例としてこういうことを言っています。醜いアヒルの子の話を出して、醜いアヒルの子はハクチョウだったわけです。ハクチョウの子供をアヒルの世界でアヒルの論理で育てようとするととても苦労すると。けれども、ハクチョウだとわかってハクチョウ用にサポートしてあげれば、ちゃんと立派にハクチョウとして育ちますよねと、こういうことをおっしゃっています。それが合理的配慮ということになるんではないですかということですね。  それから、受け皿がないから診断しない、障害と思えないから診断しないのではなくて、これは発達段階に応じて、診断があろうがなかろうがアセスメントをやれば、その子に応じた方法が見つかりますよということを意味しています。  100ページ、対策を包括的に考える。まず現状把握をきちんと、データをとりましょう。そしてそれに対して早期にアプローチしましょう。同時に支援者をしっかり育てましょう。この3本があれば、これからの施策としてはうまくいくんではないでしょうかという提案です。  最後です。可視化、アセスメントの必要性ということです。障害がある、病気であるということを診断するためにだけ可視化が必要ではなくて、結局のところ、どのような特性なのかというアセスメントを行って、子供と先生、子供と保護者、お互いが何を考えているのか、了解可能になります。共通の物差しを利用して合理的配慮の根拠となる可能性があります。発達障害だから配慮しようというアプローチではなくて、発達障害と診断されました。だったら、どういうところが人と違うんですか。その部分について配慮しましょうという指導なら意味があります。そのためにアセスメントであるとか、Ikeda_sのような俯瞰ツールがあるとその人にとって必要なものが届きますよと。多くの現場では、発達障害だからあいつ配慮してやってくれというふうに言ってしまうんですけれども、そうではないですよね。その子が困り感を生んでいたときに、この子の特性から出てきた困り感に対してアプローチをしてあげてくださいというんであれば役に立ちますけれども、発達障害だから配慮してと言うと、これは上から目線で物を言っているのと同じになりますので、全く届かないばかりか差別を助長することになってしまいますので、こういった観点に気をつけていただければと思います。  最後です。特性を早く知ることは、得にはなっても損にはならない。特性を生かせて、そして褒めて育てて、他人にも自分にも優しい社会になりますようにということで、議員、職員の皆様方の意識の共有と施策への実装を期待しているというところで、ちょっと長くなりましたがお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 162: ◯委員長  片山教授、どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に入りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、質問については自席で挙手をしていただき、私のほうで指名させていただきますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、質問等がございましたらお願いいたします。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 163: ◯委員長  予定の時間を超えて丁寧に説明していただいて、本当にありがとうございました。  もう一言、二言、先生あれば、どうぞお願いします。 164: ◯片山泰一参考人  済みません、時間がないので、私が早口で、後半急ぎ過ぎてわかりにくかったかもしれませんが、最後に少し、大急ぎでまとめたことが最もお伝えしたかったポイントでございます。ですので、医学的に診断を受けることに意味はあるんですけれども、だからといってそれで解決するわけではないということ。それから、診断を受けなくても困っている人たちはいるということ。社会的な背景がわかっていないとうまくいかないということ。この二つを知っていただくだけで随分と対応というのは変わっていくんではないかと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。(拍手) 165: ◯委員長  それでは、以上で意見聴取を終了いたします。  片山教授には大変貴重なお話をいただきまして、まことにありがとうございました。改めまして、皆さんで拍手で御礼したいと思います。(拍手)  本委員会といたしましても、今後調査を進める上において大変参考になりました。ありがとうございました。  次に、次回の委員会についてでありますが、既に理事会でお知らせしておりますとおり、2月5日月曜日午後1時から開催をいたします。  内容につきましては、有識者からの意見聴取として、いじめ自死遺族等が設立したNPO法人ジェントルハートプロジェクトの小森美登里さんをお招きし、いじめ自死遺族の立場からお話を伺う予定としておりますので、よろしくお願いいたします。  以上でいじめ問題等対策調査特別委員会を閉会いたします。...