最近、子育てのことで気になることがあります。それは、人とかかわることが苦手で、自宅に引きこもって子育てしている家庭があるということです。本人の意思は尊重しつつも、悲しい事件につながらないために、緊急のときやパニックに陥ったとき、いつでも助けを求められる
赤ちゃんダイヤルの必要性を以前提案させていただきましたが、現在までの検討状況をお伺いします。
引きこもりがちの
子育てママに、外に出る機会を提供する支援も各地で行われています。神奈川県は、産後の
助産師訪問の際、その地域に合わせた
子育てサロンや、
子連れオーケーの
各種レッスン、
ママ向け講座などの情報を提供し、産後のママが外へ踏み出すきっかけをつくる役割を担っているとのことです。仙台市も
新生児全戸訪問を実施しているわけですから、その際に親子連れで参加できる講座や、産後
ケアプログラムを実施しているところの情報などを一覧表にして配ることは、情報の整理を行えばすぐにでもできると考えますが、実施の可能性も含めて御見解をお伺いします。
また、他都市で実施して効果を上げているのが、
リフレッシュ券や
託児無料券などを提供することで、外に出るきっかけをつくっている例があります。例えば、板橋区では、乳幼児を抱える保護者の育児不安、負担を軽減し、子育てしやすい
環境づくりを目的として、乳幼児を子育てしている世帯を応援する利用券、すくすくカードを配付しています。
赤ちゃんカフェ、産後の育児支援、一時保育、
ベビーマッサージなどの産後
プログラムなどを利用できるメニューが充実しています。杉並区は、
杉並子育て応援券、
ゆりかご券を発行し、産後ケア教室、
マタニティー教室、
バランスボールなどが利用できます。仙台市もこのような
子育て応援券のようなものを、乳幼児がいる
子育て家庭に配付し、産後鬱対策の一つとして活用すべきと考えますが、御見解をお伺いします。
次に、第二回定例会でもその重要性について指摘させていただきましたが、発達におくれが見られる就学前の児童に対する療育についてお伺いします。
未就学児の療育を行う
児童発達支援事業所が、急激にふえています。民間が十八カ所、仙台市で指定しているところが六カ所あり、
児童発達支援センターが五カ所あります。最近これらの施設を利用する場合の流れとして、アーチルの
支給決定通知書が要るという情報をいただきました。第二回定例会で、これらの施設は、以前から提案させていただいてきた東京の
さくらキッズのように、アーチルにつながらなくても子供の発育で気になることがあれば誰でも気軽に相談でき、療育も受けられると受けとめさせていただいておりましたが、質問の第一は、実際の
児童発達支援事業所の利用のあり方について、アーチルにつながらなければ利用できないのか、お伺いします。
質問の第二は、アーチルとこれらの施設のネットワークが今後必要になると、前回答えておられますが、未就学児の療育が行える
児童発達支援事業所の情報は、アーチルのみならず保育所、幼稚園、各区の
家庭健康課、のびすくなどにしっかり届けられ、子育てにかかわる担当者間で情報共有されるべきです。そのためには、これらの施設でどのような療育がなされているのか、しっかり調査すべきと思いますが、アーチルではこれらの民間の
児童発達支援事業所がどのような療育を実施しているのか、その事業内容を把握しておられるのでしょうか、お伺いします。
質問の第三として、お子さんの発達のおくれを受容できない保護者がおられますが、このような場合、発達におくれの見られるお子さんを療育につなぐための対策として、どのような取り組みをなされているのか、お伺いします。
三歳児健診において、気になるお子さんがいた場合、面接を受けてもらうように丁寧に対応しても、うちの子は心配要りませんとお帰りになる方がおられるそうです。子供の発達に気になるところがあっても、それを認めない保護者に対する支援のあり方が、大きな課題ではないかと考えるものです。
発達におくれが見られる乳幼児が育つ環境もさまざまです。保育所も幼稚園もあります。所管を越えて、障害の受容できない保護者をどのように支援につなげられるか、検討されるべきと考えますが、御見解をお伺いします。
次に、
放課後等デイサービスの質の確保についてお伺いします。
放課後等デイサービスが八月現在、市内に百カ所開設されています。数がふえたことは、障害児を抱えて仕事をしている保護者にとって大きな支援につながっていると思います。しかし、さまざまな方面からこれらの施設のことで心配な声が寄せられている事実もあります。本来なら障害児一人一人に
個別支援計画を立て、自立に向けてその子に合った適正な支援をするべきところ、支援計画もつくらず、ずっとテレビやビデオを見せているところや、ゲームだけをしているところがあるという声が寄せられています。
質問の第一は、当局としてこのような事実の把握はなされているのか、お伺いします。
質問の第二は、現在百カ所あるこれらの
放課後等デイサービスの質の確保という点に関して、どのような御認識をお持ちか、またこれらの施設に対してどのような指導がなされているのかも、あわせてお伺いします。
次に、老朽化した
堆肥化センターの今後の方向性と、生ごみや食品残渣、街路樹の剪定枝などの
有機系廃棄物の
リサイクルについてお伺いします。
石積の
堆肥化センターは、平成十四年に稼働してもう既に十五年が経過しています。このような施設の耐用年数は十五年と言われていますから、
堆肥化センターのあり方の検討は早急になされるべきと考えます。
質問の第一は、今までこの施設のあり方についてどのような検討がなされてきたのか、いつまでの稼働を考えているのか、具体的な方向性をお伺いします。
質問の第二は、本来一日に二十五トンの処理能力があるのに、実際は三〇%ほどの一日八トンくらいしか処理されていませんが、この理由についてお示しください。
処理対象物の比率に問題があるのか、処理能力を上げるためにこの比率を変えることは考えられないのかも、あわせてお伺いします。
質問の第三は、このセンターを稼働しないとなった場合、現在、
堆肥化センターに搬入している
学校給食センターの給食残渣や街路樹の剪定枝を、今後どのように処理するつもりなのか、
リサイクルの観点から焼却はあり得ないと思いますが、今後の方向性をお伺いします。
質問の第四は、街路樹の剪定枝の
リサイクルについてです。
堆肥化センターには、街路樹の剪定枝の半分しか
リサイクルを目的にチップ化されておりません。残りは焼却されていると聞いています。公園の剪定枝については、一〇〇%焼却されています。杜の都と言われる仙台市で、たとえ剪定枝といっても、
リサイクルされずにほとんどが燃やされているということが残念でなりません。チップにして公園に敷くとか、海岸公園などに植樹するときの苗木の保護のための
マルチング材として使用したり、ペレットの原料として活用できると考えますが、当局として公園及び街路樹の剪定枝の
リサイクルについて、どのような御見解をお持ちか、今後の方向性について御見解をお伺いします。
質問の第五として、生ごみの
リサイクルについてお伺いします。南三陸町は、町を挙げて生ごみを
バイオガスプラントで
エネルギーと液肥にしています。加美町も南三陸町と同じような
バイオガス施設の建設計画を進めていて、現在、生ごみ回収の
モデル地区を定めて実証実験を行っています。今、全国的に
エネルギーの地産地消が注目されている中、仙台市の生ごみの
リサイクルについての考え方が見えません。生ごみ回収は難しいと、できない理由を挙げ続けていたら、いつまでたってもできないと思います。生ごみ回収を最初から全ての世帯で実施するのが難しいとしたら、加美町のように
モデル地区を選定し、実験を行うことはできると思います。南三陸町では、全世帯に生ごみの排出に協力してもらっていますが、異物混入はわずか一%で、プラントは問題なく稼働しているそうです。回収した生ごみをどう処理するかについても、自前で
堆肥化センターや
バイオガスの
プラント建設が難しいのなら、仙台市内にある民間の施設と連携して、生ごみの
リサイクルを実施することも考えられます。
大事なことは、まずやってみようと決断することです。生ごみの
リサイクルについての当局の御見解と、いつまでに方向性を決めるのか、その時期についても御所見をお伺いします。
次に、市職員の意識改革についてお伺いします。
行財政改革推進プラン二〇一六において、職員の意識改革、組織風土の見直しに取り組まれていることは評価いたします。しかし、依然として、
市役所職員は偉そうだとか、上から目線でものを言うというような声が聞こえてきます。こんなに市職員の意識改革に取り組んでいて、市民との意識のギャップが埋まらないのはなぜなのか、疑問です。
原因の一つに、意識改革を研修に頼っていることが挙げられると思います。
窓口サービス向上に向けた取り組みも、
コンプライアンスの意識の浸透も、部下の
指導力向上も、全て研修しているから大丈夫という意識があるのではないでしょうか。研修することが、意識の改革の目的になっているように思います。研修は目的ではなく手段です。大事なことは意識改革の研修を行って、どこに向かうのか、そのゴールを示すことが重要です。
質問の第一は、仙台市がさまざま行っている研修の効果をどのように評価しているのか、お伺いします。また、仙台市職員の使命はどこにあるとお考えなのか、あわせて御認識についてもお示しください。
私は、市役所は究極の
サービス業だと思っています。仙台市民に喜ばれる仕事をすること、市民に愛され、信頼される
市役所職員を目指すべきです。
もう一つ気になる点が、市職員は一万人近くいるわけで、その全ての職員が研修を受けるというわけではありませんから、どんなに研修を強化しても、全職員の意識改革を実現することは困難ではないかと思えることです。研修に頼る現在の市職員の意識改革から、職場単位で意識改革を図る取り組みに変えたほうが、効果が期待できると考えるものです。
例えば、風通しのよい
職場づくりのために、最近各職場で実施されるようになった
オフサイトミーティングを活用して、その職場のミッションをみんなで話し合う、民間の企業ならどこでもやっている朝の挨拶運動に取り組むとか、テーマを決め、職場ごとに取り組む目標を決め、みんなで実践するというようなことも意識改革に効果があると考えますが、当局の御認識をお伺いします。
また、市民と市職員の距離感を縮める取り組みとして、現在は、
市役所内部だけで実施している
職員表彰制度を地域にまで拡大し、市民も巻き込んで、こんなすばらしい仙台市職員がいたのかというような情報を、メディアなどを通じ広く仙台市民に知らせるなどの取り組みも有効と考えます。
例えば、先日、泉中央駅でチョロQやミニカの販売があり、五百人以上も並んで、大変暑かったため、大声で騒ぐ人などで大混乱をしていたとき、とても感じよくてきぱきと対応して、混乱を静めていた職員がいたそうです。一時話題になった
DJポリスを思わせるその対応を見ていた人が、仙台市にもこんな職員がいるんだ、と感心されたとお話しされていました。このようなエピソードを広く市民から集め、メディアなどを通じて多くの人に知ってもらう取り組みなども、市職員を市民の皆さんに身近に感じてもらえるきっかけになると考えますが、御所見をお伺いします。
仙台市が新たな提案制度、
カイゼンアイディア育成制度を導入して、職員の意識改革に取り組んでいることは評価しています。しかし、より多くの市職員に仙台市の将来についてみずからしっかり考えてもらうための取り組みとして、無記名の
アンケートによる提案制度も効果が期待できると考えるものです。全職員を対象に年一回から二回の
アンケートを無記名で実施する、聞くことは二つだけです。一つは、日常あなたが仕事をする上で、おかしいと思う制度や規則を挙げてください。もう一つが、もしあなたが組織のトップだったら、やりたい政策を提案してください。書式は自由とし、何もない人は出さなくていいこととします。実際実行できるかどうかは考えなくていいのです。市職員に自分が働く市役所という組織について考える機会を与え、意識改革につなげるという方法ですが、当局の御見解をお伺いします。
最後に、
いじめ対策に関係してくる仙台市の不登校対策の取り組みについてお伺いします。
以前から仙台市の不登校対策は、
適応指導教室に代表される、児童生徒が不登校になってからの事後的な取り組みに偏っている。予防や早期介入に取り組まなければ、不登校の
児童生徒数を減らすことはできないと、指摘させていただいてきました。前回の私の質問に対する答弁では、今年度早々に有識者による不
登校対策検討委員会を立ち上げ、予防や早期介入の取り組みに着手するとのことでしたが、質問の第一は、この
検討委員会は立ち上げることができたのでしょうか、お伺いします。
さまざまな理由で立ち上げができなかったとしても、今現在やれるところからやってみるという本気度が必要なのではないでしょうか。例えば、以前にも提案させていただきましたが、予防という点から別室登校で学校に来ている児童生徒に対して、授業のおくれを支援するための学生や教職員OBによる支援体制の構築など、有識者による意見を聞くまでもなく、すぐにでも取り組めることはたくさんあると思いますが、質問の第二として、このことは検討されたのでしょうか。また、その検討結果についてもお伺いします。
本気で不登校対策に取り組む気があるならば、他都市の先進事例は山のようにあります。例えば、岡山県は、対処療法的な取り組みをどんなにやっても不登校を減らすことができないとして、不登校対策を百八十度変更して、未然防止、早期発見、早期対応に全面的に軸足を置きかえることで効果を上げているとのことです。不登校の背景として多く見られる二つの要因、対人関係のつまずきと学習面でのつまずきについて取り組まれた事例として、対人関係のつまずきにおいては、岡山県総社市において、具体的な対人関係のスキルをロールプレーや
グループワークで学ぶSEL、社会性と感情の学習を実践しています。
アメリカやヨーロッパで広く実践され効果が認められているSELを、最近取り入れる自治体がふえてきました。自分や他人の感情を理解することをもとに、他者とかかわるためのスキルを身につけさせる
心理教育プログラムです。不登校やいじめに効果があると言われていますが、質問の第三は、総社市で取り入れているこのSELを教育局としてどのように御認識されておられるのか、その効果について御所見をお伺いします。
学習面でのつまずきでは、子供同士がお互いに支え合う活動の一つとして、ピア・サポートや、わからないところをわかる子が教えるミニ先生などを導入しているそうです。もちろんこのような子供たちが教え合うような取り組みは、今後の検討に値するとは思いますが、学校において教員が子供たちに対してわかる授業をするのは基本中の基本です。
質問の第四は、学習面でのつまずきのある児童生徒に対して、教育局として今までどのような取り組みを行ってきて、その効果をどう検証しているのかお伺いします。今後の対応についてもあわせて御見解をお示しください。
不登校の未然防止の大きな柱は、子供たちが登校したいと思える魅力的な学校を、地域も教員も、もちろん児童生徒もみんなで一丸となってつくっていくことだと考えます。もちろんいじめ問題が最重要課題です。このことに全力で取り組まなければならないことは承知していますが、いじめ問題が解決しなければ何もできないということではなく、いじめ問題と並行して不登校を生まない
学校づくりに全力で取り組むことが、結果的に不登校の予防につながると考えますが、教育長の御見解をお伺いし、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
5: ◯市長(郡和子)ただいまの
佐藤わか子議員の御質問に、私のほうからお答えをさせていただきます。
私からは、産後ケア事業の早期の着手について、まずお答えいたします。
本市におきましては、これまでも産後の育児支援として、
新生児全戸訪問による育児状況の確認や、また継続して支援が必要な御家庭への
専門指導員、
育児ヘルパーの派遣によって、育児や家事援助あるいは専門的な相談指導を行っているところでございます。
私は、
子育て世代の育児支援については、産前産後、この時期が特に重要であるという認識を持っておりまして、これまでの既存の事業に加えて、妊娠、出産を地域のさまざまな関係機関が支援するという視点で、新たな事業が必要とされているのではないかとも考えているところでございます。産後ケア事業もそうした取り組みの一つとして検討すべき事業と捉えておりますけれども、実施に向けてはさまざまな課題もございますので、引き続き先進地の事例研究やニーズの把握をしっかりと行って、事業のあり方について検討してまいりたいと思います。
それから、生ごみの
リサイクルについて私のほうからお答えさせていただきます。
御家庭の生ごみについては、水分を多く含むことから重くなってしまいます。その減量というのは、
一般廃棄物処理基本計画に掲げている数値目標の達成に向けて、一つの鍵になるというふうに認識しておりまして、これまで生
ごみ処理機等購入費の補助事業、それからまた食品ロスの削減に向けた取り組み、これを実施してまいりました。
生ごみを分別収集して
リサイクルすることは、回収場所の衛生環境の確保、また
収集運搬経費の増加などの課題がございますけれども、生ごみの減量のポイントはこれも市民の皆様との協働にあるというふうに考えております。
さらなる生ごみの減量や
リサイクルに向けて、今年度はまず、環境省の
事業スキームを活用いたしまして、生ごみの排出状況の調査に着手してまいりますほか、ごみの減量について地域や市民団体の皆様と意見交換をさせていただき、企画立案する場を設けて、地域ぐるみでの堆肥化の取り組みの検討を進めているというところでございます。
この取り組みの推移も見まして、今後も市民の皆様方とともに、生ごみを初めとするごみの減量、
リサイクル、これをしっかりと推進してまいりたいというふうに考えているところです。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
私からは以上でございます。
6:
◯総務局長(加藤俊憲)職員の意識改革についての数点のお尋ねにお答えいたします。
まず、職員の使命と研修、職場単位での取り組みについてでございます。
本市職員は、全体の奉仕者として
市民サービスの向上に努めることが当然の責務であり、そのためにも市民の目線を大切にしながら、多様な課題に対し積極果敢に取り組むことが重要であると認識しております。
研修への参加は、こうした姿勢を促す大切な機会であり、接遇や
コンプライアンス意識の向上など、意識改革に向けたさまざまな研修を実施しているところでございます。その効果については、一律の評価が難しいところがございますが、受講前後の意識や行動の変化を見る調査では、接遇などにおいて一定の効果が認められております。
加えて、研修の成果を実際の仕事に生かすためには、日常業務における助言指導が必要であることから、受講した職員の上司に対するフォローアップも行っているところでございます。さらに、研修のみならず、職場での取り組みも重要でございますことから、職場単位で定期的に実施している朝礼や、一般職員と幹部職員が自由に意見交換を行う場である
オフサイトミーティングなどを活用することで、職場ごとの課題の共有を行った上で実践につなげるよう、意識づけを図ってまいります。
次に、市民との距離感を縮める取り組みについてでございます。
お示しいただいた事例のように、それぞれの職場において、職員が
市民サービスを第一に、創意工夫しながら献身的に職務に当たることで、市民の信頼を得ていくことが非常に大切なものであると認識いたしております。
本市では、顕著な業務功績として表彰された事例のほかにも、例えば、区役所の
相談受付窓口をより親しみやすい雰囲気に見直すなどの職場主体の取り組みや、
窓口サービスアンケートに寄せられた来庁者のお褒めの言葉など、すぐれた事例、職員が見倣ってほしい事例として推奨する観点から、庁内に発信し、動機づけを図っております。引き続き市民の皆様に信頼され、身近に感じていただけるよう、さまざまな取り組みを重ねながら、職員の意識や意欲の向上に努めてまいりたいと存じます。
最後に、提案制度についてでございます。
本市では、平成二十七年度から、職員自身の担当業務や内容の軽重にとらわれず、本市業務に関する新たなアイデアを広く募集し、すぐれたものはその実現につなげる
カイゼンアイディア育成制度を実施しております。これは、提案者と提案内容に関連する部署が、その実現に向けて取り組むことにより、職員の政策形成能力等の向上を図るとともに、積極的に業務改善に取り組む組織風土の醸成を図ることを目的としているところでございます。
実現につなげるアイデアの選定に当たっては、全職員を対象にした
アンケートを行うなど、広く職員の関心が集まるよう工夫をしてきたところでございます。
引き続きさまざまな取り組みを通じて、多くの職員が自分にもできるのでは、自分ならこうするのにという意識のもと、改善提案ができる風通しのよい組織風土づくりに取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
7: ◯健康福祉局長(佐々木洋)私からは、健康福祉局に係る数点の御質問にお答えします。
初めに、
児童発達支援事業所の利用についてでございます。
児童発達支援事業所は、未就学児とその保護者を対象とし、日常生活の自立支援や機能訓練など、児童福祉法に基づく通所支援サービスを提供する施設です。利用に当たっては、利用者からの相談や申請に基づき、アーチルが児童の障害の状況を判断の上、給付の決定を行うこととなっております。
こうした法に基づく手続が必要であり、通所支援サービスの利用に当たっては、アーチルに申請していただく必要がございます。
次に、民間の
児童発達支援事業所についてでございます。
アーチルでは、発達に関し継続的に確認が必要な児童について、保護者との相談の機会や事業所職員も交えての支援者会議等を通じ、各事業所の療育内容について把握をしております。
一方で、現在の本市の障害福祉サービスの利用案内ガイド等については、利用者への情報提供、保育所等関係機関での情報共有という観点から、掲載している情報量等の課題があるものと認識しております。現在、その課題整理に着手したところであり、来年度改定の際に反映させてまいりたいと存じます。
次に、発達障害に関する保護者の理解促進についてでございます。
発達のおくれが見られるお子さんの保護者の中に、そうした指摘を受け入れがたいという方がいらっしゃるのは事実でございます。そのようなお気持ちにも寄り添いつつ、必要な支援を届けるため、区の保健福祉センターでは、幼児健診あるいは健診後に行っている事後指導教室、個別相談等で丁寧な説明を行い、理解促進を図っているところでございます。
このほかアーチルでは、発達のおくれが見られるお子さんの保護者や周囲の方々を対象に、発達障害による行動面での特性や対応などを御理解いただくため、具体例も記載した啓発資料を作成し活用しております。
発達障害の受け入れに抵抗感のある保護者に対しましては、より相談のしやすい配慮が必要であると認識しております。本年、地域相談員を配置した
児童発達支援センターの活用や、各種子育て支援施設における対応など、関係部局と連携しながら、相談しやすい
環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
最後に、
放課後等デイサービスの質の確保についてでございます。
放課後等デイサービス事業所は、生活能力向上のためのさまざまな
プログラムを設け、多岐にわたるサービスを提供しておりますが、利用する児童生徒の状況に応じて個別の通所支援計画を策定し、計画の目標達成に向け、支援の向上に努めることとされております。
そのため、これまでも国が定める運営基準等の遵守状況について、定期的に各事業所に出向き、関係帳票を確認しながら、きめ細かな実地指導を行っているところでございます。ここ数年の実地指導において、計画策定に未着手である状態を放置したまま漫然と支援しているといった、極めて不適切な事業所は見受けられなかったところでございます。
引き続き、各種研修等の開催を通じ、事業所の支援スキルの向上を図るほか、適切な指導監督を実施するなど、支援の質の向上を図ってまいります。
以上でございます。
8: ◯子供未来局長(福田洋之)私からは、産後ケアに関する御質問のうち、市長がお答えした以外の御質問にお答えをいたします。
まず、産後ケア事業に関する関係機関などとの話し合いについてでございます。
産後ケア事業を実施する上で、その受け皿施設となります助産所など関係機関の協力は欠かせないものであり、これまで宿泊型なども含めた産後ケア事業の実施の可能性について、宮城県助産師会や、受け入れが可能と思われる医療機関とも意見交換を行っております。
その中では、新たに必要となるベッドや職員の確保などが課題として上がってきておりますが、今後も引き続き関係機関等との協議を進め、事業実施に当たってのあり方を検討してまいりたいと考えております。
次に、
赤ちゃんダイヤルの検討状況についてでございます。
本市では、子育ての悩みなどについて相談をお受けする、子育て何でも電話相談を開設いたしておりますが、昨年度の検討の結果、本年四月から新たに助産師の相談員を配置をし、ほかの職員への指導なども含め、赤ちゃんに関する相談への体制を充実させたところでございます。
また、夜間における相談窓口としては、急な発熱やけがの場合に看護師が対応する宮城県こども夜間安心コールのほか、さまざまな悩みの相談を受ける仙台いのちの電話や、よりそいホットラインがございます。
本市といたしましても、これまでもこれらの相談窓口の紹介に努めてまいりましたが、こうした夜間を含めた相談体制につきましては、さらなる方法がとれないか、引き続き検討してまいりたいと存じます。
次に、産後ケア等の情報提供及び子育てに関する利用券についてのお尋ねでございます。
子育てに関する不安や負担感が増す中で、母親が外出して地域や子育て仲間などとのつながりを持つことは、育児に関する不安や負担の軽減につながるものと認識しているところでございます。
母親の外出を促すため、親子で気軽に参加できる行事等の情報提供は有効であるというふうに考えておりますので、御提案の方法も含め、手法について検討してまいりたいと存じます。
また、
子育て応援券のようなさまざまなサービスの利用券につきましては、母親が外出するきっかけにもなるなど効果も期待できますが、利用対象とするサービスの内容や財政負担等の課題を考慮する必要もあり、他都市の実施状況に関する情報収集を行いながら、本市としての導入可能性について研究してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
9: ◯環境局長(小林仁)
堆肥化センターに関するお尋ねについてお答えいたします。
堆肥化センターは、学校給食の生ごみや地域し尿処理施設の汚泥、剪定枝を資源化し、有効利用するためのモデル施設として、平成十四年に設置いたしました。稼働後十五年が経過し、設備の老朽化も進んでいることなどから、
行財政改革推進プランにおいて、ごみの排出状況や民間施設の動向を勘案しながら、今年度中を目途に具体の方向性を取りまとめることとしております。
昨年度は民間施設の処理状況を確認するなど、検討を行ってきたところであり、引き続き取り組みを進めてまいります。
次に、
堆肥化センターの処理状況についてでございます。
現在、学校給食の生ごみ、し尿汚泥ともに、市内で発生する全量を受け入れているところであり、いずれも施設稼働当初の想定よりも発生量が減少しており、処理量は一日当たり約八トンにとどまっております。
剪定枝については、水分量の調整のために生ごみやし尿汚泥の量に応じて、一定の割合を定め投入しているものであり、その比率を大きく変えることは難しい状況でございます。
以上でございます。
10: ◯建設局長(村上貞則)私からは、街路樹などの剪定枝の
リサイクルに関する御質問にお答えいたします。
本市の緑の総合的な計画であります仙台市みどりの基本計画において、低炭素都市づくりの一環として、剪定枝の堆肥化等により、緑資源の
リサイクルを進めることとしております。
具体的な取り組みといたしましては、街路樹の剪定枝をチップ化し、
堆肥化センターで堆肥に
リサイクルすることを中心に行ってまいりましたが、公園の剪定枝については焼却処分としているのが実情であり、
リサイクル方法を検討する必要があるものと認識しております。
今後、
堆肥化センターでの受け入れが困難な場合も想定されますことから、街路樹、公園樹の両方を対象に、例えばペレットなどの固形燃料の材料や、植栽の根元に敷く
マルチング材としての利用などについて、関連する民間事業者との連携も含め、検討してまいりたいと存じます。
11: ◯教育長(大越裕光)私からは、教育に係る数点の御質問にお答えいたします。
初めに、学校給食の残渣処理についてでございます。
学校給食におきましても、ごみの減量や
リサイクルの取り組みは重要なものと認識しております。給食残渣につきましては
リサイクルを原則とし、
堆肥化センターにおいて、全ての
学校給食センターと一部の単独調理校で生じる残渣を処理しているところでございます。
教育委員会といたしましては、魅力ある献立の作成など、食べ残しの削減に取り組んでまいりますとともに、給食残渣の
リサイクルを継続することができるよう、環境局と連携を図りながら種々検討してまいりたいと存じます。
次に、不
登校対策検討委員会の立ち上げについてでございます。
本年四月に発生いたしました自死事案への対応と、事案を踏まえたいじめ問題への緊急対策を優先的に実施してきましたことから、不
登校対策検討委員会の設置につきましては、当初の見込みからおくれている状況にございます。
こうしたことからスケジュールの見直しを図り、年内を目途に委員の選任を行い、
検討委員会を立ち上げ、具体的議論を始めるよう進めてまいりたいと存じます。
次に、不登校対策の検討状況についてでございます。
不登校対策として、別室登校は子供たちの安心できる居場所として大切な役割を持っており、教室復帰に向けた重要なステップでもあると認識しているところでございます。各学校では、この別室登校も含めて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携し、学習についても考慮しつつ、児童生徒一人一人に応じた計画的、組織的支援に努めているところでございます。
今後、どのような不登校対策が有効なのかを、学校現場での試みや不
登校対策検討委員会での議論も含め、しっかりと検討してまいりたいと存じます。
次に、対人関係の能力育成
プログラムの一つであるSELについてのお尋ねでございます。
SELは、ロールプレーイングや
グループワークなどの体験的学習などを通して、自己や他者の感情を理解し、適切な表現の仕方を学び、他者とのかかわり方を身につけながら、社会性を育むことを目指したものと認識しております。効果につきましては、総社市等においてSELを実践することにより、不登校出現率が減るなど、不登校の未然防止等に一定の成果があったと伺っております。
本市におきましても、子供たちがこれからの変化の激しい社会を生き抜くための、たくましく生きる力育成
プログラムのロールプレーイングやゲーム的要素を取り入れるなどの授業実践を通して、自己肯定感を高めたり、他者とかかわる力や気持ちをコントロールする力を育成したりするなど、生きる上で必要となる知恵や態度を育んでいるところでございます。
今後、他都市の取り組みなどを参考としつつ、対人関係能力等を育成する上で、有効な手だてを授業プランに追加するなど、不登校の未然防止やいじめ防止等にも生かすことができるよう、改善を図ってまいりたいと存じます。
次に、学習面でのつまずきのある児童生徒に対する取り組みについてでございます。
各学校におきましては、つまずきの見られる児童生徒には、定着が不十分な内容についての個別指導や、放課後等を利用した補充学習等のきめ細かな指導に取り組んでおります。また、教育委員会では、大学と連携した確かな学力研修委員会により、つまずきの多い学習内容について、具体的な改善方策を取り入れた提案授業を公開し、教員の指導力の向上を図っているところでございます。
効果の検証につきましては、標準学力検査における目標値に対する達成状況について、その経年の変化を把握し、学習内容の改善が十分に図られているかなど、PDCAサイクルに沿った取り組みを推進しているところでございます。
今後は、課題となっております小学校中学年算数への改善策等について検討を進めるとともに、指導方法の工夫に努め、一人一人に確かな学力を確実に身につけさせてまいりたいと存じます。
最後に、不登校問題への取り組みについてでございます。
いじめ問題や不登校問題の解決には、子供たち一人一人にとって学校が、安心して登校し、互いに学び合い、心身を健やかに成長させられる場となることが、何より重要であると捉えております。
このような認識を持ちながら、子供たちが楽しく学び、充実感、自己肯定感を高めながら成長できる
学校づくり、学級づくりができるよう、教職員の力量向上はもちろんのこと、保護者や地域の皆様の御協力をいただきながら取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
12: ◯議長(斎藤範夫)次に、ふなやま由美さんに発言を許します。
〔二十四番 ふなやま由美登壇〕(拍手)
13: ◯二十四番(ふなやま由美)日本共産党のふなやま由美です。障害のある方が安心して暮らせる施策の充実について、一般質問いたします。
近年、LD、ADHD、高機能自閉症などの発達障害や、グレーゾーンと言われる支援の必要な方々が増加しています。発達障害は、見た目にはわかりにくい障害と言われ、相談にも診断にも結びつかずに日常生活を送る方も多く、発達障害のある方の正確な人数は把握できていないのが現状です。
発達障害の息子を育てているあるお母さんは、自分の子供はほかの子供と違う、と小さいころから感じてきた。小学校時代に、変わった子と言われ、いじめに遭い傷つき、地獄のような日々を過ごした。相談機関を知り、診断を受け、親も息子もやっと生きづらさの根っこがどこにあるのか、理解することができた。特別支援教育や福祉支援のサポートがなければ、今どうなっていたかわからない。その後、成人となり、一般企業に障害者雇用で就職がかなったが、今もパニックになるなど悩みは尽きないんです、と話されていました。
昨年五月に、発達障害者支援改正法が成立しました。幼少期からのきめ細かい支援、学齢期、就労、高齢期まで全てのライフステージを通しての支援の充実が位置づけられました。生きづらさを抱えた方々が孤立せずに安心して育ち、暮らしを支える取り組みの強化が求められています。
本市では、発達相談支援センターアーチルを中心に連絡協議会を持ち、ケース検討など日常的な連携を行っていますが、さらに取り組みの強化が必要です。法改正も踏まえて、これまでの取り組みの評価とともに、教育局も含めた発達障害者支援を総合的に検討する機関もつくり、支援の充実を体系的に施策化すべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
先日、袋原小学校に伺いました。発達や情緒障害の児童八人が一つの特別支援学級で学んでいます。子供たち一人一人、障害の特性や学習理解の程度にも違いがあります。数字の概念を教えるのも大変だというお話をお聞きしました。教室を飛び出して廊下を走り回る児童を必死に追いかけたり、ほかの学年の先生に連れて帰ってもらったなどの状況も頻繁にあります。
今、学校現場は、障害のある児童以外にも、いじめ、不登校、経済的困難や家族関係上に課題を抱える子供がふえています。教師が子供と向き合い、働きかけながら、子供が発する小さなサインに気づき、子供の内面にじっくりとかかわることが欠かせません。一人一人の成長を集団の成長に結びつけ、学び合える学級づくりを進めるためにも、児童生徒に心を寄せ、目が行き届く学校の環境改善が急がれています。
郡市長が、よりよい教育の充実を求める市民の願いに応え、三十五人以下学級拡充の意思を示されたことを高く評価するものです。少人数学級の検討の際に、特別支援学級の定数を一クラス八人から六人以下にする検討を求めますが、いかがでしょうか、伺います。
二〇一二年に文部科学省が実施した、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査の結果では、知的発達におくれはないものの、学習面、行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は、六・五%という報告がまとめられています。
仙台市でも、専門機関で診断を受け、配慮の必要な児童生徒は一千四百五十三人です。特別な配慮が必要と学校が考える児童生徒二千百三十五人を合わせると、約三千六百人と報告され、どのクラスにも支援の必要な児童生徒が複数いる現状です。
こうした児童生徒の学びを支えるために、指導補助員を配置し支援に当たっています。ある小学校の通常学級の授業風景を見学させていただいたときに、授業中に床に座り込んでしまう児童に、補助員が丁寧に寄り添い支援する場面がありました。補助員が書き込む記録簿には、活動の様子、子供のよさ、気がかりな点、うまくいかなかったことなど、びっしりと書き込まれていました。この記録簿が担任の先生を初め、ほかの教職員にとっても、子供の特性を共有でき、子供支援に欠かせないものになっています。
配慮が必要な児童生徒は約三千六百人もいるのに、補助員を配置してほしいと学校から申請が出されている
児童生徒数は二百九十一人です。さらに、実際に配置されているのは、九月一日時点で百五十七人にすぎません。教育局が当初予算で見込んだ数の枠内に抑えているとしか思えません。予算をふやして指導補助員を増員し、必要な支援を保障すべきです。いかがでしょうか、伺います。
子供の学びをサポートするために大事な役割を果たしている特別支援教育支援員や指導補助員が、募集しても集まらないなどの課題があります。求められる職務を果たせるための処遇改善も必要です。給与は一日六時間で五千九百六十円の日給制で、二十日勤務しても十一万九千円にしかなりません。児童生徒と信頼関係をつくりながら、サポートする支援員や補助員の給与引き上げなどの処遇改善も行うべきです。お答えください。
発達障害のあるお子さんは、こだわりが強い、人との距離感がうまくとれない、友達関係をつくれないなど、それぞれ障害特性があります。周りの理解がなければ、子供は自信をなくし、孤立してしまいます。また、学校のルールを守れないことも多くあり、障害に合った対応が必要なのに、ほかの生徒への影響を考え対応できないときがある、環境調整がうまくいかないと、学校現場では苦労されています。
多様な特性を持つ子供たちに対し、一人一人の成長に合わせたきめ細かな対応を学校で実現するには、支援内容を充実させることが必要です。発達障害者支援法の改正もあり、特別支援学級では全ての児童生徒に
個別支援計画が義務づけられています。通常学級で学ぶ児童生徒に対しても、学校で支援が必要だと判断した子供に対しては、
個別支援計画を立て支援を行うべきですが、いかがでしょうか、お答えください。
また、特別支援教育コーディネーターは、特別支援学級の教員などが兼務で行っていることが多く、日常業務と学校全体のプラン策定、アーチルとの連携など、多忙化の中で苦労されています。学校全体で支援の必要な子を包み込みサポートできる体制を充実させるために、養護教諭の複数配置、特別支援コーディネーターの専任配置も検討すべき時期と考えますが、あわせてお答えください。
発達相談支援センターアーチルは、児童相談所の障害児相談判定業務と、更生相談所の知的障害相談、判定業務を統合し、二〇〇二年四月に設置され、発達相談支援の行政機関として位置づけられました。現在、北部と南部の二カ所で運営しています。ワンストップで子供の療育の不安を受けとめて、継続的に支援する拠点として、本市の発達障害者支援にとって欠かせない役割を果たしています。
しかし、年々相談件数はふえ続け、昨年度末には開所年度に比べ約二・五倍となり、一万件を超えています。二カ所になってもなお、新規相談まで時間がかかるという課題があります。アーチルに相談し、検査するのも二カ月待ち、医師の診断書がおりるのにさらに三カ月、学校が判断してからでないと補助員は配置されない、一体いつになったら我が子に支援の手が届くのかという保護者の声が届いています。
電話相談を受けた後、来所により、相談員と心理判定員、理学療法士、作業療法士などの専門スタッフによる障害の状態や生育歴の聞き取りと、一次判定を行います。初回相談でも一組の相談におおむね二時間程度かかり、一チーム当たり一日に三組の相談、判定が精いっぱいです。専門スタッフが対応するためにスケジュール調整に時間がかかり、とりわけ心理判定員の不足は深刻です。また、二回、三回と来所して相談に乗るケースもあり、相談件数に体制が追いついていない現状があります。
不安を抱える方々にとって初期相談は、その後の療育を進める上で大変重要です。心理判定員などのスタッフを養成することも含めて、体制を強化し、新規相談を早く実施することができるよう改善すべきですが、いかがでしょうか、お答えください。
アーチルの体制強化とともに、市民の身近な場所での支援を重層的に行うことが必要です。札幌市では、発達障害者支援体制整備事業で、関係連絡会議の開催、家族支援、サポートファイルの作成、障害理解のための取り組みを行っています。二〇一四年度からは、小学校入学前の段階でフォローすることを目的に、五歳児対象に
アンケートをとり、希望者には医師の診察を受けられる五歳児健診と発達相談を実施しています。本市でもこのような取り組みを行う検討をしてはいかがでしょうか、伺います。
また札幌市では、各区保健センターや児童会館を会場に、さっぽ・こども広場を開設し、月一回コース、週一回コースで支援を行い、判定や診断までの間に子供や親に寄り添う支援を実施しています。
本市では、今年度から障害児通所支援事業所五カ所に、地域支援担当者を一名ずつ配置し、相談事業を始めていますが、療育の充実のための各区役所での取り組みをもっと強化すべきです。本市でも、健診で気になったらアーチルへ紹介の取り組みだけでなく、保護者の不安に寄り添いサポートが必要です。
現在、市は健診後に気になった子供に幼児教室で支援していますが、これをさらに発展させて、親同士が悩みを語り合い、継続的なつながりが持てるよう、さっぽ・こども広場のような取り組みを各区保健福祉センターで実施してはいかがでしょうか、お答えください。
障害特性を周囲の人が理解することで、障害のある方の生きづらさを少しでも和らげることができます。札幌市を視察し、障害理解と周知の取り組みに大変参考になったのが、発達障害のある人たちへの八つの支援ポイント虎の巻です。子育て編、職場編、暮らし編に続き、教育委員会と保健福祉局が一緒に虎の巻プロジェクトを立ち上げ、学校編もつくられました。
四こま漫画で、日常的に起こり得るトラブルや場面が描かれ、どのような話しかけ方、説明の仕方をすれば、職場や学校、日常生活で円滑に暮らしていけるのか、わかりやすいものです。例えば、合唱の授業で、大きな声で歌いましょうと教員が呼びかけたら、障害のある児童は周りの児童が耳を塞ぐような大声で歌を歌ってしまいます。教員が、この音量は七くらいですと、目盛りをつけたパネルを示しながら実際に歌ってみせました。子供は、どれくらいの音量を出せばいいか理解し、みんなと息の合ったハーモニーをつくることができました。
二〇一三年に八万部を作成したこの虎の巻は、ことし四月二日の世界自閉症啓発デーでツイッター上にも紹介され、評判となり、虎の巻のホームページのアクセス数が二十万件にも上ったそうです。
障害のある方が社会の中で活躍し生きていけるよう、こうしたツールを積極的に活用して、障害理解を広げ、当事者の生きづらさを少しでも解決できるよう役立てていくべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
青年期や成人期に進学や就労でつまずき、いじめやひきこもり、社会参加ができなくなっている方も多く、地域支援の充実も必要です。
先日、市の独自事業としてNPO法人に委託している自閉症児者相談センターに伺いました。昨年度末で二百六十六名の登録者に三千百四十九件の相談を行い、十八歳以上の方が半分以上を占めています。自宅を訪問して信頼関係を結びながら個別支援を行い、地域での発達障害者支援にとってなくてはならない役割を果たしています。市内全域を対応しており、訪問移動にも苦労があります。ぜひ各区に自閉症児者相談センターをふやして、地域支援を充実させてはいかがでしょうか。
また、通所型の支援場所として、地域活動推進センターがあります。切符を買えない、電子レンジが使えないなど具体的なつまずきに対して、その方に合わせた支援
プログラムをつくりサポートしています。こうした発達障害者を中心に支援しているセンターは、現在市内三カ所で支援していますが、各区に整備するなどさらなる充実を求めます。いかがでしょうか、お答えください。
全ての児童生徒の発達保障の観点でも改善が急がれるのが、仙台圏の特別支援学校の教室不足と過密化問題です。
県は、二〇一四年度に小松島支援学校を開校しましたが、すぐに教室が不足し、二〇一八年度に泉区に分校を設置しました。それでも教室不足が解決されないため、県は今後、秋保の旧県拓桃医療療育センター跡地に特別支援学校を新設する方針ですが、それでも不足すると学校関係者から言われています。
仙台市立の特別支援学校は鶴谷特別支援学校の一校だけしかありませんから、ぜひ増設すべきです。いかがでしょうか。
また、高等支援学校の増設も必要です。今年度、県立の岩沼高等学園に入学を希望し受験した生徒が、入学がかなわず、泣く泣く仙台市から角田市や山元町まで遠距離通学を強いられ、生徒に負担がかかっているというお話を伺いました。公共交通で安心して通える場所に自力で通学することは、その後の社会参加を後押しし、自立につなげることができます。
高等支援学校は義務教育ではありませんから、仙台市の決断でつくることができます。ぜひ障害のある子供たちの教育の保障のために、仙台市立の特別支援学校の設置を検討すべきですが、いかがでしょうか、お答えください。
二〇一四年一月に日本は障害者権利条約を批准し、二〇一六年四月の障害者差別解消法の施行と同時に、本市では障害者差別解消条例を施行しました。各区役所や差別解消相談ダイヤルなどで、これまで九十六件の相談を受けています。差別事例では、盲導犬を連れてのタクシー乗車拒否や、飲食店での来店拒否などがあり、事業者に改善を求め解決に取り組んでいます。障害者差別解消条例では、不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮が定められています。
合理的配慮は、民間事業者は努力義務ですが、行政機関などの公的機関は義務とされています。バスや地下鉄の公共交通部門、公営住宅、歩道整備、学校、市民センターなど全ての公共機関で、条例施行後一年が経過し、総点検をするなど、全庁を挙げた取り組みを求めますが、いかがでしょうか、お答えください。
市が行った調査では、この条例を知っている方が一般市民では一六・五%、障害のある当事者は障害種別により差がありますが、一五%から三〇%という結果でした。いまだ八割もの市民が条例を知らないという現状を、大きく変えていく必要があります。
健常者も障害者もともに語り合えるココロン・カフェを、職場や大学、高校で開催するなど、さらに発展させるべきです。また、啓発ポスターを当事者の方々にデザインをお願いしたり市民公募するなど、知恵と工夫を行うことや、ポスターを広く市内に張り出すなど、必要な予算を確保して取り組みを強めるべきです。いかがでしょうか、お答えください。
昨年の相模原市の津久井やまゆり園での殺傷事件は、多くの市民や障害のある方に衝撃と苦しみをもって受けとめられています。
障害のある方は、電動車椅子に乗って街に出たときに、周りの目が怖くなった。自分は存在しなくていい人間だと、周りの人に思われているのではないか、と話されていました。障害への理解や施策のおくれ、誰かを差別し命に優劣をつける
優生思想がはびこるような社会では、障害のある人の権利は守れません。誰もが生きやすい社会へと変えていかなければなりません。
一人一人がかけがえのない存在であり、命は皆平等です。差別や排除されずに、障害のある人もない人も、誰もが輝いて生きていける社会の実現のために、このまち仙台から力強く発信していただくことを市長に求め、伺って、私の第一問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
14: ◯市長(郡和子)ただいまのふなやま由美議員の御質問に、私から御答弁申し上げます。
まず、アーチルの体制強化についてお尋ねがありました。
発達障害という概念の市民への広がりなどに伴って、アーチルへの相談件数が大変増加している状況にあります。そういう中においても、適切な支援につなげていくということがとても肝要だと、重要なことだというふうに思っております。
これまでも職員の研修などを通じて、心理判定員などの専門スタッフの人材育成に努め、体制の強化を図ってきたところではございますけれども、年々相談件数が増加をしておりまして、内容も大変複雑化、多様化する中で、アーチルのみでの対応ではなく、地域における相談支援機能の強化が必要になってきていると、こんなふうに認識をしているところです。
児童発達支援センター、これは保護者の身近な相談窓口、また保育所等への支援機関としての役割が期待をされておりますことから、本年度、地域相談員を配置して機能強化を図ったところでございます。また、アーチルでは、緊急性の高い御相談の速やかな対応に努めているところではございます。今年度から学校等との間での連絡票による情報共有という現在の手法について、まずは学校からアーチルへの事前の電話連絡によって相談を早めるという改善を行ったところでございます。
今後ともこうした工夫を凝らしつつ、お子さんの発達に不安を持つ保護者の皆様方への支援体制を充実してまいりたいというふうに考えています。
それから、障害者の差別解消についてお答えをいたします。
障害の有無にかかわらず、全ての市民がお互いの人権あるいは尊厳というものを大切にして支え合っていく共生社会、これが障害福祉行政において本市が目指すところであって、その実現のためには市民の皆様方の障害への理解というのが大変重要な要素であるというふうに思います。
こうした考えのもと、独自の条例を制定して、障害への理解の促進、そしてまた障害を理由とする差別解消を図る取り組み、これを行ってきたところでございます。その模範となるべきこの本市においてですけれども、合理的配慮の提供に向けて、職員対応要領を策定いたしまして、職員の障害に対する理解の促進、それから対応力の向上、これに取り組んでいるところでございますけれども、今後これらの中から好事例をまとめさせていただきまして、全庁で共有をし、実践的な取り組みをさらに広げてまいりたいと思います。
また、条例に対する現在の認知度を踏まえますと、幅広く市民の皆様方に対して障害に対する理解の啓発、これが必要であるというふうに考えています。障害のある人もない人もともに交流する場、この設定ですとか、あるいは学生や事業者等を対象とした当事者の講話など、理解の促進につなげてまいりたいと思います。
現在、新たな障害者保健福祉計画を策定しておりますけれども、この計画には、障害への理解の促進を柱に、障害者福祉施策を総合的に推進するという私の考えを反映いたしまして、共生社会の実現に向け取り組むという、その決意でございます。
以上でございます。
このほかの質問につきましては、関係の局長から御答弁させていただきます。
15: ◯健康福祉局長(佐々木洋)発達障害の取り組みに関する御質問にお答えいたします。
初めに、支援の充実についてでございます。
本市では、発達障害者支援法改正以前から発達相談支援センター連絡協議会を設置し、アーチルの業務を中心に、教育局も含めた関係機関等との情報共有や支援のあり方などを継続的に議論しているところでございます。
昨年の法改正では、市町村に医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関等で構成する発達障害者支援地域協議会を設置し、幅広い関係者間の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた総合的な発達障害者支援体制の整備について協議することとされました。
法改正を受け、アーチル連絡協議会の委員構成や協議テーマなどの見直しについて既に検討を進めており、今後その結果を踏まえ、発達障害者支援施策を幅広く御議論いただく新たな協議会へ切りかえてまいる考えでございます。
次に、札幌市の各種取り組みについてでございます。
本市では、発達相談支援センター連絡協議会の開催、サポートファイルの作成、各般の障害理解促進の取り組みなど、札幌市と同様の事業を行っているものもございます。また、発達障害への対応に当たっては、早期の発見とその後の適切な療育が何よりも肝要でございますことから、保育所や幼稚園等と連携を強化し、支援を拡充していくこととしております。
区の保健福祉センターにおいては、幼児健診において気になった子供に対する健診事後教室による支援を行っており、その中で個別相談や
グループワークなど、丁寧な対応に努めているところでございます。
アーチルでの初回相談後の小集団による支援として行っている初期療育グループ等において、同じ悩みを抱える保護者同士の交流や、先輩保護者との出会いの場を設けるなど、保護者間の相互支援の取り組みも行っております。
さっぽ・こども広場については、類似の支援を既に行っておりますが、今後とも他都市の取り組みを参考に支援の充実に努めてまいります。
次に、発達障害の理解促進についてでございます。
発達障害については、外見からはわかりにくく、その特性が理解されにくいことから、本市におきましても生活の場面での行動を理解し支えることができるよう、乳幼児編、成人編、行動障害編の三種類のパンフレットを作成し、発達障害者を支える家族や支援者など身近な方への理解啓発に取り組んでいるところでございます。
今後とも他都市の有効な取り組み等も参考にしながら、工夫を重ねてまいりたいと存じます。
最後に、自閉症児者相談センター及び地域活動推進センターについてでございます。
いずれの施設につきましても、開設当時、自閉症児者あるいは発達障害者への支援が可能な事業所が少なかったことから、本市の委託事業として設置し、その後も体制の強化を図りながら運営しているものでございます。その後、発達障害者への支援に取り組む民間事業所も増加し、当時と状況が大きく変化してきております。