7:
◯委員長 それでは、次に
危険物施設の
安全対策について、消防局より説明を願います。
8:
◯消防局長 危険物は市民生活の中で、
ガソリン、灯油、軽油などの燃料や、塗料、プラスチック、化学繊維などの原料として幅広く利用されております。しかしながら、一たび
取り扱いを誤りますと火災や爆発などを引き起こし、多くの生命や財産を一瞬で奪ってしまうだけでなく、流出による水質、
土壌汚染で地域社会や自然界に深刻な影響を与えるおそれがあり、その
安全確保は極めて重要でございます。
本日はこのような
危険物施設の
安全対策等について、資料1に基づき
危険物保安課長から御説明いたします。
9:
◯危険物保安課長 危険物施設の
安全対策について、
パワーポイントを用い説明させていただきます。
本日は目次のとおり、前半は
消防法令上の
危険物規制の概要と
安全基準について、後半は
危険物施設の事故とその
安全対策について説明いたします。
まず初めに、危険物の分類と
危険物施設について説明いたします。
消防法令で規制を受ける危険物は、この表のようにその性質などから六つに分類されており、第1類と第6類は燃焼を拡大させる酸素を持っている固体と液体、第2類は燃えやすい固体、第3類は自然発火または水に触れると発火するもの、第5類はそれ自体が分解、発熱し、爆発するもの。第4類は引火性の液体であり、
ガソリンや灯油などが含まれます。
次に、
危険物施設についてでございますが、本年4月1日現在、市内には2,182の施設があります。消防法では、
危険物施設をその形態により製造所、貯蔵所、取扱所の三つに大別し、それぞれの貯蔵、
取り扱い方法によりさらに11施設に分類し、規制しています。
その施設数ですが、
ガソリンや灯油などを製造する製造所が10施設、港地区の
屋外タンクなどの貯蔵所が1,592施設、そして
ガソリンスタンドと言われる
給油取扱所などの取扱所が580施設となっております。
また、
危険物施設数の推移ですが、全国的に減少しており、本市も同様に10年前と比較して16%程度減少しております。その理由としては、オール電化やエコカーなどの普及と考えられております。
次に、
危険物施設の
安全基準等について説明いたします。
危険物施設の許認可についてですが、消防法では、
指定数量以上の危険物は、
危険物施設以外の場所で貯蔵し、取り扱ってはならないとされており、また、
危険物施設を設置または変更しようとする場合は、その位置、
構造設備を政令に定める技術上の基準に適合させ、
市町村長等の許可を受けなければならないとされております。
次に、危険物の
指定数量についてですが、消防法では危険物の品名ごとに規制を受ける数量を
指定数量といい、危険性が高いほど少ない数量となっております。例えば灯油は1,000リットル、揮発性が高い
ガソリンは200リットルと定められております。
指定数量以上の危険物を貯蔵、取り扱う場合は、先ほど説明しましたとおり消防法で定める
市町村長等の許可が必要となりますが、
指定数量未満であっても、
指定数量の5分の1以上の場合は仙台市
火災予防条例で届け出が必要となります。
次に、構造や設置場所などの
ハード面の
安全基準ですが、
危険物施設は耐火または防火構造とするほか、万が一の事故に備え
消火設備や
警報設備等が必要となります。また、爆発等に備え、住居や学校などから一定の
保安距離が必要となるほか、
延焼防止や消火活動のためのスペースである保有空地を確保する必要があります。
次に、危険物を取り扱うための資格や施設の点検など、
ソフト面の
安全基準についてですが、全ての
危険物施設では
危険物取扱者の資格を有する者の配置が必要で、さらに一定規模以上の施設では
保安監督者の選任も必要となります。また、事故を未然に防止するため定期に点検を実施し、一定期間、記録を保存することとなっております。
次に、
危険物施設における事故について説明いたします。
これまで説明しましたとおり、
危険物施設数の減少やハード、
ソフト両面から
安全基準が定められているのにもかかわらず、全国の
事故発生件数は依然として500件台と高い水準で推移しています。
なお、本件には、事故の推移を見るため
東日本大震災に起因する事故は含まれておりません。
次に、平成27年中の事故の原因を見てみますと、
火災事故では維持管理や操作確認の不十分などの
人的要因の割合が大きく、また
漏えい事故では、
物的要因である
腐食疲労等による劣化の割合が大きくなっております。
次に、市内における
事故件数の推移ですが、昨年は
石油コンビナート地区での小規模な火災や油漏れが多発しましたが、それを除けば毎年数件で推移しており、その原因については全国の傾向とほぼ同様となっております。
次に、本市における
東日本大震災を除く
重大事故の
発生状況についてですが、現在の国の
事故統計では
事故種別と件数が中心であり、事故の大小などを客観的な数字で把握することが困難でした。このことから、
総務省消防庁では、
事故件数に加え特に重大な事故を低減していくことを重視し、表にあるような死傷者の数や被害額など事故の規模に着目した評価方法の導入を検討しております。仮に過去10年間に市内で発生した47件の事故をこの
評価基準に当てはめてみると、
強度レベル2が1件、
強度レベル3が2件となります。
重大事故の発生は小さい事故の累積により発生すると言われていることから、今後は
強度レベル3より小規模な事故の発生を減らしていくことが重要であると考えております。
次に、本市で取り組んでおります
事故防止に向けた
安全対策について説明いたします。
まず、
事故状況から見える課題についてですが、1点目として、
漏えい事故の大きな割合を占める
腐食疲労等の
劣化対策を計画的に実施させていくこと。2点目として、
火災事故で大きな割合を占める維持管理不十分などを、事業者みずからの
取り組みによって改善させていくことも重要であると考えております。
また、
東日本大震災の
石油コンビナート区域では
火災事故が2件、
漏えい事故が4件発生しており、いずれも甚大な被害が生じております。このことを踏まえ、3点目として、大
規模施設に対して、早期に耐震化に向けた改修を実施させることも今後取り組むべき課題と考えております。
これらの課題に対しては、これまでも許認可時や定期的な
立入検査を通して
事故防止に向けた指導をしてきましたが、引き続き事業所の実態に応じた
各種安全対策を確実に進めてまいりたいと考えております。
次に、これらの課題に対して取り組んでいる
安全対策について説明いたします。
まず一つ目として、
腐食劣化による
漏えい防止措置について、
地下タンクを例に説明いたします。
直接目視できない地下に埋設したタンクや配管については、異常の発見がおくれ、地下水や
土壌汚染などの環境面で重大な事故に発展する場合があります。
近年、タンクの
老朽化等から
漏えい事故が高どまりしていることを受け、平成23年には、20年以上経過した
地下タンクに
内部コーティングや高
精度液面計などの
漏えい防止措置を講じることが
改修期限つきで法令化されました。本市としても
関係事業者に対して期限内に改修できるよう、
立入検査等を通じて周知徹底しているところでございます。
二つ目として、事業所の
自主保安体制の確立に向けた本市独自の
取り組みである
危険物事故防止連絡会について説明いたします。
事故の経験則として、一つの重大な事故の背後には29の軽微な事故が隠れており、またその背後には、事故には至らなくても肝を冷やした失敗事例、いわゆる
ヒヤリハット事例が300隠れていると言われておりますので、経験した事例を事業所間で共有し、
重大事故を発生させないことを目的として平成20年から開催しているものです。
事故原因で大きな割合を占める
人的要因を減らし事故を起こさない、起きても被害を最小限にとどめるためには
自主保安体制を確立していくことが重要であり、その観点からも有意義な
取り組みと考えております。
三つ目は、
東日本大震災以降に講じられた
安全対策についてでございます。大地震が発生した際に大容量の
屋外タンクからの火災や大
規模漏えいが起きないような措置として、貯蔵物の液面に浮いている浮き屋根の強度を増すとともに、
タンク直近の配管には緊急時に遠隔操作で遮断できるバルブの設置が義務化されました。また、
ソフト面の対策として、
津波発生をすぐ従業員に知らせるとともに、プラントを安全に緊急停止させ、速やかに避難させる手順等を
安全ルールブックである
予防規程に定めることや避難訓練を実施することも義務化されております。
ハード面の改修は10月末現在、3分の2程度となっておりますが、大地震や津波の再来に備え、
施設ごとに定められた期限よりできるだけ早く完了するよう引き続き指導を行ってまいります。
さらに、各種の
取り組みを推進するための国、県、他
消防機関との連携については、
総務省消防庁を初めとして、宮城県や他
消防機関と日ごろから連絡を密にとり合い、
事故防止関連会議などにより最新情報の相互共有や意見交換を行っております。特に
石油コンビナート区域を共有する宮城県、
隣接消防本部とは
事故情報の即時共有、
石油コンビナート等防災訓練や
合同立入検査の実施など、しっかりとした協力体制を構築しております。
最後に、今後の
取り組みについてでございます。
まず1点目として、施設の
老朽化対策については、
立入検査時に、事業者と経年に伴う施設の状況等を共有し、ハード、
ソフト両面にわたる指導とあわせ、
経済産業省の
補助金制度の活用を積極的に啓発するなど、早期改修に向けた
取り組みを進めてまいります。
2点目として、事業者の
自主保安体制の確立については、従前から行っている
事故防止対策を継続するとともに、
立入検査等での顔の見える関係を通じて、事業者みずからの
取り組みが重要であることを繰り返し指導してまいります。
3点目として、
重大事故の防止については、新たな
事故評価、分析に基づき指導を強化し、大量の危険物を貯蔵、取り扱う
石油コンビナート区域を中心に
立入検査を強化するとともに、地震、
津波対策を早期に実施することで
重大事故が発生しないよう、なお一層関係機関と連携協力してまいります。
今後とも、引き続き市内全ての
危険物施設から重大な事故を発生させないよう、
各種取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。
10:
◯委員長 ただいまの説明を含めて本件について質問があればお願いいたします。
11:
◯田村稔委員 私たちの生活になくてはならないものに
ガソリンが今あります。
ガソリンというのは個人で保管することはできないものですから、これは
ガソリンスタンドに頼らざるを得ないわけですが、ただいまの説明にもありましたけれども、全国的にも、そして本市でも
ガソリンスタンドの数が減っていると。私の近隣でも本当に少しずつ
スタンドが閉鎖されていくのね。
私たちは震災後、
ガソリンを給油するために
スタンドに本当に長い渋滞ができまして、いつ給油してもらえるんだろうかと大変不安を抱えました。ますます減るようでは困るなと非常に思っていますけれども、御当局ではそれについてどういうお考えがございますか。
12:
◯危険物保安課長 東日本大震災を踏まえた市民への
ガソリンや灯油の確保、供給についてでございますが、
地域防災計画に市民や企業の自助として、物流の停止等に備え平時からストーブの燃料の確保及び
自動車燃料の残余半分給油などが記載されておることは認識しております。当局としては、
地域防災計画にかかっているのみを確認しているということでございます。
13:
◯田村稔委員 先ほどの御説明で、
スタンドが閉鎖されている要因として車が
ハイブリッド化とかそういうようなことがありましたけれども、私は税制が一番大きいと思う。
ガソリンは半分が税金でしょう。これでは
スタンドが経営として成り立たないんだよね。本当にひどいなと思うんだけれども、だからこういう点については消防局がどうのこうのということはなかなか難しい話だけれども、局長、何かお考えない。
14:
◯消防局長 委員、今お話しされていた消防局、いわば規制官庁でございまして、また別な話になるかと思いますが、
スタンド事業者がこれからうまく経営していくというのは、税制とか国の
補助制度とか
いろいろやり方はあるかと思いますが、そして私どもが言うのもあれですけれども、そういう状況を踏まえながら適切な助成策なり助けていくような施策について、国に向け関係のところが要望なりしていくようになるのかなと思っております。なかなか答えにくい、申しわけございません。
15: ◯すげの
直子委員 私からも何点かお伺いしたいと思います。
御報告いただきまして、まず
事故件数なんですけれども、全国的にも500件を超える
事故件数であって、本市の
事故発生件数も御報告いただきました。
それで、
事故防止の対策については、これまでもいろいろ多分取り組まれてきたと思うんですが、これを見ますと昨年度が10件と例年より多いということについて気になるということ。また、年数がたつごとに事故は本来であればずっと減っていくというのが理想的だと思うんですが、事故が減っているというふうにも見受けられないんですけれども、だからこそさらなる
取り組みということで、きょう御報告もいただいたところなんですけれども、この辺について何か、先ほど報告いただいた上での分析やお考えなどあればまずお伺いしたいと思います。
16:
◯危険物保安課長 昨年の10件については、
石油コンビナート地域におきまして火災が4件、漏えいが6件発生しており、特に
漏えい事故が多く発生したと認識しております。
火災については、煙突のすすが飛散して空き地の芝生に着火したなど、4件とも小火程度であり、漏えいについても事業所の
管理区域内にとどめる程度で環境に影響を与えるような事故には至っておりません。
また、その主な原因についてなんですが、施設の劣化や破損、施工不良などの
物的要因が多いほか、維持管理不十分などの
ソフト面の要因もあるものと分析している次第です。
17: ◯すげの
直子委員 重大事故にならないためにも、やはり小さい事故からなるべく防いでいくということが大事だと思うんですけれども、
施設設備の劣化や破損なんかもその原因の一つだということでした。そういう意味では、古くなった施設とかタンクを新しく更新していくことも
事故防止には非常に大きいということで、最後に今後の
取り組みのところで
補助金制度の活用啓発ということが書かれているんですけれども、これはどういった内容なのか御紹介いただきたいと思います。
18:
◯危険物保安課長 経済産業省所管の事業として、石油製品を安全かつ安定的に供給することを目的として設けられた
補助金制度でして、主に
地下貯蔵タンクの
老朽化対策として、
ガソリンスタンドや小口の
燃料配送事業者に対して消防法で義務づけられている
地下タンク等の
漏えい防止装置の設置に係る工事費用の3分の2を補助する制度でございます。
19: ◯すげの
直子委員 市としてもぜひこういう制度は大いに周知をしていただいて、事業者の方々が
劣化防止により取り組めるようにということで進めていただきたいと思います。
今後の
取り組みのところで、
石油コンビナート区域の地震、
津波対策の早期実施ということも挙げられております。震災からもう5年以上なんですけれども、先ほど御報告いただいたところによると、3分の2までは進んでいるけれども早期の完了をというお話でしたので、ぜひ一刻も早く完了できるように、これは引き続き強く求めていただきたいというふうに思いますし、そのためにも消防局としての適切な調査ですとか指導が非常に大切だというふうに思います。御当局として、施設全部だと2,182施設もあるんですけれども、
施設ごとの状況把握ですとか調査頻度などはどのようになっているのか伺っておきたいと思います。
20:
◯危険物保安課長 指導体制についてですが、所管する消防署では年間を通じて計画的に
立入検査等を行い、各
危険物施設の状況や老朽化の度合い、
技術基準の
適合性等について確認するとともに、定期点検や
自主検査記録、
各種届け出等も確認しております。
また、
コンビナート区域の
立入検査は、年間を通じて全ての施設について実施しており、許認可を担当する
消防局危険物保安課職員や
隣接消防本部と連携の上、行っております。
21: ◯すげの
直子委員 コンビナートも全ての施設で行っていらっしゃるということです。そういう意味では、消防の中のノウハウというか、それも非常に大事で、高い専門性が求められる業務だなというふうに思っております。
消防局として
危険物施設に対する知見や経験を持つこと、そしてそのスキルを継承することが非常に大事だというふうに思っておりますけれども、最後にお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
また、そういう点で消防局として具体的に取り組んでいることがあれば御紹介いただきたいと思います。
22:
◯危険物保安課長 指導する職員に対しては、多くの経験を積んだ職員によるOJTを初めとして、専門職員による定期的な研修や、
許可施設完成時の検査現場での実地研修などを行っております。また、危険物の規制事務を行う職員は、より専門的な知識と経験を必要とするため、国等の外部研修への積極的な受講はもとより、日ごろから
総務省消防庁と連携、情報を共有するなど、
指導体制の充実を図っております。
なお、指導する全ての職員に対しては、関連する資格等についても積極的に取得するよう促しております。
23:
◯辻隆一委員 済みません、通告していないで突然なんですが、ちょっと気になったんですが、こういう危険物の施設は地域にあるケースもあるわけですね。そうすると
防災訓練とかそういったときの対策というのもちゃんととっておく必要があると思うんですが、その辺は具体的にどうなっているか、その1点だけ確認させていただきたいと思います。
24:
◯危険物保安課長 訓練につきましては年に一度実施することになっておりますし、
コンビナート地区におきましては、これも塩竈市と仙台市交互になんですけれども、合同の
石油コンビナート等防災訓練などを実施して、災害のときは連携して行動できるような
取り組みをいたしておる次第です。
25:
◯辻隆一委員 それ以外の例えば
ガソリンスタンドとか、仮にそういったものでもいろいろ事故があるかもわからないんです。そういったことも含めて、もうちょっと防災の意識の中に入れていく必要もあるんじゃないかと思うんですけれども、その辺もお伺いしたかったんですが。もちろん
コンビナートは
コンビナートで当然いろいろな訓練はしなければいけないというふうに思うんですけれども。
26:
◯危険物保安課長 危険物施設では、
予防規程という
安全ルールブックがございまして、その中には年に1回の訓練はしなければならないというふうに記載されております。
そのほか、地域と連携して訓練するということも事業所によっては行っております。
27:
◯委員長 ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
28:
◯委員長 なければ、これをもって委員会を閉会いたします。...