もう一つ、重要な問題として低炭素社会という言葉がありますが、これは基本的には温暖化対策としてそこを中心に位置づけられてきた言葉、キーワードというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
温室効果ガスを排出するというもの、それをできるだけ削減して吸収作用を保全強化する。温暖化に対しての適用を図ることのできる社会ということになりますが、これは基本的には二酸化炭素というのを強く意識したキーワードでございます。化石資源、石油、石炭、天然ガスを含め全て炭素系の資源でございますので、これから排出されるCO2ということを想定すると、炭素を使う部分を少なくしましょうということで、低炭素社会という言葉が使われてきております。
こういうことを少し意識しながら、では今廃棄物の状況というのはどうなっているのかというのを、少しデータのトレンドとしてここにお示ししてございます。これは産業系の廃棄物の排出量と処理状況ということでございますが、もうここ何年も産業系の廃棄物というものは、日本国内で4億から4億5000万トンの排出ということになってきております。
一般廃棄物と、もう一つ制度的にはありますけれども、
産業廃棄物というのがあって、それ以外のものが
一般廃棄物というような位置づけになってございますが、少なくとも
産業廃棄物という形ではこういった状況になっている。赤い部分で示されている
埋め立て処分場というのは、今後建設が非常に難しくなっておりますので、かなり少なくなってきている。それと減量化量というのがありますが、これはいわゆる中間処理、焼却等を含めてですが、減量化するというのが大体半分ぐらい。それと何らかの形で有効利用している、再生利用、エネルギーも含めてになりますけれども、有効利用しているというのが半分くらいという位置づけになってきております。
では、この内訳ということになるのですが、圧倒的に汚泥、動物のふん尿、瓦れきというものが非常に多くなってきておりまして、我々がふだん生活の中で目にする部分というのは、上のほうに幾つか何%と小さい数字がありますけれども、こういったものであろうと。普通の生活の中でよく目にする木くず、廃プラ、あるいは繊維くず、紙くずというのは、重量でいうとわずかこれしかないということになるのですが、比重で考えていただきますと相当大きいので、体積的に考えるとこれの10倍ほどあるというふうに、ざっくりと見積もっていただいてよろしいかと思います。
ここで汚泥、動物のふん尿、瓦れきということになってますので、これはいわゆる土木資材等あるいは肥料になるとか、そうやって使われますので、こういうのがいわゆる再生利用というところでカウントされると、先ほどのような半分くらいの処理というふうに数字上はあらわれるということでございます。
では、
一般廃棄物の排出状況ということでございますが、これは平成24年までのデータになりますけれども、5500万トンから5000万トン、さらには4500万トンと、平成10年代後半ぐらいから量的にはかなり下がってきております。ある意味、一般社会においても資源の有効利用あるいは
循環型社会の創生なんていうことを意識したような、いろいろな取り組みがなされてきた結果だというふうに思っております。
実は、この4000万トン、5000万トンという数字の規模感でございますが、
東日本大震災で発生した瓦れきが2000万トン、それと津波堆積物が1000万トン、合計3000万トンという数字になります。それの大体倍くらいの量がいわゆる
一般廃棄物として国内では発生しているんだと。そういうような規模感で見ていただければよろしいかと思います。1日1人当たりの排出量というのが1日1キロぐらいから、平均ですけれども1キロを割るぐらいまでここ最近落ちてきたというのが状況であります。この数字のとり方については、自治体によって多少違うので、トレンドとしてこういう傾向にあるということで見ていただければよろしいかと思います。
では、仙台市はどうかという話、ごめんなさい、英語になってしまっていますけれども、震災前までは排出量というのはこういうふうに下がってきております。これは単位が1,000トンですので、2010年で36万7000トンという数字の
一般廃棄物が仙台市で出てきている。でも、よく見ていただくと人口がふえているのですね。でも、総量として減ってきているというのは、これは仙台市がワケル君を含め、さまざまなこういった取り組みがなされてきた成果だと私は見ておりますが、震災の直後、こういうふうに排出量がふえてきました。これで仙台市のほうでも
緊急事態宣言ということで出てきたんだと思うんですが、震災後も人口がふえている割には、一旦ふえたものの、少しずつやはり減る傾向にあると。ただ、2010年レベルまでは落ちてきていないというのが実情でございます。ただ、人口もふえておりますので、この下がり方をもうちょっと急激にする必要はあろうかと思いますけれども、少なくとも仙台市民の中では、これまで取り組んできた分別という、そういったマインドというのが震災以降も続いていると、私はこのデータを見て感じるところでございます。ただ、これでいいかというと、決してそうではありませんので、もう一手、二手、仙台市のほうでも一手はもう踏んだようでございますけれども、あと二手、三手、そういうところまで踏み込む必要があろうかと思っています。
具体的に
一般廃棄物というと、
産業廃棄物とはかなり違った分布を持っております。やはり紙類、繊維、
プラスチック、木材、いわゆる産廃のほうで量的に少ないとされていた部分が、一廃のほうでは割合としては非常にふえているということになりますので、ある意味こちらのほうを何とか
リサイクルできるような循環できるようなシステムがそれぞれの地域の中で出てくると、それを使って産業系の廃棄物のほうもそういったことをうまく取り入れながら処理できるというように進むのではないか、ということをちょっと期待したいと思っております。
では、ごみの歴史というのはどうだったのかということなんですが、江戸時代というのは、もう言わずもがなでございますが、3R社会というのが既に構築されていたと思います。明治から大正に関しては、衛生の問題で廃棄物処理というのが行政による回収というので始まってきたと。それ以降、物資の不足による特別回収とか、物を大事にする心ということになるんでしょうか、こんなのが実は昔から日本では根づいていたなと。もったいないということで南アフリカの方が
ノーベル平和賞をとりましたけれども、東北のほうではもったいないではなくて、どちらかというと、いたましいという言葉を使っているかと思います。物に対して捨てるということが、非常に痛ましいんだというような言葉、これも東北特有の物に対する愛情表現であろうと私は思っております。
それ以降、さまざまな制度がつくられてきてはいますけれども、高度成長以降、
東京ごみ戦争を含め、六価クロムの鉱さい、豊島、あるいは青森、岩手の県境の不法投棄、こういったところに対しての廃棄物の問題というのが顕在化してきたということでございます。
ちょっと話が戻りますが、明治から大正にかけて衛生の時代とありますけれども、これ最近、我々インドネシアのほうにも学生も送り込んで、そちらからも来るんですが、そちらの状況で非常に興味深い事例がございました。お医者さんがごみの分別を非常に率先してやっておられます。どういうことかというと、やはり衛生環境が悪いと非常に病気がふえる。体が悪くなるということで、どうしても病院に来てほしいと。ところが病院に来るお金もないので、家にあるごみを、紙、金属、
プラスチックを含めてきちんと分別して病院に持ってきてくださいと。そうすると、医療費をただにしますというんですね。結果的にそれで病気になる人の数がかなり減ったということ、それと家の周りもかなりきれいになってきたという地域がございます。病院の先生は何をやっているかというと、かなりの人に手伝っていただいて、その回収された物を資源物として市場に売っているんですね。その費用で病院経営をしているというようなことがあります。
そういう意味では、ごみの問題と、あるいは
リサイクルの問題と衛生の問題というのは、非常に密接に結びついているということがわかる事例だと思います。こういう取り組みというのも、一つ参考にできるような取り組みだろうと思っております。
それ以降、ダイオキシンやアスベスト、PCBを含め、さまざまな環境汚染というものが顕在化してきた。公害問題に対応した14の法律が出された、いわゆる公害国会というのもありましたけれども、そういうものを踏まえながら制度的に仕組みがかなり充実してきたと。さらには3Rというものを推進するということで、ここに掲げるような個別の法律というのがなされてきて、今では
容器包装リサイクル法だけではなくて、
家電リサイクル、
食品リサイクル、
建設リサイクル、
自動車リサイクル、さらには直近では小型家電の
リサイクルというところにまで、資源としての有効利用性を高めようということで進んできたということでございます。
ちょっと皆様に、問題を出させていただきたいと思います。古紙の回収というのは
製紙メーカーに持っていくのですが、昭和30年代初頭までは実は古紙の回収率というのは20%でございました。何で低かったかということなんですが、1番から4番までございます。1番、再生利用が非常に多くて、製紙産業へは回らなかった。あるいは品質が非常に悪くて使い物にならなかったというのが2番。3番目、昔ももっと安い物があったというのが3番。4番目、いやいや思っているほど回収されなくてごみとなっていたんですよというのが4番でございます。なかなか手を挙げろというのは恐縮なんですが、ちょっとだけ、1番だと思う方。2番だと思う方。3番。4番。
自信を持って1番と言いましたね、これ1番なんですね。その時代の生活をよく知ってる方は多分1番なのかもしれませんが、外れた方は若い方だと思っていただいていいかと。いわゆる包装紙は保管している人が非常に多い。あるいは新聞紙とかは、自家用あるいは営業用で使っているというのがあって、僕もぎりぎりこの時代を知っているんですが、新聞紙、包装紙を八百屋さん、魚屋さんに持っていくと、ちょっとまけてくれるとか、そんな時代があったし、お風呂でもこういう物をくべていたようなのがあります。ですから、そう遠くない昔、実は根づいていたんですね。ただ、数字的には回収はされないというので、自分のところできちんと回っていたというのが、この時代だったと思っております。
いい気になってどんどん質問しちゃいますけれども、1970年の9月に始まった
東京ごみ戦争というのがあるんですが、このときに
プラスチックを分別しましょうという動きが出ました。なぜかということなんですが、石油からつくられるから非常に貴重だというのが1番。熱に溶けやすくて焼却に適さないのでというのが2番。埋め立て材に適しているからというのが3番。有害物質が含まれる可能性があるからというのが4番。どれでございましょうか。1番、2番、3番、4番。
いろいろ皆さん分かれますね。まず答えからいいますと、4番なんですね。1番は貴重というのは、これは正しいんです。ただし、このときに分別しましょうという主の理由ではなかったんですね。2番目、焼却に適さないというのは、むしろ誤りであります。非常に熱量としては高いので、燃料を使わないで助燃材がわりになるということもあります。余り入れ過ぎると、カロリーが高過ぎて炉を傷めるというので適さないというのがあるんですが、これではないです。適当に使えばということになります。3番目、変形するというのは確かなんですけれども、理由として埋め立て材にしているというのではないので、これは違うということであります。一番はこれなんですね。清掃工場から出る塩化水素など公害を防ぐためというようなことで、実は適切な焼却ができないとか、
プラスチックの特性を知らずにいい加減な燃やし方をすると、こういった問題が生じてくるということで、
プラスチックに対しての分別というものが非常に騒がれたというのが昔でございます。今はもうちょっと違いますね。資源的な価値として
リサイクルをしましょう、という動きになってきております。
大都市が本格的にごみ減量に取り組んだのはいつでしょうかということですが、1番だと思う方。2番だと思う方。3番。4番。これはいないですね。みんな2番に思い切って手を挙げましたけれども、答えは3番なんです。バブル景気でごみが非常にふえた時期なんですね。ちょっと見ていただきますと、ちょうどこのときの5年間の間で東京都でふえているごみの増加量分というのが、実は札幌市1市で出しているごみの量と同じなんですね。そういうことで大都市では特にバブル景気以降、ごみのものに対しての取り組みというのが強化されるというふうになってきたということであります。
これは
埋め立て処分場に関しての考え方でございますけれども、残余年数というのがあります。よく
埋め立て処分場があと何年というのがございますけれども、残余年数として適正にあらわしているのはどれかということなんですけれども、答えは4番でございまして、日本全国での
埋め立て処分量のキャパシティーがどんどん減っているにもかかわらず、残余年数がふえてきております。これはその年の残余年数というのは、その年に排出された量がそのままずっと続いた場合という想定になっておりますので、各自治体を含め、削減に取り組んでいるということであれば、次の年減るので、その数字を基準にして割り算しますので、残余年数はむしろふえてくる方向にあります。
ですので、昔よりも最近のほうがだんだんとふえて、残余年数は余ってきていると。だからといって、どんどん残余年数が永遠に延びるかというとそうじゃなくて、
埋め立て処分場はニムビー問題で新しい建設はほぼ難しい状況でございますので、どこかでストンと使えなくなってくる状況が生じるであろうと。そのためにも、そこを延命化させるような施策というのが必要になってくるんだということであります。
こういうことは国際的に進める上でも、3R
イニシアチブというような言葉が使われておりましたと言ったほうがいいですね。今でも使われておりますけれども、これがいわゆる3Rの行動計画というものが、2008年の神戸3R行動計画という形で合意されたときに出てきたキーワードでございます。基本的には3Rを推進すると、いわゆるリデュース、リユース、
リサイクルを推進する。その一方で、国際的な流通というものの障害を低減させましょうと。ある小さいエリアでの資源循環を考えるのではなくて、もうちょっと
ワールドワイドで物質循環というのを考えていきましょうと。そのための障壁を低くしていくと。さらには発展途上国の協力というのがここでは必要です。あるいは国内では多くの
ステークホルダーからの協力が必要であります。さらには協力者だけではだめで、それをきちんと
リサイクルできるような科学技術というものを推奨する、あるいはそういうものを発展させていくということをうたったのが、2008年にG8サミットで合意された3R
イニシアチブでございます。
ところが、というのも変なんですが、先だって富山のほうでG7の
環境大臣会合が開かれておりました。そのときに資源有効性、資源効率という言葉がこの声明の中に入ってきております。3Rというのは昔から言われておりました、リデュース、リユース、
リサイクル。これは神戸のときに日本が提唱した言葉でございますが、2011年にEUが決議した中で、この資源効率性というものが注目を集めてきております。特にこの富山での会合の際に、きちんとその声明として出されたものが環境への影響を最小限にしながら、持続可能な方法で地球の限られた資源を効率的に使用することを意図しております。
再生材の利用、製品等の再使用、シェアリング、再製造等を促進するということで、新たなビジネスや雇用を生み出しましょうと。ただ単に環境を守るというだけではなくて、さらにそこにビジネス的なチャンスを見つけて、そこできちんと雇用をふやしていきましょうというようなことを、その資源効率というものの中に含めて、これを声明として出したということは、非常に大きな意味であろうと思っております。
特にここに四つ掲げておりますけれども、資源効率の向上、3R促進、こういうことを進めるということが、パリ協定や持続可能な開発目標の達成にとっては非常に必要であるというようなこと、雇用の問題等についても寄与するということをうたっております。大事な点は、これを
共通ビジョンとして各国に示して、さらに各国はこれを野心的な行動の目標にも示しているというところが、非常に大きな成果であるというふうに見てとれるかと思います。3Rというふうに今まで言ってきましたけれども、これからは資源効率性・3Rというのが一つのキーワードとして進んでくるであろうと。むしろこういうことをしていかないと、環境というものを進めていくための事業や産業が起きないというふうに考えてもよろしいかと思います。
では、この3Rというのをもう一度原点に返って見てみましょうということでありますが、これは物の流れと循環社会の姿と書いてありますけれども、天然資源が投入されて、最終的に最終処分されるまで、その間にたくさんの形でリユースや
リサイクルをするというような流れがございます。それぞれのところでリユース、リデュース、
リサイクルということがありますが、最終的には埋め立て処分する際には、適正な処理ということを念頭に入れないといけないということであります。
物の流れから排出までを順番に見ますと、大体リデュースが最初に来て、次にリユースが来て、その次に
リサイクルが来ると。そうすると、プライオリティーはリデュースのほうが高いというふうに、どうしても位置づけられてしまうのですね。でも、これに固執すると、非常に危険なところがあるかなと思っております。どれがいいかというのは、そのときの状況であるとか、排出される物の形態あるいはそれを推進していくためのシステムの問題、これで優先順位が相当変わってくるかなと思っております。一般にはこの3Rの原則に従うというのはいいんですけれども、条件によってはそうでない場合が生じる。幾つか後で例を示させていただきますが、そうじゃない場合も生じます。こういった判断を市民が判断するというには、なかなかハードルが、敷居が高い部分もあります。もちろんそういうことを率先してやる方もいますけれども、こういうところにわかりやすい情報というのを出していくというのも、一つ大事であろうと思います。
それをする上では、ゆりかごから墓場まで、いわゆるLCA、ライフサイクル・アナリシスあるいはライフサイクル・アセスメントといいますけれども、こういうものをベースに備えた分析をして、それに基づいた判断をするというのが一つ大事なものであろうと。ただ、逆に言うと、これにもこだわり過ぎてはいけないんだと思っております。市民の
行動指針というのを考えたときには、3Rの優先順位を基本とするのはいいのですが、どう考えても明らかに従わないというのがわかった段階では、それに固執しないというような心構えを持たせるというのも大事だなと思っております。
例えば、価格が高いと環境負荷が高いという意見も非常に聞きますけれども、実際には
リサイクル製品で価格が高くなるのは、それに携わる人の人件費の問題であるとか、燃料費の問題、輸送に係る問題、そういうのがかかってきますので、
リサイクルをすることそのものが高いというふうにはならない。それをやる上での社会構造そのものにどこか問題があるのでということだと思っております。
例えば、リデュースを促進する際の注意点というふうに書いてあるんですが、消費者の選択というのは重要なんですけれども、環境配慮型の商品の開発であるとか、コミュニケーションというのも非常に重要になってきます。代替品を使うというのも非常に大事でございます。ただし、先ほどちょっと言いましたけれども、代替品を使う上で、マイバッグを持っていったほうがいいというので、マイバッグばかりいっぱいあっても、環境に配慮した行動というのは言えないだろうと。マイ箸というのも重要で、それはいいんですけれども、そのためにたっぷりの水で洗うというのも、ちょっとここは行き過ぎた行動なのかなというふうにも思います。割り箸の問題というのも多分いろいろあると思いますけれども、そういうところも含めていろいろな形で適したものというのを考えることが必要になる。固執しないというのが大事なんだと思います。
例えばリユース、これは少しわかりにくくなって、皆さんのお手元のほうがわかりやすいかもしれませんが、リユースと
リサイクルの相違点と書いてあります。瓶を例にしたほうがいいですね。
リユースというのは、きちんと洗ってもう一度瓶で使うというのがリユースになります。ですから、メーカーが瓶を回収して、中身を詰めてもう一回販売するというのは、これはリユースになります。要するに、使用者が最終段階で変わるんですね。
リサイクルというのは、途中でカレットにするとか、あるいは途中で成型の工程が入ってくるというので、そのまま瓶を使うわけではない。途中に何かしらのプロセッシング、テクノロジーが入ると、これがいわゆる
リサイクルになります。では、製品のリユースというのはどういうものかというと、そのまま使うということであります。部品というのはそのうちの全部ではないけれども、部品をもう一回使うということなので、製品設計するときに非常に考えないといけないというのが、この部品のリユースの部分になります。
これリユースに分類されないのがあるんですが、どれでしょうかというんですね。古着を知り合いに譲る。
リサイクルショップで中古の家具を買って使う。瓶に入っている飲料を飲んだ後、返却する。一度もらったレジ袋やマイバッグを繰り返し使うということになります。リユースに分類されないもの、1番という方、いないですね。2番。3番。4番。なかなかこれは判断がつきにくい。みんなリユースじゃないかと思うんですが、これ先ほどちらっと言っているんですけれども、1番は、リユースの特徴は使用者をかえつつということがありますので、一度もらったマイバッグを繰り返し何度も使うというのは、使用者は変わりません。ですから、これはリユースではなくて、リデュースになるのですね。消費者が物を使うのを削減する努力をしているというので、これはリユースではなくて、リデュースという行動になります。ほかのは全部リユースです。使用者がかわっているので。
これは一つの考え方なんですけれども、だからといってじゃあマイバッグを使うとか、使うというふうになって今度こだわると、多分そこの行動は行き過ぎた行動になってしまうので、少し考えないといけない。固執する必要はありませんということになります。あとよくこのリユース、
リサイクル、特に
リサイクルで使われる言葉でありますけれども、少し説明をさせていただきたいと思います。先ほどいろいろな技術が入って、プロセッシングが入って初めてリユースから
リサイクルという言葉に変わるんだと申し上げました。では、その
リサイクルというのは何なんですかというときに、マテリアル
リサイクルとケミカル
リサイクル、サーマル
リサイクルという言葉がございます。
マテリアル
リサイクルというのは、いわゆる物質を回収して
リサイクルすることで、機械的作用で、破砕とか成型とかというような、どちらかというと機械的な操作が入って
リサイクルされるのがマテリアル
リサイクル。アルミ缶とかガラス瓶なんていうのは、これに相当するものでございます。
ケミカル
リサイクル、これはどちらかというと
プラスチックによく使われる言葉でございますが、もちろんメカニカル
リサイクル、マテリアル
リサイクルで
プラスチックもあるんですけれども、ケミカル
リサイクルはどちらかというと
プラスチックにのみ使われると言ってもよろしいかもしれません。何らかの化学操作で原料に変えるであるとか、原料に戻す、そういうのがケミカル
リサイクルであります。
サーマル
リサイクルというのは、これは特殊な表現で、学術的にはサーマルは
リサイクルできないので、エナジーリカバリーという言葉のほうがしっくりきます。燃やしたときのエネルギーを有効に利用しましょうというものが、これに相当するということでございます。ただ、これは燃やす際のエネルギーの利用というものが、どのくらいの効率かというのはきちんと考えないといけない。これはまさに資源効率として考えるべき一つの項目であろうと思っております。
いろいろなところで
リサイクルに関してさまざまな言葉がございます。回収率あるいは資源化率、再商品化率、全て
リサイクルに関する数値的な指標でございますが、分母が何かというと、回収率は排出量とか販売量に対してどのくらい回収されたかということでありますので、いっぱい集めればそれだけ市場に出回ったものを回収したということになります。ただし、どのくらい
リサイクルしたかという数字は、これは入りません。ですから、回収さえすれば、この数字は上がります。ペットボトルはどちらかというと、それに近いところがあると思うんですけれども、そういう位置づけになります。
資源化率、再商品化率というのは、これは
リサイクル施設へ搬入された量が分母になっております。ですから、分母になって市場にどのくらい残っていても、
リサイクルされて施設で資源化された量が再資源化率。有価として市場に出回ったものが再商品化率ということになります。ですから、市場に100出ていた廃棄物のうちの、たった1%集めてきて、そのほとんどが再商品化された、資源化されたとなってくると、この数字は100%になるんですね。でも、市場から見ると、1%にしかならないというような、そういうトリックがありますので、ちょっとそこは解釈上きちんと分母と分子が何なのかということを見きわめないといけないかなと。ちょっとごまかされないようにしたほうがよろしいかなと思っております。
いずれにしても、こういったような
リサイクルというものが成立する条件というのが、大体一致するであろうと思っております。物が集まると、
リサイクルをするための施設をつくっても、物が集まらなければ話になりませんので、きちんと集まるということが前提になります。あとは
リサイクルされた製品がきちんと使われないといけないので、一定水準の品質がないといけないということであります。あとは当然
リサイクル品に対しても需要がないと出口のない
リサイクルになりますので、どこかにたまってしまうということだと物が回らない。あとはやはりこれ事業者が主体となって動くという話になってくると、経済的な採算性が合わないといけない。あとは有害物質が入ってはいけないですよと。これがいわゆる
リサイクルが成立する五つの条件だと見ております。
こんなことを踏まえながら、特に
プラスチックのところに少し焦点を絞りますけれども、国内で排出される
プラスチックは年間約1000万トン、ここ10数年来変わってございません。大体産廃系が半分、一廃系が半分と、それぞれ500万トンずつぐらいという数字でございます。何らかの形で今有効利用されているのが8割、燃やしっ放し、あるいは
埋め立て処分場に行きっ放しというのが2割ぐらいというのが現状でございます。10数年前はこの数字が逆で、燃やしっ放しあるいは
埋め立て処分場に行きっ放しというのが7割から8割、有効利用というのが2割ぐらいでございました。ここ数年来、これが有効利用のほうに移ってきたというのが実情でございます。皆さん御存じのように、
プラスチックを含めた容器包装
リサイクルとか、そういった形での推進が図られたというのが一つの理由だろうと思っています。
これはちょっと前のデータになりますけれども、例えば700万トンの廃プラが出ると、今1000万トンでございましたけれども、何らかの形で700万トン集めたとすると。これをもう一回油に戻すというのがございます。もともと
プラスチックは油からつくられておりますので、こういうのを例えば収率で50%油に戻すと。そうすると350万トンの油がつくられると、ナフサがつくられるとなってくると、実はこれ石油化学用のナフサの12%を実は廃プラが代替するということになるんですね。輸入ナフサの2割がこれに代替できるということになりますから、逆にいうと外から買ってくるナフサの2割ぐらいは、実は毎年街の中にストックされていると。そういうふうにお考えいただければ、この有効性というのが見えてくるかなと思います。
この
プラスチック、大体皆さん御存じのように、ポリエチレンとかポリプロピレンとかPPと、ポリスチレンというのはよく聞いているかもしれないですね。発砲スチロールとかいうのはよく聞くかもしれません。あと塩ビというのもよく聞くかもしれませんが、こういった樹脂で大体熱可塑性のものが9割、ポリカーボネートみたいな非常に強化性の
プラスチックというのも含めて大体1割くらいというのが、全体の生産規模でございますけれども、その中でもペットボトルというのはよく皆さん家庭でも出しているかもしれませんが、これは仙台の事業者さんでございますが、こういうふうに回収されたものを集めて、洗って風で分離して、最終的にこういうフレークにするのです。これをもう一回ペットの原料として、こういった製品に転換をしています。繊維にしたり、フィルムにしたりしているということでございます。
こういうふうにほかの
プラスチックでできるかというと、実はできないんですね。なぜかというと、
プラスチックの中のペットボトルというのは非常に品質が、めちゃくちゃいいものであります。99.9何%というのがいわゆるペット樹脂そのものでつくられております。不純物はまず入っていない。ですので、こういうことが可能になってくるんですね。では、ほかの
プラスチックはどうなのかということになりますけれども、これになるんです。一生懸命見ようと思ってますが、見なくてよろしいです。左のほうに
プラスチックと書いてありますけれども、こういうふうに
プラスチックの種類というのが検索すると、こんなふうに索引の中で出てきます。これが数ページにわたってまいります。
先ほどボトルのものは純度が非常にいいと言っていたんですが、実はほかの
プラスチックというのは2割から3割、物によっては8割が樹脂でできておりますけれども、ほかのものは相当添加剤が入ってきております。これが添加剤の種類でございますが、これも延々と何ページにもわたって出されておりまして、英語で申しわけありません。現段階で2013年の段階で、
プラスチックという種類は153種類市場に出ております。それにいろいろな形で添加剤が加えてあるのが230種類ぐらいあります。製品によっては、これの組み合わせでなされているんですね。例えば、電線被覆で使われている塩ビのこういったチューブ、これは塩ビそのものの樹脂というのは3割から4割しか入っていません。あとは全部添加剤であります。太陽の光に照らされても壊れにくいとか、あるいはもうちょっと固くするための原料が入っている、あるいはもうちょっとやわらかくするための原料が入っているなんていうのがございまして、製品によって、あるいは同じ製品でも出すメーカーによって、この割合というのが全部違っておりますので、これを同じように、ペットボトルのように取り扱えるかというと、どうもそうはいかないだろうと。なので、これをきちんと利用するためのインフラというのも少し考えていかなければいけないでしょうねと。メカニカル
リサイクル、マテリアル
リサイクルだけではできない部分というのが出てくるので、そういう場合には少しは既存の大きな産業に頼る部分、あるいは小さいところでもいいんですけれども、そういうところに頼る部分が必要でしょうということであります。
特に容器包装
リサイクルで集めた
プラスチックというのは、どこに行っているかということなんですけれども、こういったような鉄鋼で使うような微粉炭ですね、石炭のかわりに
プラスチックが使われています。そういう意味では、化学原料になっているというので、ケミカル
リサイクルという位置づけになっています。あるいは、これは新日鉄のほうの系列でやっておりますけれども、やはり鉄鋼をつくる際のコークス炉、ここに
プラスチックを持っていくと。4割が炭化水素の油になりますので、これは
プラスチックの原料として戻ると。2割がコークスになりますので、これは先ほどのように高炉の中に持っていって、石炭のかわりに使うと。あとコークス炉ガスというのが4割ぐらいなので、これは自分のところで発電するのに使うというような、こういった使われ方をしております。
あとはもうちょっと別なやり方で、これは昭和電工で行っておりますけれども、ガス化というのがあります。いわゆるアンモニアをつくるための原料にしてやると。こういったところで、実は既存のプロセスの非常に大きな物質としての流れの中に、回収されたブラスティックをほんのちょっと入れ込んでやることによって、既存の施設に対して負荷をかけずに収益を上げるような、あるいは廃棄物をきちんと循環利用するような、そういったプロセス構築というのを考えないといけないだろうと。これが一つの例だと思っております。
閉じてしまいましたけれども、これは油化、油にするというような取り組みがなされてきておりました。これは札幌のほうで行っておりましたけれども、実は容リ法で特別枠で札幌市で集めた
プラスチックをこの事業のところで使っていくということで、きちんと収益が上がっておりました。ただ、容リ法の網にかかって、札幌市のものが地元の事業者のところに行かなくなったものですから、そこで事業がなかなかできなくなって閉じてしまったということがあります。そういう意味では、地元の事業者が考えたような
リサイクルのインフラを使うと、既存の産業を使っていくというのも一つ考えるべきだろうなというふうに思っております。
これはちょっと我々の研究室でやっている話なので、少し飛ばさせていただきますが、簡単に紹介させてもらうと、ペットなんていうのは実は油にならないのですね。なので、さっきちょっと申しましたような繊維にするとか、そういう取り組みがなされております。樹脂が樹脂全部油になるわけではなくて、それぞれ油になるもの、なりにくいものというのがある。これは油になりにくいペットを油にするというような研究をしたというのを、ちょっとだけ資料の中に潜り込ませていただいております。
ただし、これはどういうことかというと、いろいろなエックス線フィルム、ビデオテープ、プリペイドカードなどありますけれども、これはいろいろな金属等が入っておりまして、ベースはペットなんです。なので、先ほどのようなプロセスを使っていきますと、どういうことが起きるかというと、ペットの部分は油に転換します。ところが、それで分解してガスとして、あるいは化学原料として取り出した後の残渣物は、ここに入っているような金属の灰がそうなんですね。ということは、このプロセスを使うと、その灰そのものの金属コンテントが、金属の含有量が高まった資源として使えるということになります。例えばこれが酸化チタン、プリペイドカードを熱分解したときに、ペットを取り出した後に出てきた灰でございます。この灰の成分、これ左はどういう温度でやったかということなんですが、酸化チタンと酸化鉄のまざりものなんですね。こういうコンテントで入ってきております。
もともと酸化チタンというのはどこからとったかということなんですが、イルメナイトという、一番上にあります鉱石が原料になっております。実はこの灰の成分というのが、鉱石そのものの成分と非常に似通っているんですね。ということは、この鉱石をつくる、こういったプロセスの中にあの灰を持っていけば、新しい
リサイクルのプラントをつくらなくても、既存の事業の中に組み込むことができるということになります。さらには、同じような処理をしますので、酸化チタンをもう一回取り出すというところを見ますと、100%とか90何%というような、非常に高い収率でもう一度回収することができるようになる。もともとの鉱石での回収率というのが50%程度でありますので、非常にそれよりも回収率の高い原料になるということであります。考えれば当たり前のことで、既に鉱石から1回とっていますから、ここのプロセスというのは非常に楽になるんだということでございます。
このような組み合わせというのも考えられるでしょうということであります。さらには塩ビというのがありますけれども、この塩ビ、塩素で嫌われているんですが、これはもともとはここにあるようなアルカリ工業で苛性ソーダをつくるときに出てきた塩素の供給先として、塩ビというものが使われておりました。昔はさらし粉であるとか、そういった漂白剤に使われていたんですが、今はこれが逆転しまして、塩ビとして塩素が必要なので、苛性ソーダが余ってくる状況になっていると。そういう意味では、
プラスチックの使われ方というのは、実はこういったような基礎化学工業のベースになっているのですね。ですから、一つの対象物だけを考えて、それに対してどういう規制をかけましょうとか、促進しましょうといっても、物の流れ全体で考えた上で、それをどういうふうに有効に利用していくのかということを考えないと、資源というものは有効に回らないということでございます。
これは少し飛ばさせていただきますけれども、塩ビを使った場合に、先ほどのように塩素が入っておりますので、何らかの形で処理をしようとすると塩素を取らないといけない。ただし、塩素を取ろうとすると、塩化水素、いわゆる塩酸として排出してしまうので厄介であるというので嫌われているんですけれども、実はこの塩化水素というのをうまい形で使うプロセスがないかということで、塩化揮発というのがあります。既に高炉用のペレットの中から重金属を取るプロセスであるとか、そういうところに使われてきております。例えばこれを配線スクラップをうまく使って、スクラップの中からどう回収するような技術であるとか、あるいはもうブラウン管ガラスの中に相当多くの鉛が入っておりますので、この鉛を除去するような技術、こういうところに使っていくことが可能でしょうと。いわゆる要らない物と要らない物から、要る物をつくるというようなコンセプトで処理ができるというふうに見ております。
これも研究の結果でありますけれども、最終的に塩ビをうまく使って、カルシウムなんかと合わせていくと、ブラウン管ガラスの中から鉛を99.9%取ることができますというようなプロセスまで、実は開発をしてきているというような状況でございます。これを実際に地元の企業を含めて進めていくためには、幾つかの
ステークホルダーをかいはさせないといけないわけですけれども、このような面も実はできつつあるというのが実情でございます。
もう一つ、苛性ソーダの工業と塩ビというのが非常につながっているということを説明させていただきましたが、このキーワードになるのが塩でございます。ですので、実際にはこの工業でうまく循環をさせていくと考えた場合には、左側にあるようなNaCl、いわゆるもう一回塩ビから塩に戻すようなことをしないと、一番厄介な塩素の循環というのが構築できないというふうに思っております。そのためには塩素を抜く技術であるとか、塩素をうまく利用する技術というのが必要だということであります。
ちょっと戻りますが、この例えば二つの反応がございますけれども、こういう反応を使った技術というのは、実は私どものほうで持ってはおるんですけれども、ヨーロッパのほうではこういったような年間2万トン規模の施設が実は動き始めたということでございます。ただ、これが今動いているかどうか、私よくわかってないんですけれども、もう閉じたかもしれません。やはりこれは先ほど
リサイクルで成立する条件ということで、物の確保というのがありましたので、プロセスとしては動いて当初はうまくいっても、今度一つうまくいくと、みんなこれの奪い合いになるので、確保できなくて最初に設計した規模ほど集まらなくて、経営がうまくいかなくてとまるというのがあります。そういう意味では、余り逆に大きくしないほうがいいというのもあるかもしれません。
もうちょっと深く見ると、これは夢のある仕事だと私は思っているんですが、この塩素が邪魔だというので、塩素を取りつつ、ほかの機能を塩ビの中につけられないかというのでこれを試した例であります。例えば、一番右側に抗菌性とありますけれども、SCNという化学物質を塩素のかわりに、塩素を取ると同時に塩ビそのものの中にぶっ込んでやろうというのが、この発想であります。SCN、いわゆるワサビとか、からしの成分になっているものでございますが、これを塩ビの処理のときにちょっと塩こしょうをかけた料理を塩ビ材料にしてやると、何%か入ります。3%とか4%ぐらい、この化学物質が入るんですが、黄色ブドウ球菌がこういうふうに一番左の純粋の塩ビのものから入ると、右にある三つのように下がってまいります。いわゆる塩ビそのものに抗菌作用が持たせられるということになりますので、例えば壁紙であるとか、あるいは塩ビのパイプの内側であるとか、
リサイクルする際にちょっとこういうような料理をしてやることによって、
リサイクルする製品そのものの価値を高めることができるだろうと。そうすると、
リサイクルは安かろう、よろしかろうではなくて、
リサイクルしたほうが価値がある製品だよということが、そういう夢のある仕事ができるかなと。もうちょっと先の話になるかもしれませんが、そんなことを考えております。
ただ、こういうことをやるためには、どうしても分別が必要だと。仙台市は非常にそれが進んできたということなので、分別というのは大事なんですけれども、特にこれが顕著にあらわれたのが
東日本大震災のときの例でありまして、仙台市は率先して分別をしていくということで、どこよりも早く適正な処理で、こういった震災廃棄物の処理が進んだというふうに見ております。ただ、容リ法についてはなかなか難しいなと、赤字体質があるのかなと。どこの自治体もそうなんですけれども、そんなようなことが言われております。もうちょっと変える仕組みがないかということで、ちょっと提案させていただいて、なかなかこれは難しいんですけれども、容リ協会のほうに回収委託料をメーカーがいろいろ払っているのであれば、仙台市が一生懸命になってこれを回収しているのであれば、仙台市にその分の案分に応じた金額をよこしなさいと。仙台市のほうが地元の事業者を含めた
リサイクルを展開するところに、率先してこういった費用も含めて物も渡してくるような、そんな仕組みをちょっと考えてもいいのではないのかなと。容リ法で集めた
プラスチックを仙台で一生懸命集めているのに、川崎であるとか、ほかの自治体の
リサイクルしているところに持っていかなくてもいいでしょうというのが、私の一つ提案でございます。できれば地元の事業者のところへうまく回していただくというのが、好ましい姿になればいいなと思っております。
例えばいろいろな基幹産業がございますけれども、少なくとも半径100キロくらいのところには、既にいろいろなプラントを持っている、技術を持っている事業者がございます。こういうところで
リサイクルをするということになってくれば、軽い
プラスチックを外に運ばなくてもいいでしょうと。地元でクローズした形ができますねと。例えば
リサイクルするような事業者、地元にはこれだけいますので、そういう意味では地元のところをもうちょっと有効に利用しながら、そういうところと一つの環境産業を興しておくというような取り組みも必要だろうと思っております。そのためには技術開発というのはどうしても必要になってまいりますけれども、技術というのはいつまでも続くわけではございません。どこかで淘汰されるというのは当然あるわけでございます。今までもいろいろな技術というのはそうでございました。ちょっと隣を向けば、さっきの廃プラの
リサイクルではありませんけれども、そこでそういう技術を使えたのがこっちで使えますねというのも当然あるわけであります。そういうところとちょっと横連携を保ちながら、プラスアルファで新しい技術を投入しながら、技術開発を進めながら我々が理想とする未来社会に突き進んでいくというようなことが必要だろうと思っております。
ちょっととりとめのない話で時間をつぶさせてしまいましたが、きょうの私の内容は以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。
3: ◯委員長 吉岡先生、どうも大変貴重なお話ありがとうございました。
もう少し先生にお時間をいただきまして、委員の皆様から御質問があれば先生にお願いをしたいと思っております。
4: ◯赤間次彦委員 先生、いろいろ御説明ありがとうございました。前半は物すごく中に入ってきて、研究されている部分はもう全然、全くわかりませんので、外国語を聞いてるようだったんですけれども、先生の一番最後の提案したいというのは、自分たちも感じている部分です。何かといいますと、被災都市の唯一の政令都市が仙台市です。仙台を含む宮城県で、いろいろ今マップがありましたけれども、
リサイクルやいろいろなことで
産業廃棄物とか事業所ごみを出されている企業は、いろいろ努力をされているんですね。その中でやはり需要の問題とか、品質の問題がありましたけれども、現実的にありましたのは、仙台のほうにいろいろ営業されている部分でいきますと、品物は確かにいいんです。ところが、宮城県内でいくと、最後にありました仙台方式で、仙台の瓦れきは仙台の中で、外に出さないで仙台の中で処理をするという、これ仙台が物すごく評価を受けているんですが、エコ製品というか、こういう部分も企業は物すごくやっているんですが、言葉は悪いんですけど仙台市の職員は、やはり前例とか、どこでやっているとか、いろいろなことにこだわるんですね。札幌市は割といろいろなプロポーザルというか、さっき出てきましたけれども、住民の提案を受け入れやすいという評価がある。仙台は割と保守的だと言われますけれども、何を言いたいかというと、いろいろな製品があったんですけれども、ちょっとブラックジョークになるんですけれども、ある製品を返しましたと、仙台市に来ましたら、エコ製品なんですかと。ところが、運搬が遠くから運ぶものですから、二酸化炭素を出しますねという、こういうことを言われたんです。
ですから、製品の部分でいくと、さっき国のほうの話もありましていろいろ提言されている。やはりこういう仙台市の中でいろいろな努力をされている企業の
リサイクル製品を使うときに、仙台市が使いやすい、結局値段の問題になっちゃうんですね。今の自力では。ですから、国からの補助とか、あるいは仙台市がこういうものを使ってますよとPRできるものがあればいいなとちょっと思っていて、最後の先生の提案の部分、この部分を物すごく入れるためには、現実的にはやはりお金の部分が出てるんじゃないかなと。仙台市は結局皆さんの税金を使うものですから、なかなか値段の部分があって、素直に提案を受け入れにくい状況があるんですね。その辺で何かアドバイスがあればなと思って、今のお話を聞いていたんですけれども。
5:
◯吉岡敏明参考人 どうお答えしていいか、なかなか難しいんですけれども、基本的に
リサイクル産業であるとか云々という話をするときに、どうしても事業者さんも自治体の方も大方の圧倒的に多くは、補助金がどうであるとか、どうしても税金に頼ろうとするところがあるんですよ。だから、本来こういうものというのは、税金に頼らないようなシステムをつくらないといけないというふうに私は思っています。
例えば公害国会が起こって、大気中の環境を非常によくしましょうというときに、例えば発電所であるとかそういうところに対しては、排ガスに対して相当な努力をされていますね。脱硫をするとか、デノックスとかデソックスとか、硫黄酸化物、窒素系の酸化物を排出しないようにすると。結局それは何かというと、その価格というのは電気代というものに既に内部化されているんですね。今違うのは、
リサイクル製品は高いという、そういったアディショナルの部分というのを、製品価格の中にきちんと内部化させていないんですよ。初期投資のところでは当然財政的な面で、自治体なり国なりそういうところの制度で助けることは必要だと思うんですけれども、そこから走り出すときにどうしても最初の補助金にいつまでも頼るというのは恐らく違うだろうと思っています。
場合によっては、毒まんじゅうという言い方がよくあるんですけれども、最初だけ渡してというのがあるんですが、何で毒まんじゅうになるかというと、運営のところまでお金に頼ろうとするからなんですね。ですから、本当にやりたいのであれば、最初の施設導入であるとか、そのシステムを最初に構築するところに対してお金をかければいいので、そこからの運営のところに対しては、どうぞ自助努力できちんとやってくださいというようなことを、うまくシステムとして構築できると、そういったことをする事業者さんというのは育ちやすいのではないかと思っております。
6: ◯赤間次彦委員 委員会で視察したときも、食物のほうで飼料をつくるところ、結局必要な量が集まらなかったんですね。だから、さっきヨーロッパの例があったみたいですけれども、いろいろなやっぱり難しい部分がある。しかし、これはやはりどうしても進めなければならない方向だと思うんですね。
リサイクル製品をつくるところもやはり自助努力をしていかなければならないというのはもっともだと思うんですけれども、これがなかなか今難しいんですね。
7:
◯吉岡敏明参考人 今おっしゃったように、集まらないというのであれば、集めるところに対しては、制度であるとか、そういうところで自治体のバックアップが必要であるとか、そういうところでやれば、物としては集まってくると。そのときにこの事業者、あまねくどの事業者にもとなってくると、全部共倒れすることが多いと思うんですね。ですから、そういう意味では行政だからといって、みんな平等に助けていいのかというと、僕はそうではないと思っていて、本当にやる気のあるところにだったらきちんと行政も助けてやるというようなスタンスは、僕はもう切りかえるべきだというふうに思っております。
8: ◯赤間次彦委員 もちろんその辺は大事だし、ただ行政のほうも情報が完全にわからない場合もある。一つの製品で同じような類似性を持っているのがきっとたくさんあるはずだけれども、意外とまだまだ情報として入っていない。その辺がやっぱり皆、生産者も行政も、それから研究なんかもみんな情報がわかれば、もっといい社会ができていくんじゃないかなという気はするんですけれどもね。
9: ◯委員長 そのほか委員の皆さんから何か御質問ございますでしょうか。
10: ◯石川建治委員 どうもありがとうございました。2点お聞きしたいと思います。
一つは、3Rのどれがよいか、どう判断するかというところで、市民の
行動指針としては3Rの優先順位を基本としということなんですが、その後の文章で、明らかに従わないほうがよいとわかる場合には固執しないと。明らかに従わないほうがよいとわかるというのは、多分あったんだと思うんですが、例えばどういったことなのかということが、とりあえずまずその1点を。
11:
◯吉岡敏明参考人 明らかにというのは、みんなそれぞれ明らかなるかどうかという判断基準を持っているかどうかというのがあるんですけれども、例えば、僕もよく家で洗い物をするんですけれども、納豆パックがありますね。あれを容器包装の中に入れていいのかどうかと、皆さん迷うんですよね。なので、あれを一生懸命洗うんですよ。だから、それを洗ってまで入れていいのかと。洗剤つけてがちがちに洗って、本当にきれいにして捨てていいのかというのもありますし、多分そういうところだと思うんですね。皆さん多分迷われるのは、それをどこまでどの程度までやればいいのかということだと思うんです。ですから、それを過剰にやり過ぎるというのは僕はいけないだろうなと思っています。さっきもマイバッグを大事だからと、環境にいいからといって買い過ぎて結局使わないとか、そのまま捨ててしまうというのは、どう考えても明らかにエコな話ではないので、そういうのに固執し過ぎると、ちょっと間違った行動になってしまうのではないかと。そういう意味で、その文章をそこに書かせていただいております。
12: ◯石川建治委員 私も洗い物好きでよく洗いますが、納豆の殻も洗いますし、チューブとかインスタントみそ汁なんかの中も洗って入れちゃいますけれども、そこまで徹底しなくても、ほどほどでも構わないということですね。
13:
◯吉岡敏明参考人 それを言っちゃうとあれですが、度が過ぎるとということだと思います。ただ、技術的にはそういうのが入ってきても、今きちんと
リサイクルできるようにしている事業者というのはいますので、逆にいうと、そういう事業者じゃないと、いろいろな物に対処できないので、そういう技術を持つようになるんですね。ですから、ある程度のところまで協力する程度で、あとは技術のところでカバーできる部分というのは相当あるというふうに思っています。
14: ◯石川建治委員 仙台でも分別をいろいろやってますけれども、自治体によっては二十数分別とかを住民にお願いしているというところもあって、ある意味ではその分別することに疲れてしまって、もう面倒くさいということになっちゃうというのも聞いたことがあるんですけれども、仙台市民の中にもやはりそういった方たちもいらっしゃいますし、そういった面では先生おっしゃるような、自分の中で持つ判断基準というか、そういったものというのはそんなにがちがちにしなくていいのかなという気はしました。
今の話の中でありましたけれども、よく私たちなんかも国に対してプラごみの分別について、容器包装じゃなくて成分で分けていいんじゃないのということで求めているんですが、そのことについての先生の見解はいかがかということです。仙台市で今
プラスチックなんかお願いしているところがあるんですが、そこに視察に行ったときに、同じ
プラスチックごみでも、成分の違いで結局は分けなければならないんですという話だったので、先ほど先生が触れられたような、そういう分ける能力の機械も出てあるのでいいんだろうとは思うんですが、プラごみの成分でやってどうかと。
例えば、クリーニングのビニールはだめだよとかと言われるんですけれども、そういったものの
リサイクルについての考え方というのはいかがなものか、お願いいたします。
15:
◯吉岡敏明参考人 成分で分けるというのは、これは例えば
リサイクルをする、特に化学を中心にするような
リサイクルとか、あるいは製品としての機能を維持させるためには、これは非常に重要なことだと。製品で分けられれば、それにこしたことはないというふうに思っております。ただ、先ほどこの中でも御説明させていただきましたけれども、
プラスチックだけでもとんでもない数があるわけですね。それに添加剤が入っているとなると、やはり製品ごとにもう全部違います。ですから、樹脂としての成分で分けても、結果的には樹脂としての成分で分けられていないというのが実情であります。だから、そういう意味では本当に明らかなといっても、成分がわかればいいですけれども、なかなか成分をわかるということも、探すだけで一苦労というのもありますからね。だから、成分で分けられればそれにこしたことはないですけれども、現実的に成分で分けるというのは非常に難しいだろうなと思っております。そこはテクノロジーに頼ったほうが、むしろよろしいだろうと。そのためには、どちらかといえば大きい施設を、分ける施設を自治体間の協力の中で共有で持ってというのは、一つやり方としてあるかなと思っています。
あとは、これは精度の問題なので、いわゆる一廃系と産廃系という、いわゆる廃掃法に基づいた仕分けですよね。これを崩すという話になってくると、今までの廃棄物処理行政というのは根底から覆ってしまいます。ですから、そこまで踏み込むかどうかというところなので、簡単に成分で分ければいいというふうにはならないと思っております。
16: ◯平井みどり委員 先生、ありがとうございました。
先ほどの
プラスチックについたいろいろな付着物を水で流すということなんですが、一つの考え方として、水で流すと結局水も汚れてしまうということがあると思うんですね。私はなるべく使った紙で拭き取って、なるべくきれいにして出すという考えなんですが、それはいかがでしょうか。
17:
◯吉岡敏明参考人 だめだということは決して言えないですけれども、いや今度普通の一般ごみの中に紙ごみがふえてしまうわけですね。そうすると、紙というのは決してカロリーが高いものではありませんので、そちらのほうが今度ふえてくると。できれば紙は紙ごみとして、きちんと分別をしたほうがよろしいのではないのかなというのは思ってはいます。一番いいのは何でしょうね。
おわんをなめろとは言いませんけれども、でも昔、私やっていたんですけれども、御飯茶わん、食べた後にあれでお茶を飲んでたりしましたよね。ああいう文化って意外と大事だったのかなと、個人的には思います。ただ、水が豊富だから、多分まだ我々のところでは水を使うということがありますが、山なんかへ行くと、私、山登りをするんですけれども、水は非常に大事なので、むしろ今平井委員がおっしゃったように、一生懸命トイレットペーパーで拭いて、それでそのごみを持ちながら火をたくときにそれをくべてというようなことはよくやっていました。ただ、それを行政の中で今やると、施設のメンテの問題等も含めて、やはり今のところは紙は分別をしたほうが効率的にはいいかなというふうに、資源効率的にはよろしいかなと思っております。
18: ◯平井みどり委員 もう1点なんですけれども、
リサイクルの成立条件というところで、有害物質が混入しないことということがあるんですね。これはどういう場合のことで、有害物質が混入すると、どのような弊害があるかということを教えていただきたいです。
19:
◯吉岡敏明参考人 どういうところにその
リサイクル製品を使うかということなんですけれども、有害物質が発生することによる健康リスクというのが当然高まってまいりますし、今度それがどこかに持っていって処分されるというときに、そこに有害物質がたまるような話になりますから、基本的には
リサイクルするときには有害物質を含まないというのが、これは大前提になります。
それと、
リサイクル製品の価値を高めるという点では、やはり有害物質が入らない。逆にいうと
リサイクルする際に、今まで市場に滞留していた有害物質というのをきちんと管理するという、そういう姿勢を持つことが大事なんだろうと。それによって、今まで、昔はまあいいやというような形で有害物質がいろいろなところに含まれていたものを、この
リサイクルというのを今する段階で、きちんと集約をして管理していくというのも、この
リサイクルというのを考えるときに大事なことだろうということで、その一文を入れさせていただいております。
20: ◯平井みどり委員 具体的にどのような製品とか、どういうことを想定して、どのような具体的な物なのか。
21:
◯吉岡敏明参考人 例えば、古い蛍光灯には水銀が入っています。これをもう一回ガラスとして利用しようとしたときには、きちんと水銀は取らないといけないとかいうことになります。あとは先ほど言ったようなブラウン管ガラスですね、これはほかのガラスカレットとして使うというときには、その中にはもともと鉛が入っていたので、鉛が入ってくる製品をやはり次の製品に入れてはいけないということですから、それを除去しないといけないとか。例えばそういうようなことになるかと思います。
22: ◯佐藤幸雄委員 どうもありがとうございました。
さまざまな見識の中で教えていただきたいのですが、
リサイクルを企業でも一生懸命この樹脂商品開発をしながら、いろいろな物を住宅の中でもつくり上げているんですけれども、実は、
リサイクルをできるような形で開発するのと、そうじゃない形で開発するのでは、コストが全然違うんですね。本当は企業文化としては、
リサイクルができるようにつくったほうが、実はコストも安いんです。しかしながら、
リサイクルできるように企業がつくろうとすると、コストが上がるんですね。これって非常に悩ましい問題で、企業としては
リサイクルができるような形の設計とかあるんですけれども、そういったところの考え方というか、やはりやらなければいけないのはわかっているんですけれども、企業側としてはやはり今競争社会ですから、なかなかそこが、先ほどおっしゃいましたけれども、企業も頑張ってできるはずだよねとおっしゃるんですけれども、しかしながら、
リサイクルをするために1工程やはり工場でやらなければいけないとなると、コストがどうしても上がるんです。ですから、これは
循環型社会を今後つくっていく中で、こういった企業の努力にどのように行政も、また、そういった研究をされている方々も、そういった努力に我々も何とかしてあげたいなという気持ちはあるんですけれども、なかなかそこに、生産されている企業の方々はジレンマ、設計関係の方とか研究者の方はすごく悩んでいるんですね。その辺の見解で何か解決できそうなことがもしあれば、アドバイスいただければと思います。
23:
◯吉岡敏明参考人 先ほどもちょっと言いましたけれども、基本的には設備投資とか必要なのであれば、そこに対してバックアップできるような制度設計をつくればいいと思うんですね。ただ、コストがかかるところに対して、人件費の問題であるとか、あるいはそこを維持管理していくための費用として発生するというのであれば、多分それは
リサイクルとしては成立しないと思います。
リサイクルとしてのやり方、あるいはその経営のやり方というのが、多分どこか違うのだろうと。だから、それは
リサイクルが成立しない条件を一生懸命やろうとしているからだと思うんですね。
ですから、そこもやはり一つ重要で、それは
リサイクルに余りにも固執し過ぎているがために、多分本体そのものも経営が成り立ちにくくなってきているんだろうと。だから、考えるべきところは、今ある自分のところでできる技術をどういうふうに使って
リサイクルできるかというのを多分考えないといけないんだと思っています。場合によっては、隣の会社さん、隣の技術と一緒になってそこを共有していくと、技術の共有というのもあるんだろうと思ってるんですよね。だから、全部自分のところだけで完璧にやろうとすると、なかなか難しいかなと思っています。ただ、会社としてやはりほかと手を組みたくないとか、いろいろあるかもしれませんが、そこのところですね。
そういう意味では、さっきちょっと最初にお金がかかって大変だというようなソーティング的なところを、分別をする、どんと集めてきて大きいところできちんと費用をかけないで、コストメリットを出して分けて資源価値を高めておいて、それをあと自分のところのオリジナリティーで、いい製品に
リサイクルしていくというようなことは、いろいろな事業者の中で競争できるのではないかと思っています。
24: ◯佐藤幸雄委員 住宅関連って非常に
リサイクルを今しなければいけないという、その観点で今御質問させていただいたんですけれども、いわゆる建物そのものの、例えばアルミだったりとか、樹脂とか、そういうものを混合してつくってしまうと、これは
リサイクルできなくなります。しかしながら、ビスでとめるだけだったら
リサイクルできる。そういう観点なんです。だけれども、いわゆるその技術というのが、なかなかビス1本だけでとめたら、要するに性能的にもたないわけです。ということで、いろいろ考えるわけです、メーカーは。なおかつ断熱をとらなければいけないとか、そういったもので日本の建物は30年でスクラップ・アンド・ビルドになるというような今流れでありますけれども、
リサイクルで、今空き家も全部リフォームしてやるという考え方もあるんですけれども、どうしてもやはり日本の企業の考え方とすると、やはりこれからつくる製品は
リサイクルができて、ごみにならないものをというような考え方になるので、それが商売にならない、要するに技術としてうまく回らないとなると、これもまたちょっと大変かなと。要するに環境の問題、さっき話が出てましたし、これはもともと無理なんだからやらないほうがいいよねという見解ですか、先生の考えはどうですか。
25:
◯吉岡敏明参考人 いや、それで事業者ができないのであれば、赤字を出してまでやれというふうに私は言えないと思いますね。その
リサイクルに対する考え方であるとか、あるいはそれをどういうふうにして事業の中に組み込んでいくのかというのを、もう一度考え直さないといけないんだろうと思っています。僕はそこが大事だと思っているんですね。どうしても
リサイクルしないといけないから、お金がかかると。だから、
リサイクルはお金かかるので、
リサイクルそのものが全体的に進まなくなるというのは間違った方向だというふうに思っています。できることはきちんと
リサイクルすればいいし、できないものはできないとはっきりやったほうがいいと思います。
26: ◯庄司俊充委員 きょうはほとんど
プラスチック関係とか、何か本当に再生という部分での
リサイクルでありましたけれども、私もこの間議会で言ったんですけれども、いわゆる廃棄物の中の食品残渣とか、その部分の
リサイクルですね。先ほど先生から前向きにやっているところには、やはり行政も支援すべきだというふうなお話があったんですけれども、今現在仙台市では、学校給食から、あるいはこの市役所の食堂から何からという市関連でも随分、そういう食品残渣を出しているところが結構あると思うんですけれども、ほとんど多分、肥料になっている部分もかなりあるんだろうとは思いますけれども、しかしこれも二十数年たって、その肥料工場も大分古くなってきたということもあり、あるいは相当数燃やしている部分もあると思うんですね。そういうものをできることからという部分では、今先生も御存じだと思うんですけれども、仙台市の泉区のほうに、エネルギーにかえて電気にかえて売電するという施設があるんですけれども、まだまだ3分の1ぐらいの量しか入っていなくて、なかなか営業的に集めるといっても、ちょっと何かやはり市の単価より高目になっちゃってる部分があるんですね。買い取りが安いというか、安くて集まらないという。皆さんは投げたほうが安いから、業者のほうというか、さっきの行政の部分も含めて、単価の問題でなかなかその
リサイクルのほうに回っていかないという部分があるんですけれども、もっと多少は行政はリスクを背負いながらも、そういう
リサイクルを一生懸命やろうという、売電しながら焼却だったり、あるいは埋め立てだったりに回らないような方法を支援すべきだななんて思っている一人なんですけれども、当然行政もそう思っているとは思うんですけれども、なかなか進んでいない。先ほど赤間委員が言ったように、他市町村を見ながらみたいな流れがあるんですけれども、もう少し先生からその辺のアドバイスというか、お話をいただければありがたいなと思います。
27:
◯吉岡敏明参考人 有機系の廃棄物というのは、いわゆるバイオマスという形でありますので、例えば温暖化対策であるとか、そういうようなことを少し念頭に置いた上では、どうしても必要なことだというふうに思っています。当然家庭から出てくる有機系の廃棄物というのは、大体今仙台市の場合には皆さん一般ごみの中に入れちゃって、焼却施設のほうに持っていくというのが実情ですから、そうなってくると焼却炉の問題等もありますし、施設運用のところでも問題になってくるであろうと私は思っているんですね。だから、そういう意味ではきちんと分けたほうがいいだろうと。
できるのであれば、焼却施設の中にそういったエネルギー化をするような物が本当は同時に入っていれば、私はベストだと思っているんですよ。ただ、市の予算もありますでしょうし、逆に市でできない部分というのを外の民間のところでカバーできる部分というのがあるので、本当はそういうところをきちんと使っていくというような意味で、その支援を考えてもいいだろうと思っています。
もっと極端なことを言うと、ごみ焼却施設を別に仙台市が運営しなくてもいいんだろうという非常に極論までいってしまうんですよ。例えば地元で
製紙メーカーがあったり、そういうボイラーを持っているような民間の事業者というのがいるわけですよね。そういうところで、仙台市で出てきた廃棄物を資源物という形でもし供給できるのであれば、そういうところで積極的に利用してもらったほうが、資源効率的にははるかに僕はいいと思っているんですね。ですから、そこをどういうふうにシステムとして考えていくのか、制度として考えていくのか。あるいは安全管理、あるいは廃棄物管理というところで、行政と民間がどういうふうに手を組めるのかというところが大事なんだというふうに思っています。