現在、本市では、
総合交通戦略の策定に着手しておりますが、国に先駆けて、この
総合交通戦略に市民の交通権の確保を柱に位置づけてはどうかと考えますが、御所見を伺います。
さて、
仙台市内でも、
クロスバイクや
ロードバイクなど
高速自転車でさっそうと走る市民の姿を多く見かけるようになりました。交通費がかからず経済的で効率的で、手軽な移動手段として自転車が見直され、自転車で通勤する方もふえています。自転車は、また、CO2を出さないエコな乗り物であり、環境問題に対する関心の高まりや、すぐれた有酸素運動の一つとして、健康の維持や増進の面でもその効果が期待されています。
この
自転車ブームは、市中心部の居住者が、
代表交通手段として自転車を利用している割合が約二〇%と高い結果を示した、
仙台都市圏パーソントリップ調査でも裏づけられています。
また、この数年間に行われたさまざまな選挙でも、環境保護や庶民派をアピールしたい候補者が、のぼりを立てた自転車で選挙運動を行う姿が見られるようになってきました。しかし、選挙後も自転車で活動している姿はほとんど見られず、選挙時パフォーマンスとの批判が聞かれるのは残念なことです。
日本の
自転車市場は、二〇〇八年で年間一千十三万台、一千七十億円規模になっております。全体の台数は減少傾向にあるものの、折り畳み自転車や
電動アシスト自転車などの販売は伸びており、
スポーツ車に至っては前年比六八%増という驚異的な伸びを示しています。
一方、軽車両である自転車は、本来車道を走るのが原則ですが、現実は緊急避難的な措置としての歩道走行を当然としているように、その位置づけはあいまいなまま放置されています。安全に安心して走行できる
自転車道などの
インフラ整備は、手つかずか大幅におくれ、マナーの向上や法令遵守の意識を育成する教育に至っては、一層の拡充が求められている現状にあります。
また、宮城県警察によれば、
仙台市内の
自転車事故発生件数は、二〇〇五年の千三百七十二件をピークに減少傾向にあり、二〇〇八年は一千百八十件となっていますが、この数には、負傷者が発生しない事故や届け出のない事故については含まれていませんので、実際の
事故発生数はより大きいものと推測されます。
さらに、ことしの十一月現在の
仙台市内で起きた
自転車事故による死亡者は、前年比四件増の六件と大幅に増加しております。県内では十二件となり、この事態を受けて
宮城県議会では、十月に、自転車の
交通ルールの遵守と通行環境の整備に関する決議を行いました。
自転車をめぐるさまざまな光と影がありますが、影の部分が必要以上に強調され、自転車はドライバーからも歩行者からも迷惑な邪魔者扱いされる存在に置かれてきています。それでも、現在これまでにない
自転車ブームを迎え、有識者からは、これからの
まちづくりに欠かせないアイテムになるとの指摘もあり、国や自治体でも積極的に自転車に関する施策を進めるようになってきました。こうした自転車の現状を踏まえて幾つか伺います。
一点目は、
自転車ブームに対する市長の御所見を伺います。
二点目は、
自転車事故を防ぐためにどのような
取り組みを行ってきたのか伺います。
三点目に、
まちづくりの視点に立った
自転車施策について、市長の所見を伺います。
本市では、二〇〇六年に、自転車の利用が楽しいまち仙台の実現を目指して、
仙台都心部自転車利用環境基本計画、いわゆる杜の都の
まちなか自転車プランを策定しました。この
自転車プランの計画の柱は、一、安全で快適な道路空間の形成、二、路上放置の削減と利便性の高い駐輪空間の創出、三、協働によるルール、マナーを守る
意識づくり、四、楽しく自転車が利用できる
環境づくりの四点です。
この計画に基づいて進められた事業は、先日の同僚議員に対する答弁によると、走行空間や駐輪場の整備などとなっています。元
鍛冶丁公園地下駐輪場の利用低迷の問題はあるにしても、確かに本市の
放置自転車対策や条例で駐輪場の設置を義務づけていることなどは、他の自治体からも評価を得ていると伺っております。しかし、残念ながら、このプランには具体的な数値目標がありません。あるのは、おおむね二〇一五年までに、
自転車走行の安全性と路上放置自転車問題の解決を目指すとされているだけです。これでは、どの年度までにどのような施策を行うのかが不明確です。
安全で快適な道路空間の形成を図るという場合、例えば対象となる道路の総延長に対して、
自転車道や通行帯の整備をどの程度図ろうとするのか、その期間や手法なども明確にして事業を進めるという具体的な目標が必要になるのではないかということです。改めて、この
自転車プランの検証が必要ではないかと考えます。
自転車走行空間を整備するときに、
まちづくりの視点がとても大切になると言われています。広い歩道があるからといって、自転車の性能や利用者の状況など、さまざまなケースを想定しないまま
自転車通行帯を整備してしまい、使いにくいものになる場合も全国的には散見されていますし、追い越しなどの際に十分な安全性が確保される幅員を確保しなければなりません。
歩行者が危険な状態に置かれる可能性が強い歩道などの場合は、現在、電力ビル前で取り組んでいるように、自転車から下車して歩くことや、場合によっては自転車の乗り入れを禁止するということも必要になると思います。車道に
自転車通行帯を整備する場合も、自転車の安全性の確保はもちろん、走行性を妨げないように、車の路上駐車などの対策をあわせて行うなどといったことも求められます。そういう意味では、改めて
現行プランが
まちづくりの視点に立ったものになっているかを検証することが必要だと思いますが、御所見を伺います。
あわせて、このプランの個別具体的な
取り組みの検証も求めるものですが、いかがでしょうか、お答えください。
プランでは、自転車は車道を走るという大原則がわきに置かれ、歩道の走行を奨励している内容になっています。これでは、
自転車事故を削減するどころか一層増加を招きかねず、とりわけ歩行者をその危険にさらすことになります。このような考えのベースとなっているのは、
自転車優先の道路行政を進めるために自転車の位置づけをあいまいにし、あくまでも例外である歩道の走行を認めたことにあります。道路行政の万国共通の基本理念は、弱者優先であります。
つまり歩行者優先です。したがって、改めて自転車は車道を走るという原則に立ち返って、プランを見直すべきであると考えますが、御所見を伺います。
歩行者の安全を確保し、自転車で安全に快適に走れる道路空間をつくろうとするならば、歩行者と自転車とを分離することを基本に据えるべきではないでしょうか。その上に立って、車道に
自転車専用の通行帯を整備することが理想ですが、
自転車道や
自転車通行帯の整備を積極的に進めると同時に、道路標識や路面標示による注意喚起や
安全教育を進めていくというように、ハード、
ソフト両面で取り組むべきと考えますが、今後のこの事業をどのように進めようと考えておられるのか、御所見を伺います。
自転車が迷惑で邪魔者扱いされる大きな原因に、
交通ルールやマナーを守らないという指摘があります。プランの中でも、何度もそのことが強調されています。確かに自転車に乗る人の責任もありますが、車道通行と左側通行が守られなくなったのは、自転車の歩道通行を可能にしたことによる弊害だと指摘する有識者もおります。
また、左側通行を徹底するだけでも、
自転車事故は大幅に減少できるとの指摘もあります。この点については、警察や
交通指導隊、
交通安全協会など関係機関や団体と連携し、徹底を図ることができるのではないでしょうか。
ルールの遵守やマナーの向上を図るためには、創意工夫された
安全教育の徹底が求められています。先日、テレビで、スタントマンを活用して
交通事故のさまざまなケースをリアルに表現して、
交通事故の怖さを直接見てもらう
交通安全教室について報道されていましたが、こうした
取り組みのほか、関係機関や団体の協力を得ながら、幼児や児童生徒らだけでなく、大人も含めて、それぞれの年代を対象とした
安全教育を展開することなど、より有効な
安全教育を粘り強く開催していくことが求められていると思いますし、宣伝媒体の活用も効果があると考えますが、御所見を伺います。
最後に、
コミュニティサイクル事業の展開について伺います。
ヨーロッパの各都市で展開されている
セルフサービスによる
レンタサイクルは、通勤、通学はもちろん、買い物や遊びなど気軽に市民の足として利用され、市民生活に定着しています。自転車の破損や乗り捨てなども一部に見られるものの、今後も拡大の方向にあると伺いました。
そのシステムは、町中に三百メートルごとに
ステーションを設け、専用の
オリジナル自転車を配置したもので、利用者は事前に登録し、低料金で利用するものです。利用した後は、近くの
ステーションに返却すれば終わるというもので、町中の移動手段として手軽に利用できるシステムです。イタリアのミラノ市でも、同様の事業をCM会社に委託して運営しており、事業が順調に推移していることから、今後も拡大していくとのことでした。
日本では、
コミュニティサイクルという名で社会実験などが行われておりますが、その定着や拡充までにはもうしばらく時間を要すると認識しておりますが、便利で楽しく自転車を利用できる
取り組みであるこの事業を展開する方向で検討してはいかがでしょうか。市長の御所見を伺い、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
5: ◯市長(
奥山恵美子)ただいまの
石川建治議員の御質問にお答えを申し上げます。
国の
交通基本法制定に関する御質問にお答えをいたします。
国においては、
少子高齢化が進み、
公共交通に頼らざるを得ない国民がふえていくことをとらえ、今後の国民の足を確保、維持していくための
取り組みとして、
交通基本法の制定に向け、将来の
交通体系のあるべき姿や交通に係る基本的な法制のあり方などについて、検討を開始したところと承知をしております。
本市におきましても、
公共交通の現状を見ますと、利用者の減少により、バス路線の維持が困難な地域があるなどの課題が生じてきております。今後、さらに
少子高齢化が進むことで、
公共交通に頼らざるを得ない市民の方々の割合が高まっていくことが予想されます。
このような中、
公共交通を維持、再生し、市民の皆様の足を確保していくこと、また、より環境負荷の少ない
交通体系を確立していくことは、本市にとりましてもますます重要性を増していくものと認識をいたしておりますが、一方で、
公共交通の
サービス水準や、これを維持していくための財源などの課題もあるところでございます。このような本市の課題の解決に向けまして、今後の国の
取り組みについて大きな関心を持っているところでございます。
議員御提案の交通権についてでございますが、現在、国において議論の途上にありますことから、まずは、国におきます議論の動向を注視してまいりたいと考えております。
一方で、本市におきましては、高齢化が進む郊外の住宅団地などにおける生活の足の確保が、今後ますます重要になってくるものと認識をしております。現在検討中の
総合交通戦略におきましても、地域の足を確保していくため、地域の実情に適した新たな
交通システムなどの検討を進めているところでございます。
続きまして、自転車の現状と
まちづくりの視点に立った
自転車施策についてのお尋ねでございますけれども、自転車は、子供からお年寄りまでだれもが気軽に利用できる乗り物であり、また、本市の
中心部周辺は比較的地形が平たんであることや、多くの学生の皆さんが自転車を利用されていることなどから、仙台は自転車の似合うまちと言うことができるのではないかと思います。
近年の
自転車ブームに関しましては、自転車が環境にも大変やさしい経済的な乗り物であることが再認識をされ、さらに、健康志向の高まりなどが追い風となって、
自転車利用への関心が高まっているものと理解しているところでございます。
また、これまで本市では、モータリゼーションの進展を背景に、郊外へと市街地を拡大してまいりましたが、今後、
人口減少時代を迎えるに当たり、集約型の都市構造を目指すとともに、地域においては、市民の皆様が移動しやすい
まちづくりを進めることが望ましいものと考えております。
自転車は、市民の皆様の身近な足であり、これからの
まちづくりにとって大変有効な
交通手段となっていくものと思ってございますけれども、自転車の走行環境の整備や駐輪対策、さらにルールの遵守や
マナー向上への
取り組みなどの諸課題がございます。今後は、課題の解決に向けまして検討を進めるとともに、市民の皆様とよくお話し合いをしながら、御指摘の
まちづくりの視点も踏まえ、自転車の利用しやすい
環境づくりに向け取り組んでまいりたいと考えているものでございます。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
6:
◯企画市民局長(瀬戸和良)私からは、
自転車事故防止への
取り組み及び
交通安全教育に関する御質問にお答え申し上げます。
自転車事故防止の
取り組みといたしましては、学校での指導や世代に応じた
交通安全教室の開催などの
安全教育を実施するとともに、毎月十五日の自転車の
安全利用対策強化日や春、秋の
交通安全運動期間などに、各警察署、
交通安全協会、
交通指導隊等が相互に連携して街頭指導を行っております。
また、チラシ、ポスターを、町内会を初め大学、専門学校、企業等に配布するとともに、
自転車通学が多くなる高校の新入生を対象に、自転車の
安全利用に関するハンドブックを配るなど、幅広い啓発にも努めているところでございます。
次に、
交通安全教育についてでございますが、御指摘のようにルールの遵守や
マナー向上を図るためには、
交通安全教育を創意工夫を重ねながら粘り強く実施し、浸透させることが重要であると考えております。したがいまして、児童生徒や高齢者のほか、幼児とその保護者など、対象に応じて行っております
交通安全教室が、より効果的な内容となるよう工夫をするとともに、メディアの一層の活用につきましても、十分留意しながら取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
7:
◯都市整備局長(中村克正)私からは、杜の都の
まちなか自転車プラン及び
コミュニティサイクルに関する御質問にお答えいたします。
初めに、杜の都の
まちなか自転車プランの検証についてでございます。
現行の
まちなか自転車プランを今後さらに推進していくに当たりましては、プランの検証が必要と認識いたしておりまして、
まちづくりの視点も含め、これまでの
取り組みについて検証してまいりたいと考えております。
また、御指摘のような整備に関する具体的な数値目標の設定は難しい面もございますが、できるだけわかりやすい目標設定をプランに加えていくことにつきまして、検討してまいりたいと考えております。
次に、プランの見直しについてでございますが、議員御指摘のとおり、
道路交通法におきましては、自転車は車両の一部であり、原則は車道を通行するものとなっております。
本市におきましても、これまで車道に
自転車走行帯を整備してきた箇所もございますが、残念ながら、自転車にとって車道を走行するには危険な道路が多いのが現状でございます。
今後の整備に当たりましては、歩行者や自転車、自動車の通行量を見ながら、車道に限らず、歩道も活用しながら、歩行者と自転車を分離するなど、安全に配慮した整備を行ってまいりたいと考えております。
自転車の
利用環境づくりにおいては、このようなハード面の整備に加え、ソフト面の
取り組みが必要であり、プランにおきましても、
自転車走行環境の整備や駐輪対策に加え、
ルール遵守や
マナー向上を掲げ取り組んできております。
これまで
イーグルロードなどの
自転車道のほか、仙台駅周辺や
勾当台公園市民広場わきの
路上駐輪場の整備、さらに
東二番丁通の電力ビル前
バス停付近での
自転車降車を促す
取り組みなど、ルールやマナーの意識啓発なども行ってまいりました。今後は、関係機関との連携をさらに強めながら、ハード、
ソフト両面での
取り組みを推進してまいりたいと考えております。
最後に、
コミュニティサイクルの導入についてでございますが、
コミュニティサイクルは、環境にやさしい
まちづくりやまちの活性化の観点から、有効な手段の一つであると考えております。したがいまして、今後、本市におきましても、他都市の事例調査や
市民ニーズの把握などを行い、本市にふさわしい
コミュニティサイクルにつきまして検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
8: ◯議長(野田譲)次に、加藤和彦君に発言を許します。
〔二番
加藤和彦登壇〕(拍手)
9: ◯二番(加藤和彦)会派新しい翼の加藤和彦です。
ことし九月、仙台市の環境に関する平成二十年度
実績報告書が公表されました。杜にまなび、杜といきる都仙台市、その市街地の西部に位置する青葉山、権現森、蕃山等の丘陵地帯の魅力を生かす各事業及び総合的な
取り組みについて質疑を行います。
まず初めに、自然環境の推移について数点伺います。
仙台城の築城以来、伊達政宗は武士に広い屋敷を与え、自活できる仕組みを教えました。それで、杜の都が、屋敷林、居久根、果樹花木を含む庭木とともに形成され、仙台空襲までその姿を保ってきました。
戦後の復興期には、機械の発達により土木建築の工法が一変し、団地形成が進むとともに生活様式が急速に近代化して、
高度経済成長時代になると人力による薪炭林が進むとともに、生活様式が極度に減少したことにより、里山や森林の役目が終わったかに見えました。
戦後、一時は
植林ブームで後世に希望を託したが、手入れができずに放置され、その後、見放された里山は荒れ放題になってきたが、近年、再び、里山、森林、水辺には、人間が
オアシス効果である潤いや安らぎを求めて近づき、さらに森林浴の健康効果が見直され、また、幼少時の健康と教育に役立つとあって、一層必要な存在となりました。
市では、一九七三年に制定した杜の都の環境をつくる条例に基づき、市と協定を結んだ
保存緑地の所有者には、毎年、
保存協力金として一平方メートル当たり三十円を交付していますが、建設局は、援助金について、保存してもらうための謝礼の性格もあるとして、維持管理に使われているかどうか確認していない。私は、このようなやり方で
保存緑地は守られるのか疑問を持たざるを得ないのです。一度荒れたら、健全な状態に戻すには五年はかかると言われていますが、市ではこれからどのように対策を講じていくのか、当局の御意見を伺います。
本市では、自然との共生、循環という恵みを受けてこそ
持続的発展が可能になるという視点を掲げ、それに基づいて環境政策を展開してきました。都心地区に近い西の青葉山、権現森、蕃山、
サイカチ沼等は、身近に四季を感じられるところであり、冷温地、暖温地の中間に位置する植生上の特徴から植物や動物の種類も多く、自然観察に絶好のエリアであります。
市は、緑を保存するため、
保存緑地、
特別緑地保存地区や
緑地環境保全地域、
広瀬川環境保全区域などの指定によって、丘陵地は緑の保全と
自然生態系を守る手当てがなされて、市街地の緑の背景をなしています。
杜の都の本来の目的は、市民が健康で安全、快適に生活できるための
基盤づくりにあり、また、温室効果を防ぐ対策に大きな役割を持つ緑の効用を生かすことも、遠い昔から現在まで緊要な要素であることは疑いを差し挟む余地はないと考えます。
戦後六十余年、営々とこの事業に取り組んできた実績は、住みよい
まちづくりに多大な貢献をしていると評価します。そこで、急速に進行している
少子高齢化、忍び寄る人口減少、経済混乱による所得減少に対応する今後の新しい
暮らしづくりを支援し、推進する事業の進め方はどうあればよいか、当局の御見解と事業方針をお伺いします。
次に、西部森林の快適な利用促進について数点伺います。
青葉山御裏林の青葉の森は、パンフレットの種類も多く発行され、市民に親しめるよう、散策路、
自然観察場、案内板等が整備されていて、利用者が非常に多いところでありますが、開設されて十数年もたって、わんぱく広場の遊戯台が老朽化して危険になり現在閉鎖中でありますが、こっそり
サバイバルゲーム等の遊びに利用されています。旧自治省の支援による
地域総合整備事業で整備したこともあり、直ちに取りかえて閉鎖を解くべきと考えるか、自然に任せるのか、手を入れるのか、当局の対策をお伺いします。
蕃山は、昔は薪炭林として国有林を払い下げ、下草等は、山野草、キノコ、自然薯など、その豊かな自然の恵みと、伝え受け継がれてきた歴史によって、身近な山という感覚で人に親しまれています。登山、散策、歴史探訪、花木鑑賞や山の恵み採取等に役立ち、宮城総合支所発行の蕃山ハイキングコースマップも作成されています。しかし、マンション生活から一歩出て、積極的に健康増進と気分転換のため、自然に帰れの合い言葉でよみがえった里山のブームも手伝って、初めて訪れる人、親子連れが目立つようになりましたが、その人たちにはまことに不案内で、案内板、標識、解説等の不足で途中の名所も気づかず、分岐点から先はどこへ行くのか案内がなく、何とはなしに歩いて不完全燃焼のまま帰ってしまう人も少なくありません。
さらに、蕃山の魅力を語ろうワークショップでの活発な意見を受けとめて、太平洋や蔵王の景観を楽しむ
環境づくりと、変化に富んだ魅力ある、そして楽しく散策できる道づくりが必要であると考えます。これについて、当局の対策はどうかお伺いします。
サイカチ沼は、宮城町との合併間もなく、森林総合整備事業地域指定を受けて民有地を取得して、遊歩道、展望台、あずまや、自然林の造成の事業に着手しました。さらに、身近な自然を五感を使って実感、体験して自然保護保全について考え、将来に向かって巨木にならないイヌブナ、コナラ、ヤマハンノキ、クヌギ、ヤマザクラ、ヤマツツジ等の植生と特別天然記念物であるニホンカモシカ、本州最大の哺乳類であるツキノワグマ等の生態系をできるだけ減少させない、自然への思いやり活動を展開しているNPO団体の活動が活発であります。
昨年、隣接地に、市民が集う宇宙の広場、新天文台が誕生して、自然の恵みが社会生活に潤いを与えている実感や、自然動物の生存に与える影響をはかり共存への関心を高めるために、天文台からサイカチ沼への散策路設置の要望が多くなっています。これについて、当局の御意見をお伺いします。
この西の丘陵地帯は、仙台城背後地として間道ルートとなっていた事実があります。東北大学附属植物園内の案内板には、仙台城の虎ノ門から植物園の正門付近を経て、愛子、湯元、二口、最上方面に通ずる最上古街道があったと記録されています。
今、この街道沿線住民は、最近、健康、歴史ブームに乗り、多くの人が訪れ楽しく散策できるよう、青葉の森から伊達家の別荘郷六御殿、通称楽壽園、雲居国師大梅寺、開山堂、蕃山麓の五郎八姫の西舘、国分氏の本拠地であった諏訪神社、現在も使用している七郷、六郷、高砂等の下流地域のかんがい用水と仙台市上水道事業の役割を果たしたサイカチ沼、秋保温泉までの最上古街道を下草刈りなど、ボランティアで汗を流しながら、歴史的、文化的景観のルート整備をしています。さらに、自然環境保全をうたい、歩いて、見て、美しい景観、心地よい音、香りをシンボル活用した地域づくりのために懸命に働いています。
(仮称)地下鉄東西線青葉山駅が完成し、多くの人が気軽に安全に楽しく散策できるルートの整備が求められることは必定であります。そして、東北大学附属植物園から青葉の森、郷六、蕃山、天文台、
サイカチ沼等を満喫して、仙山線各駅、市営バス各停留所に至る自然保全を生かし学べる散策が、新しい緑の
まちづくり及び地域の発展につながると考えます。この地域密着型の健康散策路の開設について、当局のお考えをお伺いします。
実施事業後の新たな課題は、西部丘陵地区の良好な自然環境を何としても保護保全の完璧化を図ることであります。一方で、市民の自然と触れ合う場としてさまざまな形で利用し、そのよさを知らせるよう、自然保全と歴史的、文化的景観をいかに継承していくかが大きい課題であります。
また、この地域には、国、市、私有地が混在して、遊歩道、登山道、展望台の周辺は、倒木、ササ竹、下草が生い茂り、維持管理が困難になっています。本市では、緑の保全とそのよさを知らせる活動団体を募集しました。十数団体が参加し、各機関と一緒に植樹、枝切り、下草刈り等の森林整備をし、子供たちとともに、自然観察や歴史的、文化的景観の保全に積極的な活動、自然環境の保全に関する提言や支援活動を行っています。また、地域環境を生かした魅力ある地域づくりを目指して、歴史探検やカブトムシの森づくり、里山の自然に遊ぶ親子たんけん隊、ビオトープ等に
取り組み、幼児から中学生とその家族を対象として実施しています。しかし、できることはまだまだあります。
さらに、地域に対する誇りや愛着の源である自然環境を次世代に確実に引き継ぎ、さまざまな分野の人々がつながって、市民、事業者、行政の協働によって施策が実施されていくものと考えます。これらのことについて、取り組む課題をどのようにとらえているか、当局のお考えを伺います。
以上で、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
10: ◯市長(
奥山恵美子)ただいまの加藤和彦議員の御質問にお答えを申し上げます。
私からは、緑の効用を生かした今後の
まちづくりへの
取り組みについてお答えをいたします。
杜の都の緑は、地球環境の保全に寄与するとともに、都市環境の改善や健康、レクリエーションの場の提供などさまざまな機能を有しており、市民共有の財産であると考えております。
御指摘の青葉山や蕃山等の自然豊かな西部丘陵地の緑につきましては、緑の骨格として重要な地区でありますことから、本市といたしましてもさまざまな
取り組みを進めてきており、市民団体の方々も緑の保全や活用のために活発に活動されている地域でもございます。
杜の都という緑豊かな魅力ある都市空間をさらに充実させてまいりますために、こうした方々の御意見も伺いながら、市民協働により緑の活用を一層推進し、健康で快適な杜の都の
環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
このほかの御質問につきましては、関係の局長及び区長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
11: ◯建設局長(高橋秀道)私からは、自然環境を生かした
まちづくりについてのお尋ねのうち、市長がお答えした以外の御質問と、西部森林の快適な利用促進に関して、建設局に係るお尋ねにお答えをいたします。
まず最初に、
保存緑地の保全についてでございますが、
保存緑地につきましては、その土地の形状や規模、周辺の状況、土地所有者の事情などにより、維持管理の状態にばらつきがございます。このため定期的なパトロールを実施し、必要に応じて緑地の管理について助言、指導を行っているところでございまして、今後とも所有者の協力を得ながら適切な保全を図ってまいりたいと存じます。
次に、青葉の森緑地のわんぱく広場の大型木製遊具についてでございますが、子供たちの冒険心や好奇心をはぐくむ施設として、多くの利用者に親しまれてまいりましたが、老朽化が進んでおりますことから、平成二十二年度に撤去する予定といたしております。今後は、この地域で活動を行っている市民団体の方々の御意見も参考にしながら、周辺の環境と調和をするような植栽などを行い、自然環境の保全に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、蕃山の散策路整備に関する御質問についてでございます。
蕃山は、都市近郊にあって豊かな自然に恵まれた貴重な一帯であり、一年を通して多くの市民の皆様に親しまれております。また、大梅寺や開山堂、西舘跡などの歴史的資源にも恵まれており、これまでも観光案内として遊歩道に案内看板を設置するなど、周辺の魅力を御紹介してきたところでございます。今後とも、議員御指摘のような、このエリアの持つさまざまな魅力を掘り起こし、市民の皆様にわかりやすく提供するための工夫を、関係部局と役割を分担しながら進めてまいりたいというふうに思っております。
次に、天文台からサイカチ沼への散策路の整備についてでございますが、隣接する錦ケ丘団地にお住まいの方々や天文台を訪れた方々に、サイカチ沼のすばらしい自然をより身近に感じていただくための有効な手段と考えております。このため、サイカチ沼周辺の散策路や案内サインの再整備に向けて、地元で活動しているNPOや町内会の方々などをメンバーとしたワークショップ形式の検討会の開催を予定しており、御提案の散策路につきましても、その中で検討してまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
12: ◯青葉区長(遠藤延安)私からは、最上古街道沿線における散策路の整備について及び自然保全と景観継承のために取り組むべき課題についてお答え申し上げます。
西部丘陵地区の快適な利用促進についてでございますが、この地区は豊かな自然環境を有するだけではなく、議員御指摘の仙台と山形を結ぶ最上古街道など、歴史的な背景を有するものも一部現存しておりまして、貴重な財産の一つと考えております。
その活用につきましては、御提案のありました健康散策路を初めとしてさまざまな手法が考えられますが、
取り組みに当たりましては、次世代に引き継ぐためにも、ここに住んでいる市民の方々と訪れる方々の双方にとって、安心して快適に過ごせる空間とすることが大切であると思います。
現在、青葉区宮城総合支所におきまして、
まちづくりの観点から地域の魅力ある資源の活用に向けて、地域住民や関係団体の皆様とも話し合いを行っておりますので、それらの状況も踏まえながら、西部丘陵地区における自然環境の維持、活用について検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
13: ◯議長(野田譲)副議長と交代いたします。
〔議長 野田譲退席、副議長 渡辺公一議長席に着く〕
14: ◯副議長(渡辺公一)議長と交代いたします。
次に、村上一彦君に発言を許します。
〔十七番 村上一彦登壇〕(拍手)
15: ◯十七番(村上一彦)民主クラブ仙台の村上一彦です。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
国直轄事業負担金と都道府県が実施する公共事業の費用を分担する市町村負担金制度についてお伺いします。
国が実施する道路や河川、港湾などの整備事業や維持管理において、道路法や河川法などに基づき、地方自治体が一定割合で負担金を支出することが義務づけられている制度であります。その廃止に向け、具体的な内容を国と地方自治体で議論されています。政令市として、まず、本市の直轄事業負担金はどのようなものに、現在幾ら負担しているのかお示しください。
道路事業の国道四号、六号、四十五号、四十八号の建設改良、維持管理費は、国直轄事業負担金として国に直接支払っていると思いますが、国直轄事業である空港整備事業とみちのく杜の湖畔公園への負担金は、国に直接支払うのではなく、県に負担を求められているものです。これらは、県からの負担金としての仕分けなのか、国直轄事業の負担金としての解釈なのか、本市の御見解をお聞かせください。つまり、国直轄事業負担金が全面廃止されれば、自動的に負担しなくて済むと解釈すべきなのか、お聞かせください。
指定都市市長会の緊急意見によれば、来年度以降の国直轄事業負担金廃止において、維持管理のうち修繕に要する部分についても負担金の廃止対象とすべきとあります。この修繕費とは具体的に何を指し、本市での具体的な金額を御説明ください。
また、国直轄事業負担金が廃止されれば、負担金の仕分けである新設、改良と維持、管理は同時に廃止されるものですが、なぜこの緊急意見で、改めて維持管理の修繕費を負担金の廃止対象にすべきと方針を示さなければならないのかお示しください。
また、緊急意見の中で、事業の実施に直接必要とならない経費と国庫補助事業の補助対象と均衡を欠く部分と指摘していますが、この部分は具体的にどのような負担金なのか、本市としての過去に支払った経緯があるのかお聞かせください。
四十七都道府県の市町村負担金制度のアンケートによれば、大阪府などの四府県は廃止し、宮城県を含む二十一県が、負担金について、全国知事会での議論や市町村の意見を十分踏まえながら対応するとしています。市町村受益負担金は、地域用水環境整備、障害防止対策、農業農村整備、森林整備など、そのほかにも多岐にわたりますが、本市では何がこれに当たるのか。また、本市は宮城県に対し、来年度から市町村負担金を廃止するよう強く申し出るべきですが、市長の御見解を伺います。
次に、本市が新たに作成する仙台市教育振興基本計画について伺います。
本市では、平成十三年三月策定の仙台まなびの杜(仙台市教育ビジョン)を教育行政の基本方針として、平成二十二年に目標年を迎えますが、達成されたものと、まだ道半ばのものがあると思いますが、総合評価と次の計画にどのように反映するおつもりなのか、まず総括をお聞かせください。
新たな計画は、地方公共団体における教育振興の基本的な計画として策定するとともに、仙台市基本構想及び仙台市基本計画に示す教育分野の施策をより具体化する計画として策定するとなっていますが、策定スケジュールをお聞かせください。
また、策定に当たり最も大切なコンセプトが何であり、子供たちへの具体的なアプローチについてもお聞かせください。
そして、教育長も務められた奥山市長の新しい視点をどのように反映させるおつもりなのか、市長の御所見を伺います。
また、検討委員会のメンバーを選定するに当たり、何を基準にして検討されたのかもお聞かせください。
次に、ワイドショーなどで話題になったり、十一月二十一日のNHKでもどうするゴミ屋敷という特集も組まれていましたが、いわゆるごみ屋敷と呼ばれる問題について質問いたします。
私も、一昨年の春に、このごみ屋敷トラブルの相談を受け、さまざまな経験をさせていただきました。ごみ屋敷が自分の近所にない場合はテレビの中だけの話で、全く実感のわかない問題ですが、もし近隣にある場合は、のっぴきならない事情として自分に降りかかってまいります。
本市のごみ屋敷があった町内会では、長年の懸案でした。家自体は建てかえ五、六年しかたっておりませんが、庭先から屋内までびっしりのごみに囲まれておりました。建てかえ後に御両親が亡くなられ、本人は障害年金で暮らしている状況でした。ごみの悪臭は近辺に充満しており、仙台市に何度も相談したようですが、どうにもならずお手上げの状態です。この住人は、昼間は寝ており、夜徘徊しながらこのごみを集めてくるようでした。本人がごみではないと主張すれば私有財産と判断され、法的に行政としてもどうにもできない状況が続いていたようでした。本市の担当者も、どうにもできないの一点張りで、手つかずのままでした。
このごみを集めてくる習性は、現代病と言わなければなりませんが、精神医学的にも定義がなく、なかなか撤去に至るまで紆余曲折がありました。細かい内容は省きますが、町内会、隣人、企画市民局、区役所、警察などあらゆる関係者と連携し、何とかことしの春に清掃公社の車六台分のごみを撤去することができました。家の内部の全体はすでに腐っており、家自体を取り壊すに至りました。たまたま解決の糸口を見つけられ、幸運にも解決することができましたが、全国的にどうすることもできない問題としてこの状態が続いております。
また、都会では、目に見えないごみ屋敷、マンションの中がごみ屋敷になってトラブルになっている状況が、都市部では大問題になっているようです。こういった問題は、本市も対岸の火事とは言えないのではないかと考えます。
また、似たような問題で、老朽化したアパートが相続の問題等で放置され、さらに、相続人が遠方にいたりなどして草などがぼうぼう生え、荒れ放題になっている場所が市内にはかなりあるように推察します。まず、本市では、このごみ屋敷問題等を現在どのような認識に立っているのか、この問題は今から確実にふえてくると思われますが、解決に向けた今後の対策をどのように考えているのか、荒れ放題のアパートに関しては税制の問題も含まれますが、御方針をお聞かせください。また、こういった事例を本市ではそれぞれ何件把握しているのかお示しください。
大阪の豊中市では、このごみ屋敷問題をソーシャルワーカーの方々が中心になり、職員も含めた専門のプロジェクトチームをつくり、五十軒ほどのごみ屋敷問題を解決したそうです。本市も、これらの問題について施策が後手に回らぬよう、先例都市を参考にして早急に具体的な方策を検討すべきと思いますが、市長の御所見を伺います。
次に、小学校の場所を示す案内看板について伺います。
私の母校台原中学校は丘の上にあり、もちろん地元の方は校内への道筋を把握しておりますが、初めての方々はなかなか正門までたどり着くことができません。中学校に新しく赴任した先生すら、周囲二キロをぐるぐる回ってしまうお話を聞かされました。このお話をした担当の本市の職員すら、初めはなかなか学校を見つけることができなかったそうです。
また、中学校になりますとクラブ活動の対外試合などで、市内各所または市外から子供を引率していらっしゃる場合、保護者はナビゲーションを頼りにやってきます。入ることのできる三つの道筋は画面に出てきますが、二つの道筋は車どめがあり、ここからは入れない情報はナビゲーションシステムには出てきません。唯一車で入れる道筋はわかりづらいため、近隣の方々に多くの方が道を聞かれる状況です。
学校は、生徒たちだけではなく多くの方が訪問いたします。この学校への案内看板は、必要とすれば市として立てるべきと考えます。しかし、本市の文書での回答は、学校への道順は、その地域の人にとっては周知のことでありますから、位置や道順等を示す看板が必要ないものと考えている。他方、ほかの地域から来る来校者は、あらかじめ地図等で道順を確認していただければ、案内看板がなくとも学校に着くことができると考えており、公費で設置しなければならないとは考えていないという驚くべき回答が来ました。奥山市長、この不親切さは何なのでしょうか。
市長にお聞きいたしますが、学校によっては、既に案内看板がある学校が市内には幾つもあります。既に本市が建てた案内看板は、一体何のために立てたのでしょうか。これまでの経緯と市民の方が納得する合理的な説明をお願いいたします。
次に、保育行政について数点伺います。
保育所の待機児童解消は、本市の最も優先順位の高い施策の一つと言わなければなりません。待機児童ベストフォーは、横浜、川崎、仙台、世田谷区ですが、子育て支援調査特別委員会で、川崎、世田谷区に視察に行ってまいりました。本市を除く三都市の共通した特徴は、都市部への人口集中で、急激に人口がふえていることです。本市とは、置かれている状況、環境がかなり違うのではないかと考えます。本市の待機児童の増加を、景気の変動で共働きの増加に転嫁するのは安易過ぎる解釈ではないでしょうか。他都市も状況は同じです。三都市と比較して急激な人口増加のない本市だけがなぜ含まれるのか、今までの施策の不備によるツケがここに来て顕著になったのか、現状の認識を市長にお聞きいたします。
大都市の待機児童解消の置かれた立場は皆同じですが、川崎市では、空き店舗があれば年度途中でも前倒しして積極的に
取り組み、二、三カ月の間に数カ所、約千人分を確保し、そのスピード感が本市とは圧倒的に違うようでした。本市の
取り組みもある程度評価はいたしますが、この結果が伴うやる気、スピード感の違いは一体どこから来ているのでしょうか、市長の御見解を伺います。
また、一方でこういう話を伺います。地元紙によれば、取材の中で保育所長の打ち明け話の中に、本来は保育所に入れないはずの児童が存在する。母親の勤務証明書はあるが、発行元は実家や夫が経営する会社。母親は働いている様子はなく、趣味やレジャーに忙しい。こんなケースをたくさん見てきた。また、保育所連合会の会長が、仙台市はもっと厳密に家庭環境を調査すべきだという話もあります。現場保育所でせっかくの入所面接があるのに、その保育所の意見の反映がされていないという現状があるようです。仙台市としては、明確にすることがなかなか難しい側面もあるかもしれませんが、こういった事情は近隣の方々はよく熟知しているため、納得がいかないという話だと推察します。家庭環境調査と今後の入所面接時の意見反映について、本市の御所見を伺います。
次に、保育料徴収基準額についてお聞きいたします。
本市の所得基準の階層は十四に区分しています。例えば最高基準額のD一〇は、推計所得最低額を年収八百七十九万三千円以上に区分しております。この階層だけを見ますと、推計年収が一千万円から一千四百万円の方が五九%、一千五百万円以上の方が約一三%おります。推計年収九百万円の方と一千五百万円以上の方では、年収格差が最低六百万円以上あるにもかかわらず、この階層では国が定めた基準八万円の七一・三八%である五万七千百円が支払われています。この保育料設定が妥当で合理的なものなのか、内容を精査していかなければならないと考えます。高所得者を細区分し、その分を低所得者への軽減に回す考え方もありますが、政令市の他都市のこの階層の区分状況と、今後もこの階層は一区分にするおつもりなのか、御見解を伺います。
待機児童解消ばかりがフォーカスされる中で、違った側面、保育の質の確保と保護者のモラルの話があります。保育料の滞納、注意への逆ギレ、ルール無視、肥大化する権利意識、一部保護者の問題行動などが保育現場を疲弊させ萎縮している問題、さらに保育士の待遇改善の問題と保育の質の確保、維持することは表裏一体の関係にあると考えます。
先日、同僚議員七名で、福祉国家の最先端を行くデンマーク、その中でも福祉サービスがすぐれた都市としてベスト・シティ・オブ・ザ・イヤーを受賞した人口約六万人のまちスヴェンボー市に、児童福祉政策を視察に行ってまいりました。我が国の福祉政策を高福祉政策の北欧諸国と比較する場合、まず租税負担と社会保障負担を合わせた国民負担率を前提に論じなければなりません。
ちなみに、この国民負担率は、我が国が三七・七%、デンマークでは七三・八%です。また、このスヴェンボー市の市の予算は、八一%を社会福祉政策に使うため保育保障制度があり、すべての希望者が保育所に入所でき、必然的に保育所の待機児童ゼロの都市とでは、施設等物理的な側面を比較しても全く意味をなしません。しかし、保育の基本的な質や理念を比較することは、大変勉強すべきことが多方面にわたると感じました。
デンマークの保育園運営の国の方針は、次の六点です。一、広い意味での成長、二、社会的機能を伸ばす、三、言語能力、四、体の自覚運動能力、五、自然と自然現象、六、芸術を通した表現と価値。各保育所は、この運営理念を具体的に自由に実践しています。そして、最も重点に置いていることは、保護者と常にコミュニケーションをとって、運営方法を話し合っていることでありました。
この運営にかかわり合わせる基本的な方針が、日本のように預けっ放しで、権利ばかりを主張する新たな保護者をつくらないよい結果を生み出しています。本市の保育従事者たちへのさまざまな研修の
取り組みについては評価いたしますが、本市もそれと同時に保護者に運営にかかわり合ってもらい、保育士たちの働きぶりを理解していただく努力をすることが重要なことだと思いますが、御所見を伺います。
次に、本市の幼保連携について伺います。
幼稚園の敷地内等に認可保育所を併設していただく方法と、幼稚園の空き教室を有効利用していただくやり方、県に認可権がある認定こども園の併設の三種類の連携があります。敷地内等に認可保育園を設置していただくには、物理的なスペースの余裕がなければなりませんが、本市では十一カ所あります。まず、現時点では、十一カ所以外に設置できる余裕スペースがある幼稚園は何カ所あると認識しているのか、お聞かせください。
幼稚園保育室は二カ所、認定こども園に至っては一カ所にしかすぎませんが、余りにも少ないと感じます。努力が足らないのか、この結果の本市の認識を伺います。
認定こども園は、二〇〇六年十月に、待機児童解消策の一環として鳴り物入りでスタートした施策でした。開始から二年半たった本年四月時点の全国の施設数は三百五十八で、当初目標の二千の二割にも至っていません。これは、運営上のメリットが少ない上に、文部科学省と厚生労働省から別々に来る補助金の手続や会計処理の煩雑さがあげられます。本市の結果が一カ所では、当局も積極的に動いているとは感じられませんが、今後の取り組む姿勢を伺います。
また、これまでの本市の施策は、施設の補助金を中心に置くため、事業者は施設の補助金を見て事業を行い、利用者を中心にするやり方をしてこなかったことが、成果が上がらない本質的な原因があったのではないのでしょうか。普通の事業であれば、利用者が減れば、利用者確保のために生き残りをかけさまざまな
取り組みを行います。幼保連携やあきがあるせんだい保育室制度に積極的に取り組んでいただくためには、施策の方向性を施設補助から利用者補助にシフトすることによって、結果として各施設は本気で効果的な
取り組みを行うインセンティブができるのではないかと考えます。御所見を伺います。
待機児童の解消に向け可能性のあるものについては、あらゆる施策に取り組まなければならないことは理解いたします。そのほか保育ママ制度などもあり、ツールはあるが結果が伴わない実情があります。限られた人員で結果を出すには、施策をもっと絞り集中するやり方が、より効果を上げる戦略ではないかと考えますが、最後にこの施策方針について御所見を伺って、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
16: ◯副議長(渡辺公一)この際、暫時休憩いたします。
午後二時七分休憩
────────○────────
午後二時二十五分開議
17: ◯副議長(渡辺公一)休憩前に引き続き会議を開きます。
答弁願います。
18: ◯市長(
奥山恵美子)ただいまの村上一彦議員の御質問にお答えを申し上げます。
初めに、仙台市教育振興基本計画の策定に関するお尋ねでございます。
私は、先般の第三回定例会における所信表明の中で、子供たちが自分らしくたくましく生き抜いていくことができるよう、学校教育の質的向上を図るとともに、子供たちが小さいときから、多くの社会体験、自然体験を重ねることができる
まちづくりを進めたいと申し上げたところでございます。
このような教育分野における
取り組みを進めるに際しましては、仙台が培ってまいりました大きな強みであり、仙台の底力とも言えるすばらしい市民の皆様の力が、その原動力になるものと認識をいたしております。
そのため、私ども行政、学校を含め、NPOや地域団体、地域の企業の方々など、さまざまな地域の教育を担う主体がともに手を携えながら、仙台の教育力向上を目指す
取り組みを進めることが必要と考えておるところでございます。
私といたしましては、今回、教育委員会が新たに策定する計画におきましては、このような視点も踏まえながら検討を進めていただきたいと考えておるところでございまして、今後、教育委員会ともよく話し合ってまいりたいと考えておるところでございます。
次に、待機児童の現状認識と待機児童解消に向けた
取り組みについてでございます。
御指摘のございました横浜市、川崎市等につきましては、以前より待機児童が多く、また、近年の人口増加などにより急速に保育基盤整備が必要となっていることから、その緊急整備計画及び前倒しの実施などの
取り組みがなされているものと承知をいたしてございます。
本市におきましては、これまでも子育て家庭の仕事と家庭の両立を支援するため、待機児童ゼロ対策室を設置するなど、認可保育所を初めとする保育基盤の整備を進めるため
取り組みを行い、一定の成果を得てきたものと考えてございます。
しかしながら、この間、保育所における土地の確保の問題、また、その後の社会経済情勢の変化や出生数の増、それによる育児休業明けの子育てニーズの増などに伴い、特に鉄軌道系沿線におけます若い世代の急増地域において、予測を大幅に超えて保育の需要が伸び、それに対応した保育所の整備等が追いつかず、多くの待機児童が発生したものと認識をいたしております。
本市といたしましては、この保育需要の伸びに対しまして、保育サービスの拡充に向けた緊急整備計画を基本に取り組んでいるところでございまして、来年度当初に向けましては、認可保育所の定員増が計画値を上回る見込みとなってございます。その他の保育サービスにつきましても、計画達成に向けた作業を行っているところでございます。
また、平成二十三年度当初に向け、さらなる前倒しも視野に入れながら、目標である待機児童ゼロの早期実現に向け、今後とも全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
この余の御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
19: ◯財政局長(高橋亨)私からは、国直轄事業負担金などに係る三点の御質問にお答え申し上げます。
まず、仙台市が国に直接支払う国直轄事業負担金でございますけれども、道路事業費に係るもの、今年度で三十億四千万円ほどでございます。また、県の支払う費用の一部を負担するものといたしまして、国営みちのく杜の湖畔公園の整備管理費一億一千万円余、仙台空港の整備費九千万円程度となってございます。
この県を通じた杜の湖畔公園と仙台空港に係る負担は、基本的には県が国に対して事業費の一定割合を負担すべきものでございますが、事業の利益を受ける市町村に対し、一定の負担を求めることができると法定されているものでございます。したがいまして、国直轄事業負担金制度自体が廃止された場合には、市町村の負担も当然解消されるというものと考えております。
次に、県の実施する事業に係る市町村負担金についてでございます。
市町村受益負担金として仙台市が現在負担しているものは、流域下水道事業の負担金でございます。この流域下水道事業は、市町村の行う公共下水道事業を補完するものでございまして、負担金は下水道使用料をもって賄われるものであり、廃止を求めるまでの性格のものとは考えてございません。
また、県内の市町村におきましては、都市計画事業等に係る負担金がございますが、これらの適切な負担のあり方については、宮城県市長会などを通じて各種の意見、意向を聞いてまいりたいと考えております。
以上でございます。
20:
◯企画市民局長(瀬戸和良)ごみ屋敷問題等に関する御質問にお答え申し上げます。
まず、いわゆるごみ屋敷についてでございますが、近隣の住民が悪臭や衛生面など大きな迷惑や不安を感じているにもかかわらず、本人がごみと認識していない場合もあり、また、みずからの居住地内でのことという面もございまして、行政が踏み込みにくい問題であり、今後ふえる可能性があるものと認識いたしております。
このような事例は、近隣にお住まいの方からの相談により把握しているところでございまして、区役所に相談があり対応している事例は、昨年度で六件、今年度で三件となっております。解決のための方策は個々の事例によりさまざまでございますが、多くの事例では居住者の精神保健や生活支援、地域の環境衛生を初め多様な側面からのアプローチが必要であり、時には居住者の親族などの御協力も必要となってまいります。
今後、御指摘のような先進都市の事例も参考にしながら、関係部局と協力し、連携体制のあり方や解決に向けた
取り組みの進め方などについて検討を行ってまいりたいと考えております。
また、荒れ放題のアパート等、管理上の問題がある空き家につきましても、地域における防災、防犯や生活衛生の面からも懸念されている問題と認識いたしております。このような空き家の件数につきましては、消防局の調査がございますが、本年十一月末現在で三百三十七棟となっているところでございます。
これまで、必要に応じ関係部局による協議等を行いながら対応に当たっており、所有者に対し建物の適切な管理を要請することはもとより、建物の状況によっては取り壊しの要請を行うこと、あるいは適正な税制の運用を行うことなど改善に取り組んでまいったところでございます。
今後とも、関係部局と連携を密にしながら粘り強く取り組むとともに、さらに有効な対策のあり方について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
21: ◯子供未来局長(細井実)私からは、保育行政に関します御質問のうち、市長が御答弁申し上げた以外の御質問にお答えいたします。
まず、保育所の入所に関する家庭調査の問題でございますけれども、入所に当たりましては、保育に欠ける要件などを客観的に審査するため、勤務証明書など家庭で保育できないことを証明する書類を提出いただいており、その後の状況に変化がある場合は、その都度必要書類を提出いただき確認を行っているところでございますが、御指摘もあったことから、保育所の協力も十分いただきながら、今後より一層家庭状況の把握に努め、適正な入所が図られるよう努力してまいりたいと考えてございます。
また、入所に当たり保育所で行う面接につきましては、児童の発達、養育状況などを確認いただいておりますが、この面接の内容について保育所から十分聞き取りいたしまして、入所が必要とされる状況について選考に反映させてまいりたいと考えてございます。
次に、保育料徴収基準額についてでございます。
まず、政令指定都市の階層設定の状況についてでございますが、本市と同様に、国徴収基準の最高階層を一区分としている都市は七都市ございます。複数に区分している都市は十都市ございまして、区分数は二から四と、それぞれの都市の事情によって異なってございます。
次に、本市の最高階層の徴収基準額につきましては、御指摘のとおり世帯の収入別の分布が非常に幅広くなっておりますことから、今後、負担の適正化が図られるよう、区分のあり方やそれに応じた保育料のあり方について検討を重ねてまいりたいと考えてございます。
次に、保護者とのコミュニケーションの問題でございますけれども、保育所は保護者との信頼関係のもと、子供たちの健やかな成長の場となるよう運営していくことが求められていると考えてございます。しかしながら、近年、保育所では、特別な配慮を必要とする児童や、子育てに不安や負担を感じ、さまざまな悩みを持つ保護者の方々がふえており、その対応に苦慮しているところでございます。
保育所の運営には、保育所が抱えているさまざまな問題に対して、保護者と問題を共有化して一緒に取り組んでいくことが重要でございまして、今後さらに保護者と十分にコミュニケーションをとり、保護者の理解と協力を得ながら、良好な保育所運営がなされるよう努力してまいりたいと考えてございます。
次に、保育所併設可能な幼稚園の数についてでございますが、本市独自の、幼稚園設置者が保育所を設置する場合にその補助制度がございますが、これを活用し、現在十一カ所の幼稚園において保育所が併設されてございますが、御指摘のとおりその数はふえていない現状にございます。幼稚園のすべての土地保有状況を把握しているわけではございませんが、敷地に余裕があって可能なところは、おおむね併設してきたものではないかと認識してございます。今後のあり方につきましては、現在実施している幼稚園保育所の状況を踏まえまして、また、管理者の御意見も伺いながら十分検討してまいりたいと考えてございます。
次に、幼稚園保育室数等についての認識でございますけれども、当該制度は今年度から開始した新制度でありますことから、制度導入に対し不安を感じる設置者も多く、また、幼稚園と保育所では、対象となる児童や施設の目的などが異なっているという考え方がございまして、積極的に取り組んでいただけない状況にございます。
次に、認定こども園でございますが、当該制度は施設側にとりまして、幼稚園と保育所双方の制度が混在することになりまして、また、財政上のメリットが少ないなど、現制度のもとでは施設数が急激にふえる状況にはないと考えてございます。
今後の
取り組みにつきましては、現在、国において制度の見直し作業も始められていることでございますので、本市といたしましては、国及び認定を行う宮城県の動向なども見守りながら、必要な対応を適宜行ってまいりたいと考えておるところでございます。
次に、施設補助から利用者補助への見直しということについてでございますが、保育施設や幼稚園において良質な施設環境を確保し、保育や教育の質を高めていくとともに、安定した経営を維持していくためには、施設への施設補助の果たす役割は小さくないと考えております。また、利用者がふえることで補助金もふえる、一人当たりの単価を定めた制度設計となってございますことから、施設補助においてもインセンティブの効果は一定程度得られるのではないかと考えてございます。