市長は常に市民の目の高さを標榜しており、ある意味では政治の基本にヒューマニズムの考えを根底にしていると言えるのでありますが、私は、市政のリーダーは常に政治判断の基本をヒューマニズムに置くべきであると思うのであります。
そこで、本定例会予算提案に当たってどのような考えで臨まれたのか、また、本市のリーダーとして今回の判決をどのように受けとめられたのか、あわせ御所見をお伺いいたします。
さて、きのうも問題になりましたが、六月八日のことでありますが、
凶悪犯罪大阪教育大学附属池田小学校殺傷事件が発生し、とうとい人命が失われ、傷つきました。今回亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様方に対しましては心からお見舞いを申し上げます。
今回のような凶悪犯罪は、社会にとって断じて許されるものではありません。事件発生後、市長を初め教育委員会が、不審者侵入に対して迅速な事故防止策を講じたことに対し評価をいたしますが、小学校という、本来、子供たちが楽しく安心して学べる環境で起きたことに対して、本市小中学校の安全管理は万全なのかとの父兄の声が多数寄せられています。
そこで、不審者侵入対策以外に、一つは、市立小中学校、幼稚園、保育所などの施設と不特定多数の児童生徒が利用する施設において、安全確保のための設備及び緊急通報体制の総点検及び通学路の再点検を可及的速やかに実施すること。二つ目は、地域の各関係機関による
学校サポート体制の確立、いわゆる
学校安全対策協議会を設置することを強く求めます。それぞれについての当局の対応を伺います。
なお、当初予算で学校安全管理についてそれぞれ対応しているとはいえ、緊急対応として予算的に本定例会において提案する必要はなかったのかどうか、市長の御所見をお伺いいたします。
また、今回の事件を通して、精神障害者に対して、法規制の改定も含め厳しい対応が国会内も含め各界で論議されているようでありますが、この精神障害者への対応は拙速にすべきではなく、慎重な対応が求められるべきであると私は判断しておりますが、市長の所見をあわせお伺いいたします。
次に、第八十一
号議案観光施設整備費に関連して、本市の都市観光の振興策についてお伺いいたします。
市は、さきに策定した仙台市観光基本計画に、自然と都市が響き合う新しい都市観光の展開というサブタイトルを掲げて、仙台の将来像を示しております。自然、歴史、文化的に資源にも恵まれ、高次都市機能の集積とともに、複合的に楽しめるまちとして、人、物、情報が活発に行き交う千客万来の仙台を目指す意図は大いに歓迎するものであり、これに伴って仙台が活力と魅力ある都市に再生することを期待するものであります。
しかし、基本計画における二〇〇一年の新世紀みやぎ国体、仙台開府四百年事業、二〇〇二年の
アジア太平洋地域会議、二〇〇二年
ワールドカップサッカー大会等の大型イベントで交流人口の増加が期待されますが、それ以降どうなるのかが大変心配であります。
そこで、こうした大型イベントも当然必要でありますが、仙台市の特性を生かした固有の地域観光資源の基盤整備に努め、積極的な都市観光を展開することも本市にふさわしい発展に結びつくものではないでしょうか、お伺いいたします。
次に、二十一世紀最大の産業は旅行産業とも言われ、都市観光がもたらす経済波及効果は中長期の経済活性化に大きく寄与するものと思われます。観光入り込み数は平成九年度、千五百十六万一千人をピークに年々減少傾向を示しており、平成十二年度は主要スポットの算出方法変更に伴い多少の影響は予想されますが、一千二百二十二万八千人と減少しております。
観光客の入り込み客増は、法人税、所得税、個人市民税として、直接、間接的に市財政を潤すことになるわけであります。県の場合で、観光関係販売額は平成十二年度で宿泊千八十五億円、飲食千五億円、お土産代七百八十五億円、そのほか交通費等九百五十二億円、総額三千八百二十七億円となっており、外部から導入された貨幣は域内で六回流通し外部に出るというサミュエルソンの法則に従えば、相当の経済効果をもたらしてきたことになるわけであります。こうした観点からも、余暇時代を迎えたと言われる中で、受け地としてより積極的に施策を展開していくべきと考えます。
そこで、具体的な観光施策の推進に必要不可欠とも言える本市の経済波及効果について、いかなる手法で掌握されているのか、具体の数値でお示しいただきたいのであります。県では産業連関表の導入により、きめ細かく分析され、施策の上で有効に利用されているやに伺っていますが、本市の対応についてお伺いいたします。あわせ、市への
外国人ビジターの推移について、及び今後の対応についてもお伺いいたします。
第三点は、過去にミッションの一員としてアメリカ、ダラス市を訪問した折、感じましたことは、外国の国際都市では
シティーセールスを活発に展開しており、いかにしてみずからの都市を売り込み、来訪者をふやすかに腐心しているかということであります。このような率直な印象を持ったのは私一人ではないと思うのであります。
そこで、本市の明確な
イメージコンセプトを策定するなど、
シティーセールスへの積極的な取り組みが求められます。時あたかも、二〇〇二年にはワールドカップ、
アジア太平洋地域会議が開催されるこの機をとらえて、市として仙台市の何を売り込むのか具体的な
アクションプランを策定すべきと考えますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
なお、この件に関連して、きのうも問題となりました、
仙台商工会議所等より陳情のありました観光物産館の建設に関しましては、論議もございましたので重複を避け、引き続き特段の御努力を期待し、この程度にとどめておきたいと思います。
第四点は、
外国人ビジターが訪れやすい環境整備を急ぐべきであります。
仙台のまちは相変わらず、街路表示一つをとっても外国人にわかりにくいという評価であります。サイン表示は経済局、都市整備局間で統一基準に基づいて作業を進めていることは承知しておりますが、さまざまな表示や案内板等、統一的なデザインや、
外国人ビジターへの
インターネット等を使った情報提供など、受け入れ環境の整備を抜本的に見直す必要があろうかと思います。御所見を伺います。
あわせ、今回提案されております仙台駅中央部に移設する仙台総合案内所について現場を調査いたしましたが、観光の最前線基地、仙台の顔としてスペース不足が懸念されます。効率的な運用を十分に図られ、機能するよう配慮すべきでありますが、今回の移設について、ビジターの意向が十分反映されたものになっているのかお伺いいたします。仙台の観光の核としての役割を担う本案内所の基本コンセプトについてお示しください。
第五点は、こうしたさまざまな施策を展開していく上で、それを先導する組織の強化が必要であります。
鳴り物入りでスタートした
仙台観光コンベンション協会も、行政との一体的な取り組みがあってこそ力を発揮するものであり、今後の都市観光をリードしていく上でいかにして組織を強化していくおつもりなのか伺います。
第六点は、観光の中で、市民の育成も大きな要素であると考えます。
過日、ループバス車内で英語の音声案内が流れた際、「うるさい、英語は関係ない」との乗客からクレームがついたそうであります。これが仙台市の観光の実態であると断言はできませんが、一面を示していると思います。
人々は一体、何も求めて旅をするのでしょうか。美しい自然、歴史的な名所旧跡、それをめぐる中で、人間の尊厳や崇高さに思いをいたし、未来への希望をはぐくむ旅もありましょう。古くは東北を旅した芭蕉がそうでありました。しかし、訪れる先々で人情の機微に触れ、日常生活の中でたまってしまった人生のあかを洗い流してくれる温かい心、もてなし、そういう場面に遭遇することもあるでしょう。これもまた旅の大きな目的でありましょう。このような旅行者を温かく迎え入れる真心こそ、本市の目指す究極の観光事業でなければなりません。市民の観光に対する機運の醸成について、市長の率直な御所見をお伺いいたします。
次に、第八十五
号議案介護保険条例の一部を改正する条例に関してお伺いいたします。
この条例案は、低所得者に対する介護保険料の軽減対策の実施を明確にしたものであります。市長は、今日までの議会論議、我が会派の第一回
定例会代表質疑等により決断をされたとの理解をいたしますが、本年九月をもって国の特別対策における保険料の軽減措置が終了し、本来の額になることから、現行制度の枠内で工夫を凝らしながら、真に困っている方々に対策を講じられることは高く評価をいたします。これにより二千二百五十名の方が対象になるとの試算でありますが、制度の趣旨から、よりきめ細やかな配慮が重要であります。対象者の掌握、周知徹底のあり方について、公平性の視点からどう取り組まれるのかお伺いいたします。
次に、利用料の軽減についてであります。
本市における第一号被保険者の要介護認定状況は一万四千百二十三人、そのうち
サービス受給者数は一万一千五百五十一人で、約二割弱、二千五百七十二人の方がサービスを利用しておりません。要介護認定を受けてもサービスを利用しない大きな要因は何か。それは制度に対する理解が浸透していないためであり、理解が浸透すれば利用率が高まるという指摘もございますが、最大の理由は利用料の経済的負担の重さにあると考えます。
我が会派は、市民との率直な声を聞こうとアンケート調査に取り組んできました。そこで、保険料、利用料の負担軽減を願う声が次々寄せられました。例えば、健康保険の上に介護保険が加わり、年金のかなりの部分が吸い上げられてしまう。日常生活さえままならないのに、月五万円の年金から保険料が差し引かれ、結局、病院にかかるお金を惜しんで、結果的には症状を悪化させてしまう。また、利用料一割負担を考えると
サービスメニューを減らしてしまう、などの声が寄せられたのであります。
去る三月策定の
介護保険サービス利用に関する調査によりますと、サービス利用を低く抑える理由について、本人や家族に負担がかかるからとか、費用負担が可能な範囲で我慢している等を挙げています。要介護五に至っては約六割を占め、利用料の経済的負担が重いことが浮き彫りになっております。低所得者対策についての
介護保険料軽減のための取り組みが条例案として提起されていることから、同様にこの機会に
介護保険利用料の自己負担分の軽減措置の拡充を強く求めるものでありますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
次に、介護保険に関する具体の問題点についてお伺いいたします。
まず、利用者の立場から申し上げます。措置から契約へと、
介護保険制度創設以来一年を経過し、発足以来、今日までさまざまな問題が生じ、制度の不備な部分が露呈してきました。日常活動の中で利用者からの苦情、相談を紹介いたしますと、ホームヘルパーに関しては、今まで来ていた人が急にかわってしまったり、日によって、またはサービスによって担当者がかわるのでなじめないという不満や、一日のヘルプサービスの時間が短くて、慌ただしく出入りするので、利用者も家族も動きについていけず疲れてしまうという悩みも訴えられております。中には、来るたびにヘルパーがかわってしまうので、そのたびに手順を教えなくてはならない。これなら家族でやった方が早いと断ってしまったというケースもございます。
また、デイサービスについても、義務的な施設の対応に行きたがらなくなったり、また、メニュー不足を強く訴える方もおります。
このほか、デイケアの回数や入浴サービスをふやすこと。そして一番多かったのは、役所に気軽に行ける相談窓口や、苦情に対応できるよう、さまざまな要望が出されておるわけでございます。大事な市民の声であります。介護保険は介護の社会化を目指すものであり、家族とりわけ女性が私的介護負担から解放されるはずが、ほとんどの家庭で今までと変わらない生活を強いられ、家族が休息したり楽しむゆとりがない状態であります。このようないろいろな問題が提起されておりますが、このような状況をどのように受けとめ、改善なされるおつもりか、お伺いいたします。
次に、事業者の立場から申し上げます。
過日、介護関係諸団体との懇談会を仙台市内で開催いたしました。介護にかかわるそれぞれの立場の人たちから、さまざまな声が寄せられました。
ケアマネジャーからは、困ったときの
バックアップ体制が整備されていない。
居宅介護支援事業者からは、職員の採用後、半年間の研修教育が必要であり、給料を払いながら勉強してもらっている。厳しい経営状況の中で、職員の資質を高める余裕がない。
ケアマネジャーの資格を有していても、他の職業との兼務資格者のみが多く、専従者は全体の三割であり、運営に支障を来している。
また、
特別養護老人ホームと
デイサービスセンター等を営む施設の管理者からは、措置制度以前に比較し雇用条件が悪くなっている。安定した給料が払えなくなっており、雇用関係の安定しない臨時職員が七割になっている。そのため、サービスの質に影響が出ている。本市における
特別養護老人ホームは二十六カ所あり、定員は千七百名強であるが、若干低めの待機者がいる。自分の施設でも五十名の定員で待機者が五十名いるので、入所まで何年もかかっているなど、さまざまな実態が浮き彫りになりました。
以上、主なものを列挙いたしましたが、介護保険制度の充実に向け、本市は現場の問題をしっかりと把握し、市で対応できるものは速やかに対応し、国で対応することは強く申し入れを行い、制度のあるべき姿に今後全力で取り組むべきであると思うのであります。
そこで、以下、数点について伺います。
一点目は、制度実施後の問題点について実態調査を行い、その上に立って、制度の見直し等、改善点を国に迫るべきであると思いますが、御所見を伺います。
二点目は、
特別養護老人ホームの増設については、本年二月現在、待機者一千二百七十五名という異常事態打開に向けて、仙台市
高齢者保健福祉計画を見直すとともに、施設建設に全力を図るべきである。その取り組みについてお伺いいたします。
三点目は、
サービス提供事業者や
ケアマネジャーに対する
バックアップ体制について、どのような対応をなされるのかお伺いいたします。
次に、第九十二
号議案学校移転用地に関連して、市長の率直な御所見をお伺いします。
現在、仙台市内には小学校百二十二校、中学校六十三校設置されておりますが、学校によっては、住宅地に面し、地形上、風も強く、グラウンドから舞い上がる砂じんの防止対策に苦慮しているところもあり、
校庭フィールド部分を芝生化してはどうかという提案をするものであります。
はだしで動き回ることによって、その感触はすばらしく、情操教育の観点からも効果が期待されております。さらに、校庭が緑であるため、
コンクリート校舎がやわらかく感じられますし、緑と人間が共生する広場として、地域との交流の機会など、多面的に活用されるのではないでしょうか。
また、芝生の刈り込み、除草については、教職員、児童が教育の一環として参加させることも考えられますし、学校だけでなく、父兄や地域の人たちと協力して維持管理することも可能であります。安全で公園のような校庭を持つ学校、青々と緑のじゅうたんに囲まれた学校づくりを、二十一世紀仙台発の柱にしてはいかがでしょうか。このことにより、砂じんから地域住民は解放され、子供たちにとりましても、自然と共生する環境の中で、体験を通し、児童の活動面、心理面に好影響を与えることになるものと確信いたします。
この施策実現には、二十一世紀の杜の都仙台、人間教育を標榜する藤井市長の決断にかかっていると思います、いかがでしょうか。また、それをなし得るのは藤井黎市長しかいない。そのことを申し上げ、私の代表質疑を終わらせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
6: ◯市長(藤井黎)登坂議員の御質問にお答えを申し上げます。
最初は、市長の基本姿勢についてでございます。
市政のリーダーは、常に政治の判断の基本といたしましてヒューマニズムをその根底に置くべきであると、こういう登坂議員のお考えに対しまして、私も全く思いを同じにするものでございます。その思いを平成十三年度施政方針の中でも明らかにしたところでもございます。
ハンセン病の患者訴訟に関する今回の判決、そして国側の控訴断念につきましては、人道的な視点に基づく大きな英断であると、高く評価をいたすものでございます。
次は、学校等の安全確保に関する御質問でございますが、大阪における今回の事件の発生後、直ちにすべての学校に対しまして、児童生徒の安全確保に関する日ごろの取り組みについての見直し、点検を指示いたしたところでございます。それに引き続いて、県警への学校周辺のパトロールを要請したり、また、私立の幼稚園を含めた仙台市立の諸学校の参加によりまして緊急の説明会を開催をしたり、また、そこにおけるアンケートの実施をいたしたりもいたしました。
アンケートに基づきましての施設面における対応といたしまして、今回は学校等における警報ベルの設置を早急に進めることといたしました。これにつきましては、緊急措置ということもございまして、とりあえずは現行の予算の中におきまして対応をいたす方針でございます。
なお、現在学校、保育所等の施設の実態を改めて把握するための調査を行っておるところでございますので、今後、その結果を踏まえて、さらに必要な対応をいたしてまいる所存でございます。
関連いたしまして、精神障害者に対する法規制の国の動きについての見解ということでございます。
私といたしましては、今回のような痛ましい事件は二度と起きてはならないことでありまして、社会全体でその未然防止のため一丸となって努力すべきである、こう考えておるところでございます。
しかし、この場合におきましても、精神障害者全体に対する偏見あるいは差別が助長されることなく、地域での生活を支援するための方策の充実等による自立と社会参加の促進もまた重要なことでありますので、十分にこれらを考慮しながら、いわゆる触法精神障害者への対応等につきましては、広く国民的な論議のもとに、慎重の上にも慎重を重ねて、国において検討されることを期待をいたすものでございます。
次は、観光振興の御質問のうち、
シティーセールスの取り組みについてでございます。
今日の仙台の魅力というものは、杜の都に代表される豊かな自然、そして歴史的な風土と、もう一つは、百万都市としての多様な都市機能が見事に調和をいたし、それらが相乗的に関係し合う中で醸し出されているものと考えるものでございます。
ことしから来年にかけまして、ちょうど各種の記念のイベントが行われており、また大型のスポーツ行事等が連続して開催されますので、これを逃すべきではない大事な機会ととらえまして、仙台の魅力を全面に出しながら、ビジターズ産業を特性といたします仙台市の
シティーセールスに積極的に取り組むことといたしておるところでございます。
また、これらのイベント等を通じまして得られるさまざまなノウハウだとか、あるいは、おっしゃるような、おもてなしの心を初めとする人的な財産、これを十分に生かして、仙台の魅力の質の向上に努めながら、都市イメージを広く内外に打ち出すことが重要なことであると考えております。
今後、世界的な会議や学術、文化、スポーツのイベント等の誘致、開催を初め、IT技術を活用した都市イメージの発信など、仙台の国際的な知名度を向上させるさまざまなプロジェクトに、御指摘のような
アクションプランの策定をも含めながら、戦略的、効果的な
シティーセールスを開発することに努めてまいりたいと存じます。
最後の御質問にございました、学校の校庭の芝生化についてででございます。
校庭の砂じん対策につきましては、これまでも校庭の表土の土質改良、あるいは散水栓の設置とか植栽、こういったさまざまな手法を講じながらその対策を講じてまいったわけでございますけれども、必ずしもそれらが完全であると言えない事情にあることも否定できないところでございます。
御提案の学校校庭の芝生化という問題は、私にとりましても大変魅力的な御提案であるというふうに感じておるところでございます。御指摘のように、子供たちの教育上の効果も期待されるところでありますし、今後はそうした点も含めまして、また一方では管理上のさまざまな問題もあるかもしれませんので、そうしたものも含めて早速に研究を始めるように指示をいたしたいと、このように考えます。
そのほかの御質問に関しましては、関係の局長から御答弁させたいと思います。
以上でございます。
7: ◯健康福祉局長(櫻井正孝)私からは、介護保険制度に係る御質問にお答えを申し上げます。
まず、減免対象者の把握ですとか、あるいはその周知についてでございますけれども、御指摘のとおり、保険料減免の実施に当たりましては、対象となる方が申請の機会を失することがないように、この制度の周知、徹底が肝要であるというふうに考えてございます。
減免の要件であります収入状況につきましては、正確には把握いたしておりませんので、具体的な対象者は掌握をいたしてございませんけれども、実施に当たりましては、市政だより等によりまして制度を広く周知いたすとともに、第二段階の被保険者を中心といたしまして、対象となり得る方々に対して個別に通知をいたしてまいりたいと、そのように考えてございます。
次に、利用料の自己負担分の軽減措置の拡大についてでございますけれども、現在、低所得者に対する費用負担の激変緩和策といたしまして、従来からの
特別養護老人ホーム入所者につきましては、五年間の経過措置がとられておるところでございます。また、国の特別対策といたしまして、従来から訪問介護サービスを利用している方について、三%への減額措置を行っているところでもございます。また、生活保護受給者を除く保険料の第一段階の方が、社会福祉法人の提供する施設サービスであるとか、あるいは通所介護、短期入所生活介護などのサービスを利用した場合には五%への減額措置がとられているところでもございます。
この社会福祉法人による減額措置につきましては、低所得者の利用負担軽減の観点から、現在、拡大の方向で検討をいたしておるところでございまして、今後、関係団体との調整を行って、実現に向けて努力をいたしてまいりたいと考えてございます。
次に、利用者の立場に立った改善策についてでございますけれども、御指摘のようなさまざまな事例につきましては、私どもに対しても直接、御意見、御要望をいただいておりまして、個別具体のサービス提供の場面におきましては、まだまだ改善するべき課題があるものと認識をいたしております。寄せられました御意見あるいは御要望に対しましては、必要に応じてサービス事業者に連絡するなど、指導、助言を行ってきたところではございますが、制度に起因すると思われる訪問介護員の資格取得の要件であるとか、あるいは介護報酬などの課題につきましては、引き続き国に対して改善を図るよう強く働きかけをいたしてまいりたいと考えております。
また、市役所、あるいは区役所での窓口、在宅介護支援センターが、利用者の方にとって気軽に相談しやすいということは大変大事なことでございますので、今後とも接遇あるいは資質の向上等に向けて努力をいたしてまいりたいと考えてございます。
次に、制度実施後の問題点についてのお尋ねでございますけれども、本市におきましては、これまでサービス利用に関する意識調査、あるいは
居宅介護支援事業者に対する実態調査などを行いまして、利用者側のニーズ把握に努めるとともに、老人施設協議会を初めといたします関係団体との意見交換の場、あるいは介護事業者で組織する介護サービスネットワークの意見交換の場などにおきまして、サービス事業者の立場からの御意見、御要望もいろいろとちょうだいをいたしているところでございます。
これまでちょうだいいたしました御意見、御要望を踏まえまして、私どもといたしましては、市長会を初め、あるいは他都市との情報交換の場などを通じまして、制度的な課題としての認識の共有化を行って、解決すべき課題につきましては、国に対し、これまでも要望を行ってきたところではございますけれども、今後とも強く要望いたしてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、
特別養護老人ホーム増設についてのお尋ねでございます。
介護保険制度が実施されましてから、各施設における入所希望者が多くなってまいっております。その内容を見てみますと、将来の入所に備えての申し込みの方、あるいは老人保健施設に入所しながら申し込んでいらっしゃる方なども相当ございます。しかし、施設入所へのニーズというものが増加傾向にあることは確かなことでございますので、現在の
高齢者保健福祉計画で定める
特別養護老人ホーム、二百五十床でございますけれども、これのほかに老人保健施設、あるいはグループホームの整備に全力を挙げてまいる所存でございます。
また、来年度にはこの計画の見直しを予定いたしてございまして、平成十五年度から十九年度までの計画を策定いたすことにいたしてございますので、この中でニーズを踏まえた
特別養護老人ホームの必要な整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
最後に、介護従事者に対する支援でございます。
サービス提供事業者に対しましては、区の高齢者総合相談窓口におきまして処遇困難事例などについて指導を行っておりますほか、事業運営上参考と思われるような情報につきましては、遅滞なく提供をいたしているところでございます。
また、
ケアマネジャーに対しましては、新たに設置をいたしました
ケアマネジャー支援センターにおきまして個々具体の相談に応じておりますが、今後は研修会の継続的な開催や、あるいは関係機関連携のための調整など、ケアマネジメントの質の向上に向けて積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
8: ◯経済局長(佐藤正一郎)観光に関する御質問のうち、市長が答弁いたしました
シティーセールス以外についてお答えを申し上げます。
初めに、地域観光資源についての御質問でございます。
大型イベントによるビジターの増加を一過性のものにしないためには、御指摘のとおり、自然的資源や歴史、文化的資源、さらには都市的資源を生かしながら、新たな都市観光の展開を図っていくことが必要であると考えております。
これまでも、秋保里センターの整備、運営や、観光シティループバス事業などに取り組んでまいったところでございますが、引き続きこうした本市固有の地域資源を生かし、奥行きのある都市の魅力づくりに努めてまいりたいと存じます。
次に、経済波及効果についてでございますが、仙台市独自の調査は行っておりませんので、宮城県観光動態調査をもとにして試算いたしております。平成十二年度の試算では、仙台市の消費総額は千二百八十四億円、波及効果も含めますと二千百三十三億円の経済効果となり、本市経済にとりましても重要な位置を占めているものと認識をいたしております。
本市におきましては、今年度、経済波及効果を試算する産業連関表の策定を予定いたしておりますので、今後はこれにより、波及効果の分析に努め、観光施策の充実強化につなげてまいりたいと考えております。
次は、
外国人ビジターの推移及び今後の対応並びに環境整備についてでございます。
まず、
外国人ビジターの推移に関し、ここ三年間の宿泊者数を見ますと、平成十年が五万二千六百五十一人、十一年が五万四千九十五人、十二年は六万一千七百五十八人となっており、年々増加傾向にございます。来年度は大規模な国際的イベントが開催され、さらにふえることが予想されますので、
外国人ビジターにとってもわかりやすく、利用しやすい、快適に滞在していただける環境づくりを進めていくことが重要であると考えております。
これまでも、多国語表記による歩行者系誘導サイン整備やホームページの拡充を進めているところでもあり、また、観光シティループバス事業の中でも対応してまいったところでございます。引き続きハード、ソフト両面での取り組みを進めていくことが必要であると考えておりますので、関係機関、部局などと協議、検討を行い、受け入れ環境の充実に努めてまいりたいと存じます。
次に、総合観光案内所についてでございますが、東北のゲートウエーであるJR仙台駅に設置されている当案内所は、多くのビジターに対して効果的に観光や交通アクセス情報などを提供していくことが基本的な役割であると認識をいたしております。従来から、わかりやすい地への案内所の設置がビジターを初めとする各方面から要望されており、大型イベントの開催に合わせて、関係機関協議の上、今回の移設へと至ったところでございます。今後とも利用者の御意見を伺いながら、案内機能の充実、強化に努めてまいります。
次に、
仙台観光コンベンション協会についてでございます。
現在、協会では、効果的なキャンペーン手法の検討など、新たな事業展開に向けた取り組みを進めており、人材活用の面からは、民間登用を行うなど、組織強化を図っているところでございます。本市といたしましても、引き続き十分な連携を取りながら、観光コンベンション機能の充実、強化に努めてまいりたいと存じます。
最後に、市民の観光に対する機運醸成についてでございます。
これからの観光振興を図る上での重要なポイントとしては、心の温かさを感じられるような、都市全体のたたずまい、美しさといった、都市の個性、魅力を向上させていくことが挙げられるものと考えております。こうしたものは、日ごろの市民の営みや本市を訪れる方々との交流の中から形づくられていくものであり、また、このような取り組みを進めていく上では、御指摘にもございますように、市民一人一人のさりげない優しさ、ビジターの視点に立った温かい対応というものが重要でございます。
市長も、常日ごろより、おもてなしの心、ホスピタリティーの大切さを強調しておるところでございますので、今後とも十分に意を用いてまいりたいと存じます。
以上でございます。
9: ◯教育長(阿部芳吉)私の方からは、教育に関する御質問のうち、
学校安全対策協議会の設置についてお答え申し上げます。
本市におきましては、昭和五十八年から、中学校区単位で、PTAや町内会、そして防犯協会、警察等により構成される仙台市地域ぐるみ生活指導連絡協議会を設置してございまして、これらが青少年の健全育成に努めてまいったところでございます。
今後といたしましても、こうした組織を通じて培ったネットワークを十分に活用いたしまして、一層の連携強化を図りながら、地域ぐるみで児童生徒の安全確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
10: ◯議長(村上隆志)次に、洞口邦子君に発言を許します。
〔三十八番
洞口邦子登壇〕(拍手)
11: ◯三十八番(洞口邦子)私は、日本共産党仙台市会議員団を代表して、第八十三号議案平成十三年度仙台市介護保険事業特別会計補正予算第一号並びに第八十五号議案仙台市介護保険条例の一部を改正する条例について質疑を行います。
介護保険実施から一年余がたちました。サービス不足や認定問題、福祉現場の労働条件悪化など、危惧されたとおりのさまざまな矛盾が浮き彫りになっています。とりわけ、この新しい制度のもとで、真に介護を必要とする低所得の高齢者が、利用料や保険料の重さから、十分なサービスを受けられない事態は最大の矛盾となっています。
全日本民主医療機関連合会の調査では、介護にかかわる費用負担が介護保険実施前の月五千六百円から、実施後の一万四千六百円へと二・六倍となっていること、また、保険料の段階ごとのサービス利用状況では、所得が低い層での利用率が低い実態も明らかになりました。政府は、介護サービスの利用料は増加したから順調だと言いますが、これは高額所得者や新規利用者の利用拡大を含むものであり、低所得者だけを見れば、各種調査でも明らかに利用が抑制されています。
しかも、高齢者の約七割が住民税非課税者であり、こうした低所得者ほど要介護率が高いにもかかわらずサービスが受けられないことは、事態を一層深刻にしています。在宅サービスの利用者が、政府が当初予測した人数よりも七十万人も下回り、仙台市でも見込み数を千五百人以上下回ったことは、この事情を反映したものです。
市の介護保険料の収納状況は、普通徴収で三月末では八二・三%にとどまっています。市がことし三月に策定した
介護保険サービス利用に関する調査報告書では、保険料の負担感について、支払いが困難な額であるとするものが平均で七・七%あり、特に低所得者層が多い第一段階、ひとり暮らし世帯が多い第二段階、高齢者のみ世帯が多い第三段階に深刻な影響が広がっています。
また、市のサービス需給者数は一万千五百五十一人と介護認定者の七八・一一%で、残りの二一・八九%が全くサービスを受けていないことになります。市の報告書でも、このうち約四割が認定申請や契約など、手続が煩わしい、利用しなくても保険料を納めなければならないとしています。経済的な負担や基盤整備のおくれが原因となって希望する介護が受けられないということは、あってはならないことです。どのような要介護状態にあろうと、本人と家族が希望すれば、在宅でも施設でも介護が受けられるような制度であるべきではないでしょうか。市長は、実施されて一年余の介護保険制度についてどのように評価しているのか、まず伺います。
日本銀行が昨年十二月に行った調査では、介護保険導入で老後の不安感が増した人が減った人を上回っています。老後に備えて貯蓄をふやす人が減らす人の十三倍に上りました。これでは、一体何のための介護保険かというのが多くの国民の率直な実感です。
この第一の原因は、政府自民党が高齢者の医療、介護に係る財政負担削減が先にありきで制度設計を行ったことです。第二の問題は、国が単に国庫負担を削減するだけでなく、介護保険事業そのものから公的責任を撤退させ、営利企業の参入を進めたことです。これは、介護の現場を競争主義で変質、混乱させるとともに、市場原理によって、既存の社会保障分野のリストラや人件費の大幅削減をもたらしつつあります。
小泉内閣は、介護にかかわる深刻な実態を国会で突きつけられても、現行制度とは別に、新たに国による減免制度を設ける考えはないとして、弱者を切り捨てる冷たい姿勢は全く変えていません。介護保険の矛盾が将来不安を深刻にし、個人消費を抑える要因になっていることは明らかです。社会保障について自立、自助を強調し、国の責任を放棄する小泉首相のやり方は、従来型の国民いじめの自民党政治の立場そのものです。
日本共産党は、これまでも介護保険が高齢者の新たな苦しみと負担の原因とならず、老後を支えるしっかりとした制度の一つとなるように、現場での切実な声を受けとめて、行政が真剣な努力を尽くすよう求めてきました。
十月から高齢者の保険料満額徴収が始まれば、保険料は二倍に、年間の保険料負担は一気に昨年度の三倍にふえます。このままでは保険料を支払えない世帯が急増し、負担にじっと耐えながら辛うじてサービスを利用しているお年寄りも、さらに必要なサービスを切り縮め、次々と脱落せざるを得ません。お年寄りとその家族に広がっている不安を軽減するためにも、低所得者に対する保険料、利用料の減免、助成措置がますます切実な課題となっています。
提案されている保険料の減免条例は、住民と身近に接する自治体としては当然の取り組みですが、その内容は決して十分とは言えません。第一に、低所得者の範囲を市民税非課税者からさらに厳しく限定していることです。市の第一号被保険者約十三万人中、第一段階と第二段階だけで約三万六千人です。さらに、収入が一万五千円未満の普通徴収者で、第一、第二の合計は約九千四百人です。今回の提案の減免基準に基づく減免対象人数は、この四割程度の二千二百五十人程度です。
第二に、生活保護基準を参考にしていますが、全額免除がありません。生活保護は保険料も利用料も保護費から支給され、実質、自己負担は免除されています。該当者の制限を公平性の観点から生活保護に準ずるのであれば、保険料も準じて全額免除規定を新設しないのは公平性に欠けるのではないでしょうか。
第三に、減免の財源は第一号被保険者の保険料となっています。本人が市民税非課税である第三段階でも、高齢者のみ世帯やひとり暮らし世帯は約三割で、現在の半額保険料でも支払い困難層が約一割存在します。そこに上乗せしていけば、第三段階以上での滞納者が増加するなどの問題があります。また、減免基準には世帯収入だけでなく扶養の有無や資産活用の有無がありますが、生活保護制度とは別の施策なのですから、そこまで減免を外す要件にする必要があるのでしょうか。
既に減免を実施している政令市では、内容にかなりの制約があるために、当初予算を大幅に下回る利用者にとどまっています。これではせっかくの制度も絵にかいたもちになってしまいます。少しでも多くの低所得者がこの制度を利用できるよう、減免基準の大幅な緩和を求めるものですが、いかがでしょうか。
さて、厚生労働省が適当でないと考えている事例として挙げている三点が、保険料の全額免除、収入のみに着目した一律の減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れです。今回の提案はその枠内であり、市民の要望とはかけ離れた極めて不十分な内容と言わざるを得ません。介護保険の保険料徴収は、本来自治事務であり、国が口を差し挟む問題ではありません。本来は自治体がみずから決めたやり方で保険料などの減免ができるのに、なぜ市の条例が国の指示どおりの減免内容にとどまっているのか、伺います。
私は、保険料軽減措置をこれだけにとどめるのではなく、住民税非課税世帯本人に対する免除制度を思い切って広げるべきと考えます。例えば、第一号被保険者の第一段階は、現在基準額の〇・五になっていますが、これを無料にしても市の負担増は約四千五百万円です。このうち生活保護世帯を除けば、わずか約八百二十万円の負担増です。第二段階を現在の〇・七五から〇・五にすることも、約二億八千六百万円で可能です。保険料の満額徴収を前にして、当面せめてこの程度までは拡充を急ぐべきです。
また、保険料総枠の中だけで調整するのではなく一般財源を用いて減額する制度にすべきと思いますが、これらの点についていかがお考えでしょうか。
保険料負担に加えてさらに深刻なのは、利用料負担の重圧です。市の調査でも、四割未満の利用者が六〇%に達しています。東ヘルパーステーションで伺った話でも、三%の利用料でも負担感が多く、七、八万円の年金から七、八千円取られることはきつい。週一回九十五円のサービスでも、週二回にしたがらない。百円、二百円の負担を重く感じる人が多い。二百円浮かすために、入浴サービスをやめてヘルパーに切りかえるケースもある。要介護度二、三の人にもっと利用してほしいが、お金を出したくない人が多いなど、利用抑制の原因が利用料にあることが浮き彫りになっています。
一割負担がサービス利用の妨げになっていることは、今やどの調査でも明白です。だからこそ全国の五つに一つの自治体が独自の減免制度を実施しているのであり、仙台市でも利用料負担の軽減が緊急、切実に求められています。今議会に保険料減免とあわせて利用料減免が提案されなかったのはなぜなのか、伺います。
既に政令市でも川崎市や横浜市が利用料減免に取り組んでいますから、仙台市も他都市におくれることなく取り組むべきです。とりわけ急がれるのは、在宅の利用料軽減です。当面の最小限の措置として、政府の特別対策である訪問介護利用料の三%への軽減措置を、新規のサービス利用者も含めて、訪問看護、デイケア、訪問入浴などすべての在宅サービスに拡大するよう早急に検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
本来、住民税を課税されていないお年寄りは、保険料も利用料も徴収対象とすべきではありません。そもそも住民税を課税されていないということは、その所得は生活を維持するのに最低限の費用であるはずだからです。地方自治法や老人福祉法等によって、住民の命と健康を守り、福祉を向上させる責任がある自治体として、住民税非課税者の保険料、利用料は免除、軽減する恒久的な措置を講じる方向への政策転換を求めるものですが、いかがでしょうか。
地方自治体に広がっているこうした制度を、国の制度として確立することは最小限の課題です。介護保険料の徴収問題も含めて、低所得者層が経済的理由によって、必要な保健医療サービス及び福祉サービスにかかわる給付を受けられず、自立した日常生活を営むことが困難になるとすれば、ましてや措置制度で受けていた福祉サービスからも後退することは、介護保険法にさえ違反することになります。保険外の自立支援策を含め、サービス提供や介護基盤整備など、地方自治体が本来の役割を発揮することがますます重要となっており、そのための国による財政支援を強める必要があります。
高過ぎる保険料の問題は、そもそもは国が財政負担を半減させたことから来るものです。ですから、幾ら自治体が独自の減免をしようと努力しても、それだけでは限界があるのも事実です。十月からの満額徴収を前に、住民税非課税者の保険料を免除する恒久的な対策をとることは介護保険存続の前提条件です。国として具体的な低所得者対策を示せないのであれば、十月からの保険料満額徴収を凍結し、低所得者対策を先行させること、また、国の制度として在宅サービスの利用料を住民税非課税者まで無料にすること、市としてこの二点を国に強く要求すべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、介護保険料の滞納と連動した国民健康保険証の取り上げが不安を広げています。介護保険料は国民健康保険料に上乗せされていますが、市では保険料の滞納から一年未満であれば短期被保険者証が交付されます。滞納が一年以上続いた場合は短期保険者証を返還させ、資格証明書が発行されます。資格証明書で医療機関を受診した場合は、全額自己負担、償還払いとなります。さらに、滞納が一年六カ月を過ぎると、保険給付は全部または一部が差しとめとなります。
市で、現在短期被保険者証が交付されているのは約二千世帯で、これに近い数が資格証明書交付の対象になる可能性があります。もちろん、負担能力があるのに保険料を支払わない悪質滞納者は論外ですが、危惧されるのは、保険料を払いたくても払えない人が、資格証明書を交付され全額自己負担となったとき、高額な医療費を払えるはずもなく、病気になっても受診しなくなることです。国民健康保険料の取り上げは命の危機に直結します。資格証明書の発行や保険給付の差しとめは中止するよう求めるものですが、いかがでしょうか。
低所得者対策以外の介護保険にかかわる緊急改善策として、以下の三点が挙げられます。
第一点として、依然として不足している介護サービス基盤の整備に全力を挙げることです。保険料を集めながら基盤整備のおくれで介護サービスが利用できないとなれば、これは警告処分では済みません。明らかな契約違反ということになります。特に急がなければならないのは
特別養護老人ホームの増設です。市が行った特養ホームの入所申し込み状況の調査結果によると、市民の入所申し込み者はことし二月一日現在で千二百七十五人に上っています。このうち、老人保健施設などの施設入所者を除いても、数百名のお年寄りが自宅で特養ホームへの入所を待っていることになります。
市の
高齢者保健福祉計画によると、二〇〇四年度までに五カ所で二百五十人分を整備することになっていますが、特養ホームへの入所申し込み希望者は介護保険が始まってから急増し、二月の調査後も全県で毎月百名程度ずつふえているとのことですから、市の計画ではとてもニーズにこたえることはできません。実態調査を踏まえた基盤整備を進めるために、積極的な対策を講じるべきです。特養ホームの整備目標を新たに十カ所程度に引き上げれば、新たな雇用の拡大と地元企業の仕事拡大にもつながります。そのためにも自治体の基盤整備が進むような国の支援策を求めるべきと思いますが、これらの点についていかがお考えでしょうか。
また、ショートステイは利用枠の一定の改善が図られましたが、もともと在宅サービスの利用限度額の上限が低いため、在宅とショートステイの併用が困難になっています。介護を受ける本人の要介護度が軽くても、家族の健康状態や仕事などの事情でショートステイを多く利用せざるを得ないこともあります。要介護度で利用限度を区分すること自体、実情に合っていないのですから、要介護度と関係なく、必要なときにはいつでも使えるように、柔軟な仕組みに根本から改めるべきです。市での弾力的な運用を含め、利用しやすい仕組みに改善するよう国に働きかけるべきと思いますが、いかがでしょうか。
第二点として、介護保険の一年が、ホームヘルパーなど福祉介護労働者の犠牲の上にあると言っても過言でないほど、現場の労働条件が悪化しています。家事援助の評価がもともと不十分であるため、利用者からも家事援助サービスに対する不満が多く聞かれます。ホームヘルパーの労働条件の改善のためには、その原因の一つとなっている家事援助の介護報酬を引き上げることが必要です。ただし、これだけでは利用者の負担増にはね返るため、一割の利用料負担の減免とあわせて実現することが求められています。
深刻な雇用不安のもとで、雇用の受け皿として期待されている分野でもあり、サービスの提供を民間任せにせず、市が公的責任を果たせる方向で指導を強化することが重要です。そのためにも、当面、ヘルパーの相談等に対応するため、職員の増員等が求められています。
また、市では、独自に
ケアマネジャー支援センターをことし五月に開設し、専任相談員を配置するなどの取り組みを行っていますが、介護保険のかなめである
ケアマネジャーの努力に報いるために、介護報酬を適正に引き上げるなど早急に改善策を講じ、質のいいサービスを提供できるよう努力すべきです。これらの点、いかがお考えでしょうか。
第三点として、コンピューターによる要介護認定の一次判定コンピューターソフトは、痴呆の状態を反映できないなどの欠陥が指摘されています。現在、見直し作業が行われていますが、今もなお、欠陥ソフトによる認定が続けられており、一刻も放置できません。直ちに見直しを実現することです。
しかし、それだけでは問題の根本的な解決にはなりません。経済状態や家族の事情、住宅環境などを含めた総合的な評価が行われなければなりません。そのためには、今のコンピューター判定を基本とした要介護認定制度そのものの妥当性が問われています。大体、二次判定でコンピューターの一次判定の三割もが変更されているのですから、もはやこのような判定を行う意味は薄れているのではないでしょうか。コンピューターによる一次判定をやめることも視野に入れた条件整備を開始すべきです。これらについても、住民の生活実態に合った認定とすること、そのための制度改善を国に働きかけることを求めるものですが、いかがでしょうか。
介護保険制度のさまざまな問題の根本的解決のためには、財源を大もとから見直し、国庫負担をもとに戻すことが一番の解決の道です。また、この制度は能力に応じた負担の原則を確立する方向での改革が必要です。自民党政治が進めてきたように、保険料や利用料を負担する力のない人にまで負担させようとするやり方は、国民の暮らしを圧迫するだけではなく、社会保障制度の根幹そのものを崩してしまうことになります。現に国民年金では、保険料を支払えない人が全国で八百万人近く、仙台市では約五万四千人に上り、保険料収入が減った上に、将来の無年金者をたくさんつくることになり、制度が根底から揺さぶられています。負担する力のない人に負担を求めているために、国民健康保険でも全国で三百七十万世帯、仙台市では約二万六千五百世帯が滞納になっています。
しかし、これでは、重病化によってかえって医療費をふやし、社会的なコストを押し上げるだけです。日本共産党は、こうしたやり方を根本的に改め、社会保険の高額所得者への保険料頭打ち制度の見直しなど、大企業、高額所得者に適正な負担を求めるよう提案しています。
また、介護保険制度の実施に伴って引き下げられた国庫負担を二分の一に引き上げることで、高齢者の約七割を占める住民税非課税者の保険料、利用料を基本的に免除することができます。制度上のさまざまな問題点について必要な見直しを行うとともに、制度の根本的な問題点である財源のあり方にもメスを入れることが求められていますが、こうした点について、いかがお考えでしょうか。
今後の社会保障改革が、国民や高齢者の負担をふやし、給付を切り下げる方向で進みつつあります。これらに対峙し、すべての住民が住みなれた地域で安心して暮らすことができるような社会の構築を、日本共産党は目指しています。
社会保障に対する国庫負担、GDP国内総生産比を見ると、日米英など主要五カ国のうち日本は最も低く、しかも一九八〇年と直近とを比べて、減っているのは日本だけです。主要国では共通して高齢化が進むもとで、経済の規模拡大よりも社会保障を抑え込んでいる国は日本しかないことが浮き彫りになっています。
一九九八年度の公共事業費は、国と地方を合わせて四十七兆二千六百十三億円に上ったことが総務省の行政投資実績で明らかになりました。一方、九八年度の社会保障費、国、地方合計の公費負担分は二十一兆九千八百八十二億円、国立社会保障・人口問題研究所調べでした。社会保障よりも公共事業に多くの税金を注ぎ込む構造は、国際的に見ると極めて異常です。普通は公共事業よりも社会保障の方に何倍も多くの税金を使います。例えば、ドイツは三倍、アメリカでも四倍、イギリスに至っては六倍です。欧米と比べて逆立ちした日本の財政構造をただすだけでも、社会保障改革のためにかなりの財源を生み出すことができます。国と地方を合わせて社会保障に二十兆円、公共事業に五十兆円という異常な税金の使い方を改め、社会保障を予算の主役に据えることこそ介護保険の改善にも必要です。
日本共産党は、現在の政治の基本的な転換を目指し頑張る決意を述べ、質問といたします。(拍手)
12: ◯市長(藤井黎)洞口議員の御質問にお答えを申し上げます。
介護保険制度につきましての多岐にわたる御質問でございますけれども、私からは、冒頭のこの制度に対する評価につきましてお答えを申し上げたいと存じます。
この介護保険制度は、高齢者の介護という問題を社会全体で支えるという全く新しい社会保険制度の創設でございまして、措置から契約へという制度の大転換でございました。したがいまして、私どもとしましては、何よりもまず市民の方々に大きな混乱のないようにという細心の注意を払いながらの出発でございました。
制度施行一年を経過いたしました現在思いますことは、この制度は社会情勢の大きな変化の中におきまして、高齢者が安心して暮らすことのできる社会を実現するための制度としておおむねは広く支持されたものと、このように認識をいたしているところでございます。
しかしながら、この制度はまだ始まったばかりでございまして、今後改善すべき大小さまざまな課題があることも否定できないところでございます。こうした諸課題につきましては、早急にその解決に向けまして対応を急ぎ、よりよい制度にして定着を図っていく必要があろうかと考えておるところでございます。
そのほかの御質問につきましては、健康福祉局長の方から答弁をさせたいと存じます。
以上でございます。
13: ◯健康福祉局長(櫻井正孝)それでは、まず保険料の減免基準の緩和についてでございますけれども、低所得者に対する保険料の減免のあり方につきましては、制度の根幹にかかわることでございますので、介護保険運営委員会の御意見もちょうだいいたしたところでございまして、委員の方々の意見の大勢は、社会保険方式である以上、一定の保険料負担は当然であるけれども、現に困窮している方がいるのであれば、限定的に減免を実施すべきである、こういった内容のものでございました。
今回の措置は、保険料所得区分の第二段階に該当している方の中には、第一段階に該当する方の生活水準と同程度の方がいらっしゃるという実態に着目をいたしまして減免を行うことといたすものでございますので、御理解をお願いいたしたいと存じます。
次に、保険料減免の内容に係る御質問でございますけれども、この制度が社会保険方式である以上、給付と負担の関係から、低所得者に対する保険料の減免ということでありましても、基本的な部分においては全国統一の考え方で行われるべきであるというふうに考えてございます。
したがって、本市におきましても、今回の保険料の減免につきましては、制度の趣旨及び国が示しました三原則にのっとりまして実施をいたすことにいたしたものでございます。
次に、保険料減免の拡充についてのお尋ねでございますけれども、御提言のように、第一号被保険者の保険料を無料にいたすことは制度の原則に反するものと考えておりますし、また、こうした減免措置に伴う保険料の減収分を一般財源から補てんいたすことも、制度の趣旨から困難なものと考えてございます。
次に、利用料の減免についてでございますけれども、社会保険制度における給付と負担のあり方という観点から、制度運営の根幹にかかわるものであると認識をいたしておりますので、今後、慎重に議論されるべきものと考えてございます。
また、ホームヘルプサービス利用料の軽減措置の拡大につきましては、ホームヘルプサービスに係る特別対策は、このサービスが多くの低所得者に利用されていたということに着目をいたしまして、激変緩和の経過措置ということで実施されたものと認識をいたしておりまして、現時点におきましてこの軽減措置をほかのサービスなどに拡大することは考えておらないところでございます。
次に、住民税の非課税者に対する保険料、利用料減免についてでございますが、第一号被保険者につきましては所得に応じた五段階の保険料が設定をされておりまして、この段階設定において既に住民税非課税者に対する配慮は行われているものと考えているところでございます。
また、利用者負担につきましては、サービスを利用した場合に受益者負担として一定の利用料をいただくのが制度の原則でございますので、住民税非課税者に対して恒久的な免除、軽減措置を講ずることは困難なものと考えてございます。
次に、国へ対しての要望に係る御質問のうち、保険料の満額徴収を凍結することについてでございますが、第二号被保険者につきましては既に昨年の四月から満額徴収となっているところでございますし、介護サービスを利用する方のほとんどが第一号保険者であるということを考えますと、世代間の負担の公平という観点からも、第一号被保険者にも十月からは本来の保険料を御負担いただくことが基本であろうというふうに考えております。
また、在宅サービスの利用料につきましては、住民税非課税者まで無料にすることにつきましても、先ほど申し上げましたように困難なものと考えてございます。
次に、国民健康保険に係る資格証明書の発行と保険給付の差しとめについてのお尋ねでございます。
このことにつきましては、国民健康保険法の改正によりまして、国民健康保険料の滞納者対策として保険者に義務づけられたものでございます。実施に当たりましては、まず最初に、これまでも実施しておりました、有効期間の短い、いわゆる短期被保険者証を活用いたしまして、納付相談等の接触の機会を数多く設けまして、滞納している個々の方々の御事情などもよくお聞きをいたすことといたしております。それでもなお一定の理由もなく滞納をいたしている方には、資格証明書の交付や保険給付の一時差しとめをすることとなるわけでございますけれども、この場合におきましても、機械的に一律に実施するものではなくて、さらに個々の事情をお伺いした上で、なお、世帯主の病気であるとか、災害等の問題であるとか、法の定める特別の事情に該当しない世帯について行うことといたしているところでございます。
次に、介護サービス基盤の整備についての御質問でございますが、入所希望者の増加に対しましては、現在私どもが持っている平成十六年度までの施設整備計画を着実に進めるとともに、さらに、来年度行うこととしております
高齢者保健福祉計画の見直しの中で、在宅サービスや高齢者の住宅施策等の役割分担も考慮しながら適切な施設整備計画を策定いたすことといたしております。
また、自治体の基盤整備促進のための国の支援につきましては、十三大都市の民生主管局長会議などにおきまして、国への要望、あるいはそのほかもさまざまな機会をとらえまして、国へ働きかけをいたしているところでございます。
次に、利用しやすいショートステイということでございますけれども、このショートステイという制度でございますが、高齢者が要介護状態になった場合でございましても、できる限りその居宅において自立した生活が営めるようにということでございますが、その際その家族の介護者の負担の軽減を図るということを目的といたしているものでございまして、ショートステイをめぐる課題につきましては、引き続き検討をさせていただきたいと存じます。
次に、介護報酬の適正な引き上げなどについての御質問でございますけれども、現行の介護報酬につきましては、訪問介護や居宅支援等において改善を要する点があることは認識をいたしているところでございます。特に、介護保険制度のかなめと言われております
ケアマネジャーの業務に対する評価、これが適正でないとも言われております。よりよいサービスの提供が安定的に行われるよう、適正な介護報酬の改善について、国に対し強く要望をしてまいりたいと考えております。
次に、要介護認定の判定に際してのコンピューターの第一次判定ということでございますけれども、要介護認定というのは全国一律の基準で行われる必要があろうと考えておりまして、そのためにはコンピューターによる第一次判定は欠かせない手続なのではないかというふうに考えております。
本市におきましては、二年間、要介護認定モデル事業ということでやってまいりまして、その結果を踏まえまして、現行のソフトの不十分な点につきましては十分に内容を把握をいたし、それに該当するような事例につきましては適切な対応を図るように、慎重に審査、認定に反映をいたしているところでございます。
なお、現在国は認定基準の見直しについて検討するために実態調査等の作業に着手をいたしたと伺っておりますので、改善が必要と思われる事項につきましては、国に対し引き続き要望をいたしてまいりたいと考えてございます。
最後に、財源のあり方について種々御意見を賜りましたけれども、本市といたしましては、社会保険制度としてスタートしたこの介護保険制度につきまして、その円滑な事業運営を行っていくことが保険者に与えられた責務であると考えておりますので、高齢者が地域において安心して暮らせる社会の実現に向けまして、今後とも努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
14: ◯三十八番(洞口邦子)市長は、社会全体で支える制度だというふうにおっしゃいましたが、実際には弱者にしわ寄せが行っているのではないかということを、私、申し上げたつもりなんですが、そのような御認識はないのかどうか、再度伺います。
それから、全国統一の考えだということを一貫して局長さんがおっしゃっていましたけれども、市長が、よく地方分権の時代だとか、地方分権ということを種々、まくら言葉に使われていると思うんですが、そうした市長の方針とも、国の制度の枠内で行うということは逆行しているというか、反するのではないかというふうに思うんです。地方独自で、自治体の意思でやれることはあるはずです。もちろん、それだけで全部が解決する問題ではないとは思いますが、地方分権の精神と反するような答弁だと受けとめましたので、その辺の御認識はいかがか、再度伺いたいと思います。
それとも関連するんですが、利用料について、政令市の中でも取り組み始めている自治体があるわけですね。市長は、これまで仙台市は後発の政令市だから、都市基盤整備がおくれているからそうした分野に重点的に財政を投入するんだということで言ってこられましたね。それで、大型開発を見直ししないでどんどん進めてきたために、今、財政が大変になってきたというふうに思うんですけれども、戦後、戦争で苦労してきた人が、今、高齢者になって、保険料の利用料を捻出するのに苦しんでいる高齢者に優しい政治に切りかえるといいますか、財政をこういう分野に投入することこそ、最も今の仙台市民に喜ばれることではないかなというふうに考えるものですけれども、そういった姿勢に転換する御決意がおありなのか、ないのか、伺いたいと思います。
15: ◯市長(藤井黎)再度の御質問でございますが、第一点の、弱者にしわ寄せという、そういう結果になっているんではないかと、こういうことでございますが、この制度、先ほど申しましたように、まだスタートしたばかりでございまして、完全なものだというふうに私も思っておりません。
大小さまざまな課題がありますけれども、とりわけその中でも、普遍的な課題と申しますか、例えば介護認定のソフトの問題などは急がなければならない問題であるし、また個別の問題としても、特に低所得者に対するさまざまな個別の対応が必要なものもあるかと思います。それらに対しては、暫定的ではございますけれども、低所得者対策ということを念頭に置きながらの措置も講じられておりますが、これからもそうしたあたりへの配慮は必要であろうというふうに思っております。
ただ、先ほど局長からありましたように、社会保険制度という制度そのものの縛りがございますし、同時に、国の三原則という、この辺もまた同じような縛りをかけていることでございますので、そういう範囲内において最大限の努力をしているつもりでございます。今回の減免措置もまた、そうした中における我々としての一歩前進であるというふうに受けとめていただきたいと思います。
二番目の地方分権とのかかわり合いでございますが、確かに、独自の自立的な都市運営をするということは、これは理想なことでございまして、その前提として、やはり地方分権は権限だけではなくて、財源もまた同時に、我々の地方分権の条件を満足できるような状態に成熟した段階においては、そのとおり地方の独自の可能性が出てくるというふうに思います。その意味でも、地方分権に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
三番目の、いろんな公共事業にさまざま偏っているのではないかと、それをもっと福祉政策に傾注すべきではないかと、こういうお話でございますけれども、そのとおり私はすべての行政の都市づくりに対してバランスのある対応をしているつもりでございますので、大きくごらんいただきたいと思います。
以上でございます。
16: ◯議長(村上隆志)この際、暫時休憩いたします。
午後二時三十三分休憩
━━━━━━━━━━━━━━
午後二時五十二分開議
17: ◯議長(村上隆志)休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、辻隆一君に発言を許します。
〔三十七番 辻隆一登壇〕(拍手)
18: ◯三十七番(辻隆一)私は、社民党仙台市議団を代表いたしまして、質疑を行わさせていただきます。
初めに、市長の市政運営の考え方及び政治姿勢に関して幾つかの点でお伺いをいたします。
小泉内閣が発足して二カ月を経過しようとしていますが、八割を超える支持率が続いているとマスコミは報じています。このことは、政治、経済、社会を貫いて閉塞状況が蔓延している中で、国民の改革への期待のあらわれだと思います。しかし、国債発行の抑制、道路特定財源、特殊法人の見直し、郵政三事業の民営化、地方交付税と補助金の削減など、いずれの政策をとってみても具体的な中身はなく、方針を出す時期も参議院選後であるとか、先延ばしされている現状です。
いみじくも社民党の土井党首が代表質問で表現したように、構造改革の派手な大きな看板を掲げた新規開店のお店は評判が高くて人が並んでいるけれども、どれどれとのぞいてみたら、すべて準備中と書かれていて何も置いていない。そういう状況で、がっかりしている国民は怒り出すに違いないと思います。聖域なき改革は、弱肉強食の競争社会を拡大して大量の失業者を生み出し、福祉の切り捨てなど、国民の犠牲と地方への矛盾のしわ寄せを拡大していくものでしかないように思われてなりません。
二十一世紀は、市長も強調されておられるように、人も環境も共生の時代でなくてはならないと思います。小泉内閣の目指す社会は全く逆で、この共生の社会と相入れないものと思うのは私一人だけではないと思います。そこで、市長はこの小泉内閣をどのように評価されておられるのか、また、御自身の政治スタンスとの距離や相違についてどのような御所見をお持ちなのか、お伺いするものです。
とりわけ地方自治体との関係で見ますと、補助金や地方交付税の削減も視野に入れているようですが、地方分権の推進の流れの中で、税財源の地方への移譲のあり方が今後の大きな課題になってきているこの時期に、この論議を棚上げし、国の権益を守るためだけに地方へ矛盾のしわ寄せを強行することは許されるものではありません。もし、このことが実施されれば、少なくとも東西線建設や長町副都心整備など、本市が現在抱え、かつ今後取り組んでいくさまざまなプロジェクトに対する影響は避けられないものと考えます。そういったことを考え合わせ、かつ地方分権の推進という流れの中で、市長はこの問題をどのように考え、どのような対策をとるべきと考えておられるのか、お伺いするものです。
そもそも、この小泉内閣の方針にかかわらず、国、地方合わせて六百六十六兆円もの負債を抱える今日、本市のビッグプロジェクトを推進するに当たって、国からの補助金を当て込んでいること自体が計画そのものを不安定にしていると同時に、将来の負担への懸念を一層増幅していくことにつながっていると考えるものです。
本市は、平成十年に新行財政改革推進計画を打ち出し実施してきましたが、事財政問題に関しては、市債がふえ続けているように、矛盾を拡大し続けているのではないでしょうか。総括的に、これまでの取り組みがどれだけ効果があったと判断されておられるのか、この財政問題に関連して御所見をお伺いいたします。
市政運営に関する二つ目の質問は、本市の公共事業のあり方に関してであります。
小泉首相が明言するしないにかかわらず、今日的に国及び地方自治体を貫いて公共事業の見直しの大合唱が響いています。しかし、私は、国の赤字国債を発行してまでも大型公共事業に頼った景気対策や、その上での見直し策に少なからずの疑問を抱くものです。それは、土建国家と言われてきたように、利権構造が全く改革されていないからであります。
ところで、市長は就任以来、公共事業の見直しや事業の優先順位の透明化などを強調されてきました。しかし、藤井市政になってから、市民から多くの疑問が投げかけられてきたアエルやシェルコム仙台など、石井市政からの継続事業であったり、バブル期の発想のような事業が多く実施されてきたのではなかったでしょうか。音楽堂や女性センターなどは財政事情から延期になっている事業もありますが、青葉山公園構想、そして地下鉄東西線の計画など、将来の市の財政負担が懸念されるものも多く打ち出されてきたことも事実です。
私は、個別の事業をここで取り上げて云々する気はありませんが、藤井市長のこの八年間の総括の中で、事業の見直し及び優先順位の問題については具体的にどのように取り組んでこられたのか、またその自己評価をどのように考えておられるのかをお伺いしたいと存じます。
三点目は、さきの問題とも深く関連しますが、今、私たちの暮らしの周りには多くの不安が渦巻いていると思います。とりわけ介護や医療、年金など老後の問題、子育てや教育の問題、そして何よりも深刻な就業の問題などであります。今日の経済不況が消費不況と言われる最大の要因は、この将来への不安からの消費手控えなどに起因するものと私は考えています。そこで、これらの不安に対して自治体がどうこたえていくのかが問われていると言っても過言ではないと思います。
公共事業を、介護保険制度の充実や保育所待機児童の解消、環境や少人数学級の実現など、生活関連重点にシフトがえすることも重要な課題だと考えます。そういうことを地方分権の視点に立ってどう推進していくのかが求められていると考えます。このことが結果として市政や政治への信頼回復にもつながっていくのではないでしょうか。これらのことについて市長のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
四点目は、憲法を守り、暮らしの中に生かす行政についてであります。
小泉首相は、集団的自衛権の行使や首相公選制などを含む憲法改正を表明しました。就任早々のこの発言は、戦後の歴代内閣の中で初めてのことであり、かつ憲法尊重擁護の義務をうたった憲法第九十九条にも抵触するもので、許されるものではありません。地方自治体の首長はもちろん、職員採用の際の宣誓書にすら記載されているように、憲法遵守は押しなべて行政官の責務であります。市長は、この小泉首相の憲法観をどのように受けとめ、かつ、御自身はどのような御所見をお持ちか、お聞かせ願いたいと存じます。
思えば仙台市は、島野市長時代の昭和三十七年に健康都市宣言を発して、人も健康、まちも健康という理念のもとに、行政推進の礎にしてきたすばらしい実績があると思います。この理念こそ、憲法第十三条や二十五条の幸福追求権、公共の福祉、生存権など、憲法を暮らしの中に生かしていく実践だったと思います。このことが公害追放や、広瀬川の清流を守る運動やスパイクタイヤ追放運動などとして結実してきたことは御案内のとおりであります。
また、憲法週間を市主催の行事としてきたことは高く評価しているところであります。六十六年五月一日発行の市政だよりは憲法特集号でした。残念ながら、この憲法週間は石井市長の就任早々の八十五年に取りやめとなり、九十二年の三十周年を機に健康都市宣言もうやむやとなりました。私は痛恨のきわみと思っています。
ところで、藤井市長は今年度の施政方針の中で、二十一世紀は人間と環境の世紀だと表現されました。これは、まさに健康都市宣言に相通じるものがあると思うのですが、この際健康都市宣言の復権を図り、行政推進の真髄としていくべきと考えますが、市長の所信をお聞かせ願いたいと存じます。
去る四月十六日に、全国で最初の衆議院憲法調査会の地方公聴会が仙台市で開かれました。その中で公述人の多くが護憲を強調したと聞いておりますが、とりわけ鹿島台町の鹿野文永町長が、全国一律減反という矛盾の中から、地方自治の原点に立つというみずからの体験と、公立図書館に憲法コーナーを設置するなどの実績をもとに、憲法を堅持する、義務教育段階から憲法教育を行う環境整備をと強調されたことは印象に残っています。藤井市長は、多くの仙台市民が聞き、また全国の注目の的ともなったこの公聴会、また鹿島台町長発言などをどのように受けとめておられるのか、お聞かせ願います。
関連して、私は、これまでの藤井市長の平和行政について、私どもが提言してきた地方自治週間の実施への消極的な姿勢や、非核平和都市宣言は国の政策で、地方行政にはなじまないとして拒否してきていること、青年たちが平和の火を自治体を走りながらつないで、平和の大切さを訴えている反核平和の火リレーの出発式に十二年も協力してきたのに、昨年から非協力としてきたことなど、多くの疑問を抱いているところでありますが、平和行政の推進について改めて御所見をお伺いしたいと存じます。
五点目は、市長のリーダーシップについてであります。
市長のリーダーシップはすべての行政に問われていることですが、とりわけ市民生活に関連する問題を切り口にしたいと思います。
例えば、バスの定時運行の確保には欠かせないバスレーンの遵守、知的障害者の通所施設等に対する住民の不理解に対する、ノーマライゼーション推進の立場からの理解を求める運動。今、県で条例制定の動きが先行していますが、ピンクチラシ撲滅の運動など、市長みずからが先頭に立って市民に呼びかけることが問われている課題が多いのではないでしょうか。
かつて、昭和四十年代に、ごみがまちにはんらんし、側溝のにおいが気になり出したとき、まちの美化条例を制定しながら、島野市長みずからが長靴で市民とともにまちを歩いた姿が思い浮かびますが、単なるパフォーマンスではない、真摯に取り組む姿勢を示すことが問われているのではないでしょうか。このリーダーシップのあり方についての市長の御所見をお聞かせください。
次に、第八十五号議案仙台市介護保険条例の一部を改正する条例について、幾つかの視点でお伺いいたします。
介護保険制度がスタートして、はや一年有余が経過しました。第一回定例会で私は訪問調査のおくれを指摘しましたが、その後、調査員の増員により、待機者の解消がようやく図られつつあると伺っています。これらの点も含めて、さまざまな課題がある中で、この間の関係部局の御努力に敬意を表するものであります。
質問の第一点は、今回の条例改正の主要部分が低所得者の保険料の減免の対象者を拡大することにあるわけですが、そもそもこの問題は、昨年四月のこの制度のスタートの時点から議論されてきた課題であります。我が会派も、例えば第十一条の減免規定の中にその他特別の理由があるときは市長が別に定めるような規定を入れて減免措置の柔軟な対応を図ることを求めてきたところでありますが、当局は制度の根幹にかかわるとして拒否してきた経緯があります。
しかし、多くの全国の自治体でこの減免措置を取り入れてき、また、国の方針があったからという状況を受けて、今回、改正案を提案してきたものと受けとめています。私は、なぜこの時期なのか疑問を抱きますし、市の主体性のなさをまず指摘しておきたいと思います。これまでの経緯と、その主たる根拠とねらいについて、考えをまずお示しいただきたいと存じます。
また、対象者について市民税非課税者となっていますが、世帯収入が設定した基準を下回っていても、自宅などを所有していれば対象外となるなど、現実的には矛盾をはらんだ制度でもあります。収入が生活保護世帯の基準をもとにしていることは理解しないわけではありませんが、生活保護では一部資産所有も認めていることもあり、もっと実態に即した制度への改善についても今後検討していくべきではないかと考えますが、この点についても御所見をお伺いいたします。
次に、関連して、保険制度運用上の問題についてお伺いします。
この制度がスタートして一年余を経過したわけですが、この制度の利用者は増加したものの、利用率から見れば四割弱にとどまっているという実態があります。この背景には、利用する際の一割負担が所得の低い方ほど重い負担になるという矛盾を抱えていることから、利用抑制が働いていることも挙げられると思います。また、結果として介護報酬から見て利用率を引き上げることになる
特別養護老人ホームや、デイサービスなどの施設サービスの絶対量の不足を挙げることができるかと思います。
例えば、特養ホームの利用者は、さまざまな理由があるかと思いますが、在宅介護の限界を支える、つまり施設入所が最後の安心の保障、あるいはターミナルケア的な位置づけなどから、希望者が増加の傾向にあると思います。しかし、施設整備が不十分なために待機者がふえ続け、また待機期間が数年かかるということで、数年先を見越して、今は必要でなくても申し込みだけはしておこうという潜在的なニーズの拡大から、待機者というよりは入所希望者がますます増加してきていると言えます。本市の場合でも、この数は、介護保険制度がスタートする前の二月時点で約七百人だったのが、現在では千二百七十五人ほどと伺っております。
先ほど申しましたように、この希望者全員が即待機者ではないとしても、施設の絶対量の不足が指摘されていることに対して当局はどのように分析をされ、保険制度の主体者として今後どのような対応を図っていく考えなのか、お伺いいたします。
私は、利用率が低い最も大きな要因として、これは介護保険制度の根幹にかかわる問題でもありますが、要介護度によって介護報酬が異なるということにあるのではないかと思います。
そもそも、この介護保険制度の意図の根幹には、在宅介護への誘導を図り、施設入所と在宅介護の均衡あるバランスを保つことにあったのではないでしょうか。しかし、在宅介護のためのホームヘルパー派遣において、家事手伝いサービスを初め、余りにも介護報酬が低いこと、また、地域差や個人差など画一的なマニュアルでは対応し切れない側面があることなどから、事業に参入した民間事業者などが苦戦を強いられていることが示しているように、介護報酬の高い方へ傾斜し、このことが利用料との関係で全体的に利用率を下げていることにつながっているのではないかと思います。
施設入所と在宅介護のバランスの問題や費用負担の問題など、制度の根幹にかかわる問題であり、本市単独で解決できる問題だけではないと思いますが、当局はこの利用率低迷の要因をどのように分析されておられるのか、また、今後の具体的な対応及び制度の改革の課題についてどのような御所見をお持ちなのか、お聞かせ願います。
第三点目として、介護保険制度における公平なサービスの提供と、それを支える体制のあり方についてお伺いいたします。
公平なサービスの提供については、この制度のスタート時からも指摘されてきた課題でありますが、ケアプラン作成時におけるケアマネジャーによる相違があったり、最初の認定時と更新時での相違の問題などが内在していると思います。特に、ケアプランの統一的な把握なり、
ケアマネジャーの研修などによる公平性の確保は大きな課題であると思います。この統一的な把握がニーズの的確な把握につながり、公平性の確保への入り口になるべきですし、そのことをどこの部署がどういう形で行っていくのかということが問われているのではないでしょうか。
このニーズ把握は、保険主体の本市の責務であります。介護保険制度のスタートとともに一気に民間事業者の参入の拡大もあり、その把握がおくれてきたことは事実ではないでしょうか。本来的には各区に設置した基幹型在宅介護支援センターがその役割を担うべきと考えますが、各区の基幹型在宅介護支援センターはそのような位置づけにはなっていないのではないかと受けとめていますが、このニーズ把握の問題と基幹型在宅介護支援センターの実態はどのようになっているのか、お伺いいたします。
私ども社民党市議団で川崎市を視察しましたが、川崎市では在宅福祉公社がこの基幹型在宅介護支援センターの役割を担い、地域の在宅介護支援センターや介護保険のサービス機関との連絡調整、
ケアマネジャーの連絡調整会議などを行いながら、ニーズの把握や制度の公平性の確保を目指し、そういう意味で介護保険制度の推進機関的な位置づけのもとに活動していると伺ってきました。
本市では、ことし五月に仙台市社会福祉協議会が仙台市
ケアマネジャー支援センターをオープンさせ、その役割を担っていくのかと思いますが、介護保険制度全体の中でどのような位置づけになっているのでしょうか、お伺いいたします。
私は、本市の介護保険制度推進体制のあり方について、訪問実態調査はこの四月から健康福祉事業団に吸収された旧在宅福祉サービス公社が担い、事業者のネットワークや
ケアマネジャー支援センターなどは社会福祉協議会でという体制のあり方が複雑で、本当にどこが責任を持って取り組んでいくのかあいまいになっている点を指摘しておきたいと思いますが、この点についての御所見をお伺いいたします。
また、私は、二月の第一回定例会の一般質問でも取り上げましたが、本市の在宅福祉サービス公社を単なる介護保険の一事業者としてしか位置づけず、介護研修センターもありますが、訪問調査の委託とホームヘルプ事業を担うだけにしてしまったことが過ちだったのではないかと思う一人であります。介護保険制度の推進体制の確立をきちんと明確にした上で、旧公社と社協のそれぞれの事業の役割と位置づけを、もっと市民にわかりやすくしていくことが大切なのではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。
第四点目は、介護保険制度を側面から支える意味でも重要な課題となっている、健康長寿のまちづくりの施策でもある介護予防・生活支援事業についてお伺いいたします。
介護保険事業に参入する民間事業者が苦戦していることはさきにも指摘しましたが、全国的に見て、利用者を伸ばしている事業者に共通することは、食事の宅配、緊急通報サービス、訪問美理容、介護タクシー等の移動サービスなど、オーダーメード型のサービスを提供していることが挙げられるのではないでしょうか。全くの利用者負担という問題もありますが、注目を集めていることは事実です。これらは、厚生労働省みずからも、例えば家事援助行為の不適正事例として取り上げながらも、保険給付の対象としては不適切であっても、利用者の状況によっては必要なサービス行為である場合があるので、市町村の実施する軽度生活援助事業、配食サービスなどの生活支援サービス、シルバー人材センターやボランティアによるサービスなどの有効利用が必要と認めているものであります。
川崎市では、在宅福祉公社の事業として、移送サービス、あんしん見守り緊急一時入院事業、食事サービス、緊急通報システム、重度障害者のホームヘルプや訪問看護のサービスなどのほか、専門相談や障害者一一〇番、金銭管理や財産保全サービスなどを行っております。本市では社会福祉協議会が行っている事業が多くありますが、これまた健康福祉事業団の一部の事業であったりして、市民にもっとわかりやすい組織体制のもとで介護予防・生活支援事業として取り組んでいくべきと考えますが、御所見をお伺いするものです。
次に、平成十二年度の一般会計の明許繰越報告のうち、仙台城艮櫓復元事業についてお伺いいたします。
六月五日に市長は、石垣修復、艮櫓復元、仙台城跡発掘に関する三つの専門委員会を設置することを明らかにされました。
このうち艮櫓復元事業については、昨年八月に専門委員会の中で、復元の位置や復元そのものへの賛否など両論併記の形の答申が出されて以来、専門家や市民各層の意見が反映されにくい形で進められ、十一月に市長が復元事業着手を明言したことから、歴史、考古学者などからも推進手法等も含めて疑問が投げかけられてきたことは事実であります。また、石垣修復工事についても、積み直し作業が既に始まっていますが、専門家等から積み上げ方式が伝統工法ではないという指摘もされてきました。そういう状況の中で、今回、専門家の指導、助言を受けながら、円滑に事業を進めるために、分科会的にではあれ専門委を設置することにしたことは、より市民に開かれた事業推進という点で理解しているところです。
ところで、三つの専門委とはいえ、当面、焦点化するのは艮櫓復元事業だと思います。現在積み上げ中の石垣、つまり第III期の石垣の上に復元するわけですし、また昨年、市長は事業推進に当たって新たな調査を明言してきたことからも、さまざまな問題点が惹起されかねないことは想定されることです。そこで、三専門委の調整機能が必要になってくるのではないかと思われますが、この点についての考えをお示しください。
一方、仙台城跡調査指導委員会は、この艮櫓の基礎部の調査とともに仙台城全体の未調査の部分の発掘調査をも行うと伺っておりますが、どの程度の規模まで行う考えなのか、エリアや発掘調査のあり方など、現時点で考えておられることがあればお示しいただきたいと存じます。
もし、この新たな発掘調査で、さまざまな歴史的、文化的価値の高い史跡が発掘されれば、それこそ仙台城の史跡的評価が高まることは事実で、わくわくして期待しているのは私一人だけではないと思います。そうなると、復元とはいっても史実そのものではなく、言うなれば平成の艮櫓とも言うべき建築物に対する価値の評価はどうなっていくのでしょうか。
そもそも私は、艮櫓は当局が言うようなシンボル的観光資源というよりは、史跡的観光資源としてどう活用していくのかが重要な課題だと考えるもので、I期、II期の石垣の歴史博物館的に位置づけていくべきではないかと思うところです。かつ、石垣周辺の発掘から可能な限りの発掘のエリアが広がるとすれば、なおさらのこととなっていくのではないでしょうか。そうであれば、仙台城史跡博物館的な位置づけの施設が
シティーセールスとなる大きな観光資源になっていくのではないかと思います。
したがって、艮櫓の復元に当たっては、単なる箱物にならないよう、もっと歴史の深さと重みに耐え得る施設にするべきであると考えますし、そのためにも、もっと時間をかけて、市民各層の幅広い意見を聞きながら進めていくことも大切ではないかと思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。
以上で、私の代表質疑を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
19: ◯市長(藤井黎)辻議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、市長の政治姿勢についての御質問のうち、最初は小泉内閣についてということでございます。
小泉内閣につきましては、この大変革の時代に適応できないままに、おっしゃるように、閉塞感を露呈している既存の社会のシステム、あるいは政治のあり方に対しまして、新しい提案をしようと、そういう改革の強い姿勢が国民に高く評価されているものと、このように受けとめているところでございます。
私といたしましても、小泉内閣の新しい政策の具体化に当たりましては、自治体という立場から、主張すべきことは主張してまいりたいと、このように構えているところでございますが、小泉内閣の改革に対するやむにやまれぬ思い、あるいはその強烈な情熱に対しましては、少なからず共感を覚えているところでございます。
関連いたしまして、地方交付税等の削減に関する質問でございますけれども、地方が自主的、自立的に行財政運営を行うためには、国と地方の新たな役割分担に応じた権限の移譲、それとあわせて、それに対応した税財源の移譲が必要でございます。地方交付税等の削減を行うとすれば、国から地方への税源の移譲と一体の論議の中におきましてそれが行われるべきであるというふうに考えておるところでございまして、このような点につきましては、国の一方的な判断によるべきではないし、今後とも地方公共団体が一丸となって国にその理解を求めてまいるべきであるというふうに考えるところでございます。
また、公共事業への取り組みについての御質問でございますけれども、事業の見直しに関しましては、仙台市公共事業再評価検討委員会、これを立ち上げまして、一定の期間が経過した事業につきまして、改めてその必要性や投資効果などにつきまして検証を行ってまいっているところでございます。
また、毎年度の予算編成や実施計画の策定に当たりましても、厳しい財政状況の中で、新世紀における都市づくりの方向性をより確かなものにしていくために、重点施策を設定し事業の重点化を図ってまいったところでございます。
これらの取り組みを通じまして、本市の発展を先導する戦略的な事業から市民生活に密着した事業までを含めまして、バランスのとれた公共投資のあり方を目指してまいったところでございまして、引き続きこうした考え方のもとに取り組んでまいりたいと、こう考えます。
次に、市民の抱える不安への対応についてでございます。
介護や年金、あるいは子育てや教育などの問題は、市民にとりましてとりわけ身近な問題でございまして、これらの諸問題を解決すべく、介護サービス基盤の整備や一万人保育の前倒しでの達成などに鋭意取り組んでまいったところでございまして、多くの成果を上げてきたものと認識をいたしております。
公共事業につきましては、国におきましてもさまざまな論議がございますけれども、本市といたしましては、社会経済情勢に的確に対応した事業展開を目指してまいりたいと、こう考えておりまして、民間活力の活用と、こうした視点をも考慮しながら、市民生活に密着した分野につきまして、今後とも着実に進めてまいりたいと考えます。
次は、憲法や平和に関する数点の御質問でございます。
まず、憲法に関する私の認識でございますけれども、国の最も基本的な規範でございます我が国憲法の平和希求の理念、これは国民の総意によって後世に誤りなく引き継がれていくべきものと考えております。一般論といたしましては、どのような規範や制度にあっても、時代の変遷や社会の変化を踏まえた見直しの対象となり得るものでございまして、憲法につきましても真摯な議論が行われることまでが否定されるべきではないと、こんなふうに考えます。
なお、本市におきましては、自治体としての役割、立場を考慮しながら、各般の事業の推進に当たりまして、憲法を尊重し、平和を現実のものとしていくために十分に意を用いているところでございまして、今後ともこの考え方を堅持してまいる所存でございます。
次は、健康都市宣言についてのお尋ねでございます。
その内容はもちろんのこと、すべての市民とともに宣言を行うという、手法におきましても、この宣言は先見性に富み、そしてまた普遍性を持つ卓越した宣言であるというふうに認識をいたしております。
この宣言でございますが、今も本市の例規の冒頭に配置されておりまして、私も時々それを読み、また、繰り返しながら、本市のまちづくりの基本的な理念と位置づけておりまして、現在もまた、市政に対して脈々と受け継いでおるところでございます。今後とも、この健康都市宣言の理念を生かしながら、人間と環境の世紀にふさわしい市民本位の市政運営に努めてまいる所存でございます。
次に、リーダーシップに関してのお尋ねでございますが、市民とともに機運を盛り上げるべきさまざまな課題に関しまして、みずからが先頭に立つことは当然のことでございまして、これまでも百万本の杜づくり植樹運動、あるいはピンクチラシの回収やまち美化のキャンペーンなど、みずからの行動によりまして、市民の方々に呼びかけを行ってまいったところでございます。今後ともさまざまな機会をとらえまして、行動の先頭に立って、市長としてのメッセージを広く市民の方々へ送り続けてまいりたいと、このように考えるところでございます。
最後は、仙台城艮櫓復元事業等についてでございます。
初めに、今回設置いたします三つの専門委員会の調整についてでございます。
仙台城石垣修復工事、それから仙台城艮櫓復元事業、そして仙台城跡の発掘調査の各専門委員会につきましては、それぞれの分野にふさわしい学識経験者の指導、助言のもとに、広く市民に情報を公開しながら進める必要があると、こう考えまして、このたび三事業についてそれぞれ委員会を設置することといたしたところでございます。
御指摘の専門委員会間の調整につきましてでございますが、必要となる内容や、その時点における状況におきまして、必要に応じ適切に対応してまいりたいと、こう考えておるところでございます。
また、復元事業の今後の進め方についてでございますが、この事業は、仙台の原点として歴史を刻み続けてきた、この仙台城の失われた歴史的な蓄積をよみがえらせるものでございまして、艮櫓は将来に受け継がれていくべき市民全体のシンボルとしての役割も果たすものであると、こう考えるものでございます。
これまでも、仙台城跡の石垣修復等調査検討委員会や議会での御審議を初め、市民の皆さんからの御意見等を踏まえながら事業を進めてまいったところでございますが、このたび仙台城艮櫓復元専門委員会を設置いたしまして、専門的な立場からの指導、助言をいただきながら設計等を進めていくことといたしたところでございます。
今後とも、事業の意義を十分に勘案しながら、できる限りもとあったであろう姿を再現するという、こうした基本方針を前提として、新たな市民の心のよりどころの創造に向けまして取り組んでまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。
そのほかの御質問に関しましては、担当の局長の方から答弁させたいと思います。
以上でございます。
20: ◯財政局長(佐々木謙)財政問題への取り組みについてでございますけれども、平成十年に財政運営の目標を定め、それを達成するため、市債発行額の枠組み等を定めたところでございます。
御案内のとおり、その後、実際の市税収入等の推移に即しまして一部修正はいたしましたけれども、基本的な方針は、これを堅持いたしまして、市債発行額の抑制を図ってまいったところでございます。
今後とも、この取り組みを着実に推進することによりまして、財政構造の健全化を図り、本市の重要施策、これを着実に推進してまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
21: ◯健康福祉局長(櫻井正孝)介護保険に係る御質問にお答えを申し上げます。
まず、条例改正の経緯、根拠、あるいはねらいについてのお尋ねでございます。
低所得者に対する配慮につきましては、先ほども申し上げましたけれども、全国統一の考え方で行われることが望ましいと、そういう観点から、その実施について国に対して要望をいたしてまいったところでございまして、昨年の十一月に国におきまして、保険料減免に当たっての三原則が示されたところでございます。これを受けて、本市としてどのような対応ができるのか、介護保険運営委員会の意見も伺いながら検討を加えてまいったところでございます。
運営委員会におきましては、保険料所得段階の区分が、第二段階の方の中にも第一段階にある生活保護受給者と同等の方が含まれているという実態から、これらの方々に限定した上で減免を実施してはどうかという、そういう御意見が多く出されたわけでございます。
こうした介護保険運営委員会の御意見、さらに本年十月から保険料の全額徴収が始まることなども考慮いたしまして、保険料の減免を実施するために条例をお諮りすることにいたしたわけでございます。
次に、実態に即した改善についていろいろお尋ねがございましたけれども、減免を行う際の基準と具体の運用に当たりましては、生活保護の認定との均衡、あるいはその被保険者間の公平を失することがないように、生活困窮者の実態に十分に配慮をいたしまして対応をいたしてまいりたいと、さように考えております。
次に、
特別養護老人ホーム等の施設の不足についてのお尋ねでございますが、まず、入所希望者がふえている主な要因といたしましては、従来の措置制度と異なって、申し込みの要件が要介護一以上の方と大幅に改善されたことがございまして、さらに御指摘がありましたように、将来の入所に備えての申し込みが多いということなどが考えられます。
こうした入所希望の増加への対応についてでございますが、現在の
高齢者保健福祉計画を来年度見直しをいたしまして、平成十五年度を初年度とする五カ年計画を策定いたすこととしております。
その中で、
特別養護老人ホームの整備を進めることはもとよりではございますけれども、在宅サービスについても充実を図る必要があると考えてございますし、また、老人保健施設、療養型病床、こういったものとの機能分担を考慮するとともに、ケアハウス、高齢者向け優良賃貸住宅シルバーハウジング、多様な住まいの整備を含めた総合的な施策の推進について検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、利用率に関するお尋ねでございますけれども、居宅サービスの給付額が当初予算額の約九割を超えているというようなこと、あるいは要介護者数が受容計画の九割程度である、こういったことを考えますと、現在の居宅サービスの利用状況は当初計画にほぼ合致する、ほぼ計画どおりのものであるというふうには認識をいたしております。
しかしながら、本市といたしましては、介護保険制度の一層の周知、あるいは事業者情報の提供、こういった面で、市民の方々にとって介護保険サービスがより利用しやすいものとなりますように一層努めてまいることが肝要であると、このように認識をいたしております。
次に、ニーズの把握に関連してのお尋ねでございます。
私ども、これまで介護保険事業計画策定に当たりまして、サービス利用の移行調査を実施いたし、また、昨年度、サービス利用者に対する満足度調査、あるいは意識調査といったことを行って、ニーズの把握に努めてまいったところでございます。
また、ケアマネジャーに対しましては、研修会を継続的に開催をいたしまして、その中で実際に作成されたケアプランの提出をいただきまして、利用実態を把握してまいったところでございます。今後も、新たに設置をいたしました
ケアマネジャー支援センターも活用して、
ケアマネジャーの資質の向上やニーズの把握に努めてまいりたいと思います。
また、中学校区を基本にいたしまして整備いたしております地域型の在宅介護支援センターでは、地域の高齢者に関する情報の収集、これをいたしておるわけでございますが、それを各区の基幹型在宅介護支援センターにおいて集約をいたしております。そういったことで、高齢者のニーズの把握に努めることにもいたしております。
次に、社会福祉協議会についてのお尋ねでございますけれども、社会福祉協議会におきましては、これまでも仙台介護サービスネットワーク、あるいは仙台市老人福祉施設協議会、こういったものの事務局を担っていただいておりまして、このたび、
ケアマネジャー支援センターの業務を委託いたしたことによりまして、サービス事業者間の連携を図るための中心的な役割を担っていただけるものというふうに考えて期待しているところでございます。
次に、健康福祉事業団と社会福祉協議会との役割、位置づけに関するお尋ねでございます。
介護保険制度の中で、要介護認定に当たっての訪問調査、あるいは
ケアマネジャー支援センターに係る業務をどの団体に担っていただくかにつきましては、それぞれの団体の行っている業務との関連とともに、地域性なども考慮いたしましてお願いをいたしているところでございます。
以上でございます。
32: ◯議長(村上隆志)これにて、代表質疑を終結いたします。
お諮りいたします。本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
33: ◯議長(村上隆志)御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、本会議は、来る六月十八日定刻再開の予定であります。
本日は、これをもって延会とします。
午後四時二十五分延会...