八幡市議会 2021-06-30
令和 3年第 2回定例会-06月30日-付録
│ 件 名
│論を行い、憲法に基づき公正かつ民主的に解決するべきとする
意見書の採択を求│
│ │める陳情
│
├───────┴────────────────────────────────────┤
│陳情趣旨 │
│ 1.不合理に区分された「本土の民意」と「
沖縄の民意」
│
│ 辺野古新
基地建設の問題は、憲法が規定する
民主主義、
地方自治、
基本的人権、法の下の平│
│ 等・差別の禁止の各理念からして看過することができない重大な問題である。
│
│ 2019年2月、
沖縄県による
辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う
県民投票で、投│
│ 票総数の7割以上が反対の意思を示した。わが国が真に
民主主義国家であるならば、
沖縄の人│
│ たちが直接民意を示したその結果が尊重され、状況は改善されているはずだが、
県民投票から│
│ 2年が経過したにもかかわらず、名護市
辺野古において、現在もなお工事が強行され、さらに│
│ は、その埋立てに、
沖縄戦戦没者の遺骨が残る
沖縄島南部から採取した土砂を使用することが│
│ 予定されていることに、
沖縄県議会や
県内市町村議会をはじめ多くの県民が抗議を行ってい
│
│ る。
│
│ 安倍晋三前首相が2018年2月
衆議院予算委員会において
普天間基地の
代替施設が同じ
沖縄の│
│ 辺野古に決定した理由を問われ、「
移設先となる本土の理解が得られない」と述べたように、│
│ 安全保障の
地政学的事由、またアメリカの強い要求という言い訳も、これまで日米の
政府関係│
│ 者らの発言、多くの識者の分析によって瓦解している。
│
│ 政府は、
普天間基地の速やかな
危険性除去を名目として
辺野古への新
基地建設を強行してい│
│ るが、
普天間基地の返還は、もとより
沖縄県民の永きにわたる一致した願いである。
│
│ 日米安保条約に基づき米軍への基地の提供が必要であるとしても、それは本土・
日本国民が│
│ 全体で負担すべきものであり、歴史的・構造的に過剰な負担が強いられ続ける
沖縄の声を
無視│
│ し、「本土の理解が得られないから」と新
基地建設を強行することは
沖縄に対する差別であ
│
│ る。
│
│ 国家の
安全保障に関わる
重要事項だというのであれば、なおのこと、政府のみならず全国の│
│ 地方自治体及び
日本国民は、
沖縄が直接示した声に耳を傾け、下記の
陳情要旨のとおり、
憲法│
│ に基づいた公正かつ民主的な解決をはかることが求められている。
│
│ 2.憲法41条、憲法92条、憲法95条違反
│
│ 名護市
辺野古に新基地を建設する
国内法的根拠としては、内閣による
閣議決定(2006年5月│
│ 30日及び2010年5月28日)があるのみである。
│
│ 憲法41条は、「国会は、国権の
最高機関であつて、国の唯一の
立法機関である。」と定め、│
│ 「国政の
重要事項」については国会が法律で決めなければならないとする。次に、憲法92条
│
│ は、「
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、
地方自治の本旨に基いて、法律でこれを│
│ 定める。」とし、
地方公共団体の
自治権をどのように制限するかは法律で規定されなければな│
│ らないとする。そして憲法95条は、「一の
地方公共団体のみに適用される
特別法は、法律の定│
│ めるところにより、その
地方公共団体の
住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、│
│ 国会は、これを制定することができない。」と定める。
│
│ 安倍晋三前首相は2015年4月8日
参議院予算委員会で「
辺野古問題は国政の
重要事項にあた│
│ る」と答弁し、2016年9月16日の
福岡高裁那覇支部判決は、
辺野古新
基地建設が「
自治権の制│
│ 限」を伴うことを認めている。そうだとすると、
閣議決定のみで決定され、強行されている辺│
│ 野古米軍基地建設は、憲法41条、憲法92条、憲法95条に反する。
│
│ 3.
SACO(
沖縄に関する
特別行動委員会)の
基本理念違反 │
│ 普天間基地の返還は
SACO(
沖縄に関する
特別行動委員会)において日米間で決定した。│
│ SACO設置の経緯について防衛相は公式に次のように説明している。「政府は、
沖縄県民の│
│ 方々の御負担を可能な限り軽減し、国民全体で分かち合うべきであるとの考えの下、(中略)│
│ 在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小に向けて一層の努力を払う」(防衛相HP「
SACO│
│ 設置などの経緯」参照)。しかしながら、1996年12月の
SACO最終報告では、
普天間基地の│
│ 代替施設と称して同じ
沖縄県内に新基地を建設するものとされたことは、
SACO設置時の基│
│ 本理念に違反している。
│
│ 4.
民主主義の二つの原則に反する
│
│ 民主主義は、多数者支配の政治を意味せず、その決定は、単なる多数決ではなく、少数者の│
│ 権利の保障も責務とされている。
│
│ つまり、
民主主義とは「多数決の原理」と「少数者の権利の保障」という二つの原則からな│
│ り、これらは
民主主義国家の基盤を支える一対の柱である。多数決の原理は公共の課題に関す│
│ る決断を下すための手段であり、少数者の抑圧の手段ではないからである。
│
│ なお、国政選挙において日米安保破棄等を明確に争点として掲げ、多数の信任を得ることを│
│ 求めずに「
沖縄に要らないものは全国のどこにも要らない」と頑なに主張することは、公共の│
│ 課題である
安全保障政策について多数決を尊重せず、かつ結果的に「本土の理解が得られな
│
│ い」から「
辺野古が唯一」という政府の理由を補完することになる。とすれば、かかる主張も│
│ また、先に述べた
民主主義の二つの原則に反するものである。
│
│ 普天間基地の返還が25年以上もかけ「なぜ1ミリも進まないのか」という問いに対する答え│
│ は、政府のみならず全国の
地方自治体も
日本国民も、この
民主主義の実践から逃げてきたから│
│ ということにほかならない。
│
│ 5.法の下の平等及び差別の禁止違反、幸福追求権、平和的生存権の侵害
│
│ 沖縄の人たちは憲法13条が保障する幸福追求権などの基本的権利から遠く、憲法前文等が保│
│ 障する平和的生存権さえ脅かされ続けている。このことは、1945年の本土防衛と位置づけられ│
│ た
沖縄戦、1952年のサンフランシスコ講和条約での
沖縄の施政権の切り離し、同時期における│
│ 本土からの
沖縄への米軍基地の移転、1972年の日本復帰後も変わらぬ過重な米軍基地負担とい│
│ う歴史的経緯、度重なる米軍及び米軍属による事件・事故などからも明らかである。
│
│ 国連の人権理事会及び人種差別撤廃
委員会も
沖縄の基地に関する問題を断続的に取り上げて│
│ おり、特に人種差別撤廃
委員会は、2010年、「
沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、
住民│
│ の経済的、社会的及び文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別に関す│
│ る特別報告者の分析を改めて表明する。」との見解を示している。
│
│ 少なくとも、1996年4月、当時の橋本総理大臣とモンデール駐日大使が「今後5年ないし7│
│ 年以内に、十分な
代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する」との発表│
│ をした際、
代替施設が必要だというのなら、前記
SACO設置時の基本理念に基づき、
沖縄以│
│ 外の全国の
自治体が等しく候補地となり公正かつ民主的に解決すべきであった。しかし、政府│
│ は、専ら「本土の理解が得られない」という不合理な理由により、「
辺野古が唯一」と繰り返│
│ し、同じ
沖縄の
辺野古に新基地の建設を強行している。これは憲法が保障する法の下の平等及│
│ び差別の禁止に反し、
沖縄の人たちの幸福追求権や平和的生存権を侵害している。
│
│ 6.求められているのは、憲法に基づいた公正かつ民主的な解決
│
│ 以上のとおり
日本国民及び全国の
地方自治体は、憲法前文で「わが国全土にわたつて」約束│
│ した自由の恵みが
沖縄にも差別なくもたらされるため、
沖縄県民の民意に沿った公正かつ民主│
│ 的な解決を国に求める責任がある。
│
│ 沖縄の
県民投票における民意を尊重せず、一方で「本土の理解が得られないから」という不│
│ 合理な理由に基づき決定され、強行されている
沖縄県内への新たな
基地建設は憲法が禁止する│
│ 差別であり、これを許すべきではなく、工事はただちに中止すべきである。
│
│ 次に、
安全保障の議論は日本全体の問題であり、
普天間基地の
代替施設が国内に必要か否か│
│ は、国民全体で議論するべき問題である。そして最終的には国権の
最高機関たる国会で
沖縄 │
│ の米軍基地の負担軽減を国が最終的に責任をもって行う法整備等の仕組みのなかで行うべきで│
│ ある。
│
│ そのなかで
普天間基地の
代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、憲法41条、92
│
│ 条、95条の規定に基づき、
沖縄以外でも一地域への一方的な押付けとならないよう、公正かつ│
│ 民主的に解決すべきである。
│
│ │
│
陳情要旨 │
│ 1.
沖縄での
県民投票に示された民意に反する
辺野古新
基地建設工事を中止し、
普天間基地を運│
│ 用停止にすること。ことに
沖縄戦戦没者の遺骨の残る
沖縄島南部から採取した土砂を埋立てに│
│ 使用することは、戦没者の遺骨の尊厳を損なうものであり、認められるべきではないこと。
│
│ 2.
普天間基地の
代替施設が日本国内に必要か否か当事者意識を持った国民的議論を行い、最終│
│ 的には国権の
最高機関たる国会で
沖縄の米軍基地の負担軽減を国が責任をもって行う法整備等│
│ の仕組みのなかで解決すること。
│
│ 3.そのなかで、
普天間基地の
代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、
沖縄以外の全│
│ 国すべての
自治体をまずは等しく候補地とし、憲法の規定に基づき、
沖縄以外でも一地域への│
│ 一方的な押付けとならないよう、公正かつ民主的な手続きにより決定すること。
│
│ を議会において採択し、その旨の
意見書を、
地方自治法第99条の規定により、国及び衆議院・│
│ 参議院に提出されたい。
│
│ │
│ │
│ │
│ *別添資料「
辺野古新
基地建設の中止と、
普天間基地の
沖縄県外・
国外移転について国民的議論│
│ を行い、憲法に基づき公正かつ民主的に解決するべきとする
意見書(案)」
│
└────────────────────────────────────────────┘
[別添資料]
辺野古新
基地建設の中止と、
普天間基地の
沖縄県外・
国外移転について国民的議論を行い、
憲法に基づき公正かつ民主的に解決するべきとする
意見書(案)
憲法前文には、「
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し」とある。ところが、自由の平等が保障されないまま、米軍
基地建設が強行されている場所がある。
沖縄である。
2019年2月、
沖縄県による
辺野古新
基地建設に伴う埋立ての賛否を問う
県民投票で、投票総数の7割以上が反対の意思を示してから2年以上が経過したにもかかわらず、工事は強行され、さらには、その埋立てに、
沖縄戦戦没者の遺骨が残る
沖縄島南部からの採取した土砂を使用することが予定されていることは民意のみならず、戦没者への敬意を失することにもなり、許されるべきではない。
普天間基地所属の海兵隊について
沖縄駐留を正当化する軍事的理由や
安全保障の
地政学的事由、またアメリカの強い要求という言い訳も、これまで日米の政府関係者らの発言、多くの識者の分析によって瓦解している。
しかしながら、
普天間基地の
代替施設が、「本土の理解が得られないから」という不合理な理由で同じ
沖縄に決定され、工事が強行されていることは、憲法が規定する
民主主義、
地方自治、
基本的人権、法の下の平等の各理念からして看過することの出来ない重大な問題である。
憲法が「わが国全土にわたつて」約束した自由の恵みが
沖縄にも差別なく確保されるため、政府のみならず全国の
地方自治体及び
日本国民は、
沖縄県民の民意に沿った公正かつ民主的な解決をおこなう必要がある。
政府は、
普天間基地の速やかな
危険性除去を名目として
辺野古への新
基地建設を強行しているが、
普天間基地の返還は、もとより
沖縄県民の永きにわたる一致した願いであり、仮に日米安保条約に基づいて米軍に対する基地の提供が必要であるとしても、
沖縄の米軍基地の過重な負担を軽減するため「国民全体で分かち合うべき」という
SACO設置時の基本理念に反する
沖縄県内への新たな
基地建設を許すべきではなく、工事は中止すべきである。
安全保障の議論は日本全体の問題である。すなわち、
普天間基地の
代替施設が国内に必要か否かは、当事者意識をもった国民的議論により決すべきであり、最終的には国権の代表機関たる国会で、国が最終的に責任を負う法整備等の仕組みのなかで行うべきである。そのなかで
普天間基地の
代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、憲法41条、92条、95条等の規定に基づき、下記3のとおり公正かつ民主的に解決することが求められる。
よって、○○議会は下記のことを強く要請する。
記
1.
沖縄での
県民投票に示された民意に反する
辺野古新
基地建設工事を中止し、
普天間基地を運用停止にすること。ことに
沖縄戦戦没者の遺骨の残る
沖縄島南部から採取した土砂を埋立てに使用することは、戦没者の遺骨の尊厳を損なうものであり、認められるべきではないこと。
2.
普天間基地の
代替施設が日本国内に必要か否か当事者意識を持った国民的議論を行い、最終的には国権の
最高機関たる国会で
沖縄の米軍基地の負担軽減を国が責任をもって行う法整備等の仕組みのなかで解決すること。
3.そのなかで、
普天間基地の
代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、
沖縄以外の全国のすべての
自治体をまずは等しく候補地とし、憲法の規定に基づき、
沖縄以外でも一地域への一方的な押付けとならないよう、公正かつ民主的な手続きにより決定すること。
以上、
地方自治法第99条の規定により
意見書を提出する。
○○○○年○月○日
○○○議会
(提出先)衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 内閣官房長官 外務大臣 防衛大臣
国土交通大臣 総務大臣 内閣府特命担当大臣(
沖縄及び北方対策)...