そして、昨年、
核軍縮の実質的な進め方を話し合う
賢人会議が2020年の
核拡散防止条約(
NPT)
運用検討会議までに取り組むべき短期的な課題についての
提言をまとめ、政府に手渡ししています。その
賢人会議は、さまざまなアプローチを有する国々の
信頼関係を再構築し、
核軍縮の実質的な進展に資する
提言を得ることを目的としていて、
日本人有識者7人に加えて、アメリカ、ロシア、中国、フランスなどの
核兵器国、
中道国、
核兵器禁止推進国の
外国人有識者10人の合計17人で構成されています。この点、軍縮、不拡散や
安全保障などに造詣のある
有識者に加えて、
被爆地である広島、長崎からの
有識者が参加しています。
その
賢人会議から出された
提言は、1、
核保有国の
核戦力に関する情報の
透明性を高め、
核軍縮、不拡散に取り組む
NPT体制を強化、2、
核兵器は
抑止力として必要だと考える国と、人道的な観点から
核廃絶を主張する国との信頼醸成、3、
核軍縮が本当に進んでいるかどうか確認するための検証措置の発展の三つを大きな柱としています。
今や世界は再び核軍拡競争に向かうのではないかとさえ懸念される極めて厳しい情勢にあります。アメリカとロシアは新型
核兵器の開発も辞さない構えであります。北朝鮮はさらなる核ミサイル開発のための時間稼ぎをしているのではないかとの不安は拭えません。
核保有が疑われているイスラエルと核開発疑惑が絶えないイランとの関係は、現在、急速に悪化しており、両者が軍備増強に走り出す恐れもあります。だからこそ、
核兵器禁止条約の成立で一段と高まった
核兵器のない世界を目指す
国際社会の機運を、今一度盛り上げていきたい。この点、
核兵器の
保有国と非
保有国の専門家がお互いの立場の違いを乗り越え、議論を進めている
賢人会議は、
国際社会が一致団結して
核軍縮を進める環境を生み出すための貴重な場であります。
何より
核兵器国の参加がなければ、
核兵器禁止条約は実効性を持たないのが現実であります。そして、今現在、包括的核実験禁止
条約(CTBT)や兵器用核分裂性物質生産禁止
条約(FMCT)といった
核兵器禁止条約よりも前の段階に存在する
条約ですら、
核兵器国が参加していない状況で、
核兵器禁止条約に今の段階で参加することの意義というものを十分に考えるべきであろうと思います。
そして、現在、
核兵器国と非
核兵器国だけの分断ではなく、非
核兵器国の中にも
NPT派と今回の
核兵器禁止条約派という分断が生まれました。つまり、これらの三つのグループの対立という構図になっています。しかしながら、現実的には全てのグループが一斉に
核兵器禁止に動かなければ、悲しいことですが、何の意味もありません。
そういう意味でも、今、
日本が
核兵器禁止条約に参加するということは、
核兵器国に対する対立をあおることになりかねず、唯一の戦争
被爆国として、
核兵器国と非
核兵器国の
橋渡し役になるべき
日本が、対立を生む行動を行うメリットは考えにくいものと思います。
ましてや
核兵器禁止条約が現実的なものではない状況でありますから、現実としては一歩も進めずに、
核兵器国と非
核兵器国の間の対立を生んだ結果、むしろ後退してしまう逆効果となってしまう可能性すらあると考えます。
そうではなく、現実的にCTBTやFMCTを実効性のあるものにしていくべく
核兵器国に働きかけて、
核兵器を極限にまで減らす努力を進めていくことが、将来の核のない世界への近道となると考えます。何も
日本政府が
核兵器のない世界を目指していないという理由で参加しなかったというわけではないことは、理解すべきであります。
最後に、
核兵器禁止という難題については、世界中で一斉に
核兵器を廃棄することができれば可能でありましょう。しかしながら、他の国が廃棄して、一つの国だけが廃棄せずに保有していれば、世界の軍事バランスは崩れます。少しずつ一歩ずつでも軍事バランスが崩れないように、
核兵器国全体で軍縮を進めていって、それが限りなく小さな段階になって初めて
核兵器禁止条約が現実化してくるものと考えますことから、本
請願趣旨である
条約への参加等について反対であることを述べさせていただき、
討論とさせていただきます。
○
山田芳彦 議長 次に、
賛成討論を許します。
山本邦夫議員。
(
山本邦夫議員 登壇)
◆山本邦夫
議員 ただいま
議題となっています
日程第13、
請願第1号、
核兵器禁止条約の
日本政府の
署名と批准を求める
意見書採択についての
請願に対し、
日本共産党
八幡市議会
議員団を代表して
賛成討論をいたします。
極めて簡潔にすっぱりとやりたいと思います。
2017年7月、
核保有国大国の妨害をはねのけて、
核兵器禁止条約が国連加盟国の3分の2に当たる122カ国の
賛成で採択されました。国内でも、ヒバクシャ国際
署名が940万人を超えています。
核兵器のない世界を目指す大きな流れが起きています。
ここで、
八幡市の非核平和都市宣言の一部を読み上げます。われわれ
八幡市民は、いのちの尊厳を深く認識し、非核三原則が完全に実施されることを願い、
核兵器の廃絶と軍備の縮小を強く全世界のひとびとに訴えるとともに、この人類普遍の大義に向かって不断の努力を続けることを決意した。ここに、
八幡市を「非核平和都市」とすることを宣言する。
この宣言に書かれている非核三原則は、
核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという三つの原則からなり、
日本の安保外交政策の根幹をなす政策であります。
八幡市の宣言が
核兵器廃絶を明確にうたい、世界に発信していることは誇るべきことであります。
日本は唯一の戦争
被爆国です。その国の政府として、
核兵器禁止条約に
署名し、
核兵器禁止を目指す国際的な流れの牽引
者としての役割を果たすことが大切なのではないでしょうか。
以上が
核兵器禁止条約の
日本政府の
署名と批准を求める
意見書採択についての
請願に対する
日本共産党
八幡市議会
議員団としての
賛成討論であります。
核兵器禁止を求める国民の思いをしっかりと受けとめ、多くの方に賛同していただくようお願いいたしまして、
討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○
山田芳彦 議長 次に、
反対討論を許します。
奥村順一
議員。
(奥村順一
議員 登壇)
◆奥村順一
議員 新政クラブ、奥村順一でございます。ただいま
議題となっております
日程第13、
請願第1号、
核兵器禁止条約の
日本政府の
署名と批准を求める
意見書採択についての
請願について、自民党籍を有する
八幡市議会
議員を代表して反対の立場で
討論させていただきます。
今回の争点となっております
核兵器禁止条約への
署名、批准でありますが、我が国はさかのぼること平成6年(1994年)より毎年、国連に
核兵器廃絶決
議案を提出し続けてまいりました。その背景には、冷戦の終了により核戦争による恐怖のない世界の創造への期待が増し、米露の
核軍縮、昭和45年(1970年)に発効した
核兵器不拡散
条約の維持、強化、さらには包括的核実験禁止
条約の発効の促進などのために、
核兵器不拡散
条約未締結国への働きかけを含む
核軍縮の努力を行うよう呼びかけてまいりました。
唯一の戦争
被爆国の我が国の基本的な
考え方は、
核兵器の非人道性及び厳しい
安全保障環境に対する冷静な認識のもと、
核兵器国と非
核兵器国双方の協力を得た現実的なアプローチが必要というものです。
平成29年(2017年)7月7日に、
核兵器やその他の核爆発装置の開発、実験、生産、製造、取得、保有または備蓄、加えてこれらの
核兵器を使用したり、使用のおどしをかけたりすることを含め、ありとあらゆる
核兵器関連の活動を禁じる
核兵器禁止条約が採択されました。
しかし、アメリカやロシアを初めとする
核保有国とその同盟国を含め、多くの国は交渉に参加しませんでした。また、北朝鮮も参加しませんでした。我が国も、
核兵器保有国と非
保有国との亀裂を深めるという理由からこの
条約には参加せず、
安全保障と
核軍縮の両方の観点を踏まえた主張を繰り広げてまいりました。このことは、冒頭にも述べさせていただきました
核兵器廃絶決
議案でも訴えています。
平成30年12月6日には、
核軍縮交渉を含む
核兵器不拡散
条約を完全に履行する明確な約束を再確認し、
核兵器不拡散
条約に関する合意文書の履行の要請やさらなる取り組みを奨励すること、また地域及び国際的な
信頼関係を構築し、核全面廃絶に向けた対話や交渉の共通基盤の構築を強調しております。一方では、発効要件国の残る8カ国が批准することで発効することとなる包括的核実験禁止
条約の発効に尽力していくことは、我が国の主要な役割であると考えます。
また、近年、北朝鮮の核ミサイル開発を初めとする国際的な
安全保障環境が悪化する中、
核軍縮の進め方をめぐっては、
核兵器国と非
核兵器国の間のみならず、
核兵器国の脅威にさらされている非
核兵器国とそうでない非
核兵器国の間でも立場の違いが見られます。
このような厳しい状況のもと、現実的に
核軍縮を進めていくためには、非
核兵器国のみならず、
核兵器国の協力を得ながら現実的かつ実践的な取り組みを粘り強く進めていく必要があります。国内においても、
核兵器禁止条約に関する我が国の言動について異議を呈される場面がありますが、我が国は唯一の戦争
被爆国として、
核兵器のない世界の実現のため
核兵器不拡散
条約を基礎とし、包括的核実験禁止
条約の発効促進や、いわゆる
核兵器用核分裂性物質生産禁止
条約の交渉開始などに向け、さらには
核兵器の非人道性に対する正確な認識及び
安全保障環境に対する冷静な認識に基づき、
核兵器国と非
核兵器国の協力のもとでの現実的かつ実践的な措置を積み重ねていくことが不可欠であると述べています。
均衡のとれた軍事バランスを保ちながら、できるだけ早期の
核兵器の全廃を図るべきであり、我が国が世界においてなすべきことは、
核兵器国と非
核兵器国の対立を防ぎ、慎重な行動にて
核軍縮の前進に鋭意努力すべきであると考え、よってこのたびの
核兵器禁止条約の
日本政府の
署名と批准を求める
意見書採択についての
請願に対する反対の
討論といたします。ご清聴ありがとうございました。
○
山田芳彦 議長 これにて
討論を終結いたします。
これより
日程第13、
請願第1号、
核兵器禁止条約の
日本政府の
署名と批准を求める
意見書採択についての
請願の
採決をいたします。
委員長の
報告は不採択であります。念のため申し上げます。
会議規則第69条第1項の規定により、問題を可とする
者の
起立を求めることになっておりますので、採択することについてお諮りいたします。本
請願を採択することに
賛成の方の
起立を願います。
起立少数(6名対13名)
○
山田芳彦 議長 起立少数であります。よって、
日程第13、
請願第1号は不採択とすることに決しました。
△
日程第14
○
山田芳彦 議長 日程第14、閉会中の
継続審査及び調査の
申し出についてを
議題といたします。
お手元に配付いたしておりますように、議会運営
委員長及び各常任
委員長から閉会中の
継続審査及び調査申出書が提出されております。
お諮りいたします。本件を各
申し出のとおり決することに異議ありませんか。
(「異議
なし」と言う
者あり)
○
山田芳彦 議長 異議
なしと認めます。よって、本件は議会運営
委員長及び各常任
委員長の
申し出のとおり決しました。
以上で、本
定例会に付議されました事件は全て議了いたしました。
閉会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
令和元年第2回
定例会は、改選後初めての
定例会であり、元号が
令和となって初めての
定例会でもありました。本
定例会におきましては、
議員各位、そして
堀口市長を初めとする
理事者の皆さんのご協力を賜り、全ての案件を議了し、ここに滞りなく閉会の運びとなりましたことを心から厚く感謝申し上げる次第であります。
今
定例会では初当選を果たされました3人の
議員を含む15人の
議員が一般質問をなされました。それぞれに
提言を交え、議論がなされました。同時に
理事者におかれましても、真撃にご対応いただきました。本
定例会で
議員各位から述べられました一般質問や
質疑における意見、要望事項等につきまして格段のご配慮をお願いし、今後の市政執行に当たり適正に反映されますよう要望いたす次第であります。
結びに当たりまして、これからますます暑くなってまいります。皆様におかれましてはお体を十分ご自愛いただきまして、
八幡市発展のためにご尽力いただきますよう切にお願いを申し上げ、閉会に当たってのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
堀口市長。
(
堀口文昭市長 登壇)
◎
堀口文昭 市長 令和元年八幡市議会第2回
定例会の閉会に当たりまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。
去る6月14日に開会いただきました今議会は、山田
議長、太田副
議長のもとにおきまして、本日無事に閉会の運びとなりました。この間、
議員各位におかれましては、終始熱心なご審議を賜りましたことに深く敬意を表しますとともに、厚く御礼申し上げるところでございます。
このたびの
定例会におきまして、当初にご提案申し上げました
条例案及び補正予算案等を初め、追加提案させていただきました人事案件も含めまして、私どもの方からお願い申し上げました全ての
議案をご
可決、ご同意賜りまして、まことにありがとうございます。
現在、鹿児島市では避難指示が出されたようでございますけれども、九州では大雨に対する備えが必要となってきております。本市におきましても、引き続き情報収集に努め、対応に怠りないようにしてまいりたいと考えております。また、あすから参議院選挙が始まります。
議員の皆様におかれましても、忙しくなる方も多いと存じますが、くれぐれも健康にはご留意いただきまして、引き続き市政運営に格段のご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、閉会に当たりましての御礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○
山田芳彦 議長 以上で
令和元年八幡市議会第2回
定例会を閉会いたします。大変お疲れさまでした。
午前10時53分 閉会
地方自治法第123条第2項の規定により
署名する。
八幡市議会
議長 山 田 芳 彦
会議録
署名議員 関 東 佐世子
会議録
署名議員 山 口 克 浩...