令和 5年 2月 定例会 令和4年 定例会 京都市会会議録 第2号 令和5年2月市会 令和5年2月27日(月曜日)出席議員(64名) 1番
久保田正紀議員 2番 神谷修平議員 3番
小山田春樹議員 4番 豊田恵美議員 6番 田中明秀議員 8番 やまね智史議員 9番
鈴木とよこ議員 10番 かまの敏徳議員 11番 大津裕太議員 12番 菅谷浩平議員 13番 森 かれん議員 14番
小島信太郎議員 15番 片桐直哉議員 16番
兵藤しんいち議員 17番
松田けい子議員 18番 やまずまい子議員 19番
井上よしひろ議員 20番 平山たかお議員 21番 とがし 豊議員 22番 ほり信子議員 23番 山田こうじ議員 24番
森田ゆみ子議員 25番 山本陽子議員 26番 平井良人議員 27番
宇佐美賢一議員 28番
こうち大輔議員 29番
天方ひろゆき議員 30番 安井つとむ議員 31番 かわしま優子議員 32番 国本友利議員 33番 加藤昌洋議員 34番 森田 守議員 35番
田中たかのり議員 36番 みちはた弘之議員 37番 さくらい泰広議員 38番 くらた共子議員 39番 井上けんじ議員 40番
河合ようこ議員 41番 樋口英明議員 42番 赤阪 仁議員 43番 江村理紗議員 44番 中野洋一議員 45番
山岸たかゆき議員 46番 青野仁志議員 47番 平山よしかず議員 48番 吉田孝雄議員 49番
しまもと京司議員 50番 椋田隆知議員 51番 下村あきら議員 52番 西村義直議員 53番 山本恵一議員 55番 井坂博文議員 56番 加藤あい議員 57番 西野さち子議員 58番 玉本なるみ議員 59番 湯浅光彦議員 60番 曽我 修議員 61番 大道義知議員 62番 寺田一博議員 63番 津田大三議員 64番 中村三之助議員 65番 橋村芳和議員 66番 繁 隆夫議員 67番 富 きくお議員欠席議員(なし)欠員(3名) 議事日程 開議日時 令和5年2月27日(月)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付第2 議第1号ないし議第19号、議第21号、議第25号ないし議第30号、議第44号、議第339号、議第342号、議第344号ないし議第350号及び議第357号 令和5年度京都市一般会計予算 ほか36件
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開会〕
○議長(田中明秀) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。
井上よしひろ議員と
こうち大輔議員とにお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) この場合、議長から御報告申し上げます。 監査委員から、住民監査請求の要旨の通知2件が参っております。原文は、市会事務局に保管してありますから、随時御覧願います。 以上御報告申し上げます。御了承願います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 日程に入ります。 日程第1、請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願2件及び陳情424件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託又は回付いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 日程第2、議第1号ないし議第19号、議第21号、議第25号ないし議第30号、議第44号、議第339号、議第342号、議第344号ないし議第350号及び議第357号令和5年度京都市一般会計予算、ほか36件、以上37件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し、これより質疑を行います。発言の通告がありますので、これを許します。橋村芳和議員。 〔
橋村芳和議員登壇(拍手)〕
◆(橋村芳和議員) おはようございます。私は、伏見区選出の橋村芳和でございます。中村三之助議員、みちはた弘之議員、
田中たかのり議員と共に、
自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして質疑を行います。この2月市会の代表質疑は、令和5年度予算を議論する極めて重要な場であるとともに、我々市会議員にとって今任期最後の本会議の質疑であります。今任期を振り返ったとき、そのほとんどの期間がコロナとの闘いであったと思います。医療、福祉、教育をはじめ多くの事業者の皆様、市民の皆様の御尽力に改めて感謝申し上げ、質疑に入らせていただきます。 初めに、令和5年度予算編成についてお伺いいたします。門川市長は、平成20年2月に市長に就任された直後、
リーマンショックによる大幅な景気後退に見舞われ、平成20年度は過去最大の赤字、本市財政は危機的な状況にある中、行財政改革を間断なく
行い全国トップレベルの福祉、医療、教育、子育て支援などを維持、充実させてこられました。また、担税力強化の取組についても、コロナ禍前の令和元年度市税収入が過去最高となるなど、その実を結び始めたところでありました。しかし、市長就任前から続いていた特別の財源対策、すなわち、実質的に支出に対して収入が不足するという状態からの脱却はかなわず、その穴埋めのための公債償還基金の取崩累計は800億円を超え、このままサービス水準を維持し続けることは、もはや限界でありました。 こうした中、令和3年8月、持続可能な財政運営の確立を目指す5年間の
行財政改革計画を策定し、令和5年度までの当初3年間を特に重要な集中改革期間と位置付け、門川市長が4期目の市長選挙公約に掲げた財政構造の抜本改革に全庁総力を挙げて集中的に取り組むこととされました。今回、その大きな区切りとなる集中改革期間の最終年度である令和5年度予算が示されました。
行財政改革計画においては、
新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に相当の時間を要すると見込まれる中で、京都市財政の最大の課題である支出が収入を上回るという状態を急激に解消することは市民生活への影響が甚大であるため、財政の健全化を図ることとのバランスを取りながら長期にわたり改革を進めることとしておりました。このため、令和7年度までの計画期間においては、まずは公債償還基金の枯渇、いわゆる財政破綻を何としても回避すること、これを必達目標としつつ、収支不均衡の是正については、令和15年度までの可能な限り早期に、まずは公債償還基金の計画外の取崩しから脱却することを目指しておりました。この度示された令和5年度予算案では、この目標の大幅な前倒しとなる収支均衡予算を実現。これは、平成13年度に
財政非常事態宣言を発し平成14年度に特別の財源対策を講じ始めてから実に22年ぶりであり、集中改革期間3年間の確かな成果を示されたものと評価したいと思います。この結果は、市長のリーダーシップと市職員の努力はもちろんですが、何よりも多くの市民の皆様が、この改革の意義、国や他都市を上回る施策、事業を持続可能なものとするため時代に合ったものへと見直すものであるということを、このコロナ禍においても御理解・御協力いただいた結果であり、心から感謝申し上げる次第でございます。また、この間、京都市財政について多くの方々に御心配をお掛けしておりますが、市民の皆様に対して、財政難を克服できる道筋を付けたことを経過も含めて丁寧にお伝えすることが大切であります。今回の財政難克服に大きく寄与したことの一つに、危惧されていた
リーマンショック時のような税収の落込みが回避されたことがありますが、これは、市民、事業者の方々の御努力と、それを支える国・府・市が一体となった経済対策、支援策による成果であります。また、地方交付税につきましては、これまで市税などの増収による制度上の減少以上に減額されてきましたが、今回は必要額が確保されております。これら経済対策、地方財源の確保と共に、市長自身も国に対しこれまで以上に力を入れて要望されてこられましたが、我々
自由民主党京都市会議員団においても強く要望を重ねてきたところであります。 改めて、市長就任時の財政危機から今日までを振り返り、これまでどのような思いで財政運営を行ってこられたのか、また、令和5年度予算編成に当たっては、財政の健全化を図りながらも子育て世代や若年層への対策の充実、さらには文化を基軸とした都市経営など、我が会派からは、改革一辺倒ではなく現下の課題にもしっかりと対応することを強く求めてきたところであります。令和5年度予算をどのように編成されたのか、市長のお考えをお伺いいたします。 さて、これからが肝腎であります。長年成し遂げることができなかった収支均衡予算を達成したわけでありますが、今後も伸び続けることが想定される
社会福祉関連経費、物価高騰、金利上昇の影響、収入面では、先行き不透明な中、市税収入や地方交付税も下振れする可能性もあります。こうした中においても、収支を均衡させ安定した財政運営を継続するとともに、将来世代への負担の先送りを完全に解消するため、これまで計画外に取り崩してきた公債償還基金、残る505億円を解消していく必要があります。さらには、新たな行政課題にも対応していかなければなりません。そのためには、今後も、時々の社会情勢の変化に応じた施策、事業の見直しや都市の成長戦略の推進は、引き続き行っていく必要があります。持続可能な行財政の確立、ひいては市民福祉の増進に向けて、こうした改革の実効性をより確かなものとするため、我が会派から提案しておりました京都ならではの持続可能な行財政の運営の推進に関する条例の制定議案が今市会に提案されておりますが、この条例案に込められた市長の思いについてお伺いいたします。 次に、令和5年度予算の執行体制について伺います。令和5年度は、門川市政4期16年目の総仕上げに当たると同時に、
行財政改革計画の集中期間の最終年度となる極めて重要な1年となります。来月には、京都市民の長年の悲願であった文化庁が京都に全面的に移転します。これを契機に、門川市長が進めてこられた文化を基軸とした都市経営を更に深化させなければなりません。また、子育て世代や若年層をはじめとした人口問題への対応などにもしっかりと取り組む必要があります。計画に掲げる組織、人員体制の適性化、人件費の削減を着実に進めることは当然でありますが、必要な執行体制はしっかりと強化しなければなりません。 一方で、今年度末には、昨年よりも多くの局長級、部長級の職員が退職されると聞いております。業務体制をしっかり維持、継承しつつ新たな感性も取り入れるためには、若手の登用など人物本位、実力本位の抜てきも必要であります。また、大きな潮流である女性活躍の推進については、現在、8人の局長、区長と26人の部長が活躍されておられますが、更なる女性職員の登用も進めなければなりません。これらを踏まえて、来年度の執行体制をどのように構築されるのか、市長の考えをお伺いいたします。 国と連携した更なる子育て、教育施策の充実についてであります。我が国の
出生数は、昨年実績で年80万人を割り込むことが確実な状況であるなど大変厳しい状況にあります。さらに、核家族化、地域のつながりの希薄化等の中で、子育ての孤立や家庭の教育力の低下といった課題も指摘されています。一方で、改めて申し上げるまでもございませんが、どんな時代であっても子供は社会の宝であり、国家100年の計を考え持続的な社会を築いていく上で社会全体で子供を健やかに育む環境づくりを進めることは、大変重要な課題であります。 こうした中、1月23日に開会した通常国会の施政方針演説において、岸田総理は、我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれており、待ったなしの課題。子供ファーストの経済社会を作り上げ、出生率を反転させなければならない。従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいとの強い決意を述べられました。また、4月1日からは、こども家庭庁が設置され、子供を真ん中にした社会の実現に向けた施策が省庁横断的に推進されます。今後、国において様々な具体的な方針が検討され少子化の克服などに向けて、これまでにないレベルでの政策が示されることを期待していますが、岸田総理の示した次元の異なる子育て支援策で検討する中身を地方から国に提案していく必要があります。もとより、地域の声、自治体の声を国に届けても、それが具体的な施策として実現するためには、国との確かな信頼関係、緊密な連携が必要であり、それができるのは、我が
自由民主党京都市会議員団であり、公明党との連立政権の下で岸田総理が進める子育て支援策の推進と軌を一にして、具体的な政策実現に向け、しっかりと国に対して働き掛けていく所存であります。本市では、我が会派が積極的に働き掛け、府市協調で子ども医療費の拡充が示されたほか、岸田総理が示した次元の異なる子育て支援策の推進を受け、1月25日の教育福祉委員会で私が行った質問の中で、
全員制中学校給食の実施を見据え、調査に着手する予算を計上できるよう調整することを教育長が表明するなど国の動きを捉え更なる子育て支援、教育環境充実に向けた具体的な取組に着手しようとしています。改めて、市長としての、岸田総理の施政方針を踏まえた本市での子育て環境充実に向けた取組に対する決意をお伺いをいたします。 次に、交通局の事業について伺います。先般、市長記者会見において地下鉄の運賃改定回避を発表されました。これは非常に大きな決断であり、市民の皆さんからは安心したとの声が寄せられております。 そもそも地下鉄の歴史を振り返ると幾度もの経営危機がありました。門川市長就任時には、1日当たり4,600万円もの赤字を抱え、地下鉄の経営改善は本市の最大課題の一つであり、私自身も議員生活の中で常に地下鉄の厳しい経営状況を間近に見てまいりました。経営状況の厳しさから、これまでにも国が指定する
経営健全化団体に陥りましたが、その後、駅ナカビジネスなど攻めの経営、1日5万人増客の達成など計画よりも1年前倒しで
経営健全化団体から脱却し着実に安定経営の道筋が見えておりました。その矢先のコロナ禍であります。これまでに類を見ない経営の危機に直面し、強い危機感を抱きました。そのような状況において我々はあらゆる経営努力を求め、さらに、
自由民主党京都市会議員団として会派を挙げて国に要望し、西田参議院議員をはじめとした京都選出の国会議員とも連携し、地下鉄・市バスの窮状を訴えてまいりました。そして市長のリーダーシップの下、地下鉄の運賃改定は何としても回避するとの判断に至られました。今回の地下鉄の運賃改定回避については、我々自民党と連携できる市長であるからこそ実現したものであります。この判断に至った市長の思いをお伺いをいたします。 一方で、市バスについては、引き続き運賃改定を見込まざるを得ない状況にあると伺っています。全国一厳しいと言われてきた地下鉄は運賃改定を回避する一方で、市バスはなぜいまだに運賃改定を見込まざるを得ないのか、そして依然厳しい状況にある市バス・地下鉄をいかにして守り抜いていくのか、市長のお考えをお伺いいたします。 まずは、ここまでの答弁を求めます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 財政運営についてでございます。私の市長就任当時、市バス・地下鉄を含めた全会計の連結実質赤字が300億円を超え、加えて一般会計も
リーマンショックの影響を受け、特別の財源対策95億円を講じてもなお過去最大の30億円の赤字となるなど今以上に危機的な財政状況でありましたが、改革を徹底し、1期目でこれらの赤字を解消いたしました。同時に、経済活性化、担税力の強化に取り組み、その効果が出るまでは特別の財源対策を講じてでも
リーマンショックからの回復途上にあった市民生活を守り抜くことを最優先にしてまいりました。 しかしながら、特別の財源対策は、いつまでも続けられるものではありません。経済活性化により税収増加の取組の効果が現れる中、4期目の市政に当たっては、挑戦と改革を掲げ持続可能な財政の確立を市民の皆様にお約束しました。一般財源収入は、収支不均衡が始まった平成14年度以降24年度までの10年間において、国の三位一体改革による地方交付税等の大幅な削減や過去最大の税収減等により320億円減少しましたが、その後の徹底した歳入増の取組と地方交付税の確保により、私の2期目、平成24年度以降11年間で370億円増加し、その回復を果たしました。この間、コロナ禍により
リーマンショック並みの財政への影響も危惧されましたが、それも市民の皆さん、事業者の皆さんの懸命な御尽力と、国・府・市、連携した取組により乗り越えることができました。あわせまして、行財政改革、国・府・市との連携を更に進め、中でも人件費につきましては、市民の皆さんの命と暮らしを守るとともに、新たな行政課題に的確に対応するための態勢を維持、充実しつつ、事業の効率化等を徹底し、市長就任以来、全会計で4,000人を超える職員数を削減、年間320億円の人件費削減効果を上げております。この結果、令和5年度予算において22年ぶりに収支均衡を達成し、財政難の克服への道筋を付けることができました。市民、事業者の皆さんの御理解と御協力あってのことでございます。心から感謝申し上げます。今後も市民の皆様との協働と市政の根幹に据え、物価高騰等により厳しい市民生活を守り抜くとともに、子育て支援、教育の充実、若い世代が住みやすい住居、働く場の創出に一層取り組み、魅力あふれる京都を未来へとしっかりとつないでいけるよう全力を尽くしてまいります。 次に、持続可能な行財政の運営の推進に関する条例についてでございます。この間、財政状況をフルオープンにして、市会を含め市民の皆様と危機感を共有の下、令和3年8月に
行財政改革計画を策定し、スピード感を持って改革を進めてまいりました。長年の課題でありました収支不均衡の解消についても、計画では10年以上掛かるとしていたものを3年で達成いたしました。収支均衡は、22年ぶりであります。財政難克服への確かな道筋を付けることができました。これも市民、事業者の皆さんの参加と協働による改革の成果であり感謝申し上げます。そしてこれからが肝腎であります。市民の皆さんの命と暮らしを守り、市民福祉の増進を図る、持続可能な行財政を確立し未来への責任を果たす、これらを踏まえ、条例では、市民の皆様と共に改革を進めていくため説明責任を強化するとともに、改革の必要性、財政運営の目標などを明記した計画を策定し、計画に基づく予算編成を義務付けております。こうした他都市にない京都ならではの条例を制定し、大規模災害など予測できない事態にも市民生活を守る足腰の強い機動的な財政運営に向け着実に改革を推進する。そして将来にわたり安定した財政基盤を確立し、魅力あふれる京都の今と未来を市民の皆さんと共に力強く切り開いてまいります。 次に、令和5年度の執行体制についてでございます。危機のときにこそ人は成長し、組織は活性化し、まちづくりは前進する、この間、私は、この思いで職員一丸で行財政改革にまい進し、本市の職員力・組織力は大きく向上したと実感いたしております。そして来年度は、改革を一層推進するとともに、都市の成長戦略を基盤づくりから本格展開させる極めて大事な年であります。とりわけ若い世代、子育て世代をはじめとした人口減少対策や都市計画の見直しと共に、それと連動した企業立地の促進、文化庁の移転を契機とした文化と経済の好循環の創出、全庁を挙げた、また市民ぐるみでの脱炭素への取組の推進、さらには、貧困、格差、孤立など社会課題の解決への対応などSDGsの一層の推進など、京都の未来を見据えた体制をしっかりと強化するとともに、市民対応の最前線である区役所への実行力のある職員の登用を積極的に進めてまいります。 そして女性の活躍。管理職に占める女性の割合は、市長就任時の8.8パーセントから18.3パーセントへ大きく向上し、係長以上では23パーセントを占め、また現在、14人の区長、担当区長のうち6人が女性であるなど要職への登用を進めております。橋村議員御指摘のとおり、来年度は幹部職員に大きな世代交代が生じますが、年齢や経験に捕らわれず改革実行力に優れた職員を積極的に登用すべく、今正に熟慮に熟慮を重ねているところであり、重要課題に的確に対応できる執行体制をしっかりと構築してまいります。 子育て環境の充実についてでございます。全国的に少子化傾向に歯止めが掛からない中、本市においても少子化が進行しており強い危機感を持っております。私は、子育て施策の充実に一層力を入れて取り組む必要があるとの思いの下、この間、政令市唯一の中学校3年生の30人学級など本市独自の少人数教育の推進を進め、こうした取組の効果が、地域、保護者、PTA、教職員の協力、努力も相まって、
全国トップレベルの学力に表れるとともに、子ども医療費につきましても、府市協調により
政令市トップ水準まで大幅に負担額を引き下げることといたしました。こうした本市の充実した子育て施策を、子育て世帯をはじめ市民の皆様にしっかりとお伝えしてまいります。また、この度、岸田総理から、子供・子育て政策を最重要政策とする方針が表明されたことを受け、橋村議員から、これまで実施できなかった取組を一歩前に進めるべきとの力強い後押しを頂き、
全員制中学校給食の速やかな実施に向け、令和5年度当初予算案に調査費を計上いたしました。こうした施策を具体的に実現するためには、国や府との確かな信頼関係と緊密な連携が不可欠であり、今後も市会の先生方と連携しながら、あらゆる機会を捉えて必要な支援を国にしっかりと求めてまいります。橋村議員御指摘のとおり、子供は社会の宝であります。若い世代や子育て世代が住みやすいまちづくりを本市の重要施策に位置付け、
全国トップクラスの子育て支援、教育を更に充実させてまいります。 市バス・地下鉄事業の今後の見通しについてでございます。新型コロナの影響により、全国の多くの交通事業者が運賃改定に踏み切る中、本市においても厳しい状況に変わりはなく、昨年3月に策定した
経営ビジョン改訂版では、市バス・地下鉄共、運賃改定を見込まざるを得ませんでした。しかし、経営改善の取組や最近のお客様数の回復に加えまして、とりわけ自公政権の下、自民党の市会議員、国会議員の先生方の力強いお力添えにより実現した国の支援措置が、地下鉄の企業債返済の負担軽減に大きくつながるため、更なる経営努力が前提となるものの地下鉄は運賃改定の回避を決断いたしました。 一方、市バスにつきましては、地下鉄とは収支構造が異なり今回の国の支援策は効果が限定的であるうえ、コロナ前には822両のバスが84系統できめ細かく市域を走っていた京都ならではの市バスのネットワークは4分の1の黒字路線で、4分の3の赤字路線を支える仕組みとなっており、引き続きこのネットワークを維持するためには、運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはございません。地下鉄事業も企業債残高をピーク時からの4,900億円からこの間大幅に圧縮しているものの、現在も3,300億円を超える残高を抱えており、運賃改定を回避したとはいえ極めて厳しい経営状況でございます。今後とも一人でも多くの皆様に御利用いただき、あらゆる経営努力を重ねることで、市民の皆さんの財産である市バス・地下鉄をしっかりと守り抜いてまいります。
○議長(田中明秀) 橋村議員。 〔
橋村芳和議員登壇〕
◆(橋村芳和議員) 次に、今後の企業立地促進についてお伺いいたします。本市は、抜群の世界的知名度を誇るとともに、伝統産業に培われた技術力や大学の集積による豊富な人材力、研究開発力など多様な魅力を持つビジネス都市であり、こうした魅力をいかしながら、今年度、京都市企業立地促進本部が中心となって、これまでの市内企業の事業拡大支援に加えて新たな企業誘致支援にも取り組まれております。そして来年度からは、オフィス空間や産業用地の創出を目指し、都市計画の見直しと連動した企業立地促進がいよいよ本格化してまいります。昨年9月市会の代表質問において、我が会派の平山たかお議員の質問に対して、門川市長は、企業立地促進の基本方針や具体的取組などを年内を目途に発表すると答弁され、その後、企業立地促進本部を中心に議論を深められ、昨年12月27日に今後の企業立地促進の構想を示されました。未来に向けて京都が大きく成長を遂げる起爆剤になる構想であると期待いたしております。 とりわけオフィス・ラボ誘導エリアは、都心部からの連続性とらくなん進都との近接性をいかした新たなオフィス・ラボの集積地として期待できる取組であり、是非とも成功させなければなりません。一方で、現状では、このエリアにおいて、まとまった土地が用意できておらず、企業の用地確保の取組を促していくところから着手する必要があります。そのためには、首都圏はじめ全国の企業に、新たなプロジェクトをしっかりと知っていただき関心を持っていただく必要があります。ビジネスチャンスを逃さないよう、企業ニーズの喚起にスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。また、オフィスビルの建設や、本社機能の移転といった規模の大きな企業活動となると、企業の意思決定や実行にも相応の時間が掛かることが想定され、長期的な構えで地道に取り組んでいただくことも重要であると考えます。 そこでお伺いいたします。構想の実現に向けて、新規・充実予算を御提案されておりますが、どのような点に力を入れて令和5年度予算を具体化されたのか、そして今後、伏見区横大路や向島における用地創出の取組も含めてどのように取り組んでいかれるのか、市長のお考えをお伺いいたします。 最後に、脱炭素先行地域についてお伺いします。2050年カーボンニュートラルの達成に向けて国が進める取組の一つとして脱炭素先行地域100か所の創出が掲げられており、本市も京都の文化、暮らしの脱炭素化で地域を向上させる京都ならではの脱炭素モデルの構築を提案し昨年11月に選定されました。今後の取組について大いに期待をされるところであります。本市の脱炭素先行地域の中心となる私の地元伏見区は、環境関連施設が多く立地し、区民の皆様による環境負荷の低減に向けた活動も活発に行われております。特に横大路地域には多くの環境関連施設が立地しており、環境共生の要となっております。豊かな自然に恵まれた水運の拠点として繁栄を誇り、草津湊に代表される歴史的・文化的資源に恵まれた地域でありますが、昭和の時代にごみ焼却場が建設されて以来、廃棄物や下水の処理施設、リサイクル施設などが数多く立地し、長きにわたって京都市民の生活や経済活動を支える重要な役割を担っていただく一方で、大きな負担をお掛けしてまいりました。そうした中、地域の再生を目指す横大路地域の皆様の長年の思いを受けて、平成19年には、地域と行政の協働により伏見ルネッサンスプランが取りまとめられ、都市基盤の整備と共に、これまで負のイメージが強かった環境関連施設の集積を、これからの環境教育活動を実践する場として位置付け、環境共生のまちとして発展させることが目指されております。私は、ごみ減量や地球温暖化対策、生物多様性保全といった課題に対応していくためには、市民一人一人が自分のこととして取り組むことが大切であり、京都の未来を育む子供や若者への環境教育が重要であると考えております。南部クリーンセンターの建替えに当たって、地域の皆様は、市民全体にとって必要な施設であるとの御理解の下、惜しみない協力をされました。令和元年には、環境に配慮した最新の設備を導入するとともに環境学習施設さすてな京都を併設した施設が完成し、これまでのクリーンセンターのイメージを一新する魅力あふれる環境学習の拠点となっております。また、さすてな京都は、COP3を記念して開館した京エコロジーセンターや青少年科学センターと連携した取組を進めており、伏見区は環境学習の拠点ともなっています。 このように、伏見区全体として、京都の市民生活、経済活動、そして環境保全を支えてきた地域であり、伏見区そのものが環境先進都市といっても過言ではないと考えております。そうした中、伏見区だからこそ、市民、事業者の皆様と共に、京都市が掲げる2050年ゼロに向けた大きな一歩となる取組に挑戦することができるのではないでしょうか。脱炭素の取組は、地球環境のみならず、そこで暮らす人々の生活の豊かさにつなげる必要があります。そこで、脱炭素先行地域の取組を着実に推進するためにどのような体制を構築されるのか、また、脱炭素先行地域の取組によって、伏見区にどのような効果がもたらされるのか、本市全体にどのように波及していくのか、市長の御答弁を求めたいと思います。 以上をもちまして、私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き橋村芳和議員の御質問にお答えします。 今後の企業立地促進についてでございます。都市の成長戦略を実現するためには、市内企業の事業拡大や市外企業の誘致を図る企業立地促進が必要不可欠でございます。このため、令和5年度から京都の景観の守るべき骨格を堅持することを前提とした都市計画の見直しなどと共に、企業立地の支援強化を連動させ取組を本格化させます。そこで予算編成に当たって重視したのは、企業の進出意欲を強力に喚起するインパクトの強い支援でございます。京都駅南部とらくなん進都鴨川以北にオフィス・ラボ誘導エリアを設定し、オフィスビル等の建設に対する支援制度を初めて創設するとともに、企業の進出に対する既存の支援制度に補助率を最大5割上乗せするなど支援の大幅な強化を提案いたしております。また、ハード、ソフト両面の総合的な支援メニューを一体的に発信する広報など発信力、営業力の強化も重視しております。 今後は地元の経済界と連携して、企業や開発事業者、金融機関等の関心を強力に喚起するために、私自らが首都圏向けの発信、営業などにスピード感を持って取り組んでまいります。また、横大路や向島の産業用地につきましては、現在、複数の事業者から相談を受けており、引き続き早期の進出実現に向け全庁挙げて対応してまいります。橋村議員御指摘のとおり、大規模な民間プロジェクトの立地促進には長期的な視点で粘り強く取り組むことが重要であり、インパクトの強い支援と積極的な営業活動等を織り交ぜまして、都心部の経済活力の高まりを南部創造エリアをはじめ市内経済全体の活性化につなげてまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 脱炭素先行地域に向けた取組についてでございます。この度の選定は、循環型社会の要を担ってこられた伏見区の皆様をはじめ多くの先人たちが築いてこられた礎の上にあるものであります。これまでのお取組に改めて深く感謝申し上げます。脱炭素先行地域で対象とする様々なエリアにおいて脱炭素を着実に進めていくためには、幅広い市民、事業者の皆様との協働の下、取り組んでいく必要がございます。このため、昨年12月には、私を本部長とする庁内体制を立ち上げ取組を開始したところであり、さらに来月には、脱炭素先行地域に関わる事業者、団体が文化遺産、商店街、住まい等の脱炭素転換を、効果的かつ円滑に進めていくための連携体制として脱炭素先行地域推進コンソーシアムを立ち上げ、脱炭素のまちづくりを具体化してまいります。 伏見エリアにおきましては、今後、伏見工業高校跡地の脱炭素住宅街区創出や商店街、寺社といった拠点において、太陽光発電設備の設置等、脱炭素転換を進めることを通じて、子育て世代の定住促進、地域コミュニティの活性化、地域防災力の向上といった暮らしの質の向上や環境先進エリアとしての新たな魅力の創出などにつながるものと考えております。2050年ゼロに向けて、先行地域で得られた知見やノウハウをコンソーシアム等の様々な場で共有するとともに、メリットを積極的に発信し地域脱炭素を全市域に波及させる脱炭素ドミノを目指してまいります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、中村三之助議員に発言を許します。中村議員。 〔中村三之助議員登壇(拍手)〕
◆(中村三之助議員) 私は、上京区選出の中村三之助でございます。同僚の橋村芳和議員、みちはた弘之議員、
田中たかのり議員共々、自民党市会議員団を代表して多岐にわたり質疑させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず初めに、関西広域連合の現状の課題についてであります。関西広域連合は、平成22年12月に設立され12年が経過いたしました。京都市は、平成24年8月に政令指定都市として加入し、現在は、京都府、京都市、大阪府、大阪市、堺市、兵庫県、神戸市、滋賀県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県の12府県市で構成されており、本市の加入から10年半が経過する日本最大の特別地方公共団体であります。関西から新時代を作るをスローガンに、中央集権体制と東京一極集中を是正し、地域が主体的に地域の広域課題に対応できる分権型社会の実現を目指しております。 私は、この6年間、京都市会の信託を受け、京都市会を代表して関西広域連合議員として、その責務を果たすべく、私のボーイスカウト人生で育まれた信条でありますポストにベストで、しっかりと要所で質疑、提案をしてきたと自負しております。このことは、そういう現場におられた門川市長も御存じのことと思っております。私は、この6年間の経験から、関西広域連合議会の在り方について、昨年度、政令指定都市が議長、委員長などの役員職、また、表記の上で差別されていること、そして関西広域連合議会議長、議員の資格についてなど4項目の問題提起とその改善策を提案させていただき、今年度1年間掛けて理事会にてこの議論をすることになり、その後、理事である私は、数回にわたる理事会においてほかの理事に理解を求めてまいりました。そしてこれまでの議論を踏まえ、今月の関西広域連合全員協議会では、議席や資料等での表記順など一定の改善は図られましたが、議会の役員職や議長、議員の資格については継続協議となることにとどまりました。二元代表制の議会のことでありますので、ここでその件で市長と議論はいたしませんが、現在の形骸化していると言える連合議会の中、関西広域連合も12年が経過しているにもかかわらず、現在の連合議会も含め、組織、事業、運営体制を見直さないまま継続していっても、成果が期待できないと思っております。私は、今日の関西広域連合の成果は、ドクターヘリの広域的な運行体制の構築ぐらいと思っております。関西広域連合は、文化庁の全面的移転も成果として挙げていますが、しかし、事実上は、門川市長、当時の山田知事、当時の立石商工会議所会頭をはじめ京都の市・府民の意向を受けられ御尽力された当時の伊吹文明代議士をはじめとする地元国会議員の大きな力によって実現したものとはっきり言えます。関西広域連合議会、また、首長の会合である連合委員会も、最近では、首長本人の出席が減少し、副知事、副市長の代理出席での会合が多くなってきていることや、構成府県市の設立当時の首長が入れ替わってきていることからも、私は、首長の関西広域連合への関心、思い、また期待感に変化が来ているのではないかと思っております。そこでお尋ねいたします。現体制で、関西広域連合を継続することに本市としてどれだけのメリットをもたらすとお考えなのでしょうか。また、新しい首長に変わって来ている中、来年度の早期に、連合委員会において、これからの関西広域連合の継続意義について議論していただきたいと思っております。門川市長の御所見をお願いいたします。 次に、文化庁京都移転及び京都芸大移転を踏まえた、これからの文化行政の在り方についてでございます。いよいよ本年3月27日から、都倉長官はじめ文化庁職員が京都で業務を開始される運びとなりました。これは、明治以来150年で初めての中央省庁の移転となる国家的事業であります。と同時に東京の一極集中の是正、文化の力による地方創生を目指す文化行政の範ちゅうを越えた非常に大きな意義を持つ一大プロジェクトであります。本市は、移転決定後、これまで移転に伴う各種準備、調整、機運の醸成のための広報、また、京都に来られる文化庁の職員の住居や子供の保育所や学校の転入の支援など受入環境の整備に取り組まれてきました。御承知のとおり、当然、移転がゴールではございません。これから新文化庁が、文化で日本を元気にする文化芸術立国の実現に向けて、機能、取組を強化することが肝要であります。そういうことから、京都においても文化庁と連携しながら、全国の文化による地方創生に取り組まなければならないと思っております。そして単に京都に文化庁ということではなく、京都と文化庁が相互に響き合うような新たな文化庁の始まりであり、従来の文化行政の枠を超えて国の将来や地域のまちづくりの根幹に関わっていく文化行政の歴史の起点、出発点にしなければならないと思っております。ついては、そのためには、本市として対応するこれからの組織と体制が重要と考えます。これまで総合企画局が中心となって移転のための総合的な調整を行ってきましたが、来年度以降は、文化行政を担う文化市民局に業務を移管し文化行政への関係をより重視した体制を構築していく方が、移転後の業務の方向として良いと思いますがいかがでしょうか。 また、今回の移転は、文化庁全体の約7割の移転であり、約3割は、外交、国会対応等でそのままであります。また、東京に拠点を置く関連業界の団体、協会などの移転は見られません。ついては将来的にそれらの移転、またはサテライト的なものを置くなどの働き掛けをしていただきたいと思っております。また、同時に、府市連携の下、その受入環境整備も必要と考えます。そして文化市民局は、文化庁との更なる連携の下、文字どおり文化による地方創生をけん引する政策展開をしていくことが求められると思います。いかがでしょうか。 文化芸術を巡るもう一つの大きな契機が、本年10月に移転開校予定の京都芸大の移転でございます。京都駅前という立地をいかして、教育、研究成果の発信に加え、大学と市民や国内外からの来訪者との交流を促進するなど開かれたキャンパスとして新しい大学の姿を目指し、文化芸術都市・京都のシンボル的な役割を担うと期待されているところであります。しかしながら、京都市民や社会に対して、ただ開いているということだけではいけないわけであり、大学自ら大学の外に積極的に出て行き、また大学の中に積極的に呼び込み、市民や地域社会との関わりを強め、様々な協力や協働によって、大学の力を京都の文化の振興、発信とまちの活性化にいかしていくことが求められます。ついては、ただ単に京都の中心部にある芸大ではなく、京都のまちと芸大が相互に響き合うというような考えで文化芸術都市・京都の発展に寄与していくべきと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次は、公共土木施設の維持保全及び防災・減災に関する予算の充実についてであります。本市は、令和3年8月に行財政改革を策定し様々な事業見直しに取り組み、歳入歳出両面にわたる改革を実行し、この令和5年度予算においては、計画の必達目標から750億円の収支改善を果たし、平成14年度以降、年平均130億円規模で続けてきた特別の財源対策をゼロとし収支均衡が実現できたことは喜ばしいことであります。国も頑張って本市に予算を付けていただいておりますが、楽観視してはならず、計画の継続が肝要であります。公共土木施設の維持保全や防災・減災対策などを担う建設局の当初予算は、この2年間で84億円減少いたしました。この減少はやはり大きく、地域における日常的に利用される道路の維持補修などの市民生活に少なからず支障をもたらしました。市民生活の安心・安全に欠かすことのできない道路や河川、公園などの土木関連工事の大半は、市内の中小企業が受注しており、地域経済を下支えしている生命線でもあると思っております。加えて公共投資は、裾野の広い業界に関わることから、雇用の創出、景気の改善に寄与するものであります。自民党京都市会議員団は、令和5年度の予算編成に当たって、激甚化している自然災害等を踏まえ、あらゆる災害に備えた取組を進めるとともに予算を十分に確保することを求めているところであります。また、令和5年度は、現在の土木事務所とみどり管理事務所を統合した土木みどり事務所が設置されます。ついては、更なる機能強化と市民サービスの向上を実現し、市民生活に最も身近な拠点として円滑なスタートを切っていかなければならない重要な節目の年であります。これらのことは、常任委員会において申し上げてまいりました。その結果、この度、増額補正予算が組まれたことは、大変評価しております。行財政改革を着実に実行しつつ市民の安心・安全をしっかりと確保していくために必要とする公共土木施設の維持保全や防災・減災に関する今後の予算の確保は重要なものと考えておりますが、御所見をお伺いいたします。 次は、ペットとの同行避難に向けた取組の強化についてであります。本市において災害時での各地域での避難所対応は、年々強化されてきております。これは、各地域での継続的な防災訓練の実施、地域力の向上の賜物と思っております。そういう中、私は、これからは、飼い主にとっては家族同様と思っておられるペットの同行避難の受入環境を、より一層整備強化していくことが大切と思っております。現在、京都市内の指定避難所433か所のうち、ペットの受入体制が整備された箇所数は、令和3年の調査では395か所で91.2パーセントの整備率であります。これは、全国的には大変高い数字であります。しかし、受入体制の実情はまちまちであり、まだまだ不十分な面が多い現状であります。本市において、平成29年に、地域で取り組むペット防災として、ペットの避難どうしよう?という避難所におけるペットの受入体制の整備についてのガイドラインを示した冊子が作成され、全市に配付されました。また昨年は、ペットの犬、猫、それぞれの個体データを記入するだけでなく、平常時に飼い主が備え、やるべきこと、また災害発生時に飼い主が行うことなども記載された大変有効なペットの防災手帳を作成されるなど動物愛護センターだけでなく動物愛護施策においても先進的な取組を進めておられることは大いに評価いたします。ペットとの同行避難の充実化には、受入避難所の体制強化と、ペットの飼い主の自助認識の更なる向上と備えの双方の強化に向けて行動していくことが必要であります。現在その施策として、動物愛護センターにおいて、避難所運営者とペット飼い主双方に対してのペットの災害対策講座が開催されていることは先進的な取組と評価しておりますが、そのこれまでの申込みと参加状況から見ると、特に避難所運営者の関心度の低さが伺われます。いい事業で必要でありますので、広報の方法、内容等を検証し、事業の周知、内容の充実に一層取り組んでいただきたいと思っております。また、本市作成のペットの避難どうしよう?冊子が避難所の新しい担当者へ、またペットの防災手帳が、それぞれの必要とする方の多くまで届いていない現状であります。すばらしい成果物が有効活用されておりません。そのためには、行政、特に区役所・支所を通して、各避難所への働き掛けと協力を一層求めていくと同時に、しっかりサポートしていただきたいと思っております。またペットの飼い主へは、地域の動物愛護団体への協力を得ることも考え、広報を強化し周知に取り組んでいただきたいと思っております。いかがでしょうか。 次に、空き家、別荘などの非居住住宅への新税導入についてであります。令和4年3月に可決した非居住住宅利活用促進税条例、いわゆる空き家税のことですが、この広報が、本年1月の市民しんぶんに掲載されました。早速この件で、私をはじめ京都市に問合せがあり、過去3か月の情報館へのアクセス数が毎月増えているとのことであります。この新税導入は、全国に先駆けた挑戦的な取組でありますので、問合せ内容は、こういう空き家は課税されるのか、税額は幾らになるのかなど制度の具体的な内容確認が多かったということであります。現在、市内の空き家件数は、住宅土地統計調査によると約10万6,000件で、空き家率は約13パーセントであり、今回の新税課税の対象物件は、約1万5,000件ということであります。この新税導入は、住宅供給の促進、子育て世代を中心とした居住の促進、空き家の発生抑制などにつながり、また人口減少抑制につながるものと思い、理解するものであります。今回の導入で、私が心配するのは、平成19年9月に、本市は、建築物の高さとデザイン、屋外広告物の規制等を全市的に見直した新景観政策を7年間の経過措置の下、実施いたしましたが、結局、経過措置を迎える前の一、二年間に、行政から集中して改善措置通知が実施されたため、該当する物件の所有者との混乱、トラブルが結構多く発生し、私も多くの相談を受けたことを思い出します。今回の新税導入は、令和8年以降の施行で、まだ時間がありますが、空き家の所有者は、該当するかどうか心配なものであります。過去のような混乱が生じないように、該当者であるかないか、できるだけ早く知らせ、周知し、要らぬトラブルを招かない取組が求められると思っております。また当然、税だけでなく、むしろ中古住宅の流通、利活用を促す施策をどう展開していくかが何より重要と考えます。あくまで新税は手段の一つであり、空き家対策という意味では、どんどん取組を進めていくべきものと思っております。ついては、非居住住宅利活用促進税の理解醸成への取組や広報及び新税導入を契機とした今後の空き家対策や既存住宅の流通利活用の促進策へのお考えをお聞きいたします。いかがでしょうか。 最後に、地元要望を1点させていただきます。土地は京都市、建物は京都府の所有として、府市協調で建設された京都こども文化会館、通称エンゼルハウスの跡地活用についてであります。現在、京都府が建物の解体作業を行っております。更地にできるのは、来年の6月頃になるとのことですので、本市としては、今年中には跡地活用の具体的な整備計画を、本市の活用方針の下、決定していかなければならないと思っております。ついては、これまでの文化施設として、また、上京区にはない地域スポーツ施設としても、また知恵を出し地域の活性化につながる多機能複合体施設として整備されますよう強く要望いたしまして、私、中村三之助の代表質疑を終わります。長らくの御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 中村三之助議員の御質問にお答えいたします。 関西広域連合についてでございます。関西広域連合は、府県域を超えた広域行政を展開すると同時に、東京一極集中を是正し、国の出先機関の事務の受け皿となり、分権型社会の実現を目指し設立されたものであります。国の出先機関を関西に移管し受け皿となるためには、政令市の参画が不可欠として、平成24年に本市を含めた関西の4政令市がそろって加入いたしましたが、この移管はいまだ実現いたしておりません。道半ばの状況ではありますが、地域のことは地域で決め実行できる仕組みを構築するため、地方分権改革の推進、東京一極集中の是正に向けて、引き続き住民に最も身近な基礎自治体の立場から参画していくことは必要と考えております。また、本市においては、災害時の相互支援体制の拡充なども加入の狙いとしており、その点、中村議員御指摘のドクターヘリをはじめとした関西広域連合の組織的な枠組みが構築できております。一方で、こうした広域行政の展開においては、四重行政、すなわち国、都道府県、そして基礎自治体の市町村、その三重にプラスして広域連合の四重になってしまわないように常に意識すること、ややもすると組織は肥大化する懸念があることについて、これまでから重ねて指摘してまいりました。この間、中村議員が連合議会において様々な御提案をされてきたことは、同じく京都市を代表するものとして大変心強く感じております。関西広域連合の継続意義につきましては、その設立趣旨や本市が加入した狙いという原点に常に立ち返りながら引き続き議論するとともに、今後ともシンプルな組織、効果的な運営に徹するよう求めてまいります。 次に、文化庁移転についてでございます。文化庁の京都への全面的な移転は、東京一極集中の是正や文化力によって世界からより評価される文化芸術立国の実現を目指す国家プロジェクトであり、京都市としても文化首都としての期待と責任が高まる契機となるものであります。私は、この歴史的な変革の機を捉え、心豊かな暮らしや暮らしに潤いをもたらすための文化行政にとどまらず、文化を社会に影響を及ぼす具体の力と捉え、文化を核にあらゆる社会課題の解決に政策横断的に挑戦し文化による地方創生を実現する、同時に文化の持つ多様性、包摂性のある社会を培う力や新たな価値を創造する力をいかして、コロナ禍で疲弊した社会、経済、人々の心を再生し、コロナ後の新たな未来を創造する、文化庁との連携で、そうした新しい文化行政の大きなうねりを京都から起こしていかなければならないと考えております。そのためには、中村議員御指摘のとおり、文化庁の移転後の組織と政策面で一層緊密かつ効果的な連携を図るために本市の組織体制が重要であり、連携の本市の総合窓口を総合企画局から文化政策を所管する文化市民局に移管するとともに、文化政策アドバイザーを新たに設置し執行体制を強化いたします。そして文化庁との連携の下、国及び地方の将来に関わる最重要課題に京都の強みである文化力をいかしてアプローチする全国初の取組として、来年度予算案に掲げている文化芸術による少子化・人口減少対策をはじめ文化による地方創生の全国のモデルとなる取組を強力に推進してまいります。 また、文化庁の関係団体につきましても、これまで文化関係独立行政法人の京都への機能設置等について国に要望しておりますが、要望だけに終わらせることなく他の関係団体も含めまして、京都に移りたいと思っていただくための環境づくり等に、府市連携の下、積極的に努めてまいります。 京都芸大の移転についてでございます。京都芸大では、今回の移転を機に、開かれた大学というコンセプトの下、様々な分野との交流・連携等により、文化芸術を核とした京都のまちづくりに資する役割を担うことを目指しています。その一環といたしまして、新しいキャンパス内に大学や研究機関等との分野を超えた連携や事業者等との創造的な交流・連携のためのスペースを設けることとしており、10月の移転開校に合わせまして、その学外との連携が機能するよう現在準備を進めております。具体的には、世界人権問題研究センター及び総合地球環境学研究所と連携し、当該スペースを活用して社会課題の解決に向けた取組を進める予定をいたしております。また、市民、研究者、芸術関係者等との交流や公開講座の実施等に取り組んでまいります。人権の世紀、環境の世紀、また文化力の時代とも言われる中、人権、環境に関わる我が国を代表する研究機関が京都芸大の文化力をいかして連携し、文化庁の移転も大きな推進力としながら未来社会を追求することで、誰一人取り残さない持続可能な社会を掲げるSDGsの実現に資する取組の創出を目指してまいります。また、もう一つのスペースの活用策といたしまして、今後、文化と経済の融合などに資する事業を企画する事業者等を公募し、新たな価値の創造につながる連携を創出してまいります。さらに、本市関係部局と京都芸大により地域の活性化やまちづくり活動との連携等の推進に取り組む社会連携推進チームを移転に先立ち来年度当初に設置いたします。今後、芸術系大学をはじめ他の大学や幅広い研究機関等との連携も模索し、また、大学南側の将来用地の活用との連携も見据えまして、学生、教員はもとより市民をはじめより多くの皆様に移転の成果を実感していただけるよう、京都芸大との連携の下、積極果敢に取り組んでまいります。 公共土木施設の維持保全及び防災・減災に関する予算についてでございます。持続可能な財政の構築に向け、あらゆる事業についてゼロベースで見直しを全庁挙げて断行し、徹底した精査を行ってまいりましたが、限られた財源の下にあっても老朽化が進む公共土木施設を適切に管理し、激甚化、頻発化する自然災害に万全の対策を講じることは、本市の重要な責務でございます。このため、令和5年度予算におきましては、市民の命を守り抜くことを第一に、令和4年度補正予算を一体的に編成しており、道路や河川、公園等の安心・安全対策や道路、橋りょう等の防災・減災対策などに44億円を配分するなど取組の充実を図ったところでございます。これにより、公共土木施設の維持保全に対しましては、前年度比11億円増となる96億円、防災・減災対策、安全対策には3億円増となる85億円をそれぞれ配分するなど、市民の皆様の安心・安全を確保することができる予算案を編成いたしました。とりわけ本年5月に新たに設置する土木みどり事務所において執行する予算につきましては9億円増額しており、これにより道路や河川、公園、街路樹等の質の高い維持管理と市民サービスの更なる向上を実現してまいります。中村議員御指摘のとおり、公共投資により市内中小事業者の受注機会を確保し地域経済の活性化につなげていくことは極めて重要であります。今後も事業の費用対効果や緊急性をしっかりと見極め、財政健全化と安心・安全の確保の両立を図りながら有利な国の財源も確保するなど必要な予算をしっかりと確保することにより、市民の皆様の命と暮らしを全力で守り抜いてまいります。 非居住住宅利活用促進税と既存住宅の流通利活用促進策についてでございます。本市では、市民の皆様の御理解と御協力の下、国に先駆けた総合的な空き家対策を展開してまいりました。これらの政策は、安心・安全な住環境の確保や地域コミュニティの活性化はもとより若年・子育て層の定住促進など都市の成長戦略にとっても極めて重要なものであります。昨年3月に御議決いただいた非居住住宅利活用促進税は、その政策手段として導入するものであり、全国初の挑戦的な取組でございます。この新税の導入に当たっては、中村議員御指摘のとおり、市民や納税者の皆さんに税の目的や制度の内容を御理解いただくことが極めて重要であるのはもちろんのこと、空き家等の所有者の皆様がその活用を自分ごととして捉え、具体的な行動につなげていくことが非常に重要でございます。そのため、制度の目的や内容を重ねて周知することに加えまして、課税を開始する前の早い段階で、御自身が課税の対象になるかどうかが分かるように工夫していくほか、新税の導入を契機といたしまして、あらゆる方に空き家等の利活用を御検討いただけるよう事業者の皆様とも連携し機運の醸成を図ってまいります。 また、令和5年度は、総合的な空き家対策のこれまでの成果を土台として、市場に流通していない4万5,000戸の空き家を対象に、民間事業者、地域等の提案やアイデアを最大限にいかして、市場で流通しづらい郊外エリアの既存住宅の価値を高める方策の検討や所有者への一層の働き掛けなど果敢に挑戦してまいります。このような取組によりまして、全国に誇れる京都独自のモデルを確立し、定住人口の確保、ひいては持続可能なまちづくりを実現してまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) ペットとの同行避難についてでございます。災害時において家族の一員であるペットと一緒に避難することは飼い主にとって切実な願いです。本市では、災害時はペットとの同行避難が原則という認識の下、避難所の態勢を整えるためペット受入れの手順などを記載した手引書の作成や総合防災訓練などにおいてペットの避難場所の設営に係る実演や展示などを、これまで200回以上行っております。また、京都動物愛護センターでは、動物愛護団体との連携によりペットの災害対策講座を開催し、ペットの同行避難にも役立つ犬のしつけを実際に見ていただき、飼い主や避難所運営者の学びの機会を設けています。さらに、備蓄やペットのしつけといった普段からの備えなどを記載したペットの防災手帳を避難訓練の際や動物病院などに置いて飼い主に配布しております。これらにより、避難所運営マニュアルに同行避難を位置付けた指定避難所は433か所中91パーセントに当たる395か所まで進んでおります。中村議員御指摘の一層の強化に向けては、避難所運営者などの関心を高めるため、区役所・支所と連携してペットの災害対策講座を地域の避難訓練で実施していくことや、浸水など地震以外の災害にも対応できるよう様々な場面を具体的に想定した避難所の在り方や取組事例などを情報提供してまいります。また、全ての飼い主にペットの防災手帳が行き渡るよう、事業者、関係団体、ボランティアなどあらゆるチャンネルで配布するなど広報を強化してまいります。これらの取組により避難所運営者などと飼い主の双方に働き掛け、円滑にペット同行避難ができる環境づくりをより一層進めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、みちはた弘之議員に発言を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕
◆(みちはた弘之議員) 私は、伏見区選出のみちはた弘之です。
自由民主党京都市会議員団を代表して、橋村芳和議員、中村三之助議員、
田中たかのり議員と共に、令和5年度予算等について質疑をさせていただきます。理事者におかれましては誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 初めに、市バス・地下鉄事業について質問します。先ほど橋村議員からは運賃改定に関しての質問を行ったので、これに続いて、私からは、令和5年度予算についてお伺いいたします。令和5年度予算では、大きな二つの課題に立ち向かう予算として編成されています。その一つが、持続可能な事業運営を目指した経営健全化の推進、もう一つが、市民生活と観光の調和に向けた市バスの混雑対策であります。まず、経営健全化の推進に関して、この間市長は、あらゆる経営努力を尽くすと答弁してこられました。そして実際に経営努力と国の財政支援措置により地下鉄の運賃改定は回避を発表されました。そこでお伺いします。この間答弁してきたあらゆる経営努力について、具体的にどのような汗をかいてきたのか。市長の御見解をお伺いしたいと思います。 次に、市バスの混雑対策に関して、新型コロナの影響も3年の長期に及ぶ中、経営改善のためには何よりも運賃収入の回復が大切であると思います。来年度以降もインバウンドをはじめとした観光の更なる回復を期待したい半面、観光客の増加で思い出されるのが満員状態の市バスであります。バス停には長蛇の列ができ、住環境と観光地が共存する京都において、市民が利用しづらい状況も見られました。市バスは観光客の移動手段であるとともに、通勤、通学など市民生活の貴重な足であります。京都観光の回復を図り、市バス・地下鉄の経営改善、更なる活力あるまちづくりの進化、都市の成長戦略につなげるうえでも、市民生活と観光の調和は本市にとって重要な課題であります。観光課題対策、とりわけ市バスの混雑対策に着実に取り組むことが求められると思います。そこで、市バスの混雑対策にいかに取り組んでいくのか市長の御見解をお伺いします。 次に、今後の上下水道事業の経営についてお伺いします。上下水道局では、京の水ビジョン後期5か年の新たな経営計画となる令和5年度からの中期経営プランの策定に向けて骨子案に対する市民意見募集を経て、このほど産業交通水道委員会において後期プラン案の全体像が報告されたところであります。ビジョンでは想定していなかった一段と厳しい経営環境の中、後期プラン案の策定に当たっては、様々な苦労もあったと思いますが、基本方針として、事業面では引き続き管路、施設の改築・更新、耐震化をはじめとする各事業を着実に進めていくこと、また、財政面では事業運営を持続可能なものとするためにより一層の経営の効率化や、次期ビジョン以降の中長期を見据えた施設マネジメントの取組を推進することが掲げられています。この間、事業面においては、水道配水管の更新のスピードアップをはじめとする管路、施設の改築・更新、耐震化や雨水幹線の整備等の浸水対策を実施されており、後期プラン期間においても、できる限りの予算を確保し引き続き各事業を着実に推進してもらいたいと思います。一方、財政面においては、今後も節水型社会の定着に加え、新型コロナの影響により水需要の減少が見込まれる中で、経費削減等の取組により収支改善を図るものの、建設改良の財源となる積立金の確保額は、ビジョンの10か年で200億円の目標額に対し、水道事業、下水道事業のいずれも目標額を下回る厳しい見通しとなっており、社会情勢次第では更なる悪化もあり得るとのことであります。電気代等の様々な物価が上昇しており、今後の見通しも不透明な中、次の5か年が一層厳しい経営環境となるのは十分想定されますが、上下水道は、市民の皆様の命と暮らしを支える重要なライフラインであり、将来にわたって安全・安心をしっかりと担保できるようにしていく必要があると思います。そのため、経費削減に取り組むことはもとより、将来を見据えた管路、施設の老朽化対策や災害対策をしっかりと推進していかなければならないと思います。そこで、新たな経営プランの策定とそれに基づく令和5年度予算の編成を踏まえ、後期プランに込めた思いや今後の上下水道事業の経営に対する市民の暮らしを守る市長の決意をお聞かせください。 次に、全員制の中学校給食と教育の充実についてお伺いします。1月25日の教育福祉委員会で、我が会派の橋村団長が、教育委員会に対して一般質問を行い、岸田総理が、国会での施政方針演説で、少子化対策を最重要政策と位置付け、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいとの決意を述べたことを受け、本市においても、長年議会で議論を行っている
全員制中学校給食について、その在り方など次年度予算に向け検討できることを最大限努力してほしいと要望しました。これに対し、稲田教育長は、岸田総理の方針に、大変心強く大いに期待しているという評価を述べるとともに、岸田総理の方針、また、最大限の努力をという要望を受けて一歩踏み出して取り組むため、
全員制中学校給食の実施を視野に入れた調査に関する予算を来年度計上できるよう調整したいとの方針を表明されました。正に、今回の門川市長、教育委員会としての決断を後押ししたのは、自・公政権の下で、国が最重要政策として子育て支援の推進を打ち出したことと軌を一にして、我が会派、そして友党公明党と共にしっかりと国に対しても具体的な施策や支援を提言していこうという動きの中で、そつ啄同時ともいうべき、両者の動作が一致することにより目的が達せられる両者が相応じる得難い好機があっての決断であったと考えます。実現に向けては財政上の課題などもありますが、大きな前進であると受け止めております。改めて、教育長としての今回の決断への思いをお聞かせください。あわせて、この度計上された調査経費を活用し、令和5年度にどのような取組を進めるのか、調査期間や調査後の取組等、現時点での計画している内容について、お伺いします。 一方で、これまでの議会審議において、
全員制中学校給食には多額の予算が掛かり、子供たちの教育環境充実のため、ほかに優先すべき課題も多く実施は難しいとの答弁が繰り返されていましたが、言うまでもなく、多様化、困難化する子供を取り巻く課題への対応や安心・安全な学校施設に向けた老朽化対策、GIGAスクール構想の下での一人1台端末の更新など、引き続き喫緊の重要課題への対応が求められている状況に変わりはないと思います。子育て世代にとって教育の充実は大変な重要なテーマであり、市民に選ばれる都市となるための最重要課題との認識で取り組む必要があると考えますが、教育長の御見解をお伺いしたいと思います。 次に特定分野に特異な才能を有する児童生徒に対する教育についてお伺いします。特異な才能のある児童とは、同年齢の児童生徒の中で、知能や創造性、芸術、運動、特定の学問の能力などにおいて一定以上の能力を示す者とし、才能や特性があるがゆえに学習や学校生活において著しい困難を抱える場合や、さらには不登校になっている場合など特異な才能と学習困難を合わせ有するいわゆる2Eの児童生徒も対象に含めた子供たちのことであります。令和3年1月の中央教育審議会答申、令和の日本型学校教育の構築を目指しての中で、特定分野に特異な才能のある児童に対する指導について検討、分析する必要性が示されました。そして令和3年7月には、この答申を受けて文科省が有識者会議を設置、令和4年9月に審議のまとめが出されたところであります。アメリカ等においては、ギフテッド教育として、これまでから知能指数の高さなどを基準に才能を伸ばす教育や特定分野での特異な才能を伸ばす教育が行われていると聞いています。我が国では、こうした特異な才能をどのように定義し、見出し、その能力を伸ばしていくのかという議論はこれまで十分に行われていませんでしたが、今般のまとめを契機に取組が進んでいくと認識しています。また、人材こそが資源といえる我が国において、期待もしているところであります。一昨年11月の代表質問においては、国の動きを注視するとの答弁でしたが、国の動きが示された中、本市ではどのように進めていくのか。大学や伝統文化、地域の教育力など本市のリソースを最大限にいかし、こうした特異な才能のある子供たちや困難を抱える子供たちに多様な学びの機会を提供する先進的な取組をお願いしたいと思います。また、この間、学校で整備、活用が進んでいるGIGA端末をはじめとするICTも最大限活用する必要があると考えますが、御見解をお伺いします。 一旦、これまでの答弁を求めます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 市バス・地下鉄事業についてでございます。これまでのあらゆる経営努力と国の支援措置により地下鉄は運賃改定を回避できたものの、両事業とも依然として厳しい状況であることに変わりありません。その難局に立ち向かうために、両事業の経営健全化の推進と市バスの混雑対策を令和5年度交通局予算の重点に位置付けました。経営健全化の推進では、この間、御利用状況に応じたダイヤの見直しや駅改札業務のリモート化等による経費削減、駅ナカビジネスや広告事業など徹底した経営健全化を実行いたしております。引き続き文化庁や京都芸大の移転を契機とした利用促進、文化、スポーツ事業との連携強化など、一人でも多くのお客様に御利用いただく取組や国への支援要望など経営改善を推進してまいります。 次に、市バスの混雑対策についてでございます。今後の京都観光の力強い回復に当たっては、市民生活と観光の調和を実現する必要があり、市民生活最優先で取り得る対策を全て行ってまいります。中でも市バスの混雑対策は重要課題であり、市バス輸送力の再配分、増強と地下鉄をいかした移動経路の分散という二つの方針に基づき、鉄道駅と観光地を結ぶ臨時バス楽洛ラインを増強するほか、バスへの集中利用を分散させるために、御利用者の9割が市外からの観光客でバス利用を結果として促している混雑の一因ともなっているバス1日券の廃止や地下鉄・市バス1日券の積極的な販売、市バスから地下鉄への無料振替えの拡充、ICカードによるポイントサービスなどこれまでの延長線上にない取組を実施し、市民の皆様、観光客双方にとって快適に御利用いただける市バスを目指してまいります。引き続き歩くまち京都、公共交通優先の取組、またCO2の削減をはじめSDGsの達成にも貢献する市バス・地下鉄のネットワークを守り抜いてまいります。 次に、上下水道事業の経営についてでございます。新型コロナの影響等による減収、工事費や電気代の上昇など収入、支出ともにビジョン策定時には想定しなかった厳しい経営環境となる中、来年度から5か年の新たなプランでは、現行水準以上の事業費を確保しつつ将来世代との負担の公平性を踏まえまして、より一層優先度を考慮した事業内容に見直すことにより、限られた事業費の中でも災害に強く安心・安全な上下水道事業を引き続き着実に前進させてまいります。事業面では、管路、施設の改築・更新、耐震化や災害対策を推進し、老朽化が進む配水管につきましては、災害が発生した場合に広範囲に影響を及ぼす口径350ミリ以上の幹線配水管の更新事業費を約1.3倍に増額するとともに、5年確率降雨に対応する雨水整備率が全国平均60パーセントに対して全国トップ水準の91パーセントとなる浸水対策につきまして、令和9年度の完成を目指す鳥羽第3導水きょ等の整備により安全度の更なる向上を図ってまいります。また、将来的に増大する管路の更新需要に備えまして、事業費の更なる平準化のため、今後30年以上の中長期を見据えた施設マネジメントにつきましてもしっかりと取り組んでまいります。財政面では、民間活力の導入や業務執行体制の見直しによる125人の職員数の削減のほか、支払利息の削減や保有資産の有効活用を進めることで、経営基盤の強化を図ってまいります。今後も厳しい経営環境が続く見通しでございますが、プランに掲げる取組を着実に実行していくことで、市民の皆様の重要なライフラインである水道・下水道を未来にしっかりと継承、発展させてまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) まず、
全員制中学校給食と教育の充実についてでございます。少子化対策や子育て環境の拡充が目下、本市最大の課題となる中、国の方針と子ども医療費の改善など府市協調の取組の前進が重なるこの時期を踏まえ、これまで実施できなかった取組を一歩前に進めるべきと市会から力強い後押しを頂き、
全員制中学校給食の実施に向けた調査に着手することといたしました。具体的には、自校調理方式や近隣の学校で調理して運ぶ親子方式のほか給食センター方式や民間調理場を活用したデリバリー方式、また、それらを組み合わせた方法などについての費用やスケジュール等の調査を行い、令和5年度中の完了を目指します。また、並行して校長会やPTA代表等からなる検討会議の設置や、生徒、保護者アンケートの実施等により多角的な御意見を頂きながら本市にとって最適な手法を検討し、スピード感を持って、できるだけ早期に全ての中学生に安心・安全でおいしい給食を提供できるよう全力で取り組んでまいります。 みちはた弘之議員御指摘のとおり、子育て世代にとって教育環境の充実は極めて重要なテーマです。中学校3年生の30人学級等本市独自の少人数教育や、全小中学校での茶道、華道体験等の伝統文化教育はもとより複雑化、多様化する課題の解決や家庭支援の取組を引き続き推進するとともに、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びに必要不可欠な一人1台端末約10万台の一斉更新や、学校施設の老朽化等への対応に喫緊の重要課題への財政支援を国に求めながら教育環境の充実に努め、京都で子育てをしたいと多くの子育て世代や若者に選ばれるよう取り組んでまいります。 次に、特定分野に特異な才能を有する児童生徒への教育についてでございます。本市では、子供たちが興味関心のある活動に打ち込み、その才能を伸ばすことを目指し、日常の学校教育に加え未来のサイエンティスト養成事業、京都市少年合唱団、京少年少女モノづくり倶楽部等の実施や障害者芸術を推進する天才アートKYOTOとの連携など様々な取組を進めてまいりました。また、みちはた弘之議員御指摘のとおり、特異な才能を有する児童生徒の中には、同年代の子供とコミュニケーションがうまく取れずに友人関係に困りを抱えたり、興味のある活動以外には集中して取り組むことが難しいなど学校生活等で困りを抱える場合があり、一人一人に応じた多様な学びの機会を一層充実することが求められております。こうした中、本市では、この分野で
全国トップクラスの実績のある団体と連携し、令和5年度に新たに文部科学省が行う実証研究委託事業の採択を目指しており、特異な才能を有しつつ不登校状態にあるなど学校生活への困難を抱える児童生徒への支援に向け取り組んでまいります。本事業では、伝統的な文化や芸術、またテクノロジーを用いたものづくりなど京都ならではの創作活動を行う団体との連携や、その担い手につながるような取組、また、GIGA端末等を用いたオンラインでの体験学習も取り入れる計画であります。さらにほかにもこうした児童生徒をサポートしている団体と連携するなど特異な才能のある児童生徒の学びや支援の在り方について先進的な取組を進めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) みちはた弘之議員の質疑の途中ですが、暫時休憩いたします。 〔午前11時48分休憩〕 〔午後1時1分再開〕
○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 休憩前の議事を継続し、質疑を続行いたします。みちはた弘之議員に発言の継続を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇〕
◆(みちはた弘之議員) 伏見区選出のみちはた弘之です。午前中に引き続き、令和5年度予算について質疑をさせていただきます。 京都市は、人口減少という大きな危機に直面しています。日本全体として避けられない現実であり、都市の活力を維持するためには、できる限り歯止めを掛けていく必要があると思います。そのためには、人口の動きを把握し、そこから導かれる課題に対して適切な施策を打っていくことが大変重要であり、自民党としては、まずはしっかりとした分析が必要であると指摘してきました。その結果、12月、人口の分析結果が公表され、この分析では、大きく報道された2年連続での減少数全国最多という事実は、コロナ禍による影響であったことや日本全体で人口減少が進む中、人口減少率では、京都市は、全国的に見てほぼ中位であることが改めて確認できたことをはじめ人口という切り口で本市の状態が明らかになっており、今後の検討に向けての基礎資料として役立つものと認識しています。さらに分析結果では、結婚、子育て期の近隣都市への転出、就職期の東京や大阪への転出が大きな課題であるとしており、今後の取組の方向性として七つの取組が示されており、現在検討されている都市計画の見直しや年末に発表された企業立地促進プロジェクトなども進んでいるところであり、やっとスタートに立てたのではないかと認識しています。 京都市の一人の女性が生涯に生む子供の数を示す合計特殊出生率は、2021年度は1.17、5年連続の減少、1.2を割り込んだのは12年ぶりであります。子供の
出生数は令和3年度は8,767人で、平成30年に初めて
出生数が1万人を割り毎年加速度的に
出生数が激減しております。また、京都市の市立幼稚園の園児全体数も2年連続で1,000人ずつ減少する見込みであり、保育園、子ども園に関しては、過半数以上が定員割れを起こしている状況であります。人口減少対策は、住まいや子育て支援など多岐に渡り、このため今回の分析結果を踏まえ、それぞれの分野で、これまで事業進捗の中で培った知見をしっかりと加味しながら、将来的につながる施策を講じていくことが重要であると思います。そのうえでお聞きします。今回の分析を踏まえて、令和5年度は具体的にどのような取組を進めていくのか、また、取組を進めるうえで局横断的に総合企画局がリーダシップを発揮することはもとより、京都市としての体制強化も必要と考えますが、市長の御見解をお伺いします。 次に、子育て世帯を支援する取組と保育の質の充実について伺います。我が国の昨年の
出生数は80万人を割り込むことが確実と言われており、子供、子育て施策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題であります。こうした中、国において、本年4月に子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組むこども家庭庁が設置されるなど、子供・子育て施策は、大きな転換期を迎えています。京都市においても、子ども医療費支給制度を、令和5年度秋から小学6年生までの通院に掛かる自己負担額を1か月1医療機関につき200円まで引き下げる方針を表明し、今市会に必要な予算を提案されています。これまでから府市協調して拡充してきた子ども医療費支給制度ですが、この度の拡充が、前回の2倍の予算規模での大幅な拡充に至ったことは、自民党市議団として、自民党府議団とも連携して、京都市政、京都府政を積極的に支えてきた立場からも大変喜ばしいものであります。また、保育料についても、市長は、令和6年度以降も当面の間据え置くと表明されました。こうした子育て家庭への経済的負担の軽減を図る取組は、子育て家庭を直接的に支援する大変な重要な取組であると考えますが、市長の認識をお伺いします。 一方、子育て支援施策はそれのみではなく、子供の成長を支援する、いわゆる質の取組も充実させなくてはいけません。本市は、子供たちの育ちや学びの環境も充実させてきており、そうした取組の結果が、全国学力・学習状況調査において市立小中学校とも実質トップ水準であることに表れていると思います。こうした取組は、学齢期の教育環境の充実の取組はもとより、保育施設等における手厚い保育体制による乳幼時期からの質の高い保育、教育の土台があってこそのことであります。特に保育分野においては、国において保育士配置基準全体が53年前、特に4、5歳クラスは74年前から変わっていない中、本市においては、国を大きく上回る
全国トップレベルの保育士配置基準を整えるなど質の確保にも取り組んできました。保育分野における充実した育ちの環境づくりの土台となるのは、保育士、調理師等の人であります。そうした人の配置基準、処遇等を改善することが、質の高い保育、教育につながります。本市においては、昭和47年から民間保育園の相互扶助の精神に基づいて、各保育園が経費を拠出し合って、余裕のある園から不足ぎみの園へ経費を再配分する京都市民間保育園等職員の給与等運用事業、いわゆるプール制が始まり、時代の流れで幾度か制度が改定されながら京都市の保育の根幹として50年もの間続いてきました。このプール制により国や他都市に先駆け、全国的に他の産業従事者より低いとされる保育士の給与水準を引き上げ、京都市の保育園等職員の給与水準は
全国トップレベルとなり、職員の処遇向上や園への定着率の高さも維持することができました。京都市もその必要性を十分理解してきたこの制度が京都市の財政難によりゼロベースで検討されることとなり、また、実質調査における課題等を踏まえ令和4年度から大幅に見直され、新たな人件費補助制度として再構築されました。新たな人件費補助制度については検証を行い、我が会派や関係団体の意見をしっかりと受け止め、障害児保育に関しての保育士加配等の必要な改善を図られました。また、来年度に向けては、調理師等の配置基準の改善も予定されており、今後も必要な制度改善を実施していただきたいと思います。また、保育士確保に関して非常に厳しい状況で、就職フェアや養成校に募集を出しても一人も募集が来ない、派遣業者に依頼しても保育士が集まらない。また、子供が入園を希望しても、保育士を確保できず入園ができない状況も聞いています。人的確保は喫緊の課題であります。更なる保育の充実のためには、人的支援に加え、子供たちが安心して過ごせる施設環境の整備も必要であります。そうした環境整備も含め、保育分野における質の充実にどう取り組むのか、市長の御見解をお伺いします。 最後に、伏見区の旧市街地における都市計画道路の整備について要望します。山紫水明に育まれた京都市の南に位置する私の地元である伏見区は、古くから、大阪、京都、奈良、近江の中継地に当たり、さらに桂川、宇治川など主要な河川が流れ、豊臣秀吉が伏見城の築造に際して開港した伏見港などを中心に水運、陸路ともに交通の要所として栄えてまいりました。伏見区は、約27万人の人口を擁する市内で最も人口の多い行政区です。洗練された意匠を持つ町家、伏見の景観を代表する酒蔵などの魅力的な建物が建ち並び、近世から近代に掛けて形成してきた独自の文化を今に伝えている旧市街地と共に京都の新しい活力を創造していく油小路通の沿道を中心としたらくなん進都が共存するなど個性あふれる魅力的なまちでございます。伏見区内の道路に目を向けますと、重要物流道路や緊急輸送道路としても指定されている国道1号線や24号線、本市が管理する外環状線、油小路通などの人流、物流の大動脈となる道路が通っています。これまで、外環状線や油小路通、竹田久我線などの道路が都市計画道路として整備され、現在も伏見区東部においては、大津宇治線、桃山石田線等の整備事業も進められています。しかし、伏見区の旧市街地においては、長年未整備となっている都市計画道路がございます。これらの道路沿いには、伏見区の風情を醸し出している建物が軒を連ねており、道路用地の確保や莫大な整備費用が課題であることは理解しています。本市では、幹線道路と市民の活動を支える補助幹線道路などを連携させることにより、円滑な移動、輸送を確保し都市の活力の向上を図るとともに、災害時における避難や緊急輸送の機能を確保するため幹線道路ネットワークを充実し、都市のレジリエンスの向上を図られていますが、まさに伏見区の旧市街地において、活力の向上、レジリエンスの向上を図るため未整備の都市計画道路の整備が必要と考えています。本市の財政状況を見据えながらになるとは理解していますが、伏見区の更なる発展のため、都市計画されている道路整備を進めていただくよう要望して、私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 人口減少対策についてでございます。みちはた議員御指摘のとおり、若い世代の転出、とりわけ大学を卒業し就職期の東京をはじめとする首都圏や大阪への転出、若い世代のニーズに合った住宅確保の難しさを主な原因とする結婚、子育て期の近隣都市への転出が顕著であり、さらに全国と同様少子化の進行も続いており、強い危機感を持っております。本市では、人口減少にできる限り歯止めを掛けるために、仕事、住まい、子育て、教育、保育、医療、文化などあらゆる施策を総合的に進めてまいりました。来年度は、京都の景観の守るべき骨格を堅持することを前提とした都市計画の見直しと連動させまして、働く場の創出につながる企業立地の促進や若者、子育て世代のニーズに合った居住環境の創出、空き家を含む既存住宅やマンションの活用、流通促進に向けた取組の強化などを総合的に進めてまいります。 また、
全国トップクラスの子育て、教育環境の更なる充実に向け、府市協調で子ども医療費支給制度の拡充、保育料の軽減、
全員制中学校給食の実施に係る調査に取り組むほか、京都の強みである文化芸術の力を最大限にいかした少子化、人口減少対策にも取り組んでまいります。あわせまして、京都で暮らす魅力やビジネス拠点としての強みを市内外の皆様にお届けできるよう伝える力を一層磨いてまいります。取組体制につきましては、現在、総合企画局を中心に、関係各局によるワーキングチームを設置しているところでありますが、今後、都市の成長戦略の最大の課題としての取組を推進するため新たなポストの設置も含めまして、来年度当初から体制を強化いたします。若い世代に選ばれ、持続的に発展する都市を目指し、市民、事業者の皆様との協働の下、全庁一丸となった取組を進めてまいります。 次に、子育て家庭への経済的支援と保育の質の充実についてでございます。子育て家庭への経済的支援は、安心して出産、子育てをしていただくために重要と考えており、本市では、国に先駆けて独自に支援の充実に取り組んでおります。とりわけ子ども医療費につきましては、府市協調により3歳から小学校卒業まで一月1,500円であった通院の自己負担額を政令市トップクラスの1医療機関当たり一月200円まで引き下げ、また、保育料につきましても、国基準の約7割の水準まで引き下げている本市独自の軽減措置を、来年度のみならず令和6年度以降も当面の間、継続することといたしました。本来、これらの取組は、どこに住んでいても格差が生じないよう国が制度を整えるべきであり、引き続き国に対して要望や提案を行うなど更なる支援の充実に向けて取り組んでまいります。 保育の質の充実につきましては、長年国制度が変わっていない保育士の配置基準を京都市では独自に引き上げており、例えば90人定員の場合、国基準で12人のところ1.3倍となる16人とするほか、全国平均を100万円以上上回る給与水準を確保できるよう53億円の本市独自の人件費補助予算を確保いたしております。さらに保育施設の環境整備につきましては、平成25年に民営保育園耐震計画を策定し、当時50.4パーセントだった耐震化率を100パーセントに引き上げ、全国的な好事例として高く評価されております。令和5年度は、老朽対策に向けた調査費を計上し、施設の更なる環境向上に向けて計画的に取組を進めることといたしております。本市の保育の多くを担っていただいています民間保育園等との連携の下、保育の質の一層の充実を目指し、安心して子育てできると実感していただけるように全力で引き続き取り組んでまいります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、
田中たかのり議員に発言を許します。田中議員。 〔
田中たかのり議員登壇(拍手)〕
◆(
田中たかのり議員) 私は、右京区選出の田中たかのりでございます。橋村芳和議員、中村三之助議員、みちはた弘之議員に続き、
自由民主党京都市会議員団を代表し質問させていただきます。京都市の名誉市民、中西進先生の著書に、グローバル化の流れの中で日本人が忘れた精神や言葉、慣習などをつづったエッセイ、日本人の忘れものがあります。社会は、気付いてなくても常に変化しています。今そのスピードは、加速度的に速くなっています。私たちは、変化に機敏に対応しなければ後れを取ってしまいます。その一方で、中西先生の日本人の忘れもの、社会が変化する中でも、日本の誇るべき心は決して忘れてはならないという思いを込め質疑に入ります。 初めに、カスタマーサービスデザインに基づいたデジタル化の推進について質問をさせていただきます。2020年5月の代表質問で、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるように求めました。その際、2025年までにDXを進めなければ、経済的に大きな損失が発生し続ける、経済産業省が発表した2025年の崖を紹介させていただきました。デジタル化を取り巻く環境は、新しいテクノロジーによって今までにないスピードで進化しています。そのリミットは、もっと近付いているかもしれません。京都市では、2020年11月に新たにデジタル化戦略監を任命し、2021年8月の
行財政改革計画の中でもDXの推進の必要性を掲げられました。2022年1月には、それまでの京都市高度情報化推進のための基本方針を継承・発展させる形で、京都市DX推進のための基本方針が策定されました。京都市のDXはどの程度進んでいるのでしょうか。 このような川柳があります。デジタル化、遅れた社会は紙ってる、これは、紙の書類があふれデジタル化が後れている状況を表しています。京都市では、行政への申請する書類は膨大な量の紙で提出が求められるという話をよく聞きます。DXの第一歩と言われるペーパーレス化が進んでいない状況を見ると、DXは進んでいないと言われても仕方がない状況ではないでしょうか。多くの人がスマートフォンを持ち、様々なことが手元でできる時代になりました。デジタル化の象徴でもあるスマートフォンは、私たちの生活に欠かせない物となっています。今や、デジタル化は、電気、ガス、水道同様の社会インフラとして欠かせない物になりつつあります。かつて、我々の先人が完成させた琵琶湖疏水は、当時の京都府の年間予算の2倍を要する大事業によって電気と水道をもたらし、今の京都市民の生活を支える欠かせないものとなっています。その結果、蛇口をひねるだけで水が利用でき、スイッチを入れるだけで明かりをつけることができるようになりました。水をくみに行ったり、燃料を買いに行くという時間の削減につながっています。デジタル化の後れは、水道で言う水をくみに行く時間、電気で言う燃料を買いに行く時間のようなもので、市民は、市民サービスを受けるために不要な時間を費やしているという認識があるのかという疑問を感じざるを得ません。 渋谷区では、2019年1月の新庁舎への移転をきっかけに一気にDXへとかじを切りました。区民も職員も誰も来ない区役所を目指し、区役所に足を運ばなくても市民サービスを提供できる体制や、限られた区役所空間の有効活用を進められています。澤田伸副区長によると、IT活用や業務改革について特別なノウハウを持っているわけではなく、お客様第一主義の立場に立って、お客様のためにサービスを設計して提供するカスタマーサービスデザインに基づいて行動しているだけで、役所にとってのお客様は、納税者である住民の方々ですから、住民の方々の困り事や課題を解決するために、デジタルの力をどう活用できるのかということを愚直に追及しているだけなのですとのことでした。 現在、国は、デジタル田園都市国家構想を掲げ、各都市に様々な取組を進めるように交付金を予算として計上しています。京都市もデジタル実装タイプの三つの事業を申請されたと聞いています。2月補正予算には、その一つである道路基本情報のインターネットでの提供が提案されました。聞くところによると閲覧はネットでできるようになる一方、道路区域明示図などの図面を取得する際の手数料の支払はキャッシュレス化の時代が進む中、現金のみの取扱いということのようです。この点からも、京都市のデジタルトランスフォーメーションへの意識はまだまだと言わざるを得ません。デジタル化がなぜ必要なのかへの理解の不足がこのような判断につながっているのではないでしょうか。京都市には、そういった意識を改めることはもちろんのこと、国の進めるデジタル田園都市国家構想にも素早く対応し、市民の皆さんの困り事や課題を解決できるよう、デジタルの力の活用を進めていただきたいと思いますが、その気持ちがあるのか、お聞かせください。 次に、起業家があふれ活気のある京都市を目指して質問いたします。ミカイラ・ウルマーさんという方を御存じでしょうか。世界最年少の何と4歳で起業したというアメリカの少女です。彼女は、蜂に2度刺されたことがきっかけで、ミツバチについて調べていたところ、その存在の重要性を知ったことから、ハチミツ入りのレモネードの販売を始めました。当時のオバマ大統領にもレモネードを提供し、アメリカの大手スーパーやスターバックスとも販売契約を結ぶなど大成功を収めました。そして、その売上げの一部は、ミツバチの保護に充てられているとのことです。京都は、明治初期に創業した島津製作所をはじめオムロンや京セラ、ワコールなど常に時代を先取りした企業を次々に輩出した、今でいうベンチャーの都と呼ばれた時代がありました。ここ最近は、それらに続く企業が生まれてきているとはなかなか言い難い状況が続いてきました。京都市は、2020年7月14日、ベンチャーの都・京都の復権の足がかりとなる、内閣府が進める世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略のグローバル拠点都市に大阪、京都、ひょうご神戸の三つのコンソーシアムの連合体で選定されました。それから2年、京都は、2022年スイスに拠点を置くスタートアップ・ブリング、またアメリカの調査会社スタートアップ・ゲノムの各エコシステムランキングで、東京、大阪に次いで国内3位、アジアにおいても30位以内で、両スタートアップ・エコシステム都市ランキングで高い評価を受けています。この結果は、スタートアップ企業の育成支援に行政のみならず大学を含む研究機関、企業、団体、金融機関などの関係者の皆様がオール京都体制で取り組んだ結果が現われていると思っています。昨年4月1日に、ある団体が、京都での起業1万件、移住10万人のサポートを達成と発表されました。これは、エイプリルドリームプロジェクトに共感し、4月1日を夢があふれる日にしようとする団体のやがてかなえるために発信された夢です。実際には、一昨年に京都府内で新たに設立された会社などの数は2,828社とのことです。京都市は、ビジネス都市・京都の魅力発信のため、京都で暮らし、京都から働く新しいワークライフスタイル、Kyo-workingを日本のみならず、全世界に提唱されています。京都市外への発信も大変重要ではありますが、京都市では、京都で学ぶ学生の多くが、大学卒業と同時に市外へと転出するという大きな課題もあります。京都で学ぶ学生が京都で起業しよう、働こうと思える環境づくりがなお一層必要なのかもしれません。もし京都で学ぶ大学生の1割が起業すれば、1万件はあっという間に達成します。誰もがウルマーさんのように、思い立ったら、気軽に起業できる環境整備が更に必要と考えますが、どのように考えているのかお伺いいたします。 次に、行政におけるマーケティングの必要性について質問いたします。ドリルを買う人が欲しいのは穴である、これは、1968年に出版されたT・レビット博士の著書マーケティング発想法の冒頭にある格言です。ドリルを買いたい人は、実際は、ドリルが欲しいのではなく、壁に穴を空けてカレンダーを掛けたいのかもしれません。この場合、壁に穴を空けなくてもカレンダーを貼れるものがあれば、その課題は解決しドリルを買う必要はありません。最近、マーケティング、マーケッターという言葉をよく耳にします。マーケティングとは、何よりもまずは、人の欲求を満たすために、誰に、何を、どのようにという視点で考える必要があります。そのうえで求めているものは何なのかを常に考え、求めている人の目線で物事を考えることが重要であるとのことです。人が求めているものは製品、サービスではなく、製品、サービスを通して得ることのできる便益、価値です。製品、サービスを考えるときには、本当に求めているものは何かを考え抜く必要があります。京都市の施策も、他都市と比べても劣っているわけではなく、他都市以上に進んでいるものが多くあるにもかかわらず、市民に伝わっていない、満足感が低いのは、マーケティングの視点、市民の求めている価値とのかい離によるものではないでしょうか。 例えば、千葉県流山市では、マーケティング課を設置し、誰のために何をするのかを明確にし、都市の強み、弱み、機会、脅威の四つの項目で整理するSWOT分析で状況などを分析し、特にDEWKs、共働き子育て世帯に焦点を当て、育児・教育環境を重点的に整備を進められました。その結果、6年連続人口増加率1位などマーケティングを取り入れ、流山市に対する信頼度や期待度も高まっています。流山市のマーケティング課の担当者によると、普段から大切にしていることは、市民との対話。対話によって、大きな困り事として顕在化する前に潜在的なニーズを拾えます。そのために、市民の声を聴くという点にはこだわっていますねとのことです。市民のニーズは、個別化、多様化、高度化しています。京都市におかれては、これまで以上に市民の声を聴くことはもちろんのこと、誰のために、何をするのかをなお一層明確に示し、市民の信頼度や期待度を高めるためにもマーケティングの手法をしっかりと取り入れるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。 以上で前半の質問を終わります。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 カスタマーサービスデザインに基づいたデジタル化の推進についてでございます。人口減少、少子高齢化、また、市民ニーズの更なる多様化が進む中、市民に最も身近な基礎自治体として、行政、事務の効率化を図りつつ市民サービスを維持・向上させるため、さらには社会課題の解決や都市の成長戦略につなげるため、その手段としてのデジタル化が必要不可欠でございます。そうした認識の下、本市におきましては、昨年1月に策定した京都市DX推進のための基本方針に基づきデジタル化戦略監及び全庁横断のデジタル化推進プロジェクトチームが核となり、市政のあらゆる分野において誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化社会の形成を目指し、デジタル化に取り組んでおります。この間、例えば行政事務のオンライン化やキャッシュレス決済の拡充、テレワークの推進、さらには中小企業等へのデジタル化支援、GIGAスクール構想の推進など着実に前進させてまいりました。とりわけ市民の皆様の申請書類作成の負担軽減を図るため、書かない窓口のほか、観光混雑解消に向けたビッグデータの活用や民間事業者とも連携したNFTアートの発行、販売、メタバースの活用など京都ならではの施策にも先駆的に取り入れているところであります。しかし、
田中たかのり議員御指摘のとおり、ペーパーレスやキャッシュレス、また、職員の意識改革も含めまして取組は道半ばで、一層加速していかなければならないと認識いたしております。今後さらに国のデジタル田園都市国家構想の取組とも軌を一にしてサービスの受け手である利用者の視点に立ったDXの意義を改めて職員に徹底するとともに、先進事例にも学び、積極的に取り入れながら、市民、事業者の皆様にデジタル化による利便性、安全・安心、豊かさ、快適さを実感していただけるようまい進してまいります。 次に、学生の起業支援についてでございます。京都市は、36の大学、短期大学が集積し、1万人を超える留学生を含む15万人の学生が学ぶ大学のまちであることから、学生によるスタートアップはあらゆる社会課題の解決と京都経済の活性化にとって大変意義深いものと認識いたしております。京都市では、平成27年に他都市に先駆けて京都市ソーシャルイノベーション研究所を設立するとともに、令和2年7月、国のグローバル拠点都市の選定後は、産学公金38団体によるエコシステムを構築し、学生等のスタートアップを支援する環境整備を強力に進めております。また、京都経済センター内にあるオール京都で組織する京都知恵産業創造の森では、起業を希望する学生さんへの資金調達や事業計画について専門家や先輩起業家等に対し気軽に相談できる体制を構築するとともに、学生向けのビジネスコンテストを開催するなど、これまでの約2年間で学生による起業など大学発38社を含む79社のスタートアップが京都で生まれ、活発な活動を展開しているところであります。さらに本市と京都高度技術研究所が協働でスタートアップと学生の交流の場の創出や高校生を対象とするアントレプレナーシップの醸成等にも力を入れており、そうした中から子育て環境や障害者雇用等の社会課題解決のために起業した学生さんも活躍しておられます。 昨年末来、熱い思いで起業等に挑戦する学生さんや若い方々と語り合う機会がございました。未来の京都の担い手として確実に育っていること、そして京都をこよなく愛しておられることを実感するとともに、スタートアップやソーシャルビジネスへの挑戦等で、卒業後も多くの学生さんに京都に残り、存分に活躍していただきたいとの思いを強くいたしました。京都の最大の強みは、人と、そのつながりであります。引き続き学生さんの起業環境の更なる充実に向けまして、若い世代に選ばれる千年都市を目指してあらゆる取組を総合的に進めてまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) マーケティングの手法を取り入れた行政運営についてでございます。
田中たかのり議員御指摘のとおり、市政を推進するうえで市民の皆様が求められているものが何かを的確に把握し、求めておられる人の視点で考えるマーケティングの手法は必要不可欠なものと考えております。本市では、毎年市民生活の実感調査などを行う政策評価、各計画案等に対するパブリックコメント、附属機関への市民公募委員の参加、さらには多様な業種の経営者の方々が業種横断的に議論し行動する京都市地域起業未来力会議の開催など市民、事業者の皆様のニーズを把握しながら、より効果的な政策の企画・立案や施策、事業の推進につなげてまいりました。今日、市民ニーズが一層個別化、多様化、高度化している中、そのニーズを的確に把握し施策に反映していくことが、これまで以上に求められており、とりわけ若い世代をひきつける居住環境や京都経済の活性化、働く場の創出につながる企業立地の促進、子育て支援、教育の充実など都市の成長戦略につながる取組を推進していくうえでは特に重要であると認識をしております。そのため、これまで取り組んできた市民の皆様のニーズ把握の手法等について継続的に点検を行うとともに、今後更に効果を発揮するため、若手職員を中心に多くの職員が意欲的にマーケティングについて学ぶ研修等を通じて、職員一人一人の意識、スキルの向上を図ってまいります。加えまして、SNSの活用や広報アドバイザーの知見をいかした市民の皆様に伝わる広報に取り組むなど様々な手段を活用し、本市が実施する施策、事業等について、より多くの皆様に知っていただくための戦略的な情報発信にも努めてまいります。引き続き市民の皆様の御意見にしっかりと耳を傾けニーズを的確に把握し、誰のために何をするのかをより明確に意識しながら、期待と信頼に応える市政運営を進めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀)
田中たかのり議員。 〔
田中たかのり議員登壇〕
◆(
田中たかのり議員) 前半に引き続き質問をさせていただきます。 みんなで考え、まちに愛着を持つことができる地域コミュニティづくりについて質問をさせていただきます。住んでいる地域が好きですかと聞かれると、もちろん、私は、右京区が好きで、そして西京極が大好きですと答えます。この4年間の2度の代表質問でも、かつてのように地域の皆さんが参加し取り組まなければいけなかったことが少なくなり、自治会、町内会の加入者の減少、地域の担い手の確保などの地域コミュニティの課題について質疑をさせていただきました。また、新型コロナウイルスの影響で、人と人との接触が制限され、地域によっては、活動の自粛などによって住民同士のコミュニケーションの機会が減少し、つながりが薄くなったのではないかと再開されつつある活動に参加しながら心配もしています。京都市は、地域コミュニティへの参加促進に向けて、地域コミュニティサポートセンターにおける相談対応や地域活動助成制度など様々な取組を実施してきました。しかしながら、地域内の課題解決に何もかも全て行政が対応することはできません。これまでの京都は、応仁の乱や明治維新による混乱から住民の力で困難を乗り越えてきたまちであります。今、改めて地域のきずなを強め、地域への愛着を高める取組を進め、困難に立ち向かう必要があるのではないでしょうか。私の住む地域では、こんな取組をされています。年に1度、地域をよく知る人が、子供たちに地域の魅力を伝える授業が行われています。子供たちにとっては知らない昔の話や大人でも知らない地域の話を興味深く聞いているとのことでした。まずは自分たちの住む地域を知ること、地域が持つ魅力は何かを考えることで、自分たちのまちへの愛情が深まるのではないでしょうか。また、大人たちが考える地域の在り方ではなく、子供たちがこんな地域であってほしいという思いを形にすることで、自分たちが考えたまちに子供たちをはじめ住民たちのまちへ愛着を深めるのではないでしょうか。このように、住民自身が地域の魅力を再認識し京都市と共に内外に発信し知ってもらうことで、地域住民の交流を生み地域が抱える課題の解決、地域コミュニティの活性化、住まい探しの参考にして新住民の増加、地域企業の協力にもつながるのではないかと考えます。 また、地域住民が動くきっかけづくりも重要であります。島根県海士町では、海士町を作る24の提案を策定し、その24の提案では、一人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできることという項目が設けられ、住民自ら何をできるかを分かりやすく示されています。京都市においても、市民の皆様に、一人でできること、地域でできること、みんなでできることを明確に示す必要があると考えますがいかがお考えでしょうか。 次に、だれもが安心して移動できるまちについて質問いたします。皆さんは、自動車がまちを走っていない姿を想像できますか。実際に2013年、韓国スウォン市で開催されたエコモビリティワールドフェスティバルで、それまで路上駐車や渋滞、環境汚染に悩まされていた地区を1か月にわたって自動車がないまちを作る実験が行われたそうです。このような自動車が全くないカーフリーの取組は世界的にも取り組まれ賛否両論があるとのことです。この実験の結果で分かったのは、代わりになる公共交通をはじめ移動手段がしっかりと整備されていることが大変重要であるということです。近年、自動車の利用や人口減少社会の本格化に加え、コロナ禍で更に公共交通の利用者が大きく減少しています。また、運転士、整備士といった公共交通を支える担い手不足がより深刻化しており、京都市内の交通事業者のみならず、全国的に厳しい経営環境に置かれています。京都市では、市民の足として欠かすことのできない市バス、民間バスの現行路線やダイヤを維持すること自体が難しいのではないのかと言われる中、早急に持続可能な公共交通ネットワークの構築に向け対応していく必要があります。京都市は、2021年11月に策定した「歩くまち・京都」総合交通戦略2021においては、地域の特性やニーズに応じた生活交通の維持・確保のために、地域交通のマスタープランとなる地域公共交通計画を策定することが掲げられており、現在令和5年度中に策定を目指した取組が進められていると聞いています。今後策定される地域公共交通計画は、それぞれの地域の課題に加え全市的な視点からの分析、現状把握も必要と考えることが大変重要になってきます。私は、2019年8月に産業交通水道委員会の他都市調査で、福岡市内を運行する西日本鉄道において、鉄道の駅を起点とした路線の再編により利便性の向上を図りつつ運営の効率化を図る先進事例を視察してきました。今後、例えば、デマンド・バスや公共交通網の再整備、新交通システムの導入、交通連合の設立などを考えていかなければならないのではないでしょうか。特に、市長が、3年前に発表した京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想の現状を聞かせていただくとともに、地域公共交通計画が、市民生活に必要な生活交通を将来にわたって維持・確保していく上で、より実効性のあるものとなるよう取り組むべきと考えますが、現時点での取組状況と京都市のお考えをお聞かせください。 次に、二つ要望させていただきます。 葛野西通、七条通の拡幅について要望させていただきます。2020年5月市会でも要望をさせていただきましたが、京都市の東西を結ぶ幹線道路である七条通、葛野大路通と大門町のバス停の間は、2016年3月に拡幅整備についての請願が全会一致で採択されています。しかしながら、今後、事業を実施する路線の一つに選定されているものの、財政確保が厳しい中、
行財政改革計画の集中改革期間は予算計上が見送られています。この間、建設局では、測量や地元の御意見を聞くなど事業化に向けた取組を着々と進めていただいておりますが、先行きが不透明であり、地域からも明確な方向性を示さなければ様々な意見が出かねません。引き続き事業化に向けた取組を積極的に進めるとともに、地域の皆様にとって安心・安全な道路を整備していただくことを要望いたします。 次に、西京極総合運動公園と周辺環境整備について要望させていただきます。西京極総合運動公園については、文化的な活用も求めてまいりましたが、なかなか工夫や研究された結果を見ることができません。また、民間の力を活用し整備を進めるということですが、アクアリーナにおいては空調の故障や備品の不良などもお聞きし、目に見えるような進展は見らません。今後、京都市が求める総合運動公園の在り方を明確に示し全国に誇れる施設として整備を進めていただきたいと思います。また、再三、総合運動公園へのアクセス道路の整備を求めていますが、一向に進んでいません。西京極総合運動公園の整備と周辺地域のまちづくりを一体のものとして岡崎地域や京都駅周辺地域のような整備を進めていただくよう求めます。 以上で、私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、
田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 誰もが安心して移動できるまちについてでございます。本市では、これまでから人と公共交通優先の歩くまち・京都の理念の下、交通事業者が相互に連携・補完し合い、一定の公共交通網が形成されているものと認識しておりますが、人口減少、高齢化等を背景に、その維持確保が大きな課題となっております。
田中たかのり議員御指摘の京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想は、本市の西部、南部と周辺自治体を含む地域を20年、30年先も展望し、活力と魅力あふれる広域的な都市圏として発展させ、持続可能な都市経営を目指すものであります。この構想は、周辺エリアとのつながりを強固にし、地域の活性化と交通アクセスの向上を図ろうとするものであり、この間、京都市基本計画などにも位置付けております。当面の取組といたしまして、現在、民間事業者と共に市内周辺部を対象に、自動運転技術やグリーンスローモビリティの実証実験などを模索しているところであり、有識者の助言も得ながら、京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想の実現に寄与する先進技術や新たな移動サービスの活用に向けた検討を進めてまいります。また、将来にわたって地域の特性やニーズに応じた生活交通を維持・確保していくため、令和5年度中に京都市地域公共交通計画を作成することといたしました。地域公共交通計画では、都心部、周辺部、中山間地域の三つの広域の分類の下に、公共交通の維持確保に向けた方策や行政、交通事業者、地域住民の役割分担を明らかにすることとしております。事業連携の更なる深化を図るとともに、地域と一体となって取組を推進するなど持続可能な公共交通ネットワークの構築に積極的に取り組んでまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 地域コミュニティについてでございます。本市では、住民自治の伝統や支え合いの精神に基づき地域住民主体の住みよいまちづくりが脈々と受け継がれてきました。しかし、少子化や単身世帯の増加、ライフスタイルや価値観の多様化などに加え、コロナの影響により住民が触れ合う機会が減り、地域におけるつながりの希薄化などが課題となっています。こうした中、まちに愛着を持つことのできる地域づくりに向けては、
田中たかのり議員御指摘のとおり、地域の皆様や関係する様々な団体などと地域の魅力を共有し自分のまちへの愛着を深めるとともに、その魅力を地域内外に知っていただくことが、新しい住民の方の呼込みや地域企業など多くの方からの協力にもつながると考えております。このため各区で行われている地域の歴史や魅力に触れるまち歩きや連続講座、SNSなどによる魅力発信の取組、地域の方々との協働によるふれあい事業などを通じて、地域活動の担い手の拡大やつながりの強化を図り、皆が愛着を持ち住みたいと思える地域コミュニティづくりを地域の皆様と共に進めてまいります。また、議員御提案の地域住民自らが動くきっかけづくりとしましては、例えば、隣近所での挨拶が高齢者や子供の見守りなど地域での支え合いにつながっていることや、災害に備えた自主防災活動、さらには多様な団体などとの連携によって安心して暮らせるまちが実現することなどを、子供たちも含めた幅広い世代の方々と共有することが大切であると認識しております。昨年1月に策定した地域コミュニティ活性化ビジョンに掲げる三つの基本指針の下、様々な機会を捉えた分かりやすい情報発信により一層取り組むとともに、地域の主体的な取組への支援などを引き続きしっかりと進めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、くらた共子議員に発言を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕
◆(くらた共子議員) 上京区選出のくらた共子です。山本陽子議員、ほり信子議員と共に予算議案と市政一般について市長に質問します。 まず初めに、我が国の安全保障体制に関わり岸田政権が閣議決定した安保3文書で、敵基地攻撃能力を保持強化するとしていることについてです。これは日本国憲法の下、これまでの政権が採ってきた専守防衛を逸脱し、日本を戦争する国へと国の在り方を変えるものです。5年間で43兆円に軍事費を増やすとしていますが、国内総生産比2パーセント以上の軍事費となればアメリカ、中国に次ぐ、世界第3位の軍事大国となります。しかも、その財源として東日本大震災の復興財源や公的病院の積立金も投入するという暴挙を許せば、住民福祉の増進を図る自治体の在り方も根底から変わることになります。市長は、このような憲法に反する大軍拡、大増税の閣議決定に反対の声を上げるべきではありませんか。明確にお答えください。 また岸田政権は、東日本大震災での東京電力福島第一原発事故を忘れたかのように、原発再稼働の加速、老朽原発の運転期間延長、新規の原発建設など原発推進への大転換を表明しています。しかしこの間、福井県高浜原発4号機の原子炉自動停止事故が発生しました。市長は、原発ゼロの立場に立ち、国に対して原発推進にきっぱりと反対すべきです。いかがですか、お答えください。 次に、来年度予算案についてです。市長は3年前、毎年500億円の財源不足、このままだと財政は破綻しかねないと財政危機をあおり敬老乗車証や学童保育料の値上げ、民間保育園への補助金削減など市民負担増と市民サービスの低下を押し付けてきました。我が党は、過大な見積りで財政危機をあおり市民を脅すものと批判してきました。2021年度決算の実質102億円の黒字に続く、2023年度予算案における市長の財政破綻はしないとの宣言は、共産党議員団の指摘が正しかったことを示しています。今、必要なことは、コロナ以前からの不況とコロナ禍、これに重なる物価高騰の影響から市民の命と暮らしを守る自治体の責任を果たすことです。そのために、更なる福祉の切捨てはやめるべきです。2022年度の市民負担増53億円を元に戻し、
行財政改革計画は撤回すべきです。いかがですか、お答えください。
行財政改革計画で市民の暮らしはどうなっているでしょうか。第1は敬老乗車証制度についてです。市民が宝としてきた敬老乗車証制度の改悪で、利用者負担は昨年9月から2倍に、今年9月には3倍に引き上げられ、支給年齢も70歳か75歳へと段階的に引き上げる内容です。市民から高齢者は市バス・地下鉄を使うなということだなどの悲鳴が上がっています。京都市は、これまで制度を持続可能なものとすると繰り返し、新たな見直しで高齢者バス回数券を示していますが、その購入に当たって相談対応窓口を設置しなければならないほど複雑な仕組みです。民営バス敬老乗車証の適用地域を拡大するとしたことは公共交通網として前進ですが、一部負担金が3倍化する値上げとの抱き合わせでは市民が活用できません。制度をなくすに等しいとの怒りは当然で、2月2日現在、敬老乗車証制度の改悪中止・充実を求める署名6万8,199筆が提出されています。高齢者の外出や社会参加を促す敬老の名にふさわしい制度として復活するために、改悪した制度を2021年当時に戻すべきです。いかがですか、お答えください。 第2に、精神障害者や生きづらさを抱える市民の居場所である京都市こころのふれあい交流サロンについて述べます。こころのふれあい交流サロンは、精神に障害のある市民の自立と社会参加を一層促進することを目的に、障害のある市民も、ない市民も誰もが心のバリアを取り除き、地域で共に生活し、気軽に交流できる場として各行政区に1か所設置されてきたものです。平成26年4月からは相談機能を有する機能強化型こころのふれあい交流サロンを市内に2か所設置し、既存のサロンに相談員を派遣する活動も行われていました。ところが、京都市が2022年度に補助金制度の仕組みを変えたことなどにより、3か所のサロンが閉鎖しています。あるサロンでお話を伺いますと、利用者の方は、ここがなければ人と話す場がなくなり、自宅でひきこもるしかないと述べておられ、閉鎖したサロンを利用されていた方も遠方から利用を希望されるなど、なくてはならない場所であると実感しました。職員やサポーターからも、サロンでの対話を通し悩みや生活上の課題の解決につなげることができたと教えていただきました。京都市当局は、制度改定後の状況は認識していると答弁してきましたが、現場から、今年度は寄付金や募金でしのいだが、このままでは事業は続けられないと悲痛な声を聴いています。市長は、今年度、削減した予算を戻し、賃貸料を含めサロンが安定して運営できるよう増額措置すること、精神に障害を持つ方などの地域での生活を支援するために支援者の育成が図られるよう処遇の改善、体制の確保を行うことを求めます。いかがですか、お答えください。 第3は、ウィングス京都についてです。ジェンダー平等社会を実現する拠点施設であるウィングス京都を市長が廃止も含めて検討する施設の一つとしていることは問題です。コロナ禍3年目を迎える中、非正規労働者比率が高い女性の貧困と自殺が社会問題化すると同時に新自由主義の弊害が明らかとなりました。ウィングス京都の大切な機能は個別的相談事業で、男性の相談にも対応できる重要な役割を担っています。本来、相談事業は、自治体が直接責任を持つべき事業です。そのウィングス京都について民間営利企業に活用策の提案を求めていることは重大です。仮に民間の店舗が入れば若者サポートステーション、図書情報室や子どもの部屋など公的スペースが縮小するおそれがあります。男女共同参画社会の推進、ジェンダー平等社会の実現に対する公的責任を放棄することは、断じて認められません。市長は、ウィングス京都の優れた相談事業実績を市民に知らせ、より多くの市民の相談窓口として機能できるよう体制を強化して発展させることを求めます。いかがですか、お答えください。
行財政改革計画で住民のサービスを低下させている京都市は、京都経済を落ち込ませ一層の人口流出を招いています。一方、京都府大山崎町政が公立保育所を存続させ、上下水道料金の基本料を16か月無料化し、中学校の給食は自校方式で無償化するなど手厚い住民福祉を進める中、人口規模は京都市の100分の1の大山崎町で、3年間で260世帯の居住人口が増え、結果として税収を増やし、基金積立ても3倍に増やしています。 日本共産党議員団は、福祉を前進させるために京都市の一般会計の約1パーセント、約100億円で実現できる三つの提案をお示ししています。(パネルを示す)パネルを御覧ください。一つは、子育てを応援する3点セットです。市民の皆さんがこの11年間で16回もの議会請願に取り組まれてきた小学校のような温かい全員制の中学校給食は、6か年年次計画でなら28億円、同時に小中学校の給食費を無償化するためには49億2,000万円、子ども医療費18歳まで実質無料化するためには京都市単費7億9,000万円で実現できます。二つ目は、学生のまち・京都にふさわしい学生への支援として、返さなくてもいい給付制奨学金制度は1億7,500万円、大学生の通学定期の値下げは2億6,900万円あれば実現できます。三つ目に、公契約基本条例に賃金条項を明記し、公共の現場労働者の賃金を引き上げることで、市域内の暮らしと経済の好循環を作り出すことができます。本市でも、市民の暮らし、子育て応援、福祉を拡充してこそ、市民が安心して暮らし続けることができ、人口増加、税収増、持続可能な財政の確立という好循環が生まれるという認識は、市長、おありですか。いかがですか、お答えください。 今後の財政運営を考えたとき極めて重要なのは、不要不急な事業の精査と大型開発事業を見直すことです。とりわけ市民生活と本市財政にとって百害あって一利もない巨大開発である北陸新幹線延伸については、党議員団は当初より計画の無謀さを指摘してきました。福井県の敦賀から新大阪までの総延長140キロメートルのうち8割がトンネル区間で大量の残土が発生するにもかかわらず、その残土の処分方法は未定で、掘り出した土に含まれるヒ素などの重金属の環境放出という新たな公害源となることや、残土を山林や谷筋に盛土することになれば、熱海で起こったような盛土崩壊による災害が発生する危険があることを指摘してきました。地下40メートルを掘り進める大深度地下工事は、京都の産業と文化を育んできた地下水脈と水質に取返しの付かない影響を与えることになり、茶道関係者からも、何とか止めてほしいとの声があります。京都市内の地下大深度の工事を必要とする北陸新幹線延伸計画の問題が次々と顕在化する中、推進の先鋒に立ってきた自民党の西田参議院議員が、残土と水の問題解決なしには進められないと発言し、自民党内から米原ルートの方が現実的などの意見も出ています。関西広域連合議会では、三日月連合長がルートは決まってはいない、様々な課題があると認めています。しかも総事業費が2兆1,000億円以上とされていましたが、今では、自民党石川県連最高顧問の県会議員が2兆1,000億円が4兆円ぐらいになり、完成は2040年と述べたと報道されるなど費用の膨張は必至です。市長、計画は完全に行き詰まっているのではありませんか。このような計画に突き進むことは、将来世代に莫大なツケを負わせたうえに、先人たちが大切にしてきた京都の自然と環境、産業と文化を破壊することになります。市長は、この巨大開発事業である北陸新幹線延伸計画の中止を国に求めるべきです。いかがですか、お答えください。 ひとまず、ここまでの答弁を求めます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) くらた共子議員の御質問にお答えいたします。
行財政改革計画と持続可能な財政の確立についてでございます。計画の趣旨は、市民の皆様と共に守り続けてきた本市独自の、かつ全国トップ水準のあらゆる施策について、その理念をいかし、社会経済情勢の変化に対応しながら、相対的に高い水準を維持しつつ持続可能なものとなるよう在り方を見直す。そして将来世代への負担の先送りを解消する、未来に責任を持つ改革であります。 敬老乗車証につきましては、政令市7市が制度を廃止又は持たない中、制度を維持していくために見直すものであり、見直し後も年額20万円相当の価値のあるフリーパスを多くの方が月額750円、最高でも3,750円で御利用いただけます。さらに来年度からは、敬老バス回数券の新設、民営バス敬老乗車証の適用範囲の拡大を行いまして、利便性の更なる向上を図ってまいります。 こころのサポートふれあい交流サロンにつきましては、令和4年度からこれまでの事業を統合し、事業統合後も受託事業者の意見や各サロンの運営状況を踏まえ必要な見直しを行っております。今後も持続可能な事業運営に努め、精神に障害のある方が地域で安心して生活するための支援に取り組んでまいります。 ウィングス京都につきましては、昨今の社会構造の変化、民間市場調査の結果等を踏まえ、施設の理念をいかしつつ、市民サービスの向上につながる施設となるよう在り方を検討しているところであります。令和5年度予算では市民の皆様の御理解、御協力もあり、22年ぶりに収支均衡を達成することができました。また、こうした改革の中でも、市民の皆様の命と暮らしを守り抜く、福祉、子育て支援、教育、安心・安全など様々な社会課題に的確に対応し、支援が必要な方々へのセーフティネットはしっかりと確保しております。 新型コロナ、物価高騰対策では、1,721億円を計上し、例えば指定都市トップ、指定都市平均の1.5倍となる人口1万人当たり2.4人の保健師をいかし、総合的かつ万全の体制の下、感染拡大の防止をはじめ、市民生活、地域企業の下支えに全力で取り組んでまいります。 今後、先行き不透明な経済情勢の状況におきましても、安定した収支の均衡、過去の負債の解消、そして京都の強み、ポテンシャルをいかし、人口減少の歯止め、税収増につながる経済の活性化、都市の成長戦略の推進が重要でございます。このため、2月市会で提案の持続可能な行財政の運営の推進に関する条例では、市民福祉の増進を図るため、将来にわたって改革の必要性や理念、財政運営の目標を明記した計画を策定し、市民の皆様の参加・協働の下、改革を進めてまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 北陸新幹線の延伸計画についてでございます。北陸新幹線は、京都と北陸圏との結び付きを一層豊かにするとともに、新駅が設置される地域のみならず新駅と結節する沿線地域にも広く利便性の向上をもたらし、災害時等には、東海道新幹線の代替路線の役割も果たし得る大変重要な社会的資本でございます。現在、事業主体である鉄道運輸機構が環境影響評価手続を進めており、本市としては、これまでから法の規定に基づき京都市環境影響評価審査会で専門家の意見もお聞きしたうえで、京都府知事に対し自然環境や生活環境への影響が可能な限り回避、低減されるよう求める意見書を提出してきたところでございます。今後も法の規定にのっとりしっかりと意見を述べるなど適切に対応してまいります。また、令和5年度政府予算案においては、施工上の諸課題を解決するための調査等に係る予算が計上され、国会審議中でございます。具体的な事業計画につきましては、これらの調査や現在実施中の環境影響評価方法書にのっとった調査等の結果を踏まえ、国や鉄道運輸機構において自然環境や生活環境に十分配慮しつつ今後検討されていくものと認識しております。
○議長(田中明秀) 三科危機管理監。 〔三科危機管理監登壇〕
◎危機管理監(三科卓巳) 原発についてでございます。本市では、平成24年3月の市会決議を重く受け止め、京都市地球温暖化対策計画においても原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現を目指すことを明確に掲げており、国に対しても原子力発電所の早期全廃に向けた抜本的なエネルギー政策の転換を一貫して求めております。電力安定供給のために、原発に依存しない安定した電力供給体制が構築されるまでの間、やむを得ず原子力発電所を運転する場合においても、万全の安全性の確保と立地住民の同意を大前提に必要な範囲にとどめるべきであるという基本的な立場に変わりはございません。また、本市では、地域防災計画原子力災害対策編を策定し、専門家に参加いただいている原子力部会での最新の知見に基づき、原子力防災訓練や空間放射線モニタリングなど総合的な原子力防災対策に取り組んでいるところです。今後とも市民の安全を第一に、原子力災害対策に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 金山財政担当局長。 〔金山財政担当局長登壇〕
◎財政担当局長(金山昌幸) 国会予算及びその財源確保のための税制措置への認識についてでございます。令和4年12月に国の安全保障に関する基本方針である国家安全保障戦略等の、いわゆる安全保障関連3文書が閣議決定されました。その中で、防衛力の整備に係る財源の確保については、税制措置のみならず歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設など歳出歳入両面において所要の措置を講じることとされており、これに基づき、国において総合的な検討が行われているものと承知しております。財源確保を含む安全保障政策については、国民の命と暮らしに関わる国家としての存立に関する事務であり、国が本来果たすべき役割に係るものであることを踏まえ、今日の国際社会の下で恒久平和をいかに実現するかという観点から国において議論が進められるべきものと考えております。以上でございます。
○議長(田中明秀) くらた議員。 〔くらた共子議員登壇〕
◆(くらた共子議員) 市長から切り下げた福祉予算を復活する答弁がなかったことは極めて重大です。福祉や暮らしの削減を成長戦略などとして巨大開発のために使うことは断じて認められません。自治体の役割は、住民の福祉の増進を図ることだということを重ねて指摘いたします。 次に、感染症対策と医療体制についてです。コロナ第8波は、第7波を超えて死者数が過去最大となっています。第7波で大きな問題となった高齢者施設における感染者の留置き問題について、第8波でも同様の対応となっていることは看過できません。必要な方が必要に応じて入院できる医療体制の抜本拡充は喫緊の課題です。ところが、国は、このことには背を向けたまま、
新型コロナウイルス感染症の法的位置付けを現在の2類から5類へ5月8日に変更するとしており問題があります。これについて共産党議員団は、2月2日市長に申入れを行いました。まず、国に対して公的医療機関の統合、縮小、廃止方針を撤回し医療体制を抜本拡充すること、自治体への財政支援を継続するよう求めるべきです。京都市として、感染者の施設留置きや在宅死を生じさせないよう、京都府と連携して医療、保健所、PCR検査体制を強化するべきです。いかがですか、お答えください。 年明け、市内に独りで暮らす29歳、てんかんの持病のある方がコロナに感染し40度の高熱を伴う症状が続きました。自宅療養とされましたが、高熱などのストレスが加わることでてんかん発作の誘発を危惧した母親が、感染者の住むワンルームマンションを訪問されました。しかし、ぜんそくと心臓病の持病がある母親は自身の感染も防ぐ必要があると相談が寄せられました。そのことを京都市フォローアップセンターに連絡しましたが、医師が自宅療養でよいとしているとして、入院もホテル療養もできないとの回答でした。救急車を要請しても搬送受入先もなく命の不安を感じるとの市民の声でした。このことを京都市は重く受け止めるべきです。その後、送付の基準が30歳以上とされていたパルスオキシメーターは送られることとなりましたが、改めて年齢にかかわらず感染者の全員が生活状況と合わせて症状観察される必要があることを痛感しました。今後、たとえ
新型コロナウイルス感染症を乗り越えることができたとしても、新たな感染症対策は必須です。本市における医療供給体制を万全にし公衆衛生機能を再構築することが必要です。そのために、地域の各医療機関などと綿密な連携が取れるよう保健所を各行政区に再配置し、万全の体制とする必要があります。また、感染者を受け入れる医療機関及び高齢者施設や介護施設、保育、学童施設、障害者施設など濃厚接触によるケアを業務とする全ての現場に対する補償を行い、更なる人員確保ができるよう支援することを求めます。いかがですか、お答えください。 加えて、この冬、問題となってきたのが季節性インフルエンザとの同時流行です。コロナ新規株や今後の新たな感染症との同時流行にも対応できるよう、高齢者のインフルエンザ予防接種を無料とすることを求めます。いかがですか、お答えください。 次に、介護保険制度についてです。昨年11月28日厚生労働省の介護保険部会は、ケアプランの有料化、要介護1、2を介護保険の対象から外すこと、被保険者と補足給付の拡大については見送る方向としました。しかし介護保険の利用料で現行の1割負担を2割にし、特別養護老人ホームの多床室の室料負担と第1号被保険者の保険料の引上げについては実施を検討するとしており大問題です。認知症の夫を介護する方からは、夜も眠れない。デイサービスを週1回利用しているが、それも途中で退所し帰宅することもあるので、その日も一歩も家を空けることができないとの訴えが寄せられます。また、知らぬ間に、家じゅうのコンセントを抜いてしまうなど異常行動のある認知症の方を介護する家族は、生活に疲れ果てている。お金があれば本人を施設に預けて自分のペースで面会に行くことや世話をすることができるが、夫婦共に僅かな年金しかなく月20万円もの施設費用は払えない、諦めるしかないと訴えておられます。市長は、こうした認知症の家族介護の実態をどう認識しておられますか。認知症のある方への症状に応じたきめ細やかな介護支援が負担能力に応じて受けられるようにならなければ市民は安心できません。このことからも今以上の介護保険料、利用料の値上げなど認められません。介護保険制度は2000年に導入されて以降、見直しの度に負担は重くサービスは薄く国民の期待を裏切る方向に改悪が進められてきましたが、抜本的に見直すことが必要です。国に対して制度改悪をやめよと求めるべきではありませんか。 また、介護保険制度の設置主体である自治体として認知症患者の家族介護が限界に達していても経済負担を苦にしてサービスを諦めている市民の実態を直視し、京都市独自にサービス利用料の低減措置を行うべきです。要介護者と家族、双方の命に関わる問題です。いかがですか、お答えください。 次に、京都市が、京都市地域包括支援センターに対して、要支援1、2の高齢者が要支援状態から自立できたケースに対して加点し報酬を支払うとしていることについてです。京都市内全体で年間50ケースの自立事例を目指すとしていますが、矛盾が生じるのではないでしょうか。市民に求められているのは、高齢者の見守りなどを含め個々の実態に応じたきめ細かいサービスが市民の負担能力に応じて受けられることです。その結果として状態の改善や症状の進行を遅らせることを期待するのです。この願いに応える総合的な支援サービスの構築は、国と自治体の責任で行うべきで、その要となる地域包括支援センターを法人任せとしていることを根本から見直す必要があります。現場からは、様々な課題を持ちながら地域で暮らす高齢者や家族の実態をつかみ、各地域包括支援センターが住民から求められる役割が発揮できるよう、せめて各行政区に1か所、京都市が直接担当する地域包括支援センターを設置し地域全体の実態把握から支援まで公的責任を果たす必要があると指摘されています。市長は、地域包括支援センター関係者の声を受け止めるべきです。いかがですか、お答えください。 また、平成29年4月から導入された京都市総合事業については、生活支援を担うヘルパーの不足が問題となっています。高齢者の日常生活を支えるヘルパーの仕事が適切に評価されないことから、事業として成り立たない状況となっていることは、政策の破綻と言わねばなりません。市民の生活を支えるために専門職としてヘルパーを養成すること、ヘルパーへの適切な報酬を保証することが不可欠です。京都市が切り下げた生活支援型と支え合い型ヘルパーの報酬を元に戻すべきです。いかがですか、お答えください。 さらに、市民が必要とする支援サービスを見極めマネジメントする居宅介護支援事業所と京都市との連携で問題となってきたのが令和2年4月の京都市介護認定給付業務の民間委託です。ケアマネジャーなどから民間委託以降、双方の連絡連携が取りづらく時間が掛かるようになったと介護サービスの低下が指摘されています。市長は、居宅介護支援等の現場の指摘を重く受け止めるべきです。各行政区の窓口が住民の介護給付や緊急時の対応に責任を持つことが切実に求められており、民間委託した介護認定給付業務を元に戻すことを求めます。いかがですか、お答えください。 次に、地域経済の問題についてです。飲食業を営んでおられる方より、コロナ禍の影響、落込みの回復は難しい、やっと客足が上向いてきたが物価高で厳しいとの声を伺います。減収要件を問わず、事業を継続するために市内事業者が申請できる京都市中小企業等物価高騰対策支援金制度は重要な制度であり、共産党議員団も求めてきたものです。市民から歓迎されている制度を1軒の事業者も取り残すことなく周知するためにも3月10日までの申請締切りを延長するべきです。更に額を引き上げて新しい支援制度を作ることを求めますが、いかがですか。 あわせて、固定費補助制度も通年化することを求めます。いかがですか、お答えください。 国に対して市の制度に対する支援を求め物価高騰対策の交付額を大幅に引き上げることを求めるべきです。いかがですか、お答えください。 昨年6月補正の市内中小企業等総合支援補助金、農業者経営改善支援事業等の総合支援事業の給付については、遅いという声が寄せられていることを繰返し指摘してきました。京都市が直接対応する窓口を各区役所に設置し速やかな給付が行えるよう改善を求めます。いかがですか、お答えください。 また、返済時期が今年の夏となる新型コロナウイルス対応の無利子、無担保のいわゆるゼロゼロ融資の新たな借換え制度が実現したことは歓迎します。一方で国が免税事業者に新たな課税負担を求めるインボイスを導入しようとしていることは看過できません。私の地元、西陣産地では、コロナに物価高、インボイス導入で産地が崩壊するとの危機感があります。なぜなら、20以上の工程を経て製品化される伝統産品の一つ一つの工程を担う事業者の多くが免税事業者に当たるからです。産地組合では、関連工程の事業者がインボイス取引の対応を行うことは困難で、関連工程事業者の負担をメーカー企業がかぶるしかない。しかしメーカーの体力が持つか見通しが持てないとの苦悩があります。さらに、以前から私が指摘してきた織機のメンテナンスができる調整工の確保が重大問題となっています。インボイスは、京都の伝統産業全般に係る問題であり、国に対してインボイスの中止を求めるべきです。いかがですか。また、西陣産地内の調整工は現在ゼロ、丹後からの派遣調整を頼る以外になく事態は切迫しています。この緊迫した事態に対する行政の対策支援が不可欠です。京都府とも連携し早急に対策することを求めます。いかがですか、お答えください。 最後に地元の問題について質問します。上京区相国寺北、元成安高校跡地へのホテル建設計画についてです。2月17日の京都市建築審査会において、審査会長が、何も建てなくても交通インフラはぜい弱である。何を建てても交通の負担が掛かり、道路のキャパを超える。相国寺や地域も含めた議論が必要と言及されました。この問題の本質は、京都市が都市計画ルールとしてホテルを建ててはならないとして規制してきた第二種中高層住居専用地域に市長が特例で建設を認めていることにあります。これまでに、ホテル建設計画地周辺の道路が通り名もない通学、生活道路で、ホテル建設計画地の北側の道路幅員が4メートルであることなど住環境への影響は必至と指摘されてきました。建設はもとより営業に伴う住環境への影響に多大な不安が生じることは当然であり、住居専用地域にホテルを建設することに問題があることは明らかです。相国寺北ホテル計画を考える会など住民の皆さんが、計画が住環境を壊すもので特例許可を適用すべきでないとする申入れを行ったにもかかわらず、京都市が特例許可に向けて1月25日に開いた公聴会でも、住宅地にホテル建設は認められない、文教地域であり通学路の安全は確保できないとの意見が出されていました。都市計画ルールを破壊し市民の反対を無視してホテル建設を進めることは断じて認められません。市長が特例許可の適用を撤回されることを強く求めます。いかがですか、お答えください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 新型コロナ対策などについてでございます。まず、医療体制は、現在1,027床まで入院病床が拡充され、財政支援も各自治体と連携し国に対して要望しています。公的医療機関の国方針は、統合や縮小、廃止を前提としておらず今後の動向を注視してまいります。 次に、感染対策は、全庁挙げた保健所体制の構築、医師会や私立病院協会などと連携した療養体制の確保、京都大学による大規模検査や看護系大学との京都市版IHEATなど大学との連携、訪問看護ステーションなどによる健康観察、フォローアップセンターの運営、民間検査機関など民間の力を借りた体制強化など総力を挙げて感染対策を講じております。また、全市的な危機事案に対応するには、明確な指揮命令の下、一貫した対応ができる現在の集約した保健所体制が最適です。これらの取組は、今後求められる健康危機管理対策にいかしてまいります。 次に、医療機関や社会福祉施設には、感染対策に必要な経費が賄えるよう国における診療報酬での対応のほか、本市でもかかり増し経費などの助成を行っております。 最後に、高齢者インフルエンザ予防接種は、医療機関の皆様などの協力の下、広報を強化した結果、前年度と同じ接種率となっており、影響は生じていませんが、更なる接種率の向上を図るため、とりわけ重症化リスクの高い75歳以上の方の自己負担を1,000円に引き下げる予算案を提案しております。以上でございます。
○議長(田中明秀) 石田産業・文化融合戦略監。 〔石田産業・文化融合戦略監登壇〕
◎産業・文化融合戦略監(石田洋也) 私からは、2点についてお答えいたします。 初めに、中小企業等支援についてでございます。まず、物価高騰対策支援金の申請受付期間の延長ですが、本支援金につきましては、総合支援補助金を受けられた2万者を超える方には、プッシュ型で追加交付するなど手続ができるだけ簡素なものとなるように制度設計を行っております。約4万8,000件の想定に対し、既に約4万件の申請を頂いており、申請に必要な期間は確保できていると考えております。引き続き対象となる全ての事業者に情報が行き届くよう徹底した周知に取り組んでまいります。 次に、固定費補助等に係る新たな支援制度の創設ですが、国の臨時交付金に加え一般財源も投入して、本市の取り得る最大限の支援として物価高騰対策支援金を実施しているところであり、まずは支援金の迅速な支給に努めてまいります。また、幅広い事業者を対象とした直接給付につきましては、巨額の財政支出を伴うため、自治体の財政力に左右されることのないよう基本的には国において措置されるべきものと考えており、事業者の皆様のお声も踏まえ引き続き国に要望してまいります。申請受付、相談等の窓口につきましては、対象者や申請件数の見込み等を考慮した体制としており、今後ともそれぞれの支援策に応じた適切な体制を構築し、迅速かつ丁寧に事業者の皆様に寄り添った対応を行ってまいります。 次に、伝統産業支援についてでございます。織物の製造に欠かせない機械の修理等を行う技術者は、西陣織業界に不可欠な存在ですが、高齢化等の影響で減少傾向にあります。長年培われてきた知識、技術を検証するため令和2年には西陣織工業組合内にモノづくり事業部が創設され、織機のメンテナンスを担う技術者の育成に取り組まれており、本市も創設への支援を行いました。また、業界の実態を的確に把握するために、毎年業界団体や補助金受給者に向けたアンケート調査を実施するとともに、西陣産地の現状をより深く分析するため組合と市、府、有識者が委員となり、西陣機業調査を実施しております。この調査では、事業者が抱える課題等も聴取しており、その結果を反映して実施している伝統産業製品販売強化等支援事業や伝統産業未来構築事業など多くの事業者に活用いただいております。引き続き関係団体と連携し、実態を捉えた支援に取り組んでまいります。 インボイス制度につきましては、消費税の軽減税率の実施に当たり適正な課税を確保するため導入されるものと認識していることから、国に対して御提案のような要望を行うことは考えておりませんが、制度の円滑な導入に向けては、国の様々な経過措置や支援策が設けられることとされており、本市としても京都府や関係団体とも連携し、制度の周知、広報を丁寧に行ってまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(三宅英知) 介護事業についてでございます。高齢化が進む中、国においては介護保険を持続可能な制度とするため様々な検討が行われておりますが、本市としては、被保険者や利用者の負担が過重にならないよう国に対し必要な要望を行ってまいります。 なお、介護保険は、全国一律の社会保険制度であり、本市独自に利用者負担の軽減や補助等を実施する考えはございません。 地域包括支援センターは、本市が地域に根差した社会福祉法人等に運営を委託している公的な相談窓口であり、今後も区や全市単位で設置する運営協議会において、地域課題や支援ニーズを把握、検討し、センターに求められる役割を果たしてまいります。 総合事業の報酬については、要介護者に係る介護報酬等を参考に設定しており、サービスの内容に応じたものとなっております。近年ヘルパーを含む介護の担い手確保が厳しくなっておりますが、引き続き関係団体と協力し担い手確保の取組を進め、国に対しては一層の処遇改善を要望してまいります。 介護認定給付業務については、高齢化の進展に対応するため民間委託化を行い、効率的な業務体制を確保したところです。受託業者と本市職員とが連携し、迅速かつ丁寧な対応に努めており、介護認定の平均処理日数は、民間委託化前から約10日早くなるなど市民サービスの向上につながっており、直営に戻す考えはございません。以上でございます。
○議長(田中明秀) 竹内都市計画局長。 〔竹内都市計画局長登壇〕
◎都市計画局長(竹内重貴) 相国寺北門ホテル建設についてでございます。まず、建築基準法によって宿泊施設の位置が制限されている区域においても、宿泊施設の建築は法律上禁止されているわけではありません。周辺の良好な住居の環境を害するおそれがないこと等の一定の条件の下で、周辺の利害関係者に対する公聴会での意見の聴取や建築審査会における審議、同意を経て許可を受けることで建築が可能となります。この許可は、都市計画法や建築基準法のルールを遵守して適正に行われるものであります。 本件は、これまで周辺の住民の方々に丁寧に説明するプロセスを重ねたうえで用途許可の申請がなされ、2月17日の公開での建築審査会において同意に向けて公聴会での意見や申請内容についてしっかりと審議が行われたところです。引き続き、次回の建築審査会において審議がなされる予定であります。法令に従い適正に手続を進めてまいります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 暫時休憩いたします。 〔午後2時48分休憩〕 〔午後3時11分再開〕
○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 休憩前の議事を継続し、質疑を続行いたします。 山本陽子議員に発言を許します。山本議員。 〔山本陽子議員登壇(拍手)〕
◆(山本陽子議員) 山科区選出の山本陽子です。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。 まず、高さ規制の緩和と景観政策について質問します。今、京都市は、当時、全会派一致で議決した新景観政策をかなぐり捨てて高さ規制の緩和で高層ビルの誘致を進めようとしています。景観問題は、京都の先人が長年、京都が京都であり続けるためにいかなるまちづくりをすべきか、住民運動と市民的大論争で語られてきた古くて新しい京都問題です。2007年当時、桝本市長も景観論争に終止符を打つと銘打ち、100年の計として規制を強化したのが新景観政策です。市長は、これを15年で否定しようとしているのです。高さ規制を緩和して周辺部に高層のビルを造ることが京都が京都であり続けるために必要なのか、私は、市民が誇る京都らしい歴史的景観が失われ、ひいては京都のすばらしさが失われていくものであるということ、また、高層ビルにより市民の生活環境が壊されていくことを指摘したいと思います。対象地域となっている東部外環状線沿いの山科区では、今回の都市計画の見直しで外環沿いの高さ制限が無制限となります。道路界から50メートルも幅を取って、山科の中心部に現行31メートルの高さを越える巨大な高層ビルや高層マンションを誘導しようとしています。山科には、奈良時代、大化の改新の中臣鎌足や天智天皇陵などの古代の遺跡、また室町時代の蓮如上人の山科本願寺の広大な遺構がありますが、それはこの地が、南は宇治や奈良、そして東の近江や東国へ通じる東山道の要所で、音羽山や醍醐山、山科川など山科醍醐の自然豊かな盆地形とも相まって歴史的景観を形作ってきたことを表しています。そもそも、新景観政策では、悠久の時の流れの中で培われてきた歴史都市・京都の優れた景観は盆地形を基本に自然と共生する景観形成が特色であり、借景や眺望景観のように、個々の空間を超えてそれらが重層し融合することにより構成される魅力的な景観、これを守るのだと述べています。新景観政策の理念からすれば、京都盆地の田の字地域の高さが規制されているのと同様に、山科盆地の中心部の景観も守る価値があるのではないですか。いかがですか。 市長の見直しの狙いは、ホテルや宿泊施設の激増で地価高騰を招いた中心部の開発が困難となったことにより事業者のもうけとなる開発を周辺部に誘導することにあります。都市計画の見直しでは、周辺地域を抽出し、そこに都市機能の集積や都市空間の魅力の創出を図るとしていますが、周辺地域の穏やかな生活環境を壊してしまう懸念があります。先日2月7日、学者専門家28人の方が呼掛け人となって、高さ制限などの緩和に向けた都市計画の見直しの中断を求めるアピールが発表されました。今回の高さ制限の緩和に伴う超高層建築の出現は、都市に様々な環境上の負荷をもたらし、市民の暮らしの環境を脅かす危険をはらむものと警告されています。イギリスやアメリカでは、高層マンションは、コミュニティが希薄になり生活環境が後退することが問題であるとして、低層のまちづくりこそ持続可能であると転換が進められています。身近にも、自治連合会の皆さんからは、最近のマンション建設では住民の自治会への加入が課題で苦労しているとの声も聞こえます。景観は、住民の豊かな暮らし、豊かな歴史そのものであり、高さ規制の緩和は、新景観政策の進化どころか、オンリーワンの代えがたい住民の暮らし、そして市民が誇る京都のすばらしい歴史的景観を壊してしまうのではないですか。いかがですか。 もう一つの重大な問題は、今回の都市計画の見直しが、若い世代に選ばれる千年都市とうたいながら、若い世代のニーズも調査せずに、高さ規制を緩和すれば若い世代が住んでくれる、まちが発展すると述べ、根拠なく進められている点です。京都市は、外国人を除く20代・30代の市外転出が顕著で人口が減少していることが明らかになりました。この点、新景観政策が人口減を招いたかのような評価をけん伝する向きもありますが、京都市が行った新景観政策10年の検証では、高さ規制が都市の住宅新規着工数に影響したとは言えないと総括し、むしろ高さ規制が都市格を高め活性化したと述べられていることは申し添えておきます。 若い世代に選ばれるまちとは何なのか。京都市が本気で人口減少を克服する思いがあるなら、若者、子育て層が京都から出ていく要因を分析し検証すべきです。この点、まちづくり委員会で、高さ規制の緩和で人口減少を克服するという根拠はあるのかただしたところ、根拠はありませんとはっきり答弁されました。高さ規制の緩和で高層ビルを誘致すれば、まちは活性化する、人口減少を克服するとの考えは、高度経済成長期やバブル期の発想であり、昔の栄光にしがみついた根拠なき政策と言わなければなりません。今議会では、都市計画の見直しに係る関係条例の改正案が提案され、そして都市計画審議会に、提案の高さ規制の緩和の内容が縦覧されています。もっとも、その内容を見ると、先日行った市民意見を反映する変更はありませんでした。市民の声を無視し、新景観政策をかなぐり捨てる暴挙と言わなければなりません。市民意見募集の結果について、市長は、真っ先におおむね7割の賛同と言われましたが、その後5割とも言われ、当局に意見を賛否に分けた基準をただすと説明さえできませんでした。問題点を指摘する市民の意見にこそ耳を傾け、慎重に検討すべきです。拙速な判断で京都のまち壊しにもなりかねない高さ規制の緩和、都市計画の見直しは、人口減少を克服するという根拠もない政策であることは明らかであり中止すべきです。いかがですか。 次に、まちづくりは公共交通の充実こそと求め質問します。山科区小金塚の地域循環バスは、京阪バスが撤退し、住民によるボランティアバスになって1年がたとうとしています。来年度も運行を継続できるのかと利用調査が行われました。上りがきつく助かっています、生活するのにこのボランティアバスは必要不可欠な存在です、バスがあるというだけで安心していますなど切実な声が寄せられ、9割の方が利用継続を希望されています。外出の目的は、買物利用が100パーセント、通院利用が8割と圧倒的に多く、高齢者の方にとってバスがなければ暮らし続けられないことを示しています。住民の皆さんは、公共交通ができるまでのつなぎだと心も体もむち打って循環バスを維持するために頑張っておられます。京都市は、この土地に住宅開発を許可し、公共交通のための道路整備も進めてきました。それならば、高齢者を中心とするボランティア運行を持続可能なモデルだと言って推進するのではなく、市として公共交通の運行再開の努力をすべきです。いかがですか。 そして山科では交通不便は小金塚だけではありません。小山、大塚地域からバス路線の充実を求める陳情が出されて2年がたちましたが、いまだに実現されていません。鏡山循環バスも1日3便のみで3時台で終了するため、行きはよいよい帰りは怖いと夕方の増便が切望されています。バスが通る幹線道路の外側の地域、安朱や陵ケ岡、百々でも高齢化で交通不便の声が上がっています。来年度、初めて地域公共交通計画が策定される年度となっています。山科でも、京都市として、地域公共交通の維持のみならず充実の方向性を示していただきたい。観光路線ではなく生活路線の地域公共交通の充実について、いかなる方策をお考えかお伺いします。いかがですか。 あわせて、市バスの運賃値上げと市バス1日乗車券廃止の撤回を求め質問します。市民の声に応えて、地下鉄運賃の値上げは見送られました。しかし、市民にとって生活の足を広くカバーしている市バス路線の運賃値上げを行うとしており問題です。また、市長公約の乗継ぎ無料がいまだに実現していないのに、市バス1日乗車券の廃止はサービスの後退であり、市民の移動する権利を制限することにつながります。今回の改訂は、観光客の混雑対策として地下鉄利用へ誘導するためと言いますが、物価高騰や年金削減が続く下で市民の負担増に思いを至らせないのでしょうか。市バス運賃値上げ、市バス1日乗車券廃止は撤回すべきです。いかがですか。 まずは、ここまでの答弁を求めます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 山本陽子議員の御質問にお答えいたします。 高さ規制の緩和及び都市計画の見直しについてでございます。今回の都市計画の見直しに当たっては、京都の景観の守るべき骨格を堅持することを前提に、各地域の伸び代を最大限引き出せるよう土地利用の状況を精緻に分析し、景観の保全形成、住環境の保全整備、都市機能の充実・誘導の三つの観点を考慮しながら、容積率と高さのバランスとを検討しております。したがいまして、新景観政策を転換するものでは全くございません。東部方面の山科盆地におきましても、景観の守るべき骨格は堅持しております。具体的には、新景観政策で保存してきた山裾に行くにしたがって、次第に建物の高さが低くなるような都市空間の構成は変えないこと。今回都市計画を見直す区域周辺の住環境や山科川をはじめとする自然環境、宇治地区との調和を図ること、一定規模以上となる建築物に対しては、景観形成を図るため、景観審査の手続を充実することといたしております。こうしたうえで、山科エリアの核となる外環状線沿道については、低階層のにぎわい用途と、沿道でセットバックした場合にインセンティブを付与し計画自由度を向上させ、事業者の創意工夫を引き出しながら、若年、子育て世代のニーズに合った居住環境の創出を図ってまいります。 次に、見直しに当たって実施した市民意見の募集について申し上げます。今回の見直しは、この5年余りの間、新景観政策10年を機に実施した成果と課題等の検証に基づきまして、更なる進化の議論に始まり、都市計画マスタープランの策定など市民、専門家の皆様との深い慎重な議論を経て進めてきたものでございます。そのうえで実施した市民意見募集では869通、2,445件の大変多くの御意見を頂戴いたしました。本市といたしましては、頂いた意見全ての御意見について一件一件真摯に受け止め、本市の見解を丁寧にお示ししたところでございます。また、市民意見募集や説明会でも、早く実現してほしい、期待しているとのお声を多く頂いていることから、現在進めている手続を中止する考えはございません。なお、7割の賛同に根拠がないとの御指摘がありましたが、担当職員が個々の御意見を客観的、中立的に精査して分類したものであり、信頼性は十分に確保されております。京都で住みたい、学びたい、働きたい、子育てしたいと考える若い世代の方々が京都を選択し、将来にわたって暮らし続けられるまちづくりの取組を移住・定住促進など幅広い施策と融合して、力強く推進してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 山科区における公共交通の維持、充実についてでございます。小金塚地域におきましては、地域の皆様が主体となって地域公共交通の確保に向けて御尽力されており、本市としても走行環境の整備など地域の皆様と一体となって取組を進めてまいりました。その結果、平成30年度には、民間バス事業者による本市補助金を活用した循環バスの実証運行が開始されましたが、令和3年度末をもって事業の採算性等を理由に運行は終了となりました。それに代わる現在の住民ボランティアによる無償運送は、令和4年4月のスタートから地域の皆様の熱意の下運行されており、本市としても運行補助などの支援を実施しております。この間、大変な御努力をされている地域の皆様に対しまして、改めて敬意を表する次第でございます。今後もボランティアバスの安全、安定運送のため、住民の皆様に寄り添いながら引き続き支援をしてまいります。 現在、本市では、地域の特性やニーズに応じた生活交通を維持確保していくため、令和5年度中の京都市地域公共交通計画の策定に向けて議論を重ねており、山科区においても、交通事業者、関係行政機関、地域住民が連携して、地域公共交通会議において生活交通の在り方について議論を進めてまいります。交通事業者を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますが、今後とも小金塚や鏡山地域をはじめとする地域の皆様の懸命な利用促進のお取組を支えつつ、公共交通の維持確保について引き続き検討してまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 北村公営企業管理者。 〔北村公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(北村信幸) 市バス事業についてでございます。経営改善の取組や最近のお客様数の回復により収支は一定改善してきておりますが、新型コロナの影響に加え燃料費や人件費の高騰により運賃収入で運行経費を賄い切れない厳しい状況が続いております。コロナ前には、822両のバスが84の系統できめ細かく市域を回り、4分の1の黒字路線が4分の3の赤字路線を支える仕組みでありました市バスネットワークを今後も維持するためには運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはなく、引き続きあらゆる経営改善に努めてまいります。 次に、バス1日券の廃止についてでございます。バス1日券は、御利用者の9割が観光客で、この乗車券を使用し時間が掛かっても市バスのみで観光地を巡る移動スタイルが多く、結果として市バス混雑の一因となっておりました。今後の京都観光の回復を見据えると、市バスの混雑対策は、交通局として最重要課題であり、バス1日券に代わって、地下鉄・バス1日券を積極的に販売するほか、市バスから地下鉄への無料振替えの拡充によりバスへの集中利用を分散させ、市民の皆様、観光客双方にとって快適に御利用いただける市バスを目指してまいります。また、バス1日券の廃止は、観光客向けのお得な乗車券が原因で、一人当たり乗車単価が他都市に比べて低くなっているというかねてからの経営課題の改善につながるものでもあります。引き続き、市バス・地下鉄のネットワークを将来にわたり維持するため、あらゆる経営努力を重ねてまいります。
○議長(田中明秀) 山本議員。 〔山本陽子議員登壇〕
◆(山本陽子議員) 市長から高さ規制の緩和について御答弁がありました。幾ら景観の骨格を堅持すると言い募っても、今、市長がやろうとしている都市計画の見直しは、景観の骨格を壊すものです。京都の歴史に禍根を残すことはやめるよう重ねて中止すべきと求めます。 次に、子供の成長発達を支え、子育て世代の願いの一つでもある小学校みたいな全員制の中学校給食の実施について質問します。小学校のような全員制の中学校給食の実現は、市民の皆さんの11年にもわたる粘り強い住民運動で要望されてきました。その間、日本共産党市議団は、16件の請願全てに紹介議員となり、給食の意義を繰返し訴えて採択を求めてきました。今回、全員制を視野に入れた調査費の計上という大きな一歩を歓迎しています。これから、いかなる調理方式で進めるかの検討に入ります。この点、教育的観点、また子供たちの声、保護者の声を聴いて検討を進めるべきです。日本共産党京都市議団は、昨年の9月から11月、中学校給食に関するアンケート調査を行いました。その中で58人の中学生の回答を得ることができました。(パネルを示す)市議団の調査でも、給食を注文しているのは29.3パーセントと市全体の喫食率24パーセントの実態を反映するものになりました。注文していない理由を聞いたところ、おいしくない、家庭弁当が好きが多く、友達が注文していないから、休み時間が取れなくなるが続きました。一方で、小学校の給食は好きだったかどうかを聞いたところ、75パーセントの子供が好きだったと答え、また、現行の選択制と小学校のような給食のどちらがいいか聞いたところ、69パーセントが小学校のような給食がいいと答えました。おいしかった、好きなメニューがあった、みんなで食べるのが好きだった。私は、子供たちが小学校の給食を良かったと思っていること自体が学校給食の食育の意義、成果を示すものであり重要であると実感します。 また、現行の選択制の問題も明らかになりました。保護者68人に、給食を注文しない場合弁当を作るのは誰か聞いたところ、母と答えた方は83.8パーセントでした。共働き家庭が増えている中でも、母の負担によって維持されてきた京都市の中学校の昼食。家庭弁当を当たり前だとする考えは、社会的性別役割分業を固定化し、ジェンダーの問題も含んでいると指摘しておきたいと思います。(パネルを示す)今回、政令市の市立中学校における全員喫食方式での給食の実施についても調査しました。20政令市中13都市が既に全員制に移行し、4都市が全員制を予定又は検討中、実施する見通しがないと答えたのは新潟市、名古屋市、その時点で京都市の3都市でありますが、京都市の喫食率24パーセントは一番少なく早期の転換が求められています。傾聴すべきは、既に全員制の中学校給食を実施している都市の理由です。栄養摂取面や食育の観点から学校給食は重要であり全員喫食が望ましい、市内全校で地場産を使用した給食等を提供することができ、食育の実施が可能である、弁当持参との選択制については、同じ食事を通したコミュニケーションの醸成や配膳作業を通した協調性の醸成など食育のための学校給食の意義が十分に全うされない問題があると言います。来年度、調査を行い、中学校給食の調理、提供方法を検討する際には、是非とも学校給食の教育的意義を重視すべきです。そこでお伺いします。今回、京都市が子育て支援ともなると考えて全員制の中学校給食の検討に踏み切ったのは、給食をどのように意義のあるものと捉えたのですか。また、小学校のような学校調理は、調理員とのコミュニケーション、アレルギー対応、分散型の危機管理としても優れており、小学校のような学校調理を求めたいと思いますがいかがですか。さらに、全員制の意義を思うなら少しでも早く実施をと求めたいと思いますがいかがですか。 あわせて申し上げたいのは、国会では、児童手当の所得制限の撤廃が議論され、子育て支援、少子化対策は、子育ての責任を家庭に押し込める考えではなく社会で支える考え方を重視すべきとの声が大きくなっていることです。市長は、この点についていかがお考えですか。社会で支える子育て支援を拡充していくことが必要です。我が会派が提案した京都市予算の1パーセントでできるパッケージの中の学校給食費の無償化は、全国では、今や254自治体が踏み出しています。京都市でも学校給食費の無償化が必要であると考えますがいかがですか、お答えください。 続いて、民間保育園に対する保育士給与補助金の削減撤回を求め質疑します。昨年は保育に関わり園バスの置去り事故や児童虐待が連続し社会問題にもなりました。この背景には、保育士不足の影響があると指摘されています。保育の質の向上は親の願いであり、ゆとりを持って保育できる配置基準、そして働き続けられる保育士処遇に改善されなければなりません。このように保育の更なる充実が求められているときに、2022年度予算で京都市が行ったのは保育士給与補助金の13億円のカットでした。来年度もカットを継続すると言います。これによりどんな影響が出ているのか。福祉保育労働組合の調査によれば、300人の回答のうち補助金のカットによって一時金が削減されたのが41パーセント、昇給がストップし基本給が下がったのが18パーセントにも上っています。昨年市長は、11月の記者会見で、給与水準は維持できると確信していると言われました。しかし今回、赤字となった園に人件費の一部を支援する方針を示されました。これは、給与水準が維持できていなかったことを認めるものではないですか。いかがですか。 赤字を支援すると示した枠組みは、3年間限定で段階的に縮小し、その支援と引換えに人件費の抑制を強いる内容です。京都市は、給与の適正化を口実にして保育の質を引き下げるほどのカットを断行しています。具体的には、保育士の経験年数12年以上の昇給の財源をカットし、ベテラン保育士の賃下げを求めることになります。また一つには、障害児保育は国基準で非常勤単価となっていますが、京都市では配置基準より手厚く、常勤雇用すると常勤単価で換算していたのが年間170万円も低い非常勤単価となります。また、調理師の雇用も国基準に合わせ三人以上では一人が非常勤となり、これも処遇が引き下がります。市長は、給与水準を維持するというなら、これまで保育関係者の長年の努力で保育の質向上のために積み上げられてきた前述の京都市の補助制度を元に戻すべきです。いかがですか。 更にひどいのは、国が行う賃上げの処遇改善加算の財源を、京都市の上乗せ基準の財源に取り込んでしまった結果、国が想定する賃上げを確保できない予算になっていることです。国は、自治体の上乗せとは別に、国の処遇改善加算を行うべきと言っています。国の処遇改善加算は別途給付を保障すべきです。いかがですか。 保護者の皆さんの運動で13億円の補助金カットの中止を求める署名は3万筆にも上っています。子供たちに最善の利益を、子供たちと向き合える保育を、保育士が安心して働ける給与の保障を、保育士さんや保護者の皆さんの思いも代弁し強く強く求めます。 次に、障害者福祉施策の抜本強化を求め質問します。2020年7月、京都市の特別支援学校に通う高等部2年生の障害のある男子が母親によって命を断たれました。この事件を他人事とは思えない家族、そしてその寸前にあると感じる皆さんが集まって、子どもと親のSOSをキャッチする仕組みを考える実行委員会を立ち上げられ、二度とこのような事件を起こさないために取組を進めて来られました。意見交流を重ねられる中で、市内で暮らす障害者、家族、事業所共に安心した暮らしが保障されているとは言えないという認識を強くし、昨年、障害のある人が地域で暮らし続けるという視点から、京都市内の社会資源の利用実態についてアンケート調査が行われ463人の回答を得ています。障害のある人たちの生活支援は十分なのか。まず、ガイドヘルパーの移動支援については、利用していない方が41.2パーセントおられました。また、短期施設入所のショートステイは、71.5パーセントの方が利用していませんでした。これは、支援が必要ないから少ないのではありません。京都市の障害者施策推進計画によると、移動支援の見込数は延べ人数4,070人、ショートステイの利用見込数は延べ人数1,006人を必要量としています。しかし、療育手帳を持つ18歳以上の人口は1万人以上ですから、サービスの提供数が余りにも少ないために利用できない結果なのです。家族の方は、今助けてほしいというときに利用できない、数箇月先の予約を入れてやっと使えるもので、困ったときに利用できるようにしてほしい、移動支援、居宅介護、グループホーム、入所施設、どの場面においてもヘルパーさんが足りていないと述べています。また暮らしの場について、アンケート調査では、親亡き後、67パーセントの方が施設やグループホームの暮らしをと希望されています。一方、京都市の施設入所の定員数は地域移行を進めるためと減らしてきており、現状1,219人の定員はいっぱいです。グループホームの定員数は2023年度で996人、毎年70人程度の増員を見込むのみです。障害のある方の暮らしを支える社会資源が圧倒的に足りていません。この厳しい現状をどのように思われますか。日本では、まだまだ家族のケアに頼る障害者施策に課題があります。2020年のような痛ましい事件を二度と起こさせないために、京都市としてどうすべきとお考えですか。 私は、このような現状を生んでいる原因は、京都市が、障害者施策の推進計画において現状のサービス利用を必要量とするのみで、求められるサービス提供数の確保を目標に設定していないために拡充が遅々として進まないことに問題があると考えます。来年度が次期障害者施策推進計画策定年度です。国連では障害者権利条約に基づき総括所見が示されました。私たち抜きに私たちのことを決めないでは障害者権利条約のスローガンです。京都市として、社会資源がどれだけ足りていないのか、利用者の希望の全体像をつかみ確保すべきサービス提供数を計画推進の目標に掲げ抜本的な環境整備を行うべきです。いかがですか。 また、障害のある人が地域で生活するためには、生活をサポートする人が必要です。名古屋市では、障害者の暮らしの場を支え増やすために人件費への補助となる障害者共同生活援助事業補助金があります。京都市としても、グループホームの職員配置について国の基準に上乗せする支援を行うべきです。いかがですか、お答えください。 最後に、ラクトスポーツプラザ、コミュニティルームの運営継続を求め質問します。山科駅前再開発事業により公共施設として運営されてきたラクトスポーツプラザは、2年前から休止、指定管理の募集さえ行わず来年度、コミュニティルームまで休止すると言います。運営継続を求める住民の皆さんは粘り強い運動を続け、施設の意義を各所で訴えてこられました。ラクトスポーツプラザのプールは、その都度利用が可能で、会員にならなくてもお友達や親戚を誘って利用でき低廉な料金で泳ぐことができました。また、つえをつく高齢者や車椅子の方も、プールへ通じるスロープが設置されバリアフリー、障害者割引もあって利用しやすいと、これらの点は近隣の民間施設にはない公共施設の意義があったと言われています。そして併設するコミュニティルームは、他の貸室事業に比べて低廉に利用でき、健康教室や学習会など市民の活動を支えていました。このように住民にとって大切な公共施設を突然一枚の貼り紙で休止するなんてひどくないですか。それが市民の思いです。市長は、住民にとって公共施設はどのような意義があるものとお考えですか。ラクトスポーツプラザだけではない、公共施設を運営する京都市の公共の役割、責任が問われています。ラクトスポーツプラザ、コミュニティルームを運営できる民間事業者が見つからないなら、京都市が直営で運営する努力を行うべきです。 最後に、市長の公共への認識を問い、私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(三宅英知) 障害者福祉施策についてでございます。本市においては、共生社会の実現に向けて障害者生活状況調査や保健福祉センター等への相談などからニーズを把握したうえで必要なサービス見込量を障害福祉計画に定め、障害のある方が安心して社会生活を送れるよう計画的に施策を推進しております。この10年間では、在宅のホームヘルプサービスの利用者は2,794人から5,495人、グループホームの利用者は437人から858人と約2倍となっています。これらの結果、障害者福祉予算も373億円から令和5年度予算案では約2倍の737億円を計上しており、引き続き障害のある方の生活をしっかりと支援してまいります。今後ますます家族や障害のある方の高齢化、重度化が進展する中、グループホームや日中活動を支援する生活介護の需要が増加しており、国の補助も活用し、これらの整備を優先的に進めております。また、本市独自に強度行動障害のある方がグループホーム等に入所する際の初期集中的な支援に対する補助や適切な支援を行うための専門家による助言を実施しております。さらに、国基準を上回る人員を配置している生活介護事業所や医療的ケア児等が利用する医療型短期入所事業所に対しても、本市独自に補助を行っております。現在、次期計画策定に向け、障害者生活状況調査を行っており、障害の重度化や家族の負担軽減の視点を持って、今日的課題やニーズを把握し、それらを計画や今後の事業に反映させることで、全ての人が違いを認め合い支え合うまちづくりを推進してまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 上田子ども若者はぐくみ局長。 〔上田子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(上田純子) 民間保育園等への人件費等補助金についてでございます。保育園については、国が定める給付費により運営しているものでありますが、本市においては、処遇改善や職員配置の向上のため、給付費に加え人件費に対する多額の補助金を独自に上乗せしてまいりました。しかし実態調査の結果、保育園全体の収支では、人件費分の収入が人件費の実支出額を単年度で20億円以上上回っており、人件費に充てるための公費が人件費として使われず積立てなどに回っていることが分かりました。また、人件費の内訳を見ると、保育士分として算定した補助金が他の職種の人件費への上乗せに使われており、給付費と補助金の充当順位が不明確で、かつ使途の職種が限定されていなかったといった課題が明らかとなりました。このため、保育士や調理師等の職種ごとに給付費等で不足する人件費を補助する仕組みとし、職種ごとに人件費がしっかりと行き渡る透明性の高い制度への再構築したところです。 この間、国において処遇改善等が図られていますが、本市の補助制度においては、全国平均を100万円以上も上回る給与水準を設定しており、全体として国が想定する加算適用は十分可能な状況です。本来的には、各園において収支バランスの取れた運営に取り組んでいただくべきものでございますが、令和4年2月市会の付帯決議を踏まえ、持続的な園運営に向けた段階的なサポートとして新たに約5億円を確保したうえで53億円の市独自の人件費補助予算を計上しております。従来の制度は課題が多いため、元の制度に戻すことは適切ではございません。引き続き透明性を高めた現在の制度の下、本市独自の補助金が処遇や配置の向上のために活用されるよう継続して実態を把握するとともに、その結果を運営主体とも共有しながら制度の定着に取り組んでまいります。
○議長(田中明秀) 谷口建設局長。 〔谷口建設局長登壇〕
◎建設局長(谷口一朗) ラクト健康・文化館についてでございます。ラクト健康・文化館については、平成10年10月の開館以降、市民の健康づくりの支援や地域の交流の場として多くの皆様に利用されてきました。また、施設の運営に当たりましては、開館当初から利用料金制を導入し、指定管理者による創意工夫を凝らした運営により管理運営経費をおおむね利用料金収入で賄うなど効率的かつ効果的な運営を行ってまいりました。しかしながら、施設設置から24年が経過し老朽化による大規模改修が必要になっていることに加え、周辺に多くの民間スポーツ施設が設置されたことや、
新型コロナウイルス感染症の影響により利用者数が大幅に減少したことを踏まえ、令和3年4月からはプールやトレーニングジム等の運営を休止をしておりましたが、現在の指定管理期間が終了する令和5年3月末でコミュニティルームを含む全館を休館させていただくこととしております。公共施設は、住民の福祉の増進を目的としておりますが、その運営に当たりましては、民間事業者の知恵やノウハウもいかしながら、社会経済情勢の変化や幅広い市民のニーズに的確に対応したものとなるよう不断の見直しを行っていくことが必要であると認識しております。こうした考えの下、ラクト健康・文化館の運営につきましても、民間事業者の動向も含め幅広い御意見を伺いながら、最も効率的、効果的な施設の在り方について引き続き検討してまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 全員制の中学校給食の実施についてでございます。学校給食は、必要な栄養を取るだけでなく、生徒が食の大切さや食事の楽しさなどを理解する食育の生きた教材として重要であります。本市では、これまで学校給食か家庭からの弁当持参かを自由に選択できる完全自由選択制による中学校給食を実施しておりますが、子供たちを取り巻く課題や教育環境整備など他に優先すべきか課題もある中、
全員制中学校給食は、実施に多額の経費を伴い、選択制給食の充実と喫食率の向上に努めてまいりました。しかし、共働き家庭の増加など家庭環境が変化する中、岸田総理が次元の異なる少子化対策の推進を示され、また、子ども医療費の改善など府市協調での子育て環境の充実が前進したこの機を捉えて、子供たちの健やかな学びと育ちを支え、社会全体で子育て家庭の支援や少子化対策に更に一歩踏み出す必要があるため実施に向けた調査に着手することといたしました。調査に当たりましては、小学校のような自校調理方式や近隣の学校で調理して運ぶ親子調理方式等に限定するのではなく、給食センター方式や民間調理場を活用したデリバリー方式、また、それらを組み合わせた方法も含めて円滑な調理運営はもとより将来負担を踏まえた財政コスト等も考慮しながら早期の実現に向け持続可能な制度として、本市にとって最適な手法を検討してまいります。 なお、限られた予算の下、本市単費で多額の経費を要する給食費の無償化については実施は困難ですが、引き続き給食費の保護者負担軽減に向けて必要な財政支援を国に要望してまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、ほり信子議員に発言を許します。ほり議員。 〔ほり信子議員登壇(拍手)〕
◆(ほり信子議員) 右京区選出、ほり信子です。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問をします。 まず初めに教育です。「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境の中で育てられる。すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される」、これは、1951年(昭和26年)5月5日に制定された児童憲章です。日本国憲法の精神に従い、児童に対する正しい概念を確立し、全ての児童の幸福を図るために定められたものです。今、児童生徒にとって、学校が楽しい、いそいそと通える居心地のよい空間になっているでしょうか。 一つ目は、中学校や高校の学校生活において大きな影響を及ぼす校則の問題です。議員団では、子ども・若者アンケート調査を実施しました。生徒からは、校則の何かを変えたいという次元ではなく、校則について議論する場をしっかり設けるべき、ツーブロック禁止など必要性の感じられない校則は早急に撤廃すべき、制服はなくてもいいと思う、制服があるからトランスジェンダーの友達は中学に行きたくないと言っている、悲しい思いをする人たちがいるのに制服がどうして要るのか分からないといった回答が返ってきました。全国で校則が問題になり、特定の髪型の禁止や下着の色指定などの校則を見直す動きが各地で広がっています。文科省は、12年ぶりに改訂した生徒指導提要を通して、校則についての見直しを提起しました。教育福祉委員会や代表質問を通して子どもの権利条約の視点での校則の見直しや公開を求めてきました。教育委員会も各学校のホームページで校則を掲載するよう校長会で話し合い、全ての学校とはなっていませんが、ホームページに掲載されました。校則の見直しを通して学校生活の在り方を見直すチャンスです。そのためには、子供が幸せに生きるための子どもの権利条約の四つの基本原則に照らして校則の見直しをすることです。安心して生きる権利、心も体も豊かに育つ権利、自分を守る権利と守ってもらう権利、地域や社会に参加する権利、この中には最も大切な意見表明権が入っています。昨年6月に制定され今年4月から施行される子ども基本法は、子どもの権利条約の国内法で、第3条、4条でも子どもの意見の尊重が明記されています。学校生活をより良いものにするために求められるのは、自らの意見や考えを出し合いながら校則を変えていくことです。児童生徒を権利主体と捉え、児童生徒の手による校則の見直しが必要です。各学校のホームページを調べました。1日の学校生活、みんなの決まり、生徒心得等、各学校で校則の表し方は様々でした。登校から下校までの1日をここまで規定するのかと思うほど事細かく書かれている学校もありました。服装に至っては、シャツの下に着る色まで指定している学校、校内でも寒ければ防寒着を着用すべきと考えますが、その着用は特別な事情がない限り校内で使わないとしている学校もありました。これらのことは見直しが必要で、見直すべきです。髪型に対しても中学生らしい髪型としながらも、その判断は学校に依拠し、禁止される等の声も聞いています。64の中学校のうち26校ほどで来年度に向けて生徒会を通じて、生徒が主体的に関わる校則の見直しを進めていきますと掲載していました。しかし、人権侵害につながる項目については、直ちに削除すべきだと考えますがいかがですか。 また、校則全般については、生徒会本部と学校生徒指導部とで決めていくのではなく、全ての生徒が自分のこととして受け止め、取組を進めていくことが必要です。生徒の中には、何度も言ったけれど取り上げてもらえなかった、言っても無理という諦め感のある生徒もいます。話合いの前に、子どもの権利条約や生徒指導提要の校則の見直しの部分を学習して取り組むことが求められます。不合理な、理不尽な校則は自分たちで変えることができると学ぶことは、主権者としての自覚を培うことにつながります。また、生徒たちが、各校の校則を交流する場を設けることで、視野を広げ、更により良い学校生活へとつながると確信しています。全ての中学校、義務教育学校、高校で、ホームページで見つけやすく校則を公開すること。全ての中学校、義務教育学校、高校で、子どもの権利条約の視点で、全校生徒による校則見直しの取組を進めること。また、中学校や高校の代表が集まり、校則ひいては学校の在り方を考えるシンポジウムを開催し交流すること。そして小学校における学校の決まりについても高学年児童や児童会を中心に見直しすることを提起します。いかがですか。 二つ目は、不登校の児童生徒のことです。11月市会でとがし議員が代表質問で取り上げました。不登校の児童生徒が昨年の文科省の資料で過去最高の24万人となっています。そのうち京都市は2,022人。この10年で急増し、小学校で4.9倍、中学校で1.6倍も増えています。なぜ、こんなにも増えるのか。学校の在り方の問題として捉える必要があるのではないでしょうか。京都市には、国の特区指定を受けて開校した洛風中や夜間中学と併設の洛友中という二つの不登校特例校があります。そこでの実践を取り入れるべきではないでしょうか。1月8日付けの新聞に不登校特例校の記事が掲載されていました。洛風中学校長は、不登校の原因は様々で、不安を取り除き学校を居場所と感じてもらうことが大切だ。保護者も子供の将来を心配するが、学校に行ってくれることで安心してもらっていると取材に応じています。少人数での学び、学年の枠を超えた縦割り交流での社会性の学び、校則はあるものの、してはいけないという否定的な表現を控え、生徒を理不尽に締め付ける校則と見受けられるような決まりも制服もない。定期テストは設けておらず、単元テスト等で評価している。不安を取り除くことで、年間30日以上の欠席をする生徒はおらず通学できていると言います。学校の在り方の問題ではないかとの点について、認識はいかがですか。 洛風中、洛友中の実践から学ぶべきこと、成果を全ての学校でいかしていく、全ての学校で、登校しづらい要因は何か、それを取り除くためには何が必要か。不登校の児童生徒に寄り添い保護者の思いも受け止めて率直に話し合い各学校の在り方を変えるべきです。いかがですか。 自らの学校生活を見詰め直し更により良いものにするために、教育委員会として教職員や生徒に学校の在り方を考えるためのアプローチ、時間の保障を求めます。また、メンタルサポートの観点から、児童生徒にとっても教職員にとっても弱音が出せる、しんどさが出せる学校にすべきです。いかがですか。学校に子供たちを合わせるのではなく、子供たちに合った学校を作るという理念を教育委員会も学校も持つべきことを指摘しておきます。 不登校の要因は様々です。ここで提案したいことは、不登校の児童生徒の居場所をそれぞれの学校内に作ることです。愛知県岡崎市で取り組まれている校内フリースクール。新聞報道によると2020年度の3校から始めて2023年度には20校ある全ての中学校で実施完了とのことです。岡崎市教育委員会によると、導入校では、不登校率が抑制される効果が出ており、小学校への展開も検討中とのことです。この取組に係る主な支出は支援員の費用ぐらいで、やる気があればどこでもできると岡崎市教育相談センター所長は答えています。また、京都府内の小学校でも、校内フリースクールのモデル事業が取り組まれています。保健室登校や別室登校だった児童を、専任の教員が児童の状況に応じて学習や活動を支え、在籍クラスの担任とも連携をして取組が進んでいると言います。府教委はこのモデル校での成果を基に、来年度、実施校の拡充も含めて検討していく考えとのことです。京都市の特例校の取組だけでは、不登校児童生徒の3パーセントほどしか対応できません。年間30日に満たない不登校児童生徒を含めれば、不登校児童生徒はもっと増えるでしょう。目の前にいる不登校、不登校ぎみの児童生徒をどうするのか、具体的な対応を求めます。この提案、不登校の児童生徒の居場所をそれぞれの学校内に作ることは、京都市の支援団体の方も関心を寄せています。やる気があれば、どこでもできる、まずは京都市長、教育長の決断を求めます。いかがですか。 このところ問題になっているあらゆる化学物質に対するアレルギー反応で、学校に通えない児童生徒の声を耳にします。ICTを有効に活用して学習権を保障する、進級、卒業に必要な出席日数にカウントするなどの対応ができるのではないでしようか。また、民間のフリースクールの情報提供をするとの答弁がありました。京都市全域、さらには近隣自治体での情報の提供を求めます。いかがですか。 三つ目は、来年度から文科省が進めようとしている生命の安全教育についてです。目的は、性犯罪、性暴力の被害者にも加害者にも、そして傍観者にもならないための教育をすることです。この生命の安全教育は3年掛かりでまとめられ、性犯罪、性暴力を根絶していくには、子供たちに、社会に、命の尊さやすばらしさ、自分はもちろん相手も尊重し大事にすること、一人一人が大切な存在であるというメッセージを強力に発信し続けることが重要であると指摘しています。それにもかかわらず、文科省は、この生命の安全教育の中に性教育を位置付けていません。生命の安全教育を進めていく上で、性暴力や性被害、性虐待の予防や対処をするためには、発達年齢に即して性を人権の視点で捉え、心や体、人間関係など幅広い側面から体系的に学ぶ包括的性教育を位置付けることが必要です。あらゆる性別が平等であり、多様な性の在り方があることを前提に、性に関することを生殖だけでなくコミュニケーションや人間関係も含めて学ぶことは、性犯罪や性暴力、性虐待をなくしていくことにつながるのではないでしょうか。いかがですか。 昨年12月4日の新聞に、京都市内の中学校での生命の安全教育の中にあるデートDVを取り上げた実践が掲載されていました。担当した教諭は、授業をするに当たり、保護者や小中学校の教職員を対象とした性教育の研修会を開くなど地域の理解を得ながら準備を進めてきたとのことです。また、この中学校では、性の多様性や命をテーマにした人権教育を進めてきた中で、担当教諭は自分の出産経験を語るなど性について比較的オープンに話してきたことで、生徒が性の悩みや疑問を伝えてくるようになったとのことでした。大人が隠さず教える姿勢を見せれば、生徒が性の問題で困ったとき大人に相談でき一人で抱え込まずに済むと担当教諭は語っています。信頼して相談できる大人としての教職員の存在が性暴力、性犯罪、性虐待から子供たちの命を守ると言えるのではないでしょうか。生命の安全教育の進め方について教育福祉委員会でも質疑をしましたが、文科省からの教材や指導の手引を通知、配付するだけでなく各学校で取り組むための共通認識が必要です。保健主事への研修を考えているとのことでしたが、保健主事だけにとどまらず養護教諭や男女平等教育主任も交えた議論、そして全ての教職員がこの取組に主体的に関わっていくことが必要になるのではないでしょうか。文科省からの方針、教材の内容については各学校の加除や改変を行ったうえでの使用も可能とのことなので、各学校で子供たちの実態に合ったカリキュラムを構築し、性犯罪、性暴力、性虐待の被害者にも加害者にも、そして傍観者にもならない教育の推進を求めます。いかがですか。 そして、子供たちに、ジェンダー平等を進めていく上でも、子供の成長発達のためにも、より良い人間関係を築く性の学びの保障、包括的性教育を学校教育の中に位置付けることを求めます。いかがですか。 四つ目は、子供と向き合う時間を確保するための教職員の働き方についてです。教員の長時間労働が問題視され文科省は改革に乗り出しましたが、なかなか解消しません。多忙化の中、精神疾患で病休になる教職員が増えています。年度の初めから担任の教員が足りない。こういった教員不足が起こるのはなぜなのか。文科省の進めるチーム学校のやり方だけでは、本質的な解決にならないということを表しているのではないでしょうか。国に対して、教員の持ち時間数を減らすことや担任を持たない専科制の導入などを通して教員を増やすことを要望していただきたい。いかがですか。 また、子供たちの小さな変化に気付くためにも、少人数学級の方が良いに決まっています。文科省は、2021年度から40年ぶりに小学校の定数改善をし、来年度からは小学校4年生まで35人学級になります。そこで、市独自の予算で、5、6年生の35人学級の前倒しをすること、教育委員会からの資料で試算をすると20名の教員がいれば可能です。正規で雇用しても1.8億円で実現できます。いかがですか。 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、困難を抱えた家庭や児童生徒が増えている中で、とても重要な役割を担っています。教員への指導、助言といった現在のやり方ではなく、困っている児童生徒やその家庭を直接支援できる体制に整えることが必要だと考えます。いかがですか。 コロナ禍と物価高騰で、経済的に困難な家庭が増えています。この間、家計急変での就学援助制度を行っていますが、更なる拡充が必要ではないでしょうか。少なくとも生活保護世帯の児童に給付される項目、例えばクラブ活動費、PTA会費等を就学援助にも広げるなどの取組をしていただきたい。いかがですか。憲法26条、義務教育は無償が原則です。お金の心配なく安心して教育が受けられる環境整備を求めておきます。 五つ目は、高等教育の無償化です。議員団が実施した働き方アンケートで、働く上で国や自治体への要望を聞きました。賃金を上げてほしい、消費税を減税してほしい、社会保障の充実、長時間労働の是正、そして家賃補助や奨学金の返済支援がありました。コロナ禍の下で学生に対する直接的な支援として食料支援や教材の補助等拡充させてきましたが、アンケート結果からも、賃金が上らない状況の下で奨学金の返済などの補助が必要ではないでしょうか。そして市独自の返さなくてもよい奨学金制度の創設などを求めます。いかがですか。 まずは、ここまでの答弁を求めます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) ほり信子議員の御質問にお答えいたします。 奨学金等の学生支援についてでございます。京都市は、世界に誇る大学のまち、学生さんのまちであり、この特性を更に発展させるべく国等とも連携し幅広い取組を進めております。京都で学ばれる15万人の学生さんの4分の3は京都府外から来られており、また、京都の高校生の約半数が京都府外の大学に進学されている状況を踏まえれば、奨学金等の直接的な経済的支援については、国において統一的に対応する必要があると考えております。このため本市では、国に対して支援の充実を重ねて要望しており、この間、国においても支援策が大きく拡充されてまいりましたが、さらに、返済不要の奨学金等に関する国の来年度予算案が5,311億円と増額されるとともに、支援の在り方についても返還免除を含む制度拡充に向けた議論が進められております。 加えて本市独自の施策としましては、内閣が実施する学生支援を後押しする観点から、各大学が行う経済的支援や教材の購入費補助等、学生さんの学習環境の確保に関わる取組について補助を行ってまいりました。さらに、来年度からは、コロナ禍や物価高騰等の影響に対する大学や学生さんの御意見を踏まえまして、ふるさと納税寄付金を活用し、学生さんを支援する各大学の取組を継続して後押しいたします。引き続き、オール京都で創設した就労・奨学金返済一体型支援制度の活用促進も含めまして、関係機関と連携し、学生さんの支援に取り組んでまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) まず、校則の見直しについてでございます。本市立中学校及び高等学校では、熱意ある教職員によって子供を主体として人権に配慮した校則の見直しを既に終えております。また、昨年10月までに全校で現行の校則のホームページへの掲載を完了しております。来年度に向けては、生徒会等が主体となり新たに服装や髪型に関する自分たちの決まり事としての校則を策定しているところです。また、小学校においても、これまでから学校内外の決まりを児童会や学習活動を通して子供たちが考え、安心・安全な学校づくりにつなげる取組を進めております。さらに、子供たち自身が自らより良い学校づくりに取り組み、小中学校の代表が参画し、提言に向けた協議を行う京都市こども未来会議を毎年実施しております。また、高校では、例えば本年4月に塔南高校が移転再編して開校する開建高校の校章や校歌、校則を現在の塔南高校の生徒が主体となって作成するなど各校での取組を推進しています。今後も子供たちの人権を尊重し、社会的自立に向けて子供たちの成長を支援する学校づくりに努めてまいります。 次に、不登校児童生徒への支援についてでございます。教育機会確保法の制定等も契機として、不登校は問題行動ではないとの社会的理解が進んでおり、本市においても同様の認識の下、各学校において不登校はどの子供にも起こり得る可能性があり、その背景や経過は一人一人異なることを前提に学習保障の在り方を含め丁寧な対応に取り組んでいるところです。特に全国の公立学校では、12校しかない不登校特例校を、本市では平成16年度以降、全国に先駆けて2校設置するとともに、2校での実践事例、例えば元の在籍校で不登校であった生徒が登校できるようになった背景やそのための教員の関わり方などを参考に、不登校の子供一人一人に寄り添った支援を行うため、市立学校全ての教員が持つ冊子にまとめ、指導にいかしております。 また、本市では、教員が子供と向き合う時間を確保できるよう中学校30人学級など独自の教員加配を実施するとともに、1学級当たりの児童生徒の少なさが
政令市トップ水準の指導体制を整え、教員が一人で児童生徒やその家庭に関わるのではなくチーム学校としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの専門家を交えた校内会議で児童生徒への関わり方を協議し適切な支援につながるよう取り組んでいるところでございます。 次に、校内フリースクールの設置による不登校児童生徒の支援施策についてでございます。学校では、行きしぶりなどの不登校につながる可能性の高い前兆が見られた時点で、教職員やスクールカウンセラーなどの専門職も参画する登校支援委員会での情報共有と対応協議を経て、子供の実態に応じて校内別室において学びのパートナー等のボランティアスタッフが寄り添う取組を行っております。別室ではカーテンなどで仕切りを設置したりソファーや畳などを置き子供たちが安心して過ごせる空間づくりを工夫したりなど、議員御指摘の校内フリースクールと目的を同じくする居場所づくりを各校の状況において既に取り組んでおります。特に一人1台のGIGA端末を配備して以降、別室へのオンライン授業配信やデジタルドリルなど多様な個別支援が可能となる中、不登校の子供へのICTを活用した学習支援等の実践事例を取りまとめ、教職員に周知し共有しております。また、民間のフリースクールの情報提供については、令和4年12月から電話相談窓口等で開始したところであり、現在は、特に要望が多いと思われる京都市内のフリースクールの情報を提供しております。今後とも全国に先駆け進めてきたきめ細やかな取組をいかし、不登校の子供たちを支援する取組の充実に努めてまいります。 次に、化学物質過敏症等への対応についてでございます。化学物質過敏症やアレルギーなどがある児童生徒等に対しては、各学校、幼稚園において保護者が記入した保健調査票の内容を基に個別に配慮や支援を行っております。学校への登校が困難な場合におけるICTを活用した遠隔授業等の学習については、現在、国において出席扱いが可能となる要件が示されていることから、本市独自に要件を設定することは難しい状況ですが、今後とも様々な理由で学校に登校できない児童生徒の学習保障について一人一人の状況も踏まえつつ、ICTの有効性もいかしながら丁寧な対応を進めてまいります。 次に、性教育についてでございます。本市においては、学習指導要領の内容を踏まえ、平成30年3月に学校における性に関する指導についての資料を作成し、児童生徒等が生命の尊重や男女平等の精神などに基づき性に関して正しく理解し適切な行動を取れるよう学校教育活動全体を通じて指導することとしており、各学校が児童生徒等の実態を踏まえたうえで学習計画や内容について学校全体で共通理解を図りながら取組を進めているところです。 また、指導に当たっては教員だけでなく助産師や保健師の方々を外部講師に招き、妊娠や出産という生命の誕生について考えたり男女交際の在り方や性情報への対応、LGBTQ等、性の多様性への理解を深める内容など様々な観点から発達段階を踏まえた適切な学習が行われております。来年度から、全国の幼稚園、学校等において本格展開される生命の安全教育は、性暴力の根底にある誤った認識や行動、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解したうえで生命を大切にする考えや、自分も他者も尊重する態度等を発達段階に応じて身に着けることを目指すものでありますが、本市においてもこれまでの取組を土台として、児童生徒が人間関係や現在及び将来の生活において直面する性に関する様々な問題に関して適切な意思決定や行動選択ができるよう今後も学習指導要領に基づく着実な指導に努めるとともに、生命の安全教育の推進に向けた教職員研修の実施など指導の充実に取り組んでまいります。 次に、専科制の導入及び少人数学級についてであります。本市では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門職の配置や教科担任制など学級担任が一人で抱えることなく学校組織で対応を行う体制づくりを進めるなどチーム学校として教育力の向上に努めてまいりました。また、今年度、国の加配定数を最大限に活用する中で、小学校の1学級当たりの平均児童数が28.2人と、指定都市上位水準の指導体制を整えております。専科指導や教科担任制についても、平成11年に小学校高学年への専科指導のための非常勤講師を配置して以降、本市独自で順次拡大しているほか、高学年における教科担任制を推進し教員一人当たりの授業持ち時間数や担任教科数の負担軽減を行うとともに、担任任せにならない組織的対応で児童理解が深まるなどの効果も得られております。議員御指摘の35人学級の前倒しについては、毎年変更のある国の加配定数に頼りながら安定して実施することは難しく、引き続き教員配置に責任を持つ国に対し計画的な定数改善等を要望してまいります。 最後に、就学援助等の直接支援についてであります。全市立学校に配置しているスクールカウンセラーにつきましては、教職員への助言等を通した子供への支援のみならず日常的に直接的な心のケアを行っており、令和3年度には延べ約2万7,000人の児童生徒及び保護者の相談に応じております。また、全中学校区に配置しているスクールソーシャルワーカーにつきましては、子供や家庭の状況を十分に見立てて個別に支援に取り組む中で関係機関との連携や必要に応じた保護者への対応など直接的な支援も行っております。また、経済的支援である就学援助につきましては、国の補助制度が廃止され一般財源とされた平成17年度以降も必要額を確保し、認定のための所得基準額を平成18年度以降、生活保護基準や物価水準等に準じる引下げを行わず実質的には基準を緩和しております。援助の項目につきましても、令和2年度に卒業アルバム費用を新設しており、また、新入学学用品費は、現在、小学校では5万4,060円、中学校では6万円と、平成28年度以前と比較して倍増させ、さらに令和5年度も増額するための予算を計上するとしており、引き続き支援を必要とする世帯の負担軽減に努めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) ほり議員。 〔ほり信子議員登壇〕
◆(ほり信子議員) 市長から奨学金についての御答弁がありました。現在の国の制度では不十分だからこそ、京都市独自での対策を求めているのです。学生のまち・京都でこそ給付制の奨学金制度を作ることを重ねて求めておきます。 次に、公共の役割を発揮する上下水道事業に関わってです。上下水道事業中期経営プラン案では、年次計画や経営基盤の強化としての取組を策定となっています。水需要の減少やコロナ禍と物価高騰の影響で経営環境は大きく変化し悪化をたどっています。中でも、京都市による5年間で98億円にも及ぶ出資金の休止は下水道事業の資金繰りを厳しくしており、予算案では、当年度過不足はないものの、累積資金で約20億円もの不足を生んでいます。上下水道局は、この資金不足を埋めるために、施設の長寿命化や各事業の優先度の精査により整備事業費の増加を抑制し資金収入の改善を行うとしていますが、その計画も効果も明らかになっていません。経営環境の変化が大きく起こっている下でも、出資金の休止を続けていくことに無理があるのではないでしょうか。直ちに出資金の再開をすべきです。いかがですか。 中期経営プラン案では、業務執行体制の更なる見直しで職員の削減と民間活力の導入を同時に行おうとしています。その一つが営業所の窓口業務の一元化です。窓口の集約化は、利用者にとっては、営業所が遠い存在になり、住民サービスの後退になるのではありませんか。また、これまで全営業所での水道開閉栓業務の委託化、松ケ崎浄水場の運転監視業務の委託化に続き新山科浄水場や水環境保全センターの運転監視等業務の委託化、下水道管路管理センターの管路維持管理業務まで委託化する驚くべき状況です。根幹業務のみとなれば包括委託につながり、民営化の道筋を自ら作っていると言わざるを得ません。海外ではフランスをはじめ37か国で水道の再公営化が進んでいます。人員削減とセットで民間委託化を進めることは時代遅れであり改めるべきです。いかがですか。 次に、広域化の問題です。既に、京都府は、上下水道とも国の思惑どおりに2022年度に広域化計画策定を進めています。府議会での我が党の質問に対して広域化という選択肢を示しておりますが、いずれにしても最終的にはそれぞれの市町村が最適な形を選んでいくと答弁しています。上下水道事業は赤字や黒字、住民負担だけで水道の在り方を議論するのではなく、命と暮らしに直結する最も基本的なインフラとして公的責任を果たすべきです。広域化の検討はやめるよう求めます。いかがですか。 上下水道事業における役割の中心は公共の福祉の増進であり、市民生活が厳しいときこそ、その役割の発揮が求められます。多くの自治体が一時的にも行っている上下水道料金などの引下げや上下水道料金の福祉減免制度の創設を求めます。いかがですか。 最後に、地元問題として仁和寺門前ホテル建設に関わって質問します。まちづくりの基本は、住民の生活の質の向上です。このホテル建設が住民にとって生活の質を向上させることにつながるのでしょうか。世界文化遺産仁和寺のバッファゾーンに位置し、この場所での建築基準法の基準を大幅に上回る延べ床面積のホテルを建てる計画です。2019年度以降、住民への説明会は開かれていませんし、2021年に計画の概要が投函されたようですが、敷地外駐車場の中止など投函された計画とは大きく変わっているにもかかわらず、住民への説明会が開かれていないと言います。京都市から上質宿泊施設という特例措置を取っていますが、それで建設が認められたわけではありません。住民は、自宅の建設に関わって、厳しい規制を受け入れ、静寂性、景観を守ってきました。この住宅街において許される最大の大きさは3,000平方メートルです。建築審査会の委員からも、景観が悪くなること、圧迫感があることは住環境に影響があり反対と発言しています。1月19日の公聴会でも、景観、交通、住民合意など様々な角度から住環境を害すると住民の意見がありました。上質宿泊施設を利用される方が公共交通機関を使って来られるとは考えにくく、タクシーの利用になるのではないでしょうか。きぬかけの道と福王子交差点からしか入れないと誘導すると言いますが、今でも交通渋滞のときは抜け道を通っている実態があり、何の保障にもならず、生活の場が脅かされるだけです。近くには学校もあり、子供たちの通学路や遊び場も危険になります。2月17日の建築審査会の同意案件に関する審議でも、同意には至りませんでした。まちづくり委員会で、ホテルの建設により住環境を害するおそれがない担保を確認していくと答弁がありましたが、どう担保するのでしょうか。次回の建築審査会までに覚書、許可条件を文言で整えるとのことですが、そのことで住環境を害さない担保になるとは思えません。公聴会や建築審査会での意見を踏まえれば、建築を許可することはできない。許可すべきではありません。いかがですか。 昨年11月、韓国安東市で開かれた第18回世界歴史都市会議に参加させていただきました。歴史都市が抱えている課題、それに対する各歴史都市の対策などを聞きました。保存と開発のバランスが都市再生のポイントであり、そこには、暮らしている人々の健康、幸せを守ることが大切である。まちづくりは、そこに住む人々の生活の質の向上はもちろんのこと、そこを訪れる人々に幸せを与えるものでなければならないということを学びました。また、会議の最終日に提案された平和連帯声明、その中の、あらゆる紛争や対立は軍事的な手段によることなく対話などにより平和的に解決されるべきであるという一文に感銘を受けました。京都市が対話による平和、住民の暮らし優先、福祉の増進という自治体本来の役割を発揮する歴史都市になるよう求めて、私にとって最後の代表質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 竹内都市計画局長。 〔竹内都市計画局長登壇〕
◎都市計画局長(竹内重貴) 仁和寺門前ホテル建設についてでございます。本件は、これまで周辺住民の方々に丁寧に説明するプロセスが重ねられております。事業者は、これらの機会に頂いた御意見も踏まえて計画を作成し、用途許可の申請がなされております。その後、周辺の利害関係者に対する公聴会を経まして、この度2月17日の公開での建築審査会において、同意に向けて公聴会での意見や申請内容について審議が行われたところです。引き続き次回の建築審査会において審議がなされる予定であります。法令に従い適正に手続を進めてまいります。
○議長(田中明秀) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(吉川雅則) 上下水道事業についてでございます。まず、全会計連結の視点から、下水道事業への出資金の休止を行う中にあっても徹底的な経営の効率化等により経営の健全性を保持し、全国トップ水準の雨水整備率の向上や管路施設の改築更新、地震対策の着実な推進を図ってまいります。このため、下水道事業の資金収支については、施設の長寿命化等により整備事業費の増加を抑制することで改善を図ってまいります。 次に、令和5年度からの新たな中期経営プランでは、経営基盤強化に向けた取組として更なる業務執行体制の効率化を進めることとし、お客様からの電話受付の業務を総合庁舎に一元化するとともに、市内4か所の営業所は、それぞれお客様の来所窓口や給水活動等の出動起点として体制を再構築いたします。また、民間に委託しても、サービス水準が維持され、十分な役割を果たすことができるものについては、引き続き積極的に民間委託を進めてまいります。広域化についても、経営基盤強化のための一手法と考えており、今後も府内最大の事業者としての役割をしっかりと果たし、これまで進めてきた本市施設を活用した共同研修などの実現可能な広域連携の取組を引き続き進めるとともに、京都府や周辺自治体と協力しながら、それぞれにメリットがあるように、長期的な視点かつ幅広い視野で広域化の取組を検討してまいります。 最後に、上下水道料金の一時的な引下げや福祉減免制度の創設については、それらを実施した場合、減収相当額について企業債の発行が増加し、将来世代への負担の先送りや他の使用者への負担の転嫁につながるため、公平性の観点から実施は困難であると考えております。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 本日の審議は、この程度にとどめ延会したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(田中明秀) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会いたします。 〔午後4時46分延会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 田中明秀 署名議員 井上よしひろ 同 こうち大輔
△(イメージ)請願文書表「受理番号1231」「物価高騰に見合う生活保護基準引上げの要請」・請願文書表「受理番号1232」「都市計画の見直し案の撤回等」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3957」「インボイス制度の延期・見直しの要請」・陳情文書表「受理番号3958」「消費税及びインボイス制度の廃止の要請」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3959」「憲法第9条に基づく平和外交の要請」・陳情文書表「受理番号3960」「竹島に関する啓もう展示の実施」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3961」「男女共同参画センターにおける女性支援体制等の充実・強化等」・陳情文書表「受理番号3962」「北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けたブルーリボンバッジの着用」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3963から4373」「敬老乗車証制度の交付基準の見直し」・陳情文書表「受理番号4374」「保育政策の改善」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号4375」「保育士配置基準見直しの要請等」・陳情文書表「受理番号4376」「就学援助における子供としての年齢制限の撤廃」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号4377」「北山エリア整備基本計画の説明会開催等」・陳情文書表「受理番号4378」「北山エリア整備基本計画の見直し等」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号4379」「都市計画の見直し案の撤回等」・陳情文書表「受理番号4380」「事実と異なる答弁の訂正等」...