令和 4年 9月 定例会 令和4年 定例会 京都市会会議録 第4号 9月市会 令和4年10月4日(火曜日)出席議員(63名) 1番
久保田正紀議員 2番
神谷修平議員 3番
小山田春樹議員 4番
豊田恵美議員 6番
田中明秀議員 8番 やまね智史議員 9番
鈴木とよこ議員 10番 かまの敏徳議員 11番 大津裕太議員 12番
菅谷浩平議員 13番 森 かれん議員 14番
小島信太郎議員 15番
片桐直哉議員 16番
兵藤しんいち議員 17番
松田けい子議員 18番 やまずまい子議員 19番
井上よしひろ議員 20番 平山たかお議員 21番 とがし 豊議員 22番
ほり信子議員 23番 山田こうじ議員 24番
森田ゆみ子議員 25番
山本陽子議員 26番 平井良人議員 27番
宇佐美賢一議員 28番
こうち大輔議員 29番
天方ひろゆき議員 30番 安井つとむ議員 31番 かわしま優子議員 32番
国本友利議員 33番
加藤昌洋議員 34番 森田 守議員 35番
田中たかのり議員 36番 みちはた弘之議員 37番 さくらい泰広議員 38番 くらた共子議員 39番 井上けんじ議員 41番
樋口英明議員 42番 赤阪 仁議員 43番
江村理紗議員 44番
中野洋一議員 45番
山岸たかゆき議員 46番
青野仁志議員 47番 平山よしかず議員 48番
吉田孝雄議員 49番
しまもと京司議員 50番 椋田隆知議員 51番
下村あきら議員 52番
西村義直議員 53番
山本恵一議員 55番
井坂博文議員 56番
加藤あい議員 57番
西野さち子議員 58番
玉本なるみ議員 59番
湯浅光彦議員 60番 曽我 修議員 61番
大道義知議員 62番 寺田一博議員 63番 津田大三議員 64番 中村三之助議員 65番 橋村芳和議員 66番 繁 隆夫議員 67番 富 きくお
議員欠席議員(1名) 40番
河合ようこ議員欠員(3名) 議事日程 開議日時 令和4年10月4日(火)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付 一般質問(1)市政一般について
湯浅光彦議員(2)市政一般について
青野仁志議員(3)市政一般について かわしま優子議員(4)市政一般について
こうち大輔議員(5)市政一般について
江村理紗議員(6)市政一般について
久保田正紀議員(7)市政一般について
神谷修平議員(8)市政一般について
小島信太郎議員(9)市政一般について
山岸たかゆき議員(10)市政一般について
片桐直哉議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕
○議長(田中明秀) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。かまの敏徳議員と
豊田恵美議員とにお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) この場合、議長から一言申し上げます。 本日、北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、我が国の上空を通過し太平洋上に落下したと見られるとのことであります。北朝鮮による度重なるミサイルの発射は国際社会の平和と安定を著しく損ない、また国民生活の安心と安全を脅かす行為として断じて許すことはできないものであり、これまでからも本市として市会議長と市長との連名で抗議を行ってきたところであります。京都市会は京都市長と共にこの度の北朝鮮の暴挙に対し、平和都市宣言を行った自治体として平和を希求してやまない全ての京都市民と共に厳重に抗議することを改めて表明いたします。 進行いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 日程に入ります。 日程第1、請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願56件及び陳情11件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託又は回付いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 昨日に引き続き、これより一般質問を行います。 発言の通告がありますのでこれを許します。市政一般について、
湯浅光彦議員。 〔
湯浅光彦議員登壇(拍手)〕
◆(
湯浅光彦議員) 右京区
選出湯浅光彦です。公明党京都市会議員団を代表して
青野仁志議員、かわしま優子議員と共に市政一般について質問いたします。門川市長はじめ関係理事者におかれましては、市民にとって分かりやすく希望ある答弁をよろしくお願いいたします。 まず、7月10日に行われました参議院選挙におきまして公明党は7選挙区全員当選、比例区6議席を獲得させていただいたことに改めて心より感謝御礼申し上げます。大変にありがとうございました。御支援いただいた皆様の血のにじむような献身的なお支えがあっての結果であります。日本を前へ全ての人を大切にする社会を実現するため全力で働いてまいります。どうかよろしくお願いいたします。あわせて、いまだロシアによる
ウクライナ侵略は続いており、一刻も早い停戦とウクライナの方々の安穏の日々が戻ることを祈り、でき得る限りの支援を行ってまいりたいと思います。また、少し収束の状況でありますが、
新型コロナウイルス感染症においては第7波の急激な感染拡大により多くの命も失うこととなりました。亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、御尽力いただいております医療従事者をはじめ全てのエッセンシャルワーカーの方々に対し心より感謝御礼申し上げます。 国においては、感染者の全数見直しやオミクロン株に対応した4回
目ワクチン接種開始など新たな局面を迎えております。補正予算にも計上されておりますが、市民生活の安心・安全と京都市経済の下支えを万全の体制で実施するよう要望しておきます。あわせて
インフルエンザ感染については、昨年度
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額の見直しに対して懸念を表明し、付帯決議において接種率の向上と負の影響が出た場合には速やかに自己負担額の再検証を行うことを求めました。爆発的な感染も危惧される中、接種勧奨及びその状況を見極め、迅速な対応を採ることを改めて要望しておきます。 それでは質問に入ります。1点目は、京都市の財政危機による
行財政改革計画のスタートの年度であった令和3年度決算についてであります。詳細については
決算特別委員会での議論となりますが、まずはコロナ禍により翻弄された1年間にあって市民の安心・安全、京都経済の下支え等々かつてない危機の中での一年間でありました。 〔田中議長退席、吉田副議長着席〕
◆(
湯浅光彦議員) (続)加えて、財政面においても収支不足額230億円を超えることなく
公債償還基金残高の枯渇を回避しなくてはならない中での事業展開であり、結果として歳入においては国・府とも連携した経済の下支え、市民・事業者の御努力により市税収入は堅調となり、地方交付税の増額など
一般財源収入が増加し、歳出においては人件費の削減などにより特別の財源対策89億円と合わせて4億円の黒字を財政健全化法上は確保しております。しかし、京都市の財政危機の根幹はこの特別の財源対策を恒常的に講じるところに問題があり、これがなければ85億円の赤字であります。市民への急激な負担とならず、持続可能な制度の見直しを行いつつ令和4年度現在
行財政改革計画を実行中であります。まず、この決算結果について市長はどのように捉え、さらに市民に対しどう説明されるのか伺いたいと思います。 京都市の財政危機がマスコミはじめ全国的に報道されたことにより、今や京都市に対し世間ではネガティブなイメージが先行していると言わざるを得ません。ネガティブイメージを払拭するには京都市の持つ魅力、潜在力、全国をリードする環境、教育、文化を市民の皆様だけでなく全国の方々にもいかに御理解いただけるかであります。過日の人口調査において京都市は
減少数ワースト1、子育て世代の人口流出が止まらないとの報道がありました。このことさえも財政危機が関係しているかのような印象を与えているように思えます。言うまでもなく、京都市の成長戦略においても若者・子育て世代の定住をいかに進めるかが重要な課題として認識し取組を進めるとしております。京都市は土地が高いから周辺へと流出する。土地が上がったのはホテル誘致など行政の責任だとの主張もありますが、元来大都市では地価は高く、安いことがよいことだとは思いません。しかし、京都市は中心部だけでなく周辺部も含めた147万市民が暮らす都市です。今年度までに6回にわたり京都市駅周辺等にふさわしい
都市機能検討委員会が行われ、過日委員会より答申が提出されました。私も再三この駅周辺における地域の活性化を訴えてまいりました。この答申には私の住む右京区も含め五つのエリアについて提言を頂いております。答申には京都の未来を支える若い世代に選ばれる居住環境の創出として、京都で住みたい、働きたい、学びたい、子育てしたい、そして遊びたいと思えるまちづくりを都市全体で進める必要がある。そのため比較的地価が落ち着いており、アクセス性の高い周辺部の主要な駅の近傍において、各地域の特性を踏まえながら速やかに若い世代に選ばれる居住環境の創出を図っていくことが重要とあります。 私は、
ネガティブ京都のイメージを払拭し、特に子育て世代に対して思い切った施策を実行するためにも、今一度この世代の生の声を的確に把握する必要があると思います。若い世代であればSNSを活用すれば瞬時に可能であります。例えば住宅確保や新婚家庭における支援策の創設。我が会派も長年取り上げ、順次その範囲を拡大してきた中学校までの子供医療費の無償化などです。
西脇京都府知事とも連携し是非とも実現していただきたいと思います。市長いかがでしょうか。今回の答申も踏まえ、どのように取り組まれるのか伺います。 まずは、ここまでの答弁を求めます。
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 令和3年度決算についてでございます。昨年8月に
行財政改革計画を策定し、コロナ禍の中、市民の皆様の命、健康、暮らしを守る取組をしっかりと重視すると覚悟を決めて行財政改革を徹底いたしました。委託化等による職員数の削減、業務の見直しや徹底した働き方改革等により人件費を削減したほか、時代の変化に応じて施策が持続可能となるように補助金やイベントなど見直すべきものは見直しました。一方、これまで市民の皆様と共に積み上げてきた京都のよさ、福祉、子育て支援、教育、安心・安全、文化活動への支援は厳しい中でも維持充実へ努力しております。例えば保健師の人口当たりの人数は政令市トップ、政令市平均の約1.5倍でコロナ禍で大きな力を発揮しております。また、地域と連携した様々な教育活動を展開いたしております。人口1万人当たりの火災件数は4年連続で大都市で最少となっております。これらは市民ぐるみの取組の成果でもあります。 さて、市民の皆様の御理解の下の歳出改革があったからこそ、
一般財源収入の増加も相まって
集中改革期間の最初の2年間で計画を447億円上回る収支改善を達成することができました。
行財政改革策定前には何ら改革をしなければ令和6年度に
公債償還基金が枯渇する危機に直面しておりましたが、今回の決算を踏まえ、令和7年度末の基金残高は1,400億円以上確保できる見込みであり、その危機は回避できました。市民の皆様の御理解、協力のたまものであり感謝申し上げます。ただし、令和3年度の歳入増加は一時的な要素もあるうえ、収支は85億円の赤字であります。さらに、
公債償還基金の計画外の取崩しの累計が減少させたとはいえ505億円に上ることに加えまして、今後も高齢化社会の進展に伴って
社会福祉関係経費が増加することを踏まえますと厳しい状況に変わりはありません。改革を着実に実行することで持続可能な
行財政改革体制を確立できます。今後市民の皆様への説明責任を果たしながら、
集中改革期間の最終年度となる令和5年度当初予算において確かな成果がお示しできるように全庁挙げて改革と都市の成長戦略を進め、特別の財源対策からの早期脱却に向けて全力を傾注してまいります。 次に、若者・子育て世代の定住促進についてでございます。若い世代を引き付けるには仕事、住まい、医療、教育、子育て支援、文化などあらゆる施策に総力を挙げて取り組む必要がございます。子育て世代に対しては妊娠前から子供・若者まで切れ目のない支援を一体的・総合的に進めております。具体的には、国基準を大きく上回る保育士加配・処遇改善を実施したうえで、保育士や
学童クラブ事業は待機児童ゼロを継続しております。保育、幼児教育の水準の高さ、質の高さは
全国トップ水準であります。また、独自予算15億円を投じて国基準の7割に低減している保育料につきましては、厳しい社会経済情勢を踏まえて令和5年度も据え置くこととし、御家庭の負担軽減を図ることとします。子供医療費の助成の更なる拡充については、私と西脇知事で早期実現に向けての検討を開始することを確認したところであります。加えて、学校教育においては、
学校運営協議会において地域、保護者、PTAとの連携が深まるなど様々な取組も充実しており、また本市独自で教員の加配、例えば中学校3年生の30人学級の実施などで教育環境が大きく充実してきており、子供の努力とも相まって、
全国学力学習状況調査において小学校2年
連続政令指定都市1位、小中学校とも高い学力水準となっております。さらに、小学校では全ての児童が卒業までに茶道、中学校では全ての生徒が生け花を学び、
京都ならではの文化を大切にした教育も行われております。また、コロナ禍の厳しい状況にあっても、一昨年度、昨年度と全ての小中学校で修学旅行が安全に実施されました。集団的な学びが保障できる体制があってのことであります。今後もこうした
京都ならではの子育て、教育環境を充実してまいります。 次に、仕事や住まいについては、若い世代の居住環境が創出できるよう景観政策の骨格は顕示しつつ、市内中心部を中心にスピード感をもって都市計画の見直しを進めるとともに、多様な働き方に対応するオフィス等の立地促進や雇用の場の創出、若者・子育て世帯が魅力を感じる住宅供給や空き家の有効活用などに取り組んでまいります。こうした施策の実施に当たりましては、湯浅議員御指摘のとおり、ホームページやSNS等を活用して若者・子育て世帯のニーズをくみ取ると同時に、京都の強み、魅力をしっかりと情報発信して安心して京都で働き、暮らし、子育てしたい、住み続けたいと思っていただけるよう全庁挙げて取り組んでまいります。
○副議長(吉田孝雄) 湯浅議員。 〔
湯浅光彦議員登壇〕
◆(
湯浅光彦議員) 次に、本年2月公明党京都市会議員団は、門川市長に対し「
子ども未来創造都市・京都をめざしてSDGsの観点から」と題する提言を行い、京都市会2月本会議でも御紹介させていただきました。本年第17回
マニフェスト大賞において、この提言は3,133件の応募中185件のエリア選抜に選ばれたとの御連絡をいただきました。優秀賞は後日発表とのことでございます。子供、若者は今も未来においても掛け替えのない存在であります。公明党はこれまでも子育て支援策を強力に前に進めてきました。児童手当は自民党との連立政権に参加した1999年では第1子への支給総額が3歳未満までで18万円でしたが、現在は中学校卒業までで最大209万円に拡充となり、妊婦健診の公費助成や幼児教育・保育の無償化、大学などの高等教育の無償化も推進してまいりました。今後も各施策を段階的に充実し、結婚、妊娠、出産から子供が社会に出るまでの一貫した支援の取組をしていくため、年内に
子育て応援トータルプランを策定予定です。 今回は、子供たちは大切な宝であり誰一人置去りにしないとの思いを込め、
児童虐待対策について伺います。令和3年度に全国の児童相談所が児童虐待の相談を受けて対応した件数が、速報値で20万7,659件と過去最多となり、特に子供の前で家族が暴力をふるう面前DVなどの心理的虐待が6割を超えました。京都市においては
相談通告件数3,125件、認定件数2,170件、認定率69パーセントと、令和2年度に比べ
相談通告件数は社会の関心も高まり増加したものの、認定件数は5件マイナス、認定率は6パーセントマイナスです。内容別では、心理的虐待1,286件、59.3パーセントと最も高く、次いで身体的虐待588件、27.1パーセント、ネグレクト291件、13.4パーセントと、平成30年度以降はおおむね同様の傾向であります。年齢別では、就学前児童954人で44パーセントを占めています。 増加の一途をたどる虐待相談等に対し、京都市ではこれまでから児童相談所の体制整備を進め、令和4年度は児童心理司を2名増員、
SNS相談体制の強化のため児童福祉司2名を含む3名を増配置するなど、20年間以上にわたり切れ目なく体制を強化されてきたことは大変評価しております。本年6月、
児童福祉法等の一部を改正する法律が成立し、施行は令和6年4月1日です。施行に先立ち政府は9月2日、児童虐待に関する新たな総合対策を決定しました。この総合対策は児童虐待の司令塔となるこども家庭庁の来年4月創設などを見据え、特に重点的に実施する取組を決めたものです。主な取組として子供の権利擁護の環境整備、子供の意見聴取等の措置及び
意見表明等支援事業体制の整備支援、児童虐待の発生防止・早期発見、適切な一時保護の実施、社会的養護の支援強化、児童相談所の体制強化・環境整備などです。公明党としても一貫してこの
児童虐待対策に取り組んでまいりました主張が反映されており、国として危機感を持って取り組んでいただきたいと存じております。 さて、京都市では今後これらの動向も踏まえ取組を更に進めていくわけですが、現在京都市では、令和2年度から令和6年度までの5年間を計画期間とした京都市はぐくみプランにより
子ども若者総合支援を進めています。プランでは、児童虐待から全ての子供を守り抜くための取組の推進及び子供の最善の利益を実現する
社会的養育体制の整備を目標として取組を進めるとしております。プランの計画期間も後半へと向かうわけですが、これまでの取組と残り2年間、
児童福祉法改正も視野に入れつつ、仕上げに向けてどう取り組まれるのか。とりわけ保護者支援、家族再統合の取組及び里親への支援や、一時保護所の環境改善等についての現状及び今後の取組についてお伺いいたします。子供の最善の利益を実現する責任は大人社会にあります。やがて子供たちも大人へと成長していきます。不幸にも虐待を受けた子供たちへの支援と共に、虐待を起こさせない社会を作らなくてはなりません。折しも11月は
児童虐待防止推進月間であります。子供は社会で守り育てるとの思いを市民の皆様と共に更に共有できるよう市長の決意と共に伺います。 次に、不登校児童に対する支援について伺います。京都市では、令和2年度で1,797人の小中学生が不登校とされております。しかし、一概に不登校といっても一人一人置かれている環境や状況は違います。京都市では、全国に12しかない公立の不登校特定校のうち、我が会派の
大道義知議員が提案した洛風中学校や洛友中学校の二つを運営し、さらには、子供に関する総合的な支援・相談機能を有する
教育相談総合センター、子どもパトナの設置等、児童生徒に寄り添った対応をしてきているなど、全国においても先進的な取組を進めてきたと評価しております。そのような中、ある市民相談をきっかけに改めて不登校について考える機会を頂きました。今回、不登校対策における全国の事例を研究する中、私自身が正に古い常識に捉われていたと反省せざるを得ないことに気付かされました。というのも、大方の親御さんもそうであるとは思いますが、学校復帰が不登校対策のゴールということであります。そのためにどうするのか。学校に行かなければこの先社会で生きていくことは不安であり、学力も付かない状態で社会の荒波を自立して乗り越えることなど不可能であるとの思い込みでした。先ほども申しましたが、子供の最善の利益を追求するとは大人の論理を押し付けることではなく、子供の持つ可能性を最大限に引き出すための取組を行うことであり、子供たちの声を真摯に受け止めることから始まると思います。 「明るい不登校 創造性は「学校」外でひらく」の著者である奥地圭子氏、「不登校でも学べる 学校に行きたくないと言えたとき」の著者であるおおたとしまさ氏は共に
フリースクールやホームエデュケーション、通信制学校などの多様な学びの形態と子供たちの成長過程を御自身の経験も踏まえ豊富な事例と共に述べておられます。学校のシステムに合わないだけで、その子の可能性が閉ざされてしまうことなど全くない。学校という選択肢がなければ不登校という言葉もないと書かれております。私に頂いた御相談は中学生の方でしたが、不登校となり、親御さんは通信制を含めた学校をお探しになられ、全国でも大変有名な私立の学校がありました。しかし、高校であれば通信制課程において高校卒業資格が取れますが、中学校の通信制の課程自体が国に認められていません。義務教育段階では、公立・私立を問わず登校することが原則とされているようです。こうした中、現在
GIGAスクール構想により全生徒へ端末が配布される環境が整えられたことを踏まえ、改めて教育委員会に実情をお話ししたところ、GIGA端末を通じて授業の様子を見られるよう学校と不
登校児童生徒とのつながりに御尽力いただいたことには感謝しております。今後とも、ICT機器を活用した不
登校児童生徒の心の支援を継続的に実施していただきたい。このように思いますがいかがでしょうか。 また、我が会派のかわしま議員が求めております市立高校での
オンライン授業については、単位の上限や教員が双方に必要であることなど難しい面があることは承知しておりますが、是非とも今後とも御検討いただきたく申し上げておきます。 そして、今回の件もそうですが、保護者のお声には、不登校をはじめとした子供の課題を抱えたときに自分に合ったところを探すにはとてつもないエネルギーが必要であるということです。もちろんパトナなど京都市も相談支援の取組を進めていることは十分承知し、評価しております。公教育を所管する教育委員会では難しいことは重々承知をしておりますが、生徒一人一人の状況も踏まえながら、生徒の社会的自立に向け、
フリースクールや通信制でのサポートを行う機関など、学校外の生徒の居場所や学びの場の紹介について関係者の御協力も頂きながら京都市として考えていただきたいと思います。いかがでしょうか。御所見を伺います。 最後に、高齢者施策の一つである
日常生活自立支援事業について伺います。この制度は社会福祉法に定められた事業であり、
福祉サービスの利用や家賃・公共料金等の支払い、生活費等を計画的に使うことに不安のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、平成15年より京都市
社会福祉協議会が御本人との契約に基づき支援するものです。利用対象者は認知症や知的・精神に障害等があり、判断能力が十分でなくかつ契約の意思があり、その内容も理解できる。また、在宅生活者であることです。現在利用者は781名で内訳は認知症272名、知的・精神の障害等の方は509名です。一方、高齢者等への支援施策として
成年後見制度があります。 これらの二つの施策の違いは、
日常生活自立支援事業は、
福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理など支援内容が限定されており、
成年後見制度のように契約行為、資産・財産の管理を代行で行うことはできません。具体的には、利用者の状態が悪化し、在宅から福祉施設への入所が必要な場合、既に意思確認ができない場合に手続支援を行うことはできなくなります。支援者は当然、利用者の判断能力の状況を踏まえて、
日常生活自立支援事業と
成年後見制度の適切な判断をしていくことが求められます。しかし、
日常生活自立支援事業の利用者の中には、既に判断能力が
成年後見制度の利用が必要な状態であるにもかかわらず、制度そのものが理解できない。また、資産・財産管理まで他人に任せたくないなどの事情により、なかなか
成年後見制度へとつながらないケースが出てきております。現在2か月以内に契約予定の方は41名おられ、全体の待機者としては135名いらっしゃいます。待機者の解消に向けて、
成年後見制度の利用が必要な方が適切に移行できるよう支援していくためには丁寧な対応が求められます。大変難しいことであると思いますが、京都市としてこの課題にどのように取り組まれるのかお聞かせください。以上で質問を終わります。 最後に一言申し上げます。公明党は大衆と共に、との立党精神より60年の佳節を迎えました。10名の議員が団結第一に大衆と共に不断の自己研さんを重ね、市民お一人お一人に寄り添い、お役に立てる仕事をしてまいることを改めてお誓い申し上げます。本日は御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、
湯浅光彦議員の御質問にお答えします。
児童虐待対策についてであります。児童虐待から全ての子供の命を守り、子供が自分らしく健やかに安心して過ごせる社会を実現する。この認識の下に、増加の一途をたどる児童虐待への対策に全庁挙げて不断の取組を続けてまいりました。京都市はぐくみプランに基づき、児童相談所への国基準を上回る児童福祉司の配置、各区役所・支所14か所に設置した子どもはぐくみ室を中心とした要保護児童対策地域協議会との連携・充実、警察との必要な情報共有、ショートステイの拡充など虐待の未然防止や早期発見・早期対応のための取組のほか、親と離れて暮らす子供が温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境で過ごせるよう里親支援にも注力いたしました。具体的には、児童相談所に専任の職員を配置したほか、里親制度をなじみ深いものとするために公募により養育里親を本市独自にはぐくみさんの愛称で呼び、里親支援、ショートステイの拠点・ほっとはぐを開設するなど周知啓発・相談体制の充実をさせております。 今般の法改正の趣旨も踏まえ、今後は児童の心理支援の充実による子供への一層の丁寧な関わり、一時保護所の居室の個室化等の子供権利擁護の取組、またSNSを活用した児童相談の窓口の開設、支援を要する子育て世帯への相談支援の充実等の虐待を未然に防止する取組を加速させてまいります。児童虐待は社会全体で解決すべき問題です。子供の最善の利益の実現、子供を中心に据えた社会の実現、その最も大切な取組の一つが児童虐待の根絶であるとの認識を下に、市民や関係団体・関係機関の皆様と一丸となり、全力で取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂)
日常生活自立支援事業についてでございます。判断能力が十分でない方であっても、人として尊厳が損なわれることなく、その人らしく暮らし続けられるよう支援をしていく
日常生活自立支援事業や
成年後見制度をはじめとする権利擁護の取組は、今日ますます重要になってきております。本市では弁護士会、司法書士会、社会福祉会、行政書士会、京都市
社会福祉協議会をはじめ多くの関係団体などに参画いただき、平成12年度に京都市高齢者・障害者権利擁護ネットワーク連絡会議を設置し、権利擁護の取組を総合的に推進しております。湯浅議員御指摘のとおり、
日常生活自立支援事業は支援内容が限定されるため、利用者の判断能力が更に低下した場合には、本人に代わって後見人などが契約行為や財産管理などを行う
成年後見制度の利用につなげていくことが望まれます。このため、国においても、令和4年3月に策定した第2期
成年後見制度利用促進基本計画の中で、
日常生活自立支援事業から
成年後見制度への適切な移行を課題の一つとし、施策の充実に向けた検討が進められております。本市といたしましても、こうした国の動向を注視しつつ、相談支援体制の強化などについて検討するとともに、複合的な課題を抱える利用者も適切に移行していけるよう関係団体などの御協力の下、
日常生活自立支援事業の待機解消はもとより、両制度の一層の利用促進に取り組んでまいります。今後とも地域の関係機関・団体と連携し、一人一人の尊厳が保たれる社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(吉田孝雄) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) ICTを活用した不
登校児童生徒への支援と居場所づくりについてでございます。不登校には子供一人一人に寄り添った支援が求められる中、ICTの活用は様々な困りを抱える子供たちとコミュニケーションを図る上で非常に効果的であります。本市では、ICTを活用したドリル学習や電子メールで在籍校とやり取りできるはーとあくせす事業を平成18年度から先駆的に実施してきたところであり、この経験もいかし、現在各学校においてGIGA端末を活用した授業配信や教員・同級生とのコミュニケーション、学校行事へのリモート参加など不登校の子供たちが在籍校とのつながりも感じながら、学びを継続することのできる取組を進めております。今後こうしたICTを活用した取組を一層充実させるとともに、悩みを抱える子供・保護者の相談の機会の充実のため、こども相談センターパトナと遠隔地の学校・家庭をオンラインで結ぶカウンセリングや市内5か所に学習室を展開している教育センターふれあいの森での面談等のオンライン化を試行的に実施するなど新たな取組についても検討してまいります。 また、学校外の居場所や学びの場の紹介につきましては、不
登校児童生徒やその保護者がそれぞれに合った適切な居場所を見つけるための支援は非常に重要であり、今後とも児童生徒と在籍校との関わりも大切にしながら、
湯浅光彦議員御提案の情報提供をはじめ、一人一人の子供が安心して学び育つ居場所につながるための効果的な方策について検討を進め、実践してまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(吉田孝雄) 次に、市政一般について、
青野仁志議員に発言を許します。青野議員。 〔
青野仁志議員登壇(拍手)〕
◆(
青野仁志議員) 中京区選出の青野仁志でございます。
湯浅光彦議員に続き、かわしま優子議員と共に公明党京都市会議員団を代表し、市政一般について質問いたします。市長並びに関係理事者におかれましては、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 3年度決算では前倒しの改善が見られましたが、引き続き行財政改革を進めるとともに、成長戦略については、本年2月市会本会議での代表質疑においてグローバル戦略を持って進めるべきと訴えたところであります。まずは、こうした観点から2点お伺いいたします。 初めに、スタートアップ・エコシステムについての質問です。国は昨年12月1日付けでスタートアップ創出推進室を設置し、本年をスタートアップ創出元年として、公的出資を含めたリスクマネー供給の強化、海外展開への徹底的支援、株式公開制度の在り方の見直しなど総合的に取り組むとされています。これに先立ち、本市は大阪市、神戸市及び京都・大阪・兵庫の各府県と一体で国の世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略に係るグローバル拠点都市に選定されました。京都は、産官学金及び関連事業者等とオール京都で推進体制を構築、コロナ禍にあってもこれまでの産学官連携の新産業創出の取組とも相まって、着実に事業を進め、実績を積み上げてきていると評価をしております。とは言いましても、5年以内に京都発のユニコーン企業、すなわち評価額が10億ドルを超える創設10年以下の企業を創出するなどの目標には程遠い現状であります。コロナ後を見据え、海外からの人材の受入れや投資の呼込みができなければ、ダイナミックな展開は望めません。しかし、現状では国の規制が壁となり更に前進するには規制の見直しが必要と考えます。 冒頭紹介した国のスタートアップ創出推進室とはどのように連携をし、また、対等に協議する体制となっているのでしょうか。例えば、資金支援の拡充でいえば、スタートアップの各段階における支援が必要ですが、国内での支援規模は海外とはけた違いに小さく、到底世界に伍する取組など望めません。世界からの投資を呼び込むためには、海外企業への出資制限を撤廃することで海外からのスタートアップ誘致につなげるとともに、海外投資家から資金を集めやすくなることから、国内のスタートアップへの出資も拡大し、ユニコーン創出にもつながるものと考えます。日本人のスタートアップに限らず、グローバルのスタートアップといかに連携するか。その先にグローバルチームをいかに作れるか。そのような視点でのアプローチの流れの中でイノベーションが生まれるのではないかと考えます。是非とも大阪市・神戸市等とも連携のうえ、国に働き掛けていただきたいと考えます。支援する側こそが失敗を恐れず、前例に捉われず、規制をも取り払う不断の努力があってこそ、スタートアップを次々と生み出す真のエコシステム、つまり生態系となり得るものと確信します。オール京都で、京都の、さらには日本の未来と新たな歴史を開くスタートアップ・エコシステム事業としていただきたい。コロナ後を見据えたスタートアップ・エコシステム事業の現状の課題と今後の展開についての考え方をお答えください。 次に、伝統産業ミュージアムの機能強化について質問いたします。今年の夏、私は伝統産業ミュージアムで日本のそめおり展を鑑賞いたしました。間近で見る名産地の着物に魅了され、すばらしいひとときを過ごすことができました。そめおり展の15の展示品それぞれに示された年間出荷額を比較しますと、西陣織と京友禅合わせて402億円で1位、2位が山形県の米沢織の86億円、3位が丹後ちりめんの34億円、以下一けた台という状況でした。出荷量の比較になりますが、西陣織はピーク時の733万本が30万本に、京友禅がピーク時1,652万反から26万反に激減する大変に厳しい状況にありながら、出荷額でけた違いの1位ですから、他の着物産地がいかに厳しいかが見て取れます。我が国の着物産業・着物文化を次世代へと継承するには、出荷額の増加が不可欠であり、業界及び関連団体の皆様は日夜工夫・努力を重ねられ、着物以外の伝統産業従事者も同様に苦難の中を鋭意御努力されています。こうした京都の取組が我が国の伝統産業振興につながるよう、明年京都に全面的に移転する文化庁としっかり連携して振興策に取り組まれるよう求めますがいかがでしょうか。 さて、当該ミュージアムは伝統産業ふれあい館との名称で京都の伝統産品を展示し、職人による実演や舞妓さんによる日本舞踊を披露するなど情報発信に努めてきたものの、京都市勧業館の地下という立地もあり、長らく入館者数の伸び悩みが一つの課題でした。しかし、コロナ前のインバウンド効果による入館者数の増加を機に全面リニューアルし2020年3月にリオープンしましたが、まさにコロナ禍の中での再スタートとなり、その効果の検証に至っていません。何回か共に訪れた建築関連の方からは、一流の伝統産品に大変に感動されたうえで、作品について解説する学芸員がおられれば対価を払っても惜しくない。是非検討をとの声を頂きました。今こそ、コロナ後を見据えた機能強化に取り組むべきであります。世界のアート市場を席巻している現代アートの世界では、これまでクラフトとして一段低く見られた工芸ですが、今、地域の歴史に根差した工芸に熱い視線を注ぐ潮流にあります。アジア、中でも日本の超絶技巧や精緻な工芸品への関心度は極めて高いと言われています。伝統産業ミュージアムの展示品を学術的専門知識を持って、見やすく、分かりやすく解説し、来館者はもちろん世界市場に発信する学芸員、あるいはキュレーターの確保、また海外からのオファーを取り付け地元の職人や事業者につなぎ、需要と供給をコーディネートする人材の確保など、出荷額増につなぐ仕組みを構築すべきと考えます。また、同ミュージアムが、世界の動きや現場のこの状況変化に柔軟に対応できる株式会社で運営されていることは極めて重要です。まさに第3セクターの強みを最大限発揮してもらいたい。コロナ後を見据えた伝統産業ミュージアムの機能強化及び今後の展開についてお答えください。 まずは、ここまでの答弁を求めます。
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
青野仁志議員の御質問にお答えします。 スタートアップ・エコシステムについてでございます。令和2年7月のグローバル拠点都市選定後、オール京都で組織する京都知恵産業創造の森を核とした産学公金のフォローアップ体制の下、社会課題解決やSDGsに貢献するスタートアップの創出や留学生等の起業支援を進めており、令和3年度末までに大学発ベンチャー32社を含む70社のスタートアップが京都で設立され、活発な活動を始めております。中でもライフサイエンスや新エネルギー分野では海外からの資金調達も順調に進んでおります。国においても省庁の垣根を超えた支援体制が構築されており、産学公連携グローバル展開に関する国の補助事業の活用やアントレプレナー教育等の京都の取組に係る意見交換会を定期的に行うなど国との強固な連携も図っております。 エコシステムの更なる発展のためには、海外スタートアップ等の連携や京都市への誘致、海外からの投資の取組が重要であります。今後海外投資家やベンチャーキャピタルに京都のエコシステムやスタートアップをPRするプレゼンテーションを積極的に実施するなどグローバル戦略を充実してまいります。スタートアップ支援は都市の成長戦略の柱であり、あらゆる社会課題の解決に挑戦し、雇用、税収増につながる取組でもございます。国や京阪神等で連携し、京都市の強みである文化・芸術、大学のまち、伝統産業から先端産業に至るものづくりをいかしたスタートアップ・エコシステムの構築、拡充に向けまして全力で取り組んでまいります。 次に、伝統産業ミュージアムの機能強化についてでございます。京都の伝統産業は、我が国の文化芸術と生活文化を支えるとともにイノべーションにより先端産業を生み出す礎にもなってきた世界の宝とも言えるものであります。伝統産業ミュージアムは、伝統産業のファンの拡大と売上げ増を目指し伝統産業74品目の常設展示、アートやデザインと融合した企画展、ライフスタイルに合った工芸品販売や毎週末の職人実演など手づくりの姿を見せる、また、ものづくりの背景を見せる、そんな取組を展開しております。リニューアル後は工房体験事業の充実、ホテルの客室等に伝統産業製品を取り入れる企画の実施、首都圏の見本市への出展支援による販売機会創出、若手職人を対象とした新商品コンペの実施、本市初のメタバース実証事業でございます京都館PLUS Xと連携した伝統産業製品の販売など一層のファンの拡大、売上げ増を目指し取組を進めているところでございます。 今後は国内外からの観光客の回復も見据えまして、展示品の充実や解説員の育成を行うとともに、積極的な販路拡大支援など更なる機能強化を進めてまいります。来春の文化庁の京都移転をまたとない契機と捉え、伝統産業の振興、さらには文化との融合による新しい価値の創出に向けまして、あらゆる面でしっかりと連携しまして、引き続き世界に誇る京都の伝統産業を一同に集めた発信拠点としての京都、ひいては日本の文化の発展に一層つながるよう全力で取り組んでまいります。
○副議長(吉田孝雄) 青野議員。 〔
青野仁志議員登壇〕
◆(
青野仁志議員) 次に、健康長寿のまち構築に向けたフレイル対策についてお尋ねいたします。2017年11月議会で、私は地域包括ケアシステムの深化、推進に当たって、住み慣れた地域で色々な方と関係性を保ち自分らしく生きていくことが幸せで、可能な限り地域で活動することが大事であり、その関連で、身体の衰えを指すフレイルや、その一種でかんだり食べたりする力が少し弱くなる状態を指すオーラルフレイルを取り上げ、介護予防の一環としてフレイル対策に取り組むよう求めました。2018年度からは、健康長寿・笑顔のまち・京都推進プランに明確に位置付けて、フレイルに関する情報の発信、一部行政区でのモデル事業の実施、そして今年度は健康づくりを目指す市民グループや団体が取り組まれる健康教室などに管理栄養士などが出向き、フレイル予防を支援する取組を全市展開されています。また、公明党としても健康寿命の延伸に歯科健診の重要性を訴え、この程、政府の骨太方針に、生涯を通じた歯科健診の具体的な検討と明記されたところです。 さて、東京大学飯島勝矢教授は、フレイル予防のための三つの柱として栄養、身体活動、社会参加が重要とし、フレイル対策については、しっかりかんで、しっかり食べ、しっかり動き、そしてしっかり社会性を高く保つというこの原点を分かりやすく見える化し、個々の地域で市民レベル、まちぐるみの取組として従来の介護予防事業から新たなフレイル予防活動へと進化していく必要を述べられています。これを踏まえ、2019年2月市会本会議で市民の健康長寿の進展に向けては、フレイル及びオーラルフレイル予防の取組を市民全体に浸透させるべきと訴えたところです。しかしながら、2020年新型コロナ感染症が発症、まん延するに至り、栄養、運動、人とのつながりがメインとなるフレイル予防ですが、約4割の高齢者の外出頻度が低下するなどむしろフレイルの状態悪化が心配です。最近では、フレイル予防が雑誌やマスコミでも報じられ、関心を寄せる企業も増え、またフレイルの入り口としてアイ・フレイルやヒアリング・フレイルといった新しい言葉も耳にするようになりました。しかし、その意味や対策の意義までは十分に伝わっていないように思います。 フレイル予防事業に最初に取り組んだ千葉県柏市や柏市に倣って取組を始めた西東京市などでは、高齢者同士で簡易に測定できるフレイルチェックを実施し、市民フレイル予防サポーターを養成しながら、楽しい場でフレイル対策を市民目線で学び合い、早めの気付きで、我が事として捉える流れが生まれたことでフレイルという言葉を多くの人が認識するに至っています。本市においても様々な取組を展開されていますが、こうした事例も参考に、コロナ禍において改めて市民への浸透を図られ、フレイル対策を推進されるよう強く求めますがいかがでしょうか。お答えください。 次に、がん検診受診率向上の取組と取組に当たってのデータ活用の認識についてお尋ねします。毎年9月は日本対がん協会が定めたがん征圧月間です。がんは日本人の死因の第1位を占め、国民の二人に一人がかかる国民病とも言われ、かつては不治の病いとされてきました。しかし、最近では治療法や治療薬の研究が格段に進み、早期発見で克服可能であり、厚労省は検診により死亡率を下げる効果があるとの科学的根拠に基づき、特に胃がん・子宮頸がん・肺がん・乳がん・大腸がんの五つのがんについての定期的な受診を進めています。日本対がん協会によると、五つのがんの検診受診者は、2021年は新型コロナ流行前の2019年より約1割下回っており、受診率の早期回復・向上が課題です。日本では、長年がん検診の受診率の低さが大きな課題でした。公明党は、国民の健康を守るため、受診率の向上へ自己負担額の軽減など各種施策を各地で推進。対象者に電話などで受診を進める個別受診勧奨・再勧奨の実施を後押ししてきました。乳がん・子宮頸がん検診の対象者には無料クーポンの配布も実現しました。こうした取組が功を奏し、2000年代初頭は10~20パーセントだった五つのがん検診の受診率は、2019年には30から40パーセント台にまで上昇しました。このほか、公明党のリードで胃がんの原因とされるピロリ菌除去については2013年に保険の適用範囲が拡大され、胃がん死亡者は減少しています。 さて、京都市のがん検診の受診率はコロナ以前から低いことが課題でありました。コロナ禍においてがん検診受診率向上の取組が一層求められています。データ活用によるより具体的な勧奨は受診率の向上に大きく寄与すると考えます。京都市50万人のデータ健康増進へ分析との新聞記事もあり、本市においても健康づくり分野でデータを活用する重要性を認識されているところです。がん検診の受診率向上に向け、データも活用した現状の取組及び今後の取組について御所見をお答えください。 最後に、無電柱化事業についてお尋ねします。国土交通省は昨年、災害や高齢化に一層対応するため、令和3年度を初年度とする7年度までの新たな無電柱化推進計画を策定しました。全国で4,000キロメートルを推進目標に、新たな電柱は設置しない、徹底したコスト縮減、工期の短縮という3点を掲げています。国交省では事業のスピードアップの取組の一つとして地下埋設物のレーダー探査を行っています。想定外の埋設物が見つかることによる工事中断、修正設計などの手戻りをなくすために、事前にレーダー地中探査などを実施し、事業区間の地下情報の3次元化を令和元年度より試行しています。この技術はマイクロ波を活用して、地下埋設物の3次元データを地上から非破壊で取得するもので、国の活用実績では支障となる地下埋設物件の確認、適切な試掘位置の絞り込み、関係者との円滑な情報共有などにより、事業全体のスピードアップに効果があるとの報告がなされています。このように限られた地下空間を効率的に活用し、既設埋設物の移設を極力削減することにより、予備設計から完成までの工期を短縮し、さらには工期短縮による労働コストの削減も期待できると考えます。本市では、無電柱化事業のうち、景観系路線の予算計上が見送られている状況であり、このコスト削減が極めて重要な課題です。また、本市は歩道幅も狭いうえ、家屋が連担しており、地下にはガス、水道といった埋設物が密集するなど、無電柱化の推進に当たり難しい条件が多い中で、先斗町などでは先駆的な取組も進められています。今後、無電柱化を着実に進めていくためには、こうした技術の導入や様々な工夫の実施などコスト削減の取組が不可欠であると考えますが、御見解をお聞かせください。 また、四条大宮から千本三条までの後院通での無電柱化事業の工事が既に始まっております。当該道路は市電が廃線となったときに敷石を残したまま道路舗装をしたために、いわゆるかまぼこ状になり歩道が斜めに傾く歩きづらい道路でありました。2013年3月に策定された大宮地区バリアフリー移動等円滑化基本構想で、後院通はバリアフリーの生活関連経路に位置付けられました。その後、地元関係自治会等からの意見なども踏まえ、無電柱化事業と併せて整備する方針となり、2019年に電線共同溝の詳細設計、2020年度から市電の軌道敷の撤去工事に掛かったものであります。新型コロナ感染症により経済の見通しが不透明となる中でしたが、防災・減災に資するとして事業継続の判断をされたことを評価いたします。無電柱化により当該道路は、二条駅から二条城へと広がる地域と梅小路公園へと連なる四条大宮界隈を結ぶ重要かつ魅力的な道路となると期待も高まります。既存電柱が抜き取られ、完全に工事が終了するまでには約5年余り掛かるとお聞きしています。この間、四条大宮から千本三条に向かって順次工区を定めて工事を進めていくとのことですが、その際には有効な技術をしっかり活用するとともに、関係住民の皆さんの御協力を得られるよう歩行者等への安全対策にも配慮していただきたいと思います。地域が長年切望している後院通の無電柱化とバリアフリー化事業の早期完成に向けた見通しについてお答えください。 最後に、あなたの思い逃さず形にを信条に皆様と共に希望あふれる京都構築に走り抜くことをお誓いし、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、
青野仁志議員の御質問にお答えいたします。 フレイル対策についてでございます。青野議員御指摘のとおり、長引くコロナ禍で高齢者の外出や運動、人との交流機会が減少し、心体が弱った状態であるフレイルの進行が危惧されております。本市では、栄養・口腔、運動、人とのつながりが大切であるフレイル対策をより多くの市民の皆様に認知していただくために、毎年介護保険料の通知にフレイル対策に関するお知らせを同封するなど様々な手法で市民周知に努めております。また、市内12か所の地域介護予防推進センターでは、運動教室などのフレイルに関する体力測定を行うことで御自身の体力を把握したうえで効果的な運動方法を習得していただき、教室終了後も継続して地域で仲間と共に楽しくフレイル対策に取り組んでいただいております。さらに、区役所独自の地域と連携した健康づくりの取組や市民主体の公園体操など
京都ならではの地域力をいかした取組もこの間広がっております。今後こうした取組の充実を図るとともに、フレイルの知識を身に着けていただいたボランティアの育成も一層進めてまいります。 また、令和4年度から全区に拡大いたしましたフレイル対策支援事業についても、順次医療専門職が支援する地域の高齢者グループを増やすなど地域主体の取組の更なる広がりへと、また定着へと取り組んでまいります。今後ともフレイル対策が市民の皆さんにとってより身近なものとなり、誰もが幾つになっても地域で生き生きと暮らせる健康長寿のまち・京都の実現に向けて取り組んでまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) がん検診受診率向上についてでございます。がんを早期発見し適切な治療を行うためにがん検診の受診は極めて重要であり、多くの方に検診を受けていただくことで掛け替えのない大切な命を救うことができます。本市では、これまでからがん検診ガイドの配布や乳がん検診及び子宮頸がん検診の無料クーポン券の発行などにより、受診勧奨・啓発に取り組むとともに本年3月からは子宮頸がんの予防となるHPVワクチン接種についても積極的勧奨を再開しております。令和3年度は、過去の本市乳がん検診を受診した方に対し携帯電話へのショートメッセージを送信し、受診勧奨や受診状況把握のためのアンケートを実施しており、令和4年度からは胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん検診を受診した方にも対象を拡大しております。このショートメッセージには京都市がん検診総合ページのリンクを掲載しており、リンクを閲覧した履歴から効果的な勧奨の時間帯を把握するとともに、アンケートにより市民の皆様ががん検診を敬遠してしまう御事情についてのデータを収集することで、行動を後押しするような効果的な勧奨メッセージにつなげております。 また、現在、京都大学との共同研究として進めている医療・介護などのビッグデータの分析で得られる知見も活用し、今後ともきめ細やかな受診勧奨により、コロナ禍で落ち込んだがん検診の受診者数を回復させることはもとより、更に受診率を向上させ、がんで苦しむ方を一人でも減らせるよう全力を挙げて取り組んでまいります。
○副議長(吉田孝雄) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 無電柱化事業についてでございます。無電柱化は優れた都市景観の創造、安全で快適な歩行空間の創出、また、災害時の電柱倒壊の防止を目的としており、これまでに市内で63キロメートルの整備を進めてまいりました。今後の事業の推進においては、工事の円滑な進捗やコスト縮減に向け様々な技術の活用や工夫が重要であると認識しております。本市では、先斗町通におきまして道幅が1.6メートルと極めて狭い困難な条件の下、優れた町並みを創出するため、地下に埋設する電線類を集約する小型ボックスの活用や地上機器の民有地への設置など先斗町方式とも呼ばれる先駆的な手法を導入してまいりました。青野議員御案内のレーダー地中探査につきましては、試掘を行わずに地中の状況が把握でき、水道管やガス管等の埋設物がふくそうする箇所で有効な技術であり、後院通や寺町通で活用してまいりました。こうした新技術は費用面や精度の向上が課題ではありますが、引き続き技術の進展を見極めながら現場ごとの状況に応じて適切な技術を積極的に導入してまいります。 また、後院通の無電柱化事業につきましては、歩道の勾配の改善など地域の皆様からの長年の御要望も踏まえ、平成30年度からバリアフリー化事業と併せて実施しております。歩行者等の安全確保には細心の注意を払いながら、レーダー地中探査の成果も活用して円滑な工事進捗を図り、令和9年度の完成に向け着実に事業を推進してまいります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(吉田孝雄) 次に、市政一般について、かわしま優子議員に発言を許します。かわしま議員。 〔かわしま優子議員登壇(拍手)〕
◆(かわしま優子議員) 伏見区選出のかわしま優子でございます。
湯浅光彦議員、
青野仁志議員に続いて公明党京都市会議員団を代表し、市政一般について質問を行います。門川市長並びに理事者におかれましては、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 初めに、物価高騰から市民の暮らしを守る取組についてお尋ねします。昨年から続く物価高騰にウクライナ情勢の影響の拡大などにより、原油、食料品など市民生活にとって必需品の値上げが相次ぐなど、その影響はあらゆるところへ及んでいます。食料品の値上げは所得の低い家庭ほど打撃が大きく、速やかできめ細かな支援が必要です。そのような中、軽減税率はこうした日々の生活を支えてくれるものとして改めて導入した意義が高く評価されています。公明党は物価高から国民生活を守り抜く決意で、いち早く国民生活総点検・緊急対策本部を設置し、暮らしや仕事への影響を総点検し、2回にわたり政府に緊急提言を行いました。我が党の提言を踏まえ、政府はこれまで原油価格高騰対策・エネルギーや原材料、食料の安定供給対策・中小企業支援・生活困窮者支援を柱とするコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を講じてきましたが、現在これらの対策を延長することに加え、低所得者の生活を支える価格高騰緊急支援給付金の対策等が検討され、年内の給付を目指す方針が打ち出されました。本市においても迅速な対応をお願いいたします。 地方創生臨時交付金についても、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設され、京都市では今後活用可能な財源として約16億円を新たに確保されたとのことです。つきましては、国の追加対策に対して物価高騰の影響が広がる市民生活を守るために適切な対策を早急に講じていただく必要があります。あわせて、これまで支援策の対象や条件を満たさなかった事業者からは、エネルギーの高騰による影響が大きな痛手となっており支援を求めるお声もお聞きしています。本市の財政は厳しい状況にありますが、こういった声を受け止め、熱意として伝わる対策を講じていただきたいと思います。行財政改革を先送りすることなく、断行しつつも、国・府と連携し、物価高騰から市民生活を守る対策を市長はどういう決意で講じられるかお聞かせください。 次に、孤独・孤立への取組についてお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、非正規雇用労働者に占める女性の割合が高いことから、女性がより職を失いやすいことが浮き彫りとなりました。そこで、生活や仕事などに大きな影響を受け、経済的な理由も含めて孤独・孤立で不安を抱える女性を対象に必要な支援につなげるよう私も具体的に提案要望し、ウィングス京都につながる相談室が設置されました。 一方で、今、男性の孤独・孤立の問題が顕在化しています。国の調査によると、家族・親族とのつながりは男性の方が薄くなりがちとなっており、男性は女性に比べて愚痴や心配ごとを話すような人間関係を築いていない人の割合が高いそうです。この結果、70代以下において女性より男性の方が孤独を感じている人の割合は多く、孤立死の件数は男性の方が圧倒的に多くなっています。20代から30代の若い世代においても、男性の4人に1人が将来の孤立に関する不安があるという調査結果が出ています。女性活躍・男女共同参画の重点方針2022でも、初めて男性の家庭・地域社会における活躍の促進が取り上げられ、男性が家庭や地域社会で活躍できない背景とその処方箋に言及し、重点方針として家庭や地域社会における男性の孤独・孤立対策を示しています。 家族の形が変化・多様化する状況の中で家庭や介護等に係る悩みも増えてきており、男性が様々な悩みを相談できる窓口の整備が進んでいないことから、相談体制の整備、また、民間における男性相談の取組との連携を掲げています。私はかねてより、社会構造の変化や人間関係の希薄化等により、複数の課題を抱えながらも自ら声を上げられず、適切な支援につながらないことで課題が深刻化することを危惧しており、本市においても、男性の孤独・孤立についても更なる対策を講じる必要があると考えます。京都市では、9月に孤独・孤立に関する課題に取り組む関係機関・団体が複雑・複合化した課題を抱える方への重層的な支援を構築するため、連携協定を結ばれました。全国で79しかない男性相談を実施しているウィングス京都が本協定に参画されていることで、男性の孤独・孤立への支援の視点が盛り込まれることを期待しています。京都市基本計画にある人間らしくいきいきと働き、家庭・地域で心豊かに生活できる真のワーク・ライフ・バランスを実現するまち・京都を実現するとの理念に基づき、望まない孤独・孤立にある男性の声なき声をすくい上げ、その当事者に寄り添い支援する仕組みを今以上に整え、地域とのつながりや活躍の場を創っていくこと求めます。これは私たち公明党の一人の幸福実現が持続可能な社会を構築していくとの考え方に相通ずるものです。男性が望まぬ孤独・孤立に陥ることなく、希望ある社会生活を送るための支援の構築にどう取り組まれるのかお尋ねします。 次に、働きづらさを抱えた方が生きがいを持って安心して働ける就労支援の充実について質問いたします。我が国の障害者雇用は、法定雇用率制度により雇用促進が図られていることから、年々増加しており今後も増加が見込まれています。障害者雇用が促進される一方で、近年大人になってから発達障害の特性に気付く方や精神障害にり患する方が増えていること、若者の無業者の増加やひきこもり等、働きづらさを抱えた方の就労や職場への定着が課題となっています。私の下にも、親御さんから子供が社会人になってコミュニケーションがうまく取れないことから、仕事が定着せずに困っているというお話や、心の病気にかかられた方から、社会復帰をどう進めていけばいいかといった御相談を受けています。子供の頃から障害福祉施策を利用したり、支援機関とのつながりがあるわけではないことから、どこへ相談してよいのか分からないとの声も聴いています。障害のある方への就労支援については、京都市でも様々な施策を実施されており、また、労働局や京都府も含めてそれぞれに相談窓口を設置されています。 京都市が障害のある方の就労支援や職場での定着支援のために設置している京都市障害者職場定着支援等推進センターによりますと、本人の長所や特性と合わない職種や業種への就職活動や就労をされている方からの相談が多いことから、特性と仕事のミスマッチが起こり、定着につながりにくい実態があるということでした。大人になってから発達障害があるのではないかと本人や御家族が悩まれたり、心配されたときや、精神疾患にかかるなど様々な理由から働きづらさを抱えた方がどこへ相談したらよいのか、どのような支援が受けられるのかという情報が、それらの方たちにしっかりと届くことが重要です。就労は単にお金を得るためだけでなく、社会とのつながりや自立、生きがいを持つという大切な意義があります。また、障害の有無にかかわらず、誰もが生きがいをもって安心して働けること、いわゆるディーセントワークの実現は、誰一人取り残さないSDGsの推進に資するものです。私は、今京都市には、働きづらさを抱えた方が就職活動で困難に直面した場合の分かりやすい相談窓口の情報発信や支援の仕組みを充実させることが求められていると考えます。この働きづらさを抱えた方の就職活動への適切な支援体制の構築をどう進めていきますか。市長のお考えをお聞かせください。 次に、子育て環境日本一を目指した京都市版母子健康手帳の改訂についてお聞きします。母子健康手帳は、妊娠、出産及び育児に関する健康記録であるとともに、育児の指導書として戦後間もない1948年に誕生しました。これまで社会情勢の変化や保健・医療や福祉の制度の変化に伴って改訂が重ねられ、今回約10年ぶりにリニューアルされるに当たって、私自身の体験や子育て世代の方々の様々なお声を踏まえ、母子健康手帳の改訂を提案させていただきます。手帳が作られた当初は、妊娠・出産で命を落とす方が多かったことから、母子の命を守ることが課題でした。今はそのようなことが少なくなり、それに変わって多胎児や低出生体重児、障害がある子供やひとり親、外国人家庭等多様な家族形態や父親の育児の推進といった内容を充実する必要があります。 まず一つには、ゆっくり成長する子供を育てる保護者に寄り添うため、京都府で作成中のリトルベビー
ハンドブックについて、京都市においても活用をしていただき、丁寧な配布と相談等を進めていただくことを要望します。あわせて、ダウン症の子供さんを育てておられる保護者から、子供の成長に合わせて記入ができる手帳の発行を望む声をお聴きしています。このように、子育てに不安を抱える保護者の支えになり、子育てが楽しみになるような中身や情報の充実をしていただくようお願いいたします。 また、多様な情報提供の方法として、例えばQRコードやURLなどをより一層使って、映像や音声につなぐことで情報が伝わりやすくするなどしてはどうでしょうか。手帳の名称についても、父親や多様な家族形態が活用できるよう「親子手帳」「はぐくみ手帳」等の名称を併記するなどを検討していただきたいと思います。手帳の電子化も必須です。電子化することで子供の健康情報を継続的に共有、活用できることから、転居等において引き継ぎがしやすいことや、紛失してもデータが復元できるようになります。また、予防接種の管理、プッシュ型での情報提供や受診・相談の勧奨などの機能を持たすこともできるなどのメリットがあります。国の電子化に合わせて積極的に進めていただくとともに、民間アプリの活用についても検討をお願いします。 母子健康手帳をお渡しする区役所の子どもはぐくみ室の窓口は、保護者へのファーストタッチの機会となります。子育てを応援するというメッセージを込めて保健師さんから丁寧にお渡しいただくこともよいのではないでしょうか。以上、様々に提案をいたしましたが、子供と子育てに関わる全ての方を社会全体で包摂していきますとの本市の優しく温かなメッセージが伝わるような今回の母子健康手帳の改訂としていただきたい。お考えをお聞かせください。 最後に、生徒の個性や創造性を育む校則等の見直し等についてお伺いいたします。学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて校則の見直しの必要性が取り沙汰されています。先日、本市の市立学校においても、服装や髪どめに関する規定など学校によって違いはあるものの規制する学校が多くあり、校則として明記することがふさわしいかが問われるとの報道もされました。 このほか、人権問題にも及ぶいわゆるブラック校則をはじめ新たな課題や社会変化に学校が的確に対応するため、国において生徒指導提要の改訂に関する協力者会議を立ち上げ、約12年ぶりの改訂に向け議論がされており、文科省は、生徒が校則を自分ごととして捉えることができる仕組みや、校則のウェブ等での公開を通した見える化を推進しています。このことにより、学校の内外で興味関心が高まり、生徒達の中から校則を見直したいという動きも出てきています。子供たちによる校則を見直すという自主的な行動は、教育的に大きな効果をもたらすことが期待できます。校則の見直し等については、教育は子供の幸福のためのものであるという原点に立ち返り、子供の個性や創造性を育み、主体性を尊重する学校教育の一貫として進めていただきたいと考えます。 私は、塔南高校を洛陽工業高校跡地に移転・再編する開建高校の開校に当たって、校則や制服などを決める際に子供たちの意見を聞いていただくことを要望しました。そのことが実現し、開建高等学校の開校に当たり、生徒が自ら主役となって自分たちの学校を創っていくことを掲げ、校章や校歌を創るワークショップを企業や専門家と連携して実施されています。また、現在の制服を一定期間自由服とし、改めて制服の意義や学校での服装の在り方を考える自由服Weekという取組を実施するなど、服装をはじめ校則の在り方を生徒が真剣に考えていると聞いております。このように市立高校では様々なルールを自分ごととして考えることができる仕組みづくりが行われています。正しくこういった姿が、校則改訂の議論や学習指導要領で求めるキャリア教育、学びと自己の将来とのつながりを意識しながら、社会的自立に向けた資質・能力を身に着けていくことではないでしょうか。このような取組をはじめ、今後は校則や制服等の見直しや新設については、子供たちの自主性を重んじ、生徒の要望に応じた取組を広げるべきと考えます。今回の生徒指導提要が改定されるに当たって、校則等の見直しについてどのようにお考えかお聞かせください。 公明党は
子育て応援トータルプランの策定を進めており、年内にもお示しする予定です。私たち公明党市会議員団は、これからも子供の幸せを最優先に、子供の権利を主体として、誰もが安心して子供を産み育てられる社会、教育を受けられる社会、そして未来を生きる子供たちに真に平和な社会の実現に一層取り組むことをお誓いして、私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) かわしま優子議員の御質問にお答えします。 物価高騰についてでございます。行財政改革を先送りすることなく断行しつつも、物価高騰から市民生活を守るためには、かわしま議員御指摘のとおり、国・府との連携が重要と考えております。そのため本市ではこれまでから行財政改革を先送りすることなく、改革に取り組みながらも厳しい財政状況の中にあっても国の交付金も最大限に活用し、民間団体とのネットワークをいかし、生活支援や売上高が減少する中小企業等への幅広い支援など市民生活の状況を踏まえ、きめ細かい取組を実施してまいりました。さらに、今般政府におきましてまとめられたエネルギー・食糧費価格等の物価高騰への追加対策に呼応するため、本市におきましても、まずは9月30日に御議決いただきました非課税世帯等への5万円の給付金に係る補正予算につきまして、今後適切かつ迅速に給付を進めてまいります。また、地方創生交付金の本市への追加交付額は26.4億円と示されております。このうち10億円は既に6月補正予算において先行活用し、食糧費や原油価格高騰の影響を受ける生活者・事業者の支援などにスピード感を持って取り組んでいるところでございます。残る16.4億円につきましても、市民生活・経済活動の実情に即した効果的な支援策となるよう、国や京都府の取組なども踏まえながら活用方法の検討を進めております。物価高騰から市民生活を守るために、市民・事業者の皆様のお声をしっかりと受け止め、必要な支援を必要なところへ確実にお届けできるよう取り組んでまいります。 次に、就労支援の充実についてでございます。かわしま議員御指摘のとおり、大人になって発達障害に気付くなど働きづらさを抱えた方への就労支援は御本人はもちろんのこと、多様な担い手をいかす企業のダイバーシティの推進、ひいては社会全体の発展にとっても大変重要であると認識いたしております。就労支援に当たりましては、障害特性を見極め、御本人の自己理解の下に特性に合った支援を行う必要があり、京都市発達障害者支援センターかがやきにおいて、障害特性の評価を行い、関係機関と連携して特性に合った就労ができるよう支援をしております。また、京都市、京都府、企業、福祉、教育等の35団体が連携してオール京都で取り組む京都市障害者就労支援推進会議を設置し、相談窓口や支援機関の情報発信を行うとともに、障害者雇用企業と発達障害のある学生が相互に理解を深めるオンライン個別意見交換会を開催するなど雇用につながるきっかけづくりにも取り組んでおります。 今後、働きづらさを抱えた方に就労支援の情報がしっかりと届くように、新たにSNSの活用や大学のキャリアセンターへの働き掛けなど学生や若者への情報発信を強化するとともに、企業等に対しましても発達障害への理解を深め、働きやすい環境を整えていただくための普及啓発に取り組んでまいります。今後とも就労支援推進会議において支援の在り方について意見交換を密に行うなど関係団体と一層の連携強化を図り、障害の有無にかかわらず、誰もが生きがいを持って安心して働ける社会をオール京都で築いてまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 私から2点お答えをいたします。 男性の孤独・孤立への取組についてでございます。長引くコロナ禍など不安定な社会情勢の中で孤独・孤立問題の深刻化が懸念されています。本市が令和3年度に実施した支援団体への実態調査では、身近に相談できる人や場所がないこと、相談先が分からないことが孤独・孤立状態が解決しない要因の一つとして挙がっています。これらの対応に向け、様々な課題に対して取り組む関係団体などの横のつながりを一層強化するため、本年9月にウィングス京都を含む119団体との間で連携協定を締結し、困りごとを抱えた方を早期に把握し複合的課題にも対応するための取組を開始したところであります。ウィングス京都では、男性のための相談窓口として面接相談を平成18年度から実施しており、生き方や人間関係、職場のことなど日常生活の中で男性が直面する様々な悩みに対応してきております。一方で、男性は悩みを一人で抱え、相談しない傾向にあるとされていることから、より相談しやすくなるようSNSで発信するなど相談窓口の更なる周知を進めてまいります。今後とも誰もが人間らしく生き生きと働き、家庭、地域で心豊かに生活できる真のワーク・ライフ・バランスを推進することで、孤独・孤立を防止するとともに、様々な関係団体との横のつながりを強化し、困りごとを抱える方が支援につながりやすい環境整備に努めてまいります。 次に、京都市版母子健康手帳の改訂についてでございます。現在国においては、おおむね10年ごとに行われる母子健康手帳の見直しが進められています。見直しの中間報告では、令和5年度以降、任意様式の電子化やマイナンバーを活用したデジタル化に向け環境整備を進めていくこと、母子健康手帳という現在の名称は維持しつつ異なる名称を併記できること、多胎児、低出生体重児、外国人家庭など多様性に配慮した情報提供の充実を図ることなどが示されております。本市としても、電子化など多様な情報提供への対応や必要な情報を入手しやすい母子健康手帳となるよう知恵を絞ってまいります。また、低出生体重児や障害のある子供など多様な御家庭への配慮の視点の必要性については本市も認識しているところであり、母子健康手帳の別冊として京都府が作成を進めているリトルベビー
ハンドブックを活用するなど、かわしま議員から頂いた御意見も踏まえながら取り組んでまいります。母子健康手帳の交付や妊婦と初めて関わることができる重要な機会であり、保健師が全ての妊婦と面接を行い、妊娠、出産、育児に関する悩みや不安などへの支援を行っています。引き続き、一人一人に寄り添いながら、子供と子育てに関わる方を社会全体が応援していると感じていただけるよう丁寧な支援を重ねてまいります。以上でございます。
○副議長(吉田孝雄) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 校則等の見直しについてでございます。児童生徒が社会の中で自分らしく生きるために、自発的・主体的に成長発達する過程を支えるための生徒指導の重要性を踏まえた生徒指導提要の改訂が国において進められてまいりました。この提要では児童生徒が深い自己理解に基づき、主体的に自己の目標を決定し、その達成のため自ら実行する力、すなわち自己指導能力を獲得することを目指しており、本市としても重要な視点であると認識しております。こうした中、かわしま優子議員御指摘のとおり、児童生徒が校則や制服等の見直しに主体的に関わり自らの力で考えることは、児童生徒が集団や社会の形成者として望ましい態度や行動の在り方を学ぶために大変大きな教育的効果があり、民主主義社会の担い手となるための主権者教育の実践にもつながる重要な取組であります。本市ではこの間、性別を限定する必要のない男女表記や髪の毛の色等について人権に一層配慮した内容となるよう、各学校が主体性を発揮しつつ校則の見直しを進めてまいりましたが、今年度は提要改訂の趣旨も踏まえ、生徒会での主体的な議論や生徒と教職員による意見交換を進めるとともに、開かれた学校づくりの一環として、
学校運営協議会をはじめ地域・保護者にも議論に参画いただく取組を進めているところであり、ホームページへの校則の掲載も進みつつあります。今後とも、児童生徒が自分ごととして校則の意味を考え理解するなど参画する意識の醸成に努め、社会的自立に向けた子供たちの成長を支援する学校づくりに努めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(吉田孝雄) 暫時休憩いたします。 〔午前11時38分休憩〕 〔午後1時1分再開〕
○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について、
こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔
こうち大輔議員登壇(拍手)〕
◆(
こうち大輔議員) 右京区選出のこうち大輔です。
江村理紗議員、
久保田正紀議員、
神谷修平議員と共に会派を代表し、質問いたします。 質問に入る前に一言申し上げます。去る8月5日、地域政党京都党市会議員団及び日本維新の会京都市会議員団は、共に新会派地域政党京都党・日本維新の会市会議員団を結成いたしました。京都市会では、長年変わらぬ議会構図により、結果として行政の適切な緊張感を失わせ、財政破綻寸前という事態にまで陥ってしまったと我々は考えております。こうした構図を打破し、本来あるべき議会のチェック機能の再構築を目指し、是々非々で対峙する新しい勢力を確固たるものとすべく、今回の新会派結成に至りました。議員自らの襟を正すことはもとより、徹底した役所改革による無駄のない持続可能な財政運営の実現や子育て世代・現役世代への重点的な投資の実現など所属議員がより力を結集し、京都市政の改革・発展のためにまい進してまいる所存です。今後とも御指導、御べんたつのほどよろしくお願い申し上げます。 それでは、質問に移らせていただきます。 初めに、令和3年度決算について質問いたします。まず、今決算において前年度比80億円の特別の財源対策の圧縮や
行財政改革計画設定以上の
公債償還基金残高、また、将来負担比率のなど数字上の改善が見られたことは、これまで財政改革の必要性を一貫して訴えてきたことが前進し、結果的には一定評価できます。また、ふるさと納税寄付金の歳入増の取組などについても同様であります。しかしながら、例えば令和3年度決算のポイントとして、令和6年度の
公債償還基金の枯渇の危機は回避したと堂々とされておりますが、昨年度の国からの地方交付税等の上振れやコロナ禍でも業種によっての堅調さなどの特殊事情による税収増があったことがその主な理由であり、実態は85億円の赤字であります。令和2年度の赤字額は170億円でありましたので、かなりの改善と見えますが、コロナ禍以前の赤字額は80億円であり、コロナ禍以前の水準に戻っただけとも言えます。これまで再三にわたり指摘してきたように、長年続く100億円規模の実質赤字の本質的な問題解決はしておらず、改革の実施が本格的になる令和4年度決算がどうなるかが、より重要なポイントであると考えます。 さらに、圧縮されたとはいえ
公債償還基金からの取崩し50億円、行政改革推進債22億円、調整債17億円の合計89億円に上る特別の財源対策からの脱却に至っていない点や、本来あるべき
公債償還基金残高から505億円を取り崩している状況であること、また、令和4年度予算では取崩し額が561億円と増大していることなど危機的な状況に変わりはありません。我々は、職員の臨時的給与カットが限定的にとどまったことに代表されるように、危機感の薄さや現在の財政改革のスピードについて課題があると考えていますが、今後、特に歳出削減についての更なる取組について、どの点に注力する必要があると考えているか、また、昨年の国からの地方財政対策等により、
一般財源収入が一時的に増加した分の多くを借金返済に回されましたが、今後市民への財政出動や行政サービスの維持・向上とのバランスについてどのように考えておられるか、市長の考えをお示しください。また、これまではコロナの影響で不明確な点がありましたが、特別の財源対策からの脱却時期を明示すべきと考えます。脱却時期をいつに定めているのか、その見通しは立ったのか、門川市長の考えをお答えください。我々は、単に京都市の過去と現在の比較によってよしあしを判断せず、また、改善された結果について単に否定はしません。他都市との比較や将来的な判断、何より市民の感覚を最も重要視し今後も提言してまいります。 次に、学校のプール授業について質問いたします。日本の学校に本格的にプール授業が採用されるようになったのは今から60年以上前、昭和30年代に子供の水難事故が相次いだことで広まったとされ、当時の文部省が学習指導要領の中に、全国の小中学校に対してプールの設置と水泳授業の取組を明記されて現在に至っています。京都市においても、ほぼ市内全学校においてプール施設が設置されています。現在京都市では、学校のプール授業について国の学習指導要領で定められている体育・保健体育の授業時数の中で、小学校では、90時間から105時間のうち12時間、中学校では、105時間のうち1・2学年では10時間、3学年では8時間がダンスや器械運動などからの選択授業となっており、高等学校でも体育は必修科目となっていますが、プール授業は選択種目の一つとなっています。また、それぞれの授業時数は、学習指導要領の水泳の目標に沿って京都市独自で決めており、全国的な平均時数と言えます。ここ2年間ほどはコロナ禍での対応もあり、中止になるケースもありましたが、これまで一般的に6月中旬から9月の間、ほとんどが自校での屋外プールを使っての教員による授業が行われてきました。しかし、今全国的にも学校のプール授業が大きく変わりつつあり、京都市においても今後について見直す時期に来ているのではないかと考えます。具体的には、外部の民間スポーツクラブでの屋内プールを使ったインストラクターによる授業への切替えや1校1プールの体制見直しなどで、既に実施している他の自治体もあります。その理由を大きく三つ述べます。 第1に、生徒へのより効果的な指導と学習成果の向上です。先ほど申しましたように、小学校では年間12時間、中学校では年間10時間と限られた授業時間であり、また、例えば小学校では授業を行う担任の多くは、体育や水泳指導を専門としていません。水泳のプロが指導に加わることで、生徒と教員の双方にメリットが期待できます。 第2に、学校プール施設の維持・改修費などのコスト削減です。京都市においても、今後老朽化するほぼ全ての学校にあるプール施設の維持・改修費には多額の費用が見込まれます。既存プールの耐震補強やプールサイドの全面改修を実施すれば、1校当たり7,000万円から8,000万円掛かる見込みと京都市教育委員会からはお聞きしています。京都市の小学校数は150校、中学校数は64校、また、義務教育学校は8校あることから、既に改修を実施している施設もあるとはいえ、更なる老朽化を考えると多額の費用が見込まれることに違いはないと考えます。東京都葛飾区教育委員会の例では、民間等のプールを活用すると、1校当たりのプール授業に掛かるコストを1年平均約260万円抑えられるという試算を出しています。 第3に、教員の負担軽減です。プール授業があることによるプール管理や、プール授業ならではの授業中の安全面での気遣い。また、近年の熱中症のおそれがある猛暑日の増加や紫外線による健康リスクへの配慮など教員の負担は少なくはないと考えます。さらに、授業日が中止になることなどによる授業計画の変更なども考えられます。これらのことから、今後京都市においても、生徒・保護者・教員への聞き取り調査を実施しつつ、外部の民間スポーツクラブや公営屋内プールや学校でのインストラクターによる授業への切替えのモデル実施の検討、学校改修や統合時などにおいて、1校1プール体制の見直しを全市統一ではなくとも地域によって柔軟に考えていくことを提案しますが、いかにお考えかお答えください。 次に、避難所である学校体育館の冷房空調設備整備について質問いたします。全国の小中学校施設の冷房空調設備設置状況は、令和2年9月1日現在で、普通教室では92.8パーセント、特別教室では55.5パーセントであり、京都市ではそれを上回る普通教室で100パーセント、特別教室で74.4パーセントの設置率となっており、教室での導入は全国と比べても進んでいると言えます。しかしながら、避難所指定にもされている体育館等については、全国平均で5.3パーセント、京都府平均で3.7パーセント、京都市では2パーセントにとどまっているのが現状で、京都市においても教室での導入に比べると大きく遅れているのが現状です。また付け加えて、断熱率も京都府平均で37.6パーセントとなっています。設置が進まない理由としては、日頃から授業で使用する特別教室の設置率が京都市においても100パーセントに至っていないことや、一般的なもので1台5,000万円前後と言われる設置コストの高さ、また、ランニングコストが高いことや設置に時間が掛かるなどの理由が挙げられます。 これらの理由により体育館への冷房空調設備の導入が進んでいないのが現状ですが、災害発生時において地域の避難所としても利用される既存体育館への冷房空調設備の設置について、大地震災害時はもちろんのこと、近年の台風や豪雨による水災害などの多さや、その時期が6月から10月の出水期であり最も暑い時期に当たること。また、ただでさえ避難所での体調管理の難しさを考えれば、特に平均気温の上昇と熱中症のリスクが高まっている現状を踏まえて現実的に検討していくべきと考えます。検討するに当たり、確かにコストの面ではハードルが高いかもしれません。しかしながら、今後の計画策定と予算確保に努めていくべきと考えますがいかがでしょうか。お答えください。 以上で私からの質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 令和3年度決算及び特別の財源対策についてでございます。本市では、現下の厳しい市民生活、中小企業等の下支え、セーフティネットの維持に国・府と連携して最優先で取り組むとともに、これまで守り続けてきた本市ならではの福祉、教育、子育て支援、安全・安心などの施策の理念をいかしながら、社会経済情勢の変化に対応して持続可能なものとなるよう施策を再構築いたしております。今後とも市民の皆様の命と暮らしを守るために必要な執行体制や行き届いた質の高い教育を行うための教職員の加配等はしっかりと確保しつつ、民間に任せた方が効率的、効果的な業務については委託化等を進め、更なる職員数の削減を図ってまいります。また、社会情勢の変化を踏まえた施設保有量の最適化などサービスの質の向上と行政運営の効率化を図るとともに、市債発行の目標設定による公債費の低減など地域を見据えた歳出削減についても着実に布石を打ってまいります。 さらに、歳出削減だけでなく、歳入面においても民間資金の積極的な獲得、施設の集約化等によって生み出された資産の有効活用はもとより、京都の強み、ポテンシャルを最大にいかした都市の成長戦略の推進により
一般財源収入を増加させ、本市ならではの施策を持続可能なものとしてまいります。こうした取組により今回の決算では
行財政改革計画を大きく上回る収支改善を果たしました。 特別の財源対策の脱却時期についてのお尋ねでございますが、まずは、
集中改革期間の最終年度となる令和5年度当初予算において確かな成果をお示しできるよう、市民の皆様の御理解を得ながら全庁を挙げて改革と都市の成長戦略を進め、特別の財源対策からの早期脱却に向けて全力を傾注してまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 三科危機管理監。 〔三科危機管理監登壇〕
◎危機管理監(三科卓巳) 避難所である学校体育館の冷房空調設備整備についてでございます。地域コミュニティーの中心である学校の体育館は、被災した住民の避難生活の場である避難所として、また水害・土砂災害の切迫した危険から身の安全を確保する緊急避難場所として活用するため、住民自治による運営、避難生活の長期化への対応、要配慮者や男女共同参画の三つの視点から環境向上に取り組んでおります。平成23年の東日本大震災直後から、教育委員会では学校体育館について外断熱やエア搬送ファンによる温度管理、男女別更衣室や多目的トイレ、シャワートイレの整備、太陽光発電・蓄電池の設置による停電時の電源確保など防災機能を強化した整備を進めております。また、上下水道局では、マンホールトイレの整備、行財政局では、停電を想定した非常用発電機の配備やプライバシー確保のための間仕切りテントを備蓄するなど各局役割分担と連携を密に事業を推進しております。 なお、学校体育館への冷房空調設備の整備につきましては、多額の設置工事費や光熱水費に加え、維持管理、機器更新費用など継続的な費用負担も見込まれることから、自主防災会や学校、区役所が協議のうえ、体育館だけではなく必要に応じて空調設備のある教室を活用し、避難者の熱中症防止への対応も行っております。今後とも地域住民の皆様の避難対策の拠点として、学校の防災機能と環境の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 学校のプール授業についてでございます。本市では児童生徒に水泳の楽しさや喜びを体験させ、水泳の技能や水中での安全に対する意識を身に着けさせるため、教員指導の下、児童生徒の一人一人の実態に即したきめ細かな水泳学習に取り組んでいるところです。また、プールは児童生徒の学習の場としてだけでなく、火災時の消火用水や大地震等で学校が避難施設となった場合のトイレ等の生活用水として重要な役割を果たしています。本市の学校プールは、児童生徒の増加に伴う学校急増期の昭和40年代から50年代に建築されたものを老朽化対策が課題となる中、この間老朽化が顕著となる前の予防保全や改築ではなく既存の躯体もいかしたリニューアル整備等により、コスト削減にも努めながら必要な修繕等を行ってまいりました。こうした中、議員御提案の民間施設を活用した水泳指導の事業者への委託については、時期や天候に左右されず実施でき、学校の負担軽減にもなるというメリットがある一方で、学校から民間施設の移動に時間が掛かることによる他の教育活動への影響や移動の際の安全対策等のために新たな負担が生じることが想定されること、また事業者の廃業リスクがあることや地域保護者の皆様の御理解が必要であるなど整理すべき課題も多いと認識しております。今後とも学校プールを適切に維持、整備しつつ、民間委託も含めた水泳学習の在り方について引き続き研究してまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、
江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔
江村理紗議員登壇(拍手)〕
◆(
江村理紗議員) 右京区選出の江村理紗です。本日は地域政党京都党・日本維新の会市会議員団を代表し、
こうち大輔議員、
久保田正紀議員、
神谷修平議員と共に市政一般について質問いたします。 まず冒頭に、私ごとではございますが、本年1月に第一子を出産し、1月から3月にかけてお休みをいただきました。議員の皆様、市会事務局の皆様をはじめ御理解をいただきました皆様に心より感謝申し上げます。 それでは質問に入らせていただきます。 まずは、人口政策及び子育て世代に優しいまちの実現について伺います。令和3年度、京都市の人口は前年度より約1万2,000人も減り、全国の市区町村の中で最も人口が減少した都市であったことが分かり衝撃が走りました。都市としての適正人口を導き出すのは容易でないものの、京都市では納税義務者として市の税収を支えていただいているほとんどの世代で他都市への流出が目立ち、人口減となっております。(パネルを示す)それにより人口に占める納税義務者の割合は、こちらの表でお示ししておりますとおり、令和3年度では43.5パーセントとワースト1位となっており、3年連続で政令市で最も低く、令和3年度決算でも政令市の平均よりマイナス4.4ポイントとなっております。そして、本市人口換算では納税義務者が約6.3万人少ない状況にあります。仮に、この6.3万人が本市の納税義務者一人当たりの個人市民税を納めてもらっていたならば、京都市の令和3年度個人市民税収入は約116億円増えていたことになります。
行財政改革計画では、個人市民税の納税義務者を令和15年度までに4万人増加すると掲げておりますが、これは本市人口の約2.7パーセントに過ぎません。過去10年間を振り返ると、本市では2.9パーセント、政令市平均では4.2パーセントと国全体で高齢化が進む中でも着実に上昇してきています。そして、日本全体の高齢化率が過去10年より今後10年の方が緩やかになる予測も含めると、これまでの実績よりも更に低い目標値となっているのではないでしょうか。 本市は、財政難に陥った理由の一つに、大学生層や高齢者層の割合が多く、構造的な課題を抱えているとしています。しかし大学生が多いことはむしろ京都の強みであり、人材輩出都市として若者に人気業種の企業を呼び込めば市内就職はもっと増加させられます。本市はやり方次第で納税義務者の割合を政令市平均以上にできるポテンシャルを十分に秘めている都市です。強みの部分をいかし、市民サービスの見直しでしわ寄せを生じることは最小限に抑え、市民の皆様がのびのびと活躍して稼げるまち京都を目指していくべきだと思います。残念ながら、本市の現在の
行財政改革計画の目標ではその意思が非常に弱いと感じます。税収入の大きな要素である個人市民税の納税義務者の目標数値を少なくとも令和15年度にはそのときの政令市平均、あるいは平均以上とする目標の再設定が必要ではないでしょうか。この目標値の設定根拠も含めお聞かせください。 また、私たちが感じているのは、子育て世代が京都で定住していきたくとも生活が容易でないというものです。実際に、令和2年8月以降、京都市の財政難があらわになったことに対して、30代、40代の子育て世代から、それだったらもう京都出るわという悲痛な声を耳にすることは一度や二度ではありません。その言葉が物語っているかのように、令和3年度に子育て世代である30代、40代及びその子供たちに当たる9歳未満の子供たちの流出が際立っています。門川市長は子育て環境日本一を掲げており、待機児童対策や手厚い保育士配置などはあります。しかし、市民の皆様の声に耳を傾けておりますと、宇治川を越えたらこども医療費はただというお声も出るなど、その多くが本市を日本一との実感をいただけてはおりません。門川市長は具体的指標として、何をもって子育て環境日本一をうたっておられるのかお示しください。また、このスローガンと市民の皆様の実感とのかい離において、どのように向き合っていかれるのかについてもお答えください。子育て政策におけるより具体的な提案は、後ほど私たち議員団の
神谷修平議員より質問いたします。 続いて、教育分野について御提案いたします。日本では新型コロナウイルスの第7波もあったところで、まだ収束とは言えない状況ですが、入国規制緩和に伴い世界各国の動きは徐々に取り戻しを見せ、欧米を中心にアフターコロナの雰囲気が漂ってきております。それと同時に、同じくして現在にわかに動きが活発化しているのが海外の名門校による日本進出です。今年8月に日本初の英国式全寮制スクールとしてハロウインターナショナル安比ジャパンが岩手県で開校しました。今回こちらの学校へ連絡をしましたところ、写真の利用を御快諾いただけましたので、イメージとしてパネルで表示しながらお話しをしたいと思います。(パネルを示す)こちらのハロウインターナショナル安比ジャパンをはじめ、現在日本では、東京や千葉などに相次いで英国のボーディングスクール、いわゆる全寮制の名門校が開校しています。この中には世界大学ランキングで1位、2位を争うオックスフォード大学やケンブリッジ大学などへの進学者も多いイギリスの私立最高峰と言われるザナインも含まれます。既に中国や香港などアジア圏では広がりを見せていたもので、ついに日本にも上陸してきました。国際的に通用する大学入学資格である国際バカロレアや、同様に世界の大学が承認するケンブリッジ国際の認定校もあります。京都府内では国際バカロレアの認定校が4校ありますが、うち1校は定員割れにより残念ながら廃校の予定です。とはいえニーズがないものではなく、今回新たに進出する英国の名門校では、世界の名だたる指導者や著名人を輩出した学校のカリキュラムを日本にいながら受けることができ、なおかつあらゆる業界でリーダーになっていく人を生み出す環境であるため、グローバル化に伴い、国際的な人材を育てたいという御家庭を中心に大変注目を集めています。本市ではLINE京都オフィスが開設した際、採用に対し募集枠をはるかに上回る1,000人の応募があり、その8割が海外からであったことは有名です。今後大学のまちである日本有数の人材輩出都市・京都が名だたる企業の誘致を目指す上でも、海外から訪れたビジネスパーソンの子供たちが学べる学校を備えておくことも京都のまち全体の活性化にもつながります。企業も個人も国内にとどまらず世界を視野に活躍が広がる中で、この京都から国際人材を育成する環境をいち早く着手していくべきです。子育て世代の市民の皆様に国際的な人材育成のための新たな選択肢を提供できると同時に、国内外へのより魅力的な教育環境のアピールにも大いに寄与します。以上の点から、教育分野でまちおこしにつながる名門インターナショナルスクールの誘致を是非御検討いただきたいと思いますが、市長の御見解をお示しください。 次に、アルバイトを入口とした伝統工芸の担い手創出についてお伺いいたします。伝統産業の担い手不足と後継者不足はかねてより本市の懸案事項となっております。先日もある工場から、うちの仕事を江村さんの知り合いの学生さんにアルバイトとして手伝ってもらえませんかという御相談を受けました。状況を伺うと、御家族で仕事をこなしていたものの、けがなどが続き2名が作業に従事できず困っているとのことでした。何とかお力になりたいと知り合いの学生にも声を掛け、日本の伝統的な土壁建築には欠かせない土壁や柱のやせが生じても隙間を開きにくくするひげこという建材づくりに携わりました。(パネルを示す)こちらのパネルで表示しているのがそのイメージです。当初は、わらを釘に結び付ける際の力の入れ具合が分からず、何度も失敗し、また指先の皮がめくれるなど苦戦したものの、コツをつかむと次第に作業もはかどっていきました。そして、材料さえ持ち帰れば内職として空き時間にも取り掛かれる利点もあり、私を含む13名が取り組んでみました。中にはかなり手先が器用で製作にのめり込むメンバーや、伝統工芸の仕事もいいなと関心を持つメンバーもおり、私自身も同じようにその魅力を感じました。検品は厳しく、さすが伝統工芸という緊張感がありましたが、大学生もお金を頂いた際には、ものづくりならではの達成感や伝統工芸に携わったという優越感もあったようで、一同よい経験をさせてもらいました。 それと同時に、伝統産業の職場は高齢化及び少人数で運営しているところも多く、思わぬ人手不足にも同世代の人づてに頼り、新たな担い手として期待できる若者との接点を築けにくい現状も伺っております。次世代の担い手との接点が少ない伝統工芸分野と大学生や主婦層のアルバイトによるマッチングすることはいかがでしょうか。人手不足の現場が助かるだけでなく、アルバイトという形をとることで、これまで関心を向けることが難しかった層に伝統工芸に触れる新たな間口が広がり、担い手創出も期待できます。本市としてこういった活路を見い出す手助けを是非いただきたいと思います。この点において市長の御見解をお示しください。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 子育て支援についてでございます。本市では、子育て支援を市政の重点施策として取り組んでおり、障害児、医療的ケア児の受入れ支援を充実させる中、保育所や学童クラブの国基準による待機児童ゼロを継続して達成するなど利用しやすい環境を築いてきております。また、国基準を大きく上回る本市独自の保育士加配、処遇改善の実施により手厚い保育体制で保育を行うなど保育の質を確保し、質・量ともに充実した施策を実施しております。さらに、保育料につきましても令和5年度も据え置くこととし、本市独自の軽減措置を継続いたします。学校教育においては、本市独自の教職員の加配や中学校3年生の30人学級を実施するとともに教育環境の充実に努め、全国学力・学習状況調査において、小学校は2年連続で政令市1位になるなど小中学校とも高い学力水準となる成果にもつながっております。これらの取組と合わせまして、全ての小中学校、支援学校に
学校運営協議会を設置し学校・保護者・地域が連携して開かれた学校づくり等により、例えば茶道や生け花を学ぶなど子供たちの学びと育ちが地域ぐるみ、市民ぐるみで行われており、
京都ならではの子育てしやすいまちづくりを進めているところでございます。引き続き、企業や地域の皆様と一緒になりまして子育て環境を充実させていくとともに、仕事、住まいという観点から施策を新たに展開し、京都で子育てしたいと実感していただけるまちづくりに一層取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 都市の成長に向けた取組の推進についてでございます。本市の人口に占める納税義務者数の割合が低いのは、大学生や高齢層が多いなど人口構成上の特性も影響しており、納税義務者の目標値は単純な他都市比較ではなく、こうした都市特性や社会変化をも考慮して設定すべきものと考えております。我が国全体の将来推計人口が減少する中で、納税義務者数を増加させるためには社会動態が転入超過を続けること、人口に占める働く人の割合、いわゆる有業率を高めることなどが必要であります。納税義務者数4万人の増加という目標は、例えばですが、社会動態につきましては過去10年の転入超過数平均約2,100人を大きく超える年平均3,000人、有業率につきましても、現況地を超える数値を実現することを前提に設定をしております。したがいまして、納税義務者数4万人の増加という目標は決して低いものではないと認識をしております。目標の実現に向けましては、大学・学生のまちといった本市の都市特性・強みを徹底していかし、思い切った都市計画の見直しと連動した若者・子育て世代の移住・定住促進や企業誘致、また、京都経済を支える地域企業の成長支援など
京都ならではの成長戦略を強い意思を持って全庁を挙げて取り組んでまいります。
○議長(田中明秀) 石田産業・文化融合戦略監。 〔石田産業・文化融合戦略監登壇〕
◎産業・文化融合戦略監(石田洋也) 伝統産業の担い手創出についてでございます。伝統産業の従事者数が年々減少し、職人も高齢化する中、技術・技法の継承には新たな担い手の獲得・育成が喫緊の課題となっております。本市では、これまでから伝統産業の日を中心に年間を通して魅力発信に取り組む中で、体験会や職人による実演を実施するなど誰もが気軽に触れることができる機会を設け、伝統産業への理解を深めていただく取組を進めております。加えて、京もの担い手育成事業では、大学生などの若年層を対象とするインターンシップにおいて未来を担う若手職人が抱える課題の解決に共に取り組むことで、伝統産業の仕事を身近に感じる機会を創出しております。また、福祉分野と連携し、体験会や実習等を通して障害のある方と伝統産業事業者のマッチングを進めております。今後もこうした事業等を通して多くの方々と伝統産業との接点を生み出すとともに、京都市産業技術研究所における伝統産業技術者の育成研修等の実施も合わせ、新たな担い手の創出に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕
◎総合企画局長(下間健之) 国際的な人材の育成とインターナショナルスクールの誘致についてでございます。本市におきましては、外国籍の児童生徒の教育環境を充実させることが、海外から京都を訪れ、働き、生活する方々にとっての魅力ある環境整備につながることから、この間インターナショナルスクールに対して市立学校の跡地を活用するなど積極的な支援に取り組んでまいりました。例えば、京都国際フランス学園については、アクセスに優れ、より多くの教室の確保が可能な元有隣小学校の跡地を移転先として提供することで近年生徒数を大きく増やしてまいりました。また、京都市立小中学校においても、日本語指導が必要な児童生徒への特別の教育課程によるきめ細やかな指導の実施など国際的な人材の育成に資する環境整備を着実に推進しております。 インターナショナルスクールの支援や誘致については、
行財政改革計画においても、都市の成長戦略のチャレンジの一つとして掲げております。費用や場所の確保等の課題、今後の利用ニーズや他都市の事例なども踏まえ、民間企業や大学との連携も含めて検討を行い、広く世界から選ばれる魅力ある教育環境の整備に向け引き続き取り組んでまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、
久保田正紀議員に発言を許します。久保田議員。 〔
久保田正紀議員登壇(拍手)〕
◆(
久保田正紀議員) 伏見区選出の久保田正紀です。地域政党京都党・日本維新の会京都市会議員団を代表して、
こうち大輔議員、
江村理紗議員、
神谷修平議員と共に市政一般について質問させていただきます。 まず冒頭に、会派を代表して、これまで新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、最前線で対応に当たっていただいております医療従事者をはじめとする皆様に心より感謝を申し上げます。また、ロシアによるウクライナ侵攻がいち早く終息しますことを願い、質問に入らせていただきます。 まず初めに、
新型コロナウイルス感染症について質問と要望をさせていただきます。本市において、令和2年1月末に初めて感染が確認されてから2年8か月が経過いたしました。9月26日から全国一律で医療機関から提出される発生届の対象が65歳以上の方など4類型に限定され、保健医療体制の強化・重点化が進められており、本市としても運用変更を行ったところであります。第7波と言われている環境下においては、想定以上の感染者で保健所も対応に追われ、連絡が来ない、支援物資やパルスオキシメーターが届いたのは療養期間が終わってから。さらに、発熱外来に電話がつながらず、検査が受けられない方が続出するなどの声を非常に多く聴いております。この冬にはインフルエンザの流行と同時に、第8波の可能性があるとも考えられる状況下において、運用変更を行うに当たり、本市としてどのような仕組みで、どのような体制で進めていかれるのかをお尋ねいたします。 また、全件把握を国として見直されたことを機に、これまでの保健所での件数把握業務がかなり緩和されます。それはウィズコロナ社会として次のステージに進んだとも言えます。とはいえ、感染すると非常にしんどく、陽性者の方々は基礎疾患がなく、お若い方でも不安になられるお声を多々お聴きしてまいりました。今後も陽性者の方々にしっかり寄り添える京都市であるべきであります。そのためにも、今後更に京都フォローアップセンターの役割が大切であり、それができて初めて安心して京都で暮らし、京都で働き、経済活動及び観光が円滑になされるまちなのではないでしょうか。今後更に即時に対応できるよう、府との連携を含め万全を期すことを求めます。 続いて、ヤングケアラーについて質問いたします。本来であれば、年齢に関係なく病気や障害、高齢などによってケアを必要とする家族のお世話をしている全ての人に必要な支援をすべきですが、とりわけ若い時期については、学業・就職・結婚・出産などを迎える人として生きる上で非常に大事な時期であり、社会全体で過度なケアや家庭内労働によって格差を生じさせない取組が重要であります。私は身体障害を持つ母親との母子家庭で育っています。一人息子だったため、普段母の手伝いをするのは当然のことでした。当時はヤングケアラーという言葉もなく、当たり前の日常でしたが、今更ながら私自身がヤングケアラーだったのだと気付いたところであります。貧しいというだけでいじめにあっても、家に帰ると母親に心配させまいと笑顔で気丈に接していた、そんな自分を思い出します。今、正にそのような子供たちにスポットを当て、必要にあった支援をつなぎ、心のケアをしてあげることが必要であります。本市では、令和3年8月にヤングケアラーに関する実態調査を実施されましたが、その結果、市内の中学生の18人に1人、高校生の28人に1人が家族の世話をしていることが分かりました。さらに、そのうちの6割の生徒が誰にも相談したことがないと答えています。ヤングケアラーの存在を把握する難しさや支援の在り方そのものについて検討されるようになったことは、数年前に比べると大きな進展であったといえます。実際の支援に当たっては、ヤングケアラーの認知度向上だけでなく、ヤングケアラーが求める必要な支援に結び付けること、ヤングケアラーが悩みを打ち明けやすい環境の整備が求められます。そこで3点お尋ねいたします。 一つ目は、LINE相談窓口の創設についてです。ヤングケアラーについての認知度向上については現在京都市でも力を注いでいただいていますが、そのことと並行して、その先の支援体制の整備を早急に行うべきです。ヤングケアラーだと気が付いた本人、あるいは学校現場などで、この生徒はヤングケアラーで必要な支援制度が受けられていないかもしれないと感じたときに、すぐ相談できる窓口が必要です。京都府において、今年の4月に社会福祉士などの専門家を配置した専用窓口を設置したところでありますが、相談できる時間帯が限られていること、LINEといった若い人が取っつきやすいツールでないことなど課題もあり、普及しているとはまだ言えません。他都市でも実施しているLINE相談窓口を創設し、府市協調で行うなど誰もが気軽に、ここにSOS発信すれば負担軽減につながる、あるいは解決の糸口が見つかると思ってもらえる窓口にすることが必要だと考えますがいかがでしょうか。 2点目は、ヤングケアラーに特化した支援体制の構築についてです。窓口がただ話を聞くだけではなく、その先の支援にしっかりと結び付けることが極めて重要です。ヤングケアラーといっても家庭によって環境も、使える制度も違います。例を挙げると、孫が主体となって祖父母を介護しているケース、あるいは兄弟が重度の障害を持っているため、親に代わって一切の家事を手伝っているケースなど、複数の部局をまたぐ対応が求められます。現在も区役所や保健福祉局などでも御対応いただいているところではありますが、ヤングケアラーの対応の旗振り役、分かりやすく言えば、ヤングケアラー課というような名称の庁内や市民に対して責任所在が明確である組織を作るべきです。専門組織にすることで対応に当たる職員の専門性や経験値も積み上げていくことが、複雑かつ多様化する福祉分野での行政サービス向上にもつながると考えられます。いかがでしょうか。お答えください。 さらに、家庭内の負担軽減につながる制度がある場合と、制度がなく手を差し伸べられない場合もあります。神戸市などが実施しているヤングケアラーのいる家庭に対する家事代行などを含むヘルパー派遣事業など、制度のはざまで行き届いていない支援についても導入を検討していく必要があると考えます。あわせてお答えください。 三つ目は、心のケアについてです。人生経験をある程度重ねていれば乗り越えられる悩みであっても、幼さがゆえに一人で抱え込み、更に悪循環になることは避けなければなりません。当事者であった私も、介護でつらかったときに分かってくれる人の存在が欲しかったという思いもありますし、秘密を守って悩みを受け止めてくれる人がいてくれる環境があるだけでも、よりどころになると考えております。京都市ユースサービス協会の実施しているピアサポートをはじめ当事者がお互いの悩みを話すことのできる場所へつなげること、あるいは学校現場に配置されているスクールソーシャルワーカーがその悩みを受け止める役割を果たすなど、既存のものをしっかり活用し、その情報がすぐに届く状態にしておくことが重要だと思いますがいかがでしょうか。お答えください。 続きまして、本市の観光戦略などでのメタバースの活用について質問いたします。これまで本市は、2018年に閉館した情報発信拠点・京都館の新たな情報発信の場として、今年3月に京都市の情報発信空間・京都館PLUS Xをオープンいたしました。バーチャル空間上にモニターやパネルを設置し、伝統工芸や京都市のイベント、観光資源などの京都の魅力を発信、体験できるだけでなく、交流できる場づくりを目指しているところであります。メタバースは、このコロナ禍をきっかけの一つとして注目されてきているところであり、地方自治体でのメタバース活用事例も様々な報告もある状況であります。例えば観光産業において、沖縄県では民間主導の取組であるバーチャルOKINAWAがあります。バーチャルOKINAWAでは、首里城や国際通りといった沖縄を代表する観光スポットが再現されているのはもちろん、様々なイベントなども企画されており、楽しみ方のパターンは様々。特色としては、バーチャルで楽しむだけでなく実際にリアルでも沖縄に訪れたくなるような世界観が広がっていることであり、バーチャルの力を使ってリアルでの観光業の復活にもパワーを与える存在となっております。日本国内でも有数の観光地と知られる沖縄と同様に、本市においても新型コロナウイルスまん延の影響から観光業など多くの産業が大打撃を受けました。メタバースは、リアルでの人の流れが抑制される中でもその影響を受けない唯一の空間であり、アバターを通じてリアルに近い感覚でその地域の魅力に触れることができるため、気軽に気になる地域への旅行を楽しむことができます。バーチャル空間に創られたその地域の観光スポットを見て回ることができたり、イベントを企画してたくさんの人を集めたりと活用方法は様々であります。地域のブランディングにも活用できることから、メタバースはその地域の元気を維持するために欠かせない存在になると考えます。また、行政主導ではなく民間が参画しやすい環境整備を進めることも行政の役割であると考えます。民間と連携して今後の本市において新たな観光の考え方にメタバースの活用を検討していってはいかがでしょうか。また、観光以外にもメタバースの活用は幅広く検討できると考えます。市長のメタバースの本市での活用について御見解をお伺いいたします。 最後に、地元要望として指定避難所について1点要望させていただきます。現在、伏見区の学区単位での指定避難所の受入率を比較すると、藤森学区が1万5,859人の住民に対して避難可能人数が3,681人、避難者受入率23.1パーセントと低い状況になっております。もちろん場所が多くなることで運営に対しての課題も増えていくかと思いますが、藤森学区の住民の皆さんが万が一の際に避難できる環境整備を更に進めていく必要性を感じております。そのうえで、伏見北部地域体育館を新たに指定避難所として選定をして、有事の際の更なる避難者の受入先としていくことを要望させていただきたいと思います。これからも市民の皆様の声に耳を傾け、共に考え、本市の更なる発展に努めていくことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
久保田正紀議員の御質問にお答えします。 ヤングケアラーへの支援についてでございます。家事や家族の世話等は子供の成長によい影響を与える一方で、年齢や成長に見合わない重い責任を負う場合は、子供の成長や教育への影響が懸念されます。本市では、ヤングケアラーを孤独・孤立が背景にある重要な問題として捉え、孤独・孤立対策プロジェクトチームにおいて集中的に検討を進め、昨年度実態調査を実施しました。その結果を踏まえ様々な取組を重層的に展開しております。例えばポスターの掲示やパネル展の実施等普及啓発に取り組んでいるほか、相談支援につきましては、各区役所・支所の保健福祉センター等既存のあらゆる窓口において、学校や京都府ヤングケアラー総合支援センター等との各支援機関と連携を密にしながら対応に注力しているところであります。また、SNSを活用した相談窓口については、教育委員会において府市協調の下に実施している子どもSNS相談@京都2022や今年度中に児童相談所に開設予定の新たな相談窓口等で受け止め、必要な支援につなげていくことといたしております。なお、制度のはざまとなる世帯への支援につきましては、支援ニーズを把握しつつ、国の相談支援体制の在り方についての検討状況も踏まえまして、必要に応じて国へも要望を行ってまいります。また、心のケアにつきましては、全ての学校に配置しているスクールカウンセラーや全中学校区に配置しているスクールソーシャルワーカー、民間団体におけるピアサポート等と連携し、御本人の気持ちに寄り添った支援ができるよう努めているところであり、有識者の御意見も参考にしながら、今後も引き続き効果的な手法を検討し実行してまいります。 ヤングケアラーの支援につきましては、子供自らが声を上げにくく、かつ家庭内のことでありますから、周りも気付きにくいことから、早い段階から子供本人が相談しやすく、周りの大人が気付き支援につながる環境づくりを進めるということが極めて重要であると認識しており、今後の国の動向にも注意しながら、引き続き取組をしっかりと進めてまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 石田産業・文化融合戦略監。 〔石田産業・文化融合戦略監登壇〕
◎産業・文化融合戦略監(石田洋也) メタバースの活用についてでございます。本市では、京都の新たな情報発信拠点・京都館PLUS Xにおいて、インターネット上の仮想空間を活用した情報発信の検証を進めているところでございます。本年4月には、ANA NEO株式会社、ANAホールディングス株式会社及び株式会社トーセとメタバース事業について連携・協力に関する協定を締結し、文化施設等を活用したメタバースによる
京都ならではの体験ができるサービスの開発に協力するなど京都の観光振興にもつながる取組を進めております。また、9月には、株式会社ネイキッドと共に二条城をはじめとした京都の名所等が多数参画するリアルとメタバースの次世代型アートプロジェクトをスタートさせ、バーチャル体験を通して全世界へ京都の魅力を発信し、大きな反響をいただいております。メタバースは、観光分野以外においても文化芸術振興や文化財の保存をはじめ地域経済の活性化や関係人口の創出・拡大、ひいては移住促進など様々な分野での効果が期待できると考えております。これらの効果が最大限得られるよう、引き続き民間事業者、関係団体等との協力関係を築きながら有効な活用方法の検討を進めるとともに、都市の成長戦略にもつなげてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監。 〔安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監登壇〕
◎新型コロナ対策・ワクチン接種統括監(安部康則)
新型コロナウイルス感染症についてでございます。9月26日から全国一律で医療機関から提出される陽性者の発生届が、65歳以上の方や妊婦の方など4類型に限定されましたが、発生届の有無にかかわらず全ての陽性者の方が安心して療養いただける取組が必要です。このため本市では医師会・各医療機関の協力を得て、体調悪化時や様々な療養支援に係る相談先、療養必要期間など分かりやすく記載した重要なお知らせを全ての陽性者の方に配布しております。医療機関から発生届が出される重症化リスクのある方に対しては、引き続き保健所から連絡を差し上げ、健康状態を確認し必要に応じて医療につなげてまいります。医療機関から発生届が出されない方に対しましては、陽性者フォローアップセンターにおいて24時間最大310名の体制を確保し、患者さんの不安に寄り添いながら体調悪化時には適切に医療につなげていくなど様々な相談に的確に対応しているところです。 また、抗原検査キットを使い無料検査所や自己検査で陽性となられた方は、本市に登録いただくことで、体調が不調となった場合の対応や様々な支援内容についてフォローアップセンターを通じて情報提供しております。抗原検査キットは、ウィズコロナの新たな段階に移行していくツールとして更に活用が進んでいくと考えており、陽性となった場合の登録の必要性や支援内容などを引き続き本市ホームページなどで周知することに加え、無料検査所や検査キットを販売する薬局などにおいても、リーフレットを配布するなど周知・啓発を強化してまいります。この冬は第8波やインフルエンザとの同時流行の懸念もございます。今後とも感染拡大の予兆を的確に捉え、先手先手で必要な体制を確保しながら感染防止対策の取組を行ってまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、
神谷修平議員に発言を許します。神谷議員。 〔
神谷修平議員登壇(拍手)〕
◆(
神谷修平議員) 下京区選出の神谷修平です。地域政党京都党・日本維新の会市会議員団を代表して、
こうち大輔議員、
江村理紗議員、
久保田正紀議員に引き続き質問いたします。 私からは、本市の今後の子育て支援についてお聞きいたします。この夏、地元の地蔵盆に顔を出させていただくと、地域の方々からお聞きするのは、昔はもっと子供が多かったのに今は町内に子供がほとんどいないといった切実なお声でした。それもそのはずで、本市の出生数は1万1,070人だった平成27年度から毎年減少し続け、令和3年度の出生数は8,767人と2,300人以上減少しているのです。さらに、本市の人口流出は、年齢別に見てみると、20代、30代のいわゆる若者・子育て世帯の転出者数が特に多い状況です。このまま出生数の減少、子育て世帯の流出が続けば、地域社会の活力の低下や税収減につながり、今後の都市の機能の維持や成長にとって極めてマイナスとなります。 出生数の減少や子育て世帯の流出は、全国の多くの自治体でも重要な課題と捉えられ、他都市では課題解決に向け大きな動きを見せています。有名なのが明石市です。代表的な取組が、高校3年生までの医療費や中学校給食、第2子以降の保育料、子供の遊び場、1歳までのおむつ・ミルクなどの無料化です。これらを含む子育て政策への重点的な取組によって、明石市では2020年の出生率が国の1.33を大きく上回る1.62となり、9年連続で人口が増加、全国から高い関心を集めています。 また、明石市に続き、他の自治体でも積極的な子育て支援に乗り出し始めています。直近では、京都市のお隣の亀岡市でも子育て支援拡充に向けての発表がありました。亀岡市は今年8月に子どもファーストという宣言をされました。具体的な支援策として、18歳までの医療費、第2子以降の保育料、保育施設でのおむつの提供・処理、京都市でいう児童館の2人目以降の無料化などを実施予定です。実際、来月から保育施設での紙おむつの提供・処分の無料化、来年度からは、18歳までの医療費や第2子以降の保育料の無料化を実施する方針です。お分かりのとおり、亀岡市は、明石市と同レベルの子育て支援拡充を目指します。これは京都市にとって大変深刻な事態となったと言えます。なぜなら、明石市で子育て支援の拡充が実施されたとき、お隣の神戸市を中心に周辺の自治体から多くの子育て世帯が明石市へと転出する事態となり、今もその状況は続いているからです。また、今後の動きとして、府内の自治体が亀岡市に追随し、子育て支援の拡充を実施することも十分考えられ、そうなれば、今以上に本市から子育て世帯が流出し、人口減少や少子化に更に拍車が掛かることも予測されます。 さらに言えば、最近の京都市に住むことは、子育てにマイナスと感じるというお話を多く伺います。危機的な財政状況による将来への不安、
行財政改革計画における保育料の値上げの検討、その改革のトップバッターに
学童クラブ事業の料金の見直しを決定したことによって、京都市は子育てサービスから値上げをする、子育て世帯に優しくないというようなイメージを与えてしまったからです。 子育て政策は、そもそも自治体の財政力格差に左右されるべきではなく、本来であれば国が制度設計すべきだという考えも分かります。しかし、京都市の危機的な現状を鑑みれば、実効性のある対策に早期に取り組まなければ状況は悪化し続け、将来的に取返しの付かない大きな損失となります。他の自治体では改革などを進め、何とか財源を確保し、国に頼らない独自の子育て支援拡充の動きが進んでおります。周辺自治体が子育て世帯に向けた施策を拡充する中、本市は具体的な施策を打ち出せておらず、更なる出生数の減少、子育て世帯の流出の可能性が高まっている危機的な状況に対し、市長は現状をどう捉え、今後どのような対策を考えておられるのか御見解をお聞かせください。 子育てに対するマイナスのイメージを払拭していくためにも、また、先行自治体との差を少しでも埋めていくためにも、思い切った子育て支援の拡充が必要だと考えます。京都府が実施した本市に関する分析でもその必要性が分かります。(パネルを示す)こちらは、京都府で作成された地域子育て環境見える化ツールというものです。府内各市町村の子育て環境を定量化し、市町村の間で比較することを可能にしたものであり、地域ごとの強みや課題が一目で分かります。比較項目が20項目ございますが、今回はその中の本市の保育サービスの項目に御注目いただきたいと思います。こちらの赤い丸で囲った部分がその項目でありますが、保育サービスについては量的・多様性と2項目あります。量的・多様性、本市はどちらについても府内の平均を下回っていることをこのグラフは示しております。このような京都府の客観的な分析や子育て世帯のお声、京都市の実情など、様々な観点から子育て支援の拡充は待ったなしに必要なものであると言えます。以下、具体的に本市に取り組んでいただきたいことを子育て世帯の方々からお聴きした御意見を踏まえ、御提案いたします。 まずは、保護者の方々の関心が高い保育料に関してお聞きいたします。本市では
行財政改革計画において保育料の値上げが検討されています。しかし、保育料の値上げは、特にこの財政難の状況下であっても、メスを入れることで子育て世帯の流出、ひいては税収減に大きく響いてしまうため得策ではないと考えます。私たちは保育料の値上げは行うべきではないと訴えてまいりました。今年度は保育料は据置きとなっておりますが、今後も値上げしないと市長に明言をしていただきたいと考えます。いかがでしょうか。お答えをお願いいたします。 次に、子ども医療費支給制度について質問させていただきます。現在、本市では3歳までは1医療機関につき月に200円まで、3歳から中学生までは医療機関の数にかかわらず月に1,500円までが保護者の負担となります。1,500円を超えた場合、超えた部分については申請により払戻しを受けることができます。しかし、この申請手続は必要な書類も多く、その作業が大変で申請を諦めている方もおられ、負担の軽減となっていないケースもお聞きいたします。 一方、府内の他の自治体では、独自に上乗せを行い、現在四つの自治体が無料化、19の自治体で中学生まで1医療機関に付き月に200円となっています。子ども医療費に対する助成の拡充に関しては、京都府と京都市などでつくる子育て支援医療助成制度あり方検討会議が立ち上がり、西脇知事からは、子供の医療費助成を拡充する意向が示されました。しかし、時期などに関しては明言されておらず、すぐに拡充とはなりません。前回、制度が拡充された際も、検討会議の開始から実際に拡充に至るまで一定期間を要しました。先ほども申し上げましたが、本市は子育て世帯の流出が大変深刻な状況であり、早急に支援の拡充が必要です。 そこで市長にお聞きいたします。子ども医療費支援制度について、府で拡充が実施されるまでは本市独自の上乗せをし拡充を図るべきだと考えます。また、その際は、医療費の上限を1か月1医療機関ごとにすることで医療費の払戻しの事務に掛かるコストをなくし、負担に関しては府内の自治体と比較した場合、少なくとも200円程度が妥当と考えますが市長の御見解はいかがでしょうか。お聞かせください。 最後に、使用済み紙おむつの処理についてお尋ねいたします。先日、公立園での使用済み紙おむつの処理について、保護者による持帰りから園での処分となることが決定いたしました。以前からこの使用済み紙おむつの処理について代表質問等で必要性を訴えていた私たちにとっては大変喜ばしいことです。今後は民間園での使用済み紙おむつの処理が課題です。本市で実施される方法として、一定額の補助金を保育園にお渡しし、その範囲内で紙おむつ処分などを含む事業に使用するかどうか園側で選択するというものです。こちらの補助金は老朽化した施設の修繕、備品などの更新の経費などにも使用できることから、園の事情によっては紙おむつの処分費用以外に使用し、結果、園で処分をされないところや保護者負担とされる可能性も考えられます。ちなみに使用済み紙おむつの処理については、保護者や保育士の負担軽減が主な目的ですが、今後は環境問題としても捉えなければなりません。環境省によると、子供用を含む紙おむつのごみの量は今後大きく増加すると推計されています。水分を含んだ使用済み紙おむつは燃えにくく、完全に燃やすためにはコストが一般ごみに比べ余計に掛かります。そのため、国土交通省では、大人用の紙おむつについて洗浄して処理するルールなどを盛り込んだガイドラインを今年度中に策定する予定であり、ごみの減量やリサイクルの促進につなげていく考えです。実際に、ユニ・チャームと協同で紙おむつリサイクルを実施している鹿児島県志布志市では、紙おむつの分別回収が行われており、それまで同市の一般ごみの約2割を占めていた紙おむつがごみから資源に変わりました。紙おむつを施設で回収することでリサイクルへとつなぎやすくなり、今後はこのような副次的な効果も見込めます。ついては市長、布おむつを使用しているなど園の方針で選択されないところはありますが、使用済み紙おむつの処理費用に関しては、別途必要額を園ごとに補助することで、希望される園全てで保護者負担なしで処分されるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 今回提案した内容は、まだまだ一部ではございますが、実際に子育てをされている保護者の方々から頂いた御意見を踏まえ質問いたしました。少子化対策や子育て世帯の定住には、子育て支援だけでなく住宅政策など多くの施策に総合的に取り組むことが必要であるということは十分承知しておりますが、現在の京都市の子育て支援は、正直申し上げて子育て世帯の本当のニーズを捉えた支援が実行されているとは決して言えません。京都の未来のためにも、子育て世帯の方々のお声にしっかりと耳を傾け、京都で子育てすることを選んでよかったと多くの子育てしている方々が実感の持てる施策を行っていただくよう切にお願いいたしまして私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
神谷修平議員の御質問にお答えします。 子育て支援策についてでございます。本市では、子育て支援を市政の重点施策として取り組んでおります。誰一人取り残さないという理念の下に、障害児、医療的ケア児の受入支援を充実させる中で、保育士や学童クラブの待機児童ゼロを継続して達成するなど利用しやすい環境を確保するとともに、国基準を大きく上回る本市独自の保育士加配、処遇改善の実施により、手厚い職員体制の下で保育を行うなど質の向上も大事にして質・量ともに充実した施策を展開いたしております。また、学校教育においては、本市独自で教職員の加配、中学校3年生の30人学級の実現など教育環境の向上を図る取組の結果、学力・学習状況調査において小学校2年連続政令市一番、小中学校とも高い学力水準となる成果にもつながっております。本市の強みであるこうした独自の取組を更に充実させ持続可能なものとするために、行財政改革を進めるとともに妊娠前から子供・若者まで切れ目のない支援を推進し、その魅力をしっかりと的確に発信してまいります。さらに、子育て世帯の定住促進につきましては、仕事、住まいなどに関連する施策を総合的かつ複合的に積み重ねる必要がございます。そのため若い世代の居住環境が創出できるよう、市内の周辺部を中心に景観政策の骨格は堅持しつつスピード感をもって都市計画の見直しを進めるとともに、多様な働き方に対応するオフィス等の立地促進や雇用の場の創出、若者・子育て世帯が魅力を感じられる住宅供給や空き家の活用などを進めてまいります。あらゆる施策を全庁一丸となって取り組んでまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 上田子ども若者はぐくみ局長。 〔上田子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(上田純子) 保育料についてでございます。本市では、これまでから子育てに係る経済的負担の軽減を図るため、厳しい財政状況の中にあっても約15億円の独自財源を投入し、保護者負担を大幅に軽減してきました。具体的には、国基準で8階層とされている所得階層区分の22階層への細分化。国基準では保育短時間と保育標準時間の2区分となっている保育利用時間について30分刻みで七つの区分を設定。同時利用二人目の児童の保育料を国基準では一人目の半額であるところ、それを大きく超えて軽減する子どもはぐくみ応援額の導入。第三子以降の保育料免除。これは保育所等を同時利用しているかを問わず、兄弟が小学生以上であっても3人目以降は無料とするもので、府市協調により対象世帯を国制度より大きく拡充しているものです。また、本年度はコロナ禍における厳しい経済状況下で家計に及ぼす影響などを総合的に勘案し、保育料を据え置いたところでありますが、令和5年度につきましても、本市独自の軽減措置を継続し、保育料を据え置くことといたしました。今後も市民の皆様に安心して子育てをしていただけるようしっかりと取組を進めてまいります。 次に、子ども医療費支給制度についてでございます。子ども医療費の助成については、本来国において全国統一の制度を作り自治体間で助成内容に格差が生じないようにすべきところですが、国による補助制度がない中、本市では京都府と協調の下、社会全体で子育てを支援することで安心して子供を産み育てられるよう、所得制限を設けずに平成5年に制度を創設し、以降これまで8回にわたって拡充してまいりました。令和元年9月からは、3歳以上中学校卒業までの通院時の負担の上限額を1月3,000円から1,500円に拡充しております。また、償還払いについては、郵送での受付や複数月まとめての申請を可能とするなど現状可能な限り利便性の向上を図っております。子ども医療費の助成については、先日の知事と市長との懇談の中でできるだけ早期に更に拡充する方向で検討することを確認し、それを踏まえて、京都府において子育て支援医療助成制度あり方検討会議が設置されました。同会議に本市も参画し、医療関係団体や福祉関係団体なども含めて検討が始まったところです。市会で御決議いただいた真に持続可能な制度とする観点も踏まえ、拡充については府市協調の下、京都府と連携を図りながら検討を行ってまいります。 次に、紙おむつの処理についてでございます。保育園等における使用済み紙おむつの処分経費については、国給付費に含まれていないため、その費用負担は各園で判断するものとされています。本年7月、民間保育園等に対して実態調査をお願いしたところ、紙おむつを使用している園の約6割が園で処分していることや、その平均費用は月額1万円程度であるとの実態が明らかとなったこと等から、公営保育所においても園で処分を行うべく手続を進めております。また、民間保育園等の人件費補助制度の再構築に伴い、今年度から各園の創意工夫や独自性等の発揮に資する取組を支援する保育園連盟の事業に対する補助金として総額約4.1億円の予算を確保しており、1園当たりおおむね150万円を活用していただけます。当該制度は保護者支援、地域支援、安心・安全の観点で、各園が実施する取組に対して物件費補助を行うものであります。議員御指摘の紙おむつの処分経費はもちろん、例えば異なる文化を背景に持つ子供やアレルギーのある子供の受入れに要する経費、AEDの更新経費と幅広い活用が可能となっており、保護者の様々なニーズを踏まえて各園でしっかりと対応していただけるものと考えております。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、
小島信太郎議員に発言を許します。小島議員。 〔
小島信太郎議員登壇(拍手)〕
◆(
小島信太郎議員) 山科区選出の小島信太郎です。民主・市民フォーラム京都市会議員を代表し、
山岸たかゆき議員と共に登壇いたします。先輩議員と前後いたしますが、まず、私から決算全般について質問いたします。 さて、令和3年度決算において重要なポイントは二つだと考えます。一つは、数年以内に基金が枯渇し、さらに数年で財政再生団体へ転落するという本市最大の財政危機は回避することができたということです。昨年8月に策定された
行財政改革計画において、令和7年度に1,000億円の基金確保を目標としてきたところ、1,400億円の基金を確保できる見通しが立っております。
集中改革期間は来年度までですが、既に大幅に目標を上回ることが見込まれ、目の前にあるとされてきた財政破綻の危機は脱したと言えます。他方で、収支改善の要因は人件費の削減など行財政改革の効果もありますが、リーマンショック並みであるとされてきたコロナ禍による税収減が想定よりも小幅であったこと、加えて、国から交付税が想定より多額であったという一時的かつ臨時的な効果が大きいと言わざるを得ません。 そのうえで、もう一つ重要なポイントは、本決算においても実質的な赤字85億円、それを穴埋めするため、計画外の基金取崩し50億円を含む特別な財源対策89億円という本市の財政が抱える根本的・構造的な課題は解決していないということです。言うまでもなく、特別な財源対策の特別とは、本来は許されないが緊急措置としてやむを得ず許されるという意味の特別であり、
公債償還基金という将来の借金を返済するための基金を借金返済以外の用途で取り崩すという財政上なタブーを早急に止めなければなりません。先ほど目の前の危機は脱したと申しましたが、毎年の基金の取崩しが継続している以上、遅かれ早かれいずれはまた基金の枯渇を警戒しなければならない時期が到来します。本決算について目下の重大な財政危機は脱したということを素直に喜びながらも、今後、コロナ禍のような未曽有の災害が再び襲わないとは限らず、市民が安心できる財政基盤を築くためにも、特別な財源対策を脱するべく逃げずに行財政改革に向き合う態度が責任ある市政運営に求められると思いますが、その認識と覚悟はいかがでしょうか。 しかしながら、これまでから改革の必要性については議論があったものの、その着手に手をこまねいていたのは行財政改革の中身、特に歳出削減について市民や事業者の理解を得ることが難しいという認識があったからだといえます。例えば、普段利用する施設の料金が値上がって手放しで喜ぶ市民はおられませんし、自身が対象となる補助金の予算が減ることに全く不満を抱かない事業者もおられません。歳出削減は取り組むべき改革でありながら、歓迎されがたい性質の改革であることは避けがたい事実です。目前の財政破綻という行政と市民のいわば共通の敵が去った今、どのように市民理解を深めるのか、より真摯に向き合わなければなりません。 そのうえで、私はこれまでから、歳出削減により捻出した財源の一部を新たな施策に付け替え、お金の使い道を変える前向きな改革として市民に見える化するべきだと訴えてきました。行財政改革の対象となる施策には、古いものでは昭和20年代、また昭和40年代、50年代から続いてきたものが少なくありません。それらは、その当時の社会課題や国制度の遅れに対応するために本市独自で取り組まれてきた大変意義あるものですが、時代の変遷により、国制度の充実、社会情勢や人口構成など全てが変化する中で、施策本来の意義が薄れたり、持続可能性が危ぶまれることで改革を余儀なくされています。過去の課題解決に向けた施策を見直すのであれば、その予算は、今そして将来、本市が抱える重大な課題解決に資する取組に投じる必要があります。行財政改革に対する市民理解の醸成を目指すうえで、今ある施策が見直されることで窮屈な思いをするだけではなく、未来の京都市に必要な施策に対して投資をするという明るい前向きな改革の指針を明確に市民に提示することが求められると確信しておりますがいかがでしょうか。 では、本市の将来にとって何が重点とすべき課題か。私はひとえに若い世代に選ばれるまちづくりであると考えます。行財政改革にも示されているように、若年層の人口が増えることは、単純な人口増だけではなく将来にわたる現役世代の確保や出生率の上昇など正に地方自治体にとって成長分野でありますが、同時に、それはし烈な競争分野でもあります。本決算では、ふるさと納税の寄付額が過去最高の62億円に上ったとされていますが、ふるさと納税を巡るこれまでの動向に照らし合わせると、若年・子育て層をめぐる他都市との競争の危機意識が分かりやすいように思います。 本市は当初、過度な返礼品競争にはくみしないとの態度をとってきました。この態度については、ふるさと納税の制度としての問題点等を考慮すれば理解ができるものです。実際に行き過ぎた競争については規制を加えられることになりました。しかし、理念はさておき、実際に競争が生まれている状況について、手をこまねいたことにより本市に納められるはずの税が最大10数億円他都市に逃げていきました。その後、議会からの指摘もあり、返礼品を通じて京都の魅力を発信することに一層注力し、決算年度では寄付金控除額を差し引いても10数億円のプラスに転じています。理念として、各自治体が単純に若年層の人口誘導を行うことには問題がありますし、大都市である本市から、一定周辺に人口が分散することはやむを得ませんが、今、正に、自治体間において様々な子育て支援施策を売り出し、我がまちは住みやすい、我がまちは子育てがしやすいと、し烈な若者呼込み合戦が繰り広げられる中、本市が積極的に競争にくみしていかなければ、想定以上に他都市へ若年層が流出することになりかねません。しかも、税の損失は取り返すことができても、一度転居した若者は帰ってくることはありません。もちろん、本市が全国に誇る子育て支援施策は評価をしています。ただ、ふるさと納税の返礼品においても、本市は当初から伝統産業品など価値のあるものを用意していたにもかかわらず、他都市の返礼品と比べられる中で、その価値がなかなか評価されませんでした。これから子育てをする世帯が、他都市と見比べて居住地を選択する要素として何を望むのかを見極め、本市独自の魅力的な子育て支援策に対し予算を付けていかなければなりません。とりわけ、昭和40年代から続いてきた保育所等に対する補助金が大きく見直されたことによる約13億円の予算については、できれば全部、少なくとも一部を子育て支援策に付け替えるべきです。補助金の見直しについては検証が必要ですが、保育所等の経営上、より深刻な問題は、定員の割込みが続出していることです。いかに、本市が子育て世帯で選ばれ、たくさんの子供を育んでいくかが最重要の課題であることは間違いありません。私は、高齢者をおざなりにして若い世代にだけお金を使うべきだとは申しませんが、若年層の人口流出が進めば、現役世代が減少し続け、本市の福祉施策を維持することが一層困難になります。競争が起こる今こそ手を打たなければなりません。重点とすべき施策として、今子育てをする世代が求める支援に予算を付け替え、かつ返礼品と同様、本市で子育てをすることの独自の魅力を広く発信できる施策の構築に注力する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 2月市会では、めり張りのある都市計画の必要性について訴えました。先般、正に都市計画の見直し方針が報告され、地元山科区でも、地下鉄東西線沿線・外環状線周辺における魅力的なまちづくりが示されていることは評価をしております。都市計画と子育て支援を合わせ、真に若い世代に選ばれる京都を目指すことを求めます。また、今回の代表質問では、私を含め多くの議員から子育て支援について質問がありました。これを世論の表れと肝に銘じていただき、財政が厳しくとも子育てには手を抜かないという本市のファイティングポーズを期待いたします。 次の質問に移ります。本年も残念ながら台風や大雨により、市内各所で避難所が開設されるに至っております。河川の氾濫や土砂崩れなど局所的な被害を想定し、避難所の在り方を考える上で改めて宿泊施設を避難所として積極的に活用すべきと考えます。2年半前、コロナ禍の初期から懸念されたのが、避難所における感染拡大や感染を恐れて避難が遅れることでした。その対策として避難所が密集した際、あらかじめ提携した宿泊施設に一部の避難者が移動するという取組が始まりました。幸いなことに、この間本市で避難所が密集するほどの災害が発生していないため宿泊施設が活用された例はありませんが、熱海で発生した違法な盛り土による災害に当たっては、ほとんど全ての避難者が宿泊施設に避難することができたと伺っております。他都市の運用を参考に、避難者の心身に寄り添い、感染拡大防止策を超えてこの取組を更に発展すべきです。加えて、今後インバウンドも含め観光客が増加した際には、コロナ禍以前の課題であったオーバーツーリズムの再燃が懸念されます。防災を通じて宿泊施設の協力関係が構築されることで、地域と観光の摩擦解消に大きく寄与することを期待いたします。 また、併せて避難所として学校施設を開放する際も、体育館よりも空調などの設備が整った別の空き教室を積極的に活用することで、避難所開設の労力の軽減、避難される方の負担軽減、また垂直避難の実施が可能になります。大雨などによる局所的な災害の備えとしては、収容人数に特化した体育館ではなく、より快適な施設を利用することが肝要です。避難される方はもとより避難所を開設いただく地域の方々の心身の負担軽減を第一に考え、避難所として宿泊施設を積極活用すること、学校においてもより最適な施設を検討すること、言うなれば避難所の脱・体育館化が必要と考えますがいかがでしょうか。 局所的な災害に引き続き、大規模災害・大地震への備えについて質問いたします。本市のこれまでからの課題として、千年の都であるがゆえ、古い町並みが保持されていることや、ある種の地震安全神話が定着していることで、他都市と比べ耐震基準を満たした住宅の割合が低いこと、地震を対象とした損害保険の加入率が低いことが上げられます。特に耐震改修については、これまで本市独自の補助金が運用され、促進が図られてきましたが、
行財政改革計画の一環として休止されているところです。聖域のない補助金の見直しは評価しておりますが、今後、改革を深化する上では、それぞれの補助金の重要度に鑑み、よりめり張りある見直しが求められます。市民の命と暮らしを守る観点から住宅の耐震改修の促進は必要不可欠です。また、本市では、全国に先駆けて損害保険の3団体と災害時の連携協定を締結しております。民間団体との協力も更に進め、地震保険の加入についても啓発していかなければなりません。本市として、地震の脅威と向き合ううえで、従来からの課題解決に向け、更なる取組が必要と考えますが、お考えはいかがでしょうか。 最後に、行財政改革について1点付け加えます。先般、京都が誇る偉大な経営者である京セラの稲盛和夫名誉会長が逝去されました。稲盛氏が日本航空の再生に取り組まれた際、例えば整備場において部品の一つ一つに原価を記載するなど徹底してコスト意識の定着に努めたとされています。冒頭に申し上げたように、行財政改革はやるべき改革として取り組まなければなりませんが、歳出削減の対象は多岐にわたり、数億という単位ではなく、数十万、数百万という現実味のある予算規模で見直しが進められています。それゆえ、歳出削減の施策に関わる市民から、僅かな予算で施策を維持することができるのにというじくじたる思いを伺う機会は少なくありません。市民感情に向き合い、日々の経費について10円、100円の節約が積み重なって数十万円、数百万円の歳出削減につながることを自覚し、自分ごととしてコスト削減を行うことが求められます。ペーパーレス化、業務の効率化など徹底的に取り組み、その姿勢を市民に示すことこそが改革に対する市民理解を深める第一歩です。我々議会も協力し、足元からコスト意識を徹底することの必要性を強く求めまして質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
小島信太郎議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革に対する認識と覚悟についてでございます。行財政改革の初年度として、人件費の削減をはじめとした行政の効率化の徹底と
一般財源収入の増加により、令和3年度決算と4年度予算の2か年で計画を447億円上回る収支改善を達成いたしました。令和3年度末(後刻訂正)の
公債償還基金の残高は1,400億円以上を確保できる見込みであり、1,000億円以上としている計画につなげる必達目標の達成が確実となっております。この間御理解を賜りました市民の皆さん、御協力いただいた全ての皆さんに感謝申し上げます。 一方で、計画より大きく改善しているものの実質的な収支は85億円の赤字であるうえ、これまでの
公債償還基金の計画外の取崩しの累計505億円を積み戻さなければなりません。今後も、高齢化社会の進展により増加を続ける
社会福祉関係経費の財源を安定的に確保し、市民の皆さんが安心・安全に京都で暮らし、他都市にはない
全国トップ水準の福祉や教育、子育て支援、暮らしの中に息づいた文化など京都の魅力を将来にわたってつないでいくためには、特別の財源対策から早期に脱却する必要があり、今後も緩むことなく行財政改革と都市の成長戦略を継続しなければなりません。引き続き、市民の皆様への説明責任を果たし、御理解をいただきながら明るい展望を共有して覚悟を持って改革に取り組んでまいります。 次に、行財政改革に対する市民の皆さんの御理解の醸成についてでございます。改革の実行に当たっては、何よりも市民の皆さんの御理解が必要不可欠でございます。まずは、職員一人一人が何のための改革であるのか深く認識し、デジタル化、業務の効率化による経費削減などコスト意識を更に高めるとともに、行政の効率化を徹底的に進め、市民の皆様に見える形でお示しすることが極めて重要であると認識しております。また、改革により捻出した財源は、単に収支改善に充てるだけでなく福祉、子育て支援、安心・安全など様々な社会課題の解決に向け、また誰一人取り残さないSDGsの理念の下に、法的支援がより求められる施策に、さらに京都の強みをいかした都市の成長戦略の推進に必要な施策にもいかしていかなければならないと考えております。 今後も、京都の強みを徹底的にいかしながら改革を達成し、そしてその先に文化、自然、景観が暮らしに息づき、あらゆる世代が集まり、生き生きと安心して暮らせる、また子育てを楽しめるまち京都を目指してまいります。そのことを市民の皆様にもしっかりと御理解いただき、また御参画いただけるよう、市民しんぶん等あらゆる広報媒体を活用し、分かりやすく情報発信してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 今後の子育て支援施策についてでございます。市政の重点施策との認識の下、妊娠前から子供・若者まで切れ目のない支援を推進しており、国基準を大きく上回る保育士加配・処遇改善を実施したうえで、障害児、医療的ケア児の受入支援を充実させる中、保育所や
学童クラブ事業は待機児童ゼロを継続して達成をしております。また、保育料については約15億円の独自財源を投入し、8階層とされている所得階層区分を22階層へ細分化するなど各世帯や利用の状況に応じ、保護者負担を国基準の7割に軽減をしてきました。学校教育においては、本市独自での教員の加配などの教育環境の向上を図る取組の結果、小中学校とも高い学力水準を維持する成果にもつながっております。こうした乳幼児期から学齢期までの充実した子育て施策は本市の強みであります。これらの本市で子育てする魅力をSNSなどあらゆる媒体を活用した効果的な情報発信などにより、多くの方に本市の魅力を知っていただけるよう努めてまいります。そして、若い世代の定住促進について子育てや教育施策はもとより、若い世代の居住環境の創出に向けた都市計画の見直しや企業誘致、雇用の場の創出、住宅の供給促進などの施策を総合的かつ複合的に積み重ね、全庁一丸となって取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 大規模災害・地震対策についてでございます。本市では、京町家など木造住宅が密集する市街地特性を踏まえ、住宅の耐震対策が重要であるとの認識の下、京都市建築物耐震改修促進計画に基づき、耐震改修の補助事業や京町家の特性に即した耐震診断士の派遣事業、また、地域の自主防災組織の皆様やまちの匠の事業者の方々と連携した耐震化の普及啓発など住宅の耐震化に取り組んでまいりました。今年度は耐震改修の補助事業を一時休止しているものの、耐震化の第一歩となる耐震診断士の派遣事業について、従来耐震診断にとどまっていたものを補強計画の作成まで拡大するとともに、まちの匠の事業者間の連携の強化や本市と共同した耐震改修の働き掛けの強化など市民の耐震化に対する意識を高め、耐震改修を促す取組を強化しています。また、損害保険の関係3団体と包括連携協定を締結し、平時には地震保険への加入の啓発を、地震災害時には早期の生活再建に向けた円滑な保険請求手続などを連携して取り組んでまいります。大規模災害への備えを徹底し、引き続き、安心・安全で災害に強い歴史都市・京都の実現に取り組んでまいります。
○議長(田中明秀) 三科危機管理監。 〔三科危機管理監登壇〕
◎危機管理監(三科卓巳) 避難所運営についてでございます。指定緊急避難場所は、水害や土砂災害の切迫した危険から安全を確保するための身近な避難先として、住民の認知度が高く地域の皆様が使いなれた小学校を中心に指定し、避難者数に柔軟に対応するため、主に体育館等を使用しております。宿泊事業者の皆様との連携については、避難所の過密対策や帰宅困難者対策として観光都市としての強みをいかし、126の宿泊施設と協定を締結するなど対策を積極的に進めてきております。宿泊施設には、空き状況の不確かさや立地の偏在という制約もあるため、大規模災害時に避難生活が中長期に及ぶ際の活用など施策特性に合った活用方法について引き続き検討をしてまいります。また、現在も熱中症対策などのため、自主防災会や学校、区役所が協議のうえ、体育館だけではなく必要に応じて空調設備のある教室を活用することとしております。今後とも、自主防災会など地域の方々と一体となって、気候や避難者数に応じた緊急避難場所の柔軟な運営に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 発言内容の訂正をさせていただきます。 先ほど小島議員の御質問に対する答弁中、
公債償還基金残高1,400億円につきまして、確保の見込時期を「令和3年度末」と申し上げましたが、正しくは「令和7年度末」でございます。謹んで訂正させていただきます。
○議長(田中明秀) お聞き及びのとおりであります。御了承願います。 進行いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、
山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔
山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕
◆(
山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し、
小島信太郎議員に続いて質問します。どうぞよろしくお願いします。 まず、市民との共汗で進める
行財政改革計画と都市の成長戦略についてです。本市は、コロナと財政の二つの危機に直面していると表明後、令和3年1月に市長をトップとする行財政改革推進本部を設置、8月に
行財政改革計画を策定、計画期間を令和3から7年度の5年間、
集中改革期間を令和3から5年度の3年間として取り組んでいます。私は、これまで地元伏見区の皆様から市政に関する様々な御意見・御要望をお聴きしてきました。その中で最近特に耳にするのは、京都市はそのうち財政破綻するのでは、京都市はお金がないから何もできないという将来不安のお声です。このように本市財政が危機的状況なのは市民に十分伝わっています。そのため本市に注がれる市民の目は大変厳しくなっています。市長は就任当初、市民と共に汗する共汗の市政を掲げて市政を推進してこられましたが、最近は余り聞かなくなりました。しかし、本市の状況が大変厳しい今こそ、市民に行財政改革を御理解いただき、共に汗する共汗の市政を推進することが極めて重要ではないでしょうか。 そこで、特に留意する点を三つ申し上げます。 一つ目は、市民に行財政改革の状況を分かりやすく伝え、正しく認識していただくことです。前述のとおり、本市財政に対する市民の認識は依然として財政破綻寸前のままです。実際は、行財政改革を推進し、今年2月の令和4年度当初予算編成時、8月の令和3年度決算概況発表時に財政破綻の危機は脱したと発表されました。しかし、いまだに市民の認識が変わっていないのは情報がきちんと伝わっていない証拠です。行財政改革の2本柱のうち
行財政改革計画では、令和15年度までに
公債償還基金の計画外の取崩しから脱却するという目標が示されているものの、計画期間の5年間でどのように改革を進めるのか、令和3年度はどこまで改革が進んだのかが分かりにくい点です。また、都市の成長戦略では、令和15年度までに
一般財源収入を100億円以上増やすという目標が示されているものの、各年度の目標や個々の取組と目標の関係が不明確なため、取組の進捗が分かりにくい点です。そこで、これらを改め、市民ならどなたでも行財政改革の状況が一目で分かるよう工夫すべきです。その際、外部専門家や市民も加わり、行財政改革の取組が市民にきちんと伝わっているかをチェックする仕組みも導入すべきと考えます。また、外部専門家が取組の進捗を厳しく点検・評価することも大切です。さらに、財政が厳しい中でも、教育・福祉や安心・安全などで市民の命と暮らしを守る施策にいかに取り組んでいるかを分かりやすく伝えることも重要と考えますが、いかがですか。 二つ目は、更なる市民サービスの向上です。行財政改革を進める中、行政サービスを持続可能なものとするため、受益者負担の適正化を市民にお願いしています。令和4年度当初予算では、国や他都市の水準を上回る施策や様々な施設使用料・手数料などが見直されました。原材料費の高騰は別として、今回のような見直しで値上げした場合、利用者の納得を得るには値上げ分はサービスを向上すべきです。また、市民の声を聴き、料金に見合うサービスとなっているかを絶えず点検・評価する必要があります。さらに、市役所全体が市民サービス向上を心掛けることが大切ではないでしょうか。そこで、市長をトップとする市民サービス向上推進本部を設け、市民サービス向上に懸命に取り組み、市民から市役所が変わったと認められることが重要と考えますが、いかがですか。 三つ目は、市民の市政への積極的参加を働き掛け、市政への関心を高めることです。最近は、市民が気軽に市政に参加できる取組が登場しています。例えば、制限時間内にどれだけごみを拾えるかを競い、まちの美化に協力する、またマンホール蓋を写真撮影し劣化調査に協力するなどです。ちなみにマンホール蓋の劣化調査では、通常数年掛かるところ、市民の協力で僅か数日で完了できたとのことです。厳しい行財政改革の最中だからこそ、このような取組を各局、各区役所・支所で検討・実施し、市民の市政への参加を一層推進することが重要ではないでしょうか。以上、3点のお考えをお伺いします。 次に、市民に開かれた市庁舎の取組です。市庁舎整備については、平成25年3月の基本構想、平成26年3月の基本計画を踏まえ、西庁舎、分庁舎、本庁舎の順に整備が進められ、残るは北庁舎の整備です。旧庁舎は老朽化で耐震性能が著しく不足し、執務室も手狭で周辺ビルに分散するなど様々な問題があったため、この度の市庁舎整備となりました。ところが、昨年8月の本庁舎完成時、新聞やテレビで数多く取り上げられ、市民から、ぜいたく、税金の無駄遣いなど多数のお声が寄せられました。特に正庁の間、茶室、地下通路、エレベーターが批判の的でした。その理由は、恐らく市民には無縁で限られた者が利用する市民に閉じられた市庁舎と受け止められたからではないでしょうか。 実は、この市庁舎整備の基本理念には、市民に開かれた市庁舎があり、旧庁舎にはなかった市民ギャラリー、展示コーナー等の市民スペースが設けられ、屋上には市民が気軽に立ち寄れる庭園空間もあります。また、正庁の間は執務室に転用されていましたが、復元後は市民参加の会議や式典等に活用するとしています。また、茶室も正庁の間の付属施設として使用するなどです。そこで、改めて市庁舎整備について、市民に開かれた市庁舎という本来の趣旨を市民に分かりやすく広報し、広く市民に来庁を呼び掛けるべきと考えますが、いかがですか。 また、さらに市民に開かれた市庁舎にするため、整備方針の全ての人に優しく、環境に配慮した市庁舎を市民に体感していただいてはと思います。市庁舎は本市の顔であり、京都議定書誕生の地にふさわしいものにすべきとの考えから、私も参加した再生可能エネルギーがテーマの海外行政調査団で市庁舎を環境・エネルギー政策のシンボルにと提言しました。それを踏まえ、市庁舎には様々な最新の環境技術が導入されています。そこで、それら環境設備を巡る定期的な市民向けの市庁舎見学会を提案しますが、いかがですか。 次に、全国からの寄付による伏見桃山城の再整備について質問します。私の地元伏見区では、昨年4月、伏見港が河川港では全国で初めて国のみなとオアシスに登録されたのを機に、国・府・市・地域のオール伏見で伏見港を中心としたまちづくりが進んでいます。私も以前から有志と伏見区の歴史資源をいかした伏見のまちの活性化に取り組み、伏見・お城まつりをはじめ、史跡を巡るウォーキング、小学生の校外学習、散策マップづくりなどに取り組んできました。そして現在は伏見港の取組に呼応し、港町・宿場町伏見散策マップを制作中です。そもそも伏見港は、1594年、豊臣秀吉が伏見城を中心とした城下町の一環として整備されたものです。よって、伏見港を中心としたまちづくりを進めるには、主役の伏見城を加えて取り組むべきではないでしょうか。 現在、伏見城をしのぶ存在として新・伏見桃山城があります。平成15年1月のキャッスルランド閉園後、近鉄から本市に無償譲渡され、平成19年3月に伏見桃山城運動公園として開園したものの、耐震強度不足のため建物内への立入りは禁止されています。しかも近年の台風や大雨でしゃちほこや瓦が崩落し、公園を散策する市民の安全を考慮してお城周辺にロープが張られ、更に近付けない状態となっています。しかし、ここは伏見区の広域避難場所でもあります。ロープが張られた危険区域があるのはどうかと思います。また、来年3月27日、文化庁がいよいよ京都に全面的に移転してきますし、本市が文化を基軸としたまちづくりを進めている中、伏見城を再現した伏見桃山城の再整備が進まないのはいかがなものでしょうか。 私はこの間、伏見桃山城の今後の在り方について数度にわたり代表質問し、伏見のまちの活性化のため、伏見桃山城の再整備が重要、伏見区民も切に望んでいると訴えてきました。しかし、その都度本市から、お城の再整備に巨額の費用が掛かり、財政難の本市が取り組むのは困難、民間からの提案待ちの状態との答弁が繰り返されるのみでした。今後、何も手を加えなければ伏見桃山城はいずれ朽ち果てるでしょう。そうさせないためには再整備の資金を何とかして集めなければなりません。近年、本市は寄付の取組、特にふるさと納税に力を入れ、寄付金額が飛躍的に上昇、令和3年度は前年度比3.5倍の約62億円となりました。伏見城は豊臣秀吉により築かれた後、地震や戦の度に再建され、一時期日本の政治の中心でした。また、桃山文化の名称から、伏見のまちは戦国時代のけんらん豪華な文化の中心でもありました。さらに、伏見城を舞台とした戦国の歴史は今も時代劇の映画・ドラマで何度も取り上げられ、大変人気の高い歴史でもあります。そこで、ふるさと納税寄付金が京都の魅力をPRして成功したように、伏見城の由緒ある歴史を全国の皆様に分かりやすくPRし、伏見桃山城の再整備費用を寄付の形で集めてはいかがでしょうか。 また、再整備費用が全国から集まると仮定し、持続可能なお城にすることも考える必要があります。私は、本市が京都議定書誕生の地であることにちなみ、伏見桃山城の瓦を太陽光パネルで伏見城の金箔瓦風にするなど様々に工夫し、環境のシンボルとして再生することで全国から注目を浴び、持続可能なお城にできるのではと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、地元桃山東学区で一番の課題である更なる通学路の安全対策について要望します。桃山東小学校西側の市道は通学路に指定され、多くの児童がここを利用していますが、新町踏切を含む一部区間で車両が離合できないほど道幅が狭く、歩行者の安全確保が以前から課題となっています。これまでに通学路の安全対策として、新町踏切内の水路の蓋掛けや車止め等による歩行空間の整備など本市とJR西日本で様々な対策が実施されてきました。また、地元ボランティアの見守り活動や教育委員会・京都府警の電柱幕による安全啓発なども実施されています。さらに、JR奈良線高速化・複線化事業に伴う追加の安全対策として、新町踏切部における障害物検知装置の性能向上や踏切内歩道部のカラー化等も予定されています。そうした中、地元の桃山東安全安心協議会では、有効な安全対策として通学時間帯の交通規制実施に向け、京都府警と協議、地元合意が図れた時点で交通規制の要望を京都府警に提出する予定です。そこで、地元・警察等の関係組織と十分連携し、桃山東学区における更なる通学路の安全対策に取り組むことを強く要望します。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
山岸たかゆき議員の御質問にお答えします。 行財政改革と成長戦略の進捗についてでございます。この間全ての財政情報を改めてフルオープンにし、令和3年度決算、令和4年度予算では、計画達成状況や取組の成果をお示ししたところでございます。引き続き、市民しんぶんやホームページ等を活用し、市民目線に立った分かりやすい情報発信を行ってまいります。行財政改革と成長戦略の進捗につきましては、市会で点検・評価いただくことはもとより、今回監査委員による決算審査においても、第三者的な視点から、
公債償還基金の計画外の取崩しの早期脱却や市民の皆様への丁寧な説明と御理解を得ながら進めるようにとの御意見もいただいております。今後、監査委員による決算審査に加え、計画期間の節目などにおいて有識者から御意見を頂くことも検討してまいります。取組によって捻出した財源をいかしまして福祉、子育て支援、安心・安全など様々な社会課題の解決や
京都ならではのポテンシャル、強みをいかした成長戦略の推進に必要な施策の維持・充実を図ってまいります。そのことも市民の皆様にしっかりと御理解いただけるよう的確な情報発信を行ってまいります。 次に、市民サービスの向上についてでございます。この度の施設の使用料・利用料改定は、施設の運営を持続可能なものにしていくために施設を利用される方、されない方の負担の公平性を図り、サービスの利用実態に合わせた料金体系への転換、民間相場などを踏まえて行っております。料金改定に当たっては、市民の皆様に御理解いただけるよう改定の趣旨、利用者一人当たりの公費負担の状況などコストの見える化を徹底しており、引き続き市民しんぶんやホームページ等で情報発信してまいります。行財政改革を進めるに当たっては、行政の効率化だけでなく、日頃から市民の皆様の御意見・御要望をしっかりと受け止め、コストの抑制も意識しながら市民サービスの向上を図ることが極めて重要であります。令和3年1月に設置した私をトップとする行財政改革推進本部において、改革の進捗管理を行う中で、時代の潮流を捉えた先端デジタル化技術の活用や民間活力の導入など市民サービスの向上につながる改革についてもしっかりと取り組んでまいります。 次に、市政への市民参加についてでございます。本市では豊かで活力ある地域社会の実現に向けまして、本市の強みである市民力、地域力をいかした市民参加の推進に全庁を挙げて取り組んでまいりました。中でも、市民の皆様が気軽に参加いただける活動として、市と民間企業等が協働して身近に使用済みの衣類の回収ボックスを設置してファッションロスゼロを目指すプロジェクトや、区においても子育て情報等住民同士でやり取りできるSNSアプリの活用、地域活動への参加、交流促進を図るプロジェクト、また、市民の皆様からアイデアを各局各区で提案いただき、市民の皆様と行政の協働で課題解決につなげるまちづくり・お宝バンクなどの取組を進めております。このように市民の皆様と行政が積極的につながり、支え合い、知恵と力を結集する共に汗する共汗の取組を拡充することは厳しい行財政改革を進める中でこそ一層重要であり、山岸議員御紹介の全国の有用な事例につきましても、積極的に情報収集し、また、いかしてまいります。 今後ともより多くの市民の皆様が地域や社会に関心を持っていただき、そして取組に参加していただけるよう、市民の目線に立った工夫を重ねて市民参加のすそ野の更なる拡大を図るとともに、社会課題の解決と行財政改革を一層推進してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 伏見桃山城の再整備についてでございます。平成15年の伏見桃山城キャッスルランドの閉園に伴い、所有者が遊具など建物を除却したうえで、本市が土地を借り受け野球場などの運動公園として整備するとともに、お城については、地元から存続の要望もあったことから無償譲渡を受けた経過がございます。お城は、これまで映画やテレビ撮影に活用されてきたものの、再整備には建築後60年近くたつ建物の老朽化に伴う修繕や耐震工事に多額の経費が必要であること、また、そもそも行政が主体となった運営は困難であることから、民間事業者による協力が不可欠であります。山岸議員御指摘のふるさと納税寄附金を活用する場合、目標額や活用方針を示す必要があると考えており、再整備あるいは除却する場合でも相当の費用を要する状況下において、明確に具体的な方針を示すことは困難であると認識をしております。これまでから複数の事業者が興味を示されてきているものの、老朽化や耐震性などといった課題から活用に至っていないという厳しい状況でありますが、継続的に相談もいただいております。本市の財政状況、土地所有者の意向も勘案しながら、引き続き伏見桃山城の在り方について検討をしてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 別府行財政局長。 〔別府行財政局長登壇〕
◎行財政局長(別府正広) 市民に開かれた市庁舎の運用についてでございます。市庁舎整備事業は東日本大震災の教訓を踏まえ、市民の皆様の安心・安全を支えるための耐震性能の向上をはじめとする防災拠点としての機能の確保、歴史的、文化的価値のある本庁舎の保存・活用、バリアフリー化や市民スペースの拡充などに加えまして、環境・エネルギー政策のシンボルとなり得る庁舎を目指すとの市会海外行政調査団からの御提言も踏まえ、整備を進めております。本庁舎が完成し、市庁舎前広場や屋上庭園を訪れる方も増えてきております。本年7月には、整備の趣旨や雨庭構造見本庭園、友好の小路なども含め、市民に開かれた庁舎であることなどを紹介いたしました来庁舎向けのガイドブックを作成いたしました。また、本庁舎の跡の市民スペースに設置しております大型モニターにおいて、地下水や地域産ペレットを利用した空調設備などの最新の環境技術の紹介を行っております。現在は北庁舎の整備中ではございますが、気兼ねなく立ち寄れる開かれた市庁舎であることを市民の皆様に知っていただけるよう、議員の御提案の趣旨も踏まえ、どういった手法が効果的か検討してまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 暫時休憩いたします。 〔午後3時13分休憩〕 〔午後3時34分再開〕
○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について、
片桐直哉議員に発言を許します。片桐議員。 〔
片桐直哉議員登壇(拍手)〕
◆(
片桐直哉議員) 私は、北区選出の片桐直哉でございます。立憲民主党京都市会議員団を代表し、市政一般について質問いたします。 決算年度である令和3年度は、6月から7月にかけ行財政改革に対するパブリックコメントを募集、8月には計画が策定され、京都市財政に多くの市民の注目が集まりました。しかし、僅か1年後の決算概要の発表時には、あれだけ言われた京都市財政の破綻危機が回避されたという発表になり、財政運営に対する戸惑いを持った市民も少なくありませんでした。京都市のこれからを考える上で、当面の財政危機をしのぐための収支合わせの議論だけでなく、環境・経済・社会その他様々な分野でどのように持続可能性を高め、未来世代に京都市を引き継いでいくか、基本計画ほか多くの分野別計画で示されているビジョンをできるだけ多くの市民の知恵を結集し、全市民的な対話・参加・協働によって深めるという過程が、コロナ禍という状況はあったにせよ不十分ではなかったかと感じております。 さて、京都市の財政悪化は、基幹産業の喪失や急激な人口減によって税収が大きく落ち込んだために起こったものではなく、適切な財政のコントロールが長年にわたってできていなかったことによるものであります。では、
行財政改革計画の期間が終わった後も、長期的に適切なコントロールができる状態を続けられるように変わってきているのかどうかということを考えたときに、予算編成過程での意思決定システムの変革、事業の経費管理の甘さの改善、行政の役割の再定義といった改革がどこまで進んでいるのかということが重要になってきます。改革が負担増やサービス削減、人件費削減などの数字合わせの部分だけにとどまってしまえば、市民の市政運営への信頼は回復しません。市役所の仕事の中身の改革が具体的に進み、その成果を見えるようにしていくことが重要です。全庁的な業務改善はどこまで進んでいますか。AIを活用した議事録作成や時間外勤務の縮減などについては取組が始まっていますが、事務フローの見直し、いわゆるBPRや多くある計画の一元化などについては、まだ、極一部での実施にとどまっています。今後業務見直しを更に加速していくことが必要と考えますが、どのように進められますか。 京都市にはたくさんの局や組織があり、それぞれで皆さん一生懸命にお仕事をしておられます。しかしながら、同じ建物に別の局の施設が入り、それぞれで会議室運営を行っているということがあるように、組織が有機的に結び付かないことによる非効率はまだまだ存在しています。行財政改革の中でこうした局や課ごとの仕事の枠を崩していく改革について、今後、更に強力に進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。 続けて、従来の枠に捉われない行政運営の一例として、環境政策と産業政策の融合についてお伺いいたします。令和3年2月の代表質疑で、ESG投資や環境保全型農林水産業の推進について議論をさせていただきました。あらゆる政策を投入して、2050年のカーボンニュートラルを実現していくということや、環境問題への対応が経済成長の制約やコストではなく、成長のために必要なことに世界経済の常識が動いている、その中で環境と経済の好循環の実現が何より重要であるということは、京都市の政策においても共通認識になっているものと理解しています。 しかしながら、個々の局の施策や日常の業務で見たときに、環境政策と産業政策の融合はまだまだ不十分であると私は感じております。例えば、環境政策局の進めるKESの取得は、中小零細の事業者にとっても取り組みやすい環境への取組ですが、地域企業支援の場面で積極的にPRをされるということにはなっていませんし、市会の過去の議事録を見ても、産業観光局の理事者がKESに積極的に言及されている記録は見つけることができませんでした。企業立地支援のための京ワーキングというサイトでも、京都市が取り組んでいるカーボンニュートラルへの取組など環境分野での先進的な取組は紹介されていません。先だって、産業交通水道委員会で、市民が農業に触れる機会の創出という観点から質問いたしましたが、循環型社会という環境政策の側面があるという点は共通理解が持てても、あくまで産業振興策としては、業として農業をされている方が対象になり、そこを中心に議論を進めざるを得ないという限界も感じました。これは10月1日の市民しんぶんの森林の特集記事を見ても同じであります。2050年CO2排出量正味ゼロへの変革を成長戦略とし、地球環境の保全のみならず、地域コミュニティや持続可能な経済発展など様々な課題を同時解決し、将来の世代が夢を描ける豊かな京都を実現するという理想はすばらしいのですが、足元においてはまだまだ局の所管の壁に阻まれている部分が多いのではないでしょうか。私は、これを本気で実現していこうと思えば、環境政策局と産業観光局を一つの局に統合するくらいのことをやらなければいけないのでないかと考えておりますが、今後、どういう形で環境政策と産業政策の融合を意識や個々の事業運営の中で進めていかれるのか、お考えをお聞かせください。 次に、障害福祉の課題について2点質問いたします。一つは、障害のある子供の進路選択についてです。2020年に市内の支援学校に通う高等部の生徒を母親が殺害した事件では、障害のある子供の進路について悩みを抱えていたことが、その背景にあったことが指摘されています。先日、障害のある子供を持つ保護者の方の意見交換会を行いましたが、保護者の持つ将来の進路への不安は高等部卒業直前の時期だけのものではなく、小中学生の保護者からも、将来の進路への不安や進路選択についての情報不足などの悩みを多く聴きました。支援学校によっては、事業所の見学について、事前調整の必要性などから見学の数を絞っている所もあり、進路選択の幅が狭いと受け止める保護者もおられます。実際には、支援学校生徒にとって進路選択の道は、学校の進路指導だけではなく、本人や保護者など自分たちで行きたい所を自由に探すことができます。事業所の側も、子供がまだ就労などを考える年齢でなくても、見学を受け入れているという所も増えています。しかし、なかなかそうした情報を保護者が得る機会がありません。障害のある子供の進路指導を、とにかくどこかに行き先を見つけるというところから、本人の希望と特性に合う進路を選択できる状況を作るというところに進めていかなければなりません。今後の取組として、支援学校現場の負担も軽減しながらいい方向に進めていくために、進路指導を学校だけの役割にせず、自由な施設見学も含め、色々方法があることを周知していくことと、相談支援など関係機関と連携して、比較的低年齢の時期から就労などについて事業所と接点を持ち、卒業後の進路のイメージを広げられるようにしていくことが必要ではないかと考えますが、今後の障害のある子供の進路選択をよりよいものにしていく方向性についてお考えをお聞かせください。 次に、障害のある方の子育て支援について質問いたします。障害を持つ方が子育てをしていく中で、障害福祉と子育て支援が、共に障害を持ちながら子育てをするということを十分に考えた制度設計になっていないために、双方のはざまで対応できない課題があります。まず、障害のある方が外出する場合、移動支援においては、制度設計上ガイドヘルパーは本人の支援しかできないことになっています。子供も一緒に出掛けることをサポートするということはできません。居宅介護の家事援助の中には育児支援が含まれますが、できることは列記されていまして、外出に関しては、子供が通院する場合の付添い、子供が保育所へ通園する場合の送迎と明示され、通園については居宅介護で支援が可能でありますが、公園に行くなどのお出掛けは支援の対象とは明示されていません。障害福祉施策ではなく子育て支援策での対応を検討した場合、京都市では育児支援ヘルパー派遣事業がありますが、おおむね1歳までとされており、子供が歩いて動き回る時期、公園で遊んだりする1歳半から3歳くらいの時期ではそもそも利用ができないことや、利用回数の制限もヘルパーが一緒でないと自身のお出掛けが困難である障害の特性を前提に制度設計されていないことなどが課題となります。結果的に、親子で一緒に公園に出掛けることや日常の買物をするということは、配偶者や両親など家族のサポートができる日か、自費の支援サービスやボランティアの支援が受けられる状況に限定されるという課題が生じています。これらのことは、障害を持ちながら子育てをするという想定がそもそもされていない中で、障害
福祉サービス、子育て支援が別個に制度設計されていることに原因があります。障害者差別解消法は、社会の中のバリアを取り除く合理的配慮を求めていますし、京都市も人権文化推進計画の中で同じ考えを共有しています。障害がある中での子育ても、固有の課題やニーズの一つとして捉え、障害
福祉サービスと、子育て支援のはざまにある課題について対応できる仕組みを整え、より支援を充実させていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。 最後に、1点要望を申し上げます。これまでもるる議論がなされてきた全員制中学校給食についてであります。私も、令和2年12月の教育福祉委員会において、他の政令市の状況などを御説明しながら指摘しましたが、それ以降も全国の政令市や京都府下の他市の状況は更に進んでいます。近年の社会環境の変化に伴い、共働き世帯や一人親世帯の増加など、家庭の全員制へのニーズが非常に高いことや、中学生の栄養や健康の面からも、意義深いことであるという判断から導入が進んできたのが全国的な状況であります。京都市においては、かねてより子育て世代の流出ということが大きな課題になってきました。今、全国的には先進的な子育て支援として小中学校での全員制給食を前提としながら、給食費の無償化が子育て支援の目玉として議論される状況になっています。家庭からの弁当持参の良さと選択制の給食の良さ、その両面をいかせる制度として現在の選択制が望ましいというのがこれまでの京都市の見解でありましたが、全国的に中学校給食の実施状況が大きく変わる中で、子育て世代に選ばれるまちを目指していく京都市が本当にこのままでいいかを考えるべき時期にきています。もちろん現下の財政状況についての考慮や設備等の課題については十分に検討されなければなりませんが、今の前提は財政状況等から難しいということではなく、選択制がより望ましいということになっています。その点を全員制の中学校給食が避けられない流れにあるという認識に立ったうえで、財政面や設備面などの検討を始める状況に変えていくことができないか、具体的な検討開始を要望いたします。 以上、立憲民主党議員団を代表しての私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
片桐直哉議員の御質問にお答えします。 まず、業務改革についてであります。私は、市長就任以来あらゆる政策の融合と縦割りの打破を最重要視し、市政運営を行ってまいりました。今般の行財政改革に当たっても、歳入歳出両面にわたる改革を着実に推進するために、私をトップとする行財政改革推進本部を設置し、財政改革、成長戦略・資産活用、業務改革に一体的に取り組んでおります。業務改革につきましては、関係部局でチームを構成し、AIやRPAなどのデジタル技術や外部専門家の知見の活用による効率化のほか、市民サービスの向上や官民の役割分担、意思決定の迅速化など多様な観点から業務フローや事務の見直しを徹底しております。例えば予算編成については、令和3年度から歳出上限の厳守やスクラップアンドビルドの徹底など財政部局のコントロール機能を強化したところであり、行財政計画の見直しについても必要性を徹底的に検証し、類似計画との整理統合をはじめ効率的かつ市民の皆様に分かりやすいものとする観点から取組を進めております。さらに、縦割り防止の徹底のために、重要かつ横断的な課題である行財政改革や森林対策における本部会議の新設や都市経営やコロナ対策における局を横断して政策を推進する戦略監や政策監の新設など局の枠を超えて、融合・連携を積極的に進めております。引き続き、業務改革をはじめ行財政改革を全庁的な観点からスピード感を持って進め、魅力あふれる京都を未来へしっかりと引き継ぐために努力してまいります。 次に、環境政策と産業政策の融合についてでございます。京都議定書誕生の地である本市では、環境政策局を筆頭局に位置付けあらゆる政策において環境を基軸に据えたまちづくりを進めてまいりました。とりわけ環境政策と産業政策との融合については、経済の持続可能な発展と地球環境の保全を両立することが世界的な課題となっていることに加えまして、環境・エネルギー分野におけるイノベーションの創出が本市の成長戦略にとって極めて重要であることから、その必要性はこれまで以上に高まっていると認識しております。このため本市では、いち早く地球温暖化対策に貢献する企業の成長支援を掲げ、社会のスマート化やエネルギー効率の改善につながる新たな技術開発に取り組む中小企業の支援などグリーンイノべーションの推進に取り組んでおります。また、令和2年7月のスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市選定後、産学公金のフォローアップ体制により、最先端の科学技術を基に環境・エネルギー分野では社会課題解決に貢献する大学発のベンチャーも次々と設立され、今後更なる成長も見込まれているところでございます。本年8月には、新たな環境経済の観点から、融合を促進するために若手起業家の方をアドバイザーとしてお迎えしたところであります。今後とも環境政策と産業政策の融合、特に御指摘いただきました環境政策局と産業観光局の連携の更なる強化も含めまして、あらゆる政策の更なる進化、広がりを図り、地球環境に暮らしが豊かに調和するまちを実現してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 障害のある方の子育て支援についてでございます。誰もが子供を産み育てることができる社会の実現を目指していくことが重要であると認識をしております。障害福祉施策における子育て支援については、ヘルパーによる居宅介護などにおいて、保護者として家庭内で行う養育を代替するものとして御家族による支援ができないなどの一定の条件の下、個々の状況を踏まえ、授乳や沐浴など子供の健康な発達のために必要な支援を行うことが認められております。また、子育て支援施策における育児支援ヘルパー派遣事業においては、通常の派遣回数が年間12回のところ、障害などにより手厚い支援が必要な場合は最大52回まで派遣するなどの配慮を行っており、こうした公的サービスを組み合わせて利用していただくことで障害のある方の子育てへの大きな支援になっているものと考えております。 しかしながら、片桐議員御指摘のとおり、それぞれの制度には利用条件があり、これらの公的サービスの組合せだけでは障害のある方の子育てニーズに十分に対応できないケースもあります。このため、障害のある方の子育てをはじめとする社会生活を営む上での様々な制約を解消するという観点から、ニーズの把握に努め、国に対し制度の充実を要望するとともに、本市においても障害及び子育ての関係部局が連携し、安心して子育てをしていただけるよう必要な検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 障害のある子供の進路選択についてであります。まず、令和2年に発生した事件により亡くなられた生徒に心から哀悼の意を表しますとともに、その要因の一つとして母親の進路に関する悩みがあったとの報道については、心痛み、じくじたる思いであります。本市では、これまでから労働・福祉等の関係機関や保護者代表が参画する巣立ちのネットWORK等の取組を通して進路先を開拓するとともに、各学校においても、進路先となる事業所数の限りがある中で、全ての生徒が各家庭の状況等によらず平等に事業所見学等を行い、進路先を選択できるよう調整に力を尽くしながら進路指導に取り組んでいるところです。こうした中、
片桐直哉議員御指摘の早い段階から保護者が様々な進路先を知りイメージを広げることは大変重要であり、これまで学校が取り組んできた進路だよりや事業所パンフレットによる情報提供、ワークフェア等の事業者紹介イベントの実施等に加え、事件も受けて、事業所を一覧にしたガイドブックを作成して、高等部だけでなく小中学部も含めた全ての保護者に配布し、さらにPTAと連携した
福祉サービス等の研修会を実施するなど各学校で新たな取組を進めております。今後とも、関係機関と連携の下、障害のある生徒や保護者の思いや不安に寄り添いながら生徒の進路希望の実現に向け尽力してまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後3時58分散会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 田中明秀 副議長 吉田孝雄 署名議員 かまの敏徳 同 豊田恵美
△(イメージ)請願文書表「受理番号1137~1189」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」
△(イメージ)請願文書表「受理番号1137~1189」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」
△(イメージ)請願文書表「受理番号1137~1189」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」
△(イメージ)請願文書表「受理番号1190」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」・請願文書表「受理番号1191」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」
△(イメージ)請願文書表「受理番号1192」「
高齢者インフルエンザ予防接種の自己負担額引上げの中止」・陳情文書表「受理番号3662」「北陸新幹線延伸による水循環への影響の独自調査の実施等」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3663~3671」「現行の敬老乗車証制度の継続」・陳情文書表「受理番号3672」「民間保育園等職員の給与等運用事業補助金再構築後の制度の見直し等」...