京都市議会 > 2022-10-03 >
10月03日-03号

  • "教育施策"(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2022-10-03
    10月03日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-29
    令和 4年  9月 定例会     令和4年     定例会       京都市会会議録 第3号     9月市会                       令和4年10月3日(月曜日)出席議員(64名)   1番 久保田正紀議員   2番 神谷修平議員   3番 小山田春樹議員   4番 豊田恵美議員   6番 田中明秀議員   8番 やまね智史議員   9番 鈴木とよこ議員  10番 かまの敏徳議員  11番 大津裕太議員  12番 菅谷浩平議員  13番 森 かれん議員  14番 小島信太郎議員  15番 片桐直哉議員  16番 兵藤しんいち議員  17番 松田けい子議員  18番 やまずまい子議員  19番 井上よしひろ議員  20番 平山たかお議員  21番 とがし 豊議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 山本陽子議員  26番 平井良人議員  27番 宇佐美賢一議員  28番 こうち大輔議員  29番 天方ひろゆき議員  30番 安井つとむ議員  31番 かわしま優子議員  32番 国本友利議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 くらた共子議員  39番 井上けんじ議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 赤阪 仁議員  43番 江村理紗議員  44番 中野洋一議員  45番 山岸たかゆき議員  46番 青野仁志議員  47番 平山よしかず議員  48番 吉田孝雄議員  49番 しまもと京司議員  50番 椋田隆知議員  51番 下村あきら議員  52番 西村義直議員  53番 山本恵一議員  55番 井坂博文議員  56番 加藤あい議員  57番 西野さち子議員  58番 玉本なるみ議員  59番 湯浅光彦議員  60番 曽我 修議員  61番 大道義知議員  62番 寺田一博議員  63番 津田大三議員  64番 中村三之助議員  65番 橋村芳和議員  66番 繁 隆夫議員  67番 富 きくお議員欠席議員(なし)欠員(3名)   議事日程   開議日時 令和4年10月3日(月)午前10時第1 請願の付託   一般質問(1)市政一般について  富 きくお議員(2)市政一般について  津田大三議員(3)市政一般について  下村あきら議員(4)市政一般について  椋田隆知議員(5)市政一般について  平山たかお議員(6)市政一般について  玉本なるみ議員(7)市政一般について  井上けんじ議員(8)市政一般について  河合ようこ議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(田中明秀) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。やまずまい子議員と菅谷浩平議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 日程に入ります。 日程第1、請願の付託を行います。 今回受理いたしました請願4件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、富きくお議員。 〔富きくお議員登壇(拍手)〕 ◆(富きくお議員) おはようございます。山科区選出の富きくおでございます。自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして津田大三議員、下村あきら議員、椋田隆知議員、平山たかお議員と共に質問を行います。 先般7月の参議院選挙におきまして、我が会派に所属いたしておりました吉井あきら前市会議員が当選をさせていただきました。御支援を頂いた多くの京都市民、また府民の皆様方に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。今後、京都市民・府民の代表として、地域の声をしっかりと届けるパイプ役として、より一層、活躍いただくとともに、我々自民党京都市会議員団も共に一丸となって取り組んでまいることをお約束をして質問に入らせていただきます。 初めに、令和3年度決算の評価と行財政改革の進捗状況について伺います。今議会において、行財政改革計画策定後、初めての決算となる令和3年度決算の詳細が示されました。一般会計の歳入総額は1兆519億円、歳出総額は1兆589億円、そして翌年度への繰越金の15億円を合わせて歳出は1兆604億円となり、収支は85億円の赤字となっております。後ほど詳しく申し上げますが、令和3年度も89億円の特別の財源対策を行ったことによって4億円の黒字を確保したという決算であります。令和3年度は、コロナ禍と財政危機という二つの危機に直面する中、それぞれに対応しなければならない年でありました。言うまでもなく、コロナへの対応については、この財政危機の中にあっても、市民の命と暮らしを守るため、ちゅうちょすることなく優先的に取り組まなくてはなりません。感染拡大防止と医療提供体制の整備、長引くコロナ禍で困難に直面する生活者の支援、疲弊する京都経済の下支えを国や府とも連携し取り組んでこられました。 一方、財政危機への対応については、歳出面では、職員数や時間外勤務の削減及び給与カットによる人件費の削減。そして組織再編などにより借り上げているビルなどの賃借料の削減など行政の効率化と、さらにイベントの見直しなどに取り組まれました。歳入面では、土地の有効活用、使用料・手数料の受益者負担の見直しのほか、市税徴収率も平成30年度と並ぶ過去最高となりました。また、私は、これまで何度もふるさと納税については、もっと貪欲に取り組むべきと指摘をしてまいりました。平成30年度は1億8,400万円でしたが、令和3年度は62億3,900万円と非常に大きな成果を挙げております。さらに提案させていただいていた非居住住宅利活用促進税、いわゆる別荘税、空き家税についても実施に向け現在取組中であり一定の評価をいたすものであります。これらの結果、令和3年度収支は85億円の赤字でありますが、従来より収支不足は大幅に改善いたしております。 本市は、これまで、福祉、医療、教育、子育て支援をはじめ国や他都市の水準を上回る様々な施策を実施してまいりました。こうした高い水準の施策を維持するため、京都経済の活性化、都市の魅力向上など担税力の強化、すなわち税収増加のための施策に取り組み、同時に職員数の削減や民間活力の導入など行財政改革を進めてきました。しかし、国の制度変更などにより地方交付税が大幅に削減され、行財政改革を行ってもなお支出が収入を上回る状態が続いておりました。そしてこの不足する財源を、公債償還基金、すなわち将来借金返済のための積立金の計画外の取崩しや行政改革推進債などの発行による、いわゆる特別の財源対策として将来世代への負担の先送りによって賄っている状況が長きにわたり続いておりました。 こうした中、令和2年の総務消防委員会において、このままでは数年のうちに公債償還基金が枯渇してしまう、底をつくという見通しが唐突に示されました。私自身もその委員会に所属いたしておりましたが、余りにも唐突で、財政当局に厳しく指摘をさせていただいたことを記憶いたしております。その後、11月には、持続可能な行財政審議会においても、これまでどおりの財政運営を続けていれば公債償還基金がいずれ枯渇し、その後数年の間に財政再生団体に陥る状況であるという非常に厳しい見通しが示されました。財政再生団体になれば、国の指導の下、厳しい財政再生に取り組まなければならず、本市独自の事業や国の基準を上回る事業の休止、廃止は避けられず、市民サービスの水準は一気に低下するとの説明がなされました。この衝撃は非常に大きく、多くのマスメディアにより連日大きく取り上げられ、京都市のみならず全国を駆け巡りました。もちろん、そのような事態とならないように行財政改革計画を策定し、基金の枯渇、財政再生団体への転落を回避し、特別の財源対策からの早期の脱却を目指しておりますが、そうした論調はその後もやむことはなく、多くの市民が京都市の将来に不安を感じ心配をされている状況が今も続いております。 冒頭に申しました令和3年度決算の黒字4億円も公債償還基金などから合計89億円の特別の財源対策、すなわち将来世代への負担の先送りによる結果の黒字であり、今までは市民の皆さんには、単なる黒字の説明にとどまっておりました。市長御自身も昨年の9月議会において、我が会派からの質問に対し、市民の皆さんに分かりやすい情報発信ができていなかったと率直に反省を示されました。また、行財政改革計画において、令和3年から5年までの3年間を集中改革期間として短期集中的に強力に改革を進めるとしており、現在令和4年10月がその3年間の丁度中間地点に当たります。この1年半の間に、財政上の一定の改善はなされましたが、思い切った改革により市民の皆さんの御負担が増えた部分もあり、市政に対する不満があることも事実であります。そして今後の本市の財政に対する不安も依然としてあります。市長は、令和3年度決算を踏まえて、公債償還基金枯渇は回避ができた、しかし財政は依然として厳しい状況にあると説明されました。 我々議員も市民の皆さんには、機会があるごとに現状を正しく伝え、今後の取組について説明いたしておりますが、長である市長あなた御自身が市民目線に立ち、今まで以上に分かりやすく丁寧にあらゆる場面で市民の理解が得られるよう、しっかりと説明する責任があると思います。これについて市長の御見解をお聞かせください。そして更なる取組として、今後どなたが議員になっても、また、どなたが市長になっても、本市の財政運営の指針となる条例などが必要であると考えます。このことにつきましては、後ほど我が会派の平山たかお議員が詳しく質問をいたします。 市長は、この令和3年度決算をどう総括されているのか、また行財政改革の進捗状況、そして持続可能な行財政を確立していく上での今後の財政見通し、財政運営の在り方についてお聞かせください。 次に、市バス・地下鉄事業の決算について伺います。コロナ禍が続く中、全国的に交通事業は公営、民営を問わず非常に厳しい状況にあります。令和3年度は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの影響を受け、令和2年度よりは改善しているもののコロナ以前の令和元年度に比べるとお客様は大きく減少し、運賃収入は市バスで61億円の減少、地下鉄では88億円の減少となるなど2年連続で大幅な赤字決算となっております。バス事業では、74ある市バス系統のうち70系統が赤字に陥るなど大変厳しい状況となっております。 本年3月、今後の中・長期経営計画として経営ビジョンを改訂し、お客様の利用状況に応じた市バスの路線、ダイヤの見直しなどが実施されました。実施に当たっては路線の廃止はせず、さらに朝のラッシュ時のダイヤは維持されております。また地下鉄は、3月から既に夜間の運行本数を減らしておりましたが、12月17日から通勤通学時間帯を避け昼間の時間帯の減便を行うこととなりました。経費削減とサービスのバランスを図りつつ工夫を凝らし、経営改善に取り組まれております。一方で、経営ビジョン改訂版では、市バス・地下鉄の運賃改定を含んだものとなっており、さきの2月市会において運賃改定ありきではないかとの指摘もなされました。現実にコロナによる経営悪化で全国的に鉄道事業者などで運賃値上げの動きが見られます。しかし、この運賃改定ありきということに対し、門川市長から、運賃改定は最後の手段、あらゆる経営努力を尽くすとの強い決意が示されたところであります。本市の市バス・地下鉄は、市内の公共交通の約6割を占め市民生活に欠かせないものであり、今後も引き続き公が営むべき事業として、しっかり守り続けなければなりません。交通局におかれては、過去には計画に掲げていた運賃改定を回避した実績があります。物価高騰の折、これ以上市民生活を圧迫しないためにも、最善の経営努力により今回も何とか回避できないものでしょうか。 本年令和4年度は、経営ビジョン改訂版の実質上初年度となる重要な1年であります。このビジョンに掲げた経営健全化策の現在の取組状況、また、経営改善を進める中で見えてきた課題、さらには市バス・地下鉄事業の今後の経営見通しについて、どのようにお考えかお聞かせください。 ところで、山科区におきましては、昨年12月に24年ぶりに市バスが復活をいたしました。地下鉄東西線の開通以来、京阪バスに運行が一元化され、大幅な減便で地下鉄ができて不便になったとの声も多数聞かれておりました。そしてコロナ禍の影響で更に減便となり一層不便になっております。かねてより、私と吉井あきら前市会議員は、山科区のバス路線の利便性向上のため市バスと京阪バスの共同運行を強く要望し続けてまいり、やっと実現したわけでありますが、山科区は急激に高齢化が高まっております。地下鉄東西線が開通した25年前の高齢化率は11.9パーセントと11行政区中2番目に低かったのですが、現在は31.8パーセントと逆に東山区に次いで2番目の高さで、山科区が最も急激に高齢化が進んでおります。市民生活を支える公共交通の果たすべき役割は、極めて重要であり、特に高齢化が顕著な山科区の市民の足を守るため、交通局としても、今後とも路線拡大や増便等に向け重ねて努力いただくよう要望いたしておきます。 続いて、上下水道事業について伺います。使用水量、すなわち市民の皆様が使用されている水道水、下水道の汚水量は、節水型社会の定着によりピーク時に比べて2割以上も減少し、令和3年度の使用水量は新型コロナの影響で大幅に減少した令和2年度よりも更に減少し、中期経営プランで想定していた料金収入より上下水道合わせて26億円下回るという大変厳しい結果となっております。その中にあって、老朽化が進む配水管の更新、浸水被害からまちを守る雨水幹線整備などプランに掲げた取組を着実に推進されてきたことにつきましては評価をいたします。今後も老朽化が進み改築更新が必要となる管路や施設が増加していく見通しの中、国の積算基準の改定、労務単価の上昇、さらにはエネルギー価格の上昇による資材単価や電気代などの上昇が今後の経営を更に圧迫することが懸念されます。加えて現在進行中の行財政改革において、一般会計から下水道会計への繰出金の一部を休止することとしています。このように、上下水道事業を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況ですが、水道・下水道は市民生活に欠かすことのできないライフラインであります。全国的にも水道管の漏水事故や近年多発する集中豪雨による浸水被害が増加する中、安定してその機能を維持していくことがますます重要となっており、今後も着実に改築更新や浸水対策を進めることで市民の安全・安心を確保し、将来世代に公共水道・下水道事業をしっかり引き継いでいく必要があります。 今年度は、令和5年度からの新たな中期経営プランを策定する重要な年であります。厳しい環境の下ではありますが、これまで以上の覚悟を持って事業を運営していく必要があります。そこで、令和3年度決算の総括に加え、今後の水道・下水道事業の経営についての決意をお聞かせください。また、市民からは、物価高騰が続く中、上下水道料金の改定もあるのではとの不安の声も聞かれます。この点についても併せて御見解をお願いいたします。 最後に物価高騰対策についてお伺いいたします。ロシア侵攻によるウクライナ危機や原材料の値上げ、また急激な円安で物価が高騰し値上げラッシュが続く中、暮らしの圧迫に苦しむ市民や中小零細企業への対策が急務であります。政府は、追加の物価対策として、住民税非課税世帯1世帯当たり5万円の給付金を支給すること、ガソリン価格の抑制のために補助金の期限を年末まで延長すること、さらに来年春までの延長も検討中です。また、輸入小麦の売渡価格を据え置き、パンやうどんなどの値上がりを抑える対策を行うことなどを決定いたしました。4月の緊急対策に続く追加策であり、今月には新たな総合経済対策をまとめる予定です。直近8月の消費者物価指数は、前の年の同じ月より2.8パーセントの増加で消費税増税の影響を除くと実に31年ぶりの上げ幅となっており、食品だけでなく外食や鉄道運賃などサービス関連にも値上げが広がっております。こうした値上げの波は日本だけではなく世界に広がっておりますが、最近の急激な円安が我が国においては値上げに一層拍車を掛けています。 総理は、切れ目なく大胆な対策を講じていくと明言し、地方自治体が対策に充てる地方創生臨時交付金6,000億円を新設いたしました。京都市におきましても、これを有効にきめ細かく活用すべきであり、さらに今後とも国・府とも一層連携を図りつつ物価高騰対策を講じていかなくてはなりません。これらのことを踏まえ、本市の物価高騰対策にどう今後臨んでいかれるのか市長の決意をお聞かせください。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 富きくお議員の御質問にお答えいたします。 令和3年度決算を踏まえた今後の財政運営についてでございます。本市においては、これまで福祉、教育、子育て支援、安心・安全など高い水準の施策を維持するために収支の不均衡を公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策により穴埋めする収支構造が続いており、何ら改革をしなければ令和6年度にも公債償還基金が枯渇するという危機に直面いたしました。こうした中、フルオープンでの行財政審議会、また議会での深い議論などを踏まえまして、昨年8月に行財政改革計画を策定し、令和7年度末の基金残高を1,000億円以上確保することを必達目標といたしました。計画初年度である令和3年度は、コロナ禍の中、市民生活のセーフティネットを機能させ、市民の皆様の命と暮らしをしっかりと守りつつ、委託化等により効率的、効果的に執行できる業務については、職員数を削減するなど行政の効率化を徹底いたしました。あわせて、国や京都府と連携した経済の下支え、何より市民、事業者の皆様の御尽力があって市税収入が堅調に推移したことに加えまして、国の的確な地方財政計画により地方交付税も増額確保し一般財源収入が増加いたしました。この結果、令和3年度決算と4年度予算の2年間で計画を447億円上回る収支改善を達成し、令和7年度末の基金残高は1,400億円以上を確保できる見込みであり目標達成が確実となっております。市民の皆様の御理解、御協力に改めて感謝申し上げます。 ただし、令和3年度の増収は一時的なものもあるうえ、今後も高齢化社会の進展等により社会福祉関係経費の増加が続くことから楽観視することはできません。市民の皆様が安心・安全に京都で暮らされ、他の都市にはない京都ならではの魅力を未来に継承・発展させていくためには、その基盤となる行財政を持続可能なものにしなければなりません。なお残る85億円の赤字の解消と、これまでの公債償還基金の計画外の取崩し累計505億円の積戻しが課題でありますが、改革を実行することで持続可能な行財政を必ず確立できます。現在、計画を上回る成果を挙げており、今後も市民の皆様に御負担を引き続きお掛けすることになりますが、しっかりと説明責任を果たしながら、集中改革期間の最終年度となる令和5年度当初予算において確かな成果をお示しできるように、全庁挙げて改革と都市の成長戦略を進め特別の財源対策からの早期脱却に向けて全力を傾けてまいります。 次に、市バス・地下鉄事業の決算でございます。令和3年度は、新型コロナの影響により、市バス・地下鉄の御利用はコロナ前に比べて1日当たり約20万人減少し、運賃収入は、この2年間で270億円もの大幅な減収となっております。今年度に入りましても、通勤利用は一定回復基調にあるものの、通学や買物などの日常の利用、さらに観光利用はいまだ回復しておらず、コロナ前に比べ約20パーセントの減と極めて厳しい経営状況が続いております。このような中、これまでから間断なく実施してきました人件費や経費の削減に加えまして、今年3月に策定した経営ビジョン改訂版に基づきまして、ダイヤの見直しや駅有人改札業務のリモート化など更なる経費削減を断行いたしております。さらに収入増加策といたしまして、経済団体、大学への訪問による定期券の販売や美術館、博物館等との連携、駅ナカビジネスや広告などの取組を促進するとともに、さらにはこの窮状は、一交通事業者だけで解決することは困難であることから、国や府への財政支援措置の特例を粘り強く要望するなど、あらゆる経営健全化に取り組んでおります。市バス・地下鉄の御利用は、感染状況に大きく影響を受け、かつ、新たな生活様式の浸透により今後も回復が見込めない要素もあることなど依然として先行きが見通せないこと、さらに今後、車両、設備に多額の投資が必要なことや原油高による燃料費等の高騰といった課題も抱えており、この先も厳しい状況が続く見通しでございます。コロナ禍による減収やバリアフリーをはじめとする安全・安心のための設備更新等に多額の経費を要することから、全国の多くの交通事業者が運賃改定を表明している中、本市において置かれている状況は同じであり、現時点では運賃改定を見込まざるを得ない状況であることに変わりはございません。引き続き、運賃改定は最後の手段、最後の砦との認識の下、あらゆる経営健全化を推し進め、市民の皆様の生活はもとより都市の成長戦略を推進するうえで不可欠となる市バス・地下鉄を守り抜いてまいります。 次に、物価高騰対策についてでございます。昨今、消費者物価指数、企業物価指数が共に大きく上昇するなど、物価の高騰は、市民、中小企業、小規模事業者等の皆様に多大な影響を与えていると認識しております。また、本市が今年8月に公表した中小企業経営動向実態調査において、経営上の不安要素として原材料価格上昇を挙げた企業が最も多かったことから、物価高騰の影響が本市の中小企業にも強く及んでいるものと改めて認識いたしております。これらの対策といたしまして、今般、政府の物価・賃金・生活総合対策本部において、住民税非課税世帯等への1世帯当たり5万円の給付金などの対策や地方自治体が各地域の実情に応じてきめ細かく必要な事業を実施するための財源として地方創生臨時交付金を6,000億円追加交付することが示されました。これら国の対策に呼応し、本市におきましては、まずは9月30日、議会日程の御配慮をいただいたうえで、非課税世帯等への給付金に係る補正予算138.7億円を提案し御議決いただきました。今後、適切かつ迅速に給付を進めてまいります。 また、臨時交付金の本市への追加交付額は、26.4億円と示されております。そのうち10億円は、既に6月補正予算において先行活用し、食材費高騰の負担軽減等の生活者支援や厳しい経営状況にある中小企業等への幅広い支援にスピード感を持って取り組んでおります。残る16.4億円につきましても、現在取り組んでいる支援策の実施状況や現下の市民生活、経済活動の状況に加えまして国や京都府の取組なども総合的に勘案し、交付金を最大限効果的に活用できるようにしっかりと取り組んでまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) 上下水道事業決算についてでございます。令和3年度は、新型コロナの影響などにより、料金収入がプランを大幅に下回る厳しい状況の中、事業面では、10年前の約3倍となる配水管更新率1.5パーセントを確保し、水道管路の更新、地震対策を実施してまいりました。また、5年に一度の大雨に対する雨水整備率が全国トップクラスの91パーセントを達成している雨水対策については、10年に一度の大雨に対する雨水整備率がプラン目標の33パーセントに到達し、更なる浸水被害の軽減を図るため、鳥羽第3導水きょや烏丸丸太町幹線などの雨水幹線の整備を進めているところでございます。また、将来の施設整備の財源確保に向け、旧九条山浄水場跡地の売却をはじめ保有資産の有効活用についても積極的に推進いたしました。しかしながら、財政面では、業務執行体制の効率化などによりプランを上回る経費削減を図ったものの減収の影響が大きく、施設の改築更新などの財源となる積立金の確保額は、水道・下水道合わせて目標を6億円下回る結果となりました。水需要の減少や管路、施設の老朽化の課題に加えて新型コロナの影響や資材、燃料価格の高騰が続いており、今後の経営環境はますます厳しくなることが想定されますが、上下水道料金の改定については、あらゆる経営努力を尽くしたうえで、将来の更新需要や社会情勢、世代間の公平性、市民生活への影響などを十分に考慮し慎重に判断すべきであると考えております。そのため、来年度からの新たなプランにおいては、更なる業務執行体制の見直しや民間活力の導入などによる徹底した経営の効率化、保有資産の有効活用を進め、経営基盤の強化を図ってまいります。また、限られた事業費の中で、これまで以上に事業の優先順を考慮することで、事業効果を最大限発揮できるよう取り組んでまいります。 今後とも長期的な視点の下、上下水道施設の改築更新や防災・減災対策を着実に推進し、重要なライフラインを将来に向かってしっかりと守り続けてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、津田大三議員に発言を許します。津田議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕 ◆(津田大三議員) をりとりてはらりとおもきすすきかな。私は、この市役所がございます中京区選出の津田大三でございます。富議員に引き続き、下村、椋田、平山議員と共に、自由民主党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。 さて、冒頭の句は、飯田蛇笏の句でございます。すすきの穂は、見た目には軽そうに思いますが、折り取って手に持ってみると、思いがけない重さがある。そこには見た目には感じない命の重さを感じる。何げないところに本当に大事なものがある。そういった意味の句でございます。 コロナ禍の大変な中、医療関係者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様の御努力やその対応に当たっていただいている行政をはじめとする多くの皆様、そして様々な場面で感染防止に御協力をいただいております多くの市民の皆様に感謝を申し上げます。今、改めて命の重さを感じています。また、同様に、目に見えないところに本当に大切なものがあるのではと思っています。今一度、生きることと人と人のきずなを見詰め直しながら質問をさせていただきます。 初めに、地域活動の在り方についてお伺いします。コロナ禍によって地域活動は大きく制限されました。そして本来の京都が持つ一番の強みが極端に弱くなっていると感じています。本市は、100万人を超える大都市であると同時に田舎のような温かい面、悪く言えばめんどう臭さを持ち合わせているまちです。この間、地蔵盆や運動会、消防団をはじめとする地域組織のいわゆる顔の見える付合いが大きく変容してしまいました。また、地域の祭りや、京都の三大祭り、五山の送り火など先人より受け継いできたもの、これまで大切にしてきたものをどう維持するのか、今後どうしていくのかが問われる3年間であったと言えるのではないでしょうか。京都では、生活に文化が根付いています。三大祭りや送り火も生活の中にあるものだと思います。そしてその担い手は地域であります。この基盤である地域が弱体化すれば、全てが失われてしまうのではないかと危惧しております。多くの方は、祭りや地蔵盆を楽しみに待っておられます。しかしながら、それを目いっぱい楽しむことがはばかれているのが現状です。 本市では、地域コミュニティ活性化推進条例を平成23年11月に制定しております。また、本年1月にはコロナ禍の影響を鑑みた新たな指針である地域コミュニティ活性化ビジョンを策定し、これによりICT化と言われる情報通信技術を駆使していくことや地域と市民団体、大学、地域企業などとの連携を進めていくこととなりました。さらに、昨年末から本年2月にかけて地域にアンケートを取り、その内容の詳細を今年の6月の文化環境委員会で報告されています。その中で、今後の取組として、1、一人一人の多様性を踏まえた誰もが参加しやすい地域づくり、2、多様な地域の特性に即した地域活動の推進、3、多様な主体の連携、共同の推進を挙げられています。そして担い手不足や地域活動の負担軽減のために、ツールとしてのデジタルトランスフォーメーション、DXと呼ばれる社会のデジタルへの変換の更なる推進が示されています。これにより会社勤めの方でも気軽に地域活動に参加でき課題の解決につながっていくとしています。こうしたICTの恩恵の可能性を探っていくことは大切です。そのためにも、地域コミュニティへのサポートが必要と考えますがいかがですか。 しかし、DXで全てが解決する訳ではありません。ICTの活用を進める一方で、顔と顔の見える関係、人と人との温かいつながりがコミュニティの根幹であることを忘れてはならないと思います。子供たちが生き生きと輝いている、そのことに携わっていく、それは単に負担ではなく楽しいことではないでしょうか。それを見ながらたわいもない話をする、それこそが地域活動の本質ではないかと思います。 人は、一人では生きることはできません。生物学的にも群れを成して生きる動物であると思います。だからこそ、社会の最小単位である家族や一番身近な地域はとても大切なものであると考えています。そこには、目に見えて必要とされることがあり、それに応えたいと思える場所でもあります。また、一緒にいることで楽しい空間であるはずです。そこでは、営業活動のように必要最小限のコミュニケーションでは完結できるものはなく、短いスパンで見れば無駄に思えることでも、長いスパンで考えれば、人にとって生きる意味のような大切さがあります。それを守るツールの一つとしてDXがあり負担の軽減があるのではないでしょうか。同様に、地域に積極的に参加していただける企業もありますが、まだまだ少数です。しかし、企業にとっても一見無駄に見えるかもしれませんが、長期間を考えるとそれは企業理念のような一番大事なことになるのではないでしょうか。そのためにも気軽に参加でき、そこに行くことが楽しく、一部の人だけが大きな負担になるのではなく、持続可能な取組をしていかなければならないと考えます。今回のアンケートをどういかしていくのか、またコロナ禍の中でどのように地域活性化を進めていくのか、自治会、町内会に限らず様々な主体が地域で活躍し地域コミュニティの維持発展を図って行くとはどういうことなのか。今後の地域コミュニティの活性化を条例やビジョンをいかし、市民や行政、団体や企業などが主体となってどのように進めるのかお聞かせください。 次に、商店街振興と活性化についてお伺いします。京都市では、これまでから商店街振興にも力を入れていただいており、商店街のDX化や様々な企業とのコラボ企画があります。例えば、嵐電との企画、あるいはお風呂屋さんとの企画もございます。またプレミアム商品券などに補助を手厚く出すなど様々な知恵と工夫を凝らしていただいております。私の地元三条会商店街では、区民運動会とのコラボ企画をされ、景品を全て商店街の金券にされます。地域と商店街が一緒になって取り組む良い事例だと考えています。しかし、現在もなおコロナ禍が続いており、商店街の各店舗の経営はとても厳しい状況が続いております。さらには、非接触が喜ばれ主流となりつつありますが、個人経営の商店街では、まだまだ対応が不十分です。 日本ではなかなか進まなかった現金から電子マネーへの転換が一気に加速しています。これは時代の流れでもあり進めていく必要があります。一方で、仕方がないことでもありますが、何も手を打たなければ、ますますネット販売や一部の大手企業にお金が流れてしまう状況であります。すぐに安く欲しいものが見つかるネットの良さも分かりますが、対面により人と人が関係を持つ商店街等の対面販売も大切にしなければ、本当の買物の楽しさは分からないのではないでしょうか。また、経済の市内循環にも影響します。電子マネーをいかに有用に使っていくか考えていかなければなりません。 地域で、あるいは旅行先の商店街で対面し地元のことも聞きながら楽しめる。そのためにも本市が施策においてもっとコラボができる、そのような取組を考えていくべきではないでしょうか。ふるさと納税感謝券や新たな取組である環境エコポイントといった本市が主体的に発行する電子マネーは、もっと地域で使える、京都に来たら使える、そういった施策としていただきたいと考えますがいかがですか。また、将来的には京都カードのような取組へとつなげていくべきと考えます。商店街は地域コミュニティの要であり、本来そこに行けば地元の人に会ったり地域情報を聞いたり、場合によっては発信していくことができる場所であります。その重要性はこのようなときにこそ再認識する必要があると考えます。これは地域の人自らが考えなければなりませんし、また商店を営む経営者も考えなければなりません。そして本市もそのきっかけを作っていく必要があるのではないでしょうか。商店連盟などとも十分な連携を図り意見の集約をしていかなければなりませんが、京都市は、商店街をどのように位置付け、どうデザインしていこうとされているのかお聞かせください。 次に、情報リテラシー教育についての見解をお尋ねします。先ほども述べましたが、時代が大きく変わってきています。国の施策であるギガスクールなどDXは現在の教育の中で大変重要な教育課題であると考えています。 私は、以前の代表質問で小学生や中学生には携帯などは必要がないと、そういった趣旨の質問をさせていただきました。その折、市長からも同様の答弁を頂いたと思っております。これからの未来においては、例えば受験も大きく変わっていくと考えます。今までのように暗記することは余り重要ではなくなり、幾つかの小さな情報から早く、正確にその本質にたどり着くことが求められるような試験となり、それに対応をしていく教育へと変えていかなければなりません。 一方でデジタルには、怖い部分もございます。私は、その中で一番怖いところ、それは忘れないこと、死なないことだと思っています。SNSで発信したことはいつまでも残っているのです。一度発信してしまえば、どのタイミングで誰がその発信を見るか分かりません。その観点から見れば、私や市長は、いつまでもたってもデジタルは要らない人になってしまうのであります。今後10年もたてば、Facebookには生きている人よりも死んだ人の方が多くなると言われています。アバターと言われる仮想の自分、メタバースと言われる仮想世界、今後はデジタルクローンという技術により、SNS上には、いつまでも死なない人間が増えていくかもしれません。デス・エデュケーションなども再考する必要があるのかもしれません。スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンは、著書「スマホ脳」の中で、人間の脳はデジタルに対応できていないと言われています。さらに、長時間の利用によって孤独感が強まり、スウェーデンでは、鬱病が増え、抗鬱剤の使用が大人の九人に一人になっているとのことです。若年層の睡眠障害においては、2000年に比べ8倍にもなったと紹介されています。そして現状、スウェーデンの小学校では、校内でスマホは使わないことになっているようです。こういった事例についても十分な検証が必要だと考えます。総務省でもICTメディアリテラシーの育成を推進し、その有用性と危険性についての理解を求めています。学校運営協議会及び学校評価に関する検証委員会の委員からも、ICTの活用については、社会の急速なデジタル化に伴い、慣習などを再考することや、効果的なものとそうでないものの見極めをすること、教職員や学校が得られた経験の共有などが指摘されています。 これから未来に向かって子供たちがデジタル技術をいかに有効に、有用に使えるようにするのか、あわせて、ICTがどのような悪影響を及ぼすのか、いまだ解明されていないことも含めて理解をしてもらわなければなりません。大きな意味でのICTやDXのリテラシー教育とはどのようなものなのか、お考えをお聞かせください。 最後に、効果的な少子化対策への取組についてお聞きいたします。現在、少子化の進行に歯止めが掛からない状況となっており、その進行スピードに拍車が掛かっています。本年の上半期の出生数の速報値は39万人となっており、今年の出生数は80万人を割り込むのは確実と言われています。出生数は、昭和48年209万人から平成27年にかけ101万人へと減少をいたしました。40年以上を掛けて半減しています。そこからたった7年で20パーセント以上減少しているのです。これは前回の人口統計調査のときから数年、若しくは10年近く早く進行していることになります。 少子化対策について、私は、昨年9月の代表質問でこのように述べさせていただきました。子育て支援は、若い世代のためかもしれません。しかし少子化対策は、全世代のためのものです。急激な人口変動を避けることも大事ですが、未来に夢や希望を持つためには新しい若い力が必要だと思います。私は、以前から少子化対策をしなければならないと申し上げてきました。それは正に多岐にわたることなのです。様々な不安を取り除くためには、さきの行財政改革さえも、私は、少子化対策の一つだと考えています。保守主義の父、エドマンド・バークは、「祖先を顧みないものは、子孫のことなど考えまい」との言葉を残しています。命のリレーの在るべき姿とは、厳しい財政状況の中でも夢の持てる少子化対策を、どのように行財政改革と並行して行うのか。コロナ禍の影響もあるでしょう。しかし、このままでは希望の持てる未来が見えなくなってしまいそうで大変危惧をいたしております。現状についてどう把握していくのか、またどういった課題があるのかしっかりと分析をしていかなければならないのではありませんか。 国において、こども家庭庁が来年度に創設されようとしておりますが、それは子育て支援の領域だと思います。これまでも地方創生などで大きく指摘されてまいりましたが、人口減少が日本の最大の課題であります。この最大の課題に対応するためには、今の対応ではちぐはぐではないでしょうか。今一度、全体のことを考えながら少子化対策を考えなければならないと思っています。これは、私の持論でありますが、地域コミュニティの真ん中に子供たちがいることがとても良い状況だと考えています。子供たちの元気な姿を見ることで高齢者の皆さんにも元気が行き渡り、そして地域のきずなが深まるのだと思います。その中で、地蔵盆や運動会あるいは地域の祭りなどがうまく機能していくのだと思っています。そして、その子供たちが大人となり次の世代につなげていく、こういったことこそが最も重要なことであると思っています。これまでから言われているように、少子化対策にはこれといった決定的な策はございません。様々なことをしていかなければならないと考えますが、しかし一方で、このコロナ禍の中で人と人の付合い方が大きく変容する現在、今何が必要なのか、もう一度考える時期が来ているように思っています。 現在ではネットの出会い系サイトなどで出会うことも多くなっているとお聞きします。このこと自体が悪いわけではありません。しかし本当にそれでだけで良いのでしょうか。あるいは若い世代が子供を産んで、住みやすいまちに京都市はなっているでしょうか。待機児童ゼロはありがたいことだと思います。しかし、そのことよりも地域の温かさや人との関係、そういったものの方が他都市にない京都の魅力であり、私は、子育て支援や少子化対策になると考えています。市長も知事も子育て支援日本一を掲げておられますが、しかし子供がいないのであれば、それも全く無駄なことになってしまいませんか。少子化対策は待ったなしです。今何ができるのかみんなで考える必要があると思っています。具体的な対応を取るために、今すぐにできること、取り組むべきことについてのお考えをお聞かせください。 夏の甲子園で、東北で初めて優勝を飾った仙台育英高校の須江航監督は、優勝後のインタビューで、この子たちは入学どころか、多分恐らく中学校の卒業式もちゃんとできなくて、高校生活というのは僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんです。青春ってすごく密なので。でも、そういうことは全部駄目だ、駄目だと言われて、活動してもどこかでストップが掛かって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってこれた、と話されました。大変感動し共感するとともに、同い年の娘を持つ父親として、大変複雑な気持ちになりました。本当に大切なものは何なのか。生きるとはどういうことなのか。今一度見詰め直す必要があると思っています。私は、青春は若い人だけのものではないと思っています。夢を持ち追い掛けている人は、年齢を問わず青春なのだと思います。そして先人から受け継ぎ、人と人の関係、きずなを大切にしてきたのが京都のまちだと思っています。これからの京都のまちをどう築いていくのか。市長をはじめ関係理事者の積極的な答弁を求めて私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 地域コミュニティの在り方についてであります。住民自治の伝統と支え合いの精神が脈々と受け継がれてきた京都市においても、コロナの影響は大きく、昨年度の自治会、町内会アンケートでは、役員の方の負担感、住民間の交流行事の中止・縮小、さらに調査開始以来初めて加入世帯数が減少するなど厳しい実態が改めて明らかになりました。こうした実態を踏まえ、本市では、地域コミュニティ活性化推進条例の下、本年1月に策定した地域コミュニティ活性化ビジョンに基づき取組を進めているところであります。ICT、中でも身近なスマートフォンを活用することで、幅広い世代が地域活動に参加しやすい環境づくりや情報共有の迅速化、さらに負担軽減にもつながることから、スマホ講座の開催や自治会アプリ活用の支援など地域の実情に応じた支援を引き続き進めてまいります。 また、津田議員御指摘のとおり、地域コミュニティの根幹は、人と人との顔を合わせた関わりであり、地域活動に気軽に、そして楽しく参加できるという観点は、地域自治の伝統と支え合いの精神を将来に受け継いでいくために欠かせません。子供の見守りや災害発生時の地域での助け合いなど身近なコミュニティにおける共助の大切さや地域活動に関わる楽しさなどの本質を住民の皆様と共有するとともに、少子高齢化、単身世帯の増加などの社会状況の変化を踏まえ、誰もが楽しくやりがいを感じられるよう多様な関わり方による地域活動への参加を促進することが重要であります。そのために、地域で様々に活動されている地域団体や地域企業、大学などの幅広い主体と本市が共に力を合わせて多様な地域の実情に沿った活性化支援の取組を着実に進めてまいります。また、人と人、そして様々な主体が有機的に関連し合いながら地域における共助を支えるこれからの時代の地域コミュニティの在り方につきましては、地域活動に関わる様々な団体などにおいても幅広く御議論いただいているところでございますが、私どももそこからも学ばせていただき、共に京都が誇る地域力の更なる活性化を目指してまいります。 次に、商店街振興でございます。本市では、商店街が地域の発展に貢献しているとして、国のはばたく商店街30選に選定されるなど元気な商店街が数多くございます。しかし、津田議員御指摘のとおり、ライフスタイルの多様化や少子高齢化の進展、インターネット販売の普及など小売業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、そのような中、商店街には実店舗における対面接客や商店が集中している空間としての魅力、信頼性をいかしつつ時代のニーズに対応していくことが求められておりますが、経営者、顧客の高齢化や担い手不足のため、例えばキャッシュレス・デジタル化が進んでいない商店街もございます。このため、本市といたしましても、今年度新設した商店街等キャッシュレス・DXチャレンジ支援事業補助金もきっかけにしていただきまして電子マネーを利用できる商店を増やし各種の施策と融合させながら、京都で買物をされる市民や観光客の皆様の利便性の更なる向上を図り商店街への新たな消費の取組につないでまいります。 また、商店街は、安心・安全な買物環境を提供するだけでなく、地域のにぎわいの創出や文化の継承、子育て支援、地域福祉にも重要な役割を果たしていただいております。地域コミュニティの核であり、活性化を図っていくことが重要であると認識しております。そのためには、意欲ある商業者が才覚を発揮し、商店街に魅力あるお店が増えると同時に、個々の会員が商店街の魅力や価値、一体的な取組の必要性を改めて認識し、地域の皆様や各種団体、他の商店街等とも連携を深め、自ら誘客促進や地域貢献に取り組んでいただく商店街づくりへのそうしたことへの支援が必要でございます。引き続き、京都商店連盟等とも十分に連携しながら、担当職員による訪問等を通じて、個々の商店街の課題やニーズを的確に把握したうえで、先ほど紹介した元気な商店街の取組や民間企業や大学等との連携による成功事例を紹介するなど商店街としての一体的かつ自主的に活性化に取り組もうとされるきっかけづくりも含めて商店街の魅力向上に取り組んでまいります。そして活性化につなげてまいります。 次に、少子化対策についてでございます。本市では、子育て支援施策を最重要施策の一つとして妊娠前から子供、若者まで切れ目のない支援を推進しており、国基準を大きく上回る保育士の人数、給与水準を実現し、保育の質の向上と共に、令和4年度当初には、保育所等は国基準で9年連続、学童クラブ事業は11年連続で待機児童ゼロを達成しております。また、学校教育におきましては、全ての小中、支援学校に設置した学校運営協議会の取組により、学校、地域、保護者の連携が深まり、またPTAが主体的に子供たちの学びと育ちに関わるとともに本市独自で教職員の加配、例えば中学3年生の30人学級等少人数学級など教育環境の向上を図る取組を実施し、また、子供たちの努力の結果、文部科学省の全国学力学習状況調査において、小学校は2年連続で全国政令市1位になるなど小中学校とも高い学力水準を維持する成果につながっております。こうした取組は、正に子供を地域や社会の宝として大切に育む文化が根付いた京都市の強みとなっております。加えまして、少子化や子育て世帯の流出等に歯止めを掛け、若い世代が京都で働き、住み、子供を産み育てるという流れを生み出していくためには、津田議員御指摘のとおり、少子化対策は総合事業であり、また、現在の最優先課題であると認識いたしております。子育てや教育施策はもとより、仕事、住まいなど関連する施策を総合的かつ複合的に積み上げていく必要がございます。そのために、若い世代の居住環境が創出できるように景観政策はしっかりと根幹を維持しつつ、市内の周辺部を中心にスピード感を持って都市計画の見直しを進めるとともに、多様な働き方に対応するオフィス等の立地促進や雇用の場の創出、若者、子育て世帯が魅力を感じる住宅供給や空き家等の有効活用などに取り組んでまいります。 京都は、職住近接の暮らし、周辺部や山間地域を含めた多様な地域特性、優れた文化と自然、充実した教育環境、温かな地域コミュニティなど若い世代の方々の価値観に沿った暮らし方、働き方が体現できる様々な強みを有しております。今後はこうした強みを更に磨き上げ、同時にそうした魅力を積極的に発信し知っていただくことが重要であります。引き続き、西脇知事ともしっかりと連携しながら、京都で働き、京都で暮らし、京都で子育てしたい、京都に住み続けたいと思っていただけるように総力を挙げて取り組んでまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 情報リテラシー教育についてでございます。社会のデジタル化が急速に進み、インターネット技術をはじめICT機器の活用なしでは成り立たない時代を迎えており、今後ますます積極的な活用が求められております。こうした中、現在、各学校においてもGIGAスクール構想の下、児童生徒が一人1台端末を日常的、主体的に活用する中で、情報リテラシーをはじめ社会的変化を乗り越えるための基盤となる生きる力を身に着けるための取組を進めているところです。さらに、ICT機器の利点を最大限いかし、不登校や障害のある子供へのきめ細かな支援など誰一人取り残さない視点を踏まえた取組も進めております。 一方で、津田大三議員御指摘のとおり、ICT機器の活用には、インターネットへの個人情報の流出や半永久的な情報拡散、有害サイトへのアクセス等の課題はもとより長時間の利用による生活習慣の乱れや心身の不調などの影響も指摘されているところであり、こうした側面についても学校、保護者との連携の下、教職員が十分理解を深め、適切な情報リテラシーに関する指導を進めることが重要であると認識しております。本市では、今年度中に教育における今後のICT活用やDXの推進に向けた指針となるKYOTO×教育DXビジョンを策定いたしますが、本指針においても議員御指摘の様々な課題に対する適切な指導を行うことについて、しっかりと明記したうえで、ICT機器はあくまで手段であり子供たちが経験を通して学ぶことが重要であることや、ICT機器の活用が学びの孤立化ではなく本市教育が培ってきた多様な他者との交流や集団の中での体験を通じた協働的な学びの一層の充実につながるものとなるような方策を示すこととしております。今後ともICT機器の心身に及ぼす様々な影響に配慮し、また、注視しながら、未来を生きる子供たちにより一層求められる情報リテラシーの育成を図れるよう本市学校教育の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、下村あきら議員に発言を許します。下村議員。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) 改めまして、おはようございます。私は、下京区選出の下村あきらでございます。先ほど質問されました富議員、津田大三議員、そしてこの後質問される椋田隆知議員、平山たかお議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表して質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。 初めに、今議会において令和3年度決算の詳細が示されましたが、令和4年度予算における改革の取組も含めますと、行財政改革計画を大きく上回る収支改善を図ることができたとのことです。とはいえ、いまだ特別の財源対策に頼らなければならない状態に変わりはなく、将来世代へ負担を先送りしている状態から脱したわけではありませんが、何も策を講じなければ令和6年度にも枯渇すると言われていた公債償還基金については、その危機を回避したと表明されたところであります。しかし、冒頭、我が会派の富議員の質問にもありましたが、京都市の財政状況については、この間マスコミ報道をはじめとして非常に多くの情報が飛び交う中、市民の中には、今後の市財政への不安や不信が今も拭い去れずに残っております。私は、市民の皆様に対して正しい情報を分かりやすく、しっかりとお届けするということが非常に重要であると考えております。このためには、正しく伝える努力が大切であります。引き続き、責任を持って市民の皆様に正しく伝え、そして市民の皆様の心にしっかりと届き伝わるよう取り組まれることを強く求めまして質問に移らせていただきます。 さて、様々な課題が問題視されている孤独・孤立対策についてまずお尋ねいたします。我が国では、近年、グローバリゼーションや情報化といった経済環境の急激な変化、人口減少や少子長寿化の進展、核家族化や単身世帯の著しい増加の下、人と人とのつながりが希薄化し望まずに孤独になったり社会的に孤立して必要な情報や支援を十分に受けられない状態に陥っている方が増えていると指摘されています。警察庁統計による令和2年の全国の自殺者数は、新型コロナウイルス感染拡大による影響もあって、2万1,081人となり11年ぶりに増加に転じてしまいました。中には、誰かに相談し悩みを聴いていただいていたら尊い命が救われたケースもあったのではないかと残念に思われてなりません。 また、大人の代わりに家事や家族の世話をして息苦しさを感じているヤングケアラーの問題、そして依然として相談件数が増加傾向にある児童虐待の問題などに対して、一人で悩まずに「助けて」の声を上げやすい、あるいは周りにいる方がいち早く気付くなどの公的な支援を含めて社会的な支援を講じていくことがこれまで以上に必要であると考えます。私は、これらの問題の背景にも孤独・孤立の問題が少なからずあると考えております。こうした中、国において、昨年2月に世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣の創設と共に、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が設置され、深刻化する孤独・孤立の問題について総合的な対策が動き出しています。京都市においても、これらの情勢も踏まえ、昨年4月に関係局連携の下、孤独・孤立対策プロジェクトチームを設置し、様々な議論を重ねられ、孤独・孤立対策の取組に関する情報発信や支援団体へのアンケート調査が実施されました。このアンケート調査によると、相談に来られたときには、既に孤独・孤立状態が長期化、深刻化し、課題が複雑になっているため、早期の段階での相談、支援のネットワークの必要性が明らかになっています。また、本年4月に国が公表した孤独・孤立の実態把握に関する初めての全国調査では、頻度は様々ではあるものの「孤独を感じたことがある」と答えた人が約4割でありました。長引くコロナ禍の中で孤独を感じる方が多く問題になる前の予防が重要なことと、実際に孤独・孤立状態になっている方には早期に対応していかなければ問題がより複雑化していくということが分かります。 私は、孤独・孤立の問題に対して、京都市は、先駆的に取り組んでいると評価しておりますが、特に最近新たに二つの動きがありました。一つは、国が、地方自治体を対象に公募していた地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業について、本年7月に第一次取組団体として京都市が採択されたことです。もう一つは、9月に、京都市と関係する支援団体間との連携強化に向けた協定が締結されたことです。この二つの取組が、支援団体同士のネットワークづくりや重層的な支援につながり、声を上げやすい、声を掛けやすい社会の実現につながることを期待しております。コロナ禍は、孤独・孤立の問題を顕在化させ、一層その深刻さを増しています。辛いときに辛いと言える社会でなければなりません。そのためには保健福祉局、子ども若者はぐくみ局、教育委員会など孤独・孤立対策に関わる関係局がこれまで以上に連携するとともに、官民が協力していくシステムが求められています。人と人とのつながりの中で、孤独・孤立に悩む方々に必要な支援を速やかに届けていく必要があると考えます。市長のお考えをお聞かせ願います。 次に、DO YOU KYOTO? の取組についてお伺いいたします。京都市は、平成9年にCOP3で京都議定書が採択されて以来、市政の最重要課題として地球温暖化対策に取り組んできました。地球温暖化対策の目標実現に向けては、具体的な施策の推進はもちろん重要ですが、同時に多くの人々の行動を変えることが肝心であります。それには、分かりやすいキャッチフレーズを掲げることも重要であると考えます。この点、門川市長は、1期目の公約において、DO YOU KYOTO? を掲げられました。この言葉は、ドイツのメルケル元首相が、京都議定書採択10周年を記念したシンポジウムで来日された際に、京都が環境にいいことをする代名詞として世界で使われていると紹介されたものであります。京都市では、これを合言葉に、毎月16日を環境にいいことをする日、DO YOU KYOTOデーと定め、ノーマイカーデーやライトダウンなどのキャンペーンを展開され、その結果、エネルギー消費量3割削減、ごみ半減、自動車分担率2割減といった成果を挙げてこられました。私自身、これまで責任政党の一員として市の取組を支えてきた実感として、市民、事業者の機運が高まった背景には、やはりDO YOU KYOTO? という分かりやすいフレーズも大いに寄与したものと考えております。 この間、地球温暖化が原因と考えられる異常気象が世界的に多発し、人々の健康被害も懸念されるなど地球環境の変化は私たちの生活基盤さえ脅かす、正に気候危機とも言える状況にあります。京都市は、全国初となる地球温暖化対策条例を制定し、市長が自治体の長として初めて表明された2050年CO2排出量正味ゼロが全国に広がり国の方針となるなど地球温暖化対策においても全国をリードしてきたものと承知しております。しかしながら、2050年CO2ゼロの実現は極めて高いハードルであると言わざるを得ません。このハードルの克服、すなわち持続可能な脱炭素社会を構築するためには、行政はもとより、市民、事業者の皆様をはじめとする、あらゆる主体と危機感を共有したうえで、二酸化炭素を排出しない生活、社会、経済活動への転換にオール京都で共々に取り組んでいくことが不可欠であります。そのためには、環境にいいことをするという意識を生活や社会、経済活動の隅々まで浸透させ、例えば、エアコンの適切な温度設定などの省エネの取組や太陽光発電で創られた再エネの導入、環境に配慮した製品、サービスの選択など市民一人一人に身近なことから実践してもらうことが重要です。そしてこのようなときこそ、DO YOU KYOTO? の果たしてきた意義を今一度かみしめ、あらゆる主体の行動を変える取組をより一層進めていくべきであると考えますがいかがでしょうか。 まず、ここまでの質問に対して市長のお考えをよろしくお願いいたします。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答えいたします。 孤独・孤立対策についてでございます。孤独・孤立は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得ることであります。当事者本人だけで解決しなければならない問題ではなく、悩みを抱えた方に周囲が気付き、また、助けを求める声を上げやすくするなど環境を整え、社会全体で対応しなければならない問題であります。長引くコロナ禍や物価の高騰等不安定な社会情勢の下で、孤独・孤立問題がより一層深刻化しております。孤独・孤立状態が様々な問題となって表面化したときには課題が複雑化しているため、下村議員御指摘のとおり、予防と早期発見、早期対応が何よりも重要な視点であります。 京都市では、令和3年4月に孤独・孤立対策プロジェクトチームを設置し関係局が緊密に連携し、困り事を抱えた方に早期に気付き、支援につなげられるような取組を検討してまいりました。本年7月には、これまでの本市の先駆的な取組が国において評価され、国から、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業の取組団体に選定されたところでございます。まずは、相談窓口をスマートフォン等で簡単に検索できるチャットボットを導入し、悩み事を抱えた方が気軽に支援機関に相談でき、速やかに対応することで孤独・孤立の深刻化の予防に向けた取組などを推進してまいります。さらに、本年9月に京都市と孤独・孤立対策に主体的に取り組まれている119もの団体との間で締結を行いました連携協定。これにつきましては、関係機関、関係団体の横のつながりを一層強化し、支援の輪を広げるものであり、困り事を抱えた方を早期に把握し、複合的課題にも対応できる環境づくりに取り組んでまいります。 これらの取組を通して困り事を抱えた方々の思いに寄り添い重層的な支援の取組を推進することで、困り事を抱えた方が声を上げやすい、困り事に気付いた方が声を掛けやすい地域共生社会を作り、孤独・孤立に陥ることのない誰一人取り残さない社会の実現を市民ぐるみ、地域ぐるみで進めてまいります。 次に、DO YOU KYOTO? の取組でございます。2050年CO2排出量正味ゼロ、これは全人類が直面している気候危機を解決するために必ず達成しなければならない課題でございます。これを実現するためには各種の施策が必要でありますが、特にあらゆる主体が日々の暮らしの中で危機感と目標を共有し脱炭素型ライフスタイルへ転換していく必要がございます。このため、昨年9月、将来を担う若者を中心とする市民、事業者及び学識者で構成する京都発脱炭素ライフスタイル推進チーム~京創ミーティング~を立ち上げ、京都らしい脱炭素ライフスタイルビジョンやその実現に向けた具体的な行動について、侃々諤々の議論を行っていただきました。この議論を踏まえ、ビジョンを京都の自然と共生する文化やしまつのこころを礎に自ら持続可能な暮らしの中で選択し実現するカーボンニュートラルで豊かな社会と定めました。さらに、下村議員御指摘のとおり、高い目標に向かって機運を高めていくためには、分かりやすいフレーズが必要です。このため、新たなキャッチコピーを、「DO YOU KYOTO? 2050 変わろう、今。変えよう、未来。」とし、脱炭素社会と生活の質の向上を同時に実現する脱炭素型のライフスタイルの転換を様々な場面で呼び掛けてまいります。同時に、具体的な市民の皆様の行動変化につながるよう、これまでの取組を進化、発展させることが極めて重要であり、市民の皆様が自分ごととして新しいライフスタイルを実践しやすい仕掛けづくりに取り組み、既にファッションロスゼロを目指し、使用済み衣服を回収し地域内で循環させるリリース・キャッチの取組をはじめ様々なプロジェクトが動き始めており、今後更なる取組の創出を図ってまいります。京都議定書、そしてパリ協定の実行を支えるIPCC京都ガイドライン採択の地としての誇りと使命感を共有し、市民、事業者の皆様と共にライフスタイルの転換の流れを大きく強くすることで、オール京都で脱炭素社会の実現に挑戦してまいります。 ○議長(田中明秀) 下村議員。 〔下村あきら議員登壇〕
    ◆(下村あきら議員) 市長は、必要な施策はスピード感を持ってしっかりと対応していただくよう、改めて強く要望しておきます。 次に、広域避難場所の今後の在り方についてお尋ねいたします。大正12年9月1日午前11時58分に、東京府や神奈川県をはじめとした近代化した首都圏を襲った関東大震災は、マグニチュード7.9と推定される巨大地震であり、死者、行方不明者は約10万5,000人、住宅の被害棟数は約37万2,000戸、電気、水道、道路、鉄道などのライフラインにも甚大な被害が発生しました。とりわけ、火災による犠牲者が、死者、行方不明者の88パーセントに当たる約9万2,000人にも上っており、大きな火災被害が生じたことが関東大震災の特徴であります。地震の発生が昼食の準備で火を使っていた時間帯であったこと、人口集中で超過密状態であったこと、台風から変わった低気圧の影響で南関東地方には風速10メートルを超える強風が吹いていたこともあり甚大な延焼被害が発生したものであります。人々は、橋のたもと、寺院の敷地など比較的狭い空地に逃げ込みましたが、火災により身動きが取れず、そのまま焼死したケースが多かったとの報告がされております。とりわけ東京市の旧陸軍被服廠跡を襲った火災旋風は、風速80メートル前後と推測される勢いで、多くの避難者が運び込んだ家財道具などに着火して瞬く間に炎上、逃げ場を失った避難者約3万8,000人もの尊い命が奪われました。一方、横浜公園では、樹木が多くの火の粉をさえぎったことや、避難者の多くが着の身着のままで逃げ出したことなども幸いし、ほとんど死者を出さずに済むなど、広場や道路などの空地が火災の焼け止まりの要因となったことが知られております。 京都市では、この関東大震災の教訓などを基に地震に伴う大火災から地域住民の生命を守るため、昭和50年度から梅小路公園などの公園、緑地、グラウンドなどの空地を広域避難場所として確保、現在まで68か所を指定するに至りました。このことにより、京都市民の全人口以上を収容できる安全面積が確保できています。ただ、広域避難場所については、施設の開閉方法や管理者の有無などそれぞれ違いがあり、また、避難して来られた方に災害情報など必要な情報の提供が求められることから、個々の広域避難場所の運用マニュアルの整備の必要性について、私は、これまでから度々具申してまいりました。一方、建物の耐震化やインフラの整備などにより防災、防火機能が向上し、更に今年度、新たな地震被害想定の策定が予定されているなど広域避難場所を取り巻く状況は大きく変わってきております。防災施策が進展してきた中、広域避難場所に係る関係機関の連携や運用に係るマニュアルの整備進捗状況と今後の広域避難場所の在り方について、市長、お答えください。 次に、菊浜地域における高瀬川再生プロジェクトについてお尋ねします。私は、平成21年に京都市会議員として初当選させていただいて以来、地域の皆様のお声を京都市に届けてまいりました。その中でも、高瀬川の水枯れ、ごみ、悪臭について改善を願う地域のお声は、私が大切にしてきたものです。この私のライフワークの一つとしてきた高瀬川の再生が下京区の菊浜地域においてもいよいよスタートすることとになり、喜びと共に大いに期待しております。この高瀬川は、江戸時代初期に水運を目的として開削された運河であり、平成26年には開削400年を迎えた京都の代表的な景観を形成する河川であります。しかし、この高瀬川において良好な水辺環境を保つことが困難となったことから、護岸の老朽化や水枯れの対策として平成22年度から高瀬川再生プロジェクトが進められております。このプロジェクトについては、自民党会派としても、毎年度その進捗を要望しており、これまでに一之舟入から五条通までの区間の整備が完了しております。現在、事業を進めていただいている五条通から七条通付近までについては厳しい財政状況ではありましたが、菊浜地域・地元からの要望もあり、私もまちづくり委員会等で提言させていただき、今日事業化に至った区間でございます。菊浜学区では、高瀬川の清掃活動や菊浜高瀬川まつりなど、この川をいかした地域活動や様々な行事を行っており、正に高瀬川は、地域コミュニティを形成する大切な財産であります。このため、事業を進めるに当たっては、地元の意見をしっかりとお聞きし、高瀬川再生プロジェクトを通じて地域住民がより一層つながりを重ね愛着を深めることができるような取組としていただきたいと思います。そのお考えをまずお伺いいたします。 あわせて事業の財源確保についてお伺いいたします。最近では、三条大橋の補修、東本願寺前市民緑地の整備において、ふるさと納税やクラウドファンディングなどの寄付を活用する事例が増えています。京都は、1000年を超す悠久の歴史を持ち、道路、橋、川などの都市基盤の成り立ちにも、その一つ一つに物語があります。その物語をそれぞれ都市基盤整備の必要性と併せて広く紹介すれば、より一層、寄付の賛同も得やすくなるものと考えています。高瀬川は、400年を超える歴史を持った運河であり京都の発展に大いに寄与してきました。今回、菊浜地域にゆかりのある山内財団から御寄付を頂けることになり、地元の皆様方は大変喜んでおられます。そこで、菊浜地域の高瀬川再生プロジェクトについて今後どのように進めていかれるのか、事業の早期完成に向けた決意を含めて市長に改めてお伺いいたします。 最後に、2点要望させていただきます。 まず、本市の各学校の空調設備の老朽化等に伴う計画的な対応の要望をさせていただきます。本市では、全国に先駆け学校の冷房化を進めてきましたが、現在、設置から20年近くが経過し、大規模な更新時期を迎えてきます。私の地元下京区の小学校等においても空調の不備に対する改善の要望を地域や保護者の方々からよくお聞きしております。猛暑への対応や熱中症予防など児童生徒の安心・安全な教育環境のため空調の老朽化対策は喫緊の課題であり、深刻な不具合いが生じる前に適切に対応していただくことを求めます。加えて、子供の学び舎であり、防災や地域コミュニティの拠点である学校施設の老朽化への対応も喫緊の課題であり、事業経費の平準化や国補助の活用はもとより、全国に先駆けて開校された番組小学校発祥の地、京都ならではの民間活力の活用など、あらゆる工夫を行いながら計画的に取り組んでいただきますよう強く要望いたします。 2点目は、やはり私、地元の下京区の京都駅東部エリアの今後の活性化について要望をさせていただきます。京都駅東部エリアでは、京都芸大、美術工芸高校新キャンパスの建築工事が最盛期を迎え、付近からは建物の外観が分かるようになり徐々に徐々に胸が高鳴ってまいります。さらに、京都芸大新キャンパスの南側の将来活用地におけるSDGsと文化、アートと経済の好循環を展望したチャレンジについても期待が膨らみます。また、東本願寺の前では、市民緑地の建設工事が着々と進められるとともに、地域の方や若者を巻き込み様々なイベントや展覧会なども開催され、完成に向けいよいよ機運も高まってきています。先日3年ぶりに開催された下京・京都駅前サマーフェスタ2022では、門川市長から、京都駅周辺エリアでは、文化芸術を基軸としたまちづくりが進められており、正に京都は、日本の文化、芸術の中心となるという力強い発言も頂きました。地元からも、京都駅東部エリアの活性化が市長を先頭に着実に進められていくことに大きな期待をされています。10月1日土曜日から11月6日日曜日、京都駅ビル西口広場において京都市立芸術大学移転整備プレ事業、作品新キャンパス模型展示のオープニングイベントが開催され、この1日には移転時までの日数を表示するカウントダウンボードの除幕式が行われています。いよいよ来年度は、京都芸大、美術工芸高校が崇仁学区に移転してまいります。このことは、地元崇仁学区はもちろん周辺地域、ひいては京都市全体においても大変大きな変化であり、正にこれからのまちづくりが肝要です。どうか、この機を逃さず、東部エリア、そして隣接する東南部エリアなどの地域の皆様の意見を大切にしながら地域に身近な場所での芸術活動や交流の場づくりなど文化芸術と若者を基軸とした活性化をしっかりと進め、アート市場や関連事業、伝統産業の振興により様々な分野の担い手の新たな雇用、また、地域への定住化を推進することを求めます。どうか引き続き、関係機関や地元の商店街などの事業者と連携し、新たなにぎわいの創出、地域経済の活性化にしっかりとお取り組みいただくことを強く強く求めて要望とさせていただきます。 以上をもちまして私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問に引き続きお答えいたします。 広域避難場所の今後の在り方についてでございます。広域避難場所は、地震に伴う大火災から一時的に身の安全を確保するためのオープンスペースであり、本市では、公園、学校や大学のグラウンド、河川敷等の緑地など多くの施設管理者の御協力を得まして、本市の人口を超える200万人以上が避難可能な計68か所を確保しております。しかし、下村議員御指摘のとおり、多種多様な施設を指定していることから、施錠や管理人の有無、トイレやAED等の設備の状況、関係機関の役割や連絡窓口など広域避難場所ごとに異なる固有の状況を関係機関が共有することが極めて重要でございます。このため、現在、広域避難場所の避難支援を担う区役所、消防署及び警察署、また、自主防災会や施設管理者の御協力も得て、これらの情報を改めて整理し、広域避難場所ごとにまとめ、発災時に円滑に運用できるよう避難者への支援の手順や連携方法等について協議を進めております。本市において、阪神・淡路大震災の被害実態や活断層の詳細な調査、地下構造調査等を基に策定した本市の地震対策の基礎でございます京都市第3次地震被害想定以降、住宅の耐震化率の向上など都市構造の変化や平成23年の東日本大震災の発生など地震対策を取り巻く状況は大きく変化しております。このことから今年度、今後の地震対策につなげるために最新の科学的知見と耐震性の向上など、近年の防災・減災対策の成果も組み入れましたより精度の高い新たな地震被害想定を策定することといたしております。この新たな被害想定を踏まえまして、必要な広域避難場所の配置や規模、避難支援など広域避難場所の今後の運用についても検討を深めまして、関係機関の連携による安心・安全な避難対策を講じてまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 谷口建設局長。 〔谷口建設局長登壇〕 ◎建設局長(谷口一朗) 高瀬川再生プロジェクトについてでございます。高瀬川は、かつて物流の大動脈として近代の京都の商業、文化の発展を支えると同時に、地域のシンボルとして長年にわたり住民の皆様の中に息づいてまいりました。高瀬川再生プロジェクトは、老朽化した護岸等を改修し高瀬川周辺一帯の魅力あふれる水辺環境であるせせらぎを復活させる事業であり、既に整備を完了した一之舟入から五条通までの区間に続き、本年6月には五条通から南の菊浜地域で工事に着手いたしました。菊浜地域は、川沿いに茂る樹木の緑と水面のきらめきが調和し、原風景とも言える景観を成しております。こうした魅力を更に磨きつつ、お住まいの皆様に安心感と親近感をもたらすため、地域の御要望を踏まえ、樹木をバランスよく配置し、見通しを確保するとともに、水辺に触れ合える親水空間を整備いたします。これらにより、多様な皆様が集い交流する場として、高瀬川が地域のまちづくりに資するものとなるよう取り組んでまいります。こうした中、本年3月、菊浜地域にゆかりのある一般財団法人山内財団から事業への御賛同を頂き、多額の御寄付の申出や専門家による植栽計画への助言をはじめとする様々な形でのプロジェクトへの参画など全面的な御支援により事業関係を当初予定より約4年、大幅に早めることが可能となりました。本市としましても、引き続き国費など財源確保に努めつつ、大阪・関西万博の開催を見据えながら、令和6年度の整備完了に向け着実に事業を進めてまいります。また、高瀬川をはじめとした都市基盤整備の財源につきましては、下村議員御指摘のとおり、整備を進める施設等の歴史や成り立ちを分かりやすく紹介し、ふるさと納税をはじめ幅広い皆様からの御支援を頂けるよう全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、椋田隆知議員に発言を許します。椋田議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) 私は、南区選出の椋田隆知でございます。先輩同僚の富きくお議員、津田大三議員、下村あきら議員、そして平山たかお議員と共に、自由民主党京都市会議員団を代表し、市長並びに関係理事者に質問と提言をいたします。 まず、新型コロナウイルスの感染拡大防止についてお伺いします。人類を脅かしている新型コロナウイルス感染症パンデミックは、第7波を迎え、そのピークアウトが見えつつあるものの決して予断は許せません。本市においては、令和2年1月末に最初の感染者を確認して以来、国の方針や都道府県単位の権限が大きく、多くの市民が暮らす大都市でありながら独自の判断で施策を決定、実行するには制限があり、非常に厳しい2年8か月でありました。今後は国に対して府市協調の下、必要な権限分担を求めるべきであります。特に本市は、政令指定都市として、全国で唯一道府県単位における人口が過半数を超える基礎自治体であります。また、自治面積が広く、11ある行政区の一つである右京区は隣の大阪市より広く、全市における山林面積は3分の2もあり、住民自治や道路、水道をはじめとするインフラ維持管理、消防、防災等の行政役割は大きなものであります。長年育まれた高い市民意識によってその行政力を補い、また、率先して活動する住民自治によって京都市の歴史は刻まれてまいりました。その一例として、京都市が誕生する以前の明治2年(1869年)には、町衆市民の力で番組小学校ができ、本年の全国学力テストにおいて小学生は政令指定都市1位であることは、その礎によって成し遂げられたと言っても過言ではなく先人に感謝いたすところです。そして今を生きる我々や京都市行政に求められるのは、このコロナ禍の中でもより多くの市民がいかに安らかに穏やかに生活できるかであります。ウィズコロナ社会がしばらく続くことを想定した施策の充実において必要な事柄のプライオリティーを定め、スピード感を持って実行、実現すべきであります。 そこでまずは、感染拡大防止に大きな役割を果たすワクチン接種ついて国の方針が示されておりますが、京都府との連携の下、本市においては、どの種類のワクチンを、どこで、どなたが、何回目を、いつまでに接種できるのか、国、府、市それぞれの役割や体制を含め改めてお示しください。 次に、コロナ禍における保育をはじめとする子育て支援について質問します。長引くコロナ禍において、現場の保育者は、今まで以上の感染対策に追われています。また、医療従事者をはじめエッセンシャルワーカーを確保、支援する重要な役割を担っているエッセンシャルワーカーとして重い責任感による行動制限によってストレスが増加する中、懸命に保育を行っておりますが、モチベーションを喪失し退職する保育者も出てきています。国においては、療養期間の短縮や濃厚接触者の定義の見直し等が適宜行われておりますが、現場は栄養士をはじめ調理を担当する保育者の感染によって通常の給食が提供できず、ボックスランチの発注による経費増やお弁当の協力要請による保護者負担の課題も出てきています。そこで必要なのはリスクヘッジです。その一つが、過密シフトの解消のための保育時間の在り方の検討です。国の幼児教育、保育の無償化によって保育時間の長時間化が進み保育者の負担が増大しており、処遇改善による職員確保対策だけではもはや対応の限界があります。現状において大変困難なことであることは分かっておりますが、早急に社会全体の大きな課題として再認識をお願い申し上げます。市長の御所見をお伺いします。 加えて、感染拡大防止をはじめとする安心・安全な保育施設の維持管理について提言します。本市においては、今般の保育園等の定員見直しや京都市保育園連盟が実施する物件費補助金等、施設運営経費に係る施策については一定評価いたします。しかしながら整備交付金制度が今年度で終了することによって、今後の保育の質の保障における大きな壁ができました。そもそもこの制度は、尊敬する先達の先生方と行政の先鋭的な意識レベルの高さによってできた制度であり、長年京都の保育を支えてきました。園児一人当たり1万7,000円というその大きな財源であった京都府の民間社会福祉施設振興補助金が平成20年(2008年)9月に廃止され、平成30年度には民間社会福祉施設サービス向上補助金が多くの保育施設が使うことが困難な地域共生社会実現サポート事業補助金制度に取って代わりました。本年4月には西脇隆俊京都府知事が2期目の再選を果たされ、引き続き子育て環境日本一を掲げられております。今後も門川市長と緊密な連携の下、分け隔てなく府内周辺も含めた均衡ある発展を願い、税の公平公正な予算執行による施設改修施策の充実を京都府にも求めるべきであると考えますがお答えください。 また、昨年5月市会の代表質問でも述べましたが、施設整備には建替えや耐震改修といった大掛かりなものもありますが、保育室、園舎等の衛生対策は大切であり殺菌消毒が不可欠であります。エアロゾル等による空気感染の防止には換気が一番必要です。京都の夏の酷暑と冬の底冷えをしのぎ、休みの少ない長時間保育を安心して行うためには、熱交換エアコンは大きな効果があります。また2020年には蛍光灯照明機器の製造が終了し、本市庁舎等で推進されているように今後照明設備をLED照明機器に順次置き換えしなければならない時期が到来しています。保育施設でもこのような機器の導入を早急に推進すべきです。衛生対策と昨今のエネルギー事情も含め、省エネと両立できる窓ガラスや熱対策塗料、さらには太陽熱機器等も含めた保育施設の維持管理、施設整備について本市の考え方をお聞かせください。 また、子育て世代である保護者負担について、行財政改革計画には、保育料を国基準を基本に改定するとの方針が記載されております。行財政改革の着実な実行は必要でありますが、同時に子育て世代への影響も勘案した慎重な検討が必要です。本年度の保育料の改定については、我が会派のみちはた弘之議員が、昨年の本会議で現行の保育料を維持し慎重な検討を市長に求めた結果、値上げが見送られました。多くの保護者をはじめ保育園、こども園の関係者からも安堵の声が上がっております。明日10月4日からは来年度の保育園等の入園申込みの受付が開始されますが、保育料改定は保護者の方々にとって極めて大きなことであり、できる限り早く方針を示すことで京都で安心して子育てができるようにすべきであると考えますが明確な御答弁をお願いします。 次に、市民の命と暮らしを守るための行政の体制構築と迅速かつ円滑な消防救命救急について質問します。変異株ウイルスによって、乳幼児をはじめとする小さい人にも感染拡大が見られ、若年者が急変重症化するなど新たな局面が次々と現れてきています。昨年京都市においても、自宅療養中の20才代の方が亡くなりました。このことからも変異株は、年齢や基礎疾患の有無にかかわらず急変する可能性があり、それに対応できる確実な職員体制構築の準備が必要です。感染症対策を担う医療衛生部門の負担を考えた全庁を挙げた柔軟な職員の応援態勢が求められています。通常業務を維持した中でどのように構築するのか、また、救急出動が多くなった場合の救急車移動待機やPA連携等に取り組まれているとお伺いしておりますが、厳しい状況の中で市民の命を守る救命救急体制や消防対策についてもお示しください。 以上をもちまして、午前の質疑とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 椋田隆知議員の一般質問の途中ですが、暫時休憩いたします。 〔午前11時50分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続し、椋田隆知議員に発言の継続を許します。椋田議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) 私は、南区選出の椋田隆知でございます。午前中に引き続き質問と提言をいたします。 交通局における安全対策と敷地活用について質問します。市民の暮らしに不可欠な公営交通である身近な市バス・地下鉄もコロナ禍によって依然として厳しい経営状況にあります。管理の受委託の撤退、縮小や急激な燃料費の高騰による経費の増大も重なり、引き続き新たな視点を持って回復を見据えた対策が求められております。経営が厳しいときであっても快適、便利で安全な運行は当然であります。地下鉄については、11年前の11月市会代表質問で可動式ホーム柵計画が具体化し3駅に設置されました。今進められております北大路駅での計画についてまずお答えください。 市バスは、全系統赤字であったものが、営業係数が回復し黒字化した路線もあると報告されました。しかしながら、今後ともより一層の収入増が公営交通を維持するためには必要であります。本市の一般会計においては、厳しい財政状況の下、市民の財産である市有地の有効活用が進められており、市営住宅再生事業においては、八条市営住宅では民間活力導入による売却益や学校跡地をはじめ借地による収益も生まれています。同様に、交通局も烏丸車庫での北大路タウン、三哲車庫での下京区総合庁舎や九条車庫での京都テルサ等の用地活用が進められてきました。他都市を見ると、鹿児島市では中心部の交通局跡地において地区計画が進められており、病院、複合施設、ホテルを中心としたまちづくりが行われております。そこで提言するのは九条営業所の広大な敷地の活用です。南区では区役所の老朽化等による移転の課題があり早急な計画が求められています。また、九条営業所は、小中一貫校である凌風学園に隣接し、総合病院や商業施設とも至近という立地であり、子育て世帯向け住宅や高齢者福祉住宅等も含めた複合ビルの建設ができれば長寿少子化社会における人口減少に対応できる住居確保にもつながります。これについての御所見をお伺いします。 次に、水道水の更なる有効活用と雨水対策について質問します。上下水道局では、中期経営プランにおいて、大幅な減収が続く中にあっても長期的な視点に立ち、将来にわたって市民の重要なライフラインである水道・下水道を守っていくため老朽化した配水管の更新や雨に強いまちづくりに向けた雨水幹線の整備等プランに掲げた年次計画を着実に推進されており、5年確率降雨対応は約91パーセントであり全国平均の60パーセントを大きく上回っております。しかしながら、上下水道事業を取り巻く経営環境は大変厳しく、節水型社会の定着等に加えて新型コロナウイルス感染症の影響により水道料金、下水道使用料収入がプランを大幅に下回っております。そこで水道水の有効活用として京都駅前バス乗り場や四条通バス停、京都市役所庁舎や上下水道局総合庁舎、さらには今年度完成予定の京都市初の東本願寺前市民緑地にも設置され市内で徐々に普及が進んでいるドライミストの更なる推進を求めます。一案として再整備が進められている国立京都国際会館の各施設や地下鉄駅をつなぐ屋外廊下に設置してはいかがでしょうか。コロナ禍においても各種会合が行われ今後はより多くの来場が見込まれる施設であり、酷暑の京都でも周辺気温を最大3度下げる効果があり熱中症対策やヒートアイランド現象の緩和に有効です。国の施設でありますが、地球温暖化に対する対応策の観点や公共交通の利用による歩くまちを推進する環境先進都市・京都市にとって有意義なことであると思われますが、本市としてのお考えをお聞かせください。 一方で、収入面において一条の光明は、組織の再編や事業所の集約により生じた空き施設や未利用地について保有資産の有効活用を積極的に進められており、売却、貸付けを行った保有資産は、大学、物流拠点、共同住宅、宿泊施設等として活用され、まちづくりの活性化に資する利用がされています。その有効活用の主な実績として平成30年度以降の収入額は約97億4,000万円の収入があり、使途については、水道事業基金、公共下水道事業基金への積立てを行い、今年度は施設整備等の財源として上下水道局南部拠点整備事業の財源に活用されております。約10年前までは平均0.5パーセントであった老朽化した水道管路の更新率は1.5パーセントまで向上しているものの引き続き更新が必要です。その他、市民の安心・安全のために雨水幹線の更なる更新も必要です。そのためにも旧本庁舎等残る未利用地の活用方針はどうなっているのか、今後の管路の更新計画と併せてお聞かせください。 次に、長寿少子化社会について提言します。本市では、地価高騰によって未来世代の住宅確保が困難になっています。子供の成長によって住居が狭くなり、少しでも広い場所を求めて本市から市外に出て行かれることが大きな課題となっております。また反対に、独居になり一戸建て住宅の2階も使われず、水回りの改修もままならなくなり、仕方がなく住み慣れた場所から転居される高齢者がおられます。これらの対策として、高齢者が手放される住宅のリノベーションや中古住宅の融資制度を本市が民間企業にお願いしマッチングを行うことが有効と考えます。いかがでしょうか。 二つ目は、ニュータウン再生や東山区等をはじめとする坂道が多い地域において日常の買物が困難になっておられる高齢者の移動手段として、国土交通省が高齢者の移動手段の確保、観光客の利便性の高い周遊手段の確保等を図るため、実証調査と車両購入費補助により普及を推進している環境に優しいグリーンスローモビリティの本市への導入です。通称グリスロとは、電動で時速20キロ未満で公道を走る四人乗り以上のパブリックモビリティです。小さいものはゴルフ場のカートのようなもので、高齢者でも運転できます。既に導入されている日光市や東京の池袋では、車椅子リフターが設置可能な10人から16人乗りが走っており、広島の福山市では、狭あいな道路が多い鞆の浦地区でタクシーとして運行されています。今後ますます増加する高齢者の支え合いが可能であり、他都市では、民間バス会社やタクシー会社が運行しておられ、本市のニュータウン再生事業にもいかされることでしょう。今後の導入に向け調査研究を含めた検討をお願いしますが考えをお聞かせください。 次に、九条通以南の高瀬川須原通りの改修について要望します。二条通から始まった高瀬川の改修は、財政難であっても民間企業の寄付等により五条通以南の工事が計画され、東海道線以南も都市計画局によって事業が進められております。今後の京都駅東南部エリアの活性化の一事業として、らくなん進都につながる施策でもあります。あらゆる知見を使い、本事業が早急に実現されることを願っております。 最後に、早期のコロナ禍からの脱却と京都市財政の正常化を願い、何より少しでも不公平感を解消できるよう努め、不平不満のない平穏な市民生活の向上のために福祉と教育の充実発展、更なる防犯、防災、健康が保障される安心・安全都市を目指し、元気で優しい人づくり、まちづくりに全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ私の代表質問といたします。今後とも市民の皆様方には、引き続き御理解と御協力を賜らなければなりません。共にこの苦難を引き受け乗り越えてまいりましょう。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 椋田隆知議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナワクチン接種体制についてであります。感染防止対策と社会経済、文化芸術、地域コミュニティ活動等の両立を強固なものにし、ウィズコロナの新たな段階に移行していくためには、感染対策の徹底とワクチン接種が極めて重要であります。とりわけワクチン接種は、重症化はもとより感染、発症の予防につながり、私自身の体験からもその必要性を実感いたしております。新たなオミクロン株対応のワクチンが供給され、京都市では、いち早く9月21日から高齢者施設での接種を開始し、9月26日からは60歳以上の方など4回目接種に加えました。3回目接種がお済みでない方も、また対象といたしました。さらに、接種間隔が経過した12歳以上の方全員を対象とした4回目接種は、国の方針では、10月中旬からとされておりますが、京都市では、これを前倒しして、明日10月4日から対象といたします。接種体制は、引き続き900の身近な診療所や病院に加えまして、集団接種会場など十分な体制を確保します。また、この冬の第8波やインフルエンザとの同時流行に備えまして、国において検討中の接種間隔の短縮が決まれば、直ちに接種券をお届けできるように既に準備を進めております。年内にも希望される方全員が接種できるよう今後ともワクチン接種に全力を挙げてまいります。 次に、保育をはじめとする子育て支援についてでございます。 まず、保育料についてでございます。京都市では、子育て世帯の負担軽減を図るため、約15億円の独自財源を投入し保育料を国基準の7割に軽減しているところであります。現在、長引くコロナ禍の影響に加え物価上昇などにより子育て世帯にとって非常に厳しい経済状況が継続している中で、安心して京都で子育てしていただくために令和5年度も本市独自の軽減措置を継続し保育料は据え置きます。 次に、保育時間につきましては、国が標準時間を11時間と定めていますが、本市では、必要とされる方に必要な保育を提供する方針の下、30分刻みで保育時間を設定する仕組みを独自に導入しております。子供にとって家族と触れ合う時間は掛け替えのない大切なものであり、今後も必要以上に保育利用が長時間化しないよう保護者への啓発等に取り組んでまいります。 次に、保育施設の維持管理や整備についてでございます。子供の安心・安全を確保し保育の質を保障していくためにも、施設の維持管理等は重要な課題であります。とりわけ老朽化対策は、早急に検討する必要があると考えており、今年度中をめどに具体的な方向性をお示ししてまいります。また、保育施設の省エネ化は、これまでからも支援を行ってきており、今後の国の補助制度の動向にも注視してまいります。京都府の補助制度につきましては、現在、社会福祉サービスへの支援の在り方に関する検討が実施されており、本市からも保育現場にとって意義ある制度となるよう強く要望してまいります。 次に、医療衛生及び救命救急の体制についてでございます。医療衛生の体制につきましては、全庁を挙げた応援等により最大570名の体制を構築するとともに、陽性者フォローアップセンターの体制についても最大310名とするなど体制や機能を拡充しながら感染状況に応じて臨機応変に対応してまいりました。応援体制の確保に当たっては、各職場の職務遂行上の影響を把握し、業務運営に影響を及ぼさないようにしており、引き続き、感染状況を的確に把握し、必要な体制を構築してまいります。 救命救急の体制につきましては、救急搬送困難事案や新型コロナ陽性者からの救急要請が増加し1日の救急出動件数が過去最多となるなど厳しい状況の中、消防体制を維持しつつ救急隊を最大5隊増隊し37隊の体制で対応してまいりました。さらに、地区ごとの救急需要に応じまして救急隊の待機場所を一時的に移動させる運用や心肺停止事案等に対応し救急隊に加えまして現場に最も近い消防隊を出動させる運用により、いち早く現場到着できる体制を採ってまいりました。引き続き、全庁一丸となりまして、市民の皆様の命と健康を守るために全力で対応してまいります。 次に、市バス・地下鉄事業についてでございます。まず、北大路駅の可動式ホーム柵の設置につきましては、視覚に障害のある方の御利用が多いことから、厳しい経営状況の中においても令和4年度中の設置に向けて取り組んでまいりました。世界的な半導体不足等に影響によるスケジュールの遅れが懸念されましたが、工事受注者と調整を重ねた結果、来年1月21日の始発から供用開始できる運びとなりました。そして昨日には、可動式ホーム柵の設置に伴い必要となる列車停止位置の変更を完了したところでございます。 次に、九条営業所の敷地活用についてでございます。九条営業所は、178両とバス車両を最も多く保有しており、京都駅を起点とする市バスの重要な拠点であります。そして敷地の活用に当たっては、その機能を維持することが重要でありますが、高度利用の可能性について研究してまいります。椋田議員御指摘のとおり、本市が所有するあらゆる資産の有効活用を図ることは現在の厳しい財政状況に鑑み極めて重要であると認識しており、今後とも都市の成長戦略に資するという観点から幅広く検討してまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) ドライミストの普及についてでございます。本市では、夏の暑さ対策や水需要の喚起の一環としてドライミストの普及を進めております。国立京都国際会館は、地球温暖化防止京都会議の会場となるなど環境先進都市・京都を象徴する施設であり、このような施設にヒートアイランド現象の緩和にも有効なドライミストを設置することは、本市としても意義あるものと考えており研究をしてまいります。 次に、上下水道局における未利用地の活用などについてでございます。上下水道局の旧本庁舎跡地は、駐車場として暫定活用し収入の確保を図りつつ、京都駅東南部エリア活性化方針に基づき全庁的な視点で本格活用の検討を進めてまいります。また、その他の未利用地も引き続き有効活用を積極的に進めることで経営基盤の強化と都市の活性化につなげてまいります。あわせて、老朽化した管路の大幅な増加が見込まれる中、引き続き次期プランにおいても管路更新などを着実に推進するとともに、今後30年以上の更新需要の見通しの再検証を進め、更なる事業費の平準化を図ることで、将来にわたって市民の皆様の重要なライフラインをしっかりと守り続けてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕 ◎副市長(坂越健一) 住宅政策についてでございます。椋田議員御指摘のとおり、本市が民間企業と連携してライフステージに応じた住替えニーズのマッチングを行うことは、既存住宅の流通促進や若者・子育て世帯の移住・定住促進を図る上で大変有効だと考えております。そこで、今年度、若者・子育て世帯の移住・定住促進事業として、空き家も含めた既存住宅の利用、活用、改修等に精通した事業者の情報を検索、提供できる制度を創設します。また、不動産事業者や金融機関等と連携して、町なかに多くある路地のみに面する既存住宅について大規模改修や建替えに対する融資や不動産流通を円滑化する仕組みを構築してまいります。これらの情報を本市の住宅に関する総合相談窓口、京安心すまいセンターを通じて発信し、便利な町なかにある中古住宅を希望される若者・子育て世帯と安心して相談できる事業者とのマッチングを進めてまいります。こうした取組により、若者・子育て世帯への円滑な既存住宅の供給促進を図ってまいります。 続きまして、グリーンスローモビリティの導入に係る検討についてでございます。歩くまち・京都を標ぼうする本市では、環境に優しく低速でコンパクト、運転しやすいグリーンスローモビリティは、バス・鉄道を補完するラストワンマイルの足として有用であると考え、調査・研究を行ってまいりました。これまでに岡崎地域や大原地域で体験乗車イベントを開催し、参加者から好評をいただいたほか、広島県でタクシー運営に活用する事業者と面談し現地取組の情報収集を行っております。さらに、昨年改定した歩くまち・京都総合交通戦略2021では、グリーンスローモビリティを含む新たなモビリティについて、安全で便利に利用するための検討を進めることをうたっております。安全な走行環境の確保、地域の交通課題、事業の採算性を踏まえながら、誰もが出掛けたくなるまちづくりに向けて今後もグリーンスローモビリティ等の新たなモビリティについて検討を進めてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、平山たかお議員に発言を許します。平山議員。 〔平山たかお議員登壇(拍手)〕 ◆(平山たかお議員) 私は、東山区選出の平山たかおでございます。本日は、富きくお議員、津田大三議員、下村あきら議員、椋田隆知議員の4名の先輩に引き続き、自由民主党京都市会議員団を代表し質問をいたします。私からは、人口減少社会に京都市はいかに立ち向かうのか、そしてその道筋はどのようなものを描いているのか、行財政や都市計画、成長戦略などの未来に向けた方策などについてお伺いをいたします。 初めに、京都市の持続可能な行財政への確立に向けた思いをお伺いいたします。今般、京都市から令和3年度決算が発表され、一般会計の収支が実質4億円のプラスとなるなど2年ぶりの黒字に転じる見込みが出されたところであります。ただ、基金の取崩しなどによる財源補填を行う前の通常収支は85億円の赤字となっており依然として厳しい財政状況が続いており、大きな収支不足という課題を抱えております。その中で午前中、富議員も指摘をされておられましたし、また、令和4年2月市会の代表質疑においては、我が会派の寺田議員からも行財政改革の取組の確実な継続を明確に位置付けた条例制定に関する質疑がなされ、門川市長からも前向きな検討を重ねる旨の答弁がなされております。持続可能な財政運営の確立のためには、引き続き行財政改革を着実に推進し、更なる取組として、これまでの改革の成果をより確実にすることが極めて重要であります。そこで、集中改革期間の最終年度である令和5年度の予算編成を一つの区切りとして行財政改革推進のための条例の制定を進めるべきであると考えますが、条例の趣旨やその制定時期など条例制定についての市長のお考えをお聞かせください。 次に、今後の京都のまちづくりの展望、都市計画マスタープランの見直し後の施策展開に関してお伺いをいたします。京都市では、昨年12月以降、都市づくりの羅針盤となる京都市都市計画マスタープランに基づき、本市の厳しい財政状況の下で、人口減少、若年、子育て層の市外流出、働く場としての恒常的なオフィス不足など、それらの課題への対応や将来像の実現に向け、地域ごとの特性を踏まえた都市機能の集積、充実や都市空間の魅力創出のための都市計画上の方策についての検討を重ねてこられました。そして先般、本市の喫緊の課題である若年子育て層の市外流出や産業用地、空間の不足にしっかりと対応するため、開発事業者の創意工夫を最大限引き出しながら京都の都市特性を踏まえた持続可能な都市構造の実現を図るため、従来の枠に捉われない思い切った方策が随所に盛り込まれた都市計画の見直し案が示されたところであります。この見直し案は、京都らしさを守り磨く時代に対応していかす、都市格の向上により高まった都心部の熱を受け止める新たな拠点の形成、京都の未来を支える若い世代に選ばれる居住環境の創出、隣接市町の都市開発や将来的な都市基盤との連動による一体的、連続的なまちの形成といった四つテーマを掲げながら、昨年、本市の行財政改革計画が示された後、若い世代に選ばれる千年都市としてどのようにあるべきなのか、また、京都の求心力を受け止める空間づくりに向けてどのように対応すべきなのか、集中的に議論や検討を重ねてこられたものだと理解をいたしております。本市の成長戦略の推進にとっての一丁目一番地となると言っても過言ではない都市計画において、今まさに、このような大変思い切った方策を講じようとしていることは、先が見通しにくい社会の中で一人でも多くの市民や事業者の皆様の夢や幸せの実現につながることはもちろんのこと、京都の未来を展望した持続可能な都市の構築に向けての大きな礎になるものだと確信をいたしております。 先日のまちづくり委員会において報告された都市計画変更案では、容積率や高さ制限などについて思い切った数字が示され京都のまちが大きく飛躍する可能性が開けた一方で、まちが変わっていくことへの不安を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういった方の不安を払拭し市民の皆さんが京都の未来に対して夢や希望を抱けるよう、都市計画の変更案の意義や効果を丁寧に説明することが必要であると考えております。 そこで伺います。今後進めようとしている都市計画の方策について、その狙いは何であるのか、どのようなまちを目指していくのか、進めていく覚悟と決意を併せてお聞かせください。 さらに、今回、駅周辺を中心としながら、ポテンシャルの高い地域をふかんし、あらゆるデータを活用しながら地域ごとの伸びしろを最大限引き出すための検討がされてきたこと、また、保全、再生、創造の土地利用の基本的な考え方の下、歴史都市・京都が未来に受け継ぐ魅力の源泉である保全ゾーンを尊重しながら都市全体の在りようを熟考されてきた結果、都市としての伸びしろを担う創造・再生ゾーンのポテンシャルを最大限引き出すことを中心とした都市計画の変更案となったということは十分理解いたしております。 一方で、保全・再生ゾーンにおきましても、その地域や歴史に興味を持ち地域の方と一緒になって地域資源をいかした新たな価値を見出し事業を起こすなど強い思いを持った方が活躍していただくことで、更なる魅力や活力を生み出すことが必要であると考えますが、こうした市域全体の発展に向けた方策について、どのように進めていかれるのかもお聞かせください。 都市計画は、何よりも京都市のまちとしての活力の維持、そして向上を果たさなければなりません。人口減少社会にいかに立ち向かっていくのか。特に私の地元の東山区においては、本市の他の行政区と比較いたしましても人口減少が喫緊の課題であります。こうした課題も踏まえ、お答えください。 次に、今後の企業誘致、成長戦略についてお伺いいたします。昨年策定した行財政改革計画における都市の成長戦略をけん引する七つのリーディングチャレンジの一つとしても企業誘致は大変重要な役割を担っております。かつて京都は、ベンチャーの都と呼ばれ、世界的なシェアを誇る最先端のものづくり企業を数多く生んでまいりました。そうした京都の企業の多くは、グローバルに事業展開されながらも、京都に本社を構え続けていただける大変貴重な存在となっていると認識いたしております。 また、近年ではパナソニックデザインセンターやLINE京都、ソニーコンピュータサイエンス研究所などの著名な企業の研究開発拠点や、ネットプロテクションズやマネーフォワードといったスタートアップの拠点進出も相次いでおります。是非、盛り上がっているこの京都進出の機運をいかし、首都圏をはじめ幅広い企業が拠点を設けるなら京都だと思っていただけるように企業誘致を進めていただきたいと認識をいたしております。そのためには、京都市のビジネス都市としての魅力をしっかりと発信をし、そして理解していただく必要があります。京都市は、抜群の世界的知名度を誇り、伝統産業に培われた技術力や大学の集積による豊富な人材力、研究開発力を有する多様な魅力を持つビジネス都市であり、良好な子育て環境や職住近接など暮らしやすさも含めて、京都の多様な魅力がビジネス展開の強力な追い風となることは間違いないと考えております。 一方で、市内に産業用地やオフィスが不足しており、企業誘致のみならず市内に立地をする企業が事業拡大される際にも大きな課題となっております。この課題への対策も含め、今年度から組織体制を拡充し補助制度を充実するなど新たな企業誘致に取り組まれていることと認識をいたしておりますが、近年の企業進出の動向や本市のビジネス都市としての魅力をいかしつつ、同時に産業用地やオフィスの不足という課題を乗り越えることが必要となる企業の立地促進について、現在の取組状況と今後の方向性をお聞きかせください。 京都の強みは何であるのか、分かりやすく言えば、将来、京都は何に注力をし、そしてどのように税収を拡大していくのか、そういった発信が重要となると考えますが、その辺りの御見解もお聞かせください。 まずは、ここまでの答弁を求めます。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山たかお議員の御質問にお答えします。 行財政改革に関する条例についてでございます。この間、行財政改革計画に基づく徹底した改革の断行により、令和3年度決算、4年度予算では、計画を447億円上回る収支改善を達成、公債償還基金の枯渇を回避できました。御理解、御協力を賜りました市民の皆さん、関係機関の皆さんに感謝申し上げます。 今後も増加し続ける社会福祉関係経費等の財源を安定的に確保し、市民の皆様の命と暮らしをしっかりと守り、魅力あふれる京都を未来へ引き継ぐために、公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策からの早期脱却が重要でございます。引き続き、財政規律を緩めることなく改革を着実に実行し持続可能な行財政運営を確立していく、そして京都の未来を担う世代の方々が過度な負担を負うことなく魅力あふれる京都の今と未来を市民の皆様と共に切り開いていく、これが市長としての私の責務でございます。このため、私が本年2月市会の代表質疑で申し上げた改革の必要性や理念、財政運営の目標を明記した計画の策定を位置付ける条例の制定は極めて重要でございます。この間の行財政改革計画の取組をしっかりと踏まえ期間を定めた計画を策定することにより、国の動向や社会経済情勢などの変化、さらには今般の新型コロナや大規模災害など予測できない事態にも的確に対応し機動的かつ着実に改革が実行できる、京都ならではの条例を検討してまいります。令和5年度当初予算に向けて改革の取組をしっかりと進め、その到達点をお示しすることと併せまして、来る2月市会に条例を御提案できるよう取組を進めてまいります。 次に、都市計画マスタープランの見直し後の施策展開についてでございます。本市では、保全、再生、創造の理念の下、まちづくりを進めてきたことにより、京都の都市格は飛躍的に向上し国内外から高い評価を頂いております。一方で、ともすれば全市的に保全重視の印象を与えている面もございます。また、若者、子育て層の減少やオフィス空間の不足等の課題への対応が強く求められております。こうしたことから、京都の景観の守るべき骨格は堅持しつつ伸びしろを引き出すという観点から、精緻なデータを用いて精査した結果、京都駅南部やらくなん進都、西部工業地域、東部の外環状線沿道、市境エリアなどにおける駅周辺のエリアについて、未来志向で戦略的な思い切った都市計画の見直しを行うことといたしました。 また、東山区を含む市域全体につきましては、有識者会議の答申を受けまして、人口減少などの地域が抱える課題に立ち向かい活力を高める観点から、地域ごとのビジョンを明確にしつつ地区計画や特例許可など多様な手法を活用していただけるよう取り組んでまいります。このような都市計画の方策はもとより企業誘致や移住・定住促進など幅広い施策との融合により、成長戦略をスピード感を持って強力に推進してまいります。これにより、京都で住みたい、学びたい、働きたい、子育てしたい、また、京都で新たなビジネスに挑戦したい、拡大したいと、人や企業を引きつける、より一層魅力的なまちを目指し実行してまいります。 次に、企業誘致と成長戦略についてでございます。都市の成長戦略を実現し、雇用の創出、京都経済の活性化に貢献するためには、企業立地の促進が必要不可欠でございます。平山議員御指摘のとおり、本市の企業立地の課題は、大規模なオフィス空間や産業用地の不足でございます。このため、現在それらの創出に向けて景観政策の骨格を堅持しつつ思い切った都市計画の見直しを進めているところでございます。また、中小規模のオフィスでも誘致が可能なスタートアップなど成長途上の企業の誘致にも力を入れております。具体的には、首都圏等の企業に対して、大学のまち、学生さんのまちや産学公連携、あるいは文化芸術都市、職住近接といった京都の強みの発信に専門的知見を有する外部アドバイザーの協力を得ながら取り組んでおります。あわせまして、市内初進出やお試し立地への支援制度を本年度新たに新設し、4月以降半年間で既に合計23件の支援を実施し、多くの企業が進出されております。こうした取組に加えまして、令和5年度には、都市計画の見直しや立地支援施策に集中的かつ総合的に取り組む重点エリアを設定し、市内外へ効果的に発信してまいります。そして更なる立地促進、市内企業の事業拡大も含めて本格化させてまいります。 今後こうした考え方の下に、企業立地促進の基本方針や具体的な取組などを京都市企業立地促進プロジェクトとして取りまとめ、年内をめどに発表してまいります。引き続き、企業立地促進など様々なリーディングチャレンジに注力することで、人と企業に選ばれる都市への成長戦略を推進し、また、税収の増加にもつなげてまいります。 ○議長(田中明秀) 平山議員。 〔平山たかお議員登壇〕 ◆(平山たかお議員) 次に、文化庁と連携した文化財保護行政の推進等に関してお伺いをいたします。いよいよ来年3月、都倉文化庁長官をはじめ文化庁の職員が、京都の新しい文化庁で業務を開始されることになります。さらに5月までには文化庁の職員の大半が京都に移転することを目指すとされており、現在、移転が本格化する令和5年度の予算要求が行われているところでもあります。 これに先立ち、去る5月21日、岸田総理が京都にお越しになられ、文化庁の移転先となる庁舎の整備状況を視察されました。その際に行われた文化芸術関係者との意見交換会の中で、岸田総理は、京都の文化の背景には生活があり、歴史の積重ねがある。その京都に文化庁が来て日本の文化を世界に発信をする。間違いなく発信の重み、厚みが変わると述べられたと聞いております。そこからうかがえるのは、移転後の新・文化庁の機能について、文化庁単体ではなく、京都の歴史や文化の積重ねと層の厚みの中に文化庁を置くことで、そうした京都が培ってきたものを文化庁の新たな政策にいかしていくという京都に期待をする強い思いであると感じております。本市としても、そうした思いに応え、移転後の文化庁の政策に積極的かつ具体的につながっていく、そうした取組を進めていただきたいと考えております。具体的に、現在、国において検討されている移転後の文化庁の新たな政策に、文化財の保存・修理のナショナルセンターとなる(仮称)文化財修理センターの京都への設置があります。これは正に、京都の歴史や文化の層の厚みをいかし得る政策の一つであると考えております。現在、文化財修理センターの機能として、全国の文化財修理の拠点機能や文化財保存技術の調査研究、人材育成や情報発信などが検討されており、いずれも、歴史都市・京都の多くの文化財を扱ってきた本市の文化財保護行政の技術や知識がいかせるはずでありますし、いかしてこそセンターを京都に造る意義があると考えております。 また、例えば技術の調査研究に関しては、伝統的な技術から先端技術まで産業分野で京都に集積する技術や大学のまち京都の知見がいかせるのではないかと考えております。これらの連携・協力について、構想段階から国に提案し働き掛けてはどうかと思います。こうしたことは、京都のためではなく、文化庁移転の本来の意義である文化庁が京都にあることをいかした全国のための取組になると考えております。特に文化庁の京都移転がなされても関連施設などは東京に多くあり、イベント等がどこでなされるのかといった課題もあるでしょう。名実ともに文化庁が京都に移転して良かったと皆様に感じさせる取組が重要であります。その辺りの御見解はいかがでしょうか。 また、文化庁の令和5年度概算要求の中で、文化芸術への寄付促進実証事業が挙げられておりますが、これは、昨年度、京都市が創設し、先頃、文化芸術に加えて文化財保護事業も対象に追加した、そして拡充したArts Aid KYOTOが、国に先駆けて実施しているものであります。国の予算化を踏まえ、改めて文化庁と連携し、全国のモデルとなる取組を協力して進めてはどうでしょうか。 さらに、今後、文化庁とこうした連携を進める上で重要なのが移転後の本市の組織体制であります。これまでは総合企画局を中心に移転の取組を進めてこられましたが、今後は、文化庁の政策といかに連携をしていくのかが中心になるわけであります。具体的な検討はこれからだと思いますが、本市の文化行政を担う立場から、文化市民局がイニシアティブを取る方向で取り組むべきだと考えております。現時点のお考えをお聞きかせください。 最後に、今後の教育に関してお伺いをいたします。先日の教育福祉委員会の視察において、鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館にお伺いいたしました。当施設は、決して特攻隊を、また戦争を賛美するものではなく、青年たちが、我が国を、またそして大切な人を守るために、いかに立ち向かっていったのかということを鮮明に感じさせる施設でありました。ちなみに、私の小学生時代の修学旅行は、広島へ行き原爆ドームなどで学ぶ平和学習でありました。当時を思い返すと、かなりショッキングな内容であり、それだけ戦争というものが悲惨なものであったという思いを今日の私にまで刻んだ修学旅行であったと思います。もちろん、戦争というものは二度としてはいけません。ただ、今日の私たちが存在するのも、そして今日の我が国があるのも、先人の皆様お一人お一人の力であったのだということを改めて認識をしなくてはいけないと思います。 現代社会においては、日本国憲法の前文に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とありますが、戦後77年が経過をした今、北朝鮮によるミサイルの発射、ロシアによるウクライナ侵攻などが起こっており、国内においても、安部元総理大臣が白昼暗殺をされるという事件も起きたわけであります。我が国が平和を享受してこられたのはなぜなのか、そして今後も平和に生きていくためにはどうしたらいいのか、正に国民一人一人が考えるべき課題でもあり、私は、教育の重要性を思います。沖縄にある京都の塔は、修学旅行の行き先になったとも聞いていますが、先ほど紹介した知覧特攻平和会館には、年間多くの修学旅行生が全国から訪れられているものの、京都市の公立校からはゼロだという風に聞いております。距離などの様々な課題があるものかという風に思いますが、是非とも修学旅行の行き先の候補地の一つとしていただき、今後の平和学習を考える機会としていただきたいと思います。 国家は先祖より子孫へ伝え候。国家にして我私すべき物にはこれなく候。江戸時代の名君・上杉鷹山公の言葉でありますが、正に、国家は先人の皆様から今日の私たちまでに引き継がれたものであり、決して私のものではなく、また、後世の皆様へとしっかりと伝えていかなくてはいけない、ということを表したものと私は認識いたしております。改めて、あの大戦とは何であったのか、果たして戦後体制、戦後レジームとは何であるのか。今日の我が国の平和に関して考える教育というものを、これをいかに考えていくのかお聞かせください。 以上で私の代表質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) 文化庁と連携した文化財保護行政の推進についてでございます。 本市といたしましても、文化庁の移転の意義は、平山たかお議員御指摘のとおり、文化庁と緊密に連携し京都の文化の層の厚み、深み、多様性を新・文化庁の政策にいかすことにより全国に貢献すると同時に、文化庁が所在する文化首都にふさわしい本市政策の推進につなげることにあると認識をしております。具体的に京都設置が検討されている国の文化財修理センターにつきましては、国指定をはじめ3,000を超える有形無形の文化財を抱える京都において、文化財保護行政を担ってきた本市の技術、知識、経験をいかした連携協力を提言するほか、センターの技術の調査研究機能に関して科学的な分析や技術の研究に係る高度なノウハウを有する京都市産業技術研究所の協力・連携なども提言し、全国の文化財修理と保護に寄与してまいりたいと考えております。 また、昨年度創設したArts Aid KYOTOにつきましては、先頃、支援対象に文化財保護事業を追加・拡充したところですが、現在、文化庁で来年度概算要求中の文化芸術への寄附促進実証実験事業の事業化の参考にされたところであり、引き続き、国予算の動向を注視しつつ、文化庁と連携して全国をけん引する施策の推進に積極的に取り組んでまいります。 文化庁移転後の本市の体制につきましては、新・文化庁の文化政策との連携を基軸に、新たな体制の在り方を総合的に検討してまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 平和教育についてでございます。多くの尊い命が犠牲となったさきの大戦後、我が国は一貫して平和を希求する民主的な国家としての道を歩んでまいりました。しかしながら、戦後77年を迎える現在も世界では多くの紛争や戦争が絶えない状況にあり、次代を担う子供たちに戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないことや国際協調の精神と平和を維持し築いていく志をかん養することは極めて重要であると認識しております。こうした中、本市では、戦後日本の平和主義や国際貢献等について学習指導要領や本市指導計画に基づき国語科や社会科で学習するとともに、道徳科においても国際理解や平和への願いについて本市独自の副読本等を活用した学習を行っております。また、修学旅行で広島や長崎、沖縄を訪問する学校では、平和記念資料館や京都の塔の見学、語り部からの講和等を行い、戦争や平和について理解を深める機会としております。 今後とも鹿児島県の知覧特攻平和会館をはじめ戦争体験を通じた学びを大切にしながら、子供たちが我が国や郷土を愛し、将来にわたって平和な社会を築き生きるためにどうすればよいかを自分自身で考え、行動できるよう平和教育の充実に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に、市政一般について、玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみです。日本共産党京都市会議員団を代表し、市長に質問します。 まず、安倍元首相の国葬が半数以上の国民が反対し、国会も開会せずに行われました。明らかに憲法違反です。その国葬に市長が公費を使って参加されたことに厳重に抗議します。参加した経費は市に返還すべことも申し上げておきます。 さて、反社会的カルト集団である統一教会と自民党政治の底知れぬ癒着が明らかになっていることも見逃すことはできません。政府をはじめ自治体としても、これまでの関係について徹底した調査を行い、関わりを断つ必要があります。党議員団は、統一教会及び関係団体と本市行政との関わりについて市民の疑問に答えるとともに被害者を救済し新たな被害者を防止するために市長に対して9月12日に申入れを行いました。 そこで、市長に伺います。統一教会及び関係団体は行政組織が関わりを持ち、その活動にお墨付きを与えてはならない反社会的団体であることの認識はありますか。全国霊感商法対策弁護士連絡会が公開している統一教会関連団体リスト75団体の本市行政組織との関わりについて、調査を行い公表することを求めます。いかがですか。 さらに岸田首相は、8月24日に原発の運転期間の延長に加え、新増設や建替えを検討する方針を表明しました。2011年の東日本大震災での東京電力福島第1原発事故後、歴代首相は、原発への依存度の低減を掲げており、新増設や建替えの検討に言及したのは初めてのことです。市長も原発については脱原発依存を掲げてこられました。岸田首相に対して、原発の新増設や老朽原発の再稼働はやめるよう申し入れるよう求めておきます。 次に、行財政改革計画の実施による影響について質問します。行財政改革計画は、今決算年度の2021年8月に策定されています。策定過程で毎年500億円以上の財源不足が生じ、このままでは10年以内に京都市の財政は破綻しかねないと述べていました。しかし、2021年度の決算では、500億円の財源不足どころか、実質4億円の黒字と報告されています。党議員団は、これまでも500億円の財源不足というのは収入を過少に支出を過大に見積もったものであり、財政破綻という市民を脅す誇大宣伝はやめるべきと繰返し求めてきました。2021年度の決算は、それが事実だったことを示しています。危機をあおる政治は改めるべきです。しかも、本格的な行財政改革計画の実施は、今年度からであることは注目すべきことです。さらに、収入が200億円以上の増収となり、元々当初は返済予定でなかった187億円が公債償還基金に予定外に返済されていました。急いで返済する必要があったでしょうか。今やるべきことは、コロナや物価高騰の影響で苦しむ市民の暮らしを、まずは応援することです。民間保育園の補助金カットの13億円や国民健康保険料の引上げの14億円、学童保育料の値上げ1億6,000万円、敬老乗車証の負担増大の4億8,000万円、インフルエンザ予防接種負担の増大1億4,300万円、各種施設使用料の値上げの5億4,600万円等など、合計約53億円に充てることで市民への負担の増大はしなくて済みます。税金の使い方が間違っていると考えますが、市長の認識はどうですか。 そもそも、毎年500億円の財源不足で京都市財政が破綻するという発言は誇大宣伝であったと認めるべきだと思いますが、いかがですか 深刻な事態は、既に始まっています。それは福祉施策の後退です。重度の障害者が通う通所施設では、国の報酬が少ないため、京都市が事業所支援事業補助金で運営を支え、重度の障害者の社会参加を応援してきました。しかし、その施設への補助金は今年度は加配一人当たりの単価を年間235万円から120万円にカットしました。ある法人では2か所の事業所で660万円を超える赤字になるとのことで、今年度は職員のボーナスカットで対応せざるを得なかったということです。民間保育園では、民間保育園等職員の給与等運用事業補助金が約13億円削減される中で、各園において影響額は違いますが、数百万円から多い園では3,000万円近くの補助金がカットされています。その結果、多くの園で、園舎改修のための積立金の取崩しや、昇給ストップ、賞与のカット、非常勤職員の削減などが実施されています。保育労働者の皆さんからは、保育現場の実態を見に来てほしい、このままでは園の経営も守れない、展望が見えない、働き続けられるか不安だなどの切実なお声を聴いてきました。ある園長先生は、補助金カットは園運営において不安そのものだが、これまで障害のある子供を何とか受け入れたいと保育士を確保し受け入れてきた。地域の子育て相談にも取り組んできたが、その努力を否定されたような気がして悔しいと涙を流されました。保育士さんや保育園を追い詰め、保育の質の確保が困難になると、そのしわ寄せが子供たちに行くことになります。それが今回の行財政改革計画なんです。 さらに、多くの高齢者を失望させているのが、10月から実施の敬老乗車証の負担の増大と対象年齢の引上げです。70歳以上の高齢者の移動の権利及び社会参加の機会を奪うことになります。京都市独自に福祉の充実に頑張ってきた実績を投げ捨て、市民に負担を押し付け希望も奪う行財政改革計画は直ちに中止し、福祉を拡充する立ち場に戻るべきです。いかがですか。 次に、個人市民税の均等割減免制度の廃止に伴う福祉施策への影響について質問します。9月5日に、2024年度に実施を予定している個人市民税の均等割減免制度の廃止による福祉施策の影響調査結果を踏まえた経過措置について方向性が示されました。例えば70代年収324万円の御夫婦の介護施設の利用料が104万円から217万円に113万円も引き上がる、子育て世代でも保育料が年7万3,000円も増える世帯があることが示されています。激変緩和への経過措置では根本的な解決にはなりません。そもそも低すぎる年金やどんどん負担が増える医療や介護保険等の国の制度に問題があるからこそ、自治体が独自に対策を採るのが役割であり存在意義です。京都市の均等割減免制度が独自の施策として市民の負担を軽減し命や暮らしを応援してきたことは誇るべきことです。市民に多額の負担を強いることが分かったこの調査の結果・影響を見れば、制度の廃止は市長として踏みとどまるしかないのではありませんか。均等割減免制度の廃止は撤回すべきです。いかがですか。 次に新型コロナウイルス対策と保健所体制について質問します。まず、日々市民の命を守るために御奮闘いただいている市職員の皆様をはじめエッセンシャルワーカーの皆さんに心より感謝申し上げます。やっと第7波も下降の傾向になってきましたが、今後も変異株の出現でこのまま収束するとは限りません。第8波への対策など行政がやるべきことははっきりしています。それは徹底した検査体制を作り、市民に対して、正確な情報提供と相談、療養体制を整え市民の不安に応え命を守ることです。ところが政府は、有効な手段を取らず経済活動は止めないということで行動制限は自主的な対応とされ、第7波においては、第6波の倍以上の感染爆発となり亡くなる方が急増しました。当然医療機関の負担は増大しました。高齢者施設の感染者の中には、入院ができず施設で留置きとなり、適切な医療が受けられない事態が起こりました。今年の1月1日から9月11日までで京都市域で419人の方がコロナ感染関連でお亡くなりになっていますが、うち、施設入所中に亡くなられ、かつ御家族が公表可とした方は23人でした。実際はもっと多くおられるということです。京都市の老人福祉施設協議会の皆さんが、切実な実態と医療供給体制の充実を求めて京都府に対して要望を出されました。利用者の方がコロナ感染した場合、施設に隔離するスペースがあるとは限りません。医療スタッフは限られており、対応には困難を伴います。ある施設の方が、病院で酸素吸入し点滴治療を受けたら随分楽になられた、利用者さんの命を守るために医療を受けられる保障をしてほしいと語られました。これは、当たり前のことです。しかしそれが、切実な要望となっているのが介護施設の実態です。救える命が救えないことがあってはなりません。京都府とも連携し、速やかな入院体制の確保や認知症の方の対応もできる療養施設の確保が必要です。必要な医療が提供できるよう自治体として責任を果たすべきです。いかがですか。 9月26日からは感染者が多すぎて対応できないことを理由に全数把握の緩和方針が示されました。発生届の対象は65歳以上や入院を要する人、重症化リスクがあり酸素投与が必要な人、妊婦さんに限定となり、感染者数の約2割程度で保健所が担当します。しかし、残りの約8割は届けがない感染者となり、万が一の急変時や相談は陽性者フォローアップセンターが担うことになりました。届けがない状況で、手元に資料もないまま対応できるとは思えません。これでフォローアップセンターが保健所の機能強化としての役割を果たすと言えるでしょうか。感染者全員の相談や急変時の対応に責任が持てるよう、保健所そのものの体制こそ強化すべきです。市民からは、感染拡大の度に混乱する、なぜ対応策を早くからできないのかと怒りの声も多く寄せられています。感染対策の要となる保健所の体制の充実は急がれる課題です。政令市20市のうち7か所の保健所を維持している福岡市を除き19市は1か所に保健所は集約されていますが、感染対応は行政区の支所ごとに実施している政令市は7市あります。市長の、保健所を一つにしたことで明確な指揮系統の下、一貫した対応ができて良かったという考え方と方針を改める必要があります。11の保健所を一つの指揮系統にすることが市民にとってメリットとは言えません。市民は地域のことをよく分かっている身近な行政区の保健センターの職員の対応を求めています。各行政区に保健所の感染対策の部署は戻し、各行政区の担当保健師を増やすことが重要です。京都市は、保健師の数が他都市より多くても配置の仕方が問題なんです。保健師は、チームとして各行政区の地域の特性をつかみ、学校や医療、介護等の施設の誰と連絡を取り連携していくかなどのネットワークを作ります。それがいざというときに力を発揮することになります。とりわけ感染対策は行政区ごとに保健福祉が一丸となって集団で対応できるようにすべきです。いかがですか。 次に、介護保険認定業務、給付の委託化について質問します。2020年4月より介護認定業務の委託化がされましたが、当初より、専門性が担保されるのか、介護認定や介護サービス事業の開始等において早期の対応や柔軟な対応ができるのかと指摘をしてきました。包括支援センターの方に聞き取り調査を行ったところ、委託化2年にして介護の専門性の低下など指摘していたことが起こっていることが分かりました。委託前は、各区役所の認定に関わる調査員と包括支援センターや居宅介護事業所は、市民の状況を共有し連携しながら速やかな認定ができていましたが、今はそうなっていません。ある認知症の新規事例を紹介します。独り暮らしで、食事をしたかどうかも忘れる状態で脱水、低栄養の危険性がありました。当然、介護保険の申請時には、日常生活が支援なしには達成できないレベル3A相当と予測されていました。しかし、審査会の結果は要支援1で、委託の調査員による調査票のチェックは、日常生活についてほぼできると実態と全く違うチェックになっていたとのことでした。命に関わるレベルだったので、すぐに区分変更申請を出されましたが、認定結果が出てすぐに区分変更申請が出されるということは、認定業務に問題があると言わざるを得ません。重要なことは、緊急性のある方の対応が迅速に行われることです。20政令市のうち認定業務を委託しているのは13市、申請から認定結果送付全ての業務を委託していたのは、京都市以外には大阪市、神戸市、福岡市だけでした。ただし、福岡市においては、認定のための調査は、6割は直営の調査員で対応し、各区役所には事務業務センターの職員が二人配置され、急ぎのケースの対応など柔軟な対応ができるシステムになっているとのことでした。名古屋市では、初回の申請や区分変更申請は区役所窓口で行い、更新のみを郵送にするなどリスクを避ける体制を採っていました。京都市は、大事な認定業務について余りにも民間任せだということです。他都市の状況も把握し、市民にとって迅速かつ柔軟な対応がなされるように、介護認定業務は直営に戻すべきです。いかがですか。 次に、物価高騰に苦しむ市民の影響と経済対策について質問します。消費税の増税に続き長引く新型コロナウイルス感染による経済的影響や物価高騰で、多くの市民や中小事業者が苦しんでいます。1万8,000品目に及ぶ値上げは、市民の暮らしに多大な影響が及んでいます。非課税世帯への5万円の給付金の対策では全く不十分です。全ての市民や事業者への支援は消費税の減税が一番効果的ですが、政府は全くやる気がありません。市民の暮らしを守る責任がある市長こそが、今こそ、政府に対して消費税の減税を強く要望・要請すべきです。中小・小規模事業者に対して、我が党議員団は、商店や事業者に足を運び実態や御要望を聴いてきました。価格転嫁ができない、もう廃業せざるを得ないなど事態は極めて深刻です。現在実施している京都市中小企業等総合支援補助金は、事業所の家賃や光熱水費、人件費、燃料費などのいわゆる固定費にも利用でき喜ばれています。しかし、対象条件が売上高30パーセントの減収としており、30パーセントも減収しているようでは倒産ですよとおっしゃる方は少なからずおられました。そもそも物価高騰の影響は売上高に関係なく起こっていることであり、貨物自動車・運送事業者向けと同様に減収条件は付けるべきではないと考えます。また事業所の規模等によっては、5万円では申請の手間を考えるともういいですという方もおられました。申請方法の手続をなるべく簡素化し申請しやすくすること、減収条件はせずに幅広く救済できるようにすべきです。お答えください。 次に、商店街等消費喚起緊急支援補助金については、同様の補助が3回実施されてきました。3回目の今年度は、中小業団体等に加え今回は5人以上のグループも対象としたので約90件の申請があったとのことですが、現在、商店街加盟の商店が一桁台の商店街もあり、プレミアム商品券や抽選会、スタンプラリー等の事業など成り立たないという商店街も少なくありません。もっと直接、商店に支援をしてほしいという声が多く寄せられました。そもそも、業界や組合組織だけではなく、個人事業主の実態を幅広くする調査することが必要です。新型コロナウイルス感染から来る影響もまだしばらくは続く可能性がある中で、あらゆる業種の事業所の実態を明らかにし、事業の運営が今後もできるような支援策を事業者と共に作ることが求められると思いますがいかがですか。 ここで、一旦答弁を求めます。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革計画についてでございます。令和3年度は、集中改革期間の初年度であっても、コロナ禍の下、市民の皆様の命、暮らしを最優先で守るため3,000億円の予算を確保し、生活者支援、中小企業等の事業者支援など国や京都府と歩調を合わせた経済対策を積極的に展開してまいりました。さらに、国や他の都市にない京都ならではの福祉、子育て支援、教育、安心・安全などの施策を将来にわたって持続可能とするため、公債償還基金からの借入金を187億円返済し将来世代の負担の軽減を図ったところであります。計画にお示ししている財政収支は、新型コロナの収束が見通せない中、国の地方財政計画では、地方全体で5.4パーセントの大幅な税収減を見込んだことを踏まえまして、京都市では、リーマンショック並みの4.7パーセントの税収減に抑制して見込んでおるものでございまして、議員御指摘の誇大宣言との指摘は当たりません。 今回の改革は、これまで守り続けてきた本市独自のあらゆる施策について、その理念をいかしつつ社会経済情勢の変化に対応し将来にわたって、持続可能なものとなるよう施策の在り方を見直すことで将来世代への負担の先送りを解消する、正しく未来に責任を持つ改革であります。私は、この改革の趣旨を市民の皆様と共有し御理解をいただきながら、今後も支援や配慮が必要な方々へのセーフティネットをしっかりと確保したうえで、計画に掲げる目標を厳守し持続可能な財政運営、財政確立をしてまいります。 次に、保健所体制等についてでございます。病床数は、府市協調の下、医療機関と連携し、令和2年3月の68床から現在はその15倍の1,013床まで拡充しています。また、重症化リスクの高い高齢者等の自宅や施設での療養については、保健所に訪問診療の調整チームを設置し、さらに24時間体制の健康観察等の仕組みも迅速に構築しました。高齢者施設等の医療体制も地区医師会や医療機関と連携し、往診等コーディネートチームを8か所に設け強化しています。 次に、発生届の対象が65歳以上の方等4類型に限定されたことを受け、医師会、各医療機関の協力の下に全ての陽性者に体調悪化時や療養支援に係る相談先、療養必要期間等を記載した京都市からの重要なお知らせを配布いただき、フォローアップセンターにおいて24時間、最大310人の体制で相談に的確に対応しております。 最後に、保健所についてであります。近年、市民の皆さんの命、健康、暮らしを支えるために、保健と福祉の融合が極めて重要になってきており、そこで、各区役所・支所14か所に保健の機能と福祉の機能を合わせて発揮できる保健福祉部、それから子どもはぐくみ室を有する保健福祉センターを設け、保健師等の専門職を中心に、保健と福祉の垣根を越え、地域の医療や福祉の関係機関と連携し総合的な支援をきめ細やかに行っております。そして保健所は集約いたしました。その結果、全市的な健康危機事案のコロナ対策では、集約し強化した保健所で明確な指揮命令系統の下、大きな効果を発揮しております。 また、人口1万人当たり2.4人と政令市平均の約1.5倍、具体的な人数では347名の保健師、この人数は、政令市人口当たりで言いますと108名多い保健師が、このコロナ禍においても大きな役割を発揮しております。 引き続き、京都府、医師会、私立病院協会、薬剤師会等医療関係者と連携し、市民の皆様の命と健康を守り抜く取組を強化してまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 石田産業・文化融合戦略監。 〔石田産業・文化融合戦略監登壇〕 ◎産業・文化融合戦略監(石田洋也) 2点についてお答えいたします。 初めに、京都市中小企業等総合支援補助金についてでございます。この補助金は、業種を問わず長引くコロナ禍において原油価格、物価高騰等の影響を受けておられる事業者を対象とし、また、燃料費、光熱水費、原材料費、人件費、家賃や資金調達コストなど事業継続に幅広く充てることができるものであり、7月28日に受付を開始して以降、既に1万件を超える申請を頂いております。本制度は、地域の物流を支える事業者には売上げ減少要件は設けておりません。また、1回の手続で完了する事後申請方式を採用し、提出書類は事業を実施したことの確認等に必要な最小限のものに限るなど予算にも限りがある中、簡便な手続でより厳しい状況にある中小企業等を支援する制度としております。引き続き、対象となる全ての事業者に御活用いただけるよう徹底した周知に努めるとともに、迅速かつ丁寧に手続を進め、京都の事業者をしっかりと下支えしてまいります。 次に、事業者の実態把握についてでございます。中小企業等の実態については、業界や組合を通じてだけでなく、本市独自に17名の経営支援員を増員した京都商工会議所において個々の事業者からの約2万5,000件の相談に対応する中でも把握しておりますが、その多くが小規模事業者からの相談でございます。また、本市が実施している中小企業経営動向実態調査においても、事業者の規模別に分析を行っております。さらには、地域企業未来力会議や日々の業務の中で、職員が直接事業者の皆様からお話をお伺いするなど幅広くかつきめ細かく把握し施策に反映するよう努めております。今後も市民、事業者に最も身近なところにある基礎自治体としての強みをいかして、実態を的確に把握したうえで、京都の事業者が事業を継続・発展できるよう国等へも積極的に提言しながら本市の施策を立案・実行してまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 金山財政担当局長。 〔金山財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(金山昌幸) 個人市民税の均等割減免制度についてでございます。本制度は、創設した昭和26年当時は、生活困窮者救済の意義を有しており全国的に見られた制度でしたが、国で非課税措置が設けられるなどした結果、今では本市独自の極めて特異な制度となっております。当初の意義が薄れ、地域社会の会費を住民が広く負担するという地方税制度の趣旨にそぐわないとの第三者委員会等からの廃止の提言等もなされていたことなどから、令和2年度に条例改正について御議決いただき、その付帯決議も踏まえ、令和6年度から廃止することを市民の皆様に丁寧に周知しております。この見直しは、行財政改革の一環で行ったものではなく、減免制度の適正化を図るためであり、着実に実行してまいります。この間の福祉施策への影響調査においては、対象者のうち70歳以上の方が8割を占め、夫婦二人の年金収入世帯で見ると上位20パーセントに相当する所得層であるという実相も明らかになりました。こうした調査結果も踏まえ、福祉施策において一定の経過措置を講じることにより、急激な負担の上昇を緩和するとともに、それぞれの御事情を踏まえ必要な支援を丁寧に行うよう取り組んでまいります。 次に、消費税の減税についてでございます。消費税は、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため、あらゆる世代が広く負担を分かち合い、国、地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保していくために必要なものです。本市においても、この貴重な財源を介護、年金、医療及び子育てなどの社会保障の予算に充て市民の命と暮らしを守る取組を推進しておりますので、御提案のような消費税の引下げを国に求めることは考えておりません。 コロナ禍が長期化する中、本市では、様々な市民生活や事業者の皆様の下支え支援に全力で取り組んでいるところですが、原油価格、物価高騰等の影響もあり、市民の暮らしや市内の事業者は、依然として厳しい状況にあると認識しております。引き続き、国や府とも連携し、市民や事業者の皆様に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(下間健之) 旧統一教会についてでございます。当該団体と本市との関わりについては、既に各局においてイベントへの出席、後援名義、祝辞、祝電の有無について文書の保存年限の範囲で把握できる限り調べた結果、該当はなく、御指摘の75団体について改めて調査する考えはございません。また、特定の団体について、議員が言われるような行政が関わりを持ってはならない団体であるかどうかについては、法令等に基づいて、個々の状況に応じて判断していく必要があるものと認識しております。 一方、この間の報道や国の動向については注視しているところであり、本市といたしましては、引き続き法令等にのっとり、また、団体の活動内容等について確認を行うなど適切に対応していくとともに、例えば何らかの不当な働き掛けが行われたといったようなことがあれば、当然ながら毅然とした対応を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 介護認定業務の委託化についてでございます。介護認定業務については、高齢化の進展に伴う要介護認定者数の増加に的確に対応していくため、令和2年4月から民間委託化を行い、資格を持つ職員が専門的業務を集中的に担うことにより迅速で正確かつ効率的な業務体制を確保したところです。これにより、介護認定に要する平均処理日数は、民間委託前の令和元年度から10日程度早くなり、早期の介護サービスの利用につながっています。このほか、財政負担も減少しかつ原則郵送とすることで、ウィズコロナ社会にも対応できるなど市民サービスの向上につながっており、直営の業務体制に戻すことは施策の後退につながるものと考えております。 なお、本市の認定申請においても、郵送だけでなく区役所・支所や介護認定給付事務センターの窓口でも受け付けており、緊急の場合にも直ちに対応できる職員体制も確保しているところであり、引き続き、円滑な業務遂行に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇〕 ◆(玉本なるみ議員) 御答弁を頂きましたが、統一教会について市長御自身からお答えが頂けず大変残念でございます。しかも統一教会の認識や対応は全く不十分と言わざるを得ません。昨日のNHK討論で、自民党幹部の方が、我々の関与が結果として教団の信頼を高めることに寄与してしまったのではないかと反省していると御発言されていました。京都マラソンのボランティア団体に関連団体が参加していることも明らかになっています。行政として徹底した調査と関与を断つことを再度求めておきたいと思います。 次に、北山エリア整備基本計画について質問します。北山整備基本計画では、宿泊、飲食施設等の集積やにぎわい、交流機能、シアターコンプレックスなどの施設整備を進めるとしています。既に京都府が周辺地域にニュースの配布や住民自治会役員等に説明を始めています。しかし、そこで配布される資料には、約175億円もの建設費用を掛け、1万人規模のアリーナ建設についての説明は全く不十分であり、説明会に参加した方から声が上がっています。 そもそも地域の環境を守るための都市計画上の規制を緩和しなくてはできないものを建設することが問題です。宿泊施設やシアターコンプレックス、アリーナなどの大型施設は地域の環境を大きく変えてしまうことになります。植物園の入園料を無料としてアリーナへの通路にするようなことは絶対にやめてほしい、大好きな植物園を壊さないでほしいという地域住民の声が広がる中での実施はあり得ません。既に、計画の撤回を求める署名は14万筆にまで広がっています。そもそも京都市が、当地区の規制緩和を前提とし、まちづくり構想に位置付けていることが重大であり、外すべきです。府市が共謀して、多額の税金を注ぎ込むアリーナ建設はやめるべきです。住民合意のない計画を進めるべきではありません。いかがですか。 次に山林保全対策について質問します。近年、林業が成り立たなくなり、山の管理をどうするのかが全国的な問題になっています。私は、山林保全は今、豊かな森林を守り災害を防止する上でも岐路にあると考えています。重要なのは対策の在り方です。政府や京都市が進めようとしている大規模集約化は、大型の林業機械を森に運び入れ山を丸裸にする皆伐方式で、今、全国で広がり、土砂崩れが発生し問題視されつつあります。現在北区の山間部では2か所の谷が盛土で埋められています。熱海の土砂災害があり、地域住民の皆さんが豪雨などによる土砂崩れなどの災害が起きないかと心配され、京都市や議会に陳情を出されています。(パネルを示す)この場所は、北区鷹峯笹ヶ尾という地域の谷が埋められている現場です。平日に大量の10トントラックが狭い鷹峯街道や京見峠を走り抜け、土砂を持ち込み、盛土をしています。しかも土砂が流れ出ないようにフレコンバックを置いていますが、記録的な大雨になったときに耐え得るかどうかは分かりません。耐用年数が3年ということも、住民の皆さんの大きな不安となっています。もう1か所は北区杉阪東谷です。山林を購入した業者が伐採や谷に盛土を行い、平地にしてソーラーパネル設置可能と売りに出しています。問題は、森林法では伐採する対象の面積が1ヘクタール未満の場合、許可を取るのではなく、届出だけで谷を埋めようがソーラーパネルを設置しようが何でも可能ということです。さらに、持込みによる盛土の場合3,000平方米以上は許可申請が必要ですが、敷地内の土の移動による盛土は許可は要らないということです。いずれの盛土も豪雨などによる土砂災害の危険性は同じではありませんか。法的に可能であっても、京都市内の山林保全のために、京都市として、今後あちこちで樹木の伐採や山の谷が埋められると山の保水力は低下していくことが考えられますが、我が党は、以前より持込みによる面積は500平方米以上に強化することを提案してきました。対策をどのようにしていくかお答えください。 今後の問題として、京都市が放置林となっている山林保持者の意向調査を行い、京都市に山の管理を委託する選択肢があります。既に放置林は1万5,500ヘクタールとなっています。調査は15年掛けて対策を採りながら進めるとのことですが、豪雨などによる災害は待ってくれません。そして林業で生活ができなければ、担い手は育ちません。森林経営管理法制定の際に議論になったのは、意欲と能力のある経営者に森林を集約化し大規模化を進めるということでした。しかし、今、森林を小規模林業家が分散管理する自伐型林業を55の自治体で取り組み始め、2,500人以上の新規林業者が育っているとのことで注目すべきです。環境保全型森づくりで持続可能な社会の取組を京都市としても検討することを求めます。 2021年度は森林環境譲与税として、京都市には約2億2,000万円きていますが、森林経営管理基金として、令和3年度の基金残高は3億5,545万円となっています。自給率が4割程度という状況を改善し、自給率を上げる目標を持ち、大型集約化ではなく京都市が専門職を増員し森林譲与税を大いに活用し、小規模林業家が分散管理できるよう担い手づくりもしながら進めることを求めますがいかがでしょうか。 最後に、交通不便地域対策として、北区の雲ケ畑の交通権の保障について質問します。北区北部の雲ケ畑地域では、10年前の2012年4月より京都バスの撤退を機に雲ケ畑自治連合会がもくもく号の運行を開始されました。運行において、国からの補助金と京都市の敬老乗車証による収入が頼み綱になっていますが、それが敬老乗車証の負担増大により申請者が減ると収入が減り運行に影響するということであります。住民の願いは、せめてもう1便増やしてほしいというのが住民の皆さんの願いです。市民一人一人の移動の権利を保障する立場で、京都市内のどこに住んでいても安心して暮らせることは行政の責任です。少なくとも、今回の敬老乗車証による支援金に代わる補助金を打って、もくもく号の運行の継続に支援をすべきことを求めておきます。お答えください。 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 林業の担い手づくりについてでございます。本市の林業者は、総じて小規模であり、その経営を持続可能なものとするため、これまでから雇用の確保や労働環境の改善等の担い手育成に取り組むとともに、全国屈指の体制を誇る林業の専門職員によりしっかりと伴走支援を行ってまいりました。さらに、林業の収益性が低下し荒廃する人工林が増加する中、所有者の同意を得て森林を集約化し、面的な伐採、再造林、保育といった森林整備を効率よく行うため、大規模集約型林業を推進しており、これは市内産木材の生産量の増加と共に小規模林業者の経営基盤の安定化につながるものであります。同時に、森林環境譲与税を活用し林業者に高性能林業機械の導入を支援するとともに、今年度、林業者や森林所有者への計画的な森林の経営管理を助言する専門人材の育成を森林組合と共に進めております。今後とも林業振興の要となる担い手の育成に努め、本市面積の4分の3を占める森林の適正な管理・保全に努めてまいります。 ○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕 ◎副市長(坂越健一) 京都府の北山エリア整備基本計画についてでございます。京都府では、令和2年12月に京都府総合計画の北山「文化と憩い」の交流構想の実現に向けたエリアの整備の方向性を示す北山エリア整備基本計画を策定しました。本市は、この整備基本計画は、京都市都市計画マスタープランに掲げる都市計画の方針に沿ったものであることから、令和3年4月に北山文化交流拠点地区の地域まちづくり構想を都市計画マスタープランに位置付けております。現在、京都府において各施設の整備等について有識者による意見聴取会議や自治会等との意見交換を進めております。また、今後、市民・府民や利用者を対象としたワークショップの開催などが予定されております。このように、京都府において幅広い御意見を聴くプロセスを大事に取組を進めていると承知しております。本市といたしましては、京都府の取組が自然を大切にしながら憩いと活力のあるまちづくりにつながり、市民・府民の夢や願いが実現するよう、引き続き、相互の調整を密にして柔軟に取組を進めてまいります。 ○議長(田中明秀) 竹内都市計画局長。 〔竹内都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(竹内重貴) 京都市土砂条例についてでございます。本市は、土砂条例の制定に当たり、京都府及び京都市の環境審議会における規制が緩い自治体に土砂が持ち込まれることがないよう、府と市の統一性を担保するのがよいとの見解を踏まえ、3,000平米以上の埋立てを許可制とするなど府条例と同じ規制内容としており、現時点でこれらを改正することは考えておりません。 なお、盛土規制法が本年5月27日に公布されております。この法律では、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を指定し、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とすることとされております。今後、国から制度の詳細が示される予定と聞いております。本市といたしましては、その内容を踏まえ、区域指定に向けて必要な調査を行うなどしっかりと準備を進めてまいります。こうした取組により危険な盛土の規制に万全を期し、市民の命と暮らしを守ってまいります。 続きまして、雲ケ畑の交通対策についてでございます。北区雲ケ畑地域では、路線バス廃止を機に、平成24年4月から地域が主体となって雲ケ畑バスもくもく号を運行しております。公共交通を維持・確保していくためには、財政支援だけでなく利用促進の取組が重要であります。本市としては、こうした考え方の下、雲ケ畑バスもくもく号について敬老乗車証交付金の交付のほか、国の補助金の確保や新型コロナウイルス感染症の影響や燃料費高騰等を踏まえた運行維持に向けた緊急対策といった財政面の支援に加えて、地域の皆様と共にハイカーなどの地域外の乗客を呼び込むなど地域内外にわたる利用促進の取組を進めております。敬老乗車証制度の見直しに伴う影響を現時点で見通すことは困難ですが、引き続き、地域内で唯一の公共交通である雲ケ畑バスもくもく号の運行が継続できるよう、地域の皆様と共に着実に取り組んでまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 暫時休憩いたします。 〔午後2時46分休憩〕 〔午後3時6分再開〕 ○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き、会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について、井上けんじ議員に発言を許します。井上議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ議員) 南区から選出いただいております井上けんじでございます。日本共産党京都市会議員団を代表して市長に質問します。 今議会最大の議題であります前年度決算の特徴については、先ほど玉本議員から指摘があったとおりであります。一言で言いまして、財政の破綻ならぬ財政危機論の破綻と言うべきであります。さらに、財政だけでなく決算年度の市政全体の特徴はと言えば、住民福祉の向上という自治体本来の在り方から逸脱し、自治体の変質とも言える方向へ向かっていると思われることであります。自助が強調され、民間活力の最大限の活用と言われ、実際、各施設や施策の民間化が進められてきました。大手企業の誘致や規制緩和が進められ、これが地価高騰となって人口流出の一因となっています。敬老乗車証、ヘルスピア等々、制度、施設の利用者以外の市民からの税金が充てられていると殊更に強調し、市民の間に分断と対立をあおってきました。昨年春の予算資料では、「財政危機を改革の契機とし」と書かれています。括弧付き改革が先にありきで、財政危機を奇貨として、口実として改革とやらを進めるとの本音が表現されています。もはや、危機なるものは、財政というより自治体のそもそもの在り方とも言うべきであります。 そこで私は、まず質問の前半で、その財政と改革についてお聞きをいたします。第1に、無駄遣いをやめること、第2に、財源獲得、収入増への道について、それぞれ本当に財政危機と言われるなら、それらの方向を追求されるべきだとの立場から質問させていただきます。 大きな第1に、無駄遣いの問題であります。市役所の地下通路や茶室をはじめ芸術大学、中央市場等の改修・新築等についても、必要以上にならないよう従来からも再三指摘をしてまいりました。さらに、以下、特に財政以外にも様々な問題を抱える二つの大型公共事業の中止を求める立場からお聞きをいたします。20年ほど前頃の市内高速道路の建設とその後の出資金債権の放棄が、今日の財政危機の一因となっています。無駄な大型事業を見直すことがその教訓のはずなのに、今また莫大な費用負担が危惧される大型事業を推進することは、同じ過ちの繰返しです。国に負担を求めると言ってみたところで何の保障も裏付けもありません。 まず北陸新幹線ですが、財政問題と共に残土処理や地下水への影響、在来線への影響等々様々な問題点が山積しています。事業者の話では、新しい京都駅は、今の京都駅にとの説明ですから、これはほぼ南区内を通るということになります。では、その深さはいかがでしょうか。国が立ち退きや収用等の手続の手間を省くため、40メートルより深ければ買収や収用の手続を省略できる大深度法という法律を作りました。この法律は、今、憲法違反だと東京で裁判中です。その東京の大深度地下道路工事では、地上が陥没し、深いから地上は安心と言ってきた道路事業者の言い分が崩れ、現在も一部が工事差止めとなっています。かつて、東海道新幹線ができる当時、合意と納得が合言葉でしたが、立ち退きになった私の同級生も少なくありませんでした。今度は立ち退きですか、それとも大深度法適用で地下深く勝手に掘り進めますか。東京での地上陥没が京都では起こりませんか。市の負担はないと断言できますか。立坑や斜めの斜坑等も含め市民の住環境への影響についていかがお考えですか。また国は、アセス以前の着工は無理とのことですが、市長の認識はいかがでしょうか。これらについてお答えください。 続いて、堀川油小路通地下バイパストンネル計画についてお聞きします。第1に、市の負担を免れる保障がありません。第2に、東海道本線ガード付近が渋滞するからといって、なぜ五条から十条なのでしょう。第3に、これからのまちづくりは、増える車に道路やまちを合わせて改造するのではなく、車の総量の規制だと考えます。第4に、地下水や住環境等への悪影響も危惧されます。しかも市長は、リニア新幹線の京都誘致とも言われています。では、京都駅前八条油小路通交差点付近は、前述の北陸新幹線のルートとも相まって相当の難工事と複雑な地下構造になるでしょう。防災上の観点からも、これらの無謀な計画は撤回すべきであります。関連して、市長は、このバイパス計画があるからとの理由で、この計画がかつての市内高速道路計画堀川線と同じルートであるところから、断念されたはずの堀川線等、高速道路三路線の廃止手続をされないまま今日に至っています。私は、地下トンネルには反対ですし、財政が危機ならば即刻断念すべきものですが、仮にこの計画の是非について賛否があるとしても、それは高速道路廃止手続とは全く別の話であって、廃止手続をしない理由にはなりません。既に2016年、前々回の市長選挙の折、市長は、高速道路3路線は廃止と公約、同じ年の予算特別委員会でも5月25日の本会議でも、速やかに3路線の廃止に向けた手続を進めると答弁されておられます。にもかかわらずその後の手続を怠っておられるのは公約違反、議会答弁違反というほかはありません。直ちに廃止手続を実行し公約と答弁を守るべきこと及び地下バイパス計画を断念すべきこと、この2点についてお答えください。 大きな第2に、財源獲得、収入増への方向について4点提案し質問します。まず1点目は、法人市民税法人税割の税率を制限税率いっぱい8.4パーセントまで引き上げることを求めます。これについては、既に我党から再三求めているとおりであります。これまでの答弁では、指定都市では8.4パーセントのところが多い、今後、課税自主権の活用を検討する中で検討される等々とのことでありましたけれども、この課題は、本市独自の権限と判断で可能でありますから、直ちに具体化されるように求めます。御答弁を願います。 2点目は、市民税所得割の税率を以前のように所得に応じた段階別の税率とすべきという提案であります。以前は税率4.5パーセントから18パーセントの14段階と、所得に応じた公平な税率でした。その後、7段階、3段階となり、2007年以降は所得に関係なく一律の税率8パーセントになっています。仮に高額所得階層の税率を以前の3段階の水準に戻すとすると、行財政局に求めた資料では100億円もの増収です。では、なぜ市長はそうされないのか。市民税なのに国の法律で一律と決められているということがまず大問題であります。法改正が必要です。ところが市長は、その国の法律の制約のためにやむなくということではなく、市長御自身が一律でいいとのお考えであるとの、これまでの議論の経過であります。いわば町会費のようなもので所得に関係なく行政サービスの利益を受けているからなどと国や市は言いますが、そもそも払った税金と個々の行政サービスの費用は1対1対応しているわけではありません。自分の払った税金の行方は誰にも分かりません。市民にとって賛成できない使い方の場合もあるでしょう。税金の最大の特徴は会費と違って強制的という性格及び総計予算主義、つまり一旦市の大きな財布に入ってから、それぞれの支出に充てられるという性格であります。一律の税率は、庶民にとっては増税、高額所得者にとっては大幅減税の不公平税制そのものであります。国に法律改正を求め、所得に応じた段階別の税率に戻すことを目指すべきだと考えますがいかがでしょうか。 また市長御自身が一律でいいと考えられておられるとしても、その決定権は自治体にあるべきであって、国の法律で縛るのは地方自治体の課税自主権に反すると私は思っています。この点についてもお答えください。 3点目は、金融所得課税の強化についてであります。これは岸田首相も、昨年の総裁選挙では公約しておられました。本市を含む指定都市市長会も、昨年10月、利子、配当、株式譲渡益等の個人住民税の税率を給与所得等の税率と同水準にと国に要望されています。市会本会議でも同趣旨の意見書が採択されています。利子、配当、株の譲渡益等の市民税はなぜ4パーセントなのか。決算資料では、これらからの収入は約44億円ですから、他の所得と同じ8パーセントにすれば、単純に言って同額の44億円の増収が得られることになります。これについては、本市自身がもっと試算を明らかにすること、議会や市民の世論にも依拠して国への運動をもっと強力に進めるべきことを求めますがいかがでしょうか。お答えください。 4点目は、国の行き過ぎた法人税減税が自治体の法人市民税法人税割の減収に連動しており、大企業優遇税制を改めることが自治体の法人市民税増収につながるという問題についてであります。 法人税は原則比例税率、一定税率で大手ほど税負担割合が低く、しかも利益を利益とみなさない、費用でないものを費用とみなすなどなど大企業向けの至れり尽くせりの減税措置が施されています。例えば、繰り返す法人税0との見出しで、ソフトバンクグループが、この15年間で法人税が生じたのは4期分だけ、その間の利益に対する法人税額は僅か0.25パーセントだった計算となると8月20日付日本経済新聞が報道しています。有価証券報告書を見ますと、京都のある大企業では、法人三税の法定の税率約30パーセントのうち実際の税負担率は10パーセント前後との例もあります。これらの実態は、ソフトバンクやある企業だけにとどまるものではありません。法人市民税は、原則、国に払った法人税掛ける税率ですから、単純に言えば、法人税が下がれば法人市民税も下がり、上がれば上がります。そこで、この法人税減税が直接市民税減収に連動しないように対策も講じられていますが、それは減税方法の全てに対してというわけではありません。やはり市民税の減収につながります。かつて法人税率37.5パーセント、今は23.2パーセント、もちろん景気動向の影響もあり法人市民税率も低くなっているとはいえ、本市の市民税法人税割収入は、約400億円から今や半分程度にまで落ち込んでいます。国の財政も大変だと、これは以前の副市長の答弁ですが、むしろ私は、大企業への行き過ぎた減税の是正は国も自治体も税収が増えると提案しているのであります。法人税制改善の方向へ声を挙げるべきではありませんか。この点について答弁を求めます。 自治体財政について、あるいは広く財政全般について考える場合、一つには、大企業と富裕層への行き過ぎた減税、二つには、税金の実質平等の集め方である累進性の大原則、高い所得からは高い税率で、低い所得からは低い税率でとの原則からの後退、むしろ逆累進的傾向があると。この二つの要因による税収の空洞化と格差拡大という特徴を抜きにすることはできません。強きを助け弱きをくじく、国の税財政制度政策への批判的視点が不可欠であって、その視点抜きには財政の根本的な改善はあり得ないと考えます。もちろん国への要望もされています。しかしその場合、前述の二つの要因への言及が全然ありません。既存の税金収入の中で国との配分を変えろ、うちによこせと分捕り合戦をしているだけでは到底財政危機克服には至らないと思います。1970年代に、東京都の財源構想研究会が第7次に及ぶ報告を出されています。大企業ほど軽減される税負担、資産所得優遇税制がどれほど高額所得者に有利になっているかなど現行税制による税負担の不公平の実態を調査分析され、その結果に基づいて、個人であれ法人であれ累進性に基づく高額所得の捕捉を指摘されておられます。本市でも1975年の市長の諮問による研究会が、特に大企業の都市集積の利益への捕捉を指摘されています。時代を経ているとはいえ、その考え方は今も、というより今こそ有効です。是非参考にされるべきだと思います。 そもそも改革と言われますが、本当の改革とは、税金の所得再分配機能の復活、集め方の累進性、格差縮小、そして基本的人権や個人の尊厳、軍縮等、憲法の考え方に沿った使い方です。市長の改革は、要するに市民向け施策のどこを削るか、値上げするかとの話であって、言葉の本来の意味での改革ではなく市民からすれば改悪です。身を切る改革などと言っておられる方が、実は政党助成金を受け取っておられます。客観的には、国民各階層の分断と対立をあおって今日の財政危機の根本要因である国の大手優遇や大型事業、軍備拡大の政治から目をそらし免罪する役割を果たしています。身を切られるのは国民です。国の税財政制度政策への無批判的な姿勢が財政危機ならぬ地方自治の危機だと私は考えます。身体を張ってむしろ旗を掲げて声を挙げていく努力抜きに何が敬老乗車証改悪ですか、何が保育園補助金カットですか。私は、国に改善を求める運動の道半ばの段階で、市民の皆さん、御協力をお願いしたいと呼び掛けられるのは有り得ると思っています。しかし市長にその認識と姿勢がないうちは、財政危機は財政危機ではありません。私は税収増への宝の山を提案しています。それを掘り当てる努力抜きに、市民へのしわ寄せは絶対に認められません。国の制度の制約は、もちろん承知のうえで質問しております。始めなければ始まりません。相手がある話だからこそ、まず市長の認識と姿勢をお聞きしているのであります。大企業と富裕層優遇の逆累進性、地方税なのに国の法律による制約、また自治体財政にもマイナス影響が及ぶと考えられる軍事費の2倍化方針など今日の国の税財政制度政策方針への批判的視点が必要だと考えますが、これらの点についての市長の見解をお答えください。 ここまでで前半の質問とさせていただきます。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上けんじ議員の御質問にお答えいたします。 国の税財政制度に対する認識についてでございます。京都のまちづくりや市民生活に欠かせない様々な行政サービスを提供するために、市民の皆さん、事業者の皆さん、また京都を訪れる方を含む様々な方に税としての御負担をお願いしております。負担の公平性は税の基本であり、能力に応じて一定の御負担を頂くことは重要であると認識しております。同時に、特に地方税においては、受益に応じた御負担を頂くことも重要であり、国、地方を通じた税制制度全体の中で、応能負担、応益負担それぞれのバランスを取っていく必要があります。こうしたことに加え、国と地方の適切な役割分担や地方財政への影響を踏まえ、国、地方を通じて安定的で公平な税制を構築していくことも、国の役割・責任だと認識しております。 一方で、京都のまちの魅力を未来へと引き継いでいくとともに活力ある日本の未来を創造するために、国に対してコロナの感染症対策はもとより大都市の役割と財政需要に見合った財源配分、文化首都の実現など多くの提案、要望を行っております。今後とも京都市の財政を持続可能なものとし、しっかりと今と未来の市民生活を支えていくことを第一に、国に対して要望すべきことはしっかりと要望してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕 ◎副市長(坂越健一) 北陸新幹線延伸計画についてでございます。現在、福井、京都、大阪の2府1県において事業主体である鉄道運輸機構が環境影響評価法及び関係政省令に基づき環境への負荷の回避、低減に向けた手続を進めており、これまでから本市も法の規定に基づき、京都府知事に対し自然環境や生活環境への影響の可能な限りの回避・低減を求める意見書を提出しております。今後も地下水や都市機能、建設発生土砂の処理等の観点から意見を述べるなど適切に対応してまいります。 なお、大深度法の活用につきましては、現時点では、必要に応じて検討するとされております。 整備費用についても、ルートや工法も決まっておらず、具体的に論じることができる段階にはございませんが、本市では、地方負担ゼロないし極小化のための支援を国に要望しております。 着工につきましては、法の規定により環境影響評価が完了している地域でなければ工事を実施することができないものと認識しております。 ○議長(田中明秀) 金山財政担当局長。 〔金山財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(金山昌幸) 法人市民税の超過課税についてでございます。法人市民税の超過課税については、各経済団体から御理解を得たうえで、令和2年11月市会において、令和7年度末までの延長を可決いただいたところであります。一方で、成長戦略の実現に向けては、企業活動に資する環境を整備し働く場の確保を図っていくことが重要であります。法人税割の制限税率への引上げなど更なる超過課税を行うことについては、経済状況や企業活動に及ぼす影響、市民や事業者のコンセンサス等を見極めつつ検討する必要があると考えております。引き続き、応益負担の観点や歳入歳出の改革を徹底する中でも、本市独自の財政需要を賄うための財源を確保する必要性があるかどうかといった観点等からあらゆる可能性について検討してまいります。 次に、市民税所得割の税率見直しについてでございます。個人市民税所得割の税率は、平成18年度税制改正において一律6パーセントの税率を適用することとされました。この改正は、国から地方への税源移譲と共に行われ、その際、所得税と住民税を合わせた納税者の税負担が基本的に変わらないよう制度設計されたものです。すなわち所得税と住民税を合わせてみた場合において累進性は変わることなく、この改正により所得再分配機能については所得税が担うことで個人住民税との役割分担が明確化されるとともに、個人住民税は、地域社会の費用を広く住民が分担するという地方税の正確にふさわしいものとなったと考えております。また、地方税法において、超過課税などを行う場合にも一律の税率としなければならないと規定されています。この規定は、応益性を重視して一律の税率とされたことに鑑み設けられたものです。このような現在の制度趣旨は妥当なものと考えており、国に改正を求めることは考えておりません。 次に、金融所得課税の強化についてでございます。金融所得に対する課税については、金融所得の割合の高い高所得者層と給与所得を中心とした勤労者層等との間での税負担率の格差が課題となる一方、個人の資産形成と経済の活性化推進のため若い世代をはじめとした投資促進など金融所得の拡大に向けた議論が行われています。こうした点も踏まえ、金融所得課税全般の在り方については、国において総合的に検討が行われるべきものと考えております。 本市としては、こうした金融所得課税の在り方全般を問うのではなく、地方税財源の充実強化という観点から、金融所得に対する税率を少なくとも給与所得等に係る税率と同水準とするよう見直し、その配分割合を拡充することを指定都市共同で国に求めてまいりました。国においては、税負担の公平性を確保する観点も踏まえ、金融所得に対する課税の在り方について検討を進めるとされていることから、引き続き、国における今後の議論を注視しつつ、地方税財源の充実強化という観点からしっかりと要望を行ってまいります。 次に、法人税減税についてでございます。法人税率については、企業が収益力を高め前向きな国内投資や賃金引上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要があるとの観点から、平成28年度税制改正において国及び地方を通じた法人所得に係る実効税率が20パーセント台となるよう引下げが行われたものです。こうした法人実効税率の在り方については、企業の競争力強化等に配慮しながら、国及び地方を通じた税制度全体の中で、国において検討されるべきものと考えております。その下でも、本市では、地方財政の健全な運営のためには、安定した税財源を確保することが不可欠と考えており、大都市特有の財政需要に対応するため、都市税源である法人所得課税の配分割合を拡充することを指定都市共同で国に求めております。引き続き、地方税源拡充の観点から、国にしっかりと要望してまいります。 ○議長(田中明秀) 谷口建設局長。 〔谷口建設局長登壇〕 ◎建設局長(谷口一朗) 堀川通の機能強化についてでございます。国が管理する国道1号の堀川通は、市民生活、社会経済活動を支える南北方向の重要な幹線道路であり、災害時には緊急輸送道路の役割を担う大動脈でもありますが、JR東海道本線交差部周辺においては、車線数が片側3車線から2車線に減少し慢性的な渋滞が発生しております。このため、国が調査を進めている堀川通の機能強化につきまして、引き続き、京都府とも連携しながら早期実現を国に強く要望してまいります。また、京都高速道路の見直しのために設置した京都市京都高速道路検証専門委員会におきましては、3路線の廃止のみでは本市の交通問題は解決しない、堀川通の交通容量の拡大に向けた取組を進めるべきとの意見を頂いていることから、京都高速道路3路線廃止の都市計画決定は、堀川通の機能強化と同時に進めてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 井上議員。 〔井上けんじ議員登壇〕 ◆(井上けんじ議員) 福祉や医療介護、教育、身近な生活道路や公園整備など地域には身近で切実な要望があふれています。産業観光局の決算は、預託金を除けばスズメの涙ではありませんか。桁違いの無駄遣い推進、宝の山に手は付けないというのでは、誠に財政危機が本当なのかどうか疑うに十分であります。もはや市民にしわ寄せを押し付ける根拠も道理もありません。 さて、大きな第3に、特に非正規や中小企業で働く労働者の雇用と賃金労働条件等の改善を目指す立場から質問します。労働分野と言えば、市町村として権限上の制約があるとはいえ、市民の生活と健康を守るといった場合、その市民の多数を占めている労働者の、その生活の糧である労働の場の確保とそこでの条件や環境の改善・充実は、本市にとっても大きな課題だと考えます。 もちろん保育や教育、福祉や医療、介護等々各分野ごとの制度、政策の中で、当該分野の労働者の賃金労働条件改善を目指すことも可能ですし、これは本市でも、その評価はともかくとして、そのように位置付けられてはいます。例えば以前調査に行った熊本県では、建設産業振興プランというものが作られ、その中で建設労働者の働き方改革についても書かれています。本市でも、各分野の政策を立案し、その際、その事業の担い手である当該労働者の雇用や労働条件改善についても、是非具体化されるように求めておきます。 また、仮に名目上の賃上げがあった場合でも、増税や社会保険料等の値上げなどで帳消しになったりもしますから、税金や社会保障の動向も勤労者の労働と生活に直接大きな影響を及ぼします。雇用保険や健保、年金等々の在り方も含め賃金労働条件は社会保障全般と併せて拡大・充実が図られなければなりません。さらにまた、特に中小零細企業の場合、労働者支援は、その企業・事業所全体への支援充実と一体のものですし区別することは難しいと思います。また、自営業者の場合、労基法も最低賃金も保障されず、ある意味、労働者以上に劣悪な労働環境の下でのお仕事となっています。とはいえ、これらの各テーマや接近方法等については、いずれもまた別の機会に譲り、この場では、以下、労働者固有の職場の課題に絞ってお聞きし要望いたします。 まず、安定した雇用が前提です。これは従来から府や労働局等関係機関との連携など努力されておられますが、一層の継続強化を求めます。高齢者雇用安定法を巡る解釈では、シルバーに限らず雇用拡大に取り組む団体を自治体としても育成するとされています。京都では、市の統計によりますと非正規の割合が42パーセントとなっています。派遣労働のAさんは、派遣先の都合で急に仕事が途絶え派遣元も責任を取らず賃金未払い状態、Bさんは、明らかな災害性の労災なのに会社が認めてくれず直接大阪の労働基準監督署へ、これは私も同行して申請をしてきました。Cさんは、保険の外交で契約が取れなければ全然収入になりません。自営業者的労働者というか、労働者的自営業者というか、自ら長時間過密労働に追い込まれておられる現状です。不安定な仕事と生活から心の病に至る青年・中年の方も増えています。私の経験では8050ならぬ単身の50問題40問題も深刻です。特に女性では非正規率が58パーセントと半数以上になっています。男女賃金差別が大きな社会問題になっており、女性の半分以上が非正規という実態が更に拍車を駆けています。Dさんは、子育てしながら短時間も含めトリプルワークですが、教育費等、家計のやりくりはもちろん、時間に余裕がなく気持ちがいつも慌ただしいとの現状であります。非正規を減らそう、同じ仕事なら同じ賃金で、労働者派遣法や労働基準法の規制は緩和すべきでない等々、市長には、もっと内外への発信を求めたい。女性では、雇用の安定や正規化と共に、家事、育児、介護等での負担軽減、社会的地位の向上、役職への登用等々改善すべき課題が山積しています。内閣府の女性版骨太方針でも、有業既婚女性の6割が所得200万円未満、単身未婚女性の約半数が300万円未満と現状を紹介され、労働者301人以上の事業所で男女賃金比率を開示すると、これを義務化する。正規・非正規の同一労働・同一賃金を徹底し、女性が多い非正規雇用労働者の待遇改善等々と書いています。市長におかれましても、これらの方向での一層の努力を求めたいと思います。 賃金労働条件につきましては、例えば中小零細事業所への賃上げ財源に限定した補助金といった方法等はいかがでしょうか。社会保険料事業主負担分の支援も必要です。賃金の改善は、国民の消費購買力向上、消費拡大を通じて、商品やサービス、流通、製造業の売上げ拡大、経済循環促進との大きな社会的意義を持つものであります。全労働者に影響の及ぶ最低賃金の底上げが必要です。この点について、市長の認識をお聞きしたいと思います。 また、直接的な本市の権限からいえば、公共発注、委託や指定管理など市の事業に係わる下請も含む労働者については、市の姿勢次第でその改善は可能です。現行の公契約条例に賃金条項を付け加えるのが一番ですが、市長が、その発注、委託条件の設定に当たり、国の設計労務単価等、最低基準としての目安の設定と、元請事業者や受託団体等への確認点検が必要です。本市では、下請取引の適正化については元請へのお願い程度でありますが、発注者として広い意味では使用者責任とも位置付けられる立場でありますから、下請も含めそれぞれの労働者の賃金労働条件についてもその改善への役割と責任の発揮が求められると考えます。この点についてもお答えください。 雇用であれ、賃金や労働条件であれ、市長の内外への発信や各種の実態調査、相談窓口の設置、以前に発行されていたさわやかワークという勤労者向けの冊子の再発行、労基法や労働組合法、憲法27条、28条を紹介する小冊子の発行等々市としてもできることは色々あります。具体的な規制は制度上困難としても、例えば男女不平等職場一掃、ブラック企業根絶等々をうたう宣言的条例等も市の姿勢次第だと思います。区役所での雇用、中小事業所対応窓口の開設も可能だし、また必要です。現在、雇用については産業企画室や若者支援センター等を中心に取り組んでいただいておりますが、文化市民局共生社会推進室等も含め、労働行政全般を横断的に取り組む部署の設置、体制強化を求めておきたいと思います。 全体として、正規雇用の拡大と市内事業所で働く労働者の労働条件改善、これらの方向についての課題認識はいかがでしょうか。また具体的にどういう取組が可能か、現在の取組をどう発展させるか、これらの点について是非検討いただきますようにと求めます。御答弁をお願いしたいと思います。 なお、労働者の問題にも関連して、二つの課題について質問します。 一つは、学童保育児童館の委託先職員の労働組合による、本市を相手とする不当労働行為救済の申立ての府労働委員会の命令に関し、市長がいまだに団体交渉に応じていないのは、使用者としての市長の責任を全うしない不法行為であり了解できるものではありません。命令を不服とする市長の裁判への訴えは、当然、市長の認識であり権利でありますから、これは今後の司法の判断を待たなければなりません。しかし、訴訟を提起されたからといって救済命令の効力が停止されるものではありません。団体交渉に応じるべきとの労働委員会の命令は生き続けています。まず、命令どおり団体交渉に応じるのが市長の法的義務であり責任です。当該労働組合は、すべての子どもたちにいきいきとした放課後をとのスローガンを掲げ児童とそのお母さんお父さんたちの成長発達、働く権利の保障のため、仕事はもちろん、またそのためにこそ組合を作って頑張っておられます。マンパワーあっての福祉です。市長は、直ちに団体交渉に応じ使用者としての責任を果たすべきだと考えますがいかがでしょうか。御答弁ください。 二つ目に、健康増進センターヘルスピアについてもお聞きします。廃止の議決後も、再検討してください、どこへ行けばいいのか、近隣施設は入会金や会費が高くて払えない、まず会員にならなければならない、なぜなくすんだ等々、反対をした私が怒られています。近隣施設とは使用料も条件も違います。廃止の理由は崩れています。真夏の学校のプールでは熱中症が心配され、天井のあるヘルスピアを活用してはどうかと提案される方もおられます。子供たちをはじめ多くの市民の皆さんが今も来ておられます。働く職員の皆さんの雇用も心配です。働く場が奪われるなど、あってはならないことであります。広い意味で市長にも雇用責任があります。廃止方針を撤回し、施設や機能の一層の充実で市民の健康増進と職員の雇用維持に努めるべきだと考えます。市長の見解をお聞きいたします。 最後に、後期高齢者医療保険と国民健康保険についてお聞きいたします。後期高齢者保険では、この10月から窓口負担が一部2倍もの値上げ、両保険とも保険料が今春、上がっています。所得割基礎額が、国保では100万以下が76パーセント、後期高齢では、これは京都府全体の数字ですが100万円未満が82パーセントも占めています。減免適用が、国保84パーセント、後期も府内で66パーセントにも及んでいるということは、既に基本的な保険料のベースが高すぎるということの証明です。年金が値下げされ物価や敬老乗車証は値上がりです。政府は、先月末、保険料値上げや出産育児一時金の財源の一部を後期高齢者にも求めるなど、更に傷口に塩をすり込むような負担増への検討を始めています。市長は、後期高齢者の一部負担金値上げの撤回や、両保険の保険料引下げのため、国に求め、また自らの権限をいかすべきであります。また両保険とも、コロナによる保険料減免の要件が収入が前年より3割減となっていますが、コロナまん延の初年度ならともかくもう3年近くなって、前々年以来、収入は低止まり状態が続いていますから、低い前年と比べても3割減とはなりません。前年要件を実態に合わせて改善すべきであります。後期高齢者医療保険の一部負担金値上げ、両保険の保険料の引下げ、また保険料減免要件について、それぞれお答えを頂きたいと思います。答弁を求めます。 以上、それぞれ積極的な答弁を求めまして質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 労働環境の改善についてでございます。まず、最低賃金につきましては、地域における労働者の生計費や企業の賃金支払い能力を見極めたうえで、国において適切に判断されるべきものと考えております。 次に、労働者の賃金労働条件についてでございます。本市では、公共工事設計労務単価の引上げを迅速に反映し、適正な予定価格を設定しております。また、公共工事、清掃や警備の委託などの一定の公契約につきましては、労働関係法令遵守状況報告書の提出を義務付け、賃金を初め労働関係法令の遵守状況を確認するなど下請の事業者を含めた公契約に従事する労働者の適正な労働環境の確保に努めております。 最後に、労働条件の改善につきましては、労働関係法令や労使合意等に基づき雇用主が取り組む必要がございます。このため、本市では、これまでから雇用主に対して関係法令等を周知啓発するとともに、経済団体等を通じて労働環境の改善を繰り返し要請してまいりました。また、企業が自ら働き方改革の状況を把握できる自己診断制度を導入し、現在約4,000社が活用するなど地域企業の働き方改革を促進しております。 さらに、行政、経済団体、労働者団体による京都労働経済活力会議での検討議論を踏まえ、国による労働環境の改善や雇用対策の取組に労使の声がしっかり反映されるようオール京都で国へ要望してきたところであり、引き続き、こうした取組を積極的に積み重ねてまいります。 ○議長(田中明秀) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) ヘルスピア21についてでございます。ヘルスピアについては、平成5年の開設後約30年が経過し設備の老朽化が進む中、現在では、京都テルサをはじめ半径2キロメートル以内に類似施設が5施設あり、市内全体でも多数の施設が運営されており、その必要性及び効果が低下していること、また、今後維持する場合には多額の改修経費を要することから令和5年3月末の廃止が妥当と判断し、本年5月市会に施設の廃止条例を提案し御議決いただいたものでございます。 本市としては、議決の際の付帯決議を踏まえ、ヘルスピアの御利用者に引き続き主体的な健康づくりに取り組んでいただけるよう京都テルサをはじめとする類似施設や地域介護予防推進センター等を御案内するとともに、ボランティアの皆様が発展的に御活躍いただくための支援を継続してまいります。また、ヘルスピアの職員の再就職につきましては、雇用主である京都市健康づくり協会と連携し、本市としても可能な限りの支援を進めてまいります。 続きまして、後期高齢者医療保険についてでございます。まず、一部負担金の見直しについては、団塊の世代の皆様が後期高齢者となる中で、国において一定の負担能力のある方に経過措置を講じたうえで医療費の2割を負担いただくこととされたものであり、制度を将来にわたり維持していくためには、見直しはやむを得ないものと認識しております。また、保険料については、医療費の伸びに応じて引き上げるべきところ、基金等の活用により保険料の上昇を抑制しており、本市国保においては、令和3年度までの10年間においては2度の引下げを行いましたが、増額改定は行っておりません。なお、国に対しては、財政措置の拡充などを求めております。 次に、コロナの特例減免についてでございます。保険料は、前年の所得金額を算定基礎としていることからコロナの影響により前年と比べ所得が3割以上低下した場合は、国の基準に基づき特例として減免を適用しております。一方で、所得に応じた保険料を御負担いただくことが制度の原則であり、前年と比較し所得に変更がない場合において、更なる減額を行うことは困難でございます。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 上田子ども若者はぐくみ局長。 〔上田子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(上田純子) 京都市学童保育所管理委員会との団体交渉についてでございます。本市の児童館、学童保育所の運営については、指定管理者制度や委託事業として実施しており、職員の方の勤務条件等は各運営団体において対応いただくものと認識しています。こうした中、京都府労働委員会から56団体ある運営団体の一つである京都市学童保育所管理委員会についてのみ、その職員である組合員の賃金体系の見直し等について団体交渉に応じなければならない旨の命令が発出されました。命令発出時点で効力が生じていることについては承知していますが、本市は、この命令を容認することはできないため、本年6月28日、京都地方裁判所に同団体職員に係る基本給等についての本市の使用者性を認めた部分について取消しを求める訴訟を提起したところでございます。本件は、係争中であり、団体交渉を受けないこととしております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) この場合、都合により河合ようこ議員は発言を取り下げられましたので、御承知おき願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後3時55分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    田中明秀          署名議員  やまずまい子          同     菅谷浩平 △(イメージ)請願文書表「受理番号1133」「北陸新幹線京都延伸計画の中止」・請願文書表「受理番号1134」「北陸新幹線延伸による地下水等への影響の独自調査の実施等」 △(イメージ)請願文書表「受理番号1135」「北陸新幹線延伸に関するボーリング調査結果の公表」・請願文書表「受理番号1136」「北陸新幹線延伸による伏見区の地下水への影響の独自調査の実施等」...