令和 4年 5月 定例会 令和4年 定例会 京都市会会議録 第3号 5月市会 令和4年5月23日(月曜日)出席議員(65名) 1番
久保田正紀議員 2番 神谷修平議員 3番 小山田春樹議員 4番 豊田恵美議員 5番 森川 央議員 6番 田中明秀議員 8番 やまね智史議員 9番
鈴木とよこ議員 10番 かまの敏徳議員 11番 菅谷浩平議員 12番 こうち大輔議員 13番 森 かれん議員 14番 大津裕太議員 15番 片桐直哉議員 16番
兵藤しんいち議員 17番
松田けい子議員 18番 やまずまい子議員 19番
井上よしひろ議員 20番 平山たかお議員 21番 とがし 豊議員 22番 ほり信子議員 23番 山田こうじ議員 24番
森田ゆみ子議員 25番 山本陽子議員 26番 平井良人議員 27番 宇佐美賢一議員 28番 江村理紗議員 29番 小島信太郎議員 30番 安井つとむ議員 31番 かわしま優子議員 32番 国本友利議員 33番 加藤昌洋議員 34番 森田 守議員 35番
田中たかのり議員 36番 みちはた弘之議員 37番 さくらい泰広議員 38番 くらた共子議員 39番 井上けんじ議員 40番 河合ようこ議員 41番 樋口英明議員 42番 赤阪 仁議員 43番
天方ひろゆき議員 45番
山岸たかゆき議員 46番 青野仁志議員 47番 平山よしかず議員 48番 吉田孝雄議員 49番
しまもと京司議員 50番 椋田隆知議員 51番
下村あきら議員 52番 西村義直議員 53番
吉井あきら議員 54番 山本恵一議員 55番 井坂博文議員 56番 加藤あい議員 57番
西野さち子議員 58番 玉本なるみ議員 59番 湯浅光彦議員 60番 曽我 修議員 61番 大道義知議員 62番 寺田一博議員 63番 津田大三議員 64番 中村三之助議員 65番 橋村芳和議員 66番 繁 隆夫議員 67番 富 きくお議員欠席議員(1名) 44番
中野洋一議員欠員(1名) 議事日程 開議日時 令和4年5月23日(月)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付 一般質問 (1) 市政一般について
吉井あきら議員 (2) 市政一般について
しまもと京司議員 (3) 市政一般について 加藤昌洋議員 (4) 市政一般について
西野さち子議員 (5) 市政一般について 平井良人議員 (6) 市政一般について 国本友利議員 (7) 市政一般について
松田けい子議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕
○議長(田中明秀) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。
森田ゆみ子議員と神谷修平議員とにお願いいたします。
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○議長(田中明秀) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願1件及び陳情254件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。
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○議長(田中明秀) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,
吉井あきら議員。 〔
吉井あきら議員登壇(拍手)〕
◆(
吉井あきら議員) おはようございます。山科区選出の吉井あきらでございます。この機会を与えていただきました我が会派の先輩,同僚議員,また日頃より御支援いただいている多くの皆さんに感謝を申し上げ,
しまもと京司議員,加藤昌洋議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表し,質問をさせていただきます。 初めに,府市協調の更なる推進についてお伺いします。先般行われた京都府知事選挙において,我々自由民主党をはじめ多くの政党や団体などが推薦した西脇隆俊氏が見事に再選されました。1期4年の確かな実績と共に,あたたかい京都づくりに向けた西脇知事の訴えを多くの皆様が支持した結果であり,引き続き,府民,京都市民の皆さんのため,支援した我々も西脇知事と共に取り組んでまいりたいと思います。 市民の安心・安全の面では,
新型コロナ対策において,門川市長と西脇知事を先頭に府市が連携して,検査体制の強化や中小企業支援など市民生活の下支えに取り組むほか,防災・減災の取組では,本年1月に,安祥寺川及び四宮川の改修について府市で政策協定を締結し,安祥寺川の事業手法の見直しによって工期を25年から15年へと10年前倒しや事業費の13億円圧縮という大きな成果があったことは,まだ記憶に新しいところです。 一方で,これからの京都に目を向けると,新型コロナについては,まだまだ予断を許さない状況であり,豊かな産業の創造と成長,都市基盤の維持,整備,人口減少対策など,引き続き取り組むべき課題も多く存在します。西脇知事は,安心,温もり,ゆめ実現の三つの柱で誰もが夢や希望を持てるあたたかい京都づくりを公約に掲げられており,これは,京都の明るい未来を切り開いていこうとされている門川市長と思いを一にするものだと受け止めております。門川市長におかれても,新型コロナを克服し,改革と成長を成し遂げ,コロナ禍も踏まえた新しい京都づくり,市民ぐるみの視点に立った効率的,効果的な行政運営の実現に向け,府市の連携を更に進化していただきたいと考えますが,府市の在るべき姿に対する市長の考えを伺います。 次に,コロナ禍における財政運営について伺います。令和2年度予算において,市長は,特別の財源対策からの早期脱却を目指し行財政改革の更なる加速を表明されましたが,時を同じくして,
新型コロナウイルスの感染が拡大し,コロナ禍と財政危機という二つの危機に直面しました。国難とも言えるコロナ対策については,基本的には国がその対策と財源に責任を持つ必要があると考えますが,様々な現場の課題に的確に対応するためには,基礎自治体が国との強力な連携を図ることが不可欠です。この間,門川市長も,国に対し直接要望をされていますが,我が会派からも,本市の現状を伝え,現場に即した対応等を要望した結果,地方との情報共有に基づく緊急事態宣言等の発出,解除やワクチン供給,
地方創生臨時交付金の拡充などが行われ,本市では17回に及ぶ補正予算等により,感染防止対策,経済対策を行ってきました。今後とも,市民の命と健康,京都経済を守るためには,国と歩調を合わせて取り組んでいくことが非常に重要であります。先般,政府において原油価格・
物価高騰等総合緊急対策がまとめられましたが,本市においても,これと歩調を合わせ,厳しい状況に置かれている生活困窮者,中小企業等の支援にスピード感を持って取り組む必要があると考えますが市長の考えを伺います。 財政運営に関しては,我が会派からは,かねてから特別の財源対策を続けることの危惧,歳出見直しや財源確保の徹底について強く指摘を重ね,市会での厳しい議論を経て,昨年8月に行財政改革計画が取りまとめられました。計画初年度となる令和3年度は,国の地方財政対策による地方交付税の増や,国・府と一体となった経済政策の取組により公債償還基金の借入れのうち187億円を返済。令和4年度予算では,公債償還基金の取崩しを大幅に圧縮し,今後も計画を着実に実行することで基金枯渇の危機を回避するとされており,まずは,改革に向けた第一歩を踏み出せたと考えます。しかし,117億円の特別の財源対策を含む実質的な赤字予算であり,持続可能な行財政の確立に向けては,ここからが正念場であります。2月市会において,我が会派の寺田議員の質疑に対し,行財政改革の必要性や理念,財政運営の目標を明記した計画の策定を条例に位置付けるなど,京都ならではの改革を確実に継続できるよう検討するとの答弁がありました。引き続き,ぶれることなく持続可能な行財政の確立に向け取組を徹底するとともに,地方交付税の必要額の確保などの国への要望,国施策との連携をより一層強力なものにしなければならないと考えますが市長の考えを伺います。 次に,
新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いします。この間,本市においては京都府とも連携し,臨機応変に対応されてきたと考えております。これからは,感染対策を講じながらではありますが,社会経済活動に軸足を置いた対応が求められると考えております。
新型コロナウイルスは,感染症法上,結核やSARS等と並ぶ2類相当と位置付けられているため,保健所では,医療機関から出された全件の発生届に基づいて積極的疫学調査や健康観察を行い,必要な場合,入院勧告や就業制限措置を行うほか,医療費は公費で負担することとされております。そのため,本市では,全庁を挙げた応援体制を確保し,現場の職員の皆さんが懸命に対応し続けておられます。医療機関では,コロナ以外の医療に影響が生じた時期もあり,また,企業や学校,保育所等で感染者や濃厚接触者が出た場合には就業制限が掛かるなど,社会経済活動への影響も生じています。 一方,現在のオミクロン株が重症化しにくいと言われる特性から,第6波においては,濃厚接触者の待機期間の短縮,自宅療養者の療養期間や濃厚接触者の待機期間を自己判断するといった見直しが順次行われております。現下の状況を鑑みると,高齢者や基礎疾患をお持ちの方といった重症化リスクのある方に重点を置き,軽症者などは,保健所を通さず地域の医療機関で直接対応することも可能になってきたのではないかとの専門家の意見もあり,市民の皆様からも,2類相当から5類相当への見直しを求める御意見を数多く伺っているところであります。そこで,科学的な知見を踏まえて,感染対策を講じながら社会経済活動に軸足を置いた対応を国に求めていくべきと考えますが,次のステップに向けた対応について考えを伺います。 また,急激な感染拡大時,在宅患者が救急要請した際,受入病院が決まるまでに長時間要したこともあると聞きます。第6波においては,それまでの教訓をいかし,府において病床を更に確保するなど尽力されましたが,急激な感染拡大に伴い病床使用率は最高で75.2パーセントまで上昇するなど,医療ひっ迫も現実でありました。コロナ病床を更に増やすとしても,先ほど申し上げたように一般病床への影響も生じることから,限界があると思います。このため,在宅や施設で療養されている方に対する往診体制を強化し,早期に医療につなげていくことが重要であると考えます。そのほか,救急の電話相談窓口である
救急安心センターきょうと#7119の更なる活用に向けた周知啓発も重要であります。これらの取組が救急要請を減らすことにもつながっていくと考えますが本市の考えを伺います。 次に,都市の持続性と市内周辺地域の活性化に向けた戦略的なまちづくりについて伺います。本市では,昨年9月に,京都ならではの持続可能な都市の構築を目指す上での羅針盤となる
都市計画マスタープランを策定されました。このプランは,京都の都市特性を踏まえ,これまでの都市づくりの基本的な考え方である保全,再生,創造の土地利用を基本としながら,京都ならではの魅力と都市活力の好循環を生み出すという考え方の下,これからの時代に対応した職住共存,職住近接の暮らしを実現できる都市の構築や,東京,大阪への一極集中の是正も視野に,近年新たな開発計画が顕著に見られる近隣都市との一体性も考慮し,京都都市圏の求心力の底上げを図ることなどが新たに掲げられております。 さらに,多様なポテンシャルを持つ各地域をネットワークさせ,まちづくりの効果を最大限にいかす視点の下,北部,中心部,東部,南部,西部の5つの方面ごとに将来像やまちづくりの方向性を示す方面別指針が新たに策定され,財政状況が厳しい中でも市域全体が発展し続けていくため,各地域の特性に応じた戦略的な都市計画や,分野横断的な政策融合による効率的,効果的な施策展開がされていくものと期待をしているところであります。しかしながら,とりわけ市内周辺部においては,中でも東部方面では,若年,子育て層の市外流出が顕著な状況です。この厳しい現状を打開するためには,例えば
地下鉄東西線沿線の整備によって高まったアクセス性を存分にいかしながら,山科や椥辻といった駅周辺における都市機能の集積や充実をさせることで,まちのにぎわいを創出するなど,若年,子育て層が京都で住みたい,学びたい,働きたい,子育てしたいと思っていただけることが極めて重要であり,比較的地価の安い周辺部での都市計画の取組が,市域全体の持続可能性の重要な鍵になると考えております。同時に,1200年を超えて歴史を積み重ねてきた本市の魅力の源泉である市内中心部や北部のまちの魅力に更に磨きを掛けることも重要であり,ここでは,路地奥の再生や空き家などの既存ストックの活用が必要です。それらの取組も含め,京都の都市格の向上はもとより,高まった都心部の熱を市域の隅々にまで波及させていくことができれば,市民一人一人に暮らしの豊かさを実感していただけるものと確信しております。京都の未来と言っても過言ではない,
都市計画マスタープランをどのように具体化し,実践していくかが重要であります。本市の財政状況が極めて厳しい中,人々や企業から選ばれるまちとなるように,都市の持続性の観点から,市内周辺地域の活性化に向けて,どのような方策を打ち出していくのか,決意を含め伺います。 次に,山科地域の活性化の拠点となる,にぎわい空間の創出について伺います。先日のゴールデンウイークでは,山科にある名神高速道路の
京都東インターチェンジを利用して多くのバスやマイカーが京都の町中に向かって,長い列を作っておりました。コロナ禍で苦しんでいた京都観光が回復の兆しを見せつつあることは,非常に喜ばしいことであります。一方で,これらの車両の大半は,山科を通過するだけです。山科が誇る地域資源を,これまで十分にいかし切れていなかったことも大きな課題でありました。山科は,豊かな自然や歴史に恵まれた地域であります。山科には,山科なすなどの京野菜,観光果樹園の農産品,京焼,清水焼,京仏具などの伝統産品があります。そこで,観光シーズンには多くの車両が利用する
京都東インターチェンジの周辺に,道の駅のようなにぎわい空間の創出ができないかと考えます。京都にお越しになられた皆様が,山科で一休みでき,地域の方も楽しめる場として,にぎわい空間では,山科の地場産品の直売所や山科の農産品を堪能できるレストランなど様々なアイデアが思い浮かびます。例えば,新名神高速道路の
宝塚北サービスエリアや
京都縦貫自動車道の道の駅京丹波味夢の里など,地域の資源をいかし魅力を広く発信しているすばらしい先行事例が数多くあり参考にできます。様々な課題がありますが,将来の山科,ひいては京都市域全体の発展を考えた場合,山科地域へ道の駅のようなにぎわい空間の創出を是非とも実現したいと考えております。市長の考えを伺います。 最後に,生産基盤整備をはじめとする農業振興について要望をいたします。本市では,聖域なき行財政改革を進められ,農業関係予算についても総点検のうえ,見直しが図られてきたところでありますが,今般のロシアのウクライナ侵略や急激な円安の進行により,市民の暮らしを支える農産物を国産で確保する重要性がますます高まってきております。こうした状況を踏まえ,継続的,安定的な農産物の生産に向け,農業の生産活動を下支えする農道,用排水路,農業用ハウスといった生産基盤整備の計画的な推進,強化をはじめ,長期的な視野を持って農業振興施策を実施されるよう要望をいたします。 最後に一言申し上げます。私は,平成19年に初当選して以来,15年間,全身全霊で,地域のお声を京都市政に反映をすべく,また結果にこだわって今日まで駆け抜けてまいりました。政治家の役割は,地域のお声を,地域の思いを行政に届け,そして形にしていく。また,皆様の生命財産を守ることと認識しております。あわせて,光なきところに光を当てることこそ,政治の役割であります。社会的弱者を守り,未来に希望の持てる京都,そして日本を創り上げていく,希望の持てる京都を創り上げていかなければなりません。多くの犠牲と苦労の上に成り立つ日本であるということを再認識し,先人たちに対ししっかりと感謝をしながら一歩一歩歩んでいくことこそが将来の日本を創っていくと確信をしております。 引き続き,京都の発展を願い,お世話になりましたここにおられます田中議長をはじめとする多くの議員の皆さん,全ての皆さんに感謝を申し上げまして,私,吉井あきらの代表質問とさせていただきます。皆さん,ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
吉井あきら議員の御質問にお答えいたします。 京都府との府市協調の更なる推進についてでございます。今般,西脇隆俊知事が府民・市民の皆さんの広範な信託を得て2期目をスタートされたことは大変心強く,引き続き,西脇知事と府市協調を新たなステージへ発展させ,京都の明るい未来を切り開いていく決意を新たにいたしております。 私は,市長就任以来,二重行政の課題の解消はもとより,府民・市民サービスの向上,効率的・効果的な行政運営を追求する全国トップ水準の府市協調を推進し,西脇知事就任以降も,吉井議員御紹介の安祥寺川の改修の加速化をはじめ府市共同化した衛生研究所が
新型コロナ対策で力を発揮するなど大きな成果を挙げてまいりました。今回,西脇知事は,京都市との協調を深める深化を公約に掲げられました。私としても,本市が財政構造改革と成長戦略により持続可能な行財政を確立し,魅力あふれる京都を未来へ引き継いでいく極めて大切な時期だからこそ,更に府市協調,そしてそれぞれの強みをいかした更なる連携強化により,一層効率的・効果的な行政運営を図るとともに,府市の行政だけでなく地域,企業,大学,文化関係者などのあらゆる主体の参画によるオール京都体制で一体感のあるまちづくりを進めていくことが,府市の在るべき姿であると考えております。西脇知事が掲げるあたたかい京都づくりは,多様性,包摂性を尊重し,誰一人取り残さない社会を構築するSDGsの達成を目指すという私の思いと共通するものであり,今後とも府市が協調して
新型コロナ対策,原油価格,物価高騰の緊急対策,子育て支援の高い水準の維持向上,時代の潮流を捉えた新たな価値の創造などに取り組み,市民・府民の皆様の豊かさと安心・安全の実現はもとより,京都全体の更なる発展につながるまちづくりを強力に進めてまいります。 次に,コロナ禍による財政運営についてでございます。これまでのコロナ禍に加えまして,原油価格や物価高騰により市民の皆様の暮らし,中小企業の経営は一層厳しさを増しております。こうした国民,市民の声に応えるべく,今般政府において総合緊急対策がまとめられ,本市においても低所得の子育て世代に対する給付金を6月中に支給を開始する予算を今市会に追加提案するなどスピード感を持って対応してまいります。さらに,
セーフティネットの強化,子育て世代や大学を通じた学生等への支援と幅広い中小・小規模事業者への支援を軸とし,今般拡充された37.7億円の
地方創生臨時交付金を最大限に活用し,第2弾の補正予算の編成を進めており,6月に特別市会の開会をお願いいたしております。今般,
リーマンショック並みの市税収入の減少を回避したことと改革を徹底したことにより,公債償還基金からの借入れを187億円返済し,また,令和4年度予算における基金の計画外の取崩し額を計画よりも大幅に圧縮するなど,持続可能な行財政の確立に向けてあらゆる努力を重ねております。 私は,現在の市民の皆様の生活を支えると同時に,持続可能な行財政を確立し,未来への責任を果たすことが使命であると考えております。そこでこれまでの改革を確実に継続するための条例を制定することにより,持続可能な財政をより確実なものとしてまいります。同時に,そのためには,国との連携は欠かせず,本市の課題・実情をより一層,国,国会議員の皆様に御理解いただく必要があり,今後も市会議員の皆様と連携を緊密にして,広く提案・要望を行ってまいりますので,よろしくお願い申し上げます。 次に,
都市計画マスタープランについてでございます。昨年9月,強い危機感と明確な未来への展望を持ち,都市づくりの基本方針,
都市計画マスタープランを策定いたしました。このプランの具体化のためには,地域ごとのポテンシャルを積極的に引き出し,この間飛躍的に向上した京都市の都市格を市民の皆様の暮らしの豊かさ,経済の活性化につなげていくことが重要であります。そのため,現在,有識者で構成する検討委員会において,現行の都市計画の制限が地域のポテンシャルに見合っているのか,十分かといった観点で,見直しが必要なエリアの絞り込みを進めております。中でも,山科区をはじめとした周辺部の交通結節点であり定住人口の求心力となる
地域中核拠点エリアや近郊都市との一体性を踏まえた都市圏の強化につながる市境など大きな伸びしろのあるエリアにおいて,暮らしの豊かさや利便性につながる都市機能を集積・充実させるとともに,若者・子育て層が京都で住みたい,学びたい,働きたい,子育てしたいとより一層思える魅力的な空間の創出に向けまして,事業者の創意工夫を最大限に引き出せる都市計画上の具体的方策について検討いただいております。このようなエリアを定め,重点的にかつ地域特性に応じて検証し,戦略的な都市計画に見直すことにより,吉井議員御指摘のとおり,都市部で高まった熱を周辺部で受け止め,都市の成長に欠かせない活力を高めるとともに,それが中心部等の魅力を更に高める好循環を生み出すと確信いたしております。これらによって市域全体を魅力ある持続可能な都市として力強く発展していく,その決意で,引き続き強力に取り組んでまいります。 次に,山科地域の活性化についてでございます。古くから都の東の玄関口として京都全体の発展を支えてきた山科地域が,将来にわたっても魅力と活力あふれるまちであり続けるためには,山科の誇る豊かな地域資源をいかし,産業・観光・文化の振興,経済の活性化等につなげていく観点が大変重要であります。現在,第3期山科区基本計画において,区の目指す将来像の一つに,人をひき付ける魅力あふれるまちを掲げ,山科の強みをいかしたまちづくりに取り組んでいるところであり,また,観光地の分散化と観光による地域活性化を図るため,山科を含む多様なエリアで魅力の掘り起こしも行ってまいっております。ただ今,お聞かせいただきました道の駅のようなにぎわい空間の創出につきましては,事業主体や用地,採算性の確保など課題も多くありますが,地域活性化,道路・交通,農業・伝統産業の活性化など様々な効果も期待できる大変魅力的な御提案でございます。吉井議員の地域の発展にかけられる政治家としての熱い思いと御提案の趣旨をしっかりと踏まえ,山科地域はもとより京都全体の活性化に資するにぎわい空間の創出の可能性につきまして,複眼的,中長期的な視点を持って研究してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 新型コロナ対応についてでございます。感染者は高止まりが続いていますが,オミクロン株は重症化リスクが低いという特性もあり,府下全体の病床使用率は15パーセント程度となっています。このような中,今後は,市民の皆様の命と健康を守り抜くと同時に,社会経済,文化,地域活動を継続して実施し,その両立を図っていく大事な時期であります。保健所については,全庁応援体制や新型コロナ陽性者フォローアップセンターの設置などにより強化し,大きな役割を果たしてまいりましたが,これまでの経験を教訓に高齢者などの重症化リスクのある方や高齢者施設の入所者などへの支援の強化が必要です。このため,今後,保健所に自宅・施設療養医療調整チームを設置し,スポット的な往診を迅速に行うことや,御家庭の事情などで入院が困難な場合に対応する24時間体制の医療管理コーディネート機能など更なる強化を図る補正予算案を提案をしております。また,第2類相当のため感染者全員の対応が必要な現状については,ウイルスの特性を踏まえた科学的知見に基づき重症化リスクの高い方に重点化するなど柔軟に対応できるよう,感染症法における取扱いの見直しの早急な検討を指定都市市長会や関西広域連合を通じて既に国に求めております。#7119の周知啓発については,従来のリーフレットや新聞広告などによる広報に加え,京都府と連携し,新たな広報手法を検討をしております。今後とも市民の皆様の命と健康,さらに豊かな暮らしを守り抜く取組を進めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,
しまもと京司議員に発言を許します。しまもと議員。 〔
しまもと京司議員登壇(拍手)〕
◆(
しまもと京司議員) 自民党南区選出のしまもと京司でございます。さきの
吉井あきら議員,次の加藤昌洋議員と共に代表質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに,現在我が国の重要な経済政策方針である新しい資本主義における成長と分配の好循環に対する本市の取組についてお伺いします。昨年10月の岸田政権発足に当たって,首相は,新自由主義経済の弊害であった富める者と富まざる者の分断と格差を解消し,コロナ後の新しい社会を開拓する政策として成長と分配の好循環を基本的コンセプトに掲げました。これに向けて現在我が国では,様々な分配機能の強化を柱とする政策が推進されていますが,現世界状況下における日本経済は,これまで長引いたコロナ禍やウクライナ情勢,原油高,資源高,円安等々の影響で,私たちの生活や景気情勢は今後更に悪化する懸念があります。そのしわ寄せを受け,しのぐことのできない京都市内の99.7パーセントを占める中小・小規模事業者は非常に厳しい環境にあり,分配と好循環への期待も一層強まってきています。 私たち自民党議員団は,こういった課題にも先進的に取組を続け,10年以上前から問題提起や主張を行ってきました。行政には,その点もしっかりと理解,把握,分析していただき,7年前には公契約から市域内経済の好循環を目指し公契約基本条例も制定されました。この効果により事業の元請企業から多層的な下請,人員,資材や物流等々に至るまでの経済循環が出来つつあり,この今いる現市庁舎の整備ですね,これに代表される分離発注手法等も大いに評価するところです。このように,今後更に市外流出を少しでも抑制する取組と,地域経済活性化による潤いや福祉を一人でも多くの市民が享受できるよう一層の取組を願っているところでもあります。例えば昨今民間活力の導入,利活用によって行政負担を軽減されるPFI手法等があります。一方で,この一部には,最終的な結果として市域内の循環・分配よりも,更なる一極集中化や格差を広げてしまうという点も,しっかりと考慮,注意すべき部分です。まずはこの点において,京都市として,いかに分配を重点的に担保,配慮した対策と市内経済循環を目指した取組をしていかれるものかをお聞かせください。 また,民間取引の部門においても現在国では,中小事業者への不当なしわ寄せが生じないよう公正な分配を目指して中小事業者等取引公正化推進アクションプランやパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージに基づく対処強化,中小企業庁における下請Gメンなどの設置,そして先月には,コロナ禍における原油価格・
物価高騰等総合緊急対策の中での独占禁止法上の優先的地位の濫用や下請代金法上の買いたたきなどに対する取締り強化も示されています。本市としましても地域企業,とりわけ大多数の中小・小規模事業者とその雇用を守り抜くべく,下請事業者等が労務費や原材料費などの上昇を円滑にその価格に転嫁できるようにすること,また,独自の製品やサービスの開発等,企業の体力強化の支援に取り組むこと,そして国への厳正な対処要望や補助金措置等の要求も必要なものと考えます。これらについて,京都市として国や府との連携も強化しながら,いかに成長と分配の好循環の実現に取り組み,都市の成長につなげていくべきとお考えであるか,その方針をお聞かせください。 次に,「歩くまち・京都」総合交通戦略の改定と持続可能な交通網の実現についてお尋ねします。京都市は,昨年,歩行者と公共交通優先のまちづくりのための当指針の内容を10年ぶりに改定しました。平成22年の旧戦略策定以来は,四条通歩道拡幅や京都駅八条口駅前広場の再整備などに代表される取組により,そのコンセプトも着実に浸透・進展してきたものと認識するところです。今般の改定では,車に依存しない非自動車分担率について,令和元年では77.7パーセントと,当初掲げた80パーセント超には届いていなかったものの,今後徒歩,鉄道,バス等への転換を更に促して新たな目標の85パーセント以上を目指すものとなっています。また我が会派が強く求めていたSociety5.0の潮流やデジタルトランスフォーメーションの加速と共に交通分野におけるデータのオープン化と利活用,公共交通の更なる利用促進に資するMaaSの推進や新たな交通系サービス等への取組も盛り込まれています。現在,本市と全国の交通を取り巻く環境は,人口減少や地球温暖化等の問題に加え,人々のライフスタイルの変化,とりわけこれまでのコロナ禍における観光や通勤,通学等の大幅な利用減で交通事業者が大変厳しい状況に置かれるとともに,密を避ける心理傾向によって本来の歩くまち戦略の目標とは真逆のマイカー利用増が非常に懸念されるものとなっています。私ども地元の南区や伏見,山科区なども高速道路のインターチェンジや幹線道路,国道,鉄道駅などが集中する交通結節点でもあり,先ほどの
吉井あきら議員のお話にもありましたが,週末や連休ともなると,これまでのコロナ規制のリバウンドによる大変多くの他府県ナンバー車両等による渋滞が多発しています。この傾向に対し,今のうちから何らかの手を打っておくことが必要です。 かつて京都は,他府県都市等に比べ,様々な基幹インフラ,特に道路網や公共交通,鉄道等の整備も格段に遅れました。が,近年の私ども国・府・市連携によって挽回,発展させてきたこの交通網の維持向上と公共交通の利用促進に関して,特にこの状況下での新たな取組が必要です。その一環として市域の運輸,交通を支えている事業者と地域住民,行政が,より一層連携し取組を進めることも大変重要です。例えば寺田議員を中心に我が会派が主張してきた京都カード,京都ポイントをはじめ多様な交通網の有機的検索・予約・決済等々,一括で利便性を図ることができるMaaS・Mobility as a Serviceの構築や革新的なデジタル技術を活用した取組等により,遅れている公共交通の利便性を図っていくことも必要不可欠です。これらを受けて,本議会においては,地域公共交通におけるデジタル技術の活用に係る補正予算案も提案されているところです。そこでこの計画方針に対する見解,並びに今後,事業者,市民,行政との連携によるDX推進にもいかしながら,いかに本来の目的である持続可能な交通網と交通環境の実現につなげていくのかをお答えください。 まずはここまでの答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 市内経済循環に向けた取組についてでございます。市内経済循環のためには,市内企業の99.7パーセントを占める中小企業の持続的な発展が不可欠であると認識いたしております。本市では,平成27年度に制定しました公契約基本条例において,市内中小企業の受注機会の増大を基本方針の第一に掲げ,市内中小企業への発注を原則としております。くわえて,分離分割発注を進めるほか,大型案件においては,市内中小企業が参画しやすいジョイントベンチャーの発注とするなど,可能な限りの中小企業の参入機会の確保に努めており,令和3年度の工事契約の市内中小企業への発注件数割合は,条例制定前の平成26年度と比べまして約9パーセント増の約9割となっております。あわせまして,適正な賃金水準の確保につきましても,毎年度の公共工事設計労務単価の引上げを迅速に反映するなど,適正な予定価格での発注に努めており,しまもと議員御指摘の分配といった観点からも,今後とも取組を進めてまいります。 また,民間取引につきましても,下請企業が円滑に価格転嫁できるよう,国や府と連携し中小企業等を取り巻く環境整備にしっかりと取り組むと同時に,地域企業が体力を付けていくことが大変重要と考えております。本市としましても,国に対して発注元事業者の指導と監視の徹底など対策の強化を求めるとともに,国の下請かけこみ寺等の専門機関と連携を密にしまして,その周知等にも積極的に取り組んでまいります。あわせまして,昨今の原油価格・物価高騰等も踏まえ,市内の主要発注企業に対しまして,直ちに下請取引の適正化を要請いたします。また,本市独自に17名の経営支援員を増員した相談体制もいかしまして,企業独自の技術の獲得や販路の拡大に向けた取組に挑戦できるよう伴走支援を行ってまいります。 成長と分配の好循環の実現に向けまして,引き続き,本市の公契約における取組を進めるとともに,国や府と連携いたしまして,下請取引の適正化など,地域企業に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。 次に,持続可能な交通網と交通環境の実現についてでございます。本市では,脱・クルマ依存社会,人と公共交通優先の歩くまち・京都の理念の下に,事業者や市民の皆様の知恵と力を合わせて公共交通ネットワークの利便性向上に取り組んでまいりました。しかしながら,今日,人口減少に加えましてコロナ禍の影響もあり,極めて厳しい変化の時期を迎えております。 こうした中,昨年11月に改定いたしました「歩くまち・京都」総合交通戦略におきまして,引き続き,過度に車に依存しないライフスタイルへの転換を促すモビリティマネジメントやパークアンドライドなどの自動車利用の抑制策を推進するとともに,持続可能な公共交通の維持,確保に向けて,交通事業者等との一層の連携強化や新技術等の活用による利便性向上の取組を強力に推進することといたしております。これまでから,国や公共交通事業者とMaaS推進に向けた実証事業等を実施してきたことに加えまして,今市会では,交通事業者のデジタル関連の取組に係る支援につきまして補正予算を御提案いたしております。これは,民間バス事業者と交通局の連携を前提としたものであり,利用者の利便性,事業者の運営効率性が大きく向上するとともに,データ整備等が進むことにより,京都カード・京都ポイントの実現,MaaSの推進にも寄与するものであると考えております。さらに,地域の特性やニーズを踏まえた地域公共交通計画の策定に向けまして,本年4月には,交通事業者と行政等で構成する法定協議会を立ち上げたところであり,関係者との緊密な連携の下に持続可能な生活交通の維持,確保に向けた取組を進めてまいります。今後とも,環境への貢献や健康づくり,地域交流にも資する歩くまち・京都の更なる推進に向けまして,全力で取り組んでまいります。
○議長(田中明秀) しまもと議員。 〔
しまもと京司議員登壇〕
◆(
しまもと京司議員) 大変前向きな御答弁ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 さて後半は,これまで一貫して取り組んできました行財政改革計画と全市民の持続可能な暮らしと福祉,そして更なる市の発展のために打ち出された本市成長戦略五つの都市デザインとリーディングチャレンジの七つのプロジェクトの中から,大きく二つの点の環境投資と文化芸術の産業化について質問いたします。 まず1点目は,全社会的な環境への投資であるESG投資の推進と循環型社会の構築についてであります。先月公表された国連,気候変動に関する政府間パネルIPCCでの報告では,世界気温上昇を1.5度に抑える目標達成のためには,温室効果ガス総排出量を2025年には減少に転じる必要があり,本市も京都議定書誕生の地として全国に先駆けて表明した2050年CO2排出量実質ゼロに向け,様々な取組をしています。 その中,世界における多くの産業や企業への投資の潮流は,現在,ESG投資というものにあります。このESG投資とは,環境取組のE,社会貢献のS,公正な企業統治ガバナンスのGの三つの分野に優れた企業や公共体等への投資が,ひいては地球環境保全や労働者環境の改善を推進し,結果としてその企業や公共体の価値と成長につながるとのコンセプトで,世界中の資金を集めて健全な開発目標に向け運営を躍進させていくというものです。このESG投資の世界総資産は2020年時点で全運用資産の3割以上の約35兆ドルで2016年比55パーセントの増加,我が国においては,2021年度末500兆円を超え,5年前の約9倍となっています。ただ,日本の機関投資家の資金はいまだ相対的に海外のサスティナブルファイナンスを支えるところに相当額流出しているとの分析には非常に惜しい気持ちが拭えません。私は,今後更に拡大するであろう国内ESG投資は,極力我が国内に,そして私たち京都市へと,できる限りこの世界と全国と,少なくとも京都の投資は京都市内にとしっかりと取り込み,本市の環境課題取組のための金融面での推進力として,また,新たなビジネスやイノベーションを生み出して経済的豊かさにつなげる成長の原動力にすべきものと考えます。市の成長戦略においても,例えば私たちが注目するセルロースナノファイバー,これは木質繊維を100万分の1ミリ単位にまで微細化したものでカーボンニュートラルな植物由来であり,軽量,高強度,高粘着,弾力性,生分解性,不変質性等々で様々な用途への利用と開発の展開が期待される新バイオマス素材といったものなどに代表される環境と産業の融合によるイノベーションの創出ほか意欲的なチャレンジが多々掲げられており,そのためにも多くの投資を呼び込む必要があります。とりわけ循環型社会を目指したサーキュラーエコノミー,これは廃棄を出さずに資源として使用し続ける仕組みの導入によって環境負荷を低減しつつ経済効果につながるシステムであり,この構築に向けては是非にとも本市として取り組むべき重要なものと考えますがいかがでしょうか。 そしてこれら投資推進においては,できる限り市外流出を防ぐべく,例えば市がグリーン債等を発行する場合などには税制による優遇措置等,何らかのインセンティブ施策も重要かと考えます。また民間企業が自社への投資価値を高く見せるためにESG評価格付け業者の高額サービスを購入したり,低評価となる環境汚染部門や劣悪労働環境部門などを子会社や下請に押し付けて,投資家の嫌う収益減少を避けつつ見掛け上の高評価として売り出すといったような本来の趣旨に反する事象にも,行政としては,しっかりと注意喚起をしながらESGの本質を守り啓発することも重要です。以上のことを踏まえ,これから本市としてESG投資を積極的かつ公正に呼び込んでいくためにどのような取組をしていかれるのか,その計画をお聞かせください。 続いて,都市戦略に関するもう一つの質問としまして,文化と経済の好循環を創出する都市の具体的推進についてお尋ねします。さきにも申し上げましたように,現在,世界と我が国,そして地域社会の状況や先行きがますます見通しにくくなる中においては,これまでどおりの経済的メカニズムの延長線だけではポストコロナを見据えた社会,経済の回復や立て直しは難しいものと考えます。今まで通用してきたことが通用しないこの混迷の時代と行き詰まりを打破する本市の一つのキーワードが,京都の強みである文化をいかし,新たな経済活性の資源ともなる文化芸術の振興政策であると私は一貫して主張してまいりました。 本市においても,近年文化芸術を基軸としたまちづくりという考え方が示されてきましたが,それは単に文化によってまちの雰囲気をよくするとか都市格を高めるとか,当然そういったことも重要ではありますが,ややもするとそんなイメージ的,観念論的な掛け声だけで漠然とその波及効果としての経済の活性化にもつなげていくというような姿勢のみにとどまってはならないと強く感じます。すなわち,文化芸術,とりわけ近年,又はこれから,今まさに生み出されようとしているものをしっかりと企業活動や経済活動とコネクトして産業化し経済成長を生み出していくこと。特に京都には多く存在し集う芸術を志す若い人たちがいます。その人々の活動を生活の糧としていけるような新たな時代の新たな価値観として創出し,芸術,アート市場の活性化を図っていくこと。誤解を恐れずに言えば,芸術が価値ある投資対象ともなるマーケットの場を作り,製作者や関係者も十分に稼げるようにしていく,その市場創出が必要なのです。真の芸術に目的や理由は要らないとの論も真でありましょう。ただ,私もかつてものづくりを行い,さ少ながらもたまたま販売できていた時期に,事業継続や生きる糧と可能性を実感できていたのも事実です。成長戦略の一つである京都アートエコシステム実現プロジェクトは,正にアート市場の活性化やアーティストと企業等との交流を推進すべく,私どものこの声に呼応するものではありますが,是非これまでの延長ではない新文化都市プロジェクトにすべきと強く願います。まず,これについては具体的にどんな取組と推進をしていかれるのかをお聞かせください。 そしてまた,これまでも大きな議論となった京都芸大の移転を契機として,私ども京都駅東南部エリアも文化芸術と若者を基軸としたまちづくりが推進されています。このための学生や若手アーティストの活動の場と居住の場の創出,並びに住民との交流による地域の活性化も積極的に進めていくべきと考えますがいかがでしょうか。当エリアにある南岩本公園もPark-PFI手法で再整備事業が成されるということであり,ならば是非にとも公園内施設の活用については,このエリアにふさわしい文化芸術の要素を盛り込んだものにすべきと考えます。以上について,市の見解や計画をお答えください。 最後に地元要望を2点,まず一つは,今回廃止案の議論ともなっている京都市健康増進センターヘルスピア21は,現南区役所が併用する機能もあり,旧来より老朽化が進む本区役所庁舎の新整備構想については,これまでも多々要望や代表質問でも訴え続けてきましたとおり,近隣地域にある他の様々な公共施設や多くの住民生活利用施設等との合理的かつ利便性,健康,福祉的な文化性の観点に立った一体的な将来像も考慮すべきと思うところです。 近辺の青少年活動センターや市民防災センター,そして交通利便性が高く広大な市バス九条車庫は,府の京都テルサに隣接かつ九条通に面しており,上下水道局は,新しくこの東南部に先般移転整備されましたが,その上階部分には近隣の企業も入っています。今後は本市のみならず国や府,またはこのような地域民間企業等とも一緒に公共施設を中心とするこれからの住民健康や福祉にも資する当エリアの総合的な活性計画と取組マネジメントを推進していただきたく,よろしくお願いいたします。 もう一つは,私も卒業しました塔南高校の移転後の跡地についてです。この地は区の南西部にあり,近辺には旧来より市の下水道処理施設である鳥羽水環境保全センターや吉祥院水環境保全センター,食肉加工処理の第二市場などもあります。丁度その中心部付近にあった塔南高校,並びにその校名,学校の名前ですね,これもなくなりまして,元気で健全かっ達な生徒の皆さんも移転されてしまうということは,当地域の住民や卒業生にとっては非常に寂しくもあります。是非この塔南高校跡地には,また地域と住民の文化的な暮らし,発展,そして健康,健全で豊かな生活に資するような活用の計画としていただきたく切にお願いをいたしまして,私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き,
しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 ESG投資の推進についてでございます。今,世界の金融市場で大きく拡大しているESG投融資は,環境をはじめとする社会課題の解決に向けた金融面での推進力にもなるとともに,新たなビジネスやイノベーションを生み出す原動力となるものであります。本市では,都市の成長戦略において,このESG投融資を持続的に呼び込むことを掲げており,昨年度には市内投資家との直接対話をしたうえで,SDGsに貢献する事業に活用するための市債を発行したところであります。ESGの中でも,とりわけ,E,すなわち環境問題では正に気候危機とも捉えるべき状況の中,2050年CO2排出量正味ゼロの実現が世界共通の重要課題であります。京都議定書,またパリ協定実行を支えるIPCC京都ガイドライン誕生の地としての責任と役割を果たし,全国をリードしてきた京都においても,ESG投融資の流れを的確に捉え,市内外の幅広い投資家の資金を呼び込むために,今年度新たに環境分野に特化した市債である京都市グリーンボンドを発行いたします。この発行に当たりましては,資金の管理や活用等に係る透明性を確保するために第三者機関の評価プロセスを導入することにより,行政としてのESG投資の在るべき姿を示すとともに,積極的に情報発信することで,民間における適切なESG投融資への普及啓発につなげてまいります。同時に,しまもと議員御指摘のとおり,今後も循環型社会を見据えれば,更なるイノベーションの創出が重要であり,この分野でも京都市が強みを発揮できる,またしなければならない分野だと考えております。こうした認識の下,外部の知見を得ながら創造的な施策展開につなげていくために,来月にはこの分野で新たなアドバイザーを公募し取組を強化してまいります。今後とも,市民,事業者の皆様と連携しながら,世界的なESG投融資の拡大の潮流を京都においても加速させ,環境と産業の融合を図ることで,持続可能性を追求する環境グローバル都市・京都を実現してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 文化芸術による地域活性化についてでございます。文化芸術には,人々の心の豊かさの源泉になるだけではなく,新たな経済的価値を生み,経済の再生や地域活性化の資源として,活用し得る力があります。京都アート・エコシステム実現プロジェクトは,京都の強みである文化力をいかして文化と経済の融合と好循環を創出し,そこで生まれる活力を更なる都市の成長につなげていこうとするものです。具体的には,まずアート市場活性化事業として,若手芸術家などの作品に多くの人々が触れ,購入する機会をオンラインとリアルの双方で創出をいたします。さらに,京都芸術センターの一部をソーシャルビジネスやスタートアップ向けのオフィスに活用し,起業家と若手芸術家などの交流やマッチングを促進する文化と経済の融合推進事業に取り組みます。また,芸術家の活動を個人,企業などの御寄付によって支える仕組みとして,昨年度創設したアーツエイド京都の更なる推進を図ります。そして新・文化庁とも連携し,これらの施策を中心に関連する様々な施策を連動させながら,これまでの延長線ではない創造的な取組として効果的に進め,都市の成長戦略を目に見える形で推進してまいります。 京都駅東南部エリアについては,アートの視点を取り入れた様々な取組を進めており,京都芸大の移転開校も契機に,文化芸術と若者を基軸としたまちづくりを更に積極的に推進することが重要と認識をしております。そこで,令和6年度の開業を計画するチームラボなどによるアート複合施設では,学生や若手アーティストが作品を発表し,交流できる拠点創出を目指すとともに,南岩本公園では,アートスタジオやイベントスペースなど地域で交流を深め,文化芸術活動ができる再整備計画も進んでいます。今後さらにこうした取組により高まる本エリアの魅力を積極的に発信するとともに,市有地をはじめとした地域資源を存分に活用し,若者をはじめ多くの人々が住み,学び,働き,交流し,そして心豊かに暮らせる文化芸術によるまちづくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。
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○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,加藤昌洋議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕
◆(加藤昌洋議員) 中京区選出の加藤昌洋です。
吉井あきら議員,
しまもと京司議員に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。代表質問の機会を与えていただいたことに感謝し,質問に入ります。 初めに,上下水道局の次期中期経営プランの策定についてお伺いいたします。上下水道局では,平成30年度からスタートした京の水ビジョン及びその前期5箇年の実施計画である中期経営プランを上下水道事業における経営戦略に位置付けられ,老朽化した水道・下水道の管路及び施設の改築・更新,地震対策,雨に強いまちづくりに向けた雨水幹線等の整備などに計画的に取り組まれており,数値目標についてもおおむね達成できる見込みであると伺っています。特に,水道事業においては,全国的に漏水事故や老朽化の課題を伝えるニュースを耳にすることが増えており,昨年10月に和歌山市で送水管が破損する大規模な漏水事故が発生しました。普段は特に意識することなく使用しているライフラインの重要性を改めて痛感するとともに,大規模な地震等を考えたときには,限られた事業費の中で大きな管路への対策がより重要ではないかと考えております。京都市においては,市内に4,000キロを超える配水管が張り巡らされていますが,平成25年度以降,配水管更新のスピードアップを図ることとし,ビジョン,プランでは,配水管の更新,耐震化の推進の目標を掲げ,年間の更新率を段階的に1.5パーセントまで引き上げられました。また,更新と併せて耐震化も図るなど,老朽化対策,地震対策を進められています。 その一方で,財政面に目を向けると,節水型社会の定着や
新型コロナウイルス感染症の影響により水需要が減少し,水道料金収入が大きく減少してきています。また,国の積算基準が大幅に見直され予定工事価格が上昇したことにより,令和4年度予算では,プランと比較して約20億円の事業費の増加となるなどビジョン・プランで見込んでいた想定から状況が変わってきています。今年度はビジョン10箇年の折返しの年であり,令和5年度からの新たな中期経営プランを策定する重要な年となります。上下水道事業は市民の安心・安全な暮らしを支える重要な役割を担っており,事業を確実に前進させていかなければなりません。そこで,次の5箇年の配水管更新事業について,更新率も含めてどのように進めていくのか,お伺いいたします。 さらに,足元では工事費が上昇しているとのことですが,物価上昇が様々な分野に及んでおり,上下水道事業においても影響が避けられない状況です。将来的に人口減少による更なる水需要の減少や老朽化施設の増加が進んでいく厳しい経営見通しの中,今以上に投資と財政のバランスを見極めていくことが必要になっていくのではないかと考えます。今年4月には,上下水道局に施設マネジメント推進プロジェクトチームが設置されましたが,上下水道事業を将来にわたって持続可能なものにしていくために,こうした課題に今後どのように対処していくつもりか,お伺いいたします。 もう一点,今後の人口減少が見通される社会状況の中で,水道事業の広域化が京都府の計画の下,議論がスタートしました。広域化が過度な市民負担につながるということはあってはなりませんが,府や周辺の市町村とどのように議論を進めていかれるか,お伺いいたします。 次に,スポーツツーリズムについてお伺いいたします。スポーツに関連して,過去2回の代表質問において施設整備の必要性について訴えてまいりました。スポーツ振興に一層取り組むことが京都市にとって様々な面においてよい効果を発揮すると考えているからです。スポーツは,健康維持や余暇の充実など人生を豊かにし,スポーツを通じて地域活性化につなげ,多くの人や企業,団体が関わる産業を創出するなど多面的な効果を持っています。今回は,スポーツが持つ産業としての可能性の中でもスポーツツーリズムについて,京都市がどのように取り組むのかについて提言いたします。 国土交通省が作成したスポーツツーリズム推進基本方針では,スポーツツーリズムは,スポーツを観る,するための旅行そのものや周辺地域観光に加え,スポーツを支える人々との交流,あるいは生涯スポーツの観点からビジネスなどの多目的での旅行者に対し,旅行先の地域でも主体的にスポーツに親しむことのできる環境の整備,そしてMICE推進の要となる国際競技大会の招致,開催,合宿の招致も包含した複合的でこれまでにない豊かな旅行スタイルの創造を目指すものであると記載されています。京都市では,京都マラソンを開催し,京都サンガや京都ハンナリーズのホームタウンであるなど,スポーツイベントを中心にスポーツと観光を融合することによって新たな可能性があると考えています。例えば,Jリーグではチームが全国各地に存在しており,多くのサポーターが試合日ごとに各地に足を向けております。今年からJ1に昇格した京都サンガでは,観客数の制限がリーグ全体で撤廃されたことにより,昇格効果やサンガスタジアムを整備した効果も相まって,浦和やFC東京など全国のサポーターが数多く訪れていただいています。このサポーターの多くは,京都市内を経由して亀岡のサンガスタジアムに向かわれます。こういった方々が,スポーツのみを楽しんで帰られるのではなく,京都のまちや食など様々な観光をしていただくことで,まちの活性化につながっていくと考えています。昨年,追補版として策定された市民スポーツ振興計画においても,プロチームをはじめとする地域密着型スポーツチームと連携した地域活性化の推進が追加施策として挙げられていますが,今後の京都のまちの活性化のために様々な企業,団体と協力を図りながら,スポーツを楽しみに京都に訪れた方が,更にそれ以外の魅力を楽しんでいただけるように取組を推進してくべきだと考えます。例えば,財政状況が厳しい中で費用を掛けない手段として,TwitterなどのSNSでハッシュタグを用い京都市内の観光ルートや食の魅力を伝えることなどができると考えますが,京都市におけるスポーツツーリズムのお考えをお聞かせください。 続いて,今後の交通局における事業運営,特に増客の取組についてお伺いいたします。一昨年から流行した
新型コロナウイルス感染症の影響により,京都市内においても多くの分野においてダメージを受けています。その中で,京都市の市バス・地下鉄事業に与える影響も大きなものとなりました。
新型コロナウイルス感染症の流行以前は,交通局の営業努力や入洛客の増加により,市バス・地下鉄両事業において一定の安定した経営が行われていましたが,令和2年,3年度合わせて約280億円の減収が見込まれ,不安定な社会状況による原油の高騰により一層の厳しい事業運営を行わなければならない状況となっています。これまでも交通局は厳しい状況にあった市バス・地下鉄両事業を経営努力により改善させてこられました。今一度,立ち返り,厳しい状況ではありますが,増客による経営改善を行い市民の足を守っていく必要があります。昨年には,事業運営の指針となる経営ビジョンの改定が行われました。改定に当たっては,議会においても様々な議論を重ねてきましたが,運賃改定を見込まざるを得ないと記載されることとなりました。私たち自民党としましては,運賃改定は最後の手段であり,あらゆる経営努力を尽くしたうえで慎重な検討を行うことを求めてきました。2月市会においても,将来,今経営ビジョンがあったからこそ,今日の公営交通が守られたと認知されるよう全力で取り組むことといった付帯決議を付したところです。こういった状況下でも,市バスでは着実な車両更新,地下鉄では北大路駅への可動式ホーム柵の設置や烏丸線の新型車両の導入を確実に進める必要があります。お客様サービスの向上や安全策の実施を図りながら,経営改善に取り組まなければならないという非常に難しい経営のかじ取りを行っていかなければなりません。また,しまもと議員の質問にもありましたが,新たな技術を取り入れ持続可能な交通網の実現にも取り組む必要があります。一部,民間バス,鉄道では値上げを表明していますが,市バス・地下鉄の両事業においては,様々な面を見直し経費削減に努められています。しかし,抜本的な経営改善のためには増客に努める以外には道はありません。冒頭にも申し上げましたが,初心に立ち返り,過去にも経営改善を成し遂げたように,増客に向けて全職員が一丸となって取り組んでいただきたいと考えます。例えば,
新型コロナウイルス感染症の影響により発行が激減した通勤通学定期の発行を民間企業や学校等に営業に回り再度お願いをすることや,京都市の他部局と連携し,市バス・地下鉄に乗っていただけるようなPRを行うこと,京都市内や周辺地域で開催されるイベントと連動し,京都市内で市バス・地下鉄に乗ってもらえるようにするなど予算を掛けずにあらゆる取組を行っていただきたいと考えています。例えば,先ほど質問したスポーツツーリズム等とも連動しながら,市バス・地下鉄を御利用していただける仕組みを作ることもできるかもしれません。 そこでお伺いいたします。市民の足である市バス・地下鉄の経営改善に向けて,増客を図ることが非常に重要となりますが,どのように取り組み,見通しを立てていくのかお考えをお聞かせください。 次に,民間保育園等への人件費等補助金についてお伺いいたします。京都市では,現在268箇所の保育園,認定こども園が存在し,京都市全体の9割以上の園が民間保育園,認定こども園として運営されており,京都市における大きな特徴となっております。そして民間保育園,認定こども園が多いという中でプール制が創設され,その制度拡充のためにも京都市が予算を助成してきました。こういった状況の中で,保育園等への人件費等補助金については,各園への給与等運用事業補助金に係る調査が交付の有効性及び効率性を検証するために行われました。その結果に基づいて,より適切に補助金を支出するために見直しが進められてきました。そして令和4年度の予算においては,その内容を反映させた補助金の配分となっております。その予算に議会としては,実施後に十分な検証を行い,状況によっては,影響の緩和等必要な措置を講じ,子育て環境の更なる向上に資する取組にも配慮するように求める付帯決議を付しました。まずは,この新しい民間保育園等への人件費等補助金の制度については,各保育園などに十分に理解をしていただいたうえで運用していくことが大前提になっていると考えますが,その点について,どのように考え対応されているか,お伺いいたします。 また,新制度の導入により人件費に関する収入が減少し,厳しい運営を余儀なくされる保育園が発生することが懸念されています。これに対しては,個別に対応できる経営見直しの相談窓口を設置し,個別具体の相談に寄り添うと伺っておりますが,取組状況について京都市保育園連盟との協力体制も含め,お答えください。 また,これから見直し後の補助金での運営が実施されていく中で,より具体的な相談が増えてくることが考えられます。各保育園,認定こども園が必要な経営見直しの方向性を適切に判断できるようサポートするとともに,制度定着と検証を実施しながら持続可能な制度となるには,少子化問題に対する施策が特に必要と思いますが,京都市はどのようにお考えでしょうか。お答えください。 最後に,キャリア教育についてお伺いいたします。民法が改正され,約140年ぶりに成年の定義が見直されたことにより,本年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることとなりました。民法が定めている成年年齢は,一人で契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。成年に達すると,親の同意を得なくても自分の意思で様々な契約ができるようになるということです。身近な例を挙げますと,携帯電話の契約やクレジットカードの作成,ローンを組んで自動車を購入することなどができるということです。こういった中で,子供たちにどのように知識を学ぶ場を提供していくかを考えていく必要があります。私は,その場として学校は重要な役割を担っていくものとなると考えます。学校へ行く目的は様々あり,勉強や友達を作るなどといったことも重要ですが,社会を知り,社会で求められる資質や能力を育くんでいくことも重要であると考えるからです。平成11年中央教育審議会の今後の初等中等教育と高等教育の接続の改善についてという答申において,学校と社会及び学校間の円滑な接続を図るためのキャリア教育を小学校段階から発達段階に応じて実施する必要があるという初めての提言があり,国においてキャリア教育についての議論がスタートしました。その後,京都市では,平成18年キャリア教育京都市スタンダード<試案>~地域・社会との関わりの中で生き方を考え,生きる力をはぐくむ~に基づき,生き方探究教育の発行,研修会を実施され,平成19年にキャリア教育を推進する拠点として生き方探究館を開設されました。この生き方探究館は,全国的にも非常に珍しい施設となっており,主に小学5年生を対象として,実際の街を模した施設の中で児童が社員と消費者の両方の立場を体験するスチューデントシティ事業と,主に中学1年を対象として実際の街を模した施設の中で,税金,保険をはじめ光熱水費,食費など生活に係る費用の試算,商品,サービスの購入,契約などを体験するファイナンスパーク事業として行われています。小学校と中学校で,体験活動を通じたキャリア教育を実践されており,大変よい取組だと考えます。しかし,このコロナ禍で,両事業は中止を余儀なくされているとも伺っております。冒頭申し上げた社会の変化により,学校で社会の仕組みや経済の仕組みを学ぶことは一層重要になっています。 そこでお伺いいたします。今後,生き方探究館でのキャリア教育は,どのように実践され子供たちにどういった力を育成していくのか,ボランティアスタッフ等の人材確保も含めお考えをお答えください。 以上で,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 加藤昌洋議員の御質問にお答えいたします。 まず,上下水道事業についてでございます。この間,予算を増額し,かつて0.5パーセントであった配水管更新率を1.5パーセントまで3倍と大幅に向上させるなど重点的に取り組んでいる水道配水管更新事業につきましては,次期プランでは,災害等が発生した場合に広範囲に影響を及ぼす口径の大きい配水管の更新割合を増加させることを検討しており,更新率を目標にするというよりも,リスクを踏まえた更新事業を着実に推進し,ビジョンの目標であります令和9年度の老朽配水管の解消率76パーセントの達成と14年度までの解消を目指してまいります。さらに,それ以降も標準的な耐用年数を迎える配水管の大幅な増加が見込まれる中,長期的な見通しと更なる事業費の平準化が必要であり,施設マネジメント推進プロジェクトチームにおきまして,今後30年以上の事業量の見通しを再検証してまいります。 また,広域化につきましては,京都市のみに負担が偏らないように留意しつつ,経営基盤強化の一つの手法として,京都府及び周辺自治体と連携し長期的な視点かつ幅広い視野で検討を進めるとともに,実現可能な取組を着実に進めてまいります。今後も水需要の減少傾向が継続するなど厳しい経営環境が想定されますが,次期プランでは,徹底した経営効率化,資産の有効活用による経営基盤の強化を図ることで,ビジョンに掲げる事業を着実に推進し,市民の皆様の重要なライフラインを将来にわたってしっかりと守り続けてまいります。 次に,スポーツツーリズムについてでございます。加藤昌洋議員御指摘のとおり,スポーツイベントの開催やプロスポーツの振興,競技大会の誘致により人の流れを生み出し,地域活性化や産業,文化,観光の振興につなげていくことは,都市の成長戦略を推進していく上で極めて重要であります。本市では,これまでから,大きな経済効果も生み出す京都マラソンをはじめ京都ツーデーウィークや京都一周トレイルなど京都の魅力をいかしたスポーツ観光のほか,京都サンガ,ハンナリーズをはじめとする五つのプロスポーツチームの振興等にも積極的に取り組んでいるところであります。本年,京都サンガが12年振りにJ1リーグに昇格し,全国各地から多くのサポーターが京都を訪れるとともに,今後,世界最大級の生涯スポーツの祭典であるワールドマスターズゲームズの開催も控えており,京都ならではの文化・食・観光など多様な魅力に触れていただく絶好の機会と捉えております。そのため,本年2月に,本市を拠点とするスポーツチームとの連携・協力を一層進めるため,全庁挙げて立ち上げましたスポーツを活かしたまちづくり推進庁内連携チームの枠組みもいかし,プロチームはもとより,企業,地域,関係団体とも幅広く連携し時宜に応じた観光情報を効果的に発信するとともに,加藤昌洋議員御提案のSNSでのハッシュタグを用いるなどスポーツツーリズムを更に推進してまいります。今後ともスポーツを通じて経済の好循環を生み出し,成長戦略につなげる文化と経済の好循環を創出する都市・京都の実現に全力で取り組んでまいります。 次に,市バス・地下鉄事業についてでございます。今なお続く新型コロナの影響によりお客様数は大きく減少しており,多くの人出が見られました今年の桜のシーズンやゴールデンウイークでさえ,コロナ前と比較しますと25パーセント以上減という厳しい状況にとどまっております。さらに,今後も新たな生活様式の定着において御利用の回復が見込めないことや,原油高による経費の増加が見込まれるなど,両事業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。加藤昌洋議員御指摘のとおり,経営改善の重要な要素は増客であると考えております。本市会に御提案いたしておりますデジタル技術を活用した利便性向上などに取り組むことに加えまして,継続的な御利用が見込める通勤通学定期のお客様と定期以外のお客様の増客にそれぞれ取り組んでまいります。通勤通学のお客様の回復に向けましては,企業や大学を直接訪問し,定期券の利便性やメリットを説明するなど営業活動を展開してまいります。また,定期以外の増客に向けましては,例えばJR西日本と連携した京都サンガの試合観戦者の御利用や百貨店,美術館,博物館,国際会議場などと連携した計画をしており,こうした集客施設などと連携しながら,新たなお客様の獲得に努めてまいります。くわえまして,観光誘客や健康長寿,SDGs,カーボンニュートラルの実現に向けた政策等との連携などオール京都市の総力を結集し,また,市民,事業者の皆様の御協力を得ながら増客の取組を強力に推進してまいります。今後とも,人と公共交通優先の歩くまち・京都をしっかりと支えていけるよう市バス・地下鉄を守り抜いてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 民間保育園などへの人件費等補助金についてでございます。当該補助制度については,令和元年度分及び2年度分の調査において補助金の充当順位や職種限定がされていないなどの課題が明らかになったことから,保育園関係者の方々とも議論を重ね,1歳児加配など必要な施策の充実などを図りながら,園運営に欠かせない職種に人件費が確実に行き渡る透明性の高い制度へと再構築いたしました。新制度を円滑に進めるために,これまでから全園対象の説明会や各園長会での説明を実施し,今年度も4月中旬に全園対象の説明会を開催するとともに,説明会の動画を配信するなど丁寧な取組を進めております。また,5月上旬には,給与や労務に係る相談窓口を先行設置し,経営見直しなどに対応する会計関係の相談窓口も5月末に設置する予定であります。引き続き,これらの相談事業の実施主体である保育園連盟と連携を図りながら,各園からの相談に丁寧に対応するとともに,約4.1億円の物件費に係る補助制度なども活用しながら,各園の自主的かつ安定的な経営に向けたサポートを行ってまいります。また,人件費等補助制度全体の実施状況を踏まえた検証についても,しっかりと行ってまいります。加藤昌洋議員御指摘の少子化問題については,広範囲な分野で総合的かつ横断的に取り組んでいく必要があります。そのような中でも,安定的に保育園などが運営していただけるよう,少子化を見据えた対策などについてしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) キャリア教育についてでございます。本市では,今日の教育における大きな課題は,学校の学びと社会生活のかい離であるとの認識の下,学校で学んだ知識が社会で生きて働く知恵となるよう,様々な体験活動を通した教育の充実に取り組んでまいりました。とりわけ小中学校でのキャリア教育を推進するため,児童生徒一人一人が社会的,職業的自立と自分らしい生き方を実現できる力を身に着けるための体験的学習を行う生き方探究館を平成19年に設置し,多くの企業やボランティアの御協力の下,成果を挙げてまいりました。 一方で,成人年齢の引下げ,ICT環境の急速な進展など子供を取り巻く環境の変化やコロナ禍など将来の予測が困難な時代を迎える中,加藤昌洋議員御指摘のとおり,学校での学びを通して社会や経済,福祉等の仕組みを知り,社会で求められる資質や能力を育むキャリア教育の果たす役割は一層重要になっていると認識しております。こうした中,現在,生き方探究館では,解決すべき課題を見出し,主体的に考え,表現する力や,多様な立場の人と協働して新たな価値を生み出す力の育成を目指し,企業の社員の皆様の指導の下,今日的課題である脱炭素,SDGsの実現にもつながる商品やサービス等のアイデアを仲間と協力して考え,まとめる体験等を盛り込んだ新たなプログラムの導入に向け取り組んでおり,今年の秋頃からモデル実施を開始いたします。今後とも,協力企業や多くのボランティアの皆様の参画を得ながら,本市ならではのキャリア教育の更なる充実に努めてまいります。以上でございます。
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○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,
西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔
西野さち子議員登壇(拍手)〕
◆(
西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党京都市会議員団を代表して,市長に質問します。 質問に入る前に,コロナ感染症の影響を受け,お亡くなりになられた方への哀悼の意を表するとともに,療養中の皆様の御回復をお祈りいたします。 また,4月10日に行われました京都府知事選挙では,多くの府民の皆さんから梶川候補へ御支援をいただきましたことに,心から御礼を申し上げます。引き続き,皆さんの願いの実現に向けて頑張ります。 また今,ロシアが国連憲章に違反してウクライナへの侵略を進め,市民をも虐殺し続けている現状に,世界から非難の声が上がっています。ロシアは,今すぐウクライナから撤退すべきです。一方,この事態に乗じて自民党や維新の会が核共有の議論や敵基地に限らない,国の中枢を攻撃する能力,更に憲法9条の改定が必要だと言っています。今こそ平和憲法9条をいかした外交に努力すべきときだということを申し上げて質問に入ります。 最初に,保健所削減と職員削減が市民生活に及ぼす影響について質問します。
新型コロナウイルス感染症は,2020年から急速に感染拡大し,今なお市民生活に深刻な影響を及ぼしています。これまで公的病院を削減してきた大阪府は,感染者数,死亡者数ともに余りにも多く比較にはなりませんが,京都府においても感染者数,死亡者数は全国的に見ても多い自治体になっています。重要なことは,一人の命も落とさないことです。救える命を救う立場が必要です。しかし,そうはなっていないのではないでしょうか。その要因の大きなものは保健所の削減にあります。大本には1994年の保健所法が全面改悪されたことがあります。名称も地域保健法と変更されました。保健所は,憲法25条で規定されている公衆衛生の向上及び増進を担う機関ですが,法改悪の中で10万人に1箇所の設置基準を緩和し,その結果,京都府域は,15.7万人に1箇所の保健所になってしまっていますが,京都市は,更にひどく145万人に1箇所になってしまい,市民の命が守れなかったのです。そしてここまで保健所体制をぜい弱にした結果,やるべきことができませんでした。2月市会で副市長が認められたように,検査が十分にできず,保育所や学校での疫学調査を現場任せにしていたのではありませんか。保健所体制の強化へ見直しすべきです。いかがですか。 そしてコロナ感染拡大を災害と位置付け,災害時の緊急対応として全庁体制での医療企画課への職員応援体制は,6号体制までいきました。応援職員は438人,民間の派遣職員を含めると562人体制で臨みましたが,それでも何度電話してもつながらない,陽性と判断されてから保健所からの連絡は1週間後だったなどファーストタッチの遅れや,入院もできず自宅療養をせざるを得ず高齢者施設でのクラスター発生や死亡者まで出し,市民からの不安の声は後を絶ちませんでした。災害対応で全庁挙げて乗り切ることは必要なことですが,コロナ感染拡大が始まって既に3年目に入っています。この間,特例業務として応援に駆り出された職員の皆さんは,職場に戻れば通常の業務があり,残業をしてこなすか,仕事の遅れを取り戻せないまま市民への影響が出ざるを得ない事態になっています。職員の中にもコロナ感染が広がっていますから,人手不足は深刻度を増しています。時間外勤務は更に深刻です。人事委員会は,この事態を受けて,時間外労働が心身に与える影響に鑑みれば時間外勤務を命ずる範囲は時間数的にも期間的にも必要最小限度にとどめなければならず,特定の職員を特例業務に従事させ続けることのないよう全力で取り組まなければならない,使用者は安全配慮義務に強く留意しながら不断の措置を講じていく必要があるとしています。実際に区役所の現場や市民の声を聞くと,人手不足が市民生活に影響を及ぼしていることが分かります。市民対応に手が回らず,窓口を一つ閉鎖することも考える,寄り添い支援の係が駆り出されて手薄になり,ひきこもりの方に寄り添えないとの職員の声や,保護費の支給日通知やタクシー代などの通院費など生活保護の事務作業の遅れによる市民生活への影響を受け止めるべきです。コロナの特別体制を採ったことによる日常業務と市民生活に与える影響を調査し,改善を図るべきではありませんか。いかがですか。 また,災害対応としての市職員の応援体制は,3年目ともなれば緊急事態では済まされません。職員応援体制の通達を出さざるを得なかった要因には,市長就任以来,約3,800人もの職員削減をしてきたことがあります。必要な市民サービスを保障するためには,平常時から災害時にも対応できる体制を採っておくべきです。これまでの失敗を認め,保健所を元に戻し職員の増員こそすべきです。いかがですか。 ここまでを私の午前中の質問とします。
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
西野さち子議員の御質問にお答えいたします。 保健所をはじめとした職員体制についてでございます。本市においては,保健所を集約するとともに,各区役所・支所14箇所に新たに保健福祉センターを設置し,その下に子どもはぐくみ室と健康福祉部を設置いたしました。また,政令指定都市20市における保健師の人口1万人当たりの平均配置数が1.6人のところ,京都市では2.4人と政令指定都市の中で最も多く保健師を配置し,充実した体制を確保しているところであります。それらの趣旨は,保健と福祉の垣根を超えて,支援が必要な方お一人お一人に総合的かつきめ細かな対応を行うこと,そして全市的な健康危機事案に対しては,明確な指揮命令の下に一貫した対応を迅速かつ的確に行うことであります。そうした取組は,今般のコロナ対応においても大きな効果を発揮したと考えております。また,亡くなられた方が多い要因につきまして,保健所の集約化であるとの御指摘でございますが,高齢者を中心に福祉施設におけるクラスターの発生や感染を契機として基礎疾患が悪化したことなどによるものであり,集約化が要因になったとは考えておりません。とりわけ年始からの第6波に際しましては,かつてないスピードで感染が急増する中,保健所職員や派遣職員の動員,全庁挙げての応援体制の強化などにより最大570名の体制で対応するとともに,新型コロナ陽性者フォローアップセンターの開設など民間委託を順次拡大し,また,京都府との緊密な連携や,医師会をはじめ医療機関との協力も得て,的確かつ迅速に市民の皆様の命と健康,暮らしをしっかりと守るため努力してきたところでございます。なお,職員応援につきましては,児童虐待やごみ収集など命と暮らしの根幹に関わる業務に支障が生じないよう,また,職場や職員に過度な負担が掛からないよう柔軟に対応しており,市民生活等に大きな影響はないものと考えております。 一方,本市の危機的な財政状況を克服し,持続可能な財政を確立するためには,必要な行政サービスをできる体制はしっかりと確保しつつ,他都市平均を上回る職員数の削減が急務でございます。職員体制につきましては,平時と非常時を分けて考える必要があり,平時は簡素で効果的・効率的な執行体制に努めつつ,今般のコロナ対応のような非常時には,全庁挙げて対応することで,厳しい財政状況とコロナ禍という二つの危機の克服に向け,全力で取り組んでまいります。
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○議長(田中明秀)
西野さち子議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時44分休憩〕 〔午後1時1分再開〕
○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き,会議を行います。
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○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続し,
西野さち子議員に発言の継続を許します。西野議員。 〔
西野さち子議員登壇(拍手)〕
◆(
西野さち子議員) 午前中の答弁は,市の職員の異常な時間外勤務に対して無責任な答弁でした。市民生活に対しても大きな影響はないと現状把握をせず,改善する考えがない姿勢が明らかになりました。引き続き事実に基づいた見直しを強く求めて質問に入ります。 所得税法第56条の見直しについてお聞きします。青色か白色か,税の申告方法の違いによって,扱いが大きく違う問題があります。所得税法56条では,自営業者と生計を一にする家族従事者の労働対価としての賃金は認められず,必要経費に算入できません。例えば夫婦で飲食店を経営されている方の妻は,事故に遭ったときに腰を痛めて仕事ができず生命保険を申請したが,給料がないために保障日額は専業主婦として申請したほうが高くなると言われた。働き分が認められないのは人権が認められていないと言われています。事実,税制の中で認められているのは,配偶者の事業専従者控除の86万円と基礎控除の38万円のみで,配偶者以外の控除は50万円で生活保護基準からも大きく差がある状況です。この間,訴訟も起こされ,全国的にも問題が広がっています。また,この差別的な税制に対する見直しの流れは,アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,その他諸外国にも広がっています。日本においても早急な見直しが必要です。また,財務省は,青色申告の場合は記帳が義務付けられているとして,従業者の給与を経費として認めています。しかし,2014年からは全ての納税義務者に記帳が義務化されていますから,青色か白色か申告の方法の違いによる差別は早急に解消すべきです。2021年2月7日現在で,全国560の自治体,更には11の税理士会や税理士連盟,自由法曹団,日本弁護士連合会が所得税法56条の廃止を求める決議や意見書を提出され,全国で56条廃止を求める声が広がっています。税の公平性から,また,中小企業支援の立場から問題があるとの認識はありますか。いかがですか。 この制度は戦前の一家の長に絶対的な権力を持たせた家制度によっています。しかし,戦後1949年のシャウプ勧告によって,民主的に改められています。更に,国連女性差別撤廃委員会は,2016年3月の日本政府報告への総括所見の42項では,所得税法が個人自営業者や農業従事者の配偶者や家族の賃金を必要経費と認めておらず,女性の経済的自立を妨げていることを懸念する,43項で農山漁村女性の政策形成過程への参加を制限しているあらゆる障害を取り除くこと,また,家族経営における女性の経済的エンパワーメントを促進するために,家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを検討することを求めると勧告しています。さらに前回2009年の審査においても,日本政府に対して第56条の否定的影響はどうなっているのかとの質問をして問題意識を示しています。政府は56条の廃止に向けた検討を始めていると答弁していますが,6年経った今もまだ実現していません。女性差別撤廃委員会の勧告どおり所得税法56条は,ジェンダー平等の観点からも差別条項との認識はありますか。早急に国に廃止を求めるべきではありませんか。いかがですか。 次に,北陸新幹線延伸計画の中止についてお聞きします。北陸新幹線延伸問題はさきの京都府知事選挙でも大きな争点になりました。京都新聞の報道では否定派が6割と前回の知事選挙より増え,肯定派が3割に減っています。京都府山岳連盟の会報では,「文化も歴史も関係なく,山の自然も山村風景も破壊して一直線にぶち抜いていく,誰が望んでいるのだろうか」と報じられています。京都の地下を縦断するルートに懸念が高まっていることについて,知事選挙直後のインタビューで知事は,地下水や文化財への影響,残土処理などハードルがいっぱいあると答えておられます。また,静岡県のリニア新幹線建設工事が中断していることに対しても,県民意見があるから止めている,民主主義だから京都府民を代表して意見を言うことに変わりはないと発言せざるを得なくなっています。市長は,これまで知事と同じ推進の立場を表明されています。しかし,市長は,知事選挙後に,京都盆地の底に豊かに蓄えられた水脈に影響を与えないことが何より大事と地下水への影響を懸念されています。それならば,3割の府民しか肯定されておらず,多くの府民が反対をしている北陸新幹線延伸計画はきっぱりと中止表明をするしかないのではありませんか。この計画は,2月市会の代表質疑で我が党が指摘した地下水への影響と同時に大量に発生する土砂の処理が大問題になっています。方法書に対する環境評価専門委員会の追加意見の中で,山岳トンネル工事によって発生する掘削発生土について具体的に計算されています。この計算は,計画の8割が直径10メートルの山岳トンネルと試算しておられますから,京都市内のように直径10メートルから13メートルの都市トンネルの場合は更に土砂量は多くなります。最低でも880万立米の掘削土が発生し,甲子園球場に積み上げると228メートルの高さになるとのことです。再利用するにしても一時保管場所が必要です。大量の土砂が搬出されることは否めない事実です。公共工事は発注する際に最終処分先を指定して工事契約を結ぶ指定処分が制度化されています。ところが最終処分先も処理方法も全く明らかにされていません。最終処分先が明らかにされない以上,工事は始められないのではないでしょうか。市長の見解をお聞きします。 次に,京都市土砂条例の改正強化についてお聞きします。この間,伏見区大岩山,北区鷹峯,北区杉阪,右京区京北など盛土による深刻な例が増えています。しかし,行政の指導は後手後手に回り,幾つもの陳情が出される状況にあります。懸念されている大地震や大雨などの異常気象による危険度が高まっています。万が一,災害が起こるようなことになれば行政の責任は重大で行政災害と言わざるを得ません。しかし,市の土砂条例は公共工事を例外としているため,市民に不安が広がっています。国において,5月20日に大規模盛土規制法が全会一致で可決しました。新たな盛土規制法では建設発生土の一時的な仮置き場についても許可対象になり,危険な盛土については法の改正前に遡って規制をする内容になっています。京都市においても過去に遡って規制をするべきです。いかがですか。 さらには,発注者責任も明確にすることが求められています。国の法改正に合わせて,市民生活の安心・安全に責任を持つ京都市として土砂条例の許可対象を500平米に強化し,建設工事の発注者責任を明確にするために,土砂の発生から処分までの追跡をするトレーサビリティ制度を創設すると同時に情報公開すべきです。改正された法律に合わせた京都市条例の規制強化が必要です。いかがですか。 同時に,建設残土の問題は森林育成にも悪影響を及ぼしています。今,市内のあちこちで違法状態や違法すれすれの盛土が行われています。森林が開発され,当初の届出内容から大きく開発面積が広がり,植林の計画さえも無視をするなどの状況があります。京都市の雨に強いまちづくりの実施事業の基本方針の森林整備事業には,健全な森林を育成することで,森林の水源かん養等の公益的機能の維持増進を図るとあります。そして木材の活用のみならず,今年度の取組で水源かん養等の公益的機能を有する健全な森林の育成に向けた造林,間伐等や風雪害対策の支援が取り組まれる予定です。しかし今,森林の所有者の高齢化や後継者不足などの要因から管理が行き届かず,森林を手放したいという方が増えています。京都市も市域の総森林面積約6万1,000ヘクタールの4割を占める人工林のうち約半数の森林が適切に管理されていないと見込んでいます。そこに付け込んで,山を安く買いたたき乱開発する事態があり,更に広がる懸念もあります。先日成立した改正法の細かな政省令はこれからです。自然のダムと言われる森林を守り育てる立場からの雨に強いまちづくりや防災の観点からも積極的な森林育成に取り組むことが必要です。森林を守り育成する予算を厚くすることで下流の防災工事が軽減される効果があります。森林育成に重点を置くことで,盛土規制の強化にもつなげることを強く求めます。いかがですか。 次に,京都府が進める植物園を含む北山エリア開発計画についてお聞きします。京都府は,京都府総合計画の実現に向けて北山エリア整備基本計画を策定しました。そして京都市は,それを受ける形で,2021年4月に
都市計画マスタープランの地域まちづくり構想の17番目に北山文化・交流拠点地区を位置付けました。京都府の北山エリア整備基本計画について,2月市会で京都府がパブリックコメントを経て策定されたと答弁がありましたが,府民から寄せられた意見は55名142件でしかありませんし,意見の内容は賛成反対が約半々ですから,府民の意見が反映されたとは言えません。知事選挙に向けて,京都新聞社が行った「計画でどのような効果や影響があると思うか」との府民アンケート結果は「静かな憩いの場の消失懸念強く」と懸念の声が最多と報道されました。現に計画に反対をする署名が何と13万筆を超えて集まっています。市長は,これでも広く府民,市民の意見を反映した計画だと判断されるのでしょうか。植物園の関係者,特に歴代園長さんたちからは,この計画に対して本来の植物園の姿とは掛け離れたものになる,植物園の使命は世界の植物を栽培し生きた姿のまま見てもらうこと,花を咲かせているのは舞台裏のバックヤードと職員だ,計画にはそのバックヤードと人材の確保の説明も一切ない,本来の使命が分かっていない,栽培技術の重要性を無視し怒りに近いものを感じる,世界の植物園は頑丈な壁で囲まれている,防風効果もある,なぜ自由に往来できる公園にするのかと樹木を伐採し出入口を増やし植物園をアリーナへの通路にすることに対して懸念や怒りの声が出されています。問題は植物園だけではありません。府立大学の老朽化の改善として,学生約2,000人の府立大学の体育館を1万人規模のアリーナに建て替える計画もありますが,観覧場は建設できない地域であり違反です。大学関係者からは,建設費175億3,900万円の大きなアリーナより老朽化した学舎の整備が先ではないかとの声が挙がっています。また,この地域は,宿泊施設もシアターコンプレックスも建てられない地域です。ところが,京都市の理事者は京都府が整備内容の具体化を検討している段階,都市計画が具体的に示された段階で議論していきたいという答弁です。市民の同意が得られておらず,生きた植物の博物館と言われている貴重な施設を壊し,京都市の都市計画の規制に違反する地域まちづくり構想の北山文化・交流拠点地区を
都市計画マスタープランから削除すべきです。いかがですか。 最後に,市内に多く残されている公共交通不便地域の解消について要望します。私の住む伏見区には,交通不便地域が多数残されています。これまでは車を使っていたが免許を返納したという方も増えています。ますます暮らしの足としての公共交通の重要性は増してきています。議会では,我が党をはじめ他党の議員からも質問をされている陸の孤島とも言える状況の桃山南地域について要望します。桃山南地域は宇治川と山科川に挟まれ,中央には丹後橋通という大きな道路が通っていますが,公共交通は全くありません。学区の南端から京阪バスや京阪電車の通っている外環状線までは直線距離でも約1.3キロあります。例えば高齢女性は,徒歩で31分掛かりました。ですから途中にベンチが欲しいという声さえあります。この地域の住民の方々は,大学のゼミの学生に協力を得てアンケート調査と分析結果のニュースを発行し,更に地域を絞ってのアンケート調査をするなど住民の声を聴く努力をされています。また,それを持って伏見区役所や交通局との懇談をされています。住民アンケートの結果から,この地域の車に頼らない非自動車分担率は66.7パーセントと京都市の目標の85パーセントよりは大きく下がっていますから,車に頼らざるを得ない地域になっていることが分かります。ですからアンケートでも,公共交通の導入を望む声が80.3パーセントにもなっているのです。京都市内に残された公共交通不便地域の解消は,市民生活を守るためには待ったなしの状況です。陸の孤島とも言えるこの地域の暮らしの足を確保するための検討を早急に始めることを強く求めます。 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 私からは,災害防止に向けた森林育成について御答弁申し上げます。本市面積の4分の3を占める森林は,CO2の吸収,生物多様性の保全,洪水や土砂災害の防止など多様な公益的機能を有しており,災害に強いレジリエント・シティ実現の観点からも,健全な森林の育成が一層重要となっております。本市では,林業の成長産業化をはじめ森林の有する多面的機能を最大限発揮させるため,昨年6月に私を本部長とする京都市木の文化・森林政策推進本部を設置し,全庁挙げて森林政策を推進しております。この推進本部の下,本年1月に産業観光局,都市計画局等の第一線の職員で構成する森林伐採・開発行為事務連携ユニットを設置し,盛土工事を含む森林の開発行為に対して適切に対処するため,関係法令に係るチェックリストを活用し届出や許可申請等の情報を速やかに共有するなど,より緊密な庁内連携を図っております。また,森林の防災機能を高めるため,森林伐採地が放置されたり建設残土置き場等に無断で転用されることのないよう,森林伐採の届出に当たり詳細な伐採,造林計画の事前の提出や伐採後の状況報告等を新たに課すなど,本年4月に一層の強化を図ったところでございます。くわえまして,森林や間伐等の森林の育成に対して,全国的にも高い水準の助成制度を設けているほか,森林整備の基盤である林道の維持管理等について森林組合とも連携し,災害に強い森づくりを推進しております。引き続き,今般の盛土規制に係る国の動向を注視しながら,林地開発許可制度を所管する京都府とも連携し,市民の安全・安心を守る健全な森林の育成に努めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕
◎副市長(鈴木章一郎) 私からは3点お答え申し上げます。 まず,北陸新幹線の延伸計画についてでございます。北陸新幹線は,歴史的・文化的にゆかりの深い京都と北陸圏との結び付きを一層豊かにするとともに,新駅が設置される地域のみならず新駅と結節する沿線地域にも広く利便性の向上をもたらし,災害時等には,東海道新幹線の代替路線の役割も果たし得るものとして,そしてなおかつ国の長期展望に基づくインフラとして大変重要であると認識しております。そのうえで,計画の検討に当たっては,自然環境や生活環境にしっかりと配慮をいただくことが極めて大切と考えております。現在,福井,京都,大阪の2府1県において,事業主体である鉄道・運輸機構が,環境影響評価法に基づく調査を行っており,今後,同機構が必要十分な調査結果を得たうえで,環境影響評価準備書により,それらの結果を示すものと認識しております。法の規定に基づき,本市においては,これまでから京都市環境影響評価審査会で専門家の御意見もお聞きしたうえで,市町村長の意見をまとめる京都府知事に対し,自然環境や生活環境への影響が可能な限り回避・低減されるよう求める意見書を提出しております。その中で,地下水につきまして,十分な調査と環境影響の適切な予測・評価を求めるとともに,工事に伴い発生する土砂につきましても,排水量の予測を適切に行い,その保管・処理の方法を明確にするよう求めてきたところでございます。今後も法の規定にのっとり,準備書が公表された段階で,専門家の御意見を頂戴しながら,地下水や建設発生土砂をはじめ自然環境,文化財,都市機能等の観点からしっかりと意見を述べるなど適切に対応してまいります。 続きまして,京都市土砂条例についてでございます。本市は,土砂条例の制定に当たり,市境をまたぐ土砂の移動を考慮した広域的な対策の必要性から,京都府土砂条例との整合性を図り,京都市環境審議会からの府と市の統一性を担保するのがよいとの見解も踏まえ,京都府と同等の抑止力を備えるために,許可対象の面積要件についても府条例と同じ3,000平米以上としており,現時点でこれらを改正することは考えておりません。なお,土砂条例に基づく許可が必要な案件においては,土砂の受入先となる土地の埋立て等を行う者が許可申請を行う際,土砂の発生者及び運搬者も明示させることとなっており,くわえて発生者ごとの土砂の発生量や搬入期間も明示させており,現行の土砂条例において,議員御指摘のトレーサビリティは確保されております。 一方,国においては,危険な盛土を規制する新たな法制度に係る法案が,今国会において去る5月20日に可決成立したところです。この新たな法律は,全国一律のルールとして創設され,宅地はもとより森林や農地等の土地の利用区分にかかわらず,盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を指定し,森林,農地の造成や土砂の一時的な堆積も含め規制区域内で行う盛り土等を許可の対象とする隙間のない規制がうたわれております。また,罰則についても,現行の宅地造成等規制法を上回る厳しい水準に強化するものとなっております。本市といたしましては,今後示される予定の政令等の内容を踏まえ新たな法制度を最大限にいかし,また,従来の条例に基づく取組も含め,あらゆる制度を活用し市民の生命,財産を守るべく危険な盛土等の規制に万全を期してまいります。 続きまして,京都府の北山エリア整備基本計画についてでございます。北山エリアは,豊かな自然環境の中,京都市のコンサートホールと共に多くの府立施設が集積する府民,市民が集う憩いと活力のある空間であり,京都府では,令和2年12月に京都府総合計画の北山「文化と憩い」の交流構想の実現に向けたエリアの整備の方向性を示す北山エリア整備基本計画を策定いたしました。本市は,これら京都府のまちづくりの取組が京都市
都市計画マスタープランに掲げる都市計画の方針とも整合していることを確認のうえ,令和3年4月に,北山文化・交流拠点地区の地域まちづくり構想を
都市計画マスタープランに位置付けております。なお,アリーナの観覧場や宿泊施設につき違反であるとの御発言がありましたが,現行用途の下でも厳正な手続を経て立地を可能とする正当な枠組みがホールに備えられていることも考えれば,構想そのものをもってあたかも違法行為であるかのように断定する認識は誤りであると考えております。また,京都府においては,本年5月に新たに設置された文化施設政策監の下,今後,植物園や府立大学等の関係者との更なる意見交換や幅広い分野の専門家の方々からの意見聴取等を通じ,施設整備等の内容をより具体的に検討したうえで,市民,府民をはじめ多くの方々の御理解と御協力を得て事業を進めていく予定とお聞きをしております。本市といたしましては,その動向を踏まえ当地区の地域まちづくり構想の改定,充実についても考えてまいります。引き続き,京都府の取組が自然を大切にしながら憩いと活力のあるまちづくりにつながり,市民・府民の夢や願いが実現するよう,相互の調整を密にし柔軟に取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 金山財政担当局長。 〔金山財政担当局長登壇〕
◎財政担当局長(金山昌幸) 所得税法第56条についてでございます。この条文は,個人事業主が親族に対して給与等を恣意的に分散して支払うことで,所得の分散を図り税負担を軽減しようとする行為を防止するために設けられたものです。一方で,所定の帳簿を整理し,家計と事業の収支を経理上明確にした,いわゆる青色申告であれば,家族従業員に対して支払われる給与について必要経費に算入できることが別に定められております。これを踏まえると,税の公平性の観点,あるいは中小企業支援の観点においては,税制上,必要な配慮がなされていると認識しております。また,ジェンダー平等の観点や生計を一にする親族であっても事業への関わり方が多様化してきている実態があることなども踏まえ,この制度について在り方を見直すべきとの議論があることは承知しております。こうした状況も踏まえ,56条等の在り方については,その存廃だけでなく青色申告の普及,記帳水準の向上を図るなどの視点も含め,国において継続的に検討されてきているものと考えております。本市としては,国における検討状況の推移及び論議の動向を注視しているところであり,現時点で早急に国に廃止を求めることは考えておりません。以上でございます。
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○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,平井良人議員に発言を許します。平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕
◆(平井良人議員) 中京区選出市会議員の平井良人です。私は,日本共産党市会議員団を代表し,質問します。 コロナ禍,自治体として行うべきは,苦しんでいる市民の生活を支援することです。ところが京都市が行っていることは,その厳しい実態に追打ちを掛けるような負担増と切捨てそのものです。最初に2月市会以降,多くの市民の方々から批判の声が怒とうのごとく寄せられている行財政改革計画について撤回すべきだという立場から質問いたします。市長は,国民健康保険料や敬老乗車証などの負担金,公共施設合計138施設の使用料,利用料,証明書発行等の手数料の値上げなど総額26億円の負担増を予算として計上しています。障害者通所施設利用料値上げや学童保育料の値上げなどの応益負担は,福祉施策を削るものであり断じて許されないものです。くわえて,京都市健康増進センター・ヘルスピア21の廃止は,健康の増進に逆行するものです。京都市は,廃止理由に類似の施設が6施設存在しているとしていますが,これらの施設は会員制で,入会金,手数料を払うことになり高額です。近隣の施設では,高齢者や障害者に事前に面談を行うとしており,全ての方が安価で気軽に通うことはできず代替施設とは言えません。唯一無二の公共施設を廃止する提案です。これらの改悪が市民活動の活性化どころか停滞を生み出すことは明らかです。昨年度の一般財源収入が200億円上回るなど行財政改革計画の前提が既に崩れています。市長は,誇大な財政難キャンペーンを張り,市民負担とサービスカットを続ける一方で,北陸新幹線の延伸など大型公共事業を推進する姿勢を改めるべきです。いかがですか。 この補助金カットに含まれている民間保育園等職員給与等運用事業補助金の再構築は,一般財源で13億円,最大20億円の補助金の削減です。民間保育園の81パーセントが補助金カットとなること,経験年数の上限を設定し,11年以上経験のある保育士の給与の昇給分は含めない内容になっています。4月の新しい年度が始まり,その補助金カットの影響が色濃く出ています。ある保育園では,今年のボーナスが年間4箇月から半分の2箇月になったと保育士の年収を減らす流れとなっています。また,保護者からは,ベテラン保育士の給与削減等は保育士全体のモチベーションを下げ,離職を促します。そのことによって保育の質が下がることが不安ですとの声が出ています。根底には,補助金削減が先にあり,それに合わせて新しい制度を無理やり作ったというものではありませんか。保育園の中では,既に赤字予算を組んでいるところもあります。これまでの答弁で,全体として給与水準を維持・充実するとされましたが,維持も充実も全くできないことが実態からも明らかとなりました。園長も保育士も保護者も不安が絶えない状況で新年度を過ごしています。市長は,この保育園の実態を見てもなお,全体として給与水準が維持・充実できていると言い切れますか。保育の質が低下しないと断言できますか。これまで聚楽保育所の廃止など公立保育所を次々と廃止し,児童福祉法における公的役割を民間の保育園任せにしてきた市長の責任は重いものがあります。元々,公立保育園が少ない下で民間の保育園が公的な役割を果たしてきた経過から,民間保育園の保育士が,市の行うべき公的な仕事を担ってきたわけです。その経過からプール制は職員水準と同等の給与補償の役割を一定果たし,園の安定的な運営を確保するために必要な経費を積上げ方式で行ってきました。今度の補助金削減は,その重要な制度を大本から壊すものであり直ちに撤回すべきです。いかがですか。 次に中小企業・小規模事業者への支援について質問します。中小・小規模事業者は,長期間に及ぶ
新型コロナウイルス感染症の拡大による経済縮小の影響やウッドショック,半導体不足など原材料や原油等の高騰に加え,ウクライナ危機により更なる苦境を迎えています。この間,三条会商店街の各事業者にアンケートをお願いし,そのうち23件から回答を得ました。アンケートの項目はコロナ影響について主に聞きました。まず売上状況についてですが,35パーセントの方が売上減少10パーセントから30パーセント未満となっており,支援制度を受けたかどうかでは,78パーセントの事業者が何らかの支援制度を受けています。また,使った支援制度は持続化給付金が多く,京都市の制度を使った事業者は僅か9パーセントでした。制度を使わなかった理由として,手続がややこしいや制度の枠外,売上減少のハードルが高いとの回答でした。今後必要な制度として,飲食店以外の事業者から幅広い事業者への支援の要望が出されています。このアンケートからも必要な事業者への支援が求められています。 くわえて,物価高・原油高騰による影響も議員団として調査をしています。物価高,原油高騰はあらゆる事業者に広がっており,電気やガス,油,運輸などの経費の値上げは1割から2倍以上に及んでいます。タクシードライバーは,直接燃料代が上がる下で厳しくなり,飲食店や食品小売り,クリーニング屋なども値上げできず苦しんでいる状況です。あわせて,これまでの国や府,京都市の施策や支援が届いていない事業者,従業員を多く抱え人件費の割合が大きい事業者やコロナ禍の前後で資金繰りが厳しい事業者など,支援が少ない中で依然として倒産や廃業に追い込まれる状況は変わっていません。影響を受けている中小・小規模事業者や市民への物価高・原油高騰対策がすぐに必要であることから,我が党市会議員団が市民生活を守るために18項目の緊急申入れを行ったところです。市長は,長期化するコロナ,原油等の高騰状況を踏まえて,我が党の緊急申入れに沿った対策を行うこと,小規模事業者に対しての直接給付,厳しい経営状況に置かれている中小企業等に家賃や従業員給与等の固定費補助の創設を求めます。直ちにこのような趣旨で,補正予算を組む必要があると思いますが,いかがでしょうか。 この物価高・原油高の背景には,ロシアのウクライナ侵攻の影響でだけなく,金融緩和に固執する日銀の政策があります。この金融緩和は,アベノミクスの主な柱です。アベノミクスは,格差と貧困を広げ,経済の好循環につながらないどころか,2019年10月の消費税増税で消費不況を招き,日銀が国債や投資信託を買い入れて,円安,株高で輸出大企業と富裕層を富ませただけでした。本来,政府が行うべき必要な対策は,消費税の減税です。(パネルを示す)図を御覧ください。この間消費税を減税した,若しくは予定している国々は,5月に入りタイ王国が減税を予定していることになり,世界で85箇国となりました。日に日に減税の流れが世界各国で広がり続けています。経済の足腰が厳しいときにこそ,その影響が大きい中小・小規模事業者の実質的な支援となる消費税減税を行い,元気にする必要があると思います。また,労働者の賃金は上がっていないのに,大企業は,空前の利益を上げ,コロナ禍においても内部留保は7兆円も増え,総額は466兆円まで膨れ上がっています。こうした状況の下で,我が党は,大企業の内部留保に適正な課税を実行する政策として提案を行いました。それは,以前から提案していた中小企業等を除く法人税率の引上げ,一部大企業への研究開発減税などの優遇税制の縮小廃止などに加え,大企業の内部留保に適正な課税をするために,資本金10億円以上の大企業に,2012年以降に増えた内部留保額に毎年2パーセント,5年間で10パーセントの時限的課税を行うものです。これにより,毎年2兆円程度,総額で10兆円程度の財源が生まれる提案になっています。あわせて,内部留保課税から賃上げした分を課税から控除する仕組みやグリーン投資,国内設備投資に関しても控除する枠組みです。生まれた財源は,中小企業,中堅企業の社会保険料や固定費の軽減などの賃上げ支援の財源に使い,労働者賃金も中小企業等の経営も底上げを行う提案です。市長は,事業者を守るというのなら,国に対して消費税減税を求めていただきたい。また,大企業や富裕層への課税強化を国に迫るべきです。いかがでしょうか。 くわえて,来年,2023年10月からはインボイス制度を政府主導に行おうとしています。これまで売上げが1,000万円以下の免税事業者である規模の小さい事業者,フリーランスや農業者などに対し,消費税課税業者への道を強制的に進めるものになっています。所得が低く生活最低限であっても事業者としての消費税負担となることから,これらの約1,500万人にも及ぶ事業者を倒産,廃業に追い込むことになります。99.7パーセントに及ぶ中小・小規模事業者等を守るため,このような税制における中小企業とうたをやめさせる必要があります。昨年11月市会でこのインボイス制度についての答弁は,軽減税率の実施に当たり適正な課税を確保するために導入されたものとされていますが,京都市は,中小・小規模事業者の倒産,廃業を防ぐためにインボイスに対して声を挙げる必要があります。事務負担だけでなく,消費税納税の負担に耐えられない事業者を廃業に追い込むインボイス制度は,国に中止するよう求めるべきです。改めて求めますがいかがでしょうか。 融資についても,日本政策金融公庫の
新型コロナウイルス感染症特別貸付は,返済猶予期間は最大5年でありながら,猶予を延ばすと返済期間が短縮されることから,猶予期間を2年ほどに設定されている事業者が大半となっています。今年度から返済される方々にとって,現在は,原材料高と円安がセットで進行しており,景気回復も経済のパイが小さくなっている下で返済が大きな負担となります。経済状況の回復までは,最低でも返済の繰延べなどの措置が必要であり,条件変更の際の保証料補給,返済する際の利子補給などの措置が求められます。現在返済に直面している事業者の既存貸付けの返済年月の延長,借入れを借り換える場合の保証料減免などを,国に対して求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。また,国の措置ができるまでの間に京都市自身が利子補給や保証料補給などの独自施策を打ち出すべきと思いますがいかがでしょうか。あわせてお答えください。 中小・小規模事業者におけるコロナの影響は,労働者や学生にも深刻な影響を及ぼしています。そして政府による施策の下で,日本の中の経済格差が広がっていることが共通の認識として捉えられています。読売新聞社が3月に郵送方式で行った調査によると,日本経済の格差が深刻と捉えている方は88パーセントにも上ります。特に職業や雇用形態による格差がコロナの下で顕著となっています。さらに,自分の暮らしぶりに関しても今後悪くなる,多少と答えた方は全体の半数を占めています。2月市会の中で我が党のやまね議員の労働者派遣の原則自由化によって引き起こされた労働者派遣法を国に対して抜本的に改正すべきとの質問に対して,
セーフティネットの充実など求めているとされましたが,それでは,労働者を切り捨てる社会の状況は変わりません。改めて根本的な課題である労働者派遣法の抜本改正を国に求めるべきです。いかがですか。 労働法制の規制強化と共に,労働者の賃金を底上げすることが必要です。知事選挙の焦点の一つとなったのが,公契約条例における賃金規定です。これは,ILO第94号条例に基づいたものです。各自治体で特に関東を中心に26自治体が賃金条項を含めた公契約条例を定めています。そしてこのILO第94号条約第2条1項には,この条約の適用を受ける契約は,当該労働が行われる地方において関係ある同一性質の労働に対し次のものに定められているものに劣らない有利な賃金,労働時間その他の労働条件を関係労働者に確保する条項を包含しなければならないとされています。つまり,賃金条項を含むことが公契約条例の柱の一つとなっているのです。今すぐにでも,京都市の契約に関わる委託やアルバイト,パートの方などの賃金を引き上げ,官製ワーキングプアをなくす対策を打つべきです。公契約条例に賃金条項を加える改正をすべきと思いますがいかがでしょうか。 次に学生支援についてお聞きいたします。これまで我が党議員は,民間団体などが行う食材支援活動で相談員として,学生の皆さんから直接お話を聞いてまいりました。また,高等教育無償化プロジェクトFREE京都の皆さんとも懇談や陳情などで直接高学費から来る学生の皆さんの困難や保護者の皆さんの悲痛な声を受け止めてきました。現在,政府の教育未来創造会議では,大学などの授業料を国が一時的に肩代わりし,学生が就職後に一定の年収に達した段階で返済する出世払い方式の新たな奨学金制度の創設に向けた動きがあり,卒業後,年収300万円に達してから返済を始める制度などが検討されています。また,理系や子供が多い世帯に対し,所得が380万円から600万円未満の世帯に対しても対象とする修学支援の制度を盛り込もうとしています。どちらも5月10日に提言がまとめられています。昨年の11月に,日本学生支援機構が行った令和2年度学生生活調査結果からも学生生活費や収入額についても前回調査から減っており,収入額に占める奨学金が増加している結果となっています。子育てに係る費用や学費が高い日本の下で,国が掲げている奨学金制度,学費減免制度は極めて不十分と言わざるを得ません。全ての学生の皆さんが学業に専念できる制度の充実が必要です。奨学金制度については,出世払い制度ではなく給付型奨学金制度の支給月額の引上げ,対象範囲の拡充などを行うべきです。第二に学費は半額にすること,中間所得階層向けの修学支援についても,理系や多子世帯に限定せず広く支援すべきです。国に対して,制度設計や制度の拡充を求めるべきと考えますがいかがでしょうか。そして京都市独自に給付型奨学金制度を作るべきです。いかがですか。 コロナの長期化は,地域の公共交通や公営企業である市バスや地下鉄にも大きな影響を及ぼしています。京都市交通局では,2年間で約200億円もの赤字が生み出されている下,市バス・地下鉄共に250円までの値上げを図ろうとしています。くわえて,京都市交通局の視野のみで,京都市バスの路線・ダイヤの在り方に関する検討委員会を開き,市民の大切な路線・ダイヤの変質を行おうとしていることも重大です。市バス・地下鉄事業経営ビジョン改訂版に基づく運賃の値上げと路線,ダイヤの縮小など市民生活に耐え難い負担はやめるべきです。京都市交通局への国の支援は,ビジョンで示されているとおり地域公共交通感染症防止対策に係る補助金が2年間でたったの5,200万円ほど,
新型コロナウイルス感染症対応
地方創生臨時交付金を活用して,市バス・地下鉄事業に奨励金として2年間で24億3,000万円,この二つの支援でコロナの莫大な赤字に対し約25億円にしかならず,根本的な解決にはなりません。通常の交通事業に対する補助や支援は,政府の交通政策白書などを見ても,MaaSやICTの活用に対してのメニューが多数であり,根本的な経営基盤を維持確保することにはつながりません。既に今年度,運行回数に応じたダイヤの見直しで運行回数が減り,住民の方々から怒りの声が出ています。北区原谷地域を結ぶM1系統の運行回数が1回減らされました。この地域では,以前よりバスの増便要求が出ており,直近も増便の要望署名が1,025筆寄せられたところです。午後4時台の運行本数が2本から1本に減り,市民との信頼関係に関わる問題となっています。増便要求に対して減便を行うようなやり方はもってのほかです。国に対して,更なる公営企業への大幅な財政支援を求めること,独立採算制の撤回を求めることが必要です。いかがですか。京都市と交通局の役割は,交通利便性の向上,便利な暮らしの足の確保ですから,路線,ダイヤの縮小,運賃値上げを撤回するべきです。いかがですか。 最後に,命の水である上下水道事業の広域化について質問します。2月市会の予算特別委員会局別質疑の中でも広域化の問題を取り上げました。この広域化計画について,昨年9月に市長会や町村会の説明資料として京都府の府民環境部が資料を出しています。その中の広域化シミュレーションでは,京都市が含まれる南部圏域は,財政効果額は50年,38億円とされていますが,既にそれぞれの自治体の連携の中で解消できる部分も多いのも実情です。また,下水道事業における広域化について,非効率な施設体系となる可能性があると京都市が述べているように,メリットも財政効果も薄いのではありませんか。そして広域化の国の狙いは,あくまで上下水道事業の国負担分をどう減らすかが目的であり,市町村の思いは届いていません。様々な民間委託の積重ねと広域化と相まって,巨大な広域化が実行されれば,企業のもうけ優先の民営化になることが懸念されます。そのことは,水の安全性や安価な上下水道料金,使用料を損なうものであり,改めて,京都府に対して水道事業,下水道事業の広域化計画策定をやめるよう求めるべきではありませんか。また,国に対して,老朽管路の改善などの施設更新の財源確保を要求し,拡充を実現するべきではありませんか。いかがですか。 以上をもちまして,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 平井良人議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革についてでございます。行財政改革は,単に足元の財政が厳しいから,本市の施策を削減するというものでは決してありません。これまで市民の皆様と共に創造し守り続けてきた本市ならではの福祉,教育,子育て支援などの施策について,その理念をいかしながら持続可能なものとなるよう再構築し,将来にわたって
セーフティネットを維持するためのものであります。また,令和3年度の一般財源収入の増加につきましては,国や京都府と一体になった経済施策を展開するとともに,国において地方交付税が確保された結果であります。 一方,この増収は,一時的なものであり,現に令和4年度予算は,依然117億円の実質的な赤字予算で,今後も高齢化の進展に伴う社会福祉関係経費の増加や,我が国の人口減少等の影響を踏まえれば,改革を行わなければ特別の財源対策から脱却できないことは明らかであり,将来世代への責任を果たせないものとなると考えております。さらに,御指摘の公共事業は,市民生活の安心・安全を守り,経済活動を支え,豊かさの向上につながるとともに,裾野の広い業界に関わり景気の下支え,雇用の創出にも資するものであります。ただし,公共事業を進めるに当たりましては,行財政改革計画に基づき,一般財源と市債発行額を的確にコントロールするとともに,北陸新幹線の延伸など本市以外の事業主体によって進められるものにつきましても,本市負担の極小化や整備手法の工夫を求めてまいります。今後も行財政改革を着実に推進し,持続可能な行財政運営を確立してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) コロナ禍等における事業者支援について御答弁申し上げます。本市では,コロナ禍が長期化する中,制度融資による資金繰り支援,経営相談体制の強化,中小企業等再起支援補助金・応援金の実施など事業者の皆様の下支え支援に全力で取り組んでまいりました。現在,社会経済活動に回復の兆しも見られはしますが,原油価格・物価高騰等の影響もあり,市内の多くの事業者は依然として厳しい状況にございます。このため,政府の総合緊急対策において拡充された
地方創生臨時交付金を最大限活用した事業者支援について検討しているところでございますが,幅広い事業者を対象とした直接給付や固定費支援,また利子補給等の金融支援につきましては,巨額の財政支出を伴うため,基本的には自治体の財政力に左右されることのないよう国において措置されるべきものと考えており,引き続き国に要望をしてまいります。大企業や富裕層への課税につきましては,応能負担や所得再分配機能といった様々な観点から,税体系全体の問題として国において議論がなされるべきものと承知をいたしております。 また,消費税は,国,地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保するために必要なものであり,インボイス制度についても消費税の軽減税率の実施に当たり,適正な課税を確保するため導入されるものと認識していることから,これらについて御提案のような要望を行うことは考えておりません。 引き続き,国や府とも緊密に連携をし,事業者の皆様に寄り添った支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 石田産業・文化融合戦略監。 〔石田産業・文化融合戦略監登壇〕
◎産業・文化融合戦略監(石田洋也) 労働環境の改善についてでございます。派遣労働をはじめとした非正規雇用は,多様で柔軟な働き方のニーズに応える雇用形態である一方で,不本意の非正規雇用や正規雇用との賃金格差という課題が生じております。こうしたことから,労働者派遣法の改正をはじめとする働き方改革関連法により,正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を是正するための規定が整備されるなど,国において取組を進められてきたものと認識しております。本市では,これまでから国に対して不本意の非正規雇用労働者の正社員転換,待遇改善や不安定な立場にある方への支援措置などの充実について,行政,経済団体,労働界のオール京都で要望してきており,引き続き雇用の安定と所得の向上が一層進むよう国に求めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 金山財政担当局長。 〔金山財政担当局長登壇〕
◎財政担当局長(金山昌幸) 公契約基本条例についてでございます。本市では,公契約基本条例に基づき労働者の賃金を含め公契約に従事する労働者の適正な労働環境の確保に努めております。具体的には,適正な賃金水準の確保に向けて公共工事設計労務単価の引上げを迅速に反映するなど適正な予定価格の設定に加え,一定の公契約につきましては,労働関係法令遵守状況報告書の提出を義務付け,賃金等に関する法令の遵守状況について確認するなどの取組を行っています。なお,賃金条項については,多くの団体等から意見を聴取した結果,賛否両論があったこと,賃金は労使間の契約により定められるべきものであり,必要な規制は法律に基づくことが基本であること,中小企業の負担が過度なものとなりかねないことなどを総合的に勘案したうえで導入しなかったものであり,現在も同様の認識です。以上でございます。
○議長(田中明秀) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕
◎総合企画局長(下間健之) 学生支援についてでございます。家庭の経済状況にかかわらず,学生さんが安心して学ぶ環境を確保することは重要であると認識しております。本市では,これまでから学生支援等を行う各大学の取組を後押ししてまいりました。そうした中,奨学金などの学生さんへの直接的な経済支援については,京都で学ぶ約15万人の学生さんのおよそ4分の3が京都府外から来られ,また,京都の高校生の約半数が府外の大学に進学されるなど自治体の区域を超えた進学状況を踏まえ,規模や公平性の観点から国において統一的に対応する必要があると考えており,本市から国に対し,学生さんへの経済的支援の充実を重ねて要望しております。国においては,給付型奨学金などの令和4年度予算が前年度から約400億円増額の約5,200億円に拡充されています。また,教育未来創造会議の提言を受け,正にこれから具体的な支援策の充実に向けた検討が行われることとなります。今後も国の動向を注視し,要望を重ねながら必要な取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(田中明秀) 上田子ども若者はぐくみ局長。 〔上田子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(上田純子) 保育環境の整備についてでございます。従来の民間保育園等への人件費補助については,補助金の充当順位や職種限定がされていないなどいくつかの課題が調査により明らかとなりました。こうした課題の解消と共に,1歳児加配や調理師の加配を充実するなどこれまで培ってきた配置水準の維持・充実を図りながら,支出実績に応じて精算する透明性の高い制度へと再構築したところでございます。再構築後の制度では,人件費単価,常勤比率等について平均実績を上回る形で設定したうえで,さらに各園の裁量で雇用や処遇の独自性を発揮できるよう補助上限額を上乗せする仕組みも設けております。また,人件費補助に加えて物件費に対する支援も予定しており,計約54億円の予算額を確保しております。本市独自予算により,国基準を上回る職員配置や高い給与水準を保ち,全体として保育水準の維持・充実が可能な制度となってございます。今後は,新たに設置する専門的知見を持つ相談窓口等を通じて,各園からの相談に丁寧に対応するとともに,継続して支出実績等を確認する中で,必要な検証を行ってまいります。
○議長(田中明秀) 北村公営企業管理者。 〔北村公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(北村信幸) 市バス・地下鉄事業についてでございます。新型コロナの影響により運賃収入は,2年間で約280億円の減収が見込まれ,本年度に入っても大幅なお客様数の減少が続く大変厳しい状況が続いております。昨年度に改訂した経営ビジョンでは,あらゆる経営努力を行う前提ですが,市民の皆様の足である市バス・地下鉄を守るためには運賃改定を見込まざるを得ない状況でございます。本年3月に経営改善の一環として実施した路線・ダイヤの見直しについては,この間の増客に合わせて大幅に拡充してきたものを中心に,お客様数の大幅な減少を踏まえて見直したものですが,ラッシュ時のダイヤは堅持するなどお客様への影響を可能な限り小さくするよう努めたところでございます。今後とも国等への支援要望も含め,ビジョンに掲げた健全化策を着実に実施し,経済性の発揮と公共の福祉の増進,独立採算制という公営企業の基本原則に基づき,持続可能な市バス・地下鉄を実現してまいります。
○議長(田中明秀) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(吉川雅則) 水道・下水道の広域化についてでございます。水道・下水道の広域化,広域連携は,水需要の減少や老朽化した管路・施設の増大などが全国的な課題となる中で,経営基盤強化のための一手法として示されているものであり,民営化を前提としているものではないと認識しております。 広域化計画につきましては,国から都道府県に対して,今年度末までに策定・公表することが求められており,策定主体である京都府や周辺自治体と共に,長期的な視点かつ幅広い視野で協議を進めてまいります。また,老朽化した管路・施設の更新需要の増加が見込まれる中で,安定的な事業を運営していくには,国からの財政支援が必要であり,今後も引き続き国の動向を注視し,他の政令市や全国の水道・下水道事業体等とも連携して国への要望を行ってまいります。以上でございます。
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○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕
◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。この後に続く
松田けい子議員と共に公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問をいたします。市長並びに関係理事者におかれましては,誠実かつ分かりやすい答弁をいただきますようお願い申し上げます。 質問に入る前に一言申し述べます。ロシアの軍事侵略により,お亡くなりになられたウクライナ国民の皆様に対し,心から哀悼の意を表しますとともに,今なお戦禍の中で苦しむ全てのウクライナ国民に心から御見舞い申し上げます。ロシアによるウクライナ侵略という暴挙は明らかな国際法違反であり,軍事力を行使し,力による一方的な現状変更は断じて許されるものではありません。ウクライナを支援する国々による経済制裁措置を強化している中にあっても,ロシアは軍事侵略を一向に止めることなく,ウクライナの多くの一般市民が犠牲となっていることに怒りを覚えます。ロシアの軍事侵略は国際社会の秩序を混乱に陥れるものであり,公明党として最大限の言葉で非難することを表明しておきます。 それでは質問に入ります。 まず初めに,京都経済の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。2年以上に及ぶ
新型コロナウイルスの影響について,全国はもとより京都市経済も深刻な状況であると認識しています。感染者の急増によるまん延防止等重点措置,緊急事態宣言など国内の社会経済活動に大きな影響がもたらされました。また,
新型コロナウイルスの影響による輸入原材料の高騰に加え,産油国の減産による原油高の影響により国内事業者,京都市においては99パーセントを占める中小・小規模事業者に大きなダメージを与えています。この
新型コロナウイルスの影響に加え,先ほど触れたロシアのウクライナ侵略の暴挙が,世界的規模でエネルギー供給や原材料の高騰に拍車を掛けている状況にあります。 〔田中議長退席,吉田副議長着席〕
◆(国本友利議員) (続)くわえて,コロナ対策としてのゼロゼロ融資の元金返済が本年から始まる企業も多く,京都市としては経営相談窓口を置き,相談体制の整備にも努められていますが,今後一層の強化も求められるものと考えます。そのような状況の中,今般,緊急経済対策を政府与党で取りまとめ,
地方創生臨時交付金の本市に対する交付限度額が示されました。当該臨時交付金については,本市において柔軟に活用できるものであることから,中小・小規模事業者への支援や市民生活に対する支援など京都経済を支え,有効に機能する使い道が求められるところです。そこで今回の
地方創生臨時交付金をどの分野に光を当てて活用されるのか,その対応方針についてお伺いいたします。 次に,府市協調の取組についてお伺いいたします。4月10日に行われた京都府知事選挙において,公明党も推薦した西脇隆俊知事が2期目の当選を果たされました。御支援を頂いた全ての皆様に心から感謝申し上げます。この選挙結果は,京都府民・京都市民が西脇知事の1期4年間の実績を評価したうえで,次の4年間を西脇知事の府政運営に託す決断をした結果であることは言うまでもありません。今後,西脇知事と門川市長が連携を図り,更なる府市協調により現在の
新型コロナウイルス対策に加え,ロシアのウクライナ侵略による経済的影響などに対してオール京都体制で乗り越えることを求めたいと思います。私は,2月市会の予算特別委員会の総括質疑において,行財政改革計画の都市の成長戦略による税収増の取組について市長と議論をさせていただきました。この中で,本市の成長戦略に伴う税収増の取組に関し,外的要因による影響について質問をいたしました。市長は,国の経済対策に適時,的確に呼応していくことに加え,京都府との連携についても触れられ,都市の成長を図っていきたいと答弁されました。そこで,国との連携はもとより,今般2期目の当選を果たされた西脇知事とより一層緊密な連携を図り,府市協調を新たなステージへと発展させ,京都経済の再生,都市の成長戦略などについて,オール京都体制で取り組むことが重要と考えます。市長のお考えと御決意をお伺いいたします。 まずはここまでの答弁を求めます。
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えいたします。 まず,
地方創生臨時交付金の活用方針についてでございます。これまでのコロナ禍に加えまして,原油価格や物価の高騰により市民の皆様の暮らし,中小企業の経営が一段と厳しさを増している中,国民・市民の声に応えるべく今般政府において総合緊急対策がまとめられ,1兆円の
地方創生臨時交付金の予算が新たに確保されました。そのうち8,000億円が交付され,本市には,37.7億円配分されることが示されています。この臨時交付金は,コロナ禍において原油価格,物価高騰等の影響を受けた生活者や事業者の皆様を,地域の実情に応じて,きめ細かく支援できるよう措置されたものであり,生活に困窮する方々への支援や子育て世帯の支援,中小企業の支援などの自治体の取組が求められております。これを受けまして,本市では,新たな臨時交付金の創設の趣旨を踏まえまして,生活者の支援として,
セーフティネットの強化や子育て世帯への支援,大学を通じた学生への支援など,その他,事業者への支援として原油価格や物価高騰により影響を受けている中小・小規模事業者等を幅広く支援できる施策の検討を今進めております。これらを37.7億円の
地方創生臨時交付金を最大限活用し,第二弾の対策として取りまとめ,6月特別市会の開会をお願いしたいと考えております。引き続き,市会議員の皆様とも連携し,生活に困窮する方々や厳しい経営環境にある事業者の皆様に必要な支援を確実にかつ速やかにお届けできるよう対応してまいります。 次に,府市協調の取組の推進でございます。私は,市長就任以来,全国トップ水準の府市協調を推進し,西脇知事の御就任後も緊急安心センター事業#7119の共同実施など大きな成果を挙げてまいりました。この度,西脇知事が再選され,今後も共に府市協調を新たなステージへと進化させ,京都の更なる発展を目指していくことができる,これを心強く思っております。国本議員御指摘のとおり,新型コロナの影響が続く中,キーウ,ウクライナ情勢の影響を受け,原油価格・物価高騰への対応が喫緊の課題となっており,この5月市会に低所得の子育て世帯に対する給付金などに必要な補正予算を御提案しているとおり,京都府,京都市それぞれが国の総合緊急対策と連動して,市民・府民の皆様の生活を守る取組を進めていくところでございます。また,新型コロナなど喫緊の課題への的確な対応に加えまして,京都の明るい未来を切りひらくための取組が極めて重要であり,令和4年度は都市の成長戦略の基盤づくりの1年でもあります。時代の潮流を捉え,新たな価値を創造し,様々な社会的課題を解決していくためには,府市それぞれの役割分担の中で,効率的・効果的に連携し,互いの強みをいかすとともに,地域,企業,大学,文化団体などあらゆる主体の知見をしっかりと最大限にいかすことが必要であり,様々な京都の強みを掛け合わせ,府内で大きな役割を担う京都市が成長することが京都府全域の発展につながるものと確信いたしております。引き続き,西脇知事と共にオール京都体制で経済の再生,都市の成長戦略を着実に進めてまいる決意でございます。
○議長(田中明秀) 国本議員。 〔国本友利議員登壇〕
◆(国本友利議員) 次に,ウィズコロナ社会における京都観光の回復についてお伺いいたします。本市にとって観光は間違いなく大きな基幹産業であります。しかしながら,2年以上に及ぶ
新型コロナウイルス感染症の影響により,京都観光は大きなダメージを受けています。
新型コロナウイルス感染症の発生以前の京都観光は,外国人観光客の急増等により,一部の観光地の混雑や文化,習慣の違いによるマナー違反等の観光課題が発生し,市民生活にも影響を及ぼす事態が生じていました。こうした観光課題の解決に向けて取組を進めていた中,
新型コロナウイルス感染症の拡大により旅行需要が激減するなど,京都観光はかつて経験したことのない危機的な状況に陥っています。また,観光事業者のみならず,関連する産業や文化,芸術の関係者などに与えた影響も甚大で,観光がいかに京都の経済と雇用や地域文化の振興を支えていたかを改めて認識したところです。まん延防止等重点措置が解除されたこともあり,本年4月,5月においては全国的な観光需要の高まりから大きな人の動きがあり,本市においても観光客の皆様が多く帰ってきたことを実感いたしました。さらに,国においては外国人観光客の一部受入れ再開も検討されているとのことであります。今後,感染状況に十分注意を払いながら,ウィズコロナ,アフターコロナを前提に観光を力強く回復させていく必要性があります。 私は,令和3年4月に,ウィズコロナ・アフターコロナ社会における新しい観光のあり方に関する調査研究報告書を門川市長に提出いたしました。その中では,新しい生活様式に基づいた観光客,観光事業者の在り方,混雑を避けるための観光の分散化と量から質への転換,市民生活と調和した持続可能な観光の視点などに触れ,市民,観光事業者,観光関連従事者,そして観光客の在るべき姿を提言させていただきました。京都市においては,令和2年11月に京都市観光協会と共に京都観光モラル,令和3年3月には,京都観光振興計画2025を策定。その後,同年11月には新しい京都観光に向けた共同宣言を京都市,京都市観光協会ほか観光関連団体と共に発表されました。市民及び観光客の皆様の安心・安全の確保を図りながら,一刻も早く京都観光を回復させていくことが必要です。それに当たっては,かつて観光課題が発生していた
新型コロナウイルス感染症拡大以前の観光に戻すのではなく,観光客の皆様にも京都の魅力をしっかり味わっていただきながら,市民生活や地域文化をより重視し,市民の皆様がより豊かさを実感できる地域に貢献する観光を目指していく必要があります。観光事業者,従事者,観光客,市民の皆様がお互いに尊重し合い,思いを一つにし,掛け替えのない京都を未来へと引き継いでいくための取組が今後より一層求められます。これから観光客に選ばれる都市の要素として重要な指標は,感染症に対する安全性に加え,環境,SDGs,レジリエンスといったことであると考えます。今後,ウィズコロナを前提に京都市が観光地として全国,全世界の皆様に選ばれるためには,京都が感染症に対して,観光事業者と連携した取組を行っていくことはもちろんのこと,環境問題への対応やSDGsの達成への貢献も図りつつ,持続可能な観光を目指している都市であると認識していただくためのプロモーションを展開していくことが必要ではないでしょうか。 持続可能な観光都市であり続けるために,また,
新型コロナウイルスのダメージからの観光の回復を目指しての今後の取組についてお伺いいたします。 最後に,障害のある方の居住支援についてお伺いいたします。我々公明党京都市会議員団は,今まで,高齢者や障害のある方など住宅確保が困難な方への支援を一貫して求めるとともに,様々な提案をしてまいりました。私も,令和2年3月の予算特別委員会の総括質疑などにおいて,障害のある方の住宅確保,居住支援の充実強化を求めてまいりました。また,議員として高齢者,障害のある方から多くの御相談をいただき,その都度,個別に住まい探しのお手伝いをしてきたところです。本日は障害のある方の住まい探しの相談事例を御紹介させていただきます。その相談者は,エレベーターのないマンションの4階に住んでいましたが,人工股関節の手術をされ歩行に困難が生じたため,1階の物件を希望しているとのことでした。知り合いの不動産事業者に相談をしたところ,御希望の物件で空きがありましたが,これまで障害のある方の入居経験がなく御不安な様子でありました。そのような状況の中,今回のケースでは,居住支援法人が間に入り,居住支援法人が,契約者,緊急連絡先となり,その後の見守り支援も行うということで,結果,無事に入居することができました。このように居住支援法人が相談者,家主,不動産事業者の間に入り,それぞれの不安を解消することで相談者は入居できたことを大変喜ばれ,家主も安心しているとのことです。京都市では,高齢者の賃貸住宅への入居を支援する制度を実施されており,家主や不動産事業者にも浸透してきたと思います。しかしながら,今回,私自身が障害のある方から相談を受け,その方や不動産事業者から様々なお話を聞く中で,相談者,家主,不動産事業者がそれぞれの立場で不安を抱えており,社会的な障壁も含め,障害のある方の住まい探しの難しさを実感いたしました。不動産事業者は,障害のある方に紹介できる住宅を確保することに加え,あっせん事例も少なく,今回の事例のように,家主の障害のある方に対する不安もあり,入居可能な空き家,空き室があったとしても受入れをちゅうちょすることは当然のことと思います。こういうケースを解決する手法の一つとして,住宅
セーフティネット法で居住支援法人の指定制度が設けられたと理解しています。令和4年2月市会でも我が会派の
兵藤しんいち議員から質疑がありましたが,居住支援法人の活動が市民や不動産事業者,福祉関係者に十分に知られていないことが課題であると考えています。障害のある方が住まいを探される際に,家主や不動産事業者が居住支援法人という事業者があり緊急連絡先や見守りの支援などを受けられることが分かれば,家主が安心し入居につながるケースも増えるのではないでしょうか。また,障害のある方にとっても,そのような支援を受けられることで安心して生活ができると考えます。そのためには,京安心すまいセンターや京都市居住支援協議会から,家主や不動産事業者の皆様に居住支援法人の活動を幅広く周知していくべきと考えます。くわえて,障害のある方の住まい探しの課題に対し,住宅部局と福祉部局が連携を図りながら,障害のある方への理解の促進や,現在,高齢者を対象に実施している支援の仕組みと同様の仕組みを障害のある方にも検討していただきたいと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き,国本友利議員の御質問にお答えします。 京都観光の回復と今後の京都観光の在り方についてでございます。観光は,地域経済や雇用はもとより,地域固有の文化芸術を支え,地域経済を活性化させる市の成長戦略においても欠かすことのできない基幹産業であります。この間のコロナ禍を経験し,改めて京都における観光の重要性はもとより,様々な危機に対応し,安心・安全な観光へと進化させる必要性を深く認識したところであります。国本議員から提案も頂き,また御指摘のとおり,これからの京都観光は,様々なこれまでの観光課題を解決し,安心・安全を前提に市民の皆様の暮らしの豊かさの向上,地域や社会の課題解決に貢献する持続可能な観光を目指すことが重要であります。このため,これまで取り組んでまいりました時期,時間,場所,密の分散化,事前予約型の観光,さらにビッグデータやライブカメラなど先端技術を活用した混雑状況や快適度の発信などの一層の充実を図ることで,市民生活と調和し,安心して快適に観光できる,また質の高い観光の環境づくりに努めてまいります。また,京都観光に関わる全ての皆様がお互いを尊重し合い,京都が市民ぐるみで大切にしてきたものを,これからもしっかりと受け継いでいくために,京都観光モラルを策定し,さらに,昨年11月には,京都市観光協会,観光関係団体の皆様25団体と共に新しい京都観光に向けた共同宣言を行いました。引き続き,更なる京都観光モラルの普及・実践や市民の皆様の観光に対する共感の輪の拡大にも取り組んでまいります。観光は,市民の皆様の暮らしや人々の心,人生の豊かさを高めるだけでなく,相互交流を通じまして多様性を認め合い,包摂性を大切にする国際親善や平和にも貢献するものであります。今後,観光の力強い回復を図り,SDGsの達成への貢献,様々な危機や環境問題など社会課題の解決にも資する持続可能な観光を京都から実現し,国内外に発信してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕
◎副市長(鈴木章一郎) 障害者居住の支援についてでございます。本市では,いわゆる住宅
セーフティネット法に基づき,平成24年にいち早く不動産団体や福祉団体と共に居住支援協議会を立ち上げ,高齢であることを理由に入居を拒まない賃貸住宅を登録する本市独自のすこやか賃貸住宅制度を運用し,5,415戸が登録されています。現在,この制度を障害のある方向けに拡充するよう準備をしております。住宅部局と福祉部局が連携して作成した障害のある方の暮らしを紹介する動画を活用し,家主の不安の払拭に努めつつ,すこやか賃貸住宅のオーナーに直接御協力をお願いしてきた結果,大半の方に御理解をいただいております。この結果,6月中には,障害のある方の受入れを拒まないすこやか賃貸住宅をホームページで御紹介できるように取り組んでまいります。また,国本議員御紹介の,障害のある方等の住まい探しを支援する居住支援法人,現在,京都府内に23団体あり,高齢者や障害のある方の住まい探しに大変重要な役割を果たしていただいております。これらの法人同士の意見交換の場においても,御指摘をいただいたとおり,居住支援法人の役割や活動が広く市民に伝わっていないという課題をお聞きしております。このため,今後,本市が設けている京安心すまいセンターをはじめ京都府とも連携し,不動産事業者や保健福祉センターの窓口において,居住支援法人に関する情報を発信する等,あらゆる機会やチャネルを通じて,市民,事業者双方への周知を強化し,障害のある方等が安心して住まいを探せる環境づくりに,より一層努めてまいります。以上でございます。
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○副議長(吉田孝雄) 次に,市政一般について,
松田けい子議員に発言を許します。松田議員。 〔
松田けい子議員登壇(拍手)〕
◆(
松田けい子議員) 山科区選出の松田けい子でございます。国本友利議員に続き,公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに関係理事者におかれましては,未来をひらく希望ある答弁をお願いいたします。 初めに,物価高騰から市民生活を守り支える支援策の推進についてです。3年目に入ったコロナ禍の長期化,世界的な生産・物流など供給網の混乱による物資不足や物価上昇などにより,京都経済と市民生活は大きな打撃を受け続けてきました。こうした状況に,ロシアによるウクライナ侵略に伴う原油価格や食料品などの物価高騰,急激な円安が追打ちを掛けており,コロナ禍からの社会経済活動の再活性化に向けた動きが阻害されつつある状況です。公明党は,国民生活総点検運動を全国で展開し,物価高などに関する市民や事業者の現場の意見や要望をまとめて政府に緊急提言を行い,これら提言の多くが反映された総合緊急対策が決定したところです。今後具体化されていく同対策の中では,学校給食費等の家計負担軽減についても取組が進められていくこととなりました。 ここで1点要望いたします。これまでも本市は,地域公共交通の運行維持,確保について様々な支援を講じてこられたところですが,今般の物価高騰等を踏まえ,私の地元山科区小金塚地域の循環バスをはじめとするコミュニティバス等,地域住民の日常生活に不可欠なエッセンシャル・サービスへの更なる支援を求めるものです。 さて,私は,厳しい状況が続いている生活者を守り支えるための支援策が隅々にまで行き渡るように取り組むべきと考えます。コロナ禍における生活困窮者等の対策では,支援が必要な人に対する支援策の周知や相談窓口の情報,寄り添うサポートが重要であり,そうした点に配慮しながら当面の対策を講じるとともに,事態の長期化も見据えた中長期的な対策を状況の変化を見極めながら臨機に実施していくことが重要です。 そこで,お伺いいたします。コロナ禍に加え,物価高騰の影響が広範囲かつ長期に及ぶことが見込まれることから,生活困窮者等の個別の状況に寄り添った相談対応ときめ細やかな支援,それら支援策の周知徹底を求めるものです。さらに,生活にお困りの市民の多様なニーズに対応するため,関係機関や支援団体と連携して支援することを求めるものですが,これらに対する御所見をお聞かせください。 次に,グリーフケアについてお聞きします。グリーフとは,深い悲しみ,悲嘆,苦悩を示す言葉で,死別等により引き起こされる心身ともに不安定な状態のことであり,グリーフケアとは,そうしたつらい心情を理解し,回復へ寄り添い,サポートをすることです。事故や災害,病気など,死別の状況は様々ですが,大切な人を亡くした遺族や周囲の人々が抱えるグリーフは複雑で深いものです。さらに,長引くコロナ禍の中,亡くなられた方の遺族の中には,感染リスクのため病院や介護施設にお見舞いにも行けず最期を十分一緒に過ごせなかった,葬儀ができず亡くした実感が今も湧かないといった声が聞かれます。高齢化・核家族化等による社会の変化と共に,グリーフについての研究が進んできたこともあり,医療,葬祭といった分野や地方自治体などでグリーフケアの必要性が認識されるようになっています。ある団体では,遺族が家族の死去に伴い多岐にわたる手続を行う際,精神的に傷ついたり,ストレスを感じるような,配慮に欠けた言動を防ぐため,悲しみに寄り添い対応するための事例をまとめた手引書を作成しています。厚労省は,令和3年度,流産や死産など,子供を亡くした家族へのグリーフケアに関する調査研究を行い,小児及び産科医療機関のスタッフや自治体担当者のための支援の手引と,子供を亡くした家族に渡すための情報提供リーフレットを作成するなど支援体制の促進を図っています。また,グリーフケアを行っている団体の多くが,当事者同士が集い語り合うピアサポートや,オンラインによる相談会等,様々な取組を行っているところです。私は,グリーフケアの概念が広く知られ,誰かに支えてもらいたいと思っているグリーフを抱える人が,具体的な施策を通じて必要とするケアに確実につながる後押しをしなければならないと考えます。本市では,こころの健康増進センターにおいて,電話相談などを通じて支援を行っていますが,更に取組を進め,大切な人との死別の場面に立ち会うことになる病院や高齢者施設の職員はじめ,ファーストコンタクトとなるスタッフがグリーフケアに関する知識や情報を持ち,配慮のある適切な対応を行えるよう,グリーフケアに関するリーフレット等を作成のうえ,グリーフを抱える人に,本市をはじめ民間団体,支援者の行うグリーフケアの情報がしっかりと届くよう広く周知すべきと考えますがいかがでしょうか。 まずは,ここまでの質問について答弁をお願いいたします。
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
松田けい子議員の御質問にお答えいたします。 生活困窮者に対する支援等についてでございます。松田議員御指摘のとおり,生活にお困りの方への支援につきましては,不安を抱えた市民お一人お一人に寄り添った相談対応や支援策の周知により必要な方に迅速に支援が届くことが極めて重要であります。本市では,これまで生活にお困りの方に対して生活保護の適用はもとより生活困窮者自立支援金や住居確保給付金を支給するとともに,社会福祉協議会が実施している生活福祉資金特例貸付を御案内するなど本市の生活相談窓口におきまして,その方の状況を丁寧にお聞きし,きめ細やかな支援を行っているところであります。さらに,今般,政府において総合緊急対策がまとめられ,低所得の子育て世帯への給付金の支給や住民税非課税世帯等に対する給付金の対象拡充が示されており,迅速に着手してまいります。また,生活にお困りの方への支援につきましては,こうした公的支援のみならず,ホームレス支援やフードバンク,子ども食堂など民間支援団体の尊い御活躍によって支えられているところもあり,あらゆる方の生活不安に対応していくためには,それぞれの支援団体との連携強化にも取り組んでいく必要があり,更に強化してまいります。今後とも,コロナ禍や物価高騰の中にあっても,全ての市民の皆様が安心して暮らしていける社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。 以下,関係理事者から御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(三宅英知) グリーフケアの周知及び取組の推進についてでございます。病気や災害,事故などにより大切な方を亡くされた遺族が抱える大きな悲しみや心身の変化に寄り添い支援するグリーフケアは,遺族の方が日常生活を取り戻していただく上で非常に重要な取組であると認識しております。本市では,これまでから自死遺族などの相談窓口として,24時間365日対応の「きょうこころほっとでんわ」を設置し,悩みを傾聴するとともに,支援団体等につなげる取組を進めております。また,こころの健康増進センターだよりにグリーフケアの特集記事を掲載するなど,周知にも努めているところです。高齢化や核家族化が進展する中で,グリーフケアの重要性はますます高まっており,松田議員の御指摘を踏まえ,遺族の心身に起こり得る変化や相談先,周りの方々が配慮すべきことなどを掲載したグリーフケアに関する啓発リーフレットを新たに作成し,医療機関や高齢者施設などで活用していただき,遺族の心のケアにつなげてまいります。また,リーフレットを市民の方々が手に取りやすい区役所・支所などで配付するとともに,本市ホームページや市民しんぶんにも掲載するなど広く周知啓発を図り,グリーフケアが必要な方に確実に支援が届くよう更に取組を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(吉田孝雄) 松田議員。 〔
松田けい子議員登壇〕
◆(
松田けい子議員) 次に,子供のための文化芸術施策の推進についてお伺いいたします。京都は,日本の政治や文化の中心地として,1000年を超える歴史の中で,諸外国からの文化を取り入れるなど常に時代の変化に対応しながら日本文化の基本を形成してきた心のふるさとであり,新しい文化を創造し続けている都市です。こうした京都の文化力が大いに発揮され,人々に勇気と希望を与えていくことが,長期化するコロナ禍を乗り越えようとしている今,より一層期待されているのではないでしょうか。そしてその対象の中心に子供たちを据えることが,京都の文化を再認識し新たな文化を創造・継承し,京都の未来の創り手を育むことにつながると確信します。国立成育医療研究センターが,コロナ禍における子供と保護者の生活と健康について行った調査報告によると,中等度以上のうつ症状がある子供は16パーセント,約6人に一人の割合でいることが分かりました。長期化するコロナ禍が,教育のみならず,休息,余暇,遊び,文化的,芸術的生活への参加など子供たちを取り巻く環境,そしてその心にも様々な影響を与えていることから,文化芸術に触れることは,人間形成の基盤である心に潤いをもたらすという点からも重要だと考えます。私ども公明党京都市会議員団が取りまとめ,本年2月に市長に提出した,子ども未来創造都市・京都を目指してにおいて,子供の未来をどうすべきかをSDGsの観点から考察し,子供が豊かな文化芸術に触れる機会を提供するよう提言したのも,これらの主旨からです。 そこでお伺いいたします。この提言の趣旨を具体化するため,私は,本市が文化庁京都移転を契機に国や府,文化芸術団体と連携し,子供を優遇する形で文化芸術関連の施設開放や事業展開を更に進めながら,そうした情報を総合的に発信する子供向け文化芸術専用サイトを立ち上げ,地域別,また音楽や演劇,伝統芸能などの分野別に情報を分かりやすく整理するなど子供自身とその保護者が選択をしやすい工夫を凝らすとともに,子供たちが主体的に文化芸術に触れる機会を創出,提供する取組を行うよう求めるものですがいかがでしょうか。こうした取組は,京都文化の次世代継承のみならず,今後の国内外への発信にもつながっていくと期待いたします。くわえて,本市が実施している子供たちが文化芸術に触れる機会を創出する事業についても,コロナ禍でその機会が得られなかった子供たちがこの間多くいたことなども踏まえ,更なる充実を図るべきと考えますが御見解を伺います。 最後に,誰もが遊べるインクルーシブな公園遊具についてです。インクルーシブとは,全てを含むという意味で,インクルーシブな公園とは,障害のあるなしにかかわらず,あらゆる子供が一緒に遊べる公園のことです。例えば,車椅子でも利用できるスロープがある滑り台,体を固定して乗ることができるブランコ,車椅子に乗ったまま,友達と一緒に砂遊びができるテーブル,車椅子からの乗り移りがしやすい回転遊具といった遊具等が設置されています。公園でバリアなく交流をすることは,全ての子供の成長と発達を促すだけでなく,地域の人々の出会いや相互理解の機会を創出し,多様性が尊重されるインクルーシブな地域社会づくりにもつながり,公園が社会をインクルーシブに変える足掛かりになるのではないでしょうか。本市では,京都市緑の基本計画において,公園は,多世代の市民が利用し,地域コミュニティの核としての施設であるとされており,バリアフリー化など誰もが安心して安全に利用できるよう,整備,再整備を進めていくとされています。また,京の公園魅力向上指針において,公園の再整備や更新の時期を迎えた遊具の機能転換を実施しています。私は,これら指針に加え,求められる共生社会の実現や新たな発想・試みによる遊び場づくりの視点を備えたインクルーシブな公園を整備するためのガイドラインを策定すべきと考えます。ガイドラインには,整備に係る色々なケースや計画の手順をはじめ,遊具,施設整備の基本的な考え方,利用者が安全・安心に過ごせるための適切な管理運営の想定,さらに,よりよい施設となるように利用状況を調査するなど継続的な改善に向けた取組も必要です。また,その地域,公園の特色やニーズを把握することに加え,地域の多様な利用者や障害のある子供を育てる保護者の方々,団体等の支援・協力が重要と考えます。既に,インクルーシブな公園を整備している東京都では,「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドラインを策定し,市区町村とも連携しながら都内に拡充しています。 そこで,お伺いいたします。私は,インクルーシブな遊具を備えた公園は,各行政区において均等に配置されるべきと考えます。まずは,皿型のバスケットブランコ等,現在,市内4箇所にユニバーサルデザインの視点を取り入れた遊具が設置されていることの周知や遊び方を示した案内板等の設置,また,遊具を子供たちの目をひくような色に塗装するなど市民理解を深める取組が必要と考えますがいかがでしょうか。また,今後の公園遊具の更新や新規整備等に当たっては,インクルーシブな視点を盛り込むことを確かなものにするためのガイドラインを策定するよう求めるものですが,将来的な指針の改訂と併せ御所見をお聞かせください。 以上で,私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き,
松田けい子議員の御質問にお答えいたします。 子供のための文化芸術施策についてであります。長引く新型コロナの影響に加えまして,ウクライナへの軍事侵攻による過酷な状況と世界の分断が子供たちの心に及ぼす影響は極めて深刻であり,困難な社会状況の中で疲弊した子供たちの心のケアは大きな課題であると認識いたしております。こうした中,文化芸術には,感動や潤い,生きる喜びをもたらし,様々な違いを超えて心を通わせる力を人々や社会の中に育む効果があります。そのため,本年2月に公明党京都市会議員団から頂いた提言の趣旨も踏まえまして,子供たちが京都の豊かな文化芸術に触れる機会を創出することで,心の回復や生きる力の育みにいかす取組を一層重視し推進してまいる考えでございます。松田議員御指摘の子供に向けた効果的な情報発信につきましては,取組の推進につながる有効な御提案であり,現在開設いたしております京都文化芸術総合オフィシャルサイトを活用した子供向けサイトの設置等により情報の発信・充実に取り組んでまいります。また,子供たちが文化芸術に触れる小中学校での体験授業等につきましては,今年度,厳しい財政状況の中にありましても事業を拡充したところであり,さらに,京都市音楽芸術振興財団との連携により,メニュー及び機会の充実を図ってまいります。新・文化庁ともしっかりと連携し,文化でもって未来を担う子供たちの心豊かな成長をしっかりと支えてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○副議長(吉田孝雄) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕
◎副市長(鈴木章一郎) インクルーシブな公園遊具の整備についてでございます。本市では,これまでから幅広い世代の方々の憩いと潤いの場となる公園づくりを目指し,高齢の方にも御利用いただきやすい健康遊具をはじめ,皿型バスケットブランコや車椅子のまま利用できるテーブル型砂場といったユニバーサルデザインの視点を取り入れた遊具の設置などに取り組んでまいりました。松田議員御指摘のとおり,こうした遊具により障害の有無にかかわらず様々な子供たちが遊び,地域の皆様と出会い交流することは,多様性が尊重される社会に向けての重要なきっかけとなるものであります。このため,誰もが遊べる遊具の利用方法や設置している公園の紹介などの情報発信を積極的に行うとともに,遊具の遊び方を示す案内看板の設置などにも取り組んでまいります。さらに,あらゆる人を包摂し機会を提供するというインクルーシブの視点を盛り込んだ公園整備に取り組んでいる事例が,議員御紹介の東京都をはじめとして,近年広がりを見せつつあります。こうした取組なども参考に,専門家や関係団体の多様な御意見を伺いながら,遊具設置の在り方を含め指針の改訂も視野に,ユニバーサルとともにインクルーシブの考え方も踏まえ,公園整備の考え方の更なる進化についても検討を進め,実行できることから着実に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(吉田孝雄) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後2時57分散会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 田中明秀 副議長 吉田孝雄 署名議員 森田ゆみ子 同 神谷修平
△(イメージ)請願文書表「受理番号1127」「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准の要請」・陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号2909から3149まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施中止」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3150から3152まで」「現行の敬老乗車証制度の継続」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3153から3161まで」「敬老乗車証条例の一部改正条例の実施の撤回等」
△(イメージ)陳情文書表「受理番号3162」「北山エリア整備基本計画の見直し等」...