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05月21日-03号

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  1. 京都市議会 2021-05-21
    05月21日-03号


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    令和 3年  5月 定例会     令和3年     定例会       京都市会会議録第3号     5月市会                       令和3年5月21日(金曜日)出席議員(65名)   1番 森川 央議員   2番 神谷修平議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 田中明秀議員   9番 かまの敏徳議員  11番 小山田春樹議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 大津裕太議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方ひろゆき議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  41番 江村理紗議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 山本恵一議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  21番 森 かれん議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和3年5月21日(金)午前10時第1 陳情の回付   一般質問 (1)市政一般について  椋田隆知議員 (2)市政一般について  さくらい泰広議員 (3)市政一般について  平山たかお議員 (4)市政一般について  樋口英明議員 (5)市政一般について  ほり信子議員 (6)市政一般について  湯浅光彦議員 (7)市政一般について  兵藤しんいち議員 (8)市政一般について  山岸たかゆき議員 (9)市政一般について  神谷修平議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(田中明秀) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。平井良人議員小山田春樹議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 日程に入ります。 日程第1,陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情4件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,椋田隆知議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) 私は南区選出の椋田隆知でございます。同僚のさくらい泰広議員,平山たかお議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表し,市長並びに関係理事者に質問と提言をいたします。 世界中を恐怖と不安のどん底に陥れた新型コロナウイルス感染症によって多くの人々が亡くなられ,それ以上の方々が現在も闘病治療をされておられます。また,入院勧告の解除後も後遺症に苦しんでおられる方々も多々見分しております。改めて衷心より哀悼の意を表しますとともに,心からお見舞い申し上げます。また,最前線で献身的に立ち向かっていただいている医療従事者,保健所・医療衛生をはじめとする行政職員の皆さん,そして常に感染の危機にさらされながら社会を支えていただいている介護,保育等,福祉の従事者並びにエッセンシャルワーカーの皆さん,そして何よりも,緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置発出時において,不自由な生活を強いられながらも感染拡大防止のため御理解,御協力をいただいている市民,事業者の方々に心から感謝と敬意を申し上げます。 現在世界中が変異株によって新たな脅威に脅かされており,京都でも厳しい現状にあります。このような非常時にこそ求められるのが,ヒト,モノ,カネの集中と選択です。そのためには,政策の簡潔丁寧な説明と冷静で迅速な決断と実行が必要であると昨年の代表質問でも申し上げました。今まさしく最優先ですべき対応と共になすべきことは,この1年4箇月になろうとする京都市をはじめとする行政のコロナ対策の検証と今後の目標設定であります。当初,マスク,消毒液,非接触体温計,使い捨て手袋,防護服等の不足が深刻でありましたが,各方面の努力により現在は改善されてきております。では,今何が必要なのか。それは変わらず施策の集中と選択による感染拡大防止と,経済をはじめ日常生活の回復のため更なる取組,そしてその丁寧な説明です。保育の現場でも,丁寧な説明対応により保護者が納得されることで協力が得られています。長期にわたるコロナ禍で,市民,事業者は心身共に疲れ切っています。営業自粛,時短によって働く義務や意欲を奪われ,地域の企業,事業所は休業,廃業,倒産に追い込まれて,その従業員,職員は仕事を失い,セーフティネットで何とか生活をつないでおられる方々も少なくありません。協力金や各種補助,融資による公助が,他国に比べても多額の財源がつぎ込まれておりますが,全てが救済されるとは言いがたいのが事実です。財政が厳しい中,多種多様な施策が求められますが,ポイントは着手と到達の目標設定,そして的確な情報伝達であります。厳しい環境においても前に節々の出口が見えれば,一条の光明により次のステージに向かう力が出てくることもあります。 そこで,まず,取り組むべき医療ひっ迫を招かないための体制構築と,迅速かつ円滑なワクチン接種について質問します。変異株ウイルスによって乳幼児をはじめとする小さい人にも感染拡大が見られ,若年者が急変,重症化するなど,新たな局面において今まさに求められているのが,医療機関,関係団体との更なる連携強化であります。 一つ目は,症状により入院ベッドの確保と宿泊・自宅療養の的確なマッチングであります。先般,京都市においても自宅療養中の20歳代の方が亡くなりました。京都市は,従来から国基準の定義を超えて検査を行い,5月7日から濃厚接触者の範囲を拡大し,改めて明確化しております。しかしながら,この方は2日にPCR検査で陽性確認されましたが,基礎疾患がなく軽症のため,府の入院コントロールセンターに入院希望を伝え,医師の判断により自宅療養中でありました。その後4日の健康観察では,倦怠感の改善を自己申告していましたが,5日に知人が電話連絡不能により深夜119番に通報され,消防隊が出動,6日に搬送先の病院で死亡が確認されたとの報道がありました。このことからも,変異株は年齢や基礎疾患の有無にかかわらず,急変,重症化する可能性があり,入院とホテル・自宅療養の定義を見直す必要があります。また,行政と医療機関とのアナログペーパーでの連絡や,市が認定し府が措置決定するまでのタイムラグを早急に改善しなければなりません。特措法令等,制約や情報伝達共有の時間的遅れ,また住宅事情によって家庭内感染が起きているとも言えます。厳しい勤務状況にある医療施設や行政の現状も鑑み,ICTの更なる活用や民間の力を導入した早急な対応策が必要であります。 二つ目は,速やかなワクチン接種完了に向けた確実な供給体制と打ち手の確保であります。国においては,物流の確保や保存状況による接種時間の見直しが行われ,歯科医師による接種も可能になり,また薬剤師によるワクチン調整を行っている医療機関もあり,負担軽減も期待されます。今後行われる集団接種についても,会場の安心につながる感染対策も確実な体制が求められます。そして何よりも接種予約におけるエラーや混乱を避けなくてはなりません。 三つ目は,大切なワクチンを無駄にしない取組です。実施中の高齢者施設での取組に加え,地域において個別接種を行う約800の協力医療機関の所在地と市民の居住地の分布の違いによる数の差を埋めるため,キャンセル等の発生時に,翌日の接種予定者や接種券をお持ちの高齢者に声を掛けて接種するほか,近隣や関連の福祉施設,事業所の従事者等にも接種されることになりました。その際は速やかに連絡できるよう,リストの作成や声掛けがなされるようでありますが,施設,事業所の勤務体制を考慮した時間ごとのリストアップ等,確実な取組が必要です。以上3点の確実なオペレーションについて御所見をお聞かせください。 次に,コロナ禍における保育について質問します。このコロナ禍において,保育者は今まで以上の感染対策に忙殺されています。また長期間にわたる自粛による余暇の過ごし方の変化や,折角の少ない休暇における帰省も含めた移動制限によって,ストレスの増加等心身の疲弊は限界です。先ほど述べたように,事後も後遺症に苦悩している方もおられ,特別なケアも必要であり,保育体制維持のために医療機関での専門的対応を強く要望しておきます。園児において特に乳児は,愛着関係を築く掛け替えのない大切な時期にもかかわらず,子供によっては1年以上マスクを取った保育者の顔を知りません。私のお預かりしている保育園では,飛まつ,エアロゾルを考慮したうえで,TPOにマスクを使い分け保育をしていますが,今後感染状況に応じた対策の間違いのないガイドラインの裏付けが必要です。また,保護者においては家庭環境が多種多様であり,感染拡大防止のための人的交流の減少によって,コミュニケーションの欠如による孤立も危惧されております。保育園と家庭の信頼関係維持による子供の育ちの保障のための更なる取組が必要です。これらに対する御所見をお伺いします。 また,保育室,園舎等の衛生対策については,殺菌消毒が不可欠であり,空気感染の防止には換気や空間除菌が必要です。季節によってエアコンを使いますので,熱交換の観点も取り上げられるようになりました。昨今は,大手家電量販店において空間除菌ができるLED照明も導入されており,感染対策機器は日進月歩しています。また,エネルギー事情から蛍光灯照明機器の製造が終了し,今後LED等の照明に順次置き換えしなければならない時期が到来していますので,このような機器の導入を推進すべきです。衛生対策と省エネを両立できる機器導入について本市の現時点での考え方をお聞かせください。 次に,ハンディキャップをお持ちの方々の就労支援について質問します。御案内のように,観光関連産業は大打撃を受けており,お土産をはじめとする物品販売も激減しております。その余波を受けて商品包装の箱等を受注生産している施設の仕事もなくなり,それでなくても少ない収入は極めて厳しいことになっています。本市においては,財政が厳しい中においても支援を行ってきた歴史があり,今後は更なる支援が必要です。他都市においては,デザインを施設利用者に依頼し商品開発に取り組むなど,成果を挙げておられます。この度は,本市の施設利用者の方の作品も岩手県の作品展に出展されておられます。近年は産福・農福連携が推進され,東京の有名老舗のネクタイやアート作品,看板等のデザインの実績も重ねておられます。(実物を示す)このようなネクタイです。提案として,本市においても,西陣織や京友禅等の伝統産業とコラボレーションができる可能性があると考えます。本市の実績を踏まえた更なる支援と新たな取組についてお考えをお聞かせください。 今般のコロナ禍や大災害によって心や体が疲れているとき,何よりも必要なのが音楽やスポーツをはじめとする文化芸術の持つ力です。私見でありますが,間近に予定されている2020東京オリンピック・パラリンピックがその第一歩であると考えます。さきの大戦で疲弊し切った我が国が,持ち前の伝統的規範によって前代未聞の発展を遂げている最中,昭和34,1959年,IOC総会で平沢和重氏が東京招致の演説を行った際,当時の小学校国語教科書6年下の五輪の旗を読んでアピールしました。その一節,全ての選手が,同じ規則に従い,同じ条件のもとに,力を競うのです。遠く離れた国々の人々が,勝利を争いながら,仲良く親しみ合うのです。この内容が決め手となり,昭和39,1964年の開催地は東京に決まりました。現在においても今なお紛争,貧困,分断等を抱えておりますが,平和の祭典こそが,コロナ禍を含めた危機を市民,国民,世界と共に乗り越えるきっかけになると私は信じております。 そこでお尋ねいたします。この度の聖火リレーの代替催しが,京都府においては人口第一の京都市で開催できないことは,都道府県単位で行われることをはじめとする制度や執行組織のルールによるものでありますが,悔しさと悲しみを覚えます。これは,3密の回避を前提とした対策が最優先され,それ以外にできる対策とのバランスやエビデンスの不足があると考えます。文化芸術の持つ力によって市民の心を癒やすことの重要性において,先ほどのことも教訓とし,以上のような制度の矛盾と情報収集の甘さを克服するため,本市においてはあらゆる権能を行使し,るる申し上げたコロナ対策を検証,総括したうえで,市民の納得と日常回復のため,市長の今後の目標設定と決意をお聞かせください。 次に,市バスについて質問します。市民の暮らしに不可欠な公営交通である身近な市バスも,コロナ禍によって厳しい経営状況にあります。山科区における共同運行の検討も始まり,明るい話題もありますが,管理の受委託の撤退,縮小によって経費の増大も重なり,今後は新たな視点を持ち回復を見据えた対策が求められます。一つ一つ大きな経費を必要としない取組をすべきと考えます。提案として,感染予防のため今は利用を控えている最前列の座席を新型車両のように手荷物等を置けるスペースとして活用することです。書類上の変更手続が必要であることは存じておりますが,現在の入洛客激減による車両ローテーションの余裕や毎年の車検の機会も使えば検討できると考えます。今後望まれる旅客数の回復と感染予防を踏まえた取組の一つとして考え方をお尋ねいたします。 次に,新しい生活様式におけるジェンダーや働き方などの多様性の在り方について質問します。昨今ダイバーシティという言葉をよく耳にすることになりました。そもそもこれはグローバル化する世界において,人種,性別をはじめ,自分ではどうにもしがたいことの違いを認め合い,外面の属性と内面の属性にかかわらず,それぞれの個を尊重し,いかすことです。しかしながら,生活の場ではそれぞれの歴史や伝統があり,簡単には変えがたい価値観が規準や規範となっています。それが現行の様々な制度に反映され,その矛盾の克服が問われています。本市においても,パートナーシップの導入など取組が行われており,LGBTQ+が認められつつあります。また,看護師や保育士のように性別に捕らわれない資格や職業としての呼称も定着しており,今週はJリーグで初めて女性が主審として笛を吹きました。しかしながら,男女雇用機会均等法が施行され久しいことでありながら,今でも管理職や議員の男女比率が諸外国と比較されており,それらの割合についても次のステップの必要性が問われてくることではあります。いずれにしても,ダイバーシティの基本は賛成も反対も立場を超えて認め合うのが大前提であります。御所見をお伺いします。 また同様に,今後,本市においても働き方改革が求められ,ウィズコロナ社会ではリモートワークが推進されており,本市においても,ICTを活用した取組の実績が上がってきております。一例として,人的作業時間が95.8パーセント削減できている事務事業があり,例えば,産休・育休中の職員が在宅で行える仕事も精査すれば一層の効率化が望めます。一方,リモートワークでは成立しない職分があることを踏まえ,今後の働き方についても御所見をお伺いします。 最後に,京都市役所の構造改革における消防体制の今後の在り方について質問します。本市の消防体制は,消防,救急,救助,予防等,他都市に先んじて優秀な組織により運営されております。火災発生件数の少なさ,救急車の通報から到着までの到着時間の短さは評定,評価共高く,市民をはじめ入洛客の安心安全を保障しています。消防車両や装備も充実し,吏員の軽量化された新規格のヘルメットは大規模他都市に先んじて導入されています。また,狭い道でも活用できる,迅速な消火に当たれる新型水槽付きはしご車MVFが導入され,今年度配備予定のローゼンバウアー社製はしご車は,先端バスケットに直接担架を乗せることができ,定員も増えるなど迅速な救命救助にも活躍が期待されており,貴重な財源が市民のために有効活用されています。このように安心安全をしっかり充実させる一方で,今後は京都市の財政危機を踏まえた消防体制も考えていかなければなりません。審議会では,消防の人員体制について種々御意見がありました。人口100万人以上の政令指定都市のうち2交替制が8市あり,3交替制は本市を含む3市であります。また,2交替制は3交替制よりも少ない人員で維持できると言われております。職員削減は,消防指令センターの共同運用をはじめ広域化によって見込めることもあり,このことも含め今後検討が必要であります。そこで重要な視点は,3交替制が導入された平成5年以前の2交替制と単に同じではなく,平成7年の阪神・淡路大震災や平成23年の東日本大震災をはじめとする大規模災害の教訓もいかした災害対応体制の維持が重要です。市民の安心安全と職員の負担を考慮した新たな2交替制の導入について,今後の姿勢と検討についてお答えください。 政治や政策は結果責任が宿命であります。地域自治体においては二元代表制,すなわち行政と議会は爽やかな緊張関係を保ち,議論を重ね,是々非々で施策を実行することが基本であります。そして議会の役割,議員の仕事は,市長をはじめ行政の施策立案・執行に対して,点検,監視,評価,提言を行うことであります。我が国では自由民主制の下,公共の福祉と人権の尊重とのバランスが最重要であり,強制力を伴う施策は困難であります。また丁寧な公論が尊重され,手続に時間が掛かります。賛成もあれば反対もあり,多種多様な異なる意見がある中,利害得失,制約の中で結論を出さなければなりません。早期のコロナ禍からの脱却と京都市財政の正常化を願い,何より少しでも不公平感を解消できるよう努め,不平不満のない平穏な市民生活の向上のために,福祉と教育の充実発展,更なる防犯,防災,健康が保障される安心・安全都市を目指し,元気で優しい,ひとづくり,まちづくりに全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ,以上,田中明秀第85代市会議長の下で初めての代表質問といたします。今後とも市民の皆様方には,引き続き御理解と御協力を賜らなければなりませんが,共に御辛抱いただき,この苦難を引き受け乗り越えてまいりましょう。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 椋田隆知議員の御質問にお答えいたします。 まず,新型コロナ対策,命と健康,暮らしを守る取組についてでございます。緊急事態宣言の下,人の流れは減少しており,市民の皆様に感謝申し上げます。 まず,医療や療養体制についてでございます。入院や宿泊療養施設の調整は,京都府入院医療コントロールセンターと連携して対応しておりますが,自宅療養中の20代の男性が亡くなられたことを大きな教訓として,コントロールセンターと保健所との連携を更に緊密にし,入院が直ちにできない場合は宿泊療養施設の利用を徹底してまいります。また,本人の御希望等やむを得ず自宅療養となる方につきましては,訪問診療や陽性者外来の活用に加えまして,毎日の健康観察でもし連絡が付かない方につきましては,速やかな自宅訪問などの対応を徹底してまいります。 次に,ワクチン接種につきましては,65歳以上の希望される全ての高齢者の接種を7月中に確実に完了させます。そのため,京都府医師会,地区医師会等と連携し,個別接種と集団接種の拡充を図ります。まず個別接種につきましては,協力医療機関数の拡充を図ります。また,集団接種につきましては,各区・支所ごとの14会場での実施回数の増,イオンモールKYOTO,西陣織会館での平日における集団接種の新たな実施,京都工場保健会京都予防医学センターによる接種の継続に加えまして,土曜日,日曜日など休診日における医療機関での集団接種を実施し,これら集団接種の拡充に合わせ個別接種の医療協力機関,診療所や病院の名前を6月1日に公表いたします。また,土曜,日曜の休診に,そのときに接種いただく,御協力いただく医療機関に対しては,本市が予約を受け付けるなど新たな仕組みを設けまして,負担軽減を図り支援してまいります。ワクチンを無駄にしない対応は,各医療機関の取組に加えまして,地域で福祉活動に携わる方々が駆け付けていただける仕組みを構築しております。今後も,高齢者への7月中の確実な接種を進めますとともに,全ての対象者の速やかな接種の完了に向けまして,続く16歳以上の希望される方々への接種体制の構築にも全力を挙げてまいります。あわせまして,ワクチン接種を担当する本市の体制につきましても強化してまいります。 次に,障害のある方に対する就労支援についてでございます。障害のある方の就労支援は,社会参加と経済的自立の観点から大変重要でございます。このため危機的な財政状況の中にありましても,各局・区の創意工夫により工賃の向上等を目指しまして,障害者就労支援施設等からの優先調達につきまして,今年度は過去最大の3億1,450万円の目標達成に向けて取り組んでおります。また,京都ならではの就労支援といたしまして,西陣織や京鹿の子絞りなど四つの伝統産業におきまして,障害のある方と事業者とのマッチングを行うとともに,西陣織製作工程の一つを担う障害者就労支援施設の定員増に対する整備助成を行うなど就労機会を創出してまいりました。椋田議員の御指摘も踏まえまして,今後とも,京都らしい分野での工賃の向上や就労機会の創出に向けまして,伝統産業をはじめとする事業者や福祉施設等の皆さんとしっかりと連携して取り組んでまいります。 次に,コロナ禍におけるスポーツ,文化についてであります。聖火リレーにつきましては,市民の皆様がオリンピックを身近に体感でき,スポーツの力を再認識していただく貴重な機会であります。コロナ禍においても,安心安全を確保しつつ聖火をつないでいきたいとの思いから,二条城の活用を検討し,府,組織委員会とも協議を重ねてまいりましたが,緊急事態宣言の中,誠に残念でありましたが,京都府内で統一して実施されることになりました。スポーツや文化は,人々が生きていく上で必要な希望や活力を生み,困難に際して,人々が対立し合うのではなく心を一つにする効果をもたらす必要不可欠なものであると認識いたしております。多くの皆様にスポーツや文化の喜びを感じていただくため,オンライン活用など新たな試みにも取り組むなど,ウィズコロナ社会における持続可能なスポーツや文化の振興の在り方を追求してまいります。 次に,本市職員の働き方改革についてでございます。本市では,これまでから,時間外勤務の縮減やテレワーク及び時差出勤等の柔軟な働き方の実現など,全庁挙げて働き方改革に取り組んでまいりました。とりわけICTを活用した業務改善に取り組んでおり,昨年度,定型的な作業を自動化するRPA,ロボティック・プロセス・オートメーションを14業務で導入し,椋田議員御紹介のとおり,最大で95.8パーセント,平均すると約6割,人による作業を削減できました。また,窓口での相談や受付業務など,テレワークの導入が困難な業務につきましては,手続のオンライン化など周辺領域でのデジタル化を推進することにより,業務の効率化に努めてまいります。今後とも,引き続き,最新のICTを積極的に活用するなど生産性を向上させるとともに,多様で柔軟な働き方を推進し,職員が意欲,能力,可能性を最大限に発揮できる働き方改革を推進してまいります。 次に,今後の消防体制の在り方についてでございます。本市では,市民の皆様の安心安全の確保を最優先に取り組んできた結果,例えば救急出動件数が増加する中においても,救急車の現場到着時間につきまして,全国平均8分台より2分早い6分台を維持し,また,地震や近年多発する水災害などの自然災害についても適切に対応してまいりました。椋田議員御提案のとおり,今後もあらゆる災害により一層的確に対応できるよう,消防隊,救急隊の迅速な増強や柔軟な編成を機動的に行うとともに,職員の負担に配慮し,モチベーションの更なる向上につなげるなど,働き方改革を推進できる新たな2交替制の導入も含め,消防職員の効率的な勤務体制について検討してまいります。さらに,消防指令センターの共同運用など広域的な連携,協力の検討も含め,大規模災害にも適切に対応していくと同時に,京都市持続可能な行財政審議会の答申において示された本市の厳しい財政状況も踏まえた京都ならではの新しい消防体制の構築につきまして,未来志向で積極的に取り組んでまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 新型コロナの収束を見据えた市バスの取組についてでございます。車両最前列の座席を廃止し荷物置き場のスペースとして活用することは,感染症対策の観点から効果があり,また,当該座席の位置から御利用の際の事故を防ぐ観点からも有効であると認識をしております。こうした点から,令和2年度に新たに導入した車両については,最前列の座席を荷物置き場に変更し,運転手及びお客様相互の感染予防と安心安全の確保を図っており,今後も同じタイプの車両を導入する方針といたしております。既存バス車両の改良につきましては,費用や車両の運用面の課題があることから,まずは,今後の車両の更新の際に最前列の座席を荷物置き場に変更してまいりますが,御指摘をいただきました少ない経費でできるお客様の回復を見据えた取組につきまして,引き続き広く検討をしてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) 私からは2点についてお答えをいたします。コロナ禍における保育環境の整備についてでございます。 初めに,感染症対策を徹底しつつ,子供の健やかな学び,育ちに取り組んでいただいている関係者の皆様に心から御礼申し上げます。 本市では,昨年3月以降,感染拡大防止に係る物品などの購入費用への補助制度の創設や,多くの市民や企業の皆様から頂いた御寄付を基に,本市独自の支え合い支援金の支給など,子育て支援の第一線で御尽力いただいている皆様を支える取組を実施してまいりました。今年度も同様に,実施する物品購入などの補助制度の中で,椋田議員御指摘の衛生対策と省エネが両立できる機器について,その効果も含め,国とも相談しながら対応を検討してまいります。また,ガイドラインなど更なる取組につきましては,現在感染力の強い変異株が猛威を振るっていることなども踏まえまして,まずは感染状況に応じた対策を徹底し,専門的知見や国の動きなどを見極めつつ検討してまいります。 次に,ダイバーシティ,いわゆる多様性についてでございます。性別,年齢,国籍などにかかわらず,誰もが個人として尊重され,多様性を認め合うダイバーシティの推進は,本市が目指す共生社会の実現,ひいては広く社会全体の持続可能な発展にもつながるものと認識をしております。本市の長い歴史の中で培われた地域力,文化力をいかしながら,暮らしや働き方の変化,価値観の多様化に対応していくことは,SDGsが掲げる誰一人取り残さない社会を実現する取組と軌を一にするものであります。はばたけ未来へ!京プラン2025京都市基本計画では,多様な考え方や生き方が迎え入れられ,個性と能力を発揮でき,一人一人が尊重される共生社会を目指すことを掲げており,今後とも市民の皆様と共に,誰一人取り残さない多様性を認め合う包摂性のある社会の実現に向けて取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,さくらい泰広議員に発言を許します。さくらい議員。 〔さくらい泰広議員登壇(拍手)〕 ◆(さくらい泰広議員) おはようございます。左京区より京都市会に送っていただいております自民党のさくらい泰広でございます。私に今日の質問の機会をお与えいただいた先輩・同僚議員の皆様に感謝し,椋田隆知議員,平山たかお議員と共に会派を代表し,門川市長に質問をさせていただきます。 さて,振り返りますと,昨年1月30日,本市で初めての新型コロナウイルスの感染者が確認され,以来今日まで,極めて残念ですが1万人を超える方が感染し,昨日まで130人の方が尊い命をなくされました。改めてお亡くなりになられた方に哀悼の意を表し,療養されている方の一日も早い御回復をお祈りいたします。また,この間,医療関係者の皆様,市長をはじめ行政の皆様や市民の皆様など,それぞれの献身的な御対応に深く敬意を表する次第です。 まず,アフターコロナを見据えた市政運営について質問します。新型コロナウイルスによるパンデミックは,全世界に大きな被害をもたらしました。国際的な文化都市であり,伝統とものづくり産業のまちである本市においても,多くの市民の皆様,事業者の皆様がコロナ禍の厳しい生活を送られています。このような状況にあって,本市においては,徹底した府市協調の下で医療機関の支援や経済の下支えなどの対策に適宜取り組まれていますが,特に,今後滞りなくワクチン接種を行っていくことをはじめとして,引き続き必要な対策を間断なく進めることを強く要望します。 コロナ禍は,世界中にパラダイムシフト,つまり私たちが当然のことと考えていた認識,社会全体の価値観や思想の変化をもたらしつつあります。例えばオンラインによるコミュニケーションは飛躍的に増加し,仕事や学業のみならず様々なことがオンラインで行われるようになりました。私たちの日々の暮らしは,コロナ前と大きく変わりつつある中で,本市においてもその変化を確実に捉えなければなりません。こうした極めて重要な時期に策定された,はばたけ未来へ!京プラン2025京都市基本計画は,京都市基本構想の総仕上げとなるこれからの5年間の羅針盤とも言える極めて大切な計画です。私は,先の2月市会の基本計画審査特別委員会の市長総括質疑において,本市の全ての政策の基本である世界文化自由都市宣言を踏まえて,厳しい状況であるからこそ原点に返ることが大事であると申し上げました。江戸時代から明治維新になって,京都は人口が激減するなど都市存亡の危機に見舞われましたが,そこからしなやかに復興を遂げました。正に当時の京都はレジリエント・シティでした。その原動力となったのは,紛れもなく町衆の力,市民力であり,地域力であり,悠久の歴史の中で創造された文化力であったと私は考えます。 コロナ禍の京都は今,伝統行事である葵祭や山鉾巡行,時代祭,五山の送り火,地蔵盆などが,また,市民力,地域力の結集とも言える地域の運動会や消防団活動,自治会活動などが,残念ながら昨年度からは縮小,中止,自粛となっています。そのような状況が続いているからこそ,いま一度原点に立ち返り,いかにして人と人とのきずなを保つのか,これが大きな課題です。デジタル化,グローバル化の取組など,時代の変化への対応も着実に進めていかなければなりませんが,同時に,本市がこれまで大切にしてきた人と人とのきずなのあかしである市民力,地域力をどのように位置付け,進化させていくのか,今は明治維新と同じく,未来への黎明にあるものと前向きに捉え,アフターコロナを見据えた市政運営について市長の決意を伺います。 次に,災害対策について2点質問いたします。市民の皆様,特に本日は御安全にお過ごしいただきたいと思います。最初に,近年激甚化する気象災害に関して,災害に強い森林整備の取組について伺います。御承知のとおり,山間部の森林の保水力は,土砂災害や洪水被害を緩和する防災機能があり,私たち京都市民は,その防災面での恩恵を鴨川,高野川,桂川のいわゆる淀川水系の上流域に位置する本市の山間地域に広がる森林から享受しています。平成30年の台風21号では,このエリアの森林が甚大な倒木被害を受け,下流域にも大量の土砂や倒木が流入しました。今日に至るまでの間,森林組合,林業者,行政の連携による取組の結果,この倒木被害の復旧は進んでいますが,奥地にはまだまだ手付かずの所も残っています。また,鉄道や道路沿い等の重要インフラ施設沿いや民家の裏山などにも手入れがされずに放置された森林もあり,いつ,どこで被害が起っても不思議ではない状況です。実際に,昨年7月には,西日本に居座った線状降水帯によりもたらされた豪雨によって,国道162号線や雲ケ畑街道,鞍馬街道などの道路沿いで山腹崩壊が発生し,道路が一時通行止めになりました。さらに,叡山電鉄沿いで発生した山腹崩壊では,土砂が線路を塞ぎ,現在も復旧作業中であり,地域の大切な公共交通である叡電は,市原駅と鞍馬駅の間で運休しており,市民生活にも大きな影響が出ています。本市の財政は非常事態であることは十分に認識していますが,自然災害が激甚化する現状,放置されたままの森林は保水力も低下し,災害発生の危険性が高まります。そして,一度災害が発生すると,市民生活への大きな影響が生じるとともに,復旧に多額の税金が必要となります。そうならないように事前防災という視点に立って,森林を常に健全な状態に整備することが,結果として費用も抑えることができると考えます。 そこで,私は昨年2月の市会本会議において,国,京都府,京都市,インフラ施設管理者が連携して左京区鞍馬地区の叡山電鉄沿いで,倒木の未然防止対策を目的とした森林整備を行うスキーム,いわゆる鞍馬プランの積極的な活用を提言させていただき,日本で初めてその事業が実施されましたが,その進捗状況はいかがでしょうか。さらに,このスキームを含めて森林に関する自然災害の未然防止策について,林野庁や京都府との連携が一層必要であり,早期の対応が求められると考えますが,今後の取組の方向性をお答えください。 災害対策に関してもう一点,橋りょうの健全化について伺います。平成23年3月11日に発生した東日本大震災から今年で丁度10年が経過しました。今後30年以内に70パーセントから80パーセントの確率で発生が予想される南海トラフ地震や,滋賀県高島市から左京区,そして市内を経由し宇治市に至る花折断層を震源とする内陸型地震など,大規模な被害が想定される地震の発生が懸念されています。日常生活はもとより,災害発生時の避難ルートや救援車両等の通行確保のための重要インフラである橋りょうの耐震補強などの防災・減災対策は極めて重要です。くわえて,本市が管理する約2,900橋の橋りょうは,高度経済成長期や第二次世界大戦以前に建設されたものが多く,建設後50年を経過した橋りょうの割合は現時点で45パーセント程度,20年後には8割を超える見込みであり,橋りょうの老朽化は大きな課題です。本市の財政状況は危機的な状況にありますが,市民の皆さんの命と日々の暮らしを守るためには,橋りょう健全化の取組を着実に進めなければなりません。今日まで,重要橋りょうの耐震化と本市が管理する橋の老朽化対策は,今年度末までの10年間で合わせて88橋を目標にし,現在75橋が完了していますが,この事業を進めてきた中で見えてきた課題は何か,それを踏まえて,本市が財政危機に直面する状況にあっても,国費をしっかりと獲得して,残る10年間での対策の完了に向けて今後のプログラムをいかに進めるのか決意をお答えください。 次に,本市の学校教育の今後の展望について伺います。現在,本市のみならず全国的にも学校教育は新型コロナウイルス感染症の拡大により,かつて経験したことのない大きな影響を受け非常に厳しい状況です。本市においても,昨年は3月から年度をまたいで5月までの3箇月間に及ぶ全市一斉休校を経験し,更に3度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間も含めて,感染拡大防止のために多岐にわたり教育活動に様々な制約が加えられています。いかにして子供たちの豊かな学び,健やかな育ちを保障するのか。このことについては学校,教育委員会,保護者にとって,それぞれの立場の大きな課題であると考えます。御承知のとおり,令和の新しい教育は,本市の教育理念も反映された新学習指導要領の全面実施を目前に控え,子供たちが主体的な学びを通して刻一刻と変化する社会や予測困難な未来においても,たくましく生きていくための確かな力を育む教育は,いかにあるべきかということに大きな注目が集まっていました。そして令和2年度より,小学校を皮切りに新学習指導要領が順次実施されていますが,この中で目指している子供たちに身に着けさせる力こそ,正にコロナ禍やアフターコロナを生き抜くために必要な力であると考えます。そのためにもGIGAスクール構想の下で,一人1台のパソコン端末の最大限の活用や,少人数学級を推進することにより,きめ細かな指導体制を確立していくことは極めて重要です。 そして,特に私が申し上げたいのは,家庭の経済格差が子供たちの学力にも影響すると指摘される中で,生まれ育った環境や現在の境遇に左右されることなく,子供の可能性を最大限に伸ばすことができる教育の環境を整えること,インクルーシブ教育の視点から,可能な限り障害を持つ児童や生徒が,障害を持たない児童や生徒と共に学ぶことができるように合理的な配慮がなされること,日本語指導の必要な子供や学校へ登校できない子供など,困りを抱える子供たちへの支援を行うことなど,誰一人取り残さない教育の実践こそ今求められる最優先課題であると考えます。コロナ禍によるパラダイムシフトが起こりつつある中で,今後を見据え,子供たちに生き抜く力をどのように身に着けさせるのか。また,様々なハンディキャップや困りを抱える子供をいかにして大切にする教育を実践するのか。この度,在田前教育長の後を受けて就任された稲田新教育長に,これらの2点についての決意を伺います。 次に,学童クラブ事業の在り方について質問します。先日,保育所等での8年連続,学童クラブ事業での10年連続待機児童ゼロが発表されました。コロナと財政危機という二つの危機にある中で,待機児童ゼロという公約を連続して達成されたことは一定評価をさせていただきます。また,市長の公約では,待機児童ゼロの継続と共に,多様な保育サービスの充実や担い手の確保など,保育の質と量を充実させることや全小学校区での学童クラブ機能確保が掲げられています。コロナ禍にあっては,保育園の存在に加えて学童クラブについても,社会的な立ち位置の重要性が改めて認識されたのではないでしょうか。特に,昨年3月から年度をまたぎ5月まで小学校が一斉休校となった際には,学童クラブが,エッセンシャルワーカーなどの親を持つ児童の受け皿,居場所としての大切な機能であることが再認識されたと考えます。このような状況も考慮し,本市の全小学校区での学童クラブ機能確保に向けて,昨年度は我が会派が強く求め,地域の皆さんが主体となって朱雀第一小学校区での取組が進められました。このように,今日,学童クラブ機能の重要性や社会的認知度が高まる中で,様々な既存資源を活用しながら,速やかに全小学校区での設置に向けた取組を進めていく必要があり,特に本市の山間地域においては,これまで学童クラブの整備が後れていたという課題があります。学童クラブ未設置学区,特に過疎化,少子化対策にも寄与する山間地域の学童クラブの機能確保についての考えを伺います。 最後に,地元の要望をさせていただきます。昨年2月の代表質疑でも要望しましたが,私の地元の岩倉地域の長年の懸案である地下鉄国際会館駅前の一般車両の駐停車場所の整備について,昨年11月,岩倉南学区,岩倉北学区,明徳学区の自治会長さんが御来庁され,建設局の担当局長に対して,門川市長宛の要望書を提出され,私も同席いたしました。地下鉄国際会館駅は,京都市の最北部の公共交通の拠点であり,人口約2万8,000人を擁する岩倉3学区の住民の皆様をはじめ多くの皆さんも利用されていますが,一般車両の駐停車場所はなく,路上駐車により危険が生じており早急な対応が必要です。建設局において,昨年度現地を調査され,その結果を踏まえて,今後車両に対する啓発等について検討するとの回答でしたが,地域としては,駐車スペースを設置することを前提とした抜本的な改善を望んでおられ,私もその必要があると考えます。本市の観光MICE戦略の一環として,国に対し,国立京都国際会館に5,000人規模のホールの拡充を要望され,令和3年度,調査費や設計費が計上され計画が進んでいると伺っており,それを踏まえた駅前の総合的な整備も必要不可欠であり,是非実現していただくことを強く要望させていただきます。 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) さくらい泰広議員の御質問にお答えいたします。 アフターコロナを見据えた市政運営でございます。20年前に策定した京都市基本構想は,産業,観光の伸び悩み,文化の創造力と発信力の低下など当時の深刻な課題が書かれる一方,目利きやたくみの文化など,京都人が千年を超えて大切にしてきた得意技をいかしたときに道は開かれると示されております。この間,京都のまちの魅力が大きく向上し,国内外から高い評価をいただいてきていますのも,小さな東京にはならないと覚悟を決め,挑戦と改革を進めてきた結果であり,正に市民力,地域力の賜物であります。コロナ禍と財政危機,直面する二つの危機を乗り越え,この魅力ある京都を次の世代へ引き継いでいく。これは京都の今と未来に責任を持つ我々の使命でございます。そのためにも,今進めている行財政改革は不可欠であり,市会の先生方としっかりと議論を深め,市民や関係者の皆様にも丁寧に説明し,不退転の決意で進めてまいります。 さくらい議員御指摘のとおり,社会経済情勢や人の価値観が大きく変化する今,我々は新たな時代へのれい明期に立っております。この機を的確に捉え,誰一人取り残さないSDGsの理念の下,京都のまちが育んできた多様性と包摂性を更に高めていくことが重要であります。ICTを活用した地域コミュニティの活性化や,新しい生活スタイルに対応した多様な働き方,学び方を一層進める。世界中から集まったクリエイティブな人々と京都の大学や地域企業がつながり,スタートアップ拠点都市を実現する。さらには,基本計画の実現に主体的に取り組んでおられるU35KYOTOなどの若者や学生の皆さんと連携し,社会課題を解決するソーシャルイノベーションを生み出す。こうした取組を進めることで,京都の最大の強みである市民力,地域力が一層いかされるまちづくりを前進させてまいります。まずは,目の前の大きな危機を全力で乗り越える。そして基本計画に掲げた京都の未来像の実現を目指す,そのために市民の皆様と共に誠心誠意覚悟を決めて取り組んでまいります。 次に,災害に強い森林の整備でございます。昨夜,京都市において大雨洪水警報が発令され,早朝,土砂災害警戒情報が発表され,現在,地域と共に万全の体制で取り組んでおるところでございます。さて,近年大型台風や豪雨等が頻繁に発生する中,手入れが行き届いてない人工林を中心に,毎年のように大規模な強風による倒木や山腹の崩壊等が発生するという深刻な事態に危機感を強めております。さくらい議員御指摘のとおり,災害から市民の皆様の命と生活を守ることは最優先の課題であり,また,災害が起こってから復旧するのではなく,予防に重点を置くことが税の有効活用にもつながることから,鉄道の線路や電線,民家等に近い危険木を伐採し,風で倒れにくい樹種を植え替えていく,こういった取組を進めております。災害の未然防止に取り組むことは,極めて重要であると認識しております。こうした考え方の下に,昨年国で制度化されました重要インフラ施設周辺森林整備事業を積極的に活用し,森林所有者,叡山電鉄,地元自治会,本市が協定を結び,全国の先駆けとなるいわゆる鞍馬プランに取り組んでまいりました。本事業は既に叡電鞍馬線沿いの二ノ瀬付近の森林約1.2ヘクタールの整備を完了し,今年度も隣接する森林の早期の整備に向けまして国と協議等を精力的に進めております。 次に,更なる未然防止策と今後の方向性でございます。この国,府,市,インフラ施設管理者が連携して進める重要インフラ施設周辺森林整備事業の拡大実施につきまして,実態に応じた補助の拡充等を国や府に要請してまいります。同時に,災害の未然防止対策はもとより,木の文化の継承,発展と森林の多面的機能を最大限に発揮させるために,本年4月に木の文化・森林政策監を設置したところであり,副市長をトップとする全庁体制で取組を進めてまいります。 学童クラブ事業についてでございます。学童クラブ事業は,主に保護者が就労等により昼間家庭におられない子供たちに対し,適切な遊び場や生活の場を与えて健全な育成を図る事業であり,私は社会的な女性活躍の推進にも資する事業として重点的に取組を進めてまいりました。その結果,本年度当初,10年連続となる待機児童ゼロを実現するなど,京都の学童クラブ事業は,京都の充実した子育て環境を象徴するものとなっております。さくらい議員御指摘のとおり,コロナ禍以降,この事業の重要性や社会的意義は一層高まり,認知も進んだところであります。そして,この事業の重要性は山間地域であろうと同じであります。これまで山間地域では,地域に根差した各種団体により自発的,自主的な取組を行っていただいており,そこに一定数,また一定期間のニーズなどが認められた場合,本市から補助を行う形で財政的な支援を行ってまいりました。令和元年度に策定しました京都市はぐくみプランでは,利用ニーズを見極めながら,全小学校区で学童クラブ機能の確保に努めることとしており,今後左京区をはじめとした山間地域においても,中長期的にニーズが見込める場合には,既存の社会資源をいかしながら積極的に学童クラブ機能の確保に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 橋りょうの健全化についてでございます。本市では,橋りょうの耐震補強及び老朽化修繕を効率的,効果的に推進していくため,対策の優先順位を明確化したいのちを守る橋りょう健全化プログラムを策定し,平成24年度から令和13年度までの20年間を5年ごとの4期に分け,計画的に橋りょう健全化の取組をスピード感を持って着実に進めているところであります。これまでの1期,2期プログラムの10年間では約250億円の事業費を投入し,緊急輸送道路上の規模が大きな橋りょうや損傷が著しい橋りょうを中心に,88箇所の対策完了を目標とし取組を進めてまいりました。一方,次の3期,4期プログラムでは,比較的規模の小さな橋りょうが中心にはなりますが,令和4年度からの10年間で,約300もの多数の橋りょうの健全化をコストの縮減を図りながら遅滞なく完了させることが最大の課題と考えております。さくらい議員御指摘のとおり,橋りょうの健全化は,激甚化,頻発化する自然災害から市民の命と暮らしを守る重要な取組であり,これまでに経験のない危機的な財政状況の中にあっても,歩みを止めることなく推進していく必要がございます。このため,3期,4期プログラムの実施に当たっては,令和2年12月に閣議決定をされました防災・減災,国土強靭化のための5か年加速化対策をはじめとした国の予算を積極的に活用して財源を確保するとともに,これまでに得られております知見をいかし,橋りょう健全化に向けた取組を更に加速化させてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 本市学校教育の今後の展望についてでございます。さくらい泰広議員御指摘のとおり,生まれ育った環境や現在の境遇に左右されることなく,また,誰一人取り残すことなく,子供たちの可能性を最大限に伸ばし生き抜く力を育む教育を実践することは,公教育が果たすべき最も重要な役割であります。そのため厳しい財政状況の下ではありますが,先人が地域や保護者の皆様と共に築き上げてきた本市教育を確実に継承しつつ,熱意あふれる教職員と教育委員会が一体となり,新しい教育の創造に挑戦することが,教育長として私に課せられた使命であると考えております。こうした中,本市では,今年度をGIGAスクール構想に基づく一人1台端末本格活用元年と位置付け,全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びの実践に取り組んでまいります。とりわけ,ICT機器の活用による個に応じた学習の可能性の拡大は,子供たちの人権保障の可能性の拡大でもあるとの認識の下,議員御提案の困りを抱える子供への支援として,障害のある子供たちや日本語指導の必要な子供たちにとって分かりやすい授業実践や,様々な理由で学校に行きづらさを感じる子供たちへの学習保障の充実に向けた研究などにも積極的に取り組んでまいります。もとより,こうした個別最適化した学びが孤立した学びになることがないよう,これまで大切にしてきた本市ならではの伝統文化体験や自然体験活動,探求的な活動など,様々な対話的,協働的な学びとも融合させながら幅広い関係者の皆様と連携し,京都ならではの市民ぐるみの教育実践に全力を傾注してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,平山たかお議員に発言を許します。平山議員。 〔平山たかお議員登壇(拍手)〕
    ◆(平山たかお議員) おはようございます。私は東山区選出の平山たかおでございます。本日は,椋田隆知議員,さくらい泰広議員の両先輩に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表し質問させていただきます。 3度目の緊急事態宣言も延長され,市民の皆様の疲労感,とりわけ京都経済の落ち込み,事業者の皆様方の疲弊具合がいかほどなのか想像に難くありません。自身ができることを全力で頑張っておられる市民の皆様お一人お一人の努力に敬意を表するとともに,この新型コロナをはじめ,本市諸課題にいかに立ち向かっていくのかを,市長はじめ行政の皆様方に質問させていただきます。 まず初めに,現下の危機的な京都市財政をいかにかじ取りするのかを市長にお伺いいたします。令和3年度予算では,一般会計の収支不足は236億円にも上り,公債償還基金の取崩しをはじめ特別の財源対策に頼らざるを得ない財政運営となったことは,持続可能な財政運営とすべき観点からは大変遺憾であります。しかしながら,コロナ禍に対応するためのやむを得ない予算編成であったとも認識はいたしております。ただし,令和3年2月市会の総括質疑等でも申し上げたとおり,今年度の改革額と称される215億円の財源捻出に関しては,大型汎用コンピューターの開発断念による当然減なども含まれており,言葉として,一般的に市民の皆様が理解をされる改革と行政の皆様方が示す改革の中身にかい離があったように感じます。市長の危機感はその程度のものなのかと感じざるを得ませんでした。今後,市民の皆様に御理解いただけるような誠実な御説明をされることを改めて求めておきます。 ただ,先ほど申し上げた財源の捻出を含めても,京都市の説明では,令和4年度から令和7年度までの期間で更に760億円もの財源を捻出するという極めて困難な道のりが待っております。とはいえ,その760億円の目標すら特別の財源対策に依存している財政運営であり,健全な財政だとは決して言えません。今後5年,特別の財源対策を講じない財政運営,すなわち2,800億円の収支不足を穴埋めする財政運営に目線を持っていくことが重要であり,今後示される行財政改革計画では,それらを十分に御認識いただいたうえで,財政再建に向けた道筋を示されるものだと考えますが,一体どのようなものになるのか,まずはお伺いいたします。 また,この行財政改革は,どのように市民理解を得るのかが重要です。しかしながら,昨年末に発表された方針では,特に未来への先行投資である投資的経費が唐突に削減され,市民の皆様に混乱を来したことは想像に難くありません。これに対し,現副市長の吉田前行財政局長は,令和3年3月の予算特別委員会において,見直された事業に関し,決して不要ではなく着実に取り組みたいとも答弁されています。だからこそ,見直された事業のマネジメントが大切だと認識していますがいかがですか。 また,歳出削減だけでは到底市民理解は得られず,納得感のある歳入増加策も検討すべきであります。例えば,東京都の豊島区は,駅周辺の駐輪場整備のために,交通事業者から税金を徴収しようとしたとも伺いましたが,京都市には空路と海路がないことも鑑み,京都駅に入洛される方には,空港利用税の代わりに駅使用料的な発想で歳入を増加させる取組の検討も必要と考えております。また,ロードプライシングの研究も一計であるという風に思います。ほかにも固定資産税の超過税率を0.05パーセント引き上げると,歳入は40億円増加するとの試算もありますが,ただ単に市民に負担増を求めるだけでは意味がなく,時限立法で,かつ上下水のインフラ整備等の都市計画事業が課税根拠である都市計画税について,本市の雨水幹線の整備率は90パーセント超と,60パーセント程度の他政令市を大きく上回ることから,その減税とセットで実施し,国からの支援も確保するなどの検討もできます。 私が申し上げたのは一例でありますが,市長がこの現状をしっかりと把握し,市民と共有したうえで,これまでの常識に捕らわれない大胆な発想で財政改革を実施すべきであると認識をいたしております。そのうえで,本市は,もし,国基準を上回る施策や独自事務を取りやめても特別の財源対策から脱却できない状況であり,国への要望内容も抜本的に考え直すべきときだと思います。デフレ下である現状においては,国には国債発行余力があり,京都市としても,総務省のみならず,ありとあらゆる国の省庁から支援を獲得する知恵を講じなくてはこの危機的な財政状況からは脱却できないと考えますが,どのような目標を掲げ,何を実施されるのかお答えください。 次に,本市交通事業についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,昨年4月に緊急事態宣言が発令されて以降,お客様数は大幅に減少し,市バス,地下鉄両事業共に運賃収入が大幅に減少し,極めて厳しい状況にあります。このような中,テレワークやオンライン授業など新しい生活スタイルの定着などにより,お客様の御利用が以前のような状況に戻ることが難しい状況を踏まえ,令和3年度予算についても,感染拡大対策を講じつつ,あらゆる事業を総点検された緊縮予算が編成されましたが,お客様数の大幅な回復は見込めず,両事業共に大幅な赤字を見込まれております。とりわけ地下鉄事業は,令和2年度の決算見込みにおいて,事業規模に対する資金不足の比率が財政健全化法に定められた基準を大きく上回ることになり,令和3年度中に法に基づく経営健全化団体になる可能性がほぼ確実とのことであります。このような状況になった原因は,新型コロナの影響によるお客様数の減少に伴い,運賃収入が激減したことでありますが,この新型コロナの影響は,京都市の地下鉄のみではなく,全国の他の地下鉄事業者も同じ影響を受けているはずであります。なぜ,本市の地下鉄事業だけが経営健全化団体となるのか。この点についてどのように認識されているのでしょうか。他都市と足並みをそろえ,国に減収補填を要望することはもちろんのこと,更に本市特有の厳しい経営環境もしっかりと分析し,そして訴えていくことも必要であると考えますがいかがでしょうか。 また,こうした危機的な経営状況を踏まえ,今年度中に安定経営に向けた中長期の経営計画を策定されるとのことでありますが,一般会計の財政も非常に厳しく,今後の支援は困難であります。民間企業では,経営の見通しは底で想定するとされますが,お客様数が3割減である現在の状況下で毎年の収支を合わすのであれば,10円の値上げで10億円の増収になるとの試算を踏まえると,少なくとも50円程度の値上げがなされなければ収支は合いません。しかしながら,民間事業者とは違い,公営交通事業としての在り方を模索するときに,安易に値上げだけで対処するのは正に本末転倒とも言えます。そういったことも十分に御認識いただいたうえで,しっかりと経営を維持していける計画を策定いただく必要がありますが,今後の見通しについてはいかがお考えでしょうか。 また,この計画策定においては,経営健全化団体となった場合の利用者への影響についても,しっかりと議論を重ね,市民の皆様に丁寧にお伝えしていただくことが重要であります。計画の策定に向けて具体的にどのように進めていかれるのか併せてお聞かせください。まずは,ここまでの答弁を求めます。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山たかお議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革についてであります。本市財政は,特別の財源対策を講じなければ収支均衡が図れない状態が続いており,市民の皆様が受けるサービスの水準と市税などの市民負担の水準を均衡させるという原則の下,特別の財源対策に依存しない財政運営を早期に確立する必要がございます。このため,行財政改革計画では,特別の財源対策のうち公債償還基金の計画外の取崩しにつきまして,令和15年度までに脱却することを目標に掲げます。この目標を達成するため,市民の皆様に現状をしっかりと御理解いただくうえで危機感を共有し,あらゆる改革に取り組んでまいります。一方,現在見込まれる巨額の収支不足を解消するためには,一般財源収入の増加が不可欠であります。直ちに取組を進めますが一定の期間を要します。このため,本期間中に市民生活を守りつつ公債償還基金の枯渇を回避するため,まずは,令和7年度に基金残高を1,000億円以上確保することを必達目標といたします。 また,これを確実に達成するため,760億円以上の財源捻出を織り込んだ歳出上限を項目ごとに設けます。具体的には,今後4年間で100億円増加する社会福祉関係経費の財源を確保するため,新たに550人の職員数の削減により人件費を縮減するとともに,施設運営などの各種事業費からなる消費的経費につきましても,一定の上限を設け一般財源の圧縮を図ってまいります。投資的経費につきましても,一般財源及び市債の上限を設定するとともに,将来負担の抑制を図ります。現在予算計上を見送っております事業につきましては,内容の精査を続けておりますが,集中改革期間終了後,総額を上限の範囲内に収める中で計上の可否を再検討いたします。 また,数値目標の設定,成果の見える化による実効性のある成長戦略の推進,新税,超過課税の活用の具体的な検討に加えまして,独自施策の見直しをはじめ本市として最大限の努力をしたうえで,市会の御支援も賜りながら,あらゆる省庁に対して地方財源や支援措置の拡充を求めてまいります。持続可能な行財政の早期確立は現下最大の課題であり,私自身が覚悟を持って全力を尽くしてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 地下鉄事業についてでございます。本市では,東西線建設費がバブル期と重なり高騰したことなどから,累積の資金不足が300億円を超えるなど全国一厳しい経営状況にある中,この間,観光利用の増加等もあり大きく経営改善を果たしましたが,コロナの影響によりこれらは蒸発し,現在お客様の回復状況は他都市と比べても極めて厳しい状況にございます。このような背景から,令和2年度決算で経営健全化団体となる見込みです。この間,国に対しても市会から意見書を提出いただき,また他都市とも連携し,再三にわたり本市の厳しい状況や特有の事情についてしっかりと訴え,支援を求めてまいりました。コロナ収束後も,お客様の回復には時間を要し,極めて厳しい経営環境が続くと想定される中,少しでも経営改善を図るため,今年度予算において2.4億円の経費節減を行い緊縮予算としたものの,80億円を超える減収分を埋めるには遠く及ばず,ダイヤや運賃の見直しについても議論せざるを得ませんが,この際には,混雑緩和に資する料金体系や利用頻度に応じた負担の在り方の観点等からも検討してまいります。6月に中長期計画策定のための有識者会議を立ち上げ,本市の特性等も踏まえしっかりと御議論いただき,その内容を議会に適時報告するとともに市民の皆様にお伝えし,御理解,御協力を賜りながら市民の足である地下鉄を守ってまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 平山議員。 〔平山たかお議員登壇〕 ◆(平山たかお議員) 次に,落ち込んだ京都経済への対策に関してお伺いいたします。3度の緊急事態宣言,まん延防止等重点措置などを受け,京都経済はかなり冷え込み,事業者が疲弊していることは明らかであり,自粛を要請するのであれば,受けた影響に関してはしっかりと支援するのが大原則であるということは,改めて申し上げておきます。そのうえで,この厳しい状況の中,基礎自治体である京都市ができることは何であるのか。国や京都府との連携に加え,補完し合う役割を考えるべきであると認識をいたしております。個人事業主等に100万円,法人に200万円の給付がなされた持続化給付金の2度目の実施を国へ要望すること。時短協力金等の各種制度を構築している京都府には,一刻も早い支給を要望すること。それらで捕捉できない業界は京都市が支援をすべきであり,我が会派が提案した京都市中小企業等再起支援補助金の創設に至られたことは評価いたしております。仮に,申請が多数となった場合であっても,補正予算を編成し必ず申請者全員の思いに応えるべきだと考えますがいかがでしょうか。 一方で,それらだけでは十分ではなく,3度目の緊急事態宣言が更に大きなダメージを京都経済に与えていることは事実であります。また,京の食の安心安全を支えている中央市場の事業者の状況もかなり厳しいと伺います。飲食店等には多少の支援がありますが,一時支援金,月次支援金等の支援策があったとしても,コロナ収束時に果たして他業種が持ちこたえられているのか。日本経済の影響を調べた研究によると,人との接触の多い業態や在宅勤務,いわゆるテレワークの実施が困難な業態では影響を受けやすく,売上げがより大きく減少しており,また,令和2年4月から6月期のGDPは,年率換算で29.3パーセントの減少も記録されております。そこで,改めて京都経済に対する御認識を問うとともに,今後,国からの地方創生臨時交付金等にめどを付けつつ,京都市ができ得る限りの支援策を講じ,京都の事業者は必ず守るとの市長の強いメッセージにつなげるべきだと考えますがいかがでしょうか。 また,感染拡大防止対策等,真面目に頑張っておられるところがある一方で,残念ながら十分な取組が講じられていないところもあると認識しております。業種別ガイドラインを遵守している飲食店等を利用するよう促すことが,国のコロナ感染対策本部においても明示されていますが,例えば営業時間の短縮等も,しっかりと感染拡大防止対策を講じておられるところは他の事業者より営業時間を延長するなど,実効性のある取組とすべきではないでしょうか。このようなインセンティブを講じたうえで,各種補助金や給付金,こういったものは売上額や納税額に応じた施策とするなど,事業規模にかかわらず真面目に頑張っておられる方が報われるような施策を構築しなければ,市民理解は到底得られないと考えます。もちろん京都市のみでできることではなく,京都府や国に対する要望も必要でありますが,行政の要請に対し市民の皆様に御納得いただける取組が必要であると考えますがいかがでしょうか。 次に,アフターコロナを見据えた新たな観光の在り方についてお伺いをいたします。観光産業にもコロナは極めて深刻な影響を与えており,今後の観光政策には,京都ならではの質の高い強みをいかした仕掛けが求められると認識いたしております。京都にとって観光は大切な産業であり,経済的な効果も高いことが今回のコロナ禍で改めて分かった一方で,観光客の集中による課題等に悩まされていた市民の方々からすると,このぐらいで丁度よいのではないかとのお声も頂戴いたします。コロナが収まった後,単に以前と同じような状況に戻るのでは,観光課題解決先進都市を打ち出した京都市としては余りにも情けないと認識しておりますが,市長のお考えはいかがですか。 同じく財政状況が厳しい市バス,地下鉄を活用した仕掛けも大切であると考えております。例えばポケモンマンホール。上下水道局は,今後,ポケモンマンホールPRマップ等を作成し,様々な周知広報を図っていくとのことでございますが,このグッズを地下鉄の駅で販売しながら巡る京都観光なども新しい仕掛けになるのではないかと考えます。また,本市は観光行政推進のために,観光おもてなし大使を設け,ホームページによると現在102名の方々に御就任をいただいていると記載がありますが,任期は令和2年3月31日までとなっており,1年以上更新がなされていないと認識をしております。ついては,活動実績等も十分に鑑み,内容も含め再検討されることを要望しておきます。 また,修学旅行の早期キャンセルの課題についてもお伺いします。学びの機会でもあり,また未来の京都を支えてくれる修学旅行。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域に本市が指定されることで,早期のキャンセルが相次いでいるとも伺います。修学旅行生は本市にとって大切なお客様であり,修学旅行は京都だということを改めて全国に定着させなければいけません。パンデミック保険というコロナ等の感染症に対応した保険商品の開発も進んでいると聞いており,国においては,それらを活用するように検討中だとも伺います。昨年,本市で実施した24時間いつでもコールなど,安心安全な修学旅行ができる,また,他都市にはまねができない芸妓さんや舞妓さんによるお出迎えは好評であったとも聞きますし,京料理や旅館によるおもてなしは,正に,京都ならではの強みをいかした施策であると考えます。さらに,そういった京都の強みをパッケージとして,京都だからこその修学旅行を提案することが大切であると考えますがいかがでしょうか。 最後に,ごみ収集における業務の効率化と体制の拡充についてお伺いいたします。本件については,令和3年2月市会の代表質疑において,我が会派の吉井議員から,循環型社会推進基本計画に掲げる資源循環や市民サービスの向上の取組と併せて,行政が担うべき役割をしっかりと果たせる事務所,人員体制等の構築に努めるように要望したところであります。ごみの収集業務においては,衛生的な市民生活を維持するために不可欠な行政サービスであり,このコロナ禍にあっても,まち美化事務所が1日たりとも欠かすことなく業務を継続しており,高く評価しているところでもございます。 一方で,本市の財政は非常に厳しい状況であり,今後の行財政改革の視点の一つとして,組織・人員体制・人件費の適正化が掲げられており,当然,まち美化事務所も例外ではありません。ごみの収集業務については,令和6年度の70パーセント委託化を目指しておられる中,令和3年度の委託化率は63パーセントとなっており,引き続き,必要最小限の経費で最大の効果を上げるような業務の改革に取り組んでいかなければならないと認識しております。しかしながら,ごみ収集業務が公衆衛生の根幹であり,市民生活に欠かせない業務であることを鑑みると,委託化の推進等の行財政改革だけで終わってはなりません。あらゆる効率化を追求したうえで,日々のごみ収集を着実に実施することはもとより,近年多発する自然災害の発生時にも,本市が責任を持って市民の暮らしと安心安全を守ることができる体制を構築していくことが必要であると認識しております。 現在の現場体制を見ると,職員の高齢化が進み,年齢構成にも不均衡が生じているのも実態であります。くわえて,この3月に策定された循環型社会推進基本計画では,更なるごみ減量はもとより,資源循環に重点を置き,食品ロスやプラスチック問題などの世界的な課題への対応,大規模災害の発生等の危機にも対応可能な廃棄物処理体制の整備に取り組んでいくこととされております。本市の厳しい財政状況の下,業務の効率化と将来にわたって市民の安心安全を守ることができる体制の構築にどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,平山たかお議員の御質問にお答えいたします。 コロナ禍における京都経済への対策についてであります。コロナ禍により苦境にある中小企業等を守り抜くことが私の使命と認識いたしております。これまで2,300億円の預託金による資金繰り支援や国の交付金も活用した10次にわたる補正予算により,相談体制の強化や各種の補助金の創設等の支援策を講じてきました。また,国に対しましては,持続化給付金をはじめとする支援策の要件緩和や再実施,一時支援金の申請期限の延長等を,また,京都府には時短協力金の迅速な支給等を重ねて要望し,それぞれ成果を挙げてきたところであります。 一方,現在はコロナ禍の長期化により,京都経済を支える中小企業等がより深刻な影響を受けていると認識しており,自民党市議団からの提案を基に創設しました中小企業等再起支援補助金が,必要とされる全ての事業者に行き渡るよう追加補正も含めしっかりと対応してまいります。あわせて,現下の感染状況,情勢の変化に応じた事業者支援に万全を期すよう,平山たかお議員の御指摘も踏まえまして,再起支援補助金の制度改正なども含め,引き続きあらゆる手法を検討してまいります。さらに,感染防止対策に真面目に取り組む事業者のインセンティブの導入について,他の地域の事例も参考に検討し,特措法の権限を持つ京都府に対して働き掛けるとともに,めり張りのある支援策を講じられるよう国に対して財政措置等を要望してまいります。今後とも,コロナ危機を乗り越えるために事業者の皆さんに寄り添った相談,下支え支援,さらに,デジタル化の推進とウィズコロナ社会への変革支援に全力を傾注してまいります。 次に,アフターコロナを見据えた今後の観光政策についてであります。観光は,地域経済や雇用はもとより,文化,芸術を支える京都にとりまして大切な文化事業であり,また基幹産業であります。その力強い回復に当たっては,様々な観光課題が生じていたコロナ以前の状態に戻すのではなく,安心安全の確保を前提に,市民生活と観光が調和し,市民生活が豊かさを感じられることが最も重要であります。このため3月に策定した京都観光振興計画2025に基づきまして,新しい観光マナーの啓発やビッグデータ等を用いた混雑情報の発信等の取組を一層強化するとともに,文化,芸術,食や自然はもとより,漫画,アニメ等の京都の多様な魅力を積極的にいかし,観光の分散化や周遊型観光を推進することで,市バス,地下鉄の利用促進や地域の活性化にもつないでまいります。今後とも,地域や社会の課題の解決やSDGsの達成に貢献する持続可能な観光に向けまして全力を尽くしてまいります。 京都への修学旅行は,日本の歴史,文化を肌で感じられる貴重な経験であり,コロナの影響でその機会が失われることはあってはなりません。そのため本市では,昨年6月,修学旅行の安心安全対策に係る方針を全国に先駆けて策定し,適切な相談,医療体制など安心して学べる受入環境を整えてまいりました。また,京都市では,昨年度,全ての市立小中学校が関係者の懸命な努力によって修学旅行を無事実施いたしました。生徒たちが大変喜び,一つのモデルを示したとも考えております。今後も関係者の様々な取組とも連携しまして,濃厚接触の疑いのある生徒の帰宅支援をはじめとする安心安全の確保,さらには,新たなSDGs学習プログラムの開発など,平山たかお議員の御指摘も踏まえた京都ならではの修学旅行を全国に創造的に発信してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) ごみ収集における業務の効率化と体制の拡充についてでございます。本市では,環境先進都市の一翼を担うごみ収集業務について,燃やすごみの午前収集の実施や資源物回収の拡充など,市民サービスの向上を図る一方で,業務の効率化等により年間約40億円もの経費削減を図ってまいりました。平山たかお議員御指摘のとおり,本市の危機的な財政状況におきましては,更なる業務の効率化と,災害発生時にあっても的確,迅速に対応できる体制の確保との両立が重要でございます。このため,令和4年度に北部まち美化事務所を東部まち美化事務所に統合し,現在の市内7事務所から6事務所に再編いたしますとともに,ごみ収集業務の委託化を更に進め,令和9年度には7割5分を達成いたします。あわせまして,市政の最前線で業務に従事する職員につきましては,これまでのノウハウを継承いたしますとともに,ごみ収集業務にとどまらず災害時の迅速かつ臨機応変な対応,食品ロス削減やプラスチックの資源循環といった業務展開にも対応できるよう,令和4年度から新たな職を設置し計画的に採用してまいります。徹底した業務の効率化を図るとともに,現場力を最大限にいかして公衆衛生の維持はもとより,災害時にも市民の暮らしと安心を守り抜くことができる持続可能なごみ収集体制を構築してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。 初めに,新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた皆さんの御冥福をお祈り申し上げますとともに,闘病中の皆さんに心からお見舞い申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の第4波の中で,京都市でもコロナ陽性の方が入院できないまま自宅で亡くなられるという深刻な事案が発生しています。国のコロナ対策が,科学的根拠に基づいていない場当たり的などと批判されているとおり,全く不十分であり,ワクチン接種でも予約が取れない,予約の電話がつながらないなど混乱が続いているのが実態です。行政としての責任が果たされないまま,結局は,外出自粛や営業時間短縮の協力要請など,国民や事業者の自主的な努力頼みになっているところに大きな問題があります。京都市においても,国からの臨時交付金の残額が14億円以上もありながら,この5月市会に市長がコロナ対策の補正予算をほとんど組まなかったことは,行政としての責任を果たそうとしていないものと言わざるを得ません。 我が党議員団が,今年の2月に,コロナ禍での暮らしの実態や要望をお聞きするアンケートを全世帯に配布したところ,2,400通近くの返信が寄せられました。御協力いただいた多くの皆さんに心からお礼を申し上げます。返信には,コロナに感染した際の大変な状況,世代にかかわらず暮らしが大変厳しくなっている様子,業界を問わず,事業者も労働者も収入が落ち込んでいる実態,さらに,こんなときに京都市が市民に負担を押し付けようとしていることに対しての不安や怒りなどがつづられるとともに,積極的な提案もたくさんいただきました。 そこで,私からはまずコロナ対策について2点お聞きします。1点目は,封じ込め対策についてです。アンケートには,家族3人がコロナに掛かり,高齢の私が3人を介護,コロナで肺がんの手術が延期になった,職場でクラスターが発生し大変でしたといった声など,コロナにり患した,あるいは病院に掛かれないといった声がたくさんありました。こうした状況が第4波の中でも繰り返されています。 まず,求めたいのがワクチン接種についてです。安全で迅速な接種を公的に保障するために,医師会などとも十分に連携しながら,集団接種会場を増やすこと,医療機関への補助や支援を行うこと,市民に必要な情報を提供することが重要と考えますがいかがですか。 また,いまだにPCRなどの検査が不十分であることは深刻な問題です。無症状者を含めた感染者を把握,保護することが,感染の連鎖を絶ち,新規感染者を減らすことになるにもかかわらず,世界の中でも日本は人口当たりの検査数が140位以下と検査数が極端に少ない国となっています。本市でも,高齢者施設の検査を繰り返し行うことになりましたが,この取組を更に広げ,高齢者の通所・訪問系の事業所,医療機関,障害児者施設,学校,児童福祉施設などにおいて,定期的に繰り返し検査を行うことが必要と考えますがいかがですか。その際に,これらの施設への財政的な支援,特に陽性者が出た施設への支援の抜本的拡充が必要と考えますがいかがですか。さらに,繁華街などの一定のエリアにおいて面的に調査を行うモニタリング検査も,数が余りにも少なくモニタリングとしての意味を成していません。国に対してモニタリングの検査数を抜本的に増やすよう求めるべきと考えますがいかがですか。 2点目に,緊急事態宣言が長引く中で,厳しさが更に増している中小業者への支援についてお聞きします。市民アンケートには,パートが週5日から週2日に減らされ,3月以降どう生活するのか,毎日気持ちが落ちこんでいるという60代の方。売上げが70パーセントダウン。店も家族もパンクするという40代の方。コロナで仕事も首に。携帯も止まって仕事も探せず,ホームレスになりそう。体調が悪くても病院にも行けない。死にそう。死にたいという20代の方など,年代,職種,正規,非正規を問わず,悲痛な声が寄せられています。京都市でも,中小業者への補助制度が作られていますが,事業者からの切実な声は,補助ではなく給付の支援が必要というものです。飲食店には,営業時間の短縮などに伴う給付制度があるものの,給付が大幅に後れているのが現状です。また,補助金や給付金などでも,売上げ50パーセント以下という条件の制度が多くあります。売上げが2割や3割減でも,それが長引いている現状では,倒産や廃業ということに直結する厳しい実態があります。さらに,融資の条件変更を求める声も多数寄せられています。こうした中小業者が営業を継続していけるだけの支援を直ちに行うことが求められています。業種を限定せず,また,影響の大小にかかわらず損失補填の実施,固定費補助や給付金の拡充などの対策,特にいわゆる真水と言われる給付の支援を緊急に行うこと。また,国に対しては,持続化給付金の再給付,一時支援金の期限の延長に加えて金額引上げ,申請手続の簡素化などを求めることが必要と考えますがいかがですか。ここで,まずは答弁を求めます。 ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 樋口英明議員の御質問にお答えします。 新型コロナ感染症の検査体制の充実等についてでございます。まずワクチン接種につきましては,本市では地域の病院や診療所が充実している強みをいかし,個別接種を基本とし,集団接種を含めた体制を構築しております。集団接種につきましては,京都府医師会等との緊密な連携の下,四つの拡充を今行います。一つは,区・支所ごとに設置する14会場での実施回数の増,二つ目は,平日における集団接種の新たな実施,三つ目は,京都工場保健会京都予防医学センターによる接種の継続的実施,更に加えまして四つ目は,土曜,日曜等の休診日における医療機関での集団接種を新たに実施してまいります。個別接種と集団接種の強化により,7月末までに希望する全ての65歳以上の高齢者の接種を完了させる体制を整えております。また情報発信につきましては,ポータルサイトや市政広報板ポスター等を通じて,これまでからきめ細やかに行っているところであります。 次に,PCR検査につきましては,本市では少しでも感染の可能性のある人を広く捉えて実施する独自基準を昨年5月から設けており,さらに,全国に先駆けて妊婦の方の検査費用の助成や病院や学校,高齢者施設等の大規模疫学調査を京都大学と共同実施するなど先駆的な取組を進めてまいりました。さらに,入所系の高齢者施設については,京都大学と包括連携協定に基づいた取組を踏まえ,週1回程度の検査を拡充,実施しており,さらに,既に発表しておりますとおり,障害者支援施設における抗原検査を週2回頻回実施することで,クラスターの発生を防止する実証研究を新たに開始しております。国におきましても同様に,抗原検査を活用した更なる取組がなされるとお聞きしております。介護や障害福祉サービスの利用者を対象にしっかりと取り組んでまいります。また感染者,濃厚接触者が発生した場合の事業所等に対しましては,サービスの継続に必要な人員確保,消毒等に係るかかり増し経費の補助を実施するなどの支援を行っております。引き続き,早期収束に向けまして全庁体制で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) コロナ禍における事業者支援についてでございます。3度にわたる緊急事態宣言の発出などその影響は長期化しており,多くの地域企業,中小企業等は極めて厳しい経営環境にあり,これを下支えすることが本市の責務であると認識をしております。そこで,本市では中小企業の事業継続や雇用の維持を図るため,これまで市会の御理解も賜りながら10回にわたる補正予算を編成し,国や府の支援策とも連動させながら,また本市独自に京都商工会議所への経営支援員を増員するなど,支援機関や金融機関とも連携し,資金繰り支援など下支えと徹底した伴走支援に取り組んでまいりました。また,現在も幅広い事業者の方々に感染症対策から売上げ向上のための取組まで,幅広く御活用いただける中小企業等再起支援補助金や金融支援と経営支援が連携した専門家などによる相談体制の強化,中小企業の生産性の向上に向けた支援などに取り組んでいるところでございます。 また,御指摘のありました固定費補助や給付金等につきましては,国において措置される必要があり,これまでから制度の創設,拡充や手続の簡素化など繰り返し要望し,その結果,持続化給付金や家賃支援給付金の創設,雇用調整助成金の期間延長など,多くの支援制度が実現いたしました。また,5月末が申請期限となっている一時支援金につきましても,期限の延長や手続の簡素化,国による受付体制の拡充等を要望し,必要書類の提出期限等が延長されることとなっております。今後とも関係機関と連携し,各種支援策が必要とされている方に確実に届くよう,周知や相談,申請のサポート等に全力で取り組みますとともに,必要な支援策の拡充等について国や府にも要望し,コロナ禍で厳しい状況にある中小企業,地域企業の皆様に寄り添った支援を全力で進めてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 樋口英明議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時53分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続し,樋口英明議員に発言の継続を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 次に,財政運営についてお聞きします。厳しい財政ということが強調されており,市民しんぶんに4回も特集記事が組まれ,毎年500億円もの財源不足が見込まれ,最悪の場合,5年後には財政再生団体という,会社でいえば倒産という事態になるとされていました。今後,市民に多大な負担を押し付ける方針も示されています。そこで,財源不足500億円という点についてですが,この試算は,昨年10月の時点で,今年度の予算を予測したというもので,大まかな見通しだと説明していたものです。また,試算の内訳については,コロナの影響の支出は多くなると算定したのに対して,その分国から京都市に予算措置される額が当然あるにもかかわらず,その額がはっきりしないから算入しなかったとのことでした。さらに,支出の中の投資的経費についても,昨年度で終わる事業,例えば北消防署新築工事や奏和高校新築工事などは,完成することが分かっていたにもかかわらず,投資的経費は前年度ベースで見込むということで,こうした事業費が約17億円も経費として計上されていました。つまり,歳出はなるべく大きく見積もり,歳入は少なく見積もるということが行われた結果,500億円の財源不足という過大な数字が作り出されたというものです。実際,昨年10月の時点で500億円と言っていた財源不足額は,今年2月の予算編成時点では236億円まで圧縮されています。こうした事実が,市民しんぶんには載せられていません。 そのうえで,次に京都市の財政が厳しくなった理由についてですが,国からの地方交付税が大幅に削減されてきたという本市の指摘はそのとおりです。小泉政権時代の三位一体改革により,2004年以降,僅かな税源移譲と引き換えに,地方への財政支出が大幅に減らされ,その傾向は今でも続いています。ところが,市長は,この三位一体改革の理念は正しかったなどと国の方針を肯定する答弁を繰り返しており,そこには,市民のための財源を国から確保しようという姿勢が全く感じられません。理不尽な国の方針に唯々諾々と従うのではなく,国に対して方針の間違いを指摘したうえで財源を保障するよう求めるべきです。 また,昨年の行財政改革審議会に京都市が提出した資料には,財政が厳しくなった理由として,平成初期の大規模投資と地下鉄東西線建設による借金の返済が重い負担となっていることが書かれています。この時期には,無駄な大型事業の典型である市内高速道路2路線の建設が行われています。京都市がこの事業につぎ込んだ予算は665億円。しかし,当初の計画交通量には全く届かないまま,新十条通は高速道路としては破綻し,その後京都市に移管されました。また,地下鉄東西線は,ゼネコン言いなりに契約変更を143回も繰り返したために,当初の建設費2,450億円が倍にも膨れ上がりました。市民しんぶんでは,これらの事実についても触れることがないまま,あたかも敬老乗車証や保育や国民健康保険の充実のための支出が財政悪化の一番の原因かのように書かれているのは,正に,ためにする議論そのものです。三位一体改革や地方創生といった国の地方への財政支出を減らす方針は,間違っているとはっきりと指摘し,そのうえで財源保障をするよう国に求めること,また,過去の不要不急の大型事業を反省し,北陸新幹線や堀川地下バイパストンネル計画を中止することが,まず必要と考えますがいかがですか。 さらに,コロナ禍という非常事態での財政運営を考えるならば,一つ目に,新規事業や投資的経費の削減や延期を行うこと,二つ目に,たくさんのもうけを上げている大企業に応分の負担を求めることこそ行うべきです。例えば,総事業費が150億円の二つの小中一貫校の整備の中止や,総事業費が300億円という市立芸術大学の移転整備の延期や見直しなどを行うことで暮らしの予算を確保するべきです。また,大企業の法人市民税の超過課税を他の多くの政令市並みの8.4パーセントに引き上げるなど,累進課税の強化を図るべきです。大型事業の見直しや累進課税の強化の考え方を京都市の中で徹底させるとともに,国に対してもこの方向への方針転換を求めていくべきと考えますがいかがですか。 コロナ禍において,市長は,暮らしへの多大な負担の押付けと市民のための施策の切捨てを加速させる方針を示していますが,これは行政の責任を放棄するに等しいものです。その一環として,市営保育所である聚楽保育所を,存続を望む市民の声を無視して廃止しようとしています。市営保育所は,保育のセーフティネットとしての役割を担う重要な公的施設ですが,京都市は,他都市と比べてその数が極端に少ないという事実があります。その市営保育所の一つである聚楽保育所を,在園する保護者にすら全く知らせないまま廃止する提案を突然行うなど断じて許せるものではありません。このことは強く指摘しておきます。 次に,住み続けられる住環境について2点お聞きします。1点目は,市営住宅についてです。六つの市営住宅,壬生東,壬生,三条,岡崎,錦林,養正の団地再生計画が3月に作られました。現在の管理戸数が合計で1,769戸。建て替える際には,それを900戸も減らして半分以下にする計画となっています。そして,空いた土地は民間への提供も含めた検討を進めようとしています。まず,指摘しなければならないのが,今回の計画を作る際に,市民の声を十分に聴いていないという問題です。居住者からの意見さえも十分に聴いていないこと,さらに,市が保有する大規模な土地の活用については,学区や行政区の住民にとっても重要な問題であるにもかかわらず,そうした住民からの意見は聴かず,情報すら全くといっていいほど伝えられていません。住んでいる方への丁寧な対応はもちろんのこと,周辺住民や行政区全体の住民へ広く情報を提供し,しっかりと要望を聴いたうえで計画を作る必要があると考えますがいかがですか。 今回の団地再生計画について二つ目にお聞きするのが,町なかの市営住宅の戸数を大幅に減らすという点についてです。2011年に策定された京都市住宅マスタープランでは,市営住宅の多くが郊外に集積しており,都心部に少ないことが課題として指摘されており,今でもその課題は解消されていません。また,今回の該当の団地の周辺の皆さんから,若い世帯が地域に増えてほしいという声が出されていますから,市営住宅の入居の収入基準の緩和なども進めながら,新しく整備する市営住宅に若い世帯も含めた様々な方たちに住んでもらえるようにするべきです。さらに,近年多発する豪雨や台風などの災害で住宅が被害を受けた際に,市営住宅を一時使用できる規定がありますが,左京区の方が被害に遭っても,近くには使える市営住宅がないために,紹介されるのはそれまでの生活基盤から遠く離れた伏見や西京の市営住宅というのが現状です。今回の計画では,左京区の岡崎,錦林,養正の市営住宅も大幅に減らそうとしていますから,災害対策にも逆行するものです。以上のような問題を改善していくためにも,今回の団地再生計画において市営住宅の戸数を減らす計画は撤回するべきと考えますがいかがですか。住まいは人権であり,その地域に住み続ける権利を行政が公的に保障することを強く求めます。 住み続けられる住環境についての2点目は,左京区北部の問題についてです。鞍馬から更に北に別所,花脊,広河原,百井,久多の地域があります。京都市でありながら山間地域ということで豊かな自然の魅力にあふれた地域であるとともに,住み続けるための様々な課題を抱えた地域でもあります。2014年に市会において全会一致で請願が採択された花脊トンネルについては,その検討を進めることをまずは要望しておきます。毎年の豪雨で花脊峠が度々通行止めとなり,昨日の深夜からも土砂と雨で通行止めとなっていますけれども,こうした生活に重大な支障が生じている状況を考えれば,トンネル整備に向けた検討が進むことは,地域の皆さんがこの地域に住み続けようという希望につながります。また,当面の対策としての道路の安全対策の充実,この地域における介護施策の充実,移住促進施策の充実など,地域の皆さんの切実な声にしっかりと応えていただきたいと思います。 今回お聞きするのは,公共交通の確保についてです。今年の3月に,別所,花脊,広河原における唯一の公共交通である京都バスの本数が減らされ,それまでの1日3往復半から,1日2往復になっています。京都バスから地元に対して打診があった段階から,左京北部山間自治連絡協議会が,京都市にも間に入っていただきながら京都バスと協議を続ける中で,本数は減るものの,午前の運行時間をできるだけ早い時間にするなど,住民の要望に近づけるための努力がなされました。地域ではその後も,せめて病院への通院の足だけでも何とか確保できないかなどの検討と努力が続けられています。京都市としても住民の意見をしっかりと聴き,引き続き支援を強めていただきたいと思いますがいかがですか。花脊峠以北以外でも,大原の中を循環するバスを走らせてほしい,静原へのバスの本数を増やしてほしい,岩倉実相院行きのバスや長谷町を循環していたバスが減便されて不便,修学院では白川通から東側の地域に公共交通を通してほしいなど,各地に公共交通の充実を求める声があふれています。その地域に住み続けられるようにしていくために,行政が役割を果たすことを求めます。 最後に,行政のデジタル化についてお聞きします。情報通信など,デジタル技術の進歩は歓迎するべきことであり,自治体においてもこの技術を有効に活用することは必要です。しかし,現在,菅政権の下で進められているデジタル改革なるものの最大の目的は,国と自治体の膨大な個人情報を企業などが利活用しやすくするためのもの,つまり,財界の要求に基づくものであり,住民には重大な被害をもたらすものとなっています。自治体のデジタル化は,社会保障費の削減を目的に作られたマイナンバー制度が押し付けられることにより,住民の身近な窓口の後退が起こる,情報がひも付けされ,集積されることにより攻撃されやすくなり,漏れた情報は取返しがつかないなど課題が山積しています。 また,自治体システムが事務処理に使う情報システムの共同化,集約化については,住民の多様な要望に応えるための自治体独自の施策を行うための仕様の変更は,なくすことが重要との方針を閣議決定しています。最大の問題は,個人情報の保護という観点が全く抜け落ちていることです。匿名加工された個人情報が既に民間企業に提供されていますが,先日,国会で成立したデジタル関連法では,個人情報の利活用案を民間から募集することを自治体に義務付ける規定まで盛り込まれています。しかも利活用を促進するために,各自治体の個人情報保護条例に縛りまで掛けるものとなっています。 以上,指摘したように,自治体の個人情報を保護するのではなく,民間に提供することを義務付け,さらに,自治体独自の施策すら行いにくくする,つまり団体自治を弱めることになるデジタル化の推進は,行うべきではないと考えますがいかがですか。以上で,私の第一質問といたします。(拍手) ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,デジタル化の推進について御答弁申し上げます。今般の国を挙げたデジタル化の取組は,情報通信技術の恩恵をあまねく享受できる社会の形成を目指し,国民生活の利便性向上や活力ある地域経済の実現,大規模災害や感染症への迅速な対応など,安心安全な社会の実現に寄与するものとされており,本市においても積極的に取り組むべき最重要課題であります。システムの標準化,共通化につきましては,自治体が独自に実施する施策の抑制が目的ではなく,全国の自治体が共通して行う事務について,システムを共通化することで将来のオンライン手続も見据えた市民サービスの向上やシステム経費の軽減を目指すものでございます。 また,個人情報保護制度の見直しにつきましては,情報化の進展や個人情報の有用性の高まりなどを背景に,データの利活用と保護の調和を図るため,官民を通じた制度の統一などが進められるものであります。御指摘のありました民間への提供制度につきましては,特定の個人が識別できないよう,かつ,元の個人情報が復元できないように加工した情報を提供することが法律で明確にされており,個人情報そのものを提供する義務付けがされているものではありません。本市といたしましては,引き続き国との連携を図りつつ,本市独自の特性や実情もしっかりと踏まえて,市民の皆様お一人お一人がメリットを実感していただけるよう,誰一人取り残さない,人に優しいデジタル化に全庁を挙げて取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私から2点お答え申し上げます。 まず,財政運営についてでございます。本市では,これまでから地方交付税が大幅に削減されていることなどを踏まえ,本市単独はもとより,指定都市と連携し地方税財源の確保を要望してまいりました。引き続き,あらゆる機会を通じて国へ強く求めてまいります。本市の財政は,他都市よりも人件費が高いこと,公債費が高止まりを続けていることに加えまして,福祉や子育て支援等について国の制度が不十分であった時代から,本市独自の施策を維持,充実してきたことから,収支の不均衡が常態化しており,市民しんぶんの記載はこのことを踏まえたものであります。そのうえで,平成初期に実施したクリーンセンター整備や鉄道の立体交差化事業などは,市民の暮らしと都市の発展に必要不可欠なものであった一方,後年度の市債の返済に備え,収支,すなわち市民サービスの水準と市民負担のバランスの改善ができていないことが,本市財政悪化の大きな一因となっております。このため,今後,収支均衡に向け,経常経費を含めたあらゆる歳出,同時に歳入の改革に取り組んでまいりますが,投資的経費についても,この中で総額のコントロールと将来負担の抑制を行ってまいります。北陸新幹線整備,堀川通の機能強化についても,京都の発展のため極めて重要な事業であり,本市負担の極小化や整備手法の工夫を国に求めてまいります。 次に,累進課税についてでございます。税制度については,応能課税と応益課税のバランスが取れるよう消費課税や所得課税,資産課税の組合せが重要です。また,国の税制改正において,社会経済情勢の変化に合わせた必要な見直しが行われることで,国及び地方を通じた税制度全体として,公平公正かつ均衡の取れた安定的な税体系の構築が図られるべきものであると認識をいたしております。 続きまして,左京北部地域における公共交通についてでございます。左京北部の花脊,別所,広河原地域では,市街地等を結ぶ民間バス路線が運行されておりますが,当該地域の人口減少等により利用者が減少し,採算面で厳しい状況が続いていたことに加え,新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事業者の経営状況の悪化により,令和3年3月のダイヤ改定において,平日では1日3.5往復から2往復に減便となったところでございます。このダイヤ改定に当たりまして,本市では早くから情報を入手し,地元の自治連との連携の下,事業者の置かれている厳しい状況を踏まえつつも,地域への影響を最小限にとどめるよう事業者に対し要請を行ってまいりました。その結果,事業者におかれても,地域唯一の公共交通である重要性に鑑み,通院や買い物など,日常生活に一定配慮した運行時刻となるよう可能な限り調整をいただいたところであります。現在,自治連内に組織する交通部会におきまして,あくまで地元の皆様が主体的に,将来にわたるバス運行の確保に向けた更なる利用促進の取組などを議論しておられます。本市といたしましても,これまで同様,地域の皆様に寄り添い,こうした取組を後押しするなど,大切な足を守るための方策を事業者とも連携しながらしっかりと進めてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) 市営住宅の団地再生計画についてでございます。団地再生事業は,市営住宅の老朽化や耐震性の不足といった課題の解決を目指し,進めているものであり,令和2年度からは,養正,錦林,岡崎,三条,壬生東及び壬生の市営住宅において団地再生事業に着手しております。同時に,団地再生事業によって生み出される用地の活用につきましては,そのポテンシャルを最大限に発揮させるべき貴重な財産として,現在見直しを進めております都市計画マスタープランにも位置付けることとしており,地域の活性化はもとより,本市全体の活性化に有効に活用できるよう民間活力も導入し,持続可能なまちづくりを進めてまいります。 団地再生計画の策定に際しましては,団地の入居者に対して事業説明会の開催や,どのような地域再生を求めるかなどの全入居者を対象とするアンケート及び個別相談会等を実施するとともに,アンケート結果や事業案をお知らせするニュースを全世帯に配布するなど,丁寧な事業周知に努めております。さらに,周辺住民の皆様の御意見を広く聴取するため,入居者のみならず地域や学区の自治会等にも情報提供や協議を行っており,今後も地域の皆様の御意見をいただきながらきめ細やかに進めてまいります。なお,団地再生事業における市営住宅の整備戸数は,現在の入居者が事業後も引き続き住み続けていただける住戸数を確実に確保することとしており,それ以上に市営住宅を増やすことは考えておりません。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) コロナ対策についてですが,先ほどの答弁を聞いていて改めて感じるのは,国も京都市もコロナの収束に向けた計画,道筋を示せないまま,営業や個人の行動の自粛が強調され,対策は後手後手になってしまっているのが実態だということです。こんな状態でオリンピックを7月に開催することに国民が納得できないのは当然です。菅政権の政治の行き詰まりは,コロナの問題だけではありません。政治と金を巡る問題では,長男がその渦中にある省庁の接待疑惑や,安倍政権時代の様々な疑惑の解明に後ろ向き。原発を巡る問題では,福島原発事故の汚染水を海洋へ放出することを決める一方で,40年を超える老朽原発を含めた原発の再稼働を進めようとしています。国民の声を聞かず,自己責任を押し付けながら,財界をはじめ一部のものだけを優遇する政治をいつまでも続けさせるわけにはいきません。今年は秋までに必ず総選挙があります。この選挙で,野党による新しい連合政権を作るために奮闘する決意を述べて私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,ほり信子議員に発言を許します。ほり議員。 〔ほり信子議員登壇(拍手)〕 ◆(ほり信子議員) 右京区選出,ほり信子です。初めに,新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった皆様の御冥福をお祈り申し上げるとともに,闘病中の皆様には一日も早い御回復を願っております。それでは,日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。 病院通いも受診料が増え,薬代が増え,ふと思う。役立たずは死んだ方がいいのか。85歳の年金生活。子供の奨学金の返済でこの年まで働いています。75歳パート。妻と子供が難病で34年間看病しながら,左官業でしたが70歳になり仕事もなくなり,シルバー人材センターで働くもコロナで首に。生活保護を受けようか迷っている。70歳自営業。これは,共産党市会議員団が取り組んだアンケートに寄せられた叫びです。マクロ経済スライドによって2040年まで毎年減らされる仕組みの年金。ただでさえ苦しい生活の中でのコロナ禍です。今,国が,自治体が,すべきことは明確ではないでしょうか。命,暮らし,なりわいを守り,福祉施策を充実させることです。三つの分野から質問します。 一つ目は,高齢者に対しての施策です。国は75歳以上の医療費窓口負担について,単身世帯の場合,年収200万円以上,複数世帯の場合は320万円以上の約370万人を1割から2割に引き上げる関連法改正案を今国会に提出し,2022年度後半にも実施しようとしています。世代間の公平と言いますが,高齢者の年収に占める医療費窓口負担は現役世代30から50代の2倍以上であり,コロナ禍でやるべき施策ではない。撤回すべきと国に対してきっぱり言うべきです。いかがですか。 京都市においては,行財政改革と称し敬老乗車証制度を改悪しようとしています。市民しんぶんを通して4回にわたり京都市のお金の事情を掲載しました。敬老乗車証に係る費用について,高齢者と子育て世代,利用者と市民に対立,分断をもたらすような書き方は間違っています。発足当時とは財政規模も違ううえに,当時の運賃は50円で今は4.6倍の230円です。負担額が増えるのは当たり前ではありませんか。あたかも莫大な税負担であるかのように強調し,市民に誤解を与え,対立をあおるような情報提供をするのではなく,敬老乗車証の果たす効果を京都市として検証すべきです。高齢者の生活困窮が社会問題になっている中で,現行の敬老乗車証制度は,立場の違いを超え,市民全体の願いであり貴重な制度です。先ほど紹介したアンケートにも,負担増になれば,今まで頑張ってきた地域活動もできなくなり生きがいがなくなってしまう。市の事業にボランティアとして参加しているが,続けられなくなる。敬老乗車証は高齢者の移動,生活,健康を守る権利を保障するものといった声が返ってきています。受益と負担のバランスと言われますが,そもそも敬老乗車証の受益者は社会全体です。健康増進,医療費の抑制効果,介護予防,出かけることでの経済効果,そして生きがいづくりにつながっており,さらには,公共交通の経営に大きく貢献しています。これは紛れもない事実です。この敬老乗車証制度の年齢を75歳に引き上げれば,2025年で7万9,826人の人が対象から外れ,社会的損失がどれほどになるか計り知れません。敬老乗車証制度を単なる割引制度にしてはなりません。京都市に住み,京都市を支えてきた高齢者の皆さんに敬意を表し,この制度を創設した当時の思いに立ち返り,現行制度を守ることを求めます。いかがですか。 二つ目は,学生に対しての施策です。コロナは学生生活にかつてない深刻な影響を及ぼしています。2020年度は,対面授業や部活動,サークル活動などの制限で4人に一人が週に一度も登校しない事態が続きました。友達ができないと悩む1年生も急増しました。コロナ休業でバイトがなくなったと食費に事欠く学生も相次ぎました。今年度は対面授業再開と喜んだ矢先,コロナ感染の拡大によるまん延防止等重点措置や緊急事態宣言によって,オンライン中心の授業へと切り替わりました。ある大学では,5月の大型連休の後半,食堂を臨時営業し,帰省できない下宿生たちの居場所づくりをしたいとの記事を読みました。 全国で学生向けの食料支援プロジェクトが取り組まれています。学生を中心に4万人以上に無償で食料や日用品を提供する活動を行い,歓迎されています。支援が学生同士の出会いの場となり,オンラインでしか見たことがなかった友人に初めて会えたと温かい連帯が培われています。ここ京都でも,食料支援プロジェクト等が多くの学生の皆さんを支えています。支援活動として,中央卸売市場の食材等を提供することや,環境政策局の食品ロス削減の取組とタイアップするなどして,学生をはじめとする生活困窮者への食料品や日用品などの支援をする体制を自治体の責任で作る必要があるのではないでしょうか。いかがですか。 現在,京都市の行っている経済的な学生支援策を見ると,残念ながら国の支援策のみです。しかも昨年開始の国の大学等修学支援制度は,対象を低所得世帯の一部に限定し,高等教育無償化とは名ばかりです。今必要なのは,学費半減と返済不要の給付制奨学金です。国の制度が不十分な下,自治体の存在と役割は重要となります。学生のまち京都でこそ,学生と家族に過大な経済負担を強いるのではなく,国に対しては学費の半減を求めるとともに,教育委員会,総合企画局の大学政策が一緒になって,京都市独自の給付制奨学金を実施することを求めます。いかがですか。 三つ目は,子供たちに対しての施策です。2020年3月,突然の臨時休校。6月からの学校再開。分散登校を経て,密の中マスクを付けての学習。学校行事の中止,夏休みの短縮,休み時間や給食でのおしゃべりの禁止,さらに,週に何回かの7時間授業。子どものからだと心・連絡会議が,コロナ休校中と休校明けにおける子供の体と心の調査をしました。たとえ会えなくても,友達の意見が聞きたいと子供たちは共同の学びを求めています。学校が再開され,子供たちの気持ちは満たされ,生活リズムが整い,困り感も少なくなった反面,およそ3箇月ぶりの学校生活に,体が適応し切れない状況が表れているとのことでした。3度目の緊急事態宣言が発令されて,子供たちは,集団の中で群れて育つことができず,ストレスを抱えて学校生活を送っています。 今,コロナ禍で学校に求められているのは,身体的な3密を避けつつ,子供の声に耳を傾け,寄り添い,精神的な密,つながりをどのように作り出していくのかということではないでしょうか。そのためには,少人数学級を5年も掛けずに実現することです。国に対しても早期実現を求め,京都市として中学3年生の30人学級を独自で実施しているのですから,小学校の35人学級も今こそ実施すべきです。2月市会の中で明らかになったことは,小中学校合わせて約13億5,000万円で,小学校だけなら全学年実施しても約4億2,000万円で実現できるということです。毎年,少人数学級に係る本市の予算は,国の制度化の中で減っていき,5年後にはゼロになります。国に対して少人数学級の早期実現を要望するとともに,小学校での35人学級を京都市独自予算で前倒しで実施することを求めます。いかがですか。 これから教師を目指す若者に教師の魅力を伝える趣旨で意見募集をした文科省SNS,「#教師のバトン」プロジェクト。職場への不平不満が大量に投稿される事態になり,文科省は教員不足に関する全国的な実態調査をすることになりました。昨年,教育委員会は,産休代替教員を4月から採用し,欠員が生じないよう対策を採りましたが,9月以降対応できず欠員のままという実態がありました。代替教員を配置せず,学校裁量で対応させることがあってはなりません。教育委員会の責任で欠員が生じないための対策を構築する,そのことが必要です。いかがですか。 今年3月,現職の高校教員や高校生らが,ブラック校則の改善を求める署名約1万9,000人分と要望書を文部科学省に提出しました。提出に同席した名古屋大学大学院准教授の内田良さんは,ルールを自分たちで考えていくという取組は非常に重要だ。行政側が働き掛けて,現場の先生や子供たちがブラック校則の問題をもっと考えてほしいと語っています。また,青森の公立高校では,よりよい学校づくりのために,生徒と教師,保護者,地域の代表が四者協議会を作り,服装,髪型,スマホ使用等,学校のルールについて生徒が自分の思いを訴え,議論する取組が行われています。さらに,京都市のある中学校では,生徒総会で,時計は禁止の校則を変更する取組が行われました。これらのことから,私自身が重要と感じるのは,高校生や中学生に意見表明の権利を保障し,主権者意識を高めるための取組として行っている点です。現在の校則は,頭髪や服装,校内生活等について事細かく制限するものになっています。校則といえども人権侵害は許されません。そもそも校則は,その学校で児童,生徒が生き生きと過ごすための学校内のルールです。事細かく生徒の振る舞いや行動を制限するのではなく,子供の権利条約にある意見表明権を児童生徒が行使することを保障し,人権やジェンダーの視点で,生徒の生徒による生徒のための校則に変えていく取組が必要です。いかがですか。ここまでの答弁を求めます。 ○議長(田中明秀) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) ほり信子議員の御質問にお答えいたします。 私からは,コロナ禍における学生支援について御答弁申し上げます。多くの学生さんが,感染拡大防止に努めながら学生生活を送られており,安心して学ぶ環境を確保することは重要であると認識をいたしております。京都で学ばれている約15万人の学生さんの4分の3は京都府外から来られており,また京都の高校生の半数は府外の大学に進学されるなど,全国規模で学生さんが進学される状況を踏まえれば,授業料の減免や生活を支える奨学金など,学生さんに対する直接的な経済支援につきましては,全国共通の課題として国において統一的に対応する必要があると考えております。このため,本市といたしまして,この間国に対し学生さんに対する経済的負担軽減策の充実を重ねて要望し,市長から直接文部科学大臣等にも要請をしております。 こうしたことを受けて,国においては給付型奨学金や授業料等の減免を行う高等教育修学支援新制度において,コロナ禍における影響で家計が急変した学生さんが随時申込み可能となるよう拡充されており,今年度予算では,全国で4,800億円を超える支援額が確保されております。これは,本市の学生数を基に計算をいたしますと,約15万人で240億円規模の支援ということになります。さらに,日本学生支援機構においても,現物支給を含む食費など大学等が独自に実施する取組への支援も図られております。また,この間本市独自の施策として,市内大学等を対象に総額約2億円の補助制度を創設し,大学におけるメンタルケアや授業理解促進等の取組を後押しするための支援等を実施してきたところでございます。くわえまして,様々な支援の仕組みが確実に学生さんに届くよう,大学を通じ,また学生向けアプリを活用し,本市からも直接周知を図っております。今後とも,国や京都府,各大学,大学コンソーシアム京都等としっかり連携をし,学生さんを支援するための必要な取組を進めてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(田中明秀) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 高齢者の医療費負担と敬老乗車証制度の2点についてお答えいたします。まず,高齢者の医療費負担についてでございます。これまで後期高齢者医療制度の見直しに当たり,本市では,他の政令指定都市と連携して,高齢者が必要な医療を受ける機会の確保の観点や,低所得者等への十分な配慮が必要であることを国に対して要望してまいりました。その結果,現在国で審議されている見直し案では,窓口負担が2割となる対象の所得基準については見直しの対象者が全体の2割程度と限定されるほか,施行後3年間は,1箇月の負担増を最大でも3,000円以内に収める経過措置を設けるなどの配慮が講じられております。今回の制度改正は,令和4年以降,団塊の世代が後期高齢者となり始め,後期高齢者医療費の急増が見込まれる中,負担能力のある高齢者に可能な範囲で御負担いただくことにより,若い世代が負担する後期高齢者支援分の保険料の上昇を軽減するとともに,将来にわたり全ての世代が安心して医療に掛かれる医療保険制度を維持するためのものであると認識しております。 次に,敬老乗車証制度についてでございます。本制度は,昭和48年,平均寿命が男性で70歳,女性で76歳の時代に,70歳以上の高齢者を対象として社会参加の支援を目的に開始した市民の皆様の市税負担で成り立つ本市独自の制度であります。今日では,平均寿命は男性で81歳,女性で87歳と11歳伸び,対象者は7万人から15万人に増加しており,市税負担は開始当時の約3億円から現在では52億円,10年後には57億円に増加し,危機的な財政状況の下,今の制度のままでは制度自体が破綻するおそれがあります。このため,1月に発表した今後の行財政改革の視点及び主な改革事項でお示ししたように,高齢者の社会参加の支援を目的としたこの制度を持続可能なものとしていくため,制度維持に必要な財源等を市民の皆様に丁寧に説明しつつ,受益と負担のバランスや平均寿命を踏まえた見直し内容の検討を進めているところであり,行財政改革計画案の中で素案をお示ししてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 少人数学級等についてでございます。少人数学級については,昨年9月市会において全会派一致で意見書を採択いただき,本市からも要望を重ねた結果,国において40年ぶりに学級編制の標準が引き下げられ,今年度から,小学校での35人学級が5箇年計画で段階的に実施されることとなりました。御指摘の独自予算で35人学級を全学年で先行実施するには,令和7年度までに合計約30億円の予算が必要となり,厳しい財政状況の中,その実施は困難であり,義務教育の教員配置に責任を持つ国によって確実に計画が実施されるよう,引き続き要請してまいります。 また,産休代替教員については,産休取得者が年々増加する中,学校現場における子育てと仕事の両立に向けた環境充実のため,昨年度から本市独自の取組として年度途中でも安心して引き継げるよう,出産を控えた教員の産休前から代替講師を任用しており,今年度についても,年度当初に必要な代替講師は全て措置しております。今後とも必要な講師の確保に向けて教師の仕事のやりがい,魅力を発信するとともに,教員免許を持ちながらも教職に就いていない方への積極的な情報発信に努めてまいります。 次に,校則についてでございます。校則は,子供たちが健全な学校生活を送り,よりよく成長するために必要なルールでありますが,本市では,これまでから生徒会活動などで生徒が主体的に校則について考える機会を設け,その中で出された意見等を尊重しながら,より適切なものとなるよう改善を重ねてきております。今後も校長会とも連携し,子供たちを取り巻く社会環境などを踏まえた取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) ほり議員。 〔ほり信子議員登壇〕 ◆(ほり信子議員) ただ今答弁がありましたけれども,令和7年までに30億円と言いましたけれども,子供たちへの最善のプレゼントは少人数学級なんです。再度,全学年35人学級の前倒し実施を求めておきます。 次に,生活保護に関わって質問します。今年2月,生活保護利用者の暮らしの実態を踏まえず,削減有りきで生活保護基準を引き下げた政府の姿勢を断罪し,生活保護基準の引下げは違法とする判決が大阪地裁で言い渡されました。コロナ禍で生活に困窮する国民が急増する中,厚労省も生活保護の申請は国民の権利とホームページに書きました。申請の障害になっている親族への扶養照会も義務ではないと認め,扶養照会の在り方やコロナ禍での申請についても緩和,改善されています。京都市でも生活保護制度に対する説明の改善が見られました。しかし,現場の対応では,市民から不満の声が寄せられています。国連の社会権規約委員会は,スティグマ,恥辱のために生活保護の申請が抑制されている日本の現状に懸念を表明し,生活保護の申請を簡素化すること,申請者が尊厳を持って扱われることを確保すること等を日本政府に勧告しています。ためらわずに申請してくださいと呼び掛けている以上,対応は相談者の権利を尊重し,相談者に寄り添い適切に行われる必要があります。とりわけ扶養照会については,本人の意向を尊重した対応とすることを求めます。いかがですか。 また,一人一人のケースワーカーに対して,厚労省からの通知の周知徹底を求めておきます。京都市における生活保護のケースワーカーの担当件数は,2020年4月1日現在で,平均でも84.6世帯と社会福祉法で示された標準数一人当たり80世帯を上回っています。五,六年前から,京都市では世帯累計別の配置になっており,以前の配置と比較しても30人以上ケースワーカーが減らされているといいます。これまでの質疑の中で,標準数を上回っているが,就労や年金,医療など専門職につなげて対応をし,ケースワーカーの負担を軽減する工夫をしているとのことでしたが,現実には,業務量は増え,担当世帯への丁寧な支援が難しくなっています。また,配属されたケースワーカーは,福祉職の枠で採用された職員だけでなく,行政職の職員も配置し,二,三年で別の職場へ異動します。これでは,経験を積むこともできず,社会福祉の基本的な考え方や対人援助の姿勢等,専門性が身に着かない状況が生まれるのではないでしょうか。ケースワーカーが,憲法第25条生存権の保障の立場から,生活保護の制度をしっかりと学ぶ時間を保障し,担当件数を80世帯以下にできるだけの人数に増やすと同時に,福祉職での増員で福祉の専門家としての対応を求めます。いかがですか。 今年は,女性参政権が行使されて75年という節目の年です。1946年4月10日は,戦後最初の衆院選の投票日でした。日本の女性にとって初めて参政権の行使でした。女性候補者は全候補者の2.9パーセント,誕生した女性議員は39人で全当選者の8.4パーセントでした。現在の日本の女性議員の比率は,いまだ衆参合わせて10パーセント台にとどまっています。戦前は家父長制度の下,女性は無権利状態でした。男尊女卑の価値観を強いられ,戦後は,日本国憲法の下,多くの権利を手にしましたが,女性労働者は仕事の内容や賃金,昇進で差別を受け,女性が主に担う有償無償のケア労働は軽視されてきました。その結果,世界経済フォーラムが発表した2021年の男女平等度ランキングで,日本は156箇国中120位と他の主要国と比べて大きく立ち後れ,とりわけ経済・政治参加の分野での立ち遅れは深刻です。そんな中で,昨年は,#MeToo,#KuTooなど,女性が声を上げ,ジェンダー平等の視点で,これまでの当たり前を見直し,個人の尊厳や多様性を認め合う取組が進みました。京都市はSDGsをよく言われますが,その五つ目の目標にジェンダー平等の実現があります。しかし,京都市基本計画の中にも冊子,学校における人権教育をすすめるにあたっての中にも,その文字すらありません。ジェンダー平等の理念が京都市にも教育委員会にも希薄であると言わざるを得ません。様々な分野の人権がありますが,それを貫く視点としてのジェンダー平等が必要です。児童生徒に大きな影響力を持つ教職員への人権研修にジェンダー平等の視点を入れることが重要です。そして,教育委員会として,冊子学校における人権教育をすすめるにあたっての中に,このジェンダー平等を明記し,取り組むことが必要ではないでしょうか。いかがですか。 さらに,今,経済的な理由で生理用品が買えず,社会参加や修学の障害となる生理の貧困問題が起きています。ジェンダー平等の視点からの対策が急務です。群馬県では,トイレットペーパーと同様の位置付けで,無料で生理用品を使えるよう県立学校や県の施設などに配置しました。今市会の補正で生理用品の提供を提案していますが,教育委員会でも,各学校のトイレに無料で使える生理用品を常備することを求めます。いかがですか。 京都市は,世界遺産仁和寺門前のホテル建設計画を上質宿泊施設候補として選定しました。そもそも世界遺産である仁和寺のバッファゾーンに,用途地域の制限である3,000平方メートルの約2倍の面積の宿泊施設の建設を可能とする上質宿泊施設誘致制度そのものが問題です。地域住民の皆さんは,様々な制限を受け入れ,双ヶ岡と一体になった仁和寺門前を,夕暮れどきに西山連峰に沈む夕日が山のりょう線と仁王門を映し出し,見事なシルエットを描く景観を宝として守ってきました。これまでこの質疑の中で明らかになったように,仁和寺門前まちづくり協議会総会でホテル計画の是非は一度も問われていませんし,地元住民の合意は図られていません。上質宿泊施設候補選定のための有識者会議による意見概要でも,周辺に長く住む住民に懸念があることは確かであると指摘しているのですから,長くそこに住む地域住民が住み続けられる住環境の保全を考えるべきです。市長,仁和寺門前ホテル建設計画を中止すべきです。いかがですか。 また,選定された事業者は,中央労働委員会から不当労働行為について是正の命令を受け,さらに,大阪府において,1箇月の入札参加資格の停止を受けた事業者です。これまで当局は,違法な事業者について,当然その点も踏まえて検討すると答弁しています。これらのことから,上質宿泊施設の選定は取り消すべきです。いかがですか。 最後に,取り残された地元,水尾地域のネット環境の問題です。京北や宕陰地域は数年前に整備されましたが,水尾の地域はいまだに置き去り状態です。この地域は柚子をいかした産業,休耕田を活用したフジバカマの栽培と渡り蝶アサギマダラの鑑賞会など,移住も含めて取組が行われています。これらの取組を更に進めていくためには,光回線によるネット環境は欠かせません。毎年自治会でも要望書を提出しているとのことでした。水尾の地域には,関西電力の業務用やNTTドコモの携帯アンテナ基地として光回線が来ています。京都市として,この事業者に対して地域で活用できるよう働き掛けはできませんか。また,国に対してネット環境整備の申請をし,助成を求めることを要望して終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,ほり信子議員の御質問にお答えいたします。 生活保護についてでございます。新型コロナウイルス感染症が長期化する中,市民の皆さんの命と暮らしを守る最後のセーフティネットとして生活保護制度の果たす役割は,ますます重要になってきております。このため本市では,市民の皆様が生活にお困りになった際には,ちゅうちょなく相談,申請いただけるよう本市のホームページで御案内するとともに,各区役所・支所の相談窓口において,一人一人に寄り添った対応を行っているところであります。あわせまして,扶養義務者への照会の見直しやコロナ禍での制度の弾力的運用につきましては,国の通知を踏まえ適正に運用しております。生活保護行政の根幹を担うケースワーカーにつきましては,本市の非常に厳しい財政,人員状況の中,国が示す標準数を念頭に,令和3年度は382名を配置するとともに,各区役所・支所におけるハローワークのサテライト機能の設置や,年金に関する専門家を配置することで,ケースワーカーが一人一人の受給者の方にきめ細やかに対応ができる体制を整えております。 また,福祉行政に意欲と専門性のある担い手の確保を目的に,平成24年度に導入した福祉職は,生活保護をはじめ福祉行政の各分野において大切な活躍をしており,引き続き採用することにより多様化する福祉ニーズに対応してまいります。今後とも,市民の福祉ニーズに的確に対応できる体制を確保し,誰一人取り残さない社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 土橋観光政策監。 〔土橋観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(土橋聡憲) 仁和寺門前ホテル計画についてでございます。当該計画地はかつてガソリンスタンドやコンビニが計画されましたが,地域の皆様が反対された経過がございます。このような中で,地域の皆様が長年の課題解決につながるのであればと,本ホテル計画について協議に応じられたものです。このため事業者は,上質宿泊施設誘致制度を活用し,3年以上周辺住民の皆様との協議を重ね,交通安全やプライバシー等に関する様々な御意見を計画に反映させるなど,丁寧に意見調整に取り組まれてまいりました。こうした事業者の努力は有識者会議からも高く評価をされており,本市として周辺住民の皆様との合意形成は図られたものと判断しております。 また,御質問の事業者の他都市における事案につきましては,有識者会議でも説明しており,そのうえで本計画が安定した雇用の創出に貢献することを確認し,上質宿泊施設候補として選定しております。なお,上質宿泊施設誘致制度は,建築基準法の手続に代わるものではなく,建築計画につきましては,今後都市計画の手続において専門的な視点から検証が行われます。また,本制度においても,提案内容が誠実に履行されるようしっかりと確認してまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 学校における人権教育についてでございます。本市教育の歴史は人権確立の歴史でもあり,男女共同参画,ジェンダー平等として表される理念についても,学校教育における人権の重要な柱の一つとして営々とした取組が積み重ねられてきております。こうした中,平成11年に学校における人権教育の指針である学校における人権教育をすすめるにあたってを作成し,男女平等に関する理念を教育活動に浸透させることを重要な課題と位置付け,学校生活のあらゆる場面において男女共同参画の視点に立った教育実践を積み重ね,定着しております。今後とも,全ての子供が男女を問わず等しく個性ある人間として尊重され,一人一人が自己の能力を十分発揮できる資質や能力の基礎を培うとともに,自分らしく人生や社会を創造することができる力を育むためのキャリア教育の推進など,男女共同参画の理念を踏まえた取組を一層推進してまいります。 生理用品の配布につきましては,本市では,これまでから各学校の保健室に常備し必要に応じて児童生徒に手渡しておりますが,この5月市会において提案されている不安を抱える女性に寄り添った相談支援に係る事業予算により,学校での配備を充実するとともに,文化市民局とも連携し,生理用品の配布を通して養護教諭等が生徒により一層寄り添い,困りを抱える生徒やその家庭への支援につなげられるよう取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) 右京区選出の湯浅光彦です。公明党京都市会議員団を代表し,兵藤しんいち議員と共に市政一般について質問いたします。変異株による第4波緊急事態宣言の中での本日の本会議代表質問であります。市長におかれましては,市民への誠意ある答弁をお願いします。 一般に,未知のウイルスには三つの感染症があると言われ,疾病を引き起こす生物学的感染症,不安やおそれを生じさせる心理的感染症,不安や恐怖が生み出す嫌悪,差別,偏見が行動となって表れる社会的感染症の三つであります。まさにこの間,医療従事者の方々をはじめ福祉関係者,物流関係者,本市保健所職員をはじめとする市職員など全てのエッセンシャルワーカーの方々は,この三つの感染症と闘ってくださっておられます。我々も感染しない努力こそが皆様の献身に報いることであると自覚し,改めて心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。また,お亡くなりになられました方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに,闘病生活を送っておられる方々に一日も早い御回復を心より御祈念申し上げます。 それでは質問に入ります。令和3年度は,京都市にとり財政危機とコロナ禍という二つの危機を克服するための重要な年度のスタートの年であります。まず,ワクチン接種体制,新型コロナ感染予防対策について質問いたします。今回の緊急事態宣言延長に伴い,引き続き外出自粛要請や酒類提供飲食店への休業要請等に加え,新たに路上,公園等における集団での飲食などの自粛要請及び家庭内の増加を踏まえた感染予防対策の啓発強化,更なる保健所機能の強化として接触者に係るPCR検査対象者拡大,濃厚接触者の範囲拡大,健康観察者の注意就業の実施や在宅療養患者への支援を推し進めるなど,市民,事業者の皆様に更なる御負担と御協力をいただいているところであります。引き続き,第3波までとは全く違う状況であり,市民の皆様にも御理解いただけるよう実効性あるものとしていただきたいことを要望しておきます。 〔田中議長退席,吉田副議長着席〕 ◆(湯浅光彦議員) (続)昨日までの今週市内感染状況は,新規陽性者,平均92名,療養者1,292名,府内全体の病床利用率は66.2パーセント,重症病床60.5パーセントと予断を許さない状況であり,まずは何よりも実質的には医療崩壊とも言えるこの状況を解消し,市民,医療従事者の方々に安心して医療に取り組んでいただけるよう新規感染者を減らしていかなくてはなりません。その第1の切り札は,やはり確実なワクチン接種の実行であります。4月12日より高齢者施設への実施に始まり,現在65歳以上の方々のかかりつけ医等への接種,5月29日から集団接種となります。一連の接種に係る現状を踏まえ,公明党京都市会議員団は,5月12日,門川市長に対し,新型コロナワクチンの円滑な予約,接種の実施に向けた7点にわたる緊急要望を提出いたしました。主なものとして,1,ワクチン確保の予定数,接種時期の見通しなどを可能な限り市民へお知らせすること。2,医師会の先生方の御理解と御協力をいただき,個別接種可能な病院,診療所の公表数を増やすこと。3,集団接種の予約及び接種が円滑に進むよう,高齢者,障害者への合理的配慮の提供と支援及び広報。4,集団接種会場の更なる拡充,コールセンターの体制強化などであります。 国は,65歳以上の高齢者は7月までに全て打ち終えるとし,京都市では,約41万人の方々へ着実にワクチン接種を実行しなければなりません。緊急要望に対し,市長は一昨日,新たに接種会場の増設やコールセンターの回線倍増,医療機関の公表など迅速に対応されたことは評価をいたしております。一方,昨日の予約状況は,インターネット予約が8時55分,コールセンターが16時41分終了となり,予約が取れなかった方々にとっては,次回からの予約について不安な思いを抱えておられます。今後は,広報をはじめ市民の不安を解消し,安心し接種していただけることが何より重要であります。緊急要望事項と併せ,現状7月末までの接種体制へどう実効性ある取組とするのか,まずその点をお聞かせいただきたい。 次に,国は,9月までには全ての国民に行き渡るワクチンを確保したとしており,市民の期待も大変大きなものがあります。万全の体制で臨まなくてはなりません。今後,64歳以下の基礎疾患をお持ちの方々への優先順位についてはどのように進められるのか,また,障害をお持ちの方やDV避難者などについてはどのような形で取組まれるのかお聞かせいただきたい。あわせて,今後64歳以下の現役世代への接種について,公明党は職域,学校などでの接種を菅総理へ提案しております。これらに対する備えを今からしておくことも要望しておきます。 さて,第3波までは,2週間の自粛期間があれば着実に新規感染者は減少しておりましたが,第4波では,高止まりが続き,正に変異株による感染力の強さと若年層の重症化が大きな特徴となっております。第3波までは,比較的感染の少なかった未就学児,児童,生徒にも感染が大きく広がっており,学校現場としてこれらについてどう対策を進めていかれるのかお聞かせいただきたい。 最後に,この新型コロナ発生より既に1年4箇月が経過し,京都市としても事業者,市民へ支援を続けてまいりましたが,長引く感染の危機から事業者,市民は大変苦しい状況です。京都市独自の支援には限界があることは十分承知をしておりますが,だからこそ,相談者一人一人に寄添い丁寧な対応をお願いしたい。公明党は,竹内政調会長を筆頭に,政府に対し緊急小口資金等各種支援の延長等を求めております。京都市もしっかりと声を上げていただきたい。我々公明党京都市会議員団は,門川市長と共にこの難局を乗り越えるため全力で取り組むことを改めて表明させていただき,ここまでの答弁をまず求めます。 ○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナ感染拡大防止対策でございます。まずワクチン接種につきましては,65歳以上の高齢者の進捗状況は,昨日時点で施設入所者を除く約39万人のうちの46パーセントに当たる約18万人の方が1回目を接種,または接種予約の受付が完了したところであり,7月末までに希望する全ての方の接種を確実に完了してまいります。そのため,府医師会や地区医師会等と緊密に連携し,個別接種と集団接種の更なる拡充を図ります。まず,個別接種につきましては,協力医療機関数の拡充を図ります。また,集団接種につきましても,接種機会の拡充に向け体制を構築し,これに合わせまして個別接種の協力医療機関名を6月1日に公表いたします。今後,これらの取組や接種の状況等を市民しんぶん,ポータルサイト,LINE公式アカウント,市政広報板など,あらゆる媒体により広く市民の皆様に周知し,接種していただけるよう円滑な予約と接種につなげてまいります。 次に,基礎疾患のある方には,基礎疾患を証明する診断書等が不要であるなど必要な情報をしっかりと周知し,情報伝達に課題がある障害のある方へは,障害者団体等と連携し,確実な情報提供や集団接種会場での代筆,代読,タブレットを活用した手話通訳サービス等を行ってまいります。また,DV避難者には,接種券の再発行に際し,居住地が漏れないよう対応するとともに,本市に住民票のない方はお持ちの接種券で接種いただき,避難先での確実な接種を支援してまいります。 最後に,学校をはじめ子育て支援機関でございますが,子供たちの命と健康を第一としつつ,感染拡大防止の徹底とICTも活用した教育活動の継続の両立など様々な取組を展開しております。今後も,保護者,地域の御理解,御支援の下に,教職員等が日々努力をしていただいております。湯浅議員御指摘のように,変異株の感染力は非常に厳しいと実感いたしております。学校等では近距離や大声での活動等を避けること,教材教具の共有をできる限り行わないことや部活動の原則中止など,感染拡大リスクを抑えた活動に努めるとともに,家庭への感染防止の徹底を啓発し,感染者が確認された場合には,学校と保健所が速やかに連携し,学級や部活動全体など広範囲のPCR検査を実施するなどして,感染の可能性を的確に把握し,更なる感染拡大の防止を集中的に取り組んでまいります。引き続き最大限の努力をしてまいります。 ○副議長(吉田孝雄) 湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇〕 ◆(湯浅光彦議員) 次に,財政危機について伺います。3月23日,京都市の持続可能な行財政の確立に向けた答申が提出され,私の所属する総務消防委員会において,行財政局より今後のスケジュールとして5月末をめどに行財政改革計画を発表し,その後,パブリックコメントを実施,夏頃には計画を提出したいとの意向が示されました。まず,この審議会答申を提出いただいた委員の先生方に敬意を表したいと思います。内容は,財政運営全般に関するものと歳入歳出の個別分野に関する答申を九つの分野に分けて答申いただいております。大変厳しい御指摘が網羅されており,努力はしてきているが,結果として財政再生団体に陥る状況になっていることに猛省を促しておられます。委員の方々にこのような御指摘を受ける前に,本来京都市自らが財政計画を議会及び市民に開示すべきであったと強く思うものであり,市長として答申の内容についてもさることながら,このような諮問をせねばならなかったことについてどうお考えであるのか,まずお聞かせ願いたい。 そのうえで,この答申に先立ち,新聞報道や市民しんぶんなどを通して多くの市民の皆様から,このままで大丈夫なのか,子育て,教育,福祉に他都市を上回る支援を行っていたとは知らなかった,京都市は他都市に劣っていると不満ばかり聞かされていたとのお声や,当事者として補助金の減額を心配するお声も頂いております。もちろん減額や負担が増えることについて不安を持たれることは自然なことでありますが,答申の負担内容を一括して否定することにはくみすることはできません。今を生きる市民も,そしてこれからの京都市を担う世代のためにも避けて通ることはできません。公債償還基金を取り崩さずに財政を立て直すには,理論的には歳入内で歳出を押えれば済むことですが,それができないことは自明の理であります。令和7年度までの財源捻出額は760億円です。最終目標は決して譲ることはできません。 しかし,私は計画を策定するに当たっては,市民にとってどのような影響が生まれるのか,想像力を持って一人一人の顔を浮かべる思いで策定することを総務消防委員会で申し上げました。また,答申では,少なくともコロナ禍が収束するまでの間,社会的弱者に対する施策の見直しについては,セーフティネットとしての機能を十分に配慮しなければならないとされております。この社会的弱者とは人によって定義も違うと思います。市民と思いを共有できるものでなければなりません。また,改革の先が縮小一辺倒の暗いものであっては市民の共感は得られない。改革の先には将来の明るい展望が必要であるとされております。全くそのとおりであると思います。市民との課題克服を共有するには,京都市職員の皆さん方も改めて心を一つにして取り組まなければ決して成し得ません。計画策定に当たり市長はどのような思いをお持ちなのか,取組の方針と決意をお聞かせいただきたい。 最後に,LGBTへの取組についてお尋ねします。LGBTの方々よりのお声を受け,一昨年の9月,代表質問において,私はパートナーシップ制度の創設を門川市長に強く要望いたしました。市長はLGBTの方々のお声を真摯に受け止め,有識者会議における議論の中心課題の一つとして格上げをしていただき,昨年9月,パートナーシップ制度を創設されました。この英断に全国から私の下にも評価のお声を頂いております。制度発足より令和3年5月1日時点では,60組以上の方々が宣誓され,そのうち15組の方が京都市独自の基準であるどちらか一方が市内在住の方であると伺っております。その後も,コミュニティスペース,京都まぁぶるスペースの開催,企業向けパンフレット「ダイバーシティLGBTの視点から考えるこれからの職場づくり」の発行,「性の多様性について考えよう!~自分らしさ認め合う~」の座談会の開催,市営住宅の入居要件への適用,市立病院における面会,付添いや医療の意思決定のサインなど,着実に制度の進捗を図られ,評価しているところであります。1970年6月,アメリカニューヨークにおいて,LGBTの方々による世界初のプライドパレードが開かれ,アメリカでは,6月はプライド月間として性的マイノリティの権利を考える月とされております。また,この4月4日,京都レインボープライドパレードが200名の参加者の下開催され,門川市長も,尊厳を認め合えるまちを目指し,努力していくと挨拶されたと伺っております。こういったことからも,LGBTに対する認識は,相当程度社会の中で言葉としては認知されてきたと思いますが,その内実についてはまだまだ不十分であると考えております。制度に対するアンケート調査では,職場の理解が浅いのでカミングアウトできていないとの声もあり,周囲の人にカミングアウトしていない人も多数おられると推測されます。もちろん,する,しないは御自由であり,肝心なことは御本人がカミングアウトしたいと思ってもできない環境を改善していくことであると思います。 また,自身の性自認を意識するのは思春期であることが多く,教育現場や保護者の方々についても,性の多様性について,より御理解いただけるよう啓蒙していかなくてはならないと思います。さらには,出水期も始まりましたが,避難所における対応についても十分な配慮が求められますが,カミングアウトしていない方々は利用そのものを諦めてしまっている実態があります。また,既に亀岡市でも導入されており,近々長岡京市もパートナーシップ制度を導入すると伺っております。さきの予算委員会で,我が会派の平山議員が,他都市へ転居した場合でも,京都市の宣誓書が有効になるよう連携をしていくべきではないかと提案をしているところであります。国会においてもLGBT法案が議論されておりますが,これらも踏まえLGBTへの今後の取組をお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革計画についてでございます。本市では,これまでから福祉,医療,教育,子育て支援など国や他都市を上回る独自の行政サービスを実施し,市民生活を下支えしてきました。また,その財源を確保するために,職員数の大幅な削減をはじめとする行財政改革に積極的に取り組むとともに,成長戦略の実施により,コロナ禍前の令和元年度決算では市税収入が過去最高になるなど,一定の成果を挙げてまいりました。しかし,激甚化する災害への対応や地方交付税の減少などにより,独自の施策に必要な財源を確保できず,収支の不均衡が常態化していることから,外部有識者の知見もいかした改革の取組を進めることといたしました。持続可能な行財政審議会からは,国や他都市を上回って実施する施策について,社会経済情勢の変化や国の制度の充実等に合わせて見直すべきところ,現在の市民サービスを守るために制度を維持し続けてきたことが,結果として収支バランスを崩す要因となっているとの御指摘をいただいております。真摯に受け止め,反省しなければなりません。くわえて,こうした収支の不均衡について,将来世代へ負担を先送りすることで収入以上の支出を行っているなどと,分かりやすい情報発信が不十分であったとの厳しい御指摘もいただいております。 一方,京都の今と未来に責任を果たすためには,御指摘のとおり,この先4年間の行財政改革で760億円以上の財源を,何としても確保が必要であります。次期計画では,必達目標を掲げ,その達成を確実なものにするために,毎年度の歳出上限を項目ごとに設定し,これまで以上に踏み込んだ改革を進めます。同時に,コロナ禍の影響が長引く中,本市が市民生活のセーフティネットの役割を十分に果たさなければなりません。現在の制度や事業の見直しにより必要な財源を確保し,SDGs,誰一人取り残さない社会の実現に向け,真に支援を必要とする方をしっかりサポートできるよう,財源の再配分を行っていく必要があると認識しております。コロナ禍と財政の危機,直面する二つの危機を乗り越える改革には,市民の皆さんの御理解は欠かせません。計画では改革の先に見える明るい未来,市民の皆様とそれを共有し,その実現に向け全職員の英知を結集し,市民の皆様と共に不退転の決意で改革を断行してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(吉田孝雄) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) LGBTなど性的少数者に係る取組でございます。本市では,誰もが多様性を認め合い,誰一人取り残さない共生社会を目指し,性的少数者の方々に寄り添った取組を市民の皆様と共に全庁的に推進しているところでございます。 パートナーシップ宣誓制度につきましては,湯浅議員から貴重な御提案もいただき,市民の皆様の理解の深まりと当事者の方々の思いにお答えし,昨年9月から開始し,現在63組の方々に御利用いただいております。あわせて,市営住宅の入居要件の緩和や犯罪被害者等生活資金の給付対象者とする見直しなどを進め,また民間企業でも大きく取組が広がってきております。一方,悩みを相談できず,孤立を深め,生きづらさを感じる性的少数者の方々もまだ多くおられると認識をしております。特に,議員御指摘のとおり,周囲との違いに気づき始める思春期の段階から,多様な性の在り方が尊重され,自己を大切にしながら社会に参加していける環境づくりが重要でございます。引き続き,教職員への研修などをはじめ教育現場での取組を実施するとともに,今年度は新たに子供に一番身近な保護者に,性の多様性への理解をより深めていただくリーフレットを作成,活用するなど,学校とも連携し取り組んでまいります。また,災害時の避難所においても,性的少数者の方々が安心してお過ごしいただけるようトイレの表示や相談窓口の掲示など,多様な性に配慮した柔軟な対応を進めてまいります。さらに,パートナーシップ宣誓をされた方々が市外に転出された場合でも,宣誓の効果を引き継ぐことができる他都市連携につきまして,亀岡市及び長岡京市との間で準備を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(吉田孝雄) 次に,市政一般について,兵藤しんいち議員に発言を許します。兵藤議員。 〔兵藤しんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(兵藤しんいち議員) 北区選出の兵藤しんいちでございます。湯浅光彦議員に続き,公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに関係理事者の皆様におかれましては,どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 なお,質問に入らせていただく前に,新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々へ御冥福をお祈り申し上げますとともに,現在も対応に御尽力されている全ての皆様へ,この場をお借りし心から感謝を申し上げます。 まず初めに,再犯防止の推進についてお聞きいたします。本年3月,第14回国連犯罪防止刑事司法会議,京都コングレスが国立京都国際会館で開催されました。5年に1度開催されるこの会議は,専門家が世界の犯罪防止・刑事司法分野の諸課題について議論し,国際社会が直面している諸問題や解決すべき喫緊の課題に対して,各国が協力して取り組むべき方策を取りまとめた宣言を策定し,参加国の全会一致により採択されるものであります。今回は,京都宣言として97項目が採択されました。この宣言の中には,新型コロナウイルス感染症に関わるものが4項目含まれるとともに,再犯防止に向けた地域の関わり及び協力雇用主の項目も採択されております。 国においては,2016年12月に,再犯の防止等の推進に関する法律が施行され,翌2017年12月には,再犯防止推進計画を閣議決定し,2022年度までの5年間に取り組む七つの重点課題と115の具体的施策が示されました。さらに,2年後の2019年12月には,犯罪対策閣僚会議において再犯防止推進計画加速化プランが決定され,先の計画の中で,より一層重点的に取り組むべき三つの課題として,満期釈放者対策の充実強化,地方公共団体との連携強化の推進,そして民間協力者の活動の促進が示されました。これらを背景に,本市においては,本年3月に,京都市再犯防止推進計画を策定され,今年度から2025年度までの5年間で,六つの柱と52の具体的施策を実施していくこととなりました。個々の内容は割愛させていただきますが,この中でうたわれている社会での居場所づくり,そして民間協力者との更なる連携や地域社会への理解促進に向けた広報啓発活動の推進については,私自身,保護司として活動している中で痛切に必要性を実感しているところであります。 今回,本市の新規事業として再犯防止推進事業が予算計上されました。新たな犯罪被害者を生み出さず,罪を償い,社会の一員として再出発する人の社会復帰を促進するため,官民連携による切れ目のない支援を推進することを目的に,更生支援の相談員を設置し,関係機関との連携や各種研修機会の提供,地域住民や事業者への情報発信をされると伺っております。就労や社会活動の確保は,社会での居場所づくりに甚だ有効であります。現在,京都府内の協力雇用主は約400事業者となっており,そのうちの約半分近くが建設関係,その次に製造業や介護事業等と聞いております。再犯防止推進事業を実施するに当たり,より多くの事業者に協力雇用主として登録いただくことにより,幅広い職業の選択と就労機会の確保がより推進できると考えられます。また,再犯防止を考えるうえで,家族や友人,地域との関わりも大切な要素となります。特に,犯罪加害者は家族と断絶していることも多く見受けられ,これら犯罪加害者家族への視点も再犯防止を進めるうえで大切であると考えております。 そこでお聞きいたします。協力雇用主の更なる確保や社会での居場所づくりを進めるうえで,本市として今後どのように取り組まれるかお考えをお聞かせください。また,広く市民や地域へ情報発信をしていくに当たり,犯罪被害者等に十分配慮するとともに,犯罪加害者家族へのフォローの視点も必要と考えますが,それらについてのお考えもお聞かせください。 次に,若者の孤独・孤立対策の一つとしてヤングケアラーの問題についてお聞きいたします。2017年に総務省統計局が実施した就業構造基本調査では,家族を介護している15歳から29歳までの若者の数は,全国推計で21万100人でありました。しかしながら,この調査では,家族にケアを要する人がいる場合に,大人が担うような責任を引き受け,家事や家族の世話,介護,感情面のサポートなどを行う18歳未満の子供,いわゆるヤングケアラーの対象数が不明でありました。そのため,厚生労働省と文部科学省が,昨年12月から本年2月にかけて,公立学校に通う中学2年生と高校2年生の約17万人を対象にインターネット調査を実施した結果,1万3,777人から回答があり,中学2年生で5.7パーセント,全日制の高校2年生で4.1パーセントの人が,平日の1日平均約4時間,家族の世話をしており,その5割の人はほぼ毎日であることが分かりました。中には7時間以上に上る人も1割存在し,勉強の時間が取れない,睡眠が不十分,進路の変更を考えざるを得ないといった声が上がる中,全体の4割の人が自身をヤングケアラーと自覚できておらず,6割の人が状況を諦めて学校等にも相談した経験がないとのことでした。これは深刻な問題であります。現に私にも市民の方からの相談の中で,心身に障害のある親をサポートしながら学校に通う生徒の家庭に伺ったことがあります。未来を担う若者が,勉強やクラブ活動,友人と遊ぶことも難しいという環境におかれることは,家族を大切にするという問題だけでは済まない,学業や生活そのものへの影響が懸念されます。 そのような中,埼玉県では,いち早く昨年3月にケアラー支援条例を制定し,その中でヤングケアラーへの支援について言及しています。また,兵庫県尼崎市では,今年度からヤングケアラーに該当するかどうかのチェックシートを作成し,関係機関で活用することになっています。同じく神戸市では,今年度からヤングケアラーの専門相談窓口を設置する予定となっております。本市においては,今年度から誰一人取り残さない体制作りに向けて,孤独・孤立対策プロジェクトチームを立ち上げ,様々な孤独,孤立に起因する社会問題へ対応するとともに,ヤングケアラーについての課題にも取り組むと伺っております。 そこで,少しでも早くヤングケアラーの実態を把握し,今後,効果的な施策を推進していくためにも,まずは市民にヤングケアラーという言葉を浸透させ,理解を深めることが大切であると思います。そのため,市内の中学,高校に通う若者がヤングケアラーというものを認識し,当事者が周囲に支援を求めることができるよう,周知パンフレット等を本市で作成し,配布するとともに,学校現場等でアンケートを実施することが必要と考えますがいかがでしょうか。福祉施策にしっかりつながることができ,一人でも多くのヤングケアラーの状況が改善されることを願っております。本市のお考えをお聞かせください。 最後に,ポストコロナ社会を見据えた観光施策の推進についてお聞きいたします。この4月25日,京都では3回目となる緊急事態宣言が発出されました。新型コロナウイルス感染症の拡大は,飲食業,宿泊業のみならず旅客運送業や文化芸術,伝統産業に至るまで,京都経済を著しく疲弊させております。今月から本格的に始まったワクチン接種事業の速やかな普及や,開発が急がれる国産のワクチン及び治療薬の一日も早い完成が待たれるところであります。言うまでもなく,京都経済は観光が重要な位置にあります。思えば,私自身も中学,高校の修学旅行はこの京都でありました。今後のポストコロナ社会を考えたとき,京都の幅広い観光の在り方が必要になることが考えられます。本市の北区,左京区,右京区における北部山間地域は,美しい自然に恵まれ,すばらしい文化や伝統,温かな人のきずなが息づく魅力あふれる地域として,北部山間かがやき隊や住むなら京都の活動を通した京都への移住促進も行われております。また,自然を楽しむエコツーリズムや体験型のグリーンツーリズムなど,地域ならではの魅力をいかした観光の誘致もいたしております。これら自然豊かな北部山間地域において忘れてはならないのが,澄んだきれいな空気と街明かりの影響がないことにより,市内の中でも美しい空をながめられることであります。 そこで,新たな観光誘致策としてアストロツーリズムを提唱したいと考えます。アストロツーリズムとは,星空そのものだけでなく,その地域や星空に関係する天文台などの施設を訪れる観光も含まれ,観光資源としての天文を活用することであります。長野県では,近年,星空の美しさとともに,天文台や研究施設,プラネタリウム等を資源として捉え,長野県は宇宙県として観光に役立てております。特に阿智村では,環境省に空の美しさを認定されて以来,ハナモモや昼神温泉などと合わせた日本一の星空ツアーとして観光客に人気を博しております。岡山県井原市では,美しい星という地名の美星町という地域もあり,全国に先駆けて光害防止条例を制定し,地域一丸となって星空を守っております。ここでは,観光資源としての天文を活用した星空を眺められる公園の整備や天文台の運用等も行っております。また,リゾート地として有名な沖縄県石垣市でも,石垣島天文台を有し,本州では見ることができない南十字星が見えることを活用したまちおこしをした経過があります。ちなみに,この石垣島天文台では,ライブカメラによる南十字星のインターネット配信も行っており,私たちも気軽に見ることができるようになっております。 そのような中,本市はどうでしょうか。本市には,昨年の9月市会代表質問でも言及した青少年科学センターをはじめ,英国の伝説のロックバンド,クイーンのギタリストであるブライアン・メイ氏のサイン入り観測装置のある京都大学花山天文台,そして京都産業大学神山天文台に加え,花背山の家の天体観測所など,他の自治体にも勝るとも劣らない施設があります。また,江戸時代中後期の医者で文人としても活躍した橘南谿は,1793年8月,伏見区の観月橋近くの伏見奉行所跡から東の辺りにあったとされる別荘の黄華堂で,天体望遠鏡を使った日本初の天体観望会を開催したと言われています。なお,このときの望遠鏡は,岩橋善兵衛という日本地図を作った伊能忠敬が使用した望遠鏡の製作者と同じものであるとも言われています。本市には,このような余り知られていない貴重な歴史文化も数多く存在しております。中秋の名月の時期には,各地で月をめでる観月祭も執り行われており,このことからも,歴史建造物や文化鑑賞といった観光に加えて,月や星といった天文資源を観光に採り入れることも十分意義があると考えております。北部山間地域の美しい星空,そして本市が誇る天文施設,歴史と文化に加え俳句や和歌,うたげなどに見られる風情としての天文,そして知名度は低いが歴史的に重要な天文文化史など,本市にとってまだまだ観光として誇れる財産はたくさんあります。 そこでお聞きいたします。ポストコロナ社会を見据え,豊かな自然景観をはじめとした京都が誇るこれらの財産を観光資源として見詰め直し,夜観光や宿泊観光の促進,新たな観光やにぎわい創出につなげていくべきと考えますがいかがでしょうか。本市のお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(吉田孝雄) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 兵藤しんいち議員の御質問にお答えいたします。 再犯防止の推進についてでございます。再犯防止の推進は,罪を犯した人の背景にある悩みや生きづらさに誠実に向き合い,必要な支援につなげ,もう二度と罪は犯さないという思いを社会全体で支えていく取組であります。兵藤議員御指摘のとおり,再犯防止に向けては,就労や社会活動の確保など社会での居場所づくりが重要であり,本市の再犯防止推進計画においても重要な柱として位置付けております。更生を目指す人を雇用する協力雇用主の開拓については,保護観察所等が取り組まれておりますが,本市におきましても,市内の地域企業の皆様に協力雇用主の登録を呼び掛けるとともに,協力雇用主の活動を広く発信するなど社会的評価の向上にも取り組んでおり,今後も積極的に推進してまいります。 また,更生を目指す人にとって,支えてくれる家族や友人,関係者の存在は何よりも心強いものであります。一方で,家族との関係が切れてしまったり,家族が受ける精神的苦悩,経済的困窮,誹謗中傷等といった課題があることも認識しております。経済的課題は,必要な福祉施策等を御利用いただくことが考えられますが,誹謗中傷といった課題については,全ての人の人権が尊重される地域社会の実現に向けた取組が重要であります。そのため,更生を目指す人の社会復帰を支援するために,新たに設置した更生支援相談員が中心となって福祉的施策につなぐ調整を行うとともに,家族の人権尊重についても地域理解の促進を図ってまいります。また,取組に当たりましては,犯罪被害者や被害者家族の心情に十分に配慮してまいります。国連犯罪防止刑事司法会議,京都コングレス,京都市は早くから招致に取り組み,また,会議にも参画させていただきましたが,有意義で感動的な会議でありました。その京都コングレス開催の地として,京都宣言採択の地として,こうした再犯防止の取組を市民ぐるみ,企業,経済界も一丸となって進めることによりまして,SDGsが掲げる誰一人取り残さない社会の実現に努力してまいります。 次に,ヤングケアラーについてでございます。ヤングケアラーは,一般的に大人が担うと考えられる家族の介護や家事などを子供が日常的に行うことで,本来守られるべき子供の健やかな育ちが妨げられており,また子供自身や保護者等がそのことを認識できておらず,家庭内からも表面化しにくい構造にあります。このため,大人や子供自身をはじめ様々な関係機関がヤングケアラーについての認識を深めるとともに,背景にある課題の解消に連携して取り組んでいくことが重要であると考えております。本市では,まず,子供を支援する関係団体でヤングケアラーへの認識を深めるための取組を行うほか,教育委員会において,全教職員を対象としたヤングケアラーに関するオンライン研修を実施するとともに,本年4月には,ヤングケアラーをも含めまして孤独・孤立に関する様々な社会問題について,現状と課題の把握や解決策の検討化を行うための孤独・孤立対策プロジェクトチームを設置し,分野横断的な議論に着手したところでございます。今後,同プロジェクトチームにおきまして,国の検討報告や他都市の取組事例も踏まえつつ,兵藤議員御指摘の実態把握の手法や子供の状態,これに気付き,必要な施策につなげ,必要な施策により支える仕組みの構築を検討してまいります。そのうえで,御提案いただいた子供自身が自らの状況を理解し,支援を求めることができるよう,また周りの大人が気付き,受け止められるような効果的な情報発信を行うとともに,地域包括支援センター,介護関連事業所,保育所,児童館,学校等,支援を必要とする方に関係する機関と連携し具体的な取組を進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(吉田孝雄) 土橋観光政策監。 〔土橋観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(土橋聡憲) ポストコロナ社会を見据えた観光振興についてでございます。本市では,感染症予防拡大防止対策を徹底した安心して楽しめる新しい観光スタイルの定着に向け,比較的密になりにくい自然の中で楽しめるアウトドアコンテンツの造成や,混雑回避にも資する時間,場所の分散化の推進に取り組んできたところです。千年を超える歴史を育んできた京都には,中秋の名月をめでる伝統行事や自然豊かな郊外の星空,京都を彩る建物や庭園制度において,特に価値の高いものとして認定している花山天文台をはじめとする天体観測施設など,兵藤議員御紹介のアストロツーリズムにもつながる貴重な観光資源がございます。これらもいかした特別なコンテンツの発掘や,山間地域など多様なエリアでの魅力の掘り起こしは,観光の分散化,滞在型観光の推進に資するものであり,今まで以上に重要な視点であると認識しております。今後,観月祭をはじめ京都の夜空を楽しむことのできるイベント情報の発信や,高尾や京北などの北部山間地域といった自然豊かな郊外の多様な魅力を切り口とした観光ツアーの造成やPR等に取り組み,京都の奥深い魅力を感じられる宿泊観光や夜観光を一層推進することで,観光を通じた地域の活性化につなげてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(吉田孝雄) 暫時休憩いたします。 〔午後2時55分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(田中明秀) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し市政一般について質問します。 本市は今,コロナ禍と財政の二つの危機に直面しています。また,毎年のように地震や風水害といった自然災害の危機にもさらされています。以上三つの危機に,本市として今後どう取り組むのかについて順次質問します。 最初に,財政危機に対する取組についてです。本市の財政危機は,平成バブル崩壊による景気後退や少子高齢化の進行などにより,義務的経費が市税収入を上回り,その差が年々拡大したことから始まりました。そこで,平成7年度から中期の財政健全化計画を切れ目なく策定しながら,事務事業の見直し,投資的経費の抑制,人件費の削減など行財政改革を行ってきました。近年では,様々な市税収入増加策で担税力の強化に力を入れ,一定成果も出ていました。しかし,収入と支出のバランスを欠いた市政運営により,借金返済の積立金,すなわち公債償還基金の恒常的な取崩しに加え,昨年来のコロナ禍が重なり,財政は今や危機的状況に陥っています。今年度予算も,あらゆる努力をしたもののなお236億円の財源不足となり,公債償還基金を181億円取り崩すなど極めて厳しい状況です。財政当局によると,今後徹底した改革を進めなければ,令和8年度にも公債償還基金の残高がゼロとなり,毎年数百億円の赤字が発生,累積し,財政再生団体の道をたどるとのことです。 約70年前,本市は今で言う財政再生団体を一度経験しています。財政健全化に向け,昭和30年度から8年間,累積赤字解消の計画を立て,1年前倒しで脱却しました。その大きな要因は,景気好転で市民所得が伸び税収が相当増加したこと,国の地方交付税の増額や国庫支出金の負担率引上げなど,外的環境に恵まれたことでした。よって,コロナ禍に加え,景気の低迷,国の深刻な財政難といった外的環境の厳しさから,財政再生団体に陥れば,当時よりもはるかに厳しい状況になるのは明らかです。現在全国で唯一の財政再生団体が北海道の夕張市です。事実上国の管理下に置かれ,長期に及ぶ財政再生計画の下,収入面では,あらゆる市税や使用料の引上げ,支出面では,市民生活に真に必要な事務事業以外は原則廃止,人件費も新規採用停止や職員の大幅削減,給与の全国最低水準以下となるなど極めて厳しい内容です。よって,財政再生団体に陥ることは何としてでも避けなければなりません。3月23日,持続可能な行財政審議会より,京都市の持続可能な行財政の確立に向けた答申が提出されました。これを踏まえ,本市は現下の財政危機を乗り切るため,今年度の早い時期に行財政改革計画を策定する予定です。この度の行財政改革計画は,市民の暮らしと本市の未来が懸かった大変重要な計画です。 そこで,計画策定に当たっては,議会と十分議論するとともに,市民への説明責任をしっかりと果たし,その思いを受け止める必要があります。また,策定後も定期的に点検,評価し,財政健全化を着実に推進する仕組みが必要と考えますがいかがですか。答申では,今後も巨額の財源不足が生じるため,公債償還基金の取崩しが前提であり,10年以上の長期の改革が想定されます。しかし,改革は長くて10年とし,市民に展望を示すものにすべきと考えますがいかがですか。また,市民サービスなどの支出削減に偏ることなく,教育,福祉に十分配慮しつつ,収入増加策に取り組むことが重要です。特に定住者を増やす取組については,関係部局がしっかりと連携しつつ,数値目標を掲げ,成果を見える化し,積極的に推進すべきと考えますがいかがですか。 また,文化を基軸としたまちづくりで京都経済を活性化する取組については,その中心となる京都芸大の移転整備が2年半後に完成予定です。現在,京都駅東部と東南部エリアにそれぞれ庁内検討組織はありますが,京都駅東部・東南部エリアを含めた全体のまちづくりを進めるプロジェクト組織はありません。また,庁内検討組織には,今後必要となる文化庁との連携,大学政策,国際交流の部局が参加しておらず,京都芸大の教授も加わっていません。そこで,今一度,移転整備後を見据え,新たにプロジェクト組織を立ち上げて万全の準備体制を作り,京都芸大を拠点とする文化を基軸としたまちづくりで京都経済を活性化する取組を力強く進めるべきと考えますがいかがですか。 次に,コロナ禍に対する取組のうちワクチン接種についてです。昨年1月末に本市で初の感染者が確認されてから約1年4か月がたちました。この間,本市は感染拡大の危機的状況に陥ることもありましたが,市民,事業者の皆様の力強い御協力によりその都度乗り越えることができました。しかし,2度目の緊急事態宣言解除直後の本年3月頃から,変異株の影響で感染が急激に拡大,4月12日にまん延防止等重点措置地域の指定,4月25日から5月11日まで3度目の緊急事態宣言の発出,それが更に5月末まで延長となり,大変厳しい状況にあります。コロナ禍を収束させ,私たちの日常を取り戻すには,マスク着用,うがい,手洗いなどの感染予防や3密回避といった基本的な対策は継続しつつ,感染収束の切り札であるワクチン接種をいかに円滑かつ迅速に進めるかに懸かっています。本市においては,本年1月13日,国が示すスケジュールどおりにワクチン接種が進むよう,新型コロナウイルス感染症対策本部の下にワクチン接種部を新設,3月24日にワクチン接種実施計画を策定して懸命に取り組んでいます。 当初は,ワクチン供給量が限られており,2月中旬より医療提供体制の確保に配慮し,医療従事者等約5万7,000人,4月より感染拡大リスクの高い高齢者施設入所者,施設職員約4万人への優先接種が行われ,5月11日から65歳以上の在宅高齢者約39万人を対象に,地域の医療機関による個別接種が始まりました。現在の状況ですが,優先接種である医療従事者,高齢者施設共に2回目接種完了には至っていません。また,ワクチン接種協力医療機関は約800で,令和2年度インフルエンザワクチン予防接種協力医療機関数1,232に比べて少ないことや,通常診療への影響を懸念して名前を公表する協力医療機関数がごく一部のため,早期接種を希望する多くの高齢者の問合せ,予約への対応に苦慮している状況です。 また今後ですが,5月後半からワクチン供給量が大幅増加したものの,感染が深刻な状況で推移すると,通常医療とコロナ対応で接種に携わる医療従事者が不足すること,6月以降1回目と2回目接種者の接種時期が重なり,接種数の大幅増加による混乱の懸念があること,個別接種を基本とする体制のため接種会場が多くなり,ワクチン廃棄が生じやすくなることなど様々な問題が想定されます。そこで,医療従事者等の接種を管轄する京都府と連携し,医療崩壊を回避するため医療従事者等や高齢者施設入所者,施設職員の優先接種について,接種率の伸び悩みをどう解消するのか,また在宅高齢者のワクチン接種について,現在の問題及び今後想定される問題を克服し,国が7月末までの完了を目標とする中,どう円滑かつ迅速に取り組むのかお伺いします。 次に,災害に備えた多様な避難行動及び市民備蓄についてです。まずは,多様な避難行動についてです。本年3月11日,東日本大震災から10年が経過しました。その後も度々自然災害が発生し,全国各地で深刻な被害をもたらしています。それへの備えとして,特に地域の防災訓練は住民が直接防災に関わる大変重要な取組であり,これまで様々な自然災害を契機に進化してきました。20数年前の阪神・淡路大震災では,住民の助け合いの重要性が注目され,町内単位の防災行動計画を踏まえ,消火,救出,救護といった基礎的訓練が行われています。また,東日本大震災では,町内における初動活動の重要性が注目され,地域の集合場所への集合,安否確認,避難所への避難という一連の流れを確認する訓練が行われています。平成25年,台風18号をはじめ多発する水害では,自主防災会内での情報伝達と行動など,より広域である学区単位の防災行動計画を踏まえた避難行動訓練が行われています。そして近年は,被災時の避難所を開設し,住民が中心となって運営する実践的な防災訓練が行われていますが,近い将来予測される大規模地震や深刻化する風水害に鑑み,これからは災害時の実態に沿ったより実践的な防災訓練が必要です。 昨日,災害対策基本法等の一部を改正する法律が施行されました。避難勧告・避難指示の避難指示への一本化,個別避難計画の作成の努力義務化といった災害時における円滑かつ迅速な避難確保が目的です。この目的を達成するため,地域の避難所は災害時の地域の拠点として大変重要ですが,現在はコロナ禍で3密回避が求められています。また,乳幼児,高齢者,障害者,病気やけがの人々,外国籍市民などの災害弱者対策やペット対策を考えたとき,とても避難所だけで対応できません。本年4月より,水害,土砂災害,地震時に市民一人一人がどのような避難行動を採るのか,あらかじめ決めておくためのマイ・タイムライン作成の取組が始まりましたが,今後は避難所で全て対応するのでなく,より災害時の実態に沿った多様な避難行動が求められるのではないでしょうか。そこで,避難行動要支援者の個別避難計画の作成を加速するとともに,多様な避難行動を前提とした,より災害時の実態に沿った防災訓練を区役所と自主防災会が連携して実施すべきと考えますがいかがですか。 次に,市民備蓄についてです。本市では花折断層の直下型地震時に,約30万人が避難所に避難する想定で1日分の食料,飲料水を備蓄しています。よって,市民全員分を備蓄しているわけではないため,先ほど申し上げた多様な避難行動に鑑みた市民備蓄は不可欠です。本市の現状ですが,平成30年度の第2回市政総合アンケート報告書によると,備蓄しているかの問いに対し,一人3日以上の備蓄が16.6パーセント,一人3日分に満たない一定の備蓄が43.1パーセントで,備蓄しているとの回答が全体の約6割です。本市も,平成25年度に,京都市備蓄計画の策定以降,各種防災訓練時に,少なくとも三日分の市民備蓄を啓発してきました。備蓄は,被災時の避難行動を想定して取り組む必要から,市民の防災意識を高め,災害に備える取組として更に推進すべきです。そこで,防災訓練に備蓄の訓練を採り入れるなど市民備蓄の更なる推進につなげることで,市民の防災意識を高め,地域の災害対応力を向上すべきと考えますがいかがですか。 最後に,歴史に関連して二つ質問します。まず,子供たちが地域の歴史を学ぶ機会の創出についてです。本市は豊かな自然に恵まれ,平安京以来千年以上都であり続け,日本を代表する様々な文化を育んできた歴史都市です。そのため市内の至る所に大切な歴史が息づいています。私の地元伏見区にも伏見城の城下町や水陸交通の要衝で港町,宿場町で栄えたこと,水に恵まれ酒造りが盛んなこと,幕末維新の舞台となったことなど様々な歴史があります。私はそうした伏見の歴史的魅力を多くの区民に知っていただきたいとの思いから,有志と共に地域で活動しています。その一つが,小学6年生対象の伏見城の史跡を訪ねる校外学習です。伏見城ゆかりの史跡を訪ね,例えば,御香宮神社の表門は伏見城大手門を移設したものであること,明治天皇伏見桃山陵に当時の伏見城本丸があり,豊臣秀吉がそこで亡くなったことなどを現地で解説すると,子供たちは目を輝かせて熱心に耳を傾けてくれます。校外学習後の感想文には,自分が住む地域にすごい歴史があることへの驚きと感動,地域への誇りが共通してつづられており,地域の歴史を学ぶことの意義が大きいことは明らかです。本市では,小学3,4年生でわたしたちの京都という副読本を活用し,また中学でも,身近な地域の調査という単元で地域のことを学びますが,そこへ地域の歴史を併せて学ぶことで,従来以上に子供たちが自らの地域を深く理解し,地域社会を担う気持ちを育むことにつながると考えます。そこで,地域学習の際,身近な地域の歴史も併せて学ぶ機会を創出することについてのお考えをお伺いします。 次に,伏見区誕生90周年記念事業についてです。私の地元伏見区は,今から140年余り前の明治12年,上京区,下京区と共に誕生しましたが,その2年後に廃止となり,昭和6年に伏見市,深草町,醍醐村など9市町村が京都市との合併,編入で再び誕生,昭和25年に久我村,羽束師村,昭和32年に淀町を編入し,今日に至っています。そして本年,昭和6年の誕生から数えて90周年を迎えました。その記念事業が現在検討されており,基本的な考え方は,伏見の魅力に気付き,愛着を持ってもらえるよう,伏見の企業,高校,大学,NPO等との協働で伏見の歴史や文化の学び,体験の場を設け,担い手づくり,歴史文化の継承を推進することです。 これと共通する考え方の事業が,80周年記念事業の伏見連続講座です。区民が伏見の歴史,文化のみならず,まちづくりを学び,体験する場として地域の各種団体や大学等の御協力で今日まで続いています。参加数も定員に達することが多く,区民におおむね好評です。ただ,この事業は区民が講座を受講するのみで,そこで得られた体験,知識を今後の伏見区の発展にいかす仕組みが備わっていません。そこで,基本的な考え方が共通する伏見連続講座を発展させ,講座メニューをより多彩にし,受講した区民がそこで得た体験,知識に触発され,次代の担い手育成や伏見の活性化の推進役となる仕組みを構築することで,100周年に向けた伏見区の発展に寄与する事業にすべきと考えますがいかがですか。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。 財政危機に対する取組であります。本市財政は,令和3年度から7年度までの5年間で累計2,800億円の収支不足が見込まれ,令和8年度にも公債償還基金が枯渇する危機に直面しております。この収支不足を歳出削減により解消させようとしますと,国基準を上回る事業と本市独自の事業の主なものを直ちに全廃しても700億円不足します。このため歳入・歳出改革を推進し,あわせて,国に対して地方税財政制度の改革を強く求め,今後10年以内のできるだけ早期に一般財源収入の増加を図り,令和15年度までに公債償還基金の計画外の取崩しから脱却を図ってまいります。行財政改革の策定に当たりましては,早い段階から,議員の先生方と十分に議論のうえ,パブリックコメントを行うとともに,市民しんぶん等でサービス水準と市民の負担のバランスや改革の必要性や将来の展望について丁寧に説明してまいります。 また,市税等の収入増加を図るに当たっては,文化,景観,大学・学生のまち,地域企業等,京都ならではの強みを最大限にいかしながら,都市計画制度等の戦略的な活用による産業用地,空間オフィス,若い人,子育て世代が住みやすい住宅の創出,スタートアップなどなど様々な課題に取り組みます。また,大学卒業生の市内就業,就労,在住など縦割りを排し,定住者の増加策も含めて全庁挙げて成長戦略を進めてまいります。なお,計画の推進に当たりましては,数値目標の設定,成果の見える化を行ったうえで,本年1月に私をトップとして設置した行財政改革推進本部において進捗管理,点検,評価を行ってまいります。 最後に,京都芸大の移転をはじめ文化を基軸としたまちづくりについては,産学公連携のイノベーション,スタートアップの拠点の創出など,文化と経済の好循環を生み出す取組を全庁挙げて強力に推進してまいります。あわせまして,京都駅東部エリアの庁内連絡会議には京都芸大の教授も参画いただくなど,芸大移転整備と京都駅周辺はもとより,京都全体の魅力向上が相乗効果を発揮し,京都経済の活性化につなげるよう取り組んでまいります。 次に,新型コロナワクチン接種についてでございます。まず,医療従事者等の接種につきましては,高齢者施設の入所者に対する接種に合わせまして,施設で献身していただいてる介護士はもとより,従事する医師,看護師等の接種も行うなど,所管する京都府と連携し取り組んでおります。また,高齢者施設の入所者等につきましては,4月は,感染拡大リスクの高い多床室を有する大規模な特別養護老人ホームなどから開始し,順次拡大しているところであり,これまでに入所者と施設従事者等合わせまして約1万4,000回の接種を完了しております。対象となる4万人の接種が早期に完了できるよう取組を加速させてまいります。 次に,地域にお住まいの65歳以上の高齢者の接種につきましては,個別接種の協力医療機関を拡大するとともに,集団接種につきましても,京都府医師会,地区医師会,看護協会,私立病院協会等との連携を緊密にいたしまして,各区・支所ごとに実施する14会場での実施回数の増,平日における集団接種の新たな実施,京都工場保健会京都予防医学センターによる接種の継続実施に加えまして,土曜,日曜等にそうした休診日において医療機関での集団接種を新たに実施してまいります。これらの取組によりまして,7月末までに希望する全ての65歳以上の高齢者のワクチン接種を確実に完了させていくとともに,さらに,基礎疾患のある方,64歳から16歳までの希望する全ての市民の皆さんに安心して接種できるように,全力を傾注して取り組んでまいります。市役所の組織も拡充してまいります。 次に,災害対策についてでございます。今般の災害対策基本法の一部改正により,個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされたところでありますが,本市では,令和元年度から,単身の重度障害者の方を対象として個別避難計画の策定に取り組んでおります。今後,重度障害のある方のみならず,自ら避難することが困難な方への対象拡大に向け鋭意取組を進めてまいります。また,本年4月から,水害や地震など災害の種別ごとに市民の皆様が日頃からどう備えるのか,どのタイミングで,何を持って,どこへ避難するのかなど,あらかじめ時系列で避難行動を考え,決めておくマイ・タイムラインの作成支援を開始いたしました。作成ツールをリーフレットやリニューアルした防災ポータルサイトなどに掲載するほか,6月1日の市民しんぶんでも特集記事で呼び掛けてまいります。さらに,自らの行動を事前に準備しておくという視点から,地域の防災訓練において,取組やマイ・タイムラインの作成や持ち物,避難の方法など被災を自分ごととして捉えていただけるように,区役所や自主防災会等が連携いたしまして訓練の企画を進めてまいります。また,大規模災害の発生直後は,公的備蓄が行き渡ることに難しい場合がございます。市民備蓄は極めて重要なものであり,防災訓練における三日分の実物の展示などを通じまして,市民の皆様の意識を高め,更なる推進を図ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(田中明秀) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕 ◎副市長(吉田良比呂) 伏見区誕生90周年記念事業についてでございます。伏見区では,誕生90周年を契機に,地域の担い手づくりや歴史文化の継承,さらには,これらをいかした新たな価値の創造に取り組んでいるところでございます。その一環として,伏見を学ぶ講座やまち歩きを行う伏見連続講座についても,新たに区内の地域企業と連携し,伝統的なものづくりや先進産業などの学びや活用につながる講座を開催するなど,更なる充実を図ることとしております。これまでの受講者の中には,新たな地域活動や他の講座を立ち上げられた方もおられ,今後そうした流れを一層確かなものにし,地域を支え,まちの活性化を推進する新たな担い手づくりにつなげていくことは,山岸議員御指摘のとおり,大変重要なことと考えております。そのため,講座の受講者に,全国唯一の川の港である伏見港のみなとオアシス登録を契機とした地域活性化プロジェクトへの参画を積極的に働き掛け,伏見を舞台に活躍いただける仕組みづくりを進めるなど,次なる100周年に向け,伏見ならではの地域力をいかしたまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) 子供が地域の歴史を学ぶ機会の創出についてでございます。山岸たかゆき議員御指摘のとおり,児童生徒が自らの地域の歴史を深く学ぶことは,地域に対する愛着と誇りを育み,地域社会を担う自覚を高める上で大変意義深い教育活動であり,地域の皆様の御協力,御支援の下,幅広い取組を進めております。現在本市では,小学校3,4年生の社会科において,本市独自の副読本わたしたちの京都も活用し,地域の産業や歴史的な出来事,受け継がれてきた文化財や年中行事,地域で育った先人の活躍等を学ぶとともに,中学校1,2年生では,社会科において生徒自らが地域の課題について考え,その解決に向けて調査する学習等を行っております。今後とも,小学校3年生から取り組む総合的な学習の時間での探求的な学習等において,幅広い知見や経験等をお持ちの地域の方々にゲストティーチャー等として協力いただくとともに,歴史都市・京都ならではの各地域の伝統や文化的資源なども有効に活用し,子供たちが地域の歴史をより深く学ぶ機会の更なる充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) 次に,市政一般について,神谷修平議員に発言を許します。神谷議員。 〔神谷修平議員登壇(拍手)〕 ◆(神谷修平議員) よろしくお願いいたします。下京区選出の神谷修平です。地域政党京都党市会議員団を代表して質問いたします。 まず冒頭に,新型コロナウイルス感染症と最前線で向き合っておられます医療従事者の皆様,保健所関係者の皆様,そして自粛や感染対策に御協力をいただいております市民の皆様に心より感謝申し上げます。新型コロナウイルス感染症が発生してから1年以上たっているにもかかわらず,PCR検査のコールセンターには電話がつながらない,検査もなかなか受けられない,入院できず自宅療養を余儀なくされる,ニュースでは,職員が過労死ラインを超えていると報道され,1,900時間を超える残業をしている。こういう状況が去年の今ならまだ考えられます。しかし,現実は,1年以上たった今もなお続いております。このような状況は,行政として何としてでも早く解決していかなければなりません。そういった思いを持って質問に入らせていただきます。 まず,検査の拡充とワクチンの接種順位についてお聞きいたします。高齢者以外の方々へワクチンが接種されるのはまだ先のことです。接種が完了するまでは,検査により未然に感染拡大を防ぐことが非常に重要であります。本市では,変異株への対策強化としてPCR検査対象の拡大,濃厚接触者の範囲の拡大などが実施されております。この対策は有効だと考えますが,まだまだ基準が曖昧であり,市民の方々からすれば,よく分からないというのが本音です。検査や濃厚接触者の基準に関しては,市民の皆様からいまだに問合せが多い状況です。本市として市民の方々が納得され,安心されるような分かりやすい客観的な基準を設け,積極的に検査を行っていくべきと考えますが,本市の御見解をお聞かせください。 さらに,検査に関わってくる保健所業務のひっ迫についてですが,全ては十分な人員の確保ができていないこと,適正な配置ができていないことが問題なのです。ある程度長期化することは,3月の段階には見えていたことです。だとすれば,保健所に対する人員配置を大幅に今年度は加配をするなど,フレキシブルな人員の配置を整備するべきではないでしょうか。こちらも是非とも早急に検査の拡充と共に取り組んでいただきたいと思います。 また,本市では,高齢者施設でのクラスター発生件数や重症化リスクを考慮して,施設の職員の方々に週1回のPCR検査を,まん延防止等重点措置から緊急事態措置の期間実施しております。しかし,学校や幼稚園,保育園でもクラスターが増加していることから,今後は検査を国の要請以上に実施していくべきと考えます。そして,ワクチンの接種順位に関しても,感染状況を分析し,今後は見直しを検討していただきたいと思います。変異株の拡大により,クラスター発生状況も変わってきております。急なキャンセルが発生した場合の余ったワクチンを接種するリストの中に,教職員の方も加えられており,一部の方は早く接種されますが,子供たちの安心安全のため,学校や保育園の休業を防ぐためにも,現在国でも検討されている学校の教職員や,また児童館の職員,保育士の方々のワクチン接種順位は今後柔軟に,感染状況を見極めたうえで見直していくことは,クラスター対策として効果的であると考えますがいかがでしょうか。あわせて,ワクチン接種に関しては,寝屋川モデルというものが話題に上っております。(パネルを示す)こちらになりますが,寝屋川市さんに許可をいただいて使わせていただきます。これは,ワクチンの供給量によって自分の順番を見える化することにより,市民の,いつ受けられるのか,ワクチンは今どれだけあるのかといった不安を解消するものとなっております。本市でも参考にし,市民の方々へ分かりやすく安心できるワクチンの情報発信に努めていただきたいところですがいかがでしょうか。 次に,ワクチンの接種体制について伺います。かかりつけ医の予約が開始された当初,30分間電話がつながらなかったなど,多くの市民から様々な声が上がり,混乱が起こりました。公表されている医療機関には,電話や来所による申込みが殺到し,通常業務への支障もあり,公表を見合わせる医療機関が相次ぎました。本市として,サポート体制がしっかりできていなかったことが原因と言わざるを得ません。現状のやり方では,対象が高齢者の約倍である80万人以上の一般の方々への接種が始まった際には,更に混乱した状況となることが推察されます。 また,今後,一般の方への接種が開始される時期には,集団接種を主軸にするという方針に考え直してもいいのではないでしょうか。高齢者や基礎疾患のある方は,普段から受診されているかかりつけ医での個別接種が安心につながりますが,世代によってはかかりつけ医がいないという方も多くいらっしゃいます。この場合,接種される方も医療機関側も,初診ということであれば様々な手続が増え,双方にとって負担となりかねません。少し拡充されますが,まだまだ限定的である集団接種会場での接種の時間,日数,場所の更なる拡充をし,対応していくことが必要です。こういった方針転換も含め,今後医療従事者の方々への負担をできる限り軽減し,市民の方々が安心して接種できる体制を構築していっていただきたいと思います。その際には,府が大規模接種会場設置の方針も示されていることから,過不足なく連携されることを求めます。接種の進捗次第では,市独自でも大規模接種会場の設置ができるように,現段階から,関係機関全てに対し相談をしていくことは当然重要なことですし,検討すべきであります。現在行われている高齢者の方々への接種に関しても,7月末までに8割の方の接種を完了目標とした場合,60万回以上の接種が必要となります。市民の方からは,昨日から,1回目の予約が7月末だったとか,予約が9月,10月にしか取れなかったといったようなこともお聞きしております。本当に目標を達成できるのでしょうか。市民の方々から不安の声が上がっております。でき得る全ての手段を用いて目標達成に臨んでいただきたいと存じますが,市長の今後のお考えをお示しください。 次は,今までも再三取り上げさせていただきました授業のライブ配信などによるオンライン授業の導入について質問いたします。いわゆる第3波と,変異株が主流となってきた第4波の感染者の年齢別割合を比較すると,10歳未満の割合が明らかに高まっております。子供たちへの感染が広がっているということです。本市のライブ配信等のオンライン授業については,全ての小中学校で可能だと教育委員会からはお聞きしておりますが,昨年度の実績は20校でした。一方,保護者の方々からは,申し出たが対応してもらえなかったといった御相談も複数寄せられております。できない理由として,授業を配信するためのカメラが足りない,まだ準備が整っていないなど課題もあるようですが,学校間で大きな格差となりつつあります。しかし,学校間格差はあってはならないものです。住んでいる地域,通う学校によって差が出ることはゆゆしきことであります。特にこの問題については,市民も大変要望が強い課題の一つでありますから,今後は全ての学校で御対応いただき,希望する全ての御家庭に平等な対応を早急に採っていただきたいと思いますが,御見解をお聞かせください。 続きまして,市民しんぶんによる情報発信の改善についてお聞きいたします。市民しんぶんにおいて,2月号から現在5月号まで連続して掲載されている京都市のお金の事情というシリーズについては,皆さんも御存じのとおりかと思います。そこから御質問させていただきます。まず,3月号の収支バランスの不均衡のところですが,こちらの二つのグラフを御覧ください。(パネルを示す)こちら,両方とも借金返済のための公債償還基金という取り崩してはいけない基金の残高推移見込みです。上のグラフが議会用の私たちに示されたグラフ,下のグラフが市民しんぶんに記載された市民の方々向けのグラフです。明らかに違っています。下のグラフの市民向けの情報は,残高が現在と同水準で維持できると勘違いをさせるグラフとなっておりますが,実際は,上のグラフで示すように令和15年度でも右肩下がりで取り崩し続けるのが実態です。この下のグラフは目標だということですが,行政として根拠のないものを目標とするのはいかがでしょうか。目標を市民の方々に示すのであれば,議会にもその目標となる根拠を示すべきです。なぜ市民の方々に事実をちゃんと伝えないのか,不信感しかありません。 (パネルを示す)そして,こちら5月号では,財政健全化への道筋を墜落回避期,水平飛行期,上昇飛行期の3段階と説明しております。議会にも実際にこの説明はありました。しかし,2月市会で,では,いつステップ2の水平飛行期になるのでしょうかとの我が会派からの質問に対して,めどが立たないとの答弁に終始されておられました。こちらの,先ほどの上のグラフを御覧いただければ分かるように,12年後の令和15年時点でも,墜落中の計画しか示せていないのが現状です。このいかにも立て直しができるような記事は,市民に誤解を与えるものです。 (パネルを示す)次に,3月号の本市の収入の特徴というところですが,市税収入が都市特性上少ないのに,国が地方交付税を減らし,京都は収入が少ないから財政が厳しいのは仕方ないといったような記事になっておりますが,しかし,昨年の令和元年の決算を審議した際に公表された資料では,グラフが示すように,市民一人当たりの市税と地方交付税の合計は,政令市で6番目に高いのです。実態は,むしろ収入はほかの都市に比べ多い方にもかかわらず,収入が少ないことを財政難の理由として上げられ,あたかも京都市では手の施しようがなかったというような表現は誤解を与えます。都合のいいように作りすぎではないでしょうか。5月号の審議会からの答申の中にある市民への情報発信というのは,今回記載されているような情報ではないはずです。市民の方々には,市民しんぶんを通して,本市の真実を明確にお伝えしていかなければなりません。これでは,本市のひっ迫した危機的な財政状況は正確に伝わっておりません。行政の責務として正しい情報発信をしていただきたいと思いますが,御見解をお聞かせください。 最後に,本市の予算編成の在り方についてお聞きいたします。京都市が2021年度に調達を目指す民間資金が,前年度では約11億円でしたが,今年度は計46億円と4倍以上になっており,そのうち約4億円は企業版ふるさと納税や個人,企業からの寄付金,協賛金となります。この約4億円のうち2億4,000万円は,今年度予算で40以上の事業の財源に組み込まれております。例えば,ウェブ上での情報発信拠点となるバーチャル京都館は,予算2,000万円のうち1,500万円が寄付。京セラ美術館の常設展運営にも2,000万円の寄付を充てています。ほかにも,東本願寺前における市民緑地整備事業に2,700万円や,消防団や消防対策などの消防関係に5,100万円など,まだ手元にない資金を充てております。獲得状況を各局にお聞きすると,まだ寄付を募るシステムが構築できていないものや,事業を周知できていないもの,数年前から寄付を募っているが毎年全く目標額に届いていない事業など,本当に目標額を達成できるのかかなり不安に感じるものもありました。今までも,芸大移転や二条城の修理事業に関しても,十分な寄付を集めることができていません。寄付金を確保することに幾度となく本市は失敗しております。 事業費というのは原則,市民の方々に説明して税金から集めるべきものであり,寄付金という財源に頼ることは非常に不安定な財政運営だと言えます。民間資金を活用すること自体は,積極的に進めていただきたいと思いますが,特に今年度や今年度以降は,コロナの影響もあり,例年以上に寄付を獲得できるかは不透明な状況です。事業の中には,市民の方々の安心安全を守っていくために重要な予算も入っております。もし目標額に達しなかった場合,これらの事業に対してどういう措置を採るのか。寄付が集まらなかったので実施しません,若しくは寄付が集まらなかったので基金を取り崩して充当しますでは,どちらにせよ非常に無責任な対応になります。確定した寄付はともかく,未確定の寄付を事業に組み込むなんていうのは,本来事業予算の組み方としてはおかしいことです。捕らぬ狸の皮算用とならぬよう,年度内に確保した寄付金は基金に積み立て,翌年度予算に活用するなど対策を講じていただきたいと思いますがいかがでしょうか。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中明秀) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 神谷修平議員の御質問にお答えします。 まず,新型コロナ感染防止のための検査の拡充とワクチンの接種体制についてでございます。まず検査につきましては,昨年5月から医師の判断の下,少しでも感染の可能性のある人を幅広く捉えた本市独自基準の検査を行うとともに,保健師による積極的疫学調査により,感染経路の把握と感染拡大の防止にしっかりと取り組んでおります。さらに,変異株の感染力の強さに対応するため,濃厚接触者の対象について拡大して選定することや,PCR検査を実施する対象者拡大の取組も一層徹底して取り組んでおります。くわえまして,京都大学病院との連携した取組,高齢者入所施設の定期的な検査に加え,障害者支援施設においても抗原検査の実証研究も含めた取組を新たに開始したところであります。 次に,保健所の体制につきましては,4月に正職員10名を増員し42名にするとともに,民間人材の活用拡大や最大60名規模の全庁的な応援職員の派遣により,135名規模の体制を構築しており,今後とも感染状況に応じて必要な職員体制を迅速に確保してまいります。 最後に,ワクチン接種体制についてでございます。ワクチンの接種順位につきましては,医療従事者に次ぎ65歳以上の高齢者,そして基礎疾患を有する方及び高齢者施設等従事者など,国において順位が明確に定められておりますが,いわゆるエッセンシャルワーカーの接種の在り方についても検討が必要と考えております。また,市民の皆様の情報発信につきましては,ポータルサイトや市政広報板などなど,あらゆる媒体を通じ,これまでからきめ細やかな情報発信を行っているところであり,引き続き取組を進めてまいります。本市におきましては,地域の病院や診療所が充実している強みをいかし,個別接種を基本としつつ同時に集団接種体制も構築し,その双方をこの間拡充してきたところであります。その双方の拡充によりまして,既に発表しているところでありますが,65歳以上41万人の希望される方全てが,7月中に接種できる体制を確立いたしております。さらに,基礎疾患のある方,64歳から16歳までの方の早期接種に向けまして,あらゆる取組を集中していきたい,このように考えております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁させていただきます。 ○議長(田中明秀) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 財政状況の発信についてでございます。市民の皆様と危機感を共有し,行財政改革を進めていくためには,本市財政の危機的な現状を分かりやすくお伝えすることが必要であります。当初市会にお示しした資料と市民しんぶんの資料についての御指摘ですが,危機的な現状のグラフをお示しをしている点は共通しております。そのうえで,右肩下がりの公債償還基金のグラフは,この危機的な現状と市民生活を守るために必要な最低限のラインを対比しているものであります。一方,水平方向を示している公債償還基金のグラフは,対比の対象を公債償還基金の計画外の取崩しを行わない本来あるべき財政運営の姿としております。これは,現状と本来あるべき姿とのギャップ,本市が対応すべき全体像を的確に市民に示すべきとの市会での御指摘や,議論の経過を踏まえ,説明の力点を適切に選択することを心掛けたものです。なお,どちらの資料につきましても,趣旨や目的も含め市民の皆様に公表しており,誤解を招くものとは考えておりません。また,5月号における財政健全化の道筋につきましても,本来あるべき財政運営に向けた道筋をお示ししております。墜落中の次のステップについてはいかがかとの御指摘ですが,既に答弁をさせていただいているとおり,行財政改革計画の中で,公債償還基金の計画外の取崩しについて令和15年度までに脱却することを目標に掲げます。 次に,本市の収入の特徴については,長きにわたり本市の税収が都市特性によって他都市よりも少ない中,行財政改革に取り組み,市税収入の増加や歳出削減といった成果を出してきた一方,地方交付税の削減によりこの効果を十分に享受できず,財政に影響を与えている状況をお伝えしています。これは,収入が少ないから財政状況が厳しく仕方がないということではなく,本市が置かれた環境の中で,更なる行財政改革が必要であることを市民の皆様と共有するものです。引き続き徹底した情報公開,受益と負担の見える化など,分かりやすく正確な情報発信に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 予算編成についてでございます。本市財政は平時ではなく非常事態にあり,これまでの延長線上ではない発想で,あらゆる財源確保の努力を積み重ねなければなりません。民間資金の獲得につきましては,民間企業や個人の社会貢献の意識が高まる中,本市といたしましても,京都の魅力をいかして積極的に獲得に向けて動き,具体の成果も挙がっているところでございます。例えば,ふるさと納税につきましては,返礼品の充実などが効果を挙げ,令和2年度は,前年度比で7倍以上となる約18億円に達する好調な見込みとなっております。京都市立芸術大学移転整備事業につきましては,令和元年1月に10億円の寄付を頂いたことに続き,先月新たに,大学附属図書館の整備等に対し約7億円の大口の寄付を頂きました。二条城につきましては,寄付金の確保だけでなく,これまでからも民間事業者と連携し,夜間ライトアップをはじめ様々な事業を展開することで,本格修理事業の財源確保に努めております。令和3年度予算の民間資金につきましては,こうした成果を踏まえて計上しております。また,ガバメントクラウドファンディング等民間資金の獲得につきましては,他都市でも活用が進んでいる事例であります。本市といたしましても,歳入予算の形で明確に各局の予算を位置付けることで歳入確保の意識と責任を全庁で共有したものであり,一丸となって取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(田中明秀) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕 ◎教育長(稲田新吾) オンライン授業の実施についてでございます。本市では,令和2年度中に,児童生徒一人1台端末に加え,オンライン授業用の高画質ウェブカメラや大型提示装置の設置など,全校でGIGAスクール対応の環境整備を完了し,活用しております。昨年度については,先行して配備した端末を活用し,登校不安などによる個別の対応を実施した約20校のみならず,児童生徒等の新型コロナウイルスの感染判明に伴う学級閉鎖等や濃厚接触者特定による自宅待機となった場合など,延べ約100校で授業の同時配信によるリモート学習等の学びの保障の取組を進めたところであります。さらに,今年度は,一人1台端末本格活用元年と位置付け,緊急時のオンライン授業等にも速やかに対応できるよう,日常的な学習での積極的な活用について全校に通知したところであり,これを基に様々な授業実践が進められております。もとより,登校不安などの個別の対応においては,オンライン授業だけでなく,学習プリントの配布や放課後等での個別の学習相談など,児童生徒の発達段階や一人一人の状況,さらには,保護者の御意向を踏まえた形で学習保障を行うことが重要であり,各校において個々の実情に応じた対応を行っております。今後ともこうしたICT環境を最大限にいかしつつ,家庭で活用できる様々なコンテンツの発信や取組事例の共有,ICTスキル向上のための教職員研修の充実等にも取り組みながら,緊急時の対応も含め,全ての児童生徒への最適な学習保障の取組を滞りなく実施できるよう学校支援に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中明秀) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時13分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    田中明秀          副議長   吉田孝雄          署名議員  平井良人          同     小山田春樹 △(イメージ)陳情文書表「受理番号237」「現行の敬老乗車証制度の継続」・陳情文書表「受理番号238」「聚楽保育所廃止条例の慎重な審議等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号239」「聚楽保育所廃止方針の撤回等」・陳情文書表「受理番号240」「学校施設の女子トイレ個室への生理用品の設置」...