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02月24日-02号

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  1. 京都市議会 2021-02-24
    02月24日-02号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-29
    令和 3年  2月 定例会     令和2年     定例会       京都市会会議録 第2号     令和3年2月市会                       令和3年2月24日(水曜日)出席議員(66名)   1番 森川 央議員   2番 神谷修平議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 山本恵一議員   9番 かまの敏徳議員  11番 小山田春樹議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 森 かれん議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 大津裕太議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方ひろゆき議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  41番 江村理紗議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(なし)欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和3年2月24日(水)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付第2 議第1号ないし議第21号,議第24号ないし議第35号,議第37号ないし議第42号及び議第53号 令和3年度京都市一般会計予算 ほか39件~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。兵藤しんいち議員宇佐美賢一議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。今回受理いたしました請願134件及び陳情6件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第2,議第1号ないし議第21号,議第24号ないし議第35号,議第37号ないし議第42号及び議第53号令和3年度京都市一般会計予算ほか39件,以上40件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。橋村芳和議員。 〔橋村芳和議員登壇(拍手)〕 ◆(橋村芳和議員) おはようございます。私は伏見区選出の橋村芳和でございます。新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々に対し,謹んで哀悼の意を表しますとともに,現在も闘病されておられる皆様の一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。また,昼夜を分かたず,医療や福祉など,最前線で奮闘されている皆様に心より感謝を申し上げます。多くの方々から,様々な物資などの御寄付を京都市に頂いております。さらには,感染拡大防止に御協力をいただいている市民や事業者の皆様に対し,この場をお借りいたしまして改めて感謝を申し上げます。同僚の吉井あきら議員しまもと京司議員加藤昌洋議員と共に,令和3年度の予算案に対し自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして質疑を行います。 まず,昨年10月に令和3年度予算の財政収支見通しとして,新型コロナウイルス感染症の影響による市税の大幅な減収などにより,500億円もの巨額の財源不足が見込まれるというかつてない財政危機だと公表されました。さらに,11月の持続可能な行財政審議会においては,現状の財政運営を続ければ,財源不足を穴埋めするために禁じ手として取り崩してきた公債償還基金が令和8年度に枯渇し,その後数年間で財政再生団体に陥るという極めて厳しい見通しが示されたところであります。京都市の財政は,最大の危機に直面していると言っても過言ではありません。平成13年秋に財政非常事態宣言を行った際にも,翌年度の予算編成において580億円もの財源不足が見込まれておりました。しかし,このときには,公債償還基金の取崩しはまだ行われておりませんでした。現在は,毎年取崩しを行っており,当時と比べてはるかに厳しい財政状況にあります。 現在の財政危機に際し,市長は,昨年末の緊急記者会見において今後の行財政改革の視点及び主な改革事項の方向性を発表され,御自身の決意,覚悟を示されました。この視点及び改革事項においては,令和3年度から5年度までを集中改革期間と位置付け,これまで未着手の分野にも改革を断行することとされています。京都の未来のため,財政を持続可能なものとするためには,市民の理解,またその代表である議員の理解なくしては十分とは言えません。例えば,事業に必要な経費のうち,どれだけが市民負担,国,府の負担であるかを示す行政コストの見える化の取組は,議会の求めに十分応えているとは言えませんし,補助金,イベントなどは,それぞれの効果をしっかりと示していくことを強く求めてまいります。また,コロナ禍により市民の負担感が増えている中で,補助金のゼロベースでの見直し,京都市主催のイベントの見直し,投資的事業の延期,受益者負担の適正化などが掲げられております。いずれも市民に痛みを与えるものであり,影響を与えるものであります。議会への説明はもちろんのこと,市民の皆様にも本市財政の厳しさや休廃止する理由など,分かりやすく説明する責任をしっかりと果たしていただきたいと思います。 令和3年度予算は,こうした方向性を具体化する初年度の予算でありますが,依然として公債償還基金を取り崩している状況です。今後の行財政改革の視点及び主な改革事項にも公債償還基金の計画外の取崩しに頼らないという姿勢は示されておりますが,その具体的な脱却時期は示されておりません。そのような中,今年度の公債償還基金の取崩し181億円も加えますと,これまで収支不足を埋めるために取り崩した額の累計は800億円を超え,これは,本市の標準財政規模の20パーセントを超える水準であります。今京都市に求められていることは,財政を立て直すことと同時に,どんなに財政が厳しい状況にあっても,若者・子育て世代の市内への定住促進,文化と経済の融合など未来への展望をひらくための政策を展開し,魅力,活力のあるまちづくりを進めることであります。市長は,令和3年度予算編成に当たり,改革の断行,事業の取捨選択にどのように取り組まれたのか,また,今後どのように財政運営のかじ取りをされるつもりなのか,歳入の底上げ策についての考え方も併せてお伺いいたします。 次に,執行体制の強化についてお伺いいたします。今後の行財政改革の視点及び主な改革事項には,市民の命と暮らしを守るための行政サービスの維持に必要な執行体制を確保し,全ての職員が意欲を持って働き続けられる職場づくりを進めるとあります。体制の強化は,京都市のやりたいこと,方向性が市民に直接伝わる非常にメッセージ性の高いものであります。令和2年度は,将来にわたって魅力と活力にあふれるまちづくりに向けた戦略的な都市経営を目的として,都市経営戦略監都市経営戦略室が置かれ,税外収入の確保を強力に推進するため,行財政局にふるさと納税担当の部長が置かれました。また,政府において強力に進められている行政のデジタル化を本市においても推進するため,デジタル化戦略監が配置されました。これらは,本市が目指す戦略的なまちづくり,組織を挙げての歳入の確保,コロナ禍を契機とした市民サービスの向上,市役所の業務の効率化を積極的に行う意志の表れであります。 さて,令和3年度です。我が国においては,コロナ対策やデジタル化の更なる推進など喫緊の課題があり,とりわけ本市においては,いかに行財政改革を進め,持続可能な財政を構築するかということも待ったなしの課題であります。これまで外部有識者会議などから,様々な改善の意見を頂きましたが,市民の理解を得て,改革を進めるとともに,これまでの体制強化を含めて戦略的な市政運営をどう行っていくのかが,今まで以上に求められているところであります。そこでお伺いいたします。本市を取り巻くこれらの諸課題に対応するため,令和3年度にどのような体制強化を図ろうとされているのかお示しを願います。 次に,新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。昨年1月30日,本市で初めて感染者が確認された後,市長は,直ちに対策本部を設置し,全庁体制を敷いて対応されてこられました。その後4月には,府市協調で国に対して要請を行い,初めて緊急事態宣言が発出されました。これまで京都市においては,医療機関への支援,京都経済の下支えなど,国の臨時交付金を活用し,間断なく対策に取り組まれ,この2月議会においても,来年度当初予算と補正予算の一体で総額2,739億円ものコロナ対策予算を示されています。この間,二元代表制の一翼を担う私たち京都市会においても,速やかに補正予算を議決してきたほか,我が会派からは,今後の更なる本市独自の事業者支援について早急に具体的な制度構築を行うよう求めているなど,市民の皆様の命と暮らしを守るため,全力を尽くしてまいりました。 しかしながら,昨年11月から感染者数が増え続け,今年1月には,再び緊急事態宣言が発出され,現在も市民の皆様の御協力の下,まさに第3波の感染拡大を抑え込んでいる最中であります。京都市においては,保健所を有する基礎自治体として積極的な疫学調査を実施する一方で,保健師など体制強化も図っていただいておりますが,感染者数の増加に伴い,医療機関や保健所の体制がひっ迫するなど,非常に厳しい状況が続いております。今後,現下の厳しい状況から抜け出す大きなポイントは,ワクチン接種であります。市民の期待も大きいですが,初動が遅れると不安が募り,批判を受けることになります。この2月市会では,ワクチン接種に係る補正予算の議決に当たっては,ワクチン接種体制の準備に速やかに着手できるよう京都市会としてもできる限りの協力をすべく,2月市会初日での議決を決定いたしたところであります。今回の議会の意思も十分に酌み取ったうえ,京都府との役割を明確にし,府と連携をしっかりと取りながら,万全を期した体制を構築し,市民,市会とも情報共有しながら進めていただくよう要望しておきます。そこでお伺いいたします。市長は,これまで1年以上にわたる新型コロナウイルス感染症対策において,何を大切に思い,どのような姿勢で臨んでこられたのか。また,収束に向けて今後どのように取り組んでいくのか,その御決意をお聞かせ願います。 次に,更なる府市協調の推進についてお聞きします。現在,門川市長と西脇知事が強固なスクラムを組まれるなど,本市では,これまでから京都市と京都府の双方にとって有益となる施策の実現に取り組んでこられました。京都府が実施する一部の施策において,京都市民だけが対象から外される,いわゆる差等補助の問題に関しては,府税の6割を負担している京都市民のみを対象から除外することは,到底147万市民の理解を得られるものではないため,我が会派からも早急な解消を求めてまいりました。解消に向け努力された結果,京都府の令和3年度予算において,医療的ケア児者等福祉サービス利用促進事業の対象に京都市民が追加されることとなったことについては,評価しているところであります。 また,今般の新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては,市民に最も身近な基礎自治体としての役割を担う本市の果たすべき役割は大変大きく,市民の命と暮らしを守るため,市の総力を挙げて取り組んでこられましたが,ここでも,京都府とは,衛生環境研究所の一体化による共同でのPCR検査の実施,中小企業等の資金繰りに対する融資制度の創設など,府市で連携し,迅速に対応してこられたことを一定評価しているところであります。一方で,市民の皆様からは,市長の顔が見えない,市が何をしているのか分かりにくいといった声を頂くことがありました。これは,京都市が果たしている役割や市民の皆様が京都市に期待している役割に比べて,制度上の事務,権限や財源が極めて限定的なものとなっていることが一因ではないかと考えております。今後,市民に対して,府市協調の成果や,その中で京都市が果たしてきた役割について,分かりやすく発信する必要があるのではないでしょうか。府市協調の更なる推進と,その取組の見える化に向けた市長の御決意をお伺いいたします。 他方,指定都市と道府県間のいわゆる二重行政の解消に向けては,指定都市市長会が創設を求めている特別自治市や,大阪において住民投票が行われたいわゆる都構想など,大都市制度の在り方について,過去から様々な議論があったところであります。制度改正でしか解消できない二重行政の弊害があるのであれば,速やかにその課題解消に向け議論を進めていかなければなりませんが,それぞれの都市の地域の実情をしっかり踏まえる必要があります。また,現在のコロナ禍の下で,制度論ありきでは,住民の理解が得られないと考えます。大都市制度の在り方について,本市における基本的な考え方をお伺いいたします。 一旦,ここで質問に対しての答弁を求めておきたいところであります。よろしくお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 まず,令和3年度の予算編成についてでございます。本市財政は,長期にわたる収支不均衡に今般のコロナ禍が加わり,収支不足が更に拡大し,試算では令和8年度に公債償還基金が枯渇するという危機的な状況にあります。こうした状況を市民の皆さんに丁寧に説明するとともに,来月に予定されている京都市持続可能な行財政審議会からの答申や,パブリックコメントでの市民の皆様のお声を反映させたうえで,行財政改革計画を来年度早期に策定し,抜本的な改革に取り組んでまいります。計画の推進に当たっては,公債償還基金の残高を令和7年度に1,000億円以上確保するための明確な数値目標を定めるとともに,行政コストや事業効果の見える化など市民の皆さん,市会の先生方への説明責任をしっかりと果たしてまいります。あわせまして,コロナ禍で不透明さが増す社会経済情勢を見極めながら,令和5年度までの集中改革期間の成果を踏まえて,可能な限り早期に基金の計画外の取崩しからの脱却に向けた道筋を示してまいります。 一方で,京都市財政の改革は待ったなしの状況であることから,行財政改革計画の策定を待つことなく,令和3年度予算編成においても可能な限りの改革を断行いたしました。具体的には,本市主催イベントについて全て予算計上を見送るか,市負担ゼロでの実施,コロナ禍の下,限られた人員を市民の命と暮らしを守る事業に振り向けます。また,補助金,支援金につきましても,社会情勢の変化や国制度の充実等を踏まえた見直しのほか,市職員の理解と協力を得て職員の給与カットも行います。ただし,これらは今後も続く改革の一里塚であり,令和4年度に向けて補助金,施設使用料の総点検や見直し,敬老乗車証の在り方検討などにも取り組んでまいります。 さらに,担税力の強化が重要であります。地域と共に継承発展することを目指す地域企業,中小企業の応援や創造的な人や企業が京都で生まれ,集積し,イノベーションの創出につながるスタートアップ・エコシステムの構築のほか,オフィスや産業用地,研究開発拠点の創出,若年・子育て層の住居など,都市の魅力の継承,創造につながる土地利用や都市機能の誘導に取り組んでまいります。引き続き,魅力あふれる京都の未来のために覚悟を決めて責任を持って全力を尽くして改革にまい進してまいります。 次に,執行体制の強化についてでございます。令和3年度は,いまだ予断を許さないコロナ禍と深刻な財政の二つの危機に対して市民の皆さんの命と健康,暮らしを守り抜き,持続可能な行財政の確立に向けた改革を着実に実行する体制を整えてまいります。まずコロナ対策,本市では,330名を超える保健師を総動員し,また,全庁挙げて感染防止対策を徹底するとともに,現在最重要課題であるワクチン接種につきましても,いち早く専任体制を整え,市民の皆様への効果的な広報,医師会等との連携の下に個別接種体制の調整,集団接種会場の確保など全庁挙げて準備を進めており,さらに,これらのコロナ対策を加速する体制の強化を図ってまいります。同時に,持続可能な行財政の確立に向けまして,私をトップとする行財政改革推進本部の下,全庁的に都市の経営戦略の視点を行き渡らせ,ハード部局とソフト部局,区役所が一丸となって企業誘致や人口増の取組を進めるとともに,行財政局財政部資産活用推進室を統合,再編し,資産の有効活用を徹底した事業見直しなど,歳入,歳出の両面にわたる改革を強力に推進するための体制を整備,確立いたします。さらに,こうした危機への対応のほか,魅力や活力あふれる京都を未来へ継承発展させるために,文化を基軸とするまちづくりを一層進め,文化と経済の更なる融合をはじめ京都の強みを徹底していかした都市活力の向上,国のデジタル化に呼応した人に優しい行政,市民サービスのデジタル化の推進などの体制を強化し,直面する危機の克服と京都の未来を展望した市政運営に努めてまいります。 次に,新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。昨年1月の感染発生以来,私は世界的パンデミックを引き起こしている新型コロナから市民の皆様の命と健康を守り抜くために,基礎自治体,保健所設置市としてできることは全てやる,スピード感を持って実行すると決意し,府市協調の下,市会の先生方とも危機感を共有し,審議日程等に特段の御理解をいただくとともに,感染拡大防止徹底月間など市民や事業者の皆様の御理解,御尽力いただきながら全庁職員一丸となって取り組んできております。人口1万人当たりの保健師数が100万人を超える大都市の中でトップである強みをいかし,地をはうような徹底した積極的疫学調査や医学や公衆衛生の観点から必要な検査を全国に先駆けて幅広く実施してまいりました。また,1週間単位での感染傾向と対策などきめ細やかなメッセージを発信し,新たな知見と刻々と変化する感染状況の中にあっても,スピード感を持って走り続けております。 同時に,厳しい状況にある中小企業,事業者の経営と雇用を支え,市民の暮らしを守るために伴走型の相談体制,文化芸術関係者,挑戦する事業者への応援など具体的なニーズを踏まえ,幅広い支援策を8回にわたる補正予算を計上し,スピード感を持って実施してまいりました。本市会にも資金繰りや経営支援に係る予算を計上させていただいているところでありますが,更に苦境にある事業者を幅広く対象とする新たな補助制度を創設するための補正予算案を今市会に追加提案させていただきます。2月に入り感染者は大きく減少しておりますが,今後いまだ経験したことのない規模のワクチンプロジェクトを確実にやり遂げなければなりません。本市ではいち早くワクチン接種業務を専任とする19人の職員を含め,計43人の職員体制を整え,コールセンターの立上げなどきめ細やかな情報提供,相談体制を既に構築しております。本市の人口当たりの医師数が全国一という強みをいかし,医師会や地域医療機関の御協力をいただきながら,安全かつ確実にワクチンを接種していただけるよう全力で取り組んでまいります。必ずや新型コロナを収束させ,危機に強いデジタル化社会,誰一人取り残さないSDGsやレジリエンスの根付いた魅力あふれる京都の実現に全身全霊を傾けてまいります。 次に,府市協調の更なる推進についてでございます。本市では,これまでから京都府と共に二重行政の打破はもとより,市民・府民サービスの向上と効率的,効果的な行政運営を追求し,衛生研究所や消防学校の共同化など大きな成果を挙げてまいりました。また,京都府の実施する施策において,京都市民と他の府民との間で法的根拠なく格差が生じている施策については,私自身も西脇知事と話し合い,解決に向けて協議していくことを確認しました。来年度から,京都府の医療的ケア児者等短期入所受入体制強化事業の対象に本市も追加されるなど改善が進んでおり,更なる解決に向けて着実に取り組んでまいります。 一方,大都市制度につきましては,京都市は,戦前から長い自治の伝統を有し,旧五大市の一つとして,市会の先生方と共に都市の自治権確立を目指してきた歴史があり,新たな大都市制度の創設を他の指定都市とも連携しながら国に対して求めてまいりました。その在り方を考えるに当たりましては,大都市だけでなく,広域自治体の在り方や国と地方の税源配分の問題も含めた我が国の地方自治制度全体についての国民的な議論の高まりが不可欠でございます。まずは現行制度において,私と西脇知事を先頭に制度の限界に挑戦し,府市協調を徹底することにより,今般のコロナ禍における感染拡大防止対策や京都経済,市民生活の下支えなど一つ一つの課題を解決することが大切であり,また,その成果をSNSなど様々な媒体を活用して見える化し,市民の皆様と共有することが重要であると考えております。今後とも,京都市と京都府がそれぞれの強みをいかし,京都全体の更なる発展につなげていけるように府市協調を新たなステージへと進化させてまいります。 ○議長(山本恵一) 橋村議員。 〔橋村芳和議員登壇〕 ◆(橋村芳和議員) 次に,国土強じん化に向けた道路等の防災・減災対策についてお伺いいたします。昨今,気候変動の影響により,全国的に自然災害は頻発化,激甚化いたしております。先日も東北地方において大きな地震が発生いたしました。本市においても,平成25年の台風18号や,平成30年に発生した大阪北部地震,7月豪雨,台風21号など,市民の暮らしに甚大な被害を与えた自然災害は記憶に新しいところであり,私の地元の伏見区においても,度々浸水などの被害が発生し,住民の暮らしに大きな影響が生じております。国におかれましては,大規模自然災害等に対し,事前の防災・減災と迅速な復旧,復興に資する施策を強力に推進していくため,平成25年に,防災・減災等に資する国土強靭化基本法が制定されました。以来,平成30年には,防災・減災,国土強靭化のための3か年緊急対策が策定され,3箇年にわたって強力に取組を進められるとともに,昨年12月には,新たに防災・減災,国土強靭化のための5か年加速化対策が発表され,令和3年度から令和7年度までの5年間でおおむね15兆円程度の事業規模を想定し,重点的,集中的に対策を実施していくこととされております。 また,これらの方向性を踏まえ,近年,数回にわたって実施されている国の総合経済対策においても,防災・減災,安心・安全の確保をはじめとする国土強じん化に向けた取組は,重要な柱として位置付けられております。自然災害は,いつ起こるのか予想できないものであり,発生してから対応する事後対応だけではなく,被害を未然に防ぐ,あるいは被害があったとしても,できる限り最小化するための事前防災の取組が極めて重要であり,計画的に取り組む必要があります。本市においては,門川市長のリーダーシップの下,厳しい財政状況が続く中にあっても,防災・減災対策を積極的に推進し,市民の安全を守るための取組を進めてこられました。現在,本市財政は,厳しい局面にあり,市政のあらゆる面において抜本的な改革が必要な状況と認識をしておりますが,そのような状況の中でも,市民の命と暮らしを守る取組は,絶対に後退させてはなりません。市民の命と暮らしを守る施策については,国における国土強じん化の方向性ともしっかりと連携しながら,強力に推し進めていく必要があると考えますが,道路等の防災・減災対策について,歴史都市であるがゆえの密集市街地・細街路対策も含め,市長の御所見をお聞かせ願います。 次に,小栗栖中学校区等での小中一貫校創設についてお伺いします。現在,私の地元である伏見区の小栗栖中学校区,また,西京区洛西ニュータウンにある西陵中学校区において,保護者,地域住民の方々の参画の下で小中一貫教育校の開校に向けた様々な協議が進められております。この学校統合による小中一貫校の創設に向けては,子供たちの数が減少の一途をたどる中で,地元のシンボルでもある学校がなくなるという,地域住民,保護者にとっては大変厳しい決断をされてでも,子供たちの教育環境をより良いものにしていこうという熱い願いが結実し,要望書としてまとめられたものであります。京都市としても,その思いを真摯に受け止め,新しい学校づくりに向け,地域と共に尽力されてこられました。小栗栖中学校区,西陵中学校区では,新しい学校のハード面のシンボルである施設整備に向け,コロナ禍の中,実施方法を工夫しながら3回にわたってワークショップが開催され,その意見を反映した基本計画が昨年10月に取りまとめられたところであります。そうした中,来年度予算編成に当たり500億円の財源不足が見込まれるなど,危機的な財政状況の中で,新たな入札事務が一旦停止され,地域の皆様も大変心配されたところでありますが,先日,ワークショップの内容も踏まえた設計に向けた事業者選定のためのプロポーザルにも着手され,地域の皆様も安どされたところであります。今後,全国に誇るべき小中一貫教育校の創設に向けた教育内容の検討に加え,通学路の安全といったまちづくりにも直結する課題等についても議論されていくと伺っており,充実した協議となることを期待いたしております。こうした小中一貫校創設に向けた協議の積重ねは,子供たちの豊かな学びの実現をはじめ,地域のきずなの深まり,そして未来にわたって住みたくなるまちづくりにつながる大変重要な過程であると考えております。こうしたことからも,私は,現下の本市の大変厳しい財政状況の中にあっても,決して,小栗栖中学校区や西陵中学校区での小中一貫教育校創設に向けた取組は休止すべきではなく,保護者や地域の皆様の思いを受け止め,新たなまちづくりのシンボルとなる学校実現に向けて取り組むべきであると考えております。教育長,いかがお考えですか。 最後に,今後の観光振興の在り方について要望いたします。4月で伏見区誕生90周年を迎える私の地元伏見区においては,伏見区役所の呼掛けで,平成30年1月に,伏見観光協会,伏見酒造組合,洛南保勝会をはじめ商店街や交通事業者などで構成された伏見観光プロジェクトチームが発足いたしました。伏見地域の観光情報発信の強化や各事業者間のネットワーク強化に努めるとともに,伏見区民の方が自らガイドになる伏見文化・観光の語り部の新しい取組など,観光地の分散化に寄与するとっておきの京都プロジェクトを展開しております。とりわけ,昨年度からは,伏見港の国土交通省のみなとオアシス登録を目指し,府市協調の下,官民が連携したオール伏見で持続可能な伏見のにぎわいづくりの取組を進め,昨年10月には,川のみなとオアシス水のまち京都・伏見運営協議会が発足,そして11月には,伏見港界わいを会場にキックオフ・プレイベントが繰り広げられたところであります。現在,検討されている京都観光振興計画2025(仮称)では,今後の推進体制,推進の仕組みの一つとして,エリアごとの観光を推進,管理する取組や仕組みの強化が掲げられており,地域団体や京都市観光協会との連携,区役所,支所の取組等により,エリアの奥深い魅力の発信や新たな魅力の発掘などについて取り組むことと言及されています。コロナ禍において,伏見の地域経済も大きな影響を受けている折であるからこそ,こうした地域主体による熱い取組を行政がしっかりと支援し,力強く後押しをしていく必要があります。しかしながら,本市の財政状況が危機的な状況に直面する中,京都市単体での財政負担を伴う取組へのハードルは高まる一方であり,これまで以上に地域のまちづくり団体や事業者の皆様方をはじめ,多様な主体と連携した地域観光振興の深掘りに加え,近隣の自治体との協働による広域観光振興が大切になるものと考えております。持続可能な京都の観光振興に向け,とりわけこのコロナ禍においても頑張っておられる地域特性をいかした地域主体による地域観光振興の支援について,京都市において具体的で実行性のある方策を強く要望いたします。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 国土強じん化に向けた防災・減災対策についてでございます。道路や橋りょう,河川などのインフラは,市民の皆様の暮らしや社会経済活動を支える都市機能の根幹であります。現在その多くが老朽化が進行しております。そんな中で,近年甚大な被害をもたらす自然災害が頻発する中,安心安全の確保に向けた事前防災の取組が極めて重要になっております。そのため本市では,施設ごとに長寿命化計画を策定し,例えば橋りょうでは,平成24年度から230億円の事業費を投入し,今年度末には,来年度令和3年度までに対策が必要な88の橋りょうのうち9割に迫る75の橋りょうの対策が完了するなど,強力に防災・減災対策の取組を推進しております。 また,本市財政が極めて厳しい状況の中,国に対して精力的に要望を行い,雨庭の整備事業をはじめ国の補助対象事業の拡大に努めるとともに,本市の一般財源の措置が要らず,市債に対する交付税措置が有利な国の補正予算を積極的に活用するなど,財政負担の軽減も図っております。令和3年度予算においては,改革を進めるに当たり投資的事業も徹底的に検証し,重点化を図ったところでありますが,安心安全に直結する公共土木施設の防災・減災対策には,本年度を6,000万円上回る66億円を確保し,市民の皆様の命と暮らしを守り抜く施策をしっかりと推進してまいります。また,密集市街地・細街路対策として歴史的な町並みを維持,継承しつつ,着実に防災性を向上させるべく,現在上京区の出水学区をモデルに民間活力による袋路等の解消,再生を目指し,街区計画の作成を進めているところであります。今後は,街区内の具体的な路地における整備計画の策定を通じて関係者の合意形成を図り,整備の実現に努めてまいります。今後,より一層国の防災,減災,国土強じん化の方向性と広域施策を緊密に連携させるとともに,歴史都市・京都ならではの対策を進め,持続可能で安心安全なまちづくりに全力で取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 小栗栖中学校区及び西陵中学校区における小中一貫教育校創設についてでございます。この2中学校区におきましては,児童生徒数の減少が進み,1学年に一クラスしかない単級の学年が増える中,子供たちの教育環境の充実はもとより,小中一貫教育校の創設を契機とした将来の魅力あるまちづくりを展望し,地域や保護者の皆様方が長年にわたって真摯に議論を重ねられ,明治2年の番組小学校創設から丁度150年を迎えた令和元年度に統合要望書を頂いたところであり,まちづくりの未来を教育に託した先人の思いに通じる地域の方々の情熱に感銘を受けたところでございます。 昨年6月からは,新しい小中一貫教育校の施設整備に関するワークショップを実施し,地域や保護者の皆様方からは,新たな地域の誇りとなるような校舎の外観,子供たち同士や地域の方々が集える多様な交流スペースの整備,ICT機器を活用する最先端の教育活動の実施など様々な御意見を頂きました。こうした小中一貫教育校の創設に向けた市民参加の取組は,橋村芳和議員御指摘のとおり,学校を核として地域のきずなが一層深まるものであり,また,将来にわたって全ての世代が安心安全で暮らしやすい魅力や活力にあふれるまちづくりに資するものであります。厳しい財政状況にありますが,今後とも地域保護者の皆様方の思いを受け止め,子供たちが新しい小中一貫教育校で学んだことを誇りに思い,いつまでも地域を大切にして活躍する新たなまちづくりのシンボルとなるような学校づくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,吉井あきら議員に発言を許します。吉井議員。 〔吉井あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(吉井あきら議員) 山科区選出の吉井あきらでございます。この機会を与えていただきました我が会派の先輩議員,同僚議員,また日頃より御支援いただいている多くの皆さんに感謝をし,橋村芳和団長,しまもと京司議員加藤昌洋議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表し,質疑をさせていただきます。 最初に,新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対し,心より御冥福をお祈り申し上げますとともに,今もなお闘病を余儀なくされておられる方々に対し,一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また,日々命懸けで頑張っていただいております医療従事者の皆さん,その関係者の皆さんに対しまして感謝をし,質疑に入ります。 まず,次期京都市基本計画についてであります。今回提案されている基本計画案は,検討の過程で我々議会も報告を受けており,この2年間,基本計画審議会において丁寧に議論を重ねてこられたと感じています。特に,昨年初めに新型コロナウイルスが発生した際には,直ちに社会状況の変化に応じた検証を重ね,必要な政策を速やかに提示されたことは評価します。審議会の議論が重ねられる中,昨年2月の市長選において,門川市長は市民の皆様から未来の京都づくりを託されました。市民の皆様に安心,豊かさを実感していただくためにも,公約である141+1の市民とのお約束を実行し,持続可能な京都のまちづくりを実現していく,そのことがなければなりません。その実現に向けて乗り越えるべき大きな課題が,本市の極めて厳しい財政状況であります。これまで,他都市と比べて市民一人当たりの税収が少ない中でも,福祉,医療,教育,子育て支援をはじめ,国や他都市の水準を上回る行政サービスを提供し,また,積極的な生活インフラの投資を行ってきた実績は評価できます。しかし,少子高齢化が進み,社会福祉に要する経費が大きく増加する一方で,一般財源収入の大きな伸びは見込めず,構造的に歳出が歳入を上回る状態が続いています。近年においては,公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策に頼ってきましたが,その公債償還基金も,こうした多額の財源不足が続けば,令和8年度には枯渇するとの試算も示されたところであります。 このような状況に対して,先月,今後の行財政改革の視点及び主な改革事項を発表されましたが,ここで示された厳しい財政状況に対する認識と改革に向けた視点は,基本計画案にも盛り込まれていることは確認しました。しかし,持続可能な財政運営を行い,未来に責任を持った都市経営となるためには,更に抜本的かつ具体的な行財政改革の取組を示すべきであり,基本計画と同じ計画期間で今後策定される行財政改革計画の内容が極めて重要であると考えております。また,我が会派から重ねて申し上げているところでありますが,この財政危機を市民の皆さんにしっかりと説明し,理解を得ながら,未来のビジョンとその実現に向けた具体的な改革に共に取り組まなければなりません。そこで,本市の厳しい財政状況をしっかりと捉え,市民の皆様にも丁寧に説明しながら,真に実効性のある行財政改革を実行したうえで,掲げられた未来像が絵に描いた餅とならないよう,次期基本計画を着実に推進し,141+1の市民とのお約束を果たしていただきたいと考えますが,市長の決意をお聞かせください。 次に,環境行政の更なる推進に向けた決意とプラスチックごみ対策についてであります。本市は,市民,事業者等と一緒になって,これまでから全国を先導する環境政策を推進してきました。地球温暖化対策については,気候危機とも言える状況にあり,豊かな地球環境を未来の子供たちに残すことができるかの岐路であるとの危機感の下,市長は,昨年の11月市会に,2050年CO2ゼロ,その実現に向けた2030年温室効果ガス40パーセント以上削減の目標を掲げた改正地球温暖化対策条例を提案されました。議会としても全会一致で可決,さらには,気候非常事態を宣言し,市民,事業者をはじめとするあらゆる主体と危機感,目標を共有したうえで,その理解と協力を深めることで,自主的かつ積極的に地球温暖化対策に取り組むことを決意するとともに,本市が脱炭素社会の実現をけん引していくことを求めたところであります。 また,ごみ減量の推進においては,令和元年度のごみ量がピーク時の半分となる41万トンとなり,プランに掲げる目標まで残り2万トンとなりました。今年度は,新型コロナウイルス感染症の拡大による社会・経済活動への影響からごみ量が減少していますが,今後のアフターコロナにおいても,持続可能な循環型社会の実現に向け,引き続き,ごみの更なる減量やリサイクルの推進を実現していかなければなりません。その中でも,プラスチックごみへの取組は非常に重要であります。私たちの生活のあらゆる場面でプラスチック製品が使用されていますが,このプラスチックの一部が海に流出し,生態系に影響を与えることが懸念されています。さらに,プラスチックの製造や焼却処理の過程で排出される温室効果ガスが地球温暖化を進行させてしまうなど,プラスチックごみ問題は環境全般の問題として喫緊に取り組むべき課題であります。今取り上げた地球温暖化対策,循環型社会の実現,これに加えて生物多様性の保全という,環境行政の分野別計画の策定が,現在進められています。2030年度までを計画期間とする地球温暖化対策計画,循環型社会推進基本計画,生物多様性プランを新たに策定し,来年度からスタートさせるに当たって,京都市が取り組まなければならない環境対策について市長の決意をお聞かせください。とりわけ,環境問題全般に大きな影響を及ぼす,喫緊に取り組むべき最重要課題と言えるプラスチックごみ対策について,国の動きも踏まえつつ,来年度以降どのように取り組まれるのか,市長のお考えをお答えください。 新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されてから1年が経過しました。そして,来月11日には東日本大震災から節目の10年となります。我が会派では,ごみ収集処理業務については,効率化を図りつつも,コロナ禍の状況や大規模な災害発生時など不測の事態が生じた場合にあっても,本市が責任を持って市民の暮らしと安心を守ることができる体制の確保を求めているところであります。次期計画に掲げる資源の循環や市民サービス向上の取組と併せて,行政が担うべき役割をしっかりと果たせる事務所,人員体制等の構築に努めてもらうよう要望しておきます。 次に,今後の市営住宅の在り方についてであります。市営住宅は,戦後の住宅難の時代から高度経済成長期の昭和50年代まで,住宅不足を補うために大量に建設が行われ,これまで一定の役割を果たしてまいりました。しかしながら,本格的な人口減少社会を迎えた今,民間の住宅においても空き家が多く発生しているなど,住宅市場や市営住宅を取り巻く環境は大きく変わっております。最近では,市営住宅を公募しても応募がない,あるいは募集戸数に対して極端に応募が少ない団地があり,入居戸数は減少しており,現状では管理戸数約2万3,000戸に対して,入居戸数は約1万8,000戸となっています。今後も,これだけの戸数の市営住宅を維持し続けていくべきなのか,真剣に考えていかなければならないと思います。近年,本市は,市営住宅の管理戸数について現状程度を維持することを方針としてきましたが,既に平成31年2月には,京都市住宅審議会から,これまでの方針を見直し,社会情勢の変化を見据えた適正な供給戸数を確保する方向に転換していくことが求められるとの答申が出されております。その趣旨は,市営住宅の地域的な偏りや市民ニーズの多様化を踏まえ,大量の市営住宅を非効率に維持するのではなく,行政と民間の適切な役割分担の下,市営住宅に求められる真のニーズに的確に対応すべきだということであります。本市では,昨年から次期住宅マスタープラン,次期市営住宅ストック総合活用計画の策定に取り組んでおられ,こうした課題への対応について検討がなされているものと思います。 先ほど申し上げた今後の行財政改革の視点及び主な改革事項の中で,市営住宅についても,公共施設の適正な管理と受益者負担の適正化の観点から,管理戸数の適正化,公募戸数の最適化のほか,家賃減免や運営の在り方見直しといった事項が示されたところであります。今,行財政改革に向けて設置されている持続可能な行財政審議会では,市営住宅の家賃減免について,他都市と比べて手厚い制度になっているのではないかという指摘がありました。さらに,本市では,管理代行という制度により住宅供給公社に委ねている市営住宅の管理については,民間活力の活用の事例として,指定都市20市のうち15市が全部又は一部で指定管理者制度を導入し,中には民間企業に管理委託を行っている例もあることが紹介されております。こうした審議会の指摘や他都市の事例も踏まえ,市営住宅の将来的な在り方についてどのように展望されるのか。家賃減免制度の適切な見直し,民間活力の導入も見据えた管理運営の在り方の改善にも危機感とスピード感をもって取り組んでいただかなければなりません。改革に向けた市長の決意をお聞かせください。 次に,北陸新幹線の延伸事業についてであります。近畿圏と北陸圏を時速260キロで結ぶ北陸新幹線は,東海道新幹線,山陽新幹線,上越新幹線とつながる高速鉄道であり,東京一極集中の是正,地方創生の促進に寄与し,さらには,災害時などで東海道新幹線が不通となった場合の備えになり,国土強じん化にも貢献する我が国にとって大変大きな財産となるものです。その路線のうち,敦賀から新大阪に至るルートについては,平成29年3月,西田昌司参議院議員が委員長を務められた与党のプロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会により,京都駅と京田辺市の松井山手付近を経由する計画とされました。くわえて,先日,JR西日本は今後,新幹線を使った魚介類などの荷物輸送の事業化を目指すと発表されました。延伸後の路線の活用については今のところ言及されていませんが,もし将来的に活用されることになれば,地域の活性化に加えて,物流面でもプラス効果が生まれる可能性が出てくるものと考えます。昨年度からは,事業主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が環境影響評価の手続に入っており,今後,各種調査とその結果を踏まえた環境影響の予測と評価,環境保全措置の検討というステップを経て,いよいよ延伸に向けた流れが本格化するものと考えます。 延伸事業の主体はあくまで鉄道・運輸機構ではありますが,一方で,沿線自治体も円滑な事業の推進に協力をしていかなければなりません。地下水や山林,動植物をはじめとする自然環境,生活環境や文化財,都市機能への影響の徹底的な回避,低減,建設発生土の適正な処理など,これから乗り越えていくべき課題は様々あります。鉄道・運輸機構が環境アセス調査に取り組んでいる現時点では,まだ不明な点も多いかと思いますが,未来に向けて様々な課題を乗り越えていくべき重要事業であり,先手先手の対応を心掛けることが大事です。後で慌てることのないよう,今のうちから京都府や府内の関係自治体と連携し,沿線地域としてどのように対応していくかについてしっかりと備えをしておくことが重要と考えますがいかがですか。お答えください。 あわせて,整備費用の負担についてお尋ねします。整備新幹線は,法律上,国と地方が2対1で工事費を負担することになっております。しかし,この仕組みでは早期に新幹線のネットワークを完成させることは不可能です。西田参議院議員も,10年以内の早期完成のためにも,工事費は全額,国が負担すべきであると発言されております。私も全く同感です。今のままでは,幾ら国費を投入しても地方に負担がのし掛かり,早期完成は不可能です。国に対して地方の負担を事実上なくす仕組みを検討するよう要望すべきと思いますが,市長のお考えをお答えください。 次に,市民の命と暮らしを守る,土木事務所をはじめとする建設局出先事務所の機能強化と効率化についてであります。近年,大型台風や集中豪雨,豪雪など,これまで経験したことのないような自然災害が頻繁に発生しており,道路や河川などでも様々な被害が毎年のように生じています。今後も,そうした自然災害の発生を想定する必要があります。予防も含めた的確な災害対応のため,最前線の現場で働く土木事務所が,しっかりと機能を発揮できる体制を確保することが必要であると考えます。本市では,土木事務所をはじめとする出先事務所の維持管理業務については,これまで技能労務職員が担ってきましたが,昨年度からは,新たに土木保全技術職の採用を開始しています。一定の土木技術の専門知識を持って現場業務に従事をしており,将来の土木事務所を支える人材として大いに期待をしております。 今後の行財政改革の視点及び主な改革事項においては,改革の視点として組織・人員体制・人件費の適正化を掲げておられますが,当然,土木事務所についても決して例外ではなく,最小の経費で最大の機能を発揮していくための努力は尽くしていかなければならず,そのための効率化の取組も待ったなしであります。その一方で,市民の命と暮らしを守っていくためには,土木事務所をはじめとする出先事務所の機能強化を更に図っていくことが是非とも必要であります。効率化を進めながら,同時に機能強化を図っていくことは難しい課題ではありますが,将来にわたり市民の安心安全を守り抜いていくためには,何としても必要であると考えます。どのように取り組んでいかれるのかお答えください。 最後に,地元山科区における地域公共交通バスの確保についてであります。山科区をはじめ周辺地域については,高齢化も進み採算が確保しにくいという事情はありますが,市内中心部に比べるとバスの利便性に課題があります。周辺地域選出の議員は,これまでからその格差の是正を強く訴えてきましたし,私自身も,本会議で何度も要望や質疑をしてまいりました。この間,本市において周辺地域を運行する民間バス事業者への支援措置が講じられ,まだまだ十分とは言えませんが,私の地元である山科区におきましても,鏡山循環バスの増便,上屋やベンチの整備といったバス待ち環境の向上など一定の成果が挙がっており,周辺地域における生活交通の確保や利便性の向上が,少しずつではありますが進んできたと実感できるようになったところであります。 しかしながら,こうした状況も新型コロナウイルスの影響で一変しつつあります。御承知のように,山科区は平成9年に地下鉄の延伸により市バスが撤退し,以降,民間バス事業者一社によって地域の足が支えられてきました。昨年12月に,その民間バス事業者により,大幅なダイヤの減便が行われたのです。特に中心部である四条河原町方面への路線のダイヤが大幅に減らされ,鉄道駅から遠い地域にとって大変不便になりました。生活の足として頼りにしてきた住民の方々からは,今回の減便は極めて唐突に行われただけでなく,その後の説明も非常に不十分なものであり,余りに不誠実ではないかとの怒りの声が出ております。また,同時に,将来,自分たちの生活を支える路線が維持されるのか,今回のように唐突になくなるのではないかといった大いなる不安,不信の声もあると聞きます。私といたしましても,新型コロナウイルスの収束が見通せない中,民間企業として会社を守るという観点からすると,減便の判断について理解できないわけではありません。 しかしながら,交通事業者として,地域の大切な足を守るという観点も大切ではないのか,より丁寧かつ住民の立場に立った対応がもう少し有り得たのではないかと考えるところであります。今,山科区で起きている減便や,あるいは路線の廃止といった事態は,全国的にも大きな問題となっております。地域の公共交通を取り巻く環境に目を向けると,人口減少の本格化,運転士不足の深刻化等により,サービスの維持,確保の厳しさが増しています。一方で,高齢化に伴う運転免許の返納も年々増加するなど,地域の暮らしとまちの活力を支えるためには,移動手段の確保がますます重要になっております。都市によっては,持続可能な地域の足の確保に向け,交通事業者任せにするのではなく,行政が交通事業者等と連携して議論される動きも見受けられます。この点,国において,昨年11月に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が改正され,地域公共交通を取り巻く関係者の参加と協働により,地域公共交通サービスの維持,確保を目指すための枠組みが拡充されております。本市においても,このような国の動きにも注視していただきたいと考えております。 私は,平成30年2月市会の代表質疑において,議会で最初に周辺地域の生活の足の維持や充実に向けて,市バスと民間バスとの共同運行も視野に入れて取り組んでほしいと提案いたしました。それに対して市長からは,共同運行などの様々な手法も含めて民間バス事業者としっかりと協議を行い,生活の足を守っていくと答弁されております。バス事業者は,そもそも新型コロナ以前から全国的に厳しい経営状況に直面しており,いずれ今回のような減便といった事態も本格化するのではないかと感じていましたので,地域の足を確保するという観点から,市バスの共同運行を求めてきたものであります。コロナ禍の下,本市の財政状況や交通局をはじめとする交通事業者の経営が苦しい状況にあることは十分理解していますが,生活交通の利便性の更なる低下も危惧される今こそ,京都市としての責任を果たすべきときではないでしょうか。今後,京都市として,どのように山科地域の生活の足を守っていくのかお答えください。 また,山科区の小金塚地域では,平成31年3月,長年の悲願であった地域の路線バス運行に向けて実証運行が始まりました。本格運行に向けて,一人でも多く乗車しようと地域を挙げた取組,努力を積み重ね,その結果,1日の乗車人数は約150名にまでなっておりました。しかしながら,このコロナ禍の中で,人の流れを抑制しようという状況下では,バス事業者は業績回復の見込みが立てられず,現在京都市の補助制度で実証運行している民間バス事業者からは,現状では継続した運行が難しいとの意向が示され,住民の大切な移動手段であるバスの存続が危うくなっております。何とか大切な地域の移動手段を守ろうと,今地域の皆さん,京都市,そして富議員をはじめ我々自民党議員が一緒になって,あらゆる可能性を探りながら必死に話合いを重ねているところであります。今市会では,地域主体の生活交通への支援の予算が掲げられ,地域共助の取組として実施する住民ボランティアバスなどへの補助が提案されておりますが,住民ボランティアバスについては,住民がハンドルを握って運行することへの戸惑いや,ずっと続けていけるのかといった不安などが懸念されていることもあり,制度導入に向けては十分な準備が必要ではないかと考えております。民間のバス事業者の取り巻く環境は厳しく,持続可能な生活交通を維持,確保していくことは,待ったなしの緊急の課題であります。自助,共助,公助といった役割分担を考えると,地域のやる気,努力を行政として後押ししていこうという地域主体の生活交通への支援については,一定評価するものであります。しかしながら,地域がこの制度をスムーズに導入でき,さらには,将来にわたって持続可能な仕組みとするための国への法整備の要望なども必要と考えますがいかがですか。お答えください。 いずれにしましても,京都市として事業者任せにするのではなく,京都市がしっかりと責任を果たすよう強く強く要望し,私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉井あきら議員の御質問にお答えいたします。 次期京都市基本計画と行財政改革計画についてでございます。今回御提案いたしております次期基本計画において,その実現に向けた方向性をしっかりと盛り込んだ市民の皆様と私との141+1のお約束は,いずれも命と暮らしを守り,京都のまちづくりを新たなステージへと進めていくために必要なものであるという私の思いは決して揺らぐものではございません。次期基本計画の推進に当たっては,今般のコロナ禍による影響や危機的な財政状況を見極めながら,事業一つ一つを厳しく精査したうえで必要な取組は速やかに具体化する。同時に,政策の優先順位を付けまして,場合によっては一度立ち止まったうえで必要に応じて実施時期を見直すことも含めて,毎年毎年の予算による裏付けを重ねながら前進させてまいります。 一方で,成長戦略等による財源創出と徹底した歳出改革を両輪とする財政構造の抜本改革を実行することも,市民の皆様に対する私のお約束でございます。持続可能な行財政を確立するため,来年度早期に策定する行財政改革計画は,公債償還基金の残高を令和7年度に1,000億円以上確保するための明確な数値目標を定めるとともに,今後進めていく改革規模を明らかにしたうえで,補助金,施設使用料の総点検,敬老乗車証の在り方検討などの歳出の見直しや受益者負担の適正化といった取組に加えまして,オフィスや産業用地・研究開発拠点の創出,若年・子育て層の移住・定住促進など市民の皆様の豊かさ,経済の活性化,担税力強化をはじめとした歳入増加策も積極的に盛り込むこととしております。これらの抜本的な改革を進めるに当たりましては,市民の皆様と危機意識を共有し,御理解と共感を得る努力を重ねることが不可欠であり,市民目線に立って,あらゆる機会を活用して丁寧に説明してまいります。次期基本計画を着実に推進し,生活者を基点に,参加と協働の下,京都の強みをいかし,力強い経済と都市の活力の創出に向けて希望の持てる未来を市民の皆様と共に切りひらき,京都の今と未来に責任を果たしてまいります。 環境行政の推進とプラスチックごみ対策についてでございます。私たちには豊かな地球環境を未来に引き継ぐ責任があります。この責任を果たすためにはSDGsが目標とする2030年までの行動が極めて重要であります。吉井議員御紹介の環境の三つの計画,地球温暖化対策計画,循環型社会推進基本計画,生物多様性プランにつきましては,2050年CO2を正味ゼロをはじめとする環境と調和した持続可能な社会の実現に向けてこの10年の挑戦的な目標を掲げ,一体的に推進するものとして取りまとめた行動計画であります。市民,事業者の皆様と環境への危機感と新たな価値観を共有し,未来への責任と覚悟を持って都市環境,ライフスタイル,産業行動などの抜本的な転換を進めるため,従前の延長にとどまらない取組を実行してまいります。とりわけ吉井議員御指摘のプラスチックごみ対策は,ごみ減量,CO2排出,生態系への影響と環境分野全体にわたり一人一人のライフスタイル,産業構造等に関わる重要な課題でございます。次期循環型社会推進基本計画では,徹底したプラスチックごみの削減や資源循環を重点施策といたしまして,ペットボトルの半減など国を大幅に上回る削減目標を掲げるとともに,製造業者や販売業者との連携等により,徹底した排出抑制,再生可能な素材への切替え,効果的な回収とリサイクルを図ることでプラスチックの資源循環を推進いたします。 また,国で検討中のプラスチック製品の分別回収制度を見据えまして,この夏には100世帯(後刻訂正)の方々に御協力いただき,全てのまち美化事務所におきまして,家庭からの排出量や分別の状況等を調査する社会実験を行い,万全の準備を進めてまいります。今後とも環境先進都市としてのきょう持を持って,三つの計画を三位一体で強力に推進することにより,将来世代の方々が夢を描ける豊かな京都を,市民,事業者の皆様と共にオール京都で作り上げてまいります。 次に,市営住宅の在り方についてでございます。吉井議員御質問にあるとおり,市営住宅は戦後から高度経済成長期にかけまして住宅不足を補うだけでなく,不良住宅の密集地域の住環境の抜本的な改善や,経済的理由で住宅を確保できない方々のセーフティネットとしての重要な役割を果たしてまいりました。しかし近年は,2万3,000戸の管理戸数に対して入居者は1万8,000戸を下回り,老朽化や耐震性の不足,入居者の高齢化や単身世帯の増加によるコミュニティの低下等の課題を抱えております。本市財政が危機的な状況にあっても,これらの課題を解決し,市民の居住の安定を確保していくために,住宅審議会や行財政審議会の御指摘も踏まえ,無駄のない持続可能な市営住宅への改革に取り組みます。 まず,管理戸数を入居実態に見合うように減らしていくとともに,令和3年度から公募戸数もここ数年の入居実績が年間400戸程度であることを踏まえまして,量を適正化いたします。同時に,耐震基準を満たさない団地からの住替えや民間活力の活用も視野に入れた団地再生事業にスピード感を持って取り組み,早期に入居者の安心安全を確保し,市営住宅の質を確保してまいります。くわえまして,最も効率的,効果的な管理運営となるよう指定管理者制度も含め更なる民間活力の導入を検討してまいります。また,家賃減免制度は極めて所得の低い世帯を救済するための大切な制度でありますが,審議会でもその在り方について厳しい御指摘をいただいており,民間住宅の動向や他都市の減免制度も踏まえまして,適切に家賃を御負担いただく仕組みとなるように見直し,令和4年度から新制度の適用を目指してまいります。市営住宅を時代の要請を的確に捉えた最適な状態としていけるように,不断の改革に取り組んでまいります。 次に,北陸新幹線の延伸事業についてでございます。日本における京都は平安建都以来,多くの街道の起点として全国各地域と豊かな人的・物的交流によって発展してきた歴史を有するまちであります。北陸新幹線の延伸は,日本海側の新たな国土軸形成に寄与する大変重要な国家的プロジェクトであり,京都がその拠点となることは,人口減少が進み都市間競争が激化する中,歴史的,文化的にゆかりの深い北陸圏との結び付きを一層豊かにするとともに,本市はもとより本市と在来線で結節する地域も含めまして,広く京都都市圏の活性化につながるものと認識いたしております。現在,京都府,大阪府,福井県の2府1県において,事業主体である鉄道・運輸機構が,環境影響評価法に基づき調査を行っているところであります。本市といたしましても,同法に基づき市町村長の意見をまとめる京都府知事に対し,自然環境や生活環境への影響が可能な限り回避,低減されるよう,十分な調査と環境影響の適切な予測,評価を求める意見書を提出しており,京都府から鉄道・運輸機構に意見が述べられてきたところであります。今後も水環境,文化財,都市機能,建設時に発生する土砂の処理等の観点から,しっかりと意見を述べるなど適切に対応してまいります。そのうえで京都駅への国土軸の延伸が,南部創造エリアを含む京都都市圏全体の発展につながるよう取組を進めてまいります。 整備費用につきましては,法律上,一義的には国と都道府県が負担すべきものとなっております。また本市としても,これまでから地方負担の軽減を国に要望してきたところであります。こうした中,西田昌司参議院議員をはじめ関係される国会議員の先生方が,地方負担の実質ゼロを訴えておられますことは,大変心強い限りでございます。国土軸の重層化が東京一極集中の是正という国策上の大きなテーマであることを念頭に置きつつ,国政の動きと歩調を合わせ,京都府等とも連携しながら地方負担実質ゼロないし極小化を改めて強く訴えてまいります。 次に,山科区のバス路線についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響は市民生活や経済活動など広範囲に及んでおり,バス事業者もその例外ではありません。山科区において,四条河原町方面へのダイヤが減便され大変不便だったとのお声をお聞きし,私も胸を痛めております。吉井議員御紹介のとおり,国においては,昨年11月に,持続可能な地域公共交通サービスを実現するため法律が改正され,地方公共団体が中心となり,交通事業者や地域住民等で構成する協議会を立ち上げ,地域の生活交通の確保なども一緒に考え実行していく仕組みが強化されております。本市といたしましても,こうした取組を進めていくことも重要と考えております。山科区では,地下鉄東西線の開業に伴い,バス事業の効率的な運用のため,バス輸送を民間バス事業者に一元化して,市バスが撤退して24年が経過いたします。今後,協議会の活用も検討しつつ,山科区の皆様の足を守るため,令和3年度から,吉井議員御提案の市バスと共同運行も視野に入れて,民間バス事業者としっかりと協議を行ってまいります。また,山科区小金塚の方々の生活の足につきましては,交通事業者の置かれている経営環境もにらみつつ,地域の皆様と共に本市として短期から長期にわたるあらゆる取組の可能性を探り,力を尽くしてまいります。 次に,地域主体の生活交通への支援につきましては,高齢化が進行し,移動手段の確保が求められる一方で,採算面等から交通事業者の参入が困難な地域において,住民の共助により運行するいわゆる住民ボランティアバスへの支援制度を創設するものであります。本制度では,運行費用の一部を助成するとともに,導入が円滑に進むよう後押ししてまいります。あわせまして,住民ドライバーの安定的な確保に向けまして,法制度面,財政面等の支援を国に求めるとともに,今後も,生活交通の確保に向けまして地域の皆様と共に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 土木事務所等の機能強化についてでございます。市内8箇所の土木事務所は,道路や河川等の適切な維持管理はもとより,市民ニーズに対する迅速な対応,災害時の応急復旧など,安心安全で災害に強いまちづくりを担う地域の拠点であります。近年,頻発・激甚化する災害にしっかり対応していくためには,吉井あきら議員御指摘のとおり,土木事務所の機能強化が極めて重要であります。そのため,令和元年度から,新たに土木保全技術職の採用を開始するとともに,令和5年度当初に,市内2箇所のみどり管理事務所が行っている公園の維持管理業務等を土木事務所に集約し,これらの事務所を統合してまいります。これにより,土木事務所の人員体制を3割程度強化し,災害時の対応能力の充実強化を図るとともに,公園や街路樹を含めた公共土木施設を土木事務所で一元的に管理することにより,市民の皆様からの御要望に対しましてもワンストップ化を実現いたします。 同時に,除草や樹木のせん定等の民間委託化を推進することにより,トータルで職員数の削減を図るほか,事務所の運営コストの圧縮なども含め年間約1億5,000万円の財政効果を生み出すとともに,事務所跡地の有効活用も検討してまいります。こうした土木事務所の機能強化と効率化の取組に加えまして,国,府との連携強化,地元の建設事業者や関電などインフラ事業者との連携・協力体制を更に強固なものとし,徹底して市民の命と暮らしを守り抜く決意であります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 発言内容の訂正をさせていただきます。 先ほど,吉井議員の御質問に対する答弁の中,プラスチックの分別回収の社会実験の協力世帯数につきまして「100世帯」と申し上げましたが,正しくは「1,000世帯」でございます。謹んで訂正させていただきます。 ○議長(山本恵一) 次に,しまもと京司議員に発言を許します。しまもと議員。 〔しまもと京司議員登壇(拍手)〕 ◆(しまもと京司議員) 自民党南区選出のしまもと京司でございます。橋村芳和議員吉井あきら議員に続きまして,次の加藤昌洋議員と共に代表質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに,令和3年度の公営企業予算についてお尋ねします。まず,バス・地下鉄事業の本市交通局運営につきましては,かつての地下鉄建設当時からの膨大な負債や累積資金不足の中,門川市長就任後,全市民と入洛客皆様の御理解と御協力と,全庁挙げての公共交通利用促進策による大きな改善途上にて,現在バス事業で一般会計から任意の補助金を拠出することのない運営となり,厳しい状況の中にも,前向きな御努力を評価するところであります。しかし,今般のコロナ禍による大打撃で両事業を取り巻く状況は激変し,今年度非常に厳しい危機的状態に陥っているのは周知のとおりです。今議会に提案された令和3年度予算案では,市バス事業で56億円,地下鉄では58億円の経常赤字となる見込みで,近年ようやく黒字転換していた市バス事業の蓄えも,これにおいては累積赤字へと転落し,地下鉄は再び経営健全化団体となる可能性が高いとのことであります。 誰もが一刻も早いコロナ禍の事態改善を願うものでありますが,これまでの人的・経済的・社会的影響も甚大なうえ,テレワークやオンライン授業など新たな社会スタイルの定着などもあり,従前のような状況に完全に戻るかどうかも予想しがたい状態にあります。この状況を乗り越えるために取り組んできたこれまでの安心安全御乗車の衛生対策やダイヤ改正,観光ルートを主とする減便や深夜便運行の切上げ,または今後,各種割引乗車券制度も抜本的に見直される予定ですが,くわえて,あらゆる部門における経営,組織,人員,経費等々の効率改善や節減などの再徹底,駅ナカ事業,広告収益等向上の一層の努力はもちろんのこと,かつて全市一丸となって取り組んできた5万人増客計画のときのような大きな取組や運賃,路線等の改定,改変,需給バランスに即した適正化等の検討も避けては通れないものと思います。また,国においても様々な財政出動が行われていますが,本市交通局は,いまだ危機的状況を打開するまでには至っていないのが現状であり,私たち自民党議員団も,引き続き国や政府に対し声を届けていく所存でありますが,市においても,より一層,市バス,地下鉄の切実な現状を国にしっかり伝え,抜本的支援を得られるよう強く求めておきます。以上のように,両事業の経営を立ち直らせ,市民生活と経済活動の足である市バス,地下鉄を守るためには,まず何よりも,御利用者数の回復が欠かせないものであることを最優先課題としたうえで,交通局はもとより,市の総力を挙げて取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか,市長の決意をお聞かせください。 次に,上下水道局につきましても,またコロナ禍の影響により,水道,下水道とも料金収入には大幅に減収したまま,今もなお収束が見込めない状況にて厳しい財政運営を余儀なくされているところです。しかし,人の命の源であり,市民生活の根底を支える重要なライフラインである水道,下水道は,どんな状況下においても,その機能維持と保全の責任を絶対に果たしていただく必要があります。局においては,京の水ビジョンに基づく地震対策や浸水対策も進めている中,近年多発している自然災害や,多くのインフラが今後一斉に老朽化する事態への対処として国が打ち出した防災・減災,国土強靭化のための5か年加速化対策もしっかりと踏まえ,着実な取組を進めていただきたいと思います。 また,市の持続可能な行財政審議会でも議論があった下水道事業に対する一般会計からの繰出金については,これまで浸水対策にも大きく注力した成果が見られる一方で,市の財政に相応の負担も掛けてきました。しかし,今般の本市財政危機において打ち出された今後の行財政改革の視点と改革事項にもあるように,上下水道局会計をはじめ特別会計も含めた全会計連結の視点での財源確保の必要性からも,一般会計からの出資金は休止し,逆に,局からの繰出金によって市の財政に寄与する取組が必要です。そしてまた,局内・企業努力による更なる諸経費と人員の削減,組織の再編や集約化ほか,徹底した経営効率化も今,コロナ禍で大変厳しい戦いを続けている民間企業と同様に,又はそれ以上の取組の範を示していただきたいと考えます。以上,上下水道局におきましても,様々な課題がある中で今後どのように事業を運営していくべきか,令和3年度予算における重点的ポイント,方針,考えとも併せてお答えください。 続きまして,現在,全国的な課題ともなっていますデジタルトランスフォーメーションの促進と京都経済における生産性の向上についてお尋ねします。世界では今,AIやIOTに代表されるデジタル新技術の進展による第4次産業革命の到来において,社会,科学,産業や人々の生活,経済,環境,医療ほか,あらゆる分野における革新的な進展と新たな時代への人々の生活の急速な適合化が,日進月歩で進んでいます。1990年代,我が国はデジタル先進国であったものの,現在では世界に立ち遅れたこの状態を取り戻し,国民生活の利便性の向上と産業や科学技術の更なる振興を目指すべく,国においてはデジタル庁が創設されることとなっています。 特に今,コロナ禍の今,喫緊の課題である経済の立直しの中心となる各企業が,事業を継続し,持続的に成長,発展するためには,業務プロセスの合理化と事業効果の改善,新規事業の展開も目指し,生産性の向上を図ることが非常に重要であり,そのためにも,応用性と汎用性に優れたこのデジタル技術の活用が不可欠な時代となっています。コロナ禍の経済的影響も長期化する予想の中,大企業においては,オンライン化やテレワークの導入をはじめとするデジタル化が進展していますが,本市に大多数を占めるような中小・地域企業では,投資効果の不透明性や資金不足,人的資源の問題からも,デジタル化は後回しにされ,非接触,非対面などの感染リスクの低減を図りながら,事業活動の継続を求められる影響下においては,更にこの後れも顕著なものとなっています。このままでは,大企業との情報格差の更なる拡大や新たなビジネスチャンスの損失にもつながりかねません。 新規事業の展開を加速して,経営基盤の強化を図る中小企業のデジタル化促進は,本市経済において喫緊の課題であり,これを独自で取り組むには非常に困難な市内事業者に対しては,行政がその障壁を取り除き,積極的にサポートし,着実なデジタル基盤の構築を力強く推進していただく必要があると考えます。そして,ウィズコロナからポストコロナへの転換を見据えた新しい消費者ニーズと社会の要請を捉え,生産性の向上と新たな収益機会をターゲットとしたビジネスモデルを構築する変革と高度化のDX,デジタルトランスフォーメーションを強力に推進すること。これは単にハード面での整備のみならず,人々の意識と社会の生活全体の変革という,正に真の意味でのトランスフォーメーション,すなわち移行,変革の概念と実行が伴わなければ,この有用・有効性も発揮されません。誰もが進んでこの技術に親しみ,利用し,使いこなせるようになる効果的なインセンティブ政策をしっかりと推進することこそ行政の大きな役割であります。このように,京都市において経済や産業,市民生活の利便性や中小企業の生産性,発展の鍵を握ると考えられるこれからの時代のデジタル化,いわゆるデジタライゼーションと,さらにそれを包括する総体的な変革,いわゆるDXと表記されるデジタルトランスフォーメーションの促進についてどのように考え,いかに進めていくべきか,本市としての考えをお答えください。 次に,京都の観光課題につきまして,先ほど我が会派代表の橋村議員からも地域の取組や分散化の観点からのお話がありましたが,私からは,京都観光の質の向上についてお尋ねします。中国を皮切りに世界が未曽有の危機に陥ったこのコロナ禍となる以前,約5年前の平成28年2月,私は,まだ今ほど市内に宿泊施設の建設もそう多くはなかった時期でありましたが,当議会において日本をけん引する京都の戦略的なインバウンド政策と市民生活への経済効果と題し,京都が採るべき観光政策は,量を求めるばかりではなく質も向上させる必要があると強く訴えておりました。つまり,当時いわゆる爆買いに象徴されたような,大挙してお越しになる大多数の方々をターゲットとした薄利多売型の経済効果も大切であるが,それと同時に,これからは,例え少数でも質の高さを求めるお客様層,例えば1万円使っていただける人が100人来られるのと同様に,1人で100万円使っていただける方にも,少しでも多く来ていただけるような施策も,京都市民にとって生活の調和や地域経済への安定的リピート性の観点による持続的な経済波及効果として多大に有効であるという主張でした。そのための新しい戦略の考えや手法,きめ細かなとセグメント分けによる多様なターゲティングに対する様々な観光コンテンツの構築,高品質なサービスのための分析とマーケティング機能の充実の必要性,いわゆる富裕層,今で言うところの上質な観光サービスや体験を求める観光客層の誘致です。 今回発表された次期京都観光振興計画2025の最終案でも,大きな方向性として示されている質の向上,例えば伝統工芸や伝統芸能,京料理など,京都の奥深い文化に関心を持ってリピーター的体験を継続していただくことは,京都文化の将来的な継承と魅力の更なる維持,向上にもつながり,質の高い体験やサービスに相応の対価をいただく需要と消費の喚起も雇用と賃金の向上,宿泊税の増加にもよる京都市民生活の豊かさに直結するものです。逆に,サービスの劣化につながるような価格競争は,観光客の満足度低下や観光事業従事者の労働環境の悪化,様々な場所での混雑,混乱など,コロナ前の観光課題の再発にもつながりかねません。コロナ禍の今こそしっかりと将来を見据え,コロナ後の京都観光のあるべきビジョンと展望を持って来たるべき再生と発展のために京都固有の観光資源を磨き誘致を進めていく。そのためにも,特別感のある観光の充実や宿泊施設などの質的向上,京都の魅力をしっかりと伝えられる人材の育成や受入環境整備,そして新たな情報発信も今こそ必要であると考えます。 その重要な発信の一つとして,昨年策定された京都観光行動基準をしっかりとウィズコロナ,アフターコロナの世界において大きな話題性を持って広めていただくこと。また,その行動規範の中で,もしも何らかの項目について要請,お願いのレベルでは解決できない問題があれば,勇気を持って条例化なども視野に入れ,京都のブランド性を守り抜くという市としての強い意思も,必ずや観光と市民の双方を守り,高めるものとなるはずです。ここで,改めて京都観光の更なる質の向上と,先に述べました上質な観光サービスや体験を求める観光客の誘致についてどのように考え,進めていくべきとされるのか考えをお聞かせください。 まずは,ここまでを私の本日午前中の質疑とさせていただき,残る項目は,午後1時からとさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 市バス・地下鉄事業についてでございます。私の市長就任当時,危機的な経営状況にあった両事業は,市民や市会の皆様方の御理解,御協力の下,大幅な増客を実現し,地下鉄事業におきましては計画に掲げた5パーセントの運賃改定を回避しつつ大きく経営改善を果たしてまいりました。しかし,新型コロナの影響により経営環境が激変し,直近2月の市バス,地下鉄の御利用状況は,昨年に比べて平日で3割,土・日曜日では4割もの減となるなど,今年度の運賃収入は,両事業合計で昨年比150億円もの大幅減を見込まざるを得ない過去に例のない極めて危機的な状況にございます。このため,令和3年度予算はあらゆる事業を点検し,緊縮予算として編成いたしましたが,運賃収入の大幅減を埋めるには遠く及びません。くわえまして,今後もインバウンドの早期の利用回復は見込めない状況にあります。こうした中,市民の足を守り抜くためには,路線,ダイヤの見直しや運賃改定の議論も必要となってまいります。また,しまもと議員御指摘のとおり,国に対して抜本的な支援を強く要望していくこと,そして何よりも,市民の皆様のより一層の御利用増が欠かせません。本市では,かつて有識者が絵空事とまで言われた地下鉄5万人増客を市民ぐるみで実現した実績がございます。交通局職員の一丸となった取組の先頭に,本市の総力と市民力を結集して,増客を図り,市民の足を守り抜いてまいります。 続きまして,上下水道事業についてでございます。大幅な減収が続く令和3年度においても水道配水管の更新,雨水幹線の整備など,防災・減災対策につきましては,国の補助金を最大限活用しながら着実に推進してまいります。浸水対策は,一般会計が負担する中,5年に一度の大雨に対する整備率は全国平均60パーセントに対して,全国トップ水準の91パーセントとなり,雨に強いまちづくりの推進に重要な役割を果たしてきております。今後,全会計連結の視点に立ちまして,令和2年度から前倒しで繰出金の休止等を行います。経営環境は厳しさを増しておりますが,上下水道局職員の一丸となった取組の先頭に南部拠点への事業所の集約化,施設の長寿命化など徹底した経営効率化により,持続可能な経営基盤を築き重要なライフラインである水道,下水道を将来にわたって守り続けてまいります。 次に,デジタルトランスフォーメーション,DXの推進についてでございます。しまもと議員御指摘のとおり,中小企業にとって生産性の向上やビジネスチャンスの拡大を図るうえで,デジタル技術の活用は必要不可欠でございます。また,第二創業や業種転換等により一層の成長を遂げるためにも,既存の産業分野を超えて革新的ビジネスモデルを生み出すDXの推進は非常に重要でございます。しかし,何から手を付けてよいのか分からない。ITに詳しい担い手が社内にいないなどが課題となって,デジタル化が遅れている中小企業も多くあり,コロナ禍においてデジタル技術を活用して経営環境の激変に即座に対応できた大企業との情報格差の拡大も大きな課題となっております。そのため本市では,昨年7月,専門家が一つ一つの事業者に寄り添って各事業所の課題等を整理し,最適なITシステムの導入を支援するIT利活用支援事業を創設したところ,大変好評であり,顧客管理や生産管理システム,ECサイトなど231件のシステム導入につなげるなど,中小企業のデジタル化の推進を後押しいたしました。この事業の成果を更に広げるため,令和3年度は経済団体等と連携し,団体が有するネットワーク,人的支援等も活用しまして,事業者の状況やニーズに応じた最適なサポートを行うなど,効果的な伴走型支援を実施してまいります。また,成功事例や先進事例を発信することで,経営者の不安や疑問を解消し,中小企業のデジタル化を着実に進めてまいります。さらに,本市全企業の99.7パーセントを占める中小企業の生産性を一層押し上げるためにも,現在国において検討が進められている企業のDXを推進するための税制支援や担い手の確保等の施策等とも連携しながら,業態や経営の変革や高度化を推進し,京都経済のコロナ禍からの回復と新たな都市の活力の創出を図ってまいります。 次に,京都観光の更なる質の向上と,京都ならではの上質な観光サービスの体験を求める観光客の誘致についてでございます。本市では,京都の魅力の磨き上げや担い手育成などにより,観光の質を高め,付加価値の高いサービスの提供を通じて,観光客の消費単価を向上させ,雇用の創出や市民所得の向上,さらには後継者不足など厳しい状況にある伝統文化や伝統産業等の継承,地域企業,中小企業の振興につなげてまいりました。その結果,令和元年度の観光消費額は,この6年間で1.76倍となり,147万市民の皆さんの年間消費支出の約55パーセントにも相当する1兆2,367億円に上るなど,地域経済の活性化を通じて市民生活の豊かさに大きく貢献してまいりました。今後も,京都ならではの伝統文化,芸術,ものづくり,自然,食文化などの神髄を堪能いただける観光客にお越しいただくことが重要と考えております。現在策定中の次期観光振興計画においても,こうした方々に十分満足いただけるような上質な観光サービス,体験等の充実と情報発信の強化を図り,誘致につなげていくこととしております。もちろん修学旅行をはじめ学生さんや幅広い方々を歓迎しており,おもてなしの心でしっかりと大切に対応していくことも,引き続き重要視してまいります。 コロナ禍からの回復時には,国等の報告におきましても,所得に余裕のある方々の旅行再開が最も早いとも言われております。市民の皆様,観光客の安心安全,感染防止が大前提となりますが,これらの方々をしっかりと取り込むことによりまして,厳しい状況にある関係事業者の事業継承を図るために,文化芸術・社寺関係者や大学,ものづくり,観光事業者等とも連携を強化し,密を避けて堪能できる特別感のある体験の掘り起こしや,茶道,華道,香道,精神文化,食文化,伝統文化,工芸から現代アートなど奥深い京都の魅力を創造的に発信してまいります。あわせまして,しまもと議員御指摘のとおり,観光客に守っていただきたいルールの尊重,地域貢献などを掲げた京都観光行動基準,観光モラルをしっかりと発信し,守っていただくこと,市民生活と観光の調和,質の高い観光地としての京都ブランドの維持,向上を目指してまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) しまもと京司議員の質疑の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時53休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 しまもと京司議員に発言の継続を許します。しまもと議員。 〔しまもと京司議員登壇(拍手)〕 ◆(しまもと京司議員) 自民党南区選出のしまもと京司でございます。午前に続きましての代表質疑,要望等をさせていただきます。 まず,道路交通問題に関する堀川・油小路通の機能強化,整備と慢性的な渋滞対策についてお尋ねします。本市を取り巻く道路交通環境や課題としましては,現在,広域的な道路ネットワークの構築と市内の計画的な道路整備による渋滞対策という二つの大きな相乗効果によって,物流や人の流れをできる限りスムーズかつ環境負荷を低減させながら,災害時などにもしっかりと対応できる安全性と利便性,そして後々の状況に備えた拡張性も考慮のうえでの更なる強じん化を図っていくことが大きな命題となっています。 まず1点目の広域的観点では,昨年12月,名神高速道路と第二京阪道路をつなぐ京都南ジャンクションが都市計画決定され,令和5年には新名神高速道路の大津ジャンクションから高槻ジャンクションまでが全て結ばれ,開通する予定であり,また,大津方面への新しい国道1号バイパスや亀岡方面へのダブルルート構想にも大きな期待が寄せられているところです。 一方で,2点目の京都市内中心部においては,コンパクトな市街地に職・住・生活施設なども密集し,観光や商用入洛等での交通集中も常態化している中,特に南北方向の自動車交通需要に対する道路交通容量が小さく,需要過多となっている状態が続き,並行する幾つかの南北線においても慢性的な交通渋滞ポイントが多々発生している状況です。中でも,中央域を走る堀川・油小路通における京都駅近辺を中心とする五条から十条間においては,特段にそれが顕著であり,部分的には七条から九条の間では,車線数が減少するボトルネック箇所となっています。この区域部分の道路機能強化による南北方向の交通容量拡大の課題も,昨年の市長選挙においては重要な論点の一つとなっていました。また,平成28年度からの京都市将来道路ネットワーク研究会での平成30年1月の最終取りまとめにおいても,喫緊の課題であるという共通認識が示されており,堀川・油小路通の道路対策と整備は,他の南北線での渋滞緩和への波及効果や市民の日常生活にとって大変重要な役割を果たすものと考えます。 今,京都市域を取り巻く交通の流れは大きな変革期にありながら,人口減少化と高齢化社会に加え,コロナ禍にもよる新しい生活様式に対応する物流網の総合体系と,効率性の急速な再編に係る道路ポテンシャルの重要性が大きくクローズアップされています。このような状況に鑑み,本市財政は大変厳しい状況の中にも,京都市の将来のまちづくりを見据えたこの堀川・油小路通について,バイパス整備を含めた機能強化を加速するよう,市としてしっかりと取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか。市の見解をお答えください。 次に,京都市都市計画マスタープランについてお尋ねします。この都市計画マスタープランは,京都市基本構想に示す市の将来像におけるまちづくりのビジョンを長期的に都市計画の観点から明確化すべく,都市計画法に基づいて策定され進められている基本的な方針でありますが,現在のプランは,本市基本構想の計画・目標年次でもある2025年を目指して約10年前に策定されたものであります。これまで,プランの具体的な推進における社会状況の変化や時代情勢に対しては,ビジョンの骨格を維持しながらも柔軟性を持って機能させ,その時々の市民生活や市内経済状況に応じて,できる限り最善の施策がなされてきたものと思いますが,本市においても,一定の人口減少や少子高齢化が進むと同時に,多発する自然災害をはじめとするあらゆる危機に対応できるレジリエント・シティの実現に向けた取組も進められるものと考えています。かつて,私も過去の代表質問にて,新景観政策を当時の京都市内状況に応じて進化させるべく問題提起と議論をさせていただきましたが,このマスタープランの実効性をより高めるための京都市持続可能な都市構築プランが平成31年に策定され,新景観政策の進化版施策と共に,例えば京都駅東南部エリアや五条通沿道,また祥久橋通沿道ほかにおいても,面的な都市計画の見直しが行われてきました。 現在,おおむね10年経過の時点で見直すとされてきたこのマスタープランの改定に向けて,私も委員の一人として議論や決定に参画している都市計画審議会の中にこの検討部会も設置されており,具体的な改定の内容にも非常に注目しているところです。北部を中心とした保全のまちづくり,中央部での再生のまちづくり,そして私ども南部を中心に21世紀の新たな活力を担う創造のまちづくりというコンセプトの下,歴史と文化を基軸とした産業はもとより,農林業やものづくり製造業,商業,観光,サービス業に支えられたこの京都市を持続可能なまちとして次世代へつないでいくためには,新たな価値を創造するための伸びしろとして,特にこれからは周辺部や南部の活性化構想が非常に重要なポイントになるものと考えています。これらエリアにおいては,戦後長期にわたる用途地域の制約に対して,臨機応変,柔軟な対応をもってしっかりと活用でき得る用地のポテンシャルや地域住民の生活意識,新しい交通網や人と物の流れにも合わせた広域的な視点と未来社会のニーズを捉えたまちづくりが推進されることを強く願います。 そこで,これからの新しい市の都市計画において,具体的にどのような方針とビジョンを持ってまちづくりを構築していくのか,今般の都市計画マスタープランの改定に当たっては,これまでの現行プラン並びに推進状況をしっかりと総括のうえで,どのような方向性で改定を進めていくべきとお考えであるのかお答えください。 続きまして,農林行政の在り方と方向性についてお尋ねします。現在,次期京都市農林行政基本方針が,今後10年間の大きな方向性を示すべく策定作業中であり,来月には正式決定される予定です。今回私からは,素案としてまとめられている中で重要なポイントと思われる部分の具体的実効性と方針,方策について質疑させていただきます。 まず,新たなポイントの一つとされている重点項目2の「創る」,いわゆる創造,創出の創であります。この点に挙げられている他業種との連携による新たなビジネス創出は,今後更に多様化していく食産業界においても,重要かつ先進的な取組として,フットワーク性に優れた本市の中小・地域企業とのコラボレーションによる強みをいかした展開が大きく期待されるものと考えます。私の地元である南区でも町なかでの生産はもとより,桂川や鴨川流域及びその中間帯での京野菜生産なども盛んであり,また産業集積地としてもベンチャー企業や多くの中小企業が独自のスキルや経験をいかして,新たな分野に挑戦する展開もなされています。これら中小・地域企業と本市農業は,比較的小規模であるという特性に応じた連携の可能性を追求し,課題であった担い手不足や販路開拓においても,作業の効率性や生産物加工,流通の改善などについて,これら地域企業のノウハウもいかせるように,しっかりと農業者,地域企業がコネクトされる取組をお願いしたいと思います。 また,もう一つのポイントは重点項目4の「支える」です。ここにある市民や事業者の理解促進に基づく消費拡大と支援は,本市農業を維持していく上で非常に重要であり,これもまた私たち地元南区の上鳥羽地域などでは,例えば小学生児童が地元の畑で野菜栽培や収穫などを体験する取組が,学校と農家の協力で実施されていますが,こういったことも将来の消費者市民である多くの児童はもちろん,その保護者や家族ほか多くの方々に都市農業に対する理解を深めていただくためにも非常に重要なものです。また,食糧の供給だけにとどまらない本市農林業は,全般において伝統や文化,風習と密接に関わりながら,京都らしい景観や生態系の維持にも大きく貢献してきました。大都市でもありながら,身近な地域で営まれてきた農業は,生活環境や子供たちの教育面でも大きな役割を果たしてきたものとして,守るべき日本の原風景であると考えます。以上のように,京都の農林業を次世代に引き継いでいくためには,まず,生産関係業者に対してしっかりと自立に向けた支援をすることに加え,市民や事業者にも,農業や林業の重要性を御理解いただき,共に支える仕組みを創出,維持することも非常に重要と考えますがいかがでしょうか。これらについてのお考えとお取組の決意,方針をお聞かせください。 最後に,地元南区の要望を申し上げます。今,京都駅東南部エリアの一部では,私たちが訴え続けてきました文化と芸術による新しいまちづくりが始まろうとしていますが,具体的にはまだこれからであり,他のエリアにも多くの市有地や様々な用地が,地域住民の願う文化的な活用を待つ状態にて存在しています。例えば市内に4箇所ある下水処理の水環境センターの二つや,ごみの埋立跡地ほか,と畜場である第二市場も存在する祥栄学区や吉祥院という地域には,工業用地ゆえに旧来より問題としております西大路十条の1万坪の広大な野ざらし状態の民間工場跡地,又は,今後,塔南高校が洛陽工業高校跡地に移転した後に発生する土地,そしてまた,東部の京都駅南側には,上下水道局移転予定後の跡地等々もできる予定です。これらについては,是非とも,長年産業や工業,多くの交通集中ほか,市全体の縁の下の力持ちとして京都を支えてきた私たち南区に,これからは様々な文化をとの観点による有効な活用としていただきたく,強く要望いたします。 かつて南区に存在し,現在の南区と同様に京都全体を守っていたという平安京の入口,そしてシンボルでもあった羅城門を再建するという新しい構想も,明日の京都プラットフォームによって推進されているということです。現在はこの10分の1スケールモデルが,下京区の京都駅北側に設置されていますが,歴史的には元々南区に建立されていたこの羅城門の再建計画においても,再び南区に是非文化的象徴として,区内各所に存在するエリアや用地等に造営していただければとの願いと希望も申し述べまして,私の代表質疑を終わらせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 都市計画マスタープランについてであります。本市ではこれまでから保全・再生・創造の三つをまちづくりの基本とし,豊かな自然や歴史的な町並み景観を守る保全の取組など市民ぐるみで進めてきたことにより,この間,京都の都市格は飛躍的に向上し,国内外から高い評価を受けるに至っております。引き続き保存も大切にしてまいります。同時に,未来を担う若年層や広大な土地を求める事業所,工場等が市外に流出するなど,都市の特性や成長にとって重要な再生と創造の取組については,市民や事業者のニーズに照らし,また魅力あふれる京都を次世代に引き継ぐため,改善を要する点があると認識いたしております。 そこで,都市格の向上を市民の皆さんの暮らしの豊かさに経済の活性化にしっかりとつなげていくことが大切であります。現在,都市計画審議会の部会で議論を重ねていただいている今回のプランの見直しでは,京都ならではの歴史や文化の魅力を磨くと同時に,将来にわたり新たな価値を創造する都市であるよう力強い経済の構築と未来を担う若年層の定住を促進する方針の拡充が重要との考えの下に議論が深められております。具体的には,周辺部も含めた多様な地域のポテンシャルを存分に引き出し,とりわけ南部創造のエリアを中心にものづくり都市・京都の活力を先導するオフィスや研究所,京都らしい工場等のための産業用地や空間をはじめ子育て層のニーズに合った魅力的な居住環境の創出などを力強く進める必要があるとの認識でございます。 また,ポストコロナ社会を展望し,これからの時代に対応した職住近接の暮らしを実現できる都市の構築や,東京,大阪への一極集中の是正も視野に近隣都市との一体性も考慮し,京都都市圏の求心力の底上げなども大切だとされております。引き続き,将来にわたって安心安全で暮らしやすく魅力と活力に満ちた京都の未来を目指し,産業や交通,文化,子育て,福祉,教育などあらゆる関係政策を融合させ,都市計画の手法もタイムリーに活用することも見据えまして,実効性の高いプランとなるよう,学識者や市民の皆さん,事業者など多方面からの御意見を頂きながら全庁挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,農林行政について御答弁申し上げます。本市の農林業を将来に引き継いでいくため,今年度1年間,若手農家や林業事業者,学生,専門家などと議論を重ね,農林行政基本方針の素案を取りまとめいたしました。今後農家が主体的に発展していくためには,従来の発想に捉われない他分野と連携した新たなビジネスの創出が重要であることは,しまもと議員御指摘のとおりでございます。そのため,農業の様々な課題の解決を目的として参入する事業者の増加に加え,先端技術を有する大学やベンチャー企業,スタートアップが多数集積する本市の強みをいかし,意欲ある農家や消費者,大学,企業等が連携して実効性のある取組を検討する場を新たに立ち上げ,課題解決と成長産業化を進めてまいります。こうした取組を進めていくためには,市民や事業者の皆様の御理解が重要であり,今般の基本方針のパブリックコメントにおきましても,地産地消の推進や農業体験の場を求める声を多数頂いております。市民の皆様の農林業に対する関心が高まっているこの機会を捉え,直売所の情報や生産者の思いなどをしっかり発信するとともに,農業振興センターを拠点に,体験農園や生涯学習など市民の皆様が様々な形で農業とより深く関わる機会を創出し,参画していただくことにより,農林業を支える人々を増やし,生産者と共に支え合う仕組みづくりに取り組んでまいります。今後とも,生産者と市民,企業等との協働を進め,農林業を持続可能な産業として将来に引き継いでいけるよう全力を尽くしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 堀川・油小路通の機能強化についてでございます。空港や港を持たない本市においては,広域的な人流や物流を担う道路のネットワークが,地域の経済活動や市民の皆様の日常を支える生命線であります。また,頻発,激甚化する自然災害に備え,防災,減災,国土強じん化の取組を強力に進めるためには,広域道路ネットワークに円滑にアクセスできる幹線道路の整備が不可欠であります。昨年12月,第二京阪道路と名神高速道路を接続する京都南ジャンクションが都市計画決定され,令和5年度には新名神高速道路が全線開通の見込みであるなど,大阪・神戸方面,滋賀方面へのアクセスが飛躍的に向上する広域道路ネットワークの整備が進んでおります。 一方,市内の幹線道路は,しまもと京司議員御指摘のとおり,中心部の南北方向の交通容量が不足をしており,とりわけ国が管理する国道1号の堀川通は,市民生活,社会経済活動を支え,災害時には緊急輸送道路としての役割を果たす極めて重要な道路でありながら,JR東海道本線交差部周辺においては,車線数が片側3車線から2車線に減少し,慢性的な渋滞が発生しており,このボトルネック解消に向けた取組が喫緊の課題であります。このため,危機的な財政状況の中にありましても,魅力と活力にあふれる京都を未来へ継承,発展させていくため,広域道路ネットワークにつながる大動脈,堀川通の機能強化につきまして,引き続き国に強く要望いたしますとともに,京都府との連携を強め,早期実現に向けた取組を加速させてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,加藤昌洋議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤昌洋議員) 私は中京区選出の加藤昌洋です。橋村芳和議員吉井あきら議員しまもと京司議員に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質疑をさせていただきます。代表質疑の機会をいただいたことに感謝し,質問に入ります。 まず,民間活力をいかしたスポーツ施設の整備についてお伺いいたします。昨年度の代表質問では,スポーツ施設整備の在り方について質問しましたが,その後の新型コロナウイルス感染症の流行により,スポーツを取り巻く環境にも大きく変化が起こりました。ゴールデン・スポーツイヤーズと呼ばれる2019年から始まる大型大会のうち,ラグビーワールドカップ2019日本大会は開催されましたが,東京オリンピック・パラリンピック,ワールドマスターズゲームズ2021関西は延期となり,はっきりとした見通しは立っておりません。それだけではなく,アマチュア各年代やプロの大会も大きな影響を受け続けております。こういった状況の中でも,スポーツは市民の健康維持や生きがいになっているだけではなく,産業としてのポテンシャルも持っており,しっかりと戦略を持って政策を進めていくことが必要だと考えます。しかし,残念なことではありますが,新型コロナウイルス感染症や行財政の見直しにより,スポーツ施設整備は滞ることとなってしまいました。たけびしスタジアム京都や横大路運動公園の計画的な改修も停止となってしまいます。来年度予算概要においては,文化の文字は見えてきますが,スポーツの表記は一切なく,京都市にとって,スポーツの振興が都市格の向上や,より豊かな市民生活につながるとは想定されていないように感じ,非常に遺憾です。 しかし,京都市で予算措置ができないからといって,スポーツ振興やスポーツ施設整備の歩みを止めてはなりません。スポーツ庁では,スポーツ施設のストック適正化やスタジアム・アリーナ改革,PPP,PFIの推進,学校体育施設の有効活用など,新しい政策が続々と発信されています。このような政策を確認しながら,京都市としてどれだけ施設を整備する必要があるのかを大規模施設,中規模施設,小規模施設に分別したうえで検討する必要があると考えます。そのうえで,京都市の予算を割くことができないとしたら,どのように民間の活力をいかして整備をするのか,本腰を入れて検討を進めていかなければなりません。前回の代表質問では,官民共同による施設整備について様々な知見をいかして検討を重ね,用地や収益性などの課題を乗り越えていけるよう取り組んでまいりますと答弁されました。そこから,どのような検討を重ねられ,具体的に進んだのでしょうか。 改めて申し上げますが,スポーツは市民にとって健康維持や生きがいをもたらすだけではなく,地域ににぎわいをもたらし,産業として成長していくことが見込まれる分野です。京都府においては,亀岡スタジアムの整備が完了し,北山でのアリーナ構想など続々とスポーツ施設整備が進み,西京極で活動していたすべてのプロスポーツチームが流出する可能性もあります。いま一度スポーツの価値を見直し,様々な手法を用いた施設整備が必要ではないでしょうか。そこでお伺いします。民間活力をいかしたスポーツ施設整備をより具体的な検討に移していかなければならないと考えますが,いかがでしょうか。 次に,持続可能な制度に向けた敬老乗車証の見直しについてお伺いいたします。京都市では,昭和48年11月から,70歳以上の市民に市バス,地下鉄等を自由に乗車いただける敬老乗車証を交付し,多くの皆さんに御利用いただいてきました。その後,少子高齢化の進展により財政負担も増加する中で,平成17年2月に,京都市社会福祉審議会から,それまでの無料制度を廃止し,一定の負担を求めることが今後の望ましい姿である旨の答申が出されました。これを踏まえて,平成17年度からは,ゼロ円から1万5,000円までの5段階の所得に応じた負担金制を導入し,今日に至っておりますが,京都市の市税負担は約50億円以上もの額となっています。こういった中で,敬老乗車証制度を守るためにも,市民理解を得ながら制度を見直していく必要があります。 また,京都市持続可能な行財政審議会の議論も踏まえて取りまとめられた今後の行財政改革の視点及び主な改革事項でも,敬老乗車証について取り上げられています。私は,平成25年に,京都市社会福祉審議会答申を踏まえて策定された敬老乗車証制度の今後の在り方に関する基本的な考え方にあるとおり,低所得者対策を講じたうえで,ICカード化し,利用の都度一定の負担をしていただく応能・応益負担としていくことが最も望ましいと考えています。しかしながら,当面の方向性としては,多額の初期投資が必要となるICカード化及び応益負担の実施は見送られ,現行の応能負担の枠の中で見直しを行われることとなっており,現在の京都市財政を考えると,やむを得ないものと考えます。今後の行財政改革の視点及び主な改革事項においては,制度を持続可能なものとするため,現在の負担額を市民に周知しつつ,受益と負担のバランスや平均寿命を踏まえて検討と記載されていますが,歳出改革の観点から検討される以上は,総じて利用者負担の増加を伴う見直しにならざるを得ないと考えます。京都市敬老乗車証条例には,高齢者の社会参加を支援し,もって高齢者の福祉の増進に寄与することを目的とすると記載されていることを踏まえて,見直しに当たっては,利用者を中心とした市民の皆様に,改めて制度の現状と課題,見直しの必要性について丁寧な説明を行い,理解を得たうえで制度改革が行われていく必要があると考えます。この点を踏まえ,今後の敬老乗車証についてお伺いいたします。まず,現行の応能負担の枠の中で制度の見直しを行う以上,その手法は限られたものになると考えますが,どのような方法で見直しを行われますか。次に,見直しの具体的な内容はいつ頃示される予定でしょうか。現段階での見通しについてお答えください。最後に,先日の本会議でも,令和4年度予算から反映させていくと提案説明がありましたが,この点について改めて決意をお伺いいたします。改めて申し上げますが,丁寧な説明と市民理解を得たうえでの,持続可能な制度確立に向けた見直しとなることが必要となります。これを踏まえたうえでの答弁をお願いいたします。 次に,窓口業務等における書類簡素化の推進についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の流行により,テレワークや時差出勤等を採り入れた働き方改革の実施をはじめ,様々な分野において社会の変化が求められてきました。こういった中で,行政におけるデジタル化やシステム標準化が後れていることが改めて課題として認識されてきました。これらの課題に対して菅義偉総理は,所信表明演説において,各省庁や自治体の縦割りを打破し,行政のデジタル化を進めます。今後5年で自治体のシステムの統一,標準化を行い,どの自治体にお住まいでも行政サービスをいち早くお届けしますと表明されました。また,河野太郎規制改革担当大臣も,デジタル化の支障となる行政手続の押印を不要とするように各省庁に求められています。菅総理も,自治体のシステムの統一,標準化について明言されていることから,京都市においても,行政事務における手続の簡素化について取組を進めていくことが必要となってくると考えます。現在,総合企画局が庁内で行っている調査で,押印が必要な行政上の文書は,国の法令等に基づくものが約2,000件,京都市独自のものが6,000件存在していると聞いております。これらの行政文書においては,ほとんどが認印の押印のものであり,市民サービスの充実及びデジタル化,システム標準化に向けた取組のために,文書の記載及び本人確認を行えば足りるものについては,積極的な見直しを行っていくことが必要です。 一方で,窓口業務の見直しについては,脱判子などという言葉も一部では用いられ,押印の廃止と同義のように捉えられている側面があります。京都府印章業協同組合によると,日本という国において印章が使われるようになったのは,大化の改新により大宝律令が制定されたときからと言われており,平安京以後,京都では天皇の印章や当時の役所の官印が作られ,そして江戸時代に入ると庶民にまで印章が広まり,印判師が京都に誕生し,その人数も増えていきました。このように,印章は長い歴史において培われた非常に重要な文化となっております。京都市においては,京印章は伝統産業として指定されており,押印の見直しと脱判子という用語を切り分けるとともに,実印を使用した印鑑照合による厳格な本人確認を行うことが必要な場面もあることもしっかりと周知し,印章の必要性についてもしっかりと発信していくことが必要です。そこでお伺いします。これらのことを踏まえながら,市民サービスの利便性及び業務効率の向上に向けて,窓口業務における書類の簡素化を進めると同時に,郵送申請やオンライン申請にも取り組む必要性があると考えますが,京都市の考え方をお答えください。あわせて,京都市の伝統産業に指定されている京印章をはじめ,各種証明書や賞状などといった印章の文化や必要性を発信することで,押印の廃止と脱判子が異なるものであることを市民の皆様に理解していただくことで,実印等に利用される印章をしっかりとアピールすることが必要であると考えますがいかがでしょうか。 次に,コロナ禍における児童虐待対応,特に一時保護所の体制についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の流行という状況においても,感染症対策を徹底されながら,子供たちの育ちや学びに御尽力いただいている関係者の皆様に,改めて御礼申し上げます。さて,今回のコロナ禍,特に昨年の緊急事態宣言においては,様々な取組が行われました。その成果等については,全市的な観点から,今後,詳細な分析がなされていくことと思います。その中でも,私からは,特に児童虐待防止の観点から質問をさせていただきます。コロナ禍においては,虐待が増加するおそれが高い旨の報道をよく目にしますが,全国のその後の相談・通告件数の推移を見ても,大きな相関関係は認められず,自治体によって異なるというのが実態であると考えられます。昨年の緊急事態宣言の発出時においては,児童虐待に気付くための窓口として大きな役割を果たしている学校が,臨時休校となったなどの理由によって,一時的に児童虐待に係る相談・通告件数が減少したということをお伺いしております。また,昨年と状況は異なっていますが,現在も緊急事態宣言が発出されております。支援を必要としている子供たちが影響を受けるという状況があってはならないと考えております。まずは,今回の緊急事態宣言下の相談・通告件数がどうであったのかについて,また,コロナ禍における児童虐待防止の取組についての総括についてお伺いいたします。 そして,このコロナ禍においては,児童相談所,特に子供達を緊急的に保護する一時保護所においても,大変な苦労があったとお伺いしております。その例として,一時保護所では,保護者等が新型コロナウイルス感染症に感染してしまい,監護者がいなくなった場合の子供たちを受け入れておられますが,職員は,いつそういった状態が発生するか分からない中,通常の一時保護した子供の対応も行う必要があるなど,相当な緊張感の中,業務に従事されておられます。これまで,実際に,新型コロナウイルスに関連した一時保護の事例は,その直前段階でも数件程度であったと伺っていますが,これらの事例については,子ども若者はぐくみ局内の保育士で必要な応援体制を確保していたため,何とか乗り越えることができたと伺っております。しかし,今後,新型コロナウイルス感染症への継続的な対応が求められる中,応援職員を出す側である保育所等にも負担が掛かる現在のような対症療法的な対応をいつまでも続けているわけにはいかないと考えております。そこでお伺いいたします。順次ワクチンの接種が始まり,新型コロナウイルス感染症も一定の収束となっていくことが期待されますが,それでも,令和3年度はウィズコロナの中で様々な対応を図っていく必要があります。安定的な一時保護所の体制の在り方について検討し,人員を含めてしっかりと整備し,どのような状況でも子供たちを受け入れることができる状況を整備する必要があると考えます。京都市のお考えをお伺いいたします。 次に,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する救急対応についてお伺いいたします。京都市における救急対応について,救急統計の過去10箇年の救急出動件数の推移を見ますと,平成21年の救急出動件数は7万11件となっており,そこから右肩上がりに数字は増加し,令和元年には9万469件となってきております。一方で,令和2年の救急出動件数は7万9,014件で,前年に比べ1万1,455件と大幅に減少しました。こういった中でも,京都市においては,市内に32隊の救急隊を配置し,119番通報から救急隊の現場到着までの時間は,全国平均の8分40秒台に対し平均で6分40秒台と,市民の命を守るために万全な体制を構築されてこられました。また,新型コロナウイルス感染症が流行する中でも,資器材については,備蓄数の増強を図り,救急車等を消毒するためのオゾンガス式除菌装置を導入し,救急隊員の感染防止に徹底を図りながら対応を行われてこられました。しかし,新型コロナウイルス感染症の流行により,救急現場においても影響が発生してきております。それは,報道にもあるように,全国的に救急搬送困難事案が増加してきているということです。総務省消防庁が行っている調査で定めている定義では,救急搬送困難事案は,病院交渉4回以上かつ現場滞在時間30分以上のケースとなっております。こういった状況が発生すると,救急隊が早期に現場に到着しても,病院での処置の開始が遅れてしまいます。京都市においては,12月下旬から救急搬送困難事案が増加し始めており,新型コロナウイルス感染症の病床ひっ迫等が,それ以外の医療にも影響を及ぼしているということが推察されます。実際の数字を見ますと,新型コロナウイルス感染症への感染疑いがあった救急搬送困難事案は,12月28日からの週で15名,1月4日からの週で20名,11日からの週で37名,18日からの週で25名,25日からの週で22名,2月1日の週で6名となっています。また,新型コロナウイルス感染症疑い以外の事例では,12月28日からの週で36名,1月4日からの週で52名,11日からの週で68名,18日からの週で62名,25日からの週で38名,2月1日の週で29名となっております。このような状況では,救えたはずの命が救えなかったという事例がいつ起こってもおかしくありません。この救急搬送については,消防局だけで改善できる問題ではありません。これまでに消防局では,救急搬送困難事案が起きぬように,京都府医師会を通じて各医療機関に毎週情報提供を行うことにより,救急搬送の受入協力を依頼されてきました。今後も,消防局による更なる対策についてはもちろんですが,医療機関のみならず京都府にも協力を要請し,直ちに救急搬送困難事案をゼロにすることが必要であると考えます。そこでお伺いいたします。緊急事態宣言が延長され,徐々に感染者数が減少してきておりますが,現在の状況についてお答えください。また,救急搬送困難事案をなくすために,医療機関や京都府と一層の協力を図り,対策を行っていく必要があると考えますが,対応をお伺いいたします。 最後に,2点要望いたします。まず,1点目に防災体制の整備,特に地震への対応についてです。今年の1月17日で,阪神・淡路大震災から26年,来月11日には東日本大震災から10年となります。それ以外にも大規模な地震は発生しておりますし,先日には,福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生しました。日本は四つのプレートの上に存在しており,いつ震災が発生してもおかしくありません。また,京都においても,花折断層をはじめとした断層があり,南海トラフを含めると震災への備えは常に行っていかなければなりません。阪神・淡路大震災で亡くなられた方の死亡原因を見てみると,77パーセントが圧死,窒息死であり,9パーセントが焼死,熱傷,東日本大震災では92.4パーセントが溺死となっております。京都市には,海がなく,木造家屋が多いという特徴があり,阪神・淡路大震災のような被害を想定し,対策を採っておくことが必要です。これまでから,京都市では局をまたいで様々な対策を行ってきました。京都型耐震・防火リフォーム支援事業や,直近ではブロック塀への対応,公園整備時におけるマンホールトイレやかまどベンチなど防災設備の設置など様々あります。現在,京都市においては新型コロナウイルス感染症の流行や財政問題などにより,投資的経費の削減や補助金の見直し等が行われております。非常に厳しい状況にはありますが,市民の命を守るために,防災,減災に係る費用については,必要な分についてはしっかりと確保し,対応していただくよう要望しておきます。 もう一点は,ECサイトやAR,VR等を活用した商店街の振興についてです。新型コロナウイルス感染症の流行により,飲食業や観光業をはじめとして多くの業界が影響を受けました。商店街についても,昨年の緊急事態宣言が終わり,秋にかけてはGoToキャンペーンの効果もあり,にぎわいが戻ってきていましたが,その後は全体としては厳しい状況にあります。そういった中でも,商店街は,買い物を支える商業機能のほかにも地域コミュニティを支える機能等も期待されており,維持していかなければなりません。そこで,一部商店街ではECサイトの立上げやVRを用いた商店街サイトの検討を行われており,実店舗とウェブを用いた取組が進められております。このような取組は,新型コロナウイルス感染症への対応としてはもちろんですが,この状況が収まったとしても,高齢者をはじめとした商店街に行きにくい方や遠方の方が,ウェブ上で商店街を体験しながら買物ができるという点から,非常に良い取組であると考えております。例えば,国立市の商店街では,4商店街がストリートビューを用いたVRを作成し,実際に足を運ぶきっかけづくりをしていたり,経済産業省近畿経済産業局でも,ポストコロナを見据えた商店街でのVR・AR・AI活用オンライン討論会を開催されるなど,実際の動きも始まっております。この点についても,非常に厳しい財政状況ではありますが,国や京都府からの補助金などの情報をしっかりと商店街に対して提供するなどして,商店街の機能維持や更なる発展に向け取組を進めていただきますように要望しておきます。 以上,京都市においては,現在様々な困難な状況が立ちはだかっております。その中でも,未来に希望と責任を持てる答弁をお願いして私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤昌洋議員の御質問にお答えいたします。 民間活力をいかしたスポーツ施設の整備についてでございます。様々な大会や活動の中止がコロナ禍の下において発生いたしましたが,昨年秋から年末年始において,京都ゆかりのスポーツ選手が全国大会等ですばらしい活躍をしていただきました。私たちも大変勇気付けられました。加藤議員御指摘のとおり,スポーツは地域コミュニティの活性化や健康増進につながるとともに,飲食,旅行などの消費が経済を刺激し,民間投資を呼ぶなど波及効果が高く,裾野の広い将来の成長が見込める産業でもあります。本市では,体育振興会やスポーツ推進指導員の皆様にお支えいただいてる地域に根差したスポーツ活動から,スポーツ協会,学生,企業,プロスポーツに至るまで,各階層でスポーツ活動を支援するとともに,京都マラソンやワールドマスターズゲームズなど都市格を高める大規模な大会を開催,また準備するなど,幅広いスポーツの推進を通じて,広く市民,事業者の皆様のスポーツへの理解を深めているところでございます。 スポーツ活動を行う場としての施設の整備につきましては,これまでの取組に加えまして,伏見桃山城運動公園内に都市公園法の公園施設設置許可に基づく民設民営によるフットサル場の整備を行ったほか,わかさスタジアム京都をはじめネーミングライツの更なる活用,たけびしスタジアム京都の走路改修におけるふるさと納税寄付金の活用など,様々な工夫を凝らし財源を確保し,整備,改修を進めてきたところであります。今般の危機的な財政状況を踏まえまして,たけびしスタジアム京都及び横大路運動公園の整備,改修につきましては,一旦予算計上を見送るという苦渋の決断をせざるを得ませんでしたが,水垂運動公園,これ仮称ではありますが,の整備につきましては,PFI手法を採用するとともに,昨年9月に作成したモデルプランを基に,民間活力をいかすための必要な調査を進めてまいります。また,市民の皆様の健康や生きがいに加えまして,まちのにぎわいと活力を生み出す官民共同の施設整備につきましては,収益性を高める様々な活用について広い視野に立って検討するとともに,京都におけるスポーツ振興の機運を高めて個人や企業からの寄付金及びPFI手法の導入をはじめとした民間の知恵と力を最大限お借りしながら,行政だけに頼らないオール京都での持続可能なスポーツ環境の整備に力を尽くしてまいります。 次に,敬老乗車証制度についてでございます。この制度は約50年前,平均寿命が男性で70歳,女性で76歳の時代に,70歳以上の高齢者を対象として開始した市税負担により成り立つ本市独自の制度でございます。今日では,男性,女性いずれも制度発足当時から11歳平均寿命が伸び,利用者も7万人から15万人に増加しております。また,開始当時の市税負担は3億円でしたが,現在では52億円に,このままの形で制度を続けていけば10年後には57億円に増加いたします。現在この制度は,本市の納税者63万人から一人当たり年間8,200円の御負担をいただき,敬老乗車証御利用者一人当たり3万3,000円の支援を実施することによって維持されております。御利用いただいている方の64パーセントを占める方々が,月250円の御負担で市バス,地下鉄等を年間フリーパスで御利用いただいております。このような制度の現状を御説明させていただきますと,それだけお金が掛かっているのか,何とかしないといけないといったお声もお伺いいたします。この制度を持続可能なものにしていくためにはどうしたらよいのか,改めて幅広い年代層の市民の皆様に自分ごととしてお考えいただくことが重要であると思っております。1月に発表した今後の行財政改革の視点及び主な改革事項の中では,従前,改革の柱としていましたICカード化と応益負担については,30億円程度の初期投資が見込まれ,また導入までに3年から4年掛かるため,ICカード化と応益負担につきましては,より効率的な導入手法を研究するため,導入を延期することといたしました。そのうえで,この制度を持続可能なものにしていくため,制度維持に必要な財源など制度を取り巻く状況を市民の皆様に丁寧に説明しつつ,受益と負担のバランスや平均寿命を踏まえた見直し内容を検討してまいります。今後,市民の皆様の御意見も反映させたうえで,来年度早期に策定いたします行財政改革計画の中で,利用者の負担金額の引上げ等を軸とした見直し案をお示しし,令和4年度予算に反映できるよう可能な限り早期に関連議案を提案し,市議会で御審議いただけるよう,そして持続可能な制度となるように,強い決意と覚悟を持って取り組んでまいります。 次に,コロナ禍における救急対応についてでございます。本市においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,救急搬送困難事案について昨年12月下旬から増加し,本年1月11日からの1週間では,発熱や呼吸苦の病状が認められた救急事案が37件,その他の救急事案が68件で感染拡大以降最大の105件となりました。こうした状況を受けまして,京都府や府医師会を通じ,各医療機関に対して救急搬送困難事案の発生状況を情報提供し,救急搬送の危機的状況を共有するとともに,各医療機関に対し救急搬送の受入協力を依頼いたしました。さらに,京都府が運営する医療情報システムに登録されるベッドの空き状況について,各医療機関が,よりリアルタイムに更新していただけるよう要請し,スムーズな救急受入交渉が可能となるように取り組んでまいりました。また,京都市消防局では,全国に先駆けまして新型コロナウイルス感染患者の移送を専門に行う移送支援隊を複数隊編成し,京都府入院医療コントロールセンターと連携いたしまして,これまでに1,189名の患者を自宅,宿泊療養施設,病院間で移送することにより,各医療機関における新型コロナウイルス感染症に対応するためのベッドの確保に協力してまいりました。その後,各医療機関の御努力と緊急事態宣言発令と関係者の御尽力によって,新たな患者の発生も減少している中,救急搬送困難事案につきましても,1月18日以降の週から減少に転じ,2月15日からの1週間では19件となり,ほぼ例年並み,ないし下回る状況となったほか,病院の受入れができず搬送できなかった事案については発生いたしておりません。改めて医療機関関係者はじめ市民や事業者の皆様の御協力に対し,深く感謝申し上げます。 また,京都府医療情報システムの機能を応用して,複数の医療機関に対し同時に受入交渉できるよう京都府や府医師会と調整し,システムの運用方法を改善したところであり,今後も早期の受入先確保に努めてまいります。引き続き,京都府とは感染拡大防止の取組においてより一層の連携を図り,府医師会をはじめ多くの医療関係者の皆様にも御努力,御協力いただき,救急搬送困難事案の解消に向けて全力を挙げてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,窓口業務における書類簡素化の推進について御答弁申し上げます。コロナ禍を契機に,書面,押印,対面を原則とした制度を見直し,オンライン化等を進めることにより,市民サービスの向上と行政の効率化を図ることがますます重要となっております。本市が実施した調査によれば,本市が市民や事業者の皆様に押印又は署名を求めている書類は約8,000件ございます。国においては,実印による厳格な本人確認が必要な手続を除き,行政手続の大半の押印を廃止する方向であり,本市におきましても,国の取扱いに準じ押印を原則廃止する方針の下,直ちに廃止可能なものは令和2年度中から順次廃止していくなど,積極的に見直しを進めてまいります。こうした押印の見直し等による書類の簡素化に合わせまして,郵送申請や書面によらないオンライン申請も重要であります。例えば,これまでからも実施している郵送請求の積極的な利用勧奨に加えまして,本年3月には,オンラインで証明書を請求し,郵送で受け取ることができるスマート申請を開始するとともに,マイナンバーカード等からの氏名,住所等の自動読取りにより,申請書作成の負担軽減を図る書かない窓口の取組を令和3年度にモデル区で試行実施してまいります。今後とも,利便性の更なる向上と行政事務の一層の効率化のため,行政手続における書類や押印の見直し,簡素化を進め,手続のオンライン化等にしっかりと取り組んでまいります。 一方で,議員御指摘のとおり,京印章は中国漢時代の作風を受け継ぎ,重厚な書体を特徴とし,天皇御璽などにも使用されており,京都の文化を支える大切な伝統産業の一つであります。市民の皆様に,行政手続の押印の見直しが印章,また印章文化の廃止と受け取られることのないよう,表彰状や感謝状などについては押印を存続させ,そのことを丁寧に御説明することなどにより,引き続き京印章の魅力をしっかりと発信し,印章文化の継承にもつなげてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) コロナ禍における児童虐待防止の取組についてでございます。地域や社会のつながりが希薄になりやすいコロナ禍においても,子供の命を守り抜くこの認識の下,昨年は虐待等のおそれがあり,見守りが必要な約3,000人の児童等について,緊急事態宣言発令後,速やかに関係機関にも御協力いただきながら,全児童の安否確認を行ったほか,身近な地域での見守りを強化するため,子育てに疲れた保護者の方々の一時的な休息の場であるショートステイ事業の拡充を図るなど,コロナ禍における子供の安全確保に力を注いでまいりました。児童虐待に係る指標の一つである相談・通告件数は,前年度と比較してほぼ同程度となっております。現時点で,児童虐待が増加している状況は認められませんが,潜在化している可能性もあることから,今回発令された2度目の緊急事態宣言下において,改めて市内約1,300箇所の関係機関に対し,見守り支援の強化を依頼したところでございます。今後とも,関係機関とのより緊密な連携の下,危機感を持って取り組んでまいります。 また,保護者,御家族が新型コロナウイルスに感染し,監護者がいなくなった児童の一時保護所での受入れについては,マスクや医療用ガウンをはじめとした衛生物品の確保はもとより,事前に対応職員に対する新型コロナに係る研修をしっかりと実施するなど,万全の準備をしたうえで行っております。これまでの受入実績は1世帯2名ですが,いつ,何名発生するか想定できないことから,一時保護所の職員とは別に,児童相談所や公営保育所の保育士等の職員を常時招集できるよう当番制を採り,万一に備えてまいりました。 加藤昌洋議員御指摘のとおり,現在は臨時的な体制であることから,新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない現状を踏まえ,また,児童相談所全体の負担軽減を図る観点からも一時保護所の職員を増員し,子供と御家庭の安心安全のため,より強固な体制を確立してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみです。日本共産党市会議員団を代表し,市長に対して質問いたします。冒頭,新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた皆様の御冥福をお祈り申し上げるとともに,闘病中の皆様に心からお見舞いを申し上げます。困難な状況下で奮闘されている医療・介護従事者をはじめケア労働者の皆様に深く感謝を表明いたします。 今予算市会では,新型コロナウイルスの感染拡大から1年が経過しており,これまでの対策の妥当性を検証し,そのうえで今後行うべき施策について提案します。2度目の非常事態宣言以降,フリーランスや非正規労働者の働く環境や暮らしの状況は厳しさを増しています。今必要なことは,医療機関の減収補填に踏み出し,積極的な検査で感染を抑止すること。持続化給付金,家賃支援給付金の第2弾や休業・時短営業に対する協力金の抜本的拡充を行うことです。全国では国の対策にとどまらず,自治体独自に検査体制を拡充し,感染拡大の制圧や事業所の損失補償等も取り組まれています。市長は,国の対策が不十分だという認識はありますか。全国の経験に学び,京都市独自に対策を行いながら,国への財政支援を求める必要があります。いかがですか。 次に,2021年度の予算編成方針及び行財政改革の方針について質問します。市長は,市の財政は危機的と市の財政の立場を強調していますが,危機的なのは京都市民の暮らしです。最優先すべきなのは,市民の暮らしの立直しです。市民の暮らしが壊れてしまえば,今後の財政悪化に更につながっていくことになります。市長に求められるのは,市民の暮らしと営業を守り抜くという決意です。 問題の第1は,市長としての政治姿勢です。市長が,昨年9月の市長訓示で,社会的な諸課題の解決を税金で公務員が,行政が,やらなければならない時代はもう終わっていると言ったことに象徴されています。パートの仕事が激減し,暮らしていけない,イベントの中止で注文がなく営業が成り立たないなど,コロナ禍で市民の暮らしが危機的な状況に陥っているときに,更なる負担を押し付ける方針を表明していることは,市民の願いに背を向け,自治体本来の役割を投げ捨てるものにほかなりません。今,京都市が行うべき最優先事項は,コロナウイルス感染症拡大への対策であり,市民の暮らしと地域の産業や雇用を守るために最大限の支援策を講じること,公衆衛生と感染症の医療の体制を強化することです。 問題点の第2は,厳しい財政状況に至った理由が,地下鉄東西線と平成初期の大規模投資としているにもかかわらず,今後も北陸新幹線延伸事業や堀川地下バイパス事業は聖域にし,改革の検討対象から外すだけでなく,推進するとしている点です。これらの不要不急の大型事業計画は中止することが必要です。当面の新規事業の見直しとしても,学校統廃合による小中一貫校建設の中止や,市立芸術大学移転による建設は凍結すべきです。 問題点の第3は,市長は,国の方針による地方交付税の削減により,税収が増加しても,本市が自由に使える一般財源収入が増えない状況が続いていますと言いながら,三位一体改革やトップランナー方式など,国の方針に理解を示している点は問題です。国の地方切捨て方針は間違っていると指摘し,地方財源の確保を本気で求めてこそ中長期的な財政の展望も開けます。行財政改革方針とそれに基づく来年度予算は,以上の問題点に示したとおり,徹底したコロナウイルス感染対策になっていないこと,不要不急の事業には聖域を設け,国の交付税を減らしてきた方針に理解を示して,交付税の確保を強く求めると言えないことは問題です。そのうえに市民の暮らしへの負担を増やし,苦しめる方針であり,大本から見直し,国に財源を強く求めるべきです。いかがですか。 次に,述べてきた問題点を踏まえ具体的に質問します。このまま行財政改革をしなければ,財政再生団体に陥りかねないと市民に不安をあおり,市民への負担の増大はやむを得ないという雰囲気に誘導するのは問題です。民間保育所等職員の給与等運用補助金や敬老乗車証制度,被災者住宅再建等支援金など,京都市独自の施策は,市民から喜ばれ,市長自身も評価をしてきたものです。国の制度が不十分だからこそ,市民の命や暮らしを守るために行ってきた施策をやめてしまうことは,自治体の魂を投げ捨てるものです。市民からは,コロナ禍で大変なときに,こんな切捨てをやるのはひどすぎると怒りと失望の声が上がっています。市民に対して財政の危機をあおったうえで,福祉,暮らしを支える独自施策を切り捨てるという方針を改め,これまでどおり市の独自施策を継続すべきです。いかがですか。 また,改革の先陣となった昨年11月に強行に可決された住民税減免制度の廃止は撤回すべきです。施策を進める上で,国財源を最大限活用するとされていますが,そもそも,住民税減免を廃止することにより,福祉施策に対して,国から出されている補助金が10億7,000万円も減ってしまうことになります。何よりも,住民税負担も含め,低所得の市民に14億8,000万円の負担を押し付けることになります。3年後の実施に向け市民に周知し,理解いただくとしていますが,厳しい暮らしの市民から理解を得られるものではありません。京都市の市税減免制度の廃止は撤回し,存続すべきです。いかがですか。財源を求めるのは,収入の少ない市民に負担を押し付けるのではなく,不況下でも内部留保を増やしてきた大企業に負担を求めるべきです。京都市が独自に実施できる法人市民税について,大企業に対する超過課税を現在の8.2パーセントから8.4パーセントにすることは可能であり,それにより約4.5億円の増収となります。既に他の14の政令指定都市でも実施しています。さらに,企業立地促進制度の補助金は,創設以来,総額で約35億円が交付されてきましたが,うち65パーセントが資本金1億円以上の大企業に使われており,見直す必要があります。いかがですか。 次に,ひっ迫する医療施設への支援の必要性について質問します。医療機関のひっ迫した状況は,昨年12月には既に深刻な状況にあり,重症患者を受け入れていただいている14の病院長より,医療崩壊の危機に警鐘を鳴らす声明が2回も出され,洛和会音羽病院長や府立医大病院長など,次々と京都民報に御登場され,コロナに対応する病床が足りない根本には,国が病院再編・統合で病床削減を進めていることがありますなどと,医療現場からの強いメッセージが出されました。新規感染者数は減少傾向にありますが,医療現場の状況は,まだまだ厳しい状況にあると伺っています。京都府の場合,入院対象者を重傷者,65歳以上,基礎疾患のある方に限っています。本来,陽性者は全て隔離,保護をするために,入院,少なくともホテルなどの施設療養とすべきであり,急変する可能性のあるコロナウイルス陽性者の自宅療養はなくす等の対策が必要です。コロナウイルス感染症に対応する医療施設で働く看護師は,ストレスが重なり,勝手に涙が流れてくる,コロナ感染が落ち着いたら辞めたいなど,使命感で何とか働いてくれている危機的な状況だと察します。医療現場では,コロナウイルス感染対応をしている病院はもとより,受入れはしていない医療機関でも,感染対策は普段以上に実施されており,経営は相当厳しくなっています。病院によっては数億円の赤字が積み重なり,経営そのものが成り立たない状況にあるとのことです。国会では,日本共産党の倉林明子参議院議員が,経済面への懸念から,回復期の患者を受け入れる病院が広がっていない実態を明らかにしたところ,菅首相は,医療現場の方々が財政面でちゅうちょすることがないように政府としてしっかり対応すると答弁しています。無利子の貸付金は助かるが,返済が始まる5年後頃には倒産が相次ぐ可能性がある。減収補填をしてほしいというのが,医療関係者の切実な声です。国に対して,全ての医療機関の減収補填を行うよう強く求めること,京都市としても京都府と共同し,入院ベッド数の確保と衛生材料の提供を含め支援を強めることを求めます。いかがですか。 次に,保健所の在り方など,公衆衛生行政について質問します。今回の新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を抑え込む対策が遅れたことや,医療崩壊が起こったことは,これまでの国の医療や公衆衛生政策として,集約化,効率化の推進などによる間違った方針によることは明らかです。京都市においても,市民の命を守るために,自治体としてできることをどこまで積極的に行ってきたかといえば,不十分と言わざるを得ません。公衆衛生行政の要の存在である保健師さんから,京都市に公衆衛生行政はないとまでいう声が出ていることを,市長は御存じでしょうか。深刻な問題です。なぜ,こんな事態になっているのでしょうか。まず,2000年の介護保険事業のスタートと共に,保健師が学区地域担当制をやめ,専門分野ごとの担当制となり,地域との関係が希薄になるという変化が起こりました。地域担当制の特徴及び役割は,赤ちゃんから高齢者までを対象とし,地域の医療機関や民生児童委員,町内会長,学校や幼稚園,保育園などと日常的に情報交換や連携を取り,地域の特性をつかみ,地域診断を行うことで問題解決を行うことにありました。2010年には,11行政区に1箇所ずつあった保健所を本庁1箇所に集約し,各行政区は保健センターとして,センター長は医師でなくてもよいということになりました。さらに,大きな転機となったのが2017年に各行政区の保健センターに配属の医師を京都市保健所にまとめ,感染症対応の部署も1箇所に集約化してしまったことです。保健師は,それまでは各行政区の保健センターにまとまって配置され,連携しながら仕事に当たっておられましたが,配置場所がばらばらとなり,保健師集団としての連携がやりにくくなりました。これらの保健所の再編や保健師集団を分散させてきたことが,今回の新型コロナ感染症のパンデミックへの対応に大きく影響し,京都市の公衆衛生行政の弱点を浮き彫りにしました。京都市で初めて新型コロナ感染症が確認された昨年1月は,集約された部署で感染症に対応している保健師は10人でした。その後,感染が広がる中,対応部署への保健師の増員や他の部署からの応援,人材派遣会社からの保健師や看護師の派遣など,人数は増やされました。しかし,業務に見合う体制にはほど遠く,残業時間がほかの自治体の保健所と比べても異常な状況が現在まで続いています。(パネルを示す)このグラフは毎月の保健師等の平均残業時間と最大時間の方の推移です。今年1月でも,残業時間の平均が109時間,最大で213時間30分で過労死ラインを大きく超えています。市長は,政令市で保健師の数が最も多いと自慢していますが,保健師の配置の仕方に問題があるということです。現場の保健師からは,これまで何回倒れそうになったか分からない,電話が鳴っていないときにも鳴っているように感じる,使命感で何とか自分を保っている,いつまで持つか分からないとの声が出されています。京都市のコロナ対応の第一線の現場がこういった状況にあるという認識をお持ちでしょうか。いかがですか。 各行政区に保健所があり保健師が地域担当制のときには,感染症などの問題が起こったときに,学校や保育所など普段より連携を取っているので,誰と相談すればいいのか,医療機関とも連携が取りやすく,スムーズに対策が採れていました。そしてその重要性を実感する事例が幾つもありました。今回,高齢者施設や医療機関がクラスターとなっていますが,京都市内の高齢者の介護施設では,感染者が出て,京都市に報告が入り,濃厚接触者の追跡調査を行う積極的疫学調査が行われるのに,感染者が出た3日目に保健師による調査が入りました。刻一刻と感染が広がる中で,初期対応が遅れてしまうことは問題です。高齢者施設で感染者が出た場合,厚生労働省の通知によれば,関係者全てにPCR検査をすることになっています。しかし,京都市の場合は検査対象者の絞り込みをまず行い,さらに,感染者が出れば,次の段階として,検査対象を広げていくとなっています。介護施設の現場では,そんな悠長な対応では感染者が次々と広がってしまうという危機感の下,施設長である医師などの判断で,関係者全員を実費で検査しようと決断した施設が幾つかありました。各行政区の保健センターに感染症を担当する部署があり,医師も配置されていた頃は,何か問題が発生した場合,施設長とすぐに相談し,対応も迅速に行われていました。政令市で感染担当の部署が1箇所という状態は,迅速に行われるべき対策が遅れる原因となっていることは明らかです。2010年度以前は,各保健所長の医師は各行政区の医師会に参加し,普段より地域の医師との連携も行い,公衆衛生行政への理解もしていただく関係にあったとお聞きします。そういった関係が非常事態のときに顔の見える連携ができ,迅速な対応につながります。名古屋市では,京都市と同じく,保健所は1箇所になっていますが,各行政区に医師は配属されており,感染症の対応も地域担当制の保健師が行っています。当然,通常より大変なことはあっても,混乱なく対応されているとのことでした。公衆衛生行政として行政区ごとに対応することは,感染拡大に迅速に対応ができることを証明していると,調査を行い,実感しました。お話をお聞きした保健師さんは,地域担当制を守ってきた。保健師が集団として,一丸となって対応することを握って放さないように取り組んできたと話され,専門職としての誇りを強く感じました。京都市は,保健所と感染症の対応の部署を1箇所に集約するのは,市としての方針が徹底しやすいという理由でした。しかし,今回のようなパンデミックが起これば,地域のことがよく分からない集約化された部署では,最も重要な初動対応に遅れを来し,感染の拡大の押さえ込みに時間が掛かることになります。各行政区に感染症対策を含め,保健所の機能を戻すことや,保健師の配置も地域担当制とし,今後も起こり得る感染症に対し,地域ごとにきめ細かく対応できるようにすべきです。いかがですか。 ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナ対策でございます。感染症対策の最前線である京都市の保健所においては,令和2年1月,第1例患者発生以降,市民の皆さんの命と健康を守るために,保健師を先頭に日々奮闘しております。本市においては,全国の人口当たり100万人都市の中では最も保健師を多く配置し,更にこの10数年で80人の増員を行い330人を超えております。とりわけ新型コロナ対策の要所となるクラスター等の集団感染の制圧に向けては,積極的疫学調査の着実な実施や全国に先駆けた本市独自基準に基づく幅広く積極的なPCR検査等の実施により,感染の連鎖を遮断するとともに,医療機関や福祉施設における事案についても,府市連携による専門家チームが早期介入を行うなど,これも国に先駆けて実効性の高い取組を積極果敢に進めてまいりました。また,こうした本市保健所の強みを支えるため,集約化等による保健所組織の機能向上に加えまして,職員体制も大幅な拡充を図るとともに,京都府,府医師会と連携し,PCR検査センターや診療・検査機関など医療・検査体制の整備もしっかりと進めてまいりました。さらに,今回の予算案でも,中小企業の事業継続に向けて金融,経営が一体となった相談体制の強化を図る取組や,ポストコロナも見据えたデジタル化の推進による中小企業の生産性の向上に向けた取組など,具体的な支援策をしっかりと盛り込んでおります。これらに加えまして,苦境にある事業者の方々を幅広く対象とする更なる支援策についても実施に向けて準備を進めているところであります。今後とも,コロナ禍で厳しい状況にある市民や事業者の皆様に寄り添いながら,京都府等と連携し,全庁挙げて感染拡大防止と市民生活,京都経済,中小企業等の経営と雇用の下支えに取り組んでまいります。国に対しましては,医療機関や中小企業等への支援策の充実を求め,その多くは実現しておりますが,今後も継続して,引き続きしっかりと要望してまいります。あわせまして,地方創生交付金等の増額など自治体への財政支援の充実等についても強力に要望してまいります。 次に,行財政改革についてでございます。まず,コロナ対策につきましては,高齢者施設とのPCR検査や中小企業等への支援など状況に応じて機動的に全力で取り組んでおります。そして,本市においては,福祉や子育て支援等について国の制度が不十分であった時代から,本市独自の施策を維持,充実してまいりましたが,これらに要する財源が恒常的に不足し,厳しい財政状況が続いております。地方交付税等の必要額の確保につきましては,これまでから国に強く要望してきており,令和3年度予算においては,一定の増加を見込める状況となったところであります。引き続き力強く増額を求めてまいりますが,地方交付税は,全国で標準的な水準の施策を実施するために要する財源を保障するものであり,国の基準や他都市の水準を上回る本市独自施策の経費を措置するものではございません。したがいまして,本市独自施策については,持続可能性の観点から見直しが必要であると考えております。 次に,本市独自の個人市民税の減免制度につきましては,地域社会の会費を住民が広く負担し合うという地方税制度の要請にそぐわないことや,外部有識者からの廃止の提言等を踏まえまして,税負担の適正化を図るため令和6年度から廃止するものでございます。減免制度の廃止によって福祉施策を受けている方の影響等について調査しているところであり,今後必要な経過措置を検討してまいります。法人市民税の超過課税につきましては,今般の経済状況の下,各経済団体から一定の御理解を得たうえで,昨年の市会において,令和7年度末までの延長を可決していただいたところであり,超過課税率の更なる引上げを行うことについては,経済状況等を踏まえつつ慎重に検討する必要があると考えております。企業立地促進制度につきましては,これまで大企業29件,中小企業161件の事業指定を行っており,補助期間を大企業は2年間に短縮し,中小企業は5年間に改めるなど,中小企業に手厚い制度となるよう必要な見直しを行っております。引き続き,今と未来の市民の皆さんの命と暮らしをしっかりと守ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 医療機関への支援についてでございます。既に1年以上が経過するコロナ禍において,最前線で御尽力いただいている全ての医療機関,医療従事者の皆様に感謝申し上げます。入院病床の確保や医療体制の整備などにつきましては,国及び京都府が役割分担のうえ実施することが基本でございますが,多くの医療機関で深刻な運営上の影響が生じている中,本市としても,可能な限りの支援に努めております。この間,医療物資や機材につきましては,市民の皆様から頂いた御寄付や本市の備蓄品を提供してまいりました。また,医療従事者の皆様に感謝の意をお伝えするため支え合い基金への寄付金や市会の先生方の議員報酬の減額による財源等を活用し,支え合い支援金を支給したほか,帰国者・接触者外来を設置された医療機関や,入院患者を受け入れていただいた医療機関に対する本市独自の支援金を交付し,医療従事者の給与,賞与の原資などへ活用いただいております。 くわえまして,多くの医療機関が休診される年末年始期間中の診療,検査体制の確保に向けて支援金を交付,発熱患者等の外来診療や検査に医療機関の御協力をいただいて,市民の安心安全につながったところでございます。引き続き,医療機関の声に真摯に耳を傾け,国や府等にも確実にお伝えし,市会の先生方はじめ市民ぐるみで医療を支えていただけますよう取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 保健師の配置についてでございます。新型コロナ対応に当たる保健師等の体制については,感染拡大に伴う繁忙状況をしっかり把握し,順次体制強化を図っております。本年1月の急激な感染拡大時にも,保健師の増員や他部署からの応援の拡充,民間人材の更なる活用により,12月の73名から121名へと約7割増となる体制強化を行いました。くわえて,勤務時間帯や休日を柔軟に設定することで,休日の確保や時間外勤務の縮減に取り組み,また,健康管理医による面談を通じ,個々の職員の状況を把握し,職場全体での組織的なフォローを行っております。 次に,保健所の集約化については,行政区を超えた全市的な健康危機事案の発生時に,正確な情報を一元的に集約し,迅速かつ的確に全市統一した対応ができるよう行ったものであり,新型コロナへの対応においても,区をまたぐ積極的疫学調査や濃厚接触者の追跡などで大きな威力を発揮しております。また,保健師の活動については,各保健福祉センターにおいて母子保健や児童福祉,精神保健,健康づくりなど各分野に配置した保健師がそれぞれ専門性を発揮し,統括保健師の下,相互に連携しながら地域全体を見る地区担当制を採っており,引き続き,全ての保健師が地域課題に対処する総合的な保健活動を推進してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇〕 ◆(玉本なるみ議員) 御答弁いただきましたが,今後起こり得る感染症対策も含めて,地域の医療機関や医師会,全ての保健師たちの意見を聴いていただき,公衆衛生行政の在り方を検証すべきだと思います。147万市民の京都市で,1箇所の保健所や感染症対策の部署では,困難であることは明白です。行政区ごとに,感染症の対応がしっかりとできるようなネットワークづくりを提案し,次の質問に移ります。 京都市民のまちの環境と暮らしに甚大な影響を与える北陸新幹線の延伸計画について質問します。北陸新幹線の延長が,京都市民に与える影響は計り知れません。まず,福井県での工事の実態を見ても,建設費は当初より5,143億円増加し,総額1兆7,000億円まで膨れ上がりました。京都においても,2兆1,000億円と言われている建設費の京都市の負担分は明らかになっていません。東京都調布の外環道工事では,シールドマシンによる工法で進められ,陥没と地盤沈下などが起こり問題になっています。大深度地下40メートル以下の地下トンネル工事は,地上に影響がないということを前提に,地権者への許可は必要なし,補償もなし,説明もせずに進められてきましたが,ネクスコ東日本自身も,陥没,地盤沈下は工事によって起こった問題だと認めており,大深度地下が安全という大前提は崩れています。京都市内でも陥没事故などが起こり得る可能性は大いにあります。 現在,北陸新幹線整備に伴う現地調査として,住民に説明もされないまま,右京区や左京区北白川,南区吉祥院などでは,トンネル工事に伴う調査や,左京区静原では,大気汚染調査の機材が公園に設置されるなど本調査が始まっています。京都駅にも北陸新幹線の駅ができるとなると,当然,進路上に住宅の真下が工事対象になります。京都市は水瓶の上にある都として古くより言われてきました。全国に誇れる川や山々の緑は,豊かな水脈の上で育てられています。その水脈を切り,多数の断層を横切ることになる可能性があり,そうなると地中での水の流れに大きな変化が起き,地上へとその影響は広がるとされています。建設残土量については,京都府環境影響評価審査会で880万立方メートルと推計されています。10トン積みダンプカー160万台に相当します。処分方法として,鉄道建設・運輸施設整備支援機構は,延伸事業内の場内再利用や他の公共事業で活用すると説明していますが,80パーセントがトンネル工事と言われている計画で,場内利用はあり得るでしょうか。以上のことより,2兆1,000億円と言われる建設費の京都市負担額は全く示されていません。不要不急の大型工事を推進する立場を改めるべきです。さらに,大深度地下によるトンネル工事は,水の豊富な京都市内の自然とまち,市民の暮らしを壊す危険性が大いにあります。鉄道建設・運輸施設整備支援機構及び政府に対して,安全が担保されない京都市内への北陸新幹線の延伸路線は認められないとはっきりと言うべきです。いかがですか。 次に,介護認定業務の民間委託化の問題について質問します。民間移管・センター化から11箇月になります。がんなどのターミナル療養をされる方の場合,急変に備えて一刻も早く支援体制を組み,ケアもスタートする必要があります。したがって,介護認定も当然急がれます。委託化の前は,区役所の窓口で申請者と区役所の職員で状況を共有し,その日のうちに区役所の調査員による調査が実施,完了することが可能でした。それが郵送申請による民間委託になり,委託事務センターが緊急と認識しても,受付に2日間は掛かります。それから調査までに,更に数日掛かるというシステムとなっています。介護認定業務の民間移管・センター化の問題は,郵送受付により介護認定が間に合わず,死亡する事例が起きた場合,サービスが実費になるという問題が実際に生じているということです。利用者の命と暮らしを最優先にした認定業務を確立するためにも,また,介護保険法を遵守する意味でも,民間委託をやめ,申請・認定業務は各区役所に戻すべきです。いかがですか。 次に,ジェンダー平等の取組について質問します。オリンピック・パラリンピック組織委員会元会長の森喜朗氏の女性蔑視発言には,全国や世界から非難の声が上がりました。15万7,000人に及ぶ辞職を求める署名が集められ,聖火ランナーやボランティアが390人も辞退をして抗議するという行動が注目されました。日本社会の女性差別の構造的なゆがみをあぶり出したと言えます。各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数の順位は,日本は153箇国中121位です。森氏の発言のみの問題とせず,ジェンダー平等の社会実現に向けて教訓にすべきです。京都市では昨年,パートナーシップ宣誓制度が創設され,京都市としても共生社会実現に向けて進み出しましたが,更なる発展を期待しています。昨年の2月に,同性パートナーと暮らしていることを公表したプロサッカー選手が,ツイッターで,京都市の友達から,京都市のパートナーシップ宣誓制度を申請したいけれど,窓口が平日の日中しか開いておらず,仕事がら申請しにくいと嘆いていた。一方,婚姻届は24時間受付ができる。ちょっとした決まりの差も虚しくなるよね。どうにかならないのかなという投稿でした。こういった声に応えていくことが求められています。宣誓できる時間が,平日の9時から16時30分,要予約の上,二人そろって職員立会いで宣誓するというハードルを作る必要はありません。婚姻届と同じように,必要な書類の記載があれば,受け付ける制度に改善すべきです。いかがですか。 京都市職員の同性パートナーの方の結婚休暇は,4月より導入するとのことで,かねてより求めてきたところで歓迎します。そこで,ほかの育児や介護,服喪などの休暇や住宅等の手当などについても検討を早急に行うべきです。重要なことは,パートナーシップ宣誓をしていることを条件としないということです。宣誓制度のない自治体に居住されている方もおられますし,休暇制度の申請は権利です。一方で,宣誓するかどうかはプライバシーや人権に関わることで,強制するものではなく,カミングアウトしていない方も多くあるということを前提に対応すべきと考えますが,認識を伺います。いかがですか。 次に,今年9月策定の予定の第3次京都市生活安全(防犯・交通事故防止)基本計画(案)における性犯罪被害に対する認識や計画について質問します。(パネルを示す)犯罪白書では,強制性交等の刑法犯加害者と被害者の関係別検挙件数別構成比を見ると,グラフのとおり,親族,面識がある人からの被害が,1989年では28.0パーセントが,2019年には69.1パーセントと増加しています。いつまでも,面識のない人から,人けのない所,暗い所で被害に遭うという想定の対策だけでは,間尺に合わないということです。顔見知りからの性犯罪被害は,子供だと,それが嫌なことだけれど,何をされているか分からなかったという事例もあります。防ぐためには,京都府警や関係相談機関とも連携を強め,性犯罪被害への具体的な対策を拡充することが重要です。とりわけ教育委員会とも連携し,性暴力について,加害者にも被害者にもならないように,性教育などの取組が必要です。さらに,計画には性犯罪防止対策について現状の理解や具体的な対策を書き込む必要性があります。いかがですか。 以上で,私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私から2点お答えいたします。 パートナーシップ宣誓制度についてでございます。性的少数者の方々の生きづらさを解消し,誰もが多様性を認め合う共生社会を目指して,昨年9月に本制度を開始してから現在52組と,多くの方に御利用いただいているところです。お二人が職員立会いの下,互いを人生のパートナーであるということを誓い合うことが,制度の趣旨にかなうと考えており,当日の手続が円滑に進むよう,御相談の段階から個別の御事情に応じた調整など,お二人に寄り添った丁寧な対応を行っているところでございます。今後とも,宣誓される方へのアンケートや関係者の交流を図るコミュニティスペースの場などを通じて,継続的に利用者の方の声を聴きながら使いやすい制度運用に努めてまいります。 次に,結婚休暇や服務休暇をはじめ育児や介護などの休暇制度につきましては,本市人事委員会からの報告や他都市における導入状況等も踏まえ,本年の4月から,同性パートナー等を持つ職員についても取得を認めてまいりますが,申請に当たりましては,宣誓の有無を問わないことやプライバシーに配慮するのは当然のこととして,現在,職員が取得しやすい具体的な仕組みについて検討しております。なお,手当の支給につきましては,民法上の扶養義務や年金等の権利が同性パートナー等には認められていないなどの課題があり,国や他都市においても導入事例がないことから,引き続き検討してまいります。 次に,性犯罪の防止対策についてでございます。性犯罪は被害者の尊厳を踏みにじる行為であり,その防止は喫緊の課題でございます。被害は,密室空間や顔見知りの間で発生する場合があり,被害者の多くが心のダメージ,PTSDの症状を抱えるほか,社会における性犯罪被害への無知や誤解,偏見等による二次的な被害など,他の犯罪とは異なる大変痛ましい側面を持っております。このことから,性犯罪の防止に加えまして,二次被害を生まない意識を社会に浸透させ,被害者をしっかりと守る啓発,教育の取組が重要となります。本市におきましても,京都府警察,事業者,大学,ウィングス京都など関係機関と連携し,性的同意に関するリーフレットの作成や,大学と連携した被害防止啓発などを行うとともに,教育面からは,児童生徒の発達段階を踏まえながら,性に対する正しい知識を基に,適切な意思決定や行動選択ができるよう指導の充実に努めております。また,被害に遭われた場合のワンストップによる相談窓口の周知や支援,トラウマからの回復のための講座も既に行っております。現在,第3次京都市生活安全基本計画の策定作業を進めており,その中で,性犯罪を含めた個々の犯罪への対策をきめ細かに実施し,誰もが安心安全に暮らせるまちづくりを目指して,引き続き取組を進めてまいります。私からは以上です。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 北陸新幹線の延伸事業についてでございます。北陸新幹線は,近畿圏と北陸圏を結ぶ環境性能と効率性に優れた基幹的な高速輸送体系を形成するものであり,地域振興と経済活性化に加え,新駅が設置される地域のみならず,新駅と結節する沿線地域にも広く利便性の向上をもたらすとともに,災害時等には東海道新幹線の代替路線としての役割も果たし得る貴重な社会資本であります。現在,京都府,大阪府,福井県の2府1県において,事業主体である鉄道・運輸機構が,環境影響評価法に基づき調査を行っているところであります。本市といたしましても,同法に基づき,市町村長の意見をまとめる京都府知事に対し,自然環境や生活環境への影響が可能な限り回避,低減されるよう,十分な調査と環境影響の適切な予測評価を求める意見書を提出しており,京都府から,鉄道・運輸機構に意見が述べられてきたところであります。今後も,水環境,文化財,都市機能,建設発生土砂の処理等の観点から,丁寧な説明を求め,しっかりと意見を述べるなど適切に対応してまいります。 なお,本事業での大深度地下の利用につきましては,環境影響評価方法書において必要に応じて検討を行うとされ,今後,鉄道・運輸機構が地盤等の状況も踏まえながら検討されるものでありますが,同機構が利用の方針を示した場合は,安全性はもとより自然環境や生活環境に十分に配慮されることが重要であり,大深度地下の認可手続も含めて,しっかりと必要な意見を述べてまいります。整備費用につきましては,環境影響評価の手続中であり,ルートや工法も決まっておらず,具体的に論じられる段階にはございませんが,本市といたしましては,これまでも地方負担軽減のための財政措置等を国に要望しており,引き続き,国に対し地方負担の極小化を強く訴えてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 介護認定業務の民間委託化についてでございます。民間委託は,介護認定業務を専門的なものとそうでないものに切り分け,担い手の確保が難しい専門職である介護支援専門員の方等が,集中的に専門的な業務を担っていただくことにより,将来にわたって対応できる執行体制を確保するため,昨年4月から開始しております。また,業務を集約化することで効率化を図ることができ,介護認定に要する平均処理日数は,委託化前の令和元年度の実績から1週間以上早くなっております。さらに,委託化による財政負担の縮減効果に加え,原則郵送申請とすることでウィズコロナ社会にも対応できており,民間委託は,市民サービスの向上につながっております。 御指摘の申請者が認定調査前にお亡くなりになった場合のサービスの費用負担については,業務を委託しているために起こる問題ではなく,介護保険を運営するどの自治体でも起こり得る問題であります。このため,本市では,郵送による対応だけでなく,区役所支所や介護認定給付事務センターの窓口でも申請を受け付けるとともに,緊急の場合に,直ちに訪問調査に対応できる職員体制を確保しております。また,国に対し制度的な救済措置が講じられるよう,指定都市共同で要望しているところでございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後2時56分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 とがし豊議員に発言を許します。とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 左京区選出のとがし豊です。引き続き,日本共産党を代表して質疑を行います。 まず初めに,新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに,今なお闘病を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。コロナ禍において最前線で御奮闘いただいている皆様,そして,厳しい中,御協力いただいている市民,事業者の皆様に心から感謝を申し上げます。 さて,介護施設で新型コロナウイルスへの感染が明らかになっても,入院先が確保できず,その施設にとどまらざるを得ない。在宅酸素療法をされている方も感染が分かっていても入院できず,宿泊療養施設の利用も断られる。また,感染判明後,肺炎で40℃の熱があっても入院させてもらえない。そして,入院を必要とする方が入院できないまま自宅でお亡くなりになるという痛ましい事態も起こりました。コロナによる経済危機も深刻で,感染拡大と自粛の繰返しがこれ以上続いたら,もう廃業しかない。解雇されたが新しい職が見つからない。とにかくコロナを収束させてほしいと切実な声が上がっています。新型コロナウイルス感染症を収束させることは,市民の命を守るためにも,暮らしと営業を守り抜くためにも,最重要の課題です。ワクチン接種が始まりましたが,社会全体での効果が確認されるのはまだ随分先であり,ワクチン頼みになってはなりません。これまでも提案してきましたが,今こそ検査を拡充することで,無症状の感染者についても,早期に発見,保護,追跡し,徹底的な感染封じ込めに踏みこむべきです。以下,三つの角度から質問します。 まず第1に,無症状感染者を早期に発見することの必要性についてです。国立感染症研究所のゲノム解析によれば,いわゆる第1波の収束の過程で,軽症あるいは無症状のため,新型コロナウイルス感染者と診断されないまま感染が繰り返され,それが起点となって,東京では収まらず全国に広がった可能性が示されています。今後,第3波を収束させる中で,こうした隠れた感染源を発見し封じ込めていくことが,新たな波を起こさせない決め手であり,その手段として,空港での水際対策やクラスター対策でも威力を発揮してきたPCR検査の幅広い活用は極めて有効です。政府の新型コロナ感染症対策分科会は,2月2日,隠れた感染源の存在を確認し,予兆を探知するために,歓楽街などの感染リスクの高い地域を中心に,幅広いPCR検査等を実施するよう提言し,国もこれを基本方針に据えました。厚生労働省から,感染多発地域における高齢者施設の従業者等の積極的な検査を求める事務連絡も出されました。遅きに失したとはいえ,PCR検査の拡充を巡っては,国でさえも,幅広い面の検査や高齢者施設などへの社会的検査の必要性を認めるようになり,症状の出ている方だけではなく,無症状の感染者についても早期に発見し,保護,追跡する,徹底した感染封じ込め戦略が必要と考え始めたわけですが,市長は,この幅広いPCR検査,社会的検査の必要性についてどのように認識されていますか。市長の答弁を求めます。とりわけ医療機関,介護施設など,重症化のリスクが高いところへの対策が急がれます。世田谷区は,これまでに493箇所の介護施設で7,990人のPCR検査を行い,23人の感染者を見つけ,保護することで,施設内での感染を最小限かつ無症状,軽症のうちに抑え込んでいます。職員だけではなく,利用者や出入りの業者まで対象を拡大し,感染者が確認された施設は,繰返しの検査が行われます。京都市においても,ようやく入所系の高齢者施設の職員及び新規入所者を対象とした社会的検査が行われますが,同じく重症化リスクの高い医療機関やデイサービスなど,通所系高齢者事業所等についても対象を拡大し,定期的なPCR検査を実施すべきです。いかがですか。今年の1月,ある介護施設で感染者が出たとき,京都市は,同一フロアに限定した検査を実施。その後,職員に感染者が確認されてから,ようやく施設全体の職員,入所者の検査を行いました。介護の現場からは,このスピード感ではとても間尺には合わないとの切実な声が寄せられました。また,ある施設では,感染者が出ても京都市からPCR検査をなかなか認めてもらえず,施設で費用を負担し,PCR検査を実施されました。医療機関,介護施設などで一人でも陽性者を確認した場合には,施設の医師や医療機関の協力を得て,速やかに職員,入所者への全員検査を実施することを求めます。それでこそ,後手後手の対応にならず,疫学調査も迅速,効率的に行えるのではありませんか。また,当該施設,医療機関などが独自にPCR検査を行った場合には,行政検査として追認し,予算措置を講じるべきです。答弁を求めます。 第2に,感染者が見つかったとき,安心して入院,療養できる体制を確保することです。京都府保険医協会は,1月26日,病床の一層の確保のために,京都市内においては行政区単位で,地域ごとに全病院の役割分担を明らかにし,カバー体制確立に向けて協議する場として,緊急に新型コロナ対応地域医療連携体制調整会議の設置を提言しています。京都府は,自宅で療養する方とその同居家族への食事提供補助などの支援,京都市は,自宅療養者の同居家族への宿泊費1日500円の補助を開始しましたが,十分ではありません。そのほかの濃厚接触者の方の隔離生活に対しては,何の支援もありません。入院・宿泊療養施設の実際の受入枠の拡大のため,京都府や地域医師会などとの連携の強化を求めます。京都府の制度に上乗せして自宅療養者への支援の拡充を求めます。とりわけ,濃厚接触者に対しても栄養のバランスの取れた食事提供を求めます。答弁を求めます。 (パネルを示す)第3に,追跡の強化です。このパネルを御覧ください。これは,和歌山県が昨年12月28日に公表したデータです。感染者が他者に感染させたと推測される時期を調査した結果,発症の3日前から感染させる事例が一定数あるとのことでした。そのため和歌山県では,発症の3日前まで遡って積極的疫学調査を行っています。本市教育福祉委員会において,保健福祉局は,発症の3日前から感染を拡大させる可能性があることについては認めつつも,現在の限られた体制の中で,効率的に行うために2日前に線を引いているとの答弁でありました。実際,ある方は,感染の判明した知人との接触した履歴はあったものの,その時期が発症3日前であることから当初は検査対象にしてもらえず,数日後に発熱し,ようやくPCR検査を受け,陽性が判明し入院に至ったそうです。幸い回復されましたが,是非,京都市の検査の対象を広げてほしいと切に願われていらっしゃいました。保健所職員体制を抜本的に増員し,積極的疫学調査の範囲を更に拡大し,徹底的な感染経路,感染源の追跡,感染の封じ込めに取り組むべきです。いかがですか。 次に,コロナ禍における生活困窮者への支援についてですが,ここでは,学生への支援に絞ってお聞きします。先日,NHKでも,学生が大変という特集が行われ,多くの方が胸を痛めたと思います。京都市内の学生たちも,同じように厳しい行動制限の下にあり,帰省も許されず一人で年越し,授業はオンラインばかりで対面授業がほとんどない,新歓活動も禁止でサークルにも入れず,友達もできようがない,そんな状況でも,高い学費の負担と生活費を捻出しなければなりません。大学生協,社会保障推進協議会,民主青年同盟など,様々な団体が食糧支援の取組を行っていますが,そこにはたくさんの学生が集まってきます。飲食店のアルバイトで毎月10万円稼がないと学費と生活費が確保できないのに,コロナでシフトが減って厳しい,アルバイト収入が激減し,家具を売ってしのいでいる,空腹に耐えられないので,食べられる野草を教えてほしいなど,元々深刻だった貧困と高い学費の問題にコロナ禍が追打ちを掛け,学生たちは学びと生存の危機に直面しています。市長,従来の延長線を越えた学生支援に踏み出すべきではありませんか。京都市として学生を支えるための食糧支援,市独自の給付金などの緊急措置を採ることを求めます。京都府,京都労働局と連携し,雇用調整助成金制度や休業支援金制度を利用していない企業などに対し,京都市から働き掛けを行い,アルバイトの学生に国の支援が届くようにすることを求めます。そして,京都市としても,この厳しい学生生活の実態を国に突き付けて,緊急措置として,大学,専門学校の授業料の全面的な無償化を求めるべきです。いかがですか。 次に,コロナ禍における子供たちの学びの保障についてお聞きします。京都市では,2002年に小学校2年生の35人学級が,その後2007年に中学校3年生の30人学級が独自に始まりました。一昨年,独自に実施していた自治体に対しても,小学校2年の35人学級実施に必要な予算を国が配分するようになり,京都市財政にその分のゆとりが生まれたのですが,京都市は少人数学級の拡大には使いませんでした。今回は,国の第3次補正予算に伴い,新年度予算に盛り込む予定だった教育委員会の事業の一部,26億円余りが前年度補正予算に計上され,新年度分としてはその分の財源が浮きました。こうしたお金を,是非少人数学級の拡大に使うべきです。国は5年掛けて,段階的に小学校全学年で35人学級を実現するとし,菅首相は,中学校についても今後検討すると答弁していますが,コロナ禍における子供たち一人一人の心のケア,学びの保障,そして感染防止の観点から考えて,とても5年間は待てません。35人学級を全学年で実施するのに必要な追加の教員は小学校45人,中学校46人の計91人です。人件費を高く見積もっても,初年度は8億5,000万円で可能です。毎年国が予算を出す教員定数が改善されていきますから,京都市の負担額は年々減っていき,5年後には中学生分のみとなります。京都市において,小学校も中学校も,全学年での35人以下学級を前倒しで実施しすることを求めます。京都府と協調して,京都府内の高校においても35人以下学級を独自に実施することを検討すべきです。2箇所だけでも147億円もの巨額のお金が必要となる小中一貫校の整備計画は,一旦凍結すべきです。国全体で少人数学級編成へと向かう中で,本市会が全会一致で国に求めた30人学級推進の実現に力を尽くすべきです。いかがですか。 次に,子供の権利についてお聞きします。札幌市では,行政からの独立性が尊重された公的な第三者機関である札幌市子どもの権利救済機関,子どもアシストセンターというものがあります。子供や親などの相談を専門の相談員,調査員が受け止め,学校などに働き掛け,解決を図る調査,調整のみならず,調査員が必要と判断した場合には,勧告,意見表明,是正要請などを行うという権限も持つ機関です。本市においては,教育委員会そのものや,教育委員会の下にあるこども相談センターパトナが重要な役割を果たしていることは確かです。ただ,私たち市議団に相談が寄せられたケースでも,学校でのいじめ,事故の対応を巡って,御本人や家族と,学校や教員,あるいは加害者との主張が異なった場合に,解決に時間が掛かり,御本人や家族が,そこからの学校側や教育委員会側とのやり取りの中で二重に傷付くという事態も起こっています。何よりも子供の権利を守ることが大事です。京都市においても,行政からの独立性が尊重された子供の権利救済のための第三者機関の創設を求めますが,いかがですか。 ここまでのところで答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) とがし豊議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症に係る検査体制等についてでございます。まず,新型コロナウイルスに係る検査については,本市では,医療機関や高齢者施設での集団感染発生時に,感染の可能性のある人を幅広く捉えて検査を実施する厚生省の基準を超えて,独自基準を昨年5月段階で全国に先駆け,いち早く設けたほか,実施も今もしているところであります。妊婦のPCR検査の助成や,更に病院や学校,高齢者施設,また感染リスクの高い方々等を対象とした大規模疫学調査を京都大学附属病院と共同実施するなど,積極的かつ先駆的な取組を既に進めてまいりました。また,医療や公衆衛生の観点から,必要とされる検査が医師の判断の下で着実かつ迅速に実施できるよう,京都府及び府医師会と連携し,体制整備をスピード感を持って図ってまいりました。さらに,京都大学附属病院と包括連携協定に基づく高齢者入所施設での集団感染を抑止するための高齢者施設検疫モデル事業について,その対象を全494施設の約1万7,000人の職員や新規入所者にスピード感を持って拡大し,実施します。さらに,希望される施設については,入所者まで拡大して実施してまいります。これは新しい生活様式や適切な感染防御の実施など,職員や入所者の行動変容を促し,施設内にウイルスを持ち込まないなど,感染対策の徹底を図ったうえで検査を実施するものであります。感染拡大防止の京都モデルとして位置付け,取り組んでまいります。 次に,感染に対する医療供給体制につきまして,これは医療供給体制は,京都府の役割分担でありますが,京都府及び府医師会との連携の下に,入院病床や宿泊療養施設の確保に努めるとともに,かかりつけ医のおられない自宅療養者等への訪問診療も開始しております。また,自宅待機が困難な濃厚接触者等に宿泊施設をあっせんし,一部費用を助成する本市独自制度も実施するなど,家庭内感染の防止を図る取組も開始しております。 最後に,本市の強みであります積極的疫学調査や充実した検査実施の要となる保健所の職員体制は,昨年末の7割増となる121人体制にまで強化を図っております。市民の命と健康を守るために,献身的に行っていただいております。今後とも,積極的な検査や感染対策の実施と共に,それを支える体制をしっかりと確保し,新型コロナ感染症対策に万全を期してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) コロナ禍における学生支援についてでございます。多くの学生さんが,困難な状況の中でも感染拡大防止に努めながら学生生活を送られており,安心して学ぶ環境を確保することは重要だと認識をしております。学生生活を支える直接的な経済支援につきましては,全国の学生に及ぶ重大な課題であり,国において統一的に対応する必要があるため,各大学,学生さんとの意見交換などを踏まえ,国に対し修学に係る経済的負担軽減策の充実を繰返し要望し,市長から直接文部科学大臣等にも要請をしてまいりました。国においては,真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に授業料等減免を創設し,給付型奨学金の予算額を大幅に拡充させた修学支援新制度について家計急変者を随時申込み可能としております。また,各大学と独自の授業料等減免への緊急支援のための総額160億円の補正予算が計上されるとともに,経済的理由により,学びの継続が困難な学生に対し,一人当たり最大20万円を支給する学生支援緊急給付金が創設されるなどの支援が行われております。本市独自といたしましては,市内大学等を対象とした総額約2億円の補助制度を創設し,各大学におけるメンタルケアやコミュニティ形成支援等の取組を後押ししているところでございます。企業への働き掛けにつきましては,京都府や労働局とも連携しながら,経済団体等を通じて会員企業等に対し,雇用調整助成金の特例措置等の活用により休業手当を支払い,雇用の維持に努めるよう,また,従業員が休業支援金の支給申請を行う際には,事業主として適切な対応を行うよう要請をしており,引き続き,学生アルバイトを含む従業員の雇用維持を求めてまいります。今後とも,国や府,各大学,大学コンソーシアム京都等とも密に連携しながら必要な取組を進めてまいります。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは2点お答えをいたします。 まず,少人数学級についてでございます。本市では,これまでから独自予算で小学校1,2年生での35人学級や中学生3年生での30人学級など,国基準を上回る少人数学級を実施するとともに,その成果を基に小中学校における30人学級の実現等に向け,国に要望を重ね,また,昨年の9月市会におきましては,全会派一致で同趣旨の国への意見書を採択いただきました。こうした本市をはじめ全国からの強い要望等により,40年ぶりに学級編制の標準が引き下げられ,35人学級が小学校では来年度から年次計画的に実施されますことは大変ありがたく受け止めております。御指摘の独自予算で35人学級を全学年で実施するには,300人を超える教員の人件費として毎年約30億円もの予算が必要となり,厳しい財政状況の下ではその実施は困難であります。教職員定数の改善は,教育施策の根幹として国の責務で実施されるべきものであり,35人学級の中学校への拡大をはじめ更なる教育環境の充実に向け要望を重ねてまいります。なお,高等学校につきましては,本市では,学校や生徒の実態に応じ,20人程度の少人数学級や習熟度別の講座を既に実施をしております。御指摘の2地域の学校統合につきましては,地域や保護者の方々が熱心に議論を積み重ねられたうえで,子供たちの教育環境を第一に御要望いただいたものであり,結果として,人件費を年5億円程度,今後必要となる施設改修費を100億円程度縮減できるなど,整備費を上回る財政効果も得られることから,引き続き取り組んでまいります。 次に,いじめ等の対応についてでございます。本市では,いじめの防止等に関する条例を独自に制定し,全校で策定するいじめ防止等基本方針に基づき,日常の学校生活において見逃しのない児童生徒の観察に努めるとともに,年2回のアンケートや生徒等との学期ごとの懇談を通して,いじめの兆候をいち早く認知するように努め,全ての事案に対し,心の通った支援や指導を徹底しております。また,全校に設置するいじめ対策委員会で事実確認と手後れのない組織的な対応に努めており,そうした調査が不十分な場合は,事案に応じて第三者委員会の設置をすることとしております。御指摘の札幌市の子どもアシストセンターは,各種相談事業や学校と相談者間の仲裁等を行う機関として平成21年度に開設されておりますが,本市では,それ以前の平成15年度に教育相談と生徒指導の部門を集約した全国初の施設として,京都市教育相談総合センターを設立し,約40名の臨床心理士等が,年間延べ1万5,000人を超える子供たちや保護者からの様々な相談に直接応じており,学校の対応等に関する相談があった場合は,相談者に寄り添いつつ,必要に応じて中立的な立場から学校に対して指導助言を行っております。また,こども相談24時間ホットラインや京SNS相談など,安心して子供たちが相談できる様々な相談窓口も開設しております。今後ともこうした取組を徹底し,子どもを共に育む京都市民憲章の理念の下,社会の宝である子供たちの掛け替えのない命と健やかな育ちを守る実践を学校と共に進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) とがし議員。 〔とがし豊議員登壇〕 ◆(とがし豊議員) 次に,気候危機,再生可能エネルギーの普及について質問します。気候危機に関する政府間パネルIPCCの1.5℃特別報告書は,工業化以前と比べて,地球の平均気温がこのまま2℃上昇すれば,サンゴ礁の99パーセントが消失,年間漁獲量が300万トンを超える損失,マラリア等の感染症の発生範囲の拡大,洪水の影響を受ける人口が170パーセント増加などの生態系,人類社会への影響を明らかにし,気温上昇を1.5℃以内に抑える必要性があると警告しています。そのためには,少なくとも二酸化炭素排出量を2030年までに45パーセント削減し,2050年頃には実質ゼロにする,社会のあらゆる側面において前例のない移行が必要と指摘しています。菅首相は,昨年10月26日,2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにすると表明しましたが,2030年までの目標としては,2013年比で26パーセント削減にとどまり,余りにも不十分です。とりわけ,日本で排出される二酸化炭素のうち,エネルギーを起源とするものが9割を占める中,政府のエネルギー基本計画における2030年までの再生可能エネルギー普及目標は,既に18パーセントの到達にあるものを22パーセントから24パーセントまで,あと10年掛けて数パーセント増やすだけという大変消極的なものです。その根底には,原発や石炭火力に依存し続けようとする姿勢があります。石炭火力発電は,他の化石燃料を使った発電と比べても大量の二酸化炭素を排出することから,どんどんとその割合を減らすべき発電方法です。ところが,日本では建設中,計画中の石炭火力発電所が17基もある状況であり,脱石炭の世界の流れに逆行しています。東京電力福島第一原発事故からもう10年もたちましたが,福島県外避難は約2万9,000人,核燃料の回収すらできておらず,汚染水問題は深刻です。安倍・菅政権が進めてきた原発輸出は,経済性の面からことごとく挫折。関西電力大飯原発3・4号機を巡っては,昨年12月,大阪地裁は,原子力規制委員会の判断は地震の想定で必要な検討をせず,看過しがたい過誤,欠落があると認定し,世界最高水準の規制基準に適合となる政府のスローガンも根底から覆されました。また,九州電力管内では,原発からの電力供給を優先するため,太陽光発電に対しての出力抑制が強いられるという事態も起こっています。原発ではなく,再生可能エネルギーにこそ力を注ぐべきです。そこで4点,提案いたします。 第1に,政府に対し,第6次エネルギー基本計画の策定に当たって,2030年の電源構成について再生可能エネルギーの比率を45パーセント以上に引き上げさせるとともに,原発については,即時ゼロに改めることを求めるべきです。また,2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けて,新規石炭火力発電所建設計画の中止と既存石炭火力の計画的な廃止を盛り込むよう求めるべきです。市長の認識はいかがですか。 第2に,京都市は,2030年までの温室効果ガス排出削減目標を40パーセント以上としていますが,IPCC1.5℃特別報告書の水準を目指すべきです。そのためにも,太陽光,太陽熱,木質バイオマス,地中熱,小水力など再生可能エネルギーの種類ごとに年次ごとの数値目標を掲げ,達成に向けて背水の陣で臨むべきです。例えば,太陽光発電の推進です。京都市が示している計画案では,今後10年間で1万5,000件の太陽光パネル設置を掲げ,初年度は1,000件の普及のための予算が計上され,残る9年で1万4,000件普及しなければなりません。太陽光発電で生み出された電気の買取価格が,政府により低く抑えられる中,京都市内の2019年度実績は僅か347件にとどまったことを考えると,今までどおりの取組では,目標達成はかなり困難です。太陽光発電の飛躍的な普及に向けて,京都市内の住宅地の屋根の形状,大きさや住民に対して,どの程度のインセンティブがあれば,太陽光パネルの設置が進むのか実態調査を行い,それを基に,国に固定価格買取制度の改善を求め,京都市としても,助成制度の拡充を図るべきです。南向き以外の屋根にもパネルを広げて設置することも含め,どうすれば2030年目標達成がかなうか,真剣な検討を求めます。 第3に,太陽光発電,熱利用をはじめとする各種再生可能エネルギーを普及促進していくに当たって,東京などの他の地域の資本に頼るのではなく,地域金融機関と連携し,京都の人,もの,仕事が循環する地域循環型のグリーンリカバリー・モデルの構築を求めます。 第4に,自然エネルギー100パーセントの地域,職場,学校をどんどん作っていく,その率先垂範として京都市公共建築物低炭素仕様を抜本的に改定し,公共建築はRE100,再生可能エネルギー100パーセントの立場で全ての計画を見直すこと,場合によっては,それ以上の最大限の発電量を確保する取組を求めますが,いかがですか。 次に,京都の景観と住環境を守るために三つの提案をいたします。 第1に,ホテルなどの宿泊施設の立地規制を求めます。京都市内では,コロナ禍である今もホテル進出に歯止めが掛かっていません。100室以上の規模のホテルだけでも,1月末時点で28施設,5,039室が新規開業を予定しています。ホテルなどの更なる進出は,住環境やコミュニティの継続性さえ奪いかねず,不安の声が上がっています。また,地場に根付いて長年営業されてきたホテル・旅館関係者からも,市長のホテル誘致策で京都のホテル,旅館業は厳しい経営に追いやられてきたが,そこをコロナ禍が襲った。東京,外国資本などのホテルに学校跡地まで差し出すのはおかしいという声が寄せられています。宿泊施設拡充・誘致方針,上質宿泊施設誘致制度は撤回し,立地規制を行うこと,小規模宿泊施設についても,管理者常駐を義務化し,旅行客の安全と地域社会と調和の取れた宿泊業となるように,京都市の政策転換を求めます。いかがですか。 第2に,住宅宿泊事業についてです。昨年9月にも,左京区吉田地域の町内会から第一種低層住居専用地域での住宅宿泊事業の規制強化を求める陳情が出されました。現状の制度の枠組みが,市民の暮らしを守る上で十分ではないことは明らかです。和歌山県では,住宅宿泊事業の届出には隣接住民の同意が必要という条件を付けることで,住環境と調和する事業となるよう工夫されています。京都市においても,住宅宿泊事業の届出に当たって,隣接住民の同意を義務付けるべきです。いかがですか。 第3に,世界遺産に象徴される京都の豊かな景観と住環境を守る仕組みを作ることです。世界遺産条約は,人類にとって顕著で普遍的な価値を有する世界遺産について,条約締約国が自国の有する全ての能力を用いて,将来の世代へ伝えることを確保するために最善を尽くすものとすると定めています。ところが,京都市は,二条城では世界遺産内にある樹木を大量に伐採して観光駐車場に変え,下鴨神社境内,糺の森の一部を潰し,富裕層向けマンション建設を容認。仁和寺門前では,建築基準法の例外規定を使い市長権限で大規模ホテル建設を進めようとしています。次期観光振興計画が検討されていますが,どのように開発圧力から世界遺産を保護するかについての視点が抜けています。2017年7月の第41回世界遺産委員会では,世界遺産の保護に関する議論が行われ,その第7議題,決議第40項として市民社会との構造化対話のイニシアティブを評価し,市民社会が文化遺産の保全に一層貢献する可能性を引き続き探求することを奨励するという文言が追加されました。現在,文化庁の下,京都市などが作業を行っている世界遺産「古都京都の文化財」包括的保存管理計画策定に当たっては,この世界遺産委員会での決議を十分に反映し,世界遺産,古都京都の文化財の保護に関して,幅広い市民社会,地域住民の参加の仕組みを作るべきです。観光振興計画においても世界遺産の保護を明記することを求めます。いかがですか。 最後に,左京区北山エリアに関して市長に要望します。昨年12月,京都府は,旧資料館,植物園,府立大学などの敷地全体を再開発する北山エリア整備基本計画を発表しました。資料館跡にシアターコンプレックスやにぎわい交流施設,府立大学体育館は,1万人収容のメインアリーナを備えた施設に建替え。植物園の運営に不可欠なバックヤードの一部を壊して,アリーナと賀茂川をつなぐ動線に様々な商業施設を造る計画です。アリーナ建設だけでも150億円と試算されており,この計画全体では数百億円に上ると推測されますが,それらの施設を民間企業が企画,運営するとされています。住民からは,北山エリアの閑静な住環境が壊されるのではないかという声が上がり,関係者からも,府立大学の学生たちが授業や課外活動で使える日数が制限されるのはおかしい,閑静な住宅街と共存しながら国際的にも高い評価を得てきた植物園本来の役割が損なわれるのではないかなど,疑問の声が上がっています。計画では,都市計画の側面からも検討するとされており,京都市の責任も問われることが想定されます。税金の使い方,学生の学びや周辺住民の住環境にも関わる問題として,広く市民の声を聴き,住民,市民が主役の計画に改めるよう知事に働き掛けることを要望いたします。 以上で私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,2点御答弁申し上げます。 まず,再生可能エネルギーの普及についてでございます。2050年CO2排出量正味ゼロを実現するためには,省エネの加速に加えて最エネの飛躍的な拡大が不可欠であります。このため,次期地球温暖化対策計画において,市民生活や事業活動の基盤となるエネルギーの転換を図る施策を盛り込み,再エネの重要性を社会全体で共有したうえで,市域における導入の拡大や最エネ由来電気の普及など,最エネへの転換を強力に推進することといたしております。民間住宅への太陽光発電設備等の普及拡大には,設置負担そのものの軽減を図ることが有効であるため,設置補助制度により太陽光発電の導入を引き続き後押しするとともに,スケールメリットをいかしたグループ購入事業など設置費用の低減に資する取組を進めてまいります。 また,社会全体で再エネを普及拡大していくためには,環境と経済の好循環を生み出す仕組み作りが重要であり,次期計画において金融機関と連携し,グリーンファイナンスの推進に取り組むことといたしております。あわせまして,公共建築物の整備に当たりましては,今年度内に京都市公共建築物低炭素仕様を改定することとしており,再エネ利用設備の導入拡大や市内産木材の利用拡大等,更なる環境負荷の低減に取り組んでまいります。さらに,国に対しましては,門川市長が会長を務める指定都市自然エネルギー協議会を通じて,2030年までに最エネ比率を45パーセントに拡大する政策提言を行うなど,最エネの主力電源化に向けて積極的な働き掛けを行っており,利用拡大や供給拡大によって石炭を含む化石燃料から最エネへの転換が進められるべきものと認識をいたしております。なお,原子力発電に関しましては,市会決議を重く受け止め,国や関西電力に対して,できる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を一貫して求めております。今後とも,2050年CO2ゼロの実現に向けて,市民,事業者の皆様など幅広い方々と連携をし,再生可能エネルギーの飛躍的な拡大に全力で取り組んでまいります。 次に,地域と調和した宿泊施設についてでございます。本市では,宿泊施設拡充・誘致方針に基づき,地域との調和,市民と観光客の安心安全が図られ,地域文化の継承発展につながる宿泊観光を促進してまいりました。同方針により,違法民泊への徹底した監視,指導を行い,これまで通報があった2,662施設のうち99パーセントの施設が営業中止等に至っており,調査指導中の施設は5件となるなど,大きな成果を挙げております。また,令和元年には,宿泊施設の急増に伴う課題への対応として市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入お断りを宣言いたしました。宿泊施設の立地規制につきましては,地域が主体的に取り組まれる地区計画や建築協定の活用が有効であり,引き続き,専門家派遣等により地域主体のまちづくりを積極的に支援してまいります。旅館業施設における営業者等の施設内駐在につきましては,既存施設を含めた全ての営業者に適用し,京町家活用施設など玄関帳場設置の例外となる場合にも,おおむね10分,800メートル以内の場所に駐在することを義務付け,昨年には,これを厳格に適用できるよう条例を改正し,市民と観光客の皆様の安心安全に万全を期しております。なお,住宅宿泊事業の実施は,法律上届出制であり,隣接住民の同意を届出の条件とすることは,法律の範囲を超えた規制となります。本市におきましては,事前の標識掲示や近隣住民への説明,本市への結果報告など実効性の高い独自ルールを定め,近隣住民と事業者との調和を図っております。あわせて,全ての人が安心して利用できる良質な宿泊施設を充実させるため,バリアフリーの向上を図る条例改正案を今市会に提案させていただいております。今後とも,拡充・誘致方針に基づく上質宿泊施設誘致制度を含めた取組を進め,市民の安心安全と地域文化の継承につながる宿泊観光を促進してまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 世界遺産古都京都の文化財の包括的保存管理計画についてでございます。世界遺産の包括的保存管理計画は,ユネスコの指針により,構成資産全体の保存管理の方針や,その方法等を示すものとして策定が求められております。平成6年に登録された古都京都の文化財につきましては,当該計画の策定は義務付けられておりませんが,持続可能な保全を確かにするため,文化庁の指導の下,本市が宇治市,大津市などの関係自治体にも呼び掛け,令和3年度中の策定を目指しております。現在,本市では,世界遺産に限らず,人々の生活や歴史と文化の理解のために欠かせないもの全てを京都文化遺産に位置付けた未来を創る京都文化遺産継承プランの作成を進めており,同プランに基づき市民の皆様はもとより,地域住民の皆様や大学,企業等の様々な関係者の参画により,地域一体となって京都文化遺産の維持継承に取り組んでまいります。 また,京都文化遺産は,京都の大きな魅力の一つであり,市民の豊かな生活や地域コミュニティの維持,子供たちの学びに資するとともに,観光の振興にも寄与するものであり,次期観光振興計画案においても,歴史に培われた文化等を京都の光と定義しており,その京都の光の維持,継承を図っていくことを明記しております。なお,二条城や下鴨神社の件につきましては,必要な国内法の手続にのっとり,適正に対応したものであり,遺産全体としての景観の調和や文化財の確実な継承に資するものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,山本陽子議員に発言を許します。山本議員。 〔山本陽子議員登壇(拍手)〕 ◆(山本陽子議員) 山科区選出の山本陽子です。日本共産党市会議員団を代表し,質問します。質問に先立ち,新型コロナウィルス感染症によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに,闘病中の皆様には心よりお見舞いを申し上げます。 まず初めに,コロナ禍で苦境に立たされている中小零細事業者の皆さんを支える経済政策についてお伺いします。緊急事態宣言が延長され,営業時間を短縮する飲食店への協力金,また,他の事業者へも一時金を支給することが,国の第3次補正予算に盛り込まれました。しかし,先行する飲食店への協力金の支給について,苦しんでいる全ての事業者を支援しようとしていないのは不公平だと声が上がり,事業者の間に分断がもたらされています。また,国は,特別措置法の改正で行政罰の過料を明記しましたが,補償もせずに罰則かと怒りの声が上がっていました。もう限界と声が上がる下で,今市会,京都市が示したコロナ経済対策は,前述した協力金と融資預託金の増額が主な内容ですが,大変不十分であると言わなければなりません。今,求められているのは,緊急事態宣言の発令に伴い,外出,移動の自粛で影響を受け,売上げが減少した事業者全てに,ヨーロッパのような事業規模に応じた十分な補償を行うことであります。京都市として,まずは,国が損失補填にもなる事業規模に応じた補償をすべきと求めること,また,持続化給付金など2回目の支援や,法人60万円,個人事業主30万円の新たな一時金について,対象事業者と減収要件の拡大についても求めるべきと考えますが,いかがですか。そして,国の支援が不十分であれば,京都市として是非とも対象事業者を広げた直接支援をすべきと考えます。いかがですか。 問題は,京都市が地域経済をどのように支えようとしているかです。京都は,伝統産業やものづくりの盛んなまちでもあります。そして,ものづくりのまち京都を支えてきたのは,分業制の下,自宅や小さな工場で仕事を請負う多くの働き手です。例えば,小物や衣服を扱う縫製業では,単価の安い中国製の商品に押されて仕事は先細り,高齢化が進行しています。そのうえ,新型コロナウイルス感染症の影響で,毎月あった仕事が,昨年夏頃からなくなってしまいました。問屋さんも嘆いています。コロナ禍でぱったりと仕事がなくなった中で,国が防護服の製造の発注を行ったが,大手企業が何社も入り,中抜きして末端にはほとんど利益がない。せめて,この仕事を末端の縫製業者に任せたいのに,厳しすぎる納期に責められて,ペナルティを課されないために回すことができない。折角税金で賄う国の仕事なら,縫製業を守る仕組みにしてほしいと,悔しい思いをお聞きしました。京都は,中小零細事業者が99.7パーセント。個人事業者が仕事を分担し,ネットワークでつながって,ものづくり産業が創られてきました。このネットワークを支える必要があります。しかし一方で,コロナ禍でこそ中小零細事業者がとう汰されるときと,言語道断の発言が聞こえています。財務省が財政制度等審議会に出した資料では,持続化給付金及び家賃支援給付金は,予定どおり終了すべきだと明記し,部会長代理が,期限をずるずる先延ばしにすると,新陳代謝が促される機会が奪われてしまうと発言していました。また,国の成長戦略会議の委員にも起用され,京都市の観光振興審議会の委員でもあるデービット・アトキンソン氏は,中小企業の数を現在の半数以下,160万社程度に減らすべきと言っています。コロナ禍でも必死に頑張る中小零細事業者を廃業や倒産に追いやることを平気で推奨する発言は,絶対に許せません。そこで市長に伺います。京都市の来年度予算を見ましても,スタートアップ事業や首都圏企業の誘致など,目新しい事業への支援に傾いていると感じます。よもや中小零細事業者とう汰論にくみするお考えはないと思いますが,市長は,このコロナ禍でこれまで京都の基幹産業を支えてきた中小零細事業者全てを支えようというお考えはありますか。お答えください。そして,本当に中小零細事業者を守り,支えるお気持ちがあるなら,中小零細事業者に大きな負担となる消費税は減税すべきです。財源は,コロナ禍でも内部留保を増やしている大企業が応分の負担をすべきと国に求めていただきたい。いかがですか。 次に,コロナ感染拡大の長期化に伴い,失業者の増加が懸念される雇用についても質問します。コロナ禍にあって真っ先に職を失うのは,不安定で低賃金の非正規労働者です。ぎりぎり生活できる賃金では,貯えもほとんどありません。雇用調整助成金制度は期間が延長されましたが,休業支援金の非正規労働者への給付は進まず,いまだに申請が困難です。京都市は,観光に関わる雇用の8割を非正規労働者が支えており,また,政令市で非正規雇用率が一番高いのですから,非正規労働者への支援に力を尽くすべきです。この点非正規雇用の7割を占める女性について,野村総合研究所の行ったパート・アルバイト女性に関する調査によれば,感染拡大前と比べて勤務シフトが5割以上減り,労働基準法に基づき補償されるはずの休業手当も受け取れていない人を実質失業者と定義したところ,7.7パーセントが該当し,人数では90万人にも及ぶこと,そのうち休業支援金,給付金を知っているのは37.6パーセントの方のみで,支援制度があっても知られていない,届いていないという実態が明らかになっています。そこでお伺いします。コロナ対策として,国が大企業に適用を拡大した休業支援金,雇用調整助成金が,孤立化する女性や非正規労働者にしっかり行き渡るように,京都市独自の取組が必要であると考えますが,いかがですか。 また,コロナ禍で,引き続き自殺者の増加が指摘をされています。厚労省が作成する地域における自殺の基礎資料によれば,2020年京都府の自殺者は31人増の346人,全体で昨年の約10パーセント増となっています。もっとも,下半期では,特に女性が前年比29パーセント増と厳しい結果が出ており,京都でも危惧される状況が表れています。これまででも不安定雇用の中で必死に頑張ってきた女性,非正規労働者が,コロナ禍で命を断ってしまうほどの困難に直面しているなら,京都市としてどうすべきとお考えですか。元々の不安定な原因を取り除くことが必要であり,望まない非正規雇用の正社員化や,8時間働けば安心して暮らせるだけの最低賃金へ,時給1,500円を目指して引き上げることが求められていると考えますが,いかがですか。 次に,地下鉄,市バスの経営維持対策について質問します。今や,市バス・地下鉄事業は,市民の足を守る重要なインフラの一つですが,コロナ禍の減収により,このインフラの維持にも大きな影響を与えています。来年度中に中長期的な経営計画の見直しを検討すると言いますが,運賃の値上げや職員削減に踏み込むことは絶対に避けるべきです。そもそも,コロナ禍という非常事態において,国がもっと役割を果たして公営企業に対する支援を底上げすべきです。市会としても,国の支援強化について意見書を採択しましたが,現在まで,交通局が受け取った国の支援は,11億円程度にすぎず,全く間に合っていません。市バス,地下鉄のコロナ禍の減収は,国による補填が絶対に必要なものであり,補填なくして経営改善はあり得ないと,強く国に直接支援を求めるべきです。いかがですか。 次に,各種割引乗車券等の抜本的見直しについて質問します。コロナ禍の減収対策として,同時に示された各種割引乗車券の抜本的見直しは,今年10月1日より,バス1日券が600円から700円に,地下鉄・バス1日券が900円から1,100円に,地下鉄1日券は600円から800円への値上げとなるものです。また,トラフィカカードなどの磁気カードの廃止を提案されています。このような内容は,コロナ禍に乗じて値上げやサービス変更を迫るものです。市民の生活の厳しさに思いを寄せるならば,まずは,市民に意見を聴き,1日券やICカードの利用状況と課題,磁気カード存続希望など,市民ニーズをしっかり調査して,市民の足を守る公共交通の実現に努めることです。市民に納得される事業を行うことが,ひいては利用者増につながるものと考えます。今だからこそ,公営企業の本来の目的である公共の福祉の増進を忘れず,利用しやすい公共交通の実現にも努め,実質運賃の値上げとなる各種割引乗車券等の抜本的見直しについては,撤回されることを求めますが,いかがですか。 ここまでを前半の質問とし,答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,事業者支援について御答弁を申し上げます。新型コロナウイルス感染症の発生以降,感染の再拡大や2度にわたる緊急事態宣言の発出等,その影響が長期化し,幅広い業種の地域企業,中小企業等の方々が,売上げや受注の減少など,厳しい経営環境に置かれていることを重く受け止め,資金繰り支援等の下支えと徹底した伴走支援に取り組んでおります。そのような中,これまでから国に対しましても,実質無利子,無保証料での融資や持続化給付金,雇用調整助成金等,事業と雇用を下支えする支援策の継続,充実を強く繰り返し求めてきており,融資枠の拡大や雇用調整助成金の期間延長等が実現をしております。一時支援金に関しましても,国に対して,幅広い事業者が対象となるよう,制度の拡充を既に要望しており,引き続き強く求めてまいります。 また,地域企業,中小企業の皆様の事業の継続を図るためには,経営,金融の一体的なサポートを強化することが何より重要であり,厳しい状況を乗り越えるための業態転換等の経営改革に向けて,専門家による支援も含め体制の充実を図ってまいります。さらに,中小企業の生産性の向上,とりわけデジタル化の促進に向けて,経済団体等と連携しながら,課題分析からITツールの導入までを一貫して支援する取組等,今回の予算案でも具体的な支援策を盛り込んでおります。これらに加えまして,苦境にある事業者の方々を幅広く対象とする更なる本市支援策についても,実施に向けて準備を進めているところでございます。今後とも,府市協調の下,国としっかり連携し,コロナ禍で厳しい状況にある中小企業,地域企業の皆様に寄り添いながら,経営や雇用の維持,事業承継等を全力で支援してまいります。 あわせて,こうした支援策が必要とされる方に着実に届くよう,引き続き,しっかりと周知を行ってまいります。なお,これまでから申し上げておりますとおり,消費税は,国,地方通じた社会保障に要する財源の安定的な確保などのために導入をされているものでございます。本市におきましても,この貴重な財源を介護,年金,医療及び子育てなどの社会保障の予算に充てており,消費税の引下げを国に求めることは考えておりません。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本産業観光局長。 〔山本産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(山本達夫) 雇用対策についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響により,女性の割合が高い非正規労働者が経済的に困難な状況に置かれ,不安を抱えておられることは十分認識しております。そのような方々に,雇用調整助成金や休業支援金等の国の支援制度がしっかり行き渡りますよう,それらの活用について本市ウェブサイト,京のまち企業訪問の会員企業に周知するとともに,休業支援金の活用促進に向けては,本市公式SNSを活用し,アルバイトも対象となることも含め,広く情報発信を行うなど,本市としても周知に取り組んでまいりました。 また,女性や非正規労働者を含め,コロナ禍により離職を余儀なくされた方等の就業を促進するため,本市独自の取組として,昨年7月に,事業継続に向けた中小企業等担い手確保・育成支援補助金を創設いたしましたが,同年10月には,府市協調により対象期間の延長と共に,対象を拡大して府下全域で実施し,申請ベースでございますが,4,600人の雇用創出につながりました。さらに,京都労働局や京都府と連携の下,経済団体を通じて企業経営者の方々に非正規を含む労働者の雇用の維持と共に,女性等の正規雇用や非正規労働者の処遇改善などを要請しております。令和3年度には,京都府が巡回相談員の派遣など,コロナ禍で離職した女性の就労支援を新たに実施いたしますが,より円滑なマッチングにつながりますよう,本市が京の企業「働き方改革」自己診断制度等で把握しております女性の活躍促進に取り組む企業の情報を,巡回相談員の方々に提供するなど,コロナ禍で困難に直面されている女性や,非正規労働者への就労支援をオール京都で充実してまいります。なお,最低賃金は,地域における労働者の生計費や企業の賃金支払い能力等を見極めたうえで,国において適切に判断されるべきものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理者。 〔山本耕治公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス・地下鉄事業についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響による両事業の危機的な状況は,一交通事業者だけで解決できるものではなく,令和2年4月以降,市長を先頭に,数次にわたり国に対して公共交通の維持・確保に向けた抜本的な支援策を求めてまいりました。また,市会からも公営企業の損失補填を求める意見書を提出いただいております。その結果,国におきましては,地域公共交通者が行う感染症拡大防止対策に対する補助制度の創設や,減収により生じる資金不足に対する資金手当てとして,特別減収対策企業債制度の措置などが講じられ,令和3年度においても,引き続き継続されることとなりました。しかしながら,今年度には,両事業併せて150億円もの運賃収入の大幅な減収が見込まれており,厳しい状況は続いております。引き続き,国に対して市民の皆様の御利用に加え,観光での御利用にも支えられてきた本市の特性から,他都市と比べ,お客様数の回復が鈍い状況をしっかりと訴え,更なる支援策の拡充を粘り強く要望してまいります。 次に,各種割引乗車券等の抜本的見直しにつきましては,平成31年3月に策定した京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョンでお示ししているとおり,経営基盤の強化にとどまらず,ICカードによるポイントサービスを導入し,市民の皆様を中心とした御利用頻度の高い方に,よりお得に,より便利に市バス,地下鉄を御利用いただける割引制度への再構築を図るものです。見直しに当たりましては,将来的なバスとバスの無料乗継ぎを目指した乗継割合を軸に,利用実績に応じ,割引率が高まるものとし,スムーズな乗降と将来のデータ活用が期待できるICカードの利用促進等を目指した取組であります。今後,市民の皆様に制度の内容を丁寧にお伝えしながら,計画どおり実施してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本陽子議員。 〔山本陽子議員登壇〕 ◆(山本陽子議員) 事業者の方を対象とする京都市独自の新たな支援を追加されることは,これまで我々も事業者の方の声を届け,求め続けてきた成果ではありますが,新たな事業に対する補助金ではなく,真水の支援を改めて求めておきます。 次に,食と農業の問題について質問します。コロナ感染拡大は,世界の危機に際して,食糧を持つ国が自国の食糧を確保するため輸出を制限するという事態に直面しました。食料を輸入に頼る国,自給率の低い国がどれだけ非常事態に弱いかを露呈しています。自給率の向上,農作物の地産地消の向上を目指すときです。この点,京都市内の農地面積,農家戸数は減少の一途で,府内全体の1割強を占めるにすぎないものですが,京都市による推計では,京都市農業は,府内の野菜生産額の4割を占める府内最大の野菜生産地となっています。京都市の農家や農地は,掛け替えのない市民の財産です。子供たちの未来に新鮮で安全な野菜を身近に供給してくれる京都市農業を守っていくためにも,地産地消で地元の農産物の消費を拡大する施策に力を入れることが必要です。地産地消に重点的に取り組んできた神戸市は,市内産の野菜を減農薬の安全な野菜としてブランド化し,学校給食での活用を拡大させてきました。2001年には約79トンの使用量が,2019年には220トンまで拡大し,神戸産農産物の利用率は,総量の17パーセント超にまでなっています。この成果は,神戸市と生産者のみならず,農協,卸売会社,仲卸業者を含めた学校給食における利用推進会議の設置により,学期末ごとの会議で,農家が再生産できるだけの価格も調整し,生産量を拡大する努力がされてきた賜物と言えます。学校給食用の野菜の生産は,新規就農者にも任せて,経営の安定を助けることにもなっていると言います。神戸市の担当者は,学校給食における地産地消の推進は将来への投資。子供のうちから地元の野菜をたくさん食べてもらえれば,将来の地場産の農産物の消費拡大につながるものと考えていると言われました。一方,2019年の京都市の学校給食における京都府産の野菜の利用は,主には,万願寺とうがらし,伏見とうがらし,賀茂なす,九条ネギ,すぐき菜,しば漬けなどが提供されたもので,品目ベースでは,小学校で5.11パーセント,中学校で3.55パーセントの利用割合となっていますが,国の目標値30パーセントの利用割合には遠く及んでいません。そこで,今こそ,京都市においても,学校給食への地産地消の推進を一段高めていただきたい。神戸市は,8万食を7ブロックに分けていますが,京都市は7万食を4ブロックに分けており,1ブロックの食数が多いと言えます。給食の提供体制を更に細かくし,生産者の再生産可能な価格を設定するなど,農家の方が提供しやすい条件を検討すること,また,地域の特産品を地域の学校給食に利用するなど,より具体的な学校給食の地産地消の前進へ検討を求めますが,いかがですか。 次は,全員制の中学校給食の実現について質問します。コロナ禍の一斉休校により,公的支援としての重要性を浮き彫りにしたのが学校給食です。休校中,毎食の食事の準備は難しく,お昼はカップラーメンという家庭,一方では,給食費以上に食費の負担が跳ね上がり,困窮を実感するなど,学校給食があればいいのにとの声が多く聞かれました。フードバンクや子ども食堂の取組も行われましたが,必要な支援を届けるには限界があります。一方で,京都市の中学校給食アンケートで明らかになったのは,注文制の学校給食と,家庭弁当の選択制を実施する大多数の中学校では,7.7パーセントの生徒が昼食を持ってきていないという現実です。教育委員会は,昼食を持ってこない生徒には,クラス担任が昼食を準備し,指導もしているといいますが,指導しているのにこの割合なのは,深刻な実態である証拠ではないでしょうか。成長期にある中学生には,学校給食が必要であることをより認識すべきです。選択制の中学校給食の下で,喫食率は毎年低下しています。今年度は,スマートフォンでも週ごとの注文が可能となりましたが,喫食率は今年も前年の25.4パーセントを下回る状況です。選択制では,学校給食という公的支援が25パーセントの子供にしか届かず,支援の必要な生活保護世帯では52.7パーセント,就学援助世帯で42.4パーセントにしか届いていないという施策の欠陥を京都市は認識すべきです。家庭弁当は,当然ながら学校給食ではありません。京都市は,選択制である限り,給食を申し込んでいない75パーセントの生徒には,公的支援としての学校給食を実施していないことを重く見るべきです。学校給食法は,全員喫食を求めています。京都市が,全員喫食を目指すことさえも否定してきたことは,学校給食法の趣旨に反するものと言わなければなりません。地産地消と学校給食について教えていただいた神戸市も,中学校給食は選択制ですが,京都市と違うのは,全員喫食を目指していることです。神戸市では,選択制のままでは喫食率が下がるとの課題を検証され,今年度は,小学校で作った給食を中学校へ運ぶ親子方式のモデル事業を実施されています。全員喫食を目指すのは,学校給食法の下では当然ですと言われ,逆に気付かされました。そこで質問します。市長は,選択制では支援の必要な家庭全てに必要な給食が届かない点についてどう思われますか。また,学校給食法の趣旨に鑑みれば,中学校給食について全員喫食を目指さないことは,法の趣旨に反するのですから,学校給食という公的支援の強化で,子供一人一人の育ちを支えていくために,全員制の中学校給食の実現を求めますが,いかがですか。 次に,市営保育所の民間移管について質問します。市長は,この6年間,25箇所あった市営保育所を11箇所も廃止してきました。昨年は,更なる移管を目指した聚楽保育所では,移管先法人が移管受入れの撤回を表明され,その後,京都市は来年度の1歳児,3歳児以外の乳幼児について受入れを拒否し,保護者が京都市を訴訟に訴える事態になっています。また,昨年11月9日,今度は,山科区に唯一の市営保育所,鏡山保育所の民間移管を突如として発表しました。民間移管の判断も,移管過程も大変乱暴な進め方です。民間保育園にも,それぞれに独自の特色や努力があるように,市営保育所には,市営保育所の役割があります。市営保育所の重要な役割は,セーフティネットであることですと,市営保育所の保育を担ってきた保育士や園長は言われます。保育園における障害児加配の対象となる児童の園ごとの受入割合は,2014年当時,民間保育園が平均3.75パーセント,市営保育所が10.48パーセントでしたが,特に山科区の市営保育所では,16.05パーセントと受入率が高くなっていました。公民同様の加配要件になって以降も,2020年度では,民間保育園が4.9パーセント,市営保育所が19パーセントと,更に市営の受入割合が多くなっており,全体の傾向からしても,山科区の市営保育所のセーフティネットの役割は,現在では更に大きくなっていると言えます。実際に,山科でも,足指切断の事故にあった男児を最後に受け入れてくれたのが鏡山保育所だったという事例があります。児童福祉法第24条第1項,市町村は,保育を必要とする場合について保育しなければならないとの規定がある限り,民間保育園がどうしても受け入れられないという場合,最後は,京都市自身,市営保育所がセーフティネットとして保育を担う。だからこそ,現在も市営保育所全体の障害児加配の割合が依然として高くなっているのです。市営保育所の保育士は,児童相談所での勤務経験などもいかして,保育現場でケースワーカー的な役割も担い,区役所の子どもはぐくみ室と連携して,困難な家庭の支援を行うことも多いと聞きます。どれだけ困難なのかと聴けば,保育所で日常の支援ができなければ,親も子も命を失う危険がある,ここまでの認識で訴えておられました。親子の命の懸かった支援を行う現場の保育士と,それを理解しない京都市保育行政の認識のギャップは何なのか。それは,市長の至上命題でコスト削減のために,市営保育所の民間移管を進めてきた結果なのではないですか。市長は,民間移管を正当化するために,民間にできることは民間にと言い,市営保育所というセーフティネットを市民から奪っています。市長は,このことを自覚されていますか。全ての市営保育所の存続と民間移管の撤回を求めます。いかがですか。さらに,行財政改革の名の下に,民間保育園の保育士給与等運用事業補助金,いわゆるプール制の見直しまで提案されていることは重大です。京都市は,他都市に比べ市営保育所が極端に少なく,民間保育園に公的責任を担っていただいているため,保育士給与の公私格差の是正に努めるものとして創設されたものです。市長はいつも,京都市の民間保育園の保育士給与は,全国平均の何倍と自慢されていたにもかかわらず,実は,保育士の処遇改善を何が何でも守るべきものとお考えではなかったのですか。市営保育所のみならず,民間保育園も含めた保育の重要性と保育行政の責任について,自覚が欠如したものと断罪せざるを得ません。保育園の運営と保育士の就労が持続可能なものとなるよう,むしろ保育士の処遇改善の充実こそ求められており,保育士給与等運用事業補助金の削減見直しはやめるべきです。いかがですか。 次に,行財政改革による敬老乗車証制度の見直しについて質問します。昨年末,新聞報道によれば,対象年齢70歳以上から75歳以上への引上げ,一部負担金の2倍化などが既に報道されています。消費的経費の削減として,来年度には大改革方針を示すとされていますが,市民生活の下支えに取り組むと言いながら,コロナ禍のどさくさに紛れて制度改悪を行うことは断じて認められません。先日,敬老乗車証守ろう連絡会による第18回目の署名提出では,7,921筆を積み増し,合計5万4,480筆の署名が届けられました。各地域で行った署名行動では,寒い冬にもかかわらず,多くの方が自ら寄ってきて協力されたそうです。この制度が市民にとって,京都市にとってどのような意義を有するのか,検証すべきです。まず一つに,敬老乗車証を使ってお出かけされる場合に,経済効果があると言われていることや,健康促進効果と,それに伴う医療費の負担軽減効果,介護予防で介護費用の負担軽減効果,さらに交通局,他の民間バス事業者の重要な財源となっていることも,全く検証しようとしないのは納得いきません。以上のような効果を失うことが,返って京都市にとって大きな損失であるとは考えないのですか。そして,私が声を大にして言いたいのは,敬老乗車証を使ってお出かけする,生きる楽しみを奪わないで,お金に心配なくお出かけできるという安心を奪わないでという切実な市民の願いだということです。敬老乗車証制度は,住民の福祉であり,市民の幸福そのものです。市長は,市民の長年の幸福を奪わないでいただきたい。行財政改革を口実に,市民に幸福をもたらしてきた敬老乗車証制度を消費的経費と言い換えて切り捨てることは断じて認められません。敬老乗車証制度を見直すことは撤回されるよう求めます。いかがですか。 最後に,今市会,陳情として受理されておりますJR山科駅線路下の通路を北側に抜けるスロープのバリアフリー化について要望します。この通路は,バリアフリーの角度を満たしていない大変急なスロープで,京都市交通局所有の通路です。2003年策定の山科地区交通バリアフリー化基本構想の検討段階から地元要望として上がっていましたが,結局課題が残されたままになっていました。住民のみならず多くの観光客が通られ,安朱小学校や洛東高校への通学路にもなっています。お母さんが朝,車椅子を押して通学されている小学5年生のお子さんがいます。また,重度の障害で呼吸器など重い機器を載せて車椅子で通らなければならない7歳のお子さんも住んでいます。高齢の親と出かけるにも,車椅子ではその通路が通れないという困難があります。陳情は1,605筆の要望署名と共に提出されています。市長は,是非ともこの通路にエレベーターを付けるなどバリアフリー化を検討していただきたい。誰一人取り残さない京都市となるよう,最後にこのことを強く強く求めて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山本陽子議員の御質問にお答えいたします。 保育行政についてでございます。子供たちの健やかな学び,育ちを提供することは,非常に尊いものであります。私はこの認識の下に,幼児教育,保育の充実,特に,今だけでなく将来世代の方々にも見直すべきは見直し,公民一体となって質の高い幼児教育,保育を提供してまいりました。特に,支援の必要な子供たちに対する取組につきましても,例えば,保育園に通う障害のある児童の83パーセント,1,718人中1,424人が民間保育所を利用されており,また,その受入数も5年前の約1.2倍となっているなど,民間保育園においても大きな役割を果たしていただいている中,市営保育所のみがセーフティネットであるかのような御意見は,私は当たらないと思います。民間保育園において,明確な理念の下に大変な貢献をしていただいてます。引き続き,公民が一体となって保育の質,量の向上を図るとともに,市営保育所は,医療的ケア児の受入れなど先駆的な取組や災害等の突発的な事象への対応など,公としてその時々に応じた役割をしっかりと果たしてまいります。また,民間でできることは民間でという考えの下,京都市はぐくみプランに掲げておりますとおり,不断の検証を行いながら,あらゆる場面で民間移管の検討を行うことといたしております。鏡山保育所につきましては,事業者から地域の保育ニーズに応えつつ,施設のリニューアルにも取り組みたいとの積極的な御提案があり,民間移管に取り組むことを決定したものであります。聚楽保育所につきましては,公の施設の適正保有量の観点からも,検討を行うこととし,地域の保育ニーズやその将来予測等を踏まえまして,施設の縮小や廃止も含め,あらゆる選択肢を検討してまいります。 次に,民間保育園等職員の処遇改善についてでございます。本市では,国に先駆けて職員配置や給与の充実に取り組み,令和3年度は,本市独自に51億円もの予算を確保するなど,質の高い保育環境を実現してまいりました。その中で,国において制度拡充が図られてきており,本市独自の取組を合わせますと,保育士の年収は,全国平均356万円の1.34倍となる476万円もの水準を確保いたしております。今後につきましては,将来にわたって持続可能な子育て支援施策となるように,国制度の充実を踏まえました本市独自制度の必要性や効果の検証,利用者負担の適正化等も含めまして,あらゆる観点から検討を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 敬老乗車証制度についてでございます。この制度は,約50年前,平均寿命が男性で70歳,女性で76歳の時代に,70歳以上の方々を対象として開始した市民の税金負担によって成り立つ本市独自の制度でございます。今日,平均寿命は11歳伸び,利用者も7万人から15万人に増加しております。また,開始当時の市税負担は3億円でございましたが,現在では52億円,このままの形で制度を続けていけば,10年後には57億円に増加いたします。現在,この制度は納税者63万人から,一人当たり8,200円の御負担をいただき,敬老乗車証の利用者一人当たり3万3,000円の支援を実施することで維持されており,御利用者のうち64パーセントの方は,月々250円の御負担で市バス・地下鉄等を年間フリーパスとして御利用いただいております。今の制度のままでは制度自体が破綻するおそれがあることから,かねてより見直しの必要性を申し上げ,検討してきたところでございますが,1月に発表いたしました今後の行財政改革の視点及び主な改革事項では,ICカード化と応益負担については,より効率的な導入手法を研究するため,導入を延期することといたしました。そのうえで,この制度を持続可能なものとしていくため,必要な財源等について市民の皆様に丁寧に説明しつつ,受益と負担のバランスや平均寿命の変化を踏まえた見直し内容を検討してまいります。今後,市民意見を反映させたうえで,来年度早期に策定する行財政改革計画の中で,見直しの素案をお示しし,令和4年度予算に反映できるよう取り組んでまいります。 また,本制度の見直しと併せまして,他の歳出歳入両面にわたる様々な改革につきましても,集中改革期間に見直しを実施し,直面する厳しい財政状況を克服し,持続可能な市政運営への道筋をつけてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 学校給食についてでございます。本市では,小学校の給食は,栄養バランスの取れた愛情あふれる手づくり給食として,1日約7万食の良質で安全な食材を安定的に確保しながら,保護者の負担となる食材料費をできる限り抑えつつ実施しております。現在の4ブロック制をより細分化することは,各ブロックごとで異なる献立の下,1日当たりの各食材の調達量が減ることによって調達コストが高くなることから,1食当たり約140円と,極めて限られた副食費では実施は困難であります。地産地消の取組につきましては,現在週4回の米飯は,全て府内産米を使用するとともに,昨年度からは,京北産米を年1回,全市立小学校で提供しております。さらに,年間197回実施する給食のうち,その6割を和食献立とし,また,月1回程度,京の食文化を伝える和献立を実施する中で,賀茂なすや万願寺とうがらしなど市内産の農作物を活用した献立を実施しており,今後とも一層の充実を図ってまいります。 次に,中学校給食についてでございます。本市では,給食か家庭からの弁当持参かを全ての生徒,保護者が自由に選べる完全自由選択制の給食として実施し,就学援助世帯の給食費は無償とするなど,家庭事情等に左右されない制度として定着しております。また,本制度は,どの生徒も選択できることから,学校給食実施基準の全ての生徒を対象に実施するという要件を満たしており,文部科学省からも,学校給食法に合致するものと認められております。なお,中学校での全員給食の実施には,施設整備等に少なくとも170億円程度の予算が必要となることに加え,毎年12億円程度の運営費を本市単費で措置する必要があり,厳しい財政状況におきましては,その実施は困難でございます。今後とも,現在取り組んでおります中学生の食生活等に関する実態調査の詳細分析の結果を基に,生徒のし好や栄養摂取状況を踏まえた献立の多様化など現行の中学校給食の更なる充実に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 本日の審議は,この程度にとどめ延会いたしたいと思いますが,御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって本日はこれをもって延会いたします。 〔午後4時53分延会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          署名議員  兵藤しんいち          同     宇佐美賢一 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号956から1089まで」「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止の要請」・陳情文書表「受理番号130」「北消防署建設に係る周辺住民への配慮」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号131」「JR山科駅前喫煙スペースの撤収等」・陳情文書表「受理番号132」「保育所保育料の値上げの反対」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号133」「保護者や市民も参加する給食検討委員会の設置」・陳情文書表「受理番号134」「大宮交通公園の改善等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号135」「仁和寺前のホテル建設計画の中止等」...