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10月01日-04号

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  1. 京都市議会 2020-10-01
    10月01日-04号


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    令和 2年  9月 定例会     令和2年     定例会       京都市会会議録第4号     9月市会                       令和2年10月1日(木曜日)出席議員(65名)   1番 森川 央議員   2番 神谷修平議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 山本恵一議員   9番 かまの敏徳議員  11番 小山田春樹議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 森 かれん議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 大津裕太議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方ひろゆき議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  40番 ほり信子議員  41番 江村理紗議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  39番 とがし 豊議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年10月1日(木)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付   一般質問 (1) 市政一般について  吉田孝雄議員 (2) 市政一般について  かわしま優子議員 (3) 市政一般について  兵藤しんいち議員 (4) 市政一般について  安井つとむ議員 (5) 市政一般について  小島信太郎議員 (6) 市政一般について  森 かれん議員 (7) 市政一般について  神谷修平議員 (8) 市政一般について  くぼたまさき議員 (9) 市政一般について  宇佐美賢一議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。加藤昌洋議員と山田こうじ議員とにお願いをいたします。 この場合,市長から発言の申出がありますので,これを許します。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 昨日の本会議における西野議員の御質問に対する答弁を訂正させていただきます。 行財政改革に関する答弁のうち,「保育所」及び「保育士」につきましては,正しくは「保健所」及び「保健師」でございます。 また,消費税に関する答弁のうち,「引上げ」につきましては,正しくは「引下げ」でございます。 謹んで訂正させていただきます。 ○議長(山本恵一) お聞き及びのとおりであります。御了承願います。 進行いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願170件及び陳情27件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,吉田孝雄議員。 〔吉田孝雄議員登壇(拍手)〕 ◆(吉田孝雄議員) 伏見区選出の吉田孝雄でございます。公明党京都市会議員団を代表し,この後のかわしま優子議員,兵藤しんいち議員と共に市政一般について質問いたします。市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず,令和元年度決算と財政運営についてお聞きいたします。令和新時代は新型コロナウイルスとの戦いの渦中で幕を開けました。私たちは,まさしく人類史的な一大危機に直面していると言っても過言ではありません。財政非常事態宣言下で,安心安全,子育て環境日本一と世界の文化首都・京都,市民の豊かさ実感,そして参加と協働,自分ごと,みんなごとのまちづくりの三つの視点を重視して編成された元年度予算の執行に当たっては,縦割りの弊害を克服するべく施策の融合を重視し,丁寧な見える化に挑戦した1年であったと思います。私ども公明党議員団は,どこまでも市民の生活実感に裏付けられた議論を通して建設的な政策提言を積み重ねてまいりました。市民の皆様からお預かりした大切な税金がどのように使われ,どのような効果を出したのか,未来への先行投資はどうであったのかなど,決算を検証することは来年度予算編成だけでなく,京都の未来にとって大きな意義があると確信します。 現在,世界的なパンデミックとなっている新型コロナの影響は,本年3月までの元年度決算においては,宿泊税と公営企業の減収が総括されていますが,今年度は大幅な税収減は間違いありません。7月特別市会の補正予算で令和2年度当初予算を見直し,思い切った減額補正を敢行されました。この大胆な決断を評価するものですが,一方で,今後の在り方として十把一絡げに不要不急と即断して緊縮することは,将来への禍根となると懸念する指摘もあります。要は,大胆な選択と集中を決断する中で,見える化を促進して市民理解を求めることが大事と申し上げたい。長期ビジョンを見据え,来年度予算へバランスを持った政策判断が重要です。元年度決算の市長御自身の評価,そして財政再建と事業推進の御決意を表明していただきたい。いかがでしょうか。 次に,新型コロナ対策についてお伺いいたします。コロナとの戦いは長期戦であります。京都市においても医療機関や学校でもクラスターが発生してしまいました。感染された方や御家族に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。今なお闘病中の方もおられます。一日も早い御快癒を祈ります。感染者や濃厚接触者の方の感染経路を確認する調査は,私たちの想像を超える大変な労力に違いありません。患者さんや御家族に寄り添って,きめ細かく支える関係者の皆さんに感謝申し上げ,敬意を表します。現在の体制を拡充して感染拡大防止対策に先手を打っていただきたい,これは京都市民の総意だと確信します。感染リスクと戦いながら患者さんや高齢者,子供たちのために働く医師や看護師,介護職員の皆さん,保育士さん,児童館職員の方々などのメンタルケアが重要です。本市でもじゃっ起した風評被害は決して繰り返されてはならないと痛感します。今後,ワクチンや治療薬の開発が進むと思いますが,いまだ決定的な道筋は示されていません。3密を避ける新しい生活様式を多くの方が心掛け,支え合っていくことがベースとなる中で,保健所や医療機関,介護施設等への一層の支援が求められます。これから寒い季節になり,インフルエンザ予防接種の需要も出てきます。国や府と連携した取組の強化を求めます。8月に伏見区の介護施設に伺い懇談させていただきました。行政の支援に感謝しておられましたが,その中で特に重視されていたのが,徹底した予防策であります。ウイルスを通さない防護服や保護眼鏡,とりわけ手袋などは必需品です。先日,歯科医師会の先生方とオンラインで懇談した際も,手袋不足への懸念を指摘されていました。これらが品薄状態になって混乱しないよう,今から現場の声を把握して府と連携を重ね,先手を打っていただくことを強く求めます。 一方で,社会生活の再開は大きな課題です。経済の破綻はあってはなりません。かろうじて踏みとどまっている中小企業の皆さんから声なき声が聞こえてきます。一部から政府や行政が後手を踏んでいるとの批判が出ており,じくじたる思いです。多くの事業者が希望と期待を持てる独自の経済対策を,今後も時機を逃さず的確に打っていただきたいと思います。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(吉田孝雄議員) (続)公明党は先月の党大会で,感染拡大防止と社会・経済活動の両立を目指すポストコロナ時代の新しい社会像を提示しました。新しい社会像とは,コロナ禍で突き付けられた諸課題の克服に向けた将来ビジョンであり,一つは人間主義に立脚した生命尊厳の社会,二つは感染症のダメージを克服し,安心安全の社会を再構築するしなやかで強じんな共生社会,そして三つ目は社会的分断や格差拡大を抑えるという創造的包摂社会の三つの視点です。経済再起動と社会生活の再開の段階では,目に見える活性化策と共に長期的視野に立ったビジョンのバランスが問われます。府や国との連携を深める中で,逆にリードするぐらいの積極策で感染拡大防止と社会活動再起動を加速し,市民に安心を与えていただきたい。市長の御決意をお伺いします。 次に,障害のある方への新型コロナ対策についてお尋ねします。公明党京都府本部は,この夏,20を超える各種業界団体の方々と政策要望懇談会を開催しました。ソーシャルディスタンスに配慮し,あるときは広い場所で距離を保ってアクリル板越しに意見交換し,あるときはオンラインを介してリモート会議を実施するなど工夫を重ねたところ,各団体の方々から貴重な現場の生の声をお聞きし,先の見通せない中を懸命に奮闘されている実態への認識を新たにすることができました。その中でも特に,京都府自閉症協会の方々との懇談では,コロナ禍に直面する極めて深刻な不安の声が寄せられました。万が一,自閉症スペクトラム障害の方が感染された場合,受け入れる医療機関の体制は大丈夫なのか,あるいは保護者が感染して入院された場合,当事者本人のみが自宅待機することは不可能であるが,その場合の対策は十分なのか等々,様々な切実な不安と戦いながら日々を過ごしておられるのです。京都市では,感染リスクと戦いながら寄り添い支えている事業所への工賃助成に加え,マスクや消毒液の配布を継続してこられました。7月特別市会では,事業所に通うことをためらう当事者や御家族に配慮し,訪問などのアウトリーチ型の支援やオンラインなどのコミュニケーション型支援への補助が予算化され,準備が進められています。現在,京都市版の事業所向けガイドラインが示されているとお聞きしていますが,とかく受け身的立場を余儀なくされる障害者や御家族に対しても,分かりやすくまとめたフローチャート付きガイドラインを提供することも必要ではないでしょうか。今,町中でマスクを着用していない人が白い目で見られるような風潮が見受けられます。しかし,自閉症スペクトラム障害などの発達障害や知的障害の方々など,やむを得ない理由で,着けたくてもできない人がおられることを忘れてはならないと思います。相手の立場を尊重して支え合い,寄り添っていく共生社会を構築していくためにも,今このときにこそ,行政が積極的に障害者支援の施策を推進し,一般の市民にも共感していただけるよう,分かりやすく広報啓発するべきではないかと申し上げたい。 そこでお伺いします。コロナ禍で不安な日々を過ごす障害のある方や御家族への支援を強化する中で,御家族向けの簡便なガイドラインの提供などのきめ細かな施策展開と,地域で共生していくための環境整備,とりわけ幅広い市民に届く広報周知などを拡充するよう求めますが,いかがでしょうか。御所見を求めます。 まずは,ここまでの御答弁をお願いいたします。 ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉田孝雄議員の御質問にお答えいたします。 令和元年度決算と今後の財政運営についてでございます。本市は,市民一人当たりの市税収入が他の指定都市と比べて少なく,財政基盤がぜい弱である一方,厳しい財政の下にあっても,全国トップ水準の福祉・教育・子育て支援の維持・充実等を他都市を上回る水準で推進してきております。そのため,政策推進のための財源が不足し,この間職員3,400人の削減,年間人件費で270億円の削減など行財政改革を徹底しても,なお公債償還基金の計画外の取崩しを行わなければ収支均衡が図れない,極めて厳しい財政状況が長期間続いております。令和元年度決算も,公債償還基金を50億円取り崩しており,非常に厳しい決算となっております。 その一方で,これまでの国の政策と連携し,京都の強みをいかした経済政策が実を結び,個人市民税の納税義務者数が過去最高の67万人,市税収入が過去最高の2,770億円となるなど明るい兆しも見えてきた矢先に,今般の新型コロナウイルス感染症による急激な景気悪化という想定外の事態が発生いたしました。この影響で今年度の市税収入は,現時点で前年度から147億円の減と過去最大の減収となる見込みであり,このままでは,公債償還基金の取崩しが追加で80億円必要となる極めて深刻な状況にあります。 また,令和3年度についても,市税収入は今年度から更に108億円減収となる見込みに加えまして,施設の老朽化対策,高齢者等の増加に伴う社会福祉関連経費の伸びなどにより,現時点で500億円もの巨額の財源不足が見込まれております。危機的な財政状況にありましても,私は,何としても市民の皆様の命と健康,暮らしを守り抜く決意であります。同時に,福祉・医療・子育て支援・教育など,本市独自施策も含め施策が持続可能なものとなるよう原点に立ち返り,しっかりと再点検してまいります。さらに,持続可能な行財政の確立に向けては,本市の厳しい財政状況をしっかりと御説明し,市民の皆様と危機感を共有したうえで,外部有識者からなる審議会の公開の下での議論を徹底し,英知を結集して改革を実行してまいります。 次に,新型コロナ感染拡大防止と社会経済活動の両立についてでございます。新型コロナに直面し,感染症への備えや経済・生活基盤と人と人とのつながり,地域のきずななど,様々な課題が顕在化している今,吉田議員御紹介の生命尊厳,しなやかで強じんな共生社会,創造的包摂の三つの社会像は改めて重要な視点であります。危機を乗り越え,更にまちを強くしていくレジリエンスや,持続可能で誰一人取り残さないSDGsといった本市が大切にしてきた都市理念とも軌を一にするものであります。経済,文化芸術活動を再開し,人間らしい生き生きとした生活を営むためにも,まずはコロナの感染を抑え込み,市民の皆様に安心感を持っていただくことが不可欠であります。このため本市では,保健所機能の充実強化を図り,また独自基準によるPCR検査や積極的疫学調査の徹底を図るとともに,9月末時点で,市内を中心に府内408箇所の身近な医療機関で京都府や医師会等との連携を深め,保健所を通すことなく診療,検査が受けられる仕組みを構築してまいりました。今後これらを土台に,市民の皆さんからの受診相談を受け,診療,検査を実施する医療機関を紹介する新たな仕組みを構築するとともに,経済活動の面でも,中小企業等に対する伴走型の事業者支援や相談体制の一層の強化,飲食店等でのガイドライン遵守事業所等へのステッカー貼付等の感染防止対策の見える化に取り組み,消費,需要の回復につなげてまいります。 また,ウィズコロナ社会を見据えまして,伝統と最先端技術が共存する京都の強みをいかした経済の活性化が重要であり,このためにも,中小企業のIT導入促進やコロナ禍で明らかになってきました社会的課題の解決を図るスタートアップへの支援に加えまして,働き方改革,デジタル化などの環境整備等につきましてもしっかりと後押ししてまいります。引き続き,府や国との連携を緊密にいたしまして,積極的に提案も行いながら市民,事業者の皆様に安心感を持っていただける政策の推進に力を尽くしてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,障害のある方に対する新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。 コロナ禍においても,障害のある方やその御家族に安心して生活していただけるよう必要な情報をしっかりと届けることは極めて重要でございます。本市では,感染症発生時等における障害福祉サービス事業所向けガイドラインを作成し,これを障害者団体や家族会の皆様にも周知し,安心してサービスを御利用いただけるよう取り組んでいるところでございます。障害のある方やその御家族が感染された場合には,保健所や障害福祉サービス事業所等がそれぞれの御事情に寄り添い,入院や宿泊療養,その間の必要なサービスを確保するなどきめ細やかに対応してまいりますが,吉田孝雄議員の御指摘を踏まえ取組を一歩進め,感染時に対する不安を少しでも和らげられるよう,障害のある方や御家族のための分かりやすいガイドラインを作成してまいります。 また,ウィズコロナ社会における新しい生活スタイルの実践に当たっては,障害特性等によりマスクの着用が困難な方などがおられることを市民の皆様に知っていただき,画一的ではなく多様性,柔軟性をもって定着させることが重要でございます。そのため障害者団体等から御意見を直接お聞きし,それを基に具体的な事例をホームページで御紹介し,市民の皆様への周知を図っております。引き続き,ウィズコロナ社会においても,障害のある方やその御家族をはじめ誰もが安心して生活できる共生社会の実現に取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 吉田議員。 〔吉田孝雄議員登壇〕 ◆(吉田孝雄議員) 前向きな御答弁をありがとうございました。期待をして見守っていきたいと思います。 次に,ウィズコロナ時代の自転車政策について質疑いたします。私ども公明党議員団は,議員提案の自転車安心安全条例交通安全基本条例制定をリードするとともに,多世代にわたる交通安全教育の拡充,自転車走行環境の拡大など,本市の自転車政策充実への提言を積み重ねてまいりました。先日,自転車活用推進研究会の理事の方とお会いし,現状の課題や今後の方向性などについても意見交換しました。大宮交通公園を再整備し,令和3年に開業する予定のサイクルセンターについても,全国の識者や自治体の自転車政策担当者が注目されているとのことでした。仏作って魂入れずにならないよう,専門の方々とも連携を重ねて,あらゆる世代の方が楽しく交通マナーを学び自転車の魅力を体験できる市民のためのセンターとなることを強く求めます。 今後は,ウィズコロナ時代の自転車政策が重要となってきています。3密を避けるために,満員電車の利用から自転車通勤にシフトチェンジした方が増えてきています。子供たちの安全のためにも,自転車走行環境整備やマナー向上策の充実をお願いしたいと思います。 そのうえで,二つの施策を提案させていただきます。一つは,都市における新たな移動手段として注目されているシェアサイクルを本格的に検討していただきたいという点です。国土交通省が,本年の6月から7月にかけて,新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性について様々な分野の有識者に個別ヒアリングを実施し,まちづくりと一体となった持続可能な交通体系の構築のための論点整理を行いました。その際に,自転車,シェアリングモビリティなど,多様な移動手段の確保や自転車が利用しやすい環境整備が必要との方向性が示されました。国のシェアサイクル在り方検討委員会が,今年度末を目途に一定の取りまとめがされる予定でもあります。先月,大阪市の事業者を訪れて取材したところ,営業マンが担当エリアをきめ細かく回る利便性の高いツールとして活用されているという点や,通勤や買物の足としても需要があるとお聞きしました。諸外国や国内の先進事例を研究し,課題なども抽出する中で,識者や業界とも連携し,長期的なトータルビジョンを志向するべきであると申し上げたいと思います。 二つ目は,内外の観光客への斬新な独自サービスの一つとして自転車観光に力を入れていただきたいという点です。皆さん,「散走」という言葉を御存知でしょうか。散歩と同じように気ままに自転車を走らせる散走は,ツーリングと違って移動を目的としません。スケジュールを守ることを優先する従来の発想から転換し,気ままな,気軽な,気兼ねしない自分のペースの観光を楽しんでもらう,そういう企画がこれからは受け入れられるのではないでしょうか。しまなみ海道や琵琶湖周遊,百舌鳥古墳群など,スケールの大きな成功事例は多いです。京都は,街角や路地裏にプラスして郊外の大自然を組み合わせることができるので,まさに京都ならではの多彩な魅力を感じてもらえるのではないかと思います。3密を避ける斬新な観光として大きな可能性を秘めている散走が定着し拡大していけば,既存のレンタサイクル事業者さんや先ほど論じたシェアサイクルともうまく連動できると期待しています。是非,多角的な関係者との協議を本格的にスタートしていただきたい。ウィズコロナ時代の自転車政策としてシェアサイクルと自転車観光に光を当て,市長のリーダーシップで本格的検討を開始するべきであると思いますがいかがでしょうか。 次に,新しいアイデアを提案いたします。ウィズコロナ時代に先駆けて,街角や駅などでスマホを充電するサービスを検討してはどうかというものです。コロナ禍によってインバウンドの方々の姿が消え,今後の展望が全く立っていません。観光関連事業者の皆さんは極めて厳しい苦境に耐えておられる中,GoToトラベルやGoToEatなどの取組が進められています。近場を往来して,普段は見逃していた身近な史跡や名所の魅力を発見する旅は,リーズナブルで健康的な観光として今後の可能性があると思います。先日,大阪の自転車政策や観光スポットを現地調査しましたが,繁華街では各店舗で消毒液やアクリル板など懸命に企業努力をしておられました。少しずつ街角に繰り出す人は増えているとのことですが,最盛期からは程遠い実情です。多くの方が人の心を打つ工夫を模索しておられるのではないでしょうか。 そこで,スマホやタブレットを情報源に京都市を訪れる方のために,街角で手軽にスマホを充電できるサービスに着目してはいかがでしょうか。観光スポットなど人々が滞留される場所や地下鉄の駅など,いろいろ工夫できると思います。東京都は,平成27年に太陽光パネルからの電気でスマートフォンなどの充電が手軽にできるソーラー充電式スタンドシティチャージを,東京タワーなど都内の観光地6箇所にモデル設置されました。また,神戸市は昨年,モバイルバッテリーをシェアするサービス,チャージスポットをスタート。市役所やインフォメーションセンター,地下鉄の駅など5箇所に6台のデジタルサイネージ機能が付いた最新の機器が設置されています。確かにコストパフォーマンスや維持管理など,シビアに研究すべき課題はあると思います。しかし,技術は日進月歩で進んでいます。民間活力とタイアップして時代を切りひらいた事例は枚挙にいとまはありません。公明党青年局の調査によると,若者の要望が多い政策としてWi-Fi環境の整備と共に屋外で充電できる機器の設置が挙げられています。このようなサービスが定着すれば,スマホを片手に市内を周遊する内外の観光客だけでなく,営業マンや買い物客など幅広い市民の皆さんからも喜ばれるのではないでしょうか。少なくとも私がヒアリングした老若男女の市民の方は,異口同音にこんなサービスがあったらありがたいと評価していただいています。また,ある方は,激甚災害に直面した際に,公共の充電スポットがあることは大きな意義があるのではないかと期待しておられました。民間活力の活用は大きな可能性があると申し上げたい。 そこでお聞きします。京都に観光客が戻ってきていただくための戦略として,また市民の利便性向上の先行投資として,スマホ充電サービスの導入を検討していただきたい。いかがでしょうか,御答弁を求めます。 最後に要望をさせていただきます。昨年7月,私の地元・伏見区桃山でアニメーション会社が放火され,36人もの尊い人命が失われるという悲劇に見舞われました。心からお見舞い申し上げます。京都市として再発防止への取組を重ねる中,被害を最小限に抑える防犯,防火の在り方への協議が重ねられ,本年3月,火災から命を守る避難の指針が策定されました。それに加え,被害者やその御家族などへの支援や地域住民への配慮についても,徹底した検証と対策を求めたいと思います。私は,事件現場に殺到した記者やレポーターのメディアスクラムを目の当たりにしました。上空を飛ぶヘリコプターの爆音が何週間も続きました。マスコミの取材攻勢や,追悼に訪れるファンのけん騒に苦しむ地域住民の皆さんに寄り添い,その声を届けてきました。同じ桃山地域の居住する一人として痛感したことは,重大事件が発生したとき,地域に住む市民の受ける被害は想像を絶するということです。そして,その方々は自分たちへの支援が後回しにされているのではないかと受け止めておられるのです。私自身,今回の事件を総括し,伏見区役所や保健福祉局の職員が地域に入って,献身的にきめ細かく支援されたことを高く評価し,敬意を表している一人でございます。是非,これらの方々からの貴重な声を収集して,今後の教訓としていかしていただきたいのです。このことを心から要望させていただきます。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,吉田孝雄議員の御質問にお答えいたします。 ウィズコロナ時代の自転車政策についてでございます。本市では,今日まで市民や事業者,関係機関の皆様の御理解,御協力の下にマナーの徹底,安心安全な自転車利用の推進や放置自転車対策など,総合的な自転車政策を強力に推進してまいりました。その結果,自転車事故はピーク時から72パーセント減少,実に3割以下になり,自転車保険の加入率も83.4パーセントと,義務化前の平成28年と比較しまして約50ポイント増加するとともに,駐輪場をこの10年間で251箇所へ倍増させたことなどにより,放置自転車台数はピーク時の2万4,600台であったものが100分の1以下に減少するなど大きな成果を挙げてきております。市民や事業者の皆様の御尽力に改めて御礼申し上げます。 こうした中,現在のコロナ禍において,自転車は3密を避け,新しい生活スタイルの実践につながる乗り物としても大きく注目されております。吉田議員御提案のシェアサイクルにつきましては,公共交通機関を補完するものとして,また,市民や観光客の皆様の利便性・回遊性の向上,環境負荷の軽減にもつながる取組であります。今後,まちかど駐輪場をはじめ公共用地等を活用し,自転車の貸出し・返却の拠点となるサイクルポートを設置するなど,シェアサイクルの更なる普及促進に向けた取組を推進してまいります。 また,自転車観光につきましては,今年度補正予算を活用し,よくばり自転車観光ナビを大幅にリニューアルし,エリアごとの観光スポットに周辺の飲食店なども加えた,モデルコースの造成やPR動画の発信により,自転車観光の魅力発信に努めていきます。自転車は,幅広い世代の方々が利用され,また環境や健康増進など,様々な政策の推進にも資するものであり,京都のまちに欠かせない重要な交通手段であります。ウィズコロナ時代にあって,更なる総合的な自転車政策の推進に向けまして,来年策定する次期自転車総合計画におきまして,自転車利用のルール,マナーの徹底,安心安全の確保はもとよりシェアサイクルや自転車観光につきましても,しっかりと位置付け,市民,関係者と共にその取組を強化してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 観光戦略としてのスマートフォン充電サービスについてでございます。スマートフォンは,情報を得るための手段として今や欠かせないものとなっております。このため,本市では,とりわけニーズの高いWi-Fi接続環境の整備にいち早く取り組み,市民や観光客の皆様の利便性の向上に努めてまいりました。スマートフォン充電サービスにつきましては,近年では,本市におきましても携帯電話ショップのみならず,コンビニエンスストアやファーストフード店,喫茶店などにおいて,サービス向上の一環として無料で充電ができる店舗が増加してきております。また,モバイルバッテリーシェアリングサービスを導入している店舗も増加してきており,今後,このような取組を市民や観光客の皆様に広く知っていただけるよう,まずは京都観光ナビの活用など情報発信に努めますとともに,おもてなし向上の一つのツールとして観光関係事業者等で共有してまいりたいと考えております。他都市におきましては,平常時にはモバイルバッテリーシェアリングサービスとして供用し,災害時には無償でバッテリーを貸し出していただく防災協定を民間事業者と締結している事例もございます。吉田孝雄議員御提案の趣旨を踏まえまして,このような民間活力をいかした他都市の事例も参考にしながら,市民や観光客の皆様が快適にスマートフォン等を利用していただける環境の整備に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,かわしま優子議員に発言を許します。かわしま議員。 〔かわしま優子議員登壇(拍手)〕 ◆(かわしま優子議員) 伏見区選出のかわしま優子でございます。公明党京都市会議員団を代表し,吉田孝雄議員に続き,兵藤しんいち議員と共に質疑をさせていただきます。 冒頭に,新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに,闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。また,社会生活をお支えいただいている全ての皆様に深く感謝申し上げます。今,世界中が新型コロナウイルス感染拡大をはじめ,厳しい試練に直面する中で,ニューノーマルと言われる新たな社会活動の在り方が希求されています。コロナ禍という難局において,どこまでも市民の不安に寄り添い,新しい時代をひらく決意で質問をさせていただきます。市長並びに理事者におかれましては,希望あふれる誠意ある御答弁をお願いいたします。 初めに,デジタル・ミニマムを基本理念としたデジタル化の取組について質問いたします。新型コロナウイルス感染症の拡大により,テレワークや教育,医療の分野でもオンラインを活用した取組が行われました。また,特別定額給付金や持続化給付金の申請では,デジタル行政のインフラ整備が課題となったことからも今後,ウィズコロナ,アフターコロナといわれる新たな社会活動を行う上で,デジタル化の推進の必要性が明らかとなりました。こうした現状を踏まえ,国においては,デジタル化社会を社会変革の原動力とするデジタル強じん化の実現に向けた方針が示されました。テレワークや教育,医療の分野で,デジタル化の推進は必須であることは言うまでもありませんが,新型コロナウイルス対策や近年頻発する災害についても,被害を最小限に抑えるための活用など,社会生活のあらゆる面で利活用が求められています。また,行政においてデジタル化を進めることは,市民サービスの向上と市職員の働き方改革,行政運営の効率化にもつながります。デジタル化の普及を進めるには,このような利点を誰もが実感できるよう推進していかなくてはなりません。そのうえで大切なことは,誰も取り残されないようにすることです。デジタル弱者への十分な配慮として,丁寧な説明や誰もが使いやすいものを構築していくことが求められます。そのためには人材の育成,確保が必要です。本市では,中小企業支援事業など行っていますが,これからのデジタル化を見据え,例えばデジタルに通じた学生や若い人材が一定期間,京都で力を発揮してもらうような仕組みづくりなど,京都の強みをいかした産官学が連携した人材育成と確保の取組等を考えていただくことを要望します。 また,Wi-Fi環境がない,端末が持てない人への支援も必要です。このコロナ禍において,リモートで離れて住む子供と通話がしたい,またリモート診療を受けたいという高齢者の方から,スマートフォンは持っているが使い方が分からない,Wi-Fiの環境がないという相談をお聴きしました。高齢の方は,端末はあってもWi-Fiを引いていないためにリモートが利用できないという方がたくさんいらっしゃいます。また,学びの保障の観点から,子供たちや学生への支援も必要です。デジタル化においては,一人も取り残さない,全ての人が最低限必要な技術を使えるように保障するデジタル・ミニマムの理念が重要です。そこで,あらゆる人がデジタルの恩恵を受けることができるよう,高齢者などデジタル弱者や子供たちと学生への配慮として,敬老Wi-Fi,スタディWi-Fi等の制度を検討するなど,デジタル化については誰も取り残されないように進めていく必要があると考えますが,いかがでしょうか。本市の行政におけるデジタル化への考えと併せてお聞かせください。 次に,働き方改革に向けたテレワークの推進についてお伺いいたします。少子高齢化,人口減少が進む中,個々の事情に合った柔軟で多様な働き方の実現を目指して2019年4月に働き方改革関連法が施行され,働き方改革の実現に向けた取組としてテレワークが推進されてきました。普及率が伸び悩む中で,コロナウイルスの感染拡大により一気に導入が拡大しましたが,準備が十分でないままに実施されたことで,情報漏えいや就業者の労働の管理,コミュニケーションなど様々な課題が浮き彫りになりました。また,中小企業では,適した業務がないことや通信設備や書類の電子化が整っていないことなどの理由により,実施率は2割程度と低い状況です。テレワークを実施した企業も,その後約4分の1が取りやめてしまったそうです。テレワークを実施しなかった企業も,定着しなかった企業も,新しい働き方が進まないのは同じ理由によると考えられます。 テレワークは,社会にとっては,労働力人口の確保や地域の活性化,環境負荷の低減など,企業にとっては,生産性の向上や優秀な人材の確保,コスト削減など,就業者にとっては,多様で柔軟な働き方の確保や仕事と育児・介護の両立など様々なメリットがあります。テレワークを促進するには,働く人や地域企業にこういった効果を具体的に知っていただくことが重要ではないでしょうか。同時に,それぞれの業務にどのようにいかせるかを検討できるような機会を提供していく必要があると考えます。新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい,働き方を含めた社会や経済の在り方が大きな変化を迫られる中で進んだテレワークですが,今後も経済の再生,東京一極集中のリスク回避に向けた分散型社会への転換へ向けてテレワークの普及は不可欠です。本市では,これまで中小企業等IT利活用支援事業などに取り組んでこられ,本9月市会にも追加の補正予算が提案され可決されたところです。私は,この新型コロナウイルス感染症拡大を機に,働き方が大きく変わり,企業にとっては活性化が進み,何より京都で働く方々がワーク・ライフ・バランスを向上させ,多様な働き方が実現できるようになった。そう実感できるテレワークを普及促進していくべきと考えます。 そこでお伺いいたします。今後,本市においてテレワークを推進し定着させていくために,また,多様な働き方の実現に向け,国や経済界と連携し,市内の地域企業に向けたテレワーク推進チャレンジガイドの策定をするべきと考えます。あわせて,京都の魅力をいかした企業の活性化や,京都で働く人や企業が集まる都市を目指したテレワークの推進に向けてどのように取り組んでいかれるかお聞かせください。 まずは,ここまでの,御答弁をお願いいたします。
    ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) かわしま優子議員の御質問にお答えいたします。 企業におけるテレワークの推進についてでございます。テレワークは,御指摘のとおり多様で柔軟な働き方を実現するものであり,京都でもコロナ禍を契機に導入している企業が増加してきております。一方で,中小企業を中心として,何から取り組んだらよいか分からない,労務管理が難しいなどの理由により,なかなか導入が進まない,あるいは一旦導入したものの取りやめてしまったといった実態もあり,本市としてもしっかりと支援していくことが極めて重要であります。このため,本市では,今年度から新たに市内の中小企業を対象に,初めてのテレワーク導入セミナーを開催するとともに,7月補正予算により,IT利活用支援事業を創設し,実施しているところでありますが,かわしま議員から御提案いただいておりますテレワーク推進チャレンジガイドのアイデアも参考にさせていただき,先進企業の取組事例や効果的なテレワークの手法,国も含めた様々な支援策等を分かりやすく発信してまいります。同時に,テレワーク導入の前提として必要不可欠な中小企業におけるIT化やデジタル化を,国等が推進する様々な施策とも連携しながらしっかりと後押しすることで,ウィズコロナ,アフターコロナの時代を先導する魅力ある産業都市を目指してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 本市におけるデジタル化の推進についてでございます。本市では,情報通信技術,いわゆるICTの発展に的確に対応し,市役所業務の改善,効率化はもとより,市民サービスの向上や地域経済の活性化などを図るため,京都市高度情報化推進のための基本方針を策定し,戦略的かつ積極的なICTの活用を進めているところでございます。本年7月には,骨太の方針2020が閣議決定され,この中で行政手続のオンライン化やワンストップ化などの取組を加速させることが求められており,また今般,政府においても行政のデジタル化を強力に進めていく方針が示されました。本市といたしましても,国の動向をしっかりと捉えながら,例えば行政機関に実際に足を運ばなくても手続ができるリモート社会の実現に向け,書面,押印,対面を不要としデジタルで完結できるよう,まずは行政手続や法令上の課題の洗い出しと整理,分析を進めてまいります。こうした取組を進めるに当たりましては,かわしま優子議員御指摘のとおり,子供たちから高齢者の方まで誰一人取り残さないという観点は極めて重要でございます。全ての市民の皆様にデジタル化の恩恵を実感していただけるよう,本市行政のデジタル化を推進するための庁内体制を確立するなど,全庁的な視点で検討を進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) かわしま議員。 〔かわしま優子議員登壇〕 ◆(かわしま優子議員) 続きまして,防災士による防災力の向上に向けた取組について質問いたします。助けられる人から助ける人へとの理念の下,自助,共助,協働を原則として,社会の様々な場で防災力を高める活動を行う防災士。阪神・淡路大震災を教訓として,民間の防災リーダーを養成する目的で創設されました。災害対策にあっては,まずは自分の命は自分で守る。この自助が何よりも大切です。そのうえで人々が互いに助け合う共助が大切になります。このような自助,共助といった防災意識を高める上で,防災士の果たす役割は大きいと考えます。私も防災士として,京都市の防災力の向上のお役に立ちたいと願っている一人です。防災士は,平常時には防災力向上の啓発活動として,大きな講演会から少人数の小さな集まりまで,柔軟に各種団体からの依頼に応じて防災活動の普及に努めていただいています。災害時にはそれぞれの所属する団体,企業や地域などの要請により,避難や救助・救命,避難所の運営などに当たるなど,組織やボランティアの人達と協働して活動を行います。私の地元,伏見区で活躍されている中学生の防災士大川くんは,上級救命講習や応急手当普及員の講習を受講する中で,自分が知るだけではなく,普及啓発の必要性を感じたそうです。そこで,自身が通う東山中学で救命講習会を企画。これまで2回の開催で,生徒と先生合わせて30名の方が参加されたとお聞きしています。このように,防災士は多才で多様なスキルを持った人材が防災力の向上に努めておられます。 また,今年は,新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,3密を防ぐ避難所運営など,災害に新たな対策を備えなければならなくなりました。本年7月豪雨の被害を受けた熊本では,感染を防ぐためボランティアを県内や市町村内の人に限定したため,人手が不足しました。感染症対策を採りながらの災害時には,限られた人手でいかに避難者を細やかに支援できるかということが求められることが分かったそうです。本市においては,日頃から消防団をはじめ自主防災組織等が地域の防災に対する自助,共助への意識と対応力を高め,公助を補完する活動に昼夜を分かたず従事してくださっています。昨今,台風や大雨などが頻発し,甚大な被害も広がる中で,より多くの防災力を糾合していくことが必要になるのではないでしょうか。その意味から,今後,本市の防災力向上のために,防災士の方々に更に活躍していただきたいと考えますがいかがでしょうか。 次に,心の病気を正しく知って適切に対応するための取組について質問します。心の病気は特別な人が掛かるものではなく,誰もが掛かる可能性のある病気です。心の病気になった場合も,体の病気と同じように早期に治療を受けることが大切です。そのためには,心の病気について,意識や関心を高め偏見をなくし,正しい知識を普及することが必要です。現在,国内で心の病気の患者数は400万人に上ると言われています。これは国民のおよそ30人に一人の割合です。欧米などに比べてり患率が低い統計結果が出ていますが,この数字は医療機関を受診して顕在化している患者数であって,受診をしていない方を含めると4人に一人は生涯のうちに何らかの心の病気に掛かるとも言われています。その多くは治療をすることで回復するとされていますが,まだまだ理解が進んでいないことから,心の不調を感じてもなかなか医療機関を受診されないといった問題や,周りから理解されにくいために,頑張ればできる,怠けていると思われ病状を悪化させてしまうこともあります。私の下にも,御家族や知人に心の病気が疑われるが,病院の受診を勧めても応じてもらえない,また,どのように接したらいいか分からないといった御相談をお聞きしています。本市では,こころの健康増進センターや区役所・支所の保健福祉センターにおいて情報提供や相談事業等をされています。しかし,近年心の病を抱える人は増えており,また「コロナ鬱」という言葉が生まれるなど,コロナ禍ではさらに増加が懸念されています。心の病気を正しく知り,早く気付いて適切に対応することで,重症化させないためには普段から心の病気について理解を深めることが重要です。 そこで,身近な人ができる支援にメンタルヘルス・ファーストエイドという支援があります。オーストラリアで開発され,国内では東日本大震災における被災者支援やひきこもり対策など様々に活用されています。メンタルヘルス・ファーストエイドは,五つのステップからなる行動計画で,1,声を掛け,自傷・他害のリスクがないかを評価,2,決め付けず,批評をせずに話を聞く,3,安心と情報を提供する,4,専門家のサポートを勧める,5,自分でできる対処法を勧める。「りはあさる」と覚えられます。こころの不調のある方に対して身近な方が,専門家の支援の前にどのように支援するかという対応を身に付けるプログラムです。このプログラムを通して,メンタルヘルスに関する知識を広め,偏見や差別を減らし,周囲の気付きや支援を提供する機会を増やすことが期待できます。また,近年心の病気は,低年齢化し,半数以上が10代半ばまでに発症しているという研究もあることから,早い時期に心の不調を正しく知る機会があることが望まれます。 そこで,心の病気を正しく知って適切に対応するために,メンタルヘルス・ファーストエイドの普及を行うことと併せて,子供たちへのメンタルヘルスの充実に向けた学校教育での取組についてお考えをお伺いいたします。 最後に,コロナ禍における産前・産後ケアの充実について伺います。私たち公明党は,子供は未来の宝との理念の下,産前・産後ケアの充実に積極的に取り組んできました。現在コロナ禍の中で,リスクを抱えながら子供を産み育てておられるお母さんたちは,経済的にも心身共にも大変な状況にあり,今後も長期化すれば更に影響が拡大することが予想されます。私は,この間,コロナ禍で出産されたお母さんやその御家族から様々なお話をお聞きしました。新しい家族を迎えた喜びは当然のことながら,お母さんは妊娠中は感染やお腹の子供への影響などの不安を抱え,出産時には付き添いもなく一人で出産を迎え,出産後も配偶者や家族との面会は制限されるなど,生活費等の経済的不安感と共に,平常時にはない精神的な不安やストレスがあったそうです。さらに,感染防止のため外移動制限により,里帰り出産を控えるよう呼び掛けられたこともあり,コロナウイルスは,出産,子育てをするお母さんを孤立化させているといえます。京都市では,これまでから様々に産後ケアに取り組んでおられますが,私は,コロナ禍で多様なリスクを抱えておられる妊産婦に対しては,新しい生活様式など,コロナ禍に対応した支援策を講じることが大切ではないかと考えます。例えば,孤立化によるストレスや不安を軽減するための取組としてオンラインによる相談体制の確立や,現在実施されている母親の心身をケアする病院型スマイルママ・ホッと事業のホテル型への導入の検討など,コロナ禍に対応した施策展開が必要ではないでしょうか,いかがですか。赤ちゃんにとっては,人生の心理的健康を形成する最も大事な時期に,母親の心身が安定することが何よりも重要だと言われています。コロナ禍における産前・産後のケアの新たな取組について市長の答弁を求めます。 以上で私の質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,かわしま優子議員の御質問にお答えさせていただきます。 コロナ禍における産前産後ケアの充実についてでございます。コロナ禍においても,全ての妊産婦と子供を守り抜く。この決意の下に,例えば全国に先駆けて実施した出産前の妊婦に対するPCR検査費用の支援はもとより,赤ちゃん訪問や産婦健診を通じて,お一人お一人の不安に寄り添いながら丁寧な支援を積み重ねてまいりました。かわしま議員御紹介の産後ケア事業につきましても,従来は緊急時の対応等に考慮しまして医療機関に限定していましたが,感染症拡大を受け,宿泊施設でも実施を認める臨時的な取扱いを現在行っております。また,窓口相談につきましても,タブレット端末を用いたオンラインによる試行実施の準備を今進めております。本市では,3箇月未満乳児を対象に産後ケア事業を実施しておりますが,来年4月から改正母子保健法が施行され,これまで任意であった産後ケア事業の実施が市町村の努力義務となるとともに,対象月齢が生後1年未満に設定されるなど,より一層取組が推進されることになります。今後,これまでの取組の実績をしっかりと分析するとともに,母子保健法の改正趣旨をしっかりと踏まえまして,より効果的,効率的に産後ケア事業を展開できるよう積極的に進めてまいります。引き続き,コロナ禍におきまして,お一人お一人の悩みや不安に気付き,必要な支援につないでいく取組を徹底し,誰一人取り残さないよう取組を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 心の病気に対する取組についてお答えいたします。鬱などの心の病気は,御本人や周りの人々の理解が進んでいないために受診が遅れがちになる傾向があり,身近にいる方が,必要な対処法の知識を身に着けておくことが,早期介入と早期治療を可能とし,病状の進展と重症化リスクの低減につながります。本市でも,かわしま優子議員御指摘のとおり,初期支援の取組が重要であるとの認識の下,心の不調を示すサインに気付き,適切な対応を図るゲートキーパー養成研修をはじめ,初期対応の研修を実施してまいりました。御提案いただいたメンタルヘルス・ファーストエイドの普及につきましては,心の病気への初期支援に大変有効なものであり,医療や福祉の関係者だけではなく,講演会の開催等,一般市民の方々にも広く普及させる取組を展開してまいります。学校教育における取組につきましては,小学校6年生の保護者に思春期の心のありようや精神疾患を取り上げる冊子を配布し,啓発に取り組むとともに,スクールカウンセラーの拡充など相談しやすい環境づくりに努めてきまいりました。また保健の学習では,小学校から心の健康等について学習しておりますが,新学習指導要領では,体ほぐし運動など具体的なストレス対処方法の実践が記載されており,指導計画の改訂や教員研修の充実に今後引き続き取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 三科危機管理監。 〔三科危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(三科卓巳) 防災士による防災力の向上についてでございます。防災士は,阪神・淡路大震災を教訓に,地域の防災力を向上させるリーダーを養成する目的で創設された制度であり,災害時はもとより,復旧,復興に係るボランティア活動の担い手としての役割が期待されております。一方,本市では,長い歴史の中で培われた住民自治の伝統や支え合いの精神に基づき,強く結び付いた地域コミュニティが形成され災害時の対応にもいかされてまいりました。とりわけ,自主防災組織や消防団,水防団は,共助の担い手として,平時には防災に係る普及啓発活動を,また災害時は避難所運営や応急対策活動を担っていただいております。こうした地域に根付いた自主防災組織などの防災力を補完,強化する役割を期待し,防災士の方々には,これまでから,各行政区の防災訓練への参画や講習会における講師,コミュニティラジオを活用した普及啓発,防災に関する相談会の開催など,防災士としての知識や経験をいかして,精力的に活動いただいているところでございます。今後とも,頻発する自然災害に対する被害の軽減と迅速な復旧,復興に対応するため,地域の皆様の自助,共助の取組をより一層サポートするとともに,防災士の皆様に対しましても,訓練等への参画の要請など,積極的な働き掛けを行い,連携して防災力の向上に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,兵藤しんいち議員に発言を許します。兵藤議員。 〔兵藤しんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(兵藤しんいち議員) 北区選出の兵藤しんいちでございます。吉田孝雄議員,かわしま優子議員と共に,公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに関係理事者の皆様におかれましては,どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。なお,質問に入らせていただく前に,新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々へ御冥福をお祈り申し上げますとともに,保健医療・介護関係者をはじめ,対応に御尽力されている全ての皆様へこの場をお借りして心から感謝を申し上げます。 まず初めに,聴覚障害児への支援についてお伺いいたします。厚生労働省では,昨年3月より,難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクトを立ち上げ,同年6月にはその提言がまとめられ報告されています。難聴は,早期に発見し適切な支援が行われた場合には,有効な音声言語の発達を促すことが認められており,難聴児及びその家族に対して,都道府県及び市区町村の保健,医療,福祉及び教育に関する部局や,医療機関等の関係機関が連携して支援を行うことが大切とされています。この報告の中では,新生児期から乳幼児期,学齢期まで切れ目なく支援していく連携体制を整備することが重要であるとともに,日本のどこに住んでいても支援を受けることができることが必要であるとしています。そのような中,本市では,本年4月1日より新生児の聴覚検査費用助成事業が始まり,まずは,難聴児支援の充実に向けた新たな一歩が進められました。大変喜ばしく思っております。近年,医療技術の進歩により,言語習得期前後の年齢1歳以上かつ体重8キロ以上の小児への人工内耳の手術が可能となっております。人工内耳は,補聴器とは違い,幼少期に生に近い声や音を記憶にとどめることができるとされており,保護者の声や身の回りにある自然の音などを覚えておいてほしいとのことから,人工内耳を入れることを希望される保護者が多いと言われています。 また,日本耳鼻咽喉科学会によると,言語習得期以後に失聴となり補聴器の効果が十分でない高度難聴と確認された後でも,獲得した言語を保持し失わないために,人工内耳を早期に検討することは望ましいとも言われています。しかしながら,手術をはじめ維持費が高額であるために悩まれる保護者も多くおられるのが現状です。人工内耳の手術と装置自体は医師の診断により保険適用となりますが,術後の維持管理のための部品には保険適用がなく,実費となってしまいます。今年度から人工内耳の修理における費用については,補装具の種目,購入等に要する費用の額の算定等に関する基準により補装具費支給項目が新設されましたが,上限は3万円に限定されております。現状,人工内耳のメーカーは国内にはなく,海外3社のみで価格競争もありません。概算では電池1個で約1万8,000円ほど掛かり,かつ半年から1,2年で交換が必要です。また,充電サイクルに支障があるため,充電器も3万円ほどのものを数年で買い換える必要があります。これら経済的負担を軽減するため,全国で人工内耳の助成等を行っている自治体は,現時点で200以上あると聞いております。京都府内では長岡京市が2018年4月から,18歳までの子供を対象に体外装置の買換えや電池交換費などに対する一部助成を開始しています。また,他の政令市においては,静岡市,浜松市,名古屋市,堺市,神戸市,岡山市,広島市,熊本市,福岡市などがそれぞれ助成事業を実施しております。これら人工内耳の助成を望まれている声は多く上がっており,本市でも人工内耳装着の小児難聴の子供への助成制度の創設が必要と考えますが,いかがでしょうか。 次に,ひとり親家庭の貧困対策についてお伺いいたします。昨年12月,最高裁判所司法研修所では,昨今の社会生活水準に鑑み,離婚訴訟などで子の養育費を計算する目安として使われる養育費算定表を16年ぶりに改定いたしました。ひとり親世帯の生活困窮を踏まえ,全体として養育費が増額されたわけであります。しかしながら,実態としてDVからの離脱や配偶者の音信不通など,離婚の状況によっては養育費を受け取れず,生活が困窮しているひとり親世帯が多くあることも事実です。厚生労働省の2016年の調査では,ひとり親世帯の親の平均就労所得が,父子世帯で398万円,母子世帯で200万円と,特に母子世帯の収入が低く,生活が困窮しがちであることを物語っております。同じ調査では,養育費を受け取っている母子世帯が僅か24.3パーセントであることも明らかとなっており,大人が一人で子供を育てる世帯の約半数が貧困水準にあるとの調査結果も出ております。児童扶養手当やセーフティネットとしての生活保護の社会保障もありますが,これら養育費不払いの状況が,近年問題となっている子供の貧困問題の要因となっていることは明白であり,看過できない状況であるといえます。 このような中,養育費の支払いに向けて自治体が支援を行う例が増えてきております。兵庫明石市では,2014年から養育費に関する支援制度を導入しており,2018年には民間との連携による養育費の立替・回収制度を実施。今年度は養育費の取決めや調停調書,公正証書の作成などのサポート事業も始めております。そのほかにも政令市では,大阪市,神戸市,福岡市,仙台市などが実施。政令市以外でも東京都豊島区,千葉船橋市,神奈川横須賀市,愛知県知立市,滋賀湖南市などが何らかの形で養育費に関しての支援を実施しています。本市では,1982年の母子福祉センターに始まり,現在のひとり親家庭支援センターゆめあすに至るまで,一貫してひとり親家庭の支援を実施され,無料の法律相談や養育費,面会等への相談を行なってこられました。そのかいもあって,本市における母子世帯の養育費支払い率は36.2パーセントと全国平均よりも上回っております。しかしながら,ひとり親が離婚に至る過程の中で,養育費を得るまでには様々な手続を経る必要もあり,その負担は想像以上に大きいものです。そこで,子供やひとり親家庭の貧困問題を解消するためにも,まずは,これら離婚・養育費問題が発生する初期の段階から寄り添い型の相談と支援を受けられ,養育費の取決めから回収までをサポートするワンストップ機能が本市にも必要と思われますが,お考えをお聞かせください。 次に,動物愛護事業の拡充についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症により外出を控える人々も多い中,高齢者も同様に外出を控えておられる方も多いことと思われます。そのような中,独り暮らしの高齢者にとっては,ペットである動物が唯一の家族として一緒に暮らしていることも多く見受けられます。普段は問題なく飼育できていても,飼い主である高齢者が病気入院や要介護となった場合に,一時的に動物の世話をする人に困るという事態に陥ります。親戚や友人,知人に頼める場合は問題ありませんが,全くの天涯孤独であった場合に,行き場のなくなった動物の問題が発生いたします。私自身,介護福祉の現場で働いていた時代に,独り暮らしの高齢者が入院や施設へ短期入所する際に,動物の世話をする人が見つからずに困ったことがありました。結局,介護現場の人が世話をしたり,預かる人を探すなどの負担を強いられることとなり,場合によっては殺処分にもつながってしまいます。本市では,京都市動物愛護行動計画を2009年4月に策定し,2016年3月の改定を経て今日まで取り組んでこられましたが,来年4月には次期改定計画の策定も予定されております。その計画の目標達成の具体的取組の中に,独居高齢者対策も盛り込まれる予定であると伺っております。そこで,この機会に,独居高齢者が入院や施設入所などやむを得ない事情等により一定期間,犬,猫など,飼っている動物の面倒が見られないような場合に,これを預けられるシステムの構築について御検討いただけないでしょうか。これは,むしろ高齢者福祉,独居高齢者のQOLの問題にもなるかもしれませんが,まず,地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等の介護関係者からもヒアリングを行うなど,独居高齢者のペット飼育の実態や一時預かりのニーズについて把握していただき,動物愛護団体やボランティア,また,ペットホテルやペットシッターなどの民間事業者などとのマッチングを行うことで,使い勝手の良いサービスの枠組みを構築できるのではないかと考えますがいかがでしょうか。 続いて,動物愛護に関して,野良猫対策についてもお聞きいたします。本市では,野良猫を減らすことを目的に,2010年からまちねこ活動支援事業を制度化され,これまで多くの野良猫を不幸な状態から救いながら,数を増やさないための取組をされてこられました。2015年3月には,京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例も制定され,本市としても府市協調による京都動物愛護センター事業をはじめとして,人と動物の共生する社会の実現に向けて,鋭意取り組んでこられたことと思います。本来,猫は家で飼い愛護するのが正しい姿ですが,それができない場合の方策として,野良猫を減らすことを目的に,野良猫を捕獲し避妊去勢手術を行なったうえで元の場所に戻す活動,いわゆるTNR活動があり,本市においても,自らの費用や慈善団体の援助で手術の費用を賄いながら取り組んでいる方々がおられます。しかしながら,野良猫には不適切な給餌やふん尿被害などの問題もあることから,これらの問題も併せて解決できるよう,本市では,地域住民の理解と協力の下,ルールに基づく適正な管理を継続的に実施していただくまちねこ活動の制度を設け,登録された地域に対して,無料の避妊去勢手術の実施などの支援を行っています。まちねこ活動は,市内各地域で取り組まれ,着実な成果を挙げてきたところですが,一方,要件が整わず登録に至らないため,野良猫対策がなかなか進められないという声も伺っております。そこで,まちねこ活動以前の段階において,避妊去勢手術をはじめ野良猫対策に取り組もうとする方々を支援し,最終的に,まちねこ活動の登録が受けられるようにしていく取組も必要ではないかと考えます。昨年6月,動物愛護法が改正され,2022年には犬,猫へのマイクロチップの義務化も施行されることとなり,ますます動物を正しく愛護し,飼育することが大切となってまいります。本市が今まで以上に人と動物の共生が進んだ社会となることを願っております。それらを踏まえてのお考えをお聞かせください。 最後に,魅力ある夜間景観づくりに向けた取組についてお伺いいたします。近年,身の回りの照明器具は,環境面から消費電力の少ないLEDへと切り替えが進んでおります。特に,市内の街灯はかなりの割合でLED化が進んでおりますが,色温度を示すケルビン数が5000ケルビンから7000ケルビンという昼間の太陽光とほぼ同じ光となっております。これらは農作物や昆虫などの動植物に影響があるとも言われており,特にこの白い光は夜空へ影響を及ぼし,光の公害と言われる光害の原因ともなっております。本市では,2006年11月の時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会の答申に基づく屋外広告物の規制により,夜間の雑然とした広告照明や看板照明をなくしてきたところでありますが,現在は,新景観政策の更なる進化として,魅力ある夜間の景観づくりに向けた指針を作成されていると伺っております。昨年9月から本年4月にかけては,それに向けた取組として市内5箇所で社会実験も実施されており,それらの結果を踏まえての指針づくりと理解しております。この実験の中では,西陣地域と円山公園においてLEDの街灯を白色から電球色に変更するフィルターを設置しておりました。実は,色温度を3,000ケルビン以下の電球色にすることは,光害に対しても有効であり,京都らしい夜間の景観を醸し出すとともに,星空にも優しいまちづくりができることにもつながります。今や京都市内中心部と周辺の空は,天の川はおろか星座の形や場所によっては月さえも見えにくい夜空となってしまいました。私は,星空案内人・星のソムリエとしてのボランティア活動もしておりますが,京都が10年先,20年先,100年先までも美しい星空を眺められる都であることを強く願っております。 本年6月,日本政策投資銀行と日本交通公社が行なったインターネット調査では,新型コロナウイルス感染症が収束した暁には行きたい国の第1位に日本が選ばれました。私自身はその中でも特に京都に来ていただけるものだと確信いたしております。ポストコロナ社会を見据え,未来まで続く魅力ある京都を是非築いていただきたいと思います。例えば,北区にある船岡山公園は,西陣を中心とした地域活性化ビジョンの一つとして頂上にある桜等の樹木の整備を行い,新たな観光スポットとして位置付けられておりますが,昨年は,インターバル速歩のコースも完成し,地域の人々にとっては朝のラジオ体操等も含め健康づくりにも使われている場所でもあります。実はこの公園は,頂上からカノープスという南国でしか余り見ることのできない星が見られる貴重な場所でもあります。冬から春にかけて南の地平線ぎりぎりにしか見えないこの星を見ると,長生きができるとの言い伝えもあり,まさに船岡山にふさわしいものであります。この船岡山も夜間景観づくりの一環として,昼も良し,夜も良しの船岡山公園との位置付けにしていただきたい。現在のコロナ禍において,3密を防ぎながら観光できる場所としても有意義ではないでしょうか。本市は,天体物理学者でもあるミュージシャンのブライアン・メイ氏も来訪したことのある京都大学花山天文台をはじめ,近年研究成果を挙げている京都産業大学神山天文台,そして,本年10月10日に最新鋭プラネタリウムがリニューアルオープンする予定の京都市青少年科学センターなど,天文分野の文化の振興でも秀でております。 そこでお聞きいたします。魅力ある夜間の景観づくりの指針の策定に当たり,環境省の光害対策ガイドラインやIDA・国際ダークスカイ協会の基準等も踏まえた光害に配慮した照明により,京都の美しい夜間景観と共に美しい夜空も取り戻していただきたいと考えますが,本市のお考えをお聞かせください。 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴,ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 兵藤しんいち議員の御質問にお答えいたします。 まず,動物愛護事業の拡充についてでございます。犬猫をはじめとしたペットは,飼い主にとって心に潤いを与えるなくてはならない存在であります。しかしながら,飼い主が高齢となられ,心身の不調から入院や介護施設の利用が必要となって,十分に面倒を見ることができずお困りになる事例は,高齢社会が直面する大きな課題であると認識しております。ペットの命がある限り,最期まで適正に飼い続けることは飼い主の責務であり,また,動物愛護管理法においても飼い主の責任と定められております。現在見直しを進めております本市の動物愛護行動計画の策定に当たりましては,高齢者の皆様が十分面倒を見られなくなった際にも飼い続けていけるような取組について,関係者との協働により解決を図るといった視点で検討しているところであります。具体的には,兵藤議員の御指摘のとおり,独り暮らしの高齢者の皆様や介護関係者の方々に対して,どのような支援があればよいのかといったアンケートやヒアリングを丁寧に行い,その結果をペットホテルやペットシッター等の民間事業者にお伝えしていくことで,ニーズに合った活用しやすいサービスが提供されるよう取組を進めてまいりたいと考えております。次期動物愛護行動計画にその対策をしっかりと盛り込んでまいります。 次に,魅力ある夜間景観づくりについてでございます。兵藤議員からすばらしいお話を聞かせていただき感銘を受けております。町家の格子から漏れる明かりや,鴨川の水面に映る納涼床の明かりなど,京都には個性豊かで多彩な夜間景観が各地にございます。中秋の名月を愛でる伝統行事も随所で行われております。百人一首には月を詠む歌が12首もあるように,時の移ろいと共に変化する夜空に風情を感じてきた日本人の感性や歴史,文化をしっかりと未来の世代へ継承することも極めて重要であります。新景観政策の更なる進化では,景観の概念を見る景観から,感じる景観,生きた景観へと広げ,市民の皆様や京都を訪れる方々に,夜においても,京都の歴史や文化,伝統を深く感じていただけるよう景観づくりを進めようと,この間検討してまいりました。先ほど,兵藤議員から御紹介いただいた社会実験も踏まえまして,市民の皆様とも議論を深めながら,夜間景観に関する理念や方向性を共有するための指針を策定する予定でございます。兵藤しんいち議員御指摘のとおり,照明の明るさや色,方向を周囲の環境に配慮して適切に設置することが重要であり,指針ではそうした技術的な配慮事項を盛り込むとともに,暖かみのある明かりで映し出される歴史的な町並みや鴨川の水辺など,地域の特性に応じた夜間景観の在り方を示してまいります。指針をみんなで活用し,夜空の美しさや地域ごとの趣きが調和した夜間景観づくりを市民の皆様と共に進め,京都の夜がより一層魅力的になるよう取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,ひとり親家庭への支援についてお答えいたします。兵藤しんいち議員御指摘のとおり,ひとり親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のため,養育費の確保は極めて重要なことでございます。一方,養育費は,子供の親権や財産分与等と合わせて,離婚の際に当事者同士で協議されるものであり,DVや虐待等の緊急を要する世帯を除いては,離婚成立前に家庭裁判所の案内や一般的な制度説明を超えて支援することは困難な状況にございます。こうした中,本市においては,ひとり親家庭支援の総合的な相談窓口であるひとり親家庭支援センターゆめあすにおいて,安定した生活確保の観点から,無料法律相談や養育費の取得手続に関する講習会の実施など丁寧な支援を進めてまいりました。その結果,本市の母子家庭では,養育費の取決めをしている割合は,全国平均が42.9パーセントのところ49.2パーセント,50パーセントに近く,受け取っている割合が全国24.3パーセントのところ,36.2パーセントと,それぞれ全国平均を上回っております。また,全国的にも,養育費の取決めをしても継続的な支払がなされない事例が相次いでいることなどを踏まえ,国は,法改正も視野に,養育費制度の見直しに向けた検討会議を本年6月に設置したところでございます。今後,国の検討状況を注視するとともに,ひとり親家庭の生活支援や居場所づくりなど,実態に即したきめ細かな支援を継続してまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 野良猫対策についてでございます。野良猫は事故や病気など様々な危険にさらされ,周りにもふん尿被害などのトラブルを引き起こすため,猫にとっても人にとっても不幸な状態であり,屋内で飼うことが適正であります。このため,京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例において,猫の屋内飼育等について定めるとともに,地域住民の理解と協力の下,餌の後始末やふん尿の処理などを行うまちねこ活動に対し,無償での避妊去勢手術を実施するといった支援を行っております。まちねこ活動地域も延べ254地域まで増え,着実な成果を挙げております。本市が実施する無償の避妊去勢手術は,有志の方による野良猫対策の取組を実効性の高い地域ぐるみのまちねこ活動として進めていくためのものであります。また,不幸な野良猫をなくそうとされている活動が,地域住民の皆様の理解につながるよう,野良猫への餌やりについての届出掲示制度を設けて,本市のルールに沿った活動であることを示す取組も進めており,医療衛生センター職員による地域住民への制度説明や活動者に対する助言など,粘り強く支援を行っているところです。兵藤議員御指摘のとおり,法改正により,適正な飼育や動物との正しい関わり方が一層求められており,野良猫を含む猫の適正な飼い方の更なる徹底を図り,引き続き,人にも動物にも暮らしやすい共生のまちづくりに取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 聴覚障害児への支援についてでございます。子供の聴こえについては,早期発見,早期治療,早期療育が何よりも重要であるとの考えの下,本市では,母子健康手帳交付時における新生児聴覚検査のチラシ配布をはじめ,出産後も,子どもはぐくみ室におけるこんにちは赤ちゃん事業などを通じて丁寧な支援を行ってまいりました。さらに,本年4月からは,聴覚障害による音声や言語の発達などへの影響を最小限に抑えるため,本市独自に新生児聴覚検査の費用助成を開始するなど支援を進めております。兵藤議員御紹介の人工内耳については,重度難聴の方に対して有効な支援の一つであるものの,数十万円となる体外機の買換えや,電池交換をしなければならないなど,維持管理に係る負担が大きいといった課題がございます。このため,これまでから,医療保険の適用も含めて国に対して制度拡充を要望してまいりました。この結果,令和2年度から,マイクが捉えた音声を人工内耳用の電気信号に変換する一部の機器修理に限り,補装具費支給制度の対象となり,一定の負担軽減を図ることができております。引き続き,負担の大きい体外機の買換えや電池交換などの維持管理費用などの残る課題の解消に向けて国への要望を行うとともに,本市としての必要な取組について研究してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午前11時39分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,安井つとむ議員に発言を許します。安井議員。 〔安井つとむ議員登壇(拍手)〕 ◆(安井つとむ議員) 伏見区選出の安井つとむです。同僚の山科区選出小島信太郎議員と共に,民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。私たち議員団は,これまでも本会議をはじめ,予算特別委員会,また常任委員会等,常に市民の皆さん,そして地域の声を大切にとの思いで発言してまいりました。市政への反映を心掛けてきました。今日は,市長及び関係理事者におかれましては,このようなことをも御認識いただきまして答弁をしていただくことを求めておきたいと思います。 一つ目は,今後のコロナ感染症対策と京都経済の回復についてであります。昨年12月,中国湖北省武漢で集団発生したとされる新型コロナウイルスによる感染症は,瞬く間に全世界へ拡大し,現在世界での発症者数は3,350万人を超え,死者数も100万人を超える状況であります。我が国でも発症者数は9月30日現在で8万4,316人,亡くなられた方も1,588人を数え,発症者数が低下したとはいえ,極めて甚大な状況にあります。また,本市でも今年1月30日に発症事例が報告されて以来,1,225人の方が発症され,亡くなられた方やいまだ治療中の方が多くおられます。一日も早い回復と亡くなられた方には心から御冥福をお祈りするところです。 これまでに経験したことのない社会状況の中で,感染拡大予防策を進めるため,本市では,京都市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を設置し,その対応を進めてまいりました。感染予防と共に経済対策を含め,市民の命と暮らしを守ることを重点に置き,4月,5月,7月に続き,今市会においても補正予算を計上するとともに,緊張感を持った対策としてこの9月をコロナ感染予防徹底月間と定め,全庁挙げての対策への取組が進められました。概要は,直近1週間の感染状況,そしてトピックスや特徴など,新たなメッセージの発信と市民,事業者,医療機関,福祉関係者等が一体となって更なる感染拡大抑制への呼掛け,また新たな生活様式の定着と実践,事業者のガイドライン遵守の徹底。地域団体,商店街,業界団体と協働で活動して周知啓発の強化,店舗でのクラスター拡大防止,また,区役所をはじめとした行政機関での市民周知と啓発,大学を含む教育機関への働き掛けの強化。そして保健所の体制強化策として,平日夜間及び休日での新たな応援体制の構築と♯7119など,民間活力の活用について市民へ発信する感染防止対策徹底月間としての位置付けを図られました。感染が確認されて以降,8箇月が経過した現在,市政のけん引役である市長としての総括と,今後の市民生活の安心安全と京都経済の回復に向けた決意を求めます。いかがですか。 二つ目には,今後の財政基盤強化についてお尋ねをいたします。令和2年度に入り,新型コロナウイルス感染症の拡大の中,9月で半年を経過した現在,京都経済に好転の兆しが見えないと危惧されていることは,多くの市民の皆さんが実感されています。回復するには相当の期間が必要される中,見通しが立たず,令和2年度以降も更に混迷の年になることは間違いありません。この状況の下,令和3年度予算編成の時期を迎えます。現在の状況を鑑みると,平成13年10月31日,当時の桝本市長が来年度予算編成を迎えるに当たり,税収不足等により580億円の財源不足を発表いたしました。歳出面でも,平成14年度の新規事業の凍結などの措置をはじめ,京都新世紀市政改革大綱に基づく事業の見直しや引き続きマイナスシーリングの設定による内部経費の徹底削減。一方,歳入面では,多額に上る財政不足を確保できるに至らず,将来に過大な負担を強いることなく市民生活を守り,本市発展のための真に必要な施策の推進のための財政非常事態宣言を行い,市長をはじめ全職員に及ぶ給与カットをはじめ,我々議員はそれ以来,報酬カットが今も継続中であります。公営企業への任意繰出金の休止,各種イベントの見直しや新規事業の一時凍結などを含んだ緊急対策の具体化と財政健全化債の活用,そして当時の市庁舎整備基金から再度の借用を財源としたうえで,選択と集中を徹底した予算編成でありました。本市のぜい弱な財政基盤の強化のためには,公民の役割分担の見直しなど財政改革が推進されました。 今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う京都経済の低迷により,見込めない宿泊税収入をはじめとする市税や府交付金の大幅な減額が想定され,本市財政を直撃するものです。財政調整基金も底を突き,公債償還基金の追加取崩しなどの補や国の臨時交付金,補助金を当てにせざるを得ない状況であります。令和2年度の予算執行等に対し,年度途中の追加,財政需要に対応する財源確保の困難から,予算執行段階において徹底した経費の削減,事業等の実施時期,そして規模については十分に検証すること。新型コロナウイルス感染症拡大対策についても,国の緊急対策の最大限の活用,準備とスピード感をもって推進をする,事務費を対象に収支状況に応じて段階的に配っていくなどが通達されました。その後も,持続可能な行財政審議会を立ち上げ,既に3回の会合を開き個々の事案を審議。あわせて,税財源の在り方に関する検討会を設置されました。市長は,今後も市民生活を守る安心安全な社会づくりと京都経済の回復に向けた中で,厳しいこの財政基盤強化に対しての強い決意と方向を市民に示し,そして今こそ発信する機会と捉えますがいかがですか。 以上,まず御答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 安井つとむ議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナ感染拡大防止と京都経済の回復についてでございます。本市では,1月30日に感染者を確認後,直ちに対策本部を設置し,感染が拡大した4月初めには,府市連携で緊急事態宣言を国に要請し,宣言発令後,今日まで全庁挙げて特に450人の専任体制を整え,保健所機能の強化や積極的疫学調査の実施,更に5月には全国に先駆けて本市独自基準による無症状の方も含めた徹底したPCR検査を行い,更に市職員が店舗等の休業状況を夜間に確認して回るなど,現場で,市民生活の場で,感染拡大防止を徹底してまいりました。新たな感染が広がった6月以降は,更なる保健所の体制強化や,飲食店等の事業者の感染防止対策等に関するアドバイザーチームの発足をさせ,一つ一つの店舗への指導と市の幹部職員等で編成したクラスター対策チームによるキャバクラ,カラオケ店等を一軒一軒回っての地をはうような連日の店舗指導,市内2万店の飲食店に対するガイドライン遵守の文書での要請と相談体制の確立,さらに,9月を感染防止徹底月間と設定し,あらゆる機会,媒体を通じて新しい生活スタイルの徹底,事業者のガイドライン遵守を強力に呼び掛けてまいりました。こうした下で現在,飲食店での感染は抑えられておりますが,一方で学校や医療機関での集団感染が発生しており,万全の体制で取り組んでおります。これからのインフルエンザの流行期に備えまして,感染拡大防止と経済を両立させていかなければなりません。そのため,充実を図ってきたPCR検査体制を土台に,受診相談や診療,検査ができる医療機関の紹介を行う新たな仕組みの構築など,更なる感染拡大防止に取り組むとともに,ガイドライン遵守事業所等へのステッカー貼付等による感染防止対策の見える化を更に徹底し,消費,需要の回復につなげてまいります。 くわえて,厳しい雇用状況に鑑み,府市協調により雇用の維持,確保に向けた取組を行うとともに,中小企業のIT導入促進,感染症によって顕在化した様々な社会的課題に対応し,解決を目指すスタートアップへの支援,自ら変革しようとされている中小企業等を力強く後押ししているところでございます。引き続き,オール京都で感染拡大防止に全力を挙げるとともに,国・府の施策等とも連携しながら事業者のニーズに合った支援策を実施してまいります。 次に,今後の財政運営についてでございます。本市は,様々な都市特性によるぜい弱な財政基盤,地方交付税の大幅削減という状況下においても,全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援等を維持,充実する取組を進めてまいっており,非常に厳しい財政運営を余儀なくされております。こうした中,新型コロナ感染症の拡大により,市税収入の大幅な減収や社会福祉関連経費の伸びなどにより,令和3年度の収支の見通しは,現時点で500億円もの財源不足が見込まれております。行財政改革は待ったなしの差し迫った事態となっております。これまで,職員数の削減などの徹底した財政構造改革に取り組み財源確保に努力してきましたが,それでもなお不足する財源については,毎年,公債償還基金の取崩しによって補する状況が続いており,現在の歳出水準をこのまま維持することは不可能と言わざるを得ない状況でございます。私は,この厳しい現状を直視し,景気変動等にも耐え得る足腰の強い持続可能な行財政を確立するために,持続可能な行財政審議会や税財源の在り方に関する検討会を今年度立ち上げ,幅広い議論を公開の下に進めていただいております。このことをきっかけに,政策や施策はもとより,京都のまちづくり,あらゆることの本質を深く見詰め,危機を乗り越え,新しい未来社会を展望したその姿を描く責任が私にはあります。そのために今何をなすべきか。私は覚悟を持って,真に必要な施策への重点化,大胆な発想による民間活用,徹底した事業の選択と集中,とりわけ急務である歳出構造の見直しを行います。市会,市民の皆様と情報,危機感を共有し,市民お一人お一人の命と健康,暮らしを守る基盤となる持続可能な行財政の確立を作っていくために,全身全霊で取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 安井議員。 〔安井つとむ議員登壇〕 ◆(安井つとむ議員) 続きまして,琵琶湖疏水の改修計画策定について御質問をいたします。京都は西暦794年平安建都以来,1226年余り経った現在でも日本の都,日本人の心のふるさとと言われ,文化都市として国内はもとより世界の人々に知られた都市になっています。長きにわたるこの歳月の間,まちの存亡に関わる危機的な歴史を重ね,その時々の人々により,今日まで生き続ける文化が守り育てられてきました。幕末の動乱から明治維新にかけて社会変動の波は京都にとって都でなくなり,まちは衰退の一途をたどり,京都の歴史の中で最大の危機であったと言っても過言ではありません。京都復興に向けた琵琶湖疏水事業は,その水力により,産業の振興と水運による物資の流通と共に,多岐にわたる活用は市民生活を守る重要な役割を果たしてまいりました。京都の復興と近代都市への発展の礎となり,今日においては147万人京都市民の貴重な生活の水資源としてのその価値を高めています。明治の先人たちは,京都の将来のために多額の費用負担と労力の提供,英知と熱意と努力を結集し,明治23年4月9日,大工事が完成いたしました。今年は琵琶湖疏水ができて130周年であります。改めて先人への尊敬と感謝の念を表しますとともに,京都市民にとっても,琵琶湖疏水が果たす役割の重要性を痛切に感じるのは京都市民共通であります。遠い将来に構想を巡らせ,事業を進め,その結果,琵琶湖疏水は京都のまちに水という永遠の資産と古都京都にふさわしい景観と風致を残したものとなり,今後も生活のためにいかに清浄な水の確保など,環境問題にも及び,本市としても琵琶湖疏水の恩恵を受け,貴重な水資源として大切に使う姿勢を堅持し続け,後世に歴史を伝承することが水道事業者の使命と考えますがいかがですか。 現在,琵琶湖疏水は滋賀大津市側の琵琶湖取水口から取水し,第一疏水は大津閘門を経て発電,日本遺産として観光船での船運,かんがい,防災及び工業などに利用されています。第二疏水はトンネル内を流水して蹴上発電所までの間で新山科浄水場,蹴上浄水場,松ヶ崎浄水場への水道原水を運んでいます。南禅寺ダムから下流は浸水対策をも担う都市排水機能を兼ね備え,いずれの役割も市民生活に欠かせないものであります。現在,水路の維持管理は,冷泉通付近の疏水事務所が23箇所の設備の遠隔監視制御を中心とし,白川から伏見新放水路間の本線,伏見新放水路の各放水路口,制水門の管理,そして増水時には鴨川への放水を行う仁王門の洗ぜきの管理等を担当しています。これまでの歴史の中でも,昭和43年,集中豪雨により深草地区へのいっ水が発生したこともありました。琵琶湖疏水完成後の整備・改良事業としては,昭和40年代に集中して行われ,昭和43年から昭和49年の間,昭和大改修として放水路制水門扉の電動化,そして閘門制水ゲートの更新,疏水路沿線16.7キロメートルの転落危険防止柵の設置。放水路のり面の補強と漏水補強工事。そして疏水分線においても,豪雨による災害で護岸石積みの復旧。昭和50年代には遠隔監視制御設備導入。5年計画にわたり深草地区疏水沿線に歩行者専用道の施工。宇治川高水位時の逆流,いっ水防止のための疏水路堤防改修等を進め,平成元年に鴨川運河改修工事も終えました。この間,昭和61年には琵琶湖異常渇水で水位がマイナス88センチになるなど取水制限が行われました。これは,その後の市民生活での節水意識の向上につながったと言えます。 現在,主に浄水や排水対策事業が年次的計画策定の下に事業化され,経営プランの中で,市民生活の安心安全な水の供給の維持管理向上に向けた事業が進められています。一方,疏水路のしゅんせつ工事も各年度計画的に進められ,疏水路の安全維持が図られているものの,設備全体の更新は,1968年12月実施の三ノ橋放水ゲートを最古とし,設置後,50年を超えるものも多くあり,琵琶湖疏水しゅん工後,70年を機に設備の更新が進められました昭和の大改修に続き,今年130年を機に,更なる老朽化をも視野に入れた令和の中長期大改修計画策定に向けスタートすることを求めますが,その決意を伺います。 また,今日の気候変動の中,集中豪雨等での役割が重要視されている中,宇治川及び河口付近の宇治川派流を管理業務とする国交省,府市河川部分を管理する京都府並びに京都市建設局,それぞれとの連携をこれまで以上に密にし,疏水路沿線にお住いの市民の皆さんの生活の安心安全と景観をも確保していただくことも併せて求めておきます。いかがですか。 次に,関西電力に対する株主提案議案の提出と今後の扱いについて質問いたします。本市において,京都市エネルギー政策推進のための戦略を策定し,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会を目指し,平成24年以降,毎年,関西電力株式会社に対し,脱原発依存,経営の透明性の確保,事業形態の革新などの株主提案議案を提出してきました。令和2年度も引き続き株主提案実施する旨を知らせたうえで,新型コロナウイルス感染症拡大状況を鑑み,大阪市,神戸市との3市共同提案項目,一つ目には,経営の透明性の確保,取締役報酬の開示,次に,神戸市との2市共同提案項目,1,代替電源の確保,2,事業形態の革新,更に,京都市単独提案項目として脱原発依存と安全性の確保,計5項目を総会を前に令和2年4月28日,提案議案として郵送され提出されました。 電気事業は重要な社会基盤であり,高い公益性と公共性を有し,社会との信頼関係の必要性と経営の透明性の確保が必須であります。全ての情報開示を原則とする必要性があります。昨年,企業役員等による福井高浜町の元助役から金品等受領問題では,十分な情報開示がなく,社会的信用の失墜を招いたことに説明責任を果たすべきであり,さらに,例えば原子力規制委員会等に係る研究者等に対する寄付のほか,不正な金品授受を禁止し,競争入札による調達価格の適正化に努めることを企業方針として明確にすることの必要性。脱原発と安全性の確保,発送電分離。再生可能エネルギーの大規模導入,事業形態の革新で徹底したコスト削減による料金の値上げ抑制。昨年度は,この株主提案の中でも4割を超える賛成を得るなど,株主の皆さん方の意識は高く,社会に対するコストへの説明責任を果たすべきであり,脱原発に向け,原子力発電所廃止のために当面の対策として電力需要抑制への取組,他電力会社からの電力の供給確保など多様なエネルギー源の導入を図ることは,会社として恒常的な取組として制度化するようにとの意見表明を行いました。その後,関西電力社長のコメントでは,国のエネルギー政策に基づき,原子力発電を引き続き活用するとともに再生可能エネルギーの開発,活用の積極的な推進。金品授受問題については,業務改善計画に基づき再発防止等の徹底実施で信頼回復に全力を尽くすとされましたが,株主提案議案では,共同提案も含め全て否決されました。京都市会で議決された原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現は,京都市民はもとより,多くの国民の願いであります。福島原発事故の教訓を決して風化させず,今後も国や関西電力に対し脱原発依存を実現するためにも,大阪市と神戸市と継続して連携しながら訴えていくこと,そしてそこには戦略的工夫を図ることが必要とされています。本市の姿勢とその決意を求めますがいかがですか。 あわせて,本市は,金品授受問題に関わり,法令違反とし3月17日から4月16日までの約1箇月間,入札参加停止処分を科しました。しかし,期間内にもかかわらず,4月上旬,経済産業省からの業務改善計画の説明とはいえ,関西電力社長ら役員5名の謝罪面談を受けられたとお聞きいたしております。一般的には入札参加停止処分期間中に対象企業との面談を受けることはないとされる中,さして緊急性を伴うものではなく,タイミング的に謝罪を含め,受けることは,市民の立場から見ると適切な判断であったかどうか賛否が分かれるところであります。今後はなお一層慎重な対応を採られることを強く求めておきます。 最後に,本市におけるテレワーク導入に伴う在宅勤務の実態と今後の市民サービス向上に向けた利用拡大についてお伺いいたします。今般,働き方改革の一環として,これからはICTを活用し,場所や時間に捕らわれない柔軟な働き方としてのテレワークの導入がうたわれています。本市では,新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として,4月補正予算でテレワークの環境整備500台のパソコン購入,1億2,500万円とソフトや接続機器の整備費用と合わせ総額2億円の予算措置を受けています。予算計上の趣旨として,コロナ禍の下,市民生活に必要な行政機能の維持,市民サービスの低下防止,緊急的に本市職員の在宅勤務環境整備等々がうたわれておりまして,平常時におけるテレワークの導入を見据えた働き方改革の推進とされています。3月19日から一部の職員を対象に,4月16日からは対象を全職員に拡大されました。新しい生活スタイルを踏まえた恒常的な制度として,また,多様で柔軟な職員の働き方推進を目的とした在宅勤務が導入されています。しかしながら,7月の在宅勤務実施率が17パーセントであるなど低い水準にあります。要因としては,労務管理の困難さ,在宅での作業環境の整備など進展しないことで,在宅で実施できる業務に限界があること,当然テレワークになじまない業務もありますが,これらの課題への対応と共に今まさに必要なのは,市民サービスの維持向上であります。本市において今回のコロナ禍で判明したのは,民間事業者や市民相談をオンラインで受け付けることや会議を行うなど,本来のテレワーク機能がいかされるところはごく一部であります。今後は,オンライン化をはじめとするデジタル化の推進が求められています。本市においては,コロナ禍での在宅勤務の導入を機に,更なるICTの活用拡大による有事での市民生活に必要な行政機能の維持,市民サービス向上につながる取組を求めておきたいと思います。 以上をもって,私,安井つとむの代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,安井つとむ議員の御質問にお答えいたします。 脱原発依存の実現に向けた決意についてでございます。本市では,福島原発事故の教訓を決して風化させてはならないとの強い決意の下,平成24年3月の市会決議を重く受け止め,京都市エネルギー政策推進のための戦略を策定し,原子力発電所に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現を市政の根幹として取り組んでおります。国に対しては,原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を一貫して求めるとともに,私が会長を務める指定都市自然エネルギー協議会を通じて,再生可能エネルギーの主力電源化に向けた政策提言等を行うなど,様々な機会を通じて積極的に働き掛けております。関西電力に対しましては,この間,株主提案等によって,脱原発依存への方針転換や経営の透明性確保を強く求め,電力需要の抑制と新たなサービスの展開,取締役の報酬開示といった点では成果を挙げておりますが,原子力発電は引き続き活用すると表明されています。今後,大株主に対する提案議案への賛同の呼掛けにおきまして,大阪市,神戸市と一層連携することで,今後とも関西電力に対して脱原発を強く訴えてまいります。あわせまして,脱原発依存の実現には,再生可能エネルギーの飛躍的な普及が重要であります。社会全体で再エネへの転換に積極的に取り組むことによって,より一層の機運の醸成を図ることが不可欠であります。そのため,再エネ設備の導入促進,再エネ由来の電気等の利用拡大や供給拡大といった再エネへの転換を強力に推進することにより,市民,事業者の皆様と一体となって,原発に依存しない持続可能で安心安全なエネルギー社会の実現を目指してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) ICTを活用した働き方改革と市民サービスの向上についてでございます。新型コロナウイルスの感染拡大の防止策として,ウェブを活用した会議や在宅勤務の導入が,全国の企業や地方公共団体などでも積極的に進められております。本市におきましても,今回のコロナ禍を契機に,審議会等をオンラインで開催しますとともに,4月に議決いただいた補正予算を活用し,職員が在宅勤務を実施できる環境整備を進めるなど,ICTを活用した取組を推進してまいりました。安井つとむ議員御指摘のとおり,本市におきましては,窓口業務をはじめ市民の方々と直接接する業務など,現時点では在宅勤務になじまない業務に従事する職員も多くおりますが,そうした職員を除けば,現状でも在宅勤務を導入したことにより,自宅においてもおおむね職場と同等の業務を行えることが確認できました。引き続き,在宅勤務を活用することにより,災害,コロナ禍等の有事における円滑な行政運営や働き方改革を推進してまいります。民間事業者や市民の皆様からの相談をオンラインで受け付けることなどのICTを活用した市民サービスの向上につきましては,該当する事業の洗い出しや法令の課題等を整理し,分析してまいります。こうした行政のデジタル化は喫緊の課題と認識しており,今後,全庁的な視点で検討を進めるための庁内体制を確立し,緊急時等における行政機能の維持はもとより,市民サービスの更なる向上に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,琵琶湖疏水についてお答えいたします。京都の近代都市への発展の礎となった琵琶湖疏水は,本年でしゅん工後130年を迎え,今もなお市民生活や都市機能を支える基盤施設として,水道,発電,防火,かんがい用水等を琵琶湖から京都へ導くとともに,自然豊かな水辺空間をつくり,雨水排水施設としての役割を果たしております。同時に,文化財にも指定されている貴重な産業遺産であり,平成30年には,約70年振りに琵琶湖疏水通船が復活し,昨年には,琵琶湖疏水記念館のリニューアルオープン,本年6月には文化庁の日本遺産への認定など,京都市民だけでなく広く国内外に琵琶湖疏水の魅力を発信しております。また,市民の皆様の暮らしや京都のまちの営みを支える現役の施設としての琵琶湖疏水を守るため,第一疏水トンネルの補修,ゲートの運転操作に係る設備の点検整備や更新などを適切に行っているところですが,引き続き,安井つとむ議員の御指摘を踏まえ,施設の老朽化の状況も点検のうえ,琵琶湖疏水の機能を確実に維持するための整備を着実に推進してまいります。 また,琵琶湖疏水の雨水排水管理につきましては,これまでから国土交通省,京都府の関係機関と連携して水位の管理を行っておりますが,昨今の頻発する災害等に備え,過去の災害時の対応を検証し,それぞれの関係機関と情報共有を徹底するなど,更に連携を密にし,沿線にお住まいの市民の皆様の安全安心を守ってまいります。明治維新の東京奠都により,人口が大きく減少するなど都市存亡の危機に瀕したとき,先人達は,京都のまちの再生を託して琵琶湖疏水を建設されました。私たちは,時を超えて,現在でもその恩恵にあずかっており,琵琶湖疏水の意義と機能を未来につなげていく責務がございます。日本の貴重な資産である琵琶湖疏水をしっかりと守るとともに,魅力あふれる歴史の伝承,発信を行ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,小島信太郎議員に発言を許します。小島議員。 〔小島信太郎議員登壇(拍手)〕 ◆(小島信太郎議員) 山科区選出の小島信太郎です。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表しまして,安井つとむ議員に引き続きまして質問させていただきます。 新型コロナウイルス感染症拡大は,市民生活,京都経済の至る所に深刻な影響を及ぼしております。市民に最も近く,経済状況を正確に把握し得る本市だからこその,きめ細やかな支援や対策が求められます。同時に,喫緊の課題と向き合う中で,平時であれば難しい変革や新たな取組について考える契機となり得ます。門川市長はじめ,理事者の皆様には前向きな答弁を期待いたします。 本年3月初め,全国一斉の臨時休校が発表されて以来,学校現場,生徒,保護者は新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けてきました。同3月,教育委員会に対して,休校明けの生徒の心身のケアについて質問しました。その後,生徒のために京SNS相談が臨時休校明けに急きょ開設されることになったことは喜ばしく思っております。京SNS相談は運用されて3年目になりますが,昨年度は970件もの相談があり,思春期にあっては,身近な大人よりも第三者に悩みを打ち明けやすいこと,また電話,メールよりもSNSであれば相談しやすいという傾向が表れており,大変有意義な事業と考えております。本年度は,5月から9月末まで,更に冬休み明け1箇月と,令和元年度より長期間開設が予定されており,この機に年間を通じて京SNS相談を開設する必要性について質問いたします。 生徒が抱える悩みと向き合う取組は,成果を目に見える形で評価しがたいものです。例えば,いじめ防止に取り組むことで,いじめ認知件数が減るという単純なものではありません。むしろ積極的に認知を行うことによって件数が増えるということもままあります。生活リズムの変化により,心身に不調を来しやすいとされる長期休業期間明けに合わせて相談事業を行うことの効果,また効率性は評価しておりますが,一人でも多くの悩み,1件でも多くの相談を受け止める体制こそが本事業に求められているのではないでしょうか。もう一方で考えるべきは,相談を受ける相談員の方の雇用です。相談員には,児童の悩みを親身に聞き,的確に答えるため,経験,知識,モチベーションの高さが求められます。しかしながら,長期休暇明けの時期のみ相談事業を行うことで,相談員の雇用が不安定になり,人員の確保,また人材育成に支障を来すおそれがあります。悩みを抱える生徒を誰一人取り残さないため,一年を通じて京SNS相談を開設することを求めますが,お考えをお聞かせください。 学校におけるSNSの活用についてもう一点質問いたします。PCR検査等の陽性者が学校で確認された際,保護者に対する緊急連絡等に一部課題が見受けられます。大半の保護者がPTAメールに登録している学校では,速やかに緊急連絡を行うことができる一方で,約4割の中学校をはじめPTAメール等を利用していない学校では,全ての保護者に対し電話で連絡を行わざるを得ません。全保護者に対する電話連絡は,教職員の重い負担となるだけでなく,生徒,保護者に対して必要な情報や連絡が適時に行われないことにつながります。また,連絡手段について,PTAメール等の一斉メール送信システムを充実することも一案ですが,メールは,アドレスの収集,登録における手間が掛かること,また迷惑メールが多いこと,その迷惑メールをブロックすることにより必要なメールが届かなくなること,更にLINEなどSNSの普及により,プライベートでメールを利用する機会そのものが減少していることなど,課題となる点が少なくありません。今後も新型コロナウイルスに関連して緊急連絡が求められる状況が想定されます。多くの保護者が利用しやすく,各学校で運用が容易な手段で,学校における緊急時等の連絡手段を早急に確立する必要があると考えますがいかがでしょうか。 次の質問に移ります。令和2年2月市会の代表質疑にて,自治会,町内会の活性化について質問いたしました。多くの行事が中止されるなど,新型コロナウイルスが地域に与えた影響は大きく,一層の活性化支援に取り組まなければなりません。本年は5年に一度の国勢調査が実施されております。本市では,国勢調査の調査員の確保を各自治会,町内会の市政協力委員に推薦を依頼することによって行っておりますが,一部の報道もありましたように,国勢調査をなぜ自治会,町内会が行わなければならないのかという不満の声を伺うことがあります。そこから,自治会,町内会における市政協力委員の在り方について課題を感じております。市政協力委員は市民しんぶんの配布をはじめ,市政広報の実務に従事していただき,自治会,町内会と本市を結ぶ架け橋として重要な役割を担っていただく非常勤の特別職員です。もちろん自主的に高い意識を持って従事していただく委員もたくさんおられますが,多くの自治会,町内会の運用においては,市政協力委員は,会長や副会長等が兼任,また充て職とすることが多く,市民しんぶんの配布は分担して行われることが多いと認識しております。そのような運用が悪いわけではありませんが,市政協力委員の業務と自治会,町内会の役職が混同して扱われることで,国勢調査の調査員や,市民しんぶんの配布等について,自治会,町内会に課せられた業務として誤認され,その負担感が自治会・町内会離れの一因となることを懸念しております。また,報酬についても,大部分が市民しんぶん配布の対価として支払われているものですが,その取扱いは自治会,町内会,また各個人によりばらばらであり,混乱や不満の要因になっているのではないでしょうか。分業して配布した際の報酬の取扱いをアドバイスすることや,報酬を上手に活用している自治会,町内会の例を紹介するなど,改めて市民の理解を得ることが求められます。本市と独立した自治組織である自治会,町内会の活性化に取り組む上で,本市と直接のつながりを持つ市政協力委員の存在は重要です。負担感や不満感の要員となるのではなく,自治会,町内会の潤滑油としての役割が発揮できるよう,市政協力委員の役割について改めて考え,市民理解を深めることが必要と考えますが,いかがでしょうか。 関連してもう一点伺います。新型コロナウイルスの感染を恐れて,不特定多数の方が触れる回覧板を中止した自治体があると聞いております。もちろん,感染防止対策は必要ですが,回覧板が持つ役割も捨て置けません。回覧板が次の人に回るということは,LINEでいえば既読が付くということと同じことです。独居の世帯であれば,回覧板が回るということが安否の確認になります。単純に中止することや,別の周知手段に切り替えるだけでなく,回覧板の長所を継承しなければなりません。他方で,共働きの世帯など日中に自宅におられない家庭であれば,回覧板を確認して回すという作業を手間に感じるとともに,回覧板が行き渡るのに日数が掛かるという短所もあります。紙ベースでの広報は,最も幅広い世代に受け入れやすい方法ですが,現下の感染予防や,生活スタイルの変化に対応して進化しなければなりません。例えば,回覧板を希望する世帯には今までどおり,希望しない世帯にはインターネットやSNSを通じて同様の情報を提供することや,市民しんぶんについても,紙面での広報と合わせて,よりタイムリーな情報はスマートフォンから閲覧していただくということも考えていくべきではないでしょうか。今後の市政広報について,より幅広い市民に受け入れられるよう,今ある広報手段の長所を残しながら,新たな広報手段の良いところを組み合わせ,ハイブリッド形式で発展することを望みますが,お考えをお聞かせください。 次の質問です。この間,3密状態が懸念されてきたのが,災害時における避難所です。避難所における感染予防対策として様々取組が行われておりますが,中でも有意義と考えておりますのが,7月特別市会で議論された宿泊施設の空き部屋活用です。これまでから,我が会派の予算要望の中でも,避難所の環境改善について申し上げてきました。災害に見舞われた避難者の心情に寄り添ううえで,避難所における身体的な負担を和らげる取組は必須です。宿泊施設の空き部屋を活用することは,避難所の環境としてこの上ありません。また,宿泊施設の地域貢献としても期待されます。新型コロナウイルスの影響が出る以前,観光客の増加に伴い,一部宿泊施設と地域の間の摩擦が伝えられてきました。この度,協力締結した12の宿泊施設については,山科のホテル山楽さんをはじめ,日頃より地域と友好関係にある施設が多いように思いますが,地域と宿泊施設の一層の協力が進むことが期待されます。避難者の心身の負担軽減,宿泊施設と地域の協力促進の両面から期待できる本取組は,新型コロナウイルスの収束後も継続して行うことが求められるのではないでしょうか。 また,本取組においては,短期的な避難に限定されていますが,避難生活が長引いたときにこそ心身共にダメージが心配されます。中・長期的な避難にも対応する必要があります。さらに,現況の宿泊客の激減に合わせる形の事業ではありますが,避難所が開設される規模の災害時は,観光客の減少,また宿泊のキャンセル等が一定想定されます。空き部屋の避難所活用は収束後も継続が可能であると考えます。避難所として宿泊施設の空き部屋活用について,新型コロナウイルス感染症の収束後も取り組む必要性を強く求めますが,いかがでしょうか。 以上,ここまでの質問にまずはお答え願います。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小島信太郎議員の御質問にお答えいたします。 市政協力委員の在り方と市政広報についてでございます。市政協力委員制度は,市民と市政のつなぎ手として,市民の皆様が自ら市政の一翼を担う京都ならではの地域力をいかした制度であり,8,200名を超える委員の皆様に地域のリーダーとして自治会,町内会との連携の下,地域コミュニティの活性化に御尽力いただいております。先日,私も参加した市政協力委員の代表者会議では,コロナに負けないように学区民一人一人に呼び掛けるチラシを地域で知恵を絞って作成し,各戸に配布されるなど,地域のきずなを深める様々な工夫をした御活動の報告を受け,大変心強く感じたところであります。市民の皆さんと行政が共に汗する共汗型のまちづくりを進めていく上で,市政協力委員の役割は,ますます重要となっており,今後も,委員の皆様に向けたニュースレターや市民しんぶん等で市民の皆様の御理解が深まるよう努めてまいります。 また,本市では,市政協力委員の皆様を通じて各世帯にお届けいただいている市民しんぶんをはじめとして,公式ホームページやSNS等の媒体を通じて広報活動に力を入れております。例えば新型コロナの感染状況など速報性の求められる情報については,SNSにおいて即時発信する一方で,先月の新型コロナ感染防止徹底月間においては,市民の皆さんの行動変容を他人ごとではなく自分ごととして捉えていただけるように身近な事例をお示し,より多くの場面で市民の皆様の目にとまるように,市民しんぶん,バス,鉄道,駅などの交通広告,新聞広告などの紙媒体に加えまして,ラジオCM,インターネット,SNSなど多くの媒体を連動させて周知に努めてまいりました。今後も様々な広報手段の長所をうまく組み合わせ,連動させ,市民の皆様に的確かつ迅速に情報をお届けできるよう工夫してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 避難所としての宿泊施設の活用についてでございます。本市では,住民自治の伝統や,支え合いの精神に基づく地域のコミュニティが学区ごとに形成されており,主に地域の小学校を避難所として使用する運用を行っております。そしてこれらの避難所において,これまでから,男女共同参画の視点による男女別の更衣室や授乳スペースの設置,外国籍市民のための多言語電話通訳サービスの導入,さらには,備蓄物資としてアレルギーフリー食品の導入やトイレを洋式化など,環境の充実を積み重ねてきております。このような中,本年8月から運用開始いたしましたホテルの空き部屋の活用につきましては,新型コロナ対策として,間仕切りテントなどの飛まつ感染防止対策や,人と人の距離を空けるために小学校の体育館だけでなく教室等も活用しても,なお避難所が3密状態となりそうな場合の備えとして,健康上の配慮が必要な方に優先的にホテルへ移っていただけるよう,各ホテル事業者の皆様及び京都府タクシー協会の御協力の下,合意に至った枠組みであります。新型コロナが収束した後の宿泊施設の活用につきましては,避難生活が中長期に及ぶような場合や,被災により地域の避難所が利用できない場合,代替施設としての活用が考えられますが,まずは,コロナ禍での運用に取り組む中で,ホテル活用自体の課題や改善点等も明らかにしていく中で将来への備えとして検討してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 学校現場におけるSNSの活用についてでございます。まず,相談事業についてでございますが,現在コミュニケーションツールとして社会全体にSNSが普及しており,小島信太郎議員御指摘のとおり,子供たちに最も身近で手軽なツールとしてSNS相談の充実が求められております。本市では,平成30年度から,豊富なノウハウを持った民間事業者と連携して,SNS相談窓口を開設し,臨床心理士等の専門的な資格や業務経験を有する相談員が子供たちの様々な悩みに応じてまいりました。とりわけ,今年度は新型コロナウイルスの感染拡大や学校の臨時休業を受け,当初予定を前倒しして,5月7日からSNS相談窓口を緊急に開設するとともに,9月末まで期間を延長するなど,未曽有の事態における子供たちの不安に寄り添う取組を進めてきております。引き続き,児童生徒一人一人の心身のケアを丁寧に行うため,SNS相談窓口の1年を通じての開設や,専門性の高い相談員の確保,育成に向け,国に対して制度の充実を要望してまいります。 次に,保護者等への緊急連絡体制についてでございます。この間のコロナ禍を受け,本市PTAが独自に運用する一斉メール配信システムにつきまして,各校での利用促進を図っているところであります。現在,中学校では6割,全体では9割の学校園で利用されており,引き続き,その利用拡大に努めてまいります。今後,現在のPTAメールに受信確認機能を追加するなど機能向上を図るとともに,更なる児童生徒の利便性の向上と教職員の負担軽減に向けまして,議員御提案のSNSの活用も含め,よりスピーディーで効果的な連絡体制の確立に向け検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 小島議員。 〔小島信太郎議員登壇〕 ◆(小島信太郎議員) 次の質問に移ります。本市では,不良な生活環境,いわゆるごみ屋敷の解消に向けて積極的に取り組んでおり,私もこれまで度々委員会において質問してまいりました。平成26年の条例制定以来,不良な生活環境であると判定された254件のうち,約85パーセントに当たる218件が解消に至っており,その中では,多くの苦労と解消に至るノウハウの蓄積があると評価しております。地域のきずなは大事ですが,不良な生活環境をはじめ,いわゆる近隣トラブルに地域や個人が独断で解消に向けて取り組むことは,より問題の深刻化につながることも少なくありません。最悪の場合,当事者から逆に訴えられるというケースもあります。近隣トラブルについては,早い段階で相談を頂き,適切なアドバイスや対応を行うことが重要です。くわえて,近隣トラブルは典型的なごみ屋敷だけではなく,多様なケースがあるため,市民がどの窓口に相談するべきか分かりづらいということも課題として認識しています。市民が相談しやすく,より開かれた相談窓口や相談ダイヤルの開設と,その周知徹底が,本市の不良な生活環境解消に向けての取組の成果を理解していただくうえでも必要と考えております。 また,これまで相談いただいた近隣トラブルには,例えば騒音問題など不良な生活環境とは認められないものがあります。そのケースでも,トラブルの根底にある原因はごみ屋敷と同様であることが多く,また相談された方が生活する上で重大な不安を抱えていることも変わりありません。不良な生活環境いかんにかかわらず,広く市民の悩みに応えることのできる体制が必要です。これまでの取組の実績とノウハウをいかし,市民,地域に寄り添い,安心安全な生活環境を守る取組の更なる発展を求めますがいかがでしょうか。 次の質問です。本年3月には学生向けのKYO-DENTが配信されるなど,これまでから山科区のやましなプラスなども合わせて,数々のスマートフォンアプリを提供してきました。本市のアプリ活用を考えるうえで,実際にアプリを企画・開発する会社の開発担当の方に話を伺ってまいりましたので,その内容も参考に質問してまいります。 まず一つ,ホームページが百貨店とするならば,アプリは専門店でなければなりません。ホームページはあらゆる情報を網羅していることが求められますが,アプリはむしろ情報や機能を絞ることで,ほかにはない利便性を提供することが長所でありその存在意義です。アプリを企画する際に,あれもこれもと盛り込むことは禁物であり,求められる機能について検討した後に,本当に必要な機能を絞り込むことこそが重要です。その点で,例えば京都はぐくみアプリは,乳児期から高校生まであらゆる情報が氾濫することで,ホームページに近くなってしまっていること,また,アップル社のアップストアでは推奨されていないウェブビューが主体のアプリとなっていることも指摘し,今後の改善に期待いたします。 もう一つ重要なことは,アプリは完成して配信すればそれでおしまいではないということです。利用した方の意見を反映し,常にUI,UXを向上させる姿勢が求められます。民間のアプリであれば,ユーザーの声につぶさに対応することが信頼と人気につながります。予算等の面で,民間アプリ並みの対応が難しいのであれば,開発段階で,実際に利用が想定される方々にモニター調査を実施し,その結果を反映することを徹底するなど,ユーザーの声と開発会社を結び付けていかなければ,使いやすいアプリができるはずがありません。開発を受託する会社が高いモチベーションを持ってアプリの開発に臨むよう,委託契約や予算執行に留意しなければなりません。ここまで,あえて聞きかじった専門用語を交えて話してまいりましたが,開発者から話を伺い,何より痛感したことは,多くの方に使いやすく魅力的なアプリを企画,開発することの難しさです。今後のスマートフォンアプリ活用に向けて,ガイドラインの改善など,より真剣な取組を求めますがいかがでしょうか。 最後に2点要望いたします。 災害時,避難所と共に3密状態が心配されるのが,各消防分団の器具庫です。災害対応は不要不急の全く逆,必要で至急な活動です。災害時に安心して出動態勢を整えられるよう,器具庫における感染防止対策,また換気の改善などに取り組む必要があります。実際にお話を伺った中では,分団員が囲むテーブルの中央にビニールシートを設置して飛まつを防ぐ工夫をされた分団や,窓を開けて換気をしようにも網戸がないため開けることができないと漏らす分団,また換気扇やエアコンの交換・修理を望まれる分団など,感染拡大防止のためには,大なり小なり器具庫の改修等を必要とする分団は少なくありません。従来から消防団器具庫の改修に対しては補助金の制度があり,毎年一定利用されているところでございますが,新型コロナ対策を含め,改修を検討する消防分団もまだまだ多い中,補助制度拡充の必要性について要望いたします。補助の上限金額についてももちろんですが,特に補助率の向上を行うことで,より改修に向けてのハードルを下げることができると考えております。本年度は査閲訓練,更には出初式も中止が決定し,消防団員の士気低下も心配されます。充足率の上昇や女性団員,学生団員の増加など,本市が誇る消防団が,これからも精力的に活動できるよう補助制度の拡充を検討願います。 もう一点,地元山科における課題解決に向けて要望いたします。平成31年4月1日から稲荷山トンネルの無料化が実施されて丁度1年半が経過いたしました。新十条通では,当初から交通量の増加に備えて安全対策が取り組まれてきましたが,トンネル無料化について周知が進むとともに,ますます交通量は増えてきているというのが実感です。特に朝夕における新十条通の交通量の増加,それに伴う周辺道路のいわゆる抜け道利用が目立つようになり,通勤,通学の安全を脅かすケースや,これまでなかった混雑,渋滞の発生が見受けられます。新十条通並びに周辺道路の安全対策,混雑緩和に向け,地域の声をしっかりと受け止め,京都府警との連携を密にしながら,本市として積極的に取り組むことを強く求めてまいります。 以上,様々質問,要望を申し上げましたが,何より,困窮する市民,事業者を下支えするため,コロナに負けない力強い市政の推進をお願い申し上げまして,私の代表質問を終わります。御静聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,小島信太郎議員の御質問にお答えいたします。 不良な生活環境,いわゆるごみ屋敷の解消等についてでございます。全国の多くの自治体では,ごみ屋敷をごみの問題として捉え,ごみ問題に取り組む環境部局が担当しておりますが,本市では,その人,一人一人が抱える課題に向き合い,人に寄り添う支援が真の解決につながるとの考えに基づき,保健福祉局が担当し,縦割りを廃して全庁一丸となって地域に根差して取り組んでまいりました。平成26年11月に,不良な生活環境を解消するための条例を制定して以来,社会的包摂の理念に基づき先進的に取り組んでまいりました。各区役所・支所においては,専任の保健師が要となり,地域力推進室や保健福祉センター,消防署等で構成する対策事務局を中心に,地域包括支援センターや社会福祉協議会等の関係機関,さらには,民生委員等の地域組織とも連携し,一丸となって対応しております。また,社会的孤立や制度のはざま等の状況にあり,福祉的な支援や医療につながっていない方に対しては,地域あんしん支援員が適切な支援や制度につなぐなど,様々な支援者が当事者に寄り添い,包括的に丁寧に取り組んでおります。この結果,これまでごみ屋敷と判定した254件のうち246件が清掃等の支援につながり,218件が解消に至るなど,着実に大きな成果が表れております。この取組は様々なことでいかしていけると,このように考えております。 ごみ屋敷問題をはじめとする地域生活の御相談については,これまでから,地域に身近な区役所・支所の地域力推進室等におきましてお聞きし,その解決に努めるとともに,適切な機関や相談先を御案内するなど,その対応を行っておりますが,小島議員の御指摘を踏まえまして,本市の不良な生活環境解消に向けた取組や相談窓口について,より丁寧に案内や周知を行い,近隣住民の皆様等からの御相談に適切に対応してまいります。今後とも,不良な生活環境解消に向けた支援をその課題の本質に迫りながら,積極的にかつ丁寧に推進し,安心安全な地域社会の実現と,地域において全ての人々が支え手,担い手となり,高め合うことのできる地域共生社会の創造を目指し,取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(下間健之) スマートフォンアプリを活用した情報発信についてでございます。携帯性に優れ,必要な情報を適宜取得することができるスマートフォンアプリは,行政サービスに関する情報を幅広く発信できる優れたツールであると認識しております。このため,本市ではアプリ開発の手順や,個人情報の取扱いの留意点などを取りまとめた京都市スマートフォン活用ガイドラインを策定し,スマートフォンアプリの積極的かつ安全な活用を進めており,これまで歩くまち京都バス・鉄道の達人アプリや京都市ごみ半減・こごみアプリなどを提供し,市民の皆様から御好評をいただいていております。行政情報の発信に当たっては,伝えるべき内容を分かりやすく表現することはもちろんのこと,行政サービスを利用される方が簡単に必要な情報を見つけることができるよう項目を選択し,整理することが重要であります。これまでからも,こうした観点からスマートフォンアプリの開発,運用を進めてまいりましたが,議員御指摘の必要な機能の絞り込みや利用される皆様の声を反映させる観点も採り入れながら,ガイドラインについても必要に応じて適宜見直し,多くの方に使っていただける魅力的なアプリの提供に努めてまいります。こうした取組により,スマートフォンアプリを活用したより利便性の高い情報発信を引き続き行ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,森かれん議員に発言を許します。森議員。 〔森かれん議員登壇(拍手)〕 ◆(森かれん議員) 上京区選出の森かれんです。この度の新型コロナウイルスによってお亡くなりになりました皆様に対し哀悼の意を表し,お悔やみを申し上げます。今も闘病を余儀なくされている皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。 また,私ごとではありますが,令和2年3月に第2子を無事出産いたしました。妊娠,出産の際に格段の御配慮をいただきました議長,副議長をはじめお支えいただいた全ての皆様に,この場をお借りし,まずもって御礼申し上げます。引き続き京都市の市政発展のために力を尽くす所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。 地域政党京都党市会議員団を代表し,神谷修平議員と共に質問いたします。 まず,令和元年度決算についてお尋ねいたします。平成30年度決算時には36億円積み上がっていた財政調整基金の残高は,コロナ禍で経済に影響を与え始めた2月市会の時点で既に全額を使い果たしてしまっています。その間の使い道も,21号台風での被災者住宅支援に使われた以外は職員給与の引上げや地方交付税の減収補など,不測の事態でやむを得ずとは言い切れない活用であると言えます。京都党会派では,常々,特別の財源対策から脱却し収入の範囲内での支出に抑えることや,財政調整基金の積立てを要望してきましたが,市長は,縮小一辺倒にならぬようと過剰な予算付けをして,事実上の赤字を繰り返し,有事の備えである財政調整基金が積立てができずにいます。さらに,平成30年2月の代表質疑にて我が会派の議員からの財政調整基金を使い果たした状況で南海トラフ地震など有事が発生した場合,どのような対応を考えているのかという質問に対し,大規模な災害が発生した際には,国や京都府から全額財源措置がなされることになっていると答弁がありました。しかし,国に財源を求めることも確かに大切なことではありますが,感染症という世界的有事を目の前にしたとき,京都市が市単独で財政出動がスムーズにできなかったという事態は重く受け止めるべきであります。 こちらのパネルを御覧ください。 (パネルを示す)こちらは政令市のコロナ対策による貯蓄とその使用状況についてグラフにまとめましたものでございます。京都市と同規模の人口100万人から200万人までの政令市で比較しております。青色の棒グラフは,令和2年5月31日時点での財政調整基金の残高,オレンジの棒グラフは,令和2年4月以降に財政調整基金から一般会計に繰り入れた金額を表しています。京都市は緊急事態宣言よりも前に枯渇している状況でありますが,多くの政令市で一定の貯蓄があることが分かります。京都市は貯金がなかったために7月の補正予算でようやく24億円の自主財源を捻出し,コロナ対策に10億円ほどの財源を投入いたしました。一方,国に先んじて100億円規模のテナント家賃保証を行った福岡市は,臨時交付金と財政調整基金を両方活用することによって,4月時点で補償の発表,大型連休明けには募集開始とスピーディーに対応されました。福岡市は,59億円の財政調整基金を一般会計に繰り入れてもまだ200億円近くの貯蓄が残っており,今後予想される市税収入減にも対応できるようになっています。このように財政調整基金を活用することによって独自に迅速なコロナ対策に踏み込めたことは,大いに着目すべきであります。その点,臨時交付金にしか頼ることができなかった京都市は,市民に対して財政面で大きな不安を与えただけではなく,財政調整基金をしっかり積み立てている都市とそうでない都市とで,有事の際の安心感という面において地域差が生じたと言えます。 市長にお尋ねいたします。今回の新型コロナウイルス感染拡大という世界的危機から御自身の都市経営を振り返ってみて,財政調整基金の重要性をより認識されたことと存じます。財政調整基金が枯渇した状態の中での経済対策についてどのように評価されますでしょうか。京都市民が未曽有の危機を迎えたとしても,安心して生活や事業をしていくためには,地に足の着いた計画的な積立てをしていく必要であると思いますがその見解も併せてお聞かせください。 次に,新型コロナウイルス感染拡大に伴うこれまでの取組についてお伺いいたします。秋から冬にかけて感染が心配されるインフルエンザと新型コロナウイルスの両方を対処していかなくてはならないという厳しい状況を迎えます。これまで多くの市民から京都市のこれまでの対応について御不満の声が上がっていることを取り上げながら,今後の対策について2点御提案いたします。 一つ目は,感染拡大を徹底的に抑え込むために必要な検査体制強化についてです。検査体制強化については,補正予算の度に検査数を増加し,9月市会の補正予算においても,派遣の保健師を増員し保健所の強化を図られることが決定いたしました。京都市民が安心して生活できる,働ける環境づくりは言うまでもなく,落ち込みの極めて厳しい京都観光の復活を成し遂げるためにも,保健所と検査体制の強化については常にアップグレードする必要があります。検査体制の強化については,予算と人員を増やすという方法以外にも拡充や改善ができることがあるのではないかと考えます。 現在,濃厚接触者と定義される方に対する検査については,保健所でも可能な限り迅速に対応がされているとお伺いしています。しかし,濃厚接触者の御家族や同僚など同じ空間で社会生活,日常生活を送る人たちについても,感染拡大を防ぐためにも可能な限り濃厚接触者と同様の対応が必要であると考えられます。市内で感染が確認された方が通う施設に出入りする職員や保護者については,ヒアリング等を踏まえ濃厚接触者か否かを保健所が判断することになっています。保育園を含む児童福祉施設については,濃厚接触者だけでなく,その施設に出入りをした保護者や園児に対しての対応がガイドラインで定められているものの,民間の児童関連施設や福祉施設については基準が曖昧であり,個々の事業経営者に判断が委ねられている状況であります。その民間の事業者における,濃厚接触者だけでなく,施設に出入りした濃厚接触が疑われる人についてもすぐに検査が受けられる体制を整え,児童福祉施設などと同様に基準を設けるべきであると考えますがいかがでしょうか。くわえて,感染拡大を防ぐという点においては,現場で奮闘いただいている保健師の業務仕分けとサポートを行うことも必要です。保健師の資格がなければ,知識がなければ対応が難しい業務と報告書の作成や単なる事務連絡とに分けて人員の配置を行っていただくことにより,保健師の負担軽減と濃厚接触者の特定,濃厚接触者への検査をいち早く行うことができる体制を作っていただくことも併せて求めます。 二つ目は,経済対策の一環で行われた各種補助金についてです。京都市は市独自の支援事業を幾つも展開していることについては評価すべきところでありますが,中には募集期間の途中で予算に到達したために一時打切りになったものもあります。今回の9月補正で追加の予算を投入することに決まりましたが,中小企業等IT利活用支援事業については,当初発表した公募期間の中で打切りによって申請機会を失った事業者から,応募の準備などに労力を割いたにもかかわらず支援を受けられなかったと,不満の声が上がっています。京都市に助けを求める方々が殺到している中で補助を打ち切るということは,信用失墜につながるだけでなく,必要な人に正確に支援を届けるという行政サービスの精神に反し,市民に不公平感を与える結果となります。今回の京都市の補助金が,補助を行う事業に対して的確な需要予測を立て,その結果に裏打ちされた財源確保ができていたかは疑問が残ります。今後は,需要予測と財源確保をしっかり行ったうえで,限りある予算の中で優先順位を付けること,そして可能な限り公正公平な支援を行っていただくことを強く求めます。 そこで2点,市長にお尋ねいたします。2月から,これまでの京都市のコロナ対策の取組を振り返りどんな教訓があったのか,まず一つは,医療・検査体制を今後どのように拡充させていくのかお答えください。二つ目は,各種補助金については課題が多いと考えられます。今後どのように改善を図っていかれるのかお答えください。 次に,行政手続のオンライン化についてお尋ねいたします。私は,以前から子育てに関する行政手続の電子申請拡充を代表質問の場でも申し上げてきましたが,新型コロナウイルス感染症防止の観点からも,混んでいる区役所に行かずとも,必要な手続や申請ができるようになってほしいという声は,より一層高まっています。京都市においても,平成31年1月からマイナンバーカードによる証明書のコンビニ交付が開始され,AIやICT技術の進歩も相まって,市民が区役所に求めるものについても変化しつつあります。区役所に行けば全ての行政手続が完了するというワンストップの考え方すら古くなり,ネット環境があるところであれば,いつでも,どこでも,マイナンバーカードとスマートフォンで行政手続ができるというゼロストップの対応を求めています。社会を取り巻く状況の変化から見ても,行政手続や業務についても見直すときがやってきたのではないかと考えられます。 平成28年12月に施行された官民データ活用推進基本法に,行政手続に係るオンライン利用の原則化が定められていることからも,申請から手続完了までオンラインで完結することは,近未来的発想ではなく,既にそこに来ている現実と捉える必要があります。さらに,9月16日に誕生した菅内閣でも,改革の目玉としてデジタル庁を立ち上げられ,これまで省庁ごとにばらばらに取り組んでいたものをデジタル庁に一本化し,一気に業務のデジタル化やオンライン化を推進すると報道されています。このような国の動きは歓迎されるものであると考えておりますし,地方自治体も国の動きを注視しながらも,今できることを整理し,直ちに取り組む必要があると考えています。京都市において行政手続のオンライン化がスムーズに行われるようにするためには,旧態依然の業務体系を一から見直す必要があると考えます。 大阪市では,オンライン化に向けた業務について洗い出しを行った結果,三つの課題があるとしており,一つは,電子的バックオフィスの連携ができていないというシステムの課題,二つ目は,紙媒体の仕事から脱却できないという業務上の課題,三つ目は,組織横断的に業務プロセスの改善を推進する体制が整っていないという人や組織の問題が挙げられています。京都市においても,業務改革の中で何年も前から問われているペーパーレス化や業務の標準化など,業務フローを再点検するところから行う必要があります。あわせて,その作業を部署ごとにばらばらに行うのではなく,行政手続のオンライン化に向けて全庁横断的な組織をつくっていただくことも検討されるべきではと考えます。国で進めている行政手続のオンライン化について,京都市でもワンストップではなく,申請手続が全てオンラインで完了するというゼロストップでできるよう導入検討を進めていただくことを求めます。 次に,行政サービスのオンライン化に伴う行政区の在り方についてお尋ねいたします。京都市は現在11の行政区に分け,市の事業所として11区役所,3支所,14出張所を設置し,市民に身近な業務が行われています。区役所等にどのような機能,組織を持たせるのかは市の裁量で決定できるため,これまでにも行政内部での検討により,適宜見直しが進められてきました。今後,オンラインでの申請が普及していけば,市民にとって区役所とは証明書発行や手続をする場所ではなく,市民生活を快適にかつ安全に行う上での相談や問題解決の最も身近な窓口の役割が大きくなると考えられます。 また,区役所職員は,パソコンやインターネットの扱いに慣れていない区民の皆様への支援など直接的なコミュニケーションが求められます。そのため日々多様化する行政ニーズに対応し,市民と職員とのコミュニケーションをより充実させていくことが重要になります。オンライン化の推進は,人でなくてもできる作業から解放されるということでもありますが,それは行政業務において即人減らしということではなく,よりクリエイティブな仕事に職員が取り組めるということでもあります。そのことによって住民サービス向上が期待できる面もあり,例えば住民福祉の分野において,本当は支援が必要であるにもかかわらず,支援に結び付いていない人を行政とつなげるアウトリーチの活動を充実させることもできます。そのうえで,現在の区役所職員と区民の数のバランスがどのようになっているか,人口1,000人当たりの職員数を算出しましたので御覧ください。 (パネルを示す)多くの行政区が1,000人当たり1.05人から1.64人であるにもかかわらず,東山区は1,000人当たりの職員が2.73人と突出して多いことが分かります。区役所が必ずしも行政区の人口に応じた職員数にすべきであるというわけではありませんが,このままいくと,東山区と人口1,000人当たりの職員数の最も少ない右京区とでは,区民対応をする人員にこれだけの開きができるということになります。また,山間部の出張所についても,一部の手続しかできないために,結局住民の皆様は総合庁舎に足を運んでいただいて手続をされています。今後は,出張所に行けばパソコン端末から全ての手続が完了するという体制を整えるとともに,山間部ならではの鳥獣対策や防災などの問題に,行政が今まで以上に真摯に向き合うことに重心を置いた職員配置も考える必要もあります。今後の行政区の在り方と区割りの変更も含め,今後のサービス提供が大きく変化することを見越した職員の適切な人員配置が必要なのではないでしょうか。 そこで市長にお尋ねいたします。行政手続のオンライン化についていつ頃までに何をするか,今後の計画や展望についてお聞かせください。また,平成16年に開催された行政区在り方検討会以降も,人口の格差は広がっていることからも見直し,根本的な検討をする時期に来ていると考えていますが,市長の考えをお聞かせください。 以上,私の代表質問を終えます。最後までの御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森かれん議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス対策についてでございます。まずPCR検査体制についてでありますが,京都市では,全国でもいち早く5月に本市独自の検査基準を設け,濃厚接触者だけでなく,症状の有無にかかわらず感染の可能性を広く捉えた検査を既に実施しているところであり,これに対応できる医療検査体制の拡充を図ってきております。具体的には,京都市衛生環境研究所における検査機器の増設,合築の強みをいかした府保健環境研究所と連携した検査,さらには,民間の検査機関の活用等を通じて保健所の検査体制を抜本的に強化してきております。 さらに,京都府及び京都府医師会と連携したドライブスルー方式によるPCR検査センターを開設するとともに,帰国者・接触者外来の増設や唾液による検査が可能な協力医療機関の拡充に取り組み,9月末時点で,市内を中心に府内408箇所の身近な医療機関で保健所を通さずとも診療・PCR検査が受けられる仕組みを構築しております。本市では,全市で330名を超える保健師を配置し,市民1万人当たりの保健師数は2.3人で,政令指定都市平均の1.56人を大きく超えており,100万人を超える大都市の中で最も充実した体制となっております。この間,新型コロナウイルス感染症に対応する保健所,保健師の体制につきましては,他の部署からの応援や保健師等の前倒し採用,民間の保健師の活用,さらに,保健師等が専門性をいかした活動に一層専念できるよう業務分担の整理や事務職員の増員など,可能な限りの対応を行っているところであります。今後とも感染者数の動向に応じて,柔軟かつ的確に対応できるよう体制を整えてまいります。 次に,経済対策に係る補助金についてでございます。本市では,この間,経済団体や事業者の皆様の生の声をお聞きし,そして刻一刻と状況が変化する中にあって,費用や直接的な効果はもとより,使いやすさや波及効果等も検討したうえで,できる限りきめ細かく,スピード感を持って様々な補助金等を創設し,実施してまいりました。これらの補助金の多くが評価を頂き,特に幾つかの補助金については,多くの事業者の皆さんから極めて高い評価を頂き,当初の想定を大幅に超える申請がありましたが,事業者の皆様の要望をしっかりと受け止め,満額交付できるよう改めて補正予算を計上しているところでございます。 御指摘の中小企業等IT利活用支援事業は,単に補助金を交付するだけではなく,個々の事業者の相談に専門家が応じ,効果的な導入プランを提案するITコーディネーターの派遣が事業の柱であることから,多数の申請にお応えするため,その体制を最大限強化し,当初予定の約5倍となる236件の申請を受け付けたものであります。また,締切後の問合せに対しては,国等の支援策を紹介するなどできる限り丁寧に対応しております。今後とも,事業者の皆様の生の声をしっかりとお聞きし,それを反映した事業を構築するとともに,必要な支援が行き届いていくよう取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 行政サービスのオンライン化及び行政区の在り方についてでございます。まず,行政手続のオンライン化については,今般,政府においても行政のデジタル化を強力に進めていく方針が示されたところであり,重要な課題であると認識しております。本市といたしましても,国の動向をしっかりと捉えながら,多様な市民のニーズやオンライン化に伴う新たな課題に的確かつ迅速に対応できるよう,職員からの提案や現場の声をいかしながら,全庁が一体となって,書面,押印,対面を不要とした行政手続のデジタル化を推進する仕組みを整え,まずは,行政手続や法令上の課題の洗い出し,整理,分析を進めてまいります。 あわせて,行政のデジタル化の基盤となるマイナンバーカードについては,令和3年3月から健康保険証利用が開始され,また,運転免許証としての活用も検討されるなど,今後,市民生活に関する様々な分野での活用が期待されています。本市ではこれまでから,マイナンバーカードを活用し,妊娠の届出や児童手当の各種届などの電子申請のほか,証明書のコンビニ交付を実施しておりますが,引き続き,国に対して飛躍的な普及促進につながる仕組みの構築について要望するとともに,本市においても,今月から実施するターミナル証明書発行コーナーでのカード交付など,より一層の普及に向けて取り組んでまいります。 次に,行政区の在り方についてでございます。本市では,永年にわたり培われた各区の特性を生かし,区役所を中心に地域コミュニティの活性化や福祉,保健,子育て,地域防災など,区民が主体のまちづくりを進めております。行政区の区域の見直しについては,地域コミュニティの活動範囲や区民の行政区への愛着,また,仮に再編を行う場合には住所変更に伴う市民負担など,市民生活への影響についても十分に考慮する必要があり,人口の格差のみをもってその適正規模を論じるものではないとの認識を,平成28年3月策定の新たな区政創生においてお示ししております。本市では,これまでから区役所の適正な体制整備はもとより,戸籍事務の電算化,保険年金業務や税務センターの集約化,証明郵送サービスセンターの設置など,業務の効率化,集約化によるスケールメリットをいかした組織改革を推進してまいりました。同時に,まちづくりや地域防災の拠点としての区役所の機能強化に向け,平成24年度以降,各区の地域力推進室に42名を増員するとともに,子育て家庭への支援を充実するため,子どもはぐくみ室に23名を増員するなど,体制強化にも取り組んでまいりました。今後とも,市民生活の安心安全とまちづくりをしっかりと支える区役所の在り方について,行政手続のオンライン化による効果等も見据え,引き続き不断の改革に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 財政調整基金についてでございます。本市は,人口に占める大学生や高齢者の割合が高いことや,木造家屋が多い等の都市特性により,市民一人当たりの市税収入が他の指定都市と比べて低く,財政基盤がぜい弱であることに加え,三位一体改革以降の地方交付税の大幅な削減により,一般財源収入は平成12年度のピーク時から224億円減少しております。こうした中で,平成初期に行った交通インフラ,公園・文化施設の整備,危機的な経営状況にある地下鉄事業への財政支援のために発行した市債の償還や,福祉,教育,子育て支援の充実や市民の安心安全を守る防災・減災対策等の推進に必要な財源が不足する状況にあります。職員数の削減などの行財政改革を徹底してもなお不足する財源を公債償還基金の取崩しで賄っている状況が続いており,決算において財政調整基金に積み立てる財源がなく,加えて,被災者住宅再建支援事業をはじめとした平成30年度に相次いで発生した災害への対応や,国民健康保険事業への財政支援等の取崩しもあり,財政調整基金は令和元年度決算で枯渇しております。 また,公債償還基金の取崩しによる補はいつまでも続けられるものではなく,このまま取崩しを続ければ基金が枯渇する懸念もある中,今年度は新型コロナウイルス感染症の影響による市税収入の大幅な減収などにより,公債償還基金の追加取崩しが必要と見込まれるなど,一層厳しい状況が想定されます。このため,直ちに財政調整基金を積み立てる財源を確保することは困難な状況であります。まずは,財政構造を抜本的に見直し,持続可能な行財政を確立するため,今年度に設置した持続可能な行財政審議会において徹底した市民公開の下,歳入歳出全般にわたって踏み込んだ議論を行っており,同審議会で頂いた意見等も踏まえ,更なる改革を進めてまいります。 また,今回の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済対策につきましては,本市では,令和2年3月に,京都府や京都商工会議所と連携した中小企業支援,観光事業者への緊急助成制度の創設を盛り込んだ補正予算の追加提案に始まり,その後も現場の声を丁寧にお聴きしながら,財政調整基金が枯渇する中でも必要な事業を実施するため,5度にわたる補正予算を迅速に編成し,京都経済の回復と市民生活を下支えするきめ細かな支援を行っております。補正予算の財源といたしましては,新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のほか,当初予算で計上いたしました事業の徹底した見直しや,特定目的基金の条例の規定に基づく取崩しを追加で行うことで24億円の財源を捻出しておりますが,今後も更なる事業の精査,経費の節減を行うなど,財源確保に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,神谷修平議員に発言を許します。神谷議員。 〔神谷修平議員登壇(拍手)〕 ◆(神谷修平議員) 下京区選出の神谷修平です。地域政党京都党市会議員団を代表して,森かれん議員に続きまして質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 まずは,本市におけるふるさと納税の取組についてお聞きいたします。従来から私たち会派は申し上げておりますが,ふるさと納税は受益と負担という地方税の原則をゆがめるものであり,課題のある制度であります。しかし,それによって京都市民の皆様の利益が損なわれる事態となっていては,不本意であろうとも積極的に取り組んでいかなければなりません。なぜなら本市のふるさと納税による財源流出は深刻な状態となっているからです。平成30年度はマイナス28億円,令和元年度はマイナス36億円,令和2年度では既に6月時点で40億円以上が流出しています。寄付額は平成30年度1.8億円から令和元年度2.5億円と7,000万円の若干のプラスに転じてはおりますが,余りにも流出額が大きいため焼け石に水の状態です。ふるさと納税によって流出している市税は,本来は,京都市民の方々のために使われるべき貴重な財源です。本市の財政状況を考えれば目標収入額を40億円以上と定め,まずは収支ゼロを早期に目指すべきであります。 ただ,昨年から,本市でも,何とか収入を増やそうと返礼品拡充に力を入れておられ,現在460品目以上まで増やされています。その中でも,直近では新型コロナの影響で寄付件数はそこまで伸びておりませんが,新型コロナウイルス前では旅行クーポンや宿泊クーポンは大変人気の返礼品となっておりました。この積極的な姿勢は評価いたしますが,まだまだ京都の代表格の産品が入っておりません。返礼品で重要視すべきは,消費者目線に立った拡充であり,選ばれる返礼品でなければ意味がありません。京都には全国の方々が欲しいと思うものが数多くあります。例えば京都のお土産ランキング上位の和菓子や洋菓子,お漬物やSNSで話題の食品などが品目にはまだほとんど入っておりません。全国的にも人気の高い京都の人気ラーメン店の商品や,パンなども魅力的な品目となるでしょう。こういったものを返礼品に加えれば,企業にとってもリピーターになってもらえる可能性もあり十分にメリットがあります。 また,ふるさと納税の仕組みの中で,ネーミングライツを行う取組も考えるべきです。石畳を新しくされる場合,そこに名前が刻まれるというのも一つのアイデアです。大学が多くある強みをいかすなら,ふるさと納税の仕組みを使った母校と連動した寄付金の制度を設けるべきです。寄付金は学生たちを支援するため,奨学金や大学周辺の環境整備などに用います。そして,最近では,物ではなくサービスを返礼品に加える自治体も増えてきております。例えば,お墓の清掃代行サービスなどがそうです。さらに,今後のウィズコロナ時代に,京都を訪れてみようという足掛かりとなるサービスも拡充すべきであり,観光タクシー利用券やオンラインツアーなども考えるべきでしょう。これからはサービスの付加価値を高めることが大事であります。 次に,京都のふるさと納税の継続性を高めるために,寄付していただく方々とのつながりを強くし,京都のファンになっていただくという観点も重要です。そこで,今後のふるさと納税の取組として,北海道東川町の株主優待制度を模倣した仕組みが大変秀逸であったので御紹介いたします。この制度は寄付してくれる方々をまちの株主と位置付け,一緒にまちを育んでいくというものです。京都市の株主になった場合,株主証が発行され,特別市民という位置付けになり,京都に訪れた際には,まちの公共施設が市民価格で利用できる株主の割引宿泊プランがあるなど,様々なサービスが受けられます。また,京都市のまちづくりに参加する株主総会を開催し,進捗や財政状況など直接聞くことができる機会を設けます。その株主総会は二条城で開催するなど,株主にとって参加したい,訪れたいと思えるしつらえを用意することも重要です。もちろん総会で意見があれば直接伝えることができます。まちに愛着を持っていただき継続的につながることで,関係人口が増えるということが株主制度に期待する大きな効果の一つです。関係人口の増加は,移住促進にもつながります。全国的にファンづくりに成功している京都ならではの非常に有効な施策になると考えます。そこでお聞きいたします。深刻な財源流出額に対する目標金額について,また,品目の増加や物だけではなくサービスの返礼品の拡充について,そして,今後の本市のふるさと納税に関してお考えをお聞かせください。 次に,御提案させていただきたいのが,企業版ふるさと納税への積極的な取組です。企業版ふるさと納税は,2016年度の税制改正により創設されました。国の認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合,今までは最大6割の軽減がありましたが,今年度の税制改正で軽減効果が最大9割に引き上がりました。つまり仮に1,000万円寄付すれば,100万円の負担で1,000万円寄付したことになるのです。京都市もこの機を逃さず,徹底的に取り組むべきと考えます。本市の今までの企業版ふるさと納税の成果を申し上げますと,寄付額は毎年度100万円と極めて低調です。早期に取り組まれたところは,結果につながることは言うまでもありません。 本市の課題は次の2点です。第1は,積極的な取組をしていないこと。第2は,魅力的なプロジェクトがないことです。京都市の全体的な建付けとして,一つ目は子育て,二つ目は定住,三つ目は経済活性,四つ目は文化,五つ目は地域コミュニティというこの五つの柱は良いと思いますが,京都市を選んでもらうなら,四つ目の文化に初めは注力することが肝要ではないでしょうか。例えば,京都には文化財の修理や二条城の保全など,日本の宝を守るといった大切な事業があり,そういった事業に寄付を行うことは,企業のイメージアップ,ブランド力の向上にもつながります。また京都が誇るアニメや漫画に関する事業なども興味を持たれる企業が多いでしょう。本気を出してプロジェクトを考えれば,他都市よりも魅力的なものを十分生み出せるはずです。今後は,企業が提案するための余地を残しつつも,京都が誇る文化を中心とした具体的なプロジェクトを考え,アプローチをしていくべきと考えますがいかがでしょうか。 また,企業版ふるさと納税の成功には,個々の企業に対する積極的なアプローチが重要です。現在,北海道知事である鈴木直道氏は,夕張市長時代に家具大手のニトリから夕張市に5億円の寄付を受けました。さらに企業版ふるさと納税の寄付額が常に上位の茨城境町では,町長が自ら全国の経営者の元を訪問することで3億円を超える寄付を集めました。このように個々の企業に対するアプローチが成功の鍵を握っております。企業版ふるさと納税の大前提として,企業の本社がある自治体への寄付はできません。ここでも京都の強みをいかすために,全国に多くおられる京都にゆかりのある方々,例えば学生時代,京都で過ごされた経営者などに積極的にアプローチしてはいかがでしょうか。また,他府県に存在する京都府人会や,京都にある大学の同窓会の支部などへアプローチすることも有効な手立てであると考えます。そういった際には,本市がシティセールスの拠点とおっしゃっておられる東京事務所の活用も併せてお願いいたします。以上企業版ふるさと納税に対する回答を求めます。 次に,本市の公園について何点か提言させていただきます。市が管理する公園は約900箇所あり,その2割に当たる公園が整備から50年が経過しています。遊具に関しても,現行の安全基準に適さないものも多くなってきております。京都市では,日常点検などで危険があると判断した場合は修繕や更新をその都度実施しております。しかし,その中にはほとんど使われていない遊具や,少子化の影響などにより,周辺に子育て世帯がほとんど住んでおらず,公園自体に子供たちが余り来ないところもあります。遊具などを残す,残さないの見極めが必要な時期が来ており,線引きが必要であると考えますが,現状ではとりあえず全て残すという判断を京都市として下しておられます。公園のトイレに関しても,再整備する明確な基準というのは存在しないようです。明確なビジョンを持たず,その場その場で対応するのではなく,公園整備に当たっては,まず現状を十分に把握していくことが肝要です。実際に,私の選出区であります下京区の公園を全て見て回りましたが,なぜここのトイレは新しくなっていて,隣の学区の利用頻度が高い公園はいつまでも古いままなのかと疑問を感じることや,雑草が生い茂りすぎて使用できないような遊具もありました。今のような場当たり的な整備を行っていては,こちらの学区の公園はきちんと設備はされているが,隣の学区は整備されていないといったような不公平感が生まれます。公園改修の精度の高さが不十分であり,その辺りの精度を高めていくことが求められます。橋りょう健全化プログラムで行われているように,優先順位と年次で区切ったしっかりとした計画が公園整備にも必要なのです。 本市においては,京の公園魅力向上指針を策定されておられますが,その計画は一つの一つの公園において本当に地域のニーズに合った計画となっているでしょうか。約900箇所ある公園のニーズを全て行政だけで把握するのは困難です。今までも,自治連合会や公園愛護協力会,またワークショップによって地域の皆様や公園利用者からの御意見を伺っているかと思いますが,まだまだそれでも一部の御意見です。ネットやSNSなどを活用すれば,今まで声を届けたくても届けられなかった方々など,もっと広く全区民的な御意見を拾い上げることができます。 詳細な公園整備に当たっては,区役所が中心となり,学区ごとの単位から公園の在り方を検討する機会を作ることも必要です。市民に最も近い窓口である区役所が中心となって地域の情報を吸い上げ,公園の在り方に反映していくべきです。その中で,利用者が少なく今後管理を続けていくことが難しい公園や,子育て世帯が多いエリアでは,遊具を充実させてほしい,子供の利用が少ない公園では,老朽化が進んだ遊具は撤去してほしいといったような御意見も出てくるでしょう。限りある予算の中で,廃止する公園,遊具や子供の遊び場を充実させる公園,広く市民の方々に使ってもらえるような広場が多い公園など,実情に応じて公園を分類化していくべきであると考えます。私も公園でアンケートを取らせていただきましたが,子育てをしておられる方々からは,もっと日陰が多い公園にして欲しい,水遊びができる公園を増やしてほしい,バスケットボールなど球技ができる公園が欲しいなどの御意見もいただきました。市民の声をしっかりと吸い上げた公園づくりを進めていくべきです。これからの時代に即した公園個別のニーズを捉えるためにも,ネットやSNSなどを用いて幅広く御意見を集めていただきたいと思います。また選択と集中を行いながら公園をマネジメントし,区役所を中心に学区の状況を取りまとめ,精度の高い公園計画を作っていくべきであると考えますがいかがでしょうか,本市のお考えをお聞かせください。 さて次に,コロナ禍での学校教育環境についてです。保護者の方々や生徒から新型コロナへの感染が心配なので登校を控えたいというお声をお聞きいたします。呼吸器疾患などの持病をお持ちの児童生徒が,日々不安な思いを募らせながら登校している現状もお聞きしております。子供は重症化しにくいと言われていますが,持病がある人は話は別で,重症化するリスクは十分考えられます。そういった保護者や生徒の声を受けて,大阪の寝屋川市では,登校するか,御自宅でオンラインによるライブ配信授業を受けるか選択できる選択登校制という制度を導入しております。ライブ配信を選択された場合,自宅学習を認め,欠席扱いとはしないという措置です。この制度は,全国的にも多くの求める声が上がっており,テレビなどのメディアでも取り上げられ,ネット上では署名活動が行われるなど大きな話題となっております。 京都市では感染の心配から学校を欠席される場合,欠席扱いとならない制度を取っておられ,自宅待機される児童生徒に対しては,短い動画の配信や,学習プリントを活用されており,この取組はすばらしいものであると評価しております。しかし,決してこれだけでは十分とは言えません。登校を控える子供たちも,義務教育の観点から,同程度の学力補償ができる仕組みを作らなければなりません。ライブ配信授業によって学習の機会を平等に担保すべきですし,教室や友達の様子が見えるという点は,生徒の安心感や,再度登校するときの不安軽減につながり,心のケアの面においても有用です。ここで私の経験をお話させていただきますと,私は阪神・淡路大震災のときに自宅を焼失し,住む場所が見つかるまで,一時的に他府県の祖父母の家に避難しておりました。学校が再開されてからも一月程度,元の学校には登校できず,教科書で自主学習するしかありませんでした。しかし,こういった災害時でも,ライブ配信授業があれば平等な学習の機会を得ることが可能なのです。 寝屋川市の担当の方に実際にお聞きしたところ,ライブ配信の方法は,教室で授業する教師の前にタブレット端末を設置し,授業の様子を撮影して,オンラインビデオ通話システムスカイプで配信するというものです。生徒はタブレットやスマートフォンで受信します。新しい設備や機材が必要ではなく,教職員の方も端末での操作が加わるだけで特に負担は増えないというものでした。本市では,9月に端末やネット環境がない御家庭の分の端末も配備されてきており,今年度中には生徒一人に1台端末が配備されます。またライブ配信において新たな費用が掛かることはなく,寝屋川市では問題なくできております。ライブ配信授業を行える環境は十分整備されてきており,現在本市においても新型コロナウイルスによって学級閉鎖となったクラスにおいては導入されております。確かに平常時の活用には議論の余地は残りますが,現在の新型コロナウイルス感染の状況や,地震など災害時においては導入を検討されてはいかがでしょうか。選択登校制,そしてそれに伴うライブ配信授業の導入について本市のお考えをお聞かせください。 以上で私からの質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 神谷修平議員の御質問にお答えいたします。 ふるさと納税についてでございます。本市では,昨年度から伝統産業品,京野菜,京都肉,寺社の特別拝観といった体験型プランなど,京都ブランドをいかした返礼品を拡充するとともに,寄付を受け付けるポータルサイトの開設や,情報発信の強化など,寄付獲得に積極的に取り組んでまいりました。その結果,令和元年度の寄付受入額は過去最高の2億5,500万円となったところであります。しかし,全国的に本市をはじめ多くの人口を抱える政令指定都市等から,ふるさと納税によって多額の市民税の流出が続いていく,著しいと本市においても令和2年度の流出額は40億円に上るなど,深刻な状況にございます。 そこで,今年度は更に取組を拡大し,事業者の皆様からの御提案も頂きながら,数多くある京都ブランドをいかした返礼品を開拓するとともに,全国から京都を応援したいという京都ファンの心に響くように,返礼品を通じて京都のブランド力を発信し,寄付額の拡大に努めているところであります。具体的には,ポータルサイトを新たに三つ増設するとともに,寄付が本格化する年末の前から季節の返礼品を充実させ,今夏にはコロナ禍でも自宅で京都の美味しい地場産品を楽しんでいただけるよう,老舗料亭の食品や日本酒に加えまして缶チューハイ,クラフトビールなども新たに追加しました。この結果,9月末現在のふるさと納税寄付受入額は昨年度比2倍となっております。さらに,10月から東京都が対象に加わるGOTOトラベルキャンペーンと返礼品の旅行クーポンと組み合わせた京都旅行を提案するなど,京都が誇る,歴史や文化遺産に触れてもらえるような機会を創出するとともに,市内の人気の料亭やレストランで食事をしていただけるプランなど,京都ファンの心をつかむ体験型の返礼品についても充実してまいりました。今後は,これまでの取組の実績や効果を検証,分析しながら,寄付受入額の増額に向け,更に民間事業者の知恵をいかして徹底的に取り組んでまいります。こういう機会に是非京都市のふるさと納税についてのポータルサイトを御覧いただき,魅力あふれる京都ならではの返礼品をお知りいただき,多くの人に御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に,企業版ふるさと納税についてでございます。本年度から,地方創生の更なる充実,強化に向けて,地方への資金の流れを飛躍的に高める観点から,制度が大幅に見直され,本社所在地が京都市外の企業を対象に最大で寄付額の約9割の税が軽減され,実質的な企業の負担が約1割にまで圧縮されるなど,より使いやすい仕組みとなりました。これらについては色々な制度の課題も本音でございますけれども,しかしそういうことは言ってられませんので,獲得していかなければなりません。一方で,本年8月時点で認定を受けた地方公共団体は,722団体と全自治体の約4割の参加にとどまっていることから,まだまだ市場拡大の可能性が残されており,これまでから本市と関係性の深い企業をはじめ,京都市内に営業所等の拠点があり本社が市外の企業にアプローチしているところでございます。企業版ふるさと納税の獲得に向けましては,対象となる事業の魅力,成果などを企業の皆様に十分に御理解していただき,企業にとってのメリットを感じていただくことが必要でございます。その視点を全庁で共有し,民間のサイトや,東京事務所における首都圏ネットワークを活用するなど,引き続き,企業版ふるさと納税の寄付獲得に向けて京都市の総力を挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 公園の整備についてでございます。公園は,子供から高齢者まで幅広い世代の方々が利用され,市民生活に憩いと潤いをもたらす貴重な都市空間でございます。また,健康増進や地域コミュニティの形成の場,更には災害時の避難場所などとして,公園に求められる機能,役割は一層幅広いものとなってきております。そのため,公園の整備,管理に当たっては,ワークショップを重ねるなど,近隣の皆様や公園の利用者,また除草,清掃などへの御協力や公園に関する地域の窓口として大きな役割を担っていただいております公園愛護協力会などの御意見,御要望をできる限り反映し,地域のニーズに合った地域コミュニティの活性化にもつながる公園となるよう進めております。また,京の公園魅力向上指針につきましては,極めて厳しい財政状況の下,供用年数や遊具の老朽化状況などを踏まえまして,500平米以上の公園を対象に,優先順位を付けて計画的,効果的に再整備等を行うことを目的に策定いたしたものであります。このほかの公園につきましても,これまでから区民の皆様の思いを一番よく知る区役所と緊密に連携し,学区要望の機会はもとより,日常的に情報共有を行う中で個々の公園に関する地域のニーズの把握を行い,公園の整備にいかしているところであります。 また,SNS等のデジタルの活用につきましては,スマートフォンアプリのみっけ隊を通じ,公園管理や整備についてのお声やリアルタイムでの情報を頂き,改善につなげてきております。みっけ隊が公園を対象としていることも含め,より積極的な周知活用を促してまいります。このほか,京都いつでもコールや市長への手紙などに,インターネットによる送信フォームも設け,幅広く市民の皆様の御意見をお聞きする仕組みを構築しており,随時御意見を頂きながら,本市の施策にいかしているところであります。これに加えまして,再整備等のためのアイデアや資金につきましても,民間や市民の力をお借りし,Park-PFIや包括委託等の民間活力の積極的な導入をはじめ,幅広い手法を用いまして,安心安全で快適に御利用いただける満足度の高い公園整備を計画的に進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 新型コロナ禍を受けました学校教育環境についてでございます。本市では,夏季休業明け以降,児童生徒や教職員が新型コロナウイルス感染症に感染し,学級閉鎖等の措置を行った場合や,濃厚接触者に指定された児童生徒が自宅待機となった場合には,7月特別市会において議決をいただき,緊急調達いたしましたパソコン端末を活用し,学級閉鎖の場合には他の学級の授業を同時配信したり,自宅待機している児童生徒には在籍学級の授業の同時配信によるリモート学習,また,教育委員会が全市で活用できるように緊急に準備いたしましたオンライン用の学習教材の提示などにより,学びの保障を進めております。この授業の同時配信では,例えば教員の机の上にパソコン端末を置き,指導教員の画像と音声だけでなく,板書の内容や教材を自宅で視聴している児童生徒に示すとともに,教員が自宅にいる児童生徒にも積極的に語り掛ける等の工夫を行いながら授業を進めております。一方で,こうした取組を通しても,例えば理科等における実験,体育や図工,美術,技術,家庭等の教科については,対面指導が必須であるとともに,実技指導により児童生徒が実際に体験しなければ十分な学習効果が期待できないなど,課題もあると考えているところであります。 こうした中,議員御提案の登校するか,自宅でオンラインによるライブ配信授業を受けるか選択できる選択登校制につきましては,ただ今申し上げました対面指導や実習を必要とする教科があることや,学校教育活動において本来大切にすべき人と人とのつながり,温もりをオンライン学習とどう両立させて育むかという課題に加え,文部科学省の指針にも家庭での学習を授業そのものと認めるものではないため,その学習時間を授業時数としてカウントすることはないとされていることなどから,直ちに制度として導入することは難しいと考えております。引き続き,新型コロナウイルス感染症や大規模災害等に伴う緊急時の対応として,現在展開する授業の同時配信等の取組に一層工夫,改善を凝らすなど,ICT環境を最大限にいかして準備してまいります。同時に,不登校や長期入院などの様々な理由で登校できない特別な事情のある児童生徒につきましては,その一人一人の実態に応じてオンラインも活用しながら,きめ細かな学習保障に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後3時11分休憩〕 〔午後3時34分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,くぼたまさき議員に発言を許します。くぼた議員。 〔くぼたまさき議員登壇(拍手)〕 ◆(くぼたまさき議員) 伏見区選出くぼたまさきです。日本維新の会市会議員団を代表して宇佐美賢一議員と共に質問させていただきます。 質問に先立ちまして,この度の新型コロナウイルス感染症においてお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに,今なお治療中の方々の一日も早い御回復を祈念いたします。また,危険と隣合せで懸命に御対応いただいている医療従事者の方々,さらには新型コロナウイルス感染症への対応を行っていただいている全ての皆様に心より感謝を申し上げ,質問に入らせていただきたいと思います。 まず初めに,新型コロナウイルス感染症について2点御質問させていただきます。 1点目は,インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えた新たな体制整備について質問させていただきます。今年は年初より新型コロナウイルス感染症により,本市においても様々な影響が出ております。また,第3波などの懸念もある中,この秋冬においてはインフルエンザ流行との関連により検査数が増加し,医療体制がひっ迫するなど,様々な課題についても心配しております。2013年から2016年での季節性インフルエンザの検査件数は2,000万から3,000万件であったことも踏まえ,多数の発熱患者などの診療,検査に対応できるよう体制整備が急務であると言われております。国からは,発熱があった場合に直接身近な医療機関に電話相談をして,地域の診察・検査医療機関を受診する仕組みに変えると示され,10月中を目途に体制整備を完了することとあります。本市としては,国の方針に先立ち,地域医療機関との連携なども取り組んできておりましたが,現状では,市内において行政検査の委託契約を締結した医療機関は一部であり,インフルエンザ流行に備えて,発熱などの症状のある多数の患者に対して,適切に相談,診療,検査を提供する体制を更に整備する必要があります。ただ,まちの地域のクリニックなどであれば人材やスペースに限りもあり,発熱などの患者からの電話対応や,発熱患者と別症状の患者を分けるスペースの工夫など多くの苦労が容易に想像できます。また,行政検査の委託契約をしていない医療機関に相談の電話が入った場合の対象医療機関の紹介においても,どこを紹介するのか,そもそも対象医療機関の情報管理をどうするのか,問題は山積しており,体制整備は待ったなしの状態です。市民が安心して暮らせる環境整備に迅速に取り組まなければなりません。本市としてまだ方針も決め切れてないようであれば,市民の安心をどうやって守るのか疑問にもなります。医師会,府としっかり連携を取りながら進めていただきたいと思いますが,本市としてどのように体制づくりを進めていくのか,そして今後の取組方針について市長の御見解をお答えください。 2点目ですが,新型コロナウイルス感染症に関連する人権問題について質問いたします。全国的に新型コロナウイルスに感染した方々への差別や中傷などが後を絶ちません。本市においては,門川市長を先頭に不当な差別や偏見などを防止するための取組を進めていただき,メッセージの発信や啓発ポスターの作成など取り組んでいただきました。それでも,本市においては新型コロナウイルス感染症に関して市内の大学や病院などで差別や中傷被害が起きているとの報道も実際にありました。先月に発表された文部科学省の緊急メッセージには,新型コロナウイルスには誰もが感染する可能性があります。感染を責める雰囲気が広がると,医療機関での受診が遅れたり,感染を隠したりすることにもつながりかねず,結局は地域での感染拡大にもつながり得ます。その点からも差別などを防ぐことは必要なことです。身の回りに差別等につながる発言や行動があったときには,それに同調せずに,そんなことはやめようと声を上げていただきたい。人々の優しさはウイルスとの戦いの強い武器になります,とあります。他の自治体では,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,不当な差別的取扱いの禁止等の条項も設けたうえで,市,事業者及び市民の責務などを定めた条例制定の動きがあります。本市においても,様々な取組の必要性と実施を検討しながら,人権侵害に対する対策と共に新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に向けた全庁的な取組の更なる推進が必要だと思っておりますが,本市の人権問題に対するこれまでの取組の振返りと,今後の更なる取組について市長の御見解をお伺いいたします。 また,コロナ禍における災害時の避難所体制について少し要望しておきます。これまで,本市における避難所では充足率が課題の一つではありましたが,各学校の教室開放などの取組により,充足率は本市全域で180パーセントに向上し,十分な受入体制を確保することができました。ただ,各学校の指定避難所については,以前より受入人数が増える可能性が高まるため,今まで以上に混乱を防ぐ準備を進めていかなければなりません。このコロナ禍において,避難所でクラスターの発生などを起こさないための感染防止対策についても,更なる対策強化が必要ではないかと思います。市民の安心安全を守るための避難所体制の更なる準備と感染防止対策を推進していただきますように要望しておきます。 次に,地域自治の推進と町内会の負担軽減への取組について1点御質問させていただきます。昨今では,地域において町内会の加入率も減少傾向にある中,様々な事業を担う人材が不足しており,特定の個人に偏り,個人の負担が増えているという声を聞いております。本市としては,町内会を含む地域の負担軽減を考え取り組んでいかなければいけないのではないでしょうか。もちろん地域も率先して汗をかく努力も必要です。近隣の長岡京市においては,市内にあるマンションの住民で構成された自治会が,率先してLINEを活用した回覧板の取組などもスタートさせています。本市においては,9月より地域活動へのICT導入サポートを実施しておりますが,形骸化することがないようにしっかりと連携いただき,地域へのサポートを推進していきたいと思っております。また,回覧板ならではの良さがあることも理解はしておりますが,町内会の方々からは,配布・回覧物が非常に多いとの声も聞いておりますし,私自身もそう感じる部分もあります。広報物の配布・回覧物を減らすこともできて,町内会などの負担軽減にもつながるよう,本市において,地域活動へのICT導入を積極的に推進していただくことが必要と考えます。市長の御見解をお伺いいたします。 また,行政側においても,配布・回覧物の専用データベース等を作成し,地域への配布・回覧物についてそこにアップロードする仕組みを構築し,市民がデータベースにアクセスすれば回覧物などいつでも閲覧できる。そのようなICTの活用を本市側としても推進していくべきだと思いますが,いかがでしょうか。行政は縦割りでそれぞれの仕事をこなすため,それぞれが町内会にお願いをしていくわけではありますが,受け手はだいたい一人の場合が多いです。これが疲弊の要因でもあります。市民の立場,目線に立って府市協調で市民,町内会との関わり方を整理されてはいかがでしょうか。市長いかがですか。 また,2年に一度,自治会,町内会アンケートを実施していただいておりますが,前回,平成30年度のアンケートにおいては,回答率が51.6パーセントであり,全体把握には足らない結果ではないかと思っております。もちろん強制力のあるアンケートではありませんが,せっかく実施するのであれば,形骸化することがないよう実施,そして回収方法などを改めて検討したうえで実施していただきたいと思いますので,要望しておきます。 次にGIGAスクール構想とICTを活用した学習活動について御質問させていただきます。市立小・中学校では,一人1台のタブレット整備を今年度に完了し,来年度からの本格運用に向け,まさに環境整備や運用の確立などを進めている段階と伺っております。GIGAスクール構想は,これからのライフスタイルや社会構造の変化に対応できる力を子供たちに培うため,その前提となる一人1台端末や高速大容量の校内LANの整備を行うものです。令和2年度の小学校から順次実施される新学習指導要領においても,コンピューターなどのICT環境の活用を通して,情報を収集し,整理し,発信する情報活用能力を話す,聴くなどの言語能力と同様に,学習の基盤となる資質,能力と位置付けるとともに,こうした能力を高めるために,学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実について明記されています。まさに,ハードウエアの整備と共に,ICTを活用した学習活動に対応できるようにしっかりとソフト面も含めた整備についても求められています。ただ,国が想定している使い道だけにとどまらず,本市として必要に応じて応用的な利活用も検討していくべきだと思います。こうした中,ICTを活用した学習活動の活用事例の一例として,コロナ禍で校外学習の機会が減っている中,先月に福岡のある中学校で,南極の昭和基地とオンラインでつなぎ,現地から隊員自身が南極での生活や実験の様子を紹介する報道がありました。従来でも,こうしたはるか遠方と教室を結ぶ授業を行うことは,不可能ではなくとも,高額な経費や大変な準備を必要としてきましたが,近年の急速なICT技術の進展,また一人1台端末の実現など,技術的なハードルは格段に低くなっていると感じます。 新型コロナウイルス感染症対策の一環として,臨時休校時などにおいても,学びを継続させるためにGIGAスクール構想が本年度中に前倒しとなりましたが,このGIGAは,Global and Innovation Gateway for Allであり,子供たちが全世界的な視点を体感,体得するためのツールとするとともに,教育のイノベーションとなることが期待されております。こうした中,感染症対策としての緊急時の活用と共に,GIGAスクール構想実現後の平常時の活用の在り方,ICTを活用した新たな学びの取組について,教育長の所見をお尋ねいたします。あわせて,こうしたICTの進展は,特に困りや課題を抱える子供の教育の充実につながるべきであり,これまでのオンライン授業などのノウハウをいかして,長期の病気療養や不登校傾向の子供などへの支援も引き続き推進されますよう要望いたします。 最後に,学童クラブ事業につきまして1点要望させていただきます。近年,共働きの増加に伴い学童保育の需要が増え,ますます学童クラブの必要性が高まってきているように感じております。その中において,本市の学童クラブ事業は公設,民設にかかわらず民間委託により運営されているほか,私の地元である伏見区の藤森学区のように,市の補助金が充てられているいわゆる地域学童というものがあります。地域学童は,開所時間など地域に応じた運営ができる一方,課税状況に応じて11階層に区分設定された料金設定がなく,利用料金に他のエリアと差異が生じています。藤森学区についても,地域から課題の声が出ており,要望書が提出されたと聞いております。そもそも地域によっては学区内に学童クラブが全くない地域もあります。本来は,どの地域においても平等にサービスを受けられる環境を整備する必要があると思います。地域間での料金格差の是正や学童クラブ事業の未設置学区の解消に是非取り組んでいただき,公平な格差のない施策を講じていただくとともに,様々な課題があるかとは思われますが,本市と地域とが共に協力し合いながら,この学童クラブ事業の更なる発展に取り組んでいただくことを強く要望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) くぼたまさき議員の御質問にお答えいたします。 インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えた体制の確立についてでございます。これから秋から冬にかけては,インフルエンザをはじめとする呼吸器に関係する感染症の流行期であり,発熱やせきといった,新型コロナウイルス感染症と同様の症状がある方の急増に備えるため,地域の身近な医療機関において相談を受け,診療,PCR検査等に対応できる体制の確立をしていくことが極めて重要であります。本市では,全国初めて昨年12月に合築いたしました市の衛生環境研究所と府の保健環境研究所との強みをいかした検査の実施や民間の検査機関の活用といった保健所による検査体制の強化に加えまして,京都府及び京都府医師会と連携したドライブスルー方式によるPCR検査センターの開設,また唾液による検査が可能な協力医療機関の拡充に取り組んできており,また9月末時点で,市内を中心に府内408箇所の地域に根差した身近な医療機関で,保健所を通すことなく診療,PCR検査が受けられる仕組みを構築しております。また,京都府及び医師会と更に協議を進めまして,10月中には,発熱等のときに受診相談の流れや診療,検査ができる医療機関の紹介を行う新たな仕組みを構築してまいります。さらに,医療機関が新たな受診体制を整えていただくために,動線確保といった医療機関における感染防御措置に対する国の助成制度も活用しつつ,診療,検査が可能な医療機関の更なる強化,拡充に精力的に取り組み,今後の感染拡大に備えた体制を更に作りまして,インフルエンザの流行期においても,市民の皆様の命,健康,暮らしをしっかりと守ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私から2点お答えいたします。 まず,新型コロナウイルス感染症に関連する人権問題についてでございます。市民及び事業者の皆様が,様々な現場で,厳しい状況の中,感染拡大の防止に尽力いただいていること,また,多くの方が思いやりの心を持って行動いただいていることに感謝申し上げます。一方で,未知のウイルスへの不安から,感染された方,医療や福祉に携わる方,さらにはその家族や関係者に対する偏見や誹謗中傷,また,社会機能を維持する業務に従事する方への心ない言動などが生じております。このような偏見や差別は,人々の心を傷付け,苦しめるもので,決してあってはならないものです。また,感染の事実を隠すことにもつながり,更なる感染拡大を招くことにもなりかねません。本市では,これまでから,感染防止を呼び掛ける中での啓発に加え,ポスター「頑張ろう,人間。守ろう,人権。」を作成し,市バス,地下鉄,学校等へ掲示したほか,全国の首長等と連携した「STOP!コロナ差別」キャンペーンにおける市長メッセージ動画の発信など,正しい情報に基づいた行動を広く呼び掛けてまいりました。今後さらに,インターネット上の差別的な書込み等にも対応するため,京都府と連携し,法務局への削除要請に取り組むとともに,広報物やイベント等,あらゆる機会を捉え,市民の皆様が感染症を正しく理解し,互いを思いやり,支え合いながら共に乗り越えていこうという気運が高まるよう,適切な情報提供と広報啓発の取組をしっかりと進めてまいります。 次に,地域活動へのICT導入についてでございます。地域コミュニティの中心となってきた自治会,町内会では,その多くが高齢化や担い手不足の課題を抱えながら,新型コロナウイルスの影響下でも,大切な地域のつながりを守るため懸命に活動されておられます。お尋ねのICTの導入支援については,自治会,町内会の事務負担軽減や若い方々の参加促進に有効であることから,地域コミュニティ活性化推進審議会で,ICTを活用した事業等について議論を進めており,ウィズコロナ社会においても,非接触で感染予防を講じながらコミュニケーションを図ることができ,地域活動に新たな展望を切りひらく大変有効な方法であることから,7月に導入支援のための補正予算を計上したところです。今月には,アプリやSNSの導入マニュアルを配信し出前研修を開始してまいります。また,これまでから,本市ホームページにおいて市民しんぶん等の印刷物をデジタルブックとして掲載するなど,行政情報の発信においても電子化に取り組んでおり,これらの取組と連携させながら,地域活動へのICT導入を更に促進してまいります。現在進めている地域コミュニティ活性化推進計画の改定に当たりましても,議論を深め,様々な取組により,自治会,町内会活動への参加促進や負担軽減などの課題解決を図りながら,地域コミュニティの更なる活性化を推進してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) ICTを活用した学習活動についてでございます。本市では,国のGIGAスクール構想に基づきまして,高速大容量の校内ネットワークの全校整備や,児童生徒一人1台パソコン端末配備等の環境整備を今年度中に完成させるべく,現在鋭意取り組んでおります。そうした中,夏季休業明け以降,新型コロナ対策による学級閉鎖等に際しましては,7月に補正予算を議決いただき緊急調達いたしましたパソコン端末を積極的に活用し,授業の同時配信によるリモート学習や学習課題の配信等による学びの保障を進めております。もとより,こうした緊急時の対応だけでなく,一人1台パソコン端末の環境をいかし,平常時の学習活動の充実につなげることが重要であり,現在,約30校をモデル校として一斉授業や協働学習,また,補習や家庭学習など日々の様々な場面で,AIドリルや学習支援ソフト等の新たな教育コンテンツの効果的な活用について実践と検証を進めているところでございます。今後,その成果を研修等を通して全ての学校で共有し,実践につなげてまいります。また,姉妹都市の子供たちとの交流やネイティブの英語に触れる体験など,ICTならではの教育実践の創出に向け,活用を進めてまいります。引き続き,一人1台パソコン端末の整備を契機に,一人一人の子供たちの状況に応じた学びのより一層の充実に向け,取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,宇佐美賢一議員に発言を許します。宇佐美議員。 〔宇佐美賢一議員登壇(拍手)〕 ◆(宇佐美賢一議員) 左京区選出の宇佐美賢一です。日本維新の会市議団を代表し,門川市長へ市政について質問いたします。市長におかれましては,明確かつ前向きに御答弁いただけますようお願いいたします。 まず,今回の新型コロナ感染症への本市経済対策に関する市長御自身の評価と今後の財政立て直しへの決意についてお伺いします。私は初当選以来,京都市の財政の立て直しを訴えてきました。昨年度のこの9月市会でも,私は,財政健全化が進んではいるもののスピード感が遅いと指摘,市長はスピードアップのときだと答弁されました。しかし,今回,結果的にその財政再建の遅れから,自治体の貯金に当たる財政調整基金が底を突いた状態でコロナ禍に突入し,京都市が機動的かつ大胆に財政出動が行えていないことは痛恨の極みであります。緊急事態宣言を受け,京都府が営業自粛の事業者に対し中小企業へ20万円,個人事業主へ10万円給付するとした際には,ほかの府内市町村の多くが,府の支給に同額を上乗せして支給した一方で,京都市は上乗せをしませんでした。独自の補助事業をしていると市長はおっしゃいましたが,市民からは,京都市はお金がないから京都市民はもらえないのだと落胆,批判の声が聞かれました。また,補正予算で実施された経済対策については,予算額が少なく,すぐに申込みが打切りになることへの不満,また件数が多いと,1件当たりが減額になるという説明への不安の声が上がりました。追加で補正予算を組まれましたが,2次募集,3次募集が行われるわけでもなく,厳しい,苦しい状況の中,短い期間に申請ができなかった中小企業に対して,京都市は冷たいと感じられるのではないでしょうか。この最大の原因は,すぐに使える財政調整基金の枯渇であることは明らかですが,市長の御認識,また緊急事態にこういった対応を招いた責任をどのようにお考えかお聞かせください。また,今後の財政再建に向けた決意はいかがでしょうか。さらに,市長は,何年も完成がずれ込んだ100億円規模の大型汎用コンピュータオープン化事業について一部中断を発表されました。遡れば,100数十億円規模の焼却灰溶融施設も完成しませんでした。本市の損失有無以前に,大規模な計画が度々とん挫することは本市の事務事業執行体制にも問題があると言わざるを得ません。 そのうえでお伺いしますが,本当に市長3期目の退職金,つまり3回目の退職金,3,400万円を受取りされるのですか。これを受け取ったら,市長退職金の累計が1億1,000万円を超えますよ。また,3回目に加え,さらに,この4期目分の4回目の退職金まで受け取りされるおつもりですか。どのような決意か併せて市長自らお答えください。 次に,事業の整理整頓について幾つかお伺いします。このコロナ感染症に直面し,社会は変革を求められています。本市事業も変革が必要と考えます。一つは,敬老パスについてです。敬老パスは,高齢者の方の所得に応じて一定の御負担,年間で3,000円御負担の方の数が一番多いのですが,そういった御負担もいただきつつ,高齢者の方が地下鉄やバスに乗る運賃を京都市が交通事業者に支払う仕組みの福祉サービスです。この支払いは,敬老パス発行1枚につき基本的に月16回乗るとし,1回当たり約190円で計算,発行枚数と掛け算し,支払われ,京都市の税金で支払う負担額は約51億円となっています。こういったいわゆるどんぶり勘定ですから,どの地域の人がどの程度使われているか,一人の方の利用回数がどうかなどの実態が全く分かりません。政策の偏りも指摘される中,私は利用実態を明らかにすべしと,敬老パスのICカード化も求めてきました。実は,今回のコロナ禍では,利用者が明らかに激減しているにもかかわらず,このままでいけば,乗っていない乗車賃を今年度税金から予算満額約51億円を支払うことになります。市長,この令和2年度の京都市の負担額をどうするかお答えください。また,もうこのどんぶり勘定の敬老パス制度は見直し,1回50円や100円といった応益負担に見直すべきでではないですか。明確にお答えください。 また,本市が所有,利用する土地の整理整頓も必要ではないでしょうか。本市所有の未利用スペースの活用を促進していただきたい。市営住宅については,例えば古い仕様のお風呂やシャワーのない市営住宅については空き部屋多数となってきました。こういった住宅については,一部の敷地を民間で活用し,資金を生み出しつつ,市営住宅の設備を新しくする計画をスタートすべきではないでしょうか。学校跡地などの未利用地についても活用を促進していただきたい。また,そういった土地の活用に当たっては,立地が郊外に偏ってしまっている特別養護老人ホームなど,福祉施設への転用も併せて検討していただきたいと考えますがいかがでしょうか。一方で,本市が借り受けている土地についても同様に,整理整頓が必要ではないでしょうか。例えば,船岡山公園や市立紫野高校については,長年民間から土地をお借りして運営しています。その額は,公園が年6,700万円,高校が年約1億円であります。これはこのままいかれるのでしょうか。市長のお考えをお答えください。 次に,市役所のICT戦略についてお伺いします。今回のコロナ感染症で明らかになったことの一つは,行政組織がいまだに古いやり方や仕組みのままだということです。例えば,国民一人一人に10万円ずつ給付する特別定額給付金ですが,国がやると決めたものの,実際にお配りする自治体では,給付までに時間が掛かり混乱しました。その最大の原因は,これだけ情報化された社会であるのに,給付のため日本国の世帯全ての振込先口座を目で確認し,人力で振込手続を行うという膨大な事務作業を行ったからです。京都市では70万世帯もの確認を手作業で行いました。一方で,10万円がなかなか給付されないのに税金の納付や公共料金の支払いは期限どおりにやってくる。口座から自動引落としがされる。なんでと疑問を感じた方も多いと思います。行政の更なるデジタル化,合理化は待ったなしです。そのデジタル化の中身として,市民目線で大きく二つの視点があると思います。 一つは,例えばスマートフォンなどを利用してワンストップで市民が情報を得られる,また,市役所が情報を効率的に収集分析できる仕組み。もう一つは,市役所に出向くことなくオンラインで様々な申請ができる仕組みです。 まず,情報の発信・収集についてです。現在,本市では,例えばLINE公式アカウントでの市政情報の発信,ごみ分別などの情報発信をしているこごみアプリ,建設局が道路などの危険箇所を市民に通報してもらうみっけ隊アプリなどがあります。また,京都市のホームページでも小まめに情報発信はされていますが,市民が役所の仕組みや用語をよくよく知っていれば情報にたどり着けるものの,知らないとたどり着けない,先ほどのアプリもばらばらで使いこなさないといけない。そういった役所の膨大な縦割りの前に市民が困惑するのではなくて,一本化して,市民がすっと情報にたどり着けるような仕組みに変えていくべきではないでしょうか。今はAIを使ったチャットボットが質問に答えてくれる取組が,民間企業では当たり前,自治体でも導入が始まっています。スマホに向かって質問したら,すぐにチャットボットが答えてくれる,行政の制度や窓口を教え,つないでくれる。このアプリだけ入れておけば大丈夫。そうなれば,より市民の利便性が高まるとともに,行政への問合せの前さばきをAIが行うことで業務も効率化すると考えます。また,災害時の被災場所の情報収集や健康データ,特定検診,がん検診などのデータの収集,分析,子育てデータの収集,分析を行うことで,より効果的に必要な情報の発信につながる,災害状況が見えるようになり,必要な検診の案内が届く。そういった便利な社会に変えて行きませんか。 次に,オンライン申請についてです。お隣の大阪市では,行政手続のオンライン申請がスタートしました。これは平成28年に当時の吉村大阪市長が,役所に来なくても手続ができるようにと着手し,この8月から一部,200手続がスタートしました。全部で約3,000の手続のうち,面談が必要な物を除く約1,500手続を令和7年度までにオンライン申請できるようにする目標とのことです。手数料の支払いもオンラインで決済,スマホでマイナンバーカードを使った本人確認の仕組みも間もなく搭載するとのことです。市民にとって役所に行く時間,交通機関の運賃が削減され,役所にとっては,マイナンバーカードで認証されたデータが届くので,確認の簡略化など業務の効率化も図れるようです。オンラインで物を買い,銀行の手続や投資をし,税金の支払いをする時代ですから,行政手続ができないわけはありません。 今回の大阪市の取組は,大阪市が民間事業者にシステム開発を発注,できたシステムは民間事業者が保有し,大阪市が毎月の使用料を支払う,いわゆるクラウドサービスの仕組みとなっています。そのシステムの権利を大阪市は放棄しているため,他の自治体でも毎月の使用料を払えばそのシステムを利用できるという画期的なものです。こういったオンライン申請の仕組みを,市長,検討されませんか。ただ,こういった仕組みを大阪市が採り入れるに当たって相当の苦労があったようです。事業の棚卸し,3,000手続の洗い出しと分析,そもそもの業務改善との並行作業が大変であり,組織の縦割りを超えた市長直轄のICT推進室を設置し,おおむね3年掛かったとのことです。現在,ICT推進室は59名の職員で構成され,各局のサポートを行っているとのことです。市長のリーダーシップとこういった組織があってこそ,いやあ難しい,で終わるのではなく,前に向かって進んだのではないでしょうか。京都市でも,まず,計画の策定,局を超えたICT推進体制を構築すべきと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,京都市北部の水産資源についてお尋ねします。左京区の北部には上桂川があり,放流されたアマゴや鮎釣りが楽しまれています。その最上流の渓流には,放流ではない在来種のアマゴが生息していることが最近の市民の調査で分かってきたそうです。また,鮎は,川で産卵,稚魚は海で育ち春に遡上する魚ですが,上桂川で秋に産卵し生まれた鮎の稚魚が,下流の南丹市にある日吉ダムに流れ落ち,そこで琵琶湖と同様の陸に封じ込められた鮎,陸封鮎として育っていること,しかし,日吉ダムの入口にある小さな世木ダムの落差を超えられずに,春に上桂川へ遡上できず,日吉ダムの中で大きくもなれずやせた状態でいることが行政,市民の地道な調査で少しずつ分かってきました。 さらに,鴨川の鮎については,長年市民が天然鮎の遡上に御努力されていますが,今までどこで稚魚が育っているか分かっていませんでしたが,最近になって,どうも淀川河口のハーバーなどで育っているようだが,大阪湾の護岸が垂直で逃げ場もなく育ちにくいのではないかということが指摘されています。もちろん河川は国や府の所管であることが多く,また上下流の自治体にまたがった課題でありますが,市長には,こういった京都市の地域の水産資源の保護や活用についても光を当て,後押しをお願いしたいと思います。鮎は京都市の食文化になくてはならないものですし,アマゴも北部山間地域の生活文化そのものです。河川整備などでの配慮もそうですが,まずは改めて関係者,関係機関と連携しつつ水産資源のより詳細な実態調査を行っていただきたいのですが,いかがでしょうか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 宇佐美賢一議員の御質問にお答えいたします。 本市の財政についてでございます。本市は,他都市に比べ,納税義務者の割合が低いなど,財政基盤がぜい弱であるために,担税力の強化に向け,国と歩調を合わせて成長戦略を推進し,令和元年度決算においては,納税義務者が7年連続で増加,市税収入は過去最高になるなど明るい兆しも見えてきておりました。しかし,地方交付税が大幅に削減される中にあっても,厳しい財政でありますけれども,3,400人の職員を削減し,年間人件費2,170億円を確保するなど,行財政改革を徹底し,全国トップレベルの福祉,教育,子育て支援の維持,充実や防災・減災対策に懸命に取り組み,成果を挙げてきました。しかし必要な財源が不足しており,このために財政調整基金や公債償還基金を取り崩して補する厳しい状況にあります。このような状況の中で発生した新型コロナウイルス感染症に対しましては,当初予定していた事業の改めての徹底した見直しにより,財源を捻出しました。その財源に加え,臨時交付金も活用し,現場の生の声をお聴きしながら,国,府ともしっかり連携し,感染拡大防止と市民生活,京都経済の下支えに必要な補正予算を5度にわたって迅速に編成し,実行してまいりました。市民の皆様と共に,この厳しい危機を何としても克服し,より強じんで意欲的な京都の未来を作り上げていかなければなりません。持続可能な財政の確立,行財政改革に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは2点御答弁申し上げます。 まず,本市におけます情報発信,収集と行政手続のオンライン化についてでございます。市民の皆様が知りたい市政情報をスムーズに入手できることは極めて重要であり,これまでから,市民しんぶんやSNSなど様々な媒体の特徴をいかした情報発信を行いますとともに,みっけ隊アプリなど,各種のアプリの活用も進めてきたところであります。引き続き,より効率的に情報発信,収集,分析が行える手法について,市民目線,また利用者の目線に立って研究してまいります。また,行政手続のオンライン化の推進に当たりましては,国の動向も踏まえつつ,多様な市民のニーズやオンライン化に伴う新たな課題に的確かつ迅速に対応する必要がございます。このため,部局を超えた全庁が一体となって行政のデジタル化を推進するための庁内体制を確立し,行政手続のオンライン化をはじめ,ICTを活用した市民サービス等の更なる向上を図ってまいります。 次に,水産資源の実態調査についてでございます。鮎やアマゴなどの川魚は,京都が誇る食文化として受け継がれてまいりましたが,河川環境の変化に伴い,生息数は減少傾向にございます。こうした水産資源を維持し,次世代に継承するには,漁協による稚魚の放流などの取組とともに,地元団体や市民の理解と協働が不可欠でございます。そのため本市では,地域の漁協や住民等で構成する上桂川を守る会による,上桂川流域の清掃や調査,啓発活動などの支援を続けております。この間,川と海とを回遊せず,湖やダムの中にとどまって生育する,いわゆる陸封鮎や在来種のアマゴなど,希少な水産資源の確認につながるなどの成果を挙げておりますけれども,こうした貴重な資源を保全していくためには,河川の流域全体で取り組む必要があると考えております。今後とも,漁協,京都府をはじめ,河川管理者や地域自治体,流域自治体等との情報共有を図る中で,保全団体による実態調査や鮎の遡上促進等の活動を後押しするとともに,その活動の成果を広く市民の皆様に発信するなど,水産資源を活用した地域活性化にもつなげてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 市有地の有効利用についてでございます。市有財産の活用に当たっては,まずは公共性,公益性を重視した政策的な活用を図ることとしており,そのうえで,公共性,公益性の観点から十分な活用が見込めない資産については,売却や貸付けを進め,有効に活用することとしております。こうした方針の下,これまでも,八条市営住宅の団地再生事業で生み出された土地を民間に住宅用地として活用いただいたり,吉祥院の消防出張所の跡地を社会福祉法人に貸し付けたりするなど,資産の活用を積極的に進めてきたところです。また,学校跡地については,本市施策の推進はもとより,地域の御意向を踏まえながら,地域をはじめ,市民の皆様にとってより良い利用方法となるよう取り組んでおり,更に有意義な活用を進めてまいります。今後も,地域の活性化,より魅力のある地域づくり,財源確保の点からも,市有地の有効活用に取り組んでまいります。なお,御指摘の船岡山公園や紫野高校は,本市の基準に基づき妥当な金額で借り受けているものであります。これらのほか,本市が借り受けている土地につきましては,場所等が施策上,必要な条件を満たすものと判断しており,引き続き借り受ける必要があると考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 川端監察監。 〔川端監察監登壇〕 ◎監察監(川端昌和) 市長の退職手当についてでございます。市長の退職手当は,地方自治法及び本市条例に基づき,在職中の功績ないし功労に対する報償として支給しているものであり,一般的な制度であると考えております。また,その水準につきましては,市長の職責や民間企業における支給状況及び他都市との均衡等を考慮して適切に設定しており,これまでから,平成25年に約13パーセント,平成30年に更に約4パーセント引き下げるなど,適宜必要な見直しを行っております。3期目の退職手当につきましては,4期目の任期と通算することを選択されたものであり,市長退任時には,条例に基づき,それまでの任期に応じた手当額が支給されるものであります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 敬老乗車証についてでございます。本制度は,健康長寿のまちづくりを進めていく上での重要な施策であります。まず,交通事業者に対してお支払いする交付金については,その年の利用者の実数によるものではなく,本市と交通事業者との間で締結した協定に基づき,敬老乗車証の交付者数に,設定運賃や利用回数を乗じた算定式によってお支払いいたしており,今年度も,その方法を変更する予定はございません。 次に,制度の在り方につきましては,今後とも高齢化が進展し,本市の市税負担の増加が避けられない中,このまま推移すれば制度が破綻しかねないと認識しております。このため,この間の様々な社会情勢の変化や,京都カードの創設に向けた検討,京都市持続可能な行財政審議会での議論なども踏まえつつ,本制度を将来にわたって守っていくため,応益負担や応能負担を問わず,幅広い観点から,引き続き,検討を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時25分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  加藤昌洋          同     山田こうじ △(イメージ)請願文書表「受理番号784」「京都市市税条例の個人市民税減免基準の継続」・請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号785から899まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」・請願文書表「受理番号900から949まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号900から949まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号900から949まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号900から949まで」「消費税率5パーセント以下への引下げの要請」・請願文書表「受理番号950」「医療機関等への緊急支援」 △(イメージ)請願文書表「受理番号951」「介護サービス事業所の人員基準等の取扱いの是正」・請願文書表「受理番号952」「医療機関等への緊急財政支援」
    △(イメージ)請願文書表「受理番号953」「少人数学級の実現の要請」・陳情文書表「受理番号85」「元植柳小学校跡地活用事業に係る三者協議会の対面での開催等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号86から107まで」「個人市民税の所得割失格者減免及び少額所得者減免廃止の中止」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号86から107まで」「個人市民税の所得割失格者減免及び少額所得者減免廃止の中止」・陳情文書表「受理番号108」「京都市持続可能な行財政審議会の中止」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号109」「高齢者等へのインフルエンザワクチンの無料接種の実施」・陳情文書表「受理番号110」「少人数学級の実現の要請」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号111」「仁和寺前のホテル建設計画の中止等」...