京都市議会 > 2019-05-27 >
05月27日-02号

  • スクールソーシャルワーカー(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2019-05-27
    05月27日-02号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    令和 元年  5月 定例会     令和元年     定例会       京都市会会議録 第2号     5月開会市会                      令和元年5月27日(月曜日)出席議員(67名)   1番 神谷修平議員   2番 くぼたまさき議員   3番 小島信太郎議員   8番 やまね智史議員   9番 鈴木とよこ議員  10番 かまの敏徳議員  11番 森 かれん議員  12番 菅谷浩平議員  13番 こうち大輔議員  14番 小山田春樹議員  15番 兵藤しんいち議員  16番 松田けい子議員  17番 やまずまい子議員  18番 豊田恵美議員  19番 井上よしひろ議員  20番 山本恵一議員  21番 山田こうじ議員  22番 森田ゆみ子議員  23番 山本陽子議員  24番 平井良人議員  25番 江村理紗議員  26番 大津裕太議員  27番 宇佐美賢一議員  28番 森川 央議員  29番 片桐直哉議員  30番 かわしま優子議員  31番 国本友利議員  32番 平山たかお議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 河合ようこ議員  38番 樋口英明議員  39番 赤阪 仁議員  40番 とがし 豊議員  41番 ほり信子議員  43番 村山祥栄議員  44番 天方浩之議員  45番 中野洋一議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 青野仁志議員  49番 平山よしかず議員  50番 吉田孝雄議員  51番 さくらい泰広議員  52番 しまもと京司議員  53番 椋田隆知議員  54番 下村あきら議員  55番 西村義直議員  56番 吉井あきら議員  57番 井坂博文議員  58番 加藤あい議員  59番 西野さち子議員  60番 玉本なるみ議員  61番 くらた共子議員  62番 井上けんじ議員  63番 湯浅光彦議員  64番 曽我 修議員  65番 大道義知議員  66番 田中明秀議員  67番 寺田一博議員  68番 津田大三議員  69番 中村三之助議員  70番 橋村芳和議員  71番 繁 隆夫議員  72番 富 きくお議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 令和元年5月27日午前10時第1 陳情の回付   一般質問 (1) 市政一般について  橋村芳和議員 (2) 市政一般について  津田大三議員 (3) 市政一般について  森田 守議員 (4) 市政一般について  井坂博文議員 (5) 市政一般について  とがし 豊議員 (6) 市政一般について  松田けい子議員 (7) 市政一般について  兵藤しんいち議員 (8) 市政一般について  中野洋一議員 (9) 市政一般について  菅谷浩平議員 (10) 市政一般について  大津裕太議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) この場合,議席の変更を行います。-----------------------------------      議席の変更 20番 平山たかお議員  を 32番に, 32番 加藤昌洋議員   を 33番に, 33番 森田 守議員   を 34番に, 34番 田中たかのり議員 を 35番に, 35番 みちはた弘之議員 を 36番に, 36番 さくらい泰広議員 を 51番に, 51番 しまもと京司議員 を 52番に, 52番 椋田隆知議員   を 53番に, 53番 下村あきら議員  を 54番に, 54番 西村義直議員   を 55番に, 55番 吉井あきら議員  を 56番に, 56番 田中明秀議員   を 66番に, 66番 山本恵一議員   を 20番に変更。----------------------------------- ○議長(山本恵一) ただ今お手元に配付してあります文書のとおり,それぞれ議席を変更いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,本日の会議録署名者を指名いたします。かわしま優子議員と片桐直哉議員とにお願いをいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) この場合,議長から御報告申し上げます。 市長から,損害賠償の額の決定についての専決処分の報告が参っております。この写しは,お手元に配付いたしておきました。 また,市長から,市営住宅の家賃滞納に係る裁判上の和解の成立についての専決処分の報告の一部訂正の依頼が参っております。この写しは,お手元に送付いたしておきました。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。 ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情3件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,橋村芳和議員。 〔橋村芳和議員登壇(拍手)〕 ◆(橋村芳和議員) おはようございます。去る5月1日,国全体が祝賀ムードに包まれる中,令和の新しい時代が始まりました。初めに,天皇陛下の御即位に当たり,慶祝の意を表させていただきます。天皇陛下におかれましては,この度風薫るよき日に御即位されましたことは,誠に歓喜に堪えないところであります。ここに自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,天皇皇后両陛下のますますの御健勝と令和の時代の末永き弥栄をお祈りするとともに謹んでお祝いを申し上げます。 伏見区選出の橋村芳和でございます。自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,同僚の津田大三議員,森田守議員と共に質問を行います。我々自由民主党京都市会議員団は,去る4月7日に執行されました市議会議員選挙におきまして,市民の皆様から力強い御支援を賜わり,21名の議員が当選させていただき,市内11行政区の全てにおいて議席を確保することができました。心から御礼申し上げます。そして,引き続き京都市会第一党の地位を確保することができましたことは,市民の皆様の自由民主党に対する実績の評価と熱い期待の表れであると厳粛に受け止め,総力を挙げて市会で活発な議論を行い,皆様からの信託に応える決意であります。 また,我々は,市政に対して責任ある京都市会最大会派として,その使命に徹し,防災・減災をはじめとした安心安全対策の推進,健康長寿の取組や子育て・教育環境の充実,京都の強みをいかした地域経済の活性化に全力を挙げて取り組むべく,一層の奮闘をお誓いするものであります。今後とも自由民主党京都市会議員団に対する市民の皆様のより一層の御支持,御支援を賜わりますよう心からお願い申し上げます。 さて,我が国において,令和の時代では,本格的な人口減少社会の到来と共に,昭和,平成の時代と異なる大きな社会情勢や価値観の変化が見込まれます。例えば,医療技術の進歩や健康志向の高まりによる人生100年時代の到来,ICTやAI,ロボットなどテクノロジーの更なる進展,SDGsに掲げられた開発目標をはじめ,持続可能性という新たな価値観などであります。地方自治において,議会と市長の関係を車の両輪とよく例えられますが,議会と市長には,これまでに経験したことがない困難や変化にも立ち向かい,市民福祉の向上に努め,市民の負託に応えていく責務があります。この度の厳しい選挙戦を戦い抜いた自由民主党京都市会議員団の新たな任期,そして新しい令和の時代を切り開いていくための決意については,先ほど表明したところであります。門川市長におかれましては,3年前,市民の皆様に対し,安心と豊かさの実感133の公約を掲げられ,大きな支持を得て3選を果たされました。本年は,3期目の最終年度であります。市財政は非常に厳しい中でありますが,市民の皆様が夢と希望を抱ける新たな時代・令和の幕開けと,安心安全で豊かな生活を実感できるよう,全力で取り組んでいただく必要があります。 そこで,門川市長の3期目の総仕上げに向けた決意について,まずお伺いをいたしたいと思います。 次に,新景観政策の更なる進化についてお伺いします。今から12年前の平成19年2月,本市会に新景観6条例が提案されました。これは,50年後・100年後も京都が京都であり続けるために,建物の高さ規制やデザイン規制,屋外広告物規制などの他都市において類を見ない充実,強化を図ろうとするもので,当市会としても,様々な市民・企業の皆様から,非常に厳しい御意見や御要望を数多く頂き,審議に審議を重ねたものであります。そして,自民党,公明党,当時の民主・都みらいの三つの会派は,市民や事業者の皆様と共に痛みを分かち合いながら,歴史都市・京都を次の世代に誇りを持って継承することができるよう,新たな景観政策の実現に一丸となって不退転の決意で取り組むことが必要であること,そしてそのために必要な8項目の取組事項を掲げた新たな景観政策の推進に関する決議案を提案し,この決議案と共に6件の条例案を全会一致で可決し,平成19年9月,新景観政策がスタートいたしました。その結果,様々な御意見はあるものの,屋外広告物の適正化の状況を見ても,京都を愛する市民や事業者の方々の並々ならぬ御理解,御努力の結果,その後の12年間で京都の景観は確実に改善,向上してきていると考えております。 一方,新景観政策は,当初から制度が硬直化することなく,社会情勢の変化に対応していくことが重要であり,時代と共に進化する政策であると明言されてきました。そして昨年7月に,新景観政策の更なる進化検討委員会が設置され,6回の審議とその間に実施されましたシンポジウムと審議会としてのパブリックコメントを経て,先般,4月18日,政策の進化の方向性等についての答申が提出されたところであります。この答申を踏まえ,市長は今後,新景観政策の更なる進化の具体化を図っていかれることと思います。新景観政策がスタートしてから12年,全国に類を見ない厳しい規制について,規制が一律で厳しすぎる,時代にそぐわないのではないかといった声も確かにありますが,更なる進化の検討の過程における新聞報道等により,それらの御意見以上に,あたかも京都市が規制を大きく緩和するかのようなイメージが広がることにより,真剣に危惧する市民の声をお聴きするところであります。京都を未来に向かってより良いまちにしていくために,景観政策を更により良いものに進化させていくこと自体を否定するものではありませんが,その具体化に当たっては,新景観政策策定当時の議論や理念の上に立って,丁寧かつ真摯な検討が必要であると同時に,これまでの市民や事業者の皆様の御努力,御協力を十分に認識し,しっかりと市民の御理解を得られる形で進めていくことが不可欠であります。 そこで,今般の答申を踏まえ,新景観政策の更なる進化についてどのように進めていかれるのか,改めて市長の御見解をお伺いいたします。 次に,道路における防災・減災対策についてお伺いいたします。昨年は,500ミリ以上の雨量を記録した7月豪雨のみならず,市内でも震度5弱を観測した6月の地震,さらには最大瞬間風速39.4メートルを記録した台風21号と,大規模な災害が連続して発生した年でありました。また,過去には平成25年の台風18号や平成26年の8月豪雨などにより,京都市は幾度となく大きな被害を受けましたが,その度,迅速な復旧と更なる対策を加え,より災害に強いまちづくりとなるための取組を進めてこられました。そのような取組の結果として,昨年のような未曽有の災害に対しても,ここ京都市では,尊い人命が失われることなく被害を最小限に食い止めることができたと思います。水防団,消防団,地域の自主防災会,また市内の建設事業者,建設局土木事務所など,最前線で対応いただきました皆様に,深く敬意を表するとこであります。 しかしながら,山間部の道路を走りますと,昨年の災害から着実に復旧作業が進んではいるものの,路肩の崩れなど,完全に復旧できていない箇所が存在し,いまだ災害の爪跡が残っております。そのため,引き続き道路の災害復旧事業に取り組み,早期復旧を目指していただくとともに,災害を未然に防止するという観点から,災害の記憶が色濃く残る今こそ,道路の防災機能を強化する取組が必要であると切に感じております。 また,忘れてはならないのが昨年の台風21号による倒木の影響であり,多くの世帯が停電し,加えて関西電力による復旧作業に時間を要したことから,私の地元の醍醐でもあったように,2週間近くもの停電を余儀なくされた地域がありました。電気は重要なライフラインであり,早期の停電解消が必要であります。そのためには,道路の通行確保を担う京都市と関西電力との間で円滑な連携が不可欠であると考えます。 そこで,災害に強いまちづくりに向け,道路における防災・減災対策をどのように進められていかれるのか,お答えを願います。 まず,ここまでの答弁を求めます。よろしくお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 市長3期目の総仕上げに向けた決意についてでございます。私は,市長就任以来,一人一人を大切にする福祉や子育て支援,教育の充実,大規模災害に備えた防災・減災対策,先進的な環境政策,景観政策,文化を基軸としたまちづくりなど,全国のモデルとなる取組を市民の皆様と共に汗する共汗と政策の融合により,市会の先生方と車の両輪となって進めてまいりました。この間,安心安全なまちづくりが大きく前進するとともに都市格が更に向上し,創造性豊かな人や企業が育ち,京都に次々と集まるなど国内外から高い評価を頂いております。厳しい財政状況の中にあっても,行財政改革を断行し,京都の今と未来に必要な政策を市民の皆様と共に進めてきた成果であり,御尽力いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。 新たな令和の時代におきましては,橋村議員御指摘のとおり,本格的な人口減少社会の克服や誰一人取り残さない社会の実現に向けたSDGsの達成,レジリエント・シティの取組など,持続可能なまちづくりが一層重要となってまいります。私は,これまでの政策を更に進化させ,京都のまちの魅力や都市格を一層向上させることが,市民生活の豊かさはもとより,財政も含めた持続可能性をより高めることにつながると確信しております。3期目の総仕上げに向けましては,こうした認識の下に,市民の皆様にお約束した133の公約の完遂に全力を傾注するとともに,新たな令和の時代に的確に対応し,暮らしに安心,豊かさ実感,未来に責任のまちづくりを全身全霊で進めてまいります。 次に,新景観政策の更なる進化についてでございます。京都のまちや景観は,1,200年を超える悠久の歴史の中で,先人たちのたゆまぬ努力により守られ,創造されてきました。平成19年の新景観政策実施以降,市民の皆様の御尽力の下,京都のまちは更に美しくなりました。市民の皆様の御理解,御努力に心から感謝申し上げます。 一方,京都は歴史と伝統のまちであると同時に,その美しさを守りつつ,未来に向けて優れた文化を更に創造し続ける魅力あふれるまちでなければなりません。そのため,一昨年から,12年前に市会で全会一致で可決いただいた新景観政策について,その骨格はしっかりと堅持することを前提に,更なる進化に向けた市民ぐるみの議論を開始し,さらに審議会で御検討いただき,本年4月,進化の方向性を示す答申を頂きました。この答申と先般策定した持続可能な都市構築プランを踏まえまして,まちの魅力を高める景観政策と暮らしや活力を支える都市計画を連動させ,都市の活力の向上を図る都市計画案を本市会にお示ししたところでございます。 これに続いて,さらに,京都の景観の骨格は堅持しながら,地域ごとのビジョンに応じたまちづくりを目指してまいります。そのため,建物の高さやデザイン規制の特例制度を活用し,地域の魅力を高める優れた建物計画を誘導できるよう,市民,事業者の方々の御意見もお聞きし,地域に応じた制度の運用の考え方などをまとめ,ガイドラインとしてお示しできるよう検討を進めております。京都に住み,集う人々が,優れた景観,文化の下,誇りを持って生き生きと暮らし,学び,子育てをし,豊かに活動し続けられる都市を目指し,50年後・100年後を見据えて政策を進化させてまいります。 次に,道路における防災・減災対策についてでございます。昨年の7月豪雨や台風21号など,相次いだ自然災害は,土砂崩れや路肩の崩落による通行止めに加えまして,過去に例のない倒木による停電の長期化などにより,市民生活や社会経済活動に甚大な被害が発生いたしました。しかし,一人として,尊い命は失われませんでした。京都の誇る地域力,命と暮らしを守ることの重要性を改めて実感したところでございます。この間,土木事務所を中心に,市内事業者や地元の皆様の御協力も得ながら,440地区にも及ぶ被災箇所の復旧に全力で取り組み,現在,9割の箇所で復旧が完了し,残る箇所につきましても,今年度内の完全復旧に向け全力を尽くしております。 また,橋村議員御指摘のとおり,災害の未然防止が重要であることから,平成29年度から計画的に道路のり面における災害防除対策の強化に取り組んでおり,今年度は,道路の防災機能強化に係る予算を前年度比3割増とし,国道162号をはじめ,通行止めにより孤立化などの重大な影響を受ける路線について,重点的かつスピード感を持って対策を講じております。 さらに,災害に伴う停電の早期解消を図るため,関西電力に対して強力に申入れを行い,被害情報を迅速に正確に共有し,復旧作業を円滑に行えるよう,最前線の土木事務所と関西電力営業所とのネットワークを強化するとともに,道路啓開の優先順位など復旧方針を速やかに決定する調整会議を新たに設置するなど,連携強化を図ったところでございます。今後とも,安心安全で持続可能なまちづくりに向けまして,災害対応力を更に高めるとともに,総力を結集して防災・減災対策に取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 橋村議員。 〔橋村芳和議員登壇〕 ◆(橋村芳和議員) 引き続き質問をさせていただきます。伏見区選出の橋村芳和でございます。 放課後等デイサービスの取組強化についてお伺いいたします。平成24年のサービス創設から事業者が急増し,全国的な状況として,事業所における虐待や不正請求による指定取消しが相次いでおり,本市においても昨年10月の教育福祉委員会放課後等デイサービス事業者等の指定取消事案の報告がありました。そういった状況を踏まえ,本市でも,多くの方から事業者における支援の質を疑問視する声が上がっております。残念ながら私も同じ思いであります。不適切な事業者は一部だけであると信じたいところでありますが,事業所の急増に本市の監査体制が追い付いていないのは事実であります。さらに,2月の教育福祉委員会の報告によれば,事業所が一部地域に偏在しているため,利用者が身近な地域での支援を希望しているにもかかわらず,対応できていないことが明らかとなりました。 そこで,サービスの適正化,さらに,利用者に寄り添った支援を展開するために,放課後等デイサービスについても,保育所などのように市内地域を細分化し,必要量を設定したうえで,それを上回る場合は事業者指定を行わない総量規制を早急に導入するべきと考えますが,いかがですか。 また,放課後等デイサービスには,NPOや社会福祉法人,企業など,様々な事業形態がありますが,事業者同士の横のつながりが薄いと聞きます。支援の質を確保するためには,先の総量規制の導入や厳正な監査はもとより,きめ細かな助言指導を通じて,事業者の底上げを図っていくことも必要であります。そういった意味では,今年度から実施する放課後等デイサービス事業所等への巡回指導については,大きく期待しているところであります。不適切な事業所を京都から一掃するとともに,本市の療育の底上げを図っていくためにも,当該事業を効果的に活用するべきと考えますが,市長のお考えはいかがでしょうか。併せてお答え願います。 次に,小中一貫教育の展開についてお伺いします。この4月に,向島南小学校,向島二の丸小学校向島二の丸北小学校と向島中学校が向島秀蓮小中学校に統合し,私もその開校式に,地元・伏見区選出の議員として列席させていただき,これからの地域ぐるみの更なる教育の発展,向島の新たなまちづくりに向けた大きな展望が感じられました。開校式の児童・生徒が体育館に入場する際,中学校2年生に当たる8年生が小さな2年生の手を優しく引いて入場するシーンは,施設一体型の小中一貫教育校らしい心温まる光景でありました。 振り返りますと,統合に向けた地元からの要望書が提出された平成26年7月から数えても,5年に近い月日の中で,保護者,地域,学校,教育委員会が課題ごとに協議会を設けるなど,中学校区で目指す子供像を共有するとともに,義務教育9年間を見通して議論を重ねてこられました。教育内容はもちろんのこと,通学路の安全確保,標準服の在り方などの課題について一つ一つ話し合い,新しい学校が誕生した過程は,学校教育にとどまらず,地域の未来について住民自らで描く作業だったと感じています。私は,学校教育が学校のみで完結するものではなく,学校と共に子供,保護者,地域が一緒になって学びの在り方を考え,実践することが大切だと考えており,今回の向島秀蓮小中学校の開校は,京都市の進める小中一貫教育が,保護者,地域と学校との協働を一層推進させるものであることを示した一つの好事例だと考えます。もちろん,学校規模をはじめ,歴史的な経過や地域事情などもあり,京都市立の全ての小学校・中学校が施設一体型の小中一貫教育校となれるわけではありません。しかし,現在全ての中学校区で小中一貫教育が実践されているところであります。 しかしながら,例えば市内中心部では,行政区を超えた通学区域や一つの小学校から複数の中学校への進学など,小学校・中学校間で複雑な通学区域となっている所が現に存在しています。私は,保護者や地域の力をこれまで以上に結集させ,個々の学校の教育を更に前進させる方策として,本市が進める小中一貫教育には大きな可能性があると考えております。保護者や地域と学校の連携により支障を来すことのないよう,これらの複雑な通学区域の課題の解消に着実に取り組んでいかれることを求めておきます。 そこで,教育長にお聞きします。向島秀蓮小中学校の開校で示された小中一貫教育を核とした地域ぐるみの教育について,これまでどのように進めてこられたのでしょうか,その成果と課題,また今後,全市の教育の充実にどのようにつなげていかれるのか,お答えを願います。 最後に,児童虐待対策について要望します。本年1月の千葉県野田市の痛ましい事例を受けて,全国で実施されました児童虐待対策における緊急点検において,本市では29名,全国では2,626人の子供の安全が確認できなかったと報告されております。今回の緊急点検が国への報告のみで終わることなく,しっかりと子供の状況を把握し,必要な支援につなげていくことが必要であります。児童虐待の根絶に向けて,あらゆる方策に取り組むことを改めて強く市長に求めまして,私の質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 放課後等デイサービスの取組強化についてでございます。放課後等デイサービスは,支援を必要とする小学生以上の子供たちの状況に応じた発達支援を行う重要な制度であり,身近な地域での質の高いサービスの提供が必要と考えております。この間,事業者の急増に伴い,橋村議員御指摘のとおり,施設の偏在や事業の質等の課題が表面化してきたため,昨年,約4,000人の方を対象とした本市独自の調査により丁寧に実態を把握し,本年3月に,課題解消に向け第1期障害児福祉計画を見直しました。 まず,偏在解消に向けましては,サービスの供給量が必要量の見込みを超える場合に,区役所・支所単位を基本といたしまして総量規制を導入し,事業所が不足している地域への参入を促してまいります。これについては,全国の政令指定都市に先駆けまして年内には完全に実現いたします。 次に,支援の質の確保については,新たに支援スキルや経験を有する法人による事業所への巡回指導を導入し,一人一人の状態に則した質の高い支援の実現を図ってまいります。さらに,監査体制につきましては,本年4月には2名を増員し,15名に体制を強化するとともに,巡回指導で把握した状況を日々の監査に還元し,これまで以上に厳正かつ丁寧な監査を行ってまいります。引き続き,支援を必要とする子供たちに,身近な地域で質の高いサービスが適正に提供されるよう全力で取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 小中一貫教育についてでございます。本市では,小学校と中学校の学びと育ちを義務教育9年間という連続性の下で捉え直し,計画的・系統的な教育課程を地域と連携して編成する小中一貫教育を全国に先駆けて実施し,平成23年度からは,全ての中学校区におきまして校区の状況に応じて推進しております。平成27年度には,それまでの実践の成果と課題を基に,小中一貫教育ガイドラインを策定し,小中一貫教育構想図の作成など五つの実践の取組により,いわゆる中1ギャップの緩和や学力の定着・向上など様々な成果が表れております。 本年4月に開校いたしました向島秀蓮小中学校におきましては,地域・保護者の皆様と共に目指す子供像や,国際社会に通じる英語教育,地域を大切にし,地域貢献の在り方を考える総合学習など,学校の教育構想について議論を重ね,小学校1年生からの英語活動,5・6年生での教科担任制の導入や,5年生からの中学校生徒会や部活動への参加など,時代を先取りする取組を展開しております。橋村芳和議員御指摘のとおり,行政区を超えた通学区域や一つの小学校から複数の中学校へ進学する校区につきましては,学校間や地域との連携が難しいなどの課題があり,中京区の一部の校区におきまして,保護者・地域の皆様に御理解をいただき,部分的に解消を図ったところであり,引き続き更に取組を進めてまいります。 今後とも,向島秀蓮小中学校をはじめとする先進的な小中一貫教育に関する各学校の状況を踏まえた創意工夫した取組を全市で共有し,実践につなげるため,今年度,新たに指導資料等を作成するとともに,全市研修会を開催するなどして,学校,家庭,地域がそれぞれの役割を果たしながら協働して子供を育む,本市ならではの小中一貫教育を一層推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,津田大三議員に発言を許します。津田議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕 ◆(津田大三議員) 「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」私は,この市役所がございます中京区より御選出をいただいております津田大三であります。自民党京都市会議員団を代表し,橋村芳和議員,同僚の森田守議員と共に,市政一般について質疑をさせていただきます。 冒頭の句は,江戸中期の俳人山口素堂の大変有名な句であります。目にも鮮やかな青葉,美しい鳴き声のほととぎす,食べておいしい初鰹と春から夏にかけ日本人が最も好んだものを俳句に詠んでいます。季節を目で耳で口で感じるという日本文化の象徴の句とも言えます。そして今,正にそのすばらしい季節を迎えています。 また同様に,先ほど橋村議員が述べられたように令和の新しい時代を迎えました。この令和の元号は,初めて日本の古典である万葉集から採られました。「令」の字は正しく美しいさま,「和」は和やかな様子であり,聖徳太子の17条憲法でも第1条に「和をもって尊しとなす」と記されています。しかし,この1条の意味は,和やかにしましょうではなく,和やかな雰囲気でしっかりと議論することが大切と解されています。正しく美しく,そして和やかにしっかり議論をする,正に我々議会が模範とすべきが,令和という言葉ではないでしょうか。くしくも来月6月14日には,京都市会創設130年目の大きな節目を迎えます。また建設以来ほとんど手を入れることがなかったこの議場でできる最後の代表質問であります。新しい時代に,新しい未来に向け,しっかりと質問をさせていただきたいと思います。 初めに,双京構想についてお伺いします。冒頭にも申し上げたように,平成の時代の終わりと共に令和の新しい御代が始まりました。前天皇が御譲位されることにより,光格天皇以来202年ぶりに上皇様が誕生されました。御皇室の弥栄にとって大変喜ばしいことであると同時に,京都にとっては双京構想を見直す大きな岐路に立っていると考えています。平成25年に出された京都ビジョン2040の最終提言で,皇族の方を京都にお迎えし,日本文化の裾野を京都から拡大して,多様な人材が活躍する文化のまちを築くとし,双京構想の実現がうたわれました。その後も,平成29年6月には,双京構想の推進のための取組について改めて議論するため,京都の未来を考える懇話会が開催されています。 また,双京構想検討会議では「なぜ双京構想を目指すのか」という大きなタイトルの下に「東日本大震災を一つの契機として,東京にあらゆるものが集中している我が国のあり方が問題とされています。首都直下型地震発生のリスクが一層高まる中,万が一の事態に備えて,首都中枢機能のバックアップ体制を早急に構築することが求められており,とりわけ,日本の精神的支柱である皇室の安心・安全確保について,万全の態勢を整えておくことが必要です。また,京都は,千年の間,天皇がお住まいになり,宮中文化が育まれ,今もなお,日本の歴史・文化の中心として多くの人々を魅了し続けています。京都が,日本人の心と文化を体現するもう一つの首都として,日本の伝統や文化を守り育てることが,バランスのとれた豊かな国づくりに必要です。」と書かれています。 これまでも,様々な取組があったと伺っています。例えば,この双京構想検討会議では,昨年平成30年9月から10月にかけて,「京都の中の宮廷文化・装束の世界」,「即位式図と行幸図-描かれた「天皇と庶民」-」,「京都の近代化と御大礼」,「新しい元号と大礼のナゾ解き」と題した4回にわたる連続講座を開催されました。その結果はどうであったのか。また,これまでは御皇室の方が参加される現実的な提案をしていくとされていましたが,何が提案され,どのようなことが行われてきたのか。令和という新しい御代を迎えた今,これまでの取組をいま一度振り返る必要があると考えています。 目指すべきは何か。今までの取組において何ができたのか。そして何ができていないのか。上皇様という存在があられる中で,あるいは御皇族であられる彬子女王殿下が京都においでになる中で,改めて考える必要があるのではないでしょうか。京都市民の気運の醸成は本当にできているのか。他都市の皆様の御理解がより進んでいると言えるのか。京都の都市格はどのようになったのか。これらのことは,これからも京都が京都であり続けるために,大変重要な問題であると考えています。今を大きな時代の転換点として捉えているのか,また京都市が果たすべき役割をどうあるべきと考えているのか,今後の新たな取組についてお聞かせください。 次に,文化庁の移転についてお尋ねします。平成28年3月に文化庁の全面的な京都への移転が決定し,はや3年が経過いたしました。この移転により京都にどんな影響が出るのか,考えていかなければならないと思います。この件に関しては,私自身も深く関わってきたと考えています。特に平成28年1月には,市長や知事,商工会議所会頭などと,安倍総理をはじめとする関係閣僚に直接要望に行かせていただきました。今振り返りますと,よくそのメンバーが集まったなと感じております。日本画の上村淳之さん,茶道裏千家の千玄室大宗匠,料亭菊乃井の村田吉弘さん,冷泉家25代当主夫人の冷泉貴実子さんなど,日本の文化を代表する方々が勢ぞろいであり,京都の強みを感じました。 私は,この文化庁の京都への移転は,文化庁にとっても京都市民にとっても大変プラスになる,あるいはプラスにしなければならないと考えています。そのことが日本の文化行政を根本的に変えていくことになると思っているからです。また,すばらしい文化を日本人自身がもう一度見直すきっかけを作っていく,それを更に文化庁や政府が後押しをしていける,そんな体制を作っていかなければなりません。京都に移転してくる意味とは何か。私はトップダウンからボトムアップに変わることだと思っています。昨年度,京都造形大学では「京都学」という授業をされておられます。そこでは,「使い手と作り手」というテーマで連続講座が行われたと聞いております。門川市長も講師の一人として講演をされていますが,京都に多くおられる良い作り手は,更に多くの良い使い手があってこそ良いものが作れるとのことであります。 文化は1年,2年のものではなく,100年単位で形成をされていくものであります。また,その作品や芸能など表に出るものを見るだけでは,保護や育成を行えるものではありません。文化庁の職員さんには,時には京都のまちを歩き,その雰囲気を感じ取ったり,京都独特の区民運動会や地蔵盆などに積極的に参加いただき,長きにわたり日本の伝統文化の多くを守り発展させてきた京都の普段の姿,裏を肌で感じ,理解を深めてほしいと思っています。例えば,本年1,150年目を迎える祇園祭です。壮麗な山鉾の巡行が大変有名でありますが,初めから祭りにあったわけではありません。室町時代頃から記述があります。私も関わっていますが,かなり初めからあったと言われている,おみこしも最初はありませんでした。同じことを繰り返しているのではないのです。常に変化しながら,守り続けるために創意工夫してこられた先人の思い,それを理解してもらうことが大切なのです。ただ,過去の遺産を食いつぶしていると思われていては,文化の継承などとてもできません。この文化庁の移転は,今私が申し上げたそのような取組になっているのでしょうか。 令和3年度,2021年度中には,機能を強化して全面的な移転が完了すると言われています。文化庁の移転が現実的となってきた今,その効果を最大限にいかし,世界の文化首都と言う言葉を現実にしていかなければなりません。良い使い手の目線から文化行政を変えていく。厳しいながらも,作り手がうなるような,そんな使い手がいてこそ,文化はより収れんされていくと考えます。これまで財政が厳しいながらも取り組んできた本市の考え方や,直接,良い作り手や良い使い手と密接に関わってきた本市の文化行政の腕の見せ所であると考えています。移転完了やその先を見詰めて,総合企画局と同様に,文化市民局という局の関わりをどうしていくのかお聞かせください。そして,今後のために良い使い手をどうやって育てていくのか。正に正念場であると考えています。本市の取組についてお聞かせください。 次に,地域企業についてお伺いします。本年の2月市会において,地域企業の持続的発展の推進に関する条例,いわゆる地域企業条例が提案され可決されました。この条例は,京都の若手経営者を中心とした会である中小企業未来力会議の中で,多くの議論を経て,昨年9月に発表された京都・地域企業宣言を後押しするものであり,議会の中でも様々に議論し,私も宣言の条例化を提案した一人として大変に関心を持っております。 では,地域企業とは一体何か。私はその答えは長年京都にあり続ける企業のことであると考えています。例えば,丁度150年前,日本で初めて番組小学校を作るときにも,当時の事業者・企業は,大変大きな貢献をしてこられたと伺っています。さらには,丁度140年前に京都府の中に上京区と下京区が作られた際にも,ちなみに私の地元であります中京区は,その50年後に出来,本年は丁度90年目になりますが,またあわせて,丁度130年前,京都市会が出来たときも,大きな関わりを持っていただいたのだと思います。初代市会議長の中村栄助氏は,京都で商いを営んでいた方だと聞いております。明治維新の後,大変荒廃した京都を立て直してこられたのは,やはり京都を愛していただいたその往時の企業であったと思います。まだ,京都市の自治はなかった時代のことです。 地域企業という言葉,私は響きもいいと思いますし,すごくイメージしやすいと思います。京都には100年を超える企業や老舗と呼ばれるお店がたくさんあると思います。そういう企業やお店はやはり地域を大切にしていこうという思いを持ってこられた企業だと思います。特に京都では,古いお店や企業のことを◯◯さんと,さん付けで呼びます。これは地域に貢献してきたというあかしだとも言われています。だから,京都の皆さんは地域企業というものをイメージしやすいと思います。是非いい形で浸透させていただきたいと考えています。こう言うと怒られるかもしれませんが,レジリエントやSDGsなどは何度聞いてもイメージすることが難しいと思っています。また,京都に新しく入ってきた外資系の企業でも,しっかりと地域に貢献してくれている企業もあると伺っています。大事なことは,目先の利益ではなく,長期にわたって京都で活躍し続けていただくこと。そして,それを望んでいる企業としっかりと連携をしていくことだと考えています。正に企業規模にこだわらない支援がこれからの大きな課題ではないでしょうか。 そして,これまで正に京都の発展のために尽力されてこられた老舗や古い企業に賛同してもらってこそ,本当の地域企業の支援が始まるのではないかと感じています。しっかりと京都に根付き,長年にわたって活躍していただける企業をサポートする,そこを目指す取組こそが地域企業条例だと思います。そのために,100年企業や老舗とどのような関係を作っていくのか。これからの取組や,さらには今後どのように発信を強化していくのかお聞かせください。 次に,イメージしづらいレジリエンス戦略についてお伺いします。現在,地球環境の変化や世界の情勢が大きく変貌し,国においてだけでなく,それぞれの都市でも様々な問題が起こるようになってきております。ここ京都においても例外ではなく,大きな災害が発生したり,今後テロリストに狙われることも考えられます。さらには,人口減少社会にも突入しており,その影響は見えないところで着実に進行しています。私には関係がないと言えないのが現実ではないでしょうか。 このような中,アメリカのロックフェラー財団が主導となり,世界に100のレジリエント・シティを指定しました。平成28年,私が市会議長をしているときに,京都市もその一つとして選ばれています。北米では,ワシントンや姉妹都市のボストン,グアダラハラが,ヨーロッパでは,パリ,ロンドン,ローマなども選ばれています。レジリエント・シティとは何か。レジリエンスの定義は,1,困難から素早く回復する能力,強じん性,2,物質や物体が跳ね返って,元々の形になる能力,弾性,3,複雑かつ変化する環境下での組織的な適応力,4,中断や阻害を引き起こすリスクを運用管理する組織の力と定義されております。つまり,災害やテロのような外的要因にも,人口減少や高齢化,経済動向の変化などの内的要因にもしっかりと対応し,回復し,更に発展できるという意味になります。そのことが可能な都市がレジリエント・シティです。 さて,このレジリエンス戦略の中には,環境に対するレジリエンスの項目がありますが,今月にはIPCCの総会がここ京都で開かれました。そこでは,1.5℃を目指す京都アピールやIPCC京都ガイドラインが決められたと伺っています。そして門川市長が,2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す覚悟を表明されたとのことであります。しかし,それらを達成するために何か特効薬があるわけではないと思います。これまで先人が大切にしてこられた門掃きや水打ちなど,みんなが少しずつ周りのことを思い,努力すること,あるいはもったいないとの精神,作り手への感謝で資源を大切にされてきたこと,その延長線上に現在の目標があるのだと思います。 いま一度見詰め直す時期が来ているのではないでしょうか。それは,先人の知恵や努力,大切に育んできていただいたものを。また,京都人はその本質に気付かなくなってしまっているのではないかということを。自分だけのことになっていないか,今だけのことになっていないか,一人一人が今を検証することが,もしかしたら一番のレジリエンスなのかもしれません。京都は1,200年にわたり,ずっとレジリエント・シティであったのではないでしょうか。先人たちは,新しい課題もしっかり取り込んで発展につなげてこられました。言い換えれば,最も危険なのは,過去や歴史を顧みない,そこではないかと私は思っております。今,多くの課題が直接,都市にのし掛かっています。このレジリエンス戦略は,危険に備えてどのような取組をするかであります。本当の危機は何だと考えておられるか。そして今後何から京都市を守り,発展させていくつもりかお聞かせください。 また,IPCCで採択された京都ガイドラインや京都アピールを達成するために,どんな取組をされるのか。策定されているレジリエンス戦略との整合性についてもお聞かせください。 「子曰く,故きを温ねて新しきを知る,以って師と為るべし」は大変有名な言葉であり,論語の第2章為政編において2,500年も前に孔子が述べています。この第2章は,正に人を導く指導者へ残された言葉であり,政治に携わる者としては,大変重く受け止めるべきものと考えております。京都がなぜ京都であり続けるのか,先人は何を私たちに残してくれているのか,いま一度しっかりと考えなければなりません。そして次の世代の子供たちのために何を手渡していくのか,新しい時代に向け大きな岐路であると考えております。新しい時代に向け,市長の積極的な答弁を求めて私の質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇
    ◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 まず,双京構想についてでございます。双京構想は,日本の大切な皇室の弥栄のために,皇室の方に京都にもお住まいいただき,東京と京都が我が国の都としての機能を双方で果たそうというものでございます。その実現に向け,皇室の方々をお迎えする環境を整えていくことが重要であるとの考えの下,京都らしい品格あるまちづくりや機運の醸成等に取り組み,とりわけ昨年開催した双京構想連続講座には,各回600名を超える市民・府民の皆様に御参加いただき,理解を深めていただきました。 また,一昨年には当時皇太子,皇太子妃であられた天皇皇后両陛下の元離宮二条城への行啓,昨年の彬子女王殿下の自治記念式典への御臨席,さらに本年3月には,当時天皇皇后両陛下であられた上皇上皇后両陛下が開催された京都御所でのお茶会など,多くの市民の皆様が皇室との深い御縁を再確認する機会に恵まれました。この5月から令和の時代が始まりました。政府の御英断により,令和3年度中には,文化庁が機能を強化して京都に全面的に移転します。京都は名実共に日本の文化の都となり,双京構想の実現に向けた本市の役割はますます大きくなってまいります。 現在,環境問題や人口減少など,様々な克服すべき課題が山積しておりますが,このような社会の構造や価値観が大きく変化する時代の中にあって,京都は文化の都として,文化の力による地方創生をけん引し,ひいては世界平和に貢献するとともに,皇室ゆかりの地として,宮中文化をはじめ,日本の伝統や文化を守り育て,後世に伝えていくという役割を果たしていく必要があり,そのことにしっかりと視点を当ててまいりたいと考えております。今後とも,皇室ゆかりの地・京都として,京都市,京都府,商工会議所等が連携し,新しい令和の時代にふさわしい宮中文化や皇室を身近に感じられる取組を展開し,更に国への働き掛けを強めるなど,双京構想の実現に取り組んでまいります。 次に,文化庁移転を契機とした文化の振興についてでございます。京都は,千年を超えて,様々な困難にしなやかに対応しながら,伝統と革新の融合により,重層的で多様な文化を蓄積してきた世界でも希有なまちでございます。自然との共生の下に,衣食住をはじめとする豊かな暮らしの文化が育まれ,家庭や地域コミュニティで大切に引き継がれており,伝統産業から技術革新により先端産業が生まれるなど,ものづくりや科学技術の進歩にもつながってきております。この豊かな暮らしの文化を次の世代に継承していくためには,津田議員御指摘の良い使い手が,良い作り手を生み,育てるという視点が,極めて重要であると私も認識しております。 そこで,次代を担う子供たちが,ほんまものの文化芸術に触れる機会を充実させてまいります。例えば,市立小中学校の全ての児童・生徒が,中学校卒業までに茶道,華道を体験できるよう今年度から事業を充実・拡大してまいります。さらに,中学生を対象とした能楽の体験機会も充実させてまいります。こうした取組を文化の担い手育成やたくみの技の継承,伝統産業の振興にもしっかりとつなげてまいります。 また,国民の財産である文化財の保存と活用も重要なテーマでございます。国では,二条城の成功事例をモデルに,文化財の本質的価値を高め,収益につなげ,伝統産業の振興にも資する好循環を創出するリビングヒストリー事業を創設されたところであります。文化庁の全面的移転を2年後に控えた今こそ,こうした京都の成功事例を,文化庁としっかり共有し,連携し,津田議員御指摘の文化庁の職員の方にも体験いただき,全国に発信し,文化の力で日本を元気にするとともに,文化芸術による国際交流により,世界平和に貢献していくことが,世界の文化首都を目指す京都が果たすべき使命であると考えております。文化庁の京都への全面的移転に寄せられている国民の期待を実感へと変えていくために,文化市民局を中心に全庁一丸となって,文化を基軸とした市政運営,まちづくりを推進してまいります。 次に,京都市レジリエンス戦略についてでございます。現代においては,気候変動,自然災害,人口減少,地域コミュニティの活力の低下など,相互に関連したあらゆる危機に備えることが極めて重要でございます。そのため,レジリエンスの意味を分かりやすく,市民の皆様に御理解いただけるように,副題に「しなやかに強く,持続可能な魅力あふれる京都のために」と付けた京都市レジリエンス戦略を,3年に及ぶ市民的議論を経て本年3月に策定いたしました。都市のレジリエンスの向上には,あらゆる政策の融合等に取り組むことはもとより,市民の皆様が,地域における日々の営みや防災活動,様々な文化活動などに,主体的に参加され,つながることなどで,地域力,市民力を高めること,このことが極めて重要であると考えております。 とりわけ気候変動につきましては,産業革命前に比べまして気温は既に1度C上昇しております。パリ協定で気温上昇を2度C以下,できれば1.5度C以下に抑えることで世界は合意しました。しかし,世界の科学者が議論するIPCCは,昨年,2度Cと1.5度Cでは地球環境への影響に顕著な違いがあり,1.5度Cに抑えるには,2050年頃までにCO2排出量実質ゼロが必要と示しました。この5月に京都で開催された気候変動に関する政府間パネルIPCC総会において,パリ協定の実効を支えるIPCC京都ガイドラインが採択されました。私は,この機を捉えまして,大変高い目標ではあるものの,日本の自治体初の2050年CO2排出ゼロを目指す覚悟を表明し,原田環境大臣等御同席の下に1.5℃を目指す京都アピールを発表いたしました。この高い目標の実現に向け,環境審議会に諮問するとともに,気候変動対策への機運を高め,市民,事業者の皆様との議論を深めつつ,あらゆる方策を検討し,実施してまいります。この間,省エネ,再エネやごみ半減イノベーションの促進など,着実な成果を挙げる一方,プラスチックごみの問題など新たな課題も生じております。気候変動対策は,国連のSDGsやレジリエンス戦略と軌を一にしており,持続可能な社会の実現に向けまして,もったいない,しまつのこころなど,先人が京都で育んできた自然との共生に基づく生活文化を見詰め直し,市民ぐるみの取組に一層磨きを掛け,未来への責任,京都の役割を,覚悟を持って果たしてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 地域企業についてでございます。本市は地域に根差し,地域と共に発展する企業を地域企業として市民ぐるみで応援し,豊かで活力に満ちた地域社会を将来にわたって持続させていくため,地域企業条例を提案し,自民党市会議員団の皆様をはじめ,全会一致により御議決いただきました。津田議員御指摘のとおり,長年にわたって事業を営み,地域に貢献し,地域に親しまれている企業や老舗は,それ自体が価値ある存在でございます。そのような長寿企業は,地域企業の一つの典型であり,今後も地域の重要な担い手として御活躍いただけるようしっかりと連携し,支援してまいります。 具体的には,それぞれの企業に寄り添った経営相談はもとより,地域企業の喫緊の課題である円滑な事業承継や新たなビジネスの創出,担い手の育成など,事業者のニーズに則した支援を行う地域企業応援プロジェクトを実施してまいります。さらに,条例に掲げます地域企業の理念を事業者や市民の皆様と共有していくことが重要と考えており,今年度,京都市輝く地域企業表彰制度を立ち上げてまいります。この制度では,地域企業の理念に賛同し,地域に根差した企業活動に継続して取り組まれている事業者を表彰することにより,長寿企業をはじめとした地域企業に光を当ててまいります。加えまして,社会的課題の解決に向けた先駆的な事業や,公益の増進につながる地道な活動等に取り組まれている事業者の方々も顕彰し,様々な地域企業のモデルを広く周知,発信してまいります。今後とも事業者が抱える課題に対応して,的確な支援策を講じますとともに,地域企業の理念を広く共有することを通じまして,地域企業の継承発展と地域内での経済循環を促進し,京都経済の活性化と持続可能な地域社会の構築につなげてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,森田守議員に発言を許します。森田議員。 〔森田守議員登壇(拍手)〕 ◆(森田守議員) 右京区選出の森田守です。橋村芳和,津田大三両先輩議員に続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質問させていただきます。 まず,市民生活と観光の調和に係る取組についてお伺いします。平成29年の京都市における観光消費額は,1兆1,000億円を超え,これは京都市民の年間消費支出の53パーセントに相当し,観光が京都市経済,また雇用に大きく寄与していることは間違いありません。一方で,落書きやごみのぽい捨てなど観光客のマナー違反,宿泊施設を巡るトラブル,交通渋滞や市バスの混雑など,市民生活に影響が及んでいることが大きな課題であり,市民生活と観光の調和を図るという京都市の方針を,早急かつ着実に進めていく必要があります。現在,祇園・東山,嵐山,金閣寺といった一部観光地に観光客が集中していますが,京都の多様な魅力のあるエリアにも誘客し,一部観光スポットに集中している観光客を周囲にも回遊させる取組が必要であり,それにより市内全域に経済効果をもたらすことが大事です。ただし,その際には,該当地域の交通利便性や地域の受入体制についても十分考慮していただく必要があります。 京都市では,昨年度から伏見,大原,高雄,山科,西京,京北のプロモーション等を実施する,とっておきの京都プロジェクトに取り組まれています。これら市内周辺エリアは,比較的ゆったりと観光できるので,訪れる観光客の満足度が向上し,積極的なプロモーションにより,減少傾向にある国内観光客の回復が期待できます。さらに,京北と美山,伏見と宇治といったように市域を超えて,京都府などとも連携することにより,京都全体の魅力を相乗効果で高める取組も必要と考えます。 昨年度,嵐山で実施された実証実験でも,嵐山から奥嵯峨方面に足を延ばすなど,観光地の回遊性が高まったと聞いていますので,このような取組を更に拡大していただきたいと思います。一つの例として,現在金閣寺と嵐山の間にはきぬかけの路に沿って,龍安寺,仁和寺,高雄をはじめとした見どころが数多くありますが,市バス,嵐電などの公共交通を活用し,回遊性を高めるような取組を進めることもよいのではないでしょうか。 近年,特に京都駅周辺や四条通周辺において,宿泊施設が急増し,価格競争が生じているという報道も耳にします。平成28年10月に京都市宿泊施設拡充・誘致方針策定後,現在,宿泊施設の状況は大きく変わってきていると感じますが,その点についての市長のお考えをお聞かせください。 また,現在交通局においては,前乗り後ろ降りなどに取り組まれているところではありますが,バス車内の混雑解消に向けた一層の取組や,マナー違反,観光地の混雑の解消など,京都市として市民生活に密着したこれらの課題に早急に対応するとともに,観光地の分散化による地域活性化を図る必要があると考えますが,この点についての市長のお考えをお聞かせください。 次に,健康長寿について歯科口くうの観点から質問します。日本政府が進める財政,経済政策の基本方針である骨太の方針に,2年連続で歯科口くう医療の充実が盛り込まれ,特に昨年の骨太の方針2018においては,口くうと歯の健康は全身の健康にもつながることから,医科歯科連携の充実に取り組むことが明記されており,口くうケアと全身の健康について注目されていることは周知の事実ではないかと思います。 京都市においても,健康寿命を平均寿命に近付け,年齢を重ねても多くの市民が活躍できる活力ある地域社会,健康長寿のまち・京都の実現に向け,従来からのむし歯予防や8020運動の推進に加えて,口くうの機能が弱る,いわゆるオーラルフレイルの対策などに取り組むこととし,ライフステージ等に応じた歯と口の健康づくりの基本的な取組を推進しています。その背景には,全国的に高齢化が進む中で,京都市においても一人当たりの医療費が10年間で1.3倍に増加しているという厳しい現実があり,我が国が世界に誇る国民皆保険制度を維持していくためには,できるだけ病気にならない予防医療が重要であるという認識があるからにほかなりません。 今月の市民しんぶん右京区版でも1面でこのことを取り上げ,「あなたは健口ですか」と題し,オーラルフレイル対策を啓発されています。ここでの健康という文字は,健やかな口と表現されており,これは,日頃からバランスの取れた美味しい食事を取ることで,病気を予防しようという医食同源的な考え方です。日本の食文化の中心である京都市において,食を楽しめることが健康の証拠であり,健康長寿は,健やかな口くうあってこそという取組を進めていただきたいと思います。 特に乳幼児期から小学校,中学校,そして高校までの時期においては,フッ化物歯面塗布事業や学校歯科保健の取組の結果,虫歯予防に大きな効果が出てきています。しかしながら,その後成人期においては,一人暮らしや就職,子育てに時間が取られるなど,生活習慣と社会環境の変化に伴って,歯周病やむし歯などの歯科疾患の進行から全身疾患を悪化させてしまう方もおられます。その中でも,特に糖尿病を発症する方が増加しており,その重症化予防が大きな課題となっていますが,糖尿病の進行は歯周病と深く関わっていることから,歯周病対策にしっかりと取り組むことが大変重要であると考えていますが,京都市として歯周病対策にどのように取り組んでいこうとしているのか,お聞かせください。 また,京都市では,18歳以上の方及び妊産婦の方を対象に無料歯科相談を実施していますが,特定の日時に区役所まで行かなければならないため,特定健康診査項目への歯科検診の追加や,市民が自分の都合に合わせて受診することができる歯科医院における歯科検診を要望しておきます。 次に,保育園や幼稚園等の送迎,散歩コースの安全対策についてお伺いします。先日,大津市において,保育園児2名が亡くなり,また多数の園児と保育士が負傷するという大変痛ましい事故が発生しました。犠牲となられた園児お二人に哀悼の意を表するとともに,御遺族並びに負傷された保育士,園児の方々に,心からお見舞い申し上げます。今回の事故は,散歩中の保育士と園児が,車道から離れた歩道で信号待ちをしているところに車が突っ込んでくるという,保育園側の安全確保だけでは避けようのない事故であったと思います。京都においては,平成24年に東山区祇園で暴走車による事故があり,その後亀岡市でも集団登校中の児童の列に車が突っ込むという事故が発生しました。亀岡市の事故を受け,国では全国の通学路の緊急点検を実施し,約7万4,000箇所において対策が必要と判断し,ガードレールや信号の設置などの対策が進められてきましたが,保育園や幼稚園等の送迎や散歩コースについてはこの対策に含まれませんでした。 京都市会がこれら2件の事故を踏まえ,議員提案による京都市交通安全基本条例を全会一致で可決したことを受けて,京都市でも,京都府警と定期的な会議の場を設けるなど,通学路を中心に子供の安全確保のための取組を実施していますが,今回の事故を受けて,保育園や幼稚園等の送迎や散歩コースについても,安全確保の取組を行うことが望まれます。 また,今回の事故現場は見通しの良いT字路であり,危険を想定しにくく,対応に限度があることは十分理解しますが,今回の事故を踏まえ,京都市として危険を想定しにくい場所も含めた,保育園や幼稚園等の安全対策を後押しするような取組を進めていくことも必要と考えますが,いかがですか,お答えください。 次に,消防団総合査閲における小型ポンプ操法についてお伺いします。消防団については,全国的に団員の減少が課題となっている中,京都市では,女性や若者をターゲットとした加入促進に努めた結果,今月には南消防団が,左京消防団,山科消防団に引き続き,充足率100パーセントを達成しました。また市内の消防団員の総数も,昨年7月には,昭和41年以来52年ぶりに4,500名を突破したところです。 一方で,消防団による迅速,的確な放水活動を実施するための操法などについては,消防組織法を根拠として,消防操法の基準,消防訓練礼式の基準により定められており,その中でも消防ポンプ操法は全国の消防団で最も多くの自治体で実施されている消防操法であり,全国消防操法大会や京都府の操法大会においても採用されています。しかしながら,京都市では全国とは一線を画し,独自の小型動力ポンプ操法を採用されています。 私は,平成29年度から府市の消防学校の共同化が実現し,府内の消防職員が,地震等の大規模災害が発生した際に連携して被害の軽減に当たる体制が整った中,消防団についても,できる限り二重行政を改め,府市協調で行政を進めていくという観点からも,操法も統一すべきではないか,また,消防団員にとって一番の栄誉と言われる特別表彰まといを目指すことができない京都市版操法は見直すべきではないかとの認識を持っており,全国版操法の導入推進の観点から,平成29年10月の決算特別委員会でこの問題について取り上げました。当時消防局は,京都市版操法の方が,分岐管を使用したり,ホースをつなぐ際に足ではなく手を使うなど,実態に即した方法であることを示しながらも,全国版操法への転換について,御意見を踏まえて,将来そうした課題が解決できるように今後も慎重に検討していきたい旨の答弁があり,本年4月,消防局から,令和4年度から京都市消防団総合査閲における操法については,全国版の操法を導入するとの報告がありました。私は非常に良いことだと思っていますが,全国版操法の導入においては,よりタイムが重視されると思われるため,消防団員の高齢化や女性団員の増加に対して十分な配慮が必要となります。 そこで,今回の変更に至るまでにどのような経緯を経て決定したのか。また,これまでの京都市操法はどうしていくのか。そして,全国版操法を導入することにより,京都市の消防団にどのようなメリットがもたらされると認識しているのか。見解をお聞かせください。 最後に,公共建築物における市内産木材の利用促進についてお伺いします。2月市会の市長総括質疑において,京北小中一貫校の市内産木材の使用率が16パーセントと極めて低いことに関して,京都府の京都トレーニングセンターを例に挙げながら質疑させていただきました。この施設は当初鉄骨造で基本設計がされていましたが,木造に変更となり,結果として700立米のほぼ全てで府内産木材が使用されました。その変更経緯として,平成25年11月に南丹市で開催された知事と地域住民との意見交換会において,森林・林業の発展に向けた木質資源の拡大が語り合われたことが大きなものとなっています。その中で,当時の山田知事は,例えば北欧では本当に木を使っている。こういう建物が当たり前に公共施設として使われている。その度に,なぜ京都,日本ではうまくいかないのだろうということをぶつけるけれども,消防法があるからだとか,建築基準法があるからだとか言うんです。また,川中,川上,川下を通じてしっかりとした体系ができるようにしていくというのは,これからの林業を大きく変えていく。公共建築から一般建築まで,林業の木のすばらしさを伝えられる京都をつくるために,全力を挙げてまいりたいという話をされ,これらを踏まえ,京都府は整備方針を木造化とし計画を進められました。 この府内産材による整備には,様々な課題があったと聞いています。具体的には,大規模木造建築物に必要となる部材は,規格が大きく数量も多いため,一般市場での流通材だけでは調達が困難であること,加えて産地を指定した場合,工事に適した原木を調達できる森林の選定,伐採,搬出から,製材,乾燥,加工までの一連の工程を通して必要な量と品質の確保,さらに事業スケジュールも含めた高度な調整が求められること等です。京都府は,京都トレーニングセンターの整備を単なる公共建築物の工事としてではなく,林業振興政策の一環として捉え,この課題に対して,工事に先立って必要な部材を府が直接手配し,施工業者に支給する分離発注方式を採用して対処しました。 私は,これまで京都市が材料産地を指定できないWTO工事においても,総合評価落札方式を活用するなどして,市内産木材の利用促進に取り組んでいることを評価しないわけではありません。しかし,ここで指摘したいことは,公共建築における市内産木材の利用は,林業振興の観点から大変意義あるものであり,市域の4分の3を森林が占める京都市,特に林業と共に歩んできた右京区京北地域に整備する教育施設での利用は,象徴的な意味を持つということです。その意味で,京北小中一貫教育校において,市内産木材利用を通常の公共建築工事の一つとして計画されたことは反省すべきであり,これを教訓として今後にどのようにいかすのかを考えていただきたい。京北の人口は約4,600人と京都市全体の約0.3パーセントとなっています。その中で特徴的なのは,京北の就業人口のうち約10パーセントが林業に携わっているということです。京北を除く京都市内で林業に従事されている方の割合は0.009パーセントということからも,いかに林業で成長してきた地域ということが分かるかと思います。 また,京北小中一貫教育校建設の財源は過疎対策事業債ですが,過疎地域自立特別措置法は人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能及び生活環境の整備等がほかの地域に比較して低位にある地域について,自立促進を図り,住民福祉の向上,雇用の増大,地域格差の是正及び美しく風格ある国土の形成に寄与すること。過疎地域が,地域資源を最大限活用して地域の自給力を高めるとともに,住民が誇りと愛着を持つことができる活力に満ちた地域社会を実現することとしています。京都市は,京北地域の過疎対策の観点からも,さらには地域の将来を担う子供たちの教育施設の建設であることからも,その施設の8割以上が海外産木材で建設されることについて,更なる工夫,努力の余地があったのではないでしょうか。 そこで,今後,京北小中一貫校の工事を教訓として,京都市での公共建築物における市内産木材の利用についてどのように進めていかれるのか,改めて市長のお考えをお聞きします。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森田守議員の御質問にお答えいたします。 まず,市民生活と観光の調和に係る取組についてでございます。本市では,平成28年に宿泊施設拡充・誘致方針を策定し,地域と調和した質の高い宿泊施設の拡充・誘致及び違法民泊の根絶に取り組んでまいりました。宿泊施設は,近年の訪日外国人客の急増による旺盛な宿泊需要等を背景に,方針策定時の約3万室から本年3月末時点で約4万6,000室に増加しており,現在計画されている宿泊施設も含めますと,施設数としては満たされつつあると考えております。しかしながら,これらの増加している施設の多くが,京都駅周辺や市内中心部に集中するなど地域的な偏在が課題となっております。 また,北部山間地域における農家民宿など,地域と調和した宿泊施設,地域固有の歴史,文化,自然の魅力をいかした宿泊施設は必ずしも十分ではなく,質の面での課題もございます。さらに,近年の外国人観光客の急増に伴う一部の市バスや特定の観光地の混雑,民泊等を巡るトラブル,生活習慣の違いによるマナー違反など,市民生活との調和に係る課題については,その早急な解決に向けまして,違法民泊の根絶やマナー啓発,時期,時間,場所,この三つの集中を分散化することにより,あらゆる地域が混雑を回避して,地域の活性化にもつながる,そうした取組に全力を挙げて取り組んでおります。その結果,一定の成果も挙げてきております。しかし,なお山科,大原,高雄,西京,伏見稲荷大社を除く伏見など,観光客の増加を求められている地域もあります。 これまでの取組による成果や地域ごとの課題をしっかりと検証することを通じて,地域の個性や実情を的確に把握し,地域の特性に応じた効果的な施策を実施していくため,新たに,今月22日に,庁内に市民生活と調和した持続可能な観光都市推進プロジエクトチームを設置し,検討を開始しております。今後は,同プロジエクトチームにおきまして,有識者や市民,観光事業者などの御意見をお聴きしながら,市民生活と観光との調和,各地域における持続可能な発展,市民の豊かさにつなげる,そうしたことの実現に向けまして,総合的な施策を展開してまいります。 次に,保育所・幼稚園等の送迎,散歩コースの安全対策についてでございます。5月8日,大津市で散歩中の園児が車にはねられるという痛ましい事故が発生しました。お亡くなりになった園児の御冥福をお祈りするとともに,負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。本市では,子供の安心安全を市政の最重点事項の一つに掲げ,この間,6,000箇所以上の通学路の安全対策を完了するとともに,見守り隊などをはじめとする地域の皆様の御協力を得ながら,しっかりと安全対策を講じ,努力してまいりました。園児の安全対策につきましても,事故当日直ちに,市内900箇所を超える施設に対し,園児の安全確保に万全を期していただくよう周知徹底するとともに,散歩コースや登園経路も含めた施設周辺の点検及び報告も依頼しております。 また,園外活動は,園児の健やかな育ち,学びに不可欠であり,引き続き積極的に実施できるよう,安全指導はもとより,活動の留意点等について,関係団体と協議を進めております。22日には,取組状況の共有と今後の対策を協議するために,関係局の部長級により,緊急対策会議を開催いたしました。これらの取組を全庁挙げてしっかりと連携・融合し,更に強力に推進することが大事であり,明日29日に,私をトップとして局長級が参画する対策会議を開催し,これまでの知見をいかしまして,ハード・ソフト両面からスピード感をもって安全対策を推進してまいります。今後とも,地域の皆様をはじめ,関係団体,京都府警と共に子供の安心安全の確保に全力で努めてまいります。 次に,公共建築物における市内産木材の利用についてでございます。木材の需要拡大は官民それぞれの取組が重要であり,本市では公共建築の木材利用促進法の施行以前の平成21年に,いち早く公共建築の木材利用拡大等を掲げる標準仕様を定めまして,木造の児童館や学校クラブ棟の建設など,積極的な木材利用を進めてまいりました。 また,全国初の地球温暖化対策条例を平成22年に改正し,一定規模以上の民間建築物にも地元の木材の利用を義務付け,木材需要の拡大も図ってまいりました。森田議員御指摘の京都府の施設は,平屋建ての建物や宿泊棟など,木造建築にどちらかといえばなじみやすいものに対しまして,御指摘の京北小中一貫校は,地上2階,地下1階の3層の大規模建築物であり,主な部分は鉄筋コンクリート造とせざるを得ませんでしたが,仕上げに木材を使用するなど,子供たちが見て触れる部分には木材を効果的に利用いたします。 また,この建築工事は大規模な公共工事等に適用される国際協定WTOの対象で,木材の産地指定は禁止されています。しかし,市内産木材みやこ杣木の使用を努力義務として発注し,工事中の現在も,先ほど申し上げた仕上材を含め,内装等への更なる使用について,木材の産地,京北の学校であることを踏まえ,事業者と協議を積み重ねているところでございます。さらに,これから設計する付属棟は,WTOの対象でもありませんので,市内産みやこ杣木使用による木造といたします。 今後とも,森田議員の御指摘をしっかりと踏まえまして,公共建築物における市内産木材の積極的利用に努め,更なる利用拡大に努めてまいります。特に従来の枠組みに捉われず,常に限界に挑戦していく,そうしたことが必要だと認識しております。全力を挙げてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 歯周病対策についてでございます。歯と口の健康を保つことは全身の健康につながるものであります。歯周病が重症化すると血糖のコントロールが難しくなり,また,糖尿病の合併症として歯周病が進行し,さらには歯の喪失が起こるなど,歯周病と糖尿病とは密接に関係していることから,歯周病対策は,糖尿病の重症化予防に大変効果的であります。このため,今年度から国民健康保険の被保険者の皆様が受診された特定健診の結果を活用し,糖尿病又はそれが疑われ,かつ40歳から70歳まで5年ごとに設定している歯周病の節目健診の対象となっている方に,自己負担を無料とする歯科健診受診券を送付し,歯周病の治療を促していくことで,糖尿病の重症化予防を図ってまいります。森田議員御指摘のとおり,健康長寿は健やかな口くうがあってこそであり,その機能が弱っていくオーラルフレイルの予防を進めていくことが極めて重要であります。 今後とも,京都府歯科医師会との緊密な連携の下,京都市口腔保健推進実施計画歯ッピー・スマイル京都に基づき,ライフステージに応じた歯と口の健康づくりを総合的に推進していくことで,市民の皆様の健康増進へとつなげてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 消防団の操法についてでございます。本市の消防団では,分岐管やトランシーバーを使用するなど,災害時の活動に即すよう英知を結集し,工夫を重ねた京都市独自の操法を定め,消防団総合査閲で実施してまいりました。平成28年度から,全国版操法を採用する京都府の大会に試行的に出場した経験や,森田議員の御指摘を踏まえ,全国版操法の導入について,昨年度に消防団長会議などで議論を重ねてまいりました。その結果,引き続き京都府大会へ出場することとし,京都府大会に出場する消防団を京都市全体で応援するため,全国版操法を消防団総合査閲でも実施すべきとの声が高まり,令和4年度から導入することを決定いたしました。全国版操法の導入により,全国大会への出場という新たな目標が生まれ,消防団員の士気が高まることに加えまして,府内消防団との災害時の連携がより深まる点などでメリットがあると認識をしております。これまでの実践的で安全,確実性にも配慮した京都市版操法は,地域の防災訓練や消防活動総合センターでの応用的な訓練で行うなど,消防団の災害活動能力向上のため,しっかりと継承してまいります。現行の実践的な操法に加えまして,新たに導入する操法の良い部分をいかしながら,地域防災の要であります消防団の充実強化に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,井坂博文議員に発言を許します。井坂議員。 〔井坂博文議員登壇(拍手)〕 ◆(井坂博文議員) 日本共産党京都市会議員団を代表して,後ほどのとがし豊議員と共に質問いたします。北区選出の井坂博文です。 4月7日執行されました統一地方選挙,京都市会議員選挙におきまして,日本共産党は改選時の18名の現有議席を獲得し,引き続き市会第二党を維持することができました。御支援,御協力いただきました市民の皆さんに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。選挙中に掲げた公約の実現に向けて引き続き全力を尽くす決意であります。 さて,5月市会の冒頭で,議長,副議長,定数2名の議会選出監査委員が,市会第二党の日本共産党を除いて選出されました。本来,衆参両院でも府内の多くの議会でも,第一党から議長,第二党から副議長が選出されています。本市会においても,1979年当時,第二会派であった日本共産党から副議長が選出された歴史があります。それ以後,36年にわたって我が会派を除く形で副議長の選出が行われてきた状況は,極めて不正常であり,民意を反映した選出となっていません。いずれの役職においても,選挙で示された民意を踏まえて選出するのが,主権者市民の代表たる京都市会の在り方として当然ではないでしょうか。そのことを強く指摘しておきます。 質問に入ります。まず,憲法問題に関してお聞きします。今年の5月3日の憲法記念日を迎えるに当たって,改めて憲法前文を読み返しました。「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民と協和による成果と,わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。」とあります。門川市長は,公務員として前文を含む憲法を遵守する決意がありますか。 この憲法の下で,日本は海外で一人の外国人も殺さず,一人の自衛隊員も殺されませんでした。直近の共同通信の調査でも,日本が武力行使をしなかったのは憲法9条があったからだとする人が67パーセント,9条を改正する必要がないとする人が47パーセントであり,必要とする人を上回り多数となっています。変えるべきは憲法ではなく,憲法をないがしろにする政治であります。 安倍首相が狙うように,憲法9条2項に自衛隊を明記すれば,9条の,戦力を持たない,交戦権を認めないとの規定が立枯れになり,空文化され,自衛隊が海外での無制限の武力行使が可能になってしまいます。さらに安倍首相は,国会答弁で「自治体が自衛官募集に非協力的だから9条に自衛隊を明記する」と述べ,自治体に圧力を掛けました。 それを受けて,4月8日,京都市は市会議員選挙が終わるのを待っていたかのように,自衛隊京都地方協力本部へ,今年度に18歳,22歳になる市民2万6,601人分の個人情報,住所・氏名を宛名シールで提供しました。自らの個人情報が無断で提供される若者,保護者,市民,弁護士,教育関係者,労働組合など,様々な団体,個人が反対する中,京都市が自衛隊への提供を強行したことは断じて許されません。しかも,名簿提供を受けた京都地方協力本部は,すぐに22歳の幹部候補生対象者にダイレクトメールを送り付け,当事者の若者に衝撃が走りました。京都市と自衛隊の暴挙に強く抗議します。市民からも,自衛隊に便宜,理由が不明,新メンバーとなった京都市議会で議論されるべき(京都新聞)と怒りの声が広がっています。 現在の自衛隊は,安倍政権の安保法制強行によって海外で武力行使を伴う任務を負っています。京都市の協力によって自衛隊へ入隊した若者が,海外の戦闘地域へ派遣され,相手を殺し,自らも命の危険にさらされる可能性もあるのです。副市長は2月市会の市長総括質疑で,その可能性については,ゼロであるとは思わないと認めながら,災害の出動の方がずっと可能性が高い。ずっと大きな存在感を持っているとの認識を示されました。ところが,自衛隊の職種紹介を見たら,実践訓練のオンパレードであり,災害への出動は全く書かれていないではありませんか。 (パネルを示す)これが防衛省のホームページに記載されています自衛隊の職務です。陸・海・空,それぞれ戦闘訓練がありますが,防災訓練については,災害救助については一言も書いてありません。 改めてお聞きします。可能性が小さければ,京都市が若者を戦闘地域に送り出し,人を殺し,殺される状況に追い込んでもいいのですか。京都市民の命を守る市長の責任は果たせるのですか。明確にお答えください。 福岡市では,市の個人情報保護条例に抵触する,市の条例では,法の定めがあれば個人情報を提供できるが,自衛隊法施行令は具体性に欠け,定めとは言えないと説明し,宇治市では,住民基本台帳法には閲覧の規定しかなく,市の個人情報保護条例に基づいても提供はできないとしています。京都市の自衛隊法の定めがあれば個人情報を提供できるとの主張は,法的根拠が欠けるものと言わざるを得ません。本人の同意なしに自衛隊へ名簿を提供することは,憲法13条で保障された個人の尊厳,人格権,プライバシー権の重大な侵害であります。 市長,自衛隊への宛名シール提供は今後きっぱりやめること,まだ本人に発送されていない18歳の個人情報は自衛隊に返還を求めること,このことを強く求めますが,いかがですか。ここまでの答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 別府文化市民局長。 〔別府文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(別府正広) 自衛隊への宛名シールの提供についてでございます。自衛官募集事務は,法令に定める自治体の事務として,本市がその役割を果たすことは当然であり,憲法に違反するものでも,戦争に協力するものでもありません。自衛隊の活動は,国防のみならず,平成25年の台風18号による大雨時の本市への派遣,また,東日本大震災,熊本地震などの震災や,先般の鹿児島県屋久島町での局地的な大雨における献身的な救助活動など,安全な国民生活の確保に不可欠なものでございます。こうした自衛隊の任務の重要性に鑑みますと,自衛官募集事務への協力は,市民生活の安心安全に寄与するものと認識いたしております。 今回,情報提供の在り方に関して御意見を頂いておりますが,住民基本台帳や選挙人名簿については,国の事務や公益性が高い学術研究,公職候補者の政治団体の選挙活動などを目的とする場合には,法令で閲覧,書写しが認められており,現に多数の閲覧実績がございます。本市から自衛隊への適齢者情報の提供に当たりましては,個人の住所,氏名,生年月日,性別が記載されている住民基本台帳全件の閲覧,書写しから対象者を限定し,住所,氏名のみを宛名シールで提供する方法へと改めるとともに,22歳の方は5月末,18歳の方は9月末のそれぞれの募集事務の区切りの時期には,残った情報の返却を受けるなど,個人情報の保護に万全を期すことといたしております。本年5月には,防衛大臣から,自衛官募集の推進についての依頼を受けたところであり,今後とも自衛隊京都地方協力本部と連携し,法令に沿って適切に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 井坂博文議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時46分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,井坂博文議員に発言の継続を許します。井坂議員。 〔井坂博文議員登壇(拍手)〕 ◆(井坂博文議員) 次に,消費税増税についてお聞きいたします。統一地方選挙のさなか,自民党の萩生田光一幹事長代行は,消費税の10パーセント増税について,6月の日銀の短観などを見て,見送りの可能性に言及しました。さらに,京都選出の西田昌司参院国会対策委員長代行は,消費税増税凍結を委員会で正式に求めました。政権与党の中からも増税への動揺の動きが出てきたことは重要です。しかし,動揺するくらいだったらきっぱり増税を中止したらいいではありませんか。経済情勢の悪化は,隠しようがありません。安倍首相が,2012年に第2次政権を発足させてから,戦後最長の景気回復と自慢してきた経済情勢は,今年になって,2014年4月の消費税増税以来の消費の低迷に加えて,米中の貿易摩擦などの影響を受けた輸出の不振が明らかになっています。政府の4月月例経済報告も,景気は,このところ輸出や生産の一部に弱さも見られると,3年ぶりに下方修正しました。 さらに,内閣府が5月13日に発表した3月の景気動向指数速報値では,基調判断を6年2か月ぶりに悪化に引き下げ,景気が既に後退局面に入った可能性が高まりました。正に非常事態であります。そして,直近の世論調査では,消費税増税に反対が57パーセントと,賛成を大きく上回り,景気が良くなっていると答えたのは,僅か8.5パーセントにとどまっています。アベノミクスの失敗,破綻は明らかではありませんか。 京都経済の落込みも深刻です。東京商工リサーチ京都支店の調査では,平成30年度における京都府内の個人企業の倒産は117件に上り,年間を通して資本力に乏しい中小零細企業を中心とした小口倒産が多く発生していると述べています。実際に,私の地元の北区でも,コンビニ数店舗,洋服チェーン店,長年地域の顔であった漬物屋さん,屋台から始めた京都でも有名なラーメン屋さんが相次いで廃業し,閉店されています。さらに,4月から増税の先取りともいう食料品の値上げが実施され,追打ちを掛けています。 その一方で,京都市は消費税率引上げ実施を前提に,市の公共施設使用料やサービス料金に転嫁して,今年度の後半だけでも78項目,総額8億3,000万円もの便乗値上げを強行し,市民生活や家計への影響が懸念されております。 そこで,市長の認識を伺います。2月市会での私の代表質疑に,答弁で市長は,市税納入者の数が増えており,京都の景気は穏やかに回復していると述べられましたが,この認識を変える気はありませんか。こんな状況の下で消費税が増税されれば,市民生活や京都経済にも壊滅的な影響を与えることになるとの認識がありますか,お答えください。 消費税増税は,もう決まったこと,もう止められないものではありません。今年になってからも,日銀の金融政策委員,安倍政権の成長戦略の司令塔メンバー,国内外の経済専門家や経財メディアも次々と消費税増税の危険性を指摘する声を上げています。安倍首相は追い込まれる中で,増税対策と称して6兆円もの予算を計上し,頂いたものは全てお返しすると言います。消費税増税による増収は5兆円,そのために6兆円もの予算を使う。全て返すくらいなら,初めから増税などしなければいいではありませんか。増税の理屈も根拠も経済環境も完全に破綻し,支離滅裂な増税対策を打たなければならないような消費税増税はきっぱりやめるしかありません。今からでも止められます。国に,10月からの10パーセントは中止せよ,その声を上げるよう求めますが,いかがですか。 次に,自治体の基本である公共性と地方自治に関わってお聞きします。政府は,国民生活にも深く関わる社会保障サービス,地方行政サービス分野をターゲットにして,公共サービスの産業化を進めると言います。これは,市民サービスという公務を民間企業のもうけの場に差し出すものにほかなりません。今年度が最終年度になる京プラン後期実施計画は,市職員削減による人件費抑制,公共施設の切売り,公共サービスの集約化,民間でできるものは民間で,そして稼ぐ自治体づくり路線そのものであります。 統一地方選挙では,住民福祉の増進という自治体本来の姿を取り戻すために,市民と業者を苦しめている高額になる国民健康保険料の引下げが大きな争点になりました。国保には赤ちゃんにも掛かる均等割があるために,子供が多い世帯ほど保険料が高くなる仕組みがあります。日本共産党は,古代の人頭税のように頭数で負担を課す均等割を廃止する,廃止に至らなくても,仙台市などで実施しているように,軽減制度の導入を求めました。これに対して国も京都市も,子供を含めて応分の負担をしてもらう仕組みであると居直り,住民の声に冷たく背を向けて,子育て支援にも逆行する姿勢を示しています。 また,全国知事会は,国が国保に対する国庫負担を抑制していることが,高額な保険料の背景になっていることも明らかにして,公費を1兆円投入し,国保料を協会けんぽ並みに引き下げること,国定率負担の引上げを要求しています。日本共産党は国に声を上げるよう市長に求めてきましたが,国保の安定的運営に努めると述べるにとどまっています。 改めて,1,公費1兆円を投入して均等割・平等割を廃止するよう国に求めること,2,市独自にも均等割の廃止,若しくは軽減制度を創設し,一般会計繰入れを増額し,保険料の大幅な引下げを行うこと,3,来年度以降の保険料値上げを行わないこと,この3点を求めますが,いかがですか。 続いて,来年4月に介護保険認定・給付業務を本庁に集約したうえで民間企業に委託し,嘱託員130人を雇止めする方針についてお聞きします。この方針は,制度の運営責任を民間企業に丸投げし,市民サービスを後退させるとともに,制度発足時から正規職員より低い賃金で働いてきた嘱託員を雇止めするという,雇用主としての責任を放棄するものであります。業務の集約と委託化は,現在区役所や支所で利用者の実情に合わせて進めてきた詳細な相談への対応や迅速な事務処理ができなくなります。名古屋市に続いて今年1月に実施した福岡市でも,測定結果の遅れが顕著になっています。 また,自治体の運営責任が弱まることは,利用者に寄り添った対応ができなくなり,民間企業の職員とのやり取りは偽装請負になりかねず,病名など個人情報を民間企業が取り扱うことなど問題は山積しています。京都市は,毎年,経済団体に安定雇用や就労環境の改善を繰り返し要請していますが,足元で嘱託員を130人も大量雇止めすることをどう説明するのですか。市民の命と暮らしを守るという自治体の役割を果たすと同時に,雇用主としての責任を果たすためにも,集約化と委託方針の撤回を強く求めます。いかがですか。 最後に,世界全国の被爆者の悲願である核兵器の廃絶と被ばく安全神話に関してお聞きします。2017年に国連総会で採択された核兵器禁止条約は,2019年4月現在で,署名70箇国,批准23箇国に到達して,核兵器廃絶を求める世界の声は大きく広がり,当面の目標である条約発効のための50箇国批准は間近に迫りつつあります。 一方で,この流れに逆行して,核保有大国のアメリカ,ロシアは,INF全廃条約からの離脱や執行停止を表明するなど,核軍拡競争の悪夢の再現,世界の危機を招きかねない動きを強めています。このようなときだからこそ,全世界の国々が核兵器禁止条約に加入し,断固とした姿勢で結束し,核保有国とその同盟国を追い詰めていくことが求められています。そのためにも世界で唯一の戦争被爆国である日本政府の果たすべき役割は極めて重要であります。禁止条約に背を向けて,アメリカ・トランプ政権に追随する安倍政権がいかに無責任で有害なものであるか明らかではありませんか。2018年度末で全国の被爆者の数は15万4,859人,京都府は927人,うち京都市内在住者は547人です。被爆者の平均年齢は,82歳を超えて高齢化が進んでいます。被爆者は,残された時間はそんなに長くはないと思っています。 2月市会でも求めましたが,被爆2世として改めて市長にお聞きします。平和市長会議の加盟自治体の首長であり,平和市長会議が目的に掲げている2020年までに核兵器の廃絶,この実現のためにも,国に対して核兵器禁止条約への批准を行うよう強く求めていただきたい。いかがですか。 あわせて,被ばく安全神話について伺います。東電福島第一原発事故から8年目を迎えました。原発事故による被害を風化させないとともに,放射能汚染による被災者救済を求めて全国で30の賠償訴訟が闘われています。私も京都訴訟を支援する活動に参加しています。2019年3月末までに六つの判決で東電及び国の責任が断罪され,不十分さを残しながらも,避難指示区域以外からの避難者に対する避難の権利と補償を認める判決も相次いで出されています。 被災地の人々の健康被害は,原発事故後もますます深刻さを増しています。にもかかわらず,国は被災地の復興支援を終了させ,被災者救済の打切り,切捨てを強行しようとしています。その一方で,国や電力会社は科学の装いを凝らして被ばく安全神話を作り上げて,自分たちに不都合な真実を覆い隠そうとしています。その被ばく安全神話を象徴するのが,文部科学省が昨年10月に改訂して,全国の小中学校と高校に直接配布したこの放射線副読本です。 (実物を示す)この副読本は,空気や食べ物などにも常に放射線を出す物質が存在していると原発事故による放射線の危険性を過小評価し,東電福島第一原発事故後,除染が進められ,立入りが制限されていた場所にも人が住めるようになるなど,復興に向けた取組は着実に進展していると復興を殊更強調し,原発事故を終わったことにしようとしています。 さらに,原爆被爆を受けた人の影響が子供に伝わる遺伝的影響を示す根拠は報告されていない,福島原発事故により拡散された放射性物質の量は,チェルノブイリ原発事故の7分の1,福島県が実施した内部被ばくの検査結果は,検査を受けた全員が健康に影響が及ぶ数値ではなかったと,放射線による影響と被害は低いと強調しています。また,被災地域の食品や農林水産物への影響についても,根拠のない思い込みから生じる風評被害と表現し,住民の間に分断を持ち込んでいます。この副読本を被爆2世や今でも避難している福島の皆さんが読んだらどう思われるでしょうか。 原発事故による放射線の拡散,流出の危険性の記述よりも,日常生活で受ける放射線などの説明を優先させており,専門家からも,放射線被ばくのリスクは大したことがないと思わせる印象操作であると,強い批判の声が上がっています。当然です。それに対して滋賀県野洲市では,教育委員会が副読本の内容を精査したうえで,原発事故で今も4万人以上の避難者がいるにもかかわらず,副読本にはその人々の思いが抜け落ちている,記述された内容に課題があると判断し,回収を進めています。市長も,丁寧な情報を若い世代に伝えることが大事,教育委員会の判断は適正と語っています。 そこでお聞きします。京都市では,この副読本は約10万部配布されていますが,その内容について市教委は精査したのですか。精査したのであれば,どう評価しているのですか。被ばく安全神話を助長するとの認識がありますか。精査していないのであれば,十分に精査したうえで回収すべきではありませんか。市長及び教育長の見解を伺います。 最後に,参議院選挙は目前に迫っています。先の通常国会における野党共闘は大きく前進し,選挙協力の協議にも確実につながり,安倍政権の打倒を目指し,32の一人区全てにおいて候補者一本化のための調整を図ることで一致し,既に11選挙区で統一候補が決定し,今週の野党党首会談でも,残る選挙区の統一候補の決定と政策協議が始まるとされています。この野党共闘を前進させて,市民と野党の共闘の力で安倍政権とその推進勢力を少数に追い込むために全力を挙げることを表明し,私の第一質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井坂博文議員の御質問にお答えいたします。 消費税増税についてでございます。消費税率の引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国・地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保するために行われるものであります。今回の消費税率の引上げの判断につきましては,国において,様々な指標に基づき,経済状況等を総合的に勘案のうえ,行われるものと認識いたしております。本市におきましては,消費税の税率引上げに伴います貴重な財源につきまして,介護,年金,医療及び子育て支援等の社会保障の維持・充実にしっかりと充て,市民の皆様の命と暮らしを守ってまいります。 議員御指摘の本市における景況につきましては,高い水準を維持している雇用情勢や,低水準が続く倒産件数のほか,インバウンド等の観光消費が堅調でございます。一方,海外情勢の先行きに不透明感があることから,景気の動向については,継続して注視していく必要があると考えております。消費税率引上げの実施に当たっては,あらゆる状況への対応が重要であります。飲食料品などを対象とする軽減税率制度の導入,低所得者,子育て世帯向けのプレミアム商品券の発行・販売,中小小売業に関する消費者へのポイント還元や,軽減税率対策補助金等の消費喚起,生活支援,さらに経済全体への影響を抑えるための自動車や住宅の購入者に対する税の軽減や控除など,国において,十分な対策を講じることとされており,こうした国の施策と連携し,本市といたしましても,商工会議所をはじめとする経済団体,京都府とも緊密に連携いたしまして,必要な対策をしっかりと講じてまいります。 次に,核兵器禁止条約についてでございます。京都は,平和,安心,安寧を意味する平安京の建都以来,1,200年を超える悠久の歴史の中で,城壁のない,世界に開かれた都市として,平和を基調とした文化を築いてまいりました。この精神を引き継ぎ,本市は,昭和32年に平和都市宣言を,昭和53年には世界文化自由都市宣言を行うなど,一貫して平和を都市の基本理念としております。核兵器禁止条約につきましては,本市も加盟する平和首長会議の国内加盟都市会議が,毎年,国に対して核兵器廃絶に向け力を尽くすよう,強く要請しており,国においても,核兵器の保有国と非保有国との橋渡し役を果たすため,双方に働き掛けを行うことを通じて,核兵器廃絶に向け,国際社会を主導していく決意が,既に示されているところでございます。 また,世界恒久平和の実現に向けましては,国の取組が重要であるのと同時に,自治体の取組や,国民,市民,住民同士の交流も大きな役割を果たすものと考えております。そのため,本市では,毎年8月に,ヒロシマ・ナガサキ被爆の実相等に関するポスター展を,また,11月には平和祈念事業を実施しているほか,姉妹都市やパートナーシティとの市民レベルの交流,さらに,私が会長を務めます世界117の歴史都市が加盟する世界歴史都市連盟などの活動を通じまして,国や社会体制等の違いを超えた相互理解を深めることを目指しております。現在,誰一人取り残さないを理念として,国連で採択されたSDGsの取組の下,世界規模で,全ての人々の幸せと平和を願い,行動しようという機運が高まっております。京都市も市民ぐるみでその取組の先頭に立つべく努力しております。今後とも,国内外から高く評価されております京都の市民力,地域力,文化力に更に磨きを掛け,平和で持続可能な社会の実現に向けまして,市民の皆様と共に行動してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 介護保険認定・給付業務の集約についてでございます。市民の行政ニーズが増大する一方で,本市財政は依然として厳しい状況にあります。そのような中にあっても,行政サービスの質を維持・向上させ,持続可能なものとするためには,委託化を含めた効率的,効果的な執行体制の構築が不可欠です。令和2年4月から予定している認定給付業務の集約・委託化につきましては,介護現場の担い手不足が大変深刻化し,今後とも要介護認定者数が増加する中で,ケアマネジャーや介護福祉士等の有資格者の非常勤嘱託員を確保していくことは極めて困難であるため,他都市の先行事例も参考に実施するものでございます。業務の集約・委託化に当たりましては,限られた有資格者を有効に活用するため,認定結果の入力や認定結果通知の郵送等といった専門性を有しない業務と,主治医への照会や訪問調査票の点検等の専門性が必要な業務に切り分け,有資格者を専門性が必要な業務に集中的に配置し,今後の業務量の増加に的確に対応して制度の維持を図ってまいります。委託業務は本市の責任の下,実施するものであり,今後とも継続的に,現場の職員や関係団体の御意見をお聴きしながら,市民サービスの向上につながる業務構築に取り組んでまいります。 本市では,経済団体への要請の中で,有期契約労働者の無期転換制度の円滑な実施等をお願いしているところですが,特別職の地方公務員である非常勤嘱託員にはその適用はございません。しかしながら,雇用主としての責任は果たしていかなければならないと考えており,就労を希望する非常勤嘱託員に対して,委託事業者への転籍や,医療・介護の専門資格がいかせる求人情報の提供等,関係機関等と連携して可能な限りの支援を行い,雇用の確保を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 国民健康保険料についてでございます。国民健康保険は,医療費の半分を被保険者の皆様からの保険料で,残りの半分を国等からの公費で賄うことが原則であり,本来は医療給付費の増加に応じて保険料の引上げが必要となります。しかしながら,国保が抱える厳しい財政状況を踏まえ,国に繰り返し要望した結果,都道府県単位化の実施に当たり3,400億円の公費拡充が行われ,本市においても,一人当たりの保険料を平成27年度に2,532円,さらに平成30年度にも2,123円引き下げたところです。今年度についても,多額の歳入不足が見込まれたものの,国民健康保険事業基金全額を充当するとともに,一般会計繰入金も同額の18億6,000万円を増額し,総額81億円の財政支援を行うことで,保険料率を据え置き,被保険者の負担増の抑制を最大限図ったところです。この結果,一人当たりの保険料は,政令指定都市の中で2番目に低い金額となっております。 議員御指摘の被保険者均等割と世帯別平等割は,国において軽減措置が講じられており,本市では約8割の方が対象となっております。また,子育て世帯の負担軽減を図るため,他の政令指定都市とも連携し,子供の均等割保険料の軽減措置について,国の制度として創設されるよう求めております。都道府県単位化が実施されても,高齢者や低所得者の加入割合が高いという構造的な課題は解決しておらず,本市の国保財政も非常に厳しい状況にあることから,国に対し,全ての医療保険制度の一本化の早期実現と,制度改革が実現するまでの間,保険料負担の上昇を防ぐための財政措置の拡充を引き続き強く要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 文部科学省発行の放射線副読本についてでございます。平成23年度の初版発行から2度改訂され,第3版が平成30年11月に,文部科学省から直接全市立小中高等学校全校に配布されたものでございます。この副読本におきましては,東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い,放射性物質が空気中に大量に放出され,東日本の広範囲に拡散し,甚大な被害をもたらしたことなど,深刻な実態や根拠のない風評被害の不合理さなどに加えまして,放射線は風邪のように人から人にうつるなどの誤った思い込みに基づく,いわれのない差別やいじめが起こったこと,そうした差別やいじめは決して許されないことなども第3版では強調されております。 また,この間の学校の再開や再生エネルギーの活用など,地域の復興,再生について記載される一方で,原発事故による避難指示等に伴い,家族離散や家庭,地域の結び付きが弱まったこと,今なお続く健康への影響の不安など,被災者の思いや厳しい生活実態等につきましても記載されており,井坂博文議員御指摘の被ばく安全神話を一方的に助長するものであるとの認識には立っておりません。現在,学校では,放射線の性質や日常の使用例,人体への影響などと共に,東日本大震災に伴う汚染の状況と除染の取組,また復興や防災・災害対応について,各教科において学習しておりますが,この副読本につきましては,そうした学習の際に,放射線や原子力,また福島第一原子力発電所事故等につきまして正しく理解し,持続可能な社会の在り方等を考える補助資料として適宜活用するものであり,回収する考えはございません。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 井坂議員。 〔井坂博文議員登壇(拍手)〕 ◆(井坂博文議員) 答弁を頂きました。午前中の自衛隊の宛名シール提供について,私は,海外での戦闘地域に自衛隊が派遣されること,そのための訓練について指摘したわけですが,それに対する答弁はありませんでした。今後の宛名シール情報提供についても,見直すということについては言及されませんでした。引き続きこの問題を注視して,宛名シール提供については撤回するよう強く求めてまいります。 また,消費税増税について,京都の景気動向については,マイナスではない趣旨の答弁がありましたが,実際それでいいのでしょうか。京都経済と市民生活に責任を負う京都市の市長として,余りにも無責任な答弁ではありませんか。その認識を改めて,国に増税中止の声を上げるように強く求めていただきたいと思います。 その他,放射線副読本,核兵器禁止条約についても,今後の委員会で引き続き議論を進めていきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,とがし豊議員に発言を許します。とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 4月7日投開票の統一地方選挙で,定数8の左京区において日本共産党は2議席から3議席へと前進させていただき,加藤あい議員樋口英明議員に加えて,私とがし豊を再び市議会へと復帰させていただきました。御支援,御協力に心から感謝を申し上げます。選挙戦では,安倍政権による格差と貧困が広がる中で,無駄を削って暮らし応援の京都市政を変えてほしい,東京や海外資本による京都壊しを許さず,京都の良さを守り抜いてほしいという市民の皆さんの切実な願いが託されたと実感しております。その期待に応えるべく,与えられた4年間の任期を全力で走り抜く決意でございます。 まず初めに,まちづくりについて4点お聞きします。 一つ目に,いわゆる観光公害,オーバーツーリズムの問題です。もうホテルばっかり要らんわ,閑静な住宅街の真ん中に57室の大型ゲストハウスなどとんでもない,リピーターの外国人や日本人の方はもう全然来なくなって,外国人がいっぱい店の前を通り過ぎるだけ。そら,観光地があんなにいっぱい過ぎたらげんなりするわ,ホテル建設ラッシュでホテル業界が人手不足となり,留学生頼みになってサービスの質の低下が心配と,市民や観光に携わる方からもこんな声が漏れてきます。 市長は,観光消費額が市民の年間消費額の5割に匹敵と強調しますが,増えているのは宿泊料が中心です。その宿泊料のうち10数パーセントは,仲介手数料としてインターネットサイトを運営する海外の企業に取られ,僅かな利益も東京や海外の資本に吸い上げられているというのが実態です。これで果たして地域経済が潤うのでしょうか。空き家が出れば,入居,定住したい人よりも,民泊にどんどんいい物件が取られていって,町内会の担い手は先細るばかり。暮らしの中に根付いた地蔵盆などの誇るべき地域の伝統もどんどん消えていくのです。ホテル,簡易宿所の建設ラッシュが地価高騰を招き,京都の中心部から若い世代をどんどん外へと遠ざけています。京都市は,これを逆手に取って,高さ規制の緩和を狙っていますが,かえって更なる地価高騰を招き,固定資産税が上がり,今住んでいる人さえも追い出すことになりかねません。 (パネルを示す)このパネルを御覧ください。ホテル誘致策の下で,京都市が当初2020年の目標とした4万室をはるかに超え,3月現在で4万6,000室を超え,激しい勢いで宿泊施設が増えています。もうこれ以上の宿泊施設は要りません。京都市宿泊施設拡充・誘致方針を撤回するとともに,住宅密集地,細街路,袋路・路地奥,連棟・長屋,マンションなどでのホテル・簡易宿所・民泊の営業は厳しく規制すること,近隣住民の合意が得られない計画は認めないこと,各行政区・支所での相談・調査指導体制を復活させ,監視・指導担当職員の増員など,体制の強化を図ることを求めます。いかがですか。 2点目は,京都の町並みをこれ以上壊さないでほしいという問題です。京都御所の東側,梨木神社へのマンション建設,下鴨神社糺の森への富裕層向けセカンドハウスとなるマンションの建設に続き,南禅寺参道の景観さえも壊すホテル計画の動きがあります。これ以上京都のええとこを壊さんといてという声が,市民や京都を愛する全国の人々から寄せられています。糺の森を売りにして糺の森を壊すマンションを建てる,南禅寺・岡崎の別荘庭園群の文化的な景観を売りにして,その景観を壊すホテルを建てるという道に京都の未来はありません。 今から120年前,初代京都市長内貴甚三郎は,京都市会で100万人都市を想定した都市開発構想の提案の中で,東方は風致保全の必要あり,名勝旧跡の保存は京都として決して放棄すべからざる事業なりと表明しました。その4年前には,南禅寺・岡崎界わいの別荘庭園群の第1号としての無鄰菴が完成し,岡崎一帯の美しい景観が形成されてきました。2015年に,京都岡崎の重要文化的景観として地域全体が文化財保護法による指定を受け,無鄰菴はその中核的な存在の一つとしても位置付けられました。ところが,今,正に東京資本ヒューリックの4階建てのホテル建設計画によって,無鄰菴の回遊式庭園からの眺めや南禅寺参道の景観が壊されようとしています。こちらのパネルを御覧ください。 (パネルを示す)これは,市民が残したい京都を彩る建物や庭園として京都市自身が認定し,日本の和食文化にも大きな貢献をしている瓢亭という料亭を南禅寺参道から見た写真です。ヒューリックによるホテルの建設予定地は,元々2階建ての数寄屋造りの美しい日本建築と庭園が広がり,隣にある無鄰菴や瓢亭とも調和した趣のある姿をしていました。ところが,このホテルが建つことによって,南禅寺参道から眺めた瓢亭のすぐ後ろにホテルの壁が立ち上がり,400年もの長い間守り続けてこられた風情が損なわれてしまいます。 京都市美観風致審議会も,当初の京都市の風致保全課の指定した箇所からのシミュレーションでは不十分と,調査地点を増やすことを求め,許可に当たってもより一層周辺の景観と調和するよう,更なる検討を行うことと条件を付けたという経過があります。ところが京都市は,南禅寺参道の景観や無鄰菴の庭園からの眺めに最も重大な影響を与える視点場からのシミュレーションについて,美観風致審議会への提出を見送る判断を行いました。そのことによって,審議会では,不十分な情報の下での議論でゴーサインが出されるに至りました。京都市自身が,文部科学省に約束した京都岡崎の重要文化的景観保存計画をないがしろにしていると言わざるを得ません。 そもそも,ヒューリックによる開発計画が持ち上がる前の段階から,無鄰菴や南禅寺参道の景観を守るための規制をしっかりと確立する努力をしておれば,京都岡崎の重要文化的景観を守れたわけであり,京都市行政の重大な失態であります。今からでも遅くはありません。地域住民は,眺望景観創生条例に基づく市民提案を正式に提出し,無鄰菴の庭園からの眺めを保全するための高さ規制に踏み切ることを求めています。京都市はこの提案を受け入れ,事業者に対して働き掛け,せめて3階建ての和風建築への計画変更を要請すべきであります。京都のこれからの10年先・50年先・100年先を見据えた市長の英断を求めます。いかがですか。 三つ目に,学校跡地をこれ以上ホテル事業者に明け渡さないでほしいということです。東本願寺と西本願寺に挟まれた元植柳小学校を巡ってはどうなっているでしょうか。タイの国際資本によるホテル計画の全貌が明らかになるや,地元住民にとんでもない衝撃を与えています。元々の校舎の部分だけではなくグラウンドの部分にもいっぱいに建物を建てて,地域から要望のあったスポーツをするためのスペースは完全に奪われ,そのうえ,避難場所さえも奪われるというひどい内容であります。抗議する住民に対して京都市は,隣接する児童公園の地下に体育館を造るから,地震が起きたらエレベーターで地下まで下りて避難してくださいと回答しています。水害時にはホテル2階に避難をと言いますが,いずれも住民の安全確保を真剣に考えての答えとは思えません。応募した3者のうち,この事業者の提案が勝ったことにされていますが,その選定のときの議論は非公開とされたため,唯一協議に参加したとされる地元自治連役員も周りに相談できない仕組みとなって,今なお闇の中です。地域全体の問題であるにもかかわらず,地元住民は蚊帳の外で,学校跡地が奪われるなど断じて認められません。元植柳小学校の活用に当たって,地域から防災とスポーツの拠点を奪うような計画は白紙撤回し,京都市自身が住民の意思を尊重した活用方法を検討すべきです。 今お話しした植柳小学校も番組小学校の一つでありますが,番組小学校とはどんな学校だったのでしょうか。京都市学校歴史博物館によれば,京都のまちが幕末の動乱による戦禍,明治維新による事実上の東京遷都により,京都は衰退の危機にあったとき,様々な近代化政策を実施しましたが,中でもとりわけ力を入れたのが教育。先人たちは,まちづくりは人づくりからの信念により,明治5年,1872年の学制公布に先立ち,明治2年に日本で最初の学区制小学校である64校もの番組小学校を開校させましたと書いています。京都のこれからのまちづくりを住民が自分たちの願いを集めて自由に設計できるように,そして京都復興に懸けた先人の意思を尊重するためにも,この大切な場所をこれ以上,民間に差し出すのはやめていただきたい。 私の地元新洞小学校の跡地も含め,学校跡地を地域の施設として守るためにも,京都市資産有効活用基本方針及び学校跡地の長期・全面的な活用に関する提案の募集要領の撤回を求めます。 四つ目に,京都大学の立て看板の規制を巡る問題です。京都市が屋外広告物条例に触れると,京大当局に行政指導したことを発端として撤去される事態となり,大学側と学生,教職員側との間で大きな論争を呼んでいます。私は,去る1月26日に京大吉田寮にて行われたシンポジウムに参加し,立て看板の社会的意義について触れる機会を得ました。学問の自由を守る大学という場所にとって必要なもの,屋外広告物条例においても例外規定を活用して対応すべきという切実な声も出されております。京大出身の弁護士など140人が連名で出したアピールでは一連の事態を,歴史景観に配慮したことによるとも言われているが,そこで言われる歴史景観とは何かが問われる必要があることはもちろんのこと,表現活動の自由に対する配慮を抜きにして景観の配慮だけを優先させることは,屋外広告物法が,この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用に当たっては,国民の政治活動の自由,その他国民の基本的人権を不当に侵害しないよう留意しなければならないと定めていることにも反するものであって,明らかにバランスを欠いた議論と指摘し,京都市及び京大当局に対して措置の見直しを求めました。京都のまちの風土は,歴史的な景観や自然的な景観を守るだけではない,大学生を学生さんと呼んで温かく育むすばらしいものがあります。この屋外広告物条例の機械的な運用を改め,京都大学の立て看板については,慎重な対応を求めますがいかがですか。 子供たちを巡る問題について3点お聞きします。1点目は,子供たちを格差と貧困から守る問題です。就学援助だけでは救い切れない多くの世帯の生活が非常に圧迫されています。せめて子供の医療費を中学校卒業まで無料にしてほしい,給食費も月4,700円もの負担は重すぎる,何とか負担を軽くしてほしいと,この統一地方選挙でも多くの保護者から切実な要望が寄せられました。また,小学校のような温かい全員制の中学校給食の実現に向けた長年の運動の成果の一歩として,20年ぶりに中学生の食生活に関わるアンケート調査が実施されることになりました。設備投資に200億円弱の予算が必要とのことですが,年次計画で進めれば十分に可能であり,全国では既に85パーセントの学校が実施しています。子供の貧困対策として,中学校卒業まで医療費を無料にする,小学校のような温かい全員制の中学校給食と小中学校の給食費無償化に向けて年次計画を立てることを求めます。 第二に,少人数学級についてお聞きします。我が党は,子供たちの学び・成長する権利を保障するためには,30人以下学級の実現が必要であると提言してきました。現在,本市において小学校で35人以下学級が一,二年生まで実現できていますが,少なくともこれを全ての学年に拡大すべきです。ある学校では,2年生のときに4クラス27人前後の学級編制だったものが,学年が3年生に上がった途端に3クラス37人前後となり,一挙に10人もの人数が増えるという状況となり,一人一人の子供たちへの丁寧なケア,学習の援助は現実的には極めて困難になっています。同様の事態が,今年度は19校で実際に生じています。一人一人の子供たちの将来に関わる問題として,全ての子供たちにしっかり寄り添える教育条件を確保すること,それが私たち大人の責任であります。3年生以上についても35人以下学級を実施すべきです。直ちに実施できなくても,少なくとも2年生から3年生に学年が上がる際に36人以上になってしまうクラスについては,35人以下を維持できるようにクラス編制を行うべきです。いかがですか。 3点目は,不登校問題についてです。全国で30日以上登校することができない子供たちが小中学校合わせて14万人。30日未満の不登校の子供,そして,保健室登校や校門に一歩入って引き返すだけの子供など,学校行き渋り状態にある子供の数を含めると,規模の面でも非常に深刻な状況となっています。京都市内でも,小学生206人,中学生は882人,合計1,088人の子供たちが30日以上不登校となっています。京都市には,不登校児の学びを保障するための支援制度があるものの,そこに登録している子供たちは全て合わせても289人にとどまり,とても全ての子供たちの学ぶ権利を保障しているとは言えません。 私は,昨年,不登校問題を考える集いに参加させていただいた際に,不登校経験者の当時の心境をお聴きする機会がありました。行かなければいけないと思うけど,どうして自分が学校に行けないのか分からないという状況の中で苦しみ,毎晩,明日が来なければいいのに,自分なんて生きている意味がないという気持ちだったということで,少なくない親が同じような言葉を子供から聞いたことがあると語っており,追い詰められ危険な状況に置かれた子供や親がたくさんいることを実感しました。 文部科学省の通知である,不登校児童・生徒への支援の在り方についてでは,不登校児童・生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校,家庭,社会が不登校児童・生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが児童・生徒の自己肯定感を高めるためにも重要であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童・生徒の社会的自立につながることが期待されるとしていますが,そのためには,子供たちの居場所の確保や家族や学校を支援する仕組みの一層の強化が必要です。学校跡地など遊休公有地を有効活用し,学校に行けない子供たちの就学時間中の居場所の確保,フリースクールへの支援の充実,学校現場を支援する人の配置を一層充実させるべきと考えますがいかがですか。 最後に,高すぎる学費と奨学金制度についてお聞きします。高い学費の問題は深刻で,半分の学生が奨学金という名の重たい借金を背負って社会に巣立たなければならない中,本来大学に通うべき時間にアルバイトでお金を稼がざるを得ない学生が急増しています。この深刻な事態を打開するため,我が党は,学費そのものを半額へと引き下げる財政措置を採ったうえで,70万人に対象を広げ,月3万円以上で学費に匹敵する規模の給付制奨学金制度を作ることなどを提案しています。 安倍政権は,給付制奨学金制度を充実すると言いながら,対象は,大学,大学院,短大の約326万人に対して,僅か1万8,566人,たとえこれが全学年に拡大されたとしても2パーセントちょっとの学生にしか渡らず不十分です。京都市独自の給付制奨学金制度を作り,国の不十分な制度の改善を求めるべきです。いかがですか。 教育の充実,福祉の充実を私どもが訴えますと,お金がないとすぐ答弁が返ってまいります。しかし1,200億円もの費用が掛かる堀川通地下トンネル道路建設や北泉橋の建設などの無駄遣いや,北陸新幹線の推進に2兆円ものお金を使うよりも,子供たちの未来や将来不安の解消のために優先的に税金を使うという方向にかじを切ることを求めて第一質問を終わります。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) とがし豊議員の御質問にお答えいたします。 宿泊施設の拡充・誘致方針と民泊についてでございます。宿泊施設拡充・誘致方針は,京都経済と地域の活性化を図ることで市民の皆様の豊かさにつなげることを目的としており,安全安心の確保及び地域との調和が大前提でございます。この間,宿泊施設が大幅に増加し,施設数としては満たされつつあると認識しておりますが,市内中心部に集中するといった地域的な偏在や質の面では,まだ十分とは言えない課題がございます。22日に立ち上げました新たなプロジェクトチームでは,こうした課題についてもしっかりと検証し,今後必要な施策の実施につなげてまいります。違法・不適正な民泊に対しましては,法律の限界ぎりぎりまで挑戦した全国一厳しいと評価される条例など本市独自のルールを制定し,近隣住民への事前説明,10分以内の駆け付け要件,住居専用地域での住宅宿泊事業は冬の2箇月に限定といった地域との調和を図る取組を徹底しております。 違法民泊の疑いなど市民からの通報の施設は,平成30年度末に2,454施設でしたが,本市の強力な指導の結果99パーセントに当たる2,430施設は営業の中止等に至っております。しかし,いまだ指導中の24の施設を含め違法・不適正な民泊の根絶に向けた取組を更に強化するために,今年度新たに専任職員を5名増員し,46名もの体制を確保したところであり,各区役所・支所とも連携し,全庁を挙げて周辺住民の生活環境を守ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 奨学金についてでございます。意欲のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう,教育の機会均等を図ることは重要であると認識しております。全国の学生の二人に一人が奨学金を活用し,また,京都で学ぶ学生の約4分の3は全国から来られ,京都の高校生の約半数は全国に進学されているなど,全国規模で学生の出入りや動きがある状況を踏まえますと,公平性の観点から,やはり国において統一的に教育の機会均等を実現するため,その充実が図られるべきものと考えております。このため,これまでから国に対し,給付型奨学金事業の着実な実施等を強く求めてきており,また,平成28年9月市会では,給付型奨学金の創設等を求める意見書が議決されております。こうした結果,この間,国において奨学金制度の充実がなされてきており,真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に,令和2年4月より,授業料や入学金の減免に加えまして,給付型奨学金の額及び対象者を更に大幅に拡大する,大学等における修学の支援に関する法律が今国会で成立いたしております。今後とも,学生が安心して学べる環境の更なる充実に向けまして,国に対して引き続きしっかりと強く要望してまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 元植柳小学校跡地の活用についてでございます。長年地域活動の拠点として使われてきた,元植柳小学校跡地の活用に当たっては,自治連合会の皆様と民間活用方針の確認を行ったうえで,自治会活動の継続や避難所機能の確保,植松公園等の周辺施設の活用などの地元要望を踏まえ,公募条件等を協議し,公募手続を進めてまいりました。そのうえで,学識経験者や地域の代表者にも御参画いただいた選定委員会におきまして,様々な観点から総合的に審査した結果,自治連合会からの御要望にお応えし,最も優れた提案を行った事業者を契約候補者に選定したところであります。地域の中には,一部不安の声もございますが,引き続き丁寧に説明を行い,御理解いただけるよう努めてまいります。今後とも,地域の声をお聴きしながら,民間活力も導入し,地域の活性化や本市施策の推進に資するよう,資産有効活用基本方針等に基づいた資産の活用を図ってまいります。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 子ども医療費についてでございます。子ども医療費支給制度については,全ての子供を健やかに育むため,厳しい財政状況でも,府市協調の下,着実に拡充を図ってまいりました。本年9月診療分からは,3歳以上の通院医療費の自己負担額をこれまでの半額に引き下げる8度目の拡充を行うこととしております。今後は,今回の拡充状況及び市会で決議いただいた真に持続可能な制度とする観点等を踏まえ検討していくものと考えており,直ちに中学生までの医療費を無料にすることは,巨額の財源が必要なため極めて困難です。子ども医療費の負担軽減は,本来,国の責任において全国一律に実施されるべきであり,引き続き,他都市とも連携し国に強く要望してまいります。なお,貧困家庭への支援については,子ども食堂への支援をはじめ133の施策を掲げた京都市貧困家庭の子ども・青少年対策に関する実施計画に基づき総合的な取組を推進しております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) まず,無鄰菴庭園からの眺望景観の保全についてお答えいたします。本市では,世界の人々を魅了し続ける景観づくりを進めるべく,高さ,デザイン,眺望等に関する総合的な仕組みにより,全国的に例を見ない景観政策を進めております。無鄰菴庭園西側のホテル計画につきましては,敷地内の無鄰菴側に植樹するほか,屋根の形状や外壁の色彩を調和の取れたものとするとともに,無鄰菴庭園内等からの眺めのシミュレーションを踏まえて,第三者機関である美観風致審議会において計3回の厳格な御審議をいただき,風致地区条例に基づく許可を行いました。そのため,御指摘の計画変更を求める考えはありません。 なお,今回,眺望景観創生条例に基づき,眺望景観保全地域への指定と共に,建築物の高さを引き下げるよう提案をいただいておりますが,五山の送り火のような眺望の対象がない場合,世界遺産と同様,制度上,高さ規制の対象としていないことも含め対応を検討してまいります。 次に,京都大学の立て看板についてでございます。屋外広告物の適正化につきましては,新景観政策の施行以降,これまでに,本当に多くの市民や事業者の方々に格段の御理解と御協力を賜り,平成31年4月末現在で3万702軒の建物の屋外広告物を是正又は撤去していただき,97.3パーセントの屋外広告物が適正表示されるに至っております。京都大学の立て看板についても,景観のみならず道路の不法占用や通行者安全を確保する観点からも決して例外とすべきものではなく,本市として,大学に対し適正化を求めてまいりました。京都大学におかれては,こうした状況を御理解いただき,平成30年5月から立て看板を自主的に適正管理するための学内規程を施行し,現在,当該規程により適正管理に努めていただいており,昨秋の台風21号の際にも,立て看板の飛散が原因となる被害の発生を未然に防ぐことができました。この間の京都大学の取組に敬意を表するとともに,今後とも連携して適正化に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは3点お答えを申し上げます。 まず,学校給食についてでございます。本市の中学校では,学識経験者やPTA,学校関係者等が議論を尽くし,給食か家庭からの弁当持参かを全ての生徒,保護者が自由に選べる完全自由選択制を平成12年度から導入しております。この間,学校現場や生徒,保護者の方から様々な御意見を伺いながら,温かいおかずの充実など常に献立内容の改善を図りつつ,生徒一人一人の実情に応じた制度として定着しております。全員制の中学校給食の実施には,少なくとも180億円もの予算が必要であり,ほかに優先すべき課題も多く,その実施は困難であります。また,給食費につきましては,既に就学援助世帯を無償としておりますが,学校給食法におきましては,食材費は保護者の負担とするとされているところであり,毎年約50億円もの経費を要する小中学校における給食費の一律無償化につきましても,その実施は困難と考えております。 次に,少人数学級の推進についてでございます。本市では,国に先駆け,小学校一,二年生での35人学級を,中学校3年生で30人学級を,本市の独自予算で実施するなど国基準を上回る教職員配置により,本年度における1学級当たりの児童・生徒数につきましては,小学校が約28人,中学校が約31人であり,政令市最高水準の指導体制を整えております。このような状況の中,小学校3年生から中学校2年生まで全ての学年で35人学級を実施するには,毎年更に約22億円もの巨額の予算が必要であります。また,小学校3年生に限って35人学級を実施するだけでも,毎年約3億4,000万円の予算が必要となるところであり,厳しい財政状況の下,本市独自予算での実施は困難であります。本来,義務教育におけます教職員定数の拡充は,国の責任で実施されるべきものであり,今後とも教職員定数の改善につきまして国に要望してまいります。 次に,不登校児童・生徒への支援についてでございます。本市では,学校統合による閉鎖校をはじめ,教育施設の跡地や学校の空き教室等を活用し,不登校を経験した生徒のための中学校である洛風中学校を平成16年度に,さらに,平成19年度には洛友中学校をそれぞれ開校するとともに,不登校の子供たちが学校外で学習活動等を行う教育支援センターふれあいの杜を順次増設し,現在市内6箇所に開設しております。また,不登校に関わる民間施設のノウハウをいかすため,市内のフリースクール等4団体と連携し,体験活動や保護者向け勉強会,家庭への訪問支援事業などを委託し,活動の支援にもなるよう取り組んでおります。さらに,不登校をはじめ児童・生徒の教育課題等に対応するため,平成27年度までにスクールカウンセラーを全校配置し,現在,活動時間数の拡大を進めるとともに,今年度には,当初計画を1年前倒しし,スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置を完了するなど学校を支援する人的配置を推進しております。今後とも,不登校児童・生徒への支援の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 教育条件の整備については,子供たち一人一人にとっては待ったなしの問題であり,国の責任を待てないからこの場で質問させていただきました。是非,御検討をよろしくお願いいたします。 そして景観の問題では,南禅寺参道の無鄰菴の庭園からの眺めを守るための市民提案について,積極的な答弁が聞けず極めて残念です。私は,市民提案こそ京都のこれからを照らす灯台になると確信しております。市長におかれましては,是非とも,50年・100年の大計に立ち,考え直していただくよう求めて質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,松田けい子議員に発言を許します。松田議員。 〔松田けい子議員登壇(拍手)〕 ◆(松田けい子議員) 山科区選出の松田けい子でございます。4月に行われました統一地方選挙におきまして,私たち公明党は,「人と地域を生かす共生社会」とのテーマを掲げ,小さな声を聴き,生活現場と政治をつなぐ地方議員と国会議員が連携して政策実現するネットワーク力を訴えました。多くの皆様の御支援を賜り,全国で1,560名が当選し,私も初当選をさせていただきました。市民の皆様方の期待にお応えしていく使命に身の引き締まる思いでございます。私は,どこまでも一人の人を大切に,女性の視点,生活者の目線をいかしながら,市民の声を政治に届けることを,まず冒頭にお誓い申し上げます。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(松田けい子議員) (続)それでは,兵藤しんいち議員と共に公明党京都市会議員団を代表いたしまして,市政一般について質問いたします。門川市長をはじめ関係理事者の皆様におかれましては,何とぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。 5月になり,新元号,令和の時代が始まりました。令和に込められた願いである平和が続き,多様な個性輝く時代となるよう改めて念願するものであります。令和の典拠となった万葉集は,現存する日本最古の歌集で,4,500余首の歌が収められていますが,注目すべきは,実にその約半数が,詠み人知らずであり,その中には無名の庶民,女性の歌も多く含まれていることはよく知られているところです。文化芸術が極日常的な暮らしの中に息づくことになったのは,いにしえから,家庭や現実の生活に根差してきた女性の力が大きいとも言えるのではないでしょうか。 ここ京都は,1,200年以上にわたる歴史を通して,あらゆる領域で日本文化の中心であり,しかもそこから現代に至るまで,新しい文化を創造するための創意と工夫を続けてきた都市です。正しくそれは本市における世界文化自由都市宣言にうたわれているところであります。 さて,本年9月,待望の国際博物館会議京都大会ICOM KYOTO 2019開催に当たり,これを記念する催しの一つとして,(パネルを示す)8月25日より9月29日まで,京都文化博物館において展覧会「百花繚乱ニッポン×ビジュツ展」が開催されます。京都市も共催しているこの展覧会は,東京富士美術館所蔵の葛飾北斎,歌川広重,円山応挙,伊藤若冲など,江戸中期・後期時代に活躍した絵師の作品が並びます。浮世絵を含めた日本文化はジャポニズムと呼ばれ,当時,フランス印象派を含めたヨーロッパ美術の世界に大きな影響を与えました。大衆娯楽として庶民に愛された浮世絵の,世界で名立たる作品が一堂に会するすばらしい美術展であり,多くの美術ファンのみならず,私も今から楽しみにしているところです。 さらにこの度,2020年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの一環として位置付けられる事業,日本博が国の支援の下,京都においても開催されることが決定しました。総合テーマは,「日本人と自然」で,縄文時代から現代までの美術品,工芸品の展示や歌舞伎,能,狂言,日本舞踊などの舞台公演が検討されています。文化庁の本格的な京都移転を踏まえ,我が国が目指す文化芸術立国をけん引する大きな役割が京都にはあると確信します。 そこで,京都が誇る文化芸術資源で未来を創り,文化首都として,更に一層文化芸術振興を加速化していくべきだと考えますが,門川市長におかれましては,今後どのように取り組んでいこうとお考えなのか具体的にお聞かせください。 私は,15歳のとき,ルーブル美術館の絵画をナチスの手から守り抜いた闘士であるヨーロッパを代表する美術史家ルネ・ユイグ氏と出会いました。ユイグ氏の「足は大地につけて瞳は希望未来に向かって」という言葉は,当時女子高校生だった私の胸に深く刻まれました。そして,優れた美術は,人と人の心をつなぎ世界を結ぶ文化の架け橋になるということを,母親として我が子にも伝えてまいりました。こうした展覧会を通じて,女性や次代を担う子供たちが本物の文化芸術に触れていく中で,心を豊かにし,その多様性を理解していくことが重要であり,先のユイグ氏の言葉になぞらえて言えば,庶民という大地に文化の根を張り,世代を超えて未来へとつないでいくため,本市として,世界を結ぶ平和の光彩としての文化芸術振興を更に進めていただきますようお願いいたします。 続いて,幼児教育・保育無償化についてお伺いいたします。全世代型社会保障への転換は,日本が直面する少子高齢・人口減少への対応にほかなりません。御高齢の方だけではなく,子供たち,子育て世代,さらには現役世代まで,必要な人に必要な支援が行き渡り,市民一人一人が安心し希望の持てる共生社会を築くためであります。 公明党は,2006年に発表した少子社会トータルプランで幼児教育の無償化を掲げ,その実現に向けて粘り強く取り組んでまいりました。今月10日,改正子ども・子育て支援法が可決成立し,小学校・中学校9年間の普通教育無償化以来,実に72年ぶりの大改革となりました。幼児教育の無償化は言うまでもなく,子供の幸福のための教育であり,教育のための社会実現への大きな前進であること,生涯にわたる人格形成の基礎を培うこと,経済的な負担軽減を図ることであります。加えて,ノーベル経済学賞を受賞されたジェームズ・ヘッグマン教授が指摘しているように,就学前教育は教育投資対効果が最も高いとされています。 そこで,本市における幼児教育・保育無償化の円滑実施に向けた現在の取組状況と,今後の需要増大を見据えた人材確保,施設の整備,ニーズのマッチング,市民への周知など取組の方針についてお聞かせください。 私は,数年前,地域に住む一人のお母さんから,経済的な理由などによりお子さんを保育園に通わすことができないという御相談を受けました。その後,そのお子さんは小学校に上がってからも環境になじめず不登校になってしまいました。ある大学の研究チームが行った調査では,現在,3歳以上で保育園や幼稚園に通っていない子供たち,いわゆる無園児は,2017年で全国約14万人いると推計されており,3歳以降の未就園児は低所得,多子,他国籍など社会経済的に不利な家庭や健康の問題を抱えた子供が多い傾向にあることも明らかとなりました。これらの課題に対応するためにも,私たち公明党が推進してきたSDGsの,誰一人取り残さないという基本理念を踏まえた子供の教育が保証される制度となるよう期待いたします。 あわせて,子育て世代への経済的支援に関連して要望いたします。消費税率10パーセント引上げ時に,0歳から2歳児の子育て世帯への子育て支援及び低所得者への生活支援策として,プレミアム付き商品券が発行されます。消費税率引上げ日の前日までに生まれた子及び学齢での起算による対象の拡大,低所得者に配慮した分割での購入や商品券1枚当たりの額面の500円の設定など,生活現場からの御要望を踏まえた我が党の主張が盛り込まれ,使い勝手がよいものとなりました。そのプレミアム付き商品券の発行に当たっては,迅速,円滑かつ効果的な事業執行に向け,SNSを活用した周知や販売店舗の混乱を回避するなど周到な準備を要望いたします。 最後に,女性の活躍推進についてお伺いいたします。2016年に女性活躍推進法が施行されました。総務省が2019年4月下旬に公表した2018年平均の労働力調査では,働く女性が50年ぶりに5割を超え,女性の働き方の特徴である出産や育児を経験する世代の就業率が前後の世代に比べて低くなる,いわゆるM字カーブも改善されつつある実態は,女性就労継続を求める企業の割合が高まっていることを意味する一方,仕事を覚え始める段階で仕事の割り振りに男女差がありキャリアの発展が見込めないと感じる女性が多くなり離職の原因になっていることも見落としてはいけないと考えます。とりわけ不本意に非正規雇用で働く女性が少なくないという課題もあります。 女性活躍推進法では,女性の採用などについての数値目標を定めた一般事業主行動計画の策定を進めるとともに,優良企業を3段階で認定するえるぼし制度を創設しています。既に301人以上の企業には計画策定が義務付けられており,現在努力義務となっている300人以下の中小企業における策定も次期法改正においては,101人以上300人以下の企業で義務付ける方向で検討されていると聞いております。京都市内の企業は99.6パーセントが中小企業であります。京都市における女性活躍推進のためには,中小企業の取組の拡充が求められます。 神奈川県川崎市では,かわさき☆えるぼしという認定制度を設け,国のえるぼし認定制度より取り組みやすい評価の方法にしています。これによって,経営者からは,取得に取り組む中で短時間勤務など女性社員のためには多様な働き方が更に必要だと気付いた,これからも環境整備を進めたい,また社員が辞めずに働き続けてくれるようになった,認証で採用への応募が増えたなどの声が上がっています。このように女性が働きやすい職場づくりに取り組むことによって,多様な働き方,働きやすい職場環境の整備,従業員の離職率低下,人材の確保など企業経営にもプラスに働くことが見て取れます。 ある民間企業が行った関西の女性の働きたい街ランキング調査では,京都市が第2位に選ばれ,その理由として,休日に文化的なイベントがある,鴨川がすぐそばなのでお昼に出掛けレストランも行きやすく数も多いといった声が寄せられています。正に京都というまちは,女性にとって働きたい,働いてみたい,魅力にあふれたまちだということが分かります。 本市においては,2015年3月にオール京都で輝く女性応援京都会議を発足,京都女性活躍応援計画を策定し,「京都モデル」ワーク・ライフ・バランス宣言認証制度を創設するなど,これまでから全国に先駆けて女性活躍の推進に取り組まれています。しかしながら,300人以下の京都市内中小企業における宣言企業は1,855社,そのうち認証企業は300社となっており,宣言に取り組む企業は少なく,認証制度の普及が進んでいないのが現状です。 そこで,こうした現状を踏まえ,女性がその個性と能力を開花させ,働いている女性だけではなく潜在している女性人材発掘のためにも,認証制度の周知や個々の実情に合わせた取組が進展するよう,認証を受けた企業の優れた事例を紹介するなど,宣言認証の取得に向けた中小企業の取組を後押しするため,本市としてこれら支援をどのように展開していかれるのかお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴,大変にありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 松田けい子議員の御質問にお答えいたします。 文化芸術振興についてでございます。本市では,文化による世界交流と平和の追求を誓った世界文化自由都市宣言を都市の最高理念に掲げ,文化を基軸とした市政運営を推進してまいりました。文化芸術には人々の創造性を育み,心豊かな共生社会を形成する力があり,また,平和にも貢献します。産業や観光と結び付くことで経済の面からも地域や人々を元気にし,都市の発展に大きく貢献しております。京都では,五感で感じられる文化的景観がまちを構成し,そこに衣食住をはじめとする暮らしの文化が根付いており,これら全てが,自然との共生から生まれる高い美意識と精神性によって支えられています。また,世界遺産をはじめとする貴重な文化財や崇仁地域に移転する京都市立芸術大学,銅駝美術工芸高等学校,来年3月に再オープンする通称・京都市京セラ美術館や高い演奏力が評価されている京都市交響楽団など,正に京都の宝と言える文化芸術資源を有し,これらをしっかりと保存継承するとともに,その魅力を最大限にいかし,時代の変化にしなやかに対応しながら,未来につなげていく必要がございます。そのため,全庁体制による文化首都・京都推進本部会議におきまして策定した新たな経済的価値の創出,地域共生社会の実現,都市間文化交流の更なる発展の三つを重点方針にいたしまして,文化を基軸に,あらゆる政策分野を融合した市政運営を強力に推進してまいります。 また,重点プロジェクトとして,今年9月に,世界から博物館の専門家が一堂に会し我が国で初開催されるICOM京都大会に焦点を当て,東京富士美術館の全面的な御協力により「百花練乱ニッポン×ビジュツ展」が京都で開催されます。私も昨年3万点もの貴重な美術品を所蔵される東京富士美術館に寄せていただき,収蔵庫まで御案内いただきました。伊藤若沖をはじめ京都にゆかりの深い数々の作品もたくさんあり,本当に深く感銘を受けました。今回これらを京都で拝見することができる,また,展示の方法も従前の枠に捕らわれず,実に創意工夫に満ちたものと書かれております。多くの方々がこれらを見られて感動を共有される,さらにICOMで世界から来られた方が感動していただける,京都からすばらしい日本の文化を発信できるということで感謝に堪えません。東京富士美術館の皆さん方に改めて感謝申し上げます。 さらに,二条城で京都初開催となるアートフェア,来年の京都開催が決定した日本博などを成功させ,東京オリンピック・パラリンピックを契機に高まる文化への機運をまち全体の文化力の向上につなげてまいります。 今後とも,令和3年度中に全面的移転する文化庁との連携を更に一層深めまして,文化芸術による地方創生の全国のモデル都市としての文化芸術立国を京都からけん引してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは2点お答え申し上げます。 まず,幼児教育・保育無償化についてでございます。幼児教育・保育の無償化は,本市がこれまで大切にしてきた健やかな育ち,学びや子供の最善の利益の追求を一層推進するものであり,多くの面から極めて重要な取組です。このため,円滑な実施に向けまして,今年度当初予算において電算システム改修費用を確保するなど着実に準備を進めてまいりました。その際,幼稚園,保育園関係者との協議を通じて,制度の内容や質の確保,保育時間の長時間化への懸念といった無償化に係る検討課題を共有し,一丸となって対応策を検討しております。松田けい子議員御指摘のとおり制度周知につきましても適切に行う必要があると考えており,今年2月には,保護者の方に,31年度保育料案と併せて制度の対象者や副食費の扱いなど,その時点での制度概要をお知らせするなど丁寧な取組を進めております。 次に,今後の需要ですが,保育園,幼稚園関係者の皆様の御理解と御協力をいただき,本年4月には,6年連続の保育所等待機児童ゼロを達成し,本市の未就学児の保育所等利用児童の割合は,人口100万人以上の都市でトップとなる50.6パーセントとなりました。幼稚園と合わせて3歳から5歳児の95パーセント以上の方が既に保育園,幼稚園等を利用されております。こうした状況を踏まえると,無償化後も利用児童が急激に増加することはないものと考えておりますが,引き続き,年度途中の申込状況に注視しつつ,定員に余裕のある保育所等の活用はもとより,これまでから実施している保育士確保や施設整備等にスピード感を持って対応してまいります。今後とも,国から無償化に係る情報をしっかりと収集したうえで,保護者の方がスムーズに制度を利用できる仕組みの構築や必要な方に必要な情報がしっかり届くよう周知を行うなど,幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に向けて取り組んでまいります。 次に,女性の活躍推進についてでございます。京都では,女性活躍推進法の成立に先駆けて,女性団体,経済団体が主体となり,本市,京都府も参画したオール京都体制の輝く女性応援京都会議を立ち上げ,この会議を運営主体とする京都ウィメンズベースを拠点とした全国的にも例がない枠組みで,女性の就業継続や管理職への登用促進等のため,人事担当者を対象とした研修や事業主行動計画の策定支援等の取組を進めております。女性の活躍推進は,働くことを希望する女性がそれぞれの能力を十分に発揮しながら,自らの夢,希望を実現できる社会を目指すものであり,本年4月に施行した地域企業の持続的発展の推進に関する条例においても,基本理念の一つに,女性や若者をはじめ多様な担い手が活躍する機会の確保を掲げております。御指摘のとおり市内事業所の99パーセントを占める中小企業における女性の活躍推進は大変重要であり,実態調査におきましては,7割以上が女性活躍や働き方改革に取り組む意識を持っておられ,既にモデルとなる取組も出てきております。本市におきましては,こうした取組例を市民しんぶんや民間情報誌を活用して広く発信するほか,シンポジウム等で取組を発表していただくなどの見える化に努め,他の中小企業へ波及させる取組を重点的に進めております。今年度におきましては,御案内の「京都モデル」ワーク・ライフ・バランス認証や厚生労働省のえるぼし認定制度等の認証取得に向けまして,オール京都でアドバイザー派遣等に取り組むとともに,本市のWEBサイトにおいて,認証取得企業の情報を積極的に発信してまいります。現在,国会において審議中の女性活躍推進法の改正の動きを踏まえ,さらには,ジェンダーの平等の実現を目標の一つに掲げるSDGsの観点からも,しっかりと取組を加速させてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,兵藤しんいち議員に発言を許します。兵藤議員。 〔兵藤しんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(兵藤しんいち議員) 北区選出の兵藤しんいちでございます。松田けい子議員に続きまして,まず初めに,私も本年4月7日の統一地方選挙において,多くの皆様に真心からの御支援を賜り京都市会議員に初当選させていただきましたことを,この場をお借りいたしまして心より御礼申し上げます。皆様から頂いた御期待にお応えするべく与えられた任期を市民の皆様のために,地域の力としてどこまでも現場第一主義で京都市政に反映させてまいる決意でございます。 それでは会派を代表し,市政一般につき市長並びに関係理事者に対し質問をいたします。何とぞ,誠実かつ明快な答弁を頂きますようお願いいたします。 私は,社会福祉法人で13年半,医療法人で13年半,合わせて27年間,福祉,医療,介護の現場で働き,障害者,高齢者,そして御家族やボランティア,介護従事者の方々とお会いし,様々な相談や諸問題に対応してまいりました。その経験を踏まえ,まず初めに高齢者に寄り添う対策,特に認知症対策について質問をいたします。 現在,日本の高齢化率が年々増加していることは周知のとおりです。本市においても,2018年10月1日現在の高齢化率は27.8パーセントで,男性24.9パーセント,女性30.4パーセントでありました。2025年には,3人に一人が65歳以上という社会がやってまいります。この高齢者人口の増加に伴い,要介護高齢者,とりわけ認知症の患者数も年々増加しております。内閣府発表の65歳以上の認知症患者数は,2012年時点で全国462万人,将来推計では,団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症の患者数は700万人に上るとも言われています。 厚生労働省の認知症施策推進総合戦略,新オレンジプランでは,七つの柱の一つに地域での気付きと見守りを担う認知症サポーター養成の推進を掲げております。認知症の人の視点に立って病気や症状の理解を深め,社会全体で認知症の人や家族を支えるために,地域や学校教育などにおいて認知症への正しい知識と対応の仕方を学ぶことは大変有意義であり,本市においても本年3月31日現在で11万8,671人の認知症サポーター,キャラバン・メイトが養成できております。 本市では,この認知症サポーターをより一層充実させ,講座の修了生を地域の活動にまでつなげていくためのステップアップとして,アドバンスサポーターの養成も国に先駆けて2011年度から年1回実施されていると伺っております。このアドバンスサポーターについては,介護の現場にいた者の立場としては,今後の地域福祉を考えるうえで大切な取組であり,誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けて,更なる推進が必要と考えております。 認知症カフェやふれあいサロンなど,高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすための取組の担い手として,このアドバンスサポーターの養成の推進と,その方々が地域で活躍できる環境整備と仕組みづくりを推進すべきと考えますがいかがでしょうか。 続いて,認知症初期集中支援チームについてお伺いいたします。認知症は,初期の対応,早期発見,早期治療がとても大切であります。早い段階で治療や介護を行うことにより,認知症の進行を遅らせることや変化に応じた生活環境を整えていくこともできます。そのため公明党でも,全国の自治体に,医師や看護師,社会福祉士などの医療,介護の専門職が,本人やその家庭を約半年にわたって集中的にサポートする認知症初期集中支援チームの設置を急ぐように訴えてまいりました。先ほどの新オレンジプランでは,この認知症初期集中支援チームの窓口を2018年4月には全市区町村に設置することとしておりました。本市においても設置には積極的に取り組んでこられました。しかしながら,東山区,中京区,右京区については,まだ設置ができていない状況であります。 そこで,残りの行政区においての今後の設置の予定と進捗状況をお伺いいたします。それと併せて,この窓口の市民への更なる周知の必要性にも鑑みまして,現在稼働しているチームの活動状況についてもお伺いいたします。 次に,8050問題への対応についてお伺いいたします。内閣府が2015年12月に調査した15歳から39歳までのひきこもりは推計54万1,000人でした。そして2018年12月の調査では40歳から64歳までのひきこもりが推計61万3,000人であるとの調査結果が本年3月に出されました。年数の経過による差異を考慮しても,両者を足したひきこもりの人数は約110万人にも上ることが推計されております。 ひきこもりの長期化は,80代の親が50代の子供の面倒を見る8050問題として浮き彫りになってまいります。特に親が要介護状態などになった場合において,医療関係者や介護関係者などが家庭に入っていった際に,中高年となったひきこもりの子供と初めて対面するということも見受けられます。近年になって顕在化してきたこの8050問題は,日本社会が抱える新たな,そして大きな社会問題であり,誰一人取り残さないSDGsの目指す社会を作っていくためにも避けては通れない課題であります。 本市では,39歳までのひきこもりについては,京都市中央青少年活動センター子ども・若者支援室が窓口となり,40歳以上については京都市こころの健康増進センターが窓口となり,それぞれ京都市ひきこもり地域支援センターとして,ひきこもりに特化した第一次相談窓口機能と地域における関係機関とのネットワークの構築や情報提供の役割を担っております。 また,ひきこもりという特性から,家庭内の問題にとどまることも多く,親の高齢化に伴うごみ屋敷化や要介護状態となった親への虐待など,何らかの問題が発生した段階で初めて周囲の気付くところとなり,高齢サポートによる支援や,制度のはざまに陥った方々のための地域あんしん支援員制度で対応,支援することもあります。私自身も介護の現場の中で幾つもの事例に出くわしてまいりました。このように8050問題から生じる諸問題に対しては,本市としても,様々な形で支援を行っているところですが,こうした世帯で家計を支えてきた親が不幸にして亡くなられると,長年ひきこもってこられた方は,収入源がなくなり,たちまちに生活困窮に陥る場合もあります。8050問題は,時として,困窮者対策としての側面も持ち合わせており,こういった状況に至るということにも留意が必要だと考えます。 現に生活が立ち行かなくなってしまった場合には,最後のセーフティネットとして,生活保護制度が設けられておりますが,そうした生活困窮に陥る前の段階での支援の取組を強化するため,2015年度から生活困窮者自立支援制度が創設され,自立相談支援事業などの支援体制が構築されているところです。この自立相談支援事業として,本市が設置している生活困窮者の相談窓口には,年間400件程度の相談が寄せられていると聞いておりますが,支援を必要とされる方はまだまだ多いものと考えております。このため,今後は,こうした制度をより充実させていくとともに,支援を必要とされる方がしっかりと相談へつながれるよう,関係機関とも十分に連携しながら対応していく必要があると思いますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,天文分野に関する取組の推進についてお伺いいたします。本年4月10日,国立天文台アルマ望遠鏡をはじめとする地球上の八つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクトで,地球サイズの仮想電波望遠鏡イベント・ホライズン・テレスコープで世界初のブラックホールの撮影に成功しました。また,同じく4月5日には,宇宙航空研究開発機構JAXAによる小惑星探査機はやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」への人工クレーター生成を成功させ,同24日に撮影確認できたなど,天文の世界は魅力的なニュースにあふれております。 新しい学習指導要領の改訂目的について,文部科学省では,子供たちの生きる力の醸成と,それぞれが思い描く幸せの実現,そして,明るい未来を共に創る,ということをうたっております。これらの観点からも,自然科学の教育,とりわけ天文の分野について,子供たちが興味を持てるきっかけづくりが重要と考えます。私たちの住むこの地球が,広大な宇宙の中でたった一つの掛け替えのない小さな星であり,月や太陽の動き,宇宙の成り立ちや,宇宙の中の地球について学ぶことは,子供たちが当たり前と思っている季節の変化などにも科学的な仕組みがあることを知るとともに,環境問題をはじめ,この星を大切にするという心をかん養するうえでとても大切だからであります。 本市では,京都市青少年科学センターにおいてプラネタリウムのリニューアルや地球を立体的に表示するみらい地球儀を設置されるなど,子供や市民が,より天文に関心を持てるような取組を進めていることはすばらしいことだと思います。今の子供たちが大人になる時代には,人種問題や経済,環境問題などがますます顕在化するでしょう。こうした中,より科学的に,主体的に判断できる力を育成するとともに,地球規模の視野で自分たちの社会の在り方を考えていく世界観,人生観を育んでいくことが大切であり,そのための教材として天文の役割は大きいと考えております。私が小学校のPTA会長をさせていただいた頃,家庭教育学級などで天体観望会を開催すると,毎回,申込者は100名を超え,他地域からも申込みがあったほどでした。本物の宇宙,天文を体験する機会を求めていることが伺えます。京都大学花山天文台では,NPO団体と一般財団法人による天文台を一般向けに有償で活用する取組が行われており,大学連携による天文教育の機会を得ているところです。京都市内ではもう1箇所,京都産業大学において,2015年度から理学部宇宙物理・気象学科が新設され,同大学の神山天文台を使った学外連携教育の推進として,京都市教育委員会及び近隣の小学校,中学校,高等学校などとの連携教育がうたわれております。毎週土曜日の夜には無料で天文台を一般公開し,大学の職員や学生が市民への天文台の説明や望遠鏡による天体観望会を実施されています。 このような大変有意義な社会資源がある中,本市においては,青少年科学センターを核として,この神山天文台とも連携しながら,子供たちが天文に興味を持ち,地球環境等について考えていける天文分野に関する取組を推進していただきたいと考えますがいかがでしょうか。 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 兵藤しんいち議員の御質問にお答えいたします。 認知症対策についてでございます。認知症の方々への支援に当たっては,症状に早く気付き,相談機関や医療機関に適切につなぎ,そして地域社会全体で支えていく,気付き,つなぎ,支えていくことが極めて重要であります。まず,認知症サポーターの方で,積極的に認知症の方の支援に関わっていただくアドバンスサポーターにつきましては,国に先駆け養成に取り組んでおり,現在,282人の方に登録いただいております。認知症の方や御家族の集いの場である認知症カフェのスタッフや,若年性の認知症の方の自宅等を訪問し,話し相手になっていただく,おれんじパートナーなどの具体的な活動を誠心誠意行っていただいております。 今後とも,様々な機会を活用いたしましてアドバンスサポーターの活動の内容を知っていただき周知し,そして養成講座の受講につなげること,そしてそのことによって登録者の増加を図ってまいりたいと思います。認知症カフェなど活動の中から生まれたアイデアをいかして,活動の場が更に広がる取組も併せて進めてまいります。 次に,認知症初期集中支援チームにつきましては,現在,8行政区を対象エリアとする6チームを設置し,認知症の初期段階における支援を行っております。医療と介護の連携,そして多職種のチーム員による多角的な支援を通じまして,28年度から30年度にかけて182世帯について支援が終結し,約8割の方が在宅生活の継続につながるなど認知症の方を地域で支える体制を着実に構築できてきておると思っております。残る三つの行政区についても,現在,支援チームの選定作業を精力的に進めているところであり,本年7月には,全市展開を図ってまいります。 今後とも,認知症の方や御家族をしっかりと支え,安心して生活していただけるよう取組を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 8050問題における生活困窮者対策についてでございます。80代の親がひきこもり状態にある50代の子を抱え孤立する,いわゆる8050問題につきましては,その世帯が抱えている医療,介護,経済的困窮,虐待などの様々な固有の課題に対し,状況が深刻化する前に早期に気付き,支援に結び付けていく必要があります。本市におきましては,京都市ひきこもり地域支援センターを設け,ひきこもりの方への相談や御家族への支援に取り組むとともに,各区役所・支所とも連携し,地域包括支援センター,地域あんしん支援員,民生児童委員,社会福祉協議会等の御協力を得ながら寄り添った支援を行っていくことで,問題解決を図っているところです。兵藤しんいち議員御指摘のとおり,8050問題は,家計を支えてこられた親御さんが亡くなられると,残された方が生活困窮に陥ることもあり,その前の段階での支援を行っていくことが重要でございます。本市では,平成27年度から施行された生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者に対する相談窓口を設置しており,制度開始から4年間で1,500名以上の方の御相談を受け,494件の支援計画を個別に作成し,240人の方が就労等の自立につながるなど着実に成果を挙げているところでございますが,今後とも,ひきこもりの方を含め支援を必要とされる方に対して,行政と関係機関がしっかりと連携して状況を把握し,早期に相談につなげ,必要な支援を行うことにより,SDGsが目標とする誰一人取り残さない社会の実現を目指してまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 天文教育についてお答えいたします。今日,持続可能な社会の発展と成長に向けた具体的な取組が世界共通の課題となる中,子供たちが天文に関する学習や体験を通して,環境問題をはじめ様々な課題について,地球規模の視野で科学的に考え行動する態度を培うことは極めて重要であります。こうした中,青少年科学センターでは,京都市会海外行政調査団からの御提言を受けまして,京都大学と連携し球体に2方向から投影する我が国初のシステムを開発し,地球環境や気候変動の仕組み,天体等を視覚的,立体的に学べるみらい地球儀を本年3月に設置し,入館者が大幅に増えるなど大変好評をいただいております。また,今年度から小学校4年生,5年生での学習で活用するとともに,来年度には,最新鋭の機器を導入してリニューアルするプラネタリウムで,天体の明るさや解像度が従来の4倍に向上した臨場感あふれる宇宙空間の映像と,我が国初となる解説者操作卓の客席中央への設置により,児童・生徒と解説者が双方向に対話しながら,天文分野の学習を実施することとしております。現在,科学好きの子供を育てる未来のサイエンティスト養成事業におきまして,京都大学花山天文台の御協力による太陽観察講座等を実施しておりますが,兵藤しんいち議員御提案の京都産業大学神山天文台との連携推進につきましては,神山天文台も加盟されている京都市科学系博物館等連絡協議会が主催され,青少年科学センターを会場として毎年開催いただいておりますサイエンスフェスティバルへ参加いただくなどの連携を検討してまいります。今後も,本年開館50周年を迎えた青少年科学センターを核として,天文をはじめ環境及び理科,科学教育の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午後2時59分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,中野洋一議員に発言を許します。中野議員。 〔中野洋一議員登壇(拍手)〕 ◆(中野洋一議員) 私は,東山区選出の中野洋一と申します。この4月に行われた京都市会議員選挙で多くの皆様からお力添えをいただき,4期目の当選を果たすことができました。託していただいた皆さんに仕事でしっかりお返しをすべく精一杯頑張ってまいります。引き続きの御指導とお力添えの程,よろしくお願いいたします。 あわせて,私たち7名はこの度,民主・市民フォーラム京都市会議員団という会派を結成いたしました。どんなときも市民目線で課題を考え,初心を忘れず,大胆に改革を訴えていく覚悟を持つ会派でありたくこの名前を付けました。皆様の御支持,御支援を改めてお願いいたします。本日は民主・市民フォーラム京都市会議員団として初めての代表質問を市長にいたします。前向きで分かりやすい答弁を求めます。 初めに京都市のこれからの観光政策にまつわる課題についてお伺いいたします。この4年間に,京都市を訪れる方は,年間5,500万人へと急激に増えました。これによって新たな出会いがあったり,新たなビジネスが生まれたり,ホテルやレストランなど今まで限られた季節だけ働いている方に一年中働く機会がもたらされたりと,多くの長所が生まれました。その一方で,市民生活が大きく脅かされる事態も発生しています。 私は,今回の選挙戦で,京都市の観光政策は,市民生活第一であるべきだと訴えてまいりました。市民が安心して暮らせる環境があって初めて観光客を快く迎え入れる心の余裕が生まれるのであり,その土壌があってこそ本来の観光振興につながると考えております。市内の主要な観光地で共通している暮らしが脅かされている課題の解決のために,迅速に,さらに徹底して取り組むことが今こそ必要であります。そこで地域で苦しんでいる多くの方に代わってお尋ねいたします。 まずは,機会あるごとに指摘し具体的な提言を行ってきた不誠実な経営者による常駐者不在の宿泊施設への指導と改善状況についてでございます。平成31年3月末で京都市内には簡易宿所2,990件と民泊490件で,合計3,480件の施設がございます。そのほとんどは京都駅周辺の東山区,中京区,下京区,南区に存在しています。当然ですが,周辺にお住まいの方としっかり信頼関係を作り,町内にも貢献するなど誠実な経営者による良質な施設もたくさんあります。その一方で,周りで暮らす方に不安や不信をもたらす不誠実な経営者による施設もいまだになくなりません。 私が提言し議会全体で議論した結果,昨年の3月と6月に民家を改修した宿泊施設に対する京都市独自の条例を二つ作ることができました。現在,京都市では,この二つの条例を使って生活を脅かす施設を徹底して指導しているところですが,今の取組を見据えたうえで今後どうやって市民が安心して安全に暮らせる環境を取り戻していくのかお答えください。 二つ目に,公共交通を市民の足としてどう充実させるかについてお伺いいたします。私が毎月地元で行っている市政懇談会では,参加された多くの方から,観光客で満員でバスに乗れない,市民専用のバスを走らせられないかと何度も要望を頂きました。急激に増えた観光客によって,乗れない,降りられない市バスというものが珍しくなくなり,公共交通の持つ市民の足としての役割と観光客の移動手段としての役割が両立できないケースが多く発生しています。 一方,バスの運転手になる方が少なくなり,その確保に,市営,民営問わず苦労されています。またその関係もあり民間業者に任せていたバス路線が京都市に返上され,自力で運営を続けていくことも想定されます。課題が山積みする中,今後良好な経営を続けながら,利用者である市民と観光客のすみ分け策を進め,乗れない,降りられない状況からどうやって市民の足を取り戻すのか,どう充実させていくのかお尋ねいたします。 その中で着目しているのは地下鉄の活用です。一度に多くの方を運ぶことができる地下鉄を観光客の移動手段の基軸に位置付け積極的に利用を促すことで,相対的にバスの利用を抑え市民と観光客のすみ分けを前進させる事ができると考えています。昨年の3月に,議会で提言して実現した地下鉄・バス一日券というのがあります。 (パネルを示す)皆さん,御存じかな。実際はもうちょっともちろん小さいですけれども,拡大したものですね。元々これが1,200円でした。これが900円になって,地下鉄烏丸線・東西線,市バス,そして京都バスと京阪バスが乗れるようになりました。これでほぼ京都市内のエリア大部分がカバーされるようになりました。販売枚数は,新装前の平成29年度が20万8,248枚だったのに対し,こういう形になって新装後は3.5倍ということで,この数字から,多くの観光客の方に非常に支持されていることが分かります。 (パネルを示す)そしてこれに併せて,御存じですかね。この一日券を活用して,どこにどういう形で観光したらいいのか,こういうガイドブックも交通局と出版社が連携して発売されるなど,非常に新たな動きが出てきています。今後は,これが日本語だけですので,外国語もできることで,外国人観光客にも積極的に使ってもらえる,そういう形でとらの巻として活用していきたいと思っているのでございます。今後全ての観光客が,京都駅からまず地下鉄に乗って移動するという流れを作り出していくべきだという観点で具体的に提言いたします。 平成29年の京都観光総合調査によると,京都に来て清水寺を訪れる方は,日本人観光客で56.4パーセント,外国人観光客で65.2パーセントとなっています。これからもその数は増えるでしょう。 (パネルを示す)増えた場合どうなるかというと,これちょっと簡単な地図ですけど,京都駅,そして清水寺,いつもは京都駅から206番ないしは100番のバスで七条通から東大路通を上って東山五条まで行く。ほとんどそのバスばかりです。地域で暮らしている方はほんとどそれがバスがいっぱいで乗ることができない。こういう悲鳴の声が上がっているのが実情です。 では,清水寺に多く行かれる方をどう運ぶのか。ここで地下鉄の利用が考えられます。例えば烏丸線で五条駅まで運んで,そして烏丸五条から東山五条まで東西に走っているバスを,例えば路線バスを充実させたり,地域や商店街の方と連携をして,ここも界わいの歩いて楽しめる,そういう形で伸展させることで,烏丸五条から東山五条まで行ける。こうすることによって,住んでいる方と,そして訪れる方と両立できると,こういう一つの提言でございます。こうすることで渋滞をひどくさせずに市民の暮らしを守り,観光客の動きも確保できると考えています。 今後,この地下鉄・バス一日券を活用して,観光客の移動を市バス一辺倒の利用から地下鉄を基軸とした移動へと流れへ大きく変えていくべきだと考えますが,この方向についての見解を伺いいたします。 これで,まずは最初の質問とさせていただきます。よろしくお願いします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中野洋一議員の御質問にお答えいたします。 民泊等についてでございます。本市では,これまでから,違法民泊は断固許さないという強い決意の下,市民と観光客の皆様の安全安心及び市民生活との調和を確保するため,全国に先駆けて徹底した取組を進めてまいりました。昨年6月のいわゆる民泊新法の施行に当たっては,市民の皆様や専門家から多様な御意見を頂き,市会における徹底した議論を経て,法律の限界ぎりぎりまで挑戦した全国一厳しいと言われる条例をはじめとする本市独自ルールを制定し,これに基づいた対応を徹底して行っております。 違法民泊の疑いがあるとして平成30年度末までに市民の方から通報があった2,454施設のうち99パーセントに当たる2,430施設については本市の強力な指導により営業中止等に至っており,悪質な事案に対しては法令に基づく営業停止処分など厳正に対処するとともに,京都府警察においても尽力され,双方で京都市民泊対策等連絡協議会を発足させ,情報共有などを進め,本市からの情報提供,また告発により検挙事例も出るなど徹底した取組を進めております。 また,騒音等の迷惑行為のほか緊急時に連絡がつかないなど民泊に係る地域住民の不安や具体的な困りごとについては,営業者に対し事業内容や宿泊者による迷惑行為の防止策に係る近隣住民への事前説明の徹底,緊急時には10分以内に駆け付けることなどを義務付けるとともに,「民泊」地域支援アドバイザーの派遣により,協定書の締結などの支援も進めております。さらに,許可施設及び届出住宅に対しましても民泊通報・相談窓口等を活用して,その運営状況を的確に把握するとともに,重大なルール違反があった場合には,法令に基づく行政処分など厳正に対処し,本市独自ルール等の遵守及び周辺住民の生活環境に十分に配慮した運営の徹底を図ってまいります。 地域住民の皆様との調和を図ることは最も大切なことであり,違法・不適正な民泊の根絶に向けた取組を更に強力に推進していかなければなりません。このため,今年度新たに専任職員を5名増員し,46名もの体制を確保したところであります。 また,今月22日に新たに設置しました市民生活と調和した持続可能な観光都市推進プロジェクトチームにおきまして,観光客のマナーの問題や観光地の混雑対策,周辺地域への分散化,違法民泊の根絶など,市民生活と調和した観光の推進や京都経済と地域と調和した市民の皆様の豊かさにつながる方策等につきまして検討を進め実行してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バスの混雑対策についてでございます。近年,通勤や通学などの日常の御利用に加え,観光客の増加も相まって,市バスのお客様数は大幅に増加してまいりました。これにより,市バス事業の経営は好調に推移し,この間,市バスの系統数を74から84に10系統増やすとともにバス車両も54両増車し,路線・ダイヤの充実を図るなど,お客様の利便性向上の取組を積極的に進めてまいりました。一方で,一部の路線で生じている市バスの混雑対策については,これまでから取り組んできた輸送力の強化に,市バスから地下鉄への利用促進,手ぶら観光の普及促進を加えた三つの視点を柱に,10を超える取組を行っております。輸送力の強化につきましては,お客様数の増加に対応した増便のほか,停留所の状況をリアルタイムで把握し臨時バスを即時に運行するシステムや乗車定員の多いラッシュ型車両の導入を進めております。また,市バスから地下鉄への利用促進につきましては,昨年3月に,地下鉄・バス一日券を1,200円から900円に大幅に値下げし,地下鉄を組み合わせた御利用を積極的にPRしているほか,観光シーズンには京都駅へお帰りになるお客様を対象に市バスから地下鉄への無料乗継ぎを実施しております。さらに,手ぶら観光の普及促進につきましては,関西国際空港等から入洛される方に向けたPRや国内外メディアや応援キャラクターを活用したPR,語学に堪能な京都市バスおもてなしコンシエルジュによる御案内を行っております。これらに加え,本年3月からの新たな混雑対策として,車内混雑の緩和が期待できスムーズに降車いただける前乗り後降り方式の導入をはじめ,一目で観光系統と分かるラッピング車両の導入による観光系統の利用促進や金閣寺道停留所での生活系統と観光系統の分離,大型手荷物対応車両の導入など多彩な取組を展開しております。今後とも,現行の輸送力を最大限活用し創意工夫を凝らしながら,喫緊の課題である混雑対策に全力を傾注してまいります。以上です。 ○議長(山本恵一) 中野議員。 〔中野洋一議員登壇〕 ◆(中野洋一議員) 市長から,前向きな答弁がありました。住んでる方がこれからも安心して安全に暮らせる,そして心の余裕を持って暮らすことができる,それがあって初めて多くの観光客を迎えることができると思います。是非この部分について,積極的に,そして徹底して市民生活第一の観光政策を進めていただきたいと思っているところでございます。 次に,来年の令和2年,西暦2020年3月21日に再オープンする京都市美術館についてお伺いいたします。こちらも過去機会あるごとに提言を続けている課題です。新しい美術館を京都市の文化発信の中核として位置付け,文化政策を市民と共に進め,文化的に心豊かに暮らせるまちを作ること,これらは私たちのまちの将来に欠かすことができないことです。その過程で,美術館の持つ多くのコレクションが,私たちを文化の中心へ導く道先案内人として活躍してくれることと考えています。 私は,様々な機会に色々な美術館へ行き,その現場を研究し,新しい美術館の魅力向上と文化・芸術を身近に楽しむために政策提言を行ってきました。それを受けて,実現の事業も予定されている中,更なる文化・芸術の政策展開を求めて質問いたします。 一つ目に,美術館には,日本画,洋画,工芸,版画,彫刻,書として平成30年度末で3,498点の作品がございます。外国の美術館は,自分の美術館が持っている所蔵の作品を展示し,それらを中心に楽しんでもらうことから始めています。新しい美術館は,集めてきた多くの作品を活用した展示会を一年中行い,市民が文化,芸術を楽しむ場を積極的に提供していくべきであると提言してまいりました。 過去に答弁として,所蔵する近代日本画を中心に年数回の展示替えを行い,いつでも日本の文化を肌で感じられる京都ならではの展覧会を開催すると積極的な思いの表明がございました。現在それを具体的に行う準備を進めていると伺っています。この常設展示を魅力あるものにし,多くの方に味わってもらう形をどう作り上げていくのか,具体的に現在の取組と方向についてお答えください。 二つ目には,美術館で鑑賞するための事業,プログラムの充実を提言いたします。新しい美術館では,色々な世代の方に楽しんでいただき,文化や芸術に今まで縁がなかった方や機会を持たなかった方,持てなかった方にも来館いただくことで新たな気付きや楽しみ,おもしろさを味わっていただける場所にすべきです。そのために楽しむコツを伝授する取組も必要です。具体的に幾つかの世代に分けて提案いたします。 まず子供たちです。乳幼児のときから本物を見ることが大切だと言われています。子供たちを対象にしたシンプルに作品を楽しむ機会づくりを考えていくべきです。この時期に培われた文化・芸術に対する感性は一生ものです。これから歩んでいく人生に大きく彩りを加えることは間違いありません。そして中・高校生など多感な世代には,作者のメッセージを作品から読み取り,感じ取るコツを伝授するプログラム。作者が何を悩み,何を考えてこの作品を作ったのか。時代背景はどんなもので,私たちはそこから何を考えるのかといった場を提供することができます。そして最後に大人の世代には,作品を味わい楽しむコツ,作者のメッセージをどこから読み取るのかを知る企画などが考えられます。作品の展示に加え,こういった独自のプログラムを編み出していくことが新しい美術館には必要です。これらは,今後100年の京都の多様な文化芸術の種まきにもなります。 これらの提言に対して,過去の答弁では,解説にも重点を置き,学生,若い人,多くの皆様に価値を伝えていく。子供から大人まで,美術ファンの裾野を広げる取組,学校と連携して美術館教育や芸術系大学と連携事業を展開し美術の奥深さを体感する機会を作ると前向きに表明がございました。新しい美術館を訪れる方が楽しめる機会を,世代ごとにどのように具体化すべく,今,取組を進めているのかお答えください。 三つ目として,こういった取組をすばらしいものにさせるためには,根幹を担う学芸員の充実が欠かせません。京都国立博物館で学芸員の皆さんとお話をしました。企画を決定することから開催まで何と6年を掛けるということです。長い歳月にも驚きですが,それ以上に,先読みして,その企画の深みを作る学芸員の能力や胆力のすごさに感じ入りました。 過去の答弁では,民間のノウハウやマンパワーも取り入れ,学芸分野をはじめ美術館の体制を充実することが不可欠であるとありましたが,新しい美術館スタートに当たり,企画など中身の豊穣のために,学芸員の積極的な登用への取組はどのように進んでいるでしょうか。 先日,観光庁は今年の1月から4月までの外国人観光客の日本を訪れるペースは,前の年の同じ時期と比べて4.4パーセント増の1,098万500人で,昨年を上回る勢いを見せていると発表しましたが,四つ目は,京都を訪れる観光客の方への見せ方についてございます。まずは,美術館がどんな作品を持っているのか,その全容を事前に知る機会を作るべきだと考えています。外国の美術館では,インターネット上で所蔵作品全てが見られ,その作者や作られた年代,見どころなどが一度に見られるようになっています。訪れる前に楽しむ策として,また,訪れられないが興味を持ってもらう策として,こういった取組を充実させていくべきだと考えています。 そして外国人観光客への見せ方も重要です。閉館した平成29年以前の平成27年の京都観光調査によると,外国人観光客の中で,美術館や博物館に行くことを10.8パーセントもの方が来訪動機に挙げ,また,次回入洛時に見たいこととして18.9パーセントの方が挙げています。新しい美術館では,多言語表記はもちろん時代背景なども簡単に分かる工夫,そして日本文化入門編といったコーナーを設けるなど日本の美術作品が持つ特徴や歩みなどを学べる機会を作ることで,京都を訪れる方に,更に入館してもらう策を進めていくべきだと考えています。 新しい美術館の持ち味を観光客,特に外国から来た方にどうアピールしていくのか,具体的に現在の取組についてお答えください。 あわせて,休館日を月曜日以外に設定する工夫も必要です。博物館,美術館は,なぜかそのほとんどが月曜日がお休みです。近畿圏では月曜開館の博物館,美術館は,大きいところでは大阪の国立民族学博物館や歴史博物館,京都市学校歴史博物館ぐらいしかありません。月曜開館にすることで,行き場所に困る方にも来ていただいて,入館料への貢献も考えられます。是非検討すべきだと考えています。 これからも,市民が楽しめる美術館にどう進化させるか,提言を積み重ねていきたいと考えています。 さて,日本は,今急激な高齢社会に向かっていると言われていますが,平成30年10月の京都市のデータでは,京都市の人口は約147万人,65歳以上の方は約41万人で全体の27.8パーセントでございます。この状態を国難だとか非常事態だと話される方がいますが,私はそうは思いません。誰でも年は取ります。年を取らない方はいません。そこから考えて,年を取ることを,経験が増えること,知恵や楽しみが増えることと,是非前向きに考えていくべきだと思います。 その中,皆さんは,健康寿命という言葉を御存じでしょうか。京都市では,いかにして健康寿命を延ばしてもらうかという点で様々な取組を展開しています。健康寿命とは,役所用語で分かりにくいですが,健康に年を重ねることを言います。長生きすることのみを目標とするのではなく,健康で幸せに楽しく生きていくためにはどうしていけばいいか,誰もが知りたい策ではないでしょうか。 昨年所属していた京都市会の教育福祉委員会では,年間テーマとして「健康寿命の延伸」というものを掲げて研究,議論してきました。京都府医師会の先生にも,健康寿命を延ばすために何が取り組まれているのかお話を伺いました。あわせて,私もお世話になっている多くのお医者さんに,健康で幸せに年を重ねる策は何ですかと尋ねて回りました。不思議なことに皆さん異口同音に答えは一つ。何でしょうか。仕事をするということでございました。これは給料がある仕事だけでなく,社会ボランティアや地域貢献も含めての仕事をするということでございます。朝起きて着替えて仕事に行き色々な方と一緒に働く,仕事を終えて帰宅して御飯を食べて寝るといった毎日の生活にリズムを持たせる大切さ。そして会社や社会,地域に貢献している,頼りにされ,それに応えている自己肯定感を感じること。それによって結果として,健康で幸せに年を重ねることにつながるというお話でございました。これからは,リタイア後に活躍いただく機会を,つまり仕事をする機会を更に充実させていくことが必要と考えています。行事の参加でポイントをため,それを品物と交換できる取組や,町内会に所属してもらう地域コミュニティ活性化推進のプログラムなど様々な観点で仕事をする機会を支援する事業が行われています。 健康で幸せに年を重ねるために,今まで何が不足していて,これからどう改善していくのか,分析・解析のうえでどのような形で支援していくのかお答えください。 また,ハローワークといったかっちりした仕事体系ではなく,登録されて気軽に探して仕事ができる京都市シルバー人材センターという仕組みが京都市にはあります。依頼される仕事と登録者の技術の差で,組合せができていないケースが増えていたり,登録したけれど稼働率が高くないといった改善点も指摘されています。 リタイアされた方が培ってこられたキャリアをいかして仕事をするを充実させるために,このシルバー人材センターをどういかしてお手伝いをしていくのかについてお答えください。 子供の笑顔があふれ,誰もが楽しく健康に年を重ねることができる,そんなまちを作っていきたい。文化,芸術,スポーツで楽しめるまちとして,アジアで一番のまちにしたい。そういった京都市を作っていくためにも,これからもしっかり頑張っていくことを皆さんの前でお誓い申し上げまして,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,中野洋一議員の御質問にお答えします。 新・京都市美術館についてでございます。美術館は,いよいよ来年3月21日に通称・京都市京セラ美術館として再オープンいたします。青木淳新館長を迎え,先月9日に再オープンの概要を発表して以降,多くの市民の皆さん,京都ファン,芸術家の皆様から大きな期待のお声を聴くことが増えまして,多くの方々が開館を待ち望んでおられるということを実感いたしております。 まず,中野議員御指摘の常設展につきましては,多くの美術ファンの御要望に応えまして,再オープンを機に新設するものであります。重要文化財である竹内栖鳳の「絵になる最初」をはじめとする日本画から洋画,版画,彫刻,工芸,書まで幅広いジャンルの優れたコレクション3,700点からよりすぐった名品を,四季をテーマに展示替えすることで,季節折々に表情を変える京都の魅力と併せて堪能いただけるものとしてまいります。また,常設展をより魅力的にするためにはコレクションの充実が大切であり,昨年11月には,明治以降の京都画壇を中心に,その源流となった江戸期まで遡ることで,京都の美を語るにふさわしい総合的なコレクションを形成するという収集方針を定めました。これに基づきまして計画的に収集を進め,御覧になる度に新たな出会い,発見が生まれる魅力的な常設展を創出してまいります。 子供から大人まで幅広い年齢層の方々に展覧会を楽しんでいただくための鑑賞プログラムにつきましては,京都画壇から現代アートまで多様な分野を取り扱う美術館としての強みを最大限にいかしまして,それぞれの展示の特性に応じたプログラムを開発し,美術ファンの裾野を広げてまいります。 展覧会企画の中核を担う学芸員につきましては,再オープンに向けまして,市職員の学芸員に加え高いマネジメント能力や国内外の美術館との幅広い人脈などを有する民聞の優秀なスタッフの参画を得て大幅に充実したところであり,より魅力的な展覧会を実現してまいります。 外国人向けの案内,解説につきましては,新設したウェブサイトに,コレクションの魅力を生き生きと伝える高精度のデジタル画像や,日本の文化的背景も含め外国の方にも分かりやすい多言語の解説を追加するなど,内容を充実してまいります。 今後,今年9月をめどに,再オープン後の展覧会ラインナップを発表するなど,事業の詳細についても順次公開する予定であります。 皆様の期待を胸に,引き続き,様々な可能な改革に挑戦し,京都の今と未来を見据え,世界の文化首都を目指す京都,また文化庁の全面的な移転をお迎えする京都にふさわしい美術館を目指してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 健康寿命の延伸についてでございます。健康寿命の延伸に向けましては,中野議員御指摘のとおり,ボランティアや地域貢献も含めた仕事をする中で生きがいを感じ,毎日の生活のリズムを作ることなどが大切です。平成28年度から実施しているいきいきポイントにつきましては,自治会やPTA,ボランティア活動などへ参加するとお出かけポイントが,さらに御友人らと一緒に取り組めばグループポイントが加算できるなど,地域活動を促進する取組を進めてまいりました。昨年度は,地域介護予防推進センターなどで出席簿として利用していただく工夫などを行った結果,プレゼントの応募件数は8,054件と,29年度の2倍以上となっております。今年度は,これまでの実施状況も踏まえ課題を分析し,年間を通じて継続的に健康づくりに取り組めるよう,昨年度よりも2箇月早い4月から手帳を配布するとともに,プレゼントの抽選を3回から4回に増やすなど更なる拡大に取り組んでまいります。 次に,昭和61年に設立した京都市シルバー人材センターにつきましては,民間企業等への訪問活動等により,年間3万件を超える業務を受注し,契約金額は着実に増加してきており,業務内容についても,ニーズの高い屋内清掃や除草などに加え,子供の一時預かりや修学旅行生の観光ガイド,さらには本市の介護予防・日常生活支援総合事業における支え合い型ヘルプサービスへの従事など幅広い業務を行っております。 人口減少社会が現実のものとなる中,働くことは,高齢者の知識や技能を社会を支える力としていかし,また,御自身の健康長寿にもつながる有意義なものでございます。このため,本市といたしましても,受注と就業ニーズとのマッチングが更に円滑に行われるよう,シルバー人材センターと本市が連携して分析を進め,より多くの方に利用されるよう支援を行ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,菅谷浩平議員に発言を許します。菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇(拍手)〕 ◆(菅谷浩平議員) 北区選出,日本維新の会京都市会議員団団長の菅谷浩平です。会派を代表して,令和元年の5月市会におきまして,市長,副市長及び関係理事者に対し質問をさせていただきます。 その前に,会派を代表し一言申し述べさせていただきます。私ども日本維新の会京都市会議員団は,今回の京都市議会議員一般選挙において,議席を保持していた4行政区全てにおいて,有権者の皆様に再び御信任いただくとともに,新たに伏見区においても議席を獲得し,計5人の交渉会派となって新しい任期をスタートさせることができました。引き続き,二元代表制の一翼を担う議会としての役目を,維新市議団一丸となって果たしていくためにも,また市民の皆様の負託に応えていくためにも,これまで以上に行政の無駄を見直し,今までになかった視点から提言,提案ができるよう,議会活動に精進してまいりたいと思います。 それでは,質問に移らせていただきます。まずは,ワーク・ライフ・バランスについてお尋ねいたします。市長は,今年の年頭訓示の際に,真のワーク・ライフ・バランスの推進についてお話をされています。その趣旨は,人間らしく,生き生きと創造的,効率的に働く,そして家庭もしっかりと大切にする。さらに,地域貢献等も主体的に行い,人間力を高める。そのことが,一人一人の,また御家庭での幸せにつながり,地域社会も持続可能なものとなるとのことでありました。そして,限られた時間で,市民のためにより多くの仕事に取り組み,成果を挙げる。そうした生産性の高い働き方を職員一人一人に実践いただきたいと,市長はこう付け加えられていました。 そこで,市長にお尋ねしたいのは,職員の時間外勤務の現状についてであります。京都市人事行政白書によりますと,市職員の時間外勤務に対して支払われている手当,いわゆる残業代に関する平成29年度の支給額を見てみますと,市長部局と交通局に関しては前年度と比べ,全体,職員一人当たり共に増加しており,上下水道局だけが全体,職員一人当たり共に減少しているという状況であります。職員の皆さんが,一生懸命に仕事をされていることは承知していますが,このような現状を見るに,市長が年頭訓示でも言われたとおり,まだまだ一人一人の仕事の生産性が向上していないなと感じると同時に,事務の軽減も併せて進めていただきたいと考えています。 私どもは,これまでからも,役所にある無駄や非効率な部分について,各議員が議会活動を通じて,指摘,提案をしてまいりました。前任期において,私もペーパーレス化などを提言させていただきましたが,これなどは,正に同じ資料を重複して配布する役所の典型的な無駄な慣習の一例ではないかと今でも思っております。今年度からは,会議の議事録作成にAIを導入するなどの取組を始められるかと思いますが,他の自治体では,保育園の申込者の割振りにもAIを導入するなど,事務の効率化を進める動きが活発化してきてまいりました。 市長が目指しておられる真のワーク・ライフ・バランスを実現させるために,今後どのような施策をお取りになり,現状を改善していくおつもりなのか。年初めに市長が掲げた真のワーク・ライフ・バランスの実現のためにも,今年度具体的に取り組まれることや時間外勤務の削減目標値などを具体的にお示しいただきながら,その決意をお聞かせください。 次に,幼児教育無償化の今後の進め方についてお尋ねいたします。先ほど,国会において幼児教育の無償化に関する法律である改正子ども・子育て支援法が衆参両院で可決,成立しました。これにより,今年の10月からは3歳児から5歳児の幼保育に係る費用が全世帯で無償化されるなど子育て世帯の負担軽減が図られることとなっており,この法案の中身については我が党もかねてから主張していたものでもあり,国会においても,立憲民主党や日本共産党などの野党が反対する中,賛成いたしました。 今後は,各自治体においてその対応が迫られるわけですが,先ほど申し上げたとおり,幼児教育の無償化のスタートは今年度の10月からであります。改正子ども・子育て支援法には,自治体が地域の実情に応じて対応することができる点が幾つかあることも踏まえて,今後,京都市がどのように幼保育無償化を進めていくのかについて質問いたします。 まずは,駆け込み需要への懸念であります。例えば,今回の無償化には,幼稚園には無償の上限枠がある一方,保育園と認定こども園の利用料に関しては全て無償になるという点などから,幼稚園などではなく,保育園や認定こども園への入園を希望する御家庭が増える,あるいは,これまで金銭的に保育園などの施設を利用してこられなかった方たちが,子供を保育園に預けたいと殺到することなどが想定されてきました。春の申込みの段階では,先日,市長会見でも御説明があったとおり,申込みの大きな伸びはなかったそうでありますが,無償化が始まる10月の段階では,入園のニーズが高まることも十分に考えられます。どのような対策,対応をお考えかをお聞かせください。 また,保育の現場からは質の低下を懸念する声が上っています。今回の法改正では,認可外の保育施設についても,5年間の暫定期間を設けながら,保育の利用料が上限を設けて支給されるなど無償化の対象とされています。しかし,一方で改正法は,自治体が条例によって独自の安全基準を設け,無償化の対象を限定することも認められています。法改正に当たり国会の審議内容を見ておりますと,野党でも,我々日本維新の会と国民民主党は賛成したものの,立憲民主党と日本共産党は,認可外施設を無償化の対象とできるようにすべきではないなどとし,改正法に反対しました。 そこでお尋ねいたします。本市におかれては,保育の無償化に当たり,独自に条例で無償化の対象を制限しようとするお考えがあるのかないのか,市長のお考えをお聞かせください。 最後に,今回の無償化の財源は,消費増税によるものとされています。現段階で,リーマンショックと同等の経済危機が起こるかの予測は困難でありますが,米中の貿易摩擦など予断を許さない状況にはあると認識しております。たとえ増税が延期された場合でも,他の自治体と同様に,独自に幼保育の無償化を始めるお考えが本市にあるのかをお聞かせください。 同時に,無償化は2年目以降,基礎自治体にも一定の負担が求められることが国と市長会との話合いで決められており,財源の確保が必要であります。財政が厳しい本市において,どのような形でその財源を生み出していくお考えかも,併せてお答えください。 最後に,京都市における大都市制度の在り方についてお尋ねいたします。御承知のとおり,お隣の大阪では,大阪都構想の成立を目指す知事,市長が先の選挙,いわゆるW選挙によって選ばれ,大阪では,公明党が都構想への協力を表明されました。明治維新以来,100数十年間にもわたって続いてきた中央集権体制から,自治体がそれぞれの課題解決のために,自治の在り方を見直す動きが今後一層,日本の全国各地で加速することを期待いたしております。 そもそも,日本における現在の大都市制度の在り方が確立されたのは,特別区を置いている東京都を除いては,今から63年も昔の1956年,地方自治法の改正によって,政令指定都市制度が創設され,横浜市,名古屋市,大阪市,神戸市,そして京都市の旧五大市が指定都市として認められたことにまで遡ります。しかしながら,さらにそのおよそ10年前の地方自治法が公布された1947年には,都道府県からは独立した形で,現在の都道府県と市の両方の事務を行うことができる権限と財源を有した自治体である特別市の規定が存在していました。当時,京都市を含む旧五大市は,都道府県から独立する,この特別市の指定を要望していましたが,大阪府,京都府,愛知県,神奈川県,兵庫県はこれに真っ向から反対し,特別市への指定は認められないままに,1956年の地方自治法の改正において,政令指定都市制度が創設されたのと同時に,特別市の規定は削除されることになりました。 そのような歴史があった中で,半世紀以上が経過した2010年,指定都市市長会が,指定都市の市域内の行政事務と税財源の都道府県からの移管を盛り込んだ特別自治市制度の創設を提案しています。市長会が提言しているこの特別自治市構想こそ,戦後間もない頃に一度も実現されないまま,地方自治法からその規定が削除をされた特別自治市と類似した現代の大都市制度構想であるとも言われています。既に,京都市においても,京プランの後期実施計画において,新たな大都市制度特別自治市創設に向けての研究と提言と題し,この数年間,毎年,国に対する予算要望の中に特別自治市への移行を求めておられます。 そこで,市長に対して,本市が進めたいと考えておられる特別自治市について幾つかお尋ねしたいと思います。まずは,この特別自治市への移行には,京都府,並びに府内の市町村の理解が何よりも必要不可欠かと思います。特に,旧五大市の中で,府県全体に占める市の人口の割合が最も高いのが,京都府と京都市との関係であります。よって,仮に,京都市が特別自治市に移行した場合の影響が少なくないことは,容易に想定ができると言えます。 昨年,新知事に就任をされた西脇京都府知事をはじめ京都府並びに府内の市町村が,京都市の特別自治市への移行をどのように受け止めておられるのか,また,今後どのように関係自治体の特別自治市への理解を深めるおつもりなのかお聞かせください。 また,特別自治市は,京都市域内で発生する道府県税収等の財源は,全て大都市である京都市が収納することを原則とする制度であると理解しています。よって,京都市が特別自治市に移行した場合,府と市の人口比率に基づき府から市へ引き渡される府民税の推計の合計額は,全体の6割近くにも上るとの調査研究も発表されています。このこと自体は,京都市にとっては財源が増えるので歳入面ではプラスであることが言えますが,一方で,当然のことながら行政事務も劇的に増加することが想定され,京都市の京都府における人口比率や中枢性の高さなどから,歳出増加額は,京都市よりも人口の多い神戸市並みに匹敵する可能性があることが指摘をされています。特別自治市移行に伴う,歳入と歳出の増加見込額を差引きした額は,歳出が歳入を数百億円単位で上回るのではないかとも言われています。 本市は,特別自治市への移行を表明しておられますが,具体的なデータを基にしたシミュレーションが少ないことを指摘させていただいたうえで,財政的に特別自治市への移行が制度的に可能なのかどうかについて,また,二重行政の解消・効率化,加えて,都市としての競争力や成長力が,どのくらい本市が特別自治市になることでプラスになると試算されているのか,市長の本市における大都市制度の在り方に対するビジョンをお聞かせください。 以上で,私からの代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 菅谷浩平議員の御質問にお答えいたします。 特別自治制度についてでございます。京都市は,戦前から長い自治の伝統を有し,旧五大市の一つとして都市の自治権確立を目指してきた歴史があり,大都市を府県と同格に位置付け,市域における権限と財源を一元的に持つ特別自治市の実現について,これまで,他の指定都市とも連携しながら,国に対して求めてきているところであります。 平成25年度に出された国の第30次地方制度調査会の答申においても,新たな大都市制度創設の意義を述べたうえで,当面の対応として,まずは都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を可能な限り進め,実質的に特別市・仮称に近付けることを目指すこととされました。国においては,この答申を踏まえ,この間,NPO法人の設立認証などの数多くの事務権限が国及び道府県から指定都市に移譲されており,実態として,指定都市が果たす役割はますます大きなものとなってきております。 しかし,事務権限の指定都市への移譲に対しまして,税財源の移譲がほとんど進んでいないという課題があり,この点につきましては,引き続き,他の指定都市とも連携しながら,国に対して強く求めてまいりたいと考えております。 また,大都市制度の在り方を考えるに当たりましては,大都市だけでなく,広域自治体の在り方や国と地方の税源配分の問題を含めて,我が国全体の地方自治制度をどうしていくのかという市民,国民の主体的な議論の高まりが何としても重要であると考えております。同時に,現行制度の下においても,制度の限界に挑戦し,あらゆる改革の可能性を追求することが極めて重要であり,府市協調の下に,行政の効率化,二重行政の打破などについて改革・改善し,大きな成果も挙げてまいりました。 本市といたしましては,引き続き,京都府や近隣自治体としっかりと連携し,市民サービスの向上と行政運営の効率化,さらに,京都都市圏全体の活性化に尽力してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 幼児教育・保育の無償化についてでございます。本市では,全ての子供たちの健やかな育ち,学びを確保するため,保育所等の整備など量の確保と共に,幼児教育・保育の質の向上のため,様々な形で支援を推し進めてまいりました。例えば,保護者の経済的負担軽減の観点では,保育所等の同時入所を要件としない第三子以降の保育料無償化や本市独自の軽減策により,国基準の7割以下にまで保育料を軽減したほか,国に先駆けて実施していた私立幼稚園の就園奨励費等,年間49億円の一般財源を投入してまいりました。こうした取組の結果,本年4月の保育所等待機児童は6年連続ゼロを達成し,本市の未就学児の保育所等利用児童の割合は,人口100万人以上の都市でトップとなる50.6パーセントでございます。幼稚園も含めると3歳から5歳児の95パーセント以上の方が既に保育園,幼稚園等を利用されている状況を踏まえますと,無償化に伴い保育利用等の申込みが急激に増えることはないものと考えておりますが,引き続き,10月以降の申込状況に注視しつつ,定員に余裕のある保育所等の活用はもとより,保育士確保や施設整備等適切に対応してまいります。また,幼児教育・保育の質の確保につきましても重要であるとの認識から,これまでから関係者の皆様と共に様々な取組を重ねており,無償化の対象となる認可外保育施設への対応につきましても,質の高い保育の提供や児童の安全確保を含む子供の最善の利益を中心に据えまして,京都市はぐくみ推進審議会におきまして,しっかりと議論し,幅広く意見をお聴きしたうえで判断してまいります。 次に,無償化の実施につきまして,大きな枠組みの変更があった場合につきましては,国において議論すべき問題と考えております。現時点で,国から示されているものもございませんので,引き続き情報収集に努めてまいります。 最後に,無償化に係る本市財政への影響につきましては,公費負担が拡大する一方で,国府負担金の財源により,2年目以降につきましても一般財源に与える影響はない見込みとはなっておりますが,詳細につきましては,今後の予算編成の中で精査してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 川端監察監。 〔川端監察監登壇〕 ◎監察官(川端昌和) 時間外勤務の縮減についてでございます。時間外勤務の縮減は,職員の安全,健康面はもとより,働き方改革や真のワーク・ライフ・バランスを実現するためにも,極めて重要な課題であると認識しております。本市においては,これまでから,時間外勤務の縮減をはじめとする働き方改革の推進に向けて,副市長をトップとする働き方改革推進本部を設置し,時間外勤務の状況や効率的な業務推進のための取組の共有,管理職員の意識の改革などに取り組んでおりますが,近年頻発している自然災害や行政需要の多様化等により時間外勤務の総時間数は微増しております。そうした中,本年4月に,全国的な長時間労働是正の観点から改正労働基準法が施行され,時間外勤務の上限規制が導入されたことに伴い,本市においても,人事委員会規則によって同様の規制が設けられたところであり,これまで以上に時間外勤務縮減の取組を徹底する必要があると考えております。具体的には,所属長によるパソコン等を用いた適切な勤務時間管理や繁忙職場の状況に応じた体制整備,生産性の向上を図るために効果が高いと考えられる取組をまとめた職員向けの働き方改革実践マニュアルに基づく取組等を更に徹底してまいります。今年度は,こうした取組に加えて,4月に業務の実情に応じて職員の勤務時間を前後させる時差勤務制度を新設いたしました。また,人工知能いわゆるAIを活用し,会議録作成支援システムを新たに導入することで,数多くある審議会等の会議録作成に係る事務負担の軽減を図るとともに,引き続き,大量の事務処理が必要な業務など,時間外勤務縮減の効果が大きく見込める分野へのAIの活用を検討してまいります。 行政サービスとして絶対におろそかにできないもの,守らなければならないものは維持しつつ,時間外勤務の上限規制の遵守に向け,業務の効率化の観点から,従来のシステム,やり方の抜本的な見直しなどに本市職員全員が徹底的に取り組むことで働き方改革を加速させ,時間外勤務の縮減,ひいては真のワーク・ライフ・バランスの実現を図ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,大津裕太議員に発言を許します。大津議員。 〔大津裕太議員登壇(拍手)〕 ◆(大津裕太議員) 中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党市会議員団を代表して市政一般について質問いたします。 まず,質問に先立ちまして,過日に実施されました統一地方選挙では多くの市民の皆様の御支持,御支援を賜りまして,地域政党京都党は5議席の負託を受けることができました。また,それに伴い,京都市会では交渉会派に復帰することができました。感謝と共に重責を感じております。選挙戦を通じて訴えさせていただきましたことを議員団一同4年間誠実に進めてまいりますことをお誓い申し上げ,質問に入らせていただきます。 世代間の不公平と本市の財政状況についての質問をいたします。日本社会には様々な不公平が存在しますが,今最も大きな不公平が世代間の不公平です。昨今,逃げ切り世代や逃げ切れない世代などの言葉がよく使われ,書籍や雑誌の特集でもよく目にするようになりました。何年生まれまでが逃げ切れるかという不毛な議論はいたしませんが,現在36歳の私は確実に逃げ切れない世代であります。私たちの世代からすると逃げ切るなる考え方は,到底受け入れられません。 高齢化により社会保障費は増大する一方で,少子化によりそれを負担する現役世代が減少していることが最大の原因です。人口ピラミッドは正確に予測できることが知られており,何年後にどの程度の現役世代でどの程度の高齢者を支えるかということは多くの市民,国民に周知されております。例えば,京都市でも約20年後の2040年には,一人の高齢者を1.6人の現役世代で支えることになります。 社会保障制度は国で議論すべきものではあり,早急な改革を望むところですが,私たちは20年後・30年後に逃げ切れない世代が大変厳しい状況に置かれることを既に知っているわけです。社会保障の負担だけでも将来世代が非常に厳しい状況に置かれることが分かっている中で,そして,今現在よりも20年後30年後の方が厳しくなることを分かっている中で,今,正に更なる負担を将来に先送りしてよいのかということです。 今までの行政サービスの質を維持しながら将来負担を減らすということはかなり難しいことです。私たちは,知恵を絞って,できる限り低コストで行政サービスを維持しつつ,それでも賄えない部分は,全世代の市民一人一人が少しずつ我慢をしなければいけないのではないでしょうか。将来世代というと抽象的ですが,大変な思いをするのは,市民の皆様自身の可愛い子供たちであり,孫たちだということを忘れてはいけません。 総務省が進める統一的な基準による会計の中で,世代間の公平性を表す代表的な指標として社会資本形成の世代間負担比率というものがあります。高ければ高いほど世代間の不公平が大きい指標で,15パーセントから40パーセントが標準と言われる中で,本市は,平成29年度決算時点で52.2パーセントです。京都市は,極めて世代間の不公平が大きいまちであります。また,指標を公開を始めた平成26年度には48パーセントだったものが,(パネルを示す)右肩上がりで上昇し,僅か3年間で4パーセントも上昇しており,悪化の一途をたどっております。行財政局は,臨時財政対策債を主要因に上げており,国の制度が悪いと言いますが,同じ条件のほかの政令指定都市と比較しても数字が高いわけですから,本市に起因する問題をしっかりと改善していかなければなりません。 ここ数年,本市は予算編成に際して300億円を超える巨額の財源不足からスタートし,様々な財政構造改革や支払いの先送りをしても,なお100億円を超える財源不足となり,これを特別の財源対策で補う状況が続いております。はばたけ未来へ!京プランで市民に約束をされた特別の財源対策からの脱却も,実現できないことがほぼ確実という状況になりました。特別の財源対策とは,実質的な赤字地方債と借金返済の取崩しという究極のツケの先送り対策です。無責任に予算を捻出する自転車操業的な錬金術と言えます。 市長は,かねてより,減り続ける地方交付税と増え続ける社会保障費が主な要因だという答弁をされてきました。しかし,私は,地方交付税も社会保障費も本市の財政を苦しめている要因ではありますが,特別の財源対策から脱却できなかった理由ではないと考えております。確かに,臨時財政対策を含む地方交付税の金額は,平成28年度予算から平成31年度予算の間に事実上約100億円減少しております。また,社会保障費に当たる扶助費は,約200億円増加しております。しかし,2月市会でも取り上げましたが,地方交付税に関しては京プラン策定時に減少を見込んだほぼ正確な予測で計画を立てており,それでも特別の財源対策から脱却できるシナリオになっていたのです。したがって,地方交付税が減り続けることは予測どおりであり,特別の財源対策から脱却できなかった主要因ではありません。 社会保障費の増加については,計画策定時の予測より76億円増加となっており,これは大きな負担となっていることは間違いありませんが,これまで門川市政で努力されてきた財政構造改革による人件費の削減や宿泊税による増収でその負担は吸収できております。つまり京都市では,交付税の減額も社会保障費の拡大も織り込んだ後,想定範囲内であったわけです。本当なら特別の財源対策は回避できたはずです。 では,なぜ特別の財源対策からの脱却ができなかったのでしょうか。私は,投資的経費,つまり相次ぐ大型工事であると考えております。京プランでは,将来に負担を残さないため,投資的経費は毎年度700億円前後を大枠としておりました。しかし現実的には,平成30年度には870億円,平成31年度には862億円と計画よりも150億円以上も上振れをしております。平成31年度に関しては災害対応による予算が膨らんだとの答弁も受けましたが,災害対応に係る予算は29億円ということですから,これを除いても133億円の上振れです。 ここ数年間大型工事が相次ぎました。2020年のオリンピック・パラリンピック,2021年の関西ワールドマスターゲームまでに投資をしたかったということも理解できなくはないですが,本市の財政状況を鑑みると,優先順位を付け,当初の予定どおり700億円を上限に工事計画を立てるべきだったのではないでしょうか。投資的経費が大きく上振れした原因,全ての工事が将来世代に更なる負担を強いてまですべきものだったのか,今この時期に矢継ぎ早に取り組むべき工事ばかりだったのか,もっと金額を抑えて工事をできなかったのか,答弁をお願いしたいと思います。 本市は,平成14年度予算編成に際して,当時の桝本市長が財政の非常事態宣言を行い,四つの基本方針を示しました。1点目は給与カットも含めた人件費の削減,2点目は公営企業への任意の繰出金の休止,3点目は各種イベントの休止や回数・経費の半減,4点目が新規施設建設の一時凍結です。なお,桝本市長は結びに,歯をくいしばって我慢し,市民の皆様の生活を守り,将来の京都のために真に必要な事業を,一層の選択と集中の下に進めていかなければならないと述べております。 本市のここ数年の巨額の財源不足は正に非常事態です。特別の財源対策はこれ以上ずるずると続けるわけにいきません。冒頭に申し上げましたとおり,将来世代の負担は今より重くなることが分かってるのに,これ以上更なる負担を押し付けることは断じてあってはいけないからです。特に,選挙権を持たない子供たちやこれから生まれてくる世代は主張することもできません。欠席裁判のような状況で負担だけが増え続けるようなことはあってはいけないのです。 今までのやり方では,いまだに出口が描けていないわけですから,その延長線上に財政再建はありません。財政非常事態宣言当時と同様に給与カットやイベントの休止や削減,工事の凍結など,更に踏み込んだ財政の引締めを検討すべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。 ここまでの答弁を求めたいと思います。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(功刀岳秀) 財政運営についてでございます。本市財政は,一般財源収入がピーク時から250億円以上減少する中,社会福祉関連経費が累増し,非常に厳しい状況にあります。こうした中,中期的な視点で財政運営を進めるため,一定の仮定の下で試算を行い,中期財政収支見通しを作成しておりますが,これは予算を拘束するためのものではございません。また,毎年度の予算編成につきましては,外部環境の変化を含む具体的な状況に対応して行われ,中期見通しの数値につきましても,それに合わせて改定しております。3年前の計画策定時の推計と単純に比較するということは困難でありますが,議員御指摘の計画策定時の31年度推計からの収支悪化につきましては,地方交付税や市税,府税交付金等も含めた一般財源収入が当時の見込みを40億円下回っていることが大きな要因と考えているところでございます。なお,投資的経費につきましては,これまでから全市的な観点で必要性の高いものに絞って事業を進めており,計画策定時の見込みよりも経費は増加しておりますけれども,国費や市債に加え民間活力も最大限活用することで,必要な一般財源は災害復旧費を除くと5億円程度の増にとどまっているということから,財源不足拡大の主要因ではございません。実質市債残高につきましても,生産年齢人口一人当たりの残高を増加させないという目標に基づきまして,将来への負担が過度なものとならないようコントロールしているところでございます。京都の発展のために必要な投資は進めつつ,持続可能な財政の確立に向け,国と一体となった成長戦略に積極的に取り組んでおり,市税収入につきましては,リーマンショック前の平成20年度を超え,過去最高の見込みとなるなど着実に実を結んでおるところでございます。同時に,人件費につきましては,平成19年度以降,3,000人以上の職員削減,給与制度,手当の見直しによりまして年間260億円を削減するとともに,イベントも含めたあらゆる政策分野における事業見直しで財源を確保するなど,財政非常事態宣言以降,その危機感を全庁で共有し,徹底した行財政改革を間断なく進めております。一般財源収入の急増を見込めない中,社会福祉関連経費の増加や,相次ぐ自然災害への対応などにより,特別の財源対策からの早期脱却は厳しいものがあると認識しておりますが,今後も,縮小一辺倒になることなく,成長戦略による担税力の向上と徹底した行財政改革を更に加速させ,未来に責任を持った財政運営を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 大津議員。 〔大津裕太議員登壇〕 ◆(大津裕太議員) 特別の財源対策から脱却できないという答弁がありましたが,脱却できない,脱却すると言ってきたものが脱却できないわけですから,やり方を変えないといけないということを申し上げているつもりでございます。このまま,環境が悪いから脱却できないんだということをいつまで続けるのでしょうか。しっかり考えていただきたいと思います。 続きまして,観光及び都市計画についての質問をします。先日,都市計画局が示した京都市持続可能な都市構築プランでも基礎的課題として挙げられておりますが,本市は20歳代,30歳代の若者,子育て世代の市外への流出が多く転出超過となっております。20代の若者は,働く場所を求めて東京や大阪といった都市部への流出をしております。大学入学と共に本市に流入した学生たちが卒業と共に流出していることが主要因です。30代の子育て世代は,京都府南部や滋賀県などの近郊都市への流出であり,住宅価格や物価が高水準なことが主要因と考えられます。また,オフィスの空室率は右肩下がりで,市内でオフィスを確保することは大変困難な状況であり,結果として市内で働く市民は減少する一方,市外で働く市民が増加し続けております。プランには,好調な観光だけでなく,定住人口,産業・働く場の確保が重要と記載されておりますが,私たちも全く同意見でございます。少子化,高齢化が進む社会において,現役世代は極めて重要な存在であり,20代,30代の現役世代の流出は,人口減少だけにとどまらない大きな問題でございます。 さて,30代の子育て世代の流出に関してですが,住宅価格が高水準であることが主要因というのは,私も当局と見解を一にするところであります。特に私の選挙区である中京区のマンション価格を見ていると,到底,普通の若い世代が買える金額ではなく,諦めて別の場所に住居を求めることは避けられないとように感じます。私は,マンションをはじめ住宅価格の高騰を,ホテルなどの宿泊施設の建設ラッシュが拍車を掛けていると考えております。 門川市長は,昨年の12月の記者会見において,宿泊施設拡充・誘致方針で目標としていた市内に必要な客室数4万室を大きく上回り5万1,000室は見込めるとなった現状でも,宿泊施設の誘致方針継続を発表されました。実際に,平成30年度の市内の主要ホテルの宿泊客の総数は4.4パーセント減となっており,客室数不足とは言えません。ホテルの建設は民間の経済活動でありますから市が規制することはできないことは理解しておりますが,しかし京都市のトップである門川市長から,ホテルはまだまだ足りないから誘致すると言うのと,ホテルの誘致はストップすると言うのでは影響に大きな差が出ます。宿泊施設の誘致により,住宅価格が上がり,結果として30代の子育て世代の流出につながっていると懸念をしておりますが,市長はこの点いかがお考えでしょうか。また,ホテル誘致方針はストップすべきだと思いますがいかがでしょうか。 観光客と住民生活の調和が求められる中,観光の最大の果実は観光消費による経済効果であり,市民に経済効果を実感していただくことが重要です。直近の報道などでも取り上げられておりますが,本市を訪れる外国人観光客は増える一方,混雑を敬遠され国内観光客の落込みが激しくなっております。平成30年12月まで21箇月連続で市内の主要ホテルに宿泊した日本人の実人数は前年実績を下回り,日本人の京都離れなどのショッキングな言葉も報じられています。 観光消費は,市内交通費,宿泊代,買物代,入場料,拝観料,その他に大別されますが,平成29年の京都観光総合調査でも傾向が出ておりますように,日帰り客を含む国内観光客の減少は,観光消費の中でも買物代や飲食費を押し下げる傾向にあります。大企業や京都外の資本が多い宿泊代や一部の寺社仏閣に経済効果が集中する入場料,拝観料と違い,買物代や飲食費というのは,本市の中小零細企業への経済効果であり,市民に経済効果を実感していただくには最も重要な項目ですから,国内観光客の落込みは本市にとって大きな痛手であります。 ここ数年,外国人観光客の誘客に力を入れ,その成果は十二分に実績を出ました。しかし,国内観光客の落込みや観光消費の中身の悪化などの課題が表面化し,住民との調和も課題山積です。今,京都の観光政策で最も求められていることは,新たな誘客ではなく,観光客と住民との調和であり,国内観光客の不満解消ではないでしょうか。観光客に来るなと言うことはできませんし,すべきではありませんが,誘客に掛ける予算は控え,混雑の解消や受入環境の抜本的な改善に予算を傾注するべきだと考えますがいかがでしょうか。 質問の結びに当たりまして,去る5月1日に天皇陛下が御即位されましたこと,大変おめでたくお喜びを申し上げます。新たに始まりました令和の時代が,日本にとって,また京都にとって平和ですばらしい時代となることを議員団を代表して,また一国民として心より祈念申し上げます。 京都は,平安京以降,1,000年以上天皇がお住まいになり,宮中文化が育まれた皇室ゆかりの地でございます。既に,門川市長をはじめ,様々な分野の代表者で度重なる議論を重ね機運を醸成するなど,オール京都体制で双京構想に積極的に取り組まれております。また,景観資産の保全・再生・総合,歴史的風土の保存・活用などにより,京都らしい品格を高める取組を推進し,皇室の方々をお迎えするにふさわしい品格あるまちづくりや,様々な会議や催しを一層京都に誘致し,皇室の方々にお越しいただく機会の創出するなどの取組みをされています。これらの取組は,短期間が成果が出ないかもしれませんが,引き続き尽力いただきたいと思います。 加えて,双京構想にとっても天皇陛下の御即位も大きな機会であります。京都でも市民を挙げてお祝いできる機会やお祝いの気持ちを表す機会が創出できないでしょうか。改めて御所の更なる活用と公室の弥栄のため,令和元年に当たって未来に残る取組があってもいいのではないかと思います。 御所の倉庫に保管されたままの皇室財産を展示し,多くの平安京文化に触れられる京都御所博物館の建設機運の醸成や公室行事の京都実施など様々な角度で積極的な御検討と行動を要望したいと思います。 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大津裕太議員の御質問にお答えいたします。 宿泊施設の誘致と子育て世代の市外流出についてでございます。本市では,平成28年に宿泊施設拡充・誘致方針を策定し,地域と調和した質の高い宿泊施設の拡充,誘致及び違法民泊の根絶に取り組んでまいりました。宿泊施設は,近年の訪日外国人客の急増による旺盛な宿泊需要等を背景に,方針策定時の約3万室から本年3月末時点で約4万6,000室に増加しており,現在計画されている宿泊施設も含めますと,施設数としての数は満たされつつあると考えております。しかし,これらの増加している施設の多くが京都駅周辺や市内中心部に集中するなど地域的な偏在が課題となっております。また,北部山間地域における農家民宿など,地域が求められている宿泊施設,地域固有の歴史,文化,自然の魅力をいかした宿泊施設は必ずしも十分ではなく,質の面での課題もあります。 そこで,市民生活と調和した観光の推進及び観光を通じた京都経済の活性化に向けた方策を検討するため,今月22日に庁内に設置した,市民生活と調和した持続可能な観光都市推進プロジェクトチームにおいて,宿泊施設の地域偏在の課題,質の向上に向けた取組も含め,地域の特性に応じた効果的な施策を検討してまいります。 さらに今後,有識者や市民,観光事業者などの御意見もお聴きしながら,各地域における持続可能な発展,また,市民生活の豊かさにつながる取組を総合的に検討し展開してまいります。 また,京都の未来を支える若い世代が将来にわたって生き生きと暮らし続けられるまち京都を作り進めることは,都市の持続性の確保をするうえでも大事なことであります。近年,都心部を中心に多くのホテルが建設されており,本市の都市格や魅力の向上と相まって,議員御指摘のとおり,地価の上昇が続いております。ただ,若い世代の流出は,ホテル建設が相次ぐ以前から本市が抱える課題であり,その要因を検証して,その改善が必要と認識しております。とりわけ周辺部,伏見や西京区,山科等で人口減少が始まっておりますが,これらの地域につきましては,ホテルは進出は余りしておりません。したがいまして,地域ごとの検証が極めて大事だと考えております。 そこで,本年3月に京都市持続可能な都市構築プランを策定し,周辺部をはじめとする多様な地域や拠点の魅力向上,産業の活性化と働く場の確保,若い世代に手が届く魅力的な住宅の供給等の課題に真正面から向き合い,都市計画手法の活用により,空き家の流通促進,子育て,教育環境の充実,その積極的な情報発信,あらゆる施策を融合させて,安心して住み続けられる取組を推進しております。 引き続き,住んでよし,訪れてよし,働いてよし,子育てしてよし,学んでよしの京都を目指しまして,持続可能で満足度の高い国際文化都市・京都を実現してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 観光政策についてでございます。観光は,宿泊,飲食,小売りはもとより,製造業や農業など非常に裾野の広い産業であり,人口減少社会を迎える中で,観光による交流人口の拡大が地域の活性化のためには不可欠でございます。平成29年の観光消費額は,日本人観光客を含む宿泊客の大幅な伸びによって1兆1,268億円に増加し,京都市民の53パーセントの年間消費支出に相当するなど,観光は京都経済や雇用に大きく寄与しているところでございます。一方で,近年の外国人観光客の急増などに伴い,一部の観光地や市バスの混雑,生活習慣の違いによるマナー違反など解決すべき課題が生じております。そこで,市民生活と観光との調和を図るという本市の方針の下,これらの早急な課題解決に向け,現在全力を挙げて取り組んでいるところでございます。また,日本人観光客は,京都観光全体の86パーセントを占め,その約8割が京都に5回以上訪問されるリピーターであり,とても大切なお客様でございます。毎年,国内外の観光客を対象に行っております大規模なアンケート調査によりますと,京都観光に満足であると回答された観光客は,日本人で90.9パーセント,外国人では96.7パーセントとなるなど大変高い御評価をいただいております。一方,日本人観光客で,京都観光について残念なことがあったと回答された方のうち,混雑をその要因に上げている方が最も多いことから,現在,市民,観光客双方の満足度向上に向けて,手ぶら観光の普及や前乗り後降り方式の導入などによる市バスの混雑緩和,時期,時間,場所の分散化による観光地の混雑緩和に取り組んでいるところでございます。また,観光客の皆様に,より快適で,質の高い京都観光を楽しんでいただけるよう,電線の地中化などの景観保全をはじめ,文化財や京町家の保全,観光地トイレの整備など受入環境の整備にも力を入れております。例えば,今年度の宿泊税の使途について見てみますと,市民生活と観光との調和や混雑対策,観光客の受入れ環境整備,京都の魅力向上に資する取組が約8割を超えておりまして,観光プロモーション等の誘客に係る使途は,約1割にとどまっております。 引き続き,こうした観光に関する課題の解決に全力で取り組み,住んでよし,訪れてよし,働いてよしの京都を目指し,宿泊税等もいかして,持続可能で満足度の高い国際文化観光都市を実現してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時45分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  かわしま優子          同     片桐直哉 △(イメージ)損害賠償の額の決定について △(イメージ)損害賠償の額の決定について・専決処分の一部訂正 △(イメージ)陳情文書表「受理番号5」「辺野古新基地建設の即時中止と普天間基地移転の公正な解決の要請」・陳情文書表「受理番号6」「市内道路における歩行者保護の徹底」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号7」「バス一日券の募集型企画旅行商品への移行」...