平成29年 11月 定例会 平成29年 定例会 京都市会会議録 第3号 11月市会 平成29年11月29日(水曜日)出席議員(67名) 1番 森 かれん議員 2番
菅谷浩平議員 3番
こうち大輔議員 4番 やまずまい子議員 5番
大西ケンジ議員 6番
豊田貴志議員 8番
山本陽子議員 9番
平井良人議員 10番 やまね智史議員 11番
江村理紗議員 12番
大津裕太議員 13番
宇佐美けんいち議員 14番 森川 央議員 15番
西山信昌議員 16番 かわしま優子議員 17番
国本友利議員 19番 平山たかお議員 20番
寺田一博議員 21番
西村善美議員 22番
ほり信子議員 23番 山田こうじ議員 24番
森田ゆみ子議員 25番
村山祥栄議員 28番
山本ひろふみ議員 29番
青野仁志議員 30番 平山よしかず議員 31番
吉田孝雄議員 32番
湯浅光彦議員 33番
加藤昌洋議員 34番 森田 守議員 35番
田中たかのり議員 36番 みちはた弘之議員 37番 くらた共子議員 38番
河合ようこ議員 39番
樋口英明議員 40番
加藤あい議員 41番 赤阪 仁議員 43番
天方浩之議員 44番
中野洋一議員 45番 隠塚 功議員 46番
山岸たかゆき議員 47番 安井つとむ議員 48番 曽我 修議員 49番
久保勝信議員 50番
しまもと京司議員 51番
椋田隆知議員 52番
下村あきら議員 53番
西村義直議員 54番
吉井あきら議員 55番
田中明秀議員 56番
山本恵一議員 57番 山中 渡議員 58番
井坂博文議員 59番
北山ただお議員 60番
玉本なるみ議員 61番
西野さち子議員 62番 井上けんじ議員 63番
鈴木マサホ議員 64番
大道義知議員 65番 ひおき文章議員 66番 津田大三議員 67番 中村三之助議員 68番
橋村芳和議員 69番
小林正明議員 70番 繁 隆夫議員 71番 富 きくお議員 72番
井上与一郎議員欠席議員(なし) 議事日程 開議日時 平成29年11月29日午前10時 一般質問(1)市政一般について 津田大三議員(2)市政一般について
山本恵一議員(3)市政一般について
田中たかのり議員(4)市政一般について
北山ただお議員(5)市政一般について
樋口英明議員(6)市政一般について
青野仁志議員(7)市政一般について
国本友利議員(8)市政一般について
中野洋一議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕
○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の
会議録署名者を指名いたします。
宇佐美けんいち議員と
森かれん議員とにお願いいたします。
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○議長(寺田一博) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。
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○議長(寺田一博) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,津田大三議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕
◆(津田大三議員) 「なつかしき 京の底冷え覚えつつ」おはようございます。中京区選出の津田大三でございます。同僚の
山本恵一議員,
田中たかのり議員と共に市政一般について
自民党市会議員団を代表し質問をいたします。 冒頭の句は高浜虚子の句であります。南国愛媛県松山市生まれの虚子は,一時期京都の第三高等学校で学んでいた時代があるそうです。京都の寒さがよほどこたえたのか,この句を詠まれたと聞いています。実に3年ぶりに代表質問をさせていただく機会を得ました。印象深いこの質問台に立たせていただくことを少し懐かしく思うとともに,底冷えのしない質問となるよう努めてまいりたいと考えております。初心に返り,丁度14年前の11月市会での初めての代表質問を振り返りながら質問をさせていただきます。 先に行われました第48回衆議院総選挙において,我が自民党は,国民の皆様の大きな支持を頂き,引き続き政権を運営させていただくこととなりました。また,ここ京都におきましても,全選挙区に衆議院議員が誕生することとなりました。温かい御支援を頂いた多くの皆様に感謝するとともに,その責任の大きさをしっかりと受け止め,謙虚に,しかしながら確実に結果を出していく国民政党としての政治にまい進していく決意でございます。 今回の選挙戦の争点は,メディアには余り取り上げられませんでしたが,国難にどう立ち向かうかでありました。しかしこの国難は,笑い事ではありません。その一つは,今朝も青森県沖に落下いたしましたが,目に見える北朝鮮の核開発,ミサイル開発です。この蛮行は断じて許すことはできません。これに対し,国民の生命,財産をいかに守るかという点であります。もう一つの国難は,目に見えない人口減少にどう取り組んでいくのかということでありました。このことは遠い未来のことではなく,もう目の前に迫っていると言っても過言ではありません。 本年の4月に,国立社会保障・
人口問題研究所による統計が発表されています。この統計によると,15歳から64歳のいわゆる生産年齢人口は,1990年代後半のピーク時,約8,700万人から,2015年には7,628万人となっており,実に1,000万人も減少しております。さらには,この統計を基にした試算で,来年2018年には後期高齢者75歳以上の方の数が前期高齢者65歳から74歳の方を上回ります。社会保障を考える上で大きな起点となるでしょう。さらに,2020年のオリンピックイヤーには,日本人女性の過半数が,50歳以上の年齢になります。現在の少子化が更に進展するのは必至です。また,約15年後の2033年には,3戸に1戸の家が空き家となり,人が住まなくなると言われています。住宅政策はどうしていくのか,そんなに遠い未来ではありません。もちろん全国的な数字でありますので,このまま京都市に当てはまるわけではありません。しかし,今大きな政策転換を迫られているのではないでしょうか。 14年前の私の初めての代表質問でも,少子化対策を最初の項目に取り上げました。出生率をしっかり上げていかなければならない,また,父親の子育て参加が課題であると申し上げました。そのかいがあったかどうかは別といたしまして,京都市の平成17年当時の
合計特殊出生率は,最低の1.11が平成27年には1.30まで回復し,イクメンという言葉も今では定着しています。様々な努力が実を結んだとうれしく思います。しかし出生数,赤ちゃんが生まれてくる数は,平成17年当時よりも約4パーセント,500人以上減っています。出生率が上がっても少子化はより進行するのです。現実は想像以上に厳しいのです。今考えられることを,できることを全ての人が理解し,協力し,実行していかなければ,ほんの少し先の未来で日本全体が大きくつまずいてしまいます。既に全ての日本人にとって人ごとではなくなっています。 本年6月に政府がまとめた経済財政運営と改革の基本方針2017,いわゆる骨太の方針では,幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消に向け,財政の効率化,税,新たな社会保険方式の活用を含め安定的な財源確保の進め方を検討し,年内に結論を得るとされています。この12月には,政府の肝いりの子育てプランが発表される予定です。 そこでお伺いいたします。今回の国の施策をどのように把握し,また現在必要な措置をどう要望されるのか。そのうえで,京都市の平成30年度予算をどう編成していくのか。今月の20日には国への要望に市長自らが行かれたとお聞きしています。そのときの対応も含め,お聞かせください。 また,一方で今現在抱えている問題の中でも,すぐに対応しなければならないことにしっかり目を向けることも大切です。昨年の子供の貧困調査を基に,本年7月に調査をされた
児童養護施設退所者の詳細なアンケートにより,その実態が明らかになりました。
児童養護施設は原則的には18歳までで退所することになりますが,それによると,施設退所後の子供たちは,相談相手がいないため,住民票の取得や健康保険の加入もできていないことなどが分かりました。先日開かれた
教育福祉委員会でも,施設などと連携して,きめ細やかな対応をしていくとのことでしたが,具体的にどのように対応していくのか,市長のその決意をお聞かせください。 次に,文化庁の全面的な京都移転についてお尋ねします。文化庁は,昭和43年に設立された政府機関であります。京都市では,昭和60年代より国に対し,
文化学術機関の移転を要望してきました。そのことを御理解いただいた河合隼雄先生が文化庁長官をお務めになられた際,小さな部屋ではありますが,京都市に長官の分室が設置されました。このことが新たに動き出したのは,地方創生という言葉が政策として政府によって作られてからであります。しかし,当初はかなり厳しい状況でありました。 現実味を帯びたのは,オール京都で平成28年1月に要望活動を行ったときからだと思います。当時議長であった私も同行し,安倍総理,当時の
馳文部科学大臣,
石破地方創生担当大臣などに直接要望を行いました。京都の文化力,底力を見せることができ,その結果同年3月には,文化庁の全面的な移転が決定されるに至りました。余り感じておられない方もありますが,この意義は大変大きいものです。それは明治維新によって150年前に近代日本政府が出来上がって以降,常に中央集権国家を創ってきた日本が,初めて政府機関を東京から離すことを決断した一大事であると考えています。日本で初めて,真の意味の地方分権が決断されたのです。 しかし,市民の中には,国の機関が移動するだけなので,国においてしっかり措置するべきであり,京都市は何もしなくてもよいとの意見もあります。また,本年7月に決まった移転先である現在の府警本部も,府の建物であるので府が建て替えればよいのであって京都市が関わる必要がないのでは,あるいは,関わるとしても,その借上げ費用はどうなるのかといった疑問もあることは事実です。そうであるならば,本市は一体何をするのでしょうか。 私は,この文化庁の京都移転は,これからの国の形を変える試金石であると考えています。それは,このまま東京一極集中が続けば,先ほどの調査では,2030年頃には東京郊外ですら
ゴーストタウンが広がると予想されているからです。今のままでは,日本全体が破滅への道をたどることになると考えています。つまり,このことに対して,国も,京都府も,京都市も大変大きな責任を背負ったのだと思います。国,府,市が連携すること,それは同じことを案分するだけではないと思います。できることをそれぞれが全力で取り組む必要があるのではないでしょうか。 一方で,政府の方針ではGDP600兆円への挑戦をするとされており,その中心は文化であるとも言われています。また,来年度の文化庁の予算や人員の増加も大きく見込まれており,まだまだ十分ではありませんが,京都市にとって,大きなチャンスが目の前にある状態とも言えます。今すべきことは,文化行政を机上の文化行政から地に足の着いた文化行政へと変えていくことだと思います。そのためにも,直接行政を担う京都市の役割は,私は最も大きいと考えています。 市長は,多くの場所で,文化を中心に政策を融合し様々な事を進めていくと話されています。先の市長総括質疑では,我が会派の橋村議員が尋ねられましたが,私としては,今後,文化を中心とした局再編をにらみ,京都市の総力を結集する必要があると考えています。この一大事に,京都市は一体何をするのか。文化をあらゆる政策の基軸に捉えた取組を一層進めていくべきと考えますが,市長の決意をお聞かせください。 次に観光政策についてお伺いします。現在京都の観光は大変好調であります。平成28年
京都観光総合調査によると,昨年の観光者数は5,522万人でありました。また,観光消費額は1兆862億円と目標を4年前倒しで1兆円を超え,宿泊者数は過去最高の1,415万人であり,特に外国人は2年連続で300万人を超え318万人となっており,堅調な状態を維持しています。そのおかげもあり,ホテルの建設も増え,地元建設業にも堅調な民間の需要があります。また,不動産の売買も好調で特に中心部では大きく地価も上がっています。 今後の展望として,2019年
ラグビーワールドカップ,2020年オリンピック・パラリンピック,2021年
関西ワールドマスターズゲームズ,そして2025年大阪での万博の開催などが期待されるなど,ビッグ・イベントが目白押しであります。また先にも触れましたが,文化庁移転を機に,国の政策でも,文化をいかし観光を飛躍的に伸ばしていくことになっているなど,これからしばらくの間は,観光への需要は大きいものが続くと予想されています。 しかし,全体は好調であっても,部分的に見れば,外国人は増えていますが,国内からの観光者数は近年減少傾向が続き,ここ2年で400万人以上減少しております。また,海外の旅行雑誌では,評価を上げた国や評価を下げた国もあります。そして,外国人客の急増により,市民生活に支障も出ており,現状でも市民には大きな不満があるのも事実です。 さらには,観光関連の法人税収は少なく,昨年度は8億円と市税全体の0.3パーセントにすぎません。さきの9月市会で宿泊税の導入を可決しましたが,そのことについては大きく評価をしています。これをいかに有効に使うかは今後大変重要になってくると思います。 観光は京都にとって不必要なのでしょうか。そんなことを言われる方はありません。また,これからの日本において,観光産業に力を入れ基幹産業に育てていくのは必須であると考えています。それは,今後最も成長が見込める産業とも言われているからだけではなく,
人口減少社会において,その不足分を補っていかなければならないからです。このまま少子化への対策がうまくいかず,人口減少が進んでいく社会であるならば,今後移民を受け入れるのかどうかの議論は避けては通れないのです。現状でも人手不足は深刻で,先日の16日には
日本商工会議所も就労ビザの緩和を求めておられます。 しかし,今多くの
外国人観光客を受け入れている京都市において,様々な不安や課題が出ています。これらを解決することもできないようなら,移民を受け入れていくことには大変な大きなあつれきを生んでしまうと考えられます。今しっかりと観光を基幹産業にしていく中で,その課題や問題点にも対応していくべきだと考えます。 そこで,好調な今こそ詳細なニーズ調査をするべきだと考えています。特に,京都に来られた方だけでなく,減少傾向にある観光に来られなくなった近隣の方からや,また日本や京都に興味を持っておられるが,来日されていない外国人の方にどんな障害があるかなど調査をすべきと考えますがいかがですか。 さらに,私が14年前の代表質問でも指摘した夜の観光については,いまだに不十分であります。喫緊ではアートアクアリウムや映画村の太秦江戸酒場の取組があると思いますが,それは通年のものではありません。東京のはとバスの取組なども参考に,民間の知恵を後押しし,点を線へとつないでいくべきだと思いますが,この解決にどう取り組まれるのかお聞かせください。 次に自転車政策についてお伺いします。本市では,自転車が大変多く使用されています。それは,市内中心部では坂も少なく自転車での移動に適しているからです。さらに,学生のまちであるため,学生にとっても大変貴重な移動手段として使用されています。また,近年では,特に西欧人の方が観光などでも多く利用されています。自転車での観光にはまだまだ可能性があると考えています。うまくいけば,バスの混雑の解消にもつながるでしょう。今後その可能性も探っていく必要があると考えていますが,そのためにもその安全性が問われていると感じています。 現在の京都市は,自転車政策の先進都市であると思っています。これまでから,様々な取組をされてきましたが,違法駐輪対策については大きな結果を出していると感じています。さらには,
自転車安心安全条例の制定,保険の義務化は全国に先駆けて進めてこられました。そして,「きょうからサ道,はじめます」,いわゆるサイクル道を極めるという斬新な
パブリックコメント募集を経て,平成27年3月には京都・新自転車計画が策定されています。この計画では,見える化をキーワードに,
自転車走行環境,ルール,マナー,そして自転車の駐輪環境の整備等に取り組まれています。今後は,自転車がいわゆるサ道,左側走行することを徹底させるとともに,自転車が歩道ではなく,車道を走行するような環境整備が重要だと考えています。 京都市では,平成28年10月に
自転車走行環境整備ガイドラインを策定し,京都の景観にマッチしたベンガラ色の路面標示が市内中心部に目に付くようになってきています。その一方,以前,国道に国が整備された五条通では,
自転車専用道の
表示デザインや色はそのままの状況であり,また,堀川通を境にして全く形状の違う
自転車専用道が整備されています。さらには,京都市が整備した道路においても,七条通や堀川通,御池通では意匠や形式が異なっております。あるいは,二条城の南側,押小路通では,駐車車両を規制するために作られたせいか,起点と終点が分からず危険な状態であります。 今後は,市内をより安全快適に自転車が走行できる環境を創出するためには,国や府にも働き掛け,市道はもちろん,国道においても
表示デザインや色の統一を図るべきと考えています。国,府,市が連携した今後の
走行環境整備の方向性について,国との協議状況も含めお答えください。 さらに,安全を確保していくためには,子供たちへの教育は大変重要なものだと考えています。自転車のルール,マナーを中心とした
自転車安全教育について,京都市は,全ての小学校で
自転車安全教育を実施するなど,全国でもトップクラスの評価を受けていると聞いています。今後は,自転車の乗り方,さらにはルール,マナーの学習を常設の場で定期的に開催することが重要ではないかと思います。 北区にある大宮交通公園は,開設後半世紀以上が経過し老朽化がかなり進み,北消防署の移転を契機に再整備する方針であり,8月にあった
都市緑化審議会の答申では,同公園の
交通学習ゾーンに自転車の安全教育を中心とした新たな交通学習施設として整備すべきとの答申が出されたと聞いています。是非,
自転車安全教育の拠点となる,京都ならではの
サイクルセンターを整備すべきと考えますが,市長の決意をお聞かせください。 江戸時代の
儒学者佐藤一斎は,「言志四録」の中でこのように述べられています。「赤子の一啼一咲は,皆天籟なり。老人の一話一言は,皆活史なり」,赤ちゃんの泣き笑いは天からの贈り物であり,お年寄りの話は全て生きた歴史であるという意味です。正に全ての人がそれぞれに役割があり必要だと思います。一億総活躍社会に向けて,しっかりと取り組んでいかなければなりません。人ごとではなく,それぞれが持てる場所で活躍していく。国,府,市,市民が力を発揮してこそ,初めて国難は乗り越えられます。そして難しい局面こそリーダーの資質が問われていると思います。市長の積極的な答弁を求めて,私の質問を終わります。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 まず,今日最も重要な課題であります少子化対策についてでございます。
幼児教育発祥の地である京都市では,地域で子供を育て大切に輝かせる伝統がございます。この伝統を引き継ぎ,更に発展させるため,私は就任以来,保育園,幼稚園など多くの関係者の御協力の下に約5,500人の保育園の受入枠の拡充や幼稚園の預かり保育の充実による4年連続の待機児童ゼロの達成,国基準を大幅に上回る保育士の配置や処遇の改善など質と量の両面で,子育て,
教育環境日本一に向けた取組を着実に進めてまいりました。 こうした中,国において
幼児教育無償化を含めた
人づくり革命の実現に向けた
政策パッケージが重要な施策として検討されております。幼児期は人格形成の基礎を培う大切な時期であるため,私自ら大臣をはじめ関係者に国の責任において幼児教育,保育の無償化などについて真摯に訴えてまいりました。引き続き国の動きを注視しながら,適切な時期に的確に対応できるよう全力を傾けてまいります。今後とも,
人口減少社会の克服の大きな礎となる京都市ならではの子育てと人づくりの伝統を発展させ,保育,教育の担い手の確保に努めるなど,京都で子育てをしたいと実感していただけるまちづくりを進めてまいります。 次に,
児童養護施設を退所した子供,若者への支援についてでございます。本市独自の実態調査の結果,施設退所後も頼る者が少ないなどの状況が明らかとなったため,今年度,相談窓口の拡充や退
所者交流事業等の取組を進めてまいりました。孤立した状態にあり様々な困難を抱える施設退所者一人一人に寄り添いきめ細かな支援を行うためには,関係機関,地域と一体となって進めることが何より重要であります。このため,来年度に向けまして,養護施設へのコーディネーターの配置を検討するなど,更なる支援の拡充を図ってまいります。 次に,文化を基軸とした市政運営についてでございます。文化庁の京都への全面的な移転は,東京一極集中を打破するとともに
文化芸術立国を実現するという画期的な
国家プロジェクトでございます。その実現のため,国において文化庁の体制と予算を大幅に拡充していただくと同時に,地元京都にとっても都市格の向上や将来の発展に大きくつながるものであり,京都もその目的の達成へ大きな責任を負っていかなければなりません。本市も府と一体となって庁舎整備に取り組むなど移転要望の際にお約束した文化庁の受入れに対する地元としての協力について誠実に実行してまいります。 京都への全面的移転を契機として,新・文化庁においては,観光,ものづくり,教育,福祉などとの連携を重視されております。本年4月に発足した
文化庁地域文化創生本部におきましても,松坂事務局長を先頭に多くの職員が京都の生活文化をはじめ
文化関係団体等との関係を深められ文化芸術に日常的に触れられており,そうした中で,国の文化政策が検討されるという文化芸術の深まり,また,移転の効果に私自身手応えを感じております。 そうした中で,文化庁と共同で実施した
東アジア文化都市や大政奉還150周年
記念プロジェクトなどでは,国際交流や観光など多様な分野との融合により,大きな成果を挙げることができました。今後は京都市立芸術大学の移転なども関連させて,より幅広く波及させていきたいと考えております。 本市では,文化を政策の基軸として,京都の最大の強みである文化力をあらゆる政策分野と連携させ,総合的な施策展開を図っていくため,本年4月に私を本部長とする「文化首都・京都」
推進本部会議を設置するとともに,
文化芸術都市推進室を文化市民局の筆頭部署に据えました。引き続き,文化首都・京都にふさわしい執行体制について,不断の点検,見直しを行い,日本の地方創生を牽引する役割をしっかり果たすと同時に,来年6月に創立50周年を迎える文化庁と緊密に連携し,これからの50年100年後にも息づく新しい時代の文化政策を京都の総力を結集して展開してまいります。 次に,自転車政策についてであります。本市では,平成27年3月に策定した京都・新自転車計画に基づき,自転車政策の見える化をキーワードに,矢羽根などの路面表示を車道の左側に明示し,見てわかる
走行環境整備を進めるなど,ルール,マナーの周知徹底を図るなど,様々な施策を総合的に推進してきております。
自転車走行環境整備につきましては,昨年10月に策定したガイドラインに基づき,京都御所周辺等の都心部を中心に整備を推進し,今年度末にはガイドライン策定以前の整備も合わせまして約76キロの
走行環境整備が完了することとなります。 津田議員御指摘の,国が管理する道路につきましては,平成26年度に整備された五条通の堀川通から西大路通間における自転車道では,本市による整備と同様のベンガラ色で塗装されたところであり,今後予定されている国道での走行環境の整備においても,引き続き,国としっかりと協議し,歩行者,自転車利用者にとって分かりやすい統一感のあるものとなるよう取り組んでまいります。 次に,
サイクルセンターにつきましては,
都市緑化審議会の答申を受けまして,半世紀にわたり市民の皆様に親しまれてきた緑豊かな大宮交通公園の理念を踏まえつつ,誰もが自転車と触れ合え安全な乗り方をいつでも楽しく学べる施設として大宮交通公園内に整備してまいります。この
サイクルセンターが,民間のノウハウや活力をしっかりといかして全国の先進モデルとなる
自転車安全教育の拠点となるよう,北消防署の移転を視野に,平成32年度中の開設を目指してしっかりと推進してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 観光政策についてでございます。本市では,観光客の動向,満足度やニーズ,課題等を把握するため,
京都観光総合調査として,入洛客に対し大規模なアンケート調査を行ってまいりました。この調査で得られたデータを基に詳細な分析を行い,観光客の満足度の向上には,京都ならではの食や文化等の魅力をいかした,ほんまもんの体験型観光の充実が重要であることなどが明らかになってまいりました。津田議員の御指摘を踏まえまして,新たなお客様の開拓,リピーターの確保のために,更に調査の充実を図り,観光協会と共にマーケティングをより戦略的に進めてまいります。夜の観光につきましては,京都・花灯路をはじめ,近年増加した寺院等の夜の特別公開,ライトアップ事業のほか,夜の座禅や茶会,さらには,せりふのない演劇,ギアが人気を集めており,これまで市民や民間事業者,関係団体の皆様と共に進めてきた新たな魅力づくりが実を結びつつあると感じております。一方で,一年を通して楽しめるコンテンツとしては,舞妓の舞などが楽しめるギオンコーナーがあるものの,観光客のニーズにまだ十分には応えられていないと認識しております。引き続き,民間事業者等と積極的に連携し,年間を通じて,文化,芸術鑑賞や伝統芸能を体験できる機会の創出,民間バスが実施する夜のツアーの充実,さらには,夜観光のホームページの創設などに取り組んでまいります。今後とも,大人から子供まで安心して楽しめる夜の京都の魅力を創造し,京都にお越しいただく観光客の満足度を高めますとともに,新たな顧客層も誘致できるよう積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
山本恵一議員に発言を許します。山本議員。 〔
山本恵一議員登壇(拍手)〕
◆(
山本恵一議員) 北区選出の山本恵一でございます。津田大三議員に引き続き,
田中たかのり議員と共に,自由民主党京都市議団を代表いたしまして質問させていただきます。 初めに,地球温暖化対策についてお伺いいたします。平成9年,ここ京都の地において,いわゆるCOP3が開催され,地球温暖化対策に関する人類史上初めての国際的な約束である京都議定書が採択されました。この議定書は,平成27年,新たな地球温暖化対策の枠組みとなるパリ協定へと大きく飛躍し,人類は新たなステージの地球温暖化対策に挑むこととなりました。 パリ協定の誕生に当たっては,国際的な専門家,研究者による組織で,地球温暖化対策の展開にも大きく影響を与える国連の気候変動に関する政府間パネル,いわゆるIPCCの研究成果が前提となっています。平成26年に公表されたIPCCの第5次評価報告書を受けて,パリ協定では,今世紀後半の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標として掲げており,その実現のために,とりわけ,全世界の人口の半数を占め,炭素排出量の75パーセントを占めるとされる都市においては,これまで以上に踏み込んだ地球温暖化対策が求められております。 また,トランプ大統領が連邦政府のパリ協定からの脱退を宣言したアメリカにおいて,多くの都市がパリ協定の目標達成に向けた努力を継続する旨を表明したように,地球温暖化対策における都市の役割や主体的な取組が重要性を増すとともに,大きな期待が掛かっております。 こうした中,本市が12月10日,国立京都国際会館で開催する地球環境京都会議2017では,温暖化対策において世界をリードする都市等が集い,パリ協定の実現に向けて更なる温暖化対策の重要性とその実施に向けた決意を共有するとともに,環境と調和した持続可能な都市文明のあるべき姿を含めた2050年の社会像をも盛り込んだ京都宣言を取りまとめることとしております。 また,本市では,パリ協定の実現に向けて,今世紀後半の温室効果ガスの実質排出ゼロを目指して取組を始めていますが,これが地球規模での取組となるように本市がリードしていくためには,京都宣言の理念について,まずは市民の皆様に十分理解していただき,本市が率先してしっかりと取組を進めていく必要があります。そのうえで,世界中の都市にも共感していただき,連携して温暖化対策を強化していただくことが重要であると思います。 そこで,今後,京都宣言の理念の活用,発信も含め,どのように地球温暖化対策の都市間連携を進めていかれるのかをお聞かせください。 次に,医療と介護についてお伺いいたします。京都市でも,2025年には65歳以上の高齢者の割合が30パーセントを超え,75歳以上の後期高齢者が市民の5人に一人となることが見込まれております。こうした中,国においては,2025年をめどに,可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように,地域の包括的な支援,サービスの提供体制,すなわち地域包括ケアシステムの構築を推進しております。そして本市においては,京都市民長寿すこやかプランを策定し,京都ならではの地域力を最大限にいかして,高齢者自身を含む地域住民,医療と介護をはじめとする関係機関,行政が一体となって,地域ぐるみで高齢者の暮らしを支援する京都市版地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を一層推進することとしております。 さらに,今年6月に公布された介護保険法等の法律改正においても,第一に地域包括ケアシステムの深化,推進が掲げられ,喫緊の課題となっております。私も長い間,母の介護をしてきて,当時の実体験からも,在宅での介護はなかなか難しいものでありました。このため,地域包括ケアシステムの深化,推進を心から望む一人であります。 そこでお伺いいたします。高齢者がその人らしい生活を住み慣れた地域で続けていくためには,訪問診療を行う開業医,急変時の一時受入れを行う病院,訪問看護を行う訪問看護ステーション,ホームヘルパーやデイサービスを行う介護サービス事業所などの医療や介護をはじめとする様々な専門職の連携による支援が必要となってきております。しかしながら,専門職の連携に当たっては公的な連携システムが構築されておらず,個々の専門職が個別に連携を図っているというのが実情だとお聞きしております。 こうした中,国においては,平成27年度の介護保険制度改正において,地域支援事業の充実の柱の一つとして,在宅医療と介護連携の推進を掲げ,平成30年度中に各市町村において実現に向けた取組を進めることを求めているところであります。 本市においては,今年度,地域における在宅医療,介護関係者の連携体制を構築して,在宅療養者に対する円滑な支援を実施することを目的とした在宅医療・介護連携支援センターをモデル的に設置することとしておられますが,その進捗状況はいかがでしょうか。 あわせて,この支援センターの今後の方向性について,どのように考えておられるのかをお聞かせください。 次に,来年4月に開校する御所東小学校についてお伺いいたします。去る10月31日,北区の紫野小学校と楽只小学校の統合を求める要望書が両学区PTAから教育委員会に提出されました。本市教育は,明治2年の番組小学校を原点としますが,昭和56年度を境に児童生徒が減少し,地元主導の京都方式による学校統合が進められてきました。明治期の番組小学校づくりと同様に,地元の人々の熱いエネルギーによって最新の教育ニーズに対応した学校が新しく生み出され,これまでに72の小中学校が19校に統合されてきたところであります。そうした統合校で,先導的に進められた学校運営協議会や小中一貫教育の取組は,その後,全市展開されて,家庭,地域が緊密に連携した開かれた学校づくりとして,京都市全体の教育の活性化,さらには,地域コミュニティの活性化にもつながってきました。 一方,児童数減少によって小学校5校が統合し,平成7年に開校した御所南小学校においては,学校運営協議会を核とした地域ぐるみの教育活動や京都御池中学校との小中一貫教育への評価,また,社会,経済状況の変化による都心回帰の傾向などによって,開校当初662名であった児童数が平成11年度からは増加に転じ,今年度1,200人を超えるまでになり,来年4月には御所南小学校から分離した新設校,御所東小学校が一旦閉校していた春日小学校跡地において開校する運びとなっております。通学区域となる春日学区,銅駝学区におかれましては,この間,地元の方々による開校準備会において新設校の教育構想やPTA,学校運営協議会の在り方,通学路安全対策などが熱心に議論されるなど開校に向けた地元関係者の期待は高まっておりますが,同時に,御所南小学校の児童数増加によって分離,新設に至った経過も踏まえると,予測困難な時代と言われる中で,市内中心部の人口動態には今後とも十分留意しながら,学校統合をはじめとする教育政策を進めていく必要性を感じるところであります。 そこでお伺いします。来年4月開校を間近に控えた御所東小学校においては,全市を先導し,またそれが全市的な教育内容の向上につながるような教育構想,特色を持った教育活動を展開していただきたいと思いますがいかがでしょうか。 あわせて,今後の御所南,御所東両通学区域での児童数の見通しや,更に児童数が増えた場合の対応についても十分想定しておく必要があると思いますが,御認識はいかがでしょうか。 次に,農林業の災害復旧についてお伺いいたします。先月10月22日から23日にかけて,日本列島を通過した台風21号によって,市内の農業や林業にも大きな被害をもたらしました。特に,北区の上賀茂,大宮地域で栽培が盛んな京都特産の野菜である軸の太い九条ねぎやすぐき漬けの原料となるすぐき菜が収穫を間近に控えた中,強風によって葉が折れたり引きちぎられている畑が数多く見られました。さらに,農業経営の安定化に欠かせないパイプハウスについては,骨組みが曲がったり軒並みビニールが破れるなど大きな被害を受けております。この台風の影響は,北区だけではなく,左京区大原や修学院でも被害が大きく,また市内各所でも,ほうれん草や水菜などの軟弱野菜,ゆずや柿などに被害が出ております。 また,林業においては,山の北向き斜面を中心に強風によって被害が発生したほか,森林整備の基幹施設である林道もふさがれており,現在,土砂や倒木の除去作業をしながら,被害状況の把握を行っているとのことですが,今年初めに雪害を受けたばかりの箇所で更に倒木があって,被災が拡大していると地元から深刻な声も聴いております。自然災害とはいえ,近年の豪雨,豪雪,暴風等による森林被害の状況を耳にすると,森林の持つ貯水機能や土砂の流失を防ぐ機能など,様々な機能の低下が現実のこととして危機感を感じております。 先般9月市会において,我が会派の井上与一郎議員の農林業振興の質問に対して,京都のブランド力をいかし稼ぐ農林業を展開していく,特に林業の再生については,採算性の高い持続可能な経営が行えるモデルの新たな構築に挑戦していくと心強い回答を頂いたところであります。しかしながら,今回のような自然の猛威の前に,農林業はなす術を持っておりません。農家や林家の皆様には,こうした災害に対して,諦めずに復旧していく前向きな気持ちを失わないでほしいと思っております。 そこで,お伺いいたします。今後,市内の農林家が稼ぐ農林業を実現していくためにも,農家や林家が希望を持って農林業の再生産に取り組めるよう,今回の災害に対して,京都市としても,京都府と協調してしっかりと支援をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか,お答えください。 次に,消防団についてお伺いいたします。近年,地震のほかにも台風の影響や大雨による土砂災害など多くの自然災害が後を絶たない状況にあって,地域防災の中核を担っていただいてくれている消防団員の方々への期待は一層高まっていると感じております。本市では,平成27年度以降,報酬制度の導入,通学者も入団できるよう条例を改正し,学生消防団活動認証制度の導入,若手消防団員が中心の消防団充実強化実行チームによる様々な活動等,消防団員の確保と充実強化に向けた取組を実施されてきております。さらに,消防団の組織運営をより一層推進する体制を整えるため,本年4月,消防局に消防団課を新設されました。その効果もあって,10月1日には左京消防団の充足率が100パーセントを達成し,市全体の消防団員数も4月と比べて40名増加しております。 市全体の消防団員数は,4,400名目前ではありますが,充足率は88.2パーセントであります。まずは,充足率90パーセント,消防団員数4,500名を目指していただくとともに,市内の各消防団が,いずれは左京消防団のように100パーセントを達成できるよう頑張っていただきたいと思っております。 消防団員増加の要因としては,ここ数年,学生や女性に入団していただいている点が大きいかと思います。特に北区においては大学のまちということで,学生の消防団員数が32名と市内で一番多く,北消防団楽只分団の学生は,大学キャンパス内での入団勧奨や地域行事への参加等,積極的な行動を行っていただいております。消防団の活性化のためにも,引き続き若者の入団促進に取り組まれる必要があると思います。 また,女性についても,様々な分野での活躍の場を広げておられることを考えると,女性が入団しやすく,やりがいが感じられる消防団にしていかなければならないと考えております。 門川市長は,常々消防団は京都の宝であるということをおっしゃっておられます。そこで,若者や女性を含めた今後の消防団の加入促進に向けた市長の決意について,改めてお伺いしたいと思います。 最後に,上賀茂神社前の御薗橋の架け替え工事について要望しておきます。既に下流側は新たな橋が架けられまして,今年9月末には新しい橋への交通切替えも行われました。現在,上流側の既存橋りょうの撤去等が進められております。この架け替え工事については,平成32年度末の完成を目指すと聞いておるところでございますが,今後とも重点的に予算を配分していただいて,完成目標年度が遅延することのないよう,着実な事業の推進に当たっていただくことを強く要望して私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
山本恵一議員の御質問にお答えいたします。 まず,地球温暖化対策についてであります。地球温暖化対策に関する人類史上初の国際的な約束である京都議定書が20年前ここ京都で誕生しました。国家間の利害が衝突し交渉が行き詰まる中,会期は1日延長され議論が深められました。そして1,000年を超えて自然と共生する京都市民の暮らしの文化やまちの姿が各国代表団の心を動かし,この歴史的合意を導く役割を果たしたとも言われております。私は,このことを大変誇りに思うと同時に,未来に対する大きな責任を感じております。このため,来る12月10日に開催いたします地球環境京都会議2017におきましては,京都議定書の意義を再認識し,20年間の成果と課題,さらにパリ協定実践への意義を改めて確認し,世界の都市の在るべき姿や都市間連携の重要性,そして持続可能な都市文明の構築に向けた都市の責任,決意を京都宣言として取りまとめ,広く国内外に発信いたします。 本市におきましては,この宣言の理念を踏まえ,市民,事業者の皆様と一体となった省エネ,創エネへの取組,産学公連携によるイノベーションの創出,自然と共生した生活文化の一層の定着などの取組を率先して展開するとともに,世界各都市における政策や成功事例の共有など国際的な都市間連携を通じて地球規模での温暖化対策をしっかりと牽引してまいります。また,山本議員御紹介のIPCC,気候変動に関する政府間パネルにつきましては,先般,中川環境大臣が再来年に開催される総会の日本誘致を表明されたことを受けまして,世界の温暖化政策の礎となるこの会議が是非ともここ京都で開催されるよう,関係機関とも協力し,誘致活動を進め,京都宣言の国際的な共有,浸透を図る絶好の機会となるよう取り組んでまいります。 次に,在宅医療・介護連携支援センターについてでございます。高齢化が進展する中,医療的ケアが必要になっても,できる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという高齢者の願いを実現するためには,訪問診療や急変に対応できる病院などの医療サービスとホームヘルプサービスなどの介護サービスのそれぞれの関係者が連携し,一体となって高齢者の在宅生活を支援することが不可欠でございます。現状では,山本議員御指摘のとおり,個々の医師やケアマネジャーの個人の力に頼っているため,本年12月1日に,地区医師会を実施主体として,下京区及び南区,そして右京区を対象エリアとする2箇所の在宅医療・介護連携支援センターをモデル設置し公的に支援していく取組を行ってまいります。センターには,在宅医療と介護の専門的な知識,経験を備えたコーディネーターを配置し,例えば,ケアマネジャーから医療的ケアを要する高齢者の相談をコーディネーターが受け,在宅診療医につなぐといった橋渡し役を行い,可能な限り在宅で療養いただける仕組みを構築してまいります。さらに,地域の現状をきめ細かく把握していく中で,的確に必要な情報提供を行うなど具体的な連携を進めてまいります。 今後,できる限り早期に全市域が対象エリアとなるようセンターを順次増設し,地域における在宅医療と介護との連携を推進し,京都市版地域包括ケアシステムを深化させてまいります。 次に,消防団の入団促進についてでございます。本市の消防団員数は,関係者一丸となった努力により,本年12月には10年ぶりに4,400人台となりますが,
山本恵一議員御指摘のとおり,高齢化への対応や地域コミュニティの防災力の維持強化の観点からも,若者や女性に重点を置いた消防団への入団促進の取組を更に進める必要がございます。その柱の一つである,若者の入団につきましては,学生の団員数は啓発の強化をはじめ各種の施策,特に通学先での入団を可能にしたことなどにより,この10年で4倍強の172名と大幅な増員となりました。 一方,女性につきましては,今年度から職業や地域に応じた活動に特化した役割を担う団員の入団を可能としたことにより,ラジオパーソナリティ団員や京北地域初の女性団員が誕生するなど,この半年で20名近い増員と成果が現れてきております。また,女性団員の発案によりまして,分団の枠を越えて活動する女性消防団員防火安全指導隊を創設し,秋の火災予防運動において,高齢者へのきめ細かな防火指導を実施するなど女性団員ならではの活動を広くアピールする取組も展開されてきております。 さらに,子供たちが消防団員との触れ合いを通じて,将来,消防団に入りたいと思ってもらえるよう,消防団員による少年消防クラブへの指導体制づくりにつきまして,現在関係者と調整を行っているところでございます。 今後も,若手を中心とした消防団充実強化実行チームをはじめ,各消防団の自主的で創意工夫に満ちた取組を全力でサポートしてまいりたいと思っております。消防団は京都の誇りであり京都の宝であります。消防団員の確保に向けまして,関係者と共に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 農林業の災害復旧についてでございます。この度の台風21号では,強風によって,収穫間近の野菜の葉折れなどの農作物被害のほか,多くのパイプハウスの損壊や,森林,林道沿いでの倒木など,約5億5,000万円にも及ぶ甚大な被害が発生いたしました。被害に遭われました農業者,林業者の皆様には,心からお見舞いを申し上げますとともに,経営の再開に向けて全力で懸命に取り組んでおられるお姿に接し頭の下がる思いでございます。本市といたしましても,直ちに職員が現地を回り,直接皆様の声をお聴きし被害状況の把握に努めてまいりましたが,山本議員御指摘のとおり,被害を受けられた皆様が生産意欲を失うことのないよう,早期かつ着実な復旧が何よりも必要でございます。そのため,本市では,災害復旧に対する補助率を特別に上乗せすることで,特に被害の大きかったパイプハウスの修繕に対する助成を充実させるなど地域に寄り添い農林業の被害の実情に即した支援をきめ細かく進めてまいります。あわせて,今般の農林業被害への迅速な支援はもとより,適切な間伐の実施や農業用水路の管理など農林業における常日頃からの災害防止対策にもしっかり取り組むことで,稼ぐ農林業の実現に向けた基盤づくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) 御所東小学校についてでございます。御所南小学校の児童数の増加を受け,地元9学区の代表の皆様による熱心な検討を経て,来春,春日小学校跡地に開校する御所東小学校では,教育への保護者,地域の皆様の期待にお応えするため,御所南小学校での教育実践を受け継ぎつつ,特色ある教育活動を展開してまいります。具体的には,特設の読解の時間での情報の読取りや的確な文章表現など読解力の育成を基盤に,1年生から実施する英語教育では,フィンランドの小学校との交流等を通して,英語でのコミュニケーション力等を育むとともにプログラミング教育や体力アップタイム,また,伝統文化を学ぶ体験活動など地域の皆様の参画を得た学習にも取り組んでまいります。こうしたカリキュラム開発の取組は,今年度から3年間の予定で,文部科学省から,全国を牽引する先導的実践研究の指定を受けており,開校後授業参観や公開授業,研究発表会等の機会を捉えて全市に発信し,こうした教育実践を,本市のそれぞれの学校での教育の充実にいかしてまいります。また,御所南小学校,御所東小学校の児童数につきましては,一時の大幅な増加傾向は収束し,ここ数年はおおむね横ばいで,今後も同様の見込みでありますが,一定の児童数増加にも対応できるよう,両校とも普通教室へ転用できるスペースを確保しつつ,今後とも児童数の推移には十分留意してまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
田中たかのり議員に発言を許します。田中議員。 〔
田中たかのり議員登壇(拍手)〕
◆(
田中たかのり議員) 右京区選出の田中たかのりでございます。津田大三議員,
山本恵一議員に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質問させていただきます。 初めに,京都で働きたいと思える環境づくりについてお聞きします。2年前の代表質問にて人口減少は京都経済の衰退の一因になると指摘し,門川市長から,「産官学の連携の取組,成長産業,中小企業への支援などにより京都経済の底上げを図る」と答弁がありました。また,京都市の人口の約1割に相当する大学生が市内で学び,その若者を地域活性化にいかすことができないかとも質問し,当時の塚本副市長から,「大学のまち,学生のまちであることは強みであり,福祉,経済,文化,防災などあらゆる面で大学が地域活性化の核になる取組を進める」と答弁がありました。この2年間もそれ以前からも,具体的に申すまでもなく,様々な取組をされてきたことは実感しています。しかし,京都市で学んだ学生が,卒業後,市内で働いているかというと,様々なマッチングを進めていただいているものの,必ずしもそう多くはありません。京都市で学んだ学生が市内で働き住み続けることは,人口流出を防ぎ人口増加にもつながり,京都経済にとってもメリットになることは間違いありません。 京都市同様,多くの学生が学ぶ福岡市では,IT,情報テクノロジーを市政に取り入れ,また,IT企業の拠点を誘致するなどにより,福岡市で働きたい若者が増え,人口が増加しているとのことです。 また,国においては,ITを応用し,技術革新によって,狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続く,新たな社会,ソサエティ5.0の実現に向けた取組が進められており,その中で,大学などにおけるその社会に対応できる人材育成も議論されているところです。 私は,京都経済の発展のため,京都市が取り組むべき分野は,若者が魅力を感じ,未来に当たり前になる産業,その一つが,IoT,AIなど,IT分野ではないかと考えます。 去る10月,京都商工会議所会頭をはじめとするメンバーが,IoTとAIの先進地カナダを視察され,IoT,AIの分野の市場が急速に拡大していることや,データ解析や人工知能の専門家が競争力の源泉となるため,技術革新には地元大学の存在が大変重要であるとの報道がありました。事実,コミュニケーションアプリを運営するLINEが,大学や研究所が集まる京都では優秀な技術者や技術者志望の若者を採用できるため,ここ京都に研究開発拠点を置くとの報道もあったところです。 そこで,お尋ねいたします。京都市で学んだ学生が市内で活躍し続けることは大変重要であり,そのために,京都で働きたいと思える環境づくりをどのようにするのか,また,若者を引きつけるIoT,AIをはじめとする先端テクノロジーに対して,どのように考えていくのかをお聞かせください。 次に,住宅宿泊事業法施行に伴う地域コミュニティ対策についてお聞きします。来年6月には,民泊事業の適正な運営を確保し,観光客の宿泊需要に的確に対応するために,住宅宿泊事業法が施行されます。京都市には,学区と呼ばれる地域活動単位があります。古くは,室町時代の自治組織,町組や明治時代の番組小学校の流れをくむ歴史のある学区もあり,その運営を担う自治連合会を含む各種団体の地域コミュニティでの活動は,現在の京都市の発展に大いに貢献してまいりました。しかしながら,近年,地域コミュニティの核となる自治会,町内会に入らない方や脱会される方がおられる課題があります。暮らしの中の不安を安心に変える人と人のつながりを形成する地域コミュニティは,京都市においても,今後の発展には欠かせないものであります。引き続き,自治会,町内会への加入促進をはじめ学区活動への支援を一層進めることは重要です。 そんな中,自治会,町内会の新たな課題として,民泊の事業者にどのように対応し,地域ルールをどう伝えればいいのかと不安を感じるとお聞きします。京都市における民泊は,単に宿泊施設の不足を補うものではなく,市民と観光客の安心安全を確保するとともに,地域と調和し,京都らしいおもてなしが可能となるような,良質な宿泊施設としていくことが重要です。また,民泊が法や今後制定される条例等の京都市のルールにのっとって適正に開設,運営することは当然ですが,民泊事業者,宿泊観光客と周辺住民との間でトラブルが生じないことはもちろん,事業者が地域の一員としてどのように共存していくかが課題です。 そこで,お伺いします。良質な民泊が地域に溶け込み,地域が事業者との関係づくりを進められるように,自治会,町内会等へ京都市がどのように寄り添って安心安全を構築されるのかをお聞かせください。 次に,住宅の省エネ化への対応についてお聞きします。本年4月から,300平方メートル以上の新築住宅について,建築物省エネ法に基づく届出が始まりました。今後平成32年までに,全ての建築物について省エネ基準への適合を義務化する国の方針が示されています。このことは,地球温暖化が叫ばれる中,我が国のエネルギー需給を見ると重要な政策であり,着実に進めるべきです。 毎年,京都市では約3,700戸の戸建住宅が新築されます。その中で,省エネ基準を満たす住宅の多くは,ハウスメーカーや大手工務店によるものと聞いています。国土交通省のホームページによると,戸建て住宅における省エネ基準適合率について,年間150戸以上の建売り戸建て住宅を供給する事業者が約9割であるのに対し,年間4戸以下の事業者では約4割しか対応できていません。そうしたことから,国は,省エネ技術の修得を目指す中小事業者に向けて,各都道府県で設計者や施工者を対象にした講習会を実施し,受講された方からは非常に分かりやすいとの声がある反面,受講者数は,全国でも目標値の5割程度,京都府下では4割強にとどまり,更に受講者を増やしていくことが課題となっています。 一方,京都市では,既存住宅の省エネ性能の向上を推進するため,平成26年度から既存住宅の省エネリフォーム支援事業に取り組まれ,まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業と同様,市内事業者が施工することを条件とし,中小事業者の仕事興しや雇用による経済効果にもつながっていると聞いています。 そこでお伺いします。住宅の省エネ化の全面義務化まで残り3年となり,市内の中小事業者から,「現時点で省エネ基準を満たした住宅を確実に施工できるのは大手ハウスメーカーが中心で,我々には,まだ技術的な不安がある。このまま義務化されると,仕事のほとんどが大手ハウスメーカーに集中しかねない」との声も聴いていますが,京都市では,現状をどのように把握されているのか,また,現時点での取組及び今後の施策についてお聞かせください。 次に,上下水道の防災,危機管理の取組についてお聞きします。上下水道局では,現在,平成30年度からの次期経営ビジョンの策定を進められています。市民の節水意識の高まりや節水機器の普及などにより水需要の減少が続く一方で,昭和の高度経済成長期に整備された施設や管路の老朽化が進み更新の時期を迎えるなど厳しさを増す経営状況の中で,持続可能な経営に向け,事業の効率的な推進が課題となっています。こうした中でも,市民の命と暮らしを守るため,防災,危機管理対策は,おろそかにすることなく取り組む必要があります。 本年7月,産業交通水道委員会の他都市調査で熊本市を訪問しました。熊本市は,昨年4月の熊本地震によりライフラインに大きなダメージを受け,京都市も含めた多くの自治体が応急給水や復旧作業の支援に行かれました。話を聞くと,災害への備え,施設の強靭化と,他都市との連携も含めた機動的な体制づくりが重要であると改めて認識したところです。 一方,京都市においても,先日の台風21号の際,暴風により,北部山間地域において大規模な停電が発生しました。水道,下水道については,応急給水や施設の復旧に迅速に対応され,市民生活への影響を最小限にとどめていただきました。日頃から災害に備え,しっかりと準備をされていることの成果だと考えます。今後も,いつ何時に起こるかもしれない災害が京都市を脅かす事態に備え,防災,危機管理の取組はこれまで以上に充実,強化が必要です。厳しい経営環境は理解しておりますが,効率的かつ効果的な取組が必要です。 その意味においても,京都市内北部エリアにおける事業,防災の拠点として本年7月にオープンした太秦庁舎は,営業所,水道,下水道管路の維持管理部門を集約して配置し,1階部分を店舗として有効活用をするなど機動的かつ効率的な取組であるとともに,経営面においても効果的な施設です。市民の意見募集を実施された次期経営ビジョンの骨子案においては,危機管理の在り方を構築し,災害に強い施設整備や体制の強化を進めるとあり,9月の代表質問においても市長からも答弁がありましたが,北部エリアの太秦庁舎に加え,南部エリアを所管する事業,防災拠点を整備するとうたわれています。 そこでお伺いします。厳しい経営環境の中でも,上下水道事業の防災,危機管理対策は着実に進める必要があると考えますが,今後,どのように取り組まれるのかお聞かせください。 次に,地下鉄・市バスの更なる増客についてお聞きします。平成28年度の地下鉄のお客様数において,1日5万人の増客目標を2年前倒しで達成され,この間,増客に向けた取組を全庁体制で進められたことは評価いたします。しかしながら,今後,少子化が進み,人口減少は避けられず,地下鉄・市バス事業を取り巻く経営環境はますます厳しくなります。さらに,地下鉄事業は,多額の設備更新費用に加え,烏丸線車両の更新が必要となり,市バス事業も,今後10年間で500両を超える車両更新が必要となるなど,両事業とも今後の財政見通しは楽観できません。市民の足である地下鉄・市バスを守るためにも,現状に甘んじることなく,更なる増客が必要と考えます。 京都市は,東西南北に走る地下鉄を軸として,市内中心部から周辺部に細かく張り巡らされた市バス路線網が重なり,これに民間鉄道,バスが合わさることにより,公共交通の広域ネットワークをより堅固なものとしています。私は,地下鉄・市バスの更なる増客のためには,このネットワークを構成する事業者が一丸となり,全体での利用促進を図る必要があると考えます。 市長は,新たに,3年後の平成31年度までに地下鉄・市バスお客様1日80万人という非常に高い目標を設定され,達成に向け,京都市地下鉄・市バスお客様1日80万人推進本部の取組を進めるとともに,今年度,新たに「チーム『電車・バスに乗るっ』」を設置され,地下鉄と市バスのネットワークをいかした公共交通利用の促進を目指しているところであり,また,メンバーには,民間交通事業者も参画していると聞いています。 そこで,お伺いいたします。地下鉄・市バス両事業とも,今後の財政見通しは決して楽観できない中,今後も,地下鉄事業における安定経営,市バス事業における一般会計に頼らない自立経営を守っていくためには更なる増客が必要であると考えますが,地下鉄・市バスお客様1日80万人の増客目標達成に向けた現在の取組状況と決意をお聞かせください。 また,地下鉄,市バス,民間事業者との連携の下,公共交通のネットワークを張り巡らせていただいておりますが,公共交通不便地域が存在することも事実であります。しっかりと地域住民の声を聴いていただきたいと思いますが,いかがお考えでしょうか。 次に,西京極総合運動公園の活用について要望いたします。2018年に平昌で冬季,2020年に東京で夏季オリンピック・パラリンピックが開催されます。フィギアスケートやBMXフリースタイルパークの中村輪夢選手など京都市出身のメダリストが期待されています。京都市としても,何らかの支援をお願いしたいと思っています。 さて,西京極総合運動公園ですが,地域の皆さんの温かい御協力の下,2回の国民体育大会,全国女子駅伝,高校駅伝,三つのプロスポーツの本拠地として京都市のみならず,日本のスポーツ文化に大いに貢献している施設かと思っています。近年,大きな整備も進めていただいておりますが,市民からは,他都市と比べると全体的に見劣りがするとの声も聞かれるのが現状です。平成28年度の休日の利用率は高いものの,平日は低く,更なる活用も考えることが重要だと考えます。これまで以上に市民の集まる誇りある総合運動公園となれば,市民からの寄付やスポーツ産業として収益を生む可能性も考えることができます。 そこで,西京極総合運動公園の更なる魅力向上のため,新たな活用策として,約2万人を収容できるわかさスタジアムでのコンサートや西京極総合運動公園全体を活用した花火大会など,スポーツの枠を超えた文化イベントには関係機関との調整も必要ですが,活用を考えていただきたいと強く思っております。 最後に,七条通の拡幅について要望いたします。七条通の葛野大路通と大門町のバス停付近の間は,七条通の中で最も道幅の狭い区間です。昭和32年の都市計画決定から半世紀以上がたちました。平成28年3月に京都市会において請願を採択し,平成29年3月に,今後,事業を実施する路線に選定もいただきました。関係機関全てにおいても安全に対し注意喚起はしていただいておりますが,大変危険な状況に変わりはありません。一日も早く安全な道路にしていただくよう強く強く要望し,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 まず,上下水道事業の防災,危機管理についてであります。本市では,節水型社会の定着等により水需要が減少を続けており,こうした厳しい経営環境の中でも,地震や局地的豪雨等の大規模災害の発生に備え,老朽化した管路や重要施設の改築更新と耐震化,雨水幹線の整備等に着実に取り組んでまいりました。また,緊急時における応急給水や復旧作業を迅速に行うため,水道,下水道の維持管理部門を集約した防災拠点の整備を進めており,田中議員御紹介のとおり,本年7月には市内北部エリアを所管する太秦庁舎を開庁いたしました。平成30年度からの次期経営ビジョンにおきましても,新山科浄水場導水トンネルをはじめとする基幹施設の改築更新や浸水対策等の着実な推進を掲げるとともに,市内南部エリアにおける事業,防災拠点を地下鉄十条駅の西に位置する上下水道局資器材・防災センター用地に整備することといたします。 今後一層厳しさを増す見通しでございます経営環境を踏まえまして,南部エリアの新たな拠点には,水道・下水道の事業所を集約するとともに,上下水道局の本庁機能を移転することにより,業務執行体制の効率化や財政基盤の強化を図ってまいります。 また,京都駅近くの本庁舎の跡地活用の在り方につきましては,京都駅東南部エリアの活性化方針に基づき全庁的に検討を進め,京都全体の活性化につなげてまいります。 市民の皆様の命と暮らしをしっかりと守るため,災害に強い強靭な水道,下水道の整備と,万全の危機管理体制の構築を全力を挙げて取り組んでまいります。 次に,地下鉄・市バス事業の増客についてでございます。田中議員御指摘のとおり,今後,大規模な設備更新を控える地下鉄・市バス両事業共に財政状況の見通しは非常に厳しく,引き続き徹底した経費節減に努めることはもとより,利便性の向上による更なる増客,歩くまち・京都,公共交通優先の取組の市民ぐるみの広がりなどが今後の経営上の最大の柱であると考えております。 地下鉄・市バスお客様1日80万人達成に向けては,全庁体制の取組を進めるとともに,今年7月に設立しました「チーム『電車・バスに乗るっ』」では,JR西日本と連携して,地下鉄市バスを組み合わせた移動時間が短い観光ルートのPRを行うなど,民間と行政が共に汗する共汗で,公共交通の利用促進に取り組んでおります。 さらに,利便性向上を図る取組といたしまして,来年春のJR西日本や阪急電車と地下鉄との連絡定期の導入,来年度中のトラフィカ京カードによる乗継割引の拡充の準備を進めるとともに,地下鉄・市バスの輸送力強化を検討するなど,引き続き増収,増客に全力で取り組んでまいります。 また,利便性において市内中心部と格差のある周辺部の公共交通につきましては,バス運行を担う民間バス事業者に対する支援制度を今年度新たに設け,路線バスのダイヤの充実やバス待ち環境の整備に取り組んでおり,今後とも地域住民の皆様の声にしっかりと耳を傾け,民間,行政が地域と一体となって,公共交通ネットワークの更なる充実に努め,歩くまち・京都,健康長寿のまち・京都の理念の更なる浸透を図ってまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 京都で働きたいと思える環境づくりについてでございます。本市は,文化,芸術,学術,宗教などを背景に創造的な人々が集うまちであり,産学公の連携を強みとして,伝統産業から先端産業まで多彩な産業が集積しております。また,ベンチャーの都でありますとともに,近年はソーシャルビジネスの聖地としての評価が高まっており,こうした街や産業の魅力を更に高め発信していくことが若者の京都での活躍につながるものと考えております。とりわけ,若者に関心の高いIoTやAIなどの先端技術は,あらゆる産業での創造性を発揮し,新しいビジネスの創出や生産性向上を実現するものであり,その推進は,京都に若者を引き付けるために効果的であります。こうした観点から,本市では,これまでから,例えば目利き委員会によるベンチャー支援などに取り組んでおり,今年度,そのAランク認定企業からは,IT関連の企業2社が相次いで上場を果たしております。また,昨年は,京都市IoT推進ラボを立ち上げ,本年9月には相談窓口を開設するなど,IT企業の成長支援や市内企業,特に中小企業のIoT導入支援を強化しております。今後も,IT関連分野をはじめとする企業の創業や成長支援等により多様な産業の集積につなげ,若者にとって魅力があり,働きたいと思える環境づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 住宅宿泊事業法施行に伴う地域コミュニティ支援についてでございます。本市におきましては,違法な民泊は断固として許さず,良質な民泊が適正に運営され,市民と観光客の安心安全を確保するとともに,地域と調和し京都らしいおもてなしが可能となるよう独自ルールの策定に向けた取組を進めております。これまでから自治会,町内会の皆様から地域コミュニティサポートセンター,区役所・支所等を通じて,地域としてどのように民泊に関わっていくのかなどの相談を頂いており,事業者との話合いや協定書の締結について助言をするなど関係部局が連携して支援を行ってまいりました。住宅宿泊事業法の施行を控え,自治会や町内会等の方々の御心配も増えていることから,まずは,法令や本市独自のルール案につきまして,市民意見募集などを通じまして,地域に広く周知を図ってまいります。そのうえで,営業が開始されるまでに自治会等が事業者に伝える必要がある地域のルールや地域活動への参加,協力の働き掛けなど,自治会や事業者との協議に当たって参考にしてもらう事項を明確に示してまいります。また,そうした地域主体の取組を支援し,地域の民泊の受入れに対する不安が解消できるよう地域の皆様方の声を踏まえまして,リーフレットの作成やポータルサイトの情報を充実するなどの取組を行い,これらを活用して自治会,町内会への丁寧なサポートを強化してまいります。京都市地域コミュニティ活性化推進条例では,事業者は地域コミュニティの重要性を理解し地域活動に協力するよう努めなければならないと規定しているところであり,本市といたしましては,民泊事業者に条例の趣旨をしっかりと伝えるとともに,適正に運営される民泊事業者に参画していただき,良好な地域コミュニティが維持,形成されるよう,今後とも自治会や町内会への支援を強めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 住宅の省エネ化についてでございます。本市が行いましたアンケート調査では,中小事業者の皆様から,省エネ住宅の設計,施工に関わる知識や情報を学べる機会の提供,あるいは建築費の上昇を懸念する建築主への一層の啓発が必要との御意見を頂いております。このため,京都府すまいづくり協議会が国の支援を受け開催いたします技術講習会への参加につきまして,省エネ化に未対応の事業者に対しまして,これまでのチラシによる周知に加えまして,受講状況を踏まえた事業者に個別の働き掛けをしてまいりたいと考えております。また,建築主につきましては,光熱費削減による初期投資の回収,快適性などの省エネ住宅の効果を分かりやすくまとめた冊子を現在作成中で,これを使ってまいりたいと考えております。さらに,この省エネ技術を有し京都らしい知恵,工夫を取り入れる事業者の公表制度を今年度内に創設いたしまして,事業者の機運を高めるなど,中小事業者をはじめ業界の皆様と連携を図りながら,義務化を見据えた住宅の省エネ化について着実に推進してまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
北山ただお議員に発言を許します。北山議員。 〔
北山ただお議員登壇(拍手)〕
◆(
北山ただお議員) 山科区選出の北山ただおでございます。冒頭に,今朝3時18分,北朝鮮による弾道ミサイル発射がありました。世界の平和と安全に敵対する行為に厳しく糾弾,抗議をするものであります。 それでは,私は,日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして,市長及び関係理事者に質疑を行います。質問に入る前に,過日行われました衆院総選挙におきまして,日本共産党への御支援を頂きました皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。今回の総選挙結果は,市民と野党共闘を守ろうとする力が発揮され,逆流を止め,日本の民主主義を守った選挙でありました。日本共産党の議席が後退したことは残念でありますけれども,共闘勢力が69議席へと議席を伸ばす上で大きな貢献となったと確信しております。引き続いて安倍政権の暮らし破壊,改憲の狙いを許さず奮闘してまいりますので,今後とも御支援の程よろしくお願い申し上げます。 11月1日から特別国会が開会されておりまして第4次安倍内閣が発足しております。現在,国会開会中でありますが,私は,安倍政権に関わって,市長の政治姿勢について何点か伺います。 第一は,日本国憲法をしっかりと守り,日本と市民生活の平和を確保することであります。安倍首相は,総選挙で改憲を公約に入れ,憲法9条に第3項として自衛隊の存在を書き込む改憲案を来年の通常国会に提出することを表明しております。第二次世界大戦では,日本では310万人もの貴い生命が奪われ,アジアでは2,000万人の命が奪われました。野蛮な侵略戦争や植民地支配を再び繰り返させない決意が日本国憲法として制定され,戦後70年以上にわたって日本が戦争に巻き込まれることもなく平和を確保してきたことは歴史の事実であります。 ところが,安倍政権は,憲法違反の特定秘密保護法や安保法制,共謀罪法などを国民の反対の声を押し切って強行し,今度は憲法を変えて日本を戦争する国に変えてしまい,そしてアメリカと一体となって世界中どこでも武力行使や戦争に参加しようというものであります。 皆さん,95歳になられました作家の瀬戸内寂聴さんは,「戦争とは人殺しだ,戦争は絶対にしてはならない」と訴えられ,安倍政権下での憲法改悪ストップ3,000万人署名を呼び掛けられておられます。この署名には,有馬頼底さんや,浜矩子さん,田原総一朗さん,益川敏英さんなど多くの著名な方々も呼び掛けられておられます。戦争法反対,立憲主義の回復を求める市民連合の皆さんも,戦争法廃止,憲法9条を守れと署名や街頭からの呼掛けをされておられます。改憲は国民の声ではありません。京都は平和の都であります。京都市は平和都市宣言を行い,市議会は非核・平和都市宣言を行い,平和の理念を共有しております。 こうした平和の願いは市民の声でありますから,市長は,日本国憲法をしっかりと守ることを表明すべきではありませんか。そして政府に対して,憲法9条改定にはっきりと反対の声を届けるべきであります。明確な決断を求めるものであります。御答弁を願います。 二つ目は,核兵器禁止条約についてでございます。御承知のように,7月7日国連で核兵器禁止条約が122箇国の賛成で採択され,核兵器廃絶は世界の流れとなっております。ところが,唯一の被爆国である日本の安倍政権は,国連の討議に参加せず,核兵器禁止条約を国会で議論もしないというのでありますから,被爆者の方をはじめ多くの国民は怒りを表明されておられます。 今年のノーベル平和賞は,国際NGO核兵器廃絶国際キャンペーンICANでありました。13歳のとき被爆され,現在カナダに在住のサーロー節子さんは,3月の国連本部で証言されておられます。その発言は「広島を思い出すとき,意識不能なまでに黒ずみ,膨らみ,溶けた肉体の塊となり,死が苦しみから解放してくれるまでの間,消え入る声で水を求めていた4歳だったおいの姿が,脳裏に最初によみがえります」と述べられ,受賞されたとき,「息の続く限り核軍縮に人生をささげます」と誓っておられます。 海外におきましても,ローマ法王庁の最高幹部の皆さんも,ヒバクシャ国際署名に応じられ,1997年にノーベル平和賞を受けられましたジョディ・ウィリアムズさん,北アイルランド問題の平和解決への貢献でノーベル平和賞を受賞されたマイレッド・コリガン・マグワイアさん,カナダの元上院議員で軍縮大使のダグラス・コーチさんなど世界でも続々と署名に応じておられます。 市長は,9月市会の総括質疑におきまして,このヒバクシャ署名に応じられたことを,「文面を読んで,素直に署名した」と表明されたのであります,その気持ちをもっと進めるのであれば,政府に対して核兵器禁止条約への参加を求めるべきではありませんか。市長は,同時に,「平和は,唱えているだけで訪れるものではない」とも発言をされています。ならば,市長は,どのような行動を取られるのでしょうか。市長の決断を求めるものであります。 三つ目は,原発の再稼働に反対し,原発ゼロの世界を実現することであります。学者の国会と言われる日本学術会議は,原発事故は大気や海洋に拡散した放射性物質が国境を越え,周辺諸国や遠隔地にも汚染の影響が及ぶ可能性があると指摘し,また,原子力規制委員会自身もホームページの中で,新規制基準を満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありませんと語りまして,規制基準が安全を確保するものでないことを認めておられます。国民の声は,世論調査でも5割から6割の方は再稼働ストップと答えられており,再稼働反対は国民多数の声となっております。 一方,国のエネルギー基本計画の改定議論を見ますと,2030年度の電源構成目標として原発を20から22パーセントとする方針を変えておりません。そのためには全ての原発再稼働と古い原発の運転延長が不可欠となります。原発の集中立地及び40年を超えた原発再稼働のリスクは計り知れません。このままでは原発に依存する国に逆戻りし,原発災害の教訓が全くいかされていないと言わざるを得ません。 9月市会で,我が党の平井議員が,京都市の避難計画がUPZ圏内以外の災害想定をしていないことを指摘し,その具体化をどうするのか,また,篠山市のように安定ヨウ素剤を全市民対象に配布するよう求めました。ところが答弁では,「安全性確保に向け万全を期す」とか「UPZ内では安定ヨウ素剤などを充実していく」というものでありまして,極めて不十分なものでありました。市長は,過酷な事故が起こった場合は市内全域には被害が出ないと思っておられるのでしょうか。だから全市民を対象にした対策をしないのでしょうか。そのお考えを是非お示しください。改めて,避難計画の具体化と安定ヨウ素剤の全市民配布を求めますがいかがでしょうか。 昨日,原発が集中している福井県の関西電力大飯原発3,4号機再稼働が報道されております。現在再稼働している高浜3,4号機と併せて近接する二つの原発が稼働することになりますが,重大なことは,集中立地地区で事故が起こったときの住民避難計画は同時事故を想定していないということであります。専門家からもずさんな計画と批判されており,市民の不安は増すばかりであります。 これまで我が党は,市長に対して原発再稼働に反対し,政府にもきちんと声を上げるよう再三求めてまいりました。市長は,原発再稼働に対しては意見を述べずに,脱原発依存と言いながら,再稼働の場合は市民にきちんと説明し,安全対策が採れるようにすること,と事実上再稼働を容認する立場であります。いつまで脱原発依存と言い続けられるのでしょうか。今こそ,再稼働ストップ,原発ゼロの姿勢を表明されて,市民の安全安心を確保すべきではありませんか。御答弁を求めます。 ここで前半の質疑といたしますので,答弁を求めます。
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
北山ただお議員の御質問にお答えいたします。 原子力災害対策でございます。本市は,平成24年3月の市会決議を重く受け止め,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現を目指すことを明確に掲げるとともに,中長期的には,脱原発依存を強く主張し続けております。本年8月には,本市と関西電力との間で大飯発電所に係る京都市域の安全確保に関する通報連絡等協定を締結するとともに,大飯発電所に係る地域協議会に参画し,しっかりと安全確保の議論を行っているところでございます。 また,本市では,国の原子力災害対策指針に基づいて設定したUPZ内,すなわち大飯発電所から32.5キロメートルの圏内,具体的には左京区久多・広河原地域,右京区京北上弓削町の一部の地域が該当しますが,この3地域152世帯311人の方がお住まいでありますが,これらの皆さんを対象に,避難計画に基づき,安定ヨウ素剤の配布にとどまらない総合的な原子力防災訓練や空間放射線モニタリングなどを実施しております。さらに,全市的には,想定される舞鶴市からの広域的な避難者約6万5,000人の受入体制を整備するなど原子力災害対策に幅広く取り組んでいるところでございます。 引き続き,万が一の原子力災害に備えまして安心安全を確保するための対策の充実に努めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 核兵器禁止条約についてでございます。本市も加盟する平和首長会議の国内加盟都市会議におきましては,核兵器廃絶に向け国に対し核兵器の保有国と非保有国との橋渡し役として行動を起こすよう要請をしており,国においても双方に働き掛けを行うことを通じて国際社会を主導していくことが決意されております。世界恒久平和の実現に向けては,国の取組が重要であるのと同時に,自治体の取組や住民同士の交流が大きな役割を果たすものと考えております。そこで本市におきましては,これまでから,平和祈念事業を実施しているほか,姉妹都市やパートナーシティとの交流,世界歴史都市会議,
東アジア文化都市事業などを通じて,国の違いを超えた相互理解を深めてきております。また,今年,本市が平和都市宣言を行ってから60年を迎えたことを機に,市長と市会議長との連名で,世界恒久平和の実現に向けた思いと願いを込めた声明を発出いたしております。今後とも平和の理念をしっかりと守り,市民の皆様と共に,世界恒久平和の実現に向けて不断の努力を続けてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕
◎総合企画局長(藤原正行) 憲法についてでございます。日本国憲法における平和の理念は,変わらざる人類普遍の理念であり,基本的人権の尊重,主権在民と共に遵守されるべき基本的な理念,原則であると認識をしておるところでございます。同時に,現行憲法が制定されてから70年以上が経過しており,国内の社会情勢や日本を取り巻く国際環境が大きく変化してきた状況におきまして,こうした理念,原則を大切にしつつ,憲法について国民が関心を高め,しっかりと議論がなされることは大変意義のあることでございまして,憲法の在り方について,国家国民の基本に関わる事項として,国民全体で議論が深められるべきものと考えておるところでございます。以上でございます。
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○議長(寺田一博)
北山ただお議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時46分休憩〕 〔午後1時1分再開〕
○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。
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○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続し,
北山ただお議員に発言の継続を許します。北山議員。 〔
北山ただお議員登壇(拍手)〕
◆(
北山ただお議員) それでは,午前に引き続きまして質疑を行います。午前の私,最後のところで,原発の質問で,全市内的な被害の想定について,していないのではないかということをただしましたが,該当する答弁がなかったように受け止めておりますが,再度この点での答弁を願うものであります。 それでは,安倍政権が進めてきておりますアベノミクスの失敗を総括し,京都経済を再生させることについて質疑をいたします。安倍首相は,選挙の度に,過日行われました総選挙などにおきましても,アベノミクスを加速させるということを言っておりますが,国民の暮らしはどうなっているのかということが極めて重要であります。 最近の共同通信の世論調査を見ましても,景気が悪くなったという方が,どちらかといえば悪くなったという方を含めますと47.5パーセント,アベノミクスに期待しないという方が55.9パーセントにも上り,景気が良くなったと答えた方も,期待感を含めたものでしかなく,国民の実生活にはほど遠いと言わなくてはなりません。アベノミクスで大もうけをしたのは一部の大企業でありまして,現在400兆円を超える内部留保をため込むような事態になっております。 財務省の法人企業統計調査のデータ分析を見てみますと,企業が抱える現金と預金が2016年度末で211兆円ともなっておりまして,アベノミクス前との比較でも3割,約48兆円も増えたとのことであります。一方で人件費はどうかといえば,横ばいの状況であることが分かりました。空前の利益は働く人々には回らない構図になっております。 例えば三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土志田研究員は,「企業の好景気が従業員に還元されない,これが日本の経済成長が低迷する原因になっている」と指摘されておられます。国民の所得や家計支出は伸びておりません。働く皆さんの収入は,この数年間を見ましても年間10万円以上も減少する,家計消費支出は14万円以上も減るという状況であります。雇用が増えた,増えたと言いますけれども,増えたのは非正規雇用だけでしかありません。そのうえ,もうかっている大企業には減税を行って優遇税制は野放しのまま,国民には消費税増税や年金の切下げなどを押し付けるのでありますから,これでは国民生活が向上できないのは当然であります。 2012年12月に始まったアベノミクス景気が,戦後3番目になったと報道されているわけでありますが,国民の実生活から見ればほど遠いものと言わなくてはなりません。大企業や超富裕層ばかりを優遇してきたアベノミクスは破綻をしているのであります。今こそ,大企業中心の経済政策から中小零細業者を支援する経済政策に転換すべきと国に強く求めるべきでありますがいかがでありますか。 同時に,2019年10月,再来年実施予定の消費税10パーセント増税は反対とすることを私は強く求めるものであります。そもそも消費税は所得の低い方ほど増税になる不公平税制であります。増税は国民の声ではなくて,経団連などの大企業が言っているわけであります。しかも重大なことは,経団連などが消費税増税を法人実効税率の25パーセントへの引下げとセットで要求していることで,これまでの安倍政権の下での4兆円の法人税減税をしているのに,新たに2兆円もの減税を求めているのであります。 国民の暮らしはどうか。8パーセント増税になって42箇月たちますけれども,家計消費が前年を上回ったのは4箇月だけ,暮らしは後退しているんです。勤労者の収入も減っております。消費の冷え込みで商店はシャッター通りになり,ものづくりの皆さんは後継者もできず,先行きも不安のままであります。私の友人のお店の方も,これ以上切り詰められないし,もう値段も上げられない,店を閉めるしかないと悲壮な状況でありました。 消費税増税に対して,市長は,「社会保障のために必要だ」とか政府と同じような答弁を繰り返してこられたわけでありますが,社会保障の財源はもうけている大企業と超富裕層に応分の負担を求めるべきものであります。市民生活の実態と京都経済の状況をしっかりと見て,増税中止を政府に求めるべきでありますが,市長の決意を求めます。 消費税は,受益者に押し付けることは法的にも決まっていないことは,先の委員会でも明らかになりました。本市が行う市バス・地下鉄,上下水道料金などに転嫁しないことを求めるとともに,政府に対して,公営企業は適用除外とすることを要求すべきであります。国の政治が市民の暮らしを大きく脅かしている今,命,暮らし,生活を第一に考える自治体の長として,国にきっぱりと物を言うべきであります。市長の見解を求めるものであります。お答えください。 次に,敬老乗車証制度についてお尋ねいたします。70歳になりますと,市バス・地下鉄に自由に乗車できる敬老乗車証を受けることができます。私の友人も,早く受け取って自由に社会生活を楽しみたい,また,今後も安定してボランティア活動に参加できると期待が寄せられております。私も来年70歳になるわけでありますが,ところが京都市は,この敬老乗車証を1回乗車する度に100円程度の負担をする応益制度に変えようとしております。今は交付時に一定の負担は必要ですが,自由に乗換えができるわけであります。ところが,応益負担になれば,例えば山科から地下鉄に乗って,そして市バスで移動して,用事を済ませて,同じルートで帰ってくると,4回乗車ですから400円の負担になります。毎週1回利用しているだけで,年間約50週ですから2万円以上の負担にもなってくるわけであります。更なる乗換えをすれば,それだけ負担が増えます。これでは,家計負担も増えますから,安心して外出することができなくなります。利用抑制となりますから,市バス・地下鉄の乗客増を進める方針からも逸脱することになるではありませんか。 敬老乗車証守ろう!市民連絡会の皆さんが,現行制度の維持を求めて,今,署名活動に取り組まれて,先般11回目の署名の提出で,3万5,066筆の署名が届けられております。この提出時に皆さん方のお話をお聴きしました。紹介いたしますと,「私は,毎週市立病院に通っている。敬老乗車証がありがたい」,「ボランティア活動に参加しているが,負担が増えるなら参加できなくなる」,「みんなで楽しく外出できるから健康にもよい。負担が増えるなら家に閉じこもっているしかない」,「外出すれば食事をしたり買物をしたりしている。経済効果もあるはずだ」と,こういう声でありました。市長は,こうした皆さんの切実な声をしっかりと聴いて,利用者の実態調査と経済波及効果や健康維持効果などの検証を実施することが必要だということで,私は,そのことを強く求めるものでありますがいかがですか。 さらに,8月15日付けの市民しんぶんで,敬老乗車証制度の説明がされておりました。突然の報道で,しかも若者と対立する記述であり,市民に混乱を与えております。同時に,敬老乗車証についての京都市の市民アンケートが行われました。アンケートは5,000人を対象にして郵送方式で行われております。アンケート結果の特徴は,京都市の財政負担について,増やした方がよいが10.8パーセント,維持した方がよいが41.8パーセント,減らした方がよいが37.3パーセントであります。若い人の回答が多いWEB方式におきましても,維持した方がよいという回答が一番多かったわけであります。ところが京都市は,アンケート結果のまとめとして,維持と減らすを一緒にして,現行制度は変えるべきとする結論を報告されております。このアンケートは,敬老乗車証制度の内容や応益負担への変更の賛否を尋ねているものではないわけでありまして,この結果を現行制度の可否を含む評価とすることは,余りにも飛躍があり,極めて意図的なものと言わざるを得ないわけであります。 1973年に敬老乗車証制度を創設した目的は,長年にわたり社会に貢献してこられた高齢者に敬老の意を表するとともに,様々な社会活動に参加し生きがいづくりや介護予防に役立てていただくために高齢者の福祉の増進に寄与することと定めているのであります。この目的をしっかりと再び確認して,現在の応能負担制度を維持することを求めるものであります。御答弁願います。 次の質問は国民健康保険についてであります。国民健康保険は,市民の命を守る社会保障制度であります。同時に,この国保に加入しておられる方は,所得割基礎額ゼロ円世帯が年度末で49.6パーセント,100万円以下の世帯を合わせますと76.8パーセントと,ほとんどの方が低所得世帯であります。保険料が高すぎて滞納せざるを得ない方が16.4パーセント,国保料の滞納で差押えをされた方が2,533世帯と加入者にとっては大変厳しい保険となっております。加入されている市民の皆さんからは,高すぎる保険料を値下げして払える保険料にしてほしいと求める声がこれまでもたくさん寄せられてまいりました。しかし,これまで市長の答弁は,国一律の制度であることや助け合いの制度だということを答えられて値下げを拒否してこられたわけでありますが,今こそ,国に対して国保への負担率を改善して補助金を拡大すること,そして命を守る社会保障制度でありますから,京都市がもっと思い切って資金を投入して保険料引下げをすべきであります。このことを強く求めるものであります。 さらに,来年度から予定されております国民健康保険の都道府県化についてでありますが,保険料がどうなるのか,保険料の値下げはできないのか,制度の改善ができないかという声が多数寄せられております。9月市会の国保に対する答弁では,「府とも協議し国に要望しながら慎重に検討する」と答弁されておりますが,結果はどのようになったのでしょうか。都道府県化によって,どのように保険料の軽減対策を採ろうとしているのでしょうか。お答えください。 次は,交通問題について質問いたします。市バス事業は,2016年度決算で41億円の利益剰余金を出して14年連続しての黒字となっております。黒字化したことは,バス停留所のベンチやテントの設置などのバス待ち環境の充実や,均一区間の拡大,ダイヤの改善など利用者乗客の声に応えてきたことが大きな要因であったと考えております。そこで,更なる公共交通としての役割を進めていくために,幾つかの提案をいたします。 第一は,市内全域を均一区間に拡大し利便性向上を図ること,第二は,市内周辺部で交通不便地域の解消をすること,第三は,市バスの乗継ぎを思い切って無料にして利用拡大を図ること,第四は,黒字を活用して初乗り運賃230円を値下げし,市民,利用者や観光客などへのサービスを拡大することであります。いずれも利用者,市民の要望であります。早急に実施されることを強く求めるものでありますがいかがでしょうか。 民間バス支援について伺います。今年度の予算で,都市計画局におきまして,市内周辺部における生活交通の維持,確保に係る民間バス事業者への支援として6,500万円が計上されました。現時点での選定がどうなっているかということで伺いますと,山科区の鏡山循環系統とくるり200の増便が対象となっております。地元の方々は更なる増便を要望されておりますから,一層の努力をされることを強く求めるものであります。また,周辺部における足の確保のために,民間バス会社との協議を積極的に行って,バス路線の拡大やダイヤの改善,バス待ち環境の一層の拡充などを求めるものですがいかがでしょうか。答弁を求めます。 最後に,11月16日に和解勧告を受けた焼却灰溶融施設プラント設備工事損害賠償等請求訴訟に関わって一言申し上げます。今回の和解勧告は,住友重機械工業が本市に対して154億円の和解金を支払うこと,住友重工は施設に関する権利を放棄して,施設の解体撤去を京都市に委ねるというものでありました。しかし肝心なことは,大型の焼却灰溶融施設が技術的には未完成であり,各都市の教訓に学ばず導入して失敗した市長の責任が厳しく問われることであります。しかも建設費に175億円,年間運転経費に20億円も税金を投入する無駄遣いであります。こうしたことは,今こそごみの減量は溶融施設ではなくて,市民と共に力を合わせて分別の徹底や最終処分への研究,企業などに対してごみを出させない排出抑制にしっかりと取り組むことを申し上げまして質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
北山ただお議員の御質問にお答えします。 経済政策の認識でございます。本市の経済状況は,国の経済政策や本市の産業振興策,さらに,市内企業の皆様の御努力が相まって,本年9月の府内有効求人倍率が1.50倍,正社員の求人倍率も1.10倍と高水準を維持するとともに,倒産件数も4年連続で前年比減となるなど,景気は緩やかに拡大していると認識しております。一方,中小企業においては,業種や個々の企業によっては弱さが見られるなど,景気回復はいまだ市内の隅々にまで行き渡っていない状況にあります。本市では,これまでから,地域経済の担い手である中小企業の活性化や安定した雇用の創出に向け,経営,金融,技術支援などの下支えや観光振興や新産業創出などの成長戦略の両面からきめ細かな支援に取り組んでおります。今後とも,国の政策としっかり連携しながら,この景気回復の効果が市内の隅々にまで行き渡るよう京都経済の活性化に全力で取り組んでまいります。 なお,原子力災害対策の質問に対し,答弁漏れではないかとの御発言がございましたが,大飯発電所に係る地域協議会に参画し,安全確保の議論を行っていると答弁しており,その分でお答えさせていただいておると認識しております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私からは2点,お答えします。 まず,消費税でございます。消費税の税率引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国,地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保していくために行われるものでありまして,その実施に当たっては軽減税率制度の導入など,低所得者あるいは中小企業等への影響を最小限にとどめる対応策を十分に講じたうえで行われるものと認識しております。また,消費税の税率引上げ分でございますが,介護,年金,医療,子育て等の社会保障にしっかりと充当してまいります。なお,消費税でございますが,最終的には消費者が負担するものであることは,制度を所管する国が明確に示しているとおりでございまして,市バス・地下鉄の運賃や水道料金等についても適正に転嫁し,利用者が負担すべきものでございます。仮に転嫁しないならば,税負担の公平性が保たれないほか,公営企業が負担することにより,結果として京都市民全体で負担することになるなど極めて不適切であると考えております。 次は,市内周辺部を運行する民間バス事業者への支援についてでございます。本市では,今年度から,市内周辺部で運行する民間バス事業者に対しまして,バス待ち環境の整備,あるいはバス路線充実のための社会実験の実施を支援しております。この支援制度でございますが,地域住民,民間バス事業者,行政一体の会議体におきまして,日常生活に必要なバス路線であるという合意,あるいは利用目標の設定を決定することを要件としておりまして,この制度を活用して本年10月から,山科区の鏡山循環系統及びくるり山科の2路線において,増便の社会実験が開始されたところでございます。民間バス事業者の安定的な運行を支える上では,まずは地域住民の皆様に継続的に御利用いただくということが不可欠でございます。本市といたしましても,これまでも御答弁させていただいておりますけれども,地域住民の皆様が主体的に行う利用促進の取組に呼応して,民間事業者との協議及び支援に努めてまいる所存でございます。以上でございます。
○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高城順一) 初めに,敬老乗車証制度についてでございます。本制度については,その効果を客観的に検証することは困難でありますが,高齢者の社会参加を促進し,健康長寿のまちづくりを進める上で重要な施策であると考えております。厳しい財政状況の下にあっても本制度が持続可能なものとなるよう社会福祉審議会で議論がなされ,また,この度の市民アンケートの結果においても,現在46億円の
市税負担が4年後には58億円になると見込まれることについて,多くの市民の皆様が心配されていることがうかがわれます。仮に,
市税負担をこれ以上増やさずに,今の応能負担のままで制度を維持していくためには,利用者負担金の引上げが必要ですが,負担金が高くなるほど交付率が低くなるという本制度の現状を踏まえますと,負担金の引上げは交付率の一層の低下を招くのではないかといった課題がございます。市民アンケート結果も含め本制度を取り巻く状況の周知を行うとともに,持続可能で,かつ制度本来の目的に沿った,より多くの高齢者の皆様が使いやすいものとなるよう,社会福祉審議会の答申を踏まえて既にお示ししている考え方を基本としつつ,更に検討を深めてまいります。 次に,国民健康保険についてでございます。保険料につきましては,これまでから国に対して,国庫負担率の引上げを要望するとともに,本市独自でも,厳しい財政状況にあっても多額の一般会計繰入金を確保し,平成27年度に保険料率を引き下げて以降3年連続で同じ保険料率を維持するなど,最大限の負担軽減を図ってきております。また,国保の都道府県単位化に当たっては,国保財政の安定化を図るため,3,400億円もの公費の拡充が行われることとなっております。平成30年度からの公費の拡充による本市保険料への影響は今後明らかになってまいりますが,都道府県単位化後の保険料については,医療費の動向等を基に京都府が府下市町村に提示する納付金,さらには現在の保険料水準等を踏まえ,一般会計繰入金も含めて慎重に検討し,本市の判断の下,決定してまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス事業に関する御提案についてでございます。「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージに掲げる均一運賃区間の拡大につきましては,平成26年以降京都バスの御理解を得て順次進めており,今後とも市会の付帯決議も踏まえ,均一運賃区間外を運行する民間バス会社の同意が得られるよう粘り強く協議してまいります。 次に,市内周辺部における交通不便地域の解消についてでございます。交通局では,地域の皆様が自らの地域の交通環境を改善するため,公共交通の利用促進に主体的に取り組むモビリティ・マネジメントに区役所等と共同して取り組み,市バスを利用しようとする機運の高まりにお応えした路線・ダイヤの充実を図ってまいりました。引き続き,こうした地域と一体となった取組を進めてまいります。 最後に,市バスの乗継無料化と運賃値下げについてでございます。交通局ではこの間,赤字路線を廃止することなく74系統を83系統まで拡充し,市バス車両を44両増車して,路線・ダイヤの拡充に取り組むなど利便性向上に努めており,乗継ぎについても,トラフィカ京カードでの乗継割引額の拡充を来年度中に実施することとしております。運賃制度は事業経営の根幹であり,今後530両もの車両更新をはじめ大規模な設備更新を控える市バス事業の状況を考えると,乗継無料化や運賃値下げについては困難であります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔
樋口英明議員登壇(拍手)〕
◆(
樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。 初めに,地方創生に関連して大きく3点にわたってお聞きします。本市が2015年に作った,まち・ひと・しごと・こころ京都創生長期ビジョン及び総合戦略は,
人口減少社会への挑戦という課題と,その原因を作っている東京一極集中の是正という課題に対応する総合的な計画とされています。これらは,国の地方創生長期ビジョン及び総合戦略に基づいて作られています。 それでは,国の地方創生及び並行して進められている主要施策が,本当に東京一極集中の是正を図るものなのかと言えば,全く違います。実態は,東京一極集中を加速させるとともに,選択と集中の名の下に,行政業務と公共施設などの集約化を行うことで地域の切捨てを推し進めるものとなっています。 まず,経済の活性化という観点から質問いたします。地方創生総合戦略は,ローカルアベノミクスなどとも呼ばれ,地域経済の活性化策かのようにも宣伝されていますが,この間の公共及び民間の投資に関して言うと,東京オリンピックに向けた東京圏での超巨大規模の投資が大きく展開されています。これに呼応して,国が成長戦略の柱と位置付けている国家戦略特区が首都圏を中心に設定され,大規模な規制緩和で民間企業の誘致を行ってきており,その際に,道路や上下水道といったインフラ整備に巨額の税金が注ぎ込まれています。これでは,東京一極集中がますます進むことになります。 また,巨大投資という点では,本市も誘致活動を行っているリニア新幹線に関しても,国も京都市も多額の税負担を行うことになりますが,完成すればストロー効果により,東京に人,物,金が吸い取られるという事態につながる,つまり東京一極集中に拍車を掛けることが指摘されています。巨大投資によって,恩恵を受けるのは,ごく一握りの大企業であります。そのもうけが,圧倒的多数の中小零細業者や労働者の賃金単価に反映されないということは,安倍政権の5年間だけを見ても明らかであります。地方創生などと言いながら,東京一極集中と大企業優遇施策に拍車を掛ける方針に,巨額の税金を注ぎ込むことはやめるとともに,地方自治体や社会保障への予算を増やすよう国に対して求めるべきと考えますがいかがですか。加えて,リニア新幹線の京都駅誘致もやめるべきと考えますがいかがですか。 観光客の誘致方針についても同様のことが言えます。京都創生総合戦略には,観光客をはじめとした交流人口の増加で,京都経済を活性化し,安定した雇用の創出を図ると書かれています。さらに,昨年10月に作られた京都市宿泊施設拡充・誘致方針では,2020年のオリンピック・パラリンピック時点で440万人の外国人宿泊客を見込んでいます。この数字は,国が策定した明日の日本を支える観光ビジョンに掲げられている,2020年に訪日外国人4,000万人構想を京都で具体化したものです。つまり,オリンピックでの東京を中心とした訪日外国人4,000万人が先にあり,そのうえで,京都にもインバウンドの効果を持ってこようという考え方になっています。観光政策の面でも,東京一極集中を前提にした方針だと言わざるを得ません。加えて,インバウンドというのは,いつどんなきっかけで落ち込むかも分からないものであり,そこに経済の活性化を託すということには大変な危うさともろさを感じます。こうしたことに対して,市長はどのように認識されているのでしょうか。お答えください。 また,現在でも,観光客が増えすぎたことによって,市民がバスに乗れない,住宅地での違法民泊により住環境が悪化するなど市民生活に支障が出ていることに関して課題があるとの認識を本市も示しています。だとすれば,観光客の誘致方針と,それを促進するための宿泊施設の誘致方針そのものを改める必要があると考えますが,いかがですか。 次に,地方創生における東京一極集中と似たような状況が,京都市内でも作られつつあると感じている点についてお聞きします。何かと言えば,エコ・コンパクトな都市構造ということで進められている,五つの鉄道駅周辺に都市機能を集積させようという方針です。特に京都駅周辺では,都市機能の集積のためということで,容積率や高さ規制の緩和が図られてきました。さらには,都市再生緊急整備地域という,大企業が都市計画,容積率や高さ規制などを緩和する提案を自由にできるという地域を,京都駅周辺で極端に拡大させています。都心部に一極集中を作り出すかのような方針の下,市長はにぎわいづくりなどを進めるとしていますが,こうした方針は,大企業や大規模店舗がもうけを上げるだけで,周辺商店や地域住民の生活は切捨てという事態を作り出していることは,この間繰り返し指摘してきているところです。市長は,同じ過ちを繰り返すつもりなのでしょうか。認識をお聞かせください。 京都市は,100万都市であるととともに,大変広大な面積を持ち,北部には山間地も存在するという特性を持っています。各行政区,各地域には,それぞれの特徴があり,それぞれの課題を持っていますが,地方創生というならば,都心部への一極集中ではなく,どの地域に住んでいても住み続けることができるまちづくりを進めることが今求められています。京都創生総合戦略でも,この区,この地域でずっと暮らしたい,学びたい,働きたい,子供を産み,育てたいという思いが,全ての区,地域で高まることを目指すと書かれてはいます。しかし,その具体化は遅れ,むしろ後退さえしています。例えば,左京区の修学院学区では,白川通よりも東側,比叡山の麓の地域は,一定数の人口があり,なおかつ高低差もある地域なので,高齢化も進む中で,地域巡回バスを走らせてほしいという要望がありますが,市長はその声に一向に応えようとしていません。岩倉地域は三つの学区を合わせて3万人近い人口があり,出張所に保健所を加えてほしい,乳幼児健診を行ってほしいなど機能の充実をとの要望がありました。ところが市長は,充実どころか逆に出張所そのものを廃止してしまいました。こうした事態は,住み続けられるまちづくりとは全く逆行しています。住み続けられるまちづくりのために一番大事にしなければならないことは,その地域の住民の声をしっかりと聴き施策に反映させることです。しかし,現在はそうした姿勢が極めて弱く,そのための仕組みも不十分と言わざるを得ません。 そこで提案するのが,より市民に身近である区役所の機能や権限をもっと高め,区役所が住民の声を反映したまちづくりを進めるという仕組みづくりです。新潟市や上越市では,地方自治法に基づいて地域自治区という制度を取り入れています。これは,市の中に小さい単位の自治体をつくるような仕組みと言えます。新潟市では,各行政区が地域自治区となっており,そこには,自治協議会という議会もつくられています。行政区の自治協議会は,区民の代表が集まってきて構成されていますが,この仕組みを事務局として支えているのが区役所の職員です。自治協議会では,身近な施策,例えばバス路線の維持やコミュニティバスの導入についてどうするべきか,あるいは公共施設の利用時間の変更についてどうするべきかといった課題について市長から意見を求められ,それに対して答申を出すということを行っています。さらに,地域にもう一つ地域包括支援センターを作ってほしいといったその地域の課題に関して,市長に対して意見書を提出するということも行っています。自治協議会の出した結論や意見に対しては,市長は,できる限り尊重するという姿勢で臨むことになっています。地方創生で地域の活性化をと言うのであれば,市民が自分たちの地域を主体的に作っていく仕組みである地域自治区の制度創設に向けた検討を本市でも行うべきと考えますが,いかがですか。 また,他の政令市においては,区役所に建設部門や産業部門を置き,公共施設の維持管理や公園の建設などを行ったり,地元企業の相談窓口を置くなどの機能を持たせている自治体があります。それを執行するための予算も措置されており,新潟市であれば,行政区に配分されている予算は総額で130億円という規模になっています。本市の区役所への予算が総額で3億円弱ですから,その差は歴然としています。本市においても,区役所に同様の部署を設置し,行政区ごとで産業政策やまちづくりといった課題に予算権限も持たせて自主的に取り組めるようにするべきと考えますが,いかがですか。 住み続けることができるまちづくりという点に関連して,左京区北部の課題についてお聞きします。鞍馬から花脊峠を超えて,別所,花脊,広河原といった地域がありますが,花脊峠はヘアピンカーブの続く危険な峠道であり,大雨などによる土砂崩れで道路が寸断されるという事態が度々発生しています。今年の10月の台風21号の際にも,道への倒木が多数発生するとともに,土砂崩れも起こり,通行止めが解除されるまで3日間も掛かりました。冬になれば雪が積もり,峠道はアイスバーン状態となり,大変危険な中,地域の皆さんや花背山の家に行く子供たちを乗せたバスなどが通行しています。峠以北の皆さんにとって,花脊峠トンネルの実現は数十年来の悲願となっています。2014年には地元自治会などから提出されたトンネル化を求める請願が議会でも全会一致で採択されていますから,早期実現に向けた真剣な取組を進めることを求めますが,いかがですか。 次に,地方創生関連の最後の項目として,学校跡地の活用についてお聞きします。この問題も,住み続けることができるまちづくりという点と深く関わっています。元々小学校は,住民の自治活動や地域コミュニティ,防災活動の拠点として重要な役割を果たしてきています。たとえ統合され,小学校としては使われなくなっても,地域活動の拠点としての役割は,それまでと同様に果たしてきています。敷地内には消防分団の詰所,自治会館などが設置され,災害時の避難所にもなっていますし,区民運動会や夏祭り,その他の様々な行事や会合が学校跡地において行われています。 ところが,本市が学校跡地活用を民間事業についても対象とするという方針を2011年に決めて以降,資産有効活用基本方針,学校跡地活用に係る事業者登録制度などを作り,学校跡地を民間事業者のもうけの場に差し出す方針へと転換してしまいました。それまでの方針であった活用は,原則,市の事業とし,営利目的の活用はしないという考え方を投げ出してしまったわけです。このことにより,地元の様々な活動に重大な支障が生じつつあります。 この間,民間事業者に提供された学校跡地では,運動場のトラックを残す,体育館は自由に使っていいと言っていた約束を事業者が一方的に破ったり,運動場がなくなり区民運動会も夏祭りもそこではできなくなる,体育館もなくなる,地域の方に開放された部屋についても,必要な設備が全く不十分など,活動が大幅に制限されてしまっています。 一方,学校跡地でも,京都市が引き続き事業を行っている所はどうかというと,例えば上京区の元成逸小学校は,現在,北総合支援学校になっており,東山区の元六原小学校は,現在,東山開睛小中学校の付属施設になっています。どちらの場合でも,体育館やグラウンドは学校が使用していないときは,地元の皆さんがスポーツをはじめとした様々な活動を行っています。当然,区民運動会や地域のお祭りなどもそこで行われています。地域に開放されている部屋は,設計の段階から地域の皆さんの意見を聴き,お茶室に水屋を造る,厨房施設も充実させるなどの配慮がなされ,さらに,使い始めてからも,設備の充実が図られているとお聞きしています。地域の皆さんも,新しく出来た施設が地域の活動に協力してもらっていてありがたいと話されていました。大事なのは,施設を管理,運営する京都市が,地元の皆さんの要望を直接聴き,その声を実際に施設整備や運営面に反映させているという点です。 同じ学校跡地でありながら,京都市が事業を行っている場合と民間事業者に提供してしまった場合では,自治活動や地域のコミュニティ活動の機能に,余りにも大きな差が生まれてしまっている点に関して,一体市長はどのような認識を持っているのでしょうか。住み続けることができるまちづくりを促進するというのであれば,学校跡地は地域の自治活動やコミュニティ活動の拠点として,京都市の責任で存続させるべきであります。地域の皆さんの活動に重大な支障を及ぼしているのですから,学校跡地を民間事業者へ提供する方針は撤回するべきと考えますがいかがですか。 次に,住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法に関連して質問します。法律の施行が来年6月15日に決まりましたが,本市では,この法律に基づく関連条例案が民泊の在り方検討会で検討されてきており,12月には条例骨子案の市民意見募集が行われることになっています。民泊に関しては,違法はもちろんのこと合法の場合でも市民生活に支障を及ぼしている場合が少なくないことが議会でも繰り返し指摘されてきています。騒音,ごみ出し,地域コミュニティの崩壊,地価の極端な高騰など様々な問題が生じており,本市に寄せられている苦情,通報件数は,相談窓口を設置した昨年7月から今年の9月までで延べ2,730件,毎月200件前後と大変な数になっています。市長が,各区役所にあった担当部署をなくし,市内1箇所,わずか20人の体制に集約化してしまったこととも相まって,問題の解決までなかなか到達しないというのが現状です。 深刻な実態が広がっているにもかかわらず,今回の住宅宿泊事業法は,これまで民泊営業をできなかった地域である住居専用地域やマンションなどでも営業を可能にしています。これでは問題が更に深刻になります。我が党は,こうした規制緩和は行うべきではないと求めてきましたが,法律が強行された現段階においては,市長が住民の安全や住環境を守るためのあらゆる手立てを採るべきと考えます。 そこで,本市が住宅宿泊事業法の下で定める条例には,以下の内容を盛り込むことが必要と考えます。1点目は,住居専用地域や木造密集市街地,細街路,袋路などでは,住宅宿泊事業者のうち,家主不在型の場合は,営業日数をゼロ日として営業を制限すること。2点目は,宿泊者が滞在中は家主や管理者の常駐を義務付けること。3点目は,設備要件や衛生管理の基準については,ホテルや旅館における旅館業法,建築基準法,消防法上の規定と同様の要件を課すこと。4点目は,事業届出時に近隣住民に対する説明会を義務付けるとともに,住民が求めた場合には協定書を締結することを義務付けること。5点目は,分譲マンションにおいては,事業の届出時に,マンションで住宅宿泊事業が認められていることを証明する規約又は決議文のコピーの提出を義務付けること。さらに,どんな形態の集合住宅においても,各住戸ごとに家主の常駐を義務付けること。以上の点を条例に盛り込むことが必要と考えますが,いかがですか。5点それぞれについて認識をお示しください。 また,違法民泊を根絶するために,住民からの相談対応や定期的な検査や調査をするための職員体制を抜本的に強化することが必要と考えますが,いかがですか。お答えください。 以上で,私の第一質問といたします。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
樋口英明議員の御質問にお答えいたします。 まず,地方創生についてであります。国の地方創生は,少子高齢化の進展に的確に対応し,人口減少に歯止めを掛けるとともに,東京一極集中を是正し,将来にわたって活力のある日本社会を維持することを目的としております。そのため,国においては,地域の稼ぐ力を高め,地域経済の好循環を創り出し,所得の向上や雇用の創出につなげるための様々な施策に取り組まれているところであります。 京都市においては,早くから独自の京都創生策を幅広く推進してまいりましたが,改めて国の地方創生の方針をしっかりと踏まえつつ,独自に日本伝統の文化や生き方の哲学,暮らしの美学など心の創生を重視した,まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略を策定し,結婚前から出産,育児まで切れ目のない支援や,京都への移住促進,新産業の創出や中小企業への支援など70のリーディング事業に取り組んでおります。こうした本市の取組を一層推進するため,国に対して,引き続き,文化庁の機能強化及び全面的な京都への移転の着実な推進を働き掛けるとともに,地方交付税の必要額の確保や財政支援の拡充,リニア・北陸新幹線等のインフラ整備などの提案,要望を行ってまいります。 今後とも,市民の皆さんと行政が自分ごと,みんなごととして知恵と力を結集し,全国の地方創生を牽引する役割を果たし,活力ある日本の未来を創造してまいります。 次に,民泊対策についてでございます。本市では,違法民泊を断じて許さないとの強い決意の下,市民の皆様と宿泊客の安心安全の確保,同時に地域住民の生活環境の調和を図るため,徹底した取組をこの間強力に進めてまいりました。また,住宅宿泊事業法に係る条例等の本市独自ルールの制定に向けまして,本市の実情がしっかりと反映できるよう,国内有数の法律の専門家にも参画いただき,公開の下で,徹底的に御議論いただくなど法的な限界の範囲を見据えた最大限の取組ができるよう検討を深めております。 議員御指摘の5点のうち,まず,営業日数をゼロとすることにつきましては,法の目的を逸脱し,不適当であるとの見解が国から示されております。また,管理者の常駐や事業者と周辺住民との協定書の締結については,義務付けることまでは法令上困難であると考えております。このため,管理者の常駐を原則としつつ,常駐しない場合の実効性のある駆け付け要件の設定や自治会等への事前説明の確実な実施を求めるとともに,地元自治会への加入や協定書の締結については努力義務等としていくことを検討しております。次に,設備要件や衛生管理基準につきましては,旅館業施設と同等のものとするほか,分譲マンションにつきましては,届出に当たって管理規約の提出等により民泊営業の可否をしっかりと確認していきたいと考えております。 違法民泊につきましては,新法施行後も断じて許されるものではありません。このため,本年度に衛生部門の集約化等により充実させた体制に加えまして,今後,民間活力の更なる活用も含め,新法施行に備えた万全の体制を構築し,安心安全で地域住民の生活環境と調和を前提に,京都の都市格を更に高め京都ならではの観光,おもてなしができる宿泊環境の整備を一層推進してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 観光政策についてでございます。国の観光立国推進基本計画は,訪日外国人旅行消費の効果を全国津々浦々に届け,観光を地方創生につなげることを理念としており,本市の年間440万人の外国人宿泊客数見込みは,現在三大都市圏に集中している
外国人観光客を地方部へ誘導することを前提として算出しております。国連世界観光機関の予想では,今後世界全体の観光旅行者数は,直近の約12億人から,2030年には18億人と,今後大幅に増加すると見込んでおり,国内人口が減少傾向にある中,観光消費額が高く滞在日数の長い
外国人観光客をしっかりと受け入れていくことが地域経済の活性化に必要不可欠であります。あわせまして,
外国人観光客だけではなく修学旅行生を含む国内観光客の維持も非常に重要であると考えております。こうした中,本市では,京都観光振興計画2020及び宿泊施設拡充・誘致方針に基づき,地域との調和や市民生活と観光客の安心安全の確保を大前提としたうえで,伝統産業や伝統文化の振興を図り安定した雇用の確保や地域経済の活性化に向けた取組を進めているところでございます。引き続き,観光客の満足度向上,市民生活の質の向上などに寄与する質の高い観光の実現に向けて全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 学校跡地の活用についてでございます。番組小学校の歴史を持ちます学校跡地は,長年,自治活動の拠点とし使われてきた地域の財産であるとともに,未来の京都の発展にとっても貴重な財産でございます。こうしたことを踏まえまして,学校跡地につきましては,本市全体のまちづくりや地域の活性化に寄与するよう活用を進めておるところでございまして,平成23年に策定いたしました学校跡地活用の今後の進め方の方針では,本市の直接活用に加えまして,民間事業者に対象を広げてからも,自治活動拠点として最大限配慮することを求めているところでございます。他都市では,財源確保のために学校跡地を売却する事例も多い中でございますが,本市におきましては,土地は貸付けといたしまして,引き続き,所有者として地域の皆様,事業者と共に3者で協議し課題解決を図っていくこととしております。地域活動に重大な支障を及ぼしているとの御指摘でございますけれども,自治活動の継続,発展,あるいは新たな地域コミュニティ活性化のために,地域住民と共に協議を重ねて活用の方向を決めていくという,この学校跡地活用の制度のことを全く御理解いただけていないのではないかと言わざるを得ないところでございます。本年7月には元清水小学校で,11月には元立誠小学校において跡地活用に係る三者合意の覚書を締結したところでございます。今後とも,地域の皆様の思いを大切にいたしまして,魅力あるまちづくりに貢献できるよう,学校跡地の活用にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 吉田文化市民局長。 〔吉田文化市民局長登壇〕
◎文化市民局長(吉田良比呂) 区役所の機能強化についてでございます。本市におきましては,まちづくりの第一線に位置する区役所・支所が,徹底した区民参加による区基本計画の策定や地域課題について話し合う区民まちづくり会議,区長懇談会を通じ,区民の御意見,御要望を的確に把握し市政に反映させる仕組みを既に構築しております。住民自治の充実の観点から住民の意見を取りまとめる地域協議会の設置などを内容とする地域自治区制度の機能については,本市においては既に実現できていると考えております。また,予算権限につきましては,市の一体的なまちづくりや効率性の観点から区と本庁の役割を明確にしたうえで,全ての局と区との緊密な連携を基に,区が把握した地域ごとの課題やニーズを,各局の予算編成に反映させる区政策提案予算システムや地域の自主的なまちづくりを支える区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算のシステムを構築しています。今後とも,各局,区と区民の皆様との協働によるまちづくりを推進し,課題の解決に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕
◎都市計画局長(鈴木章一郎) 都市機能の集積についてでございます。本市では,これまでから都市計画マスタープランに基づき交通拠点の周辺に都市機能を集積させるなど,都心部と生活拠点など各地域がネットワークされた暮らしやすく活力のあるまちづくりを進めております。この考えに基づき市内全域を見渡し,複数の公共交通の拠点を中心とした用途地域等の見直しを行うことにより,それぞれの地域の特性をいかしネットワークの強化を含めた地域全体の利便性向上を目指しているところであり,一極集中を図るものではありません。また,京都の玄関口である京都駅周辺では,災害時の帰宅困難者対策の充実等も視野に都市再生緊急整備地域を拡大したところであり,戦略的な土地利用の促進と安心感の醸成により新たな都市活力を生み出し,周辺商店街をはじめ地域の活性化にもつながることが期待されています。なお,この地域では民間事業者による都市計画の提案が可能ですが,本市のまちづくりに係る各種の理念との整合性を持たせたうえ,厳正な都市計画の手続を一つ一つ経なければならない点は変わりありません。引き続き,京都のまちの魅力の更なる向上と市民の皆様が安心して住み続けられるまちづくりを着実に進めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 鈴木建設局長。 〔鈴木建設局長登壇〕
◎建設局長(鈴木知史) 花脊峠トンネルについてでございます。本市では,市民の皆様の安心安全の確保や京都のまちの持続的な成長を支えるため,平成28年度末に今後4年間にわたる道路整備事業の進め方を取りまとめ,緊急輸送道路の通行機能の確保や通学路における安全の確保などの観点から重点的に事業を進める路線を定めたところでございます。花脊峠のトンネル化の実現につきましては,平成26年10月に請願が採択されたことは重く受け止めておりますが,本市では,依然として厳しい財政状況の下,都市計画決定がなされた道路においても,いまだに約100キロメートルが未整備の状態であり,加えて約500に及ぶ橋りょうの耐震補強,老朽化修繕など,市民の命と暮らしを守る防災,減災対策に重点的に取り組んでいる中,約60億円から80億円もの巨額の事業費を要する本事業の実施路線への位置付けは見送っております。一方,左京区北部山間地域の道路では,急カーブや離合困難箇所も多く,また,積雪時には更に通行が困難になることから,部分的な道路改良について,現在地域の自治会の皆様と共に当面の対策が必要な箇所を議論しているところであり,今後,財政状況を踏まえ,順次,既設道路の整備,充実に力を注いでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 樋口議員。 〔
樋口英明議員登壇(拍手)〕
◆(
樋口英明議員) 学校跡地を民間事業者へ提供していることに関して,自治活動の活性化を図るとか地域の思いを大切にするなどといった答弁がありましたが,民間事業者に提供した場合と市の事業として使用している場合とでは地域の活動を行う際の条件が全く違うということは,先ほど紹介したように客観的な事実であります。学校跡地の民間事業者への提供方針は,そもそもは国の経済政策に基づいた方針です。以前から同様の方針を国は持っていましたが,骨太の方針2015の中で,行政事務の民営化や公有地の民間への提供を,経済の成長戦略の柱の一つに位置付け,地方自治体に強力に押し付けてきています。こうした公務の産業化は,企業,それも参入できるのは大企業が多いということで,大企業のもうけを一層促進させようというものです。この方針と相呼応して,本市でも様々な公務の産業化が具体化される中で,学校跡地の民間事業者への提供が行われ,地域の自治活動やコミュニティ活動を大幅に制限するという事態が引き起こされています。 国に言われるままに公務の産業化を進めることはやめるべきであることを指摘して,私の代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
青野仁志議員に発言を許します。青野議員。 〔
青野仁志議員登壇(拍手)〕
◆(
青野仁志議員) 中京区選出の青野仁志でございます。
国本友利議員と共に,公明党京都市会議員団を代表し市政一般について質問いたします。 その前に,本日午前3時18分頃,北朝鮮がミサイルを発射しました。平和的解決を踏みにじる暴挙であり,断じて許されるものではないと申し上げ質問に入ります。 最初に,伝統産業活性化に向けての今後の展開についてお尋ねいたします。京都の伝統産業は,多大な努力と工夫を通して今日まで受け継がれ,京都の産業と文化を支えてきましたが,生活様式や価値観の変化による需要の低迷,海外製品の流入,技術者の高齢化など厳しい状況に置かれています。 この間,第1期,第2期と伝統産業活性化を推進するための計画を立てて取り組み,それぞれ成果を残したものの,西陣織の出荷額については,2016年はピーク時の6.7パーセントにまで減少。従事する方も,2014年は12パーセントにまで減少という実態です。京友禅京小紋に至ってはその生産量は1971年のピーク時に比べ,2016年は何と2.3パーセントにまで減少しております。 こうした中,本年3月,第3期京都市伝統産業活性化推進計画を策定されました。その特徴は,伝統産業製品の出荷額の増加を最大目標に掲げたことであります。 〔寺田議長退席,久保副議長着席〕
◆(
青野仁志議員) (続)伝統技術の継承と併せて産業としての自立を目指す計画であります。 折しも,京都市の観光産業については,観光消費額が過去最高を更新するなど好調に推移しており,2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催や,文化庁の京都移転など日本の文化,ひいては京都の伝統産業へ世界から注目が集まるかつてない好機が訪れています。 過日,京都伝統産業ふれあい館が,世界最大の口コミサイト,トリップアドバイザーが発表する無料観光スポットランキング2017において,国内5位に選ばれました。ちなみに1位東京都庁,2位国立広島原爆死没者追悼平和祈念館,3位修学院離宮,4位桂離宮に次いでの堂々の5位であります。同館を訪れる海外の方の中には,お気に入りの工芸品を見つけると,工芸品ができるまでのストーリーや体験を求め工房や店舗に出向く方も少なくないそうです。最近は,モノ消費からコト消費と言われますが,職人の匠の技を実際に見,また自ら体験するコト消費で,物の価値を感じていただければ,新たなモノ消費も期待できます。 私は,京都市が伝統産業による京ものの産地としての地位,すなわち京都ブランドを確立するチャンスと捉えます。まさに京都の伝統産業が利益を生み出す新産業として再生を果たすラストチャンスであろうと思います。多くの関係者の皆さんはそうした期待と決意で,既に本計画にのっとり,新たな視点で取組を開始されていることと思います。 伝統産業として変えてはならないものもありますが,その技を新しい時代に対応させ進化させることも必要です。そもそも京都の伝統産業は,時代,時代の変化に柔軟に対応し,発展,進化を繰り返す歴史でありました。京都市の伝統産業の新たなステージを築く取組を期待いたします。 うれしいことに国内外の新たな販路の開拓により大きく飛躍した事業者や,設備改修補助制度の利用を契機に積極的な事業展開に挑戦する事業者,従来の枠組みに捉われず意欲的に新たな取組に挑戦する若手職人が数多く活躍するなど変革の兆しが見えつつあります。こうした意欲的に新たな取組に挑戦する伝統産業事業者には新たな販路開拓につながる支援をより一層充実していくべきと考えます。また観光消費額が過去最高という好機をしっかりと捉え,伝統産業の活性化につなげるべきと考えます。さらに,本計画に沿って出荷額を増加させるためには,こうした新たな取組に挑戦するという意欲を業界全体に波及させることも重要と考えます。 第3期京都市伝統産業活性化推進計画をより実効性のあるものとしていくため,次代を担う伝統産業の皆さんが問題意識を共有し,一致団結して,様々な課題解決に積極的に取り組むことも求められます。伝統産業活性化に向けての今後の展開について前向きな答弁を求めます。 続きまして,地域包括ケアシステムの構築に向けた介護予防,認知症対策についてお尋ねいたします。今年度は,3年に一度の,介護保険事業計画の改定が行われます。現在,国においても,6年ぶりとなる介護報酬と医療報酬の同時改定に向けて,社会保障審議会や中央社会保険医療協議会において,大詰めの議論が行われています。 公明党の社会保障制度調査会は,今月9日,2018年度の予算編成に向けて,診療報酬と介護報酬の同時改定を巡る議論を開始いたしました。席上,厚生労働省からは,高木美智代副大臣も出席。今回の同時改定の基本的な考え方として,団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて医療,介護の提供体制を整備する観点から,地域包括ケアシステム構築の推進などを重視するとのことでした。したがって,今回の介護保険制度改正の柱の一つは,地域包括ケアシステムの深化,推進であります。介護予防生活支援で言えば,住み慣れた地域で色々な方々との関係性を保ち自分らしく生きていくということが幸せで,元気も維持できます。そういう意味では可能な限り地域で活動することが大事であります。京都市でも,これまでから地域介護予防推進センターを中心に,地域に出向いて介護予防教室等に取り組んでおられますが,教室に通うだけでなく,通って学んだことを,高齢者の方々が,家庭や更に地域で自主的に継続的に取り組んでいかれることこそ,大切だと思います。 介護予防に関連して,最近では身体の衰えを指すフレイルという言葉や,そのフレイルの一種でかんだり食べたりする力が少し弱くなる状態を指すオーラルフレイルという言葉が用いられるようになってきています。これは,年齢と共に現れる状態のことで,フレイルを経て要介護状態になるとされています。そこでフレイルになる前のレベルダウンをもっと早い段階で遅らせることの重要性が東京大学の研究で分かってきました。最終的には筋肉が減っていくのですが,その手前でかむ力や食べる力が落ちるため,口腔機能が大事であり,さらにその手前で,社会性,社会との関わりが減っていることが分かりました。社会との関わりがその人を弱めない一番の方法と言えるので,その辺りを十分理解してコミュニティを活性化していくことが介護予防につながるということであります。 このように日頃からの地域での関わりや家庭の中での健康づくりの取組により,フレイルの状態になりにくくなるなど,介護予防に直結すると思われますが,京都市においては,今後,フレイル対策をはじめ介護予防の取組をどのように進めていこうと考えておられるでしょうか。御所見を伺います。 一方,介護予防に取り組んでいても,加齢や疾病により,運動機能や認知機能が衰えていくこともあります。これらの方への支援についても併せて充実させていく必要があります。とりわけ,年々増加が見込まれる認知症高齢者への対応については,早い段階で気付き,適切な支援につなげることにより,認知症の進行を遅らせることができ,健康な時間を長くすることにつながります。この仕組みを構築することが,できる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという,多くの高齢者の願いに応えていくために重要だと考えます。 つきましては,地域包括ケアシステムを構築する上での大きな課題である,認知症の初期段階での対応を,どのように進めていこうとされているのか,併せて御所見を伺います。 最後に,京都市のオリンピック・パラリンピック教育についてお尋ねいたします。2020年東京大会開催決定後,国は,オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議を設置し,9回にわたる会議を経て,昨年7月に最終報告が示されました。興味深いのは有識者会議の初会議の際,64年東京大会当時の自治体によるオリンピック学習の事例として京都市の取組が紹介されていることであります。当時京都市は,オリンピック読本を独自に作成し,オリンピックを開催することで増加するであろう
外国人観光客を迎えるに当たり,必要な心構えと京都市民憲章を併せて紹介。また,64年東京オリンピック出場を目指す地元ゆかりの選手や,聖火リレーのコースを紹介しています。 最終報告では,スポーツの価値とオリンピック・パラリンピック教育の意義を示し,具体的内容としてオリンピック・パラリンピック教育を大きく分けて,オリンピック・パラリンピックそのものについての学びとオリンピック・パラリンピックを通じた学びから構成されるとしています。正に当時の京都市の取組が反映されたものと私は思います。 今回京都市では,先の有識者会議での議論を踏まえ,2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け,子供たちによる国際文化観光都市・京都の魅力発信事業や,オリンピアン,パラリンピアンによる特別授業や交流イベントを,学校を指定し順次実施するなど着実に推進しておられます。 さて東京オリンピック・パラリンピック開催まであと2年半,明年2月には韓国平昌で冬季オリンピックが開催され,翌2019年には日本において
ラグビーワールドカップ,2020年東京オリンピック・パラリンピック,更に2021年には
関西ワールドマスターズゲームズの開催と連続してビッグイベントを迎えます。今後オリンピックを中心にスポーツへの注目度は俄然高まっていくものと思われます。 こうした中,京都のオリンピック・パラリンピック教育の取組も更なる展開が必要と考えます。オリンピック・パラリンピック教育を続けてこられた真田久筑波大体育専門学群長は,64年の東京オリンピックにおいて世界で初めてのオリンピック学習が日本で行われ,98年の長野大会では一校一国運動が誕生。この教育はその後のオリンピック・パラリンピック開催地にずっと伝承され続けています。今回も教育を大事にする日本が何らかの発信をしてくれるのではと世界の教育者が待っています。また,教育は子供たちを通じて社会を変える。それは大会開催の大きな無形のレガシーになると。さらに,64年東京大会の柱は世界を迎えるマナー教育,98年長野冬季大会の一校一国運動は,世界に目を向ける国際教育。今回成熟社会で迎える2020年大会は,社会や世界への貢献を主題にしたいと語っておられます。 私は,京都型オリンピック教育をテーマに調査,研究のうえ,昨年2月に市長と教育長に対し,京都市のオリンピック・パラリンピック教育の方向性を示し,新しいスポーツ教育,観光人材の育成,共生社会を志向する都市を目指すとの考えの下,6項目の取組を提言いたしました。おおむね提言に沿って取組を進めておられるものと理解していますが,現在,オリンピック・パラリンピック教育の全国展開が本格化する中,国際パラリンピック協会やスポーツ庁,あるいは東京都など,組織によって何を教育の柱にするかが異なるといった課題も浮上しています。教育活動と大会事業をつなぎ無形のレガシーを残すことが重要です。またオリンピック・パラリンピック教育を通じて若者を教育することで,その若者たちによる平和でより良い世界の構築につながることこそ大切です。 教育先進都市・京都として,オリンピック・パラリンピック教育の意義や狙いをどこに置いて取り組んでおられるのか,また現在の取組の成果をどのように市全体に広げていかれるのか,今後の展開についてお答えください。 最後に,1点要望いたします。この度,中京区の元教業小学校の旧校舎やグラウンドを,子供から高齢者までが集う施設として再活用する方針で,民間事業者から提案を募られます。より良い提案を期待しております。 同小学校も位置する二条城南部,おおむね北は押小路通,南は四条通,東は堀川通,西は千本通に囲まれた地域でありますが,北東に市営地下鉄二条城前駅,北西にはJR並びに市営地下鉄二条駅,南は四条大宮のバスターミナル,阪急電鉄並びに嵐電の大宮駅と交通の便に恵まれ,かつこの地域には北から神泉苑,御池通,二条陣屋など歴史的施設が多く,また三条会商店街が東西を結び,更に南には多くの寺院が軒を並べ,風情ある町並みを形成しています。昨年度の二条城来城者数は190万人超えを記録。来城者の多くは,周辺地域を訪れることなく帰られます。二条城南部の活性化,まちづくりに向けた議論が住民の中で起きつつあるとお聞きします。今回の元教業小学校跡地利用を機に,行政として,こうした新たな動きを把握され,前向きに後押しされるよう求めておきます。 以上で質問を終わります。最後までの御清聴,本当にありがとうございます。(拍手)
○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
青野仁志議員の御質問にお答えいたします。 伝統産業の活性化についてでございます。東京オリンピック・パラリンピック,さらに翌年の
関西ワールドマスターズゲームズ2021ジャパンなどが開催されることを控えまして,世界から和の文化に注目が集まる中,京都の伝統産業の活性化を図るためには,文化庁の京都への全面的な移転を契機に,現代の暮らしの中で,華道や茶道,さらに和食,着物の文化など和の文化の価値を再認識,再構築していくことが極めて重要であります。同時に,青野議員御指摘のとおり,新たな販路開拓や次代を担う伝統産業従事者による総合的な挑戦を支援するとともに,好調な観光と伝統産業,伝統文化をしっかりと結び付けることが重要であります。 このような認識の下,本市では,これまでから国内外の販路開拓に挑戦する事業者に対して,パリのデザイナーとのコラボによる新商品開発から展示商談会への出展まできめ細かな支援を多彩に行ってきており,近年では海外の大手ブランドや百貨店との継続的な取引が開始されるなど大きく飛躍成長する事業者を輩出してまいりました。また,近年発足させた伝統産業設備改修等補助制度では,廃業を食い止めるだけでなく,次の世代に匠の技をつなぎ,新たに海外向けの商品開発を行うなど事業者の挑戦意欲をかき立てることにもつながっております。担い手育成の観点からは,商業施設やホテル,飲料メーカー等の民間企業とのコラボ事業におきまして,京の伝統産業わかば会や未来の名匠をはじめ,若手,中堅の担い手に活躍の場を提供するなど新たな挑戦を積極的に支援しており,更に強化してまいります。 観光との連携につきましては,体験型の消費,いわゆるコト消費に人気が集まる中,好調な観光消費を伝統産業に取り込むため,観光客に本物の匠の技に触れていただく京都工房コンシェルジュを昨年度から実施し,これまで800人を超える方々に御利用いただき,大変好評を得ているところであります。引き続き,旅行会社や宿泊施設とのより一層の連携強化のうえ,充実を図ってまいります。 今後とも,これまでの成果を検証しいかしながら,新たな市場開拓を目指す意欲的な事業者団体と連携を深め積極的に支援し成功事例を業界全体に波及させることで,1,000年を超えて和の文化を支えてきた日本の宝である伝統産業の活性化に全力で取り組んでまいります。 次に,介護予防の取組についてでございます。青野議員御指摘のとおり,心身や口腔の機能が低下するフレイルやオーラルフレイルの状態を経て要介護の状態に至る背景として,歳と共に社会との関係が減ることが挙げられております。このため,介護予防には,愛称すこやかクラブ京都と称する各老人クラブにおいて,仲間と趣味やスポーツを楽しまれるほか,独り暮らしの高齢者世帯を訪問し,話し相手になられたり,子ども見守りパトロール活動などの奉仕活動に取り組まれる,また,培った技術,特技をいかしシルバー人材センターで活躍をされるなど人々と触れ合い,しっかりと体を動かして社会貢献をされ,毎日を笑顔で生きがいを感じながら過ごされることが極めて重要と考えております。また,御家族や友人との会話を楽しみながら食事をし,話す,食べるといった口の機能をしっかりと使うことがオーラルフレイル対策となります。こうした取組を,現在策定中の健康長寿笑顔のまち・京都推進プランに明確に位置付け,京都ならではの生活文化や地域のつながりをいかしたフレイル,オーラルフレイル対策を地域ぐるみでしっかりと進めてまいります。 次に,認知症の初期対応の取組についてでございます。認知症ケアにつきましては,早期診断,そして早期対応につなげる仕組みづくりが極めて重要でございます。そのため,認知症の疑いなどがあるにもかかわらず必要な支援につながっていない人やその家族に早期に関わり,訪問等による支援を集中的に行う認知症初期集中支援チームを昨年度から順次設置しており,現在,市内三つのエリアで活動しております。支援チームの活動を通じて,デイサービスや医療サービス等の利用につなぎ,在宅生活の継続につながっている事例も多くなっており,今後,できる限り早期に全市域に拡充し,認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる京都のまちづくりに取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(久保勝信) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) オリンピック・パラリンピック教育についてでございます。昨年2月,
青野仁志議員から示唆に富む御提言を頂き,改めて感謝を申し上げます。御提言でお示しいただきました新しいスポーツ教育の実践の発信,おもてなしの精神の向上と観光人材の育成,世界の人々が共生する社会モデルの形成の志向という三つの視点は,本市といたしましても,オリンピック・パラリンピック教育を進めるうえで,大変重要な方向性であると認識しているところでございます。こうした中,本市では,2020年の東京大会開催決定を契機として,平成26年度から,子供たちが多様な体験等を通してより一層京都の文化を学び,その学びを国内外から京都を訪問される方々に英語も活用しながら発信することを目指す国際文化観光都市・京都の魅力発信事業や,筑波大学との連携によるオリンピック・パラリンピックの日本代表選手等の特別授業などを推進しているところでございます。さらに,今年度は,国におけるオリンピック・パラリンピック教育の推進に向けた最終報告で示された推進方策も踏まえ,大会組織委員会で認証された,大会の意義とそれを支える人々,多様性と国際理解等の四つのテーマについて映像資料やワークシートを活用して学ぶことができる教育プログラムを,本市立中学校8校で来月12月から実施するとともに,特別支援学校での取組の一層の充実のため,スポーツ庁からSpecialプロジェクト2020の指定を受け,呉竹総合支援学校において障害者スポーツや障害者芸術を一体的に実施する取組を推進しております。今後とも,こうした取組を全市に拡大しながら,オリンピック・パラリンピック東京大会や
ラグビーワールドカップ,
関西ワールドマスターズゲームズの開催を見据え,未来を担う子供たちがスポーツの価値や国際的な視野を持って世界の平和や社会の発展に貢献することの大切さ等を学び,国際社会や地域社会の活動に主体的,積極的に参画できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(久保勝信) 次に,市政一般について,
国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔
国本友利議員登壇(拍手)〕
◆(
国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。
青野仁志議員に続き公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について,3点にわたり質問をいたします。市長並びに関係理事者におかれましては,明快な御答弁をいただきますようお願いいたします。 初めに,大規模災害時における受援体制についてお伺いいたします。大規模な災害に見舞われたとき,全国の自治体や企業,民間ボランティアなどが多種多様な支援に乗り出す体制ができています。しかし,被災地の受入体制が不十分であれば,折角の善意もいかすことはできません。そこで問われるのが応援,支援を受け入れる力,すなわち受援力であります。現在では,複数の自治体による広域災害連携が進み,多くの自治体が相互応援協定を締結しています。あわせて,被災地の要請を待たずして物資を届けるプッシュ型支援なども導入されている状況です。だからこそ,被災自治体においては受援力の高さが問われます。 そこで,大規模災害時の各自治体などからの応援を効果的,効率的に被災者への支援につなげていくために受援力を高めていくことが重要であり,鍵となるのが受援計画であります。国は,2012年に防災基本計画を修正し,受援計画の策定を自治体に求めているところでありますが,総務省勧告では2014年時点で受援計画を策定された自治体は約11パーセントにとどまっている状況です。阪神・淡路大震災を経験した神戸市は,2013年に受援計画を定め,緊急時は応援受入本部を設置し,他の自治体などからの支援に関する窓口を一元化する体制を作られています。また,避難所運営や医療ボランティアの受入れなど130の業務で受援シートを用意し,指揮命令系統や執務スペースを細かくチェックできるようにされています。 このような中,改めて,受援計画の重要さが明らかとなったのが,昨年4月に発生した熊本地震でありました。熊本地震においては,被災地以外の地方自治体や防災関係機関をはじめ企業,ボランティア団体などにより様々な応援が行われました。熊本県及び県内の被災市町村に対する都道府県からの短期職員派遣状況を見ても,平成28年10月31日時点で延べ4万6,827人。また,各都道府県調整による民間団体などからの短期派遣は1万4,405人に及び,災害対応に果たした役割は大きいところであります。一方で,広域的な応援,受援に具体的な運用方法,役割分担が確立していないこと,応援の受入れに当たり県と市町村の役割分担が明確でなかったことなど,被災自治体における受援体制が十分に整備されていなかったことから多くの混乱が見られました。また,各地から配送されてきた支援物資の仕分けや配送が混乱し,支援物資の被災者への配分に時間を要したうえ食料が届かなかった避難所もあり,その一方で賞味期限切れのおにぎりが大量に廃棄されたという事例もありました。 中央防災会議が平成28年12月に取りまとめた,熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方についてでは,今後の広域災害の対応における受援を想定した体制整備について検討を進めるべきとして提言されました。これを受け,国においては,地方公共団体の受援体制に関する検討会を設置。5回にわたり検討会が実施され,平成29年3月に地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインを策定され,地方自治体の災害時受援体制の構築を要請しています。このガイドラインの中では,各自治体における受援体制の整備と共に,受援計画の策定も求められています。受援計画を平時に策定し,人的配置と物資の管理,供給体制などを時系列的に見える化することによって,災害時における混乱を防ぎ,他の自治体や民間団体からの支援を効率的,効果的に被災者へ届けることができると考えます。 京都市においても花折断層等を起因とする大規模直下型地震が想定され,大きな被害が出ると見込まれています。それを踏まえ,行政においては地域防災計画の策定や第2次総点検,また,各地域においては自主防災会を中心として防災訓練をされるなど様々な取組が進められている中で,大規模災害時の受援計画の策定を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,文化芸術による社会包摂の取組について質問をいたします。社会包摂とは,社会的に弱い立場にある人々も含め,市民一人一人を排除や摩擦,孤独や孤立から援護し,地域社会の一員として取り込み,支え合う考え方のことであります。私は,平成28年度の調査研究として,文化芸術を通じた社会的弱者支援に関する調査研究を行い,本年4月に提言書を門川市長に提出させていただきました。文化庁移転が正式決定し,文化首都である京都において従来の文化芸術の振興だけでなく,文化芸術が価値を生み,それが社会的弱者に対して,癒しや生きる力の源泉となればとの思いから取り組んだものであります。 熊本地震において,被災者に元気を贈りたいと地元の吹奏楽グループが避難所で演奏会を開催し,大変好評であったということが新聞記事で伝えられました。正に文化芸術が被災者の心を癒した例と言えます。こうした文化芸術を通じた,被災地復興の取組事例は阪神・淡路大震災や東日本大震災でも多く見られ,被災者はもとより,全国民の心を動かし,社会的にも認知されています。 また,文化芸術を通じた取組は,復興支援だけではなく医療現場や障害者施設,高齢者施設などでも行われています。大阪市立大学医学部附属病院では平成12年から小児科病棟を中心に,療養環境改善事業の一環としてアートプロジェクトを実施しています。アートプロジェクトでは,患者とプロの芸術家,アートNPO,アートマネジャーなどが行う共同政策を医療従事者,病院職員,ボランティアスタッフが支援する仕組みを取り入れています。特に病院内で病気と闘いながら成長発達を続ける子供たちにとって,アートを通じて,生きる力を引き出す取組は非常に大切であると思います。また,高齢者施設などの介護現場においても,文化芸術を通じて高齢者に対するケアをはじめ音楽や演劇を活用した認知症対策の取組も始められています。このような,病院や福祉施設などにおける文化芸術を通した取組については,それをマネジメントする人材が求められていると思います。 このような中,大阪市立大学では社会包摂型アートマネジメント・プロフェッショナル育成事業を平成26年から3年連続で文化庁の事業として採択され,取り組まれてきました。この事業は,被災地や貧困地域,病院や障害者施設といった問題を抱えたり社会から遠ざけられたりしている地域や施設において,文化芸術を通してその解決や回復を図り,それらをマネジメントする人材育成を目指すものです。このように文化芸術による社会包摂を実現していくために,文化芸術をマネジメントできる人材の育成も始まっています。 平成27年5月22日に閣議決定された文化芸術の振興に関する基本的な方針・文化芸術資源で未来をつくる第4次基本方針の基本的視点として,公共財,社会包摂の機能,公的支援の必要性が掲げられています。その中で,文化芸術は,子供,若者や高齢者,障害者,在留外国人などにも社会参加の機会をひらく社会包摂の機能を有していると位置付けられています。 また,平成29年7月25日に文化庁移転協議会から発表された新・文化庁の組織体制の整備と本格移転に向けてでは,新・文化庁においては,文化芸術によって公共的,社会的又は経済的な様々な価値を創出することが示され,今後,文化芸術が果たす役割は一層幅広いものになることは間違いありません。 京都市においては,文化庁移転に伴う文化行政の総合的な機能拡充への取組として,平成29年度当初予算で文化芸術で人が輝く社会づくりのモデル事業として,社会的困難を抱えた方も含めた様々な人々に対して文化芸術の力を活用して社会参加につなげる取組を開始されています。これらの取組は,費用対効果としてすぐに見えるものではありませんが,地道に取り組むべき課題であると思います。文化芸術の力を通し,社会的困難を抱えた方に寄り添う流れが出来つつある中,文化庁移転が正式決定し,文化首都・京都を掲げる本市において,今年度,実施されているモデル事業の成果を踏まえて,文化芸術による社会包摂の取組を更に積極的に進めるべきと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 最後に,小中学校におけるプログラミング教育についてお伺いいたします。インターネットの単なる普及にとどまらず,インターネットを活用したIoTの活用分野の拡大や自動車の自動運転をも可能とするAI,人工知能の開発など,近年におけるIT技術の発展は著しく,第4次産業革命とも呼ばれる大きな転換期を迎えています。今年3月に示された新しい学習指導要領では,こうした時代を生きていく子供たちに,学習の基盤となる言語能力や情報活用能力,問題解決能力などの資質や能力を育成することが重視されております。その一環としてプログラミング教育の充実が掲げられており,小学校では必修化,中学校,高等学校では内容が拡充されることとなっています。 我が国におけるプログラミング教育は,小学校段階でプログラム言語や技術を覚えることを目的とするものではなく,一般生活の中でも,また子供たちが将来どのような職業に就くとしても求められる力であるプログラミングの働きやその良さに気付くこと,また,うまく活用してより良い社会を築いていこうとする態度の育成,そしてコンピューターなどに意図した処理を行わせるための必要な力,つまり物事の筋道を考えて計画的に実行できる論理的思考の育成を図っていくものであります。全国では千葉県柏市が,プログラミング教育は情報リテラシー,情報を読み解く能力の一つと位置付け,今年度から,全市立小学校42校の4年生を対象に総合的な学習の時間を充てて授業を先行実施しています。 京都市においては,市立小学校2校の土曜学習でプログラミング教室を試行実施したほか,5箇年計画でノート型パソコンからタブレット型パソコンへ更新し,また無線LANの整備を進める中,小中学校の教員の研究会でも研究が始められています。今後,平成32年からの小学校での必修化に向けて,ハード,ソフト両面での充実が求められるところであり,京都市会でも9月市会において,教員の指導力向上に向けた支援やICT環境の整備充実に向けた財政措置などについて,国へ意見書を提出したところであります。 また,私は,本年9月に海外行政調査団の一員として,エストニア共和国,タリン市の小学校でプログラミング教育について視察をさせていただきました。その際には小学校の低学年の児童がコンピューターを使用し,あらかじめ用意されたプログラミングを組み合わせて,おもちゃの自動車が障害物を避けてスムーズに走行させる授業が行われていました。子供たちは,与えられた課題を楽しそうに試行錯誤を繰り返し,互いの工夫を話し合い,少しずつ結果が良くなっていく様子が非常に印象的でした。単なるプログラミング教育だけでなく,子供たちが主体的に,協同,対話的に学習するアクティブ・ラーニングの要素も取り入れられていると思いました。このような学習方法は学びへの意欲を高め,知識の定着を高めるとともに,学びの姿勢そのものの育成につながるものであり,非常に重要な視点であると感じた次第であります。 文部科学省によると,プログラミング教育は必修化と言っても新しい教科は作らず,総合的な学習の時間や算数,理科などの教科で行うこととしており,実施においては自治体や学校現場の工夫に委ねられる部分が多いと感じています。私は,本市においてプログラミング教育を実施するに当たり,児童生徒の学習意欲を高めるための工夫,特に協同,対話的に進めるアクティブ・ラーニングを取り入れた学習内容とすることが有効と考えますがいかがでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
国本友利議員の御質問にお答えいたします。 まず,大規模災害時における受援計画の策定など受援体制についてでございます。地震をはじめとする大規模災害が発生した場合,被災自治体単独で被災者への対応や復旧活動を迅速かつ円滑に実施することは困難であり,そのため国や他都市,更には民間企業,ボランティア団体等からの物的,人的支援を求めることが不可欠であります。本市では,東日本大震災の際には1,700名の市職員を,また,昨年4月の熊本地震では550名を超える市職員を派遣し,支援物資の提供や現地での避難所における運営補助,災害廃棄物の処理など幅広い被災地支援を行う中で受援体制の在り方についても多くのことを学んでまいりました。特に,熊本地震においては,国,他都市等からの応援職員の活用方法や役割分担といった手続が定まっていなかったために支援活動に混乱が生じたり,支援物資の被災者への配送遅滞や配分の偏在等の課題が明らかになりました。私自身も被災地に行きまして,そうしたことを実感してまいりました。 本市では,現在,第2次防災対策総点検を行う中で,様々な課題を洗い出しているところでありますが,国本議員御提案のとおり,必要とされる支援物資の受入れや,国,他都市等からの人的な支援についても,本市の業務継続計画に定める非常時優先業務に加えて,具体的な支援の要請や受援の手続等を事前に定めておく必要があります。今後本市では,東日本大震災や熊本地震など,これまでの支援の経験をしっかりと踏まえ,支援物資の受入れについて必要な種別や数量,調達方法,効果的な物流の確保,適正な在庫管理などについて,更に詳細な想定を行うとともに,人的支援については,発災直後の初動期から,応急期,復旧・復興期に至る時間軸に対応した業務に必要な職種,人員規模等を,あらかじめしっかりと把握してまいります。そのうえで,大規模災害発生時の支援の要請や受入体制,手続等を具体的に定めた京都市災害時受援マニュアルの来年度中の策定に向けた取組を進め,これを地域の皆様と共有し,効果的,効率的な被災者への支援につなげてまいります。 次に,文化芸術により全ての人の社会参加を目指す社会包摂の取組についてであります。本年4月に国本議員から頂いた文化芸術を通じた社会的弱者支援に関する調査研究に基づく御提言は,今後10年間の本市の文化芸術政策の指針として策定した第2期京都文化芸術都市創生計画に掲げた施策と方向性を同じくするものであり,大変心強く,改めて敬意を表します。本市といたしましては,文化庁の京都への全面的な移転を契機に,文化を基軸として,教育,福祉,観光などあらゆる政策分野と融合させた取組を進めることとしており,社会包摂につきましても,重要な政策課題であると認識いたしております。こうした方向性は,文化庁においても,文化芸術による公共的,社会的な価値の創出を全面的移転に伴う文化庁の機能強化方針の大切な一つとして位置付けられているところであります。 本市では,文化芸術には,人と人との垣根を取り払う力,また,潜在的な創造性を引き出す力があるということに着目し,これまでから総合支援学校への芸術家の派遣や,天才アートの活動による障害者芸術の振興など文化芸術による社会包摂の取組を進めてまいりました。さらに,これらを大きく充実するため,本年度から新たな展開として,文化芸術で人が輝く社会づくりモデル事業を実施しております。この事業では,障害や貧困,差別などの状況に置かれた方々の社会参加の機会を増やし,それぞれが抱える課題の改善につなげるために,市内や他都市での事例調査を行うとともに,音楽や現代舞踊により困難な状況に置かれた子供や若者の社会参加や多文化共生等の理解促進に資するプロジェクトに取り組んでおります。 私は,市長就任以来,徹底した縦割り排除によりあらゆる施策の融合を進めてまいりました。様々な分野で全国をリードする本市の施策と文化首都・京都ならではの文化芸術施策を融合することで,京都だからこそできる新たな価値を創造し,一人一人の豊かな暮らしにつないでいくということが大切であると考えております。本年度のモデル事業や調査の結果を踏まえ,様々な相談に対応し,コーディネートできる担い手を育成するなど文化芸術による社会包摂を推し進め,全国の先進モデルとなることを目指してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(久保勝信) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) プログラミング教育についてでございます。本年3月に告示された新しい学習指導要領では,人工知能の進化や社会の加速度的な変化により,現在以上に予測困難な時代に生きる子供たちに,言語能力や情報活用能力,問題発見,問題解決能力等の学習の基盤を育成するため,プログラミング教育の充実が示されております。既に導入しております中学校,高等学校では内容を拡充し,小学校では新たに算数や理科等において実施することとされております。
国本友利議員御指摘のとおり,プログラミング教育は,物事の筋道を考えて計画的に実行する論理的思考力を育むものであり,与えられた課題について様々な手順を踏みながらグループで解決していく体験的な学習として,アクティブ・ラーニングにつながるものと考えております。このアクティブ・ラーニングにつきましては,本市では,国語はもとより全ての教科,領域において,言語活動の充実などを通して長年にわたって研究と実践を進めており,子供たち自身が課題の発見と,その解決に向けて主体的,協働的に学ぶ学習を先進的に実践してきております。今年度は,こうした実践に加えて,研究指定校においてプログラミング教育の研究を開始しており,来年度からは,その研究成果も踏まえ,新たに実施することとなる小学校教員に対しまして実践的な授業力向上に向けた研修を行うとともに,研究指定校の拡大や教職員で組織する研究会との連携による教材開発など具体的な取組を進めてまいります。また,全小中学校普通教室への無線アクセスポイントの設置やタブレット型パソコンの導入など,ICT機器の整備に努めているところであり,先般京都市会から国へ提出いただきました意見書を踏まえ,引き続き,国に要望しつつ充実を図ってまいります。今後とも,こうした条件整備と共に,研究と実践を積み重ね,本市独自の指導計画である京都市スタンダードの改定を行い,平成32年度からの全面実施に向け,学習意欲を高めるアクティブ・ラーニングを取り入れた本市ならではのプログラミング教育の実施について準備を進めてまいります。以上でございます。
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○副議長(久保勝信) 暫時休憩いたします。 〔午後2時53分休憩〕 〔午後3時19分再開〕
○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。
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○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,
中野洋一議員に発言を許します。中野議員。 〔
中野洋一議員登壇(拍手)〕
◆(
中野洋一議員) 私は,東山区選出の中野洋一と申します。いよいよ最後の代表質問となりました。本日は,テレビジョンを通して御覧になっている方もいらっしゃいますので,是非市長には分かりやすい言葉で御答弁をお願いいたします。 民進党京都市会議員団を代表して,京都市政一般に関して大きく四つ質疑いたします。 第1章,市民生活を脅かす民泊への対策と京都市の民泊条例制定へ向けてというタイトルでございます。民家に泊まると書いて民泊と呼ばれてまだ2年程度しかありません。この宿泊施設の急増で,市内では生活が脅かされ,安心して暮らせないケースが増え続けています。私が,この本会議場で初めて大々的に民泊による実態報告と解決の必要性を説いたのが2年前の平成27年の10月。残念ながらそのときの京都市側の答弁は,危機意識が見られるものではございませんでした。しかし私も含め議員団で機会あるごとに提言したことで,急速に京都市の取組が改善の方向に切り替わりました。ここで折角の機会でもありますので,今までの流れを簡単に御説明したいと思います。 (パネルを示す)皆さん,御覧になれますか。まず,平成27年,西暦2015年10月に質問した後に,翌月,役所の縦割りを廃して民泊対策プロジェクトチームの発足。そして平成28年,西暦2016年3月末まで市内の徹底した民泊の実態調査が実施されました。これによって2,702件の民泊が存在することになり,うち93パーセントは違法,脱法,所在地不明ということでございました。その後に,民泊の担当部署が新設,そして7月には民泊通報相談窓口が開設されました。075-223-0700でございます。それから12月,暫定的ではございますけれども,京都市独自のルールが作成されスタートされました。 ちょっとタイトルは長いんですが,区役所等々には,(実物を示す)この黄色のパンフレットが置いてあります。暫定的なルールで,今現在もこのルールで何とか民泊を運営してほしいということで取り組まれております。 それから今年に入って平成29年,西暦2017年1月,私たち議員団で永田町に乗り込みまして,内閣府,国土交通省,厚生労働省の民泊法案担当者と直接議論いたしまして,京都市の実状,それから盛り込むべき事柄,こういったことを具体的な形で提言してまいりました。当然のことながら,民進党国会議員団にも論議すべき点について,併せてアドバイスをしてきたというところでございます。 それから4月,京都市の民泊部門が集約されて再スタート。そして苦しんでいらっしゃる皆さんにはようやくというところではございますけれども,来年の春,民泊条例が制定されるというところで,今,議論が積み重ねられております。来月12月には,この民泊条例の案に対して市民意見募集ということでもございますので,ぜひ民泊で苦しんでいらっしゃる方,この市民意見募集について,どんどんと皆さんの思いを訴えていただけたらと思います。 さて,不誠実な経営者による民泊の急増で生活環境を大きく乱され,地域住民の本音として,生活を脅かさない民泊であれば違法でも適法でもいい,どっちでも構わないと思うほど,安心安全から大きく掛け離れたところまで市民生活は追い詰められているのが実際のところです。今回の条例で,市民生活を守る覚悟がなく,誠意のない経営者による民泊は絶対に許さない,京都から出ていくべきだという強いメッセージの発信も必要です。条例を制定して,観光振興も大事ですが,それ以上に市民が心豊かに安心して生活する状況をどう守っていくのか,不誠実な経営をする民泊をどう根絶やしにしていくのかお答えください。 さて,条例案の骨子を作るため京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議が3回にわたって行われました。私も何度も傍聴に行ってまいりました。そのうえで,条例案作成に当たり運用規定として盛り込むなど,慎重に取り組むべき点を二つ提言いたします。 一つは,検討会議でも議論の俎上に上がっておりましたが,宿泊施設の設定については,一戸建てと連棟,長屋とを分けて取り扱うべきだと考えます。構造的に長屋では,壁1枚で住まいと民泊が混在し,隣の家が民泊でなくて隣の部屋が民泊になり,夜遅く騒がれると全く寝られません。そしてこういったケースは既に続発しております。不誠実な民泊運営の中で状況改善されることもなく,経営者には防音対策を取る義務もなく,寝ることばかりか生活すらできなくなります。町家についても同様です。京都的な暮らしが体感できる京町家をしっかり改修し,地域の方との交流の中で観光を楽しむことは,京都への理解が深まることも考えると進めるべきだと思います。しかし,路地奥や袋路に存在する京町家のほとんどは長屋です。先ほど申し上げた被害は確実に起こります。私が調査しているケースでは,誠意のない民泊経営者が原因で,生活危機の深刻な問題にもなっています。また,こういう長屋の民泊が増えたことで,京都の生活文化を生み出していた袋路は,周囲の住民との小さなコミュニティが無残にも破壊されています。一戸建てと長屋,特に路地や袋路に存在する長屋との扱いをしっかり分けて,宿泊施設として設定していくべきと考えますがいかがでしょうか。 二つ目に,防火対策の点で民泊周辺の住民に安心して暮らしていただく策について提言いたします。京都市消防局へ寄せられる民泊関連の苦情の80パーセント以上が,民泊を周囲に抱えての火災に対する不安でございます。路地内や狭い通りに暮らす皆さんにとっては当然のことだと思います。現在,民泊での失火が原因で火災になった事例はありません。しかし,今日,明日,起こってもおかしくないところまでやってきているのが今の現状です。私たちも火を前にして冷静に消火活動できるように,地元の防災訓練や防火訓練などで練習しています。ましてや外国人宿泊者が常駐者不在の中,失火を目の前にして落ち着いて初期消火できるでしょうか。また,119番できるでしょうか。通報した際に場所を伝えられるのか,避難した際に御近所の方が「皆,避難できたのか」と尋ねられても,「息子がまだ残っています,何とか助けてください」と伝えられるでしょうか。そして路地内であれば周辺住宅への類焼は絶対に避けられません。いざというときは住んでいる方も泊まっている方も共に被害に遭ってしまうというのが実際のところです。 そこで伺います。改善策として,火災報知器や消火器設備など防火体制の徹底はもちろんです。加えて,宿泊者に対し,火災などが起こったときの通報先や初期対応の仕方をしっかり伝えることを経営者に義務付けるべきと考えますがいかがでしょうか。 また,宿泊施設で防火対策を取っていることを示す,適マークというのがあります。今の制度は30名以上が泊まれる旅館,ホテルなどが対象でございますが,民泊へ拡大し,マークを施設の外にも掲示し,防火対策に取り組んでいることを周辺に知らせ安心していただく,また,掲示されていない施設は違法として駆逐していく,こういう策が考えられます。この適マークの対象を民泊に拡大させ,施設の外側へ掲示させるべきと考えますがいかがでしょうか。 ここまでで,私の最初の質問といたします。
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
中野洋一議員の御質問にお答えします。 民泊対策についてでございます。京都は,市民ぐるみの取組でこの間,都市格は大きく向上し,観光面でも世界的に高く評価されています。しかし,今日,違法な民泊が横行し,住民の皆さんとのトラブルが多発していると。今,全力で取り組んでおりますが,こうしたことは断じて許さない,それが何よりも大事であります。私は,市民の皆様と観光客の皆様の安心安全,地域の生活環境との調和なくして,観光の未来も,京都の未来もないと考えております。まず,地域住民の生活環境,安心安全をいかに守っていくかという基本的な考え方ですが,これまでから地域の皆様と共に全庁を挙げて,違法民泊の根絶に向けて取り組んでまいりましたが,住宅宿泊事業法の施行を控えまして,万全を期すために更なる対策を講じてまいります。 具体的には,民泊の適正な運営が図られるよう,住宅宿泊事業法及び旅館業法等の法令に加えまして,原則対面,又はそれと同等の効果がある方法による本人確認の実施のほか,地元住民への事前の計画説明や緊急連絡先の開示など,本市独自のルールを条例,規則等で定めてまいります。 また,都市計画法に基づく地区計画,あるいは建築基準法に基づく建築協定や分譲マンションの管理規約などにより,市民自らが民泊に係る地域のルールを定められるよう一層の周知を図るとともに,地域の主体的な取組を支援してまいります。 加えまして,民泊の仲介事業者に対しては,違法物件の掲載削除や停止等を申し入れるとともに,仲介事業者の登録権限を有する国に対し,違法民泊を掲載している場合は登録を断じて認めないよう厳しく求めてまいります。 次に,密集市街地が多く分布し多くの長屋が存在する京都のまちの特徴を考慮したルールづくりでございます。まず,全ての民泊に対し,騒音等の迷惑行為防止に係る説明については,原則対面,又はそれと同等の効果がある方法で行うよう事業者に求めてまいります。また,袋路内にある建物では,袋路内通路の使用方法といった特有のルールも追加で説明するよう求めていくことを検討してまいります。さらに,袋路内の家主不在型民泊については同じ町内会等の身近なエリアに管理者を置くことなどの要件を課すことにより,安全確保と共に周辺住民の方の生活環境との調和を図ってまいります。 最後に,防火対策でございますが,火災等が発生した場合の通報先や初期対応の方法の利用者への周知について一層の徹底を図るため本市ルールとして条例化を検討してまいります。中野議員御指摘の防火基準適合表示制度は,国の通知に基づく制度で,収容人員が30人以上の宿泊施設からの申請に基づき,消防法令等の基準に適合している施設に対して,いわゆる適マークを交付するものでございます。収容人員が30人未満のため本制度の対象とならない民泊については,消防法令への適合をはじめ適切な防火対策が講じられていることを利用者や周辺住民にお知らせする新たな制度を検討してまいります。 市民の皆様と観光客の安心安全及び地域住民の生活環境との調和の確保を前提に,本市の都市格を更に高め,持続可能なおもてなしができるよう,法的な課題の限界にも挑戦し,引き続き,全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。
○議長(寺田一博) 中野議員。 〔
中野洋一議員登壇〕
◆(
中野洋一議員) 相当踏み込んだ形での答弁がありました。特に民泊対策は,そもそも住んでいる市民を京都市がどう守るかという,一番根本の部分だと思っています。是非,この根本的な役割が正念場を迎えている現在,今後の民泊対策については,一緒に共に頑張っていきたいという風に思っているところでございます。 そして第2章,新京都市美術館のコンテンツの創出と充実についてというところでございます。 再来年の平成31年度に再オープンする新京都市美術館についてお伺いします。美術館に関しては,これまでネーミングライツや敷地内の美術工芸品の保存について議会で議論されてきました。これからは美術館の中身の充実についても知恵を絞る必要があると考えています。新美術館を文化発信の中核として位置付け,文化政策を市民と共に進めていく,心豊かに暮らせるまちづくりにつなげること,これらは文化首都・京都へ通じる道でございます。そして美術館の多くの作品が道先案内人として,私たちを文化の中心へ導いてくれることだという風にも思っております。私は,様々な機会を使って国の内外の美術館へ行き,その魅力づくりの現場を見てまいりました。それを基に,新美術館の魅力向上と美術,芸術を楽しむ四つの政策提言をし,質問いたします。 一つ目に,美術館には,日本画,洋画,工芸,版画など平成28年度末で3,392点の作品がございます。まず,美術館が誇る多くの作品を活用し常設の展示会を年間通して工夫しながら行い,市民が美術,芸術を楽しむ場を積極的に提供していくことを求めます。外国の美術館は,所蔵作品の展示を中心に楽しんでもらうことから始めています。美術館のスペースを貸し出して,ほかの方に特別展を行ってもらうことも否定はいたしません。しかし,美術館には自慢の作品が多くあり,これからも所蔵作品は増えます。再オープン後,所蔵するすばらしいコレクションを積極的に活用して,常設展示を中心に展開すべきだと考えています。 二つ目に,美術館で美術,芸術を楽しむためのコツを伝授するプログラム,取組を挙げます。新美術館では色々な世代の方,そして美術,芸術に今まで縁がなかった方にも来館いただき,新たな気付きや楽しみ,そして元気を持ち帰ってほしいと思っています。具体的に幾つかの世代に分けて提案します。まずは子供たちです。乳幼児や子供のときこそ,本物を見ることが一番大切です。彼らを対象としたシンプルに作品を楽しむ機会づくりを考えていくべきです。この時期に培われた美術芸術に対する感性は一生ものです。これから歩んでいく人生に大きく彩りを加える可能性があります。そして中学生や高校生など多感な世代には,作品から作者のメッセージを読み取る,感じ取るコツを伝授するプログラム。作者が何を悩み,何を考えこの作品を作ったのか,その時代背景は何だったのか,私たちはそこから何を考えるのかといった場を提供することができます。大学生から大人の世代には,作品を単純に味わい楽しむコツ,作者のメッセージをどこから読み取るのかといったプログラムが考えられます。新美術館では,こういった独自のプログラムを編み出していくことが必要です。この取組は,今後100年の京都の多様な文化芸術の種まきにもなります。 (パネルを示す)実は,これはある国の美術館でございます。学生さんたちがこの絵を見ながら,自分はこの絵から何を感じ取ったのかということを,それぞれ皆さんが話し合い,そしてこの絵の鑑賞の仕方,それぞれの思いというのを共有しているという場面でございます。それから,(パネルを示す)これはほかの美術館でございますが,幼少期,特に幼い子供たちに対して,このかばんを貸し出しまして,この中には,この美術館での自慢の作品のパズル,それからクイズ,そういったものが入っておりまして,その作品を見ながら,実際にそのパズルを組み合わせていく,このクイズを解いていく,そういうことで,自分たちの美術館に掲げてある作品を注意深く見てほしいと,こういう思いの中で子供たちに貸し出す,こういったグッズも作って,子供にも楽しんでもらえる,こういう取組をされている所がございます。 そして三つ目に,色々今提言した内容の充実には,根幹を担う学芸員が欠かせません。去年秋に京都国立博物館での坂本龍馬展を企画された方とお話をしました。企画決定から開催まで5年も掛けたということです。長い歳月にも驚きですが,それ以上に,先読みをし企画の深みを作っていく学芸員の能力や胆力のすごさに感じ入りました。新美術館の中身の充実のためにも学芸員の積極登用に努めることを求めます。 四つ目に,下京区の元開智小学校にある京都市学校歴史博物館です。ここには先人が学校に寄贈されたすばらしい作品が約1,000点所蔵されています。予算的に厳しいので,維持,補修,保管が充分できていないと伺っています。新美術館スタートを機会にこれらの貴重な作品も美術館で一括管理していくことも求めます。 ここで伺います。私の四つの提言の考え方,そして新美術館スタートに当たり,どのように内容を充実させ,どういった形で多くの方が美術を楽しむ機会を作っていくのか,そのためにどういう策を展開していくのかお答えください。私も,今後更に楽しめる美術館に生まれ変わらせていくために,今後機会あるごとに提言を重ねていきたいと思っております。 そして第3章,七条大橋を登録有形文化財指定し,まちづくりの後方支援についてというところです。 (パネルを示す)これですね,これが七条大橋でございます。さて,鴨川に架かる橋の中で,七条通に架かる橋を七条大橋といいます。今地域の皆さんを中心に,この橋をまちづくりのシンボルとしていかそうという取組がなされています。2年前の平成27年,西暦2015年7月7日,七條大橋をキレイにする会という名前で数人のメンバーの方が清掃活動を始められました。それから毎月7日に活動され,回を重ねるごとに参加者も増え,来月12月7日で清掃活動30回を迎えます。私も何度も参加させていただきましたし,市長も暑い日差しの中,清掃活動に加わられたこともありました。普段何も考えず通っていた橋でございますが,自らしゃがんで草を引き,ごみを拾い,鳥のふんをぞうきんで拭き取ることで,改めて橋の存在を強く意識するようになります。 粋なデザインの橋だと思っておりましたが,色々調べると非常に意義深いことも分かってきました。明治以降,京都市が再起を懸けて取り組んだ三大事業として琵琶湖疏水,上水道の整備,市電の開通があります。明治45年琵琶湖疏水の水力で発電し路面電車を走らせた際,橋を広げる必要があり,大正2年,西暦1913年,三つの橋が鉄筋コンクリート造りに架け替えられました。四条大橋と丸太町橋と七条大橋です。その後,鴨川の増水等で橋が流され,現在は七条大橋のみ残っています。 この橋は,歩んできた歴史に加えて,デザインも実はすごいのです。オーストリアのウィーンで当時はやっていたウィーン分離派セセッションという建築様式を大胆に取り入れています。ヨーロッパで近代建築に対し新たな美が注目される中,京都にも大きなうねりが舞い降り,今に残してくれています。(パネルを示す)どこがセセッションなのかというと,この橋のアーチの部分ですね。そして全体の構図,これらが当時ヨーロッパのウィーンではやっていた建築様式をそのまま採り入れて七条大橋に投影したというものでございます。また,この橋には,デザインの粋を極めた街灯が当時設置されていましたが,先の大戦中,鉄の供出要請で撤去され,現在は仮の街灯が代行し,静かに歴史を語り継いでいます。 活動されている皆さんを含め地域では,将来的に橋の維持,補修もしやすい類いの文化財指定である国の登録有形文化財に七条大橋を登録し,橋を起点にまちづくりができないか考えられています。積極的に活動される皆さんのまちづくりの後方支援として,この七条大橋を京都市が国の登録有形文化財として国に申請し,登録に向けて積極的に動くべきだと考えますがいかがでしょうか。 そして四つ目,最後でございますが,第4章,日吉ケ丘高校の英語村での取組について。 (パネルを示す)これは教室,英語村という施設の写真でございます。そのときの行事の風景でございますが。東山区にある京都市立日吉ケ丘高校で昨年から始まった英語村での取組を通して二つの提言を申し上げます。 この高校では英語村という施設を使い,「一般市民対象アクティビティ」というタイトルで年に数回,地域の方と高校生とが英語を学び話すことを接点にしてつながるという取組が行われています。私も何度か参加しています。先日の英語村での取組風景でございますけれども,市内の高校で教鞭を取るALT,Assistant Language Teacher,日本語で外国語指導助手と言いますが,このALTの方が10名,地域の方,高校生,近隣の中学生など,それぞれ15名が参加されて,英語で談笑し,会場内は非常に盛り上がっていました。 当日は,ALTの発表者が,自分の母国をビデオで紹介し,それをテーマに互いに自分の英語で意見交換をします。ゆっくり思いを込めて話される地域の初老の女性ともお話ししましたが,互いに英語で話すことがこんなに面白いものかと改めて実感いたしました。 ここで二つの提言です。一つ目に,小学校,中学校と地域との密なつながりと比べると,高校とのつながりはこれからというところがございます。日吉ケ丘高校の英語村での取組などを通して今後積極的に高校と地域がつながるきっかけづくりを進めていくべきだと考えます。高校生にとって,学校の周辺にお住まいの方と縁あって結び付きを持てたと認識を新たにして学んでいくことは大きな気付きに発展し,型にとらわれない伸び伸びした学生に育つ可能性につながります。二つ目には,自分の英語で色々な世代と話をする。この機会は,高校生ばかりか,地域の参加者の方にとっても貴重なことだと考えます。発音や文法より伝えたいメッセージがあって初めて言葉は生きてくるもの,言葉という道具より,まず何を伝えたいのか,自らの思いに目を向けるチャンスを参加者全員が獲得できると考えています。私は,特にそのことを大事にすべきだとも思っています。高校生と地域の方が深く結びつきを持つこと,英語という外国語を通して互いに探求心を深く持つこと,今後更に充実した形で進めていくべきだと考えますが,この二つの提言に対していかがお考えでしょうか。 市民が心豊かに暮らすことができるまち,それを是非皆さんと共につくっていきたいと,改めてこの場をお借りいたしましてお誓い申し上げまして,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
中野洋一議員の御質問にお答えいたします。 京都市美術館についてでございます。文化庁の京都への全面的移転が決定し,世界の文化首都を目指す上で京都市美術館の役割はますます重要なものとなってまいります。リニューアルオープン後の運営につきましては,まず常設展についてでありますが,国内屈指の所蔵作品数を誇る近代日本画を中心に,年数回の展示替えを行い,いつでも日本の文化を肌で感じることができる京都ならではの展覧会を開催いたします。その際に,解説にも重点を置き,名品の数々を多言語でも解説し,学生,若い人,さらに多くの
外国人観光客の皆様にすばらしい価値を伝えてまいります。 次に,教育普及事業につきましては,子供から大人まで,美術ファンの裾野を広げる取組や,ワークショップや展覧会の開催など美術の奥深さを体感する機会を創出できるよう,学校と連携した美術館教育や芸術系大学との連携事業等を積極的に展開してまいります。また,これまでから実施している展覧会,教育普及,美術品の収集保存,調査研究,市民の皆様の創作活動を支える貸館に加えまして,新たに新人,若手育成,文化イベントやレセプションでの利用等,多様な事業を展開してまいります。そして,これらのリニューアルオープン後の事業をしっかりと進めていくためには,民間のノウハウやマンパワーも取り入れ,学芸分野をはじめ美術館の体制を充実することが不可欠であると考えております。 なお,学校歴史博物館で所蔵されている絵画や陶器等約1,000点の学校文化財等につきましては,番組小学校などにまつわるもので,京都特有の地域と学校とのつながりを示す面においても貴い価値のあるものも多く,そうした歴史を伝える学校歴史博物館において,今後も適切な保存,管理を行いながら,企画展での活用など必要な連携をしっかりと図ってまいります。 今後,年明けの起工式を皮切りに整備工事を着実に進捗させ,世界に誇る新京都市美術館の魅力を高め,文化の振興と本市の都市格の向上に寄与できるよう全力を傾注し,平成31年度中のオープンを目指してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 七条大橋の文化財登録についてでございます。本市では,京都市の近代化の過程で造られた産業遺産,土木遺産をはじめとする近代化遺産の保存と活用を図るため,平成8年度から14年度にかけて総合的な調査を行い,平成17年度に報告書を取りまとめました。この調査により,七条大橋を含む近代化遺産の文化財的価値を把握することができ,例えば京都芸術センターや京都国際マンガミュージアムなど準備が整ったものから文化財への指定,登録を進めております。七条大橋は,大正2年の建設当初に比べると,疏水の暗渠化に伴い橋の一部が撤去され,また,照明灯などの当初の金属部分が失われているとはいうものの,鴨川に架かる現存最古の橋であり,大正期のモダンデザインを残すなど地域の個性的な景観を形成し,住民,市民の誇りとなっている大変貴重な文化遺産であります。現在,市民の暮らしにとって重要な京都市道として使われていることから,議員御提案のとおり現状変更に係る規制が比較的緩やかな国の登録有形文化財が適していると考え,登録に向けた準備を進めております。また,地元の有志の方々で清掃活動などをされている七條大橋をキレイにする会に対しましては,区役所の区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算を活用して支援をしており,本年8月には初めてライトアップイベントやフォトコンテストを行われるなど,地元の皆様の七条大橋の価値を広める機運が高まってきております。文化財登録と併せて地域の活性化や観光振興にもつなげ,京都の歴史的景観を構成する貴重な文化遺産の保全に努めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) 英語村での取組などについてでございます。本市では,平成28年3月,公立高校で全国初となる校内留学施設英語村を日吉ケ丘高校に設置し,ネイティブスピーカーである外国語指導助手とオールイングリッシュで楽しみながら英語学習に取り組むとともに,本市の英語教育拠点として,他の市立高校も参加するディベート大会などを実施しております。あわせて,日吉ケ丘高校生徒の運営による小中学生や一般市民向けの多彩な事業を開催し,子供たちや市民の皆様が気軽に立ち寄り,外国語指導助手や生徒と英語での会話を楽しみながら交流できる地域に開かれた施設として活用しております。
中野洋一議員御指摘のとおり,高校生が地域の一員として,市民の方々と連携して様々な活動に参加していくことは大変重要であり,日吉ケ丘高校におきましては,海外からの観光客を英語で案内する活動や東山区役所と連携し,東山区の魅力を紹介する動画の作成などに取り組んでおり,他の市立高校でも,自治会と合同での地域清掃活動や地域防災マップの作成,被災地への募金活動など,地域と連携した社会貢献活動を行っております。今後とも,高校生や地域の方々が英語村での体験を通じて異文化等への興味関心を広げる取組や地域社会の一員として地域課題の解決に参画する取組の一層の充実を通して,高校生と地域の方々が課題を共有し,協働して取り組む教育活動を積極的に進めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(寺田一博) これをもって一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後3時55分散会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 寺田一博 副議長 久保勝信 署名議員 宇佐美けんいち 同 森 かれん
△(イメージ)陳情文書表「受理番号98」「市営住宅の車いす専用住宅の運用等」...