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09月28日-03号

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  1. 京都市議会 2017-09-28
    09月28日-03号


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    平成29年  9月 定例会       平成29年       定例会     京都市会会議録 第3号       9月市会          平成29年9月28日(木曜日)出席議員(67名)   1番 森 かれん議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 やまずまい子議員   5番 大西ケンジ議員   6番 豊田貴志議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  11番 江村理紗議員  12番 大津裕太議員  13番 宇佐美けんいち議員  14番 森川 央議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 津田大三議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 村山祥栄議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 津田大三議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成29年9月28日(木)午前10時   一般質問 (1)市政一般について  井上与一郎議員 (2)市政一般について  繁 隆夫議員 (3)市政一般について  中村三之助議員 (4)市政一般について  加藤昌洋議員 (5)市政一般について  玉本なるみ議員 (6)市政一般について  赤阪 仁議員 (7)市政一般について  平井良人議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。菅谷浩平議員とやまずまい子議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願1件及び陳情2件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,井上与一郎議員。 〔井上与一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(井上与一郎議員) 私は,右京区選出の井上与一郎でございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,同僚の繁隆夫議員,中村三之助議員,加藤昌洋議員と共に市政一般について質問をさせていただきます。 初めに,平成28年度京都市一般会計決算についてお伺いいたします。平成28年度一般会計決算は,歳入面では,円高,消費の伸び悩みなどによる全国的な税収の落ち込み,地方交付税の減少の影響で,平成28年度当初の見込みに比べて市税22億円減,府税交付金が40億円減,地方交付税が82億円減など一般財源収入が147億円の減少となりました。その中で,市税などの徴収率につきましては5年連続で過去最高を更新し98.5パーセントとするなど歳入確保の努力をされるなど全庁挙げた歳入確保と歳出抑制を徹底し,それでもなお不足する財源への補填のため,将来の市債返済のための積立てである公債償還基金50億円を取り崩し,さらに経済事情の変動などによる急激な歳入減や災害時などの突発的支出に備えた積立預金といえる財政調整基金も残りの8億円全額を取り崩し,合計58億円を歳入として確保されました。その結果,歳入総額は先ほど申し上げました本市の大切なお金58億円を入れて7,033億円となりました。 また,歳出につきましては,厳しい財政の中でも市民生活の安心安全と京都の未来の開拓にとっては必要不可欠な社会福祉関連経費を確保し,例えば,保育士配置基準の更なる充実や貧困家庭の子供や青少年への支援,わかもの就職支援センターの開設など「京プラン」実施計画第2ステージに掲げる307事業中299事業に着手されたことは意義深いことと思います。その結果,歳出総額は7,015億円となり,差し引き18億円プラスとなりました。そして翌年度に繰り越す事業に必要な財源13億円を引いて実質収支が5億円の黒字となりました。 そこで門川市長にお尋ねいたします。実質収支が5億円の黒字決算となりましたのは,種々の御努力があってこそだと思います。市長は,記者会見の報道では,「一般財源が落ち込むなどリーマンショック後以来の厳しい財政状況にある。大都市に厳しい国の税制度の改善を求めつつ,行財政改革や税収増につながる成長戦略に取り組む」と発表されておりますが,今の市政にとっての課題は山積しております。例えば,経済の活性化,豊かさの実感が市民の皆様,中小企業者の皆様など全ての皆様にまで行き渡っていないこと,また,京都の地場企業や本市への進出を希望する企業のニーズに応える産業用地が不足していること,さらに合計特殊出生率が全国平均を下回る水準であり,中長期的には厳しい状況であることなどが挙げられます。これらの山積する課題に的確に対応し未来の京都を切り開くためには,積極的な先行投資が必要です。 一方で,財政調整基金公債償還基金にはできるだけ手を付けずに,将来に対するしっかりとした備えと持続可能な財政運営の確立が求められています。大変難しいかじ取りを迫られているわけでありますが,今,正に市長の手腕が問われていると言えるのではないでしょうか。今後の財政運営について,どのように考え,かじ取りをされていかれるのかお尋ねいたします。 次に,レジリエント・シティの取組についてお尋ねいたします。現在,我が国を取り巻く情勢は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威をはじめ,経済,自然災害などにおきましても全く先行きが読めない,何が起こっても不思議ではない状況が続いております。そうした中,本市では,ロックフェラー財団により創設された100のレジリエント・シティに応募し,このプロジェクトに参加する世界100都市の一つとして選定されたことを受けまして,本年4月には取組を主導するレジリエント・シティ京都市統括監,いわゆるCROに藤田裕之前副市長を任命し,また全庁体制として京都市レジリエンス推進本部を設置するなどプロジェクトを本格的にスタートさせておられます。 藤田CROにおかれては,地域の色々な会合などへ精力的に出向かれ,この耳慣れないレジリエンスという言葉,そしてレジリエント・シティが目指す考え方について,市民の皆様に御理解をいただくため,分かりやすく説明していただいていると市民の皆様からもお聞きしております。 我が自由民主党京都市会議員団におきましても,去る8月に開催いたしましたサマーセミナーに講師としてお招きし,「レジリエンスへの挑戦」と題して講演をいただきました。50年後,100年後を見据えて忍び寄る様々な危機に備え,しなやかに対応し,人々が心豊かに暮らせる都市として発展していくというレジリエンスの概念において,重要な課題として,今後,確実に人口減少,少子高齢化が進展する中で,右肩上がりの経済成長などといった従来からの概念をなくし,地域のきずなや文化力など本市の強みをいかしてレジリエンスを担う市民を育んでいくことが重要であること,そしてそういったレジリエントな市民が集い,育ち,活躍するまちこそが,レジリエント・シティであるとの考え方を大変興味深くお聞きしたところであります。 是非,この未来の京都を見据えたすばらしい取組を積極的に推進していただきたいと思いますが,その実現のためには,まずこのレジリエンスという幅広く深い概念を市政運営の中にしっかりと位置付けたうえで,将来の本市の基本計画,基本構想をはじめ,あらゆる分野に浸透させていくことが大切でないかと考えます。門川市長のお考えをお聞かせください。 また,レジリエンスは市政全ての分野が対象となってくることから,効果的に取組を進めるためには,まず焦点となる分野を絞り込み,各分野における取組への道筋を付けていくという方法が有効でないかと考えます。この点に関してもお考えがありましたら具体的にお聞かせ願います。 8月のサマーセミナーでは,藤田CROからレジリエンスの反対語を意味する言葉として,今さえよければ,自分さえよければ,まさかという想定外,これら三つの言葉を伺いました。この三つの落とし穴に陥らないことがレジリエンスであるとの説明は,市民の皆様にも非常に分かりやすい端的な表現であると思います。市民の皆様お一人お一人の生活の中にレジリエンスという考え方が行き渡り,レジリエントな市民が集い,育ち,活躍するまち,すなわち,レジリエント・シティとなるためには,行政による取組だけではなく,地域,企業,大学なども巻き込んだ市民ぐるみでの取組が不可欠であります。様々な課題に対し,あらゆる英知を結集してレジリエンス戦略を策定していくために,今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。 次に,新景観政策についてお尋ねいたします。新景観政策の実施から今月で満10年を迎えました。この10日には,鷲田清一先生,門内輝行先生,そして門川市長の3人によります特別鼎談が開催されました。さらにこの後,景観市民会議総括シンポジウムが予定されているとのことであります。 10年前の平成19年2月,眺望景観創生条例の制定,自然風景保全条例の改正,風致地区条例の改正,屋外広告物に関する条例の改正をはじめ新景観6条例を本市会に提案されました。これは本市が50年後,100年後も京都が京都であり続けるため他都市に類のない建物の高さ規制やデザイン規制,また屋外広告物の規制などを全市的に見直したものでありました。当時,我々は,様々な市民,企業の皆様から非常に厳しい多くの御意見や要望を頂き,熱い熱い議論,そして審議に審議を重ねました。そして自民,公明,当時の民主・都みらいの三つの会派は,市民や事業者の皆様と共に痛みを分かち合いながら,日本の宝である歴史都市・京都を次の世代に誇りを持って継承することができるよう,新たな景観政策の実現に一丸となって不退転の決意で取り組むことが必要であるとして,そのため8項目にわたる新景観政策の推進に関する決議を提案し,これも全会一致で承認されたところであります。この決議と共に6件の条例案を市会において全会一致で可決したのであります。 その結果,この10年で京都の景観は,今でも色々な議論があるものの確実に改善してきていると実感しております。特に屋外広告物の適正化の取組では,様々な厳しい御意見もありましたが,市民や事業者の皆様の御理解,御協力,そして御負担の下,京都の町並みや広告景観は劇的に改善いたしました。また,新たに建築される建物につきましても,それぞれの地域の町並みに配慮された建物が徐々に着実に増えてきております。そして,この10年間で観光客は増加し,市内中心部への転入者も少しではありますが増えております。こうした人の動きは,新景観政策の影響だけではないかもしれませんが,私は,京都の美しい景観が多くの人々を引き寄せている面も大いにあると思います。 このように一定の成果を挙げ,内外からの評価も高い新景観政策ですが,必ずしも順風満帆だと言って,このまま政策を続けていけばよいというような油断をしてはならないということをあえて申し上げたいと思います。本市は,新景観政策を検討した際にも,制度が硬直化することなく社会経済情勢の変化に対応していくことが重要であり,景観政策とは時代と共に進化する政策であると明言されてきました。また,念願であった文化庁の京都移転も決定し,今後,文化芸術を基軸として,景観政策を含む,あらゆる政策文化の更なる融合が必要となってきております。 一方で,日本全体では人口減少,少子高齢化の流れはますます進んでおり,平成27年9月に策定されたまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略では,人口減少社会,東京一極集中への挑戦が大きな政策目標とされております。中長期的には,人口減少と高齢化は避けられない状況であり,それらを見据えた持続可能な都市の構築,暮らしやすく魅力あるまちづくりに向けて,今後の都市政策,まちづくりの在り方を検討する必要があり,都市計画審議会にも,そのための検討部会が設けられております。市内でも周辺部では人口減少が進んでおります。また,都心部などではホテル建設の増加などにより不動産価格が高騰し,子育て世代を中心とした周辺市への人口流出や,オフィス不足などの問題も起きております。そして,これらの問題の原因として,景観政策による厳しい規制の影響もあるのではないかといった御意見や制度の運用が一律にすぎるのではないかといったお声もお聞きいたします。 初めに申し上げましたとおり,私たちは,京都の美しい景観を守り,育て,50年後,100年後の未来へ引き継いでいかなければなりません。そしてそのためには,都市の活力を維持し向上させていくことが重要であります。そのためには,都市計画はもとより経済や産業政策との更なる連携の下,時代の変化に応じた厳しい規制の見直しなど柔軟な対応が必要な場合もあるかもしれません。先ほども申し上げましたが,新景観政策は初めから時代と共に進化する政策であるとのことであります。私は,新景観政策10年の節目を迎えた今こそ,人口減少社会の現実を踏まえ,文化や都市活力といった視点で,これまでの成果を検証し,未来を見据えて新景観政策を更に進化させていくべき時期であると考えます。 そこで市長にお尋ねいたします。この10年間の景観政策をどのように総括し,京都の景観の現状をどのように認識しておられるのか。そして先ほど申し上げました時代の変化に応じた景観政策の見直しなどを含め,今後どのように政策を進化させていかれるのか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,本市の農林業の振興についてお尋ねいたします。本市は,147万2,000人が暮らす大都市であります。しかし,市域面積が8万2,800ヘクタールありますが,その4分の3に当たる6万1,000ヘクタールを森林が占めております。政令指定都市の中でも本市は,市域の大半を森林が占める自然豊かな都市であり,京都が誇る北山杉など良質な木材を生産する林業が営まれております。一方,農地は2,643ヘクタールあり,市域面積の3パーセントを占めるにすぎません。そのうちの75パーセントが水田であり,お米と京野菜を中心とした農業が営まれております。山村部では美しい里の集落が残り,都市部では生産緑地を中心に高度な農業が営まれており,そこから生産される野菜は,今や京野菜として全国に知られるようになりました。 御承知のとおり,山や田畑は食や住を支える農林産物の生産だけではなく,都市部に住んでおられる人々のやすらぎの場であり,大雨のときは水を蓄え,時間を掛けて河川に戻すといった洪水防止や土壌の侵食防止など市民の皆様に様々な恩恵をもたらしております。また,市街地周辺部の古都保存・北嵯峨地区をはじめとした稲穂たなびく田園風景は,社寺を中心に点在する家々,そして周辺の山や田園の営みが一体となって,人々の心の琴線に触れる景色として残されてきたのではないかと思います。こうした農家や林家が今日まで守り継いできた山や田畑があり,今,私たちは,心豊かな日常を感じているのではないかと思います。このような貴重な財産を,更に次世代に引き継いでいかなければならないと思います。 しかし,農林業を続けていくには大きな課題があります。市内には広大な平野がなく,1枚の農地の規模も小さく分散していることも多く,北海道や東北,関東のように,法人による効率的な大規模経営が難しいということであります。そのうえ,農業はその地域,地域ごとに環境条件の異なる自然が相手であり,産業として安定した所得を得ていくのは本当に大変なことだと思います。一方,林業は50年,100年掛けて木を育てるわけですから,なおさらであります。 そのような中でも,農家や林家は,京野菜や北山丸太のように長い年月を掛けて,それぞれ個人個人が切磋琢磨しながら高い生産技術を培い,より付加価値の高い農林産物を生み出すことで所得の安定を図ろうと取り組んでこられました。これからも,本市の農林家が,地域の環境条件をうまく活用することによって,本市に農林業が息づき,京都ならではの魅力が発揮されるのではないでしょうか。 現在,国におきましては,農業,林業の担い手不足や高齢化による耕作放棄地や放置森林の増加を食い止めるため,農林業を成長産業として位置付け,経営意欲の高い担い手が行う施設や機械導入を支援するなどの産業政策と都市と農村の交流を促進するなどの地域政策の両輪から農林業の構造改革と生産コストの削減を進め,競争力のある産地や農家,林家を育てて,もうかる農林業にしていこうとされています。農業では,農地の貸し借りを円滑に進め,意欲ある若手に農地を集積させていこう,生産緑地法の改正などに見られますように,都市農地の大切さを評価し,しっかり保全していこうとされています。また,米については,減反政策を廃止し,米農家の競争力を高めていこうとされています。一方,林業では,効率的かつ安定的な経営の育成,木材の加工,流通体制の整備,また,木材の利用拡大などを進めることで林業を再生していこうとされています。こうした国の流れの中で,今後,環境,文化などの地域特性に応じた本市独自の踏み込んだ支援が必要であると思っています。 昨年,京都市は,平成22年度に策定した京都市農林行政基本方針の中間評価を行い,全国に発信する取組として,人と自然が共生する暮らしの文化を支える農林業振興のセカンドステージをスタートされました。私は,農家や林家が安心して生活できるだけの所得を確保でき,喜びとやりがいを持って働けるようになってこそ,山や田畑が守られ,集落が保全され,市民の皆様の暮らしの文化を支えることができるのだと思います。特に都市農業では,新鮮で高品質な野菜の生産基盤を確立していく必要があります。林業では,経営意欲の低迷した森林などを中心に経営を集約して効率化を図るなど採算が採れる体制の構築を,そして担い手が不足する農山村では,木材の生産体制や米を中心とした農作物の生産販売体制を強化すべきではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。農家,林家が安心して生活できるだけの所得確保に向けて,都市農業の活性化,林業の再生,そして農山村の魅力向上についてお考えをお聞かせください。 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上与一郎議員の御質問にお答えいたします。 平成28年度決算と今後の財政運営についてでございます。厳しい財政状況が続く中で,京都の今と未来のため必要な事業,投資をしっかりと行っていく,その一方で,将来を見据えた持続可能な財政を確立する,京都の未来を切り開くためには,この双方を同時に一体のものとして実現していかなければなりません。こうした認識の下,私はこれまでからも,職員数を3,000人以上削減するなど徹底した行財政改革を断行すると同時に,都市格の向上,将来の税収増を見据え,文化,伝統産業,中小企業の振興や企業立地の促進といった成長戦略を国の施策とも一体となって推進してまいりました。こうした取組により,有効求人倍率は1.5倍を超え,市民税個人分も堅調に推移するなど徐々に成果は現れておりますが,その一方で,豊かさの実感が市民や中小企業など全ての皆様に行き渡っていないのが現状でございます。平成28年度は,こうした状況に加えまして,全国的な税収減や地方交付税の減少が重なる厳しい事態の中にありました。しかし,そんな中にあっても,「京プラン」の実施計画に掲げる京都の今と未来に必要な施策を最大限展開するために,公債償還基金の取崩しに加え,財政調整基金も全額取り崩さざるを得ない,正にリーマンショック以来の厳しい財政運営を強いられることとなりました。 この苦境を乗り越え,未来に責任を持った市政運営を行っていくためには,全庁で危機感を新たにしたうえで,決して守りに入ることなく,成長戦略と行財政改革を果敢に加速させなければなりません。まず成長戦略においては,市民所得の向上と中小企業の活性化による担税力の向上という視点がこれまで以上に重要であります。文化や伝統産業など京都の強みをいかした産業振興の推進や,中小企業の成長を下支えする,また,担い手の確保や事業承継の支援,京都の潜在的な成長力を最大限に発揮する,学術研究,先端産業等の更なる進展を図るための産業用地の創出も極めて重要でございます。そして子育て,教育環境の充実や,京都市への移住,定住支援の取組など住みたい,住み続けたい,働きたいと実感していただけるまちづくり,これらの施策を総合的に力強く推進し,市民の皆様の豊かさ,京都の成長につなげてまいります。 同時に,歳入歳出両面での徹底した行財政改革を断行し,休廃止を含めた事業の抜本的な見直しや宿泊税の導入,資産の有効活用に積極的に取り組むとともに,国に対しては,地方交付税制度の抜本改革などを引き続き強く要望してまいります。 今後とも,市民の安心安全を守り京都の未来を切り開くために,縮小一辺倒になることなく攻めの姿勢で,都市の成長戦略と行財政改革を一体的に強力に推進してまいります。 次に,レジリエンス戦略についてでございます。レジリエンスとは,自然災害やテロ,サイバー攻撃はもとより人口減少や少子高齢化等も含め忍び寄るあらゆる目に見える危機と目に見えない危機にしなやかに対応し,50年後,100年後,更には1000年後にも,人々が心豊かに暮らせる魅力ある都市として発展していくための重要な概念であります。我が国においては,人口減少,少子高齢化の波が確実に押し寄せてきている中,今後の都市経営において欠かせない概念であると認識いたしております。 現在,本市では,来年度早期を目指して,京都市レジリエンス戦略の策定に取り組んでいるところでありますが,この過程を通じて,レジリエンスという概念を行政のあらゆる分野を横断する長期的な理念として市政運営の中にしっかりと位置付け,市民ぐるみで取組を展開し,市政の隅々にまで浸透させてまいります。この概念は,2021年からの次期京都市基本計画,各区の基本計画,さらには2026年からの次期京都市基本構想の柱の一つにもなるものと考えております。 井上議員御指摘のとおり,レジリエンスは,市政のあらゆる分野が対象となります。そのため,効果的な戦略の策定,実行に向け,本市の実情を踏まえつつ,課題や政策等に焦点を当てて取り組む先行分野,ディスカバリーエリアを設定することといたしております。この分野設定につきましては,これまで様々な機会を捉えましてお伺いしてきました市民の皆様の御意見等を踏まえ,将来にわたって政策を融合しつつ,京都市の強みを更に高め,弱みを克服していく観点から,防災,減災対策と共に,本市の貴重な財産ともいえます地域コミュニティの維持,活性化,また,大きな課題である人口減少,少子高齢化対策などを採用することを検討しているところであり,10月初めにもこれらを取りまとめ公表いたします。そして市民,関係団体,有識者等の皆様とのワーキンググループでの徹底した議論や来年1月に開催予定の市民フォーラムなどを通じて,できる限り多くの皆様との対話と協働を進めてまいります。 あらゆる英知を結集し,また,パリ,ニューヨーク,ボストンなど世界の選定都市の先進的な取組も参考にしながら,京都市レジリエンス戦略の策定と実行を市民ぐるみで推進し,世界最高水準のレジリエント・シティ,しなやかで強靭な,人々が豊かに暮らせるまちづくりを目指して行動してまいります。 次に,新景観政策についてでございます。多くの市民の皆様や関係団体の皆様からの御意見を頂き,市会での熱い議論の末に実現した新景観政策の実施から今年で10年を迎えました。新景観政策では,景観形成の取組により都市の魅力を高め,都市の活力を生み出していくことを理念として掲げました。当時を思い起こしますと,不況からの脱出のため全国で規制緩和が叫ばれ,高層ビルがどんどんと建てられていくというそうした時期でありました。 そうしたとき,千年を超える悠久の歴史と文化を誇り日本の宝である京都は,決して小さな東京になってはならないとの決意,覚悟の下,建物や看板は個人の所有であっても,景観は公共の財産であるという視点で逆に規制を強化してきました。そして例えば屋外広告物の適正化においては,平成24年当時は7割が新たな基準に不適合でしたが,市民,事業者の皆様の御理解と御協力の下,約3万件の建物から屋外広告物を撤去,是正していただき,現在では95パーセントを超えて適正化されるなど画期的な効果を上げております。御理解いただいた皆様に御礼申し上げます。 また,この10年間で5万件を超える建物を新築や建替えに併せて,美観地区や建造物修景地区,風致地区等の地域の特性に合わせたデザインとしていただきました。その結果,確実に町並みの景観は向上してまいりました。これらの政策は,国内外からも高く評価され,京都の都市格の向上に大きく貢献しており,市民の皆様にも政策の効果を実感していただいているものと認識しております。市民生活実態調査におきましては,京都の個性的な町並み景観が守られているかという質問に対して,そう思う,どちらかというとそう思うと回答された割合が,10年前の4割以下から平成27年度以降は約6割を超えております。 さて,今年度は,この10年の記念事業として,連続講座や景観市民会議,シンポジウムなどを開催し,新景観政策の理念を再認識するとともに,成果や課題などについての市民の皆様や事業者,様々な関係者と議論を深めてまいります。京都市には,文化庁の移転を契機に文化を基軸としたまちづくりを進め,人口減少社会の中で,地方創生のモデルを全国に示すべき大きな責務がございます。そのため,一連の記念事業のテーマを,「京都から考えるこれからの歴史・文化・創造都市」といたしました。井上議員御指摘のとおり,新景観政策は策定当初から,時代と共に刷新を続ける進化する政策であることが求められているものであり,都市の活力や持続可能性といった観点も策定当時の理念の中に明確に組み込まれております。10年を経過した今日,その理念をいかし,規制の一律的な運用により硬直化することなく,更なる進化を検討する時期が来ております。私は,景観の本質は,見るだけではなく,街を歩く中で気配や雰囲気,趣きといった感じるものであり,文化やなりわいが消失すれば,たとえ遺構や遺跡だけが残っても,それは本当の京都の景観ではないと考えております。今後の記念事業での市民ぐるみの議論も踏まえまして,経済や文化の営み,人々の暮らし,歩いている人々の笑顔,子供たちが遊ぶ姿,それら全てを含んだ景観を守り育て,さらに創造していく政策へと進化させてまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 農林業振興についてでございます。京都の農林業は,市民の暮らしを支える食料や木材の生産,供給といった役割のみならず,自然に抱かれた美しい景観を創り出しますとともに,京野菜や京料理といった食文化,京町家や歴史的景観に代表される木の文化など世界に誇れる文化を創り出してまいりました。井上与一郎議員御指摘のとおり,この掛け替えのない京都の農林業を次世代へと引き継ぐためには,担い手の皆様が喜びとやりがいを感じ,自信と誇りを持って働けることが大切であります。現在,国において,農林業の成長産業化に向けた制度改革が進められている中,本市におきましても,京都のブランド力を最大限にいかし,稼ぐ農林業へと転換することが必要だと考えております。そのために,都市農業の更なる活性化に向けては,京都の伝統野菜や新京野菜などの販売力を高めるとともに,温度や光の調整が自動化された野菜栽培施設の導入を促進するなど限られた農地を高度に活用する集約型の農業を推進してまいります。また,農山村の魅力を向上させるために,心安らぐ原風景を残しつつ,それぞれの地域の気候風土をいかした付加価値の高い米づくりを支援するとともに,農家民宿でのどぶろくの提供や観光,教育,ものづくりと連携した地域交流の促進によって副収入の確保を図り,農山村への移住,定住にもつなげてまいります。さらに,林業の再生に向けましては,所有者自らが行う自伐型林業や伝統ある北山林業の振興に加えまして,手入れが行き届かず放置された森林を経営能力の高い担い手に集約し,採算性の高い持続可能な経営が行えるモデルを新たに構築するなど林業の抜本的な構造改革を目指し果敢に挑戦をしてまいります。これらの取組を通じまして,京都の農林業を更に魅力ある産業として発展させ,市民の皆様の暮らしはもとより,世界に誇れる京都の景観や文化を支えてまいる決意でございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,繁隆夫議員に発言を許します。繁議員。 〔繁隆夫議員登壇(拍手)〕 ◆(繁隆夫議員) 伏見区選出の繁隆夫でございます。井上与一郎議員に引き続き,中村三之助議員,加藤昌洋議員と共に,自由民主党京都市会議員団を代表して質問させていただきます。 まず,次期交通局経営ビジョン策定における市長の決意についてお伺いします。思い起こせば,市長が就任された9年前,毎日4,600万円もの赤字を生む地下鉄事業と膨大な累積赤字を抱える市バス事業は,市財政全体をも揺るがしかねない市政の最重要課題でありました。平成22年3月には,両事業共に経営健全化計画を策定し,以降,市長自らを先頭に,市民の協力を得ながら全庁を挙げて経営健全化を着実に推進し,大きな成果を挙げてこられました。市バス事業は,平成24年度決算に3年前倒しで経営健全化団体を脱却し,平成26年度には一般会計からの任意の補助金に頼らない自立した経営を達成,平成28年度決算では27億円の経常黒字を計上されております。また,地下鉄事業についても,1日当たりのお客様数5万人増客という大きな目標を2年前倒しで達成,平成28年度決算では16億円の黒字を計上するなど計画に掲げる平成30年度までの経営健全化団体からの脱却への展望が見えつつあります。 市長就任後の9年間で,市バス・地下鉄事業は正に劇的な収支改善を達成し,市バス事業では,平成29年度予算で地下鉄事業への出資や一般会計への配当を計上するまでになり,京都市財政のお荷物であった過去を思うと隔世の感があります。これは,正に門川市長の強力なリーダーシップの下,経営の改革と市バス・地下鉄の利用促進に徹底的に取り組まれてきた賜物であり,この間の市民の協力と全庁を挙げた取組に対し深く敬意を表するところであります。 このように,これまでの経営の改善は順調に進んできましたが,今後は日本全体として少子高齢化がますます進展し,人口減少社会が到来するなど都市としての活力や魅力をどのようにすれば高めていけるかが問われる時代であります。市バス・地下鉄は市民の足であり,また,京都経済,観光,まちの発展をも支える基盤であり,人口減少社会に挑戦する京都市のまちづくりにとって大変重要な役割を担うものであります。 このような時期において,市バス・地下鉄事業では,平成29年度から2箇年を掛けて,中長期的な視点に立った経営計画として10年間を期間とする新たな経営ビジョンを策定することとなっています。今後,バス事業にあっては,混雑緩和などの課題や,この先の10年間で500両を超えるバス車両の更新にも対応していく必要があります。また,地下鉄事業にあっては,まだ3,700億円を超える多額の企業債等残高と300億円を超える累積資金不足を抱える全国一厳しい状況にあることに加えて,烏丸線のみならず東西線においても,老朽化に伴う設備更新など多額の投資に対応していく必要があります。 両事業とも,厳しい経営環境の中,引き続き経営健全化の手綱を緩めることなく健全経営の確保をより確かなものとしていくとともに,市バス・地下鉄事業がまちづくりに欠かすことのできない都市基盤として,人口減少や健康長寿のまち・京都の実現など今日的な課題に対する視点を持ち,しっかりとまちづくりを支える役割を果たしていくビジョンとするべきと考えますが,門川市長の決意をお聞かせください。 次に,今後の水道事業,公共下水道事業の経営についてお伺いします。京都市の水道事業は,明治45年4月に,第二琵琶湖疏水や蹴上浄水場の完成によって給水が開始され105年を,公共下水道事業は昭和5年に失業対策事業として開始され87年を迎えます。先人たちから脈々と受け継がれた,水道,公共下水道は,市民生活に欠くことのできない都市基盤として,市民の命と暮しを守り経済活動を支えています。今に生きる私たちは,この掛け替えのないライフラインを未来の社会へと確実に引き継いでいかなければなりません。 しかしながら,市民の節水意識の高まりや節水機器の普及により水需要の減少が続く一方で,昭和の高度経済成長期に整備された施設や管路の老朽化が進み更新の時期を迎えるなど全国の水道事業,公共下水道は,非常に厳しい状況に置かれており,本市もその例外ではありません。上下水道局では,こうした状況を踏まえて,平成19年12月に事業の基本理念や今後10年間に取り組むべき課題,目標をまとめた京の水ビジョンを策定され,水道配水管など施設更新の推進,浸水対策をはじめとする災害対策の強化,さらには,組織改革や人員削減による経営効率化など様々な事業課題の克服に積極的に取り組んでこられました。ところが,この10年を振り返りますと上下水道事業の経営環境は更に厳しさを増しているのではないでしょうか。 この京の水ビジョンがスタートした平成20年度は,リーマンショックが始まった年でもありました。長期にわたる世界的な景気の低迷は,節水型社会の定着とも相まって,水需要の減少に拍車を掛けたものと考えます。また,平成23年6月には,洛西ニュータウンで漏水に伴うガス管破損事故が発生し,市民生活に大きな影響が生じました。厳しい経営環境にあっても,水道配水管の更新を加速させることが喫緊の課題であることを改めて認識させられることになりました。 さらには,平成23年3月の東日本大震災や平成28年4月の熊本地震等の大規模地震,本年7月にも九州北部を襲った局地的豪雨など市民の命と暮らしを脅かす大きな災害が立て続けに発生しています。これらの経験を踏まえ,レジリエント・シティとして,災害に負けないライフラインの構築を急がなくてはなりません。 そこでお伺いします。上下水道局では,現在,平成30年度からの企業経営の礎となる次期経営ビジョンの策定を進められておられます。少子高齢化の進展により,本市の人口は,平成52年までに約20万人減少すると言われており,今後も水需要は減少の一途をたどるとともに,施設の老朽化も更に進行することから,これまで以上に厳しい経営を余儀なくされるのではないでしょうか。 市民の貴重なライフラインである水道,公共下水道を次の世代へと確実に引き継いでいくために,次期経営ビジョンでは,どのような施策を展開されるおつもりか,今後の水道事業,公共下水道事業の経営について,御所見,御決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に,分散型観光の推進についてお尋ねします。今日,京都観光は大変な活況を呈しており,これも市民,事業者の皆さんをはじめオール京都による取組が実を結んだものと高く評価したいと思います。 私の地元である深草地域においても,伏見稲荷大社かいわいは大変なにぎわいであります。以前は,初詣や祭礼のある時期に集中していましたが,今や休日,平日を問わず常時混雑しているという状況です。千本鳥居の写真をSNSで発信することで,その情報が世界中に拡散し,更なる誘客につながっています。しかしながら,そのにぎわいは限られたエリアにとどまり,深草地域全体までには至っていないのが実情であります。 市内全体を見ても,一部地域への観光客の過度の集中は満足度低下の一因となり,ひいては,観光都市としての質の低下につながることから,観光客の分散化は喫緊の課題であります。そこで,深草地域における疏水を活用した舟の運行についてであります。琵琶湖疏水を活用し,平成16年から岡崎十石舟めぐりが運行され,また,大津市と山科区を結ぶ琵琶湖疏水通船が,平成25年以降,試行事業を通じた安全性や旅行商品としての可能性の検証を経て,来年春にはいよいよ本格事業がスタートしようとしています。この琵琶湖疏水通船は,本市と大津市の広域観光や山科区への誘客といった観光面の効果はもとより,先人が残してくれた近代遺産を子供たちをはじめ市民の皆様に広く知っていただくという意味でも大いに意義ある事業であります。 深草地域の疏水は鴨川運河と呼ばれ,琵琶湖疏水を伏見まで延長し,淀川につなぐ,舟運を開くために開削され明治28年3月に竣工いたしました。かつては大津から伏見への物資輸送の重要ルートとして船が往来していましたが,現在では,発電やかんがいのために利用されている状況であります。深草地域の疏水沿いには,伏見稲荷大社から南に石峰寺や藤森神社,墨染寺など数多くの名所が点在しているほか,深草の地は,かつては名産であった竹をいかした深草うちわや各地の郷土玩具の原型である伏見人形を生んだ土柄でもあります。しかしながら,観光のにぎわいは深草地域全体には広がっていないのが現状にあります。 そこで,例えば桜の開花時期に地域が主体となって疏水で舟を運航すれば,水面に映える桜並木の風情を楽しむとともに,深草地域の観光資源と組み合わせることにより,観光振興や地域全体の活性化につながると考えます。東山区南部や稲荷以南のエリアの観光のにぎわいを面的に広げることにもつながり,観光客集中の分散化にも大いに寄与するものではないでしょうか。 これまでから繰り返し,深草の観光振興,深草疏水をいかした舟の運航について提言し,舟の運航に当たっては,橋が低く水面との空間が十分でない箇所をいかに航行するかといった物理的な制約や舟の施回場所の確保に加え,事業としての採算性や持続性など課題も多いと認識しております。しかしながら,今こそこれらの課題を乗り越え,事業として実現することができるのか具体的な検証に着手すべきだと考えます。市長の御所見をお伺いします。 次に,今後の魚アラリサイクルについて,お伺いします。環境問題への関心が高まる中,ごみの減量,リサイクルが大きな課題の一つになっており,本市においては,ピーク時からのごみ半減に向けた取組が力強く進められています。そのような中,魚の食べられる部分を取り除いた魚の頭や骨などの,いわゆる魚アラをリサイクルするということは,ごみの焼却量を減らし環境保全につながることから,本市では,伏見区の横大路において魚アラをリサイクルし,魚粉などを製造する魚アラリサイクルセンターを運営しています。しかし,運営費をはじめ様々な課題があるのも事実であります。 本市では,かつて,魚アラを処理することによって発生する悪臭などの公害が社会問題となり,早急に解決すべき大きな課題でありました。私は,その解決を願い,これまで,魚アラリサイクルセンターの運営の在り方などについて様々な提言をしてまいりました。振り返りますと,民間の化製場が操業していた頃は,悪臭対策が十分でなかったこともあり,近隣住民の皆さんからの苦情が数多くありました。一方,事業者には公害防止対策のための膨大な設備投資を行う余力はなく,安価な魚粉の輸入増加等により価格破壊が起こり,民間の化製場が次々と経営破綻していく状態でありました。そのため,本市が,平成7年に市内唯一の民間化製場を買収し公害対策を講じるとともに,その後,魚アラの排出事業者,収集運搬業者,地元代表等からなる協議会方式により施設を運営してきましたが,その施設が著しく老朽化したことから,平成19年度に本市が現在の魚アラリサイクルセンターを整備し,平成20年4月から本市の直営施設として運営し,今日に至っております。 この間,魚アラリサイクルセンターでは,魚の養殖や養鶏などの飼料となる魚粉などを製造し,それらを売却することで一定の収入を得てきましたが,収支の面では,毎年約2億円の赤字が続いていました。そのため,私が,平成24年の11月定例会におきまして民間の活力を導入すべきであると強く求めた結果,翌年度からは運転管理業務が民間委託されました。このことについては一定評価しておりますが,魚アラの受入量や魚粉製造量の限界から,今日まで,依然として年間1億円程度の赤字が続いているのが実態であります。また,施設も既に10年が経過しようとしており,近い将来,プラント設備も老朽化し,施設を維持していくために大掛かりな改修をすることになれば,今後更なる経費が必要となります。 そのような状況の下,魚アラを貴重な資源としてリサイクルし,これを安定的に維持していくためには,本市が直営施設で魚粉などを製造するといったこれまでの魚アラリサイクルの在り方を抜本的に見直し,センターの廃止も視野に入れ,民間事業者を最大限活用することを基本とした持続可能な魚アラリサイクルの仕組みを構築していく必要があると考えますが,市長の御所見をお伺いします。 次に,運動部活動のより一層の充実と教職員の負担軽減に向けた取組についてであります。私は,この間,子供たちが,夢や目標を持って,自分が打ち込みたいと思った競技にしっかりと取り組むことのできる運動部活動の環境充実に向けた取組を提案してまいりました。昨年9月市会での代表質問に対しては,教育長から,大学との強化合宿などの新たな実施,スポーツクラブの指導者を講師とした顧問等の研修会の開催,また,各競技団体や地域のスポーツクラブ等との連携推進やトップアスリート等による子供たちへの指導の機会の増加などを通して競技力の向上に取り組むことが表明されたところです。一方,現在,教員が部活動の指導に関わる時間が,教員の時間外勤務の大きな部分を占めており,国を挙げた働き方改革の議論,また,教職員の多忙の解消に向けた様々な取組の中で,部活動の在り方が大きなテーマとなっています。 こうした中,本市では,昭和50年代から実施している外部コーチの派遣について,平成28年度には,各校における日頃の指導体制の充実,活性化と共に,指導教員の負担軽減等を目指すことも目的に,外部コーチ派遣制度の予算を大幅に増額し,派遣回数が3倍以上となるなどの充実を図られ,私も,学校から大変喜ばれている声を聞いているところです。しかしながら,本市の外部コーチは,学校の職員ではないため単独での引率はできないといった点があると伺っており,更なる制度充実も含めた検討が必要ではないかと考えています。国においては,今年度から部活動指導員という新たな学校職員を制度化し,従来,顧問である教員が行っていた対外試合などでの引率を,この部活動指導員が実施できる体制が制度化され,30年度予算に向けた文部科学省の概算要求においても,必要な費用の一部を新たに補助する方針を固めたとの報道もなされています。 そこで,教育長にお伺いします。部活動の指導体制の充実と教職員負担の一層の軽減の両面での取組の充実のため,本市においても,部活動指導員の導入を検討いただきたいと思いますが,お考えをお示しください。 最後に,住宅用火災警報器の本体交換の促進についてお伺いします。消防法改正により,平成18年度に,全ての新築住宅への住宅用火災警報器の設置が義務付けられてから10年が経過しました。私は,平成17年の市会において,自主防災会の地域力をいかし共同購入することで市民の負担を軽減する京都方式を提案したところ,急速に共同購入や取付け支援の取組が進み,平成29年6月時点で全国平均の設置率が66パーセントにとどまる中,京都市における設置率は81パーセントに達しました。そして早期に火災や煙の発生を知らせた事例は,これまでに600件を超え,火災から市民の命と暮らしを守る取組は大きく前進しました。 また,この10年で住宅用火災警報器の技術革新は飛躍的に進みました。例えば一つの住宅用火災警報器が火災を感知した場合に,その住宅に設置されている全ての住宅用火災警報器から火災の発生を知らせるワイヤレス連動型タイプのもの,外出中であっても,住宅用火災警報器が作動したことをスマートフォンで知ることができるシステムなど高機能型の機種の商品化が進んでいます。一方,住宅用火災警報器は,電池切れや電子部品の劣化のため,10年を目安に本体ごと交換する必要があります。しかし,市民の皆様には,交換の必要性や先ほど紹介した高機能型の住宅用火災警報器についての周知が十分とは言えない状況です。さらに,少子高齢化の進行に伴い,天井など高い所に設置されている住宅用火災警報器の本体を交換できないという世帯の増加も予想されます。 住宅用火災警報器の義務化から10年が経過した今,火災発生時,折角設置した住宅用火災警報器が作動しなかったということが決して起きないよう,本体交換について市民啓発を強力に推進するとともに,過去に自主防災組織と進めた共同購入や取付け支援の経験を最大限にいかした京都方式を進めていくべきと考えますがいかがでしょうかお答えください。 以上をもちまして,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 繁隆夫議員の御質問にお答えいたします。 まず,交通局の次期経営ビジョンの策定についてでございます。繁議員御指摘のとおり,私が市長に就任した当時,危機的な状況にあった市バス・地下鉄の経営改善は,市政の最重要課題の一つでございました。この間,市民の皆様の御理解,御協力の下に全庁を挙げた増客の取組をはじめとした改革を断行してきた結果,市バスは平成26年度以降一般会計からの任意補助金に頼らない自立経営を堅持し,地下鉄はかつて1日当たり4,600万円もの赤字であったものが,一般会計からの多額の支援を行ったうえではありますが,平成28年度には1日当たり400万円の黒字を計上するまでになりました。さらに,地下鉄5万人増客の目標を2年前倒しで達成いたしました。そして今年度は,公共交通優先,歩くまち・京都の取組を加速すべく,新たに地下鉄・市バスお客様1日80万人という高い目標を掲げ,民間事業者の方々の参画も得て,公共交通の一層の利用促進に着手したところでございます。 その一方で,地下鉄では企業債等の残高が3,764億円,累積資金不足も309億円に上るなど,依然として全国一厳しい状況にあることに加えまして,今後は,烏丸線におきまして設備更新のピークが続く中,車両の更新が必要となること,また,東西線でも設備の更新時期を迎えることから事業費の大幅な増加が見込まれます。市バスは,次期経営ビジョンの計画期間であります平成31年度からの10年間で530両もの車両の更新が必要となるなど今後の財政見通しは決して楽観できない厳しい状況にあり,今後もなおお客様の目線で攻めの経営を一層推進し,より多くのお客様に御利用いただける取組が重要であります。次期経営ビジョンは,これまでの取組を更に進め,繁議員御指摘のとおり,健全経営を確保しつつ,人口減少社会に挑戦し,個性と活力ある京都のまちづくりをしっかりと支えるものとなるよう全力で取り組んでまいります。 次に,上下水道事業の経営についてでございます。本市では,京の水ビジョン及びその実施計画でございます中期経営プランに基づきまして,管路,施設の老朽化対策や地震,大雨に備える災害対策を着実に推進するとともに,営業所を9箇所から5箇所へと再編し,職員数はピーク時から658名減となる1,249名にまでスリム化するなど徹底した経営の効率化を推進してまいりました。また,北部山間地域の定住促進にもつながるよう同地域の上下水道を全面更新したうえで,本市の事業に統合し料金やサービスの統一をしたほか,山ノ内浄水場跡地の活用により地域の活力を創出するなど全市的な観点から事業を積極的に展開してまいりました。 繁議員御指摘のとおり,平成の初期から20パーセント以上減少してきた水需要は,人口減少により更に落ち込む一方で,今後20年間で水道,下水道管路の7割以上が老朽化するなど経営環境は一層厳しさを増してまいります。このような中,次期経営ビジョンでは,上下水道事業の基本的な役割に重点を置き,水道配水管の更新率を平成24年度までの3倍となる1.5パーセントに加速させます。また,雨水幹線等の整備により5年に一度の大雨に対する都市浸水対策達成率は90パーセントを超え,全国トップ水準になっておりますが,さらに,今後10年に一度の大雨に対する整備率を平成24年度の19.5パーセントの2倍以上に高めるほか,市内北部エリアを所管する太秦庁舎に続きまして,南部エリアの事業,防災拠点を整備するなど着実に事業を進めてまいります。 また,老朽化する管路や施設の大規模更新に向けまして資金を確保するなど経営基盤の更なる強化を図ってまいります。 市民の皆様,市会の先生方の御意見をしっかりとお聴きしながら,次期経営ビジョンを策定し,命と暮らしを守り続けてきた重要なライフラインを50年後,100年後の未来にしっかりとつないでまいります。 次に,鴨川運河における舟の運航についてでございます。私は,京都の観光のにぎわいを市内全域に広げ地域の活性化,ひいては市民の皆様の豊かさの実感へとつないでいくことが重要であると考えております。深草地域においても,観光によるにぎわいを面的に広げるため,本年3月には観光関連事業者を招聘して視察ツアーを実施するなど,深草の奥深い,また,幅広い魅力の発掘,発信に取り組んでいるところであります。 こうした中,繁議員御提案の鴨川運河における舟の運航につきましては,現在,国や淀川沿線自治体によって進められております淀川舟運事業や,伏見の十石舟,三十石舟とも相まって,新しい水辺観光として大いに注目を集めるものでございます。しかしながら,その実現には,繁議員も御承知のとおり,橋の一部に水面からの高さが低い箇所があることや,舟の旋回場所の確保といった運航に関する物理的な課題を解決する必要がございます。このために,まずは実際に疏水に舟を浮かべ,運河の管理や船舶運航の関係者を招いて試験運航をすることにより,安全性や操船,造船技術など具体的な検証を進めてまいります。あわせまして,旅行事業者や交通事業者等にも乗船いただき,疏水沿線の魅力開発とセットにした周遊性,集客性など,持続可能な事業としての採算性の観点からも幅広く御意見を頂いてまいります。さらに,舟の運航につきましては,周辺地域の皆様の御理解とコンセンサスが不可欠であることから,機運の醸成を図りつつ,その実現の可能性について様々な関係者等と連携し検討してまいりたいと考えております。 次に,今後の魚アラリサイクルについてでございます。魚アラリサイクルにつきましては,資源の循環,有効活用を図る上で,また,ピーク時からのごみの半減を目指す取組の面からも大変重要な取組でございます。現在,市内で発生する魚アラは本市直営施設として運営しており,建替え整備して平成20年4月から操業を開始したところであります。伏見区横大路の魚アラリサイクルセンターにおきましては,良好な環境の保全に万全を期す中で,適正処理とリサイクルを行い,良質な魚粉などを安定的に製造し売却してきております。一方,運営につきましては,平成25年度から運転管理業務を民間委託するなど効率化を図ってまいりましたが,これも繁議員御指摘のとおり,今なお収支の面で年間1億円程度の赤字が続いております。さらに,今後も施設を維持していく場合にはプラントの改修に多額の経費が必要となること,また,近年,全国的な規模で民間事業者による安定した魚アラリサイクルが確立してきたことから,繁議員御指摘のとおり,魚アラリサイクルの在り方につきましては抜本的に見直す必要があると認識いたしております。そのため,今後,魚アラの民間加工業者や収集運搬事業者と本市との協働で,民間事業者が主体となった持続可能で安定的かつ確実な魚アラリサイクルの仕組みをしっかりと構築し,魚アラリサイクルセンターにつきましては,平成30年度末をもって廃止できるように精力的に取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 住宅用火災警報器の本体交換の促進についてでございます。住宅用火災警報器は,10年を目安に交換する必要があることから,本市では,各家庭への防火指導の機会,あるいは消防局ホームページ,駅のホーム電光掲示板などにおいて広報,啓発を行ってまいりましたが,繁議員御指摘のとおり,この周知はまだ十分とは言えないと認識をしております。今後も各種のイベント,あるいは集客施設での広報媒体の活用など様々な機会を捉えまして,更なる市民への周知に取り組んでまいります。その一方で,御指摘もございましたが,本市の設置率は全国平均を大きく上回る81パーセントとなっております。これは自主防災会や消防団などの日頃の防火,防災活動により培われた地域力の賜物でございます。このことから,本体の交換に当たりましても,過去に共同購入を実施した自主防災会のリストを基に,周知,啓発を進めました結果,上京区では,自主防災会単位での共同購入に向けた具体的な取組が始められております。今後は,このような事例が全市で共有されるよう広く周知すべく積極的に働き掛けてまいりたいと思っております。加えまして高齢者世帯等の本体交換を促進するため,9月には訪問看護事業者団体と協定を締結いたしまして,訪問看護の機会に併せて住宅用火災警報器の作動確認を行っていただくことにいたしましたほか,自ら取り付けることが困難な方を支援するため,共同購入に関わる事業者団体等との更なる連携も図ってまいります。今後も,共同購入のメリット,あるいは高機能型を含めました住宅用火災警報器の有効性についての周知に努めまして,市民,地域,事業所と緊密に連携しつつ,京都ならではの地域力をいかした住宅用火災警報器の更新に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 部活動指導員の導入についてでございます。本市では,子供たちが夢や目標を持って打ち込むことのできる部活動の一層の指導を図るとともに指導に当たる教員の負担も軽減するため従前から実施しております外部コーチ派遣事業につきまして,昨年度から予算を約3倍に増額し,派遣回数を大幅に拡大するなど制度の充実に努めております。本制度を活用した中学校等に対するアンケートでは,約9割の学校から,生徒の技術の向上や顧問の指導力の向上に役立った,顧問の負担感の軽減につながったという回答がありました。その一方で,外部コーチは顧問を補助するものであり,休日等に単独で指導や引率を行えないことから,顧問の時間外勤務の縮減につながったと回答した学校は約半数にとどまっており,今後更なる取組の充実が必要と認識しております。そうした中,学校教育法施行規則が改正され,本年4月から,部活動の技術的な指導をはじめ大会等の引率を教員に代わって行うことができる学校職員として,新たに部活動指導員を配置することが可能となりました。本市におきましても,指導体制の充実や顧問の更なる負担軽減に向け,来週10月初旬から中学校5校程度でこの部活動指導員を試行的に実施して,その効果や課題を検証し,来年度からの部活動指導員制度の導入に向けて具体的な制度の在り方について検討するとともに,国に対しまして,こうした取組への財政措置を要望してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,中村三之助議員に発言を許します。中村議員。 〔中村三之助議員登壇(拍手)〕 ◆(中村三之助議員) 自由民主党の中村三之助でございます。同僚の井上与一郎議員,繁隆夫議員,そして加藤昌洋議員共々,自民党議員団を代表して多岐にわたり提言,提案,質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず初めは,ハザードマップの見直しと周知についてであります。ここ数年,毎年のように日本各地で発生している局地的,また記録的な大雨,また土砂災害が甚大な被害をもたらしております。そのような災害から私たちが身を守るために重要なのが,自分が住んでいる場所が危険であるかどうかをまず知っておくことであります。そのために,本市では,平成22年に防災マップが配布されました。(実物を示す)これです。これは上京版でございます。 その後,国における平成27年の水防法の改正によって,想定し得る最大規模の降雨を前提にした水害ハザードマップが全国で作成されることになりました。そして本市では,昨年度中には作成される予定でありましたが,まだ完成しておりません。これは,国,府を通して来る必要なデータが,まだ京都府から本市に来ていないからだそうですが,できるだけ早く市民に新しい防災情報を提供していただきたいと思っております。 そこで,本市の改定版防災マップ(水害編)はいつ完成するのか,まず初めにお尋ねいたします。 また,現在の防災マップは,小さな文字が多く,情報内容も多すぎ,また理解しづらいことから,はっきり申し上げて読んだ市民は少ないことと思います。そこで来る改訂版は,重要事項を精選し,イラストを有効に取り入れるなどして一般市民にできるだけ分かりやすい紙面内容,構成にしていただきたいと思っております。そして配布の際には,行政担当者は汗をかいていただき,各地域住民にできる限り内容が伝わるように配布方法に配慮と工夫をしていただきたいと思っております。 また,この度,私の提案を採用していただき新たに作成していただいた地震,水災害,土砂災害ごとに各家庭がいつの段階でどのような行動を取るのかが記載できる我が家の防災行動シールの活用と併用していただき,ばらまき配布にならないように,生きた防災マップにしていただきたいわけであります。 また,土砂災害の警戒区域等も,今日的な局地豪雨から発生する危険箇所が全国的にまだまだあるとのことであります。現実,警戒区域を事前に知っていたことから,難を逃れられた人も多かったということであります。一方で,警戒区域,さらに特別警戒区域に指定されると土地の評価が下がるので受け入れたくないという住民が現実としておられるという話をお聞きしますが,命が一番であります。危険であるかどうかを知っておくことが,災害から命を守ることにつながることから,本市においても,新たな該当箇所を明らかにしていっていただき,そして住民にしっかり発信していただき,防災,減災に努めていただきたいと思っております。御所見を伺います。 次は,ドローンの有効活用についてであります。私は,以前から小型無人航空機ドローンの有効活用に注目しておりましたから,御承知のとおり,昨年の7月に委員会視察で国の特区でいち早く消防局でドローンの活用を始めた千葉市へ調査に行き,京都市に情報を提供いたしました。その後現在では,全国の多くの府県市で購入また導入が検討されてきております。ドローンの性能は日進月歩で良くなっております。被災状況の全景を短時間に動画や静止画として得られ,3D映像にもできます。効率的に被災状況調査などを可能とするツールであります。また,消防局だけではなく,橋梁検査や道路が寸断され人が容易に立ち入れない場所での活用や山林樹木の枯れ調査,鳥獣被害調査など他局においても多様に低コストで活用が可能であります。 ついては,本市においても,本格的にまずは消防局においての導入を考えてはどうかと提案いたします。いかがでしょうか。 また,京都市も,災害時における無人航空機の運用に関する協定を締結してはいかがでしょうか。これは,災害時等において,ドローンを使用して被災地の状況確認などを迅速に行うことを目的としたドローン関係協会との締結であります。検討の価値はあると思います。既に京都府をはじめ亀岡市,京田辺市など近隣の都市が締結しております。御見解をお伺いいたします。 次は,学校教育環境の改善についてであります。特に,働き方改革,教員の長時間勤務の改善であります。私は,今月の3日から10日にかけて,京都市会の海外行政調査団11名の一員として,フィンランド,エストニアに行ってまいりました。その目的は,本市における福祉と教育の融合,新学習指導要領に基づく教育行政の推進に向け,幼児教育やIT教育など特色ある教育制度や教育内容,社会的地位が確立された教員養成,そして世界トップレベルの利用率を誇る公共図書館の教育への寄与を調査し,更なる本市の教育発展につなげることであります。 後日報告会,また,詳しく冊子として報告いたしますが,いずれにしても,子供にとっても教師にとっても,また,社会にとってもすばらしい教育環境であったと思っております。子供は個々人が尊重され,個に合った手厚い教育対応がなされ,社会においては公共図書館の利用環境が充実しており,また,現場の教師においては夏休みが2箇月半あり,その間,教師も子供も全く学校に行く必要はありません。誠にうらやましい限りでございました。かと言って私は,フィンランドの教育システム,環境の全てが良いとは思いませんし,良いところの一部だけをまねてうまくいくとも思っておりませんが,22年間教員をしておりました私としては,子供と向き合うことができる,ゆとりとなる時間が保証され,個々人にしっかり対応していける教育環境はすばらしいと率直に感動いたしました。 今回の視察で,子供への投資は,将来への投資になるのだという理念の下,国も社会も動いているという話を聞かされましたが,日本も京都も明治以降,番組小学校の建設から分かるように,同じ理念の下,国は栄えてきたのであります。幼児を含む子供の教育にしっかり財源を充てることがやっぱり必要だと改めて思っております。 私が,初めて教壇に立ったのは,今から40数年前であります。その頃も皆,結構遅くまで学校に残っておりました。しかし,現在と違う点は,その残っている中身であります。当時は,まずは子供たちへの対応,そして教師同士の団らん,おしゃべりが多かったと思います。その時間は,先輩からのアドバイスや同僚同士の教材研究,準備の時間であったり,クラスの子供の話であったり,職員間の懇親だったように思います。それらで遅くなることは,皆,そんなに苦痛とは思わなかったと思います。なぜなら,それらのことは,結果,見ている子供のためになっていくからであります。それが分かるし,感じるからであります。 しかし,現在の学校現場は,当時のようなゆとりある時間が生みにくい環境となり,遅くなることの中身が,子供のためになるとは思いづらい作業が多くなってきたと思っております。管理職も含めた教員の長時間勤務の解消には,数多くある会議や事務作業の見直し,また各校,各教員で業務を効率化する努力は必要でありますが,それも限界があります。教員の業務の範囲や量そのものを見直さない限り,勤務時間を縮減するのは難しいと考えます。 そういう中,まずは対症療法的にでも取り組むことにより,少しでも教師と子供が向き合える時間が増え,いい仕事ができることにつながると思っております。 岡山県教育委員会では,印刷,コピーや資料作成,準備,後片付け,掲示物の作成,掲示など雑務的なものも引き受けてくれる教師業務アシスタントとして120校に配置して効果を上げているとのことでございます。本市では,今年度に,教務主任補佐として退職教頭を4校に各1名配置され,現場では助かっているとのことですが,まだまだ少ないです。岡山県の教師業務アシスタントは,教員OBだけでなく,主婦もパートで来ていただいているとのことでございます。長時間勤務を是正し,教員が自分の時間を持つことで人としての幅を広げ精神的にも時間的にも子供と向き合うゆとりができ,それがより良い授業につながっていくと思っております。 文科省は,年内に教員の長時間勤務の解消に向けた実効的な対策をまとめるとなっており,その報告に期待をしておりますが,すぐには大きな改善はできないと思います。まずは,本市で来年度からすぐに役立つ教師業務アシスタント的な要員配置を拡大すべきではないかと思います。いかがでしょうか。 まずは,ここまでの答弁を求めます。よろしくお願いいたします。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 中村三之助議員の御質問にお答えします。 ドローンの有効活用についてでございます。中村議員御指摘のとおり,近年性能の向上が大変めざましいドローンについて消防本部での導入や民間団体との協定締結など消防防災分野での活用が増加してきております。まず,消防用ドローンの有効性として,火災現場においては,陸上からの把握が困難で死角となりやすい隣接する建物への延焼や飛び火の状況などについて,低空かつ近接した撮影により,これまで以上に詳細な情報収集が可能となります。一方,救助現場においては,ヘリコプターの進入が困難な狭隘な山間地等での捜索や水難事故における水面付近での検索活動が容易となります。このように,消防分野におけるヘリコプターとの相互補完により効果的な活動ができるものと認識いたしております。政令市では,千葉市とさいたま市が昨年度から消防用ドローンを導入し,埼玉県の大規模倉庫火災などで有効活用されておりますことから,これらの先行事例を踏まえまして検討を進めてまいります。 また,災害時における無人航空機の運用に関する協定につきましては,災害時における被災地の状況確認や被災者の捜索等を迅速に行うことを目的として,府内の自治体のほか神戸市や大阪市などにおいても,同様の協定が民間団体と締結されております。本市では,これまでから,災害時に必要となる対策の内容に応じまして,多くの機関,企業等と応援協定を締結しているところでありますが,今後ドローンの効果的な活用方策と併せまして,協定の締結につきましても全市的な観点から検討を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) ハザードマップの見直しと周知についてでございます。水害ハザードマップにつきましては,平成27年の水防法改正によりまして,河川管理者である国及び京都府におきまして主要な河川における最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域の指定が義務付けられたところでございます。本市におきましては,対象河川における京都府による洪水浸水想定区域の指定が完了次第,新たな洪水浸水想定区域などを掲載した改訂版の水害ハザードマップを作成し,平成30年度の出水期までには市民の皆様にお届けできるよう全力を挙げて取り組んでいるところでございます。なお中村議員御指摘のとおり,従来のハザードマップでは,水害に関する事前の備えや避難行動,土砂災害に関する情報など多くの情報を盛り込んでおりましたために,文字が小さく分かりづらいといった声もございました。このため,新たな水害ハザードマップのこのマップ面におきましては,浸水想定区域,緊急避難場所,学区の境界などの着色を工夫いたしまして,一方で情報面におきましては,避難に必要な情報を大きな文字,あるいはイラストを効果的に用いて表記をするということで,誰もが分かりやすく見やすいマップにしてまいります。また,土砂災害対策でございますが,本市との連携の下,京都府による本市域の土砂災害警戒区域等の指定が平成28年度末で完了いたしておりますことから,緊急避難場所,避難経路,警戒避難に必要な情報を盛り込んだ学区ごとの土砂災害ハザードマップを住民の皆様と共に順次,今,作成をしておりまして,今年度中に対象学区への全戸配布を進めてまいります。今後とも市民の皆様の安心安全の確保を目指し,これらのマップと,我が家の防災行動シールの併用などによる効果的な活用を図りまして,防災訓練,市政出前トーク,市民しんぶんなどあらゆる機会を通じて市民の皆様の命を守る情報をしっかりと発信してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 教員の長時間勤務の解消に向けた教育環境の改善についてでございます。中村三之助議員御指摘のとおり,子供たちに確かな学力や豊かな心,健やかな体を育むためには,教員がゆとりを持って子供たちと向き合う時間を確保することが極めて大切であります。このため,本市では,各学校におきまして会議の精選や学校行事の見直し,定時退校日の設定などを行いますとともに,教育委員会におきましてても,校務を効率的に処理するコンピューターシステムの導入をはじめとした事務効率化への取組に加え,小学校2年生での35人学級,中学校3年生での30人学級など少人数学級の実施,スクールカウンセラーの全校配置など人的配置の充実を進めてまいりました。さらに,今年度からは,教務主任補佐として経験豊かな退職教頭を小学校4校に試行的に配置し,調査の取りまとめなどの事務作業や来客応対から日常的な教員への指導助言まで多様な業務を担い,教員が本来の教育活動にゆとりを持って専念しやすい環境づくりに向け,効果的な活用方法の検証を進めております。こうした中,現在,校長会など学校現場と教育委員会で構成する事務効率化プロジェクトにおきまして,時間外勤務の更なる縮減に向けた検討を進めており,学校現場からは,現在の長時間勤務解消には授業の準備をはじめ教員の教育活動を補助するための人員配置が是非とも必要であるとの意見が出されております。今後とも,引き続き,教員が子供たちと向き合う時間を確保し,よりよい教育実践につながるよう,来年度からの教務主任補佐の配置校の拡大などを検討するとともに,国に対しまして,こうした取組への財政措置を要望してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 中村三之助議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続し,中村三之助議員に発言の継続を許します。中村議員。 〔中村三之助議員登壇(拍手)〕 ◆(中村三之助議員) それでは,午前中に引き続き,よろしくお願いいたします。 まず初めは,まちねこ活動支援事業の有効な事業展開についてであります。先週の20日から26日まで動物愛護週間でございました。(実物を示す)ちょっとこれを御覧ください。皆さん,このポスターは,今年の7月15日の京都新聞に掲載された,第13回ACジャパン広告学生賞,新聞広告部門最高のグランプリ受賞作品であります。京都の学生の作品でございます。記載の内容は,「いらなくなったらポイッ。「鳴き声がうるさい」「言う事をきかない」「思ってたのと違った」彼らも私達と同じ一つの命です。人懐っこい子もいれば慣れない子もいるし,お利口な子もいれば覚えが悪い子だっています。動物はただかわいいだけの都合の良い道具ではありません。飼い主には彼らの一生を背負う覚悟が必要です。飼う前にもう一度,しっかり考えてみてください」と訴えたものです。当然内容はすばらしいものですが,この動物愛護のポスターをグランプリ作品に選んだ審査員の皆さんにエールを送りたいと思っております。まずは,この広告が一過性のもので終わることがないように願っています。 まちねこ活動支援事業は,平成22年度から獣医師会の御協力を得て,野良猫対策の一環として,門川市長が掲げる人と動物が共生できる社会を目指して実現していただいた動物愛護事業であります。野良猫の避妊去勢手術頭数は,平成26年度で180頭,27年度で204頭,28年度は159頭であります。頑張っていただいているのですが,猫の殺処分は毎年約800頭いる中,まちねこ支援活動の積極的な事業拡大を望むわけでございます。 私は,以前からこのまちねこ活動支援事業を通して野良猫対策をするには,その地域の8割以上の野良猫に避妊去勢手術をしなくては効果が出なく,それ以下だったら1年後はまた同じ数になるという,ねこ算の仕組みをよく考えておく必要性を言っておりました。ついては,今後の事業展開としては,京都市全域での要請には従来どおり対応していく中で,行政側としてあるエリアを特化し,職員が積極的にその地域に入り込み,動物愛護グループの方々の協力も得ながら,地域の方々にまちねこ活動支援事業に理解と協力を求めていくという積極的な戦略を立てて実施することが効果を生み,実ある事業になって行くと考えております。いかがでしょうか。 また動物愛護センターが出来て3年目,京都市が掲げる人と動物が共生できる社会に向けてのセンターの果たす役割,またビジョンをどのようにお考えなのかお聞かせください。 さて,私は,本議会から関西広域連合議会議員の選任を受け,月に平均約2日の会合に参加しております。先月24日に行われた関西広域連合議会本会議で一般質問をしてまいりました。一つは,関西広域連合の認知度低迷の原因と向上策です。関西広域連合の目的は,分権型社会の実現,関西全体の広域行政を担う責任主体づくり,国の事務権限の受皿づくりの大きく3点であります。そして活動は多岐にわたっております。その活動の柱の一つに4年後の2021年5月に関西エリアで開催される第10回ワールドマスターズゲームズの支援があります。ワールドマスターズゲームズとは,4年ごとに開催される,原則30歳以上の方なら誰でも参加できる生涯スポーツの国際競技大会であり,日本での大会はアジアでは初の大会であります。関西広域連合の8府県4政令市で32競技55種目が行われます。 私は,ワールドマスターズゲームズの名前は聞いたことはありますが,どんなものなのか分かりませんでした。きっと皆さんもそうだと思います。そこで私は,本年4月に開催された第9回オークランド大会に関西広域連合の知事,市長共々視察に行き,多くの競技会場を調査するとともに,次回の日本開催を大いにPRしてまいりました。京都市からは村上副市長がお越しでございました。正に百聞は一見にしかずでありました。ここで簡単にその雰囲気を伝えることは難しいですが,参加者が競技だけでなく,選手同士の交流や,また,運営を支えるボランティアの皆さんの心から楽しんでいる姿と熱意に感銘いたしました。 京都市においては,メーンの開会式と陸上のトラック・フィールド競技,バドミントン,スカッシュ,空手道の4競技が開催されます。それらはおのずと京都市が運営責任主体となってくるでしょう。私は,このワールドマスターズゲームズ2021の失敗は,関西広域連合の解散につながるものだと連合議会で発言しております。必ず,各開催都市は責任を持って成功させなければならないとも言っております。また,2019年のラグビーワールドカップ,20年の東京オリンピック・パラリンピック,そして21年のワールドマスターズゲームズ。これら世界大会の,ラグビー・オリパラ・ワーマスの3点セットで発信していくPR戦略が有効であるとも提案しております。 京都での開会式には相当規模の参加者が来られます。全国,また,世界各地からの参加者に京都の魅力を感じていただき,また,市民には,おもてなしの心で大会を楽しんでいただくことが大切であります。ついては,本市として4年後の成功に向けてどのように取り組んでいくのか決意と所見をお聞かせください。 最後に,インド・バラナシ市とのパートナーシティ提携に向けての要望をさせていただきます。平成26年8月にインドのモディ首相が東京での首脳会談の前に入洛され,その際,京都市とバラナシ市の友好提携を熱望されたことにより,京都迎賓館において,安倍・モディ両首相立ち会いの下,門川市長及び駐日インド大使による京都市とバラナシ市が将来的にパートナーシティ提携を目指すための意向書に調印されたのが始まりであります。ですからまだ正式にパートナーシティ締結はなされていないわけであります。国レベルにおいては,今月14日には,安倍首相がモディ首相との首脳会談にインドへ行かれ,毎年相互交流がなされております。これから日本にとってインドは,経済,文化交流を深めていく重要な国であります。京都市としてもしっかり交流を深めていくことが重要と考えております。 本市は,現在バラナシ市と提携分野の調整などに取り組んでいただき,学術交流,防災教育,環境分野の交流などの民間での取組が実現していることは誠にすばらしいことと思っております。是非とも,交流を一層促進していただき,近い将来,パートナーシティ提携書への正式調印が実現されますよう,機運の醸成に努めていただきますよう要望させていただきます。 また,今後インド人の家族が京都に在住していただくには,現実問題としてインド人向けのインターナショナルスクールの設置が肝要であります。京都の大企業の関東支社には,現在インド人の技術者がおられます。京都市に学校があれば,優れたスキルを持つインドの方が多く来られ各分野で活躍されるでしょう。それは,将来の京都経済の発展に大きく寄与していくものと考えます。また,ベジタリアン対応などインドの方の生活文化を理解することも必要と思っております。 以上,いち早い実現を最後の要望といたしまして,私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中村三之助議員の御質問にお答えします。 人と動物が共生できる社会に向けての動物愛護事業についてでございます。まず,まちねこ活動支援事業につきましては,地域にお住まいの皆さんが協力して野良猫の適切な管理を図っていただくとともに,獣医師会の御協力の下に,京都市が無料で避妊去勢手術を行うことにより,不幸な野良猫を減らしていく地域ぐるみによる取組であります。今日まで啓発に努めるとともに,関係者の努力,さらに平成27年度に,より取り組みやすい制度となるように活動団体の人数を緩和したこともあり,まちねこ活動の登録数は,平成25年度末の90地域から平成28年度末には181地域となり3年で倍増しております。本事業を進めていくためには,地域にお住まいの皆様の御理解と御協力が不可欠であることから,これまでから御要望に応じまして,町内会等への説明などを積極的に行ってきたところでございます。今後は特に地域ぐるみの取組が困難となっているところを重点的に取り上げ,地域の関係者の皆さんの御理解と御協力が得られるように,本市としても関係者と共に粘り強く取り組んでまいります。 次に,全国初となる府市共同設置による京都動物愛護センターにつきましては,平成27年5月の供用開始以来,例えばドッグランの利用者が延べ1万人を突破するなど多くの市民,府民の皆さんに御利用いただいております。また,犬猫の適正飼養やペットの災害時対策に係る講座の開催等,啓発事業の定期的な実施,外部の専門家やボランティアとの協働による譲渡事業などあらゆる取組を進めており,これらの取組の結果,平成19年度に2,000頭を超えていた猫の殺処分数は,平成28年度には過去最少の789頭まで減少いたしました。しかし,なおこれからの努力が必要だと思っています。ちなみに,犬につきましては,殺処分数が平成19年度は約200頭であったものが,平成28年度は15頭にまで大きく減少しました。 去る9月23日に岡崎公園で開催しました京都動物愛護フェスティバルにつきましても,大変多くの方に御来場いただき,関心の広がり,高まりを実感いたしております。また,防災訓練にペットの同行避難を取り入れていただく地域も広がってくるなど取組に対する力強い手応えを感じているところであります。今後とも,府市の動物愛護のシンボル施設として,高い発信力をいかした啓発活動や譲渡事業等の取組を一層進め,人と動物が共生する日本一のまちづくりを進めてまいります。 次に,ワールドマスターズゲームズ2021関西についてでございます。4年に一度開催されるこの大会は,国際的な生涯スポーツの祭典であり,2021年大会では,関西広域連合の支援の下,関西一円で32の競技55種目を実施いたします。参加選手は,オリンピックよりも多い5万人,随行者,参観者を含めますと15万人以上の参加を見込み,経済波及効果も1,461億円と見込んでおります。アジアでは初開催となります。 本市では,開会式と陸上,バドミントン,スカッシュ,空手道の四つの競技を開催し,競技の円滑な運営はもとより,参加者や市民の交流を促し,中高年者を中心とした幅広い市民スポーツの底上げにしっかりとつながるよう,現在,競技団体をはじめスポーツ関係者,観光,文化,報道機関,学識者等をメンバーとする京都市実行委員会を設置し準備を進めております。とりわけ,オープニングを飾る開会式を京都市で開催できることは誇りであり,世界に京都の魅力を発信する機会としてまいりたいと考えております。 開会式だけで約2万人の参加者を見込みます。参加者と観客が一緒に盛り上がる場として,すばらしい自然,景観と多くの文化交流施設等が集積し,広場と建物を一体的に活用できる岡崎公園一帯を会場の候補地として考えております。能の披露など関西,京都の伝統文化を最大限取り入れ,文化の力をいかしたおもてなしを検討してまいります。 また,中村議員御指摘のとおり,大会の周知が成功の鍵であると認識しており,2019年ラグビーワールドカップ,2020年東京オリンピック・パラリンピックと合わせまして3年連続で日本でスポーツのビッグイベントが開催されるゴールデン・スポーツイヤーズの到来として国や経済界にも大会のPRに御尽力いただけるよう関西全体で働き掛けるとともに,京都市におきましても組織体制を強化し,あらゆる機会を捉えて全庁一丸となって広報活動を充実してまいります。 さらには,公式競技以外の種目でも大会期間の前から開催できるオープン競技として実施し,参加するスポーツの機運醸成を図ることも検討いたしております。この大会を通じまして,147万市民の皆様にスポーツ文化が生活の中に,地域の中に根付き健康長寿のまち・京都の実現につながるよう,万全の態勢で大会準備を進めてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,加藤昌洋議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤昌洋議員) 私は,中京区選出の加藤昌洋です。自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,井上与一郎議員,繁隆夫議員,中村三之助議員,3名の先輩議員に引き続き質問いたします。 昨年に引き続き,この代表質問の機会を与えてくださった皆様に感謝し質問に入ります。 初めに,世界文化自由都市宣言と文化庁京都移転についてお伺いいたします。京都市では,有識者12名による懇談会でまとめ上げられた宣言文を市会の議決を受けて,昭和53年10月15日の京都市自治80周年記念式典で世界文化自由都市宣言を発しました。このような都市としての宣言は他都市にも平和都市宣言や環境都市宣言,交通安全都市宣言,健康都市宣言などといったものが見ることができます。しかしながら,全世界の人々が,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由に集い,自由な文化交流を行う都市を目指すべき都市の理想像として掲げた都市宣言はほかにはありません。 この世界文化自由都市宣言は,京都市の政策体系上,京都市基本構想や基本計画の上位にある普遍的な都市理念として位置付けられています。こうした時流に左右されない理念が市政の遂行に当たり掲げられているのは京都の特性となっており,都市の誇りとなるものです。この宣言に基づいて,国際交流会館や京都コンサートホールの開設,世界歴史都市連盟の設立などが進められてきており,宣言の具体化も進んでいます。また,近年ではラグビーワールドカップ,東京オリンピック・パラリンピック,関西ワールドマスターズゲームズの開催を控えてのスポーツ・文化・ワールド・フォーラムや,日中韓文化大臣会合での合意に基づいた東アジア文化都市の開催など国を超えた文化交流事業が盛んに開催されております。しかしながら,「理想の宣言はやさしく,その実行はむずかしい。われわれ市民は,ここに高い理想に向かって進み出ることを静かに決意して,これを誓うものである」と,宣言の最後にうたわれているように,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市となるには,不断の努力が必要となるのは言うまでもありません。 平成30年度は世界文化自由都市宣言から40周年の節目の年を迎えます。宣言から10年目,20年目,30年目の節目の年には特段の記念行事等は行われていませんが,平成33年度内にも京都に文化庁が全面移転されることを控え,宣言40周年を新たな契機として,宣言の内容を改めて市民の皆さんと広く共有し,永久に新しい文化都市となるため,次の世代に引き継いでいくことが必要と考えます。様々な文化事業やイベントの際にこの宣言を広く再認識できるような取組を行うことが重要であると考えますが,この認識についてお答えください。 次に,文化庁京都移転についてお伺いいたします。京都市においては,昭和の時代から文化,学術関連機関の移転を要望し,今回の文化庁京都移転へとつながることとなりました。文化庁京都移転については,本年4月に上下水道局旧東山営業所の庁舎を利用した地域文化創生本部が設置され,京都の知見やノウハウなどをいかした事務事業の実施など先行的な取組が行われています。また,7月に行われた文化庁移転協議会では,平成30年度内をめどに関係法令の整備を行い,組織体制の整備を行うことや文化庁移転先が京都で行われた昭和天皇の即位の礼に合わせて建設された京都の近代化遺産である現京都府警本部本館に決まるなど着実に進展を見せています。 伊吹文明元衆議院議長は,「日本人の伝統的生き方,心根,すなわち文化が辛うじて残り,中央省庁を受け入れることができる都市機能を持つまちが京都であり,その京都で,日本と地方の創生を図りたいとの政治の意思が文化庁の京都移転です。京都は,日本のため大きな責任を負ったのです」とかねがね言われているように,この文化庁京都移転は我が国において初めての省庁移転であり,オール京都で京都市,京都府,経済界がしっかりと役割を果たし成功に導いていく必要があります。 しかし,この文化庁京都移転の成功においては,まだ課題が残されています。昨年1月に,市長,知事,京都府・京都市両議長,商工会議所会頭などオール京都で文化庁移転へ向けて,安倍総理に移転に関する要望を行った際,受入れに当たって京都が行うことを3点挙げられました。1点目が,移転候補地の提示と提供,2点目が庁舎建設費用の応分の負担,3点目が文化庁職員の受入れに当たっての協力です。1点目の移転先は決定しましたが,2点目の応分の負担と3点目の職員の受入れに当たっての協力に関してはまだ結論が出ておりません。庁舎建設に関係する費用については,府警本部の改修にどれほどの費用が掛かるかはまだ分かりませんが,国,府,市,経済界がどのような割合で負担するかを決める必要があります。また,職員の受入れに関しては,昨年,当時の馳文部科学大臣が,京町家などに分散して居住し,京都の生活文化を体験しながら文化行政を行ってほしいという旨の発言をされており,京都市としても京町家の保存,再生に新たな試みを行おうとしている今,どのように職員を受け入れるかを決めなければなりません。 そこでお伺いいたします。文化庁本格移転に向け,今述べた費用の負担や職員の受入れを含め,今後どのように課題に取り組んでいかれるかお考えをお聞かせください。 次に,京都議定書誕生20周年記念,地球環境京都会議2017開催についてお伺いいたします。平成29年は,京都議定書誕生から20年を迎える年となっています。京都議定書は,平成9年に開催されたCOP3地球温暖化防止京都会議において,1990年を基準に先進国における二酸化炭素やメタンなどといった温室効果ガスの削減率を国別で定め,期限内に目標値を達成するように定められたものであり,この取組は国際社会が従来の公害対策から人類の新たな脅威となった地球温暖化対策に協調して乗り出す大きな一歩となりました。 京都議定書が誕生したまちである京都市においては,「環境にいいことしていますか?」という意味を持たせた「DO YOU KYOTO?」を合言葉に,毎月16日をDO YOU KYOTO?デーとして設定し,ノーマイカーデーやライトダウン,京灯ディナーをはじめエコ学区の取組など,市民の皆さん,事業者,行政が一丸となって取り組みやすい活動を展開してきました。また,平成16年度に環境先進都市としての役割を果たすため,地球温暖化対策に特化した条例を全国で初めて制定し,平成22年度には1990年度比で温室効果ガスを2020年度までに25パーセント,2030年度には40パーセント削減する目標などを盛り込むなど全面的に条例を改正し率先して行動を起こしてきました。実際の温室効果ガスの削減実績に目を向けると,京都市内での温室効果ガスの排出量は,東日本大震災後に火力発電に依存した電源構成へと大幅に変化するまでは減少傾向にあり,最新の数値である平成27年には1990年度比で3.2パーセントの減少を達成しています。 こういった状況の中,平成27年には,世界的な温暖化対策の新たなルールとなるパリ協定がCOP21において採択され,平成28年11月4日に発効しました。このパリ協定では,先進国だけではなく途上国も排出量削減に参加することとなっており,今世紀後半の温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を掲げています。目標の実現に向けては,とりわけ,現在,世界人口の約半分を占めており,2050年には3分の2を占めるとも言われている都市において,これまで以上に踏み込んだ地球温暖化対策が求められています。また,先般,アメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言していますが,これに対して,アメリカの各都市がパリ協定の遵守や目標達成に向け努力を続けると宣言したように,都市の役割が重要性を増しています。 京都市では,京都議定書誕生20周年に合わせて,12月10日に国内外の都市を招待し,国際的な都市間連携を強化する地球環境京都会議2017を開催し,パリ協定の実現に向けて世界の都市が責任を果たす京都宣言を発信することとしています。京都議定書の誕生によって地球規模の温暖化対策が動き出したように,この会議も,地球温暖化を克服し持続可能な世界を実現するための大きな礎にしていかなければならないと考えます。そこで,京都議定書誕生の舞台となった京都市として,どのような決意でこの会議に臨まれるか考えをお聞かせください。 次に,民泊対策についてお伺いいたします。まず,現行法令の下での民泊適正化についてです。京都市では,昨年度いち早く民泊通報・相談窓口を設置するなどの取組を進め,昨年度では延べ2,143回の現地調査を行い,300施設の営業を中止させました。また,この4月からは各区役所の衛生課を医療衛生センターに集約化し,そのスケールメリットをいかすことによって,新たに旅館業に特化させた民泊対策部門を創設し,取組を一層進められています。さらに,このように民泊の適正化に向けては,かねてより徹底した取組が進められているところですが,まず,これまでの取組によって,営業者の特定や事業者への指導について,どのような成果が得られてきたのかお伺いいたます。 一方で,依然として民泊増加の勢いは衰えてはいません。今年度4月から8月末までで,新規の簡易宿所許可件数は398件にも上っており,前年同月比で38パーセント増加と高い水準で推移しており,今後も指導件数の増加が予想されます。それだけではなく,近頃では市内中心部のみではなく住宅地や郊外にも続々と民泊が作られていっております。日々の市民生活,そして,日々訪れる観光客の安心安全を確保していくためには更なる指導体制の強化が必要となると考えますが,市長の見解をお伺いいたします。 また,住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法の施行に合わせて,京都市では新たに民泊の適正な在り方とこれに関する京都市独自ルールを条例化する検討をしています。この条例の制定においては,市民生活の安心安全の確保に向け,いわゆる安心安全要綱などに基づくこれまでの取組を発展させ,京都市の各局,そして地域コミュニティなどが連携し取組を進めていく必要があると考えております。また,これまでの旅館業法では営業が許可制であったのに対して,民泊新法では届出制となり,そのことに対する対応や営業期間等の対策も条例上必要となってきます。加えて,先日の記者会見で市長は,新法上の民泊に係る届出の受付等を担うことを表明されており,平成30年6月までに予定されている法施行の前後には,多くの民泊事業者が殺到し混乱することが予想されます。 国会では,旅館業法の改正も視野に入れ議論されている中ではありますが,まずは民泊新法の施行に向けて,条例や受付体制の検討作業をしっかりと進めていく必要があります。市長は,どのように民泊新法への対応を進められるのかお伺いいたします。 また,民泊に関連して宿泊税についてお伺いいたします。今議会に提案されている宿泊税の目的は,近年の入洛客数急増による交通混雑や違法民泊等による市民生活への悪影響を解消し,住んでよし,訪れてよしのまちづくりを行うことであると認識しております。議案の審査は,委員会に委ねますが,仮に同条例が可決されれば,市民の皆さんはもとより納税者である宿泊者,さらには特別徴収義務者となる宿泊施設の運営事業者に宿泊税の効果を実感いただけるよう目に見える取組を行う必要があると考えますが,市長の決意をお答えください。 次に,保育に関して,量と質のそれぞれの観点から質問いたします。まず,保育の量の確保についてです。京都市においては,これまでも重点的に待機児童解消に向けて取組を進めており,4月時点での待機児童数は国の旧基準で4年連続,今年度は新基準においてもゼロを達成しております。この数字は,政令市で随一の成果を出しているといっても過言ではありません。この点については大きく評価するところであります。 しかしながら,課題が残っているのも事実であります。先日公表された整備必要量の提供区域間調整の資料では,整備必要区域の合計が849人分となっており,提供区域別の内訳は示されていますが,保育園と小規模保育の内訳は示されておりません。この点については,速やかにそれぞれの提供区域ごとに保育園,小規模保育,それぞれの整備必要人数を示したうえで,既存,新規問わず検討を促していく必要があると考えております。 また,地域によって保育の量のニーズは異なってきています。昨年の代表質問で要望した中京1のような地域では依然として整備必要人数がある一方で,提供区域によっては定員割れが出てきている所もあり,保育所の安定的な運営のためには定員の適正化を図っていく必要もあります。 このような状況の中で,京都の実情を踏まえたニーズをしっかりと事業者に提示し,将来にわたって安定した保育所の運営を進めていく必要があると考えますが,京都市の考え方をお伺いいたします。 2点目に保育の質の充実についてお伺いいたします。我が国,そして京都市の未来を担う子供たちは,正に社会の宝です。この子供たちを健やかに育むため,保育の質の維持,向上の取組には,これまで以上に力を入れるべきであると考えます。保育の質には様々な要素が含まれますが,やはり保育士をはじめとする,保育現場で働く皆さんの資質に負うところが非常に大きいわけであります。保育士の先生方がそれぞれに専門家として自己研鑽を重ね,知識,技能をどんどんと向上させることができる,そして頑張った保育士が処遇面でも適切に評価される,そういった仕組みを構築することが,保育の質を全体として向上させるためには是非とも必要です。保育士の皆さんに資質向上の契機となる研修を体系的に提供すること,そして自分自身の将来ビジョンが描けるように,いわゆるキャリアパスを明示することが求められているということであります。 全国的に,保育士不足の状況について様々に報道され,京都の保育現場の方々からも年々保育士の確保が困難になっているとの声も聞きますが,保育士の皆さんが,これまで以上に誇りとやりがいを持って働くことができれば,職業としての保育士の魅力は必ず高まります。研修体系の構築とキャリアパスの明示は,保育士確保の面でも有効だと確信します。子ども・子育て支援新制度が始まってから3年目を迎えますが,国においては,ニッポン一億総活躍プランの下で,新たなキャリアアップ研修と連動した月4万円などの処遇改善が行われることとなりました。職員の資質向上と処遇改善を一体として進めようとする取組の趣旨には大いに賛成するところではありますが,処遇改善の要件となる研修につきましては,単純計算で本市の全保育士の3分の1に当たる副主任や専門リーダーは4分野60時間に及ぶ研修受講が必須であり,また,全保育士の5分の1に当たる分野別リーダーは1分野15時間の研修受講が必須となるなど一大事業となります。 研修受講が要件となるのは来年度からとはいえ,京都市としてもしっかりとした体制を構築し,対応をしていく必要があると考えます。これまで培ってきた質の高い京都の保育を更に向上していくために,国の新たな保育士キャリアアップの仕組みをいかしながら,頑張る保育士を応援する仕組みを構築する必要があります。職員が必要な研修を受講し,しっかりと処遇改善の適用が受けられるよう,市として取り組んでいくべきと考えますが,京都市の見解をお伺いいたします。 最後に,私道と地籍調査について要望いたします。京都市においては,中心市街地をはじめ多くの地域で私道が見受けられ,生活の一部として利用されているものも多くあります。私道の多くは,位置指定道路や2項道路として存在していますが,この私道に関しては,多くの問題を抱えています。それは,水道やガス管などの工事に関する承諾の手続や袋路状道路の市道認定の問題,また,地域の住民の方々が日々使われている私道の維持,管理の問題などです。 私道の水道管に関する承諾書の問題は,平成27年3月に京都市水道事業条例等を改正し,袋路状道路に関しては我が会派の平山議員の質問に対して,一定の基準を満たせば市道認定するとの答弁があり,確実に課題解決に向かって取組を行っていただいております。しかしながら,私道の市道認定及び維持管理については課題が残っているのが現状です。市道認定する場合においても,私道の維持管理における修繕を行うに当たっても,所有者全員の同意を得る必要があります。また,市道認定のための幅員確保や筆界確認や私道の修繕費用の負担等,多くの問題点が上がってきます。この問題は,すぐに解決できる問題ではありませんが,京都市として,このような私道が市内にどれだけあるのか各土木事務所の情報を整理し,まず現状を把握することを求めます。 次に,地籍調査についてです。地籍調査については,かねてより自民党市会議員団より質疑,要望等をしておりますが,思うように進んでいないというのが現状です。地籍調査が実施されないと,土地に関わる多くの行政活動や経済活動に支障を来す場合や無駄を生じさせる可能性があると指摘されています。また,地籍調査が早期に行われない場合,人証や物証が徐々に失われていきます。 京都市では,平成23年度より上京区の出水学区で先行的に地籍調査を進められておりますが,京都府宅地建物取引業協会が国土交通省の資料から作成したデータによると,京都市全体の進捗率は1パーセントほどとなっており,事業の進捗の遅さに課題が残されております。現在着手している所のみだけではなく,着手可能な地域については国の補助金を活用し着実に事業を進めることを求めます。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤昌洋議員の御質問にお答えします。 世界文化自由都市宣言についてでございます。都市は理想を必要とする,文化による世界との交流と平和の実現という高い理想の追求を誓ったこの宣言は,1000年のまちづくりの知恵と哲学が息づく歴史都市であり,我が国を代表する文化首都である京都ならではの世界に誇る普遍の都市の哲学であります。昭和53年,本市は,市会の議決を得て世界文化自由都市を宣言し,以来,宣言を政策の最上位の都市理念として京都市基本構想,基本計画を策定し,文化を基軸とした都市経営を進めてまいりました。この間,宣言の理念は,世界歴史都市会議や連盟の創設,国際交流会館等の整備,さらには国際日本文化研究センターの誘致や世界中の宗教者が集う比叡山宗教サミットの開催など,市政の枠を超えて幅広く具現化してまいりました。そして,そうした宣言の理念を追求する多くの取組の積み重ねがあったからこそ,今回の文化庁の京都への全面的な移転の決定につながったものと考えております。さらに今年,世界17都市が参画する東アジア文化都市サミットが京都で開催されるなど,宣言に掲げた永久に新しい文化都市に向け,更なる飛躍の機運が大きく高まっているところでございます。 一方,世界各地で紛争が絶えず我が国周辺でも国際的な緊張が高まる中,宣言を通じて,文化が最高の安全保障であるとのメッセージを国内外に発信し,共有する必要性が高まっていると感じております。このため,来年度の宣言40周年に際し,加藤議員御指摘の文化事業やシンポジウム,あるいは文化による平和の実現に功績のあった方の表彰等を通じ,今一度,宣言の意義を市民ぐるみで再認識し,共有し,更なる推進につなげてまいります。また,宣言を分かりやすく解説したパンフレットの作成や配付を通じて,改めて市民の皆さんに広く周知するとともに小中高校でも宣言の趣旨,内容を伝え次世代への継承に取り組みます。さらに,宣言のメッセージを世界に積極的に発信するなど,節目の取組をしっかりと企画し推進してまいります。 次に,民泊対策についてでございます。京都市では,違法民泊を断じて許さないとの強い決意の下,地域住民の皆様と共に取組を進めてまいりました。昨年7月,全国に先駆けて民泊通報・相談窓口を開設し,これまで寄せられた2,600件を超える苦情,相談に対し,3,490回に及ぶ現地調査を実施し343箇所の営業を中止させるなどの成果も挙げてまいりました。平成29年度には,衛生部門の集約化に併せ民泊対策の専門チームを設置するとともに,これまで営業者などが不明であった620件について新たに民間委託による調査を行い,8割を超える521件について営業者の特定などの進捗を図ったところであります。この調査を踏まえた指導を行うことに加えまして,違法民泊は依然として増加していることから,加藤議員御指摘のとおり,さらに強力に取り組んでいく必要がございます。このため,違法民泊の指導等に当たる専門職員である環境衛生監視員を10月1日から新たに2名採用し,医療衛生センターの民泊指導の体制を20名に強化いたします。あわせまして,本市独自のルールを設ける条例制定や住宅宿泊事業法等の施行に向けた準備を業務の主軸とする専門性の高い職員を4名配置し,その職員を中心に民泊対策プロジェクトチームの中に作業部会を設置いたします。条例の制定に当たっては,住居専用地域や共同住宅における民泊営業や防火,衛生対策を含めた安心安全確保のための管理の在り方といった課題について,この度設置いたしました有識者会議等から幅広い御意見もお伺いしたうえで,実効性のあるものとなるよう検討してまいります。また,住宅宿泊事業法に基づく届出については,事前受付が今年度中にも開始される見込みであり,これらに迅速かつ的確に対応するため,必要な体制を構築してまいります。今後とも,市民及び観光客の安心安全の確保と地域住民の生活環境の保全を大前提にいたしまして,京都らしい良質な宿泊施設の拡充を進め,市民生活の豊かさや都市格の向上に努めていくとともに,違法な民泊,悪質な民泊の根絶に向け,さらにしっかりと取り組んでまいります。 次に,宿泊税についてでございます。宿泊税は,市民の皆さん及び入洛客双方の満足度を高め,都市格の向上と,持続可能な京都のまちづくりを進めていくために更なる環境整備が必要であることから,その新たな財源として創設するものであります。本市においては,これまでから,市民の皆様の御協力の下に,全国に類を見ない新景観政策や文化芸術都市の創生,誰もが憧れる観光都市を目指した観光振興,人と公共交通優先の歩くまち・京都の推進など京都の魅力の向上につながる施策を重点的に取り組んでまいりました。こうした取組により,京都ならではの美しい景観,日本を代表する多彩な文化資源,快適な歩行空間など様々な京都の魅力を市民や入洛客の皆様に提供してまいりましたが,一方で,近年入洛客の増加に伴い市民生活への様々な影響が生じており,受入環境の整備も含めまして早急に解消していくべき課題が山積しております。 今般の宿泊税の導入に当たっては,こうした現状をしっかりと踏まえ,その新たな財源につきましては,住む人にも訪れる人にも京都の品格や魅力を実感できる取組の推進,入洛客の増加など観光を取り巻く情勢の変化に対応する受入環境の整備,京都の魅力の国内外への情報発信の強化の大きく3点,具体的には,文化財保護や歴史的景観の保全,快適な歩行空間の創出,入洛客の安心安全の確保,観光案内標識の整備,観光地トイレの拡充,さらには観光や文化の担い手の育成など,その効果が実感できる施策に用いてまいります。また,近年,新たな課題となっております道路の渋滞や公共交通機関の混雑対策,違法民泊の適正化,京町家の保存,継承などにつきましても,宿泊税を貴重な財源として積極的に取り組み,京都の魅力,都市格の向上を目指し,市民の皆様,入洛客の皆様,さらには観光に関わる事業者の皆様にも,宿泊税の効果を真に感じていただけるような取組を進めてまいります。 以下,副市長,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,文化庁の京都移転と地球環境京都会議の2点について御答弁申し上げます。 まず,文化庁の京都移転についてでございます。本年7月に京都に文化庁の本庁を設置し,本庁には長官,次長を置き,移転の規模は職員の7割とすることなど,これまで全面的な移転と表現されたことにふさわしい内容が決定いたしました。そして移転先につきましては,現在の京都府警察本部本館とし,必要な改修,増築を行ったうえで,遅くとも平成33年度中の本格移転を目指すこととなり,移転に向けた取組は新たなステージを迎えることになりました。府警本部本館の整備でございますけれども,所有者である京都府が事業主体とはなりますけれども,オール京都で国に対して文化庁移転を要望した際に,移転土地の提供,庁舎の建設費用の応分の負担,職員等の受入れへの協力の3点をお約束していることを踏まえまして,本市も庁舎整備費について府と同額を負担することを基本として,現在,具体的な整備内容や負担方法について,検討,協議を行っているところでございます。また,文化庁の職員の方も京都に来てよかったと実感していただけるよう,京都府経済界と共に京町家への入居を含めた住環境の確保や,子育て,教育,自治会などに関する情報提供を行いますとともに,地域活動や伝統行事への参加など京都の奥深い生活文化を体感し,新たな政策の立案にいかしていただけるような取組を進めてまいります。今後は6月に施行された文化芸術基本法に基づき機能強化される新文化庁と共に,文化の力で日本を元気にする取組を展開していくため,京都の負った責任をしっかりと果たしてまいります。 次に,地球環境京都会議2017についてでございます。地球温暖化対策に関する人類史上初めての国際的な約束である京都議定書誕生の地である本市では,健全で恵み豊かな地球環境を将来の世代に継承していくため,全国に先駆けて温暖化対策に特化した条例を制定するなど,市民,事業者の皆様と共に先進的な取組を推進してまいりました。京都議定書が大きく飛躍し,全人類が参加することとなりましたパリ協定の実現に向けましては,国の役割はもとより,加藤昌洋議員御指摘のとおり,市民生活に直接関わり全世界の炭素排出量の75パーセントを占めている都市における政策や都市間での成功事例の共有が非常に重要であると考えております。そのため,国際的な都市間連携の強化でありますとか,地球規模での温暖化対策の促進を,京都議定書誕生の舞台となりました京都市こそがリードしなければならないと考えております。そうした強い決意の下で,来る12月10日,多くの市民の皆様やパリ市をはじめ国内外の先進都市の参加により,京都議定書誕生20周年を記念した地球環境京都会議2017を開催いたします。会議では,京都議定書やパリ協定の意義を改めて確認し,世界の都市の在るべき姿や都市間連携の重要性,さらには都市の責任,決意を京都宣言として取りまとめまして,持続可能な世界の構築に向けた地球規模の取組を,ここ京都から力強く牽引してまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 保育環境の整備についてでございます。本市においては,保育所,幼稚園の関係者及び地域の皆様の御協力の下,保育所等の新設や増改築等を積極的に進めた結果,4月時点の待機児童数について,国の旧基準で4年連続,今年度は新基準でもゼロを達成いたしました。今後の保育の量の確保については,加藤議員の御指摘のとおり,地域の保育ニーズを毎年きめ細かく把握し,保育事業者と情報共有しながら,実情に見合った保育所の新設や増改築などに適切に取り組むとともに,適正な定員設定を図ってまいります。 次に,保育の質の充実についてでございます。本市では,保育の質の向上を最重要課題として,職員配置の充実や保育現場の実情に即した研修等の取組を進めてまいりました。今年度から新たに導入された保育士等の専門性を高める研修と処遇改善を連動させた国のキャリアアップ制度を契機として,更なる質の向上に努めてまいります。また,キャリアアップ制度の導入に際し,1分野15時間の新たな研修については,従来の1回2時間程度の研修に加え,保育現場の実情を踏まえ,二,三日間で濃密かつ集中的に修了できるパッケージ型の研修の創設を検討するなど保育士等に受講の機会をしっかりと提供し,保育の質の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみでございます。日本共産党京都市会議員団を代表し市長に質問いたします。 安倍首相が本日開会した臨時国会の冒頭で衆議院解散しました。森友学園,加計学園などの疑惑隠しと言わざるを得ません。同時に,安倍政権の国政私物化と憲法破壊の政治への厳しい批判,東京都議選での自民党の歴史的惨敗など国民の戦いと野党の共闘による新しい政治の流れが作り出した結果にほかなりません。今回の解散,総選挙を安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスと捉え,国民が主人公となる政治の実現に向け奮闘する決意を表明し質問に入ります。 北朝鮮のミサイル発射及び核実験の問題の対応について質問します。北朝鮮の弾道ミサイルの発射や核実験の強行は,世界と地域の平和と安定にとっての重大な脅威であり,累次の国連安全保障理事会決議,6箇国協議の共同声明,日朝平壌宣言に違反する暴挙であります。今の最大の危険は,米朝両国の軍事的緊張がエスカレートする下で,当事者たちの意図にも反して偶発的な事態や誤算などによって軍事衝突が引き起こされる現実の可能性が生まれ,強まっているということです。万が一にもそうした事態が引き起こされるならば,その被害は日本にも深刻な形で及ぶことになります。おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は,絶対に回避しなければなりません。しかし,安倍首相は今月20日に国連総会の一般討論で「必要なのは対話でない。圧力だ」と述べ,対話と交渉による解決を全面否定しました。 北朝鮮の暴挙をやめさせるために国に対して,第一に,経済制裁を強めながら,外交交渉で解決を目指すこと,第二に,北朝鮮に核兵器を放棄させることを求め,日本が核兵器禁止条約に参加することが北東アジアの平和につながります。市長の認識はいかがですか。そして,国に対して働き掛けるべきです。お答えください。 次に,安倍首相が日本国憲法9条改憲表明を行ったことについて質問します。今年は戦後72年目です。私は,改めて戦死した祖父の話を母から聞きました。我が家には若くて制服を着た男性の写真がありました。それが母の父でおじいちゃんだと説明されても,子供の頃は理解できなかったことを思い出します。祖父は捕鯨船の漁師で,船ごと招集され戦地で銃弾に遭い亡くなりました。母が4歳のときでした。その後,母子家庭となり,とても苦労して育った母の話はよく聞かされました。戦争が起こると,若い遺影写真がある家を作ることになるんだと胸が締め付けられる思いになります。今,戦争体験者が少なくなる中,再び戦争への道を歩まないためにと戦争体験を聞く会や体験談をまとめ冊子を作る活動が行われています。体験談の冊子を読むと,ほとんどの手記に,戦争はあかん,平和憲法は守ろうとあります。 安倍首相による9条改憲を阻止するため,安倍9条改憲NO!全国市民アクションが結成され,3,000万人を目標にした改憲に反対する一大署名が提起されました。その発起人19人のうち,梅原猛さん,瀬戸内寂聴さん,有馬頼底さん,益川敏英さん,浜矩子さんなど京都ゆかりの方が5人おられます。こうした声に応えるべきではないでしょうか。そもそも,最も日本国憲法を遵守し政治を行わなければならない首相が2020年施行を目指すと期限を決めて改憲表明するのは大問題です。そして市長として憲法を遵守する立場に立ち,横暴な改憲の動きについて反対の意を表明すべきです。お答えください。 次に,介護保険について質問します。84歳で寝たきりとなった妻を85歳で介護度1の夫が介護する老老介護の方がおられました。訪問看護や訪問診療,介護ヘルパーなどのサービスは利用されていましたが,24時間安心できる体制とは言えない状況でした。親戚の援助もあり,みとりまでされましたが共倒れ寸前の状況でした。今の介護制度では支えきれず,家族介護に頼らざるを得ず,老老介護の大変な実態を目の当たりにしました。制度の充実こそ,今,必要です。以下,具体的にお聞きします。 まず,総合事業について質問します。今年の4月から介護認定により要支援と判定された方々へのホームヘルプとデイサービスが大幅に変更となりました。介護保険の給付枠から外され,自治体独自の仕組みや報酬額を設定することになったのです。全国で格差も生まれ,介護保険制度そのものがどんどん複雑化しています。京都市でも多くの問題が生じておりますが,今回は矛盾が広がっている訪問型サービスについて伺います。 ヘルパーさんが自宅に訪問し,掃除や買物,調理,洗濯を行う生活援助サービスの問題点は,総合事業に移行したケースから,事業所に入る報酬額が15パーセントも少ない額になったことです。同じ資格を持つヘルパーが訪問するのに報酬に格差が生じ事業所の収入が減ることから事業所登録は進まず,不足している状態です。事業所によっては人数や時間の制限をするなど要支援の方の介護プランを立てる地域包括支援センターの皆さんが事業所探しに大変苦労されています。今後,来年3月までに全ての介護認定者が認定を更新され,要支援となった全ての方が総合事業の対象となるわけですから,現状より更に生活支援型ヘルプサービスの訪問介護は不足する状況になります。この状況を踏まえれば,一刻も早く対策が必要です。 さらに,新規事業の支え合い型ヘルプサービスは無資格者の方がわずか8時間の研修を受け,家事援助の訪問介護を行うものです。守秘義務の問題や初期の認知症対応など専門知識が必要な訪問介護の事業であり,介護プランに取り入れにくく,利用が進んでいません。本来,有資格者のヘルパーが対応すべきで,支え合い型ヘルプサービスはやめるべきです。 このように混乱する総合事業について,京都市は,順調に実施できていると報告しています。順調どころか,総合事業の実態は厳しくなるばかりです。介護現場の実態をどのように認識していますか。順調という認識を改めるべきです。高い保険料を払っているのに利用が抑制されることになり,保険あって介護なし,国家的詐欺と厳しく批判されているのも当然です。国に対して,総合事業の仕組みは元の予防給付に戻すよう求めるべきです。そして京都市として,当面,家事援助中心の生活支援型ヘルプサービスは介護型ヘルプサービスと同じ報酬額に戻すべきです。お答えください。 次に,来年4月からの第7期計画の策定について質問します。まず,介護保険料についてです。現在,第1号被保険者の基準保険料は制度スタート時の2倍以上の月額6,080円となっています。年金生活者の年金は削減され,天引きが増えることは,生活費がどんどん削られていくことになり,年金生活の方々の負担感は大変重く半端ではありません。現在,審議会で議論は始まっていますが,保険料は上げない決意をすべきだと考えます。いかがですか。 次に,介護利用料についてですが,これまでから,所得により2割負担となっている方に,利用抑制が起こっていることを指摘してきました。しかし,その実態調査や検証を京都市は実施していません。この上に,3割負担の導入は更なる利用抑制となり大問題です。3割負担となる方は京都市で約1,700人と試算をされていますが,実際,対象となる方の利用料を計算し,介護サービスの利用を手控えることが起こらないか検証すべきです。仮に導入すれば,前年度所得によって,保険料と利用料は決められますので,前年まで働いて所得を得ていた人が,要介護状態になって所得が激減しているのに3割負担を強いられ,減免も受けられないことが明らかになっています。3割負担の導入はやめるよう国に求めるべきです。また,市独自の軽減策を作るべきです。いかがですか。 次に,新たな給付抑制としての問題です。政府は財政的インセンティブの導入で,介護保険制度の利用そのものを卒業させようとしています。確かに介護状況を改善することは大切です。住宅環境のバリアフリー化などで,暮らしやすくすることやリハビリが必要です。しかし,高齢者の場合,加齢化もあるわけですから,リハビリを続けることが重要なのです。無理やり介護保険を卒業させるために点検会議のようなものを設置するのではなく,一人一人の状況に合わせたケアが適切に行われているかを専門職が知恵を出し合い,話合いをすることこそが重要ではないでしょうか。いかがですか。 次に,国民健康保険について質問します。2018年4月から開始予定の国保の都道府県化は,開始を目前にし,混迷を極めています。それは,都道府県化によって自治体の努力を採点し,給付抑制や徴収強化を進める保険者努力支援制度の導入や給付に見合った保険料への誘導による保険料の値上げが進められようとしているからです。さらに,都道府県が司令塔となり,医療費適正化計画を推し進め給付費抑制を行うなど,市民にとっても,これまで保険者として取り組んできた自治体にとっても,不安だらけの制度と言えます。そもそも国保料の算定方法は,加入者が支払えるかどうかという観点から設定されていないことに根本的な問題があります。必要な医療費を加入者で割り振る仕組みとなっており,加入者の負担能力や生活実態を把握し,負担できる保険料が課せられる仕組みになっていないのが問題です。この改善こそが求められています。 加入者の現状は,京都市の場合,無職,年金者が54.8パーセント,非正規雇用などが含まれる被用者は33.8パーセントという特徴があり,負担能力は高くないのに国保料が高く,滞納せざるを得ない構造になってしまうのです。 そこで,国と自治体が繰入れを行い,市民の負担を軽くする必要があります。1984年に国保の総収入に対し,50パーセントあった国庫支出金は,2016年度は約21パーセントにまで削減されました。当然そのしわ寄せが自治体と市民に回り,自治体は国保財政の運営に苦しみ,市民は高い保険料に苦しめられてきているのです。高い保険料を下げるには,国保会計の国庫負担率を上げるべきです。根本の問題を解決しなければ,国保の運営は改善されません。 国保料の負担は限界に来ていることは,これまでも周知の事実であり,市長も認めてこられました。給料収入400万円の夫と主婦,子供二人の4人家族の場合の保険料を計算しますと,東京都23区と人口100万人以上の大都市を比較すると,何と京都市の保険料が42万円となり,日本一高くなりました。市長はどのように認識されますか。単身者の場合でも,20歳代で年収180万円の方の場合国保料は14万3,100円になり,高すぎます。都道府県化で保険料が上がるということは絶対に避けなくてはなりません。各自治体に課せられる納付金がどうなるかなどの詳細が分からない中で,来年4月にスタートすることは,自治体としても市民としても不安が大きいと思います。大事なことは,国民健康保険料の値上げはせず,引下げこそ必要です。市長の認識を伺います。国に対して,国庫負担率の引上げを求めること,府に対しては補助を求め,京都市として,一般会計からの繰入れをこれまで以上に行い,保険料を上げないよう最大限の取組をすべきです。いかがですか。 ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 介護予防,日常生活支援のための総合事業についてでございます。この事業は,これまでのサービスに加えまして,新たに掃除や買物の代行などの日常生活の支援のみを行うヘルプサービスや短時間のデイサービスなど高齢者お一人お一人の状況に応じた多様なサービスを提供するものであります。あわせて,元気な高齢者の皆様に生活支援サービスの担い手として地域で生き生きと御活躍いただくことで,御自身の健康,介護予防,ひいては健康長寿のまち・京都の実現に大きく寄与するものと考えております。本市では,例えば新設した生活支援及び支え合い型ヘルプサービスにおいても,既に318の事業所に参入いただくなど総合事業への移行が順調に進んでおります。また,支え合い型ヘルプサービスにおいては,介護の担い手確保が困難になる中,本市が定めた研修を修了された方に掃除や買物代行等の専門職でなくても対応可能なサービスを担っていただいており,実際に活動されている方からは,週1回の訪問が生きがいになっている,利用者からはとても助かっているとの声をお聞きしております。なお,生活支援型ヘルプサービスの報酬単価については,要介護認定を受けた方の生活援助サービスと同じ単価にするなどサービスに見合った適切な報酬体系であることから,これを見直す考えはございません。 今後とも,支え合い型ヘルプサービスをはじめとする事業所の更なる確保に努めるとともに,国に対して,事業を円滑かつ継続的に運営していくために必要となる要望を行ってまいります。あわせて,より適切なケアマネジメントに向けた支援の充実を図り,高齢者お一人お一人の状態に応じた自立支援,介護予防に資するサービス提供が一層進むよう努めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 私からは,2点についてお答えを申し上げたいと存じます。 まず,北朝鮮によりますミサイル発射及び核実験への対応についてでございます。北朝鮮による度重なるミサイルの発射や核実験の暴挙に対しましては,本市では,平和都市宣言を行った自治体として,市長と市会議長との連名によりまして,繰り返し厳重に抗議声明を発出しているところでございます。このような国際的に平和を脅かす重大な脅威に対処するためには,国際社会の結束が何よりも重要でございまして,国連安全保障理事会で新たな制裁決議が全会一致で採択されるなど懸命の外交努力が行われているものと認識をいたしております。また,本市が加盟しております平和首長会議の国内加盟都市会議におきましては,核兵器廃絶に向け国に対し核兵器の保有国と非保有国との橋渡し役として行動を起こすよう要望しており,国においても,双方への働き掛けを行うことを通じまして,国際社会を主導していく決意が示されているところでございます。本市といたしましては,世界歴史都市会議,姉妹都市交流,パートナーシティ交流等を通じた国際交流事業や平和祈念事業などを実施することなどによりまして,引き続き,平和の重要性を国内外に強く訴えてまいります。 次に,憲法についてでございます。日本国憲法における平和の理念は,変わらざる人類普遍の理念であり,基本的人権の尊重,主権在民と共に遵守されるべき基本的な理念,原則であると認識をしております。同時に,現行憲法が制定されてから70年以上が経過しており,国内の社会情勢や日本を取り巻く国際環境が大きく変化してきた状況におきましては,こうした理念,原則を大切にしつつ,憲法について国民が関心を高め,しっかりと議論がなされることが大変意義のあることであり,憲法の在り方について国家国民の基本に関わる事項として国民全体で議論が深められるべきものと考えておるところでございます。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高城順一) 2点お答えします。 最初に,介護保険制度についてでございます。来年度から3年間の介護保険料については,介護サービスを必要とする高齢者の増加により保険給付費の増大が避けられず,上昇を見込まざるを得ない状況でございます。また,高額所得者の利用料が3割負担となることについては,高齢化の進展に伴う保険料の上昇を可能な限り抑制し,介護保険制度の持続可能性を高めるためのものと認識しております。全国一律の制度である介護保険制度においては,保険料を含めた全体の財源構成や利用者負担の割合を本市独自に変更することはできません。このため,本市としては,被保険者の負担が過重とならないよう,制度全体に対する財政的支援について,かねてから国に対し必要な要望等を行っているところであります。次に,現在国において検討されている保険者に対する財政的インセンティブについては,自立支援や重度化防止を目的とするものであります。国で実施例が示されている地域ケア会議は,議員御指摘の点検会議のようなものではなく,本来の目的は,ケアマネジメントの質を向上させることで,一人一人の高齢者の状態に応じた適切なケアを進めていくことにあると考えております。このため,本市としては,今後とも,ケアプランに対する助言や研修などを通じ自立支援や重度化防止につながるよう,ケアマネジャーへの支援の充実に鋭意取り組んでまいります。 次に,国民健康保険についてでございます。保険料については,医療費の増大に伴い,本来引き上げることが必要となりますが,平成29年度予算では,172億円もの一般会計繰入金の確保などにより,平成27年度に保険料率を引き下げて以降,3年連続で同じ保険料率を維持するなど最大限の負担軽減を図っております。これにより,被保険者一人当たりの平均保険料は,三つの政令市が10万円を超える状況の中で,本市では7万7,456円と政令市において低い方から3番目の水準となっております。特定の世帯構成や大都市のみを取り出して,日本一高いとされるのは誤った認識であります。 次に,平成30年度からの国保の都道府県単位化は,合計で3,400億円の公費の拡充が行われるなど制度の安定を図り国民皆保険制度を堅持するために実施されるものであります。都道府県単位化後の保険料については,公費拡充による収入額や医療費の動向,現在の保険料水準等を踏まえて検討し,一般会計繰入金も含めて本市の判断の下,決定してまいります。また,共同保険者となる府に対しては,円滑な移行や安定的な運営が図られるよう必要な意見を述べていくとともに,国に対しては,今後とも全ての医療保険制度との一本化と併せて国庫負担率の引上げを求めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 玉本なるみ議員。 〔玉本なるみ議員登壇〕 ◆(玉本なるみ議員) 北朝鮮や憲法改正問題など国政の重大な問題に対して,政治家としての市長の答弁がなかったのは大変残念です。市長は,基本的な理念を尊重し,改憲の動きに対して反対の意を表明すべきです。さらに,市長は,介護の総合事業は順調に進んでいるという認識を示されましたが,介護現場の実態を見ない答弁と言わざるを得ません。国保料についても,京都市の平均保険料が低く出るのは他都市との所得格差によるもので,高い保険料に市民が苦しんでいる実態を見るべきです。保険料の引下げに取り組むことを求めておきます。 次に,敬老乗車証制度について質問します。京都市は,8月15日付けの市民しんぶん(区版)に「敬老乗車証制度の現状や課題について」というチラシを挟み込んで配付しました。さらに5,000人を対象に,敬老乗車証に係る京都市の負担額をどうするのか,高齢者の負担割合をどうするべきかについてのみを聞くアンケートを実施しました。市民に聞くべきは,今の制度の存続を希望されるかどうかです。高齢化でお金が今後たくさん掛かります,市の負担がこれからも増えてもいいですかというような質問は,敬老乗車証に係る経費の削減のために市民負担の増大への了解を得ようとする誘導的なやり方です。しかも,チラシには「4年後には10億円も市の負担が増える見込み」,「敬老乗車証に使っている46億円の市負担額で保育所を整備すると2万4,000人分に相当します」,と高齢者と子育て世代の対立を招く説明を行っています。これには多くの市民から,市民を対立させるような記述は問題だと意見が寄せられています。高齢者の福祉も子供への福祉も両方大切なものであり,自治体が積極的に取り組むものです。福祉に対する市の姿勢が問われる問題です。今後,市民の中に対立を持ち込むのはやめるべきです。いかがですか。 市民から宝物として喜ばれている敬老乗車証は,高齢者の社会参加を保障し,介護予防や健康増進に役立つとして,京都市が実施してきた事業です。それを乗る度に運賃の一部を負担する方式に変えることを検討すると発表してから,市民からは,今のままの制度を守ってほしいと,これまで3万3,257筆の署名が寄せられています。この多くの市民の声に応えるべきです。そして,市民が繰り返し提案しているように,敬老乗車証の効果をもっと検証すべきです。実施した名古屋市では,社会参加の効果,健康増進の効果,経済への効果,環境負荷の低減効果などを検証し,京都市と同じ方式の現行制度を継続されています。京都市においても,同じことが言えると考えます。市民が求めているように,敬老乗車証の効果を検証し現行制度を継続させるべきです。いかがですか。 次に,LGBT等への京都市の対応について質問します。LGBTとは,Lはレズビアン,Gはゲイ,Bは両性愛者のバイセクシャルで,Tはトランスジェンダーで,性同一性障害など自分の性に違和感のある方などのことの略称です。この間,日本共産党京都市会議員団は,ゲイの方や性同一性障害の方など当事者の方と懇談し,積極的に取組を始めている自治体に調査を行ってきました。LGBT等の方々は,13人に一人の確率でおられるということが研究者などの調査研究で明らかになっており,カミングアウトされていないだけで,身の周りに必ずおられるということなんです。そして,性的少数者についてに悩み,自殺を考えたり,自ら命を絶ってしまった方もあるということに心が痛みます。しかし,京都市の自殺対策計画には,LGBT等や性的少数者の対策の記載はありません。ありのままの自分で生きられる社会を作ることが必要だということです。つまり,カミングアウトできる社会,しなくても生きやすい社会を作ること,多様な生き方を認め合う社会を作ることが求められています。 渋谷区では男女平等条例第4条に性的少数者の人権の尊重を盛り込み,性的少数者に対して理解を深め,当事者に対する具体的な対応を行うなどの取組がされることと明記されています。さらに,パートナーシップ条例を制定し,同性婚の証明書を発行し,公営住宅の入居を認めるなども進めています。 (パネルを示す)性同一性障害の方などトランスジェンダーの方にお話をお聞きすると,日常困られるのが,トイレの使用だということです。このパネルの写真は東京都渋谷区の公衆トイレの表示です。多目的トイレに男女両方のマークを入れたり,「どなたでも使用できます」という表示があると使用しやすいということです。 京都市として,京都市男女共同参画推進プランや人権文化推進計画にはLGBT等の課題があることや啓発,環境整備の必要性は記載されています。しかし,人権啓発イベントや講座の開催などの啓発活動の取組が中心となっているのが現状です。教育委員会においては,教職員への研修会の実施や教育としての取組は始まったところという状況です。 8月31日付けには厚生労働省保険局保険課などが,性同一性障害と診断された方の被保険者証の氏名表記に通称名の記載を可能にする旨の通知を出しました。京都市としても国民健康保険証などにおいて早急な対応が求められます。検討状況をお示しください。 先進自治体が進める多目的トイレにおける「どなたでも使用できます」という表示や男女共用トイレの整備,市営住宅において同性婚の方もパートナーとして認めることなど,すぐにでも取り組めることは実施すべきです。自殺対策にもLGBT等の対応策を盛り込むべきです。教育委員会では全教職員への研修の実施や児童生徒に対する教育プログラムも早急に検討し実践すべきです。以上,具体的提案について答弁を求めます。そして,これらの施策を具体的,総合的に実施するために,当事者や支援団体の意見を聴き,京都市としてプロジェクトチームを作り窓口を明らかにすること,自治体としてできることを積極的に計画し実行に移す体制を作るべきです。いかがですか。 次に,大宮交通公園再整備と北消防署移転について質問します。市長が京都市都市緑化審議会に諮問された大宮交通公園の在り方について,8月25日に審議会から答申がありました。私は,審議会での議論を傍聴しましたが,元々緑化を推進する立場の会議であるにもかかわらず,公園内に北消防署が設置され,公園面積を3,000平米も削減することを前提とした交通公園の在り方を検討することになっていました。当然,審議では,削減される公園の緑地の確保をどうするのかということが議論になり,また,委員から,「消防署移転を反対している住民の方々の主な反対理由は何ですか」と尋ねられ,「公園面積が減ることです」という説明を建設局がしなくてはならない場面もありました。大宮交通公園がある京都市北区は,公園面積は市内でワースト2でもあります。そもそも,都市公園法において,公園内に消防署は建設できません。本来は,大切な公園の7分の1に当たる3,000平米を北消防署の移転地として提供すること自体の是非を含めて審議すべきものです。 そして,その在り方もパブリックコメントで市民の意見を聴かれ,北消防署移転を伴う交通公園整備について賛成が多いと説明されました。しかし,地域住民の皆さんが独自に実施された公園利用者や地域住民へのアンケートでは,700人を超える声が寄せられ,消防署移転に反対が74パーセント,別の最適地を探すべきが72パーセントとなっていました。より周辺地域や,何よりも交通公園を利用し,ゴーカートを利用している子供や保護者の声を大事にすべきではないでしょうか。私も実際,利用者の声をお聴きしましたが,「市内には子供を連れて遊べる施設が少ない。ここは安くてゴーカートに乗れて,子供もとても喜んでいる。公園の敷地が狭くなり,ゴーカートのコースが短くなったり,なくなるとおもしろくなくなる」とのことでした。ゴーカート等の乗り物に乗り,遊びの感覚を取り入れた学びができるところに,大宮交通公園の魅力があると断言できます。審議会やまちづくり委員会では,「ゴーカートをやめると決まったわけではない」と答弁されています。そして,交通ルールに触れ,楽しい交通公園というコンセプトを継続させるためにも,子供の意見を直接聴く取組も必要ではないでしょうか。公園面積を削減する消防署の移転は中止し,ほかの土地を今からでも探すべきです。そのうえで公園の在り方は再検討すべきです。お答えください。 次に,市バス特37号の延長と便数増大について質問します。今年4月から,本格運行となった市バス特37号は,目標としていた1日乗車数が110人を超えました。3月18日からの上賀茂・西賀茂地域のバス運行の均一区間化による市バス乗車の利便性の向上なども乗車数の増加につながっていると思います。何よりも地域住民にとって必要とされていた市バスの運行であり,モビリティ・マネジメントの取組も評価できます。柊野自治連合会の夏祭りでの特37号系統の利用促進のキャンペーンとして,市バスの職員さんによるゲームなどの取組や,柊野地域・市バス特37号系統沿線だよりの発行などの取組が行われてきました。そして7年前からバスを走らせる取組を粘り強く行ってこられた住みよいまちづくりを考える会の皆さんによるアンケート活動や署名活動で住民の要望を聴き,交通局への要望活動の取組などにより住民の意識が高まってきていると考えます。7月5日に開催された利用促進会議においても,増便とルート拡充の要望が多いことが議論されています。地域住民に喜ばれ,愛される市バス路線とするためには,通勤通学に利用しやすい朝や夜の時間帯の増便と西賀茂北部へのバスルートの拡充が必要です。西賀茂北部への延伸は困難としていた高橋西詰付近の段差については,建設局北部土木事務所が1年前に現地調査を行い,舗装のかさ上げなどでバス走行を可能にする改良はできると判断されています。延伸のための改修は交通局の決断次第です。 2010年7月に住みよいまちづくりを考える会の皆さんが実施された西賀茂北部の地域アンケートでは,バスが走れば利用すると回答した方が1日当たり約280人ありました。本数が増えバスルートが延伸されれば,必ず利用者数は更に伸びることになります。市バス特37号の増便と延伸の決断のときではないでしょうか。お答えください。 以上で第一質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 敬老乗車証制度についてでございます。敬老乗車証制度は,効果を客観的に検証することはなかなか困難でありますが,高齢者の社会参加の促進,健康長寿のまちづくりを進める上で極めて重要な施策であることから,廃止する考えは一切ございません。一方,本市は,一般財源収入が平成12年度のピーク時の4,205億円から約400億円もの大幅な減少となる中,社会福祉関連経費は当時の約2倍に増加しており,本市職員の大幅な人件費の縮減など徹底した行財政改革を断行してもなお極めて厳しい財政状況にございます。また,敬老乗車証制度の維持に必要な市税の額につきましては,制度発足当初は3億円であったものが現在では46億円,団塊の世代が70歳以上になられる4年後には10億円以上増加し58億円にまで増加すると見込まれ,本市の厳しい財政状況の中で,現行制度のままで継続すれば制度自体が破綻しかねません。 少子高齢化が進み,現役世代が大きく減少する一方,交付対象者の高齢者は増加していく中で,世代間の負担のバランスを考慮した制度にしていく必要があると考えております。加えまして,現在の交付率がおよそ5割にとどまっていることから,高齢者の皆様に広く御利用いただける制度への見直しが必要と考えております。このため,本市では,本制度を取り巻く現状や課題について,制度を利用される高齢者の皆様はもとより,幅広い世代の市民の皆様に知っていただき,御意見をお寄せいただくため,市民しんぶんへの掲載やアンケート等を実施したところでございます。今後,市民アンケートの結果や市会での議論等を通じまして市民の皆様の御理解が得られるよう,また,持続可能でかつより多くの高齢者の皆様が御利用いただけるものとなるよう検討を深めてまいります。 なお,市民しんぶん等の記事につきましては,制度を取り巻く財政面での課題等につきまして,具体的な数値を用いて,どなたにも分かりやすくお伝えする趣旨であることを御理解いただきたいと存じます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) いわゆるLGBT等の性的少数者に対する取組についてでございます。本市では,これまでから京都市人権文化推進計画に基づき,一人一人がお互いを認め合い,人権を尊重し合う習慣が根付いた,人権文化の息づくまちづくりに取り組んでおり,LGBT等の性的少数者につきましても,教育,啓発等により社会全体の理解を深めていくことが,まず重要と考えております。この度,国から通知のありました国民健康保険被保険者証等への通称名の表記につきましては,本市においても,関係機関との調整が整えば対応をする予定としております。また,自殺対応に係る相談窓口においては,性的少数者の方々も含めた相談対応を行うとともに,教育委員会においても,性的少数者の当事者である子供たちが教職員の正しい理解の下,ありのままの自分自身でいられるよう,教職員を対象とした研修の実施に取り組んでまいりました。性的少数者の方々が気兼ねなくお使いいただけるトイレの在り方についても,事例を調査し,多目的トイレの案内表記等について研究してまいります。なお,市営住宅の入居につきましては,限られた戸数に多くの応募がある実態を踏まえ,まずは,高齢者や子育て世帯など,低所得で住宅困窮度の高い世帯を優先して住宅を供給してまいります。今後これまでから実施している人権教育啓発の取組を一層充実させていくとともに,国の動向や他都市における取組状況,支援団体の意見等も踏まえたうえで,局区長で構成する庁内組織,人権文化推進会議等により関係部局間の連携を図り,さらに必要な施策の検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 大宮交通公園再整備と北消防署移転についてでございます。北消防署でございますが,施設の老朽化が著しく,現在地での建替えも困難でございますので,宅地化が進み,世帯及び人口数が増加しております北区の北部地域の消防力向上のために,大宮交通公園の敷地の一部へ移転することといたしました。広域避難場所に指定されておりますこの大宮交通公園は,消防署との一体化を契機に,大規模災害時における避難者への応急救護,災害情報の提供など防災機能の強化を図ることとしております。一方,昭和44年に開園いたしました大宮交通公園については,施設の老朽化,交通学習施設の利用者の低迷などの課題を抱える中,北消防署の移転をきっかけとして再整備に取り組むこととし,京都市都市緑化審議会の専門組織である大宮交通公園のあり方検討部会において,再整備のコンセプト,方向性についてしっかりと御議論いただき,去る8月25日,市長へ答申をいただきました。また,これに併せまして市民意見の募集を行い,とりわけ子育て世代である40歳代以下の方からも多くの御意見を頂戴し,約8割の方から再整備の方向性に御賛同をいただいております。今後は,本市唯一の交通公園として,楽しみながら交通に関する知識や正しい交通ルールを学べるとのコンセプトを維持しつつ,自転車の安全教育を中心とした交通学習ゾーン,緑豊かなオープンスペースに包まれたすこやかゾーン,地域の歴史,文化を継承する御土居ゾーン,高い防災機能を有する防災機能強化ゾーンを効果的につなぎ,地域に開かれた安心安全のモデルとなる公園として整備に取り組んでまいりたいと思っております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス特37号系統についてでございます。西賀茂北部地域では,柊野自治連合会をはじめとする地元関係者,京都産業大学,北区役所で構成する柊野地域における公共交通利用促進会議を中心に,平成25年度から,自家用車から公共交通への利用転換を促すモビリティ・マネジメントの活動が開始され,地域における機運の高まりを受け,交通局では,平成26年3月に市バス特37号系統の試行運行を開始いたしました。その後もワークショップの開催やニュースレターの全戸配布など,地域の皆様の熱心な取組によりお客様数が順調に増加していることを踏まえ,本年3月のダイヤ改正で本格運行に移行したところでございます。西賀茂北部地域へのバスルートの延伸につきましては,高橋周辺の段差の解消だけでなく,当該地域内の道路がバスの走行に耐えられる舗装であるか,また,安全にバスをお待ちいただける停留所が設置できるかなどバスの安全運行についてしっかりとした検証が必要であり,現時点では困難であると考えております。また,増便につきましては,本格運行後の御利用状況を注視する必要があると考えており,引き続き促進会議と連携し,更なる増客の取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 敬老乗車証の現行制度の継続や大宮交通公園の再整備の在り方,また,市バス特37号の増便と延伸は市民の切実な要望であり,京都市に届けてこられているその声にしっかり耳を傾け,応えるべきです。 また,LGBT等の対策については,早速,当事者や支援団体の皆さんの要望をしっかり聴いて,京都市としてできることを早急に進めていくことを強く要望し,私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後2時50分休憩〕 〔午後3時9分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,赤阪仁議員に発言を許します。赤阪議員。 〔赤阪仁議員登壇(拍手)〕 ◆(赤阪仁議員) 伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党京都市会議員団を代表して,門川市長及び関係理事者に質問いたします。 京都市は,2015年秋,国の地方創生総合戦略の京都版としてまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略を策定し,東京一極集中の是正,人口減少対策を口実に稼ぐ力を持った京都市を目指し,新たな規制緩和と再開発,公共施設の集約化と売却活用,行政サービスの削減などを打ち出しました。さらに,2015年策定の「京プラン」後期実施計画では,より踏み込んで民間活力を徹底的にいかすための環境整備として多様な民間投資を促進するための柔軟な都市計画手法の活用を明記。大企業が自由に活躍できるよう京都市が全面協力する方向が打ち出され,市民の財産である公共施設についても経営資源と位置付け,施設の統廃合などに伴い,役割を終えた土地などの貸付や売却を進めるとして学校跡地や市営住宅跡地を企業の利益のために差し出す計画が進められています。 最初に,自治体業務の民営化について質問します。第一は,市長は,民営化した方が効率的で良いと述べられていますが,そもそも自治体の業務は市民の命と暮らしを守るという自治体の本旨に沿って公益性が重視される公務です。営利を目的としている民間業者に委ねて効率化や人員削減,非正規化を図ることはふさわしくない業務が多数であります。自治体業務の民間委託化の問題点は幾つかの事例でも明らかです。 まず,市立病院,青いとり保育園の問題です。京都市は,京都市立病院内保育所の青いとり保育園の運営コストを下げるために,民間企業による委託契約に切り替えました。この間,大阪に本社を置く全国ネットの企業が安価で運営することとなりましたが,コスト削減で長年保育園を支えてきた保育士が全員総入替えさせられました。保育園で子供が安心して育つには,子供と保護者,保育士の3者の信頼関係があることが重要です。保育士全員総入替えなど在り得ません。しかし,青いとり保育園では,利益を追求する民間企業への委託によって普通では在り得ないことが引き起こされたもので,一番の被害者は子供です。しかも4年の委託契約なので,保育士の雇用の継続も保障されず,また同じことが起きる可能性があります。現在,解雇された保育士の皆さんは京都市を相手取り裁判中です。 また,京都市では,2013年の台風18号によって,民間委託していた伏見区の小栗栖排水機場が一時停止し,大規模な浸水被害が発生してしまいました。検証委員会は,原因は,排水機場の委託業者職員の人為的ミスによるもの,管理者として京都市の責任を明確にと検証結果を示しました。防災対策という公務の仕事を業者任せにせず,京都市が責任を持って管理することが必要というのが教訓ではなかったでしょうか。例に挙げた事態からも,公務の民営化により住民サービスの後退を招く結果となったという認識はありますか。 第二に,京都市は,区役所の窓口業務を民間会社へ外部委託するために,区役所の業務実態調査や基本計画案の作成を予算化しました。その内容は,各区役所が行っている市民データ入力や市民税や国保料,介護保険料の納付書などの郵便による請求処理事務などを集約する事務センター(仮称)の創設の調査,検討を富士通総研(本社・東京都)に委託,あわせて,現行の区役所の窓口での手続に掛かる時間の調査をパソナ(本社・東京都)に業務委託し,作業をスタートさせました。党議員団は,先行実施している自治体を調査しましたが,窓口業務の外部委託によって自治体の機能と役割の後退につながる事態が起きています。公共サービスは,他のサービス業の例に漏れず,コストに占める人件費の割合が高いのは当然です。民間会社が,少ない委託費の中で利益追求に走れば,人件費を切り詰めざるを得ませんし,京都市が目指す正規雇用の拡大とは裏腹に,官製ワーキングプアと呼ばれる非正規労働者を増やす逆の結果になるのは火を見るよりも明らかです。 民間委託が検討されている区役所の窓口業務は,市民と行政を結ぶ最前線であり,公的責任が強く求められる部署です。市民窓口で扱う仕事は市民の個人情報そのものであり,その取扱いには高い専門性と人権意識が必要とされます。また,市民窓口の職員には,寄せられた相談内容に含まれる困難な問題を専門性をいかしてキャッチし,市民に寄り添い生活と権利を保障する施策につなげて改善するという重要な役割があります。市長,窓口業務の民間委託によって,自治体の大事な役割が損なわれると考えないのでしょうか。 国は,骨太方針2015で窓口業務など大胆に適正な外部委託を拡大するとして20の窓口業務の外部委託を可能とし,公的責任の更なる後退が危惧されます。京都市は,国の方向に歩調を合わせず,主体性を発揮し,問題点山積みの窓口業務の民間委託は見直し,市職員による窓口の直営でこそ,市民サービスの向上,住民福祉向上の役割を果たすことができると考えますがいかがですか。 次に,市民の共有財産である公有地,学校跡地の活用の在り方について質問します。京都市は,国の方針に従って自治体の収益を上げる目的で,学校跡地の公有地を民間企業に差し出すことを進めています。元清水小学校をNTT都市開発株式会社に,また元貞教小学校跡地については学校法人への長期貸付が行われました。元立誠小学校についてもホテル建設を前提に計画の具体化が図られようとしていますが,現在これらの跡地活用と該当地域の地域活動を巡る様々な問題が顕在化しています。 議員団として,学校統廃合された地域の皆さんの声をお聴きしました。学校法人が跡地活用する東山区の元貞教小学校では,地元の皆さんがこれまで行ってきた自治会活動をそのまま続けられるようにしてほしい,グラウンドの80メートルトラックは残す,体育館も自由に使っていいと約束されていたのに,4月に大学が開校したら,約束は守られなかったと訴えられています。他の地域でも,夏祭りや運動会ができなくなった,要望事項がどういかされているかの情報はなかった等々,小学校の持つ地域の自治活動拠点機能が大きく後退している実態と不安と疑問の声が次々と出されました。こうした地元住民の不安の声について市長はどのように認識されていますか。お答えください。 京都市は,平成23年11月に学校跡地活用の今後の進め方方針を発表し,民間企業への小学校跡地開発の提供が行われるようにしたことに続いて,平成27年6月に事業者登録制度を導入しました。今後小学校跡地活用が検討されている対象校が市内中心部に15校ありますが,事業者登録制度は,学校跡地に登録している事業者の提案内容はもとより,登録事業者の数さえも市民に知らせず,非公開で事業者選定を行っています。民間企業の提案,企画を優先させているではありませんか。だからこそ先ほど述べたような不安の声が上がっているのではありませんか。住民より事業者の利益を優先する事業者登録制度は撤廃することを求めますがいかがですか。 次に,京都市美術館の建替え問題について質問します。京都市は,8月8日,京都市美術館再整備工事に伴い,移設を計画していた屋外彫刻モニュメントについて地上部分を分断する工事を強行しました。作家と関係者は,作家の了承もなく作品を切り倒す工事は,作品破壊の何物でもないと抗議の声を上げています。作家側と交わした7月21日の,可能な限り現状を維持する,撤去後に現在地で再展示するとの確認書の合意も守られていません。党議員団は,論戦を通じて,1,モニュメントの持つ価値,美術館収蔵品に対する認識が欠如していること,2,移転切断方針の理由とされてきた安全対策,汚染土壌の除去,震度6の地震で倒壊のおそれ論は根拠がないこと,3,富樫氏の意思を尊重する行政姿勢が欠如していること等を指摘してきました。作品の切断は美術館の歴史の中で前代未聞であります。 富樫氏は市長に対して,「作品の切断に同意しません。耐震対策をして保存してほしい」との文書を提出されています。作品には著作者人格権があり,本人の同意していない切断をすべきではないことはもちろん,制作者の意思を尊重すべきであり,副館長も,それが出発点であると述べていました。それをほごにしたことは断じて許されるものではありません。京都市長は,今回のモニュメントの切断については,作品の破壊であるという認識はありますか。また,富樫氏と市民に謝罪することを強く求めます。今後,作者の思いを丁寧に聴き,実行することを求めておきます。 そもそも京都市美術館は,80年前,篤志家と市民の手によって造られた美術館として,世界でも屈指の若手画家の登竜門として,その公募型美術館として名を馳せています。今回の京都市美術館の再整備に伴う当初予算が100億円,そのうちの50億円はネーミングライツ,命名権を京セラに売却し,50年間その通称名は,京都市京セラ美術館となりました。そのうえ,美術館運営についても,施設利用についても,京セラグループ会社の優先使用が認められるものとなっており,宴会場等に利用されるなど美術館本来の使用目的から外れていても許されるものとなっています。ネーミングライツを売り,市民の財産である公共施設の優先的利用を認めるような不公平,不公正な特別扱いはやめるべきです。京都市においては,市民の信頼を回復し,市民に開かれた美術館再整備を進めることを求めますがいかがですか。 次に,京都市美術館には美術,文化の市民愛好家を育てる市民アトリエがあり,長くその歴史を積み重ねてこられました。京都市は,美術館再整備工事に伴い,市民アトリエを敷地内から追い出して,一昨年から元白川小学校に移転させました。文化市民局は,美術館には戻さない,平成31年の元白川小学校跡地利用者が決まるまでに,次の移転先を考えておくようにと指導しています。これは,市民アトリエのあった所を多目的スペースとして再建し,レストランなどの付帯設備を優先し,市民アトリエの存在を消滅させようとしているとしか思えません。 また,そもそも美術館で展覧会を開催してきた美術家団体に対して,再整備による休館中の展示場の代替え施設を責任を持って提案,保障もできていません。今年になって京都市は,元崇仁小学校の4教室の転用,京都市男女共同参画センターにギャラリースペース,約240平米の設置,国立京都国際会館,1日当たり35万円という提案をされましたが,美術家団体からは,設備,展示スペース,料金のいずれも,私どもの要望をかなえるにはほど遠い内容と批判されています。市長,文化首都を言うなら,市民の自主的な文化活動である市民アトリエの活動を保障すべきです。また昨年度,全会一致で議会請願が採択されたように,美術館建替え休館中の3年間の展示場所の代わりを京都市が責任を持って保障すべきではありませんか。 ここで一旦,答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 赤阪仁議員の御質問にお答えいたします。 学校跡地の活用についてでございます。学校跡地は,本市が都心部等に所有する貴重な財産であり,また,その多くは地域の皆様の熱い思いの下に創設された番組小学校の歴史があるとともに,長年にわたり地域活動の拠点として使われてきたものでございます。こうしたことをしっかりと踏まえ,学校跡地につきましては,本市全体のまちづくりや地域の活性化に寄与するよう各地域の自治会等の議論を踏まえ活用を進めており,民間等事業者による活用を行う場合でも,自治活動の拠点としての機能に最大限配慮するよう求めております。 大阪市や東京都をはじめ他都市では,財源確保のために学校跡地を売却する例も多い中,本市では,これまでも地域の皆様の御要望に十分耳を傾け,酌み取りながら進めており,平成27年6月に導入した事業者登録制度も,早い段階から事業者の提案概要をお知らせし,地域の意向をお聴きし,事業者にそれを周知することで跡地活用の計画に,地域の皆様の御意向を更に的確に反映できる制度となっております。また,活用事業者の選定後も,地域の皆様,事業者,京都市の3者で協議し,情報を共有し,課題解決を図っていく仕組みといたしております。住民よりも事業者の利益を優先するとの議員の御指摘は,制度の趣旨を全く御理解いただけていないものと言わざるを得ません。 今後とも,地域の皆様の熱い思いを大切にし,地域コミュニティの活性化やにぎわいの創出,交流人口の増加にもつなげ魅力ある地域づくり,まちづくりに貢献できるよう,学校跡地の活用についてしっかりと取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 区役所窓口業務の外部委託化についてでございます。マイナンバー制度の導入,戸籍のコンピューター化の完了など区役所の窓口業務に係る環境の変化に伴い,今年度から,ICTを活用し,引越し,婚姻,出生などに伴う様々な届出を,できるだけ一つの窓口で対応する,総合受付窓口の創設による窓口サービスの向上や業務の効率化に向けた検討を本格的にスタートさせております。市民の皆様からは,多くの手続を一つの窓口で済ませることを求める声が多くある一方で,個人情報の取扱いを懸念する声も聞いております。個人情報につきましては,あらゆる行政運営において,直営であるか民間委託であるかにかかわらず,適切な取扱いが前提でございます。本市の取組では,多くの個人情報を取り扱う窓口業務の特性や市民の皆様の声を踏まえ,他都市の事例なども参考としつつ,市民サービスの向上を図り持続可能な行財政を確立するため,あらゆる可能性を排除せず効率的な執行体制を構築してまいります。平成28年度に実施いたしました窓口サービス評価・実践制度におきまして,接客態度や説明の仕方など,全ての項目において80パーセントを超える市民の皆様から満足という評価を受けている市民応対を,これまで以上に向上させるとともに,来庁される全ての市民が漏れなくスムーズに手続が進められるよう,引き続き窓口業務の見直しを図ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 民間活力の活用についてでございます。本市をはじめといたしまして全国の自治体においては,少子高齢化など社会情勢の変化,あるいは住民の皆様の生活様式や価値観の多様化に伴いまして,行政サービスへのニーズが質的,量的に拡大する中,限られた財源,人的資源を効率的かつ効果的に活用していくという観点から,委託化など民間活力の積極的な活用に取り組んでおるところでございます。この委託化などの実施につきましては,既に民間にそのノウハウがあるかどうか,経済性,効率性,住民サービスの確保,行政責任の確保など様々な観点から十分に検証したうえで行っております。住民サービスの後退を招いているという認識はございません。今後とも,民間事業者の執行能力をしっかりと検証したうえで,民間にできることは民間にを基本に,積極的に民間活力を活用することにより,効率的かつ効果的な住民サービスの提供に努め,市民の皆様の安心安全な生活をしっかりと支えてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 平竹文化芸術政策監。 〔平竹文化芸術政策監登壇〕 ◎文化芸術政策監(平竹耕三) 京都市美術館再整備についてでございます。昭和8年に開館した京都市美術館は,以降80年余りが経過し,多くの市民の皆様や美術関係者から再整備を求める声を頂き,現在,平成31年度中の再オープンに向けて実施設計を進めております。御指摘の屋外彫刻作品につきましては,貴重な収蔵作品ですが,再整備を進める中で耐震性に課題があることが判明したため,安全性の確保と作品の保全の観点から,一旦取り外したものでございます。今後,再展示に向けて,作家と協議してまいります。 また,ネーミングライツ契約につきましては,市民の皆様の税金による御負担をできるだけ軽減しつつ,再整備に必要な財源を確保するため,京都市ネーミングライツ実施要綱に基づく公正な手続を経て,他施設での事例も参考にしながら締結したものです。なお,本契約には,優先的利用に関する条項はございません。 次に,市民美術アトリエについてでございます。市民の文化芸術活動につきましては,それぞれの自主努力の中で活動いただくことを基本としていますが,これまでの経過並びに代替施設の確保についての御要望を踏まえ,検討を行っているところです。 最後に,美術館休館中の代替の展示施設につきましては,この9月に開設したウィングス京都のギャラリースペースをはじめ,市内はもとより近隣府県の施設について広く情報提供を行うとともに,元崇仁小学校に暫定的な展示スペースを確保したほか,国立京都国際会館を使用する場合に使用料を減額いただくなど,少しでも多くの団体のニーズに応えられるよう取組を進めております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 赤阪議員。 〔赤阪仁議員登壇〕 ◆(赤阪仁議員) 先ほど市長からの答弁がありましたが,元々京町衆が作った番組小学校の跡地ですから,地域住民が納得して使えるようにお返しするのが筋で,事業者登録制度は重ねて廃止を強く求めるものです。 次に,マンモス校の解消と通学費の保護者負担について質問します。伏見区の神川中学校は,人口1万4,000人の校区で,今年も32クラス1,118名の生徒が学ぶ,全国屈指,京都市で一番の超マンモス校です。私は,代表質問のときに繰り返し神川中学校の分校建設を要望してきました。しかし,京都市教育委員会は,そのうちに生徒数が減るから分校建設はもったいないとの対応に終始してきました。企業誘致の土地があるのに,なぜ分校建設ができないのでしょうか。文部科学省は31学級以上は,過大規模学級と呼んで,学校を分割するなどの適正化を促していますが,神川中学校は8年前から過大規模のまま放置されています。 昨年6月に住民アンケートを取りましたが,マンモス校で,不安に感じている子供と保護者の姿が見えます。アンケートの結果は,もう一つの学校の建設を,の要望が77パーセント,残りは,学校建設以外に校舎の増設,施設改善,教職員増など,子供の教育環境整備とマンモス校の解消を求める声は切実です。声を紹介します。「1,000人以上の生徒に配る印刷物も印刷に1時間も掛かる。一斉下校のときに1,200人もいるので交通安全対策が大変。学年の音楽発表会も課題曲1曲だけで自由曲の発表時間がない」,「サッカー部は100人ぐらいで遠征にバスチャーターが必要である」,「1クラスにすし詰めのように生徒がいるので大変。運動会や学校行事を見に行っても,どこに子供がいるか探すのに一苦労です」,「特別教室は他の学校と比べても一人一人が使えない状況です。また,クラブ活動についても卓球部やバドミントン部等は利用場所がないため活動日が限られています」。こういう風に言っておられます。 京都市教育委員会としては,一日一日が成長につながる子供たちの大切な時期をこのまま放置していていいのでしょうか。門川市長はこの神川中学校の実態をどのように認識されておられるのでしょうか。神川中学校の超マンモス校を解消する分校建設を一刻も早く実現させ,子供たちの学習権と豊かな成長,発達を保障すべきではありませんか。 神川中学校は,伏見区桂川以西の南北に長く広い学区です。今は市バスによる通学は行われていませんが,通学距離が遠いところで30分も掛けて危険な通学路を利用する生徒もいます。田んぼ道を下校中の生徒が,不審者による被害に遭う事件も発生しています。生徒の安全を守るためには,以前のように市バスによる通学が必要です。また,神川小学校の低学年の子供たちは,保護者の責任で安全のため下校時に市バスを利用しています。全市でも子供の通学の安全のため,小学校8校,中学校8校では,京都市バス,電車等の公共交通機関を利用しており保護者負担は大変です。教育委員会の調査でも小学生の保護者負担は年平均2万3,532円,中学生で年平均3万7,643円もの運賃負担をしていますが,全市で総額2,250万円あれば解決できるんです。 憲法26条には,義務教育はこれを無償とするとあります。京都市は,学校統廃合で学区を広域化した東山開睛館の小中学生のために,神宮道から五条坂までの通学用の市バスの新たな路線の設置と専用バス停の新設,市バス定期券は無償で交付しました。当然の措置です。子供の通学の安全のため京都市内の公共交通機関を利用して,公立小中学校に通う児童生徒の交通費は全額京都市の公費負担とすべきと考えますがいかがですか。 京都市は,小学校1,2年の35人学級編成,中学校3年生の30人学級の実施を文科省の法制化以前に実現し,国からの財政措置がないまま京都市独自予算で整備し,地域の父母,教職員らの絶大な評価を得ているものです。しかし,文科省は,国より先行して実施したことを理由に京都市に必要な経費を交付しないという財政ペナルティを課しています。国の実施に従うところに予算を配分,市民の願いに応える自治体独自の努力を敵視することは,直接住民に責任を負う自治体の役割を否定するものです。現に学級編制の改善の先行実施は全国でも拡大され,高く評価されています。過去,地方自治体に遅れて全国実施した老人医療,子供の医療費の無料化など多数あります。平成29年5月,京都市会は,全会一致の国への意見書,教員の働き方改革を求める意見書を提出し,その中でも,少人数学級推進などの計画的な教員定数の改善を求めています。門川市政になって10年たちますが,京都市独自の少人数学級の改善は一つもされていません。国,文科省に対して,早期に国の責任において,小学校,中学校の30人以下学級の実現を目指す教職員定数改善計画を実現するよう求めること。また今年から,教職員の給与費が府から京都市に変更になり,京都市の独自努力で,小中学校の定数改善を実施できる条件も生まれており,京都市独自でも35人学級の拡大を求めますがいかがですか。 次に,住民の命と暮らし,安全を守る防災問題について質問します。2012年南部水害,2013年18号台風,2015年関東,東北豪雨による被害は,多くの防災上の教訓を残しました。2013年の18号台風のときに,琵琶湖疏水が走る伏見区周辺地域では,伏見制水門は開いたままで,宇治川からの逆流現象による増水で疏水の水量が上がり周辺にあふれ返ったのです。(パネルを示す)現在,越前橋のいっ水対策を既に京都市は完了されましたが,国交省の関係者から指摘されたのが,洪水対策の河川管理が京都市独自にできていなかったのではないかということです。疏水事務所は,国交省からの制水門閉鎖の指示が遅れたために,伏見制水門の完全閉鎖を行わなかった。そのために,宇治川から新高瀬川,伏見放水路,こういう風に水の逆流,伏見放水路,疏水豪川への水の逆流により南浜地域の床上浸水を大きく招いた。こういうことで,府立伏見港公園一体の大規模水害を招きました。 地域集中の豪雨による内水型氾濫が頻繁に起きる伏見区には,国,府以外,京都市も独自の雨量計の設置拡大,京都市管理河川,農業用水路などにも水位計を設置するなど,洪水氾濫危険予測を速やかにし,避難勧告を住民に適切に出せるようにすべきです。また,宇治川,桂川の疏水周辺への逆流をいち早く察知できるように京都市も独自対策が必要で,特に宇治川から新高瀬川,新高瀬川から疏水放水路への逆流を制止する施設も必要です。国交省,京都府,京都市建設局,上,下水道局,疏水事務所の連携を強めて二度と同じような事態を招かないように予防対策が必要です。いかがですか。 久我橋の桂川,下鳥羽の鴨川の越水対策,宇治川の漏水対策の教訓からも,水防団員の拡大と消防団の災害活動との連携を強化する防災対策が大切です。京都市の伏見区には,京都市の責任において組織化された九つの水防団組織があり,国と府の管轄の河川を含めて水防対策を実施しています。宇治川,木津川の水防団は,宇治市が統括責任者であり,淀,向島水防団がその管轄下に組織される広域連携として実施されています。しかし,近年の水防活動において,この水防団員の高齢化と,必要としている地域が広域であり,見合う団員は定足数にも達していません。淀川三川合流地域の大雨洪水対策として必要な水防団活動は建設局の所管ですが,日常的には区役所,消防署と消防団との連携が必要です。 そこで伺いますが,水防団の訓練は年に2回程度行われていますが,高齢の水防団員が雨の中,必死で土のうを積み上げ,月の輪工法等の堤防の漏水対策を行っているのを見て心が痛みます。水防団は,京都市の非常勤公務員であり,出動報酬は時間によって支給されますが,消防団員のように報酬,退職金も年金もなく記念品で終わり。水防団にも,光を当ててほしいという水防団員の切実な声が寄せられています。この声に,組織責任者である京都市長が応えるべきではありませんか。住民の命と暮らし守る水防団の待遇改善を求めますがいかがですか。 最後に,伏見区における市バス・地下鉄等の公共交通機関について質問します。市長は,バスと地下鉄の乗換利用促進を発言されていますが,それならば民間鉄道と民間バスしか走らない向島地域などでも,市内中心部の市バス・地下鉄利用者と同様の乗継サービスの提供をすべきです。 今年度予算で,京都市長は,民間バスしか使えない地域も,市バスの走る地域と同等の公共交通サービスを保障するとして,民間バス待ち環境の整備,バスダイヤ,系統の試験運転に対する助成も約束しました。大変歓迎すべきものです。しかし,京都市営地下鉄は竹田駅から近鉄電車に相互乗入れをしているのに,伏見区内の近鉄伏見,丹波橋,桃山御陵前,向島駅では敬老乗車証は使えず,向島の近鉄バスに接続できていません。地元では,同じ市民として,税金を払っているのだから,伏見区内の駅については地下鉄に敬老乗車証で乗れないのがおかしいというのが党派を超えた伏見区民全体の声です。京都市営地下鉄利用の促進を目指している京都市の立場からも,是非,伏見区民に同等の公共交通機関の福祉サービスが受けられるように改善を求めます。 また,西京区や久我,淀,納所地域は京都市内であるにもかかわらず,いまだに市バスの市内均一区間とされず,500円の一日乗車券さえ利用することができません。京都市交通局は,まず均一区間を全京都市内域に適用し,同じ市民税を払う市民に公平なサービスを保障することを行うべきではありませんか。 これで私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは,洪水氾濫対策についてお答えいたします。宇治川,桂川などが合流する伏見区では,歴史的に浸水被害が度々発生してまいりました。このため,国,府,市が連携して,堤防,堰,樋門の設置などの対策を講じてきておりますが,全国初の特別警報が発令されました平成25年の台風18号の際には,宇治川の水位が急激に上昇しましたことなどにより,伏見港公園周辺などにおいて浸水被害が発生しております。こうしたことを受けまして,現在では,国や府が設置した水位計や,あるいは雨量計の情報などを基に発令してきました避難勧告等につきまして,発令の具体的な判断基準を設定することによりまして早期の発令を可能にいたしましたほか,主要な排水機場の状況をリアルタイムで監視する排水機場集中監視システムの運用を開始いたしておりまして,迅速かつ確実な対応を実施しておるところでございます。 次に,水防団でございます。水害を未然に防止し,被害を最小限に食い止め,市民の皆様の生命や財産を守る貴重な役割を担っていただいておると認識しております。本市は,事務組合と連携しながら水防訓練,団員確保のための周知啓発,水防団の装備改善などに取り組んでまいったところでございます。なお,この水防団員の報酬などの待遇につきまして,消防団とは,設置の趣旨,あるいは実際の運用が異なっているところでございますが,その水準は現状,全国的な水準とおおむね同等のものとなっていると考えておるところでございます。引き続き団員の皆様の御意見も伺いながら,水防活動に際しての環境改善に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高城順一) 敬老乗車証についてでございます。敬老乗車証制度は,70歳以上の高齢者に対して,市バス・地下鉄敬老乗車証を交付することを基本とし,市バス・地下鉄が運行していない特定の地域の高齢者の方には,民営バスの乗車証も併せて交付しておりますが,民営鉄道には一律適用しておりません。本市では,現在この敬老乗車証制度の維持に46億円もの巨額の市税を投入しております。一般財源収入が減少する一方,社会福祉関連経費が増加の一途を続けるなど極めて厳しい財政状況の下では,現状以上に更なる市税を投入し民営鉄道を本制度の適用対象とすることは困難であります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス均一運賃区間の拡大についてでございます。交通局では,分かりやすい運賃体系とお客様の利便性向上を図るため,平成26年3月,45年ぶりに嵯峨・嵐山地域へ均一運賃区間を拡大し,平成28年3月には岩倉・修学院地域へ,また,本年3月には上賀茂・西賀茂地域へと拡大してまいりました。均一運賃区間の拡大は,先行して運行している民間バス会社の経営に与える影響も大きく,各会社との合意が必要であることから実現には時間を要するものと考えておりますが,平成28年3月に策定した「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージにおいて,均一運賃区間の拡大を柱の一つとして位置付けており,引き続き,市会の付帯決議を踏まえ,お客様の更なる利便性向上に向け,関係バス会社と粘り強く協議を行ってまいります。以上です。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは,3点お答え申し上げます。 まず,神川中学校の施設整備についてでございます。生徒数の増加に対応し,平成15年度にはプールの改築に併せまして,校舎,プール一体型施設の整備を行い,平成20年度には運動場を約2倍に拡張いたしました。さらに,平成24年度には普通教室,多目的室など16教室分を有する新校舎を建設するなど,必要な教育環境の整備を順次行ってきたところであります。現状では,神川中学校並びに神川中学校に進学する三つの小学校とも,既に児童生徒数のピークを過ぎ徐々に減少しており,赤阪仁議員御指摘の分校建設等の必要はないものと考えておりますが,今後とも,児童生徒数の推移を注視するとともに,大規模校の実態を踏まえ,引き続き必要な加配教員を配置するなどにより教育活動の充実を図ってまいります。 次に,公立小中学校の交通費についてでございます。本市では,就学援助を受けている世帯につきましては,通学に係る交通費の全額を公費負担しております。それ以外の一般世帯につきましても,基準を超える遠距離通学の場合などにつきまして,市バスの定期運賃を基にした基準額を超える額を公費負担しており,この基準額は,平成元年以降保護者負担を増やさないよう,運賃の改定があっても据え置いております。また,平成22年度から,児童生徒が2人以上の家庭につきまして,二人目以降を全額補助するきょうだい加算制度を設けるなど,保護者負担の軽減にも努めてまいりました。なお,開睛小中学校や花背小中学校など,統合によって通学区域が拡大し,それに伴い新たに必要となった交通費につきましては全額を公費負担としておりますが,赤阪議員御提案の公共交通機関を利用する全ての児童生徒の交通費の全額を全額公費負担する考えはございません。 次に,35人学級についてでございます。本市では,小学校1年生での35人学級,中学校3年生での30人学級を独自予算で実施するなど,国基準を上回る教職員配置による少人数学級を推進してまいりました。本年度から,小中学校の教職員に係る給与負担とその財源が京都府から本市に移譲されましたが,少人数学級を拡大する財源が新たに措置されたわけではありません。赤阪議員御提案の本市独自で35人学級を拡大し,小学校3年から中学校2年まで全ての学年で35人学級を実施するには,毎年約24億円の巨額の予算を必要とすることから実現は困難であります。本来義務教育における教職員定数の拡充は,国の責任において実施されるべきものであり,今後とも国に要望してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,平井良人議員に発言を許します。平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕 ◆(平井良人議員) 中京区選出市会議員の平井良人です。日本共産党市会議員団を代表して質問します。 初めに現在の観光を巡る状況について質問します。政府の観光立国基本計画で,観光の原点とは,住んでよし,訪れてよしの国づくりを実現することにあると規定されていますが,この住んでよしが実感されてこそ,訪れたい京都になるのではないでしょうか。観光地として有名なバルセロナでは,近年観光客が増え続け,人口の20倍近い観光客が訪れています。その下で騒音問題,土地や家賃価格の上昇などが起こっています。そこでバルセロナでは,観光客の宿泊を目的としたマンションの固定資産税の引上げやマンションの新たな認可をやめる考えを示しているなど事実上の観光客抑制に乗り出しています。 同様に,京都市でも,観光客の増大によって住民が住み続けられない事態が進行しています。宿泊施設の乱立によってバブル期のように土地価値が異常に高騰し固定資産税は上がり続けています。そうした中で,下京区のある学区では,この間,土地の売買価格が3倍から4倍へと跳ね上がり,住民が立ち退きを迫られる事態となっています。また,東山区のある学区の自治連合会の総会では,参加者から次々と,民泊の対応に苦慮している,これ以上宿泊施設は要らないと声が上がり,総会の決議として,学区での非常事態宣言が上げられています。 政府は,観光客を2020年には4,000万人,2030年には6,000万人という目標を持ち,京都でも440万人という過大な観光客誘致の目標を持ち,呼込みやプロモーションを続けています。この下で,京都でもこれまでにない混雑が起こり,観光客からは,観光地が見られない,そして市民からは,バスに乗れないなど観光による弊害が起こっています。国と京都市による観光行政の下で,市民の住環境を壊しているという認識はありますか。お答えください。 毎年行っている京都観光総合調査では,観光消費額が1兆円を超え,既に2020年の目標を達成し,宿泊客が最高の1,415万人を記録したことなど質の向上の取組が実を結んでいると言いますが,経済効果については実証がされていません。産業交通水道委員会で観光による経済効果を指摘したところ,理事者は,「観光の質を吟味する」と答弁されました。京都市民と経済にとって質を吟味するとは,幅広い中小企業や小規模事業者の方々の営業を継続,維持し,市民が安心して暮らせることにつながる観光政策ではありませんか。 市長は,6月12日の記者会見において,この観光によって京都市への税収には反映されていないのも事実と自ら認めておられます。京都市と一般財団法人で共同調査した宿泊業における雇用の安定に向けた調査研究では,ホテル等で働いている方の非正規率が59.7パーセントと高い割合を示しており,そのホテル等の経営は,外国資本や東京資本が主流となっていますから,もうけが地元に還元されず,地域経済の活性化にもつながっていません。非正規雇用の正社員化と地域経済の再生を目指すならば,正規雇用を宿泊業界でも大幅に増やす政策を実施するとともに,大手や外資系ホテルの呼込みではなく,地元宿泊業者の経営を支え,地域経済を循環させる仕組みづくりに転換すべきと考えますがいかがですか。お答えください。 政府は,住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法を成立させましたが,この法律は,宿泊業についてインターネットでの届出も可能とするものであり,許可制を届出制へと緩和し,違法民泊を増やすものとならざるを得ません。また,住居専用地域や集合住宅への民泊も乱立する可能性は否定できません。 この間,日本共産党市会議員団は,東山区への調査,マンション管理組合との懇談などで実態を把握したうえで,9月11日に国土交通大臣,厚生労働大臣に京都の実態を踏まえ要請行動を行いました。その場で明らかになったのは,自治体として規制は可能であるということです。京都市として,宿泊施設の管理者を24時間常駐させることや防火対策を消防関連法令に基づき遵守させることが必要です。また,住宅密集地や分譲,賃貸マンションなどの共同住宅,住居専用地域での民泊の禁止など厳しい規制を行う決意を求めます。いかがですか。 違法民泊問題では,この間も市民の方から,幾ら京都市に電話を掛けても宿泊施設の違法状態が改善されないことや家の屋根にたばこを投げ捨てられているなど苦情と悲鳴の声が山のように上がっています。市長も,民泊の在り方検討会議で悲惨な状況,これで法治国家と呼べるのかとまで述べておられます。医療衛生センターの体制を18人にし機動的な体制を作ったとしていますが,違法民泊が激増する下で市民への対応も各段に増えており,更なる体制補強が必要不可欠です。いかがですか。 ここで,この間の簡易宿所及び宿泊許可施設数の推移をグラフで示します。(パネルを示す)2013年から2014年の1年間の推移では宿泊許可施設数は71件の増加で,そのうち簡易宿所は69件だったものが,年々増え続け,2015年から2016年の1年間では,許可施設全体で815件も増加し,簡易宿所は797件もの増加となっています。さらに2017年に入り許可施設は急速に増え,わずか5箇月で366件と前年を超えるペースで増え続けています。真面目に運営管理されている許可業者がおられる下で,その反対に旅館業法の許可を取った後に,帳場を置かず,番号キーなどになっている施設が多数存在していることを御存じでしょうか。こうした違法状態の簡易宿所などを改善する仕組みは住民からの通報に頼らざるを得ない状況です。市として責任を持って,旅館業法に基づく再点検を行うよう求めますがいかがですか。 さらに,多くの市民の方々が,宿泊施設について,管理者がいつでもどんなときでも対応できることが必要だと要望されています。東京都の台東区や千代田区のように,京都市旅館業法施行細則を改正し,営業時間中の常駐者を置くよう規定すべきです。いかがですか。 次に,経済センター及び商業振興について質問します。まず,経済センターへの入居問題です。京都府は,現在,四条室町で建設中の経済センターに,旧京都産業会館と西大路花屋町にある京都府中小企業会館を統合するとしております。知事の答弁では,府内の中小企業団体,経済団体への支援機能の集積を図るとしていますが,これまで中小企業会館に入居していた24団体は,現在の家賃が2倍から3倍になるため入居できないという声が上がっています。産業会館でも,これまで入居していた団体が経済センターへの入居を諦めています。施設を一つに統合し縮小することがそもそも問題です。これまでの中小企業会館を閉館する理由に,老朽化と耐震化が挙げられていますが,入居団体が耐震工事専門企業に委託した独自調査では,3億9,000万円の耐震施工で十分活用できることが明らかになっています。 そこでお聞きします。中小企業会館そのものを耐震化,長寿命化し,多くの団体が路頭に迷うことのないよう京都府に申し入れるべきだと考えますがいかがですか。 経済センターについて,直接京都市が関わっているのは土地を所有しているということですが,京都府議会では,土地所有者の京都市に,できるだけ低廉になるよう交渉するとの答弁がありました。7月27日に入居募集の案内もされましたが,このまま入居できないということになれば,中小企業の発展に寄与し,京都市内の中小企業を支えてきた団体の発展を妨げることは明らかです。京都府同様,京都市が関わっている団体も多く,その多くの中小企業や団体は京都市内で頑張っています。土地の評価はこれからということで中小企業センターとも協議の場は持たれていないとのことですが,京都市として,経済センターに入居を希望する中小企業センターや旧産業会館に関わる団体が,これまでどおりその活動ができるよう,思い切った支援を行う立場で協議をすべきだと考えますがいかがですか。 続いて,商店街振興についてお聞きします。引き続き,中小企業の営業と暮らしは深刻さを増しています。商業分野における中心的な役割を果たしているのは商店街ですが,全国的に窮地に陥っていると言わざるを得ない状況が広がっています。京都市の商店街もこの間,160商店街から153商店街へと減り続けています。中京区にある京都三条会商店街は,日本でも一番長いアーケードが設置された,距離にして約800メートルにも及ぶ商店街です。長年苦労をされて組合員数を増やしています。1980年代から1990年代に掛けて組合員が減り180店舗を割り込む状況から190店舗まで回復していますが,今後10年間で約30店舗が休廃業となると指摘されており,商店街の担い手についても世代交代が必要となっています。地元商店街である西新道商店街は店舗数が激減し住宅化が進んでおり,再生化,活性化の見通しが見えない状況となっています。 一方京都市は,中央卸売市場第一市場用地の一部を使って賑わいゾーン計画の事業者を特定しました。その業者は東京本社の大手開発業者です。まちづくり,商店街対策に企画力と意気込みがあるというのが事業者特定の理由でした。市は,この賑わいゾーンの商業施設には,5億2,000万円掛けてお客を誘導するための通路を造るなどサービスも過剰です。またこの事業者は,飲食店を中心に地元事業者を採用対象にするとは言っていますが,全国有名店も誘致するとしています。こういった商業施設には人が集まる仕掛けが作られていますが,一方,周辺商店街対策の仕掛けなどは無策というのが実態ではありませんか。箱物と見栄えの良い商業施設を核にした地域づくりでは,地元を支える人たちへの支援を欠いたやり方と言わざるを得ません。地元商店街の応援を本格的に行うことが必要であり,新駅へお客さんを誘導する通路の設置など,賑わいゾーン事業者への特別扱いはやめるべきです。いかがですか。 中小企業庁の委託事業として2015年に行われた商店街実態報告書では,商店街の最近の景況について衰退している,衰退のおそれがある,と回答した商店街が66.9パーセントにも達しています。後継者に引き継がれず,空き店舗や住宅になるケースも続いています。この実態調査結果に基づき,新たな商店街政策の在り方検討会の中間取りまとめが今年度の7月5日に示されていますが,その検討の中では,「中小企業庁だけでは全国の商店街全てに支援策を届けることは難しく,より商店街に近い存在である自治体や関係機関との連携が必要不可欠である。特に,基礎自治体は,地域経済の中で商店街が担う役割を考え,商店街と共に地域を作ることができる存在であり,重要な役割を担っている」と述べられています。 一方,京都市は,2011年に京都市商業活性化アクションプランを策定して以降,計画期間が過ぎても,次のプランは示されていません。この京都市商業活性化アクションプラン2011は曲がりなりにも商業者の実態を明らかにし,京都の商業の果たす役割,地方自治体の役割についても述べられています。2017年から審議会として設置された京都市商業振興アドバイザリー会議の役割だけでは商業者の気持ちや要求に応えられるものとは言えません。商店街が衰退していると諦めている商店街が再生,活性化するには土台となる実態をつかむ必要があり,生活圏で踏ん張っている商店街を応援するために,その結果に基づく計画が必要であります。 京都府では,商店街カルテという外部委託調査を行いました。その結果の一端を我が党府会議員団が資料にしていますが,京都市内の3分の2の商店街で店舗数とお客さんが減っており,商店街が成り立たない事態となっています。府の調査も参考にしながら,京都市として商店街のお店一つ一つの実態をつかむための調査をしたうえで施策を構築すべきです。いかがですか。 またその分析に基づき,とりわけ店舗数やお客さんが長期間減少し,点在化しつつある商店街や,既に点在化している商店街の支援をするため,学識者や小規模事業者,市民の声をまとめ,計画の策定と支援策の具体化を促進する体制が必要だと考えますがいかがですか。 以上,ここまでの答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平井良人議員の御質問にお答えします。 観光行政と地域経済についてでございます。京都市におきましては,観光が京都経済に与える影響は極めて大きいものがあります。このことから,私は,さらに,観光を通じて安定した雇用の促進や伝統産業,中小企業をはじめ地域経済の活性化につなげていくと同時に,観光と市民生活との調和,安心安全が図られることが何よりも重要であると考えております。観光事業従事者の正規雇用化の促進につきましては,閑散期と繁忙期の差を縮め,年間を通じて安定した雇用を確保することが大切であり,この間,閑散期対策を徹底し大きな改善もなされてきました。 また,サービス業の労働生産性向上のための経営相談や従業員のスキルアップセミナーなどに取り組んでおります。 さらに,地元宿泊業者の経営を支え,地域経済を循環させるため,ソフト,ハード両面からの支援を実施するとともに,この度創設した上質宿泊施設誘致制度においても,地域の雇用創出に貢献することを大きな柱の一つとして,宿泊施設の誘致を進めております。 次に,違法民泊対策についてでございます。違法民泊を許さないとの姿勢の下に,地域住民の皆さんとも連携し,指導対策に全力を挙げてまいりました。さらに,昨年度までの取組に加えまして,今年度,営業者が不明であった民泊について新たに民間委託によって調査を実施し,対象施設620件中8割を超える521件について営業者等を特定したところであり,この調査結果も踏まえまして,さらに強力な指導を行っていくため,10月1日から職員2名を増員し体制強化を図ってまいります。また,本市独自のルールを設ける条例制定や住宅宿泊事業法の施行準備を進めていくために,民泊対策プロジェクトチームの中に専門性の高いスタッフによる作業部会を新たに設け,有識者会議からの意見も踏まえまして,しっかりと議論,検討を深めてまいります。 旅館業許可施設につきましては,これまでから,構造設備や衛生管理等に係る定期的な査察を実施しており,引き続き,着実に監視指導を進めてまいります。なお,本市では,20分以内に駆け付けられるなど,一定の要件を満たした京町家の一棟貸し等を除いて,条例により玄関帳場の設置を義務付けておりますが,苦情対応など安心安全の確保のための管理の在り方についても検討を進めてまいります。今後とも,観光振興と市民生活の調和を図り,伝統文化,伝統産業の振興や中小企業の活性化,安定した雇用の創出など,市民の豊かさにつなげられるよう全力を尽くしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 商店街振興についてでございます。市内の小売店や商店街の実態につきましては,国や本市が実施する統計調査等を活用するほか,全ての商店街を訪問して聴き取り調査を行うなどきめ細かな把握に努めております。そのうえで,本市では,今日の目まぐるしい商業環境の変化に的確に対応するため,長期の商業振興計画を策定するのではなく,平成28年度からは新たに学識者等で構成する商業振興アドバイザリー会議を設置し,実施施策の検証や新規施策の立案等について助言をいただくなど,本市の商業施策全般について幅広い御意見を頂きながら施策を推進する体制を確立いたしました。とりわけ本年度からは,商店街からの御意見を踏まえまして,役員や会員の皆様の高齢化等により担い手が不足している商店街と,大学やNPO法人等の外部団体との連携を促進し,商店街の活性化を図る商店街縁結び事業を実施しております。今後とも,商業者や市民の皆様の生の声をお聴きしながら,商店街のにぎわい創出を支援し,京都らしい魅力ある商業の活性化を進めてまいります。なお,御指摘の賑わいゾーンへの通路についてでございますが,本市が整備いたしますのは,JR新駅から七条通北側の歩道につなげる歩行者空間でありまして,この歩行者空間と賑わいゾーンとを接続するテラスにつきましては,賑わいゾーンを活用する事業者が自ら設置されるものであり,何ら事業者への特別扱いはございません。これらの歩行者空間とテラスの整備によりまして,梅小路公園やJR新駅の集客力を最大限にいかし,中央卸売市場第一市場や商店街のある七条通北側への大きな人の流れを生み出すという考えでございます。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(上田誠) 京都経済センターについてでございます。京都経済センターは,京都の経済団体が京都経済百年の計としてビジネスの中心地である四条室町に集結し,交流と融合で京都経済の活性化を牽引するとともに,新たな時代にふさわしい中小企業支援の総合拠点となるよう,オール京都で整備を進めているものでございます。御指摘の京都府が所有する中小企業会館は,昭和49年の設立以来,ホールや展示場,多くの会議室を備え,中小企業関係団体が集積する施設として,長らく府内の中小企業支援の一翼を担ってまいりましたが,今回,京都商工会議所ビル,京都工業会館,京都産業会館と共に,経済センターに一体的に整備されることになったものでございます。中小企業会館に現在入居されている団体の経済センターへの入居につきましては,各団体が果たしてこられた役割と実績を踏まえ,館内に全ての団体が入居できる面積が確保されるとともに,他の団体に先行した入居受付が行われております。また,家賃額につきましても,公的な役割を果たす団体に対する低減措置が講じられるなど,適切に定められているものと認識してございます。本市といたしましては,この経済センターを核として,京都府や経済界とより一層連携し,中小企業振興はもとより,京都経済の更なる発展が図れるよう,全力を傾注して取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 平井議員。 〔平井良人議員登壇〕 ◆(平井良人議員) 旅館業法施行細則の改正については,営業時間中の管理者の常駐が市民の要望として上がっているにもかかわらず,その改正の判断は,市長からまともなお答えがありませんでした。改めて求めておきます。 次に,大学や専門学校等の奨学金制度について質問します。京都府は,今年度予算で就労・奨学金返済一体型支援事業を打ち出しました。この制度は中小企業支援を目的に,従業員への奨学金返済支援制度を設けている中小企業への補助制度として創設されました。現在,申請受付期間となっておりますが,適用される事業所は現在ゼロです。京都市は,その制度が中小企業に知られるようにPRするとの答弁をされましたが,どこから見ても京都市の後押しが見えないと言わざるを得ません。京都府の制度内容では小規模企業ほど資金力がなく,制度を知ったとしても申請のしようがないというのが実情だと考えます。京都市は,府と連携し,この一体型支援事業への財政的上乗せや小規模企業でも使える制度に改善すべきと考えますがいかがですか。 また,LDA,生きやすい京都をつくる全世代行動の皆さんは,今年度も粘り強く奨学金問題に取り組まれ,さらに深刻なローンと言われるような奨学金の実態が明らかになっています。京都のような中小企業が多い街では,資金力の乏しさから,補助金制度だけでは学生の貧困状況は放置されるだけではないでしょうか。1日も早く直接個人に給付される奨学金制度が必要です。市長は多くの学生や返済者の声を直接聴き,今こそ京都市独自の給付制奨学金制度をつくるべきです。いかがですか。 あわせて,ブラック企業,ブラックバイトの根絶について質問します。2016年4月には京都市でブラックバイト相談窓口が設置されました。昨年度の市長総括質疑で副市長は,「ブラックバイト対策協議会のアンケートでは4人に一人がトラブルに遭っており,市内10箇所の相談窓口があるがまだまだ知られていない」との答弁でした。そもそも相談窓口は委託であり,正社員も一人しかいないため,委託先任せになっています。今年度,この窓口を知らせるための紹介カードが3,000枚作られましたが,周知するには余りにも予算が少なすぎるのではないかと率直に思います。また,直接大学に赴き,大学3回生向けの労働法令セミナーとブラックバイトに関する相談会が行われています。学生の皆さんに広く労働法令の周知を行うことで,ブラックな状況に陥らないように,更に守備範囲を広げる必要があります。市として,全ての高校生や専門学校生,大学生向けの労働法令セミナーと相談会を大規模に行う仕組みを作るべきだと考えますがいかがですか。 正規労働者をはじめとし,労働者の労働環境の改善は急務の課題となっています。厚生労働省は来年度予算の概算要求において労働基準監督署の監督官を100人増員する方針を固めました。その理由は全事業所への指導,監督が仕切れず,全体の3パーセントの事業所しか実施できない事態があるからです。その下で,京都労働局が府内企業対象に行った2016年度の監督指導で,対象359企業のうち月200時間を超える違法な時間外労働を6事業所で確認し,過労死リスクが高まるとされている月80時間超の長時間労働も144事業所に上っている状況です。これだけ見ても42パーセントの企業で,労働者は過労死リスクを抱えて働いておられます。私は,このような長時間労働の状況が続けば,新たな過労死を生み出すのではないかと考えます。この実態に対する市長の認識を伺います。加えて,ブラックバイト対策窓口だけでなく,ブラック企業の相談窓口を雇用対策部署と併せて設置し,ブラックな企業名の公表や実態を告発していくことを求めますがいかがですか。 次に,原発の再稼働問題と原発防災について質問します。福島原発事故から6年半が経過しました。今年の3月に実施した毎日新聞の全国世論調査では,原発の再稼働に反対との回答が55パーセント,賛成の26パーセントを大きく上回りました。また,原子力を巡る状況は,台湾や韓国で脱原発を打ち出す政治的決定が行われ,日本が有力な原発輸出相手国としていたベトナムも高コストを理由に原発計画を白紙に戻しました。世界が脱原発の流れになっている下でも,関西電力は,規制委員会の審査合格を受けて,6月に高浜原発3号機,4号機の再稼働を強行しました。今も福島原発事故の原因は解明されていない状況の下で多くの方々が苦しみ続けています。高浜原発が立地する若狭湾は,港を囲むように廃炉予定のものも含む15基もの原発が立地する世界でも有数の原発過密地域です。複数の原発が同時にあるいは連鎖的に事故になれば甚大な被害が発生するのは明らかです。ところが,規制委員会の審査は個々の原発事故しか対象にせず,集中立地のリスクについては新規稼働の場合しか認めていません。しかし福島第一原発では,約12キロ離れている第二原発の原子炉も冷却機能を失い,緊急事態宣言が発令されました。 一方,国のエネルギー基本計画の改定議論では,2030年度の電源構成目標として原発を20パーセントから22パーセントとする方針を変えないとしています。そのためには全ての原発再稼働と古い原発の運転延長が不可欠となります。原発の集中立地及び40年を超えた原発再稼働のリスクは計り知れません。このままでは原発に依存する国に逆戻りし,原発災害の教訓が全くいかされないと言わざるを得ません。京都市は,規制委員会の再稼働へ前のめりの新基準にしがみつく姿勢をやめるべきです。いかがですか。 京都市での避難計画はどうなっているかと言いますと,京都市の原子力防災の手引きでは,UPZ圏内以外の災害想定がされていません。また,安定ヨウ素剤の新たな備蓄がされていないなど原子力防災の手引と本市の具体的な対応は,被曝の初期対応が想定されていません。兵庫県の篠山市は,「篠山市原子力災害対策ハンドブック原発災害にたくましく備えよう」という手引を作っているとともに,事前に住民に安定ヨウ素剤を配布しています。さらに全職員にハンドブックを研修し,住民向けの説明会がされています。京都市は,こういった取組から学ぶべきです。原子力災害の手引の被曝想定を京都市全域に広げ,安定ヨウ素剤の全市民配布を行うべきです。いかがですか。 最後に,市バス・京都バス一日乗車券カードの適正化の名の下に行われている,実質上の値上げに関わって質問をします。京都市は,市バス・京都バス一日乗車券カードの値上げを大前提に議論がされ,現在の500円から700円へ値上げという結論を出されています。我が党が取り組んだバス一日乗車券値上げについてのアンケートには8月15日現在で152通の返信がありました。その声の一端を紹介します。「値上げされれば近いところしか行けなくなり,バスに乗りたくとも乗れません」,「市バスの利用者が増え黒字なのに値上げすることに納得いかない」,「地下鉄沿線でない私たちがなぜ市バスの混雑緩和と地下鉄への誘導のために値上げされなければならないのか」など怒りの声が圧倒的です。また,敬老乗車証と効果は似ており,市内でバスが乗り降り自由となり,様々な場所に行くことができるため,健康維持,増進,買物客による経済効果,自家用車を使わないことで環境負荷の軽減にもつながります。交通局が値上げを理由にしているうちの一つは価格の適正化です。他の企画券と比べて,市バス・京都バス一日乗車券カードの割引率が大きいと言いますが,日本一高い初乗り運賃を市民に押し付けていることがそもそもの問題です。 先ほどの声で紹介したとおり,生活最低限で切り詰めて生活している市民にとって値上げは生活の足を奪うものとなりかねません。乗継ぎも含めて日常生活で大変便利であり,収入が減っている方や少ない方にとって一日乗車券は掛け替えのないものであり,公共の福祉の増進の役割を果たしてきている,これが市バス一日乗車券です。 また,市バスの混雑緩和をもう一つの理由に掲げておられますが,バス路線の拡大や増車,増便を行っていくことがまず実施されるべきです。ただ単に一日乗車券を値上げして混雑緩和をするという説明だけでは到底市民には理解されません。さらに,地下鉄沿線でない方々にとっては何のメリットもなく,ただの値上げということになるのではありませんか。公営交通を快適に使っていただくことを主眼におけば,価格による誘導ではなく,14年連続黒字のバス事業だからこそできるサービスの在り方を探求すべきであり,値上げはやめるべきです。市長の決断を求めて質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 奨学金制度についてでございます。京都府の就労・奨学金返済一体型支援制度につきましては,京都労働経済活力会議において,オール京都で制度の重要性について議論を行い,府内の中小企業に補助金を交付することにより,入社間もない従業員の奨学金の返済負担を軽減する制度として,労働行政を担う京都府において創設されたものであり,今年8月から企業からの申請受付をいたしております。本市としましては,募集に先立ち,本市の経営者向けのセミナーや経営支援員による周知を行っており,多くの中小企業に利用していただけるよう,引き続き,手法の工夫も図りながら府と連携して周知啓発に努めてまいります。 次に,現役の学生を対象とした給付型奨学金制度についてでございます。奨学金は全国の学生の二人に一人が活用していることに加えまして,京都で学ばれる学生は全国から来ておられ,また,京都の高校生は全国の大学や短期大学に進学されているため,まずは国において充実が図られるべきものであると考えております。このため,本市では国に対し給付型奨学金の創設や無利子奨学金事業等の充実を強く要望してきており,また,平成28年9月市会においては,給付型奨学金の創設等を求める意見書が議決されております。こうした結果,今年度,国において初めて給付型奨学金が制度化されますとともに,無利子奨学金の貸与基準を満たす希望者全員に対する貸与などが実施されております。さらに,平成30年度予算の概算要求では,給付型奨学金の本格実施をはじめ奨学金事業の予算が増額されております。今後とも,日本学生支援機構などの調査や各大学との情報交換を通じて学生が置かれている状況の把握に努め,学生が安心して学べる環境の充実に向けて,国に対して引き続き要望してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 松本危機管理監。 〔松本危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(松本重雄) 原子力防災についてでございます。本市は,平成24年3月の市会決議を重く受け止め,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現を目指すことを明確に掲げるとともに,中長期的には脱原発依存を強く主張し続けております。そのうえで,原発に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間,やむを得ず原発を再稼働する場合には,国においてその必要性を明らかにし,世界最高水準とされる新規制基準に基づく安全性の確保に向けて,これまでにも増して万全を期すとともに,関西電力をはじめとした関係者が徹底した安全対策に取り組んだうえで,分かりやすく周辺住民の皆様に説明し理解を得ることがとりわけ重要であるとこれまでから申し上げているところであります。なお,8月には,本市と関西電力との間で,大飯発電所に係る京都市域の安全確保に関する通報連絡等協定を締結するとともに,大飯発電所に係る地域協議会に参画し,安全対策の取組等の状況について,国,関西電力から説明を受け,しっかりと安全確保の議論を行っていくこととしております。また,本市では,国の原子力災害対策指針に基づいて設定したUPZ内の地域において,安定ヨウ素剤の配布にとどまらず,迅速な情報伝達,避難,汚染検査,除染等を行う原子力防災訓練や,空間放射線,水道水,農産物等のモニタリングを実施するなど,万が一の原子力災害から市民を守るための防災対策にしっかりと取り組んでいるところであり,引き続き,その充実に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(上田誠) ブラック企業,ブラックバイト対策についてでございます。京都は,徹底して人を大切にするまちであり,賃金の不払いや過重労働などにより,働く人を使い捨てにするいわゆるブラック企業,ブラックバイトは断じて許されるものではありません。こうした強い認識の下,本市及び京都府,京都労働局,経済界,労働界で構成する京都労働経済活力会議において,各機関がそれぞれの役割を果たしながら,ブラック企業,ブラックバイト対策をはじめ長時間労働の是正や正規雇用化の促進等の幅広い取組をオール京都で進めております。相談窓口につきましては,本市,京都府及び京都労働局を合わせて市内10箇所に設置し,アルバイトや従業員を対象として相談に応じるとともに,こうした相談の中で発覚した悪質な事案に対して,京都労働局が調査,監督指導を行い,より重篤な事案については企業名の公表を行っております。こうした中,市立の中学,高校において,労働者の権利や義務,社会保障制度等に関する学習を行っているほか,高校では,更にワーキングプアやワーク・ライフ・バランスなどの今日的課題や過労死などの労働災害についても,授業やホームルームで取り扱っております。また,大学生に対してはホームページでの周知,啓発に加え,市内の大学を通して周知チラシを配布するとともに,相談員が直接大学に出向きセミナーや出張相談会を開催するなど様々な手法で啓発に取り組んでおります。今後とも,未来を担う若者が夢と希望を持って生き生きと働ける社会の実現に向けオール京都で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス・京都バス一日乗車券カードについてでございます。交通局では,この間,赤字路線を廃止することなく市バス車両を44両増車し,路線・ダイヤの拡充に取り組むなど,市民の足としての役割をしっかりと果たしてまいりました。この度の一日乗車券カードの価格見直しは,平成12年度に規制緩和対策として700円から500円へと大幅に値下げし,今日に至っているこのカードが均一運賃区間の拡大や京都バスでも利用可能となったことで利用価値が格段に上がり,普通運賃に比べて極めて割安となっている価格状態を是正するためであり,平成30年3月に600円へ改定してまいります。あわせて,市バス・地下鉄,京都バスに乗車できる一日乗車券を1,200円から900円,2日乗車券を2,000円から1,700円へと大幅な値下げを行い,これらの施策により地下鉄への利用誘導につなげ市バスの混雑緩和の一助とするとともに,公共交通全体の利用促進を図ってまいります。この価格見直しに当たっては,市会での付帯決議を踏まえ,慎重な議論を行うとともに,市民しんぶん各区版に挟み込みチラシを入れるなど丁寧な説明に努めてまいりました。また,平成30年度中には,市民の皆様が利用されているトラフィカ京カードによる,バスとバス,バスと地下鉄の乗継割引額の拡充も行うこととしており,これらの取組を着実に進めることで,人と公共交通優先の歩くまち・京都のまちづくりを一層推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時43分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          署名議員  菅谷浩平          同     やまずまい子 △(イメージ)請願文書表「受理番号44」「住宅地における観光バスの迷惑防止及び外国人観光客のマナー向上」・陳情文書表「受理番号92」「宿泊税制度案の見直し」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号93」「市バス・京都バス一日乗車券カードの値上げ反対及び利用範囲の拡大」...