平成27年 2月 定例会(第2回) 平成26年第2回 定例会 京都市会会議録 第2号 平成27年2月市会 平成27年2月26日(木曜日)出席議員(68名) 1番 江村理紗議員 2番 中島拓哉議員 3番
佐々木たかし議員 4番 片桐直哉議員 5番
清水ゆう子議員 6番 森川 央議員 7番 中村三之助議員 11番 村山祥栄議員 12番 国本友利議員 13番 青野仁志議員 14番 松下真蔵議員 15番 青木よしか議員 16番
山本ひろふみ議員 17番
香川佐代子議員 18番
しまもと京司議員 19番 椋田隆知議員 20番 さくらい泰広議員 21番 加藤あい議員 22番 西村善美議員 23番 とがし 豊議員 25番 平山よしかず議員 26番 吉田孝雄議員 27番 湯浅光彦議員 28番 曽我 修議員 29番 天方浩之議員 30番 中野洋一議員 31番 隠塚 功議員 32番
下村あきら議員 33番 山元あき議員 34番 西村義直議員 35番
吉井あきら議員 36番 田中明秀議員 37番
玉本なるみ議員 38番 くらた共子議員 39番
河合ようこ議員 40番 樋口英明議員 41番
宮田えりこ議員 42番 久保勝信議員 43番 津田早苗議員 44番 井上教子議員 45番 大道義知議員 46番 ひおき文章議員 47番 谷口弘昌議員 48番
山岸たかゆき議員 49番 安井つとむ議員 50番 宮本 徹議員 51番 山本恵一議員 52番 中川一雄議員 53番 寺田かずひろ議員 54番 津田大三議員 55番 大西 均議員 56番 橋村芳和議員 57番 山中 渡議員 58番 井坂博文議員 59番
北山ただお議員 60番
岩橋ちよみ議員 61番 井上けんじ議員 62番
西野さち子議員 63番 今枝徳蔵議員 64番
小林あきろう議員 65番
鈴木マサホ議員 66番 小林正明議員 67番 加藤盛司議員 68番 繁 隆夫議員 69番 富 きくお議員 70番 内海貴夫議員 71番
井上与一郎議員 72番
高橋泰一朗議員欠席議員(なし)欠員(1名) 議事日程 開議日時 平成27年2月26日(木)午前10時第1 議第1号ないし議第22号,議第26号ないし議第29号,議第31号ないし議第34号,議第36号ないし議第42号,議第45号ないし議第54号,議第56号ないし議第60号,議第63号,議第64号及び議第558号 平成27年度京都市一般会計予算 ほか54件
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕
○議長(中村三之助) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。
山本ひろふみ議員と平山よしかず議員とにお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) この場合,議長から御報告申し上げます。監査委員から,平成26年12月分の例月出納検査の結果報告が参っております。原文は市会事務局に保管してありますから,随時御覧願います。 次に,人事委員会から議第23号,議第28号,議第58号及び議第556号,京都市職員の配偶者同行休業に関する条例の制定についてほか3件,以上4件に関する意見書が提出されました。この写しはお手元に送付いたしておきました。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) 日程に入ります。 日程第1,議第1号ないし議第22号,議第26号ないし議第29号,議第31号ないし議第34号,議第36号ないし議第42号,議第45号ないし議第54号,議第56号ないし議第60号,議第63号,議第64号及び議第558号平成27年度京都市一般会計予算ほか54件,以上55件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。発言の通告がありますので,これを許します。小林正明議員。 〔
小林正明議員登壇(拍手)〕
◆(小林正明議員)
自由民主党議員団を代表して質疑をさせていただきます北区の小林正明でございます。この後,津田大三議員,中川一雄議員,
吉井あきら議員が登壇をいたします。 さて,我が自由民主党は,昨年12月の総選挙で2年前に続いて多くの議席をいただきました。御礼申し上げます。このうえは,友党とも力を合わせて国民の負託に応えていく責務があると考えます。安倍総理には「足るを知る」の精神で謙虚な政権運営をお願いするものであります。「日本を,取り戻す」とした政権交代から早や2年2箇月。民主党政権による,あの3年3箇月の停滞ぶりから見れば,日経平均株価の終値が,およそ7年7箇月ぶりに1万8,000円を回復するなど,確実にアベノミクスによる景気回復は見られます。京都市においても,その前後を比べて倒産件数が減少,京都府内の雇用失業情勢は,昭和49年3月以来40年9箇月ぶりに有効求人倍率が1.12倍を超えるなど実績があり,また,企業景気DIも平成3年以来の50を上回る水準にもなりました。消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動があるものの,こうした景気回復の数値もまた事実であり,一部だけを取り上げて「アベノミクスは全て失敗だ」とする言動に対しては,不誠実さを感じざるを得ません。 我が自由民主党は,責任政党として各地域で生まれつつある経済の好循環を逃すことなく,企業収益の改善,国内投資の拡大,高生産性部門への失業なき労働移動,雇用の拡大と所得の増加,そして消費の拡大という成長への好循環を実現し,日本経済だけでなく京都経済においても揺るぎない成長に乗せていかなければなりません。確かに,格差については,積極的に是正していく必要があります。東京・首都圏や富裕層,投資家などに大きな効果があったアベノミクスの恩恵を,今後は地方,そして家庭,中小企業などに波及させていかなくてはなりません。それはいわゆるローカル・アベノミクスと呼ばれる取組であり,各地域で雇用と所得が増大し,家計で景気回復を実感することができるよう,地域の特徴をいかした持続可能な地域づくりが必要となってきます。つまりは,景気回復の暖かい風を市内津々浦々に届けられるかどうかということが鍵になるわけであります。 そこでお伺いします。京都市の27年度予算案においても「国の政策を先取りする気概で京都経済を活性化し,安定した雇用を創出する」と述べられていますが,今回の予算編成に当たっての門川市長の基本的な姿勢,認識と,今後の
京都経済活性化に対する決意について市長の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。 京都市の平成27年度予算の編成に当たっては,
自由民主党京都市会議員団においても,現下の市の厳しい財政状況を踏まえながらも,市長をトップとした職員の創意工夫により,地方創生に向けて,未来志向で,今後の京都の発展につながる予算編成をしていただくよう強く要望してきたところであります。今こそ,京都から,全国に向けて元気を発信すべきときと考えます。門川市長は,就任後7年間,市民との共汗により京都の地域力・文化力・人間力を最大限に引き出し,全国に先駆けた京都創生の取組を飛躍させるとともに,絶え間ない行財政改革により,全会計の連結ベースでの財政健全化を強力に推進されてきました。私は,その流れを止めることなく,更に推し進めるため,京都市の大きなテーマである「歩くまち・京都」の推進と,市財政全体の健全化に大きく貢献してきた市バス・地下鉄事業の更なる利用促進に大きな期待を寄せております。 交通局の近年の事業展開を見ますと,市バス事業では,主要系統や観光系統において利用者のニーズに合わせた増便,増発が行われ,新たな集客施設への効果的なアクセスや地下鉄との乗り継ぎ利便性の向上によって,この4年で利用者数は1万5,000人増え,平成24年度の決算で
経営健全化団体を脱却したところであります。そして,この平成27年度予算では,一般会計の補助金に頼らない自立経営となった予算編成をされたことを心強く思います。地下鉄事業においても,夜間時間帯の運行充実や市の施策と一体となった増客の取組によって,この4年間で利用者数がおよそ2万2,000人増加したことに加えて,コトチカの展開をはじめとする駅ナカビジネスの拡充により着実に健全化が進んでいます。しかしながら,4,000億円もの膨大な企業債残高を抱えており,依然として全国一の厳しい経営状況にあることには変わりがなく,目標とする1日当たり5万人の増客実現も容易ではありません。他都市の中には,沿線人口の増加や大規模な集客施設の開業によって,目覚ましい増客を実現した例もあるとのことですが,京都市においては,今後も継続的に増客する決定的な要素があるとは言い難い状況にあります。こうした中,更なる利用促進のためには,これまでの増客策の効果を検証したうえで,効果的であったものは更に推進する,効果が少なかったものは見直すといっためり張りのある展開が求められます。加えて,目標を設定した際の「地下鉄をまちづくりにいかし切る」,この初心を忘れずに,是非とも5万人増客を達成していただきたく思います。そこで,今後の地下鉄事業の経営健全化の鍵を握る1日5万人増客という目標の達成に向けての見通しと,その決意をお伺いいたします。 次に,増客につながる大きな要素である市バス・地下鉄の乗客への応対と案内サービスについてお尋ねいたします。市バス・地下鉄とも,利用者が増加している状況にありますが,サービスの質が低下するようなことがあっては,本末転倒であります。快適に利用いただくため,運転士や駅員の乗客への応対,案内サービスを向上させる必要があります。一昔前は,お世辞にも丁寧とは言えなかった市バスの乗務員,地下鉄の駅員・乗務員の応対は,この間,目に見えて向上していると実感しておりますが,まだまだ不適切な応対も見受けられます。また,市バス車両やバス停,京都駅バスターミナルにおける案内の充実など,分かりやすい案内になり,利用者にも好評であります。市バス・地下鉄の利用者は大幅に増加し,とりわけ円安やビザの要件緩和などの要因が相まって,日本を訪れる外国人観光客が過去最高を更新する中で,京都市の観光客も過去最高を記録しています。これに伴って,市バス・地下鉄の利用者は目に見えて増加しており,その対応も喫緊の課題であります。そこで,交通局においては,局を挙げて外国人観光客をはじめとする増加・多様化する利用者への更なるサービス向上に,おもてなしの心を持って最大限の努力をされることを望みます。今後,どのように市バス・地下鉄のお客様への応対と案内サービスの質を高めていかれるのか,具体的な方策をお答えください。 次に,門川市政で重要視されている京都経済の活性化,安定した雇用の創出のうち,観光分野について少し具体的にお伺いいたします。昨年10月に策定されました「
京都観光振興計画2020」では,観光産業は宿泊業や運輸業,飲食業,旅行業等を中心に,農林業,伝統産業,製造業など幅広い産業に関連する非常に視野の広い総合産業だと位置付けたうえで,観光産業の成長は他産業への需要創出効果などをもたらし,地域の経済全体にとって非常に高い経済効果を期待することができるとされています。ここからは,観光資源において高い競争力を有する京都において,観光産業は京都経済の牽引役であると規定し,それに基づく各種施策を展開することで,都市の強みをいかし,都市間競争に打ち勝とうとする市長の姿勢を感じます。確かに「トラベル・アンド・レジャー」誌の「
ワールドベストアワード2014」では京都市は1位になりました。しかしながら,観光庁の訪日外国人の消費動向,これは平成25年次の報告書では,観光・レジャー目的の京都府訪問率が24.9パーセントに対し,業務目的などを含めた全目的の京都府訪問率は18.9パーセントとなっており,業務目的での京都の訪問率の落ち込みが目立ちます。もちろん全国から見れば高い方ですが,そこで満足するかどうかが一つの分かれ道ではないでしょうか。客単価の高い富める層に対するサービスを進展させ,全体の観光産業を底上げしていくという戦略も大切だと思う一方で,業務目的の訪日外国人をいかに京都に呼び寄せるか,こういう戦略も必要になってきます。いわゆる多国籍企業と呼ばれるような企業の多さでは分の悪い京都において,MICEの戦略が鍵になります。平成25年6月に閣議決定された日本再興戦略でも,2030年には
アジアナンバーワンの
国際会議開催国として不動の地位を築くことが重要施策だとしています。 京都市もMICEの
誘致ポテンシャルの高い都市として,
グローバルMICE戦略都市として指定されました。そして,その中で過去2回にわたり,観光庁が選定した国際的な
MICEアドバイザーが
公益財団法人京都文化交流コンベンションビューローに派遣され,その
アドバイザー派遣後もウェブカンファレンスなどを利用し,コンサルティングを継続しているとのことであります。先日の補正予算審議においても,国の交付金を活用するなどし,
グローバルMICE戦略としての
マーケティング戦略推進事業が提案され,
京都MICE協議会や大学との連携強化が打ち出されておりますが,こうした状況を踏まえ,まずお伺いいたします。先般,国から派遣された国際的な
MICEアドバイザーとの議論の結果,京都市において,国際的に見てどのような課題があるとされ,そしてそのためにどのような対策を行うべきとされたのか。そして,その対策を実施するための27年度予算をどのように編成し,その結果,どのような成果を想定しているのか。
観光MICE推進室と
京都文化交流コンベンションビューローとの役割分担等も含め,市のお考えをお聞きいたします。 次に,MICEのそれぞれの分野における今後の展開についてお伺いいたします。MICEのうち,C(
コンベンション)分野については,国際会議の開催件数といった指標で現状や課題が判断可能であり,東京や大阪に比べ空港アクセスの悪さや
会議施設等ハード面での問題はあるとはいえ,行政としては対応しやすい分野だと思います。一方で,M(ミーティング),I(インセンティブツアー),E(イベント)は実態がつかみにくいということが「京都市MICE戦略2020」にも書かれており,情報収集,発信の強化が必要だと言われています。確かに,今回の補正予算でも
MICE誘致強化事業が提案され,情報把握が難しい
小規模MICEに対するニーズ把握が目指されています。 一方,「京都市MICE戦略2020」では,今後の施策として,M・I専門官,これは仮称でありますけれども,これの設置などが挙げられています。他都市においては,MICEではありませんが,
シティプロモーション分野として,千葉県流山市では
マーケティング課が設置されて,課長,シティセールスプロモーションマネージャー,
メディアプロモーション広報官が民間公募で3名,任期付きで採用されており,専門性が高く,行政の枠に捕らわれない発想でシティセールスを実施されています。ともすれば市側のPRが先行し,企業が求めている価値は何か,価値を満たす上で,本市が競合より優れている点は何かといった発想,そして,その差別化を評価してくれる企業はどこか,サービス,価格,広告,販路においてどう差別化するかといった具体的な
マーケティング戦略が見えないことが多い中で,流山市の事例は大変参考になると思われます。そこで,今後,京都が日本のMICEを牽引する,世界があこがれる
観光MICE都市への更なる飛躍をすべく,
コンベンション分野だけでなくM・I・E分野での誘致強化という大きな目的のために,どのような執行体制を考えているのか。M・I専門官の配置も含め,MICE戦略の更なる推進に向けての市長のお考え方をお聞きしたいと思います。 最後に,観光産業を推進するに当たっての市民理解についてお伺いします。観光産業の成長が高い経済効果をもたらし,雇用創出効果もあるということは,国等の報告書を見ても頭では理解できますけれども,高級ホテルなど一部の富裕層向けの戦略やMICE戦略など,市民から見れば,私たちには関係ないという感じではないでしょうか。確かに,結果として雇用が創出されたとしても,MICEのおかげで仕事ができたという市民の意識は不要かもしれません。 しかしながら,国際的なMICEの誘致合戦,国内外での激しい都市間競争の中で,全市一丸となって積極的な取組を進めていくことが必要であります。折しも,京都のまちの強みを京都の高い精神性に求め,
京都ブランド向上の取組を進めていくのであれば,それを実践する市民を巻き込むことが京都らしさの一端になるのではないでしょうか。そのためにも,市が推進する観光産業,MICE戦略を市民一人一人が実感し,共に進めていこうという心構えが必要だと思います。そこでお伺いいたします。市は目指す姿を世界があこがれる観光都市としていますが,そのために京都市民一人一人がすべきことは何だと考えていますか。計画の推進体制には,「市民に期待される役割として,千年を超える歴史と伝統を持った奥深い京都のほんものの魅力を再認識することで,京都人としての誇りを持って,観光客をお迎えする。また,市民自らも京都の魅力を最大限享受する」。こういうこととなってありますが,実態としては周知がそこまで至っていない部分もあると思います。この計画に対する市民理解の現状と課題をどのように把握していますか。観光産業を推進するに当たり,市民一人一人の役割に対する市長の思いと,その現状についてお聞きをしたいと思います。 次に,総合的な空き家対策の推進についてお伺いいたします。昨年7月,総務省が平成25年の住宅・土地統計調査の結果を発表しました。全国の空き家が820万戸に上り,空き家率は過去最高の13.5パーセントになったと新聞やテレビで大きく報じられたことは記憶に新しいところであります。京都市においても,空き家数は11万5,000戸に上り,空き家率は全国平均を上回る14.0パーセントといった状況であります。空き家の増加は,防犯や防災,生活環境の悪化,景観の悪化,更には
地域コミュニティの低下など,地域に様々な影響を及ぼすなど,その対策はまさに喫緊の課題であります。こうしたことから,京都市では,平成25年11月市会において,空き家の予防・活用・適正管理・跡地の活用までの総合的な対策を進めるといった全国でも類を見ない条例を提案,全会一致で可決されたところであります。そして,昨年4月の条例施行に合わせ,都市計画局に,まち再生・創造推進室を設置されました。こうした動きは歓迎すべきものであり,頑張ってもらっていることは承知しておりますけれども,私は,空き家問題の解決には,更に踏み込んだ対策が求められると考えております。 第1に,空き家の活用についてであります。まち再生・創造推進室による本格的な空き家対策が始動している一方,民間資本を投じ,空き家となった京町家の活用をされてこられた四条京町家が解体の危機にあります。明治43年に建てられたこの建物は,四条通に唯一残る京町家であり,NPO法人などが15年間にわたり活用されてきましたが,多額な固定資産税などで維持管理が困難となり,今春にも取り壊されることになりました。京都の強みであるはずの京町家であり,京都市も京町家の保全・再生をうたっているにもかかわらず,また,観光客らに一般公開し,京都の伝統的な生活文化を今に伝える重要な役割を果たすこの建物ですら,このような結果となったのです。確かにこれはレアなケースではあると思いますが,しかし,今後持続可能な空き家の活用というものを考える際には,考慮していかなければならない事例でもあると考えます。例えば,宅建事業者をはじめとした民間事業者との連携や資金調達の多様化,更には空き家の活用状況に応じた固定資産税の減免など,官民挙げた空き家対策が不可欠ではないでしょうか。
地域連携型空き家流通促進事業との連携を含め,どのように持続可能な空き家の活用・流通の促進を図るのか,市長のお考え方をお伺いしたいと思います。 次に,業務の執行体制についてであります。空き家対策の難しさは,空き家の所有者を指導する,空き家所有者に利活用を促すといっても,そもそも所有者の特定,行方の捜索が容易ではありませんし,判明しても必ずしも京都に住んでいるとは限らないので,情報が届かないといった点にあります。また,人口減少時代にあって,今後も空き家は増加していくであろうことを考えると,京都市が空き家の改修助成を行うにも財政的な限界というものもあります。法的な制約等により改善をしたくても困難である場合が多く,こうしたことが空き家を生み出す要因の一つになっていると考えられますが,空き家対策は他の施策とも密接に関連しております。こうした中,空き家対策を更に強力に推進し,都市の活力の維持,向上を図るには,区役所をはじめとする庁内間の連携はもとより,市役所を挙げて行財政改革に取り組む中ではありますが,体制の一層の強化が必要となってくるのではないでしょうか。まち再生・創造推進室は,業務内容というよりかは,解決すべき問題が組織の名称になっており,部門横断的な組織であると思います。専門的であるがゆえにタコつぼ化してはなりません。先の四条京町家のような事例を防ぐためにも,局を超えた,それぞれに横串を入れる役割が期待されると思いますが,どのようにして11万戸を超える空き家の対策を打っていかれるおつもりか,そのお考えを併せてお聞きしたいと思います。 最後に,私の地元に関する2件についてお聞きいたします。 1点目は,毎回登壇するときに質問しております山間地域の活性化についてであります。京都市は市域の面積の4分の3を森林が占めております。北山三学区と呼ばれる中川・小野郷・雲ケ畑は林業の中でも銘木の北山杉の生産地として栄えてまいりました。しかし,近年は林業不振で,職住一体であったこの三学区が全く元気のない集落となっている状況であります。林業不振の要因は,昭和30年代後半から森林資源のエネルギーとしての利用が縮小され,さらに木材の輸入自由化により安価な外材が入ってきたことなどが挙げられます。生活様式の変化や価値観の違い等も林業不振の一つの要因であると考えます。林業で生計を立てていた集落が疲弊いたしますと,若い後継者が都会に出て行き少子化となり,小学校も廃休校となって高齢化が進むという状況があります。それでも悲観せずに頑張っている方もたくさんおられます。このまま放置してはいけないと北区役所や農林振興室でも,地域再生,活性化の取組をされてきました。特に北区役所では,北山三学区の地域振興については,平成24年度から2箇年にわたり地域住民と共に検討を進め,平成26年3月に,北山三
学区まちづくりビジョンを策定されました。平成26年度はビジョンに掲げた様々な活動と情報発信により,継続的な交流人口増加から定住にもつなげるという方針に基づき,三学区それぞれの独自性をいかしつつ取組の継続を目指して,最も効果的な地域振興の支援策を検討していると聞いております。こうした取組をしていただくのも結構でありますけれども,やはり三学区は林業の地域であります。林業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが,森林の荒廃が進む中で,どのような対策を採っていくのか。森林災害への対策,市民生活の安全を担保するためには,やはり継続した森林整備が必要です。厳しい経営環境での総合的な林業の振興策についての考え方,また,前半部分で触れました北山三学区を限界集落化させないための方策について,市長の御所見をお伺いしたいと思っております。 もう一点は,御薗橋の整備についてであります。今年の秋には上賀茂神社御遷宮がございますが,それが終わりますと,次は神社の参道である御薗橋の整備について期待が掛かります。御薗橋は,緊急輸送道路にも指定されており,またその道路事情が非常に複雑でありますので,非常に通行量が多いのでありますが,この地区は今,上賀茂神社が世界遺産でもあり,歴史的な意味合いも深く,今度の橋は,そのデザイン検討会が行われましたけれども,いわゆるいい橋にしていただきたい。木造にするのか,石にするのか,最後の詰めになっておりますが,今後のスケジュールについてお伺いをしたいと思います。 これをもって私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 小林正明議員の御質問にお答えいたします。 来年度予算案と京都経済の活性化についてでございます。来年度は,私の2期目の総仕上げの年であり,また,私がマニフェストでお約束した121の政策を全て盛り込んだ「京プラン」実施計画の最終年度であります。このため来年度予算は,これまで着実に積み上げてきた取組を結実させるため,過去2番目の規模となる積極予算として編成いたしました。また,これまで最優先で取り組んできました福祉,子育て支援,教育の充実や安心安全のまちづくりをしっかりと推進しつつ,国の緊急経済対策による財源を活用した今年度2月補正予算と一体のものとして,景気回復と東京一極集中の打破,人口減少社会への挑戦を進め,未来を築く予算であります。そして,そのために,まず第1に重視したのが京都経済の活性化と安定した雇用の創出であります。京都市の景気は,緩やかな回復基調にありますが,個人消費に弱さが見られ,業種によるばらつきがあるなど,いまだ家計や中小企業が実感できるまでには至っておりません。このため,地域経済と雇用を支える中小企業の成長支援と下支えを基本とし,環境・エネルギーなどのグリーン産業や健康・医療・介護などのライフサイエンス産業,さらにコンテンツ産業の分野において新産業の創出を図るとともに,伝統産業技術の保存や後継者の育成,中小企業の販路開拓支援の充実などに取り組んでまいります。あわせまして,伝統産業や小売・商業など幅広い産業に関連し,地域経済にも高い波及効果を期待できる観光産業につきましても,観光消費額の増加に向け,昨年秋に策定いたしました「
京都観光振興計画2020」に掲げた191の事業のうち,計画初年度として130の事業に着手してまいります。今後とも,全ての市民の皆様に景気回復を実感していただけるよう,国,府,経済界等とも連携しながら,あらゆる京都の強みを生かした事業を展開してまいります。 次に,MICE戦略の推進についてでございます。京都市では,平成22年に全国の自治体で初めてMICE戦略を策定し,
観光MICE推進室を設置するなどMICE施策を本市の重要施策として位置付け,取り組んでおります。小林議員御指摘の国のアドバイザーは,30年以上のキャリアを持つ,世界的に活躍し実績のあるアドバイザーであり,本市のこれまでの取組を高く評価いただきますとともに,国際的な情報収集力,情報発信ツール,市内MICE関係の事業者・学術関係者・行政機関との連携,予算・人員体制の4点に対する強化の指摘を受けました。 このような指摘を踏まえまして,今年度新たに社会的なMICEネットワークである国際会議協会ICCAへの加盟,市内108の
コンベンション施設の情報交換や連携強化,施設ガイドの作成と共に市内約100名のMICE関係者を集めたセミナーの実施等スピード感をもって行ってまいります。来年度はさらに市内のMICE関係者が研究や情報交換等を行うMICE協議会の設置,M・I(ミーティング・インセンティブツアー)誘致の強化のためのM・I専門官の採用,M・Iなどの
小規模MICEへの開催支援助成金制度の創設,大学の同窓など京都の人脈を最大限にいかした情報収集や誘致活動など,MICE事業全体では,前年度から1,000万円増額となる充実した予算編成をいたしました。執行体制については,本市が企画立案を担い,
京都文化交流コンベンションビューローにおいては,民間でマーケティング経験のある担当部長を先頭に,本市から派遣した職員2名や民間経験者も含めた14名体制で行政の枠にとらわれない発想で事業を進めております。引き続き,両者が密接に連携しながら,世界があこがれる
観光MICE都市へ更なる飛躍を目指して,MICE戦略の推進に全力を傾けてまいります。 次に,観光振興における市民の皆様の御理解と役割についてでございます。京都市では,昭和31年に制定した京都市市民憲章において「私たち京都市民は,旅行者をあたたかくむかえましょう」「美しいまちをきずきましょう」などを掲げ,市民ぐるみのおもてなしに取り組んできました。これらを含めましてあらゆる取組が結実し,昨年,世界的に権威のある米国の旅行雑誌の読者投票で世界一の観光都市に選ばれたところであります。今後,2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて,より多くの観光客を温かく迎えるためには,まず市民の皆様が京都の文化等を自ら楽しみ,京都に住む喜びと誇りを感じていただくこと,そして観光の振興が京都経済の活性化や安心安全の実現,市民生活の豊かさにつながることを市民の皆様により一層感じていただく,理解していただくことが大切であると考えております。そのためにはパークアンドライドなどの歩くまち,公共交通優先の取組の推進により,交通渋滞の解消を図るなど,市民の皆様はもとより観光客も双方が気持ちよく過ごせる取組,これらを進めるとともに観光の振興が伝統文化,伝統産業の継承・発展,まちの魅力の向上に寄与し,市民生活の向上が実感できるあらゆる政策を融合した取組へと進化させていく必要がございます。こうした取組を通じまして,今後とも,住んでよし,訪れてよしの世界があこがれる観光都市の実現を目指してまいります。 次に,総合的な空き家対策の推進についてでございます。本市では,京都の財産である京町家が今日も多く残るなど,こうした都市特性を踏まえまして,空き家の適正管理にとどまらず,予防から活用・流通の促進,跡地の活用までを盛り込んだ全国にも類を見ない総合的な空き家条例を昨年4月に施行いたしました。この条例に基づきまして,空き家対策に取り組む地域の自治組織を支援する
地域連携型空き家流通促進事業を実施するとともに,研修を受講いただいた不動産事業者の皆様に登録証を発行し,地域の空き家相談員として,空き家所有者の方々の相談に応えていただくなど,地域・事業者・本市が一体となった取組を進めております。今後とも空き家の活用・流通をはじめ,持続的かつ効果的な対策を進めていくためには,市民の皆様,事業者の方々の御意見を踏まえ,常に施策を進化させていく必要がございます。この認識の下に,来年度は空き家の改修予定につきまして事業者が空き家を借り受け,貸し出す場合も助成対象にするなど,一層,利用しやすい制度に充実してまいります。 また,新たな改修資金の調達方法といたしまして,インターネットで事業者と国内外の多数の投資家を結び付け,幅広く資金を集めるクラウドファンディングを全国に先駆けて導入いたします。さらに小林議員御指摘の空き家対策の体制の充実でございます。区役所・支所との連携はもとより,縦割りを排した横断的な取組が不可欠であることから,密集市街地・細街路対策など関運施策をはじめ京町家等の空き家を住宅として活用するにとどまらず,観光客の宿泊施設,商業施設,芸術家の活動拠点,さらには高齢者の居場所,増加する留学生用の施設などとして活用するなど,京都市のあらゆる施策と徹底した融合を図り,空き家対策に係る体制を充実のうえ,全庁一丸となって全国をリードする京都ならではの空き家対策を推進してまいります。 次に,北山地域における林業振興等についてでございます。中川・小野郷・雲ケ畑の北山三学区を中心に営まれ,600年を超える歴史と伝統を有する北山林業は,京都の誇る宝であります。しかし,丸太の生産量がこの四半世紀で9割以上減少するなど非常に厳しい状況にあります。小林議員御指摘のとおり,防災,治水などの森林の機能を持続的に発揮させる観点からも,林業振興は欠かせないものでございます。そのために,これまでから,植林や枝打ちなどの計画的な森林整備をはじめ,本市公共建築物への市内産木材利用増の倍増,全国に先駆けた2,000平米以上の建築物への地域産木材の利用の義務付け,住宅リフォーム等に対する市内産木材の利用助成に取り組んでまいりました。さらには,近年円安により,国産材と輸入材の価格差が縮小しつつあるこの機会を捉えまして,来年度から,製材加工施設の抜本的な整備を支援し,この施設における平成30年度の市内産木材の加工目標量を現在の12平米から約200倍の2,400立米にするなど,また看板に良質の市内産木材を活用する取組など川上から川下まで一貫した施策の充実を図り,地域林業の活性化を図ります。 また,北山三学区を限界集落化させないために,林業の活性化に加えまして,北山丸太倉庫群や農家民宿といった地域資源の観光活用や自治会によるまちづくり活動など地元の取組をしっかりと支援し,都市と山村の交流を促進することにより,定住人口の増加につなげてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕
◎副市長(小笠原憲一) 私からは,地下鉄5万人増客目標の達成についてお答え申し上げます。地下鉄のお客様数は,平成22年度から平成25年度までの4年間で,1日当たり2万2,000人増加いたしました。今年度に入っても増加傾向は続きまして,今日時点で更に1万人を超える増客となっております。目標である5万人増客の達成に向けて,市民の皆様方の御協力により,着実に前進していると実感しております。増客は地下鉄の経営健全化の第一の柱であることから,今後とも,人と公共交通優先の「歩くまち・京都」の一層の推進をはじめ,地下鉄を核とした活力あるまちづくり,観光の振興,商店街の活性化,大型イベントや沿線での多彩な催しの展開,さらには,空き家対策をはじめとする人口減少社会に挑戦するあらゆる政策とも融合させ,市の総力を挙げて計画期間の平成30年度までに5万人を超える増客を実現してまいる所存でございます。 次に,サービス向上の取組についてでございます。小林議員御指摘のとおり,観光都市京都の交通インフラの中核を担います市バス,地下鉄において,おもてなしの心を持ってお客様をお迎えすることは極めて重要でございます。このため,今年度新たに全国一お客様サービス実践プロジェクトチームを設置し,外部員によるモニター調査も行い,セルフチェックをはじめ,はきはきした発声,あるいはきびきびとした行動この実践など,交通局の総力を挙げた取組を展開しております。来年度には,新規事業として,親切丁寧な案内を行う市バスコンシェルジュの配置や,市バス観光マップの中国語・韓国語版の作成,4箇国語表示による地下鉄券売機の導入などを行うこととしております。全国,世界から京都にお越しになるお客様に心のこもったサービスが提供できるよう,引き続きチャレンジしてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 藤原建設局長。 〔藤原建設局長登壇〕
◎建設局長(藤原正行) 最後に,御薗橋の整備についてでございます。御薗橋の架け替え事業につきましては,現在,用地買収を行うとともに,詳細設計を進めておるところでございます。詳細設計の実施に当たりましては,小林正明議員御指摘のとおり,上賀茂神社や賀茂川等の周辺景観にふさわしい橋となりますよう,学識経験者や地元役員などをメンバーとする京都市御薗橋景観検討会議におきまして,橋の欄干や歩道等のデザインについて御意見を伺いながら検討を進めておるところでございます。来年度は,引き続き残る用地買収を進めますとともに,車や歩行者の通行を確保しながら,橋りょう南側の拡幅部分の工事に着手をし,その後,現在の橋がございます北側部分の工事に着手するという手順で進めてまいる予定でございます。今後とも,地域の皆様の御理解,御協力を頂きながら,着実に工事を進め,できる限り早期の完成を目指して全力を挙げてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 次に,津田大三議員に発言を許します。津田議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕
◆(津田大三議員) 「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」。 中京区選出の津田大三であります。この句は服部嵐雪の大変有名な句であります。梅の花は厳しい冬を耐え,春の訪れを知らせる代表的な花であります。厳しい冬の間に力を蓄え,ゆっくりとつぼみを膨らませ,そして一輪一輪と花を咲かせます。まさに我が自民党は厳しい冬の民主政権の3年半に力を蓄え,政権交代後の2年間ゆっくりとつぼみを膨らませ,小枝からようやく梅の花が咲き,春に向かおうとしています。この新しい春の季節を国民の皆様と迎えるためには,何でも削ればよいという古い考え方ではうまくいきません。今の時代に合った新しい取組により,希望を持ち,またその先に大きな夢を持つことで春を謳歌し,すばらしい初夏を迎えることができるんだと思っています。今まさにこの方向を決める大切な時期が来ています。後ろ向きでは駄目なのです。我が党は,現在地方創生に取り組み始めました。これは人口減少社会に正面から取り組み,東京一極集中から真の意味での地方の発展を期するものであります。簡単なことではありません。そのためには,その地域の魅力をいかに引き出すかであり,与えられるものではなく,自らが努力することによって初めて機能するものであります。前向きな気持ちでなくてはならないのです。正に先ほど小林議員からも言及がありました交通局の改善のように,前を向き積極的な取組をすることで不可能と思われていることが可能になるのではないでしょうか。もちろん今の時宜に合った取組でなければなりませんし,また,いかに効率的にするかは当然でありますが,希望がなければ人は前に進めないのです。そういった意味で今回幾つかの提案をさせていただきますが,夢の持てる前向きな答弁を期待し,質問に入ります。 冒頭にも申し上げたとおり,年末に総選挙があり,国民の皆様の信託を受け,第3次安倍内閣が発足いたしました。これまで安倍内閣は,社会保障と税の一体改革を着実に進めることにより,医療,介護,子育て支援といった社会保障制度の充実に努めてこられました。このための財源である消費税率の10パーセントへの引上げについては,現下の経済情勢を踏まえ,当初予定されていた平成27年10月から1年半先送りされたところであります。しかし,今回の総選挙で得た国民の皆さんの信託をしっかりと踏まえ,子育て支援,医療,介護など,社会保障の充実については,可能な限り予定どおり実施するとの方針を決定されたところであります。平成27年度の政府予算案においても,こうした方針の下,子ども・子育て支援新制度を予定どおり平成27年4月1日から施行することをはじめ医療や介護の基盤整備など,社会保障の充実が更に前進することとなっております。このことがどのように京都市に影響していくのか。平成27年度京都市予算案における社会保障制度の充実がどのようになったのかについて,特に,市民の生活に大きく関わる子ども医療費の拡充や国民健康保険についてお尋ねをいたします。 まず,子ども医療費については,これまでの府市協調の取組をより進めることによって,来年9月より,負担軽減を中学生まで拡充されることとなっております。具体的には,これまで小学生以下であった,一医療機関当たりの入院月額200円,また一医療機関当たりの通院月額上限3,000円が,中学生まで適用されることになっています。子育て世代にとって医療費負担は大変なもので,私自身も4人の子供を抱える現役の子育て世代であり,この拡充により子育てに大きな安心を得ることができると感じています。これまでも自民党議員団は,平成19年の乳幼児医療費から子ども医療費へ名称を変更し,就学前から小学生へ拡充する際にも,知事や我が党府議団に要望,連携し,実現をしてきました。また,償還払いであった通院上限3,000円も現物支給とすることで,3,000円を持っていれば安心して病院にいけるようにした際なども,我が党議員団は大きな役割を果たしてきました。 これらは,国・府・市のそれぞれの議会において,それぞれが最大会派であり,その責任を果たすことができるためであり,今後も自民党がイニシアチブをとって,少子化対策や子育て支援の一つ一つの政策を前に進めていきたいと考えております。残る課題としては,就学前の3歳から6歳までの通院費の減額や,子ども医療費の高校生までの拡充についてであり,予算の問題など今すぐには不可能であると思いますが,これを可能となるよう,国や府に働き掛け,道筋を模索していただきたいと思いますが,いかがですか。 また,平成27年度の京都市の国民健康保険予算案では,一定の財政健全化が図られるとともに,昭和36年の制度創設以来初めて,被保険者一人当たりの保険料額,そして,保険料額決定の基盤となる,いわゆる保険料率,いずれも前年を下回ることとなっています。自民党議員団は,国民健康保険について,財政健全化と被保険者の皆さんの負担の軽減とをこれまでから求めてきたところでありますが,本市独自の努力と併せ,今回,社会保障と税の一体改革に基づく財政支援策の大幅な拡充により,多くの被保険者の負担が軽減されることになったと大きく評価をいたしております。 一方で,国民健康保険の最高限度額は,国基準に合わせ引き上げられることになっています。国民健康保険の性質上致し方のないことではありますが,被保険者の7割以上が低所得者であり,保険料の減額措置を受けているのが現実であり,どこかで負担をしなければなりません。しかし,このまま限度額を引き上げ続ければ,現在でも高額所得者は保険に加入せず,10割,つまり全額の医療費を支払い,税控除を受ける方が費用の負担が軽く,民間保険などを合わせれば,モラルハザードが起こる可能性を否定できない状況となってきました。そうすれば,最も大切なことである皆保険制度が崩れてしまいかねないと危惧をいたしております。 そこで,まず平成27年度の国民健康保険の予算編成に当たり,本市として重視した点をお伺いしたいと思います。そのうえで,将来の都道府県への移管,さらには,今後も強く求めていく必要がある医療保険制度の一体化などを見据え,本市として,今後どのような姿勢で国民健康保険事業の運営に臨むのか,その将来像についてのお考えを明らかにしていただきたいと考えますが,いかがですか。 次に,ラグビーワールドカップ2019誘致の意義についてお伺いいたします。昨年10月30日,ラグビーワールドカップ2019開催希望申請書を組織委員会に提出され,正式に開催候補地として立候補されました。その後,12月に神奈川県と横浜市が共同で手を挙げることとなった結果,北から札幌市,岩手県釜石市,仙台市,埼玉県熊谷市,東京都,神奈川県・横浜市,静岡県,愛知県豊田市,京都市,大阪府東大阪市,神戸市,福岡市,長崎県,熊本県・熊本市,大分県の15都市が候補地となっています。組織委員会は,大会を盛り上げるため全国各地で大会を開催したい意向を伝えておられます。つまり,どこかの地域だけが恩恵を受けるのではなく,日本全体としてこの大会に関わることとなります。先月の1月15日には西京極球場の公式視察が行われ,市長,議長,文化市民局が担当し,今後の施設改修や京都の優位性,また議連をはじめ,その熱意,京都とラグビーの歴史などを代表の方々に御説明いただいたと伺っております。きっと,ラグビーワールドカップ運営責任者のアラン・ギルビン氏をはじめ,組織委員会の方々に熱い思いが伝わっていると思います。人事は尽くされた,後は天命を待つのみとの心境でありましょう。 私は,この日本開催の意味は,大変大きいと考えています。ただ,ラグビーワールドカップの認知度は残念ながら日本では低く,むしろ,2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け,メディアをはじめ多くの国民が期待し,この機に何ができるかを考えているように感じております。しかしながら,これまでの大会を比較してみると,ロンドン五輪での観客数は約740万人と言われており,ラグビーワールドカップ・ニュージーランド大会での約148万人と差がございますが,テレビの視聴者数はオリンピックの47億人に比べ,ラグビー約39億人となっています。また,外国人の参加数は13万人以上であり,その滞在日数はラグビーワールドカップの方が長いとの結果も出ています。このデータは様々なものがあり,一概に比較しにくいことは事実でありますが,殊,外国人を誘致するという意味においては,むしろラグビーワールドカップの方がその意義は大きいとも言えるのです。また,オリンピックは単独都市開催であります。そのことを考えれば,この時期の国内観光はやはり東京を中心となるはずです。ですから,ラグビーワールドカップ開催期間中の機会をどうするのかは京都にとって大変重要であると考えています。つまり,この取組は,オリンピック,ワールドマスターズゲームズへと続く今後6年間の最初の一歩であると思います。 そこで,当然ではありますが,招致に成功すれば,国際ラグビー評議会(IRB)の要望に対し可能な限り応えていく必要があります。全会派が参加している議連も応援をいたしておりますが,その決意はございますか。また,もし結果が伴わなかったとしても,取り組むべき課題は数多くあると考えています。この機をどのようにいかしていくのか。今後に対してどんな具体策があるのか,どう取り組まれるのか。もう一度お尋ねしておきたいと思います。 次に,LRTについてお伺いをいたします。LRTについては,過去に平成19年,平成24年にも議論がなされました。平成19年には,京都商工会議所の提言も受けて,かなり具体的なところまで議論がされ,一部今出川路線においては交通調査なども実施されました。このときには,沿線住民の理解を得ることができず,また路面電車の復活には,大変な赤字であった市電のイメージも強く,結果として,費用の問題を理由に廃案となっています。再度,平成24年にも議論されることとなり,研究会を発足することとなりました。その際には,平成27年にも整備計画を決める,つまり本年に結論を出すとのことが新聞でも報道されました。最近でも審議会の中で議論はされていると伺っておりますが,残念ながら,かなり消極的なものであると聞いております。 現在,鉄道交通やLRTはヨーロッパなどで広く発展し,路面電車は大きく見直されてきています。また,温室効果ガス削減にも大きく寄与することは言うまでもありません。京都は新しいものと古いものが共存しているまちであり,日本で初めて路面電車を走らせたのも京都であります。そんな路面電車の復活を期待されている方も多くおられます。今後の交通網や京都市の主要施策である「歩くまち・京都」の進展,バス体系の変換や利便性向上などを考えると,LRTには大きな可能性があると考えています。 ここからは全くの私案ですが,大宮通にLRTを通すことはできないかと考えています。これは以前より思い描いていたことでありますが,去る2月2日,JR西日本が平成31年に山陰本線,京都~丹波口間に新たに駅を造るとの発表がありました。この駅の設置は技術的にかなり難しいと聞いておりましたが,平成28年の春には鉄道博物館ができることとなっており,多くの鉄道ファンがこの地を鉄道で訪れることを考慮し,設置に踏み切られたのだと思います。京都市も財政負担をすることとなっており,この駅をどのように生かしていくかを考えなければなりません。つまり,この地に来られる鉄道ファンの方たちをいかに京都観光へいざなうかが問われるのではないでしょうか。 そこで,市営LRTを造り,東寺から大宮通を真っすぐ通して四条大宮を到着駅にすることはできないだろうかということです。最新型のLRTにより,架線のない,また環境に優しい燃料電池型などが候補として考えられます。そうすれば,これをきっかけに京都をより活性化できるのではないでしょうか。メリットは多くあると考えています。JRによって京都駅から,LRTによって,四条大宮からは京福・阪急,東寺からは近鉄とのアクセスを良くすることになり,梅小路エリアへの集客力の強化が期待できます。また,ICカードやスルッとKANSAIなどの磁気カードと連携し,かつ1日フリーパスを作り,利便性を向上させれば,鉄道での京都観光が充実することになるのではないでしょうか。東山や嵐山の渋滞が緩和し,京都の新しいスポットが,京都全体への活性化につながっていくのではないかと考えます。また,大宮通に存在する各商店街の活性化にもつながり,そして私の地元であります四条大宮周辺の経済の活性化にも大きく寄与すると思っています。もちろん簡単な話ではありません。鉄道の結節,沿線住民の理解,道路や交通の問題,費用の問題,考慮する点は多くあります。 このLRT事業において,最も心配されていることは,やはり建設費用と収益の問題です。しかし十分収益の上がる路線を造れると思います。初めに収益の十分上がる路線を設置することができれば,今後更に拡大を考えることができ,期待をされておられます地域への道も開けていくのではないでしょうか。また,今後取り組むべき施策となっているロードプライシングやリニア誘致などに比べると,そのハードルは低いと思います。大きな議論の復活によって,京都全体の活性化への道筋が見えてくることを期待いたしております。今後の議論への一石として御提案させていただきましたが,LRTについて本年中に結論を出すのは無理だとしても,具体的な再検討の可能性はあるのか,お考えをお聞かせください。 次に,京都の観光についてお伺いします。現在,世界遺産を巡る取組が,小学校6年生を対象に行われています。「京都再発見帖」という事業であり,12月20日から1月8日までの冬休み期間を利用したものとなっています。この事業では「京都再発見帖」と銘打たれた冊子に,京都の世界文化遺産17箇所のうち京都市内にあるもの全て,14の寺院や神社などが紹介されております。また,紹介している寺院,神社等にその冊子を持参すれば,附属しているチケットで自由に拝観,見学ができるというものです。各学校を通じ,1万2,000人の子供たちに配布されていると伺っています。この事業の目的は,子供たちに本物の京都の文化財に触れてもらうことで,京都の達人を育てていこうというものです。この事業を,私は大変すばらしいものだと感じています。この企画は産業観光局の
観光MICE推進室のものであり,当然ではありますが,教育委員会と連携した事業となっています。子供たちが自分の住んでいる地域のことに深い知識や愛着を持つための取組であり,未来に向かって大きな役割を果たすと感じています。また子供たちのために,各寺院や神社においても格段の御協力を頂いているところであり,感謝いたしております。 ところで,京都の人は京都観光を余りしないと言われています。また,これまで京都の観光は,点での観光が中心であり,魅力ある史跡やスポットを訪れられます。これを面での観光へと変えることは,京都市として一つの大きな目標であると考えます。この課題を克服するためには,この「京都再発見帖」という事業を広げることはできないかと考えています。つまり,この取組を子供たちだけでなく,大人へと広げることはできないかということです。もちろん子供たちのように無料ではなく,有料の取組であるべきです。交通局の1日乗車券などと連携することによって,京都を一つのテーマパークのように捉えることができないかと考えています。日本にある最大級のテーマパークであるディズニーランドやUSJも良いと思いますが,例えば1日券はディズニーランドで6,400円,USJで7,200円掛かります。そう思えば,京都を1日堪能し,日本の奥深さを知ってもらうために,あるいは京都の人がより深く京都を知るために,ある程度のお金を出しても十分意義があるのではないでしょうか。 また逆に,先ほど紹介しましたラグビーワールドカップ開催のときやオリンピック期間中に,限定的に外国人にポストカンファレンスツアーのように,有料で行うことも面白いのではと考えております。観戦の半券をお持ちの方だけを対象としてみるのはどうでしょうか。公共交通とも連携すれば,混雑の解消にもなると思います。 これらの取組には,様々な課題があると考えています。しかしながら,閑散期に京都の人に限って,あるいは外国人が多く来る時期に限り,人数も限定することでプレミアム感も出せるのではないでしょうか。多くの寺社仏閣に御協力を頂かなければなりませんが,その方向性を探っていくべきだと考えます。現在の京都観光から,更に魅力ある京都の観光づくりの一助として御検討いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 最後に,自転車の在り方,位置付けについてお伺いいたします。京都市において,自転車問題は古くて新しい問題であると言えます。自転車を取り巻く環境は,平成25年の道路交通法の一部改正により大きく変化いたしました。この改正の背景には,歩行者と自転車の事故が多発していることがあり,そのことが結果,多額の賠償問題などに発展するケースが増えているからだと感じています。また,高齢者や障害者,特に視覚に障害をお持ちの方より,歩行中に大変恐い思いをするとの声も多く聞いております。さらに,地元中京区の高倉小学校区においては,元来通学路に車や自転車の通行が大変多いこともあり,子供たちの登下校の際,非常に危険です。実際,過去に車両との接触事故も起こしています。その上,現在四条通では歩道拡幅工事が行われており,今後も含め細街路への流入車両の増大が起こるのではないかと保護者の皆様をはじめ多くの方が心配をされています。また,この区域では道路にカラー舗装等が施され,通行の区分がされていますが,かえって危険ではないかとの声もあるのが事実です。 このような中,自転車総合計画の見直しが行われようとしています。昨年12月より本年1月に掛けてパブリックコメントがなされたところでありますが,この中身を見てみますと,何よりもまず歩行者の安全を図るということが掲げられています。そして,五つの見える化政策を進めていくこととなっています。この五つとは,走行環境,ルール・マナー,駐輪環境,自転車での観光,自転車施策全体の見える化のことで,計画の柱となっています。また,総合政策条例の制定も視野に入っており,10数年前より条例策定の提言をしていた私といたしましても,大変評価をしているところです。 しかしながら,これらの見える化一つ一つには,多くの課題が存在しているのであります。例えば走行環境の見える化については,先ほども紹介いたしましたが,高倉小学校区に描かれている走行レーンをきっちりと守れば,自転車と自動車が同時に通行することができなくなってしまいます。また道路交通法上においては,こういった細街路の走行レーンについては法的拘束力がなく,そこを通っていただくのが望ましいのでありますが,危険や不可能な場合などはどこを通っても良いこととなっています。こういったルールの認知も低いのではないかと考えております。 また,放置自転車対策においても,これまでの様々な取組により大きく前進し,放置自転車数の大幅な削減をされたところでありますが,今市会に提案されている条例改正により,撤去地域をこれまでの繁華街や駅周辺から大幅に拡大され,京都市内ほぼ全域とされることとなっていますが,そのための人員配置などは本当に十分なのかなど議論があるところであります。さらに,特に外国人に人気のある自転車での観光や,自転車と公共交通機関との連携については,今回の自転車総合計画において,私は計画が不十分なのではないかと危惧しているところであります。自転車の問題は簡単なようで難しい問題だと考えております。しかし,喫緊の課題でもあります。また,安心安全や,観光,環境,福祉,都市計画などにも深く関わる問題でもあります。 この計画の冒頭に書かれているように,歩行者の安全が第一であるならば,自転車の利便性の向上よりもむしろ安全対策に力を入れなければなりません。そうであるならば,全ての計画においてその視点を持たねばならず,様々な施策が大きく変わってくるのではないでしょうか。自転車は便利な乗り物でありますが,一歩間違えれば,人を殺してしまうこともあり得る車両です。歩行者がおられる所では,いかにスピードを出させないようにさせるのか,あるいは車両という扱いをどこまできっちりとしていくのかなど,今後京都市の施策の中で,自転車をどのように位置付けていくのか,明確なお考えをお聞かせください。 政治とは真心を持って真実を伝えること,これは石破茂地方創生大臣により直接教わったことであります。当たり前のことでありますが,私の心に残って離れません。うそやでたらめ,またやってもいないことを喧伝するのであれば真実を伝えていませんし,議会の場ではおとなしく市民の前だけで勇ましいのであれば,それは真心がないのであろうと思います。また,私は政治とは少しずつ現実を前に進めること,そしてしっかり結果を出していくことだと考えています。真心を持って,また謙虚でありながらも着実に一歩ずつ京都の政治を前に進めていくために,自民党議員団の一員としてこれからも精一杯取り組んでまいります。 市長には,是非京都の市政を前に進める答弁をお願いし,結びに私をこの12年間お支えいただいた多くの皆様に感謝を申し上げ,現在予算委員長を務めておりますので,恐らく私の今期最後の質問となりますが,これで私の質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 まず,子ども医療費支給制度についてでございます。子ども医療費支給制度につきましては,子育て支援の大きなテーマであると認識しており,国における補助制度のない中,府市協調の下で,今日まで度重なる制度の拡充を図っております。平成24年9月には,通院について対象年齢を小学校6年生にまで拡大するとともに,平成25年9月からは,平成24年2月市会において,自民党をはじめとする議員団の御提案により可決された決議を踏まえまして,本市独自で通院医療費の支払方法について改善を行いました。さらに制度の一層の拡充に向け,京都府等とも積極的に検討を進めてきたところであり,本年9月から,現行制度では小学校6年生までとなっている支給対象を,就学前幼児や小学生と比べまして受診した際の通院医療費の負担が重くなっている中学校3年生にまで拡大いたします。子供の医療費の負担軽減施策につきましては,子供の命を守るセーフティネットとして,国の責務として全国一律に実施されるべきであると考えております。国に対しては,これまでから子供の医療費の補助制度の創設を求めているところでありますが,引き続き,他都市とも連携し,より強力に要望を行ってまいります。今後とも本制度に関する市会の決議やこれまでの制度拡充の実施状況等も踏まえまして,子育て家庭の経済的負担を軽減し,安心して子育てができるよう,また将来にわたって持続可能で,現実的かつ効果的な制度となるよう,京都府とも協調しながら,厳しい財政状況の下ではございますが,段階的に拡充していくことも視野に研究を進めてまいります。 次に,国民健康保険についてでございます。来年度の予算編成に当たりましては,市民の皆様の命と暮らしを守るため,被保険者の負担軽減を図るとともに,国民皆保険を支える国民健康保険の安定を図ることを最重点に取り組むことといたしました。津田議員御指摘のとおり,国による社会保障制度改革におきまして,また本市としてもこれまで国に対して強く要望してきました国保の財政支援について,約1,700億円もの公費投入が盛り込まれたところであり,これに加えまして,本市における保険料徴収率の向上対策や後発医薬品差額通知などの医療費適正化等の取組の推進により確保いたしました財源を最大限に活用し,昭和36年の制度創設以来初めて,全ての保険料率を引き下げ,年間一人当たり保険料を平均2.5パーセント,2,532円引き下げることといたしました。 国保制度につきましては,高齢者や所得の低い方の加入割合が高いこと,さらには,低所得者及び中間所得者層の負担を軽減するためには最高限度額を引き上げざるを得ないことなど,構造的な課題を抱えております。本市といたしましては,平成30年度から国保財政運営の都道府県単位化を一つのステップと位置付けまして,国に対して,引き続き医療保険制度の一本化の早期実現を強く要望してまいります。今後とも,被保険者の皆様の御理解と御協力の下,医療費の適正化や政令指定都市トップ水準となる保険料徴収率の維持向上などの取組を引き続き推進し,更なる財政の健全化と被保険者の皆様の負担軽減に努めることにより,国民皆保険制度を堅持し,被保険者の皆様の安心安全な暮らしを守ってまいります。 次に,「京都再発見帖」についてでございます。本市では,京都を訪れる観光客を温かくお迎えするために,まずは市民の皆様が京都の奥深い文化を知っていただき,学び楽しむことによって,京都人としてのたしなみに磨きを掛けるとともに,おもてなしの心を醸成するための取組を市民ぐるみで進めてまいっております。津田議員御紹介の小学6年生のための京都再発見事業では,子供たちから,「実物は写真で見るのとは違い,迫力がすごかった,京都のことをもっと知りたくなった」といったうれしい感想が届いております。関係者の御理解,御支援の賜物であります。 また,子供たちだけではなく,大人の方にも改めて京都の文化遺産に親しんでいただくための取組といたしまして,昨年秋に民間事業者の御協力の下に,市民の皆様の京都の文化遺産を巡るバスツアーを実施いたしました。50組100名の定員に対しまして約1,400組ものお申込みを頂きました。参加者からは,「色々な新発見があった」,「暮らしているまちが新鮮に見えて楽しかった」といった意見が寄せられており,京都の魅力に改めて触れるきっかけづくりとなっております。引き続き,市民の皆様により深く京都を知っていただくための取組を進めてまいります。また,御指摘を踏まえまして,ラグビーワールドカップ等のスポーツイベントの開催期間や閑散期などの誘客に取り組むため,観光施設や寺社仏閣,旅行業者,交通事業者の御協力をいただきながら,「京都再発見帖」のように一つのパスポートで各施設を周遊し,優待や特典が受けられる仕組みなど,多くの観光客の皆様に多彩な京都の魅力を堪能していただく取組につきまして,関係者等と共に研究,検討してまいります。今後とも,市民を挙げておもてなしの気運を高めまして,世界の人々を魅了し続ける国際文化観光都市・京都の更なる進化を図ってまいります。 次に,自転車政策についてでございます。自転車は環境に優しく,子供からお年寄りの方まで幅広い世代の方々が気軽に利用でき,身近な乗り物であるとともに,人と公共交通優先の歩いて楽しいまちづくり,低炭素型のまちづくりを進めるうえで,極めて重要な移動手段と考えております。 その一方で,自転車の放置は,歩行空間を狭めるだけでなく都市景観を阻害し,また,ルールやマナーを守らない自転車の走行は,歩行者との重大な事故を生じさせることになっております。これまで私は,平成22年に策定した自転車に関する計画に基づきまして,積極的に自転車施策に取り組み,例えば自転車の放置台数は,平成19年度の1日当たり7,896台から今年度は1日当たり390台へと,20分の1に激減するなど大きな成果を上げてまいりました。今後,更に自転車を活用したまちづくりを推進していくためには,津田議員御指摘のとおり,まずは安全対策に重点を置く必要がございます。そのため本年度内に,新しい総合計画となる京都・新自転車計画を策定し,小中学生から社会人,高齢者までの各世代に応じたマナー,ルールの周知徹底,左側通行が自然と身に付くような路面表示等による自転車走行環境の整備などの施策に取り組みます。また,かねてより津田議員御提案の本市の自転車の放置防止条例,あるいは自転車等駐車場条例など自転車に関する条例を来年度以降,一元化した総合的な条例の制定も含めまして取り組んでまいります。京都の持つ様々な特性と可能性を踏まえた総合的な政策を市民の皆様の御協力によって実施し,皆様の期待に応えられるよう,体制をしっかりと確立して実施してまいります。これらの取組によりまして,市民の皆様や国内外から京都を訪れる全ての方々が安心して自転車を利用していただく,さらに歩行者にとっても安全な世界トップレベルの自転車共存都市のまち・京都を目指してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕
◎副市長(藤田裕之) ラグビーワールドカップ2019についてでございます。まず,公式戦の京都招致に当たりまして,市会議員の先生方におかれましては,議員連盟を結成していただき,この間様々な活動に御尽力を賜っておりますことに,この場をお借りいたしまして深く感謝申し上げます。ありがとうございます。2019年のラグビーワールドカップを皮切りに,東京オリンピック・パラリンピック,関西ワールドマスターズゲームズと,3年連続で大規模な国際スポーツ大会が我が国で開催されることから,市民スポーツ振興計画の来年度予定しております中間見直しにおきましても,これらの国際大会の開催
意義等を十分に踏まえ,新たな視点も盛り込みつつ,スポーツが市民の皆様の暮らしの中により一層根付くよう取り組んでまいります。 また,スポーツ施設の充実におきましても,既に京都府との協調により着手しております西京極陸上競技場兼球技場や横大路運動公園の計画的整備,改修等を着実に進めるなど,更なる競技・観戦環境の充実を図ってまいります。さらに,ラグビーワールドカップ観戦のために来日される方は約40万人に上ると見込まれるうえ,津田議員御指摘のとおり,滞在期間が長く国内の開催都市間の移動も想定されるため,受入れ環境の充実や文化・芸術・観光イベントの開催などを積極的に行ってまいります。招致を進めておりますラグビーワールドカップ2019を市民のスポーツ活動の充実はもとより,国際文化観光都市としての京都の魅力の全世界への発信,都市格の向上や経済活性化につなげるまたとない機会と捉え,今後とも,市民の皆様と共に熱意を持って取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 堀池交通政策監。 〔堀池交通政策監登壇〕
◎交通政策監(堀池雅彦) LRTについてでございます。津田大三議員から,梅小路周辺エリアの活性化に合わせて大宮通にLRTを通してはどうかとの御提案をいただきました。本市におきましては「歩くまち・京都」の実現に向けて,この間,四条通の歩道拡幅と公共交通優先化,京都駅南口駅前広場整備,鉄道駅のバリアフリー化等に取り組んでまいりました。こうした取組を着実に前進させるとともに,将来を見据えた新たな施策の検討を進めることも重要であると認識しております。このため,エネルギーや通信分野での最先端の技術をいかして,20年後,30年後を見据えた未来の交通について研究を進めるために,昨年8月に京都未来交通イノベーション研究機構を設立いたしました。今後,例えば水素燃料により走行するバスの導入等についても検討してまいります。 また,昨年10月には,京都のまちの活力を高める公共交通検討会議を立ち上げ,10年後の京都の公共交通のあるべき姿の実現に向けた検討にも着手しております。LRTについては,バスに比べ輸送力が大きく,また,定時性や速達性が高く,京都のまちのシンボルになり得ることが期待される一方で,沿道住民の皆様との合意形成が何よりも重要であり,また,そのほかにも整備財源の確保,安定した経営,荷さばきや沿道へのアクセス等,克服すべき多くの課題も指摘されております。この検討会議においては,京都市全体の交通ネットワークの機能を向上させ,民間活力を最大限に活用する視点を持って,鉄道やバスの乗継ぎの円滑化等による既存公共交通の充実とLRTやBRT等の新たな公共交通の導入可能性について検討を進める予定でございます。引き続き,既存の鉄道・バスの徹底活用を図るとともに,将来の技術革新も見据えた新たな公共交通の在り方について検討を進めてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 次に,中川一雄議員に発言を許します。中川議員。 〔中川一雄議員登壇(拍手)〕
◆(中川一雄議員) 私は,最も人口の多い伏見区から選出をいただいております中川一雄でございます。門川市政を支える最大会派である自由民主党から,小林正明議員,津田大三議員両先輩から,続きまして
吉井あきら議員と共に,
自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして門川市長及び関係理事者の方に質問いたします。どうか具体的かつ明確な御答弁をいただきますようお願いいたします。 それでは,質疑に入らせていただきます。 まず,地方創生に関連し,お伺いします。昨年11月21日のまち・ひと・しごと創生法の成立後,政府の地方創生に関する施策が相次いで決まり,今年は人口減少対策,そして東京圏への一極集中の是正に向けて,国を挙げて本格的に取り組む年となりました。均衡のとれた地方分散型社会への脱皮が実現しなければ,国全体の人口滅少が止まらない状態になります。そして,地方には都会にない豊かな暮らしがあるものの,地道な地域活性化の取組がなければ疲弊する一方にあるのが現状です。地方経済の活力を高めることによって人口減少に歯止めを掛け,人口増加に反転させるとともに,価値観の創造にまで踏み込み,オールジャパンで地方への人の流れを作り上げることにより,地方経済の縮小,停滞感を打ち破ることが,待ったなしの課題であります。 こうした認識の下,国では,地方が主役の真の地方創生に向け,仕事づくりや人口減少対策などに資する自由度の高い地方創生に向けての交付金,いわゆる地域住民生活等緊急支援のための交付金を創設され,地方創生先行型と併せて,地域消費喚起,生活支援型についても創設されたところであります。このように,財源はある程度確保されたとしても,重要なのは地方創生に資する中身です。どのような地方創生を行うのか。国も地方も地方創生といっても何をどのようにしてよいのか,お互い手さぐりの状態であろうかと思います。個性豊かで魅力ある地域づくりに向けて,地域の創意工夫による地域課題解決を後押しする仕組みが欠かせません。これは地方創生の根幹をなす考えであると考えます。特に,多くの地方における基幹産業となっている農林水産業の成長産業化に向けては,担い手の育成,六次産業化の推進を着実に進め,農地中間管理機構いわゆる農地集積バンクをフル稼働させて農地の集積,集約化を図り,併せて畜産,酪農分野の競争力強化の実現を図ることで,各地域独自の魅力を持つ地域資源が持続的に発展,再生産される仕組みとなります。 こうした各地域での地域資源を掘り起し,そして,その魅力の増進を図るとともに,我々が担わねばならないのが,地域が潤う好循環に向けての支援,地域産業を担う経営人材の育成支援など,地域の創意工夫をいかした一層の幅広い分野において,それぞれの活動と歩調を合わせたきめ細やかな支援です。そして,その活動を持続的なものとするためにも,若者を中心とした雇用の創出をも同時に図っていかなければなりません。こうした地域資源をいかした雇用の拡大なくして,持続可能な地方の創生などあり得ません。結局は「ひと」の生活です。地方で「ひと」をつくり,その「ひと」が「しごと」をつくり,「まち」をつくるという流れを確かなものにしていく。そして「しごと」が「ひと」を呼び,「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を地方に確立することで,新たな人の流れを生み出し,その好循環を支える「まち」に活力を取り戻すとともに,人々が安心して生活を営み,子供を産み育てられる社会環境を作り出す。人口減少社会にあっては,地方経済の活性化という卵が先か,雇用の確保,創出という鶏が先かといった問題もありますが,人口増加に転換させるためには突き進んでいかねばならない課題であります。 そこでお伺いします。長年にわたり地域で暮らし,美しい国土を守り,日本が誇る伝統文化を育んでこられた方々が,安心してふるさとに住み続けられるために雇用が重要なのは先に述べたとおりであります。雇用を創出し,地域資源をいかすためには,地域内での資金循環の仕組みを作り上げることが必須です。地方創生の観点から,地域内の資金循環をどのように作り上げ,そして国内外から京都市内中心部だけでなく,京都市域全域への投資をどのように呼び込むつもりなのか,市長のお考えをお聞きしたいと思います。 何度も言いますが,地方が衰退して行く大きな原因は雇用です。地元で働く場所が確保できず,ふるさとを捨てて若い人が去って都会に出て行きます。そして,その象徴が廃校であります。子供たちが楽しく活気に満ちた学生生活を送ってきた学舎も,親たちの就職活動で友人,知人と別れ都会へと移動します。そこで,今回の地方創生においては,地域衰退の象徴である廃校を再生しつつ地域資源をいかしていくのはいかがでしょうか。例えば,地方特産の野菜や植物,花や山菜を栽培,加工できる植物工場として廃校を活用してはいかがでしょうか。天候や収穫時季に左右されず,水耕農法栽培で無農薬,減農薬で生産,そしてインターネットによる販売及び受注生産で効率良く,高収益の作物生産を行うことができます。そして,水耕栽培に必要な電気は,校庭や周囲の環境を利用した再生可能エネルギーにより安価に確保し,地元特産の野菜は余った教室で地域住民のアイデアで特産食品を製造,地元名産として販売をすることができます。 徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」に代表されるような,地方であっても,高齢者であっても,都会の有名料亭等とインターネットを介した受注により,地域特産品の販売で月に何十万円の収入を保っておられる地方もあります。このように地方の特色をいかした花・山菜・野菜作りを目指せば,各地で廃校の再利用が可能となります。そして,その事業の展開により雇用が拡大すれば,地域経済も活性化され,地方創生が大きく前進するものと思います。こうした廃校を利用した地域経済の活性化,雇用の促進策はいかがでしょうか。また,廃校の空地部分を動物愛護に関連付けて活用し,雇用の拡大と地方創生の柱として全国的に特色をいかした事業として育成してはどうでしょうか。併せて,お考えを伺いたいと思います。 以上で午前の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 中川一雄議員の御質問にお答えいたします。 地方創生の観点を踏まえた地域経済の活性化についてでございます。京都市は,大都市でありながら市域の4分の3を豊かな森林が占めるなど,中山間地域から都市部まで多様な地域を抱えており,それぞれの地域が奥深い多様な魅力を有しております。こうした京都のそれぞれの地域特性をいかした地方創生,すなわち「まち・ひと・しごと」,そして京都ならではの「こころの創生」を実現していくためには,中川議員御指摘のとおり,歴史・伝統・自然・食文化・匠の技や精神性など京都が守り,大切に育んできた市域資源をいかし,経済の更なる活性化や安定した雇用の創出に取り組むことにより地域内の資金循環を生み出し,京都のまち全体の活性化につなげていくことが極めて重要でございます。そのため,京都市では,これまでからそれぞれの地域の持つ多様な資源を最大限に生かし,観光業,伝統産業をはじめとする製造業,農林業などの活性化に精力的に取り組んできたところであります。 また,グローバル経済下での力強い地域経済を構築するため,昨年9月のニューヨークにおける対日投資セミナーや本年2月の外務省と連携した外資系企業誘致セミナーの場で,私自らが京都の多様な魅力を説明し,発信し,市内への投資を強く訴えるなど,国内外からの投資の促進にも力を注いでまいりました。今後とも地域資源をいかす取組を一層推進するとともに,人づくりの視点をあらゆる取組の基軸に据え,京都の持つ人間力,地域力を最大限に発揮する取組を推進してまいります。同時に,京都駅西部エリアの活性化に向けた取組や京北地域活性化ビジョンの策定など,組織の縦割りを排し,地域の魅力向上のための総合的な政策を力強く進めることにより新たな雇用を創出し,自律的で持続可能な地域経済の好循環を実現し,我が国の地方創生を牽引する決意で取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 白須産業戦略監。 〔白須産業戦略監登壇〕
◎産業戦略監(白須正) 学校跡地を利用した地域経済の活性化についてでございます。本市北部を中心とする農山村地域は,農林業の営みにより自然豊かな里の環境が維持されてきた地域であり,多くの市民の皆様に親しまれてまいりました。しかしながら,過疎化,高齢化の進展,米や木材の価格低迷により,地域活力の低下が懸念されているところでございます。そのため本市では,これまでから,山椒や蕎麦など特産物の育成や「京唐菜」,「京北子宝いも」といった新しい京野菜の普及,大豆加工施設の導入支援など,地域特性に応じた農林業の振興策を推進してまいりました。今後は,これらの取組に加え,農林業の経営強化対策として生産,加工,流通体制の支援を行うことにより,地域に暮らす農林業者の所得向上や雇用拡大につながる六次産業化の取組を重点的に進めてまいります。 中川議員から御提案いただきました学校跡地の活用についてでございますが,地域農産物の生産,加工,販売など,農業ビジネスへの活用にとどまらず,学生やボランティアなど多様な人材を受け入れる都市と農山村の交流の場として活用することも,地域の活性化に役立つと考えております。本市におきましては,各地域で自治会等を中心に学校跡地活用の議論が始まっており,既に給食室を利用した地域特産物作りや区役所と大学が連携したまちづくり拠点としての活用など,住民の皆様が主体となった意欲的な活動も芽生えてきております。今後,農山村地域の更なる活性化のためには,空き家や学校跡地など未利用の土地や建物を地域資源として総合的に活用し,農林業の振興をはじめ観光,教育,福祉,さらには動物愛護など,様々な観点から定住促進につなげていくことが重要であります。このため,住民の皆様の御意向や地域活性化に向けた活動を踏まえながら,全国の先進事例も参考にして,全庁連携の下,取り組んでまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) 中川一雄議員の質疑の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時47分休憩〕 〔午後1時01分再開〕
○議長(中村三之助) 休憩前に引き続き,会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 中川一雄議員に発言の継続を許します。中川議員。 〔中川一雄議員登壇(拍手)〕
◆(中川一雄議員) 午前中に引き続き質問をさせていただきます。伏見区選出の中川一雄でございます。 平成27年度から開始される子ども・子育て支援新制度の下での保育対策についてお伺いいたします。門川市長は,平成27年度予算編成に当たって重視した点の一つとして,京都で子育てしてよかったと実感できる全国トップ水準の子育て環境の一層の充実を掲げておられます。子育てしやすい環境を充実することは,現在子育て中の家庭に対する支援にとどまらず,少子化や人口減少に歯止めを掛ける重要な施策です。先般策定された京都市未来こどもはぐくみプランを拝見しますと,ニーズ調査において,少子化対策に効果がある施策として92パーセントの方が「保育園に入所しやすい環境づくり」を挙げておられるという結果が出ていることや,3年後の平成29年度末までに,保育を必要とする児童が4,679人増加すると見込んでおられることなどから,保育園を利用したいと思っておられる方がまだまだたくさんいらっしゃるということが分かります。 国においては,平成25年度から平成29年度末までの5年間で約40万人分の保育の受け皿を確保して,待機児童を解消することを目指しており,平成27年度では約8万人分の受け皿を増やすこととしています。京都市においても十分な受け皿を確保し,保育園に入れるなら子育てをしながら仕事をしたいという潜在的な保育ニーズにも応えていくべきであると考えます。また,量だけでなく質もおろそかにはできません。消費税率10パーセントへの引上げが1年半延期となったことにより,国の財源確保の問題から,子ども・子育て支援新制度において,予定されていた質の改善が予定どおり実施できるのかという御心配の声もありましたが,平成27年度政府予算案においては,保育園の職員配備の改善や,職員給与の3パーセントの改善など,子ども・子育て支援の質の改善に2,000億円を超える所要額が計上されているところであり,人口減少への対策を真摯に見つめ,でき得る最大限の努力を行う安倍内閣の姿勢が感じられるところであります。 京都市においては,これまでから保育園の職員配備を定める基準より高い基準とし,また,プール制補助金等により保育園職員の処遇向上を図るなど,国より一歩進んだ取組を行ってこられました。これを後退させないことはもとより,さらに,今日的な課題への対応を充実していくことが求められます。その一つに,障害のある児童が安心して保育園で過ごせるように職員を手厚く配備する,障害児に係る保育士の加配があります。昨年の9月市会において,我が党の加藤盛司議員がこの点について質問いたしました。このとき,門川市長は,民間保育園の障害児加配が市営保育所の基準より低いことに対して,格差をなくしていくことが大事だとお答えになりましたので,民間保育園の加配を充実する方向で検討するという趣旨の御答弁であったと受け止めております。 京都市では,昨年4月に関西の政令市初の保育所待機児童ゼロを達成されましたが,保育園を利用したい方がまだまだおられるということを踏まえ,今後に向けてどのような取組を行っておられるのか,待避児童ゼロを2年連続で達成できるのか,お答えいただきたいと思います。あわせて,保育園職員の障害児加配をはじめ,京都市として質の改善にどのように取り組まれるのか,お考えをお聞かせください。 なお,入園・入所の申込みに当たり,保育利用の優先度判定基準に指数,いわゆるポイント制が示され,基本指数と調整指数の合計点数が低い方の保護者を基準として,保育園等ごとに合計点数が高い児童から順に受入れの要請が行われていますが,利用調整の客観性,透明性を確保するため,ポイント加算の在り方は常に見直し,現状の保育ニーズを的確に捉えたものとなるよう努めていただくことを要望しておきます。そして,あわせて新制度による児童館の問題点については,同僚の吉井議員が質問をさせていただきます。 次に,南部クリーンセンター第二工場の建替えについてお伺いいたします。南部クリーンセンター第二工場の建替え整備事業については,設計施工一括方式により,平成25年10月に本体工事の請負契約が締結され,現在,建物等の設計や旧施設の解体工事が進められているところであります。この施設が建設される横大路地域は,昭和初期の塵芥焼却場の建設以降,京都市民の都市生活を支える必須条件である廃棄物処理施設や下水処理施設などが立地し,地域住民の生活環境の確保と,地域のイメージをどのようにして向上させていくかということが課題となっていました。平成19年3月には,私たち横大路地域のメンバーが中心となって,京都市とのパートナーシップにより,伏見ルネッサンスプラン~横大路から発信するまちづくり~を作成し,発表しました。これは横大路地域の都市基盤整備やクリーンセンターなどの環境関連施設との共存を進めることで,横大路地域だけでなく,伏見区,京都市南部地域の活性化を目指していくものであります。これまで市の環境施策に前向きに協力してきた地域にとって,今回の南部クリーンセンター第二工場の建替えは,伏見ルネッサンスプランを推進するという意味においても,大きな期待を寄せているところであります。クリーンセンターを,先進的な環境教育活動を実践する施設として整備することは,地域のイメージの向上に確実に寄与するものと考えております。 その新たな南部クリーンセンター第二工場には,最先端のエネルギーに関する施設や,煙突展望台などの環境学習施設が設置されると伺っています。煙突展望台からは,眼下のクリーンセンターはもちろんのこと,水環境保全センターや民間の環境関連施設をはじめ,環境との共生を進める水と緑豊かな地域を一望することができるとのことであります。普段,環境問題に余り関心を持たれていない方でも,展望台の設置が契機となり,京都市内外から,より多くの方がクリーンセンターにお越しいただくことにつながります。そして,これによって,より多くの環境に対する意識が高まり,更なるごみ減量の取組にも結び付いていくのではないかと思います。煙突の展望台に係る建設費用は約2億5,000万円だと聞いていますが,展望台を訪れた人のうち,環境意識を高め,ごみ減量に取り組んでいただき,例えば45リットル袋のごみを30リットルまで削減していただく方が増えれば,ごみの処理に要するコストの削減につながるとともに,展望台の建設費用の回収にもつながります。この展望台が横大路地域のランドマークとして,横大路地域の活性化にも寄与する,そんな施設になることを願ってやみません。そして,横大路地域が環境共生都市・京都のシンボルゾーンとしての役割を果たす地域となるよう,南部クリーンセンターの整備を進めていただきたいと考えますが,いかがですか。市長のお考えをお聞かせください。 次に,私財を投じて水路を開く西羽束師川についてお伺いします。羽束師川開削の歴史は,農民が自然を相手に戦った正に感動のドラマでありました。久我の地から菱川・志水・古川・樋爪・水垂・大下津・山崎を経て桂川に注ぐ本水流合わせて総延長12キロ余りの人工水路を羽束師川と呼んでいます。封建時代の厳しい制圧,それに輪を掛けて水難が人々の足元を襲う,「もう我慢ができない」と追い詰められた住民が輝かしい大事業を成功させたのが今の西羽束師川であります。「志水古川水絶えず」,桂川のほとり羽束師は,地域の代名詞になるほど低湿地でありました。雨期ともなれば,乙訓北部の水が一気に広がり,日ごろ穏やかな桂川が荒れ狂う。水害は年中行事化し,6年に一度の割で洪水が見舞う地域。丹精込めた田畑は一瞬のうちに泥水と化し,わずかばかり残った作物も汚水をかぶり,しおれてしまう,時には民家も水の犠牲になることもありました。 六公四民七公三民ともいう過酷な年貢は,当時は容赦ありませんでした。官府いわゆる幕府の援助も望めず,それまでの嘆願さえ無視され続けたため,事業は農民自身の手でやるほかないと,文化6年(1809年),今の羽束師神社宮司の6代目前の古川吉左衛門為猛は,生血を吸われていくような人々の苦しみに,「川を堀り堤を築く。救いの道はこれしかない」と近郊の村々を説得に回り,「今掛かからないと,末代まで悔いを残す」と悲壮な決意を示されたと聞いております。そこから,水難に苦しむ関係する村々はようやく腰を上げて,組合をつくり,計画を立て,代官所の許しも得て,共同で水路開削に取り掛かったわけです。古川吉左衛門為猛が思い立ってから10数年が経ち,計画は起動に乗り,羽束師の里にも長年の悲願であった水難に打ち勝つ日もそう遠くないであろうと思われましたが,完成までの道のりは険しく,最大の難問は資金集めでございました。村ごとの分担金を割り当てたものの,その配分で意見が対立し,一般からの寄付を募っても集まらない,お金を出す人も一人抜け,二人抜ける状態でありました。その後も問題は次々起こり,村の分裂,組合からの脱退が相次ぎ,何度か計画は中止寸前に追い込まれ,絶望のどん底に突き落とされましたが,その度重なる危機を見事にはねのけ,初志貫徹させたのは,ふるさとを思う情熱と洪水に鍛えられた粘り強さであります。 羽束師川開削は,官府の力やお金でなく,神明の加護を祈り,心身を砕き私財を投じて地域開発の初志を貫いた羽束師神社祠宮で累代の社家,古川吉衛門為猛翁の独力によって成し得た大事業でありました。今から200年余り前に,実に17年の歳月を要した大事業でありました。文政8年,工事が完遂するや羽束師神社の名前を取り羽束師川,今の西羽束師川と命名され,血と汗の結晶,羽束師川は輝かしい歴史を秘めて今も悠然と流れています。この川幅7間,約13メートルは全て手掘りの開削であります。このようなすばらしい歴史を持つこの西羽束師川において,最近では,外環の長権堂橋以南に古タイヤや自転車,その他ごみの投棄が目立ちます。羽束師川開削時の住民たちの思いを考えると,現在の西羽束師川の状況に非常に悔しい思いをいたします。 現状を見れば,単なる一つの道,単なる一つの河川であっても,その地域地域においては,掛け替えのない歴史的な経過を持つ重要な地域資源になり得るものがあります。我々における西羽束師川もそうです。こうしたものを一つ一つ掘り起こしていくことも,地方創生につながる一歩になり得ます。こうした地域の思いを,是非とも京都市行政においても心のどこかに留め置いていただきたい。今まで多数にわたりお願いしている西羽束師川の早期のしゅんせつについても,地域のエゴと思わず,我々の地域における西羽束師川の位置付けを改めてお考えいただきながら対応していただきたいと思いますが,市長のお考えをお聞かせください。そして,羽束師川支川の道路網の早期の実現についても,是非ともお願いしたいと思います。 最後に,伏見西部土地区画整理事業の推進,特に横大路中通りの推進と予算の問題について要望いたします。伏見西部第四地区土地区画整理事業については,府道守口線東側の整備はかなり進渉してまいりましたが,現在最大の課題は,地区内を縦断する都市計画道路である横大路中通りの早期整備とそれに見合う予算であります。府道守口線西側は既存の住宅や事業所があり,順次換地先へ移転していただくとともに,道路・水路・公園等,社会基盤施設,いわゆるライフラインの整備が必要であります。特に横大路中通りは市長も御存じのとおり,文化ゾーンであります。横大路小学校をはじめ横大路保育園・児童館の移転問題を含め早期の取組をお願いいたしたいと思います。地元の地権者にも,地元挙げて御理解,御協力を得たいと思っています。どうか関係事業の一層の推進に向けて全力を傾注していただきますようお願い申し上げ,地元の要望といたします。 これをもって,中川一雄の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き,中川一雄議員の御質問にお答えいたします。 南部クリーンセンター第二工場の建替えについてでございます。伏見区横大路で建替えを進めておりますクリーンセンターにつきましては,これまでのイメージを一新させ,多くの方々がお越しいただき,楽しみながら環境保全の重要性,その意義をしっかりと学んでいただける魅力あふれる施設にしてまいります。具体的には,生ごみ等によるバイオガス発電や,紙ごみから高純度のエタノールを精製する世界初の都市油田発掘プロジェクト,さらには,動物性と植物性の廃油から軽油と同等の品質のバイオ軽油を製造する。これも世界初の取組など,世界最先端の環境技術を体感でき,またごみ減量はもとより,最先端科学,さらには生物多様性や再生可能エネルギーなどについても,楽しく学べる京都議定書誕生のまちにふさわしい環境学習の拠点として整備してまいります。 また,約80メートルの煙突に併設する展望台につきましては,水と緑に恵まれた横大路地域のみならず京都三山をはじめ,京都ならではのすばらしい自然,景観を一望できることから,親子連れなどより多くの方々に,環境学習の場であるクリーンセンターにお越しいただくことをねらいとしております。 本市では,市民・事業者の皆様の御理解と御協力により,ごみ減量をピーク時から4割以上削減でき,家庭ごみの収集運搬経費だけでも年間約40億円もの大幅なコスト削減を実現いたしました。この間のごみ減量による予算削減は100億円を超えます。ごみの50パーセント削減,これを実現することが,さらにコスト削減を上積みするものになる。同時に4工場あったクリーンセンター焼却施設を3工場にまで縮減しておりますが,この縮小体制を今後も維持するためにも,必ずごみ半減は実現させなければなりません。そのためにも展望台が契機となり,クリーンセンターに多くの方がお越しいただき,市民の皆様が環境意識を高められ,例えば先生御指摘のように,45リットルの袋のごみを30リットルに削減するなど,お一人お一人の取組の進化が本市全体の更なるごみ減量につながり,ごみ処理に要するコストの大幅な削減につながるという中川議員の御指摘は当を得ており,正に我が意を得たりという思いであります。展望台には,その建設費用を大きく超えるコスト削減の効果があるものと確信しております。今後におきましても,京都市民の生活を支える重要な役割を担っていただいている横大路地域の皆様の熱い思いにお応えし,この地域が環境先進都市・京都の誇り,シンボルゾーンとなるよう,しっかりと取り組んでまいります。 次に,西羽束師川の整備についてでございます。ただ今中川一雄議員から,およそ200年前に,地域の皆様が並々ならぬ情熱と血のにじむような御努力で西羽束師川の川普請をされたお話をお伺いし,深く感銘を受けました。感動しました。先人の皆様方の御努力に対して敬意を表したいと思います。 さて,本市では,台風に伴う大雨や近年多発する局地的集中豪雨による浸水被害から,市民の皆様の命と財産を守るため,市内にある380の河川のうち,京都市が管理する340もの多くの河川について河川改修などの浸水対策を全力で取り組んでまいりました。西羽束師川につきましても,流域の著しい都市化に伴い,田畑が減少したことによる浸水被害を防ぐため,昭和45年からいち早く河川改修に着手し,西羽束師川の本川部については平成15年度に完了し,現在は支川の改修事業に取り組んでおります。さらに,来年度は本市が管理する河川のしゅんせつ,除草などに係る経費として,今年度予算の約7割増,2億2,000万円を計上し,浸水被害を未然に防ぐ対策として河川の日常的な維持管理を徹底してまいります。 また,河川は,中川議員御指摘のとおり,都市の歴史,文化,環境の一部を成すものであり,市域のまちづくりを進める重要な資源ともなるものであります。私は,西羽束師川開削の歴史的な経過と,川を大切にする熱い思いをしっかりと受け止め,しゅんせつや除草の実施はもとより,河川環境の保全に取り組み,地域の皆さんに愛され,地域の皆さんが誇れる川づくりを地域の皆様と共に進めてまいります。 また,西羽束師川支川の改修に併せた道路整備は,羽束師橋の架橋に伴う久我・久我の杜・羽束師地域における円滑な道路交通の確保を目的として進めている事業でございます。この間,継続して用地買収を進めており,現時点で5割の用地を取得しております。今後も,西羽束師川支川改修との連携を図りながら,地元の皆様の強い思いをしっかり受け止め,関係者の皆様の御理解と御協力を頂きながら,早期整備に向け鋭意取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕
◎副市長(藤田裕之) 子ども・子育て支援新制度における保育施策についてでございます。保育所待機児童対策につきましては,昨年4月には過去最大となります555人分の受入枠を拡大し,待機児童ゼロを達成したところであり,本年4月に向けては,民間保育園の新設,増改築や昼間里親等の小規模保育事業所の受入枠の拡大などにより,昨年度の倍近い1,047人分の受入枠を確保したところでございます。さらに,保護者の皆様のニーズに積極的に対応するため,私立幼稚園におけます預かり保育の充実に向け,来年度1億円近い予算を計上し,実施日数の拡大や時間の延長を図るとともに,市立幼稚園におきましても,全ての園で平日午後6時までの預かり保育を実施いたします。これに加えまして,福祉事務所におきましては,きめ細やかな入所の相談,あっせん,調整を行い,2年連続の待機児童ゼロを達成できるよう,最大限の取組を進めてまいります。引き続き今後の保育ニーズの増加を見据えまして,27年度におきましては,民間保育園・小規模保育事業の新設等で484人分の受入枠の拡大を図るなど,更なる取組を進めてまいります。 次に,保育におけます質の改善につきましては,子ども・子育て支援新制度における保育士等の給与改善等を着実に実施することに加え,民間保育園における国基準を上回る職員配置と職員の処遇改善を図る本市独自のいわゆるプール制によりまして,全国トップクラスの保育水準を確保してまいります。 さらに,障害児に係る保育士の加配につきましては,民間保育園と市営保育所において配置基準が異なっておりましたが,27年度から,公・民同一の新たな基準を設定し,民間保育園における職員の加配を充実し,障害のある子供たちが身近な地域の保育園に入所できるよう取り組むとともに,入所児童全体の処遇の充実に努めてまいります。今後とも,保育の量の拡充と質の改善を車の両輪として積極的に推進し,京都で子育てしてよかったと市民の皆様に実感していただけるよう,子育て環境の一層の充実を図ってまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 次に,
吉井あきら議員に発言を許します。吉井議員。 〔
吉井あきら議員登壇(拍手)〕
◆(
吉井あきら議員) 私は,
自由民主党京都市会議員団,山科区選出の吉井あきらでございます。小林正明,津田大三,中川一雄先輩議員に引き続き,自民党議員団を代表し,山科区民,市民の皆さんの思いを市政に届けるべく,今市会に提案されております平成27年度予算案に対し質疑させていただきます。 まず,健康寿命についてであります。年々増大する社会保障関係費は,27年度の予算審議においても大きな割合を占めており,これにより他の事業に影響が出かねない状況にあることは言うまでもありません。中でも高齢者の皆様への医療,介護に掛かる費用は,いずれも安易に減額できないものばかりであります。こうした状況の中で,私は,健康寿命を平均寿命に近づけることにより,幸せに長生きできる社会をつくるとともに,安心して介護や医療サービスを受けていただけるまちづくりを目指してはどうかという風に考えます。 健康寿命とは,日常的に介護を必要とせず,自立した生活ができる期間のことをいい,平均寿命から介護の期間を引いた数が健康寿命になります。この健康寿命を延ばすには,まずは介護の要らない健康づくりが大切であり,その拠点を増やすこと,気軽に集い,体操やウォーキングを行うなど,定期的に楽しく参加できる場を地域ごとに増やすことが必要です。具体的には,公園などにおけるハード面での整備であり,指導者育成などであり,ソフト面の整備であります。これら両面での健康づくりの推進がなければ,効果的な対策とはなりません。 また,身体を動かすことによる健康づくりと合わせて様々な取組も必要です。まずは口腔の問題です。口腔の健康が体の健康につながることは既に知られているところでありますけれども,実際は歯が痛むなどの症状が出なければ,なかなか歯科に行かれることはありません。そこで,特定健康診断時に口腔内のチェックを実施することで,早期に症状を発見でき,体の健康にもつながるという風に思います。そのほか,排尿についても議会でも議論されてきたところですけれども,排尿障害の症状によっては外出がおっくうになり,人と会うことも消極的になると言われています。しかしながら,症状が改善されれば,旅行もでき,人と会うことも積極的になるなど,健康で楽しい人生が送れるのではないでしょうか。排尿センターといった気軽に相談できる環境をつくることによって,前向きな人生を過ごせることが期待できます。そして各区のすこやかクラブ京都の活性化も必要であることは言うまでもありません。 このように,健康寿命を延ばすに当たっては,様々な取組が考えられますが,根底にあるのは,健康的な人生が長く保たれれば,幸せでより良い社会の構築につながるということです。市長におかれては,是非健康寿命に対する目標値を設定し,健康寿命日本一のまちづくりを実現できるよう取り組んでいただきたいと思いますが,いかがですか。お答えください。 次に,生活保護制度をはじめ,社会保障制度の適正な運営の更なる推進についてであります。本市の生活保護行政については,自立支援の推進,不正受給に対する毅然とした取組,国に対する積極的な政策提言,この三本柱で推進してきたところであります。このうち自立支援については,これまで右肩上がりで伸び続けてきた保護率が16年ぶりに減少に転じ,1,000人を超える受給者の方が新たに就労されるなど,本市の取組が成果を上げつつあります。今後は生活保護受給者に対してはもちろん,言わば生活保護予防の観点から,生活保護に至らない貧困層の方にも門戸を広げ,就労に向けた支援等,一層推進していく必要があると考えますが,平成27年度における具体的な取組の考えについてお考えをお聞かせください。 次に,不正受給に対する毅然とした取組については,自身初当選以来懸命に取り組んできた中で,不正受給対策の専門組織として適正給付推進課が保健福祉局に設置され,今日までに,告発23件等,大きな役割を果たしてこられました。一方,生活保護以外にも,介護保険や障害福祉サービス等における事業者の指導を所管する監査指導課において,これまでの3倍の実地指導実績を挙げるなど,基礎自治体ならではの取組を推進し,今年度には,不正を行った指定事業者の取消処分等,毅然とした対応が行われております。これまでの不正対策は,生活保護の不正受給者対策に力点をおいて進められてまいりましたが,介護保険や障害福祉サービスを提供する指定事業者の数が一層増加する中,今後,その指導体制も一層強化していく必要があります。 このため,適正給付推進課がこれまで取り組んできた機動的な事実調査や告発をはじめとした警察との連携のノウハウ,監査指導課が培ってきた財務や制度の監査のノウハウを一体的に活用していくことで,生活保護をはじめとした各制度の運営の適正化が進められると考えられますが,いかがですか。お答えください。社会保障の各制度の更なる適正な運営のためにも,市長のお考えをしっかりとお聞かせいただきたいと思います。 次に,学童クラブ事業に係る子ども・子育て支援新制度への対応についてお伺いします。京都市においては,これまでから130館の一元化児童館の整備をはじめとして,子供たちの放課後の安心安全な居場所の確保に力を入れて取り組んでおり,昼間留守家庭の児童を預かる学童クラブの待機児童は,平成24年度から3年連続でゼロという状況となっています。しかしながら,登録児童が100名を超える大規模学童クラブもあり,子供たちに目の行き届く規模での事業実施が課題となってきました。このような中,平成27年4月からの子ども・子育て支援新制度の実施が決定しましたが,今回,提案されている予算を見ると,学童クラブの充実経費が計上されております。市長がこの事業に引き続き力を入れていかれることが分かり,この点については評価したいと思います。 しかし一方で,今回,小学校6年生まで対象が拡大され,幅広い学年にわたる子供たちが1箇所に集うこととなり,これまでとは事業の様相も大きく変わることになります。その中で,子供たちの安全をしっかり確保しながら,異なる年齢層の子供たちが交流し,お互いの成長につながるような事業へと発展させる必要があります。そして,事業の質を高めていくためには,質の高い職員をしっかりと確保していくことが極めて重要であり,そのためには職員の処遇改善が不可欠であると関係団体も指摘してきたところであります。例えば,現在,館長1名,構成員4名の職員体制ですが,そこに加えてクラス担当という嘱託職員が1名加配され,6名体制で1年生から6年生までの学童クラブ事業を行うこととなります。また,今後,職員が退職した場合,子育て支援員を採用するとのことですが,児童館等で働く職員の質の向上を図らなければ,事業の質を高めるどころではありません。長年現場より要望され続けてきた職員の処遇改善については,4月から基本給が3パーセントアップされるという風に聞いておりますが,更なる処遇改善が必要ではないでしょうか。こうした切実な声にどのように応えられるのか,お答えください。 そのうえで,予算は計上した,あとは児童館任せということになってしまえば,本来の充実にはつながりません。児童館は短期間で必要な職員や場所を確保していかねばなりませんが,京都市も関係局間でしっかり連携し,全面的にバックアップしていくことが必要ではないでしょうか。新制度への対応はいわば未知への挑戦であると思います。実際に実施していく中で,制度設計においては予想もしなかった様々な課題が現れてくると思います。運用の中で見えてきた課題を吸い上げ,軌道修正を図る。事業の点検,評価を行い,必要な見直しを行う仕組みを速やかに構築すべきであります。さらに,今後利用が増えると思われる障害のある児童への処遇などについても,これまでの京都市の取組成果をいかしながら,より利用者のニーズに沿った事業に発展させるべきと考えますが,いかがですか。 以上,平成27年度からの子ども・子育て支援新制度の実施を契機に,この分野での更なる充実を求めるものでありますけれども,御見解をお聞かせください。 次に,道徳教育についてお伺いします。私は,子供たちに道徳心や規範意識を育んでいくことは第一義的には親に責任があり,家庭でしっかりやるべきことと考えています。しかしながら,核家族化や共働き世帯の増加,地域の教育力の低下など,子供を取り巻く状況が大きく変化する中で,親の力だけでは限界があるのも事実であり,その点において学校の果たす役割は大きく,道徳教育の充実をこれまでから強く求めてきたところであります。こうした中,いじめ問題への対応を発端として一昨年2月,安倍政権による教育再生実行会議が道徳の教科化を提言し,昨年10月には中央教育審議会において道徳教育を,「人が一生を通じて追求すべき人格形成の根幹に関わるものであり,同時に,民主的な国家・社会の持続的発展を根底で支えるもの」であるとして,小中学校の道徳を現在の正式の教科ではなく,教科外の活動から特別の教科に新たに位置付け,検定教科書を導入するよう答申が出されました。 これを受け,文部科学省では,平成30年度以降の本格実施に向け,今月初めには道徳の教科化に伴う学習指導要領の改定案を公表し,現在パブリックコメントが行われています。改定内容は,他国の文化についての学習が小3から小1へ引き下げられたことによる我が国を愛する態度の育成の前倒しや,いじめ問題への対応の充実,情報モラルや生命の尊さを取り上げるなど,急速な国際化や喫緊の教育課題に対応したものとして私も高く評価しているところであり,また,今年に入ってから相次いでいる,若者の心の闇に起因するような事件に接し,しっかりした道徳教育の必要性について,一層その思いを強くしているところであります。こうした道徳教育の充実に対して,「多様な価値観が大事であり,教員が特定の価値観を子供に押し付けてはいけない」などと批判する一部の団体などもおりますが,多様な価値観や自由を強調し過ぎる余り,悪いことは悪い,いいことはいいという善悪の判断や,社会の一員としての規範意識の大切さを教えることまで,世の中や学校現場,親までもがちゅうちょしているのが現実であります。もちろん道徳教育で全ての問題が解決するわけではありません。私はこの度の教科化は大きな前進と考えております。 京都市では,国において道徳の時間が設置される以前から,教員が道徳の研究会活動を行い,平成13年度には京都市道徳教育振興市民会議を立ち上げ,2万2,000人を超える市民アンケートを基に市民の皆さんが道徳教育の充実に取り組むなど,我が国の道徳教育を常にリードしてきたと認識しています。そこで教育長にお伺いします。道徳教育振興市民会議の提言から10年の節目を経過し,また,平成30年度からの道徳教科化に向けた先行的な取組が求められる中,先進的に取り組んできた京都市においては,一層その取組を加速し,我が国のモデルとなる道徳教育を作り上げ,発信されることを期待しております。教科化に向けての来年度以降の具体的な取組についてお考えをお聞かせください。 次に,教科書採択についてお伺いします。安倍内閣の下,21世紀の日本にふさわしい教育体制をつくり,教育の再生を実行に移していくため設置された教育再生実行会議では,いじめ対策や道徳教育の充実,教育委員会制度の在り方,小中一貫教育の制度化など,喫緊の教育課題について矢継ぎ早に提言が打ち出され,着実に実行に移されているところであり,京都市においても,教育委員会制度の改革に当たって門川市長が国会で意見陳述されるとともに,道徳教育の充実や小中一貫教育の推進など,これまでから国における議論を先導する役割を果たしてこられました。 この教育改革の流れは,平成18年,第1次安倍内閣において,戦後レジームからの脱却を目指して,教育基本法が60年ぶりに改正され,教育の目標として公共の精神,伝統と文化の尊重,我が国と郷土を愛する態度を養うことなどが据えられたことに始まるものであります。私も常々,これから一層激しくなる国際競争,また混沌とする時代を生き抜く力,国際社会の平和と発展に寄与する力を子供たちに育んでいくためには,まず,我が国や郷土を愛し,日本人としての誇りを育んでいく必要があると考えてまいりました。しかしながら,現在子供たちが使っている教科書を見ると,特に歴史教科書において,近隣諸国との関係に関する記述や領土問題に関する記述など,新しい教育基本法を踏まえて改正された学校教育法や学習指導要領の趣旨を反映したものとは言いがたいのではないか。これで日本人が受け継ぎ,育むべき伝統や文化,そして日本人としての誇りを教えることができるのか疑問を感じており,しっかりと是正していかなければならないと感じております。 文部科学省においても,自民党教育再生実行本部の提言などを受けて,昨年1月,教科書検定基準を改正し,近現代史で世間一般で通用する見解がない場合は,その旨を示したり,政府の統一見解や確定した判例を取り上げることが明記されるなど,誤解を招く記述について見直しが求められる方向となっております。来年度は中学校の教科書採択の年であり,間もなく検定結果が明らかになる中学校教科書の内容については,注視する必要があると考えております。 また,先ほど触れましたが,学習指導要領改定案も近年変化が著しい国際化の中で,国や郷土を愛し他国を尊重することで,平和的に国際貢献していくという教育基本法の趣旨をより反映させた内容となっており,こうした教育改革の方向性を他の教科や教科書採択にもしっかりと反映させていくことが重要であります。そこで教育長にお伺いします。来年度の中学校教科書採択は極めて重要であり,教育委員会におかれては,これまで以上に子供たちの教育に責任を果たされ,教育基本法の趣旨を踏まえたしっかりとした教科書を採択いただくようお願いしたいと思いますが,いかがですか。 次に,我が山科,京都の宝である琵琶湖疏水についてお尋ねいたします。京都市と滋賀県を結び,今も京都市民の生活,産業,文化を支える琵琶湖疏水は,明治維新により,江戸が東京とされ,都として定められた後,衰退した京都の復興を目指し,若き技術者である田辺朔郎氏によって,全て日本人の手で完成させた我が国初の近代的土木事業とされております。その豊かな水は,水力発電,物資運搬,灌漑用水などに活用され,今でも,私たち京都に命の水をもたらしてくれる現役の水道施設であります。と同時に,ローマ帝国の水道橋を参考にデザインされたと言われる水路閣や哲学の道,また蹴上インクラインは全国的にも有名な観光スポットであるだけではなく,経済産業省から近代化産業遺産に認定されるなど,京都を代表する観光資源,文化遺産として大いなる魅力を有しております。 私は,こうした琵琶湖疏水の奥深く多様な魅力をしっかりと守るとともに,京都を訪れる多くの方に知っていただくことが,先人の努力に敬意を表して報いることになると考えております。また,現在,民間事業者を含めた関係団体で構成する実行委員会において,琵琶湖疏水通船復活に取り組まれておりますが,このことにも大きな期待と関心を寄せております。ここ京都では,古都京都の文化財として世界遺産に数多く登録されておりますが,琵琶湖疏水もこれに匹敵する価値があるのではないでしょうか。ただ残念なことに,専門家にお聞きしましたところ,世界遺産の登録には,ユネスコにおいても,文化庁においてもとても高いハードルがあり,その実現には容易ではないとのことであります。そこでお尋ねします。京都市民のみならず人類にとって大切な財産であり,また観光資源としても大いなる魅力を有する琵琶湖疏水を,今後どのように維持,継承,そして活用されようとしているのか。市長の方針をお聞かせください。 そして,来年度予算案には,京都市独自の京都遺産制度の創設として1,000万円が予算計上されておりますが,どのような制度を想定されているのでしょうか。琵琶湖疏水は京都遺産に選定いただけるでしょうか。また,ハードルは高いというものの,琵琶湖疏水の世界遺産登録を目指すことについても,併せてお考えをお聞かせください。 最後に,山科区内の交通問題についてであります。山科区においては,平成9年の地下鉄東西線の開通と合わせて,それまで区内の隅々に路線を走らせていた市バスが撤退し,京阪バスにバスの運行が一元化され,以来,地下鉄と京阪バスの路線網が区民の足を支えてまいりました。 一方で,「歩くまち・京都」を目指した公共交通の利便性向上に向けた全市的な盛り上がりの中で,山科区においても山科区交通問題研究会が立ち上がり,とりわけ喫緊の課題となっていたいわゆる交通不便地域である鏡山地域と小金塚地域でのバス運行の展望が大きな焦点となりました。鏡山地域においては,地域の皆様の熱意と実践が実を結び,今般,本格運行が実現する運びとなりましたが,次は,小金塚地域でのバス運行の実現であります。典型的な交通不便地域とも言える小金塚地域へのバス運行の実現は,単に小金塚地域だけにとどまらず,山科区全体,ひいては京都市全体の公共交通のレベルアップに大きくつながると私自身は確信しております。地元の皆様や京阪バスはもとより,関係する京都市の全ての部局が英知を結集して,公平公正は担保しながらも,何とか住民の悲願である小金塚地域のバス路線の誕生を実現していただきたいと切に望むものであります。 しかしながら,採算性の問題等を考えれば,むやみやたらに路線・ダイヤを拡大することは困難であることも承知しております。ただ,山科区においては,京阪バスが区民の足を支えているのも事実であります。この区民の足が民間事業者であるからという理由だけで,この地域の公共交通の在り方について京都市は主体的に関与しない,リーダーシップを取らないということにはならないはずです。地下鉄東西線ができるとき,市バスの代わりに京阪バスが区民の足となりました。私は,交通局に対して,一般会計からの任意補助金として生活支援路線補助金があったのと同じように,京阪バスに対しても同じような補助金を出し,ダイヤの拡充を図るなど,京都市が率先して区民の足を支える手助けをしていただきたいとさえ思ってしまいます。そのくらい山科区民の,また高齢者の皆様の思いは深刻なのだということを,今までも御理解いただいているとは思いますが,より一層御理解いただきながら,山科区内の公共交通機関の役割を一歩一歩高めていく取組に,全庁挙げて取り組んでいただきたい。切に切に要望いたします。 最後になりますが,言うまでもなく,この日本は多くの犠牲と苦労の上に成り立っています。目の前だけではなく,我々の子供,また孫,その次の世代が大きくなったとき,今よりも少しでも良くなったと言ってもらえるように,我々は将来を見据えながらしっかり進んでいかなければならないという風に強く思っております。 同時に,当選以来訴えてきました,真面目に頑張っておられる方々がばかを見ない,評価される,そんな社会を目指し,一人の人間として,また議員としてしっかりと邁進してまいることをお誓い申し上げまして,代表質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
吉井あきら議員の御質問にお答えいたします。 まず,健康寿命についてでございます。私は,元気な高齢者が地域社会の支え手として生き生きと活躍されることこそが,
地域コミュニティを活性化させ,次の世代を健全に育て,ひいては市民の皆さんの健康寿命の延伸にもつながる,このように確信しております。このため,市民健康づくりプランの食育から食生活,あるいは身体活動や運動等,分野別行動指針に掲げる数値目標の達成に向け「歩くまち・京都」,公共交通優先の取組,あるいはスポーツのきずなが生きるまち,京都の食文化,市民力,地域力といった京都の強みを最大限いかし,地域に根差したあらゆる施策の融合により,全力で取組を進めております。 具体的には身近な健康づくりの場としての公園整備や,本市の老人クラブであるすこやかクラブ京都と連携した介護予防の取組,京都マラソンをはじめあらゆる機会を活用して,筋肉や関節等の運動器の健康を保つため,いわゆるロコモ予防の普及啓発など,今後もハードソフト両面で効果的な取組を市民ぐるみで進めてまいります。また,吉井議員御指摘の口腔ケアにつきましては,新たに,歯周病等に係るセルフチェックシートを特定健康診査の集団健診受診者に配布するなどにより,定期的な歯科健診の受診につなげていくとともに,排尿障害をはじめ加齢に伴う身近な健康問題についても,悩みを抱える方々に対ししっかりと支え,適切なケアと医療につなげられるよう,これまで本市が進めてきた地域包括ケアの枠組みを活用し,一層の普及啓発を図ってまいります。これらにより,一歩踏み込んだ新たな取組によって医療や介護の費用の軽減にもつながります。こうしたことから,今年度中に策定する次期市民長寿すこやかプランにおきましても,健康寿命の延伸の考え方を新たに明確に掲げ,日本一の健康長寿のまち・京都の実現を目指し,市民ぐるみで取組を進めてまいります。 次に,社会保障制度の適正な運営についてでございます。生活保護をはじめ社会保障制度を適正に運営し,次の世代にしっかりと引き継いでいくことは,市民生活の最前線に立つ基礎自治体に課せられた本市の使命であります。本市では,必要な人に必要な保護を実施するため,自立支援の推進,不正受給に対する毅然とした取組及び国に対する積極的な政策提言の三本柱で取組を強力に推進しております。 まず,自立支援の推進につきましては,16年ぶりに生活保護の保護率が減少するなど,これまでの本市の取組が着実に実を結びつつあります。来年度は,保護受給者の健康面の相談支援の充実に加えまして,保護に至らない生活困窮者に対しましても,5名の専門相談員を配置するとともに,カウンセリングや就労先の開拓を行うなど体制を拡充しまして,しっかりと取り組んでまいります。 次に,不正受給に対する毅然とした取組につきましては,昨年度設置した適正給付推進課において,これまでに不正受給を行った者の告発23件など,全国でもトップレベルの取組を毅然として進めております。また,障害福祉・介護サービスなどの事業者への指導監査につきましても,監査指導課において,本市への権限移譲前の京都府の平成23年度実績244件に対しまして,昨年度は875件と,3.5倍の実地指導の実績を上げるなど,きめ細かな取組を推進しております。こうした中,吉井議員御指摘のとおり,生活保護をはじめ各制度の適正な運営を一層進めるために,これまでの実績やノウハウを最大限にいかしまして,不正受給者への対策と事業者への対策とを一体的に取り組めるよう,来年度当初に新たな組織を設置いたします。また,国における制度改革も重要であり,今後とも国に対して積極的な政策提言を行いつつ,自立支援,必要な方に必要なサービスを貫く適正な制度運営を推進してまいります。 次に,子ども・子育て支援新制度における学童クラブ事業についてでございます。私は,子育て環境日本一・京都の実現のためには,地域や学校と連携した,児童の放課後の安心安全な居場所づくりと健全な育成を推進することが大変重要であると認識しております。来年度予算案においては,新制度の実施に伴い,小学校6年生までの対象年齢の拡大,クラスごとの職員2名の配置や,児童一人当たりの面積等の基準に的確に対応するため,新たに10億円の予算を確保し,計上いたしました。今後は,この基準に基づく適切な職員の配置と実施場所の確保が不可欠となります。 まず,職員の配置につきましては,吉井議員御指摘のとおり,質の高い職員を確保するためには,処遇改善が重要であり,児童館等の職員の給与について平均3.9パーセントの増額を行います。また,実施場所につきましては,面積基準に対応するため,教育委員会とも連携し,小学校余裕教室の活用を図るとともに,児童処遇の向上に必要な場合においても,民間の施設等を活用できるよう検討してまいります。さらに,対象児童の拡大に伴い,障害のある児童の利用が増加することが見込まれます。介助を行うボランティアの更なる確保を図るため,大学と派遣協定の締結など連携を強化するとともに,謝金の増額を行ってまいります。このような中で,新制度の実施に当たっての課題や改善すべき点につきましては,現場の声を聞き,しっかりと点検評価することが重要であります。そのため,京都市児童館学童連盟とも十分に連携し,課題に対する対策等を検討する委員会を新たに立ち上げ,的確に対応することで児童のより良い放課後の居場所づくりにつなげていく仕組みを構築し,子ども・子育て支援施策の大きな柱の一つであります学童クラブ事業の更なる充実を図ってまいります。 次に,琵琶湖疏水の保全・活用と京都遺産制度についてでございます。京都には,悠久の歴史と恵まれた自然の中で,先人の高い志と美意識,豊かな精神性によって築き上げられた多彩な有形無形の文化遺産が,今も脈々と息づいております。こうした京都の本質的な価値を有する遺産を再認識し,大切に守り,いかすため,京都を彩る建物や庭園制度,京都の食文化,花街の文化,地蔵盆など,京都をつなぐ無形文化遺産制度をこの間次々と独自に創設し,着実に成果を挙げて,全国的にも高い評価を得ております。今般それらの成果を踏まえ,京都遺産制度を創設いたします。 京都遺産は,広く伝統文化やものづくり,暮らしの文化や年中行事など多彩な文化遺産に光を当て,それらを支える人や貴重な匠の技,地域社会や精神性も含めた物語として国内外に発信することにより,関係者が誇りを持ち,産業や観光の振興,さらには未来への継承もつなげていくものであります。とりわけ京都の近代化を切り開いた琵琶湖疏水は,先人の知恵と情熱が結実した偉大な産業遺産であります。その価値をしっかり継承すべきとの吉井議員の御指摘には私も全く同感でございます。庭園群などの関連施設と共に守り,いかし,その魅力を発信することが私どもの務めであると認識しております。来月に計画されている大津と山科,蹴上を結ぶ琵琶湖疏水通船復活の体験ツアーは,正にその価値を内外に示す象徴的な取組であり,大きな期待を寄せていただいており,上下水道局を先頭に全力を尽くしてまいります。今後,京都遺産の取組を京都市まち・ひと・しごと・こころ創生総合戦略の中核に位置付け,年次計画で選定を進めるとともに,文化首都・京都,世界があこがれる観光都市・京都の進化を目指し,京都市が全国のモデルとなった取組を進めてまいります。とりわけ心による地方創生を牽引してまいります。 琵琶湖疏水と庭園群の世界遺産登録は,私も念願しております。世界遺産の登録には全域を文化財指定する必要があるなど,克服すべき課題も多くございますが,引き続きその実現に向けまして知恵を絞り,努力をしてまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕
◎教育長(生田義久) 最初に,道徳教育についてでございます。
吉井あきら議員御指摘のとおり,道徳教育の充実は極めて重要であります。この度の教科化は,学校の教育活動全体を通して児童生徒に善悪を判断する力や規範意識など,主体的に考え行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養ううえで,大変意義深いものであります。本市では,市民会議からの提言を踏まえ,この10年間で,独自の指導資料集の活用や全ての小中学校に配置している道徳教育推進教師に対する悉皆研修,中学校ブロックでの目指す子ども像の共有や,校種を超えた実践の交流など,小中一貫した道徳教育を展開してまいりました。 さらに,本年度から教科化に向けた課題であります独自教材の開発や評価の在り方等について,研究校において先駆的な取組を進めております。平成27年度からは,新たに,20校程度の研究実践校の指定や6月及び10月を道徳教育推進月間として,保護者,地域参画による全小中学校での公開授業を実施するなど,大人と子供が共に学ぶことを通して,子供も家庭も地域も,共に高まる道徳教育を実践してまいります。また,京都の歴史・行事や文化,産業,人物等の特色をいかした指導資料の作成を進めるとともに,行政区単位に配置する道徳教育推進教師のリーダーがコーディネーターとなって,地域の方々の志や実践から子供たちが学ぶ活動をはじめとする各校の特色ある取組の拡大を図るなど,全国のモデルとなる京都ならではの道徳教育の推進に市民ぐるみで取り組んでまいります。 次に,教科書採択についてでございます。教科書は子供たちにとって最も基本となる重要な教材であり,本市では,教育委員会が選任した教員,保護者,学識者などが参画する選定委員会において,綿密な調査研究を行い,その答申を受け,厳正かつ公正な採択を行ってまいりました。平成27年度に行う中学校の教科書の採択は,約60年ぶりに改正された教育基本法や,それに基づく学習指導要領の改訂を受け,昨年文部科学省において教科用図書検定基準が改正された後,初めて実施されるものであり,吉井議員御指摘のとおり,極めて重要であると考えております。とりわけ歴史の教科書採択に当たっては,公共の精神や伝統と文化の尊重,我が国と郷土を愛する態度を養うことなどの教育基本法改正をはじめとする一連の改革の趣旨を教育委員会が策定する選定の観点等にしっかりと項目として位置付け,調査研究を進めてまいる考えであります。今後とも,我が国と郷土を愛し,日本人として誇りを持って,国際社会の平和と発展に寄与する子供の育成に向け,教育委員会の権限と責任の下に本市の子供たちに適した歴史の教科書の採択に努めてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 次に,山中渡議員に発言を許します。山中議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕
◆(山中渡議員) 下京区から選出をされております山中渡でございます。2015年度京都市予算案について日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。 予算案に対する市長の基本見解を中心に伺います。市長は,予算案の重点の一番に京都経済の活性化と安定した雇用の創出を掲げました。また,「京プラン」の総仕上げとして,政策と一体に徹底した行革の断行を推進するとしています。 まず最初に,この予算案で,本当に京都経済の活性化や雇用の安定が図れるのかという点について伺います。予算案では,国の経済政策と本市の成長戦略で市税収入は増加するとしています。市長は安倍政権の地方創生と経済政策が本市の実体経済に効果があるとお考えなのでしょうか。今年の国への予算要望には,安倍政権の地方創生,経済政策について,人口減少問題や地方の活性化の問題に対し,「解決の道筋を付けようとする力強い国策である」との記述がされています。しかし,実態は大企業が史上最高の利益を上げても内部留保を増やす。その一方で,労働者の実質賃金は18箇月連続減少です。雇用についても非正規労働者がついに2,000万人を超えました。賃金と個人消費は上がらず,不安定雇用が増大する事態が続いているのではありませんか。昨年のGDPも1年通じてマイナス,国民消費の10月から12月期もマイナスでした。日銀の昨年12月の生活意識に関する調査でも「生活にゆとりがなくなってきた」「1年後の景気は悪くなる」と答えた人が多数でした。雇用と消費低迷の解決の道筋など全く見えていません。京都市中央卸売市場第一市場の初市式でも業界代表の方が「アベノミクスと言うが中小零細企業は厳しい」「購買力が落ちている」と挨拶されたとおり,京都の中小企業が停滞から抜け出す見通しは全く立っていないのが現状です。それでも市長は安倍政権の経済政策を力強い国策と評価されるのですか。 今年公表された国の資料でも,景気が良いのは自動車や電気,機械など海外需要が増加している業種や訪日外国人客関連業などで,収益が増加しているとしていますが,中小企業は,原材料・エネルギーコスト上昇の価格への転嫁が困難であり,内需依存度の高い食料品,小売や飲食等は収益が悪化しているとしています。今年1月に公表した京都市中小企業景況調査でも,経営上の不安定要素のトップに売上不振が挙がり,原材料価格上昇も不安要素の高位を占めるなど,京都市における円安の影響は全国と同様です。ところが,提案された中小企業支援予算の内容と予算額はどうでしょう。円安効果が見られる観光対策などあるものの,らくなん進都推進や企業立地促進助成など,従来型,呼び込み型の対策が中心です。伝統産業の振興に至っては京もの海外進出助成,伝統産業を担う若手支援予算はわずか3,600万円です。市長の言う「市内企業が景気回復を幅広く実感できる」と言うなら,呼び込み型の企業誘致策を改めること,そして成長が見込める企業への応援にとどまるのではなく,中小零細企業の固定費負担を軽減するなど,全ての中小零細企業,地場産業,商店街を対象とした支援策へと中小企業対策の基本を転換することが必要と考えますが,市長いかがですか。 消費税8パーセント増税による中小企業への影響は深刻です。安倍首相は中小企業団体の全国大会挨拶で「原材料やエネルギーのコストが上がって転嫁できないと言う中小・小規模事業者の切実な声をよく耳にする」と述べましたが,京都の中小企業団体の調査でも,規模が小さいほど消費税が転嫁できない実態が報告されています。中小零細企業にとって消費税増税は死活問題になっています。安倍首相は「どんな条件でも10パーセント増税を実行する」と言っていますが,8パーセントへの増税が京都経済を悪化させ,中小零細企業を窮地に追いやっていることがこれだけはっきりしているのに,消費税は必要との市長の認識を今後も続けるなら,中小零細企業は一層押しつぶされるだけではありませんか。中小企零細企業の振興を図ると言うなら,消費税10パーセントの中止を求めるのが市長の責任ではありませんか。その際,今後政府がやろうとしている外形標準課税の対象拡大について,これまで本市中小企業を取り巻く環境が依然として厳しく,その経営に大きな影響を与える恐れがあるとの市の認識を示されています。そうであるなら,国に対してその撤回を求めることが必要と考えますが,市長お答えください。 中小零細企業対策について具体的に伺います。本市において中小零細企業対策を本気で進めようとするなら,これまでの公共事業と企業誘致という古い,効果がない経済政策から,地域内再投資力を付ける経済対策への転換が急務だという風に考えます。 最初に,今日に至っても,京都市中小企業振興基本条例をつくろうとしない点について伺います。日本共産党京都市会議員団は,2011年に京都市中小企業振興基本条例大綱を発表しました。その中では,中小企業の振興は,地域の経済や社会を維持・発展させるまちづくりの要であるとし,そのために京都市が必要な調査を京都府,大学等と連携して行うことを求め,中小零細企業振興に向け,中小企業,大企業,市民の役割を示しました。議会でも繰り返し条例制定を求めてきましたが,京都市は,「他都市の成果を検証し,経済団体の意見を聴くなど引き続き検討を進める」,「小規模企業振興基本法の趣旨を踏まえ,引き続き,他都市の事例を検証しながら,検討を進める」との答弁を繰り返してきました。ところが,今予算案でも具体化されていません。大都市でも横浜市で制定され,中小企業支援の実績のある墨田区では系統的に支援策が拡充されています。中小企業振興基本条例について,他都市の成果とその検証結果,京都市の取組の到達について市長の認識をまずお答えください。 さらに,小規模企業振興基本法は,従業員20人,商業・サービス業は5人以下の小規模企業が,事業の持続的発展を支援する施策を,国・地方公共団体などが連携して講じるよう求めています。そのうえで地方自治体に対して,地域の経済的,社会的条件に応じた施策を策定し,実施する責務があると規定しています。同法を踏まえるなら,その具体化が直ちに必要と考えますが,市長の考えをお示しください。 さらに,衆議院経済産業委員会の参考人質疑で,中小企業家同友会全国協議会の副会長は,自治体の取組について中小企業振興基本条例の制定と,悉皆調査の実施などが重要であるということを強調されました。本市において,中小企業振興基本条例制定に直ちに着手し,中小零細企業の悉皆調査に取り組むべきと考えますが,市長の見解をお答えください。 さらに,公契約条例の制定です。市長公約です。この間,京都の中小企業団体,労働組合,弁護士会などから公契約条例制定に向け積極的な提案,要望活動が行われています。京都総評や京都弁護士会は昨年末に,公契約条例は最低賃金引上げの実現が期待でき,下請,孫請を地元業者とすることで地域経済の活性化が期待できる。また,中小零細事業主の経営を圧迫せず,労働者の賃金の底上げなど地元企業の経営の安定が図れ,地域経済を活性化することにもつながると,その早期制定を求める提案や声明を出しました。官公需適格組合も昨年6月京都宣言を発表し,その中で公契約条例の制定を求めています。これらの団体の皆さんの提案や声明について市長はどのように受け止めておられますか。公契約条例については,中小企業の経営安定と労働者の賃金底上げに資する条例とすべきと考えますが,市長いかがですか。 次に,行革,「京プラン」について伺います。市長は,2010年に民間の経営感覚を取り込み,効率的な市政で持続可能な行財政の確立を図るとして「京プラン」を提案,当時の自民党,民主・都みらい,公明党の賛成で可決されました。続く2012年に「京プラン」実施計画を発表,社会福祉関係費など4年間で250億円削減,職員690人削減など具体的目標と計画を打ち出しました。負担増,行政サービス削減を高齢者,生活弱者の方を対象にスタートしたところに「京プラン」実施計画の大きな特徴があります。2012年度予算では緊急通報システムの利用料金引上げ,生活保護費の抑制,65歳以上の市民の個人府市民税軽減措置の廃止など,生活弱者の市民を対象に34億円規模の負担を押し付けました。2013年度では,過去12年間なかった水道料金の値上げをはじめ保育料,各種公共施設利用料などの値上げで14億9,000万円。続いて2014年度では,消費税増税について市長は,消費税は社会保障に必要な財源を安定的に確保するため広く負担を分かち合う制度と,消費税増税を歓迎。そして,水道料金の2年連続値上げをはじめ,市バス,地下鉄運賃,各種公共料金を値上げし,総額27億7,000万円の負担増を強行しました。 ところが,こうした下で,例えば高齢者の皆さんの生活にはどんな影響を与えたのでしょうか。政府は実質年金を削減する検討を進めていますが,実行されると年金生活者の所得は一層減ることになります。こうしたところに生活必需品の物価上昇が及び,電気料金や京都市の水道料金の値上げがのし掛かりました。敬老乗車証についても,応益負担とばかりに市バスや地下鉄を利用すれば100円の支払いを求めるなど検討していますが,こうした「京プラン」の実行は,これからも負担増の道でしかありません。高齢者の皆さんへの影響を例に挙げましたが,市長は,「京プラン」がこうした高齢者の皆さんや生活弱者の皆さんに与えた影響についてどのようにお考えですか。 第2は,市民の命と健康を守るうえで欠くことのできない施設についても廃止や民間移管を強行したことです。2010年に市長は市立看護短期大学を廃止しましたが,首長による公立の大学廃止は全国に例のないことでした。その後,洛西ふれあいの里保養研修センターの廃止,京都市身体障害者リハビリテーションセンター附属病院の廃止,そして公立保育所の廃止と民間移管が強行されてきたのであります。リハセン附属病院の廃止については,医師など関係者の皆さんは引き続き厳しく批判をされています。 第3は,民間委託や職員削減の影響です。2013年の台風18号の際には,民間委託の小栗栖排水機場が機能せず,現時点で補償総額8億円にも達する甚大な被害をもたらしました。さらに税の賦課業務の集約一元化で,区役所における税の相談業務など,区役所業務の後退の懸念が広がっています。ごみ収集業務についても,民間委託を7割まで拡大する方針ですが,災害時の対応ができるのか,ごみ出しそのものが困難な世帯の増加に対応できるのかの心配の声を聞きます。市政の多くの業務は住民の身近な問題と関わり,積み重ねがあります。これを経費節減と効率化だけで次々と行政サービスを削減することが,市民生活に新たな問題と矛盾を生み出しているとお考えになりませんか。「京プラン」を進めるほど市民生活はますます壊れ,市財政の危機と深刻さが更に深まるのではないでしょうか。このまま続けたら,自治体の役割放棄がますます進むだけと考えますが,市長いかがですか。 次に,本市財政について伺います。市長は,財源不足を強調されますが,京都市の財源不足の一番の原因は国の一方的な地方交付税の削減です。本市の地方交付税は,ピーク時のときと比べると670億円も削減されています。国は,地方交付税を今後更に大幅に削減する考えを示し,2001年から地方交付税削減分補填の臨時財政対策債の措置が採られていますが,それを含めても縮小されています。市長は地方交付税確保について要望していると言いますが,安倍政権がこうした削減路線を強めていることに対して,まともに対応しているのかという点です。リーマン・ショック対応,あるいは地方交付税の大幅削減による地方財政の厳しさから,国の採った地方交付税の上乗せ措置なるものについても削減する方針です。さらに,地方交付税の算定に当たっては,職員削減,人件費削減,公債費残高削減など行革を誘導しています。そもそも地方交付税は,どの自治体であっても標準的なサービスの財源を保障し,住民の福祉機関としての役割を支える基本となる財源です。行政サービス削減や負担増などの政策誘導に従うなら,財政も市民生活もますます深刻な方向に向かうだけではないでしょうか。本気で京都市に必要な財源確保を求めようとするなら,地方交付税算定に当たっての国の行革誘導策は,地方交付税の制度をゆがめるものであり,その是正を求めるべきではありませんか。 また,地方交付税制度を守り,地方に必要な財源について,国がその責任を果たすよう強く求めるとの市長の姿勢が必要です。また,消費税増税と地方財政について市長は,地方消費税の拡大が図られるとの見解を示されていますが,地方消費税が増えると基準財政収入額が増え,結果として地方自治体の地方交付税額は減額になります。消費税増税で地方交付税が減額され,本市財政はますます危機に追いやられるだけです。財源確保の点でも消費税増税は必要との考えを改められるよう強く求めておきます。 次に,雇用対策について質問いたします。京都市は,雇用労働行政は,国及び都道府県が所管すべき分野としてきた姿勢を2008年に改めて,若者の就労支援をはじめとする雇用対策の充実強化を図るためとして,産業観光局商工部に雇用創出の担当部長を設置し,経済企画課が雇用対策を統括するとともに,総合的な雇用施策のために関係局長らで構成する庁内横断的な組織を設置しました。ところが,早くも2014年度にはこの担当部長職を廃止し,産業観光局商工部に統合してしまいました。雇用対策の後退です。全国的な非正規率は今や38パーセントです。若者をはじめとする雇用を巡る状況は,2008年当時と比べても確実に深刻さは増しています。若者を使いつぶすブラック企業の働かせ方が,学生アルバイトにまで拡大しています。マスコミ数社が報道しましたが,非正規の現場では長時間労働,残業代が出ない,有給休暇がないなど,違法,無法な働かせ方の下で,正社員と同じレベルの労働を強いられているというひどい実態があります。総務省の調査でも,大学,短大を卒業した人の3分の1以上が年収300万円以下の賃金であることが報告されています。また,厚生労働省も,新卒者の3年後の離職率は3割にも達していると報告しています。私自身も,「非正規雇用だが,300万円を超える奨学金返済が滞るようになった。今の仕事を辞めても次の就職がすぐに決まるかどうか不安で抜け出せないでいる」との若者の声を聞きましたが,人生そのものを押しつぶしているとの思いを強くしました。 今,京都市の非正規率は43.7パーセントと全国平均を大きく上回るワーストワンです。指摘した若者を取り巻く雇用の現状と,本市の非正規率ワーストワンについて市長はどのように認識されていますか。市長は関西の経済団体の皆さんの前で,宿泊や飲食の雇用は7割が非正規であることを指摘し,改善に向け経済界の英断を要望されましたが,そうであるなら,市長がまず正規雇用の拡大と,そしてブラック企業の根絶を宣言すべきと考えますが,いかがですか。また,職員削減の下で公務労働の非正規雇用を増やしていること自体を,まず最初に改善すべきです。市長いかがですか。 国のブラック企業調査が行われましたが,ブラックバイトが出現するなど,事態は更に深刻化しています。予算案には正社員化等の処遇改善を進めるとありますが,処遇改善目標1,000人,ところが市内の非正規雇用者数は32万6,500人です。非正規率は年々増えています。実態を踏まえた対策とは思えません。市として長時間労働や使い捨ての実態などを,まず把握することをやるべきではありませんか。市長いかがですか。 京都駅周辺などの高さや容積率制限緩和方針について伺います。今,安倍政権は地方都市の機能をその地域の中心部に誘導,再整備するコンパクトシティ構想で地方創生を図るとしています。本市においても,この1月,京都駅周辺など5地区の見直しを内容とする駅周辺における地域地区の見直し(案)を発表しました。そこでは,将来の土地利用やものづくり拠点など幾つかの構想が描かれていますが,そこで重要拠点とされているのが京都駅周辺エリアです。京都市の都市機能の中枢を担う重要な地域と位置付けています。規制緩和が提案されるなど,国の構想がそのまま採用されています。ここでは,高さについて最大で20メートルの地域を31メートルに緩和する。さらに住居地域を商業地域に見直し,最大で容積率200パーセントを3倍の600パーセントに緩和することなどが提案されています。景観政策に背くことになります。また,再開発が想定され,新しい規模の大きいビルの出現が可能となります。今,国は都市開発の資金について,不動産によって生み出される利益を当て込み,公共施設整備についても同じ方針で資金を集めるとしています。今年に入って関西,京都の財界関係者の方から,この地域の高さ規制緩和の要望が出されましたが,インフラ整備を行う能力を持つ企業や投資家の利益が優先される開発が誘導されることになるのではありませんか。市長いかがですか。同時に,地域の住民にとっては権利や利益が大きく失われ,新たな暮らしと地域破壊が進むだけと考えますが,市長いかがですか。 最後に,本市の平和施策について伺います。武装集団IS(イスラミック・ステート)による日本人殺害という事件は,国民の間に大きなショックと怒りを呼び起こしました。テロ根絶の国際社会の結束と政府の冷静な検証が求められます。また,今年は,第2次世界大戦終結から70年となりますが,憲法を守ることの大事さが正面から問われています。集団的自衛権行使の一番の狙いは,日本の国を守ることでも国民の命を守ることでもなく,アフガン戦争,イラク戦争のような戦争をアメリカが起こした際に,戦闘地域にまで行って自衛隊が米軍と一緒に軍事行動をすることにあると考えますが,市長の認識はいかがですか。 世論調査では,日本の国際的協力について57.9パーセントの人が非軍事的行為に限るとしています。憲法9条改悪にも6割の国民が反対の表明をしています。安倍首相は,今年5月ごろに集団的自衛権行使の法案提出を予定しています。憲法問題等について,これまで議会答弁では,「国民全体で議論されるべきもの」,このようなことが繰り返されてきました。これが,こういう流れの認識のままでいいのでしょうか。また,平和施策について聞きますと,「市政の全体が平和施策」とも答えてこられましたが,本当に市民の安全を守ると言うなら,市長が先頭に立って,集団的自衛権行使容認など日本を戦争に導く危険な流れについて批判し,憲法擁護の見解を今こそ示すべきと考えますが,市長いかがですか。 以上の点をお伺いをして,私の第1質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 山中渡議員の御質問にお答えいたします。 「京プラン」実施計画についてでございます。本市財政は,市税や地方交付税等の収入がピーク時より400億円減少したまま回復しない一方で,社会福祉関係経費が増加の一途をたどっております。私は,こうした極めて厳しい財政状況の下で,福祉や教育,子育て支援を充実させることを目的に,市長就任以来,人件費について必要な部署には人員をしっかりと配置したうえで,約2,940人の職員数を削減し,年間300億円を超える人件費を減少させ,また民間でできることは民間になど,徹底した事務事業の見直しを行い,我が国屈指の行財政改革を断行することで,必要な財源をあらゆる努力で確保し,福祉や教育,子育て支援の充実をしっかりと図ってまいりました。例えば,高齢者福祉につきましては,私の市長就任以来,今年度までに特別養護老人ホームなどの介護保険施設を約3,000人分整備し,来年度も708人分を整備いたします。全国トップレベルの子育て・教育環境につきましては,例えばこれまでに保育所入所児童数を約3,300人拡大し,さらに来年度は,待機児童ゼロを堅持するため,新規受入枠を1,047名と前年度から倍増いたします。また,3人目の保育料無償化の拡大や子ども医療費支給制度の拡充など更なる充実を図ります。障害のある方々の福祉の施策も充実させております。 このように,市民の皆様の命と暮らしを守る取組が大きく前進し,専門家からも高い評価をいただいております。「京プラン」により自治体の役割放棄が進むという御指摘は全く当を得ないものであります。国に対して要望すべき点はしっかりと要望しており,今後も要望していきます。同時に京都市としてのあらゆる努力が重要であり,それなしに市民生活は守り抜けません。今後も「京プラン」実施計画の総仕上げとなる来年度,私が市民の皆様にお約束したこれらの施策をしっかりと着実に推進し,市民の皆様の安心安全な生活を支え,未来を展望してまいります。 次に,京都駅周辺における地域地区の見直しについてでございます。京都市では,市内全域において,来るべき人口減少社会に挑戦する取組として,商業,業務,医療・福祉施設などの生活利便施設を駅周辺に集積させ,市民の皆様が便利で暮らしやすく,地球環境への負荷が少ないエコ・コンパクトな都市構造の実現を目指しております。現在,公共交通の拠点である駅周辺の用途地域などの見直しを進めており,先行して見直しを行う5箇所のうち,京都駅周辺においては,河原町通とJRとの立体交差の完成や八条通の拡幅など,都市基盤が整った箇所について,商業,業務機能の中枢を担ってきた京都駅北側地域と同様の用途地域,容積率,高度地区等に見直し,都市機能の更なる強化を目指すものであります。この見直しにより,既存の都市基盤を最大限活用した土地利用の誘導を図り,京都駅の集客効果を周辺地域のまちづくりにいかし,地域経済の活性化と共に,市民の皆様の生活利便性の更なる向上を図ろうとするものでございます。今後とも,それぞれの地域の魅力をしっかりと守り,育てるために,持続的な都市活動を支え,市民の皆様が安心安全に暮らしていただけるエコ・コンパクトな都市を目指してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕
◎副市長(塚本稔) まず,経済政策への認識についてであります。本市では,これまでから中小企業を地域の経済と雇用を支える基盤と位置付け,本市経済政策の最重要課題として下支えと成長支援を両輪として,その振興に取り組んでまいりました。したがって,御指摘のような呼び込み型の対策とはなっておりません。現在京都経済は緩やかな回復基調にあり,雇用情勢も改善しておりますが,中小企業や家計にはいまだその恩恵が十分には及んでいない状況にございます。そのため,国の交付金を活用した消費喚起策につきましても,中小の店舗に限定して利用促進を図る京都市プレミアム商品・サービス券を発行するとともに,全ての子育て世帯に割引券を交付することにより,中小企業支援と子育て支援に重点を置いた本市独自の施策へと進化させ,補正予算として提案をしているところでございます。 また,27年度予算では,融資制度や中小企業も対象にしております企業立地促進制度補助金など,従来から取り組んでいる施策の充実を図るとともに,国内外での販路開拓支援や新事業の創出など,下支えと成長支援の両面から引き続き中小企業支援に取り組むこととしております。なお,外形標準課税につきましては,これまでから国に対し中小企業への十分な配慮について要望を行っております。また消費税につきましても,中小企業の経営に影響を与えることから,引き続き国の検討状況を注視し,必要に応じて配慮を求めてまいります。 次に,雇用対策の強化についてでございます。若者の望まざる非正規労働や早期離職については,働く本人の生活の安定や企業の人材確保という観点から,重要な課題と認識しておりまして,平成25年9月には公・労・使(行政,労働界,使用者)の代表で構成する京都雇用創出活力会議,門川市長もメンバーでございますが,そこにおきまして4年間で正規雇用3万人創出を図ることを確認し,昨年10月の同会議におきましても,正規雇用対策や就労環境改善による安定雇用戦略の推進を確認し,アピールを行いました。さらに経済団体に対しましても,これまでから労働局,京都府と共に正規雇用の拡大と若者の定着支援に向けた改善を要請してきているところでございまして,近々再度申入れを行います。また,市独自の取組として正規雇用の拡大を図るフルカバー学生等就職支援事業や,若手社員の離職に悩む事業者へ専門家を派遣する若者の定着率向上促進支援事業に取り組んでおります。 長時間労働や若者の使い捨ての疑いのある企業への対策につきましては,指導・監督権限を有する労働局や京都府と緊密に連携を取りながら,その実態の把握に努め,ブラック企業の根絶に向けてオール京都で取り組んでおります。なお,本市の外郭団体や民間企業への委託は,適切な委託料の確保を図ることにより,必ずしも非正規雇用につながるものではありません。また,本市の非常勤嘱託員やアルバイトについては,多様化する行政需要に対応するべく,一般職員との適切な役割分担を踏まえて配置しておりまして,近年その人数は増えておりませんことを付け加えさせていただきます。 次に,集団的自衛権及び憲法9条についてでございます。集団的自衛権の行使は,我が国を取り巻く安全保障環境の変化を考慮し,我が国の平和と安全を維持し,国民の命を守るとともに,国際社会の平和と安定に積極的に貢献するため,従来の政府見解における憲法解釈の基本的な論理の枠内で行ったものと説明されております。集団的自衛権の行使及び憲法9条に関しましては,国民の安心安全と平和な暮らしという国家,国民の基本に関わる問題であることから,国民全体で議論が深められるべきものでございまして,政府においては,国民の声をしっかりと受け止め,十分な説明責任を果たしていただく必要があるものと考えております。 日本国憲法における平和の理念は,日本国民のみならず,世界の人々に共通する願いであり,変わらざる人類普遍の理念であると認識しております。平和都市宣言,世界文化自由都市宣言を行い,一貫して平和を都市の理念としてきた京都市といたしましても,市民の皆様と共に人類共通の願いであります世界恒久平和の実現に向けて不断の努力を続けてまいります。以上であります。
○議長(中村三之助) 後藤財政担当局長。 〔後藤財政担当局長登壇〕
◎行財政局財政担当局長(後藤友宏) 公契約基本条例についてでございます。本市では「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画に公契約基本条例の制定を明記し,市内中小企業の受注機会拡大や適正な労働環境の確保に加え,環境保全や真のワークライフバランスの実現等,多様な社会的価値の実現を目指す総合的な条例の制定に向けて検討を進めてまいりました。これまでに,条例化に向けた課題をまとめた中間報告を公表するとともに,事業者アンケートを実施し,現在これらを基に経営者団体や労働者団体,学識経験者からの御意見を広く丁寧にお聴きしているところであります。また,団体からの要望書等も頂いております。引き続き,頂いた御意見を踏まえて十分検討を加え,来年度の制定を目指してまいります。なお,京都経済の活性化のため条例制定を待つことなく,これまでから公共事業の市内中小企業への発注に最大限努めるとともに,ダンピング受注対策のため,大胆な入札制度改革を毎年度行っており,今後も必要な取組を的確に実施してまいります。 次に,財源の確保についてでございます。地方交付税等においては,通常の算定に加えて,一部行革努力の指標を用いて地域経済活性化に取り組むための額が算定されることになっており,来年度の地方財政対策においても3,000億円が予定されております。しかしながら,地方交付税等の総額21.3兆円に占める割合は極めて小さく,こうした算定方法の是非よりも,むしろ近年地方交付税等が削減され,地方全体が必要とする額には,まだまだ不足している状況にあることが大きな問題であります。本市においても,来年度予算で,市税収入や府税交付金の増収等に伴い,地方交付税等が大きく減収となる見込みとなっております。このことは必要な額が確保されているとは言えないと認識をいたしております。このため,臨時財政対策債の廃止とともに,地方交付税の必要額の確保について,国が責任を持って対応するよう本市独自で,あるいは他の指定都市とも連携し,引き続き強く求めてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕
◎産業観光局長(村上圭子) 中小企業振興基本条例についてでございます。これまで他都市において制定されている中小企業振興基本条例の多くは,中小企業の地域社会における役割の再認識を促す理念条例でありますが,その実効性をいかに担保するかが課題と言えます。条例化につきましては,こうした課題も踏まえながら引き続き検討を進めてまいります。 次に,小規模企業振興基本法の具体化につきましては,既に本市では10名の経営支援員を増員し,京都商工会議所等と一体となって経営相談や専門家派遣,創業や事業承継等の支援を行っております。また本年度には,伝統産業従事者への設備改修補助制度を創設し,事業継続に向けた支援に取り組んでおります。さらに,来年度から,中小企業融資制度につきましても,小規模企業向けの貸付利率を大幅に引き下げるとともに,制度の簡素化を図るなど見直しを行い,小規模企業の持続的発展を支援してまいります。今後とも業界の状況をしっかりと把握し,本市独自の施策はもとより,国の施策や予算を最大限に活用しながら,京都府や京都商工会議所をはじめとする経済団体等とのオール京都体制で,中小企業振興施策の更なる充実を図ってまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 山中議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕
◆(山中渡議員) 景気回復基調と言われましたが,年収200万円以下の働く貧困層と言われる人数は史上最多になっています。本市の中小企業の厳しい実態も,アベノミクスが地方に届いていないのではなくて,このアベノミクスが暮らしと経済を壊しているんだということを見ることが大事だという風に思います。そして同時に「京プラン」について市民生活実態に対しての認識を伺いましたが,答弁を避けられました。「京プラン」による負担増と公務労働の非正規化の拡大が,暮らしを困難に追いやり,消費力を落としてるのではないでしょうか。ここをしっかり見ることが大事だという風に考えております。引き続き予算委員会で審議することを申し上げまして,質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) ここで暫時休憩いたします。 〔午後2時55分休憩〕 〔午後3時18分再開〕
○議長(中村三之助) 休憩前に引き続き,会議を行います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 くらた共子議員に発言を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕
◆(くらた共子議員) 上京区選出のくらた共子です。私は,日本共産党市会議員団を代表し,市長に質問します。 初めに,国民健康保険の問題について質問します。新年度予算に,京都市国民健康保険制度が始まって以来の,国保料引下げの提案が示されました。その内容は,医療分,後期高齢者医療支援分,介護分の全ての保険料率を引き下げ,加えて保険料軽減措置の5割軽減と2割軽減の対象を拡大するものであります。今回の改正案は,長年にわたる市民の「高過ぎる国保料を引き下げてほしい」という切実な要求に応えるもので,これまでの粘り強い市民の運動が実ったものであります。日本共産党は,広範な市民の皆さんと一緒に運動に取り組み,一貫して国民健康保険料を引き下げるよう市長に求めてきました。しかし,2012年2月市会で,国保料引下げを求める請願を自民党,民主・都みらい,公明党,京都党,無所属会派が不採択にしました。また,同年5月市会では,日本共産党が提案した国保への国庫負担率の引上げを求める意見書案にも,日本共産党以外の全ての会派が反対するなど,市民の願いに背を向けてきました。 今回の改定の財源は,国からの財政支援約18億円のうち7億円を充当し,9割以上の世帯の保険料を引き下げるものです。しかし,財源のうち7億円は,一般会計繰入れの縮減に充てるとしています。このことは,国が進める国民健康保険の都道府県単位化に沿うものであり,認めることはできません。今回の改定案で所得300万円,4人世帯で約2万4,000円の引下げとなりますが,それでも50万円を超える保険料であります。市長は,市民の厳しい生活実態を直視し,一般会計からの繰入れも含め,一層の保険料引下げを行うべきです。さらに,国に対して国庫負担率を大幅に引き上げるよう求めるべきです。いかがですか,お答えください。 市町村国保の都道府県単位化は,医療費の削減を目的とするものであります。更なる保険料の引上げや滞納保険料の徴収強化,資産の差押えなど国民健康保険を解体し,国民皆医療保険を破壊するものですから,断じて認められません。市長は,国民健康保険の都道府県単位化に反対するべきであります。いかがですか。 私の下に,「病気の治療中にもかかわらず保険証が取り上げられた」と声が寄せられています。国民皆保険制度の下支えである国保制度において,医療を必要とする市民から保険証を取り上げることはあってはなりません。京都府保険医協会の医師を対象としたアンケート調査で,窓口負担を心配する患者さんが本当に多いと報告されています。2012年度の京都市国民健康保険料の減免を受けている人は,国と市独自の制度を合わせ17万件にも上るのに,医療費の窓口負担を軽減する制度を受けているのはわずか90件のみであります。 ある70歳代の女性は「夫が入院したが,入院費が支払えるか心配です。生活を守るために私自身が働き続けなければならず,そのために外科や接骨院に通いたいのです。しかし医療費がかさむため掛かれない」とおっしゃっています。この世帯は,御夫婦共に無年金で,息子さんからの援助を受けながらもかつかつの生活です。介護保険料は夫の保険料しか納められず,国保料も遅れながら,かろうじて支払っている実態です。こうした市民に,医療費の窓口負担を軽減する制度が適応されるべきですが,本市独自の一部負担金減免制度の利用は,2013年度でわずか27件という少なさです。市民からは,「保険料の滞納があれば受けられず,わずかな生命保険を掛けていても利用できない,余りにも厳し過ぎる」と,切実な声が寄せられています。市長,市民が医療を手控えることのないよう,一部負担金減免制度について,保険料の滞納の有無を問わず資産調査を行わないこと,市民の暮らしの実態に応じ,必要な医療が受けられるように,利用対象を大幅に拡大するよう求めます。いかがですか,お答えください。市民に受診そのものを諦めさせる短期証や資格証明書の発行をやめて,全ての市民に正規の国保証を発行することを求めます。いかがですか,お答えください。 次に,子供の医療費について質問します。子供の医療費助成については,中学校卒業まで対象を広げる提案がされています。対象の枠が広がることは前進ですが,問題は月3,000円の自己負担が残されていることです。あるお母さんは「3人の子供が一度に病院に掛かる場合など1回の受診で1万円掛かる。医療機関だけでなく調剤薬局での支払いもあり,大変なんです」とおっしゃいます。調剤薬局の窓口負担について全国15の政令市で既に無料とされています。子供は病気に掛かると進行が早く,大人よりも重症化しやすいため,早目に必要な医療を受けられる条件の整備が必要なのです。ある病院の小児科では,子供を連れながら受付をためらうお母さんに職員が声を掛けると,「医療費が払えるか心配なんです」との相談が寄せられました。子供はもう少し手当が遅れていたら重篤な症状になっていたと伺いました。貧困が広がる中で,親の経済的理由により,子供の命を左右することがあってはなりません。この願いが全国の自治体の努力に結び,群馬県では中学卒業まで入院も通院も窓口負担なしの制度を実施しています。 こうした状況の下,本市は京都府内で助成を京都府基準にとどめている唯一の自治体で,最も遅れた状況となっています。京都府の制度に市独自の助成を上乗せし,子育て世帯の願いに応えるべきです。お母さんやお父さんが,家計を気にすることなく,安心して子供を医療機関に連れていけるように,月3,000円の上限を取り除き,入院も通院も中学校卒業まで医療費助成を実施するよう求めます。診療と薬剤処方は一体のものですから,痛切な市民の願いである調剤薬局の窓口負担の無料化を速やかに実施することを求めますがいかがですか,お答えください。 次に,保育の問題について質問します。子育て家庭の負担を軽減するために,3人目の子供が同時に入所していなくても,18歳までの兄弟があれば,3人目の保育料を無料とすることが決められました。これは,これまでの制度の矛盾を指摘し,改善を求めてきた市民と党議員団の運動が実ったものです。直前となった子ども・子育て支援新制度について,民間保育園関係者からは,新制度の下で園の運営が安定できるのか,経験ある保育士を配置することが,経営を圧迫することになるのはおかしい。主任保育士は,その業務の重要性からも正規の経験ある保育士でなければ務まらないが,京都市からの手当は非常勤職員相当分の助成であり,矛盾しているとの声があります。今の保育体制も不充分な上に,障害のある子供や発達の気になる子供を保育するには保育士の数が足りないと現場の声は切実です。 京都市はこの間,障害のある子供を積極的に受け入れてきた公営保育所を廃止し,民間移管を進めていますが,公民格差を是正すると言いながら,公営の基準を引き下げようとしていることは重大であります。保育の安全性が低下することのないよう,職員の配置基準を引き上げること,主任保育士の専任化と職務に応じた必要な給与の保障ができるよう求めます。いかがですか。さらに,各園が安定した保育士体制が採れるよう,プール制や特例保育など,京都市独自の補助制度を堅持し,制度の運営が後退することのないようにすること,新制度の下で保育料が引き上がらないようにすることを求めます。いかがですか,お答えください。 私は,この立場から,京都市立病院の院内保育所,青いとり保育園の問題についてお聞きします。青いとり保育園は,市民の反対を押し切って株式会社ピジョンハーツに委託されました。経営体は変わっても,職員の皆さんは市立病院と両輪の役割を担う保育の質を守り,懸命に努力してこられました。ところが,今回新たな委託先となったアートチャイルドケア株式会社は,現在45名の定員を60名とし,委託料は現行の7,000万円を下回る6,636万円で受託しました。その結果,現在,青いとり保育園で働いている保育士が,1人も残らない事態となっています。この間,重大事故が発生した民間保育園の調査報告書で,京都市は,急激な職員の入れ替わりは,過去から積み上げてきた知識,経験を途切れさせるとともに,安定的な保育の実施,ひいては児童の生活にも影響を与えるものであると指摘しているではありませんか。京都市は,市立病院を独立行政法人化しましたが,その下で青いとり保育園の委託業者による労働条件の切下げと保育の継続性が断たれるという重大な矛盾を引き起こしているのです。市立病院の設置者である市長の責任は重大であります。市長,あなたは,市立病院の設置者として,保育行政に責任を持つ立場で保育の安全確保の根底となる保育の継続性にどう責任を果たすのですか,はっきりとお答えください。まず,ここまでの答弁を求めます。
○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕
◎副市長(藤田裕之) くらた共子議員の御質問に私から3点お答えいたします。 まず,国民健康保険についてでございます。平成27年度の国民健康保険事業特別会計予算におきましては,医療費の適正化や保険料徴収率向上の取組の推進に加え,本市が国に要望してまいりました保険者支援制度の拡充の実現などにより確保した財源を活用し,制度創設以来初めてとなる全ての保険料率の引下げを実施するなど,最大限被保険者の皆様の負担軽減を図ることといたしました。 また,国保財政運営の都道府県単位化につきましては,国保制度が有する構造的課題を解決し,将来にわたり持続可能な制度とするため,本市がかねてから財政支援措置の拡充と併せて国に要望しております全ての医療保険制度の一本化に向けた一つのステップであると評価しております。 次に,一部負担金減免についてでありますが,本市では,他の都市と比べて適用しやすい収入基準を設けて運用を行っており,国の基準に合致したケースにおいては,滞納の有無に関わらず適用をしております。なお,きめ細やかで丁寧な納付相談を行ったうえで,特別な理由も示されないまま長期にわたり保険料を滞納されている方に対しまして,法令に基づき被保険者証にかわって資格証明書等を交付することは,公平性の観点からも,当然必要であると考えております。 次に,子ども医療費支給制度についてでございます。子ども医療費支給制度につきましては,国による補助制度のない中で府市協調の下,今日まで度重なる制度の拡充を図ってまいりました。平成26年度には,京都府と連携して制度拡充についての検討を進め,厳しい財政状況ではありますが,現行制度では小学校6年生までとしております支給対象について,本年9月から,中学校3年生までに拡大いたします。中学校卒業までの医療費の自己負担額を,通院や調剤も含めて無料とするなどの更なる拡充につきましては,新たに多額の経費が必要となることから,直ちに実施することは極めて困難であります。なお,子供の医療費の負担軽減施策につきましては,本来国の責務として全国一律に実施されるべきと考えており,国に対しまして補助制度の創設を求めているところでありますが,引き続き,他都市とも連携し要望を行ってまいります。 次に,保育の充実についてでございます。本市におきましては,主任保育士を専任化するための保育所運営予算に加えまして,民間保育園における国基準を上回る職員配置と職員の処遇改善を図る本市独自のいわゆるプール制により,これまでから全国でもトップクラスの保育水準を確保しております。 また,新制度におきます利用者負担額の設定につきましては,国基準の約7割に軽減しております現行の保育所保育料の水準を踏まえつつ,さらに多子世帯への経済的負担軽減を図るため,同時入所二人目の保育料につきましては,現在の同額以下としております。加えて,平成27年度からは,府市協調により新たに第3子以降の子供の保育料を免除することとしており,これらの更なる負担軽減策により,利用者負担総額を国基準の64パーセントにまで軽減することとしております。この4月から施行されます子ども・子育て支援新制度の下,京都が全国に誇っております高い水準の幼児教育・保育をより一層充実してまいります。私からは以上でございます。
○議長(中村三之助) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高木博司) 京都市立病院の院内保育所,青いとり保育園についてでございます。地方独立行政法人京都市立病院機構が運営いたします認可外保育施設,青いとり保育園につきましては,このほど同機構におきまして,本年4月1日から4年間の運営を受託する事業者を公募により公正かつ公平に選定したところでございます。同機構が示した募集要項及び仕様書には,国の保育所保育指針に基づき,施設を適切に運営することや委託先の変更に当たっても,事業を円滑に引き継ぐことなどが盛り込まれております。4月からの青いとり保育園の運営に当たりましては,全国で100箇所以上の院内保育所等の実績があり,十分な運営ノウハウを持つ受託事業者が募集要項及び仕様書に基づき,保育の安全及び質をしっかりと確保していくものと認識しております。また,今後とも,京都市立病院につきましては,地方独立行政法人制度の趣旨にかんがみ,自立的かつ効率的な運営が続けられていくものと確信をしております。以上でございます。
○議長(中村三之助) くらた議員。 〔くらた共子議員登壇〕
◆(くらた共子議員) ただ今御答弁がありましたけれども,市民の切実な声に対する市長自らの答弁がありませんでした。市長は,国民健康保険料を安心して払える保険料にしてほしいという市民の願いに応え,一般会計からの繰入れを増やし,更に国保料を引き下げるべきであります。 青いとり保育園の問題についてです。今,青いとり保育園で働いている保育士がいなくなり,これから雇用される保育士も基本給13万円という超低賃金で働かされるのです。市長,これでどうして保育の安全が守られるのですか。私は,渾身の怒りをこめてこのことを指摘し,質問に移ります。 原発再稼働問題について伺います。原子力規制委員会は,関西電力高浜原発3,4号機について,再稼働の前提となる新規制基準に適合とする審査書を決定しました。これに対し,各地から,再稼働ありきの決定で無謀な判断だと怒りの声が上がっています。規制委員会の決定は,重大な事故が起これば犠牲を強いられる住民の避難計画を審査の対象にしないなど,無責任で問題だらけであります。地震,津波などによる同時多発原発事故を考慮すべきの意見に対しても,基準では各原発で独立して事故対応に当たることにしているとするなど,疑問や意見に耳を傾けることすらしていません。これは,福島第一原発事故に対して,人類と原発は共存できないとした司法判決を顧みない暴挙であります。 子供たちへの影響では,健康診断の結果,事故当時18歳以下の約37万人中104人が甲状腺がんやその疑いがあるとされ,そのうち57人ががんと確定しています。国民世論は原発再稼働に反対の意思が圧倒的多数であります。今でも避難計画が確立できない状況下で,事故時のプルトニウム拡散シミュレーションと,市民の避難が確立できるのか,重大な問題であります。市長は,国と関西電力に対し,高浜原発3,4号機の再稼働中止をはっきりと求めるべきです,いかがですか。 安全協定や地元合意の範囲をUPZに限ることはできません。被害を受ける全ての住民と自治体を地元とし,安全協定の同意権,立入り調査権など,少なくとも立地県と同様にすることを求めるべきです。いかがですか,お答えください。 避難計画は国の責任で作成し,避難計画の確立状況も再稼働の判断に加えさせるべきであります。いかがですか,お答えください。 関西電力による電気料金の値上げについてです。市民から,「消費税が8パーセント,物価が上がり,その上電気代まで値上げられたのでは暮らせない」との声が寄せられています。生命の危険にさらされながら,金銭的負担まで強いられる,こんな原発政策に道理はありません。市長は,関西電力に対して,電気代の値上げはやめよと求めるべきです。いかがですか,お答えください。 西陣産地問題について質問します。私はこれまで,枯渇する道具類や後継者不足の問題など産地現場の声を聴き支援を行うこと,現場と業界団体,行政が,ものづくりから販売,市場開拓まで一緒に考える場が必要と求めてまいりました。20を超える工程を分業でつなぐ西陣産業は,そのものが地域内循環型経済であります。関係者から,「西陣産地を守り発展させることが京都経済の一つの展望であるが,今のままでは技の継承が断たれてしまう」と,厳しい意見が寄せられています。この間,イベント型事業や東京への販売出店などに多額の予算が投入されてきましたが,ものづくりの底上げには結び付いていません。西陣の生命線はものづくりができる職人であります。力織機を一から組み立てられる技術者が産地内にわずか3人となり,職人の皆さんから後継者の確保が痛切に求められてきました。織機の日常的なメンテナンスも含め,待ったなしの危機的な状況です。早急に対策を求めますが,いかがですか,お答えください。 さらに,職人の皆さんから,力織機などの補修に対する助成が求められています。織機の点検費用だけで1回約5,000円,調整や部品の取替えで1万円から2万円掛かっています。1箇月の賃金が10万円に満たない実態では,部品が故障したら機を止める選択しかないという現状です。京丹後市では,丹後織物指導事業補助で1回3,000円から6,000円で年3万円までの支援が行われ,2013年度の実績は,延べ利用者数が2,843人となっています。西陣産地内では,「丹後のような使いやすい制度があれば助かる,踏ん張れる」との声を聴きます。直ちに,補助制度を創設するよう求めます。いかがですか,お答えください。 織物の後継者育成については,若手の技術者から,「生活を通して技が学べる環境が必要です,学校形式では身に付けられない」との要望をお聞きします。石川県金沢市の制度は京都市の7倍の予算であります。是非若手技術者の要望に応え,本市の幅広い伝統産業の後継者育成にふさわしい予算となるよう大幅に増額すべきです。いかがですか,お答えください。 後継者育成の要は,生活できる賃金の保障が不可欠です。西陣産地の実態を把握し,最低賃金が守られるよう京都市としての責任を果たすよう求めます。産業として成り立つ産地再生のために,現場,業界団体,行政による協議会をつくり,開かれた協議を行うことを求めます。いかがですか,お答えください。 また,伝統産業従事者等設備改修助成制度についてです。これは西陣産地とも関連する様々な伝統産業分野の支援策として歓迎されています。新年度は実績相当の予算が計上されていますが,本市の伝統産業産品は74品目であります。関連事業者に行き届く支援とすることが京都全体の経済の底上げに結び付きます。京都市の誇れる伝統産業の規模に合致した事業となるよう,思い切って予算を引き上げることを求めます。いかがですか,お答えください。 最後に,地下鉄烏丸線駅ホーム転落防止柵の設置についてです。京都市は,昨年12月から運用開始した地下鉄烏丸御池駅に続き,四条駅,京都駅の設置を表明しています。2012年に5,000人分の署名を議会に提出してこられた,全ての人に安全な駅ホーム設置を進める会の皆さんは,重度の障害を持ちながら支援者の皆さんと烏丸線全駅の調査に取り組み,各駅の構造上の問題なども示して担当局に重ねて要望してこられました。また,地下鉄烏丸線駅ホーム転落防止柵の設置を求めるシンポジウムでは,転落した当事者の方のほか,視覚障害のある方,認知症の人と家族の会の方などが公共交通の安全を求めて意見を述べてこられました。日本共産党市会議員団は,100回を超える議会質問と討論,積極的提案を行い,市民の皆さんと力を合わせて運動を進めてきました。車いすごとホーム階から転落した当事者の方の恐怖心は察して余りあるものです。私は,誰もが安心して利用できる地下鉄の実現に行政の責任が果たされなければならないと強く求めてきました。烏丸御池駅に可動柵が設置された後,多くの市民から,「可動柵が付いて安心できる。全駅への設置を一日も早く願う」と感想が寄せられています。市長に伺います。市民が安心して利用できる地下鉄駅の実現に,可動柵の全駅設置の計画を市民に示していただきたいと思います。いかがですか,お答えください。 以上をもちまして,私の第一質問を終わります。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) くらた共子議員の御質問にお答えいたします。 原発再稼働と電気料金についてでございます。京都市は,原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を国に求め,中長期的には脱原発依存,短期的には国の責任において稼働の必要性を明らかにし,万全の安全の確保と地域住民の理解が必要であると主張してきております。そのうえで,理解を得るべき地域住民の範囲については,立地自治体にとどまらず,原発から5キロメートル圏のPAZや本市のような30キロメートル圏のUPZの地域にまで拡大すべきと考えております。先般の高浜原発から5キロメートル圏の京都府と関西電力との安全協定は,事故後の運転再開時の事前説明や現地確認に加えまして,安全対策に関して府への回答義務を課すなど,立地自治体に準じたものであり,本市といたしましても,30キロメートル圏に位置する大飯原発の再稼働の可能性が生じた場合には,立地自治体に準じた安全協定の締結を強く求めてまいります。また,避難計画につきましては,これまでから実効性ある広域避難計画の早期策定に向け,国が主体となって取り組むよう要望しております。 次に,電気料金の値上げについてでございます。電気料金の値上げは,市民生活はもとより,経済活動,特に中小企業の経営に大きな影響を及ぼすことから,本市では,関西電力に対し徹底した経営の効率化を図り,値上げの回避や値上げ幅の抑制,さらに十分な説明責任を果たすことなどを繰り返し要請してきたところであり,引き続き強く求めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕
◎副市長(小笠原憲一) 私からは,地下鉄烏丸線全駅への可動式ホーム柵の設置についてお答えをいたします。お客様の安全確保が第一であるとの強い思いから,全国一厳しい地下鉄の経営状況の中,実施可能な手法について熟慮を重ねまして,多額の費用を要する車両改造によることなく,乗務員が手動で,列車の停止と柵の扉の開閉操作を行うという,全国の地下鉄においても非常にまれな例のない方法で,お客様が多く混雑する烏丸御池駅,四条駅,京都駅の3駅について可動式ホーム柵の整備を進めております。残る12駅への可動式ホーム柵の設置は,お客様に地下鉄を安心して御利用いただくための必要な施策だと認識しておりますが,ハードルの高い課題が数多くあることから,早期の実施は難しい状況でございます。 具体的には,まず車両改造を伴わない方法では,乗降に要する時間が増えるため,現行のラッシュ時のダイヤ本数が維持できず,輸送力が確保できないという問題がございます。そこで,車両改造を伴う整備を行うといたしますと,概算で約120億円を超える膨大な費用を要することとなり,また,直通運転を行う近鉄側にも車両改造を実施することが必要となります。今後こうした課題の解決に向けまして,国に対し,補助制度の抜本的な拡充と,現在研究が進められております新たなタイプの可動式ホーム柵の技術開発の促進を強く要望するとともに,近鉄との協議も行い,経営健全化推進の観点も踏まえまして,様々な面から鋭意検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕
◎産業観光局長(村上圭子) 伝統産業の支援についてでございます。本市では,これまでから,伝統産業振興に向け,後継者育成,新商品開発,首都圏や海外での販路開拓など,きめ細かな取組を推進してまいりました。後継者育成につきましては,京都市伝統産業技術後継者育成制度により,これまで1,249名もの若手技術者に育成資金を支給してまいりました。議員御指摘の事業以外にも,若手職人を対象とする作品コンペや伝統産業分野への就職を目指す職人等を市内事業者が受け入れる若手職人OJT事業,さらには,京都市産業技術研究所の後継者育成研修も伝統産業の技術継承に大きな役割を果たしており,これまで1万3,000人以上の修了生を輩出しております。とりわけ,西陣織の力織機のメンテナンスを担える技術者の育成につきましては,本市をはじめ国,府,業界団体で組織する京都伝統産業道具類協議会において,本年度から力織機組立の映像資料を作成しており,来年度は織機技術者の実技研修を実施してまいります。 また,産地の実態調査につきましては,現在,中小企業団体の要望を受け,業界診断事業を実施しておりますが,来年度は,職人の賃金等の現況も含め,和装分野に従事する事業者・職人に対する実態調査を実施し,これを踏まえて,市,府,有識者,業界団体等で組織する調査事業委員会において,産地の振興施策を検討してまいります。好評をいただいている京都市伝統産業従事者設備改修等事業補助制度につきましては,今年度当初予算に加え,補正予算におきまして増額をしたところですが,引き続き事業者の需要を把握し,必要な予算の確保に努めてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕
◆(くらた共子議員) 高浜原発3,4号機の再稼働についてです。市長からは,明確に反対するとの答弁はありませんでした。しかし,明日にも京都府と関西電力が安全協定を締結するという状況です。脱原発を訴える市民や団体から,再稼働への同意見を持つような立地県並みではないやないかとして,締結に反対する声も出ています。高浜3,4号機の過酷事故が起これば,プルトニウムが拡散する事態となります。市長,市民の命に対する責任を放棄することは許されません。このことを厳しく指摘し,私の第二質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 次に,
玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔
玉本なるみ議員登壇(拍手)〕
◆(
玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみです。日本共産党市会議員団を代表し,市長に質問します。 初めに,高齢者の暮らしの現状などから,今回の予算がどのように影響するのか,老人医療費支給制度や介護保険制度,敬老乗車証の見直しについて質問します。 まず,老人医療費支給制度についてです。この制度は,65歳から70歳までを対象として医療費を1割負担とする唯一府下市町村統一で行っている全国でも誇れる制度です。しかし,4月から負担割合を2割に引き上げる提案がされています。70歳から74歳までの窓口負担を2割に引き上げた国制度の見直しとの整合性を図ることを理由にしています。これにより,既に1割負担に軽減されている2万人余りの方が,医療費が2倍の負担になります。さらに,対象者を世帯全員が所得税非課税の方に狭めるという提案になっています。65歳以上になると,ほとんどの方が年金のみの暮らしとなり,医療機関に掛かる頻度も高くなる年代です。制度見直しの根拠としている2007年9月の全市町村と京都府の懇談会で確認した見直し案から,既に7年以上経過しており,社会経済情勢は大きく変化しています。年金は2000年度から4.2パーセント引き下げられており,今年の4月には更に0.5パーセントの引下げ予定です。おまけに,昨年4月からの消費税増税で高齢者の暮らしは非常に厳しい状況にあります。このことを考慮するならば,医療費の負担を増大させる提案は撤回すべきです。 近年,外来通院で抗がん治療を受けられる方が増加しています。薬の種類によって違いはありますが,ある66歳の方の化学療法の費用は,1割負担で昨年10月が3万1,340円,11月,12月も3万円弱の負担で,3箇月の化学療法の費用だけで8万9,110円でした。1割負担でも年金生活者にとって厳しい出費です。それが2割になると,3箇月の治療費の合計は倍になるわけですから,17万8,200円です。これに加え,診察代や検査代も掛かります。年金生活で病気で苦しんでいるうえに,多額の医療費の負担で更に苦しめることになります。がんなどの病気になれば生活破綻となることに対して,市長はいかに考えますか。「1割負担で助かった」と喜んでおられる方々にむち打つのではなく,現行制度の所得制限は維持し,対象は65歳から74歳までに引き上げるべきです。高齢者の医療費負担を増大させる提案は撤回すべきです。いかがですか。 次に,介護保険制度の利用者負担について質問をします。今回の介護保険料の値上げは,基準額で月額640円,年間7,680円の負担の増大となります。年金は削られ,生活が厳しくなる中での更なる負担の増大は限界に来ています。高齢者の皆さんからは,「これ以上生活費を切り詰めるところはない」,「少ない年金で暮らしていけず,貯金を取り崩して,いよいよ底が見えてきた。不安で夜も眠れない」,「早よう死ねと言われているのと同じや」などなどの声が寄せられています。御苦労されてきた高齢者にこんなことを言わせ,高齢者の暮らしを苦しめることは許せません。保険料の値上げは撤回すべきです。そのためには国に対しても負担率を引き上げることが求められます。いかがですか。 さらに,利用料では,8月から現在1割負担が2割負担になる方が20パーセントあるとされています。確実に利用抑制が起こります。一定の収入がある方と言いますが,その分,医療保険料や介護保険料の負担も多くなっています。訪問リハビリを週2回利用されているある方は,月7,000円程度の利用料を払っておられますが,2倍になると1万4,000円になると説明を受け「もうやめようかと思う」と言っておられました。そうなると要介護度の後退が起こりかねません。せめてこれまでどおりの必要な介護サービスが受けられるように市独自の補填を行い,利用料は1割にすべきです。いかがですか。 次に,介護報酬の引下げによる事業所運営の影響と対策について質問します。今回2.27パーセントの引下げとなっていますが,介護職員の処遇改善や,認知症・中重度ケアなどの加算を除くと,実質的には4.48パーセントの過去最大規模の引下げとなります。改定がこのまま実施されれば,多くの事業所がかつてない深刻な経営困難に陥り,介護サービスの大幅な後退を招くことは確実です。特別養護老人ホームは,マイナス約6パーセントの報酬です。今でも全国の特養ホームの3割が赤字経営です。全国老人福祉施設協議会は,今回の改定で5割近くが赤字になるとの試算を発表しています。全国で特養ホームの待機者は52万人,京都市でも昨年10月現在5,722人ですが,今後,特養ホームを実施しようとする法人は減り,人の確保ができないうえに,既存施設の運営も困難を極めます。利用者にとっても,特別養護老人ホームの相部屋利用料として,月1万5,000円程度の部屋代が徴収されることになります。これでは利用者と事業者の両方を追い詰めることになります。介護老人保健施設の中には,年間1,000万円から1,500万円の赤字が発生すると試算されているところもあります。 さらに,今回の報酬で最も大きなマイナスとなっているのは,通所介護のデイサービスです。小規模型の場合,要介護はマイナス9パーセント,要支援の場合はなんと20パーセントも引下げになっています。市町村が実施する地域支援事業への移行を加速する狙いが見えていますが,移行どころか,早くも多くの事業者の方が,続けられるか悩んでおられます。ある小規模のデイサービスセンターでは,管理者の給料はほとんどなしにして,現在でもぎりぎりの経営でやっておられます。「この間,利用者の入院が3人もあり,その上に9パーセントの報酬カットになるとやっていけないので,廃業しようかと考えている」とおっしゃっていました。 そのほかにも,通所リハビリにおいて,利用期間を3箇月,6箇月と区切り,報酬が激減する仕組みが導入されます。訪問看護もマイナス改定になるなど,多くの事業者が経営困難に陥る状況にあります。京都市は事業所に対して状況調査を行い,相談も含めた特別な体制を採り,事業所が経営困難を理由に閉鎖,廃業することがないような対策を採るべきです。そして,国に対して公的介護保障を土台から崩す改悪は中止,撤回し,引き続きこれまでのサービスが受けられるようにするなど強く要望すべきです。いかがですか。 京都市の責任で行うことになる地域支援事業については,2015年度から要支援サービスを介護保険から外して,市町村による地域支援事業に移行を行う自治体は全国で7.2パーセントです。多くの自治体から,ボランティアなど受け皿がなく,移行は困難,サービスが低下し,重度化が進むとの声が上がっています。京都市としての移行は2017年度からということですが,拙速に進めるべきではありません。改定介護報酬は2月6日に明らかになったばかりです。どの事業所も現在,経営も含めて運営できるのか試算をされています。安上がりのサービスの転換とならないように指摘しておきます。 次に,敬老乗車証の制度について質問します。京都市が敬老乗車証の在り方の参考にしている神戸市では,無料から2008年の有料化により,利用率が76.5パーセントから48.5パーセントに激減しました。2010年から1回乗るごとに100円の負担になっていますが,年々利用率は下がり続け,2013年度決算では,34.3パーセントまで減っています。京都市は2005年度に無料から一部負担金の有料化となり,70パーセントの交付率から,今年度,平均49.8パーセントまで低下しています。神戸市の制度のように1回乗るごとの負担に変更すると,更に利用率は下がり,本来の高齢者の社会参加を促す役割が後退することは明らかです。敬老乗車証の制度の見直しの方針が打ち出されてから,市民から,京都市には現行制度の継続を求める1万6,900筆に及ぶ署名が寄せられています。利用者からは,「敬老乗車証は宝物のように大切に使わせてもらっています」,「高齢になると買い物で重い荷物は持てなくなる。だから,小分けにして買うようにして買い物に行く回数を多くしている。それが運動にもなると思っているのに,1回乗るごとの負担では回数を減らすことになる」,「一人暮らしだと,3日ほど誰とも口を聞かないこともあり,気分も暗くなる。出掛けることへのブレーキになってしまう」と声がたくさん寄せられています。 この間の説明では,社会参加の保障として無料乗車できる仕組みを作り,交付率も上げると言われていますが,無料分を付けることで,敬老乗車証の申請数を増やし交付率が上がるというような見込みは,真の交付率とは言えません。実質の利用状況を増やし,高齢者の社会参加,通院や買物を保障することが重要なのです。ICカード化による敬老乗車証を検討していくとのことですが,一体どうなるのかと不安の声が多く出されています。パブリックコメントでも多数寄せられたとおり,1回乗るごとに負担を強いる改悪の方針は撤回し,現行制度の継続を行うべきです。そして今年9月の更新は現行制度で対応するのかお答えください。ここで一旦答弁を求めます。
○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕
◎副市長(藤田裕之)
玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 まず,老人医療費支給制度についてでございます。本制度につきましては,昭和47年に創設し,65歳から69歳の低所得等の方を対象に,70歳以上の高齢者の医療制度に準じ,本来3割の健康保険の自己負担割合を1割とするために差額分の2割を支給するという府下市町村統一の制度として実施してまいりました。その一方で,急速な高齢化の進展に伴い,国において社会保障制度改革が進められ,平成26年4月以降に新たに70歳に到達された方の自己負担割合が2割に引き上げられたため,国制度との整合性や福祉施策としての対象要件の在り方について,これまで京都府及び府下市町村と検討してきたところであります。全国的には同様の制度の多くが廃止され,1割まで負担を軽減しているのは京都が唯一となっている中,将来にわたり持続可能で安定的な制度として,いかに維持していくかという観点から,自己負担割合を70歳以上と同じ2割とするとともに,対象要件を新たに65歳に到達される方から所得税非課税世帯のみとする,府下統一の見直し案が本年1月,確認されたところであります。なお,現行制度のまま対象者を74歳まで拡大することは,更に多額の経費を必要とすることから到底困難であります。 次に,介護保険制度についてでございます。第6期の介護保険制度の運営に当たりましては,地域包括ケアシステムの構築と共に,介護に要する費用負担の公平化を図ることが喫緊の課題となっております。こうした中,まず介護保険料につきましては,急速な高齢化の進行やサービス利用者の増加等により大幅な上昇が避けられない状況の中,国に対しまして,低所得者の負担軽減策を強く要望してまいりました。この結果,第6期につきましては,従来の公費負担とは別枠で新たに公費を投入して低所得者の保険料軽減を行うこととされ,第1号被保険者の25パーセントを占めております所得段階区分が最も低い方の保険料額につきましては,おおむね第5期と同額に据え置くことができました。また,低所得の方を対象に,これまでから実施しております減免制度等につきましては,第6期も継続してまいります。さらに,基金の取崩し等によりまして,全ての階層の保険料額の上昇を可能な限り抑制しております。 次に,利用料の負担割合の見直しについてでございますが,介護保険は全国一律の制度であり,一定所得以上の利用者につきましては,負担増をお願いすることとなります。本市では,影響が予想されます利用者数を,第1号被保険者の約3パーセント,1万2,000人程度と見込んでおりますが,高額介護サービス費の支給制度もありますから,その1万2,000人全ての方の負担が2倍になるというわけでは決してございません。介護報酬につきましては,国において,事業の経営実態を把握しつつ,今後も増大するニーズへの対応や,質の高いサービスを確保するという観点を踏まえて改定されるものであり,報酬改定に伴う廃業といった事態が起こるとは認識しておりません。以上でございます。
○議長(中村三之助) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高木博司) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度につきましては,近年急速に進展する高齢化社会の中で,社会参加を一層促進しつつ,世代間の負担の公平を図りながら,将来にわたって持続可能なものとしていく必要がございます。このため,本市では,京都市社会福祉審議会における真摯な御議論を経て取りまとめられた答申及び市民意見募集の結果等を踏まえ,一昨年10月に,本制度の今後の在り方に関する基本的な考え方を取りまとめたところでございます。本市といたしましては,高齢化が更に進む中にあっても,より多くの方に御利用いただけるものとなるよう,一定回数の乗車までは無料,その後は利用ごとに相応の負担をお願いする仕組みへと転換を図ることとし,現在ICカードを活用した新たな制度設計に向けて,技術面,運用面等の基礎的な検討,調査を進めているところでございます。新しい制度の具体化に当たりましては,現役世代を含む市民や交通事業者等多くの関係者の御理解はもとより,ICカード化に伴う大きなシステム開発等が新たに必要となることから,引き続き十分時間を掛けて検討を進めてまいります。以上でございます。
○議長(中村三之助) 玉本議員。 〔
玉本なるみ議員登壇〕
◆(
玉本なるみ議員) 御答弁いただきましたが,まず,高齢者の暮らしの実態を踏まえ,負担の増大がいかに生活を圧迫させるかを認識すべきです。介護報酬の問題でも,引下げによる廃業などの影響はないという御答弁がありましたが,政府の試算は机上の空論と言わざるを得ません。実際に廃業を考えている事業者は幾つもあります。京都市は,事業所の実態をしっかりと調査し,対策を採ることを再度求めておきます。 次に,生活保護制度の改悪に対する影響について質問します。2013年8月から史上最大の生活扶助基準の引下げを段階的に実施されてきました。その規模は平均で6.5パーセント,最大10パーセントの引下げであり,既に非常に厳しい生活が強いられています。今年4月にも引下げの予定です。そのうえに今年7月から住宅扶助費の引下げ,11月からの冬期加算の減額が既定路線として進められ,不安の声が広がっています。社会保障審議会生活保護基準部会の論議の資料を見ても,生活保護世帯の居住環境が劣悪なことは認めています。住宅扶助基準の引下げは混乱を招くことになります。現在の単身世帯の住宅扶助額4万2,500円でも,対象となる住宅を探すのは大変です。厚労省の示す自治体具体例では,1級地の京都市の場合,単身者で3,000円の減額,2人世帯では8,000円もの減額,3人から5人世帯でも4,000円の減額となります。引っ越しするということになれば,更に劣悪な住居環境になることが懸念されます。環境が変わることで,地域でのネットワークが壊れ,体調も崩す方も出てくることになると思います。子供さんのいる御家庭では学校の関係もあり,国の勝手な制度改悪で,暮らしを振り回すことなど許されません。生活保護世帯が今後の制度改悪において,厳しい住居環境を強いられ,困窮することへの問題をいかに認識しておられますか。生活保護基準の引下げは国民の暮らしの水準を引き下げることになることをいかに認識されていますか。お答えください。 国の制度に翻弄されるのではなく,市長の判断で,住宅扶助の減額分を市として補填してでも保護世帯の住居環境を守るべきです。冬期加算の減額も,京都市の底冷えがする寒さの中,今でも節約して暮らしておられるのに,灯油やガス,電気などの暖房費を削るなんてことはあり得ません。最低でも現在の水準を維持できるような支援策を作るべきです。お答えください。 次に,少人数学級の実現について質問します。来年度の国の予算編成に向けて,財務省は,「35人学級は教育的効果がない」などと暴論を展開し,「40人学級に戻せば4,000人の教職員が減り,86億円が削減できる」と主張しました。財務省が要求した小学1年生の40人学級復活は,少人数学級の拡充を望む教育関係者や父母らの世論と運動により中止に追い込まれました。しかし,文部科学省が求めていた少人数学級推進にも使える教職員定数の増員は見送られ,前年比で100人の純減となった影響が心配されます。学校現場が抱える問題は年々複雑化しています。学習障害の子供への配慮やいじめ対策としても,少人数学級の環境を整えることこそ教育委員会に求められています。いじめ防止条例策定の際に実施した意見募集で,子供たちから,先生に見ていてほしいという意見が多く寄せられました。当然,しっかり子供たちを見るためには,対象人数を少なくすることです。 山形県では2002年度から,21人から33人の少人数学級編成にするプランが導入され,現在は小学校,中学校に拡充されています。その成果は歴然として現れています。不登校の出現率が年々減少し,平成24年度で0.22パーセントになっています。ある教員の方は「クラスが30人以下であれば,どの子が授業を理解しているか,どの子がつまずいているのかが分かります。小さなうなずきや目の輝きがつかめるようになった。丁寧な指導をしようとすれば,35人編成でも子供の数は多い」と述べられています。これこそ今求められている教育ではないでしょうか。今月23日の衆議院予算委員会では,日本共産党議員の質疑の際に,安倍首相は「35人学級の実現に向けて,努力をしていきたい」と述べ,中学までの全学年で35人以下学級の実現を目指す意向を示しました。京都市として今こそ決断のときではないでしょうか。 もう一つの大事な観点は,教職員の負担の改善です。昨年9月1日現在では21名の教師がメンタルヘルス系の疾患で休職しています。教師の負担が大きいことを表すものです。志を持ち,教師になった方々の健康を守り,教師として成長していくためにも,負担の軽減は急がれる問題です。そして,教師が元気に働くことが,子供たちにとっても大きなプラスになります。まずは小学3年生に35人学級を拡大し,中学3年生と同じく全学年に30人学級を実施すべきです。先進事例にも学び,少人数学級を実践し,国に対しても早期実現のために予算を求めていくべきです。 最後に,賀茂川上流の環境と景観保全について質問します。昨年末,賀茂川上流の産業廃棄物処理業者が委託基準違反等の廃棄物処理法違反で,許可取消しとなりました。その結果,現在,賀茂川上流の廃棄物処理施設は全てなくなっています。徹底した調査と対応に敬意を表します。そこで問題は,平成9年以前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律では,小規模な廃棄物処理場については,許可なく民地に埋め立てることが許されていたため,多くの産業廃棄物が埋め立てられているということです。この間の台風や大雨により,川岸が削られ,埋められていた産業廃棄物が河川に散乱し,問題となりました。本来,埋立てをした業者が処理すべきですが,既に業者が特定できない所もある中,昨年,民間ボランティアの協力を得て,河川内の産業廃棄物は処理されました。しかし,川岸にはまだまだたくさんの産業廃棄物が露出しており,今後大雨が降れば,次々と川に流れ落ちてくる可能性があります。護岸に放置された産業廃棄物を後世に残さないためにも,京都府と協調し,対策を採るべきです。 そして,私は今回を機会に今後,美しい賀茂川上流に産業廃棄物処理施設を設置させない仕組みを作るべきと考えます。既に,平成19年に,京都府において鴨川条例が制定され,賀茂川上流に隣接する民間私有地を賀茂川環境保全区域に制定し,残土などの埋立ては規制しているはずですが,実際は産業廃棄物が混じった残土をショベルカーなどで作業する実態はあります。(パネルを示す)不法投棄場とならないように,中の様子が分からないよう,トタン塀があちこちに建てられており,その結果,中での作業の様子が分かりにくい状況があります。上の写真はトタン塀のほんの一部です。そして,下の写真は京都市森林組合の切り出した木材のストックポイントでありますが,木製の柵で,周りの景観とも融合したものとなっています。このような景観に考慮したものに変更させていく取組を進めるべきです。 私有地の土地に,産業廃棄物であっても,自らが出した廃棄物を置いても罰せられるものではないということですが,本来,賀茂川上流域の土地には,一時仮置きも含めて厳しい規制を掛け,産業廃棄物などは置かせないようにすべきです。現在,高く積み上げられまだ残っている上村組の産業廃棄物は,なるべく早く撤去させることと,景観上トタン塀などもなくし,清流と共に美しい北山の景観も守る取組を提案します。いかがですか。お答えください。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 生活保護についてでございます。憲法で保障された市民の皆様の命と暮らしを守る大切な制度と認識しております。生活保護基準につきましては,国民が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持できるよう,厚生労働大臣が社会経済情勢や物価の動向等を総合的に勘案し,定めることとされております。生活扶助基準の見直しは,国の社会保障審議会における検証に加えまして,平成26年度以降の物価の下落を反映したものであると認識しております。また,基準の見直しが各福祉施策に影響を及ぼさないよう適切に対応してきております。 今後予定されている住宅扶助基準の見直しについては,各地域の家賃実態や近年の家賃物価の下落等を踏まえ,住環境にも配慮して行われることとされております。また,冬季加算の見直しにつきましては,光熱費支出額の,地区別の実態や近年の光熱費物価の動向等を踏まえ,世帯人数別,級地別の較差の是正等が行われることとされております。いずれの見直しにつきましても,具体的な基準額や運用の詳細については,現在,国において精査,検討中でございます。今後の国の動向に注視してまいります。生活保護は,市民の皆さんの命と暮らしを守る最後のセーフティネットとして極めて重要な制度であります。本市といたしましては,必要な人に必要な保護を実施すること,自立支援を充実させること,さらに国に対して必要な制度改革を提言し,今後とも適正な制度運営の確保に全力を尽くしてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕
◎副市長(塚本稔) 賀茂川上流域の環境と景観保全についてでございます。賀茂川上流域における清流や緑豊かな自然の景観は,雲ケ畑など地元の方々にとってはもちろんのこと,京都全体で守るべき大切な財産であるとの認識の下,鴨川を管理し,鴨川条例を制定している京都府とも連携し,その保全に努めているところでございます。 まず,廃棄物処理法による許可が必要な産業廃棄物処理施設につきましては,粉塵や騒音対策等の観点から,建物内に施設を設置する必要があるため,原則,建物を建てることができない市街化調整区域である当該地域においては,今後,設置を許可することはございません。一方,事業者が自ら排出する産業廃棄物の一時保管につきましては,法令上一定の面積や高さを超えるもの以外は,禁止はされておりませんが,廃棄物処理法に届出の義務や飛散や流出を防止するなどの保管基準が定められており,これらが遵守されるようパトロールを強化するとともに,囲いやトタン塀も含め,周辺の景観に配慮した措置を採るよう設置者に強く求めてまいります。 次に,本市が違法行為は断じて許さないとの姿勢で,昨年12月に産業廃棄物の処理に関する許可を全て取り消しました株式会社上村組の事業場に残されている廃棄物につきましては,全て撤去するよう指導しているところであり,現在同社が撤去を進めているところでございます。また,当該事業場の違反建築物につきましても,本年1月には一部が除却されるなど是正指導に応じる姿勢が示されております。引き続きこれらが早期に撤去され,撤去した廃棄物が適正処理されるよう,しっかりと指導と監視を継続してまいります。今後とも賀茂川上流域の違反建築物に対しまして,一斉立入指導等を行い,除却命令や代執行も視野に入れた厳しい姿勢で臨むなど,全庁を挙げまして,また京都府にもしっかりと責任を果たしていただくよう申入れを行い,環境と景観の総合的な保全に更に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中村三之助) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕
◎教育長(生田義久) 最後に,少人数教育についてでございます。本市では,幼稚園・保育所から小学校での学校生活への円滑な適応を図るため,小学校1,2年生で35人学級を,また,進路保障に向けてきめ細やかな指導の充実を図るため,中学校3年生で30人学級を,全国に先駆け独自予算により実施してまいりました。その結果,本市の教員一人当たりの児童生徒数は,小中学校平均して15.4人と指定都市で最も少なくなっております。また,小中学校全学年での30人学級を実施するためには,毎年約80億円もの巨額の予算が必要であり,本市の厳しい財政状況の下で独自予算による実施は困難であります。 義務教育における教員定数の確保は,本来国の責任において実施されるべきであり,今後とも教職員の定数改善について国や府に要望してまいります。なお,教職員の負担軽減につきましては,小学校で専科教育を行うスクールサポーターや発達障害のある子供たちなどを支援する総合育成支援員の全校配置,通知票や指導要録等を効率的に作成できる公務支援システムの導入などを行ってきており,引き続き教職員が子供たちに向き合う時間の確保に努めてまいります。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(中村三之助) 本日の審議はこの程度にとどめ,延会いたしたいと思いますが,御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村三之助) 御異議なしと認めます。よって,本日はこれをもって延会いたします。 〔午後4時37分延会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 中村三之助 署名議員 山本ひろふみ 同 平山よしかず
△(イメージ)人事委員会の意見(議第23号,議第28号,議第58号及び議第556号)...