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05月21日-03号

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  1. 京都市議会 2014-05-21
    05月21日-03号


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    平成26年  5月 定例会(第2回)     平成26年第2回     定例会       京都市会会議録 第3号     5月市会               平成26年5月21日(水曜日)出席議員(68名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 中村三之助議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  17番 香川佐代子議員  18番 しまもと京司議員  19番 椋田隆知議員  20番 さくらい泰広議員  21番 加藤あい議員  22番 西村善美議員  23番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  32番 下村あきら議員  33番 山元あき議員  34番 西村義直議員  35番 吉井あきら議員  36番 田中明秀議員  37番 玉本なるみ議員  38番 くらた共子議員  39番 河合ようこ議員  40番 樋口英明議員  41番 宮田えりこ議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 山本恵一議員  52番 中川一雄議員  53番 寺田かずひろ議員  54番 津田大三議員  55番 大西 均議員  56番 橋村芳和議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 岩橋ちよみ議員  61番 井上けんじ議員  62番 西野さち子議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)欠員(1名)   議事日程   開議日時 平成26年5月21日(水)午前10時   一般質問 (1)市政一般について 高橋泰一朗議員 (2)市政一般について 加藤盛司議員 (3)市政一般について 山元あき議員 (4)市政一般について 西野さち子議員 (5)市政一般について 河合ようこ議員 (6)市政一般について 小林あきろう議員 (7)市政一般について 片桐直哉議員 (8)市政一般について 曽我 修議員 (9)市政一般について 平山よしかず議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(中村三之助) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) この場合,議席の変更を行います。7番橋村芳和議員を56番に,55番中村三之助議員を7番に,56番大西均議員を55番に変更いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,本日の会議録署名者を指名いたします。国本友利議員佐々木たかし議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,高橋泰一朗議員。 〔高橋泰一朗議員登壇(拍手)〕 ◆(高橋泰一朗議員) おはようございます。まず初めに,今は去る70年前,大東亜の解放の戦いにおいて,私の父,高橋新吉郎は沖縄の戦により海の藻屑と消え,その後,私の背に守護霊として見守ってくれました。靖国の遺児,雑草のように降り立った高橋泰一朗でございます。幸いにしてそうです,幸いにして。本日御参集の誇りある自民党議員をはじめ,数多くの議会人の皆様を中心に10期40年間,元気に議員生活を続けることができ,特に長年お支えいただいた伏見区民の皆様に衷心より厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。それでは,限られた時間ですので質問に入ります。 まず初めに,今春早々に行われました京都府知事選挙に,見事4選目に圧勝されました山田啓二知事さんに心よりお喜び申し上げます。まさに当を得た「大安心・大交流」のスローガンで,戦いの駒を進められたことに対し,その実現に大いなる期待を寄せているのは京都府民260万人全ての方だと思います。御案内のとおり,国と京都市の実質的な借金を合計すると市民一人当たり911万円余になり,殊のほか厳しさを実感するのは私一人ではないと思います。かかる財政状況の中,今日がありますので,府市協調でこの難局の解決に全ての人が英知とエネルギーを結集して対応していかなければならないと思います。 山田知事におかれましては,現在全国知事会の会長として,地域の再生なくして日本の再生なしとの考えの下,地方分権改革のリーダーとして活躍し,積極的に地方自治の推進に取り組まれています。引き続き,基礎自治体の厳しい財政状況におかれている京都市にあって,先人の尊い遺産に甘えることなく府市民の負託に応えるべく,これまで積み上げられた府市協調体制の取組を更に進めていただきたいと思います。府市協調の取組を振り返れば,私が1期目任期中の昭和53年に,当時の舩橋市長と林田知事との懇談会が開催され,それ以後,京都府との間で丁々発止の論議が行われ,地球温暖化対策条例の共同化や観光案内所の一本化など,全国をリードする二重行政等にならないような無駄を排除する取組を進めてこられました。しかるに一方,今なお課題もあり,147万人京都市民の悲願でありました横大路運動公園における本格的な専用球技場の整備については,亀岡市という決断をされましたが,今後とも山田知事も深い関心を寄せられることを期待してやみません。私は,京都市民の利便性及び効率的な利用度等を考えても,今なお,専用球技場は横大路こそが最適であると思います。今後は,河川敷利用等,可能性と利用度の点からも水垂運動公園も含めた,淀川三川合流地域の整備について府市協調で着実に進めていく必要があります。 こうした中,山田知事はこの度のマニフェストにおいて,時代の変化に挑戦し,様々な取組によって人に優しい大安心の京都を築くことと,人と人,文化やスポーツの交流など,大交流によって未来をつくるという方向性を示されました。このマニフェストには,先ほど申し上げました横大路や三川合流地域,更には西京極におけるスポーツ施設の整備支援をしっかりと掲げられており,その実現に私も汗してまいりたいと思います。さらに,マニフェストでは大安心・大交流を進めていく上で,京都市,すなわち府民税を納めている京都市民との連携を重視され,京都市と共に府県と政令指定都市の協働のモデルを作るという方針を掲げられておりますので,その方針の具現化に一層努めるべきであると思います。 本日は,常に議員各位の御理解と御支援の中,今日あることに思いをいたしながら質問させていただいておりますが,山田知事が進められている基礎自治体重視という大前提の下,京都市において門川市長が積極的にイニシアチブを発揮し,常に京都府と連携して,真に市民,府民のためになる政策の具現化に汗していただきたいと思います。そこで,門川市長にとって,山田知事が言われる「協働のモデル」とはどのような姿であるとお考えですか。また,京都府において大安心・大交流のマニフェストを推進され,まさしく地球は一つとのグローバルな時代に共存,協調を図り,真のおもてなしの観念の拡大を進められる中で,共に汗していきたいと思うのでありますが,京都市としてどのような役割を果たしていこうとされているのか,お聞かせ願いたいと思います。 次に,変革の子ども・子育て支援新制度についてお伺いいたします。人口減少社会において現実のものとなった今日,我が国が直面する喫緊の重要な課題は,京都市の未来はもとより我が国の将来のあるべき姿に重かつ大なる少子化対策であります。とりわけ昨今,とみに女性の進出や成長戦略の推進等,社会経済情勢が大きく変化する中で最も求められ,また財政的基盤の豊かでない現状にあっては,子育て支援は大変重要な課題であります。自民党提言で育児,介護であります配偶者控除優遇制度が報じられております。京都市ではこれまで,門川市長が口癖のように表現されていますように「子育て環境日本一」とは,職員給与のプール制を基本とした安心安全の保育環境の充実を推進されてきました。また「三つ子の魂百まで」と語り継がれるように,高い水準の幼児教育・保育の実施をはじめ,安倍内閣が掲げている待機児童解消加速化計画にもしっかりと対応され,名実ともに全国トップクラスの施策を誇りを持って表明され,実施されております。本日も京都新聞の一面に「近畿政令指定都市の今年初の待機児童ゼロ」が大きく報じられ,感謝いたしております。 さて,平成27年4月から子ども・子育て支援新制度が始まろうとしております。この制度は京都市がこれまで築いてきた質の高い幼児教育並びに保育をはじめ,市民の多様なニーズに応え,地域における子ども・子育て支援の充実を図ることにより,妊娠,出産から学童まで切れ目なく,全ての子供の健やかな成長を支援しようとするものであります。国においては,今なお重要な財源確保をはじめ,細部にわたって検討が行われているところでありますが,こうした中にあって,子育て支援を最優先に取り組んでいる京都市にとっては,まずは利用者である児童や保護者の視点に立って,新制度の開始により,幼児教育・保育,そして地域子ども・子育て支援事業はこうなると,安心安全の最優先の課題としてしっかりと示していく必要があります。その具体的な形が,いわゆる子ども・子育て支援事業計画ですが,京都市において,どのような計画にしていこうとされておられるのか,とりわけ現役のみならず,将来の子育て家庭にとりましては,重大な関心事である安心で安全な保育の提供にどのような良策があるのか,お答えください。 さらに,保育の現場を支えるものは,人,すなわち保育士をはじめとする保育者の皆さんであります。自民党はこれまで,保育現場を支える保育者の人材確保について取り組んできたところでありますが,私も長年の保育関係者の一員として叫び続けてまいりました。この度,国レベルでは処遇改善のための交付金が創設されるとともに,本市においては平成26年度の保育予算に保育士・保育所支援センターの設置が盛り込まれておりますことを一定,良としております。待機児童解消加速化計画により,これまでに類を見ないスピードで施設整備等が行われ,受入枠の拡大が図られておりますが,現在の社会状況においては,その就労環境の悪さなどから最も大切な人の確保が大きな課題となっております。保育者の確保については,制度,内容が不十分であり,例えば同じ幼児をお預かりする幼稚園と比べ,夏休みも冬休みも土曜日も休みがなく,人材確保に大変苦労されている保育園が多数あります。ここ京都でも例外ではありません。施設整備により受入枠を増やしても,保育者が確保できなければ保育の提供はできないわけですから,待機児童解消を図るためにも保育者確保の取組は大変重要であります。かかる観点から,保育士・保育所支援センターも含め,今後の具体的な保育者確保の取組策をお聞かせください。 次に,子供たちの健全育成に向けた取組についてお聞きいたします。5月5日のこどもの日の新聞には,毎年恒例となった子供の人口が掲載されていましたが,総務省の人口推計によれば,14歳以下の子供の数は33年間連続減少し続け,調査が始まった昭和25年から1,300万人以上減少した1,633万人であり,総人口比12.8パーセントは,先進7箇国でも最も低い水準と発表されております。核家族化や地域コミュニティの希薄化に加え少子化に歯止めが掛からない中,子供たちが,日々の生活で周囲の大人や友人と関わり,その中で社会で生きる上で必要なことについて自らが気付き,学ぶ機会が減少してきているのではないかと,私自身そうした危機感から,これまで地元伏見区で長らく少年補導委員会に関わり,花背山の家での野外活動や地域の大人と子供たちが交流するもちつき大会などの取組,子供たちが,地域や社会の中でしっかりと他者と関わりながら,自らを律して,仲間を思いやりながら生きることのできる力を育むための活動に取り組んでまいりました。特に家庭が大切です。家庭は,おじいちゃん,おばあちゃん,そしてお父さん,お母さん,そして子供たちがいるこの三世代の家庭が,まさしく減少に歯止めが掛かりません。やっぱりおじいちゃん,おばあちゃんのおられる家庭はしっかりいたしておりますので,こういう風な点に表彰制度を設けられてはどうかと思っております。 そうした中で,京都市では,国において道徳の時間が特設される以前から,研究会の活動を開始するとともに,故河合隼雄元文化庁長官を座長とする京都市道徳教育振興市民会議を立ち上げられ,2万2,000人を超える市民アンケートを基に,市民ぐるみで取り組むしなやかな道徳教育として積極的に道徳教育の充実に取り組まれるとともに,小学5年生が親元を離れて野外活動を中心に生活する長期宿泊・自然体験活動の推進や,中学2年生が地域の商店や企業等で実際に働くことを通して自らの生き方について考える生き方探究・チャレンジ体験事業など,体験活動を重視した全国をリードする多くの具体的実践を重ねてこられました。そこで教育長にお伺いいたします。これまで本市で取り組んでこられた実践を踏まえ,教育活動のあらゆる機会を通じて,文化,産業,自然,そして人など,京都のまちが有する様々な財産を活用した体験活動のより一層の充実が,これからの子供たちの健全育成のために重要と考えますが,いかがでしょうか。 次に,空き家対策についてお伺いいたします。京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例が施行され,早や1箇月半が経過しました。他都市で施行されている空き家対策条例の多くが,管理に問題がある空き家の除去を促すことが主眼となっている一方,本市の条例は,空き家の発生予防や適正管理の促進並びに跡地の活用まで総合的に進めていくといった全国的にも類を見ないものになっております。これは,空き家の除去だけを進めると空き地が増加し,歴史的な景観や街並みへの影響が大きいといった本市の実情を踏まえた結果であり,全国的にも誇れる条例であると評価するものであります。単に,空き家の除去を促すことで空き地を増やさないためにも,私は管理に問題が生じる前に所有者に空き家を活用していただける環境づくりが重要であると考えております。 しかしながら,京都の空き家はその多くは賃貸用にも売却用にもなっていない,いわゆる個人の持ち家住宅が多いことが特徴であります。こうした空き家は,平成20年度においても全ての空き家の約34.8パーセントにも上り,主な政令指定都市の中で最も高い割合となっております。この背景には,所有者が空き家を活用されようとしても,貸したら返してもらえないのではないか,どのようにして貸したらいいか分からないといった不安を感じておられること,さらに活用されようにも改修費が掛かって手が付けられないといった問題があると思われます。こうした問題に全て対応すべく,誇りを持って余りある京都において,居住が可能となる方法での空き家対策を総合的に進めていくべきであり,効果的な取組を考案し,宝の持ち腐れにならないよう考えるべきだと思いますが,いかがでしょうか。 次に,下水道資源の有効活用についてお伺いいたします。私の住む京都市西南部地域は,多様な自然環境に恵まれるとともに都市機能が集積する重要な地域として,京都市ではこれまでから地域住民をはじめとして,経済界と一体となって南部創造まちづくりなど,時宜を得た重要な計画を策定し,環境に配慮した先進的なまちづくりを展開されてこられました。 一方,京都市の下水道マスタープランの基本理念には「安らぎのある暮らしのため」また「広域的な環境保全のために,基盤施設として下水道の機能向上を図る」と記されておりますが,私は安らぎのある暮らしを求めて,その実現のために,昭和50年春の初当選以来,生命・財産の維持発展のために,委員会,交通水道委員会に所属してその任務を全うしてまいりました。京都のまちの地形は,御承知のように北が高く南へ行くほど低くなっており,私たち京都市民の生活基盤であるクリーンセンター水環境保全センターなどが南に集積しておりますが,これらはまさに伏見区,南区もそうですが,京都市民の生活基盤の屋台骨を支える地域と言っても過言ではありません。私をはじめ京都の方々はもう少し感謝していただいてもいいのではないかと考えております。 そして近年は,地球的規模で深刻化する温暖化の問題,資源やエネルギーの需要が逼迫している中で,低炭素社会の構築や,環境型社会への構築などの必要性が叫ばれております。このような中で,下水道事業は,下水の排除,処理といった基本的役割に加え,今や日本列島至る所で低炭素や循環型の社会の実現のため,下水汚泥やバイオガスなどの資源やエネルギーの活用が求められております。上下水道局では,これまでからメガソーラーの導入や消化ガスの活用,さらに建設資材として京石の製造販売などに取り組んでこられましたが,今後どのようにお取り組み願えるのか,お聞かせください。 最後に,いよいよ終わりですが,市会終了と共に過激化する来春早々の選挙戦に取り組む姿勢についてでございますが,長年,御支援をいだいた伏見区民を中心に後援していただいた方にお礼を申し上げると共に,今後後継者の育成に奔走してまいります。さらに,長い間私に温かい御理解をいただきました自民党所属議員の諸公と各党議員の皆様に心からお礼を申し上げ,最後の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 高橋泰一朗議員の御質問にお答えいたします。 40年間の長きにわたり,京都市の発展のために献身的に御尽力を重ねてこられた高橋泰一朗先生の熱い魂のこもった御質問を賜りまして,50年後,100年後の京都の未来を見据えた貴重な御質問であり,心に深く刻み今後の市政運営に臨んでまいります。今後ともよろしくお願いします。 まず,府市協調についてでございます。京都府とは,これまで10のテーマに基づく府市協働パネルの公開の下での実施など,徹底した政策の融合を働き掛け,地球温暖化対策条例の共同化や,全国唯一の中小企業への融資制度の一本化と更なる充実,経済界も含めたオール京都でのエネルギー政策の推進など,全国に先駆けた数々の成果を生み出してまいりました。 こうした府市協調において重要なことは,第一に,市民に最も身近な基礎自治体であり,かつ政令指定都市として,法律により京都市内においては国道,府道の管理をはじめ福祉施策など,多くの事務を国に代わって京都市が担っているこの京都市としての性格と,複数市町村にまたがる事務を行う京都府との明確な役割分担と,基礎自治体重視の考え方であります。 第二に,あらゆる政策について企画構想段階から議論し,既成概念に捉われず,政策の融合や連携強化を追求する現行制度の限界に挑戦する仕組みであると考えます。そうしたことを実践してまいりました。そして,この全国に誇る府市協調を更に磨きを掛けまして,より高いレベルへと進化させ続けることこそ,目指すべき協働のモデルの姿であると考えております。この度の知事のマニフエストを実現していく上でも,地方分権改革の理念である基礎自治体重視の視点の下に,京都市としても主体性を発揮し,市民生活やまちづくりの現場で直接行政を担う基礎自治体にしか持ち得ない経験やノウハウ,さらには市民や事業者の生の声をしっかりと反映させ,高橋議員御認識のとおり,真に市民・府民のための施策となるよう,府にも働き掛け,京都市ならではの役割を積極的に果たしてまいります。 次に,子ども・子育て支援事業の計画についてでございます。私は,市長就任以来,子育て環境日本一のまちづくりを推進するため,全力で取組を進めてまいりました。とりわけ保育所待機児童の解消につきましては,平成20年度から6年間で49箇所の民間保育園の新設,増改築,分園の設置等により,入所児童数を約3,300人増やし,本年4月に過去最高の2万8,868人を受け入れました。小学校入学前児童数の43.5パーセントが入所,この43.5パーセントは全国の政令指定都市平均30.2パーセントを大幅に超えるものであります。また,幼稚園の良さを生かしつつ保育ニーズにも応える預かり保育の充実など様々な取組を行ったことにより,本年4月に待機児童ゼロを達成いたしました。引き続きこれまでの保育園・幼稚園と共に築き上げてきた京都の優れた幼児教育・保育の水準を最大限にいかし,質の向上及び量的拡大を図るとともに,保護者の皆様に安心していただけるよう,具体的なサービスの提供内容や確保の方策を定める子ども・子育て支援事業計画を策定してまいります。 さらに,この事業計画を盛り込んだ未来こどもプランの次期計画につきましては,本市の子ども・子育て支援の総合計画として,少子化対策をしっかりと念頭に置き,ワーク・ライフ・バランスや地域ぐるみの子育て支援などの推進により,京都で子供を産み,育ててよかったと実感していただく社会を目指しまして,保育園・幼稚園関係者をはじめ,子育て中の保護者,企業,経済界,地域で子育てを支えていただいている方々など,あらゆる皆様の英知を結集し,それを京都市子ども・子育て会議に結集いたしまして,市民の皆さんと共に策定してまいります。 次に,保育士確保対策についてでございます。本市ではこれまでから,本市独自で年間40億円を超える民間保育園の運営補助,いわゆるプール制の予算を確保することにより,保育士の配置につきましては,例えば4歳児の場合,国基準の児童30人に一人に対し,児童20人に一人にするなど,手厚く配置するとともに,給与水準は全国平均の1.4倍になるなど,全国でもトップクラスの保育環境を支える人材の確保に努めてまいっております。本年4月には,資格を持ちながら現場から離れておられるいわゆる潜在保育士の掘り起し,活用していただくことなどを目的とした京都市保育人材サポートセンターを開設し,既に,求職中の保育士と保育園の間に立ち,勤務条件の調整やあっせんを始めているところであります。今後も,多様化かつ増大する保育ニーズにしっかりと対応していくためには,高橋議員御指摘のとおり,担い手である保育士等の人材確保が極めて重要であります。引き続き,質の高い保育環境を支えるために,保育士の資格が取得できる大学等が数多くあるという京都ならではの強みも生かしまして,関係者の皆様と連携し,優れた人材の育成と安定的な人材の確保に努めてまいります。 次に,空き家対策の推進でございます。空き家の適正管理はもとより,空き家の発生予防,活用の促進,跡地活用までを総合的に取り組んでいくことを特徴とした全国にも例を見ない京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例を市会でも活発な議論を重ねていただき,昨年12月に可決いただきました。この条例を推進していくためには,京都ならではの地域力を生かした市民の皆様の取組,不動産事業者をはじめとした民間事業者の皆様の多大な御協力,さらに行政が体制を整備して一丸となって取り組むことが必要不可欠でございます。4月には,地域の空き家相談員制度を発足させ,研修を受講いただいた73名の不動産事業者の方々に登録していただいており,今後も増員してまいります。さらに,この相談員や建築の専門家が現地に赴き,具体的活用方法などの一歩踏み込んだアドバイスを行う制度も整備し,総合的なコンサルティング体制を確立してまいります。また,地域がまちづくり活動の一環として空き家の活用に取り組む地域連携型空き家流通促進事業につきましては,対象を現在までの9地区から4年後の平成30年度には10地区(後刻訂正)に拡大し,取組を充実させてまいります。さらに,空き家の改修助成につきましても,住まいとしての活用はもとより,地域のにぎわいや憩いのために活用する場合も対象とする制度を6月から開始いたします。この条例の下で,市民の皆様や事業者の皆様と一丸となって総合的な空き家対策を進め,活力ある地域社会の確立,安心安全な生活環境の確保,魅力ある景観の継承に努めることにより,京都市の都市格の向上にも努めてまいります。 次に,下水道事業における資源活用等についてでございます。地球温暖化が深刻化する中,本市では,低炭素・循環型まちづくりの実現に向けて様々な取組を進めておりますが,高橋議員御指摘のとおり,下水処理で発生する汚泥や熱の活用については,資源,エネルギー両面で大きな可能性があることから,重要な役割が期待されております。昨年度からは,本市の下水道施設で発生する全ての下水汚泥を鳥羽水環境保全センターにおいて集約処理するとともに,脱水汚泥や焼却灰をセメント原料に活用する事業を新たに開始いたしました。今年度は,下水処理過程で発生するバイオガスの一つである消化ガスの有効活用に向けまして,老朽化した消化槽などの関連施設の再整備工事に着手いたします。これにより,発生する消化ガスを質,量共に向上させ,水環境保全センターでの都市ガス使用量を大幅に低減することで温室効果ガスの削減に貢献してまいります。また,消化ガスの発電など将来的な活用方法についても,具体的な検討を進めてまいります。 なお,浸水対策につきましては,昨年度,雨に強いまちづくりの推進体制を抜本的に強化し,関係部局が連携を図りながら対策を進めているところであります。伏見区におきましても,近年頻発するゲリラ豪雨に対応するため,浸水対策や合流式下水道の改善に取り組んでまいりましたが,今年度さらに分流幹線の整備に着手いたします。今後とも市民の皆様の安全安心な暮らしを守るために,雨水幹線の整備等を着実に進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 子供たちの健全育成についてでございます。子供たちに,自らを律し,相手を尊重し,思いやる態度や社会で生きて働く力を育成するためには,高橋泰一朗議員御指摘のとおり,保護者や地域の御協力をいただき,社会の中で様々な体験を積むことが極めて重要であります。本市では,こうした観点から,小学校5年生の全員が参加する長期宿泊自然体験活動におきまして,仲間意識や責任感,規範意識など豊かな人間性,社会性を培うとともに,生き方探究・チャレンジ体験推進事業では,1万人の中学校2年生全員が,市内3,700箇所の事業所の御協力により,職場体験等を通して社会の一員として自己の在り方を見つめる中で自立心を育んでおります。また,企業や大学,博物館等にも協力をいただき,伝統文化体験や自然体験活動など,年間4,000を超える学びの場を提供するみやこ子ども土曜塾などの取組を進めております。今後,保護者や地域の皆様の参画をいただき,子供たちの豊かな学びと育ちのため,積極的な活動をいただいております学校運営協議会につきまして,当初計画を1年前倒しし,本年度中に全小学校での設置を目指すこととし,その取組の中で,伝統文化や産業,自然など,京都ならではの豊かな教育環境を最大限に生かした体験活動の一層の充実を図り,心身共にたくましく,思いやりの心あふれる子供たちの育成に,家庭,地域と共に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 先ほどの御答弁の中で,地域連携型空き家流通促進事業の対象を現在までの9地区から平成30年度までに「10地区」と申し上げましたが「100地区」でございます。慎んで訂正し,100地区で頑張ってまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,市政一般について,加藤盛司議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤盛司議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤盛司議員) おはようございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,高橋泰一朗議員に続き同僚の山元あき議員と共に,現在本市の課題だと思われる何点かについて質問をいたします。中京区選出の加藤盛司です。 さて,4月から消費税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられました。一部の方からは,引上げ前の駆け込み需要の反動で,景気が腰折れするのではないかと危惧されていましたが,現在公表されている指数を見る限り,想定内であると言われる一方で,中小企業が多い本市経済には円安効果も少ないと言われています。26年度当初予算にも景気対策として金融支援など組み込まれていますが,今回の補正予算では,国の景気施策に基づく事業として夏の京都販売促進キャンペーンなどが計上され,京都経済の活性化,雇用の創出,市民生活の安心安全を図る重要な補正予算となっています。今後,慎重に審議してまいりますが,議決された後はスピード感をもって対応されるよう要望いたします。 さて,4月末に市内にある市立と府立の重複している施設について点検結果が公表されました。今日まで効率的,効果的な行政を目指して,市,府の行政間だけではなく,議会においても,いわゆる二重行政の解消が活発に議論されてきました。中小企業に対する融資制度の統一化など全国に先駆けた取組も進められる一方,課題も少なくありません。そこで,昨年9月市会に我が党寺田かずひろ議員が取り上げ,一度ゼロベースからの徹底した調査を要求し,京都府と連携を図り,スピード感をもって解決を図るべきと求めたところです。 さて,国の法律における設置根拠から分類すると,市,府双方に設置義務があるのは児童相談所,衛生研究所,動物愛護センター,公営住宅,精神保健センターの5種類です。そのうち動物愛護センターは,既に市・府協調で施設整備が進められており,衛生研究所も統合に向けて協議が行われています。 次に,府には設置義務があるが,市には設置に努める,又は,市,府共に設置に努めると規定されているものが,高等学校,スポーツ施設,消費生活センター,公園,図書館など12種類あります。これらの中には,スポーツ施設,図書館,公園など複数ある方が利便性が高く,市民にとっては有用であり問題ない施設も多くあります。ただ,スポーツ施設では,市立ハンナリーズアリーナと府立体育館の改修時期をずらして利用者の利便性に配慮されました。このような連携例は珍しいと言えますが,スポーツ団体からは大変歓迎されました。 次に,国の法律には規定がないが,施設の重要性に鑑み,市,府がそれぞれ条例等で設置している施設が,資料館,文化施設,計量検査所,高齢者支援組織など10種類あります。さて,市,府共に設置義務のある5種類については,法令に基づき市施設は市民を対象にし,府施設は市内にあっても京都市民を除く府民を対象にしていますが,先に述べたように,二重行政の解消に向けて具体的に進んでいる施設もある一方,他の3種類の施設では進んでいません。児童相談所,精神保健センターについても解消に向けて協議ができるのではないでしょうか。 さらに,設置に努めるとされている施設や,条例設置による施設などにおいても,統合を含め,見直し,改善できる施設がもっとあるのではないでしょうか。例えば,健康増進施設として,市はヘルスピア21,府は京都テルサ内にありますが,両施設ともプールやトレーニングルームなどよく似た施設を有し,設置場所も共に南区と徒歩でも行ける距離にあります。民間でも同様の施設があります。過去に議会でも議論になった計量検査所,同じリサーチパーク内にある市の産業技術研究所と府の中小企業技術センターなど,検討の必要性があります。 今回の点検では,それぞれの施設での政策の調査,分析が行われていません。効率的,効果的な統合には政策の融合が欠かせないものです。同様な調査は11年前にも行われましたが,京都駅ビル内にある観光案内所の一元化など成果はあったものの,今なお課題が残されている状況です。そこでお尋ねをいたしますが,今回は前回と同じ轍を踏まないよう二重行政の解消を目指し,それぞれの施設の政策的意義の調査,分析を行い,二重行政解消に向けて優先順位を付けながら,これまでよりも踏み込んだ成果を確実に生み出せるよう具体的な取組指針を明らかにすべきと考えますが,いかがですか。また,京都市内ではありませんが,統合が可能なものもあります。具体的には消防学校などが考えられます。これらに対する考え方についても併せてお答えください。 次に,路上での客引き禁止,ごみ屋敷の解消を目指した条例制定について質問いたします。ごみ屋敷対策については,昨年9月市会に我が党の吉井あきら議員がその対策の必要性を提起しました。それを受け,保健福祉局を中心にプロジェクトチームが発足し,実態把握と他都市の事例などを研究,検討されてきました。我が議員団も条例が制定されている東京都足立区に調査に赴き,主に条例制定後の取組状況や,課題などについて研究してまいりました。先日の教育福祉委員会において今後の条例化に向けての報告がありましたが,何点かについて提案をいたしたいと思います。 まず,足立区への調査の結果,この条例にとって最も重要なのは,当事者に寄り添い信頼関係を築くための中心となるコーディネーターの存在です。条例ができたからすぐに解決できるものではないと思いました。当事者は地域や家庭・親戚から孤立している人が多く,単にごみを片付けるだけではなく,場合によっては生活全般について相談に乗ることも必要だと感じました。そのためには中心となるコーディネーターが必要です。 次に,足立区では環境局中心ですが,保健センター,福祉事務所など,行政間の連携と町内会,自治会,NPO法人などの地域の人にも協力を求める中で解決を図っていました。そして,片付けに協力をいただけるときには,協力団体に謝礼も出されています。また,足立区が直接片付ける場合は,1世帯に1回限り最高100万円を限度に支援を行っていました。撤去に公金を支出することには様々な意見があると思いますし,今後十分な議論をする必要はあると思いますが,根本的な解決のために,地域や家族,親戚の協力は不可避であり,その仕組みづくりも必要です。また,この問題の解決には息の長い取組が必要です。条例が制定されても,ごみ屋敷の当事者の理解を得て解決するには,場合によっては相当時間を要することも考えられます。しかし,足の踏み場もないほど積み上げられ,戸外に積み上げられた物によっては放火や崩壊の危険性が危惧されるものもあります。ごみ屋敷が周辺の市民の健康や安全性を脅かすときには,緊急避難的に必要な措置をとることも必要になるのではないでしょうか。ごみ屋敷当事者はごみを,ごみではなく財産と思われる可能性から,財産権の侵害になるのではないかと心配されますが,こうした事態にあっても,市民の安心安全の観点から,何らかの手立てを考えるべきと思います。今後の条例化に際して,パブリックコメントもとられますが,足立区の事例も踏まえ,本市の考え方についてお答えください。 次に,路上での客引き禁止についてお尋ねいたします。繁華街など飲食店が集中する地域では,路上での客引き行為が市民や観光客にとって不快な思いをさせ,観光都市京都にとって決して好ましくないと思っている方も少なくはないと思います。また,この客引き行為については,今までも議会において効果ある取組を求めてきたところです。それに対して,当初京都市の考え方は,京都府迷惑行為防止条例で対応できるので条例化は考えていないというものでした。しかし,実態は路上での客引き行為が減るどころか,市内中心部にとどまらず増えているように見受けられます。路上での客引き行為については,つきまとい等の執拗な行為があった場合には,府の迷惑行為防止条例で取締りなどの対応もできますが,声掛け程度の客引きだけでは注意で終っているのが現状です。私も地元商店街の方々と一緒にパトロールに同行しましたが,去ればまた現れる,イタチごっこが繰り返されています。 我が議員団では,路上での客引き行為等を禁止する条例を制定している東京都豊島区にも調査に行きました。その結果,豊島区でも条例制定時,東京都の迷惑行為防止条例と区のいわゆる客引き行為禁止条例との整合性が問題であったと伺いました。そのため,罰金などの罰則を付けずに条例を制定されましたが,制定後は客引き行為はなくなったとのことです。府の迷惑行為防止条例の規制対象の拡大を働き掛けるのか,それとも豊島区方式により本市が客引き行為禁止条例を制定して取り組むのか,いずれにしても一日も早く行政が立ち上がって,地元商店街と連携して取組を実施すべきだと考えますが,いかがですか。 蛇足ですが,調査に御協力いただいた先方の課長は,警視庁からの出向職員であり,警察と協議をされてこられた方でした。本市も京都府警察から派遣いただいている職員がおられます。京都府警察と共にしっかりと連携をしていくべきです。ごみ屋敷に対する条例制定速度と比べ,何か引けているというか,スピード感に欠けるという風に感じるのは私だけでしょうか。今後の取組についてお答えください。まずは,ここまでの答弁を求めます。 ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤盛司議員の御質問にお答えいたします。 まず,二重行政の解消についてでございます。現在,国の地方分権改革では,基礎自治体重視を基本に,都道府県から政令指定都市への権限移譲が進められており,この間,市内の約1万件の介護保険サービス事業等への指導監督や薬局開設の許可,NPO法人関係など,多くの事務が京都府から京都市に移譲され,本市で全力で取り組んでおります。こうした状況の下,本市では,市・府のより一層の政策の融合が必要と考え,国を超えて徹底した議論により,例えば動物愛護センターや衛生研究所の法律上の壁を越えた共同化を進めるなど,数々の成果を挙げてまいりました。これらの成功事例を基に,更なる府市協調の進化を目指し,市会での御指摘も踏まえまして,市,府の施設や施策を改めて点検することとし,この度第一弾として,類似施設の総点検に取り組むことといたしました。 点検に当たりましては,各施設の政策的意義や市民ニーズをしっかりと踏まえながら,基礎自治体重視を基本に,施設の一体化や事業の共同実施の可能性を追求してまいります。同時に,体育館や図書館など,複数ある方が利便性が高く市民サービスの向上にもつながっている施設も多いことを踏まえまして,効率化の観点だけでなく,利用者の立場に立った施設問の連携強化や役割分担の明確化など,徹底した市民目線での検討を行ってまいります。こうした方針の下,スピード感を重視し,優先順位を明確にしたうえで,府との協議を進め,合意できたものから随時可能な限り早期に改善,見直しを進めてまいります。 御指摘の消防学校につきましても,府,市の一体化が望ましいと考え,これまでから京都市から京都府に対して提案してきたところでございますが,現状において府の消防学校で対応できない専門教科の一部を市の消防学校が受け入れ,市が担っているにとどまっており,更に踏み込んだ融合,一体化が府・市双方にとって最も効果的であると考えております。また,地域力再生事業などソフト面の施策の点検も基礎自治体重視の視点から重要であり,今後,第二弾,第三弾として点検を進め,あらゆるハードルを越え,大胆に課題に切り込み,市民,府民の皆様にとって真に望ましい府,市の施設や施策の在り方を追求してまいります。 次に,ごみ屋敷等の対策についてでございます。社会的孤立等により引き起こされるごみ屋敷問題に対しては,対処に当たっての法的な権限等が整備されていない中にあっても,地域の方々や職員の熱意によって取り組まれております。私は,この取組をしっかり継続できる仕組みづくりが何よりも重要であると考え,プロジェクトチームを直ちに設置し,人への支援とごみの処理など事象への対応の二つの観点から,精力的に検討を進めております。 まず,人への支援についてでございますが,加藤議員御提案のとおり,当事者に寄り添うコーディネーターの配置をはじめ,地域や家族,親族の協力を得ながら解決を図る仕組みづくりが何より重要であり,このため,今年度社会的孤立等の状況にある方に継続して寄り添いながら,地域と行政の連携の要となり,適切な支援に結び付ける福祉の専門職である地域あんしん支援員を社会福祉協議会に3名先行配置いたしました。今後,実績を積み重ねる中で十分効果を検証し,人への支援のキーパーソンとして有効に機能させながら全市への展開等,京都の地域力を生かした支援策を構築してまいります。 次に,ごみ処分などの事象への対応についてでございます。本人の同意なくごみの撤去やいわゆる犬猫屋敷への対処を行うには,本来勧告や命令が必要になりますが,緊急性の高い場合には,こうしたプロセスを踏むことなく,直ちに必要最小限の措置を講じることができる,いわゆる即時執行を,全国に先駆けて取り入れてまいります。今後,必要な権限等を盛り込んだ条例案を9月市会に提案し,他都市にない,京都ならではの地域力を生かした先進的な取組を進めてまいります。 次に,路上での客引きの禁止についてであります。加藤議員御指摘の飲食店等による不快な客引きにつきましては,おもてなしの文化が息づく国際文化観光都市・京都の都市の風格とイメージを大きく損なうものと認識しております。早急に有効な対策が必要であります。この問題に関しましては,京都府警察とも協議を重ねており,現在でも,京都府警察,祇園・木屋町特別警察隊が精力的な取締りを,また積極的な注意を行っておられる一方で,京都府迷惑行為防止条例の規制対象の拡大については,ハードルが高いとの認識を示されておりますが,引き続き協議を深めてまいります。 また,加藤議員も同行されておりますように,地元や商店街におかれましては,自分たちのまちは自分たちで守るという自治意識の下,京都府警察とも連携され,客引きをなくしていくための自主的なパトロールに熱心に取り組まれているところであります。このような地元や商店街の方々の活動を強力にバックアップするため,本市といたしましては,外部の有識者等の御意見をお聞きする場を早急に立ち上げ,豊島区の取組等も参考としつつ,都市の風格の維持,向上などの観点から,京都府警察とも連携して十分に検討を進め,市条例の制定も含めた具体的な対応策をこの秋にはお示しできるようにスピード感をもって取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 加藤議員。 〔加藤盛司議員登壇〕 ◆(加藤盛司議員) 次に,いじめ防止の取組についてお尋ねいたします。大津市でのいじめが原因で中学生が自殺するという痛ましい事件から2年半が経過しました。いじめ問題など,子供の命に関わる事件での学校や教育委員会の対応が問題視され,教育委員会の在り方そのものが大きな議論となりました。現在,門川市長も臨時委員として参画されている中央教育審議会教育制度分科会での議論を経て,国会において,教育委員会制度改革関連の改正法案が審議されています。先週14日には,衆議院文部科学委員会において,門川市長が参考人として出席され,政府案に賛成する立場から意見を述べられたところです。門川市長もこれまでから繰り返し主張されているとおり,学校で起こる重大な課題にいかに的確,迅速に対応していくのかは,制度の問題のみではなく,やはり組織マネジメント,ガバナンスの問題が大きいのではないかと私自身は考えています。 しかし,学校でのいじめによる自殺や体罰など,全国で悲しい事件が起こる度に学校現場での対応が問題になります。国立教育政策研究所の調査によると,小学4年生から中学3年生の間に,8割以上の子供がいじめの被害者か加害者になるとされるなど,いじめには程度の差はありますが,残念ながら日常的にあるとも言えるものです。この意味では,いじめそのものを根絶するのが非常に難しい現状でもあります。私自身,13年間小学校の教師を務めた経験からも,先生方は,各学校で校長先生を先頭に日々一人一人の子供と向き合い奮闘されている中で,本当に苦労され対応されてきているのが実態だと思います。本市においても,子供の命を奪い,子供の人権を侵害するいじめは絶対に許さないとの強い決意で,全校にいじめ問題対策委員会を設置する等,組織的な対応を重視して取り組んでこられました。私自身,いじめ問題の解決は,そのノウハウも知恵も学校現場でのこうした地道な取組の上に蓄積されるものであり,これからもぜひ,学校と教育委員会が一体となって,一人一人の子供を徹底的に大切にする取組を継続していただくことを願っているところです。 しかし,一方で,全国的に見れば,まだまだ各自治体や学校における取組が十分であるとは言いがたい状況もあり,国において,昨年6月に小中高校での児童や生徒のいじめを防ぐため,与野党6党が共同提出したいじめ防止対策推進法が成立し,9月から施行されています。本市においても,いじめ防止対策推進法を踏まえた具体的な方策を検討するための京都市いじめ防止対策関係者会議を2月に設置し,現在,本市としてのいじめ防止対策のための基本方針を条例として制定することを視野に,議論を深められています。基本方針を条例で制定することは,全国的にもまだ大変少なく,政令市では現在相模原市のみと聞いていますが,今後,どのような理念,方針で,いじめ防止への取組をされようとしているのか,お答えください。 最後に,今年から復興される祇園祭後祭についてお尋ねいたします。祇園祭は平安京に疫病がはやったときに神霊を迎えて鎮めるために始まった祭りです。祭りの基本形は神霊を迎えるための神幸祭と神霊を送るための還幸祭があります。この神輿渡御に先立つ祭礼風流としての神幸祭に伴う山鉾巡行を前祭,還幸祭に伴う山鉾巡行を後祭として,少なくとも650年前から行われてきました。祇園祭は山鉾巡行と神輿渡御が一体の祭であります。 さて,戦後高度成長に伴う車社会の到来により,交通渋滞の緩和等を目的に,巡行経路の変更なども行われましたが,昭和41年から前祭と後祭が合同し,17日に前祭の巡行列に続いて後祭巡行が行われてきました。このような中,今から4年前に山鉾連合会理事長に吉田孝次郎氏が就任し,後祭の復興の議論を呼び掛けられました。折しも,150年ぶりに巡行に復帰する大船鉾の取組と併せて門川市長が全面支援し,今年の祭から本来の祇園祭の姿に戻ることとなったのです。 この後祭の復興には,交通渋滞や警備の問題など多くの課題があり,それらをクリアするのに多大な御苦労があったと思われます。関係者の皆さんの努力に敬意を表します。後祭は前祭に比べ落ち着いた祭りであると言われています。しかし,京都観光の視点から見れば,親子一緒にゆっくり楽しめる利点があり,大船鉾の復帰も併せて新たな観光資源とも言えます。そして,本来の姿に戻ったのを機に,祇園さんのすばらしい神輿をもっと多くの皆さんに見ていただくことができないかと思います。17日の夕方,八坂神社前に神輿を見に多くの皆さんに来ていただいていますが,24日にも神輿を見ていただき,昼も夜も盛り上がる祭りになればと思います。7月1日の吉符入りまで,もう余り時間がありませんので,今年の場合,できることも限られると思いますが,後祭復興の取組についてお答えください。 今朝の新聞に,先ほど高橋議員の話にもありましたように,近畿の政令市初の待機児童ゼロの実現とか,また京都市の市バス・地下鉄の乗客が大幅に伸びたという記事が載っておりました。門川市長のすばらしいリーダーシップの下,もちろん全職員の皆さんの御協力,市民の皆さんの御協力の賜物であると思っております。私が今提案しました幾つかの課題について,しっかりとスピード感をもって実現していただくことを心から願いまして,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) いじめの防止についての取組についてであります。いじめは,子供の命に関わる,また人間として絶対に許されないものであり,加藤盛司議員御指摘のとおり,本市では,いじめはどの学校にも起こり得るという危機意識を持ち,平成5年度,20年前に全国に先駆けていじめ対策委員会を全ての学校に設置し,教職員が課題や情報を共有する中で,見逃しのない観察,手遅れのない対応,心の通った指導を徹底し,いじめを許さない学校づくりを進めてまいりました。さらに,子供たちに他人を思いやる心,正義感,人権を尊重する態度を育てる取組の充実と共に,中学生の自主活動に基づく中学生生徒会サミットの開催や,その成果を全ての学校,全ての市民に発信する取組などを通じて,各校,地域において子供自身が主体的に判断し,行動する力の育成に努めております。また,この中学生生徒会の代表が集まるこの中学生生徒会サミットにつきましては,市会の格別の御配慮を頂き,この本会議場をお借りして今年8月に第3回目を開催させていただくことになりました。一層充実したサミットとなるよう努めてまいります。 さらに,市民共通の行動規範であります子どもを共に育む京都市民憲章の推進条例及び具体的行動指針におきまして,保護者,地域住民の皆様にも子供の規範意識を育くむとともに,いじめを許さないという意識で共に行動することを呼び掛けるなど,市民ぐるみの取組を推進しております。現在,こうした,学校,家庭,地域がそれぞれの責任を果たしながら,子供自身にいじめを許さない力を育む,京都ならではの取組の理念を盛り込んだ基本方針をはじめ,いじめ防止等の施策を包括的に定めた京都ならではの条例案を9月市会に提案するべく,市総体として検討を進めております。今後,市民意見募集,パブリックコメント等を通じて,より広く市民の皆様の御意見を反映させながら条例案を策定するとともに,引き続きいじめを決して許さず,子供が安心して生活し,学ぶことができる環境の実現に努めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
    ○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 祇園祭後祭の復興についてでございます。ユネスコの無形文化遺産でもあります祇園祭の山鉾巡行が古式にのっとり,7月24日の還幸祭に合わせて行われる後祭を半世紀ぶりに復興されることは,加藤議員御指摘のとおり,誠に意義深く,本市といたしましても祇園祭山鉾連合会の取組を全面支援する中,京都府警察の積極的な御協力も頂き,今年夏の復興にこぎ付けることができました。前祭とは違った風情の後祭を多くの皆様に知っていただくため,6月の市民しんぶん区民版に合わせた特集号の発行や,本市会におきまして,夏のにぎわい創出のため提案しております補正予算も活用し,交通や旅行事業者とも連携し,全国主要駅や雑誌などを通じて幅広くPRしてまいります。さらに,ほとんどの小中学校が夏休みであることから,みやこ子ども土曜塾の取組とも連動したお囃子体験や宵山のスタンプラリーなど,親子・家族が一緒に楽しめるよう準備を進めてまいります。 あわせて環境先進都市にふさわしい取組として,NPO法人等と連携したエコ屋台村での環境発信や留学生等が祇園祭を体感できる機会づくりを,また,鉾町に位置します京都芸術センターにおきましても,後祭宵山に併せて京都の伝統芸能を発信する取組を実施してまいります。これら多彩な取組によりまして,17日の前祭と神幸祭同様に24日の後祭,そして還幸祭も多くの方に楽しんでいただけるよう,新しい祇園祭の魅力を国内外の方に周知してまいります。そして,我が国を代表いたします祭である祇園祭を通して,京都のそれぞれの地域に息づく祭りや伝統行事の大切さを再認識し,将来に向けてしっかりと引き継ぐとともに,観光振興はもとより伝統産業や商店街など,商業振興にもつなげてまいりたいと考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,市政一般について,山元あき議員に発言を許します。山元議員。 〔山元あき議員登壇(拍手)〕 ◆(山元あき議員) 右京区選出の山元あきでございます。高橋泰一朗議員加藤盛司議員に続き,自民党議員団を代表し,質問を行います。 議員になってはや7年。2期目に入ってすぐには,皆様に大変な御心配と御迷惑をお掛けしたこともございました。こうしてまた元気に仕事ができておりますのも,たくさんの方々のお支えがあってのこと,心から感謝いたしております。人は誰しも一人で生きることはできません。助けられ,支えられ,好むと好まざるにかかわらず必ず社会とつながって生きている,そうしてまた,こんな私でも必要としてくれる人がいるのだということを気付かせていただくための時間であったと,今は思っております。議員とは何なのかと問い続けたこの7年間,答えはまだ明確には見つかってはおりませんが,何もなさず,言うべきことも言わず,かと思えば世間の顔色を伺い,そして保身のためにくだらぬことを見境なく吹聴して人心を惑わせ,正義の味方気取りで批判ばかりを繰り返すというような,そんな議員には決してならぬよう,真っ当な保守本流,自民党市会議員の一人として,決意も新たに質問に入らせていただきます。 まず初めに,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた本市としての取組についてお尋ねいたします。56年ぶりの日本開催となる夏季オリンピックは,経済再生を最重要施策の一つに掲げる安倍政権にとって,その推進に向けた起爆剤となるものであります。また一方,我が国ならではのおもてなしをはじめとする伝統文化やマンガ・アニメなど,世界に一目置かれている新しい文化を発信する上での好機ともなるものです。この絶好の機会を本市としても逃すまいと,開催が決定して以降,次期観光振興計画策定の前倒しや京都府と協調した大規模な文化イベントの開催など,その準備を着々と始められたところであり,時機を逸することなく,スピード感をもって対応されている姿勢については評価するものでございます。そのうえで,教育的視点から,オリンピック開催を契機にした中高生に対する競技スポーツ施策の充実についてお伺いいたします。 国の平成26年度のスポーツ関連予算では,東京オリンピックでの活躍が期待される若手有望選手の育成,強化を図るプロジェクト経費として約14億円が盛り込まれました。本市では,新春の全国都道府県対抗女子駅伝の優勝には,中高生の活躍が目立ち,選抜高校野球大会では,龍谷大学附属平安高校が見事優勝するなど,公立,私立を問わず,全国レベルの競技力を有する個人やチームが多く,これまでも市内の中学・高校からオリンピック出場者をはじめ優秀な成績をおさめる選手を多く輩出いたしております。これは,個人の技量によるところもありますが,選手を取り巻く環境が与える影響も大きく,今後とも,6年後の東京オリンピックを視野に入れ,次代の我が国の競技スポーツを担う人材の育成,京都から日本代表選手を送るべく,またそこまで至らなくとも,日々の鍛練の中で自己目標の達成に向けて努力する中高生を支援する環境を,この機会に充実させていくことが重要であると考えます。 そこで,各種競技会の主催や体育,スポーツ活動の調査,研究の主体となる中学,高校の体育連盟をはじめとする各種団体との連携や支援を更に強めるとともに,各学校が経費の捻出に非常に苦慮している体育器具などの施設整備,また,競技力向上のために不可欠な指導教員の育成など,活動の土台づくりについて,中高生の競技スポーツ先進都市として本市ならではの特色ある取組を是非ともお願いしたく存じます。当然,勝利至上主義になってはいけませんが,競技スポーツを行う中高生が夢を持ち,選手としての力を十分発揮でき,公立であれ,私立であれ,自分の好きなスポーツを通じて心身共に健全な発達に資するよう行政としての支援をより一層図っていただきたいと思いますが,門川市長のお考えをお答えください。 次に,地域水道事業についてお尋ねいたします。本市では,現在,大原,久多,百井など11簡易水道及び1飲料水供給施設を有する地域水道事業,7簡易水道1飲料水供給施設を有する京北地域水道事業を上下水道局に委任し運営を行っておられます。水道法では,地方公共団体は,地域の自然的,社会的諸条件に応じて,水道の計画的整備に関する施策を策定し,及びこれを実施するとともに,水道事業を経営するに当たっては,その適正かつ能率的な運営に努めなければならないと定められ,市街地においても,周辺の山間地域においても変わることなく健全な運営と管理体制の整備が求められております。 京北地域水道について少し申しますと,合併前,施設は老朽化に加えて広範囲に数多くの浄水場が点在し,管理上非常に効率が悪いなどの問題を抱えておりました。本市との合併により,この間,老朽化した施設の改築,更新,能率アップを図り,施設管理の効率化のため,9事業11浄水場体制から4事業5浄水場体制に再整備が進められてきました。その効果は大きく,昨年の台風18号の折,鳴瀧橋落橋と共に水道管も流出したにもかかわらず断水被害に至らなかったのは,この地区の水道管が再整備事業により平成22年度から2系統化されていたためだと聞いており,ほかにも施設の耐震化や老朽管の布設替えが進み,漏水も減少していると伺っております。また,平成21年10月に地元から本市に移管された大原簡易水道においても,老朽化した施設への対応,給水量の確保などを目的とした再整備を行うなど,本市では山間地域の市民の皆様に安全安心な水道水を将来にわたって安定的に供給するための取組を進めてこられました。 地域水道は,全て経済性が発揮されにくい山間部にあって,整備面積は広く人口は少ないため,料金,使用料収入だけでは経費を賄うことができず,不足する部分を一般会計からの繰入金によって補うことで収支均衡を図られているという特徴があります。これらの地域水道事業は,平成28年度末に水道事業と統合されることになっており,この経営統合により,一体的な運営,効率的な維持管理が行われることが期待されますが,一方,課題も生じております。事業が統合されれば,料金体系も統一されることとなり,現在の地域水道の料金を水道事業と同一の料金とすることに伴う料金収入の減収分への対応をどうするのか,また,これまで行われてきた一般会計からの経費総額に対する不足分の繰入金の継続をどうするかということです。現在,統合に向けての諸課題の整理,検討を進められておりますが,一番重要なことは,統合後も引き続き安全安心な水道水を安定的に供給し続け,住民の皆さんの期待を裏切らない事業を行っていかなければならないということです。 上下水道局は,公営企業である以上,自立した経営を目指さなければならず,安易に繰入金に頼らず,できる限り効率的事業運営を行うことは当然でありますが,このような山間地域の水道を守っていくためには,政策としての支援がなければ到底無理なことも事実です。統合後,平成29年度については引き続き繰入れを行い,水道事業会計に影響が出ない財政計画を中期経営プランの中で立てておられますが,安定的な運営を図ることができるよう,平成30年以降も一般会計からの必要な繰出しを継続する必要があると考えますが,お考えをお聞かせください。 次に,廃棄物処理問題について質問いたします。人が生活する中で必ず発生するのがごみです。ごみには一般廃棄物と産業廃棄物があり,家庭から出される燃えるごみは一般廃棄物として京都市が回収し,焼却場で燃やした後,その灰は京都市内唯一の最終処分場である東部山間埋立地に埋め立てられております。たった一つしかないこの埋立地の延命化を図ろうと,本市では焼却灰溶融炉の建設を進めてこられましたが,結局,溶融炉は完成することなく,建設を請け負った業者を提訴する事態に至りました。200億円にも上る損害賠償については,今後法廷で決着を付けなければならないこととなりましたが,これにより,本市の最終処分場延命計画は一旦振り出しに戻ってしまったことになります。市民の皆様の御協力により,この間,ごみの減量化が進み,ピーク時82万トンあったごみ収集量は,平成25年度末現在,約47万トンにまで削減される見込みです。分別,リサイクルなどの取組を進め,更なるごみ減量化を図っていく一方で,最終処分場の在り方については,3月に第1回目が行われた京都市廃棄物減量等推進審議会・東部山間埋立処分地延命策検討部会での検討状況も踏まえ,今度こそよりよい方向性を決定いただくよう願っております。 もう一方の産業廃棄物と呼ばれるごみは,事業活動から発生するものであり,その処理,処分は排出事業者の責任で行うことが義務付けられており,京都市は適正な処理,処分がなされるよう指導を行う立場にあります。産業廃棄物といいますと,不法投棄問題などの悪いイメージが先行し,自分には関係のないものと思われがちですが,例えば誰もが毎日使う水道水をつくるためにも大量の汚泥が排出され,お店で買うどの商品を製造する過程でも必ず出る,我々の生活とは切っても切り離せない存在です。日本全国で,産業廃棄物の最終処分場は平成23年度実績で1,990箇所ございます。そしてそれらの最終処分場の残余年数,あとどのくらいで満杯になってしまうかを推計すると,平均14.9年であると言われており,全国的に非常に逼迫した状況にあります。そもそもの発生量を減らす努力を懸命にしたとしても,どうしても最終的に埋め立てをしなければならない廃棄物は残り,新たな埋立地が必要ではありますが,特に都市部周辺では場所の確保が非常に難しいというのが現状でございます。 本市における産業廃棄物の発生量は,直近データのある平成20年度で271万8,000トン。同じ年の一般廃棄物の発生量57万4,000トンと比較すると約4.7倍と,その量がいかに多いかが分かります。再生利用や減量化をして埋立処分されるのはそのうち11万6,000トン,発生量の4.3パーセントとはいうものの,その量は決して少なくありません。そして,これらは最終的にどこに埋め立てられているのかというと,全て京都市域外の最終処分場なのです。先ほど,全国には1,990箇所の産業廃棄物の最終処分場があると申しましたが,現在,京都市内にはただの一つもございません。造る余地が全くなかったのか,造る余地や計画はあっても,厄介なことには関わりたくなくて許可してこなかったのかは定かではございませんが,いずれにしましても,現在我々は,自らのまちで発生した産業廃棄物を全てよそ様の土地に捨てさせてもらっているのです。 先ほど触れた東部山間埋立処分地では,平成21年10月から,それまで受け入れていた石膏ボードやがれきなどの告示産業廃棄物の受け入れを廃止されました。産業廃棄物の資源化促進と処分地の延命措置としてのことではありますが,そのような状況から,他都市,他地域から,京都市の産業廃棄物に対する厳しい目が一部向けられていることも事実です。しかし,だからといって本市が独自の力で市域内に新たな最終処分場を造ることは,厳しい財政状況から鑑みても事実上不可能であり,そのような無理難題を押し付けるつもりは毛頭ございません。ただ,この厳しく逼迫した現状をしっかりと認識したうえで,京都市は知恵を絞り,例えば民間事業者との連携も図りながら,でき得る限りの努力を払って産業廃棄物行政を行う責任があり,また市民の皆様にも産業廃棄物に対する理解を深めていただき,問題意識を共有する必要があると私は思っております。そこでお尋ねいたします。日本全国どの地域においても,最終処分場の容量についての不安が顕著になってきている中,一般廃棄物をはるかに上回る大量の産業廃棄物の減量化をどのように進めていくのか,京都市内域で発生する産業廃棄物の発生量やその処理についての現状をどのように把握され,今後どのような方針で取り組んでいくおつもりなのか,お答えください。 次に,小中学校の体育館整備についてお尋ねいたします。小中学校の体育館は,子供たちの日々の教育活動や地域の生涯スポーツの場としてはもちろん,大規模災害などが発生したときには,住民の緊急避難施設としての役目も果たす地域の防災拠点でもあります。本市では,改定された地域防災計画の中で,主たる避難施設である学校体育館の防災機能を強化することが明記され,現在教育委員会において,その方針の下,小中学校の体育館の整備が進められているところでございます。 私の地元,右京区にある太秦小学校体育館の建替えについては,かねてより地域の最重要課題の一つとなっており,以前にも代表質問で要望をさせていただきました。太秦小学校は現在も970人の児童が通う市内でも2番目のマンモス校でありますが,児童数に対してその体育館の面積は余りにも手狭です。狭いだけでなく,昭和43年に建てられ,築45年が経過した体育館は,誰の目にも明らかにみすぼらしく老朽化をいたしております。段差だらけでバリアフリー化もされず,冬にはあちらからもこちらからも隙間風が入りたい放題という誠に難儀な体育館で,一日も早い建替えをと,昨年の12月には,地元自治会などから市長に対して要望書も提出されました。その結果,ようやく今年度から改築事業に着手していただけることになったと伺っております。私としては,地域の長年の希望でありました体育館の全面改築が行われますことを大変うれしく思いますとともに,整備に当たっては,子供たちの教育活動の一層の充実はもちろん,東日本大震災での具体的な教訓も踏まえ,防災拠点としての機能をしっかりと備えた体育館として整備が行われるよう願っております。 さらに,まだまだ多くの地域から要望のある防災機能強化型の学校体育館整備について,京都市内全市の学校や地域からの期待に応えられるよう,できる限りスピード感をもって事業を推進していただくことを期待いたしております。そこで,教育長にお伺いいたします。太秦小学校の体育館整備事業の計画や整備内容,また,今後の全市における防災機能強化型の体育館整備についての取組方針をお答えください。 以上で,私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山元あき議員の御質問にお答えいたします。 まず,中学・高校生の競技スポーツに対する支援についてでございます。山元あき議員御指摘のとおり,2020年の東京オリンピック・パラリンピックは,現在の中学・高校生世代が,世界を舞台に活躍することが期待される大会であり,さらに2019年に我が国で開催され,本市も試合開催都市として立候補しているラグビーワールドカップと共に,市民全体のスポーツへの関心を高めていく絶好の機会であります。現在,本市では,市民がスポーツに親しむことのできる環境をより充実するために,府市協調による西京極総合運動公園の計画的改修や横大路運動公園の再整備などを積極的に進めておりますが,何よりも,こうした機会に全ての子供たちにスポーツを通じて,目標に向かって努力するすばらしさや感動する心,困難を乗り越える勇気,そして家族や指導者,仲間等への感謝の気持ちなどを育んでいくことが重要であると考えております。現在,そうした考えの下,中学校体育連盟,高等学校体育連盟としっかりと連携し,国公私立の垣根を越え,スポーツを通じた子供たちの健全育成と競技力の向上を目指し,全市規模の総合体育大会の開催,各競技の専門部や中学校,高校への用具整備,指導者研修会の実施等に取り組んでおります。また,競技ごとの京都市中学校選抜チームへの活動支援や全国大会での活躍が期待される京都市立高等学校運動部の強化指定等に取り組んでおり,今後ともその充実,強化に努めてまいります,さらに京都府,各競技団体,私学関係団体等とも連携し,指導者育成等のより一層の充実に努めるとともに,大学のまちであり,またプロスポーツチームが本拠地を置く京都の特性をいかし,中学・高校生やその指導者がトップレベルの大学生やスポーツ選手から直接指導を受けることのできる機会を一層拡充するなど,子供たちが夢を持ってスポーツに親しむとともに,その力を十分発揮できる環境づくりに努めてまいります。 次に,地域水道事業についてでございます。安全で安心な水道水を全ての市民の皆様に安定して供給すること,それが私どもの使命でございます。本市では,山間地域における水道未普及地域の解消を図るため,平成9年3月に策定しました京都市水道未普及地域解消計画の下,地域水道の整備事業を着実に進めるとともに,維持管理体制の強化と効率的な運営を図るため,平成16年4月から上下水道局に事務を委任しております。特に,京北地域につきましては,合併直後の平成18年3月に策定しました京北地域水道再整備事業計画に基づき,災害にも強いライフラインを構築しております。昨年の台風18号の際には,山元議員にも御評価いただきましたように,鳴瀧橋の落橋にもかかわりませず,水道管の2系統化により,断水被害を回避することができたことなど,その効果が表れているところであります。 一方,京北地域では,施設の老朽化が進み,再整備が喫緊の課題でありましたため,老朽施設の再整備を進めておりますが,これらにつきましては,国の補助制度の見直しを契機に,平成33年度までの整備期間を5年間前倒しし,平成28年度末に完了いたします。これに合わせまして,京北地域をはじめ,事務を委任している地域水道事業を水道事業と統合し,地域ごとの異なる料金制度を一元化してまいります。これまでから,人口の少ない山間地域における地域水道事業は,料金収入のみでは運営していくことが困難であったため,必要となる経費に対する不足分につきましては,一般会計からの繰出金で対応してまいりました。山元議員御指摘のとおり,上下水道局の中期経営プランの計画期間であります平成29年度までの間につきましては,一般会計からの繰出金を継続することとしております。平成30年度以降につきましても,山間地域にお住まいの皆様に,公平かつ安定的に水道水を供給し続けることは,本市の責務であると認識しております。具体的には,今後全市的な視点から検討を進めてまいりますが,京北等の地域の方々が安心していただけるよう全力を尽くしてまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 産業廃棄物の減量化と最終処分場についてでございます。社会経済活動から必然的に発生する産業廃棄物の減量化を図るためには,廃棄物を出す排出事業者や処理業者の皆様が適正処理に取り組むとともに,減量,リサイクルに高い意識を持って行動していただくことが重要であります。このため本市では,廃棄物処理法などの法令に基づく規制や指導に加えまして,平成11年度以降,本市独自に発生抑制やリサイクルの数値目標を定めました京都市産業廃棄物処理指導計画を3次にわたって策定し,この計画に基づき,排出事業者,処理業者,市民の皆様と本市とが一体となった取組を着実に進めてまいりました。その結果,市内で発生する産業廃棄物の約96パーセントがリサイクル,減量化されており,埋立処分量は残り約4パーセントにまで削減されております。さらに,市内の産業廃棄物の処理状況等の実態調査を平成21年度に続きまして今年度実施することとしており,その結果を踏まえ,来年度には先ほどの処理指導計画の見直しを行うなど,普段の見直し充実を図ってまいります。 一方で,全国で産業廃棄物の発生量が一般廃棄物の約8倍にも上ることなどから,全国的に最終処分場の残存容量が逼迫しており,とりわけ本市を含めた大都市では,最終処分場の確保に苦慮していることは山元議員御指摘のとおりでございます。このため,近畿の自治体で共同実施しているフェニックス事業により,大阪湾に埋立処分場を確保するとともに,府内で唯一,中間処理から最終処分までの一貫処理を行っている府内最大の最終処分場を有する株式会社京都環境保全公社,これは伏見区横大路に本社と中間処理施設を設置しておりますが,この公社に対しまして京都府,地元経済界と共に出資などの支援を行うなど,最終処分場の確保を図ってまいりました。今後,更に減量,リサイクルを推し進め,埋立処分量の一層の削減を図るとともに,中長期的な最終処分場の不足に対応するため,広域的な観点から,国や近畿の自治体,民間事業者等との連携によりまして,最終処分場の安定確保にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 小中学校の体育館整備についてでございます。学校の体育館は,子供たちの教育活動の場であると同時に,災害時には地域住民の緊急避難場所としての役割も果たす大変重要な施設であります。本市の学校体育館は,昭和40年代に建築されたものが多く,平成35年には,築40年を経過する施設が100棟を超えることから,老朽化対策と防災機能の強化に向け,学校体育館の改築及び全面リニューアル事業を一昨年,平成24年度から実施いたしております。整備内容といたしましては,全面改築やリニューアルに併せて,蓄電池付き太陽光発電機を設置し,災害時の電源を確保するとともに,外壁等の断熱化を行い,館内の温度環境の改善を図るほか,市内産木材の積極的な活用,LED照明化等,環境にも最大限配慮したものといたしております。 山元あき議員御指摘のとおり,太秦小学校の体育館につきましては,築45年が経過し,本市で最も古い体育館の一つであるとともに,1,000人近くの児童を擁し,市内2番目の大規模校である学校の体育館としては極めて狭隘であることから,保護者・地域の方々からも長年にわたり御要望を頂いてきており,昨年12月にも地元自治連合会等の皆様から,体育館改築の切実な御要望を頂戴いたしました。こうした状況を踏まえ,本年度から改築に向けての事業に着手し,大規模校である現状を踏まえた敷地の有効活用も検討しながら,平成28年度末完成を目指す計画であります。全市的な学校体育館の整備につきましては,本年度から,予算を大幅に増額し,毎年の整備校数を改築は1校から2校に,全面リニューアルは3校から4校へと,それぞれ1校ずつ増加させたところであり,今後20年間程度での整備完了を目指す中,事業のより一層迅速な進捗に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 暫時休憩いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時01分再開〕 ○議長(中村三之助) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 休憩前の一般質問を継続いたします。 市政一般について,西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問いたします。 質問に入る前に,安倍内閣の危険な暴走に対して一言申し上げます。安倍首相は,集団的自衛権行使に向けた安保法制懇の報告書が提出されたことを受けて,政府方針を示すとしています。内容は日本が攻められてもいないのに戦争に参加できるようにするものです。限定行使と言いますが,一度憲法の歯止めが外されたら,時の政権の判断で範囲は無限定に広がります。また,架空のシミュレーションを並べて備えが必要だと言いますが,現実には起こりえないことを並べて戦争する国にしてはなりません。安倍内閣は,憲法の条文を変えなくても内閣の判断で憲法解釈は変えられるという立場で立憲主義を否定していることに,多くの国民から反対や危惧の声が上がっています。日本は,かつての侵略戦争で多くの人々が犠牲になった痛苦の反省に立って憲法9条をつくりました。日本共産党は,憲法9条の順守を強く求めます。また,教育委員会制度について審議されていますが,国や首長から独立した行政機関である教育委員会から,その独立性を奪う教育委員会制度の改悪は絶対に許すわけにはいかないということを強く申し上げて質問に入ります。 まず最初に,消費税増税について質問します。安倍内閣は4月1日に消費税8パーセントの増税を強行しました。年金は連続して引き下げられ,労働者の給料は下がる一方です。公共料金や介護保険料など値上げのオンパレードで,そのうえ消費税増税ですから,市民生活はますます大変です。ある商店街のアンケート調査では「アベノミクスの下で景気回復の実感なし」,「増税で経営悪化する」と答えた業者が7割を超えるなど,非常に深刻です。先日,私は伏見区の商店街を訪問し,消費税増税の影響調査をしました。お酒やお米の卸しや配達を中心に営業をされているお店の御主人は「これまでは内税だったけれど,今度は外税にと言われ,システム変更ができない。資金力のあるところはいいが,消費税が10パーセントになれば,もうもたない」とおっしゃいます。洋品店では「一部の商品は消費税を上乗せしたが,ほとんどの商品は内税にして,上乗せはできていない。10パーセントに増税されたら店を閉めざるを得ない」ということです。すし店では「4月に入ってからかなり厳しい。地域の祭りはかき入れどきなのに,昨年は100件近くあった鯖寿司の注文書が今年はたった4枚。仕入れた鯖がどこまで売れるのか不安。10パーセントなんてとんでもない」と悲鳴を上げておられます。他の店でも同じような声でした。 市長は「消費税は特定の者に負担が集中せず広く負担を分かち合うもの」,「社会保障に必要な財源を安定的に確保するもの」と答弁されていますが,消費税は生活費に食い込む最悪の大衆課税です。税金は能力に応じて負担するという応能負担が原則です。税率引上げは格差と貧困を一層拡大するものになっているのではありませんか。消費税増税で市民生活は今後ますます厳しくなることは目に見えています。消費税増税が市民の暮らしと営業に与えている重大な影響について緊急に調査すべきと考えますが,いかがですか。 次に,国のエネルギー基本計画に対する市長の姿勢について質問します。本年4月11日に閣議決定されたエネルギー基本計画は,原発を重要なベースロード電源と位置付けて,再稼働だけでなく輸出まで行う原発永久化宣言をしました。2月議会では,我が党議員の質問に対して市長は「原子力発電に依存しないエネルギー政策への抜本的な転換を国に求めている」と答弁されました。しかし,市長はこれまで「中長期的には脱原発依存。短期的には稼働の必要性を明らかにし,万全の安全性確保の上,地域住民の理解が必要」と答弁し続けてこられました。本当に万全の安全性が確保できると思っているのでしょうか。中長期的には原発に依存しないというのは,短期的には原発再稼働を認める立場ですから,国と同じではありませんか。市長は原発再稼働を認めず,原発ゼロの立場に立ち切るべきです。そしてその立場から国にエネルギー基本計画の撤回を求めるべきです。いかがですか。 福島原発の地元の南相馬市議会では「原発のせいでこんな事態になったのに,大飯原発の再稼働なんてとんでもない」と反対の意見書を全会一致で上げられました。また,国は原発再稼働に前のめりになる一方で,避難計画の策定を地方に押し付けています。しかし,現実的には高齢者や障害者など,避難困難者は避難できない可能性が大きいのではないでしょうか。また,何十万人もの住民が一斉に避難すれば渋滞が起こり,早急な避難はできません。避難計画自体が無理な計画にならざるを得ないのです。また,7基の原発を抱える新潟県の泉田知事は,安倍政権が原発新基準は世界で最も厳しいとしていることに対して「世界標準にも達していない。うそを言ってはいけない」と批判されていますし,原子力の専門家も新基準は事故原因の解析と検証を行わずに作成されたもので,世界で最も厳しい水準の規制基準ではなく,それはまやかしと指摘しておられます。安全な原発はないということが福島の事故で明らかです。新基準に適合しても事故ゼロを保障するものではないのです。新基準に適合した原発は安全とすることは,新たな安全神話そのものだとは思われませんか。いかがですか。そのうえで再生可能エネルギーへのシフトが必要です。 先日,私は南丹市にある風レンズ風車を視察しました。九州大学の大屋教授が開発されたもので,(パネルを示す)このように羽の外側に輪っかを付けるだけで風圧が変化し,通常の3倍くらいの発電ができるそうです。すぐ下に立っていてもほとんど騒音もありません。この理論は小水力にも応用できるそうです。さらにすばらしいのは,地域の町工場のものづくり技術の粋を集め,メイドインジャパンにこだわられているということですから,地域経済の活性化にも役立ちます。このような自然エネルギーの普及,促進を軸にした住民の力で進める地域づくりへ小規模町工場のものづくり技術をいかした全面的な支援策を早急に策定すべきです。いかがですか。 次に「京プラン」について質問します。市長は2012年3月に「京プラン」実施計画を策定されました。そこには,2011年度までの4年間で本市職員の1割にあたる1,444人を削減するなど,徹底した取組を進めてきたとされています。しかしこういった職員削減によって,京都市に今何が起こっているでしょうか。例えば昨年の18号台風時には,小栗栖排水機場のポンプが停止し,多くの被害がもたらされました。このとき,排水ポンプが停止していることも,浸水被害が起こっていることもつかめなかったというお粗末な状況がありました。民間丸投げで,しかも委託先の職員が契約どおりの体制で作業しているかどうかも分からない状況でした。市民から畑川の水位上昇の通報があったにもかかわらず,その確認をする職員の体制すら確保できませんでした。不十分な職員体制が,今回のような甚大な被害を引き起こしたのは明らかです。さらに右京区京北地域では,(16字削除)被害対応どころか何と災害から10日たってもまだ被害の全貌が明らかにならないという状況でした。そのため農林被害の調査も遅れるというありさまでした。 また,市営住宅では,各団地にあった管理事務所が方面事務所に統合され,さらに昨年度から24時間常駐監視だったものが遠隔監視への変更で,管理人のいる平日の9時から17時以外は誰もいません。漏水,排水不良などの不具合で警報ベルが鳴ってもすぐに対応できず,ベルが1時間以上鳴り続けるという事態が起こっています。どの場合も現場の担当職員の責任ではなく,効率化,民間活力の導入の名の下に進められている職員削減の問題です。職員削減は様々なところで市民生活に悪影響を及ぼしているのに,市長には全く反省がありません。さらに,2012年度から2015年度までの4年間で職員700人程度,一般会計人件費予算を100億円以上削減するという計画です。今年度4月から小栗栖被害対策チームの職員を11名も減らしていますが,現地では「(4字削除)何も言ってこない。どうなっているのか。誠意がない」と怒っておられる被害者の方が多い現状ですから,これでは市民の理解は得られないのではないでしょうか。「京プラン」実施計画を見直し,職員削減ではなく,現業職員も含めて計画的な採用による人材育成をすべきではありませんか。そうでなければ,職員の技術力の継承もできなくなります。「京プラン」実施計画の職員削減の見直しを求めます。いかがですか。 次に,職員不祥事について質問します。今年に入ってから職員の不祥事が続発しています。飲酒運転から詐欺行為にまで広がり,先日再逮捕された職員は,市長公印も使って公文書偽造をしていたことが報道されました。市長は「民間経験者の対応や会計事務など,在り方を見直す」とおっしゃいました。今,公務労働に対する認識が問われています。配属後のコンプライアンスの徹底や公務員倫理の教育など,憲法を順守する立場に立って研修などを行う必要があります。市長の認識はいかがですか。それをお聞きして前半の質問とします。 ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西野さち子議員の御質問にお答えいたします。 原発ゼロ,再生可能エネルギーの普及促進についてであります。本市では,平成24年の市会決議も踏まえ,昨年12月に京都市エネルギー政策推進のための戦略を策定し,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会を目指すことを明確に打ち出しました。また,平成24年度から国家予算要望等において,原子力発電所のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換と,脱原発依存の実現に向けた再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大等について,国に対し要望を続けてきているところであります。 次に,原子力発電所の新規制基準につきましては,福島原発事故の教訓や最新の国際基準を踏まえたうえで,これまでの想定を上回る自然災害やテロ攻撃に備えた重大事故対策を新たに加えるとともに,直下の活断層の基準や地震,津波に関する設計基準を強化したものであると認識しております。 最後に,中小企業の技術を生かした再生可能エネルギーの普及促進につきましては,これまでから京都市産業技術研究所や京都産業エコ・エネルギー推進機構による技術支援や研究開発補助などを進めており,この度策定した京都市グリーン産業振興ビジョンにおきましても,その重要性を明確に位置付けたところであり,太陽エネルギーやバイオマスエネルギー等の普及拡大に向けまして,京都の中小企業の技術が十分に生かせるよう技術支援を一層強化してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 職員削減についてでございます。「京プラン」実施計画に掲げる職員数の削減につきましては,全国トップ水準の福祉や教育を推進するための財源確保を目的とするものであり,民間にできることは民間にを基本方針とし,業務の委託化,電算化などの徹底した行財政改革を推進することにより,厳しい財政状況にあっても,市民の命と暮らしを守るために必要な人員を確実に配置するなど,めり張りのある効率的な組織体制を構築してまいりました。また,昨年の台風18号の教訓を踏まえ,排水機場管理に関わる相互応援体制の構築等,災害時の即応体制を強化したところでございます。あわせて,限られた人員の中で日々高度化する行政課題に的確に対応できるよう,本市の未来を担う多様な人材を計画的に採用,育成し,技術力や高い専門性をしっかりと継承しているところでございます。今後とも,持続可能な行財政の確立に向け,京プラン実施計画に掲げる職員数の更なる適正化を推進し,最少の経費で最大の効果を発揮できる体制づくりに,引き続き全力を挙げて取り組み,「京プラン」実施計画を着実に達成してまいります。 コンプライアンスの研修等についてでございます。この間,採用間もない職員による詐欺事件など,不祥事が生じていることはざんきに堪えない思いであります。公務員には,憲法を含む法令の遵守はもとより,全体の奉仕者としての高い職業倫理と規範意識が求められており,新規採用職員や新任役職者の研修,職場でのミーティングなどにおいて,京都市職員の根幹となるコンプライアンスや公務員倫理の徹底を図ってまいりました。今後,職員採用過程での試験の在り方等を見直すとともに,採用後の研修においても,身近な事例を用いるなど,研修方法の工夫や採用1年後の職員へのコンプライアンス研修の新たな実施,各局区で行う研修への支援の強化など,職員一人一人の心の底までより深くコンプライアンスを浸透させるよう,取り組んでまいります。あわせて,こうした取組を通じ,市民から負託を受けた京都市職員としての自覚と責任感と共に公務への誇りと情熱をしっかりと根付かせ,真に市民に信頼され,市民の皆様と力を合わせて京都の未来を切り開く職員を育成してまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(村上圭子) 消費税率引上げの影響に対する調査についてでございます。本市では,税率引上げ後,直ちに商工業,建設業をはじめ57の団体への緊急ヒアリングを実施するとともに,商工会議所等の経済団体からも情報収集を行ってまいりました。また先日,業界団体や金融機関等が一堂に会する意見交換会を開催し,現状認識と先行き課題について聴取するなど,京都経済への影響を継続的に把握しております。現時点では,需要の落込み等の影響は限定的との判断が大勢となっておりますが,業種や個別企業によっては厳しい状況も見受けられ,このため市内中小企業への影響を最小限のものに抑え,回復基調にある景気を夏以降も持続させるため,2月補正と当初予算に続いて,本市会におきましても京都経済の消費喚起を図る予算を提案しているところです。今後とも,経済団体や業界団体等と連携しながら,景気の動向について把握し,必要な対策を講じてまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 西野議員。 〔西野さち子議員登壇〕 ◆(西野さち子議員) 消費税,原発,職員削減,どれをとっても市民生活に重大な影響を及ぼします。ところが,お聞きのとおり,重大性の認識が全く感じられない答弁ばかりでした。市民の声にもっと真摯に耳を傾けるべきだと申し上げて次の質問に入ります。 市営住宅のストック活用総合計画について質問します。2011年から2020年までの10年間の計画で,個別具体的な事業やスケジュール,目標を明示した5年間の実施計画が示されています。その中で,団地再生計画について活用予定のない敷地については売却を検討するとしています。行財政局からは,売却も視野に入れて活用方法を検討するものに分類され,広報されています。また,集約の対象になっている団地は,集約後は売却の検討に入る計画ではありませんか。売却で計画が進められますと,市営住宅の管理戸数は用途廃止で280戸,集約で1,435戸減らされ,合計1,715戸も減少することになります。今でも市営住宅は不足し,昨年12月公募の結果では100倍の所もあります。また,築30年を超える住戸が60パーセントを超え,老朽化が進んでいる現状を考えますと,売却ではなく,建て替えて管理戸数を増やすことこそ必要ではありませんか。民間の空き家が増加しているとして,民間を圧迫しないようにということが言われますが,民間の高い家賃の所には入れない市民も多くおられます。安価で安心して住み続けることのできる住宅を供給することは,地方自治体本来の役割ではありませんか。計画的な建替えで市営住宅の管理戸数を維持すべきです。いかがですか。 また,これまで風呂釜について耐用年数の過ぎたものについては京都市の責任で修理,取り替えをするということに改善され喜ばれています。しかし,浴室の改善やシャワーの設置については,入居者の個々の事情によるもので,入居者自身で設置すべきとされています。しかし,近年は京都市によるシャワー設置が進められていることからも,必要性の認識はあるものと思います。ぜひとも前向きな検討をすべきです。また,「浴槽の高さが高過ぎて危険」という声がますます多くなっています。「高齢化で足が上がらない」,「台を置かなければ入れないが,今度は出る時が怖い」など深刻です。また,古くなった浴槽に穴があいても取替えは個人の責任となっており「取替えには多額の費用が掛かりますから,パテで詰めて使っている」,「中の鉄の錆がでてくる」との声も多く聞かれます。耐用年数の過ぎた浴槽や必要度の高い世帯から,低い浴槽に市の責任で取り替えるべきです。住民の切実な要望に応え,安心安全に住み続けていただくための大家としての市の責任です。いかがですか。 また,家賃の値上げが計画されています。実施は来年度ということですが,浴室が設置されていなくても交通の便利な所は家賃が上がります。昨年8月の第7回住宅審議会に示された家賃算定シミュレーションでは,家賃が1,000円以上の値上げになる住戸が公営住宅で541戸,改良住宅で1,280戸となり,高い所で15パーセント以上の値上げになるところも出ます。住んでいる条件は全く同じなのに,家賃が上がることは住民にとって納得のできるものではありません。家賃値上げはやめるべきです。いかがですか。 最後に,南部クリーンセンター第二工場の建替えについて質問します。京都市は南部クリーンセンター第二工場の建替えに当たって,有料化財源8億5,000万円を使い,世界最先端の学習施設を建設する計画です。京都市には既に北部クリーンセンターに7億円を掛けた立派な学習施設があります。立体映像で学ぶステージビューシアターがあり,アミューズメント性のあるストーリーを創り,環境の大切さを楽しく学べる工夫がされています。同じような施設は二つも要りません。さらに,南部クリーンセンターの学習施設には80メートルの煙突の約70メートルの所に展望台を造る計画ですが,この展望台の予算だけで4億円です。展望台の上からクリーンセンターを見て,ごみ処理には広い敷地が必要だと学習してもらうということですから,展望台の必要性は全くありません。無駄遣いはやめるべきです。展望台を含め学習施設は計画から省くよう強く求めます。 また,消費税増税や年金改悪をはじめとして市民の生活が大変なときに,ごみ袋の有料化財源を8億5,000万円も使うことには市民の理解は得られません。既にごみ袋代が高過ぎると値下げに踏み切った都市が出てきています。例えば,山口県下関市は,当初京都市と同じ1リットル1円でしたが,5年前から1リットルを0.6円にされています。広島県府中市は,ごみ袋の販売価格に含まれるごみ処理協力金を半額にされました。ごみ量は目標の5パーセントを大きく上回る20パーセントの減量となっており,リバウンドを心配されていたようですが,資源化の拡大でごみ量は同水準を維持されているということです。京都市においても,雑紙の取組が始まっていますが,さらに4割を占める紙ごみやプラスチック製容器包装の分別に課題が残っています。これを解決することが今行政がするべき仕事ではありませんか。市民の努力でごみは減っています。リバウンドを心配して袋代の値下げに踏み切れないのは行政の努力不足です。京都市の有料化財源は今年度予算で15億4,710万円もあり,袋代収入の7割以上が環境ファンドに積み立てられています。京都市でも高過ぎるごみ袋代の値下げは十分に可能です。市民負担を軽減し,市民との協働でごみ減量を達成すべきです。いかがですか。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 足立環境政策局長。 〔足立環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(足立裕一) 有料指定袋制と南部クリーンセンター第二工場の建替えについてお答えいたします。有料指定袋制は,費用負担の公平化を図るとともにごみの減量,リサイクルを一層促進するために導入しているものであり,導入前と比べまして2割以上のごみ減量効果を見ております。その結果,かつて5工場あったクリーンセンターを3工場にまで縮小でき,1工場当たり建設費約400億円,年間運営費約10億円の削減を,また,ごみ収集経費につきましても年間約40億円の削減が図られております。今後さらに,ピーク時からのごみ半減の実現に向けて,ごみの減量を加速していく必要がある中,指定袋の価格を据え置いていても,ごみ量が増加に転じている自治体が多いことから,価格の引下げは考えておりません。また,ピーク時からのごみ半減の実現に向けては,市民の皆様の一層の御理解が必要であり,南部クリーンセンター第二工場の建替えに当たりましては,これまでのイメージを一新させ,世界最先端の環境技術が学べる施設や展望台の設置も含め,多くの人が訪れ,同時に横大路地域の活性化にも寄与する魅力ある環境学習施設として,有料化財源も有効に活用し整備してまいります。私からは以上でございます。 ○議長(中村三之助) 黒田都市計画局長。 〔黒田都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(黒田芳秀) 市営住宅の建替えと管理についてでございます。本市では,京都市住宅マスタープランにより,公営住宅の戸数は現状程度にとどめることとしており,木造住宅等の除却による戸数の減少については,既存ストックを適切に維持管理し,最大限に活用するという方針の下,改良住宅の空き家を一般公募することにより対応していくこととしております。 次に,浴室の改善につきましては,浴室のない住戸への浴室設置に重点的に取り組むとともに,平成25年度から,風呂釜の修繕,交換費用について,入居者負担から公費負担とする大きな制度改正を行ったところであり,議員御質問の低い浴槽への取替えにつきましては,浴槽下のコンクリートの床の掘下げ等が必要となり,住民の皆様の仮移転を伴う大規模かつ巨額の経費を要する工事となることから,現状では困難であります。 最後に,市営住宅の家賃につきましては,昨年11月に,京都市住宅審議会から,住宅設備等の利便性の差を家賃に的確に反映すべきとの答申を頂き,これに基づき,平成27年度から,エレベーターの有無や立地条件などの利便性の差を家賃に反映する見直しを行うこととしました。これにより家賃が上がる方も下がる方もおられますが,上がる場合には,急激な負担の上昇を避けるため,5年後に見直し後の家賃となるよう経過措置を設けることとしており,今後,入居者の皆様への丁寧な周知に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,市政一般について,河合ようこ議員に発言を許します。河合議員。 〔河合ようこ議員登壇(拍手)〕 ◆(河合ようこ議員) 西京区選出の河合ようこです。日本共産党議員団を代表して質問いたします。 初めに,子供の医療費助成制度について質問します。子育てに掛かる経済的負担の軽減は子育て世代の強い願いです。医療費助成については,子供の命に関わるものとして市民の運動が広がり,制度は少しずつ改善されてきています。しかし,通院は3歳を超えると月一人3,000円の自己負担となり,「兄弟で一緒に掛かると大変」,「月末はお金のことが心配だ」,「教育費も掛かるし,部活でけがしたとき,一旦は払わないといけない」と,通院助成の更なる拡充を求める声は切実です。現在,府内各自治体が府の制度に上乗せをし,中学卒業まで無料,高校卒業まで無料など拡充されている中で,本市は府の制度に上乗せしていない唯一の自治体です。「他都市に引っ越した方がいいのか」という声も聞きます。府知事は「中学生までの対象拡大について市町村との検討を進める」と言われています。助成拡充は本市の姿勢に掛かっています。市長,助成拡充を決断し,入院,通院とも,一刻も早く中学校卒業まで無料にすべきです。市長の明確な答弁を求めます。 次に,保育について質問します。政府は新たな保育制度,子ども・子育て支援新制度を来年4月から実施するため準備を進めています。子ども・子育て支援新制度は,保育に対する国と自治体の責任を後退させ,保育への企業参入の拡大,職員配置や施設の最低基準の緩和,保育格差の拡大など,公的保育制度の根幹を壊すものであり,日本共産党は反対しています。新制度実施に必要とされていた当初予算1兆1,000億円は確保できず,職員配置基準や保育士の処遇改善など質の向上は先送りされる等,制度は実施前から破綻しています。保育士不足の対策として提案された准保育士資格の導入については,保護者団体から,「親が安心して子供を預け働ける環境を奪う」,「子供の安全のためにも処遇改善など保育士が働き続けられる環境整備を」と要望書が出されるなど,関係者から様々な疑問や批判の声が上がっています。市長,政府に対し,子ども・子育て新制度の実施撤回を求めるべきです。いかがですか。 本市の保育現場はどうでしょうか。私は,「保育所に入れずやむなく仕事を辞めた」という方や,「育児休職期間はこれ以上延長できない,入所が決まらなければ退職せざるを得ない」という方の相談を受けました。まさに死活問題です。本市では保育所の新設,増設を進めてきました。一方で,定員外の入所を拡大し,定員外入所は,5年前の1,896人から昨年度3,291人と1.75倍,入所児童全体の12パーセントにも上っています。子供一人当たりの面積は狭くなり,保育士増員は非常勤で対応,調理師は増えないというのが実態です。本市は「定員外入所は限界だ」と言いながら,定員外の受入れ拡大で子供や職員に大きな負担を強いています。保育所建設がもっと必要です。 市長は本年2月市会で「公営保育所を更に民間移管する」,「認定こども園に移行する」と言われました。公営保育所の廃止や定員削減は待機児童対策に逆行するものであり,認定こども園への移行は公的責任の後退です。自治体が入所に責任を持つ認可保育所の新設を市の責任で更に進めるべきです。いかがですか。また,資格のある保育士は半分で良いとする小規模保育の導入など,施設や事業によって基準が変えられようとしています。どこに預けても同じ保育水準が確保できるよう,職員配置や施設などの基準は認可保育所基準を下回らないようにすべきです。いかがですか。 待機児童解消には保育士確保が不可欠です。しかし,保育士不足は深刻で,正規職員を募集しても人が集まらない,保育士がなくて途中入所が受け入れられないという園長先生のお話をよく伺います。潜在保育士の活用が検討されています。資格はあっても保育士をしていない潜在保育士ですが,なぜ保育の仕事を希望しないのか。昨年5月の厚生労働省の調査では「賃金が合わない」が47.5パーセントと一番多く,「責任の重さ・事故への不安」が40.0パーセントです。賃金構造基本統計調査によると,保育士の給与は全業種の平均より月約10万円以上も低くなっています。保育士確保には賃金など責任に見合った処遇の改善が喫緊の課題です。 本市では,民間保育園のプール制が変えられてから,一時金カットや昇給停止せざるを得ない保育園が出てきています。「本市の民間保育園職員の給与は全国トップレベル」,「プール制予算は増額している」,「8割以上の保育園が増額だ」と市長は強調されますが,保育園の数も入所児童も増えれば予算増額は当然です。問題は,経験年数の長い保育士が多い保育園では,市の補助金が減額となっていることです。ベテラン職員も若い職員にも先行きに見通しが持てない状況が広がっています。今年度,プール制制度変更による激変緩和措置が終了します。消費税増税で約300万円も影響が出るという保育園もあるなど,保育園経営は更に厳しくなり,職員処遇の低下が危惧されます。これでは保育士不足は解決しないのではありませんか。保育士が安心して働き続けられる処遇を保障するために,以前のような統一給与表を作り,どの保育園でも経験年数に応じて昇給していく仕組みを作ること,必要な財源は本市が確保することを求めます。いかがですか。ここまでの答弁を求めます。 ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 河合ようこ議員の御質問にお答えいたします。 保育所整備についてでございます。私は,市長就任以来,平成20年度からの6年間で,49箇所の民間保育園の新設や増改築等に取り組み,入所児童数を約3,300人拡大するなど,質,量共に全国で最高水準の保育環境を確保した結果,本年4月に保育所待機児童ゼロを達成いたしました。入所児童数は2万8,868人と過去最高となり,入所率も43.5パーセントと全国トップ水準であります。今後とも,民間保育園等との協力関係を更に拡充し,保育所整備など様々な手法を活用して,待機児童ゼロの継続に向けた取組を力強く進めてまいります。 また,子ども・子育て支援の新制度につきましては,3歳児未満の受入れに重点を置いた小規模保育事業等が創設されますが,保育士有資格者の配置について,国基準を上回って設定している現行の京都市基準を確保するという考え方を京都市子ども・子育て会議においてお示しし,御議論いただいてるところであります。今後とも,市民の皆様が安心して保育サービスを利用いただけるよう,より一層努めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) まず,子ども医療費支給制度の拡充についてでございます。本制度につきましては,国による補助制度がない中で子育て支援の大きなテーマであると認識しており,本市独自に制度を拡充してきておりますが,中学校卒業までの医療費の自己負担額を,例えば一医療機関につき200円にした場合においても,新たに多額の経費が必要と見込まれることから,現在の本市の厳しい財政状況では直ちに実施することは極めて困難であります。今後とも,本制度に関する市会の決議や,これまでの拡充の実施状況等も踏まえ,実現可能かつ効果的な制度となるよう,京都府と協調しながら検討を進めるとともに,引き続き国に対して補助制度創設について要望を行ってまいります。 次に,子ども・子育て支援新制度についてでございます。新制度は,急速な少子化の進行や子育てを取り巻く環境の変化を踏まえ,幼児教育,保育を総合的に提供し,保育の質の向上と量的拡大を図るとともに,地域の子ども・子育て支援を充実するため,平成27年4月からの実施が予定されております。このため,昨年7月には京都市子ども・子育て会議を設置し,長年にわたり京都の優れた幼児教育,保育を築き,支えてこられた幅広い関係者の皆様などに御参画いただき,精力的に御審議を重ねていただいております。今後とも,京都の高い水準の幼児教育,保育水準を更に充実させ,円滑に新制度に移行できますよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 江口子育て支援政策監。 〔江口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(江口尚志) 保育士の処遇改善についてでございます。民間保育園における国基準を上回る職員配置と処遇の向上を図る,いわゆるプール制につきましては,平成22年度から,民間保育園の創意工夫をより一層発揮できるようポイント制を含む新たな制度として導入され,既に制度も定着し,効果的に運営されております。本市の財政状況が厳しい中,年間40億円を超える巨額の税金をプール制に投入した結果,本市における保育士の年収は,全国平均300万円の1.4倍の420万円で,全国トップ水準となっております。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 河合議員。 〔河合ようこ議員登壇〕 ◆(河合ようこ議員) 待機児童ゼロ達成との答弁がありましたが,保育所に入所できず仕事を辞めざるを得なかった方もおられます。仕事を探している方や,仕事の関係などで特定の保育園を希望し,入れなかった方は待機児童にカウントされていません。実際には入所を申し込み,入れなかった方は900人を超えています。市の責任で認可保育所を増設するよう求めておきます。質問に移ります。 次に,京都市立芸術大学の移転について質問します。本市は,市立芸術大学の下京区崇仁学区への移転方針を決めました。芸大の地元大枝の方はもちろん,洛西地域をはじめ西京区民は衝撃を受けています。さかのぼると,1980年に現在地へ芸大が移転する際,大枝の方たちは先祖代々引き継いだ土地を提供し,農業中心だった生活を転換するという大きな決断をされたのです。そして,芸大生のための住戸を建て,ピアノが弾けるように防音の部屋にするなど,芸大生が学び,暮らしやすいようにと心を砕いてこられました。芸大の移転は地元の方の生計に影響する大問題です。 芸大の移転計画については,2012年10月に大枝自治連合会から,芸術大学は引き続きこの地にとどまるようにとの要望書が提出されています。そこには,市立芸術大学整備・改革基本計画については,京都市から地元住民には何ら情報提供がなかったこと,移転構想について住民に説明がないまま進められてきたことへの憤りと芸大への地元の思いが語られています。大学側から移転の要望書が提出された2013年,この年の8月には,西京区全学区の自治連合会長連名で要望書が提出されており「西京区の将来にマイナス面の大きな影響を及ぼす芸大の移転は大変遺憾である」と書かれています。そうした中での今年1月の芸大移転方針の発表でした。地元の要望を反映したとは言いがたく,納得,合意のうえとは言えません。また,方針発表に当たっての広報には,大学側と下京区からの要望書についてのみ触れられ,西京区から要望書が出されたことについては一切触れられていません。市長は「跡地活用や西京のまちづくりについて住民の意見を聞いて進める」と言われており,今後,西京区・洛西地域の新たな活性化協議会(仮称)で検討される方向ですが,こうした地域の方々の要望にしっかり応える責任が本市にはあります。協議会を待たず,芸大の西京区への移転の際,御苦労された地元の方々,芸大生がいることで生業が成り立っている方々の意見や要望をつぶさに聞いて対応するよう求めます。いかがですか。 移転は約10年後とされています。現在の大学の施設整備や移転の要因の一つとされた交通問題は,今までに解決すべきだったことではありませんか。「演奏の練習場所がない」「声楽科の音は端まで響く」など,学生の声もある大学施設の防音対策や耐震化,バリアフリー化などは数年来の課題であり,学生が安心して学ぶ環境として急いで整備されるべきです。いかがですか。 また,交通問題では,計画されていた地下鉄建設はおろか,芸大まで通っていた市バス路線はなくなり,今は民間バスのみです。均一区間で学生が使える市内フリーパスの定期も使えません。美術館やコンサートホールへの交通費も高く,学生にとって大変な負担です。均一区間フリーパスの大学生定期を芸大生にも使えるようにすべきです。いかがですか。 次に,西京区・洛西ニュータウンのまちづくりについて質問します。イオンモール桂川店の開店が今年秋に迫る中,交通渋滞での環境悪化を心配される声や地元商店から客離れを心配する声を聞いています。他都市で地元の商業施設が撤退している事例を聞いて,洛西ニュータウンでは,ラクセーヌや高島屋洛西店が撤退してしまわないかと住民の不安が広がっており,西京区内全域でも,近所のスーパーがつぶれないかと心配されています。洛西ニュータウンでは,今でも消費税増税前に閉鎖した店舗もあるなど,新林・境谷・福西・竹の里のサブセンターの店舗は閉店が増えているため,バスに乗ってラクセーヌ・高島屋洛西店に行かれる方が多くおられます。ラクセーヌ・高島屋は住民の暮らしを支える重要な商業施設です。カートを押しやすいように店内の空間を広くしたり,買物途中に休めるベンチを増やすなどの工夫がされ,高齢者が憩う場としても大事な場所になっています。市内平均よりも高齢化が進んでいる洛西地域は,大型店出店により地元商店が影響を受けると,地域で暮らすのがますます困難になることは明らかです。 本市は2011年に洛西ニュータウンでネットスーパーの社会実験を行いましたが,結果をいかした対策は講じられていますか。高齢の方も「自分で直接選んで買いたい」という声を聞きます。また,買物は物を買いに行くだけでなく,コミュニケーションの場でもあります。近くに買物する場所がなくなれば,人と話をする機会まで奪われてしまいます。最低でも,家の近くで買物ができるまちづくりが求められています。とりわけ洛西ニュータウンは京都市がつくったまちです。住宅供給公社が運営しているサブセンターやラクセーヌの店舗は「賃料が高くて苦しい」との声も聞いています。竹の里学区では,「生鮮食料品販売店がなくなった」,「買物難民対策を」などの要望は切実です。市長,例えば店舗の賃料を下げるとか,移動販売車や販売コーナー設置など,本市として身近な商店などを確保するための具体的な支援を求めます。いかがですか。 次に,交通問題です。西京区ではこの間,道路の整備は進んできていますが,車に乗らない方も増え,通勤・通学,通院,買物をはじめ地域で元気に生活していくために,バスはなくてはならない住民の足になっています。住民から公共交通の充実を求める多くの声が上がっています。例えば,洛西ニュータウン創生推進委員会の住民アンケートでは,ニュータウン内に巡回バスが欲しいという要望が一番多く,大原野学区からはバス停までが遠いので地域内のシャトルバスの運行をという要望が出されています。西京の東部や北部では,区役所まで行けるバスが欲しいという要望をよく聞いています。ぜひ,西京区民の要望に応えた巡回バス・シャトルバス,区役所など公共施設へのバスの運行を本市として実施するよう求めます。いかがですか。 最後に,敬老乗車証についてです。西京区には市バスと3社の民間バスが走っていますが,敬老乗車証が民間バスに使えるのは市バスが走っていない地域に限られています。市バスが不便な地域の住民からは,民間バスにも敬老乗車証が使えるようにと繰り返し市に要望されています。3年前,局内プロジェクトチームができ,住民は民間バスへの利用拡大が検討されていると期待してこられました。しかし,昨年発表された市の考え方は,市バスの運行本数が極端に少ない地域等においては,民間バス事業者の理解と協力の下,利用者の選択の幅が広がる方策を検討するというものです。不便な地域の市バス路線拡充もせず,敬老乗車証の民間バスとの共通化もしないのでは,住民の願いに応えたことにはなりません。高齢者は年々歳を重ねられ,待ったなしです。敬老乗車証の民間バスとの共通化は早急に実現すべきです。いかがですか。 加えて,高齢化が進む中,敬老乗車証の役割は本当に大きくなっています。買物した荷物を持って一区間でもバスに乗られる方もおられます。毎日通院されている方もあります。本市は敬老乗車証の制度を乗る度に負担が生じる制度に変えようとしていますが,そうなれば,乗り控えせざるを得なくなり,高齢者の健康,外出の機会を奪うことになりかねません。高齢者の社会参加を支援し,高齢者の福祉の増進に寄与するという敬老乗車証の目的は達成されません。応益負担の考え方は改めるべきです。以上で,私の質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 私からは,市立芸術大学についてお答えをいたします。芸大の崇仁地域への移転は,芸大の発展はもとより,京都の都市格と魅力の向上に資するもので,京都全体の未来のまちづくりに大きな役割を果たすものと認識しており,洛西地域をはじめとする西京区においても,未来を切り開いていく契機としてしっかりと取り組んでまいります。西京区洛西地域の新たな活性化策についての検討を進めるに当たっては,地元の代表の方や商業施設,研究機関,学識経験者などに御参画いただく懇談会を設置することとしており,そこでの御意見を踏まえるとともに,地域の色々なお立場の方々から広く御意見をお聞きしてまいります。 次に,施設整備についてでございますが,これまでから,屋上の防水工事や制作室,研究室の空調修繕など,必要な改修は行ってきているところでございまして,移転までの間においても二重投資にならないよう考慮しながら,必要な教育環境の整備に努めてまいります。大学生を対象とした市バス均一区間内が乗り放題の定期券制度でございますが,芸大生だけでなく均一運賃でない区間を通学する学生全般の問題でございまして,同一区間を運行する民間バス事業者の同意を得ることは難しいと認識しております。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 西京区の交通問題についてでございます。西京区におきましては,洛西地域を運行するバス事業者4者と協議を重ねまして,鉄道との乗継にも配慮いたしました10分間隔のバス運行を実現し,さらに,本年3月から本市においても洛西地域を運行する市バス路線の増便を行うなど,利便性の向上に努めております。更なるバス路線の拡充につきましては,財政状況の厳しい我が市にとりましては,特に運行を継続できる一定の御利用を見込めることが不可欠でございます。そのため地域の皆様が公共交通の御利用を主体的に考え,一層実践いただくためのモビリティ・マネジメント,この取組を展開していただくことが重要でございまして,こうした動きに本市や交通事業者も呼応し,地域と一体となる中で公共交通の利便性の向上を図ってまいる所存でございます。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(村上圭子) 洛西ニュータウンにおける買物環境等のまちづくりについてでございます。ニュータウンの中心的な商業施設であるラクセーヌ専門店を運営する京都市住宅供給公社では,イオンモール京都桂川が開業した後も,現在の店舗が営業を続け,地域の皆様が安心してお買物を楽しんでいただけるよう賃料の減額やニトリの誘致による集客対策を決定し,既に取組を進めております。また,平成25年度から実施しております京都市買い物環境支援事業において,高齢者向けショッピングカートの導入や託児サービス事業など,ラクセーヌが地域の暮らしに貢献できるよう支援してまいりました。今後とも,地元農家や自治会,高島屋などの商業者等と連携し,地域のにぎわいづくりや地産地消の取組を進めるなど,地域の皆様が身近なお店で楽しく便利に買い物ができる環境づくりを進めてまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 敬老乗車証制度についてでございます。敬老乗車証制度を将来にわたり持続可能な制度とするため,社会福祉審議会等の御意見を踏まえまして一定回数の乗車までは無料とし,その後は利用ごとに相応の負担をお願いする仕組みへと転換するとともに,市バスの運行本数が極端に少ない地域等においては,利用者が民営バスとの選択を可能とすることなどを柱とする基本的な考え方を昨年度取りまとめたところでございます。今後,利甲者をはじめ,現役世代を含む市民やバス事業者等,多くの関係者から理解が得られる制度となるよう,またICカード化に伴うシステム整備等も必要となることから,十分に時間を掛けて検討をしてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,市政一般について,小林あきろう議員に発言を許します。小林議員。 〔小林あきろう議員登壇(拍手)〕 ◆(小林あきろう議員) 民主・都みらい京都市会議員団を代表して,市長並びに関係理事者に質問いたします。上京区選出の小林あきろうでございます。 初めに,2020年東京オリンピック・パラリンピックなどについて質問いたします。既に本年2月市会でも,また本日も何人かの議員の皆さんから様々な視点から質問されています。私からは,2020年オリンピック・パラリンピックなどを機に,今までの質疑,答弁に加えて,更に次のような視点を持った取組を是非お願いしたいと提案いたします。すなわち,京都府山田知事と門川京都市長とが合意したとお聞きしている期間中の大規模な文化イベント開催の内容の中に,今,世界中の国々や都市がそれぞれに悩み,問題を抱えている平和,人権,環境問題を真正面から捉えた取組を是非取り入れていただきたいということであります。 まず,平和の問題について触れてみたいと思います。京都新聞,今年5月3日の社説では「憲法記念日に解釈改憲は平和の土台崩す」という表題で,以下のように述べられていることを御紹介しておきたいと思います。 「伊勢崎賢治東京外国語大学教授は,国連平和維持軍に加わり,アフガニスタンなどで軍閥の武装解除に取り組んできた人である。敵意が充満する現場へ丸腰で赴く。そこで当事者と粘り強く交渉すると,日本人が言うなら仕方がないと,武器回収に応じてくれることが多い。戦争をしない,武器を輸出しないという平和国家のイメージがあるからだという。その体験を踏まえ「憲法9条こそ世界のテロ戦争に風穴をあける最後の希望の星だ。平和外交に9条はまだまだ使えるのに,活用し切れていない,もったいない」と語る。その9条が安倍政権下で大きく揺れている。従来の解釈を変更し,海外での武力行使に道を開く集団的自衛権の行使容認へと踏み出そうとしているからだ。集団的自衛権のような戦争と平和の選択に関わる問題を政府の身勝手な判断で変更することは,あってはならないことだ。安倍政権が進めようとしていることは,政治権力の濫用を縛る立憲主義へのあからさまな挑戦であり,暴走と言うほかない。閣議決定で解釈を変更できるような軽々しい問題ではなく,堂々と憲法改正の手続を踏み,国民投票を経て行うべきものだ。国際緊張を激化させず,緩和する方向に政策を積み重ね,全面軍縮への積極的な努力を不断に進める。その9条の精神を,遺産として未来へ引き継げるのか,私たちは大きな瀬戸際にある。」 一部省略しましたが,以上のような内容が社説に掲載されていました。京都新聞という商業新聞がこのような内容に踏み込んで言及するということは,非常に勇気の要ることであり,私は高い見識と評価させていただきたいと思います。 日本の現状を見るに,この集団的自衛権の行使容認問題のほかにも,特定秘密保護法は既に強行可決され,憲法第96条改変により全国会議員の三分の二以上の賛同を必要とする憲法改正条件を緩和し,二分の一にハードルを下げようとする動きや,最終的には,憲法9条まで変えてしまおうとする状況が続いています。いまや,戦後長い間,不可侵の領域であったはずの武器の製造,輸出が解禁されたり,東日本大震災で抱えた深刻極まりない原発事故に対するまともな総括もされないまま,外国への原発輸出が行われるようになりました。私は,このような流れに抗するように,戦争放棄を定めた日本国憲法第9条をノーベル平和賞に推そうとする市民団体からの推薦状がノーベル賞委員会に受理され,ノーベル平和賞候補として検討されることになったことに対してこそ,高く評価させていただきたいと思っています。 次に,2020年文化イベントの内容として加えていただきたいものの一つに,人権問題があります。この間話題になったスペインサッカーリーグの試合で,バルセロナチームのアウべス選手へのバナナ投げ入れ事件がありました。コーナーキックをやろうとした彼に,黒人選手を猿扱いする意図を持ったバナナを,彼は皮をむいて食べてしまった。彼は,怒りの連鎖をユーモアで断ち切ったのであります。 この話題から思い出すことは,元南アフリカ共和国大統領のネルソン・マンデラさんのことであります。彼は昨年12月5日に亡くなられましたが,白人が黒人を差別する南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)政策に反対する運動の過程で逮捕され,終身刑となり,何と45歳から71歳までの27年間獄中にあっても,志を曲げることがなかった人でありました。1990年に釈放された彼は大統領選挙に勝利しましたが,対立した白人の前大統領を副大統領に任命しました。この二人共にノーベル平和賞が与えられています。彼は人口の8割を占める黒人に,白人への報復をしてはならないと強く戒めました。マンデラさんは,やられてもやり返さないという寛容の精神で,「抑圧する側もされる側も,人間性を奪われている点では変わりない」と説かれました。 一方,古い話で若い皆さん方は御存知ない方も多いのではないかと思いますが,第二次世界大戦後のキリノフィリピン大統領による,モンテンルパ日本人捕虜収容所108人全員無傷での日本送還という実話があります。キリノ大統領は自分の家族や多くの国民が日本軍によって殺され,当時の日本の国家予算の四分の一の賠償請求を行っていた状態にあったにもかかわらず,恨みを恨みで返してはならないとの,神のような寛容さをもって,自国が用意した船で日本人捕虜を全員送還された。世界にはすごい人たちがおられることを改めて認識させられます。私たちの住んでいるこの京都は,水平社運動発祥の地であり,長い間にわたり多くの人権問題を抱え,悩んできた歴史を持っている都市であり,だからこそ2020年文化イベントの内容として取り上げていただきたいのであります。 そして,さらに環境という視点もこのイベントに是非取り上げていただきたいのです。地球温暖化防止対策は待ったなしの深刻な環境課題です。私たち京都では,地球温暖化防止京都会議(COPⅢ)が開催されましたが,アメリカは大国にもかかわらず最初から京都議定書不参加が続いています。日本においても2013年以降はCO2 削減目標なしの状態となっています。2020年オリンピックの年には,全ての国が参加する新たな枠組みが整備され,スタートされることとなっています。こうした視点からも,更にはまた深刻な原発問題をはじめとするエネルギー問題も含め,地球環境問題をも対象とした文化イベント・シンポジウム開催で世界に向けた発信を行っていただきたい。 以上,平和,人権,環境問題を対象にしながら,世界の歴史・文化首都京都から世界に向けて発信するために,府・市協調の一大文化イベントを開催していただく。そのためには特別なプロジェクトチームが必要と思われますし,予算も必要となります。どのタイミングで,どれだけの規模でということも考えねばなりません。そうしたイベントとの関連で,以下のような課題も考慮していただければありがたいと思っています。 昨年12月に,キャロライン・ケネディ駐日米大使が私的に御家族連れで京都に来られ,楽しまれたとお聞きしています。改めて公式に招聘していただき,京都府,京都市,政財界,府民,市民挙げておもてなしをする機会を是非作っていただきたい。そして,公式に日本,京都の歴史,文化の奥深さ,真髄を体験していただくということを是非実現していただきたいと思います。更に,ケネディ駐日大使も含め,ソフトパワーの大切さを主張されているアメリカ・ハーバード大学ジョセフ・ナイ名誉教授や,日本文化に造詣の深いドナルド・キーン氏,世界的歴史学者入江昭氏などによる平和・人権・環境問題シンポジウムを開催し,世界に向けて文化首都・京都から発信していただきたい。そのオープニングセレモニーでは,是非とも京都の音楽文化を代表する京都市民の誇りである京都市交響楽団の演奏を配慮していただきたいと思っています。 以上,色々と申し上げてまいりましたが,2020年オリンピック・パラリンピックなどに関する文化イベントをどのように企画し,準備していくのかということについて対応が問われていることと思っています。国と国とが抱えている様々な問題について,なかなか解決がつかない課題が山積しています。世界がこういう難しい情勢にあるときこそ,国際的都市の連携が問われる時代が来ているのではないか。その先端を切り開く位置にいるのが,世界の平和・人権・環境問題の先頭に立つべき歴史・文化都市・京都ではないかと思うわけです。市長の御所見をお聞きいたします。 次に,先に触れました京都市交響楽団について質問をいたします。2016年,再来年に京都市交響楽団,以下京響と略しますが,は創立60周年を迎えます。その行事の一環として,来年にはチェコ,オランダ,ドイツ,イタリアなど海外5都市での公演が予定されています。今,京響は内外共の評価として,創立以来最高のレベルになっているとお聞きしています。私は,文化首都京都の象徴的存在としての京響について触れてみたいと思います。先般,私は京響常任指揮者の広上淳一さんや楽団員の方々にお会いする機会を得,色々な興味深いお話を聞かせていただきました。今年で広上常任指揮者が就任されてから3期7年目になります。彼が常任指揮者として就任されたとき,楽団員に「自主公演をやるときに,就任後3年から6年目までに満席にならなければ辞める」と言われたそうであります。そして昨年1月以来,連続16回チケット完売が続いています。「今の京響のレベルをどのように考えておられるか」との質問に対して,広上さんは,「京響は世界トップレベルの仲間入りをしている。日本を代表するすばらしいオーケストラだ。今年3月東京公演は東京以外のオーケストラとしては初めて満席となる盛況で事件と言われる状況だった」とのことでありました。 その一方で「常任指揮者として広上が来たから京響は最高レベルになったのだというような神話があってはならない。私は幾らかの貢献はさせていただいたが,京都市民や行政に支えられ,直営として安定した状況の中で演奏活動ができ,財団移管により運営上非常にやりやすい条件の下に,音楽をみんなと一緒に演奏する喜びと,多くのお客様に,あーよかったと思っていただけることを最高の喜びと感じられるような演奏活動をしていきたい。そして,京都市民が京響の存在を誇りに思っていただけるような状況になれば,これほどの幸せはないと思っている」と,おっしゃっておられました。非常に謙虚で人間的魅力あふれるすばらしい常任指揮者だとの強烈な印象を受けました。 そして「これからの京響活動についての注文は」との質問に対して「かつてクラシック音楽というと,燕尾服,かしこまって,しゃちこばって聴かなければならない何やら難しい音楽という印象があったが,市民の人たちが家族でレストランに行くように,1箇月に1回くらいは音のレストラン,京響演奏に家族で気楽に出掛け,生の演奏を聴いていただいて,よう分からんけど,ええもんやなと思っていただいて,自分たちの身近な生活のところに京響を感じていただけるようになってほしい。ヨーロッパの各都市にもオーケストラはたくさんあるが,決して全部が高いレベルとも言えない。しかし,自分たちのまちの誇りとしてオーケストラを大切にし,生活の中に取り込んでいる。京都,という響きは世界がリスペクト(尊敬)している都市,東京以上に尊敬されている都市だ。その京都の中で,世界的水準のオーケストラを市民が持っているのだという誇りと自覚を持ち,もっともっと文化・平和の使者として京響をお使いいただきたい」さらに「京響が市民の誇りであるとするならば,自主公演1回,コンサートホールで1,800人では少ない。市民のファンが増えれば公演回数を増やし,同じ内容の公演を複数回行うことができる。せめて5,000人,6,000人,7,000人のお客さんに聴いてほしい。そのためには,まず市役所の職員や,議員の方々のほとんどの人たちが京響を応援するという状況になってほしい。そして,全国から京都に来る観光客に「京響はいいですよ」と言って宣伝をしてほしい。そのような状況になれば,まちの考え方が変わる,まちの考え方が変われば,胸を張って日本中,世界中の方々に京響の良さを宣伝することができる。世界の要人,来賓をお迎えしても胸を張って京響でおもてなしをすることができる。それだけの力量を京響は持っている」とも言っておられました。 一方,楽団員の皆さんからは,「広上常任指揮者は,自分たち楽団員の潜在能力を引き出し,自信を与えてくれ,モチベーションを高めていただいている」と,非常に高い評価をされており,「京都市直営堅持と,財団移管への市議会付帯決議などの御理解が非常にありがたかった」との感謝の気持ちをお聞きしています。財政的基盤が安定しており,演奏レベルの高くなった京響への入団希望者が増えており,新人だけではなくプロのオーケストラからも希望者があるとのことでありました。さらに,公演回数をもっと増やしてほしい。ヨーロッパ公演も是非成功させてほしい。ただ,労働条件の点で,生活給の向上,高額な楽器メンテナンス,購入などの点で是非御配慮をいただきたいとの御注文もお聞きしています。 さて,こうした広上常任指揮者や楽団員の皆さんのお考えや要望を踏まえたうえで質問いたします。広上さんは「特にこの数年が大切だ」と言っておられます。来年の海外公演の成功,創立60周年に向けた準備と取組,2020年オリンピック・パラリンピックなどを射程に入れて,具体的にどのような準備と取組をされようとしておられるのか,お聞きいたします。さらに,私からは,以下のこともお考えになって取組にいかせていただけたら幸いと思って提起させていただきます。 一つ目は,京響公演回数を増やし,増客目標を立てて,それを達成するためには,まず隗より始めよで,市の幹部,理事者の皆さん方や,私たち議員が家族と一緒に京響・コンサートホールに足を運んで気軽に楽しんではどうか,そして,職員や市民の皆さんに積極的に「クラシック・京響もええもんやで」と宣伝してはどうでしょうか。二つ目は,京都観光に来られるお客様へのアピールとして,JR京都駅をはじめ阪急,京阪,近鉄,地下鉄などに,「日本に京都があって良かった」という宣伝と同じように「京都に京響あり」の宣伝広告を大胆にやってはどうか。また,府や市の公的施設,市バス,民営バス,タクシー,ホテル,レストランなどでの多様な宣伝を工夫していただきたいと思います。いかがでしょうか。以上で私の質問を終わります。御清聴誠に有難うございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小林あきろう議員の御質問にお答えいたします。 東京オリンピック・パラリンピックに合わせた文化イベントの開催についてであります。小林あきろう議員から貴重な御意見を頂きました。私から3点に分けて御答弁申し上げます。 初めに,オリンピックの理念と文化に対する私の考え方について述べさせていただきます。オリンピック憲章では,人間の尊厳保持に重きを置き,平和な社会の推進を目的としており,その中には,人権,環境問題など,人類が抱える重要な課題をスポーツ・文化・教育と融合させることで克服していくものとしております。また,本市におきましては,昭和32年に平和都市を,昭和53年には世界文化自由都市を,議会の御議決を経て宣言し,さらに平成9年に京都議定書の誕生の地として,世界恒久平和の理念の下に,共生の精神や地球環境の大切さを世界に発信するなど,平和・人権・環境を基調とした文化を築いてまいりました。こうした本市の最高理念は,世界平和と人々の幸せを願うオリンピックの理念と方向性を同じくするものと認識いたしております。さらに,京都は1200年を超える悠久の歴史の中で,市民一人一人が伝統を受け継ぎ,おもてなしの心を大切にするとともに,常に新たな文化を創造してまいりました。こうした京都の強みである市民力と,それを基盤とした文化力を更に成熟させ,世界平和と人々の幸せにつなげていくことが,私たちの使命であると考えております。 次に,オリンピックに向けた本市の取組についてでございます。平成32年,2020年に開催されます東京オリンピック・パラリンピックをはじめ,本市として誘致を進めておりますアジアで初めて開催される2019年のラグビーワールドカップ,さらに2021年の関西ワールドマスターズゲームズなど,国際的なスポーツの大会は,日本中の人々に夢や希望を与えると同時に,日本の文化の神髄である京都の魅力を世界に発信する絶好の機会でございます。このため,最初のステップとして,京都の魅力を世界に発信し,文化力を高めるための重要な役割を担います初開催の京都国際現代芸術祭パラソフィアや琳派400年記念祭事業を,来年市民ぐるみで成功させるとともに,文化芸術の発信拠点でありますロームシアター京都や京都市美術館の再整備を着実に進めるなど,オリンピック開催までの6年間を戦略的に展開し,機運を醸成していくことが重要であると考えております。こうしたプロセスを大切にし,京都の文化力に更に磨きを掛けるため,オリンピックに向けた具体的な方策といたしまして,既に策定に取り掛かっております新観光振興計画と連携をしっかりと図りながら,京都文化芸術都市創生審議会において,文化芸術や観光などの各分野を代表する方々の御参画を得て,今年度内に,京都文化芸術プログラム2020,仮称ではありますが,その策定を進めてまいります。 プログラムの具体的な検討に当たりましては,京都の文化芸術の担い手の育成や京都の文化を支える専門知識,技能を継承する,さらに有形無形の文化遺産の維持,継承,活用,そして京都の文化芸術の世界への発信などが大切であると考えております。これらの取組を実現するためには,何よりもあらゆる世代の市民の皆様の参画が必要であります。文化芸術が市民の暮らしに一層根付くことにより,京都の都市格の更なる向上を図ってまいります。 最後に,オリンピック開催年に実施いたします文化イベントについてでございます。国内外からの観光客がますます増加するオリンピック開催年の2020年においては,市,府,経済界などによるオール京都体制により,国ともしっかりと連携しながら,世界に向けて京都の文化芸術を発信する一大文化イベントの準備を進めてまいります。私は,京都が誇る文化力は,狭い意味での文化芸術だけでなく,小林議員御指摘の人類が抱える平和,人権,環境問題など,様々な課題解決においても日本が世界に貢献するために極めて重要な力であると確信しております。今後,一大文化イベントの開催に向けましては,小林あきろう議員の御提案も踏まえまして,市民の皆様と手を携え,市民力と文化力を最大限に生かしながら,京都府はじめオール京都で取組を進めてまいります。私からは以上でございます。 京響への高い評価についてありがとうございます。私も同感でございます。副市長から御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 京都市交響楽団の今後の取組についてでございます。京響は,我が国唯一の自治体直営オーケストラとして昭和31年に創設され,輝かしい歴史と伝統を築いてまいりました。平成20年からは,常任指揮者広上淳一氏の御指導の下,飛躍的に演奏力を高め,また,平成21年から京都市音楽芸術文化振興財団に事業運営を移管し,民間並みの柔軟な運営を行う中で,日本有数のオーケストラとして成長を遂げてまいりました。その結果,定期演奏会のチケットが,御指摘のように昨年1月以来,16回連続で完売しているほか,本年3月にサントリーホールで開催いたしました東京公演も満席となり,また,NHKでの全国ネットの音楽番組で大きな反響を呼び,またライブ録音のCDも好評を得るなど,京響は各方面で高い評価をいただいております。さらに本年からは,広上氏,桂冠指揮者であります大友直人氏に加え,新たに高関健氏と下野竜也氏といった我が国を代表する指揮者を常任客演指揮者として迎え,楽団員一丸となって更なる発展に挑んでおります。 そこで,京響の演奏を聴いていただく機会を積極的に増やすため,まずは来年度,年11回の定期演奏会の半数程度を2日公演といたします。また,平成28年に創立60周年を迎えるに当たり,来年から2箇年にわたり,記念事業を実施してまいります。平成27年には,京響が世界に向けて更なる飛躍を遂げるため,姉妹都市提携50周年を迎えますイタリアのフィレンツェで開催される世界的な音楽祭,フィレンツェ5月音楽祭に主催者からの招待を受けて出演するなど,ヨーロッパ5都市を巡る海外公演を18年ぶりに実施し,京都の魅力を広く世界にアピールし,各地で音楽を通じた交流を積極的に推進いたします。さらに,平成28年には,著名なゲストを招いた創立60周年記念の演奏会を開催するほか,同年1月に京都会館が再整備により生まれ変わり,開館いたしますロームシアター京都はもちろんのこと,地域文化会館や市民の皆様に身近な場所でも趣向を凝らした多様な公演を行うなど,これまで京響を御支援いただいた皆様に感謝する魅力的な企画を展開し,市民や観光客の皆様に気軽に演奏会に足を運んでいただけるよう取り組んでまいります。 小林あきろう議員御提案のとおり,京響を身近に感じていただく気運を盛り上げることは大変重要な視点でございます。この間,演奏会場で京都市職員の姿を見る機会が増えてまいりましたが,これは多くの局や区の親睦会等で友の会の法人会員に,あるいは職員が個人で会員になるなどした効果であると考えており,今後は市民の皆様をはじめ企業,各種団体などに対しましても楽団長であります門川市長を先頭に,これまで以上に京響のすばらしさをPRしてまいります。 また,好評を博しております京響の楽団員が,例えば京都サンガの試合前にファンファーレの演奏を行うなど,市民に顔の見える活動,また小グループの楽団員によります演奏をより積極的に展開いたしますとともに,鉄道駅はもとより,文化観光施設や民間事業者と一層の連携を図り広報活動を充実させるなど,2020年,東京オリンピック・パラリンピックもしっかり視野に入れ,国内外から多くの方々が京響の演奏を楽しむために京都を訪れていただいた,そうした状況になるよう取り組んでまいります。今後とも,市民の皆様に愛され続けるオーケストラであることを誇りに,京響の演奏を通じまして多くの方々に感動の輪を広げ,文化芸術都市・京都の魅力を幅広く発信してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 次に,市政一般について,片桐直哉議員に発言を許します。片桐議員。 〔片桐直哉議員登壇(拍手)〕 ◆(片桐直哉議員) 私は北区選出の片桐直哉でございます。民主・都みらい京都市会議員団を代表いたしまして,小林あきろう議員に引き続き,市政一般について質問をさせていただきます。市長並びに理事者の皆様には明確な御答弁を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。 人口減少社会,これが今後の日本の抱える最大の課題といっても言い過ぎではありません。財政も,社会保障も,経済も,今日私たちが市会で議論している課題の多くは,人口減少,特に子供と働く世代が減り,高齢者が増えるという年齢構成の変化が要因になっています。去る5月8日に,有識者団体日本創生会議より深刻な推計が出されました。2040年に,全国の半数の自治体で子供を産む人の大多数を占める年齢である20代,30代の女性の人口が50パーセント以上も減少し,将来的に消滅の可能性のある自治体となるという推計です。これまでも同様の指摘はありました。しかし,どこか遠くの過疎の自治体の話であり,この京都市でも同じような状況になるという危機感を持つ人は少なかったのではないでしょうか。この推計では,京都市において最も減少率が高い東山区では47.7パーセント,私の選挙区である北区では市内で3番目に高い45.9パーセントと推計されています。決してどこかの過疎の自治体の話ではありません。非常に深刻な状況でありますし,少子化対策をどうするのか,結婚する若者をどのように増やすのかということだけに焦点を当てて議論をすればいいという話ではなく,この社会の形をどう変えていくのかという議論が必要だと思っております。 少子化対策の効果が表れ,出生率が上昇したとしても,今後何十年かは人口が減っていくこと,年齢構成が大きく変わっていくことを避けることはできません。その影響を受けて,経済の落ち込みや,社会インフラのミスマッチや,それこそ人の住まない地域ができてしまうことといった社会の姿が大きく変わっていくという危機に,どう対応していくのかということを考えておかねばなりませんが,京都市として今から取り組んでいかなければならない課題は何であるとお考えか,まず御認識を伺いたいと思います。 続いて,今後増えていく高齢者の介護についてお聞きします。東京オリンピックの行われる2020年,オール京都で日本文化,芸術を世界に発信しようというその年に,京都市に住む75歳以上の人口は現在の17万人から6万人増え23万人と推計されています。14歳以下の人口は17万人だったものが15万人と約2万人の減少,15歳から65歳は93万人が87万人と6万人の減少で,高齢者の数だけが増えていくことになります。2010年で市内に3万8,000人いた独居の75歳以上の高齢者は,今と同じ割合だと仮定しても2020年には約6万人に増え,認知症の高齢者の数も,高齢者の絶対数が増えるわけですから,当然ながら増えていきます。これらを私たちは必ず起こる事実として認識しなければなりません。 そうした方々を支える介護について,これからもっと深刻な課題となってくるのが,家族の介護による離職です。働く世代が減ることが社会的な問題となっている一方で,40代後半から60代の人たちが親の介護のために,まだ働けるのに仕事を辞めざるを得ないという状況が生まれており,既に毎年日本全体で10万人以上の人が介護を理由に仕事を辞めています。今,介護受けている世代には子供の数も多かった方が多く,兄弟間で助け合って親の介護を支えられているところもありますが,今後はほとんどの高齢者は子供が一人か二人しかいないという時代になります。介護を兄弟で分担し合うことも難しく,子供が仕事を辞めて親の介護をするしかないという人が増えていくわけであります。これは働き手が少なくなる社会にあって大きな損失でもあります。そうした状況を生まないためにも,介護の基盤整備はこれからますます重要であります。施設を造るに当たっての土地の取得が非常に大きな負担であったことや,高い基準で居室面積を定めてきたことなど,厳しい環境にあっても,高齢者人口当たりの介護老人福祉施設など,介護保険3施設の定員数で見た場合は,京都市ではその充実が図られてきました。 一方で,居宅サービスと地域密着型サービスについては一定の課題があり,さらに充実の取組を進めていく必要があります。今後,高齢となる方が増え続け,認知症高齢者の増加や介護の重度化が見込まれる中,住み慣れた家や地域で暮らしていくことのできる居宅サービスや地域密着型サービスの役割は重要であります。全体のサービス供給量が足りていても,その中で事業所の数が少なければ,地域の中で,より自分にあった介護サービスを選んで利用するという選択肢が限られることも考えられますので,新規の参入も促しながら,さらに事業所を増やしていくことを求めておきます。今年度は第5期長寿すこやかプランの最終年度に当たり,来年度からの計画を策定していく年度でもあります。今後,次期計画の検討の中で居宅サービス,また地域密着型サービスについて,より充実を図っていくとともに,今後予定されている介護予防サービスの見直しにおいても,利用者の実態とニーズを把握し,進めていくことが重要であると考えますが,いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 次に,空き家の問題についてお聞きします。独居の高齢者の増加,また子供を持たずに高齢化する人も増えている現状の中,今後も長期にわたって人が住まず,放置される空き家が増えていくことが予想されます。そうした中,市会でも多くの議論がなされ,京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例が4月1日から施行されました。体制も整備され,総合的な対策の推進が始まったところであります。本質的には人口減少社会においては,住宅としての需要が今後増えていくことはありませんし,一方で,新しい住宅建設は続くわけでありますから,必然的に空き家は増えていきます。発生抑制や空き家の流通促進,活用などについては,住宅用としての用途以外の活用方法についても考えられている条例でありますし,町家などについて建築基準法の下で,できることを最大限示して活用を図ろうとされているところですので,その点についてはこれからの取組の成果を注視していきたいと思っております。 一方,早急に取り組んでいただかなければならない課題が,既に周辺に悪影響を及ぼしている空き家をどのようにしていくかということであります。条例施行後,管理不全状態の判定等に関する基準も示されています。空き家が管理不全状態と判定された場合に,段階に応じて助言,指導,勧告,命令,氏名等の公表,過料の徴収といった対応が定められていますし,それでも条例違反が続く場合には行政代執行の手続に移ることになります。既に今までに通報のあった約200件の空き家のうち,危険性があって監視が必要な51件について調査をしておられるとお聞きしておりますが,それらのうち管理不全状態で速やかな対応が必要と判断されたものの解消をいつまでに行うのかということが重要であります。条例に基づく指導や勧告,命令等によって,所有者が除却など適切な対応をとっていただければそれでよいわけですが,様々な事情の中で所有者が対応できない状況にあったからこそ放置をされてきた空き家であり,なかなか対処の進まないものもあろうかと思います。そうした場合に,行政として指導を続けて,結果として2年も3年も今と同じ管理不全な状態が続くということになれば,近隣の安全や地域の環境,条例の実効性の確保という点から見て,好ましくありません。先行して空き家の対策条例を制定した自治体においても,実際に代執行による除去を行ったケースはごくわずかでありますが,本市においては,違反状態の改善が見込めない場合は,公益を守るために代執行も躊躇せずにしっかりやっていくという決意をお示しいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。緊急度の高い管理不全の空き家の除去について,いつまでに解消を図るという目標を持って取り組んでいかれるか,お示しいただけますか。 次に,北部山間地域への移住支援についてお聞きします。冒頭,若い人が大幅に減るということについて質問いたしましたが,行政区単位で4割を超える減少でありますから,高齢化と人口流出の著しい北部山間地域,北区でいえば小野郷,中川,雲ケ畑,左京の花脊や久多,広河原,右京の京北などにおいては,人の住まない家が増えるというレベルではなく,地区そのものに人が住まなくなってしまう可能性もあります。私には,人口減少によって都市全体がコンパクトにまとまれば,そうした場所には人が住まなくなってもいいとは思えません。これは京都市全体の姿が変わっていく,非常に大きな問題ですし,林業振興や道路などインフラ整備をするだけで,高齢化による人口減少や人口流出を食い止められるものではないと思っています。 北区の北山三学区については,まちあるきやワークショップ,話合いを経て今年の3月に北山三学区まちづくりビジョンが策定されました。その中では,地域との交流を通じて地域を好きになった方,つまりIターンの新規の定住を促進していこうというビジョンが示されています。具体的な取組として検討されていることは,地域の空き家情報の提供などになるわけですが,特に,今後の人口減少が顕著になる北部山間地域での移住促進については,京都市全体としての情報発信や,より具体的な移住希望者への支援をしていくということも検討していくべきではないかと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,子育て環境日本一を掲げて進められてきた本市の子育て政策に関連して,今まで余り議論になっていなかった未婚のシングルマザーに対する支援についてお聞きします。平成22年10月の国勢調査によれば,京都市には20歳未満の子がいる母子世帯が1万2,771世帯で,うち2,261世帯は結婚をしていない未婚世帯です。さらに,そのうち祖父母などとも同居をしていない母子のみで暮らす未婚の母子世帯は1,613世帯ありました。私はこの数を見たとき,想像していたよりもずっと多いと感じました。母子のみで暮らす世帯の約17パーセントが法律上の結婚をせずに子供をもうけたシングルマザーだということです。調査があった平成22年から見て,今現在ではより増えているということが予想されます。こうした未婚で子供をもうける世帯が増えてきているというのは,日本全体で現在起きている状況でありますし,先進諸国において共通した傾向となってきています。そのことをどう捉えるのか。家族の形の多様化をどう認識するのかということについては非常に難しい課題でありますし,今日はそこまでの議論はいたしませんが,子供を育てる,子供が育っていくということを,子供の目線で考えたときに,親が結婚して子供を産み,その後,離婚や死別により母子世帯となったか,それとも結婚をせずに子供を産んだかによって差がある現状は変えていくべきではないかと思うのであります。 本市においては,既に一人親家庭等医療費支給制度では,婚姻せずに親となり,現在婚姻していない方を対象にして同じ取扱いをしています。一方で,扱いが異なってしまうところもあります。配偶者と死別や離婚をした一人親家庭については,税制上の寡婦控除などの措置がとられ,その所得額に応じて保育所や幼稚園の入園料,保育料などが計算されています。しかし,同じ一人親でも,婚姻歴のない場合は寡婦控除の対象になりません。控除がない分,納税額が増え,税額に応じて負担する保育料なども重くなってしまいます。この状況を改善していくためには,本質的には,国において税制上の寡婦控除の在り方を見直していただくことが必要でありますが,自治体の単位でできることがないということでもありません。保育料に関していえば,寡婦控除を未婚の世帯にもみなし適用することで,軽減を図っている政令市は現在八つあり,また本年度より更に2都市で実施が予定されています。既にみなし適用を行っている自治体の例で見れば,それほど大きな財政負担を伴うものではありません。また,本市も参加する大都市民生主管局長会議の要望の中でも,国に対して非婚母子世帯にかかる寡婦控除のみなし適用にかかる保育料の軽減に関して,必要な措置を求めています。子供は親を選ぶことはできません。親が結婚して子供を産んだかどうかで,子供に不利益があるべきではありません。京都市においても,まずは保育料について,この寡婦控除のみなし適用をしていくべきであると考えますが,いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 以上,ここまでお聞きしてきました。2月市会で制定した京都市会基本条例の第3条の3及び4には「執行機関ではなし得ない政策立案及び政策提案を行うこと」,「市長等との議論を通じて,よりよい政策及び施策の実現に努めること」が書かれています。今回の議論だけでなく,今後も議論を重ねながら,よりよい政策の実現を目指していきたいという決意を申し上げ,私からの質問といたします。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 片桐直哉議員の御質問にお答えいたします。 人口減少社会についてでございます。片桐議員御指摘のとおり,人口減少は,日本の未来,京都の未来を左右する深刻かつ重要な課題であり,京都市におきましても,人口減少を食い止める政策を強力に推進すると同時に,一定の人口減少を見据えた都市経営を進めることが極めて重要であると認識しております。本市では既に,その基本認識を反映した京都市基本計画「はばたけ未来へ!京プラン」を京都市会をはじめ市民の皆様と共に策定し,全力で取り組んでいるところであります。 具体的には4点,一つは,保育所の抜本的な充実などの子育て支援,学校教育など教育環境の充実,若い人の婚活等,結婚支援,さらには真のワーク・ライフ・バランスなど,子育て環境日本一を目指した取組。二つ目は,産学公連携による新産業の創出,企業誘致,中小企業の支援,安定した雇用の創出など,京都の強みを生かした経済の活性化,成長戦略。三つ目に,交流人口の増加も見据えた観光MICEの飛躍的な発展,また大学のまち・京都,学生のまち・京都の推進,全国にも類を見ない景観政策など,都市の品格と魅力を高める政策。四つ目に,公共交通拠点への都市機能の集積によるコンパクトシティの構築,さらには,この度の総合的な空き家対策など,都市計画マスタープラン等に基づく,既存インフラを最大限に生かした個性と活力あふれるまちづくり。これらを総合的に力強く推進しているところであります。しかしながら,人口動向を踏まえるとき,改めて社会全体で,京都全体で危機感と目標を共有し,さらに,「京プラン」に基づくこれらの政策をいま一度深掘りし,進化させ,そしてあらゆる政策,総合的な政策がスピード感をもって必要であると考えております。 また,喫緊の課題の一つといたしまして,リニア中央新幹線の大阪までの同時開業,そして京都駅ルートの実現などによる東京一極集中の打破にしっかりと取り組むことも必要であります。人は魅力ある都市に集まります。より多くの人に京都に住んでいただき,京都で学び,京都で働き,京都で子供を産み,育てる,そしてまた京都を訪れていただける,このようになるために市民の皆様と知恵と力と行動を結集して,人口減少の課題を乗り越え,魅力ある京都をこれからもつくっていかなければなりません。しっかりと研究しながら総合的な取組をより一層推進してまいりたいと思っております。 次に,管理不全状態にある空き家への対策についてでございます。市会での活発な議論を重ねていただき,可決いただきました京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例の施行に併せまして,まち再生・創造推進室を新たに設置するとともに,住民の皆様に最も身近な区役所・支所との連携のうえ,空き家対策を進める体制を本年4月にしっかりと構築いたしました。この体制の下に,これまで,市民の皆様からの通報や本市の巡視により把握していた管理不全家屋のうち,まずは建物が著しく損傷していたり,周辺環境に与える影響が大きい51件の空き家の実態調査を直ちに行い,著しい管理不全状態にある空き家の所有者に対して必要な措置をとるよう,指導を行ったところであります。所有者が指導に応じない場合,6月に条例に基づいて勧告を行うとともに,さらに命令,氏名等の公表も実施してまいります。また,所有者が不明の空き家につきましても,住民の皆様の安全性を確保する点で緊急性が高い場合には,本市自ら暫定的な措置を講じてまいります。 さらに,片桐議員御指摘のとおり,是正命令に応じず改善が見込まれない場合には,所有者の意向にかかわらず,速やかに行政代執行を断行してまいる決意でございます。空き家の適正な管理対策は,地域コミュニティの活性化,安心安全の確保,景観の保全などの様々な点で重要かつ喫緊の課題でございます。この度の調査結果を踏まえまして,全庁一丸となりまして,条例をしっかりといかし,厳格かつ迅速に取組を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私から2点お答えいたします。 まず,介護サービスの充実についてでございます。本市におきましては,介護保険制度の創設当時の平成12年度と比較いたしまして,65歳以上の高齢者数が1.4倍に伸びておるのに対しまして,それを大きく上回る2.3倍の保険給付を行うなど,介護サービスの充実を図ってまいりました。こうした中,介護が必要となっても,住み慣れた御自宅でその人らしく暮らしていただくこと,また,御自宅での生活が困難となっても,できる限り慣れ親しんだ地域の中で生活を続けていただくことが,京都市版地域包括ケアシステムの目指すべき何よりの姿と考えております。このため,第5期京都市民長寿すこやかプランでは,市内76箇所の日常生活圏域ごとに,地域に根差し,家庭的な雰囲気の中で過ごしていただける小規模な施設等をきめ細かく配置します地域密着型サービスに重点を置き,整備を進めてきたところであります。今後,今年度中に策定いたします第6期のプランにおきましては,地域密着型サービスに加え,事業者の拡充につきましても,質,量共に図りつつ,利用者の多様なニーズにきめ細かく応えられるよう,介護予防の観点も含め新たなメニューを検討するなど,介護サービスの更なる充実を図ってまいります。 次に,北部山間地域への移住支援についてでございます。北部山間地域につきましては,京都市の平均を大きく上回るペースで高齢化と人口減少が進んでおり,片桐議員御指摘のとおり,このまま放置すれば,いわゆる限界集落が増え,さらに集落存続の危機となる可能性は否めません。このため,現在,過疎地域自立促進計画に基づき取組を進めております京北地域はもとより,他の北部山間地域におきましても,農林業の振興をはじめ,そこで暮らすことのできる安定した雇用を創出する取組を進めております。同時に,区基本計画をはじめ,北区の北山三学区まちづくりビジョンといった地域ごとの活性化計画の策定,あるいは平成24年度に創設いたしました区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算による左京区の北部地域の古民家活用ネットワーク事業や右京区の宕陰地域活性化アクションプラン推進事業など,空き家を活用した都市部との交流や定住を促進する取組を区役所,関係局と地域住民の皆様との共汗,協働で進めているところであります。今後におきましては,こうした各区の取組による成功事例を一つずつ積み上げながら,議員の御提案を踏まえ,関係局,区との連携の下,情報の総合的な発信など,北部山間地域への移住促進に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(中村三之助) 江口子育て支援政策監。 〔江口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(江口尚志) 未婚の一人親世帯に対する保育料における寡婦控除のみなし適用についてでございます。保育料につきましては,所得税額などを基に算定することとされており,所得税法上の寡婦控除が適用されない未婚の一人親世帯と婚姻歴のある一人親世帯の方とは,保育料負担に差異が生じる場合がございます。寡婦控除については,昨年12月12日に取りまとめられた平成26年度税制改正大綱において,家族の在り方にも関わる事柄であることや,他の控除との関係にも留意しつつ制度の趣旨も踏まえながら,所得税の諸控除の在り方の議論の中で検討されることとなっております。本市の保育料における婚姻歴のない一人親の方に対する寡婦控除のみなし適用につきましては,今後とも国の動向を注視し,研究してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 暫時休憩いたします。 〔午後3時04分休憩〕 〔午後3時25分再開〕 ○議長(中村三之助) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) 休憩前の一般質問を継続いたします。 市政一般について,曽我修議員に発言を許します。曽我議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 伏見区選出の曽我修でございます。公明党京都市会議員団を代表し,平山よしかず議員と共に一般質問をさせていただきます。市長はじめ関係理事者におかれましては,明快で分かりやすい御答弁をよろしくお願い申し上げます。 自公連立政権の第二次安倍政権が誕生して1年4箇月が経過しようとしております。この間安倍政権は,デフレ経済の脱却,日本経済の再生に向け,大胆な金融政策,機動的な財政政策,民間投資を喚起する成長戦略という三つの政策を3本の矢として同時展開され,着実に成果を上げてきております。 1本目の矢である日銀による異次元の金融政策,2本目の矢である国民の生命と財産を守るための国土強靭化を柱とした財政政策が功を奏し,昨年度の実質GDPは前年度を上回り,鉱工業生産指数をはじめとする各種経済指標は軒並み改善したほか,日経平均株価は1年間で5割以上も上昇いたしました。 〔中村議長退席,井上副議長着席〕 ◆(曽我修議員) (続)また,企業業績の回復に比べ,その効果が遅れて表れると言われる雇用や賃金についても,今年3月の有効求人倍率が6年9箇月ぶりの高水準となるなど明るい兆しが随所で見られるようになってまいりました。今後はこうした効果を広く中小企業にまで波及させるとともに,雇用においても若年層の正規雇用を一層拡大させるなど景気回復を全国に行き渡らせるよう取り組む必要があります。そのためにも,第三の矢である成長戦略の実行が,とりわけ重要であります。 政府の成長戦略では,民間の力を最大限引き出すこと,女性,若者,高齢者をはじめとする全員参加による総力戦で挑むこと,技術立国日本を再興することを成長への道筋として掲げ,その下に具体的な取組として日本産業再興プラン,戦略市場創造プラン,国際展開戦略が策定されております。この中の,日本産業再興プランの柱の一つに,世界最高水準のIT社会の実現がうたわれております。私たち公明党市会議員団も,かねてより行政のあらゆる分野でのICTの積極的な利活用を提言してきたところであり,26年度予算要望においても,市民サービスの向上に資するための電子自治体ICTガバナンスの実現を掲げております。 こうした中,京都市では,未来の京都への先行投資のための新規事業として,京都未来交通イノベーション研究機構を立ち上げ予算を本年度計上されました。この研究機構においてはICTを基盤技術として人や物の移動を,より安全,便利,快適にするという目的の実現に向け,行政と企業,大学などが連携して,20年後の京都の交通の姿も想像し,京都発の新たなサービスや技術を開発していくこととされています。技術やサービスの開発は,2年から3年先に実現する比較的短期的なものから,20年先を想定した長期的なものまで,また,研究テーマも人の移動から観光,物流,防災など交通に関係する幅広いテーマを取り扱うとされております。 そこで私は,この研究を進めるに当たって二つのことをお願いしたいと思います。それは,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催です。前回の東京オリンピックは,日本がまさに高度経済成長期の開催であり東海道新幹線や高速道路など数々のインフラが急ピッチで整備されました。京都市においても同様にインフラ整備が進み,その結果,多くの外国人観光客が日本にそして京都に訪れ,まさしくインバウンド元年だったと考えます。その意味において,前回大会同様にインバウンドを飛躍的に発展させる契機としなければならないと思います。そのためにも外国人観光客が言葉の壁を感じることなくスムーズに移動でき,ストレスなく京都の魅力を堪能していただくためのサービスを是非とも開発していただきたいと思います。 もう一つは研究機構に対する市民や観光客の皆さんの参画と協力です。様々なサービスを開発していくためには,情報やデータの収集が重要だと思います。こうした情報の収集について,市民,観光客をはじめ京都には留学生を含めた多くの学生が学んでおられます。こうした方々に協力を呼び掛け,集まった情報を新たなサービスとして還元していくという循環を実現していくことが重要だと考えます。 こうした技術やサービスを京都において,実証,実用化することにより,交通,移動分野における市民の皆様の安全や利便性の向上を実現するとともに,全国への展開を目指すことにより国の成長戦略に京都から貢献していくことができると思います。具体的にどのような研究がなされ,どのようなサービスが実現していくのか,今後のスケジュールなどお答えください。 次に,水害対応についてお伺いいたします。本年も,また出水期を迎えようとしております。昨年9月の台風18号では,全国で初めてとなる大雨特別警報が発令され,市内各地で大きな被害が発生いたしました。幸い人的被害は最小限にとどめることができました。これもひとえに地域住民の皆様の賢明な判断と行動,そしてそれを支える自治会,水防団,消防団をはじめとする各種団体の皆さんの総合力の賜物であると確信をいたしました。今後も,こうした台風やそれに伴う大雨による浸水などから,市民の皆様の尊い命を守るためにも,まず一人一人が正しい情報をいち早く知ることが肝要であり,そのためにも京都市から避難勧告の発令を,市民の皆様が心の準備と身の安全を十分に確保できる適切な段階で行っていただく必要があると考えます。 そこで,まず1点目として,市災害対策本部の前線基地となる各区役所,支所の災害対策本部に市役所の関係部局,警察や防災関係機関はもとより地域の消防団や水防団,自主防災会などから避難勧告などの判断に必要な山や河川,用水路や道路などの情報が迅速に入るような体制を日常から構築しておく必要があると考えます。台風18号を教訓として,今後どのような取組が行われていくのかお聞かせください。 2点目として,水災害時の避難所の指定についてお伺いいたします。台風18号が京都に接近した際には,市内各所での道路が冠水し,多くの住宅でも床上,床下浸水に見舞われました。特に伏見区におきましては,指定避難所の,ある小学校では,周辺道路が冠水し避難所に行くにも行けなかったり,またほかの小学校では,グラウンドが冠水し避難先である体育館の目の前にまで水が迫ってきている状況であったことから,既に体育館に避難されていた住民の方々が区役所と連携を図り,急きょ,近隣の民間施設に避難される事態となったと伺っております。水災害時の避難所については,現在指定されている避難所とは別に,浸水想定も考慮した場所を新たに指定することなど検討しておく必要があると思いますがいかがでしょうか。既に,地域ごとに検討を始められていると伺ってはおりますが,現状についてお答えください。 3点目は,避難所における住民リーダーの育成についてでございます。現在,京都市では,大規模災害の発生時に,地域の住民自らが避難所を開設,運営できるよう,区役所と地域住民の方々が連携を図り,市内全避難所においてマニュアル作りに取り組んでおられます。しかしながら,マニュアル作りや避難所運営訓練の取組が始まって間もないこともあり,先の台風18号では実際の避難所運営においてリーダーシップが十分に発揮されておられなかったところもあると伺っております。今後,より一層避難所がスムーズに運営されるため,避難所における様々な役割を担うリーダーを多く育成していくことが必要だと考えますが,いかがでしょうか。 以上の3点,水害対応に関わる情報連絡体制,避難所の新たな指定,住民リーダーの育成についてお答えください。 学校給食の充実についてお伺いいたします。昨年12月に,日本人の伝統的な食文化である和食が,自然を尊重する日本人の心を表現したものであり,伝統的な社会慣習として世代を超えて受け継がれていると評価され,ユネスコ無形文化遺産に登録されました。この間,登録に尽力された和食関係者の皆様に敬意を表する次第でございます。また,ユネスコの無形文化遺産登録に先立つ10月には,本市においても,市民が残したい“京都をつなぐ無形文化遺産”制度の第1号として,「京の食文化-大切にしたい心,受け継ぎたい知恵と味」が選定されました。今,世界では,和食ブームが起こっていると言われています。海外の和食店は大人気で,農水省の推計では,2006年に世界で2万4,000店あったものが,2013年には5万5,000店となるなど大きな広がりとなっております。このように世界から和食に熱い視線が注がれる中,和食文化の源流でもある京都の食文化を守り,世界に誇る日本人の心の文化をしっかりと市民の皆様と共有し,とりわけ次代を担う子供たちに伝えていくことが大切であると考えます。しかし,現実には,生活の洋式化に伴う食生活の変化や,また核家族化などの社会環境の影響により,家庭や地域で子供たちに和食の伝統が伝わる機会が減少してきており,若者の和食離れが進んでおります。 そうした中,本市ではこれまでから給食で京のおばんざいや伝統行事にちなんだ献立など和食の献立を工夫され,また,学校教育のあらゆる機会を活用して,「知る」という漢字を使用した「知産知消」を核とする食育に取り組み,NPO法人等の協力も得て子供たちが京都の食文化について学ぶ機会を創出してこられました。そしてこの度,ユネスコの無形文化遺産登録を契機として,学校給食における和食の一層の推進に向けた具体的な方策について検討することとされ,去る4月28日,日本料理の料理人や家庭料理の研究家,学校現場の栄養士や調理員,また学識経験者など各分野の専門家による検討会議が設置されました。委員の方々からは,和食以前の問題が多くある,米飯と牛乳は合わないとか,全て和食ではなく世界を学ぶ献立も残してほしい,また,マナーも和食の良さの一つなど様々な意見があったと聞いております。私は是非,この会議での様々な御意見を踏まえ,これまで以上に,子供たちにとっての食育の生きた教材と言うべき学校給食において,和食文化を継承するための京都らしい具体的な取組が進展することを期待いたします。 そこで,毎月19日の食育の日をいかす取組など理念に偏ることなく子供たちの声もしっかりと聴きながら,子供の目線に立った学校給食について,今後どのように和食を推進していかれようとするのか,教育長のお考えをお伺いいたします。 最後に,久我・久我の杜・羽束師地域の下水道整備についてお伺いいたします。この地域は,京都市の南西部伏見区にあって広大な農地と美しい自然環境が残るまちであり,その歴史は古く,4世紀以降に開墾がなされ,平安京よりも歴史のある地域として,住んでおられる市民の皆さんは日々誇りを持って生活されております。また,この地域は,明治22年の町村制発足を受けて周辺の村々が合併し,昭和25年に京都府乙訓郡から京都市へ編入され,伏見区となってから今年の12月で64年目を迎えることとなっております。この地域は,これまで都市近郊農業として栄えてはまいりましたが,昭和46年には市街化区域に設定され,工場や小規模住宅などの開発により市内でも有数の人口増加が著しい地域となっております。一方,こうした人口増加の背景にある,主に民間主導の住宅開発が進行した結果,暮らしに必要不可欠なまちのインフラの整備が追い付かず,地域住民の皆さんから改善に向けた様々なお声を頂いております。これらの課題の解決を目指して,平成19年2月に久我・久我の杜・羽束師地域まちづくり協議会が設立し,協議が進められ,平成23年に久我・久我の杜・羽束師地域の総合的なまちづくりビジョンが策定されました。まちづくりのテーマとして,「多世代が住む緑豊かな誰もが好きになれるまち」の実現に向け,住民主体のまちづくりが推進されております。このビジョンの基本方針の一つである「便利に暮らせるまち」の中において,「まちの規模にふさわしい機能充実」が掲げられており,地域住民は特に下水道の整備を望まれているところであります。 私も,これまでから市会において下水道整備の必要性を訴えてまいりました。その結果,府道水垂上桂線や外環状線周辺の地域については下水道整備が着実に進められてきております。しかしながら,当地域の一部においては,汚水幹線の布設を計画している都市計画道路が未整備であるため下水道への接続ができず浄化槽により処理を行っている状況にあり,住宅開発などが進められる今日,地域住民の下水道整備の要望の声は更に切実なものとなっております。ついては,これらの現状を踏まえ,既存道路を活用した下水道管整備を検討されているとのことでしたが,現時点での検討状況についてお示しをください。 以上,私の質問とさせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(井上教子) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えいたします。 まず,京都未来交通イノベーション研究機構についてでございます。この研究機構は,20年後の京都のまちづくり,交通を展望し,産学公が連携して最先端のICT技術を駆使した研究,開発を行い,人や物が安全,快適,そして効率的に移動できる究極のスマートシティの実現を目指すものであります。現在,本年夏の立ち上げに向けまして,企業や大学等に働き掛けを行っておりますが,それぞれ高い関心を寄せていただいております。研究の内容といたしましては,物流の一層の効率化や将来の自動車の自動運転の実用化等を踏まえながら,幅広いテーマに民間等の知恵を結集して取り組んでまいります。例えば,一例でございますが,最先端の人工衛星みちびきを活用してスマートフォンからその人の位置情報を正確に把握したうえで,立体的な三次元地図や公共交通,観光等の情報が容易に入手できる仕組みを2年後をめどに整備してまいります。研究の推進に当たりましては,曽我議員御指摘のとおり東京オリンピック・パラリンピックを見据えることが極めて重要であり,また,研究に伴う情報の収集,サービスの提供等において市民や観光客の皆様など多くの方々の協力と参画をいただくことなどにより,当研究機構の取組に共感が得られるよう取り組んでまいります。こうした取組を景観面や狭あいな道路などの制約がある歴史都市京都において実現することは大いに意義があると考えており,政府の進められる成長戦略とも呼応し,京都発の新たな成長に挑戦するモデルとなるよう全力で取り組んでまいります。 次に,水害対応に係る情報連絡体制についてでございます。的確な避難勧告等の発令のためには,桂川などの特定の河川を対象に発表される氾濫警戒情報等に加えまして,小河川や用水路の水位情報など現場でしか得られない情報の把握が重要であります。このためこの5月に八幡市や長岡京市など近隣の自治体と連携し,淀大橋下流で実施した大規模合同水防訓練において円滑な情報伝達のための水防団や消防団が現場から得た情報を互いに共有する訓練をいたしました。今後は無線を活用した水災時の情報伝達訓練について進めてまいります。さらに,これらの現場で共有した情報が台風18号に係る総括に基づき派遣することとしております消防署等からの情報連絡員(リエゾン)を通じて,区役所,支所の災害対策本部にもれなく集約され,地域の自主防災会や住民の皆様にも情報が行き届くよう日常的に訓練を積み重ねてまいります。こうした取組により災害時の緊急対策を的確に行い,市民の皆様が安心安全を実感できるまちづくりを進めてまいります。 次に,水災害時の避難所指定についてでございます。先の台風18号における避難所開設時には,道路などその周辺の浸水のため一部の体育館が避難所として利用していただくことができない状況がございました。そこでこうしたことを教訓に,浸水が想定される区域内にお住いの方が地元学区外の浸水被害が及ばない地域に避難するための緊急避難場所の指定について,住民の方々と十分に協議し対策を進めております。これからも進めてまいります。また,地域主体で進めていただいています民間事業者との協定による避難先の確保についても,しっかりと行政として支援をしてまいります。さらに,こうした取組とあわせまして,まずは浸水想定区域内にあります137の京都市の小中学校につきまして,校舎の2階以上を水災害時の新たな緊急避難場所として,本年の出水期までに開設できるよう調整を進めてまいります。こうしたことで避難に万全を期してまいります。 私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(井上教子) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 避難所における住民リーダーの育成についてでございます。市内の全避難所418箇所のうち現在180箇所におきまして避難所運営マニュアルの策定を完了しており,昨年の台風18号時におきましても,マニュアルの策定が完了していた地域では避難所のかぎの保管者が特定されていたこともありスムーズな開設が行われました。一方で,避難所運営訓練の取組が始まって間もないこともあり,情報把握等が円滑に行われないなど,避難所の具体的な運営面におきましては必ずしも十分とは言えないという地域もあったと受け止めております。そうした点におきましても,曽我議員御指摘のとおり避難所における住民リーダーの育成は大変重要であると認識しており,避難所運営訓練を重ねてまいりますとともに,避難所ごとの運営協議会の代表をはじめ運営の中核を担う方々を対象に,地震,水災害等防災に関する知識,技術を身に付けていただくための研修会や講習会を実施するなど重点的に取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(井上教子) 水田公営企業管理者。 ◎公営企業管理者(水田雅博) 久我・久我の杜・羽束師地域の下水道整備についてでございます。この地域における下水道整備は,昭和54年度に着手し,これまでに外環状線や府道垂上桂線等において汚水幹線を整備してまいりました。しかし,名神高速道路南側地域の一部では,都市計画道路等の課題により汚水幹線整備のめどが立たないことから,現在も浄化槽による処理が行われております。曽我議員御指摘のとおり,住宅開発等が進む中,当該地域の下水道整備が喫緊の課題となっていることを踏まえ,平成22年度から現地調査を実施してまいりました。その上で,既存道路の狭あい箇所も含めた下水道整備の技術的検討を重ねまして,今年度からの3箇年で汚水幹線を新たに布設させていただくこととしております。今後この下水道整備を着実に進め,久我・久我の杜・羽束師地域の良好な都市環境の実現を目指してまいります。以上でございます。 ○副議長(井上教子) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 学校給食における和食の推進についてでございます。曽我議員御指摘のとおり,ユネスコ無形文化遺産登録や本市独自の,市民が残したい“京都をつなぐ無形文化遺産”制度第1号認定を契機といたしまして,和食に対する国内外からの関心が高まる中,我が国伝統の食文化をしっかりと未来に引き継いでいくことは極めて重要であります。そのため食育の生きた教材である学校給食において和食を一層推進するための方策等について議論する検討会議を先月設置したところであります。今後,子供たちも含め市民や関係の皆様の幅広い御意見を伺いながら精力的に検討を進めてまいります。検討会議では,京都の伝統的な家庭料理にちなんだ献立等を増やす方策に加え,一汁三菜の精神を生かした献立を提供する和食の日を設定し食文化に親しむ機会とすることなど和食献立の充実に向けた検討を進めるとともに,家庭,地域に対しましても毎月19日の食育の日などに家族で和食に親しむ機会を増やしていただけるよう呼び掛けるなど市民ぐるみの取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(井上教子) 次に,市政一般について,平山よしかず議員に発言を許します。平山議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) 西京区選出の平山よしかずです。曽我修議員に続いて公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。 公明党は,本年11月17日に結党50年を迎えます。草創の諸先輩議員から一貫して,市民相談を通じて生活者の声を政治に届ける活動を続けてきました。私自身,昨年来改めて地域でのミニ懇談会を重ねながら様々なお声を頂いてまいりました。本日は,多くのお声を基に,防災,福祉,まちづくりに関して市長並びに関係理事者に質問いたします。どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に震災復興への取組と地域防災力の向上について質問します。 今年3月11日現在で犠牲者が1万5,884人に上り,いまだに2,633人もの方々が行方不明となっている東日本大震災から3年が経過しました。この4月5日,6日には三陸鉄道が全線再開し,被災地の方々の希望を乗せて走るという明るいニュースがありました。復興庁によると,現在は福島県の一部を残して震災がれきの処理が終わり,また,国道もほぼ復旧するなどインフラ社会資本整備がかなり加速してきました。しかしながら,生活の基礎となる住宅の再建はまだまだ不十分で,いまだに約27万人の方々が避難生活を送り,そのうち約10万人の被災者がプレハブ仮設住宅での生活を余儀なくされています。政府の住宅再建工程表に沿って,着実かつ加速度的に住宅の自力再建や高台移転,復興公営住宅の整備を進めていくことが,全ての被災者が普通の生活を取り戻していくための最重要の課題です。 同時に今,復興を妨げているのが被災地で吹いている風化と風評の二つの逆風です。公明党は,党復興加速化本部を設置し,現場の実態,被災者の気持ちに即した復興加速の取組を進めています。その中で被災地を襲う風化の風に抗う一手として,「人間の復興へ」と題する党主催の巡回写真展を,今年3月,仙台国際センターの特設会場からスタートさせました。これは発災直後から公明新聞が撮りためてきた被災地写真のパネル展示を通して,東日本大震災を忘れずに被災者に寄り添い続けることの大切さを訴えるものです。写真パネルを見た人々からは,「涙が止まらなかった」,「苦難の中で子供の明るい表情が印象的だった」,「風化に抗う大切さを知った」など多くの共感の声を頂いています。私たち公明党京都市会議員団も風化と風評の二つの風に立ち向かう思いを一つにし,京都の地から復興加速を支援してまいります。 一方,震災復興に関して本市では,門川市長の素早い指示の下,震災発災後直ちに市職員の派遣を行い,これまで1,667人もの職員の皆様が被災地で尊い復興支援に尽力してこられました。また,現在も17人の職員が災害公営住宅の造成や被災者生活再建支援などの業務に従事され,本格的な復興に向けた息の長い支援を続けておられます。そうした被災地へ赴いた数多くの職員一人一人の経験,とりわけ災害発生直後から応急対策期に掛けて派遣された職員の経験は,防災意識の向上にとどまらず,混乱を来す発災直後の状況に即応するための職員能力を向上させ,ひいては市民の命を守る力を高めることへつながる貴重な経験です。私は,これら職員の経験を決して風化させることなく,次代の市政運営を担う職員へ語り継ぎながら京都市の防災力を深化させていくことが重要であり,風化に抗う被災地に対する京都市からの力強い応援につながると確信します。 そこで,京都市として職員の被災地支援の貴重な経験を記録として残し,多くの職員が共有するようしっかりと取り組むべきであり,同時に,これらの経験を市役所だけにとどめることなく,地域の防災訓練に活用するなど市民と共有し地域防災力強化に役立てるべきと考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 次に,次期介護保険制度改正に関し,生活支援サービスの充実,強化について質問します。 現在,国会では,団塊の世代が全て75歳以上になる2025年に向け,増大し続ける医療,介護給付費の適正化を図り,同時に在宅医療,介護サービスを手厚くして,住みなれた地域で必要な方が必要な支援を切れ目なく受けられるよう,医療と介護を一括した地域包括ケアシステムの構築を重要な柱とする医療・介護総合推進法案が審議されています。近年,家族や地域社会での支え合いが弱まり,人間関係の希薄化が進む中で,例えば老々介護や介護離職などの様々な課題がクローズアップされてきています。高齢者や介護を必要とする方々が今後も地域で安心して生活できる仕組みづくりがこれまで以上に求められていると強く感じています。見直し案では,介護保険制度の枠組みの中で,要支援者への訪問介護と通所介護を,全国一律の予防給付から市町村による地域支援事業へ移行することとされています。 京都では,これまでから市民の思いと行動力による地域福祉活動をはじめボランティアやNPO,民間企業,社会福祉法人などから様々な地域支援事業,すなわち生活支援サービスが提供されてきました。私は,男性介護者を支援する会や高齢者の居場所づくりに取り組む方々との関わりを通し,地域で介護者や高齢者と向き合う多くの方々の真心の活動に感服してきました。一方で,活動資金の確保や人脈の広がりが難しいなど,それぞれの活動主体が抱える悩みを目にしお聞きしてきました。市町村による地域支援事業の充実といっても,高齢者や介護を必要とする方の様々なニーズを受け止め支援していくためにはその受け皿が重要です。京都市として今回の制度改正を機に,市民と直接向き合い支援やサービスを続けているボランティアやNPO,民間事業者などの多様な主体の活動を京都市がしっかりと支援する流れをつくってほしいと思います。それぞれの心温かくきめ細やかなサービスで高齢者や介護を必要とする方の生活の質を高めていくことを目標として,地域支援事業の受け皿を充実させることを,生活支援サービスの充実,強化の柱としていくべきです。 医療・介護推進法が審議入りした4月1日の衆議院本会議で,我が党の古屋範子衆議院議員の質問に対し,田村厚生労働大臣は,今回の見直しは市町村を中心とした支え合いの体制づくりを推進し多様な主体による様々な支援サービスの提供を目指すものであること,生活支援サービスの基盤整備へ財政支援を行うなど市町村の取組を最大限支援すると答弁されています。 そこでお伺いします。京都市では,今回の制度改正で予定されている生活支援サービスの充実,強化について,今後どう市民ニーズを酌み取りどのように対応していこうと考えておられるのか,また,サービスの受皿づくりをどう進めていかれるつもりなのか,現段階での見解をお聞かせください。 ここまで前半の質問といたします。御答弁をお願いします。 ○副議長(井上教子) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山よしかず議員の御質問にお答えいたします。 まず,被災地支援でありますが,風化させず,また風評被害根絶へ息の長い取組を進めてまいります。 さて,被災地支援をいかした地域防災力の向上についてでございます。平山議員御指摘のとおり,職員が実際に被災地での支援活動を行うことが何にも勝る掛け替えのない経験であると認識しております。東日本大震災の直後に本市独自の自主的な支援活動ですけれども,これに当たりまして,水や食料,寝袋など全てを持参し地元に一切の負担を掛けない自立型の支援ができたのは,正に阪神・淡路大震災で多くの職員が現場で得た教訓からのものであります。私自身も何度も被災地に行きまして,京都市の職員の活動を,活躍を目の当たりにしまして,この職員力が被災地の方々の支援となるとともに,必ずや本市の防災力の向上につながると,そう確信するとともに,貴重な経験を後世につなげていくこと,これが大変重要であると思っています。 こうした考えの下に,これまで新規採用職員の研修,技術職員研修等を通じて被災地派遣職員の報告会を開催するなど取り組んでまいりました。できるだけ経験の共有を図ってまいりました。さらに今年度は,これまでの研修の成果を踏まえまして,新たに記録誌を作成し,被災後間もない被災者の命を守る,暮らしを守る,医療や保健,福祉,災害ごみの緊急の収集運搬,飲料水や下水対策,さらに被災建物の応急危険度判定業務,カウンセリングや教育,障害のある方,高齢者,社会的弱者の視点,あるいは女性の視点,そうした市の職員が感じました,経験しました教訓をしっかりと共有していく,それを仕事の中にいかす取組をしていきます。 今後,各学区において積み重ねていきます防災訓練や418の避難所運営訓練においても,そうした被災地での応急対策に携わった職員の経験による専門的な技術や知識をいかすことで,より一層実践的な訓練としてまいりたいと考えております。 今後とも様々な機会を捉えまして,東日本大震災の教訓を活用することにより,市民生活の安心安全の確保に向けた防災,減災対策をしっかりと取り組んでまいります。引き続き被災地支援にも頑張ります。 ○副議長(井上教子) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 生活支援サービスの充実,強化についてでございます。ひとり暮らしや御夫婦のみの高齢者世帯,また認知症高齢者等が今後も増加してまいります中で,高齢者の皆様ができる限り住み慣れた地域でその人らしい生活を送っていただけるようにするため,様々なニーズに対応する生活支援サービスが多様な担い手によって提供される仕組みが必要でございます。こうした中,平山議員御指摘のとおり,生活支援サービスの充実,強化は,この度の介護保険制度改正におきましても,大きな柱の一つとなっております。本市では,これまでから配食サービスをはじめ民生委員や老人福祉員等による見守り活動,介護予防や閉じこもり防止に資する高齢者の居場所づくりや健康すこやか学級等,社会福祉協議会等関係団体とも連携し,多様な生活支援サービスの充実に取り組んでまいりました。また,昨年度,約2万人の高齢者を対象として実施いたしましたアンケート調査でも,掃除やごみ出し,また買物,電球の交換など,日々の生活に々の生活に密着した生活支援ニーズが高いことなどが明らかとなってまいりました。本市としましては,引き続き国の動向を注視しつつ,住民自治の伝統と支合いの精神が息づく京都の地域力を生かし,地域団体はもとよりNPO,ボランティアなど様々な社会資源を受け皿として,ニーズに応じたきめ細やかな生活支援サービスを提供できるよう,今年度策定いたします第6期京都市民長寿すこやかプランの中で具体的に検討してまいります。以上でございます。 ○副議長(井上教子) 平山議員。 〔平山よしかず議員登壇〕 ◆(平山よしかず議員) 続きまして,区役所を核とした地域活性化の取組,また観光と地域振興の連携の2点から今後の京都のまちづくりの方向性について質問します。 まず,区役所機能の強化と地域の活性化についてお伺いします。国においては,昨年6月に出された第30次地方制度調査会の答申を踏まえて,現在,政令指定都市における区役所の役割を拡充する方向で,地方自治法の改正が検討されています。本市においては,平成20年度から全行政区ごとに区基本計画策定を開始し,平成23年度から32年度を計画期間とする各区基本計画が策定されました。また平成24年度からは新たに区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算が新設されるなど,門川市長リードの下,区役所と区民が協働する取組で,国に先駆けて区役所機能の強化を進めているところであります。私は,一昨年前の平成24年2月市会本会議において,新設された区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算について,区役所機能の強化,ひいては地域の活性化につながるものと大いに期待し,予算の増額など今後の予算措置の考え方について質問しました。 〔井上副議長退席,中村議長着席〕 ◆(平山よしかず議員) (続)市長からは,初年度である平成24年度の各区の事業進捗状況を見据えつつ,今後予算の増額を検討していくとの回答をいただきました。その結果,本事業の全区役所,支所合計の予算額は,平成24年度は2億1,010万円であったものが,25年度は2億3,010万円,26年度は2億5,795万円と,厳しい財政状況の中にあっても年々増額され,共汗型事業の数は,24年度125事業から25年度136事業,26年度145事業と拡充されてきており,市民からも多くの賛同の声をお聞きしています。 私の地元西京区では本事業を活用して,例えば,西京に関心や縁をもつ方々を募り,新たな人間関係を構築しながら西京のまちづくりについて語り合い考えていくふらっと・西京~「地域力」育成支援事業や,大原野を中心とした西山地域の自然や魅力を発信していく大原野発信プロジェクトなど,地域活性化につながるまちづくり事業が区役所,支所と区民が一体となって企画,運営されています。このように区民提案・共汗型まちづくり支援事業は,一定の成果を上げつつあると思います。 そこで地域活性化策の第2ステージとして,私は,周辺自治体と区役所とが連携する取組を進めていけば,区役所と区民の協働のまちづくりを更に進化させることができ,区役所,支所機能の強化ひいては地域活性化に一層寄与できると考えます。周辺自治体との連携について西京区では,既に,ふれあいまつりのステージで亀岡市の枠を設けたり,また,西京区が亀岡市のイベントに参加するなどの交流を積み重ねてきているほか,今年度には,向日市との協働イベントが計画されていると伺っています。 そこでお尋ねします。今年度予定されている向日市との協働イベントの意義,目的と共に,こうした区役所を核とした周辺自治体と連携した取組の推進について市長のお考えをお聞かせください。 次に,観光と地域振興の連携についてお伺いします。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの誘致成功で,これから開催地東京を中心に国内外にわたっての盛り上がりが予想されます。本市がこの機を捉えて,前年のラグビーのワールドカップ,翌年の関西ワールドマスターズゲームズの開催とあわせオリンピック効果を京都へ誘引し,同時に日本文化を広く発信しながら京都の活性化を図っていくことを多くの市民が望んでいるものと思います。その意味で,京都市が昨年度から始められた2020年に向けた新たな観光振興計画策定の取組を評価し,新計画が高い成果を上げ,市民がその成果を共有できるものとなるよう期待します。 私は,観光の効果を広く市民生活に還元するためには,一つには,観光客へのおもてなしを通して,京都での宿泊や飲食など消費を促すことはもとより,京料理,京野菜や伝統産業のファンになっていただいたり,京都には優れた技術を持つ先端産業があることを知っていただくなどして,観光が他の産業振興をけん引することが重要であると考えます。そして二つ目に重要なことは,観光と地域振興との連携ではないでしょうか。既に左京区大原においては,地域が主体となった観光ツアーの開発など地域の新たな魅力発信が先駆的に始まっています。地域に伝わる伝統的なお祭りなどの諸行事,地域活性化のために行われている新しいまちづくりの活動など,さまざまな市民,事業者の取組が京都の魅力を底上げし,結果として京都観光の魅力を高めていく,今後こうした地域振興の取組を観光にいかす事業を,更に全市に広げていくことが必要です。 私は,毎朝起きると西山を眺めます。西山の木々の色付きによって季節が感じられます。天気のよい日にはすがすがしい心持ちになり,今日も一日頑張ろうとファイトがみなぎってきます。今日は残念ながら雨でありました。この西山は,北は西京区の嵐山から南は乙訓,大山崎町の天王山まで続いており,様々な文化,歴史的な資産や豊かな自然を有しています。例えば嵐山には十三詣りで有名な法輪寺,松尾には苔寺と通称される西芳寺,大原野には西行ゆかりの花の寺や桜や紅葉が美しい善峯寺があります。隣の長岡京市には紅葉の光明寺や牡丹の乙訓寺,美しい庭園の楊谷寺など多くの歴史的,宗教的価値を保つ寺社が西山に沿うように並んでいます。また,西京区山田から亀岡市篠町へ続く唐櫃越(からとごえ)をはじめ京都西山ハイキングコースでは多くのハイカーが自然を満喫されています。西山の竹,たけのこは,西京区及び乙訓地域の名産として全国に知られています。西山の歴史,文化,豊かな自然という財産は,隣り合う自治体や地域と連携しながら観光という切り口で生かしていけば,洛西地域をはじめとする西京区の魅力を高め地域活性化につながっていく可能性を秘めていると確信します。この西山観光の振興を是非進めていただきたいと要望いたします。 そこで,観光振興による地域活性化あるいは地域振興の取組を観光に生かし京都の魅力を高めるという,観光と地域振興の結び付きについて,本市として今後どのように取り組まれるのかお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中村三之助) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 区役所機能の強化と地域の活性化についてであります。 私は,「区役所から区民と共に本庁を動かす,京都市政を動かす」との方針の下に,この間,区役所機能と区長権限の大幅な拡充を強力に進めてまいりました。とりわけ平成24年度に創設した区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算により京都ならではの地域力を区役所,支所が引き出し,共に汗する共汗で地域づくりを推進する共汗型,協働型の取組が質,量共に年々充実,進化してきております。区レベルでの市民参加が進化してきていると,このように実感しております。 平山議員お尋ねの向日市との協働イベントも,私と向日市の久嶋市長との新春対談がきっかけとなりましたが,長岡京遷都1230年と平安京遷都1220年を記念し,洛西支所の共汗型事業として実施するものでございます。このイベントにより,文化,経済,教育などさまざまな面で密接に関わり一体感をもって共に歩んできた両地域が住民間の交流を更に深めるとともに,1200年前に都が置かれていたという歴史を子供たちがしっかりと感じ誇りにし,次の世代に引き継いでいく契機になることを目指してまいります。 区役所,支所が同じ生活圏であると同時に,文化的背景や歴史も共通している周辺自治体と共同の事業を実施する,また課題解決に向けて連携していくことは大変意義深いものであると考えております。この間,平山議員御指摘の西京区と亀岡市とのイベントでの相互交流に加えまして,山科区と大津市での災害協定など他の行政区でも同様の取組が出てきております。これらをモデルとして奨励し,区役所と区民が京都市政のみならず,周辺自治体と連携して京都府や国の政策をもリードしていくといった地方分権時代にふさわしい京都ならではの区政の実現に努めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(中村三之助) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 観光振興と地域活性化の連携についてであります。平山議員御指摘のとおり,京都には市内外の各地域に歴史ある寺院や神社,多彩な祭り,特産品,豊かな自然風景などがありますが,大きな魅力を秘めながらまだまだ観光振興にいかし切れていない資源も数多くございます。本市では,地域の皆様と共に,このような観光資源により一層の磨きを掛け発信する事業として,昨年度から,地域と事業者とのマッチングにより観光を推進する事業を立ち上げました。その第一弾として,左京区大原において地元の皆様が熱心に議論を重ね観光事業者と共に朝市や京野菜の収穫などが体験できるツアーを実施し,参加者から高い評価を得たところでございます。今後も地元の特産品等を活用した体験型ツアーが予定されるなど新たなにぎわいづくりと大原地域のまちづくりにも寄与できるものと考えております。私は,地元の方々が主体的にまちづくりを進める中で,外部の専門家の知見も得て,地域のすばらしい資源や地域のつながりを再認識し,それを新たな観光の魅力として発信していく取組が,様々な産業の振興と更なる地域の活力をもたらすものと考えております。今後とも地場の農産物や自然風景を楽しむイベント「風土・food大原野」などを開催している洛西地域をはじめ,市内各地の地域振興の取組を隣接する地域との連携を図りながら観光振興にいかす中で,更にそれを地域の活性化に役立てることにより住民の皆様が豊かな暮らしや文化を実感できるとともに,訪れる人の誰もがその地域の奥深さを満喫できる5000万人感動都市・京都の実現を目指してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(中村三之助) これをもって一般質問を終結いたします。 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時21分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        議長    中村三之助        副議長   井上教子        署名議員  国本友利        同     佐々木たかし...