京都市議会 > 2013-05-17 >
05月17日-03号

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  1. 京都市議会 2013-05-17
    05月17日-03号


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    平成25年  5月 定例会(第2回)       平成25年第2回                 京都市会会議録 第3号       (定例会)                    平成25年5月17日(金曜日)出席議員(68名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 大西 均議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  18番 島本京司議員  19番 椋田隆知議員  20番 桜井泰広議員  21番 宮田えりこ議員  22番 加藤あい議員  23番 西村善美議員  24番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  32番 下村あきら議員  33番 山元あき議員  34番 西村義直議員  35番 吉井あきら議員  36番 田中明秀議員  37番 西野さち子議員  38番 玉本なるみ議員  39番 くらた共子議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 山本恵一議員  52番 中川一雄議員  53番 寺田一博議員  54番 津田大三議員  55番 中村三之助議員  56番 橋村芳和議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 北山ただお議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 井上けんじ議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)欠員(1名)議事日程   開議日時 平成25年5月17日(金)午前10時   一般質問(1)市政一般について 中村三之助議員(2)市政一般について 津田大三議員(3)市政一般について 桜井泰広議員(4)市政一般について 西野さち子議員(5)市政一般について 樋口英明議員(6)市政一般について 小林あきろう議員(7)市政一般について 松下真蔵議員(8)市政一般について ひおき文章議員(9)市政一般について 湯浅光彦議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時2分開会〕 ○議長(橋村芳和) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) この場合,議席の変更を行います。 7番大西均議員を56番に,56番橋村芳和議員を7番に変更いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,本日の会議録署名者を指名いたします。山元あき議員と平山よしかず議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願3件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,中村三之助議員。 〔中村三之助議員登壇(拍手)〕 ◆(中村三之助議員) 私は,上京区選出の中村三之助でございます。私の後,同僚の津田大三議員,桜井泰広議員が同じく自民党市会議員団を代表して,多岐にわたり質問及び提言,提案をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 さて,京都市は,本年1月に,安倍政権による日本経済再生に向けた緊急経済対策の大型補正予算も積極的に活用し,京都経済の再生と雇用の創出,福祉,医療,子育て支援,教育の充実,防災・老朽化対策の着実な推進,そして京都ならではの品格と魅力を高める文化芸術の振興,これら4点を最重点とした平成25年度予算が動き出したわけであります。そして,今回,国の緊急経済対策に伴い,5億5,650万円の補正予算案が提案されました。これらの使途は,雇用対策のための諸事業や理科教育のための整備費用などに活用され,本市にとってありがたい財源となるでしょう。さらには,公共投資の地方負担を軽減するために交付される「地域の元気臨時交付金」が交付されます。これは,平成21年の麻生内閣以来,4年ぶりのことであります。今回の配分額の見込みは何と30数億円規模とのことであります。これは,京都市の単独事業として活用できるという,本市の財政難の中,大変ありがたいものであります。ついては,本市として,現政権の施策に伴い,緊急性・必要性の高いものに効果的に活用し,景気浮揚につなげていかなければならないと考えます。安倍政権による一連の交付金がもたらす本市への影響,効果はどう捉えておられるのか,また,いかに本市として景気浮揚につなげる施策を進め,成長戦略を図るのか,お考えをお聞かせください。 次に,本市のエネルギー政策と夏の節電対策についてお伺いいたします。我々は,東日本大震災の教訓に学び,エネルギー需給の安定に万全を期すため,全てのエネルギーの可能性を掘り起こし,原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指すことが重要であります。国においては,後世の国民生活に責任の持てるエネルギー基本計画を確立していくこととしております。京都市においては,都市全体のエネルギーを賢く利用するまちづくりを目指してスマートシティ京都研究会で様々なプロジェクトが検討されており,今年度からは地球環境・エネルギー政策監をチームリーダーとするエネルギー戦略策定プロジェクトチームを設置し,京都ならではのエネルギー戦略を策定するとのことでありますが,私は,市民の暮らしや地域の中小企業を支えるエネルギーの需要の安定確保を基本に,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現に向けたエネルギー政策が今求められていると考えます。本戦略の基本的な考え方と今後どう進めていくのかお聞かせください。 そして,夏の節電対策でありますが,昨年の今ごろは,大飯原発が稼働しておらず,計画停電が行われるかもしれないという不安を抱えた状況で節電対策に取り組みました。門川市長を先頭に,市役所が全庁を挙げて率先して実行した節電対策はもとより,市民や事業者の皆様の御理解と御努力により,目標数値を上回る節電を達成することができたわけであります。国においては,これまでの節電意識が定着し,この夏は深刻な電力不足に陥らない見込みとなったことから,数値目標を設定せず,定着している節電の取組が確実に行われるよう要請することにしているとのことでありますが,京都市としては,この夏,市民に対してどの程度の節電をお願いされるのか,また市役所として新たな節電対策を考えておられるのかお聞かせください。 次に,安倍政権の下,動き始めてきた道州制についてお伺いいたします。先月の22日に開催されました全国知事会では「州央集権で経済格差が拡大するのではないか」,「県をつぶせば分権ができると決め付けられる議論は危うい」など,意見もまとまっていない現況であります。そもそも道州制のねらいは,地方分権推進で国の出先機関の移管を受け,事務や権限を引き受けることにあります。結果,住民へのサービスの低下や地域コミュニティの崩壊をもたらすものであってはなりません。本市の方針は,「大幅な権限委譲や,道州制を見据えたうえでの,特別自治市をはじめとする多様な大都市制度の創設」とうたっていますが,現実,全体像が不透明で,市民の皆様にとって生活にどのような影響が出るのかが見えない,分からない現状であります。さらに関西広域連合との関わり,また,特別自治市の創設はどう考えたらいいのか,我々議員は,議論する機会があり一定の理解はしておりますが,市民の皆様にはなかなか分かりにくい現況であります。 そういう中,自民党,公明党は,今国会中に道州制推進基本法案を国会に提出する予定であり,これまで少し遠いところでの話であったものが,急に世間に近付いてきたわけであります。法案では,道州制国民会議を設置し,内閣総理大臣の諮問に応じて道州制に関する重要事項を調査審議されることになっているようですが,国民的議論を呼び起こすためには,制度の根幹的内容については,その概要また方向性を明確にして臨む必要があると考えます。そこで,本市として,動き出してきた道州制に対して,市民の皆様にメリットやデメリットなどを分かりやすく説明し,議論し,そして市民の声をしっかりと聞きながら進めていくことが,今求められてきていると思うわけであります。国と地方の在り方を根本から変える道州制であります。本市として,今後どう進めようとしているのか,そして,市民に対して,どのような形で説明し,議論を深め,理解を求めていこうとされるのかお伺いいたします。 次に,地域コミュニティの再構築への取組についてであります。このことは,私は,もう10数年前から,「地域コミュニティの再構築には,まず少し昔の価値観を共有化していくことが肝要だ」と何度も提言してまいりましたが,今回も新たに提言提案させていただきます。今,社会は大人も子供も地域活動へ参加しやすい社会環境であるかといえば,残念ながらそうではありません。最近実施された本市の自治会加入の調査からも,自治会離れの深刻さが分かります。地域コミュニティの再構築と活性化が,福祉面・教育面・安全面などからどれだけ現代社会にとって大切なことかは,今更言うまでもないでしょう。今月5月のきょうと市民しんぶんに「地域の絆で進めよう!安心・快適なまちづくり」と称して自治会の紹介と案内が大きく掲載されており,また文化市民局が作成した「地域って…?」という冊子の紹介がありました。これは,地域の各種団体の方のお世話の様子や地域の祭りへの参加,また防災訓練の話などが漫画で描かれており,市内の小学3年生に配布されるものです。先日の常任委員会にて,この冊子の取扱いについて教育委員会にお願いをしておいたわけでありますが,それは,せっかくいい教材をただ単に配布するだけでは,ほとんどの子供にも親にも伝わらないし,意識の啓発にはならないということであります。冊子の保護者向け欄に「京都市では,自治会や町内会をはじめとする地域のつながりをしっかりと維持し,更に強めていくため,平成24年4月に京都市地域コミュニティ活性化推進条例を施行し,地域住民の皆さんが支え合い,安心して快適に暮らせる地域コミュニティの実現に向けた取組を進めています。この冊子は,未来を担う子供たちに,地域のつながりの大切さを知っていただき,将来にわたって地域を愛し,お互いに助け合い,支え合う心を育んでいただくため,また,保護者の皆様にも,改めてその重要性を御確認いただく機会とするために作成しました」というすばらしいコメントが載っております。誠にそのとおりであり,そのようにしていかなければなりません。 果たして,今,冊子の言う地域コミュニティが育まれる子供たちの環境でしょうか。例えば,私の子供のときには,地域の祭りの日は半ドンで,宿題はその日はなしでした。今は,そのような配慮が余りなされていない現状であります。地域の祭りは,大人も子供も家族だけでなく,地域の皆さんと触れ合い,関わり合い,そしてその積み重ねが,大人になっても地域を愛し,祭りを愛し,地域を守っていく原動力となっていくわけであります。まずは,学校では,地域の祭りの日は少なくとも半ドンとすること。また,大人社会も相互理解し合い,そういう地域の祭りには休暇が取りやすく,参加しやすい環境が構築されるように,本市としても,社会に企業に発信していく必要があると考えます。いかがでしょうか。まずは,是非とも京都市が率先垂範していただきたく思います。 次に,基本設計が始まった,全国的に注目されております(仮称)京都動物愛護センター整備についてであります。この事業は,本年9月に施行される,改正された動物愛護管理法に則して今後の動物愛護センターの役割を大きく変える要因が数多く出てきている中,全国で初めて新法への対応策を取り入れた施設として整備され,今後,我が国における人と動物が共生できる都市・センター整備の範を示すということから,また,府市協調の下,共同整備・運営される施設であることからも,全国の関係者からの大きな期待を担っている施設であります。その表れとして分かるのが,平成23年12月に1億円の寄付が寄せられ,その後も更に100件以上,1億数百万円が人と動物とが共生できるまちづくり基金に寄せられたということです。この基金の使途でありますが,決して予定している整備費6億1,000万円の足しにするということはないように,あくまで,更に良いセンターにしていただきたいという寄付者の願いを尊重していただき,更なるハード面の充実,またソフト面に有効活用していただきますようお願いしておきます。 そういう意味で,今ハード面での整備が進んできている中,是非とも検討していただきたい提案があります。それは,整備されるドッグランエリアの一部を屋根が開閉できる全天候型にすることであります。その理由は,今後考えられるイベントが雨のために中止しなくてよいことや,改正法に掲げている災害時・非常時における動物保護の施設としての役割を京都が果たすためであります。いつか起こる東南海地震においては,他都市に比べると被害が小さいと想定されている京都の責務として,他都市からの動物の受入れに貢献しなくてはなりません。いかがでしょうか。 3月26日に自民党市会議員団は岡山市へ訪問し,動物愛護ボランティア制度を調査してまいりました。これは,保健所に持ち込まれ,捕獲された収容犬の殺処分を減らすため,市民が犬を一旦預かり,引取手を探すというものであります。京都市は今年度,ボランティア養成事業を展開されますが,完成後のセンター運営には多くのボランティアの協力なくしてはやっていけません。ですから,この2年足らずで,かなり質の高いボランティアを育成しなくてはならず,その育成方法と必要とする仕事と優秀なトレーナーの確保が極めて重要であると考えます。つまりは,ソフト開発であります。そういう中,この度,私はじめ自民党,民主・都みらい,公明党のメンバーが世界で最も先進的な取組をしているドイツ,フランス,イギリスの施設及び都市における人との共生に関わる社会システムなどを調査に行く予定であります。そして,正に門川市長が求めておられる全国一のセンター整備に必要な情報をしっかりと入手して,反映してまいりたいと考えておりますので,是非とも御期待いただきたいと思います。もし何か御希望があればどうぞおっしゃってください。 最後に,地元西陣をはじめとする和装振興についてであります。この度の西陣機業調査で,平成23年の西陣織産地の総出荷額が,東日本大震災の影響があるとしても400億円を割り込み,平成2年のピーク時の13パーセントの水準まで落ち込み,産地のより一層厳しい状況が分かったわけであります。また,深刻な問題は,織り手の減少と高齢化が一層進んでおり,また,伝統と技を伝える中心世代の50歳代も減少しており,今後の技術継承が極めて厳しくなっていることであります。京都市は今,日本が世界に誇る伝統文化と,京都のものづくり・雇用を支えてきた京都の伝統産業の活性化に向けて,中期的な視点に立った戦略を展開していくことにより,京都経済の発展と豊かで活気に満ちた地域社会の形成,さらには日本の伝統文化の振興に寄与することを目的として,平成24年度から5箇年間の第2期京都市伝統産業活性化推進計画が策定され,京もの国内外開拓事業や「伝統産業の日」関連事業など多くの事業を展開していただいていることは,誠に結構なことでありますが,とりわけ,西陣織の出荷額増につながる和装振興策の成果を見ると,正直いい評価はできないところであります。本市として,振興につながる更なる知恵を出していただくことを望みますが,和装業界人も,せめてイベントのときぐらいは自ら着物姿を見てもらうという形を示さないと,消費者へは響かず,販売促進につながらないと思っており,私自身も業界の方に機会あれば申しておりますが,本市からも,本市が支援する事業の際には,着物着用をもっと積極的に,強く申入れしていく必要があると思います。業界人も本気で和装振興を考えるならば当然理解していただけると思います。 最後に,日本人の心のふるさと,古都・京都は,和装文化の最後のとりでとなる使命を持つ地であります。現在の課題を克服し,和装文化を守り抜き,振興していくための方策と決意をお聞かせください。 以上で私,中村三之助の代表質問を終わります。御静聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中村三之助議員の御質問にお答えいたします。 まず,国の経済対策を活用した本市経済の再生についてであります。安倍内閣による機動的な財政政策は,本市経済の再生にも大きな効果をもたらすと期待しており,既に景況感や雇用情勢には改善の傾向が見えつつあります。本市におきましても,国の緊急経済対策による交付金等の有利な財源を積極的に活用し,防災・老朽化対策など,市民の皆様の安心安全を最優先とした真に必要で効果の高い事業を前倒しで実施するとともに,6割以上も(後刻訂正)増額した公共投資を確実に京都経済の活性化につなげるため,これまでから進めてきた抜本的な入札制度改革を更に進化させ,京都市内の中小企業の発注機会の拡大や大胆なダンピング対策を一層推進しております。引き続き京都経済再生に向けた流れをより確かなものとし,更なる活性化を図るため,御指摘の「地域の元気臨時交付金」を新たな公共投資の追加実施に活用することとしており,国からの配分額を見定めまして,効果的な事業選定に努めてまいります。さらに,6月発表予定の国の成長戦略に歩調を合わせまして,グリーン分野における産学公連携によるオール京都体制での新産業の創出や,この間,充実させてまいっております企業立地促進助成制度をはじめとする企業誘致,女性が働き続けられる社会を目指す待機児童解消など,本市の成長戦略であります「京プラン」に掲げた11の重点戦略を全庁挙げて着実に,かつスピード感を持って推進し,京都経済の持続的成長に全力を傾注してまいります。 次に,道州制についてでございます。東京一極集中を打破し,市民と行政の意思を迅速かつ総合的に実現し,住民福祉の更なる向上を図るためには,市民の皆様に最も身近な基礎自治体に対し,権限と財源を大幅に移譲し,地域のことは地域で決めることのできる地方分権改革を力強く推進しなければなりません。そのためには,本市が目指す特別自治市制度を創設するとともに,府県を超えた広域的課題などへの総合的な対応が可能となり,かつ,基礎自治体を重視した道州制を導入することが必要であると認識しております。中村議員御指摘のように,道州制は国と地方の在り方を根本的に変えるものであり,そのメリットやデメリットを明確にし,デメリットへの対応策をしっかりと示し,市民の皆様と共に活発な議論を行っていくことが必要でございます。そのため,地方の側から国民的議論を促すために,私も参画する「道州制推進知事・指定都市市長連合」におきまして,これまでから,制度設計を検討する上での論点を整理した道州制の試案を取りまとめ,フォーラムの開催に取り組むとともに,また関西広域連合におきましても議論を進めているところであります。さらに,来月6月30日に,京都市と指定都市市長会が共同で,京都堀川音楽高校を会場にシンポジウムを開催し,本市が目指す特別自治市や道州制につきまして,その目的や内容,市民生活との関わりなど市民の皆様に分かりやすくお伝えし,積極的に議論していく場としてまいります。今後とも,道州制が単なる都道府県合併にとどまることなく,また大都市がその能力を最大限に発揮できる制度となるよう,市民の皆様の御理解を得ながら全力で取り組んでまいります。 次に,地域コミュニティの活性化についてでございます。ここ京都では,長い歴史の中で培われた住民自治の伝統に基づき,地蔵盆やお祭りなど,地域に根付いた行事が脈々と受け継がれ,そのことを通じて,地域のきずなが強まり,次代を担う人間力が育成されてきたことは中村議員御指摘のとおりでございます。しかし近年,居住形態や生活様式の変化等に伴いまして,地域活動に参加する地域住民が減少するなど,地域コミュニティの希薄化が進んでいる状況にあり,京都ならではの地域力を未来を担う子供たちに引き継いでいくことが,今我々に課せられた大切な使命であると認識しております。そのため,本市では,地域の方々が積極的に学校運営に参画し,学校,家庭,地域が緊密に連携し,子供を共に育てる学校運営協議会,コミュニティ・スクールを全国最多の191校設置するなど,地域と一体となって地域社会の誇りと愛情を持つ子供たちの育成に努めており,学校の実情に応じましては,祭り当日を短縮授業や休業日とするなどの配慮も行われている学校がございます。さらに,子供を家庭,地域,学校,企業など社会全体で育むことを定めた子どもを共に育む京都市民憲章の実践活動を,多くの皆様の参画を得て推進してまいっております。また,大人が,生き生きと働きながら地域活動にも参加できる,貢献できる真のワーク・ライフ・バランスの実現に向け,本市が率先して取組を進めるとともに企業への働き掛けと支援を一層努めるなど,地域コミュニティの活性化に向けた取組を総合的に推進してまいります。 次に,動物愛護センターについてでございます。現在,センターにつきましては,人と動物とが共生できる潤いのある豊かな社会を目指して,緑あふれる公園と一体となった整備に向け府市協調により取り組んでおります。今年度は,これまで積極的に犬猫の譲渡先のあっせんに取り組んでおられた地元ボランティアスタッフに加えまして,動物愛護センターの運営に職員と一緒になって携わっていただくボランティアスタッフを新たに養成し,市民の皆様との共に汗する共汗による動物愛護の取組を一層推進してまいります。 中村議員御懸念の雨天時のイベントにつきましては,現在計画しております屋内スペースに加えまして,二つの建物を屋根でつないだアプローチギャラリーを活用することでしっかりと対応してまいります。また,他都市で被災された方が飼えなくなった犬猫につきましては,一時的に預かっていただくホストファミリーの紹介や,譲渡先のあっせんを行うとともに,動物愛護センターが備蓄する食料や医薬品等の救援物資等を活用し,支援してまいります。今般の中村議員をはじめとする議員の先生方の海外視察につきましては,大変有意義なものと考えており,先生方のお持ち帰りいただきました貴重な知見をはじめ,京都の英知を結集し,全国一の動物愛護センターを目指してまいります。 次に,和装の振興についてでございます。着物は,日本のこころ,和の文化が息づく,正に世界に誇るすばらしい民族衣装であり,私は,毎日そのことを実感いたしております。本市では,和装産業振興のための様々な取組を進めておりますが,この着物のすばらしさを実感していただくために,伝統産業の日を中心に,着物でコンサートや婚活イベント,中学生を対象とした着物着付け体験など,幅広い事業を実施しております。職員も,祇園祭りや年始の仕事始めの日に,率先して着物を着用する取組を進めており,和装業界の方を含め多くの市民の方が是非常日ごろから着物を愛用していただき,和装のすばらしさをPRしていただきたいと念じており,また働き掛けもしてまいりたいと思います。和装振興のためには,日本の伝統文化を大切にし,これを日常生活の中に生かすことが何よりも大切だと考えております。古典の日の法制化や和食の世界遺産への登録に向けた取組,また日本酒で乾杯推進条例など和の文化を再認識する機運が高まる中で,本市といたしましても,この機を捉えまして,茶道,華道,日本舞踊等の伝統文化の振興も併せて関係団体としっかりと連携し,和装産業の振興に向けて,なお一層取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) エネルギー政策についてでございます。この度策定するエネルギー戦略は,原子力に依存しない持続可能な地産地消のエネルギー社会の実現を目指したものであり,その展開に当たっては,第一に,市民協働発電制度など市民ぐるみによる取組,第二に,紙ごみからエタノールを製造する都市油田発掘プロジェクトなどの先駆的な取組,第三に,京都の強みを生かした産学公連携による環境・エネルギー産業の創出・振興,第四に,森林バイオマスの活用など,京都の自然の恵みを生かした取組,この四つの視点を基本に据えた京都ならではの政策を有用した総合的な戦略として策定してまいります。 次に,節電対策についてでございます。国においては節電目標を設定しておりませんが,京都市では電力需給の安定化に向け,より確実に節電を実施していただけるよう,本年の夏におきましても,平成22年の夏と比べて9パーセント削減を目安とした節電をお願いしてまいりたいと考えております。あわせて,市役所におきましては,昨年同様15パーセント削減を目標とし,率先した取組を進めるほか,地域の活性化にもつながる「家族でお出かけ節電キャンペーン」の拡充や,西陣織のクールビズ仕様のネクタイの推奨など,伝統産業振興にもつながる京都らしい取組として実施してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 先ほど,中村三之助議員の御質問に対する答弁の中で,国の経済対策を活用した本市経済の再生についての答弁の中で「6割以上も増額した公共投資」と答弁いたしましたが,正しくは「3割以上」でございます。慎んで訂正させていただきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,市政一般について,津田大三議員に発言を許します。津田議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕 ◆(津田大三議員) 中京区選出の津田大三です。「春風や闘志いだきて丘に立つ」高浜虚子の句であります。春風には少々暑くなりましたが,この句は大正2年,虚子が44歳となったとき,自らが率いていた「ホトトギス」が200号を刊行したことを期に,更なる「ホトトギス」の発展を願い,発表した句であります。伝統を尊重する虚子が,「さあ,新しい俳句を始めるぞ」という決意を表わすものとされており,つまり俳句を俳句たらしめるために,あえて旧を守るという決意を述べた句であります。 さて,昨年末の総選挙により新しい政権となり,自民党の安倍総裁が自身二度目の総理大臣となられました。大いなる闘志と決意を胸に日本の行く末,未来のために奮闘をされておられます。大きな支持と期待の下,様々な施策を進めておられ,「日本を取り戻す」とされたスローガンの下,力強い一歩を踏み出されました。また,不肖私もこの3月に自民党議員団団長という大役を大過なく果たすことができ,胸をなでおろすとともに,いま一度一議員として新たな決意を持ってここに立たせていただいております。くしくも来月には私も44歳を迎えることになります。保守本流の気概を持ち,現在の安倍首相と共に日本を取り戻し,京都の未来,そして子供たちのために全身全霊を懸け取り組んでいくことをお誓い申し上げ,質問に入ります。 初めに,双京構想についてお伺いします。御存じのように双京構想とは,平成22年に創設された京都の未来を考える懇話会の会合の中で,日本の大切な御皇室の弥栄のために,東京だけでなく京都に,御皇族の方にお住まいいただくことを提言されたものであります。そして平成24年3月に,30年後の京都の未来について提言するKYOTO VISION 2040の中間案に盛り込まれたことも御承知のとおりであります。また,今年1月21日に開かれた有識者を招いた懇談会でも様々な意見があり,その中でも所功京都産業大学名誉教授は「まずは実現しやすい目標を立て,実績を作っていくことが大切」とされました。御皇室の行事等である歌会始の儀や各種勲章の親授式,また園遊会などをこの京都で開催していただくことが,その大きなものであったと伺っています。そして報道によると,この5月にも改めて政府へ要望されるとのことであります。 しかしながら,この御皇室の行事等の一部開催をはじめ,双京構想を現実へと進めるためには,このことが京都の未来だけでなく,日本の未来のためであると多くの方に認識されることが肝要だと考えます。そのためには,まず,子供たちから私たち若い世代を含めた地元京都の人が,深い認識を持つ必要があるのではないでしょうか。先日,旧皇族であった竹田家の御出身で,現在慶応大学講師である竹田恒泰氏より自民党青年局としてお話をお伺いする機会がありました。その中で「日本は現存する国家の中で最古のものであり,1000年以上続いた王朝は歴史上二つしかなく,2000年以上続いた王朝は一つだけである」とお話をされました。また,京都と御皇室とのゆかりについてもお話しいただき,即位の大礼も,今上天皇より前まではこの京都で行われており,明治天皇,大正天皇,昭和天皇もこの京都で即位をなされました。さらにその即位の際にお使いになられた「高御座」についてもお話をいただきました。高御座とは,いわゆる天皇陛下がお座りになる玉座のことで,それがあるのは今でも京都御所だけであります。これらのことは,恥ずかしながら私も十分に存じ上げておらず,大変勉強になりました。 京都は,この2000年以上続く世界最古の王朝が,その都として1000年以上も守り続けた都市であり,当然世界的に見ても珍しいものであります。この京都に御皇室の方がお住まいになることは,京都人のみならず全国的に見ても,また世界の人たちから見ても違和感のないことであると思います。しかし,明治天皇がこの京都を離れられてから150年近くたった現在,「なぜ今御皇室の方にお戻りいただくのか」といった意見や,あるいは「このようなことを申し上げること自体に問題があるのでは」との声もあります。さらには,警備上の問題やお住まいになる場所,宮内庁との関係など,様々な課題があるのも事実であり,それらの種々の問題を「解決できるのか」との疑問の声もあります。 先ほども述べたとおり,この提言は,平成22年に初めて言及されていますが,その後東日本大震災が起こり,大きく事態は変わりました。また,御皇室がどうあるべきかの議論も様々なところで活発になされ始めました。そのような状況の下,提言をしながら何もしないことこそ問題ではないかと私は考えています。多くの課題があるのは事実ですが,それを多くの人と共有し,知恵を出し合い解決していくべきです。またそのためにも,まず市民の皆様の深い理解や高い意識を作っていくことから始めるべきと考えます。さらに,そのうえで全国の皆様から,その意義や歴史的経緯を含めた御理解をいただき,応援をしていただけるようにしていかなければなりません。そこで,今回予定されている国への要望はどのようなものになるのか。また,私が申し上げた視点についてどのように取り組んで行かれるのか,そのお考えをお聞かせください。 次に,成長戦略についてお聞きいたします。アベノミクスの三本目の矢である成長戦略が続々と発表されています。4月19日には,子育て・雇用支援の拡大や再生医療の実用化が言及されました。また,ベンチャー企業の育成や設備投資の拡大策など,メディアによって報じられています。市民の一人一人が景気回復を実感できるためにも,今,直接行政を担う地方自治体が,これらの時流にいかに乗っていくかが問われていると感じています。 子育て支援策を見れば,短期的には待機児童の解消に向け,緊急集中取組期間を設け,この2年間で20万人,また待機児童解消加速化プランを拡充することで,平成29年度までには40万人分の受皿を作ることとされています。その中でも,意欲ある地方自治体を強力に支援すると言われています。また,中期的には育児休業の拡充を図り,現在法律で定められている子供が1歳半になるまでから,子供が3歳になるまでに広げるよう,経済団体などに安倍首相自ら要請されています。この育児休業の延長については,即効性を期待しているのではなく,生活の考え方を問うものであり,今後のワークライフバランスなどを進めていくための施策であると言えます。 さらに,再生医療では日本版NIHを創設するなど,再生医療の実用化,また必要な法制化を進めようとするものであり,今後に大きな期待を持つものであります。この分野については,iPS細胞の山中教授をはじめ,産学公の連携を進める京都の得意分野であると考えます。京都へ研究所などを誘致するなど,でき得ることを提言していくべきと考えます。今,国の施策により大きなうねりが来ています。この波に乗り遅れてしまえば,京都の成長はあり得ないと思います。そうなれば,景気回復は市民にとって絵空事となってしまいます。現状をいかせるかどうかは,これまでの取組と,今までどんな準備をしてきたかに掛かっています。また,新たな施策に即応できる体制があるのかどうかだと思います。今後,京都の成長戦略をどうしていくのか。特に,子育て支援や再生医療への対応についてお聞かせください。 次に,不祥事根絶に向けてお伺いします。今年に入ってから不祥事が頻発しております。この4月からの今年度に限っても,中京区役所での個人情報の不正閲覧による処分,交通局職員の交番での器物損壊,行財政局の固定資産税及び都市計画税の税額計算の誤り,さらには,建設局職員の万引き事件と4件も発生しています。また,不祥事とはやや異なりますが,市バスの大きな事故が新聞紙面をにぎわせました。これは,大きな社会的問題となり,市会の委員会などでの侃々諤々の議論を経て平成18年8月に制定された「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」が風化し,効力を失いつつあるからであり,市役所全体の気が緩んできているのではないかと感じています。 5年前の門川市長の最初の選挙で,このことは選挙の争点となり,最も大きな公約とされたのが,不祥事の根絶だったはずであります。京都市役所全体もそうですが,市長もあのときの思いや情熱はなくなってしまったのでしょうか。以前のように現場に出向かれ,職員の声を聞くこともやめられてしまったのですか。私は,これまでの取組を評価していないわけではありません。何も変わっていないと申し上げているのでもありません。あの当時の公務外非行は,麻薬や改造拳銃の所持であり,公務内でも上司への暴力事件,あるいはそのことを隠蔽しようとすることなどが散見されたことなどでした。ここ最近不祥事が頻発しているのは事実ですが,中身については随分と変わってきたと感じています。しかし,現状に対し,何もしなければ,これまでの努力が全て水泡と帰すこととなり,せっかく少しずつ取り戻してきた市民の信頼を再び失うことになります。不祥事を根絶することは,何よりも市民のためであります。この意識がなければ始まりません。罰があるからやらないのではなく,市民の模範となるべきなのです。 当時の特別委員会で,私はこのように申し上げました。「子曰く,之を導くに政を以てし,之を斉うるに刑を以てすれば,民免れて恥ずることなし」と。公僕として,高い倫理観を市民から求められることは,足かせではなく,誇るべきことです。以前のように,京都市職員であることを隠さなければならない状況ではなく,胸を張って市職員であることを誇れるよう取り組んでいただきたいと願っております。また,市長には京都市のトップとして,そのあるべき姿を体現していただきたいと思っております。そして,目指すべきはどこかをいま一度考えていただき,今よりもずっと高い目標へと向かい進んでいただきたいと思います。抜本改革大綱後の力強い次のステップをどのように計画するのか,今後どのような対策をし,真に目指すべきことは何なのか,お答えください。 次に,市庁舎の建替えについてお伺いします。5月1日号として配布された市民しんぶんに,市庁舎の建替えについての記事が掲載されていました。これは今年2月に市庁舎整備基本構想(案)が発表されたからであり,またそれを受け,2月15日から3月14日にかけてパブリックコメントが取られました。その評価では多くの市民が賛成しているとのことでありました。また,「歴史都市・京都のシンボルとしてふさわしいデザインにしてほしい」といった意見も多く出されていました。さらに,京都市会からも基本構想に対する意見を3月13日に提出し,市庁舎は京都市の顔であり,環境先進都市としてエネルギー政策のシンボルとなる建物とするよう提言がされました。この基本構想の中では,市庁舎整備基本計画を今年度中に策定するとなっております。 市庁舎の建替えについては,私は以前より指摘をしてまいりました。私の1期目,平成17年のときにも,この場でお尋ねをさせていただきました。当時の答弁は,「経費に400億から500億ものお金が掛かり,とても計画できない」とのことでありました。また,「諦めているわけではない」とも答えられています。2期目のときにもお尋ねしており,平成22年2月市会での答弁では,「百年の大計であり,しっかり論議したうえで,来年度には整備方針を確定する」と答弁されました。残念ながらその年度には確定しませんでしたが,そのころから比べると,大きく前進したと感じており,しつこく言ってきたかいがあったと考えています。しかし,平成17年のときに私が指摘した問題は何一つ解決していないのが現状であります。特に耐震化は深刻な問題で,耐震強度0.9以上が求められる公的庁舎の現在の強度は0.1と余りにもお粗末です。これは,震度6以上の地震が起これば崩壊するレベルであります。私が指摘を始めた平成17年からこの間だけでも,震度6以上の地震は,先月の13日に発生しました淡路島をはじめ東日本大震災及びその余震が数回,新潟沖,長野,静岡,茨城沖など多く発生しています。たまたま京都で起こっていないだけであり,もし何の対策もしていないならば,これは市長の責任であると考えます。また,今回の構想でも,京都市の心臓というべき市庁舎を10年も掛けて再建するとなっています。果たして,そんな悠長なことで大丈夫なのかと心配になります。構想の計画でも,埋蔵文化財の調査や基本設計の期間など,工夫をすればまだまだ工期を縮めることが可能だと考えます。この事業は,市職員のための事業ではなく,現状の課題を克服することで市民サービスを向上させることにあります。また,万が一の災害の際に,市民の皆様に安心していただく拠点を作ることにほかなりません。市民のためにも一日も早く達成しなければならないことであり,京都経済の活性化にも幾ばくか寄与するものと考えます。さらにはエネルギー政策のシンボルとしていくことで,地球温暖化対策を市民と共に進めるモデルとしていかなければなりません。そこで,この庁舎を立て直す間,心配される市民の安心安全の体制はどうするのか。また,今年度策定される基本計画に対し,市民からのパブリックコメントや市会からの提言,さらには今私が申し上げた点など,どのように取り組まれるのか,少しでも実現を早めるためにも,基本計画策定に当たりその決意をお聞かせください。 最後に,地元についてお尋ねいたします。二条駅前再開発についてであります。先月22日に行われた経済総務委員会において,JR二条駅前五角形用地西側用地の学校法人佛教教育学園への譲渡についての報告がありました。御存じのように,この用地は二条駅前再開発で残されている最後の土地であります。今後,不動産鑑定評価を実施し,これを基に法人と協議をし,最終的なスケジュールを決めると伺っています。法人の計画では,平成27年4月に一部開校,平成29年4月には全面開校を予定されています。この予定が遅滞することのないように,適切な処理の下,一刻も早く決定すべきと考えていますが,現状の進捗状況と今後に対する決意をまずお聞かせください。 さて,この二条駅前再開発は,まさに私の地元,目と鼻の先であります。大きな関心を持っております。私が初当選をさせていただいた10年前,初めての代表質問でも,シネコンの誘致について質問をさせていただきました。当時は二条駅周辺には何もなく,町なかにある牧場のようでありました。とても再開発が成功するとは思えないというのが本音であり,また,地元でもシネコン建設は,再三の計画中止で全く信用を失っており,どれほど私が説明しても「絶対できへん」と言われました。しかし,そのときの桝本市長から大変前向きな答弁をいただき,結果として現在のBiVi二条ができました。それからたった10年で見違えるようになったのは皆さんも御承知のとおりであります。 先述いたしました,佛教大学の話が決まれば,再開発用地は全て用途が決まることになります。しかしこの再開発という事業はこれで終わりとなるのでしょうか。ハードが全て整えば京都市の仕事は終わりで,後は何もせず,これからは民間の力で何とかしてくださいということでしょうか。私は,ハードが整った今からが大切だと考えています。再開発とは,最終的にその地域全体がどう連携していくのか。そしてその結果,その周辺地域がどう良くなっていくのかが問われていることであり,それこそが再開発だと思っております。今後ソフト面をどう作っていかれるのか大変気になっております。幸いにもこの地域には,大学,医師会,歯科医師会などの公的役割をもつ組織が多く存在しています。これは,京都市がイニシアチブを持ってソフト作りに取り組める土壌があるということです。わずか10年でここまで変わったこのまちを,再開発のモデルケースにしていけないものかと考えています。以前,市長が教育長だったころ,堀川高校を改革されたときのように,トップランナーを作ることで全体を押し上げていく,そういった取組をされました。そのときと同様に,このポテンシャルを是非いかしていただきたいと考えています。そこで,今後のスケジュールや,あるいはこの地域をいかし,全体を押し上げるための新たな体制作りなどをお聞かせいただき,次の10年後には,この質問をしてよかったと思えるような力強い答弁をお願いしたいと思います。 江戸時代の儒学者佐藤一斎は,「言志晩録」の中で「心は現在なるを要す。事いまだ来たらざるに向かうべからず。事既にゆけるに追うべからず。わずかに追い,わずかに向かうとも,すなわちこれ放心なり」と述べられています。時間は時々刻々と移り変わるが,自分の心は現在に据えておかなければならない。まだ来ていないものを迎えることは不可能だし,また過ぎ去っていってしまったものを追い掛けても追い付けない。大切なことはその時々を大事にすることだと言われています。これは未来に向かって何もするなという意味ではないと思います。そのときを大切にし,準備をしているからこそ,今を最大限にいかせるということだと考えます。そしてそのタイミングをしっかりと見極めるのが政治の仕事であり,正に市長の力量だと思います。着実な準備と思い切った決断があってこそチャンスを最大限にいかせます。今まさにそのチャンスが来ているんだと思っています。どうかこの時期を無駄にすることなく,京都のため,また市民のため,何よりも子供たちのため,勇気ある決断をしていただきたいと思っています。力のこもった答弁を期待いたしまして私の質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 まず,双京構想の実現に向けた取組についてでございます。旧皇族竹田家にお生まれになり,明治天皇の玄孫にあたられる竹田恒泰先生の御講演を私も拝聴させていただきました。その中で,京都は,「現役の京都御所があることから,宮家の一部の方が京都にお住まいになるのは本来あるべき姿である」とのお話を聞き,大変勇気付けられました。私は,日本国の象徴であり,国民統合の象徴である天皇陛下を中心とする皇室の弥栄のためにも,東京だけでなく,京都にも皇室の方にお住まいいただき,東京と京都が都としての機能を双方で果たす双京構想の実現を目指して取り組むことが,京都に課せられた大きな使命の一つであると改めて意を強くしたところであります。 また,この間,関西広域連合,関西の四つの商工会議所などにより双京構想の趣旨が盛り込まれた首都機能のバックアップに関する提言が出されるなど,その実現に向けた動きが関西にも着実に広がっております。津田議員御指摘のとおり双京構想の実現には,様々な課題がありますが,このことが,京都だけではなく,我が国の未来のために大切なことであることを,国,そして市民の皆様,国民の皆様にしっかりと御理解いただくことが重要であると考えます。このため,オール京都で京都の未来像を熟成していく「京都の未来を考える懇話会」における国への第二次要望の内容や時期につきましては,今後協議をしていくこととなりますが,私といたしましては,皇室に関して造詣の深い有識者の方々から頂いた「宮中の儀式や行事の一つを京都で執り行う」などの御提案を踏まえ,少しでも皇室の方が京都にお越しいただく機会を増やし,皇室との関わりを一層深めていただきたいとの思いを込めたものにしたいと考えております。こうしたことを通じまして,多くの市民の皆様が皇室をより身近に感じていただけるよう努めるなど,今後とも一歩一歩着実に取組を積み重ね,国民的な機運を醸成し,双京構想の実現に向けて全力で取り組んでまいる決意でございます。 次に,成長戦略についてでございますが,国の成長戦略として掲げられている健康長寿社会から創造される成長産業として女性の活躍は,私が「はばたけ未来へ!京プラン」に掲げ,進めてきた様々な取組と軌を一にするものであります。これまで,本市では桂イノベーションパークの整備やクリエイション・コア京都御車の誘致により,生命科学分野におけるベンチャー企業の育成に取り組んでまいりました。津田議員御指摘のiPS細胞研究を核とした再生医療につきましては,関西イノベーション国際戦略総合特区に位置付け,本年4月からは京都大学内に本市によって専門コーディネーター3名配置するなど,大学と地元企業を結び付ける連携体制の強化を図ったところであります。今後は,これまで整備してきた施設や京都大学や本市が共同で提案し,本年3月に設置が決まりました国際科学イノベーション拠点をフルに活用することで,研究開発とその事業化の推進に全力で力を入れてまいります。 子育て支援に関しましては,私が市長就任以来,保育所整備等を積極的に進めたことによりまして,入所児童数は約3,000人増加し,昨年4月時点で就学前児童のうち,率にして政令市トップクラスの42パーセント,人数では本市において過去最高の2万8,000人が保育所へ入所していただいており,また,しかし一部の地域におきましては,なお保育需要が増大していることから,待機児童が生じております。そのため,国の待機児童解消加速化プランに掲げられた支援策も活用し,早期に待機児童の解消を図るとともに,保育ニーズを的確に把握し,本議会に設置条例を提案いたしております子ども・子育て会議における議論を踏まえ,将来にわたってより良い保育環境を築くことで,女性の活躍の場を更に広げることにつなげてまいりたいと考えております。今後とも,本市といたしましては,安倍政権の下で進められる国の成長戦略を十分に取り込み,オール京都体制で,京都経済の力強い社会の発展につなげてまいります。 次に,不祥事の根絶についてでございます。私は,不祥事の根絶はもとより,改革の気風あふれる市役所づくりを進めるため,抜本改革大綱の精神を継承しつつも,より高みを目指して,平成21年3月に人材活性化プランを策定し,全ての職場における職場ミーティングの活性化や意欲と主体性を高める人事評価制度の整備,私自身が職員と本音で語り合うハートミーティングの開催,47回を数えておりますなど,全力で取り組んでまいりました。こうした取組により不祥事は激減するとともに,例えば職員が自ら市民のより一層役に立つ仕事をする提案制度でございますが,この件数が平成18年度の約10倍,1,360件,これ昨年度の件数ですが,になるなど,第一線の現場から改革のうねりが着実に起こってきており,そのことは,私自身が4,100箇所を超える現場を訪ねる中で実感していることでもあります。 しかしながら,津田議員御指摘のとおり,今年に入り,公務外での非行や事務処理ミスが続いていることは事実であり,不祥事が激減したことによって緊張感が緩んできているのではないか,職場ごとの危機管理意識に温度差が生じているのではないかと危機感を抱いております。そのため先日,全局長,区長に対し,いま一度,勤務時間外を含めた本市職員としての自覚を促し,適正な事務処理を徹底するとともに,「市民のためにより良い仕事がしたい」という多くの職員の意欲を最大限に引き出すよう,強く指示いたしました。本年3月には人材活性化プランを更に進化させた職員力・組織力向上プランを策定したところであり,公務に情熱と誇りを持ち,自ら考え行動し,市民と共に京都の未来を切りひらく職員の育成に努めており,今後とも,改革の気風に満ちあふれた職場風土の構築に向けまして,私が先頭に立って全力で取り組んでまいります。 次に,二条駅前再開発でございます。この間,土地区画整理事業,山陰線立体交差化,地下鉄延伸,御池通の整備などによりまして,津田議員御指摘のとおり,10年前とは見違えるような大きな発展を遂げてまいりました。二条駅前の五角形用地につきましては,佛教大学が大学研究施設として,また地域連携や社会貢献の拠点となるキャンパスの整備のために取得したいとの要望を頂きましたので,本市といたしましても,大学のまち京都・学生のまち京都の推進と共に,中京区だけでなしに全市の活性化にも寄与すると考えており,譲渡する方針を固め,キャンパスの円滑な開設に向けまして,本年秋ごろには譲渡できるように取り組んでまいります。二条駅周辺は優れた交通アクセス機能や,大学,医療機関,文化施設などの集積などに大きなポテンシャルを有する地域であります。この間,中京区役所と佛教大学とで包括連携協定を締結し,防災力向上に関する取組も始まりました。今後,佛教大学の新キャンパス,あるいは様々な文化施設等が集積しているその良さをいかしまして,生涯学習の充実などソフト面での取組を進めてまいりたいと思います。さらに,この地域の更なる発展のために区役所が中心となり,地域の皆さんと連携いたしまして,例えば商店街の活性化,さらに空き家対策,密集市街地対策など,本市の重点事業を集中的に実施していくなどによりまして地域の活性化につなげてまいりたい,そのように考えております。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 市庁舎整備についてでございます。現行の市庁舎には,耐震性能の不足をはじめ狭あい化や施設の老朽化等の様々な課題があり,津田議員御指摘のとおり,市庁舎の整備は待ったなしの状況でございます。このため,議員の皆様からの御意見を踏まえて,整備方針を取りまとめた市庁舎整備基本構想(案)につきまして,パブリックコメントを実施し,さらに市会議員の先生方からなる京都市会海外行政調査団から頂戴いたしました「先進の環境・エネルギー技術の導入」などの御意見も反映し,本年3月に基本構想を策定したところでございます。 津田議員御指摘の整備スケジュールにつきましては,基本構想では,本庁舎改修と分庁舎新築の同時着工による事業期間の短縮を図っておりますが,今年度に策定する市庁舎整備基本計画におきまして,事業手法や経費を考慮しながら,更に工期短縮の検討をしてまいりたいと考えております。また,整備までの間の災害対策として,大規模震災時でも市民の生命等を守ることを最優先に,本市の業務が継続又は早期に再開できるように業務継続計画を今月中に策定するとともに,本庁舎に設置する災害対策本部機能を今年の夏までには耐震性能を備えました消防庁舎にも設けることとしております。今後,世界文化自由都市・京都にふさわしい日本の伝統文化を感じられるとともに,市民に開かれた防災拠点,環境・エネルギー政策のシンボルとなる市庁舎の一日も早い整備を目指してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,市政一般について,桜井泰広議員に発言を許します。桜井議員。 〔桜井泰広議員登壇(拍手)〕
    ◆(桜井泰広議員) 左京区選出の桜井泰広でございます。自民党市会議員団を代表し,先輩の中村議員,津田議員と共に市政一般につきまして質問させていただきます。 平成25年度がスタートして初めての定例会ですが,私たち自民党市会議員団は,先の定例会で25年度一般会計予算について,市会第一党の責任において,市民の皆様の幸福に資することをまず考え,職員厚生会の補助金の凍結や児童館や学童保育の利用料の値上げの1年間の据え置きを条件とし,正すべきところを正して,この予算を認めさせていただきました。政治は結果です。結果に責任を取る,そして状況に応じた最善の最大公約数を求めることも政治の責任です。よって当然25年度一般会計予算に反対された会派の方は,反対したという結果に対し,その責任をきっちりと負わなければならない,このことを冒頭に申し上げ,質問に入らせていただきます。 先の市長選挙において,門川市長は京都市美術館の将来構想策定と再整備を公約として掲げられました。京都市美術館は昭和3年に京都で挙行された昭和天皇御即位の御大典,その記念事業として多くの市民の協力の下に「大礼記念京都美術館」の名称で昭和8年に日本で2番目の大規模な公立美術館として開設され,今年80周年を迎えました。今年度,その記念事業や将来構想の策定が計画されています。御承知のとおり,明治から昭和にかけて京都では近代日本画の礎を作った竹内栖鳳や上村松園,菊池契月,堂本印象,小野竹僑に代表される「京都画壇」というグループに属した画家,あるいは,さかのぼれば本阿弥光悦や俵屋宗達までたどり着く「琳派」と呼ばれる絵の流派の継承者である神坂雪佳など,多くの著名な画家が活躍しました。京都市美術館では現在,この京都画壇に属した多くの作家の日本画,例えば竹内栖鳳の作品では178点の日本画が余り展示されることなく,収蔵庫に保管されています。専門家のお話をお伺いしますと,京都市美術館が所有する京都画壇のコレクションは美術的には価値が大変高いということでした。創館80周年を機に,この京都画壇のコレクションの常設展示を南北に2箇所にある1階展示スペースのいずれかで行う,京都市美術館に行けば,常に京都画壇の作家の絵を見ることができるようにすることを提案させていただきます。いかがでしょうか。 現在,京都市美術館ではゴッホ展とリヒテンシュタインの二つの著名な絵画展が開催されていますが,今後は1階の展示スペースの一方で京都画壇の常設展示,もう一方で著名な絵画展を行うことにより,その相乗効果で集客数も増えることも予測できます。創館80周年を迎え,新たに本市としての美術館の明確な展示の戦略を持つべきであると私は考えます。また,ハード面の整備として,ミュージアムショップの設置は当たり前ですが,さらに1階の南北2箇所の展示スペースにはいずれも中庭が併設されており,現在は空調設備やそのダクトが設置されています。ここを整備して来場者が憩えるスペースを提供することを提案させていただきます。これについても御所見を伺います。 美術館の構想についてもう一点,京都市内には市立芸術大学をはじめ多くの美術系,芸術系の学校が存立し,若手芸術家の養成を行っています。将来構想を策定するに当たって,京都で学んだ芸術家も含めた現代画家の作品を中心に展示する現代美術ギャラリーを新たに創設することを構想に組み込まれてはいかがでしょうか。京都画壇の時代から,現代に連なる時代ごとの京都の絵画の魅力を発信することにより,さらに文化芸術都市・京都の魅力も高まると考えますが,お考えを伺います。 次に,この京都市美術館を含めた京都の文化交流施設の集積地である岡崎地域の50年後,100年後を見据えたまちづくりの指針である岡崎地域の活性化ビジョンについて2点お伺いします。私は前回の代表質問においてもこのテーマについて質問いたしました。岡崎地域のにぎわいの創出のためには,エリアにあるそれぞれの施設が単体で施設のPRを行うのではなく,エリア全体を面として捉え,その魅力を向上し発信していく提案をさせていただきました。ビジョン策定後2年が経過し,その間エリアマネジメント組織である京都岡崎魅力づくり推進協議会と本市が一体となり,夜のにぎわいの創出事業である岡崎あかりとアートのプロムナードや岡崎ときあかり,また,昨年は神宮道の歩行者専用化に向けた取組の一環として岡崎レッドカーペットを実施し,いよいよ今年はレッドカーペットと併せて神宮道歩行者専用化のための交通量の調査や整備計画の予算も組まれています。 そこで,まず,ビジョン策定後2年間を振り返り,エリアマネジメント組織と一体となった今日までの取組についての総括と評価,それを踏まえての神宮道歩行者専用化に向けた展望について,その所見を伺います。そしてもう一点,ビジョンの中では環境モデル都市を牽引する進取の取組の実践という方策が示され,市長選挙の公約でも京都市版スマートコミュニティの構築を掲げられており,今年度は岡崎地域の公共施設間エネルギーネットワーク形成実証事業も予算化されています。スマートコミュニティとは,地域社会がエネルギーを消費するだけではなく,創る,蓄える,効率的に使うことを前提に,地域でトータルとしてエネルギーを管理する社会であり,その実証事業が岡崎地域の公共施設間で行なわれることは,まさに「DO YOU KYOTO?」の精神に合致するものと私は考えます。また京都市動物園でのエコ・ZOOに向けた取組も計画されておりますが,将来の岡崎地域でのスマートコミュニティ実現に向けて,まず京都会館や動物園,美術館など,施設ごとのエネルギーの最適化をどのように図っていくか,次にスマートグリッドと呼ばれる次世代の効率的な送配電網などを活用した岡崎地域内の公共施設間のエネルギーの連携をいかに進めていくかについて,そして産学公の連携による京都ならではのスマートシティを実現するために,今後どのように取り組んでいかれるのか,お考えをお伺いします。 さて,この岡崎地域活性化ビジョン,その冊子の冒頭で,市長は「岡崎は正に国際文化観光都市・京都の顔ともいえる重要な地域です」と述べられておりますが,実はこの地域にある公共施設の名称に岡崎という地名が使用されておりません。例えば動物園では大阪は天王寺,名古屋は東山,神戸は王子と地域の名称が使用されていますが,ビジョンの推進と同時に岡崎という地域の知名度を世界に向かってアップさせる方法としてエリア内の公共施設の名称に岡崎という地名を使用することも検討に値するのではと考えますが,これについては要望にとどめさせていただきます。 さて,私は昨年度,教育福祉委員会に所属いたしました。そこで度々議論された高校の入試制度改革と本市の魅力ある高校教育の推進について質問させていただきます。平成23年10月に設置された京都市・乙訓地域公立高等学校教育制度に係る懇談会において,約1年間にわたり,これからの京都市・乙訓地域の公立高校の入学者選抜制度について検討され,全国で唯一残っていた総合選抜制度を廃止することにより,26年度からは二つの通学圏を統合して,単独選抜による試験が実施されることとなりました。かつて京都では長い間,蜷川革新府政の下で「15の春は泣かせない」との方針により公立高校の総合選抜制度が実施され,画一的で横並びの公立高校教育が漫然と進められてきました。しかし,この方針の一つの大きな間違いは,生徒さんにとっての節目の春は15歳のときだけではなく,18歳の春も節目になる,人によっては22歳の春も節目になるにもかかわらず,そのことが全く視野に入っていなかったことであり,その結果,まさに公立高校から大学への進学実績が低迷しました。 今回の制度改革を巡っては,昨年11月市会において,我が党の寺田議員が単独選抜への移行を求め,常任委員会において何度も,生徒自ら目指す進路や将来設計の実現のため,本当の意味で平等に公立高校受験の機会が担保される,チャンスの平等が担保される制度の実現について議論してきたところでございます。中には,総合選抜制度を変えることなく「全体として進路を保障する」「まずは学力の底上げが必要」など「結果の平等の方が子供を傷付けないから良い」と声高に何度も何度も主張される政党もありました。学力について申し上げれば,必要なことは底上げではなく,生徒一人一人の学力を個々の個性に応じて伸ばしてあげること,結果として底上げではなく全体のレベルが上がることが大事であると考えます。私は,今度の制度改革によって,ようやく京都においても革新府政の名残を脱し,生徒にとっては一人一人が明確な目標を持って,充実した高校生活を目指し,しっかり努力して高校入試に取り組める,その土台ができたものであると期待をいたします。そして本市においても,生徒の未来を見据えて,市立高校の教育の一層の充実が必要であり,現在,伏見,洛陽両工業高校の改革や,紫野高校での新学科アカデミア科の創設,大学との連携を含めた日吉ヶ丘高校の単位制移行も打ち出されました。今年度は高校かがやきプランと中高接続プロジェクトの新規事業も計画されていますが,この度の高校入試制度の改革,そして今年度の新規事業への取組などを通じて,本市が目指すべきこれからの高校教育について,そのビジョンをお伺いいたします。 最後に,地元左京区の課題についてですが,まず,昨年来議論をしております市内で問題になっているパチンコ店建設につきまして,高野地域の住民より京都市に対して中高層条例に基づく調整の申立てが提出されました。住民は当該地域でのパチンコ店建設は住環境を破壊すると主張をされており,私自身も今日までの様々な議論や事業者が開催した説明会を通じて,正に住民の皆様が主張されているとおりであると考えます。これに関して去る4月5日,共産党を除く我が党をはじめ各党共同で,市長に対して京都市のまちづくりに対する要望書を提出させていただきました。その中で,私たちは現行のまちづくり条例についてその課題も指摘させていただき,またパチンコ店建設問題については,必要だと思う各種条例改正など要望をいたしました。市長はその席上「あの地域でパチンコ店が建設ができる制度そのものに矛盾を感じる」と発言されました。そのようにお考えになるのであれば,是非その矛盾を解決するため,市長御自身の政治判断を含め,決意を持ってこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが,お考えをお伺いします。 もう一点,地元要望でございます。平成25年度予算編成においても,私ども自民党市会議員団は,左京区北部山間地域と市街地を結ぶ道路整備において,花脊峠のトンネル化の早急な計画と推進を要望いたしました。56年度に,工事が着工された市道大原花背線の整備事業が,本市の大変厳しい財政状況を踏まえ,平成23年度から休止となった今,久多,広河原,花脊,別所,百井,この地域の皆様の長年の悲願である花脊峠のトンネル化について,まず,住民の定住化促進ということを踏まえて,私自身も早急に実現する必要があると考えます。また,トンネル化によって,この地域にある本市の野外活動施設花背山の家や,毎年ふるさと森都市フェスティバルが開催される山村都市交流の森へのアクセスが向上し,より施設が活性化すると考えます。 さらに,この地域には別所,八枡,堰源の小学校3校と花背第一,花背第二,堰源の中学校3校を統合して平成19年春にスタートした市内で初めての小中一貫校である花背小中学校があり,この学校は地域の皆様の熱い思いが込められた学校であり,山間地域のモデル校として期待も非常に大きいわけですが,この学校の卒業生がこの地域から高校に通える環境も作ってあげなければなりません。そしてこの地域は深い森林や澄み切った水源が残されており,その草木や水の流れの中に野鳥や魚,虫などの野生の息遣いまで聞こえるような地域です。今年度は,花脊,別所などに分布していたチマキザサの復活に向けた取組についても,「左京の自然をめでるプロジェクト」として予算化もされております。京都市が誇るこのすばらしい自然と,地域に息づく松上げなど伝統文化を守り伝えていく,更には昨年度,総合防災訓練において,大飯原発の事故も想定されましたが,その避難経路を確実に確保するという点からも,改めて花脊峠のトンネル化について要望させていただきまして,私の質問を終わらせていただきます。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 桜井泰広議員の御質問にお答えいたします。 まず,京都市美術館についてでございます。ただいま桜井議員から,具体的かつ大変夢のある数々の御提言を頂きました。京都市美術館は,昭和8年に,京都の財界はもとより多くの市民の皆様の御協力を得て開設され,以来80年にわたり,その重厚な建築外観,京都画壇を中心とする優れた作家の収蔵作品,ルーブル美術館展など海外の有名な美術展の開催などによって,市民の皆様に親しまれるとともに,全国的にも高い評価を得てきました。こうした中,本年は美術館が所蔵する作品を中心とする「竹内栖鳳展」を本館に加えまして東京でも開催するなど,所蔵品を積極的に活用した記念展に取り組むほか,多彩な記念事業を実施することにより,市民の皆様と共に開館80周年の機運を高めてまいります。あわせて,今年度は,世界的な視点で美術館の在り方を提言いただける専門家の方や市民の方の参画をいただきまして,50年,100年後を見据え,文化芸術都市・京都にふさわしい世界に誇れる美術館を目指して,京都市美術館将来構想を策定してまいります。具体的には,桜井議員御提言の収蔵品の常設展示を含む展覧の在り方や,中庭の空間を活用した来館者がゆっくりと憩えるスペースの提供,京都の美術界が将来にわたって発展していくための現代美術ギャラリーの設置など,様々な観点から議論いただきますが,実現可能な事業につきましては,スピード感を持って順次着手してまいります。今後とも市民や経済界の皆様の更なる御支援,御協力を得まして,京都ならではの質の高い文化芸術を世界に向けて発信し,我が国の美術界をリードするとともに,国内外を問わず多くの人々を魅了し,愛され続ける「文化首都・京都」の美術館を目指して,全力で取り組んでまいります。 次に,左京区高野におけるパチンコ店建設についてでございます。本件については,「近隣の生活環境への影響,青少年の健全育成の阻害,交通渋滞及び事故の増加等がもたらされるおそれがある」などとした,地域住民の皆様からの思いを受けた請願が,市議会において全会派一致で採択されており,私といたしましても,全く同感であり,強く共感し,重く受け止めているところでございます。当該地は,現行法制度上,パチンコ店の建設は可能ではございますが,住民の皆様の思いを最大限尊重して,これまでから,事業者に対して,隣接する道路の交通の安全や周辺環境との調和などの検討を行うよう強力に指導してまいりました。現在,京都市中高層建築物等に係る住環境の保全及び形成に関する条例に基づき,住民代表,事業者,本市の三者が出席する調整会議を行っており,その会議における住民の皆様からの御要望をしっかりと踏まえ,安全で快適な住環境を保全するため,組織を挙げて厳正な立場で対応しており,今後とも全力を尽くしてまいります。 次に,京都市土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例,いわゆる「まちづくり条例」についてでございますが,本条例は,開発構想の早期の段階で住民に計画の概要を説明をさせ,計画を本市のまちづくり方針に適合させることが目的でございますが,今回の高野の計画では,事業者の説明責任のより明確化など課題が明らかになりました。要望書でも御指摘いただいているところでございます。それらの制度上の課題が改善されるよう,都市計画局を中心に検討委員会を立ち上げ,条例等の改正に向けた検討を進めており,今後とも,安心で安全なまちづくりに向けまして,本市が取り得る独自の施策について充実を図ってまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 岡崎地域の活性化についてでございます。かねてより,桜井議員から頂いておりました「面としての魅力向上の必要性」という貴重な御意見を踏まえまして,京都市では,岡崎地域全体の優れた景観を継承する都市計画の見直しや,各施設間の連携を図りながら京都会館や動物園の再整備に取り組む一方,地元エリアマネジメント組織である京都岡崎魅力づくり推進協議会では,120団体とのネットワークを構築し,新たなにぎわいと憩いのイベントであります京都岡崎レッドカーペットを西日本最大規模の京都国際マンガ・アニメフェアと連携して実施するなど,新たな魅力につながる事業を展開してまいりました。まさに,京都市と推進協議会が車の両輪となって取組を進めた結果,岡崎地域活性化ビジョンに掲げる方策31のうち29の方策に着手したところであり,世界の人々が集うにぎわいと創造のまちづくりに大きな手応えを感じております。 こうした取組に加えて,神宮道の歩行者専用化につきましては,今年度,整備計画を策定のうえ,平成26年度には工事に着手し,平成27年度に実現できるよう精力的に取り組んでまいります。また,岡崎地域でのスマートコミュニティの取組につきましては,今年度,まず京都市動物園に建物エネルギー管理システムBAMSを導入し,施設内のエネルギーの見える化や自動制御による最適なエネルギー管理の実現を図ります。また,疏水での小水力発電や動物のふんからのバイオガスなど,環境に優しい動物園エコ・ZOOの取組を進めてまいります。さらに,本取組を通じて,岡崎地域の他の公共施設の整備計画と併せまして,関連設備を順次設置し,公共施設間でのエネルギーの融通・効率化の先導モデルを確立してまいります。我が国の水力発電の発祥の地であり,日本の近代化を力強く牽引してまいりました岡崎地域での進取の気風を京都,ひいては日本の産業・エネルギー政策に生かせるよう,今後とも,産学公によるスマートシティ京都研究会において,企業や大学が有する高い技術力,優れた研究成果など京都ならではの知的財産を結集しながら,このスマートコミュニティーの広域的な展開を目指してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 高校教育についてでございます。生徒一人一人が,多様な能力を最大限伸ばすとともに,高校生ならではの進取の気風とチャレンジ精神でたくましく未来社会を切りひらく創造性と,人を思いやり社会に貢献する豊かな人間性を育むことが何より重要であると考えております。単独選抜制度の導入などからなる今回の約30年ぶりの高校教育制度の改革は,これまでの改革の総仕上げとなるものであり,中学生自身が進路実現に向け高い意欲と明確な意志を持って,日々努力する姿勢が求められるとともに,高校においても,生徒・保護者のニーズに応える学校づくりが不可欠であります。そのため,平成26年度からの新しい高校教育制度の実施に向け,現在,中学校・高校の校長会と教育委員会による「中高接続プロジェクト」において,中学生が自らの将来を展望し,主体的に進路を選択して目標に向かって充実した学校生活が送れるよう,キャリア教育の視点に立った進路指導の在り方について協議を進めており,本年7月を目途に,新たな進路指導の手引きを策定してまいります。また,中学生から選ばれる魅力ある学校づくりに向け,各高校の創意工夫し,意欲ある取組を展開する市立高校かがやきプラン事業を今年度新たに創設し,府内初となる日吉ヶ丘高校の進学型単位制や,紫野高校の専門学科(アカデミア科)をはじめ各校の教育活動の充実を進めるとともに,最先端の知を蓄積する大学・研究機関との連携や,市立高校生を対象とした本市独自の約2週間に及ぶ海外研修,短期・長期の海外留学支援等を行ってまいります。今後とも,市立高校の教職員の情熱と叡智を結集し,生徒・保護者の期待に応える学校づくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 暫時休憩いたします。 〔午前11時38分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(橋村芳和) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 休憩前の一般質問を継続いたします。 市政一般について,西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。質問に入る前に,橋下大阪市長の「慰安婦は必要」とする人権侵害発言は侵略戦争と植民地支配を美化するものです。女性だけでなく全ての人間の尊厳をおとしめるものであり,絶対に許すことはできません。発言の撤回と謝罪をすべきことを強く求めます。 それでは,日本共産党を代表して市政一般について質問いたします。まず,原子力発電所の新規制基準の危険性についてです。2011年3月11日に福島で発生した大地震は,原発が取り返しのつかない異質の被害をもたらすことを図らずも明らかにしました。ところが自民党安倍内閣は「世界最高水準の安全性を目指す」と繰り返し,安全神話を振りまいています。福島第一原子力発電所におけるこの間の相次ぐトラブルを見ると,原発のシビアアクシデント,重大事故は起こり得るし,起こった場合は甚大な影響を及ぼすことが明らかになっています。4月3日に発覚した放射能汚染水の漏水事故は,法律で安定型産業廃棄物の埋立て以外には使用を禁止しているシートを安全確認もせずに放射能汚染水に使用したことが問題となっています。福島第一原子力発電所の汚染水は毎日400トンずつ増え続け,その原因と対策はいまだに確定していません。放射能汚染水は絶対に海に流してはいけません。しかし,東電は海に流すことを前提にした対策しかしていないのが現状です。ネズミの侵入によって二度にわたって停電し,原子炉の冷却ができなくなる事態に陥っており,2年たった今でもまだ,しっかりした施設を造らずに政府も東京電力も応急的で,場当たり的な施設で済ませていることにあ然とします。 先日,IAEAの調査団からも「原子炉の冷却に関わる部分などに仮設の機器が使用されてトラブルが頻発している。恒久的な設備に置き換える必要がある」との助言もされています。市長は大飯原発の稼働について「新安全基準を策定したうえで再審査を行い,安全確保に万全を期すべき」と答弁されています。今年7月には,安全基準を規制基準に言い換えて原発新基準が施行されます。過酷事故対策の一つは事故が起こった際に原子炉格納容器の圧力を下げるフィルター付きベントの設置が義務付けられます。しかし,原子力規制委員会委員長は,4月5日の衆議院予算委員会で,フィルター付きベントの設置は「格納容器が壊れないようにするためで,放射能の放出は最悪でも福島原発の100分の1程度になる」と国会で答弁をされています。炉心溶融という過酷事故は起こる可能性があると認めながら,格納容器が壊れれば最悪の事態になるからと言うのなら,原発は廃炉にするしかないではありませんか。放射性物質を外に放出することを前提にした過酷事故対策では住民の理解は得られません。 今,廃炉を決めても,完了するまでに40年掛かると言われています。3・11福島原発事故が起こるまでは原発の新増設を求めておられた自民党の福島県議会議長は,反省し,原発の廃炉を求めておられます。勇気ある決断だと思います。ところが市長は,4月26日に,昨年から更に踏み込んで今年の関西電力の株主総会に「新たな規制基準を厳格に適用することはもとより,更なる安全性の確保と地域住民の理解を得たうえで必要最低限の範囲で行うものとする」と新基準を適用すれば,あたかも安全だと言わんばかりの提案をされています。高浜原発は新基準の施行に合わせて今年7月に再稼働申請の方針です。放射性物質を外に出すことを前提とした過酷事故対策で安全とは言えません。市長,この新規制基準の適用で高浜原発,大飯原発の稼働を認めるということは,新たな安全神話づくりではありませんか。いかがですか,お答えください。 福島原発の事故は,今も周辺住民や子供たちに放射能の恐怖を与え続けています。福島の市民放射能測定所は「県内の県立高校で水が張られたままになっていたプールから採取された汚泥から,1キロ当たり10万ベクレルを超える放射性セシウムを検出した」と今年4月に報じています。この測定所では,伊達市の1校から1キロ当たり11万8,000ベクレル,福島市の1校からは10万4,000ベクレル,南相馬市の1校は8,400ベクレルの放射性セシウムを検出しました。万が一,高浜原発や大飯原発で重大事故が起これば,京都市民に取り返しのつかない深刻な被害が起こり得るわけです。安全神話に捕らわれた結果,福島の深刻な現状が今なお続き,事故は収束していません。市長,福島で過酷事故が起こったと認識するなら,すぐに大飯原発の稼働停止を求めるべきです。いかがですか,お答えください。 経済産業省は,4月に「今年の夏は,猛暑を想定しているが,原発をこれ以上再稼働させなくても,節電意識が定着したことで沖縄を除く電力9社の電力は不足しない」との報告を発表しました。そして,大飯原発が止まっても電力会社間で電力の融通をすれば,関西電力の管内でも1パーセントの余力が生まれるとされています。昨年の夏,原発を稼働しなければ「電力が足らなくなる」「企業が外国に出て行く」などと言われましたが,市民の節電努力も大きかったと思いますが電気は足りました。今年は,昨年のような脅しが通用しないことを国が明らかにしたわけです。また,経済産業省は2012年4月から10月末までに運転を始めた再生可能エネルギーの発電設備が115万55キロワットとなり,原発1基分にのぼったことを発表しました。2月議会では大飯原発の再稼働について「短期的には原発稼働の必要性,安全の確保,地域住民の理解が必要」と答弁されましたが,三つとも根拠がなくなったのではありませんか。今こそ,京都市としても原発ゼロの立場を明らかにして,再生可能エネルギーへの転換に大きく踏み出すときではないでしょうか。 今,全国の自治体で住民を中心にした地産地消の再生可能エネルギーへの取組が進められています。例えば長野県飯田市です。今年4月1日に飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例が施行されました。持続可能な地域づくりに主眼を置き,条文には「現在の自然環境及び地域住民の生活と調和する方法により再生可能エネルギーを自ら利用し,そのもとで生活していく地域住民の権利」と地域環境権を明確にうたっています。本来,水や空気,太陽などからの恩恵を享受する第一義的な権利は地域住民にあるという立場で,市長による支援として,初期費用を調達しやすい環境を整えるための保障や補助金の交付,資金の貸付け,市有財産の利用など,地域に根差した取組を条例に位置付けています。京都市においても今年度は機構を改革し,環境政策局に地球環境・エネルギー政策監を置き,局を横断した取組が始められています。 2月議会では「省エネ・創エネに寄与する製品開発を行う中小企業を対象とした研究開発費の助成事業,省エネ,節電サポート事業を進める。地域分散型のエネルギー政策を主要な柱として推進する」と答弁がありましたが,そのための予算は市民協働発電制度の支援などに約2億円しか計上されていません。余りにも少な過ぎます。大企業によるメガソーラーに頼るのではなく,地域住民が再生可能エネルギー活用事業に取り組みやすい補助制度の拡充や無料で助言や提案を受けるアドバイスの制度など,先進事例のように住民を主体に再生可能エネルギーへの転換に軸足を置いた支援策に踏み出すべきです。そのための予算を抜本的に増やすこと。そして,地域住民と共に,地域経済の活性化につながる取組を推進し,地域循環型のエネルギー政策を進めることを位置付けるエネルギー基本条例を制定すべきです。いかがですか。 次に,生活保護基準の引下げが子供の貧困に大きな影響を与える問題ついて質問します。私は,京都市内で開かれた子供の貧困についてのフォーラムや地域の相談,学習会などでお聞きしました。今でも「学校での給食が1日の中で唯一の栄養源」という子供や「お風呂に1週間入っていないため仲間外れにされた」など,子供の貧困は挙げれば切りがありません。幼い子供たちがどんな思いで暮らしているのかと思うと胸が締め付けられる思いです。ところが,安倍内閣は生活保護基準を8月から引き下げようとしています。3年間で最大10パーセントという前例のない大幅な引下げです。今回の保護基準の大幅な引下げは,食費や水光熱費などの生活必需品の物価は上がっているのに,ほとんどの保護世帯で減額となります。そのうえ低所得者層への施策だけでなく最低賃金の低下,住民税非課税限度額,保育料などの福祉・医療サービスなど広範な国民の暮らしに大きな影響を及ぼします。 国民生活への影響については2月議会で指摘をしてきましたが,国任せの無責任な答弁しかありませんでした。非常に残念です。また,今回の引下げで,特に子育て世帯が大きな影響を受け,生活保護を受けられなくなる世帯も出てきます。保護世帯の子供は全国で約30万人と言われていますが,市長は子供たちに今より過酷な生活を押し付けていいと思われますか。保護費の中でも今回は生活扶助の削減が言われているわけですから,食事の量や質を落とさざるを得なくなり,子供の健康や発達に大きな影響が及びます。その影響は長期に及ぶ可能性が大きいわけですから,非常に深刻です。過去最大の引下げに加えて,来年4月に消費税の増税が実施されることになれば,子育て世帯へ更なる悪影響が出ることは間違いありません。今回の生活保護基準の引下げで,市長は子供にどのような影響が出るとの認識をお持ちでしょうか。 生活保護基準が下がれば,子供たちに更に過酷な生活が待ち受けています。例えば就学援助です。2012年8月現在の京都市における就学援助認定数は,小学校で1万4,666人,中学校で8,475人ですが,基準が下がることで対象から外れ,就学援助を受けられなくなる子供が増えることは目に見えていますから,事態は一層深刻になります。親の収入は変わらなくても就学援助が受けられなくなる子供が出る可能性があります。また,義務教育といっても全てが無料ではありません。2010年度会計での京都市教育委員会資料によると,児童・生徒一人当たりの年間の負担は小学校で6万5,356円,中学校で3万1,682円,総合支援学校で5万5,480円とかなりの負担です。負担できない家庭の子供が,どんなみじめな気持になるか市長は想像できますか。生活保護基準が引き下げられれば,進学をあきらめてしまう子供が増えることも考えられますから,格差が更に広がる結果になるのではありませんか。 市長は常々「福祉と教育は後退させない」と言っておられますが,これでは福祉の後退と言わざるを得ません。子供の貧困を放置することは,ひいては日本社会の財産をないがしろにすることにつながります。京都市の将来を担うべき子供たちを,国の改悪から守ることが市長の役割です。子供の貧困を更に拡大する生活保護基準の引下げに反対の声を上げ,子供を少しでも貧困から守る立場を明らかにすべきではありませんか。加えて,保護基準の引下げに京都市の就学援助基準を連動させて変更すべきではありません。これ以上子供への悪影響を広げないことを求めます。併せてお答えください。 子供を取り巻く環境の悪化の中で,京都市でもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割は大きくなっています。スクールカウンセラーは現在118人が95校に配置され,2015年に全校配置の目標で進められています。また,教育分野に加えて社会福祉などの専門的な知識を用いて,児童生徒の置かれた様々な生活環境に働き掛けて支援をするスクールソーシャルワーカーは11名で活動されています。2015年に16人に増やす目標はありますが,役割の重要性から見ても足りません。また,その雇用は非常勤で1年雇用です。更に子供を取り巻く環境整備を進めるために,ソーシャルワーカーの人数の確保と同時に正規職員として安定雇用をすることを求めます。いかがですか。 次に,市営住宅の生活環境の改善と住み替え制度について質問します。最初に浴室に関する問題です。これまで,三度にわたって住民の皆さんから請願が出され,日本共産党議員団は機会あるたびに取り上げて議論し,改善を求めてきました。その結果,今年度から市営住宅の公私負担区分の見直しが行われ,風呂釜の修理・取替えが京都市の責任で行われるようになりました。4月から公費で行われることになり,「早速,公社に相談して取り替えてもらった」「7万から8万円掛かると聞いていたので助かった」と,私のところに住民の皆さんからは喜びの声が多く届いています。ただ,経年劣化は風呂釜だけではありません。浴槽も同じです。私は市営住宅を訪問し,調査をしました。そこでお聞きしたのは「長く使っているので浴槽に穴があき,穴を詰めて使っている。漏れないか心配だ」「すり減って,中の鉄が見えて,さびが浮いている」「壁が落ちてきて驚いた」「壁のペンキがはがれてコンクリートがむき出しになっているので,カビが取れない。見た目も汚いし衛生的にも良くないのではないかと思う」など,全て浴室に関する声です。長年住んでいれば経年劣化は避けられません。経年劣化については,公費での改善が必要ではないでしょうか。また,「浴槽が高くて入りにくい。年寄りにはまたげない」「シャワーを付けてほしい」などの声も多くあります。贅沢とは言えない,ごく,当り前の願いではありませんか。だからこそ京都市は新たにお風呂を設置する際にはシャワーも設置されているではありませんか。また,浴室の扉は中に開くため,中で倒れた場合,戸が開きません。向島団地では救助に手間取った例も出ています。命にも関わりかねない問題です。市長,このような劣悪な浴室環境を放置していいのでしょうか。市営住宅の浴室を要望のあるところから順次,シャワーの設置,浴槽や扉の改善を求めますが,いかがですか。 次に,市営住宅の住宅変更制度の改善について質問します。今はエレベーターのない3階以上にお住まいの身体障害者手帳1級から4級,又は階段の使用は無理だとの医師の診断書のある方などは,年に2回の住み替えの機会がありますが不十分です。空き家整備を進め,年に2回ではなく身体状況の変化に対応できるよう公募の回数を増やすことを求めます。また,精神の障害で高層階だということが理解できず,ベランダから飛び降りようとする方の相談を受けましたが,住宅変更制度には身体についての規定しかありません。身体だけでなく,精神の障害についても住み替え可能にすべきです。いかがですか。 次に,市営住宅のエレベーター設置の問題です。昨年,市営住宅の実態調査が行われました。その結果,昨年7月1日現在で,エレベーター未設置住宅で3階以上にお住まいの65歳以上の高齢者を含む世帯は2,309世帯で,高齢者世帯の22.1パーセントに当たることが明らかになりました。今後,高齢化は更に進む傾向にありますから,早急な対応,対策が必要です。今年度予算では,エレベーター設置工事は3棟,実施設計・基本設計は25棟以上で取り組まれますが,廊下型の市営住宅が優先された計画になっています。しかし,階段型の市営住宅も多くありますから,ここへの対策も急がれます。廊下型の住宅にエレベーターの設置を進めつつ,階段型の住戸についても,住民合意を整えエレベーター設置を進めていくことを求めます。いかがですか。 以上を求めまして,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西野さち子議員の御質問にお答えいたします。 まず,原子力発電所の新しい規制基準と再稼働についてでございます。国の原子力規制委員会で,7月をめどに策定が進められている原子力発電所の新たな規制基準は,福島第一原発事故の教訓や最新の国際基準を踏まえたうえで,地震や津波等による原発事故を防止するための設計基準の強化に加えまして,万が一,事故が発生した場合にあっても,被害を最小化し,国民の命と健康を守ることを目的としたものであると認識いたしております。本市といたしましては,関西広域連合と連携し,既設の全ての原子力発電所について,新基準の厳格な適用と再審査を強く国に申し入れているところであり,また暫定的な安全基準により限定的に稼働している大飯原発につきましても,現在,原子力規制委員会で行われている事前審査において,新基準に適合しないと判断された場合には,直ちに運転を停止するよう求めてまいります。今後,本市では,原子力発電所の万が一の事故から市民の皆様の命と暮らしを守るため,本年3月に専門家の英知を集めて策定しました京都市地域防災計画原子力災害対策編に基づきまして,各種施策を推進することにより,原子力防災対策に万全を期してまいります。 次に,再生可能エネルギーの普及についてでございます。再生可能エネルギーは,地域資源として地域で生み育て,活用する,いわゆるエネルギーの地産地消の取組を通じて,エネルギーの安定供給や地球温暖化対策はもとより,地域の活性化や産業振興にもつながるものと認識いたしております。このため,これまでからも,京都ならではの高い市民力,地域力をいかし,さらに大学や産業界とも連携し,全国初の各種の,例えばバイオディーゼル燃料化事業や市民協働発電制度の構築,住宅用太陽光発電システム等への設置助成など,再生可能エネルギーの普及拡大に先駆的に取り組み,成果を上げてまいりました。また,当面利用計画のなかった水垂埋立処分地におけるメガソーラー発電所につきましても,その施工の9割以上に地元企業が関わるとともに地域防災や環境教育に役立つ仕組みとしたものであります。本年4月に新たに地球環境・エネルギー政策監を設置し,更に全庁体制の強化も図ったところであります。今後,現在策定を進めておりますエネルギー戦略に基づきまして,市民ぐるみの取組をより一層推進するための市民協働発電制度の仕組みの更なる進化や,安倍内閣による経済対策ともしっかりと連携し,京都ならではの強みを生かした産学公連携によるエネルギー産業の振興などを通じて,再生可能エネルギーの飛躍的な拡大を図ってまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 生活保護基準の見直しについてでございますが,生活保護制度は市民の命と暮らしを守る最後のセーフティネットとして極めて重要な制度であり,その基準につきましては,国民が健康で文化的な生活水準を維持できるよう,子供のいる世帯や高齢者のいる世帯など,それぞれの世帯構成に応じて,社会経済情勢や物価の動向等を総合的に勘案し,厚生労働大臣が定めることとされております。今回の生活扶助基準の見直しにつきましては,社会保障審議会の生活保護基準部会での検証に加え,平成20年以降の物価の下落を反映した結果であると認識しております。また,消費税率の改定や物価の上昇に対しましても,適宜生活扶助基準に反映されるものと考えております。本市といたしましては,今後とも,国から示される具体的な見直し内容を注視し,適切に対応してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 小笠原都市計画局長。 〔小笠原都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(小笠原憲一) 市営住宅に関する御質問でございます。本市におきましては,住宅セーフティネットの中核である市営住宅を長く有効に活用するために,京都市市営住宅ストック総合活用計画,これに基づきまして耐震改修やエレベーター設置,浴室整備等に取り組んでおります。市営住宅のエレベーター設置でございますが,最優先に取り組んでおります耐震改修と併せて実施しておりますことから,結果的に耐震性能が低い廊下型,すなわち共用廊下に各住戸が並ぶ形式の住宅が先行しておりますが,階段の左右に住戸がある階段室型の住居につきましても住民合意を整えて設置をしてまいります。 次に,浴室の改善でございますが,現在,浴室のない住戸への浴室設置に重点的に取り組むとともに,今年度から風呂釜の修繕・交換費用につきまして,従来は入居者の負担としていたものを,設置後10年を経過したものにつきまして公費負担とするよう見直すなど,入居者負担の軽減に努めているところでございます。議員御質問のシャワーの設置等,浴室の改善につきましては,入居者の皆様の個々の御事情による設備改善となるため,入居者御自身で行っていただくべきものと考えております。 最後に,市営住宅の住み替えにつきましては,現在,階段の上り下りが困難な方を対象に,毎年1月と7月の2回実施してございます。募集戸数は年々増やしているところでございますが,応募そのものがない住戸,あるいは抽選のない住戸も多いことから,現時点では実施頻度を増やす必要はないという風に考えております。また,精神的な要因を住み替え理由に加えることにつきましてですが,身体的要因のように,客観的かつ公平な判断基準を設けることが極めて難しいことから,入居者の皆様に,安心安全に市営住宅に住み続けていく観点から,何らかの対応が必要ではないかという風に考えておりますので,引き続き検討してまいりたいという風に考えております。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 就学援助についてでありますが,家庭の経済状況に関わらず,子供たちが安心して就学するために欠くことのできない義務教育を保障するうえで大切な制度であります。就学援助の認定基準につきましては,平成18年度以降,生活保護基準の引下げや,消費者物価指数の下落などに準じた引下げを行うことなく,実質的に認定基準を緩和するとともに,本市独自で長期宿泊事業や京都市学習支援プログラム,更には必修化に伴う柔道着購入費などの保護者負担分を対象に加えるなど,厳しい財政状況の下でも制度の充実に努めてまいりました。認定率は10年前の平成15年度は約17パーセントでありましたが,昨年度は約24パーセントと5,000人以上増加し,支給総額も,約9億2,000万円から約14億4,000万円と5億2,000万円増加いたしております。来年度の就学援助の認定基準につきましては,今後,国から示される生活保護基準の具体的な見直し内容や本市財政状況を踏まえ,慎重に検討してまいります。 次に,スクールソーシャルワーカーについてでございます。スクールソーシャルワーカーは社会福祉士などの資格を有し,児童相談所をはじめとする関係機関との連携を進めながら,子供や家庭を支援する専門職であります。その配置については,国庫補助事業として国の予算上,週1回程度勤務する非常勤職員を充てることとなっております。本市では,平成20年度からスクールソーシャルワーカーの配置を開始し,昨年度は指定都市平均の約5人を上回る10人を配置し,現在27年度を目途に昨年度比倍増の20人程度に拡充すべく取り組んでおり,25年度も3人の増員を行ったところであります。今後とも,スクールソーシャルワーカーの更なる配置拡大に向け,国に対して財政的措置の充実を要望してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,市政一般について,樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。 初めに京都経済の活性化についてお聞きします。マスコミの4月下旬の世論調査では,「アベノミクスで景気回復を実感できない」と答えた人は81.9パーセントに上り,さらに今後についても「所得が増えると思わない」と答えた人が7割となっています。株式市場は活況を呈していると言われていますが,それも海外の投機筋が主導しているマネーゲームというのが現状ですから,国民全体では,景気回復の実感はなく,今後も期待できないと感じていることが示されています。本市の1月から3月期の中小企業経営実態調査の報告を見ても,景況感はほんのわずか上昇したものの,依然として低迷している状況を脱していません。報告では,さらに需要増加が一部にとどまっていること,円安基調による原材料の仕入れ価格上昇の懸念が強まっていることなどが指摘されています。地元の商店で様子をお聞きすると,あるお米屋さんは「得意先の旅館などでも,ここ最近で注文が増えているという状況はない。出ていく方ばかり多くなる」と話されていましたし,ガソリンスタンドでは「仕入れ値が高くなっても,それを全部売値に転嫁できないから,利益率は下がるばかり」と嘆いていました。 市民生活を見ても,新聞に入る折り込み広告を毎日チェックしながら,5円,10円をいかに節約するかということで日々を過ごしている方が多いというのが実態です。こうした下で,安倍政権は,来年に消費税を8パーセントに,再来年には10パーセントに引き上げようとしています。消費税増税だけでも13兆5,000億円,その他の増税や社会保険料の値上げなどを合わせれば,20兆円もの負担を国民に押し付けようというのですから,とんでもありません。1997年の消費税の増税によって,景気が大きく後退し,京都市の税収が落ち込んだという事実も,繰り返し指摘しているところであり,市民生活,中小業者,京都市の税収のどれをとってもマイナスばかりの消費税の増税は行うべきでないと,国に対して声を上げるべきと考えますが,いかがですか。 また,電気代やガス代などが値上げされたうえに,本市が保育料や水道料,各種施設の利用料値上げを決めたことは,市民生活や中小業者の厳しさに拍車を掛けることになり,本当に許せません。水道料金の値上げについては,老朽管対策をその理由に上げていますが,破綻している無駄な大型事業の焼却灰溶融施設をやめる,あるいは国の元気臨時交付金を活用するなど,老朽管対策の繰入れを行なおうという努力がなされていません。さらに,国への補助制度改善の要望すら行わなくなるなど,料金値上げを回避するための手立てが取られていないことも,全く納得できるものではありません。そもそも老朽管対策を料金値上げで賄おうという考え方は全国的にも例がありませんし,また,水道会計は5年連続,下水道会計も2年連続で黒字であること,市民への説明をまともに行わず,公聴会すら拒否したことなど,どの点から見ても値上げは容認できるものではありません。市長が市民生活と中小業者の厳しい実態に真正面から向き合うのであれば,10月からの水道料金の値上げは中止すべきと考えますが,いかがですか。 さて,長引く不況の原因が,働く人の賃金の低下にあることは広く共通の認識になっています。ところがアベノミクスでは,賃金を引き上げる具体的な方策が示されていません。実際,輸出大企業であるトヨタは円安による莫大な営業利益を上げており,今年度末には過去最高益を達成する勢いと言われていますが,工場の海外移転は今後も続けるとしています。つまり,利益を従業員や国内に還元するつもりがないということです。これでは,輸出大企業は大もうけする一方で,国内の景気や雇用は一層冷え込むことになります。さらにアベノミクスは,「成長戦略」などと言って,労働法制の規制緩和と雇用のルールの弱体化で,派遣労働の拡大と共に,賃金を下げる方向まで示していますから,不況がますます深刻になります。 本市では,2月議会で,「働く人の所得を増やすことが景気回復につながる」との答弁がなされ,その後,労働局長,京都府知事,京都市長の連名で,経営団体に賃上げなどの要請に行かれたことは,評価するものです。しかし,多額の内部留保を抱える大企業がこの要請に応えようとしていません。例えば,京セラは内部留保を1兆5,000億円もためており,そのわずか0.2パーセントを取り崩すだけで,従業員に毎月1万円の賃上げを行うことができます。任天堂の内部留保は1兆4,000億円で,0.03パーセントの取り崩しで月1万円の賃上げが可能です。こうした,京都を代表する大企業が率先して賃上げを行うよう,国・府・市が緊密に連携して働き掛けを繰り返し行うべきと考えますが,いかがですか。 さて,元気臨時交付金が国から交付されますが,この交付金は,地域経済の活性化と雇用創出を目的としています。本市でも,今年度の予算編成の際に第一の重点政策として京都経済の再生と雇用の創出を掲げており,今,まさにこの目的に沿った施策の実施が求められています。そう考えたときに,全国的に緊急経済対策として採用され,大きな成果を上げている事業に住宅リフォーム助成制度があります。これは,市民が住宅をリフォームする際に,市内業者に発注することを条件に工事代金の5パーセントや10パーセントを自治体が助成するという制度です。全国的には昨年度の場合,政令市を含めた495の自治体が取り入れています。この制度は,自治体が組んだ予算の15倍程度の工事額が市内業者に直接発注されているのが通例ですから,本市で10億円程度の予算を組むとすると,市内事業者に150億円規模の仕事が発注されることになります。これは,直接発注される工事額であり,経済波及効果は更に大きなものとなります。地域経済の活性化と雇用の創出という点で,他都市で既に実績が証明されているこの制度を,本市でも創設すべきと考えますが,いかがですか。 国からの交付金が増えたことで,本市でも公共事業が増えていますが,これを地域経済の活性化につなげるという点では,公契約条例の制定が,その実効性の確保に大きな効果を発揮します。昨年度から公契約基本条例を検討中ということですが,我が党が繰り返し求めてきたところであり,一刻も早い制定を求めるものです。同時に,下請も含めた地元発注と,何次下請であろうと,現場で働く労働者の賃金を確保するための取組を一層強めていかなければなりません。6月から,下請契約と,資材・原材料の購入契約の際には,市内中小企業を選定するよう努めなければならないことが,工事請負契約約款と入札公告に明記されることになりました。これも,我が党がかねてから求めてきた内容であり,評価するものです。今度は,この方針に基づいた指導を本気で行うかどうかが問われています。というのも,本市では,公共工事の元請の市内発注率は,件数で数えると9割,下請を含めても8割を地元に発注しているとしていますが,金額で見るとそうはなっていません。数十億円規模の工事の場合は,地元への発注率が極端に下がるという実態がありますから,こうした工事においても,下請も含めて地元業者へ発注がされるよう,指導を強めるべきと考えますが,いかがですか。 また,公共事業における労働者の賃金の計算をする際の基準になる設計労務単価が,10年以上右肩下がりでしたが,今年は大きく引き上げられました。この内容が現場労働者に反映されなければなりません。本市でも施工体系台帳に契約金額が記入されており,現場での賃金・単価の実態をつかむことが可能なのですから,公共事業の現場で働く労働者に,適正な賃金が確保されるよう指導を強めるべきと考えますが,いかがですか。 次に,TPPが本市に与える影響についてお聞きします。右京区京北で農業をしている方々からお話をお聞きしました。「今でも米の価格は30年前と比べると,大きく下落し,一俵あたり1万4,000円ほど。TPPに参加したら3,000円くらいの米が入ってくると言われている。こんな金額では,苗を買って,荒起こしをして,しろかきをしたらそれで終わり。その後の,田植えや稲刈り,もみすりなどの農作業は全部農家の持ち出しになってしまう。今でもぎりぎりの状態で頑張っているのが実態だが,それでも耕作放棄地が増えているのが現状。更に安くなるのなら,生産意欲をなくし,米作りそのものをやめてしまう。そうなれば耕作放棄地ばかり増え,集落としての体をなさなくなる」と話されていました。集落そのものが消滅していくという危機感を持ってのお話でしたが,水の供給源である山が荒れ放題になることを意味していますから,都市部にも深刻な影響を及ぼします。 TPPは農産物への影響にとどまるものではなく,また,関税だけの話でもありません。あらゆる物やサービスの取引,投資,労働,自治体の調達,食品,医療,建築安全など,多岐にわたる問題を抱えています。中小業者の生活を支える共済や信用金庫などの地域金融機関さえも攻撃の対象となっています。さらに,アメリカの多国籍企業が自由に日本の公共事業や物品・サービス調達に参入できるよう求めていますから,本市が取り組んでいる地元中小企業の受注機会の拡大の施策が,アメリカ企業の障害だと言われることも想定されます。つまり,TPPは市長の目指している公契約基本条例とも真正面から対立する協定です。市内の農産物への深刻な影響,そのことによる地域の崩壊だけでなく,本市の地域経済の活性化にも逆行するTPPへの参加問題で,国の動向を注視しているだけでは全く不十分です。国に対して,断固中止すべきと強く要望する必要があると考えますが,いかがですか。 次に,保育環境の整備についてお聞きします。本年4月から,新たな保育事業ということで,グループ型小規模保育事業と保育所型家庭的保育事業が2箇所ずつ合計4箇所で始まりました。そのうちマンションの一室で行っているのが3箇所です。待機児童解消のための「緊急の措置」との答弁が繰り返されていますが,「一時的」と言わないところに大きな問題があります。保育体制についてですが,子供5人に対して保育者が2人ということになっています。グループ型小規模保育事業の場合,定員15人ということで,6人の保育者となるわけですが,朝7時半から夕方6時までの保育を保育者のローテーションで対応しますから,実際に保育に入っている人数はもっと少ない人数になります。そこで,現場の方からは「調理師とまでは言わないけれど,せめて離乳食の対応する保育者をもう一人追加してほしい」との切実な要望をお聞きしています。委託料が少ないために,十分な保育体制がとれていないことが示されています。 保育環境についてですが,園庭がないことも問題ですが「お昼寝用の布団のラックは譲り受けたもので,職員が塗装しなおして使っている」「食器を入れる棚がない」「理事長が私費を持ち出して子供用のいすを買った」など,施設整備費200万円では全く足りていません。保育環境の整備は本市の責任で保障するのが当たり前ではないでしょうか。昼間里親と同じ保育単価ということが言われていますが,昼間里親の単価がそもそも低過ぎます。自宅を開放し,自宅の庭や保育室以外の部屋も兼用しながら,まさに里親さんの献身的な努力によって保育が行われています。せめて保育士を確保できるだけの委託料,常勤で働ける人を雇えるだけの委託料の確保をといった要望が繰り返し昼間里親さんから出されています。「子育て環境日本一」といった話を市長がよくされていますが,その言葉と保育現場の実態は大きく違っていると言わざるを得ません。保育園や昼間里親は,子供の生活の場,子供の発達を保障する場という観点にしっかりと立って,昼間里親さんの委託料などを抜本的に増やすこと,さらに,今回始めた新たな保育事業も抜本的な改善が必要と考えますが,いかがですか。また,新たな保育事業はあくまでも「一時的」と位置付けて,待機児童の解消は認可保育所を増やすことで対応すべきと考えますが,いかがですか。 国が2015年に実施を予定している「子ども・子育て新システム」は,認可保育所を増やす方向でなく,保育の公的責任をより少なくし,安上がりな保育で対応するという方向が示されています。新システムが施行される前から,国が認定子ども園や家庭的保育事業を行っていることは,安上がりの保育を先取りしていることであり,京都市もその国の方向に沿った保育施策を取り入れています。保育環境を認可保育園よりも低い方向で設定することは,子供の発達の視点から言えば,絶対に間違っており,今の保育基準の引上げこそ求められています。待機児童の解消を新システムの方向で行うことは決して容認できないことを指摘しておきます。 最後に,地元左京区の問題についてお聞きします。左京区市原は,人口5,300人ほどで住宅地に山が迫っている地域です。京都市の防災マップ水災害編でも,被害の恐れのある急傾斜地とされている箇所や土砂災害の危険が指摘されている箇所もあり,対策が求められています。昨年7月の豪雨の際には,山からの水で道路が水没をする,土砂で道がふさがれる,農業用水路が埋まってしまう,住宅が浸水するなど被害が多数発生しました。水害が繰り返されていた箇所や,昨年初めて被害が出た箇所など状況は様々ですが,全体としては,周囲の山に整備の手が入らないまま荒れてしまっていることに大きな原因があると考えられます。本市でも,林業振興という点での間伐や,林道・作業道への補助の仕組みがあります。しかし,市原のように,多くの市民が住んでいて,なおかつ山がすぐ近くにあるような地域は,従来の補助制度では対応できていないのが現状であり,防災の観点からの山の保全対策として,特別な手立てを講じる必要があると考えますが,いかがですか。 さらに,この付近は国有林もありますし,土砂災害防止用のえん堤は京都府の事業でもあります。市民の安全を守るためにも,本市として国や府にもしっかりと働き掛けていただきたいと考えますが,いかがですか。また,頼光橋付近では,本市が行った道路改良工事直後の2004年の大雨で道路が冠水し,付近の住宅が床下浸水するという被害がありました。道路改良がされる前は浸水被害が起きていなかった場所です。その後,何度も同様の被害が繰り返され,昨年7月の豪雨の際にもやはり浸水被害が発生しました。一時避難的な対策としての仮設水路がやっと造られたことは承知していますが,余りにも対応が遅過ぎます。一刻も早く根本的な改善を図るべきと考えますが,いかがですか。 以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 樋口英明議員の御質問にお答えいたします。 保育所の待機児童解消の取組についてでございます。私が市長に就任して以来,6年間で認可保育所の新設7箇所,増改築23箇所,また分園9箇所の整備等に取り組んだ結果,入所児童数は約3,000人増加し,就学前児童の4割を超える児童を保育所で受け入れるなど,質,量共に全国でもトップクラスの保育環境を確保しております。こうした中で,なお待機児童の生じている地域においては,認可保育所の整備をはじめ,緊急的な対応として,今年度から新たに賃貸物件を活用したグループ型小規模保育事業及び保育所実施型家庭的保育事業について,面積や人員配置に関する国基準を踏まえたうえで,本市独自に運営費を充実させて実施いたしております。また,昼間里親につきましても,これまでから段階的に運営費を増額してまいっております。今後とも,京都の優れた保育の伝統を生かしつつ,国の動向も踏まえまして認可保育所の整備をはじめ,様々な手法を活用し,保育の充実,待機児童解消への取組を積極的に進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 左京区市原地域における防災対策についてでございます。市域面積の4分の3を占める森林は,美しい景観を創出するとともに,豊かな水を育み,災害からまちを守るなど,市民生活にとって掛け替えのない貴重な財産でございます。このため,本市では,防災をはじめとする森林の多面的機能が十分に発揮できるよう,これまでもナラ枯れ対策などに取り組んできたところでございますが,今後もより一層森林整備の推進に努めてまいります。また,国有林の整備や砂防えん堤の設置等については,国や京都府に対して,あらゆる機会を通じてしっかりと働き掛けてまいります。また,頼光橋付近の浸水被害対策につきましては,大雨のときに浸水被害が発生していることから,水路の設置など応急対策を既に実施しているところであり,さらに抜本的な対策として,新たな雨水管渠の整備工事に着手することを決めておりますが,今年度早期に着手してまいります。今後とも,関係局の施策を融合し,地域住民の安心安全,防災対策に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 足立財政担当局長。 〔足立財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(足立裕一) 消費税についてでございます。今回の消費税率の引上げは,子育て支援を含む社会保障制度における国と地方を通じた安定財源の確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組むものであり,国会において決断をされました。あわせて,デフレ経済や閉塞感のある社会に決別するためには,日本経済の再生が不可欠であり,現在,経済成長を実現する総合的な施策が実施されております。これらの施策が,確実に,京都において,安定した雇用の創出や所得の増加につながるよう,経済界等とも連携を深め,努力してまいります。消費税率の引上げにつきましては,本年秋に,国において,経済状況等を総合的に勘案して判断することとされており,また,低所得者や中小事業者への影響を最小限にとどめる対応策を十分に講じたうえで実施されるものと考えております。 次に,公契約基本条例及び公共工事の発注についてでございます。まず,公契約基本条例の制定に向けては,昨年度からの全庁的な庁内会議における検討に加え,本年度は,調査費を予算計上し,事業者へのアンケート調査や学識経験者からの意見聴取などを行い,引き続き検討を深めてまいります。市内中小企業の受注機会の拡大につきましては,可能な限り受注割合を高めるための取組を進めてきており,御指摘にもございましたが,この6月からは,既に発表しておりますとおり,契約約款等において,下請及び資材等の購入には市内中小企業を選定する努力義務を明記いたします。また,この度,国において大幅に引き上げられた公共工事設計労務単価につきましては,今月から新単価での積算を開始するとともに,4月以降の契約工事につきましても,新単価で積算した契約金額に変更できる特例措置を講じることとしております。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 白須産業観光局長。 〔白須産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(白須正) 給与等の就労条件の改善についてでございます。我が国の経済は,国の経済対策などによりまして,全体として改善の兆しが見られますが,これが経済の好循環につながることが大切であります。そこで,本市では国の経済対策を実効あるものにするためにも,安心して働き続けられる労働環境の実現が重要であるとの認識の下,京都労働局,京都府と連携し,3月15日以降,京都経営者協会をはじめとする経済団体に対して,積極的な雇用の確保と給与等の就労条件の改善を要請したところであります。具体的な給与等の条件につきましては,各企業それぞれの業績に応じて決定されるものでございますが,今後とも景気動向等に注視しながら,国・府・市の連携の下,時宜を捉えて必要な対応を行ってまいります。 次に,TPPについてでございます。TPPの協定締結に当たっては,国益にかなう最善の道を追求することが重要であると認識しております。我が国は,交渉に先だつ日米合意におきまして,米をはじめとした農産品を重要項目として確認しており,首相の交渉参加表明演説におきましても,食の安全安心の確保や農業の多面的機能の保全の観点から,豊かな農業や農村を国益として守り抜く方針が表明されております。本市におきましては,これまでから京都の強みを生かした京の旬野菜の推奨をはじめ,京都大学との連携による京唐菜や京ラフランなどの新京野菜の導入,農業の6次産業化,学校給食による地産地消などに積極的に取り組むほか,酒造会社との連携による酒米作りといった特色ある農業を展開してまいりました。今後とも,付加価値の高い米や野菜の生産体制を確立するとともに,こうした取組への一層の支援を国に対して求めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 小笠原都市計画局長。 〔小笠原都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(小笠原憲一) 住宅リフオーム助成制度についてでございます。昨年度,耐震改修助成の予算額を10倍に増額したうえで,まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業,これを創設いたしまして,24年度当初予算で461件,9月補正予算では141件の改修を行い,さらに今年度当初には900件分の予算を計上し,住まいの耐震改修を大幅に加速させるとともに,市内の中小事業者への仕事起こしにも大きな成果を上げているところでございます。今後とも,一般的な住宅リフォームに対する助成制度よりも,まず市民の安心安全に焦点を当て,耐震改修助成や,また分譲マンションのバリアフリー改修助成など,政策上の重要度,緊急度や経済効果が高い事業につきまして,優先的,重点的に取り組んでまいる所存でございます。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 水田公営企業管理者。 〔水田公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(水田雅博) 上下水道料金の改定についてでございます。市民の皆様にとって貴重なライフラインである上下水道は,いついかなる場合もその機能を確保しなければなりません。今回の改定は,社会状況の変化に対応し,市民の皆様に信頼される上下水道サービスを将来にわたって安定的に提供するために,利用実態に即したきめ細かな料金体系にするなど,32年ぶりに大幅な制度の見直しを行ったものであり,その改定率は,上下水道料金全体でプラス3.7パーセントといたしました。この上下水道料金の改定につきましては,市会においても十分な御審議を頂きまして,先の2月市会で御議決を頂いたものでございます。市民の皆様に引き続き周知を行いまして,円滑に責任を持って実施いたします。今回の改定により,老朽化した水道管の更新をスピードアップし,安全安心で,他都市と比べて安価である京都の水道水を持続的に供給するとともに,快適で衛生的な生活環境の確保,そして災害に強い上下水道事業を推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,市政一般について,小林あきろう議員に発言を許します。小林議員。 〔小林あきろう議員登壇(拍手)〕 ◆(小林あきろう議員) 民主・都みらい京都市会議員団を代表して4点について質問いたします。上京区の小林あきろうでございます。 まず初めに,地方公務員給与削減問題について,政府は国家公務員に引き続き,地方公共団体にも7.8パーセントの給与カットを要請しています。本市においては,今までできる限りの行財政改革や職員の給与カットを行ってこられました。我々議員も議員報酬カットを継続しています。その上になお,本年7月に7.8パーセントカットが押し付けられようとしています。是非関係諸団体とも連携のうえ,慎重な対応をされますよう強く要望しておきます。さらに,この間の従軍慰安婦問題について橋下徹大阪市長,石原慎太郎前東京都知事,この日本維新の会共同代表の発言は,公人としてあるまじきものであり,とても許されるものではないとのコメントを申し上げておきます。 それでは,初めに文化・芸術に関した質問をいたします。先日の4月26日に京都経済同友会通常総会が開かれ,同友会として,2015年春にオール京都体制で開催する京都国際現代芸術祭パラソフィアに関する特別委員会の立上げを決め,新体制をスタートさせたとの新聞報道がされました。 〔橋村議長退席,隠塚副議長着席〕 ◆(小林あきろう議員) (続)記者会見で,パラソフイアの開催について「文化は経済を刺激する材料になる。オール京都体制で成功させ,うまくいけば継続的な開催も視野に入れる」とのコメントが掲載されていました。また,先日の京都新聞「ソフィア」の欄で「ヴェローナ音楽祭に思う」と題して,京都産業大学教授の大木裕子さんの記事が掲載されていました。その一部を御紹介します。「平安京に遷都してからの京都の歴史も長く,千年の都とうたわれる。京都は伝統と創造を誇るまちでもある。神社仏閣や植治の庭が点在し,花街はみやびな街並みを残している。艶やかな着物や帯を織り出し,繊細な食や器を創り出す。花札からDS,陶器からセラミックと次々に新しい時代を切りひらいていく。歴史の長さと,高い美意識はイタリアのヴェローナに勝るとも劣らない。まさに素材はそろっている。だからこそ歴史,伝統という縦糸を強調するだけではなく,分野横断的なソフトを横糸として織り込むこともできるだろう。京都が長年育んできた伝統文化,食,おもてなし,エンターティンメント,先端技術などをうまく織り込んで新しい芸術のフォーム(「美」の在り方)を世界に発信するような,京都ならではの芸術祭の企画はできないだろうかというのが最近の関心事である」と述べておられます。 私は以前に,今までばらばらに開催されてきた京都まつり,京都の秋音楽祭,京都映画祭などを一つにし,さらに京都の歴史深い伝統や文化,芸術,企業,経済界を巻き込んで世界に発信ができるようなバージョンアップした文化祭典を毎年開催し,日本中,世界中から参加していただけるような祭りを考えてはどうかと提案したことがありました。その後,前述三つの事業は一つにまとめられ,更に独自の工夫もされながら,京都文化祭典としてここ2004年から9年にわたって開催されてまいりました。京都は今,文化,芸術の分野で具体的に様々な課題を抱え,それぞれの課題に100年,200年先にも充分に耐え得る戦略的視点を持った解答を出して行かなければならないと思います。 岡崎京都会館整備問題,京都市美術館の将来展望,京都市動物園の再整備問題,京都芸大の今後と移転問題,さらに京都文化祭典や京都国際現代芸術祭パラソフイアへの対応などでございます。これらの取組の中で,日本が国家としてなし得ていないインターナショナルな普遍的課題である世界平和や世界人権の確立や地球環境保全の課題に向けて,世界,日本の文化芸術先進都市として発信し続ける京都の使命を,是非門川市長に切りひらいていただきたいものと願っています。色々述べてまいりましたが,これから,世界や地球規模の課題を視野に入れて,京都の文化,芸術の発展に対して,本市はどのように取組を進めて行くのかお聞きいたします。 次に,バイオディーセル燃料化事業についてでございます。東日本大震災や原発事故を踏まえ,太陽光などの自然エネルギーだけではなく,地域の生ごみや廃食用油などの廃食物系バイオマスなどによる再生可能エネルギーの利活用の加速化が期待されています。本市では,平成9年から地球温暖化防止と循環型社会構築に向けた取組として,市民の皆さんと連携して,使用済みてんぷら油を回収し,市バスやごみ収集車の燃料として活用してまいりました。また,生ごみによるバイオガス化実証事業も平成11年より取り組まれております。このような状況の中で,全国に先駆けてバイオマス利活用のモデル都市を目指して,本市は更に加速を図るべきだと考えます。 そこで,まずバイオマス化燃料化事業についてでございます。本市は年間4,000トンのCO2削減に貢献するなど,この事業を全国に先駆けて実施し,国内外から高く評価されているところであります。しかし,欧米では年間1,000万キロリットルのバイオディーゼル燃料が利用されておりますけれども,日本ではたったの年間約2万キロリットルと,全国の軽油販売量の0.1パーセントにも満たない量にとどまっています。私は,バイオディーゼル燃料化事業の発足当初から市民の皆様と共に関ってきた一人として,欧米やアジア諸国に遅れをとっている現状が残念でなりません。このようにバイオディーゼル燃料化事業が,いま一つ本市においても,他都市においても伸び悩んでいる理由と,今後の課題として主に3点指摘されると思います。 まず,第一点は,使用済みてんぷら油の回収問題です。現在,回収拠点は本市全体で1,680箇所まで拡大をしておりますけれども,これとても,平成23年度中に2,000拠点確保とした当初の計画にまで残念ながら達しておりません。ここ数年は回収拠点,回収量共に伸び悩んでいる状況が続いています。従来のコミュニティ回収,市民回収における工夫と更なる充実に加えて,店舗や学校などを活用した回収システムなど,新たな取組との組合せによる相乗効果へと発展させた廃食用油の京都モデルの展開が期待されます。 問題点の第二は,車への負担ということであります。車の燃料系統や排ガス装置に負担が掛かり,特別なメンテナンスが必要であり,一般のユーザーに普及させることが困難だと言われています。さらに,最近発売されてきた新型車両において,バイオディーゼル燃料の円滑利用に課題が生じているとも聞いています。先般,門川市長は,記者会見において世界で初めて新たな燃料化技術実証取組,将来にわたっても廃食用油の有効利用の継続と新たに動物油脂についても原料として利活用を図る産・官・学連携によるプロジェクトを先進的に取り組むと表明されましたが,今後本市が先頭に立って,全国や世界に先駆けて確実な成果を上げられるよう大いに期待するところであります。 そして第三の問題点は,軽油にバイオディーゼル燃料を少しでも混合すると,1リットルあたり32.1円課税される軽油取引税の問題があります。本市においては,ごみ収集車136台に100パーセントのバイオディーゼル燃料が利用されていますが,市バス93台には20パーセント混合にしているため軽油取引税が課せられることになっています。現在,国の省庁として理解のある農水省,環境省に加え,最近では経産省の理解も深まり,あとは税制調査会でのゴーサインが待たれるところまできているとお聞きしています。バイオ燃料の利活用の加速化の視点から,重要な税制上の優遇制度の確立に向けて,全国バイオディーゼル燃料協議会の会長でもあられます門川市長を先頭にして,より積極的に取り組んでいただきたいと思います。超党派の国会議員の御理解もさることながら,我々京都市会においても,是非超党派で支援していただけることを心から願っています。 次に,バイオガス事業についてであります。廃棄物の中で4割を占めている生ごみや汚れた紙ごみを含めると7割近くを占める廃棄物系バイオマスのバイオガス化は,太陽光や風力発電などの自然エネルギーと比較して,安定した電力を供給できる優れた再生可能エネルギー供給システムであると考えます。この生ごみなどのバイオガス化は,平成31年に完成を目指す南第二工場において,家庭の生ごみを対象として60トン規模の受皿整備の取組が開始されようとしているとお聞きしていますが,全市の生ごみ量のごく一部であり,更なる展開に加えて,観光都市・京都として,ホテルや旅館,更には中央卸売市場などのバイオガス化による循環利用と優れた再生可能エネルギー供給システムの構築に向けた取組加速化を図っていくことが,COP3開催都市であり,全国に先駆けてバイオマス利活用のモデル都市を目指す本市として,大変重要であると考えます。今後,家庭系,事業系の生ごみも含め市域全体での再生可能エネルギーの最大限の利活用の展開に向けて,積極的な取組構想の早急な策定と加速化が大いに期待されるところでございます。以上,バイオディーゼル燃料化事業からバイオガスまで,現状や問題点を述べさせていただきましたが,特にバイオ軽油を含めたバイオディーゼル燃料化事業に対する市長の今後の取組に懸ける決意をお聞きいたします。 次に,ゼスト御池について質問いたします。京都市役所前御池通りの地下に集合商業施設京都御池地下街,通称「ゼスト御池」が誕生して今年16年目を迎えています。当初は様々期待が寄せられて発足したゼスト御池は第3セクターとしてスタートしましたが,年数がたつにしたがって,客の入りも期待されたほどには伸びず,空き店舗も出てくる中で,民間の知恵と活力を経営に生かすということで社長の公募が行われました。そして,民間出身の社長の下で,空き店舗問題や集客の課題等に熱心に取り組んでこられ,約6年間の経過の中で,現在,空き店舗もなくなり,各店舗の売上も伸び,株式会社ゼスト御池の経営状態はやっと危機的状況を脱する目途がついてきたとお聞きしています。現在では,河原町・寺町・御幸町それぞれの広場で様々なイベント利用も年間250件に達する展開がされており,地下の広場ということで天候のいかんにかかわらず安心してイベントができるという有利さと,本市も関った第三セクター施設として高く評価され,市民に広く親しまれ喜ばれていることと思います。 こうした広場の高度利用の成功は,ゼスト御池各店舗へプラスの影響を与えていると思います。しかし,今なお様々の問題を抱えていることも事実であります。隣接する御池地下駐車場は700台駐車可能であり,市内で河原町御池という最も便利な位置にあるにもかかわらず,この何年間か収益が上がらず,経営的に厳しい状況が続いているとお聞きしています。この経営改善が図られ,利用者が増えれば,当然ゼスト御池にも好影響が出てくると期待されます。ゼスト御池の今後を考えるとき,私たち京都が目指すべきまちづくりが,ますます地域と密接な関係が問われ,そうした場を提供するという点で,更に市民との協働で作り上げていく施設ということが問われてるであろうと思います。そういう意味では,ゼスト御池は他の商業施設と一線を画したシンボリックな施設として他都市に例を見ない,物と心の豊かさが得ることのできるような施設として,更に発展することが望まれていると思います。どこかの市長のように,費用対効果を厳しく問い,経済合理性を追求するのみでは,これからの望ましいまちづくりはできないと思います。そこでお聞きします。「日本に京都があってよかった」と言われるその中心である市庁舎のすぐ前の地下にあるゼスト御池の位置付けと役割を更に鮮明にし,これからどのように発展飛躍するのか,そのためには今なお抱えている諸課題を解決するためにはどのような対策・改善が必要とされているのか,お聞きいたします。 最後に,市立洛陽工業高校と伏見工業高校の再編について,主に洛陽工業高校に焦点を当てながら質問いたします。私たち民主・都みらい京都市会議員団は,先般,京都市立洛陽工業高校と横浜サイエンスフロンティア高校の視察に行ってまいりました。その中で,特に洛陽工業高校の恩田校長をはじめとする皆さん方とのお話や,授業見学,学校施設見学をするなど,非常に興味深い視察をさせていただきました。洛陽工業高校の歴史は古く,今から127年前,明治20年に設立され,日本で最も古い工業高校として,繊織,金属加工の職人養成中心の当時では花形の高校として高く評価されており,戦後になっても,日立,東芝,松下(現パナソニック)という一流企業に直結する就職があり,全国でも5本の指に入る存在であったとのことでありました。しかし,今後は産業構造がグローバリズムの中で変化しているため,生産ライン重視だけの考えではもたない状況が予想されます。平成24年12月に京都市立工業高校将来構想委員会最終まとめが作成され,今後どのように2校の再編整備が行われるべきかが提起されています。 私は,かつての本会議で,全く普通の市立高校であった堀川高校が,当時の門川教育長の下で,全国に「堀川高校の奇跡」と賞賛されたあの変貌を取り上げ,高く評価させていただいたことがございました。今回は洛陽・伏見2校の再編の課題です。偏差値の非常に高い優秀な大学の存在を私は決して否定するものではありません。しかし,世の中はおもしろいもので,こうした優れた大学を卒業したからといって,必ずしも社会や企業のトップリーダーになれるとは限りません。世の親の多くは,できればうちの子はそうしたエリート大学に入ってほしいと願うものだとは思いますが,現実はそこまでには至らなかった圧倒的な数の子供たちが,その他の大学や高校や中学を卒業して社会人となり,それぞれの分野で立派な社会人として活躍し,また,人間的にも魅力あふれる多くの人たちがいることも事実であります。洛陽工業高校の恩田校長は,2校の再編ついて「伏見と洛陽が単に一つとなることではなく,新たな価値の創造と,堀川・西京高校ともタイプを異にした,どこの工業高校にも属さない全国区の企業や現場においてマネージメント,経営マインドを持った世界でも活躍できる人材育成を目指したい」と熱く語っておられました。そして,私からはあえて次の点を強調しておきたい。人類の歴史の中で科学や工業が果たしてきた最大の役割は戦争につながる武器の開発ではなかったか。しかし,これからは,工業,ものづくりというものが果たすべき役割は,環境問題や人権問題も含めて,人類の豊かさの共有と平和のためのものだというコンセプトを決して忘れてはならないと思います。 以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(隠塚功) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小林あきろう議員の御質問にお答えいたします。 まず,文化芸術の振興についてでございます。本市は昭和53年の世界文化自由都市宣言以来,文化を世界平和や世界人権の確立とも密接な関連を持つものとして位置付けてまいりました。私は,このことを視野に入れ,京都の伝統文化や新しい芸術の在り方を国内外に発信し続けることが,京都の果たすべき役割であると認識しております。京都は,1200年を超える悠久の歴史と,豊かな自然の中で育まれてきた様々な文化が息づき,市民一人一人がその力や才能を存分に発揮し,伝統を継承するだけでなく,常に新しい文化を創造してまいりました。これは,京都ならではの強みであり,私は,こうした市民力とそれを基盤とした文化力を守り,高めていくことが京都にとって非常に大事であると認識いたしております。小林議員御指摘の京都会館や動物園の再整備,美術館の将来構想,さらに京都市立芸術大学の今後の構想などは,このような考えの下,本市にとって極めて重要な政策であり,100年,200年後も京都が世界に誇る文化芸術都市であり続けるよう取り組んでまいります。 また,新たに始めます京都国際現代芸術祭「パラソフィア」につきましては,市・府・経済界がオール京都体制で取り組み,美術を軸に,世界の多くの方々に京都にお越しいただき,明日の文化について対話する場として,重要な役割を担う取組であります。私は,これを京都の魅力を世界に発信する大きなチャンスであると捉え,市民の文化力の更なる向上に寄与するものと考えまして,チャレンジ精神を持って進めてまいりたいと考えております。京都が誇る文化の力は,日本が世界に貢献するための重要な力であると確信しております。今後とも,文化首都・京都の実現に向け,文化芸術による国内外との交流や,世界に向けての京都の魅力の発信など,市民ぐるみで,また全市を挙げて取組を進めてまいります。 次に,バイオディーゼル燃料化事業についてでございます。本市では,京都議定書が誕生した平成9年から,家庭で御使用されたてんぷら油などの廃油を回収し,車の燃料に使用するバイオディーゼル燃料化事業を全国に先駆けて実施してまいりました。このバイオディーゼル燃料は,地産地消の再生可能エネルギーの象徴であり,京都ならではの高い市民力,地域力によって育み,現在,ごみ収集車136台,市バス93台に,全国最大規模となる年間約130万リットルを使用しております。しかし,バイオディーゼル燃料を更に普及させていくためには,小林議員御指摘のとおり,家庭からの使用済みてんぷら油の回収量の拡大を図るとともに,車への負担が少なく,利用しやすい新たな燃料の開発を進めることが必要でございます。このため油の回収の増加に向けまして,地域回収拠点の更なる拡大や,スーパーでペットボトルごと油を回収できる仕組みなどを新たに構築してまいります。 また,新たに動植物性も含めた廃油から軽油と同等の品質のバイオ軽油を製造する技術の研究開発を,京都大学やトヨタ自動車をはじめとした産学公連携により世界で初めて実施し,来年度には車両走行実験を行い,平成30年度の実用化を目指してまいります。更に,軽油にバイオディーゼル燃料を混合する場合に課税される軽油引取税の免税を,引き続き市会のお力も借りながら,国に強く要望してまいります。環境モデル都市・京都がリードしてきたこの取組を,より進化させて次の世代に引き継ぐことは,全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会の会長でもある京都市の市長の使命であると認識しており,更なる普及拡大に向け,全力を傾注してまいります。 次に,ゼスト御池についてでございます。ゼスト御池は,本市の大動脈となる地下鉄東西線建設の際に,その地下空間を生かしたまちづくりを進めるため,駐車場や安全で快適な歩行空間を有する商業施設として整備したものであり,市民の貴重な財産でございます。開業以来,景気が長期低迷する中で,来街者数や売上が伸び悩み,活性化が大きな課題となっておりました。このため,民間から迎えた辻田社長の指揮の下,また本市の都市計画等関係者が一丸となり,地下広場を活用した積極的なイベントの開催などによって,にぎわいの創出に努めてまいりました。また,平成24年度には,利用者ニーズに応え,「食」をテーマとした大規模なリニューアルを成し遂げるなど,地下街の魅力の向上に取り組んでまいりました。 そして,こうした取組の結果,昨年度には開業以来最大となる860万人を越える方々に訪れていただくことができました。またリニューアル後,売上も大幅に増加いたしました。しかし,まだまだ厳しい状況があります。今後とも,御指摘のありました地下駐車場の利用促進や魅力的なテナントの更なる誘致,収益構造の改善など,不断の取組を進めるとともに,地下鉄等の公共交通の増客や「歩くまち・京都」の実現に資するよう,ゼスト御池の集客力の向上に努めてまいります。また,市役所前に立地し,本市が筆頭株主となっている第三セクターが管理運営する施設の使命といたしまして,文化芸術や伝統産業,また大学のまち,学生のまち,さらにあらゆるボランティア活動など,市民力,京都力の発信の場として積極的に活用いただくことも大事であると考えております。さらに,将来の市庁舎整備による相乗効果も見据えながら,より地域に密着し,誰もが楽しく,安心安全に御利用いただける魅力ある地下街であり続けるよう更に努力を続けてまいります。 以下,関係者理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(隠塚功) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 市立工業高校の再編につきましてお答えさせていただきます。洛陽工業高校及び伏見工業高校は,明治19年に全国初の公立工業高校として創設以来,一貫して,京都はもとより日本の産業界を支える確かな技術力と豊かな人間性を備えた有為な人材を多数輩出してまいりました。また,時代の変化・発展に応じ改革を推進する中で,昨今の極めて厳しい雇用状況の下においても,学校あっせん就職内定率は11年連続で100パーセントを達成するなど,産業界をはじめ各界から高い評価を頂いております。しかし情報化や技術革新,グローバル化が著しく進行するなど,産業社会の激変に対応した人材育成が急務となっており,昨年12月に京都市立工業高校将来構想委員会から,将来のものづくりを担う人材育成に果たす市立工業高校の役割などついて提言を頂き,これを受け,本年4月に2校の再編に当たっての基本方針を策定いたしました。この基本方針においては,優れた技術力を有する産業界,知の集積拠点である大学など,京都ならではの強みを最大限に生かした教育活動を展開することによって,環境やエネルギー,防災などの喫緊の社会的課題の解決に向けた学習,技術が持続可能な社会の実現に向け果たす役割や社会の発展を支え,人類の幸福に貢献することを学ぶ取組の推進などを教育活動の重点として掲げております。今後,この基本方針に基づいた教育内容の具体化を速やかに進め,ものづくりを通じ,社会の発展と平和に寄与する豊かな人間性を育むとともに,工業教育という視点にとどまることなく,今後の高校教育のあるべき姿を追求する広い視野に立った新しい工業高校づくりに全力を傾注してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(隠塚功) 次に,市政一般について,松下真蔵議員に発言を許します。松下議員。 〔松下真蔵議員登壇(拍手)〕 ◆(松下真蔵議員) 山科区選出の松下真蔵です。小林あきろう議員に続き民主・都みらい京都市会議員団を代表し,質問を行います。 まず,再生可能エネルギーの導入についてであります。福島原発の事故以降,脱原発への流れが,国内はもとより世界的に,そしてまた急速に広まりました。徐々に原発への依存度が下がる社会を構築していく,そして将来的には,再生可能エネルギーを中核とした安全でクリーンなエネルギーのみで自立できる社会を実現させるということは,非常に重要な課題であり,我々の責務であります。子供そして孫の世代のために,今こそ国そして地方自治体が,連携しつつもそれぞれの立場で,新たなエネルギー政策を推し進めていかなければなりません。市長におかれましても,関西電力に対して,脱原発や再生可能エネルギーの導入についての2回目となる株主提案を,来月行われる予定と聞き及んでおります。私も「地方自治体として何を行うべきか」ということを研究するために,山岸たかゆき団長の下,編成された,京都市会を代表しての海外行政調査団の一員として,先般ドイツそしてスペインにおける再生可能エネルギーの調査を行いました。現地で1週間にわたり,実際に行われている様々な再生可能エネルギーへの取組を見て,そしてまた行政関係者・研究者・市民活動家といった多くの方々と意見交換をすることによって,本市が環境先進都市として,今後どう取り組むべきかを定める上で参考となる,非常に大きな収穫を得ることができたと感じております。時間が限られておりますので,概略につきましては,先日行いました報告会,また夏ごろに完成予定の調査報告書を御参考いただければと思いますが,調査した中で私が特に感じたところにつきまして質問をさせていただきます。 ドイツで我々調査団は,エネルギー自立地域であるヴィルトポルツリートという村を訪問しました。エネルギー自立地域とは,当該地域内で消費する以上のエネルギーを再生可能エネルギーで生産している地域を指します。この場合,エネルギーは電気だけでなく,熱や交通なども含まれており,外部エネルギーが全く不要な100パーセント常時自立ということではなく,エネルギーの年間収支が総計でプラスになれば構いません。現在,村での総消費エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合はおよそ35パーセント,これを2020年までに100パーセントにすることを目標とされています。ただ,現状でも,消費エネルギーの全てを再生可能エネルギーで賄うことはできていないものの,総量計算での村でのエネルギーの生産と消費の差し引きでは,既に生産量が上回っている状態になっています。2011年における村でのエネルギーの消費量は6,412メガワット,一方の生産量は2万1,341メガワットと,3倍以上のエネルギー生産が行われており,現在は更に風力発電が2基増設されたことにより,実に5倍ものエネルギー生産となっています。もちろん余った電力は電力会社に売っていますので,それがこの村の大きな収入源となっています。ちなみにこの村では,現在のレートで過去13年間におよそ40億円を再生可能エネルギー生産施設に投資されたそうですが,今では毎年6億5,000万円ほどが売電収入としてもたらされているとのことです。またエネルギー関連の会社が幾つか進出してきたことで,人口わずか2,570人,およそ1,000世帯しかないこの村に,200人もの新たな雇用も発生いたしました。 ドイツでは,こういったエネルギー自立地域は,元々人口が少ないためにエネルギー消費が少なく,また発電設備を作るための広い用地が確保できる農村部を中心に広まってきており,都心部でも2050年までの実現を目指しています。自立することによる一番のメリットは,地域経済の活性化,つまり従来であれば電力会社や,特に原料を輸出している外国に払っていたエネルギーに対するお金が逃げていかない,その地域の中でお金が循環する,あるいは逆に外部から地域にお金がもたらされるということです。二番目には,一般的には過疎化が深刻な問題である農村が,未来のあるまちづくりを行うことによって,地域の魅力を高め,人口の流出を食い止める,ひいてはコミュニティの強化につながるという点であります。エネルギー自立するための手法としては,一点目に断熱・LED照明・蓄電・環境教育といった省エネと,太陽光・風力・木質バイオマス・バイオガス等の再生可能エネルギーの普及を同時に進めなければなりません。二点目に地域木材の利用・有機農法といったエコロジーを進め,また水資源の確保を行うということも,重要なポイントです。省エネについては村では公共施設はもちろんのこと,毎年40軒程度の民家に対して,どの部分が断熱性に問題があるかを赤外線調査を行い,半額助成での改修促進といった取組もされています。また,これから建設される住宅地や公共施設は,エネルギー収支がゼロであるパッシブハウスや,エネルギー生産が消費を上回るプラスハウスを原則としています。 これらの取組を見ていますと,環境モデル都市に選定され,「DO YOU KYOTO?」というフレーズを広めようとしている本市としましては,地球環境や再生可能エネルギー普及に向けての市長の思いや意気込みは分かるものの,実際的な取組が,世界的に見ると残念ながらまだまだ遅れているのではないかと感じた次第です。ちなみに「DO YOU KYOTO?」という言葉は知られていませんでしたが,京都という名称は,京都議定書締結の地という環境イメージに結び付く言葉として,ドイツの片田舎でもしっかり認知されていました。やはり本市としましては,観光ブランドとしての京都だけでなく,環境ブランドとしての京都もしっかりと活用する,つまり真に環境先進都市になるということが必要であろうと考えます。環境先進都市として,再生可能エネルギーの生産量を増やし,エネルギー自立することが,最終的に市内全ての地域で実現できることが理想です。ただ,いきなり人口が集中している中心部で行うことは,現実問題として困難でありますので,まずは周辺部から取組を行わなければなりません。 先日の報告会における調査団からの提言の中でも少し触れましたが,まずは実証実験としてのパイロット事業を,ヴィルトポルツリート村と似たような条件で,人口が少なく消費エネルギーも少ない,また再生可能エネルギー生産に必要なスペースや,水資源・森林資源がそろっている京北をはじめとした北部山間地域で行うべきと考えます。この実証実験が成功すれば,環境への取組に対する大きな前進となるだけでなく,現在これらの地域で課題となっている過疎化や地域経済の衰退,林業振興等についても,一定解決の糸口となり得ます。環境先進都市としての,地域ぐるみでの再生可能エネルギー普及,そして自立分散型・地産地消のエネルギー社会の構築に向けた実証実験についてどのようにお考えか,御答弁をお願いいたします。 関連して,もう一点お伺いします。事業や計画を進めるに当たっては,まずはその目標を定めなければなりません。今回の調査で訪問したドイツ・スペインの各都市においても,再生可能エネルギーへの取組を進めるに当たっては,それぞれのところで何年までにエネルギー自立を行う,あるいは再生可能エネルギーを何パーセントまで達成するという目標が,しっかりと定められておりました。現在,本市では国の方針に準じた「2020年までに再生可能エネルギーを10パーセントにする」という目標となっていますが,環境先進都市であれば,それを上回る目標が必要であろうかと思います。バルセロナ市の市議会議長が,こうおっしゃっていました。「アントニオ・ガウディが100年先を見据えたように,現代を生きる我々も100年先を考えなければならない」。明治時代に琵琶湖疏水を利用した日本初の水力発電が行われ,また,その電力を利用して日本初の市電が走った歴史ある環境エネルギー都市・京都のトップたる市長に「こうするんだ」という目標をしっかりと英断していただき,その目標を議会も承認し,また市民や事業者にも意識を共有していただいて,全市一丸となって取組を進める。できるできないの議論をするのではなく,「この目標を達成するためには,じゃあ何をしなければならない」ということを逆算して実行計画を立て,少しでも早いエネルギー自立実現を目指す必要があろうかと思います。本年度から地球環境政策監を地球環境・エネルギー政策監に改められ,また産業観光局との連携も強化した全庁体制でのエネルギー戦略の取組も進められると聞いております。環境先進都市として世界に胸を張れるような,本市の再生可能エネルギー普及目標,あるいは自立分散型,地産地消のエネルギー社会実現への道筋について市長はどのようにお考えか,御答弁をお願いいたします。 次に,生活保護不正受給対策についてであります。高齢化や長引く不況の影響などで生活保護受給者数や,保護費が年々増加の一途をたどっているのは御承知のとおりです。本市では,今年度における保護費の予算額は789億7,500万円と,市税収入2,407億円の3分の1を占めるまでに膨らんできています。限られた,また非常に厳しい本市予算の中で,本当に必要とする方々に支援を行っていくためには,不正受給の防止,そして根絶が重要な課題と考えます。本年3月には,全国初となる不正受給防止に向けた警察との協定締結が行われ,また今年度からは,新たに警察官OBの方を適正化推進支援員として採用されました。私は,このことを非常に高く評価したいと思います。福祉事務所のケースワーカーが,1人で60人から120人もの担当をしている現状では,不正受給の調査まで中々手が回らないでしょうし,また,中には威圧的,暴力的な態度を取る相手もいるでしょうから,こういった不正受給対策の専門組織は必要不可欠であります。 お隣の大阪市でも,いわゆる生活保護Gメンを配置され,従来では行えなかった夜間の張込み調査などで様々な成果も上げられたと聞いております。また,兵庫県小野市では福祉給付適正化推進条例が制定され,生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどに消費する受給者の情報を市民に提供していただくという,地域社会全体での取組として,不正受給根絶を目指されています。本市でも24年度から不正受給情報を提供していただくための専用ダイヤルが開設されておりますが,残念ながら,市民の皆様にはまだ余り知られておりません。本市における不正受給件数は,判明しているだけでも,23年度数値で719件に及びますが,判明していないものも相当数あると考えられます。現在,警察官OBによる適正化推進支援員は,まだ3名しかおられませんが,この件数を考えますと,支援員の数をまだまだ増やしていかなければなりません。また719件のうち刑事告発されたのは,わずか6件と聞いております。むろん中には軽微な事案もあるでしょうが,市民の皆さんが納めた大切な税金を使って行っている以上,受給の適正化,また不正受給に対する厳しい態度は必要であろうかと思います。生活保護受給の適正化に向けて,警察官OBによる適正化推進支援員の充実,警察との連携強化による摘発の推進をより一層行い,また市民の皆様への情報提供専用ダイヤルのPRを積極的に行うとともに,地域で御活動いただいている民生委員さんや市政協力委員さんとの更なる連携が必要ではないでしょうか。不正受給根絶に向けての決意と共に,市長の御答弁をお願いいたします。 関連して,もう一点お伺いします。私は不正受給がなかなかなくならない原因の一つは,現金という何にでも使える形で支給されていることであると考えます。本来,子供の養育・家賃・光熱費等に使われるべく支給されたものが,お酒やギャンブルなどに使われているといった話も,よくよく耳にします。住まい・食料・衣服など,できるだけ多くを現物給付とし,現金での支給を最低限とすることによって,不正受給対策に一定の効果が期待できると考えます。もちろんそのためには,現政権が検討を進めている現物給付が可能となる法改正が必要となりますが,例えば現行法の下でも,和歌山県の上富田町では,2006年から食糧物資支給制度という事業を行われております。これは生活保護の認定は受けられないが,極度に困っているという家庭が対象で,米などの食料品が月2万円分まで支給されます。この制度は,生活保護の不正受給防止に対し,非常に高い効果を発揮しており,例えば窓口に相談に来られた方が「明日食べる物がない」「子供が死んだらどう責任を取るのか」と言ってきても,「食料を支給できますよ」と伝えた途端に引き返していくケースが多々あるそうです。また逆に,本当に困っている人へ食料を支給すると,感謝の気持ちが生まれ,自立してその恩に応えようとしてくれるそうです。ちなみに上富田町ではこの5年間,生活保護費はほぼ横ばいで推移しております。本市においても,家主への家賃の直接振込が可能となる新しいシステムを,26年度中の完成を目指して構築中とお聞きしています。このことは高く評価いたしますが,それ以外につきましても,現物給付に準じた現行法でも可能な制度の検討や,あるいは現物給付が可能となる法改正の早期の実現に向けて,国へのより一層の働き掛けが必要と考えますが,御見解をお聞かせください。 以上,私からの質問とさせていただきます。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(隠塚功) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 松下真蔵議員の御質問にお答えいたします。 まず,再生可能エネルギーの普及,エネルギーの自立についてでございます。本市では,これまでから,京都議定書誕生の地として,バイオディーゼル燃料化事業や住宅用太陽光発電システムの設置助成をはじめとする再生可能エネルギーの普及拡大や,クリーンセンターにおける高効率ごみ発電などの取組を推進してまいりました。このような中,福島第一原発の事故を契機に,国においてはエネルギー政策の大転換が図られようとしております。私は,こうした変化にスピード感を持って対応し,地球温暖化対策にとどまらず,市民の暮らしや地域の経済活動を支える基礎自治体の視点に立ったエネルギー戦略を策定することが,新たな京都の未来づくりに不可欠であると確信いたしております。 エネルギー戦略の策定に当たりましては,現在次の四つの視点,具体的には,第一に,市民協働発電制度など市民参加,市民ぐるみによる地域に根差した取組,第二に,紙ごみなどからエタノールを製造する都市油田発掘プロジェクト,あるいは動植物性油脂も含めた廃油からの軽油と同等の燃料を製造する次世代バイオ軽油など全国に先駆けた取組,第三に,京都の強みを生かした産学公連携による環境・エネルギーに貢献する関連産業の創出・振興,経済の活性化への貢献,第四に,森林バイオマスの活用など,京都の自然の恵みをいかした取組,以上を基本に据えるとともに,市民,事業者の皆様方と共有できる再生可能エネルギーの普及や省エネルギー推進などの目標を明確にして取り組んでまいります。今後,この戦略を着実に実践することにより,全国をリードする環境先進都市として,自立分散型,地産地消のエネルギー社会の実現を目指して全力を挙げてまいります。 次に,生活保護の不正受給対策の強化についてでございます。生活保護制度は極めて大切なものであり,その運営に当たっては「必要な人に必要な保護」を貫き,制度に対する市民の信頼を得ていくためにも,不正受給に対して徹底して対処する必要があると考えております。このため,本市では,他都市に先駆けまして平成23年4月に適正化推進担当を設置して,取組を強力に進めてまいりました。さらに本年4月には,これまでの成果を更に発展させる新たな組織として,専任の担当部長が指揮する適正給付推進課を設置し,体制を抜本的に強化いたしました。適正給付推進課においては,適正化推進支援員について警察OB3名増員し10名とするなど,総勢20名の職員体制を整備し,徹底した不正受給対策と不正受給を起こし得ない業務体制の構築を強力に進めます。さらに,警察との連携につきましても適正給付推進課を専任の窓口と位置付け,警察との協定を締結し,その協定に基づき相互の協力や必要な情報の提供など一層強化いたしてまいります。 また,自立支援をはじめ,生活保護を適正に実施していくためには地域のきずなが大切であります。松下議員御指摘のとおり,地域に根差した活動をしていただいております民生委員や市政協力委員をはじめとした市民の皆様の御理解と御協力が不可欠であります。とりわけ自立支援について大事だと思います。それで民生委員の皆様には,これまでから,自立に向けた日常生活の様々な相談支援や被保護世帯に係る生活状況等の把握など,きめ細やかな協力を得ているところでございますので,引き続き連携を強化てまいります。さらに,生活保護に関する様々な声にお応えする適正給付推進専用ダイヤルをはじめとした取組の周知を,市民しんぶんなどを通じて機会あるごとに徹底してまいります。今後とも,市民の皆様の最後のセーフティネットとして大変重要である生活保護制度をしっかりと守っていくためにも,不正受給の根絶が大切であり,本市としてできる限りの取組は,全力で実施いたします。同時に,松下議員御指摘のとおり生活保護制度は国の制度であり,抜本的な対策を国でとっていただかなければなりません。例えば調査権限の強化,あるいは医療扶助の適正化など国における制度の改革が重要であり,引き続き国へ制度改革を要望してまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(隠塚功) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) エネルギーの自立に向けた実証実験についてでございます。東日本大震災以降,大規模集中型電源の脆弱性が明らかになり,また,電力需給がひっ迫する中で,徹底的な省エネルギー対策とともに,再生可能エネルギーをはじめとする自立分散型電源の普及拡大が求められております。京都市は,市域の4分の3を森林が占めるなど自然に恵まれた地域であり,とりわけ松下議員御提案の京北地域をはじめとする北部山間地域は,豊かな自然を背景に再生可能エネルギーを生み出す大きな可能性を有しております。このため,平成21年には,京北地域において間伐材をはじめとした木材のエネルギー化を推進し,林業の活性化と低炭素社会を実現するため,環境省の補助金を活用して地域の力で木質ペレットを製造する工場が建設されたところであり,現在ペレットボイラー,ペレット装具の普及に鋭意取り組んでおります。また,昨年度は市民誰もが再生可能エネルギーの普及に関わることができる市民協働発電制度を創設し,ウッディー京北等に太陽光発電設備を設置するなど,地域ぐるみで地産地消のエネルギーシステムの構築に向けた取組を進めてまいりました。さらに,今年度からは,長期低迷している地域林業の活性化と再生可能エネルギーの利用拡大を目的とし,林地に残された間伐材をはじめとする未利用材等の森林バイオマスをエネルギー源として利活用する方策について,多角的に調査・検討を実施いたします。また,今年中の開通を予定しています京北栗尾トンネルにおきまして小水力発電も行ってまいります。今後とも,エネルギー政策は,重要な産業政策であるとの認識の下,地域の特性を生かした再生可能エネルギーの利活用とエネルギーの自立を推進してまいります。以上でございます。 ○副議長(隠塚功) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 生活保護における現物給付についてでございます。生活保護の実施方法については,医療扶助と介護扶助を除きまして,原則被保護者への金銭給付によって行うこととされております。本市におきましては,最低限度の生活の保障と自立の助長といった保護の目的をより的確に果たすため,現物給付に類するものといたしまして,法令で例外的に被保護者以外の者への支払が認められております学校給食費,介護保険料,公営住宅家賃の代理納付等を積極的に推進しているところでございます。さらに,議員御指摘の民間賃貸住宅家賃の代理納付につきましても,平成26年度末までに生活保護新電算システムを導入したうえで,平成27年度当初に全福祉事務所一斉に実施できるよう取り組んでまいります。なお,実施に当たりましては,受給者の個人情報を保護するための厳格な取扱方法や家賃振込時の貸主への通知など解消すべき課題もあることから,引き続き,関係団体とも協議のうえ取組を進めてまいります。今後とも,生活保護制度が時代に即した最後のセーフティーネットとしてふさわしい制度となるよう,必要な制度改正等につきまして,国に対して積極的に提言してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(隠塚功) 暫時休憩いたします。 〔午後3時8分休憩〕 〔午後3時30分再開〕 ○議長(橋村芳和) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 休憩前の一般質問を継続いたします。 市政一般について,ひおき文章議員に発言を許します。ひおき議員。 〔ひおき文章議員登壇(拍手)〕 ◆(ひおき文章議員) 北区選出のひおき文章です。私は公明党京都市会議員団を代表しまして,市政一般について質問します。この放映を御覧になっていらっしゃる方々と共に,市政の課題について考えたいと思います。 昨年末の自公連立政権成立後,安倍晋三内閣が推進する経済政策,いわゆる「アベノミクス」の推進,特に「三本の矢」と表現される三つの基本方針のうち大胆な金融政策,機動的な財政政策の強力な推進により,株高,円安が進み,経済再生の兆しが見えてきています。残る民間投資を喚起する成長戦略の推進が重要となります。政府はこの成長戦略を6月にまとめる予定であり,金融緩和,財政出動,成長戦略の三本の矢で早期のデフレ脱却を目指します。私たち公明党は自公連立政権の下,政治の安定,経済の再生,東日本大震災からの復興等に対する国民の期待を確かなものにするために,これからも全力で取り組んでまいります。また,公明党京都市会議員団としても,京都市が若者に挑戦する勇気や大きな夢を与えることのできる,魅力あるすばらしいまちになるように,様々な課題に積極的に挑戦してまいります。 それでは質問に入ります。初めに本市の市税収入の見通しと財政状況の動向についてお伺いします。先ほど述べたとおり,アベノミクスの推進による株高,円安等により,経済再生の兆しが出てきています。内閣府が4月8日にまとめた3月の景気ウォッチャー調査によると,街角景気は平成18年3月に付けた過去最高の高水準に7年ぶりに並びました。近畿では平成17年12月に次ぎ2番目の高水準となりました。また,本市が4月12日に発表した「市内中小企業の景況について」の中の景気動向調査によれば,1月から3月期の企業景気DI,すなわち「上昇」と回答した企業の企業割合から「低下」と回答した企業割合を差し引いた数値は,全業種で1.9ポイント上昇し,3期ぶりに改善しました。さらに,4月から6月期の企業景気DIの見通しは,全業種で5.3ポイント上昇しました。円安による原材料や輸入燃料価格の上昇,海外経済情勢や外交問題への不安等は残されているものの,今後の景気回復への期待は高まっています。このような状況を踏まえますと,今後本市の景気動向は好転するとともに,市税収入の伸びが期待され,財政健全化に向けての環境も改善される可能性が考えられます。このことは,将来世代への負担の先送りを極力回避できる可能性にもつながります。そこで,まず平成24年度の市税収入の見通しについてお伺いします。また,予算編成において問題となる特別の財源対策である公債償還基金の取崩しの見通しについてもお答えください。そのうえで,平成25年度の市税収入について,予算編成時点との比較ではどうなると予想されるのか,併せてお答えください。 次に,平成25年度予算の四つの重点政策において,最も重要である京都経済の再生と雇用の創出についてお伺いします。京都市経済の今までの実態については,例えば経済活動の規模を表す市内総生産の過去の推移を見ますと,リーマンショック以降,平成20年度,21年度と連続対前年度比マイナスとなっています。市民の生活実感に直結する一人当たりの市民所得につきましては,確定している平成21年度の政令市間比較では,公表している14政令市中10位であり,1位の川崎市とは59万9,000円の差がありました。また,平成23年度の雇用に関する統計では,本市の有効求人倍率は0.69パーセントで,政令市間比較では20都市中10位でありました。このことは,昨年までの本市経済の低迷と市民の生活の厳しさを表わしてしています。この状況を早期に打開するとともに,なんと言っても,市民の皆さんの生活実感を好転させなければなりません。 そこで1点目に,国の経済対策と連動した公共投資事業の取組についてお伺いします。本市の安心安全,防災・減災対策等のための公共投資事業の規模は,平成24年度2月補正予算115億円確保,25年度当初予算599億円と合わせると,714億円となります。平成24年度当初予算の539億円と比べ,175億円,32パーセントの増加となっています。さらに,平成25年度補正予算で30億円程度上積みの予定です。まずは,この市民の生命と生活を守るために必要な公共投資事業を極力スピーディーに,確実に執行し,京都経済の再生と雇用の創出に結び付けることが重要です。連立与党の自民党は国土強靭化,公明党は防災・減災ニューディールを推進しており,その目標とする規模等からすれば,今年度以降も取組は続きます。従って,本市としての対応と取組も従来以上に強化しなければなりません。 このためには,私は,新たに京都市公共投資事業執行・管理・評価システムを確立すべきと考えます。その具体的な内容は,1,公共投資事業の執行,管理体制を強化充実する。執行においては,地元企業の受注に努める。2,公共投資事業の執行並びに地元企業受注状況等を定期的に情報公開する。産業観光局の「市内中小企業の景況について」と併せて発表してはどうかと考えます。原則3箇月ごとに同時に発表することにより,公共投資事業の執行と京都経済,特に中小企業の景況との関連性が分かります。3,京都経済の再生と雇用の創出における公共投資事業の効果を市民が理解できるよう適切に情報公開する。以上の内容を踏まえた京都市公共投資事業執行・管理・評価システムを確立することにより,公共投資事業に対する市民の理解も得られるものと考えますが,いかがですか。 2点目に,平成25年度以降における産業観光局を中心とする取組体制の強化についてお伺いします。門川市長は京都市の福祉,教育,環境等の取組を今後さらに充実するとともに,現在本市において喫緊の課題である京都経済の再生と雇用の創出に全力で取り組むべきです。門川市政2期目は,この重要課題に対する市長の姿勢と成果が問われます。本年度の組織改正では,産業観光局の体制強化がなされ,門川市長の課題克服に向けての決意が伺えます。市長の思いが全職員に浸透し,成果が出ることを強く望みます。しかし,この重要課題に対しては,従来とは異なる新しい取組が必要です。その主要な点は以下の通りです。1,京都市経済の実態把握の手法と取組体制を強化する。毎年1回発行される「京都市の経済」にある京都市の市内総生産,市民所得,事業所数,従業者数の推移等の重要指標は3年前のものであり,国の経済政策等と連動し,従来以上により深く,スピーディーに本市の政策を行うためには,新しい手法の確立と体制の強化が必要です。2,産業観光局の政策の推進状況と京都経済の現状分析並びに課題等についての情報発信を強化する。年1回発行している「京都市の経済」を,更に充実させるとともに,4月に7年ぶりに復刊された「京都商工情報」を,国,府,大学,民間団体等の経済調査,研究,統計等も踏まえ,分かりやすくタイムリーなものとして情報発信する。この内容は,職員にも徹底し,政策,事業推進に活用する。3,京都経済に対する調査,分析機能を強化し,実態把握と効果的な政策実行を行うことのできる人材の育成と活用を推進する。まさに経済,産業政策のプロ集団の育成を検討する。このためには,大学の頭脳との連携による京都らしい産学公連携の在り方を検討することが重要です。本年度の組織改正の実効性を高めるためにも,以上の点を踏まえ,産業観光局を中心とした本市独自の経済,産業政策の推進体制を作り上げるべきと考えますが,いかがですか。京都市経済の再生と雇用の創出のためには,本市の成長戦略と下支え政策が重要ですが,以下,成長戦略の重要課題を中心にお伺いします。 3点目は,国の平成24年度補正予算の事業の活用についてです。国の補正予算において産学共同の研究開発促進のための大学及び研究開発法人に対する出資事業が行われることになりました。この目的は,成長による富の創出のため,大学や法人による研究開発成果の事業化,実用化に向けた官民共同の研究開発を推進するものです。具体的内容は,国が大学や独立行政法人科学技術振興機構(JST)に出資し,研究成果を経済再生に活用するとともに,利潤に応じて国庫納付を行うというものです。インフラ,エネルギー,再生医療などの分野において,大学と企業との共同研究による事業化や,大学の技術を用いた事業化開発を支援するものです。予算1,800億円のうち350億円が京都大学に基金として交付され,これから具体的な事業が推進されます。主体は京都大学で,企業との共同の研究開発により,特に新しい事業,企業の創出に取り組むものです。京都経済の再生と雇用の創出において大きな役割を持つ事業であり,本市としても,産学公連携の下,積極的に取り組むべきです。特に,研究開発の支援並びにその実用化,事業化が京都市内の企業を中心に行われるように取組を強化しなければなりません。京都大学を主体に行われるこの事業に,本市としてどのように取り組まれるのか,お伺いします。 4点目に,創造都市・京都の実現に向け京都市新価値創造ビジョンに掲げられている京都・高度人材交流拠点構想(仮称)の策定・推進についてお伺いします。平成23年3月に策定された京都市新価値創造ビジョンの検討に際し,産業観光局において,元中部経済産業局長で法政大学経営学部教授の松島茂氏を講師に招き勉強会を開催しました。松島氏には京都が今後力を入れるべき重点産業分野についてアドバイスをお願いしたが,講演で話されたことは以下の内容であったと伺っています。「伸ばすべき産業を決め,それに力を入れるというやり方は過去の手法である。産業振興に最も大切なことは人であり,必要なことは,京都に世界中から優秀な人材を集め,活躍する場を与えることである。そうすれば様々な事業が生まれ,京都の産業は活性化する。京都には人を引き付けるすばらしい魅力があり,このことが可能である」と言われたそうです。この内容は,ビジョン策定検討委員会の委員の方からも提案された創造都市・京都の内容に沿うものであり,京都・高度人材交流拠点構想(仮称)の策定・推進は,京都経済の成長戦略として重要なものと考えます。具体的には,京都発の知的交流の場に国内外における世界トップレベルの優れた人材を呼び込み,新たなビジネスの創出や企業間のオープン・イノベーション,グローバル人材の育成,世界的な人的ネットワークの形成等を図り,様々な分野で価値創造を生み出すための構想を策定・推進するものです。 構想化に当たっては,次の項目について検討を行うこととなっています。1,将来のノーベル賞候補や受賞者級の研究者といった高度人材の受入基盤の整備。交流拠点施設の整備,インターナショナルスクールとの連携等です。2,大学や民間企業等の研究機関の研究者,クリエイター,起業家,学生等により構成される高密度化の交流ネットワーク機能の構築と,新たなビジネスの創出への支援。3,先端技術と文化芸術,すなわち技術と感性の融合により未来を生み出す創造機能の構築。以上の三つの項目です。京都市新価値創造ビジョンの取組のほとんどが着手済ですが,京都・高度人材交流拠点構想(仮称)の策定・推進は未着手となっています。まさに創造都市・京都の創出に向け重要な戦略ですので,本年度内に精力的に取り組むべきですが,いかがですか。 最後に,平成26年3月実施の市バス新運行計画の策定と営業所の再編についてお伺いします。京都市自動車運送事業経営健全化計画の総人件費の削減の取組において,営業所の再編が検討されています。現在,事業規模の2分の1で実施している管理の受委託について,直営と委託又は複数の委託事業者で運行を分担している営業所を見直し,再編することにより,管理コストの削減,すなわち直営の人員削減と委託事業者への委託料削減を図る予定です。現在,西賀茂営業所をはじめとして検討がなされていると伺っています。また,交通局では,中期経営方針の重点項目の一つである便利でわかりやすい市バス路線・ダイヤの編成と発信の実現に向けて検討を行い,新しい運行計画を平成26年3月より実施する予定です。この新しい運行計画の実施との関連でも営業所の再編成は重要な課題でありますが,どのように取り組まれるのか,具体的にお答えください。 以上をもちまして私の質問を終了いたします。御静聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) ひおき文章議員の御質問にお答えいたします。 まず,市税収入の見通しと財政状況についてでございます。長引くデフレからの脱却と安定的な経済成長の実現を目指す「三本の矢」と表現されます安倍内閣の基本方針は,地域経済の成長にも大きな効果が期待されるものであり,これを積極的に京都でも実現し,京都経済の再生を果たしてまいります。お尋ねの24年度市税収入については,先の市会で22億円の増額修正させていただいたところでありますが,全庁挙げて取り組んでおります徴収率の向上等により堅調に推移しており,補正後の予算額を10数億円上回る見通しでございます。また,特別の財源対策でございます公債償還基金の取崩額についてでありますが,市税収入の増に加え,この間の行政の効率化と内部経費の徹底した節減等により,当初見込みました61億円を2月補正で39億円(後刻訂正)にまで減額しましたが,最終的には更に28億円減額し,約9億円にまで圧縮いたします。 次に,25年度市税収入でありますが,最近発表の企業業績,景況調査結果を見ると,法人市民税の伸びにより予算と比べて増収を期待いたしております。ただ,企業業績が本市の税収に反映されますのは,制度上1年後になりますことや,市町村の税収構造は法人市民税の割合が低く,本市では税収全体の1割程度であることから,財政の厳しさはなお予断を許さず,引き続き行財政改革に努めるとともに,本市の成長戦略である「京プラン」の実現,また安定した雇用の創出等に取り組んでまいります。 次に,経済,産業政策の推進体制についてでございます。ひおき議員御指摘のとおり,経済環境が急激に変化する中で,京都産業の振興を図るためには,本市の経済情勢を的確に把握し,発信するとともに,我が国の経済・産業の動向をしっかりと見据えたうえで,政策を立案,実行することが不可欠であると認識いたしております。このため,経済の現況をより的確に把握する手法を構築し,併せて企業訪問等により現場の生の声を聴き,相談に乗ることで,京都経済の実態把握にも努めており,そこから得た情報をタイムリーに発信してまいります。加えて,「京都商工情報」をはじめとした様々な媒体を活用し,京都経済が抱える課題や可能性,本市の産業政策に関する情報を提供し,市民や企業の皆様と十分な意見交換を行い,それらを新たな政策に結び付けてまいります。こうした取組を進める上で,経済,産業分野に精通した高い政策立案能力,実行力を持つ職員が必要であり,大学や経済団体とも連携して,産業政策,産業行政のプロとも言える人材の育成に全力で取り組んでまいります。 次に,産学共同の研究開発促進のための大学及び研究開発法人に対する出資事業でございます。国の経済対策として,大学に対する出資事業1,200億円のうち京都大学に350億円が出資されます。本事業は,産学連携による共同研究開発の推進やベンチャーの創出支援を目的として創設されたものでありまして,京都の強みを徹底していかせるものであります。既に京都大学とも色々協議もさせていただいてますが,その活用については,本市のみならず京都経済界からも大きな期待が寄せられております。本市では,これまでから桂イノベーションパークやクリエイション・コア京都御車,京都バイオ計測センターをはじめとした拠点施設を創設し,京都大学を中心とした産学公連携による共同研究開発に取り組んでまいりました。特にこの秋には,大学の技術を民間企業に橋渡しする拠点であります京都市成長産業創造センターを伏見区内のらくなん進都内に開所し,京都大学等との連携をより緊密に進めていく,そうした時でありました。京都市としても,この度の事業の出資金を積極的に活用し,京都大学と地元の企業の緊密な連携により,これらの拠点を中心に共同研究開発やベンチャー育成につながるよう積極的に取り組んでまいります。新産業の創出,ベンチャーの創出に全力を傾けてまいります。 次に,市バスの営業所の再編成についてでございます。現在,市バス事業は,きめ細やかな74系統を764台の車両で運行しており,七つの営業所・出張所を設置しております。平成12年度以降,抜本的な改革を断行し,民間による委託運行を全体の2分の1まで順次拡大してきたことから,一つの営業所において,複数の事業者がそれぞれ運行管理部門を置き,運営を行う営業所が生じてまいりました。今回の営業所再編の取組は,営業所の運行管理部門を統合することにより,管理運営コストを削減するものであります。具体的には,錦林出張所の民間への全面委託化と,西賀茂営業所の直営一元化など,四つの営業所,出張所の運行管理部門の統合,変更を実施いたします。このことによって年間およそ1億7,000万円の管理コスト削減を見込んでおります。来年3月には,営業所再編成による効率的な運営と,ひおき議員御指摘の便利で分かりやすい路線・ダイヤの編成により,利便性の更なる向上に取り組んでまいります。市バス事業の経営基盤の安定を図り,市民の皆さんの大切な足,さらに観光客の大切な足をしっかりと守ってまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 京都・高度人材交流拠点構想(仮称)の策定・推進に向けた取組についてでございます。未来を切りひらく新たな産業の創出を担うのは,豊かな創造力を持った人であり,様々な専門領域の研究者や芸術家など多彩な人材が集まり,知的交流を通じて刺激し合う中から,新たな価値が生み出されます。そして伝統文化が息づき,優れた大学や高い技術を持つ企業が集積する京都こそ人材が集うにふさわしい都市であるとの考えから,この取組を23年3月に策定した新価値創造ビジョンに掲げたものでございます。現在,拠点の機能,交流を促す仕組み,運営主体などの課題の抽出を行っているところでございますが,拠点の設置には大学や企業等の皆様の御理解と御協力が不可欠であります。今後,これらの方々との意思疎通を図りながら,設置に向けた連携を強めるとともに,課題の解決に向けて検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 公共投資事業の取組についてでございます。本市の公共投資事業につきましては,教育・福祉施設や道路などの都市基盤の充実,公共施設の耐震化などによりまして,市民の安心安全の実現に資するとともに,さらには,地域に根差した企業の健全な発展を促し,京都経済の活性化に大きく寄与するものと考えております。ひおき議員御指摘の公共投資事業の執行管理等につきましては,国の経済対策の趣旨にかんがみ,必要な執行体制を確保し,公共投資事業の早期執行に努めるとともに,これまで積極的に取り組んでまいりました市内中小企業の受注機会の拡大について,6月からは契約約款等に下請及び資材等の購入には,市内中小企業を選定する努力義務を明記するなど,引き続き,その受注割合を可能な限り高めるための取組をしっかりと進めてまいります。また,公共投資事業への市民の皆様の御理解を得るための仕組みも大変重要であると考えております。ひおき議員御提案のとおり,今後,公共投資事業の執行状況と市内中小企業の受注状況を,現在3箇月ごとに公表している「市内中小企業の景況について」と併せて公開し,公共投資事業の京都経済活性化に対する効果を市民の皆様に御理解いただけるよう努めてまいります。 ○議長(橋村芳和) この場合,市長から発言の申出がありますので,これを聞くことといたします。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 先ほど,ひおき議員の市税収入の見通し等の答弁の中で,公債償還基金の取崩し額を2月補正で「39億円まで減額」と答弁しましたが,正しくは「37億円」でございます。慎んで訂正させていただきます。なお,更に約9億円まで減額いたします。 ○議長(橋村芳和) お聞き及びのとおりであります。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 次に,市政一般について,湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) 右京区選出の湯浅光彦でございます。ひおき議員に続いて質問いたします。よろしくお願いします。 私からは,まず中小企業の人材確保,若者の雇用対策についてお尋ねします。景気回復の兆しは見られるものの,企業の採用意欲についてはまだまだ希望ある拡大路線とはならず,慎重姿勢を崩しておりません。これらも踏まえ,自公連立政権において地域で学んだ大学生等を地域において円滑に採用,定着させ,継続的に若手人材を確保,育成する地域中小企業の人材確保・定着支援事業を先の補正予算で確定,開始をしております。また,京都市では,これまでから府市協調事業として京都未来担い手養成塾や京都未来担い手アカデミー,京都市独自の施策である京都企業・就業情報データベースシステムの運営を基に,京のまち企業訪問登録企業による合同企業説明会や企業訪問研修会など,雇用のミスマッチ解消に向けて鋭意努力を重ねてきました。しかし,学生については就職先を選ぶ基準として,まず知らないところより知っているところから希望することは自然であり,自分自身が,また周りがよく知る大企業に集中しがちです。他方,企業では,学生が集中すると有名大学からとなりがちとのことです。そうなると人材を求める中小企業は2番手,3番手となり,例え決まったとしても保護者をはじめとした周りが反対してしまうケースも多々あると伺います。 これまで,国や府が職業紹介など出口対策に重点を置いてきたのに対し,京都市は中小企業の人材確保,雇用のミスマッチ解消のため,就職活動として必要な企業研究や社会人としての心構えを大学2年や3年といった早期から支援することが必要であるとの視点に立ち,独自の就職支援の取組を進めてまいりました。その一つが23年度より実施しているフルカバー学生等就職支援事業です。この事業は失業者を京都市からの委託事業者が雇用し,CDA(キャリアデベロップメントアドバイザー)の資格取得を通じた就業支援をまず行い,併せてインターンシップ制度などの機会に恵まれない学生などに対し,苦労した彼ら自身が就職に向けた人材育成研修の実施や,既卒3年以内の未就職者を含む新卒者などの意識改革から就職までの支援を行うという制度であります。バーチャルな世界に頼ることなく人対人のぬくもり,学生の目線に立った事業であり,大切に育てて行くべきと考えます。就職活動の後ろ倒しによる環境の変化など課題が見える中,京都市独自の視点に立った京都経済を支える中小企業への優秀な人材確保,就職支援について今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか,市長の御見解を伺います。 次に,市民参加の新たな取組について質問いたします。私が議員となった平成15年,丁度今から10年前。この同じ5月議会において初当選後,初めての代表質問の一つが市民参加推進条例についてでありました。当時候補者として市民の声を伺う中で「行政には市民の声が届かない」「もっと市民の思いを分かる政治を実現してほしい」とのお声を背景としたものでした。また情報公開についても当時からの大きな課題であり,京都市は現在,審議会の公開は100パーセント,公募委員についても7割の審議会で実施しており,全国的に見ても情報公開と市民参加は進んでいるとの高い評価を得ております。さらにこの10年間,「はばたけ未来へ!京プラン」策定に際しては1万2,000人アンケート,行政評価の体系化と市民生活実態調査の実施,未来まちづくり100人委員会の設置など推進を図られてきたことは評価するものです。一方で,市民に直接意見を伺う有効な手段であるパブリックコメントの意見数は,増加傾向ではありますが数の多さだけを競うものともいえず,また案件によってもばらつきがあり,どこまで市民の声を吸い上げているのか判断には苦しむところです。 さて,そこで質問に移りますが,京都市はこれまで情報公開,市民参加のための各種の取組を間断なく実行してまいりましたが,ここで新たな市民参加のための手段,より多くの市民に対して受け手としてのウイング,幅を広げていくべきではないかと存じます。その新たな手法とはガバメント2.0と言われるものです。横文字はできるだけ避けたいのですが,この考えはアメリカのティム・オライリーさんが提唱されたもので,市民参加の新たな概念です。具体的には自治体がアプリソフトを使い,インターネット,主にWi-Fi環境の下,スマートフォンを使って市民から行政へ直接情報を届けてもらう仕組みです。先日,NHKのクローズアップ現代においてアメリカのフィラデルフィア市の例が紹介されていました。これまでまちづくり計画など策定の際はタウンミーティングを開いていましたが,予算,回数,参加人数共に制限がありました。そこでトロリーバスの車体や街角のボードにアンケートを掲載し,市民はそれを見て即座にスマートフォンアプリを使い,市に答えを送るというものです。この方法だと,多くの市民の率直な意見が把握されると同時に,予算的な制約も緩和されるといった利点が示されておりました。また,道路の陥没や落書きなどをスマートフォンで写真に撮り,その場から即時送信し,行政はそれを受けて直ちに対応する24時間の苦情受付システムなども紹介されておりました。この24時間受付システムは,2012年の大型ハリケーンのときも威力を発揮し,市内の被災状況を市民が刻々と寄せ,市は素早く復旧に動くことができ,「市民の英知のお陰で行政の効率化を達成できた」とのことでありました。 一方,千葉市では,これら海外の事例も踏まえ,スマートフォンアプリを活用して,道路の補修や公共物のメンテナンスを行おうとする試みについて紹介されておりました。我々議員も,市民から連絡を頂き,現地で写真を撮り,それを土木事務所などで見せて対応しているわけですが,そのインターネットを使った市民版と理解してもらえればと思います。 現在,京都市においても電話や手紙,FAX,メールなど様々な手段を活用して情報受信,市民意見の聴取に当たっていることは承知しており,これらの手段を否定するものではありません。しかしスマートフォンを使うメリットは,電話などとは違い場所が正確に自動で送れること。画像も送りやすく随時かつ迅速です。またホームページ,ユーチューブなどにも容易に送信することができるため外部にも発信しやすいなど多くの利点があります。今ではスマートフォンの普及も大幅に進む中,京都市ではバス停に297箇所,セブンイレブン78箇所など,計385箇所においてWi-Fi環境を整備するなど情報環境も着実に進展してきております。既に,京都市として真のワークライフバランスに関するインターネットアンケートなどを実施されたとのことですが,先進事例を参考にしつつ,もっと多くの市民がスマートフォンの特性を生かし,手軽に参加することのできる京都市版ガバメント2.0導入を是非とも進めていただきたいと考えますが,いかでしょうか。御所見をお伺いします。 次に,ユニバーサルツーリズムについて質問します。先月4月15日,公明党の山本かなえ参議院議員が観光先進都市・京都におけるユニバーサルツーリズムの取組について視察に訪れました。門川市長と海外パートナーシップの進捗状況等について確認後,東山区にある蓮華王院の三十三間堂さんをユニバーサルツーリズムコンシェルジュの西河氏と共に山本本人自ら車椅子による視察を行いました。玉じゃりでの車椅子の操作法などについても実体験し,併せて三十三間堂さん独自の取組について丁寧な説明を受けました。視察後,山本かなえ参議院議員と共に交通バリアフリー法に続き,ユニバーサルツーリズムを推進するための法律や制度,推進体制等の仕組みづくり,民間施設のユニバーサル化推進のための改修費用や雇用,研修等への支援,京都をモデル都市として古都の風情を残したバリアフリーの推進などの課題について意見交換をいたしました。また,後日,私からは京都市でもシーズンに不足するリフト付き観光バスの他府県配車における京都市内での営業許可等を要望させていただいたところです。 後日,西河氏と共にコンシェルジュである北見氏に対し,京都市におけるユニバーサルツーリズムにおける現状等について伺ってまいりました。氏いわく,「ユニバーサルツーリズムとは,高齢者や障害のある方でも誰もが観光を楽しむことであると考えますが,手すりの高さ一つとっても人それぞれ適合があり,全ての方にあわせることは困難である。それよりも大切なことはその心であり,京都市は代々受け継がれてきた伝統であるおもてなしの心を十分に発揮し,ユニバーサルツーリズムを実行している」とのことでありました。これからもこのおもてなしの心を共に大切にしていきたいと思います。 一方,これからの課題として,高齢者,障害者に関わらず,その特性はおのおの違います。観光の受け手側としておのおのの希望や状況にマッチさせることができるかどうかの判断が必要となります。その判断の基準は,何といっても情報の正確さと量であります。京都市は更に充実した情報発信の機会の拡大を図る必要があります。また,北見氏からは現在の京都におけるコンシェルジュは男性二人であり,需要を考えれば女性も含めた更なるコンシェルジュの増員及びその存在の広報の拡大,旅館,ホテルなど,受入先のおもてなしの研修会の充実,ユニバーサルツーリズムの体験者として,その企画から京都観光までをストーリーとした広報の作成などの御提案も頂いたところであります。どれも大変に重要な視点であると思います。これらの視点も踏まえ,今後の京都市の取組について御所見をお伺いします。 次に,障害者施策におけるショートスティ,レスパイト事業及び相談体制についてお尋ねします。ショートスティ,レスパイト事業は,保護者の方が障害のあるお子さんを施設に預かってもらい,一時的な時間を確保する事業であります。日常生活を営む上において確保しなくてはならない時間がどうしても必要なときがあることは,誰しも同じであります。予定が分かるものについては何とか工夫をされ利用されていますが,予定を立てることができない事情が発生することもままあります。例えば,ある御家庭では母親が病気で急きょ1箇月入院することになり,父親も仕事を長期間休むことは困難で,子供を長期に預けることができず非常に困った。重度の障害のある子供を持つ親が長期入院した場合など,預かり可能な施設が必要であり,特に胃ろうの処置や人工肛門などの医療的ケアができる施設が非常に少なく,今も不安を抱えたままである。また,母子二人家庭では,お子さんがインフルエンザにかかったため施設の受入れを断られ,自宅で看病していた母親までインフルエンザとなり,どこにも預けることができず,どうすることもそのときはできなかった。私の地元右京区でも,24年度にショートスティが1箇所増設されたものの,右京区内には施設が少ないため,葬儀や祖父母の介護,入院手続など,どうしても子供を連れて行けない場所での用事ができたとき,短時間もしくは数日間でも構わないのですが,近辺で急に預かってもらうことができない等々でございました。レスパイトと言うとリフレッシュの響きがありますが,実際は急なときこそ必要であり,これらの事例から見てもショートスティ,レスパイト事業については,地域のバランスも考慮しながら充実させていく必要性があります。 一方で,これらの要望に全て応えることは,すぐにできることではないことも充分承知しております。ゆえに事業の充実及び拡大を図るとともに,いかに今ある施策を柔軟に,効率よく相談者の状況に応じて組み立てていくことができるかどうかであります。現在は,障がい者地域生活支援センター,福祉事務所,保健センター,さらには児童福祉センターなどの専門的な相談窓口が複数あります。その都度対応していますが,障害という特性をかんがみた場合,専門性や継続性を踏まえつつ,障害のある子供を育てる保護者が負担を抱え込んでしまわないよう,地域の身近なところでの総合的な相談支援体制を充実させ,家族の身体的,精神的な負担軽減を図ることが重要ではないでしょうか。今般施行されたいわゆる「障害者総合支援法」においては,全てのサービス利用者に対し平成27年3月までにケアプランの作成が必要とされたところであり,相談支援の仕組み作りが期待されます。ショートスティの充実を図ると共に,地域の身近なところでの,総合的な相談窓口を基本とした相談体制の充実を望むものですが,今後どのように取組を進めていかれるのか,お聞かせください。 最後に,地元右京区役所における駐輪場の拡充について申し上げます。自転車,原動機付きバイクでの利用者が大変多く,拡充もしていただきましたが,まだまだ少なく,本当に困るとのお声を多々伺います。地下鉄利用者の無料駐輪場使用防止など努めていただいていますが,拡充に向けて更なる取組を進めていただきたいということを強く要望し,質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 まず,中小企業の人材確保についてでございます。本市では,平成23年度から京都市フルカバー学生等就職支援センターを設置し,全国で唯一,就職活動が本格化する前の一,二回生の段階から,卒業後3年以内の未内定者までをカバーするきめ細かな就職支援事業を行ってきております。本事業では,夏期集中セミナーや17の大学,短期大学に及ぶ出張セミナー,個別キャリアカウンセリング等により,大学生に対し,働くことの意味を考え,自己分析力を身に付け,中小企業の魅力を確認してもらうなどの支援を行ってまいりました。また,京都の中小企業の魅力を紹介する本市において設置しております京のまち企業訪問サイトを開設しておりますが,年々充実を図り,現在2,300社が登録し,1日のアクセス数が6,000件に上っております。このサイトでは,会社の概要に加えまして,先輩社員のメッセージなどの魅力を発信しております。中小企業の様々な魅力が理解していただけるかと思います。さらに,掲載企業の合同就職説明会も開催するなど,中小企業が人材を確保するための支援策も展開してきております。湯浅議員御指摘の,大学生の就職活動時期の後ろ倒しによる環境の変化に対しまして,今後,大学生が中小企業経営者の話を直接聞く車座セミナー等の取組の充実を図るなど,早いうちから,大学生が京都の元気な中小企業を就職先として更に魅力を感じるような取組を進めてまいります。そして中小企業と大学生のミスマッチの解消を図り,京都の経済の活性化,また雇用の創出に取り組んでまいります。 次に,ユニバーサルツーリズムについてでございます。本市におきましては,これまでから駅や周辺道路等のバリアフリー化を推進する「歩くまち・京都」交通バリアフリー全体構想や全ての人が暮らしやすいまちづくりを進めるみやこユニバーサルデザイン推進指針に基づきまして,ハード面,ソフト面両面でバリアフリー化に取り組んでまいりました。また,こうしたバリアフリー情報をホームページ京都ユニバーサル観光ナビにより発信するとともに,昨年12月には京都ユニバーサルツーリズム・コンシェルジュ制度を全国に先駆けて創設し,全ての方に安全快適に京都観光を楽しんでいただけるよう,お体の状態や必要なケアの内容に合わせたきめ細やかな情報提供を行っております。京都が全ての観光客に優しいまちであるためには,湯浅議員御指摘のとおり,ハードの整備や情報発信の充実に加えまして,京都ならではのおもてなしの心こそが極めて重要であります。今後は,女性の任命も視野に入れたコンシェルジュ制度の充実,また広報の充実,ユニバーサルツーリズムに関する研修対象の拡大,観光施設や土産物店などによる地域のネットワークづくりの推進など,観光に携わる方々を中心にユニバーサルツーリズムに関する理解を深めてまいります。こうした取組を通しまして,障害のある方や高齢者の方々が京都のまち全体で丁寧におもてなしをする風土作りを進め,誰もが奥深い京都の魅力を存分に味わっていただける5,000万人感動都市を目指してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 障害福祉施策におけるショートステイ事業や相談体制の充実についてでございます。障害のある方や御家族が,地域で安心して生活していただくためには,湯浅議員御指摘のとおり,御家族に急な病気や用事があった場合等に利用できるショートステイ事業の充実や,保護者の方が負担を抱え込まない相談体制の確保が重要であります。障害福祉サービスにつきましては,3年ごとに定める京都市障害福祉計画に基づきまして充実を図っており,ショートステイ事業では,現在,平成19年度からは2倍以上の定員となります115名分を確保しておりますが,地域における配置バランス等も踏まえながら,今後とも事業の充実を図ってまいります。 また,御指摘のサービス等利用計画につきましては,平成26年度末までに全ての利用者に対して作成する必要があることから,計画作成を行う相談支援専門員につきまして,養成を担う京都府とも連携し,増員を図ってまいります。さらに,市内を五つのブロックに分けて設置しております障害者地域生活支援センターにつきまして,今年度から各ブロック1箇所の職員を増員し,基幹相談支援センターとして位置付け,相談支援事業所への助言,指導等を行うといった機能強化を図っております。こうした取組に加えまして,地域における市民ぐるみの支援のネットワークの強化を図り,引き続き障害のある方に寄り添った相談支援を進めてまいります。今後とも,障害があっても,住み慣れた地域で心豊かに安心して生活できるよう,この度策定いたしました支えあうまち・京都ほほえみプランに基づいて,施策を推進してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 山内企画監。 〔山内企画監登壇〕 ◎企画監(山内清) スマートフォンを活用した市民参加についてでございます。スマートフォンの特長は,外出先でもインターネットに簡単に接続できる点と,豊富なアプリケーションが利用できる点であり,平成26年度末には,携帯電話端末の総契約件数の半数以上になるとも言われております。こうした現状を踏まえ,昨年度から,バス停や地下鉄駅等に公衆無線LANを整備する京都どこでもインターネットに取り組むとともに,スマートフォンアプリの市政への活用に関するガイドラインを定め,市政の様々な分野で積極的に活用していくこととしたところでございます。既に,位置情報とのリンク,画像の受発信が容易というスマートフォンのアプリの特質をいかし,京・上京探訪など,観光分野で先行して活用しているところであり,また,災害時に被災状況などを市民がインターネットで投稿できるきょうと減災プロジェクトの運用や,フェイスブック等を利用したイベント情報の受発信など,様々な情報通信技術の活用にも取り組んでいるところでございます。今後におきましては,湯浅議員御指摘のように,スマートフォンは手軽な市民参加の手段として大変有用であり,特に普及率が高い若者世代の市民参加の促進に期待できるものであることから,アプリケーションの導入やソーシャルメディアの利用により,様々な市民参加の場面でスマートフォンがより一層有効に活用できるよう積極的に検討してまいります。そして,スマートフォンをはじめ様々な情報通信技術を生かしながら,参加と協働のまちづくりを推進し,地方分権・地域主権時代にふさわしい自治の先進都市を目指してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) これをもって一般質問を終結いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時26分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~             議長    橋村芳和             副議長   隠塚 功             署名議員  山元あき             同     平山よしかず △(イメージ)請願文書表「受理番号155」「洛西ふれあいの里保養研修センターの存続等」・請願文書表「受理番号156」「洛西ふれあいの里保養研修センターの存続等」 △(イメージ)請願文書表「受理番号157」「河合橋の歩道の安全対策」・陳情文書表「受理番号66」「小中一貫校における通学方針の見直し等」...