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03月02日-03号

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  1. 京都市議会 2012-03-02
    03月02日-03号


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    平成24年  2月 定例会(第1回)       平成24年第1回                 京都市会会議録 第3号       (定例会)                     平成24年3月2日(金曜日)出席議員(67名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 井上与一郎議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  17番 島本京司議員  18番 椋田隆知議員  19番 桜井泰広議員  20番 下村あきら議員  22番 加藤あい議員  23番 西村善美議員  24番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  33番 西村義直議員  34番 吉井あきら議員  35番 田中明秀議員  36番 山本恵一議員  37番 西野さち子議員  38番 玉本なるみ議員  39番 くらた共子議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 中川一雄議員  52番 寺田一博議員  53番 津田大三議員  54番 田中英之議員  55番 中村三之助議員  56番 大西 均議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 北山ただお議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 井上けんじ議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 橋村芳和議員  67番 小林正明議員  68番 加藤盛司議員  69番 繁 隆夫議員  70番 富 きくお議員  71番 内海貴夫議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(2名)  21番 宮田えりこ議員  32番 山元あき議員   議事日程   開議日時 平成24年3月2日(金)午前10時第1 議第1号ないし議第22号,議第24号ないし議第27号,議第29号ないし議第32号,議第37号,議第45号ないし議第51号,議第53号,議第56号ないし議第59号,議第62号,議第63号,議第151号及び議第153号,平成24年度京都市一般会計予算 ほか46件第2 議第23号 京都市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例の制定について第3 議第28号 京都市職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第4 議第33号 京都市区役所の名称及び位置に関する条例の一部を改正する条例の制定について第5 議第34号 京都市動物園条例の一部を改正する条例の制定について第6 議第35号 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について第7 議第36号 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について第8 議第38号 京都市理容師法に基づく衛生上必要な措置等に関する条例の制定について第9 議第39号 京都市美容師法に基づく衛生上必要な措置等に関する条例の制定について第10 議第40号 京都市興行場法に基づく公衆衛生上必要な基準に関する条例の制定について第11 議第41号 京都市公衆浴場法に基づく衛生上必要な措置の基準等に関する条例の制定について第12 議第42号 京都市クリーニング業法に基づく衛生上必要な措置に関する条例の制定について第13 議第43号 京都市旅館業法施行令に基づく構造設備の基準に関する条例の全部を改正する条例の制定について第14 議第44号 京都市福祉事務所設置条例の一部を改正する条例の制定について第15 議第52号 京都市食品衛生法に基づく管理運営基準に関する条例の一部を改正する条例の制定について第16 議第54号 京都市屋外広告物等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第17 議第55号 京都市市営住宅条例の一部を改正する条例の制定について第18 議第60号 京都市図書館条例の一部を改正する条例の制定について第19 議第61号 全国自治宝くじ事務協議会を設ける普通地方公共団体の数の増加及び全国自治宝くじ事務協議会規約の変更に関する協議について第20 議第64号 町の区域の変更について第21 議第154号 京都市乗合自動車旅客運賃条例の一部を改正する条例の制定について第22 議第155号 京都市立小学校冷房化等事業実施契約の変更について第23 議第156号 京都御池中学校・複合施設整備等事業実施契約の変更について第24 議第158号 京都市立神川中学校増築工事請負契約の変更について第25 議第160号 市道路線の認定について第26 議第161号 訴えの提起について第27 議第162号 訴えの提起について第28 議第163号 訴えの提起について第29 議第164号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第30 議第165号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第31 議第166号 訴えの提起について第32 議第167号 澱川右岸水防事務組合規約の変更に関する協議について第33 報第25号 控訴の提起について第34 市会議第1号 京都市技能労務職への職員の採用等に関する条例の制定について第35 請願審査結果について(経済総務委員会)第36 請願審査結果について(まちづくり委員会)第37 議第143号ないし議第150号,議第152号,議第157号及び議第159号 平成23年度京都市一般会計補正予算 ほか10件(予算特別委員長報告)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(井上与一郎) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 本日の会議録署名者を指名いたします。椋田隆知議員と国本友利議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願6件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 日程に入ります。 日程第1,議第1号ないし議第22号,議第24号ないし議第27号,議第29号ないし議第32号,議第37号,議第45号ないし議第51号,議第53号,議第56号ないし議第59号,議第62号,議第63号,議第151号及び議第153号,平成24年度京都市一般会計予算ほか46件,以上47件を一括議題といたします。 昨日の議事を継続し,質疑を続行いたします。 隠塚功議員に発言を許します。隠塚議員。 〔隠塚功議員登壇(拍手)〕 ◆(隠塚功議員) 皆さん,おはようございます。左京区から選出をいただいております民主党の隠塚功でございます。民主・都みらい京都市会議員団を代表しまして,中野,松下議員と共に24年度の予算に関して質疑をいたします。市民の皆さんに分かりやすい答弁をよろしくお願いいたします。 まずは,先般行われました京都市長選挙におきまして再選を果たされました門川大作市長に対し,多くの皆様の御支援を賜りましたことを心から御礼を申し上げます。民主党でも党本部の推薦を得,これまで以上に,国会議員,府議会議員,そして我々,民主・都みらい市議団が一体となり,そして連合をはじめとする友好団体や様々な支援者の力を結集して戦うことができました。御支援,御協力いただいた皆様に会派を代表して感謝申し上げます。 〔井上議長退席,安井副議長着席〕 ◆(隠塚功議員) (続) その選挙戦で,再三,山田啓二知事から府市協調の必要性を訴えていただいたことや,最終日に嘉田由紀子滋賀県知事と越直美大津市長にお越しをいただき,大阪とは違った市民と一体となった府市,県市協調並びに隣接自治体との連携の必要性を訴えていただいたことは意義深く,また奥山恵美子仙台市長矢田立郎神戸市長により,政令指定都市同士の連携の必要性も訴えていただけたことは,これからの広域連携の在り方や大都市制度の在り方を京都市として考えていくうえでも,有権者に分かりやすい大変意味のある機会になったと思っております。これまでから,他の政令指定都市で議論されている大都市制度の研究を京都市は京都市なりの考えの下に先導していくことを私は求めてきましたが,これは道州制をはじめとして国の在り方を問うものでもあり,すぐに実現できるものではありません。ただ制度改革が検討される中で,京都市の意向が反映されないような大都市制度ではいけないことから,他都市に遅れることなく市民を巻き込んだ検討や議論の必要性を訴えてきました。 もう一方で国の財政も,そして自治体財政も厳しい状況の中で効率的な行政運営が求められており,これは待ったなしの状況にあることから,府市協調の下で効率的な自治体運営を進めていただくことも求めてまいりました。今回の選挙では,私は市民の皆さんから府市協調の下での効率的な行財政運営,雇用の創出,防災対策などを進めていくことを積極的に求められたのではないかと考えております。まずは,経済環境も財政状況も逼迫している状況で,再選を果たされた市長の市政に対する取組への決意と,この4年間で府市協調により実現していきたい取組をお聞かせいただきたいと思います。 その点で,私は二重行政の解消に向けた一層の努力がまずは求められているのではないかと考えています。これまでから,山田知事と門川市長の協調の中で府市共同パネルの実施により,鴨川における違法駐輪の効率的な撤去や地球温暖化対策条例の調整などの成果があることは認識しています。しかし,今回の選挙結果を踏まえたときに,これに甘んずることなく一層市民に見える形での府市協調が必要だと考えています。京都市の負担が軽減されるだけでなく,場合によっては京都府の負担が軽減される協力関係も,ひいては京都市民に返ってくるものでありより進めていくことが必要だと考えています。具体的に検討されていることがあればお聞かせください。 次に,今回提案されている予算に関して質疑いたします。24年度予算は一般会計が7,381億円であり,今年度を83億円下回る減額予算となっています。本来であれば再選直後は推進したい事業も多いことから,増額予算としたいところでしょうが,固定資産税評価額の見直しにより固定資産税と都市計画税が合わせて54億円減額となる見込みであること,将来世代への負担の軽減に努めることなどから,社会福祉関係費の自然増があるにもかかわらず減額予算とされています。さすがに臨時財政対策債の発行抑制とまでは至っていませんが,民間活力の導入も一層進める中で,何とかマニフェストに掲げた項目にも着手できるように予算が組まれています。そのために事業の見直しも積極的に進められており,昨年から2年連続で私たちが実施した事業仕分けの結果も参考にされ,事業見直しが図られていることを評価しているところでもあります。もちろん,京都市としてこれまで進めてきた事務事業評価に基づいた事業見直しを進めていることが前提ではありますが,事業の本来の目的に沿っているのかどうか,これを問うた事業仕分けは事業見直しの参考になることは間違いありません。こうした様々な手法を用いた行財政改革を一層進めることで,新たな市民ニーズに応えるための財源を生み出していかなければなりません。また,国民健康保険や介護保険,後期高齢者医療は会計としては独立しているものの,これらの保険料は一般会計からの繰入金によって左右されるものであり,日本全国で所得の二極化が進んでいることや,京都市は高齢化率が高い状況にある中で,保険料を抑えつつ一般会計の財政規律を守ることは大変難しい状況にあります。同様に,水道,公共下水道,自動車運送,高速鉄道の事業においても,公営企業の基盤安定化のために一般会計からの繰入金がありますが,こちらは一般会計の繰入金を減らすために更なる自助努力を求めてはいるものの,まだまだ負担しなくてはならない状況にあります。このような状況下での24年度予算であったわけですが,今回の予算策定において,事業見直しの視点,予算配分の視点において特に重視した点をお聞かせください。 ところで,私たちの会派では昨年の選挙におきまして新・京都スタイル,京都市会版マニフェストを作成し,選挙期間中も私たちの取り組む政策として訴えてきました。その中に取り上げていたのが,一つは重要橋りょうと言われる緊急性の高い87橋りょうについて集中的に耐震化補修をするというものでありました。これは一昨年,つまり昨年の東日本大震災発生前から私たちの会派では問題視をし,予算要望にもそして選挙戦のマニフェストにも書かせていただきました。結果としてこの震災後,国への最重点の要望項目にも挙げられ24年度には全体予算11億2,200万円が耐震化予算に組み込まれました。また,木質ペレットボイラーの普及に京都市は努めてきましたが,役所以外に実績がなくペレット工場の生産量安定化には程遠い状況にありました。しかし,これは北部をはじめとする林業地域の希望の光でもあり,地球温暖化ガス低減のためにも普及させていかなくてはならないことから,私たちの会派ではペレットボイラーに関して補助率を引き上げることを求めてきました。24年度では初めて補助率を3分の1から3分の2に引上げを行うことになり,初期投資の負担が大幅に軽減されるようになりました。これも大変評価しております。 次に,生活保護に関しては,就労意欲喚起等支援事業並びに生活保護適正化推進事業が24年度は昨年度よりも予算を増額計上されています。ライフラインとしては大変重要な施策ではありますが,扶助費は788億円を計上しており23年度よりも更に増えています。既に一般会計の1割を上回っている状況であることからも,厳格な運用と一層の就労支援を進めて扶助費の低下を実現しなくてはなりません。その意味でも,この取組は私たちの会派で要請してきていることでもあり評価しています。しかし,これらはこの1年実施すれば目的を達成できるものではなく,財政が厳しくても継続していくことと,周辺環境も同時に整備しなくては実現できません。そのことから,今お示ししました3事業に関し24年度の具体的な取組と中長期での目標をお聞かせください。 次に,産業育成についてお聞きします。これまで京都市経済を牽引してきたのは,製造業と観光業だと思っております。恐らく,これからも両業態における京都市経済への影響力は大きいものだとも思っています。しかし,恒常的な円高状況と中国をはじめとする新興国の技術力向上など,今まで以上に付加価値を与えることができなければ,製造業や観光業も苦戦を強いられることは間違いないと考えています。そのために,新産業創造として知恵産業創造支援事業を進められていることも承知をしております。しかし,時間を掛けて育てていく新たな産業とは違い,既に急速に拡大しつつあり経済産業省が製造業と観光業への波及効果の大きさとして期待している産業があります。それがコンテンツ産業なのであります。京都市は映画発祥の土地でもありますし,鳥獣戯画をはじめ漫画の発祥の地とも言えるでしょう。また,テレビゲームを世界に広めたのも京都の企業でありました。更に京都市芸術大学のように芸術系大学が複数あり,日本で初めてマンガ学科を設けた大学もあります。もちろん大学が40近くもあることから,多くの知恵と情報が集積する環境にもあります。また,何よりも1200年にわたって都のあった土地として,様々な有形無形の文化財がこの地には残っています。つまり,京都市ほどコンテンツ産業の基盤となるものがそろっている都市はないのであります。それだけに,製造業や観光業を生かしていく付加価値を生み出していくものとして,このコンテンツ産業の育成を図り,コンテンツ産業の日本の拠点を担うつもりでの取組が必要であると考えております。 ところで,24年度予算の中では,マンガクラスター形成事業として2,300万円を計上し,全体として3,900万円と前年度比1,500万円増の予算が計上されているのですが,事業名称でも分かるように,現在の産業観光局の対象が漫画やアニメを中心にした取組になり過ぎていると感じております。コンテンツ産業の中で現在,グローバル化できているものは確かにこの分野ではありますが,ゲーム,音楽,放送,映画などもコンテンツ産業であり,これらを融合していくことがこれからは求められていき,そのことにより製造業と観光業に影響を与えるものになっていくと考えております。だからこそ,まずは広くコンテンツ産業を育成する体制が必要ではないかと感じるのであります。 しかし現時点では,映画については芸術文化の観点から製作支援を文化市民局が政策枠予算で実施することになっております。このように産業として位置付けられるようになった今,これを総括的にどう生かしていくのかを考える体制にしてくことがコンテンツ産業の育成につながり,デジタルアーカイブ画像も含めて生かし方を検討できることになると思います。既にソーシャルネットワーキングサービス事業として認知されているグリーやDeNAには大学生の就職希望者が殺到しており,長期インターンシップを受け入れ,そこで能力の高い学生を優先的に採用するなどの取組も行われております。京都市内の大学にも,コンテンツ産業に関心のある学生も多いはずです。そういう人たちを結局東京に吸い上げられる状況が続くことは,京都市にとってもマイナスのはずです。だからこそ,こうした産業が京都の地で成長できるための支援の在り方を考えるとともに,学生時代から積極的に活動の場を提供することも考える一体的な組織が欠かせないと思っております。その意味では,京都市広報で作成されていた短編映画も,こうした人たちの発表の機会として捉えて,作成してもらうことは意味があると思っております。このように庁内のコンテンツをどう使い,どう生かしていくのかを考え,コンテンツ産業を京都市に根付かせ,発展させる戦略が必要です。どのように考えているのかをお聞かせください。 次に,野生鳥獣被害対策,特に猿への対応についてお聞きいたします。21年度の決算議会で野生鳥獣被害対策に関し,多くの市民が困っていた猿に対する対策がまだまだ不十分であることを予算執行の状況と,滋賀県と京都府の野生鳥獣保護管理計画の相違点から指摘をさせていただきました。またそのうえで,被害対象が農作物と地域住民で担当部署が異なる現状を見直すべきとも指摘をさせていただきました。今回の予算では,農業振興における有害鳥獣被害防止は前年度よりも400万円減額しているものの,林業振興の地域獣害対策支援事業が新設され,森林等被害防止対策事業は増額。生活安全対策の野生鳥獣対策も増額となっており,全体としては野生鳥獣対策を一層進めていく意思の表れになっていると思っております。しかし限られた予算でもあり,効率的に事業執行しなければまだまだ十分な対策とは言えないと思っております。その点で,やはり縦割り組織の解消が欠かせないと考えています。つまり,被害に対する対策を各部門で別々に行う状況では同じ場所で発生する被害であっても別々に対策を講じることとなり,有効な手立てが打ちづらい現状にあると考えます。年末から修学院学区では,老人会が中心となって野生鳥獣対策を求める署名活動を行っており,既に1,000名を超えるものとなっております。また修学院小学校のPTAでも,子供たちの安全の観点からも署名活動が行われています。昨年から猿の追上げ隊が活動していますが,猿の大群を見掛けるのは夏場であれば早朝の5時や6時の時間帯であり,昼間に大群を目にしたことは聞いておりません。また,夕刻には夕闇に紛れて大群が木々に群がっていることもお聞きをします。しかし,猿の追上げ隊の活動時間帯は残念ながら9時から16時となっており,住宅地周辺に下りてきている時間帯の活動となっていないのが実態です。子供たちが通学する時間帯も対象となっていないことから,先ほど述べましたような署名活動が起きているのであります。子供たちが安心して学校に通学でき,また高齢者が安心して生活できる環境整備のためには,猿の追上げ隊の時間見直しも欠かせないと考えております。是非,24年度は効率的で効果的な対策を講じるために,組織の一元化と猿の追上げ隊時間見直しをお願いしたいと考えていますが,いかがでしょうか,お聞かせください。 次に,学校給食についてお聞きします。京都市では,学校給食においても地域産食材の利用を進めるとともに,郷土料理をメニューに加えるなどの工夫もして,地産地消につながる取組を進めてきたと認識をしております。しかし,これを一層進める取組を私はお願いしたいと考えています。つまり,できるだけとか,積極的にといった抽象的な目標で実施するのではなく,具体的な数値目標をもって工夫することが必要だと考えています。例えば千葉県では,平成22年度の学校給食における県産農産物割合が出されており,大根やキャベツなどの主要11品目については,使用割合が何と87パーセントであったことが全校調査結果として示されています。このような実績調査がまずは必要と考えています。それに基づいて,地産地消をどのように伸ばしていくのかを考えなくては改善はしないでしょう。このように一つは,府内産農産物割合の数字を調査することだと考えていますが,もう一つの指標として考えられるのがフードマイレージであります。これは元々1994年にイギリスにおいて考えられた指標で,食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標で,単に食料の海外依存度を表す自給率とは異なり輸送距離を含めた食料の輸入構造を表すものとなっています。その後,日本では2001年に農林水産省でも研究が始まっており,最近では地産地消の観点でこれを用いる例も出てきています。この指標を使うことで,府内産をはじめとしてできるだけ近い産地の食料を使用することになりますし,もちろん生鮮食料品以外の物も府内産を中心に使用するきっかけにもなると考えられます。このことは,まずは安心安全な食料品供給につながることはもちろんのこと,一次産品,六次産品までも府内のものを使う傾向が高まり,農業や食品加工業の安定化にもつながります。その意味でも,改めて府内産農産物割合やフードマイレージの算出を行うべきと考えます。これまでの取組と合わせてお考えをお聞かせください。 また学校給食は,給食調理員の方と栄養士の方々が様々に工夫をし,何とか子供たちに栄養面もさることながら,しっかりと食してもらうためのメニュー作りをしていただいていることは,保護者の方からも御評価頂いており大変感謝しているところであります。しかし,残念ながらそれでも給食残さは必ず発生している状況にあります。この対応についてはメニューの取組だけではなく,別の取組も必要ではないかと考えております。東京の墨田区では,給食時間を5分間延長する取組をモデル中学校で行ったところ,残さの量に減少が見られたことから全校で給食時間の延長に取り組むようです。またこれまでから残さについては,22年度から生ごみ処理機を持っている一つの学校を除く25の小学校,11の中学校全てで,発生したものを大田区の城南島飼料化センターに持ち込み,それを豚の飼料に加工する取組を続けておられます。つまり残さを減らす取組と出たものの有効な活用,できればその飼料で育てられた豚を食するように,食の循環にもつなげられたらという思いもあるようにお聞きしています。京都市においても,次の対応として残さ減量並びに再利用につながる取組を進めてはいかがでしょうか。そして,それこそ食の循環につながる取組を,京都の子供たちが実感できる取組を進めていただきたいと思います。お考えをお聞かせください。 最後に,地元に関して要望を申し上げます。今回の市長選挙では原発政策を争点として取り上げ,地域住民のみならず地域外の方にも不安をあおる出来事がありました。それは選挙戦終盤である2月2日に某テレビ局が放映した広河原地域の取材番組のことであります。京都市は以前から自治連に対し,区役所を窓口に原発30キロメートル圏内としての取組について協議していくことで調整をしていましたが,何もなされていないかのような報道となり,京都市の対応の悪さと,この地域が大変危険な地域であるかのような誤解を地域外の一般の方々に与えてしまいました。市長選挙がなければこのような時期を急いだ報道にはならず,実態を踏まえたうえでの報道になったと思いますが,争点に無理やりにされてしまったことにより,そこにお住まいの方々にとってその後は苦痛の日々を過ごすことになってしまいました。これまでから小学校の統合や就学前保育の場の提供など,地域が汗をかきながら地域興しにつながるように粘り強く頑張っておられたことが,あのような報道により別のイメージを付けられたのではたまったものではありません。このことは抗議するとともに正確な情報提供を行うことを是非求めていただきたいと思います。このことを強く申し上げ,会派を代表しての質疑といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(安井つとむ) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 隠塚功議員の御質問にお答えいたします。 まずは,この度の選挙におきまして民主・都みらい市会議員団をはじめとする市会与党の皆様方,幅広い市民の方々の力強い御支持,御支援を賜り,引き続き京都市長の重責を担わせていただくことになりました。市民の皆様にお約束した121項目のマニフェストを,京都の地域力,文化力,歴史力,そして何よりも京都の人間力を生かし,全て実現してまいる決意でございます。引き続き御支援よろしくお願い申し上げます。 さて,府市協調につきましては,隠塚議員御指摘のとおり二重行政の解消に向け,より一層市民の皆様に見える形で進めることが重要であります。御紹介いただきました取組のほかにも,現在府市の衛生研究所の機能の一体化や南警察署の移転新築,子ども医療費の支給制度の拡充,原子力災害に備える放射線モニタリング体制の充実などに取り組んでいるところであります。今後も山田啓二知事との緊密な連携の下,あらゆる分野においてより一層効率的,効果的な行政の実現を目指し,その成果を市民の皆様に見える形で還元してまいります。また私は本音で申し上げまして,克服していかなければならない様々な課題がありますが,京都の成長戦略を府市協調で推進することが何よりも重要であると考え,本年1月新たに府・市成長戦略本部会議を設置し,現在京都市地域活性化総合特区の推進や,コンテンツ産業総合特区の共同申請に向けて府市共同で取り組んでおります。今後とも総合特区をはじめとする京都の様々な成長戦略をオール京都の体制で練り上げ,スピード感を持って実行するとともに,知事と懇談会やパネルにおける企画立案段階からの徹底した議論を通して二重行政を打破し,市会の先生方からの御支援を頂きながら,府市協調を更に力強く進化させてまいります。 次に,来年度予算編成における事務事業の見直しと予算配分の視点についてでございます。消費的経費においては,効率化の視点から事務事業評価制度を活用した事業見直しを行うとともに,投資的経費では既存ストックを活用の視点から橋りょう耐震補強に大胆に予算を配分したほか,学校施設の長寿命化にも力点を置きました。更に繰出金につきましては,全会計連結の視点で収支の改善に努め,国民健康保険の保険料率の据置きを図るとともに,市バスへの補助金を削減し地下鉄事業への支援を増やすことにより,25年度までに見込んでいた地下鉄の料金値上げを見送り市民負担の軽減にも配慮いたしました。こうした取組により,現下の我が国,京都市を巡る厳しい社会情勢と東日本大震災を踏まえ,力強い京都経済の再生や福祉,医療,教育の充実,防災対策の推進の3点に特に力点を置いて予算を配分することができました。市長2期目のスタートに当たり,限られた財源の中ではありますが,力強くかつめり張りのある予算編成ができたと自負しております。 次に,重要橋りょうの耐震化についてでございます。本市では東日本大震災を踏まえ,橋りょうの耐震補強と老朽化修繕を並行して効率的,効果的に進めるための計画として,いち早く昨年12月にいのちを守る橋りょう健全化プログラムを策定いたしました。このプログラムでは,橋りょう対策の優先順位を明確化し今後5年間の集中的な取組目標を定め,鉄道をまたぐため工事時間に制約があり工程的に長期間にならざるを得ない今熊野橋を除き,重要路線上の橋りょうの耐震補強等を来年度から5年間で全て完了させるとともに,6年目以降は5年ごとに改めて具体的な目標を定め順次計画的に取り組むこととしております。この5年間は従来の予算規模の約6倍に上る150億円を重点的に投入する必要があり,来年度はその初年度として工事に先立つ設計費用を中心に11億円の予算を確保いたしました。これは本年度に比べて2倍の規模となるものであります。そして御池大橋や九条跨線橋など今後5年間で計画しております59橋の約4割に当たる22橋の対策に着手いたします。また,これらの仕事が可能な限り地元の業者に受注していただけるよう入札改革も併せて行います。今後とも市民の命と暮らしを徹底的に守り抜き,災害に強いまちづくりを進めてまいります。 次に,木質ペレットボイラーの普及についてでございます。京都市では林業地域の活性化と温室効果ガスの削減を図るため,平成21年度に環境省の全額補助を受け木質ペレット製造工場の建設に助成するとともに,ペレットボイラーの民間への普及に取り組み,平成23年度は2台の導入に対して補助を行いました。隠塚議員御指摘のとおり,ペレット工場の生産量の安定を図るためには,ペレットボイラーの普及が不可欠であります。そこで,平成24年度は導入に際して補助率を引き上げるとともに,ペレットの消費量が大きくランニングコストが削減できる施設を中心に積極的な普及促進を図ってまいります。今後は,低酸素・循環型のまちづくりの実現に向けまして,京都市地球温暖化対策計画に掲げた目標値であります2020年度の年間生産量3,500トンを目指してペレットボイラーの普及に取り組むとともに,木質ブロックや堆肥をはじめとする間伐材のあらゆる活用を図り,市内の森林資源の有効活用や林業の担い手の育成などによりまして,持続可能な森づくりを推進してまいります。 次に,コンテンツ産業の育成についてでございます。コンテンツ産業は国の新成長戦略にも大きく位置付けられ,大きな市場の成長が期待できる産業であります。その振興におきましては,隠塚議員御指摘のとおり,現在コンテンツ市場が東京圏に一極集中しているため,市内企業にとっては受注先やマーケットから遠いことに加え人材の流出が課題となっていることから,京都においてクリエイターを育成する土壌づくりとコンテンツ市場の創造が必要であると認識いたしております。そこで,本市の産業振興計画であります京都市新価値創造ビジョンの先導プロジェクトの一つに掲げたマンガクラスターの形成に向けて,京都版トキワ荘事業やコンテンツ関連企業の見本市などに取り組むとともに,映画,ゲームなど幅広いコンテンツ産業の融合を促進するため,KYOTO CMEXを引き続き充実,実施し,産業振興につなげてまいります。今後とも産業観光局を中心に,文化市民局をはじめ全庁関係部局が緊密な連携を図りまして取り組んでまいります。当面今月25日には,少女漫画のデザインを採り入れ創作された衣類のファッションショーを京都国際マンガミュージアムで初めて開催するなど,新産業の創出につながる事業の展開に加えまして,京都府,京都商工会議所等と共同で,新たな市場開拓を目指すコンテンツ産業特区の申請を国に対して行うなど,京都市が我が国を代表するコンテンツ産業の集積拠点となるよう取り組んでまいります。 次に,鳥獣被害対策についてでございます。京都市では近年鳥獣被害が多発し,特に猿による市民生活被害が深刻な状況にございます。このため文化市民局,産業観光局,区役所など関係部局からなる京都市野生鳥獣被害対策会議を設け,猿被害をはじめとする鳥獣被害対策に一体的に取り組んでまいりました。特に今年度は北区,左京区において猿の追上げをモデル的に実施し,昼間の出没が大幅に減少するなど一定の効果が上がっているところでありますが,隠塚議員御指摘のとおり,猿の追上げについては様々な課題が判明しているところから,来年度においては実施時間の延長や追上げと組み合わせた捕獲体制の強化など,その充実,改善を図ってまいります。今後とも京都市野生鳥獣対策会議を核といたしまして関係部局が一丸となり,より効果的な被害対策を実施するとともに,滋賀県,京都府との関係機関や更に地元猟友会などの専門家とも一層連携を強化し,鳥獣被害の根絶に向けて全力で取り組んでまいります。 なお,御要望の原発に関してでございますが,市域の一部,山間部で居住者はおられませんが原発から30キロ圏内に入るため,いち早く地元とも協議し万全を期しております。同時に必要以上に不安をあおることのないよう正確な情報発信に一層努めまして,またマスコミにも理解を求めてまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(安井つとむ) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは生活保護における就労意欲喚起等支援事業並びに生活保護適正化推進事業の一層の推進についてお答えいたします。 まず,就労意欲喚起等支援事業につきましては,昨年度の事業開始以来,約400人の被保護者を就労に結び付けるなど,課題を多く抱えた保護受給者の就労に大きく寄与してきたところでございます。こうしたことから,来年度にはカウンセリングの相談枠を今年度から1.4倍に拡充し,更なる充実に取り組んでまいります。また保護の適正化についてでございますが,生活保護費の不正受給は制度の根幹を揺るがす重大な問題であることから,昨年4月に適正化推進チームを新たに設置し,京都府警との緊密な連携の下,悪質な不正受給の告発を徹底して行うなど,着実な成果を上げてまいっております。 更に来年度においては,嘱託医の充実や専任弁護士を設置し専門的な体制を確保するとともに,不正受給事案に徹底して対応するための支援員7名を新たに配置してまいります。これらの全国に先駆けた着実な取組によりまして,生活保護世帯の増加率はこの3年間に政令市平均の約半分にとどまっており,大きな成果につながっているものと考えております。今後とも的確な就労支援と確実な適正化の取組を継続して推進してまいります。またこうした本市の取組と併せまして国に対しましては,期限を設定した集中的かつ強力な就労支援や医療扶助の適正化をはじめとした制度の抜本的な見直しについても強力に働き掛けてまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 学校給食についてお答えいたします。地産地消の観点から,米は京都府内産を100パーセント,野菜なども使用品目の2割程度に府内産を使用してきております。食材の調達先であります中央卸売市場では,府内産野菜の取扱量は全体の6パーセント程度であり,1日7万食に及ぶ大量の食材を必要とする給食では供給量に課題がありますが,新京・食育推進プランを踏まえ,具体的目標として府内産野菜の年間使用回数を掲げるなどして使用量の増加に努めてまいります。またフードマイレージの導入につきましては,今後の国での研究の進展を踏まえ検討してまいります。 給食の残さ,いわゆる給食の食べ残しにつきましては,献立の工夫はもちろんのこと栄養教諭が作成する給食カレンダー等の活用により,食の楽しさや大切さ,更に食に関わる人たちへの感謝の気持ちを育むなど,食指導を通じ残さを減らす努力をしており,今後も取組を進めてまいります。また給食の残さは一部を飼料化施設へ搬入しておりますが,更にコンポスト等の使用の拡大を図り子供たちが食の循環を実感できる活動を推進してまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 次に,中野洋一議員に発言を許します。中野議員。 〔中野洋一議員登壇(拍手)〕 ◆(中野洋一議員) 私は,東山区選出の中野洋一です。民主・都みらい京都市会議員団を代表して,引き続き平成24年度京都市予算に関連して代表質疑いたします。 平成24年2月5日門川大作さんが京都市長選挙で再選されました。私たちも含めて多くの皆さんが応援された結果と受け止めております。市長選挙が終わった今,今度は私たちは二元代表制の市会議員という立場で新しい市長と相対して,これからの京都市の在り方を議論しながら次の時代の京都を築き上げていかなければなりません。併せて私も多くの皆さんに門川さんを推薦した1人です。覚悟を持って推薦したからには,再選された市長を議員として人一倍厳しくチェックするのも私に与えられた責務です。掲げられたマニフェスト実現に向けて,今後深く議論していきたいという風に思います。 さて,今回も私がこだわりたいのは,市長が初当選以来機会があれば発言されています政策の融合です。まずは市役所での融合の取組,私が最も注目している融合モデル案,雨に強いまちづくりについて,その実現へ向けての取組をお聞かせください。役所の縦割りを取り外し,市役所全体で大きな課題に取り組んでいくということはとても意義深いことです。そもそも京都市は政令指定都市です。市内のことは,その大半を京都市自身が決められるということから考えれば,自らの決断一つでどうにでも改革することができるということです。そういう恵まれた立場にあっても,今までは縦割りから抜け出せなかったのも事実です。横断して存在する課題はなかなか解決できず,傷口が時間とともに大きく広がるということも少なくなく,多くの皆さんが力を尽くすもののなかなか克服できなかったのもまた事実です。それを,何とかやり遂げようという使命感は高く評価したいと思います。 最近の夏場は短時間での集中豪雨が頻繁になり,街中が水浸しになることが増えました。原因は,昔と比べて道路や宅地が増えたことで,街が降った雨を飲み込むことができる量が,極端に少なくなってしまったということだという風に言われています。そこで出てきたのが,市長初当選以来の政策の方向性である京都未来まちづくりプランに掲げられている融合モデル案,雨に強いまちづくりです。京都の本来の姿はこうでした。京都を囲む三方の山に雨が降る。山にしみ込み,山裾から川として少しずつ流れ出していく。多くの田んぼや畑にその水が回り街中の木々や森がその水を飲み込み,そしてゆっくりゆっくりとそれ以外の水が街中を通り抜け鴨川や桂川に注ぎ込む。今の時代,かつてのその状態に時間を巻き戻すことは無理です。しかし,融合の案でそれに近いものを作ることは大いに可能なはずです。 まず,三方の山の整備。植え放し,枯れ放しの山を整備して水を蓄えることが出来る山に再生する。街中に緑を増やす,樹木を植えたり公園を緑化したり,校庭に芝を植える。あるいはビルの屋上に小さな庭を造る。また,京都市の持っている遊休地を時限的に家庭菜園として整備して有料で貸し出す。道路の舗装を水が吸い込んでためることができるものに取り替えること。また川の整備を改めて見直して,可能であれば,上から蓋をして暗渠になっている川の蓋を取って,元の川として復活させること。その周辺を川広場として整えること。各家庭では庭に雨水ますなどを設置し,その雨水を蓄えて水まきに使うこと。もちろん水道管の整備も必要ですが,それだけでは多くの水の恵みを単に街中を素通りさせてしまうことにもなります。京都にもたらされた水の恵みを私たちが十分に利用させていただき,感謝の気持ちで鴨川や桂川に戻すこと。こういった環境が整うことで雨に強いまちができ,そして住んで楽しい街になり,水の恩恵にあずかる京都を復活させることへつながります。これらの取組は,今も各局各部の仕事ですが,どこかが音頭を取らなければ全体の絵は完成しません。だからこそ融合の理念を持ち,その権限のほとんどを持つ政令指定都市だからこそ成すべき事業だと思います。この融合モデル案の雨に強いまちづくりが,どこまで出来ていて,これからいつまでにどのような形で完成させる予定なのかお答えください。 次に,区役所と市役所との融合についてです。門川市長は今回の選挙戦の最中,個人演説会や街頭演説会で区役所の権限を大幅に広げる,区長が市役所の局長を動かし区で考える優先順位に基づいて区政の課題解決に取り組む,ともすれば市政より区政が優先できる形を作っていくと語っていました。今回の予算案を見る限りでは,そこまでの改革というものがはっきり見えません。まず,今回の予算案での区役所改革として特筆すべき事柄,また区長の権限を一体どういったものにしていくのか,区の取り組む事業をどうやって予算的に応援していくのか,お答えください。 そして区役所や区長に権限や財源が増えても,一緒に考える人手がもっと必要になります。防災担当ということで1名の増員は既に決まっています。それとは別に,これから区役所が地域の方と共に考え更に前に進むには,区役所のまちづくり推進課をはじめとした部署へ大幅に人員を増やしていくことが,この改革を成し遂げるためには不可欠だと思います。区役所の現場をしばしば見ている私にとって痛切に感じるのですが,そういった人手という面でどう考えているのか,お答えください。 次に,歩いて楽しい東大路について伺います。京都市への観光客は毎年5,000万人になりました。しかし観光に来られた方も,その地域に住んでいる方も,共に長年困っているのは交通渋滞です。観光中心地の一つの東山区では,主要道路の東大路が観光時期には他と同様又はそれ以上に大変な車の渋滞に悩まされています。一方,歩いたらいいじゃないかと思っても,今度はスペースが限られた歩道に多くの方が歩いているのですれ違うのも難儀しています。またバス停周辺では,バスを待っている方で大行列。その近辺では,歩くにも歩けないといったのが実情です。現在地域の皆さんからも,東大路の使い方について議論が出ています。平成24年度の予算には,歩いて楽しい東大路歩行空間の創出ということで計上されています。これは,四条通改革,京都駅八条口改革と並んで京都市が取組む歩いて楽しいまち・京都の三大目玉事業の一つです。東大路改革は,地域の方と京都市側とが議論を数年にわたって積み上げている今こそ早急に完成に向けて歩き出すべきだと思っています。交通計画や詳細設計などを是非とも目に見える形で実施すべきです。鉄は熱いうちに打て。いつまでにどういう形で何を実施し,完成はいつにするのかお答えください。 次に,まちづくりの観点で伺います。京都は昔から路地が多い街です。その路地が京都の独特の文化を作り,同時に人と人が密接に支え合ういわゆる町衆の文化を育ててきた根源だと思っております。しかし第2次大戦後,今まで普通に存在していた路地が建築基準法により否定されてしまいました。現在路地に面している家屋は,原則として新築の家に建て替えられません。また売れない,買ってもらえないという原因もあって,路地に住むのをやめ家が放置され空き家が増えている地域が年々多くなっています。その家屋が潰れ掛けて危険家屋としてたくさん生まれ,それらが現在住んでいる方の生活の危険をも生み出しています。都市計画局の方も色々な手段で持ち主を探され説得されていますが,お金が掛かる話でもあり,なかなか進まないというのが実際のところです。京都の風情を作り上げてきた源であるこの路地というものを,どうやって残すことで多くの方が住み続けたいと思える状況が作れるのか,防災上も安全で安心して暮らせる路地にどうすれば生まれ変わらせていくことができるのか,今こそ解決策を編み出すときではないでしょうか。平成24年度予算にも路地改革に関連した予算が組まれています。また平成23年11月,歴史都市京都における密集市街地等に関する対策の推進に係る検討会議,これが始まりました。安全で安心して暮らせる路地を作り出す策を考える内容の会議ですけども,この議論を経て,いつどういった形の対策案を打ち出す予定なのか。またそれらを通じて,路地を生かしたどういったまちづくりを考えていくのか,お答えください。 次に,稼ぐという観点での提案です。京都市は赤字財政を立て直すため多くの無駄を削り,また事業を縮小しています。しかし,廃止や縮小だけでは次に咲く花は望めません。いかに収入を増やすかという観点での考え方も大切だと思います。私たち民主・都みらい議員団では,各地の特筆すべき取組の現場を見て使える政策ならば盗んでこようではないかと貪欲に日本中を視察に飛び回っております。その中で,東京国立博物館の取組を紹介しましょう。一番目を引いたのは売店。英語でMUSEUM SHOPと言います。この売店,単にあちこちにある商品を右から左に売っているのではありません。この博物館の収蔵品を活用した記念品を1,100種類作っています。製作を委託する会社とは,この博物館以外で販売しないことを契約書に明記し,現在年間1億円以上の売上げがあるということです。収蔵品が写った絵はがきやクリアーファイル,そして文鎮など,ここにもちょっとサンプルを持ってきましたけど,カメラさん寄れますか。例えばこれはその手ぬぐい,五七の桐の紋の着物地を写し取ったもので,これが840円。それから,これは尾形光琳の国宝八橋蒔絵螺鈿硯箱を模した缶々です。中身は開けてみますとクッキーが入っていますがこれで1,050円,1人で五,六個買って帰られるという風なことを伺っています。これの三回り大きい本当のすずり箱の模造品39万円,これが結構売れてるみたいでなかなか生産が間に合わないというぐらい人気があるということでございます。それ以外に博物館で収蔵の葛飾北斎の富嶽三十六景の浮世絵の複製が売っています。コピーした1,000円程度の物もあり,1枚1万円余りの手刷りの複製もあります。実はこの1万円の手刷りが外国人観覧者には大人気で飛ぶように売れているということであります。こういった状況を見ていると,京都市でももっと色々な観点で稼ぐという取組ができるのではないかと思うのです。まず,こういった売店での挑戦が早いんではないでしょうか。例えば二条城。売店はありますが,もっと品数を工夫することは出来るはずです。今までデジタルアーカイブ事業として写し撮った狩野派の描いたふすま絵約360枚をいろんな形で商品化できるはず。家紋や,瓦や隅やぐらを模した,あるいは活用した商品なども考えられます。歴史ある二条城ならば,歴史へのロマンや重みを感じている観覧者も多いはずです。そういった方に,二条城でしか売っていない稀少価値のある商品を販売することで観覧者の方に観光の感動をより深く持ち帰ってもらえ,同時に二条城の収益も上がるということです。例えば京都市美術館。平成24年度予算では在り方検討委員会も立ち上がりますが,収蔵品を生かした形での関連商品開発ももっと考えていくべきです。去年,2011年行われたワシントンナショナルギャラリー展,展示してある絵を見ようという熱気以上のものを関連商品を販売している会場では感じました。私も便せんなどを買いましたが,バーゲン会場並みにごった返している売場で買うのは本当に一苦労でした。工夫と仕掛けで,いかようにも物は売ることができると思っています。是非,稼ぐという考え方。まずは,こういった京都市の自慢の施設の売店からスタートしてみてはどうかと思うのですが,お考えをお聞かせください。 次に,安全で安心な生活へ向けて頑張っている地域の取組,支援についてです。東日本大震災を機に自分の命をいかに自分で守るか,そのために普段からどう準備をしていこうかという機運が高まっています。地域の総合防災訓練にも今までより多くの方が参加され,説明する地元の消防団員の方の話を熱心に聞いている光景をよく目にします。その中で,紹介したい取組が一つございます。独り暮らしのお年寄りが多い中で,気分が悪いまた倒れたといった際,近所の方がおうちに助けに入って119番に通報しても,その方の緊急の連絡先や今まで受けた病名など分からないことだらけで難儀する場合が少なくありません。その中で,私の地元の東山区の貞教学区の安心安全ネットワークの皆さんが取り組んでいるのが,実はこれです。もう1回カメラさん寄ってください。この非常用の筒です。これはプラスチックで出来ていまして,これ開けると中にこの黄色い紙,これには救急医療情報シートと書いてありまして,病名とかアレルギーそういったものを書いたものがあります。これを入れて蓋をして,そしてどこに入れるかというと冷蔵庫のドアポケットに入れるという取組です。そして併せてこれは板状の磁石ですけれども,これを冷蔵庫に貼る。ここに入っていますよというもの。そしてこれがシール。これは玄関ドアの裏側に貼って,冷蔵庫に入っていますよという風に教えるシールです。この筒を冷蔵庫のドアポケット,開けて一番手前に入れようという取組でございます。まあこうすることで,いざというとき冷蔵庫を開ければ必要な情報が手に入るということになります。今東山区の貞教学区ではこの取組を完了し,また私が所属しております東山区介護者の会つくしでもメンバー全員に配布されるなど各地域で取組が始まっています。 これからの課題として,現場の救急隊員が救助の際,いかに活用しやすいかという観点も必要になってきます。この取組が今始まったのは非常にチャンスだと思っています。一つは,さっき申し上げた置いておく場所の統一など,取組に一定のルールを設けることです。この学区は冷蔵庫の中,この学区はテレビの上,この学区は玄関の下駄箱の中などという場合も考えられます。また冷蔵庫といっても,野菜室の奥の方に入れる方もいらっしゃったり,冷凍室など場所もばらばらでは折角のときに活用できません。二つには,冷蔵庫の筒を探しに行く時間よりすぐ救助する必要があったりなど,この筒がどんなときでも万能ではないということもあります。と言ったように取り組む私たちが認識すべきことが色々あると思っています。これから京都市内に広まるであろうこういった取組に対して,ある一定の共通した決まりを採り入れて,積極的に助言していくべきだと考えるのですが,どうでしょうか。 最後に,建都1200年の1994年から取り組んだ京都シティハーフマラソン。途中充電があり今回新装開店となる京都マラソンが,3月11日に行われます。再開を待ち望む方も多かった中,このマラソンをここまで運ぶのに多くの皆さんが御苦労されました。また,京都府の警察の協力もあり府市協調の見せ場での開催となりました。この第1回を多くの方に感動していただくと同時に大きな経済効果を育てることなど,市長を先頭に素敵な大会に運んでいただきたいと思います。あわせて今回の大会をしっかり調査して,これからの京都市のスポーツ振興,関連経済の振興につなげてください。現代の我々京都人にとっては,この京都マラソンを建都1100年から始まった時代祭と肩を並べる行事に育てていけるかどうか,先人から試されてもいます。先人に我々の頑張りを見せて,今度は建都1300年を迎える子孫に向けては我々のガッツを見せる機会です。1300年といっても今から82年後,今日で丁度10箇月の娘が82歳のおばあさんになった頃でございますが,そんなに先の話ではございません。走る人,運営する人,応援する人,三者だけではなく,この街で生活する多くの皆さんとこの行事をこれから育てていきたいと思います。私は元々スポーツが苦手でした。下手くそでした。中高ではそれが原因でいじめにも遭いました。しかし,地元で体育振興会の皆さんに温かく迎えていただいたお陰で,今では体育指導員,今はスポーツ推進員と言いますけれども,それも務める機会も頂きました。お陰でスポーツが苦手な科目から,挑戦する科目に変えることもできました。これで多くの皆さんの支えによってスポーツの面白さを知ることができました。今度はこれを多くの皆さんにお伝えするのが私の使命であり,また多くの皆さんへの恩返しだと思っております。完走目指して頑張りますので,どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(安井つとむ) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中野洋一議員の御質問にお答えいたします。 まず,雨に強いまちづくりについてでございます。私は効率的,効果的に政策の実現を図っていくためには,行政の縦割りを廃し市民目線に立ち関係部局の施策を融合させることが極めて重要であると考えております。雨に強いまちづくりにつきましても,都市浸水による被害の最小化を図るとともに,上下水道局,建設局,産業環境局及び消防局等が緊密な連携の下,平成22年4月に推進計画を策定しその実現に取り組んでいるところであります。具体的には,市内を6地区に分けた地区別検討会と四つのテーマ別検討会,研究会を立ち上げ浸水被害が発生した箇所の地区特性を踏まえた検討や浸水被害の発生の恐れがあるときの対応及び技術的な課題の解決に向けて協議を重ねております。その結果,各局の施策を融合させた取組として保水機能の向上を図る三山の保全対策,林業の振興,都市の緑化対策はもとより第二太田川周辺の浸水対策として一乗寺公園での雨水貯留施設の整備,桂川街道の久方アンダーパス部における冠水被害の防止や雨水貯留,浸透施設の設置による雨水流出抑制の促進を図るとともに,緊急時に迅速に対応できるよう緊急資材の備蓄情報を共有することで浸水対策の強化を図っております。このように京都市として限られた予算の下で効率的な執行に努めまして,浸水による被害の防止,市民の命と暮らしを守るとともに健全な水環境の創造に努め,雨に強いまちづくりに全庁挙げて取り組んでおります。なお,政令市でありますので一般市よりも権限はございますが,森林保全とか河川行政等は国や府の権限,政策も非常に大きく国に対して要望するとともに税財源,権限の委譲も求めつつ,またこれらについても大都市制度という制度の在り方も研究しながら,京都市として府と一体となってまた国との連携も含めながら進めていかなければならない。限界を感じつつ全力投球しているというところであります。 次に,区役所改革についてでございます。私がマニフェストでお示した京都モデルの参加,協働による区のまちづくりを実践するため,新年度予算におきまして区民提案,共汗型まちづくり支援事業予算を新たに創設し,区民提案型支援事業と共汗型事業に取り組んでいくことといたしました。この事業予算においては,これまでを大幅に上回る約2億1,000万円を計上するとともに,区長,担当区長が先頭に立って区民の皆様と共に汗する共汗により区のまちづくりを推進していけるよう,その編成を区長,担当区長に委ねたものでございます。区民の皆様がこの事業予算を積極的に活用いただき,自発的,自主的にまちづくりを進めていただくことを大いに念じているところであり,初年度であります来年度の事業の推進状況を見据えつつ,次年度以降更なる予算の増額も検討してまいります。初めから大きな予算を余り組むのはよくないと思いまして,やはり予算でやるよりも市民の意欲を大切にしながら着実に進めていきたいと思っています。こうした取組を区長が区民の要望,区の基本計画を実行するために本庁の局長を動かしていく,これは予算だけではありません。そうしたこともしっかりと取り組んでまいります。また,こうした取組を着実に推進していくためには,区長のスタッフ機能の充実が求められているのは中野議員御指摘のとおりでございますが,現下の厳しい財政状況の中,一人一人の職員が様々な区民のニーズに応じて迅速かつ柔軟に対応できるよう現行の総務課とまちづくり推進課を一体化し,機動性を高めた新たな組織の設置を考えているところであります。あわせてまちづくり推進課を中心とする区役所業務の在り方についても,新たな課題に積極的に取り組めるよう住民自治を促進する観点から関係者の意見もお聞きしながら選択を集中を図るなど必要な見直しを図ってまいります。 次に,歩いて楽しい東大路における歩行者空間の創出についてでございます。この事業は東大路通の道路構成を見直し,安心安全で快適な歩行空間を創出し,併せて無電柱化や全ての人が円滑に移動できるユニバーサルデザインを推進することにより,人が主役の歩いて楽しい東大路の整備を行うものであります。平成22年度には,地元住民の皆様や関係団体と共に設立した歩いて楽しい東大路をつくる会において協議を重ね,歩いて楽しい東大路整備基本構想を策定いたしました。この整備基本構想を受けて地元の皆様をはじめ関係機関等の参画の下,3月13日に開催いたします東大路通歩行空間創出推進会議において合意を得,来年度の早い時期に広く市民の皆様に御意見をお聞きするパブリックコメントを実施したうえで,京都市の整備構想として策定してまいります。また,市民の皆様と共に東大路通の新たな魅力の創出について語り合うため,3月20日にシンポジウム歩いて楽しい東大路を開催いたします。今後につきましては,この整備構想に基づきまして荷さばき対策や車の流入抑制策等,円滑な交通処理についての検討を行い,関係機関との協議を踏まえできるだけ早い時期に詳細設計を実施し,東大路通の三条通から七条通までの2.7キロメートルにおきまして歩いて楽しい歩行空間及び無電柱化の整備に順次着手してまいります。 次に,路地を生かしたまちづくりについてでございます。中野議員御指摘のように再建築できない路地は空き家が放置されるなど防災上危険であるだけでなく,京都らしい風情や地域コミュニティの喪失が懸念されるなど大きな問題を抱えております。私は昨年2月に京都市建築審査会から提出された総合的,体系的な細街路対策を求める建議も踏まえまして,全庁挙げて解決策を検討するよう指示し学識経験者の参画を得て対策推進のための検討会議を設置いたしました。現在この検討会議におきまして,細街路の特性に応じた安全確保策,路地に面した建物の更新や空き家の対策,地域における防災まちづくりを推進するための仕組みなどの論点について,3月末の取りまとめに向け論議を進めております。特に路地での建物更新を可能とする制度の在り方や防災まちづくりを推進する仕組みなど,地域の皆様と共に取り組むべき課題につきましては,施策の有効性,実効性を検証するため,本年1月に仁和学区及び六原学区においてケーススタディに取り組んでおり,今後そこから得られる知見を踏まえまして,総合的な対策を構築し全市に展開してまいります。更に来年度予算で実施を予定しております袋路の避難経路確保など,細街路の安全確保策や空き家の発生を抑制する総合的な対策の検討と併せまして,路地を生かしたまちづくりを地域の皆様と共汗,協働で進めることで,地域の防災力を向上させ京都らしい町並みや景観,更に地域コミュニティなどの路地の良さを生かした安心安全なまちづくりに全力を傾注してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(安井つとむ) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 二条城及び美術館における増収策についてお答えいたします。二条城では既に城内の売店において京都市観光協会等が城内でしか購入できないオリジナルグッズを販売し,外国人観光客や修学旅行生などにも好評を得ておりますが,今後は更に民間企業との協働による二条城ならではのデザインを生かした商品製作のほか,商品の売上げを二条城の収益につなげる様々な仕組みについて検討してまいります。また,これまでから春のライトアップをはじめ二条城の魅力を生かしたイベントの開催等により,入場料や使用料の増収に努めてきたところですが,今後は更に国際交流や文化事業等に働き掛けるなど城内活用の増収策を積極的に進めてまいります。 一方,京都市美術館におきましては,コレクション展ではこれまでから収蔵品の図録などオリジナルグッズを販売してきましたが,多くの入場者が見込める展覧会では主催者と協力して展示会場の一部に臨時のミュージアムショップを設置し,複製画や展覧会の関連グッズを販売しております。今後は京都市美術館の将来構想を検討する中で,集客力のある展覧会の誘致や常設のミュージアムショップやカフェの設置,収蔵品をモチーフとしたオリジナルグッズの開発等を検討してまいります。そのほか,動物園など市の施設全般においても,これまで以上に増収意識を強く持って取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 長谷川消防局長。 〔長谷川消防局長登壇〕
    ◎消防局長(長谷川純) 医療情報シートの保管場所についてお答え申し上げます。病歴や掛かり付けの医療機関,緊急連絡先などの情報を記載しましたシートを容器に入れて保管する取組は,多くの傷病者が発生する大規模災害など混乱時において,救護に当たられる方が容易に情報を入手することができるという点で有効であると考えております。この容器の保管方法につきましては,学識者によれば大地震による家屋の倒壊でも損壊しにくい冷蔵庫が適当であるとされておりますけれども,利用者によってまちまちの場所へ保管されるということになれば,救護に当たられる方が容易に容器を発見することができず,その効果を十分に生かすことができないこととなります。したがいまして,大規模災害発生時などにおいて必要な情報が医療機関等に迅速に伝わるよう,保管場所を冷蔵庫のドアポケットに統一することを原則として取組が推進されますよう助言や啓発に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 次に,松下真蔵議員に発言を許します。松下議員。 〔松下真蔵議員登壇(拍手)〕 ◆(松下真蔵議員) 私は山科区選出の松下真蔵です。昨年の統一地方選挙では,山科区の皆様から大きな御支援を頂戴し初当選をさせていただきました。この場をお借りいたしまして,一言御礼申し上げます。また,市民の信託を得て再選されました門川市長に対しまして,応援させていただきました私からも心からお祝いを申し上げたいと思います。 さて,隠塚議員,中野議員に続きまして,民主・都みらい市会議員団を代表し,24年度予算に関連し質疑させていただきます。私にとってこれが初めての代表質疑の場となります。市長をはじめ理事者の皆様には,誠意ある前向きな,そして市民に分かりやすい御答弁をお願い申し上げます。 まず最初に,本市の収入面についてであります。平成の時代となりましておよそ四半世紀,この間の財政上の経過を振り返って勉強させていただきましたが脆弱な状況に改めて驚きました。平成に入った当時は,自主財源と人件費,扶助費,公債費を併せました義務的経費がほぼ拮抗という状況でありましたが,税収の落ち込みや扶助費の増大等により次第にその差が拡大し,基金の取崩し,また市債の発行が拡大の一途をたどっております。そこに追討ちを掛けるように不況が続き,今や財源不足が毎年続いている状況であります。今予算におきましても,一般財源の収入総額が3,721億円であるのに対し,事業執行に必要となる予算総額が3,948億円,つまり227億円の財源が不足しているとのことでした。その財源不足への対応として,人件費削減,公共投資の抑制,事業見直し等の財政構造改革の推進,基金による年度間調整,行財政改革推進債,公債償還基金の活用で対応するお考えと聞いております。しかしながら,これらの対応方法はいずれ限界が訪れる手段であり長期的に考えた場合,市税収入の増加策やその他の財源を確保していかなければなりません。本市の市税収入は,直近では20年度の2,664億円をピークに年々落ち込んでおり,24年度は2,388億円とおよそ1割減の状況です。一方,義務的経費は3年度に2,518億円であったものが今年度は3,852億円と,この20年間におよそ1.5倍に膨らんでおりまた義務的経費だけで市税収入に対して1.6倍必要という大変厳しい状況であります。本市の自主財源比率は22年度決算でおよそ55.3パーセントと,他の政令指定都市平均を3ポイント下回っており,また市税収入の比率に至っては31.4パーセントと北九州市に続いて二番目の低さであり他都市平均を10ポイント近く下回っております。これまで市長が支出削減のために様々な改革を行われていることは評価させていただきますが,例えば我が議員団からの政策要望にも盛り込んでおります森林環境税,宿泊税,ロードプライシングといった法定外課税をはじめとする自主財源を増やすことを考えていかなければ,折角立ち直ってきた本市の財政が再び危機的な状況に陥る可能性も否定できません。そこで市長にお伺いいたします。これから本市の市税収入を増加させる,あるいはその他の自主財源を確保するために,どのような政策を採られるお考えか,お聞かせください。 次に,景観政策についてお伺いいたします。本市は世界に誇る観光都市古都京都であり,古いたたずまいの街並み,山紫水明の美しい自然を大切にしていかなければなりません。しかしながら同時に,本市は147万人の市民が暮らす政令指定都市でもあり,観光都市としての側面と生活都市としての側面でいかにそのバランスを取るかが重要です。すなわち観光客が訪れそうな中心部や観光スポット周辺では,古都らしい風情ある街並みを保全することにより一層力を入れる,そして住民生活が主体となり観光客が余り訪れることのない周辺部では,生活に支障を来す規制は掛けないということであります。本市では19年に新景観政策が施行されましたが,これにより市内の多くの地域で多大な影響が及ぼされました。例えば山裾の地域では,ほぼ全てが風致地区や山ろく型の美観地区,建造物修景地区に指定され,屋根形状,高さ,隣地からの後退距離等が厳しく規制され,土地の有効利用に著しい影響を与えております。山裾の地域でも,嵯峨,嵐山,金閣寺周辺といった所では,確かに観光資源として古都の風情を残すべき所であると考えます。しかし一方,例えば私の地元であります山科区のように山裾でも単なる住宅地,それも宅地一区画当たりの面積が小さく土地を最大限有効活用しなければまともに居住できるだけの間取りや床面積を確保できないといった所も市内にはたくさんあります。不動産並びに建築業界から景観政策の厳しさにより,土地が動かない,高さ規制が厳しくビルなどが建たない,中古のビル,マンションが売買できないといった苦情を耳にいたしますが,この政策を制定した当時,これら政策によって最も影響を受ける業界の皆さんとしっかりと協議されたうえで制定されたのか,まずはその前提をお聞かせいただきたいと思います。そのうえで,それぞれの地域の事情を踏まえ現状に即した形で細かく景観保全に対するエリア分けを行い,厳しく規制しなければならない所は規制する,そうでない所には財産の有効活用を阻害するような規制は行わないとするべきであると考える次第ですが,今現在の景観政策では余りに大まかにしか分けられていないといった感があります。 そしてもう一点,景観とは何を基準にするかということです。景観政策の目的は,京都ならではのすばらしい景観を保全,創出していく取組であると記されております。では景観とは何か,広辞苑には景色,眺め,又はその美しさと定義されております。つまり目で見て,どれだけ美しい街並みを作るかということが重要になってくるわけです。であれば新景観政策に基づく審査は,対象の建物がどれだけ古都の風景に溶け込む京都らしいデザインを採用しているかを見るということであります。しかしながら現状の審査は,総合的なデザインというよりもむしろ軒の出が何センチあるか,屋根の勾配がどうなっているか,色のマンセル値が幾らかという政策に定められている数値が基準となっており,見た目にどれだけ和風のデザインをしても数値基準を満たしていなければ却下,数値を満たしていれば和風にはほど遠くてもオーケーという判定が下されるのが現状です。ちなみにこれは2年前に私が実際に経験した実話であります。一定の基準を決めなければ公平な審査が出来ないという都市計画局側の言い分も分からないではありませんが,しかしながら景観というものが見た目の印象で決まるものである以上,多少結果のばらつきが生じても,担当者が目で見てその建物のデザインをどう感じるかということで審査を行わなければ,この政策は有名無実なものとなってしまいます。これらの点を踏まえまた約5年間の結果を総括し,そして不動産建築業をはじめとする関係者の意見を聞きながら景観政策を見直す時期であると考えます。今予算でも景観形成推進事業として950万円が計上されておりますが,市長はこの問題点の多い景観政策を今後どうするお考えでしょうか。 続きまして,太陽光発電への助成制度についてお伺いさせていただきます。昨年の3月11日に発生いたしました東日本大震災に伴う原発事故,これを契機に全世界的に太陽光発電をはじめとする新エネルギーへの関心が高まりました。市長におかれましても,今回の選挙で原発に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現に向けた取組の推進を掲げておられます。その実現に向けては,太陽光発電の更なる促進を行わなければなりません。本市では設置促進を目的に,15年度より戸建住宅への太陽光発電設置に対し助成制度を行っております。この助成制度,昨年度までは工事完了後の事後申請でしたが今年度より事前申請に制度変更されました。これに伴い今年度予算は全部が消化されない状態で1月末で受付が終了となりました。この工事は3月末までに完了することが条件となります。この制度は来年度も予定されており,1億9,590万円の予算が計上されておりますが申請自体は4月1日以降にしかできません。つまり2月,3月には,予算が余っていても補助金の申請ができない,2箇月の空白期間が生じる使い勝手の悪いシステムになっております。会計処理上の課題はあるでしょうが,今後は申込みを3月末まで受け付け,工事完了が4月以降でも対象になるようにするべきではないでしょうか。また設置に際して,景観の手続きも必要となりますが,地域によってはこの審査が非常に厳しく折角太陽光発電を設置しようとしても設置できなかったり,よりエネルギー効率の良いシステムを導入しようとしても景観に配慮した性能の劣るシステムにしないといけない場合があります。原発に依存しない持続可能なエネルギー社会を実現するためには,クリーンエネルギーの普及は不可欠です。更なる普及に向けて,現行制度の問題点を改善していくべきではないかと考えますが,見解はいかがでしょうか。 さて我が議員団では,昨年の11月に第2回目となる本市事業に対する事業仕分けを実施いたしました。以前市長は,乾いたぞうきんを更に絞るような,という表現を用いられておられましたが事業仕分け一連の作業をしておりますと,まだまだ改革の余地があるということが見受けられました。今後更に厳しくなることが予想される財政状況を考えますと,改革のスピードを上げていかなければなりません。そこで改善等が必要と判定された事業について,代表して2点お伺いをいたします。 まず,公共地下道の維持管理についてであります。本市では烏丸公共地下道,これはポルタから烏丸七条の間の地下通路ですが,この維持管理に24年度予算で2,105万円,また御池公共地下道これはゼスト御池の通路部分ですが,この維持管理に同じく1億6,006万円もの経費が掛かっております。この二つの公共地下道は商業エリア内にあり,広告やスペース活用等一見すると様々な方法で維持管理費を賄えないまでも一定の収益を上げられそうな感じがいたしますが,実際は烏丸の方で広告枠105箇所の収入がおよそ300万円あるだけという非常に効率の悪いものとなっております。なぜ一等地にありながら有効活用できないか,都市計画局にその理由をお尋ねしたところ,この二つの公共地下道が道路という扱いになっているためであるということでした。地下道が歩行者専用道路であるために,例えば先ほど言いました烏丸地下道の広告枠でも駅前の歩行者の大変多い広告にはうってつけの場所でありながら,道路占用条例に基づいた1箇所当たり年間およそ3万円という非常に安い占用料しか取ることができません。またスペースを活用して小さなブースによる店舗等を出店しようとしましても,同じく道路であるがゆえにブースの設置が簡単には許されないといったのが現状であります。地下通路を維持管理しています都市計画局の方は,何とか少しでも収益を上げる手立てを講じたいという思いはあるようですが,道路管理者が建設局という縦割り行政の壁に阻まれているといった感が見受けられます。公共地下道の活用について地下鉄が開通するとき,ゼスト御池が開店するとき,なぜ都市計画局,建設局,あるいは交通局が十分な横の連携を密にして話し合わなかったのか,ここがいわゆるお役所的な縦割り制度の弊害であり,また公共地下道に限った話ではありませんが本市施設の活用について,なぜ商売に長けた民間の知恵を借りようとしないのか,疑問に感じる次第です。今出発当初の反省をどうお考えか,お聞かせください。そのうえで今後もし市長が英断され,この二つの公共地下道に対して道路指定を廃止するという方針を打ち出していただければ,今後の収益向上,あるいは活性化につながる事業を行うことも可能となります。当然道路指定を廃止するに当たり数多くの課題があるでしょうが,しかしそれによって得られるものを考えれば,十分取り組むことに対する価値はあるものと思います。その点いかがお考えでしょうか。 もう一点,紙パックに対する資源ごみ拠点回収事業についてであります。本市では,行政機関,小学校,商業施設等に311箇所の回収拠点を設け,紙パックの回収を行っております。もちろん資源の有効活用や家庭ごみの減量の観点から,リサイクルということそのものは非常に大切なことであります。しかしながら,市民の納めた税金を使って事業を行う以上,費用対効果という側面も考えていただかなければなりません。環境政策局の調査で,本市内で排出される使用済み紙パックの量が年間およそ2,050トンと推定されています。そのうち当該事業で回収された量が22年度実績で87トン,率で言いますと僅か4パーセントということになります。その4パーセントを回収するために掛かるコスト,これが同じく22年度決算で3,919万円,つまり1トンの回収に45万円もの経費が掛かっております。一方,その回収した紙パックの古紙業者への売却価格は22年度実績で1トン当たり1万6,000円程度,売却金額の総計は140万円にしかなっておりません。いかに資源の有効活用という環境政策が重要であろうと,総排出量の僅か4パーセント程度のものを年間4,000万円の血税を使って回収し,百数十万円程度でしか売却できない,しかも事業の目的が燃やすごみの中に紙パックがなくなるときまで,これでは税金のたれ流しや無駄遣いと言われても仕方ありません。本市はこれだけの予算を使って年間100トン程度しか回収できておりませんが,市内の民間スーパー等が店頭で回収されている量がその5倍の500トン程度あろうと推察されるということも環境政策局よりお聞きしました。本市がこの事業を取りやめても,今まで回収に御協力頂いた市民の皆さんのほとんどは買物に行かれたついでなどに,スーパーの回収箱に入れていただけるのではないかと思う次第です。この際紙パックの回収は,スーパーなどの民間事業者さんにお任せしてはどうでしょうか。市長は今回の選挙戦でも,民間の活力を利用した共汗協働を実施するということを訴えておられました。私はこのケースは正に共汗,協働を即実施出来るものではないかと考えておりますが,いかがお考えでしょうか。 最後に,私の地元であります山科区関連について質疑させていただきます。まずは24年度予算で山科区に,私の選挙時の政策でも挙げておりました病児保育設置のための予算を計上していただけましたことを,市長はじめ関係理事者の皆様に御礼申し上げます。そのうえで,今後の山科区のまちづくりについてお聞かせください。市長は前任期の4年間に,岡崎地域,梅小路公園周辺,らくなん進都の活性化,四条通の歩道拡幅,京都駅南口広場の整備をはじめとする数多くのまちづくりリーディングプロジェクトに取組を行われました。さて,山科区の人口はおよそ13万6,000人147万京都市民の約1割が住んでおり,それに応じた市民税が区民の皆様より本市に納められております。ところが残念ながら,区民の多くが本市のまちづくり政策での恩恵を余り感じておりません。地下鉄が通れば市バスがなくなる,新十条トンネルが開通すれば通行料金が高くて気軽に利用できない,京都市の大きな施設もない,幹線道路は日常的に渋滞してそれ以外の道路は狭い,川の上流のダムにごみが埋め立てられて,おまけに不具合ばかりの焼却灰溶融施設までが造られるといった具合で,恩恵を感じているのは山科駅前の再開発ぐらいでしょうか。山科区のまちづくりについて,過去に大きな過ちが犯され,住みにくいいびつな街となってしまいました。その大きな原因は,しっかりとしたビジョンを定めないまままちづくりを進め,都市化現象,ドーナツ化現象に対応できなかったということであります。まちづくりの基本である市の基本計画と地域の基本計画は,同次元で考えることになっておりますが,もっと地域計画を重視する必要があるのではないでしょうか。これからの山科区は修復,修正のまちづくりを行うと明らかにされております。例えば公共交通弱者が多い区内で,私の地元である鏡山学区あるいは小金塚地域で,地域住民が主体となり実現を目指している生活支援バスに対する支援,また長年要望の声が上がっております刑務所を移転して地域活性化につながる施設を誘致するといったメニューを真剣に検討する時期であると考えます。今回の市長選で,山科区では2万723名の有権者が門川市長に投票されました。市長のこの4年間の積極的な行動,政策を評価されてのことだと思います。これからの4年間に,山科区に対してどのようなまちづくり政策を行われる御予定か,お聞かせください。 以上,議員団を代表しまして私からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(安井つとむ) 松下真蔵議員の質疑の途中ですが,暫時休憩いたします。午後1時に再開いたします。 〔午前11時44分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(安井つとむ) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(安井つとむ) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 松下真蔵議員の質疑に対する答弁を求めます。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 松下真蔵議員の御質問にお答えいたします。 自主財源の確保についてでございます。自主財源の拡充強化により財政の自主性や安定性を高め,足腰の強い財政の確立を図ることは将来にわたり必要な施策,事業を実施し,市民の安心安全な生活をしっかりと支えていくうえで必要不可欠でございます。とりわけ自主財源の主要な部分を担う市税収入を確保していくことは,地域経済の活性化など税収の増加を促す環境づくりが必要であります。このため来年度予算案の重要課題のトップに力強い経済の再生と雇用の創出を掲げまして,経済界や京都府,大学,文化団体等と一体となったオール京都体制で伝統産業や先端産業,大学の知恵と技術の融合,観光や国際会議等のMICE戦略,京都の強みを生かした産業の創出,育成の取組に力を入れてまいります。また新税に関しましては,森林環境税につきましてこれまでから同様の税の導入を検討している京都府と協議してきており,引き続き検討を進めてまいります。加えて市税や他の債権の回収,徴収率の更なる向上に向け,効果的,効率的な債権回収を全市で推進するとともに,資産のより一層の有効活用,ネーミングライツ,広告事業などの保有資産からの新たな収入を生み出す取組も加速されてまいります。今後,これらの幅広い取組を積極的に展開していくと同時に,国に対しても税財源の委譲を強く要望し本市財政の根幹である自主財源の拡充に全力を傾注してまいります。 次に,新景観政策についてでございます。京都市会におきまして全会一致で御議決頂いた新景観政策は,京都の誇りである優れた景観を50年後,100年後を見据え,更に磨きを掛け未来にとしっかりと継承していくための政策として,多くの市民をはじめ国内はもとより国際的にも高く評価され京都の都市格の向上に大きく貢献しているものと考えております。その立案に当たりましては,不動産業や建設業等の関係団体等の方々と60回を超える協議等の場を通じて御意見を頂き,またその実施後も関係団体の皆様と継続的に協議を行い,理念をきっちりと守り生かしたうえでよりよい運営に努めてまいっております。平成20年3月に公表した景観ガイドラインがこうした協議の中で提出されましたデザイン基準を分かりやすく示してほしいとの御意見に答えて作成したものであります。更にこの間の様々な御意見を踏まえ,昨年4月にはデザイン基準の更なる充実等を図るため,関係条例の改正を行うなど景観政策を進化させてきております。また,市会での議決を受けまして景観政策を検証するためのシステムを構築し,施策の実施状況や建築活動等への影響などについて京都市景観白書として取りまとめ公開しております。この中で新景観政策実施後も京都市の土地価格は大阪,神戸と同様の推移を示し,住宅着工戸数に至りましては他都市の水準を超えているという状況についても明らかにし公表しており関係者の御理解が深まりつつあります。今後はこの白書を題材といたしまして,市民の皆様や関係団体などから様々な御意見を頂戴する市民会議を毎年度開催することとしており第1回を今月24日に実施いたします。今後も新景観政策の基本的な枠組みを堅持しつつ,景観政策に基づく将来像を描くなどあらゆる機会を通じて景観政策を絶えず検証し進化させ,世界の文化首都・京都の魅力に更なる磨きを掛けてまいりますとともに,同時に地区計画等の積極的な活用も含めまして京都ならではの都市の活性化と両立させてまいります。 次に,今後の山科区のまちづくりについてでございます。山科区は,水と緑の豊かな自然に恵まれた歴史と伝統の息づくまちであり,京都の東の玄関口として役割を担っており近年山科駅前再開発や地下鉄東西線,新十条通の開通など巨額の予算の投入により,都市基盤が飛躍的に充実し区民の皆様の生活利便性は大きく向上したところであります。こうした現状を踏まえ,昨年度山科区民の皆様の英知を結集し策定した第2期山科区基本計画におきましては必要な都市基盤の整備を行いつつ,ハード整備からソフト施策へ修復,修正型のまちづくりに重点を移すことといたしております。山科区には,地域の強い絆と高い自治の伝統があり,2万人まち美化作戦や区内全学区でのエコ学区事業など環境先進区としての取組がなされていることをはじめ,NPO法人おこしやすやましな協議会との協働による山科ならではの観光振興,清水焼などの伝統産業や農業の振興,大学との連携による地域振興など,これまでから地域の皆さんと区役所が一緒になって本市の重要施策をリードする取組が推進されてきております。更にこの度,参加,協働による区のまちづくりを実践するために創設した区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算を活用し,来年度山科区におきましては小金塚地域へ公共交通の導入を検討するための実証実験など地域課題の解決に向けた新たな取組も予定されております。今後もこうした区民の皆様と区役所の共汗,協働によるまちづくりをしっかりと支え,山科区基本計画の実現に向け全力を挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(安井つとむ) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 公共地下道の活用についてお答えいたします。 昭和55年11月に供用開始した烏丸公共地下道につきましては,地元選出議員の皆様をはじめ地域の皆様の御要望を踏まえ地下鉄やポルタと七条通を結ぶ地下道として整備したものであり,平成9年10月に供用開始した御池共同地下道につきましては,地下鉄東西線関連五大事業としてゼスト御池と一体的に建設したものであります。いずれの地下道につきましても,歩行者の安全性の確保と利便性の向上を図るとともに,地域のにぎわいと活力をもたらすものとして交通局,都市計画局,建設局においてしっかりと協議を行い,例えば御池公共地下道では,施設そのものは建設局の所管としつつ都市計画局が日常の維持管理を実施するなど連携して整備,管理を行ってまいっております。両地下道は,それぞれ烏丸通,御池通という地上の道路と一体のものとして道路法が適用され供用されているものであり,道路本来の目的に利用され一般の通行の用に供する必要性に何ら変わりがない状況で,収益を上げることを目的として地下道部分だけを切り離して道路の廃止を行うことは制度上できない仕組みとなっております。御指摘いただきました公共地下道の活用につきましては,これまでから関係部局の連携の下,京のこだわり旬野菜の販売をはじめといたしましたイベントの活用等に取り組んできております。今後議員の御指摘も踏まえ,より一層関係部局の融合の取組の強化を図りますとともに,公募で民間から社長に来ていただいておりますゼスト御池等との連携も深めながら,更なるイベント等の活用を促進いたしますとともに広告枠の柔軟な活用を図ることなどにより,道路本来の目的を守りつつ増収につなげる活性化の取組を積極的に推進してまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 田辺地球環境政策監。 〔田辺地球環境政策監登壇〕 ◎地球環境政策監(田辺眞人) 太陽光発電助成制度の改善点についてでございます。市民の皆様の環境意識の高まりや余剰電力の買取制度の実施に伴い,平成20年度には年間100件程度であった助成件数が年々大きな伸びを示し,今年度は1,600件を超える状況でございます。こうした市民の皆様の取組意欲にしっかりと答えるために,昨年9月市会で1億円の補正予算をお願いするとともに受付期間を1箇月延長し1月末までといたしました。この助成申請の期間につきましては,助成金の審査手続,現場の設置工事,そして申請者の方と関西電力による電力需給契約締結などに約2箇月必要となることから1月末で受付を終了したところでございます。平成24年度におきましては,更に市民の皆様の御期待にお応えするために助成金の審査手続期間の短縮,事業完了確認の方法を見直し,そういう風なことなどによって受付期間を2月末まで延長するとともに4月に工事が完了するものについては設置後の助成申請を認めるなど,実質的に1年を通じて受付ができるよう工夫してまいります。また本市では優れた京都の景観を守り,育て,未来に引き継ぐための景観規制を太陽光発電システムについても適用いたしておりますが,伝統的建造物群保存地区などごく一部の特別な地域を除く市街地の全てのエリアで設置が可能となっております。今後とも環境政策と景観政策の両立を図りながら太陽光発電システムの普及促進に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 坪内環境政策局長。 〔坪内環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(坪内俊明) 紙パックの拠点回収事業についてでございます。本市では,平成22年度に策定しましたみんなで目指そう!ごみ半減!循環のまち・京都プランを実現するために,今後10年間で更に約10万トンものごみを減量していくこととしておりまして,その中で多様な資源ごみの回収の仕組みづくりを重点戦略の一つとして掲げ,回収品目の拡大や回収拠点の増設などの取組を進めております。資源物の一つであります紙パックについては,大型商業施設での独自の回収も行われておりますが,なお多くの紙パックが燃やすごみとして排出されているのが現状です。紙パックの回収拠点につきましては,環境教育や啓発を推進する観点から市立小学校や各区役所,支所等の行政施設,また回収量が少なくコスト面で民間回収が難しい中小商業施設など,市民の皆様の身近な場所に設置しているところですが,御指摘を踏まえまして今後回収に当たっては収集体制の見直しなど効率を高めるように取り組んでまいります。更に紙ごみを徹底的に分別リサイクルするために,来年度からスーパーの駐車場等を活用して古紙,古着の回収を行われる団体等に対しまして助成をする制度を創設いたしますなど,市民,事業者の皆様と共に,共汗の取組を実施してまいります。以上でございます。 ○副議長(安井つとむ) 次に,ひおき文章議員に発言を許します。ひおき議員。 〔ひおき文章議員登壇(拍手)〕 ◆(ひおき文章議員) 北区選出のひおき文章でございます。私は公明党京都市会議員団を代表いたしまして,今議会に提案されております2012年度京都市予算案に対して質問いたします。 初めに,昨年3月11日に起こりました東日本大震災,もう少しで1年となります。改めてお亡くなりになった方々に対し御冥福をお祈りいたしますとともに,被災された方々の生活の回復並びに被災地の復興が早期になされることを強く願うものであります。 それでは質問に入ります。まず,今回の市長選挙に対する公明党市会議員団の考えを述べます。選挙結果は,門川市長が前回比6万3,000票伸ばし相手候補に3万1,700票の差を付けて勝利しました。4年間の実績と選挙戦で訴えたマニフェストに有権者の評価が得られたものであります。改めて市長おめでとうございました。今後は,はばたけ未来へ!京プランと未来の京都まちづくりマニフェストの実現に向け,市民と一体となってリーダーシップを発揮されることを期待します。しかし課題もあります。それは投票率の低さであります。今回の投票率は36.77パーセントで前回比1.05パーセント減少し過去4番目の低さでありました。3回連続30パーセント台となりました。市民との共汗を唱える門川市長としては,この4年間市民との触れ合い,対話を歴代市長以上に行ってこられましたが,結果として前回以上に低い投票率となりました。私も門川市長を支援した議員の1人として責任を痛感しておりますが,市政への市民の関心の度合いや参加の意欲という観点からも,今後市長選挙の投票率を上げることは市長の取り組むべき課題であると思います。市長の率直なお考えをお伺いいたします。 〔安井副議長退席,井上議長着席〕 ◆(ひおき文章議員) (続) また2期目の市政運営において重要なことは,新たな市政の実現と市民が希望の持てる市政の実現であります。ドイツの哲学者ニーチェは,脱皮しない蛇は破滅すると言っております。蛇は脱皮しなければ生きられない。人も古い考えの皮を被っていては内側から腐敗する。成長し生きていくには,常に考えを新陳代謝させなくてはならないという意味であります。人も組織も同じであります。2点目につきましては,人間希望があれば,どんな苦難にも耐えられるとの言葉がありますが,閉塞感の漂う今こそ市民が希望の持てる市政を実現することが強く求められています。門川市長には,2期目の市政に取り組むに当たっては今述べましたことを基本テーマとして尽力されることを強く求めておきます。以上の点を踏まえ,具体的な政策について質問いたします。 第1点目に,京都市の新しい大都市としての在り方についてお伺いいたします。この大きな問題において,現在の京都市での重要課題は1,府市協調の新しい在り方を具体化する。2,関西広域連合への参加について結論を出す。3,特別自治市構想について,首相の諮問機関,第30次地方制度調査会,指定都市7市による大都市制度共同研究会等の議論を踏まえ検討するという3点であります。1の府市協調の新しい在り方について,門川市長は今回の選挙においても新たな府市協調で二重行政を打破し,経済の再生と雇用の創出に取り組むことを訴えました。確かに全国でも先進的な取組がなされております。府市協調に関する現在の体制を見ますと,昭和53年から京都府知事と京都市長の懇談会を開催し平成21年の市長と知事の懇談会において,1,基礎自治体重視で企画構想段階から協議して政策を融合,2,法的根拠のないものは市域と市域外で格差を設けない,3,徹底的な話合いを行い府市協調で効率的な行政の形を作るという基本姿勢を確認し,忌たんのない意見交換を行っています。そして,トップ同士の懇談会で合意,確認した方針に基づき,幹部同士,実務者同士が自由かっ達で建設的な意見交換を行い,具体化を進めていくため府市行政協働パネルが設置されております。このパネルの下に,総合調整パネル,健康福祉,地域力再生,地球温暖化対策,防災等の8分野の個別パネルが設置されており,現在までに個別パネルが14回総合調整パネルが4回開催されています。これらの取組により,環境放射線モニタリングポスト市内3箇所設置,市消防ヘリ夜間運行経費負担,ナラ枯れ被害緊急対策,中小企業融資制度の創設など24の主な成果を出しております。2012年度予算案の中にも,新たな府市協調の政策が上げられております。 更に今年2月に,京都府と京都市は両トップが共同議長を務める府・市成長戦略本部会議を設置し初会合を開きました。大阪都構想や中京都構想など,各地で府県と政令市の関係の在り方や二重行政の論議が盛んになる中,京都の成長戦略に府市が共同で取り組む姿勢をアピールすることが目的の一つであるようです。2の関西広域連合への参加につきましては,門川市長は市民や議会に説明したうえで早期の正式参加を目指す考えを示しました。大阪市,堺市は参加に関し現在開会中の議会で議論がされる予定であり,神戸市も参加する意向を表明しています。3の特別自治市構想につきましては,現在日本の大都市制度が曲がり角を迎えています。戦後間もなく発足した政令指定都市制度は,数の増加と共に位置付けが曖昧になり,ひずみが目立ち始めています。大都市の機能を見直す新たな大都市制度を巡る議論が各地で活発に行われています。門川市長も,京都市は大阪市や神戸市,堺市と共に府県同等の権限を持つ特別自治市を目指している。府県と政令市の業務の区分は複雑で二重行政になりやすい。コンパクトで効率的な都市を目指し,府県との役割を整理するのは大都市共通の課題だ,と述べております。現在の取組としましては,2011年7月指定都市市長会が新たな大都市制度の創設に関する指定都市の提案を発表し,同年10月横浜市,川崎市,京都市,神戸市,千葉市,さいたま市,相模原市をメンバーとし,指定都市7市による大都市制度共同研究会が設置されました。2011年度中に4回程度開催し,今年3月に中間報告を行い年内に最終報告を行う予定であります。また,首相の諮問機関である第30次地方制度調査会は,1月大都市制度の見直し論議に入りました。2月16日に開催された同調査会第7回専門小委員会では,指定都市市長会を代表し阿部孝夫川崎市長から特別自治市について意見聴取がなされました。 このように府市協調,関西広域連合,特別自治市に関する取組は国,地方で進んでおりますが,問題は市民,議会,行政それぞれにおいて十分な議論が進められていないということであります。具体的内容について,特に市民はよく知らないのではないでしょうか。今後は市民,議会,行政において議論を深めるとともに三者が一体となって考え,新しい京都市の在り方について具体的に推進すべきであります。私はそのために具体的な提言をいたします。それは府市協調,関西広域連合,特別自治市について,市民,議会,行政が一体となって議論を進めるためのものとして,京都市版地方制度調査会を創設してはいかがかということであります。例えば京都市大都市制度調査会のように,名称はふさわしいものとしたらよいと思います。この組織の概要は,1,市民,議会,行政から代表が参加する。2,議論の内容は公開するとともに,毎年取組について取りまとめ白書のような形で政策情報として情報発信する。そのためにはあらゆる媒体を活用する。3,現在行っている市政総合アンケート調査等を活用して,市民等の認知度や考えを把握する。4,市民等の意見の反映や,第三者による評価の実施の具体的な手法を確立するという内容であります。これらの点によく留意して,京都市にふさわしい組織を創設し議論することにより取組を進めるべきであると考えますが,いかがでしょうか。 次に,今議会に提案されております2012年度京都市予算案についてお伺いいたします。私は,今回の予算案については評価いたします。その理由としましては,1,市長選挙直後の予算案であるが,切れ目なく施策を推進するため通年予算として編成した。今までは,選挙直後の予算は骨格予算,肉付け予算の2段階で編成されたが,今回通年予算としたことで財政出動並びに政策実行をスピーディに行うことができる。また予算案に込められた市長の思いが明確に伝わることとなる。2,予算編成において,とりわけ京都経済の再生と雇用の創出,福祉,医療,教育の充実,防災対策の推進の3点に力点を置き政策の優先順位を明確にした。3,政策と財政構造改革を一体的に推進する内容となっている。財政運営の目標の達成と市債残高の大幅減少など,財政構造改革を強力に推進するとともに,はばたけ未来へ!京プラン実施計画に掲げるリーディング事業の90パーセントを予算化している。4,私たち公明党市会議員団が実現に向け取り組んできた子ども医療費支給制度の拡充,前立腺がん検診の一部公費負担の実施,成人用肺炎球菌ワクチン接種の一部公費負担の実施,市民共同発電制度の創設等が予算案に盛り込まれている等の点を挙げることができます。しかし,問題はこの予算案を確実にかつスピーディに執行できるかどうかであります。そのためには4年間の実績と経験を踏まえ,市長は従来とは異なる思い切った予算執行体制を組織並びに人材登用,活用共に併せて作るべきであると考えます。今年度には局長級が多数退職することから,人と組織共に新しい体制を作り門川市長が従来以上にリーダーシップを発揮できる環境を作り上げるべきでありそのチャンスであります。行政経営の大綱の基本方針4,一層信頼される市役所づくりに向けた組織の改革と人材育成において,1,組織,仕事の進め方の改革,2,人材育成の内容が取り上げられておりますが,2期目の市政推進に当たって門川市長はどのように改革されるのかお伺いいたします。 第2点目に,市民本位の新しい市政実現に向けた取組について質問いたします。一つ目は,市民オンブズマン制度の導入についてであります。一般にオンブズマンとは,国民に代わり苦情の解決や行政運営の適正化の確保を図るために独立して行動する人のことであります。1809年にスウェーデンで始まったオンブズマン制度は,第2次大戦後1955年にデンマークが導入したことを契機とし,ヨーロッパ,ニュージーランド,アメリカ,韓国などの世界各国に普及していきました。日本では,国レベルでの導入の動きもありましたが実現していません。制度化しているのは自治体レベルのものであります。自治体オンブズマンには,自治体行政全般を取り扱う総合オンブズマンのほかに福祉分野など対象者が声を上げにくい分野に限っての苦情を取り扱う部門オンブズマンがあります。市民からの苦情の処理方法は同じであります。総合オンブズマン条例を持つ自治体は,川崎市をはじめ藤沢市,札幌市など20弱あります。川崎市市民オンブズマン制度を例に概要を述べます。市民オンブズマンは,市の行政に関する苦情申立てを中立的な立場で客観的に調査をしその結果を申立人に対して文書で知らせます。必要があると認めるときは,市に対して勧告を行う,意見を述べる等をするとなっております。制度創設の背景としては,川崎市では市民から市民的立場で市政に対する苦情の処理や監視,救済を行うオンブズマン制度を求める陳情が議会に提出され趣旨採択されたこと,また市民の行政監視,職員倫理の確立についての関心が高まっていたことなどを背景として市民オンブズマン制度導入に向けた取組が始まり,1990年6月市議会定例会で川崎市市民オンブズマン条例案が全会一致で可決,成立しました。そして同年11月より,全国で初めての市民オンブズマン制度の施行となりました。主な活動実績を見ますと,苦情申立て受付件数は2010年度110件,2011年度は1月20日現在で176件となっています。成果としましては,1,市民からの苦情を処理するとともに,市政に対する勧告や意見表明を行う中で開かれた市政の進展に一定の役割を果たしている。2,苦情処理を行う中で,市民生活に直結する制度や市政の運営に改善が必要と判断されると,オンブズマンの意見等に沿って改善がなされ市民生活全体の向上につながる。3,潜在化している不平,不満を解消することにより,声の小さい市民の立場が守られ市政が一層身近なものとなり市政が一段と開かれた方向に進展する等との点が挙げられています。課題としましては,1,市民サービスの質的向上や行財政改革が推進されている中,オンブズマン制度にも行政改善,行政監視機能強化が求められている。そのため,オンブズマンとしての職務,権限が十分発揮できるよう積極的な支援と事務局体制を強化することが必要である。2,制度の活性化を図るために,市民の認知度を高めることが必要であると言われております。これらの点を踏まえ,京都市にふさわしい市民オンブズマン制度の導入に向け,取り組まれてはいかがでしょうか。 二つ目は,新たな市民参加としての市民討議会,区民討議会の導入について質問いたします。昨年12月東京都狛江市議会で,多摩川の河川敷でのバーべキューを禁止する条例案が可決され無作為で選ばれた市民の意見が議会を動かしました。多摩川のマナー無視のバーベキューにより,悪臭やごみの酷さに近所の人は困り果てていましたが,管轄する国土交通省は河川法では自由利用が原則,狛江市も過度な規制は市民の利用の妨げと動きませんでした。そこで地元の青年会議所が市民討議会の開催を市に提案し,3年前に住民基本台帳から無作為で選ばれた1,500人の中から希望者47人が参加しました。住民や利用者の意見に加え,国交省や市からの情報も受け5人前後のグループに分かれて半年で4回討議した結果が禁止でありました。矢野裕市長は,利害関係者のみの意見ではなく無作為抽出された市民の意見だったので行政も動きやすくなった,と語りました。こうした市民討議会は,NPO法人市民討議会推進ネットワークによると全国で200以上の実施例があります。東京都三鷹市では,昨年10月2006年以降4回目の討議会で今後12年間の在り方を決める基本計画案について話し合いました。清原慶子市長は,無作為の意義を出会いの妙味と表現しています。同じ顔ぶれや利害関係者が集まりやすい公募による審議会とは違い,初対面だからこそ肩書に捉われず純粋に話し合える,と語っています。この無作為抽出による討議は世界でも広がっています。例えば,英国などの市民陪審。これは十数人の市民が数日間,特定の政策テーマについて討議したり関係者の証言を聞いたりして報告書を作成し,自治体の政策決定者にアドバイスをするものです。米国,英国,豪州などの討論型世論調査。これは,無作為抽出による世論調査の回答者から参加者を募り,少数グループに分けて討議し意見の変化から民意を捉えるものです。2009年以降神奈川県や同県藤沢市,慶応大学が行政計画や年金問題をテーマに実施しました。デンマーク,オランダのコンセンサス会議。これは国会や行政機関の下で,市民十数人が遺伝子操作技術などの科学技術に関するテーマを討議し提言するものです。2006年に北海道庁と北海道大学が遺伝子組換作物の栽培をテーマに実施しました。本市としても,市民の市政への参加の推進の新たな取組において市民ニーズを把握し,政策,施策に結び付ける仕組みの拡充が検討されております。先ほど紹介しました具体例を参考にして,京都市らしい実効性のあるものとしていただきたいと考えますが,具体的な取組について御答弁ください。 以上,新たな市政の実現,市民が希望の持てる市政の実現をテーマに述べてまいりました。門川市長には,様々な困難に立ち向かうこととなりますが頑張っていただきますようよろしくお願いいたします。私並びに公明党京都市会議員団も全力を挙げて取り組んでまいります。最後に,私の好きなジョン・ケネディ元大統領の弟ロバート・ケネディの言葉を紹介し私の決意といたします。ある人々は現実を見て言う,なぜだと。私は不可能な夢を見る。そして言う,やってみようと。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) ひおき文章議員の御質問にお答えいたします。 まずは,公明党市会議員団をはじめ市会与党会派の皆さん,幅広い市民の皆様の力強い御支援で引き続き市長の重責を担わせていただくことになりました。多くの市民の皆様の御支援を胸に刻みまして,私更なる脱皮を目指しまたマニフェストの実行,京都の未来のために全身全霊をささげてまいります。 さて,市長選挙の投票率についてでございます。選挙は民主政治の基盤を成すものであり,市民一人一人が投票行動を通じて市政や国政等に積極的に参加することが極めて重要であります。投票率は政治状況や選挙の争点など様々な要因に影響されると言われております。また,国政選挙に比べましてマスメディアが取り上げる選挙に関する情報量の違いもあり,大都市において単独で実施されている市長選挙については,比較的低い投票率で推移しているという現状がございます。そんな中にあっても,市民が市政に参加する大切な機会である京都市長選挙において,今回も有権者の3分の2近くの方々が投票されていないということは,率直に申し上げて誠に残念であると考えております。投票率の向上に関しましては,選挙管理委員会において日頃から政治や選挙への関心を高めるための啓発活動等や投票参加の意識付けに引き続き積極的に取り組んでいただくとともに,私といたしましても未来の京都まちづくりマニフェストに掲げた121の施策を着実に実行していく中で,市民の皆様に市政に関心を持っていただくための情報発信や市政への参加の取組を更に進めることにより,市政に対する市民の評価が投票行動に結び付けられるよう改めて努力してまいります。 次に,大都市としての京都市の在り方についてでございます。ただ今ひおき議員から府市協調,広域連携,大都市制度の在り方に対する議論の進め方について貴重な御提案を頂きました。今日の社会経済情勢の下で大都市としての京都市の在り方を考えるに当たりましては,現行制度の下で様々な課題を克服するため最大限の取組を行うと同時に,市民的な議論を深めながら新しい制度論を検討し提案する取組の双方が必要であると考えております。現行制度の下でより効果的,効率的な市政を推進するため,私は府市協調の取組といたしまして,これまでから山田知事との懇談会や府市行政協働パネルをはじめ様々な機会を捉えて徹底した話合いを行い数多くの成果を上げてきたところであり,今後とも府市協働を力強くかつ飛躍的に進化させてまいります。また関西における広域連携の取組といたしましては,今日的な状況を踏まえ関西広域連合に正式参加し,地域主権改革の促進と京都市の強みを生かした京都市の発展,関西の発展に資する広域連携事業の推進により一層努力してまいりたいと考えております。 一方,制度論といたしまして,市民にとって個性豊かで魅力あるまちづくりを進めていくために,大都市を府県と同格に位置付ける特別自治市制度の創設を国に対して提案いたしております。今後現行制度の下での府市協調の取組や,関西広域連合における広域行政の取組も踏まえまして,大都市としての京都市の在り方について調査研究をしっかりと進めてまいります。調査研究の進め方につきましては,ひおき議員の御提案の趣旨も踏まえまして,有識者など幅広い方々から御意見を頂く方法について十分に検討を行い,今後とも議員の皆様の御意見を伺いしながら市民の皆様へ積極的な情報発信を行い,市民的な議論を深めてまいります。 次に,予算執行における組織の改革と人材の育成についてでございます。来年度予算案に対しまして,ただ今ひおき議員から大きな評価を頂き御礼申し上げますとともに,改めて責任の重さを痛感いたしております。この予算案に掲げた項目についてスピード感を持って強力に進めていくためには,ひおき議員御指摘のとおり多様な市民のニーズや新たな課題等に的確かつ迅速に対応する組織改革と人材育成が肝要であります。このため組織改革に当たっては,私のブレーンとして重要な政策課題を統括する政策監等の局外監の適材適所の配置,重要施策を融合させるプロジェクトチームの設置など,全庁横断的な連携を高める仕組みを活用するとともに,最小の経費で最大の効果を発揮することができる簡素で効率的な執行体制の構築を進めてまいります。特に来年度予算については,京都経済の再生と雇用の創出,福祉,医療,教育の充実,防災対策の推進の3点を強力に進めていくために企業立地促進のための体制強化,第二児童福祉センターの設置,防災危機管理業務の消防局から行財政改局への移管,地域防災,地域コミュニティの拠点としての区役所の体制の拡充など組織の抜本改革を行います。また人材育成,仕事の進め方の改革につきましては,より創造的,意欲的な職員を育成するため,新たな人事評価を活用した勤務実績の給与反映などを行うとともに,自律性,経営感覚,コスト意識を重視した新たな人材活性化プランの策定,市民目線の徹底に加えまして,改革の風土を醸成するため全庁きょうかん実践運動の新たなる展開,コンプライアンスの推進などあらゆる取組を一体的に進め第一線の職場から改革のうねりを起こし,職員一人一人が業務の見直し効率化を進める意識をより一層高め改革の土壌を作ってまいります。引き続き私自身が先頭に立ち,全職員が市民のため京都の未来のために改革を進めるという気概を持って,失敗を恐れず積極果敢に課題に挑戦し,前例に捉われない政策実行力のある組織に進化させることにより,持続可能かつ機動的な行財政運営の確立と市民の皆様により一層信頼される市役所づくりにまい進してまいります。 次に,市政の市民参加の取組についてでございます。参加と協働による市政運営を推進するために,市民の皆様の思いや声を政策,施策,事業にしっかりと結び付けていくことが極めて重要であります。本市では全国に先駆けて市民参加を市政運営の根幹に捉え,政令指定都市初の市民参加推進条例を制定するなど,市政のあらゆる過程に市民が参加する機会を設け,政策,施策に生かしていく取組を着実に推進してまいりました。また私自身徹底した現地・現場主義をモットーに,3,000箇所を超える市民活動の現場や市政の第一線を訪問し市民の皆様の声に耳を傾け率直に話し合うことを実践してきたところであります。更に幅広い分野の市民の皆様の参加により課題の抽出から行動に至るまで取り組んでいただく未来まちづくり100人委員会におきましても,この3年間で多くの政策分野で協働を実践してまいりました。今後,京都ならではの地域力を生かした区民まちづくり会議などの取組を進め,市民の皆様と協働を更に展開してまいります。 ひおき文章議員御提案の無作為で選ばれた市民による議論につきましては,広範な市民の御意見やニーズの把握はもとより,これまで市政に関わる機会のなかった市民の皆様に新たに市政に参加していただくきっかけづくりとして誠に有効な手段と考えております。今後市民参加を進めるための審議会である市民参加推進フォーラムの御意見も踏まえまして,住民基本台帳などから無作為で選ばれた市民の参加を呼び掛け,政策課題などについて議論し提案していただく取組について具体的な検討を深め実施してまいります。今後とも,自分たちのまちは自分たちでつくっていく,という京都市民主体のまちづくりを力強く進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 市民オンブズマン制度についてのお尋ねでございます。議員から御教示いただきましたように,川崎市の市民オンブズマン制度は,開かれた市政の進展と市政への信頼の確保を目的として苦情処理及び行政監視を主な役割として平成2年に設けられたものでございます。京都市におきましても従前から開かれた市政,信頼の市政を推し進めることは市政上の重要課題となっておりまして,そのための取組の一環といたしまして外部機関による監視機能の充実強化に努めてまいったところでございます。具体的には地方自治法改正に基づく外部監査の導入のほか,職員の法令違反行為についての民間弁護士による公益通報受付制度などでありますが,あわせてその外部監視を保障,充実するための情報公開制度の導入など,行政運営の透明化にも積極的に取り組んできたところでございます。こうした各制度や取組が一定の成果を上げており,また京都市におきましては監査委員制度も外部監視という点で大変大きな役割を果たしております。現時点では,これらが更に効果的に機能するよう努めることが,まずは必要と考えているところでございますが,議員御提案の新しい市政の実現を目指すという点での京都にふさわしい市民オンブズマン制度につきましても,こうした本市の各制度の機能,役割との関係も含めまして,また既にこの制度を導入している自治体での効果等も検証しながら研究してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 次に,曽我修議員に発言を許します。曽我議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 伏見区選出の曽我修です。ひおき文章議員,平山よしかず議員と共に公明党京都市会議員団を代表して,平成24年度予算並びに門川市長が選挙戦で掲げたマニフェストについて質問をいたします。市長並びに関係理事者の誠意ある御答弁を何とぞよろしくお願いをいたします。 まず初めに,太陽エネルギーの利用促進についてお尋ねします。東日本大震災に伴う福島第一原発の深刻な事故の影響により,関西電力管内の原発11基は全て稼動を停止したまま再稼動の見通しが立たない状況となっております。市民生活や経済活動を維持していくためには電力の安定供給は必要不可欠でありますが,関西電力管内では電力供給の約5割を原発に依存していたためその代替電源を確保することは容易なことではありません。当面は市民や事業者が節電に取り組むことはもとより,既設の火力発電所や他の電力事業者からの電力融通をフル活用して必要な電力の確保に努めることが先決です。そのうえで現在は極めて少ない再生可能エネルギーを,国や地方自治体の支援の下にできるだけ短期間に大きく生み育て,原発に依存しないエネルギー社会の早期実現を目指していくことが重要であると考えます。 さて京都市では,これまでの太陽光発電設備設置助成に加えて,平成24年度から蓄電設備や太陽熱利用設備にも新たな助成を開始されるとともに,昨年大道義知議員が提唱した市民の誰もが太陽光発電の普及拡大に関わることができる市民参加型,地域一体型の協働発電制度を創設されることは大いに評価をいたします。しかしながら,これらの助成制度に投入される当初予算は約2億円。平成22年度の当初予算額とほとんど同規模であり,決して増加しているわけではありません。新たに助成を開始される蓄電設備や太陽熱利用設備への助成予定件数は,それぞれ20件,50件と僅かとなっております。また太陽光発電設備設置助成の申請件数は,平成21年度431件,平成22年度857件,平成23年度1,606件と年々大幅に伸びております。平成24年度には,7月からは国による再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度が実施されることから,太陽光発電についての設置機運も高まり更に申請件数が増加するものと考えられます。再生エネルギーの利用拡大に向けた市民の取組意欲にしっかりと応えるとともに原発に依存しないエネルギー社会の1日も早い実現を目指していくためには,太陽光発電設備はもとより蓄電設備,太陽熱利用設備についても年度途中に市民からの申請件数が予定を上回ったり当初予算が不足する見通しとなった場合には,22年,23年度連続で補正したと同様,有料化財源を活用して補正予算を組む必要が出てくると考えますが,いかがでしょうか,お答えください。 次に,昨年の9月議会において取り上げました水垂埋立処分場におけるメガソーラー発電所の設置についてであります。水垂処分場は,京都市民が排出した大量の可燃ごみの焼却灰や不燃ごみの最終処分地として,昭和50年度から四半世紀の長きにわたり地元淀水垂町や淀樋爪町の皆さんの格別の御理解の下に活用されてきたものであります。この地域に大規模太陽光発電所を誘致することにより,京都市における最先端のエコ地域としてイメージアップが図れるようスピード感を持って取り組んでいただきたい。また,京都市には太陽電池はもとよりパワーコンディショナー,蓄電池など優れた技術や製品を持つ企業が多く,メガソーラー発電所を設置する際には是非とも京都市の地元企業が持つこれらの技術や製品を積極的に活用し,地域経済の活性化にも貢献できるよう取り組んでいただきたいと思います。本年12月にも発電開始と伺っておりますが,今後の見通しと地元経済や地域への波及効果について市長の見解を求めます。あわせて他都市においては,自治体が保有する浄水場の広大な敷地を活用してメガソーラー発電所を設置しておりますが,京都市においても同様の施設がございます。温室効果ガスの削減や経費の節減,更に停電時の非常用電源として活用を図るなど,再生可能エネルギーの利用拡大に率先して取り組むべきであると考えますが,この点についてもいかがお考えでしょうか,お答えください。 次に,する,見る,支える京都のスポーツ力向上に向けてお尋ねいたします。3月11日京都マラソンがスタートいたします。あと10日間,正に秒読みの段階となりました。これまでの関係者の皆様の御労苦に対し心から敬意を表しますとともに,大会の大成功を心よりお祈り申し上げます。第1回目の成功いかんが,これからの京都市のスポーツ文化に大きな影響を与えるといっても過言ではございません。あわせてランナーの皆さんの御健闘を心よりお祈り申し上げます。 さて,電通と早稲田大学による共同調査,地方自治体におけるスポーツ施策のイノベーション調査によりますと,従来の健康や教育といった効果に加え観光,スポーツ関連産業振興やスポーツによる地域活性化とその経済効果を求める自治体が,今後更に増加すると予想されております。また国レベルにおいては,スポーツ基本法が2011年6月に制定され,観光庁がスポーツ観光振興室を設置するなどスポーツを取り巻く新しい動きが活発化しております。これからの日本の振興にスポーツと観光の果たす役割は大きく,その両者の融合でスポーツツーリズムの一層の推進が図られることが期待されております。スポーツツーリズムの推進のためには,新たなスポーツコンテンツの発掘及び開発,大会の招致,開催など,多くの事柄においてスポーツツーリズムの現場である地域の理解と協力が必要であります。魅力的で他と差別化されたスポーツコンテンツは,まちの魅力,活性化にもつながりスポーツツーリズムから旅行者で満ちあふれる観光まちづくりが実現されると思います。このようなスポーツを活用したまちづくりで,新しい観光価値の創造を図っていくためには,宿泊施設,観光施設,交通機関,旅行会社,飲食店,商店などの企業や観光協会などを代表とした観光団体とスポーツ団体との連携,協働を効率よく機能させることが必要であり,これらメンバーと行政からなる連携組織が必要であります。また企業だけでなく,スポーツツーリズムによる地域の経済的,社会的,教育的な価値を自治体の首長が理解し推進を行い,例えば観光セクションとスポーツ振興セクションの融合や協力体制を構築していくこと,スポーツツーリズムの窓口となる担当者を置くことも必要であります。 昨年10月,さいたま市はさいたまスポーツコミッションを設立しました。スポーツ大会,スポーツイベントを誘致するプロモーターとして大会主催者などへの積極的なプロモーション活動を行うとともに,大会などの運営における宿泊や交通の手配など,ワンストップで担うことで様々な企画,運営のコーディネートを行います。現在,京都市では国のスポーツ基本法の理念を先取りした市民スポーツ振興計画を策定され,する,見る,支えるスポーツの推進によるスポーツの絆が生まれるまちづくりを着実に推進しておられます。ただ今御紹介させていただいたスポーツと観光の融合,スポーツツーリズム,そしてその推進機関としてのスポーツコミッションの設置を求めます。また,スポーツを都市政策として活用する複合的な施策や事業を実施していくためには,健康,福祉,教育,観光,産業などの各行政分野の枠を超えた体制を整備し,総合行政として政策を形成していく必要があると言えます。何よりも市職員の意識改革と,そうしたミッションを統括するスポーツ政策監の設置も必要ではないかと考えますが,体制整備について市長のお考えをお聞かせください。 次に,動物愛護行政についてお尋ねいたします。今や,ペットは犬や猫から爬虫類まで種類も多様化し,単なる愛玩の対象ではなく飼い主の心に潤いを与え心豊かな生活を送るうえの良きパートナーとして,その役割が高まってきております。しかし一方では,不適切な飼い方によって近隣住民に迷惑を及ぼしたり,飼い主がペットを虐待したり遺棄するなど様々な問題も生じております。動物を扱う法律は以前は動物管理法でありましたが,動物愛護を推進する立場から動物愛護法に改正する中,ペット霊園などの問題等を背景に近く動物愛護法の改正がされることとなっております。人と動物が安心して共生できる社会環境の構築に向けて,一層動物愛護行政が推進されることを望むものであります。京都市は,動物愛護行動計画を平成21年3月に策定し,永年の懸案でありました動物愛護行政の中核的役割を果たす動物愛護センターの設置を盛り込まれました。来年度予算では3億7,600万円が計上されております。永年動物愛護行政の推進を訴え,センター整備を求めてまいりました公明党議員団としても高く評価をしております。殺処分ゼロを目指す熊本市などよりも後発となりますが,早期の整備建設を願うとともに是非とも全国一のセンターとなるよう願ってやみません。併せて,この程動物愛護行政に使ってほしいと篤志者から1億円の御寄付を頂き,新年度予算に計上されております。そこで私は市長に,今後の動物愛護行政の推進に当たっての提案をさせていただきます。新たに設置される京都市動物愛護センターについては,動物を好きな方のみを対象とするものではなく動物愛護精神高揚の効率的な実施を目的に,動物が苦手な方,動物に興味がない方にとっても有益な施設となるような機能を有するものとしていただきたいと思います。あわせて,動物愛護の理念が京都市民に醸成されつつある今こそ,それを後押しする取組として将来の条例化も視野に入れた京都市動物愛護憲章を制定すべきと考えます。憲章制定は正に市民ぐるみの取組であり,市長のモットーである共に汗する共汗と協働の取組にも通ずるものと思われます。いかがでしょうか,お答えください。 次に,高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種助成制度についてお尋ねいたします。肺炎は日本人の死因の第4位であり,男女とも75歳以上で急激な増加が見られ,特に男性の死因としては80歳から84歳で第3位,85歳から89歳で第2位,90歳では第1位となっております。中でも肺炎球菌による肺炎は,高齢者や基礎疾患を有する方にとっては重篤になりやすく,また急激な悪化により抗生物質等の治療が期待できないケースもあると言われております。成人用肺炎球菌ワクチンは,これら高齢者の肺炎の原因となる肺炎球菌による肺炎を予防するワクチンです。公明党議員団は,かねてより助成制度の創設に向け本会議や委員会において強く要望してきたものでございます。肺炎球菌には90種類以上の型がありますが,肺炎球菌ワクチン接種により,そのうちの23種類に対して免疫を付けることができます。また,肺炎球菌が引き起こす呼吸器感染症のほか,副鼻腔炎,中耳炎,髄膜炎などの予防効果もあり,接種後1箇月で抗体価は最高値となりその後4年間余り低下せず5年目以降も効果は持続します。現在接種を希望する場合,任意接種として約8,000円から9,000円の接種費用が掛かります。政令市では,平成21年10月に神戸市,仙台市,22年10月から名古屋市,横浜市,京都府下では23年10月から和束町,本年1月から宇治田原町で一部助成が実施されました。この度京都市でも,市民の命と健康を守るため,肺炎の重篤化が懸念される方を対象に,予防に加えて医療費の抑制にも効果のある成人用肺炎球菌ワクチン接種の一部公費負担実施されることとなり大いに期待をいたしておるところでございます。そこで,対象者への周知,実施時期,助成内容など市民への周知徹底についてお答えください。また今後,国の定期接種化の動向や他都市の実施事例も踏まえ,高齢者の命を守るため一層の拡充に取り組んでいただきたいことを求めます。 次に,京都市版地域包括ケアシステムについてお尋ねいたします。高齢者の介護ニーズなどに対応する介護保険が実施されて10年余りが経過いたしました。高齢化のピークと目される2020年から30年代,とりわけ団塊世代が全て後期高齢者に移行する2025年に向かって制度の充実が今求められております。団塊の世代が高齢期を迎えることによって,高齢化が更に進展し要支援,要介護認定者や独り暮らし高齢者,認知症高齢者の増加が見込まれる中,高齢者の方が住み慣れた地域で安心して過ごしていただけるよう,医療,介護,予防,住まい,生活支援サービスが包括的かつ継続的に提供されるための仕組みである地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題であり,昨年の9月議会の本会議におきまして久保勝信議員がその重要性を指摘し早期の実現を求めたところでございます。京都市においては,現在平成24年度から26年度までを計画期間とする高齢者保健福祉施策の総合プランである第5期京都市民長寿すこやかプランの策定に向けて検討を続けられておられ3月中には策定されるとのことですが,今後も市民の声を十分に反映させて地域の実情を踏まえた京都市ならではの京都市版地域包括ケアシステムが構築されることを大いに期待するところです。本市会においては平成24年度予算案に提案されており,高齢福祉に関連する予算として地域包括ケアの中核機関となる地域包括支援センターの機能強化,成年後見制度の市民後見人の養成,認知症対策,特別養護老人ホームなどの介護基盤整備などの関連予算が盛り込まれております。とりわけ,公明党が平成24年度予算要望にも掲げている市民後見人を養成するプログラムの確立に向けて是非とも積極的に取り組んでもらいたい。そこでお尋ねいたします。第5期プランに掲げられる施策,事業の実施に向けて,プランの要ともいうべき京都市版地域包括ケアシステムを構築するために,体制の充実をはじめ機能強化などどのように取り組んでいかれるのか,具体的な中身及び今後のスケジュールについてお答えください。 最後に,京都市南部地域の障害児施策の充実についてお尋ねいたします。本年4月より伏見区に待望の第二児童福祉センターがスタートいたします。著しく増加している児童虐待や障害相談,その対応,発達検査,自閉症の確定診断などの待機解消に大きな期待が寄せられております。市南部地域における障害児支援の拠点として,これまでの利用実績や地域性を勘案し虐待通告件数,障害相談件数が全市の約3分の1となっている南区,伏見区を所管区域とし,機能としては児童相談所,障害相談,診療,直接指導プログラムの部門を設置し様々な相談に対応できるようになっております。一方で,障害のある児童の早期発見,早期治療は重要であり,近年の発達障害に関する市民の関心の高まりなどから通園施設での療育を実施する児童は増加してきております。平成18年度1,359人から平成23年度1,838人となっております。障害児の支援については,療育の拡充を中心に就学前から卒業後までの一貫した強化が求められる中,議論が続いていた障害児支援の枠組みについて障害者自立支援法と児童福祉法が改正され施策が両方にまたがっていたものを,今後は児童福祉法に基づいて支援策が実施されることになりました。また,これまで障害種別により分かれていた施設,事業が見直され,本年4月1日から児童発達支援として一元的に実施されることになり,より身近なところでサービスが利用できるように取り組んでいくこととなりました。また就学後の障害児を対象に,放課後や長期休暇中において生活能力向上のための訓練や居場所を提供する放課後等デイサービス事業が新たに創設されるなど,障害児支援制度の強化が図られることとなりました。京都市においても,これまで療育の場の充実に取り組んできておられますが,市内南部地域などにおいて年度途中で療育サービスが不足する状況にあり,療育の場の更なる拡充が求められております。このような市内南部地域での療育事業の拡充の課題,また国における障害児支援の動向を踏まえ,京都市としても就学前から就学後までの療育サービスの拡充について具体的にどのような取組を進めていくのか,お答えを頂きたいと思います。 以上をもちまして質問とさせていただきます。市長,御当選誠におめでとうございます。私たち公明党,市長としっかりとタッグを組みながら,京都市民の皆様に喜んでいただける京都市政のために全力を尽くしてまいる決意でございます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えいたします。 まず,再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取組についてでございます。太陽エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーの地産地消の推進は,持続可能なエネルギー社会の早期実現のためにも地球環境保全の観点からも極めて重要な施策でございます。本市では,住宅用太陽光発電システムの助成制度を平成15年度から開始し,平成20年度は年間100件程度だった実績が22年度は850件,そして今年度は1,600件を超えるなど飛躍的に拡大させ,市民の皆様の再生可能エネルギーの利用拡大の取組を着実に支援してまいりました。来年度におきましては,新たに市民協働発電の仕組みづくりに着手するほか,エネルギー変換効率が高いものの普及が進んでいない太陽熱利用システム,節電対策や災害時に利用できる蓄電池への助成制度を創設するとともに,太陽光発電システムにつきましては普及が進みシステム設置単価が下落したことから,助成単価を見直したうえでより多くの設置需要に対応するため助成件数を本年度当初予算件数の約2倍に拡大し予算編成を行ったところであります。今後とも太陽エネルギーの利用拡大に向け,市民の皆様の取組をしっかりと支えてまいります。なお,再生可能エネルギーに対する市民の皆様の関心を更に高めるために,京都市としてなお努力をし,その結果急激に関心が高まるなど年度途中に助成件数が予定を上回った場合には,こうした取組意欲に確実に応えられますように市会の御理解も得て万全の対策を講じてまいります。 次に,水垂埋立処分場における大規模太陽光メガソーラー発電の誘致についてでございます。本市では,原子力発電に依存しない安心安全なエネルギー社会の早期実現に向け,再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大を図るため伏見区の水垂埋立処分場への大規模太陽光発電所メガソーラー誘致を進めてまいっております。今回5件の応募を頂き,去る2月29日に学識経験者等で構成する事業者選定委員会において,応募内容のヒアリング及び審査を行っているところでございます。審査に当たっては,単に再生可能エネルギーの安定的な供給にとどまらず,御指摘のように環境エネルギー関連で国内外をリードする多くの企業が立地する京都市の特性を踏まえまして,これらの企業の技術や製品を積極的に活用することで京都のものづくり,京都の経済の活性化に寄与することも重要な要素として評価を行っていただいております。近く事業者を決定し,本年12月を期限に可能な限り早期完成,早期運行に向けて努力してまいります。また,曽我議員御指摘の更なる大規模な太陽光発電所の設置につきましては,他都市における取組事例も参考にしながら幅広くその可能性について積極的に検討し実現に向けて努力してまいります。 次に,スポーツツーリズムの推進についてでございます。スポーツを活用したまちづくりで新しい観光価値の創造を図るべきという曽我議員の御指摘に私も全く同感であり,先の市長選挙で掲げた私のマニフェストにおきましても,文化芸術,スポーツ都市,観光MICE戦略の推進で5,000万人感動都市の実現をお約束したところであります。御指摘の市民ぐるみで万全の準備を進めてきました京都マラソンですが,海外から35箇国,1,000人近い方が御参加いただきます。国内では,47全ての都道府県から総計1万5,000人のランナーが集っていただく大会となりました。京都の魅力を存分に味わっていただく,そんな場にもなろうかと思います。また,京都の豊かな歴史,文化,自然に触れながら心地よく汗を流せます京都ツーデーウォークも3年を迎えます。5,000人を超える方がお越しいただきます。全国からお越しいただけます。また京都一周トレイルなど京都の魅力を生かしたスポーツ観光を新たに色々実施してきました。更には,プロスポーツの振興やスポーツイベントの誘致促進に取り組んできております。また今年度スポーツ振興を強化するため,スポーツ担当局長を初めて設置するなど全庁体制で取組を進めております。今後更に,観光戦略において課題としてきた閑散期対策や宿泊客増加に大きく寄与するスポーツを生かした観光の新たな展開を図るために,スポーツコミッションの機能を果たせるような取組について,民間や関係団体との連携も含めた体制の強化について検討を進めてまいります。 次に,動物愛護行政の推進についてでございます。私は動物の触れ合いを通して全ての命を大切にするまちを築いていくために,マニフェストにおいても全国一の動物愛護センターを創設することを市民の皆様にお約束いたしました。その目的を達成していくためには,ペットを飼っている方のみならず動物が苦手な方も含め,市民ぐるみで全ての命を大切にする機運を高め行動に移していくことが必要であります。このため,動物愛護センターにおきましては野良猫の去勢,避妊手術を行うまちねこ事業の更なる推進や,鳥などの動物からの迷惑防止対策,動物から人へ移る病気に係る情報発信等,ペット愛護にとどまらない動物と共生するまちづくりを目指した事業についても積極的に行ってまいります。曽我議員御指摘の京都市動物愛護憲章の制定につきましては,動物愛護団体や市民ボランティア等の皆様と共に汗する共汗で,人と動物が共生できるまちの理想像を示すことができるものとして,センターの竣工に併せまして制定できるよう検討を進めてまいります。 次に,京都市版地域抱括ケアシステムについてでございます。高齢者が住み慣れた地域で安心して過ごしていただくためには,曽我議員御指摘のとおり地域包括ケアシステムを更に充実させ推進していく必要がございます。来年度予算におきましては,まず高齢者を総合的に支える地域の中核施設として,市内にきめ細かく61箇所設置しております地域包括支援センターの専門職員を大幅に増員し,これまでの3割増となる約270名の体制とし,政令指定都市で初めてとなる独り暮らしの高齢者約7万世帯への全戸戸別訪問を行うことなどにより,地域での孤立を防ぎ必要なサービスにつなげてまいります。更に平成27年度までの今後4年間で介護保険施設等の定員を少なくとも2,000人分以上整備することや,300箇所の高齢者が気軽に集える居場所,街の縁側などを作ることを進めますとともに,高齢者の権利擁護のため市民後見人の養成や法人後見人への支援等,私がマニフェストに掲げました主な施策を予算案に計上しているところであります。今年度末に策定する基礎自治体ならではの地域に根ざした施策を盛り込んだ第5期市民長寿すこやかプランを今後着実に推進していくことにより,健康長寿のまち・京都を実現してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは2点についてお答えいたします。 まず,成人用肺炎球菌ワクチン予防接種についてでございます。このワクチンの接種に係る公費助成につきましては,公明党京都市会議員団をはじめ多くの皆様からの御要望を踏まえ,高齢者の肺炎予防に大変有効であるとの判断の下に,国に先駆けて本市独自の単費事業として来年度予算案に計上したところであります。具体的内容といたしましては,市内の75歳以上の高齢者のうち内部機能障害等により4級以上の障害者手帳を受けておられる方に対して,1回の接種費用の半額程度を公費負担するものでございます。低所得の方に対しましては,更なる負担軽減措置も講じてまいりたいと思っております。実施時期につきましては,医師会等関係機関との調整を踏まえまして,本年秋を目途に実施したいと考えておるところでございます。制度の詳細や具体的な手続き等につきましては,市民しんぶんやホームページ等を使って広く周知を図ってまいります。また制度の拡充につきましては,接種実績や定期接種化の国の動向も見極めたうえで,今後検討してまいりたいと考えております。 次に,障害児に対する療育の充実についてでございます。障害の早期の発見及び療育は,障害のある児童の成長発達にとって極めて重要でございます。京都市では,全国に先駆けて実施をいたしました総合療育事業や通園施設への財政支援など,これまで療育の場の拡充に取り組んできたところであります。しかしながら,相談や療育のニーズは近年増加傾向にあります。議員御指摘のとおり,市内南部地域での療育事業の拡充が必要となってきております。このため第二児童福祉センターに診療部門等を移すことによって生じてまいります現児童療育センター内の空きスペースを活用いたしまして,本年秋に就学前の児童を対象の療育を行います児童発達支援事業所を新たに開設してまいります。また,本年4月1日施行の改正児童福祉法により就学後の障害児に対する生活能力向上のための訓練や,放課後等の居場所を提供する放課後等デイサービス事業が創設されることに伴い,この事業等を始める事業者に対しまして,本市独自に事業所の借り上げや改修等に必要な費用を補助する制度を新たに設けることといたしました。今後とも障害のある児童の成長発達の支援のため,就学前から就学後を通じまして継続的な療育サービスの拡充に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 次に,平山よしかず議員に発言を許します。平山議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) 西京区選出の平山よしかずです。ひおき文章,曽我修両先輩議員に続いて公明党京都市会議員団を代表し,平成24年度京都市予算案並びに門川市長の未来の京都まちづくりマニフェストに掲げられた施策,事業について質問いたします。市長並びに関係理事者には誠意ある御答弁をお願いいたします。 日本経済は長期にわたるデフレと歴史的な円高の状況にあります。2月中旬に日銀がインフレターゲットを発表し株価が少し持ち直したとはいえ,足元の京都経済を取巻く環境はいまだ不透明感が強く市民生活は依然厳しい状況が続いています。平成24年度本市予算案は,市税収入の落ち込みから歳出総額は一般会計で前年度比1.1パーセントの減,更に公債償還基金の取崩しなど96億円の特別の財源対策を要し,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を含む市債残高は増加をする見通しです。本市の財政状況は,経費を抑えて財源を捻出し福祉充実など市民生活を守りながら防災対策や公共インフラの維持を進め,そのうえで実質市債残高を削減していくという何重もの課題を同時にクリアしていかなければならない難しい局面にあります。門川市長は4年前の初当選後から,リーマンショックによる世界同時不況によって苦しい財政運営を強いられたと述べられていますが,2期目の舵取りを始められた今,市長には更に強いリーダーシップを発揮されあらゆる可能性を検討しながら財政構造の抜本改革を強力に進めていただきたいと思います。 そこで,財政構造の抜本改革のための財政情報の活用についてお伺いします。財政構造の抜本改革を推進していくためには,外郭団体を含めた財政情報の透明化と適切な開示によって公正かつ効率的な行政運営を行うことが絶対に必要です。東京都では,平成18年より複式簿記方式を基本とした新しい会計制度を他自治体に先駆けて導入し事業の無駄削減や選択と集中を行い,大阪府も減損会計の考えを採り入れた新しい会計制度を導入,更に報道によると大阪市は平成26年度に大阪府と同じ会計制度を導入し,事業別財務を明らかにするシステムを構築していくようです。私は,京都市においても事業別評価や情報開示に有効な新しい会計制度を導入すべきと考えますが,20億円を超えると試算されるシステムの開発費や数年にわたる開発期間,導入効果の見極めなど大きな課題があり,一足飛びに新しい会計制度への移行とはいきません。本市として公会計改革の流れに乗り遅れることのないよう,他都市の情報を収集し導入に向けた検討を進めていくことを要望します。 一方これまで京都市では総務省方式に基づき,企業会計手法に沿った財務諸表の作成を続けてきた結果,市有地を実勢価格に近い評価額で把握するなど少しずつストックの情報が充実してきています。私は,このストック情報を財政構造改革の一つとして有効に活用すべきと考えます。これまでは公共施設の建替えなどにより,土地が不用となれば売却し財源としてきましたが,これでは計画的な資産活用とは言えません。京都市基本計画はばたけ未来へ!京プランの実施計画によれば,市税収入に伸びが見込めない中で財源をしっかりと確保するためには,市有地を計画的に活用していくことが不可欠となっています。またただ売却するだけではなく,民間資本による施設の誘導など,その土地にふさわしい活用手法を柔軟に選択する取組も必要です。これまで蓄積されてきたストック情報を十分に生かし,京都の将来を開き市民生活を支えるよう戦略的に市有地を活用していく取組を進めるべきですが,市長のお考えをお聞かせください。 次に,参加協働による区のまちづくりの推進についてお伺いします。先の9月市会において,同僚の久保勝信議員が行った区主体のまちづくりについての質問に対し,市長は区民が自ら考え,提言し,実践する手法を採り入れるとともに各区の独自性を生かした体制を構築し予算の大幅な増額を図ると答弁され,門川マニフェストには支援制度やまちづくり会議の創設がうたわれました。そして来年度予算案には,区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算として2億1,000万円が計上されています。財政が厳しい中で総額としては思い切った予算措置ではありますが,各行政区当たりにすれば平均2,000万円程度の額です。私は今回創設された区民提案・共汗型まちづくり支援事業が,従来の区政策提案事業の延長線上ではなく,行政と区民が共汗でこの事業を育てていかなければならない。そのためには,本市として来年度の各行政区の事業執行状況を十分検証し,区民協働の仕組みのよりよい改善と適正な予算措置を講じていかなければならないと考えます。市長は,この予算で区のまちづくりをどのように変えていこうとされているのでしょうか,お聞かせください。また今後の各行政区の取組によって予算が増額されていくのか,例えば区ごとの予算配分割合にめり張りを付けていかれるお考えなのか,今後の予算措置の考え方について併せてお答えください。 区のまちづくりを従来のトップダウン型ではなく,区民の声を生かすボトムアップ型で進めていくことは,区政運営の大きな転換となります。ボトムアップ型で本事業を進めるに当たっては,多様な区民の声を集約し企画立案するなど事業のコーディネートを担う人や組織が必須でありその力量が大きく問われます。このコーディネータの役割は,区役所のみならず民間のNPOをはじめ様々な区民の方々が担っていかれることを大いに期待したいところですが,いずれにしても区役所に十分なコーディネート機能が必要なことは言うまでもありません。しかし,現在の区役所には区民参加協働のまちづくりを企画立案し,コーディネートするスタッフが十分に配置されてはいないと私は思います。職員配置はじめ様々な事業の意思決定や執行権限が市役所本庁に集中している現状を改革し,いわゆる市役所機能の分権化を進め区役所が権限と責任を持って区民協働のまちづくり事業を進める体制があってこそ,区民と共汗でそれぞれの事業を育てていくことができるはずです。区役所の人,制度,権限の一層の充実を予算措置の充実と並行して進めるべきと考えます。そこで新年度の区役所組織編制方針について市長の御見解をお伺いします。 次に,若者の就職をはじめとする雇用対策についてお伺いします。今春卒業予定の大学生の就職内定率は,昨年12月1日時点で71.9パーセントと過去2番目の低水準となるなど,長引く就職氷河期の打開は国の大きな課題です。公明党全国青年委員会は,昨年就職活動中の大学生や中小企業などから聞き取りをする若者雇用実態調査を被災3県を除く全国で行いました。調査から,学生と中小企業,職業訓練と訓練生,職業訓練と中小企業の三つのミスマッチが改めて浮かび上がりました。調査結果に基づき党青年委員会は,ハローワークと就職支援サイトの連携強化や中小企業に関する情報提供体制の充実,職業訓練学校に在籍しているキャリア・コンサルタントの資質向上,職業訓練内容の情報提供などの提言をまとめ,昨年12月20日に政府へ申し入れました。こうしたミスマッチの解消について,京都市としては既に積極的に取り組んでいただいている事業があります。京都市内には伝統産業から先端産業まで数多くの魅力ある企業が立地をしており,本市がこれら魅力ある市内の中小企業と学生を結ぶWEBサイト京のまち企業訪問を運営提供し,市内企業の人材確保と学生の就職に大いに役立っています。本年1月には,WEBサイト登録企業が参加する3回生のための合同企業説明会,4回生以上が対象の合同企業面接会を本市が中心となって開催したところ,それぞれ1,000名を超える就職活動中の学生が参加し多くの結果に結び付いたとのことです。また,本市が行うフルカバー学生就職支援事業も引き続き平成24年度予算案に計上されており,これら就職支援の諸施策をしっかりと進めていただきたいと思います。ところで,このような本市の新卒者就職支援事業は国の雇用対策基金事業による財源によって予算措置がなされています。依然厳しい就職状況が続いている現状を踏まえ,本市として国へ基金事業継続の要望を行っていかなければなりませんし,仮に今後国による財源手当てが難しくなったとしても本市として新卒者就職支援事業をしっかりと継続し可能な限り充実させていくべきと考えますが,いかがですか。 一方,雇用のセーフティネット機能も兼ねる公共職業訓練は,国において責任を持って実施されるべきであり,この間求職者支援法に基づく求職者支援訓練制度が創設されるなど拡充をされてきました。公共職業訓練はハローワークを通じて利用できますが,セーフティネットの観点からも市民により身近な区役所や福祉事務所の窓口において,一層の広報活動を通して制度を広く市民に知っていただくような取組を進めていただきたいと要望いたします。また,昨年,国から地方自治体とハローワークの一体的運営について提案の公募がなされ,京都市として生活保護受給者の自立,就労の支援を提案していると伺っています。就労可能な生活保護受給者の方々が働くことを通じて社会参加されることは,何よりも受給者御本人の前向きな生活,人生への大きな後押しになります。門川市長のマニフェストにも掲げられているハローワークとの一体運営による就労支援事業をスピード感をもって進めていただきたいと思いますが,これまでの取組も含め今後の事業展開をお聞かせください。 次に,高齢者が安心して住宅を確保できる取組について伺います。高齢化が急速に進む中で,高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加をしています。このため,国によって高齢者の居住の安定を確保することを目的として,バリアフリー構造等を有し介護,医療との連携支援サービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅の登録制度が昨年10月に創設されました。京都市においては,昨年12月に第1号の登録住宅が誕生し,今後民間によるサービス付き高齢者向け住宅の提供は拡大していく見通しであるとお聞きをしています。一方で高齢者が円滑に賃貸住宅に入居できるようにと,従来から高齢者円滑入居賃貸住宅及び高齢者専用入居賃貸住宅の制度,いわゆる高円賃,高専賃の住宅提供制度が京都府の登録制度としてありました。高円賃,高専賃の住宅は,直近では市内に80団地1,728戸が登録をされていましたが,制度としては先に述べたサービス付き高齢者向け住宅制度へ新たに移行したことになりますが,高円賃,高専賃の住宅そのものが消えてなくなったわけではなく,その情報を引き続き高齢者へ提供していくことを行政の務めとして継続すべきであると考えます。近年地元西京区において,適当な賃貸住宅が見つからないとのお声をお聞きすることが増えました。西京区をはじめ市郊外では,老朽化などの理由によって低家賃で高齢者を受け入れてくれる住宅が減少をしてきているのではないでしょうか。こういった現状を踏まえ,新制度であるサービス付き高齢者向け住宅のみならず従来の高円賃,高専賃を含めて,広く高齢者が円滑に入居できる住宅を対象として情報提供などのサポートを行っていくべきだと考えます。これら高齢者が円滑に入居できるための住宅施策について,本市の今後の取組をお聞かせください。また住宅でお困りの高齢者に対し,情報提供や総合的な相談を行う窓口を本市として設置すべきだと考えますが,いかがですか。お答えください。 次に,男性介護者の支援についてお伺いします。仕事と生活を調和し,一人一人が生き生きとした社会生活を送るというワークライフバランスの取組が社会的に求められ,行政,経営団体,労働団体及び市民団体などによって働くことと育児や保育,介護との両立,地域や社会活動への参加促進とその環境づくりが進んできました。京都市は,仕事と家庭,社会貢献が調和できる真のワークライフバランス戦略を京都市基本計画はばたけ未来へ!京プランの重点戦略の一つに据えています。私は,働く人が介護者となった場合の仕事や生活と介護の両立を京都市の真のワークライフバランス戦略の重要な課題としていただきたいと思います。なお,仕事と介護の両立で御苦労されている方々は,男性に限らず女性も多くいらっしゃるわけですが,今回は男性介護者の視点で質問いたします。昨年12月22日付の朝日新聞には,男の介護,頼るのも勇気とのタイトルで男性介護者の実態像がレポートされていました。介護を続けられるのは仕事を辞めたから,そうでなければ無理です,母親だから介護は重荷ではない,でも今後症状が進めば続けられるか心配だ,などの声を紹介しながら,男性介護者を支援する団体の動きが記事となっていました。私も地域を歩く中で,これまで数名の男性介護者の方からお悩みをお聞きしました。母親の介護のために離職をされた50代の方は,将来の人生設計が全くできないことが最も辛いと話してくださいました。介護保険制度が出来て10年が経過をいたしました。この間女性の社会進出が進み,在宅介護を担ってきた専業主婦が減少し男性介護者が増えています。1968年日本で初めて行われた介護に関する全国規模の調査では主たる介護者のほとんどが女性ですが,2007年の国民生活基礎調査によれば介護者の32パーセント,つまり3人に1人が男性となっており男性の介護者は全国で100万人を超えたと推計されています。また男性介護者とはほぼ夫や息子ですが,息子と言っても50代や60代が多く正に社会の第一線で働き,いよいよ仕事の総仕上げをという男性が介護者となっています。男性の育児休暇は社会に随分定着してきましたが,介護休暇制度はまだまだ利用しづらく家計を担っている男性が介護者となった途端にまず働き方が難しくなり,やがて転職や離職せざるを得ずひいては家計の収入減へつながるケースが増えています。 日本の介護保険制度は,この10年間で介護サービスの充実と介護職員の待遇改善が図られてきました。しかし,在宅での介護を担う家族の介護者については介護保険制度の枠外に置かれている状況です。例えばイギリスでは,家族の介護者への経済的な支援が国によって行われていますが,それとて十分な支援とは言えず福祉先進諸外国においても介護者のサポートは今後の課題であるようです。私は先日,男性介護者の問題を長年研究されている立命館大学の津止正敏教授を訪問し,現状の課題と取組の方向性など様々な御意見をお聞きしてきました。津止先生は御自身でも,男性介護者と支援者の全国ネットワーク通称男性介護ネットを立ち上げられ活動をされています。この男性介護ネットのテーマは,1人じゃない,生きる勇気がわいてきた,というものです。日常の社会参加が難しく孤独感の中で悩みを抱える男性介護者が,悩みを共有する方々や支援者と触れ合うこと,また社会的に男性介護者の現状を正しく理解することがどれほど男性の介護者に勇気と希望を与えるのかを多くの実例を通して教えていただきました。私は,中小企業で働く男性の割合が多い京都市においてこそ,家族の介護者,とりわけ男性介護者の介護と仕事の両立や社会参加の支援を推進すべきと考えます。近年国においても,介護者の実態調査が進められているようですが,京都市も含め一番介護現場に近い地方自治体が,介護者の実態把握ができていないのが現状だと思います。今後の支援策の創設も視野に入れ,まずは京都市が全国に先駆けて家族の介護者とりわけ男性介護者の実態把握を行い支援の第一歩とすべきと考えますが,いかがですか。 この実態調査から見えてくる介護者の様々な問題に京都市が向き合うことこそ,門川マニフェストに掲げられた真のワークライフバランスの理念に合致した取組であると確信をします。また,私自身,一人一人に寄り添い,互いに支え合う京都のまちづくりに力を尽くしていくことを改めて決意し,以上を持って私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山よしかず議員の御質問にお答えいたします。 まず,市有地の計画的な活用についてでございます。本市が保有する資産の活用については,全庁的,横断的な仕組みを構築しその最適な方策を進めていく,こういう取組を進めておりますが財政状況の厳しい本市にとって財源確保はもとより経済文化の活性化等からも欠かすことができない重要な取組であると認識しております。このためはばたけ未来へ!京プラン実施計画案に掲載いたしておりますとおり,土地等の情報を一元的に集約する庁内ネットワークや有効活用を全庁的な観点で検討,調整する資産活用推進会議の設置などを盛り込んだ資産有効活用基本方針を新年度早々に取りまとめることといたしております。今後この基本方針に基づき,平山議員御指摘のとおり売却のみならず,例えば京都水族館や伏見区の水垂地区のメガソーラーといった民間資本による施設の誘導,また伏見区のらくなん進都における大学と企業と京都市共同で創設します技術の橋渡し拠点のような地域全体のポテンシャルを高めていく,こうした市有地の活用,また民有地も視野に入れた企業の誘致,更には地域のコンセンサスの下に進めております学校統合により生み出された貴重な跡地の活用など,幅広い方法を用いまして資産の有効活用を計画的に進めてまいります。こうした取組により自主財源の確保を図ることはもとより,文化首都等を実現するためのまちづくりや地域経済の発展,活性化を推進してまいります。 次に,区役所の権限強化についてでございます。各区のまちづくりにつきましては,マニフェストでもお示ししたとおり区民に最も身近な区役所の機能,権限強化と京都の誇る自治の伝統や各区の特色を生かした区役所改革の一層の推進を通じて,京都モデルの参加,協働による区のまちづくりを進めてまいります。そのため幅広い区民の皆様の声をしっかりと受け止め,地域の課題の解決や自分たちのまちは自分たちで作っていくという地域のまちづくりを区長,担当区長の権限の下,区役所,支所が迅速かつ柔軟にしっかりと支えていく協働の仕組みづくりとして,新たに区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算を創設し,区民提案型支援事業と共汗型事業に取り組んでいくことといたしました。この予算につきましては,今後より多くの区民の皆様から提案を受け止め,区民と一緒になって地域のまちづくりに反映させることができるよう,初年度である平成24年度の各区の事業の推進状況をしっかり見据えつつ,次年度以降予算の増額も含めましてしっかりと取り組んでまいります。あわせて各区への予算の配分の在り方につきましても,事業の趣旨を踏まえ検討してまいります。また区役所における組織につきましては,様々な区民のニーズに応じ迅速かつ柔軟に支援していけるよう,現行の総務課とまちづくり推進課を一体化し機動性を高めた新たな組織の設置を考えているところであります。あわせてまちづくり推進課等の業務の在り方につきましても,新たな課題に積極的に取り組めるよう住民自治を促進する観点から必要な見直しを進めてまいります。 次に,生活保護受給者に対する就労支援の取組についてでございます。就労支援をはじめとした自立を支援する取組の充実は,生活保護行政推進の大きな柱の一つであり,これまでケースワーカーの家庭訪問等による積極的な働き掛けやハローワークと連携した支援を進めてまいりましたが,更に平成22年度からは就労に向けた課題をより多く抱える方を対象に就労意欲を喚起する専門的なカウンセリングを行い,対象者の能力や希望に応じた求人開拓に取り組む就労意欲喚起等支援事業を実施し,年々拡充しまたその成果も上がってきているところであります。平山議員御指摘の地方自治体とハローワークの一体的運営による就労支援につきましては,私自身も生活保護受給者等の就労支援に非常に効果的であると考えております。このため,区役所庁舎内等にハローワークの就労支援コーナーを設置し,集中的に生活保護受給者等に支援を行う事業をマニフェストに掲げ,現在強力に国に働き掛けているところであります。来年度できるだけ早く実施してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 若者の就職支援についてお答えいたします。現在の雇用情勢は徐々にではございますが,持ち直しの動きが見られつつあります。議員御指摘のとおり,新卒者をはじめとする若者の就職状況はいまだなお厳しい環境にあると認識いたしております。こうした中,本市では国の交付金を活用し,いわゆる基金事業として魅力ある京都企業の情報発信するWEBサイト,京のまち企業訪問や研修や講座の開催などを通じて就職活動を支援する京都市フルカバー学生等就職支援事業を実施し,本年度は更に経済団体等と連携した合同企業説明会,面接会を開催するなど積極的な事業展開を図っております。しかしながら,現在の基金事業は一部を除いて今年度で終了することから(後刻訂正),依然として厳しい雇用情勢を踏まえ国に対して事業の実施延長や基金の積増し,更には雇用創出につながる新たな事業の創設を積極的に働き掛けてまいります。また,本市が取り組んでおります就職支援事業は就職内定率の向上など雇用環境の改善に大いに資するものと考えておりまして,今後基金を確保できなくなった場合を想定し,国や京都府などの関係機関と緊密な連携を図りながら事業の展開を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 高齢者に対する住宅政策についてお答え申し上げます。本市では,高齢化の進展に伴い高齢者のみで構成される世帯の増加が著しく,高齢者が安心して暮らせる住まいの確保は極めて重要な課題であります。議員御指摘のとおり,昨年10月高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正により,サービス付き高齢者向け住宅の登録制度が創設されました。本市におきましても既に5件160戸の登録を行っており,引き続き市民の皆様や事業者の皆様への周知,普及に努めてまいります。 一方,従前の法律に基づき,高齢者の入居を拒まない住宅の供給を促します高齢者円滑入居賃貸住宅制度,高齢者専用の高専賃を含みますいわゆる高円賃の制度でございますが,この制度につきましては議員からも御紹介をいただきましたとおり,京都市域で80件1,728戸の登録の実績がございます。サービスの提供までは必要としないそういう高齢者の方々に住宅を供給いたしますうえで,なお意義を有するものと考えております。このため本市におきましてはこの制度を引き継ぎ,京都市版の高齢者向け住宅の登録制度を発足させ,住宅を必要とする高齢者の方々に情報発信をしてまいりたいと考えております。また,高齢者の方々が各々のニーズに応じた住まいを容易に選択できますよう,不動産業界団体等の協力も得て,高齢者向けの住宅情報の一元的な提供や総合的な相談を行うための窓口の設置について具体的な検討を深め,実施してまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 森井企画監。 〔森井企画監登壇〕 ◎企画監(森井保光) 男性介護者に対する支援についてお答えいたします。男性介護者を含む家族介護者の負担軽減を図るため,本市におきましては全国的に見ても先進的に取り組んでおります夜間対応型訪問介護の実施をはじめショートステイ等の介護保険サービスの充実を図っており,更に緊急時に対応できるショートステイ事業も独自に実施しているところであります。しかし近年,共働き世帯の増加や未婚率の上昇などによりまして男性が介護を担うケースが増加しており,仕事と介護の両立が新たな課題として顕在化しております。 こうした中,本市が大学コンソーシアム京都との共同事業として実施しております未来の京都創造研究事業におきまして,家族介護者の仕事と介護の両立について企業及び就労者に対する実態調査や介護者に対するインタビュー調査をし,現在その分析を行っているところであります。この研究成果も踏まえながら,関係局の連携により引き続き男性介護者の実態把握に努めますとともに,来年度から創設される24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの導入等によります一層の在宅サービスの拡充や,真のワークライフバランス推進施策として創設する中小企業に対する補助制度の活用等による支援を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 暫時休憩いたします。午後3時24分に再開いたします。 〔午後3時00分休憩〕 〔午後3時25分再開〕 ○議長(井上与一郎) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行します。 中島拓哉議員に発言を許します。中島議員。 〔中島拓哉議員登壇(拍手)〕 ◆(中島拓哉議員) 南区選出の中島拓哉でございます。私は地域政党京都党京都市会議員団を代表いたしまして,平成24年度予算案に関し質問を行います。 2月5日の京都市長選挙において,門川市長が再選をされました。門川市政の4年間とマニフェストが市民に評価された結果であります。しかしながら,市長選の得票の46.1パーセントは門川市政に対する不信任であり,なおかつ市長選の投票率は過去20年間の中で最も低い36.7パーセントでありました。大阪市では40年ぶりに投票率が60パーセントを超えております。門川市長にはこの投票率の低さにも向き合い,しがらみを断ち切った市政の抜本的改革を期待しております。我々地域政党京都党は,唯一市長選において市長の応援も対立候補の応援もいたしませんでした。だからこそ我々は党利党略やしがらみを超えて,是々非々で議会運営に望んでまいります。 二元代表制についてお尋ねをいたします。議会が行政のチェック機能を果たせず,全国各地の自治体が財政難に陥っております。そのため市民からは,行政のチェック機能すら果たせない議会など不要であるとの声が高まるなど,全国的に地方自治における議会の在り方が問われております。この背景には,二元代表制の一翼を担うはずの議会が残念ながら脇役的存在に甘んじている現状がございます。これはもちろん,二元代表制と言いながら首長側に権限がより多く付与されている制度的課題もございます。しかし議会も,地域主権の推進の中で長かった脇役としての地位を脱却して,代表機能の回復,拡充を図るべく議会改革に取り組んでおります。議会は討論の場というその長所を遺憾なく発揮して,住民参加を積極的に取り込みながら,その地位の向上に努めるべきであります。 京都市会においても,市会改革推進委員会において議会改革を審議しております。議会の権限,組織などについては,地方自治法の改正が必要とされる所もございますが,現行法制下において可能な限りの改革に取り組んでおります。しかし,この市会改革は議会だけでは達成ができません。つまり二元代表制の一翼を担う市長が,住民の代表たる議会に対して真摯に向き合う姿勢がなければなりません。そもそも,議会と市長は車の両輪であると表現されることがあります。しかし行政を車にたとえるならば,車のブレーキやアクセル,ときにハンドルとなるのが議会であります。一部では,市長選において市長を支持した会派を市長与党,対立候補を支持した会派を市長野党と呼んでいるようであります。しかし議院内閣制度ならともかく,二元代表制度においては議会と市長は二つの市民の代表として一定の緊張関係を保ち市政に取り組まなければなりません。くしくも本日の京都新聞の朝刊にもございましたが,自民党の伊吹文明衆議院議員は,以前に地方議員の仕事は行政の監視,言わば全員が野党であり,与党,野党といった区分はおかしいとの趣旨の発言をされているようであります。だからこそ我々地域政党京都党は,二元代表制において市長与党でも市長野党でもなく,あるのは市民の味方である,すなわち市民与党のみであると考えており,是々非々で議会運営に望んでまいります。我々は,状況に応じては,条例案を自ら提出することで市政のハンドルを握り,ときには停滞する行財政改革にアクセルを掛けてまいります。そこで,お尋ねいたします。二元代表制における与党,野党の位置付け及び二元代表制の在り方の御所見をお聞かせください。 このように市長と議会は高い緊張関係を保ち,市政運営に努めなければなりません。しかし,この二元代表制の在り方の根幹を揺るがす問題が昨年の11月に発生いたしました。それは,技能労務職,いわゆる現業職の新規採用の再開であります。御承知のように平成18年度重なる職員の不祥事を受け,市民の行政に対する怒りは頂点に達しました。この市民の怒りを受け,当時の桝本市長と議会は連日にわたり議論を交わし,信頼回復と再生のための抜本改革大綱を策定し技能労務職採用の凍結,技能労務職員の50パーセント削減の段階的実施などが定められました。しかしながら,この市民の怒りを受け策定され市民との約束とも言える改革大綱に示されている技能労務職採用の凍結が突如として解除されました。昨年の11月17日の午後,議会に対し採用の再開が報告されました。一方でその翌朝,市役所前では自治労,市職労の双方が配布していた広報誌において現業職の採用の再開が発表されておりました。また,12月に配布予定の市民しんぶんの原稿にも現業職の採用試験が既に記載され印刷されていたと聞いております。現業職の採用再開は議会で議論することなく,その結果のみが議会に報告されております。このような市民の代表である議会ではなく,組合との交渉で議会で取り決めた事項を解除する対応は,正に議会軽視であると言わざるを得ません。 なおかつ採用再開の報告資料として,委員会に提出された資料にも事実関係を誤認識させる記述がございます。当初委員会で配布された資料には,環境政策局の現業職の職員数は672名であると報告されておりました。しかしながら京都党が資料要求した結果,この数字には作業長以上と再任用者を含んでいない数字であると分かりました。そのため,環境政策局の職員数は672名ではなく860名であり,その削減幅は紙面で報告されている32.7パーセントではなく24.4パーセントの削減となります。このように事実関係を誤認識される記載にも,我々は行政に対する不信感を高めざるを得ません。もちろん作業長は管理職ではありますが,現場の作業に従事していることから現業職の職員数の内数に含めるべきであります。今回のように,議会と議論を重ね策定した計画を議会との議論なしに変更をするようでは,議会の位置付けがより脇役的存在へと追いやられます。このままでは,例えば全ての計画を放棄し,優先雇用や現業職の大量採用を実施したとしても議会は見過ごすことしかできません。そのためこのような状況が続けば,議会としては地方自治法第96条第2項に基づく議決事件の追加等の議決権の強化を検討しなければなりません。そこでお尋ねいたします。門川市長はこの議会軽視とも言える対応をどのようにお考えか,また,そもそも議決事項ではない改革大綱などの計画に対する市政における位置付けをお聞かせください。 次に,現業職の方向性についてお尋ねをいたします。本市は今回の現業職の採用再開の理由として,緊急時への対応の備え,職場のモチベーションの向上,技術の継承,技能労務職の再構築へのめどが立ったことなどを説明されております。しかしながら,各々理由にも疑問がございます。 一つ目の緊急時への対応の備えであります。東日本大震災時に民間に委託されているごみ収集業務に支障が発生したため,災害等の緊急対応に備え,ごみ収集業務はあくまで一部は直轄業務で維持すると説明されております。しかしながら,地域政党京都党と包括的連携を組む地域政党いわてに当時の状況を伺ったところ,震災時にごみ収集業務が混乱したのは民間に委託していたからではなく,電気やガソリンが不足していたからということでありました。緊急対応時に民間では融通が利く対応ができないため,あくまで直轄業務で実施する判断は誠に民間軽視であると言わざるを得ません。 二つ目の職場のモチベーションの向上であります。確かに何年も後輩が職場に誕生しない状況は,モチベーションの向上には貢献しません。しかしながら厳しい財政状況の中,人材が不足しているのにもかかわらず採用の再開を認めるべきではありません。職場のモチベーションが低下しているならば,後輩のあるなしにかかわらず職務を全うさせるプロ意識こそ求められます。 三つ目の技術の継承であります。ごみ収集業務のどこに技術継承の必要があるのか理解に苦しみます。新聞紙面において,労働組合の幹部はごみ袋を持ったときの重さを計るには熟練の技術が必要であると主張をされておりますが,これは技術ではなく経験であります。技術の継承には当たらないのではないでしょうか。 四つ目の技能労務職の再構築のめどが立ったことであります。先ほど申し上げたとおり,委員会資料の環境政策局の職員数には作業長以上と再任用者が含まれておりません。そのため,その削減幅は32.7パーセントではなく24.4パーセントであります。このように,まだまだ再構築のめどが立ったとは言える状況ではありません。なおかつ,市議会とごみ収集業務等の民間委託の在り方を十分に議論していない中に,一部直営化を前提とした採用を認めることはできません。更にこの改革大綱が制定された平成18年8月31日以降も,市の職員の懲戒処分は109件,懲戒免職は19件とまだまだ不祥事は根絶されておりません。昨年度だけでも,覚せい剤取締法違反が2件,強制わいせつ致傷が1件,職場で同僚を包丁で威嚇するなど職場内秩序びん乱が3件発生し,本年度においても万引き,キャッシュカードの詐取,貸金業法違反,中国人との偽装結婚など不祥事がまだまだ発生しております。このように職場環境が改善され,市民の信頼を回復したと言える状況ではございません。しかしながら,門川市長はこの現業職の新規採用の再開を強行突破されました。これは市民に対する裏切りであると言わざるを得ません。この現業職の採用の再開は,試行的実施であると説明されております。しかしながら試行的実施であるにもかかわらず正職員として一度採用すれば,公務員のその性質上,約40年間は雇用を継続させなければなりません。このように試行的実施であるにもかかわらず,40年間の雇用継続が必要な正職員の採用は将来を見据えない,正に短絡的な施策ではないでしょうか。 全国の自治体で現業職の見直しが進んでおります。民間水準と比較し,高い給与水準がその一つの背景でございます。本市においても14の職種がございます。地域政党京都党も現業職の業務は門川マニフェストに記載されているとおり,民間にできることは民間に,これを基本原則とすべきであると考えております。しかしながら,民間にできることは民間に,と言いながら,ごみ収集業務の民間委託の割合が50パーセントとされているのには大いに疑問を抱いております。そこでお尋ねをいたします。今後の現業職の職種ごとの方向性についてお聞かせください。 最後に,東北支援について要望を申し上げます。言うまでもなく,昨年8月の五山の送り火騒動が東日本大震災の風評被害を加速度的に広げました。本市はこの責任を負う必要があります。5月定例会において2億円の予算で東日本大震災の被災者の100人の雇用を確保する補正予算が組まれております。しかしながら雇用のミスマッチもあり,この事業で職を得た被災者は29人と当初の計画値を大きく下回っております。なおかつ平成24年度の予算においても,被災地支援の主だった施策としては被災者向け住宅情報センター運営の3,000万円にとどまり非常に手薄であると言わざるを得ません。震災の復興には10年を要すと言われております。震災からまだ1年しか経過をしておりません。被災地支援はまだまだ必要であります。本市は風評被害の震源地として,今後更なる被災地支援に取り組むべきであります。地域政党京都党は地域政党いわてと連携をし,義援金の送付,トラックの寄贈,震災ボランティアの参加等の支援を進めております。東北では被災地でない内陸部の観光業も大きなダメージを受けております。昨年,奥州平泉が世界遺産に登録をされました。本市にも多数の世界遺産がございますので,奥州平泉と連携をした観光施策等の実施を要望いたします。また,被災地支援の観点から職員が被災地へ派遣されておりますが,被災地復興の取組を学ぶ研修の観点からも若手職員を中心とした職員派遣を要望いたします。 以上をもちまして,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中島拓哉議員の御質問にお答えいたします。 まず,二元代表制についてでございます。地方公共団体におきましては,議会も長も共に市民から直接選挙され市民を代表する機関であり,議会は立法機能を持つとともに行政の監視機関としての役割を担い,長は執行機関としての役割を担っております。そのような二元代表制におきましては,議院内閣制に伴う国会での野党,与党といった概念は御指摘のとおりございませんが,市政に対する考え方や過日の市長選におけるマニフェストの作成や立候補の過程で目標,政策を共有できた会派とそうでない会派,また対立した会派,そのことで事実上差が生じることは市民の皆様の意識としても当然のことではないかと認識いたしております。私は議会と長がそれぞれの役割をしっかりと果たすためには,議会と長との適切な緊張関係の下,全ての議員の皆様がそれぞれ拠って立つ政治信条や考え方に基づき,私と建設的でかっ達な議論を重ねることが何よりも重要であると考えております。そしてそのためには,私から的確に議会に対して情報をお示しすることが肝要であると認識しており,そのための努力を積み重ねてきたところであります。また,そうしたことがひいては市民の皆様への開かれた市政,信頼される市政を推進することにつながるものと確信いたしております。今後とも議会と私とが緊密な意思疎通を図りながら,徹底的に建設的な議論を行うと同時に,スピード感を持って本市としての意思決定を行い,力強く市民の皆さんの命と暮らしを守り未来のまちづくりのための市政を推進してまいります。よろしくお願いします。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは技能労務職の試行採用に関連しての御質問にお答えいたします。 この問題につきましては,御承知のように平成18年8月に策定をいたしました抜本改革大綱におきまして,技能労務職業務の再構築を図るため,当面全庁的に採用を凍結する,こういうことを定めたことを受けまして,全ての技能労務職業務をゼロベースで一旦見直し,原則として民間委託や職種の廃止の方向で業務を再構築する,こういう方針を立てて,この間全庁的な見直し再構築の取組を行ってきたところでございます。この全市的な見直し作業の中では様々な意見が交わされましたが,最終的には全市の現業職,全14業務のうちごみ収集と道路河川等の維持管理,この2業務に限っては,公衆衛生や都市機能の維持の根幹に関わるものであり,危機管理も含めて必要最小限の体制を直営で維持する必要があると判断をいたしました。残る12業務につきましては,全て民間委託又は廃止の方向を決めたところでございます。このように再構築まで5年間掛かったわけでございます。この間に残す二つの業務職場におきましても若手職員が極端に減り,業務への影響が心配される状況になっておりました。またごみ収集業務については,平成27年度に50パーセント民間委託をする目標としてまいりましたが,この達成のめどが立ったことなどから,今回試行的に5名と3名,合計8名に限って採用をすることとしたものでございます。したがって,議員が御指摘されたように,今回の措置が抜本改革大綱で定めた内容に反するようなものでは決してないと考えております。ただ,大綱の策定の経過やその後の取組状況を逐次御報告をしてきたこれまでの経過を踏まえますと,今回は情報提供の時期を含めまして市会への説明,対応が十分ではなく,適切さを欠いていたと考えておりまして,この点につきましては誠に申し訳なく,これまでも私自身も含めましておわびを申し上げてきたところでございます。 なお,大綱は不祥事根絶に向けて取り組むべき抜本的な改革の方向性と主要な対策の骨子を取りまとめたものであり,76の取組項目全てについて全庁一丸となって取り組んでまいりました結果,不祥事の原因,背景となっていた職場風土はほぼ一掃されております。更に発展的な取組といたしまして,大綱の精神を引き継ぎつつ単に不祥事の根絶にとどまらず市民に真に信頼される市役所の実現に向けて,平成20年度には京都市人材活性化プラン,21年度には京都市職員コンプライアンス推進指針を策定し,職員への服務規律の徹底に加えまして,組織と人材の活性化を図ってきているところでございます。こうした取組につきましては,そのつど市会に報告し御意見を頂いてきたところであります。今後とも計画や指針の策定,進捗に当たりましては,市会への十分な説明,また市会での議論を踏まえて取り組んでまいります。なお,議員から御指摘のありました環境政策局の現業職の職員数につきましては,平成18年度当初から作業長を除き同じ概念の下に数字を使用してきたものでございます。議員の御指摘については当たらないものと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 山添人材活性化政策監。 〔山添人材活性化政策監登壇〕 ◎人材活性化政策監(山添洋司) 技能労務職業務の今後の方向性についてでございます。先ほど副市長が御答弁いたしましたように,技能労務職業務は14業務のうち2業務を残し原則として民間委託化や廃止することといたしました。そして職員が在職する当分の間は,人材を徹底的に有効活用する観点から約70の職場に点在していた作業員を平成23年度までにサービス事業推進室に集約し,現在まちの美化や違法駐車対策などに従事しております。またその他の11業務についても,業務ごとの集約を推進してきており今後も更なる効率化を図ってまいります。一方で,ごみ収集と道路河川等の維持管理の2業務につきましては,公衆衛生や都市機能の維持の根幹に関わる業務であり,入札不調や委託先の倒産が起こった場合に直ちに市民生活に影響が出る可能性があることや,災害等の緊急時における役割を担う必要があるなどの理由により,必要最小限の体制で直轄を維持するものであります。したがって,正職員を採用しても雇用継続に関わる問題は生じないものと考えております。抜本改革大綱に掲げましたごみ収集業務の50パーセント民間委託化という目標は,平成27年度に達成する見込みでありますが,その後のごみ収集業務の在り方につきましては,民間でできることは民間に,の原則の下,市民生活への影響も考慮しつつ市会の皆様からの御意見を頂きながら鋭意検討してまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 次に,江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 右京区選出の江村理紗でございます。私は地域政党京都党京都市会議員団を代表いたしまして,平成24年度京都市一般会計予算案に関し質問をさせていただきます。 私たち京都党は,昨年の4月に行われました統一地方選挙にて4議席を賜り,京都市の地域政党として活動を続けております。私たちは地域主権時代を迎える中で地方が特色を出しながら都市の自立を果たし,また各地域が切磋琢磨することによって,地方から日本の底力を発揮できる社会を見据えています。そのため,私たち京都党が描いているのは輝かしい京都市の未来です。未来に責任を持ち,人が集まる街,人を育む街にしたいと考えます。そして,その未来を担っていくのは大切な子供たちです。子供たちが豊かな心を育み,これからの社会に自信を持って一歩を踏み出していくためにも,教育は非常に重要であると考えております。そのため,私からはまず京都市の教育についてお尋ねいたします。教育分野に関しては戦後の復興から現在までにおいても,ゆとり教育や学歴主義などをはじめとしてその時代に応じて教育方針の変化が見られました。そして今後地域主権が強まるうえでは,これまで以上に地域の裁量が教育についても重要な役割を占め教育を取り巻く環境がまた大きく変化する可能性があります。そのため,人を育む街を目指すためにも,京都市の確固たる教育方針を示すべき時期に来ていると考えます。これからの社会に向けて京都党の考える教育方針は,自ら考え,学び,選択できる機会を大切にすること,そして向上心を持って個々人の持つ可能性を最大限に引き出すことです。それがすなわち,子供たちの自立にもつながっていきます。そこでお尋ねいたします。子供たちの未来を見据え,京都市は今後どういった教育方針を掲げられていくのでしょうか。分かりやすく端的にお示しください。 次に,公立高等学校の入試選抜方式についてお尋ねいたします。現在の京都市の入試制度は,総合選抜制度と単独選抜制度という大きく分けて二つの制度が用いられております。まず総合選抜制度は,普通科第Ⅰ類の選抜方式で,京都市北通学圏及び南通学圏にある高校の一般選抜定員の合計人数を合格者とし,その合格者の希望や地理的条件などを考慮して実際に入学する高校が決定されます。また一方の単独選抜制度は,これ以外の公立高校,類,学科で採用されており,生徒は希望する学校,学科,類,系統等を特定して受験する仕組みとなっております。このとおり京都市では,これらの全く異なる選抜方式が併存しております。少しさかのぼると元々京都市は,総合選抜制度が全面的に採用されておりました。導入当時の時代背景は,交通の便も発達しておらず,公教育を均等に提供することが大前提として掲げられていたため,できるだけ不合格者が出ることを抑え高校ごとに生徒の学力が均等になるよう割り振り,自宅からなるべく近い高校に通うことができるという制度は有効なものとして受け入れられておりました。そしてまた,受験人口の多かった第2次ベビーブーム世代の高校受験期には,受験競争の緩和,公立進学の維持,中卒浪人の発生防止という点においても大きな役割を果たしてきたと言えます。このように総合選抜制度は,戦後の著しい発展と,まずは教育環境の整備を行う必要があった時代背景においては一定の効果を上げてきました。 しかし一方で,時代の変化に伴い本制度が受け入れられにくくなったのも事実です。校風や部活動によって高校選択のニーズが高まるとともに,学校の特色化などもうたわれるようになってきた昨今では,次第に総合選抜制の持つデメリットが目立つようになってきました。学校間の学力差は少ないものの,高校内の学力差は大きいためにきめ細かな教育が行き届きにくいことに始まり,どこの高校に入学を許可されるかは発表されるまで分からないために,私立の入学決定まで待つことができず本来公立高校を志望している生徒でさえ私立を選ばざるを得ない状況も発生しております。そして最も問題視されているのは,地理配分において選択可能な公立高校が極めて狭められてしまうことです。京都市は生徒の居住地の最寄りのバス停によって区分する,通常バス停方式と呼ばれる仕組みを用いております。今回本市教育委員会が現役の中学生,高校生及び保護者に対して実施した公立高校入試に関する意識調査では,最寄りのバス停,駅によって入学する高校が決定される仕組みをどう思うかについて,望ましいと思わない,どちらかというと望ましいと思わない,という回答が7割以上を占めております。つまりこの調査においても,地理的条件に縛られることへの不満感が浮き彫りとなっております。総合選抜制度で各高校の学力を均等にすると言えども,高校ごとに学力差が生じていることは周知の事実で大学進学率をとってもかなりの開きが出ているのも確かです。地域によってはバス停一つで学力レベルが大きく異なることから,よりよい教育を提供してくれる高校のバス停区域に入るため,受験前に住所変更を行う生徒や願書に最寄りとは異なるバス停名を書こうとする生徒が毎年後を絶ちません。中学校現場では,この実情に頭を悩ませ最寄りのバス停名を正確に記載しているかチェックをしながらより指導を強めているところです。しかし制度をすり抜ける方法が横行していること自体に,制度疲労が起こっていると言わざるを得ないのではないでしょうか。もちろん京都市は,こうした制度弊害を補填するために普通科第Ⅰ類の希望枠設置や普通科第Ⅱ類への単独選抜制の導入など,これまでにも様々な対処を講じてきました。しかし近年になって総合選抜制度に多くのオプションを設けた結果,非常に難解な入試制度となり統一性を欠くものとなってきております。京都市の入試選抜において時折用いられる15の春は泣かせないという決まり文句がありますが,合格こそしたものの希望しない高校へ配分された生徒が毎年多く涙している状態ではその意味を成しえません。努力ではなく制度に阻まれる形によって,挫折を味わう受験生をこれ以上出してはなりません。そのため,個人の努力と実力をもって可能性を切り開いていける平等な選抜方式を整備すべきと考えます。 これらを踏まえ,単独選抜制度の全面的な導入が望ましいと考えます。単独選抜制度では,通学圏内では生徒の望む特色に応じて自由な高校選択が可能となります。各高校も選ばれる学校になるように,これまで以上に切磋琢磨することで全体の学力向上や特色化も図られることとなります。もちろん生徒間にも競争は高まりますが,自分で選択することで責任感が生まれ将来を考える機会にもつながります。そしてそれはやがて生徒の自立も促すことになります。補足して申し上げますと,現在総合選抜制度を用いているのは全国でも残すところ京都市,乙訓地域のみとなりました。今後の特色化と自由選択のニーズが高まることに合わせた入試制度改革が進む中で,京都市は取り残されている状況です。以上のことから,要望の意味も込めてお尋ねいたします。公教育として果たすべき役割の中で賢明な努力をなされてきておりますが,入試選抜方式においては,複雑なニーズを補完するがゆえの多様化は限界に来ていると見受けられます。これからの実情を踏まえ,単独選抜制への移行がふさわしいと考えますが,いかがでしょうか。 それでは次に,門川市長が掲げておられます特別自治市についてお尋ねいたします。現在の政令指定都市は包括的な事務権限がなく責任ある対応をするには支障を来す状態です。また京都府との役割分担は不透明な部分もあり,非効率な二重行政が発生していることも見逃すことができません。地域主権の議論が活発化していることに踏まえ,自治の在り方を今後どう構築していくのかという自治改革について,私たち京都党も強く認識しているところです。そのうえで私たち京都党は,地方から自発的に政策立案を行い意思表示する姿勢が望ましいと考えております。隣の大阪市では,大阪都構想の実現に向け非常に力強く国への対応を求めています。こういった国に向けての地方のスタンスをしっかり主張していくことにおいては,見習うべき部分があるように感じております。京都党としましては,国に対して強く要望していくことはもちろんのこと,地域主権を表明するためにも独自の構想を打ち出すべきだと考えます。地方改革を行うにおいて,国の道州制の制定ありきではその時点で主体性を欠くため地域主権とは言い難く,いつまでも中央集権の上意下達に従っている域から越えられないためです。そしてまた門川市長は,政令指定都市市長会議で打ち出されました特別自治市構想に賛成しておられます。先日のKBS京都で放送されました京都ハピネス研究委員会では,市長よりあくまで道州制を前提にして特別自治市を考えていると述べられておられました。そこでお尋ねいたします。今後都市の自立を目指すうえで,必要な場合は国の制度を超えて地方から新たな仕組みを発信されるお考えはお持ちでしょうか。また特別自治市の担う事務は,指定都市市長会にて示される中には,旅券発給や警察業務も含まれております。つまり京都市が警察や河川管理業務なども含め,包括的な権限を持つという認識でよろしいでしょうか。 最後に,特別自治市と府市協調との関係についてお尋ねいたします。府市協調は,マニフェストでもお示しのとおり市政のあらゆる分野において府市協調を進化させ,二重行政を打破し,成長戦略を府市協働で推進するものです。しかし一方で,特別自治市は府から市への権限委譲を意味するため京都府の廃止を前提に考えられるものです。京都市の人口は京都府の人口の約6割に上り,京都市が抜けた場合の京都府行政は規模が極めて小さくなると考えられます。そのため京都府の山田知事は,既に特別自治市について反対を表明しておられます。このように現在府市協調で府と京都市が協力しようと言いつつ,特別自治市で京都市の自立を目指す矛盾は,いずれ収拾のつかないものになる恐れがぬぐえません。そこでお尋ねいたします。特別自治市と府市協調という整合性が成り立たない二つの方針の矛盾を早い段階でクリアにすべきではないでしょうか。若しくは府市協調と特別自治市を並行して目指す整合性を見据えておられる場合,その内容と実施計画をお示しください。 以上で,私からの質問を終えさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 特別自治市と府市協調についてであります。現在の政令指定都市制度は昭和31年に暫定的な制度として創設されたものであり,指定都市に包括的な事務権限がないこと,大都市の責任と権限に応じた税財政制度が構築されてないことなど,今日の社会経済情勢にそぐわないものとなっております。様々な問題がありますが,例えば政令指定都市である京都市が,大都市の特例により市域内における府道管理など京都府から事務,権限の一部が委譲されておりますが,その事務,権限に見合った税制上の措置は十分に行われておりません。そのために具体的には京都府に代わって京都市が実施している事業,197億円使っておりますが税制上の措置は54億円であり143億円が超過して京都市が負担している,このような問題もあります。これは一例ですが,様々な課題がある現行の政令指定都市制度を抜本的に改革し,新たな大都市制度として住民に最も身近な基礎自治体であり,かつ高い行政能力を有する大都市を府県と同格に位置付ける特別自治制度の創設は,かねてより私ども京都市として国に対して求めてきております。これは江村議員御指摘のとおり市域における地方の事務全てを一元的に担う制度であり,総合的で効率的に最も自治を実現するものであります。引き続き将来を見据えた大都市制度改革について他の指定都市とも連携し,市民的な議論を深めながら制度の在り方の調査研究を行い,国等に対する積極的な提案を行ってまいります。大都市制度の改革に当たっては,十分に議論を深める必要があるため制度の在り方を研究し提案していく一方で,現行の制度の下では市民,府民のために二重行政を回避するとともに,より効果的,効率的な行政を推進していく必要がございます。そこで京都府とは,山田知事との懇談会や府市協働パネルをはじめ様々な機会を捉えて徹底した話合いを行い,議論を行い,これまで数多くの府市協調の成果を上げてきたところであります。地方自治制度のあるべき姿を求める制度論としての特別自治市制度を提案することと同時に,現行制度の下で府市協調により二重行政を廃止し,打破し,そして最も効率的な行政をする,政策を融合していくことは,全く矛盾するものではないと考えております。今後とも府市協調を更に進化させつつ,将来のあるべき自治の姿を実現していくために力強く努力してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 今後の本市の教育方針についてのお尋ねであります。いつの時代においても人間形成の理想を求めて次代を担う子供の可能性を最大限に引き出すことが学校教育の使命であります。本市ではこれまでから教職員の意識改革と熱意あふれる教育実践を基盤に,一人一人の子供を徹底的に大切にする教育を推進してまいりました。更に地域の子供は地域で育てるという伝統の下,保護者,地域の皆様の参画による開かれた学校づくりを進め,全国最多の設置個数を誇る学校運営協議会や3万人を超える市民ボランティアによる教育活動の充実など着実な成果を上げてまいりました。こうした成果の下,社会が激しく変化する今日において子供たちに今後の社会において必要な力を身に付けることを目指し,学ぶ意欲の低下や学校での学びと実生活のかい離など今日的課題を踏まえ,本市教育の指針となる24年度学校教育の重点において,目指す子供像として伝統と文化を受け継ぎ次代と自らの未来を切り開くと明示し,確かな学力,豊かな心,健やかな体,知・徳・体の調和の取れた子供の育成を図り,自ら主体的に学び,学んだことを生かして課題を克服する力や夢や希望を持って社会的自立を果たすことができる子供の育成を目指すこととしております。今後とも学校の組織力と教職員の力量を一層高めることをはじめ,豊かな学習環境を有する本市で学ぶ強みを最大限に生かし,保護者,地域,大学,産業界,NPO等の積極的な参画を得て,京都ならではの教育を一層推進してまいります。 次に,公立高校と入学者選抜制度についてお答えいたします。本市では市立と府立,私立の高等学校が共に切磋琢磨して高校改革に取り組み,それぞれが全国的に高い評価を得ております。現行の公立高校の入学者選抜制度につきましても導入から25年以上が経過し,特色ある学校づくりや生徒のニーズの多様化等が進展する中,生徒がより広く希望する学校を選択できるよう4通学圏を2通学圏に再編するとともに,普通科Ⅱ類については通学圏を越えて全ての公立高校を志願できる単独選抜に移行し,また総合選抜である第Ⅰ類でも定員の35パーセントは希望校を選択できるよう順次改善を行ってまいりました。しかしながら議員御指摘のとおり,制度が複雑で分かりづらいという意見や第Ⅰ類の総合選抜制度について地理的条件によって希望校に入学できないなど,生徒の希望を生かす仕組みが限定されている面がございます。中高生やその保護者も対象にした意識調査でも,総合選抜について7割以上の方が否定的である一方,9割近くの方が自由に高校を選択できる制度に肯定的に回答されておられます。現在こうした状況や意識調査の結果も踏まえ,中学,高校関係者や保護者,学識者などからなる京都市・乙訓地域公立高校教育制度に係る懇談会において,公立高校の入試制度や高校の特色づくりなどについて議論を深めていただいております。今年夏頃には,懇談会のまとめをいただくことになっており,それを基に府,市教育委員会で改善案を策定のうえ,パブリックコメント等で保護者,市民はもとより各方面の御意見を集約し生徒自ら確かな将来展望を持ち,これまで以上に主体的に進路選択が図れる新たな入試制度を構築してまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 次に,森川央議員に発言を許します。森川議員。 〔森川央議員登壇(拍手)〕 ◆(森川央議員) 西京区選出の森川央でございます。みんなの党・無所属の会を代表いたしまして御質問をさせていただきます。私は京都市会でたった1人の政党に所属しない無所属の議員であります。会派を結成したとはいえ,この私が質問をさせていただくのは先輩議員のお陰と存じます。ありがとうございます。折角先輩方から与えられた機会でございますので,早速始めさせていただきます。市長以下におかれましては誠実な御答弁をよろしくお願いいたします。 今,我が国は,経済,社会,文化,そして心までもがおかしくなっているのではないかと,私はこのように思っております。京都においても,もうこれまでのやり方,これまでの政治を進めていては,近い将来京都が住んでいて良かったなあ,と言えなくなる,日本に京都があって良かったなあ,と言えなくなる,私はそんな危機感を持っております。心がおかしくなっている具体例を挙げますと教育現場が荒れております。子供や若者は明日への希望であるはずです。ところが中学校で起きる暴力行為の多さは,全国でほとんどいつもトップクラスの多さであります。また私が視察したある学校では,生徒が満足に使える大便トイレがたったの一つしかありません。またたばこを吸った生徒が,知的障害を持つ生徒に,たばこの煙を顔に吹き掛ける,そんなことをこの間耳にしました。小中一貫校など,華々しく宣伝されがちの京都方式の教育現場の実態の裏に,心がすさんだ実態が京都市には数多くあります。こんな国,京都市に誰がしたのか,国も京都市も借金まみれで多くの人が将来に希望をなくしている。もういい加減政治がまともな仕事をしないでどうするのか。いつまで立場や報酬などの特権にしがみつくのか。昨年の選挙で私はそんな訴えをさせていただき初当選をさせていただきました。私は当時を思い起こし,京都市長が,京都市民147万人を背負う市長が,どのような覚悟と決意を持って身を切る改革を行うのか,政治家としてリーダーシップを発揮されるのか,そのような観点で質問をさせていただきます。 まず,平成24年度の予算であります。京都市の将来に暗い影を落とすのは,やはり硬直した財政構造であります。要するに税収が上がらず,京都市は借金か国の金を当てにしなければ何もできない街であり,借金がいまだに増え続けているという現状です。この予算では,借金すなわち市債の発行を抑えたと言っていますが,臨時財政対策債が増えており合わせると最高水準の借金であります。臨時財政対策債は国が返済に責任を持つとはいえ,京都市民は国民でもあります。負担に違いはありません。支払先が市税か国税か違っても市民の財布は一緒であります。私は少なくともこれら借金の残高について元本だけでなく,支払予定の金利総額も市民にお示しいただきたいと思います。住宅や車のローンであれば,必ず返済予定と総支払金額が明らかであります。 次に,基金であります。家計で言えば貯金に当たる基金,例えば市庁舎整備基金,公債償還基金,財政調整基金などについて蓄えておくべき金額を決めておき,取崩しや貸付けなど目的外利用とも受け取れる流用,この現状のひどい状況について,これも少なくとも市民に分かりやすく開示していただきたいと思います。特に実質的な長期貸付けとなっている反復かつ継続的な基金からの借入れについては,毎年この議会で承認した形で,この議会でも正に承認を取って400億円も将来へ先送りされています。先ほどの市債についても市民1人当たりの借金,本年度は148万円であります。これは当然子供も含まれております。例えば5人家族なら一家が700万円以上の借金を背負っていることになります。このような現実を市民しんぶんでとかく行政資料は分かりにくいという御批判がございます。私はこの市民しんぶんで市民にありのままをお伝えいただきたいと思います。 次に,二重行政の解消についてです。この問題については,市民には理解し難い壮大な税金の無駄遣いが潜んでいると私は思います。端的に言えば市内の公立学校の運営や府営,市営住宅を統一できないか,企業誘致や産業環境行政を一本化して所管の公務員を減らせないのか検討されるべきであります。ちなみに議会,議員の側にも二重行政はあります。例えば市内の府会議員が市内で何をしているのか,京都市内には69人の市会議員に35人の府会議員併せて104人の議員がいます。この議員の数の多さにはたくさんの方が疑問を持っていると思います。二重行政の解消については,私は先に申し上げた借金まみれの財政事情のためにも進めなければならないと思います。しかし,当局やまたこの議会においても積極的に議論はされておりません。何のための二重行政の解消なのか。このための特別自治市を目指しているのか。市民にとってどのようなメリットがあるのか。またデメリットはないのか。財政削減効果はどれだけ見積もられているのか。更に特別自治市を目指されるのであれば移行時期はいつなのか。私は京都市の考え方をそろそろ明確にすべきだと思います。京都府知事は特別自治市について反対であると踏み込んだ意見をお持ちですが,これについて市長はどのようにお考えですか。これまでのやり方,政令市横並びの取組と国への要望が主なものでは,余りにも京都市の主体性がないと言われかねません。ここでリーダーシップを発揮された明確な御答弁をお願いいたします。 次に,行政区,区役所の在り方についてです。市長は住民の身近な区役所の改革が必要である,予算と権限を区役所に移していくと述べられています。私も住民が自身で住む街の将来を考え,自らの手で街をつくる,このことは大切なことであると思います。そしてその受皿となるのが区役所であり,ここへ予算,権限を移していくことは正しいと思います。しかし今回の予算では,区民提案に対する予算として全行政区で2億円と極めて少なく,これは市税の約2,400億円のうち僅か0.1パーセントにも満たないものであります。住民が主体となってまちづくりを行うには,極めて少ない予算であると言わざるを得ません。またその配分も均等割で人口割の画一的なものであります。市長は今後の区役所改革や在り方についてどのようにお考えでしょうか。また特別自治市構想の中で,区の自治権はどのような範囲までお考えでしょうか。大阪では区を自立させようとしておられます。すなわち区長を役所が選ぶのではなく,幅広く市民から公募され課税権まで与える改革を進められています。この大阪の取組に対し,京都の取組は余りにも区役所改革と呼べるようなものではないと思います。私はより自立型の区役所へと改革すべきと考えますが,市長に考え方をお伺いします。 次は,人口が減っていく問題であります。京都市で,若者がどんどんと姿を消しております。多くの方が京都市は住みづらい,住めないので周辺の街,例えば大津や栗東市に移り住んで行かれます。京都市の職員の多くも滋賀県に住んでおられるとのことです。先日ある都市計画局の職員と話をしていましたら,それは選択の問題であると,滋賀県を選択するのは価値観の問題であるかのようなことを申されていました。私はこのような感覚ではなく,もっと京都市は競争意識を持つべきだと思います。我が会派では,かねてから要望していますが,京都市が諸事業を進められるに当たっては人口の増加目標を設定していただきたいと思います。この先20年もすれば約10万人を超える人口が京都からいなくなる。こんな試算があります。私が暮らす西京区のほとんどの人口がそのままいなくなる数であります。この人口減少問題についての課題の設定と責任所在の明確化を図っていただきたいと思います。なぜ数値目標を設定できないのでしょうか。 次は,公務員の給与や報酬についてであります。この度大阪市では非常に厳しい覚悟と決意を持って給料や報酬を削減されようとしています。中身を見ますと,さすがだなあ,京都は本当に遅れているなあ,市民に申し訳ないなあ,と思うわけであります。なぜなら大阪市も京都市も将来負担率は200パーセントを超え,財政の先行きは同じか若しくは京都の方が深刻な例がたくさんあります。現在の大阪市長の退職金は1期4年間で約4,000万円であります。これを橋下大阪市長は約8割カットされます。4,000万円から数百万円にされます。そして給料は,現在年間約2,000万円のところから32パーセントカットされます。副市長については約28パーセントの給与カット。以下の職員についても16パーセントから3パーセントとトップから順番に身を削られています。市長が率先して強い改革への姿勢を示したうえで,公務員給与の大幅な削減をされているわけであります。ちなみに,議会でも例外ではなく既に大阪市会議員は20パーセント報酬をカットされておりますが,更なる上積みを,半分までの削減を予定されているとのことです。政治家の給与や特権の議論では,いつも国民,市民が裏切られています。すなわち選挙前には公務員の人件費削減や国会議員の報酬や定数の削減を言うわけですが,マニフェストどおりにスピーディに行われた試しがありません。国民,市民は選挙のときだけかとお感じだと思います。京都市でも我々市会議員の報酬約1,500万円から少しカットされていますが,実は期末手当は満額支給されており実質的には1割もカットされていません。隣の大阪市会議員は半分カットで京都は1割もカットされておらず,私は市民に対し非常に恥ずかしく思っております。我々は公務員の総人件費ついて2割以上の削減と議員報酬については3割以上の削減を目指しています。市長にお聞きします。京都市長の退職金も,大阪市と同じように1期4年が終われば約4,000万円受け取られています。給与は年間約2,000万円です。政治家としてリーダーとして市長の退職金,報酬についてどのようにお考えでしょうか。また公務員の総人件費の削減についてはいかがでしょうか。 次に,関西電力の株主提案権の行使について御質問します。市長はこの6月関西電力の株主総会で大阪,神戸市と協調して,株主として脱原発や関西電力の解体を中身とした提案をされると伺っております。要するに京都市は,脱原発と電力解体に向け舵を切るということであります。これは市長の政治家としてのリーダーシップであると思います。と言いますのも,この決定は市長選挙前になって急に慌ただしく決められたからであります。ここで市長にお伺いしたいのは,ではCO2の削減,地球温暖化対策についてはどのようにお考えか,お聞かせいただきたいと思います。と言うのも,現時点では今原発を止めるということはCO2をどんどんと増やすということだからです。今現に原発が関電管内で全て停止し,その代わりに火力発電所がフル稼働しています。これにより,たった今CO2がどんどんとあふれるように出ております。京都市は,温暖化対策として基準年比で2020年までに温室効果ガスを25パーセント削減,2030年までには40パーセント削減を目標としています。ところが原発をやめれば,環境政策局作成の試算ではCO2は20パーセント削減どころか20パーセント増える,すなわち原発を止めればCO2が40パーセント程度増えるという試算を持っております。今までの市民や経済界の努力が吹っ飛び,これまでの温暖化計画が絵に描いた餅になってしまうのです。これは省エネや新エネルギーでは到底及ばない全く次元の異なる話です。温暖化対策条例と真逆となるような中身の提案をされるおつもりでしょうか。更に電力料金の問題,経済,産業界への打撃です。脱原発と電力の解体を進めれば,電力料金はどうなるのか。既に火力発電用の燃料購入費がうなぎ登りです。産油国から足元を見られ,円高にもかかわらずオイルショックを思わせる石油・LNGの高騰です。私はこの問題について市民,経済,産業界で議論が尽くされたとは思えません。少なくとも今回の株主提案については,市民に対する丁寧な説明,議会への説明を当然行うべきであります。株主総会は6月ですが時間がありません。本当にこのまま株主提案されるのでしょうか。またその提案の内容はどのようなものでしょうか。私からの質問は以上であります。今こうしているこの間にも明日へ希望をなくしている方が確実に増えている,市長の政治家としてのリーダーシップなくしてこの方々の明日はない,このことをよく御理解いただいて,御答弁をいただきたいと思います。以上であります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森川央議員の御質問にお答えいたします。 二重行政の解消と大都市制度についてでございます。大都市を府県と同格に位置付ける特別自治市の創設は,戦前から長い自治の伝統を有し都市の自治権確立を目指し府県からの分離独立運動を行ってきた旧五大市の一つである京都市,そして京都市民の悲願でもあり今後もその実現に向け全力を傾注してまいる所存であります。特別自治制度の創設のためには,道州制も含めた我が国全体の地方行政制度の在り方について議論を深める必要があり短期間では実現できないことから,私の4年間のマニフェストには大都市制度の研究,提案,提言として具体的に記載しております。他の指定都市とも連携し市民的な議論を深めながら,大都市制度の在り方の調査研究を行い国等に対して力強く提言を行ってまいります。 次に,人件費の削減でございます。厳しい財政状況にあっても未来の京都に必要な予算を確保し,先頭に立って市民の暮らしを守ることこそが私の使命であると考えております。そこで4年前の市長就任以来,私自ら給料,地域手当及び期末手当,ボーナスを減額し現在も2割の減額を継続いたしております。今後も引き続き社会経済情勢の変化や本市財政状況の動向等を十分に勘案し,適切に判断してまいります。 また職員の人件費につきましては,職員数のピーク時の約2万人を超えていたものを約1万4,000人に大幅に削減するなど,徹底した取組を進めることにより,来年度当初予算においてピーク時の平成11年度比で319億円,22パーセントの大幅な減となります。全国トップレベルの行財政改革を推進してきましたし,4年前にお約束した1,000人の人員削減を1,444人という形で実現してきております。今後も行政サービスのニーズが高まり,福祉や防災対策,区役所の体制強化など多くの増員要素がある中においても,平成27年度までの4年間に更に100億円以上の人件費の削減を行うなど行財政改革を断行してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(井上与一郎) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 区政改革,区役所の在り方についてのお尋ねでございます。大阪を例にとってのお尋ねでございますが,大阪市の目指すところは御承知のように大阪都構想でございます。その内容は基礎的自治体である大阪市をなくして分割した特別区を基礎的自治体そのものにしようというものでございまして,議員御紹介の区政改革はその方向下での改革であると理解しております。これに対しまして京都市では,長い歴史の中で育まれてまいりました基礎的自治体としての京都市の一体性をしっかり堅持し,大都市としての大事な機能を維持する中で区の分権を進め,地域の特色を生かした住民主体のまちづくりを推進するというものでございます。こうした観点から,この間区基本計画の策定,区政策提案予算の導入,区長権限の強化など,地域のまちづくりの拠点としての機能を着実に,また計画的に拡充,強化してまいったところでございます。今回新たに創設をいたします区民提案・まちづくり支援事業予算は,これを大きく一歩進めて区長に事業採択権等を委ね,更なる区民主体のまちづくりを支えていこうというものでございます。2億円の予算は出発点でもあります。今後とも区役所が住民の皆様と共に地域のまちづくりが一層推進できますように,更なる区政改革を着実に進め住民自治の発展につなげてまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 田辺地球環境政策監。 〔田辺地球環境政策監登壇〕 ◎地球環境政策監(田辺眞人) 関西電力への株主提案権の行使についてでございます。東日本大震災に伴う福島第一原発の事故を踏まえると,原発事故が発生した場合,市民生活や経済活動への影響は甚大なものとなることは明らかであり,原子力に依存しない電力供給体制を可能な限り早期に構築していく必要がございます。このため脱原発依存社会の実現に向けては当面の代替エネルギーの確保とともに,再生可能エネルギーを中心とした小規模分散型電源の普及を図るよう,京阪神3都市が連携し関西電力に対して株主提案権を活用するとともに,国に対してエネルギー政策の転換に向けた働き掛けを積極的に行ってまいります。 また脱原発依存と脱温暖化の両立を図っていくことが重要であることから,今後市民の皆様や市会の御意見をしっかりと受け止め,本市の地球温暖化対策条例に掲げる削減目標の達成に向けて地球温暖化対策の更なる強化,拡充を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 川島財政担当局長。 〔川島財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(川島司) 財政情報の開示についてでございます。市民の皆様と共に市政を推進するためには,本市の厳しい財政状況について正確に分かりやすく発信し共有することが肝要であります。そのため本市では,これまでから税収の落込みや地下鉄の経営実態と連結赤字の状況など,厳しい内容でもその時々で最優先にお伝えすべき課題につきまして市民しんぶんに掲載してまいりました。また市民しんぶんの限られた紙面ではお伝えし切れない基金からの借入残高や市債残高などの状況につきましては,ホームページを活用いたしまして明らかにしております。公表に当たりまして,例えば地下鉄の1日当たりの赤字が4年間で半減して2,300万円となったといった指標を用いるなど,分かりやすい示し方を工夫しております。来年度早々市民しんぶんではばたけ未来へ!京プラン実施計画の特集を組む予定でありますが,その際にもより分かりやすくの視点に立って,工夫を凝らした財政情報の発信に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 西村総合企画局長。 〔西村総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(西村隆) 人口増加目標の設定についてでございます。人口は経済成長や労働力の確保など都市の発展と活力の維持に大きな影響を及ぼす重要な指標であると認識しております。人口の目標設定につきましては,昨年度市会の御議決を頂き策定しました京都市基本計画はばたけ未来へ!京プランにおきまして,審議会でも議論が深められ増加目標は設定せず人口減少に歯止めを掛けることを京都市の目標とすることといたしております。今後,現在策定中の京プラン実施計画に掲げます京都経済の再生による雇用の創出をはじめ豊かな学びや子育て環境の整備など,人口減少に歯止めを掛ける政策の推進に全力を挙げてまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 1点訂正させていただきます。先ほど公明党平山議員の若者の就職支援に関する答弁で,私が基金事業が一部を除いて今年度で終了すると申し上げましたが,来年度で終了するものでございます。訂正させていただきます。失礼しました。 ○議長(井上与一郎) お聞き及びのとおりでございます。 これをもって質疑を終結いたします。 山本恵一議員。 ◆(山本恵一議員) 議事進行について動議を提出いたします。 ただ今議題となっております議第1号から議第22号,議第24号から議第27号,議第29号から議第32号,議第37号,議第45号ないし議第51号,議第53号,議第56号ないし議第59号,議第62号,議第63号,議第151号及び議第153号の47件につきましては,現在設置されております予算特別委員会に付託のうえ慎重審議願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(井上与一郎) ただ今,山本恵一議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の山本議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎) 御異議なしと認めます。よって山本議員の動議のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 日程第2ないし日程第34,議第23号京都市浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例の制定について,ほか32件,以上33件を一括議題といたします。 2月24日の議事を継続いたします。本案は,ただ今お手元に配付してあります議案付託表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 日程第35,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は配付いたしておきました。 これより討論を行います。発言の通告がありますので,これを許します。井上けんじ議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ議員) 消費税増税に反対の意見書の提出を求める請願について,日本共産党は採択すべきとの立場でありますので,私は党議員団を代表しその理由を挙げ討論を行います。 まず最初に,消費税そのもの及びその税率引上げ自体の問題点についてであります。 第1に,消費税は最悪の大衆課税であり逆累進制の典型であります。低所得世帯ほど負担が重くなり税金の役割である格差縮小機能を果たさず,むしろ格差を拡大することになってしまいます。高額所得者と同じ税率というのは累進課税の原則に反しますし,また所得のない人からも取るというのは生計費非課税の原則にも反しています。 第2に,特に中小企業や零細業者が倒産,廃業に追い込まれることになります。中小企業は全国でも京都でも7割前後が利益ゼロかマイナスという実態であります。消費税はここにも容赦なく掛かってきます。今でも転嫁出来ていないのに増税になれば増して出来ません。昨年全国の中小企業4団体がアンケートを採られましたが,転嫁出来ないという答えが圧倒的です。ある診療所や町工場など,もう閉めるしかないと言っておられます。影響は国民の命や健康,暮らしや地域経済全体に及びます。 第3に,買い控えによりますます不況が深刻になることは既に3パーセントから5パーセントへ増税されたときに経験済みであります。深刻になるとどうなるか。1996年度と2010年度との国と地方自治体合計の税収を比較すると,消費税収は確かに増えていますが,しかし消費税を含む税収全体は90兆円から76兆円へと実に14兆円も落ち込んでいます。これは後でも触れる大企業等への行き過ぎた減税にもよりますが,全体としてかえって税収は落ち込んでいるのであります。 第4に,ここから以下は税金の集め方,使い方,税金や財政の在り方の問題ですが,まず今回の計画は社会保障の改善のためにお金が要る,そこでやむなく増税を,という話では決してありません。年金の値下げ,支給開始年齢の引上げとのセットなのであります。社会保障は改悪はするは消費税は上げるわでは,一体改悪,踏んだり蹴ったり,やらずぶったくりではありませんか。これまでにも福祉が理由とされてきましたが,実際は福祉にはほとんど使われず,むしろ医療も年金も介護も保険料は高くなるのに給付は切り縮められ続けてきているではありませんか。 そこで,第5に税金の使い方であります。そもそも憲法による納税の義務は,その税金が憲法に基づく政治に使われる限りでの話であって,憲法違反の使い道にまで税金を払ういわれはありません。軍事費や増して在日米軍への思いやり予算などは,せめて当面もっと削減するのが当然です。1機99億円もする次期戦闘機F35Aはまだ試作段階で完成すらしていないのに600億円も予算化されています。公約違反の八ツ場ダムに象徴される大型事業もそうですし,原発推進予算も大幅に削減すべきです。政党助成金にも320億円も使われています。国民には自己責任をと言いながら,民主党は本部収入の83パーセント,自民党は67パーセントをこの助成金に頼っています。身を削るなどと言うのなら,国民主権の大原則を後退させ国民と政治のパイプを一層細くする比例定数削減などよりも,政党助成金を廃止する方が財政効果もずっと大きいのであります。 最後に,第6の理由として税金の集め方の問題であります。そもそも税源について考える場合,消費税しか頭に浮かばないのは全くの思考停止というべきでありまして,もっと多様な集め方があるはずではありませんか。所得税はかつて19区分,最高税率は75パーセントでしたが,今日では僅か6区分,最高40パーセントとなっています。年間所得100億円の人も1,800万1円の人も同じ税率で,累進的性格と格差縮小機能がどんどん緩和され続け,むしろ格差拡大の一因ともなっています。課税ベース自体も縮小されています。証券優遇税制もしかり,なぜ庶民への利子は20パーセントで,株の取引利益には10パーセントなのでしょうか。濡れ手で粟の優遇税制は勤労軽課,軽く課する,不労所得重課,重く課する,この原則にも総合課税の原則にも反するものであります。トヨタや日産,キャノン,オリックス,京セラなどの名誉会長,会長さんなども億円単位,千万円単位の減税になっています。アメリカでは富裕層からもっと取るべきだとオバマ大統領やほかならぬ富裕層自身が言っています。法人税も同じです。かつて42パーセントであったものが,今日では25.5パーセントに下がっています。景気の動向があるとはいえ,ピーク時の1989年度と2009年度を比べると法人税収は何と19兆円から5兆円へと減っています。先ほど,消費税が導入されてから福祉はむしろ悪くなっていると言いましたが,端的に言えば消費税増税分は大企業等の減税の穴埋めに充てられてきたのであります。応能負担こそが税金や保険料の一大原則でありますから,行き過ぎた減税をやめ高額所得者や大企業から所得に応じた税金を求めれば消費税を増税しなくとも税収は得られるのであります。 日本経団連の経済基盤本部長は,日本の法人税は実はそんなに高くないと言っておられますし,週刊誌アエラも一昨年11月15日号で法人税は高くない,雑誌世界最新号も何のための一体改革かとのそれぞれ特集が組まれています。経済産業省の海外事業活動結果概要報告でも,海外への進出の理由は現地の需要があるからというのが断然トップ,税制の優遇措置があるからとの理由は僅か8パーセントしかありません。雑誌週間エコノミスト,一昨年10月26日号は日本経済の最大の問題点は賃金が上がらないことだと書いています。大企業の莫大な利益が役員報酬や株主配当に回され,なおかつ内部留保として貯め込まれ労働者や下請けに回らないために消費購買力の低下による消費不況へとつながり,大企業の一人勝ちがまた円高の要因ともなっておるのであります。大企業減税と消費税増税は,日本経済をますますいびつにするばかりであります。 委員会では,私は請願者の声を直接お聞きをしたらどうか,交通局などにも来てもらってその影響を聞いたらどうかなどと提案させていただきましたが同意が得られませんでした。多面的な論点が山ほどあるのに,十分な議論が尽くされたとは言えません。今からでも遅くはありません。46にも及ぶ団体からの請願であります。世論調査ではどれも反対が賛成を大きく上回っています。是非採択して,請願者と市民の期待に応えるべきであります。日本共産党議員団は,断固として採択すべしとの意思を重ねて明らかにし討論といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎) これをもって討論を終結いたします。 これより表決を採ります。本件は,経済総務委員会報告書のとおり,46件を不採択とすることに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(井上与一郎) 多数であります。よって本件は,経済総務委員会報告書のとおり決しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 日程第36,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は配付いたしておきました。 お諮りいたします。本件は,まちづくり委員会報告書のとおり,4件を採択することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎) 御異議なしと認めます。よって本件は,まちづくり委員会報告書のとおり決しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 日程第37,議第143号ないし議第150号,議第152号,議第157号及び議第159号平成23年度京都市一般会計補正予算ほか10件,以上11件を一括議題といたします。 予算特別委員長の報告を求めます。予算特別委員長富きくお議員。 間もなく午後5時になりますが,あらかじめ会議時間を延長いたします。 〔富予算特別委員長登壇(拍手)〕 ◆予算特別委員長(富きくお) 本委員会に付託されました議第143号平成23年度京都市一般会計補正予算,ほか10件につきまして,審査の経過と結果を御報告申し上げます。 当委員会といたしましては,付託を受けました2月24日の本会議終了後,正副委員長の互選並びに分科会の設置及び正副主査の互選を行い,27日に第1分科会では環境政策局,行財政局,文化市民局及び産業観光局に対して,第2分科会では保健福祉局,都市計画局,建設局及び教育委員会に対して,第3分科会では,消防局及び上下水道局に対して,それぞれ質疑を行い28日に各分科会の報告を受けた次第であります。 今回の補正予算は,一般会計において障害者自立支援医療などに要する経費や国の3次補正による補助金を活用した防災事業に要する経費などを増額する一方,国庫補助認証に伴う公共事業費の減額及び中小企業金融対策預託金,生活保護扶助費など見込みを下回った事業費の減額を行い,また特別会計においては,国民健康保険事業特別会計などにおける国庫支出金返還金などの補正や,基金特別会計における介護保険料の減収に伴う介護給付費準備基金からの取崩しによる補正など,総額157億2,000万円を減額補正しようとするものであります。 以下,審査の過程において論議されました主な事項について順次申し上げます。 まず,補正予算全般に関しまして,財源の年度間調整を有効に行うための財政調整基金をはじめとする弾力的な基金の活用,予算編成時に公債償還基金の取崩しにより特別の財源対策をしたにもかかわらず,取崩しをやめて帳尻を合わせることへの疑問などについて質疑や御意見がございました。 次に,各事業に関しましては,家庭ごみ有料指定袋の使用,製造及び保管のバランスを見通したうえでの予算編成,家庭ごみ有料指定袋の値下げにより余剰金を市民還元する考え,市民のごみ減量努力により積み立てた環境共生市民協働事業基金の財源を広く市民に還元する使途の検討,焼却灰溶融施設に係る契約解除権の行使の検討,当初予算編成時の勧奨退職者の予測方法及び当初予算とのかい離を縮小するための具体策,景気の動向や実績を踏まえて精査した市税還付金の算出方法の検討,中小企業に対する円滑な金融相談及び金融機関と十分に連携した融資制度の実施,ナラ枯れ被害を防ぐための多面的な防除対策の活用,ナラ枯れ対策への市民の協力や寄付意識の醸成につながるような取組,生活保護事業における民生委員との連携強化の必要性,生活保護扶助費を的確に見込んだ予算編成,障害者自立支援法改正における応益負担の改善に向けた国への働き掛け,国民健康保険事業の決算の報告において国負担金の返還について市民に丁寧な説明を行う必要性,市営住宅を含めた京都市全体の住宅の耐震化率を向上させるための予算確保,大規模盛土造成地調査の結果を防災情報として公開する必要性,利用者のニーズや使いやすさを考慮した京都市あんぜん住宅改善資金融資制度の制度設計,廃止も含め見直しの議論がされている国直轄事業負担金についての丁寧な説明,街路整備等に係る国庫補助金の認証を得るための努力,同一箇所で繰り返される道路掘削工事を減らすための効率的な工事計画,京阪淀駅周辺整備のための用地買収における住民への丁寧な説明,消防団活動を支えるための安全で使いやすい資機材の計画的な充実,消防団安全対策資機材の整備に伴う消防団器具庫の狭あい化の対策の検討,当初から無理のない計画により地域水道事業を執行する必要性,計画どおりの工事進捗による地域水道整備事業の早期完了などについて質疑や御意見がありました。 概略,以上のような審査の後,更に各会派において御検討いただき,その結果を2月29日の委員会で御発表いただきましたところ次のとおりでありました。すなわち自民党,共産党,民主・都みらい,公明党,京都党,みんなの党・無所属の会の各議員団は,いずれも原案に賛成するとのことでありました。そこで直ちに表決を採りましたところ,ただ今お手元に配付してあります委員会報告書のとおり,全会一致をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。 以上であります。これをもちまして委員長報告を終わります。(拍手) ○議長(井上与一郎) これより表決を採ります。本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時58分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~             議長    井上与一郎             副議長   安井つとむ             署名議員  椋田隆知             同     国本友利 △(イメージ)請願文書表「受理番号86」「介護職員の処遇改善の要請」・請願文書表「受理番号87」「介護保険料値上げの抑制の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号88」「訪問介護サービスの生活援助時間見直し撤回の要請」・請願文書表「受理番号89」「就学前幼児の医療費の無料化」 △(イメージ)請願文書表「受理番号90」「教育条件の改善」・請願文書表「受理番号91」「中学校給食の条件整備」 △(イメージ)議案付託表 △(イメージ)経済総務委員会報告書・まちづくり委員会報告書 △(イメージ)予算特別委員会報告書...