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09月30日-03号

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  1. 京都市議会 2010-09-30
    09月30日-03号


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    平成22年  9月 定例会(第3回)      平成22年第3回               京都市会会議録 第3号      (定例会)               平成22年9月30日(木曜日)出席議員(67名)   2番 平山賀一議員   3番 青木よしか議員   4番 山本ひろふみ議員   7番 加藤盛司議員   8番 西村善美議員   9番 とがし 豊議員  10番 佐野春枝議員  12番 吉田孝雄議員  13番 湯浅光彦議員  14番 天方浩之議員  15番 中野洋一議員  16番 藤川 剛議員  17番 下村あきら議員  18番 山元あき議員  19番 西村義直議員  20番 吉井あきら議員  21番 河合ようこ議員  22番 樋口英明議員  23番 宮田えりこ議員  24番 加藤あい議員  25番 木村 力議員  26番 曽我 修議員  27番 久保勝信議員  28番 津田早苗議員  29番 山本 恵議員  30番 安孫子和子議員  31番 隠塚 功議員  32番 山岸たかゆき議員  33番 田中明秀議員  34番 山本恵一議員  35番 寺田一博議員  36番 津田大三議員  37番 井上けんじ議員  38番 西野さち子議員  39番 玉本なるみ議員  40番 赤阪 仁議員  41番 くらた共子議員  42番 井上教子議員  43番 柴田章喜議員  44番 大道義知議員  45番 日置文章議員  46番 谷口弘昌議員  47番 安井つとむ議員  48番 宮本 徹議員  49番 鈴木マサホ議員  50番 田中英之議員  51番 中村三之助議員  52番 大西 均議員  53番 加地 浩議員  54番 橋村芳和議員  55番 小林正明議員  56番 北山ただお議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 佐藤和夫議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 せのお直樹議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 内海貴夫議員  68番 巻野 渡議員  69番 田中セツ子議員  70番 井上与一郎議員  71番 高橋泰一朗議員欠席議員(なし)欠員(2名)   議事日程   開議日時 平成22年9月30日(木)午前10時   一般質問 (1) 市政一般について 寺田一博議員 (2) 市政一般について 山本恵一議員 (3) 市政一般について 田中明秀議員 (4) 市政一般について 西野さち子議員 (5) 市政一般について 井上けんじ議員 (6) 市政一般について 樋口英明議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(加藤盛司) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付致しておきました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 本日の会議録署名者を指名致します。山岸たかゆき議員と木村力議員とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託致します。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,寺田一博議員。 〔寺田一博議員登壇(拍手)〕 ◆(寺田一博議員) 直近の民意という言葉を民主党からよく聞いたことが昨日のようです。約1年前,政治の変革を求めた国民は民主党政権へ大きな期待を致しました。しかしその結果が夏の参議院選挙でした。あれほど口にした直近の民意はどこへ行ったのか。政権を取るためだけに言った約束を反省し,国民に対し明確な謝罪もできない政権では,未来を担う子供たちに何も言えません。市民の生活をしっかり守れる,実行可能な政策を行っていただきたいと思いますし,そのためにも京都市は何を行わなければならないのか,その観点から質問と提言を行いたいと思います。 上京区選出の寺田一博です。多くの皆様の御支援,御配慮に改めて感謝し,自民党議員団を代表し質問させていただきます。 現在の京都市は危機的な財政状況です。しかしながら,その危機的な状況を市民の皆さんがどれほど実感されているのでしょうか。京都市を大きな船に例えるなら,行政は舵取りを担うだけでなく,乗員である市民の皆さんと共に,この厳しい現状を認識できるようにする必要があるのです。そのためにも納税者である市民の皆さんと行政の距離をもっと近づけなければなりません。例えば,京都市バスが100円収入するために掛かる経費を示す営業係数ですが,路線ごとに数字が違います。すなわちこの数字が90であれば黒字,150であれば赤字と分かるのです。自分の乗るバス路線が黒字なのか赤字なのか。また今年は去年より良くなったのか悪くなったのか。市民の皆さんは肌で感じることができます。私はかねてから,この数字をバス停の時刻表に掲載することを提言しており,既に一部の路線ではバス停に表示されています。早期に全路線で数字を掲載し,市民の皆さんと共に考える仕組みが必要です。 また,我が会派の田中英之議員がかねてから提言していましたたばこ税に関しても,考えなければならないでしょう。京都市の税収の多くを担いながら納税者に対し何かできないのかとの意見でありました。確かにたばこ税は目的税化のできないものではありますが,明日から大幅な値上げがなされる中,次年度では一定の配慮がなされるべきではないでしょうか。このように納税者である市民の皆さんと行政の距離感を縮める仕掛けはまだまだあるはずです。共に汗する前には,共に感じることが必要です。市長のお考えをお聞かせください。 また,去る24日には財政改革有識者会議取りまとめ会議が開催されました。財政改革有識者会議は,昨年12月に門川市長が,税収減の中,生活扶助費の増加など多くの財源を義務的経費に充てなければならない硬直化した本市の財政体質を改革するために設置されたものであり,公共投資,人件費,社会福祉関係費,市税等の歳入と項目ごとに毎回活発な議論が行われてきましたが,やはりここでも市財政の危機的な状況を市民と共有すべきだとの意見が出ていたようです。市長は,この有識者会議の議論をどのように評価しておられるのか。また来月早々にもまとめられる有識者会議からの提言を受け,間近に迫った平成23年度予算編成をはじめ,今後の財政運営にどのように生かしていかれるのか,財政改革の決意と共にお答えください。 次に,先日,次年度から10年間の京都市の方向性を示す重要な計画である京都市基本計画の第2次案が基本計画審議会によってまとめられ,意見募集が実施されました。我が国はこれからの10年間でいよいよ本格的な人口減少社会に突入すると言われておりますが,人口は都市の活力の源泉であり,その減少を食い止める施策が本市にも必要となることは言うまでもありません。そのためには都市の魅力を高めることが大切なのですが,他都市にない特徴をどのように示せるかが京都に住みたい人を増やすことになると思います。 そこで,市長の新しい基本計画策定に当たっての都市の活力の源泉である人口が減少するという問題に対する認識と,計画の策定,推進に向けての決意をお伺い致します。私は,一昨年の2月市会で自治会組織等への加入促進に向けた条例の策定を提言しました。これは新しい入居者が地域になじみやすくなるような仕組みが必要であることや,高齢等の理由でお役ができないから町内会を辞めたいといった事例があり,早急に地域コミュニティを守る必要があると考えたからであります。早速,その提言を受けていただき,予算化されました京都市地域コミュニティ活性化に関する懇話会が昨年度末まで計6回,大変活発な意見交換が行われており,シンポジウムも開催され,市長に報告書が提出されました。またその報告書を踏まえ,地域コミュニティ活性化に資する条例や活性化のための具体策について検討するため,市民や学識経験者などにより構成する検討委員会が設置され,現在協議いただいております。条例の必要性なり背景は前回の代表質問で申し上げましたが,具体的に二,三提言させていただきます。 現在は住宅の場所を選ぶ際には,最寄り駅等,交通の便を重視しますが,そこに地域情報を加える仕組みを作るべきだと考えます。子供の見守り隊や野外活動が活発な地域や,御高齢者の独り暮らしのお宅へ定期的に訪問される学区など,地域によって様々な特徴があります。学区や町内の特徴が分かれば,それが選ぶ基準になり得るわけです。また現在本市の中高層条例にあるような紛争解決の手続である調整や調停の制度を参考に,地域で意見が合わない場合は行政が意見を聴く場も必要であると考えます。 そこで市長に伺います。条例制定の見通しと方向性をお答えください。また以前も触れましたが,個人情報保護条例を強く意識しすぎたと申しますか,むしろ過剰反応とも言える事例が,民生委員さんや老人福祉員さんなど地域でお役をされておられる方には大きな弊害になっているとお聞きします。法律や規則は人々が安心に生活を送れるためにあるもので,その運用や解釈等で困った人を助けられないということがあってはなりません。例えば災害時の要援護者リストも同様に,私が一昨年の2月市会で提言し,作成されましたが,その活用についてはまだまだ問題があるようです。また現在は,ほぼすべての市立学校において学級名簿は作成されておりません。これが個人情報を保護するということなのでしょうか。人と人のきずなが弱くなっていく時代にこそ,今一度そのきずなを取り戻す心が必要だと思います。家族,隣組,町内,自治会等,様々なコミュニティが大切にされる社会を再構築されるためにも実用性のある条例化を望みます。 次に,京都のまちづくりや観光の更なる充実のためには,京都への交通アクセスが極めて重要であります。京都には空港がないことから,鉄道に重点を置かざるを得ませんが,今京都を挙げて取り組まなければならない課題が,京都市や京都府,商工会議所と新たに立ち上げられた明日の京都の高速鉄道検討委員会で議論されています。 初めにリニア中央新幹線についてお聞きします。リニア中央新幹線の名古屋から大阪までのルートには,遺憾ながら日本を代表する国際文化観光都市である京都が含まれていません。国立国際会議場,迎賓館を有し,国内はもとより世界中から5,000万人もの観光客が訪れる京都を通らないルート設定は,我が国にとっても大きな損失になると思います。京都市は京都府や商工会議所とも歩調を合わせ,平成2年に京都府中央リニアエクスプレス推進協議会を設立し,京都ルート実現の働き掛けをしていますが,現状は変わっていないと5月市会でも市長が答弁されていました。その後,この7月には柏原京都商工会議所副会頭を委員長に,明日の京都の高速鉄道検討委員会を立ち上げられ,リニア中央新幹線に京都ルートを検討されていますが,京都の重要性を強く訴え,京都市内にルートを作るべきという意見と,今から京都ルートの議論をすることは非現実的との意見が厳しく対立していると聞いております。そういった中,情勢は大変厳しいものの,私の生まれる前でありますが,昭和39年に東海道新幹線が開業するに当たり,ひかりの停車駅に京都が含まれなかったとき,当時の高山市長をはじめ京都を挙げての働き掛けにより,京都駅に見事停車させることができたということを知りました。これが昭和39年8月19日の京都新聞の記事であります。悲願が国鉄動かすや,地元喜びの声など大きな見出しに当時の喜びが伝わってきます。また記事には,もともとの新幹線の設計図では山科の南側を走ることになっていたが,京都市の協力を条件に,今の京都駅に隣接した路線になったとも書かれています。歴史は繰り返すと言われます。ここは実現に向けて本腰を入れ,強力な市長のリーダーシップによる働き掛けが必要ではないでしょうか。また山田知事や立石会頭との協調による,市,府民挙げての取組が大きなキーポイントであり,場合によっては地元負担も覚悟して望むべきだと思います。他方,現在の国やJRのこの問題に対する状況の客観的な分析も必要です。市長のリニア中央新幹線に対する思いと共に,客観的情勢分析を踏まえた今後の見通しをお伺い致します。また京都の観光にとってウイークポイントは,空港がないことから,海外からのアクセスが弱いことです。伊丹でも高速バスで50分,関空ならばJRの特急はるかで1時間15分,高速バスなら1時間25分も掛かります。今後関空が国際空港として京都の玄関口として発展することを考えると,新たなルートも含めてアクセス強化に取り組まなければならないと思います。聞くところによると,国道1号線沿いに民間の会社がヘリポートを造り,市長もそこからヘリコプターに試乗し,関空からのアクセスの可能性などを探られたそうです。富裕層の観光客向けとして関空から京都へのヘリコプターの運航も視野に入れられているようですが,むしろ多くの人が利用するためには,JR特急はるかの時間短縮や新路線での運行が望まれているのではないでしょうか。また国際会議等海外の要人がスムーズに京都に来られることも考えなければなりません。明日の京都の高速鉄道検討委員会でも議論されていると聞いておりますが,関空とのアクセス改善は京都のまちづくりや観光発展の大きな課題であると同時に,京都だけでなく近畿エリアの課題とも言えるでしょう。広域的な連携も含めて今後の取組をお聞かせください。 次に,本市の国際交流についてお尋ね致します。本年はメキシコのグアダラハラ市との姉妹都市盟約締結30周年の記念すべき年であり,先月には門川市長,加藤盛司議長をはじめとする京都市代表団がメキシコを訪問されました。私も昨年の春にはメキシコ大使館に招かれ,京都を紹介するミニ着物ショーにかかわって参りましたし,また今月に入り,スペイン語で姉妹という意味のエルマナスというプロジェクトのスタートにもかかわりました。このイベントでは門川市長をゲストに,メキシコに関係ある若者たちが語るメキシコの魅力,京都とメキシコの今後の交流についてというトークショーも開催されました。今年だけではなく毎年続けようと企画されていますので,メキシコとの交流がより一層深まることを期待しています。やはり本市も周年事業はもちろんのこと,こういった民間の継続する国際交流にも今まで以上の支援を行うべきと考えますが,いかがですか。先般のメキシコ訪問の感想とこれからの交流について,またメキシコをはじめとする姉妹都市や海外の都市との交流についてどのようにお考えでしょうか,併せてお答えください。 次に,高齢者等への在宅ケアについて伺います。京都市の高齢化率が23パーセントを超え,全行政区でも初めて20パーセントを超えるという,正に超高齢化社会になったと言っても過言ではない状況で,高齢者の皆様への介護は施設の充実も当然のことではありますが,在宅でいかに看ることができるかということも今後の重要な課題と言えるでしょう。そのためにも,在宅ケアの分野はこれからますますニーズが高まると同時に,情報も増えると考えられます。例えば歯科の在宅診療もますます増加すると思われますし,理容の分野でもそういった動きが始まっているようです。しかしながら,現在は利用者が個々に調べるなどして依頼しているのが現状でしょう。私は,在宅ケアを受ける方が安心してお願いできる仕組み作りの必要性を感じています。次年度には,第5期の京都市民長寿すこやかプランの検討がなされると思いますが,そういった点も考慮していただきたいと思いますが,いかがですか。 今朝,雨の中,地元仁和小学校で元気に登校する子供たちをおはようあいさつ運動をして参りました。子供たちの笑顔は大変すばらしいものだと思います。その子供たちの次世代を担う子供たちの育成,学習環境整備について2点お尋ね致します。 以前も,この本会議場で数少ない理系議員として提言致しましたが,未来の科学者を科学センターから誕生させるというものです。先日も地元上京区,西陣中央小学校出身の高校生,斉藤颯君が国際化学オリンピックで金メダルを取るという快挙をなし遂げられました。小学生のときにお姉さんが使っていた化学の資料を見て興味を持ったことがきっかけだそうです。そういう意味では,科学センターは子供たちが科学の分野に目を向けるという役割は一定果たしていると言えますが,夢のある分野である科学の世界で,2番でなく1番を目指すという志を持った子供たちの集える場所を科学センター内に設置し,大学や企業等と連携し,本格的な科学者育成の拠点を目指すべきだと思いますが,いかがですか。また我が会派の井上与一郎議員が今年の2月市会で科学センターの充実について質問されましたが,そのリニューアルの早期実現に向けてもしっかり取り組まれるよう要望致します。 2点目は,京都市野外教育センター奥志摩みさきの家についてであります。我々自民党議員団は,先月30日に市立小学校の4年生が宿泊学習を実施する奥志摩みさきの家の視察を行いました。子供たちは,漁業や真珠養殖等を中心とした奥志摩の生活様式や文化,海産物の流通を通した京都とのつながり等を学び,磯観察をはじめとする大自然をフィールドとした様々な体験活動を経験しています。視察では実際に活動する子供たちと触れ合い,その生き生きとした様子を見て,この施設が大変意義深い施設であると改めて実感したところです。そして来年開設30年目の節目を迎えるみさきの家で子供たちが貴重な体験ができるのも,職員の方々が並々ならぬ努力や工夫を行い,施設の維持や修繕等に当たってこられたからだと感じました。しかしながら,海に面している事情からか潮風等の影響も激しく,施設の老朽化も併せて,職員さんの日々の維持管理では間に合わない部分もあることが分かりました。今,子供たちの豊かな学びと健やかな育ちのための集団宿泊活動や自然体験活動の重要性は,平成23年度から施行される小学校の新学習指導要領においても示されております。そこで本市財政が大変厳しいときではありますが,今後も子供たちが一層充実した野外活動が行えるよう,来年30年の節目を迎える奥志摩みさきの家の施設改修を行うべきだと思いますが,いかがでしょうか。 昨年度,区政130周年を迎えた上京区は,次年度から10箇年の方向性を示す次期上京区基本計画の策定に向けて意見募集がなされ,これからそのまとめが行われますが,それは自治と地域力,まちの安心安全,福祉と健康,地域振興,環境の五つのテーマをまちづくりの基本として考えられています。京都市基本計画では,大きく京都市全体の問題が考えられたものであることに対し,上京区基本計画はむしろ地域に特化したものであるべきと考えます。上京区の地域特性と言えば,西陣をはじめとするものづくりの街と言えますが,学生の街でもあります。そしてその二十歳前後の人口が突出している上京区は,一方で京都市の行政区では2番目に高齢化率が高い街でもあります。住民の高齢化が進む中で,若い力が学区行事や地域のお祭りなどに溶け込めば,先ほど申しました五つのテーマが生かされるのではないでしょうか。買い物難民が出ると言われる超高齢化の街で,学生たちが御高齢者の注文を聞き,買い物をするといった取組も始まっています。また実際に若い世代の皆さんは,学区行事や地域のお祭りに参加されていますが,まだまだ限定的と言わざるを得ません。これらが上京全体に広がることが今後望まれます。 次に,堀川団地についてお尋ねします。私は堀川商店街の顧問として,また堀川団地にお住まいの方から,これからの堀川団地はどうなるのでしょうかとよく聞かれることがあります。堀川団地は戦争中に防空帯を造る目的で,建物疎開を強いられた後の生活再建を担うという重要な役割を持って誕生しました。現在の京都府住宅供給公社によって整備された堀川団地は,戦後間もない時期に,ガス,下水道や大きなベランダを完備した鉄筋コンクリート造3階建てで,通りに面した1階には店舗が設けられ,当時としては最先端の市街地復興のモデルとして,全国の注目を集めました。以来,堀川団地は,京都市の都心上京区の中で,勤労者のための貴重な公的住宅として,また周辺住民の生活を支える貴重な商店街として,大きな役割を果たしてきました。しかしながら,昭和25年から28年に建てられた建物であることから,既に60年ほどが経過し,老朽化も進み,現在の耐震基準にも適合していないものであります。このような状況を踏まえ,京都府と京都府住宅供給公社が,ようやく堀川団地の再生に向けて動き出しました。昨年度には,学識者や各界の専門家から構成する堀川団地まちづくり懇話会を設置し,堀川団地の建替えを含む再生に関する方向性について議論がなされ,提言も出されました。またこの提言を踏まえ,堀川団地再生に向けた具体案を検討するため,本年8月末には,団地の居住者や周辺住民,商業者,福祉関係団体の代表から構成する堀川団地まちづくり協議会が発足し,再生に向けての本格的な議論が始まったところです。堀川団地周辺には,北に晴明神社や西陣織会館,南に二条城があるほか,界わいには多くの遺跡等もあるなど地域資源が豊富で,にぎわい創出や地域活性化の大きな可能性を秘めている地域です。私は,この堀川通界わいが今後とも多くの人が訪れ,また子供たちから御高齢の皆さんまでが,安心して生き生きと暮らせる住みやすい街であってほしいと願っており,堀川団地の再生は,単に団地の再整備にとどまることなく,このようなすばらしい街を実現できる絶好のチャンスと考えています。堀川団地の再整備は,京都府は大家として重要な役割がありますが,堀川団地の周辺を含む界わいのまちづくりの観点から,京都市としても地域の方々の思いをしっかりと受け止め,できることはしっかりと支援するとともに,京都府に対しても言うべきことは言っていく姿勢が求められていると思いますが,いかがですか。 さて,伝統ある古い街も少しずつ変わろうとしています。京都で最も古い花街である上七軒も現在無電柱化工事が始まりました。上七軒は他の花街と違い,お茶屋さん,飲食店等のお店はもちろんのこと,住宅地であり,また西陣織等のものづくりの街でもあります。また北野天満宮の門前町とも言えるでしょう。そのような多彩な顔を持つがゆえに,以前から無電柱化の構想はあったものの実現は困難でありました。ようやく工事が始まりますが,先ほど申しましたように,ただ無電柱化,道路の美装化だけでは街は良くなりません。様々な角度から多くの要望が出ていると聞き及んでいますが,それらをしっかりと調整し,京都を代表するエリアの一つとして成功されるよう要望致します。 また上京区には橘公園という開園後70年以上経過している大変古い公園があります。門川市長は環境モデル都市として緑の保全や都市の緑化を進める方針を示されております。その中で公園緑地という社会資本は,これまでの量的拡大の時代から質の向上の時代へ,すなわち今ある公園が地域環境に合っているかなどの見直しを進めていくべきであると考えます。それは子供たちが明るい太陽の下で,屋外の遊びを通して心身の健全な発達を図り,御高齢者の皆さんも健康増進の場として公園緑地を活用することにほかなりません。そこで,橘公園をはじめ今後の公園の再整備についてでありますが,再整備された公園は美しくなり,周辺地域の景観が向上するばかりでなく,数多くの子供たちが公園の利用に戻ってきて,周辺地域の活性化にも結び付くものです。5年前に,子供たちの声が聞こえるまちづくりを訴えて初めて立候補したことは,私にとっても大きな思い入れがあったわけですが,今度は,公園緑地の計画的な再整備に力強く取り組んでいかれたらいかがでしょうか。また再整備の際には地域住民の意見を取り入れてデザインするなど,その後の地域との結び付きを設計段階から取り入れられたらいかがでしょうか,お考えをお聞かせください。 以上で私の代表質問を終わりたいと思いますが,最後に,限りなく赤信号に近い黄色信号の厳しい京都市財政を立て直すために,全力で取り組むことを改めてここにお約束致します。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 寺田一博議員の御質問にお答え致します。 まず,納税者の理解促進の取組についてでございます。納税者である市民の皆様や交通機関などの利用者である市民の皆様に,税金や料金がどのように活用されているのか,また厳しい財政状況や経営状況を広くお知らせし,理解いただくことは極めて重要であると認識致しております。そのため寺田議員が例としてお示しいただいた市バスでは,みんなで乗ろう,環境にやさしい私たちのバスをキャッチフレーズに,一層の御利用を呼び掛けるため,現在経営係数が200以上の系統を対象にバス停の時刻表にその数値を記載しておりますが,今年度中に全系統に表示を拡大して参ります。 また市たばこ税につきましては,目的税ではないために使い道を特定することはできませんが,約85億円もの貴重な財源として健康づくりや路上喫煙の防止をはじめ,たばこを吸う人,吸わない人が共存できるまちづくり事業など市民生活の向上に幅広く役立てているところであり,そのような事業を更に推進するとともに市民しんぶんやホームページなどを通じ,その周知に取り組んで参ります。 次に,財政改革についてでございます。財政改革有識者会議においては,公共投資,人件費,社会福祉関係経費,市税等の歳入の四つの分野を中心に熱心な議論が行われ,低成長,少子高齢化時代にふさわしいコンパクトで足腰の強い機動的な財政運営への進化を目指して,財政運営の明確な目標を設定し,改革のための実行計画を策定する必要性が示されるなど,抜本的な財政構造改革の方向性と取組について,極めて重要な提言を頂けるものと考えております。同時に,縮小一辺倒に陥ることなく経済活動の活性化により,人口や税収を増加させるとともに,現在策定中の京都市の成長戦略とも言うべき基本計画の着実な推進が必要であるとの御議論もいただいており,私も全く同じ考えであります。また財政構造改革の実現には,本市の危機的な財政状況を市民と共有することが不可欠であるとの認識の下,会議の内容や資料について徹底した情報開示の姿勢を貫かれ,市民サービスとそのための負担の在り方に関する議論を広く共有できたことに大きな意義があったものと考えております。来月4日に提言をお受けすることになりますが,京都市財政を必ずや将来にわたって持続可能な構造に改革するという決意の下,今後私が本部長を務め,すべての局長,区長が参画する財政健全化推進本部会議において徹底した議論を行うとともに,市民の皆様の御意見も頂だいしながら,提言の具体化を進めて参ります。 加えて目前に迫った来年度予算編成につきましても,最終年度となる京都未来まちづくりプランの総仕上げを行うことはもとより,頂いた提言を踏まえまして,新たな試みとして取り組むものについて実施して参ります。 次に,次期京都市基本計画の策定と人口減少についてでございます。寺田議員御指摘のとおり,人口は経済成長や労働力の確保など都市の発展と活力に大きな影響があり,人口減少に歯止めを掛けることは極めて重要であると認識致しております。人々は魅力ある都市に集まります。より多くの方々に京都で住んでみたい,京都で働きたい,京都で学びたいと思っていただくためには,働く場を確保する産業の振興をはじめ豊かな学びや子育て環境の整備など,京都を一層魅力ある都市として磨き上げていくことが必要であります。人口減少社会の到来など時代の大きな転換期において,今後の10年間が50年後,100年後の京都の命運を決める大切な時期であるとの認識の下,今後,更に京都市基本計画審議会の皆様とも十分議論を重ね,決して縮み志向,変化の傍観者に陥ることなく,徹底した未来志向,プラス志向で新たな基本計画を練り上げ,市民の皆様と共に汗して推進して参る決意でございます。 次に,自治会組織への加入促進条例についてでございます。一昨年2月市会におきまして,寺田議員から御提言を受け,京都市地域コミュニティ活性化に関する懇談会を立ち上げ,議論を重ねていただき,そしてさらに今年度は具体的な活性化策を検討するために,京都市地域コミュニティ活性化検討委員会を設置致しました。検討委員会では,地域の情報をきめ細かく発信するための方策や地域コミュニティの参加をマンションなど集合住宅の入居者に促すための建設販売事業者の責務など,地域が活性化するための具体的な仕組作りについて,またそれらについて条例で規定すべきもの,具体的に推進していくべきものの両面から精力的に検討いただいているところであります。私は京都の一番の宝は地域力であると認識しており,仕事,家庭生活と共に地域貢献を大切にする真のワークライフバランスの定着を図るとともに,市民の皆さんの地域コミュニティへの参加意識を更に高め,また地域活動に積極的に取り組んでいただいている皆さんをしっかりと支援することが重要であると考えております。このような観点から,実行するなり条例を今年度中に制定して参ります。よろしくお願いしたいと思います。 次に,リニア中央新幹線構想についてでございます。昭和48年に告示された全国新幹線鉄道整備法に基づくリニア中央新幹線の基本計画において,整備ルートに京都が含まれておりません。そのため本市では,平成2年から京都が国際的に果たす重要性を踏まえ,リニア中央新幹線の早期実現と京都ルートの実現について,京都府,経済界とも連携し,国に対し要望活動を行って参りました。しかしながら,現在においてもこの整備ルートを前提に,国の交通政策審議会においても議論が行われているところであり,寺田議員御指摘の明日の京都の高速鉄道検討委員会においても,委員の一人であるJR東海関係者から,現行ルートの変更はあり得ないという厳しい意見が出されております。私は京都市長として,京都の都市戦略のみならず国家政策の大きな柱の一つであります観光立国の観点から,リニア中央新幹線の京都ルートの実現は不可欠であると考えており,今年8月には,国が実施したパブリックコメントに際し,その実現を強く求めたところであります。京都ルート実現のためには,京都の皆様に強い関心をお持ちいただくことが何よりも重要であり,今後とも市民の皆様と共に京都府,経済界等と一丸となって,その実現に向けまして,積極的に国に対して要望活動を強めて参りますので,よろしく御支援,御理解お願い申し上げます。 次に,関空からのアクセス改善についてでございます。関空は,我が国の観光立国の牽引役を担う京都市にとって世界に向けて開かれた空の玄関口であります。本市では本年3月に策定致しました新しい観光振興計画や,京都MICE戦略において,ラグジュアリー層や国際会議の誘致を重点的なプロジェクトと位置付けており,ヘリコプターによる関空からの京都への移動に際しての課題について検討を進めることとしているところであります。一方,関空から京都への重要なアクセスであります関空特急はるかにつきましては,貨物線や他の在来線と同じ線路など専用線でない区間を走行するため,所要時間にばらつきがあります。また世界の主要空港から都心部へのアクセスの時間が極めて長くなっております。所要時間の短縮や定時性の向上が求められております。関空特急はるかの所要時間の短縮等を図るためには,専用線の整備など大きな課題がありますが,本市と致しましては,京都府をはじめとする近畿にある他の自治体やJR西日本など,関係事業者との連携の下,効果的な方策を研究して参ります。 次に,本市の国際交流についてでございます。先月私はグアダラハラ市との姉妹都市提携30周年を記念して,過去最大規模となる総勢70名を超える市民の皆様の自主的な御参加を得てメキシコを訪問して参りました。京都から寄贈したキリンの子孫や日本庭園がメキシコの子供たちや市民の皆様に大変親しまれ,愛されていることに大きな感銘を覚えました。また親善団では相撲や踊りなど両市民によるすばらしい交流を図ることができました。一方,京都においてもメキシコの文化に親しむ様々な記念事業が市民の皆様の御尽力で開催されており,両市民のさわやかな笑顔に触れ,市民同士による交流の輪を広げていくことの大切さを改めて実感致しております。今後とも寺田議員の御指摘を踏まえ,日常的な市民レベルの国際交流が一層促進されるよう,ネットワークの強化や情報発信に努め,市民の皆様と共に姉妹都市やパートナーシティを中心に世界各国都市との友好関係を築き,世界平和や国際社会に貢献するとともに,国際都市京都の活性化に努力して参りたいと思っています。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 高齢者への在宅ケアについてお答え致します。 京都市では高齢者が住み慣れた地域で健やかに暮らせるように,市内61箇所の地域包括支援センターで高齢者や御家族からの相談に応じており,介護保険によるサービスのほか,在宅で利用できる歯科診療や理容,散髪などのサービスについても,できるだけ地域の情報を整理し,御案内しているところでございます。議員御指摘のとおり,更に今後高齢化が進展する中,在宅高齢者の生活上の安心を確保するための支援サービスが適切に分かりやすく提供される必要性が,今後ますます高まって参ります。このため来年度に策定を予定致しております第5期京都市民長寿すこやかプランにおきまして,歯科診療や理容サービスのほか,配食やクリーニングなど在宅生活に必要な各種サービスの情報を利用ニーズに応じて組織的に収集し,提供できる仕組みについても今後検討して参りたいと考えているところでございます。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 私から2点についてお答え申し上げます。 まず,堀川団地についてでございます。団地再生を機に,堀川団地を含む周辺のまちづくりを支援するため,昨年度における本市の取組と致しまして,団地再生の基本構想を検討致します堀川団地まちづくり懇話会にメンバーとして参画するとともに,本市として取り組むべき支援策について検討を行うため,庁内の関係部局から構成する連絡会議を設置致しました。また地域住民と行政が一体となってまちづくりを進めることが重要であることから,京都府住宅供給公社に対して,まちづくり組織の立ち上げを積極的に働き掛け,本年8月には団地住民のみならず周辺の地域の方々や,関係機関によって構成されます堀川団地まちづくり協議会が発足したところであり,今後ともこのまちづくり協議会に参画する中で,堀川通の町並みに調和した景観への配慮,観光振興や商業振興を通じたにぎわいの創出,更にはコミュニティの活性化など,地域の多くの方々が目指すまちづくりが着実に実現されるよう,引き続き庁内連絡会議において本市が取り組むべき支援策について検討し,積極的な役割を果たして参ります。 次に,公園緑地の再整備についてでございます。本市には,市内においては本市の管理致します公園が866箇所ございますが,このうち設置後40年を超えた公園は現在170箇所となっております。これらの老朽化した公園につきましては,全面的な改修を行う場合のほか,遊具の更新,トイレや入口のバリアフリー化等の部分改修を行うなど,極めて厳しい財政状況ではございますが,再整備の方針を定め,取組を順次進めてきたところであります。議員御指摘のとおり,このような公園の再整備は子供たちが公園に集まるきっかけを作るとともに,増加する高齢者の健康増進の場とすることで,公園に活気が戻り住民の皆様からも大変喜んでいただける取組であります。本市と致しましては,本年3月に策定した新たな京都市緑の基本計画に基づき,今後とも地域のニーズを踏まえながら,個々の公園の実態に即した再整備を計画的に力強く推進して参ります。再整備に当たりましては,地域が主体となって公園運営にかかわっていただくという観点も非常に重要であります。設計段階からワークショップを開催し,住民の皆様のニーズを踏まえて,地域に愛される公園造りを進めて参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 青少年科学センターの充実についてでありますが,これまでから科学センターでは所員が工夫を凝らした手作りの教材や実験器具を活用して,子供たちに科学的な探求心や思考力をはぐくむため,センター学習を実施しております。また二足歩行ロボットアシモの実演や大学教員や企業研究者等が実験展示を通して科学の面白さを子供たちに体感させる科学の祭典を実施し,さらに動物行動学の世界的権威である日高敏隆前所長が子供たちに直接語り掛ける50回にわたる講演会など,子供たちが科学の不思議や楽しさに触れる経験を通して,理科好きの子供たちをはぐくんで参りました。今後こうした取組の成果を生かし,議員御提案の科学の分野で,世界への飛躍を目指す志高い子供たちが集える場として,企業や大学,NPOなどと連携し,サイエンスサークルの開設や科学講座を年間を通じて実施するなど,将来科学者を目指す子供たちの育成に努めて参ります。 次に,奥志摩みさきの家についてでありますが,海に接する機会の少ない本市児童のため,宿泊型自然体験施設として昭和56年の開設以来,延べ120万人以上に利用され,太平洋を望む豊かな自然環境の中での体験活動や共同生活を通じて,子供たちの心身の健全な育成に大きく貢献して参りました。議員御指摘のように,潮風の影響などもあり,年々進行する施設の老朽化が課題であり,これまでもバンガロー6棟の増改築や食事棟,宿泊棟の整備などを,平成13年度以降順次実施して参ります。さらに今年度中には,緊急を要するプールのろ過装置の改修を実施し,開設30周年を迎えます来年度にはテントサイトとの大規模改修を計画するとともに,指導者用マニュアルの改訂を行って参ります。今後とも花背山の家と共に自然体験活動の拠点である奥志摩みさきの家のより一層の充実に取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,山本恵一議員に発言を許します。山本議員。 〔山本恵一議員登壇(拍手)〕 ◆(山本恵一議員) 北区選出の山本恵一でございます。自由民主党京都市会議員団を代表して2度目の代表質問をさせていただきます。 この機会を与えてくださった先輩各位に感謝致します。そして先輩議員である寺田一博議員に引き続き,長期的に見た京都市の施策の在り方について質問させていただきたいと思います。門川市長並びに関係理事者の方々におかれましては,誠意ある御答弁をお願い致します。 まず最初に,これからますます進行していく高齢社会を豊かに生きていくための施設整備の在り方についてお尋ね致します。日本の高齢化は今後とも進行の一途をたどり,そのピークは戦後のベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代が75歳以上となる平成37年ごろと言われています。また核家族化の進行によって,多くの高齢者が独り暮らしや夫婦のみの世帯となってきており,京都市における国勢調査結果を見てみると,65歳以上の高齢者のいる世帯のうちで単身と夫婦のみ世帯の比率は,昭和55年には34.5パーセントであったものが,平成17年には58.6パーセントと,約1.7倍増えているような状況になっています。 丁度今年,明日10月1日には,5年に1回の国勢調査が行われることになっていますが,今回の調査で更に単身や夫婦のみ世帯が一層増加することが想像できます。独り暮らしや夫婦のみ世帯の増加が及ぼす地域社会への影響はどうなっていくのだろうかということを考えたとき,一番の不安は介護を必要とする状態になったときに,その生活が一変して自立した生活が難しくなり,また別居している子などの負担も含めて,大きな影響が生じることではないかと思います。 私も経験してきましたが,このように介護という問題が,家族だけでは支え切れなくなったときに,社会全体で支え,必要な介護サービスを受けていただくことで自立した生活を続けていただけるよう創設されたのが,今の介護保険制度であります。この間,施設や居宅サービスを提供する基盤は飛躍的に増加し,お聞きしますと,要介護認定を受けておられる方は,高齢化の進展をはるかに上回る勢いで伸びているとのことです。私も,この間施設整備に尽力してきましたが,その中でこれからの施設はどういう在り方が良いのだろうかと私なりに考えて参りました。 高齢者の方の声をお聴きしますと,いつまでも自分の住み慣れた家,地域社会とのかかわりを持って安心して生活したいというのが大半の意見でありました。そのために,ヘルパーさんやデイサービスなどの居宅サービスを利用して,できる限り自分の家での生活を続けていただいて,心身の状態が思わしくなくなり,どうしても居宅生活が難しくなったときに,特別養護老人ホームに入所するというのが現在の状況であります。このように,現在は特別養護老人ホームを施設という概念で捕らえ,自分の家である居宅とは捕らえていないのが,現実には自らの生活の拠点であり,自宅なのです。現在の特別養護老人ホームは100床ぐらいの大規模なものがほとんどです。そういう形態となると,施設から離れた地域社会とのかかわりを持ちにくくなって,自分の家だとはなかなか感じられず,どうしても施設と捕らえてしまうのではないかと思います。 平成18年度からは,地域密着型サービスという形で,定員が29人以下の小規模な特別養護老人ホームの設置も可能となってきていますが,私は,これからの施設整備はこれまでのような大規模なものから,このような少人数の施設にすべきではないかと思うのであります。特に都市部は,土地の確保という大きな問題を抱えていますので,人口減少社会を迎えた中で,これからは地域にある空家などをうまく活用して,小規模な施設をどんどん建てていくことが必要になってくるのではないかと思います。小規模なものになると,職員体制でありますとか,様々な材料費などの点でどうしても施設全体のスケールメリットが出にくくなってくるので,介護報酬上の評価など事業運営をもっとうまく行う必要もあろうかと思いますが,大規模なものから小規模なものに大きく発想を転換していくことが,これからますます進行していく高齢社会における施設の在り方だと考えるのですが,いかがでしょうか。御所見をお聞かせください。 続きまして,農産物の販売戦略についてお伺い致します。京都市内では,春はタケノコ,夏は賀茂なす,秋から冬にかけては九条ねぎ,聖護院大根等四季折々の京野菜が生産されております。京野菜は京都の自然風土,農家の日々の努力,そして伝統ある技術に裏打ちされたものであります。また京都の伝統野菜であるとともに,先祖代々伝わってきた技術の伝承野菜でもあります。その技術の高さを実感できるのが,市内各地で開催されている品評会であります。特に毎年秋に平安神宮で開催される品評会は圧巻で,出品された野菜は,いずれも色つや,形が良く,なおかつずっしりとした重みがあるものであります。その中から京都市長賞に選ばれた野菜は,正に超一流の芸術品であります。是非門川市長にも御参観いただきたいと思います。 北区の農家は,多種多様な野菜を軽トラックや大八車に乗せて商いをしております。いわゆる振り売りであります。昨年,今年と,市役所前で振り売り農家が大集合して,市民の皆さんに京野菜を販売して大好評でありました。しかし農家の高齢化によって,振り売りをする農家が減少傾向にあるのが現状であります。京都の農業の特徴である地産地消を推し進めるような,他の売り方をこれから考えていかなければなりません。さらには,少しでもおいしい野菜を消費者に食べてもらいたいと,手間暇掛けて作った野菜の価格が,出口の見えぬデフレ経済の状況下,低迷しています。再生産が見込めないような販売状況が続くようでは,これから先,京野菜作りの担い手の後継者が育たないと思います。京野菜の特徴や価値を市民の皆さんに理解してもらい,そして市内の農家の励みとなるような販売戦略が必要となってきております。一方,市内ではすぐき漬けやしば漬け等のように,地域で採れた野菜を素材に,昔から商品化している農産加工品があり,京都の代表的な土産物になっています。こういった事例を参考にしながら,大学等との連携や6次産業化によって付加価値を高めた販売対策を進めることも必要であると考えます。そこで,京野菜を始めとした京都の農産物の販売戦略をどう展望し,どのような支援を行っていかれるのか,御所見を伺いたいと思います。いかがですか。 次に,深刻化する野生鳥獣による農作物被害の対策についてお伺い致します。数年前から北区の柊野から西賀茂一帯に,猿が出没するようになり,収穫間際となったトマトやとうもろこしを次々に食い荒らしております。土作り,苗作りに始まって,品目によっては1年以上,毎日のように向き合ってきた農作物が一瞬のうちに食べ荒らされた無念さは計り知れないものがあります。被害額以上の打撃が農家を襲うことになるのです。これ程までに被害が増大したのは,シカ,猿,イノシシ等の野生鳥獣の生息数が増えたことが原因であると思います。その背景には,地球温暖化の影響で越冬する個体が増えたことや,狩猟期に雪が少なく捕獲が困難になったこと,あるいは猟友会の会員の高齢化など,多面にわたっていると思います。 京都市では,これまで有害鳥獣の捕獲や防除さくの設置等に取り組まれてこられましたが,こうした対策にしても,いまだ被害が多発している状況下にあると思います。全国的にも色々と創意工夫を凝らし,野生鳥獣対策を実施しているところであります。京都市では先進事例を研究して,あらゆる対策を早急に採る必要があると思います。そこで,今後の野生鳥獣対策について御所見をお伺いしたいと思います。いかがですか。 次に,農業用水路の維持管理について要望します。現在,住宅地に点在する農地やそれに伴う農業用水路は,都市部の緑地空間やヒートアイランド現象の抑制機能のほか,最近多発しているゲリラ豪雨などの雨水を排水する重要な機能,役割も担っています。しかしながら,この都市的農業地域においては,京野菜の生産を重点的に進めていることから,水田による稲作が減少してきており,また農地も減少の一途をたどっており,これまで活用していた農業用水路としての必要性がなくなってきております。さらには,農地の多くが宅地に変わり,農業用水路に流れ込む雨量が増加し,都市ごみも紛れ込んできています。そうした中,この農業用水路の維持管理を行っている農家には,農業従事者の高齢化及び後継者の問題があり,体力的にもコスト的にも非常に難しくなってきております。このままでは,これまでゲリラ豪雨などの都市災害への調整機能を果たしてきたものが低下し,浸水被害などの恐れも出てくることを懸念しております。このように,これらのことは,もはや農家だけの問題を超え,総合的に治水対策を担う行政部門による主体的な対応が必要であると考えます。また,都市の緑化やヒートアイランド現象の緩和等のために,建設局が行っている京のまちなか緑化助成事業の屋上緑化等は,野菜も助成対象にしています。そうならば,都市の治水上,大きな役割を果たしている農業用水路の維持管理に対しても,農家に任せるのではなく,これからのものが衰退しないよう,治水行政による積極的な対応をしていただけるように,これは要望しておきます。 続いて,学力の向上についてお尋ね致します。私は2年前の5月市会において,国際的な学力の比較調査での日本の順位の大きな低下や,43年ぶりとなる全国学力調査の実施によるところの,保護者,市民の学力向上への関心の高まりを受け,市立学校における学力の定着,向上の取組ついてお伺い致しました。そのとき,教育長には京都市独自措置による少人数学級や中学校での学習確認プログラム,小学校でのジョイントプログラム,授業日数の増などの学力向上の対策について御答弁をいただいたところであります。そして去る7月30日,本年度で4回目の実施となった全国学力・学習状況調査の結果発表が行われ,京都市を含めた京都府の順位について,小学校で全国4位と報道されたところであります。このことは,本市におけるこの間の学力向上策をはじめとする,学校,家庭,地域が一体となった教育改革や,各学校での日ごろの先生方の地道な御努力の成果が表れたものと高く評価しているところであります。しかしながら,学力テストの結果につきましては,単なる序列化や点取競争に一喜一憂して,そのことに終始するのではなく,学力テストと併せて実施されている児童生徒の生活習慣や学習環境についてのアンケートの結果と併せて,結果を詳細に分析して,どのように各学校での指導や日々の授業の改善に生かして,更なる学力向上につなげていくかが肝心なところであります。来年度からは,いよいよ学習内容や授業時間が増える新しい学習指導要領が小学校で全面実施となるわけですが,この完全実施に向けた現在の準備の状況を含め,今後の更なる学力向上に向けた方策について教育長の御所見をお聞かせください。 次に,生き方探究教育についてお伺い致します。私は常々,公教育の最大の目標は,子供たちの生きる力をはぐくむことであると考えています。先ほど述べましたが,学力テストについても優れた成績を挙げることはもちろん大事なことでありますが,学校教育が学力調査の成績を上げることに一面化されてはならないと考えます。私が,地元北区で日ごろから取り組んでいます子供たちの見守り活動や学校運営協議会を通して,子供たちに接したり,また先生方や保護者の方々からお話を聴いたり,また現在不況の中で,折角勉強ができて大学に入り,卒業しても就職率が約60パーセントに過ぎない等の状況を考えますと,全国調査で見られるような学力の向上とともに,知・徳・体のバランスのとれた現代の厳しい社会を生き抜いていく力の育成が重要であると思います。そのためには,子供たちが自らの体験を通して,自分の生き方や働くことの意味や,社会と自分とのつながりを学んでいく取組の推進も極めて重要であると考えます。このように京都市では,いわゆるキャリア教育にもこれまでから積極的に取り組まれており,開始から10年を迎え,地元北区でも多くの事業所が協力して,生徒たちを受け入れている中学生の職場体験,チャレンジ体験推進事業や,元滋野中学校を活用した社会の仕組みを学ぶ体験施設でのスチューデントシティ・ファイナンスパーク,そしてものづくりのまち京都の特性を生かしたこどもモノづくり事業など,産学公の連携と,多くの熱意ある市民ボランティアの方々の参加による京都ならではの生き方探求教育は,参加した子供や保護者からも大変好評であると聞いています。そこで昨今の極めて厳しい社会経済状況の中で,今後ますます重要となる生き方探求教育の更なる推進方策について,教育長の御所見をお願い致します。 続きまして,来年に向けた猛暑対策についてお伺い致します。今年の夏は記録的な猛暑が続き,小中学校のグランドや体育館で行う体育での授業,クラブ活動などで,体調不良や熱中症によって学校から救急搬送されている児童もいました。またこれからは体育祭,文化祭などの行事が多く予定されていると思いますが,実施に当たっては,子供たちや保護者の方についても,日かげの確保や水分補給,休憩を取るよう十分気を付けてもらいたいと思います。 ところで,上下水道局では,ドライ型のミスト装置を昨年度は市役所本庁舎の東側に設置し,今年度は京都国際マンガミュージアム,動物園,竹田駅プラットホーム,そして祇園祭の山鉾巡行の日には市役所前広場でも設置し,非常に好評であったと聞いております。このミスト装置は,水道水を利用した冷房装置であることから,水道水の新たな利用方法を多くの方々に広く知ってもらうことができる,上下水道局にとって非常に有効なPRの方法です。だからこそ昨年度に引き続き,このようなモデル的な実施をしていると思います。 さらに公共施設への設置などによって,市民の方々や事業者がミスト装置の導入に関心を示され,そして装置の大きさや音の問題などが技術の進歩によって改善し,多くの一般住宅に普及することになれば,水道水の使用料も増え,上下水道局の経営にも結果が出てくるものと思います。他都市においては,ミスト装置を設置した場合に,水道料金の軽減などの助成制度もあるとお聞きしております。まずはミスト装置のことを一層広く知ってもらうために,来年からは区民運動会や地域の夏祭などのイベントへの貸し出しサービスなどを一度試しに行ってはどうでしょうか。門川市長は昨年のモデル実施の記者会見において,市民や事業者の皆さんが,ミスト装置の導入に関心を持ってもらえるような施策を展開していけたらと考えているとおっしゃっておられましたが,その後,どのような状況になっているのか,お伺いしたいと思います。 続きまして,水災対策について質問致します。近年の地球温暖化などの影響と言われていますが,世界各地で自然災害が多発しており,ロシアの猛暑に林野火災の多発,中国やパキスタンにおける豪雨による土砂災害などでは,大変多くの犠牲者が生じていると伝えられています。この京都市においても,7月から8月,9月にかけて35度を超える猛暑日が続き,連日多数の市民や観光客が熱中症状で救急搬送されている状況が消防局から発表されていました。昨年と比較して,4倍近く急増しており,出動する救急隊員も猛暑の中で大変苦労されたことだろうと思います。一方では,この夏,京都市も2度にわたり激しい豪雨に見舞われました。まず最初が,7月13日から15日に掛けての梅雨末期の豪雨で,総雨量が地元の北区上賀茂地域でも300ミリを超え,市内各所で床上,床下浸水や土砂崩れの被害が発生しました。さらに8月12日の台風4号に伴う豪雨で,京都市内では記録的短時間大雨情報が発表され,西京区内では時間雨量が,100ミリを超え,道路冠水による国道の通行止めや,床上,床下浸水の被害が発生しました。いずれも,市民に対する人的被害がなかったことは幸いでしたが,一時は市内の中心を流れる鴨川が急激に増水し,河川敷の散歩道への進入が禁止され,大変盛況であった京の七夕事業の催し物が一部中止になる事態ともなりました。今回の豪雨災害における雨量のピークを見ると,7月の豪雨では,13日夜間の午後7時から9時ごろ,8月の豪雨では12日未明の午前5時から6時となっています。市民の多くは自宅でくつろいでいる時間や就寝中の時間帯であったのです。同じように,災害が発生したとき,真っ先に市民のために活動すべき京都市の多くの職員は,消防職員など一部を除いて職場を離れている時間に災害が発生したことになるわけです。 一方で,昨年8月に兵庫県佐用町を中心に発生した豪雨災害では,町の中心を流れる佐用川の水位が避難判断水位を超えていたにもかかわらず,災害対策本部長である町長が市民への避難勧告を発しなかったことが原因で,佐用川があふれ濁流にのまれて犠牲になったとして,犠牲者の御遺族の方が町に対して損害賠償請求の訴訟を起こしている例があります。そこで,今回の本市の豪雨災害への対応について,門川市長に次の2点についてお伺いします。今回の2件の豪雨災害においては,市役所,区役所等の職員の勤務時間外の夜間や未明に京都地方気象台が大雨・洪水警報を発表し,さらに各区内の土砂災害警戒情報及び鴨川,高野川,桂川,小畑川の各河川の氾濫注意情報や避難判断水位情報等の洪水予報が順次発表されましたが,それに対応すべき職員の召集は,市民を災害から守るために極めて重要であると思いますが,召集の連絡及び応召の体制についてお聞かせください。併せてその体制が先の水災害で実際に機能したのか,お教え願いたいと思います。さらに,7月の豪雨においては,北区小野郷地区においては,土砂災害の危険があることから,多くの住民が自主避難されたと聞いていますが,今回の夜間や未明に発表された気象警報,土砂災害警戒情報,各河川の洪水予報等の市民にとって重要な情報,さらに避難勧告や避難指示が出された場合,市民の皆様へ,どのような方法で具体的に伝達されるのか,お聞かせください。 次に,去る9月4日,地元北区におきまして京都市の総合防災訓練が開催され,大変な猛暑の中,多くの地域住民が避難された中で防災各機関が熱心に訓練を実施されておられました。最後の出番で消防団員の一斉放水訓練に関して,大規模地震発生時に各地で発生すると予想されている火災に対して,小型動力ポンプが北区内だけでも19の消防分団に配備されていることは,市民の一人として大いに安心できる姿だと思います。特に気づいた点として,学生消防サポーターの方々が多数参加していて,負傷者の救護をてきぱきと担当しておられたことです。学生のまち,京都ならではの取組で,実際の災害でも若い力として大いに期待できると思います。そこでお伺いします。学生消防サポーターについては,大学生が地域の住民の中へ溶け込み,消防だけでなく高齢化社会の中での安心につながると考えますが,今現在の登録状況と,その育成指導の目標について,そして防火・防災のリーダーとしての消防団の充実強化についてもお聞かせ願いたいと思います。 続いて,地元上賀茂神社,御薗橋周辺の道路状況の改善についてお伺い致します。御薗橋は伝統と由緒ある上賀茂神社への参詣道であり,また京都の三大祭の一つである葵祭の御通りの橋としての役割もあり,地元では大変重んじられている橋であります。ところがこの地域では,上賀茂神社,御薗橋の周辺の道路に,通勤・通学の車両や路線バスに加えて,上賀茂神社へ参詣する観光客や京都産業大学へのシャトルバスなどの交通が集中することにより,以前から慢性的な渋滞の緩和が大きな課題となっております。また,歩道も狭く,歩行者や自転車にとっても非常に危険な状況であります。そこで御薗橋の改修について,今年度詳細設計を行い,来年度から工事に着手する予定と伺っておりますが,現在の進捗状況はいかがでしょうか。そして平成27年には,上賀茂神社で21年に一度の式年遷宮が行われますが,そこに向けて進んでいかれるのでしょうか。お答えください。また既に御薗橋西詰の京都貴船線堀川通の拡幅に向けた用地買収なども進んでいるとお聞きしていますが,その進ちょく状況についてもお答えください。 最後に,市バスの利便性について要望致します。交通局では,この3月に一般会計からの補助金に頼らない自立した経営を目指す自動車事業経営健全化計画を策定し,またこの21年度決算においても18億3,900万円の経常損益の黒字を計上したとのことで,まずは一定の評価をするものであります。しかしながら,その黒字は経費の大幅な削減に支えられたものであり,肝心のバスの利用者数は,平成20年度に比べ1日5,000人もの減少を来しております。昨年は,新型インフルエンザの影響があったとはいえ,健全化計画の着実な推進に向けて,1人でも多くの利用者を獲得することに最大限取り組まなければなりません。バスの利用者を増やすためには,安全,安心,快適な運行をさらに努力していくことはもちろんのこと,バスのダイヤや路線が利用しやすいものであること,バスの定時性が確保されていること,バスを待つ環境が整っていることなど総体的に市バスの利用価値を高めていくことが肝要であります。私の経験を述べますと,夜にJR新快速で京都駅へ帰ってきたときですけれども,北の方へ行くバスに乗ろうとして,バス停で長い間待たされたときが度々ありました。地下鉄のシンデレラクロスみたいに,より良い方向に考えていただきたいと思います。つまり鉄道駅と地域を結ぶダイヤの拡充やバス停の環境整備を進めるなど,利用者の利便性の向上について実感を与えるような改善策を願うものであります。このように,目に見える事業展開を通して,市民から信頼される市バスへとつながる取組を真剣に進めていただくことを強く要望しておきます。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山本恵一議員の御質問にお答え致します。 まず高齢社会における福祉施設整備の在り方についてでございます。多くの高齢者が介護を要する状態になられても,住み慣れた地域でいつまでも健やかに暮らしたいと望んでおられます。このため本市におきましては,京都市民長寿すこやかプランに基づき,居宅サービスの充実を図るとともに,居宅生活が難しくなったときの生活の場である特別養護老人ホームの整備を計画的かつ着実に進めているところであります。また,平成18年度からは,新たに身近な場所で地域密着型サービスを提供する小規模な施設整備を進めており,29人以下の地域密着型特別養護老人ホームは現在5施設が運営されております。特別養護老人ホームを大規模なものから小規模なものに大きく転換していくときではないかとの山本議員の御提案は,これからの高齢者福祉施策の在り方を居宅か施設かという二者選択ではなく,これを融合させていく必要性を示されており,住み慣れた地域の中での生活を一層可能にする大変意義深いものであります。このために介護を要する状態になられても安心して豊かな生活が営めるよう,次期プランの策定過程において,大規模なものと小規模なものとの配分等についても十分に議論し,これからの高齢者福祉施設の在り方を明らかにして参ります。 次に,農産物の販売戦略についてでございます。京都市内では繊細で風味の良い京野菜が農家の高度な栽培技術と不断の努力によって受け継がれて参っておりました。そして京都市中央卸売市場第一市場におきましては,京都産の野菜が区別して販売されてきたことなどから,京野菜が全国に誇る確固たる地位を築いてきております。しかしながら山本議員御指摘のとおり,伝統的な販売方法である振り売りの継続が困難になるなど厳しい状況の下,新たな販売戦略が必要となっております。 こうした中,京都市におきましては,これまで地産地消の取組として京の旬野菜推奨事業を実施してきており,昨年からは旬の時期まで待って食べるという時待ち食の啓発拠点として地下鉄の駅構内等に旬野菜の直売所を設置し,出荷農家や購入した市民の方々から非常に好評を得ているところであります。さらに新たなブランド戦略として,大学や企業と連携した販売品目の開拓を目指し,春先の端境期に出荷が可能な京ラフランなどの新しい京野菜の開発,普及や原料用作物の試験栽培にも取り組んでおります。今後は,本年策定致しました京都市農林行政基本方針に基づき,消費者とのコミュニケーションを特に大切にした販売を強化するとともに,新たな加工品の開発など農業の6次産業化や京野菜のブランドを更に高めるため,ものがたりづくりという点にも注力し,拡販に生産者とともに全力を傾けて参ります。 次に,ミスト装置の設置拡大についてでございます。ミスト装置は地球環境に優しい冷房装置でヒートアイランド現象を緩和するとともに,CO2排出量の削減効果も持ち,地球温暖化防止に役立つものであります。またこの装置が普及することで,水道使用量の増加を通して水道事業経営の効果も含まれます。このため昨年度市役所本庁舎での設置実験に続きまして,今年度は京都国際マンガミュージアムや動物園など本市の関連施設に設置し,涼しさ,快適さを実際に体験していただくことで,ミスト装置の環境に優しい特性と水道水の新たな利用方法について広く市民の皆様にPRを実施致しました。今回設置箇所で行ったアンケート調査によりますと,この装置について認知度は着実に高まってきておりますが,まだ御存じでない方も多数おられますことから,今後も引き続き,より多くの方々にミスト装置を知っていただくための取組が必要であると考えております。山本議員御提案の地域のイベント等への貸出しにつきましては,より高いPR効果が期待されるものでありますので,積極的に検討進めて参ります。 次に,災害に対応する本市職員の応召体制などについてでございます。本市の災害対策本部につきましては,気象情報の発表や災害の発生状況に応じまして,活動体制を約1,300名の1号体制から全職員の5号体制まで,5段階に区分し対応することと致しております。また職員の召集連絡につきましては従来の電話連絡に加えまして,携帯電話でのメール機能を活用した一斉送信を行うなど,より迅速かつ確実な連絡体制へと充実しているところであります。先般の水災害では,1号体制の1,300名のうち1時間以内に約1,000名の職員が確保でき,その後土砂災害警戒情報や洪水予報が発表されたことを受け,約3,000名の2号体制に移行させるなど迅速かつ的確に対応したところであります。次に,市民の皆様への情報伝達についてでございますが,携帯電話のメール等を活用した一斉送信,本市のホームページへの掲載や職員による巡回広報などの方法を用いております。先般の水災害では,特に昨年6月に運用を開始した水災情報システムの一斉送信装置が有効に機能し,自主防災会をはじめ要配慮者利用施設や地下施設の管理者等の皆様へ確実な情報伝達を行い,自主避難などの効果的な活動につながりました。今後とも市民の皆様の御協力を得ながら本市の総力を挙げて災害に立ち向かい,安心都市・京都を実現して参ります。 次に,学生消防サポーターの登録状況と今後の育成指導についてでございます。本市では大学が集積する学生のまち京都の特性を生かし,学生の力を地域の災害対応力の強化につなげることを目的と致しまして平成19年に学生消防サポーター制度を創設し,当初12大学32名でスタート致しました。現在では,おかげさまで39大学と284名の学生が登録して活動していただいております。サポーターの皆様には習得した知識を生かして,総合防災訓練など各種行事に参加していただいており,昨年には兵庫県佐用町の水災に伴うボランティア活動に自主的に参加されるなど,この活動範囲を広げていただいているところであります。今後は学生自らが企画立案した防火防災事業などをより地域に密着した形で実施できるよう,更に活動を支援して参ります。 次に,消防団の充実強化につきましては,機甲分団など機能別分団の創設により活動体制の強化を図りましたが,大規模災害時には専門的な知識と技術を持ち,地域事情に精通した各行政区の京都ならではの誇るべき消防団の存在が極めて重要であると改めて認識致しております。しかしながら,消防団員は全国的に減少傾向にあり,本市もその例外ではありません。今後とも消防団の活動環境をより魅力あるものとし,消防団員の士気高揚を図るとともに,団員確保のための取組を積極的に推進して参ります。また消防団の災害対応力の強化につきましては,今年度から消防活動総合センターの各種施設を活用した,より実践的な消防訓練を実施しているところであります。引き続き,いざというときにその力を遺憾なく発揮できる力強い消防団づくりに関係者とともに努力して参ります。消防団は京都のすばらしい宝であります。しっかりと連携して取り組んで参ります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 野生鳥獣による農産物被害対策についてお答え致します。 本市の山沿いに位置する農地ではシカ,イノシシ,猿などの野生鳥獣による農産物被害が多発しております。議員御指摘のとおり,被害金額に表れない営農意欲の低下など被害の状況は極めて深刻であると認識致しております。そこで京都市では,有害鳥獣の捕獲による個体数増加の抑制や防除さくの設置,レンタカウによる猿の追い払い,更には京都府や隣接する市町との連携による広域捕獲など防除と捕獲を組み合わせた対策を講じて参りました。こうした中,本年度からは新たに京都府猟友会への捕獲予算を倍増するとともに,猿の動向調査やヤギの放し飼いによる追い払い,モンキードッグの育成,集落周辺のバッファーゾーンの設置等に取り組んでおります。今後は深刻な野生鳥獣被害に抜本的に対応するため,京都府に対し猟の期間の延長や個体数把握と適正な管理を一層強く要望するとともに,個体数の削減に向けた取組を行い,市民生活の安心安全を確保し,また農家の皆さんが安心して農産物を栽培していただけるよう,他地域の事例も参考にして総合的な野生鳥獣対策に取り組んで参ります。以上でございます。
    ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 御薗橋及び周辺の道路整備についてお答え致します。 賀茂川に架かる御薗橋は幅員が狭く慢性的な渋滞が発生しているうえ,老朽化が進んでいることなどから,大規模な改修が必要となっております。このため一昨年度にデザインの検討を行い,昨年度には交通量調査を含む予備設計を実施して参りました。これらの結果,単なる橋の改修ではなく,御薗橋そのものを現在の約2倍の幅となる23メートルの橋に架け替えるとともに,御薗橋から上賀茂神社に至る東側の道路についても同様に拡幅を行って,抜本的な整備を実施する必要性が明らかになりましたことから,今年度の詳細設計並びに来年度の工事着手を見合わせ,整備計画そのものを全面的に見直すことと致しました。東側の道路の拡幅には用地買収が伴うことや,橋の架け替えに仮橋の設置が必要となることなどから,今後地権者の皆様や関係者の皆様と慎重に協議を進め,十分な御理解をいただきながら整備に向けた取組を改めて進めて参ります。一方,既に着手しております御薗橋西詰の京都貴船線の拡幅整備につきましては,円滑な通行や歩行者の安全確保を図るうえで,交差点の改良等に早急に取り組む必要があるため,残り1件となっております用地の買収を進めますとともに,今年度詳細設計を実施し,平成25年度の完成を目指し,事業を推進して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 来年度から全面実施される小学校新学習指導要領実施に向けた準備や学力向上についてでありますが,本市では年間授業日数を全国トップレベルの205日以上とする取組により,これまでより約1割増える新学習指導要領の標準授業時数を平成18年度から既に確保するとともに,小学校5,6年生での英語活動を前倒しして,平成20年度から全校で実施をしております。併せて学習内容が増える各教科領域の詳細な教育課程,指導計画であります本市独自の京都市スタンダードの作成を進めるとともに,それに応じた教員研修を企画するなど,新学習指導要領の円滑な実施に向け万全な準備を整えております。また御指摘の全国学力調査実施時のアンケート結果からは,子供たちの生活習慣や学習習慣と学力の関連性が指摘をされており,学習生活習慣の確立を含めた規範意識の向上に取り組むプロジェクトを校長会とともに既に立ち上げたところであります。今後,家庭等との連携による学習確認プログラムなどこれまでの取組の充実と共に,新たな学力向上の取組を提起して参ります。今後ともこうした取組を進め,学校での教科指導の充実と学習生活習慣の確立の両面から新学習指導要領の内容の定着を図り,子供たちに確かな学力を培って参ります。 次に,生き方探求教育についてでありますが,議員御指摘のとおり,子供たちが自らの体験を通して自分の生き方や働くことの意味,社会と自分とのつながりを学ぶことは極めて重要であります。そのため本市では毎年約3,700の事業所の協力を得て,すべての中学校2年生が5日間連続で職場体験活動を行うとともに,平成19年1月には生き方探求館を開設し,校舎の中に再現された銀行や商店等からなる街で,開設以来4万5,000人を超える小中学生が社会や経済の仕組みを学ぶ小学生のスチューデントシティ学習,中学生のファイナンスパーク学習を実施しております。今後,生き方探求教育の更なる推進に向けて,昨年2月に開設したモノづくり企業の創業者の生き方や情熱を紹介する京都モノづくりの殿堂や機械等の分解や製作体験を通して生き方を学ぶ,モノづくり工房での学習の推進,さらには全市から,モノづくりに興味のある子供たちが年間を通して集うモノづくり倶楽部の創設など,生き方探求館での活動を更に充実させるとともに,各学校におきましても地域,企業との協力の下,体験を通した様々な活動を積極的に展開し,市民ぐるみ,地域ぐるみで京都ならではの生き方探求教育を推進して参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 暫時休憩致します。 〔午前11時49分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(加藤盛司) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について,田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕 ◆(田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀です。寺田一博議員山本恵一議員に引き続き,自由民主党市会議員団を代表し,市政一般について質問をさせていただきます。理事者の皆様方におかれましては,誠意ある御答弁をお願い致します。 昨年の政権交代後,鳩山総理は余りにも唐突に,国連の気候変動サミットで2020年に日本の温室効果ガス排出量を90年比25パーセント削減に向けてキャップ&トレード型国内排出量取引制度,再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入,地球温暖化対策税の検討など,あらゆる政策を総動員してこれを実現するとの決意を世界に向けて発信されました。 しかし御自身の究極の子ども手当の問題や,沖縄の基地問題で責任を取られ,9箇月で辞任されましたが,菅総理に引き継がれてからは地球温暖化対策への意欲が急速にしぼみ,温暖化対策基本法案も廃案になるなど,マニフェストは名ばかりのものになっています。名ばかりのマニフェストなら,国防費をはるかに上回る子ども手当の満額支給や国民の多くが反対している高速道路の無料化等も見直しをされてはどうでしょうか。 先般の参議院選挙で,国民の皆様方は衆参で多数が違うねじれ国会を選択されました。菅総理には,良い意見であれば積極的に採り入れる度量と中国の圧力に屈しないしっかりとした外交政策を示していただきたいものです。 国の温暖化対策は迷走を致しておりますが,本市におかれましては,市内の温室効果ガスを2020年度に1990年度比で25パーセント削減,2030年度には40パーセント削減するという高い削減目標を掲げた地球温暖化対策条例改正案が,昨日の市会本会議で可決されました。子供や孫の将来世代に快適な地球を引き継いでいくためには,我々の世代が今直ちに温室効果ガスの削減に向けて更なる取組を始める必要があることは論をまたないところであり,今回の条例改正を契機として,京都議定書誕生の地でもある京都市の地球温暖化対策が大きく進むことを期待しております。しかし一方で,厳しい削減目標を達成するためには,市民や事業者に取組を求めるだけでなく,都市計画や建築物,交通体系,産業など,京都のまちそのものを低炭素型に変えていかなければなりません。こうした点からも,地球温暖化対策の推進に際しては,門川市長の強力なリーダーシップの下に,市役所のすべての局区が気持ちを一つにして,あらゆる施策,事業が温室効果ガスの削減につながるように,総力を挙げて取り組んでいく必要があります。本市では,現在,次期京都市基本計画の策定が進められており,改正条例に基づく新たな推進計画が今年度中に策定されると聞いております。また,間もなく来年度予算の編成作業が本格的に始まることと思いますが,高い削減目標の達成に向けて,どのような実効性ある仕組みを構築されようとしていくのか,市長の決意とお考えをお示しください。 次に,京町家の保全対策についてお尋ね致します。本年8月25日に発表された京町家まちづくり調査において,市域に残存する京町家,全4万7,735戸のうち,居住者のいない空き家が5,002戸と,1割を超え,京町家の保全に関心のない居住者が3割近くに上っていると報告されました。2009年10月6日,2010年版のワールド・モニュメント・ウォッチリストが発表され,京町家が選定されたことで,世界的に注目が集まりました。ワールドモニュメント財団による京町家の選定理由は,一つ,歴史的かつ木造建造物としての重要性をもつ,二つ,坪庭,中庭など空間構成に空と風,緑を創出するなど,自然環境に配慮した伝統的生活様式を伝える,三つ,経済成長の中で日本の伝統的な地域が直面する問題を象徴的に抱えており,このことは世界の多くの都市部においても見られることで,町家再生の動きは日本のみならず,歴史地区を持つ世界中の他の都市にとっても参考になると挙げられています。また門川市長も,京町家を世界の文化遺産として継承していくため,一層努力したいとコメントされています。本市の今回の調査報告の中で,空き家化が進行していること,空き家の建物状態において老朽化する傾向が顕著であることが明らかになりました。また居住されている建物においては,約27パーセントは町家であると認識されている一方,約半数は普通の木造住宅として捕らえているとありました。その中で,町家であると認識している人の59パーセントが保全意向を持っている反面,普通の木造住宅と捕らえている場合の保全意向はその約3分の1の20パーセントであり,建物に対する認識が保全意向に与える影響が大きいことが伺えるとあります。維持管理において,修繕改修費や相続税の負担が大きいのが現実です。今後,京町家保全に向けて,耐震改修助成制度の更なる周知徹底や財政的な支援等を進めるべきと考えますが,本市の具体的な取組をお示しください。 また京町家を保全していくうえで,その補修や改修工事ができるのは,伝統工法と伝統技能を所有する建築技能者です。しかし実際は,伝統工法と伝統技能は近代工法の変遷の中で継承の危機を迎えています。左官工を例にとっても,サイディングパネルや石膏ボード等,建材の乾式化が進み,壁仕上げには塗装やクロス等が増えました。ビルマンション工事でも,コンクリートにモルタルを厚く塗らない工法に変わったことなどにより,塗り壁や左官工事が急激に減少し,職人数も減り続けています。近年,建築材料の中に含まれる化学物質によるシックハウス症等が問題になっています。そのような中で,漆喰,珪藻土等の自然素材を使用した壁が見直されると共に,手仕事による仕上げの多様性や味わいを持った左官仕上げの良さが再認識されてきています。大工や瓦葺,建具等も同様に,仕事量の減少に伴い職人数も減っております。どの技術職も一朝一夕にできるものではありません。特に純和風のものを仕上げることのできる職人の方の高齢化も顕著です。造園業なども含め,他府県から京都へ丁稚奉公に来られる方もまだまだたくさんおられます。今後,本市として職人の減少と技術,技能の継承にどのように取り組まれていくのか,お答えください。 次に,森林保全対策についてお伺い致します。今年は記録的な暑さが続きました。猛暑が拍車を掛け,ナラやカシ類といった広葉樹が集団枯死するナラ枯れの被害が全国的に拡大しました。京都市内の周辺三山でも,ナラ枯れ被害は昨年で約4,000本程度であったのが,この夏には約2万本に上ると推測されているほどナラ枯れ被害がひどく,京都の景観を損ねています。 ナラ枯れは,カシノナガキクイムシという昆虫がカビの菌を運び,このカビの菌が水を吸い上げる木の管に詰まって枯れる病気で,人間で言うと喉に物が詰まり,呼吸できないのと同じです。ナラ枯れ被害は,山形,新潟など日本海側から広まりましたが,今や兵庫,奈良など西日本でも急激に拡大し,それぞれ問題となっていますが,やはり京都市は,全国,世界の人がその文化伝統にあこがれを抱く観光都市であり,問題も深刻であると考えます。 市街地の周辺三山は,観光客が訪れる社寺仏閣の借景として,名所名刹と一体となった京都独自の景観を形成しています。観光に訪れる人々をもてなし,また心をいやす大切な資源です。さらには五山の送り火に見られるように,京都市民にとって先祖を敬う心のより所になっています。またナラ枯れは,江戸時代からあったということですが,昭和30年代の燃料革命以前は人が山に入り,木が病気に掛かる前に利用され,森も新しい命をはぐくむという人と森との共生が図られており,被害が拡大するような問題にならなかったと聞きます。私は6月に同僚議員と一緒に松くい虫被害について現地視察に行って参りました。松枯れはマツノマダラカミキリが持ち込んだマツノザイセンチュウによって引き起こされて,西日本を中心に戦前からある病害です。1970年代になって急速に拡大し,79年をピークに減少傾向にありますが,地域によっては新たな被害の発生が見られるほか,被害が軽微になった地域においても,気象要因等によっては再び激しい被害を受ける恐れがあり,引き続き被害状況に即応した的確な対策を推進していく必要があります。松は養分の少ない海岸の土壌でも大きく育ちますし,内陸部でも荒廃地にいち早く侵入し,土壌が流れ出るのを防いでくれます。厳しい環境でも育つ松が作る森林の役割は大変重要なものです。豊かな森が川を,まちを,そして海を守ると言われていますが,山の木が大量に枯れるということは,今後,土砂災害など防災上の危険性も懸念されます。京都固有の景観,伝統文化の保全,市民の安全確保という視点から,ナラ枯れ,松枯れ等の対策は,緊急かつ精力的に取り組んでいくべき課題だと考えます。さらに,環境モデル都市として,貴重な再生資源である伐採した木材の再利用も考えるべきと考えます。五山の送り火や嵐山の鵜飼いに活用したり,新たな炭の利用拡大等,京都ならではの取組を発信するべきです。 私は,こうした森林の保全対策は京都市だけの取組で実現できるものではなく,国や京都府,さらには山林の地権者,各種ボランティア団体,企業など,幅広い市民の参加と協働がなければ達成が困難であると考えます。しかしながら,こうした多くの活動がばらばらな方向を向いていては,美しい森林景観の形成は望めません。一方で,本市では,昨年度から三山森林景観保全・再生ガイドラインの策定に取り組んでいるとお聞きしております。そこでお伺い致します。森林の保全対策,資源活用,森林の景観づくりの在り方についてどのように考えておられるのか,お答えください。 また山を守るため,本市は年間約700ヘクタールの間伐を目標とした森林整備や地産地消の木材利用を促進しようと取り組んでおられますが,こうした取組を持続的に発展させていくためには,林業の担い手確保が重要です。しかし,今,林業は環境保全の意味から全国的に注目されてはおりますが,木材価格の低迷等から業として成り立たず,また山仕事の大変さもあって伝統を有する北山杉の生産をはじめとした地域林業の担い手の高齢化,減少が進んでいます。先ほどのナラ枯れ対策を例に取ってみましても,枯れた木を伐採し,処理するのは素人ではできません。一本一本周囲の安全性を配慮し,高度な技術を駆使して伐採することが要求されます。まして民家に倒れ掛かるような木はなおさら手間が掛かり,危険も増します。このため,こうした林業はやはり森林組合の作業班や地域の林業の担い手が行うこととなります。森林の整備を適切に,また杉や檜等の人工林以上に広葉樹の育成管理をするには,多様な樹木の性質や取扱いに精通するとともに,造林,保育,伐採,搬出,さらには管理通路の整備等,高度な知識と技術を持った森林整備の担い手を育成することが重要です。地域の林業が元気に持続的に発展していくために,本市は担い手の確保に対してどのような対策を講じていくのか,お考えをお聞かせください。 次に,コミュニティセンターと市立浴場についてお伺いします。門川市長は市長就任に当たり,同和行政不信の解消を1年以内にやり切ると表明され,直ちに同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会を立ち上げられました。市長はこの委員会からの報告を最大限尊重するとして,自立促進援助金やコミュニティセンターをはじめとする6項目の残された課題について,抜本的な改革に取り組んでおられ,市民の不信感は着実に払拭されつつあると思っております。具体的には,自立促進援助金制度については,報告後即座に廃止されると共に,奨学金等の返還と免除という分かりやすい制度に改められました。またコミュニティセンターについては,平成22年度末をもって廃止することを決定され,本市会には平成23年4月から広く市民に開かれた施設であるいきいき市民活動センターに生まれ変わらせる条例案が提案されています。ほかにも,改良住宅の管理運営や崇仁地区における環境改善等についても,報告書に基づいた具体的な取組が進められていると聞いております。我が党の先輩議員が再三にわたり指摘してきたことが,ようやく実を結ぶことになったと思っております。遅きに失した感は否めませんが,長年の特異な経過があるこうした課題のすべてについて,これまでになく大胆かつスピーディーに取り組んでおられることは,大いに評価するところであります。しかしながら,コミュニティセンターがいきいき市民活動センターに生まれ変わったとしても,本当に市民に開かれた施設になるのか,指定管理者による運営が透明かつオープンな形で行われていくのかが問われています。施設の名称が変わっただけでは意味がないのです。また年間5億円投入している市立浴場の経営改善という課題も残されています。入浴料金も平成21年5月に大人330円に改正されましたが,一般公衆浴場の410円とは80円の差があります。人件費の抑制も大きな課題です。広く市民に愛される公衆浴場に生まれ変わるための改革を進めていかなければなりません。こうした残された課題の解決があって,初めて市民の同和行政に対する不信が解消されるのではないでしょうか。改革には痛みが伴います。今後も考えを異にする人たちから様々な厳しい意見が寄せられることも予想されると思いますが,断固たる決意の下で,何としてもやり遂げてもらわなければなりません。我々としましても,この度の改革は引き続き注視していきますが,とりわけコミュニティセンターの真に市民に開かれた施設への転用及び市立浴場の経営改革についての今後の見通し,さらには市長の決意をお伺い致します。 次に,家庭で子供を保育する家庭的な保育制度であります昼間里親制度についてお伺い致します。京都市の昼間里親制度が,今年度には制度発足から60周年を迎えました。昼間里親制度は戦後の混乱が続く昭和25年,働く女性の増加やベビーブームで保育園が不足する状況の中,有志ある市民が自宅を開放し,10人前後の子供たちの保育を行う京都市独自の制度として始まったものだと伺っております。その後,社会経済が目まぐるしい変化を続ける中,共働き世帯の増加により,産休,育休明けや年度途中における緊急的な需要など,多様化する保育ニーズにもきめ細かくこたえながら発展を続け,60年間の間に延べ1万5,000人もの子供たちが昼間里親の家庭的な保育によりはぐくまれ,現在も33名の昼間里親の皆さんの下,約350名の子供たちが健やかに毎日を過ごしています。このように,昼間里親制度は保育所の待機児童の解消の一翼を担っていますが,国においても京都市の昼間里親制度を参考に,平成12年度に家庭的保育事業,いわゆる保育ママ制度が創設され,今年度からは児童福祉法に位置付けられたところであります。昼間里親の皆さんは保育者として,また子育て中の保護者の支援者として,保育に粉骨砕身されていますし,近年は保護者の多様なニーズや地域のニーズにきめ細かく応じた保育を実践されています。しかしながら,小規模な故に経営には相当苦労されているとも聞いております。私は京都市の貴重な財産であります昼間里親制度の良さを十分生かせるよう,一層の支援を行っていくべきだと思いますが,今後の在り方についてどのように考えておられるのか,お尋ね致します。 次に,教育についてお尋ね致します。昨年の政権交代以後,民主党政権の下で,我が国の形を壊す,伝統文化を否定するような外国人地方参政権の導入や夫婦別姓制度の導入が検討されています。また戦後65年たった現在でも,自虐史観に満ちた歴史教科書が使用されています。平成18年,教育基本法が改正され,第1条に掲げられた教育の目的を実現するため,第2条として新たに教育の目標が規定されました。その第5項において,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが規定されました。また前文においても,伝統を継承し,新しい文化の創造を目指す教育を推進するとされています。また教育基本法の改正を受け,平成19年に学校教育法も改正されました。学校教育法では第21条に義務教育の目標を掲げ,その第3項において我が国の郷土と現状と歴史について,正しい理解に導き,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに,進んで外国の文化の理解を通じて他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うと示されました。これらの目標を踏まえ,平成20年に学習指導要領が改訂され,国語や社会において,改訂に当たっての基本方針に,伝統や文化を重視する事項が掲げられており,新しい学習指導要領は,小学校では平成23年度から,中学校では平成24年度から完全実施されると伺っております。そのような中で,本市におかれましては,国を代表する文化財を多数保有する本市ならではの取組として,学校教育活動において,伝統工芸や伝統文化に携わる地域の方々を講師として招き,地域に伝わる伝統的な行事等を体験的に学習する京の雅探検隊や京都の伝統工芸に携わる職人が小中学校を訪れ,授業の一環として制作体験教室等を行う京の匠ふれあい事業等,京都の伝統文化のすばらしさを感得し,地域の伝統文化に対する理解と関心をより一層深める事業を多数展開されてきました。今後,日本人の心のふるさと京都が,日本の中心として長い歴史の中で培ってきた伝統や文化を尊重し,日本人としての価値観に立脚した道徳観を養う道徳教育を充実し,日本人であることに誇りを持ち,国際社会で活躍できる人材を育成していくために,どのような新たな取組を展開していかれるのか,教育長の御所見をお伺いします。 最後に,地元西京区に関することについて2点お伺い致します。西京区は昭和51年10月に右京区から独立し,34周年を迎えることになります。社会的には,少子長寿化社会が進むと言われる中で,西京区については常に京都市全体でも最も若い行政区であり続けてきました。しかし,先日の敬老の日の発表では,京都市で今年100歳を迎えられる方が318人おられ,100歳以上の方々になると882人。西京区でも100歳になられる方が30人もおられ,いつまでも若い行政区と言っているわけにはいかない状況となっております。とりわけ,西京区誕生とともにまち開きが行われました洛西ニュータウンについては,西京区の中でも少子長寿化と人口の減少が顕著になってきております。洛西ニュータウンでは,この少子長寿化や人口減少がコミュニティの希薄化や地域の様々な衰退に結び付くとの認識に立ち,平成18年11月に洛西ニュータウンまちづくりビジョンを策定され,平成19年6月には洛西ニュータウン創生推進委員会を立ち上げて,様々な活動を展開してこられています。環境部会,安心安全・子ども部会,コミュニティ部会,生活機能向上部会に分けて検討されており,高齢化が急速に進む中で,地域の皆さん方は公共交通の利便性向上について高い関心がありますが,生活機能向上部会においてはバス路線の在り方について検討する状況で止まっております。一方で,門川市長が本年1月20日に策定された歩くまち・京都総合交通戦略の中で,公共交通の各事業者がネットワークを構築し,利用者の目線に立った利便性の向上を推進するモデルケースである先行プロジェクトとして洛西地域の取組を推進していただき,京都市交通局をはじめ,京阪京都交通バス,阪急バス,ヤサカバスの四つの社局が連携を図られ,JR西日本と阪急電鉄との接続も視野に入れて取り組まれた先行プロジェクトは洛西ニュータウンや桂坂の地域住民の皆様方にも喜ばれておられます。私は,こうした公共交通利便性向上策が洛西ニュータウンのみならず,洛西地域や西京区全体が活性化する施策と考えております。しかしながら,洛西地域の公共交通利便性向上策はまだまだ課題がたくさんあります。洛西地域には先に申しましたように,地域住民と洛西支所を中心とした区行政が一体となって組織化された洛西ニュータウン創生推進委員会があります。こうした組織との確かな連携を図り,多くの意見を取り入れることにより,京都市全体の交通政策の先行プロジェクトとしての役割を果たされることが,地域密着型の歩くまち・京都の推進に結び付くものと考えております。そこでお尋ね致します。大枝,大原野,桂坂,洛西ニュータウンの洛西地域全体で歩くまち・京都をさらに推進させ,地域の活性化を図るためにも,民間バスの敬老乗車証使用の検討,また,BRT,バスによる新都市輸送システムの導入等思い切った施策を進めることが,洛西地域の公共交通利便性につながり,歩くまち・京都の先行プロジェクトとして洛西地域の皆様にとって誇りと実感していただけるような取組となると考えますが,市長の御所見をお伺い致します。 最後に,桂川右岸の西京区嵐山,左岸の右京区嵯峨地域は,国内外から数多くの観光客が訪れる市内第2の観光地であります。桜や紅葉の名所であり,平安時代に貴族の別荘地になって以来,京都を代表する名所となっています。また平成16年には,温泉が掘削され,平成17年からは12月に花灯路も開催されるようになり,1年中通して大変にぎわっております。その中で,本市におかれましては,都市景観の向上や安全で快適な歩行空間の確保のため,平成10年に愛宕街道の一の鳥居から化野念仏寺までの0.6キロメートルを,また平成14年に長辻通の渡月橋からJR山陰線までの0.6キロメートルの電線の無電柱化事業を完了されています。また丸太町通から嵯峨釈迦堂前までの0.51キロメートルの区間もほぼ完成に近づいております。桂川の左岸,右京区側の整備は進んでおりますが,右岸,西京区側の整備はいまだ手付かずの状態です。路線バスや観光バス,保津川下りの船を運搬する車等,大型車の交通量も多い地域ですし,観光シーズンの車の量も半端なものではありません。また本年6月より,阪急嵐山駅前に新しいホテルの建設も始まり,宿泊客を受け入れる態勢も整って参ります。その中で,特に渡月橋南岸から法輪寺,阪急嵐山駅までの通路は狭あいで,車の離合もままならないときがあります。観光客5,000万人を達成し,今後新たな観光戦略を掲げていく中で,京都第二の観光地,嵐山の景観の向上と歩行空間の確保,レンタサイクルの利用促進等に向けて,渡月橋南岸から阪急嵐山駅までの嵯峨街道の電線類の地中化等を進めていくべきと考えます。当地区における整備の方針についてお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 田中明秀議員の御質問にお答え致します。 まず温室効果ガス削減に向けた取組についてでございます。この度,市内の温室効果ガス排出量に関する高い削減目標を掲げた地球温暖化対策条例の全部改正につきまして,すべての会派の皆様から御賛同賜り,厚く御礼申し上げます。この条例に基づき,今年度中に策定する新たな地球温暖化対策計画におきましては,直面する目標である2020年度までに温室効果ガスを1990年度比で25パーセント削減するための道筋をしっかりとお示しして参ります。また現在策定中の次期京都市基本計画におきましては,10年後に目指すべき京都の姿の一つとして地球環境に暮らしが豊かに調和する環境共生と低炭素のまち・京都を掲げ,本市の新たな都市経営の指針としております。こういった中,来年度の予算編成に当たりましては,新たな地球温暖化対策に賭ける本市の意気込み,言わば覚悟を示す機会と捕らえ,実効性ある新たな仕組みを構築して参ります。具体的には施策の査定に際して重要な尺度として,地球温暖化対策条例に定められた内容に沿っているか,温室効果ガス削減効果の数値化による見える化が図られているかなどの視点に加えまして,削減効果が最も高いものを優先して取り組むことと致しております。私は,将来世代に青く美しい地球を引き継ぐため,改正条例並びに新たな計画に基づき,京都市会の皆様はもとより市民,事業者,環境保全団体の皆様と共に京都市の総力を挙げて持続的な発展が可能となる低炭素社会の実現を目指して参ります。 次に,森林保全対策についてであります。京都市域の4分の3を占める森林は木材資源等の供給や水源のかん養はもとより景観の創出,さらに温室効果ガス削減など多様な機能を発揮しており,市民ぐるみで大切に守り,育てていく必要がございます。そこで京都市が今日まで間伐をはじめとした森林の整備や松枯れ,ナラ枯れ防除等の保全対策を行い,また京都伝統文化の森推進協議会など幅広い森作りを進める市民活動とも連携して,様々な取組を進めて参りました。また作業路の整備と機械化を組み合わせた効率的な木材の生産体制の構築に取り組むとともに,木の大切さを提案する杣人工房による地域産木材の普及,公共建築物への積極的な活用を進めてきたところであります。私は,こうした人の生活と結びついた木材や炭,木質ペレットなどの再生可能な森林資源を大いに活用することによって森林が活力を取り戻し,美しい景観も維持され,また温室効果ガス削減にも貢献できると考えております。とりわけ三山においては地形や地質などの自然的な特性に加え,歴史的な背景を踏まえたあるべき森林像の提示など,適切な手入れを行っていくためのガイドラインを今年度中に策定し,市民や事業者の皆様方と行政が一丸となって新緑の息吹,錦秋の山並みなど,四季が存分に感じられる森林景観の形成を進めて参ります。また担い手の確保につきましては,花背森林文化財団等による技能者育成のみならず,地産地消による木材需要を生み出し,森林整備活動を活発にすることこそが何よりも肝要であると認識しており,今後とも地域林業の活性化に向けて全力で関係者と共に取り組んで参ります。 次に,旧同和地区におけるコミュニティセンターの転用及び市立浴場の経営改革についてでございます。私は大きな成果と共に負の側面を生み出してきた同和行政について,市民の信頼を回復するためには大胆かつスピーディーに改革した姿をお示しする必要があると考え,市民参加による総点検委員会の報告を踏まえ,議会の御理解を得て自立促進援助金制度の廃止など,抜本的な改革を全力で取り組んで参りました。とりわけ歴史的な役割を終えたコミュニティセンターにつきましては,今議会で御議決をいただき,来年4月から京都市民のための施設としていきいき市民活動センター等に転用することと致しました。今後このセンターは幅広く指定管理者を公募したうえで,透明性を持った運営を図るとともに,市民活動の活性化に向けた事業を展開するなど,名実ともに市民に開かれた施設へと刷新して参ります。また市立浴場につきましては,次期指定管理者の公募に当たり施設を四つのグループに分割して募集し,競争性を高めました。併せて現行の委託料から大幅に削減した予定価格を提示し,さらに民間浴場との料金格差の解消に向けた入浴料金改定や,地域福祉の向上のためのサービスの提案も求めました。現在有識者による選定委員会で審査を進めており,10月中には指定管理者の候補者を選定,公表し,11月市会にお諮り致します。今後ともすべての人の人権が尊重される社会の構築に向け,断固たる決意で改革を推進して参ります。 次に,洛西地域における公共交通の利便性向上の取組についてでございます。本市では,本年1月に策定致しました歩くまち・京都総合交通戦略の柱の一つとしてバス,鉄道利用者の連携によるネットワークの構築を図るため,先行実施プロジェクトであります洛西地域における公共交通の利便性向上策を多くの交通事業者と共に推進しているところであります。これまで鉄道と乗継ぎを重視したバスダイヤの改正,事業者連携による路線図,時刻表の統一表示,洛西地域内で最も乗降客が多くすべての事業者のバスが停車する境谷大橋バス停留所の上屋の改修,阪急桂駅西口バスロータリーでのバス案内所表示板の新設等に積極的に取り組んで参りましたが,今後更に鉄道駅から洛西方面への分かりやすいバス乗換案内の表示など,一層の利便性向上を実現して参ります。またBRTなどの将来の本市の都市構造を見据えた新しい公共交通の導入につきましては,学識経験者等で構成する未来の公共交通推進会議において検討を進めているところでございます。今後とも地域の皆様と共に行政,交通事業者が一体となった公共交通利便性の向上により,洛西地域の活性化が図れる,さらに本市の公共交通ネットワーク構築のモデルとなるよう,引き続き積極的に取組を進めて参ります。なお敬老乗車証制度につきましては,制度創設以来御好評をいただいておりますが,本市の厳しい財政状況の下,またますます進展する高齢化社会においても持続可能な制度となるよう,総合的な見直しを検討して参ります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 私から2点についてお答え申し上げます。 京町家の保全対策についてでございます。平成19年度から実施しております京町家向けの耐震改修助成制度につきましては,これまでも市民向けの耐震セミナー等を多数実施し,周知に努めてきたところであります。引き続き京都市景観・まちづくりセンターをはじめとする各種団体との連携を深め,市民の皆様や設計,施工に携わる専門家に対する更なる周知を図るとともに,制度そのものにつきましても,より使いやすいものとなるよう改善を進め,京町家の耐震改修の促進を図って参ります。また,これまでから歴史的な町並みや景観上重要な京町家の外観の修理や修景に対する財政支援を行っているところであり,今後も景観重要建造物等の指定や歴史まちづくり法に基づく重点地区の拡大などに取り組み,京町家の修理等に対する国の支援制度を積極的に活用致しますとともに,国に対して更なる制度の拡充に向けた財政支援の充実を求めて参ります。職人の技術や技能の継承につきましては,これまでから京都市景観・まちづくりセンターと設計や施工に携わる団体がネットワークを形成し,研修会の実施やマニュアルの作成などに取り組んでおり,引き続きこれらの取組を充実させて参ります。また何よりも実際に具体の工事を通じて,職人の技術や技能の継承を図っていくことが重要であることから,京町家の保全,再生をより促進するとともに,京町家の知恵と最新技術を融合した伝統構法による平成の京町家の普及にも取り組んで参ります。 次に,嵐山地区における無電柱化の取組についてでございます。本市では平成18年11月に歴史都市京都再生策Ⅱを策定し,従来の幹線道路に加えて,世界文化遺産周辺や伝統的建造物群保存地区等の重点整備対象地域において,約150キロメートルの無電柱化を集中的に実施することと致しました。議員御指摘の嵯峨街道の無電柱化につきましては,渡月橋南詰の一部区間が重点整備対象地域となっており,また本年9月22日に開催されました国,府県,政令市及び電線管理者からなる近畿地区無電柱化協議会において,平成25年度までに着手予定の無電柱化候補路線として位置付けられたところであります。無電柱化事業の実施に当たりましては,多額の費用を要することや地上機器の設置場所の確保といった解決すべき課題はありますが,本市と致しましては地元住民の皆様の御協力や御理解を得て,当該区間の事業化に向けて積極的に取り組んで参りたいと考えております。なお,残る阪急嵐山駅までの区間につきましては,狭あいな生活道路であり,厳しい財政状況の中で他に整備を優先すべき無電柱化候補路線もあることから,その整備は長期の検討課題であると考えております。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 谷口子育て支援政策監。 〔谷口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(谷口義隆) 昼間里親制度についてでございます。本制度は,戦後の混乱の時期,保育を受けられない子供たちを救いたいという熱い思いにより,市民が自宅を開放し,家庭的な雰囲気の中で行う少人数保育の制度として発足して以来,時々のニーズにこたえて参りました。今日では兄弟姉妹の少ない子供たちの社会性をはぐくむ場であるとともに,子育てに不安や悩みを持つ若い保護者の相談先となるなど,地域の身近な子育て支援の拠点としての役割を担っていただいております。また待機児童の解消に向けては,本年3月に策定致しました京都市未来こどもプランにおきましても,認可保育所と共に重要な施策として位置付けをしております。しかしながら,年間約3億7,000万円もの運営費の約9割を本市独自に負担していることから,財源の確保は大きな課題であり,国に対して補助制度の創設をこれまで要望して参りました。今般,国の家庭的保育事業に係る補助制度の運用が見直されたことを踏まえ,昼間里親を対象に必要な研修を実施することなどにより,これまで築き上げてきた昼間里親制度の良さを守りつつ国の補助を得て参りますとともに,受入児童数の拡大や昼間里親の皆様に対する支援内容の充実についても積極的に検討して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 伝統文化体験活動や道徳教育の充実についてでありますが,本市ではこれまでからすべての小中学校において地域の協力の下,各校の特色を生かした伝統文化体験活動や地域の神社仏閣,史跡の調べ学習等を進め,伝統文化が暮らしに息づく我がまち京都に誇りを持ち,大切にする子供たちの育成に努めて参りました。また,市民ぐるみで作成されましたテキストを学校,家庭で学ぶとともに体験を重視するジュニア京都検討を実施し,小学校5,6年生のほぼ全員が受検するなど,京都の文化を守り,次代へ継承していく取組を進めております。 議員御指摘の伝統や文化を尊重し,日本人としての価値観に立脚した道徳教育につきましては,新学習指導要領の道徳の内容で伝統と文化を大切にする心,郷土や国を愛する心を持つことが重視されており,本市でのこれまでの伝統文化体験活動の取組の成果をこれからの道徳教育につなげることを視野に入れ,現在義務教育9年間を見通した本市独自の新たな道徳指導計画の策定を進めております。また同時に,ますます進展する国際社会におきまして,外国の人々や文化を大切にする心を持ち,世界の人々と親善に努めることが極めて大切であり,こうした視点も踏まえ,今後とも伝統と文化への理解を深め,尊重する取組を通じて道徳性を涵養し,国際社会で活躍できる子供たちの育成に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党を代表して質問を致します。 まず最初に,市政運営について伺います。市長,あなたは2年半前の市長選挙で当選されましたが,自民党,民主・都みらい,公明党の支援を受けながらも951票の僅差でした。それは高すぎる国民健康保険料,同和特別扱いを温床とした京都市職員の不祥事続発などに対する市民の大きな怒りがあったからです。ところが市長は当選直後の本会議で,安心して暮らせるまちづくりのためとして行政改革を更に加速させる,地域主権時代の新しい自治のモデルのために市民の負担は避けて通れないと答弁されました。その下で昨年1月,京都未来まちづくりプラン,いわゆる行政改革プランで,このままでは夕張のようになると市民に危機感をあおり,市民負担増,サービスの切り捨て,公的責任の放棄に大きく踏み出しました。国民健康保険料は2年連続値上げで,合計15億円もの負担増です。さらに保育料や斎場使用料の値上げなど,すべて合わせると30項目で19億5,000万円もの負担増です。事実上の保険証の取り上げである資格証明書の発行数は今年3月で4,414件,差押え件数も昨年度1,592件と,いずれも京都府内の他の自治体の中でずば抜けています。雇用不安,経済危機の進行の下での負担増は市民生活をますます危機に追いやっています。 ほかにも公的責任の役割放棄のやり方はひどいものがあります。市長就任3年目というわずかの間に,民間保育所の補助金を5億円も削減するとともに,さらに補助金を削るために優れた保育を維持してきたプール制を変質させました。市立看護短期大学の廃止に至っては,4年制化や他の公立大学への学部編入などの例はあっても,公立看護短大を廃止しただけという例は全国どこにもありません。反対意見があっても決断すると,学生や大学関係者の意見さえまともに聴かず,いったん否決された議案を修正なしで再提出するという異常さです。市民生活の深刻な事態をどう認識されていますか。市長のやり方は,市民生活に追い打ちを掛けるやり方でしかありません。市民生活を応援することこそ求められていると考えますが,いかがですか。 かつてない規模とスピードで公的責任を次々と投げ捨てた結果,財政改善の見通しはついたのでしょうか。改善するどころか,2009年度末の市債残高見込みは一般会計で1兆1,444億円にもなり,あなたが市長に就任する直前の07年度と比べても,交付税の先取りである臨時財政対策債を含めて345億円も借金を拡大させ,好転の見通しが見えるどころか,借金が更に膨らむことになっているではありませんか。例えば京都高速道路計画です。新十条通,油小路線や工事中の斜久世橋工区で3,000億円近くの費用をつぎ込んでいます。京都市の持ち出しは関連事業を含め700億円を超えています。新十条通を実際に走った市民からは,がらがらで貸し切り状態だったの声が寄せられています。巨額の費用を掛けて造った結果がこれでは,市民が無駄遣いだ,この思いをされるのは当然です。 党議員団は,以前に京都市の道路特定財源のほとんどがこれまでの道路整備の借金返済に充てられていたこと,例えば2008年度では,道路財源の7倍を超える借金をして新たな道路事業が計画されるなど,京都高速道路計画の借金増大構造を指摘しました。残る3路線を続けるなら,ますます借金は膨れ上がるだけです。市長は凍結していると答弁されていますが,それならなぜ西大路線,堀川線,久世橋線についてはきっぱりとやめると言えないのでしょうか。その理由をお聞かせください。 国と地方の政治が構造改革路線を進む中で,市民からは様々な形での悲鳴が上がっています。その中でも市民の命にかかわる問題でお聞きします。最初は国民健康保険の問題です。2008年に行われた市長選挙で高すぎる国保料が大きな争点の一つになりました。その当時は滞納者が国保世帯の約20パーセントにも上り,引下げを求める署名は18万筆を超えました。市民の声に押されて,一度は引き下げられた国保料を市長は2年連続で値上げしました。その結果,所得300万円の2人世帯で年間47万6,210円の保険料になりました。すべての所得階層で値上げされて,値上げ総額が昨年は9億8,000万円,今年は5億3,200万円ですから悲鳴が上がるのも当たり前です。ところが累積赤字があるとしても,この2年間で見ると,24億7,500万円の黒字です。結局値上げをしなくとも黒字が確保できているではありませんか。高すぎる国保料について被保険者の負担は限界に達しつつあるとの認識が示されましたが,必要のなかった国保料の値上げを市民に押し付けた責任は重大です。黒字分は値下げに回し,直ちに高すぎる保険料を引き下げるべきです。いかがですか。さらに払える保険料にするためには,1984年に50パーセントあった国の負担が31パーセントにまで減っていますから,この国の負担を元に戻すことが必要です。いかがですか。 日本共産党市会議員団は,国民健康保険に関する市民アンケートを実施しました。約900通の回答が寄せられ,国保料や医療費への関心の高さと切実な実態が明らかになり,この周りには,もっと大きな声なき声があることを実感しました。無保険者や資格証明書を発行された方,差押えされた経験など,深刻さは想像を超えるものも多くありました。食費を削って国保料を払っている,子供がいるので2箇月ごとに借金をして払っている短期証です。国保料を払えば年金保険料が払えないなど,深刻です。実際に差押えを受けた世帯は3.1パーセント,差押えの通告を受けた世帯が13.9パーセントに上っているということも重大です。差押えを受け,生活費がなくなったという訴えもありました。実際に生命保険や年金,給与まで差押えが進み,昨年度の全市での差押え件数が1,592件に上っています。ある青年は,少しでも収入を増やそうとコンビニのアルバイトの深夜勤務を増やし,最終電車で帰り,次の日は始発で出勤というくたくたの毎日です。ところが収入が少し増えたために保険料が7割減免だった昨年の8倍になり,払えないと悲鳴を上げておられます。8月になって納付相談に行くと,来年の5月までに全額払わないと差押えすると言われ,相談には乗ってもらえなかったそうです。家賃と奨学金の返済をすれば食べるのがやっと。国保料を払えば奨学金は返済できないと肩を落としておられました。こうした市民の実態について市長は御存じですか。市民生活の実態について,市民の命と健康が脅かされているという認識はお有りですか。いかがですか。 また国保の窓口を担当している職員の苦悩も知るべきです。国保料が高すぎると思いつつも,徴収率向上が課せられて,滞納分を払うようにと言わざるを得ず悩んでいます。実際に資産調査を行っても差押えられる資産がない,そもそも生活保護基準以下の収入しかない世帯を前に,資格証明書を発行すれば,命を危機にさらしているのではないかとの市職員の苦悩は深刻です。本来市民の暮らしの向上や命を守るために頑張る職員が,市民生活の現実に直面して,苦しんでいる姿が市長には見えないのでしょうか。今こそ高すぎる国保料を引き下げるべきです。そして値上げによる滞納者の拡大で資格証明書を発行し,市民を追い込む悪循環を断ち切るべきです。資格証明書の発行が保険料徴収率向上に上がらないことから,さいたま市や広島市では資格証明書の発行をやめています。すべての加入世帯に正規の保険証を発行すべきです。いかがですか。9月13日,病院での窓口負担の軽減に向けて厚労省が通知を出しました。収入が生活保護基準以下に急減し,預貯金が生活保護基準の3箇月分以下である世帯を減免の対象とするという新たな基準を示しました。窓口での負担が心配で病院に行けないという市民の不安にこたえるものであり,財源も半分は交付金で措置するというものです。京都市は一部負担金減免制度を持ちながら,利用者は年々減少するばかりです。国の措置を直ちに活用し,一部負担金減免制度を拡充するように求めます。いかがですか。 次に焼却灰溶融炉についてです。本来なら6月から本格稼働の予定だった焼却灰溶融施設は,今停止しています。その原因は,試運転中に耐火れんがの損傷や廃水処理設備に不具合が生じたこと。何よりも排水から基準の42倍という考えられない高濃度のダイオキシン類が検出されたことにあります。ダイオキシンについては,有識者2名を含む対策チームが立ち上げられ,原因究明に取り組まなければならなかったのです。調査の結果は何と,廃水処理施設だけでも設計ミスが2箇所も発見されたということでした。私たち日本共産党市会議員団は,高濃度のダイオキシンが検出されてすぐに現場調査に入りました。そこでは,宇宙服のような防護服を着てボンベを担いでの調査になりました。本来だったら焼却灰を高温で溶かして容積を減らし,重金属やダイオキシンを無害化する施設のはずです。ところが,基準以下のダイオキシンになっている焼却灰に時間とお金を掛けてダイオキシンを作り出していたのです。そして,当初安全だとされていた施設を更に2箇所の設計変更と新たな薬剤処理を追加する結果になっています。また職員の操作ミスで設計ミスが発見されるなど,全くお粗末な事態です。そのまま本格稼働をしていれば,ダイオキシンが垂れ流しになっていた可能性がありますから,こんな危険なことはありません。だからこそ9月7日のくらし環境委員会にプラントの施工を請け負った住友重機械工業の責任者が参考人招致されたのです。基準の42倍ものダイオキシンを出したことについて,不十分ではあっても住友重機械工業は謝罪をしました。市長は京都市の施設でこんな事故が起こったことについて市民に謝罪すべきではありませんか。いかがですか。 また京都市には,2008年9月に稼働停止した東北部クリーンセンターのばいじん溶融施設がありました。この施設も2002年に溶融炉のれんがが破損し,高温で溶けた溶融物が流れ出すという大事故が起こりました。この施設は,稼働していた7年半の間にメンテナンスだけで5億1,830万円も支出しました。施設閉鎖時には初年度の10倍もの維持管理費に膨れ上がり,今年3月の予算議会で,理事者は焼却灰溶融施設についても維持管理費の高騰の可能性を否定できませんでした。京都府内でも,宇治市など3市3町のごみ処理を行っている城南衛生管理組合が,今月,灰溶融施設の停止を明らかにしました。温室効果ガスの大量排出問題や年間約2億円の高額の維持管理費が問題となり,10月に環境省へ廃止申請を提出するとのことです。スラグの活用も進まなかったようです。日本共産党が指摘してきたとおりの事態が現実に起こっているではありませんか。これまで溶融炉の建設を進めてきた国でも,溶融炉に掛かる高額の経費が地方自治体の財政を圧迫している実態から,今年の3月に焼却施設に附帯されている灰溶融固化設備の財産処分についての通知が出されました。これまでは溶融施設を造らなければ補助金を出さないと建設を誘導してきた国が,埋立地が15年以上使えることや溶融炉廃止で温室効果ガスが削減できることなどがあれば,廃止しても補助金の返還は求めないと,これまでの方針を見直す姿勢に変わってきています。決算議会,予算議会でも,京都市の灰溶融施設に掛かる経費が増大する懸念が明らかになっています。ごみ半減計画が進めば,東部山間埋立地はあと50年使用が可能です。2万7,000トンもの大量のCO2を出し,地球温暖化防止にも逆行する施設です。宇治市を含む城南衛生管理組合も中止を決断されたことを,市長はどう受け止められますか。まだ年間16億円も掛けて本格稼働をするつもりですか。到底認められません。本格稼働中止の決断をすべきです。お答えください。 ごみ問題に関して,最後にごみ袋有料化財源についてお聞きします。ごみ袋の手数料収入から袋の製造経費などを差し引いた後の京都市に入ってくる収入,有料化財源は毎年9億円を超えています。今年度予算でも18億7,420万円の売り上げのうち,約半分の9億710万円が袋製造などの経費で,残りの9億6,710万円が京都市の収入です。環境ファンドに積み立てたり,様々な事業に活用される事になっていて,平成の京町屋普及促進事業など,ごみの減量とはかかわりのないような事業にも活用されています。ごみ袋の価格に対する市民アンケートでも,ごみの減量は必要であるが負担を感じると,負担感が大きいの合計が47パーセントになっています。市民の努力でごみは減っているのですから,その努力に報いることが必要です。市長,ごみ半減計画の達成には市民の努力が欠かせません。努力をすれば価格が安くなるということで,市民にお返しすることが必要ではありませんか。有料指定袋の価格の引き下げを求めます。いかがですか。 次に,京都市立芸術大学について質問します。京都市は市立芸大を公立大学法人化し,今までの市直営から第三者機関である法人の運営に変えようとしています。この6月には,整備・改革基本計画が出され,平成24年4月に法人を設立することが明記されました。しかし,この法人化問題については大学内外から様々な疑問が出されています。6月29日に行われた,130年の歴史ある京都市立芸術大学の公立大学法人化方針に異議あり,民主的な議論の保障を,アピール賛同を広げる市民の会主催のシンポジウムには,大学の教員やOBなど約60名が参加し,法人化問題について活発に意見が交わされました。法人化問題に詳しい京都府立大学の教授は,府立大学が法人化される際にかかわった経験も踏まえながら,法人化の背景は,国から地方へ,官から民へという構造改革路線であり,目的は行政のスリム化にあると端的に指摘し,教育研究費の削減や外部資金獲得のための教員の多忙化,教員の削減,非公務員化による身分の低下などが懸念されると発言されました。また市立芸大名誉教授の方は,大学内での議論を積み重ねて,平成18年に現段階では法人化を積極的に進めることは妥当でないと結論付けているにもかかわらず,法人化ありきで事を進めている市の姿勢を厳しく批判され,老朽化対策も耐震対策も全く取られていないと発言されていました。法人化を進めるために必要な学内合意や施設整備の前提さえも整っていないとの指摘が相次いで出されていました。整備・改革基本計画でも,経費削減ありきではなくとありますが,国立大学や他の大学の例を見れば,その不安はたやすく払拭できるものでありません。また法人の外部資金の獲得が進むに従って,市の運営交付金が減らされるというのでは何の意味もありません。将来にわたって市立芸大の必要な運営費は市が責任を持って負担し,教育条件の低下を招くことはないと断言できますか。また,老朽化対策については,早急に手立てを打つべきですが,いかがですか。市長の明確な答弁を求めます。 シンポジウムには,この4月に法人化された金沢美術工芸大学の教員の方も参加されていました。その方は,法人化は教育のリストラであるとしたうえで,小さいところではスケールメリットはないなど経費の節減にはならず,かえってお金が掛かることになるとその矛盾を指摘し,当局は法人化の理由を様々上げるが,法人化しないとできないことは一つもないと断言されていました。現に,沖縄県立芸術大学は施設整備を優先するとして法人化を先送りしています。法人化ありきで意見の一致を見ないまま,教員もワーキングに組み込んで既成事実を積み上げるというやり方は認められません。まず法人化方針はいったん白紙に戻し,更に議論を積み重ねるべきです。いかがですか,御答弁ください。 次に子供の問題でお聞きします。まず子供の医療費についてです。今京都府内では,各自治体は財政難で大変ではあっても,子供の医療費の助成を京都府の制度に上乗せをして拡大しています。今年の9月には4市1町が拡充し,多くの自治体で小学校を卒業するまで,通院も1医療機関で1箇月200円を払えば医療機関に掛かれるようになりました。府の制度に上乗せのない自治体は京都市だけになってしまいました。京都市で小学校入学前までの拡充をすると約7億円,小学校卒業までに拡充すると22億円あれば実施は可能です。京都府が実施に踏み出せば半分の11億円で可能です。市長には京都府内で最も遅れた唯一つの自治体が京都市だという自覚はお有りでしょうか。京都府は100万円の予算を計上して拡充に向けた検討を始めているとのことですが,実施に向けた府市協調の議論を進めるべきです。一日も早く実施に踏み切る市長の決意を求めます。お答えください。 次にワクチンの問題です。乳幼児に細菌性髄膜炎を起こす恐ろしい細菌である肺炎球菌とヒブから子供達を守る施策についてお聞きします。2008年には世界の133箇国で定期接種化され,乳幼児の命を救っていますが,日本ではようやく任意接種が認められたところです。ちなみに保育園に入園前の子供さんの肺炎球菌を持っている割合は50パーセント未満ですが,入園後1,2箇月で100パーセントになっていたという報告があります。このようにごくありふれた細菌ですが,それだけにだれでもが重篤な感染症になる可能性があります。ただ,肺炎球菌やヒブによる髄膜炎の予防にはワクチン接種が効果的だとされています。ゼロ歳児で4回接種,約7万円が必要で,子育て世代には大きな負担ですし,まだまだワクチンを知らない親御さんも多くおられるのではないでしょうか。今年の春,ワクチン問題のシンポジウムに参加しました。そこで,細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会の田中美紀さんの言葉が頭から消えません。田中さんのお子さんは2004年に生後5箇月で細菌性髄膜炎にり患されたそうです。お子さんが2歳の時に,新聞でワクチンで防げることや,先進国では日本だけが当時は未承認だということを知り,日本での子育てを恨んだ。自己負担の重さがあり,ワクチンで守れないなら子育てをやめるのか,選択を迫られているように思った。情報やお金のあるなしでの命の格差をなくしてほしいと訴えられました。この言葉を聞いて,市長はどう感じられますか。乳幼児に重い髄膜炎を起こすインフルエンザ菌b型ヒブのワクチンは,2008年12月に国内で初めて発売されました。この髄膜炎は発症から重篤な状態までの進行が非常に早く,突然高熱が出て,風邪かなと思っている間に,わずか1日で脳死状態に陥った子供さんもおられます。発症者のほとんどが5歳以下で,毎年1,000人以上の細菌性髄膜炎患者のうち6割強がヒブだとされています。うち5パーセントは命を落とし,20パーセントはてんかんや難聴,発達障害などの重い後遺症が残ります。WHO世界保健機構は10年以上前の1998年には,既にすべての国に対して,乳幼児へのヒブワクチン接種を勧告しています。今年4月の参院厚生労働委員会で,定期接種に踏み切った欧米での髄膜炎の発生状況について,健康局長は,米国で導入された87年の発生率は5歳未満人口10万人当たり41人,95年には何と1.6人まで減少したと答弁し,定期接種化の必要性について厚生労働政務官は同感だと認めています。これまで何度も各会派の議員からも定期接種を求める議論がされていますし,京都市議会では,昨年11月議会で,子どもたちの生命を守るためヒブワクチン及び肺炎球菌ワクチンの定期接種化を求める意見書が採択されています。日本での子育てを恨むのではなく,京都市で子育てして良かったと言えるように,国に定期接種化を強く求めることはもちろん,京都市としてヒブワクチン,肺炎球菌ワクチンの助成制度を一日も早く創設すべきです。いかがですか。 また子宮頸がんは20歳代の女性では発症率が一番高く,予防ワクチンの接種が効果的と言われています。しかし3回の接種が必要で,その費用は4万円から6万円の費用が必要ですから,日本産婦人科学会や日本小児科学会からも公費でのワクチン接種が求められています。全国では今年6月現在,126の市町村で助成制度があります。10月からは名古屋市でも全額助成が始まるなど,予防ワクチンの助成制度を創設する自治体が増えていますし,京都府は,9月議会に補正予算で予防ワクチン接種の助成を提案されています。京都市は,年度内にも制度を作りたいと答弁していますが,一刻も早い制度の創設が求められます。京都市の子宮頸がん予防ワクチンの対象者は12歳女子で5,963人です。京都市は,来年度の国への重点予算要望にもワクチン助成を入れておられることは承知しています。国でも子宮頸がん予防ワクチン助成については検討が始まりましたが,京都市としても早急に助成制度を創設し,お金がないからとあきらめることがないように自己負担のない制度にすべきです。いかがですか。 次に,伏見区大岩街道沿いにある産廃の山,通称岡田山についてお聞きします。御存じのように岡田山は1986年3月に出動人員は延べ1,168人という原因不明の大火災で201時間も燃え続け,何が埋め立てられているのか分からない山です。また崩落の危険も心配されていますが,ついに7月1日から3日に掛けて崩落が起こり,崩落と環境汚染に関する心配が現実のものとなりました。現在は山の持ち主の一人である業者が崩落を止める工事をして,とりあえずは崩落の危険は収まっています。また周辺住民の皆さんの様々な形での大きな粘り強い運動もあり,野焼きや小型焼却炉が撤去されて,今年3月にはまちづくりの方針が出されるところまで変化をしてきています。まちづくりの方針についてのパブリックコメントや地域住民への説明会が開かれましたが,そこでの住民の皆さんの心配の一つが岡田山の撤去に関することでした。山を撤去するに当たっては,膨大な量の廃棄物に汚染物質が含まれていないことの確認をし,汚染物質が含まれていた場合の散乱を防ぐことが必要です。今でも山の土が運び出されていますが,業者による自主的な検査ということで,結果の公開はされていません。京都市が責任を持って安全確認と数値の公表をすることが必要です。いかがですか。 最後に,2012年末に予定されている東部クリーンセンターの廃止に伴う問題でお聞きします。東部クリーンセンターには,余熱利用施設として温水プールや老人保養センター,図書館が併設されています。これらの施設は1982年に開設されて以来,地域住民の憩いの場として親しまれてきました。近隣に民間のスポーツ施設ができるなど,環境の変化に伴う利用者の減少はありますが,3施設の利用者を合計すると,昨年度は20万4,612人の方が利用されています。温水プールは1年で最も利用の多い7月は約7,000人の利用がありますし,リハビリのためと毎日通っている方も少なくありません。老人保養施設は100円で利用でき,利用料の安い公共施設が少ない醍醐地域では貴重な施設となっています。また,ゆず風呂やくじ引き大会,カラオケ大会など,独自の様々な取組をされておられ,300人以上の参加の日もあります。気軽に通えて健康保全や憩いの場でもあるこの施設が,クリーンセンター閉鎖に伴って廃止されるのではないかと不安が広がっています。他都市でもごみの減量に伴ってクリーンセンターが閉鎖されているところがありますが,ボイラーを設置して余熱利用センターを継続して喜ばれています。醍醐地域の貴重な公共施設は廃止することなく,引き続き市民のための施設として存続させることを求めます。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西野さち子議員の御質問にお答え致します。 まず市民生活に対する認識についてでございます。我が国は少子長寿化が進展し,人口減少社会や経済情勢の悪化による生活困窮者の増大といった新たな局面を迎え,国民が何らかの負担を感じていると言われており,私もそのように認識致しております。私は,市長就任以来,100年に一度と言われる極めて厳しい経済状況の下でありますが,市民の皆様がそうした不安を解消し,充実した生活を送っていただけるために,そうした社会を作り出していくことを目標に,今何が必要かということを常に念頭に置き,聖域なき行財政改革に努めるとともに,創意工夫を凝らした市民生活向上のための施策を力強く推進して参りました。とりわけ市民生活に直結する保健福祉行政においては,命を大切にすることに徹底的にこだわり,本年度予算においても保健福祉関係予算は前年度から13.2パーセント増,一般会計予算全体の35.3パーセントを占める2,713億円を確保し,全国トップレベルの各種の取組を力強く進めているところであります。今後ともますます増加,多様化する市民ニーズに対応していくため,市民の皆様の暮らしや思いを的確に捕らえ,必要な施策を積極的に果敢に実施して参ります。 次に,子宮頸がんワクチン接種費用の助成についてでございます。疾病予防に有効な任意の予防接種につきましては,国に対して全国一律の制度として財源措置を行うよう要望してきたところでございます。このような中,国が子宮頸がん予防ワクチン助成費用を来年度予算に向け概算要求され,また京都府においては,本年9月6日において,本年度中に子宮頸がん予防ワクチン接種助成を行う府下市町村に対して補助するための補正予算が提出されたところであります。本市と致しましても既に表明しているところではございますが,今年度内に子宮頸がん予防ワクチン助接種費用の助成が行えるよう,国や府の動向を踏まえ,対象年齢や自己負担額を含めた制度の検討など必要な準備を進めて参りたいと考えております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは2点についてお答え致します。 まず焼却灰溶融施設についてでございます。御承知のように,計画から完成までに22年の歳月と523億円の経費を投入して建設致しました。東部山間埋立処分地は,京都市にとりまして唯一の最終処分地であります。これも今後更に70年以上活用することを目指しまして,焼却灰溶融施設の整備を進めて参りました。しかしながら,本年4月,試運転中の排水から基準値を超えるダイオキシン類が検出されたため,稼働開始を大幅に延期せざるを得ない事態となり,大変申し訳なく思っておるところでございます。本市と致しましては事態の重大性にかんがみ,施工業者である住友重機械工業と共に直ちに対策チームを立ち上げ,その原因究明と対応策を検討し,そのつど議会や地元の皆様に状況を報告して参りました。現在この間の検討結果に基づきまして,抜本的な対策を講じさせているところであり,すべての機器が確実に機能を発揮し,安全性の確保をしっかりと確認したうえで稼働させて参りたいと考えております。稼働に当たりましては効率的な運転に努め,経費削減と温室効果ガスの発生抑制を図って参ります。 次に,京都市立芸術大学の法人化等についてでございます。京都市立芸術大学は,本年創立130周年を迎えた日本で最も長い歴史を持つ芸術大学であり,多くの芸術家を輩出し,京都はもとより日本の文化芸術の発展に大きく貢献して参りました。こうした伝統を引き継ぎながら,大きく変化する社会状況に対応して,市立芸大が今後も日本のみならず世界の文化芸術をリードし続けるためには,大学自らが主体となって,今まで以上に時代や社会の期待にこたえられる文化芸術都市・京都にふさわしい大学として改革を推し進めなければなりません。このため外部の学識者を含めて広く関係者の意見を聴取するため,平成20年に設置した京都市立芸大の在り方懇談会からの提言を踏まえまして,教育研究の充実や老朽化対策をはじめとする教育環境の整備,さらには,自主,自律的な大学運営や迅速な意思決定が可能となる公立大学法人制度の導入を柱とした京都市立芸術大学整備・改革基本計画を本年6月に策定致しました。この計画は,市立芸大の意思決定機関であります全学の評議会において全員一致で承認されたところであり,現在これに基づき法人の定款や中期目標等の具体化に向け,全教員参加型のワーキングを毎週開催するなど,学内においても積極的な議論が熱心に行われているところでございます。法人化以後も,京都市が設置者として必要な財源措置を行っていくことは当然のことでございます。今後とも大学と一体となって整備改革基本方針を着実に推進し,これまで以上に大学教職員,学生,さらには市民が誇りに思い,世界にも評価される芸術大学となるよう取り組んで参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 坪内環境政策局長。 〔坪内環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(坪内俊明) 私からは2点お答え致します。 まず家庭ごみの有料指定袋の価格についてでございます。有料指定袋制の実施後3年以上が経過したことから,京都市廃棄物減量等推進審議会におきまして,今後の有料化財源の活用方法の在り方について本年4月から御審議をいただくとともに,市民アンケート調査も実施をされ,8月に取りまとめが公表されます。その取りまとめでは,一定の負担感がごみ減量の動機付けとなっており,指定袋の価格を下げた場合に減量効果の減少が懸念されることや他都市と比較して整合性の取れた価格であること,また今後,更にごみ減量を図っていくことが必要であることから,袋の価格を維持すべきであるとされております。本市と致しましてはこの審議会の取りまとめを踏まえまして,家庭ごみが大幅に減少し,有料指定袋制の導入効果が着実に上がっていること,また市民アンケート調査で,負担感が大きいとの回答は6パーセントであることなどから,現行の指定袋の価格は妥当なものであると考えております。今後もごみ半減に向けまして貴重な有料化財源を活用し,ごみ減量・リサイクルの取組をより一層推進して参ります。 次に,伏見区深草地域の通称岡田山についてでございます。岡田山につきましては,本年3月に策定致しました大岩街道周辺地域の良好な環境づくりに向けたまちづくりの方針におきまして,事業者による撤去を誘導していくこととしており,現在撤去に向けた検討が進められております。今後撤去に当たりましては,かつて廃棄物の最終処分場であったためにコンクリートがら,廃プラスチックなどの廃棄物が排出されることになります。このため本市と致しましては,事業者に対して第三者機関による分析検査をはじめ廃棄物処理法に基づく適正な処理と安全性の確保を図るように指導を行うとともに,厳正に監視して参ります。また周辺にお住まいの方々の理解を得て進めていく必要がありますので,検査結果をはじめ撤去に関する情報につきましては,地元の皆様に明らかにするよう指導して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 中島保健福祉局長。 〔中島保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(中島康雄) 私からは5点についてお答え致します。 まず国民健康保険料についてでございます。保険料は国保の事業運営の基幹的な財源で,すべての被保険者の皆様に公平に負担していただくことが制度存立の前提であり,支払い能力を勘案し,前年所得に応じて決定しております。被保険者の皆様の負担は限界に達しつつあると認識しており,平成22年度においては厳しい本市の財政状況の下,一般会計から本市独自に市民の皆様の貴重な税金を投じて76億円もの巨額の財政支援を行うなど,総額141億円を繰り入れることにより,可能な限り保険料の引き上げを抑制致しました。21年度決算においては,国から調整交付金が多く交付されたことなどから,結果として単年度収支では黒字となりましたが,今なお80億円もの巨額の累積赤字を抱える本市国保の危機的な現状をかんがみますと,保険料の引き下げを実施できる状況にはなく,引き続き国に対して財政措置の拡充を強く要望して参ります。 次に,国民健康保険証の発行についてでございます。本市では保険料の納付が困難な方などに対しては減免制度の活用を含めたきめ細かな納付相談を行っているところであります。そのうえで納付意思を示されず,特別な理由もなく長期にわたって保険料を滞納されている方に対し,法令に基づき資格証明書を交付することは被保険者の皆様の負担の公平性の観点からもやむを得ないものと考えております。なお本市では,これまでから傷病をはじめ失業や事業の休廃止など,特別な事情がある場合については資格証明書にかえて短期証を交付しており,機械的,一律の対応は行っておりません。 次に,国民健康保険の一部負担金減免制度の拡充についてでございます。本市におきましては,従前から独自に一部負担金の減免に関する規定を設け,申請に基づき,失業等により収入が減少した世帯で生活保護基準額の1.3倍以下の世帯を対象として,入院や通院に要する窓口負担分の減免を行い,政令市平均を上回る利用実績を上げております。この度国から示された基準では,制度の対象を入院治療を受ける被保険者の属する世帯で,かつ収入が生活保護基準額以下の世帯に限定するなど,現行の本市基準を下回る内容となっている一方で,保険料を滞納されている方も対象にすることとなっており,現行の本市基準と大きく異なっていることから,その取扱いについては今後慎重に検討して参ります。 次に,子供の医療費助成の拡充についてでございます。子ども医療費支給制度については,国による補助制度のない中,これまでから府市協調の下,制度の拡充に努めてきており,平成19年9月には入院について対象年齢を拡大し,通院については自己負担額の引下げを行っております。御指摘の子供の医療費助成の更なる拡充につきましては,通院を小学校卒業まで拡充した場合で新たに22億円もの多額の経費が必要となることから,本市の大変厳しい財政状況の中,実現は極めて困難でございますが,引き続き京都府と制度の在り方について研究を進めて参ります。なお子供の医療費助成についてはこれまでから国に対し財源措置を求めておりますが,今後とも他都市と連携して強力に要望して参ります。 次に,小児用肺炎球菌及びヒブワクチンの予防接種についてでございます。議員御指摘のとおり,小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの予防接種は細菌性髄膜炎の予防のために有効であることから,国に対して財源措置を求める意見書を市会において二度にわたり採択をしていただいております。現在国におきましては,予防接種部会を設置し,肺炎球菌やヒブワクチンをはじめとした任意接種ワクチンについて予防接種法の対象となる疾病やワクチンの在り方の検討が行われているところであります。本市におきましては,国における検討状況を注視するとともに,全国一律の制度として財源措置を行うよう今後とも国に対して強く要望して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 山崎建設局長。 〔山崎建設局長登壇〕 ◎建設局長(山崎糸治) 京都高速道路についてでございます。京都高速道路の整備によりまして,交通渋滞の緩和や定時走行の確保による二酸化炭素の削減や所要時間の短縮を図られ,地球温暖化対策に寄与するとともに活力ある本市のまちづくりにも大いに貢献するものと考えております。また本年3月20日には,油小路線直線区間と接続する第二京阪道路が全線開通し,関西国際空港へのアクセス等交通の利便性が格段に向上しましたことから,油小路線直線区間の交通量が倍増しておりまして,京阪神都市圏の道路ネットワークを形成する京都高速道路,本市の更なる発展に必要不可欠な都市基盤施設となっております。なお現在整備を進めております油小路線斜久世橋区間につきましては,今後も阪神高速道路株式会社等との十分な連携の下,平成23年3月の完成に向け,全力で整備を進めて参ります。議員御指摘の堀川線など残る3路線につきましては,総合的な交通体系の構築や社会経済情勢等も勘案し,必要性を含め今後その在り方を検討して参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 暫時休憩致します。 〔午後2時46分休憩〕 〔午後3時13分再開〕 ○議長(加藤盛司) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について,井上けんじ議員に発言を許します。井上議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ議員) 南区選出の井上けんじでございます。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。 まず最初に,市民生活の実態から質問に入ります。私の元に寄せられる様々な御相談の中から一例を紹介します。ある37歳の青年は,建設業の下請への派遣労働で,仕事がある日は朝6時から夜7時,8時ごろまで,日給7,000,8,000円ですが,仕事自体は月に10日前後しかありません。月収10万円前後で家賃3万2,000円,クーラーも風呂もありません。健康保険も無保険,国民年金保険料も未納です。毎月は何とかなるとしても,以前仕事がほとんどなかったときに会社から前借りした分がいまだに尾を引いておるとのことであります。ある大手の全国新聞の普及員は,契約が取れれば1件5,000円の収入になりますが,なければ1銭にもならず,しかし寮費6万5,000円は収入にかかわらず払わなければなりません。それが払えなくて,私がお会いしたときは,岐阜県の寮を飛び出して京都へ出て来たとのことでした。京都市の財政改革有識者会議の資料でも,所得200万円未満の世帯が4分の1,働く人の半分近くが正社員でない等の数字が紹介されています。全国的に所得格差が過去最大と厚生労働省も発表しています。課題はたくさんありますが,中でも働くことは,現役世代にとって生活の糧を得る唯一の手段ですから,私は市民生活の安定のために,まず雇用と労働について質問します。 大企業の研究機関の一つである富士通総研のホームページでは,デフレの原因は賃金の下落にあり,その下落の原因は非正規労働者の増加だから,デフレ克服には賃金格差の縮小,最低賃金の引き上げが必要などと述べられています。8月に発行された厚生労働省の労働経済白書でも,非正規が増え低所得階層が増加,内需停滞につながったと分析しています。安心して働き続けられる労働環境の改善,賃金収入の改善は個人消費の拡大につながり,商業振興や不況克服のためにも大きな効果を持つものです。また膨大な失業や不安定雇用の拡大は,正規で働く人たちの賃下げや労働条件の悪化にもつながり,ひいては社会全体にも暗い影を落としています。したがって,失業の減少と不安定雇用の改善は,正規で働く市民の労働環境改善にも波及し,広く市民生活全体の底上げ効果を持つとともに,今日の社会の閉塞感の克服にも通じるものであります。本市でも雇用対策担当部長ポストが設けられ,緊急雇用をはじめ前向きの努力がされてきましたが,雇用は臨時の一時的なものがほとんどで,年末のワンストップ相談も一歩前進と思いますが,仕事の紹介というより当面の生活支援,それも貸付相談が中心でした。憲法第27条では働く権利がうたわれており,これは25条の生存権を裏付けるものとして,国や自治体が,その機会と場を提供しなければならないという意味を含んでいるというのが権威ある解釈であります。政府に対し,労働者派遣法や雇用保険法,労働基準法の改善を求めること,正規雇用拡大に向け企業への働き掛けを強めることなどとともに,緊急雇用について政府に制度の拡充延長を求めるとともに,本市でももっと独自の分野や業種を開拓,拡大充実させ,発展させるべきことを求めます。また市役所で働く人たちの中で非正規の職員を増やすことは,社会全体の雇用の在り方にも悪影響を与え,また公の力の低下にもつながるもので,拡大すべきではありません。これらについてお答えください。 特に高齢者の雇用と半失業勤労者の生活保障について更にお聞きします。一般に,高齢者が増えると勤労人口何人で支えなければならないなどと高齢化社会危機論が強調されますが,これは年齢で線を引く機械的な議論であって,65歳以上でも働いておられる市民は,前回国政調査でも65歳以上人口の22パーセントもおられます。もっと働く機会を増やし勤労人口を増やせば,何人で支える云々の割合は変化します。要介護認定の出現率も約18パーセントでずっと安定しています。高齢化だ,危機だとあおるよりも,雇用の機会を増やす方が前向きではありませんか。シルバー人材センターは生きがい対策が中心で,生計維持が主な目的ではありません。国民年金は満額でも生活保護基準にも足りません。健康で文化的な生活を保障するため,政府に年金の改善を求めるとともに,仕事を求める高齢者には雇用機会を提供すべきです。そこで質問します。高齢者雇用安定法では,高齢者雇用の拡大について,自治体にもそのための努力や就業の機会を提供する団体の育成を求めています。高齢者にももっと仕事の場を保障し,提供すべきではありませんか。答弁を求めます。 一方,働く権利を保障すべき国や自治体の役割は,その保障が十分でないならば,直接,生活保障の手立てを講じなければならない義務と表裏一体です。生活保護にかかわって,就労指導の過度な強調や受給の期限を定めようとする動きがありますが,自立できるかどうかは,仕事が見つかるかどうかの結果であって,あらかじめ期限を設ける問題ではありません。働きたいのは本人です。むしろ目標を持つべきは,働く権利をどう保障するかという行政の側にこそあると言うべきです。しかも京都府の最低賃金はやっと生活保護基準と同じ水準ですから,仕事が見つかっても自立に至らないケースも出てきます。働く権利と生活保障への権利とを総合的に保障していく観点と施策が必要だと思います。仕事探しを個人の責任だけに押し付けたり,生活保護に期限を設けたりする方針は改めるべきことを求めておきます。 次に介護保険と高齢者福祉について質問します。介護保険法では,10年たてば必要な措置を講じると書かれ,現在政府において法改正への準備が進められています。利用料が掛かるので利用はしていない,老健施設入所に10万円も掛かっているが,在宅でもとても無理。残るも地獄,退所も地獄だなど,被保険者や家族の皆さんの声とともに,本来の仕事以外の対応が多すぎるなど,ケアマネージャーさんなどからの切実な声も少なくありません。現場の労働環境も悪すぎます。政府も見直し作業を始めていますが,そのたたき台となっているのが地域包括ケア研究会の報告や財界の提言です。これらには軽度認定者を保険給付から外す,利用料を2割に引き上げるなどがうたわれており,こんな方向が採用されれば,保険あって介護なしという今の介護保険の矛盾がますますひどくなるばかりではありませんか。市長はどう思われますか。まず見解をお聞かせください。 私はむしろ全く逆の方向から見直すべきだと考えます。必要に応じた基盤整備,ホテルコストなどの撤廃,介護職員の労働環境の改善,介護報酬の引き上げなどが必要だと思いますが,加えてより一層根本的な改善の方向について,以下質問します。まず給付が増えれば保険料も上がる仕組みを改め,利用料は応能負担とすべきだと思いますが,いかがですか。また給付制限の役割を果たしている支給限度額を撤廃し,更に要介護認定の廃止又は弾力化など,ケアマネージャーの裁量を拡大すべきだと思いますが,いかがでしょうか。加えて国の負担割合を増やすことも特に緊急の課題だと思います。これらについて,それぞれ市長の見解はいかがでしょうか。お答えください。 本市でも,昼間独居の生活援助や病院内での介護,福祉用具の取り上げなど,給付を制限する方向が政府の言いなり,あるいはそれ以上に進められ,保険外の10割サービスも増えています。また入浴サービスの廃止や緊急通報システムの負担増など,介護保険以外の高齢者福祉の分野での制度施策の縮小も進められています。配食サービスの対象を絞る変更は,介護保険の給付制限の手法を保険外の施策にも押し広げようとするものですが,政府でさえ,同居家族の考え方については機械的にならないようにと言っています。給付や施策の制限,縮小をやめ,必要で十分な給付と施策を目指すべきであります。また,特に高齢者福祉への本市の関与がすっかり薄くなってしまったことも大きな問題です。ケアマネさんからも,先日,転居を要する生活保護受給者の家探しや契約,引越手配など,なぜみんな当方で,私の方でしなければならないのでしょうかとの御相談がありました。民生委員さんからも,熱中症の独居老人の入院,退院を応援したが,守備範囲はどこまでなのかとの声もお聞き致しました。見守りや安否確認,高齢者の所在不明問題など,役所はどうしているのかとの声も寄せられています。保健センターや福祉事務所,介護保険課とあちこち行った末に,地域包括支援センターに行くように言われたという話もありました。相談に来られた市民に対し,民間の事業者を紹介するだけでなく,まず話をじっくり聴くことから始めたらいかがでしょうか。市長は,高齢者の福祉や介護の現状にもっと心を寄せるべきではありませんか。民間や嘱託職員任せにせず,市の職員が認定調査にも取り組んだらいかがでしょうか。困難ケースなどでは市が直接,関与することも必要ではないでしょうか。そういう仕組み作りと体制の確立を求めます。これらについてお答えください。 次に,梅小路公園の再整備と水族館建設について質問します。市長は,建設に反対する市民の声に耳を傾けず,水族館の設置許可を下ろすとともに,同公園の七条入口広場に来客用駐車場を造る計画を推し進めてきました。しかしこの駐車場計画については,地元住民や公園の利用者の皆さんから撤回を求める声が広がり,先月末白紙撤回が明らかにされました。この経過は,地元住民,利用者などの声を無視した計画はごり押しできないことを改めて示したものであります。水族館そのものに反対する世論と運動も,また立場の違いを越えて更に広がっています。京都弁護士会も,許可を凍結し,再検討すべき,改めて市民意見を聴くべしとの意見書を出されています。本市主催の京都再発見フォーラムでも,米国出身の研究者であるアレックス・カーさんは,水族館計画について,観光客は求めていないと指摘しています。9月中旬には,水族館の建築確認に対する審査請求が地元住民から提出され,設置許可に対する異議の申立て,さらにこれの門前払いを不服とする訴訟も準備されています。水族館建設に反対する市民の声はますます広がっています。七条入口広場の駐車場計画の撤回は,市民の声こそが主人公であることを示しました。それならば,水族館建設そのものについても凍結,見直しを求める市民の声にもっと耳を傾け,中止するべきではありませんか。お答えください。 また梅小路公園の周辺整備ということも言われてきました。それなら御前通東海道本線ガードの歩行者・自転車用通路の拡幅改善方に付き強く要望しておきます。さらに,水族館をはじめ京都駅周辺では大型店も出店ラッシュですが,近隣商店街への影響が心配されるとともに,車の一層の増加も危ぐされます。関連して京都駅八条口駅前広場整備計画も策定中ですが,各関係業界などからの御意見には十分に耳を傾け,同意と納得を得ながら進められるよう,十分な話し合いを求めるものです。 次に,住宅問題について質問します。今年の春,住宅マスタープランが策定されましたが,住生活基本法の制定や住宅建設予算の大幅減額など,政府の公営住宅建設からの撤退,市場任せの方針への批判的観点が全く欠落しています。そもそも住まいは人権との立場があいまいです。世帯数よりも住宅数が多く,家は足りている,そこでその売買や賃貸を市場にゆだねるとのことですが,これでは住宅政策の放棄ではありませんか。民間の空き家への誘導なら,家賃補助や,市の借り上げによる公営住宅化などを検討すべきですし,また市営住宅についても,例えば南区の南烏丸団地の平均倍率37倍をはじめ,ほかにも倍率の高い団地もあるなど,増設はまだまだ必要です。単身者の枠の拡大も必要です。市営住宅は足りていると国や市が言うのは,入居資格者の収入基準を引き下げて資格者の範囲を狭め,応募を閉め出しているからではありませんか。建てない,入れない,追い出す方式から,建てる,収入基準の引き上げ等への政策転換が必要です。この立場で政府に要求するとともに,市も独自に努力すべきです。そこでお聞きします。市営住宅を必要に応じて増設すること,少なくとも空部屋については早急に改修して募集すること,またストック活用計画の立案が遅れているようですが,めどはいかがですか。さらに南区の八条市営住宅の建替え計画はどうなりましたでしょうか。高齢者が7割を占め,私もエレベーターの設置や耐震補強等を求め続けてきましたが,2年前の委員会で建替えを検討との御答弁があった後,動きがありません。経過を明らかにされるとともに,今後の方針は,団地住民が主人公との立場で立案されるよう強く求めるものであります。また市内UR住宅のうち,耐震補強未改修のために新規募集停止となっている団地がありますが,区役所など市の施設と一体になっている建物もあり,早急に耐震補強工事の実施及び新規募集の再開をURに働き掛けるべきだと考えます。これらについてお答えください。 続いて,テレビの地デジ移行の問題について質問します。来年7月からテレビの電波がデジタルに変わるということで,チューナーを付けるだけでいいのか,アンテナの交換も必要なのか,電波障害の範囲が変わるのか,なぜ故障もしていないのにお金を出して買い換えなければならないのか等々,色々な御質問や御意見が寄せられています。総務省の今春の調査では,これはその調査方法にも問題ありと言われているものでありますが,受信機の普及は京都府で79.2パーセント,ビル陰対策は,少し前の調査とはいえ市内で21パーセントにしか過ぎません。間もなく最近の準備状況のデータが発表されるとのことですが,大きく準備が遅れている原因は,国策でありながら情報が少なすぎること,国民市民任せになっていることです。個々の御家庭での疑問や質問に答えるとともに,特にビル陰対策が急がれます。建物に電波が遮られるおそれのある御家庭の場合,周りに複数のビルがあればその建物の特定や話し合いが必要ですし,またマンションなど,そのビルの所有者が複数の場合,その所有者同士の話し合いもまた必要です。国が一方的に電波を変えるのに,こういう話し合いや共聴施設設置の場合の費用負担など,ほとんど当事者同士に任せてしまっていることも大きな問題です。総務省の総合対策との文書では,わざわざ例えば京都市では短時間で多くの世帯の対応が必要な地域と紹介しています。学者やジャーナリストの皆さんが7月に発表された提言でも,今のままではテレビ難民が数百万規模で発生するおそれがあり,延期すべきと指摘しています。今のままでは到底間に合わないと思いますが,市長の見解と認識はいかがでしょうか。お答えください。元々公共の電波でありながら国民の声も聴かずに進められてきた経過があり,だからこそこういう疑問が渦巻いている状況ですから,政府に対し来年夏のアナログ停止は延期するよう求めるべきだと考えますが,この点についてもお答えください。 最後に,教育にかかわって教材費などの負担軽減,30人学級,人権教育等について質問します。今,格差の拡大と貧困化が大きな社会問題になっていますが,教育の分野でも,経済格差が教育格差となっています。人権としての教育が重大な危機に瀕しています。今年1月の市会委員会で教育長は,教育が十分に保障されない子供たちがいると言われました。その現状認識には敬意を表しますが,ではどう保障していくのでしょうか。何年か前の話しですが,ある母子家庭の子供さんが高校受験を控え,私も頼まれて応援しようということになりました。お母さんも病気がちでした。九九もアルファベットも最後まで十分に言えません。もちろんこの子には責任はありません。何とか私学へ進学しましたが学費が続かずに中退,その後仕事を点々とし,今は体調不良で自宅療養されておられます。私との受験勉強中,その子が,分かるってうれしいことやねと言った言葉が私には忘れられません。同時に,お母さんが,小遣いもやれないし学校の費用も色々掛かると言われていたことも,また忘れることができません。一方,これは現在の話しで,中1と小3の2人の子供さんの母子家庭のお母さんですが,姉の部活の費用が掛かる,合宿とか対外試合,ユニフォーム,それも夏冬,もちろん普段も二人にお金が掛かる。辞書に楽器,コンパス,絵の具,習字の道具に裁縫道具,ドリル,テストに図工工作,預り金に修学旅行,本当に大変です,というお話でした。そこで私は,まず学校教育にかかわる教材費など諸経費の保護者負担の軽減を求めますが,いかがでしょうか。本来,無償化は授業料と教科書だけにとどまるものではありません。順次,目標と計画を持って軽減を図っていくべきです。また就学援助制度も,4年前,所得限度額が30万円ほど引き下げられ,結果として950人が対象外になりました。せめて以前の水準に引き上げ,対象を拡大すべきです。これらについてお答えください。 さらに高校については,授業料無償化を朝鮮学校と私学にも広げることが次の課題だと思います。多文化共生と市長も言っておられます。子供の学ぶ権利は万国共通です。また私学のある高校生は,泣く泣く学校を去っていく友だちに何と声を掛けたらいいのか,今でも分からない,公立とどう違うのか,私たちは有権者ではないが主権者だと言って声を挙げています。ヨーロッパでは大学でも授業料無償化が常識と言われている時代に,せめて準義務教育化している高校については,公立と私学を区別する理由はありません。国連人権規約では,大学も含めて無償化を目指すべきだとうたわれています。京都府や本市においても,主に低所得世帯を対象とした入学支度金や奨学金制度など,それぞれ改善も図られており,当面,これらの一層の改善に向け,教育委員会と保健福祉局との連携強化による独自努力や,また京都府への更なる働き掛けを求めますが,根本的には公立高校と同じレベルでの無償化に向け,政府に対し強力に働き掛けるべきだと思います。 加えて,すべての子供たちへの行き届いた人権としての教育の充実のために,少人数学級についても質問します。この夏に中央教育審議会の分科会が学級規模の引き下げを提案,その早急な具体化が求められています。世界の主要国が加盟する経済協力開発機構の調査でも,主要20数箇国の小中学校の1学級平均生徒数は22,23人で,日本の生徒数は2,3番目に多いと発表されています。本市教育委員会でも小学校1~2年生や中学3年生で独自に頑張っていただいておりますが,他の学年へも拡げるよう一層の努力を求めます。加えて,文科省の意見募集でも30人学級を求める声が8割も占めていますから,一般的に少人数学級という表現ではなく,具体的に30人学級という要求を掲げ,今すぐ政府に求めるべきだと思いますが,いかがですか。私立高校の授業料無償化と30人学級についてそれぞれ答弁を求めます。 以上のように,人権としての教育を更に推し進めていく上での課題はまだまだ少なくありませんが,一方,教育委員会の人権教育をすすめるにあたってとの方針は,子供たちに人権としての教育をどう保障していくかというよりも,むしろ教える内容について強調されています。特に違和感を感じるのは,同和問題にかかわる課題と書かれている部分であります。同和問題を児童生徒に理解させるとのことですが,一体今の世の中で何をどう理解させるというのですか。同和問題解決のための取組は,本市人権行政の重要な課題の一つとのことですが,そもそも市長の言われる人権行政とは,国民の人権を守るはずの国や自治体が全く登場せず,専ら市民対市民の問題に矮小化されています。本来市民の人権を守るべき市長が自分の役割を横に置いて,逆に市民を諭すという逆立ちした関係になってしまっています。人権行政とは,市長が市民の人権をどう守るかという課題であります。一方,同和行政は既に8年も前に終わっています。今日ではもはや行政や教育の課題ではありません。人権を教えるというなら,憲法を全体として教えるべきです。同和問題を理解させる云々の部分はきっぱり削除すべきです。答弁を求めます。 以上,市民の働く権利や生存権,居住権,教育権などを守るために,それぞれ積極的な御答弁を期待して,質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上けんじ議員の御質問にお答え致します。 まず緊急雇用制度についてでございます。本市におきましては平成20年度2月補正以降,国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金などを財源とし,切れ目のない予算編成を行い,失業者に対するセーフティネット施策として幅広い分野にわたり143事業3,800人を超える雇用創出に取り組んでいたところであります。国においては,この特例交付金に関して今般1,000億円の積増しが閣議決定されたところですが,交付金制度につきましては,平成23年度末で終了することとなっております。こうしたことから,依然として厳しい雇用情勢に対応するために可能な限りの財源の確保や事業期間の延長,実施要件の緩和,新卒未就職者向け事業の一般施策化などについて,明日にも京都府と共に国に要望することにしており,引き続き雇用対策に全力を挙げて取り組んで参ります。 次に,介護保険についてでございます。制度創設から10年が経過した介護保険制度につきましては,この間多くの方々のサービス利用が進み家族の介護負担の軽減が図られるとともに,社会全体で介護を支えていくという意識が市民生活の中に着実に定着していると認識致しております。また利用者が増加し,サービス提供を利用する費用が膨らんでいく中で,今後とも持続可能な制度として確立していく必要がございます。このため国におきましては,整合性の取れた負担と給付の関係や要介護認定をはじめとしたサービス利用の在り方など,平成24年度からの制度改正に向けた議論が社会保障審議会,介護保険部会,介護給付費分科会において精力的に行われており,本年11月をめどに取りまとめられることとなっております。本市と致しましては,これまでから被保険者の皆様や地方自治体に過重な負担が生じず,またより利用しやすい制度となるよう,他の政令指定都市とも連携致しまして国に要望を行って参りますが,今後とも制度改正の審議状況を踏まえた必要な対応を行って参ります。 次に,京都水族館計画についてでございます。私は,水族館等を契機とする梅小路公園の再整備が,環境モデル都市である京都にふさわしいプロジェクトとして市民や観光客の皆様に愛され,地域活性化の核になることが何よりも重要であると考え,また市民の皆様の京都水族館への期待がますます高まっている京都ならではの水族館という期待が高まっていくとも実感致しております。そのため市会をはじめ多くの地域の皆様の御意見を踏まえ,七条入口広場の駐車場計画について歩くまち・京都を実現し,より地域のにぎわい,交流の創出につながる最適な施設配置となるよう見直しを行いました。さらに水族館そのものにつきましても,多様な生物の命の輝き,つながりを体験できる梅小路公園と調和したより良い環境を学ぶ施設となるよう事業者に対し,展示内容や活動の充実等について今日まで強く求めて参りました。これを受けて,昨年9月29日に,京都大学野生動物研究センターをはじめとする学術研究機関や学識者等8名で構成される京都水族館の展示活動等に関する諮問委員会が設置されたところであり,誠に大きな前進であり,専門家委員会の方々の御尽力に敬意を表するものであります。今後事業者が,展示内容や教育研究機能の充実について当委員会から出された提言を最大限生かすことにより,この水族館が生物多様性に貢献する環境モデル都市・京都市にふさわしい環境共生型水族館として,市民の皆様をはじめ全国はもとより世界の専門家の方々から高い評価をいただける施設となるものと確信しており,今後とも,京都市と致しましても引き続き全力を傾注して参ります。以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 由木副市長。 〔由木副市長登壇〕 ◎副市長(由木文彦) 市営住宅の整備等についてお答え致します。 本年3月に策定致しました京都市住宅マスタープランにおきましては,住宅確保,要配慮者の居住の安定を図るため,市営住宅が中核的な役割を担うとともに,民間賃貸住宅を含めた重層的なセーフティネットを構築することと致しております。また住宅数が世帯数を上回り,10万戸を超える空き家が更に増え続ける中で,ストック重視や環境への配慮といった視点から,既存住宅をしっかり使っていく方向性を打ち出しており,市営住宅の総戸数を増やすことは考えておりません。市営住宅につきましては,引き続き可能な限り空き家整備を進め,公募戸数を確保して参ります。さらに適切な維持管理や長寿命化を図り,市営住宅ストックを長く有効に活用していくための新たな市営住宅ストック総合活用計画の策定作業を現在進めているところであり,八条市営住宅につきましても,この新たなストック総合活用計画の中で,今後の活用の方向性をお示しして参りたいと考えております。 UR都市再生機構の賃貸住宅につきましては,公的賃貸住宅として住宅セーフティネットの一端を担っておりますことから,引き続きその役割を果たしていただけるよう助成して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 山添人材活性化政策監。 〔山添人材活性化政策監登壇〕 ◎人材活性化政策監(山添洋司) 市役所における非正規職員の任用につきましてお答え致します。 本市では,法令に基づき非常勤嘱託員や臨時的任用職員を任用しておりますが,これらにより社会情勢の変動に伴う新たな行政需要に柔軟かつスピード感を持って対応するとともに,市民サービスの低下を招かないよう,職員の出産休暇や育児休業等による欠員にも速やかに対応できております。また任用に当たりましては,より意欲を持って働けるよう,休暇制度や福利厚生等を含めた労働条件の整備にも努めているところでございます。今後とも職務内容や権限など,一般職員との適切な役割分担を踏まえつつ市政運営の貴重な担い手として非常勤嘱託員等の活用を図って参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 西村総合企画局長。 〔西村総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(西村隆) 地上デジタル放送への移行についてでございます。地デジ対策として京都市が行います本市所有の建築物による電波障害対策につきましては,年内をめどに,また国の制度に基づく山間地域の共聴施設整備事業については今年度内の完了を目指して取り組んでおります。京都市域における国の取組と致しましては,今年7月の比叡山地デジ中継局の新設をはじめ,住民の皆様やビル陰共同アンテナ利用者を対象とした1,000回を超える説明会,1万7,000件を超える高齢者宅への戸別訪問,全行政区における受信相談などが実施されており,本市としても積極的に協力を致しております。アナログ放送終了時までにすべての京都市民の皆様が地デジを受信できるよう,引き続き国に対し万全の対策を講じるよう要望致しますとともに,本市と致しましても全力で取り組んで参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 中島保健福祉局長。 〔中島保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(中島康雄) 私からは2点についてお答え致します。 まず高齢者の雇用についてでございます。議員御指摘のとおり,高齢者雇用安定法では,国及び地方公共団体は定年退職者その他の高年齢者について臨時的かつ短期的な就業等を希望する者に,その機会の確保のために必要な措置を講ずるよう努めると定められており,本市におきましては,同法に基づき設立された京都市シルバー人材センターに対する援助を通じて,高齢者の就業機会を確保し,社会参加や生きがいづくりを支援しております。この京都市シルバー人材センターにおいては,平成21年4月から新たに労働者派遣法に基づく派遣事業を開始したことにより,今後高齢者が就業を通じて活躍できる場をより広げていけるものと考えております。 次に,高齢者に対する支援体制についてでございます。介護を必要とする状態にあるにもかかわらず,介護保険の利用を拒否されている方や複雑な家庭環境にある方,公衆衛生面からの関与も必要な方など,民間の事業者だけでの支援が難しい方には,本市の関与が当然必要でございます。このため本市では,これまでから地域で活動されている民生児童委員や老人福祉員の方々,地域包括支援センター等の関係機関と連携し,必要な支援を行っているところであります。また要介護認定調査につきましては,各区,支所の福祉介護課に18名の嘱託職員を配置し,調査が困難な方への対応も行っております。今後とも本市が直接関与を必要とする高齢者に対する支援については本市としての責任を果たして参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 高桑教育長。 〔高桑教育長登壇〕 ◎教育長(高桑三男) 3点についてお答え致します。 教育費の保護者負担についてでありますが,我が国では児童生徒に直接還元される学用品等につきましては,保護者負担が原則であり,本市でもこれまでから同様に保護者負担をお願いしております。就学援助につきましては,長引く経済不況の下,認定者の増加に対応し,国の補助制度が廃止された平成17年度以降も予算の増額に努め,本年度は10年前に比べ倍増の13億4,000万円の予算を確保しております。また小学生の長期宿泊体験学習や,中学生の学習確認プログラム等を新たに対象に加えるなど,制度の充実を図って参ります。所得基準額につきましても,生活保護基準の引下げ等に準じた引下げは行わず,ここ5年間据置き,実質的には基準を緩和しており,厳しい財政状況の下では,これ以上の新たな措置は困難であります。また私立高校の授業料につきましては,本市では,既に京都府の独自制度により国基準を上回る年収350万円未満程度の世帯では授業料のほぼ無償化が図られておりますが,今後,国基準の更なる充実を要望して参ります。 次に,30人学級など少人数学級についてでありますが,本市では既に小学校1,2年生での35人学級,中学校3年での30人学級を実施するなど,毎年本市独自に約10億円を投じて全国トップレベルの少人数教育を推進しています。こうした本市をはじめとする先進的な自治体の取組の成果も踏まえ,本年7月中央教育審議会から,学級編制基準の引下げ等について提言が出されたところであります。これを受けて,文部科学省では,学級編制基準を現在の40人から年次的に35人に引き下げ,その後更に小学校1,2年生で30人とする8箇年計画を来年度予算で要求されており,その実現を強く国に要望して参ります。 次に,人権教育についてでありますが,本市では,平成13年度末をもって同和地区児童生徒に限定したすべての特別施策をなくし同和行政を終結させます。もとよりあらゆる差別をなくし,人権を尊重することは人類共通の崇高な営みであり,平成20年3月の国の報告書におきましても,同和問題について人権課題の一つとしてその解決に向けた取組を推進していくことが示されております。御指摘の学校における人権教育をすすめるにあたってにつきましても,学校教育における人権教育の指針として,現在も社会にある外国人や障害のある方にかかわる課題などと共に,同和問題を人権課題の一つとして位置付けているものであります。今後とも,様々な人権課題について子供たちの発達段階に応じた人権教育の取組を進め,すべての人々の人権が尊重される人権文化の息づく社会の構築を目指して参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 次に,市政一般について,樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党議員団を代表して質問致します。 初めに,中小企業と労働者に対する支援についてお聞きします。我が党議員団はこの間,機械や金属加工業を中心に,市内の中小企業から円高による影響などについて緊急の聞取調査を行いました。ある事業主さんは,リーマンショックで大きく落ち込んだときは,従業員にも会社の状況を話して給料もカットしながら,私は3分の1の給料にして必死の思いで会社を維持してきた。最近になってやっと受注量が持ち直してきけれど,単価はそれ以前より3割ほど低いと話されていました。また別の事業主さんは,国内の需要が落ち込む中,中国との取引が増えてきているけれど,円高とユーロ安で苦しんでいる。安いヨーロッパの機械との競争,無理難題を持ち掛けられるケースも多いと話されていました。1ドル95円で設定しているので,現状は輸出すればするほど赤字になるといった話も出されました。どこでも共通に語られていたのは,中小企業に高い技術力を持った職人がいるけれども,このままでは,ものづくりの技術の継承ができなくなるという危機感でした。長引く不況に加えて,原油価格高騰やリーマンショックで中小企業は大打撃を受けました。たくさんの中小企業が倒産や廃業に追い込まれる中,従業員と力を合わせて,何とか困難を乗り越えてきたところで今回の円高です。仕事がない,あっても単価が安くて利益にならないという状況に拍車が掛かっています。現場の皆さんは仕事や生活が苦しいというだけでなく,このままでは,ものづくりの高度な技術そのものが日本から失われてしまうという危機感を募らせています。こうした現状を何としても打開しなければならないという立場で,我が党議員団は円高対策と中小企業への支援を求める緊急の申入れを市長に対して行いました。そこで質問に移りますが,まずは,市長が本部長となって,円高対策本部を立ち上げ,緊急の対策を採るべきではありませんか。また,市長自身が現場に足を運び,中小企業の現状を聞き取り,施策に反映させるべきと考えますが,いかがですか。さらに,本市でものづくり産業調査を実施してから既に7年が経過していますから,改めて中小企業のしっかい調査を行うこと,今回は本市職員自らが現場に足を運んで調査を行う必要があると考えますがいかがですか。お答えください。 原油高騰にしても,今回の円高にしても,投機マネーが経済の混乱と不況をもたらしていますが,この間,緊急保証など融資の改善は一定図られてきました。しかし,不況の長期化のため融資の返済期間が迫る中で,借換えの手数料負担が大変,あるいは近い将来返済できるめどが立たないといった声が聞こえてきています。京都府は,対象が極めて限定はされているものの,機械のリース代への補助制度を9月議会に提案しました。本市でも苦しむ中小企業に対して,融資の返済期間の延長や金利の引下げ,さらには,機械のリース代や固定資産税といった固定費の補助など,緊急の支援策を直ちに採るべきと考えますが,いかがですか。 我が党はかねてから中小企業をしっかりと支援するという姿勢を示すためにも,中小企業振興基本条例の制定を求めてきました。この問題に関して5月議会で我が党の赤阪議員が質問した際に,市長は,国が策定を進めている中小企業憲章の内容を十分に踏まえ,新京都市産業振興ビジョン(仮称)を年度内に制定すると答弁されました。その後,6月18日に中小企業憲章が閣議決定されましたが,そこには,中小企業は,経済を牽引する力であり,社会の主役であると書かれており,国の総力を挙げて自立する中小企業を励まし,困っている中小企業を支え,そしてどんな問題も中小企業の立場で考えていくと書かれています。中小企業が社会の主役であるということは,正にそのとおりです。特に京都では,99パーセントを占める中小企業の活性化が京都市経済の活性化につながります。また中小企業が雇用の大部分を支えていますから,雇用の改善と働く人の収入の増加につながり,消費も拡大します。中小企業への支援,特に困っている中小企業への支援を行うことが,京都市経済の活性化と豊かな市民生活の実現に大きく貢献します。ところが,現在検討中の新京都市産業振興ビジョン(仮称)を見ていますと,中小企業支援という言葉はあるものの,困っている中小企業を支えるという視点が見られず,十分と言えるものではありません。市長は中小企業憲章の内容を十分に踏まえると答弁したのですから,京都市が総力を挙げて困っている中小企業を支えるために,どんな問題も中小企業の立場で考える必要があります。新産業ビジョンにとどまらず,中小企業振興基本条例を作り,京都市として中小企業をしっかりと支援するという姿勢を明文化するべきでありませんか。お答えください。 次に保育についてお聞きします。2人目が生まれたけれど,上の子と同じ保育園がいっぱいで入園できずに困っている,子どもが保育園に入るのがこんなに難しいとは思わなかった,こんな声が次々と耳に入ってくるほど保育所への入所が難しくなっています。本市の待機児童数は,年度当初,昨年と比べて56人増えて236人となっています。待機児童の解消は緊急の課題です。この間,本市では,定員外入所を次々と増やしてきており,その数は今年度当初2,598人にまで膨れ上がっています。5年前の2005年には,定員外入所は2,014人でしたが,その時点で京都市自身が,施設規模における許容の面からも,保育環境を損なわない範囲での受け入れは限界に来つつあるとの認識を示しています。限界に達しているとした時点より,さらに600人近くもの定員外入所を増やしているのですから,保育環境を損なわない範囲を大きく超えています。このしわ寄せは当然子供に行くわけですから,保護者や保育者の願いにも反していることは明らかです。待機児童の解消は,既に保育環境の悪化を招いている定員外入所で対応するのではなく,保育所そのものを増やすことで対応するべきではありませんか。お答えください。 さて,今年から変えられたプール制についてですが,市内の3分の1の保育園で補助金が減額になります。主にベテラン保育士さんのいる保育園で補助金が減額になりますが,京都市は,バランスの取れた職員配置にするための仕組みだと説明してきています。補助金が減額されるある保育園の職員構成をお聞きしました。この保育園は正職員のうち,20代が26パーセント,30代が21パーセント,40代が26パーセント,50代が26パーセントです。新人からベテランまで非常にバランスの取れた職員配置であります。しかし補助金は削減されるというのが今年度からの仕組みです。余りにも矛盾に満ちています。結局,今の仕組みは,低すぎる国の運営費基準に合わせる形で補助金を削減したうえで,保育園の運営費が足らないのであれば定員外入所を増やすなど,今以上に無理をしてでも,特別なことをして稼ぎなさい,というものです。そうではなく,どの園でも新人からベテランの保育士さんまで,安心して働き続けられる給与を保障することこそ,子供の保育環境の改善につながります。プール制を改悪したことにより,子供の保育環境が悪化しつつある現状に目を向け,いったんプール制を元に戻し,更に充実させる方向で補助金を増額させるべきではありませんか。お答えください。 昨年11月議会において,保育制度に関する意見書を全会一致で採択しています。ここでは,保育所の最低基準は国の責任において堅持するとともに十分な財政措置を行うこと,さらに現行の入所方式は優れた仕組みであり,直接契約制度は導入しないことを国に対して求めています。また本年の5月議会で採択した地域主権改革一括法案に関する意見書では,保育所などの最低基準に関して財政保障の基準ともなる,文字どおりの最低基準であって,諸外国と比べて極めて低い基準にあることから,むしろその引上げこそ求められているとしています。ところが,政府が6月25日に発表した子ども・子育て新システムの基本制度案要項では,直接契約制度の導入が明記され,さらに国の保育の最低基準をなくし財源の保障も投げ出す内容となっています。これらは国の保育の公的責任を放棄するものであり,本議会で可決した意見書の内容にも全く反するものです。本市の保育行政への影響も甚大でありますから,国に対し,国が保育に関する責任を果たすよう,現行の最低基準を堅持すること,低すぎる基準の拡充こそ必要だと求めるべきと考えますが,いかがですか。お答えください。 次に,猿,シカ,イノシシ等の鳥獣害対策についてお聞きします。左京区北部の久多では,田畑に猿が入り込み大きな被害を受けています。田んぼでは,稲の穂が実り掛けたころに猿が入り込んで,青々としたまだやわらかい稲の穂先をしごいて食べてしまいました。猿に入られた田んぼは辺り一面踏み荒らされてしまい,稲が倒されていました。この地域は,60代は大変若い方で,70代,80代の方々が田畑の耕作を担っています。そうした皆さんが,手を掛けて手を掛けて育ててきた稲を食い荒らされてしまうのですから,地域の皆さんの落胆の度合いは大変大きく,もう来年は田んぼはやめにしようなどと言う声が次々に出されるという状況です。畑にしても同様です。芋や,カボチャ,大根,キュウリなどありとあらゆるものが食べられてしまい,作る意欲を失っています。高齢の皆さんが多少しんどいと思いながらも,田畑の世話をすることで外にも出て体を動かすことによって,健康にもつながっています。また田畑をしていれば,街中に住んでいる子供さんたちも手伝いに帰ってきますし,定年後はまた久多に戻ってくることにもつながります。鳥獣被害の対策を抜本的に強化することは,住み続けられる地域づくりの対策そのものにほかなりません。大原で話をお聞きしても状況は同様です。田んぼや畑は電気さくで囲われていますが,その周りはイノシシが毎日出没し,水路や山の斜面を掘り起こし,水路が石や土砂で埋まってしまっていました。この土砂をどけるのも大変な苦労です。またイノシシの子供が電気さくの間から入り込み,作物を荒らしてしまうと言われていました。ここでも,もう来年は田畑をやめにしようかとの声が聞かれました。鳥獣被害は中山間地に限ったことではありません。京都市内の里山に接している地域では,あちこちで重大な被害を受けています。住宅街にも入込んで来ますが,そこでの被害は主に生活被害です。家庭菜園などの被害に加え,猿が家の中に入り込み仏壇のお供えを取って逃げる,冷蔵庫を開けて中の食べ物を食い散らかして逃げる,その際にふんなどをまき散らしていくなど,被害は深刻です。猿の追払対策チームが自治会などを中心に作られるなど地域の皆さんの努力が続けられていますが,対応には限界があります。人が大けがをする被害が心配といった声があちこちから寄せられています。そこでまずお聞きしますが,農作物の被害にしても生活被害にしても,市長は,鳥獣被害が年々ひどくなっている状況をどのようにお考えですか。抜本的な強化を図る必要があると感じられませんか,お答えください。 本市では,牛やヤギを使っての対策や犬を使っての対策など新たな対策が採られ始めています。また防御ネットへの補助なども従来から採られてきていますが,十分に対応できていないのが現状です。こうした追い払い対策だけでなく,獣の個体数を減らすための捕獲の対策の強化が求められています。本市でも計画的,あるいはそのつど捕獲の許可を出しており,猟友会の皆さんや鳥獣保護員さんに大変頑張っていただいているものの,捕獲件数は許可件数の3分の1,4分の1といった数にとどまっています。せめて捕獲許可を出した件数を達成できるだけの対策を本市の責任として採るべきではないでしょうか。お隣の大津市では,鳥獣被害に関して鳥獣害対策室という部署を設けて,専属の職員が対策に当たっています。追払対策はもちろん,捕獲に関しても猟友会への補助にとどまらず,1頭当たりの補助金を出したり,猿の大規模な捕獲作戦を行ったりしています。さらに捕獲した猿に関しては,飼育のための檻まで作っています。本市でも,捕獲に関して抜本的に対策の強化を行うべきではありませんか。お答えください。 また,本市の場合は,捕獲の許可は林業振興課,防御さくの補助は農業企画課,生活被害の受付は区役所が窓口になるなど,それぞれの部署がそれぞれに対応しています。本市も大津市の鳥獣害対策室のように情報を集中し,対策を中心になって立てていく部署を作り,専属の職員を配置すべきではありませんか。お答えください。 次に,葬儀場の建設に関してお聞きします。左京区上高野では,昨年5月,住宅や飲食店が建ち並ぶ街中で葬儀場の建設が始まりました。事業者は,工事を始める前日に突然近隣住民に工事着工のお知らせを配布し,しかもそこには葬儀場であることすら記載されていないということでした。基礎工事が始まった段階で,住民が何を造っているのかを工事業者に尋ねても,私の口からは何も言えませんとしか答えないということで,地域住民に全く隠したまま葬儀場の建設が強行されました。本市の葬儀場建設の際の指導要綱が100平方メートル以上を対象とするということで,99.73平方メートルで計画し,住民への事前の周知義務を逃れるという徹底ぶりでした。そこに住み続けている住民の皆さんを欺く事業者の態度に怒りの声が上がったのは当然です。その後,住民の皆さんは,業者に対して工事の中断と住民との話し合いを求め,また京都市には業者に対する指導を求め議会には請願が提出されました。これはほんの一例で,京都市内では,葬儀場の建設に関してその地域に住まれている住民の皆さんとトラブルになるケースが後を絶ちません。議会に提出された葬儀場建設に関しての指導を求める請願だけで見ても,この10年間毎年のように提出され昨年は3件,今年度も既に5月議会に1件の請願が提出されています。この間,行政も議会も市民の皆さんからの要望に基づいて議論を進めてきました。その結果,中高層条例を改正し,葬儀場は高さに関係なく中高層条例の対象になるようにし,さらに葬議場の建築等に関する指導要綱を作り,住民との話し合いの促進と建物の規制の強化が図られてきました。また,先ほど紹介した面積を99平方メートルで計画し,住民への周知義務を逃れた例を受け,昨年には指導要綱の100平方メートル以上を対象とするという条項を撤廃する改正も行われています。一歩ずつ前進はしてきているものの,残念ながら根本的な解決になっていません。この間の議論を通じて感じるのは,亡くなられた方のための施設である斎場や墓地と同様に,葬儀場も法律による規制が必要だという点です。本市で条例や指導要綱を作っても,上位法がないために,その内容に制約が出てきてしまうというのが実態です。既に本市は国に対してこの件に関しての要望を行っていますが,葬儀場は全国的にも住民とのトラブルが多発していますから,他都市にも呼び掛けるなどして,さらに要望を強める必要があると考えますが,いかがですか。また法規制を待つだけでなく,本市における更なる取組も必要です。今の条例や指導要綱に従っても,住民への周知が行われるのは業者の計画及び設計が固まった後であります。これだけトラブルが多発している施設ですから計画が固まる前の構想段階でまずは住民との話し合いを行うような工夫が必要ではないでしょうか。本市には大規模商業施設などを対象としたいわゆるまちづくり条例があり,この条例は設計に入る前の構想段階で住民への説明が義務付けられています。こうした仕組みを葬儀場建設の際にも取入れる必要があると考えますが,いかがですか。お答えください。 最後に,左京区役所及び保健所の庁舎移転について,3点お聞きします。 まずは,区役所への公共交通によるアクセスの問題です。昨年開庁した伏見区役所は,自家用車での来庁者で駐車場がパンク状態で周辺住民にも多大な影響を及ぼしています。左京区の場合,区役所の松ヶ崎への移転が発表された時点から,公共交通の不便さが指摘され続けてきています。このままでは来庁者が不便なのはもちろん,自家用車による周辺環境の悪化は深刻なものとなります。京都市自身が課題と言ってきているにもかかわらず,来年5月が開庁という段階になって,いまだに住民にも議会にも何の説明もありません。シャトルバスの運行なども手法として考えられますが,行政として一体どんな案を考えているのか,今この時期に示す必要があります。そのうえで住民からの意見を聞き,住民の声を反映した公共交通としなければ,折角造ったのに住民が使いづらいものとなりかねません。公共交通の確保について,どんな案を考えているのか,いつその案の提示をされるのか,御答弁ください。 次に岩倉出張所についてお聞きします。岩倉自治連の皆さんが提出された出張所の存続を求める請願が5月議会で採択されました。この請願では,区役所の移転に伴い出張所の閉鎖が示唆されていることを指摘したうえで,2万6,000人の人口を抱える岩倉出張所の存続と,だれでも使える会議場の設置を求めています。議会の意思としてこの請願を全会一致で採択したのですから,市長はその意思を十分に受け止める必要があります。住民の願いにこたえて,岩倉出張所を存続させるべきと考えますが,いかがですか。私は,かねてから左京区のまちづくりに関して,区役所機能は住民の身近なところにある方が良いということで1箇所に統合するのではなく分散化し支所を増やす,あるいは出張所の機能の拡充を求めてきました。その観点から,岩倉出張所については存続させるだけでなく機能の充実こそ求められていると考えますし,吉田の現区役所の跡地についても,区役所機能を残すなど身近な行政機関として活用するべきと考えます。住民の皆さんの願いに沿った対応をされるよう強く要望しておきます。 次に,区役所移転に伴う北泉通の拡幅と高野川への橋の建設の問題についてお聞きします。周辺住民の皆さんは,昨年8月4日に北泉通の拡幅と橋の建設について突然説明を受け大変驚きました。この計画は昭和2年,実に83年も前に決定されたものですが,近年になってここに転居されてきた方は,市の担当職員に,あなたが生きているうちに道路ができることはないと言われたそうであります。住民の皆さんからは,既に付近に橋はたくさんある,景観を損なう,巨額の税金を使う必要はないということで,橋の建設の中止を求める要望書が提出されました。本市は,区役所建設の際のワークショップで交通アクセスの点から橋の要望が出されたと説明していますが,この付近には,既に北山通の松ヶ崎橋,馬橋,人道橋,北大路通の高野橋とたくさんの橋があり,既存の道路を使うことで交通アクセスは十分確保できます。この橋を造る場合,まだどれほどの予算額になるのか示されていませんが,最近架けかえた高野橋は約11億円掛かったとのことですから,同様の予算規模になることが予想されます。それだけの巨額の予算を使って,しかも住民との合意もない橋の建設を強行すべきではありません。現在の道路を使えば交通のアクセスは十分可能ですし,また本市は財政難を強調しているのですから,この際,この事業は中止すべきと考えますがいかがですか。お答えください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(加藤盛司) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 樋口英明議員の御質問にお答え致します。 円高の緊急対策,中小企業への支援についてでございます。円高は輸出関連企業を中心とした国際価格競争力の低下や収益の圧迫等により,企業の経営環境に悪影響を及ぼすものであり,この状況が長期に続けば,下請中小企業の受注減少やそれに伴う雇用の減少をもたらすなど,日本経済全体にかかわる深刻な問題であると認識致しております。そのため本市と致しましては,9月10日に中小企業支援センターに円高関連特別経営相談窓口を開設すると同時に,中核企業,中小企業への緊急調査を実施し,円高の影響やその対応策といった企業の生の声の収集に努めて参りました。その結果,既に影響が生じている,あるいは今後影響が予想されると回答した企業が7割を超えており,このため9月21日には京都府と共に金融機関に対して中小企業への円滑な資金供給を申し入れ,さらに明日国に対しても円高の影響を受けている中小企業への支援に関する緊急要望を行うなど迅速な対応に取り組んでいるところでございます。 次に,中小企業への支援についてでございます。有効な支援策を講じるためには的確な実態の把握が必要であり,これまでから中小企業経営動向実態調査や本市職員等による企業訪問,さらには関係経済団体との情報交換などを行って参りました。今後も引き続き様々な機会を通じてきめ細やかな中小企業の実態把握に努めて参ります。また経営の下支えとなる金融支援につきましては,中小企業の資金繰り改善に効果が認められる中小企業金融円滑化法及び緊急保証制度の延長を国へ要望するとともに,全国トップレベルの本市融資制度の円滑な制度運用に努めて参ります。なお中小企業の固定費につきましては,従来から申し上げておりますとおり本来経済活動にて個々の事業者が負担すべきもので補助としてなじまないものと考えております。 最後に,中小企業振興条例についてでございますが,中小企業政策の基本理念として本年6月に閣議決定された中小企業憲章の内容を十分に踏まえ,京都の力であります中小企業振興を柱の一つとした新京都市産業振興ビジョン(仮称)を年度内に制定し,引き続き中小企業振興に努めて参ります。以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(加藤盛司) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 左京区総合庁舎の移転についてお答え致します。 左京区総合庁舎につきましては,来年4月の竣工に向けまして現在順調に工事が進められているところでございます。課題となっております新庁舎への公共交通の確保につきましては,左京区役所や交通局など庁内各局が連携し,総合的に検討を進めているところでございまして,バス路線につきましてはできるだけ早期に考え方をお示しすべく,市バスと共に地域の大きな輸送になっております京都バス株式会社とも協議を行っており,少しでも利便性が高まるよう努力をして参ります。 次に,出張所につきましては市町村合併等の経緯を踏まえ市内に16箇所設けられているものでございますが,管内人口や交通アクセスの変化等によって,設置当初の状況に変化が生じているところもございます。そのため,人口規模や地理的条件を踏まえた市民サービスの確保の在り方などについて検討を行っているところでございます。岩倉出張所につきましても,先の市会において採択されました請願を念頭に置きつつ検討を行って参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 細見副市長。 〔細見副市長登壇〕 ◎副市長(細見吉郎) 鳥獣害対策についてお答え致します。 近年農林業の低迷,山村の過疎,高齢化等により野生鳥獣被害が山間部やその周辺市街地で多発し,営農意欲の低下を招くとともに市民生活に支障を来していると認識致しております。このような農産物被害や生活被害の防止策として,京都市では従来より狩猟期における捕獲を基本とした個体数増加抑制策に合わせ,防除さくの設置,レンタカウによる追い払いの実施,そして最近ではモンキードッグの育成など様々な取組を進めております。同時に,野生鳥獣保護協議会や地域住民による追払いの活動の支援も行って参りました。しかしこれらの追払対策には限界があり,依然として山間部でのシカやイノシシによる被害が多発しており,更なる強化対策が必要であると考えております。こうした中,本年度からは猿の動向調査を進め出没動向を踏まえた予防と捕獲を強化する一方,京都府猟友会への捕獲予算を倍増し,個体数の抑制により本格的に取り組んでおります。今後もこのような深刻な野生鳥獣被害に対応するため,本市関係部局の連携を深め,京都府や隣接する府県などとの広域的な対策を講じるとともに地元対策組織との連携強化の下,地域の実情に応じた総合的な対策に取り組み市民の生活の安心安全を確保して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 谷口子育て支援政策監。 〔谷口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(谷口義隆) 保育環境の充実についてでございます。本市におきましては,待機児童の解消のため保育所の整備,拡充による定員の拡大に取り組んできた結果,就学前児童数に対する保育所定員の割合は36.7パーセントで,横浜市の約2倍,神戸市の約1.5倍と,政令指定都市の中では新潟市に次いで第2位の保育所に入りやすい水準を確保しているところであります。こうした中で近年の男女共同参画社会の進展に加え不況の影響により就労を希望する保護者が増加していることなどから,待機児童が増加する傾向にあるため今年度当初におきましては125人分の定員拡大と各保育所の御協力の下,国基準を満たしたうえで,定員を超えた児童を積極的に受け入れていただいたことにより,昨年度当初と比較して700人以上の入所枠の拡大を行ったところでございます。また今年度予算におきましては,345人分の定員を拡大する保育所整備の予算を確保するとともに,本市会におきまして待機児童が増加している状況を踏まえた緊急対策として保育所の新設1箇所,分園の新設3箇所,合計135人分の保育所整備の補正予算を御承認いただき,合わせて480人分の定員拡大を図ることとしており,今後も待機児童の解消に向けて全力で取り組んで参ります。 次に,プール制につきましては,子供の最善の利益を基本的視点としてまとめられた京都市プール制検討委員会の答申に基づき,本市と京都市保育園連盟との協議によって,4月から民間保育園の主体的な経営の促進やバランスのとれた職員配置を目指した新プール制が発足し,7月には制度の詳細について決定されたところであります。本市と致しましては約40億円もの大きな予算を計上しておりますこの制度の下で,民間ならではの柔軟な運営と創意工夫がより一層発揮され,保育水準を更なる向上につながるよう取り組んで参ります。また保育所に関する最低基準につきましては,児童の処遇,安全,生活環境に直結する人員配置基準,居室面積基準等について国が基準を示すこととしておりますが,本市におきましては,国基準を上回る職員配置基準の改善を独自に行っている現状があり,現行の保育水準を維持するための十分な財源保障が比較的不可欠であることから,国に対し十分な財政措置を強く要望して参ります。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 田辺都市計画局長。 〔田辺都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(田辺眞人) 葬儀場の建設についてでございます。葬儀場の建設につきましては,交通渋滞等の交通問題,住環境への影響などを背景とした住民と事業者との建築紛争が度々起こっていること,また解決に向けた糸口が見つからず紛争が長期化するなどの課題があると認識しております。本市におきましては,こうした課題に対応するため,他都市の状況等も参考にしたうえで,平成17年度に指導要綱を策定し指導を行うとともに,国に対してその当時から継続して建築基準法における葬儀場の位置付けを明確にして,立地規制するよう要望して参りました。さらには,建築基準法の運用等に関する大都市会議等におきましても,葬儀場に係る紛争事例,あるいは法令に基づく立地規制の手法等について議論し,大都市間での情報共有を行っているところでございます。設計に入る前の構想段階での住民説明の義務付けに係る御提案をいただきましたが,本市と致しましては,昨年度指導要綱の改正に係る請願を受けて,新たに小規模な葬儀場に対しても建築計画の段階での事前説明を求める等の指導要綱の改正を行ったところであり,当面現在の指導要綱に基づき事業者に対する指導を継続して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(加藤盛司) 山崎建設局長。 〔山崎建設局長登壇〕 ◎建設局長(山崎糸治) 北泉通の拡幅と高野川への架橋についてでございます。北泉通は,白川通から下鴨中通に至る左京区中部地域の東西幹線道路として都市計画決定がなされており,そのうち高野川左岸の川端通から京都工芸繊維大学間の橋梁部を含む間のみが未整備となっております。本事業はこの未整備区間を整備することにより,現在建設中であります新左京区消防庁舎への高野川東側地区からのアクセス向上を図るものでありまして,地域住民の皆様からも新左京区総合庁舎整備に向けたワークショップ等を通じて,北泉通の早期整備の御要望をいただいております。今回の整備に当たりましては,平成20年度に概略設計を行い,平成21年度からは測量,地質調査,橋梁の予備設計等の街路基本調査を実施しているところであります。今後予備設計等の結果を踏まえまして,地元の皆様方への十分な御説明や関係機関等の協議をしっかりと進め,早期の整備を目指して全力で取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(加藤盛司) 本日は,これをもって散会致します。 〔午後4時42分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    加藤盛司          署名議員  山岸たかゆき          同     木村 力 △(イメージ)請願文書表「受理番号296」「国民健康保険料の納付要件の緩和」...