京都市議会 > 2007-02-26 >
02月26日-02号

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  1. 京都市議会 2007-02-26
    02月26日-02号


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    平成19年  2月 定例会(第1回)       平成19年第1回               京都市会会議録 第2号       (定例会)               平成19年2月26日(月曜日)出席議員(65名)   1番 村山祥栄議員   2番 湯浅光彦議員   3番 隠塚 功議員   7番 巻野 渡議員   8番 樋口英明議員   9番 宮田えりこ議員  10番 加藤あい議員  11番 木村 力議員  12番 曽我 修議員  14番 山岸たかゆき議員  15番 砂川祐司議員  16番 安孫子和子議員  17番 寺田一博議員  18番 津田大三議員  19番 中川一雄議員  20番 田中英之議員  21番 玉本なるみ議員  22番 赤阪 仁議員  23番 くらた共子議員  24番 河合ようこ議員  25番 久保勝信議員  26番 津田早苗議員  27番 井上教子議員  30番 宮本 徹議員  31番 中村三之助議員  32番 加地 浩議員  33番 橋村芳和議員  34番 小林正明議員  35番 加藤盛司議員  36番 繁 隆夫議員  37番 せのお直樹議員  38番 井坂博文議員  39番 岩橋ちよみ議員  40番 井上けんじ議員  41番 西野さち子議員  42番 柴田章喜議員  43番 久保省二議員  44番 大道義知議員  45番 日置文章議員  46番 谷口弘昌議員  47番 今枝徳蔵議員  48番 鈴木マサホ議員  49番 小林あきろう議員  50番 富 きくお議員  51番 内海貴夫議員  52番 田中セツ子議員  53番 磯辺とし子議員  54番 井上与一郎議員  56番 北山ただお議員  57番 山中 渡議員  58番 藤原冬樹議員  59番 倉林明子議員  60番 山本正志議員  61番 佐藤和夫議員  62番 ふじい佐富議員  63番 宇都宮壮一議員  64番 山口幸秀議員  65番 高橋泰一朗議員  66番 椋田知雄議員  67番 中村安良議員  68番 北川 明議員  69番 国枝克一郎議員  70番 西脇尚一議員  71番 青木ヨシオ議員  72番 加藤広太郎議員欠席議員(なし)欠員(4名)   議事日程   開議日時 平成19年2月26日(月)午前10時第1 議第1号ないし議第23号,議第26号ないし議第30号,議第32号,議第34号,議第35号,議第38号,議第39号,議第41号,議第47号ないし議第52号及び議第223号 平成19年度京都市一般会計予算 ほか40件~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(巻野渡) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。加藤盛司議員とせのお直樹議員とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願1件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付致します。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 日程に入ります。 日程第1,議第1号ないし議第23号,議第26号ないし議第30号,議第32号,議第34号,議第35号,議第38号,議第39号,議第41号,議第47号ないし議第52号及び議第223号,平成19年度京都市一般会計予算,ほか40件,以上41件を一括議題と致します。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。発言の通告がありますので,これを許します。国枝克一郎議員。 〔国枝克一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(国枝克一郎議員) それでは定例市会の第1番目の代表質疑を行わせていただきます。自由民主党会派の国枝克一郎でございます。どうぞよろしくお願い致します。 さて,昭和46年,1971年2月に初当選されました舩橋市長に対し,同年4月に当選しました自民党の新人議員の私がこの場で本会議質疑を交わしてから36年,私の長年にわたる市会議員としての本会議質疑は本日をもって最後にしたいと存じます。思えば,富井,舩橋と続いた革新市長時代の数年前,すなわち昭和35年,1960年の池田内閣からの経済成長計画,いわゆる所得倍増計画が軌道に乗り日本経済の成長は著しく国民所得が大いに伸びつつあったころ,その国富といいますか,その富の再配分を図るに際し,いわゆる階級歴史観に基づく思想の高まりの中で高揚を見た当時の革新首長とは一体どういうものであったのか。私は,そうした空気の中で,飽くまで容共的首長なりその勢力に反対し日本の伝統的価値観を大切にする政治家として務めて参りました。その私を今日まで御支持くださった京都市民の皆さんに,また共に闘った同僚,同志の皆さんに厚く感謝の意をささげます。さらに,時として激しく対抗して闘った皆さんに対しましても,ある種の感慨をもってお礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。 さて,その舩橋市長の第1期,昭和46年の本市の一般会計予算は幾らだったと御記憶されていますか。当時は,国でも各級の自治体でも経済の膨らみに応じて度々追加予算が組まれたものでありますが,いずれに致しましても昭和46年の一般会計予算額は628億円でありました。その10年後の昭和56年,舩橋市長が辞められるときの一般会計の予算額は3,968億円であります。何とこの10年間で6.3倍となっております。もちろんこの間には,中東戦争によるオイルショック,為替の自由化によるドルショックなどがあって,短絡にこれらの時期の財政や所得の伸びが安定した豊かさを表したものでないことは十分に承知を致しているものでありますが,少なくとも地方も政府の財政規模も膨らんだのであります。そのときに色々な政策や施策が計画され実施されました。経済の成長,税の自然増収,その増収を見越しての借金の増大,したがって,更なる財政の膨張のうえに新しい施策が,例えば都市インフラとしての地下鉄建設,新市街地の開発など,また各種の助成金,補助金が増える,また一般会計からの繰出金が増える。補助金,助成金の中には,昭和44年の政府の同和対策事業特別措置法に合わせて上乗せされた市単費の同和施策に絡む補助,助成金もあったわけであります。 福祉の舩橋と言う人がありましたが,私は一面,ばらまき行政だと批判したこともありますし,革新市政の名の下に労働組合にはカラ残業やヤミ手当的なものの妥協で同和団体も含めた市民団体の活動,もちろん福祉や労働団体,商工業者のイベントや展示会なども含め補助金や助成金は増えていったのであります。そしてそれ以降の市財政が逼迫化してくることになります。あえて言えば,それ以降の京都市政は,当時の膨張財政,放漫体質の是正にその労力の多くを費やしてきたとも言えるのであります。舩橋市政を引き継いだ今川市長は,その逼迫状態をいささかでも改善しようといわゆる古都保存協力税の導入を図りましたが失敗しました。次の田邊市長時代一般会計予算は約5,000億円。そして桝本市長第1期が6,643億円で,平成11年度に7,198億円に達してからはむしろ逓減を続け,ただ今上程の平成19年度一般会計予算は,昨年より48億円減の6,909億円となっているわけであります。何とか7,000億円台を回復し少しでも行政の幅を増やしたいところでしょうが,いささかの税収の伸びが見込まれても政府からの交付税収入等の減こそあれ増収は見込まれずにいます。要するに舩橋時代の10年間に6倍強もの拡大があった京都市の財政規模は,その後の20数年を経ても1.7倍にしかなっていないということであります。従来どおりの規模拡大を期待してなされてきた諸施策の遂行が難しくなることは,これは自明のことであろうと考えます。 そこで古くは老人医療の無料制度の撤廃,近いところでは地下鉄,市バスの敬老乗車証の有料化,また市が行う各事業,例えば京都まつりの廃止や縮小,市民団体,事業組合などが行う事業への補助金や助成金の縮小,撤廃。各種の手数料,負担金,広い意味で言えば昨年のごみ袋の有料化など市民に対しやむなくと言いますか負担増を強いてきたものであります。さらに,こうした財政の逼迫化と言いますか行政需要と財政の均衡を図るために,職員数の削減など職場の合理化が図られてきたわけであります。私は,率直に申し上げまして,こうした努力,職員の苦労に対して心から御苦労さんと申し上げるにやぶさかではありません。11年前,桝本さんを市長に擁立した一人として奥様を病気で亡くされた悲しみの中で御苦労なされてきたことについては,むしろ申し訳なく思うところであります。しかし,ここで私がお聞きしたいのは,こうした努力があってもなお京都市政の体質と施策に残っている課題について,いささかお伺いしたいのであります。 まず,京都市の財政,台所事情についてお伺いします。今日までの概略については,ただ今申し上げたところでありますが,例えば民間企業では,単体と同時にその企業の属する企業集団全体を単一組織体として決算を行い公表する,すなわち連結決算と言われるものがあります。投資家をはじめ関係者,社会がこれによってその企業ごと,あるいは集団を理解するものでありますが,京都市政にあっても一般会計,交通,水道,病院等の企業会計,国民健康保険,老人保健,介護保険等の特別会計,土地や住宅の事業公社や第三セクター事業,あるいは最近いわゆる指定管理者が運営しているといっても毎年助成や補助金の必要な事業も,さらに昨今のPFI方式による資金調達とその返済,償却なども含めて仮に京都市の事業を網羅して連結決算をしたらどうなるのか,将来の見通しをどう見ればよろしいかお聞かせいただきたいと思います。 もとよりこれは大変難しい質問でありまして,普通会計と公営企業会計では計算の基準が全く違うわけですし,国民健康保険会計などの制度的にも不採算が前提の事業もあり,一律に答えきれないだろうことは承知致している次第でありますが,政府もこの種の地方自治体におけるトータルな財政事情の把握に努める制度の法制化を考えていると聞きます。もちろん私は,政府のそうした方針だけに備えよと申しているのではありません。聞くところ,政府も例えば北海道の夕張市のような破産自治体が相当にある,あるいは突然に重篤な患者市町村が出てくるのでないかと危惧した結果の検討と聞きます。京都市の台所にもそうした危機の種はあるのではないかと取り越し苦労をしている次第であります。 今だからの話かもしれませんが,田邊市長の時代,私は,むしろ積極的に財政再建団体にしてもらってはどうかという策を提言したことがあります。実は京都市は,高山市長の時代,昭和31年から36年にかけて財政再建団体になった時代がありました。当時は非戦災都市ということもあって戦災と復興に関連しての政府支援も少なく,一方,消費都市,人口急増から来る行政需要を賄いきれず,加えて当時の度重なる台風水害の復旧のため赤字財政,財政破綻の趨勢にあったとき,むしろ自らに縛りを掛ける財政再建団体となり人員整理を含む今日のいわゆる行政改革と,一方,行政需要の精査を行い,市民に対しては世界文化観光都市京都を問い施策の重点順位を示して将来を約し,また政府に対しては,財政再建団体の指定を受けた面よりも都市行政を行い得る財源の付与の責任を迫り,既往の赤字償却にも特別措置を採るように迫ったものでありましたが,そうした例を田邊市長と話し合ったことを思い出す次第であります。 もちろん当時と今日では諸般の事情は違うのでありますが,要は総体としての京都市の財政状況を非常に危惧している次第であります。基準の違うものを一緒にして答えよというのはいささか酷かとも思います。民間のバランスシートは資産の時価評価を含むわけですが,こちらはそれができたとしても,だから資産売却で赤字を埋めるということは原則できない次第ですから,ランニングコストの収支とか資産と負債のバランスとか,あるいは土地の評価損や地下鉄の利払いなどの将来負担も含めてのこの辺り,京都市のトータルな財政の実態をできるだけ簡潔に分かりやすくお教えいただきたいのであります。 次に聞きたいのは,今,大量定年で話題になっております団塊の世代の就職が始まり出したころ,やはり舩橋市長時代に戻りますが,当時,人材不足,人手不足という時代が続いたのであります。労務倒産という言葉がはやりまして,中小企業等にはなかなか人手が集まらないために倒産する会社が現れたわけであります。率直に申し上げまして,当時は公務員もなり手が少なく人材確保の難しい時代であったと思っております。また学校教諭にも,でもしか先生などと揶揄された言葉がはやったり教員の人材確保に関する法律が制定されたのもこの時代でありました。もとより私は,そのころに公務員になった人々を十把一絡げで揶揄しているのではありません。私がここで申し上げたいのは,今日の諸般の趨勢を見るとき,再び人材難と言いますか人手不足の時代が来ると思うからであります。将来の京都市行政の人材確保をいかがお考えかとお聞きしたい次第であります。高齢化社会の深まっていく一方,若年人口が減少していく,そう考えると将来の行政作業に当たる公務員の人材確保は大変大切なものであると存じます。もとより公務員の質についての議論や警告の論も大切であり,昨今も非常に多くまた深刻に語られていますが,今ここでは自明のこととして論じませんが,そういうことも含めて,すなわち公務員のレベルアップも含めて今後の人材確保についてのお考えをお聞きしたいのであります。 次に,当時,主として現場作業員の人員不足に対処するために同和地区からの採用を増やすことで切り抜けようとしたことは事実でありました。同時に同和団体と京都市政との間の課題もまた顕著になってきたのであります。我が党は,今川市長時代に独自に同和問題研究会を発足させて度々市当局に提言,勧告,申入れ,さらに市会での決議等,市政をただしてきたところであります。率直に言って当時は,鳥居,川嶋問題のごとき職制ぐるみの公金詐取事件や,交渉,助成,職免の行き過ぎが強まりえんさの悪弊をもたらすことになり,担当課長や係長に至るまでその交渉と事前折衝等に精神を摩滅するばかりで時間を費やし,生活に脅威を感じるほどの飲食を伴う交際費の捻出に苦しみ,仕事に対する意欲を失わせしめていたのであります。また京都市の人事権が同和団体に握られていたとも言われ,人事異動の季節にはそうした幹部へのあいさつ回りが常識化していたとも言われるのであります。今日そうした弊害はなくなったと私は見ていた次第でありますが,事実は今も引きずっているのかどうか,あるいはその残し,その残映がいまだにあるのかどうか,それをお聞きしたいと思います。 なぜ改めて聞くかといえば,昨年来の不祥事は,いわゆる組織的あるいは徒党を組んだような事件ではなく,むしろいわば個人的な人格にかかわる不祥事が多発したと考えるからであります。昨今の公務員なり社会のリーダーには,いわゆるノーブレス・オブリージュが欠けていると言われていますが,それ以前の問題として,これらの不祥事は公務員でなくとも誰が起こしても不祥な事件であります。普通でいえば,同僚や友人やもちろん上司や職制が注意して正すものであります。それができていなかったということは,それらの同僚や友人や上司や職制が何かにおびえていたからではないか,そうした何かにおびえた状態が京都市役所にはあるのではないか。そうした人格を欠く倫理観が育たない組織体が京都市役所なのか,あるいはそうした職場での人格形成なり人間としての倫理観をはぐくみ得なかった理由はどの辺りにあるのかを承りたいわけであります。 次に,ただ今上程されています新たな景観政策関連条例も含めての京都創生論について伺いたい。景観問題についての論争は長く広く論議されてきました。我々京都側にとっても政府側にとっても,市民側にとっても行政側にとっても幾段階の過程や経過を重ねてきたところであります。今回の新たな景観政策も,京都の先進的施策を採り入れ一昨年から施行されている国の景観法に呼応しようというものでもあります。また京都の存在と維持発展を,むしろ京都の生きる道のアイデンティティを日本の象徴としての伝統的文化首都と位置付け,その創生支援の国家戦略を特別措置として国に迫る以上,私たちも明確なコンセプトを持って努力しなければならないことだと思います。その理屈をここで繰り返す時間は残念ながらありません。ただ京都が個性あるまちとして,いつまでも魅力を持ち,それゆえに繁栄を続けるとしても,その作業は,まちづくりも文化伝統の継承も,さらに,そこから生まれ発展する新旧の産業,商業も,その担い手は,圧倒的には民間人というか市民であるという認識はしっかり持って取り組んでいただきたいと存じます。 そこで,まず景観問題であります。今市会に提出の条例の詳細の審議は,もとより委員会審議に譲ることになるわけですが,この条例に関してのパブリックコメントも色々な意見があったわけです。また今回は,新聞1ページ大の意見広告が4回と言いますか3者から出ております。それらは基本的には,京都のまちがこのままで良いとか,現在の趨勢のままで良いとかではない中での御意見と私は察するのでありますが,幸い今日はテレビ中継ですので,答弁時間も限られているわけですけれども私への他の答弁は簡略にしても結構ですので,過日出された意見広告の何点かについて分かりやすく市民への御説明なり御回答をされるように求めるものであります。 次に,京都創生論の3本柱の文化芸能について少し主張させていただければ,国立京都伝統文化芸能センターの必要と誘致を訴えられていますが,一方,既存の例えば北野にあります上七軒の歌舞練場が老朽化して使用に耐えなくなりつつある問題,もとより宮川町,先斗町の歌舞練場も同じ傾向と聞きますが,これらの建造物の修復や改築などの困難性について地元自治体としていかがお考えなのかお聞きしたいのであります。また国立の歴史博物館も政府に訴えておられます。果たして京都に二つ目の国立博物館が取り上げられるであろうか私は疑問視する次第です。私は,むしろ幸いにして現在の国立博物館の改築の計画が進んでいると聞いていますので,現在の博物館も古代からのものを相当に所蔵していますが,さすが京都ですから,市中には歴史的にもあるいは地球規模においても世界に冠たるお宝的な繊維,染織,言うところのテキスタイルが膨大に所蔵されております。これを例えば小学校跡地の一つにでも現在の国立博物館の分館として,世界初になるのでしょうかナショナルテキスタイルミュージアムを建設することの方が適切であり,かつ世界への中枢情報機能が大いに発揮されると提言申し上げますがいかがでしょうか。 3本目の柱にあります観光についても1点申し上げます。観光客が4,000万,5,000万人と入洛の人々が増えることは誠にありがたい次第であります。ましてや世界中が観光を21世紀の大きな柱と託する中で京都の先進性は誠に結構だと存じます。同時に,反省や課題も出ているわけです。例えば滞在型の観光客を増やさなければならないとか,エリアを一極集中的なものから複数,分散化しなければならないとかであります。そのため昨年は嵐山で花灯路まつり等が企画されたわけですが,もっと洛中,都心部,私は西陣地域と言うよりも今出川通界隈での観光エリア化を提言している者であります。ここには多くの社寺仏閣,それは10や20ではありません。何十という社寺仏閣や遺跡があり,京都御所や各種の美術館や博物館が連なり,伝統文化,芸能の拠点もあり,加えて伝統的工芸品のものづくり工房がたくさんある所であります。特に沿線には多くの学校,大学があります。私は,長年にわたりこの今出川通に公共交通機関を整備することによって,にぎわいと観光客の東西の流れを良くしたいものだと考え活動してきた者の一人でありますが,今出川通のいわゆるLRT構想についてのお考えをお聞きしたい次第であります。 最後に,京都創生論の遂行のためには国の支援は欠かせないわけですが,その国の特別措置といったものの今日の感触,今後の反省はどこまで進んでいるとお考えか,また政府の各省の課長クラス以上の方々によって,いわば京都創生論のサポーター役として京都研究会なるものが生まれ,様々なアドバイスをもらっているとも聞いていますし,今後の京都の努力に呼応していただけるものと期待致しておりますが,その実態と言いますか現状と今後についてお聞きしたい次第であります。以上で第一質問を終わります。ありがとうございます。よろしくお願いします。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 国枝克一郎議員の御質問にお答え致します。 ただ今国枝克一郎議員から京都市会議員として初当選されて以来,36年間に及ぶ京都市政史を概観されつつ真に日本の伝統的価値観を大切にする政治家としての実績を基に極めて示唆に富んだ総括を賜りました。深く肝に銘じ行政の舵取りをして参りたいと存じております。 まず初めに,本市の総体的な財政状況についてのお尋ねでございますが,国枝克一郎議員御指摘のとおり,今日公営企業会計や出資法人等も含めた全市的な財政状況の把握は誠に重要な課題であると認識致しております。残念ながら,現時点では的確な手法が開発されておらず正確に本市の実情を表すことは困難でありますが,本市の平成17年度決算における連結バランスシートを他の政令市と単純にではございますが比較した場合,資産総額約4兆2,000億円に対する負債総額約2兆5,000億円の割合が60パーセントとやや高く,特に公営企業の負債の割合が高くなっております。このため一般会計におけるプライマリーバランスの黒字確保に引き続き努め,負債の総額抑制を図ることが肝要であると考えております。また公営企業会計においては,大規模な設備投資の終息や懸命な経営改革の取組により企業債残高は減少しているものの,一方で不良債務が増大していることから,一般会計からの支援も含めた抜本的な改革努力が引き続き重要となって参っております。今後とも持続可能な財政運営と市民サービス向上の両立を目指し,京都市総体の負債管理を徹底して参る考えでございます。 次に,今後の京都市職員の人材確保についてでございます。行政需要の高度化,地方分権などに対応するためより高い能力が職員に求められる一方,景気回復や少子化の進展に伴い人材確保の競争が今後激化することは議員御指摘のとおりでございます。こうした状況の中,人材を確保していくためには,都市そのものの魅力を高めるとともに働きがいのある職場づくりに努めることが必要不可欠でございます。昨年12月の職員採用試験におきまして1,200人もの受験者を得たことは,京都のブランド力の高さを改めて認識する機会であったと考えており,今後も京都創生の実現をはじめとする政策を強力に推進して京都の都市格に一層の磨きを掛け魅力を向上させて参ります。また,インターンシップ等大学との連携により本市で働く魅力を発信するとともに,民間企業等職務経験者の採用の拡大など人材確保に努めて参りたい考えでございます。 次に,運動団体と不祥事発生の背景についてでございます。40年以上にわたる同和行政を進める過程において,運動団体との関係が相当の期間正常と言えない時期があったのは議員御指摘のとおりでございます。私が市長に就任した直後の平成8年度に交渉を全廃したことをはじめとする一連の同和行政の見直しを経て,現在ではそのような不正常な状態は一切ないと認識しております。しかしながら,問題解決後も過去の意識にとらわれて一部の職員を特別扱いしたり,必要な職員指導を躊躇するなどのまさしく残しともいうべき状況が市役所組織の一部に残っており,これが今回の不祥事発生の要因の一つになったのは間違いないところであります。私は,一連の不祥事を受け,全任命権者の職員に対し運動団体に限らず特定の団体,個人の特別扱いを容認するような慣習,組織風土はこれを一掃し,事なかれ主義に陥ることのないよう改めて強く指示したところでございます。今後ともすべての職員にこのことを徹底し,誇りを持って市民のために働ける風通しの良い組織づくり,市役所づくりを進めて参りたい考えてでございます。 次に,新景観政策についてでございます。国枝克一郎議員から新景観政策について新聞に出された意見広告に対し,この場で京都市の考え方を分かりやすく市民の皆様に説明せよとの御提案をいただきました。私は,京都の景観を守り育てる真の主人公は市民であり,その理解を得ることが今回の政策の要ていであると考え,これまであらゆる機会をとらえて市民の皆様に政策の趣旨や内容を御説明申し上げて参りました。この1月30日には,市民や事業所の皆様の貴重な御意見を踏まえた修正箇所や基本的な考え方について私自ら発表致しましたが,議員の御提案に感謝申し上げまして改めて具体的な例を挙げながら御説明させていただきます。 さて,市民の皆様からの御意見で最も多かったのがデザイン基準に関するものであり,また新聞の意見広告もほぼこの点に集中致しておりました。今回お示ししたデザイン基準は,これまでの本市の美観地区や風致地区における審査実績に基づき,50年後,100年後の地域のあるべき姿をイメージして御提案したものでございますが,市民の皆様とのパートナーシップの原点に立ち返り御意見をできるだけ柔軟に採り入れ,修正することと致したものでございます。その修正点の主なものとしては,一つは,和風屋根の基本的な要素であるいわゆるケラバの設置の義務付けにより,間口の狭い狭小敷地では希望する家が建たないとの御意見についてでございます。原案でもすべての地区について求めていた基準ではありませんが,更に地区を限定するとともに,義務付けを行う地区についても狭小敷地での建て替えなどにおいてケラバの出を緩和できる旨を明確に致しました。二つ目は,いわゆる空地部分の30パーセント以上を緑化することを求めた原案に対して,駐車スペースの確保等ができなくなるとの御意見がございました。まちの緑は町並み全体の品格の向上にもつながるなど極めて大切な要素でありますが,緑化を求める区域を山すそや水辺など自然とのかかわりが大きい区域に限定致しますとともに,空地の画一的な面積基準とすることを改め100平方メートル以上の敷地について道路や河川側等への植樹を求める基準へと修正致しました。三つ目は,風致地区の拡大区域における狭小敷地については,建ぺい率や壁面後退などの規制により建て替えが困難になるとの御意見でございます。実は原案でも,狭小敷地の建て替えに対する特例措置を従来どおり存続しておりましたが,加えて基準を一律に適用するのではなく,追加される地区に応じて建ぺい率の上乗せや壁面後退の規制は設けないなど各基準の適切な組合せを地区特性を踏まえて行うことと致しました。四つ目は,屋外広告物でございます。屋外広告物は,従来から許可の有効期限を3年間としており,原案において新たな基準に適合しない場合でも許可を受けた時期に応じて3年から6年の範囲で存続することを認めることとしておりましたが,この期間では不十分であるとの御意見でございます。このため新たな基準に適合させていくための改善計画が提出されたことを条件として最大7年を限度にその存続を認めることと致しました。さらに,現在残念ながら違反広告物が多い実態にかんがみ,新景観政策の施行までに違反物件の徹底した取締りを行い,公平な行政の実現に最大限に努める考えでございます。 これらは修正の一部であり,このほかすべての数値基準には一定の例外を許容するとともに,優れた提案や地域住民の皆様からの御提案を受けて基準を柔軟に見直していく,いわば進化するデザイン基準と致しました。こうした修正に対して,今度は裁量範囲が不明確であるとの新たな批判がございますが,私は,審査に当たる職員の十分な確保と資質の向上を不断に図って参ることとしており,必ずや御理解いただけるものと確信致しております。京都の景観は正に待ったなしの状況にあります。多くの市民の皆様や事業者の皆様もこの点は御賛同いただけるはずであり,私は,必ずや市民の皆様と共に新景観政策を軌道に乗せ,都市間競争に打ち勝ち歴史都市京都のすばらしい景観を守り育て後世に引き継いで参る決意でございます。慧眼の士である議員各位の御理解と御支援をよろしくお願い申し上げます。 今出川通における次世代路面電車LRT構想についてお答え致します。LRTが地域の魅力を一層高める動く観光資源になるとの御信念の下,その導入に熱心に取り組んでこられました国枝克一郎議員の御熱意に改めて敬意を表します。私は,これまでLRTについては環境に優しい定時性の保てる新しい公共交通システムとして世界の大都市の新しい潮流になると認識しておりましたが,同時に市民の皆様との議論を大切にしたいと考え様々な調査資料をすべて公表するとともに,モデル路線の中から東西の代表する観光地である嵐山と鞍馬を結び市内の公共交通ネットワークの向上に寄与する今出川線を選び,沿線においてシンポジウムや意見交換会を重ねて参りました。さらに,1月には今出川通において大胆な交通社会実験を実施し,各方面から大きな注目を浴びたところでございます。今後皆様からいただいた貴重な御意見やこの度の実験で得られた結果などを十分検証,公表し,京都のまちにふさわしい新しい公共交通システムの在り方について様々な課題解決に向けて更に検討を深めて参る所存でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは伝統文化の継承とその拠点としての建造物の維持保存についてお答え致します。邦舞,邦楽等の伝統芸能は日本人の精神性や美的感覚を顕著に表す世界に誇る貴重な文化でございます。京都市では,こうした日本文化の真髄である京都の優れた伝統文化を次世代にしっかりと引き継ぎ,国内外に発信する京都創生策の一つとして国立の京都伝統芸能文化センターの誘致を目指すことと致しておりますが,議員御指摘のとおり,京都には上七軒歌舞練場など伝統文化,伝統芸能の継承に重要な役割を果たしてきた建造物が多数ございまして,これらの中には老朽化,再整備が課題となっているものもございます。こうした中で一部の施設,建物につきましては,経済界をはじめとした市民の皆さんによる支援の動きもあり誠に心強く思う次第でございますが,京都市と致しましても,今後関係者の皆様の御意見をお聴きしながら低利の融資制度の創設をはじめとしてどういう支援が必要なのか,また行政として何ができるのか積極的に研究検討して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 上原副市長。 〔上原副市長登壇〕 ◎副市長(上原任) 私からは2問についてお答え致します。最初は国立京都歴史博物館とテキスタイルミュージアムの建設についての御質問でございます。国立京都歴史博物館につきましては,平成15年6月に京都創生懇談会から御提言いただいたものでございますが,平成17年に建設された九州国立博物館の例を見ましても,粘り強く息の長い活動を展開する必要があり,今後その内容を固め建設の意義や必要性を国に強く訴えて参りたいと考えております。御提案のありましたテキスタイルミュージアムの建設につきましては,京都国立博物館が相当の作品を所蔵されており,また,市内の企業なども多くの貴重な資料を所有しておられることから,今後,関係団体の御意見もお伺いし,同博物館に機能を付加していただくことも含め,こうした京都ならではの施設の実現可能性について研究して参りたいと考えております。 次に,国に対する京都創生の取組についてでございます。京都創生実現のためには総合的な国の特別措置が不可欠であることから,昨年,歴史都市京都創生策Ⅱを取りまとめたところであり,今後も引き続き行財政措置を要望するとともに特別措置法の制定などを国に対して求めて参ります。関係省庁の幹部の皆様と本市職員により設置した日本の京都研究会でありますが,これは他に例のない京都ならではのユニークな取組であり,実際に京都で景観の保全再生や文化の継承,創造の取組を体感いただくとともに,京都創生に係る京都市の取組状況や課題を説明し,国の視点から助言をいただいて参りました。国の各省庁においても京都創生の意義を御理解いただき,文化庁関西分室の京都への設置,清水地域の防災水利モデル整備事業,景観形成総合支援事業の創設など着実に成果を上げており,今後とも日本の京都研究会を通じて緊密な意見,情報交換を行い京都創生の実現に役立てて参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 国枝克一郎議員。 〔国枝克一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(国枝克一郎議員) 持ち時間があと6分22秒でございますので回答の時間も恐らくないと思います。私の所感だけを申し述べることになると思いますが,よろしくお願いしたいと思います。 まずLRTの話ですけれども,10年目を迎えました京都議定書はもとより,先月パリで開かれました二つの地球環境国際会議,あるいは過日桝本さんが主催されました地球環境の変動に関する世界首長会議においても,これからは公共交通機関の利用と言いますか促進を図らなければならないというのが世界の趨勢でありますので,ひとつその点はしっかりと押さえていただきたいと思います。 ただ残念ながら,京都は路面電車に対しましては賛成の方も反対の方も過去の路面電車の概念でなさいますが,このLRTというのは相当優れた優れものでございますので,ひとつこのPRのためにも例えば区役所などにポスターの1枚も張っていただければ大変ありがたいと思うわけであります。 次に,人材の確保と職場の規律でありますけれども,例えばインストラクター,ケースワーカー,カウンセラー,それからインスペクターというのですか審査あるいは監査といった現場の熟練工的な人材が本当にこれから必要と言いますか不足してくるのだろうと思うわけであります。こういう方々の育成を特に図っていただきたいと思うわけでありますが,その職場に精通したということと同じ職場に居座るということとの弊害といいますか,メリットとデメリット,この辺の兼ね合いと言いますか形骸的な人事異動でもなければ屋上屋を重ねるような規則でもなく,あるいはマニュアルだけでもないそういったもの,正にこれがマネジメントの真髄であろうと思うのでありますが,こういったマネジャーの育成にも取り組んでいただきたいと思うわけであります。それは正に人と人の関係でありまして,規則だけの関係ではないと思うのでありますけれども,その人と人との関係が職場職場の規範,あるいは人間の形成に役立つ職場の雰囲気を作り出していくと思うのであります。それは上司あるいは同僚あるいは部下ということは関係なく,正にこれは友情のたまものだと私は思います。しかし友情といってもなれ合い,ましてやなめ合いだけではなくお互いに人間性を高めるという側面を持つものであります。私は,今回のこの不祥事を契機にして職場の皆様,なかんずく同和地域の関係の皆様,選考採用された仲間の皆さん,そしてその中から今管理職になっていらっしゃるような方々も含めて,職場の皆さんの友情の発展,進歩を心から祈る者であります。 平成18年10月19日に私たちは北九州市へ再度視察に参りました。向こうでの不祥事の問題等々を聴きましたところ,全くそういったものはないという話でありました。振り返れば,平成5年に大変な問題が起こりまして,私たちはそこへ視察に行ったことがあるわけですけれども,その改善のことを聴きましても,やはり職員同士,団体間の自浄作用あるいは自助努力が正常化の原点であると聴いたわけであります。その点をひとつ参考までにお聞きいただきたいと存じます。 それから京都創生論の話ですが,芸能センターも含めて,欲しいと言えば悪いとは言いませんよ。言いませんが,例えば3月10日に島根県では古代出雲歴史博物館というのが県立で出来ます。九州の国立博物館も,これは実は明治時代に岡倉天心の提案で昭和の掛かりに帝国議会で議決されておるわけです。戦後40年代に約17万平米の土地を福岡県の太宰府で取得と言いますか提供しておる。そしてようやく昨年か一昨年に建ったということでありまして,これは大変な問題であります。上原さんが言うように粘り強くやると言われれば,それは粘り強く頑張りましょうと言わざるを得んのでありますが,例えば京都でやってもそれだけの土地が確保できるのか。そういうことも含めて,私は,まずはテキスタイルミュージアムの方が今取り掛かるのにはいいのではないかと申し上げているわけであります。ないものねだりではいけませんので,この上七軒なりあるいはそういった伝統芸能の施設もないものねだりではなしに,あれが欲しいこれが欲しいではなしに,まずあるものを活用してそれをはぐくみ育てていく姿勢を私は求めるわけであります。 時間がありませんが,財政事情は極めて厳しいわけであります。例えば京都には昔からあります伝統的なかまど金制度といいますか,かまど金の思想といったものも,これから高揚していかなければならないのではないかと思うわけであります。また外資を募るというと誠に奇想天外に思われるかも分かりませんが,要するに京都創生論は,その導き出されるものは都市経営としてもあるいは域際経済としても,この京都がもうかるということがその基点であります。基点であるということを考えますと,むしろ外資を求めてもしっかりと京都が産業的にも観光的にも伸びていくという目標が京都の創生論にあるということをここで改めて申し上げたいわけであります。そうした認識が深まることによって市民の気概,風土といったものが大いに醸成されると思うわけでありますが,京都市政のなすべきことは一層あると思うわけであります。以上,申し上げまして私の質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 次に,中村安良議員に発言を許します。中村議員。 〔中村安良議員登壇(拍手)〕 ◆(中村安良議員) 自由民主党京都市会議員団を代表して平成19年度予算案並びに関係する諸施策について質問致します。 昨年は,不祥事に明け不祥事に暮れ,16人の逮捕者も出し市長自ら市民の信頼は地に落ちたと言わしめて,抜本改革大綱58項目をまとめ,その実現に全庁挙げて取り組まれています。しかし,いったん地に落ちた信頼を取り戻すのは並大抵のものではないのであります。昨年末の局区長会の席上,市長は,不祥事の根絶なくして市政の未来はない。事なかれ主義から脱却し勇気を持って問題点を正して市民の信頼を取り戻さねばならないと述べられ,また本年の年頭訓示では,市長就任以来,年頭訓示をはじめとして繰り返し市民の信頼なくしては京都市政は成り立たない。京都市職員としてどうあるべきか。目指すべき公務員の姿をどのようなものにするか全職員に伝えたつもりであるが,自分の思いが組織の隅々まで行き届いていなかったことが誠に残念であり痛恨の極みである。今まさに私たちの真の実力と志の高さが試される正念場であると言っておられます。幹部職員をはじめ全職員が過去11年間市長の訓示を真剣に我がことと受け止めていればこのような不祥事は続発しなかったはずであり誠に残念であります。京都は,日本人の心のふるさと,世界の古都京都として日本国内はもとより世界の人々のあこがれの都市であり,1200年の政治文化の中心都市として繁栄し,今,国内外から4,800万人の観光客が訪れる都市でもありますが,これからも不祥事が続き逮捕者が続出するようなことになれば,ふるさとは遠きにありて思うものとなりかねないのであります。桝本市長にとって今年は3期目の最後の予算編成を迎えられ,マニフェストにも書かれている111項目の公約をどのように達成しようと考えておられるのか。仮に昨年のように厳しい市民の目線を受ける事態になれば,どのような責任の取り方をされるのか最初にお伺い致します。 京都府と京都市は,これまでから府市協調を掲げ互いに協調,連帯して行政を進めてきていますが,残念ながら,保健福祉局の分野においては従来から京都府からの補助率の格差の問題が積み残されています。振り返れば,我々自由民主党京都市会議員団は,平成14年の山田知事初出馬に当たり京都市への財源拡充,補助率の格差是正を強力に要望しましたが,格差是正は依然として放置されたままでありました。そのため我が自民党議員団は,この事態を深く憂慮し,昨年,山田知事2期目の推薦に当たってはもちろんのこと新年度予算編成に当たっても,山田知事に対して要望書を提出し格差の是正とそのための府市の協議の場の設定を強く要請しました。その結果,理財局と京都府総務部の間で行財政連絡会議を設置して議論を重ねられ,また,桝本市長も山田知事に対し事あるごとに格差の早期解消を話し合われたと伺っております。先般発表された乳幼児医療費助成制度は,名称が子ども医療費支給事業に変わって,入院の自己負担額200円が小学校6年生まで大きく拡大し,通院の償還払いも自己負担限度額が8,000円から3,000円に充実され,それに併せて懸案の補助率格差もなくなりました。我々や市長の努力がようやく実を結んだと心から喜んでいます。遅きに失したとはいえ京都府の努力にも敬意を表するところであります。しかし障害者や老人医療など残された格差はまだまだ存在しております。半分笑顔で半分落胆です。京都市民は京都府民でもあります。京都市民の福祉向上のため,また真の府市協調のためにも残された格差の早期解消を図らねばなりません。そこで市長にお尋ね致します。残された福祉医療の補助率格差5パーセントの解消に向けて京都府とどこまで話を詰められているのか,早期解消のめどは立っているのかお答えいただきたいと思います。 平成12年11月市会本会議において特定疾患及び血液難病について質問させていただいてから早8年,各年度の予算,決算市会を含め自分に与えられた使命だと思い命の大切さを訴え続けて参りました。特定疾患は原因不明で治療方法が確立していない,いわゆる難度が高く,診断技術が一定確立し,難治療度,重症度の高い疾患である45例が特定疾患治療研究事業の対象になり,本市も平成13年1月に京都市基本計画を策定し難病対策事業の推進を市政の重要課題に位置付け,難病患者療養実態調査の実施をしていただき,その把握に努め対応していただいていると思いますが,国の制度で各保健所から直接京都府に報告され,その実態を把握しているのは京都府だと聞いております。すべての人が生き生きと暮らせるまち,誰もが安心して暮らせるまち,福祉は後退させないと市長は常々言い続けておられますが,難病患者の実態調査をされて45例の難病患者数をどのように把握され,京都市独自の対策をどのように採られているのか。早く元気になり健常者として社会のために働きたい,その願いを持ち続けながら難病で苦しむ本人やその家族の願いをどのように酌み取られてきたのか。今後,難病で苦しむ方々が少しでも笑顔で暮らせる政策をどのように進めていかれるのか。また難病患者の入院,外来の自己負担について本市独自の制度が出来ないのか御所見をお伺い致します。 将来の夢と希望を持ちながら急性骨髄性白血病で17歳の短い命を終えた孫を思い,善意のドナー登録を今13万人の方々にしていただいておりますが,非血縁者間の移植手術に必要なドナー登録は30万人が必要であり,移植手術の機会を失い絶望のふちにいる患者に一日も早くドナーが見付かることを毎日毎日心に念じつつ,短い命を少しでも回復し,社会に出たい,健康体で活躍したい,そのような思いを持つ患者,家族のため30万人目指してドナー登録をしていただきたいとこの本会議場にてお願いして参りました。この思いの中で,本市は市民しんぶん,各区市民しんぶんにドナー登録について掲載していただき,保健福祉局健康増進課も積極的にテレビ,ラジオ,ポスター,各種イベントでドナー登録の重要性を啓発していただき,今,全国で27万人が登録され,多くの血液難病患者に生きる光を与えていただいていますが,仮に骨髄移植ができてもそれで健康体になったのではなく,6箇月,1年,2年,3年,5年と異常がないか検査が必要であり,生きる喜びと共に真の健康体になるまでの不安が本人にあり,そのケアも必要であります。今まで取り組んでいただいている政策を更に進めて一人でも多くの血液難病患者を救うためにも,生きる喜びを実感するためにも,公的病院であります市民病院には患者用の無菌室が1室しかない状態では人の命を救うことはできないし,将来,改築により2室に増やすとのことでありますが,2室でも患者の命を救うことは並大抵ではないと思います。今後,医療面の充実を含めてどのように進めていただけるのかお伺い致します。また行政は,これからも私が命を懸けて言い続けてきた移植ドナー登録についてどのように啓発し,またこれについて真剣に取り組んでいただけるのか重ねてお尋ね致します。 私は,農家に生まれた幸せを誇りに思い,これまで農は国の大本である農林業の振興について幾度となく質問させていただきましたが,最後の議員活動の集大成として心の中にある大切な本市農林業にかかわることについて質問させていただきます。文化的な価値を創出してきた米が近年軽々に論じられ,保護農政の象徴的なことに置き換えられ,目先のみの効率主義者から悪者扱いされている中で,私は,あえて米が果たす役割,果たしてきた役割は大きいものがあると思っております。大体どの国でも幾つかの食べ物があり,その中のかなめとなる食べ物を組み合わせて食文化を作っております。日本人が,たくさんある食べ物の中から主として選んだのが米であります。米の特徴は,精白するのが容易で粒のまま炊いておいしく食べられます。同じ穀物でも麦は粒のまま食べるとまずいので粉にしてパン等に加工しなければなりません。また米のもう一つの特徴は,穀物にしては珍しく栄養価が高く,栄養的にもバランスが良く,人間に必要な8種類のアミノ酸がすべて含まれております。それらに比べ小麦は含まれている蛋白質の品質が良くないので,他の食品,特に動物性食品の助けが必要となります。このようなことから米の良さが実感できるのではないでしょうか。成熟した消費社会の中で食の簡便化,外部化,欧米化,家庭食の多様化が急速に進行した結果,世界に自慢でき誇れる日本型食生活が見えなくなってしまうのではないかと危惧しております。日本人はまだ箸を手放していません。家庭においてはお客様にごちそうするときパン食にする家庭は少なく,心温まる手料理の日本食が出されることが多い状況下にありますが,日本人が誇れる理想的な米主食の食事が衰退することなく受け継がれていくためにも子供の食育の充実を図っていかなければならないと思います。市長の御所見をお聞かせください。 一方,子供の食育を推進する中で最も重要なことは,食卓の向こう側に何があるかを学習させなければ真の食育の成果はないと思います。昨年の11月に政府が閣議決定した初の食育白書の内容を見ておりますと,残念なことに食卓の向こう側は弱く,家庭における食事の在り方的な問題しかとらえていません。食育の推進に当たっては,子供たちが置かれている今日の現状を十分に見詰める必要があります。子供の遊び環境としての自然環境の狭量化とそれに伴う日々の生活実感の希薄化,貧困化が進んでいることの認識をまず持たなければならないのではないでしょうか。そこで市長にお伺い致します。農業は子供たちにとって経験の場,体験の場としての学びの宝庫であります。こうした教育資源の活用として食育推進の中で意図的に農業とのかかわりを仕掛けていただきたい。そのことによって豊かな人間形成や食に関する感謝の気持ちと理解が醸成されるものと思っております。また,19年度から開始される週4日の米飯給食には,地産地消,身土不二の観点から京都府産ではなく全量市域産の米で愛着が持てる米飯給食の展開を進めていただきたいと思いますが,市長の御所見をお聞かせください。 次に,森林林業の振興にかかわることについてお尋ね致します。昭和30年代以降,外部輸入等により国産木材価格は低迷し,森林整備に対する林業家の意欲は急速に喪失し,地域林業は危機的状況に直面している現状にあります。京都市は,森林整備に対し林業家の支援に努めておられますが,国の補助事業の採択基準に満たない小規模森林においては森林所有者の個人負担による対応しかありません。個人の自己負担にも限度があり放置荒廃森林は年々増加し歯止めが掛からず,京都の美しい三山の自然環境を守り続けることができなくなるのではないかと危惧しているところであります。そこで京都議定書における我が国の温室効果ガス排出削減目標の6パーセントのうち森林における二酸化炭素吸収分は3.8パーセントを目標とすることとされておりますが,全国的な林業の低迷による森林の放置により森林の二酸化炭素吸収能力は減退し,昨年の林野庁の試算によれば,この吸収目標を達成するためには平成24年までの6年間で毎年新たに20万ヘクタールの放置森林を整備しなければならないと言われております。京都市におきましては,地球温暖化対策計画に基づき本年度から導入された家庭ごみ袋有料化制度による排出ごみの削減をはじめ様々な温室効果ガスの排出削減対策に取り組まれておりますが,吸収源対策としての森林整備については,計画には挙がっているもののその必要性に対する市民の意識もまだまだ低く,市域の広大な森林を健全に保全し確実な二酸化炭素吸収源に位置付けられるようにするためには,厳しい財政状況の中,極めて不十分な取組しかできていないと言わざるを得ない状況にあります。今後は排出量削減対策と並行して森林の二酸化炭素吸収能力向上対策についても将来にわたって京都市としての安定した財源を確保することは喫緊の課題であります。 そこで家庭ごみ有料化の財源の一部を活用して,都市と森が共生する山紫水明の美しい古都京都にふさわしい森林の整備保全制度を創設することを提案したいと思います。具体的には,家庭ごみ有料化制度の財源の1割程度を活用して,植林,間伐,枝打ち等の森林健全保全対策を講じることによって,森林の二酸化炭素吸収能力向上対策の推進を図っていくものであります。市民一人一人が家庭ごみの削減に取り組みながら京都の自然豊かな美しい環境を守って二酸化炭素の吸収源対策に貢献することになり,京都議定書の発祥の地である京都市にとって,また過日,気候変動に関する世界市長・首長協議会京都会議が開かれ,2050年までには温室効果ガス80パーセント削減を目標と明記され大変意義深い取組になると考えますが,市長の御所見をお聞き致します。加えて,昨年9月市会におきまして我が党の小林正明議員から御提案がありました公共建築物における市域産材の積極的な利用促進についてでありますが,以後どのような検討がされたのか。また現在建設計画が進められている花脊の小中学校等については,全面的に市域産材の活用による校舎建設が地域の特性から見ても当然であると思います。林業家,木材関係業界の方々はもとより地元住民の期待も大きく,波及効果のある有意義な事業として前向きに,より積極的に取り組んでいただきたいと願っております。市長の御意見をお聞きしたいと思います。 次に,教育についてお尋ね致します。次代の担い手である子供を健やかにはぐくむため京都市が市民との協働による市民共通の行動規範として,子どもを共に育む京都市民憲章を制定されたことは,正に私の思いと軌を一にするものであり,子供たちの掛け替えのない命を守り健やかに心豊かにはぐくむことは,私たち大人一人一人に課せられた崇高な使命であります。そのためにも我々市会をはじめ市民ぐるみでこの憲章を推進していくことが必要であり,京都市としても積極的に取り組んでいくことを強く要望しておきます。 そもそも私の政治への原点はPTAとしての活動経験にありますが,議員生活の多くの期間,文教委員会に所属し文教委員長も2度務めさせていただくなど子供たちの教育の充実に精魂を傾けて参りました。この間,私の地元西京区はもとより京都市の学校の教育環境は大きく向上し感慨ひとしおであります。今日,共働き家庭が増え,学童保育の対象になっていない高学年であっても家に親がいないため学校で遊んでいる子供が多くいるのが現状であり,保護者や地域からも子育てしやすいより良い環境を整備するために,また子供の安心安全の観点からも学校を活用して子供の放課後の居場所を確保してほしいとの要望が高まっております。こうした状況を受け,子供たちの自主的な学びの場と安心安全な居場所づくりのために,従来から実施されている児童館や学童クラブ事業とも機能をすみ分けながら,来年度からまずは小学校約50校において放課後子ども教室が実施されることになり,活動内容としては図書室やランチルーム,音楽室などを活用し,子供たちの自主的な学びの場として地域ボランティアにより宿題や予習,復習,文化的な体験活動等を行うとのことであります。設置校など具体的な調整を現在保健福祉局で行っていると伺っており,関係団体や学識者が参加して,昨年設置された学校放課後子ども育成事業検討委員会でも十分検討いただいて,この事業が円滑に実施されることを期待しております。この放課後子ども教室は,19年度の取組状況を見て全市展開を検討されるとのことですが,どの小学校にも家に帰っても親が仕事に出ていて誰もいないため下校時間まで校庭で遊んでいる子供がおり,そうした子供がただ遊んでいるだけでなく本を読んだり宿題をしたりする場があればもっと有意義に過ごせるのではないかと思います。とりわけ学校図書室は,子供の学びの場として大きな役割を果たすものであると思いますが,放課後は開放していない学校が多いと聞きます。現在,京都市では,コンピューターによる蔵書の管理,検索,貸出し,返却が迅速に行える学校ナビゲーションシステムの整備が進められ,授業の調べ学習等で子供たちの図書館の利用が拡大するなど,子供たちの読書離れ,活字離れ対策としても効果が上がっていると伺っております。こうした機能が高まった学校図書室を放課後も開放すれば,放課後対策事業と共に基礎学力の向上にも大いに役立つものと考えます。子供たちのため,校庭だけでなく学校図書室など学校施設の開放を拡大していただきたいと切に願うものです。教育長の御所見をお伺い致します。 次に,私の地元である西京区について質問させていただきます。昭和51年10月1日,右京区から分区し人口約9万人の西京区が生まれたのであります。その後は,区画整理事業の進展や桂川街道の整備,京都大学桂キャンパスの開設など,また洛西地域においては,ニュータウン事業の進捗や京都市立芸術大学の大枝への移転,桂坂の住宅開発などが進み,分区から30周年を迎えた昨年には人口約15万5,000人の区民が住む市内で4番目に大きな行政区として発展を続けています。議員在職中に実現できず心残りで残念なのが地下鉄の洛西への延伸であります。そこで地下鉄の天神川から洛西への延伸についてお伺い致します。京都市の地下鉄は,昭和56年5月29日,烏丸線の開業を皮切りに東西線の建設を進め,現在28.8キロ,1日約31万人の市民の通勤通学,さらには京都を訪れる人々の足として利用されており,なくてはならない公共交通機関であります。地下鉄は定時性があり一度で大量の乗客を輸送できるとともに,環境の時代にふさわしく地球環境にも優しい公共交通機関であり,環境先進都市を目指す京都にとって最も優先して整備すべき都市基盤であります。市長は,常々,京都のこれからの50年後,100年後を見据えた政策,都市経営が必要であると力説しておられます。いよいよ平成20年3月までには,地下鉄が二条駅から天神川まで開通致します。地下鉄が通っていない行政区は,自慢にもなりませんが我が西京区だけであります。市長は,建設中の天神川までの延伸を含めて地下鉄事業にこれまで8,600億円の建設費を投入し企業債残高も3,800億円に上っております。さらに,天神川から洛西間の建設費については,試算ではありますが地下鉄であれば1,500億円,他の手法としてLRT等で建設するとしても600億円の建設費が必要であり,いずれにしても洛西への地下鉄の延伸は国の抜本的な財政支援措置が明確にならなければ市長としての決断はしかねると,これまで議会で答弁しておられます。今年は,桝本市長にとっては3期目の総仕上げの年であります。洛西への地下鉄の延伸は,財政問題など克服すべき課題が多くあることは私もよく承知しておりますが,市長がおっしゃる50年後,100年後を見据えたとき地下鉄は京都市にとって必要な都市基盤であると同時に,洛西ニュータウンに入居してから30年も待っておられる住民をはじめ西京区民の長年の夢を実現するということからも地下鉄の洛西への延伸について市長の決意と今後の方向性をお伺い致します。最初の洛西ニュータウン入居募集パンフレットに地下鉄が通りますと明記されていることを申し上げておきます。 市長は,区民の大抵の用事は区役所で済ませられることを目的に平成9年から福祉事務所並びに保健所を順次区役所組織に加え,いわゆる大区役所制を進められ区役所の機能強化を図ってこられました。そして単なる組織の整備だけではなくハード面においても区庁舎の総合庁舎化を進められ,福祉事務所と保健所が一体となった庁舎整備に取り組まれております。平成19年度には右京区役所が天神川に新築移転するのを皮切りに,伏見区,左京区,上京区が庁舎の新築と総合庁舎化の計画がされていると聞いておりますが,しかし西京区は,区役所が西京区誕生の2年後の昭和53年に建設され,今では暗い,入りにくいなど設備の面でも老朽化が進んでいるほか,近年の人口の増加や区民ニーズの多様化に対応しきれず狭く利用しにくい区役所となっております。また,区役所の庁舎と保健所が離れていて区民が国道9号線を挟んだ区役所と保健所を往復しなければならないことがしばしばあります。市民サービスが不十分であります。そして何よりも,区役所が区内各所からの交通の便が悪く利用しにくい場所にあるのが現実であり,区民に最も便利であるべき行政機関としての区役所が最も利用しにくいままで,庁舎の整備方針が全く示されておりません。そこでお尋ね致します。京都市の財政が大変厳しいことは承知しておりますが,区民の利便性の向上や区役所の機能強化を図る観点からも,西京区役所についても区内のどこからでも交通が便利な場所に用地を確保し,早急に総合庁舎化に向けて取り組んでいくことが必要であると考えますがいかがでしょうか。 最後になりますが,市会議員として32年,微力でありますが自分なりに京都市の発展に努められたのも,この議場においでになる先輩,同僚の先生方をはじめ御支持いただいた皆様方のおかげでございます。思えば市会議員として,また147万京都市民の代表の一人として京都府荒巻知事,山田知事に対し誇りを持って重要政策にかかわる問題解決を申し入れたことを今懐かしく思い出します。昭和63年京都国体に対する京都市軽視の問題をはじめライトハウス改築に対する府の助成,また府が進めた洛北高校の中高一貫教育に関する課題や京都花き地方卸売市場建設に対して消極的な府の態度について,そして乳幼児医療費支給制度等々心に残る充実した議員活動を誇りに思い,今期をもって引退致します。どうか先生方には,政党,政派が異なっても,主義主張が違っても147万京都市民の代表としてますます御活躍いただきますよう念じ,これをもって中村安良の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 中村安良議員の御質問にお答え致します。 ただ今これまでの長きにわたる議員生活を通して京都市の発展のために数々の難題に情熱を込めて取り組んでこられました中村安良議員のまさしく命の声を賜ったと存じております。深く心に刻み市政運営の重責を果たして参りたいと存じております。 初めにマニフェストに掲げる公約の達成についてであります。平成16年2月,私は,市民の皆様より三度の信託を頂だいし,以来,ますもとマニフェストを実現するため全力を傾注して参りました。これまで職員の削減など聖域なき改革を推し進めるほか,京都市版行政評価システムに基づく全国屈指の戦略的予算編成システムを活用し111項目すべての政策に着手致しました。3期目の総仕上げとなる19年度予算におきましても,京都創生の推進や30人学級の導入などマニフェストに掲げる政策をしっかりと盛り込み,未来への明るい展望を切り開く予算として編成したところであり,引き続きマニフェストの実現に全身全霊をささげて参ります。 次に,不祥事の根絶につきましては,現在抜本改革大綱に掲げる58の改革策の完遂を大きな柱として,職員の滞納対策など,その他の取組を含めて私を先頭に全庁一丸となって不退転の決意で取り組んでいるところでございます。これらの取組により不祥事を抑止する仕組みは着実に整いつつあり,また,所属長による指導やコミュニケーションの活性化を通して職員の行動面でも公務員としての自覚が確実に醸成されてきていると実感しております。今後とも引き続き市民の皆様から京都市は変わった,京都市職員は信頼できると実感していただける市役所の実現に向けて心血を注ぐことにより,市政の最高責任者としての職責を全うして参りたいと考えております。 次に,福祉医療制度に係る京都府補助金の補助率格差の解消についてでございますが,これは制度発足以来の長年の重要課題であり,これまでから幾度となく京都府へ申入れを行って参りました。とりわけ昨年2月には,自由民主党京都市会議員団をはじめとした市会の先生方の総意であることを重く受け止め,改めて行財政連絡会議を設置し再三にわたり強く働き掛けて参りました。この結果,子ども医療費支給制度につきましては,ただ今中村安良議員に御紹介いただきましたとおり,平成19年度当初から他の市町村との格差が解消されることとなりました。そしてお尋ねの母子家庭等医療,障害者医療,老人医療につきましても,20年度以降22年度当初予算までに順次解消を図っていくとの回答を得ておりますことを御報告申し上げます。これは中村団長をはじめとする自由民主党京都市会議員団及び与党議員団の先生方の熱い思いと多大なお力添えがあったからこそと心から感謝申し上げる次第でございます。今後とも京都府に対して言うべきことはしっかりと主張し,政策の質を高め合う真の府市協調の下,すべての人が健やかに安心して暮らせるまちづくりに邁進して参ります。強力な御支援本当にありがとうございました。 難病対策についてでございます。難病は経過と共に重症度が増すため御本人や御家族の負担は非常に大きいものがございます。このため本市におきましては,これまでから専門医による医療相談,ホームヘルパーの派遣や保健師の訪問相談など様々なサービスを実施して参りました。また特定疾患治療研究事業におきましては,広域行政として国と歩調を合わせ,京都府において45疾患の認定患者を対象とした医療費の公費負担が実施されておりますが,本市の保健所,支所で申請書を受け付ける際には,保健師が難病患者の療養状況等を十分に把握したうえできめ細かな保健指導を実施致しております。今後とも中村安良議員の御指摘を踏まえ,公費負担対象疾患の拡大をはじめ難病対策の拡充について国にも強く要望すると同時に,本市におきましても医療費自己負担額の軽減の検討を含め,難病対策の更なる充実に全力を挙げて取り組んで参ります。 次に,血液難病疾患対策についてでございます。骨髄バンク事業は,白血病等の血液難病の治療に有効な骨髄移植を推進する事業であり,本市におきましては,政令指定都市で初となる献血ルームでの定例的なドナー登録会の実施や市民しんぶん等による広報などを積極的に展開したことにより,既に人口比で目標を大きく上回る登録をいただいております。また中村安良議員御指摘の京都市立病院における対応につきましては,今後の新棟整備において無菌治療室2室に加え,ほぼ同等の機能を有する無菌治療ベッド6床を備えることとしており,造血幹細胞移植をはじめ血液難病対策を充実して参ります。何者にも代え難い愛する御家族を亡くされた御無念や同じ悲しみを他の人に味わわせたくないという中村議員の熱い思いをしっかりと受け止め,本市がドナー登録30万人の早期達成の大きな一翼を担えるよう,今後とも最大限の取組を行って参る決意でございます。 次に,子供の食育の充実についてでありますが,本市においては食の重要性を再認識し健全な食生活の実践に結び付けていく食育の取組を総合的に進めるため,他の政令市に先駆けて本年1月に京・食育推進プランを策定致しました。中村安良議員御指摘のとおり,世界に誇るべき我が国の食文化を未来へ受け継いでいくためには,とりわけ食習慣を形成する時期にある子供たちへの食育が重要であると認識致しております。本市では,これまでから保育所や学校において飼育,栽培の体験活動や地元農家等の協力を得た田植え,収穫等の農作業,給食での地産地消など,子供たちが自然の恵みや生産者の御苦労により支えられていることを実感する取組を進めて参りました。さらに,学校給食における市内産米の使用につきましては,本市の給食に米を供給する京都府学校給食会の市内産米取扱量が約100トンにとどまり,給食用として必要な年約870トンを下回るなど流通面の困難な課題もあるわけでございますが,郷土への愛情や身近な生産者への感謝の心をはぐくむなどの教育的意義が非常に大きいことから京都府学校給食会やJA等関係機関に働き掛け,使用拡大に努めて参ります。今後とも子供たちが将来にわたって健全な食習慣を身に付けることができるよう食育の取組をしっかりと推進して参ります。 森林の整備保全制度の創設についてでございます。西暦794年,この国山河襟帯にして自然に城をなすと桓武天皇が平安遷都の詔を発せられて以来,先人たちは周囲の山の恵みを大切に利用しながら美しい京都の景観を守り育ててこられました。しかしながら,昨今の厳しい林業情勢を背景に放置荒廃森林も目立つようになり,森林の二酸化炭素吸収能力も低下しているのが現状です。今後は京都の特性を踏まえた林業支援をより充実強化していく必要があると考えております。有料指定袋制に基づくごみ処理手数料については,ごみの減量を基本として環境意識の向上や地球温暖化対策にかかわる施策等に活用しております。さらに,将来的にはより幅広い活用方法を検討して参りますが,まずは議員御指摘の森林の二酸化炭素吸収源の整備にこの財源を活用して,ごみとして扱われてきた剪定枝などのバイオマス資源を石油の代替燃料として活用する全国をリードする取組を国や大学等と連携して進め,森林資源の保全と整備につながるよう積極的に取り組んで参ります。 次に,公共建築物における市域産材の積極的な利用促進についてでございます。市域産材の活用は,地元林業の振興だけでなく環境共生型都市・京都の実現に向けて波及効果の高い取組であると考えております。このため昨年9月以降WTO協定の制約は残りますものの,材料価格の低廉化や安定的な供給体制の確立などについて京都市森林組合等関係機関との協議を精力的に行っており,その一つに市域産材の地産地消を促進するための市域産表示材供給推進事業を新年度予算に計上するなど,公共建築物における市域産材の利用促進に向けた取組を積極的に進めております。また議員御指摘の花脊小中一貫校の建設に当たりましても,地元木材を利用してほしいとの地元要望も踏まえ最大限市域産材を活用して参ります。 結びに地下鉄東西線の洛西延伸についてのお尋ねでございます。地下鉄は定時性に優れた大量輸送機関であるとともに,地球環境にも優しい重要な都市基盤であるとの議員のお考えには全く同感でございます。東西線の洛西延伸につきましては,京都市基本計画にも掲げており私の悲願でもあります。この路線は,平成16年10月の近畿地方交通審議会答申において中長期的に望まれる新たな路線として位置付けられたところでありますが,この際にも国等の抜本的な財政措置が必要とされており,現行の我が国の地下鉄建設の補助制度では大変難しく,ましてや地下鉄事業が企業債残高3,800億円を抱えるなど厳しい本市財政の下では早期の実現は困難な状況にあると言わざるを得ません。今後,地下鉄事業経営健全化の取組を更に強化するとともに,環境先進都市京都にふさわしい将来の交通体系の在り方全般を展望する中でしっかりと検討して参る所存でございます。 以下,星川副市長及び教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 西京区役所の総合庁舎化についてお答え致します。京都市では,議員から御紹介のありましたように,桝本市長の大区役所制推進の方針の下に,区役所に福祉,保健の部門を統合し総合的に市民サービスの向上を図る取組を進めておりまして,ハード面でも京都市基本計画に基づき老朽化,狭隘化の度合いも勘案しつつ,条件の整った所から順次区役所の総合庁舎化を進めてきております。現在,右京区と伏見区において具体的な整備の取組を進めているところでございます。お尋ねの西京区役所につきましても,保健所が別庁舎であることなど京都市基本計画において総合庁舎化に向けた条件整備を行うことと致しておりまして,今後,区民の皆さんの御意見もお聴きしながら先生御指摘の趣旨を踏まえ,できるだけ早期に整備に向けた計画を策定して参りたいと考えておるところでございます。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
    ◎教育長(門川大作) 放課後の学校施設の開放についてであります。本市では,これまでから子供たちの自主的な活動の場として全校でおおむね午後4時半までの校庭などを開放するとともに,すべての小学校で全国的にもユニークな運動部活動などを積極的に行っておりますが,今日,親の就労状況や子供の生活実態の変化等などにより放課後の子供たちの居場所の充実が更に求められております。中村議員御指摘のとおり,来年度新たに実施します放課後子ども教室と共に学校図書室の放課後開放は今日的な課題であり,その条件整備の一環として京都の書店組合とも連携し,コンピューターを使って蔵書管理等が迅速に行える学校図書ナビゲーションシステムの政令指定都市初となる全校整備の計画を2年前倒しして来年度中に完了致します。今後こうした機能を最大限に生かしボランティアの参画等をいただきながら,学校図書室の放課後開放の全校実施への取組を進めるなど,子供たちの自主的な学びの場としての学校施設の幅広い開放に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 暫時休憩致します。 〔午前11時49分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(巻野渡) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行致します。磯辺とし子議員に発言を許します。磯辺議員。 〔磯辺とし子議員登壇(拍手)〕 ◆(磯辺とし子議員) 先輩の国枝,中村両自民党の議員に引き続き質問させていただきます東山区選出の磯辺とし子でございます。どうぞよろしくお願い致します。 日本人は,昔から節度をわきまえ中庸を重んじてきた民族であると言われてきました。しかし昨今では,余りにも無秩序で異常な社会現象が多発し胸を痛めることばかりです。世界中の限度を超えた人間の手によってもはや地球環境まで破壊しており,とどまる所を知りません。簡単には収まらないでしょう。しかし収めるよう努力しないとどんどんひどくなります。悪しきことも良きこともすべては人の思いから始まっているわけですから,良い想念をすべての人が持ち描けば必ず良くなると思います。 まず京都市民全員が良い想念を心から発することができれば京都はもっと良くなり,世界の羨望の都市となれるでしょう。そして京都から発信することにより世界中が良くなると思います。京都はそのような力の源となれる都市であると私は信じております。問題は,今の現状に京都市民のすべてが満足し,住んでいて良かったと思われているかどうかです。まだまだ御不満のある市民も多いのではないでしょうか。私たちは,そのような市民を少しでもなくすように努力することが使命であると思います。とはいえ全員に満足していただくことには無理があります。せめて8割か9割の方が満足していただけるような政策を進めなければなりません。そのためには誠意を持って臨むことだと思います。京都市行政を預かる者は,今までの悪しき慣例にとらわれることなく勇気を持って正し,自覚と責任を持ってすべての職員が仕事に情熱を持って取り組むべきと思います。公務員はサラリーマンとは違い公に奉仕するという義務があります。義務を課せられていると思うのではなく自ら誇りと自信を持って仕事をしてください。何事も市民のためになっているかどうかと,いつでも市民の立場に置き換えて考えれば判断は間違わないと思います。今日までお役人さんは長いものに巻かれろ主義で,強い者に甘く弱い者に厳しいと揶揄されがちでしたが,この際そのような印象をすべて払しょくされるような京都市に生まれ変わっていただきたいと思います。 京都市行政の皆様と共に議会を預かる議員の責任も重大です。私たち議員の資質向上に向けてもますますの努力が必要と考えます。全員が改めて責任の重さを認識しなければなりません。京都市の舵取り役の市長さんや議会が誤った判断をすれば市民に多大の迷惑が掛かります。私も今期,最後の質問に立たせていただき大きな責任を感じております。限られた時間ですが私が危惧致しておりますことを数点質問させていただきます。 まず,教育についてお伺い致します。安倍内閣が大変力を入れておられる教育再生会議では,伊吹文部科学大臣をはじめ池坊副大臣や山谷補佐官,そして京都市の門川教育長がメンバーとして活発な審議をされています。この度,60年ぶりに教育基本法が改正された意義は非常に大きいと感じております。国づくりは人づくりですから,人としての道を学び学問を身に付け生き方を探求する手法を学び取ることが教育だと私は考えております。立派な教育が施されている国は立派な国になると思います。今日までの日本は経済主導型で,今回のように本格的に教育の在り方に取り組まれたのは初めてのように思います。国家予算においても教育に掛ける予算は先進国では低い方でしたから,改善していただければ大歓迎です。しかし改革が進むのは良いのですが,余り矢継ぎ早にあれもこれも提案されてもいかがなものでしょう。日本国中すべてが同じ条件ではありませんし,場所により相当な格差もあります。ここで京都市が一番注意しなければならない点は,取捨選択されて採り入れる必要があると思いますがいかがですか。 まず,ゆとり教育の見直しについてですが,京都市はどのように取り組まれるおつもりですか。今,学力低下が叫ばれておりますが,当時は詰め込みすぎということで大変議論があり,ゆとり教育を推進する人と授業時間の減少に懸念を表す人と賛否がありました。また,教師の能力によりかなりの格差が予想され,地域や家庭の意識にも相当差が出るのではなどたくさんの問題を含みながら授業時間が減少してきたわけですが,京都市としては,見直しについて現場の先生方の御意見も併せてどのようにお考えでしょうか。また,昨年,高校において歴史の科目の未履修が発覚致しましたが,京都市では,そのようなことはなかったのでしょうか。受験用の科目ばかり詰め込むという本当にひどい話です。歴史は特に社会に出てからも役に立つ科目ですし,身に付けていないといけない科目です。社会に出て問題にぶつかったとき,歴史に学べとも言い,歴史は繰り返すとも申します。歴史を知ることは同じ過ちを繰り返さないための教訓にもなります。郷土の歴史をはじめ日本史,世界史を学ぶことは自分の存在のあかしでもあります。しっかり子供たちに教えていただきたく思いますがいかがですか。 次に,新年度より始められる放課後子どもプランについてお伺い致します。このプランは,子供が学校終了後,家庭が色々な事情で留守になっている場合,安全で安心していられる居場所づくりのため学校での放課後の利用だと認識しております。プランの中身もたくさん盛り込まれておりますが,受皿となる学校の体制づくりはできているのでしょうか。まず50校の全児童を対象とされるというと相当の負担が予想されますが,人手やその他どのように取り組まれているのでしょう。現場の先生方は,よく理解されているのでしょうか。どのように進めていかれるのかお聞かせください。また同時に,京都市では昭和53年より一元化児童館の設置をしてこられました。乳幼児から18歳までの子供たちを対象とした家庭での役割の一端も担っているという施設であります。現在も推進途中であり,今回のプランと少々ダブる所があると思いますので,市内の事情を考慮していただき,お互い足りない所を補い合うという整合性とすみ分けをきちんと図られますよう強く要望しておきます。 また今回,教師の資質についても大変議論を呼んでおります。教師の資質向上はもちろん重要であると考えますが,良し悪しは誰が評価されるのでしょう。評価する人々によって随分変わると思います。私は,教育委員会がしっかりしていないと駄目だと思います。民主党案では,教育委員会廃止案も出されているようですが,伊吹大臣も京都市の教育委員会は大変しっかりしているとおっしゃっており,私もそのように思っています。大変必要な委員会と思っていますが,余りしっかりしすぎて周りがついてこられないと困ります。現場とのギャップはどうですか。今や日本中の学校のモデルともされるような学校を次々に作られ,すごい力と感心致しております。すべての親が自分の子も立派な学校に通わせたいと願っているわけですから,ほかの学校も少しでもモデル校に近付くよう今後も改善をお願い致します。また校舎や施設,設備が良くても肝心なのは教師だと思います。子供にしっかり指導し子供と共に喜び共に泣けるような心ある人格,資質に優れた先生をたくさん養成していただくよう要望致します。 この度,保護者の義務も議論されておりますが,言うまでもなく当然のことと思います。子供を産み育てることの重要性を親はもっと認識すべきです。核家族化が進み,しゅうと,しゅうとめや両親と暮らしている人は少なく若い世代だけの家族が増えております。物質的には満たされても心が空白になっている子供が増えているのではないでしょうか。子供に愛情を注ぐとともに,昔から三つ子の魂百までもと申しますように,3歳までにしっかりしつけをしないといけません。体罰は3歳までしか効果はありません。甘やかしすぎたり,しつけと称して虐待とも思える行為をしたり,育児の分からない親が増えています。核家族の弊害を取り除くためには地域のお年寄りとの交流が不可欠です。お年寄りには,経験や先祖から受け継いでこられた知恵があります。若い親たちは,できるだけ地域のお年寄りと接触を持ち,学び,お互いに励まし合われると良いのではと考えます。学校側からもそのように働き掛けてください。いかがですか。この度子どもを共に育む京都市民憲章が制定されました。是非一日も早くすべての市民に行き届くことを望みます。そして全市民で大切な宝である子供を見守っていただきたいと思います。 次に,本市では平成16年より河合前文化庁長官の御指導の下,しなやかな道徳教育として道徳に大変力を入れてこられました。モラルの低下が叫ばれている昨今,大変重要と考えます。お手本になるべき大人社会が倫理観の薄れた自己主張の強い異常な中にあり,学校だけで子供に道徳を教えることは至難の業とも思いますが,たくさんの教材を準備して体制を整えられていることには敬意を表します。問題は,現場の先生方がこの重要性を踏まえ,しっかり教材を活用し子供たちに教えていただけているかどうかです。正しい道徳を身に付け強い精神力を養えば,社会に出てから人のため社会のために尽くせる立派な生き方ができると思います。おのずといじめも減っていくと思います。どうか子供たちに尊敬されるような教師陣を配置し,多感な子供たちに健全な精神を身に付けさせてください。道徳を教えられる先生は何パーセントぐらいいらっしゃいますか。 教育の最後になりますが,中学生の社会体験活動の中で,生き方探究・チャレンジ体験など地域の方々の協力を得られ,あらゆる体験を子供にさせ地域の人々と一体となって行われた授業は感動と感謝と感激に満ちていたものと聞いております。また最近では,京都市スチューデントシティや京都市ファイナンスパーク事業など,元中学校のスペースを利用し社会におけるあらゆる模擬の施設を造り活用されています。この取組は,京都を代表されるベンチャー企業家などたくさんの協力や指導の下,行われているようで大変好ましいことと思います。未来の京都を担う卵を育てているようです。是非このようなすばらしい体験授業は,たくさんの生徒が受けられるよう工夫してほしいと思います。すばらしい学校や授業が一部の生徒だけにとどまらず広く全生徒に今後行き渡るよう努力してほしいと思いますがいかがでしょう。教育長の御答弁をお聞かせください。 次に,京北地域の合併記念の森構想についてお伺い致します。まず構想が持ち上がって3年近くになりますが,いまだにどこも着手されておりません。右京区に編入されてから2年近くになるというのに,京北地域の皆さんは働く場もなく若い人たちはどんどん出ていかれています。計画ばかりに長い時間が掛かっては手後れになります。関係者の皆さんも早期に着手されることを望まれております。一刻も早く具体化し取り掛かられるよう望みます。いつごろをめどに考えておられるのでしょう。森や木や花は,今日植えて明日咲くわけにはいきません。数年又は10数年掛かることもあるでしょう。相手は生き物ですから進みながら考えていくしかないと思います。計画案には学者や専門家,NPOや地元の皆さんの委員の意思を反映してたくさん網羅されたように思いましたが,数点,私の意見を申し上げます。構想の骨格は,山や森を守り育て見せることに重点が置かれているように思います。それだけでは経済効果も活性化も地元住民の就労も見出せません。産業につながるようにもっと広い計画を立てるべきです。私は,ラベンダー畑をお勧めして参りました。なぜラベンダーを推奨したかと申しますと,以前も申し上げましたが商品価値があり産業に結び付くからです。ただ香りが良く観賞用だけでは地元の人々の大きな収入にはなりません。ラベンダーを使用したいろんなグッズを考案されてはいかがでしょう。また大手の企業では防虫剤にも採り入れられています。全く捨てる所がなく無駄のない植物です。それと同時に温泉を掘られると良いと思います。今や,いやしブームで子供からお年寄りまで家族ぐるみで楽しく遊んで学びいやされ,地産の材料で京料理を食べ思い切り自然とゆっくり触れ合う場にされるよう提案致します。 また遊休農地か耕作放棄地が至る所に見られます。この際若い人たちが農業に生きがいや魅力を見出せるような地域に生まれ変わらせてください。自分たちの生産した物をその場でたくさんの人に喜んで食べていただければやりがいが出ます。子供たちやみんなが生産者の方や生産物に感謝の心が生まれます。私は,旧京北町と京都市の合併がお互いにプラスになるような計画にしないと意味がないと思います。以前,視察に参りましたとき,北山丸太が山盛りで一盛り8,000円から1万円でした。皆さんの御苦労が分かります。折角の木をもっと生かして,ログハウスをたくさん建て作業場やレストラン,宿泊施設,木工家具や建築技術を研修する木工所や体験場などをどんどん建てればいいのではないですか。地元の人も一緒になって汗をかいて一日も早く活力ある地域になることを望みます。構想案を実現させるための一番重要な点は,核となる所にしっかりとした人材を配置することだと思います。マネジメントや各ジャンルの方たちとのコーディネートがしっかりできる人を複数配置しないと,行政の方々だけでは大変心配です。この計画を成功させるためには予算が必要と考えますが,合併のための予算は国よりどれだけ頂けるのですか。また,この案にどれだけの予算を見込まれているのでしょう。予算と仕組みについてお答えください。 次に,人間にとって一番必要な水と食料についてお伺い致します。まず水の確保についてですが,衣食住があっても水が切れれば命は絶たれます。地球温暖化によりこの先気温が1度上昇する度に水不足で5,000万人の命に影響が出ると言われております。私たちの京都は,常に疏水のおかげでお隣の琵琶湖の水をなみなみと頂き毎日暮らしております。しかし水道水は,パイプが寸断されたり一滴の化学兵器が混入しただけでたちまち飲めなくなります。私は,以前より防火防災用の水はもとより飲料用の水の確保のため,井戸を掘ることを要望して参りました。幸い京都盆地の下には琵琶湖にも劣らない水瓶があると聞いております。緊急時に備えて準備をされるべきと考えますがいかがですか。また現在,保健所が飲用水としての井戸をお持ちの市民の確認をされている軒数が2,403軒と聞いております。是非消防局の皆さんと一緒になって非常時に使用させていただけるようお願いされることを求めます。今後市民の水の確保をどのように計画されているのかお答えください。 次に,食料自給率についてお伺い致します。京都市は,平成18年から平成22年度にかけて京・食育推進プランを策定されましたが,生産の部分にはほとんど触れておられません。先にも申し上げた水と同じく食料は命の源であるとともに,健康で充実した生活を送るための基礎として非常に重要なものです。しかしながら,世界的な食料需給を見ますと,開発途上国を中心とした人口増加や所得向上に伴う食料需要の大幅な増加,地球温暖化による異常気象のため,近い将来,食料危機が来るとも言われております。現在でも開発途上国では毎日餓死者が出ています。そうした中にありながら,日本においては多くの食料を外国に頼っています。現在の我が国の食料自給率はカロリーベースで40パーセントという先進国中最も低い状況にあります。私たちが消費する食料を40パーセントしか自給できない日本は異常です。世界的な食料不足が予想され,危機的な状況が来ることは誰もが知っているはずなのに何の手立てもされていないことは大変不思議としか言いようがありません。京都府における食料自給率は13パーセントで47都道府県中42位,京都市に至っては,旧京北町が入った現在でも2.7パーセントという低さです。わずか2.7パーセントの食料自給率をどのようにとらえられているのでしょうか。先ほど中村先生もおっしゃいましたが,身土不二の思想と言われるものがあります。これは身体と大地は一体であり人間も環境の産物で,暮らす土地において旬のものを常食することで身体は環境に調和し健康になるというものです。かつてはその地域で採れたものが食卓に上る地産地消が当たり前であり,食料自給率も100パーセントであったはずです。安心して季節のおいしいものを食べることができました。京都市においても古くから営々と引き継がれてきた農業は,京の伝統野菜に代表される京野菜を生み出し,京料理という形で調理され豊かな食文化を育てて参りました。今や京料理は日本を代表し世界にまで広がっています。しかし,このままでは大切な役割を担ってきた京都市の農業が厳しい状況下でどんどん減っていきます。市内の農地は宅地に転用され,農業の担い手は高齢化が進み後継者もありません。京北の所でも申しましたが耕作放棄地がどんどん増えています。野生鳥獣の被害も後を絶たず,農家の意欲も低下の一途です。国の方では,団塊世代のリタイア組を農村定住とか言っていますが,農業はそんな簡単なものではないと思います。もっと若い人たちに関心を持っていただき,将来の担い手となっていただけるような施策を考えるべきです。市民が安心して豊かに暮らせるまちづくりを進めるには,食料自給率の向上を図ることが何より必要なことではないでしょうか。京都市の農業を守り大きく育てていくためには,問題や課題はたくさんありますが,早く手を打つ必要があります。どのようにお考えか真剣に御答弁ください。 次に,新景観政策について市長の御所見をお伺い致します。京都市民はもとより日本に住む誰しも京都らしい景観を守る必要があるかと問われれば,はい,賛成と答えるでしょう。私も京都が1000年もの間,都であり今なお世界を代表する歴史都市として誇れる美しいまちになってほしいと願いますし,それなりの努力をするのは当然と考えます。新たな景観政策案は,京都市民や事業者,建築関係の専門家などの合意を得て実行され,市民が自分のこととして美しい京都の景観がつくられることを喜びと感じられるものになることを願うものです。素案発表後1箇月足らずという短期間に,個人,各業界からたくさんの意見,パブリックコメントが寄せられました。ふだんは関心の少ない景観の問題について関心を持たざるを得なくなり,考え,議論され,文章にまとめられ問われたことは,京都のまちづくりにとって大いなる前進であると考えられます。しかしながら,今回の新たな景観政策について非常に懸念することがあります。今回議案として提案された案を今議会で通すことは余りにも性急すぎるという声が多くあります。ずっと以前から審議し続けてきたことだ,知らないとは不勉強と言われる方もおられますが,審議会の委員や極専門家の中ではそうであったとしても,一般市民には余りにも唐突なことであるという意見が出ております。しかもその内容は膨大な量であり,複雑であり,一般市民には読むだけでは到底理解が難しいもので,市の説明期間も大変短かったため,多くの住民はこの決定が自分にどう影響するのか理解できていないと思われます。市民の意見の受付も発表からわずか1箇月間と短期間であり,専門家でさえこの期間を不十分と指摘しておられます。各界各層からも納得がいかないというコメントが出されております。都市計画を変更する,景観条例を変更することは,地域の住民,事業家にとって将来を動かす大問題であります。今回の規制は,京都市ほぼ全域にかかわる大掛かりなものです。市民,事業家,建築関係者などと十分に議論し理解と調整を行うのは当然のことであると思われます。しっかり周知を図り理解を得る努力を続けていただきたいと思います。今一度なぜ景観政策の実施を急がれているのでしょうか,理由をはっきり市長の口から御答弁ください。 内容が多いだけに問題もたくさんあります。高さ規制の問題や特にデザインについては,市民の大半にかかわることも多く,たくさんの市民の不安の声も寄せられております。この案が施行されたとして,そのような状況下で規制指導の窓口の仕事量がどれだけ増えることか,混乱するのではないかも心配です。また指導内容が低下しないかとか,これらによる影響の検討をどれだけ行われているのでしょう。京都のまちは地域によって様々な特性があり,今までそれを大切に各々の地域で熱心に協議されてきました。それらを無視することはできません。京都は都市です。都市は時代と共に進化し,活性化し,人を引きつける魅力を持ち続けることが大切です。日本の伝統を軸として時代性を持って成長していく都市が京都です。何よりも市民が生き生きとまちづくりに参加し,自分のまちを誇りに思い,魅力あるまちづくりを目指すなら,個々に多少の不便が生じても全体を考える気風が生まれるはずです。今回の景観政策を実施することで市民のまちづくり活動を阻害することがあってはならないのは言うまでもございません。今回の政策が行政の押し付けと言われないためにも,新景観政策の下での市民のまちづくりの在り方についてはいかがお考えですかお聞かせください。また中途半端な緩和規定は,将来的に余計に混乱を生じさせるのではないでしょうか。とりわけ高さの特例許可についての運用はいかがお考えですか。最後に,美しい私たちの歴史都市京都に向けて市民参加の新たなタイムスケジュールを考えるべきとの御意見も多いのですが,それについてはどのようにお考えでしょうか。このような重要政策に関する議案ですから,私たち自民党議員団も夜を徹してでも議論する覚悟が要ると思っております。 またこの際,都市計画道路の見直しについてもお伺い致します。京都市のまち中には,戦前より60年又はそれ以上前に引かれた都市計画道路がたくさんあります。その線引きに掛かった市民は,長年道路も建設されないまま財産権を奪われております。100年たっても出来るめどの立たない計画道路をどうして見直そうとされないのでしょう。いったん引いた線は消せないと申されますが,市民には納得いかないでしょう。意味のない制限のため,土地はあるのに折角の事業ができない方もたくさんあります。有効に土地が利用できるよう早急に見直されるべきと考えますがいかがでしょう。 次に,障害者自立支援法における利用者負担の更なる軽減についてお尋ね致します。障害者自立支援法は,身体,知的,精神の3障害共通の枠組みとして障害のある方の社会生活全般を支援し地域で普通に暮らせる社会の実現を目指したもので,利用者負担の見直しやサービスを提供する事業者への報酬の日払い化をはじめとしたサービス,報酬体系の見直しなどを内容とする抜本的な制度改革でございます。私は,障害者自立支援法の理念,方向性については,ノーマライゼーションの考え方に基づき今後の障害者保健福祉施策の在り方を定めた大変有意義なものであると理解しています。しかし一方では,大幅な制度改革であり,従来利用者負担がなかった多くの方に新たに負担が生じるなど対象者への影響が極めて大きいことから,京都市では,私たち与党会派の要望も受け全国に先駆けて京都方式として独自の負担軽減策を実施し,障害のある方のサービス利用についてセーフティネットを設けられました。さらに,昨年10月には障害児施設の利用者負担についても国基準を大幅に引き下げる独自の負担軽減策を実施していただき,京都市としての独自軽減策により利用者の方にとっては相当救われたのではと感じております。またこの利用者負担の問題は,全国的に大きな議論となり都道府県,政令指定都市など主要都市の約4割が独自の軽減策を実施していると聞き及んでいます。このことは京都方式が全国の障害のある方々へ大変大きな影響を与えたものであり,市長と自民党市会議員団が手を携えて進めてきた福祉先進都市京都の名を全国に知らしめるに至ったと高く評価しています。このような中,今般国においても利用者負担の更なる軽減策が措置されることになりました。更なる軽減については,かねてより我々自民党市会議員団が強く要望してきたところですが,今回の国の財政措置を受け,京都市では国制度を更に充実させた独自の軽減策を実施すると提案されています。今回提案されている京都市の更なる独自軽減策は,どのような特徴を持つ内容なのか,また,この内容で障害のある方や保護者からこれまで寄せられた御意見に十分こたえるものとなっているのか御所見をお伺い致したいと思います。以上,これをもって私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 磯辺とし子議員の御質問にお答え致します。 初めに放課後子どもプランについてでございます。本市では平成21年度までに130館の整備を行うこととしている一元化児童館において,昼間留守家庭の1年生から3年生を対象とする学童クラブ事業を実施しております。一方,文部科学省の放課後子ども教室推進事業は,本市では4年生から6年生を対象に学校施設を活用した学びの場を確保する事業として実施していくこととしており,両事業は対象や機能ですみ分けを図りつつ連携して実施して参ります。磯辺とし子議員御指摘の放課後子ども教室の実施体制については,コーディネーターを学校に配置するとともに,今後とも関係団体や関係局が十分に連携し幅広い市民ボランティアの参画を得ながら事業を展開して参ります。 次に,京北地域の合併記念の森構想についてでございます。京北町から引き継いだ268ヘクタールの市有林につきましては,京都の木の文化を継承発展させる森づくりを基本に,豊かな自然景観を生かした観光名所の創設や野外学習活動の場としての活用を通じて地域の雇用促進や活性化対策にもつなげたいと考えております。運営に当たりましては,企業や大学,市民団体等が参加できる体制を整え民間の知恵や力も積極的に活用して参ります。また概算の整備経費と致しましては,合併建設計画の中で国等補助金176億円を財源とする事業費457億円のうち2億3,500万円を見込んでおります。現在,京都大学の竹内典之教授を会長とする合併記念の森検討委員会で具体的な整備計画を検討しているところであり,本年中には全体計画を取りまとめ早期実現に向けて積極的に取り組んで参ります。 農業の振興策についてお答え致します。磯辺とし子議員御指摘のとおり,人間の命の源である食料の自給率を向上させていくことは,安心安全な暮らしの根幹にかかわる非常に重要なことでございます。こうした観点を踏まえ,本市農業は後継者問題など様々な課題がございますが,京の旬野菜推奨事業をはじめとして農業者が自信と誇りを持って積極的に生産活動が行える環境づくりを引き続き支援して参ります。また,地域住民全体で集落の資源と環境を守る農地,水,環境保全向上対策など農業生産基盤を強化する新たな取組も進め,市民の皆様に地域で採れた新鮮で良質な農産物を提供できるよう本市農業の持続的な振興に努めて参ります。 次に,新景観政策についてでございます。豊かな自然と1200年の悠久の歴史にはぐくまれてきた京都の美しい景観は,市民の宝,国民共通の財産であります。この貴重な財産を守るため,これまでも国の制度や本市独自の制度などを最大限駆使するとともに,時には法令の限界を超えることもいとわず私自ら事業者に理解を求めるなど肝胆砕く思いで懸命な努力を重ねて参りました。しかし,今日なお世界の歴史都市の多くがそうであるように忍び寄る破壊はやまず,現行の規制や方策はもはや限界にあり京都の景観は危急存亡の秋にあります。私は,この憂うべき事態に強い危機感を抱き,これまでの長い取組の蓄積の上に立って将来の京都のまちづくりにとって必要不可欠な新たな景観政策を御提案させていただいた次第でございます。これに対し市民の皆様からは,様々な不安や御意見等が寄せられておりますが,私は,改めて市民の皆様とのパートナーシップの原点に立ち,今後ともあらゆる機会をとらえ周知啓発に努めていくことはもとより,市民提案制度や地区計画制度などを十分に活用し市民や事業者,専門家の皆様との協働により京都らしい地域の特徴を生かしたきめ細かな景観づくりに取り組んで参ります。 また,盆地形を特徴とする京都におきましては,建築物の高さは景観形成に極めて重大な影響を与えるものであります。都市の景観は,高さのみならずデザインを含めた総合的な要素で決まります。そのため高さ制限を超える建築物であっても,良質なデザインで地域の景観形成に資すると認められる建物や公益的機能を確保するうえで一定の高さが必要な建物につきましては,高さの特例許可制度を設けることとしたものでございます。もとより許可の安易な運用は,磯辺とし子議員御指摘のとおり厳に慎まなければなりません。市会にお諮りしております特例許可の手続条例に基づき,第三者機関による審査や市民参加の手続など公平性,透明性を十分確保したうえで厳正に運用して参る考えであります。 最後に市民参加の新たなタイムスケジュールについてでございます。新たな景観政策につきましては,今後とも市民や事業者の皆様の御意見や御提案を踏まえて,より充実させていくいわば進化する政策として市民の皆様と共に成長,成熟させて参りたいと考えております。京都には,都市活力と景観保全の調和に腐心してきた歴史がございます。保全と開発の調和は,本市のまちづくりの基本でありますが,その主役は常におっしゃるとおり市民の皆様でございます。今回の政策を一つの契機として,環境や交通問題等も含めたこの京都のまちづくりについて,市民参加の下に議論を積み重ね,50年後,100年後においてもいつまでも住み続けたい都市,何度も訪れてみたい都市であるように,市会の先生方の御理解を得て平成の大事業とも言えるこの取組に全力を挙げて取り組んで参りたいと考えております。 次に,障害者自立支援法における利用者負担の更なる軽減についてでございます。本市では,今回の国の改善策を単に採り入れるだけでなく,重度障害のある方に配慮するなど独自の負担軽減策の更なる拡充に加え,施設等に対する運営安定化支援などを併せて,障害のある方の福祉サービスの利用を総合的に支援する新京都方式を創設致しました。とりわけ障害児施設の利用者負担については,保育料と同程度となるよう軽減して参りましたが,自民党市会議員団をはじめとする与党会派の皆様からいただいた御意見を踏まえ,19年度からは利用者負担を更に2分の1とし,従前の措置費制度のころと同様に市民税非課税世帯は無料化するなど大幅な軽減を図ることとしており,障害のある方や保護者の御要望に十分こたえることができるものと考えております。今後とも障害のある方が地域社会の中で安心して生活ができるよう制度の円滑な運営に取り組んで参ります。 以下,毛利副市長及び教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 私から2点答弁申し上げます。まず緊急時に備えた水の確保についてでございます。災害時における水の確保は極めて重要でございます。本市では阪神・淡路大震災を教訓に水道施設の耐震化の促進,災害時におきます他都市や民間事業者との応援協定を締結するなど必要な飲料水の供給体制を構築して参りました。また,災害時における生活用水を確保するため,平成16年には災害時協力井戸制度を創設致しまして現在530件登録いただいているところでございます。議員の御指摘を踏まえまして,今後,飲料用井戸の所有者に対しまして啓発用パンフレットの郵送等により適正な衛生管理を行うよう啓発する際に,併せて災害時協力井戸の登録をしていただけるように積極的に取り組んで参ります。 次に,都市計画道路の見直しについてでございます。計画延長535キロに及びます本市の都市計画道路は,円滑な都市交通と良好な都市環境の基盤となるものでございまして,本市のまちづくりにとって非常に重要な都市施設でありますことから鋭意整備を進めてきておりますけれども,その整備率はまだ68パーセントにとどまっております。一方,未整備の都市計画道路につきましては,都市計画決定時点からの路線を取り巻く環境の変化を踏まえまして補助幹線道路を対象に,一つは伝統的建造物群保存地区など景観施策との整合性を図る必要がある場合,二つ目としてその後に整備されたほかの道路が代替機能を持つ場合,三つ目と致しまして学校など公共施設に重なる場合という三つの基準に基づいて見直しを行い,全国に先駆け平成14年2月に清水神宮道をはじめとする10路線,約5.7キロメートルを廃止致しました。今後とも都市の骨格となる道路の着実な整備に努めますとともに,効率的な道路ネットワークの形成に向けまして基準に照らしながら都市計画道路の見直しについても検討して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 教育は,磯辺議員御指摘のとおり,それぞれの自治体が明確な方針の下,創意を生かし市民ぐるみで取り組むことが重要であります。いわゆるゆとり教育についてでありますが,学校週5日制による授業時間数の減,教員研修,教員の増員など必要な教育条件が十分整わずに実施されたことなどにより全国的には本来の理念が生かされなかったと考えております。しかし本市では,熱意あふれる教職員の懸命な努力の下,全校で全国最多の年間205日以上の授業日数を確保し,国の基準を超えた本市独自の指導計画等により教育内容を充実させ,また桝本市長や市会の御理解の下に本市独自予算での少人数学級の実施などすべての学校の教育条件の整備も進め,教育改革本来の理念を生かした取組に努めてきております。今後とも教職員の熱意と専門性をより生かし,保護者,地域と一体となった京都ならではの教育の充実に全力を傾注して参ります。 次に,歴史教育の重要性についてでありますが,日本や世界の歴史を学ぶことは,国民としての自覚と国際社会で主体的に生きる日本人として大変重要であります。とりわけ人間として調和の取れた健全な育成を目指し,幅広い教養を身に付けるとともに進路希望の実現を図ることは高校教育の責務であります。こうした中,1校で履修漏れがあったことは誠に残念ですが,生徒,保護者の理解の下に適切に対処し必要な履修を終えたところであります。今後とも生徒たちに現在の世界が歩んできた歴史を振り返り,未来を切り開く確かな力を身に付けさせることができるよう歴史教育の充実に取り組んで参ります。 次に,子育て世代に対する学校の取組でありますが,御指摘のとおり子育て環境の著しい変化の下,若い親への働き掛けが今日ますます重要となっております。本市では豊富な経験や知恵を有する地域女性会や子育てサポートなど幅広い地域の方々と連携し,子育て相談や親子ふれあい活動など様々な事業を通じて若い親を地域ぐるみで温かく励ます取組の輪が広がってきております。一昨日24日,子どもを共に育む市民憲章制定記念フォーラムが2,800名もの市民の方々の御参加を得て熱意に満ちて開催されましたが,この憲章においても人と人が支え合う地域のつながりの大切さが掲げられており,今後とも若い親が多世代交流で子育ての知恵を引き継ぐことができるよう学校からも地域と共に積極的な情報発信や働き掛けを行って参ります。 次に,道徳教育についてでありますが,道徳教育は,すべての教師が家庭,地域と共にあらゆる教育活動を通して取り組むものであり,議員御指摘のとおり教師一人一人の力量と果たすべき役割は極めて重要であります。そのため本市では,全国に先駆け教師の自主的な研究組織である道徳教育研究会と共に研修の充実や独自教材,夢いっぱいなどの作成を通して指導力の向上等に全力を傾けて参りました。特に教師は全人格を懸けて一人一人の子供たちの心に迫る実践が必要であり,こうした観点から今後とも教師の資質,指導力の一層の向上に努め,家庭,地域と一体となって子供たちの道徳的実践力の育成に取り組んで参ります。 最後に,体験活動の拡充についてでありますが,学校での学びと社会生活とが乖離していることが今日の教育の最大の問題の一つと認識しており,学校での学びを生きて働く知恵や力として生かす取組を充実させていくことが強く求められております。このため議員御指摘の全中学生が毎年3,000を超える事業所の協力を得て参加する生き方探究・チャレンジ体験事業をはじめ,本年1月に経済界をはじめ多くの方々の御支援で開館致しました京都まなびの街生き方探究館でのスチューデントシティ・ファイナンスパーク事業等で働くことの意義や学ぶことの大切さを理解させ,生き方を見詰めさせることは極めて重要であります。本年度試行として46校,約3,000人の児童生徒がスチューデントシティ・ファイナンスパーク事業に取り組んでおり,来年度以降すべての学校で実施できるよう目指して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 次に,山中渡議員に発言を許します。山中議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕 ◆(山中渡議員) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表して2007年度京都市予算案について市長に質問致します。 全国の地方自治体は,国の構造改革の下で来年度も地方交付税が大幅に削減されるなど一層厳しい予算編成を余儀なくされました。本市においても,巨額の財源不足が生じるなど国の政治の影響にまともにさらされた予算となっています。今開かれている国会で,安倍首相は大企業のもうけを基調にした成長政策を強調する一方,格差と貧困の問題について全く触れない施政方針演説を行いました。その流れの下で憲法を変えることを公言,憲法を変えるための手続法についても成立の決意を表明しました。さらに,昨年ワーキングプアが大きな社会問題になりましたが,非正規の社員が増えていることや働いても働いても暮らしを良くする収入を得られない実態は今も社会全体に広がっています。政府の資料でも,昨年の労働者の実質賃金は前年よりも減少し,中小企業の分野でも,下請単価の引下げや大型店出店野放しの下で中小零細企業や商店街が更に打撃を受ける事態が広がっています。こうした下で住民の暮らしを向上させるという地方自治体本来の役割をいかに果たすのかが本市にも強く問われています。そこでまず最初に予算案と暮らし,福祉,社会保障の問題について,とりわけ市民負担増の問題について市長の基本認識を幾つかお伺い致します。今予算案には,子供の医療費支給事業の拡充,中学校3年生の30人学級,在宅自立支援給付費の拡充などが組み込まれましたが,市民の強い要望や運動が反映されたものであり,今後も更なる拡充の取組を進められるよう強く求めるものでございます。 さて,予算全体です。市長は,来年度予算案について3期目の最終年度であり総仕上げの予算と位置付け,留意点の第1の柱に,全国トップ水準の行革の断行と継続を挙げています。市長がこの間進めてきた全国トップ水準の行革とはどんな内容であったのでしょうか。国の構造改革をそのまま推進,市民の負担増と補助金削減の連続で市民の暮らしや社会保障を大きく切り捨て,公共サービスの民間委託,民営化を大きく進めた3期ではなかったでしょうか。2004年度は,保育所など福祉施設の補助金削減,学校運営費の削減などを断行,そして2005年度には,国民健康保険料の総額8億円の大幅値上げと算定方式の変更で低所得者の負担を増やしました。さらに,敬老乗車証の有料化で6億円の負担増などを押し付けました。2006年度では,国の税制改悪の下で住民税の大幅値上げ,連動して介護保険料の大幅値上げと国民健康保険料の連続値上げが行われました。いずれも受益者負担の適正化,公平性の確保などと称して低所得者や弱者への負担の押し付けを強行したものです。年度途中からは家庭ごみ有料化も加わり市民負担増は一層厳しいものになりました。市長の与党会派,自民党,公明党,民主・都みらいの会派及び無所属議員の方はこうした負担増にすべて賛成してきたのであります。 07年度予算案ではどうでしょうか。予算編成に当たって,国は地方交付税などの大幅削減を強行,本市の財政を一層厳しい事態に追いやりました。地方財源拡充の要望を強化すると言っておられますが,実際の予算案には市民負担増の行革が基調になっているのであります。また貧困と格差の拡大を誰もが認める状況にもかかわらず,教育扶助制度である高校生奨学金制度を段階的に廃止することを打ち出すなど許されない内容を含んでいます。 今,市民生活はどういう実態にあるのでしょうか。昨年から日本共産党は地域ごとに市民アンケートに取り組んできました。返信されてくる用紙にはぎっしりと切実な声が書かれていました。下京区に住むある女性の方は,最近何かと生活が苦しく困っています。消費税が高いし,ごみまで有料袋に入れて捨てなければなりません。私だけの愚痴かもしれませんが,2箇月に1回の年金から介護保険料を1万250円も引かれてとても困ります。また別の方は,日本の秩序は貧富の格差が少なかったことで保たれてきた。格差社会の是正を望みますと述べたうえで,医療の負担が増えたことに対し病院に行くのを控えていますと回答されていました。生活そのものがぎりぎりの状態になっていること,事態の改善を望む切実な声がびっしりとつづられていたのがこのアンケートの大きな特徴でした。 昨年の6月,7月の住民税の大幅値上げや国民健康保険料,介護保険料の値上げに,計算間違いではないか,値下げができないのかと4万人の市民の皆さんが市の窓口で直接意見を伝えられました。これだけの市民が負担に耐えかねて声を上げたにもかかわらず,10月から年間総額22億円の家庭ごみ有料化で負担の追い打ちを掛けました。この4万人という市民の直接行動は一昨年も2万6,000人という市民が国民健康保険料の大幅値上げに怒りの行動を起こされましたが,昨年の怒りの規模は更に広がったのであります。4万人もの市民が負担増に耐えかね,住民税,国保料,介護保険料の引下げを直接訴えられたことを市長はどう受け止められましたか。 先ほど,病院に行くのを控えているという方の声を紹介しましたが,事態は本当に深刻です。これまで国民健康保険料などの引下げを求めると,京都市は,適正な負担は避けて通れず,厳しい財政事情を勘案すればやむを得ないと市民負担増を当然とし引下げを拒んできました。問題は,こうした下で資格証明書と短期保険証の発行が年々増え続けていることです。加えてこの2月の朝日新聞の調査によると,国民健康保険料の滞納世帯に対する本市の差押えは183件と横浜市に次いで全国で2番目,国保加入者が本市よりはるかに多い大阪市を大きく上回っています。昨年の資格証明書と短期保険証の発行ですが,市長に就任された1996年当時と比べると,今日の資格証明書の発行は実に10倍に達しています。下が資格証明書,上が短期保険証の発行数です。短期保険証の発行世帯は5.5倍,こういう状況になっておりますが,昨年3月時点で3,967世帯に資格証明書が発行されています。京都府全体の84パーセントを京都市が占めるという状況になっています。資格証明書で病院に掛った市民はわずか7パーセントです。命と健康にかかわる資格証明書の発行が増加の一途をたどっている。命と健康の危機にさらされる人が年々増えているではありませんか。こうした資格証明書の発行世帯が増加の一途をたどっていることを市長はどのようにお考えですか。また,多くの市民が事実上,保険証がないという状態はまともではありません。発行を直ちにやめようとなぜお考えにならないのですか。また滞納を理由とした差押えはやめるべきだと考えますが,市長いかがですか。 さらに,市民負担増にかかわって家庭ごみ有料化の問題についてお伺い致します。予算案でも年間22億円の収入が見込まれていますが,すべて市民の新たな負担です。問題は大きく二つあります。第1はすべての市民に一律の負担を強いたことによって高齢者,年金生活をされている市民の暮らしを直撃していることです。日本共産党市会議員団は負担増に耐えかね,職員不祥事の解決が先と当時,自民,公明,民主・都みらいの各会派と無所属議員の方に10月の有料化中止の申入れを行いました。しかし決まったこととして,そのまま実施されました。しかし負担の実態は深刻です。昨年放映されたNHKのワーキングプア2では様々な事情の下で80歳になっても空き缶を集めて生計を立てなくてはならない市民の方が紹介されましたが,私も地域を訪問した際に,ある高齢者の方から住民税が上がった上に更に追い打ちを掛けるもの,数百円でも気になる生活をしているのにの声が出されました。また別の所では,頼るべき収入は国民年金だけと毎日の食事代すら切り詰めてぎりぎりの生活をされている方にも出会いました。こうした生活をされている市民にとって,ごみ袋の300円,450円の新たな出費がいかに大変かということを市長は認識されているのでしょうか。お答えください。 第4に,市民にはこのような負担増を強いておきながら本当の無駄遣いにメスを入れていないという問題です。無駄を削り市民生活を本気で守る気があるなら,京都高速道路計画をまず見直すべきではないでしょうか。現在工事中の油小路線,新十条通で市の財政負担はどれだけになっていますか。2000年の市長選挙であなたの陣営は,この2路線の負担は90億円で済むと宣伝しました。ところが実際はどうか,今分かっているだけでもこの2路線だけで市の持ち出し総額は600億円規模に膨れ上がっています。実に6倍以上です。洛南連絡道路が国の直轄事業になるなど予定になかった市の負担がいきなりこの件でも190億円増えましたが,工事の進行の中で市の負担がどんどん増え続けてきたのであります。こうした負担増の事実を認め,市の財政を圧迫していることを市長は市民に説明すべきではありませんかお答えください。今予算でも90億円の高速道路関連費が計上されています。残る西大路,堀川,久世橋線の3路線の総事業費は2,000億円以上と試算されています。今の2路線に加えて未着工の3路線を続けたらどうなるか,財政破綻は明白ではありませんか。人口増や地域経済の右肩上がりを前提にした当初計画から今や社会経済状況は大きく変わりました。見直しをするのは当然です。財政危機と言ってこの分野でも市民に負担増を押し付ける一方で,市内高速道路計画最優先では市民は納得できません。全体計画をいったん凍結,撤回して計画そのものを見直すべきです。市長いかがですか。 市民生活にかかわっての最後に,憲法と平和の問題について市長に伺います。安倍首相は,自衛隊が海外で活動を行うことをためらいませんと集団的自衛権の方向を公然と示し,任期中に憲法を変えることを公言しました。さらに,5月3日を期日に憲法を変えるための手続法である国民投票法を成立させることを打ち出しています。安倍首相は,アメリカのマスコミ取材に対し憲法9条は時代にそぐわないものと述べ,イラク戦争支持は正しかったとも強弁されています。憲法を変える狙いがはっきりしたもので,憲法を守り市民の安全を守る本市の最高責任者としての市長がどういう態度を取るのかが問われています。これまで市長は,憲法改定問題について聞かれると,憲法改正の議論は国民全体で深めるべきと答えておられますが,今やこういう事態でないことははっきりしているのではないでしょうか。また,これまで自民党,公明党,民主党は手続法と憲法改定とは別のものとされてきましたが,安倍首相は,憲法を変える手続法成立の期日を示し,また任期中に憲法を変えたいと公言したことで手続法と改憲が一体であることは今や明白です。そこで市長に伺います。2004年10月の京都新聞に本市の名誉市民に今回内定された瀬戸内寂聴さんが,憲法9条がなくなりそうと質問した少年に対し,まだ日本の憲法は生きています,9条は生きています。でもあなたの不安は正しいのです。今,日本の政治の方向は,今の戦争放棄の憲法を捨て戦争のできる憲法に変えようとしていますと答えられた記事が掲載されています。瀬戸内寂聴さんのこうした発言について市長はどう思われますか。御意見をお聞かせください。 次に,職員の犯罪不祥事と同和特別扱い問題について質問致します。今月また職員の懲戒免職処分が行われました。昨年来明らかになった職員の犯罪不祥事について,その多さと内容のひどさに市民は驚きました。京都市に対する強い不信感が広がるとともに根絶を求める声がわき起こりました。犯罪不祥事の背景と真相を明らかにしないまま幕を引くことは絶対に許されません。現在も市民の信頼回復と服務規律に関する調査特別委員会は継続されています。13日の調査特別委員会では,公金着服と市立保育所給食の食材購入の不正という4人の職員の新たな犯罪不祥事の報告がありました。また,昨年市民ウォッチャー京都の代表が職員,市民の告発110番の活動に取り組み,60件余の告発があったとして具体的事例を示して市長に調査と報告を求める申入れをされています。この中には職員からの通報もあったとされています。また本市の公益通報制度でも27件の通報があったように犯罪不祥事は全く収まっていません。市長は職員の意識改革が大きく進んだ,また,昨年には年度内の終息宣言ができるように取り組むとも公言されました。しかし実態はどうか,市民ウォッチャーなどに通報せざるを得ない職場実態が今も存在する,新たな懲戒免職が発生するなどとても終息などと言える事態ではありません。市長いかがですか。今も収まらない職員の犯罪不祥事に市民は大変ないら立ちを感じています。隠蔽体質との市民の批判も根強くあります。既にうみを出し切ったとでもお考えでしょうか。併せて市長の見解をお答えください。 この問題の第2は,部落解放同盟との特別な関係についてです。昨年9月議会で,運動団体との関係で新たな問題を生み出すような不正常な状況は現在一切ないという市の答弁がありました。ところが11月議会で我が党議員が東山区の公の施設であるコミュニテイセンターが事実上の東三条部落解放センター扱いにされていたことや交通局職員を関連行事に動員していたことを具体的に指摘すると,そのとき初めて個々の問題として一部現場に残っていたのも事実と認めるに至りました。常任委員会の集中審議や調査特別委員会でもこうした場面が度々ありました。また,同和特別扱いとの指摘にも,特定の個人,団体の特別扱いを容認する習慣,組織風土があればこの際一掃するよう強い指示を市長が出したと京都市トップはやっているとばかりの答弁がされていますが,事態が大きくなるまでは解同の大会に幹部職員を出席させ,毎年年頭には市のトップが勢ぞろいで表敬訪問を受けていたではありませんか。こうした市長の特別扱いが現場でまともに注意できない実態を作り出してきたのではありませんか。市長は,犯罪不祥事に関連して同和選考採用に問題があったとされましたが,覚せい剤事件など犯罪不祥事のほとんどが市長在任の11年間に集中しています。本当に市民の信頼を得ようとするなら,市長と解同の長年の関係についてどういう問題があったのか,その全容を明らかにすべきではありませんか。また,部落解放基本法制定実行委員会が解散された際に,それに代わるものとして作られた解同の方針に沿う部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会に京都市の幹部が依然として出席しあいさつしています。従来と変わらない関係がここでも続いているのではありませんか。なぜこのような関係を断ち切らないのですか。市長お答えください。 第3は,同和特別扱いを含む予算案であるという問題です。今予算案には貸与した奨学金とその返済を免除する自立促進援助金が合わせて4億4,000万円計上されています。同和奨学金問題の裁判の過程で受給者の世帯の年収が700万円以上の世帯が2001年で48.8パーセント,2002年で51パーセントあったことが明らかになっています。財政危機を強調し市民には低所得であっても負担を強いる一方で,こうした特別扱いを公然と残すことは市民にとって絶対に許すことのできないことです。自立促進援助金のこうした仕組みを続けるなら,今後も総額で40億円を超える税金の予算計上を続けなくてはなりません。市民の信頼回復を言うなら,こういう特別扱いの仕組みを直ちに廃止し予算案からも削除すべきです。市長の見解を求めます。 次に,京都のまちづくりと景観対策についてお伺い致します。京都市のまちづくりと景観対策は重要な局面を迎えています。14の世界遺産を抱え世界に誇る歴史都市京都において,これらを構成する町並みや景観の保全と再生は京都市にとって特段の努力を求められる課題です。1980年代後半のバブル期以降,国の民間活力路線の下で京都のまち壊しが大きく進みました。こうした現状について日本建築学会が二度にわたって京都の都市景観の再生の提言を行ったのをはじめ,京都弁護士会やまちづくりに関する様々な市民,住民運動団体が京都の景観破壊を告発し再生のための提言を行ってきました。日本共産党京都市会議員団も1991年に市民の暮らしがいきづく歴史都市京都の町並みと景観,緑と自然を守るためにの提言を発表し,また同年,安心して住み続けられるためにとした住宅政策を発表致しました。京都の景観の保全とそのための国の特別立法の制定を当時求めています。またその中で,住民参加のまちづくりを進めていくことが大事だという提言などを行ってきました。 京都の良さが大きく失われた下で,高さ規制など景観対策の取組は急務と考えます。同時に新景観政策は幾つかの問題点も内包しています。その第1は,これまでの高さ規制緩和とまち壊しについての反省がないという問題です。元々本市では全市に高さ制限がありました。ところが1980年代後半のバブル期以降,国の民間活力路線に沿って総合設計制度の導入で60メートルの京都ホテルを出現させ,その後も60メートルの京都駅ビルを認めるなど市が率先して高さ規制を破ってきたのであります。その後も伏見区の高度集積地域では,高さ制限を全部取り払うなど京都のまちと景観破壊の推進役になってきた歴史があります。こうした流れの下でマンションの高層化も大きく進みました。住民運動団体が田の字型の地域を調査された資料では,1999年以前は12階建て以上の共同住宅はゼロであったのが2000年以降は今建設中のものを含めると実に41棟にもなったということが報告されています。市長就任の間に都心の高層化が大きく進んだことになります。市の景観政策には,京都市が率先して高さ制限を破りまち壊しと景観破壊を進めてきたこと,また市長が就任した後も都心部において高層化が大きく進んだことの反省の記述がありません。まち壊しを進めてきた原因をはっきりさせてこそ今の景観政策が今後に生きると考えますが,市長いかがですか。 第2は,景観政策の市民への周知徹底と住民参加の問題です。詳細な計画を決めるには住民参加や専門家の提案を受け入れる手続が必要です。景観政策の周知徹底や具体的な計画詳細について住民参加を保障したうえで進めることは不可欠です。職住一体のまちという他都市にない特性を持つ京都にとって一層重要な課題です。地域住民や専門家集団の様々な知恵を尽くすことが必要と考えます。京都市が示した景観政策について,素案が発表された直後から様々な意見が出されました。景観対策は遅きに失したという意見をはじめ,デザイン基準など詳細な内容について行政が決め押し付けることは問題,市民や専門家の意見を反映させるべきとの意見です。条件によっては町家の中庭に全く光が入らないケースが考えられる。路地の奥では日照が大きく奪われるケースも考えられます。こうした問題を解決するには,景観政策の周知と住民参加の手続を確立することが重要です。また,地区ごとの詳細な計画については,住民の提案をはじめまちづくり団体の提案や意見を受け入れる仕組みを作り,いったん決めた計画であっても住民にとって改善が必要な場合は計画変更の手続を採ることなどを明確にすべきと考えますが,市長いかがですか。 第3は,景観政策によって既存不適格となる建物や住宅の対策です。現在,マンションにお住まいの方からは,住み続けることなどの心配の声が出されています。そうした市民の声にこたえる対策が必要です。京都市は,築30年以上の分譲マンションの実態調査を行いましたが,建て替え資金の準備をされているマンションがないことや賃貸化率が70パーセントになっている分譲マンションがあるなど建て替えには大きな問題があり,合意形成にも相当なエネルギーを要することがこの調査だけでも明らかになっています。管理組合の皆さんにこうした問題も含め声をお聴きしましたが,耐震補強対策が問題になっている所,バリアフリー対策が当面の重点になっている所,大規模リフォームが課題になっている所などマンションよって必要な対策と対応は異なっていました。いずれも大きな問題であり住民の力だけで解決することは困難です。建て替え問題も課題ですが,それと共にマンション住民の方が住み続けられるための耐震対策やバリアフリー,大規模リフォームなどマンションの長寿命化のための情報提供やアドバイスなどの支援策の充実が必要かと考えます。そうした対策をどのように進めるのか市長の見解をお示しください。 最後に,地域経済対策についてお伺い致します。貧困と格差拡大は,地域経済の分野でも深刻な事態となっています。とりわけ中小零細業や商店街の多くの所で切捨て状態にまともにさらされるという状況が進行しています。地域経済再生においても,また,まちづくりにおいても中小零細企業や商店街支援を強化することがどうしても必要です。ここでは中小小売店,商店街と大型店対策について質問致します。市内中心部の大型店出店計画が次々と実行に移されようとしています。京都駅周辺では,東京の大型家電量販店2店が進出を決定,京都駅南側では,京都市で最大規模の大型店が出店準備をしています。そうした下で中小零細商店,商店街は一層重大な危機にさらされています。ある商店では,後継ぎとして商店経営を引き継いだ息子さんが,それだけでは生計を維持することができず高齢の母親を店に残し働きに出るケース,また別の店では,午前は営業準備,午後は別のアルバイトを続け,また店に戻るという繰り返しの毎日,正に身を切られるような生活をされています。 京都市の資料によっても,小規模の小売店が厳しい実態にさらされていることが裏付けられています。小規模の小売業の年間商品販売額は1991年から2002年の12年間で実に1,200億円も減少しています。一方,売場面積は2割増加となっていますが,これは大型店やスーパーの占有率が高まっている結果です。また売場面積が増えても雇用はそれに見合って増えていないなど大型店拡大一途のまちづくりは雇用の問題も深刻にしています。さらに,規模の小さい小売店の減少に比例して卸売業の商店数,年間販売額も年々減少するなど卸売業の分野でも深刻な影響が広がっています。国は,大型店の進出が中心市街地を大きく疲弊させたとして郊外型を規制する方針に転換しました。しかし市街地は引き続き出店自由です。こうした仕組みが本市でも小規模小売店と商店街をますます厳しい状態に追いやっています。商業集積ガイドプランとまちづくり条例がまともに機能していない結果ではありませんか。京都市は,この間,頑張る商店街の応援を方針としてきましたが,これでは市場原理で生き残った所だけの支援策です。大型店出店自由をそのままにしておいて頑張る商店街といってもその対象は限られます。商店街の至る所で見受けられるシャッターが下りたまま,街灯の灯が消えたままの現状を商店主の努力が足りないかのような扱いで済ますおつもりですか。地域の様々なボランティア団体や様々な伝統行事,また地域の年間行事の下支えを中小零細業者の方が担われてきました。地域経済の疲弊の下でこういう人材すら大きく失われているのが現状です。こうした事態を市長はどのように認識されていますか。また,市街地においても大型店を規制するルールが必要です。まちづくり条例を撤回し商業集積ガイドプランについては見直すべきと考えますが,市長いかがですか。以上について市長の見解を求めまして,私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 山中渡議員の御質問にお答え致します。 まず職員の不祥事についてでございます。庁内に残る悪しき慣行や甘い体質,事なかれ主義などの不祥事発生の要因を一掃し,市民の皆様の信頼を取り戻すために信頼回復と再生のための抜本改革大綱を策定し,私を先頭に全庁一丸となって58の改革策すべてを着実に遂行するなど徹底した取組を進めているところでございます。この間の取組により不祥事を抑止する仕組みが着実に構築されつつあり,また,多くの職場で職員の行動にも公務員としての自覚が確実に醸成されてきていると実感しているところでございます。しかしながら,現時点においては不祥事続発の要因となってきたうみのすべてを出し切ったと言える状態にはないと認識しております。今後とも組織を挙げて不祥事根絶の取組に全力を傾注し,必ずや市民の皆様の信頼回復と京都市役所の再生を実現させる決意であります。 次に,地域商業の活性化についてお答え致します。市民の身近な買物の場である地域の商店街は,コミュニティの核としてその地域のまちづくりの中心的な役割を担っておりますが,近年のライフスタイルの変化,情報化の進展,またコンビニエンスストアや通信販売といった多様な業態の増加等によって苦戦を強いられております。このため京都市では,これまで商店街による様々な取組支援と共に地域ぐるみでまちのにぎわいを作る地域商業ビジョンの策定を進めてきたところでありますが,平成19年度からは新たに商店街に必要とされる店舗を誘致する元気店舗創出プロジェクトを実施し地域商業の活性化と機能の充実を図って参ります。なお,市民参加の下で良好なまちづくりを推進するまちづくり条例と今回の都市計画法改正に伴い市民や商業者の意見も反映して見直しを行った商業集積ガイドプランにつきましては,引き続き適正な商業集積が図られるようにしっかりと運用し魅力と活力にあふれた京都のまちづくりを進めて参ります。 以下,副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 私から4点お答えさせていただきます。まず市民負担についてのお尋ねでございます。平成18年度の住民税の制度改正につきましては,経済社会構造の劇的な変化に対応し持続可能な社会を構築するとの趣旨で行われたものでありますが,この改正に伴う影響も含め住民税,国民健康保険料,介護保険料について市民の皆様から寄せられました多くの問い合わせや御意見に対しましては,このような趣旨などを丁寧に御説明し御理解いただくための最大限の努力を行ったところでございます。また本市では,これまでも極めて厳しい財政状況の中ではありますが,一般会計からの財政支援による国民健康保険料の抑制,また65歳以上の低所得者に対して住民税の半額を減免する本市独自の措置の継続など市民生活に可能な限りの配慮を尽くして参っております。平成19年度予算におきましても,依然厳しい状況に変わりはありませんが,心の通った温かみのある市政運営を徹底することと致しまして,障害者自立支援法の施行に伴う本市独自の負担軽減策の更なる充実を図る新京都方式の創設や,乳幼児医療費支給事業を一層拡充した子ども医療費支給事業をはじめ市民生活の隅々にまできめ細やかな心配りを行っております。今後とも市民の皆様に直接影響するような制度改正につきましては,あらゆる機会をとらえてできる限り丁寧な説明を尽くして参りたいと考えております。 次に,新景観政策についてお答え致します。本市におきましては,昭和45年,1970年の建築基準法改正により全国の都市が高さ規制から容積率規制へと転換した後も,ほぼ市街地全域にわたり高度地区による高さ制限を継続するなど時代の変化の潮流の中にありましても他都市とは異なる独自の工夫を凝らし,また国の制度を最大限活用しながら活力と景観保全の調和に腐心してきた長い歴史がございます。保存と開発の調和は,本市のまちづくりの根幹でございますが,一方,開発圧力を適切に受け止める本市南部地域の整備が計画どおり進まなかったことは,バブル経済期以降利便性の高い都心部への集中を招いた原因の一つであったと言わざるを得ません。その後も本市では,地区計画や建築協定など地域住民によりますまちづくり活動を積極的に支援致しますとともに,職住共存地区における高層マンション建築に一定の歯止めを掛けるべく,道路境界から一定範囲を高さ20メートルに規制するなどのいわゆる3点セットルールなどを果敢に導入して参りました。加えて,良好な景観に影響を与えかねない建築計画に対しましては,桝本市長を先頭に時には法令の枠組みを超えて事業者に御理解を求めるなど懸命に景観の保全に取り組んで参りましたが,残念ながら,こうした取組にも限界があり忍び寄る破壊を止めるには至らなかったものでございます。この間,国において景観法が成立致しましたが,こうした本市における長い取組の歴史に立ちつつ,このままでは近い将来歴史都市京都としての存続が危うくなるという強い危機感からこの度の新たな景観政策を御提案したものでございます。 次に,新たな景観政策に係る周知と住民参加についてでございます。京都のまちづくりは,景観問題とのかかわりを抜きに考えることは困難であると言っても過言ではございません。それほど京都市民の皆様の景観に対する意識は高く,本市におきましても,これまでも71地区で建築協定,45地区で地区計画の活用や景観・まちづくりセンターの活動等によりまして住民主体のまちづくりを積極的に支援するなど市民と行政のパートナーシップによる景観・まちづくりを推進して参りました。この度の新たな景観政策につきましては,これまでの長い取組の上に立って1年4箇月に及ぶ審議会の審議を踏まえて御提案したものであり,ホームページはもちろん市民しんぶん等への掲載や各区役所等をはじめとする60回以上に及ぶ説明会等あらゆる機会をとらえて市民の皆様へのできる限りの周知に努めて参りました。また,パブリックコメント等による貴重な御意見を踏まえてパートナーシップによる景観・まちづくりの原点に立ち,政策の骨格は維持しつつ原案に可能な限り柔軟に修正を加えるとともに,今後とも市民や専門家の皆様からの御提案を受けて充実させていく進化するデザイン基準としての性格を与えたところでございます。さらに,今回提案させていただきました新たな景観政策に係る条例には,必要に応じ見直しが行えるよう検討条項も盛り込んでおり,これらの手法を活用しながら市民の皆様との協働による良好な景観づくりを推進したいと考えております。 次に,マンション住民への支援についてでございます。本市では,これまでストック活用を重視致しまして耐震性の向上やバリアフリー化といった住まいの質を高める住宅政策を進めて参りました。その中で分譲マンションにつきましても,適切に維持管理され長く快適に住み続けていただくことを目指しマンションの全数調査や様々な相談事業,管理に関する情報提供,住まいスクールなどのセミナーなどを実施して参りました。また,今回良好な景観形成のため建て替えを計画されるマンションにお住まいの方に対しては,円滑な建て替えを図るうえで必要と考えられる住民合意や資金確保を支援すべく,専門家の派遣制度や工事費に対する低利融資制度の創設を平成19年度予算案に盛り込んでいるところでございます。あわせて,すべての分譲マンションに対する実態調査を再度実施致しまして,住民のニーズを的確に把握することにより安心して住み続けられることを目指した施策の推進に努めて参ります。こうした施策を通じまして,50年後,100年後の京都の将来を見据え分譲マンションが良好な景観の形成,向上に寄与しつつ良好なストックとなるように今後とも積極的に支援して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 上原副市長。 〔上原副市長登壇〕 ◎副市長(上原任) 私からは2問についてお答え致します。最初は有料指定袋制についてでございます。昨年10月から実施しました有料指定袋制につきましては,市民の皆様お一人お一人の極めて高い環境意識とごみ減量の熱心な取組に支えられ,1月末までの実績では家庭ごみ量が約16パーセント減少するとともに,指定袋の使用率はほぼ100パーセントと高い御協力を得て,制度は市民の皆様の御理解の下で順調に定着してきたものと考えております。この制度は,恵み豊かな青く輝く美しい地球を良好な状態で次の世代に引き継ぐため,現在の大量生産,大量消費,大量廃棄の社会システムからの転換を図り,脱温暖化社会,循環型社会を構築するための契機となる重要な取組であると確信しております。今後ともすべての市民の皆様にこの制度の意義を十分に御理解いただき,ごみの発生抑制や再使用といった上流対策に重点を置いた更なるごみ減量への取組を進め環境共生型都市・京都の実現を目指して参ります。 次に,憲法改正に関するお尋ねでございます。日本国憲法における平和の理念は,日本国民のみならず人類共通の願いであり変わらざる人類普遍の理念であると考えております。現行憲法の制定から60年を経過した今日,憲法が時代に合ったものになっているかどうか様々な角度から検証がなされております。国におきましても,現在衆参両議院の憲法調査特別委員会において日本国憲法の広範かつ総合的な調査が行われているところであります。御指摘の瀬戸内寂聴氏の御発言は,平和を希求する御自身のお考えを率直に述べられたものと理解しておりますが,憲法改正の問題につきましては,今後とも引き続き広く国民全体で議論が進められるべきものであると考えております。本市と致しましては,今後とも平和の理念をしっかりと守り,市民の皆様と共に本市が理想とする世界文化自由都市の実現を目指して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 福徳文化市民局長。 〔福徳文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(福徳久雄) 運動団体との関係などについてお答え致します。かつては主体性のある同和行政の推進を求める市会からの決議を受けるような状況もございましたが,桝本市長就任直後の平成8年に交渉を全廃したのをはじめ,以降カンパ,職免,優先雇用,補助金等を順次廃止するなど関係の見直しを進めてきたところであり,現時点で御指摘の特別な関係などは一切ございません。なお,部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会につきましては,京都商工会議所,京都市PTA連絡協議会をはじめ経済,社会福祉,宗教,市民団体など51もの団体から構成され,人権救済制度の確立のほかあらゆる人権問題が解決される社会の実現を目指して取り組まれている団体でございます。平成17年11月市会でも人権擁護法の早期制定を求める意見書が決議されているところであり,今後とも広範な各界各層の団体及び市民の皆様とのパートナーシップの下,人権が尊重される社会の実現に向け努力を重ねて参ります。 次に,自立促進援助金等についてでございます。同和問題を解決していくうえで残された課題の一つである教育の重要性にかんがみ,5年間に限って経過措置を設けました就学奨励金制度は,平成18年度新規入学生をもって廃止致します。これと一体のものとして運用して参りました自立促進援助金につきましては,平成16年に見直した要綱に基づき支給基準を満たさない者からは奨学金の返還を受けており,今後とも適正かつ厳格に運用して参ります。以上でございます。(発言する者あり) ○議長(巻野渡) 西村保健福祉局長。 〔西村保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(西村京三) 国民健康保険の資格証明書の発行についてのお尋ねでございます。本市では,国民健康保険料の滞納者に対しまして区役所,支所への来所を求めるなどできる限りの接触を図り制度の趣旨について十分に御説明するとともに,減免制度の活用を含めたきめ細やかな納付相談や納付指導を行っており,従来から資格証明書の機械的な交付は行っておりません。保険料は国保の事業運営のための基幹的な財源であり,すべての被保険者に公平に負担していただくことが制度存立の前提であります。被保険者間の公平性を確保するためには,納付意思を全く示すことなく特別な理由もなしに長期にわたり保険料を滞納している方に対して,法令に基づいた資格証明書の交付や差押え等の滞納処分を実施することはやむを得ないものと考えております。 ○議長(巻野渡) 中島建設局長。 〔中島建設局長登壇〕 ◎建設局長(中島康雄) 京都高速道路についてお答え致します。京都高速道路は,京阪神都市圏を結ぶ道路ネットワークを形成することはもとより,国際文化観光都市京都の更なる発展と豊かな市民生活の実現にとって必要不可欠な都市基盤施設であります。さらに,市内の慢性的な交通渋滞の緩和や定時走行の確保による交通の円滑化が図られるものであり,また,災害発生時などの緊急輸送道路としても機能する市民生活を守るうえで真に必要な道路であると認識致しております。したがいまして現在事業中の油小路線は,平成20年1月,新十条通は平成20年5月,また斜久世橋工区は平成23年3月の完成をそれぞれ予定しておりますが,今後とも国や京都府,阪神高速道路株式会社等と十分な連携を図りながら一刻も早い完成を目指して取り組んで参ります。また,事業主体が決まっていない久世橋線など残る3路線につきましては,今後本市の財政状況や社会経済情勢といった様々な要因を検討する中で事業化に向けた取組を推進して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 山中渡議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕 ◆(山中渡議員) 第二質問を行います。まず資格証明書の発行問題です。差押えや資格証明書の発行が滞納世帯の問題を解決する方向には決してつながっていないと私は考えています。滞納世帯もそして資格証明書の発行世帯も京都市では並行して増え続けています。事態はこうしたやり方の下で一層深刻になっているのではないでしょうか。負担の公平性からやむを得ないという答弁でございましたが,事は命と健康にかかわる問題です。払いたくても払えない世帯に資格証明書を渡すことは,命や健康と引換えに毎日の生活をせよということの通告ではありませんか。資格証明書の発行はやめるべきです。直ちにこうした方向を採られることを更に求めるものでございます。 続いて犯罪不祥事問題です。今年の懲戒免職処分者の中に市職員として過去に分限免職処分を受け,その後経歴を偽り,また京都市に採用されていた人物がいます。なぜこんなことが今の今までまかり通っているのか,市民の一番の疑問はここにあります。市長は先ほど,うみを出し切ったとは認識していないと答弁されました。そうであるなら,まず第1に,肝心の同和選考採用問題などこうした全容を市民に公表する,大事な問題を公表しないというこれまでの姿勢をまず第1に改めるべきではないでしょうか。そして二つ目に,事件が発覚すれば,それは職員個別の問題だと問題をそらしてしまう姿勢も改めるべきではないでしょうか。この取組をきちっと進められることを再度強く求めるものです。引き続き予算委員会で審議することを申し述べまして,私の第二質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 暫時休憩致します。 〔午後2時46分休憩〕 〔午後3時12分再開〕 ○議長(巻野渡) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行致します。玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみでございます。私は,2期8年間,市民の皆さんの声を市政に届け命が大切にされる政治の実現を目指し取り組んで参りました。今,度重なる福祉や医療の切捨てが進む中で自治体の果たす役割が大いに問われています。市長並びに理事者におかれましては,市民の命と暮らしを守る責任ある立場で御答弁いただきますようお願い致します。 まず初めに,子供の医療費助成制度の拡充についてです。今年9月から入院の対象年齢を小学校卒業まで拡充し,通院は就学前までの自己負担の限度額8,000円を3,000円に引き下げ,3,000円を超えた分が償還されるということになります。 〔巻野議長退席,鈴木副議長着席〕 ◆(玉本なるみ議員) (続)京都市が実施したニーズ調査でも子供に関して市,府,国に期待することのトップが乳幼児医療費の軽減という結果や,毎年,府議会でも市議会でも助成拡充の請願が出されてきたことからも切実な要求であることを証明するものです。しかし2003年以降,京都府議会では,助成制度拡充を切実に願う七つの請願と一つの決議を自民党,公明党,民主党などオール与党の皆さんは不採択にするなど冷たい対応をしてこられました。(発言する者あり)日本共産党は,請願の紹介議員となり議会でも代表質問や委員会で何度も拡充を求めて参りました。今回の助成制度の拡充は,長年の粘り強い運動の成果であり一歩前進として評価しております。ある小児科の診療所にお聞きしましたが,月8,000円の上限の場合はほとんど対象者はなく全体の0.1パーセントを切る状況だった。3,000円になれば約9.2パーセントに対象が広がるとのことでした。つまり今回の拡充で恩恵を得られるのは10人に1人ということです。(発言する者あり)3,000円の自己負担は,兄弟がいれば6,000円,9,000円となります。若い世帯にとって大変な負担です。京都府内では既に1医療機関200円で小学校や中学校卒業まで独自に助成制度を拡充している自治体があります。住む所によって命にかかわる医療費が違うという矛盾は解決されていません。第1に,一刻も早く通院も含めて小学校卒業まで制度を拡充し負担額も無料にすべきです。財源としても京都市の負担割合は55パーセントから50パーセントに軽減されたわけですから,子育て支援のやる気さえあればできるはずです。そして第2に,当面の課題として制度を拡充しても償還払いだと手続に行きそびれると無駄になります。忙しい子育て真っ最中の家庭の負担を軽減するためにも,償還払いでなく上限額を超える窓口負担はないようにすべきです。京都市は既に障害者自立支援法における自立支援医療で,自己負担上限額管理表を作成し上限額を超えた負担はないように工夫されています。いかがですかお答えください。 次に,生活保護について質問します。この間,NHKテレビが生活保護世帯の厳しい生活状況を何度か報道しています。老齢加算が廃止され,ある高齢者の方は,好きな食べ物は週1回にしてお風呂も毎日入りたいけど1日置きにしている。つらかったのが親戚の結婚式に行けなかったことということです。人間としての尊厳を保障していると言えるでしょうか。母子加算も縮小,廃止されようとしていますが,現在でも子供たちと遊園地に遊びに行くなどのわずかな楽しみさえも節約せざるを得ない状況があります。まともな政治がすることでしょうか。老齢加算,母子加算の廃止は,生存権を保障するうえで問題と勇気を持って裁判に取り組んでおられる方が京都市内にもおられます。国に廃止の撤回を求めるべきです。また,京都市が独自に行っていた夏季歳末見舞金を2004年度から廃止しましたが,復活すべきです。いかがですか。9月議会で我が党の佐藤議員の質問に対し上原副市長は,伏見区で起こった承諾殺人事件における生活保護申請にかかわって,今後このような事件が二度と起こらないよう反省すべきは反省し,きめ細かい対応に努めていきたいと答弁されました。具体的な改善は計画されたでしょうか。新潟市など既に窓口に申請用紙を設置している自治体も出てきています。申請する権利の具体化として,京都市が既に作成しているこの生活保護のしおりなどのパンフレットや申請用紙を住民の目に触れ手に届く所に出しておく必要があります。すぐにでもできることです。二度と悲惨な事件が起こらないよう具体的な対応を求めます。いかがですか。 次に,医療制度の問題について質問します。リハビリ医療の給付日数制限は日本の医療そのものを後退させています。そもそもリハビリに終わりはなく,現状を維持するだけでも相当なリハビリを実施しなければなりません。ある方は,給付日数制限の180日を超えてからも少しでもリハビリを実施してくれる病院をと探して,3箇月ごとの転院を覚悟し頑張っておられます。そして目覚ましい回復をされています。しかし病院探しの苦労は並大抵ではありませんし,患者さんにとって療養環境が転々と変わることが良いはずがありません。病院側も長期入院患者を抱えると経営が成り立たない状況からやむを得ずの対応だと思いますが,こういった医療費抑制政策は,日本の医療そのものを後退させ国民の生きる権利まで奪うものです。そこで私は,こういうときこそ自治体の果たす役割は重要になると思いますが,京都府はリハビリ治療の先駆的役割を果たしてきた府立洛東病院を廃止してしまいました。それだけに京都市においては,身体障害者リハビリテーションセンターの役割として,診療報酬上リハビリの給付日数制限で当初のリハビリが終了した人に対しても維持,増進のためのリハビリができるよう体制を充実させ機能を拡充強化するよう求めます。いかがですか。 次に,療養病床について質問します。病状が落ち着けば在宅療養も視野に入れ,医療型と介護型の療養病床の対象となるわけですが,国は,介護型病床をなくし医療型病床も6割に減らすとしています。京都市内では,介護型3,000床余りがなくなり医療型2,000床が1,200床になるわけです。既に医療型病床が一般病床へ移行している所もあります。行政区では上京区で103床がゼロになり,西京区や伏見区ではそれぞれ100床近くベッド数が減少しています。このままでは行き場所がなくなり,医療,介護難民が続出します。社会的入院の解消と言われますが,在宅での受皿も不十分なまま在宅に帰れるわけがありません。介護難民を出さないと言えますか。国に改善を求めるとともに京都市としても独自の対策が必要です。いかがですか。 次に,国民健康保険について質問します。国民健康保険では,重すぎる保険料負担に住民が苦しめられ,保険料を払えずに国保証を取り上げられた患者が重症化,死亡する事件が相次いでいます。長野県松本市では,児童扶養手当を受給している母子世帯,乳幼児がいる世帯,法定減免4割,6割の軽減世帯には,保険料滞納があっても資格証明書及び短期証は発行しないよう要綱で定められました。大変重要な対応です。資格証明書はもとより短期証であっても慢性疾患がある方や子供がいる家庭の精神的な不安感は大変なものです。1月30日に開催された京都市国民健康保険の運営協議会では,市への保険の在り方の答申に,国の責任は重大で国庫補助の増額を強く政府に求めること,市自身も保険料負担を軽減するために一般会計の繰入れに最大限努力すべきとの付帯意見を付けられました。高すぎる国保料の元凶である国保への国庫負担削減をやめ計画的に増額するように国に強く求めるとともに,京都府に対しては補助金の大幅な引上げを求めるべきです。さらに,京都市として一般会計からの繰入れの増額を行い,支払能力に合った国保料に引き下げる独自の努力が必要です。今回の予算の提案では最大限努力したとは言えません。2005年の保険料の計算方法の変更により大幅値上げとなった方々の急激な値上げを緩和するため,2年に限って所得割の3割を減額する措置が廃止されます。しかし,生活の実態は厳しくなっている状況にある中で,少なくとも軽減措置は継続すべきです。いかがですかお答えください。 次に,介護保険について質問します。まず昨年4月からの制度の改定で要支援や介護度1の方々が予防給付となり,ベッドや車いすを取り上げられている問題についてです。真に必要な方に取り上げるようなことはしないと答弁されてきましたが,実態はそうなっていないところに問題があります。例えばリューマチやパーキンソン病の方々の中には,介護認定では介護度1でも朝などは体全体が硬直し動きにくく起き上がりにくいという場合があります。肺疾患,心臓疾患で日常的には介護度1の状況で動けても,寝るときには呼吸困難がありベッドの背もたれを上げないと眠れないという方もたくさんおられます。しかし実際はこういった方々はベッドレンタルの対象にならない場合がほとんどとのことです。この問題については,国も利用制限を一部緩和する方針を報告していますが,まだまだ不十分です。現状はベッドレンタルの対象から外れた方のほとんどは布団に戻るということは少なく,格安のベッドを購入したり実費でレンタルされています。滋賀県では制度改正による影響調査を行い,特殊寝台等の福祉用具を必要とするケースが多く存在することが調査結果から判明し,実費レンタル料の半額補助を今年2月から開始されています。国の利用制限緩和策の周知徹底と,保険者として京都市独自のベッド等レンタルの援助策を持つべきです。いかがですか。 次に,昨年4月から設置された地域包括支援センターについて質問します。介護予防活動のかなめともなっているセンターの役割は重要です。既に10箇月がたってどうなっているかが問題です。北区では五つのセンターがあり約8箇月間で延べ1万5,000件の相談件数,実人数で3,000人の対応をされてきました。介護予防マネジメント,総合相談支援,地域連携支援など3人で対応するわけですから業務量は限界を超えています。そんな中で包括支援センターは1年更新の契約ですが,もうやめたいというセンターが出てきているという話をお聞きします。また3人の専門スタッフのうち退職者が出て,その後の後任がなかなか決まらないなど早速深刻な状況となっています。この状況を打開するには委託費を増やす必要があります。委託費は自治体の裁量で決められることになっています。委託費の増額は今後の包括支援センターの存続問題でもあり,介護予防対策が進むかどうかの喫緊の課題と考えますがいかがですか。 次に,障害者自立支援法に関連して質問します。2006年4月から施行された障害者自立支援法により,福祉サービスや自立支援医療に原則1割の応益負担が導入されました。障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援を益とみなして負担を課すという応益負担は憲法や福祉の理念に反します。障害が重い人ほど負担が重くなり,負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなるなど障害者と家族を苦しめています。施設利用の手控えや退所者が出るなど全国的にも大問題となっています。今回,国は利用者に対して1割という応益負担は変えないまま,負担上限額を現行の2分の1から4分の1にする提案をしています。昨年4月実施以降,全国規模で応益負担による負担の問題,障害者の働く意欲まで減退させるひどい状況が日に日に明らかになり,応益負担の反対を求める運動が広がり国を動かしたと言えます。始まって1年もたたないうちにこのような大幅な見直しは,法そのものが現場にそぐわない欠陥法であったことを証明するものです。法を推進してきた自民党,公明党の責任は重大です。(発言する者あり)今回の市としての独自策は,障害児の通所,入所施設において市民税非課税世帯に対しては利用者負担をゼロにしたこと,課税世帯においても国基準より更に軽減していること,障害者の通所,在宅サービスにおいては,市民税非課税のうち収入は年間80万円を超えるランクでも障害基礎年金及び特別障害者手当のみの方は国基準より更に半分の負担にしています。このことについてはもちろん評価できますが,国が経過措置とはいえ京都市の独自対策を超える自己負担額の減額対策を行ったことにより,独自の対策予算はこれまでどおり確保して更なる軽減策を持つことができます。和歌山県の御坊福祉圏域の1市5町では,国の提案の自己負担4分の1を独自施策で負担をゼロにする計画をされています。いかがですかお答えください。 施設の運営状況も大変な状況に追い込まれています。今回,国も深刻な事態にこたえ従前報酬の80パーセント保障を90パーセントに引き上げましたが,それでも1割の欠損が生じます。自己資金を食いつぶし,職員の賃金,ボーナスカット,職員のパート化など経営的には無理やりやりくりしているのが現状です。全国の障害者共同作業所連絡会で実施した職員に対する労働状況のアンケート調査では,現場で深刻な事態が起こっていることが分かります。一部御紹介します。非常勤者が増え正規職員の労働強化につながっている。とにかく辞めたい。でも今の職場の状況や利用者のことを考えると辞められない。いつか事故を起こさないか不安。給料が減らされ家計は火の車,正直言ってしんどい。時間外労働は月5時間しか認めてもらえない。心に余裕がなくなり利用者に伝わらないか心配などなど悲痛な叫びとも言える声が寄せられています。京都府の調査でも事業所平均で年間1,400万円の欠損が出ると報告されています。京都市は今回,新体系への移行支援策を提案していますが,ある施設長さんは,新体系へ移行しても運営保障の見通しも立たず,平成21年度以降の事業計画は全く立てられない状況にあると言われており移行が進まないのは当然です。自立支援の名ばかりが空回りしている状況と言えます。第1期京都市障害者福祉計画案も検討されていますが,数値目標だけでなく質の問題も極めて深刻な状況にあります。条件が整えば退院可能な精神障害者への退院促進支援等により281人の退院を挙げていますが,肝心の条件が整わない状況にあります。経過措置などでごまかすのではなく自立支援法の抜本的見直しが必要です。応益負担をなくすこと,施設の運営を保障する仕組みとして日払い方式の見直しなど再構築が求められます。国に対して改善を求めるべきです。また,京都市の独自の施策から国が今回大幅な改善策を出してきたことからも京都市独自の事業所に対しての支援策を先行して実施すべきです。いかがですか。 次に,養護学校におけるクックチル給食について質問します。2004年4月から自校方式からクックチル方式として外部委託にして3年になります。教育委員会が自信満々で始めたこのクックチル方式は,外部で業者が調理し急速冷蔵を行い,食べる前に高圧蒸気で再加熱するというものです。当初前日調理と明言されていましたが,実際には前々日に調理されたものが前日に搬入されることになっています。その結果,食感や風味が更に落ちたものが子供に提供されることになっています。当日調理の一般小学校の給食と余りに大きな格差です。さらに,再加熱後に衛生上,手を加えないとしていたのに一定の手を加える必要性が発生したり,汁物は独自に出汁を取るなど大きな変更を余儀なくされています。しかも当初委託した業者は,2年で早くも契約を更新せず委託業者が変更されるなど教育委員会の見込み違いが続発しています。そして実施前,相当な不安の声があったにもかかわらず,学校として食べ残し調査もしていないという対応の不十分さも問題です。昨年,京都市教職員組合障害児教育部が教職員を対象に行ったアンケートの結果は読まれたでしょうか。担当する児童生徒数170人に対する状況をまとめられたものですが,よく食べ残す,ほとんど食べ残す,全く食べないは22パーセント,時々食べ残す子供は40パーセントありました。個別の意見では,内容に対して,魚料理は固くなっていたりパサパサになっていることが多いとか,お浸しは加熱でグニャグニャになっており色も変質し食感もなくなっていることが多いなど見直しが必要な状況は明らかです。ほとんどの教職員が自校方式に戻すべきと答えていることからも,子供たちの代弁者と受け止め自校方式に戻すべきです。食べ残し調査や毎日食べている教職員の意見も集約するよう求めます。そうすれば必ず今のままでは問題であることが分かるはずです。いかがですかお答えください。 最後に,鴨川環境保全について質問します。昨年1月に産業廃棄物中間処理施設の上村組は,大気調査において基準値を超えるダイオキシン濃度が検出され焼却業の停止命令を受けていましたが,とうとう改善猶予期間の1年を過ぎ1月9日に焼却業廃業届を市に提出しました。これは長年にわたる住民の皆さんの違法な焼却はやめよと運動されてきた成果であります。この写真をごらんください。この業者は,破砕業の拡張を進めており,市街化調整区域でありながら違法建築物建設を行っています。しかも骨組みの建設途中に京都市開発指導課,監察課から屋根を取り付けたら違法建築物になると指導を受けていたにもかかわらず,昨年末に赤い矢印で示していますとおり屋根を設置してしまう行為を行いました。極めて悪質です。既存の建築物も含めて違法建築物は即刻撤去させるべきです。いかがですか厳格な対応を求めます。 そして2002年7月より鴨川の清流保全と上流域の環境保全条例を求める提案を何度も行ってきましたが,京都府が今年6月に提案の予定となっています。当初は2月に提案予定でしたが,開発行為を届出制から許可制に変更することになり京都市との協議に時間を要するということで提案が延びたと聞いています。今回の府の条例に京都市が積極的に協力する体制で臨まないと,鴨川上流域での環境と景観は産業廃棄物中間施設,資材置場などで破壊の一途をたどります。条例案の目的は,府民の貴重な財産である鴨川及び高野川の河川環境を京都市とも連携し安心安全で良好かつ快適なものとして整備保全し,次代に引き継ぐことを目的として制定するとあります。そして良好な河川環境の保全のために,鴨川上流域を鴨川環境保全区域に指定し鴨川に影響を及ぼす行為を規制するとあります。しかし,ここで京都府が規制しても京都市が建築確認を出すなどという行為を行うと大問題となります。京都市としても府の条例の趣旨を運用し,鴨川上流域の良好な河川環境を保全することが重要です。いかがですか。以上で私の第一質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(鈴木マサホ) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 玉本なるみ議員の御質問にお答え致します。 障害者施設への支援についてでございます。私は,障害のある方の生活を支える施設等の運営の安定が大変重要であるとの認識から,障害者自立支援法の日払い方式等による大幅な減収に対して他都市とも連携し報酬体系の見直しを強く国に要望して参りました。今回,国において設けられた従前の施設収入の9割を保障する等の特別対策事業につきましては,我々自治体や施設関係者の要望が実を結んだものでございます。本市と致しましては,これら国の改善策に加え新京都方式として,利用者負担の更なる軽減と併せて施設等の運営の安定化やサービスの向上を図るため共同作業所やグループホーム等に本市独自の補助を行う新たな支援策を実施し,障害のある方の福祉サービスの利用を総合的に支援して参ります。 以下,副市長,教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(鈴木マサホ) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 鴨川上流域の環境保全についてお答え致します。鴨川上流の産業廃棄物処理施設につきましては,焼却施設の使用停止と改善を命じた昨年1月以降稼働しておりません。一方,新たに都市計画法等に違反することが確認された建築物につきましても早急に是正するよう厳しく求めているところでございまして,この是正行為が迅速に行われるようにしっかりと監視するなど引き続き強く指導を行って参ります。また,鴨川上流域での景観保全,環境保全につきましては,当該地域はおおむね風致地区,自然風景保全地区に指定致しておりまして,雲ヶ畑等北山の自然的景観を守るため一定規模を超える現状変更行為を規制致しております。府の条例の動向は注視しつつ引き続き本市としても主体的に鴨川上流域における環境と景観の総合的な保全に更に努めて参ります。なお,鴨川の河川環境につきましては,施設の下流に当たります常時監視地点において実施している水質調査におきましても良好な水質を保っておりまして特に問題ないものと考えております。以上でございます。 ○副議長(鈴木マサホ) 上原副市長。 〔上原副市長登壇〕 ◎副市長(上原任) 私からは2問についてお答え致します。最初は生活保護制度の改善についてでございます。本市におきましては,これまでからすべての福祉事務所に専任の面接相談員を配置し生活相談を行っておりますが,伏見区での今回の事件を受け,相談者の心情にも十分に配慮した一層きめ細やかで懇切丁寧な対応に努めているところであります。また,生活保護制度の説明につきましては,この専任の面接相談員が本市で独自に作成した生活保護のしおりを基に生活保護制度の仕組みや権利義務等について相談に来られた市民の方に十分に説明しており,このしおりにつきましては,具体的な相談の有無にかかわらず希望される方すべてにお渡ししているところであります。 次に,障害者自立支援法における利用者負担の軽減についてでございます。今般,国において利用者負担の更なる軽減策が実施されることとなりましたが,京都市では,国の改善策を採り入れ,これに必要な財源を確保するにとどまらず重度障害者への配慮や自立支援医療,補装具及び総合上限についても独自に軽減対象世帯を拡大するなど京都市として最大限の予算で更なる軽減策を実施することと致しました。また,障害児施設の利用者負担につきましては,保育料と同程度となるよう軽減して参りましたが,与党会派の皆様からいただいた御意見を踏まえ,19年度からは更に2分の1とし,市民税非課税世帯は従前の措置制度のころと同様に無料化することとしており,これにより大幅な軽減が図られるものであります。以上でございます。 ○副議長(鈴木マサホ) 西村保健福祉局長。 〔西村保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(西村京三) 乳幼児医療費支給制度の拡充についてでございます。これまで本市では,子育て支援の一環として厳しい財政状況の中ではありますが,制度の拡充について検討して参りました。今回の拡充につきましては府市協調の下,協議を重ねた結果,与党会派の御尽力による京都府補助金の負担割合の引上げなどもあって政令都市でもトップクラスの内容とすることができました。しかしながら,通院分についても年齢拡大し,負担額を無料化するには多額の財政負担を伴うことから本市単独での実施は困難であります。また,通院分における償還払いについて現物給付に変更することにつきましては,自己負担額の上限管理が必要となることから実施は難しいと考えております。 生活保護制度の老齢加算等の廃止についてでございます。老齢加算につきましては,一般低所得高齢者世帯の消費水準との均衡を図るため,平成16年度から3年を掛けて段階的に廃止されたところであります。また,母子加算につきましては,保護基準が平均的な母子世帯の消費水準と比較しても高いこと等から,19年度から3年間を掛けて段階的に廃止することとされており,また就労している母子世帯等には自立を支援するための給付が新たに創設されたところであります。このような趣旨を踏まえ本市として加算廃止の撤回を求める考えはございません。また,京都市夏季歳末見舞金につきましては,生活保護基準を補うという事業目的を終えたため廃止したものであり,復活する考えはございません。 身体障害者リハビリテーションセンターにおけるリハビリについてでございます。平成18年4月の診療報酬改定におきまして身体機能の早期改善を目指す発症早期のリハビリは,医療保険が,身体機能の維持等のリハビリは介護保険が分担するとの考えから保険診療適用期間の日数上限が新たに設定される等の見直しが行われたところであります。一方,失語症や頚髄損傷などリハビリを継続することで症状の改善が見込まれる疾患には,上限設定の対象から除外される配慮がなされております。センターにおきましては,国における診療報酬改定の趣旨を踏まえ引き続き個々の患者の方の症状に応じた効果あるリハビリの実施に努めて参ります。 療養病床の確保についてでございます。国の療養病床の再編につきましては,医療の必要性の低い患者の社会的入院を解消し施設や居宅でのサービスを提供することによって生活の質の向上を図ろうとするものであります。平成18年10月に病院の開設等の権限を有する京都府により療養病床を有する医療機関や入院患者の実態調査が実施され,平成19年夏から秋ごろに仮称でございますが京都府地域ケア確保推進指針が策定されることとなっております。本市と致しましては,今後とも京都府や医療介護関係団体との連携を図り医療,介護の必要な方に適切なサービスが提供できるよう努めるとともに,他の大都市とも連携し療養病床の転換に当たり必要な措置を講じることなどを国へ要望しているところでございます。 国民健康保険料についてのお尋ねでございます。平成19年度予算では大変厳しい財政状況の下,一般会計繰入金の最大限の確保に努め過去最高額となる154億円を繰り入れたことにより医療分の1人当たり保険料を前年度と同水準に抑えることとしております。保険料の引下げについては,本市国保が95億円もの巨額の累積赤字を抱えている現状にかんがみ実施できる状況にはございません。また,所得割保険料算定方式の見直しについては,保険料負担の平準化を図ることを目的として実施したものであり,保険料減額の経過措置は,新たに所得割を御負担いただく世帯に対する激変緩和として時限的に実施したもので平成19年度以降の継続は困難であります。 介護保険における軽度の方への福祉用具の貸与についてでございます。平成18年4月の制度改正において起き上がりや寝返りができる方等については貸与の対象外とされたものでありますが,本市におきましては,高齢者の方々の状態に応じたきめ細かで適切な対応を行うことにより,真に必要な方には引き続き利用していただいております。また国に対しまして,他の大都市とも連携し福祉用具の利用対象者の検討,検証を要望してきた結果,平成19年4月から一定の条件に該当する軽度の方については貸与の対象とするよう見直しが行われる予定であり今後とも適切な対応を行って参ります。 次に,地域包括支援センターにつきましては,昨年4月に設置しほぼ1年が経過する中で,相談,地域連携支援,介護予防,ケアマネジメントなどの活動を展開され高齢者のニーズに対応する機関としての役割を発揮していただいております。センターの体制及び運営経費につきましては,当初から十分な活動に必要な額を見込んだものでありますが,平成19年度予算案におきましては,新たに高齢者数及び地域ニーズを勘案した体制の充実強化や介護予防事業の普及啓発業務への支援について盛り込んでいるところであります。以上でございます。 ○副議長(鈴木マサホ) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 養護学校の給食についてでありますが,平成16年4月,全国に先駆け総合性の養護学校の新設再編を機に教職員やPTA等と十分な協議を重ね,最新技術を駆使したクックチル方式により障害のある子供たちのための充実した給食を実施しております。従前の自校炊飯では小学校給食の献立を高校生にまで使わざるを得ず,また流動食は,調理後に再加工して対応していた養護学校給食を抜本的に改善充実し,おかずの数も種類も増え焼き物等の新たな献立も可能になりました。また,多様化する一人一人の子供の障害の状態に応じた流動食,細かい刻み食,粗い刻み食等の段階食やアレルギー対応食,カロリー調整食など養護学校で必要なきめ細かな給食が実施されております。これらは自校炊飯ではできませんでした。(発言する者あり)毎年全校で実施している保護者対象の試食会においても大変好評を得ており,残菜も決して増えてはおりません。今後とも保護者や教職員の意見を踏まえ,養護学校生徒一人一人を大切にした給食の充実に努めて参ります。以上でございます。 ○副議長(鈴木マサホ) 玉本なるみ議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 御答弁いただきましたが,国がこの間,負担の公平化を理由に福祉切捨てを行ってきた姿勢と京都市は全く同じではありませんか。地方自治体の役割は,市民の暮らしの実態にしっかりと目を向け国に対して制度の改善を求めることであり,独自の対策をまず取り組むことです。求めました夏季歳末見舞金の復活に対しても大変冷たい御答弁でした。しかも,来年度からは教育扶助資金まで廃止しようとしています。景気回復と言ってもそれは一部大企業のみの話で,市民の暮らしが改善されていないことは誰もが実感するところです。日本共産党は,こういうときだからこそ福祉の心を更に熱く持ち取り組んでいくことを最後に表明し第二質問とします。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(鈴木マサホ) 次に,赤阪仁議員に発言を許します。赤阪議員。 〔赤阪仁議員登壇(拍手)〕 ◆(赤阪仁議員) 伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党市会議員団を代表して市長及び関係局に質問致します。 まず初めに30人学級について質問します。来年度予算案において京都市は4月から中学3年生から30人学級を実施すると発表しました。20年来の市民の切実な願いが実現,前進しました。また既に小学校1,2年生での35人学級の独自実施は,市民,保護者の皆さんから喜ばれていますが,3年生になると国基準の40人学級に戻るのでは心配です。小学校3年生以上も定数改善をと求める声は切実です。本市教育長は,この間,国会で証人として意見陳述し,教育再生会議の委員としても国の教育予算の不十分さを指摘し子供の教育条件整備が遅れていると発言しておられます。引き続き京都市の小中学校すべての学年で30人学級を実現することを求めます。そのためにも国,府に対して教職員定数の改善を最重点として求めるべきと考えますがいかかがですか。 続いて,就学援助制度について質問します。子供の家庭の家計収入は,OECDが貧困層とする年収200万円前後しかない世帯が増えています。特にこの間,母子家庭が増え,その生活困難は増すばかりです。3人に1人がアルバイト,派遣労働などの非正規雇用労働者であり,家族の一家団らんが奪われています。子供の家庭の貧困化が進み,京都市内の就学援助を受ける小中学生は5人に1人に及び,受給者数は昨年から約2万人を超え更に増えています。市内の児童生徒数は減っているのに受給者数は増えているのです。京都市の就学援助制度の学用品,教材費の年間支給額は2万1,700円,中学新入生には準備金2万2,900円が出ますが,中学生の制服代はブレザーで1万数千円,ズボンやスカートなどを合わせると一時に4万円以上も必要です。教育費負担が増え,児童手当が増額されても持ち出しが多くて間に合わないというのが保護者の声です。ところが就学援助制度の国の国庫負担額が政府の三位一体改革で減らされ,さらに本年度,生活保護基準費が減額された影響から前の年より951名もの子供が就学援助を受けられなくなりました。京都市が国に倣って就学援助の基準額を引き下げたために打ち切られたのです。就学困難家庭を救うのが自治体の本来の仕事ではありませんか。就学援助制度の所得基準を緩和すること,就学援助額の増額を行い制服代の補助など市の独自施策を求めます。そのためにも国に対して準要保護世帯への補助金復活と増額を求めるべきと考えますがいかがですか。 また,遠距離通学のため路線バスの利用を余儀なくされている子供の世帯の交通費の負担が大変です。京都市は,就学援助受給世帯には全額公費負担していますが,その他の児童生徒の世帯には一定額の自己負担,それ以上は公費補助としています。公費受給人数は,生活保護世帯を除き全市で伏見区,左京区を中心に05年度で小学生163名,中学生311名,合計474名にも上ります。市バス定期券を購入するのに自己負担額は,小学生は1月2,980円,中学生は4,800円,年間で小学生は3万3,000円以上,中学生は5万2,800円以上の保護者負担が必要となります。兄弟で通学すると年間10万円以上にもなります。また,夕方帰りが遅くなる小学校高学年,中学生にとってはバスの増便が望まれます。憲法の教育の機会均等,義務教育は無償の原則からも京都市の更なる努力が必要と考えます。路線バスなどを利用する遠距離通学の保護者負担を更に軽減すべきです。子供の安全と利便性を確保するため交通局,交通事業者とも連携を図り増便などについても協議すべきではありませんか。いかかですか。 教育長は,市場原理は義務教育になじまないと競争教育を懸念する発言をされています。しかし,京都市で行われている教育改革の現実はどうでしょうか。公立学校の中高一貫校である西京中高には99億円も建設費を掛け,12の春へ難関に挑戦と報道されるように京都市域以外の子供も含めて入試選抜し受験競争の低年齢化に拍車を掛けています。一方,伏見の生徒数1,000人を超す神川中学校のマンモス校解消の方向性は見えておらず,子供も保護者も心配しています。小中学校時代に不登校であった子供の進路先となっていた洛陽工業高校夜間定時制を廃止,市内の夜間定時制の入学定員を今年度100人も削ったことは,経済困難な家庭の子供の進路を切り捨てるものではありませんか。 さらに,全国一斉学力テストの実施は,全国レベルでの子供の序列化を図り子供の家庭実態を含めた個人情報を民間教育産業に提供することになると懸念されています。中学3年生は校長会テスト,学習プログラムと称した業者テストの3種類で1年間に7回のテストを受験することになり,子供は,点数による相対評価で全国,全市,全校で順番が付けられることになります。テストというのは,本来子供のつまずきの原因を知り教える側の指導法の改善につなげるものではありませんか。子供を過激な競争主義に追いやり,点数と順位で差別,選別することが市民の願う教育でしょうか。学力世界一のフィンランドでは,日本より授業時数が少なく,義務教育段階で子供を競争させることを一切やめて一人一人の子供の成長を先生が見守る,どの子にも基礎学力を保障する学校教育を目指し大きな成果を上げたと言われています。学力テストの点数だけに追われ,教育の目的である人格の完成を見失うことは許されません。まして教育再生会議で検討されている子供の学力テストの平均点で学校への予算配分も変え学校間格差を作ることは,家庭の経済的負担能力による学校間格差を助長し固定化するものでしかありません。憲法26条の教育の機会均等の原則からも逸脱するもので許されません。学校選択制を先行実施している東京都では,既に新入生ゼロの中学校を生み出しています。学校選択制は,学校と地域の格差を助長するもので反対すべきと考えますがいかがですか。そして学校選択制導入に連動することになる全国一斉学力テストの実施には参加しないこと,特にテストの結果の公表などは絶対に行うべきでないと強く求めるものです。いかがですか。 次に,今年度教育予算に政策重点化予算の32億円が配分されたと説明がありました。しかし一昨年,京都市の学校運営費2割削減がもたらした影響は深刻です。子供の教育環境は改善できるのでしょうか。学校では,エアコンが折角普通教室に付けられたのに光熱水費が昨年実績より45万円も減ったので絵にかいたもちになりそうです。子供の実習材料費が半額になり保護者からの徴収金が月5,000円を超えています。育成学級,ことばときこえの教室の経費がこの三,四年で半分になりましたとの声が出されているように,保護者負担が増え教育条件の低下を招いています。またある学校では,業者のトイレ清掃が週1回から月1回に減らされ困っています。O‐157の発生のときにはウイルス感染の被害を防ぐため児童にトイレ清掃させてはいけないと言って指導してきたのに,学校予算がないのでこれからは児童にトイレ清掃をさせよというのはおかしいではありませんか。学校のトイレ清掃の回数が減って臭くて不衛生になった直接の原因は,学校運営費を削ったからです。子供に責任を取らせるのは本末転倒です。子供の健康と衛生の教育を後退させてはならず,その責任は京都市にあることを厳しく指摘するものです。来年度,学校運営費の効率化見直し事業として4,200万円も減らされ,保護者負担が増え,学校裁量が広がるどころかむしろ不自由な学校予算となるのではありませんか。福祉,教育の後退はさせないという市長公約からも,来年度の教育予算の中でも学校運営費を増額し保護者負担を軽減すべきです。いかがですか。 次に,学校の耐震改修と防火設備の改善について質問します。学校は子供の安全安心が最優先に求められている所です。ところが昨年の決算議会で我が党が指摘しましたが,消防局から学校での消防法違反の火災防災対策設備是正命令が出されています。内容は,消防用設備等の不備229件,防火シャッター等83件,防火管理者を専任にすること,避難訓練を実施していないなどの指摘でした。教育委員会は,毎年50件ずつ,改善率14.5パーセント,誠実に対応し数年で改善したいとの答弁もありましたが,災害はいつ起こるか分からず一刻の猶予も許されません。地震などの防災拠点である学校の耐震改修工事を2010年まで待たずに早期に完了する計画を作成すると同時に,消防用設備などの防火防災対策についての財政措置を最優先に行い一刻も早く改善すべきと考えますがいかがですか。 先の12月国会で自民,公明の安倍政権は,学力世界一と言われるフィンランドの公教育改革のお手本となった日本国憲法に基づく旧教育基本法を改悪しました。新教育基本法は,自民党,公明党によって,慎重審議を求める国民世論を押し切って強行される結果となったことからも,これは戦後日本の教育史上に最悪の汚点を刻むものであり国民の支持を得られるものではありません。新教育基本法は,やらせ基本法と呼ばれているようですが,今後この悪法が続く限りタウンミーティングなどのやらせ質問で作られた悪法という恥ずべき傷が消えることがないでしょう。さらに,京都で行われたタウンミーティングで特定の人物を排除した京都市教育委員会の責任は重大で免罪されるものではないことを厳しく指摘するものです。政府は,教育再生会議での答申を受けて三つの法案を今国会に提出する方針を決めています。その方向は,全国一斉学力テスト,習熟度別指導,学校選択制の拡大など競争とふるい分けの教育を一層激化させ,教育現場の矛盾と混乱をひどくするものです。いじめ問題でも,教員への評価と免許更新の問題でも,上から子供と教師を押さえ付ける権力的統制を強化することがその方向であります。新教育基本法では,教育の目標に国を愛する態度を書き込んで戦前と同様に愛国心を押し付けようとしています。国が教育振興基本計画を立案し国による教育内容への介入,支配を公然と進めようとしています。しかし,新教育基本法と憲法とは明らかに矛盾します。法案審議の中でも,政府は内心の自由について子供の愛国心を評価することは適切ではないと答弁せざるを得ませんでした。日の丸,君が代強制についても,政府は批判する子供の思想,良心の自由も保障しなければならないと答えました。教育の自由に関しては,政府は1976年の最高裁判決の国家権力による教育内容への介入はできるだけ抑制的でなければならないという論理を認めています。本市の教育行政においても,これらの政府の国会答弁を踏まえて憲法に基づく教育行政,施策を進めるべきと考えますがいかがですか。 続いて青年労働者の雇用問題について質問します。日本共産党は,今年度,京都青年雇用大調査に取り組みました。集まったアンケート1,000枚の中身は,使い捨てにされる青年の叫びが記されています。少し紹介しますと,パートやアルバイトで10年我慢したら正社員になれると思って安い給料で我慢していたのに先行き不安ですと郵便アルバイト30歳男性。同じ仕事をしている人には同じだけの給料が欲しい。非常勤職員の待遇を改めてほしいという契約社員24歳女性など,青年は安定した雇用を求めています。不安定雇用の青年はもちろん,正規雇用の青年も正社員を増やしてほしいという声を多数寄せています。ワーキングプア問題は青年の深刻な問題であるとともに,すべての市民の問題です。青年雇用アンケートの回答のうち実に48.4パーセントが200万円以下の収入です。正規雇用の青年21.3パーセントが200万円以下の収入実態です。これでは青年が自立し家庭を持ち子供を育てることはできないではありませんか。子供の出生率,全国ワースト2の京都市こそ全庁挙げてのプロジェクト等による青年対策組織を立ち上げ,青年労働者の置かれている実態,特に派遣労働,請負労働,アルバイトなどの労働実態,生活実態をつかむことを求めます。そして京都市独自の青年雇用の支援策を検討すべきと考えますがいかがですか。17時間働いても2時間しか残業代が付かないと怒る青年。派遣から正社員になって喜んでいたら,逆に仕事の携帯電話代まで自己負担になり給料が半分の10万円になった。こんなルール違反が許されていいのでしょうか。青年労働者が命を削る思いで働いても自分の生活費も稼げない社会がまともな社会と言えるでしょうか。アンケートでは,青年の働く職場の7割を超す所で法律違反がまかり通っているというのです。憲法25条の生存権保障の立場に立って青年の人間らしい生活を保障するため,労働局,京都府との連携を強化し具体的に青年労働者の権利保障とルール破りに対する相談窓口などを開くことが必要と考えますがいかがですか。また,京都市が率先して労働基準法厳守の啓発指導を行い,正規雇用の場を作るために企業への働き掛けを強めることは京都市でもできることではありませんか。いかがですか。 京都市は,中京区にヤングジョブスポットを立ち上げ不安定就労若年者,いわゆるフリーター等の対策強化を目的として厚生労働省の推進事業として取り組んできました。職業意識を高めるための活動拠点としての京都市ヤングジョブスポットは,全国に先駆けて京都方式という青少年活動センターを利用し,雇用・能力開発機構からの委託事業として京都ユースサービス協会が若者のニーズに応じた多彩な事業を進めており,青年がひっきりなしに利用しています。ところが厚生労働省は,今年1月になって突然4月から全国14都道府県にある就労支援施設ヤングジョブスポットを東京と大阪を除き廃止すると発表しました。関係者は突然の発表に驚く一方で,出前型に切り替える予定の京都センター事業との連携は京都方式であるから事業継続は十分可能と語っておられます。京都府は,京都ジョブパーク構想を出していますが,京都市としても現在のヤングジョブスポット機能を拡充し就業課題に対応する相談窓口を身近なすべての青少年活動センターに広げるなど事業の継続,充実に努めるべきと考えますがいかがですか。 さらに,子育て真っ最中の青年労働者の就労支援と子育て支援策の具体化が必要です。特に収入が少ない子育て世代にとって,住宅ローンの負担など働いても働いても生活を維持することが大変です。子供を保育園に預けて働くには保育料が高いのも頭痛の種です。手取り10万円くらいの収入しかないのに,保育料は子供2人分で六,七万円になるから働いている意味がなくなると子育て真っ最中のお母さんが嘆きます。子育て支援のために,京都市保育園連盟からの要望もありますが保育料負担を軽減することが必要です。複数の子供を通わせる保護者の保育料負担を軽減し,3人目の子の保育料は無料にするなど子育て支援策の積極的具体化を求めますがいかがですか。 次に,市民の足を守る交通事業について質問します。京都市交通局は,生活支援路線として位置付けた6路線の市バス路線で実証実験を行っています。実験の中間報告では,住民の利便性を高める鉄道駅との接続,系統ダイヤの改善,バスの増便,小型バスの運行が利用客を増やし赤字の減少につながることを証明しました。また,醍醐地域での小型循環バスの運行は,住民の足を守る取組として京都市の敬老乗車証も利用できるように利便性を高める努力も行われバスの乗客が増加しています。この教訓を生かすべきです。先日,3月10日からのバスの系統路線の改善が発表され,観光,通勤通学バスダイヤの改善が発表されました。地下鉄竹田駅西口とJR長岡京駅東口を結ぶ南2番の増便,20系統の小型バスの一部導入は,東西交通が不便な伏見のまちの狭い道路での安全安心なバスの運行を求める住民の声にこたえるものです。伏見区桂川南西部周辺地域の住民にとっては,市バスは唯一の公共交通機関であり市民の足を守るなくてはならないものです。京都市内であるにもかかわらず市内均一区間外にされ,今回の増便された路線の出発点の京都駅,四条大宮駅までに区間外運賃220円以上が必要です。さらに均一区間内の市バスに乗り継ぐには220円,合計440円以上が必要となります。つまり同じ京都市民でありながら,目的地に行くのにバス乗り継ぎと倍の交通費の負担が必要なのです。しかも1日1時間に1本しかないという周辺部の市バスダイヤの状況は,同じ市民税を払っているのにどうして平等にならないのかと怒りがわいています。運賃が安くて便利,安全なバスがあれば乗りたいが,今の現状では高校生の通学や通勤の行き帰りにも不便で家族が送り迎えせざるを得ないと住民は言っています。小型の市バス運行などによる地域住民の生活に密着したコミュニティ系統路線とダイヤ増便で市民の足を守る利便性を高めることを求めます。当面,無料乗り継ぎ券の発行を拡充し,市バスと市バス,市バスと地下鉄,民間バスの乗り継ぎを一層便利にすること。京都市内は市内均一区間外運賃を廃止し均一料金制に改善すること。一日乗車券も含めて,嵯峨,高尾,嵐山など観光地に来る観光客の利便性も高めて乗客増を図るべきと考えますがいかがですか。 来年,地下鉄天神川駅(仮称)が開設の予定です。地下鉄東西線開通のときに山科,醍醐では,市バス路線が廃止され地下鉄駅への市民の足がなくなりました。また,市内中心部へのバス直行便が断ち切られたので市民の交通費負担も倍以上に膨らみ地下鉄が通って不便になったという地域も出ました。住民の声を良く聴いて新設の仮称天神川駅周辺の右京区の南北のバス路線とダイヤの改善を行い地下鉄駅との接続効果を高めることを求めておきます。 最後に,地元淀駅の高架化工事が進んでいます。現在の駅の場所から大阪方面行きだけ仮駅の場所を変更しただけでも買物客が3分の1に減少し売上げが減ったと地元商店は死活問題と悲鳴を上げています。新駅が4年後に出来て駅が移動すると人の流れが変わり,商店街の独自努力だけでは済まされない問題です。駅と商店街を結ぶ通路を確保し商店街の活性化対策を講じるよう地元からも要望書が京都市に提出されています。淀,納所地域は京都市の南の玄関口であり,歴史的にも要衝の地です。しかし図書館,老人福祉施設,障害者授産施設,スポーツ公園など文化教養施設のインフラ整備が遅れている地域です。JRA京都競馬場から半径3キロメートルの周辺整備事業のための京都市への寄付金,毎年約8億円を活用され,京阪淀駅の高架下用地を公共施設として利用し,駅前周辺整備で住民の利便性を高める住民合意のまちづくりを京都市が支援することを強く要望して私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(鈴木マサホ) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 赤阪仁議員の御質問にお答え致します。 30人学級についてでございますが,国の第8次定数改善計画が見送られ,さらに教職員の削減を盛り込んだ行政改革推進法が昨年6月から施行されております。そうした下,私は,どのような厳しい状況の下でも福祉と教育は後退させないという強い決意で政策を進めて参っており,保護者,市民の皆様の期待と校長会やPTAからの強い御要望にこたえ,本年4月から全国に先駆け本市独自予算で中学校3年生での30人学級を実施することと致しました。本市の独自措置による全学年への拡大については厳しい財政状況の下,困難であり,国における学級編制基準の引下げと教職員定数の改善という抜本的な改革が必要なため,今後とも国,府に対して要望して参りたい考えでございます。 以下,子育て支援政策監,公営企業管理者,教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(鈴木マサホ) 田村子育て支援政策監。 〔田村子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(田村裕二) 子育て支援策としての保育料負担の軽減についてでございます。本市におきましては,子育て家庭に対する経済的な支援策の一つとして,保育料につきましても国基準を大幅に下回る設定を行い約25億円にも及ぶ保護者負担の軽減を図っております。多子世帯に対する保育料につきましても既に2人目については通常のおおむね2分の1とし,3人目についてはおおむね10の1とする軽減を図っております。3人目の子供の保育料の無料化につきましては,在宅で子育てをされている世帯との公平性や本市の財政状況を踏まえ引き続き検討して参ります。 ○副議長(鈴木マサホ) 福徳文化市民局長。 〔福徳文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(福徳久雄) 青年の雇用対策などについてお答え致します。若年者の正規雇用の拡大等に向けた取組や労働基準法等に基づく事業所等への指導監督,労働者の実態調査及び相談等につきましては,雇用労働行政を所管する国及び京都府において既に取組が進められているところでございます。 〔鈴木副議長退席,巻野議長着席〕 ◎文化市民局長(福徳久雄) (続)一方,本市では,京都市ユースアクションプランに基づき,これまでから青少年の職業意識の希薄化等の課題に対処するため中学,高校における職業体験学習や大学生のインターンシップ事業,青少年活動センターにおける職業情報の提供や仕事に関するセミナーなど青少年の職業的自立支援のための取組を行っております。また,昨年11月に京都市青少年活動推進協議会からいただきました提言を踏まえ,近く改定を予定致しております同プランにおきまして,青少年の自立の後れという問題への対応の重要性から青少年のキャリア形成支援を基本方針の一つに位置付け,青少年のキャリア教育や課題解決のための支援等に重点的に取り組むことと致しております。 次に,ヤングジョブスポット京都につきましては,本年1月に国及び雇用・能力開発機構から事業見直しの方針が示されるとともに本年度末で廃止する旨の通知がございました。しかしながら,本市と致しましては,若年者の就業支援の重要性にかんがみ昨年10月から開始致しております京都若者サポートステーション事業並びに中京青少年活動センターで実施致しております総合相談事業の拡充を図る中でヤングジョブスポットの機能を継続して参りたいと考えております。また,サポートステーション事業を効果的に実施するために整備致しました庁内関係局並びに関係行政機関で構成する若者自立支援のためのネットワークにつきましては,幅広い関係機関との情報交換等を行いながら協力関係を築いていくため平成19年度から新たに民間団体や労働団体,経営団体等にも参画を呼び掛けネットワークを拡充して参ります。今後とも国,京都府及び京都市がそれぞれの役割を踏まえ,相互の連携協力を図りながら若年者の就業支援に努めて参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 島田公営企業管理者。 〔島田公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(島田與三右衞門) 市バスの増客対策についてお答え致します。非常に厳しい経営環境にございますが,市民の皆様の大切な足でございます市バス路線を守るために,全国に先駆け民間バス事業者への運行委託や大型バスに代えて小型バスやジャンボタクシーを導入するなど,経営健全化と利便性向上に取り組み経営の効率体制の転換を懸命に図って参りました。また市バスの路線,ダイヤにつきましては,お客様の声や御利用実態に対応して毎年見直し充実を行ってきたところであり,この3月には金閣寺を巡る洛バス101号をはじめとする観光系統の増便や大学への通学輸送の増強を実施致します。また,均一運賃区画の拡大を直ちに実施することは困難でありますが,1割お得なトラフィカ京カードや民間バスにも乗れる京都観光一日乗車券の発売及び市バス・地下鉄の乗り継ぎ割引の実施などお客様のサービス向上に努めて参っております。引き続きすべてはお客様のためにを合言葉に,交通局職員一丸となりましてしっかりと取り組んで参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 就学援助についてですが,国の補助金が三位一体改革により廃止され一般財源化される中で,義務教育保障のためこの5年間で約5,000人増えた受給者に対応し約3億円もの予算増額を図っております。来年度についても極めて厳しい財政状況の下ではありますが,更に約1億2,000万円の増額を行うなど最大限の努力を払っており,これ以上の制度の拡充は困難であります。通学費補助については,平成元年以降運賃値上げに対応して補助金を増額し,17年間にわたり保護者負担額が増えないよう措置しております。なお,現在交通局において通学バスの増車に協力いただいておりますが,増便についても必要に応じて協議して参ります。 次に,学校選択制についてでありますが,本市では,教職員の熱意と家庭,地域の積極的な参画を得て市ぐるみですべての学校の教育力の向上に取り組み成果を上げてきているところであり,御指摘のような学校選択制を導入する考えは全くございません。文科省の全国学力学習状況調査につきましては,児童生徒の学力実態や学習習慣等を詳しく把握でき指導の改善にも生かせる有用な調査であることから,本市においても実施し積極的に活用して参ります。また,調査結果の活用と公表の在り方につきましては,学校の序列化や過度な競争につながることがないよう十分な配慮が必要であり,今後の指導改善方策等を含めて教育の充実に資する具体的な方法を検討して参ります。 次に,学校運営費についてでありますが,逼迫した財政状況の下,徹底した事業の見直しや教員以外の職員の削減など行財政改革を断行し,学校運営費を桝本市長及び議会の御理解を得て確保を図って参りました。こうした下,巨額の経費を要するすべての小中学校の全普通教室の冷房化や校内LANの全校整備,独自予算での30人学級の導入など少人数教育の実施など,すべての子供の教育条件の向上のため選択と集中の観点から学校運営費を極めて少しですが削減しておりますが,なお子供1人当たりの教材費等は10年前の約2割もの増額を維持しております。また,学校の裁量を拡大し各学校が一人一人の子供に焦点を当てた教育活動をより充実させるため,学校運営費の費目の枠を超え必要な事業に重点的に執行できる制度を導入しております。今後とも限りある予算を最大限活用し,子供たちの教育の充実を目指し教育改革を一層推進して参ります。なお,学校トイレの児童生徒による清掃活動は,各学校で議論され優れた教育活動と位置付けられ実施されているものであります。 次に,学校施設の耐震化でありますが,18年度当初,全国平均で6割台にとどまっている耐震診断を本市では17年度約1,200棟,全棟100パーセント完了しております。また耐震補強工事は,22年までの本市独自の8年計画で多額の予算を投入して着実に進めており,小中学校の耐震化率は18年度当初,全国平均55パーセントに対し本市では70パーセントを超え19年度末には82パーセントに達する見込みであります。全国トップクラスであります。また消防用設備につきましては,これまでから計画的に整備しており,特に是正指導を受けている避難器具につきましては,19年度中に整備を完了すべく最優先で取り組んでおります。今後とも地域の防災拠点となる安心安全な学校づくりを進めて参ります。 次に,教育行政についてでありますが,憲法,教育基本法,その他教育関係諸法令に基づいて実施することは当然のことであります。本市では法規であります学習指導要領に基づき国旗,国歌などの指導を進めて参りましたが,さらに,この度改正された教育基本法において,我が国の伝統文化を尊重し,さらに,これらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を子供たちに育成していくことの目標が定められており,これらも踏まえまして,より一層国旗,国歌などの指導を充実して参ります。また,徹底した現場主義と学校裁量権の拡大に努めますとともに,教育委員会の専門性に基づく指導性を発揮し教職員の熱意と保護者,地域の方々の更なる参画を得ながら市民ぐるみの教育改革に取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 本日の審議はこの程度にとどめ,延会致したいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(巻野渡) 御異議なしと認めます。よって本日は,これをもって延会致します。 〔午後4時37分延会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    巻野 渡          副議長   鈴木マサホ          署名議員  加藤盛司          同     せのお直樹 △(イメージ)請願文書表「受理番号1789」「マンション建設の指導」・陳情文書表「受理番号93」「新学校図書館図書整備費の予算化」...