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09月12日-02号

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  1. 京都市議会 2006-09-12
    09月12日-02号


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    平成18年  9月 定例会(第5回)       平成18年第5回                京都市会会議録 第2号       (定例会)                平成18年9月12日(火曜日)出席議員(65名)   1番 村山祥栄議員   2番 湯浅光彦議員   3番 隠塚 功議員   7番 巻野 渡議員   8番 樋口英明議員   9番 宮田えりこ議員  10番 加藤あい議員  11番 木村 力議員  12番 曽我 修議員  14番 山岸たかゆき議員  15番 砂川祐司議員  16番 安孫子和子議員  17番 寺田一博議員  18番 津田大三議員  19番 中川一雄議員  20番 田中英之議員  21番 玉本なるみ議員  22番 赤阪 仁議員  23番 くらた共子議員  24番 河合ようこ議員  25番 久保勝信議員  26番 津田早苗議員  27番 井上教子議員  30番 宮本 徹議員  31番 中村三之助議員  32番 加地 浩議員  33番 橋村芳和議員  34番 小林正明議員  35番 加藤盛司議員  36番 繁 隆夫議員  37番 せのお直樹議員  38番 井坂博文議員  39番 岩橋ちよみ議員  40番 井上けんじ議員  41番 西野さち子議員  42番 柴田章喜議員  43番 久保省二議員  44番 大道義知議員  45番 日置文章議員  46番 谷口弘昌議員  47番 今枝徳蔵議員  48番 鈴木マサホ議員  49番 小林あきろう議員  50番 富 きくお議員  51番 内海貴夫議員  52番 田中セツ子議員  53番 磯辺とし子議員  54番 井上与一郎議員  56番 北山ただお議員  57番 山中 渡議員  58番 藤原冬樹議員  59番 倉林明子議員  60番 山本正志議員  61番 佐藤和夫議員  62番 ふじい佐富議員  63番 宇都宮壮一議員  64番 山口幸秀議員  65番 高橋泰一朗議員  66番 椋田知雄議員  67番 中村安良議員  68番 北川 明議員  69番 国枝克一郎議員  70番 西脇尚一議員  71番 青木ヨシオ議員  72番 加藤広太郎議員欠席議員(なし)欠員(4名)   議事日程   開議日時 平成18年9月12日(火)午前10時第1 議第113号 健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について第2 議第114号 障害者自立支援法の一部の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について第3 議第115号 京都市知的障害者授産施設条例の一部を改正する条例の制定について第4 議第116号 京都市重度心身障害者医療費支給条例の一部を改正する条例の制定について第5 議第117号 京都市道路の位置の指定の基準の特例に関する条例の全部を改正する条例の制定について第6 議第118号 京都市都市計画関係手数料条例の一部を改正する条例の制定について第7 議第119号 消防組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について第8 議第120号 京都市焼却灰溶融施設(仮称)新設工事工場棟新築工事等請負契約の締結について第9 議第121号 京都市焼却灰溶融施設(仮称)新設工事電気設備工事請負契約の締結について第10 議第122号 京都市崇仁コミュニティセンター等新築工事請負契約の締結について第11 議第123号 一級河川白川改修今出川分水路新設工事請負契約の変更について第12 議第124号 一級河川七瀬川改修工事請負契約の変更について第13 議第125号 指定管理者の指定について(京都市桂授産園)第14 議第126号 市道路線の認定について第15 議第127号 市道路線の廃止について第16 議第128号 土地改良事業の計画の概要の策定について第17 議第129号 巨椋池排水機場管理協議会規約の設定及び巨椋池排水機場管理協議会の設置の協議について第18 議第130号 訴えの提起について第19 議第131号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第20 議第132号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第21 議第133号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第22 議第134号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第23 議第135号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第24 議第136号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第25 議第137号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第26 議第138号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第27 議第139号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第28 議第140号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第29 議第141号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第30 議第142号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第31 議第143号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第32 議第144号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第33 議第145号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第34 議第146号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第35 議第147号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第36 議第148号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第37 議第149号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第38 議第150号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第39 議第151号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第40 議第152号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第41 議第153号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第42 議第154号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第43 議第155号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第44 議第156号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第45 議第157号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第46 議第158号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第47 議第159号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第48 議第160号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第49 議第161号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第50 議第162号 控訴の提起について第51 報第4号 平成17年度京都市地域水道特別会計歳入歳出決算第52 報第5号 平成17年度京都市京北地域水道特別会計歳入歳出決算第53 報第6号 平成17年度京都市特定環境保全公共下水道特別会計歳入歳出決算第54 報第7号 平成17年度京都市病院事業特別会計決算第55 報第8号 平成17年度京都市水道事業特別会計決算第56 報第9号 平成17年度京都市公共下水道事業特別会計決算第57 報第10号 平成17年度京都市自動車運送事業特別会計決算第58 報第11号 平成17年度京都市高速鉄道事業特別会計決算    一般質問 (1)市政一般について  椋田知雄議員 (2)市政一般について  小林正明議員 (3)市政一般について  橋村芳和議員 (4)市政一般について  倉林明子議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時2分開議〕 ○議長(巻野渡) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。樋口英明議員木村力議員とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) この場合,議長から御報告申し上げます。 秋篠宮家親王殿下におかれましては,9月6日に御誕生になり,議長として心から慶祝の意を表しました。この旨,御報告致しておきます。 この場合,さらに御報告申し上げます。 今回受理致しました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託致します。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 日程に入ります。 日程第1ないし日程第58については,前回の議事を継続し,これより順次上程することと致します。 日程第1ないし日程第49,議第113号健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について,ほか48件,以上49件を一括議題と致します。 本案は,ただ今お手元に配付してあります議案付託表のとおり,所管の常任委員会に付託致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 日程第50,議第162号控訴の提起についてを議題と致します。 お諮り致します。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(巻野渡) 御異議なしと認めます。よって本件は,原案のとおり可決されました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 日程第51ないし日程第58,報第4号平成17年度京都市地域水道特別会計歳入歳出決算,ほか7件,以上8件を一括議題と致します。 中川一雄議員。 ◆(中川一雄議員) 議事進行について動議を提出致します。 ただ今議題となっております決算8件については公営企業等決算特別委員会を設置し,これに付託のうえ慎重審議願いたいと思います。なお委員の数は21名とし,委員は議長から御指名願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(巻野渡) ただ今中川一雄議員から動議が提出され,動議は成立致しております。 お諮り致します。ただ今の中川議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(巻野渡) 御異議なしと認めます。よって中川議員の動議のとおり決します。 なお委員は,ただ今お手元に配付してあります名簿の方々を指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(巻野渡) 御異議なしと認めます。よってただ今指名致しました方々を公営企業等決算特別委員に選任することに決定致しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 暫時休憩致します。 〔午前10時5分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(巻野渡) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,椋田知雄議員。 〔椋田知雄議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田知雄議員) 質問に入ります前に,過日,京都市会において市会議長をも務め,共に議員活動をして参りました親しい友でもありました川中増次郎市会議員が御逝去され,心から哀悼の意を表する次第であります。また,今大きな問題となっております職員の不祥事に関して,率先して服務監という重責を全うされようとするさなかに市役所で倒れられ,帰らぬ人となられた永岡正美様に心からお悔やみを申し上げる次第であります。 さて,今大きな社会問題になろうと致しております京都市政の根幹を揺るがしている職員の破廉恥極まる犯罪に対して,市長はその重大性にかんがみ,過日,広く市民に対して謝罪の意を示されたところであり,かつまた,議会においても一斉に全常任委員会を集中的に開会し,全局にわたって事の事態について厳しく追及して参りました。さらに,議員全員の発議により開会した臨時本会議においては,市長から信頼回復と再生のための抜本改革大綱が示され,それを受けて市会は,職員の不祥事に関する調査特別委員会を設置し,引き続き集中的に審議を深めて参ることと致しております。今回の一連の不祥事は,突然発生したものではありません。毎年のごとく何らかの形で職員の不祥事件が発生しているということは否めない事実であります。 我々自由民主党市会議員団は,毎年市長に対して,市政に対する提言,要望を提出し,その実現を目指して議会活動を展開しているところでありますが,その第1の項目に,職員の綱紀粛正と信賞必罰を基本とした職員体制を徹底的に構築すべきであると訴えて参りました。それは,桝本市政は言うに及ばず,歴代の市長に対しても何十年来訴えてきたところであり,分けても桝本市政10年の間に,毎年毎年,職員に対する綱紀粛正と信賞必罰をもって厳しく対応していくべきであると提言し要望して参った次第であります。これは議会にとって,人事に関するぎりぎり一杯の提言であり,かつてこうした要望や提言に対して職員組合や関係団体,運動団体から抗議や批判を受けたことも事実であります。しかし,それにくじけることなく今日もなお厳しく訴え続けているところでありますが,十分に採り入れられなかったことに対して激しい憤りを感じております。もちろん法律や条例に定められているごとく人事権は市長の専決であり,我々議会が介入,干渉することはできません。なるがゆえに,職員の人事権をもって採用した職員の不祥事の責任は,市長にあると言わねばならないのであります。市民の皆様の市政への信頼は地に落ちる所まで落ちたと言明するほかなかった市長の存念を,まずお聞かせいただきたいと思います。 市民をはじめ多くの皆様方からの信頼を失い,大きな怒りとむなしさを与えた今回の不祥事件は,正に犯罪事件であると言っても過言ではなく,全く弁解の余地はなく,不信感を通り越し絶望感をも与えているのであります。市長は,先の本会議で不祥事の再発防止に向け,特に解体的出直しとその決意を述べられました。しかしながら,その後示された信頼回復と再生のための抜本改革大綱の中では,具体的なものは,市長をはじめ関係理事者の処分が目立つものであり,それも現在の規則にのっとったものであるなど,解体的出直しとは言い難いものであります。解体的出直しとは,現在の行政体制を根本的に変革し見直すことではないでしょうか。 今回の事件を起こした原局である環境局や保健福祉局の一部の人事異動を中心とした変更は見られたとしても,まだまだ改革とは言い難いのであります。例えば私の手元に教育委員会に対する抗議が参っております。それは教育現場で働く人が覚せい剤を常用していたということに対して,子供の教育集団であり,学校という教育機関の中で覚せい剤を使用するということは,常々覚せい剤は罪悪であると教えられてきた子供たちにいかに説明されていくのか,また,保護者としてどのように子供たちに話をしたらいいのか大変大きな戸惑いを感じている。何とかすっきりとした子供たちによく分かるような回答を求めたいというようなことを言っておいでになったわけであります。教育長はどのように対応されようとしているのかお答えください。 いずれに致しましても,不祥事件は他の局や区役所にも大きな関係を持つものであり,京都市行政機構を根本的に見直すことが改革の大綱と言うにふさわしいものではないか。これは正に改革から変革へと大きく一歩も二歩も前進していかなければならないのではなかろうかと断言するものであります。ややもすれば,職員間には偏った仲間意識,さらには,行政体制の中には臭いものにはふたをするという隠蔽体質が現存していると言われております。悪しきうみを出し切るということは,その根っこを取り除くことなくしては,またもや新たなうみが出てくるおそれは十分に考えられるものであり,正に解体的出直しとして現行政体制を一度思い切ってばらばらにして立て直すことが極めて重要なことであると思いますが,市長の見解を求めるものであります。 あわせて,私は服務監察体制を強化する必要性があると考えます。改革大綱においても服務監察チームの新設が挙げられておりますが,これは環境局に限ったものになっており,全庁的には服務監察会議の部会の新設や服務監等による職場巡察をするとされています。これはあくまで現行の服務監以下服務監察体制がベースとなっているものであり,これで十分に機能するとは思われません。 振り返りますと,現行の服務監は平成10年,建設局土木部長の収賄事件を機に不祥事の再発防止と市民の信頼回復のため職員の服務監察を統括強化することを目的として設置されたものでありますが,その後,不祥事は毎年のごとく続発しております。にもかかわらず平成16年度に服務監の専任を解消し,全く異なった職責である広報監に兼任させるという人事が発令され今日に至っているということはいかなることなのか。服務監の設置は,先に述べたごとく我が自由民主党市会議員団の市長に対する提言,要望の中にも提示した綱紀粛正と信賞必罰を主なる業務として設置されたものであると理解しております。にもかかわらず,服務監の専任がなくなってしまったということは,本当に職員の不祥事を解消するための強い決意と思いが市長にあったのかどうか甚だ疑問に思わざるを得ないのであります。 ちなみに服務監が広報監と兼務となった平成16年度にも職員の処分者26名,そして逮捕者6名という不祥事が発生しているのであります。一体服務監の仕事が兼職の形で良かったのかどうか。はたまた今回の異動で広報監が服務監を兼務している人事の発令があったわけであり,本気で職員の綱紀粛正と信賞必罰を厳しく推進していかれる熱意が感じられないのであります。ましてや現行の服務監察体制は,服務監はおろか,実際に服務監の手足となるべき監察主任までもが各局の庶務担当部長の兼職という有りさまであります。服務監察組織は,いわば京都市の理性,良心として市民からの信頼と市職員の存在意義を守るためのものであります。この際,恒久的に専任のスタッフで構成された服務監察室を新たに設置し,日常の職員の職務に対して厳しく対応していくべきであると思いますがいかがですか。 市長の訓示は,すべての職員に出されたものであります。今回の不祥事に関する改革大綱も同じでありますが,果たして全職員が市長の思いをどこまで理解しているのかと思えば甚だ心もとない感じがしてならないのであります。副市長,局長,部長,課長と言われる管理職の皆さんには,それなりに直接市長の声によって伝わっていると思われますが,それ以外の職員は,それぞれの部署で管理職から伝えられていくシステムになっていると思います。部局によっては,職員組合や関係団体,運動団体に対して事前に伝え,意見を求めてから全職員に通達するということが現在横行しているのではないですか。そうした本来の行政機構とは違った所で話合いが持たれ,場合によっては市長の思いとは違った中身になって伝わることが多々あるのではないかと仄聞致しておりますが,お答えを聞かせてください。 もちろん今回をはじめ,毎年のごとく大なり小なり不祥事が発生していることは,市政を調査し監査する権能を与えられている議会の責任も市民から問われ,お叱りを受けていることも事実であります。深く反省しなければならないのであります。そのためには,議会に関係する法律や条例を抜本的に改正し,権能を更に強化していかなければなりません。当面は,今議会に設置された調査特別委員会をもって行政との厳しい緊張感を維持し対処して参りたいと思います。 次に,市長は常々市民の安心安全を基本とした市政を推進していくということを述べられておるのでありますが,私は一つ提案させていただきたいと思います。先般,国においてがん対策基本法議員立法で成立致しました。この中には,国と地方自治体の責務が定められているところであり,特にこれらを実効あるものとするために,政府と地方自治体が5年ごとにがん対策推進基本計画を作り必要な施策を展開するよう定められているところであります。今日までがん対策については,色々な方法が講じられてきたところでありますが,なお徹底しておらず,がんに対する市民の不安は増大しているのであります。 ちなみに私たちの3人に1人はがんで死ぬと言われているのであります。また,2人に1人はがんにかかる可能性があるというデータがあり,厄介な病気であると言われて久しいのであります。特に深刻なのは治療体制であります。ようやく京都府においてがん治療の拠点病院として府立病院が指定されたと言われておりますが,今なお重症患者は,東京等に設置されている国立がんセンターに行かなければならないというのが実態であります。それはがんの専門医の絶対数が足りない。例えば抗がん剤専門医は,アメリカにおいては1万人いますが,日本には全国で50人足らずであると言われているのであります。こうしたことからも京都市においては,国や京都府の動きを待つことなく市民のために積極的に取り組んでいくべきであり,まずはがん対策基本条例を制定し,京都市立病院がん治療拠点病院として整備することなど早急に取り組んでいかなければならないと思うのであります。今,がんに冒され不安と困難に追い詰められているいわゆるがん難民と言われる人が京都市民の中には多くおられ,その数も日々増えていると言われているのであります。がん対策は緊急を要することであります。重ねて提言致しますが,がん対策基本条例を早急に制定されるお気持ちがあるのかどうかお尋ね致します。 京都市の交通安全対策については,昭和46年に制定された対策会議条例により施策が協議され実施されているところでありますが,現状は,交通事故の件数は増えても減らない。増加の一途をたどっていると言われております。その中の犠牲者の一人でも私はあるのでございます。現行の条例は,いわゆる会議条例であり,また,既に制定から35年余りが経過しております。今日の社会情勢は,昭和40年代とは大きく様変わりしており,特に子供たちや高齢者,障害者の人たちをはじめ歩行者の交通事故に遭遇する件数が増えているところであります。私は,このような現状に即応した実効性のある新しい交通安全対策を推進すべきと考えております。 京都市は,申すまでもなく京都市域の道路の建設並びにそれを管理する立場にあります。今や圧倒的多数を占める生活道路における所の人身事故の発生件数は極めて多いのであります。道路管理者として,その道路を利用する歩行者の安全を確保する責務があると思います。特に歩道と車道の区別が付かない道路にあって,本来,道の真ん中を歩行者は歩きたい気持ちがあるはずでありますが,それは不可能であります。自動車に占有されているところであり,また,道路には電柱が立ち並んでおり,歩行者にとって極めて危険な状態であることは御案内のとおりであります。電線,電柱の地中化が叫ばれて久しいわけでありますが,それは主に都市の景観の視点から言われているところであり,市民の安全の立場から考えられたことは少ないのではないかと思います。道路管理者である京都市は,何よりも人の安全を第一に考えて,安心・安全のまちづくり,なかんずく道路の整備を積極的に進める中にあって,電線,電柱の地中化を電力会社やNTT等に義務付けることを目的とする道路整備の観点からの交通安全対策条例を制定される必要があると思いますが,いかがでございましょうか。 日本の人口は減少し始めております。当然,我が京都市においてもその傾向は見られるわけでありますが,主な原因は,申すまでもなく少子化ということであります。人口の減少は,京都市の経済活動に大きな影響を及ぼしているのであります。特に中小企業の物品販売業者には深刻な打撃を与えるのではないでしょうか。すなわち人口が減るということは物を買ってくれる人が減るということであり,特に衣食住に関係する業界においては,将来に大きな不安を抱かしめることであり,これを何としてでも解決していかなければならないと思慮するものであります。今日本の景気は回復しつつあると言われ,また一部の業界は,戦後まれに見る好景気と評価されている所もあるわけでありますが,中小企業の事業者の皆様には,まだ景気が良くなったという実感は十分に得られていないのであり,京都のような中小企業を中心とした消費都市は,人口減によってますます深刻な状態になるのではないかと憂うものであります。京都市は,人が住む大都市としてそのインフラ整備は,住環境整備をはじめ公共事業整備はかなり進んでいるものであり,その都市面積も広く,一説には200万人が住むことのできる都市環境にあると言われております。こうした都市インフラが充実しているという京都のまちづくりの状況をもっと広くアピールして,より多くの人に住んでいただき生活していただくような施策を今から積極的に計画し実行していくべきであると提言したいと思いますが,お考えをお聞かせいただきたいと思います。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 答弁に先立ちまして,元京都市会議長川中増次郎様の御生前の京都市政に対する絶大なる御貢献と御厚情に深く感謝申し上げますとともに,川中増次郎様の御功績をしのび謹んで心からなる哀悼の意を表します。 それでは椋田知雄議員の御質問にお答え致します。 初めに,去る9月1日に逝去された永岡正美前服務監に対し,故人の心情にも思いをはせた丁重な哀悼の言葉を頂だい致しました。私たちもこのうえない悲しみと痛惜の念を深くしております。故人へのお心遣いに心から感謝申し上げます。 まず,不祥事問題についてでございます。職員の不祥事が相次いだことにつきまして,改めまして市政の最高責任者として市民の皆様及び市民を代表される市会議員の皆様に対しまして深くお詫び申し上げます。大多数の職員が額に汗し,日夜懸命に頑張って築き上げてきた京都市政に対する市民の信頼を一部の職員による許し難い犯罪行為により著しく失墜させ,文化観光や環境の先進都市京都に寄せられた大きな期待を裏切ることとなったことはざんきに堪えず,京都市政を預かる私の責任は誠に重いと認識致しております。 失墜した市民の皆さんの市政への信頼を一刻も早く取り戻すことが現在の私に課せられた重大な使命であります。信頼回復と再生のための抜本改革大綱は,そのための具体的な方策を全庁的な検討の結果と,この度の市会議員の皆様からの厳しい御指摘や御意見,御提案を十分に踏まえ,58項目の改革策としてまとめたものでございます。今後は,これらの改革策を断固として実行することにより,積年のたまりにたまったうみを恐れることなく出し切り,今日まで成し遂げられなかった組織,人事,職場風土の抜本的な改革を全庁挙げて断行し,何としても市民の皆様の信頼に支えられた京都市政の再生を実現する決意でございます。 行政機構の根本的な見直しについてでございます。私は,今日まで,本格的な地方分権時代にあって市民生活を守り個性と魅力あるまちづくりを進めるため,経営感覚とスピード感のある市政運営を目指して12局を9局にするなど本市の組織体制を構築して参りました。しかしながら,現在の組織体制の中で今回の不祥事が続発したことは紛れもない事実でございます。このため,この度の抜本改革大綱におきましては,ごみ収集業務の50パーセント委託化と環境局の技能労務職員の50パーセント削減,これらに伴うまち美化事務所の11箇所から8箇所への再編,同一職場における長期在職者に対する人事異動の実施,環境局服務監察チーム保健福祉局特別査察班の設置,懲戒処分の厳格化など業務の在り方や職員の意識,職場の風土を抜本的に改革するための考え得るあらゆる方策を講じることとしております。これらの具体的な方策を全庁挙げて重層的に展開し,市政の信頼回復に向けた改革への意思を組織の隅々,職員一人一人に至るまで十分に行き渡らせることにより風通しの良い再生への活力に満ちた組織づくりに全力投球致します。 次に,服務監察体制についてでございます。不祥事が後を絶たない市役所の現状を考えますと,服務監察体制を強化して綱紀粛正,信賞必罰の徹底を図ることが何より重要であることは,椋田知雄議員御指摘のとおりでございます。このため去る9月1日,私を本部長とする信頼回復と再生のための抜本改革大綱推進本部を立ち上げ,服務監を総括本部員に任命し,全庁的な統括,調整役を担わせることにより抜本改革大綱を確実に実施する体制を整えました。また,服務監察体制につきましては,抜本改革大綱に基づき環境局に局長級1名,課長級2名,係長級2名の,また,保健福祉局に課長級1名,係長級3名の専任のスタッフを配したところであり,今後それぞれに外部専門家を加え,更に監察査察体制の強化を図って参ります。服務監は,これらの監察査察チームを統括し,抜き打ち査察や公金保管金の検査などの監察指導を行うことにより,これまでにない強力な服務監察を実施して参ります。 また,服務監を長とし,局区等の庶務担当部長で構成する服務監察会議につきましても,技能労務関係部会,区役所,支所部会等の三つの部会を設置し,共通する課題について具体的な対応策を検討し実践する体制を確立致しました。こうした体制により不祥事のない職場風土を確立して参ります。服務監につきましては,このように抜本改革大綱推進のかなめ役と明確に位置付けたところであり,その重責を十分に果たして参ります。服務監と広報監との兼職につきましては,御指摘どおり見直します。 次に,組織としての職員への意思伝達についてのお尋ねでございます。トップの指示や方針を職員一人一人にまで浸透させ,組織の共通認識とすることは,椋田知雄議員御指摘のとおり行政目的を完遂する上で極めて重要であります。私の指示を直接受けた幹部職員がその趣旨を正確に理解し,自らのものとしたうえで部下職員に確実に伝えていかなければならず,議員御指摘の職員組合や関係団体,運動団体に事前に伝えたり意見を求めた後に所属職員に伝達するというようなことはないと認識致しております。この度策定致しました抜本改革大綱につきましても,管理職はその内容を完全にそしゃくして自分の言葉で正確に所属職員に周知徹底することを厳命したところでございます。これにより私の思いを職場の隅々にまで浸透させ,全職員一丸となって市政を推進して参ります。 次に,がん対策についてでございます。がんは,日本人の死亡原因の1位であり,本市でもがんでの死亡率は高いことから,市民の生命及び健康にとってその対策は喫緊の課題であると認識致しております。このため本市では,京都市民健康づくりプランにおいて,がん対策を健康づくりの重点目標に掲げ,がん検診の対象年齢の拡大など早期発見やその予防のための啓発に積極的に取り組んで参りました。また,京都市立病院では,平成17年9月に策定した京都市立病院整備基本計画において,がんや生活習慣病への高度医療機能の整備拡充を中核業務に位置付けるとともに,現在,地域がん診療連携拠点病院の指定に向けての準備を進めております。椋田議員御指摘の本市における条例化につきましては,平成18年6月に公布されましたがん対策基本法の実施状況の推移を見守るとともに,当面,医療に係る主な権限を有する国や京都府等と十分に連携し総合的ながん対策に取り組んで参ります。 人口減社会における都市経営戦略についてのお尋ねでございます。人口減少は,ゆとりある環境が確保できるといったプラス面の評価もございますが,私は,議員御指摘のように都市の活力や経済成長という観点から京都の将来を考えるとき,本市の都市経営上の重要課題の一つであると認識致しております。いよいよ人口減社会が到来した今,本市におきましては,50年後,100年後の京都を見据えた政策展開を積極的に行い,しっかりと京都の都市の魅力を高めアピールしていかなければならないと考えております。このため地下鉄や道路,鉄道の複線高架化,上下水道などの基幹的なハード面のインフラ整備はもとより,高さ制限の思い切った引下げやデザイン誘導など,景観,住環境面での快適性を向上させる取組や文化芸術振興,新産業創出,観光振興など,京都の持つ潜在力を磨き創生していくソフト面でのインフラ整備にも力を注いでおります。今後ともハードとソフトの両面において一流の都市インフラがバランス良く調和し,人を引き付けてやまない魅力と活力に満ちた京都のまちづくりに向け全力投球して参りたい決意でございます。 以下,毛利副市長及び教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 私からは道路整備の観点からの条例の制定についてお答え致します。本市では,交通安全に関する施策全般について,交通安全対策基本法に基づく京都市交通安全計画を定め,道路管理者としては道路の交通環境の整備を進めております。特に歩行者の通行に支障となる電柱の移設や歩道のバリアフリー化の推進,また,コミュニティ道路や歩車共存道路の整備などに取り組んで参りました。道路を歩行者にとってより安全な空間にしていくため,議員御指摘の生活道路において無電柱化を義務付けることは有効な手段の一つであると考えますが,残念ながら,現行道路法の下では許可基準に適合する電柱,電線を道路上に設ける場合,地中化しなくとも許可を与えなければならないこととされております。そのため,今後御提案の趣旨を十分踏まえ,道路整備推進の観点からの条例を制定する上で必要となる法律の改正等を国に対して強く要望して参ります。 あわせて,本市と致しましても新たに策定を予定しております今後の社会資本整備の在り方に関する京都市社会資本整備重点計画の中に,生活道路における人中心,歩行者優先の整備を推進するための具体策を盛り込んでいくなど,今後,更に市民の安心安全に配慮した道路整備に全力で取り組んで参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
    ◎教育長(門川大作) 今日,学校現場で市民,保護者の皆様の幅広い御参画を得て熱意あふれる教職員が教育改革に懸命に取り組み着実に成果を上げているさなかに,既に免職にした元給食調理員が辞めてからとはいえ覚せい剤で逮捕されたことは痛恨の極みであり深くお詫び申し上げます。本市の小学校給食は,京都の食文化や手作りを大切にし,環境に配慮して合成洗剤も一切使わず,さらに,今年度からは夏休みなどを短縮し授業日数を大きく拡大したことに併せ,給食実施回数も全国平均を12回も上回る全国最多の197回実施するなど,調理員の専門性と意欲を高める中で取り組んできたところであり,さらには,青少年の薬物濫用問題等に学校や地域で懸命に取り組んでる中,ざんきに堪えません。今日まで教師の資質,指導力の向上や教員評価システム,さらに,指導力判定委員会の取組を進め効果を上げてきましたが,この機会に給食調理員など現業職員を含めた教職員資質等判定委員会や服務規律指導プロジェクトの設置など教職員の服務規律の徹底と資質,指導力向上に一層努め,公教育への信頼にこたえるべく全力を傾注して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 次に,市政一般について,小林正明議員に発言を許します。小林議員。 〔小林正明議員登壇(拍手)〕 ◆(小林正明議員) 北区選出の小林正明でございます。先輩の椋田知雄議員に続きまして2番バッターで質問させていただきます。 最初に,京都市の重要政策であります京都創生の推進についてお尋ね致します。既に戦後61年,我が日本は,東京を代表とする経済中心の効率的な国づくりを進め,物質的には十分な豊かさを手に入れましたが,一方では,全国で画一した都市づくりが進み都市の個性が失われてしまいました。さらに,個人の権利や利便性の追求,そして急速に進むグローバリゼーションの流れは,先人達が築き上げてきた美しい町並みや都市景観だけでなく,伝統的な生活様式や文化の継続をも危うくしております。京都もその例外ではありません。こうした中,桝本市長が日本の財産,世界の宝として京都の景観や文化を守り育て未来に引き継いでいこうとする京都創生の取組は,誠に時宜を得たものと思います。近年は京都ブームと言われるように,テレビや雑誌でも京都が多く取り上げられますが,観光客も年々増えており,京都創生の実現は,日本を代表する都市,京都の魅力に更に磨きを掛ける取組であり,京都市民はもちろん日本及び世界の人々にとっても意義深い取組であると考えます。しかしながら,この取組を成功させるためには,国の制度的,財政的な特別措置が必要であり,そのためには国及び国民に京都創生について御理解いただくことが必要かと考えます。 そこで,まずこれまでの取組の成果と今後京都創生の実現に向け国に対してどのように働き掛けていこうとされるのか。また,国民の皆さんの理解を深めるために,どのような取組を進めようとされているのかお尋ね致します。 京都創生実現のためには,一方で京都自らが汗を流して取り組む姿勢が必要です。京都の景観や文化を守り伝えていくためには,市民と行政が一体となって京都ができることを精力的に進めていかなければ,国や国民の理解も得られないでしょう。京都市も景観保全のために思い切った高さやデザインの規制を打ち出すなど迅速に取り組まれているところですけれども,京都創生の実現に向け,京都市として景観,文化,観光の3分野で基本的にどのような取組を進めていくつもりかお答えください。また,京都創生実現のためには,行政だけでなく京都市民が京都の持つ価値を正しく理解し,自らの課題として考え行動に結び付けていくことが何よりも重要であると考えております。しかし,京都創生と言ってもまだまだ市民の認知度は低いと考えます。京都創生の取組に対する京都市民の機運を高めていくために,どのように取り組まれていこうとするのかお聞かせください。 次に,ただ今質問致しました京都創生の取組の核となる景観行政について具体的に伺うことと致します。私は,昨年秋に京都市会の海外行政視察としてバルセロナの歴史的建造物の保全とまちづくりを調査致しました。バルセロナの新市街は,およそ150年前に都市計画され,以来今日まで当時の都市景観が維持されております。京都と同様に碁盤の目に区画整理された通りに面する建物は,すべて当時の建築様式が保全され,さらにその中に,サグラダファミリアを中心とした20世紀前期のモデルニスモの建築物が見事に溶け込んでおります。それぞれの建物は,建築家による高度な判断の基に保全されながら現在も活用され続けています。そしてバルセロナは,まちそのものが世界の人々を魅了する都市として見事に成熟しており,そのことが国際的な観光産業を中心とした経済活動にも波及効果を生んでおりました。 一方,京都市の市街地に目を転じますと,高層マンション等が急速に増えて京都らしい風情のある京町家の町並みが随分と失われてしまっております。確かに147万京都市民が生活を営む大都市としての機能や活力も大切にしていかなくてはなりません。そのためには,建築後相当年数が経過した木造建築物である町家をそのまま放置しておくことはできません。しかし,冒頭にも述べましたように全国画一的な都市づくりのまま京都が東京や大阪のようなまちになってしまうのは私は賛成できません。この点については大多数の市民の皆さんもきっと同感であると考えます。大都市のど真ん中に日本の伝統的な町並みが広がり,町衆の生活文化が息づいている都市,それはまさしく京都の都市文化であり,それをこれまでのように急激に変質させずに,歳月と共に緩やかに熟成させていき,その中で京都らしい景観と共に都市の機能や活力を維持していくことがこれからの京都のまちづくりに求められていると思うのであります。市長が昨年から時を超え光り輝く京都の景観づくり事業に着手され,今年4月の定例記者会見では,市街化区域全域にわたっての高さ規制の見直し等に対する方針を発表されたのも私と同じような思いであったからかなと推察致しております。 少し観点を変えますが,我が国の人口は減少傾向に転じ,1億3,000万人近い人口がおよそ50年後には1億人にまで減ると言われています。このような人口減少社会において,都市経営戦略として都市の魅力を確立し,あるいは維持することが大変重要であります。人々は都市の魅力を感じ,その都市に住みたいと思い,また,その都市を訪れてみたいと思うのであります。京都の都市の魅力,すなわち京都の京都たるゆえんは何か。三山や河川をはじめとする豊かな自然と優れた伝統文化,そしてこれらを背景に積み重なった歴史的な町並み。正に1200年の時を超え光り輝く景観を守り続けてきた歴史都市・京都は,都市の景観面からも日本の歴史を語ることのできる代表的な都市であり,それが京都の都市としての魅力であります。そういうことから言いますと,京都の都心部におけるマンション需要は,ある意味では非常に皮肉な状況とも思えるのであります。高層マンションの売り文句が,すばらしい京都の景観を一望の下になどというのが正にそれであります。 さて,市長が都心部の高さ規制の引下げをはじめとする全市的な規制の見直し等に着手することを発表されたわけですが,50年後,100年後の将来を見据えたその決断については,国会議員をはじめ高く評価しておられる方々もおられる一方で,反対している市民もいることもこれまた事実であります。そこで幾つかお尋ね致します。まず,今回高さ規制の強化が打ち出されていますが,京都市の景観形成において建築物の高さというものをどのように位置付けておられるのでしょうか。また,高さ規制の強化によって都市の活力が低下するのではないかと危惧する声を聞きますけれども,どうなのでしょうか。さらに,京都らしい景観形成のための高さ規制の見直しが行われても既存の建築物に直ちに適用されるものではありません。効果はいつごろ現れると考えておられるのでしょうか。最後に,来年度の早い時期から施行するとのことでありますが,現在の進捗状況はどのようになってるのでしょうか。市民へはいつごろ内容が示されることになるのか。予定でもいいのでお答えいただきたいと思います。 次に,2008年サミットの京都への誘致についてお尋ね致します。市長は,平成17年1月の定例記者会見で,サミットは,いよいよ京都の番だと思っていると力強く述べられ,誘致に向けて名乗りを上げられました。その後,大阪,兵庫と連携し,平成17年4月に2008年関西サミット誘致委員会を組織され,5月と12月には国への要望活動を行われました。また,京都独自の取組として,京都府,京都商工会議所等と共に,6月に2008年関西サミット京都誘致連絡会を組織され,国への要望活動や様々なPR活動を行われてきました。京都市会としましても,サミットは京都市民にとって最高の晴れの舞台であるため,この市長の熱意にこたえる形で,本年5月30日に自民党,公明党,民主・都みらいの提案による2008年主要国首脳会議の京都開催に関する決議を行いました。そして,この決議を受けて,7月14日には誘致連絡会を発展させた形でオール京都の誘致推進協議会が設立され,2008年サミットの京都開催に向けて地元関係者の総力を挙げた誘致体制が整えられたところであります。 本年7月に開催されたロシアのサンクトペテルブルクサミットでは,ピヨートル大帝夏の離宮やコンスタンチン宮殿が舞台となり,雄大で豪華なロシアならではの文化が強く世界に発信されました。また,サンクトペテルブルク市内の道路や歴史的な建造物など,その景観整備も大きく進められたと聞いております。まさにサミットの京都開催は,市長が景観,文化,観光の三つを柱に進めておられます京都創生の推進にも大きな追い風になると考えております。横浜や新潟も開港150年を記念してサミット開催の声を上げておりますけれども,幾ら360万の人口を誇るとはいえ江戸時代まで一寒村だった横浜や,あるいは幕府の天領であった海産物だけしか売り物のない新潟に誘致合戦で絶対に負けるわけには参りません。 そもそもサミットは,石油危機後の深刻な世界経済の危機を先進各国の協力で乗り切ろうとフランスのジスカール・デスタン大統領の呼び掛けにより1975年,昭和50年に始まったものです。その後サミットでは,経済問題のほかにも東西問題や南北問題,環境,テロをはじめとする社会問題などその時々の地球規模の問題について議論されるようになり,主要国の政策協調の場としてますますその重要性が高まっているところであります。先の関西サミット誘致委員会では,京都開催案の詳細も示されましたが,私は,京都ほど主要国の首脳が一堂に会し,世界の平和と繁栄についてゆったりと話し合うサミットの開催地としてふさわしい地はないと思います。また,迎賓館をはじめとする京都の施設は,日本文化の粋を極めた本物であり,日本の文化を世界に発信する最高の舞台であります。いよいよこの秋には,国によるサミットの開催地を決めるための視察があると聞いております。視察を前に桝本市長の京都サミット実現に向けた決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に,教育問題についてであります。言うまでもなく教育は,国家発展の礎であります。この京都においても明治初期に国に先駆けて番組小学校が町衆の手によって造られ,そのすばらしさを福沢諭吉も称賛していることは御案内のとおりであります。また,我が国が戦後の荒廃から奇跡とも言える発展を遂げたのも,欧米がうらやみ手本とした我が国の教育の力があってのことであります。1983年,昭和58年,アメリカのレーガン大統領は,日本の教育制度を徹底的に調査して,危機に立つ国家というレポートを発表し,教育改革によって当時経済の低迷と威信の凋落により自信を失っていた超大国アメリカを立て直そうとしたのであります。また,イギリスのブレア首相は,1に教育,2に教育。3,4がなくて5に教育と教育を国家政策の第1に掲げております。 しかし,このように欧米が手本とした我が国の教育は,今揺らいでおります。これまで一貫して世界トップ水準を維持してきた我が国の子供たちの学力は,OECD等の調査によりますと低下傾向が顕著であります。このままでは我が国がこれまで築いてきた豊かさと繁栄を維持し,21世紀の国際社会を勝ち抜き,国際社会に貢献していくことが困難になると言わざるを得ません。教育の在り方そのものを見直すことが急務であり,国会で継続審議となっておりますが,教育基本法の改正はもとより,我が自民党も学力向上,教師の質の向上,教育現場への権限移譲など様々な改革を提言しております。現在,我が自民党の総裁選の渦中でありますが,各立候補者はいずれも教育改革を公約に掲げており,新政権においても教育の充実発展を基礎に置いた国づくりが進められるものと期待しております。また,総裁選の各候補者の教育改革の公約を見てみますと,いずれも教師の資の向上が盛り込まれており,有力候補の一人安倍晋三氏は,学校教師の評価制度について触れておられます。戦前は師範学校と士官学校の授業料は無料でした。また,田中角栄総理は,人を育てる学校教師の重要性から海外研修制度の導入や給料アップなどを実行したのであります。正に教育は人なりであります。教育の場での先生と子供の人格と人格がぶつかり合う,少し古い言葉になりますけれども,人格の陶冶がその結果として両者に生まれる深い信頼関係,これが教育の原点でありましょう。その営みの連続の中で子供は成長し,人生の大きな糧として例えば善悪の判断,他者へのいたわり,くじけない強い精神,ひたむきさ,一生涯にわたり学び続ける力など様々な宝物を子供たちは獲得致します。子供たちに真正面から向き合い奮闘する情熱あふれる先生,これが求められております。 こうした中,京都市では,教師になろうという高い志と情熱,行動力にあふれる人材を募集し,教師として求められる資質や実践的指導力を育成する京都教師塾を政令市では初めて9月30日に開講されると伺っております。また,教師にあこがれ,将来先生になりたいと夢を抱く中学生に人間学をはじめ特色ある教育内容を用意し,情熱あふれる先生の育成を目指す全国初の教員養成学科教育みらい科が来年4月に塔南高校に開設されます。去る9月9日の新学科説明会には,500人以上の生徒,保護者が参画し,関心の高さがうかがわれたとのことであります。さらに,この程京都教育大学が京都市教育委員会等の協力を得て,京都の私学,立命館,京都女子,佛教など5大学と共同で即戦力を備えた新人教員の育成,現場教員の研修や再教育を行う連合教職大学院構想を公表し,平成20年度の開設に向け準備を進めているとのことであり注目を集めています。 このように京都市では,教員養成の様々な取組が進められており,その成果に期待するところです。いわゆる団塊の世代,私もその一人でありますが,この世代の大量退職が2007年問題としてマスコミ等で大きく取り上げられており,教育界も同様であります。教員が今までになく大量に退職し,大量に採用しなくてはならない時代を迎えて,今後採用時点での教員の質の確保が喫緊の課題であります。また,言うまでもなく現職教員の資質,指導力の向上も極めて重要であります。そこでお伺い致しますが,中央教育審議会の教員養成部会の委員などを務めてこられた門川教育長は,理想の教師像をどのように考え,今後,教員養成と現職教員の資質,指導力の向上にどのように取り組んでいかれるのか。果たして問題はないのか,御所見をお聞かせいただきたいと思います。 作家の堺屋太一氏が1976年,昭和51年に発表した団塊の世代から30年がたちました。先ほども述べましたが,昭和23年1月生まれの私もその一人です。団塊の世代は,戦後我が国の経済成長と共に歩み続けた世代であると共に数多くの流行商品,文化社会現象の中心にいました。また,高い進学率,男女平等社会,自由社会の中で多様な価値観をはぐくんできた世代であります。先ほど教育の所でも述べましたが,来年から役所や会社では大量の退職者がもたらす2007年問題が起こって参ります。京都市役所も例外ではないと考えますが,その退職者の数,聞くところによりますと2007年から2010年までをピークに4年間でおよそ2,600人,退職手当の総額およそ666億円をどうされるのか。既に退職手当債を発行する市が政令市の福岡市や千葉市など26市に上っていると聞いております。退職手当債は,従来勧奨退職と整理退職に限られていましたけれども,今年度から総務省基準が緩和され,2015年までの時限措置と聞いており,行政改革の中での新たな借金となるため,発行には職員定員や人件費の適正化計画の策定が条件とのことであります。京都市では,この問題をどのようにお考えなのかお聞きしたいと思っております。 また団塊の世代の話題になりますが,いよいよ高齢期を迎えて本市でも4人に1人が高齢者となり,団塊の世代は未曾有の長寿社会を生きていかなくてはなりません。このような中,内閣府において行われた高齢者の地域社会への参加に関する意識調査の結果を見ますと,NPO活動の高齢者の意識において高齢者の47.3パーセントは活動に関心を示しており,60歳から64歳に限ってみますと6割近くが大きな関心を示しています。一方で,実際に参加している高齢者は3.6パーセントと少数にとどまっています。このことから,多くの高齢者が自らの知識や経験を生かした社会参加を望んでいるにもかかわらず,必ずしも具体的な活動には結び付いていない状況がうかがわれます。私は,今後団塊の世代が高齢期に差し掛かることを見据え,これまでとは視点を変えた高齢者の社会参加や生きがいづくりの推進が必要ではないかと考えます。どのような所見を持っているのかお伺いしたいと思います。 最後に,地元の林業振興についてでありますが,市域産木材の公共施設への活用についてお尋ね致します。昨年4月の京北町との合併により京都市の森林面積はおよそ2万ヘクタール増え,市域面積に占める割合は4分の3にまで達するようになりました。今後,京都議定書発祥の地として世界から注目される京都の名を汚さないためにも,また,自然豊かな美しいまちの環境を守り続けていくためにも,これらの広大な森林をいかに健全に守り続けていくかは行政の極めて重要なテーマになってくると私は考えております。これらの森林は,そのほとんどが民有林でありまして全体の40パーセントが人工林となっており,林業経営者が林業を行うことによって健全に保全されてきたわけであります。しかしながら,今の林業は国産材の不振により存亡の危機にあると言っても過言でない状況にまで追い詰められており,放置された森林が大変多くなっております。私の地元の北山地域のあの伝統ある北山丸太ですら数年前からの製品価格の暴落によって厳しい状況に追い込まれているのが現状であります。私たち財政総務委員会でも,先日,北山丸太生産組合を訪れ,役員さんをはじめ地元の方々から地域の現状を聴き,磨き丸太の実演なども見学させていただきましたが,後継者の先細りや地域そのものの沈没を訴えておられました。 このような状況を受けて,これまでも産業観光局を中心に森林総合整備事業など様々な支援策を講じられて地域林業を支えてこられました。京都市は,この点よくやっていただいていると私個人は思っております。しかし,現在の林業の状況を考えすと,林業生産対策だけではもう限界です。林業経営者の立場の方から言わせますと,行政の林業生産支援はもちろんありがたいですけれども,何より山の木が売れるということが一番です。木が売れてこそ山仕事にも意欲がわくというものであります。産業観光局におかれましても,このような視点から,一昨年から京都市内産木材普及推進委員会を立ち上げられて,京の山杣人工房事業を創設して市内産木材を使ったリフォームの普及などに努めており,私もこの事業には大変関心を寄せているところであります。しかし,この事業は飽くまで民間施設を対象としたものであります。私は,民間施設に市内産木材を普及させようとするならば,まず率先して京都市が公共施設には必ず市内の森林で育った木を使用するという方針を打ち出していただきたい。そうすることによって民間の施設にも木の利用が増えると思っております。教育委員会では,洛風中学校や下京統合中学校等で教育長が市内産木材を利用するとの方針を打ち出されております。大変うれしく思いますが,まだまだ京都市の公共施設において木材の普及が進んでおりません。特に市内産木材を使用することが京都の豊かな森林資源を守ることにつながるということを意識して公共施設に木材を使用していただきたい,教育委員会だけでなく各局で使っていただきたい,このように思っております。そこで市長にお伺い致します。京都議定書発祥の地でもあります京都市の方針として,公共施設には,北山杉をはじめとする市内産木材を必ず使用するという市長方針を明確に打ち出していただきたいと思います。積極的に木材を使用して,少なくとも50パーセントは市内産の木材を使っていただきたい,このような取組が環境共生都市・京都の創造に画期的な施策となり,自然豊かな美しい京都を後世に伝えていくことができるのではないでしょうか。これまでの総論賛成,各論反対の答えにならないよう関係部局の見解も踏まえつつ,市長の先見性とリーダーシップに期待し,高い見識から明確な御所見をお聞かせいただきたいと思います。 もう時間がございませんので,あと道路問題2点があったのですが,この辺で終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 小林正明議員の御質問にお答え致します。 初めに,京都創生についての御質問でございます。小林正明議員から,京都創生の取組が時宜を得たものとのお言葉をいただき感謝申し上げる次第でございます。私は,京都の美しい景観や伝統文化を守り育て発信する京都創生を京都市政の最重要施策に掲げ,国に対しても国家戦略として取り組んでいただけるよう積極的に働き掛けて参りました。その結果,景観法の制定,京町家まちづくりファンドの創設など数々の成果を得ることができたところでございます。今年度も歴史都市京都の魅力向上をテーマにした国土施策創発調査の採択,二条城の障壁画修復など本市の要望が着実に実現して参っております。今後とも国会議員連盟の皆様への働き掛けや,関係省庁の幹部職員との日本の京都研究会における活動を継続するとともに京都の歴史文化,魅力を紹介する京都学東京プロジェクトの開催や地下鉄丸ノ内線へのポスター掲出などにより首都圏でのPRに努めて参ります。 しかしながら,京都創生を実現するためには,何よりも京都の美しいまちや歴史的な文化を守り伝えていく主役である京都市と京都市民が高い意識を持ち自らの行動に結び付けていくことが不可欠であります。このため京都市では,50年後,100年後を見据え,全国でも類を見ない全市的な建築物の高さ制限の引下げやデザイン基準の見直しを行うほか,文化芸術都市を創生するための新しい計画の策定,5,000万人観光都市の実現に向けた京都おこしやす大学の開設など景観,文化,観光の分野で様々な取組を進めて参ります。あわせて,京都創生の趣旨に御賛同いただきました団体,企業,市民の皆様が集う京都創生推進フォーラムを核として活動の輪を広げることにより市民の皆様の機運の盛り上げを図って参りたい考えでございます。日本の財産,世界の宝である京都を未来に引き継ぐ京都創生を実現することは,京都市長である私に与えられた使命であると考え不退転の決意で取り組む所存でございます。 次に,景観行政についてお答え致します。私は,建築物の高さは,都市の景観を構成する重要な要素と考えております。とりわけなだらかに連なる山々に三方を囲まれた盆地に数多くの世界遺産を有し,京町家等による歴史的な町並みが形作られてきた京都市におきましては,それらと調和した景観を形成するために地域特性に応じてきめ細やかに建築物の高さを規制することが特に重要であります。このため,時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会の中間取りまとめを踏まえ,私は,我が国で類例のない市街化区域全域における建築物の高さ規制の見直しを早急に行うよう指示致しております。こうした高さ規制の強化が都市の活力の低下をもたらすものではないかとの懸念があることは十分に承知致しておりますが,私は,高さ規制の見直しや優れたデザインの誘導など,景観政策の歴史的転換を図ることが京都らしい風情ある景観の形成を通じて必ずや歴史都市京都ならではの品格と魅力を増大させることになると考えております。そして,このことが長い目で見れば居住者や来訪者の増加,優れた人材の集積,さらには投資の増大を促し,新たな時代を切り開いていく歴史都市京都にふさわしい活力を生み出すものと確信致しております。 その効果の現れる時期についてでございますが,小林正明議員御指摘のように,新たに定める高さ規制は既存の建築物には直ちには適用されません。1200年を超える成熟した都市において新たな景観を形成していくためには,どうしても一定の期間を要することになります。しかしながら,時間との戦いの中で忍び寄る破壊を防ぎ京都にふさわしい優れた景観を形成していくため,私は優れたデザインの建築物への建て替えを促進するための様々な方策についても具体化するよう検討を開始しております。 最後に,見直し作業の進捗状況と今後の予定についてでございます。これまで時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会において8回の審議を重ねてきており,この秋には国内で初めてとなる本格的な眺望景観や借景の保全再生政策を含む最終答申を頂くことになっております。この最終答申を踏まえ,眺望景観や借景の保全再生の観点をも採り入れた高さ規制等に関する市街地の全体像を早急にお示しすべく現在鋭意作業中でございます。市民しんぶん等を通じて途中過程についてもしっかりと説明責任を果たすとともに,全体像がまとまり次第パブリックコメントはもとより,きめ細かな説明会の開催などにより広く市民の皆様の御意見をお聴きし,平成19年度の早い時期に新たな景観施策をスタートさせて参ります。私は,京都の優れた景観を守り育て,そして未来の世代に継承することが現在の歴史都市京都に住まう私たちの使命であり責務であると考えております。50年後,100年後も日本に京都があって良かったと実感していただけるよう景観政策の歴史的転換を図る全国の景観行政の先駆けとなる取組に私は全身全霊を打ち込み,強力に進めて参る決意でございます。 次に,京都サミット実現に向けた決意についてでございます。和の精神の発祥の地であり,多文化が共生する京都は,正に世界の平和と繁栄について話し合うサミットに絶好の舞台であります。加えて世界的に経済力のみならず伝統や芸術,さらには精神性や生き方といった文化力が重視される今日,日本文化のすばらしさ,奥深さを世界にアピールするためにふさわしい都市は世界に冠たる歴史文化都市である京都をおいてほかになく,こうした思いを国にしっかりと届けていくことが重要であると考えております。このため私は,京都市会の皆様をはじめ府,商工会議所,さらにはサミット京都誘致推進協議会に御参画いただいた文化団体等の多くの皆様と共に市民の御理解と御協力の下,サミット首脳会合を是非とも京都の地で実現させるため全力で取り組んで参ります。 公共施設への市内産木材の活用についてでございます。北山杉など市内産木材の積極的な活用は,林業の振興だけでなく全国初の地球温暖化対策条例を制定し循環型社会の構築を目指す本市の政策実現に大きく寄与するものと考えております。一方,WTO協定の対象となる大規模な工事におきましては,材料の産地等を指定することはできないという制約などもあることから,本市におけるこれまでの公共施設整備におきましては,市内産木材の活用は山村都市交流の森や花背山の家などの特別な施設に限られておりました。しかしながら,近年の木材の乾燥技術や生産体制の改善を背景に洛風中学校の改修工事において試験的に使用するなど市内産木材を活用する仕組みの具体化を行っているところでございます。今後も引き続き材料価格の低廉化や安定的な供給体制の確立,品質の確保などの課題解決に向けて関係機関との協議を重ねるとともに,価格や用途の観点から可能な施設につきましては積極的に市内産木材を活用して参ります。 以下,副市長,教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) いわゆる2007年問題への財政上の対応についてお答え致します。団塊の世代の大量退職に伴う急激な財政負担の増大に対しましては,その負担の平準化を図るため国に対し退職手当債の要件緩和を強く要望して参りました。この結果,議員御指摘のとおり定員や人件費の適正化計画策定を要件とした上で,従来の勧奨退職者分等に加え定年退職者分についても退職手当債の充当が可能とされたところであります。今後,拡充された退職手当債を活用致しまして,本市におきましても臨時巨額な財政負担の平準化を図って参りますが,その発行に当たりましては,プライマリーバランスの均衡を引き続き堅持することにより市債残高の増加を可能な限り抑制して参ります。そのうえで将来の償還財源をしっかりと確保するため,本年2月に策定した集中改革プランにおいて目標を定めております定員適正化の確実な実施により総人件費の抑制を図るなど財政健全化に向けた取組に全力を挙げて参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 上原副市長。 〔上原副市長登壇〕 ◎副市長(上原任) 私からは今後の高齢者の社会参加や生きがいづくりについてお答え致します。いわゆる団塊の世代の方々は,我が国で約700万人,京都市で約8万人おられ,豊富な知識経験や多様な意識,価値観を有され,正に我が国の高度成長を支える原動力となってきた方々であります。議員御指摘のように今後の社会参加や生きがいづくりにつきましては,この世代の多様性等に着目した取組が必要であると考えております。このため団塊の世代を念頭に置いた新たな試みとして,今年度から高齢者グループによる仕事起こしに対し助成する,はつらつ高齢者まちづくり支援事業を開始したところであります。今後,社会構造の変化を踏まえ,団塊の世代の地域社会への貢献意欲や社会ニーズ等の調査研究を行い,新たな生きがいづくり支援策を構築して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 教員養成等についてでありますが,理想の教師像は,限りない情熱と豊かな人間性,高い専門性と実践的指導力を備えた子供たちを徹底的に大切にする教師であります。御指摘のとおり,教員の大量退職時代を迎え優秀な人材の確保が課題となる中,本市では,京都はもとより近畿圏の46もの大学との協定に基づく共同研究や学生ボランティアの取組,定員の2倍を超える650名もの応募のあった教師塾の創設,教員養成のための塔南高校教育みらい科の新設,さらに,連合教職大学院創設への支援など全国に先駆け大学などとの連携を深める下で採用前からの一貫した教員の養成確保に努めており,こうした取組も相まって今年の本市の教員採用試験の受験者も大幅に増加したところであります。また現職教員には,研修の充実はもとより1万点を超える本市の熱意あふれる教師の実践に裏打ちされた指導案等を備えたカリキュラム開発支援センターの活用や教員評価システムなどにより更なる指導力の向上に努めております。今後とも理想の教師像を求め人材確保と教員の指導力向上に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 次に,市政一般について,橋村芳和議員に発言を許します。橋村議員。 〔橋村芳和議員登壇(拍手)〕 ◆(橋村芳和議員) 私は,伏見区選出の橋村芳和でございます。自民党市会議員団を代表致しまして,市政一般について市長並びに関係理事者に質問を行います。 思い起こせば5年前の4月,聖域なき改革を叫び国民の熱狂によって迎えられた小泉純一郎総理も,間もなくその任期を終えようと致しております。そして歴史の歯車は,新しい総裁の選出から総理指名へと回り始めているところであります。結局,小泉改革は何であったのでしょうか。21世紀を迎え我が国社会は,失われた10年と言われた時代の中にありました。これまで有効であった従来の発想,構造がむしろ邪魔になる面も出てきた中で,小泉改革は新しい時代の到来を明確に認識し,それにふさわしい内政,外政両面にわたるフルモデルチェンジを目指したことにあります。そのために,我が国社会の構造部分に至る根本的な改革を推進致しました。そして,何よりも人々の意識にまで立ち入る意識改革を断行したことに尽きると思うのであります。 さて,職員の不祥事の続発により危機的状況に陥っている京都市役所を再生するのは,市職員の意識改革と共に桝本市長の抜本的改革を断行するという強いリーダーシップに懸かっているわけであります。我が党議員団は,この憂慮すべき事態に対して決して傍観することなく,8月10日に自民党京都市役所構造改革戦略会議を開催致しました。そして市会では,不祥事に対する連合審査会での集中的な議論,48年ぶりの不祥事のための臨時会の開催,職員の不祥事に関する調査特別委員会を設置し原因の究明と再発防止に向けた議論を続けているところであります。また,桝本市長におかれましても強い決意の下,不祥事に関して臨時局区長会議を招集され,市長訓示を行い,8月31日には信頼回復と再生のための抜本改革大綱を示されたところであります。いずれに致しましてもリーダーたる桝本市長の思いを徹底させることが大切であります。それ以外に京都市役所復活の道はないと言っても過言ではないのです。 そこで,桝本市長に市長訓示についてお伺いしたいと思います。市長訓示は,市長の考えを職員に公に示すものであり,特に年頭の訓示は,その年の市政運営についての決意あるいは取り組むべき課題等を示すものであり,全職員にとりまして極めて重要なものであります。桝本市長就任以来の年頭訓示を読み返しますと,市民とのパートナーシップ,使命感,プラス思考,不祥事の根絶,そして立ち向かう楽観主義というキーワードが一貫して登場して参ります。しかしながら,今般の不祥事の多発を目の当たりに致しますとき,10年の歳月を経て,いまだ市長の思い,いわば桝本イズムが浸透し切れていないことが誠に残念であります。年頭訓示以外にも人事異動,職員採用発令式,新任課長級職員に対する研修,臨時局区長会における訓示が実施されておりますが,定例局区長会における訓示,庁内イントラネットを活用した訓示の機会等を通じて職員一人一人に徹底を図られるべきであると考えますがいかがでしょうか。 時代の変化の激しい今日において1年というスパンは長く,1年の折返点にもう一度,あるいは四季折々にタイムリーな課題を取り上げる等の工夫が必要であると思います。また,本年引用されました江戸時代の儒学者の佐藤一斎は格調が高過ぎ,むしろ形式にとらわれず市長の市政への熱い思いや職員への期待をもっとストレートに盛り込まれることが職員の共感を呼ぶのではないでしょうか。また,一番身近に市民と接する区役所においても,大区役所制が進み組織が拡大し,一体感が失われがちになっております。加えて,それぞれの区の特性や課題も異なり区の基本計画もあることから,市長訓示と並行して区長訓示を実施されてはいかがかと思いますが,併せてお答えください。 次に,京都市国民保護計画についてお伺い致します。去る7月5日,北朝鮮がミサイルを発射する事案が発生しました。京都市では,発射の可能性があるとの報道のあった5月中旬ごろから国や府,近隣自治体などと情報交換されていたと聞いております。この種の情報は,防衛上の機密もあり情報が取りにくいと思いますが,市民の安心安全のために努力いただいており,本市の姿勢に感謝しているところであります。今回の事案は,我が国の安全保障や国際社会の平和の観点からも,私は極めて重大な問題であると認識致しております。さらには,韓国の通信社聯合ニュースによりますと,9月3日,韓国政府消息筋の話として,北朝鮮のミサイル発射基地で最近になりまして大型車両の動きが捕捉され,米韓情報当局が北朝鮮によるミサイルが再び発射される可能性を注視していると報じられたところであります。 また,一方におきましてテロの問題がございます。テロといえば9.11のアメリカを襲った同時多発テロから早5年が経過致しました。その後も一昨年にはスペインで連続列車爆破テロが発生,昨年はロンドンで同時多発テロが発生,最近でも8月にアメリカへ向かう旅客機を次々と爆破しようとしたグループがロンドン警察に逮捕されたというニュースが報じられたところであります。世界の各地におきまして,多くの人々が集う所を狙ってテロが発生し尊い生命が奪われているのであります。 このような状況で,大規模テロや武力攻撃災害に対応するために,平成16年,国民保護法が施行され,本市におきましても国民保護協議会が設置され,この8月29日には第2回目の会議が開催され,本市の国民保護計画の素案を提示するとともに,翌日から素案に対する市民意見を募集致しております。市町村の国民保護計画は,都道府県の国民保護計画の下に国の示したモデル計画を参考に作成することになっておりますが,まず初めに今回提示されました京都市国民保護計画素案について,特に京都らしい内容はどのような点があるのかお聞かせいただきたいと考えております。 国民保護計画とは,万が一の大規模テロや武力攻撃災害が発生した場合に,迅速に住民の避難を行うなど国,都道府県,市町村,住民などが協力して住民を守るための仕組みづくりであり,市町村は,避難,救援,武力攻撃災害への対処,この三つの役割を連携して果たすこととされております。例えば武力攻撃が迫った場合,国が都道府県に対し警報や避難の指示を出し,都道府県は市町村に,市町村は住民に伝達することとされております。また,武力攻撃への対処につきましては,武力攻撃に伴う被害をできる限り少なくするため,消火活動や応急措置の実施,警戒区域の設定,退避の指示などの措置を協力して行うこととなっております。今回提示されました素案を見ますと,飽くまでも総論あるいは基本として位置付けられる内容であり,今後より実効性のある本市の国民保護計画を確立していくためには,引き続き具体論を詰めていく必要があると思います。そこで,今年度中に京都市国民保護計画を作成されますが,計画策定後は,本市はどのような取組を進めようとしているのかお聞かせください。 次に,交通局における増収増客対策の取組についてお伺い致します。平成17年度決算における交通事業の財政状況につきましては,自動車運送事業では,経常損益の3年連続の黒字化を達成したものの退職者の増加など今後も厳しい状況が見込まれます。また,高速鉄道事業においては,経常損益が前年度よりも改善したものの187億円の赤字となるなど依然として厳しい財政状況下にあります。このような大変厳しい財政状況の中で,経営健全化を着実に進めるためには,基本的には旅客収入の増収や人件費,経費の削減が前提でありますが,その収入を増やすことも極めて重要であります。交通局では,平成18年度から平成20年度の3年間を計画期間とする京都市交通事業第2次アクションプログラムを本年6月に策定し,交通事業の一層の健全化を推進するために努力されておりますが,このアクションプログラムの5本柱の一つとして乗客増,収入増のための積極的な営業推進を掲げているところであります。特に広告料等の付帯事業収入は運賃収入に次ぐ貴重な財源であり,今後,交通局においても新たな広告媒体の開発や営業活動の促進,さらには,地下鉄施設の活用などにより更なる増収を図ることが強く求められているのであります。今後の具体的な取組方針について管理者の考えをお示しください。 次に,昨年9月市会における地下鉄事業の運賃改定条例の改正の際に,交通局における増収増客対策はもとより,観光客5,000万人構想の実現に寄与すべく全庁挙げて増収増客対策に総合的に取り組むべきであるとの指摘を行ったところであります。市バス,地下鉄事業の置かれている状況は危機的であり,一般会計からの多額な支援を必要としており,増収増客の取組強化は待ったなしの状況にあります。そこでお尋ね致しますが,増収増客の取組について,全市的に取り組むことが必要であると考えます。今後どのように市長部局と連携し,交通局として取り組んでいくのか管理者の考えをお聞かせください。 区政策提案の予算システムについて質問致します。昨年度から始まりました区の政策重点化枠の区政策提案事業は,17年度が5件,5行政区3,700万円で実施され,本年度は10件,8行政区2,600万円が予算化され現在事業が進められております。その内容については,駐輪や不法投棄防止啓発,安心安全,防災のまちづくりといった地道な提案から,伏見の深草支所の竹炭焼き体験等を通じて竹林再生活動に取り組む等の市政の最前線として行政サービスを提供している地域に身近な区役所ならではのものも採用され,大いに期待されている制度であります。しかし課題として,採用された事業は,単年度の予算付けのため次年度からの展開が大きく制約されるという点が挙げられます。例えば伏見区役所提案の伏見ルネッサンスプランについていえば,本年度500万円が計上され,昨年スタートした横大路ルネッサンスプロジェクトを更にグレードアップした伏見区全体の取組となっておりますが,単年度事業ではプランを策定して終わりになってしまうわけであります。事業内容をしっかりと精査し検証し,継続して事業を実施していくものには十分にその余地を残すべきであると考えますがいかがでしょうか。 また,まちづくり支援事業についてお伺い致します。区や地域の個性や特色を生かした創意工夫による個性あふれる地域づくり推進事業が現在実施されておりますが,その中で,区民ふれあいまつりのほか区民が主体となって取り組むまちづくり活動を財政面で支援している区もあると聞いております。このような事業を積極的に推進することは,地域コミュニティが希薄になったと言われる今日,大変意義深いことであり,区民の自主的なまちづくり活動をしっかりと支えていく必要があるわけであります。そこで今後,各区役所,支所において,区民の自主的なまちづくり活動の支援をどのように展開していかれるのかお考えをお示しください。 続きまして,南部創造のまちづくりについてお伺い致します。申すまでもなく京都市の南部は,21世紀の新たな活力を創造する地域であります。中でも高度集積地区は,南部創造のまちづくりの先導地区として位置付けられており,平成10年に策定されました高度集積地区整備ガイドプランに基づき各種の取組が進められております。具体的には高度集積地区整備推進協議会の立ち上げ,企業立地促進助成制度や企業立地情報ネットワーク,プロモーションCDを使ったPR活動の取組による企業立地の促進,さらに,幹線道路の整備,バス路線の拡充などであり,それなりの成果はあったものと感じております。しかしながら,現在の状況を見てみますと,油小路通沿道には高層ビルが建ち並ぶといったガイドプランのイメージとは懸け離れた光景が出現致しているのであります。現実的には,焼肉屋さんやファーストフードのお店,ディスカウントショップ,コンビニやパチンコ屋さんもあるわけであります。いわゆるロードサイドショップが沿道に多く進出している一方,少し奥に入れば生産緑地や倉庫等が点在しています。要するに土地の利用状況が混在し,まとまり感に欠け,また潤いや歩いてみたいなという気を起こさせる町並みにはなっていないのであります。他方,都市基盤の方に目を向けますと,京都高速道路油小路線の建設が推進され,今や新たな都市景観が出現しようとしているのであります。そして,平成20年2月と目前に迫りましたこの油小路線の開通により人や車の流れが大きく変わることが予想されます。 このような地区の現状や都市基盤整備の進捗状況を考えますと,高度集積地区のまちづくりをどうしていくのか,今一度考えるべき重要な時期に来ているのではないかと私は思うわけであります。例えば高度集積地区というと,どうもそこだけ独立しているような感じに受け止められているのではないでしょうか。伏見の中心市街地やその他の地域との連携も含めて,新たな将来像やまちづくりの在り方をしっかりと打ち出していく必要が今こそあると思うのであります。ついては,住民,地区内企業との連携強化の視点も踏まえ,企業のより一層の立地促進,交通体系の充実など,今後どのようなまちづくりを目指していこうと考えているのか,御決意も含めてお聞かせください。 特に企業立地促進については,京都市ではスーパーテクノシティ構想を策定し,中小ベンチャー企業への総合的支援に取り組んでおられます。ものづくり都市京都の活性化を目指して,次代の京都経済をリードするベンチャー企業の発掘,育成を図るために設立されました京都市ベンチャー企業目利き委員会も,今年10年目を向かえ記念事業として堀場委員長の講演を皮切りに,稲盛副委員長,永守委員と3人の委員による連続講演会が開催されます。次代を担う人たちへという講演会のテーマが示すとおり,次代の京都経済を担う学生や創業を志す人たちへ向け各委員がその熱い思いを語るわけであります。ベンチャー企業目利き委員会設立後10年間に事業化の可能性が極めて高い技術を有するとしてAランクに認定された企業は50社を数え,それら企業に対し各種支援策を講じられてきたところでありますが,本年6月には,株式上場を果たす企業が誕生するとともに市内に本社や事業所を構える企業が見られるなど着実に成果を上げていると伺っております。現在,高度集積地区には,京セラをはじめ任天堂,サムコなど日本を代表するベンチャー企業の本社ビルが立地しているところでありますが,さらに,きらめき企業支援融資やベンチャー企業育成支援補助金制度などを活用し,これらに続く京都発のベンチャー企業の地区内への立地促進が重要であると考えます。御所見をお伺い致します。 また,4年前になりますが,親しみやすさの観点から高度集積地区という名称はいかがなものかと申し上げました。もっと親しみや夢があり,創造のまちを分かりやすくイメージできる名称に変えることについて改めてお考えをお聞かせください。 最後に,京都府立医科大学伏見診療所跡地の活用についてお尋ね致します。昭和6年に伏見市をはじめ深草町,醍醐村など9市町村が京都市と合併し伏見区が誕生し,本年75周年の記念すべき年を迎えております。昭和4年,伏見町は京都市との合併に先立ち,伏見は京都市に吸収される町ではないとの考えから2年間伏見市として存在致しました。このときに酒造会社から病院のなかった伏見市に対し,府立病院の分院用地として西大手筋の土地の寄付を受けた歴史があります。そして今,ようやく伏見区民待望の総合庁舎の建設が現庁舎の北側敷地に平成20年12月の完成に向けて動き出しております。振り返りますと,狭隘で老朽化し,総合庁舎化する必要に迫られているけれども,近くに適当な敷地がなかった伏見区役所に対して,平成11年の秋,桝本市長の2期目の選挙の前のときであります。京都府と京都市が府市協調の象徴として西大手筋の敷地に新庁舎の建設を表明されました。丁度,国では,いわゆる中心市街地活性化法が成立した直後であり,商業観光機能の強化を図るため,地元商店街を中心にまちづくり会社の伏見夢工房を設立,区役所総合庁舎を拠点としたまちづくりが検討されたのであります。しかしながら,京都市が財政非常事態宣言を行い,平成16年度に新庁舎の敷地が急転直下,現庁舎の北側に変更となり,伏見夢工房をはじめとする地元の方々の数年間にわたるまちづくりに向けての議論は水泡に帰したわけであります。 しかしながら,当該用地は,京都府の管轄ではありますが高度集積地区,酒蔵のまちとしての観光,活力あふれる商業地域,そして今年,伏見ルネッサンスとして新たなまちづくりが検討されている横大路地域との接点に当たる要衝でございます。言うまでもなく,伏見区の地元のみならず京都市南部の活性化にとっても大変重要であり,公共的活用の検討は喫緊の課題と言えるわけであります。その後,京都市伏見地区中心市街地活性化基本計画の見直しのための検討作業を伏見夢工房をはじめ関係者で行っておられますが,この西大手筋の敷地の有効活用については,現在法改正との兼ね合いもあり検討を中断していると聞いております。もちろんこの間あらゆる角度から様々な視点で何度も何度も検討を重ねてこられたことも承知致しておりますが,結局,結論が出ない状況にあります。伏見区の活性化のかぎを握ると言っても過言ではないこの財産が有効活用されずに放置されたままであることは極めて残念なことであります。私は,地域の実情を知り,地元調整能力も高く,最近は地域からの信頼も高い伏見区活性化の担い手である伏見区役所が今こそ立ち上がり,産業観光局をはじめ関係局を取りまとめ,リーダーシップを取っていただきたいと思います。地域の皆様が望む具体的な結論,この土地の活性化策を見出すため,地元関係者,市,府等の行政機関,さらには学識経験者も交えて伏見区役所を中心に検討組織を設立していただかなければ,もうこれ以上前進はしないと思うわけであります。副市長の御所見をお伺い致します。以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 橋村芳和議員の御質問にお答え致します。 初めに,市長訓示の徹底と区長訓示についてでございます。私は,市長就任以来,今日まで機会あるごとに私の強い思いを全職員に,また直接局区長等の幹部職員に指示して参りました。しかしながら,橋村芳和議員御指摘のとおり,不祥事が相次いでいることは私の指示が職員一人一人にまで確実に浸透していないということであり,誠に残念というほかなく,私自身深く反省致しております。このため,今後はすべての職員に対し,私の熱い思いが確実に伝わるよう幹部職員が私の訓示をそしゃくし自らの言葉で繰り返し職員に伝えていくことを厳命したところでございます。 議員御提案の庁内イントラネットの活用につきましては,今回,臨時局区長会における私の訓示を発信したところであり,今後とも御指摘のとおり積極的な活用を図って参ります。区長におきましても,私の訓示の伝達はもとより,区行政の最高責任者として,これまでから時宜に応じて区運営方針等を職員に示しておりますが,今後ともこうした区長訓示を通して大区役所制の下での一体感のある区行政の推進を図るよう指示して参ります。 次に,区政策提案予算システムについてでございます。このシステムは,区長のマネジメントにより,各区が独自に有する課題を解決するための予算を提案させるもので,区政改革の一環として平成17年度予算編成から導入致しました。議員から御紹介がありましたように,この2年間で合わせて15事業について予算を計上し,これに基づきすべての区において安心安全のまちづくりや環境問題など区民とのパートナーシップによる地域に根差したきめ細かな事業が展開されております。しかしながら,御指摘のように,これまでの単年度に限った予算措置だけではなく,課題,事業によっては複数年度にわたる予算措置が必要な場合があることから,今年度実施事業の継続性も十分考慮しつつ,19年度の予算からは複数年度にわたる事業についても採択の対象として参りたい考えでございます。 次に,高度集積地区のまちづくりについてでございます。京都は,これからも時代をリードしていく魅力と活力に満ちあふれた都市であり続けるためには,ものづくり都市京都の伝統を生かし,世界的シェアを誇る大企業から技術に優れた中小企業まで,そのたくましい創造力と活力とを一層高める都市であり続ける必要がございます。このため私は,歴史的市街地の再生に向けた取組と本市の新たな活力を担う南部地域における創造のまちづくりとは,いわば車の両輪であると認識致しております。こうした認識に立って,高度集積地区については,南部創造のまちづくりの先導地区と位置付け,平成10年4月策定の高度集積地区整備ガイドプランに基づき,第二久世橋の道路整備を中心とする都市基盤整備を強力に進めつつ,油小路沿道の土地の高度利用を図る都市計画制限の見直し,地域内のバス路線の拡充等に取り組んで参りました。企業立地につきましても,PRやトップセールスなどの企業誘致活動を展開するほか,平成14年度には本市独自の補助金制度を創設し,これまで7社の企業進出に活用していただいております。こうした結果,地区内においては,例えば工業系や商業系の土地利用が平成10年度当時と比較して約1.5倍の伸びを示すなど企業集積にもその効果が現れており,今後更なる発展が期待されているところでございます。 一方,地区の現状を見ますと,社会経済情勢の変化や企業立地に適した敷地の不足等により飛躍的な土地利用転換には至らず,にぎわい施設の不足や無秩序な看板等による乱雑な景観などの新たな課題に直面致しております。私は,このような現状をしっかりと踏まえた具体的なまちづくりの将来像を改めて明示し,取組内容も併せて見直すことが是非とも必要であると考えており,現在,良好な景観形成,公共交通の充実,企業誘致の強化等に重点を置き,新しいガイドプランの策定を進めているところでございます。また,橋村芳和議員御指摘の京都発のベンチャー企業の進出につきましても,既存のものづくり企業との連携等により,この地区を活力あふれる産業振興拠点として発展させるために不可欠であると考えております。このため,補助金制度等の積極的活用や,これまで以上に誘致活動を強化することによりベンチャー企業の立地を更に進めて参ります。今後とも南部地域の更なる活性化のため,その先導地区である高度集積地区の一層の発展に全力を注いで参る決意でございます。 以下,副市長,公営企業管理者及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 京都市国民保護計画について2点お尋ねがございました。まず,京都らしい内容は何かということでございますが,市民の皆様の安心安全を第1に,本市の持つ地理的,社会的特徴を踏まえ,素案におきましては,一つは入洛観光旅行者の安全確保,また,世界遺産をはじめとする文化財の保護,さらには高齢者,障害者等の要配慮者や日本語の理解が不十分な外国人に対して京都ならではの地域力を生かした支援について記述しているところでございます。 また,計画策定後の取組についてでございますが,議員御指摘のとおり国民保護計画を実効性のあるものにするため,まず様々な手段によりまして,その趣旨や内容の周知に努めることはもとより,計画に基づく保護措置を迅速で的確に実施するための避難実施要領をはじめとする各種マニュアルの作成に着手することとしております。こうした啓発の実施やマニュアルの作成状況を踏まえ,さらに,市民の皆様の御理解をいただきながら効果的な訓練についても実施して参ります。今後とも京都市国民保護協議会の御意見をいただきながら,これらの取組を着実に推進致しまして,市民の生命,身体,財産の保護に万全を期して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは2点お答え致します。まず,各区におけるまちづくり活動への支援についてでございます。地方分権時代において地域で豊かな暮らしを実現するためには,日常生活にかかわる身近な課題から学区単位,行政区単位で考える課題まで幅広い領域において,まちづくりの担い手である区民の皆さんが自ら主体的に活動に取り組むことが不可欠であり,行政がこれを支援していくことは大変重要なことであります。京都市では,これまでから個性あふれる区づくり推進事業として,議員に御評価いただいた区民の自主的な活動に対する助成事業をはじめ地域の実情に応じた様々な支援事業を行って参っております。平成17年度からは,NPOや地域団体の自主的活動の拠点として空き家や空き店舗等を有効活用した暮らしの工房の設置を進めるとともに,今年度から新たに地域での活動を専門的な立場から支えるスタッフとしてまちづくりアドバイザーを3名配置し,各地で区民の皆さんの自主的なまちづくりをお手伝いしているところであります。今後とも厳しい財政状況ではございますが,予算,場所,人材の確保にかかわるこれらの事業を拡大,充実させながら,地域コミュニティの再生と魅力あるまちづくりに向け地域住民の皆さんの活動支援を続けて参ります。 次に,府立医大伏見診療所跡地の活用についてでございます。京都市におきましては,平成13年に策定した京都市中心市街地活性化基本計画に基づきまして,株式会社伏見夢工房を設立し伏見地域の活性化に取り組んで参りました。計画の重要な要素である伏見区役所の建設予定地を変更したことに伴いまして,平成17年度中に基本計画全体を見直すことと致しておりましたが,本年6月に基本計画の根拠となる中心市街地活性化法が抜本改正され,国の認定を受けた計画のみが法に基づく支援対象となることから,現在は見直しの結論を保留し,改正法への対応を検討しているところでございます。伏見診療所跡地の活用につきましても,計画見直しの中で議論を重ねて参りましたが,活用の具体化に当たっては,議員御指摘のとおり地域の実情を踏まえ地元との十分な調整を行うことが重要であります。今後,地域に最も身近な総合行政機関である区役所を中心に関係局,関係機関との緊密な連携の下,専門家の意見も聴きながら地域全体の活性化に寄与する有意義な活用を図るべく取組を進めて参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 大島都市計画局長。 〔大島都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(大島仁) 高度集積地区の名称についてお答え致します。高度集積地区という名称につきましては,平成4年に提出されました京都市土地利用及び景観対策についてのまちづくり審議会の答申の中で十条通以南の油小路通を中心に高度情報機能,流通機能,商業・業務機能等の集積と併せて文化機能の集積を図ることを趣旨として設定されております。京都市では,この答申を踏まえまして,高度集積地区という名称を用いて参りましたけれども,議員御指摘のとおり,分かりやすさや親しみやすさという視点はもとより,今年度から着手している高度集積地区整備ガイドプランの見直しの中で,その目指すべきまちづくりの方向性にふさわしい名称の在り方についてもしっかりと検討して参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 島田公営企業管理者。 〔島田公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(島田與三右衞門) 交通局の増収増客対策の取組についてお答え致します。市バス,地下鉄の大変厳しい経営状況の下,議員御指摘のとおり運賃収入はもとより,従来にも増して広告や駅施設の有効活用など更なる増収の取組が必要であると考えております。このため,市バス,地下鉄の広告につきまして,新たに一目で分かるパンフレットを作成し,来月には幹部職員による広告販売促進チームを立ち上げ積極的な営業活動を行いますとともに,地下鉄駅の柱を利用したアドコラム広告やホームページ上への広告枠といった新たな広告媒体の活用など広告料収入の増収に努めて参ります。また,交通局営業推進会議におきまして,観光客をはじめより多くのお客様に地下鉄を御利用いただけるよう,地下鉄沿線エリアマップの充実や地下鉄駅を利用致しました駅中ビジネスの展開などの検討を進めており,駅構内のミニコンビニの出店拡大やATMの設置に取り組んで参ります。また増収増客の取組には全市的な協力が不可欠であり,本年4月に強化されました総合企画局長等関係局長で構成する交通事業連絡協議会におきまして,各局と密接な連携を図りつつ局を挙げて増収増客に取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 暫時休憩致します。 〔午後3時15分休憩〕 〔午後3時36分再開〕 ○議長(巻野渡) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について,倉林明子議員に発言を許します。倉林議員。 〔倉林明子議員登壇(拍手)〕 ◆(倉林明子議員) 日本共産党京都市会議員団を代表し市長に質問します。 京都市職員による相次ぐ犯罪,不祥事の続発に市民の怒りは沸騰しています。今年度に入ってからだけでも既に10人の逮捕者が出ており,京都市政始まって以来の異常事態です。その内容も全くひどいもので生活保護費の詐取,横領,児童買春,ATMをゴルフクラブで壊した窃盗未遂,中学生に対する暴力行為,挙げ句の果ては覚せい剤の使用で2名,譲渡で1名が逮捕されたのです。確かに4月以降,市職員の犯罪,不祥事が噴出していますが,今に始まったことではないのです。市長就任以来10年,市職員の不祥事は絶えず,市長は,市政の重要課題として年頭の訓示にとどまらず繰り返し根絶の取組や決意を表明されてきたのです。ところが先日の不祥事問題を集中審議した常任委員会連合審査会の市長総括質疑で,あなたは,全体としてはそう大きな数値であるとは認識していないという発言をされ,議会にも市民にも衝撃が走りました。我が党議員の撤回の求めに対し,発言は撤回されたものの,その理由は,誤解を招くものであり不適切だったと説明されました。問題は市長の認識です。逮捕者90人という数,覚せい剤取締法違反だけで22名など犯罪の中身からいっても大した数値でないというあなたの認識は重大な間違いです。市職員による不祥事や犯罪行為の件数は大きな数値であること,中身も本当にひどいことをまず認めるべきではありませんか。いかがですか。 こうした事態にあって,家庭ごみの有料化を粛々と進めるなどもってのほかです。10月実施は中止すべきです。市長は,自らも減給の措置を採り最も重い処分だと言いますが納得できるものではありません。市民の声にこたえ辞任すべきです。いかがですか。 そもそも職員の犯罪行為がなぜ京都市でこれだけ多発するのか。市長は,市民に対してその原因と背景について説明し,自らの責任を明らかにしなければなりません。大綱で示された原因では,かつての同和選考採用と採用後の指導などの甘さが指摘されていますが,それだけで現状の深刻さは説明できません。そもそも同和地区住民を優先する雇用いわゆる同和選考採用制度は1980年代に大きくゆがめられ,運動団体の既得権となりました。特に部落解放同盟に対しては,暴力で現場の職員に対する威圧を背景に,不当不正な要求にも屈してきたのが歴代市長ではなかったでしょうか。是正された運動団体に対するカンパや職免の廃止,不正な補助金問題でも,旧同和地区内の市営住宅施設敷地の不法な占有に対しても,議会から繰り返し指摘され裁判で負けるなどしてようやく措置を採ったものでした。大綱で指摘された甘さが生じた理由と背景に何があったのか,教育委員会時代から深くかかわってきた当事者でもある市長は,京都市役所の根深い体質を最も知り得る立場にあるのですから説明責任を果たすべきです。 いまだそのゆがみが継続されていることも審議を通じて明らかになりました。その一つが部落解放同盟の幹部である市職員に対して,異例づくめの特別対応が取られている問題です。本来懲戒免職に当たる横領や公金詐取を繰り返したケースワーカーの元職員は,今年4月に退職金を受け取り依願退職していますが,部落解放同盟田中支部,市協の幹部でした。東山図書館長だった職員は,依願退職した後,嘱託として再雇用され,現在は住宅供給公社にいます。この職員は,部落解放同盟千本支部の元支部長であり,市協の元副議長です。さらに,上下水道局では部落解放同盟錦林支部長の職員が係長級に昇進し,現在労務担当の補佐をしている事例も判明しました。これら3人に共通しているのは,同和補助金不正支出事件,97年度からの5年間で8,000万円を超える補助金が不正に部落解放同盟及び地区内自治会に支出されていた事件の当事者であり,いずれも補助金を受け取っていた支部の責任者であったという点です。なぜこうした特別扱いが許されたのか,全く説明がされていないではありませんか。 2003年,同和補助金不正支出事件の最終報告書で,京都市の組織的責任について,一時期において運動団体と軋轢が生じないよう事業を進めることが同和問題の解決にとって有効であるという考え方を過度に職員に意識させる傾向が醸成されたと分析されています。つまり,不当不正なことでも同和問題ならまかり通る組織になっていたという反省でした。当該団体に対しても,厳格かつ毅然とした姿勢で臨まなければならないにもかかわらず,本市組織としてはそれを徹底できなかった。そこに最大の問題があったとして,市長を含めた処分が実施されました。ところが部落解放同盟の幹部に対するでたらめな処遇は,この反省の舌の根も乾かないうちのことで,本質は今も変わっていないことを示しているではありませんか。副市長は,現場で過去を引きずって,そうせざるを得ないと自己抑制していることはあると答弁されましたが,現場の職員の責任だけでなく,組織的,構造的な問題だということが教訓だったはずです。同和補助金不正支出事件の教訓が全く生かされていないではありませんか。いかがですか。 これらの事実は,京都市が自ら進んで明らかにしたものではなく,議会で質問されて事実を認めたものです。自ら明らかにするどころか逆に事実を隠す,報告しない事例も相次ぎ,深刻な隠蔽体質があると言わざるを得ません。下京区のコミュニティセンターの職員による暴力事件は,今回中学生に対する暴力で発覚したものですが,過去にも繰り返し暴力行為を行っており,相手は同じ市職員であったことが私たちの調査で明らかになりました。また,上下水道局では出勤していないのに出勤していたと当局が出勤簿を改ざんしていた事実を認めています。生活保護費を横領した職員が来庁者用の区役所駐車場を私的に占有していた事実を指摘されても認めようとしません。市長は,うみを出し切ると繰り返し発言されていますが,自らはちっともうみを出していないではありませんか。掛け声だけでなく自ら自浄機能を発揮すべきです。まず環境局,上下水道局,建設局など現業職場の勤務実態を明らかにし,なぜそうなってきたのかも含めて説明すべきです。いかがですか。 さらに,覚せい剤事件が集中している環境局のまち美化事務所では,所属長が職員を恐れ,まともに指示できない実態,勤務時間に見合った仕事量がまともに提起されていないことも明らかになりました。覚せい剤取締法違反の異常な拡大について,特別に原因と背景の解明が必要です。 先日,教育委員会の元職員が職員だった当時も覚せい剤を使用していたことが判明しました。さらに,環境局の職員が覚せい剤の使用及び譲渡の事実を認め懲戒免職となりましたが,いずれの職員も,暴力団員や元暴力団員との接触があり,入手ルートになっていたことが警察の捜査で分かっています。全体の奉仕者であるべき市職員に闇の世界が入り込むなど絶対にあってはならないことです。今回の事例にとどまらず,01年度にも覚せい剤譲渡で逮捕された職員は,元暴力団員から入手し職員に売り渡していた事件がありました。ヤミ金融にかかわった職員の逮捕者も出しています。私は,市職員に暴力団という闇のルートがつながっている事態を正確に認識し,徹底的にその全容を解明する責任が市長にあると考えます。なぜ入り込んだのか,なぜ繰り返しこうした事件が起こっているのかを明らかにし,断固たる決意で暴力団との関係を一掃する決意を求めるものです。 不祥事根絶に向けた大綱で打ち出された改革の内容はどうでしょう。その柱は,民間委託と処分の厳格化となっていますが,これで犯罪や不祥事がなくせるのか,早くも職員団体からも疑問の声が上がっています。特にごみ収集業務を50パーセント民間委託することがなぜ不祥事根絶につながるのでしょうか。零細事業者が多い業界のどこが受皿になるのか,現在の職員をどこが受け入れるのか。現場に大きな混乱と不安が広がっています。まずやるべきは,業務量に見合った人員配置にすること,仕事をきちんとする当たり前の職場にすることが必要です。また,処分の厳格化を度重ねてきたにもかかわらず効果がなかったのはなぜなのかを徹底的に明らかにすべきです。2000年には,覚せい剤使用で過去懲戒免職にした職員を再雇用していましたが,考えられない甘さがなぜ通ってきたのか,その解明なしに処分を幾ら強化しても不祥事続発の体質は変わらないと思いますがいかがですか。 市職員の犯罪,不祥事の続発に,市長の責任と同時に議会の役割,チェック機能を最大限発揮することが市民から今ほど求められている時はありません。組織的,構造的な問題として全容の解明が求められているにもかかわらず,原因や背景には触れず不祥事を起こす職員や幹部職員のみを批判する発言も目立ちましたが,市長の責任を免罪するものではありませんか。前回の一斉地方選挙では,民主,公明の会派の議員で部落解放同盟から推薦を受けた方々がおられますが,全容解明の歯止めにしてはならないと考えます。日本共産党市会議員団は,引き続く調査特別委員会で徹底した全容解明と根絶に向け全力を挙げることを表明するものです。 さて,こうした市職員の犯罪が多発する一方で,市民には相次ぐ負担増です。今年の6月に住民税及び国民健康保険料が,7月には介護保険料の通知が届き,市民からは悲鳴のような声が上がっています。住民税が7倍だ,間違いではないのか。国民健康保険料が払えない。介護保険をやめさせてほしいなど区役所納税課に1万5,000人,国保担当の窓口には2万4,000人余りの市民がわずか3週間余りの間に直接相談に来られました。間違いではないと区役所で幾ら説明されても納得できる負担増ではありません。 ある高齢者の声です。今年から妻が年金生活に入り,私の分が26万円以上少なくなりました。来年,更に8万円以上も負担が増えて大変です。先日,前立腺がんの疑いがあり現在精密検査中ですが,検査料が2万円近く取られ,もし本当にがんであればこれからの治療費が思いやられます。税負担と医療費負担でつぶれそうです。負担増は正に高齢者が耐えられる限度を超え,生存権をも脅かすものではないでしょうか。なぜこんなことになったのか。5年間続いた自民,公明による小泉政権の痛みの押し付けが最大の原因であることは言うまでもありません。改革という名の下で痛みが連続して市民の暮らしにのし掛かっています。昨年の配偶者特別控除33万円,老年者控除50万円を廃止,年金本体の控除は20万円も縮小しました。そのために高齢者の年金収入は減少しているにもかかわらず課税所得が大幅に増加し,増税,負担増が襲い掛かっているのです。 そもそも,このとんでもない増税の出発点は3年前の総選挙です。定率減税の廃止,高額所得者の年金に課税し財源に充てるとし,年金安心100年プランを目玉の公約に掲げたのが公明党でした。つまり庶民への増税で年金の国庫負担分を2分の1に戻すというものですが,実施されたのは増税だけ,国庫負担の引上げは,またもや先送りにするというのですから約束が違うではありませんか。改革の結果,高齢者の生活を壊し,生きる気力まで奪っています。現役並み所得に相当する全国200万人の高齢者には,医療制度改革により窓口負担が8月には2倍に上がり,さらに10月には3倍と連続した値上げを容赦なく押し付けたのです。未曾有の高齢者いじめではありませんか。 そこで市長に質問します。高齢者に対するこれ以上の負担増計画の見直しと中止を政府に求めるべきです。同時に,京都市独自の軽減措置が緊急に求められています。急激な増税となる高齢者世帯に市税減免措置を創設することと併せ,新たに課税となった年金生活者世帯に国民健康保険料の減免措置を採ることを強く求めたいと思います。便乗値上げに等しい介護保険料や敬老乗車証など新たな課税による値上げには減額措置を実施すべきです。いかがですかお答えください。 小泉改革の下で社会保障制度が大きく変えられ,低所得者や社会的弱者が社会保障から排除される事態が広範に広がっています。福祉では,障害者自立支援法が始まって,原則受けたサービスの定率負担が導入されて,負担増から施設や通所をあきらめざるを得ない方,事業継続を断念する施設も生まれています。京都の障害者団体の調査によれば,昨年10月以降,通所施設で23人が利用をやめ,入所施設では7人が退所に追い込まれています。7月に開催された自立支援法検証フォーラムでは,これでは自殺支援法だと発言されていますが,私もそのとおりだと思います。京都市独自の軽減措置が採られましたが事態は深刻です。介護保険法の改定による特別養護老人ホームなどの食費,居住費の全額自己負担が昨年10月から実施された影響で,退所者数が30都府県で1,326人に上ることが8月末に厚生労働省の調査で分かりました。今年10月からは,要介護1の利用者からベッドや車いすが介護保険の給付外となることから,継続して利用しようとすればこれまでの数倍の負担となります。現場では前倒しで取上げが進んでいます。経済的な負担能力のない障害者や高齢者が排除される仕組みは,もはや福祉と呼べないのではないでしょうか。 医療制度も大きく変えられ,行き場のない医療,介護難民が生まれています。療養型病床の診療報酬を引き下げて赤字を押し付け,市内の幾つかの病院は既に廃止となり,行き場のない高齢の患者が増えています。療養の必要な方が減少したわけではないのに,何の受皿もないまま6年間に全国で療養型病床の6割に匹敵する23万床も減らすなど無謀,無責任なやり方です。さらに,リハビリは180日で打ち切るというやり方は,余りにも機械的で再起を目指す患者さんの希望を奪うものです。この先,混合診療を導入し,保険証1枚では平等な医療が受けられなくなる制度へ変質させようとしていますが,国民皆保険制度を根本から崩壊させるものです。保険証を持って病院に行っても,重い病気は保険では間に合わない,軽い病気には保険が利かない,こんな医療に絶対してはいけないと今多くの医療関係者や患者が批判の声を上げています。 小泉首相は,歳出をどんどん切り詰めていけば,やめてほしいという声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれという状況まで歳出を徹底的にカットしなければならないと6月の経済財政諮問会議の中で述べていますがとんでもありません。国民,とりわけ弱者を兵糧攻めで締め上げた挙げ句,消費税増税を求める世論を作るやり方は絶対に許せません。日本経団連に代表される財界は,社会保障の財源として消費税の増税を一貫して要求してきましたが,社会保険料の企業負担軽減のためにほかなりません。法人税や高額所得者の税負担の軽減も政府と一体となって進めてきたのです。こうした構造改革の流れが格差を確実に拡大したのではないでしょうか。7月に発表された経済協力開発機構,OECDの対日経済審査報告書では,日本の税や社会保険料などを除いた相対的貧困率がアメリカに次いで2番目に高くなったと報告しています。貧困率の増加幅が一番高く,OECD加盟国の中で最も格差が拡大していることが明らかになりました。弱者に一層の負担を求めるのではなく,大企業や高額所得者にこそ応分な負担を求めるべきではないでしょうか。市長は,小泉構造改革による市民に対する負担増が市民生活を脅かしているという認識をお持ちですか。それとも負担はやむを得ないとお考えですか。更なる負担増はもちろん消費税増税はやるべきでないとはっきり求めるべきだと考えますが,いかがですか答弁を求めます。 小泉構造改革の痛みが国民に激痛を与える今こそ,地方自治体が本来の役割を発揮しなければなりません。ところが京都市は,更に市民の痛みを増すばかりではありませんか。2001年以降,負担増は国民健康保険料や介護保険料,学童保育利用料,保育料など146億円に上り,切り捨てられた市民サービスは無料敬老乗車証,市営葬儀,ちびっこプールなど,正に揺りかごから墓場までに至りました。市長は,全国屈指の行政改革だとその成果を強調されていますが,市民の目線と大きく懸け離れているのではないでしょうか。あなたが行政改革の目標を前倒しで達成したと報告された市税や国民健康保険料の徴収率引上げの背景にある,督促状にため息をつきながら必死の思いでやりくりして納付している大勢の市民の生活にこそ思いを寄せるべきです。2004年からは,このままでは財政再建団体に陥ると財政危機をあおり,更に市民負担を加速させていますが,これ以上の市民負担の増加は市民生活を破綻に導くものです。負担増や市民サービス切捨てはきっぱりとやめるべきです。いかがですか。 また,京都市が進める委託できるものはすべて民間委託へという流れは,市民サービスを向上させるものとなっているでしょうか。いち早く進められた市バスの管理の受委託は,今では市バスの半分に達そうとしています。市バスを使い制服も交通局のものでありながら,京阪や彌榮など民間バスに営業させるこの手法は,自前でやるよりコストダウンできるとしているものです。そのために運転手の賃金や労働条件を抑えて請け負わざるを得ず,現場では長時間運転が当たり前となり,自宅にも帰れず宿泊所も一杯で自分の車の中で寝泊まりするなど過酷な実態が広がっています。ある運転手の妻は,とにかく睡眠時間を取らせてほしい。夫の体が大丈夫か,いつか事故を起こすのではないかと不安の声を寄せています。現実に市バスの事故は昨年度1年間で170件,そのうち民間委託先の事故が43件でした。今年は4箇月足らずの間に委託先の事故だけで25件と増加しています。コストダウン優先で最も大事にしなければならない安全が後回しになっているのではありませんか。京都市は,受委託先の運転手の労働実態も含め安全管理の実態を把握する責任があると考えます。どう把握しているかお答えください。大量の乗客の生命を預かる公共交通機関の最大の使命は安全であることを改めて決意し,安全対策に徹底して取り組むべきです。改めて民間活力導入を一層拡大する方針は見直すべきだと考えますが答弁を求めます。 一方で,財政非常事態だとされる京都市の税金の使い方はどうでしょうか。2002年度と2003年度は,新規建設事業を原則凍結したものの,その後は建設事業費を毎年拡大し,今年度予算では965億円を超えています。市内高速道路や焼却灰溶融炉など大型公共事業は復活させ,市民の借金である市債残高は過去最高に膨らませているではありませんか。市民には負担増,サービス切捨てを進めながら,不要不急の大型公共事業は借金してでも進めるやり方は間違っています。京都市は今,市職員による犯罪行為や不祥事の噴出で市長も認めるように市民の信頼は地に落ちた状態です。市民の信頼を取り戻す決め手は,犯罪の根絶と同時に市職員が全体の奉仕者として市民に認めてもらえる仕事をすることです。市民いじめを続けてどうして信頼回復ができるでしょうか。財政再建を口実に市民サービスを切り捨て,行革を進める三つのプランは撤回し,市民の生命と安全,暮らしを最優先する自治体の役割を今こそ発揮するよう強く求めて私の第一質問と致します。(拍手) ○議長(巻野渡) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 倉林明子議員の御質問にお答え致します。 初めに,職員の不祥事に対する認識と有料指定袋制に関するお尋ねでございます。公務員として,社会人として言語道断の悪質な犯罪行為による逮捕者が続出していることにつきましては,誠に申し訳なく弁解の余地はございません。もはや個人の問題にとどまらず,組織的,構造的な問題があったと断ぜざるを得ません。そのため,私をはじめ管理監督者についても過去最も厳しい処分を行い,今後に向けてけじめを付けたところであります。先に策定した信頼回復と再生のための抜本改革大綱に基づき,環境局の解体的な出直しのための改革,生活保護業務に係る不祥事防止のための改革や,さらには,全庁的に取り組むべき抜本的改革について58項目の改革策を断行することが失われた市民の皆様の信頼を回復する唯一の道であり,行政の最高責任者である私に課せられた重大な使命であると考えております。 有料指定袋制につきましては,私は,今後の京都市の環境を見据えると直ちに取り組むべき重要施策であると確信しており,これまでの取組により多くの市民の皆様から御理解を得ているものと考えております。10月からの円滑な実施に向け,今後とも全庁体制で市民啓発に取り組むなど万全の体制で実施して参ります。 次に,現業職場の勤務実態についてでございます。本市には環境局,上下水道局,建設局などに約4,500名の技能労務職員が在職しておりますが,多数の職員は,炎天下においても土砂降りの雨の中でも額に汗して懸命に働いており,彼らの頑張りより日々の家庭ごみが滞りなく収集され,また,まちの美観と清潔,道路の安全が保持されるなど市民生活をしっかり支え,市政の推進に大きく貢献してくれております。しかしながら,一部の職員の公務員にあるまじき行為により技能労務職員全体の評価がおとしめられているのは極めて無念であります。上下水道局や建設局では,技能労務職員の定期的な人事異動や抜き打ちの服務監察を実施するなど服務規律の確保に努めて参っておりますが,今回,多くの不祥事を引き起こしている環境局においては,同一職場における長期在職者の存在等から生ずる排他的な職場風土,所属職員が100名を超える規模の事業所における管理監督の不十分さ,現場の職員に対する研修の不足など人事,業務管理面で不十分な点が数多くあり,それらが長年にわたって積み重なり,不祥事の発生しやすい組織風土を作り出す要因となってきたものであります。今後は環境局におけるごみ収集業務の50パーセント委託など解体的出直しをはじめ,同一職場の長期在職者に対する人事異動の実施や重点的な研修の実施,厳格な懲戒処分の実施など大綱に掲げる抜本的な改革策を断行することにより,職場風土を全面的に刷新し不祥事の再発防止を図って参ります。 以下,副市長及び公営企業管理者が御答弁申し上げます。 ○議長(巻野渡) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 私から3点お答え致します。まず,市民負担の軽減措置についてのお尋ねでございます。少子長寿化の急速な進展や人口減少社会の到来など我が国の経済社会構造の劇的な変化に的確に対応し,持続可能な社会の構築を図る上で必要となる適正な負担をお願いすることは避けては通れず,国における税制や社会保障制度の改革につきましても,現在の国,地方を通じた厳しい財政事情を勘案すればやむを得ないものと認識致しております。そのような中でも京都市におきましては,これまで一般会計からの財政支援による国民健康保険料や地下鉄運賃の改定率の抑制,また,障害者自立支援法施行に伴う本市独自の負担軽減策の創設など市民生活に可能な限りの配慮を尽くして参りました。御指摘のありました市民税につきましても,従来から65歳以上の低所得者に対して税額の半額を減免する本市独自の措置を講じており,また,国民健康保険料及び介護保険料につきましては,共に国による激変緩和措置が講じられております。本市の現在の財政事情と世代間の負担のバランスの見直しなど,この度の税制改正の趣旨を踏まえれば独自の負担軽減策をこれ以上講じることは困難であると考えております。なお,敬老乗車証につきましては,税制改正後もなお負担金が3,000円である方が多いという状況にあり,また,増額となる方もその多くが年額2,000円の増でありまして,交付後は何度でも市バス,地下鉄に御乗車いただけることを考えますと,この制度を長期的に維持していくためにもやむを得ないものとして御理解いただけると考えております。 次に,消費税についてでございます。消費税は,あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合い,安定的な歳入の確保にも資する税であることから,少子長寿化が一層進展する今日におきまして,その役割はますます重要になっております。消費税の在り方につきましては,経済社会の構造変化を踏まえ,まず歳出改革を徹底しつつ,なお必要となる社会保障給付などの費用をどのように負担していくかについて十分な議論を行ったうえで,より幅広く総合的な視野に立って検討されるべき課題であると認識しておりまして,今後ともその動きを十分注視していく必要があると考えております。 最後に,本市の市政改革と財政健全化の取組についてでございます。御承知のとおり本市は,他都市に比して市税収入の割合が低いなど元々財政基盤が脆弱なうえ,右肩上がりの経済成長が期待できない成熟社会におきまして一般財源収入が伸び悩む一方,少子長寿化の急激な進展に伴う義務的経費の増大等によりまして,平成18年度予算におきましても,なお226億円という巨額な財源不足が生じております。その対策としまして,行政改革推進債の発行や公債償還基金からの借入れという特別の財源対策を実施せざるを得ないなど本市財政は引き続き非常事態にございます。このような状況下におきましても,福祉,教育,安心安全など市民生活をしっかりと守り,将来の京都発展に欠かすことのできない政策を実行するために,また,将来世代にいたずらに負担を先送りすることのない安定的で持続可能な行財政を確立するために,引き続き市政改革実行プランと財政健全化プランに基づく取組を着実に推進していかなければならないと考えております。以上であります。 ○議長(巻野渡) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からも3点お答え致します。まず,一連の職員不祥事と運動団体との関係についてでございます。運動団体と行政の関係につきましては,桝本市長就任直後の平成8年に,それまで多くの問題を生み出すもとになっておりました交渉を全廃致したのをはじめ,以降,職免,カンパ,優先雇用,補助金を順次廃止するなど関係の見直しを進めてきたところであり,現時点では運動団体との関係で新たに問題を生み出すような不正常な状況は一切ないと認識致しております。 議員御指摘の同和補助金問題につきましては,補助金支出を巡って団体に対する厳格かつ毅然とした対応ができず,不適切な事務処理を継続した点で組織的な問題があったという総括をしたところでありますが,この13年度以前に起こった補助金問題と今回の不祥事案とは原因,背景においても大きく異なるものであります。今回の一連の不祥事の要因,背景については,抜本改革大綱でお示ししているとおりでございます。ただ40年以上にわたる同和行政の実施過程において運動団体との関係が相当の期間,正常と言えない状態が続いてきたこともあって,これまで市会審議の中で指摘されたような個々の問題として,また,経過を引きずる形で改善すべき状況が一部現場に残っていたのも事実であります。この点については,先日の改革大綱推進本部の会議において,運動団体に限らず特定の団体,個人の特別扱いを容認するような慣習,組織風土があれば,この際これを一掃するようにとの強い指示が桝本本部長から出されたところであり,この点全庁挙げてしっかりとした取組をして参ります。いずれに致しましても,市民の皆さんの信頼のない所に行政は成り立ちません。1万6,000人の京都市職員が市民のために誇りを持って働ける風通しの良い組織づくりを進めて参ります。 次に,覚せい剤に係る問題でございます。薬物濫用,とりわけ覚せい剤の広がりが大きな社会問題になっている中,今年度,市職員から3名もの逮捕者を出しましたことは大変重大であり深刻な問題として受け止めております。今回逮捕された元職員の姉妹2人は,それぞれダイエットやストレス解消目的で興味本位に手を染めたと聞いておりますが,入手が容易になる中で主婦や青少年の間にも覚せい剤使用が広がっており,それが暴力団の資金源になっていることはよく言われる事実であります。私どもとしては,これまでの事件を再度しっかり総括,分析する中で,どういう研修,啓発が効果的なのか,また,事件の兆候をつかみ,それを防止するにはどうすれば実効が上がるのか,専門家の意見もよく聴きながら対策,対応を急いで参りたいと考えております。そして覚せい剤が新たに職員の中に入り込んでくることを防ぐ取組を基本とし,これを徹底して行うとともに,一方では監察体制を強化し使用の兆候が見られる等の場合には,直ちに告発,通報するなど警察との連携を強化することにより覚せい剤事件の根絶を目指して参ります。 次に,甘い採用,甘い指導の原因,背景を解明することなく処分を強化しても不祥事続発の体質は変わらないとの御指摘についてでございますが,その原因,背景ははっきり致しております。これまでも申し上げていますように,甘い採用の背景には,同和対策事業としての優先雇用があり,採用後の甘い指導の背景には,この優先雇用の影響と併せて同一職場における多数の長期在職者の存在,事業所組織の肥大化に伴う管理監督の不十分さなど複合的な要因が重なり合っていたものであります。また,処分基準の甘さや本庁のバックアップ体制の不十分さも現場で毅然とした対応のできない要因でございました。今回の大綱に掲げる改革項目を一つ一つ確実に実施することにより,今回のような一連の不祥事の再発は大きく防止できるものと確信致しております。とりわけ議会でも御指摘いただき,9月1日付けで実施致しました懲戒処分の厳格化は,今後予定致しております分限処分の本格適用と併せて不祥事再発防止の大きな力になるものと考えているところであります。なお,免職歴のある職員の再採用については,法的に可能であるとはいえ現時点ではとても常識では考えられないことでありまして,今後こういったことが一切起こらないような取組をして参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 島田公営企業管理者。 〔島田公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(島田與三右衞門) 管理の受委託についてお答え致します。市バスの管理の受委託につきましては,路線,ダイヤ,運賃等の決定に京都市が責任を負いつつ,民間事業者並みの低コストでの運営を可能とするものであり,事業の効率化を図りつつ市民の足を守る最も有効な方策であります。このためバス事業規模全体の2分の1まで管理の受委託を拡大する年次計画を策定致しまして,平成12年から着実に計画を進めてきたところであり,来る平成19年3月の西賀茂営業所の一部委託によりまして,この計画を達成し確実な経営健全化を図って参ります。 また,御指摘の安全運行につきましては,交通事業者の最大の使命であると認識しております。民間バス事業者への委託に際しましては,弁護士,公認会計士による選定委員会を開催致しまして,財政効果だけではなく労働者の待遇や健康面など運行の安全性につきましても十分審議し選定しております。また,応募される民間バス事業者においては,国の指導もありその労働組合との合意が許可要件とされております。さらには,日々の運行におきましても委託先の民間バス事業者を含む全市バス安全運行推進会議を毎月開催し,点呼や社員研修の実施状況等,安全管理の実態を把握し安全対策の徹底強化に取り組んでいるところでございます。今後とも安全,快適,確実な運行に万全を期して市民の皆様の足を守って参ります。以上でございます。 ○議長(巻野渡) 倉林議員。 〔倉林明子議員登壇(拍手)〕 ◆(倉林明子議員) 御答弁をいただきました。市長は,自ら作ってきた京都市の体質から目を背けてはなりません。今まさに京都市は不祥事,犯罪続発という深刻な病に冒された状況です。治療には正確な診断が欠かせません。原因となっている部落解放同盟との特別な関係,特別扱いを認めずに正しい治療ができないということを強く指摘し私の質問を終わります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(巻野渡) 本日は,これをもって散会致します。 〔午後4時25分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    巻野 渡          署名議員  樋口英明          同     木村 力 △(イメージ)請願文書表「受理番号1529」「京都駅八条口前大型商業施設開設の指導」・議案付託表 △(イメージ)公営企業等決算特別委員...