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02月23日-02号

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  1. 京都市議会 1995-02-23
    02月23日-02号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成 7年  2月 定例会(第1回)   平成7年第1回           京都市会会議録   第2号   (定例会)           平成7年2月23日(木曜日)出席議員(70名)   1番 天方晶英君   2番 大道義知君   3番 日置文章君   4番 井上与一郎君   5番 内海貴夫君   6番 橋村芳和君   7番 桑原茂樹君   8番 いさか博文君   9番 中村勝己君   10番 河上洋子君   11番 富 きくお君   12番 谷口弘昌君   13番 高嶋弘恵君   14番 小川利治君   15番 大西 均君   16番 巻野 渡君   17番 小林正明君   18番 富田征義君   19番 加藤盛司君   20番 鈴木マサホ君   21番 藤井佐富君   22番 山中 渡君   23番 北山ただお君   24番 加藤広太郎君   25番 宮本 徹君   26番 今枝徳蔵君   27番 小林澄江君   28番 中西賢治君   29番 秋山幸雄君   30番 田中セツ子君   31番 伊藤義浩君   32番 磯辺寿子君   33番 二之湯 智君   34番 中野竜三君   35番 安井 勉君   36番 小林あきろう君   37番 三宅誠孝君   38番 藤本貞子君   39番 高橋きみ君   40番 山本 豊君   41番 山本正志君   42番 岩本 弘君   43番 可児達志君   44番 永嶋久仁朗君   45番 中西正三君   46番 田中 保君   48番 田中のぼる君   49番 川中増次郎君   50番 高橋泰一朗君   51番 椋田知雄君   52番 中村安良君   53番 北川 明君   54番 奥山茂彦君   55番 梅林 等君   56番 山口幸秀君   57番 南野昭雄君   58番 阿美弘永君   59番 若宮 修君   60番 坂口芳治君   61番 藤原冬樹君   62番 有吉節子君   63番 国枝克一郎君   64番 西脇尚一君   65番 青木善男君   66番 津田幹雄君   67番 江羅寿夫君   69番 福島滋弥君   70番 西田輝雄君   71番 小坂 正君   72番 末本徹夫君欠席議員(1名)   47番 北川光男君欠番 (1) 68番   議事日程   会議日時 2月23日午前10時第1 請願審査結果について(財政総務委員長報告)第2 請願審査結果について(厚生委員長報告)第3 請願審査結果について(建設委員長報告)第4 議第1号乃至議第20号,議第22号,議第23号,議第26号乃至議第30号,議第32号乃至議第39号,議第41号乃至議第44号及び議第47号 平成7年度京都市一般会計予算ほか39件~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時2分開議〕 ○議長(井上与一郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。奥山茂彦君と藤原冬樹君とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) この場合,議長から御報告申し上げます。 本日までに受理いたしました請願3件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 次に人事委員会から,議第21号京都市職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例の一部を改正する条例の制定についての意見書が提出されました。この写しは,お手元に送付いたしておきました。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 日程に入ります。 日程第1,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は,配付いたしておきました。 お諮りいたします。本件は,財政総務委員会報告書のとおり,1件を採択することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎君) 御異議なしと認めます。よって本件は,財政総務委員会報告書のとおり決しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 日程第2,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は,配付いたしておきました。 お諮りいたします。本件は,厚生委員会報告書のとおり,2件を採択することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎君) 御異議なしと認めます。よって本件は,厚生委員会報告書のとおり決しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 日程第3,請願審査結果についてを議題といたします。 委員会報告書は,配付いたしておきました。 お諮りいたします。本件は,建設委員会報告書のとおり,2件を採択することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎君) 御異議なしと認めます。よって本件は,建設委員会報告書のとおり決しました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 日程第4,議第1号乃至議第20号,議第22号,議第23号,議第26号乃至議第30号,議第32号乃至議第39号,議第41号乃至議第44号及び議第47号,平成7年度京都市一般会計予算,ほか39件,以上40件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。発言の通告がありますので,これを許します。二之湯智君。 〔二之湯智議員登壇(拍手)〕 ◆(二之湯智君) 私は,自由民主党市会議員団を代表して,ただ今上程されております平成7年度予算案並びに本市の重要課題について市長並びに関係理事者に質問いたします。 私は,2期8年でこの壇上に立つのは4度目であります。原稿をまとめるまでに多くの方々に会っていろいろと意見を伺い,また資料を読むわけでありますが,この議場での答弁は役人の作文を読み上げるだけであり,今や完全にセレモニーになり下がっております。いささかの緊張もないと言っても過言ではありません。市長,あなただけでも自分の考えを自分の言葉で答弁していただきたいものであります。 さて質問に入ります前に,去る1月17日の早朝,兵庫県南部地方に突然起きた大地震によって神戸市をはじめとする阪神地方の都市やまち,そして震源地である淡路島の北淡町は一瞬のうちに廃墟に近い状態に陥り,5400余名の人々が尊い命を失い2万数千人が負傷し10万軒近い家屋が焼失,全壊,半壊いたしました。 ここに尊い命をなくされた方々に心から御冥福をお祈りするとともに,被災された方々にお見舞いを申し上げ,一日も早く回復され,復興のために立ち上がってくださるように期待するものであります。 ここ数年,東京や東海地方に関東大震災級の地震が近い将来起こるのではないかと言われておりましたが,まさか関西に,しかも神戸に大地震が起こるとは全く想像さえしておりませんでした。起こった後から,学者や専門家の皆様はいろいろと理屈を付けて神戸に地震が起こっても不思議ではなかったなどと話をされておりますが,今だから言えることでありまして,今まで関西で大地震が起こるとはほとんどの人々が考えもしなかったことでありましょう。 しかし現実に起こったのであります。神戸市をはじめとする被災地へ京都市が支援活動を開始したのは17日の当日からで,その後連日多くの局で専門職員を派遣して救援活動に取り組んでおられますことに心から感謝の誠をささげるものであります。市長は1月26日,井上市会議長と一緒に神戸市の被災状況を視察,その後神戸市役所に笹山市長を訪ね,市民を代表してお見舞いされました。大変御苦労さまでした。 さて平成7年度の京都市の当初予算でありますが,率直に言ってそれなりに苦労し努力して編成された予算だと思っております。平成6年度は,不況による税収不足のため各種基金を取り崩して予算を編成されました。そのうえ昨年の2月,突如として地下鉄東西線の工事費が異常に膨張していることが明らかになり,京都市財政は最大のピンチを迎え,あわや財政再建団体に転落するのではないかと心配されたのであります。それゆえ,今年度予算は前年度予算を下回るのではないかと予想されておりましたが,幸いに地下鉄に対する補助金が我が党の地元選出国会議員の努力のおかげで大幅に増え,約1500億円近い額となりました。 更に法人の利益が予想以上に上回ったために前年比約4パーセントの伸びがあり,何とか予算の財源が確保でき,今年度予算は額にして271億円,率にして約4パーセント近い伸びとなったのであります。毎年苦しいやりくりの本市財政でありますが,年度ごとの予算書の前文は,本市は財政基盤が脆弱という言葉がここ数年続いております。今や枕言葉になっております。財政基盤が脆弱ということは誰もが認識しているところであります。中小零細企業が多くて大企業が少ないという現状を考えれば,法人市民税や固定資産税が他の大都市と比べ非常に少ないということは素人でも分かることであります。 しからば,このような財政基盤にある京都市の現状を打開するために,更に財源を増やすために市はどのような対策を今まで打ち立ててこられたのか,私の目にはよく映ってこないのであります。それどころか,企業や法人の流出に歯止めが掛からず,このままの状態が続けば京都市の産業の空洞化を招きかねない状態であります。財政の面から又は経済局の施策の中で,京都経済の活性化のためにどんな手だてを講じられているのかお聞きいたします。 京都市の今日抱えている深刻な問題に人口の減少,特に若者の市外への転出があります。大学を卒業した若い人々の就業場所がない現状では,この傾向を変えることはできません。京都市の経済の活性化のために,更に若者の定着のために経済局の一層の奮起を望みたいものであります。そのためには企業の活動を積極的に支える施策が是非とも必要であります。経済界は,南部地区を京都の新しい経済の拠点にすることを目指しておりますが,今後高層ビルの建設計画なども出てくると思います。一部の意見にいたずらに右顧左眄することなく認めていくという方針を明確にすべきだと考えますがいかがですか。 京都市の高齢化の比率は全国でも群を抜く高さであります。上京,中京,下京区では,今や20パーセント近い率となっております。高齢者対策を中心とする福祉の充実は今や時代の大きな流れであります。御案内のように予算に占める民生関係の比率は,ここ数年全体の3分の1以上であり,今後ますますこの数字は高くなっていくことでありましょう。福祉を充実させながら,なおかつ都市の基盤整備の充実のために投資的経費を落とさないでやっていくには,財政基盤の確立が最も肝要なことであります。地下鉄の整備,高速道路の建設,市街地の再開発などは財界や大企業への奉仕ではなく,長い目で見ればその多くが市民に還元されるのであります。関係当局は着実に事業を遂行してもらいたいと思います。 さて今回の地震で非常に衝撃的と言いますか,まるでアメリカのアクション映画に出てくるような場面が我々の目に入りました。高速道路上でのバスが間一髪,助かった姿です。よくぞ転落しなかったものだと思いました。地震であれほど高速道路がもろいものとは想像もしておりませんでした。だから高速道路は危険だ,軍隊や大企業のための道路だから必要ないとは申しません。京都高速道路の久世橋線,油小路線は,計画では1本の橋脚に支えられることになっております。神戸でもろくも横転した高速道路は1本の橋脚でありました。設計ミスか施工ミスかはまだ解明されておりません。市は計画どおり遂行するのか,それとも設計変更を求めるのかお聞かせいただきたいと思います。 今回の地震で地下の構造物が地震に強いということが証明されました。景観も含めて久世橋線の地下化を阪神道路公団に求める考えはありませんかお尋ねいたします。 神戸の三ノ宮ターミナルも大きな被害を受けました。阪神,阪急電車はもとより三ノ宮周辺の商業施設も非常に大きな被害を受け,三越,阪急,大丸の百貨店の全面的な営業開始のめどは立っておりません。大丸百貨店神戸店は大丸の売上げの約16パーセントを占め,大丸の主要店舗の一つであり,その営業中止の影響は莫大なものがあります。大丸百貨店は,明石駅前に出店を予定していた明石店も断念,再建に専念するとのことであります。 山科駅前再開発事業のB棟への核テナントとして大丸百貨店の出店がほぼ確実であることは,昨年の11月市会で関係当局から明確に答弁がありました。しかし,今回の地震により大丸側の出店計画に大きな変更があるのではないかと危惧するものであります。大丸側から市に対して,地震後出店断念などの意思表示がもたらされているのではないかと思いますがお聞かせ願います。 先ほど申しましたように,人口の減少とりわけ若者の人口流出は,都市の活力,新しい文化の創造といった側面から見ても由々しき事態であります。大学の市外への流出は何としても食い止めなければなりません。 さて京都が学問の都として人々から呼ばれるのはなぜでしょうか。人口の割に大学の数が多い,大学のまちらしい周辺の雰囲気,学者や大学生を大事にする市民性,明治の初め全国に先駆けて初めて小学校教育を始めたという先進性,西田哲学を中心とする京都学派と言われる人々の存在などなどいろいろあるでしょうが,私は何といっても京都大学の存在ではないかと思っております。京大こそ京都人の誇りであり,学都と自負する京都の象徴的存在なのであります。 ところがここ数年,京大が新しい大学院大学のための第三キャンパスを京都市内及び周辺に求めているとの計画が明らかになりました。京大が計画している敷地は約100ヘクタール,30万坪であり,現在の市内にその大きさの土地を求めることは非常に困難であります。そのために城陽市の砂利採取跡地も候補地の一つであり,学研都市の中心であります木津町,精華町などが京大を学研都市の中核あるいは目玉にしようと積極的に誘致活動を展開いたしております。去る1月5日付の産経新聞の夕刊には,既に京都大学の学研都市への進出が決定したかのような報道がなされておりました。市当局が現在承知している状況をお聞かせください。私は,量見の狭い京都市中心主義者ではありませんが,学問,文化,芸術といった分野で21世紀の京都を花咲かせ文化首都を京都市が目指しているだけに,いかなる手段を講じても京大の第三キャンパスの敷地を京都市が提供しなければならないと思っております。 京都市には海がなく新しい土地を生み出すことはできません。しかし行政区域は他の都市と比べ非常に大きい面積であります。今回産業大学のキャンパス拡張計画について約16万9000平方メートルの面積に対して約70パーセントの緑地を残すことを条件に調整区域での開発許可をしたことは,大学問題に真剣に取り組む京都市の強い姿勢を示したものとして高く評価いたしたいと思います。以前,産業大学がキャンパス内の研究棟を増改築したいと申し出たとき,市当局がこれを拒否したいきさつがあるだけに,今回の措置は大きな前進であります。 産業大学のように緑地を保全しながら開発するといったことは十分に可能なことであります。以前からいろいろな機関が市内周辺部の国有地で開発可能な場所を調査した例も知っております。京都産業大学も国有地の払下げによって現在のキャンパスができていることを考えると,市当局がその気になりさえすれば必ず緑あふれたアメニティ豊かなキャンパスが可能であり,京大の希望をかなえられると確信するものであります。景観対策の制度の創設や改正によってこれら大学問題等に適切に対処できるのか,そのお考えをお聞かせください。 かつて明治の中期,我が国第2番目の国立大学としての京大を誘致するために大阪と争ったことがあります。京都が勝ち,多くの国立大学の教職員が京都に住まいし,今日の学都の礎を築いたという歴史的な事実があります。 私は,田邊市長はじめ市幹部が万難を排して京大の第三キャンパスを確保することを望むものであります。もしそれができないとすれば,市長,助役はその失政を厳しく糾弾され,後々までも大学流出を阻止できなかった張本人としての汚名を着せられるでありましょう。 京都が学問の都であると言われるまでには多くの先人の努力があります。御案内のように明治5年の学制発布に先立つ3年前の明治2年に,京都では市内64か所に番組小学校が設立され,多くの子供たちに勉強を教え,学問こそが個人の自主独立の気風を養い,それが将来の京都の発展につながるものであるとしたのであります。先人の努力が実り,京都が多くの先進的な施策を採り入れ見事によみがえったことは周知のとおりであります。京都が学問の都たる底流には学問を尊ぶあるいは大事にしてきた歴史もあると思うのであります。高等な専門的な学問も大事でありますが,それ以上に大事なことは,学問や文化を大切にする風土を作り上げることであります。 小学校,中学校の義務教育の充実は極めて重要であります。京都の小,中学校の校舎では,小学校の10.5パーセント,中学校の4パーセントは戦前に建てられた建物で,政令指定都市では最高の比率であります。今回の阪神大震災で木造家屋がもろくも壊れた現実を見て,校舎の建て替えが子供たちの安全面から考えても緊急を要する課題であると思いますがいかがでしょうか。 子供の活字離れが言われております。子供たちが本に興味を持ち,読書の喜びを知るには学校図書館の充実が必要です。京都は学問の都と言われているので,学校の図書室はきっと先進的で多くの予算が付けられていると思いがちでありますが,今年度予算で約1000万円増額されたとはいえ,京都市の学校図書費は今なお全国でも非常に低い水準であり,誠に情けないというか恥ずかしい現実であります。学校図書室の充実だけでなく,京都に多くの専門的な蔵書を持った大規模な中央図書館を是非造るべきだと言われてきておりますが,現在のところ展望が開けておりません。学問の都にふさわしいスケールと蔵書を持った中央図書館の建設を急ぐべきであると思いますがいかがですか。 さて京都は,国際都市とも称せられております。多くの国際会議,世界各国からの留学生,年間50万人を超す外国人観光客,そして八つの都市との姉妹都市の提携など京都を国際都市と呼ぶ中味は一見あるように見えますが,私には自信を持って京都を国際都市と呼ぶことはできません。 今年度予算にチェコ共和国のプラハ市との姉妹都市盟約のために500万円の調査費が計上されております。プラハ市との縁組の話を誰が持ってこられたのか存じませんが,現在八つある姉妹都市との交流も十分にできていない事情を考えると,なぜ今姉妹都市を増やすのかと考えざるを得ないのであります。 私は,かねてから姉妹都市盟約の発足時にあった姉妹都市交流委員会を復活して,学者や文化人ばかりを委員に連ねるのではなく,もっと国際交流に意欲のある一般市民に参加してもらって,本来の趣旨である市民交流を活発にすべきだと主張してまいりましたが,姉妹都市委員会はその後休眠の状態のままであります。遠いプラハ市との姉妹都市交流が頻繁になるとは到底思えないのであります。それとも,今後交流の在り方に検討を加え,市民交流を活発にするために何か新しい方策を考えておられるのかお尋ねいたします。 学問の都,国際都市,そして最近は文化首都を目指すのだと経済界,京都府,京都市のトップからの発言があります。果たして今回の予算で文化首都を目指す目配りがされているでしょうか。和風迎賓館の誘致,コンサートホールの建設などは京都の文化の向上に大いに貢献するのではないかと期待されております。しかし,文化,スポーツ施設は見劣りいたします。京都市美術館は,建設当時は日本屈指の施設であったのでしょうが,今は狭くて使い勝手が悪く,多くの所蔵品の常設展示もできない状態であります。新しい美術館が望まれているのであります。近い将来,市にその考えがあるかどうかお尋ねいたします。 また京都市民のための市民プールの建設は,10数年来言われてきました。以前親しまれていた市民プールを取り壊したときの約束でもあり,一日も早い建設を市民が望んでおります。今や市営プールを持たない大都市はもちろんのこと,プールを持たない市を探すのは難しいくらいであります。建設の見通しをお聞かせください。 大規模な市民運動公園もかねてから言われ続けております。大見運動公園は,どうしてもやり抜くという京都市の意向とは逆に何ら進展を見せていないというのが実情であります。いたずらに不可能な場所を追い掛けるよりも他に場所を求めるべきでありましょう。ポンポン山の利用計画はどうなっているのでしょうか。あれだけの広大な土地であります。スポーツ,文化施設も取り込んだ自然運動公園を地元の意向も採り入れて建設すべきであります。現在どの程度利用計画が進んでいるのかお示しいただきたいと思います。 昨年末,京都市,宇治市,大津市の17の社寺等が世界遺産条約に基づく世界遺産へ登録されました。京都市及びその周辺の社寺等が世界文化遺産に登録されたことは,文化都市,歴史都市としての名声を一層高めました。しかし,指定された多くの社寺は,かつての古都税紛争の後遺症により今なお京都市との関係はよくない状態であります。将来の京都のためにも一日も早く両者の修復を図り,文化財の保全,周辺の整備,更には京都の発展のためにお互いが協力すべきだと思いますが,関係修復の意思があるのかどうかお尋ねいたします。 京都が世界文化遺産に登録されたことによって,世界各国から多くの観光客が訪れるでありましょう。しかし文化遺産である社寺は,歴史的建造物であり美しい建物でありますが,果たして京都全体についての印象はどうでしょうか。文化と住宅問題は一見関連がないようでありますが,将来の京都のまちづくりといった観点から考えれば極めて重要な関係にあります。京都のまちが美しいと言われるのはなぜでしょうか。周辺の山々,古い美しい木造家屋,碁盤の目の町並み,そして古い文化遺産の社寺等々いろいろあるでしょう。これらの京都らしさ,雰囲気は数百年も掛けて築き上げられたものと思います。それだけにこの京都のまちは大事に守り育てていかなければなりません。 しかしであります。世界に誇る文化遺産がある一方,京都市民の住む家は決して広くて立派なものとは思えません。むしろ他の都市の住居と比較して見劣りするものが多いと言わざるを得ません。京都市の住宅の敷地は100平米,約30坪以下のものが全体の約40パーセントを占めているのであります。狭い敷地だから勢い広い住居スペースを確保するためには違反覚悟で家を建てなければなりません。世界文化遺産を多く持つ市内に,小さな違反建物ばかりが年々約3000戸以上生産されていくとなると,これは京都市の将来の文化的ストックにとって由々しき問題であります。 冒頭申し上げましたように京都市民の市民税,固定資産税は他都市に比べて低い水準にあります。これは何を物語っているのでありましょうか。所得の低い市民が狭い敷地と小さな家に住んでいるという現実であります。京都市は,他の都市に比べ非常に用途地域が厳しく指定されて,価格もその割には高いのであります。余り高くない所得水準の市民が,用途地域の厳しい狭い土地にどんな家を建てることができるのでありましょうか。京都らしさを守るため,市民にもう少し広い住宅を供給するため,更には世界文化遺産の周辺の環境を守るためにも,京都市の住宅行政の抜本的な発想の転換が必要であります。公園面積も市民1人当たり現在3.5平方メートルを今後5年間で倍の6平方メートルに増やす計画があります。住宅においてもそのような長期的な計画が是非とも必要だと考えますがいかがでしょうか。 交通局は,リストラに取り掛かり,昨年末から労働組合との協議の中で人員の合理化が進んでいるように伺っております。更に平成6年度の賃金,ベースアップの見送りを提示,労働組合も同意したとのことであります。また課長級以上は,元旦から管理職手当を1パーセント削減したと伺っております。交通局幹部の努力に敬意を表する次第であります。 市長部局においてもリストラは避けて通れない問題であります。多様な市民のニーズにこたえていくために現在の執行体制でいいのか。局と局との縦割りの弊害,執行率の悪さなどはかねてから強く指摘されているところですが,それは一に掛かって組織の問題ではないでしょうか。 都市整備局に洛南新都市建設を推進するために設けられた新都市整備課,課長以下職員数4人というのがあります。一体この課は日常どのような業務を行っているのでしょうか。この構想が発表されて以来かなりの年月が経過しておりますが少しの前進も見られません。平成6年度でどんな成果を上げたのでしょうか。 また建設局に北部開発課,課長以下職員数10人があります。左京区大見の公園建設を推進するための課でありますが,ここ数年ほとんど進展が見られません。 我が党議員団は,この計画を断念するように市当局に申し入れておりますが,いまだに課は存在しているものの,現実の仕事はなきに等しいのであります。この事業もどんな進展が見られたのですか。私はこの二つの課を廃止すべきだと思います。そこに働く職員も仕事がなくて気の毒であります。 私は,平成5年の代表質問でも申し上げましたが,京都市の事業の遅れの原因は,用地買収の在り方にあると提言いたしました。用地課が用地室に昇格し,女性職員も配置され,以前よりも職員はやる気を起こし,用地買収に昼夜頑張ってもらっていることはよく承知いたしております。しかし,なかなか用地取得がはかどっていないのも現実であります。 建設局において国庫補助を受けていながら執行できずに国へ返した金額は,平成3年度から5年度の合計で約29億円に上っております。また現在工事中の山陰本線立体交差化事業の竣工期限が3年間延長されるという委託契約の変更が今議会で提案されておりますが,工事が遅延したのではなく,これも用地買収の遅れそのものであります。責任はJR西日本にあるのではなく,まさに京都市の責任であります。こういうことが再三起こりますと,各方面からの京都市政に対する信頼が著しく損なわれます。 では,なぜ用地買収がうまくいかないのか。それには幾つかの理由が挙げられます。まず事業課と用地室との事業に対する認識あるいは理解の違いがあります。意思の疎通を十分に図る必要があります。また事業の進行管理,代替地の問題,用地買収図面の確定等用地買収の制度を根本的に変えない限り京都市の事業の遅れは今後も続くでありましょう。早急に検討すべきと考えますがいかがですか。 2月府会で,京都府は3部局10課減らすという大幅な機構改革の条例改正案を提案いたしました。外部有識者の提言を受けて荒巻知事が決断されたと聞いておりますが,京都市も田邊市長のリーダシップの下,今年の春に大幅な機構改革を断行すべきだと思いますがいかがですか,お伺いいたします。 京都市の場合,局長から部長へ,部長から課長,係長,係員へと水が高い所から低い所へ流れるような職制になっていないとよく指摘されます。上司と部下との関係も十分に機能していないと市民から批判されます。今春から来春に掛けて局長級の職員がかなり多く退職されると聞いております。この際,若手の積極的な登用と風通しのよい,指揮命令系統がはっきりした,そして仕事のできやすい職場づくりを願いたいものであります。どの局が何の仕事をしているのか,市民から見て分かりやすい組織にしてもらいたいものです。リストラといえば局や課を再構築することですが,職員の削減を伴わないリストラは意味がありません。今後どのような職員定数の削減計画をお持ちかお尋ねいたします。 さて,自民党議員団の代表としてこの壇上に立つ限り同和問題に触れないわけにはまいりません。私は,我が党議員団を代表して京都市同和問題懇談会に参加しておりますが,そこでは委員の方々が率直に意見を交換していますし,京都市の当局者も運動団体の代表に遠慮することなく発言しております。以前のように団体との厳しい緊張した交渉の雰囲気を知らない私には,その場にいる限り同和問題の深刻さは分かりません。それでも今なお同和問題の解決は京都市政の重要な施策の一つであると同時に,更に努力を傾注して改善に取り組まなければならないと思います。 私たち自民党議員団は,今日の京都市の同和施策は行き過ぎているとかねてから主張しておりました。それに対して運動団体や京都市当局は,今なお同和地区住民に対する心理的な差別は残っている。それどころかもっと深刻になっている。結婚の差別やここ数年前から起きている差別落書事件はその顕著なものであると指摘しています。そのために人権啓発に力を入れているとしておりますが,果たしてそれが真に同和問題の解決に役立つのか。私にはとてもそのように思えないのであります。 京都市同和問題懇談会に提出された市民啓発運動についての資料によりますと,最近の差別事象の要因,背景の分析はいかにも一般市民が同和問題に対して正しい理解を持たず,いかにも人権意識が乏しいかのようになされております。先ほど私が申しましたように,京都市の同和行政に対する市民の不信感は誠に根強いものがあります。私は差別事象を一般市民ばかりの責任にすることがあってはならないと思います。差別落書事件は,京都市の同和施策に対する一般市民の素朴な批判,つまり過度に過ぎる施策への抗議かもしれません。京都市が差別事象を市民の同和問題への認識不足にだけ原因を求めるならば,永久に同和問題への差別意識はなくならないでありましょう。 先月25日の我が党議員団会議において,阪神大震災による被災者に対して改良住宅の空き室を提供するよう申し入れたところ,理事者は改良住宅を20戸準備するとの返事でありました。わずか20戸とは寂しい限りであります。もっと多くの空き室があるはずであるとうわさされております。一般の市営住宅もそうでありますが,改良住宅もあくまでも居住用の住居であります。住環境整備室は今までに居住の実態を調査されたことがありますか。更に幾つかの部屋でベランダが改良された形になっております。もしそれが一般の市営住宅で行われたとしたら住宅局はどのような対応をされますか。たとえ誰であろうとも管理規則に照らして原状回復を求めるべきであります。もしそれを許しておけば,市が同和地区住民だけに対して甘いという印象を持たれます。ひいては市民の反感を買うだけだと思いますがいかがですか。 同和地区の教育施策も随分と充実してまいりました。高校進学率だけを見れば,同和地区と一般地域との差はほとんどなくなってまいりました。教育委員会は進学の中味を問題にされておりますが,それを主張し続けるならば,教育委員会自身が学歴偏重の考えに傾いているのではないでしょうか。今日,人間の生き方には多様性が求められております。いい高校へ進学し,いい大学へ進学させるばかりでなく,個性に応じた進路指導を行うべきではないでしょうか。過度の就学奨励事業は子供たち自身の自立心,向上心を失うことになるのではないかと恐れています。天は自ら助くるものを助くという自助の精神を教え込むことが必要だと考えますがいかがですか。 今日,同和地区から多くの人々が市に就業の場を持っておられます。そもそも職業安定対策は,近代産業への雇用を促進するための施策でありました。それがいつしか雇用促進という名目で京都市に選考採用で就職することになりました。それは主に清掃局,交通局,上下水道局の現業の職員,そして学校管理用務員,給食調理員でありました。同じ職業に偏重しないという本来の趣旨から離れて,それらの仕事は同和地区出身の人々によって占められるようになりました。 清掃車の荒っぽい運転,市民に応対の悪いという現場事務所,それらは一部であっても同和地区の人だからという印象を市民に与えております。不祥事件により退職していた清掃局職員がまた選考採用で採用され,2年前に再び不祥事件を起こして退職した実態や水道局職員の阪神大震災へのボランティアを装った不祥事件など市民の憤りの声が私に寄せられております。 2月17日の新聞記事を見て,私の事務所には10数件の電話がありました。この職員に対しては2月20日付けで管理者が懲戒免職処分にしたとのことであります。今後も市民の模範たるべき公務員のかかる不祥事件に対しては厳しい姿勢で臨むべきであります。 1月末に清掃収集員の一般公募がありました。聞くところによりますと,競争率は約20倍にもなったそうであります。今までは一般地域からなかなか応募してもらえないので同和地区から人材供給をしてもらっていたと清掃局は言っておりましたが,多くの市民が応募した実態を踏まえ,今後すべて一般公募にすべきだと思いますがいかがですか。同和地区の人も一般地域の人も能力と意欲さえあれば職員となれる,そのことが同和問題の解決になると思います。 隣保館での重要な事業に市立浴場の運営があります。現在京都市内には13の市立浴場があります。年間に利用する人の数は約150万人であります。そのうち同和地区の人々の利用は約6割と言われております。一般市民の利用は約4割であります。150万人の6割は90万人であります。同和地域内の市立浴場の利用対象者は平成3年度調査で1万2482人であります。この人々が毎日市立浴場を利用すれば約465万人とならなければなりません。この数字は,地区内に住んでいる人が現実にいかに少ないか,あるいは利用してないかを物語っているのではないでしょうか,いかがですか。 また同和地域内の施設の共同利用がここ数年来言われていますが,市当局はかたくなにこれを拒否しております。なぜ市立浴場だけが共同利用できるのでしょうか。併せてお答え願います。 更にこの市立浴場の運営に平成7年度で5億3600万円余の予算を投じております。同和地区の人々が1回入浴するために一体どれぐらいの経費が掛かっているのでしょうか。市立浴場の運営を根本的に見直さなければなりません。いかがですか。 さて私は,前回の質問の際にも述べましたが,同和問題の一日も早い解決とはどういうことを指すのかということであります。住居も狭いながらも改善された,安定した職業,比較的高い収入,そして高等教育の普及により現象面では一般地域との差はなくなってまいりました。しかし運動団体の人々が主張されることは,今なお結婚するときの差別があるではないか,皇太子のお妃選びでも4代前からその系統を調べているではないかなどと指摘しております。今日,日本社会は急速に変化しております。村型社会のように見える日本社会でも,3代,4代までさかのぼって調べることは,今日,余程でないと分かりません。進学,就職でも出身地が分るという理由で,今日ほとんど履歴書に本籍地を記入いたしません。 私は,京都市の同和施策の失敗は地区指定であり,属地属人主義にしたからだと思います。そこに住む限り,今後100年後,200年後も実質は同和地区出身者ということになります。21世紀を目前に,そして平成9年には地対財特法の延長も期限となる時期に,同和施策は一般施策に切り替わっていかなければなりません。もしそれができなければ,いつまでも差別の固定化につながっていきます。京都市は,ここ数年の間に思い切って同和施策の大転換を図るべきだと思いますがいかがですか。 最後に,前回の市長選挙で我が党をはじめ田邊市長を支持する政党は,同和問題を改善するために四つの条件を提示したのであります。すなわち京都市の施策が,同和問題の真の解決に役立つか。同和地区住民の自立,自覚を支えるものか。また一般行政との整合性はあるか。そして市民の理解と協力が得られるかであります。 そのために今日の物価水準とは余りにもかけ離れた改良住宅の家賃の改定,同和保育料の改定,同和地区住民の所得の向上に伴う就学奨励等の事業の見直しを要求してまいりました。市当局は,平成6年度末までにこれらの施策の見直しを必ず実施すると明言してまいりました。見直しには10数回の地区住民との協議を重ね,今なお十分に納得を得られていないと聞いておりますが,必ずやり遂げるとの決意を改めてお示し願いたいと存じます。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 田邊市長。 〔田邊市長登壇〕 ◎市長(田邊朋之君) 二之湯議員の質問にお答えいたします。 まず姉妹都市交流に関する御質問でございます。新たな姉妹都市提携についてでありますが,平安建都1200年を迎えた昨年4月に第4回世界歴史都市会議を本市で開催いたしました。その成果といたしまして世界歴史都市連盟が結成されるなど市民の国際交流に対する関心が非常に高まってまいりました。またこれまで姉妹都市交流を中心に国際交流を展開してまいりましたが,この連盟の結成によりまして,より幅の広い国際交流の展開が可能となってまいりました。この機会に市民レベルの交流の場としての姉妹都市交流と,また都市間交流としての世界歴史都市連盟の取組とを並行して強化することによりまして相互に補完し合い,相乗効果をもたらし,新京都市基本計画に掲げた世界の中の京都が実現できるものであると考えております。このような観点から,近年チェコ大統領をはじめ歴代のプラハ市長,駐日チェコ大使,駐チェコ日本大使などから再三にわたり申入れがありましたプラハ市との姉妹都市提携を行い,京都市の国際化を積極的に行っていく必要があると考えたものであります。 プラハ市についてでございますが,人口約120万,東ヨーロッパ最古の都市の一つでありまして,9世紀からチェコの文化の中心地であり,また現在も文化,芸術,学問,観光などの幅広い特性を持つ都市であります。またユネスコの世界遺産にプラハ歴史地区が登録されるなど本市との共通性が極めて強い歴史都市であります。この歴史的な建物が建ち並び,スメタナ作曲の名曲わが祖国の中に歌われるモルダウ川が流れるヨーロッパでも有数の美しいまちでありまして,このようなプラハ市と姉妹都市を提携することは,世界文化自由都市としての京都を世界にアピールできる絶好の機会であり,京都市にとりましても名誉であり誇りであると考えておるところであります。 具体的な交流といたしまして,両市が共通して保有いたします長い歴史と伝統にはぐくまれました文化,芸術,学術等に関する分野,例えば音楽や美術など市民を含めた積極的な交流を行っていきたいと考えております。 また姉妹都市交流の本来の目的は市民レベルの交流であり,そうした意味で御指摘のとおり国際交流に意欲のある市民が積極的に参加する交流が望ましいと考えておりまして,現に京都日仏協会,日米協会京都支部,京都府日中友好協会などの自発的な交流を目的とする組織が数多くあり,以前から姉妹都市交流について協力しながら行ってきておるところであります。プラハ市との交流におきましても,御指摘のとおりこうした自主的な市民や団体が協力して交流を推進していく必要があり,このような組織の育成や支援を行うとともに情報交換や連携を十分に図り,そうした趣旨を生かした多様な市民レベルの交流を実施してまいりたいと考えております。 世界文化遺産登録に関連しての御質問がございます。京都の文化財が世界文化遺産に登録され,本市として大変喜ばしいことであり栄誉なことであると考えております。これまで長い歴史の中で文化財を大切に守ってこられました関係社寺の皆さん方の大変な御努力や,これを支えてこられた市民の皆様方の大きな御努力でこの度の世界遺産登録が実現できたものと考えております。今後とも関係社寺の皆様はもとより,他の多くの社寺の皆様方と貴重な文化財の保護をはじめ将来の京都の発展のために相互の理解を深めてまいりたいと考えております。 洛南新都市建設事業についてでございますが,この事業はまちづくりの中に民間の活力などをどのように,あるいはどのような形で導入するかがキーポイントになっておりまして,現在この計画に関心を持っておられます企業に進出意欲などについて打診協議を続けておるところでございます。現在幾つかの提案をもらっておりますが,いまだ全体の青写真を描くところまでは至っていない状況にあり,今後とも引き続きまして協議を進めてまいりたいと考えております。 北部周辺地域整備事業につきましては,市会の御協力をいただきまして事業の見直しを行い,関係自治会並びに地元関係者の理解を得てまいりましたが,一部地権者等の反対があり,御指摘のとおり事業が進まない状況が続いております。しかし今後につきましては,特に要望の強い道路整備事業の促進に努めてまいります。御指摘の組織の見直しに当たりましては,現状と今後の見通しを踏まえたうえで検討してまいりたいと考えております。 機構改革につきましては,中核的文化首都にふさわしい京都のまちづくりを進める体制を整備するとともに,国際化,情報化,地方分権という時代の潮流を踏まえまして全庁挙げて新たな政策を企画,立案,推進していく体制づくりを目指してまいります。このような取組に当たりましては,行財政の効率的運用を図るため縦割り組織の弊害を排除し,簡素でより効率的な組織体制を確立していくことを基本として組織機構を抜本的に見直すことが必要であります。そのため従来の枠組みにとらわれることなく,全局区の事務事業の点検見直し,役割と目標の明確化を通して大幅な機構改革を行ってまいりたいと考えております。 御指摘の職員定数の適正化につきましては,平成の京づくり推進のための市政改革本部におきまして,行政運営の見直しの一環として適正化計画を策定することによりまして実施してまいりたいと考えております。具体的には,1,施策の重点化。2,行財政の効率化。3,限られた人材の有効活用。4,組織の見直しに合わせた人員配置の適正化という視点から検討し,採用,配置換え,昇任,退職など人事管理上の点も考慮したうえで本年度中に策定することといたしております。なお適正化計画の実施期間は,平成7年度から11年度の5年間を行うことといたしておりまして,目標数につきましては現在検討中であります。 同和施策の見直しについてでありますが,一昨年,今後における本市同和対策事業のあり方についてを取りまとめまして,施策全体の見直しを行い取り組むべき諸課題を示しますとともに,その解決に向けた取組の一環としまして,改良住宅家賃,同和保育料,奨学金をはじめとした就学奨励等事業に係る見直しにつきまして昨年12月,改定等の実施時期を本年3月1日からとすることを決定いたしました。更に本年1月末からは,地区ごとに施策対象者への説明会を関係各局が順次開催いたしまして見直しへの理解,協力を求めているところであり,3月1日から実施いたしてまいります。法期限後の同和施策の在り方につきましては,市議会をはじめ京都市同和問題懇談会等の御意見を踏まえながら同和問題の早期解決に向けた取組を主体的に推進してまいる所存であります。 以下,助役,局長から答弁を行わせます。 ○議長(井上与一郎君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) まず経済の活性化対策についてでございます。御指摘のとおり本市産業の空洞化対策が重要な課題でございます。このため本市に立地する企業が今後とも市内で事業活動を継続するとともに,新たな企業が創業していけるような支援環境を整えていくことが重要でございます。こうした観点から,現在取りまとめを急いでおります京都市産業振興ビジョンにおきましては創業支援方策や産業基盤整備を進めることとしておりまして,新年度からこれらの具体化に向けて取り組み,本市経済の活性化を図ってまいります。 次に西京区大原野石作町のゴルフ場計画跡地の利用計画についてであります。自然環境の保全と地域の振興を図るという基本的な方向性を踏まえた利用を図るため,平成5年度及び6年度に動植物の生息,生育状況や水系,地形など自然環境についての調査を実施したところであります。平成7年度は更に交通アクセスの調査や地元要望などを把握いたしますとともに,これらの結果に基づき具体的な事業の方向性を絞り込んでまいりたいと考えております。 次に改良住宅の管理についてであります。今後における本市同和対策事業のあり方の中で,住宅管理についても方針を定め同和施策の見直しと並行して管理関係全般にわたり適正化に努めているところであります。御指摘の入居実態につきましては,平成4年度に全戸調査を行い,現在この調査結果を基に是正指導を行っております。また不法増築等につきましても,早期発見,早期指導に努めておりますとともに,特に悪質なケースに対しましては,これまでにも訴訟等の法的措置を実施しており,今後とも住宅管理の適正化に向けて毅然とした取組を進めてまいります。 次に選考採用についてであります。本市におきましては,長年の部落差別により生じた同和地区の低位な実態を解消し一日も早く同和問題を解決するため,職業安定対策の一つとして選考採用の一部の職につきまして主として同和地区住民を採用してまいりました結果,地区住民の経済的基盤の確立に大きな成果をもたらし,就業状況に一定の改善が見られるようになってきております。このような状況の中で,これまでと同様の採用方法を継続することは,地区住民の自立に向けた主体的努力を損なうことになりかねず,また公務員の募集,採用の方法など市民に分かりやすいものとしていく必要もあると考え,今回部分的に一般公募を導入し採用試験を実施いたしました。一方,同和地区においていまだ多くの課題も残っておりますので,従前からの採用方法につきましても当面継続してまいりますが,今後同和地区を取り巻く状況の変化に応じて,より有効適切な運用となるように見直しを図ってまいります。 次に市立浴場につきましては,大正12年に同和地区住民の保健衛生及び生活環境の向上を図ることを目的に開設し,現在では市内11地区に13の浴場を設置いたしております。いずれも改良住宅に浴室を設けていないことや自家風呂が少ない実態から地区に必要な施設であり,健康で文化的な生活を保障し,同和地区住民の憩いの場として日々御利用いただいております。入浴者数につきましては,休業日,入浴頻度,自家風呂の設置状況などから判断すると妥当なものと考えております。 次にこの運営につきましては,各地区から選出されました京都市立浴場運営協議会に委託しておりますが,人件費,光熱水費など諸経費の上昇に加えて政策的に入浴料金を抑えていることもあり,毎年赤字を補填するため補助金を交付している実情にございます。今後につきましては段階的に入浴料金の改定を進めるなど経営体質の改善に努めてまいります。 次に地区施設の共同利用につきましては,各施設の設置目的を踏まえ地区住民の積極的な活用を図りながら,地区住民と周辺地域住民との交流の場として活用していくことが同和問題の理解に大きく寄与し,差別や偏見のない地域社会をつくっていくための広がりを生み出していくものであると考えております。現在浴場はもちろんのこと,児童館,診療所等についても周辺地域住民が御利用されるとともに,サークル活動等一部の事業に参加されている場合もございます。今後交流のための各種事業が更に実施できるよう条件整備を行い共同利用を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 内田助役。 〔内田助役登壇〕 ◎助役(内田俊一君) 本市南部地域のまちづくりについてでございますけれども,南部市街地,とりわけ油小路通周辺の高度集積地区は,21世紀の核となる市街地といたしまして経済機能を中心に多様な都市機能の集積を図りますとともに,新しい都市景観を創造する観点に立ちまして,高さにこだわることなく質の高いデザインを用い,歩行者空間と一体のオープンスペースの配置された建築物群から成りますゆとりと潤いのある都市空間として創造してまいりたいと考えております。こうしたまちづくりの方向に沿った良好なプロジェクトにつきましては,総合設計制度を活用するなどその実現を積極的に推進してまいりたいと考えておるところでございます。 次に山科駅前市街地再開発事業におきます大丸百貨店の出店についてでございます。これまでに基本的な条件等の協議をほぼ終えまして,実施設計につきましても昨年末におおむね完了したところでございます。引き続き仮契約の締結に向けた協議に移ろうとしている矢先に今回の地震が発生いたしております。大丸百貨店からは,地震被害後の対応に全力を傾注しており現在協議できる状況にはないとの説明を受けております。 次に景観制度と大学問題についてでございますが,本市では大学のまち・京都21プランに基づきまして総合的な大学支援策を講じております。今回の景観整備制度の創設などにつきましても,京都の貴重な資源であります自然風景との調和を図りながら大学支援を積極的に進めていく視点で適切に対処することとしておりまして,緑豊かな大学施設の立地が可能であると考えております。 次に市民プールの建設でございます。西京極運動公園につきまして,現在阪急京都線南側拡張区域の用地買収を進めておりまして,平成6年度末の用地買収率約60パーセントを見込んでおります。この拡張区域に建設を予定いたしておりますプール施設につきましては,全国規模の大会や競技に対応できると同時に,市民のスポーツ振興にも寄与することを念頭に置きまして基本計画案の検討を進めております。平成8年度から始まります第6次都市公園等整備5か年計画の中で具体化を図ってまいります。 最後に用地買収の促進策についてでございますが,平成6年度に用地課を用地室に拡充いたすとともに,建設局内にプロジェクトチームを設けまして取組課題の検討,更には京都府や他都市の先進的な制度の研究を行っております。具体的には事務処理を円滑に行うための事業課と用地室の連携,代替物件情報の提供システム,残地補償制度の確立などの条件整備が課題だと考えておりまして,検討を急ぎまして具体化してまいりたいと考えておるところでございます。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 森脇企画調整局長。 〔森脇企画調整局長登壇〕 ◎企画調整局長(森脇史郎君) 京都大学における新キャンパスにつきましては,現時点では立地場所はまだ決まっていないと聞いております。京都市内においても幾つかの候補地が検討されていると聞き及んでおります。京都市といたしましては既に吉田キャンパスの再整備に全面的に協力してまいったところでございます。同キャンパスを中心とした広がりの中で新キャンパスを市内で整備されるよう全力を挙げて現在取り組んでいるところでございます。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 西村文化観光局長。 〔西村文化観光局長登壇〕
    ◎文化観光局長(西村正信君) 美術館の整備についての御質問でございますが,本市美術館は,開館以来60年余りを経て市民の皆さんに広く親しまれているところでございます。しかし今日におきましては,御指摘のように常設展示場や情報提供機能等の整備が新たな懸案となっております。このため美術館の在り方,美術館の活動と取組の内容,そのための施設整備等につきまして内部検討を進めてきたところでございます。今後これらの検討結果を踏まえまして,できるだけ早期に専門家の御意見をお聴きし,整備の方向付けをしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 竹澤建設局長。 〔竹澤建設局長登壇〕 ◎建設局長(竹澤忠義君) 京都高速道路の地震対策等についてお答えいたします。御指摘のとおり,今回兵庫県南部地震によりまして阪神高速道路には大きな被害が発生いたしております。現在国や公団におきまして専門家による委員会が設置され,地震被害の原因究明や耐震設計基準の見直しを含めた詳しい検討が行われているところでございます。京都高速道路の整備に当たりましては,これら委員会の検討結果を十分踏まえながら,今回の地震を貴重な教訓としてより一層地震に強い構造や工法が採用されるよう公団に強く要望してまいりたいと考えております。 なお久世橋線におきましては,地下化についても検討いたしてまいりましたが,複雑な立体構造を有するジャンクションの設置を計画いたしておりまして,これを地下構造とすることは交通安全上や防災上も極めて困難であると考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 武居住宅局長。 〔武居住宅局長登壇〕 ◎住宅局長(武居桂君) 住宅計画についての御質問でありますが,御承知のように,これまで国におきましても,また本市におきましても住宅建設5か年計画の中に最低居住水準未満世帯の早期解消と,また西暦2000年を目途に半数の世帯がいわゆる都市居住型誘導居住水準に達することを目標に掲げまして各種施策に取り組んでまいっておるところでございます。しかし現実には,とりわけ都心部におきまして地価の高騰などによりまして目標の達成にはまだまだ遠い状況にあります。今後の住宅施策としましては,適正な住宅規模の確保はもとより良好な居住環境やまた現代的な住生活のニーズを踏まえ新京都市基本計画に沿った京都らしいまちづくりの中で地域の特性に応じたゆとりのある都市居住の実現に向けまして住宅マスタープランの策定に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 桝本教育長。 〔桝本教育長登壇〕 ◎教育長(桝本頼兼君) 老朽校舎対策につきましては,今後とも計画的に改築し,その際には,御指摘のとおり災害における学校の役割の重要性にかんがみまして耐震性などにも細心の注意を払ってまいりたいと考えております。 次に図書館行政でございますが,現在年間424万冊を貸し出すなど生涯学習の中核機関として市民の皆様に親しまれております。新中央図書館につきましては,御提案のとおり国際文化観光都市,学問の都京都にふさわしい特色のある全国に誇れる図書館といたしたく,早期建設に向け引き続き検討を進めてまいります。 同和教育についてでございますが,子供たち一人一人の個性,能力を伸張し社会的に自立していく力を培うことは,同和教育だけでなく教育そのものの本来的な目標でございます。同和教育を進めるに当たりましては,自立の促進を中心課題として今後も頑張ってまいりたいと思っております。御指摘の特別就学奨励費等につきましても,こうした趣旨を踏まえ本年3月から所得基準を導入し,今後子供たち自身の自立心,向上心を養う指導をより一層推進してまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 次に内海貴夫君に発言を許します。内海君。 〔内海貴夫議員登壇(拍手)〕 ◆(内海貴夫君) 私は,自由民主党市会議員団を代表いたしまして,平成7年度予算並びに関連議案について,教育,福祉,交通事業,伝統産業など現下の重要課題に関して市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず質問に入ります前に,この度の阪神大震災で被災された皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに,京都市挙げての支援と京都市民の心温まる御支援に人としての温もりを感じました。厚く感謝申し上げる次第です。 私は,一面焼け野原となった長田区や木造家屋の倒壊が激しい東灘区など被災地の惨状を目の当たりにし,これがあの近代的でかつエキゾチックな魅力あふれる神戸のまちかと目を疑うばかりでありました。避難所には被災者があふれ,私が訪れた避難所の学校では,教職員とボランティアが寝食を忘れて食事の支度や物資の手配など献身的に世話をされていることに頭の下がる思いでした。 こうした悲惨な被災地から京都に戻って,木造家屋と狭い路地の多い京都市の町並みを眺めますと,京都市は大丈夫かという思いで背筋が寒くならざるを得ません。神戸市では建造物の約4割が木造家屋であるのに対し京都市は約6割を占め,今回の大震災と同規模の地震が京都を襲ったら果たしてどれくらいの被害を受けるのか想像を絶するものがあります。 地震に強いまちづくりは是非とも必要でありますが,ハード面は綿密な都市計画と建造物の耐震基準の見直しなど長い年月を要するものであります。しかし,市民の防災意識を高め未来の京都を担う子供たちにもしっかりとした防災教育を行っていくことは今すぐにでもやらなければならないことであり,できることであると考えます。その中でも,とりわけ子供たちが満足に学校へも通えず,また障害者,お年寄りなど社会的弱者と呼ばれる人々が十分な介護も受けられずにいるなどその影響は計り知れません。 今回の地震は,近県で起こった大災害であるということやマスコミの連日の報道もあり,地震や防災に対する市民的関心がこれまでになく大きく高まっております。こうした時期に,地震についての正しい知識の普及や防災問題についての啓発を積極的に推進することは行政の重要な役割であり責務であります。この機に,市民に対しどのような地震防災啓発活動を実施しようとしておられるのかお答えください。 現在,被災地では復興に向けて日夜を分かたず懸命の努力が傾けられており,交通機関や電気,水道,ガスなど徐々にではありますが復旧してきております。そして京都市が震災当日からいち早く救助隊や医療班,給水車や上下水道,建築関係の技術者の派遣はもとより,食料などの救援物資の搬送など物心両面にわたって骨身を惜しまず現地の復旧に協力しているということを聞き,京都市民としてささやかながら安堵感を見出しているところであります。 その中でも特に私の記憶に鮮明に残っているのは,被災した子供たちの衣食住から勉強など一切を24時間体制で引き受ける京都市一時留学制度を間髪を置かずに設けられ,京都への交通手段がない子供たちについては消防局のヘリコプターを出動させたという記事であります。更に私たちも役に立ちたいという声から,京都市立の小,中学校全校で子供たちの発案により児童会や生徒会で募金活動が行われ,直接神戸の子供たちへ届けた学校の様子も報じられております。また先の大文字駅伝でも,被災地の子供たちへの激励メッセージをたすきに託し都大路を駆け抜けた小学生の姿に心温まる思いをしたのは私だけではないはずです。 少子化や情報化,物の豊かさなどによって他の人を思いやる心やボランティアの精神の欠如が憂えられている今日,大震災の今回の震災支援活動を通じて,子供たちは日常生活では得ることのできない大きなものを体得したに違いないと私は確信しております。こうした子供たちの積極的な活動を評価する一方,京都市にも活断層があり震度7の地震が京都市を襲う可能性を考えるとき,子供たちはどうした行動をとれるのか,防災教育充実の必要性を痛感いたします。これまでの子供たちに対する防災教育はどのような内容で取り組まれているのか。また防災教育をどのように充実していこうとされているのか併せてお答えください。 さて,京都府下では初めて本年4月に京都市立日吉ケ丘高等学校に英語科が新設され,21世紀を担って立つ人材の育成が図られることは誠に喜ばしく,時宜にかなったものであります。前評判どおり日吉ケ丘高校英語科は府内公立高校では群を抜く人気を博し,推薦入学の倍率も4.1倍になったと聞いております。中学生,保護者の寄せる熱い期待にかなう取組を学校に切に期待するものであります。また英語科新設を機に日吉ケ丘高校の大規模改造経費3億円が計上されていることは,日吉ケ丘高校の同窓生の一人としてうれしく思います。 京都市立高校は,100年を超える伝統を誇る洛陽工業高校,西京商業高校,銅駝美術工芸高校をはじめとして普通科高校も地域に根差した教育を行っており,いずれも市民や産業界,京都の文化,学問と深く結び付き,本市教育のシンボル的存在となっており,また近年その充実策が着実に進められております。しかしながら,国際化,情報化社会に対応するとともに,今後予想される変化の激しい社会に対応し,創造的で個性豊かな人間性を有した人材の育成を図るためには,21世紀を展望し時代に即した一層の高校教育の充実が必要であります。 ただ京都市立高校は,その歴史と伝統ゆえに施設の老朽化が著しく,またグラウンドも狭隘な学校が多くあります。市立高校がその歴史と伝統を生かしつつ個性と魅力を最大限に発揮し,生徒の多様な進路選択に対応できる特色ある高校へと生まれ変わるためには,文化都市,伝統産業都市,学術研究都市にふさわしい高校として,教育内容の充実はもとより全面改築など施設の抜本的改善が是非とも必要であります。老朽化した京都市立高等学校を全面改築するため,教育関係者はもとより各界の市民の英知を結集して,都心部小規模校の跡地活用も含めて年次的,計画的な改築計画を立てるべきだと考えますがいかがですか。 更に阪神大震災を貴重な教訓とし,都心部にある市立高校は耐震性の高い建物にすることはもとより,日常は地域に開かれた学校として機能しつつ,非常時には住民の避難場所としての機能を併せ持つ多機能の施設内容を整えるべきであると考えますが,既存の小,中学校を含めて御所見をお聞かせください。 次に高齢者保健福祉対策についてお尋ねいたします。本市においては人口の高齢化は一層進み,上京区や下京区では高齢化率が20パーセントを超え,特に私の住む東山区は昨年10月の推計で22パーセントを超えて高齢社会に突入する状況に至っております。 高齢者福祉の分野における平成7年度予算を見てみますと,特別養護老人ホームの新設3箇所,200床の増設や住宅政策と連携した老人デイサービスセンターの計画,更にはホームヘルプサービスの24時間体制を展望し,早朝や夜間の派遣に踏み出すなど積極的な姿勢がうかがえるところであります。このことは平成7年度が事実上の初年度となる京都市高齢者保健福祉計画について,より積極的な推進を図るよう要望していた我が党の要望に一定こたえられたものであります。しかしながら,デイサービスセンター一つ採り上げてみても,用地確保が困難であるとはいえ,やっと1箇所できる区があれば,既にゴールドプランを達成した区もあり大きな地域格差が生じています。 平成5年6月18日に厚生省老人保健福祉局より発せられたデイサービスセンターの整備促進を図る観点から地域の実情に応じ公衆浴場との合築についても御検討いただきたいとの文書がありますが,地域の特性を生かした保健福祉計画の創意工夫を是非希望するところであります。いかかでしょうか。 さてこの度の大地震により災害弱者と言われる高齢者や身体に障害のある市民,子供たちに対する対策が十分に講じられていれば,犠牲者ははるかに少なかったのではないかと思うと残念でなりません。犠牲者が多く出た地域を見ると,戦前からの建物や木造の家屋が多いことや,核家族化が進み若い世代が周辺地域に流出し都心部に高齢者だけの世帯が多くなっていることなどが指摘されています。こういったファクターは,京都市においても東山や上京,中京,下京区といった市内中心部に共通するものがあります。むしろ木造家屋の密集率や高齢化率は本市の方がより深刻であります。 この度の震災時には災害が同時多発し,残念ながら消防や警察などの活動は制限され,また電話などの通信機器も信頼性がなくなることが実証されてしまいました。まさに人を救えるのは人しかありません。大切なことは,どこにどういった高齢者が暮らしておられるかという把握と,その高齢者を支える地域のネットワークの構築であります。こういった中で民生委員,児童委員の皆様方は,地域における世話役的な役割を果たされ,日常的な活動として必要な援助や支援活動を取りまとめているところでありますが,今回の地震においても即刻高齢者宅を訪問していただき,不安な思いの中,本当にうれしかったという声を聞き,その活動に感謝申し上げる次第であります。 また本市では,他都市に誇れるきめ細やかな制度として老人福祉員制度があります。老人福祉員の方は,独り暮らしの高齢者等を訪問し,安否の確認や話し相手になるなど地域において高齢者が安心して生活ができるよう地道な活動をされています。今回の大地震では,自力では近くの避難所にも行けず倒壊家屋に取り残された高齢者の問題がクローズアップされましたが,京都市独自の老人福祉員制度は,こういった事態に対して身近に高齢者の安否を気遣うことのできる心の行き届いた制度だと思います。私は,こういった人が人を支えるネットワークをもっともっと充実させ,高齢者をはじめとしたハンディキャップ層に優しいまちづくりを進めていくことが福祉の原点であるとともに,災害に強いまちづくりにつながるものだと考えますがいかがでしょうか,お考えをお聞かせください。 また今回の大震災では,今どきの若い者はと苦言を呈していたことを撤回しますと言わしめるほど,若者を先頭に広範囲にわたってボランティア活動が展開されています。大震災のような非常事態は言うに及ばず,急速に進展する高齢化社会の中で,高齢者や障害のある市民の方々が住み慣れた地域で安心して生活を送っていくためには,公的な福祉サービスは言うに及ばず,近隣の住民をはじめ市民の心の通った助け合いや自主的な活動が重要になってくると考えます。今回の大震災においても,何かお手伝いをしたい,けれど何にどうかかわっていけば被災者の方々の力になれるのか,忸怩たる思いで日々を過ごされ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 国や京都市が行ったボランティアに関する調査結果を見ても,住民連帯の意識の下にボランティア活動に関心を持つ市民は増えていますが,実際の活動には結び付いてこない現状が報告されています。私は,ボランティアに参加しようと思い付いたとき,身近な所に相談できる体制づくりが必要であり,今回京都市ではボランティア活動支援のための助成として五つの行政区で区ボランティアセンターを設置されることになっており評価するものであります。これを全市的に展開し,福祉ボランティア活動の拠点として振興すべきであると考えますが,展望も含めて御所見をお伺いいたします。 次に交通事業についてお伺いいたします。かねてより我が党は,市バス事業,地下鉄事業について経営健全化計画の早急な推進を図り,効率的な経営に努めるよう指摘してきたところであります。特にバス事業については,企業環境の悪化等で輸送人員が低迷する一方,労働集約型事業ということもあって人件費の負担が大きく,このままでは現在の経営形態を維持していくことは困難となるため,企業として存続を図り,将来展望の持てる企業環境を構築するために事業規模の適正化,経営効率化,需要喚起策並びに市全体の問題としての一般会計からの支援策等を基本とした経営健全化計画を策定されました。 昨年10月には労働組合に対し,本年3月末日の勧奨退職者募集の提案をされ,その結果,58歳以上の指定職員35人全員を含む121人の応募を受けられるなど計画を実行されつつあります。しかし経営改善の第一はバス事業の旅客数の確保であります。幾ら引き続き経営の健全化に努める,乗客の確保及びサービスの向上になお一層の努力をしてまいりますと言われても,旅客数が現在のように減少を続けておれば経営改善はおぼつかないのではないでしょうか。 人は石垣と申します。石垣がしっかりしていてこそ城がもつのです。やむを得ぬこととはいえ,その大事な石垣に無理を言ったのですから,もっともおっしゃる方も辛かっただろうとは思いますが,乗客の増加を図るためにもしっかりとした分析をして役立てるべきです。毎年大きく減少を続けている旅客数については,その理由をどのように分析されているのかお聞かせください。 次に今回の阪神大震災の本市地下鉄建設への影響についてでありますが,この度の大震災では,地震には強いとされていた鉄道や高速道路も大きな被害を被り,その復旧工事については総力を挙げて急ピッチで進められているところであり,この復旧,復興工事のための建設鋼材及び工事従業員の確保等について他の地方では少なからず影響があるやに聞き及んでいます。本市の地下鉄建設工事にこのような影響があるのか,工事費の再々膨張はこれ以上許されません。いかがですか。 また地下鉄の完成時期ついて,昨年の点検委員会の報告では最終的な完成見通しを平成7年半ばに明からにするということでありました。点検後約8か月を経過した現在どのような見通しを持っておられるのか。9年秋が早まるのか,また土木工事以外の発注については見直し後の建設費の範囲内で工程どおり進んでいるのか併せてお尋ねいたします。 次に伝統産業の振興についてお尋ねいたします。本市には長い歴史と文化にはぐくまれた数多くの伝統産業があります。京都市の将来像に関する市民の方々の意識について調べた平成6年度市政モニター調査結果によりますと,産業面から見た京都市の特徴について33.5パーセントの人が西陣織,清水焼など伝統工芸のまちと答えられ,また今後振興していくべき産業についても,優れた技術のある伝統産業という回答が35.2パーセントと第1位を占めています。しかしながら,和装産業をはじめとする伝統産業は今誠に厳しい状況に直面しています。 生活における洋風化の普及,バブル崩壊に伴う長期の不況,そして今回の阪神大震災の影響等事態は極めて深刻な状況です。長い歴史を誇る京焼,清水焼もその例外でなく,前年比売上高は30パーセントダウンの更に30パーセントダウンと,今や緊急かつ抜本的な対策が望まれております。普通の企業であれば業績が落ち込むとリストラを行うところでありますが,技術が製品の質を左右するこの業界では,熟練技術者の解雇,転業は,伝統的工芸品に回復することができない打撃をもたらすこととなります。古代の染色技術などを例に引くまでもなく,一度忘れられた技術の再現は途方もない投資と努力をもってしても容易ではないのであります。瀬戸,美濃,有田などの焼物が産業として規模の大きさを誇るのに対し,今や京焼,清水焼は産業としてよりも美術工芸品としての質を目指すしか生きる道がないと思うほど追い込まれており,ここでは無名の職人芸に徹するか,あるいは何よりも強烈な個性によって画家や彫刻家のようにアーチストとして自らの世界を開くか,この二つしか焼物によって生きる道はないのです。 昨年末の苦況,また今回の大震災による苦況を本市の制度融資により辛うじて耐えることができましたが,もう担保に入れるものもなく借りる力もないというのが現状です。伝統技術の保存,継承,保護はとりもなおさず日本文化の継承であり,もっと踏み込んだ抜本的振興施策を打ち立てるべきであると考えます。 例えばこの京焼,清水焼が集積している東山は観光のメッカでもあります。観光客の誘致に長期的な問題を有する今日,新たな観光産業の創出として,この際京焼,清水焼の振興策として観光客誘致事業との連携を考えられてはいかがでしょうか。幸い東山の町並みや景観には伝統の美しさを誇る京焼,清水焼にぴったりとマッチしたものがあります。ここに散策コースを整備し,所々に実演の見られる工房や制作体験のできる施設,各種資料の展示場,有名陶工の作品を見せる陶芸美術館,京焼,清水焼の直販店等を配置して観光客を誘致して,これを新たな原動力として伝統産業の振興を図ってはいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 最後に東山区の総合庁舎建設についてでありますが,建設基本設計に500万円が計上されました。いよいよ総合庁舎建設について見通しが明らかとなったわけでありますが,建設事業計画,完成時期についてお伺いし,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 田邊市長。 〔田邊市長登壇〕 ◎市長(田邊朋之君) 内海議員の質問にお答えいたします。 市民の皆さん方に対します防災啓発についてでございますが,今回の震災を契機といたしまして,本市といたしましては,早速市民しんぶん2月15日号に大地震への備えを特集した記事を掲載させていただきますとともに,今年度中には京都府との共同による啓発資料の作成配布を予定いたしております。更に平成7年度には本市独自の市民向け防災啓発資料の全戸配布を予定いたしておりますとともに,市民しんぶんや市政番組を通じまして引き続き災害発生時の心得でございますとか,あるいは避難場所,日ごろからの備えなどについて周知を図ってまいりたいと考えております。 また今秋に竣工いたします市民防災センターの活用などによりまして自主防災組織をはじめとする市民と行政が一体となった防災組織の強化に努めまして災害に強い市民づくりの一層の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 地下鉄東西線の完成見込みについてのお尋ねがございましたが,現在土木工事につきましては,幾つかの工区におきまして大変厳しい工程もありますが,おおむね点検・推進委員会の報告どおり進捗いたしておると考えております。また土木工事以外の契約につきましては,現在までに信号設備工事や車両製作などについて見直し後の建設費の範囲内で契約を完了いたしまして,その他試運転に必要な軌道工事等につきましては,今後順次契約する予定でおります。したがいまして,試運転に必要な契約を終えた時点で複雑多岐にわたる工事の調整や進行管理を行いまして平成9年秋の完成見通しを更に短縮するための努力を払っていきたいと考えております。 以下,助役,局長から答弁を行わせます。 ○議長(井上与一郎君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) まず高齢者を支えるネットワークづくりについてでございます。援護を要する高齢者の状況を把握いたしますとともに効果的なサービスの提供を図りますために,高齢者サービス総合調整推進事業に取り組んでおりまして,現在全国に例を見ない取組として約60の小学校区で民生委員,児童委員や老人福祉員及び福祉事務所をはじめといたしました関係行政機関の職員などを構成員といたします地域福祉調整チームを結成,活動しているところでございます。また独り暮らしの高齢者の安否確認等に重要な役割を担っていただきます本市独自の老人福祉員制度につきましては,平成7年度には1000名に増員することにいたしております。今後とも認め合い支え合う人のつながりを基本に高齢者を地域で支えるネットワークの構築に努めてまいりたいと考えております。 次に福祉ボランティア活動の拠点の整備についてでございます。市の中心的なものとして京都市ボランティア情報センターを設置しているところでございますが,より住民に身近な相談窓口の設置がボランティア振興に向けての緊急的な課題でありますことから,今回新たに区の社会福祉協議会にボランティアセンターを設置することといたしました。このセンターではボランティアに関する相談に応じますほか,ニーズの把握やボランティア活動への参加希望者の登録斡旋並びに活動に必要な入門講座などを実施し,区域のボランティア活動の拠点としてまいりたいと考えております。平成7年度はまず五つの行政区において設置することにしておりますが,全行政区での設置を目指して努力してまいりたいと考えております。 次に伝統産業,とりわけ京焼,清水焼等の振興についてでございます。伝統産業につきましては,本市ではこれまでから各種融資制度の適用,あるいは業界団体が取り組まれる様々な活性化事業に対し積極的な支援を行い,その振興に努めてきたところでございますが,今後は御指摘のとおりその販路開拓につきましても新たな観点から取組を強めていく必要があると考えております。京焼,清水焼が集積をしております東山地域におきましては,このほど世界文化遺産に登録されました清水寺をはじめとする多くの名刹があり,国におきましても五条通に地下駐車場が計画されております。こうした観光資源と伝統産業を結び付け新たな観光事業として展開することは極めて意義深いことと存じます。御提案の件につきましては,今後関係業界と協議し,その具体化に向けて取り組み,伝統産業の振興を図ってまいりたいと考えております。 最後に東山区総合庁舎の建設についてでございます。平成6年度におきましては,区民の皆様方の利便性や敷地の効率的な利用を図る観点から,敷地の条件や各種の法令上の制約,更には駐車場の確保などを考慮し,併設する公共施設やその規模,構造などについて具体的な検討を進め基本計画の策定に取り組んでいるところでございます。この基本計画に基づきまして,平成7年度はより詳細な庁舎の基本設計を行い,更に平成8年3月の下水道工事完了以降,地質調査や埋蔵文化財の発掘調査とともに実施設計を行うなど遅滞なく建設に着手してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 松井民生局長。 〔松井民生局長登壇〕 ◎民生局長(松井珍男子君) 老人デイサービスセンターの整備についてでございますが,従前から特別養護老人ホームへの併設,老人福祉センターへの併設,あるいは単独の設置等様々な手法を採り入れましてやってまいったところであります。また平成7年度におきましては,本市で初めて民間ミニデイサービスセンターに対する助成を行うこととしております。先生御指摘のような公衆浴場との連携につきましては,現在のところ実施できておりませんけれども,今後他都市の動向等も踏まえまして研究を行ってまいりたいと思います。また在宅福祉の推進につきましては,より一層創意工夫を凝らしまして,地域の特性を生かした取組を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 中谷管理者。 〔中谷公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(中谷佑一君) まずバス事業の旅客の減少についてでございますが,自動車台数の増加,交通手段の多様化などにより全国的にも長期的に減少してきており,また近年は人口の減少,地下鉄や鴨東線の開業による影響,週休2日制の急速な浸透,景気の低迷などにより大幅に減少してきているのが実情でございます。平成6年度におきましては,平安建都1200年記念イベント等に合わせた臨時バスの運行など旅客増対策に努めてまいりましたが,長引く景気の低迷や大学移転,また阪神・淡路大震災の影響などもあり大変厳しい状況にございます。今後とも旅客サービスの向上や積極的な臨時バスの運行など旅客の確保に最大限努力するとともに,経営の健全化計画を推進し,事業の効率化に努め市民の足としての役割を果たしてまいりたいと考えております。 次に地下鉄に関してでございますが,今回の阪神・淡路大震災により地下鉄に甚大な被害が発生したことにつきましては,京都市といたしましても深刻に受け止めております。現在運輸省等の関係機関により原因究明及び今後の対策について検討されているところでございます。本市の地下鉄東西線に与える影響につきましては,一時的には技術者不足や資材の入手困難等の影響がありましたが,現在のところ工程及び建設費に具体的な影響は出ていない状況にございます。今後は,災害現場に優先的に建設機械や建設資材が調達されるとともに技術者も動員されることが予想されること,また現在検討されている地下鉄構造物の技術水準の見直しなどを見極める必要がありますが,現時点におきましては点検結果に示された工期及び建設費を厳守し,一日も早い完成を目指して全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 桝本教育長。 〔桝本教育長登壇〕 ◎教育長(桝本頼兼君) 防災教育についてでございますが,本市では全国に先駆けまして安全ノート,これでございますが,これをすべての児童,生徒に配付し,地震対策などの指導の徹底を図ってまいりました。今回の大震災を契機に現在取組の総点検を進めており,この安全ノートに加えまして教員用の安全教育の手引の改定にも直ちに着手し,更に新たに啓発リーフレットを全児童,生徒に配付するなど効果的な指導を期してまいる考えでございます。 また青少年科学センターで地震を実体験できるオリジナルな展示品の製作や地震展の開催,更に京都アスニーでも緊急に防災展,これは仮称でございますけれども,防災展を開催するなど防災意識が高まっておりますこの機をとらえて積極的に防災教育と市民啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 次に京都市立高校の改築計画についてでございますけれども,御指摘のとおり京都市立高校は施設の老朽化が大変進んでおりまして,その多くが早急な改築を必要といたしております。改築に際しましては,市立高校が本市の産業,文化等と深く結び付き市民の期待も大きいことを踏まえ,全面的な改築整備に向けまして平成7年度に基本構想と年次的な改築計画を策定し,次代を開く魅力ある高等学校に再生してまいりたいと考えております。基本構想策定に当たりましては,高等学校としての教育内容や教育環境の充実はもとより,多目的ホールなど市民の生涯学習の拠点となる地域開放型施設を設けるとともに,災害対策として御指摘のとおり貯水タンク,自家発電装置などもまず大規模な高等学校から設置してまいるよう工夫していきたいと思っております。なお市立高校は敷地が狭隘な学校が多く,また改築期間中の教室やグラウンドの確保の必要性などから統合校跡地の活用も必要と考え,跡地活用計画の中で検討してまいりたいと思っております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 暫時休憩いたします。 〔午前11時52分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(井上与一郎君) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。国枝克一郎君に発言を許します。国枝君。 〔国枝克一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(国枝克一郎君) 私は満60歳を迎えまして議員歴も24年を過ぎようとしているわけであります。長いか短いかは知りません。ただ今回ほど腹が立って,悔しくて恥ずかしい思いをしたことがありません。今被災地にいる京都人は,京都人と名のるのが恥ずかしい。京都市なり京都府なりからたくさんの方が応援に行っていらっしゃる。腕章をはめていらっしゃる。この腕章を外して歩かないと恥ずかしい。あるいは神戸の人の目が厳しいという状態であるわけであります。 今回のこの京都市水道局職員の詐欺事件は,新聞の記事では市役所の恥だとなっておりますけれども,そんなものではありません。京都市民の恥であり公務員の恥であります。このような事件,昔なら恐らく打ち首,清水さんの立場なら切腹ものであります。またこの者は職場分会の副会長だと聞いております。本当だとすれば労働組合も恥を知るべきであります。組合も働く立場の者から一言市民にあってしかるべきだと私は思います。 私も京都市役所にいささかかかわる者として,京都市民の一人として神戸の皆様に,全国の皆様に心からお詫びを申し上げたい。この放送が神戸や全国の皆様に届くように心からお詫び申し上げる次第であります。 既に処分は懲戒免職にされていますので,その内容に対して今とやかくは申しませんが,ただ私は,市民や国民に対する行政のお詫びや我々議会に対する態度が極めておざなりであると強く批判を申し上げます。それは基本的には諸君の認識が甘い,半ばしゃあないと思っているのではないか。 私たちがこの事件を知ったのは17日の夕刊であります。その日は午前中ここで本会議が開かれていました。市長なり管理者の発言があってしかりだったと思います。あるいは本日,この私たち議員の発言の前に自ら発言の機会を求めるべきであったと思うのであります。薦田さん,あなたは市役所生え抜きの人生を送ってこられました。ここの大方の局長はそうであります。清水さんは水道局生え抜きであります。振り返ってみて職場環境なり職場の雰囲気,そこで学ぶ倫理観,仕事に対する価値観が個々人の人格や性格に影響を及ぼさないわけがないことは皆さん自身の人生を振り返っていただければ分かると思います。 私は今日までいろいろと市役所の職場の幾つかに,投げやりで秩序がなくて無責任で勝手放題の状況があって人々を堕落させているとの批判があり,またくすぶっていることを聞いてまいりました。今回の事件で私は,その懸念の正しいことが一つ明らかになったと思います。これには答弁は要りません。それは制度の問題ではありません。今回の事件はそんな簡単な問題ではない。それ以前の人間性の問題であり,その人間性を喪失する何かがこの市のどこかにあることを教えたのが今回の事件であることを強く強く指摘しておきたいと思います。 そこで一つ聞きたいのは,残念ながら今回の不祥事でと言うべきでしょう。私たちは今回の制度といいますか,例えば消防局や建設局あるいは衛生局といった行政としての活動ではなく,いわゆる今回のように個人で申請して休暇をとり自主的にボランティア活動に参加できる制度があることを知ったわけであります。それはむしろ英断でもあろうと私は思いますが,しかし初めて知ったわけでありますので,その具体的な内容を御説明いただきたいと思います。例えば自主的に参加されたボランティアというのは,どの程度の人数になるのか,またそれはどういう形なのか。例えば組合の呼び掛けによるとか,仕事仲間の呼び掛けによるとか,あるいは地域団体の呼び掛けによるとか,あるいは今回のように全く1人で行くとかであります。またその際,賃金が保障されるのは当然といたしましても,時間に関係なく,いわゆるチェックもなく超勤も交通費もすべて支給されている職場もあるとか聞いております。これではボランティアとは余り威張れないのではないか。むしろ親方日の丸の悪しき慣行であって,私は市民の立場として批判されるべきものだと考えます。 またこうして参加されることはむしろ結構なことですが,その後,その穴埋めというか,あの人がいないからアルバイトを入れろとか,あるいは超過勤務手当の割増しをせよとか,そういった取引といいますか,交渉がされていると風聞いたしておりますが,その実情をお聞かせいただきたいと思うのであります。 さて私は,今回3人目の代表質問に立ちました。震災に関連した諸問題に絞って代表質問するわけでありますが,既にいろいろと論議されていることは避けまして,京都に関連する重要課題について9件ほどお聞きしたいと思います。 まず第1点でありますが,観光客の落ち込みであります。二条城前,東映映画村,平安神宮あるいはJR新幹線側の駐車場に観光バスがめっきり少なくなりました。タクシーの実車率も30パーセントを割ったと言われております。観光客の激減が深刻であります。 震災当初,私中央市場へ行きまして,入荷が減って便乗値上げが起きないかと思って行ったんでありますが,入荷は大体70パーセントから80パーセントでありました。入荷が少ないのにかかわらず商売は弱商い,要するに少ない入荷にもかかわらず売れ残っているということであります。それほどホテルあるいは旅館といった所に観光客が入らない,新年会等はキャンセルということで需要ががた減りだったと聞いておるわけであります。確かに京都は,当初は被災地とも言われました。事実京都にはたくさん被災された方もいらっしゃるわけであります。皆様も日本各地から,あるいは海外からもお見舞いの電話なんかをもらっていらっしゃると思うのでありますが,この観光客の落ち込みは,まず1番目は,全国的な自粛ムードが作用して旅行が減っている。2番目に,関西以西の交通が駄目になったために京都に来れない。3番目には,京都も被害を受けて混乱があるだろうということで京都に来ることを躊躇されておる,こういうことになると思うのでありますが,観光客の落ち込みによるいわゆる京都の観光業の低迷とそれに対する対策,特に観光イメージ回復のための施策について文化観光局長に伺いたいわけであります。 もう一つ,コンベンションの応援開催について文化観光局長に聞きたいわけです。御案内のように神戸は国際観光都市といいますか,国際都市でありまして,またコンベンションシティとして大いに機能し活躍いたしております。私の手元にあります資料によりますと,この資料は既にお渡ししてあると思うのでありますが,1月23日以降,ほぼ1か月に1度の割合で国際会議が神戸で持たれる計画になっております。また国内会議も見本市などを含め,更にスポーツ大会等も含め相当のものが組まれているわけでありますが,いずれにしてもこれらの開催が私は心配であります。通常こうした国際会議などは日程の変更はありません。代わりの土地なり,あるいは代わりの会場があることがその国の余裕といいますか,豊かさなり治安の良さを示すことになっています。いずれにしても,これらの会議の主催者なり皆様は,今回の大震災で大変に困惑されていると思うわけであります。そこでそういった人々にアプローチされたその後の経過と申しますか,成果をお聞きしたいわけであります。 私は,そのことは既に申し入れてあるわけでありますけれども,その際に申し上げました。これは神戸で開催できなくなったから京都でとるといったものではありません。あくまで神戸の代替えの機能を援助して,これらの会議の開催といいますか,日本での開催,近畿での開催を守っていこうというものでありまして,神戸の関係者と一緒になって,むしろその窓口を通じて,会議の施設が使えないなら会議場を,宿泊施設が不足するならば宿泊施設を,展示会の会場がなければそれを京都あるいは近県の大阪がお手伝いするということが大切だと申し上げてきたわけでありますが,いかが運ばれているでありましょうか。 日ごろから観光行政を通じ,あるいはいろいろと交流があり,4都市の救援協定もあります神戸市への京都市のトータルなアプローチが大切であるわけでありますが,今日までの経過と実績をお伺いしたいわけであります。 3番目に,金融信用市場の混乱への対処について経済局長にお聞きいたします。今回の阪神大震災で,個人の預貯金は通帳がなくても,あるいは印鑑がなくても本人が確認できれば払出しの業務が行われ,当初に心配されておりました個人信用の混乱は現在のところ避けられているようであります。さてこれからであります。特に企業,商売の売掛金の回収といいますか,商売の信用取引の問題が発生してまいります。昨年12月から今年1月に掛けまして初荷なり春物の売掛金が,現金か手形かは別にいたしましてこの月あたりが精算の限度となります。もちろん12月,11月あるいはそれ以前の売掛金の手形がいわゆる落ちるころにもなってまいります。 聞きますところ,神戸市内発行の手形,小切手の類は,すべて金融機関なりそれぞれの手元で止まっているままだと聞きます。これは決済して不渡りになって倒産が起こることを防ぐための処置でもあるわけでございますけれども,こういったものが今後一体どういう状況になり,京都経済,京都のお商売の皆さんにどのような影響を与えるだろうかと思いますと背筋が冷たくなるのであります。 神戸の取引先に品物を送って既に手形なり小切手をもらっているが,それが現金化されない,される見込みがないというケースがあります。また請求書も送っておらない。したがって代金回収の見込みがないと言われるケースもあります。委託の商品を相当送っているけれども,これが商品価値を失って,品物も回収の見込みがないというケースもあります。自分自身は被災地との直接の取引はないけれども,卸屋さんを通じて阪神方面に品物を送っておるけれども,その卸屋さんが大変なので果たして代金がもらえるだろうか。例えば京都の和装業界にすれば,兵庫県は非常にいいお得意先でありまして,年商300億円とも言われておりますが,全国の平均の2倍以上の売れ筋であります。特に高級品の得意先でありますが,いわゆる神戸には卸屋さんというものが少ない,むしろありません。京都の卸屋さんなどから阪神の小売屋さんに納められているわけです。それらの品物が全部焼けているわけではないでしょうけれども,ここ当分は売れない。卸屋さんは困るわけであります。そこでその品物を納めたメーカー,いわゆる織り屋さんや友禅屋さん,あるいは悉皆屋さん,こういう人々は今その卸屋さんがうまく払ってくれるだろうかと息をのんで心配して見守っておるというのが現状であります。 嫌な話をあえて申し上げますと,この震災にかこつけて偽装倒産する企業,あるいはそこまで決め付けるには酷としても,この際に事業を辞める卸屋さん,企業があるのではないかと心配されております。 全国規模の卸屋さんや商社を通じている場合もあるでしょうし,神戸なり兵庫県南部といいますか,いわゆる被災地だけをテリトリーにしている卸屋さんなり商売人さんに売っている場合もあると思います。例えば神戸は日本酒の大産地でありますけれども,当然のこと京都産の日本酒も販売されているわけであります。この日本酒などの卸業界というのは大体おおむね県単位とか市単位になっておりますから,ここが大打撃を受けますと大変資金繰りも厳しくなってまいります。果たして京都の中小のお酒屋さん,酒の製造元さんに影響はないだろうか,こういう心配もいたします。あるいは確認しましたところ,ここは大丈夫なんですけれども,神戸には灘生協という大きな組織があります。京都の方がここだけに食品を卸しておる,あるいは売っておるという食品メーカーが幾つかあります。こういう所もこれから影響が出てこないだろうかと心配いたしておるわけでありますが,御様子を承れば幸せです。 いずれにしても京都の経済産業活動に及ぼす今回のこの影響は,資材や商品が入らない,あるいは送れない,あるいは神戸港で荷揚げ,荷受けができないといったいろいろの問題があろうと思うのでありますが,答弁の時間も限られておりますので,ここは金融信用の面と申しますか,売掛金等の回収の問題の困難性が加わってくるについての御理解と対策をお聞きしたいわけであります。 次にまちづくりといいますか,住宅行政の専門家である内田さんの御意見を伺います。京都は,木の文化,木造建築のメッカとしてその情報なり保存なり,技術の世界中の中枢都市として機能していこう,日本を代表する木造建築技術の継承と発展を図っていこう,あるいは景観づくりにいたしましても,いわゆる京町家に象徴される伝統のたたずまいを残していこう,こういうことが一つのコンセプトになっております。このコンセプトの下で多くの市民が景観を守り,また作り出そうとお互いに苦労しているわけであります。またこのコンセプトの下で多くの建築に携わる市民が伝統的な技術を受け継ぎ,後継者を育て,日本中はおろか世界中までその足跡を残して,木造の良さ,日本の文化の紹介にも貢献してきていただいているわけであります。この建築産業も京都を代表する伝統産業の大きな分野であります。また今回,世界文化遺産に登録されました多くの木造建造物を見ますと,こうした人々に,あるいは私たちに一層の誇りとまた義務感を生じさせてくれたわけであります。 そこへ今回の大震災になったわけであります。木造建築物なり木造住宅は弱い,危ない。瓦屋根は重い,つぶれるといったことで不十分な情報が流され,一方的にイメージダウンし,それが広まっているのではないかと懸念するわけであります。私の所へ来られました大工さんがこうおっしゃってました。新築を請け負って瓦をふこうとしたら,お施主さんが来られて,娘から電話が掛かってきて,絶対に瓦はやめときと言うものですから,瓦はやめて他のものにしてください。そう言うものですから,もう既にこのように瓦も手に入っています。この建築は瓦屋根で設計してありますからと言ったら,どうしてもそうされるんやったら,私は工務店さん代わってもうても瓦はやめますと言われたということであり,やむなく計画を変更したということであります。 限られた御答弁の時間ですから,私は,ここで木造建築のメリットとかデメリット,あるいは他の建築物との比較等の蘊蓄を聞くつもりはありません。また今回町家の耐震調査で1000万円計上されたことも,それはそれで結構です。私はその内容とかは今は聞きません。ただ長期的に見て,この木造建造物に対する認識の変化に大きいものがあるとすれば,今後の建築技術やまちづくりだけでなく,国民の生活様式あるいは文化の流れをも変える大変なものになるだろうと思うのであります。例えば昭和9年の室戸台風の後,市内の小学校の多くが鉄筋に建て替えられたのであります。そしてその以降,学校施設の流れを変えてまいりましたし,そうした新しい校舎なり施設がその後の子供たちの学校生活に変化をもたらしたわけであります。恐らく関東大震災の後,日本人の生活様式や住居に対する考えも変化しただろうと私は思います。そういうことから,この問題は非常に大きな流れの中で私たちは取り組んでいかなければ,要するに木の文化を守っていこうと考えていかなければ,拙速な動きでは駄目だろうと思うわけであります。 今,工務店さんやら大工さん,あるいは左官屋さん,板金屋さんは大変忙しいわけであります。恐らく神戸や芦屋,西宮,いやこの京都でも,洛西の被災のお宅の復旧作業があって忙しいわけであります。それが一段落したとき,それは1年掛かるか2年掛かるか,あるいは5年掛かるか,もっと掛かるかも分かりませんけれども,しかしその後,彼らが本来継承してきた技術や技能が生かされる場所が激減していたとすれば,これは大変なことになろうと私は思います。それに対処する事柄について,例えば木造建築物の正しい認識の普及,イメージアップの方法も含め,更に国の行政への注文も含めて,それらの政策なり施策の段取りから,ひとつ内田さん,建設大臣のつもりでお答えいただきたいと思う次第であります。この答弁はそういう時間のスパンの中でお答えいただきたいと思います。 続いて住宅局関係ですけれども,これは住宅局長に聞きます。率直に申しまして,私は,いわゆる総合設計制度の,あるいはその趣旨の活用を積極的に進めるよう主張してまいった者であります。今から5年前になりますが,京都ホテルの改築問題から総合設計制度が悪者扱いされまして,京都にどんどん高層ビルが建つ。東山が覆い尽くされる。その高さ制限の緩和の法的元凶が総合設計制度だと思われたと思います。当初京都市は,京都ホテル改築に反対運動が起こり,この制度が悪者視されますと,この制度の適用は幹線道路交差点部分しか適用されないなどと姑息に言い訳いたしまして,私はここで当時の今川市長と木下助役に反論して論議を交わしたものであります。 私は,ここで改めて当時の論議を繰り返す時間がありませんので,一度これは私の当時の速記録をお読みいただきたいわけでありますが,ただ1点申し上げますと,この総合設計制度なりその趣旨は,むしろ狭い道,防災上も問題のある路地の錯綜する地域での良好な町並みの再編成の手法としてもっと援用すべきでないかと申したのであります。申すまでもなくこの制度の趣旨は,建築物に高さや容積のボーナスを与える代わりに,私有地を公開空地に提供させて都市空間を創出しようというものであります。 お互い今回の震災でいろいろと学んでいるわけでありますけれども,都市空間,それが道路であれ公園であれ,ちょっとした児童公園であれ,まちの片隅の空き地であれ路地の入口の空間であれ,いかに大切であるかということが知れたのでありますが,京都では,路地の再生とか商店街の再生とか今後は更に大きく言われるでしょうが,災害に強いまちづくり等にこの総合設計制度なりその趣旨を大いに生かすべきだと思いますが,今回の大震災の関連で改めて住宅局長にお聞きいたします。 これも今日まで主張してきたことの一つでありますが,特に今回の大地震で痛切に思い出されましたので,震災関連で建設局長にお聞きいたします。私は,いわゆるまちの中にあります駐車場の周りに木を植えるように,盛んに本会議でも委員会でも申してきたことは御承知のことだと思います。何も2台,3台,4台の小さな車置場にまで木を植えろと言ってきたわけではありません。例えばこの市役所の裏の駐車場,この程度の規模の駐車場,有料駐車場,こういう駐車場の周囲に,この裏でしたらあの汚い汚いブロック塀をやめて早く木を植えろと提案してきたわけであります。その理由は率直に申し上げまして美観のためでした。あるいは御承知のとおり家を取り壊して駐車場にしました場合,残った周りの家にとってみれば壁1枚向こうに自動車があるわけでありますから,早朝,深夜のエンジン音を少しでも低くしようという騒音対策でもあったわけであります。その必要性はいささかも減ってはおりませんけれども,今回の大震災で生け垣が大変に有効であることが報告されております。そこで私は,ある程度以上の規模の駐車場の周りに生け垣のように植木を植えることを推し進める考えはいかがでしょうかと改めてお聞きしたいわけであります。今回建設局の出しました京都市緑化の推進及び緑の保全に関する条例の説明のときに私はこのことを聞きましたけれども,素直に言いますと,あるようなないような何とも要領を得ぬような話でございましたので,ここで重ねてお聞きいたします。しっかり御答弁いただきたいと思います。 次に民生局長にお聞きいたしますが,今回の大震災での犠牲者と申しますか死亡された方は,いわゆる高齢者が大半であると報道されています。特に震災初期の段階での独居老人に対する大変な問題が残っております。また身体障害者の方々につきましては,どこにどうしておられたのか,どうされたのかということも分からないままに当初は手が付けられなかったということであります。結局,近くの者たちや家族があれば,その方々の通告を待って救助なり救援の手が届いたわけであります。身体障害者の方々ではむしろ彼ら同士というのですか,仲間同士の連絡とか通報が非常に有効であったと聞いておるわけであります。しかしそうした方々のすべてが例えば身体障害者団体などに入って仲間やボランティアとの交流を持っておられるわけではありませんから,大変に気の毒なことになった方々も多かったし,これからも考えられるわけであります。 ところでこうした人々のリストといいますか,所在地などの名簿は,あることはあるのだそうでありますけれども,市役所と区役所にしかないわけであります。ある地域消防団が防災のために独居老人や寝たきり老人の所在を確かめ,また防災指導に伺うため福祉事務所にお尋ねいたしましたが断られたということを聞きます。災害時に援護を要する身障者を掌握しておこうと思ったが,これも断られたといいます。結局自分たちで探して歩いたとのことでありましたけれども,区役所なり民生委員さんの数字と相当に合わない。あるいは身体障害者の団体やグループ,例えば視覚障害者,あるいは聴覚障害者の方々が仲間の輪を広げようとするが,その仲間の所在地がなかなか分からない。もちろんプライバシーの問題があります。独居老人を狙った悪徳商法があったことも事実です。しかし今回のこの事態を学んで,少しその頑固さを検討すべきでないかと私はお聞きしているわけであります。またこうした情報なり内容,それに基づくいろんな事柄,例えばどこに誰れがおられるかだけではなしに,どのようにしておられるか,万一のときにどこへ連絡をとるのか,仲間があるのか孤独なのかなどは,まさにプライバシーの問題でありますから,なかなかリストのようなものに作れるものではありません。仮にできるものがあったとしてもリストがあればよいというものではありません。やはりこういった情報は日常的に近所の人々や仲間,時としてはボランティア等との交流やお付き合いの中で蓄積されなければならないものであります。こうしたリストなり実態というものは,役所の皆さんから見ればちゃんとありまっせと。先ほどの薦田助役のお答えではございませんが,特に京都は進んでおりまして,確かに進んでいるのかも分かりませんけれども,こういう人が持っておりますということになると思うのでありますが,今回はその活用のコントロール機能を行政が失ってしまっておったわけでありますから,そういう意味で役所だけが,行政だけが握っているということでなく,市民に広く活用していただいて,そしてそのことから来る弊害をいかにして防ぐかということにむしろ力を入れるという考え方に変わるべきでないかと思うわけであります。積極的な御答弁を期待いたします。 最後になりますが,災害対策副本部長の薦田助役に伺います。いずれにしても今回の救援活動は大変御苦労さまです。指定都市でもあります神戸でありますから,あるいは何かと交流の深い隣県の大災害でありますから一番早くから恐らく一番最後まで,京都としては救援活動やその他の援助を行う必要があろうと思います。 当初,京都市は何をやっているのだ,何もやっていないのではないかと市民の不満といいますか,心配の声が寄せられ,私も早速に調べまして報告もしましたけれども,幸い最近は京都市民も京都の行政あるいは京都の企業ボランティア,あるいは民間ボランティアの方々の活動について御理解が進んでいるようでありまして何よりと思っている次第であります。 ところで,その救援活動でありますが,特に初期といいますか,初動のとき,これは主として消火活動,救急活動,そして緊急食料の輸送であったわけでありますけれども,その際,各種の資材や食料の輸送に自衛隊のヘリコプターを利用していらっしゃいます。漏れ聞くところによりますと,これがさっさと運んだというわけではないそうであります。地震や,お願いします。はい分かりましたとはいっておらぬわけでありまして,なかなかトラブったと申しますか,連携に時間が掛かったと私は漏れ聞いているわけであります。その辺の実情をお聞かせいただきたいと思います。 今回の大震災で災害時の自治体と自衛隊の関係が論議を呼んでおります。私,今ここで危機管理の態勢がどうとか,そこまで論議を広めようとは思いませんけれども,やはり災害時や緊急の事態を思うと,例えば京都市の行う防災訓練にも自衛隊に参加していただいて,それなりの連携の訓練をすべきと考えますが,今後の取組についてのお考えをお聞きしたいと思います。 最後にもう1点,今回の大震災では被災地の復興のために,今までも,もちろん現在も,そして今後も多くの資金や人が動員されると思います。金のことは別といたしまして,とりあえずお聞きしたいのは人です。特にインフラの技術者が被災地に動員されるだろうと思います。先ほどの内海君の質問に対して中谷交通管理者から地下鉄について若干の御答弁がありましたが,インフラの技術者が被災地に動員されるということで特に京都市の公共事業に影響が出る,予算が膨れたり工事が遅延するというような影響が出ないかと心配いたしておるわけでありますが,その辺の見通しとそれを避けるための対策をお聞きしたいと思います。 以上をもちまして第一質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) まず震災に関する職員の不祥事についてでございます。直ちに懲戒処分の措置を執ったわけでございますけれども,本件が及ぼす影響等を考えますと,誠に申し上げようもなく申し訳ないことであると思っております。心からお詫び申し上げます。 そこでこの震災の支援のためのボランティア活動に従事する職員の職務に専念する義務の免除についてでございます。自治体レベルでの支援活動は市の職員に業務,職務として今日まで延べ数千名の職員を現地に派遣いたしておりますけれども,こういう支援活動以外にボランティア活動が被災者に必要とされている状況もございます。本市といたしましても,こうした活動に職員が積極的に参加できるように職務専念義務の免除を行うこととしたものでございます。具体的には職員からの申請に基づきまして,一つには被災都市の募集するボランティアに登録すること又は支援団体に属していること,二つには活動に従事する場所,期間,内容が明らかであること,三つには公務に支障がないと認められることなどを要件として,この年度中の間に3日間以内職務に専念する義務を免除することといたしました。なお承認に当たりましては職員から十分に事情を聴く中で取扱いしているところでございます。2月10日現在で全市各部局合わせて承認件数は228件,延べ人員が256名でございます。これは主として労働組合等の組織的なものでありますが,幾らかは個人的な仲間,団体,そういうものに参加してということでございまして,このケースはそういう申請でございました。なお当然のことといたしまして職務として派遣いたします職員を除くこういうボランティアとして行っていただく職員については旅費,賃金等一切支給はしておりません。したがって超過勤務手当等も全くなく,自費負担で行っているわけでございます。 次に自衛隊のヘリコプターによる緊急食料の搬送経過についてでございます。神戸市の要請により始めました応急給食の搬送は,当初,京都府トラック協会の御協力によりましてトラック輸送で行っておりましたが,被災地一帯の大変な交通渋滞によりまして緊急輸送が困難になりました。そこで急遽19日に神戸市災害対策本部から兵庫県を通じて伊丹の陸上自衛隊第3師団指令部へ自衛隊ヘリコプターによる応急給食の空輸を要請したという連絡が入りました。本市も同時に神戸からの連絡を受けて,自衛隊の京都地方連絡部と細部の連絡調整を行いまして,とにかく20日から自衛隊によります応急給食の空輸ができたわけでございます。要請の翌日から自衛隊のヘリコプターによる応急給食の空輸が実施されましたので,緊急の輸送としては比較的円滑に運んだものと思っております。 そこで自衛隊との連携に向けた今後の取組についてでございます。本市の総合防災訓練につきましては,従来から多くの防災関係機関に御参加いただいておりますけれども,主に地震発生を想定した住民の避難訓練でありますとか,あるいは自主防災組織をはじめとする市民の方々による初期消火活動などの体験を中心にいたしまして,このほか電気,ガス,電話といった日常生活に密着したライフラインの応急復旧訓練を交えて市民の防災意識の高揚を図ることを目的に,そういう範囲で実施してきておりました。しかしながら,御指摘のように大規模災害発生時におきます自衛隊の役割につきましては,今回の兵庫県南部地震における大きな活躍を目の当たりにいたしまして十分に認識したところでございます。本市といたしましても今後におきましては総合防災訓練の在り方を考える中で自衛隊の訓練参加の検討を行い,平常時からの連携強化を図る中で万一の災害発生時に備えた防災体制の整備に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 内田助役。 〔内田助役登壇〕 ◎助役(内田俊一君) 今回の大震災と関連しまして木造建築物についてのお尋ねでございます。元来木造建築物は日本の気候風土に適し,環境にも優しい,あるいは世界遺産として登録を受けた多くの文化財に見られますようにまさに日本の都市文化を象徴するものでもございます。従来より京都は木造比率が高いと言われておりまして,現に市内の住宅の中の木造比率は56.9パーセントを占めております。東京都と12の政令指定都市,13の大都市の全体の平均をとりましても木造住宅比率は50.2パーセントとなっておりまして,今回投げ掛けられました木造建築物の耐震性という課題は,日本の都市構造の根幹にかかわるものであるという認識で取り組まなければならないと考えております。被害の実態から適正に施工され管理の行き届いた木造住宅,あるいは新しい木造住宅は比較的損傷の少なかったことが指摘されております。しかし一方で多くの被害が出たわけでございますけれども,その原因をこれまでの新聞報道等から拾い出してみますと,例えば構造上の特性でございますとか,年月を経たことに伴う劣化といった建物自身への指摘がございますが,一方では地盤の影響,更には今回の地震におきます地震波の特性など様々な視点が示されておりまして,現時点では十分に解明されてないと私どもは考えております。事が我が国の都市構造の根幹にかかわる問題でありますだけに,何よりも綿密な分析に基づく原因の究明が先決でございますし,そのうえで耐震性や施工性,経済性に優れた新しい工法や材料の開発,あるいは可能な限り容易に施工できる補強の在り方を明確に示すことによって信頼を回復することがまず基本だと考えております。このためにはまた京町家に見られる木造の施工技術の質を高めながら継承していくことも大事な課題になろうと考えております。 こうした検討は,今後国においても当然取り組まれることになろうと思いますけれども,長い歴史の中で木の都市文化の豊富なノウハウを持つまちとして,あるいは大学都市として多くの専門家や研究機関を擁しております京都市としても独自の取組を進めまして,その成果を積極的に国にも提案していきたいと考えております。先日,世界文化自由都市の第2次提言の中で,木の文化研究センターの提言がなされておりますが,これは我々の生活のあらゆる分野にしっかりと根差している木の文化を学際的,多角的に再評価し再構築することを目的とするものだと考えておりまして,その具体化も研究してまいりたいと考えているところでございます。 次に今回の地震によります本市公共工事への影響についてでございます。今回の地震は阪神の工業地帯を直撃いたしました。京都市で使用いたします資材等の多くをこの地域に依存していることから深刻な影響が懸念されましたので,地震後直ちに関係部局に対しまして大規模事業を中心に実態の把握と対応措置を指示いたしました。その結果,被災地への技術者等の集中による人手不足,工場の被災等による資材の入手困難及び交通渋滞による資材搬入の遅れによりまして対象となりました事業の5割以上の現場で何らかの影響が出ていることが判明いたしました。こうした状況を踏まえまして既に建設省に対しまして被災地周辺におきます資材,労働力の確保にも配慮して欲しい旨の市長名の要望を行ったところでございますが,今後復興が本格化してまいりますので,十分な注意力を持って事態の推移を見ますとともに,関係者の協力を得る中で本市公共工事への影響を最小限にとどめるよう最大の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 高木経済局長。 〔高木経済局長登壇〕 ◎経済局長(高木寿一君) 阪神大震災の産業活動に及ぼす影響につきましては,去る2月15日に阪神大震災影響連絡会を開催いたしまして,各業界団体から御報告いただいたところでございます。御指摘のとおり,手形や小切手の未決済あるいは売掛金の回収不能,更には交通遮断や自粛ムードに伴います観光関連産業の売上減少など様々な形で影響が出始めております。本市といたしましては,この2月21日から兵庫県南部地震対策特別融資を長期かつ低利で実施いたしております。取引関係の有無にかかわらず広範囲の影響に対応するために中小企業指導所に特別相談窓口を設けております。弾力的に運用してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 西村文化観光局長。 〔西村文化観光局長登壇〕 ◎文化観光局長(西村正信君) 阪神・淡路大震災による京都の観光イメージ回復のための施策でございますが,震災以降入洛観光客が大きく減少し,その後やや回復の兆しが見えますものの依然厳しい状況が続いております。これは御指摘のように新幹線等交通機関のダメージに加えまして,京都にも相当の被害があるかのような印象,そして観光の自粛といった心理的な要因によるものと考えております。本市といたしましては,当面,京都の現状につきまして各地での説明会の開催や広報媒体の活用など正確な情報の発信に努めますとともに,今後は春のシーズンに向けまして被災地に対する配慮をしながら京都の観光の厳しい状況を踏まえまして関係団体,業界との連携を密にいたしまして観光客誘致宣伝など観光振興とイメージの回復に積極的な取組を進めてまいりたいと考えております。 次にコンベンションの代替開催についての御質問でございます。神戸の国際会議場等は幸い建物への被害は軽微でございましたが,水道,ガス及び交通機関の途絶のため再開は本年4月以降になると聞いております。本市といたしましては,緊急対策として可能な限りの支援を行う必要があると考えておりますが,個々の取扱いにつきましては慎重に対処せねばならないことは御指摘のとおりでございます。こうしたことを踏まえまして,過日,神戸,大阪,奈良及び京都の各市のコンベンションビューローが集まりまして,この危機を乗り越えるべく,主として代替会場の提供につきまして積極的に神戸を支援することといたしたところでございます。既に幾つかの会議について京都において受け入れることが内定いたしております。神戸市においては一日も早い復興に努められるところでございますが,本市といたしましても引き続き京都コンベンションビューローを中心といたしましてできる限りの支援体制をとり,市内各会議場,施設等との連携を密にして具体的案件につきまして神戸側の意向も確認したうえでトータルな形での対応など御指摘の点を十分踏まえまして国際会議都市京都としての役割を果たしてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 松井民生局長。 〔松井民生局長登壇〕 ◎民生局長(松井珍男子君) 独り暮らし高齢者あるいは障害のある市民の名簿の公開についてのお尋ねでございますが,本市におきましては,福祉事務所単位でそれらの台帳を整備しております。そして民生児童委員あるいは老人福祉員の皆さんには業務を遂行していただくために必要なことから,それらの名簿を秘密を守ることを条件に公開いたしております。援護を要する高齢者あるいは障害のある市民の名簿の公開につきましては,地域での福祉活動の推進に大変役立つ反面,商業活動等に利用されるなどプライバシーの侵害につながることもございます。しかし今回の大震災のような非常事態下においては,市民の生命や財産を守ることがまず第一義でございますので,プライバシー保護を前提として,そういう救済関係者への名簿の提供については必要であると考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 竹澤建設局長。 〔竹澤建設局長登壇〕 ◎建設局長(竹澤忠義君) 本市会に御提案いたしました京都市緑化の推進及び緑の保全に関する条例につきましては,市内全域,とりわけ緑の少ない市街地を念頭に置きながら,公共施設の緑化だけでなく市民参加による民有地の緑化や緑の保全を進めることを目的とし,市民及び事業者に対し自発的な緑化意識の高揚を図っていくための内容を規定いたしております。御指摘の駐車場の緑化につきましては,景観上はもちろんのこと良好な都市環境の形成に大きな役割を果たすものと認識しておりまして,今後新条例の具体化の中で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 武居住宅局長。 〔武居住宅局長登壇〕 ◎住宅局長(武居桂君) 災害に強いまちづくりと総合設計制度についての御質問でございますが,総合設計制度は平成4年4月のまちづくり審議会の答申にも述べられておるとおり,ゆとりと潤いのある都市空間と環境の創出を主といたしまして良好なまちづくりを進めるための有効な手法であるとされております。また今回の大震災で児童公園などの小さな緑地や空間が火災の延焼防止や避難に有効に作用したとされていることからも,一定の公開空地を有するこの制度が防災面においても十分に役立つことが考えられます。本市におきましては,この制度が都心定住などとともに京都のまちの実態により即した活用が図れるよう平成5年度に要領を改正し,袋路からの避難なども考慮いたしまして公開空地の種別を多様化したところでございます。今後とも袋路の再生や商店街の活性化などの手法として総合設計制度を有効に活用するとともに,優良建築物等整備事業と併せて良好な市街地空間の創出と計画的で防災性の高い良好な建築物の誘導を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 国枝君。 〔国枝克一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(国枝克一郎君) 6分ばかりございますのでお聞きしたいと思います。まず薦田さんからお答えになりましたボランティア,今回初めて3日間職免という形になっているらしいのですが,私も触れましたけれども,そういう形でこういう大事態のときにボランティアに行くことを許すといいますか,そういうことをするのは僕は英断だと思うのです。ただこれは初めてのケースでありましていろいろな問題もあろうと思います。したがってこの後,決してせくこともありませんけれども,こういった形でボランティア活動をされた,あるいは行った内容といいますか方法とかいうことについて報告書をひとつまとめて,今後のこういった制度に資していただきたいと思いますので,そういったものを記録にとるようにお願いしたいと思います。 ただその方々の処遇,旅費とか超勤なんかの話ですが,薦田さんがお答えになりましたのは,いわゆる一般行政だけではなしに水道も交通もあらゆるものを含めてと理解してよろしゅうございますね。はいわかりました。私もちょっと検討してみます。 それから内田さんからお答えいただきましたことでございます。よく御理解いただいておりましてありがたいと思うのでありますが,そこで調子に乗るわけではありませんけれども,今回の市長の議案説明の中にいわゆる木の文化の研究施設を京都へ造っていこうという話がありました。今回の震災をエポックにして強烈に進めて欲しい。むしろこのためにも必要でないかと思います。要するに日本の都市というのは,今おっしゃったようにまさに木造建築がその根幹でありますから,この根幹の木造建築を扱おうという専門の研究機関が京都にできることは非常にいいことでありまして大切なことであります。たまたま今回の震災なんか誰も考えずに,ああいう研究施設を京都で造ろうとお考えになっておったわけでありますけれども,ひとつ今回のこの不幸な事態を逆手にとってといいますか,こういった研究施設が京都にできることをお願いしたいと思います。その辺のお考えについてお答えいただければありがたいと思います。 それから経済局長さんでありますが,御答弁はそれなりに分かりました。ただし私の言いたいのもそれでありますけれども,実際分からぬわけです。こんな事態がそう度々あるわけではございませんから,どこまでそれが及んでいくかということはちょっと分かりません,はっきり申し上げまして。今,確かにお話のように融資制度については神戸と直接取引がなくても十分考えていく。しかも中小企業指導所にその相談窓口を置くということでございますから,そのままありがたく受け入れるわけでありますけれども,巷間言われているのは,神戸との取引がなかなか証明できない。いわゆるお得意さんのお得意さんのお得意さんから神戸へ行っておって,それがなかなかこっちへ戻ってこない。それを理由にされて手形が延ばされるのと違うかとか,あるいはまた支払が値切られるのと違うかという心配をしております。そういうことなので,これはひとつ極めて幅広い弾力性のあるお立場で相談に応じてやっていただくようにお願いしたいと思います。 それからしつこいようですけれども竹澤さん,結局この駐車場には木を植えるようにしていただけるわけですな,分かりました。そういうことでよろしくお願いします。答えられるものがありましたら答えていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 内田助役。 〔内田助役登壇〕 ◎助役(内田俊一君) 木の文化研究センター,先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども,世界文化自由都市の第2次提言の中でいただいたものでございます。議論の中ではWHOの研究報告で21世紀の初頭に世界人類の半分が都市に住むと言われているけれども,今の都市を支配している欧米型の都市構造だけで果たしていいのだろうか,これに京都として提案していかなければという議論でございますとか,あるいは戦後我が国が一生懸命植林をやった。その木が21世紀初頭には構造材として市場に出てくるけれども,そのときにそのマーケットがなくなっていては森林の再生産が行われない,山が崩壊する,こんな議論をしたうえでの提言であったと理解いたしておりますが,御指摘のように今回の事態でまた新たな視点も見出せたと思っておりまして,そういう意味で前向きにその具体化を研究してまいりたいと考えております。 ○議長(井上与一郎君) 次に若宮修君に発言を許します。若宮君。 〔若宮修議員登壇(拍手)〕 ◆(若宮修君) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして,市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず私は,阪神大震災で亡くなられた5400名を超える方々に深く哀悼の意をささげ,また負傷された方々や被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。同時に,京都市災害対策本部の指示により不眠不休の救援活動に奮闘されている市消防局の職員の皆さん,市職員の皆さん,また救援金や救援物資を寄せられた多くの市民の皆さんに心から敬意を表するものであります。 〔井上議長退席,西田副議長着席〕 ◆(若宮修君) (続)今多くの市民の皆さんは,被災者の苦難に心を痛めつつ,同時に自分のまちでこれが起こったらどうなるという不安でいっぱいであります。したがって私は,京都市の救援活動の在り方,また阪神大震災から何を学ぶかという二つの視点から市長に質問するものであります。 まず第1に,京都市の救援活動の問題であります。日本共産党京都府委員会は,震災後直ちに救援募金活動を展開し,2月20日現在で義援金2384万円を集め現地に届けました。また水,食料,医薬品,毛布,生活用品をトラックやリュックサックに詰め込み,連日救援活動に参加し,参加した日本共産党京都府委員会が送り出したボランティアは延べ4600人を超えました。私も救援活動に参加してまいりましたが,現地は想像を絶する深刻な状態で,本腰を入れた救援があらゆる分野で必要であることを痛感いたしました。 日本共産党市会議員団は,1月18日,同21日に支援策の強化を市長に申し入れるとともに,続いて26日に現地の実情を踏まえ,当面の緊急対策として,水,下着,暖房,携帯コンロなど不足している生活必需品の援助,医療品の提供の拡大,医療,福祉分野など専門知識を持つ人の派遣,市営住宅の提供枠の拡大,水道,ガス,電気,電話など生活に必要なライフライン復興の技術者の派遣など長期化に対応した京都市の支援体制の強化を申し入れてきたのであります。更にそれに必要な補正予算を組むよう要求いたしました。 家屋の全壊や半壊が10数万戸,避難者は30万人を超えました。家が残っても水道も電気もガスも出ない被災者を合わせると当時で100万を超えたと報道されています。1箇月が経過しました。したがって現在は相当改善されたとはいえ,今なお20数万を超える市民が避難所で不自由な生活を余儀なくされており,被災状況にふさわしい規模と長期にわたる救援が必要であります。従来の枠での救援では到底隣接の大都市としての責務が果たせないことは明白であります。まず田邊市長にお尋ねいたします。今回の補正予算がそうした長期かつ大規模な救援に対応したものになっているかどうか,どうお考えでしょうかお尋ねいたします。 被災者にとって緊急で切実な要求は住む家の問題です。当初,京都市の市営住宅空き家70戸の提供は大いに歓迎されました。しかしその陰で300人近い被災者が抽籤漏れで涙を呑んだことを忘れてはなりません。日本共産党は10万戸の仮設住宅が必要と国会で厳しく追及し,やっと4万戸の計画に拡大しましたが,それも完成は二,三箇月後ということになっています。他都市の公営住宅の空き家提供など含めると6万6000戸になります。しかし実際はまだ数万戸不足していると報道されています。現地では,被災者の地元で仮設住宅を,希望者全員に行き渡る仮設住宅の建設を強く求めております。京都市は,政府に対して被災者の地元での仮設住宅建設を強く要求するとともに,併せて京都市としての公営の空き家住宅の提供枠の大幅な拡大など神戸への支援の輪を広めていくことが必要と考えます。 救援でもう一つ大事な問題は,重傷者や妊産婦,乳幼児,寝たきりのお年寄りや障害者の方への行き届いた対応であります。疲労がもとで精神障害も増えています。避難所で肺炎になり亡くなられたお年寄りが100人を超えたと報道されています。大震災後1箇月が経過した今,まだ解決していません。まだまだ医療団の長期の派遣が必要でしょう。医薬品の大量の援助が必要でしょう。また必要な受入れも検討されなくてはなりません。それらについてどう対処されるおつもりか,併せて答弁を求めるものであります。 市民生活にとって欠かせないものは上下水道,ガス,電気,電話などライフライン,交通であります。この復興は急務であり,大量の各種技術者が必要です。田邊市長も神戸の市長に京都市の義援金を贈り激励されたとき,笹山神戸市長は,水道の水漏れが多くて大変だと現況を説明され,田邊市長は,できる限り支援すると約束されたとの報道がありました。市長が述べられたようにできる限り支援することは非常に大事であります。これは上下水道事業にも言えることでしょう。地下鉄復興に対しても言えることです。上下水道管の破壊,水漏れが予想よりひどく,地下鉄は駅舎部分の被害が大きいわけですから,そうした技術面における人的,物的救援は今後どうされるのですか,関係助役に伺いたいと思います。 阪神大震災の救援活動は,何よりも前例や基準にとらわれないで被災者住民の立場に立って具体的に迅速に手を打つことが必要であります。本来,災害の救済や復興は国の責任で行われるべきであります。戦後未曾有の大震災の対策が到底地方自治体だけの手に負えるものでないことは明らかです。今大事なことは,現行法で実施できるものはもちろん,被災者の立場に立って必要なことは何でも行うように政府に立法措置,財政措置を要求していくことが大事であります。国会で昨日,阪神・淡路大震災復興基本法が成立した今,今後,神戸市の具体的な要望にこたえ政令都市が力を合わせて事に当たることが必要ではないでしょうか。政府の指示待ちだけでは駄目です。市長の見解を伺います。 さて今回の阪神大震災を教訓に,京都市は大丈夫かに答えることが非常に重要であります。1970年に日本の地震学者,専門家の組織,地震予知連絡会が地震の危険の大きい地域を特定観測地域に指定いたしました。神戸,大阪,京都の一帯はそのときから直下型地震のある危険地域に数えられ,多くの警告が発せられていました。京都市においても,富井市長時代に初めて地震対策の調査研究を進め,1981年までに一定の学問的,実証的な基礎調査を終え,82年から3か年計画で総合的な地震による被害想定を策定することになったのであります。そうして今日の防災計画が策定されたのです。京都市防災会議は,もし直下型で震度6の地震が発生すれば,被害の想定では冬の夕方で,家屋の倒壊,焼失戸数が26万3000棟,被災世帯は28万4000世帯,被災人口で80万9000人,死者8000人,道路被害箇所360箇所,鉄軌道被害箇所66箇所,危険度の高い橋は13,ライフラインは全分野で壊滅的打撃を受けるだろうと述べています。 問題は,政治の力でどれだけ震災を防ぐために力を尽くすかにあります。多くのマスコミは,阪神大震災後,京都市は大丈夫かとして,水,食料,毛布,医薬品の備蓄や防火設備などに触れ,京都市の地震対策は極めてお寒い限りだと批判し,被害想定と現実的な対応には大きな開きがあると厳しく指摘しています。昨年4月1日現在で,応急給水タンクの保有数は各種合わせて41基。41基のタンクの総量が2万8800リットルです。80万と予想される被災者1人当たり1日3リットルを供給するには85倍が必要になり,これでは生きるぎりぎりの水供給も全くできないありさまです。食料では乾パンが約7万4000食,缶詰御飯が600食,毛布は3200枚,備蓄の予算はわずか100万円でした。他都市に比べて誠にお粗末の限りでした。 来年度予算の地震対策費として5500万円が計上されていますが,その中身は活断層調査,啓発リーフ,木造住宅の耐震性調査,備蓄の追加に限られています。市民の命を守るために緊急に求められている公共施設の総点検や補強,防災のまちづくり,ライフラインの安全対策は全くありません。大阪市では,神戸市の被害を教訓にして,災害時の拠点となる市建築物の耐震性向上調査費1億円など防災拠点網整備調査に1億1700万円を計上しています。また公共の都市施設一切の耐震化調査に4億1000万円を計上しています。また広域避難場所の仮設トイレの汚水の受入れ施設整備4億2000万円,全保育所,幼稚園に非常用袋の配布5300万円など災害に備えたまちづくりに8億1200万円を盛り込みました。大阪市の計画はまだまだ不十分ですが,それでも京都市と大きな開きがあり過ぎませんか。市長の答弁を求めるものであります。 第2に質問したいことは防火問題です。いざ地震が起こり火事になると一番問題になるのが消防力です。阪神大震災では,火災はなるに任せるといった状態でした。浄水場が破壊される,水道管は破壊される,消火栓は使用できない,残されたものは貯水槽だけでした。ところが数が少なく,100トン級でも2台の消防車がホース2本ずつ使用すれば30分しかもたない,これが実態でした。現在京都市内では100トン級の小型ポンプ付耐震用貯水槽は,これまで国の補助を受けて設置されたものは122基にすぎません。京都市の場合,現在1年間に100トン級は6基ずつ増やしていますが,一体100トン級はあと何基不足しているのでしょうか。東京並みの基準で計算すれば京都市内に2400基が必要になります。40トン級では大火災時,機能が十分果たせないわけですから,小型ポンプ付100トン級の耐震用貯水槽の思い切った増設が必要ではありませんか。神戸市では,都市があれほど破壊されているのに将来のことを考え100トン級耐震性貯水槽を半径250メートルに1基の割合で計400基を10年計画で整備する方針を打ち出しました。ところが京都市予算では昨年より1基少ない5基になっているのであります。消防局長に答弁を求めます。この際,政府に対して,設置基準を作り予算と補助率を増やすよう要求すべきではありませんか,併せてお答えください。 国の消防予算の消防施設整備補助金は年々削減され1980年と1994年の対比で84パーセントと減っているのです。そのため国基準との比較で,京都市の消防ポンプ自動車の政府基準91台に対して現在59台しかなく,充足率は64パーセント。消防職員の政府基準は2375人に対して実数1830人,充足率77.1パーセントになっているではありませんか。直ちに予算を増やし,消防ポンプ自動車も増やし,消防職員を増やすよう政府に要求すべきではありませんか。消防局長の答弁を求めます。 2月10日,消防団の全国組織である日本消防協会は,代議員会で阪神大震災を教訓にした大規模非常災害対策に関する緊急特別決議を全会一致で採択いたしました。決議は,増員や機材整備による消防団の抜本的な拡充と強化,広域的な即時応援体制の確立,国,地方公共団体の消防予算の倍増を強く求めています。この際,日本消防協会の決議を受け止め,消防予算を増やし消防団の待遇の抜本的改善を考える必要があります。消防局長の答弁を求めるものであります。 第3は,あらゆる公共施設の建築,構造物の総点検が必要です。京都市の浄水場や下水処理場,更に地下鉄などの耐震度はどうなっているのでしょうか。聞くところによると,横揺れで震度5が基準であり,地下鉄は上に大きな建物がある場合を除いて耐震は考慮にないそうであります。それならば阪神大地震と同じクラスの地震であれば全滅です。国に対して耐震基準の抜本的な見直しを要求するとともに,市独自で直ちに総点検し,震度7に対応した補強に踏み切るべきではないでしょうか。また学校,病院,特別養護老人ホーム,保育所などの公共施設はどうなっているかの総点検も必要でしょう。避難体制,緊急通報連絡体制などの総点検も必要でしょう。ビルのガラスの落下防止対策,必要な耐震性を確保するための補強工事も必要でしょう。こうした公共施設に対する総点検と震度7に即応した補強工事に踏み切ることが今強く求められているのであります。どうされるのですか,関係助役の明確な答弁を求めます。 第4は,観測予知体制の問題です。国による観測予知体制は極めて貧弱です。現在京都地方気象台が設置している地震計は,京都市と舞鶴に加え,この3月に設置される和知,弥栄の4箇所にすぎません。体に感じない揺れも記録する高性能の地震計は琵琶湖周辺6箇所に設置してありますが,京都市には一つもありません。自治体独自の観測予知体制が皆無に等しいとは許されないことです。学者,地震専門家から関西は地震の活動期に入ったという指摘もあるだけに,政府に対して,京都市にも必要数高性能の地震計を設置するよう要求すべきではありませんか。併せて助役の答弁を求めます。 第5は,建設費総額が4000億円と言われている京都市高速道路問題です。新年度予算にも引き続き計上されています。京都市の高速道路は一本柱が主力であり,計画路線は花折断層も樫原断層もまたぐことになり問題点が多く指摘されているところであります。1989年のサンフランシスコ地震と昨年のロサンゼルス地震の高速道路の崩壊について,日本の高速道路の耐震性の見直しを強く求める意見が出されていました。日本共産党上田耕一郎参議院議員がこの見直しを参議院予算委員会で強く求めたのに対し,建設省道路局長は,マグニチュード8クラスの極めてまれな大地震に対しても橋は崩れない,損害も生じないよう処置してあると答えました。更に昨年2月の訪米調査後も当局は,得るべき教訓はなく日本の構造物は安全とまで断定いたしました。しかしその神話は崩れたのです。政府はうそをついたのです。神戸では高速道路も壊れ橋桁も落下する無残な姿でした。山陽新幹線は9箇所の橋桁の落下です。もしも通勤時間帯だったらどうなったか,身の毛もよだつ思いです。もともと歴史都市京都に高速道路を持ち込むことは無謀であります。高速道路の建設が交通公害,交通事故,交通渋滞を一層激化させ公共交通をも衰退させることは火を見るより明らかであり,広く指摘されているところであります。騒音,大気汚染で健康破壊,環境破壊に導くものであります。田邊市長も,かつて92年2月に都心部に高速道路網が発達しているメキシコの首都で深刻な車公害の実態を紹介され,道路建設は際限のないように思えた。住む人間の健康や生活が阻害されることになると,需要に応じて高速道路などを整備する道路行政に疑問を投げ掛けたではありませんか。メキシコで,高速道路の建設で健康や生活が阻害されると言っておいて,京都市ではよろしいでは余りにも無節操ではありませんか。しかも今回,地震に強い,安全だという神話が崩れ再検討の声が大きくなっているのに,まだ強行するおつもりですか。市内高速道路計画は直ちに見直すべきであります。市長の答弁を求めます。 第6は,耐震神話が崩れた今,原子力発電所は大丈夫かという問題です。京都市に隣接する福井県南部に15基の原子力発電所が集中立地しています。万が一原子力発電所が破壊され大規模な放射能漏れがあれば,京都市は避難地域だけに一大事です。国会論戦でも明らかになったのですが,阪神大震災での地震の大きさは水平加速度で最大833ガルでした。しかしそれを超える耐震設計基準を持った原子力発電所は一つもないことが明らかになりました。政府の言うように,岩盤の上では833ガルの2分の1に減るとしても,稼働中の商業用の原子力発電所48基の実に73パーセントがそれ以下の基準になっているのであります。しかも福井県敦賀半島の原子力発電所の設置地点のほぼ真下に活断層があることが分かっており再点検が必要であります。京都市としても政府に至急再点検を要求すべきと思いますが,市長の見解を伺いたいと思います。 第7は,震災予防条例を検討することであります。これは東京の美濃部都政のときに作られたものでありますが,その前文にこう書いてあります。東京を地震による災害から守るためには必要な措置を急がなければならない。言うまでもなく地震は自然現象であるが,地震による災害は多くは人災であると言える。したがって人間の英知と技術と努力により地震による災害を未然に防止し,被害を最小限度に食い止めることができるはずであると極めて明快に述べています。そしてその理念の下に,災害に強い都市計画,災害に強い市民の統合による防災都市計画や震災予防計画を作って,今日,全国の中で比較的進んだ地震対策を強めているのであります。市長,お読みになられたでしょうか。京都市も十分学び,京都に生かすことが必要と考えます。市長の見解を問うものであります。 震災問題で最後に申し上げたいことは,震災救助は自衛隊を中心という議論がありますが筋違いです。初動対策の遅れを自衛隊の出動の遅れなど危機管理の問題に限定して,自衛隊が絶対権力を持つ有事立法への道を開こうとする動きもありますが,非常に危険な発想であります。日本共産党は,阪神大災害のように人命救助で消防力や警察力で間に合わないときには,憲法違反の存在とはいえ自衛隊の出動は必要という立場であります。しかし,自衛隊は本来災害救助の専門組織ではありません。大事なことは消防力の飛躍的強化など巨大災害に対応し得る体制を消防力強化で日常的に作っておくことであります。そのことは外国でも証明済みであります。このことを強く申し上げておきます。 また震災防止対策は大きな経費を要するので更なる消費税の増税をという議論がありますが,とんでもありません。政府の来年度予算では,地震予知関連の予算はわずか100億円余りです。これは条約上の義務はないのに,施設建設費から光熱費,基地従業員の給料まで日本が払うという2714億円の米軍への思いやり予算の25分の1にすぎません。1両10億円もする戦車20両を今年購入する金額だけでも100トン級耐震貯水槽を4400基作ることができるのであります。政党助成のための309億円を被災地の中小企業向け融資の利子補給に充てれば1兆円の無利子融資が可能であります。日本共産党は政党助成金の廃止を要求しますが,各党は政党助成金を返上すべきではありませんか。世界第2位と言われている4兆7236億円の軍事費を大幅に削り,40兆円以上の巨大開発中心の公共事業の見直しなど予算の浪費をやめさせ,震災対策を抜本的に強めるための予算の組替えが何よりも必要であります。それが阪神大震災の最大の教訓ではないでしょうか。 さて95年度予算案について,日本共産党市会議員団は,阪神大震災の教訓を生かし京都市の重点施策を震災に強い都市づくり,人の命を大切にする政治への転換が必要と主張してまいりました。それが145万京都市民の一致した意見だと確信いたします。ところが予算編成の基本姿勢が依然として新京都市基本計画に沿った大型プロジェクトの推進と市政改革,つまりリストラにあります。これでは阪神大震災の教訓は生かされず,大手ゼネコン言いなりの行政は続ける,その付けは市民や市職員にかぶってもらうというのが予算編成の基本姿勢になっているのではどうにもならないわけで,予算の根本的な組替えが必要であります。以下,その立場から質問いたします。 市長は,地下鉄東西線建設費の大膨張などに起因する財政危機を乗り越えるために新京都市基本計画の年次計画の見直しを行おうとされています。ところが年次計画の見直し部分は市民生活や福祉に関するもので,一番経費を要する高速道路などの大型プロジェクトは何が何でも推進しようとしています。日本共産党市会議員団は,新京都市基本計画が発表されたとき,その第1の狙いが関西財界や京都財界の要望に忠実に従い,JR京都駅の改築や京都高速道路計画など大型プロジェクトの推進にあること。第2に大型店の進出を誘導する一方で伝統産業や中小企業には無策であり,更に福祉が後景に追いやられるおそれがあること。第3に同和行政の肥大化でゆがんだ同和行政が温存されること。第4に地方財政を危機に追い込むと指摘いたしましたが,2年経った今日,その日本共産党の指摘の正しさが立証されたではありませんか。 市長にお尋ねいたします。新京都市基本計画の年次計画で何を見直そうとされているのですか。私の指摘したとおり,市民生活や福祉に関する年次計画を後れさせるおつもりですか。お答えください。 京都市職員労働組合が全市民に実施した市政評価アンケートは約1万6000通が回収されたそうであります。その中で,あなたは新京都市基本計画を御存じですかという問いに対して,よく知っているがたったの2.6パーセント,一部知っているは16.6パーセントにすぎません。ほとんど知らないは45.4パーセント,初めて聞いたが32.6パーセントとなっています。これは新京都市基本計画がいかに市民不在で作られたものであるかを立証いたしました。反省し根本的な見直しを行うべきではありませんか。 次に市政改革の問題でお尋ねいたします。市長は年頭訓示で,地方分権という大変な受皿を勇気を持って作っていくという大変な時代を迎えたと言って,それがリストラの基本と位置付けられています。大変なのは,この市長の考え方ではないでしょうか。国の新行政改革大綱路線は,地方分権の名の下に地方制度の再編成をうたっています。政府は,国の仕事は軍事,外交だけに限定し,福祉や社会保障といった暮らしの問題では国の責任を放棄しようとさえしています。自治体にはリストラを断行させ,予算や人員削減,住民の暮らしの切捨てが最大の眼目になっているわけであります。国からの財源移譲も明確になっていません。こうした政府の行政改革路線が地方分権という名で進められようとしているとき,各方面から厳しい批判が寄せられているのは当然であります。 田邊市長,どうして自治体の長として意見を述べないのですか。これを大変な時代を迎えたとして無批判に歓迎されるのですか。行政改革とは,本来国民には無用な浪費的な部分を大胆に切り捨て,国民と社会が真に必要としている課題に,行政と財政の力を効率的に集中することではないでしょうか。田邊市長の明確な答弁を求めるものであります。 次に市政改革大綱策定についての中間報告についてお尋ねいたします。昨年暮れに発表された中間報告について,日本共産党市会議員団は声明を出しました。その中で,先に述べた国の新行政改革大綱路線に沿ったものであること,危機的な財政状況を生み出した要因,政府の臨調行革路線や地下鉄建設費の大膨張問題を不問にしてリストラだけを強調したものであること,厳しい財政状況でも新京都市基本計画に掲げた大型プロジェクトを強力に推進することなど問題点が多くあり過ぎると具体的事実に基づいて指摘しその撤回を求めてまいりました。 そこで市長にお尋ねします。中間答申では,市民サービス向上は市民負担増を伴うとありますが,これは地方自治体の本旨に反していると思いませんか。第2に,なぜこの中間答申では,京都市財政が苦しいのに膨大な経費を伴う4000億円も掛かる高速道路や400億円も掛かる京都迎賓館建設などを見直そうとしないのですか。3番目に,なぜ地方財政を危機に陥れている国の責任を免罪されるのでしょうか。地方交付税や補助金の減額のほか政府の不当な減額による京都市の超過負担は,過去10年間で約2400億円にも達していることをお忘れになったのですか。第4に,なぜ4710億円にもなった地下鉄建設費の大膨張問題を一言も触れないのですか。中間答申は,このような重大な問題を含んでいます。政府や大手ゼネコンを免罪し,肝心なことは黙して語らずではお話になりません。以上,指摘した4点について簡潔に答弁願いたいと思います。 最後になりますが,今年は戦後50年,被爆50年の節目に当たる重要な年であります。ところが田邊市長は,年頭訓示でも予算説明でも全くこれに触れませんでした。市長の政治的,社会的な見識が問われている問題です。 戦後50年という記念すべき年を迎え,今,あの15年にわたる戦争を反省し,再び戦争の惨禍を起こさないと決意して制定された日本国憲法の平和原則を守ることは非常に重要になっています。あの侵略戦争でアジアの人民は2000万人が犠牲になり,日本国民は310万人が死に国土は焦土と化しました。あの侵略戦争の反省と教訓を生かすことは,戦後日本の基本方向であり世界政治の原点となっているのであります。ところが歴代の自民党政府をはじめ,細川,羽田,村山内閣も太平洋戦争を侵略戦争だと依然認めず,それへの根本的な反省がなく,戦後50年たっても戦後補償問題が解決されない要因を作っているのであります。それどころか侵略戦争美化論を唱える閣僚が後を絶たず,憲法改悪の動きも強まっていることは誠に重大であります。ノーベル文学賞を受賞された大江健三郎氏は,昨年12月7日,スウェーデンでの講演で,日本人を支えていたのは民主主義と不戦の誓いであって,それが新しい日本人の根本的モラルでありますと述べられました。また,この不戦の誓いを日本国憲法から取り外せば,何よりもまず我々は,アジアと広島,長崎の犠牲者たちを裏切ることになるのですと述べられたことは,まさに日本国民の良心を代表するものではないでしょうか。 京都市会は1983年3月23日,非核,平和都市宣言を高らかに宣言いたしました。この宣言は,日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を日常の市民生活に生かし,子々孫々継承するために非核,平和都市たることを厳粛に宣言するとして,京都市は非核三原則の完全な遵守や核兵器の廃絶と軍縮を求め,戦争への協力の拒否など具体的に宣言いたしました。この宣言の今日的意義は極めて大きく,戦後50年を迎えた今,平和憲法を基本とした非核,平和都市宣言を市政に生かすことは極めて大切であります。しかし京都市は,1957年の平和都市宣言や1978年の世界文化自由都市宣言を持ち出し,今日まで非核,平和都市宣言の具体化をさぼり平和に関する事業,施策を怠ってきました。先に述べた京都市の二つの宣言は,平和憲法に立脚したものでなく,内容は抽象的で具体性のないもので別の目的を持っているものであります。昨年暮れに出された世界文化自由都市宣言に基づく第2次提案を読みますと,財界本位と指摘している新京都市基本計画との整合性を図りとまで述べており,平和の宣言でも何でもないことが明らかではありませんか。 日本共産党は党創立以来,戦前から命がけで反戦,平和の旗を掲げて闘ってきた唯一の政党として,この記念すべき年に当たり次のような平和の施策,事業を行われるよう市長に要求いたします。一つは,市役所前や区役所,市の関係施設に平和憲法を基本とした非核,平和都市宣言の垂れ幕や大看板を設置し広く市民に知らすこと。二つ,市民各層の憲法擁護,平和への記念行事などを支援すること。三つ,戦後50年にふさわしい憲法擁護の記念集会を開くこと。四つ,戦争体験のない市民も含め平和の誓いを新たにする年とするため市民の戦争体験記など広く募集し市民しんぶんに掲載すること。五つ,被爆者援護法に基づき援護施策の充実を図ることであります。田邊市長の決意を問うものであります。 以上をもって私の第一質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西田輝雄君) 田邊市長。 〔田邊市長登壇〕 ◎市長(田邊朋之君) ただ今の若宮議員の質問にお答えいたします。 まず兵庫県南部地震につきましては,近来まれに見る大都市における直下型地震でございまして,被害は御指摘のように極めて甚大なものになっております。このため本市では,地震発生後直ちに京都市災害対策本部を設置いたしまして,市域の被害について迅速な情報収集に努めるとともに,公共施設,道路,水道などの補修工事など必要な対策を講じてきておるところであります。また被災都市への支援につきましては,京都市兵庫県南部地震情報収集・支援対策本部を同日設置いたしまして,消防,救助,救急,医療,防疫,清掃,土木業務などの支援活動をはじめといたしまして,食料,飲料水,医薬品,移動公衆便所などの物資の搬送,公営住宅や教育,福祉施設の提供,中央斎場における遺体の火葬,更には被災地における住宅の診断事務,罹災証明の発行事務など人的物的な支援を行いますとともに,被災都市からの児童,生徒をはじめとする多くの被災者の受入れと被災者に対する日用品の提供,医療,福祉活動などにも積極的に取り組んでおるところでございます。支援活動につきましては,今後長期にわたる取組が必要であると認識しておりまして,引き続き最大限の協力を行ってまいります。また支援の内容につきましても,1箇月たちました今では当初の状況よりか随分変わってきておりまして,被災地の要望に基づきます支援体制を今後強めていきたいと考えております。なお予算措置といたしましては,当面必要な支援を遅滞なく行っていきますために,6年度補正予算として5億円,7年度当初予算で2億円の予備費の増額を行っておるところでございます。 政令指定都市による国への要請についてでございますが,この度の震災につきましては,大規模な都市型災害といたしまして,とりわけ神戸市において甚大かつ深刻な被害を与えておるところでございます。こうしたことにかんがみまして政令指定都市共同で平成7年1月27日に関係省庁などに対しまして早急な災害復旧,復興対策のための特別法の制定や復旧,復興のための十分な財源の確保などにつきまして国が迅速かつ積極的に対応されるよう既に緊急要望を行ったところであります。なお御指摘の仮設住宅の建設につきましても,この要望の中に組み込んでおります。 また公営住宅の受入れにつきましては,現在,本年4月に予定いたしておりました空き家公募分70戸を提供いたしまして,順次入居決定いたしておるところでございます。今後の受入れにつきましては,建設省の指導や被災自治体からの要請を踏まえ,また本市の空き家公募に対する市民の需要も勘案しながら慎重かつ前向きに努力してまいります。 今回の震災におきます医療支援につきましては,東京都を含む13大都市災害時相互応援に関する協定に基づきまして,神戸市からの要請によりまして震災当日から医薬品を搬送いたしますとともに,翌日から医療救護班として医師,看護婦などを派遣し,被災地での医療活動に当たってまいりました。現在医療班の派遣につきましては,神戸市との協議の下に中断いたしております。これは全国から医療関係者が集まっておりますので,京都の方はちょっと休んでいただきたいという状況でございますが,3月1日から第2次の医療救護班を長期にわたり派遣する予定でございまして,医薬品についても要請があれば支援してまいりたいと考えております。 また被災患者の本市医療施設への受入れにつきましては,市立病院などの公的医療施設で対応するとともに,民間医療施設におきましても御協力いただいておるところであります。今後とも人命尊重を最優先する立場から,被災患者の受入れにつきまして適切な対応を図ってまいります。 地震対策費に関する予算についてでございますが,御指摘の予算は地域防災計画の抜本的見直しに向けた調査研究,食料,医薬品等の備蓄物資の拡充,地震防災啓発リーフレットの全戸配布など防災主管局である総務局において直接地震対策に要する経費として計上したものでございまして,他局を含めた本市の地震対策の関連経費といたしましては88億円余,更に広く防災対策といたしましては457億円余を予算計上いたしておるところであります。申し上げるまでもなく本市の地震対策につきましては,従前からソフト,ハードのあらゆる分野において必要な予算を計上し取り組んでいるところであり,今後におきましても市民の皆さん方が安心して暮らせるよう災害に強いまちづくり,災害に強い市民づくりに向けて全庁的な取組を推進してまいる所存でございます。 京都高速道路の建設についてお答えいたします。本市におきましては,幹線道路の整備の後れから慢性的な交通混雑を招いており,市民生活や経済活動に大きな支障を来しております。このため本市の都市空間上の制約や厳しい財政事情も踏まえ,国の有料道路制度を積極的に活用することによりまして迅速かつ計画的に京都高速道路の整備を行い,将来に向けて京都の均衡ある発展を図ってまいりたいと考えております。なお本道路の整備に当たりましては,適切な環境保全対策を講じますことはもとより,今回の地震を貴重な教訓といたしまして,国などの動向も踏まえながらより一層地震に強い構造や工法が採用されますよう関係機関に要望してまいります。 原子力発電所の再点検の要望についてでございますが,本市におきましては,これまでから国及び事業者に安全対策の強化を要望してまいってきておるところであります。今回の地震発生直後におきましても,事業者に対して地震による被害状況の点検作業が行われたかどうかを確認するとともに,安全対策の強化を申し入れたところであります。事業者からは,今回の地震の影響についてマニュアルに基づいて点検が行われ,その結果,異常がなかったとの報告を得ております。しかしながら,万が一発電所近くで地震が発生したらという市民の皆様の不安もございますため,大規模地震の発生を想定した安全対策の強化について改めて国及び事業者に要望を行ってまいる所存であります。 東京都の震災予防条例に係る御質問でございます。関東地方におきましては関東大震災を経験し,また東海地震への警戒もあって,地震に対する日ごろからの取組や市民の防災意識には,私どもが学ぶべきものが非常に多いと考えております。今後本市におきましては,今回の地震を踏まえまして,震災対策計画の抜本的な見直しを進めてまいるわけでありますが,御指摘の東京都の震災予防条例をはじめとして,これら先進地域の地震対策につきましては十分参考としてまいりたいと考えておるところでございます。 さて新京都市基本計画についてであります。新京都市基本計画は,文化首都の中核づくりを目指して20世紀のまちづくりの総仕上げ,21世紀における新しい挑戦のための基礎づくりとなる施策,事業を市政の全分野にわたりまして掲げたものであります。この基本計画に掲げられている施策,事業は,いずれも豊かな市民生活の実現と京都の発展に不可欠なものでございまして,特に高齢化の中での市民福祉の向上と将来の京都の発展を支える都市基盤の整備につきましては,その着実な進捗を図ることが重要な課題であると考えております。年次計画は,社会経済情勢の変化や施策,事業の進捗状況等に対応していくために策定後2年を経過した時点で改定することとしてきております。厳しい財政状況ではありますが,平成の京づくり推進のための市政改革の取組を踏まえ,新基本計画の着実な進捗を図る観点から来年度に年次計画を改定いたしたいと考えております。 国の地方分権の取組についてでございます。国,自治体におきまして行財政の効率的な執行が必要であることは申すまでもないことでございまして,本市におきましても,これまでからその取組を進めてきたところでございます。この度の地方分権に向けての動きは,国の行政改革の一環として取り組まれているものでありますが,昨年の12月に閣議決定されました地方分権の推進に関する大綱方針におきましては,地方自治体の自主性,自立性を高め,個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することが基本理念として明記されております。また現在地方分権の推進に関する法律案の取りまとめ作業が進められておりますが,こうした地方分権への大きな流れは,地方自治の本旨の実現に向けて前進が図られる大きな機会でありまして,今後どのような実効ある地方行財政システムが具体化されていくかが大切であると考えております。本市といたしましても,現在市政改革懇談会に指定都市としての望ましい地方行財政制度の在り方について考え方の取りまとめをお願いしているところであり,その内容も踏まえ他の指定都市とも協力しながら国の施策への反映を求めてまいりたいと考えております。 次に地方自治の本旨と市民負担についてであります。私は,地方自治の本旨は自律的な市民社会の実現を目指すことにあると考えております。地方自治法第10条におきましても,市民は地方自治体の役務,サービスの提供を等しく受ける権利を有する,つまり行政サービスを公平に受ける権利があるという文言がございまして,それとともにその負担を分任する義務を負うとされておるところでございます。今回の市政改革におきましては,最小の経費で最大の効果を上げるという行政運営の基本に立ち返り,厳しい内部努力を行いますとともに,市民と行政が強い信頼で結ばれ,ともに協力して豊かな暮らしや京都の発展に向けて取り組む市政を実現してまいりたいと考えております。 また今回の市政改革は,文化首都の中核を目指す新京都市基本計画を着実に進めるために取り組むものでもあります。御指摘の京都迎賓館や高速道路,地下鉄東西線の建設につきましては,いずれも今後の本市の発展や市民生活の利便の向上に不可欠な事業でありまして,市民の皆様の大きな期待にこたえられるよう一日も早い完成に向けて取り組んでいるところであります。今後とも市民の皆様方の御理解と御協力を得ながら市政改革の取組を進め,生き生きとした高齢化社会の実現など市民福祉の充実はもとより,明日の京都の発展の基礎となる都市基盤整備事業など新基本計画を着実に実現してまいる決意であります。 超過負担につきましては,その解消を図るべくかねてから京都市独自で,あるいは他の指定都市と共同いたしまして国に対して要望を続けてまいりました。これを受けて国におきましても,国庫補助負担金の補助単価の引上げなど毎年一定の改善措置が図られてきたところでございますが,今後も引き続きまして大都市の実態に即応した税財政制度の確立に向けまして強力に要望を続けてまいります。 最後に御答弁すべきことは,戦後50年についてでございます。本市におきましては,平和都市宣言や世界文化自由都市宣言などを行い,平和を都市の理念に位置付けておりまして,この理念の下に新京都市基本計画を策定いたしまして,行政の各分野にわたり様々な取組を進めておるところでございます。特に本年は戦後50周年という歴史的な節目を迎えておりまして,記念事業を行うなど広く市民に平和の尊さと平和を守る努力を訴え掛けてまいりたいと考えております。 以下,助役,局長から答弁いたさせます。 ○副議長(西田輝雄君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) まず市の施設等の点検についてであります。今回の地震の後,市の各部局ではそれぞれ所管に係る各施設につきまして即刻被害状況の調査等いたしますとともに,災害時の救助体制の拡充と緊急連絡体制の周知徹底を図るなど子供たちや高齢者などの安全を守るための体制づくりに努めました。 次に建築物の構造についてでありますが,建築物は法令による構造基準に従って建設されております。特に耐震性につきましては,昭和56年に基準の見直しがされております。したがいまして耐震性を確保するための補強工事の取組につきましては,昭和56年以前に建設しております施設を中心に耐震調査や必要に応じた補強工事の検討を行うべきであると考えております。 次に地震の観測予知体制の問題についてであります。本市は,地震予知連絡会において特定観測地域に指定されておりますが,従来から国に対して大規模地震対策特別措置法に定める地震防災対策強化地域並みの措置がされるように強く要望しております。地震計による地震観測は広域的かつ継続的に実施することによって地震データの活用が期待できるものでございます。今後近畿圏内の地方自治体とも連携を図る中で地震予知の常時観測と測量体制が実施されます地震防災対策強化地域へ指定されるように検討してまいりたいと考えております。以上であります。 ○副議長(西田輝雄君) 内田助役。 〔内田助役登壇〕 ◎助役(内田俊一君) 市民生活を守るために必要な基幹施設の復旧への支援についてでございますけれども,現時点では応急復旧のために必要な人的物的支援に重点を置いて対応いたしております。今後の本格的な復旧工事に当たりましても被災都市とよく協議いたしましてできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。 次に浄水場,下水処理場及び地下鉄の耐震基準の見直しでございますが,既に国において調査検討委員会が設置されておりまして,耐震性に重点を置いた基準の見直しが行われつつあると理解いたしております。その結論等を見たうえで本市としても災害に強い施設の構築を行ってまいりたいと考えております。以上であります。 ○副議長(西田輝雄君) 松井消防局長。 〔松井消防局長登壇〕 ◎消防局長(松井延夫君) まず耐震性貯水槽につきましては,国による明確な設置基準が定められておりませんので,京都市におきましては災害発生時に避難される住民の方々の安全を図るために,広域避難場所等に計画的に整備を進めているところでございます。なおこの整備につきましては多大な経費が掛かりますことから,国に対しまして国庫補助金の増額,あるいはまた従前から要望いたしております地震防災対策強化地域並みの補助率の引上げ,あるいはまた設置基準を示すよう強く働き掛けてまいります。 次に消防車両や施設などの整備に要します財政措置につきましては,従来から国に対しまして強く要求しているところでございますが,消防の責務を十分に果たすため地方交付税の増額,とりわけ消防力の充実に欠かすことのできない国庫補助金の確保につきまして今後ともあらゆる機会を通じまして国に対して要求してまいります。 また消防団員の処遇改善につきましては,今後とも計画的に出動手当や福利厚生制度などより一層の充実に努め,処遇の改善を図ってまいります。以上でございます。 ○副議長(西田輝雄君) 若宮君。 〔若宮修議員登壇(拍手)〕 ◆(若宮修君) ただ今市長及び関係理事者から答弁いただいたわけですが,市長は,救援活動や震災防止条例あるいは原発での政府への要請など幾つかの点で前向きの答弁をされました。必ずそれを実行していただきたいと思います。 しかし市長や助役の答弁を聞いていますと,一番大事な点が欠落していることに気が付きます。通常的な防災対策費や日常的に行われている水道管の老朽布設替えまで全部入れて地震対策をよくやっていると開き直っておられるかもしれませんが,これは阪神大震災から何も学ぼうとしない態度ではありませんか。しかも市長の言われる防災費全体でも昨年より10億円減っているではありませんか。今求められていることは,阪神大震災の教訓を生かし京都市の重点施策を震災に強い都市づくり,人の命を大切にする政治への転換へ予算の根本的な組替えを行う道ではないでしょうか。この道こそ145万市民が求めている道と確信いたします。先ほども述べましたように総額4000億円もする京都高速道路や400億円も掛かる京都和風迎賓館などを凍結し,思い切って138億円の同和予算を削り,震災に強い都市づくりと市民の暮らしや営業を守る施策優先に切り替える,市民本位の市政に切り替えることが重要であります。 間もなく一斉地方選挙が戦われますが,この選挙では震災に強い都市づくり,人の命を大切にする政治への転換が問われるでしょう。日本共産党市会議員団は,大手ゼネコン,大企業優先,市民や職員に冷たい田邊市政とその与党と全面的に対決し,市政の刷新へ奮闘するものであります。このことを強く申し上げて私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(西田輝雄君) 暫時休憩いたします。 〔午後3時0分休憩〕 〔午後3時28分再開〕 ○議長(井上与一郎君) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。藤本貞子君に発言を許します。藤本君。 〔藤本貞子議員登壇(拍手)〕 ◆(藤本貞子君) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして,市長及び関係理事者に質問いたします。 1月17日早朝に発生した阪神大震災は,5400名を超える尊い命が奪われるなど戦後最悪の被害をもたらしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに,被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。 さて今回の阪神大震災は,地震が直撃した神戸市などにとどまらず,この京都の経済や市民生活にも深刻な被害をもたらしております。京都の地場産業の清水焼では,でき上がったばかりの製品が割れたり,被災地の百貨店などに委託販売していた商品が割れるなど陶磁器協同組合が掌握しているだけでも既に3億円もの直接の被害となっています。東山の祇園まちでは,地震後,お客が激減し,関連した広範な業者の所で甚大な被害が発生しています。西陣,友禅などの和装産業では,阪神間に得意先を持っている所も多く,掛売りで商品を預けていた得意先が倒壊したり火事で燃えてしまって商品も代金も回収不能という深刻な事態も発生しています。観光業も修学旅行のキャンセルが110校,2億8000万円の売上げ減,京の冬の旅も前年比74パーセント減など観光客が激減し,新規申込みもないため,ホテル,バス,タクシー,門前町などでは大打撃を受けています。また中小業者も被災地との取引が途絶えたり売上げが大幅に減るなど,中小企業金融公庫京都支店の調査で京都の中小企業6割に被害が出ていることが明らかになっています。このように直接,間接に営業や市民生活に及んでいる被害をどのように把握しておられるのか。そして今後の見通しはどうかお答えください。 京都市はこの度震災特別融資を実施されましたが,保証人,担保が必要で利子補給もないなど不十分です。各業界からも要望されているように,無担保無保証人無利子の特別融資の創設や国民健康保険料の減免,固定資産税の減免規定を天災,人災ともに救済の対象にすることなど緊急対策が必要ですが,どのようにお考えですかお答えください。 今回の震災では,亡くなられた方のうち過半数がお年寄りでした。本市の場合は65歳以上の高齢者人口が14.3パーセントと大都市のトップを占め,しかも古い木造住宅が密集していますから,京都で同規模の地震が発生したら神戸以上の被害が予想されます。それだけに福祉,医療の分野での早急な震災対策が求められています。まず本市で災害が発生した場合,避難介助を必要とするお年寄りや障害者はそれぞれどのくらいおられるのか,こういう方々を救助するシステムはどうなっているのかお答えください。 今回の地震の際に,緊急通報システムの電話は何度押しても掛からなかったという声が寄せられています。緊急通報システムが災害時に機能しないのは問題です。直ちに改善が必要です。どのような検討がされていますか。また今回の震災の教訓からも,昨年7月から実施されている基本料金の有料化を撤廃して緊急通報システムの普及を促進すべきだと考えますがいかがですか。 また今度の震災では災害医療体制のシステムを作ることがいかに大切かということが明らかになりました。本市においては,防災会議において震災時における救急,救護,医療体制の整備充実に関する調査研究も行われておりますが,その核となる京都府医師会との災害救護協定が結ばれていません。公的病院や保健所と民間の医療機関の協力体制など救急救護のネットワークが求められています。緊急の課題だと思いますがどうお考えですか。 震災に強いまちづくりに関連して,京都迎賓館建設計画についてお尋ねいたします。京都御苑は国民公園として多くの市民に利用されている一方,今回のような災害が発生したときの京都市広域避難場所として指定されています。本市の防災計画の中でも,京都御苑は市内の広域避難場所全体の収容可能人数の約1割を占めます。この京都御苑饗宴場跡地のグラウンドをつぶして迎賓館を建設することによって2ヘクタールの広域避難場所が失われることは人命最優先の立場からも絶対に許されないことです。震災に強いまちづくりという観点からも,今京都に必要なのは不要不急の迎賓館建設などではなくて,市民の憩いの場としても広域避難場所としてもかけがえのない京都御苑を現状のまま残しておくことではないでしょうか。迎賓館は棚上げして400億円の予算は本市防災計画の充実と神戸市などへの支援対策のために役立たせることこそ市民の声であり,政治の責任ではないでしょうか,お答えください。 まちづくりの問題の最後に,東山区総合庁舎建設についてお尋ねいたします。市長はこれまで平成8年に下水道東山幹線の工事が完了次第必ず建設すると約束してこられました。ところが本予算でも実施設計費が予算化されていません。いつ完成するのか明確な答弁を求めるものであります。更に区役所,保健所跡地などには特別養護老人ホームやケアハウスの建設などを行い,京都市内一の高齢化率22.1パーセントの東山区にふさわしいまちづくりを検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。 次に福祉,教育の充実についてお尋ねします。予算編成の重点として,2番目に高齢者保健福祉施策の充実が挙げられています。そして予算の中身を見ますと,市民と我が党が一貫して要求してきたホームヘルパーの増員,時間延長,重度心身障害者や精神薄弱者への対象拡大,全身性障害児者への介護人派遣,心の健康増進センターの実現など市民の切実な要求にこたえる内容も幾つか盛り込まれています。しかし特別養護老人ホームの待機者は1500人以上もいるのに,予算では3箇所で200人増にとどまっており,待機者改善の見込み薄と新聞にも報道されるほどです。ホームヘルパー派遣も週1回がやっとです。登録ヘルパーだけでなく,正職員を増やし安定した派遣をすべきです。現状は,市の高齢者保健福祉計画の目標からも市民の切実な要望からもまだまだ不十分です。例えば学校跡地や空いている公有地を活用して特別養護老人ホームなどの建設に踏み出すことは今すぐにでも可能です。我が党議員団は,高齢者保健福祉計画が策定されたときから,最大の問題は,計画の達成を保障する財政計画が明確にされていないこと,高齢者の実態や切実な要求から見れば目標そのものも極めて不十分であると指摘してきたところでございますが,現状の進行ではその不十分な計画すら達成できないのではありませんか。したがって計画に基づく実践の2年目に入る現時点において,改めてきめ細かな実態調査を行い,市民の切実な要求と実態を正しく反映した施策の内容と目標値に補正すること,そしてその実現の保障となる財政計画と年次計画を明確にし,国に対しても財源保障を要求することが必要だと思いますがいかがですか。 昨年10月1日から入院給食費に自己負担が導入され4箇月がたちました。入院給食が治療食であることを否定し,医療保険制度にも重大な後退をもたらしています。特にお年寄りや乳幼児を抱える家庭,障害者など社会的,経済的に弱い立場にある人々には大きな負担となっております。今医療機関では,給食費が払えないという人,重度なのに費用負担が大きくて退院せざるを得ない人も出ています。全国に先駆けて医療費助成制度の条例を改悪して,乳幼児,母子家庭,お年寄り,重度障害児者の福祉医療を後退させた田邊市長の責任は重大です。今全国の自治体で国の圧力を跳ねのけて自治体独自に入院給食費への公費助成を行う努力がされており,既に28都府県と政令指定都市の半数がいずれかの公費負担を決めています。京都市は,独自の助成は困難としながら府と協議していることを明らかにしてきましたが,府がやらなくても市独自で踏み切るべきです。現に京都府弥栄町では既に踏み切っているではありませんか。明確にお答えください。 併せて障害者福祉についてお尋ねします。重度心身障害者医療助成制度は,1級,2級の重度障害者に医療費を助成するものですが,所得制限があるため1箇月13万2000円以上の収入があると除外されます。その結果,助成を受けているのは7000人で,3000人もの方が除外されています。重度障害の方は,体力が弱いため病気の初期治療が何よりも大事で,医療費の無料化は重度の障害者が生きていくうえで不可欠です。他都市では,重度障害者の医療費助成制度の所得制限をなくしている自治体が多いのもそういう事情があるからです。所得制限の撤廃を求めるものです。お答えください。 養護学校などを卒業した障害児を受け入れている共同作業所は,障害児の進路保障に大きな役割を果たしています。平成6年度卒業生143人のうち26人が共同作業所へ受け入れられており,現在,市内の25箇所の共同作業所では450人の仲間が地域の方々に支えられて通っています。本市も共同作業所に対し補助しておりますが,各共同作業所の運営は厳しく,仲間の給料も1か月5000円の支給がやっとで,施設も古くて狭いなど,第2次障害者行動計画にある障害者が社会的,経済的自立をかち取るには程遠いものです。したがって国に対して国庫補助制度の改善と充実を求めるとともに,市としても1人当たりの補助金の大幅引上げ,施設と仕事の確保,施設老朽化に対する改修費,運営費の補助などの一層の拡充を求めるものです。御答弁ください。 次に保育行政についてお尋ねします。国は保育所の措置制度を否定するエンゼルプランを策定いたしましたが,保育関係者をはじめ国民の批判の中で実施を平成8年度以降に先送りし,緊急保育対策等5か年計画事業を予算化しました。保育ニーズの多様化にこたえた保育内容の充実は当然ですが,措置制度を否定する内容は削除させていくことが必要です。今後とも,この立場を堅持していかれるよう明確な答弁を求めます。 本市の保育園は9割近くを民間が担っており,今日まで公私格差を是正するために努力されてきたところでありますが,京都市保育園連盟,同保母会,同保護者会は平成7年度京都市保育予算に対して,プール制の堅持とともに,民間保育園職員の労働時間短縮を実現するための予算措置を要望しておられます。公立並みに週40時間労働を実現するためには,保母650人,調理員375人,用務員401人が不足しています。これでは民間保育園において職員の週休2日制を実現することは難しく,新たな職員の配置がなければ対策の立てようがない状態です。公私間格差を解消するために思い切った予算措置が必要です。どのように考えておられますかお答えください。 子育て支援として保育料の軽減は不可欠であります。保育料月4万円以上の世帯は50パーセントにも及び家計を圧迫しています。例えばゼロ歳,3歳の2人を保育園に入所させている夫婦の年収が530万円で,保育料は年69万円です。可処分所得の実に16.6パーセントが保育料です。京都市社会福祉審議会の答申で,高い保育料の保護者負担は限界に来ていると指摘しています。生活実態に合った保育料に改めるべきです。そのためにも地方自治体の財政を圧迫し,保護者負担の増大の原因となっている国の保育料積算基準の引下げと国庫負担率の完全復元を国へ強力に働き掛けていただきたいと思いますがいかがですか。 最後に中学校給食についてお尋ねいたします。全国の70パーセントの中学校で学校給食を実施しているにもかかわらず,京都市はいまだに中学校給食を実施していません。文部省は,平成4年7月に学校給食指導の手引を出しましたが,そこでは子供たちの基本的生活習慣の不足や人間関係の希薄化などを指摘したうえで,これらの食事環境の中に置かれている児童に対し,心身の成長期においてはもとより生涯を通じての健康な食生活に関する理解を深めさせていくこと及び幅広く健康について考えていく姿勢を培っていくことは,今学校給食の重要な役割と考えられますと,教育的にも子供たちの発達にとっても学校給食が重要であることを強調しています。昨年の決算市会でも,教育委員会は文部省の方針にも教育基本法など関係の法律にも弁当の推進は一切ありませんと答弁しているにもかかわらず,あくまでも根拠のない愛情弁当論を押し付け行政の責任を放棄してきたのです。そればかりではありません。本市の中学生が朝食をちゃんととっているのか,弁当を持ってこない生徒がどれぐらいいるのか,栄養面ではどうかなどという基本的な調査も実施していないことは問題です。京都市教職員組合がある中学校で行った調査では,朝御飯をほとんど食べてこない,時々食べてこない子供は合わせて22パーセント,弁当を持ってこない,時々持ってこない子供は合わせて31パーセントにも上っています。更に本市中学生が1日にとる栄養量の調査では,脂肪や蛋白質は多いが,カルシウムや鉄分,ビタミン類は必要量を下回っているという結果が出ています。このような調査すらしないで,教育委員会は,人生の中で最も心身ともに発達しなければならない中学生の健康について責任が持てるのですか,お答えください。 全国的には大都市でも実施の方向で豊かな学校給食に取り組んでいます。名古屋市では,いよいよ来年度から実施に向けての予算が付き,1998年度までにすべての中学校で実施されることが決定されました。本市での一日も早い中学校給食の実施を検討していただきたいと思います。御答弁ください。 今年は日本の女性たちが参政権を獲得して50年の年です。日本共産党は,女性が選挙で1票を投じることはもとより,法律上も全く無権利の状態に置かれていた戦前の時代から,18歳以上の男女の選挙権,男女平等を要求するなど一貫して女性の地位向上のために奮闘してまいりました。議会においても女性の進出を切り開き拡大する先頭に立ってきました。現在,日本共産党の女性議員は全国で約800人で,女性議員の数では第1党,この京都市会でも第1党となっています。私も日本共産党の女性議員の一員として,この誇りある伝統を受け継ぎ,女性の地位向上と女性の願い実現のため奮闘する決意を表明しまして,第一質問を終わります。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 田邊市長。 〔田邊市長登壇〕 ◎市長(田邊朋之君) ただ今の藤本議員の質問にお答えいたします。 今回の地震による被害でございますが,本市域におきましては,命を失われた犠牲者はございませんでしたが負傷者数十名をはじめ住家,建物の損壊,学校などの公共施設や貴重な文化財の被害が少なからず発生いたしました。また道路,水道施設の損傷あるいは通信回路の不通,更には鉄道の運休など市民生活に大きな影響があったところであります。また物流機能の低下や入洛観光客の減少などによりまして経済活動にも種々の影響が現れております。被災都市への支援を続けることはもちろんのことでございますが,市民の皆さんの生活の安定のための取組を強化していくことも極めて重要なことであると認識いたしております。 本市での被災者の方々に対する救済措置につきましては,個人住民税や固定資産税の市税,国民健康保険料の減免制度などの活用で被害の程度に応じて被災者の方々の負担軽減を図っているところであります。更に罹災住宅の復旧に対する新たな災害融資制度の創設や震災により影響を受けられた中小企業の方々には,災害復旧資金や新たに創設いたしました兵庫県南部地震対策特別融資などで対応いたしているところであります。今後ともこれらの制度を広く周知いたしまして制度の有効な活用を図ってまいります。 災害時の救急救護のネットワークについてでありますが,今回の震災のような大規模災害に対応するためには,民間医療機関と連携した医療救護活動の展開が不可欠であると認識いたしております。そのため今回の震災を大きな教訓としまして総合的な災害時の医療システムの構築に取り組んでまいります。また京都府医師会との医療応援協定の締結につきましては,従来からも協議検討を重ねてきておりまして,締結に向けまして引き続き協議を進めてまいります。 京都迎賓館の建設が予定されております京都御苑の広域避難場所につきましては,御苑全体を有効に活用する中で確保いたしてまいります。いずれにいたしましても,本市の地域防災計画の充実を図るとともに兵庫県南部地震による被災地域の一刻も早い復興を願い,本市としての支援はもちろんのこと,政令指定都市と連携して関係省庁に対して迅速かつ積極的な対応ができますよう緊急要望を行うなど取組を進めているところでございます。 京都市高齢者保健福祉計画につきましては,高齢者保健・福祉サービスニーズ調査の結果などを基にいたしまして,目標年度における必要量を見込んで策定したものであります。現在この計画の達成に全力を挙げているところであります。計画の実現のための財政計画や年次計画の策定は,国の予算との関係や用地の確保などから困難でありますが,厳しい財政状況の中にありましても引き続き最大限の努力を行いますとともに,計画の推進に必要な財源が確保できますよう今後とも国に要望を行ってまいります。なお平成7年度には,今後の施策に生かすための高齢社会対策実態調査を実施いたしてまいります。 以下,助役,局長から答弁いたさせます。 ○議長(井上与一郎君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) まず東山区総合庁舎の建設についてでございます。現在基本計画の策定に取り組んでいるところでございまして,この計画に基づいて平成7年度には基本設計を行い,更に下水道工事完了以降,地質調査や埋蔵文化財の発掘調査とともに実施設計を行うなど建設に着手してまいります。なお跡地につきましては,全市的な観点からその利用等について検討してまいりたいと考えております。 次に入院時の給食費の公費助成についてでありますが,入院時の食事につきましては,健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い,良質かつ適切な医療を効率的かつ安定的に提供していくとともに,保険給付の範囲,内容などを見直し,付添看護の解消や在宅医療の推進を図る一方で,家庭でも要している程度の額の自己負担が導入されたものと理解しております。本市独自にこの自己負担部分を助成しますことは,単年度だけでなく後年度にわたっても多額の財政負担を伴うことになり,本市の厳しい財政状況から実施は困難であると考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 松井民生局長。 〔松井民生局長登壇〕 ◎民生局長(松井珍男子君) まず緊急通報システムでございますが,このシステムは在宅の高齢者の方々に緊急事態が起こったとき救援活動を行うシステムでありまして,平成7年度では5400台への増設を図ったところでございます。今回の大震災のような異常事態においては,このシステムのみで対応することは困難でございまして,近隣協力員の皆さんや民生委員の方,あるいは老人福祉員の方等を中心に,認め合い支え合う地域づくりが必要であると考えております。なお電話の基本料金につきましては,本年度のとおりでお願いしたいと考えております。 次に重度心身障害者医療費の支給制度につきましては,重度の障害のある市民の保健と福祉の向上を図るため,医療費の一部を支給する制度として実施しているものでございます。所得制限を撤廃することは,この制度が他の福祉医療制度と同様に京都府の補助を受けて実施しているものであることや後年度にわたる多額の財政負担を伴うことから困難であると考えております。 次に共同作業所につきましては,障害のある市民の社会参加と福祉的就労の場として重要な役割を果たしていると認識いたしております。本市といたしましては,毎年運営費の改善を図るとともに整備に対する補助も行っているところであります。しかしながら,国庫補助制度が十分に確立されていない状況の下では市単独事業としての限界があり,今後とも国に対しまして制度的な充実を要望してまいりたいと思っております。 次に保育所措置制度でございますが,今後とも京都市社会福祉審議会答申の趣旨並びに昨年12月に本市会から出されました意見書を踏まえまして,他の政令指定都市とも連携いたしまして現行の児童福祉法に基づく公的保育制度の堅持と拡充を国に対して要望してまいりたいと思っております。 次に保育所の公民格差の解消についてでございますが,従来からその是正に向け取組を進めております。平成7年度におきましては誠に厳しい財政状況下ではありますけれども,プール制に係る予算を確保するとともに,労働時間の短縮対策として一定の改善を図るための予算を計上いたしました。しかしながら,これらの措置の更なる改善につきましては,国制度の一層の充実がなければ困難であり,今後とも国に対して要望を続けてまいります。 最後に保育料の問題でございますが,国の保育料徴収基準が毎年改定されている中で,本市では今日まで2年に1回の改定といたしまして,また国基準のおおむね60パーセントにとどめまして保護者の負担軽減を図っているところであります。本市の厳しい財政事情の下,現行の保育水準を維持向上していくためには保護者にも最小限の御負担をお願いせざるを得ないと考えております。今後におきましても保育料積算基準の改善と超過負担の解消を国に対しまして要望してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 松井消防局長。 〔松井消防局長登壇〕 ◎消防局長(松井延夫君) 避難介助を必要とする方々は現在2万5000人と把握いたしております。災害発生時の救護体制でございますが,近隣者の方々あるいはまた消防団,自主防災会が連携し早期に救護できるように現在努めているところでございます。今後も今回の地震を踏まえまして,地域ぐるみの積極的な取組が行われますよう指導してまいりたいと思っております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 桝本教育長。 〔桝本教育長登壇〕 ◎教育長(桝本頼兼君) 中学校給食についてでございますが,今日まで繰り返しお答えしておりますとおり,保護者がお忙しい時間を割いて心を込めて用意される愛情弁当は,飯,風呂,金の会話に象徴されるような親と子の関係を克服し,温かい家族的なきずなを強め,多感な年代にあるお子たちの精神的な安定を増すなど教育的にも大変意義があると考えております。したがって今後とも中学校給食を実施する考えはございません。 ○議長(井上与一郎君) 藤本君。 〔藤本貞子議員登壇(拍手)〕 ◆(藤本貞子君) ただ今市長及び関係理事者から御答弁いただきましたが,市民の切実な願いには大変冷たいのが特徴でした。特に高齢者,障害者,母子家庭などの入院給食費の助成制度につきましては,12政令市のうち既に7市が助成を決めており,本市独自で実施しても3億5000万円,府と協力して助成すれば2億円ですから,本市の財政規模から見て当然実施すべきです。本日多くの請願が提出されていることも併せて御紹介しておきます。 また今回の震災被害に対する対策については,現状の対策では本当に困っている人が救えないと指摘したにもかかわらず,現在の対策でよしとする御答弁でした。市民や中小業者の切実な声に耳を傾けて更に抜本的な対策を行うべきです。住民の安全,健康及び福祉を保持することを一番大切な仕事とする地方自治体は,こういう施策こそ最優先させるべきです。このことを申し上げて私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 次に山本豊君に発言を許します。山本君。 〔山本豊議員登壇(拍手)〕 ◆(山本豊君) 日本共産党の山本豊でございます。私は,日本共産党市会議員団を代表いたしまして,阪神大震災による被害対策,地下鉄建設,いじめ問題,同和問題などについて市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず最初に,私は,阪神大震災でお亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りするとともに,被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。 私の質問の第1は,本市における震災対策についてであります。阪神大震災は,本市におきましても西京区新林小学校のプールのひび割れなどによる1億1000万円を超える被害をはじめ,市内49箇所に及ぶ国宝,重要文化財の損傷,多数の家屋の損壊など相当規模の被害をもたらしたのであります。私も地震直後,直ちに住まいしております伏見区醍醐地域を調査しましたが,既に新聞等で報道されました国宝指定の醍醐寺の五重の塔の壁の亀裂にとどまらず,民家の石垣や灯籠の倒壊,壁やタイル,窓ガラスの破損,家具の転倒など相当数に上っているのであります。特に大受団地1棟など高層の市営住宅や新築されて1年もたたない醍醐西団地11棟など,1階部分が吹き抜け構造になっている建物の被害が大きく,建物と建物の連結部を中心に鉄筋がむき出しになり,コンクリート部分がほとんどの階で剥離,脱落し危険な状況となっているのであります。鉄扉の枠が変形しドアが閉まらなくなった家や壁面にX型の亀裂が入った所も枚挙にいとまがないのであります。入居されている方々の中には,余震が来て建物が倒壊しては大変と,駐車場の車のなかで二,三日暮らされた方や,地震後,親戚の家に避難して,いまだに恐くて帰ってこられない方もあるという状況であります。また西京区樫原,山田地域一帯では屋根瓦がすべてずり落ちた家をはじめ,ブロック塀の倒壊,壁の損壊など450戸以上の家屋に被害が及び,これらの修復に1軒で800万円以上も要した例があるくらいであります。 そこでお尋ねいたします。このような鉄筋コンクリート造りの市営住宅が震度5の地震でなぜ損壊したのか。軟弱地盤での造成や建築構造上耐震性に問題はなかったのか。専門家や技術者による原因究明と抜本的な耐震基準の見直しを行い,震度7を想定した補強工事が必要と考えますが,住宅局長の御答弁を求めるものであります。 また今回の震災で壊れた一般家屋の補修については,罹災住宅に対する緊急低利融資を創設し一定の対策をとられたとのことでありますが,この融資の限度額は450万円,利子は年3パーセントと震災対策としては現状に合わない不十分なものであります。国にも補助を求め,限度額の大幅な引上げや利率の引下げなどを行うべきと考えますが,併せて御答弁を求めるものであります。 今回の地震では,これまで安全とされてきました高速道路,新幹線,地下鉄などで甚大な被害が続出し,特に神戸市の地下鉄ではオープンカット工法の部分を中心にトンネルの支柱が全体で400本以上も損壊し,天井がV字型に陥没するという被害がありました。先ほど紹介しました市営醍醐西団地の東側では,地下鉄東西線の車庫が建設中であり,この上に先日起工式が行われました6階建て高さ31メートルのダイゴセンターが建設されるのでありますが,地元の方々から地震が来たらダイゴセンターが崩れ落ちてこないかとの不安の声が寄せられているのであります。地下鉄の安全神話がもろくも崩れ去った今,地下鉄は地震の影響は考慮に入れなくてよいとのこれまでの耐震設計基準を抜本的に見直すことが重要であります。 そこでお尋ねいたします。本市におきましても,この大震災の教訓を生かし,何よりも住民の命と安全を守る立場から,国の耐震基準の見直し待ちにならず,本市独自に専門家や市民の参加も得たプロジェクトチームを作り,直ちに地下鉄の安全性についての総点検を行うこと。そして現在建設中の地下鉄東西線及び烏丸線の北北進工事については,開通までに震度7に対応できる構造上の補強工事を行うべきと考えますが,交通事業管理者の御見解を求めるものであります。なお営業中の烏丸線北山駅以南については,神戸市において被害が集中したオープンカット工法区間がほとんどであり,震度7に耐え得る構造にするための補強工事を行うべきであります。併せて御答弁を求めるものであります。 次に地下鉄東西線建設費膨張問題についてお尋ねいたします。地下鉄東西線の早期完成は,交通不便な伏見区醍醐,山科区の住民にとって長年の悲願であり,地域の活性化,福祉のまちづくりにおいても欠かせない重要な課題であります。ところが昨年来明らかになりましたゼネコン言いなりの相次ぐ契約変更の結果,建設費の2倍もの膨張,工期の3年間の延長が行われる中で,市民から一体どうなっているのか,ゼネコン言いなりの市長の下で本当に地下鉄は完成するのかなどの声が出ているのであります。我が党議員団は,地下鉄議会と言われました昨年2月の予算市会及び7月の臨時市会などの審議を通じて地下鉄東西線建設費膨張問題の最大の原因が田邊市長,あなたのゼネコン言いなりの80回以上にも及ぶ契約変更などにあると指摘し,当初設計の甘さや後追い契約問題,当初から当然予測できる街路樹,上下水道管などの移設工事を除外した設計などずさんな契約,設計変更について厳しく指摘し強く改善を求めてきたところであります。しかし田邊市長をはじめ市理事者は,我が党の指摘に何ら反省もせず建設費の大幅な膨張について,市民しんぶん等で他都市と比較しても本市の地下鉄建設費は高くないなどと言い訳に終始してきたのであります。 そこでお尋ねいたします。昨年12月の平成6年度定期監査報告でも,監査対象となった33件のうち24件で延べ59回に上る設計変更が行われたこと。同一工事で何回も変更を繰り返し当初請負金額を大幅に超えたもの。契約変更手続を行わないまま工事に着手し,後で手続を行ったものなど,この間我が党が指摘してきた問題点を全面的に裏付ける指摘がされているのであります。市長,あなたは,これらの指摘を一体どのように受け止めておられるのか。また各担当部局にどのような改善を指示されたのか明確なる御答弁を求めるものであります。 なお財源問題につきましては,国からの補助金や起債などが認められ,あたかも財政危機が回避されたかのような説明がされておりますが,市民にとっては後年度負担が重くのし掛かり,根本的な解決には程遠いものであります。田邊市長,あなたのゼネコン言いなりの姿勢の結果引き起こされた東西線建設費膨張問題の重大な責任は免れ得ないものであることをここに改めて厳しく指摘しておくものであります。 次にいじめ問題についてお尋ねいたします。昨年11月,愛知県西尾市の中学生大河内清輝君がいじめを苦にして自らの尊い命を断ち,全国の人々に大きな衝撃を与えました。その後,連続して起こった中学生の痛ましい自殺事件は,私たちの心を締め付け,今大きな社会問題となっているところであります。今こそ人間を大事にする教育が必要であります。そしていじめをなくすために,学校,父母,地域,行政が力を合わせなければなりません。また先生方には,どんないじめも許さずに,子供の人権と人間らしい成長,発達への権利を守ってやって欲しいと願うものであります。PTAや地域での教育懇談会,パトロールや一声運動など子供の健全な環境づくりの運動も重要であります。それらのうえに立って,行政の役割は何かということについて教育委員会に質問するものであります。 あの悲しい事件について,外国の新聞もかなり採り上げました。ニュアンスの違いはあれ,共通して教育における過酷な競争制度が背景にあると報道しているところであります。以前,教育の内容を示す学習指導要領について,文部省の関係者が3割の子供さえ分かればいいと発言し物議を醸しましたが,これを裏返して言えば,7割の子は切り捨てられても仕方がないと教育行政の中心である文部省が言っているのであります。実際に子供の教科書を手に取ってみれば,昔と比べて驚くほど難しい。これでは大変だと塾に行かすなどの競争が起こるのは当然であります。この競争の教育は,他人を蹴落として1点でも多く取ることが重視され,人間の評価がすべて偏差値,点数,勝ち負けでなされ,競争に付いていけない子供には屈辱感や人生に対する無力感が蓄積され,そんな中から子供の知識と体の健全な発達がゆがめられ,特定の人間に対する軽蔑,侮辱が横行してくるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。いじめ問題に関して現職閣僚からも文部行政に問題ありとして意見書が出されておりましたが,いじめの背景にこのような政府,文部省の教育政策があり,これを根本的に転換することが重要と考えますが,教育委員長の御見解を求めるものであります。 次に管理主義教育の問題であります。清輝君が通っていた学校では,学校生活についてがんじがらめの校則があり,生徒を管理,監督の対象としておりました。服装には30項目の細かい指示があり,更に驚いたことに,生徒会の規則には生徒会活動に関するすべての最高決定権は校長にあると,何のための生徒会かと思わすようなことが書いてあるのであります。京都でも,例えばある中学の生徒手帳には,服装は標準服,その下には学校指定のポロシャツ,そのボタンは上まで止める。靴は白地白ひもの運動靴,全部の穴にひもを通し外側で結ぶ。髪の毛の横は耳が隠れない。前は垂らしても眉毛が隠れないと事細かく指示されているのであります。なお教師からの体罰も各地で問題になっております。子供を人間として大切にしない管理主義教育の中で,子供たちはやり場のない閉塞状況に追い込まれ,暴力を伴ういじめが発生する土壌が作られているのであります。私は,いじめの原因にこのような管理主義教育があると考えるものでありますが,教育長の御見解を求めるものであります。 最後に同和行政についてお尋ねいたします。平成7年度本市同和関係予算は138億円といまだに膨大な額が計上されておりますが,これは今全国の自治体で特別施策としての同和対策事業を見直し,一般施策への移行を目指す取組が進められ,同和関係予算が大幅に縮小されていることとはまさに対照的な状況であります。本来同和対策事業は,過去の身分差別によってもたらされた格差を是正するための特別措置として行われてきたものであり,本市でもこの30数年間の特別枠の同和事業により,住宅,教育,就労などの格差は大きく改善され,部落差別の解消は大きく前進してきたところであります。真に差別をなくすためには,このような特別施策の垣根を取り除き,同和対策事業を早期に終結させ,一般行政に発展的に移行,解消させることこそ最も重要であり,真に部落を解放する道であります。地下鉄東西線の建設費膨張を口実に,市民や本市職員にはリストラ,合理化,総我慢を押し付けながら,同和予算だけは全国の趨勢に逆行して莫大な額が計上されているのであります。本市のゆがんだ同和行政の是正は,市民の市政への信頼をかち取るための不可欠の課題となっているところであります。 そこで質問の第1は,改良住宅用地の買収に絡んで異常な移転補償費を支払った問題についてであります。本市のゆがんだ同和行政を背景として起こりました公金不正支出事件がいまだに未解明のまま放置され,市民の市政に対する信頼を失墜させてきたところでありますが,昨年暮れの普通決算特別委員会で,我が党委員の追及で今なお架空補償の密室処理が行われていたことが明らかとなったのであります。問題の改良事業用地は,当時暴力団M組長が所有する土地と建物であり,1982年2月ごろ,この組長の所有地を改良事業用地として京都市が買収する際に,同組長がわずか32坪の土地に1億3000万円という法外な買収費を要求したことから事件となったものであります。同組長は金融業を経営しているように装って,架空の営業損失補償金などで京都市から公金を詐取しようと計画,架空書類を作り,同年5月には営業損失補償金約1062万円を詐取。8月には同事業対象区域の他人の土地に架空の倉庫会社があったことにして移転補償費約2133万円,更に住んでもいないのに架空の5世帯の移転の補償費も上乗せして合計7000万円余りを土地開発公社から詐取し,1986年4月に関係していた市職員とともに逮捕されたのであります。この事件は1990年6月,京都地裁で有罪判決が確定されていたのであります。ところが土地開発公社は,有罪判決の後も同組長に不正に詐取された約3200万円の返還を請求しないまま放置し,市は不正支出であることを知りながら,93年12月17日に公社から買い戻し,市議会にはこの事件について報告することなく,決算書にも記載することなく決算承認を提案していたのであります。 そこでお尋ねいたします。このように裁判で明確に違法との判決が出されたにもかかわらず,違法な補償の返還を求めないばかりか,架空の移転補償費を含む不当な支出に何ら歯止めをも掛けず,市民の貴重な税金を無駄遣いしてきたことについて市民にどのように説明されるのか。田邊市長の御答弁を求めるものであります。 第2点目は,運動団体への補助金の在り方であります。昨年度決算の事業報告によりますと,昨年3月の部落解放同盟第51回全国大会に京都から95名が参加したとなっており,京都市から280万円の事業補助が支払われております。ところが,この全国大会に参加した代議員は京都府全体で46名と報告されており,解放同盟京都市協議会の割当代議員は20数人であります。旅費と宿泊費などの明細を見ても1人当たりの経費は5万円であり,必要額は合計約100万円にしかならないのであります。そうすると差額の180万円はどうなったのか,誰の手に渡ったのか,疑問は深まるばかりであります。 そこで薦田助役にお尋ねいたします。昨年の決算委員会で我が党議員が,この全国大会に何人参加したのか。このような市民の疑惑を招くような補助金の支出は認められないと追及しましたが,その後調査されたのか。このような補助金の支出の在り方は直ちに改めるべきと考えますが,御答弁を求めるものであります。 私ども日本共産党は,戦前の自由も民主主義も圧殺された暗黒政治の下でいかなる弾圧にも屈せず,侵略戦争反対,平和と民主主義を守り,国民こそが主人公の政治の実現を目指す闘いとともに,部落差別をはじめ,あらゆる差別をなくすために全力で奮闘してまいりました歴史で試され済みの政党であります。だからこそ,我が党は,部落解放同盟の糾弾をはじめ,暴力,利権の横行を断固として許さず,本市同和行政の是正を繰り返し求めてきたところであります。引き続き我が党は,多くの市民の皆さん方とともに同和問題の真の解決に向けて全力で奮闘することを申し上げ,私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(井上与一郎君) 田邊市長。 〔田邊市長登壇〕 ◎市長(田邊朋之君) 山本豊議員の質問にお答えします。 平成6年度の交通局にかかわる工事定期監査についての御質問がございました。広範囲にわたる工事が監査の対象となっておりまして,入札及び契約事務,工事における設計事務,施工管理などはおおむね適切に処理されてきたという監査報告を受けております。しかしながら,この報告の中で御指摘を受けております注意又は検討を必要とする事項につきましては,私といたしましても真摯に受け止めまして,既に交通局に対しまして改善措置を指示いたしたところであります。今後とも適正な事業運営に努めてまいる所存であります。 以下,助役から答弁を行わせます。 ○議長(井上与一郎君) 薦田助役。 〔薦田助役登壇〕 ◎助役(薦田守弘君) 用地買収に絡みます過去の不適切な事務処理等に起因する事案の処理につきましては,学識経験者を委員とする京都市臨時不動産取得審理会を設置し御審議いただいた結果,契約内容の把握,処理方針等に関する答申をいただき,これまでこの答申に基づき具体的な処理を行ってきたところであります。この事案につきましても,土地開発公社からの買戻しに当たりまして審理会の処理方針の基本的な考え方に沿って契約内容等を精査し,現在の補償基準に照らした再評価も行ったものでありまして適正な処理でございます。 次に運動団体にかかわる補助金の支出についてのお尋ねであります。同和地区における団体等が実施しております事業で,同和問題の解決に有効かつ適切な事業に対して助成要綱を定めて予算の範囲内で助成を行っております。御指摘の件につきましては,その実施状況,内容,人数を確認のうえ適正に執行したものであります。(発言する者あり)御指摘の人数は大会への参加枠という人数でございます。今後とも助成要綱に基づき適正な執行を行ってまいります。以上であります。(発言する者あり) ○議長(井上与一郎君) 武居住宅局長。 〔武居住宅局長登壇〕 ◎住宅局長(武居桂君) 市営住宅の耐震性についてのお尋ねでございますが,市営住宅の建設に際しましては,まず地質調査を実施し,昭和56年の新耐震設計による構造基準で設計しておりまして,地盤に対しても基礎杭を打つなど安全性の確保に努めております。しかしながら,今回のような強い地震では,建物の形,方向,地質等によって地震の力の加わり方に差が生じ,壁の亀裂等が起こることがございます。御指摘の醍醐西市営住宅について調査いたしましたところ,一部に壁の亀裂等の被害が見受けられましたが,建物の安全性については構造上支障はありませんでした。今後兵庫県南部地震の被害状況の調査結果を踏まえ,また国の基準の見直しや本市の防災計画におきます調査研究などの推移を見ながら必要な対応を行ってまいりたいと考えております。 次に罹災者への住宅融資でございますが,この度創設します災害融資は,現行の総合住宅資金融資制度に加えて,兵庫県南部地震のため罹災した住宅復旧資金を緊急かつ低利に融資するものでございます。今回の地震によります本市の罹災住宅は約500件でありまして,主に屋根や壁の損傷程度の被害がほとんどでございます。このため罹災住宅の復旧は,増改築や修繕といった住宅の一部改善であると考えております。また利率につきましては他の融資と比較しても低い利率を適用しております。このほか京都府においても本市と同様に限度額450万円の制度を創設する予定でございまして,両方併せて利用することができます。またそのほか国の制度である住宅金融公庫の災害復興住宅資金融資も併せて利用ができます。今後ともこれらの制度を本市の被災者に広く周知を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 中谷管理者。 〔中谷公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(中谷佑一君) 地下鉄の点検,補強についてのお尋ねでございますが,今回の地震により神戸市の地下鉄が損壊したことは,京都市といたしましても深刻に受け止めております。本市においても地震発生後,直ちに現場状況の調査を行ってまいったところであります。なお建設中及び営業中の地下鉄施設の補強工事につきましては,現在運輸省等の関係機関において技術基準の見直しが行われており,本市としても十分連携を図りながら情報の収集に努め,その動向を見極めたうえでできる限りの対応をしてまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 佐野教育委員長。 〔佐野教育委員長登壇〕 ◎教育委員長(佐野豊君) いじめ問題についての御質問にお答えいたします。いじめは子供たちの心身に重大な影響を及ぼす深刻な問題でありまして,人間形成の根幹にかかわる課題でございます。教育委員会といたしましては,いじめはどこにでも存在し,誰もが加害者にも被害者にもなり得る我々にとって極めて身近な問題であるとの認識の下に,学校とともに教育委員会の組織を挙げて総力でその根絶に取り組んでおります。 いじめの問題の背景は極めて複雑でありまして,その原因は現代社会の精神的ひずみとも深く関連しており,短絡的に論じられるものではございません。現在の学歴社会の下で激化する受験競争もその重要な一つであると考えられ,国においても高校の教育内容や大学入試の在り方などについて検討が進められておりますが,いまだ容易には抜本的対策が見出されておらないのが実情でございます。今後ともいじめの問題は,今日の教育に課せられた最重要の社会的課題であるとの認識に立って,その根絶に向けて全力を傾けて取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 桝本教育長。 〔桝本教育長登壇〕 ◎教育長(桝本頼兼君) 引き続きいじめについてでございますが,今日の深刻ないじめを根絶するためには,学校,家庭,地域が一体となってその総力を挙げて取り組む必要があると認識しております。教育委員会といたしましては,1,いじめを許さない子供たちの意識の高揚と実践力の育成。2,全校に設置したいじめ対策委員会を中心とした教職員の熱意あふれる取組。3,家庭,地域社会ですべての子供をはぐくむ教育力の向上の3点を取組の柱として,平成7年度から子供たちの自主的な啓発,アピール活動の推進など8項目に及ぶいじめ根絶総合実践事業を推進してまいります。 校則は学校生活における基本的ルールであり,校則そのものが直ちに御指摘のような管理主義教育に結び付くものとは考えておりませんが,その内容が地域や子供たちの実態に応じたものとなるよう各学校において常に点検,見直しを行っております。なお体罰につきましては,当然のことながら学校教育法の精神を体して厳しく戒めてまいっております。以上でございます。 ○議長(井上与一郎君) 山本君。 〔山本豊議員登壇(拍手)〕 ◆(山本豊君) ただ今御答弁いただいたわけでありますが,特に改良事業用地の買収問題に絡んでの密室処理について薦田助役は,不動産審理会でやっている。適切な買収だとおっしゃいました。しかしこの不動産審理会は市長の任命されたメンバーによって構成されておりますし,議会にも市民にも責任を持つものではないことを厳しく指摘しておくものです。不動産審理会でやっているからという隠れみのは許されないことを厳しく指摘しておくものであります。 なおその他の同和問題につきましても,またいじめ問題につきましても,先ほどの御答弁のような理事者の認識では,真の問題解決にはまだまだ程遠いものがあり,市民の期待に反したものであることを厳しく指摘しておくものであります。 なお先ほどの中谷交通事業管理者の御答弁では,地下鉄の耐震性の補強については運輸省などの動向を見極めたうえで対応するとのことでありましたが,これでは1年先になるのか,一体いつになるのか分からないのであります。本当に市民の不安を取り除き市民の安全を守る立場に立たれるならば,国待ちにならず直ちに本市独自に耐震性を強化する計画を作るべきであります。現に大阪市では2月17日に地下鉄全線で高架橋や地下鉄部分の耐震強化工事に着手する計画を策定し,4月から補強計画を策定するための健全度調査を実施すると発表されているのであります。市民の安全のためにやろうとすれば本市独自でも十分大阪市のようにやれるのであります。このことを田邊市長に強く求めまして,私の質問を終わるものであります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(井上与一郎君) 本日の審議はこの程度にとどめ,延会いたしたいと思いますが,御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上与一郎君) 御異議なしと認めます。よって本日は,これをもって延会いたします。 〔午後4時38分延会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    井上与一郎          副議長   西田輝雄          署名議員  奥山茂彦          同     藤原冬樹 △請願文書表「受理番号785」「マンションの建設確認留保」・請願文書表「受理番号786」「マンション建設の指導」 △請願文書表「受理番号787」「マンション建設の指導等」・陳情文書表「受理番号39」「宅地造成の指導」 △地方公務員法第5条第2項の規定に基づく意見について・財政総務委員会報告書厚生委員会報告書建設委員会報告書...