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12月06日-03号

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  1. 宇土市議会 2017-12-06
    12月06日-03号


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    平成29年12月 定例会(第4回)         平成29年第4回宇土市議会定例会会議録 第3号           12月6日(水)午前10時00分開議1.議事日程 日程第1 質疑・一般質問  1.野口修一議員   1 公共交通と地域活性化   2 森・里・川の保全   3 震災復旧と景観形成  2.中口俊宏議員   1 歴史的な資源の景観保全策について   2 網津地区の治水対策について   3 安全・安心なまちづくりについて  3.藤井慶峰議員   1 市長としてこれまでの市政運営と今後について2.本日の会議に付した事件 議事日程のとおり3.出席議員(18人)    1番 今 中 真之助 君       2番 西 田 和 徳 君    3番 田 尻 正 三 君       4番 園 田   茂 君    5番 宮 原 雄 一 君       6番 嶋 本 圭 人 君    7番 柴 田 正 樹 君       8番 平 江 光 輝 君    9番 樫 崎 政 治 君      10番 野 口 修 一 君   11番 中 口 俊 宏 君      12番 藤 井 慶 峰 君   13番 芥 川 幸 子 さん     14番 山 村 保 夫 君   15番 杉 本 信 一 君      16番 村 田 宣 雄 君   17番 浜 口 多美雄 君      18番 福 田 慧 一 君4.欠席議員(なし)5.説明のため出席した者の職・氏名 市長      元 松 茂 樹 君   副市長     池 田 信 夫 君 教育長     太 田 耕 幸 君   総務部長    荒 木 繁 男 君 企画部長    石 田   泉 君   市民環境部長  瀧 口 卓 也 君 健康福祉部長  中 川 玲 子 さん  経済部長    小 山   亨 君 建設部長    野 添 秀 勝 君   教育部長    山 本 和 彦 君 会計管理者兼首席審議員         首席審議員兼網田支所長         佐美三   洋 君           大 原   太 君 首席審議員兼農業委員会事務局長     総務課長    杉 本 裕 治 君         唯   勇 一 君 危機管理課長  江 河 一 郎 君   財政課長    光 井 正 吾 君 企画課長    石 本 尚 志 君   まちづくり推進課長                             淵 上 真 行 君 環境交通課長  伊 藤 誠 基 君   農林水産課長  野 口 泰 正 君 土木課長    草 野 一 人 君   都市整備課長  山 崎 恵 一 君 文化課長    野 田 恵 美 さん6.議会事務局出席者の職・氏名 事務局長    宮 田 裕 三 君   次長兼庶務係長 湯 野 良 子 さん 議事係長    牧 本   誠 君   議事係主事   志 垣   勲 君                午前10時00分開議             -------○------- ○議長(山村保夫君) これから,本日の会議を開きます。             -------○------- △日程第1 質疑・一般質問 ○議長(山村保夫君) 日程第1,質疑並びに一般質問を行います。発言通告があっておりますので,順次これを許可します。 10番,野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 改めまして,皆さん,おはようございます。政風会の野口でございます。12月議会で質問の機会をいただきありがとうございます。今回の一般質問は,公共交通と地域活性化について,森・里・川の保全について,震災復旧と景観の形成について質問させていただきます。執行部におかれましては,簡潔明瞭な回答をお願いして,これから後は質問席より質問させていただきます。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 最初のテーマ,公共交通と地域活性化については,これまで何度も一般質問してきましたが,今回は公共交通の現状,新交通システムのミニバスの活用,地域おこし協力隊と観光の視点で西部活性化について質問をいたします。 はじめに,質問の前になぜこの質問をするかお話をします。この質問を思い立ったのは9月議会で中口議員が宇土市の住みやすさについて質問されたの対し,石田企画部長は,宇土市のどこに住んでいても住みよいと思っていただけるようにしていきたいと回答されました。宇土市の地域性を考えると,熊本市に近い宇土駅周辺部や花園地区の国道3号線沿いで開発された団地に若い世帯が集中しています。移り住む若い家族の一部は,網津,網田の元住民もいます。その流れで西部地区は高齢化が進み,後期高齢者の比率も高くなり,日常生活にも支障が出る状況になりつつあります。特に車の運転をしない高齢者にはとても不便な地域となっていて,その人たちは公共交通が頼りとなります。 そこで,現状を知るために宇土市の公共交通,宇土駅,三角駅のJR三角線と路線バスの利用状況,過去3年の推移について御報告をください。企画部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 企画部長,石田泉君。 ◎企画部長(石田泉君) おはようございます。野口議員の御質問にお答えします。 まず,JR三角線のここ3年間の利用状況について報告します。JR三角線が通過する駅は,宇土市内では,宇土駅,緑川駅,住吉駅,肥後長浜駅,網田駅,赤瀬駅の六つがあります。過去3年間の利用状況について,JR九州熊本支社に照会したところ,宇土駅を除く五つの駅については,社内規定により情報公開の対象外との回答がありました。したがって,少し古い資料になりますが,平成24年3月に策定した,宇土市生活交通ネットワーク計画に掲載しております調査結果の中からJR鹿児島本線の利用客が含まれている宇土駅を除いた五つの駅の乗降客数を報告します。平成20年度32万9,680人,平成21年度32万1,250人,平成22年度31万9,973人と,年々減少傾向になっております。そのうち,網田地区にあります肥後長浜駅,網田駅,赤瀬駅の三つの駅の乗降客数は平成20年度16万1,420人,平成21年度15万800人,平成22年度15万3,063人という状況になっております。 次に,産交バス株式会社が運行する宇土駅前から三角産交間の過去3年間の輸送人員について報告します。平成26年度3万48人,平成27年度2万7,815人,平成28年度2万5,774人と減少傾向にあります。なお,平成29年度は速報値になりますが,2万6,462人と,若干上向く見込みとなっております。これは平成28年に発生した熊本地震の影響で,バスの利用が一旦は落ち込みましたが,徐々に回復したことが要因だと考えております。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 報告ありがとうございます。 JR九州が昨年一部上場してからは上位300駅以外の乗降客数を報告しないそうで最近のデータはないですが,西部地区の人口減少,三角町,旧大矢野町の人口減少からも,5年前,7年前の利用者数より今はさらに減っていると推察します。また,産交バスの利用はほぼ横ばいか下降気味で増える要素はないように思います。2番目,3番目の質問とも関連するデータとなりますので,質問させていただきました。 次の質問に移ります。 宇土市独自の公共交通に定着しつつある,各地域と市街地を結ぶミニバス「のんなっせ」と市街地循環バス「行長しゃん号」は,市長一期目のマニフェストの新交通システムを具現化したものですが,その路線の中で,今休止しています網田のミニバスについて聞きたいので,当初あった網田のミニバス路線を利用するだろうと予想された人口について。また,網田地区で今後増える免許返上人口を年齢等から予測するとどれくらいなるかについて御報告ください。企画部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 企画部長,石田泉君。 ◎企画部長(石田泉君) 質問にお答えします。 平成24年10月から網田地区でミニバスの運行を開始しましたが,その際の対象人数についてお答えします。 平成24年3月に策定した宇土市生活交通ネットワーク計画における市民アンケートの調査の結果によれば,70歳代の無免許者の割合は37.5%,80歳以上では66.5%と,高齢になるにつれて運転免許の保有率が低くなる状況にありました。したがって,網田地区の70歳以上の高齢者人口,アンケート結果による無免許者の割合,そして要介護認定を受けていない高齢者の割合を基に算定したところ,網田地区においてミニバス運行を実施した場合の対象者は480人程度と見込んでおりました。なお,今後の見込につきましては,免許証返納者等の個別の数字を把握しておりませんので,詳細についてはわかりませんが,先ほど申した算定によりますと,平成29年3月末現在の70歳以上の人口1,149人の中で対象者は494人と見込んでおります。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 報告ありがとうございます。 公共交通の利用はそれぞれ個人が決めるもので,行政から強制できるわけではないので,計算どおり利用してくれるとは思いません。しかし,なぜ利用者が増えず,休止に至ったかは分析するべきと思います。当時,網田エリアのミニバス路線と米の口,古場田,古屋敷への福祉施設と連携した福祉バス路線構築の動きがありましたが,どちらも中途半端だったからマニフェストで目指した新公共交通網の整備が網田地区では実現できておりません。報告からの利用者は,29年3月末現在,70歳以上の人口は1,149人の中で,対象者は494人の予測が示すように,利用者は潜在的にいると推測します。また,田舎ほど車社会になっているとよく聞きます。私は地域の防犯パトロール活動で網津の駐在所のパトカーに同乗することがあるのですが,駐在所の方から,「57号線は追突事故が多い,最近は高齢者の事故が増えています。中には,事故車の修理工場を聞くと連絡先もわからない。一瞬認知症かと思う人もいます」と,現状を教えていただきます。交通の不便さから仕方なく車を運転して用事を済ませる高齢者の方も多いと思います。私の父もなかなか運転免許を返上してくれず,脱輪,接触はしょっちゅうで,地域の方々に何度も御迷惑をお掛けしたことを思い出します。実は,網引地区の後期高齢者でミニバスが通ったことで運転免許を返上した人が数名おられます。そんなことも伝えたくて余談が長くなりました。 次の質問に移ります。 網田に再度ミニバスを走らせるためにいろいろ調べ,考えてきました。実は,この3番目の質問をするために前二つを聞いたんですが,初めにお話した9月議会で中口議員の住みやすさについての質問に対し,企画部長の回答,宇土市のどこに住んでいても住みよいと思っていただけるようにしたいの言葉は,企画部長の市職員としての熱き思いの入った目標と受け止めました。網田地区のミニバス路線の中止の要因は,ミニバスがJRや産交の路線バスに乗り継ぎなので,ミニバス料金は往復400円でも,JRや路線バスの往復料金は必要で,車利用のほうが安いし,早いので利用者ができないと思います。 そこで提案なのですが,他のミニバス路線は全て利用料が往復400円ですんでいるので活用されております。企画部長の言われる,宇土市のどこに住んでいても住みよいと思っていただけるようにしていきたいの発想からすると,網田駅から宇土市街地へ行く費用も400円に近づけるべきではないかと思うのです。そこで,現在の公共交通網はほとんど電子マネー化され,宇土駅三角間の路線バスも電子マネーが利用できます。網田駅のミニバス路線は,他路線と同様に往復400円にし,宇土市の市街地へ乗り入れる路線バスの利用料金を月に2回から3回分補助する方法を提案をいたします。もちろん産交バスの宇土駅三角間に多額の補助金を出していますが,利用者が増えた場合,利用者の利用者数を市が助成する,電子マネーで管理し,その利用者数と金額をもとに,現在の補助金を減額することが可能ではないかと考えています。しかし,三角線は切符等の利用で電子マネーが今はできておりませんので,当面はJRの宇土駅三角駅の路線バスが利用可能かというふうに考えております。人間は便利さと利用価値で判断してニーズが出てきます。ミニバスの中止でどこに住んでいても住みよいと思っていただけるはずの公共交通の住民サービスの目標は,現在満足されていないという地域もあると感じます。このミニバス活用のことも踏まえ,網田地区と他地区との交通格差について改善すべきと思うので,ミニバスの路線再開についての考えをお聞かせください。企画部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 企画部長,石田泉君。 ◎企画部長(石田泉君) 質問にお答えします。 網田地区のミニバスの運行につきましては,平成24年10月に清水から網田駅の区間で運行を開始しました。これは網田駅まで行って,そこから路線バスやJRに乗り換えて宇土市街地へ通院や買い物に行っていただこうというものでしたが,利用者が伸びず1年後,平成25年10月に買い物がしやすいように網田駅から宇土マリーナまでルートを延伸しました。しかし,それでも1便当たりの利用者数が0.1人,年間23人の利用に留まるなど,利用が低迷したため,平成27年9月をもって運行を休止しており,校区別にみますと,網田地区のみがミニバスの運行を実施していない状況が続いております。網田地区住民に対し,野口議員が今御提案されたような,路線バス利用者に対する運賃補助については,これまで検討をしておりませんが,交通空白地におけるタクシー助成金の導入や予約制によるミニバスデマンド運行等につきましては,国土交通省,熊本運輸支局にも相談し,検討をしてまいりました。しかし,財源の問題や交通事業者との調整等の課題もあり,実施に至っておりません。今後も引き続き課題解決に向けて研究,調査を行い,網田地区の交通空白地の解消に取り組んでいきたいと考えております。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 説明ありがとうございました。 一度煮詰まった住民サービスについては,なかなか歯切れの悪い回答になるのだなというふうに思います。現状は現状ですので,そのまま受け止めて私にも何ができるかを考えます。実は,来週,宇城市の末松県議,球磨郡の緒方県議と宇城市議数名と球磨郡の町村会議員の方々と人吉の産業とインフラについて視察研修に行きます。過疎の進む球磨地域の公共交通についても議論したいと考えておりますので,議論の中で宇土市の西部地区の公共交通に参考にできるようなものがあった場合には,3月に再度質問をあげたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 11月19日の熊日新聞一面に地域おこし協力隊全国に5千人の見出しの記事を読まれた方も多いと思います。私は4年前から地域おこし協力隊の実態調査をしていますが,最初の自治体は四国の徳島県美馬でした。以来,各地の地域おこし協力隊の活動を見ていて,疑問を持っておりました。地域おこし協力隊は,体の良い職員補充ではないのかという厳しい評価があること。それと宇土市の地域おこし協力隊の活用と3年後の独立対策の本気度はどうかということです。10月31日,熊日新聞の地域版,熊本都市圏の特集記事で,元熊本県立大学の明石照久教授,現名誉教授が退職をされ,鹿児島県長島町に移り,地域おこし協力隊の隊員に参加されていることを知り,記事が出た日に電話をかけ,「先生,長島に行きたいのですが,いつがいいですか」と申し込み,11月14日,長島町役場を尋ね,長島町の実践型地域おこし協力隊の活動について,発端から現在までのこと,どんな人材を都会から呼んできているか。さらに,一番聞きたかったのは,先生はここで何をしているのかでした。明石先生は,元神戸市市役所職員で,阪神淡路大震災の対応で活躍されたことから,熊本県立大学に招かれ,まちづくり,行政政策について教鞭を取られました。私は男女共同参画のシンポジウムが御縁で,以来,いろんな指導を受けてきました。その教授が何で地域おこし協力隊か,長島町を尋ね,4時間近く長島町の地域おこし協力隊についての研修と意見交換をさせていただきました。一番興味のあった明石先生の目的ですが,関東の大学と組んで地方創生について本を執筆するため,地域おこし協力隊の取組を実体験しながら調査を兼ねておられ,あと1年半は空家プロジェクトについて調査し,実践的な空家対策についての本を1冊書くと話しておられました。長島町の地域おこし協力隊の拠点は,町長室の隣に地方創生室の部屋を設けて,明石先生は,他市町村からの視察研修の対応など,地域おこし協力隊の仕事もちゃんとこなしておられました。何せ神戸市元職員ですので,行政のプロですから長島町は大いに助かっていると思います。また,長島町の体制づくりについて,一ツ橋,慶應等の連携に加え,関東の有名大学の支援体制がなぜできているのかお尋ねすると,そもそも副町長だった総務省から出向していた井上君という若い者を気に入って長島町に来ました。発足の当初から人材は井上副町長がえりすぐって招いた人たちが皆3年後に実践できるビジネスモデルをもって長島町にきていると説明されました。 前置きが長くなりました。そこで質問ですが,宇土市はこの地域おこし協力隊をどうするのか。空家対策で何をしているのか。特に関心を持っているのは,これから増やそうとする隊員に何をしてもらおうとしているのか。来季の採用予定の方のことも含め,企画部長,御説明ください。 ○議長(山村保夫君) 企画部長,石田泉君。
    ◎企画部長(石田泉君) 質問にお答えします。 本市の地域おこし協力隊につきましては,都市部から地域活性化に意欲のある人材を受け入れ,外部の視点から地域の魅力を発見,発信し,住民と協力して地域の活性化を行うことを目的としております。平成28年度から採用しました3名につきましては,宇土市の中でも特に人口減少が著しい網田地区を対象に,網田地区の魅力を発信する活動,そして,市内全域を対象に,移住を支援し,定住の促進を図る活動を行うこととしております。しかし,2点目の空家を活用した移住・定住につきましては,第3回定例市議会での今中議員の御質問にもお答えしましたが,熊本地震の影響もありまして,なかなか進んでいないというのが実情であります。 一方,1点目の網田地区の魅力発信につきましては,新たにお盆の時期に開催した網田夏祭りや宇土マリーナで開催したマルシェなど,地域のまちおこし団体や嘱託員の皆様など,様々な方の協力を得ながら事業に取り組んでまいりました。 また,今年10月には,網田駅近くの空き店舗を活用し,新たな活動の拠点を設けました。今後,この拠点を利用し,さらなる活動の充実が図られていくことを期待しております。 なお,当初採用しておりました3人の中で1名が本年3月末をもって退職されました。これは4月からJA熊本宇城への就職が決まったからで,網田に在住のまま,現在の職場のほうに通われております。これも定住促進という点から一つの成果であるというふうに考えております。 また,現在活動している2名の隊員につきましては,来年度で任期終了となります。このため,来年度は従来どおり,網田地区の活性化に取り組みながら任期終了後も宇土に残ってもらえるよう,生業づくりについても本格的に取り組んでいただく必要があります。市としましても,隊員のサポートを行っていきたいと考えております。 次に,今回新たに採用を予定しております隊員について申し上げます。 隊員1名に欠員が生じたために,新たに隊員の募集をいたしました。募集に際しては,庁内各課に対して,職員では取組が困難な業務,自由な発想や行動力を持つ協力隊員に取り組んでもらいたい業務を募集しました。そして,応募があった業務についてヒアリングを行った結果,今回は網田地区に限らず,市内全域を対象にして高齢者が気軽に集える通いの場での活動支援等を行う,元気いきいき地域プランナーを募集することにしました。募集の条件としてスポーツ関連のインストラクター健康運動指導士,理学・作業療法士等の資格を有する方を優遇することにいたしました。今回,採用を予定している方は,現在,福岡市でヨガのインストラクターをされており,高齢者の通いの場でのヨガを利用した介護予防教室の実施など,今までとは違った分野からの取組ができるのではないかと期待しております。また,任期終了後もその経験を生かして個人事業主として起業する意志を持っていらっしゃいますので,市としてもサポートしていきたいと考えております。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 次期採用の方の説明も含め,ありがとうございました。 次の地域おこし協力隊は,高齢者の居場所づくりに関わるような展開ということで,活躍できるといいなと思います。また,前職の2人の任期は1年とちょっとになりました。今回,補填もできたので他県の同様な地域情勢の地域おこし協力隊との情報交換も今後活発にしないと,ビジネスモデル構築は難しいので,情報提供も含め,支援をお願いしたいと思います。 参考になるかわかりませんが,長島町の空家プロジェクトで精力的に活動する熊本市の建設会社の2代目が長島町におられました。九州大学経済学部を卒業後,福岡で仕事をしていて熊本に帰る前に新たなビジネスはないのか考えたときに,長島町の地域おこし協力隊の活動に興味を持ち,今年から参加し,2年後には福岡,熊本,長島を連携させたビジネスを模索していると語っていました。オリジナルのビジネスモデルのアイデアはネット情報では得られない現地での試行錯誤の努力の積み重ねを知ることは価値があると思いますので,宇土市の地域おこし協力隊の新しい取組について視察研修をすべきことを提案をいたします。 次の質問に移ります。 日本へ海外から観光旅行に来る人たちが増加し続けています。2千万人,3千万人,国はさらに上を目指してキャンペーンを計画しています。実は,日本遺産について文教厚生委員会で尾道市を視察に行き,日本遺産は文科省の観光客誘致とインバウンド対策とわかり,8千万円,6千万円のキャンペーン用の交付金が国から出ていることがわかりました。それと一昨年ごろから宇土市の御輿来海岸へ韓国,台湾のアジア圏からだけでなく,インスタグラム等の写真を中心とするSNSの普及からアメリカ西海岸からの観光客も来るようになっています。宇土市の観光資源をみると,御輿来海岸,轟水源,立岡の桜などインスタグラムうけする観光スポットがいくつかあるぐらいで,宿泊にいたる資源にはなっておりません。特に欧米の先進国からの観光客は体験型の旅を好みます。そのニーズに対応するため,農水省が農業体験,漁業体験などを組み合わせた農泊なる事業を推進しはじめております。これまでのグリーンツーリズムでの農家での民泊と,今回の農水省の進める農泊はどんな違いがあるのか。この農泊についての認識をお尋ねをします。これは来春の質問の重要なポイントなのであえてここでお聞きしたいと思います。経済部長,説明ください。 ○議長(山村保夫君) 経済部長,小山亨君。 ◎経済部長(小山亨君) 農水省が進める農泊についてお答えします。 農水省では,農泊を農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験と農村地域の人々との交流を楽しみ,農家民宿,古民家を活用した宿泊施設など,多様な宿泊手段により旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行と定義しています。また,明日の日本を支える観光ビジョンにおいて,日本ならではの伝統的な生活体験と非農家を含む農村地域との人々の交流を楽しむ農泊を推進すると位置付けられ,積極的な展開を図っておられます。農水省が農泊を推進する目的としては,農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実現する体制を整備し,インバウンドを含む観光客を農山漁村に呼び込み,農山漁村の所得向上を実現することであります。支援内容としましては,農山漁村振興交付金に農泊を持続的な観光ビジネスとして推進する,農泊推進対策を創設し,ソフト面では体制の構築や観光コンテンツの磨き上げに対する支援,ハード面では,古民家を活用した滞在施設や農林漁業体験施設等の施設整備に対する支援を行っております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しい説明ありがとうございます。 答弁の中でインバウンドを含む観光客を農山漁村に呼び込み,農山漁村の所得向上を実現するとあります。一次産業は,物産の価格は市場によって決まり,収入が不安定なこと。台風,大雨,日照不足等々,自然条件次第では前年の収入を大きく下回ることも多々あります。その一次産業の産物に付加価値を付けたり,加工して販売,さらには食事等を供することで価格は2倍にも4倍にも上がります。確かに,宿泊や食事の提供は献立やおもてなし等の準備は必要ですが,農林水産業の副収入として体験型観光と組み合わせるとさらに相乗効果があります。来週の末松県議たちと行く球磨地域の視察研修には,薬品会社と組んで薬草を栽培している農家グループの視察も入っております。各地で一次産業の副収入のいろんな取組が行われております。確かに,行政がどれだけ推奨しても,やる気のある農家や漁師がいないと始まりませんが,一次産業の副収入の方法として,農泊の普及啓発する価値は大いにあると思っております。加えて,農水省情報だけでなく,不安定な第一次産業収入増につながる先進地の事例も集めて欲しいし,もしやろうという農家や漁師の方が手を挙げたときにはバックアップしていただくことをお願いいたします。 次のテーマに移ります。 宇土市の西部地域の環境保全について質問いたします。環境と一言で言いますが,その中でも山林の保全と鳥獣対策,豪雨被害と復旧についてお尋ねをします。 最初の質問の前に元総務大臣の増田寛也氏が山林放置について書かれた資料に,資産価値がないなどの理由で放置されている山林,また,所在不明,所有意思のない後継者たちも増えている。今後,大量の相続不明な山林が発生するとの問題提起が出されました。宇土半島の山間地にも似たような状況があることは皆さんも御承知と思います。そこで,増田氏が指摘した山林について,国,県はどんな調査,対策を進めようとしているのか。また,市はその状況をどれだけ理解しているのかお尋ねをします。経済部長,答弁願います。 ○議長(山村保夫君) 経済部長,小山亨君。 ◎経済部長(小山亨君) 放置林の状況と所有者把握についてお答えします。 放置林の状況として,本市の林業につきましては,緑川森林組合が主体的に施業をされておられます。緑川森林組合からお聞きした内容では,山林所有者の死亡に伴う登記名義人変更が行われず,放置してある山林が多々あるとのことでございます。また,山林の所有者把握につきましては,平成28年5月の森林法の改正において,市町村が統一的な基準に基づき,森林の土地の所有者や林地の境界に関する情報等を整理,公表する林地台帳制度が創設されており,現在,熊本県で地籍の情報や登記情報等を基に原案を作成中であります。本市では,平成30年度に原案を基に,現所有者の情報等を加え,林地台帳を整備する予定としております。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 説明ありがとうございます。 そもそも山林は,これまで県の管轄としていきましたが,山林調査もこれからは市町村へ少しずつ移行していく準備のように受け止めました。昨年5月に森林法が改正され,これから県の調査が進むものと思います。来年度から宇土市も林地台帳の整備をするようになるのですが,高齢化の進む宇土市の中山間地域での調査が始まりましたら,特に所在不明の林地を優先的に対応していただくことをお願いして,次の質問に移ります。 地域を回ると,西部地区は人口が減りましたが,イノシシは増えて,その内容は皆さんの質問で何度もあったと思いますが,イノシシの増加に伴い,農産物の被害も相当増えていて,鳥獣被害の増加要因の一つが,山に人が入らないからではないかと考えております。戦前,終戦直後の家庭の燃料は山の木々を使った熱源でした。それから,戦後経済の成長から石炭,石油,ガスへと家庭の熱源は変わってきました。また,経済成長期には,関税の保護もあり,山林は成長する住宅産業と直結してスギ,ヒノキは財産として価値を持っておりましたが,グローバル経済の発展から関税が限りなくゼロに近づき,日本の人件費の高騰から林業は衰退していきました。人が山に行かない,入らない,藪ができる,鳥獣の住みかとなりました。山だけに留まればいいのですが,増えすぎて山の上から降りてくるようになり,今の現実の被害となっております。 そこで,山に人を入れる,山に仕事をつくることでイノシシ等の鳥獣の増加を抑制する効果があるのではないかというふうにある資料で見ました。国の補助事業を使った森林集約の推進が役に立つと思い,放置林や所有者が遠くに住み,管理ができない山林等も含め,集約し森林組合が間伐や有用材の切り出しに積極的に関わり,藪のない空の見えるようなスギ,ヒノキの林を形成すればイノシシの居場所も減っていきます。動物はその環境にあわせて子孫を残すとも聞きます。この山林の集約化は,森林計画が必要です。これは国が協力して進める林業再生の事業でもあります。これについて,市として理解と今後の取組について,経済部長,お尋ねします。 ○議長(山村保夫君) 経済部長,小山亨君。 ◎経済部長(小山亨君) 森林集約化と森林経営計画についてお答えします。 まず,森林経営計画とは,森林所有者又は森林経営受託者が計画の作成者となり,自らが森林の経営を行う一体的なまとまりのある森林を対象として,森林の施業及び保護について作成する,5年を1期とする計画となっております。また,計画に基づいた効率的な森林の施業と適切な森林の保護を通じて森林のもつ多様な機能を十分に発揮させることを目的とされております。 次に,森林集約化についてでございますが,この森林経営計画を立てることによって採算性を高め,間伐等の施業を集約化し,計画的な路網整備等により,効率的な施業を行うことができます。本市の役割としましては,この森林経営計画作成に伴う森林簿等の森林所有者情報の提供,助言や森林施業の集約化に必要な取組を行う対象者への補助でございます。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 説明ありがとうございます。 森林集約と森林経営計画を今年の秋に初めて県の説明会を網引地区の森林所有者を対象にやったばかりですが,網田地区でも所有者の不明な山林の話も同様ですので,特に高齢化の進む西部地域の山林の林地所有者の確認と森林集約化,森林経営計画を急ぎ推進してほしいと願います。 10月27日,山村議長,平江議員と共に大分県日田市へ視察研修に行きました。目的は,スギ,ヒノキの林の中で栽培するわさびで,価値観を大きく変える山間地農業の副収入のノウハウに驚きました。40年積み重ねた地域力と販売ルートはありますが,宇土市の特産であるたばこの1反当たりの単価に匹敵する収入は反当たり50万円と聞き,さらに驚きました。行政は単に国・県の委任事務を執行するだけでなく,足元の地域活性化が行政の大きな役目ということを再確認した思いを持ちました。 森林経営計画の計画策定には,国・県の補助金等もあると聞きますので,特に中山間地域の第一次産業の副収入の情報も含め,早め早めの情報提供をお願いして,次の質問に移ります。 昨年の梅雨の大雨被害は甚大なもので,特に宇土山周辺の河川の被害がひどく,網津川上流の被害は過去150年以上ない水害でした。その被害の特徴は,上中流域では,岩や石が川に堆積し,川底の深さが半分以下になり,大量な雨で増水した泥水が周辺の家屋や田んぼに流れ込みました。この大量の岩や石は山林の沢や山道を流れた濁流が山肌を削り,押し流したのが原因と考えています。また,大量の岩や石を含んだ濁流が中流域の護岸や川底を削り,何か所も崩落させました。まだまだ上流部の支流の川は護岸の崩落箇所が果てしなく続いて,早急に工事をやらないと来年の梅雨がくればさらに崩落が進むと危惧します。そこで,国の工事を含め,今後の改修工事計画,年次も含めて御説明ください。建設部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 建設部長,野添秀勝君。 ◎建設部長(野添秀勝君) お答えいたします。 昨年,6月の豪雨では,本市では時間最大雨量130ミリとこれまで経験したことがない大雨に見舞われております。また,昨年4月に発生した熊本地震の影響から地盤が緩み,その後,大雨になったため,河川,法面等が崩れ,また,山側からも土石が河川に流れ込み,いたるところで河川が氾濫し,網津地区においても多くの被害が発生をいたしました。 河川災害の復旧状況についてでございますが,まず,県が管理しております網津川につきましては,8か所で護岸の被害が発生しており,被害額としては,全体で約8,600万円となっております。工事の進捗状況としましては,既に2か所が完了しており,残りの6か所につきましても,現在復旧工事中であり,県によりますと来年の1月中には全ての復旧工事が完了する予定であるとのことでございます。 続いて,宇土市が管理する網津地区河川の災害復旧状況でございますが,白鹿川や猪伏川など9河川14か所で護岸崩壊等の被害が発生しており,被害額としましては,全体で約4億4,900万円となっております。工事の進捗状況としましては,既に5か所が完了しており,現在,5か所が施工中となっております。残り4か所につきましては,1日も早く発注したいと考えているところでございますが,昨年の豪雨による河川の被害が網引地区に集中しており,工事用道路と生活道路の調整等により一度に発注ができない状況でございます。そのため,現在,発注しています工事の進捗等と調整を行いながら引き続き未発注工事の発注を行い,平成30年度中には全ての災害復旧工事を完了させたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しい報告ありがとうございます。 平成30年度中には全ての災害復旧工事を完了させたいと考えておりますとのことですが,工事発注は県下各地でたくさん出ているので予定どおりできるとは思いませんが,完了時期を目指して努力をお願いいたします。 次の質問は住吉干拓の冠水被害と排水対策についてです。 これまで何度質問しても排水機場は農地基準で無理とか,費用が多額だから無理とか,前向きな回答は返ってきませんでした。住吉干拓の被害は,昨年の大水害のときだけなく,毎年の梅雨の雨でも冠水被害が出ている地域です。住民はやりきれない気持ちで毎年の夏シーズンを耐え続けてきました。このままでよいとは思いません。何事も始めないと始まらないといいます。冠水被害対策の調査だけでもよいので検討してほしいし,進行中ならどんな検討をしているのか。説明できる範囲でよいので考え方,計画を報告してください。経済部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 経済部長,小山亨君。 ◎経済部長(小山亨君) 住吉地区の排水対策についてお答えします。 この地区の排水対策としましては,昭和54年に当時は採択基準である20ヘクタール以上の受益地の農振農用地が存在していたため,国庫補助事業の農業農村整備事業で網津第2排水機場を整備しております。しかし,近年の局地的な集中豪雨や当地域の農地の住宅化等の影響を受け,遊水池の役割を果たしていた農地の減少に伴い,現存する網津第2排水機場の排水能力では対応できない状況でございます。そこで,今年度,当地区の流域内の湛水被害解消を図るために必要な排水対策の調査を実施しているところでございます。調査の内容としましては,計画基準雨量の決定,地区内流出量の算定,計画基準潮位の決定等を行い,湛水の解析や排水計画の検討を行うものでございます。計画基準雨量の決定は,熊本県で用いられる熊本県内における確率降雨強度の算定の資料を採用して2分の1年確率,5分の1年確率,10分の1年確率の三つの降雨条件を対象に確率雨量を算定しております。この年確率はそれぞれ推定降雨量が異なりますので,湛水面積や湛水時間に差異が生じます。今後,整備内容を検討する上で,どの年確率を採用するのか,導水路工事を含めた整備費用と湛水時間等を総合的に判断し,計画していく必要があると考えております。 この推定した調査結果を基に,排水対策を検討してまいりたいと思いますが,先ほど申しましたように,当地区の農振農用地が減少しているため,農政関連の湛水防除事業や改築による排水能力の向上は難しい状況でございます。そのため,今後,排水機場のポンプの増設や導水路の整備等について,河川事業等の他事業による整備も含め,検討していきたいと思います。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 御説明をいただきましたが,何度聞いてもよくわからないなというふうに思います。まだまだ進まないとは思いますが,本年度,当地域の流域内の冠水被害解消を図るため必要な排水対策調査を実施しているとのことなので,それが公表できるようになりましたら,説明会も含め,住民にも説明をしてほしいと願います。 農業対策の排水機取り換えでなく,今後は,排水機の増設やの導水路の整備について,河川事業等の他の事業による整備も含めて検討すると回答いただきましたので,大いに期待することでありますが,要は時間の問題なので,早く対策ができることをお願いいたします。 毎年被害を受ける網津川護岸と梅咲の龍神社から住吉神社へ伸びる江戸前期の堤防で囲まれた住吉干拓エリアは,内水の冠水被害も毎年あり,加えて網津川の氾濫もこれまで何度もありました。根本的にどうするのか,市として方針を示す時期にあると思いますので,水量調査と排水計画を急ぐことをお願いして,次の質問に移ります。 9月議会で鳥獣被害の質問がありましたが,被害地に住むものとして再度質問いたします。 昨年の震災で関心度が下がっていた鳥獣被害ですが,今年の春からイノシシ被害と目撃情報が急速に増え,被害は確実に増加を続けています。柵を設けたい,鉄柵じゃなく電気柵をつけたい。設置の補助はあるのか等々の相談ばかりです。実は,先週の土曜日の午後4時ごろ,私の自宅の隣の田んぼに体重40キロぐらいのイノシシがウロウロしていたのを見つけ,近づくと,妹夫婦の家庭菜園で芋のつるの積んであるところをあさった跡がありました。その畑の端で,まだ鼻で土を掘っているイノシシを見つけ,脅かしますが一向に動じることもなく,土を掘り続けているので石をぶつけて当たって,やっと退散しました。人間はイノシシに完全になめられています。これが西部地域の中山間地の現状です。 そこで,過去3年の鳥獣被害状況と捕獲数,さらに今後どのような被害対策を推進していくのか,お考えを聞きたい。これも来年春の質問で総合的な西部活性化策について準備しているので,現在の情報をください。 ○議長(山村保夫君) 経済部長,小山亨君。 ◎経済部長(小山亨君) まず,過去3年間の鳥獣被害状況について,被害報告件数をもとにお答えいたします。 被害報告件数は,平成27年度が23件,平成28年度が19件,平成29年度が9月末時点で13件となっております。被害を被った農作物は,果樹,芋類などが多く,被害報告の主な鳥獣としてはイノシシとなっております。ただし,この件数は,市に報告があった件数ですので,実際の被害はこれ以上にあると思われます。 次に,鳥獣捕獲数について,鳥獣別にお答えいたします。鳥獣捕獲数として,平成27年度がイノシシ345頭,カラス類211羽,タイワンリス21頭,ヒヨドリ15羽,平成28年度がイノシシ461頭,カラス類59羽,タイワンリス6頭,平成29年度が9月末時点でイノシシが120頭,前年比9頭増でございます。タイワンリスは1頭となっています。なお,本年度は,カラス及びヒヨドリ等については,被害報告等が現在までなかったため駆除は行っておりません。タイワンリスにつきましては,被害報告及び捕獲数も以前より激減し,終息の状態に近づいていると思われます。しかし,イノシシについては,被害報告,捕獲数ともに増加傾向にあり,また,最近では目撃情報も多く寄せられている状況でございます。 次に,市のイノシシ対策としまして,平成27年度より宇土市有害鳥獣侵入防止柵等設置事業補助金を創設し,電気柵,金網柵等の設置に対し,対象事業経費の2分の1,5万円を限度に補助を行い,平成27年度に5,097メートル,平成28年度に5,407メートルの設置が行われております。また,国の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し,平成28年度に2万5,921メートルが設置され,平成29年度では1万3,600メートルを設置予定としております。この事業の採択基準としては,受益農家戸数が3戸以上あることが要件とされております。なお,侵入防止柵を設置された地区におかれましては,イノシシ被害がなくなり,喜ばれており,有効な対策だと思われます。今後もさらなる捕獲体制の強化並びに地域住民への被害防止策についての意識啓発を図る必要があると考えられます。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しい説明ありましたけれども,私の質問も,部長の答弁も,何度もこれの議会の中で質問があったと思います。とにかく西部の山間地で会う人会う人,イノシシの訴えばっかりで目撃情報の話ばかりです。最近は集落近く,それこそ我家のすぐそばまで来るんですけれども,先月末に末松県議の同級生で赤瀬のみかん農家の方から網田の山にはシカもおるばいという話もいただきました。また,柵をつくっても壊して入ってくる。もうそろそろ農家もイノシシを捕獲できる罠免許を取らなければと,仲間と語っていると。そこで問題なのが,イノシシの捕獲には,猟友会に入ることが必要なこと,毎年更新には費用が必要なので,農家は被害を受け,損失があるのに罠免許と更新の出費が増えるので,よければ他地区のような免許の試験の費用の補助,農家が農作物保護の罠をかける免許の更新に助成をしてほしいとの要望を受けました。イノシシを減らすには,とにかく猟友会の猟師を増やすこと。それと直接被害を受ける農家の人が免許を取り,自ら農地の周辺の里山に罠をかけることが被害を防ぐ方法と思いますので,農家が取得する免許と猟友会の会費の助成をJAと連携して取り組んでほしいという要望があったことをお伝えしておきます。 また,今年,九州北部豪雨で日田市と朝倉市の被災地へ泥だしのボランティアに行きました。河川周辺の山や田畑等の情報を集めてみましたが,山に人が入らないから荒れるという言葉を何度も日田でも,朝倉でも聞きました。毎日の森林集約と森林受け皿の推進に,山での仕事づくりも含め,総合的に山の保全と鳥獣対策に力をいれるべきと思いますので,さらなる鳥獣対策の強化をお願いいたします。 ○議長(山村保夫君) 議事の都合により暫時休憩いたします。11時5分から始めますのでよろしくお願いいたします。             -------○-------                午前10時58分休憩                午前11時05分再開             -------○------- ○議長(山村保夫君) 休憩前に引き続き,会議を開きます。 質疑並びに一般質問を続行いたします。 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 引き続き,質問させていただきます。 三つ目のテーマは災害復旧と景観形成について質問いたします。 震災復旧に関しては,何度も質問にあがってきたと思いますが,今回のテーマは,復興する宇土市の景観形成,網津防災センターの環境整備についてお尋ねをします。 熊本地震で市街地だけでなく,郊外の古い家屋が軒並み被害を受け,空家も含めその多くが解体されました。今,気になるのは,解体跡の雑草の生い茂っている風景です。今年までは高くても人の背丈までくらいでしたが,多分来年の夏になると人の高さを超えるくらい,2メートルを超えるような雑草が広がると想像します。郊外や旧市街地の跡地は地域でどうにか取り組むと思いますが,市街地の高齢者の住まいだった解体跡地の雑草,雑木の伐採作業はなかなか困難になっていくと心配をします。その跡地の管理は,地域環境に大きく影響を与えると危惧をしますので,その対応についてお尋ねをします。市民環境部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 市民環境部長,瀧口卓也君。 ◎市民環境部長(瀧口卓也君) 野口議員の質問にお答えします。 土地等の管理につきましては,宇土市廃棄物等の減量化,再資源化及び適正処理等に関する条例第16条により,土地所有者等は管理地等を清掃し,草刈りし,又は消毒を行うなど,管理地等の清潔を保つよう努めなければならないとされています。空き地の雑草などによる近隣住民からの苦情や相談があった場合におきましては,本市の対応としまして,まず,現地確認を行い,明らかに土地の管理がなされていないと判断される場合には,土地所有者に対し,草刈りや消毒などによる土地の適正管理を促す通知を送付しています。その後,所有者から連絡があった場合は,土地の草刈り等をお願いしていますが,遠隔地にお住まいの方や高齢の方など,御本人で草刈りができない場合は,シルバー人材センター等を御紹介している状況でございます。 御質問の公費解体跡地の土地管理におきましても,同様の方法により対応することになります。 以上です。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 説明ありがとうございます。 多くの人が来年の夏過ぎになれば,被災地の解体跡地に草が生え,人の背丈を超える雑草,雑木が広がるのは多く想像できると思います。もちろん個人所有ですから,市が命令等はできません。しかし,市街地の景観はよい印象に思えるように保つ必要があります。道具を持たれない市街地の高齢の所有者,遠くにいる所有者たちが宇土市をきれいに保たなければと気づき,除草をするように知らせる意味はあるので,あえてここで質問をあげました。今回の質問内容を議会報告に掲載する予定です。市役所はちゃんと見ているということを知らせ,草刈りせんなら市役所から強い指導がくるばいと自覚し,除草してほしい願いも込めています。きれいな町では犯罪も少ないデータがあります。ニューヨークでは,犯罪対策として,地下鉄の落書き消しと街のゴミ拾いから始めたと聞きます。街中に草ぼうぼうの場所があればゴミも捨てる,野良猫の住みかにもなります。除草作業の指導は,草が人の背丈を超えないうちに,早めに除草通知をすることをお願いして,次の質問に移ります。 街並み全体の再建,再生するような出来事といえば,今回の震災以前では,太平洋戦争の空襲によって焼かれた経験がありますが,戦後の混乱から戦前の街並みには実際再生できなかったと思います。また,地震の大災害といえば,関東大震災では,災害に強い街をつくることを目的に,道路拡幅のため,残った建物を崩さず曳家という工法を使い,街並み形成に取り組みました。今回の震災で解体された建物,特に公共施設の再建は今後の宇土市街地の存在感のある建物となります。要は,街並みを形成する重要な建物となるのでばらばらのデザインでは困るし,色調や細部もばらばらならば,宇土市の品格にも影響を与えると考えます。できれば各施設の設計担当者が一堂に会して話し合う機会を何度か設けて,これからの宇土市街地の新しい新たな街並み形成をどうしていくのか,協議する場を持つことは必要と思いますので,このことについて,建設部長にお尋ねをします。 ○議長(山村保夫君) 建設部長,野添秀勝君。 ◎建設部長(野添秀勝君) お答えいたします。 昨年の熊本地震において宇土市街地で被災し,建て替えとなった公共建物については,市役所本庁舎,中央公民館,老人福祉センターの3棟がございます。本庁舎につきましては,まだ計画段階であり,中央公民館につきましても,これから実施設計に着手するという段階でございます。また,老人福祉センターにつきましては,今年6月より復旧工事に着手しており,進捗率は約40%まで進んでおります。今回,議員から御質問があっております建物の復旧の際には,街並みにあったデザインや色,またサイン等についても宇土市としての共通性や統一性を持たせるため,担当課や設計者を一堂に会し,その中でいろいろなことを決めていってはいかがかという趣旨の内容であると思います。基本的には,災害復旧で建設を行うため,被災前と同規模の構造や面積という制約はございますが,これから設計を行っていく施設については,デザインや色,サイン等について街並みに沿った公共建物となるよう担当部署,建築関係部署,あるいは設計者と協議の場を設けていきたいと思います。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 前向きに取り組む話を聞き,ちょっとほっとしました。ぜひデザインや色,なかなか設計者は統一性は出ないと思いますけど,サイン等については,街並み形成を考えた公共建築となるように担当部署,建設関係あるいは設計者が協議の場を設けて議論し,50年以上は使う施設ですので,市民から愛着を持たれる施設にして欲しいと願います。 先月,岡山県倉敷市の美観地区を文教厚生常任委員会で視察をしました。倉敷市は,戦後の公共建築の主要な建物を1人の建築家,浦辺鎮太郎氏が設計を行ったので統一感があります。加えて,倉敷市は,旧運河界隈を美観地区に指定し,景観規制を続け,日本だけでなく世界から観光客を集めています。私が35年前建築の勉強のため訪れたころは,運河の両側,それこそ200メーターそこらが観光スポットでした。長期ビジョンを持ち,観光地化する市の方針の素晴らしさを改めて確認をしました。震災復旧は,国の支援があるので倉敷市のような公共施設再建には近づけないかもしれませんが,施設や街並みで観光を呼び込めることを知っていただき,そのような宇土市街地の再生に取り組んでほしいのです。街並み形成は50年,100年の計画をもって進めば魅力的な市街地形成が可能であることを理解し,執行部の皆さんに御理解いただければありがたいです。 最後の質問,網津防災センター周辺の環境整備について質問いたします。 来年2月の開所に向け,取り付け道路の工事が始まりました。場所の移転で水害と災害に強い支所になり,住民の期待は大きいところです。周辺を見渡すとまだまだ課題があります。旧支所から伸びる取り付け道路ができ,県道バイパスに接合します。これはとてもいいことだと思っております。しかし,県道の本来の目的である国道接合はまだ見通しが立っておりません。さらに,加えて県道バイパスの上網津,網津地区への延伸も含め,地域をあげて要望活動の継続が必要なので,網津選出議員とともに努力をしていかなければとは考えております。今回,網津防災センターは,西部地区の防災の拠点であり,もし宇土の市街地で大火や風水害の被害を受けたとき,市役所や公共施設に支障が出たときは,それを補うのが網津防災センターと考えます。そのため,網津防災センターは,非常電源を備えることになっております。昭和57年の大雨被害では,国道57号線が緑川地区で冠水し,通れない事態も発生しました。災害に弱い国道57号線の別ルートとして南部農免道路を網津防災センターまで延長直結すれば,宇土市街地の災害時には,防災機能を補完できますし,避難所の役割にもつながると思います。網津防災センター周辺の県道,市道の道路網について,これらの整備についてお考えをお聞きします。建設部長,お願いします。 ○議長(山村保夫君) 建設部長,野添秀勝君。 ◎建設部長(野添秀勝君) お答えいたします。 防災センター周辺の環境整備における今後の道路整備についてお答えをいたします。 現在,熊本県の土木部で整備している県道バイパスは,今年度,市道小部田・直築線の新村踏切から嘉島産業採石場前の市道梅咲・平原線の交差部までの区間について供用開始される予定となっています。 また,熊本県の農政部で整備しています南部農免道路は,轟地区の椿原町から恵塚町,野鶴町,城塚町を通り,網津町にある七曲池の横を通過し,市道梅咲・平原線に接続する計画となっております。 御質問のとおり,南部農免道路をそのまま延伸し,県道バイパスに接続すれば網津防災センターから宇土市内まで広い道路で結ぶことができ,有事の際の緊急道路として防災機能が十分に発揮されると考えられます。そのため,南部農免道路の終点部から県道バイパスに接続する道路について,今後,南部農免道路の進捗状況を見ながら計画をしていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 前向きな回答で,県との協議は必要になりますが,南部農免道路と県道バイパスの接続は,網津の中心地域の利便性もあげるので積極的な取組をお願いいたします。 それと道路等のインフラの環境の整備もありますが,支所防災センターの周辺の景観と利活用を考えて,雑草雑木の除去については,市民グラウンドの北側の用水路側の雑木除去は本定例会の補正予算にあがっていますが,網津防災センターを建設した工事部分以外の公園の雑草,雑木の除去,藤棚の手入れなどには何も手がついていない状況です。防災センターの周辺の景観イメージが悪いと思いますし,子どもや散歩の人たちが憩えるような環境整備も付け加えてほしいのです。ぜひとも支所オープンまでには公園内もきれいに整備していただくことをお願いして,質問を終わりたいと思います。 今回の一般質問は,公共交通と地域活性化について,森・里・川保全について,震災復旧と景観形成について質問させていただきました。執行部におかれましては,簡潔明朗な回答をいただき感謝いたします。これで私の質問を終わります。 ○議長(山村保夫君) 11番,中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 皆さん,こんにちは。中口です。本定例会におきまして質問の機会をいただき,感謝申し上げます。質問は,安心・安全なまちづくりなど3点について質問いたします。質問席から質問いたします。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 私,毎朝の日課といたしまして,2社,二つの新聞を読んでおりますけれども,今朝,新聞を見ておりますと,本市の広報紙,広報うとが紹介されておりました。記事の内容につきましては,読まれた方もおられると思いますけども,職員の方の努力はもとより,本市のよきPRであり,明るい話題であります。これを読みながら私,自然とうれしくなりまして,また気持ちよくなりました。今日のこの質問についても気持ちよく質問に入れます。執行部におかれましては,抽象論でなく,実現性のある答弁をお願いをいたします。 質問の一つは,歴史的な地域資源の景観保全対策について伺います。 その一つが宇土地区における歴史的資源とその活用状況につきまして質問をいたします。本市には,日本の渚百選,日本の夕陽百選に選定されております,網田の御輿来海岸や日本の名水百選に選定されております,轟水源等々素晴らしい地域資源が豊富にあります。これらの地域資源を活用して,地域の活性化対策,本市の発展に活かしていくべき事業が進んでおります。宇土地区に目を移しますと,船場町界隈,旧高月邸,轟泉水道等々歴史的な建物や景観があります。この宇土地区の活性化対策,まちづくり対策につきましては,これらの歴史的な建物等地域の資源を有効的に活用することが必要であります。そこで,これらの歴史的な資源とその活用状況につきまして,教育部長に質問をいたします。 ○議長(山村保夫君) 教育部長,山本和彦君。 ◎教育部長(山本和彦君) お答えいたします。 宇土地区には,市内7地区の中でも特に史跡や建造物等の文化遺産が豊富に分布しており,その中心部である宇土市街地は,キリシタン大名,小西行長公が近世宇土城の築城に伴い,整備した町割りを基盤としています。江戸時代には,現在の教育委員会付近にあった宇土細川藩の陣屋を中心として武家屋敷や町屋敷が整然と配置されていました。また,現役の上水道としては日本最古の轟泉水道,家臣クラスの屋敷としては県内最古の武家屋敷,旧高月邸,江戸時代における水運の拠点であった船場界隈,かつての武家屋敷を区画する笹垣が往時の様子を偲ばせる定府界隈などの歴史的,文化的資源が良好に残っております。熊本地震で特に大きな被害を受けた旧高月邸や船場橋については,現在復旧に向けた取組を進めているところですが,これらの文化財は震災後においても,宇土市中心部における歴史的,文化的景観の重要な構成要素として欠くことができない存在といえます。このような史跡や古い建造物等の歴史的資源を活かしたまちづくりや,地域活性化に向けた取組が日本各地で積極的に進められております。宇土市においても,ふるさと創生事業の一環として,船場橋周辺の街並み保存事業を実施し,船場橋や船着き場跡の保存修理,轟泉水道井戸覆屋の設置,植樹帯の整備等を行いました。近年では,民間所有であった武家屋敷,旧高月邸を宇土市が取得し,震災前には古文書講座や馬門石製のお地蔵さん制作の体験講座等の活用事業を行っていました。災害復旧後は,江戸時代の武家屋敷を単に保存するだけでなく,市の中心部に立地し,商店街にも近いことから,市内の文化財を巡る歴史散策や観光拠点施設としての活用も視野に入れた取組を進めていく予定でございます。これら貴重な文化財を後世に保存,継承し,その価値を高めていくとともに,宇土市の貴重な文化資源として,まちづくりに積極的に活用する必要があります。今後は,個々の文化財を結ぶウォークラリー等の参加型イベントの開催や観光関係イベントと連携を図り,宇土市の魅力を積極的にアピールするなど,歴史的資源を活かした地域活性化に繋げていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 次の質問に入りますけども,私,地域の活性化対策,あるいはまちづくり対策,宇土市の発展の取組等々につきましては,議員活動の重点の一つとして取り組んでおります。これまで提言を含めて質問をしております。本日の質問は,平成23年第1回定例市議会におきまして,船場橋,船場界隈を拠点としたまちづくりについて質問しておりますが,これらと関連して質問をいたします。 当時,質問いたしました,船場橋,あるいはその界隈を中心としたまちづくり,これについて,市長の考えをお尋ねをいたしました。市長からは,船場橋周辺の貴重な文化財の保存を図りながら,船場橋や周辺の武家屋敷,井戸等など,江戸時代の名残りをとどめている歴史的文化財と現在の水辺や木々等の自然環境との共生を推進してゆっくりと歩いて楽しめるまちづくりを進めたいとの答弁があっておりました。この答弁の中にあります,武家屋敷,江戸時代の名残り,この一つが竹の生垣,正式に笹の生垣,私,竹の生垣ということで質問していきますけども,今では石小路,門内,定府等にその生垣を見ることができます。この竹の生垣は,常緑であり,新芽が出るときは特にきれいで趣があります。これは個人の所有でありますけども,宇土市にとっては貴重な歴史的な資源でもあります。当時の教育長は,これらの歴史的な資源につきまして,途中抜粋ですけども,景観の一部である門や塀,蔵等は個人の所有で,強制はできませんけども,現状のまま保存管理していただくようお願いしたいと思っておりますとの答弁がありました。行政のトップとしての答弁であります。この歴史的な資源として保存の必要性を認めた上で,個々に管理,保存管理をお願いしたいということでありました。あの答弁から6年が経過いたしましたが,教育委員会として何らかの対策,支援策が進んでいるかと思いますけども,熊本地震後の,この震災後の今日におきましては,諸状況から何らかの支援策が急務であります。一つ一つのこの資源を大切にして,点から線へと,市長の答弁にもありましたように,散策コースもできます,福岡の筑紫野市では,この生垣をつくる際には,規模に応じた補助制度があるとのことであります。他の市の状況も検討されることも必要です。今後,この貴重な歴史的資源であります竹の生垣,この保全対策につきまして,教育長にお尋ねをいたします。 ○議長(山村保夫君) 教育長,太田耕幸君。 ◎教育長(太田耕幸君) 議員の質問にお答えいたします。 宇土細川藩の家臣が居住した武家屋敷は,宇土市新小路町や門内町,石小路町,定府町など,現在の中心市街地に存在しましたが,今では門内町の旧高月邸を残すのみとなっています。この武家屋敷の敷地を区画するために設けられたのが,竹の生垣である笹垣で,現在も定府町や石小路町等で見ることができます。特に笹垣が良好に維持管理されている定府界隈は,江戸の宇土細川藩邸にいた宇土藩士が参勤交代の廃止により,宇土へ帰郷することになったことから幕末に整備された地域で,往時は30軒以上の武家屋敷が存在し,その屋敷地は笹垣で区画されていました。現在も地区住民の方々によって笹垣が大切に維持管理されており,平成7年にはその優れた景観から第8回くまもと景観賞のテーマ賞を受賞しました。しかし,かつては市街地の多くの場所で見ることができた笹垣も維持管理の担い手の減少や手間がかかる等の理由で少しずつ減少しています。さらに,熊本地震後の宅地造成や建物の新築等がこれに追い打ちをかけ,宇土の歴史的な街並みを特徴づける笹垣のある美しい景観が急速に失われていくことが懸念されます。笹垣のある景観は,かつて宇土に存在した武家屋敷の面影を今に伝える貴重なものでありますので,今後,歴史的町並みが残る他地域の取組について調査するとともに,行政と維持管理されている住民の方々と共同で笹垣のある美しい景観を保全し,後世に継承するための方策を検討していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 答弁がありましたけども,私,詳しいところわかりませんけども,門内の幼稚園付近ですかね,あの付近の通りは全て笹垣ですから,きれいな街並みだったというふうに聞いておりますし,段々少なくなったというようなことでありますので,ぜひ保存等をですね,よろしくお願いしたいと思います。 今,教育長から答弁がありました,今後,方策を検討していきたいと。それでは,検討する時期はいつなのか。方針,具体的な支援策等々につきましては,常任委員会等での責任者の方や担当者の方からも連絡を要望をいたします。 二つ目の質問に入ります。 二つ目の質問は,網津地区の治水対策についてお伺いいたします。 網津地区の治水対策につきましては,先ほど野口議員とも一部重複するところでありますけども,網津川の改修工事等が計画的に進んでいると思っております。本日は,これらを含めた対策についてお伺いをいたします。 一つが,治水対策の現状について質問いたします。網津地区で大雨が降れば,網津川がどれだけ増水しているのか,氾濫しているのか,また有明海の潮満ち引き,満潮いつか等が気にかかります。また,水害の常襲地帯というべき中村区,網津郵便局の通りはどうなっているのか,心配するところであります。昨年の6月の大雨,それは網津地区に甚大な被害をもたらせました。今後の治水対策につきましても,これらを検証して次の対策に活かすことが必要であります。そこで,網津川流域の被害状況につきまして,建設部長に質問いたします。 ○議長(山村保夫君) 建設部長,野添秀勝君。 ◎建設部長(野添秀勝君) お答えします。 昨年の6月豪雨では,先ほどの野口議員の御質問でも述べましたが,宇土市で時間雨量130ミリという,これまでに経験したことのない豪雨に見舞われ,宇土市全域で多くの被害が発生をいたしております。網津川沿いの被害の状況についてでございますが,昨年6月の豪雨では,その2か月前に発生した熊本地震の影響と思われますが,網津川の上流域やその支流において護岸の崩壊や土砂の流入により,河川が埋まり,これまで氾濫したことがない上流部の網引地区や支流域の馬門地区などでも住宅の浸水被害が発生しております。また,網津川中流域においても,これまでにない雨量により,網津小学校付近の張り出し歩道に設置されている土嚢が流されるなど,いたるところで河川堤防の越水が起こっています。なお,網津地区の住宅の被害状況としましては,税務課が各地区嘱託員の方々に依頼し,調査した結果によりますと,約240戸において住宅の浸水被害等が発生しており,中には浸水だけではなく,河川堤防の決壊や越水により住宅内の家財等が流されたお宅も数件発生をいたしております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 被害状況を説明していただきました。昨年の6月の大雨,これでいろんなところで被害が発生しておりますが,本網津地区におきまして水害に遭われた方によりますと,これまでの水といいますか,網津川を越してきた水,あるいは溜まった水は,本網津から,あるいは小学校付近からですね,通称潟の堤,甲岩公園といいますが、潟の堤へ流れていって,要するに,梅咲・旭方面,あちらのほうへ水が流れっていきよったというようなことであります。 今度,県道バイパスができております。県道バイパスがあそこの駐在所前の踏切から網津のほうへできております。これが堤防の役目をするようになったんです。要するに,潟の堤のほう水が流れなくなった。一部流れなくなったというようなことで,まあこれらのことが被害が大きくなった要因の一つではないかというような声も。また,新川東地区の水田でトマトを栽培しておられた方にも,同様にバイパスができて,雨が降れば水が潟の堤のほうへ流れんで,水が溜まってしまうて。ハウスの中が水浸しになってしまって,トマトの栽培にも影響が出て,トマトが枯れてしまったということもあったというふうなことであります。これにつきましては,熊本県や本市にも相談があっているかと思います。この地域はもともと海抜が低い地域であります。この地区には,網津支所,網津小学校,保育園もあります。水害から地域住民を守るためには,この今回の大雨の後の地域の方の被害状況,あるいは聞き取り,水害の検証を含めて,今後適切な治水対策が必要であります。これらを含めまして,今後の対策につきまして,建設部長に質問をいたします。 ○議長(山村保夫君) 建設部長,野添秀勝君。 ◎建設部長(野添秀勝君) お答えいたします。 昨年6月の豪雨では,網津小学校付近においても,網津川からかなりの水量が越水したと思われます。議員御指摘のとおり,網津小学校上流部付近で越水し,冠水した水は,農地を伝って大谷川に流れ込んでいますが,県道バイパスの整備により,以前より冠水の状態に何らかの影響があることは考えられます。そのため,一度県道バイパスの付近の方々に冠水時の状況等について聞き取り調査を今後実施したいと思います。 対応策につきましては,冠水した水を少しでも早く排水できるよう,今年の梅雨前にも実施しましたが,水路の浚渫など,定期的な水路の維持管理に努めていきたいと考えています。 なお,網津川の越水対策として,熊本県においてJR三角線から上流部については,護岸の嵩上げのためのパラペットの設置が順次行われており,現在は,網津小学校前の張出歩道の撤去と併せて,パラペットの設置工事が行われることとなっております。最終的には永井衣料品店付近までパラペットの設置が計画されているところでございます。この嵩上げが完成しますとある程度の豪雨による越水は防げるものと考えております。 また,根本的な対策として,やはり網津川の一日も早い河川整備を進めることが必要であると考えております。したがいまして,網津川改修促進期成会とともに,熊本県に対し,早期整備の要望を今後も引き続き行っていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 今後の対策につきましても,よろしくお願いいたします。 最後の質問に入ります。 最後の質問は,自転車の交通事故防止,自転車利用者の安全対策について質問いたします。 宇土駅の西口に駐輪場があります。そこには正規といいますか,きちんとした駐輪施設,これは360台が停められる施設があるということであります。しかし,その場所以外にも相当数の自転車が駐輪してあります。ざっと見て500台以上は駐輪してあるかなというふうな気がしております。この数字は,本市の各地やあるいは隣接の富合から自転車で宇土駅を往復される自転車利用者の数であります。毎日これだけの方が自宅から宇土駅駐輪場を往復されております。これは本市の全体からすると一部ではありますけれども,このほかにも中学校,高校へと通学用として,あるいは買い物用として自転車利用者がおられます。そこで,本市における,昨年と本年の自転車事故の現状,それに対する交通事故防止対策につきまして,市民環境部長に質問をいたします。 ○議長(山村保夫君) 市民環境部長,瀧口卓也君。 ◎市民環境部長(瀧口卓也君) 中口議員の御質問にお答えをいたします。 自転車が関係する人身事故の件数につきましては,平成28年は熊本県内で684件,そのうち,宇土市内で7件でございます。平成29年は10月末現在で熊本県内で560件,そのうち宇土市内で15件でございます。 次に,交通事故防止対策につきましては,市内小中学校に対し,交通事故防止に係る注意喚起の依頼文を発送しております。また,JR宇土駅の駐輪場におきまして,自転車利用者に対して自転車の安全な利用を呼びかけるチラシの配布を行っております。今後も継続して啓発活動を行っていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 自転車の事故に関しての答弁がありました。答弁によりますと,自転車事故,昨年は7件,今年は10月末現在で15件というようなことで,率にしますと2倍以上の事故が発生しております。何らかの対策が必要です。 ところで,本年の9月18日,旭町の三角線の踏切におきまして痛ましい自転車利用者の死亡事故が発生いたしました。亡くなられた方にはお悔やみを申し上げますとともに,このような痛ましい事故が二度と発生しないよう,自転車利用者の安全対策について質問をいたします。 入地町や南段原から宇土駅へ自転車による自転車通学者の方は,運動公園から旭町の市道沿いにあります吾助というとんかつ屋さんがありますから,そこから右折して江部区を通って,事故があった三角線の踏切を渡り,旧江部屋さんですか,あそこから右折して城之浦町の県道に出て,県道を宇土駅方面へ進行される方が多いとのことであり,そのほかにも栄町や築籠方面からも城之浦踏切を渡って,そして城之浦の県道を利用される方が多いとのことであります。この城之浦町の県道は,道路が狭く,朝夕の通勤・通学の時間帯は上下線とも車両や車が多く危険な状況であります。 そこで,自転車利用者が安全に利用できる環境の整備,特に速度規制の表示,路側帯の整備などが必要かと思います。また,高浜眼科前の大坪川にかかっております橋,あそこの橋の名前はわかりませんでしたけども,あそこの橋は踏切方面から宇土駅方面に行きますと,逆のほうも一緒ですけども,急に狭くなっております。橋だけの道路であります。極めて危険な状態でもありますし,過去に事故も発生しているというようなことを地元の方から聞いております。本市におきましては,このような交通事情を把握されて,本市でできること,県や宇城警察署と協議するなど,安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン,これに基づく必要な交通規制,交通安全対策が必要であります。市民環境部長には,本市における自転車利用者の交通安全対策について質問をいたします。 ○議長(山村保夫君) 市民環境部長,瀧口卓也君。 ◎市民環境部長(瀧口卓也君) 御質問にお答えします。 まず,本年9月18日に発生しました,三角線の踏切事故でお亡くなりになられた被害者の方にお悔やみを申し上げます。さて,踏切事故の発生を踏まえまして,10月12日に事故現場におきまして宇城警察署,JR及び市の三者で今後の対策を協議いたしました。 まず,JRが実施する対策としまして,警報機の赤い点滅ランプを全方向から視認できる提灯型と呼ばれるものへ変更すること。次に,市が実施する対策としまして,まず,踏切を利用される市民を把握するための交通量調査,先ほども申し上げましたが,市内の小中学校に対し,交通事故防止に係る注意喚起,JR宇土駅において自転車利用者に対し,自転車の安全な利用を呼びかける啓発活動を実施しております。また,本年度中には踏切手前に停止線の路面標示を計画をしております。 先ほど申しました,交通量調査の結果におきましては,午前5時から午後8時までの時間帯での調査でありまして,10月20日と11月7日の2回実施しております。1回目の調査が合計で228人,うち自転車が169人,2回目の調査が合計で301人,うち自転車が231人でございました。この交通量調査は,死亡事故がありました踏切を通行される方を対象とした調査であり,城之浦町の県道を自転車で通行される方は宇土高校生など,数多くの方が利用されていると認識をしております。 議員の御質問にありました,安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインとは,自転車は,車両であり,車道通行が大原則という観点に基づき,安全で快適な自転車通行空間を効果的に整備することを目的に,道路管理者や都道府県警察が自転車ネットワーク計画の作成やその整備,通行ルールの徹底を図ることを促進するための指針となるものです。本市としましては,以上のことを踏まえまして,城之浦町県道につきましては,今後も路面に速度規制の表示などの交通安全対策の整備について,宇城警察署や宇城地域振興局に対し継続的に要望活動を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 中口俊宏君。 ◆11番(中口俊宏君) 効果的な対策をお願いいたしまして,私の質問を終わります。 ○議長(山村保夫君) 12番,藤井慶峰君。 ◆12番(藤井慶峰君) お疲れ様でございます。無所属の藤井慶峰でございます。今議会でも一般質問の機会をいただきありがとうございます。今回は,質問書を出した後で,質問内容が今中議員とほとんど同じ内容でありましたので,事前に相談いたしまして,質問の多くを今中議員にしていただくことにいたしました。私は,元松市長に対して,二期目の市政運営はどうであったか。また,昨年4月の震災対応ではどうであったかということについて,改めてお伺いいたします。何卒よろしくお願いいたします。 ○議長(山村保夫君) 藤井慶峰君。 ◆12番(藤井慶峰君) まず,元松市長が二期目を務められて,任期満了まで約4か月となりました。元松市長御自身で二期目を振り返っていただいてどうであったかということについてお伺いいたします。マニフェストについては,明日の今中議員の質問にもあるようでございますから,大まかなことだけで結構でございますので,よろしくお願いいたします。 ○議長(山村保夫君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) 藤井議員の御質問にお答えをいたします。 市長として二期目を担わせていただき,3年8か月になります。この間,熊本地震という大きな災害があり,3年目,4年目は災害対応がメインの仕事となってしまい,当初掲げていたローカルマニフェストに基づく政策の一部について遅延や中止等の対応をせざるを得なかったものがあります。非常に残念でなりません。 地震を通して,改めて大自然の驚異と平和であることの大切さを思い知らされた二期目の4年間であったような気がします。第二期のマニフェストに掲げましたのは,4分野の52項目でございます。このうち,期間内に達成あるいは達成見込みを合わせて42項目,81%にあたります。遅延により達成が困難,あるいは計画が中止をしたものを合わせて10項目,19%という内容になっています。全体にみておおむね順調に進められたのが子育て支援分野でございまして,こども医療費助成の拡充,多子世帯への給食費の助成,全小中学校へのエアコンの設置など,当初あげていた項目の多くが達成見込みとなっております。少子化,そして人口減少の時代にあって,子育て世帯に残ってもらう,あるいは宇土市に来てもらうことは,宇土市の将来に向けて非常に重要な課題でありまして,そのキーワードは子育て支援だと思っております。また,地震発生前に着手をしておりました,網津防災センターの新設,デジタル防災無線の整備,長部田・小池地区の高潮対策,樋門の整備,国営事業でありますが,地震の影響で予算確保が非常に危惧をされておりました,緑川左岸,浜戸川右岸の高潮対策堤防の順調な工事進捗,あるいは,地域高規格道路,宇土道路の工事着工などは県の事業,国の事業も入っておりますが,一定の評価ができると思っております。 一方で課題も多く残っております。特に地震災害やその後の豪雨災害において多くの道路や河川が被災をしております。特に河川整備におきましては,地形的な問題もあって,喫緊の課題であったものですが,実際,昨年の地震,豪雨等により大きな被害が発生をしております。流域の皆さんにおかれては,家屋の損壊,自動車等の水損,農地,農業施設,漁業施設にも甚大な被害となってしまいました。県管理の網津川,網田川,潤川,市管理の飯塚川,船場川などの被害が特に大きかったと思っております。県管理河川といいましても,その県管理河川も多いのですが,そういう意味では,私たちの意思だけで進まない事業もたくさんありますが,流域の住民の皆さんにとっては,これが県の河川であろうと,市の河川であろうと,そういう問題は関係なく安心・安全に過ごせることが第一であると思います。できるところから対応せざるを得ないというのが実情でありますが,住民生活に大きな影響を与える河川ではありますので,災害からの復旧や減災的な整備については大きな課題として残っていると認識をしております。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 藤井慶峰君。 ◆12番(藤井慶峰君) ありがとうございました。 マニフェストの達成率については81%ということですが,任期の丁度半ばで地震災害が起きましたので,よくできたほうではないかなという感想を持っております。 昨年4月の熊本大地震は,想像を絶する,まさに未曽有の災害でありました。また,水害も地震災害に追い打ちをかけるような災害でありました。おそらく熊本県民のほとんどの人が予想だにしなかったことと思います。あの地震災害,水害のときも市長,副市長はじめ,各部長,職員一丸となって災害の対応にあたられたことを私も高く評価しております。特に地震によって市役所本庁舎の4階と5階が倒壊するという甚大な被害を受けて,使用できなくなって,駐車場にテントを張って災害対策本部を設置され,市民の安否確認と安全確保,全国からの届けられる救援物資の受け入れから配布まで本当に大変であったことと思います。市長もあのときばかりは,随分と痩せられてスマートになられておりましたが,正直なところ,あのときは体を壊されるんじゃないかなという心配をしたことでありました。 そこで,市長御自身では,あのときの震災,あるいは洪水対策,対応を振り返ってどのように考えておられるかお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(山村保夫君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) 熊本地震を振り返ってという御質問でございますが,私がどう考えたというよりも,市全体としてどうやって動いてきたかということをですね,少しお話をさせていただきたいと思います。少々お時間を頂戴しますが,お許しいただきたいと思います。 4月14日木曜日でございます。午後9時26分,突然大きな揺れが宇土を襲いました。益城町では御承知のとおり,震度7,多くの家屋の倒壊がこのときも映像として飛び込んでまいりました。宇土市は震度5を観測したわけでございますが,職員が緊急参集して,避難所の設置を行うとともに,消防団の皆さんの応援を得まして,市内全域の被害状況確認に走り回ったところでございます。この夜は指定避難所に約1,300人の方が避難をされましたが,益城町ほどの被害は発生しておらず,正直なところ,この程度で済んでよかったなと胸をなでおろしたということを思い出します。ただし,庁舎におきましては,おびただしいほどのクラックが確認できましたので,余震が収まるまでは安全のために立ち入り禁止という措置を取ると共に,4月15日,翌日でございますが,翌日の市役所通常業務を全面停止としまして,り災証明の受付窓口のみ設置して対応したところでございます。 15日の夕方には,余震も少し収まってまいりまして,避難されていた方々の多くが帰宅をされました。私たちも徹夜明けで夜まで市役所に残っておりましたが,市全体が少しずつ落ち着きを取り戻したこともあり,翌日に備え一部の職員を除き帰宅をしたところでございます。 そして,発生したのが16日午前1時25分の本震でございました。この揺れに関しては,議員の皆様も実際に体験をされておられますので,改めて言うまでのことはないと思いますが,これまで全く経験したことがない揺れでありました。この本震直後でございますが,幼稚園の先生方も含めて,ほとんどの職員が徹夜明け,そして緊急招集のメールが通常は流れるんですけども,このメールも送れない状況の中にも関わらず,自主参集をしてくれました。実は,平成26年,27年度と職員の非常呼集訓練を行っておりました。実施日時を指定せずに抜き打ちで実施する訓練でしたが,その訓練の成果がこの参集の状況に表れていたと思っております。 とはいえ,市役所の4階,5階は崩れておりまして,立ち入りができない状況,電話回線も1回線しか使えない状況になりました。多くの市民の方がおそらく市役所にいろんな情報を届けるために電話を入れられたものと思いますが,その電話連絡には数日間はほとんど対応できなかった状況でした。非常に申し訳なく感じております。 防災無線に関しましては,市役所の庁舎内からの放送はできなくなりましたけれども,幸い消防無線との連携機能は生きておりましたので,職員に消防署に張り付いてもらって消防署からの臨時放送で対応したところでございます。 また,この本震直後には,津波注意報が発令されたこともあり,高台あるいは広場に逃げる車両により,市全体がパニック状態になっておりました。 直後に開きました災害対策本部会議では16か所の避難所を開設する。後に福祉センターは閉鎖をしておりますが,開設をする。そして,真夜中でもございまして,暗闇の中でございましたので,市民の皆さんに落ち着いて行動していただこうということで,ナイター設備のあるグラウンドの照明をすべて点灯し,学校校舎には教室も含めて全て点灯を指示をしたところでございます。 大きな余震も続いておりましたし,市役所の隣にあって無事であった別館あるいは福祉センター内は耐震構造でございましたが,これにとどまることができなくなり,このときに災害対策本部を庁舎裏の駐車場に設置した,テントに移したところであります。 16日の夜の時点で,福祉センターを閉鎖しておりましたので,15か所の指定避難所に6,500人ほどの方が避難をされ,各地区の地区公民館などにも臨時の自主避難所として多くの方が避難をされておられます。車中泊の方も相当おられたということも考えると,このとき自宅で眠れた方が一体何人いたのだろうかと思うぐらいの数だったと思います。 その後,4月19日に市役所機能そのものを市民体育館に移転するなどして,災害対応にあたってきました。 全体的なことで感じたことを幾つか紹介をさせていただきたいと思います。 まず,一番ありがたかったのは,被災者でもある多くの市民の皆さんが困っておられる方々の支援に被災者でありながら汗を流していただいたことだと思います。独居の高齢者の皆さん,これらの皆さんを支えていただいたのも近所の方であり,地域の皆さんであったことなど,改めてこの宇土市にしっかりとした地域の絆があることを強く感じたところです。大規模災害では,公助には限界があります。そういう意味で,共助の大切さについては,今回の災害を教訓としまして,さらに強くなるよう今後取り組む必要があると感じたところでございます。 また,行政機能が停止するという大混乱の中でございましたが,長崎県や沖縄県の自治体,千葉県柏市,奈良県奈良市,鹿児島県日置市をはじめ,全国の自治体から数多くの職員の派遣をいただきました。当初は,多くの職員を15か所の避難所に張り付けざるを得ず,さらには物資を配送するにも人が足りないという完全なマンパワー不足でありましたが,これらの派遣応援の方々に避難所運営を引き継いでいただくことによって,徐々にではありますが,通常業務の再開にこぎつけることができたものでございます。 さらには,議員の皆様におかれましてもそうでございます。各地域の被害状況の把握に努めていただいたほか,被災された皆さんのサポートにも全力であたっていただきました。定例会の開催にあたっては,災害対応に影響が出ないようにと,議会日程の短縮をはじめ,私たちに温かい御配慮をいただきました。力強く,そして温かい議員各位の御協力にも感謝をしております。 救援物資につきましては,全国から御存知のとおり,大量の物資をいただいております。発災当初は,備蓄の水,食料がすぐに枯渇をしまして,県の動脈である九州縦貫道,そして国道3号が寸断されたこともあって,本震後数日間は完全な物不足の状態になっておりました。このような中,ヤマザキパン,フジパンからの大量のパンの提供がありました。また,水道も止まっておりましたが,鹿児島県日置市から救援水もすぐ持っていただいて,何とか耐えしのいだ状況でございます。その後,道路の復旧が進んだ20日ごろから全国からの物資が届きはじめ,物不足は解消に向かいました。 これらの救援物資を1人でも多くの方に届けようということで頑張っていただいたのがボランティアの皆さんでもございました。ボランティアの皆さんに配給部隊を編成していただきました。そして,市内十数か所で移動配給を行っていただきました。市職員のマンパワーが足りない中,ボランティアの皆さんのお力添えによってこれはできたことでございます。また,宇土市が加入しております全国青年市長会の会員市から災害相互応援要綱に基づく支援がありました。特に全国から多くのブルーシート,あるいは土嚢が宇土市に届けられました。この頃,熊本県全体が物資不足に陥っておりまして,特にこういった資材関係は全く足りない状況でございました。そんな中,宇土市においてはこういった温かい御援助によりましてブルーシートを住民の皆さんに無償で配布することができました。また,手持ちのブルーシート,土嚢等が底をついた他の自治体に対しても宇土市から供給をすることができました。非常に高価な救援物資になりましたけれども,それらを数多く送っていただいた自治体や企業の皆さんには本当に心から感謝をしているところでございます。 このような物資の受け入れ,あるいは壊れた家屋のがれきの撤去などにも多くのボランティアの皆様のお力添えをいただきました。特に発災当初,学校が休校になっておりましたが,中学生あるいは高校生,本当に多くの子どもたちが体育館に来てくれて,高齢者世帯などの後片付け等において大きな力を発揮してくれたところでございます。 このような発災直後の動きから,その後は家屋調査,あるいはり災証明の発行等に業務の中心が移ってまいっております。宇土市には,家屋調査の経験がある職員がおらず,全国から派遣いただいた各自治体の調査員に大きな負担をかけることになりました。被害が大きく,家屋調査の対象家屋がおびただしい数に登りましたが,多くの自治体の御支援により,調査を進めることができました。調査は,全国統一の様式によるものでございましたけれども,一般の地震保険と違いまして,この調査は家屋としての機能がどれだけ損なわれてたかで判定を行うため,被害額と被害の程度が比例しない場合が数多くあります。例えば,家の修理に1千万円かかる,それでも判定は一部損壊だというような場合でございます。こうなると公的な支援が受けられないというようなことも出てきます。これは宇土市に限ったことではございませんが,この調査結果に不満が残られた方も数多かったものと思います。制度上の問題もありますが,これらに関しましては,被災者支援という意味では改善の余地がある項目として県を通して国に対して今要望が出されているところでもございます。 熊本地震では,国の支援策として,被災した施設の修復にかかるグループ補助金制度,あるいは被災農地の復旧制度など,数多くの支援制度が導入をされております。市独自でも商業施設の復旧に係る利子補給,あるいは農地復旧に係る助成,崖崩れ等の復旧に係る受益者負担金の免除など,いろいろな制度をつくりました。いずれも被災者の生活や事業再建をサポートしようというもので,多くの方に御活用をしていただいております。しかし,それでもまだまだ現状では十分ではないと思っております。これから県の復興基金等を活用させていただいて,新たな支援策も考えていきたいと考えております。 最後に,この熊本地震における市長としての私としての考え方,あるいは市役所としての組織としての行動方針について説明をさせていただきたいと思います。 私が基本として考えてきたことは大きく三つです。まず,スピードを重視しようということです。情報が錯そうして正確な状況が掴めないことが多々ありましたけれども,それでも今すぐ支援が必要な方が多数おられました。情報を分析して検討することももちろん大切ですが,検討に時間を掛けるゆとりがない,そうであるならば,今できることを一歩でも,半歩でも進めよう。そして,まず動き出した上で情報を掴んで,方向を修正していこうという考えでございました。当然迷うことも多々ありましたけれども,もう迷った時点でゴーなんだということを自分に言い聞かせながら職員にも少し無理な指示をしました。ただ,職員もそれに十分応えてくれました。 また,2番目が,どんなに手一杯でも市民の皆さんに寄り添った対応を心がけようというものでありました。市民の皆さんから膨大な要望が届きます。職員の仕事は1日が48時間あっても足りないほどの状態でした。しかし,職員の仕事の基準は自分がどれだけできるかを考えることではなく,1件でも多くの要望に応えるためには,どうやったら助けられるか。どうやったらできるかであるという考えに基づいて動いてまいりました。 マンパワー不足でありますので,人的な応援は簡単にはできませんが,その解消は職員の中ではなくて,私が調整をしていくべきだという思いで,いろんな自治体への応援要請等も行わせていただいたところでございます。庁内での応援体制も同じでございます。 ただ,そんな中,職員が長期の研修,職員を出しておりますけれども,自治大等の研修でございますが,こういったところでつくったネットワークで直接各自治体と交渉して,支援を勝ち取った,支援を受けたということも多数ありました。 先ほどの柏市等がその典型的な例でございますが,やはり日ごろのいろんな付き合い,ただ単に研修に行って勉強するだけではなくて,いろんな人的なネットワークをつくっていくということの有り難さも改めて感じたところでございました。 そして,3番目でございますが,他人任せにせず,まず動こうということです。誰かがやってくれると思っていても,大規模災害時にはその誰かがいません。その誰かも動けない状態にあります。それが自分の仕事かどうかというのは,やはり私は二の次であって,今動ける人が迅速に動くことこそが大切だと思っております。例を挙げますと,道路や水路の破損,これは水害の後,特にひどかったんですが,これが市内各地で発生をしておりました。土木課,農林水産課あたりは飛び回っておりました。電話を掛けても留守番以外はいないような状況であります。しかし,数多くのここが悪いから見てくれという要望が届きます。こんな中,特に市の西部におきましては,網田支所と網津支所がこの役割を担ってくれました。専門の土木職員はおりません。しかし,現地で写真を撮ってそれを担当課につなぐこと,これは一般の職員でもできます。網田,網津支所の職員がそういう動きをしてくれたこと。本当にこれはありがたい活動だったなと感じております。 また,水害のほうは,県に対して被害の大きさを訴えて,地震並みの対応をしていただきたいということで,私どもも要請をしましたが,地震の被害があまりにも大きすぎて,この水害の被害が埋もれているような状況で,県も迅速な動きが期待できないような状態に感じました。そこで,宇土市が発起人となりまして,被害が大きかった宇城,上益城の自治体に呼びかけて,任意の協議会をつくり,国に対して,直接の要望活動を行っております。結果として,地震に起因しているという証明を行うことで,地震災害並みの財政支援を受けられた例が何件もございました。 これにも関係するんですけども,この水害と地震の因果関係を証明しなければならないということで,水害の調査報告書を作成しておりますが,この作成は通常であれば土木課,農林水産課が行うものだと思っておりますが,これを担当したのは福祉課でございます。今できることをよその仕事じゃなくて,今できることをできる人がやろうということ,これはですね,ある程度はできたんではないかなと感じております。 熊本地震に関する対応について述べさせていただきましたけれども,大規模災害において行政の対応として100点満点を取ることは不可能だと思います。しかし,例え50点しか取れなくても,期待できなくても,住民の皆さん,あるいは全国の皆さんのお力をお借りし,職員も一致団結して動けば60点,あるいは70点は取れると思います。それによって救われる住民の方が一人でも二人でも増えていく,それが理想だと思っています。これから本格的な復興に向けて進んでいきますが,まだまだ目途すら立っていない事項もたくさんあります。これからも住民の皆様に寄り添う気持ちを忘れずに事業を進めてまいりたいと思っております。 今回の熊本地震においては,地域の皆さんをはじめ,多くの市民の皆さんに被災されているにも関わらず,温かい御理解,そして御協力をいただきました。また,全国から数えきれないほどの支援もいただいております。お世話になった全ての皆様に対し心から感謝を申し上げます。 また,市役所内部の話になりますが,職員も同じで,被災している職員多々おりましたが,非常に苦しい状況の中,市民の皆さんのためにという思いで身を粉にして奮闘してくれました。体調を崩した職員もおります。それでもその職員を家族の皆さんが支えていただいて仕事に送り出してくれました。こういった家族の皆様に対しましても改めて心から感謝をしたいと思います。全ての皆様に心からありがとうございましたと伝えさせていただきます。 以上でございます。 ○議長(山村保夫君) 藤井慶峰君。 ◆12番(藤井慶峰君) 元松市長には,詳しく丁寧な回答ありがとうございました。 ただいまの回答をそのまま活字にして残すだけでも一つの宇土市のこの災害対応の記録になるんじゃないかなと,そういう思いをしたところでございます。私が多くの市民の皆様と接して話を聞きましたところによると,市長はじめ職員さん方,また,応援に駆けつけてくださった他県からの職員さん方,そして,またボランティアの方々が本当によくお世話をしてくださったという感想を聞いておりますし,感謝しておられます。私,市長が若かったことも幸いしたのではないかなという思いをしております。私も,議長も一緒なんですが,還暦を超えまして,体力が段々段々落ちてきましたので,とてもとても何日も不眠不休で震災対応の指揮を執るということは無理だろうというふうに思ったわけでございます。その点でも元松市長ほか職員の皆様方に感謝しているところでございます。新庁舎建設も平成33年の春には完成の予定で準備が進められております。多くの市民が関心を寄せているところであります。また,市民生活の復興と自立もこれから大きな課題であります。そういう意味でも,私としましては,今後とも元松市長が市長として職員の先頭に立って陣頭指揮を執ってもらいたいし,そして,市民の信頼に応え得る市長として頑張っていただきたいと心から願っておるものであります。元松市長には,明日の今中議員の質問に対する答弁の中で,是非とも私の今の思いにお答えいただくことをお願いいたしまして,質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○議長(山村保夫君) 以上で,本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は,明日7日木曜日に会議を開きます。 本日はこれをもって散会をいたします。ありがとうございました。             -------○-------                午後0時24分散会...