昨年12月、政府は、
公立小学校高学年での
教科担任制を拡大するため、2022年度に教員の加配定数を950人増やすことを決定しました。当初、
文部科学省の概算要求では2,000人を掲げていたため、十分な予算を確保できず、厳しい結果となったとのことで、当面は、専科授業によるものではなく、学校内における授業交換、小規模校では中学校教員の活用など、小中連携や
小学校同士の連携で
教科担任制の導入を目指すことになります。
今後も、
文部科学省は、2025年度までに3,800人の加配定数増を目指し、4年かけて、
小学校高学年における
教科担任制を段階的に推進するとしています。しかし、厳しい財政状況の中、引き続き教員の定員数増には困難が予想されます。
それでも、
教科担任制の導入には多大なメリットがあります。
小学校高学年で
教科担任制を導入するメリットは、1、授業交換を実施する場合を含め、授業準備の効率化につながる。2、同じ授業を複数回実施することによる授業改善が図られる。3、教師の担当教科の減少、
授業担当外の時間増に伴い、教材研究の充実につながる。4、複数の教師が教科指導に当たることを通じて、多面的な指導・支援ができ、児童の問題を学年間の教員で共有できるようになり、生活指導がしやすくなる。5、複数の学級の同一教科を指導することで、指導と評価の一体化、適正で信頼される評価について、学級間の差がなくなり、より公正・公平な評価に基づいた授業改善ができるようになると言われています。
小学校高学年ともなると学習内容が難しくなり、教師の指導力がより求められ、教科によっても得手不得手があります。専科指導の加配教員による指導をはじめ、授業交換などで自身の得意な教科を担当することで専門性の高い指導を実現できるほか、教材研究も、教科を絞って取り組めるため、じっくりかつ効率的に行うことができることから、働き方改革につながる可能性もあると言われています。
文部科学省では、優先的に専科指導の対象とすべき教科としては、外国語、理科、算数、体育の4教科が挙げられており、今年度から地域や学校の実情に合わせて
教科担任制の趣旨の理解、目的の実現に向けた対応が求められます。
一方、本市の状況は、
小学校高学年の一部
教科担任制の
実施状況調査報告で確認することができます。調査対象は熊本市立の小学校92校で、令和3年11月に調査が行われています。どの小学校も何らかの形で一部
教科担任制を導入できており、その中でも、理科が84校と最も多く、続いて音楽67校、外国語53校と続きます。また、高学年では、ほとんどの学校で一部
教科担任制を導入できていて、中学年では7割近くで導入できていることになります。現在の一部
教科担任制では、専科授業の形がほとんどで、交換授業では約4割で採用されています。成果も8割から9割の学校で
教科担任制の目的が果たされていると感じる一方、
教科担任制の実施が交換授業において実施している割合が高いことから、時間割の調整が難しいと感じている割合が8割近くに上ります。
教科担任制の意義が理解され、その取組は確実に拡大していると言えますが、加配がそれほど期待できないことで、そこを交換授業などの工夫で実現しようとしているのが分かります。ここで、
教科担任制の導入への機運を高め、継続的に取り組んでいけるよう、計画性を持って実行していくことが重要と考えます。
また、
文部科学省は、人材確保のために社会人等の多様な人材の活用を行うとしています。その内容を紹介いたしますと、1、小学校の免許状を働きながら試験により取得できるようにする。2、
特別免許状の授与対象者の多様な経歴の評価を行い、学校現場のニーズに合った教員が活躍できるようにする。3、社会人が働きながら免許状の取得に必要な単位を修得できるよう、
教職特別課程の修業年限を弾力化する。4、企業で働く社会人等が企業に所属しながら、学校に参画する機会を創出する
学校雇用シェアリンクを創設・運営する。5、
教員免許状保有者が
小学校現場で勤務できるようにするための
教育支援プログラムを開発し、実施するなどです。このように民間企業との連携や教員免許を取りやすくする取組が行われ、社会人等の多様な人材を確保していこうとしています。
そこで、教育長に3点お尋ねいたします。
1、今後の
教科担任制へのさらなる取組の目標及びそれを達成する時期についてお示しください。
2、民間企業との連携や教員免許を取りやすくする取組が行われ、社会人等の多様な人材を確保していこうとしています。これによって、
教科担任制を実施する前提条件は大きく変化していくと考えますが、社会人等の積極的な採用をいかにお考えでしょうか。
3、
教科担任制をさらに推進していくためには、学校の規模や実情に合わせ、現場の校長が
リーダーシップを発揮しながら、指揮を執っていく必要があります。また、教師が専門性を持って高度な知識を吸収し、学びの質を高めていくことや指導力に差が生まれ、担任する学年が固定化しないよう、気を配る必要があります。よって、校長や教員に対し、
教科担任制の意義や今後の計画、その実践例などを示していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
〔
遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長
教科担任制について、3点お答えいたします。
まず、
教科担任制の導入は、ただいま議員から詳しく御紹介いただいたように、教材研究の充実や多面的な児童理解につながるなどの意義があり、
教育委員会としても積極的に推進しているところです。
〔議長退席、副議長着席〕
1点目の取組の目標及び達成時期についてですが、さらなる
教科担任制の拡充を目指し、得意な教科や専門性を生かして、担任同士で教科を交換して実施する授業を、令和5年度までに全ての学校で実施が進むよう取り組んでまいります。
次に、社会人等の積極的な採用についてですが、優れた知識・経験を有する民間人の採用により、学校全体の活性化や
教科担任制の充実につながると考えます。教員の成り手を安定的に確保する観点からも、小学校はもとより、他の校種での採用も進めてまいります。
3点目の、学校への示し方ですが、各学校が
教科担任制の意義やメリットを理解し、さらに工夫して取り組むよう、校長・園長会等の機会に周知してまいります。その中で、実施上の課題である時間割の調整の難しさを改善するために、学校規模に応じた具体的な
時間割モデルや好事例を示してまいります。
〔8番
伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員
教科担任制の今後は、令和5年度までに全ての学校で得意な教科や専門性を生かしての担任同士の交換授業によって、
教科担任制の実施が進むよう取り組むとのことです。当然、専科授業による
教科担任制が理想となりますが、教室数が不足している状況下では仕方がない面があります。そのため、
文部科学省では、社会人でも教員免許が取りやすくする環境を整えたり、民間人の採用によって、教員の成り手を確保しようとしています。ぜひ
教科担任制を今後推進するに当たって、積極的に社会人の採用の検討をお願いいたします。
また、実際、
教科担任制を導入していくのは各学校です。まずは、学校長に
教科担任制導入への
リーダーシップを発揮してもらいたいと思います。ゆえに、校長や教員への理解を進めるとともに、導入が困難と見られても、解決方法などの様々な情報を提供できるようにお願いいたします。
教科担任制の知識と実践例や
課題解決法等の情報を提供するなど、現在の教師数が不足している状況でも最大限推進できていくようお願いいたします。
次の質問に移ります。
近年、地球温暖化の影響によると考えられる自然災害の激甚化・頻発化や、金属や化石燃料などの天然資源の枯渇、
海洋プラスチックごみによる生態系への影響など、環境問題が深刻化する中、大量生産・大量消費・大量廃棄の
社会システムを見直し、資源の循環的利用をより一層徹底することにより、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される
循環型社会への変革が求められています。
国においては、平成30年6月に第四次
循環型社会形成推進基本計画の閣議決定がなされ、令和元年10月に食品ロスの削減の推進に関する法律が施行され、さらには、令和3年6月に
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の公布などにより、
循環型社会形成に向けて、環境的側面、経済的側面、社会的側面を統合的に向上させる持続可能な
社会づくりへの取組が進められています。
本市においては、平成23年3月に熊本市
一般廃棄物処理基本計画を策定し、市民・事業者・行政との協働の下、ごみの減量化や
リサイクルの推進、ごみの適正処理などの取組を進めてきました。さらに平成27年度に同計画の中間見直しを行うとともに、市域内のし尿及び浄化槽汚泥の処理方法や今後の処理の在り方などを定めた
生活排水処理基本計画を策定し、生活排水の適正処理を実施してきました。
令和3年度で本市のこれらの計画の期間が終了することに伴い、少子高齢化の進展や廃棄物を取り巻く環境の変化に対応した持続可能な
循環型社会の実現に向けて、さらなるごみの減量化や
リサイクルの取組を推し進めるとともに、生活排水の適切な処理により水環境を保全するため、熊本市
一般廃棄物処理基本計画が更新されました。今回は、この計画の中でも、
一般廃棄物、特に家庭ごみについて質問いたします。
まず、家庭ごみの状況を見てみると、家庭ごみは、平成21年10月からの
家庭ごみ収集有料化や平成22年10月からの
プラスチック製容器包装の分別回収が開始したことにより大きく減少し、また、
リサイクルの取組によって減少傾向が続いていましたが、近年は、その減少傾向が鈍化し、おおむね横ばいの状況となっています。逆に、令和元年は、
新型コロナウイルスの影響で家庭で過ごす時間が増えたことから、増加に転じています。
令和元年度の家庭ごみの
組成分析調査結果によると、直接廃棄や食べ残しなど、いわゆる食品ロスを含む生ごみが約32%含まれています。また、分別の誤りによる不適正排出が約19%あり、このほとんどは、
プラスチック製容器包装や紙など、正しく分別することによって資源化が可能なものです。このことから、家庭ごみの減量は、いかに食品ロスを減らし、紙や
プラスチック製包装容器などの分別を強化していくということで方向性は非常に明確だと考えます。
家庭ごみの組成の推移を見ると、紙類など資源化可能なものの割合が減っており、市民の協力による分別が進んでいることが分かります。しかし、ごみの排出量は近年は横ばいの状況であることから、これまでの
ごみ減量化、
リサイクルの意識では難しいと考えます。というのも、ごみの減量・
リサイクルの情報は、自分が求めないと得られない情報となっています。本市のごみの状況も、普段の生活の中でその情報を得られる機会がなかなかありません。ゆえに、
プッシュ配信の手法が非常に有効と考えます。さらに、
ごみカレンダーアプリ、LINE、
ユーチューブが連携し、情報発信や啓発を行うことが重要となってまいります。
令和元年度の家庭ごみの組成分析では、直接廃棄が6.2%を占めています。これは、適切に消費していければごみにはならないものです。
食品ロス削減への意識を常に持っている必要がある一方で、
フードドライブ活動を身近に実施できる場所や事業所があれば、社会貢献につながると同時に、食品ロスを削減することができます。本市では、
熊本連携中枢都市圏で連携して
フードドライブを実施していますが、それが、もっと身近になってくること、民間企業のさらなる協力が得られることで、
食品ロス削減の機運を高めることにつながっていくと考えます。
そこで、環境局長に2点お尋ねいたします。
1、ごみ減量や
リサイクルなどの情報発信や啓発のために今後どのような取組を行っていくのでしょうか。特に
ごみカレンダーアプリ、LINE、
ユーチューブなどが連携して広報を行っていくことは有効と思いますが、いかがでしょうか。
2、
フードドライブ活動をはじめとした取組をきっかけに社会全体がごみ削減への意識を高めていけるように、民間企業と協力・連携していくことは非常に大事と思いますが、いかがでしょうか。
〔
早野貴志環境局長 登壇〕
◎早野貴志 環境局長 家庭ごみの減量化について、2点の御質問にお答えします。
まず、家庭ごみの減量に向けた情報発信や啓発につきましては、小学生を対象とした環境学習、エコレシピの
調理実習講座や
本市公式LINEを活用した分別クイズ、
ごみカレンダーアプリの普及・充実などに取り組んでまいりました。
今後、さらにごみの減量を推進するため、SNS等を活用した啓発は大変有効と考えておりまして、個別に運用している
ごみカレンダーアプリと
本市公式LINE、
ユーチューブを連動させるとともに、内容の充実を図るなど、利便性の向上と情報の効果的な発信に努めてまいります。
次に、
民間企業等との連携につきましては、企業の特色を生かした情報発信や従業員の皆様への啓発も見込まれることから、ごみ減量の意識向上を図る上で重要な取組と考えておりまして、昨年度は、
SDGs連携協定企業と共同で
フードドライブ活動に取り組むとともに、地元高校が実施した
食品ロス削減プロジェクトへの活動支援などを行ったところです。
今後も様々な機会を捉えまして、多様な企業・団体等と連携・協働し、
食品ロス削減など、ごみ減量の意識啓発に努めてまいります。
〔8番
伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 家庭ごみの減量は、ごみ袋の有料化や
プラスチック・紙類の分別などで着実に減少してきました。ただ、これらの取組は非常に分かりやすく、明確であります。一方で、
食品ロス削減は、これまでの自身の生活習慣との闘いで、意識を大きく変えていかなければなりません。この意識変革の困難さが近年、家庭ごみの排出量が横ばいになっている理由の一つと考えます。
また、今回家庭ごみの減量というテーマで様々調べていく中で、本市の家庭ごみの状況がよく分かりました。そこで分かったことは、意識を持って、ごみの減量法などの情報を求めると、確かにその情報は得られました。
ネット社会になり、情報は幾らでもすぐそこにあると言えます。しかし、意識しなければ、普段の生活を送っていく中でごみの減量を行おうとはなかなか思えません。いかに身近なところでごみ減量の取組、今で言えば、SDGsの取組が行われていくかが重要と考えます。
あるスーパーが資源物を持ち込むと、重量に応じてポイントがもらえるという取組を行っていますが、ごみを持ち込むという行為が自身の目に見えた利益にもつながり、今後の新たな取組へのきっかけとしては有効と考えます。本市からの発信は目につく形で効果的に行い、一方で、社会全体の機運を底上げしていく取組をぜひ民間企業との連携・協力でお願いいたします。
次の質問に移ります。
これから行う質問は、初日の我が会派の井本議員からの質問でもあったように、
熊本地震復興検証プロジェクトの一環として行わせていただきます。様々な検証のテーマがありますが、私からは災害時支援についてお尋ねいたします。
今から6年前の熊本地震は、ちょうど税理士の開業の準備を行っているただ中に発生いたしました。そのため、事務所がめちゃくちゃな状態となり、そこからのスタートとなりました。また、地震発生当時、長男は1歳足らずで、避難所となった小学校では体育館が被災し、使用できなかったため、避難所として機能していませんでした。また、水道は止まり、1週間お風呂に入れずにいると、その長男が結膜炎を発症し、目やにで目が開かない状態となり、避難生活は大変に困難を極めました。
そういった経験をしたがゆえに、災害時支援の体制は避難弱者に行き届く体制でなければならないと痛感いたしました。そして、
市議会議員に当選し、すぐに
災害支援体制についてヒアリングをし、確認を行いました。そのような意味で、まさに
市議会議員としての原点である災害時支援の観点から、熊本地震からの復旧・復興の検証を行いたいと思います。
まず初めに、
指定避難所の耐震性の問題です。当時、小学校などの構造体の耐震改修はほぼ終わっていたとのことで、倒壊や崩壊に至るような大きな被害はありませんでした。しかし、数多くの体育館では、非構造部材である劣化した外壁や古い工法の窓や天井材などが落下、破損し、使用ができませんでした。本震時は深夜で、かつ非常に寒かったと記憶しており、幼子を連れているため、避難所の体育館が使用できないと分かって、そこから引き返さざるを得ませんでした。よって、
指定避難所が再び熊本地震と同程度の規模の揺れがあった場合、耐えられる状況にあるかどうかが非常に気にかかるところです。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
指定避難所となっている被災した体育館は、どのような改修がなされたのでしょうか。また、再び熊本地震と同程度の規模の揺れがあった場合、被災していない体育館も含めて、間違いなく避難所として利用は可能でしょうか。
質問を続けます。
本市の受援能力の見直しについてお尋ねいたします。
熊本地震において、他の自治体からの支援は、
被災自治体自らの対応に限界がある中にあって、
被災自治体の受援に係る負担を軽減し、その状況に応じたきめ細やかな支援を迅速に行う上では有効でありました。
しかし、熊本地震では、本市職員が
避難者対応等に追われていたため、応援職員への指揮や誘導、調整等への関与が十分ではなく、
応援自治体に任せきりになる例や本市の
マネジメントが機能せず、技術職の応援職員が
避難所運営の補助に回るなど、職員のスキル・能力を有効に活用し切れていない例が一部では見受けられたと聞いています。土地勘のない
応援自治体職員のスキル・能力を最大限発揮するためには、現場で明確な指示が行えるよう、応援職員の支援や
マネジメントを適切に行うことのできる体制を整える必要があります。ほかの自治体からの支援を有効に活用するためには、
被災自治体と
支援自治体の役割分担の在り方を整理・検討しておく必要があります。
また、支援物資もプッシュ型でどんどん運び込まれてくるため、支援を受ける側の能力も非常に重要でした。
そこで、政策局長にお尋ねいたします。
本市の受援能力は、どのように体制が見直され、高まっていったのでしょうか。
さらに質問を続けます。
罹災証明書の発行業務の改善についてお尋ねいたします。
地震後、復旧・復興を迅速に行っていくためには、
罹災証明書の速やかな発行が必要となってまいります。熊本地震の際には、住民の間で
応急危険度判定と
住家被害認定調査が混同されるケースが散見され、現場で一部混乱が生じたと聞いております。また、
罹災証明書の発行業務では、
住家被害認定調査については税務部が、
罹災証明書の受付と発行業務は各区の福祉課が担い、組織がまたがっていたことで大変に苦慮したと聞いています。膨大な処理が必要な場面において、組織がまたがっていることは、スピードと正確性においてマイナス面しかありません。非常時には平時と違った対応が必要と考えます。
一方で、円滑な判定業務の実施のためには、知識や技術をさらに高め、より専門性の高い、現場で即戦力となる調査員の育成・確保をしていく方策が必要であり、
判定訓練等を定期的に行い、判定技術の維持・向上に努めていく必要があると考えます。
そこで、政策局長に2点お尋ねいたします。
1、
罹災証明書の発行業務では、組織がまたがっていたことで業務に支障を来しましたが、大規模災害の発生時には、熊本地震の経験を基に、一連の事務を統括する組織横断的な部署を設置するなどの対策が必要と考えますが、現在の検討状況をお聞かせください。
2、また、罹災証明の発行に関して、
住家被害認定調査などは、知識や技術をさらに高め、いざというとき、即戦力となる調査員の育成が必要と考えます。そのために本市で取り組んでいる研修の内容、頻度を教えてください。
〔
遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 さきの熊本地震では、24校の体育館が被災し、避難所として使用することができなくなりました。このうち22校については、平成28年度中に改修工事を終え、残りの2校は平成30年度末までに建て替えが完了しております。
改修工事に当たっては、柱やはりなどの構造部材については補強を行い、天井や雨戸などの非構造部材については落下防止の措置を講じた改修を行いました。
一方、被害がなかった体育館についても同様に、構造部材の補修や補強を行い、非構造部材の落下防止の措置を計画的に進めております。
今後、万が一、熊本地震以上の地震が発生し、体育館が使用できなくなった場合には、教室を開放するなど、学校施設が避難所として利用できるよう、柔軟に対応してまいります。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 私からは、本市の受援能力について、また、
罹災証明書の発行業務の改善について、お答えさせていただきます。
熊本地震の際は、応急給水、
避難所運営、罹災証明に係る
住家被害認定調査など、多くの
災害応急業務が生じましたが、本市職員だけでは対応が困難であったことから、
指定都市市長会や
全国市長会をはじめ、全国の自治体等から多数の人的支援をいただきました。しかしながら、当時は受援に関する方針や
マニュアル等が整備されておらず、他の
自治体等職員に対する的確な業務の要請や円滑な
現場マネジメントを行うことができない場面もございました。
そこで、平成30年5月に熊本市災害時受援計画を策定し、
災害対策本部に新たに受援班を設けるとともに、各対策部と連携する組織体制のほか、
受援対象業務やその要請手順などについて定めたところでございます。また、職員の
被災地支援による実務経験や
民間事業者等との災害協定による協力関係の構築などを通じまして、本市の受援力の向上を図っているところでございます。
今後も、大
規模災害発生時に迅速かつ的確な受援活動ができますよう、平時から職員の訓練に努めるとともに、国・県、他都市等とも連携を深め、本市の受援力を高めてまいります。
次に、
罹災証明書の発行業務についてでございますが、まず、熊本地震の際、
罹災証明書交付に関する業務につきましては、受付・交付を区役所福祉課で、
住家被害認定調査を税務部各課で担いまして、事業所向け
罹災証明書については、受付・認定調査・交付を商業金融課で行いました。そのため、住家と事業所を所有する市民の方は、それぞれの証明書の申請・交付窓口が区役所と本庁舎に分かれるなど、利便性の面で課題がございました。
そこで、関係部署によるプロジェクトチームを設置し、住家と事業所向けの
罹災証明書の交付に係る一連の業務を一元化するとともに、区役所等の窓口においてワンストップで手続ができますよう見直しを行っているところでございます。
また、
住家被害認定調査の研修等につきましては、毎年度、税務部職員約200名を中心に、被害程度の判定や調査票記入方法などの実務のほか、
被災地支援に派遣された職員の知識や経験の共有を図っているところでございます。
罹災証明書の交付は、被災者の生活再建に直結する重要な手続であることから、今後も業務改善や職員の育成に取り組んでまいります。
〔8番
伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員
指定避難所の耐震性については、被災した体育館などは、構造部材だけでなく、非構造部材の落下防止措置を取られているとのことです。また、被害がなかった体育館についても、同様の措置を計画的に進めておられます。ただし、熊本地震のときのように、いざというときに使用できないのでは意味がありません。今後も速やかに対策を進めていただきたいと思います。それでも、念には念を入れて、学校の教室の利用など、あらゆる可能性に対処できるようにお願いいたします。
本市の受援能力の見直しについては、受援能力向上のために、平成30年5月に熊本市災害時受援計画を策定し、
災害対策本部に新たに受援班を設け、各対策部と連携する組織体制のほか、
受援対象業務や要請手順などを定め、また、職員の
被災地支援による実務経験や
民間事業者等との災害協定による協力関係の構築などを通じて、本市の受援力の向上を図ってきたとのことです。いざというときに対応できることが非常に重要となりますので、平時から職員の訓練等に努めるとともに、国・県、他都市との連携を深め、受援力の向上に努めていってください。
罹災証明書の発行については、関係局によるプロジェクトチームを設置し、住家と事業所向けの
罹災証明書について調査・発行業務を一元化するとともに、区役所等の窓口において、ワンストップで手続ができるよう見直しを進めているとのことです。
罹災証明書は、被災者の早期の生活再建に不可欠なものでありますので、迅速に発行できる体制を整えていただきたいと思います。
さらに大規模災害時には膨大な業務量に対応する必要があり、人材育成と多くの職員を
マネジメントする必要がありますので、研修だけでなく、今後も今ある体制が常に機能していくかどうかの検証もお願いいたします。
続きまして、災害時ボランティアの受入れ体制についてお尋ねいたします。
熊本地震においては、
避難所運営等において、ボランティアの存在が大きな支えになるなど、改めて災害時におけるボランティア活動の重要性が再認識されました。一方で、ボランティアセンターの一部では、ボランティアの受付窓口が花畑広場の1か所であったため、ボランティアが殺到し、被災地におけるボランティアのスムーズな活動につながらなかったと聞いております。
本市のボランティアセンターの体制が充実されるとともに、災害対応・復旧において大きな役割を果たすボランティアが効果的に活動できるよう、関係機関と連携して、ボランティアの募集状況等に関する情報の迅速な収集・発信を行う必要があります。
さらに災害ボランティアセンターの運営の長期化に伴い、運営スタッフの人数が不足し、災害ボランティアセンターの電話に問合せが殺到し、電話がつながらないとの苦情が多くありました。また、ボランティア志願者への情報提供が不十分であり、ボランティアを送迎する車両と運転手の確保が困難であったなど、様々な問題がありました。
そして、何より、本市が作成した熊本市震災記録誌によると、大規模災害時には現地のニーズを把握しづらく、ボランティアを適切に派遣できなかったことから、現地のニーズを的確に把握し、マッチングできる体制が必要であるとし、地域災害ボランティアコーディネーターの養成研修の実施を検討するとあります。各地域にボランティアのコーディネーターが存在すれば、それは頼もしい限りではありますが、その養成には時間がかかると考えます。現在、地域災害ボランティアコーディネーターの取組はどのように推進されているのでしょうか。
そこで、文化市民局長にお尋ねいたします。
熊本地震のような大規模災害が起こった場合、ボランティアの受入れ体制は現在どのようになっているのでしょうか。
また、地域災害ボランティアコーディネーター養成事業は、現在どのようになっているのでしょうか。
質問を続けます。
校区防災連絡会の今後についてお尋ねいたします。
今回の熊本地震では、
避難所運営マニュアルがない、または周知されていないなど、市町村における円滑な
避難所運営についても課題となりました。また、地震当初、本市職員が避難所対応に人手が割かれていたため、
罹災証明書の発行など、本市が担わなければならない業務に遅れが生じました。ゆえに、その教訓を踏まえ、各地域の避難所の開設・運営はその地域で行う必要があり、各校区に校区防災連絡会を設置し、自助・共助の考え方の下、地域のことは地域で行うことを明確にし、防災力向上に努めてきました。
避難所管理運営マニュアルの策定が進み、校区においても避難所開設訓練を行うなど取組が進んでいますが、校区によって、その取組の内容は様々です。地域主体で行うようになっているので、主体性がある地域は積極的に話合いが行われ、その地域の防災力は見る見る向上していきます。一方、主体性のない地域は、具体的な訓練が行われていなかったり、話合いすら行われていなかったりして、確かにこの2年間は
新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと思われますが、それを差し引いても、校区防災連絡会は設置されたものの、実効性に疑問が残ります。
校区にはそれぞれの地域課題もあると思われますが、校区の防災力にばらつきが生じないよう、本市は見届けなければならないのではないでしょうか。各校区の防災力がある一定水準に到達できているか、確認していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
そこで、政策局長にお尋ねいたします。
地域防災力のレベルアップのため、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
〔横田健一文化市民局長 登壇〕
25番 浜 田 大 介 26番 井 本 正 広
27番 藤 永 弘 28番 原 口 亮 志
29番 田 中 敦 朗 30番 紫 垣 正 仁
31番 小佐井 賀瑞宜 33番 大 石 浩 文
34番 村 上 博 35番 上 田 芳 裕
36番 那 須 円 37番 澤 田 昌 作
38番 田 尻 善 裕 39番 満 永 寿 博
40番 田 中 誠 一 41番 津 田 征士郎
43番 藤 山 英 美 44番 落 水 清 弘
46番 三 島 良 之 47番 坂 田 誠 二
48番 白河部 貞 志 49番 上 野 美恵子
欠席議員 2名
32番 寺 本 義 勝 45番 倉 重 徹
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中垣内 隆 久 政策局長 田 中 俊 実
総務局長 宮 崎 裕 章 財政局長職務代理者河 野 宏 始
文化市民局長 横 田 健 一 健康福祉局長 津 田 善 幸
環境局長 早 野 貴 志 経済観光局長 田 上 聖 子
農水局長 大 塚 裕 一 都市建設局長 井 芹 和 哉
消防局長 福 田 和 幸 交通事業管理者 古 庄 修 治
上下水道事業管理者田 中 陽 礼 教育長 遠 藤 洋 路
中央区長 岡 村 公 輝 東区長 本 田 昌 浩
西区長 河 本 英 典 南区長 江 幸 博
北区長 小 崎 昭 也
職務のため出席した議会局職員
局長 富 永 健 之 次長 潮 永 誠
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 上 野 公 一...