まず、先日行われた子育て支援に関する
市民アンケートの結果から、子育て世代が求めているということ。今回の制度が実施されるに当たって、議会からの附帯決議が存在しているということ。私が選出されております北区で、国勢調査の5年間で8,000人の人口減が起こっているということ。薬剤において、院内処方か院外処方かで、市内の中で医療費格差が出る不平等な制度になっているということ。7,000人程度で推移していた本市の出生数が急激に減少しているなどです。
毎年50億円前後の黒字で推移している熊本市の財政状況を鑑みるに、10億円弱程度はかかったとしても、中学校3年生までの1医療機関月500円の
子供医療費助成の制度を早急に実施して、子育てしやすい熊本市へ近づけなければ、少子化と若い世代の市外への流出の波は止まらないのではないでしょうか。
実際、
ハウスメーカーや不動産会社の方々と話す中で、熊本市外への新居建設と転居の理由の一つには、
子供医療費助成が入ってくると口をそろえておっしゃいます。これまで何回も本会議や委員会で質問をし、歴代局長や担当課長に対して、市民の代弁者として、若い子育て世代の一員として、財政的に厳しいのは理解していますが、まずは何よりこれをおいてほかにないので、すぐには無理でも、未来に希望を持たせるためにも、将来的に拡充するという前向きな答えを求めてきましたが、ずっとはぐらかされてまいりました。ただ、冒頭申し上げましたとおり、様々な状況がもう決断するときだと示していると私は考えます。
そこでお伺いします。
子供医療費助成について、中学校3年生までの1医療機関月500円の制度を実施する考えはないのか、拡充についていつまでに行うのか、市長にお伺いいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長
子供医療費助成については、可能な限り早期の
対象年齢拡大を目指し、様々な議論を経て2度にわたる見直しを行い、平成30年12月、現行制度をつくり上げたところです。
その後、当該制度を初め、子育て施策について市民の皆様の御意見を伺っていくこととし、昨年度、
市民アンケートを実施したところです。2,089人からお答えをいただいた結果によりますと、約27%の方が負担感が軽減されたと思わないと回答されているものの、約44%の方が負担感が軽減されたと回答され、現行制度について一定の評価が得られたものと考えております。
また、重要と思う
子育て支援施策として、子供医療費による支援のほか、会社や社会の子育て支援に対する理解や支援制度、子供の遊び場や子供と保護者が集える施設、週末や祝日の相談体制など、
子育て支援全般についての御意見が多く見られたところです。
このような結果から、
子供医療費助成制度は、安心して子供を産み育てられる環境づくりの施策の一つとして、経済的な負担軽減に寄与する重要な施策であると改めて認識をしたところであり、現時点では、子育て世代全体で制度を支えるという枠組みの維持に努めるとともに、各種の
子育て支援策に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
御指摘のとおり、
子供医療費助成制度については、各地方自治体がそれぞれ制度設計をしていることで助成内容に差異が生じており、このことは
指定都市市長会でも共通の課題としているところです。長期的に安定した制度設計となるよう、国による統一的な制度の創設が望ましいと考えており、
指定都市市長会として、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
私といたしましても、
子供医療費助成制度をより一層充実させたいと考えておりますが、そのためには財源の確保が不可欠であることから、今後国に財政支援を強く働きかけてまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 今回の市長答弁をいただきまして、やっと熊本市のスタンスと市長の思いが明確になりました。充実させたいが、財源の点で懸念があり踏み切れないということ。持続可能な制度が望ましいため、国による国全体での実施が望ましく、国が財政支援をしてくれるなら拡充が考えられるということが理解できました。
つまり、今の答弁をしっかりと分析すれば、
大西市長体制の下、今の財政状況が続く限り、市単独による拡充は見込めないのではないかということがよく分かりました。本当に残念ですが、実務を執行していく当事者が困難と言っている以上、何回要望しても質問しても意味はありません。今後は私自身、市議会議員として国への意見書、政党への要望、国会議員への働きかけを行い、国による実施もしくは財政支援の強化を行ってもらえるように行動していきたいと思います。
もっと早くに、国の支援がなければ拡充は難しいとはっきり言ってくれれば、ほかのことに質問の時間を使えましたので、熊本市全体として、今後はできれば早めに方向性が分かるように明確な答弁を今後お願いをして、次に移りたいと思います。
超重症心身障がい者及びその家族への支援強化についてお伺いいたします。
先日の質問において、重症心身障がい者の就労実現に向けて、ICTを活用して市役所が率先して取り組んではどうかとお伺いしました。といいますのも、
医療的ケア児支援法が制定され、その基本理念に、
医療的ケア児とその家族を支援することや施策を行うことは、地方自治体の責務となったからです。
今回は法の精神にのっとって、2つの支援強化について熊本市の考えをお伺いします。
1点目は、
医療的ケア児における高校卒業後の居場所問題です。熊本市は、
医療型特定短期入所施設の利用が月7日となっています。高校生までは、学校と
医療型特定短期入所施設などの利用により、外出できる家庭以外の居場所があります。しかし、超重症児と言われる
医療的ケア児は、高校卒業後、行き場が大きく減り、今までの利用日数では月の多くを家で過ごすことになり、規則正しい
生活パターンが崩れ、母子ともに地域で孤立してしまう例が多いのが現状です。そういった現状を踏まえれば、月7日の利用を段階的に増やし、社会参加を推進することは、法の精神に基づき行わなければならないことだと考えます。
2点目は、
医療的ケア児に対する
看護師派遣事業を
認定こども園で行えるようにしていただきたいということです。
今現在、気管切開や胃ろうなどのための
医療デバイスが必要な
医療的ケア児は、保育園などの受入れ先が見つかりにくいのが現状です。
医療的ケア児支援法成立後より、学校や保育園は
医療的ケア児のための看護師配置などの対応が責務となりました。しかし、
皆さん御存じのとおり、看護師不足などの様々な課題があるため、看護師雇用は困難な状況です。
また、看護師によって
医療的ケア児の支援の経験に差があり、しかも園内で唯一の医療関係者であり、孤立しがちになってしまいます。
医療型特定短期入所施設での訓練や
医療的ケア児の課題について、連絡・相談がいつでもできる環境等を整え、保育園の受入れ環境の向上を行う必要があるのではないでしょうか。
冒頭申し上げましたが、2021年9月施行の
医療的ケア児支援法は、
医療的ケア児とその家族の支援について、地方自治体と学校、保育園の責務となっています。その財源は、地方交付税として
医療的ケア児支援のための予算も配分されると聞いています。
そこでお伺いします。高校を卒業した超重症心身障がい児の施設利用の拡充と
認定こども園への
看護師派遣事業について、現在の熊本市のお考えを
健康福祉局長にお伺いします。
〔
津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸
健康福祉局長 超重症心身障がい児・者及びその家族への支援についてお答えいたします。
本市におきましては、
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の基本理念の下、
医療的ケア児コーディネーターの配置や、熊本県
医療的ケア児支援センターとの連携による
相談支援体制の強化に取り組んでいるところでございます。
お尋ねの1点目でございますが、超重症心身障がい者の
高等学校卒業後の活動場所といたしましては、御本人の介護が受けられ、御家族の休息が確保できる
医療型短期入所と、御本人が介護を受けながら創作・生産活動を行うことができる
生活介護事業所がございます。
御指摘のとおり、本市は短期入所の基準支給量を月7日と定めておりますが、家族不在の長期化、障がいの重度化による介護困難な状況など、個別の事情がある場合には、支給量を増やすこととしております。ただ、
医療型短期入所施設は市内に4か所と限られていることから、御本人、御家族の利用意向に応えられるよう、市外の施設も御案内しているところでございます。
今後も引き続き、施設の新規開設に伴う整備費や
人件費助成等を行い、超重症心身障がい児・者を受け入れられる事業所の拡充に努めてまいります。
次に、2点目でございますが、
認定こども園等を含む私立の保育施設は、看護師配置などの保育環境を整え、
医療的ケア児を受け入れております。本市といたしましては、まずは、私立の保育施設で既に配置されている看護師をサポートする体制づくりや研修などに取り組み、
医療的ケア児を受け入れるための環境整備と理解の促進を行ってまいります。
また、看護師の雇用は各施設での対応が難しい状況にありますことから、利用者のニーズに対応するため、看護協会等に御相談するとともに、議員御提案の看護師の派遣を含めた人員確保の方法につきましては、他都市の状況も調査し、研究してまいります。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員
短期入所施設の利用の支給量でありますが、状況によっては増やすということですが、やはり私は基本の支給量を増やすべきであると考えます。今の7日間を12日間にするだけで、やはりその負担は大きく軽減いたしますし、上質な生活を超重症心身障がい児・者が送れることになると考えております。
これをもし実施したとしても、今対象者がそこまで多くないことから、増額に関しては予算は2,000万円は超えないと試算できるかと思っております。将来的には、そういった対象者増について必要な予算が増えることは予想されますが、超重症心身障がい児・者とその家族が、先ほども申し上げたとおり、上質な生活を過ごすために、真剣に支給量増に取り組んでいただき、考えていただくようにお願いいたします。
また、
看護師派遣事業は、保育施設においても教育施設においても、受入れの環境整備にも理解促進にも大きく資するものだと考えておりますし、施設で働く看護師が病気や休養で休まねばならなくなった際の施設へのサポートになるとも考えております。しっかりと研究していただき、本市独自の政策として導入していただくようにお願いをして、次に移ります。
続きまして、介護施設の現状についてお伺いいたします。
先日、ある
特別養護老人ホームの運営をされている方と話をする機会がありました。そのときに驚いたのが、
有料老人ホームの整備が進み、
特別養護老人ホームの待機者がほとんどいなくなってきているという事実です。私が15年前議員になりたての頃と比べれば、隔世の感があります。これも、熊本市がくまもとはつらつプランに基づいて各種施設を整備してきたことと、ニーズに応じて介護保険を活用した
有料老人ホームなどが拡充されてきたからだと考えます。
これまで想像もしなかったような、
特別養護老人ホームの待機者がいなくなってきているという状況、これはつまり、まさしく今がこういった介護施設の現状を変えていく転換期であるということではないでしょうか。
といいますのも、つい先日お話をお伺いした方から、うちの
特別養護老人ホームで空床が出たというお話を聞いたからです。待機者がいないというのは理想的な状況ですが、空床があるということは、今後の運営に支障を来しかねないということにほかなりません。
これまでの流れに沿ったくまもとはつらつプランの見直し程度であれば、現在の
特別養護老人ホームの運営が困難になる可能性が出てきたということです。市は、現状を詳細に把握しつつ、今後の見通しも含めた上で、これまでとは異なる、熊本市に本当に必要な持続可能な介護体制を考えなければならないときが来たのではないでしょうか。
今期の計画期間が令和3年から令和5年ということは、これまでのスパンであれば、来年である令和5年に次期計画を見直すということになります。今のうちから現状の把握をしていかなくてはならないと考えます。激変している介護界の現状と抜本的なくまもとはつらつプランの改変の必要性について、
健康福祉局長としてどのように考えているのか、局長に答弁を求めます。
〔
津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸
健康福祉局長 介護施設の現状についてお答えいたします。
現行の第8期くまもとはつらつプランにおきましては、策定当時の
特別養護老人ホームの整備状況はおおむね充足していたものの、高齢者人口や入所の対象となる要介護3以上の認定者が増加することが見込まれましたことから、その見込みに合わせた整備を行うこととしたところでございます。
本市の現状を見ますと、
住宅型有料老人ホームや
サービス付き高齢者向け住宅が増加し、高齢者の住まいの選択肢の一つとなっている一方で、関係団体からは、
特別養護老人ホームにおいて入所者確保に苦心している施設が多いとのアンケート結果の提供もあっております。
次期プランの策定に当たりましては、
特別養護老人ホームの待機者や運営状況等に加え、
住宅型有料老人ホーム等の実態を含め、現状を詳細に把握・分析した上で、将来を見据えた介護基盤の整備について、策定委員会において議論を進めてまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 前向きな答弁をいただきましたので、必ず現状を詳細に把握・分析をした上で議論をお願いしたいと思います。
また、他自治体においては、
特別養護老人ホームの安定した運営のため、現在の
特別養護老人ホームの運営形態を一部変更して、柔軟に利用者確保を可能にしているところもあると聞いております。全体のバランスを見極めながら、運営形態の変更という選択肢も考慮しつつ、盤石な介護基盤を整備していただくことを求めて、次に移ります。
内閣府
ムーンショット計画への参画についてお伺いいたします。
皆さん、内閣府
ムーンショット計画を御存じでしょうか。概要を申し上げますと、誰もが夢を追求できる社会の実現、100歳まで健康不安なく人生を楽しめる社会の実現をビジョンに掲げ、
急進的イノベーションで
少子高齢化時代を切り拓くという設定の下、誰もが多様な社会活動に参画できる
サイバネテック・アバター基盤を整え、
サイバネテック・アバター生活を実現するとともに、様々な困難と思える課題に対して、その解決のために、国が策定、構想した目標の達成に向けて科学技術の研究を進めていくという、一昔前であれば荒唐無稽と言われてもおかしくないような、壮大でわくわくするような計画です。
今進行している
プロジェクトは多数あります。インターネットで調べていただければ、もう実際に研究を進められている先生方がおられます。その一部を挙げてみますと、1人に1台一生寄り添う
スマートロボット、
電気エネルギーを利用し、大気CO2を固定する
バイオプロセスの研究開発、
超電導量子回路の集積化技術の開発など、9つの目標において多岐にわたる研究が行われています。
映画のマトリックスのような世界が、30年後にはやってくるかもしれません。現在は地方自治体が関与する隙はなく、熊本の大学において行われている研究もありませんが、ゆくゆくは社会実装に向けた実験が行われていくと考えます。熊本市として、
ムーンショット計画に着目し、将来的に関与、参画していく考えはないか、大西市長にお伺いいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長
ムーンショット型研究開発制度は、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標を国が設定し、挑戦的な研究を推進するという制度です。
国においては9つの
ムーンショット目標を掲げ、人々の幸福、いわゆるヒューマン・ウェルビーイングの実現を目指すとしております。例えば、その目標の1つであります激甚化しつつある台風や豪雨を制御し、被害を大幅に軽減するといった取組は、災害に強い安全安心な市民生活の実現を目指す本市としても、大変興味深いものです。しかしながら、これらの取組は、議員御指摘のとおり国の主導の下、大学や民間企業等において研究開発がなされるものでありまして、現時点における自治体としての関与は想定しがたい状況です。
そこで、本市としては、まずは実装可能な様々な先端技術を積極的に活用し、本市が抱える地域課題のより効果的・効率的な解決に取り組みつつ、将来的には、
ムーンショット目標の進捗状況を見ながら、関与の可能性等について考えてまいりたいと思っております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 御答弁ありがとうございました。将来的に関与の可能性を検討していくということでございますけども、9つの目標のほとんどが、その達成を2050年に設定しています。実装可能な技術で地域課題を解決していくことが最優先だと理解はしておりますが、社会の変化や新たな技術開発に目を向けて、それに備えて様々な準備をすることも、またそれに基づいたビジョンを描くことも、そこに参画していくことも、同様に大切なことだと考えますので、常にアンテナを張り巡らせて、
本市ならではの先進的な取組や、
ムーンショット目標への参画を期待して、次の質問に移りたいと考えております。
次に、技術職の育成方針と
都市建設局のSDGsへの取組についてお伺いいたします。
以前の質問か質疑でも申し上げましたが、令和3年度は
都市建設局と
土木センターにおいて、事業の進捗の滞りや報連相の不備など、執行体制について心配になるような案件が複数件、私のところに相談が舞い込んできました。
諸般の事情はあったにせよ、ミスはミスでありますので、私自身、人員体制の不足や業務の過多によって、事業進捗や後進の育成がうまくいっていないのではないかということで、総務局長に対して
都市建設局としっかり話をしてほしいといったお願いをこれまでしてまいりました。今後どうなるか分かりませんが、改善が図られることを心底願っているところです。
さて、そんな中、市役所全体で軽微なミスが増えていますよねと、
都市建設局関係でこんなことがあったんですよといったことを同僚議員と話していたところ、その方から、昔に比べて今の
都市建設局は業務が多忙で余裕がないから、目の前のことで精いっぱい、同年代の民間の給料と比べて格差があるので、モチベーションが上がらない。さらに資格を持っていようが持っていまいが評価に関わらないから、必然的に技術職の資格の取得率が悪くなり、知識や技術の向上が行われないということでした。
また、ある事業者さんからは、これまでどおりに仕事をしておけば問題は起きないから、新しい資材や技術について学んで導入しようとする積極性が、熊本市には全然見えない。熊本市が
SDGs未来都市だというのなら、そこら辺のところまで積極的に取り組むべきなのに、本当に残念ですという話になりました。
事実関係が分かりませんので、ここでまずお伺いいたします。熊本市の二級建築士、一級建築士の取得率は、
政令指定都市の中で何位でしょうか。また、
SDGs未来都市にふさわしい、持続可能な社会を実現するための新技術や資材の導入について、どのように取り組んでいるのか、
都市建設局長にお伺いいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 ただいまの2点の御質問にお答えいたします。
まず、
都市建設局職員の一級建築士の取得率は、
政令指定都市のうち、取得状況を確認できました19市の平均が約39%であるのに対しまして、本市では約31%となっており、19市中18番目でございます。二級建築士の取得状況につきましても、各
政令指定都市に問い合わせましたが、正確に把握している自治体がなく、本市の順位は不明でございます。
次に、新技術等の取組についてございますが、道路等の
社会インフラや市有建築物の維持管理を効率的かつ効果的に進めてまいりますためには、業務の省力化や均質化、コスト縮減を可能とする新技術や資材の活用は不可欠でございます。
これまでの具体的な取組としましては、AI技術を活用した橋梁点検や
地中レーダーによる空洞化調査、ホール等の特定天井への
軽量化天井材の活用等を実施しており、今年度中にはドローンを活用した点検等も試行することといたしております。また、脱
炭素社会実現に向けた取組といたしましては、省エネ・創エネによる
既存市有建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化に向けまして、
プロジェクトチームを設置したところでございます。
そして、本年度から、
インフラメンテナンス国民会議の
市区町村長会議九州・
沖縄ブロック幹事となりましたことから、この会議体を通じて、新技術の事例共有や継続的な研修の参加などによりまして、職員の知見や知識を向上させ、本市の
SDGs未来都市計画が掲げる熊本地震の経験と教訓を生かした地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 新技術の導入については、様々な努力をされているということが答弁からうかがえましたが、事業者の方々から積極的ですごいと賞賛されるような、熊本市
都市建設局になられることを切に願っております。
また一方、一級建築士の取得率については19自治体のうち18番目ということです。資格を持っていれば、技術が高く知識が十分であることとイコールではないのは理解していますが、資格を持っているということは、最低限の知識が担保され、資格取得のために努力をしたということが明らかであるということです。また、下から2番目ということは、資格取得を目指さない何らかの理由があるということではないでしょうか。
そこで改めてお伺いいたしますが、
都市建設局として、一級建築士の取得率が悪い原因はどこにあると考えているのか。また、
都市建設局の課長職にあるための配属要件に、一級建築士資格を設定している
政令指定都市はあるのか。今後技術職の知識と技術の向上のためにどのような育成方針を設定するのか。
都市建設局長にお伺いします。
また、業務に関連のある資格の取得率は、組織の強靭性と積極性を明確にする大切な指標だと考えます。これを
都市建設局において向上させるために、一級建築士の資格を持つ職員は課長試験を免除もしくは大幅な加点があるようにしてよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか、こちらは総務局長にお伺いいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 一級建築士の資格取得率が他都市と比較いたしまして低い原因は調査しておりませんが、昨年度若手職員を対象にして行いましたヒアリングでは、取得が個人の意思に委ねられていること、業務において資格を取得する必要性が不明確なため、受験する意義が見出せない等の意見があったところでございます。
次に、一級建築士の資格保有を管理職になるための条件としているか、
政令指定都市に確認いたしましたが、そのような条件を設定している自治体はございませんでした。
次に、職員の育成方針についてでございますが、建築職の業務は、市有建築物の維持管理、更新業務が増加しております中で、耐震化等新技術への対応、まちづくりや空き家対策など業務が多様化しており、技術力の向上など職員の育成が課題となっております。
そこで、令和元年度に、技術力の向上と継承、業務推進体制の見直し、適切な人員配置の3つの方針からなる建築職員人材育成プランを策定し、昨年度には振り返りを行うなど、適宜見直しながら人材育成に取り組んでいるところでございます。
その中で、資格取得につきましては、技術力の向上と継承の項目に掲げており、技術力の向上はもとより、建築職のやりがいにつながるよう、資格取得や人事配置について、総務局とも協議しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〔宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 課長級昇任に関する質問にお答え申し上げます。
管理職として求められる能力は、業務に精通した知識を有することに加えまして、目標達成に向けた組織管理能力や渉外力等も重要な要素であると考えております。管理職の配置や昇任の在り方につきましては、求められる能力や役割を踏まえまして、また、他都市の取組等も参考にしながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 御答弁いただき、ありがとうございました。
それでは、今回の答弁に関して幾つか指摘をさせていただきたいと思います。
まず1つ目に、
政令指定都市で一級建築士の資格保有を課長職になるための条件としている自治体はなかったとのことでした。一回答弁をすり合せたとき、改めて内規や運用で一級建築士を課長の配属要件に設定している自治体はないのか確認してくれと言いましたが、ないとのことでした。
今回の答弁は、総務局人事課が各
政令指定都市の人事課に確認したから、この答弁になったのではないかと思っています。私が確認しましたところ、各
政令指定都市の
都市建設局に相当する局の内部では、局内の人事の運用として、公共建築物の設計または工事監理を行う部署の課長の配属要件に一級建築士の資格保有を設定しており、建築職の質の向上に努めている自治体は、相当数存在しておりました。本市においても、
都市建設局の中で検討を行い、そのような
政令指定都市の配属要件の設定をするようにお願い申し上げたいと思います。
2つ目に、業務において資格を取得する必要性が不明確なため、それを取得する意義を感じないということでしたが、私はこれを聞いて、本市の建築行政が危機的状況に陥るおそれがあると考えました。といいますのも、国は一定規模以上の建築物の設計または工事監理をすることを、建築士にしか認めていません。本市が公共建築物の設計または工事監理をすることができるのは、一級建築士を取得している職員が存在するからです。実際、無資格者はフリーライダーということになります。
また、本市は特定行政庁に当たり、建築主事という資格を置くことが義務づけられている自治体です。したがって、建築基準適合判定資格者試験の受験要件である一級建築士を取得することは、自明のことです。
都市建設局の技術者にありながら、若手職員が業務において資格を取得する必要性、意義を見出せないという、そういった答弁が局長から発せられるということは、大変残念で仕方がありません。今後は、若手職員に対して建築基準法及び建築士法の趣旨を深く理解させ、資格取得につなげるよう、よろしくお願いいたします。
3つ目に、建築職員人材育成プランを策定し、人材育成に取り組んでいるとのことですが、やはりその具体的な取組と客観的な成果を答弁いただけなかったため、今回はそれに対して詳しく検証ができない状況です。今後、具体的な取組や成果指標についてしっかりとレクチャー、または市民に向けて公開いただきますようよろしくお願いいたします。
資格取得について、ぜひ積極的に促して、その後、実際のところ何人受けたのか、そして何人通ったのか、そういった推移等もぜひ公開いただきますようによろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけども、資格取得を考慮した人事配置ができるよう、総務局とも連携し取り組んでまいるとのことですが、今年度の建築審査室の人事配置におきましては、主査以上で建築主事を担える人材が不足していることから、担当職員が建築主事という重責を担うという状況に陥っていると伺いました。このような事態が常態化しないように、全建築職員を挙げて資格取得に励むよう、重ね重ねお願い申し上げます。
今回の件に関しては今後も取り組んでいきますので、
都市建設局として資格の取得率の向上と、目に見える形での技術職の育成をお願いいたします。総務局長の答弁は端的ではありましたが、検討するとおっしゃっていますので、私は前向きに受け取らせていただきます。
先ほど申し上げたとおり、国が必要と認めている資格であり、特定行政庁である本市に存在しなければいけない建築主事の資格取得に必要な一級建築士というこの資格は、簡単に取れるものではありません。この資格を取得する必要がある、取得することによってメリットがある人事制度を検討していただくことを強く求めて、次に移ります。
市道管理の課題についてお伺いいたします。
膨大な路線を有する熊本市の市道においては、現在様々な理由により、常に万全で適正な状態に維持管理するということが困難であり、たくさんの課題を抱えています。
例えば道路と歩道の際の雑草や、車道の隣接地から生えてくる雑草の処理に関しては、予算や人手の都合上、ある程度繁茂してからではないと処理できませんし、旧北部町地域のように坂が多く市道が斜面と接している地域においては、雨により流れてくる土砂が側溝の蓋の上に堆積し、側溝があることすら分からなくなるということもあります。道路標示についても、削れて見えなくなっていても、市民からの要望があってから対応することが多いのが現状です。
土木センターは、市長が掲げる市民に寄り添うという指示に従っているため、指摘をしたらできる限り早く対応してくれていますが、本当の理想を言えば、指摘される前に整えるべき姿を維持することが大切なはずです。しかし、それは今の体制、今の契約方法では難しいことは、各地域で活動されている議場におられる議員の皆さんが、一番よく御存じだと思います。ただでさえ通常の業務がある中で、都度都度様々な改善要望が入ってきて、それに寄り添い対応していけば、今のままであれば
土木センターはパンクしてしまうのではないかと憂慮している次第です。
そこでお伺いしますが、現在進めてはおられますが、さらに地域を巻き込んだり、これまでにないような事業の在り方、契約の方法を考えたりなどして、
土木センターの負担を減らし、理想とする市道の維持管理を実現すべきだと考えますが、
都市建設局長のお考えをお伺いします。
併せてもう1点、現在訴訟中ではありますが、市道沿いの巨木が倒れ、市民の方がお亡くなりになった事案がありました。北区においても市道沿いに巨木が多数あり、今後大型化した台風や大雨などで倒れれば、同じようなことになりかねません。そうならないために、熊本市は市道沿いの土地所有者に対し通知を送りましたので、今後何かあったとしても熊本市が訴えられることはないかと思いますが、その代わり、土地所有者が莫大な賠償金を払うことになります。
しかし、巨木を伐採するにはかなりの金額がかかってしまうのが現状です。また、市が訴えられなくなったとしても、巨木が市道に倒れれば、結局は熊本市が早急に対応せざるを得ないのが現状です。
そこで提案ですが、全額熊本市が出すことは難しくとも、巨木が倒れたというような事実が起こった後の対処を考えれば、市道沿いの民地の巨木の伐採に幾ばくかの補助金を出すこと、もしくは伐採に向け、何らかの対処を検討する考えはないでしょうか。こちらも
都市建設局長にお伺いいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 市道管理の諸課題に関する2点の御質問にお答えいたします。
まず、
土木センターの負担軽減について、地域の皆様と連携した取組といたしましては、道路除草等の作業を御支援いただくボランティア制度の推進や、道路の不具合を24時間通報していただくことができるLINE通報システムを運用しており、道路パトロールや電話対応の負担軽減はもとより、危険箇所の早期発見と迅速な対応につなげているところでございます。また、今月からホームページで対応状況を公表するなど、対応状況の見える化にも努めているところでございます。
次に、契約方法につきましては、あらかじめ工種ごとに単価を設定し、実績に応じて支払う単価契約を採用することにより、契約事務の負担軽減とともに、緊急性の高い補修工事に迅速に対応しております。また、今年度からは
土木センター職員によって行われております、夜間や休日の緊急対応業務の委託も試行することとしておりまして、現在実施に向けた調整を進めているところでございます。
土木センターは、昨年度から区役所組織となったことで、まちづくりセンターとの連携が強化され、地域委託の合意が得られたなど、効果が見え始めております。今後も
土木センター職員の負担軽減に向けて、
都市建設局も一緒になって、業務の効率化や体制の在り方について検討してまいります。
次に、2点目の市道沿いの民地の巨木伐採の支援についてでございますが、これまでも民有地から道路に越境している樹木等につきましては、所有者に対し文書や訪問等による指導を行ってまいりましたが、緊急的措置が必要でやむを得ないと判断した場合は、本市で枝落としや伐採等の対応を行っているところであります。民有地の樹木等の維持管理は、本来土地所有者の責務であると考えておりますが、一方で道路通行の安全確保は重要でございまして、今年度立ち上げた庁内検討会議で、具体的手法について検討してまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 御答弁をいただき、ありがとうございました。様々な取組をしているというのは十分に理解をしておりますが、やはり現状の様々なミスであるとか事業の遅延などには、そういった
土木センターの負担過多が大いに影響しているのではないかと思っております。
土木センターのそういった負担の軽減に関しましては、1年間でどの程度の改善要望が市全体で起こっているのかという数を把握しつつ、改善要望担当の部署の立上げや、そういった
土木センターに改善要望を積極的に行っていくというような担当職員の配置など、これまでの通常業務とは切り離してもよいのではないかと考えています。
また、答弁をいただいたように、市民協働の観点からも、可能な地域の課題解決は地域で行えるようにするというのは、大変重要なことだと考えておりますので、あらゆる手法を検討し、市道の適正な管理と
土木センターの負担軽減を実現していただくようにお願いします。
また、巨木の対策についてでありますが、激甚化する災害を前にして、喫緊の課題だと私は認識しています。現在、具体的手法を検討しているということでありますので、できる限り早めに予算の獲得と制度設計をしていただきまして、市民の方が取り組めるように、もしくはそういった巨木の伐採が進むように本市の中で行っていっていただきたいと思います。
私の近隣の校区の中でも、この木が倒れてきたら一体どれだけの負担になるだろうか、もし子供たちが巻き込まれたらどうしよう、また、自動車走行中に倒れてきたら間違いなく人命が失われるといったような、中央区は大丈夫かもしれませんが、そういった可能性のあるエリアが全ての区にあるのではないでしょうか。
また、皆さん覚えてらっしゃると思いますけども、先日、産業道路で街路樹が倒れて、市内が大渋滞になったというような事例もあります。こういった街路樹と私有地の巨木とはちょっと話は違いますけども、木をどのように扱っていくのか、そういったことも含めてしっかりと考え、市としての方向性を打ち出すことは大事だと思いますので、ぜひ
都市建設局の中で前向きな議論をしていただければと思います。
では、最後の質問になりますが、観光振興に向けた宿泊税の導入についてお伺いいたします。
宿泊税導入の是非については、これまで執行部と何度もやり取りしてまいりました。私の方で宿泊業界の方々と話をいたしまして、徴税したお金がどのように使われるのか明確であれば、宿泊税導入もやぶさかではないというようなお返事もいただいています。
会派としても2年連続で要望をしていますが、先日の会派の要望の返事は、コロナ禍で業界が大変だからというようなことで、やるのかやらないか分からない、返事になっていない返事でありました。何度もやり取りを行い要望を行っているにもかかわらず、いつまでたっても態度保留で、やるのかやらないのかが分かりません。
もし実施すると決断して取り組んだとしても、国との調整、県との調整、熊本市で行う場合の制度設計などで、二、三年はかかると思われます。もし私が以前提案したときに決断していれば、今頃開始することができていたはずであり、決断と実行の大切さを感じます。
福岡県においては、2020年4月1日から既に宿泊税の徴収を開始しており、今後ウィズコロナで宿泊需要が徐々に見込めるようになっている今、この数年のうちにどれだけ福岡市と北九州市に観光施策で水を開けられるか、大変心配しているところであります。
そこでお伺いします。熊本市は宿泊税についてどのような考えを持っているのか。今後導入の可能性はあるのか、前向きか後ろ向きかわかるようにお答えください。市長にお伺いします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 法定外税の1つであります宿泊税については、導入自治体の多くが観光客受入れ環境整備等の施策の財源に充当しておりまして、効果的に活用することで観光客へと還元され、さらには新たなサービスの創造等、好循環につなげられていると承知しております。
本市においても、新型コロナウイルス感染症の影響から地域経済を力強く復活させるため、観光資源を充実させることで、誰もが訪れてみたい魅力あるまちづくりを推進することが重要であり、そのためにも、宿泊税を初めとした法定外税の導入等自主財源の確保は重要な課題であると認識をしております。
宿泊税については、令和元年度より他自治体の導入状況等を参考にしながら、関係部署において研究を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による観光事業者への影響について注視してきたところです。今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響からの観光需要の回復状況を見極めながら、観光事業者を初めとする関係者の御意見を丁寧に聴取しつつ、検討を行ってまいりたいと考えております。
〔29番
田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 市長には、ここでぜひ期限を切って、いついつまでに始めますと断言してほしかったのですが、このコロナ禍の状況でありますから、なかなか難しいのであろうと推察いたします。
ただ、答弁の中にありましたとおり、もう既に関係部署による研究を行っているということ、また答弁の締めにありましたとおり、関係者の御意見を丁寧に聴取するということです。これまでのようにやるかやらないかではなく、関係者の意見を聴取し始めるということですので、私としては実施に前向きになっているというふうに受け止めさせていただきます。
もし次に宿泊税の質問をするときには、明確な導入時期をお示しいただくように強くお願いしておきますが、理想としては私が質問しなくとも、率先していつまでに導入する予定か発表してくれたほうがありがたいです。そうすると、この大事な質問の時間を別に回すことができますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
また今回も早口になってしまいまして、お聞き苦しかったと思っております。おかげさまで時間前に終わることができました。今回も福祉のこと、観光のこと、また市民の様々な課題について質問をさせていただきました。それを積み重ねていくことが必ず熊本市の未来につながっていくと考えて、こういった質問を重ねていっている次第であります。
今回、市長をはじめとする執行部の皆さんも真摯に御答弁をいただきましたが、こういったキャッチボール、真剣に、そして未来につながるようにはっきりと、やるならやる、やらないならやらない、やらない理由はこうだというようなことを明確にしていただくことで、より健全な議論につながると思いますので、そういったさらに明確な答弁をお願いしつつ、また本日傍聴いただきました皆様、ネットで御覧になっている皆様、そして議場で聞いていただきました議員の皆様に心から感謝申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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○原亨 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開をいたします。
午前10時55分 休憩
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午前11時10分 再開
○原亨 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○原亨 議長 一般質問を続行いたします。
荒川慎太郎議員の発言を許します。荒川慎太郎議員。
〔10番 荒川慎太郎議員 登壇 拍手〕
◆荒川慎太郎 議員 皆さんこんにちは。自由民主党熊本市議団、荒川慎太郎でございます。
今回、一般質問の機会を頂きましたことに対し、先輩・同僚議員の皆様に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。また、傍聴席にお越しいただいた皆様、昨年、一昨年と新型コロナウイルス感染症拡大による影響が大きい時期であったため、なかなか傍聴の御案内もしづらい状況でございましたが、本日は平日の昼間というお忙しい中にもかかわらず足をお運びいただき、誠にありがとうございます。
と申しましたが、もちろん現在コロナ禍が終息したわけではございません。とはいえ、3月のまん延防止等重点措置の解除以降、感染者数も徐々に減少傾向が見られますことから、今回の質問では、この春に開催されましたイベントの検証、それに付随する諸問題、今後の観光誘致、そして最後に中心市街地における喫煙に関する問題点について質問をさせていただきます。大西市長はじめ執行部の皆様におかれましては、御答弁のほどよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず初めに、先月閉会を迎えた第38回全国都市緑化くまもとフェアくまもと花とみどりの博覧会についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念され、イベント開催についての状況判断が難しい中にありながら、2か月間のフェアを開催することができたことは、非常に有意義であったと考えます。また、私自身も各会場を何度か視察に行く中で、とても多くの方が思い思いに花を眺め、写真を撮り、笑顔で過ごしていらっしゃるのを目の当たりにし、とてもよい雰囲気のイベントになったと感じたところでした。しかしながら、平常時の開催とは大きく状況が異なっていたはずであり、その結果や効果の検証は非常に重要であると考えます。
そこで、今回のフェア開催における成果、経済波及効果など、現状で把握できている範囲で構いませんので、お聞かせください。
もう1点、今回のフェア開催による効果と経験を一過性のものに終わらせるのではなく、今後の本市の施策においていかに有効活用していくかという点も重要になります。現時点で想定されている今後の施策や取組があればお聞かせください。
以上2点、大西市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 5月22日に閉幕いたしました全国都市緑化くまもとフェアくまもと花博は、市議会をはじめ市民の皆様や企業、県内市町村、関係団体等の多大なる御支援と御協力により、成功裏に終えることができました。関係する全ての皆様に、この場をお借りしまして改めて感謝申し上げたいと思います。
まん延防止等重点措置の適用期間中での開幕となるなど、厳しい状況下でのスタートとなりましたが、春休みやゴールデンウィークを中心に大変多くの皆様にお越しいただき、熊本地震からの力強い復興の歩みと、自然豊かな熊本の魅力を感じていただけたと思っております。
また、くまもと花博の中心的行事であります全国都市緑化祭では、佳子内親王殿下にオンラインでご臨席を賜り、熊本から緑化推進の輪がさらに大きく、世代や地域を越えて広がっていくことを願いますとのお言葉を賜りますなど、市民にとって大きな励みとなりました。
くまもと花博の最終的な来場者数や経済波及効果については現在精査中でございますが、開催期間中、熊本の街に賑わいが戻りつつあると、私自身も実感をしたところです。また、多くの皆様からいいイベントをありがとう、また来たいなどの言葉をかけていただくなど、市民の皆様にとっても、花や緑に囲まれる幸せを感じる機会になったと思っております。
このくまもと花博による機運の高まりを継承いたしまして、市民の皆様のより一層の参画を得ながら、オープンガーデンやスポンサー花壇等のNEO GREEN PROJECTの取組を推進していきますとともに、継続して、花と緑と笑顔にあふれる森の都熊本を広く内外に発信していくイベント等についても、今後検討してまいりたいと考えております。
花や緑は私たちの生活に潤いと癒しを与えますとともに、良好な環境形成や地球温暖化の防止、賑わい等、幅広くまちづくりにつながりますことから、今後の取組を進めるに当たりましては、推進体制や人材の育成、確保等についても併せて検討してまいりたいと考えております。
〔10番 荒川慎太郎議員 登壇〕
◆荒川慎太郎 議員 緑化フェアの成果については、今後も引き続き精査を続けていただき、さらに今後の施策についても継続的な取組が必要不可欠と考えます。
現在の緑に関する行政体制は、先ほどの田中議員の質問の中でも事例として挙げられました街路樹や公園、また環境や農水分野など様々な部局に分散しており、一部縦割りの弊害が懸念されます。過去に緑化フェアが開催された都市では、それぞれに緑行政についての一元化へ向けた取組が深化したと聞き及んでおります。ぜひそういった他都市の例も参考にしながら、効率的な執行体制が確立されますことに期待したいところです。
さて、緑化フェアに合わせて実施された取組の中に、オープンガーデンがありました。その会場の1つとしても登録されていたのが、坪井川遊水地にある花公園です。この坪井川遊水地の一部は、公園として遊具や競技場が整備されており、市民の憩いの場として有効活用され、休日には多くの人々が訪れています。
一方、それ以外の区域に関しては、設置当初から手つかずのまま放置されている状況が見られます。そもそもこの遊水地は、水害が発生した際に河川の流量を調整し、坪井川の流域である中心市街地を含めた市民の安全を守るために設置されたものであります。ところが、現状を見る限り、その役割を果たすことができるのか甚だ疑問であります。
また、河川敷や遊水地沿いの土手などはジョギングやウォーキングなどの場所としても利用されており、その利用者の観点からも雑草が生い茂っており、整備が十分とは言えません。遊水地としての本来の機能である湛水量、水をためることのできる量の確保や、利用環境の保全について、どのように管理運営がなされているのかお聞かせください。
都市建設局長にお尋ねいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 坪井川遊水地の管理運営状況等についてお答えいたします。
坪井川遊水地は、洪水を一時貯留し、下流の河川負担を軽減する洪水調節施設であり、洪水調節機能と自然環境保全機能に留意されながら、熊本県により管理が行われております。
県におかれては、遊水地の堤防の除草を夏と秋の年2回実施されるとともに、順次防草シートの設置を進められております。また、おおむね2週間に1度河川を巡視されており、特に出水期前には、堤防の変状や遊水地内の状況を重点的に点検し、補修等を行われているということでございます。今後、自然環境に配慮されながら、治水上必要な堆積土砂の撤去や樹木伐採等を実施される予定と伺っております。
〔10番 荒川慎太郎議員 登壇〕
◆荒川慎太郎 議員 県の管轄において、管理が行われているとの御答弁でした。しかしながら、遊水地に必要とされる機能を確保するための堆積土砂の撤去や樹木の伐採などは、あくまでも今後の予定とのことです。これまでの管理基準も明確ではなく、果たして十分な洪水調節機能が確保されているのかどうか、疑問が残ります。
この洪水調節機能という重要な役割を担う坪井川遊水地に関して、河川管理者である熊本県と本市の間での連携が十分であったとは、見てとることができません。水害時に遊水地の洪水調節機能という役割を果たし、流域となる市民の安全確保が担保されるのか、これまで両者の間で課題を共有されてはおりませんでした。この点に関して、現場の状況把握や県に対する要望や指摘など、今後どのように行っていかれるのか、改めて
都市建設局長にお尋ねいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉
都市建設局長 河川管理者との連携体制についてお答えいたします。
熊本県との連携体制につきましては、出水期前に坪井川の重要水防箇所の合同巡視を実施し、豪雨時には、河川の水位情報などを県市ホットラインで共有しているところでございます。
また、昨年度末に、県と流域自治体などで構成する熊本圏域流域治水協議会にて策定いたしました二級水系流域治水
プロジェクトに、坪井川遊水地の堆積土砂の撤去や樹木伐採も施策の1つとして位置づけられており、今後、これらの進捗状況を確認しながら、県市連携して流域の治水対策を推進してまいりたいと考えております。
〔10番 荒川慎太郎議員 登壇〕
◆荒川慎太郎 議員 これから梅雨時期に入り、水害が懸念される時期になりますので、引き続き
プロジェクトでの取組を推進し、県との緊密な連携を図りながら、市民の安全確保に努めていただくようよろしくお願いいたします。
さて、次の質問に移ります。
現在、坪井川遊水地の会という組織がNPO法人化され、壺川、黒髪、清水、高平台の4つの校区の方々が、遊水地の利活用に関して活動を行っていらっしゃいます。しかしながら、もともとが湿地帯であり、沼地のような状態の区域が多く、そのまま何かしらの利活用を行うというのは非常に難しい状態です。また、中央、清水のまちづくりセンター地域担当職員の方も会議などに参加されていますが、コロナ禍の影響もあり、なかなか効果的な活動の推進が難しい状態でもあります。
一方、白川におきましては、大甲橋から明午橋までの河川敷が緑の区間としてきれいに整備され、白川夜市や、最近ではキャンプなど様々な催しが開催されており、先日も都市景観大賞を受賞したとの報道がなされました。この2つの流域での河川敷活用に関する利便性については大きな差があり、同じように中心市街地を流れながら、そして坪井川遊水地には大切な洪水調節機能も有することを鑑みれば、坪井川の置かれている状況は望ましいとは言えません。
このような状況下においても、何とか有効活用ができないかと御尽力をいただいている坪井川遊水地の会をはじめとする地域住民の皆様に対して、本市としては今後どのように対応していかれるのか、また何かしら効果的なサポートができないものか、大西市長のお考えをお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 坪井川遊水地周辺の住民の皆様には、ボランティアによる遊水地の美化活動など様々な御協力をいただき、改めて感謝を申し上げます。
坪井川遊水地の利活用に関する取組の1つとして、平成29年11月、河津桜の苗木120本が静岡県河津町から熊本地震復興支援のため寄贈され、地域主催で植樹祭が開催されました。その際にはまちづくりセンターも準備に関わるなど、協力をさせていただいたところです。
また、国土交通省によります河川空間のオープン化の推進の方針を受け、平成30年10月に本市主催でミズベリング坪井川会議を開催し、地域住民の皆様とともに全国各地の河川空間活用事例を学ぶなど、遊水地の未来の姿について考えるワークショップを行ったところです。
議員御案内の高平台、壺川、黒髪、清水の各校区の住民組織の代表などで構成されましたNPO法人坪井川遊水地の会の活動に関しましては、まちづくりセンターが定例会に参加するとともに、広報や補助金申請等のサポートを行っておりまして、また本年度は、同法人の活動をくまもと・わくわく基金の助成事業として決定したところです。
坪井川遊水地は、下流域の水害を防ぐための治水施設でありますとともに、市民の憩いの場でありますことから、今後も引き続き、地域住民や利用者の皆様の御意見を十分にお聞きしながら、必要な支援に努め、遊水地がより一層地域に親しまれる場所となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〔10番 荒川慎太郎議員 登壇〕
◆荒川慎太郎 議員 御答弁の中で挙げられた河津桜の植樹祭やミズベリング坪井川会議は、いずれも平成の取組事例であります。逆に言えば、令和の時代を迎えての目立った取組は見られなかったのではないでしょうか。とはいえ、坪井川遊水地の会の活動や遊水地の重要性については御理解いただいており、その結果として、本年度くまもと・わくわく基金の助成事業として補助金を拠出していただいているものと理解いたします。
今後はより一層の御支援を御検討いただけるものと期待して、次の質問に移ります。
新型コロナウイルス感染症拡大による1年半の延期を経て、本年4月に第4回アジア・太平洋水サミットが開催されました。先ほどの緑化フェア同様、非常に状況判断の難しい中での開催だったと思いますが、無事にサミットが開催され、各国首脳を実際にお招きしながら、また、一部オンラインという新たな参加形式も確立されたことにより、熊本宣言の採択まで行われたことは、非常に有意義なことでありました。
しかしながら、サミットという性質上、なかなか市民の皆様にその意義や重要性を訴えることは難しかったのではないでしょうか。そこで、今回のサミット開催の意義や成果について、環境局長に改めて御説明をお願いいたします。
〔早野貴志環境局長 登壇〕
◎早野貴志 環境局長 サミット開催における成果についてお答えします。
第4回アジア・太平洋水サミットは、持続可能な社会を目指す本市が、世界的な水問題解決に貢献できる機会であると同時に、本市の地下水保全の取組や熊本地震からの復興を国内外に発信する好機と捉え、開催に向け取り組んだところでございます。
サミットでは、「持続可能な発展のための水〜実践と継承〜」をテーマに、30か国の首脳・閣僚をはじめ多くの参加者に熱心な議論をいただき、世界の水問題解決に向け新たな展開が生まれるなど、大きな意義を持つ国際会議になったと考えております。
特に首脳級会合では、コロナ禍からの回復において水の重要性が改めて認識され、質の高い社会への変革を目指す熊本宣言が採択されました。さらに岸田総理からは、実現を加速させるためにアジア太平洋地域のインフラ整備などを支援する熊本水イニシアティブが表明されました。