金峰山少年自然の家は、平成31年から受入れを中止し、現地建て替えを行い、令和7年の供用開始を目指しています。新しい自然の
家整備基本計画においては、基本理念とともに3つの基本方針が示されています。
1つ目に、学校教育を支援し、市民や観光客等が気軽に利用できる施設であること。
2つ目に、地域住民等との連携によるプログラムの提供や地域情報の発信、交流を創出する施設であること。
3つ目に、民間のノウハウを活用した効率的な運営や新たなサービスを提供する施設であること。
以上3つの基本方針の下、新しい自然の家では、宿泊や学習、交流や野外活動、レクリエーションや情報発信機能等を導入することとしています。
そこで、今後の事業手法についてお尋ねいたします。
先般公表された金峰山少年自然の家の新しい
施設整備運営等に係る事業方針では、事業方式をPFI方式としています。PFIとは、民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供を委ねる方式です。一方、昨年、教育委員会が策定した整備基本計画では、事業手法の検討が行われ、行政が資金を調達するDBO方式、民間事業者が資金を調達するPFI方式等の試算がなされました。財政負担の削減率を示す試算では、財政負担が小さいのはDBO方式でした。
ところが、結果として、事業方針では財政負担が大きいとされたPFI方式の導入が掲げられております。しかも財政負担の削減率は、僅か5.2%程度、17年の事業期間で、メリットは1億3,100万円程度となっています。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
なぜ財政負担が軽減できるDBO方式を採用せずに、PFI方式を導入するのか、また、財政負担の削減率が5.2%程度という試算について、見解をお示しいただきたいと思います。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 金峰山少年自然の家再建事業の事業手法については、財政負担をはじめ、サービス水準、事業の安定性など6項目の比較検討を行いました。財政負担ではDBO方式が優位であるものの、事業の安定性等ではPFI方式が優位であり、最終評価として事業の安定性を重視し、PFI方式が有効であるとしたところです。いずれの方式も、建設から運営までを一括して発注することでコストの削減が図られますが、従来の方式と比較した削減率が、PFI方式では約5.2%、DBO方式では約8.2%であり、金額にすると約7,300万円、DBO方式の財政負担が小さくなります。
一方、PFI方式は、市のモニタリングに加えて、金融機関もモニタリングを行うことで、整備運営面に対するチェック機能が充実し、事業の安定性につながると考えております。また、DBO方式は、各企業と個別に契約することから、建設企業等の業務完了後は運営業務への関与がなくなりますが、PFI方式では、設計、建設、維持管理、運営等の各企業が事業終了まで責任を持って関わることとなります。さらにPFI方式は、契約先である特別目的会社が構成企業から独立しているため、業務の継続が困難になった企業が発生した場合においても、本事業への影響は限定的となるなど、事業の安定性の面で上回っております。
これらの比較と併せて、金峰山少年自然の
家整備運営審議会においても、法律により事業に関する手続等が定められているPFI方式が望ましいとの御意見もいただいております。PFI方式における
財政負担削減率の試算約5.2%については、倉敷市少年自然の家等、他都市の
青少年教育施設と同程度となっております。
教育施設の整備に当たっては、財政負担の軽減と併せて事業の安定性が重要だと考えております。民間の活力を生かして質の高い教育や学びの場を継続して提供していく観点から、PFI方式が最も効果的な事業手法であると判断したところです。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 PFI方式は法で守られており、総合的に勘案しDBO方式よりも優位性があると判断したとのことであります。一定の納得感はありますが、財政負担の削減率が5.2%程度というのは、その効果に疑問を感じます。経済合理性にたけた民間事業者のノウハウをもって、事業の継続性を担保しようとする制度がPFI方式のはずです。一定の財政負担の軽減を図ることと、質の高い教育や学びの場を継続して提供していくことは、決して矛盾しないと考えます。今後、
事業スケジュールを進める中で、本市の財政負担にも十分配慮し、運営いただきたいと存じます。
今般選択された事業手法は、PFI方式のBTO手法が採用されています。BTO手法とは、民間事業者が資金を調達し、施設を建築し、施設の所有権を熊本市に移転し、民間が引き続き施設の管理運営を行う方式を言います。施設の所有権を民間事業者から熊本市に移転する。それが今回の手法です。
新しい施設は、学校教育の支援とともに、市民や観光客等が利用できる施設でもあり、効率的な運営や新たなサービスを提供する施設として期待されております。民間事業者がある程度柔軟に施設の管理運営ができる体制とするには、施設の所有権は民間事業者とすべきです。
また、本市は、既に所有する公共施設の維持管理に大きなエネルギーを注いでおります。増大する保守整備事業に十分な予算を割くことが難しい現状において、なぜ15億円程度に上る施設を、市の管理が必要となる市有財産とするのでしょうか。PFI方式による事業です。建物の所有権は民間事業者とすべきです。
さらに、もう1点お尋ねいたします。
想定される事業者の運営リスクについて、どのように捉えていますでしょうか。例えば
新型コロナウイルス感染拡大の局面において、施設利用が制限されたときの経営保証をどのように考えますでしょうか。
以上、施設の所有権移転及び経営保証について、財政局長に御見解を求めます。
〔
田中陽礼財政局長 登壇〕
◎田中陽礼 財政局長 2点の御質問にお答え申し上げます。
施設の所有権移転に関し、PFI方式では、建設後直ちに施設所有権を市に移すBTO方式と、事業期間中の施設所有権を民間事業者とするBOT方式及びBOO方式がございます。事業期間中の施設所有権を民間事業者が持つこととしました場合、議員御指摘のとおり、維持管理面において柔軟な対応が図れるなどの効果があると認識しております。
今回、金峰山少年自然の家につきましては、年間の約3分の2を小学校の集団宿泊教室の利用で占めており、学びの場を継続的に提供していく野外教育施設としまして、万一の際のイニシアチブが発揮しやすく、より安定した事業継続が可能であることなどから、市が所有権を持つこととされたところでございます。
今後も、PFI等の事業方式の選定に当たりましては、
民間活力導入可能性調査等の結果や、個々の事業において設置されます審査委員会の意見等を踏まえ、
財政負担削減率や施設の特性などを総合的に判断し、最も適した事業手法を選定してまいります。
次に、事業者の運営リスクの捉え方につきまして、PFI事業の実施に当たりましては、リスクが顕在化した場合の追加的支出の分担等の措置につきまして、事業契約の中で明確に規定する必要がございます。この規定は、想定される様々なリスクをできる限り明確化し、市と選定事業者との間で適切に分担することで事業費の最小化を図りながら、良好なサービスが安定して提供できるように設定するものでございます。
議員御質問の
新型コロナウイルス感染症などの影響により、通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしても事業に支障が生じると認められる場合には、事業契約に基づき、事業が安定的・継続的に運営できるよう、不可抗力による損害や増加費用の分担等について協議を行い、適切に対応しているところでございます。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 施設の所有権については、子供たちの学びの場を継続的に提供していく施設であるから市が所有した方がよいとの見解でした。しかし、運営をお任せする事業者です。本市に所有権を移す必要性を感じません。本市の資産総量の適正化を図るためにも、再考の余地があれば、民間事業者に建物の所有権を委ねてみてはいかがでしょうか。また、今後PFI事業を展開する場合には、そこまで踏み込んだ議論をぜひやっていただきたいと思います。経営保証について、事業を行う特別目的会社は、ほかの事業は一切行うことができません。それがPFI方法です。だからこそ不測の事態に備えた事業経営のための保証は必要と考えます。ぜひ配慮いただきたいと思います。
いずれにしても、事業者の選定については慎重に御審議いただき、できれば地元事業者にお願いできる環境を整えていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
中心市街地におけるにぎわい創出の取組について、お尋ねいたします。
熊本市では、熊本駅前やサクラマチ、花畑公園の再開発にめどが立ちました。そのほかの市中心市街地の商店街をはじめ、地域商店街等におけるにぎわい創出をいかに図っていくのかが今後の大きな課題となります。その一つのキーワードが、人の移動です。熊本市が取り組んでいる
多核連携都市づくりやMaaSという概念を取り入れたまちづくりの推進を図るためには、公共交通の結節機能の充実は欠かせません。にぎわいを創出するということと、継ぎ目のない
モビリティサービスの提供を通して地域との融合を図ることは、同じことだと考えます。
本市では、昨年、バス事業者5社による共同経営が全国に先駆けて導入されました。また、公共交通の空白地域や不便地域における
コミュニティ交通の在り方も模索中です。さらに、
AIデマンドタクシーの導入や
シェアサイクル事業の可能性を探ろうともしています。
そこで、まず2つの施策についてお尋ねいたします。
1つ目に、健軍地区周辺で実施された
AIデマンドタクシーの実証実験。昨年10月から11月に実施されたとのことですが、その結果と今後の
AIデマンドタクシーに関する施策をお示しください。
2つ目に、来年度から予定されております
シェアサイクルの実証事業についてお尋ねいたします。これは、上熊本駅周辺を含む中心市街地を対象地域とし、
シェアサイクル事業を行うものです。その実証事業はどのようなものなのか、簡潔にお答えください。
都市建設局長、お願いいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの2点の御質問にお答えいたします。
昨年10月に健軍地区周辺で実施いたしました
AIデマンドタクシーの実証実験は、市街地部におきまして既存の公共交通を補完する新たな移動手段としての可能性を探りますため、産学官で連携し、平日の30日間運行いたしたところでございます。現在、実施主体の熊本学園大学におかれまして、利用実態や
アンケート調査等の分析を実施されておりますが、期間中、483件の利用のうち41件の相乗りがあり、アンケート調査では、ドアツードアで移動できることに評価を得ました一方、乗降エリアの拡大や予約方法などについて御意見をいただいたところでございます。
来年度は、市街地部に加えまして、
公共交通空白地域等においても実証実験を予定しておりまして、市街地部、郊外部での検証を踏まえ、新たな
コミュニティ交通としての可能性を検討してまいりたいと考えております。
次に、
シェアサイクルの実証実験につきましては、本年4月から2年間、中心市街地に上熊本駅周辺を加えたエリアにおいて実施することとしておりまして、現在、事業予定者と事業の詳細について協議を進めているところでございます。また、
シェアサイクルは、スマートフォンで自転車の貸出しから返却、料金決済などができ、時間単位での料金設定や24時間の利用、どの駐輪ポートでも返却可能など、気軽に自転車を御利用いただけるサービスでございます。本サービスは、中心市街地の回遊性向上のほか、健康増進にもつながるものであり、今回の実証実験において、利用状況や事業効果を確認いたしますとともに、運営上の課題等を把握し、本格運用につなげたいと考えております。
これら
AIデマンドタクシーと
シェアサイクルは、移動の選択肢を広げ、行動変容を促し、鉄道駅やバス停から目的地へのラストワンマイルの移動手段としての活用も期待できますことから、導入に向け着実に検討を進めてまいります。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 令和3年12月の定例会において、ある陳情がなされました。バス路線新設の陳情で、その路線案は、フードパル、上熊本駅、上通の北口、浄行寺前、子飼橋を経由し、水前寺駅までの路線を想定したものでした。陳情団体は、熊本市
中心商店街等連絡協議会で、想定された路線にある3つの大学、
熊本保健科学大学、崇城大学、熊本学園大学の学長や理事長の同意書も添付してございました。
今般の陳情には、歴史的背景があります。昭和の時代、熊本市電の4号系統と呼ばれた上熊本駅前から、上通北口の広町、水道町、熊本市立体育館に至る市電が走っておりました。しかし、その市電は昭和45年に廃止され、その代替手段として、市電の沿線上にバス路線が新設されました。
当時の市議会でのやり取りは、以下のようなものであります。
まず議員の質問です。交通事業者はある程度の採算を度外視しても、市民の足を確保し、安い料金で奉仕すべきものと考える。電車をバスに転換しても、赤字を理由に運行回数を極端に減らすようなことはないのかとの質問に対し、当時の
交通事業管理者は、バス転換後、赤字になっても、最後の市民の足であるバスを奪うということは全く考えていないし、将来ともないということを約束すると答弁しております。昭和45年、50年以上前の議会でのやり取りです。
その後、代替バス路線は、既存バス路線に組み込まれながら、平成13年に廃止。結果、上通の北口を走る路線バスはなくなってしまいました。上通の南側、通町筋は、途絶えることのない多くのバス路線が集結し、市電が行き交う市内随一の公共交通機関の要であります。一方、上通北口、並木坂の出入口には、バスも市電もなく、にぎわい創出の機会を逸しているのではないかという、地元商店街の皆さんの懸念があります。
熊本市が実施した令和3年度
商店街通行量調査によりますと、1日当たり、
びぷれす熊日会館前は2万4,000人、ハヤカワスポーツ前で1万9,000人、並木坂で9,000人となっています。上通北口に向かって通行量が減っていくことが数字でも明らかです。また、上通北口には、熊本電鉄の藤崎宮前駅があります。1日の乗降客数はおおよそ2,200名、いずれにしても熊本市を代表する中心商店街に、にぎわいを創出するため、また人に集っていただける環境を整えるためにも、交通の結節機能を充実させることは、必要不可欠であると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
上通北口の新たなにぎわいを創出するため、また継ぎ目のない
モビリティサービスの提供を可能とするためにも、新たな取組として、
AIデマンドタクシーや
シェアサイクルの拠点化を上通北口にて進められないでしょうか。また、バス事業者との協議を踏まえ、フードパルから上熊本駅、上通の北口、子飼橋を経由し、水前寺駅までの新たなバス路線を検討いただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
都市建設局長、お願いいたします。
〔
井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの2点の御質問にお答えいたします。
まず、議員御提案の
AIデマンドタクシーにつきましては、先ほど答弁いたしましたように、現在、新たな
コミュニティ交通としての可能性を検討しており、その中で関係者と協議してまいりたいと考えております。また、
シェアサイクルにつきましては、駐輪ポートを藤崎宮駅前へ設置する方向で、
熊本電気鉄道株式会社や
シェアサイクル事業予定者と協議を進めているところでございます。
次に、新たなバス路線につきましては、本市に陳情された団体が、昨年6月にバス事業者へ直接要望されており、バス事業者において検討されたものの、深刻化する運転士不足に加え、採算性の観点から、現段階での路線の新設は難しいとの考えを伝えられたと伺っております。バス路線の新設には、整理すべき課題が多いと認識しておりますが、本市といたしましては、まずは沿線の大学や地域の皆様等の御意見をお伺いしながら、代替策を含め可能性を探ってまいりたいと考えております。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員
AIデマンドタクシーの運行エリアについては、ぜひ上通北口を含めた地域を御検討いただきたいと思います。また、
シェアサイクル事業は、上通北口を含め、対象地域の方々の御理解をいただきながら、事業としてぜひ成功に結びつけていただきたいと思います。
バス路線の新設は、整理すべき課題は多く、ニーズの把握を図っていきたいとのこと、想定のバス路線には10を超える大学や高校があり、また多くの公共施設も存在します。ニーズを把握するためにも、例えば数年程度、路線バスを走らせてみるという選択肢はないでしょうか。ぜひ前向きに検討いただきたいと思います。
次の質問に移ります。
交通局の現状を踏まえた経営形態の在り方についてお尋ねいたします。
交通局は、熊本市電の運用を通じ、持続安定的かつ効率的にサービスを提供し続ける責務があります。そのためには、現在の経営課題を的確に捉え、中長期的目線に立ち、今後の健全かつ良質な経営を目指さなければなりません。
そのため、交通局では、大きく3つの視点をもって経営課題解決に向けた検討を進めております。1つ目は、組織の安定性を図ること。2つ目が、収支の安定性を図ること。3つ目は、公益性を図ること。
ここでは、経営課題解決に向けた3つの視点のうち、組織及び収支の安定性に絞ってお尋ねしてまいります。
まず、組織の安定性について、現状の認識と今後に向けた取組をお尋ねいたします。令和3年4月1日現在で、交通局の全職員数189人のうち、非常勤職員は103名となっております。実に54%の職員の皆さんが正規職員ではないということとなります。また、運転士については、85人のうち再任用職員6名を除き、全員が非常勤職員であります。
会計年度任用職員であり、1年の雇用契約となっています。
運行部門や保守部門については、長年の経験や特別な知識、技術を要することから、現在、正規職員にて対応しているものの、正規職員の高齢化に伴う計画的な人材の確保や育成、技術の承継が早急な課題となっています。公共交通機関の最前線で働き、乗客の安全を現場で支えていただいている職員の皆さん方への処遇は、改善すべきものと考えます。職員の構成や年齢の構成に、改めて違和感を覚えますし、このよう状態では、交通局の
機能維持そのものに危うさを感じます。
なぜこのような、いびつとも言える人員構成となったのか。改めて、行財政改革との関連など、過去の経緯も踏まえ、お答えいただきたいと思います。また、この人員構成の改善策はあるのか。人材の確保は、交通局のみならず、全庁的に取り組むべき事案と考えることから、
交通事業管理者及び総務局長にお尋ねいたします。
〔
古庄修治交通事業管理者 登壇〕
◎古庄修治
交通事業管理者 2点のお尋ねにお答え申し上げます。
1点目のこれまでの経緯についてでございますが、交通局では、過去に人件費が運賃収入を上回る年度があるなど、経営健全化に向けて、特に人件費の削減が急務となっておりました。加えて、平成21年の地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる財政健全化法の施行に伴い、資金不足比率が健全化基準を上回っていましたことから、同年度には、
経営健全化計画を策定し、職員数の削減や保有地の売却など、財政健全化に向けた取組を進めてまいりました。
その結果、平成27年度に資金不足は解消したものの、このようなことから、平成18年以降は正職員の新規採用を行っておらず、加えて、平成20年度に策定された第4次熊本市
行財政改革推進計画において、業務職の退職不補充の方針が示されたことを踏まえ、運転士や技工職員に欠員が生じた際には、
会計年度任用職員や再任用職員で対応しており、その結果、職員の高齢化や非正規率の増加が進み、現在に至っているところでございます。
次に、改善策についてでございますが、今後、健全で持続安定的な組織運営を行っていくため、経営に見合った給与水準の下で正規職員の比率を高めていくことが不可欠でありますが、市の方針との整合を図るなど、改善に向けた取組を進めていく上では、現行体制のままでは難しいと考えております。このようなことから、本年度から経営の在り方について見直しを行っており、先般の12月議会において、市の出資による新たな法人を設立した上で、これを上物事業者とする上下分離方式が最適であるとの検討結果を御報告申し上げたところでございます。
今後は、具体的な制度設計を行い、議会はもとより幅広く御意見を賜りながら、さらに詳細に検討を進めてまいりたいと考えております。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 行財政改革等に関する質問にお答え申し上げます。
本市におきましては、これまで行財政改革に取り組んできたところであり、効率的・効果的な行財政運営の観点から、民間でできることは民間に委ねるとの考えの下、直営業務の見直しに取り組み、技能労務職については、退職不補充を基本としたところであります。また、交通事業の経営健全化の推進につきましては、例えば一般会計からの繰り出しや、バス路線の民間移譲に伴う運転士の受入れなど、市役所全体で取り組んでまいりましたが、運転免許が必須の市電運転士等につきましては、直接的な人的支援は困難でございました。
現在の交通局の組織体制につきましては、運転士の非正規化や監督職、技工職の高齢化が進むなど、事業継続の面からも課題があると捉えており、今後、交通事業の経営形態の見直しの中で、関係部局との全庁的な検討が予定されていますことから、人事、給与、法制等の観点から連携して取り組んでまいります。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 業務職の退職不補充方針が示される中、職員の高齢化や非正規率の増加が進む運転士については、市からの直接的な人的支援は困難とのこと。公営企業法の下、一企業として交通局が成り立っていくための環境は、もはや整っていないのでないかとの印象を強く持ちます。特に職員の皆さん方の処遇改善は、早急に解決すべき課題の一つであります。全庁的な検討を行っていく用意があるとのことでありますので、ぜひ人事を含めた組織改編に向けた検討を行っていただきたいと思います。
次に、収支の安定性について、現状の認識と今後に向けた取組をお尋ねいたします。
令和2年度の決算書によりますと、営業収益は10億8,400万円で、前年比マイナス6億100万円、また、一般会計からの持ち出し分、5億2,800万円をもってしても、最終利益は、マイナス2億500万円となり、赤字計上となりました。一方で、現預金の減少も気になります。令和元年度には13億円弱の現預金がありましたが、翌年度、令和2年度には6億円弱となり、大きく減少しました。退職引当金が6億円弱であることから、自由に使える現預金はほぼない状態です。赤字により過去に積み上げてきた累積の剰余金や現預金が一気に減少したことは、今後の重大な懸念材料となります。
そこで、お尋ねいたします。
今後、交通局の収益性や経営効率性を高めるための改善策をどのように考えておられますでしょうか。当面続くであろう赤字計上体質から脱却するための改善策を交え、お答えいただきたいと思います。
〔
古庄修治交通事業管理者 登壇〕
◎古庄修治
交通事業管理者 交通事業の経営に関するお尋ねにお答え申し上げます。
一昨年の2月以降のコロナ禍による大幅な減収に関しましては、乗客数の減少に応じて減便を伴うダイヤ編成を行うなど、経費削減に取り組む一方で、用地売却益などによる留保資金を取り崩しつつ、一般会計からの緊急支援を受けながら、何とかしのいでいるところでございます。また、昨今のコロナ禍を除けば、これまで順調に増加してきた乗客数も、中長期的に見ると、人口減少や高度情報化社会の進展などに伴い、このまま手をこまねいていれば減少へ転じると捉えておりまして、これまで以上に経営の効率化を進めるとともに、乗客サービスの向上等に取り組む必要があると考えております。
そこで、新年度からは、折り返し運行の本格導入により、ラッシュ時の混雑緩和に努めるとともに、先般実施しました利用者アンケートなどを踏まえまして、利用者ニーズにきめ細かに対応するほか、接遇や運転技術の研修を強化するなど、利用者のさらなる満足度向上に取り組んでいくこととしております。また、JRやバスなどとの乗り継ぎの円滑化や、観光、商業などと連携した取組など、乗客増に向けた様々な取組を進めてまいりたいと考えております。
さらには、需要に応じた効果的なダイヤ編成のため、多両編成車両の導入を進め、輸送効率の向上を図るとともに、老朽車両の塗装経費の捻出のためのクラウドファンディングの実施や、保有車両の適正化による維持管理コストの低減等にも取り組んでいくこととしております。加えて、運賃の適正な水準についても、幅広く御意見を賜りながら検討してまいりたいと考えておりまして、このような取組を通じて、持続安定的な経営基盤を構築してまいる所存でございます。
〔11番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 令和3年度は、一般会計からの持ち出しが5億7,000万円を超えます。それでも赤字計上となる見込みです。過去からの剰余金をさらに取り崩すこととなり、ますます経営は厳しい状況となります。コロナ禍にあって留保資金を取り崩し、一般会計からの支援を受けながら、厳しい企業運営を余儀なくされていることが御答弁からも十分伝わってまいりました。また、経営改善に向けた努力も承知いたしました。
しかし、その努力は公営企業法の下での一企業に可能でしょうか。民間企業の知見を導入することも選択肢の一つとなります。組織の改編や経営形態の在り方も含めて、早急に全庁を挙げて検討していく必要があります。上下分離等の選択肢が示されておりますが、丁寧な説明に御尽力いただき、経営改善に至る道筋を速やかにお示しいただきたいと思います。
次の質問に移ります。
東部環境工場の延命化整備事業について及びグリーンファイナンス導入の可能性についてお尋ねいたします。
東部環境工場の延命化整備を図る準備のため、令和2年度から長寿命化総合計画や、延命化整備事業計画の策定が進められてまいりました。そして、令和4年度から延命化工事が始まると聞いております。来年度、その関連と見られる延命化工事関係予算3億9,400万円、及び令和5年度から令和7年度までの債務負担行為として20億6,700万円が計上されております。
予算の審議は委員会にお任せするとして、いまだ我々には、延命化整備に係る全体の事業概要が見えておりません。トータルの延命化整備事業費に係るコストの総額は、一体幾らになるのか。当初の計画においては、90億円を上回る事業費が必要ではないかとの見解でありました。今年度中に完成する長寿命化総合計画や事業計画との整合性は図れるのでしょうか。延命化工事が来年度から始まるこの時期に、来年度予算案が計上されているにもかかわらず、いまだ事業計画が完成せず、事業の全体像や総事業費が明らかでないという現状に疑問を感じます。
│ ない。 │
│ よって、本市議会は、今回のロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻に対 │
│ し、抗議と非難の意を表明するとともに、即時の攻撃停止と無条件での完全撤退│
│ を強く求めるものである。 │
│ │
│ 以上、決議する。 │
│ 令和 年 月 日 │
│ 熊 本 市 議 会 │
└─────────────────────────────────────┘
○原口亮志 議長 提案者の説明を求めます。
〔19番 大嶌澄雄議員 登壇〕
◎大嶌澄雄 議員 熊本自民党市議団の大嶌澄雄でございます。
提案理由に先立ちまして、今回のロシア連邦のウクライナへの軍事侵攻により犠牲となられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表する次第であります。
それでは、ただいま上程されました発議第1号「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議について」提案者を代表いたしまして、提案理由を申し上げます。
去る2月24日、ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始しました。現地では今も戦闘が続いています。
このことは、力による一方的な現状変更の試みで、明白な国際法違反であります。また、平穏に暮らす罪のない多くの人々に多大の辛苦と犠牲をもたらし、同時に平和を願う多くの国々の意思を踏みにじり、国際社会の不安と憤りを助長するものであります。
本市は、戦後50年の大きな節目の平成7年、再び戦争の惨禍を繰り返さないことを誓うとともに、人類共通の願いであります世界の恒久平和の達成を強く願い、平和都市を宣言しています。
我が国においては、今でも日常的に領空・領海侵犯が繰り返されていることから、他人事ではなく、安全保障の観点からも、今回のロシアの軍事侵攻は決して看過できるものではありません。
よって、政府においては、現地の邦人保護はもとより、国際社会と連携し、ロシアに対する制裁を含め事態に迅速かつ厳格な対応を行うとともに、プーチン大統領には、ロシア軍の無条件での即時完全撤退を求め、ウクライナの領土、主権保全に全力を尽くし、世界の恒久平和の実現に向けた国際法に基づく誠意を持った対応を強く求めるべきであります。
ここに熊本市議会として、ロシアに対し、一連のウクライナ軍事侵攻を厳重に抗議するものであります。
議員各位におかれましては、提案理由の趣旨を御理解の上、何とぞ御賛同賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
○原口亮志 議長 提案者の説明は終わりました。
別に質疑の通告がありませんので、これより討論を行います。
上野美恵子議員より討論の通告が提出されておりますので、発言を許します。上野美恵子議員。
〔49番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。
発議第1号「ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議案」に対し、賛成の理由を述べ討論を行います。
初めに、ロシアによるウクライナ侵略で犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、爆撃によって被害を受けられました全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
2月24日から始まったロシア連邦のウクライナへの侵攻は、紛れもない侵略行為であり、絶対に許されるものではなく、厳しく糾弾されなければなりません。侵略はウクライナ全土に及び、首都キエフも攻撃され、軍事施設にとどまらず一般の施設も攻撃していますが、3月4日には、ウクライナ南部ザポロジエにあるウクライナ最大の原発関連施設への砲撃も行われ、一部が破壊されました。
万が一にも原子炉が破壊されれば、福島原発やウクライナのチェルノブイリ原発の重大事故をはるかに超える放射能による世界規模の大惨事につながる危険もあり、まさに人類全体の生存を脅かす犯罪行為となります。こうした危険極まりない攻撃もまた厳しく糾弾されなければならないとともに、直ちに中止するよう求めるべきです。
これらの攻撃によって、民間人を含む多数の人々が犠牲になる痛ましい状況が日々繰り広げられています。そして、多くの難民を生む現状もあります。
3月3日に、スイスのジュネーブにある国連欧州本部で開かれた国連人権理事会では、バチェレ国連人権高等弁務官が、数千万人のウクライナ人が潜在的に死の危険にさらされていると警告しています。
第1に、今回のロシアによるウクライナ侵略は、独立国であるウクライナの主権と領土を犯し、主権の尊重、領土の保全、武力行使の禁止を定めた国連憲章及び国際法を踏みにじる紛れもない侵略行為であり、明確な違法行為です。
プーチン大統領は、2月24日の演説で、今回の軍事行動は、ウクライナ東部地域の要請を受けたもので、国連憲章51条の集団的自衛だと主張しました。しかし、ウクライナ東部地域は、ロシアが一方的に独立を承認した地域であり、一方的に独立を認めた地域・集団との集団的自衛権などあり得ず、国際法上全く根拠がない暴論であると言わなければなりません。
プーチン大統領は、また、ウクライナの脱軍事化、脱ナチス化を進めるとも述べましたが、東部にとどまらずウクライナ全土でロシア軍による軍事侵略を展開している状況を見るならば、ロシアの行為は、ウクライナを独立国、主権国家と認めない態度であり、厳しく非難されるべきものです。いずれにしても、プーチン大統領の主張には、一片の道理もなく、侵略戦争を合理化しようとする考えは、国際的に全く通用しないものです。
第2に、プーチン大統領は、この侵略行為に当たって、ロシアが核兵器大国であることを誇示し、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せ、演説で攻撃されれば核兵器で応えると述べていましたが、これは、核兵器の先制使用を公言するものです。さらに2月27日には、ロシアの核抑止部隊に特別警戒態勢も発令されました。このように核兵器で世界の諸国を威嚇し、核兵器の使用すらも辞さない態度は、今日の国際社会において、決して許されるものではありません。
昨年、2021年1月には、核兵器禁止条約が50か国の批准を得て発効しました。現在59か国が批准し、国際法上も核兵器の違法性が確定しています。ロシアの核兵器による威嚇に対し、核兵器禁止条約の成立に尽力してきたアイルランドやメキシコなどの13か国が、3月1日に共同声明を発表し、核兵器禁止条約は核兵器のいかなる使用も威嚇も明確に禁じていると、ロシアを強く非難しました。
また、広島、長崎を体験した日本は、世界で唯一の戦争被爆国です。被爆者はじめ多くの国民がロシアに対し、核兵器による威嚇は絶対に許さないという声を上げているのは、当然のことであり、国や自治体もまたロシアの核による威嚇に対し、厳しく抗議をすべきであります。
同時に、核による威嚇が公然と行われる、その大本には、核兵器の存在、保有があるからにほかなりません。長年にわたり、被爆者の皆さんが身をもって訴えてこられた人類と核兵器は共存できない。その実現のためには、人類を破滅へと追い込む核兵器を地球上からなくしていくこと。核兵器禁止条約への世界各国の参加を広げていくことが必要です。このこともロシアのウクライナ侵略から明らかになったと思います。実現に向け、取り組む決意です。
第3に、ロシアのウクライナ侵略をやめさせるためには、何が必要か。効果的な経済制裁と同時に世界の世論が、ウクライナ侵略をやめよ、国連憲章を守れの声でロシアを包囲することです。今、侵略国であるロシア国内でも、戦争反対、撤退の声が広がっています。世界中の国々の政府、国民が声を上げています。
現地時間の3月2日に、ニューヨークの国連本部でウクライナ情勢に関する国連総会特別緊急会合が開かれ、ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反と断定し、ウクライナでの武力行使の禁止、軍の即時完全無条件撤退をロシアに求める非難決議を圧倒的多数で採決しました。
決議の提案国は日本を含む96か国に上り、賛成したのは、国連加盟国193か国の7割を超える141か国でした。2014年のウクライナ南部クリミア半島のロシア併合を無効とする国連総会決議での賛成は100か国であり、それを大きく上回る賛成となった今回の決議は、大変画期的なものであり、ウクライナへの一方的な軍事侵略は許さないという国際社会の確固たる意思を表明するものとなりました。
そして、国連憲章こそが大事ということが世界の声となったことは、極めて重要であると考えます。ロシアが侵略行為をやめて、ウクライナから直ちに撤退するとともに、こうした流れをさらに進めていくためにも、それぞれの国の政府、国民、そして議会でも様々な手段によって、より一層、侵略やめよ、国連憲章を守れの声を急ぎ広げていかなければなりません。
そういう意味で、今回熊本市議会において、ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議を可決することは、意義あることと考えます。
国会では、3月1日の衆議院本会議で、翌2日の参議院本会議で、それぞれロシアによるウクライナ侵略を非難する決議が議決されました。
国際社会の世論の包囲によって、一刻も早くロシアがウクライナ侵略をやめ、世界の平和秩序が回復することを願い、賛成討論といたします。
○原口亮志 議長 以上で討論は終わりました。
それでは、採決いたします。
本案に対し御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○原口亮志 議長 御異議なしと認めます。
よって、本案は「可決」されました。
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○原口亮志 議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
次会は、明8日(火曜日)定刻に開きます。
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○原口亮志 議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 3時14分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、日程第1
一、発議第1号 ロシア連邦のウクライナ侵攻に抗議する決議について
令和4年3月7日
出席議員 47名
1番 原 口 亮 志 2番 園 川 良 二
3番 山 本 浩 之 4番 北 川 哉
5番 古 川 智 子 6番 島 津 哲 也
7番 吉 田 健 一 8番 伊 藤 和 仁
9番 平 江 透 10番 荒 川 慎太郎
11番 齊 藤 博 12番 田 島 幸 治
13番 日 隈 忍 14番 吉 村 健 治
15番 山 内 勝 志 17番 高 瀬 千鶴子
18番 三 森 至 加 19番 大 嶌 澄 雄
20番 光 永 邦 保 21番 高 本 一 臣
22番 福 永 洋 一 23番 西 岡 誠 也
24番 田 上 辰 也 25番 浜 田 大 介
26番 井 本 正 広 27番 藤 永 弘
28番 田 中 敦 朗 29番 紫 垣 正 仁
30番 小佐井 賀瑞宜 31番 寺 本 義 勝
32番 原 亨 33番 大 石 浩 文
34番 村 上 博 35番 上 田 芳 裕
36番 那 須 円 37番 澤 田 昌 作
38番 田 尻 善 裕 39番 満 永 寿 博
40番 田 中 誠 一 41番 津 田 征士郎
43番 藤 山 英 美 44番 落 水 清 弘
45番 倉 重 徹 46番 三 島 良 之
47番 坂 田 誠 二 48番 白河部 貞 志
49番 上 野 美恵子
欠席議員 1名
16番 緒 方 夕 佳
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦