〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 熊本県
水害対応訓練は、令和2年7月豪雨での課題を踏まえ、県内全市町村と
防災関係機関を対象に、梅雨に入る前にこれまで7回実施されております。
本市の参加状況は、4月に職員20名、5月に職員4名が参加しております。訓練を通じて、発災直後の避難指示等の発出や避難所の早期開設など、市民の皆様に直結する災害対応を行う市の役割と、被災市町村との情報共有や連携を行う県の役割分担について改めて確認ができたものと考えております。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 震災対応の独自訓練の直後であるにもかかわらず、2度にわたり参加されたと伺い、大変心強く思っております。得られた成果について御紹介がありましたが、ぜひとも具体的に整理をして、今後につなげていただきたいと思います。
私自身が特に印象に残ったのは、情報伝達の流れです。本市以外の市町村におきましては、各地域の振興局に集約され、そこから県に報告する仕組みになっておりましたが、本市は県と直結で直接報告する流れになっておりました。振興局と並びで本市の中ではどのように情報の集約がなされるのかが気になったところです。
例えば、今年度から地域ニーズに対応することを狙いに土木センターが各区の区民部に移管されているわけですけれども、災害時においてもこの区役所経由の流れでいいのかどうか、これは今後検討が必要だろうというふうに感じました。
今回は、
危機管理防災総室の皆さんが中心でしたので、災害情報の処理がメインであったように思います。今後、これらの成果を中期的に積み上げて、さらに高度な
状況判断訓練へとつなげるべきではないかと感じた次第です。
政策局長にお尋ねします。防災訓練について、中期的な訓練構想があればどのようなものか教えてください。また併せて、今後、市長を含め厳しい状況判断を迫るような、そういう訓練を行う考えがあるかどうかについてもお願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 本市では、中期を想定した訓練構想は作成しておりませんが、
地域防災計画に基づき、激甚化、頻発化する災害に備え、震災対処実動訓練や水防訓練など、年間を通して様々な訓練を行っております。
例えば、震災対処実動訓練においては、市長をはじめ、全局の職員が参加し、熊本地震の経験を踏まえ、地震発災直後の混乱状況を念頭に、避難指示や市民の安全を守るための迅速な対応など、常に緊張感を持って取り組んでおります。
今後も、あらゆる災害リスクに対応できるよう、状況に応じた訓練を実施し、本市の防災力と
災害対処能力の向上に努めてまいります。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員
地域防災計画に基づいて、年間を通して訓練が行われ、特に震災対処実動訓練においては、市長以下全職員参加という形で取り組んでおられる状況について御紹介いただきました。もちろんそこには多くの成果があると思いますが、やはり訓練を積み上げる中期的な考え方がないのは残念です。
例えば、
校区自治協議会の
防災力レベルをそろえて、成果を横に広げていくという考え方もあれば、組織の縦方向に注目して、訓練対象となる組織の階層を除々に上げながら、最後は市長以下で高度な
状況判断訓練に取り組むという考え方もあります。今年から来年へとつなげるためには、ぜひとも必要なことですから、これは持ち越しということで、次回また質問させていただきます。
続きまして、本市の防災拠点について伺いたいと思います。
実は、防災拠点という言葉は、よく使われる割にはその定義がはっきりしておりません。例えば、
庁舎建て替え問題を説明する際にも防災拠点としてはどうとか、一般施設としてはどうとか、繰り返し使用されておりますが、ここに何か具体的な区分はあるのか、防災拠点とは市役所庁舎のどの部分を指すのかが気になっております。
本市の市役所庁舎における防災拠点についての考え方を教えていただきたいと思います。特に、そこに求める機能や強靭性についてもお願いいたします。政策局長、お願いします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 内閣府によれば、防災拠点とは、広義の意味では、避難所、備蓄倉庫、救援物資の集積所、
応急復旧活動の拠点、本部施設など、幅広い概念で捉えられており、狭義では、本部施設や
応急復旧活動の拠点の意味で用いるとされております。
これに基づきまして、本市の
地域防災計画においては、災害が発生した場合、被害を未然に防ぎ、あるいは被害を最小にとどめるための防災活動の拠点となる施設としまして本庁舎等を
防災拠点施設に位置づけております。この
防災拠点施設には、大規模災害時においても耐震性や耐火性などを備え、安定した電力の供給や充実した
情報通信機能等が必要であると考えております。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 ただいま触れていただいた、平成24年の内閣府資料については、私も承知しております。ただいまの御答弁は、その資料の中にある本部施設は防災拠点という表現に基づき、本市の
地域防災計画の中に囲まれたその施設としてお答えいただいたように思います。
私がお尋ねしたのは、市役所庁舎における防災拠点ですから、その細部についてお答えがなかったのは残念です。恐らく根拠に基づいて答えられるのがここまでだとすれば、それなら今までの
庁舎建て替えで議論されてきた防災拠点というのは、庁舎全体を指すのか、それともある一部を指すのか、これははっきりさせていただきたいと思っております。
6月2日に行われた有識者会議において、地域防災が御専門の加藤先生からは、防災拠点については、庁舎の機能を丁寧に見るべきとの御指摘があり、また、まちづくりの専門家である岸井先生からは、市役所全体の姿から見直すべきとの御発言もありました。いずれも的確なアドバイスだと思います。言うまでもなく、熊本市の防災拠点ですから、自ら検討すべきもので、人から教えてもらうものではありません。地域の
ハザードマップを検証し、実践的な訓練を積み重ねる等、自ら汗をかいて明らかにすべきであろうと思っております。
この問題は、有識者会議の座長、平田先生の庁舎の防災拠点としての機能維持を目指すというまとめの言葉にも深く関わることです。この防災拠点につきましても持ち越しということで、次回また質問させていただきます。
次は、二元代表制における市政の在り方についてお尋ねしたいと思います。
私自身、2期目の経験しかない新人議員ですから、初めてこの議場に席を頂いたときから、議会と執行部はどのような関係にあるのか、また、その中で議員はどういう存在であるのかを考えてまいりました。
一昨年の11月に
フランス地方都市を研修させていただきました。地方自治の制度としては、一長一短あると思いますが、世界には実に様々な民主主義のスタイルがあるということを知って衝撃を受けました。翻って、我が国の地方自治の仕組みもその一つの例にすぎないという目で見たときに、そこにある長所や問題点について議会と執行部が共有することは、大変大事なことではないかと思う次第です。
そうした思いから、令和3年第1回
定例会予算決算委員会締めくくり質疑において、よりよい議会との関係について、大西市長に質問させていただきました。要約すると次のような御答弁をいただいております。
1つ、議会と首長については、二元代表制の下、住民が直接選挙で選出する議員とそして首長がそれぞれ行政と立法を司ることで、
チェックアンドバランスを図りながら自治体運営を進めていくと。
2つ目、議会と首長が日頃から相互の信頼の下、十分に連携しておく必要がある。
3つ目に、適度な緊張と緊密な連携を図り、公の場における議論を通して市民のための市政を実現していくことという御答弁でした。
この中で使用された幾つかのキーワードについて、さらに踏み込んで市長にお尋ねしたいと思います。
まず、
チェックアンドバランスにおけるチェックとは具体的に何をどのようにチェックするのか、そしてバランスというのは何と何のバランスを取るのかについて考えをお聞かせください。
そして2つ目に、相互信頼による連携と適度な緊張関係、これをどのように保っていくのかについても考えをお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 首長には、地域の課題解決に迅速に取り組むために予算執行権や行政事務の管理執行権などの権限が与えられております。一方、議会には、予算や条例の議決、決算の承認などの権限が与えられており、首長が提出する予算案や条例案などに対し、議員が、公開性が確保された議会という公の場において議論を深めることで、首長に対する
チェック機能が果たされていると考えております。
このように、議会と首長が相互に抑制と均衡を保つことにより、適正な自治体運営が図られているものと考えております。
次に、相互信頼による連携と適度な緊張関係の確保については、議会に対し、丁寧な説明や意見交換を行い、議論を深めるとともに、議会の有する執行部に対する監視機能に対し、緊張感を持った市政運営に努めることが重要であると考えております。
今後とも、議会と首長がそれぞれの立場で切磋琢磨していくことで、よりよい市政運営を実現してまいりたいと考えております。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 議会と執行部の関係を正面から捉えた御答弁だったように思います。
私は、
チェックアンドバランスというのは、組織がその力を発揮するための重要な要素だと考えておりますが、一般的には権限が拮抗したものの間で成り立つものと考えております。例えば、国政における三権分立のようなイメージです。
一方、二元代表制という仕組みに目を向ければ、アメリカ合衆国の制度が有名ですが、ここでは、大統領に行政権、連邦議会に立法権が与えられ、きちんと権限が別れております。別々に選挙で選ばれ、権限もそれぞれ分権化されているというわけです。
これに比べますと、我が国の地方政治における二元代表制は、名称こそ同じですが、両者の力関係は随分異なっております。御答弁にもありましたが、立法と行政は分けられることなくどちらも首長に与えられております。一方、議会には、予算の提出権はなく、予算の修正権も限定され、議会の招集でさえ原則的には首長の権限となっております。
さらに、首長には専決処分というカードが与えられております。近畿大学の辻陽教授は、自らの著書「日本の地方議会」の中で、この議会側の権限が大きく制限されていることが、
我が国地方自治の最大の特徴であると指摘しています。
私は、別にこれをいいとか悪いとか申し上げているわけではありません。このような仕組みになっているということであります。これを前提に考えれば、議会に否決する権利はあるものの、これを行使して市政を停滞させることは極めてハードルが高いと言わざるを得ません。むしろ、地方議会における議決というのは、最終のチェックであり、追認という言葉は、私は使いたくありませんけれども、最終的な確認行為と捉えるのが妥当ではないかというのが私の個人的な意見であります。
また、市民の代表である議会の
チェック能力にはおのずと限界がありますから、執行部として、まず間違いのない、そして十分に検討を重ねたものを議案として出していただく、これが大前提であろうというふうに思っております。その
最終チェックを受けるまでは全て執行部に責任があるわけですから、私はこの執行部の中における
チェックアンドバランスをしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
中でも重要なのが、必要性と可能性のチェックだと思います。本当にこの事業をやる必要があるのか、市政のニーズに応えているのか、そして、可能性として予算の裏づけはあるのか、市民に理解が得られる仕組みになっているのか等、組織の縦と横でチェックをしながらつくり上げていくのが執行部最大の責務です。また、こうした中間段階において、きちんと
チェック機能が働いていると議会にも理解されれば、執行部との間に
相互信頼関係が生まれると思っております。
そしてもう一つの問題点として、総務省でまとめられた、地方議会・議員のあり方に関する研究会の報告書の中に、議会が執行部側をチェックする機能の弱さが挙げられております。アメリカの連邦議会には、
シンクタンクと呼ばれる数千人規模の政策集団が設けられ、また、台湾高雄市の市議会議員とお話ししたときには、一人一人に公設秘書がつけられておりました。我が国の地方議員にもこうした
サポート制度を設けるべきではないかという
総務省報告書の指摘であります。
これを実現するには、まず国の制度から変える必要がありますが、現行制度下でもできることはないかと考えたときに、私は、新しくなった議会局の中にその役割を期待できるのではないかと思っております。選挙で選ばれたということで、まず市長と48名の議員が向き合います。そして、
市役所執行部に対抗する組織として、議会局を位置づけるわけです。
例えば、執行部から提出された
中期財政見積りや細かな検討資料に対しては、議会局の側でも全く同じ手法で作成していただきます。そのお互いの結果を突き合わせることで議論が深まり、プロとプロの緊張関係が生まれるというふうに思っております。
改めて、大西市長に伺いたいと思います。例えばアメリカの
シンクタンクのように、議会局によって議会をサポートする機能を強化して、よりよい二元代表制を目指すことについて市長の所見をお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 熊本市議会におかれましては、これまでも市民ニーズや社会情勢等の変化に対応し、自ら積極的に改革に取り組まれていると承知しております。
今年度は、議会事務局を議会局に変更し、議会や議員の活動をこれまで以上に広範にサポートする組織であることを明確にされたところでございまして、議会の体制強化に寄与するものと考えております。
議会局における
政策立案機能の強化については、議会の機能強化に資する有効な手段であるというふうに思われますが、一義的には、議会において御検討いただくべきものと考えております。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 議会局における
政策立案機能の強化が
議会機能強化に資する有効な手段であると、この部分について同意いただけたことを大変うれしく思います。
もちろん、市長御指摘のとおり、議会のことは議会で検討すべき問題であり、ただいまの質問そのものも総務省の報告書からヒントを得た私の個人的な発想に過ぎません。それでもあえて大西市長にお尋ねしたことには理由があります。
1つ目の理由は、議会局に勤務する方の人事権は基本的に市長にあるということ。そして2つ目の理由は、仮に組織改編等、条例の改正が必要になればこれもまた執行部にお願いをしなければならないからです。議会のことでありながら議会だけでは解決できませんので、市長の胸の内を確認させていただきました。
またしても自衛隊の話で恐縮ですけれども、自衛官を強くするのは自衛官だという考え方があります。部隊の実力を評価するために演習をするわけですけれども、敵側として編成した部隊が強ければ強いほど、部隊は多くのことを学び、強くなります。航空自衛隊には、飛行教導隊、
通称アグレッサーと呼ばれる仮想敵戦闘機のパイロットがいます。この鬼のようにすご腕のパイロットによって、優秀なパイロットが育っていきます。
私の勝手な想像ですけれども、将来は議会局が市役所のアグレッサーとなって、執行部に対峙し、議会を力強くサポートしてくれる日が来れば、こんなに心強いことはないというふうに思っております。
一方で、強力な権限と執行部に支えられた市長に対し、議員48人が勝っているところが何かというふうに問われれば、それはより多くの市民と直接、接しているということだろうと思います。市民の声をどれだけこの議場に持ち込めるのか、これが議員に与えられた使命ではないかと思います。
また逆に、議員全員が市長の考えを理解し、納得すれば、今度は市長の代わりにその考えを広めることができます。これが信頼と連携の原点であり、先ほどの私からの質問に対する私なりの回答であります。
続いて、市役所定員の管理と業務の在り方についてお尋ねしたいと思います。
本市が政令市に指定されてから区割り制となり、大きく体制が変わりました。コンビニを活用することで窓口業務が省力化され、その一方で、まちづくりといった新たな業務に対応しながら今日に至っております。環境が変化することによって、組織のスリム化を図るところもあれば、多様化する市民のニーズに応えるために強化するところもあると思います。
組織の定員管理と業務管理をどのように進めているのかを教えてください。総務局長、お願いします。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 本市では、将来にわたり持続可能な市政運営を実現するため、
市役所改革プランに基づき、事業の見直しや効率化、
民間活力の導入に積極的に取り組んでいるところでございます。
また、このような取組により生み出した人員は、本市の重点施策をはじめ、災害対応や昨今の
新型コロナウイルス感染症関連業務等、その時々に注力すべき分野へ重点的に配置を行っているところでございます。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 人と仕事のバランスというのは、あらゆる職場における最重要課題だと思います。貴重な人材を有効に使いながら、災害や
新型コロナウイルス感染症等、不測の事態にも対応されていることが分かりました。また、
市役所改革プランの中で事業の見直しや効率化を進めつつ、
民間活力の導入が一つの柱になっているということを確認させていただきました。
この
民間活力の導入につきましては、効率性や経済性の面において、民間のノウハウの方が優れた面があり、何より市民へのサービスが向上するというのであれば、私はその趣旨には大賛成です。大いに取り組んでいただきたいと思っております。
実際に、施設の管理運営などを指定管理者によって一定期間お願いするような、顔が見えるやり方についてはその狙いが生きているように思います。一方で、私が気になっておりますのは、市役所における特定の業務の一部を民間にお願いするような場合です。
例えば、最近では
新型コロナウイルス感染症のワクチン予約に伴う混乱が指摘されました。また、ミスとは言えないまでも、これは本来、市役所でやるべき業務ではないかという内容の発注も目につくところです。
最近特に驚いた出来事としては、本市が主催する行事の案内状が民間のイベント会社の差し出しで届いたことです。開封してみると、案内状の本文は大西市長の言葉ですが、事務局の所在が民間の会社になっており、連絡先にある担当者の名前もその会社の方でした。市役所のどこが担当でどこが窓口なのかも全く分かりません。もちろんそうではない行事の方が多いと思いますけれども、市役所全体として統一感がなく、ちぐはぐな印象を持っております。
総務局長にお尋ねいたします。改めて、こうした
民間活力の導入の考え方と成果について具体的に教えてください。さらに、業務の外注の状況と個々の業務を民間に委託するに当たっての明確な基準の有無とその考え方についてお願いいたします。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 まず、
民間活力の導入の考え方についてでございますが、限られた行政資源の中で持続可能な市政運営を実現していくために、民間が持つ能力やノウハウの活用により質の高いサービスや費用対効果が見込まれるものについては、
民間活力の導入を推進していくことを基本としているところでございます。
また、これまでの成果については、市民ニーズが年々多様化、複雑化する中において、官民連携の在り方について検証を重ねながら、よりよいサービスを提供できていることや、平成8年度から平成30年度までの23年間にわたって取り組んできた行財政改革において、
民間活力導入による効果額が約185億円となっていることなどから、一定の効果があったものと考えております。
次に、業務の発注状況についてでありますが、委託業務の件数は、その年度に取り組む施策等の状況により異なりますが、
熊本地震発生前の平成27年度は約5,300件であったものが、平成28年度は地震の影響により約1万4,600件と大きく増加し、令和元年度におきましては約4,900件となっております。
最後に、委託の基準や考え方についてでございますが、明確な基準は設けてはいないものの、各業務の公平性の確保や専門性はもとより、民間事業者の強みなどを総合的に勘案した上で、効率性、経済性の両面において、最大限の効果が得られるような業務を対象としているところでございます。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 きちんと数字を出した上で丁寧に御答弁いただいたように思います。私自身は見えないところで民間委託が急速に進んでいるような印象を持っておりましたので、件数が減少しているのは少々意外な気がいたしました。御答弁にありましたように、今や委託する業務内容が多種多様で、明確な基準が設けられないという事情も理解できたように思います。
しかし、そうであればこそ、守るべき一線は守るように、意識の統一を図っていただきたいと思います。やはり大切なことは、民間の力を借りることで、市民へのサービスが向上すること、これが第一の視点で、それを可能にするために任せきりや丸投げにしないということだろうと思います。バトンを渡してもしばらくは一緒に走り、お互いの組織間ののり代を広く取って、これから対応していただきたいと思います。
最後に、平和主義と平和教育について質問いたします。
平和と安全保障、これは言うまでもなく国家の問題でありますから、全ての市民が国民の一人として等しく考えるべき大切なことです。この議会におきましても、一般質問や意見書の討論等の中で、しばしば平和の問題や核兵器の問題が取り上げられております。これは大変意義のあることだと思っております。
そこで私も議論を深めたいという思いから、今回は平和主義ということをテーマに取り上げました。まずは、私の意見を申し上げた上で、平和教育の在り方について教育長にお伺いしようと思っております。
さて、平和主義、これは我が国の憲法を語るときの三原則の一つです。現在使用されている小学6年生の教科書には、次のように説明されています。戦争は人の命を奪い、生活を破壊するだけでなく、心に大きな傷跡を残します。日本国憲法の前文には、平和への誓いが書かれています。それは、二度と戦争をしないという国民の決意を示したものです。憲法の条文では、外国との争い事を武力で解決しない、そのための戦力を持たないと、平和主義の考えを具体的に記していますというふうに書かれています。
つまり、戦争の話に始まり、国民が戦場に駆り出され命を落とす、その理不尽さと悲惨さを考えることで平和の大切さを心に刻もうというものであります。この思い、あるいはこうした考えに反対する日本人は恐らく一人もいないのではないでしょうか。この平和主義に異論を唱えれば、それではあなたは戦争がしたいのかということになってしまします。
戦後70年以上にわたり、平和主義はもはや反論の余地のない絶対的な正しさとして教えられてきたように思います。その結果、どうなったか。平和を祈り、願う気持ち、あるいは戦争に関わる一切のものを排除したいと考えることが、そのまま平和を実現するための手段として受け止められるようになったのではないか、私はそう考えております。これは、人間社会と比較をすると特別な考え方であることは明らかです。私たちは安心して毎日を暮らすために、この世から争い事や犯罪の全てがなくなってほしいと強く願っております。
ところが、祈り、願うだけでは世の犯罪はなくならないと誰もが悟っています。そのために、網の目のように法律が整備され、違反すれば罰せられ、トラブルが起きても公正に仲裁するシステムがあるということを理解しているからです。そればかりか、新手の犯罪が起きれば、その手口を学び、注意喚起をして未然防止に努めております。
一方、国と国がひしめく国際社会には、こうした強制力を伴う法体系はありません。悪い国を捕まえる警察のような機構もなければ、国を裁く仕組みも存在しません。私は、平和主義に込められた思いを日本人共通の思いとしてしっかりと受け止めながら、その一方で、平和や戦争に対する深い洞察や議論が今こそ必要であると考えております。多くの方にぜひとも考えていただきたいことが二つあります。
一つは、現在の平和が、祈りや願いではなく、多くの命がけの行為によって守られているという事実です。
私が小学生のときには、自衛隊の存在は平和の妨げだという話を先生から何度も聞かされました。国政においては、時に野党から非武装中立論が強く叫ばれておりました。武力攻撃に対して、武力で抵抗するから戦争になる。武力を持たずに降伏することが平和の道だという考えで、当時は東西冷戦下にありましたので、中立の立場を宣言すればもう誰も攻めてこないというものでした。
そうした中、昭和63年3月に化学防護小隊という、化学兵器専門の部隊が北海道に創設されることになりました。すると、これに反対する運動が全国的に展開されます。国際法で禁じられている毒ガスに対応する部隊がなぜ必要なのか。毒ガス部隊反対と叫んで大勢の人が駐屯地の前に詰めかけてきたのを覚えております。たとえ条約で禁じられていても、備えは必要だというのが自衛隊の立場ですから、理解を求め、予定どおりに部隊が新編され、やがて全国に編成されていきました。
それから7年後の平成7年3月20日、午前8時、あのオウム真理教による地下鉄サリン事件が発生しました。亡くなった方が14名、負傷された方が6,300人、歴史に残る無差別テロです。化学防護隊の隊員たちは、ニュースを見ただけで、使用されたのは毒ガスのサリンに間違いないと判断、これは自分たちに出番がやってくると考え、事件発生から30分後には準備体制に入っております。その後、東京都知事からの要請を受けて現場に急行、地下鉄構内においてサリンの除染作業にかかり、無事任務を完遂しております。
ところが、任務の終了報告を終え、帰ろうとする小隊長が地下鉄の駅長さんに呼び止められます。駅構内の安全宣言をしてくれないかというお願いでした。これは実は、与えられた任務にはなかったのですが、小隊長はこれをすぐに承諾して、部下2人を連れて再び構内に戻ります。小隊長は現場に着くと、かぶっている自分の防護マスクを自ら外し、自分の目を部下に確認させます。もしサリンが残っていたら縮瞳と呼ばれる症状によって瞳孔が縮むからです。部下からの瞳孔、異常なしの声を確認して、彼らは再び地上に戻り、駅長さんに結果報告をして、帰隊しております。
東日本大震災においては原子力発電所の放水作業を実施し、4年前には画図町下無田で発見された250キロ焼夷弾の不発弾処理を行いました。そしてもちろん、我が国の領空、領海では様々な緊張が続いております。航空自衛隊が行ったスクランブル発進は、直近5年間を平均すると年間1,000回に及び、尖閣諸島周辺では、過去最長となる中国海警局の船に対する海上保安庁の警備活動が今も続けられております。
地下鉄の構内、原子力発電所、不発弾、そして空も海も、現場はまさに命をかけた戦場です。危険に身をさらして任務に当たる人たちがあって、初めて守られる平和があるということ。ここに目を向けていただきたいと思います。
そして、考えていただきたいもう一つは、平和には様々な形があるということ。平和の在り方についても深く議論をしていただきたいということです。現在、中国の自治区となっている内モンゴル、ウイグル、チベットの3か所はいずれも、大戦前までは、独立した国家、あるいはその一部として存在しておりました。中国に組み込まれるときには、国と国の戦争と呼べるような戦いは起きておりません。圧倒的な軍事力の前に穏やかに、緩やかに時間をかけて民族の自治権が奪われ、国がなくなってしまいました。
内モンゴルでは今年から言葉はモンゴル語から中国語に変わり、ウイグルとチベットでは民族同士の結婚が制限され、漢民族との結婚には奨励金が出されています。やがて、民族としての言葉も文化も歴史も絶えようとしております。イギリスと一国二制度を条件に返還された香港でも、同じようなことが今起きようとしています。
「奴隷のように鎖につながれた平和なんか何の意味もない。それならば命をかけて戦おう」と、これはアメリカの独立戦争を指導したパトリック・ヘンリーの言葉ですけれども、今さらながらのように、私は胸に迫るものがあります。
戦後80を超える独立戦争が歴史に刻まれておりますけれども、こうした国にとっては、独立戦争は平和をつかみ取るための戦いであり、戦争と平和は対極にあるものではなくて、一体のものであると認識されております。いずれにしても、我が国の平和主義という理念を確認した上で、世界の歴史を見渡し、議論を深めていくことが求められているように思います。
教育長に3点、お尋ねいたします。
1つ目、平和主義の英訳を調べるとpacifismという言葉が出てきます。これは、アメリカにおいてどのように捉えられ、教育等ではどのように言及されているのでしょうか。
2つ目、現在の平和がどのようにして守られているのか、あるいは多様な平和の形があること等、事実を持って主体的に考えさせるような平和教育についてどう考えておられますか。
3つ目、平和教育において、現在使用している教科書だけでなく、副教材のようなものを用意する等、熊本市独自の取組はできないでしょうか。
以上、教育長、お願いします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 平和主義と平和教育の在り方について、3点お答えいたします。
1点目は、平和主義、pacifismについてということで、平和主義にも様々な考え方があり、戦争や暴力はいかなる場合にも許されないとする絶対平和主義、いわゆるpacifismの考え方から、自由や正義が守られている状態を平和と捉え、そのための戦争を肯定する考え方まで、幅広いものと認識しております。
米国においても多様な考え方があるのは同様と考えますが、独立戦争に勝利し、建国したという歴史を踏まえ、一定の条件での戦争はやむを得ないと考える人が多いのではないかと思われます。
また、日本での平和主義の教え方としては、学習指導要領に基づき、大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させること、日本国憲法の平和主義について理解を深め、我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせること、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てることなどについて指導することとしております。
次に、事実を持って主体的に考える平和教育の在り方です。
中学3年生の社会科の教科書では、世界で地域紛争やテロが起きていることや、自衛隊も参加した国連の平和維持活動PKOや民間の非政府組織NGOの活動などを取り上げております。その上で、これからの国際社会で日本が果たすべき役割について、自分の考えを説明しましょうと問いかけ考えさせております。
また、同じ教科書ですが、北方領土や竹島の領土問題や尖閣諸島周辺の領海、領空の警備を取り上げ、地理や歴史での学習を踏まえて、それぞれの地域が抱える問題の解決策を考えましょうと問いかけております。
加えて、例年、全小学校が長崎へ、一部の中学校は広島へ修学旅行に行っております。その事前学習などで児童・生徒が調べ、考え、まとめたものを発信し、ほかの児童・生徒と共有したり、対話したりするなどの活動を行っております。
3点目に、本市独自の平和教育への取組ですが、現在、本市では児童・生徒が1人1台のタブレット端末を活用し、容易に資料等を手に入れることができることもあり、市独自の副教材を導入しなくても、平和について考える材料は豊富にあると考えております。
また、市内に自衛隊の駐屯地が複数あることは熊本市の大きな特徴と考えております。これ自体が教材のようなものですから、例えば、地域学習の一環として、これらの施設を訪問したり、話を聞いたりすることは意義のあることではないかと考えております。
〔20番
光永邦保議員 登壇〕
◆光永邦保 議員 pacifismという言葉は、防衛省、自衛隊で長年通訳を務めていた友人でさえ、一度も聞いたことがないということでしたので、教育長にお尋ねいたしました。アメリカにおいては、平和について幅広い捉え方がある中で、絶対平和主義と表現していただいたことは、言葉を理解する上で大変参考になりました。
また、教育の場においては、戦争、憲法、平和主義のみならず安全、防衛、国際貢献の分野にまで触れて、指導されていると伺い、安堵した次第です。事実をもって、主体的に考えさせる教育については、国際社会において日本が果たすべき役割や領土問題の経緯、長崎や広島への修学旅行における事前学習等、様々なテーマで取り組まれているということを理解することができました。
その上で、熊本市独自の副教材の御提案をしたわけですが、タブレットを活用した自主学習とともに、地域学習の一環として自衛隊の駐屯地を例に挙げていただいたことは、大変うれしく思います。健軍駐屯地、それから北熊本駐屯地には、いずれもすばらしい資料館が整備されております。ぜひ学習の場として利用していただきたいと思います。
私の9か月ぶりの一般質問は、後半、平和主義をテーマに進めさせていただきました。戦後70年以上にわたり、憲法9条、安全保障、自衛隊等についての議論はほとんど深まっておりません。私が最も危惧しているのは、我が国を取り巻く環境はもちろんですが、戦争の様相が急速に変化を遂げているということです。
あくまでも新聞報道ですけれども、今年の秋に約2か月をかけて、陸上自衛隊としては東西冷戦時以来、最大の演習が計画されています。新聞記事によれば、台湾有事や尖閣有事のシナリオが想定されていると書かれておりましたが、内容は一切まだ公開されておりません。そこに想定されているのは、正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせた、ハイブリッド戦闘と言われるものです。これは、防衛白書にも詳しく記述されています。
最大の特色は、有事と平時の区別がないということです。例えば、2014年のクリミア半島での紛争においては、ロシア軍がウクライナ軍の電波を封鎖し、偽の命令指示をウクライナ兵士の携帯電話に送り込み、誘い出された部隊にミサイルを集中してこれを撃滅しています。銀行や証券取引所における突然のシステムダウン、スマホメールの突然の混乱、あるいは、正体不明の感染症など、グレーゾーンの中で、平和の仮面をかぶって静かに訪れる戦争、あるいは、感覚が育っていない国にとっては、戦争がいつ始まったかどうかも分からない状態、これがハイブリッド戦であります。
平和の在り方について、様々あることは先ほどの教育長の御答弁にもありましたが、平和が尊く、かけがえのないものであることは、これはもう言うまでもないことです。しかし、内モンゴルやウイグル、チベットのように、言葉や文化、そして民族の誇りまでも奪われて、これが私たちの平和だよと未来の子供たちに語れるでしょうか。それが試される時代がもう来ているということを多くの方に考えていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○原口亮志 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時57分 休憩
───────────
午前11時10分 再開
○原口亮志 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ────────────────────────────
○原口亮志 議長 一般質問を続行いたします。
吉田健一議員の発言を許します。吉田健一議員。
〔7番 吉田健一議員 登壇 拍手〕
◆吉田健一 議員 皆様、こんにちは。公明党熊本市議団の吉田健一でございます。
コロナ禍の続く中、多くの市民が様々な制限に耐え、自粛しつつ日々を暮らしていらっしゃいます。私たち議員も手探りではありますが、試行錯誤しながら一日も早い
新型コロナウイルス感染症の収束、そして、通常の議員活動にも感染防止対策や新たなツールをうまく活用しながら取り組んでいるところです。
我が公明党としても、一番の力である全国の3,000名の議員のネットワークを最大限に生かし、成功事例や課題を共有しつつ、会派としても幾度も大西市長へ申入れを行ってまいりました。国への提言も続けております。
今回の一般質問は、
新型コロナウイルス感染症に関する内容は先日、会派を代表して浜田議員が質問をさせていただきましたので、本日私からは、コロナ禍でも同時並行で進めなければならない課題や新たに取り組むべき提案事項を中心に質問させていただきます。大西市長並びに執行部の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、カーボンニュートラル、脱炭素社会、そしてSDGsについて触れさせていただきます。
本年4月に、アメリカ主催で開催されました気候サミットにて、菅総理は、2050年カーボンニュートラルの長期目標と整合的で野心的な目標として、我が国が2030年度において、温室効果ガスの2013年度からの46%削減を目指すことを宣言するとともに、さらに50%の高みに向け、挑戦を続けていく決意を表明されました。これに合わせ、5月26日に改正地球温暖化対策推進法が参議院本会議で全会一致で可決、成立し、我が党が訴えてきた脱炭素社会の実現が法的に位置づけられました。
本市としても、熊本連携中枢都市圏で、全国初となる2050年の温室効果ガス排出100%削減、実質ゼロを目指すと発表されております。そこで、脱炭素社会並びにSDGsの目指すべき未来に向けて、今までの本市の取組と今後の具体的取組、そして改めまして、決意を大西市長へお伺いしたいと思います。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 先月26日に成立した地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律では、2050年までの脱炭素社会の実現に向け、地方公共団体が策定する実行計画に再生可能エネルギー導入の目標を定めることが盛り込まれるなど、地球温暖化対策における自治体の役割が今後ますます大きくなるものと改めて認識したところでございます。
本市はこれまで地球温暖化対策として、ごみ発電の電力を市施設へ供給することによるエネルギーの地産地消や、市民や事業者の皆様のEVや省エネルギー機器等の導入に対する補助などの取組を行ってまいりました。
そのような中、昨年1月に熊本連携中枢都市圏共同で2050年温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことを宣言し、今年3月に熊本連携中枢都市圏地球温暖化対策実行計画を策定いたしました。今後は、目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギーの推進、脱炭素化に向けた都市機能の構築など、計画に掲げる5つの基本方針に沿った施策を推進してまいります。
また、特に重点的な取組として、地域資源を活用した再生可能エネルギーの地産地消や、公共施設における率先した省エネ、蓄エネ、再エネの導入について、圏域全体で推進してまいります。
このような地産地消の取組や温暖化対策のための設備投資などによって、環境、経済、社会の好循環が生まれ、持続可能な地域循環共生圏の構築、すなわちSDGsの実現につながるものと考えております。
本市といたしましては、熊本連携中枢都市圏、ひいては熊本県全体の牽引役となるよう、市民や事業者の皆様など、多様な関係者と連携を図りながら、脱炭素社会の実現に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 大西市長、ありがとうございました。日本だけでなく、世界での共通重要事項として取り組まなければならない課題であり、御答弁でもありましたとおり、県全体を牽引する脱炭素社会へ積極的な取組をと、私も同じくして決意をしているところであります。
そこでここからは、熊本県だけでなく全国を牽引するような具体的な提案、要望として質問に入らせていただきます。
先ほど大西市長からもありましたとおり、環境に配慮した取組が重要視される流れを受け、世界規模で企業や地方自治体等が環境事業に要する資金を調達するための債券であるグリーンボンド債券の発行を推し進めており、年々増加しております。
また、同じくして世界的にも広がっているのが、ESG投資です。ESG投資は、環境、社会、ガバナンスの頭文字を表しており、この要素も考慮した投資のことを指します。日本においても、環境に配慮した取組、SDGsとESG投資は密接した関係であることから、SDGs債券という表現で取り扱っている証券会社もあるようです。
実際に東京都では、国内の地方公共団体初のグリーンボンド債を平成29年度に発行して以降、驚異的な伸び率で発行実績を伸ばしており、令和元年度までに毎年総額200億円、昨年は300億円に増額、今現在の累計発行額は1,000億円に迫る勢いであり、持続可能な社会の実現、SDGsに向けた世界的な意識の高まりと新たな環境施策を強力に推し進めることができることが実証されています。
これまで以上に世界の主要企業や投資家たちが、環境に特化したグリーンボンド債券に注目しております。また同じくして、お隣の福岡市では、全国政令市で初となるグリーンボンド債の発行に取り組むと本年3月に発表されました。
ぜひ、SDGs未来都市である本市としても、市債の発行をするに当たって、先ほど述べていただきました決意をまたとなく実行すべく、グリーンボンド債の発行に着手すべきかと思いますが、いかがでしょうか。
そこでお伺いします。このグリーンボンド債の発行を本市で取り組むことはできないでしょうか。環境的視点から環境局長に、財務面から財政局長にお尋ねいたします。
続けて質問いたします。
SDGsに関連しまして、PPP・PFIについて伺います。
今までも先輩議員の皆様が、PPP・PFI、いわゆる官民連携及び民間の資金と経営能力、技術力などのノウハウを活用した公共事業について触れてこられたと思います。
SDGs、持続可能な開発目標の達成を図るためにも、やはりPPP・PFIの活用が必須事項であり、実現に寄与されるものと強く感じつつ、コロナ禍となった今も感染予防や社会経済の変化を盛り込んだ質の高い公共サービスを提供するためにも、さらに推し進める必要があると期待を膨らませているところです。
しかし、本市だけでなく多くの都市で、様々な場面で検討されてこられましたが、公共施設等での実施できる範囲やキャッシュフローを生み出しにくい分野への導入の難しさなど、ここにきて課題が浮き彫りになってきたのも事実です。
国としても現状を鑑み、内閣府のPPP/PFI推進室が一層の促進に向けた制度面等の見直しや好事例集の策定、費用等に対する交付金の支援など、対応するための必要な取組を進めると、PPP/PFI推進アクションプランの改定を実施しております。
そこで数点伺います。
1点目に、今までに検討されてきた具体的な事業案並びに現在検討している案、他都市での代表的な事例を教えてください。
2点目に、本市がSDGs未来都市として、PPP・PFIの取組は必須であり、実際に事業展開をしなければならないと感じますが、改めて意気込みをお示しください。
3点目に、なかなか難しい環境にあると述べてきましたが、PPP・PFI事業の絶好のタイミングとして、先日も触れられました金峰山少年自然の家の再建がこれに当たると感じております。基本計画素案の中でも、PPP・PFI手法の導入に関して優先検討を行うとうたってありますとおり、本市としても確実かつ最大限に取り組んでいただきたい機会だと思いますが、現在の方針、今後のスケジュール、目指す具体的イメージをお示しください。
以上、担当局長へ伺います。
〔三島健一環境局長 登壇〕
◎三島健一 環境局長 私からは、グリーンボンドにつきまして環境的視点からお答えいたします。
環境省のガイドラインによりますと、グリーンボンドとは、企業や自治体等が環境の保全に効果のある事業に要する資金を調達するために発行する債券でございます。
この債券の発行による環境面でのメリットといたしましては、民間資金を環境関連事業に積極的に充当することで、良好な地球環境や生活環境の確保とともに、環境保全に向けた市民や事業者の皆様の意識の醸成に寄与することが考えられるところでございます。
〔田中陽礼財政局長 登壇〕
◎田中陽礼 財政局長 グリーンボンド債の発行につきまして、財政面の観点からお答えいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
グリーンボンドの発行につきましては、ただいま環境局長が答弁いたしました環境面でのメリットに加えまして、財政面では、環境問題に関心のある投資家層の取り込みによる資金調達手段の多様化といった効果も考えられるところでございます。
一方で、グリーンボンドの使途は環境に配慮した事業に限定されますため、有利な条件での資金調達のためには、一定の事業規模のプロジェクトを提案し、発行ロットを大型化する必要があること、また、資金の使途に関するレポーティングや外部機関の評価に係る人的、財政的コストの発生などの課題も想定されるところでございます。
このようなことから、グリーンボンド発行につきましては、通常の地方債に比べて、発行利率や調達コストなどの面からメリットがあるかどうかの検討が必要でございまして、他都市の事例を注視していくとともに、環境局とも連携しながら研究してまいります。
続けて、PPP・PFIに関する2点の御質問についてお答え申し上げます。
まず、事業案と他都市の代表的な事例についてでございますが、これまで、総合保健福祉センターや桜の馬場城彩苑など5件のPPP・PFI、いわゆる公民連携手法による施設整備を実施し、現在も金峰山少年自然の家の再建整備をはじめ、住宅、公園、下水道など様々な分野において公民連携手法の導入可能性を検討しているところでございます。
また、他都市の事例につきましては、内閣府が公表しておりますPFI事業の実施状況によりますと、令和2年3月31日現在で、教育と文化やまちづくりなど8つの分野におきまして教育施設整備や都市公園の建設、維持管理など約800件が実施されております。
次に、事業展開につきまして、本市では、平成28年度に策定いたしました熊本市公共施設等総合管理計画におきまして、
民間活力の積極的な活用を図ることとしております。これを踏まえまして、令和元年度には熊本市公民連携プラットフォームを設置し、これまでに延べ13件の講演や22件のマーケットサウンディングを実施することで、市職員の公民連携手法に関する能力向上や、前述の金峰山少年自然の家や市営住宅の計画策定及び公共施設の照明のLED化事業などにつなげているところでございます。
今後もSDGsの理念を踏まえ、公民連携手法の導入を積極的に推進し、公共施設の運営コスト削減や市民サービスの向上に取り組んでまいります。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 私からは、金峰山少年自然の家の再建についてお答えいたします。
再建における事業手法の現在の方針については、市が整備、維持管理する従来方式の事業化だけでなく、
民間活力によるPPP・PFIやDBO方式などを用いた公民連携手法の導入を検討しております。
今後のスケジュールについては、現在実施している基本計画(素案)のパブリックコメントにおける市民の皆様からの御意見等を踏まえて、7月に基本計画を策定し、今年中に事業手法及び施設整備、運営等における実施方針等を決定することとしております。
目指す具体的イメージについては、豊かな自然を生かした自然体験活動の拠点施設として、学校教育活動を支援するとともに、青少年団体や市民の皆様が気軽に利用でき、親しまれる施設となるよう整備を行ってまいります。
また、地域との連携によるプログラムの提供や地域情報の発信など、新たなサービスを提供するとともに、SDGsの理念を踏まえた運営となるように取り組んでまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 まず、グリーンボンド債の発行については、ある都市では、市営バスを全て電気自動車に換える事業への充当や水素エネルギーに変換する事業にも検討し始めており、公共施設や道路のLED化事業、太陽光パネルの設置事業など、様々な環境事業に充当することでロッドは稼ぐことはできるのではないでしょうか。
また、発行に至るまでには外部機関からの評価も必要であり、労力がいることは事実です。そこで提言しますが、本市もやると宣言することが大事で、福岡市も検討すると発表して何の事業を基にグリーンボンド債とするかは現在熟考しているとのところです。発表したことにより、この後のPPP・PFIにもつながりますが、多くの民間企業からも情報が入ってきております。そのぐらい取り組まなければ、野心的な目標には近づけないと感じます。
アメリカの主要IT企業4社のGAFAの一つであるGoogleは、脱炭素に取り組んだ会社としか取引をしない。再生可能エネルギーだけで運営を行うとの発表をしております。市債の全てをグリーンボンド債にしたいと考えている都市もあるほどですので、まずは、ぜひ発行に向けての宣言、発表をすることを願います。
次に、PPP・PFIについては、御答弁でもありましたとおり、公民連携の必要性と今後も積極的に進めたいとの意気込みを感じることができました。あとはそれをいかに具現化、実現できるかが重要です。そういう意味でも、金峰山少年自然の家の再建は、最大のチャンスです。全国でも代表的事例として注目を浴びるようなPPP・PFI事業となるよう、ぜひ進めていただきたい。
特に、今まで学校施設としての印象が強かった分、休日などはコロナ禍で需要が高まっているキャンピング施設としても利用できるなど、市場の動向と市民の声が最大限に注がれたスポットとなるよう要望しておきます。
次の質問もSDGsに関連して伺います。
我が公明党熊本市議団もSDGsの取組には、日頃からの関心事として意識を持ちつつ、これまで党のモットーである現場第一主義に徹し、独自に視察を行い、政策実現に動いてまいりました。
先日も、西区の熊本港にある、プラスチックなどを中心としたごみリサイクル業者と家庭から出る廃油を活用したバイオディーゼル燃料の製造業者を訪問いたしました。
そこでの視察を受けて、さらなるごみ問題を中心とした環境対策について伺います。
このリサイクル業者は、九州管内の各自治体から出るリサイクルごみの約4割、1万7,000トンもの処理を担っている企業です。SDGsという言葉が生まれる以前から、最前線で環境問題に取り組んでこられた方々です。懇談する中で伺ったお声の重さは大きく、温室効果ガス排出100%削減、実質ゼロを本当に目指すのであれば、まだまだ真剣度、熱量が足らない。行政だけでなく、市民が一丸となった取組が必要と訴えられました。
その上で、本市として改善やさらなる体制強化について伺います。
まず1点目に、ごみの分別です。今回訪問した企業は、機密文書の処理も担っていらっしゃいます。しかし、機密文書の多くには不純物が混入しているケースが多く、その大半はクリアファイルのプラスチックです。混入すると処理に時間がかかり、製品にも影響がでます。
そこで、本市も機密文書を廃棄しておりますが、かなり高い可能性でクリアファイルが混入した状態で破棄していることが予想されます。廃棄する際のルールの徹底はなされているのでしょうか。ルールの有無及び内容をお示しください。また、もしなければ、徹底を強く求めますが、見解を伺いたいと思います。
2点目に、同じくごみ分別に関連して、このリサイクル業者に搬入されてきたものには、使用済みの注射針や電池などもあります。特に、注射針については、むき出しの状態もあり、これまでも従業員が誤って手に刺さり、ソフトボールの球並みに腫れ上がる事故が発生、また、電池が原因による発火事故も発生しております。
そこで、注射針など医療器具の取扱いについては、医療機関や糖尿病患者のいる各家庭などへのさらなるルールの徹底、厳格化が必要です。その他、危険ごみ等も含めた分別意識、周知の改善はできないでしょうか。
3点目に、ごみ分別のさらなる周知として本市が作ったごみ分別アプリの利活用の促進です。昨年7月に実施し、大変好評だったLINEを活用したごみ減量リサイクルクイズと同じように、インセンティブを付与してごみ分別アプリのインストールを本市公式LINEで推進、また、教育現場での促進として、小中学生にタブレットの配布ができたことに合わせ、授業の中でアプリをインストールし、ごみ分別アプリの活用術を学ぶ1こまをつくる。
また、携帯使用率が高い年代の高校生、大学生についてもインセンティブを付与した推進も効果的かと考えますが、いかがでしょうか。
SDGsとして最後に、意識改革は一朝一夕ではできません。そこで、教育の場が必要かと思います。学校や会社で、SDGsに取り組む企業への会社見学、工場見学に助成制度を創設し、交通費などを支援するなど、見る、知る、感じることに付加価値を与えることはできないでしょうか。
種々御提案しましたが、実現に向けて、力強い回答をいただきたいところです。関係局長にそれぞれ伺います。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 私からは機密文書関連についてお答えいたします。
本市の文書廃棄につきましては、廃棄文書再生処理要領を定め、処理を行っております。同要領において、文書廃棄の際に取り除く物品を明確に定めるとともに、取り除いた旨のチェックリストの提出を義務づけ、場合によっては中身の確認を行うなど、厳格に取り組んでいるところでございます。
〔三島健一環境局長 登壇〕
◎三島健一 環境局長 続きまして、ごみ分別について2点お答えいたします。
まず、危険ごみ、注射針の取扱いについてでございますが、在宅医療で使用された注射針につきましては、平成17年の環境省通知におきまして、医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理することが最も望ましいとされておりますことから、本市では収集を行わない排出禁止物に指定し、廃棄の際には、かかりつけの病院等に相談し、適正に処理をするよう周知しております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、ペットボトル等に混ざってごみとして出され、収集や選別作業の際に作業員がけがをするケースもありますことから、引き続き、ごみ収集カレンダーや市政だより等で注意喚起をしてまいります。
次に、ごみ分別アプリの利活用についてでございますが、このごみ分別アプリにつきましては、平成30年度に全面リニューアルを行いまして、英語、中国語のほか、やさしい日本語による情報提供を追加するなど機能の向上を図っておりまして、現在、6万を超える方々にダウンロードしていただいております。
また、議員御案内のLINEを活用したごみ減量リサイクルクイズは、昨年延べ約1万5,000人の方々が参加され、特に若い世代に関心を持っていただいたところでございます。今年度も3R推進月間である10月にエコグッズをプレゼントするクイズを実施することとしております。
また、小中学生に対するごみ分別アプリの活用につきましては、環境教育の一環として実施できるように、教育委員会と相談しながら進めてまいりたいと考えております。
最後に、高校生や大学生への周知啓発についてでございますが、例えば、先日市内の高校生が実施した食品ロス削減イベントにおいて、本市の啓発チラシと併せてエコグッズを提供したところでございまして、今後も、インセンティブの付与も含めて若い世代との効果的な連携に努めてまいりたいと考えております。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 私からはSDGsに取り組む支援についてお答え申し上げます。
SDGsを推進するためには、本市のみならず、市民や事業者などのあらゆるステークホルダーが連携し、ごみ問題をはじめ、様々な地域課題の解決に取り組むことが不可欠であり、そのためには市民一人一人の意識改革が重要であると考えております。
そこで本市では、SDGsに関するセミナーや出前講座を開催するなど普及啓発を図るとともに、西部環境工場などのごみ処理施設において、学校や事業者の見学、視察を受け入れ、体験型の教育機会の提供等にも取り組んでいるところでございます。
本市としましては、引き続き市有施設での積極的な受入れを行うとともに、SDGsに取り組む企業等の情報発信や見学受入れができる企業等を御紹介するなど、市民や事業者の自主的、自発的な行動につながるよう支援してまいりたいと考えております。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 まず、機密文書の破棄についてルールの徹底がなされており、安心しました。ぜひ、本市が本庁全体でクリアファイル、プラスチックごみの取扱いを厳守していることをアピールしつつ、市内事業者への徹底にもつながるような、規範を示しているからこそできる発信を行っていただきたいと思います。
また、注射針については、今までもごみカレンダーで注意喚起を周知されてこられたと思います。さらなる周知もさることながら、医療機関への連携、協力も強化していただき、併せて、九州で初めて久留米市が方針決定したように、家庭ごみを回収する際に、
新型コロナウイルスの感染リスクが懸念される収集業者にワクチンの優先接種ができるよう要望しておきます。
ごみ分別アプリの推進は、SDGs都市でも一番分かりやすい動機づけの一つかと思います。本年10月に第2弾となるエコグッズプレゼントクイズの実施も決定しました。大西市長、昨年同様SNSでの発信もお願いします。
また、先ほどの答弁にはありませんでしたが、昨年小中学生へ配布されたタブレットにごみ分別アプリのインストールができるとのことです。ぜひ授業等で活用していただき、子供たちだけでなく、家族の皆さんの意識向上につながることに期待します。
最後に、SDGsに取り組む支援につきましては、前向きな答弁をいただきました。植木町においては、ごみの出し方に長年、分別意識を高く持って取り組まれておられますし、企業、民間でも17の目標に向けてあらゆる取組をされています。こういった企業、民間、地域の意識向上の高め役として、ぜひ答弁どおりの支援をしていただきますようよろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
コロナ禍となって以降も多くの市民の方より、
新型コロナウイルス感染症以外に関する市民相談、要望をたくさん賜っております。
その中で高い割合で占めるのが、市営住宅に入居される方々からのお声です。毎日のように要望、相談を伺うたびに、市営住宅課に相談し改善を求めますと、担当課長をはじめ、職員の方々に即対応していただいております。この場をお借りして感謝申し上げます。
しかしながら、こういった担当課の職員の頑張りを日頃から感じる反面、考えられないような苦情が入ってきましたので、取り上げさせていただきます。
先日、ある市営団地の入居者が水回りの修繕を住宅管理センターへお願いしたところ、その時対応した男性から「分かっていますか、今、3月ですよ。年度末の忙しい時期に相談されるんですか」という発言をされたそうです。事実確認をしたところ、表現が若干違うだけで、忙しさにかまけて同じような趣旨を伝えたことが判明しました。正直言ってけしからん問題です。
それ以外にも、入居前の内見の際に、収納の取っ手が外れ、備付けの棚もくぎが外にむき出しになっていて危なかったことから、同席していた下請業者の作業員に修理を依頼すると、「こぎゃんとはしょうがなかもん。我慢しなっせ」「そぎゃん気になるなら自分でした方が早かばい」と言うのです。もう怒りを通り越して唖然としました。これが政令市の仕事をする人間の言う言葉なのかと疑います。
同じような声は1件や2件ではありません。まずこのような事態が起きていることについて、都市建設局長、どう思われますか。答弁ください。
続けて、このような事案が続くのはなぜかと考えましたが、様々ある中で、住宅管理センターの指定管理業務契約に課題を感じました。その中で公募について確認したところ、公募2社の枠に対して、2社の応募です。これは長年同じ業者で、先輩議員の皆様は当たり前のように感じられるかもしれませんが、やはり競争が発生しないのには問題があり、管理規模から対応できる業者がいないのが現実なのでしょうが、競争入札がないことで、あぐらをかいているようにしか感じられません。
念のため、そのほかの政令市の状況を調査したところ、競争が発生していないのは、本市と同じく2対2で競争のない新潟市のみでした。少なからずそのほかの政令市は1社以上の競争が発生している状況です。
また過日、軽微なミスと言えばそうかもしれませんが、数件立て続けに家賃に関する手続ミスが発生しました。そこでは、文書での改善報告を指示し、業務改善報告書を提出させたと伺っています。
そこでお尋ねいたします。
1点目に、先ほど述べましたとおり、現在の指定管理業者の公募状況を鑑み、条件緩和や見直しなど、改善の必要性があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
2点目に、先日業務改善報告書を提出させたように、追加の行政指導の徹底が必要かと感じています。入居者また市民に対する不適切な対応が発生する以上、動く必要があるのではないでしょうか。
3点目に、指定管理業者の巡回点検だけでなく、御用聞きとまでは言いませんが、市職員による定期的な団地の巡回ができないかと思います。その団地の雰囲気や近所を回るだけで感じ取れること、入居者との面談でも分かることもあるのではないでしょうか。
以上、都市建設局長に答弁を求めます。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 初めに、議員から御指摘がございました案件につきましては、指定管理者であります住宅管理センターに事実であることを確認いたしました。このたびの不適切な対応によりまして御迷惑をおかけいたしました皆様に心よりおわびを申し上げます。申し訳ございませんでした。
当事者であります住宅管理センター職員に反省を促しますとともに、今回の御指摘を真摯に受け止め、これまでの事例について検証の上、再発防止を図るよう、改めて指定管理者へ指導を行ったところでございます。
それでは、1点目の指定管理者の選考方法につきましてお答えいたします。本市の公の施設の指定管理者制度に関する指針に基づき、公募により競争性を担保し、仮に1者のみの応募や既存指定管理者の更新の場合でありましても、外部有識者を委員に含む候補者選定委員会におきまして候補者を選定しており、公平性、透明性、専門性が確保されているものと思っております。今後とも選考手続につきましては、同指針に基づき適切に選定してまいりたいと考えております。
また、公募への参加条件等につきましては、他都市の公募状況等について調査いたしまして、よりよい市営住宅の管理運営につながるよう検討してまいります。
次に、今後の指導の徹底についてでございますけれども、現在、指定管理者の方に求めております再発防止策を厳しく審査し、確実に実施させますとともに、これまでのモニタリング手法を一新し、指定管理者に対する指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
最後に、本市の職員の巡回につきましては、現在も維持管理を行う上で市職員が巡回点検を行っておりまして、引き続き住宅管理センター職員や市営住宅管理人と連携を図りながら、さらに円滑な管理運営となりますように努めてまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 御答弁いただきましたが、市民への不適切な対応については、再発防止にも力を入れつつ、まずは、こういう事案が発生すること自体がおかしいことだと捉えていただきたいと思います。
また、先日の我が会派、伊藤議員の質問にもありましたとおり、今後の市営住宅の入居促進や運営のためにも、他都市の状況を踏まえつつ、入居条件の見直しや民間委託のメリットを最大限に生かされた手法にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
先日、担当課長とのヒアリングで大変うれしいお話を伺いました。現在単独で、全ての市営団地の現地訪問に取り組んでいらっしゃるとのこと。まさしく自ら改善に向けた率先垂範の行動だと感銘しました。入居に関する全ての方が安心し、信頼される運営を切に願います。
次の質問に移ります。
現在、デジタルテクノロジーの進化に伴い、続々と新しい製品、サービス、ビジネスモデルが誕生し、人々の生活や社会に大きな変化が生まれる中、注目を集めているのがDX、デジタルトランスフォーメーションです。先日の浜田議員の質問でも触れられておりましたので、デジタルトランスフォーメーションの概要については省きたいと思います。
今回、このDXの分かりやすい加速につながる提案をさせていただきたいと思います。
先日、個人的な御縁で、トヨタのグループ会社社長とお話しする機会がありました。現在トヨタでは、静岡県裾野市に実証都市コネクティッド・シティを建設するプロジェクトを発表し、自動運転やロボット、パーソナルモビリティなどの最先端技術の実証実験を行う新しい街を開発中です。
このように言わずと知れた世界のトップ企業のトヨタと本市がマッチングできないか話を進める中、本年からトヨタが新しく構築した社用車専用クラウドサービスBooking Carの導入の話となりました。このシステムは、企業の社用車管理を全てデジタル化し、稼働状況の効率化及び見える化を実現させるシステムです。
今、本庁舎の公用車の貸出しについては、貸出し専従の職員が2名体制で行っており、予約は専用ウェブサイトで行いますが、申請や報告については紙で行っており、いまだアナログな手法です。そこをこの新システムですと、予約、利用、返却までスマートフォンまたはタブレットで簡単に手続が可能で、使用した稼働状況や運行記録もデータ化し保存が可能。サービスが利用できる職員数は無制限で、実際の鍵やETCカードの受渡しは、専用のキーボックスで一元管理、無人の管理が可能となり、コロナ対策としても有効です。よくゴルフ場や温泉施設にある貴重品ボックスを少し大きくしたようなものとイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
また、今の話で気になる点は、全てトヨタ車でなければ導入できないのではとの心配が出てくると思いますが、全く問題なく、メーカーも問いませんし、軽乗用車でも可能で、買い換えたり、新たなリース契約をする必要もなく、既存の公用車のままで導入が可能です。まさに、デジタルトランスフォーメーションの分かりやすい実現例となり、大きな起爆剤となるのではと思っております。
以上のことについて先日、そのトヨタグループ会社と担当局との意見交換会をオンラインで開催。そこで、オンライン面談を受けての導入の可能性と効率化、そして課題について、総務局長に、DX実現に向けて前向きな答弁を伺いたいと思います。
〔
宮崎裕章総務局長 登壇〕
◎宮崎裕章 総務局長 現在、公用車の貸出管理は職員が行っており、急なキャンセルや車の確保への対応など、柔軟かつ細やかに対応しているところでありますが、一方では、貸出手続などは主に書類により行っており、デジタル化はあまり進んでいない状況にございます。
そこで、まずは現在の貸出方法についての課題の整理を行い、どのような効率化が図れるのか、またシステム化のメリットがあるのかなど、総合的に点検することが必要であると考えております。
これらの課題をDXの視点から整理しつつ、費用対効果や複数のシステム比較も含め、本市にとって最適な貸出方法となるよう研究してまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 御答弁ありがとうございました。最後に研究という表現でしたが、前向きな研究と捉えておきます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、まだ直接システムを手に取って操作していないなど、当然、現時点では研究段階ではありますが、確実に近い将来、導入しなければならないシステムです。導入となりましたら、政令市初となりますので、ぜひ期待しておきたいと思います。
また言うまでもなく、今回のシステム導入が本市とトヨタとの事業連携のチャンスです。とても大きな意味を持ちます。ほかのメーカーも含め、DXに限らず、本市発展の足がかりとなるような提案を今後も続けてまいる決意です。
次の質問に移ります。
初めての一般質問で取り上げました、お悔やみコーナーについて再度触れさせていただきます。
親族が亡くなった際に必要な手続を一元化し、関係する担当課に漏れなく紹介するサービスです。本年2月より、先ほども触れたデジタルトランスフォーメーションの一環として、熊本市ホームページのウェブ版、くらしの手続きガイドがスタート、その中で死亡ガイドが作られ、亡くなられた方に関しての洗い出しをアンケート方式で回答し、必要な行政手続をピックアップできるようになりました。これは、要望しておりました窓口改革の大きな一歩だと感じております。
ただ一方で、IT化を進めるに当たり、必ず考えなければならないのは、デジタルディバイド、情報通信技術による格差の問題です。
新型コロナウイルス感染症の収束に一番の近道である、ワクチン接種の第1回目の受付が先月6日よりスタート。様々な不備により混乱を招いたことは、皆様も御存じのとおりであります。
また、全国の自治体や大規模接種会場の受付も同じように進める中で、特に高齢者から共通して苦情が出ている点は、ネットでの受付ができない、分からないという声です。まさにデジタルディバイドを象徴する課題であります。
これを受け、お悔やみコーナーにつきましても、ウェブ版くらしの手続きガイドだけでなく、やはり各区に専用窓口を設置すべきかと考えます。そこで御紹介したいのは、今年4月より福岡市において、ご遺族サポート窓口がスタートしました。これは、遺族からの予約を受け、状況に応じた必要な手続や窓口の順番などの一覧表を作成し、来庁時には各種手続をスムーズに行ってもらえるよう案内するサービスです。
当初は試験的な導入でしたが、多くの利用者から好評を得たことから、全区役所での導入となりました。また、福岡市をはじめ、このたび姉妹都市である福井市でも運用がスタート。そのほか、全国の多くの自治体で事業開始の検討が進んでおります。
そこで伺います。デジタルトランスフォーメーションなどIT化を進めつつ、同時並行で福岡市のご遺族サポート窓口のような窓口でのサービス提供の実施ができないでしょうか。
過去の回答で、専用窓口の設置は区役所が狭いという課題をおっしゃっておりましたが、事前予約制にし、既存の窓口で予約があるときだけ対応。また、ワンストップでは職員が全ての手続、知識を習得しなければならない等の課題もありますので、コンシェルジュ的な総合手続案内、漏れがないように網羅するサービスをと考えます。イメージしやすいのは、人間ドッグの総合窓口のように検査項目を漏れなく確認したりするようなサービスをと思います。文化市民局長に見解を求めます。
〔横田健一文化市民局長 登壇〕
◎横田健一 文化市民局長 本市では、より市民の皆様が利用しやすく、職員も働きやすい窓口の実現に向けて、区役所と連携しながら窓口改革に取り組んでいるところでございます。
その一環として、ウェブ版くらしの手続きガイドを導入するなど、ITツールを活用し、ライフイベントに対応した手続の利便性向上に取り組んでいるところでありますが、一方で、IT環境がない方やウェブや情報端末の操作に不慣れでサポートが必要な方がおられることも認識いたしているところでございます。
とりわけ死亡時には、御遺族による手続も多岐にわたり、不慣れなことが想定されますことから、ウェブ等に不慣れな方でも手続に漏れが生じないような総合的な案内について、福岡市など他の自治体の状況なども参考にしながら、より丁寧なサポート体制の導入に向け検討してまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 御答弁ありがとうございます。既に他都市でも多くの市民から好評を得られている事業ですので、力強く進めていただきたいと思います。
一方で、死亡に関する手続は、少なくあってほしい。日頃から慣れていない手続という意味でも丁寧で安心できるサービス提供が求められます。一日も早い実現を期待しておきます。
次の質問で最後となりますが、時間の関係上、そしてお腹もすいてきましたので、要望とさせていただきます。
39番 満 永 寿 博 40番 田 中 誠 一
41番 津 田 征士郎 43番 藤 山 英 美
44番 落 水 清 弘 45番 倉 重 徹
46番 三 島 良 之 47番 坂 田 誠 二
48番 白河部 貞 志 49番 上 野 美恵子
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中 村 賢 政策局長 田 中 俊 実
総務局長 宮 崎 裕 章 財政局長 田 中 陽 礼
文化市民局長 横 田 健 一 健康福祉局長 石 櫃 仁 美
環境局長 三 島 健 一 経済観光局長 田 上 聖 子
農水局長 岩 瀬 勝 二 都市建設局長 井 芹 和 哉
消防局長 西 岡 哲 弘 交通事業管理者 古 庄 修 治
上下水道事業管理者萱 野 晃 教育長 遠 藤 洋 路
中央区長 星 子 和 徳 東区長 津 田 善 幸
西区長 甲 斐 嗣 敏 南区長 江 幸 博
北区長 小 崎 昭 也
職務のため出席した議会局職員
局長 富 永 健 之 次長 和 田 仁
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 上 野 公 一...