まず、災害に備える体制についてです。
災害時において、公助の機能を発揮させるには、迅速に
災害対策本部を立ち上げ、市民からの被害情報やインフラの被災情報、国、県、自衛隊からの支援情報など、多くの情報を集約し、避難所の開設や支援の実施など、意思決定していくことが重要になります。
現庁舎においては、震度6弱以上の地震などの際、庁舎の安全性、使用可能な状態であるかどうかを確認するために被災度調査班による調査が必要となるため、災害発生直後は全員退避としなければならず、安全性が認められるまでの少なくとも数時間は、
災害対策本部を代替施設にて開設する必要があります。
今年4月の震災対処実動訓練では、そのような状況を設定して、
災害対策本部を分散化した訓練が行われました。
災害対策本部の本部機能、本部機能とは、指揮室と総合調整室のことですが、本部機能を代替施設である消防局に設置し、そのほか、庁内各局の対策部を市民会館やウェルパルなどに分散設置し、
災害対策本部会議をテレビ電話で実施し、
総合調整運営訓練などを行いました。そのように、今後、地震だけでなく、記録的短時間豪雨などで浸水した場合など、庁舎の安全性が担保できない状況を想定して、有事に備えることが重要であると考えています。
そこで、先日の訓練の成果と現状の課題についてお尋ねしてまいります。
1、代替施設について、
災害対策本部の本部機能は消防局ということで、そこには必要な電話回線やパソコン、情報を収集する環境がある程度整っていると推察しますが、それ以外の分散化した対策部では、全ての施設において、電話やパソコンなどの機器の備え、通信環境の確保に関して対策を講じていますでしょうか。また、行政業務を継続するための重要な行政データのバックアップは確保されていますでしょうか。
2点目、円滑で迅速かつ確実な会議は、本来であれば対面形式に勝るものはないと感じていますが、テクノロジーも進化している今、様々な形を柔軟に検証する必要があります。この訓練を通じて、
災害対策本部の代替施設に求められる機能、環境、スペースとはどういったものか、また、分散の適切な在り方に関して見えたもの、課題だと感じたことを教えてください。
政策局長、お願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 今回の震災対処実動訓練では、
災害対策本部機能を消防局庁舎に、各局対策部を市民会館、
ウェルパルくまもと等に設置しました。消防局庁舎は、Cネット回線やパソコン、電話など、
災害対策本部用の通信環境等を有しておりますが、市民会館等にはこれらの備えが十分ではない状況にございます。
また、行政データについては、通常のバックアップに加え、災害時等を想定し、遠隔地に複数の拠点を確保することでデータの消失対策を行っているところでございます。
災害対策本部は、正確な災害情報の収集、伝達や的確な避難指示など、市民の生命、身体、財産を守るための充実した情報通信環境と、本市職員をはじめ、自衛隊や国、他都市、電力会社などの災害派遣職員が活動できる十分なスペースが必要でございます。代替施設においても、同様の環境が確保できることが望ましいところでございますが、それが可能な市有施設は限られております。
今回の訓練の課題としましては、各局対策部の代替施設の通信機能や
活動スペースが不足していること、職員参集後に設営を行うため、体制確保に時間を要すること、対面式と比べ、
リモート環境下では、円滑な情報共有や伝達が難しかったことなどが挙げられます。これらのことを踏まえますと、
災害対策本部が分散した場合は、様々な制約もあることから、災害対応に支障が生じるおそれがあると考えております。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
行政データのバックアップは確保できているとのことですが、今回の実動訓練では、各局対策部の代替施設の
活動スペース、また、通信環境の確保や電話やパソコンなどの機器の配備、リモートでの環境下では円滑な情報共有や伝達が難しいこと、これらの課題が顕在化してきました。
現庁舎の耐震性の議論が着地していない現在や、庁舎の構造上、アスベストを多く使用している建物であるということ、また、熊本地震後、消防計画の改定により、災害時は被災度調査班が庁舎の安全性を確認、判定してからしか庁舎に立ち入れないことを考えると、
災害対策本部の分散化は、現実的に起こり得ることとして、体制を整える必要があります。現在の
災害対策本部体制では不安材料が多いと言わざる得ません。
今後、課題を基に対策部ごとに必要なスペースを検証し、各施設において災害対応が確実に行える通信環境の整備、備品の調達方法などを明確にし、庁舎が使用不可となる有事でも迅速に確実に機能する分散体制を整えていただくようお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症に対する対策は今、最重要施策ですが、災害もいつ起こるか、待ってくれません。緊急性を高くして、備えていただきますようお願いいたします。
それから、訓練などを通じて見えた分散化体制でも、機能すること、機能しないこと、課題、その情報やデータを洗い出して、検証し、整理しておくべきではないかと考えます。その情報は、防災拠点としての市庁舎のあるべき姿を見極めていく上では貴重な材料となります。先日の有識者会議においても市庁舎の
防災拠点施設としての機能維持を目指すことが言及され、今後、より多角的に議論されていくかと思いますが、机上論の情報ではなく、実態を伴った検証データとして、それらが参考となることを期待しております。
続きまして、
小島河川防災センターの活用についてお尋ねしてまいります。
地元校区に
小島河川防災センターという施設があります。同センターは、小島町の白川のほとりに平成14年に建設され、翌年に
小島河川防災センター条例もつくられています。この条例の第1条では、同センターが河川における洪水時等においての円滑かつ効果的な水防活動、
緊急復旧活動等を行う拠点であることが明記されており、第3条では、センターの用途について、水防活動時の災害情報等の収集、職員や消防団員等の待機及び活動、災害活動物資の支援、水防技術向上のための訓練の実施など、その用途が示されています。
しかしながら、同センターは、熊本地震で建物に損傷を受け、建物周辺の地盤沈下が見られたということで、施設の利用ができない状況となり、震災から5年経過した今も依然としてその状態が続いています。
私は、過去2回の質問で、この地域は、津波、高潮の被害を受けやすい地域で、かつ垂直避難ができる建物が極端に少ない地域であるということをお伝えしてきました。このセンターには、2階に会議室、和室、シャワー、台所も完備されており、平時の訓練はもちろんのこと、緊急的な避難施設としても活用できるのではと考えます。また、ここは、
ハザードマップ上では、高潮時は0.5メートル未満の浸水地域ですが、白川が氾濫した場合には、施設だけは局所的に浸水地域とはなっていません。本来は、このような防災拠点となるところは、震災を経験しているからこそ、また、水害リスクが高い地域だからこそ、早期に施設を調査し、整備しなければならなかったのではないでしょうか。しかしながら、現在策定されている熊本市
公共施設等総合管理計画の中でもこのセンターの今後の計画については明らかにされておりません。
そこで、同センターについて2点お尋ねします。
1点目、
小島河川防災センターについて、これまでどのような調査、検討が行われてきたのでしょうか。これまでに結論が出ていない理由を明らかにして、お答えください。また、今後の活用計画についてもお示しください。
2点目、津波、高潮の被害を受けやすい地域で、かつ垂直避難ができる建物が極端に少ない地域の中で、同センターは緊急的な避難施設、防災拠点として、非常に重要な施設であると考えますが、この点について市長のお考えをお示しください。
1点目は政策局長、2点目は市長にお願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長
小島河川防災センターは、熊本地震で被災し、給排水設備が使用不能となり、その後も施設周辺の地盤沈下が進行していたため、これまで資機材や物資の倉庫としてのみ活用しておりました。その間、土地を所管する
国土交通省九州地方整備局に地盤の復旧や今後の利活用等について相談を行ってまいりましたが、現時点では結論に至っていない状況にございます。
しかしながら、この
防災センターは、地域における貴重な防災拠点としての機能を有しておりますことから、復旧と活用に向けて、国土交通省との協議を進めてまいりたいと考えております。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御案内の地域は、高い建物が少なく、津波や高潮の際に垂直避難ができる施設は近隣の小学校、県立高等学校の校舎等に限られていると承知しております。そこで、今年4月の震災対処実動訓練では、地域の方と共に危険箇所の点検や垂直避難場所までのルートの確認に取り組んだところでございます。
このような状況の中、
小島河川防災センターは、地域における重要な防災拠点であり、現在は地盤沈下などの課題により使用できない状況にありますことから、早期に活用できるよう、関係機関等と協議してまいります。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
本市と国交省との間で数回にわたり相談はしていたものの、結果的に具体的な方向性を見いだせていない経緯でした。本来、国の動向を待つよりも、具体的な整備や利活用の計画は、市が主導権を持って、国に働きかけていいことであったはずです。危機管理をつかさどる部局判断が遅かったことは指摘をさせていただきます。
答弁の中には、センターが避難施設となるかについては具体的な言及がありませんでしたが、地域の重要な防災の拠点として、早期に活用に向けて、関係機関と協議を進めていくと明らかにしていただきましたので、今後迅速に国に働きかけて、財政確保、整備のスケジュールを明確にしていただきますようお願いいたします。
また、同時に、地域の避難施設としても機能を果たせるかどうか、検証していただきますよう、加えてお願いいたします。
次にまいります。
防災士の地域活用と市民に対する防災教育についてです。
熊本市では、防災士の資格取得を各校区で促進しています。年々防災士の資格保有者も右肩上がりで増え、数としては確実に成果を上げていると思います。
ただし、防災士の資格取得は決して目的ではありません。資格を取得した防災士の方々が地域での防災活動や避難所運営で実際に活躍していただくことを目標として、取組を進めていく必要があります。また、災害に関する法律は毎年改正されています。今年も避難に関する法律が改正されました。このような情報は、地域での防災活動にとっても大変重要であり、変更や改正があるたびに市から更新情報を周知し、特に校区の防災連絡会、防災士には確実に周知、共有化すべきことと考えています。
そこで、防災士の地域活用に向けてのフォローや教育の機会、連携強化の
仕組みづくりに関してお尋ねしてまいります。
1、災害関連法の改正などの防災情報の周知について、現在、一般市民や防災士向けにどのように行われているのでしょうか。
2点目、
防災士資格保有者の情報に関して、各校区に何人の防災士がいるかなど、各区や市で把握していますでしょうか。また、防災士と
校区防災連絡会や
自主防災クラブの代表者の方との連携が取れる
仕組みづくりを構築されていますでしょうか。
3点目、防災士のフォローについて。
例えば年に1度、防災士向けの研修や交流会などで法改正の周知や直近の災害の事例共有化など、災害時に活躍してもらうために定期的に教育の場を設けていただくことは可能でしょうか。
政策局長、3点、お願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 まず、防災情報の市民や防災士向けの周知についてでございますが、先般の
災害対策基本法の一部改正をはじめ、
各種防災情報については、市のホームページや公式LINE、市政だより、広報番組等を活用し、広く市民等への周知を図っているところでございます。
次に、
防災士資格保有者の把握と
校区防災連絡会との連携についてでございますが、本市では、平成30年度から
防災士養成講座を実施しておりますが、
防災士資格保有者数は把握できておりません。今後は、地域や関係機関と連携を図り、
防災士資格取得者を含めた、地域人材の把握に努めてまいります。
また、本市は、熊本地震以降、
校区防災連絡会の結成促進を図り、この連絡会を軸に地域における
防災体制づくりに取り組んでおります。
最後に、本市では、例年、
防災士養成講座の受講者や
自主防災クラブなどの防災関係者を対象として、熊本大学と連携した
地域防災セミナーを開催しております。このような平時からの情報共有や連携は非常に重要であることから、今後も
地域防災セミナーをはじめ、様々な機会を捉え、
防災リーダーの育成、市民への防災教育等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 防災士に関しては、市が養成し、資格取得者を管理する責任があるわけではないということは理解しています。ただし、防災士の資格取得者が市の防災情報や法律改正などの新しい情報を把握できず、地域と連携もできず、活躍できる人材が何もできずに埋もれているのはあまりにももったいないことです。市として、人材を把握し、地域の
校区防災連絡会や
避難所運営委員会などと連携が確実に図れる
仕組みづくりに取り組むと前向きに答弁いただき、ありがたく思っています。有益な公助の仕組みだという認識で取り組んでいただきますようお願いいたします。
防災士向けの研修、交流会については、昨年度は
新型コロナウイルス感染症の影響で開催できていないようですが、通常は毎年1度実施していたということです。今後も市の防災関連の情報更新ごとについての共有化、事例紹介など、有効的な教育を実施していただきますよう期待しています。同時に、多くの方が参加しやすい周知の仕方にも工夫されますことを期待しております。
続いての質問です。
防犯灯助成制度についてです。
地域での安全なまちづくりのために欠かせない照明についてお尋ねしてまいります。
まちづくりを形成する中で、交通安全や防犯においては、照明が重要なインフラの一つになっております。地域に設置される照明は2種類。道路管理者である市が設置する道路照明灯と町内自治会が設置する防犯灯があります。防犯灯の維持管理については、これまでにLED化が促進され、現在は、ほとんどの防犯灯が10ワット以下の省エネ電球となっており、電気代も大幅に削減されているようです。
一方、防犯灯の設置費用については、現在、防犯協会からの助成制度があり、設置1灯につき8,500円、設置工事費用の相場は約3万円とお聞きしていますので、町内の負担額は実質2万円強となります。
設置申請は
町内自治会単位となりますが、いずれの町内も一律の助成金額という制度について、不均衡ではないかと疑問を感じておりました。本市には本年当初時点で915の町内があり、それぞれの町内で世帯数や面積に大きな差があります。一般的には、都心部は世帯数が多く、そのため
自治会加入者が多い。そして、面積自体は小さく、既存の道路照明灯や建物照明が多いため、防犯灯を必要とする箇所が少ない。一方で、郊外部は、世帯数が少なく、そのため
自治会加入者も少ない。そして、面積自体は大きく、既存の道路照明灯や建物照明灯が少ないため、防犯灯を必要とする箇所が多い。こうした傾向があるように思います。
実際に中央区のH校区と地元の中島校区の面積と世帯数を基に1世帯当たりの校区面積を比較してみましたところ、この2つの校区が最大値と最小値ではありませんが、実に30倍もの差がありました。都心部と郊外部で大きな特色の相違があることは容易に想像がつくかと思います。
郊外地域では、防犯灯を設置したい箇所は多くあるものの、コスト面の懸念から設置に至っていない現状があります。各町内での自主自立のまちづくりを推進する上で防犯灯整備も重要な安全施策の一つです。防犯協会に多くの補助金を支出している熊本市の立場として、見解をお尋ねいたします。町内の世帯数や面積など、地域の特性に合わせた段階的な助成金額の設定がより本質的な平等ではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
文化市民局長、お願いいたします。
〔
横田健一文化市民局長 登壇〕
◎横田健一
文化市民局長 現在、各町内自治会が新規に設置する防犯灯の整備支援については、市内4警察署管内にある各
地区防犯協会により、設置費用の一部として、定額の補助が実施されています。市の地域団体等に対する補助額の基準については、
町内自治振興補助金のように世帯数を考慮しているものやLED等防犯灯取替補助金のように、世帯数や面積にかかわらず定額としているものなど、補助の目的や性質に応じた対応を行っているところです。
地区防犯協会で行われている防犯灯設置費の補助については、地域における危険箇所や防犯上の課題を解消するため、その必要性を各町内自治会がそれぞれに判断され、設置されていること、また、設置形態により、1灯当たりの事業費に幅が生じていることなどから、補助額を照明機器代金に相当する額としていますことを踏まえますと、現在の定額による助成は現状に即したものであると認識いたしております。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 地域に応じた金額設定に御賛同いただけず、誠に残念です。公平性という観点もお考えかもしれませんが、定額というのは、一面的な公平であって、本質的な公平ではないと思っています。
ただし、実際の不均衡さの証明や、仮に助成額の設定を段階的に設けるとしても、世帯数や面積だけでなく、地域の特性、道路の形状を加味した実態調査が必要だと、このことも理解しています。
現在、道路照明として市に設置してもらうには、厳しい基準、要件をクリアしなければなりませんが、それらに見合わなければ、町内自治会が防犯灯を設置することになるわけですが、自主自立のまちづくり、安全なまちづくりを実現しようにも費用に限界があります。そのため、実態は通学路であるにもかかわらず、何キロもの距離で照明がついていないことが少なくありません。
今回は、助成金額について段階的に設定することはできないということですが、今後、防犯灯に関わるニーズ調査を町内自治会で実施し、現状、実態を市が把握し、不均衡さを是正していただきますことを要望して、次に進みたいと思います。
続いては、義務教育における
学用品費世帯負担の今後についてです。
公立の義務教育期間がある小中学校入学時に制服や学用品などの準備費用の家庭負担が大きいことに違和感を感じており、同時に物品の指定など、縛りがあることによって、家庭の費用負担を増加させているのではと感じています。
厚生労働省が3年に1度、相対的貧困率を調査しますが、直近のデータでは、日本では、子育て世代の8世帯に1世帯が
相対的貧困世帯という実態が浮き彫りになっています。ふだん生活している上では見えてきにくいですが、家計が逼迫している世帯が潜在的にあり、また、コロナ禍でさらに増えているという現状があります。そのような御家庭は、入学準備など、費用をどのように捻出しているのだろうかと、大変気にかかりますし、このような家庭が一定数あるという現実から目をそらすべきではないと感じています。
義務教育の下、学校で保障された教育を受けるために必要な物品、とはいえ、細かく指定や推奨された制服、物品は不合理なコストを生み出しています。公立中学校の入学準備物の例として、私自身が娘の入学時に購入した実費を挙げますと、制服、学用品、体育服、
体育館シューズなど最低限必要な物品のみを購入しましたが、費用合計は13万5,000円となりました。
熊本市では、
生活保護世帯、また市民税非課税など、要件に該当している準要保護世帯へは
新入学児童生徒学用品費が支給されます。支給額は、小学校入学時には5万1,060円、中学入学時に6万円です。しかしながら、私が先ほど実例を出しましたが、それと照らし合わせると、入学時に負担した実費13万5,000円に対し、就学援助金が6万円で、その差額は7万5,000円となります。学校によって、制服の単価、使用する学用品にも違いがあるため、全世帯が同一金額の負担ではありませんが、私服導入の学校でない限り、この金額に大きな差があるとは考えにくいでしょう。一般家庭でさえ、その負担を大きいと感じていますが、
生活保護世帯や経済的に困窮している世帯にとっては、さらに大きい負担であることは容易に想像ができます。
日本の教育にかける国家の支出、公的支出の割合が国際比較上、突出して低い現実や現在の子育て世代の貧困率、そして、そもそも教育を受けるのは子供たちの権利であることを考えると、本当にこれでいいのかと、社会の矛盾を大きく感じています。
また、
新入学児童生徒学用品費の支給は3月上旬ですが、制服を作るとなると、実際は、採寸、注文、支払いは前年の秋までに終えるのが一般的です。本来、入学準備のための就学支援金であるならば、もう少し早い時期の支給であるべきだと考えています。
このようなことから、根本的に困窮世帯への入学準備のための支援制度としては、時期、金額共に本質的な支援になっているのか、制度の限界が見えています。
そこで、3点、お尋ねいたします。
1点目、
新入学児童生徒学用品費の額を今後拡充する予定はありますでしょうか。
2点目、本市の貧困家庭の支援対策として、例えばですが、現在の一斉支給ではなく、支給時期を段階的に設け、必要な家庭には少しでも早く、優先的に支給する仕組みをつくることに関しては、どのような課題がありますでしょうか。
3点目、困窮世帯の方の入学準備金の負担についての御認識と今後の救済措置の必要性について、どのようにお考えでしょうか。
1点目、2点目は教育長に、3点目は市長にお願いいたします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 本市の
新入学児童生徒学用品費の額は、国が示す要保護児童生徒援助費予算単価に準じて設定しており、指定都市においても、本市を含め20市中18市が同様の基準となっております。今後、国の予算単価に応じて、本市の予算単価も見直してまいります。
次に、支給時期ですが、本市では、3月中旬だった支給日を昨年度は3月5日とし、若干ではありますが前倒しを図っております。支給時期をさらに早めるためには受付の時期を早める必要があります。以前は12月を受付期間としておりましたが、申請のための一部の添付書類を入手できる時期が遅くなったため、受付期間を現在の1月に変更したという経緯があります。
今後は、申請者が準備する添付書類の入手時期を考慮した上で、受付期間を段階的設定し、少しでも多くの方に早く支給ができるよう検討してまいります。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 就学援助は、経済的な理由によって就学困難と認められる児童・生徒、または保護者等に対し、就学に必要な援助を行うものでございます。国の
新入学児童生徒学用品費には、通学用服、すなわち制服が対象品目として含まれておりまして、単価が設定されております。
しかし、就学援助の
新入学児童生徒学用品費の支給により、入学時に必要な費用の全てが支援されるものではないことは承知しております。子供を小中学校へ入学させるのに経済的な理由によりお困りの保護者を含め、生活に困窮している方には、区役所などの生活自立支援センターの相談窓口で相談を受け付け、貸付けのあっせんや家計相談支援など、必要な情報の提供や支援機関への紹介を行っておりまして、今後もお一人お一人の状況に合わせた支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
これまでも早期支給に関しては自主的な努力をされてきたという経緯があった、この点は大変ありがたいと評価をします。申請に必要な認定書や書類の関係の課題があることは理解しましたが、引き続き必要な家庭へ素早い支給が可能となるよう、工夫をお願いいたします。
額については、国が示す基準に合わせているということでしたが、市長御自身も入学時に必要な費用の全てが支援されているものではないということは認識されているということでした。額、時期共に、就学支援金に関して、困窮世帯へ十分とは言えない支援策ですが、行政が今できることとして、必要な世帯を適切に福祉につないでいく、そして、世帯の子供が就学に関する経済的困難を乗り越えられるよう、相談体制の強化と福祉の連携の強化を今できることとして、最大限よろしくお願いいたします。
さて、ここまで支援という切り口で世帯負担の軽減について質問しましたが、一方、学校で画一的に決められていることを緩和するという手段で世帯負担を軽減できる可能性があると考えています。
実際、標準服、いわゆる制服導入の学校であれば、入学時にかかる費用の大部分は制服です。制服業界は価格競争が起きにくいマーケットゆえに、値段が安価になりにくいという現状があります。また、制服のメリットとしては、私服を買わずに済むということから、費用軽減につながっているということは事実ですし、また、衣服の乱れも回避できるという利点もあります。
そのような中、本市でも学校の校則が見直されていく必要性や機運が高まっています。制服や様々な学校のルールにはメリット、デメリットが混在するということから、今後、必要な部分は残し、不要な、あるいは緩和すべきところは緩和し、結果的に子供たち、先生、保護者が納得する形で経済的負担を軽減できるよう、変化を期待しているところです。
本市では、令和元年に、制服や物品の指定に関わる透明性や公平性を確保するため、また、保護者に対する経済的負担を軽減するため、学校指定物品に関する指針が改正されました。具体的には、取扱い業者が1社となる指定や1商品を特定するような指定方法は認められないことや、各学校において、学校指定物品に関する検討委員会を設置しなければならないということが追加されています。その検討委員会は、校長、教職員、当該学校の児童・生徒、保護者、学校評議員、地域関係者で構成し、委員長は校長をもって充てる、そして、検討委員会は毎年1回以上開かなければならないと明記されています。
ここで、3点、教育長へお尋ねいたします。
1点目、指針の改定から1年半、各学校でどのように検討委員会が開かれたのか、また、このコロナ禍では、開催しづらい状況だったと察しますが、開催状況を教えてください。
2、この検討委員会が機能していくことが各学校で変化を生み出す上で大変重要になりますが、これまでに実施された検討委員会で、実際に学校が行った制服や物品に関しての指定の柔軟な対応、また、今後変化が期待できる事例について教えてください。
3、今後も毎年開催する会議ですので、各学校から報告書で上がってきた意見や事例、ロールモデルとなる取組、また課題をまとめ、各学校に情報提供して、会での議論を深めていただくことが効果的だと感じています。その点も含め、教育委員会として、検討委員会のフォローをどのように取り組まれていくかを教えてください。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 指定物品について、3点、お答えいたします。
1点目、検討委員会の開催状況ですが、令和2年度における各小中学校の学校指定物品検討委員会の開催状況については、
新型コロナウイルス感染症への対策を行いながらも、中学校の全ての学校、小学校では92校中90校で開催されており、感染防止対策として、書面による開催や児童・生徒と保護者等を別の日時に分散して開催するなどの工夫を行った学校も見られたところです。
次に、2点目、事例についてですが、学校が行った物品指定における対応事例については、中学校では、検討委員会での意見等を踏まえ、夏服の素材を速乾性のある生地に見直す取組や靴下の色を白以外も可とする取組などが見られたところです。また、性差にとらわれない視点に基づく、女子生徒のズボン着用の選択等について、今後見直しを進めたいといった意見交換もあったところです。
一方、小学校では、標準服、自由服、それぞれの学校がある中で、今後も現在の服装を続けるかといった議論を行った学校が見られたというふうに認識しております。
3点目、今後のフォローについてですが、教育委員会における検討委員会へのフォローについては、まずは、各学校の検討委員会において、指針に沿った見直しの議論をしっかりと行ってもらい、その上で、教育委員会が各学校から提出された報告書を整理し、議論された内容や取組の事例及び課題等を学校間で共有する仕組みをつくるとともに、学校に対して適切な指導助言を行ってまいります。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
コロナ禍の中でもほとんどの学校の検討委員会が工夫しながら開催されたということでした。答弁でもありましたが、靴下を白以外でも可としたり、LGBTの観点からの議論もあったということでした。
個人的には、例えば白いブラウスに関しては、市販の同種のブラウス、またポロシャツでも可とする、体操服、シューズなども同種を可とするなど、ある程度の基準を設けた範囲内で柔軟性を持たせる方がコスト的に合理的であると考えています。ただ、費用面だけでなく、学校運営を考えた上で画一性と多様性のバランスは非常に大事だということは、教育者も保護者も共通認識を持っておく必要があります。
検討委員会では、多様性の視点、本来の教育の目的など、様々な視点が必要だと思いますが、実際には、意見の出し方や運営がうまくいった学校とそうでない学校があったはずです。教育長からは、議論の内容や取組事例、課題など、情報を各学校へ共有できる仕組みをつくっていく、また、適切な指導助言を行っていくと答えていただきましたことに心強く感じています。ありがとうございます。
その取組によって、各学校での議論が深まり、制服や学用品などの費用軽減につながる変化が多く生まれることを期待しております。
さて、続いての質問です。
農水産業者への支援と新しい生活様式に対応した販路拡大事業についてです。
このコロナ禍で私たちの生活様式が大きく変わったため、農水産業も消費者のニーズに対応した販路、販売方法を工夫するなど、活路を見いだす必要性が高まっています。地産地消型、大都市圏をターゲットとした国内外への販路拡大、また、通販事業への参入というように、生産者の販売手段の選択肢は広がっているようです。
そのような中、熊本市が取り組む農水産業者への3つの支援についてお尋ねしてまいります。
熊本市には、道の駅や物産館などの直売所が21か所あります。生産者が農産物を直売所へ出荷し、そこで販売されるという仕組みですが、この直売所を生かし、地産地消や通販を促進するために今年度からアプリを開発、整備する取組が始動しています。
新型コロナウイルス感染症の影響で通販事業が大きく拡大している現状や、このアプリの活用により生産者の顔が見えることで消費者も安心して購入できるという強みを生かし、多くの生産者が参加され、消費者側にもアプリの活用を促進してほしいと期待しているところです。
ここで、3点、農水局長にお尋ねいたします。
まず、1点目に、この新規事業について、現在の進捗状況とこの事業の目的を達成するためにどのように工夫されているか、また、多くの生産者と消費者がアプリを導入していただけるよう、どのように取り組んでいかれるか教えてください。
2つ目の支援についてですが、昨年度より、生産者に向けた販路拡大サポートセミナーを無料で実施されています。昨年度は、オンラインと対面のハイブリッド形式で実施され、今年度も同様に開催とのことです。生産者は、一般的に農業の知識にはたけていても、マーケティングや付加価値の見つけ方、戦略的なPRなど、ビジネス的な知識に関しては不得意分野だと思いますので、本セミナーは有意義で関心の高いものであったと思います。昨年度は延べ40名を超える方々が参加されたようです。
ここで、2点目に、このセミナーの参加者の反応、成果を教えてください。
また、今後、セミナーを継続していく上で、内容をブラッシュアップし、商品の付加価値を高めていくことや戦略的なPRを展開することで生産者の収益を上げていく、このサイクルを加速させていくためにはさらなる工夫が必要だと思いますが、現状の課題と今後の取組について教えてください。
次に、3つ目の支援についてです。
熊本の農水産物・加工品の国内販路拡大に関する業務委託契約を令和元年、2年と、2年にわたり東京の大手の仲卸会社と結びました。目的は、首都圏など大消費地において、プロモーションのほか、マッチングなどを行い、本市の農水産業者に新たな販売機会を提供するということでしたが、その実績と、
新型コロナウイルス感染症の影響も受けたと思いますが、事業の課題を教えてください。
また、その課題が明確になっているのであれば、今年度も業務委託先を募集していると伺いましたが、課題を踏まえ、委託業者とどのように取り組んでいかれますでしょうか、3点、農水局長、お願いいたします。
〔岩瀬勝二農水局長 登壇〕
◎岩瀬勝二 農水局長 販路拡大事業に関する3点のお尋ねについて順次お答えいたします。
1点目の生産者と消費者を結ぶアプリの開発についてでございますが、同アプリにつきましては、本年11月の稼働に向け、今年度当初に委託事業者の公募を行い、5月に公募型プロポーザル方式にて事業者を決定し、6月3日に契約を締結したところでございます。
この事業の工夫した点としましては、農業者や直売所から消費者へ農水産物の出荷情報を発信するのみではなく、消費者側から農業者や直売所へ意見や感想を発信できる機能を設けることで、農業生産や直売所の運営に反映させる仕組みを設けたところでございます。
この事業が大きな成果をもたらすためには、多くの方にアプリを導入していただくことが重要であり、農業者の方々に向けて、サポート体制を整備するとともに、スマートフォンをお持ちでない農業者の方に対しましては、直売所に設置するタブレットから簡単に入力できるような仕組みを考えているところでございます。
また、多くの消費者の方々にアプリをダウンロードしていただくため、情報誌やポスター等を活用したPRを行ったり、直売所等と連携して、ダウンロードした方への特典を用意するなどのキャンペーンを展開することとしているところでございます。
次に、販路拡大支援セミナーに関する成果と課題についてでございますが、令和2年度は、4回にわたり開催いたしまして、延べ46名の参加があったところでございます。参加された農業者や食品加工業者の方々へのアンケートでは、加工品を作るイメージができたとの声をいただいたところでございます。
販路拡大支援セミナーにつきましては、参加者数の増加が課題でございまして、そのために参加者が都合のよいときに視聴できるような動画配信を行うなど、利便性の向上を図ってまいることとしております。また、コロナ禍の中で対面での農産物等のPRが難しい状況にあるため、通信販売サイトの活用を前提としたPR方法や商品デザインなどに関する内容の充実を図ることとしているところでございます。
最後に、首都圏の企業と連携した販路拡大の取組についてでございますが、昨年度の大消費地におけるプロモーション事業につきましては、首都圏のスーパーなど22店舗で熊本産品を販売する期間限定アンテナショップですとか、通信販売に取り組み、販売総額約1,000万円に上ったところでございます。
また、これらアンテナショップ等の展開に先立ちまして、JA等とバイヤーとのマッチングを実施したところ、50件の商談中37件が成立し、事業終了後も継続取引につながった事例もございました。
課題としましては、コロナ禍の状況の中で対面型のアンテナショップや飲食店で十分なプロモーションができず、売上げが伸び悩んだことが挙げられます。一方、通信販売は好調で、今後も巣ごもり需要が見込まれますことから、今年度におきましては、通信販売のさらなる強化に取り組んでまいることとしております。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
1点目のアプリの導入によって、生産者と消費者の間に生まれる目に見えるつながりの効果は、地産地消を促すだけでなく、販売データや消費者の感想によるマーケティングが可能となり、その情報が生かされれば、将来的に生産者の増収にも期待できると考えています。ただ、高齢の生産者にも使いやすいようなアプリのシンプルな操作性の実現と、生産者のサポート体制は万全を期していただきますようお願いいたします。
2点目、セミナーに関しては、参加者の増加が課題ということでしたが、今後は動画配信など、受講者側の目線で利便性と内容の充実を図るとのお答えでした。セミナーの内容自体、大変すばらしい内容と、そしてこの取組ですので、積極的な周知に努めて、多くの方が参加できますよう工夫をお願いいたします。
3点目のプロモーション事業は、販売総額1,000万円超え、マッチング成立37件と、着実な手応えが得られています。今年度の委託事業者とも通販事業の強化に取り組むということでしたが、本市の直売所の一つであるすいかの里の通販の昨年度の売上げを伺ったところ、前年比の約4倍ということをお聞きしております。このコロナ禍、閉塞的なニュースが多い中、農水産業の新しい活路が熊本を元気にしてくれるのではないかと希望を持っています。
これら3つの事業でも本市の農産物、加工品、それらがPRされ、生産者の増収につながり、また、県外への熊本の魅力発信となりますよう期待しております。頑張ってください。
最後の質問です。
質問通告と一部内容を変更して質問させていただきます。
本市のワクチン接種事業については、国から、変化を伴い流動的に降りてくる情報を基に接種体制を整えることは大変厳しい状況であり、現場では多くの課題が噴出し、結果的に市民の皆様にも御迷惑をおかけしましたことについては大変残念です。しかし、接種実施自治体として、市民の皆様に迅速かつスムーズに接種できるよう、昼夜休日問わず、業務に立ち向かう職員の皆様の御尽力には、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
ワクチン接種による集団免疫が
新型コロナウイルス感染症の終息に結びつくという点では、期待感を感じているところではあります。しかしながら、ワクチン接種に関するリスクの側面も認識し、体制を整えることもまた行政の役割です。
ワクチンには副反応など不確実性のリスクもあることから、あくまでも任意での接種であり、各自で効果とリスクの双方を考慮、または医師に相談した上で、最終的には個々の判断となります。持病やそのほかの様々なリスクなどから接種をしないと判断する人もいます。予防接種法改正時、国会附帯決議においても、政府は、ワクチンの接種の判断が適切になされるよう、ワクチンの安全性及び有効性、接種した場合のリスクとベネフィット、そのほかの接種の判断に必要な情報を迅速かつ的確に公表するとともに、接種するかしないかは、国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すると明記されています。
この点については、これまで健康福祉局へ周知の在り方に関して、接種は強制でないこと、ワクチンの安全性と副反応について分かりやすく周知し、自己判断を促すようお願いしてきましたが、現在は、その点についてはホームページを改善していただいたところです。今後も引き続き、接種を希望される方にはスムーズに接種が実施できる体制を整えることと同時に、接種するかしないかの判断がしやすい情報を提供していただきますようお願いいたします。
さて、今後、職場での集団接種が拡大する兆しが見えています。クラスター回避のメリットも期待できる一方で、しかしながら、企業や組織での同調圧力による強制的な接種、非接種の方への差別的な言動はあってはならないことであり、個人の選択は尊重されるべきであると、周知、啓発をしておく必要があります。
ここで、市長にお尋ねします。
個人はもとより、組織や企業など、本人が希望しない場合の強制的な接種や差別を防止し、個人の判断、人権を保護する対策を講じておく必要があると考えますが、見解をお聞かせください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 今後の
新型コロナウイルス感染症対策において、ワクチン接種が極めて有効な切り札となりますことから、できるだけ多くの市民の皆様に接種いただけるよう、全力を挙げて取り組んでいるところです。
しかしながら、ワクチン接種は、あくまで任意であり、一人一人自ら判断すべきものでありますことから、接種を強制したり、接種をしない方に対する不当な差別や偏見が生じることは決して許されるものではないと考えております。
本市としてもこのことについて、様々な機会や広報手段を通じて、市民の皆様に対する啓発や積極的な情報発信を行ってまいります。
〔5番
古川智子議員 登壇〕
◆古川智子 議員 ありがとうございました。
新型コロナウイルス感染症に対するリスクもワクチンに対するリスクも、どちらにもリスクが存在すること、いずれのリスクの結果も事後にしか分からないからこそ、命と健康を考える上で難しい判断だと思います。
また、接種対象年齢が12歳以上と引き下げられましたが、接種の判断は、子供自身の選択というよりは保護者の選択に委ねられてしまうことにも配慮し、教育委員会を通じて、子供への接種に関するワクチンの効果とリスク情報を保護者へ周知するとともに、差別防止の啓発も徹底的に周知すべきであると思っています。
市長のお答えの中には、具体的な取組の方法についての言及はなかったものの、不当な差別や偏見のないよう、啓発、情報発信するということでした。今後、市民、企業、学校、それぞれに合った方法で啓発や周知を実施していただきますようお願いいたします。
私の質問は以上となります。
新型コロナウイルス感染症による生命の危機、経済の打撃による生命の危機、災害による生命の危機と、今は様々な危機に直面していますが、まずは、一日も早い
新型コロナウイルス感染症の終息と平和を願い、また、災害に備える強い市民、行政であるようにと、私自身も職務を全うしてまいる所存です。
真摯に答えていただきました市長はじめ執行部の皆様、サポートいただきました先輩議員、議会局の皆様、ありがとうございました。傍聴席で御覧いただきました方、そして、オンラインで御視聴いただきました皆様、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
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○原口亮志 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時59分 休憩
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午前11時10分 再開
○原口亮志 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○原口亮志 議長 一般質問を続行いたします。
伊藤和仁議員の発言を許します。伊藤和仁議員。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇 拍手〕
◆伊藤和仁 議員 皆さん、こんにちは。
公明党熊本市議団の伊藤和仁です。
今回は、1年ぶり、3度目の一般質問に立たせていただきます。質問の機会を与えていただいた先輩議員、同僚議員の皆様に感謝いたします。1時間という限られた時間ですので早速質問に移りたいと思います。
まず、学校の感染対策についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染拡大の第4波は、これまでとは異なり、変異種のウイルスが猛威を奮っており、以前のウイルスは低年齢の子供にはかかりづらいとされていましたが、学校でのクラスターなど、全国的に見ても低年齢への子供たちへの感染が多く見られています。
変異種のウイルスはウイルスの表面にあるスパイクタンパク質と言われる部分に変異が起きており、この変異によって、人の細胞表面にあるACE2受容体に強固に結合するため、感染力が最大で約60から70%増加すると言われております。
また、新型コロナワクチン接種ですが、接種対象年齢が16歳以上から12歳以上に引き下げられました。ワクチンの接種が進み、集団免疫が獲得できると、全体として感染が終息の方向に進んでいくと思いますが、そこまでにはまだ時間がかかることが予想されます。また、12歳未満の感染の心配は依然として残っています。よって、感染力の強い変異種のウイルスに感染しないようにするためには、これまでと同じような感染対策では不十分と考えます。
先日、公明党秋野参議院議員の話を聞く機会がありました。秋野参議院議員は、前職は医師であり、厚生労働省に入省し、2009年5月、新型インフルエンザの発生に伴い、成田空港での検疫に参加し、そこで感染症対策に取り組み、8月には、東京空港検疫所支所長に就任し、羽田空港における検疫業務の陣頭指揮を執りました。
その秋野議員によると、これまでのインフルエンザウイルスは、喉や鼻の奥で増殖していくのに対し、新型コロナウイルスは、ACE2受容体が多い唾液腺の中で増殖していくため、唾液が生じるときに同時に新型コロナウイルスも唾液に交じって出てくるので、新型コロナウイルスの感染度合いはインフルエンザのそれと比べて、はるかに大きいとのことでした。秋野議員の言葉を借りると、新型コロナウイルスほど、唾液の中にこんなにもたくさんの病原体を持っていた感染症はこれまでほとんどなかったと表現されました。インフルエンザの感染が昨年冬以降ほとんど見られなかったことは、これまでの感染対策を徹底した結果であると言えますが、新型コロナウイルスへは、インフルエンザと同様の対策だけでは不十分で、さらに予防策を講じていく必要があると考えます。
つまり、人が発する飛沫から自身を守ることが非常に重要となってきます。まず、咳やくしゃみによって、マスクをつけていない状態では飛沫が約2メートル飛ぶので、飛沫を飛ばさないためにマスクが重要となります。
次に、飛沫には、出た瞬間からその重みで地面に落ちるものとマイクロ飛沫と言って、0.005ミリ未満の飛沫は、長時間空中を漂います。したがって、このマイクロ飛沫を空中に浮遊させないために換気が必要となります。さらに、換気する際に、壁や机に付着したマイクロ飛沫と発生した際に下に落ちた飛沫を拭き上げることが重要です。さらに、拭き上げの際には、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムで拭き取ることが重要です、新型コロナウイルスの表面は脂肪でできており、その脂肪をアルコール成分が溶かし、不活化することができます。
特に昨年度までは、この拭き上げをスクールサポートスタッフの方々が担ってくれていたと聞いておりますが、今年度になり、その方々がいなくなった後の対策が気にかかります。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
1、スクールサポートスタッフがいなくなった今年度、学校での感染症対策はどのように行われていたのでしょうか。特にアルコールによる拭き上げは、しっかりとできていたのでしょうか。
2、また、今後は、マスク、換気、拭き上げを感染症対策の柱として、徹底をお願いできないでしょうか。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 学校における
新型コロナウイルス感染症への対策については、文部科学省の学校における
新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに基づき、身体的な距離の確保、マスクの着用、手洗い等に取り組んでおります。その結果、これまで熊本市立の学校ではクラスターは発生しておらず、教職員、児童・生徒の皆さんの日々の取組が実を結んでいるものと考えております。本年度も引き続き同マニュアルに基づき、感染対策に取り組んでまいります。
アルコールによる消毒作業については、これまで衛生管理マニュアルに基づき、ドアノブ、手すり、スイッチなど、大勢がよく手を触れる箇所について1日1回消毒を行うようにしてまいりましたが、同マニュアルの令和3年4月28日付の改定において、児童・生徒の手洗いが適切に行われている場合は消毒作業を省略することも可能とされたことから、学校に対してもその旨を周知しております。机、椅子については、同マニュアルにおいて、特別な消毒作業は必要ないとされております。マスクの着用、換気については、同マニュアルにも感染対策として明記されており、変異株への対策としても推奨されていることから、今後とも取組を徹底してまいります。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 これまで熊本市立学校でクラスターが発生していないことは、衛生管理マニュアルに基づいて、教職員、児童・生徒の日々の取組が実を結んだと言われましたが、それは、スクールサポートスタッフの方が共用部の拭き上げをやってくれていたことも理由ではないでしょうか。変異種のウイルスに入れ替わり、感染力が増している中、文部科学省の衛生管理マニュアルは、感染対策の観点から後退しているように思えます。
さらに、なお書きにある手洗いが適切に行われている場合には消毒作業は省略可能と言われましたが、マニュアルどおりに児童・生徒の手洗いが適切に行われていたとしても、新型コロナウイルスが含まれた飛沫に触れてしまえば、感染の危険性が出てきます。本当に省略可能かどうか、甚だ疑問です。感染対策は、様々な対策を組み合わせていくことが感染リスクを大きく下げることに寄与すると考えます。いま一度、ウイルスの性質、感染経路等をしっかりと観察いただき、児童・生徒を守るため、適切な対応を行うことを求めます。
次に、先日、ある保護者の方にお話を伺いました。その方は、高校生のお子さんが3度の濃厚接触者となって、そのたびPCR検査と2週間の自宅待機を経験し、その影響は家族全員に及んだとのことでした。また、学校においても音楽のリコーダーの授業が行われていた結果、濃厚接触者と判断された事例がありました。通常の生活が送れなくなるという意味では、陽性者はもちろんですが、濃厚接触者にもならないよう努めていく必要があります。
感染経路について、秋野議員から提供された資料によると、海外での数値ではありますが、391人の感染者でその濃厚接触者は3,410人に上ります。そして、濃厚接触者3,410人のうち127人が感染し、その感染者のうち8人が無症状、119人が症状ありとのこと、さらに、127人の感染者のうち105人は家庭内感染であり、濃厚接触者において、明らかに家庭内での感染に気をつけなければならないことが分かります。本市も同様と聞いております。
このように、具体的な統計データから必要な情報をピックアップし、かみ砕いて知らせていくことが非常に大事ではないでしょうか。その意味でいえば、本市のLINEで展開されていますなるほど納得!コロナの知識は、これまでの疫学調査の中で得られた正しい感染予防行動の知識、市民活動の中で感染リスクの高い行動に関する情報を川柳にしたもので、ぱっと一目で分かるというメリットがあります。さらにコメントも添えられていて、その川柳を補足しています。しかし、これまでの統計資料などの具体的な数値が添えられていないので、どちらかといえば、注意喚起の標語のようになってしまっていると考えます。ここに統計の数値などを取り入れ、具体的で状況が想像しやすくするべきと考えます。
そこで、健康福祉局長に3点、お尋ねいたします。
1、濃厚接触者の定義と濃厚接触者になると、どういった制限が課されますか。
2、学校での音楽のリコーダーを使っての授業は、どういった点が濃厚接触者に当たったのでしょうか。
3、コロナウイルスの情報を発信する際、現状を分析した結果など、市民の皆様に向けて、分かりやすい、状況が想像しやすい形での情報発信ができないでしょうか。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 まず、1点目の濃厚接触者の定義と課される制限についてでございますが、本市では、国立感染症研究所の定義を基に、感染者と同居、または長時間の接触のあった方、適切な感染防御なしに感染者を診察、看護、介護した方、感染者の気道分泌液、体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い方、感染者と1メートル以内で必要な感染予防策なしで15分以上の接触のあった方を濃厚接触者の基準としております。
〔議長退席、副議長着席〕
しかし、この基準に該当したとしても、会話の有無などにより感染の可能性は異なることから、保健所におきまして、感染者との接触時の具体的な状況をヒアリングするなど必要な調査を行い、個別に濃厚接触者に当たるかどうかの判断を行っているところです。
濃厚接触者に該当した場合、PCR検査を実施し、結果が陰性でございましても感染者との最終接触日から2週間は、通勤や通学を含む不要不急の外出はできる限り控えていただき、やむを得ず移動する際にも公共交通機関の御利用は避けるようお願いしております。
2点目のリコーダーを使った授業における濃厚接触者の該当性につきましては、文部科学省が作成した学校における
新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルには、各教科における感染症対策を講じても、なお感染のリスクが高い学習活動が定められております。その中でも、室内で児童・生徒が近距離で行う合唱及びリコーダーや鍵盤ハーモニカ等の管楽器演奏は、飛沫が発生する可能性がありますことから、特にリスクが高いとされているところです。この場合におきましても教室の換気や児童・生徒同士の距離など、個々の事例について必要な調査を行った上で、個別に濃厚接触者の判断を行っております。
最後に、
新型コロナウイルス感染症についての情報発信につきましては、現在、本市のホームページに専用のサイトを設けまして、感染者の発生状況や感染防止対策、各種支援策など、市民の皆様や事業者の皆様へ向けた情報発信を掲載するとともに、積極的にSNSを活用した情報発信を行っているところです。また、毎週金曜日に熊本県が行うリスクレベルの公表に合わせ、一週間単位で本市の感染状況などの現状分析の結果も公表しているところです。
感染拡大を防止するためには、現在の感染状況や市民の皆様や事業者の皆様への要請等を正確に御理解いただき、それに基づいて行動していただくことが肝要でありますことから、今後とも掲載内容や方法を工夫するなど、より一層分かりやすい情報発信に努めてまいります。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 濃厚接触者に該当すると、途端に生活が制限されることが分かりました。一方で、濃厚接触者にならないようにするには、マスクや換気、密集しないというような、これまでの感染防止対策は徹底されていることが重要であります。さらに、陽性者にならないことはもちろんのこと、濃厚接触者にもならないようにと呼びかけも重要と考えます。ぜひ、学校からも先生や生徒、さらに保護者の方へ呼びかけを何とぞよろしくお願いいたします。
また、
新型コロナウイルス感染症の分かりやすい情報発信は、市民の感染防止、行動変容に有効と考えます。
新型コロナウイルス感染症に関する統計情報など、そのまま掲載するのではなく、その情報の要点をまとめ、市民に分かりやすい情報発信をお願いいたします。
次に、オンライン授業についてお尋ねいたします。
令和2年は、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン授業やパソコン、タブレット端末を使った授業のニーズが高まりました。本市でも1人1台のタブレットが配備されました。しかし、スタートラインに立ったばかりであり、タブレットをいかに利用して、授業を充実させていくかは、ICT機器を利用していく先生の能力が非常に重要となります。さらに、新学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力と位置づけていて、子供たちがコンピューターをノートや鉛筆と同じ文房具のように使いこなせるように指導することを求めています。プログラミング学習や主体的・対話的で深い学び、探究的な学習を実現するためにもタブレットを使った学習は新たな学習ツールとなり、授業や課題などで使用されてきています。
タブレットの導入で新たな可能性が期待され、これまでとは全く違った対応を取らなければならなくなり、現場の先生たちは、どのようにタブレットを使っていいのか、オンライン用の教材を作成するにも試行錯誤の毎日であると思います。よって、先生のICT活用のためのスキルの向上が急がれ、計画性を持って、教師のスキル向上に取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、教育長に2点、お尋ねいたします。
1、教師のICT活用スキルの向上のために、本市が実施している取組についてお答えください。
2、ICT支援員の役割から言っても、さらなる増員が必要と考えます。文部科学省の教育のICT化に向けた環境整備5か年計画におけるICT支援員の2022年度までの必要人数と現在の人数、今後の見通しについてお答えください。
引き続き質問いたします。
昨年のコロナ禍の中で始まったオンライン授業は、不登校であった児童も授業に参加できたとの報告があり、これからの不登校対策として、非常に有効という印象を持ちました。あれから1年がたった今、不登校児童・生徒へのオンライン授業の在り方がどのようになっているのか、非常に関心の高いところです。令和2年9月末時点の調査で、昨年の6月から9月までに欠席が20日以上ある生徒は、小学校と中学校合わせて114校、966人いた中で、オンライン等のICTを活用して学習支援等を行ったのは、68校、158人でした。その中でライブ配信を行ったのは27校、40人で、オンラインによる個別の学習支援を行ったのは、51校、91人でした。
一方で、気になる調査結果もあります。令和2年度生徒指導状況報告の結果報告について、年間の欠席日数が30日以上を超えた長期欠席者のうち、不登校が理由の児童・生徒は、小学校で508人、中学校で1,034人、合計1,542人に上ります。また、不登校児童・生徒数は、令和元年度と比べ、小学校、中学校でそれぞれ74人、104人の増加となっています。さらに、欠席日数別内訳では、不登校の基準となる30日以上の欠席と週に2日程度の欠席に当たる64日以内の児童・生徒は、小学校では約37%、中学校で約32%となっており、年間授業日数の半分以上欠席となる100日以上の欠席が見られる児童・生徒は、小学校では約42%、中学校では約49%という結果でした。特に100日以上の欠席が見られる児童・生徒には、適応指導教室、フリースクールへ通っていなければ、学習機会はほとんどないと言えます。
不登校支援校モデル事業及び適応指導教室においても、教育ICTを活用した支援を行おうとしています。不登校支援校モデル事業には期待を寄せながらも、現在では、不登校児童・生徒の支援は先生の個の力を頼らざるを得ない部分もありそうです。
そこで、教育長に3点、お尋ねいたします。
1、100日以上の欠席があり、適応指導教室、フリースクール等、どこにもつながっていない不登校児童・生徒は、小学校、中学校別でそれぞれ何人いるのでしょうか。不登校支援校の取組は、定員は何人を予定されているのでしょうか。
2、不登校児童・生徒へのオンラインによる個別学習の現在の状況とオンラインによる個別の学習を行った好事例を教えてください。
3、不登校児童・生徒への個別指導は先生への負担を増やします。よって、複数の先生が担当を分け、1つのチームとして、学年全体の子供の責任を持つようなチーム制という形はとれないのでしょうか。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 5点、お尋ねをいただきましたので、順次お答えいたします。
まず、ICTスキルの向上について2点、お答えいたします。
本市では、教育センターの指導主事が各学校の情報化推進リーダー向けの研修や学校を訪問しての研修、教員の自己啓発研修、さらに、産学官連携によるオンライン研修を行っております。また、ホームページに実践事例を掲載、情報共有を図っているところです。
ICT支援員は、授業の準備、教員のサポート、ホームページ向けデジタル教材の作成などの支援を行っております。
各学校では、ICT化を積極的に進めるとともに、情報化推進チームの編成や学校間ネットワークによる情報共有により、全職員のスキル向上に取り組んでおります。
本市のICT支援員は、週に1回は各学校に勤務できるよう計画的に増員しており、現在、約6校に1人の配置で22人となっております。学校からは、障害の対応や管理運用、教材の作成や実践事例の共有など、ICT支援員に対する要望が強くあります。国の目標水準は4校に1人の35人となっており、今後の増員につきましては、これまでの効果や実績を踏まえながら検討してまいります。
次に、不登校支援について3点、お答えいたします。
令和2年度末で100日以上の欠席があり、学校以外のどこにもつながっていない児童・生徒数は、小学校で31人、中学校で73人となっております。また、教育ICTを活用した不登校支援校の取組では、定員は設けておりません。
今年度は1人1台のタブレット端末の配備になったことで、不登校児童・生徒へのオンラインによる個別の学習支援は、令和2年9月末の調査時点よりも取り組みやすい状況になっております。各学校では、個別学習の支援として、児童・生徒と担任等がタブレット端末で学習課題等のやり取りをしたり、アプリ等を活用して、ドリル学習に取り組んだりしております。
好事例ですが、全く登校できていなかった生徒がオンラインで授業に参加するようになり、その後、ほぼ毎日オンライン配信の授業に参加できるようになった。現在は、少しずつ登校できるようになり、別室でオンライン授業を受けたり、教科によっては教室で授業を受けたりしているという事例がございます。
最後に、チーム制についてですが、不登校への対応は、これまでも担任だけでなく、学年職員等のチームで取り組んでおります。しかし、不登校児童・生徒への個別学習の支援をチームで行う体制はまだ十分ではないことから、今年度から新たに取り組む不登校支援校において、学校がチームでどのように不登校児童・生徒の学習支援ができるかを検証してまいります。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 教師のICTスキルの向上では、ICT機器の整備ができたからといっても、それらの機器をいかに利用していくかが重要です。この体制がさらに機能を発揮できるよう運用をお願いいたします。
また、ICT支援員が教員からの依頼で教材を作成することもあるようなので、多ければ多いほど授業が充実してくると思いますが、まずは、目標に向けて拡充をお願いいたします。
また、令和2年度末で100日以上の欠席があり、学校以外のどこにもつながっていない児童・生徒数は、小学校で31人、中学校で73人であり、不登校支援校の定員は設けていないということで、少なくともこれらの児童・生徒が利用できる環境があるようです。ただし、不登校児童・生徒への取組は、それを行っている先生の負担を大きくすると考えますので、個別だけでなく、チームとしての取組の推進をお願いいたします。これから行われる不登校支援校の取組は、その取組だけではなく、今後、学校でも不登校支援はチームで取り組んでいくという流れを加速していくものとして、期待しております。
次に、コロナうつ対策についてお尋ねいたします。
コロナ禍の中、いわゆるコロナうつと言われるように、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活の変化によって、心の病を抱える人が増加しています。その要因の一つは、言うまでもなく、
新型コロナウイルス感染症拡大に起因する不安です。もう一つは、感染予防のため、社会経済活動が制限されたことによって経済的なダメージを受け、雇用面や生活面での影響が大きく、特に女性をめぐる環境はさらに厳しい状況であり、女性の自殺者が増加しています。
公明党は、これまでうつ病対策を極めて重要な政策課題と位置づけ、有効な治療法の一つである認知行動療法の保険適用などを実現し、昨年の2月にうつ対策プロジェクトチームを設立し、専門家へのヒアリングや医療機関への視察を行ってきました。その中で、うつ病は誰もがなり得る病気であり、身近な人ができる支援として、メンタルヘルスファーストエイドの普及が必要であると考え、昨年の9月に総合的なうつ対策の充実に向けた提言を厚生労働大臣へ提出いたしました。
メンタルヘルスファーストエイドとは、心の病に対する応急措置や初期対応を意味し、具体的には、自殺の意志のリスク評価に加え、相手の話をしっかりと聞き、適切な治療でよくなるなどの情報を与え、医療機関への受診を促すなど、専門家の支援につないでいくための対応とそれらを学ぶプログラムです。メンタルヘルスファーストエイドの考え方は、保健師や民生委員など、特殊な職種や分野で活用が進んでいるものの、社会への浸透が不十分と言えます。うつ病は誰もがなり得る病気であり、身近な人ができる支援として、さらなる普及啓発が必要と考えます。
さらに公明党は、心の不調を防ぐには、まず、自らがメンタルヘルスをセルフチェックできるようにするため、自身でチェックできるアプリの開発、普及させることを強く訴えました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構で昨年11月にメンタルヘルスを自己チェックできるアプリの研究・開発に着手し、今年の4月21日、アプリKOKOROBOが完成し、一般公開されました。このシステムの特徴は、人工知能AIが相談内容に応じて、医療機関受診の必要性などの重症度を判定するシステムです。現在、オンライン相談の実証実験をしているところですが、KOKOROBOが診断を行った結果、軽度であれば、AIによるチャット形式アプリ心のコンディショナーにより、認知行動療法を受け、心理的介入を行います。重度の場合は、オンラインシステムを用いた心理相談を行い、地域医療機関、高度専門医療機関に紹介されることになります。
アプリを使った心の遠隔相談の必要性は、当機構によると、コロナ禍の中でメンタルヘルスサービスを必要とする市民が遠隔相談などで適切な対応を受けられ、相談や診療を必要とされた場合、適切な機関、病院へ受診できるようにするためとあります。
本市においても、自身のストレス状態をチェックできるこころの体温計がホームページ上で公開されています。それは、簡単な質問に答えるだけで心のストレス状態や落ち込み度が分かるようになっています。特に自分の健康状態や人間関係、住環境などのストレス度や落ち込み度が水槽の中で泳ぐ金魚などのキャラクターで表示されるので、大変分かりやすい作りになっています。しかし、アプリでの診断の結果、相談や診療を必要とされた場合、適切な機関、病院へ受診できているのかが大変に気になります。
そこで、健康福祉局長に2点、お尋ねいたします。
1、現在、本市では、メンタルヘルスファーストエイドの考え方に基づく取組は行われているのでしょうか。今後、その考え方、プログラムの普及啓発をいかにお考えでしょうか。また、遠隔型のメンタルヘルスケアの充実をいかにお考えでしょうか。
2、こころの体温計の令和2年度の利用者数は何名だったのでしょうか。また、落ち込み度が最も高いレベル4とその次に高いレベル3の方はどれくらいいたのでしょうか。その方々がアプリでの診断の結果、受診を希望される場合、現在はどういった形で相談所への情報提供がなされるのでしょうか。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 1点目のメンタルヘルスファーストエイドの考え方に基づく取組といたしましては、本市では、自殺防止対策の取組の一つとして、ゲートキーパー養成研修を実施しているところでございます。この研修は、自殺の危険を示すサインに気づき、様々な問題に悩んでいる人に寄り添い、適切な支援機関へつなぐことができる支援者を養成しており、研修プログラムにはメンタルヘルスファーストエイドの考え方を取り入れております。この考え方の普及啓発につきましては、ゲートキーパーを数多く養成することで身近に支援者がいる環境を整え、メンタルヘルスファーストエイドの考え方も普及することにつながると考えております。さらに、ゲートキーパーの方々が地域においてリーダーとなり、新たなゲートキーパーを養成する活動に携わっていただけるような仕組みを検討しているところでございます。
また、遠隔型のメンタルヘルスケアの充実につきましては、ストレスチェックアプリの活用やLINE相談などを行っているところでありますが、このような取組について、さらに市民の皆様に周知するとともに、効果等の検証を行い、活用の促進、充実につなげてまいりたいと考えております。
2点目のこころの体温計につきましては、令和元年8月より導入し、昨年度の利用実績は、延べ件数で、熊本市民の方が6万377件、市民以外の方が3万9,155件で、合計9万9,532件御利用いただいており、このうち、レベル3の方は1,917件、レベル4の方は1,994件でございました。
こころの体温計は、誰もが気兼ねなくストレスチェックを行うことができるよう、個人情報を入力することなく利用可能としておりますことから、利用者に関する情報を相談所等へ情報提供できる仕組みにはなっておりませんが、画面上に相談先を表示し、利用者の方が自ら相談することができるようにしております。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 ゲートキーパーもそうですが、身近な人が行う初期対応としてのメンタルヘルスファーストエイドの普及促進を確実に加速していってもらいたいと思います。
こころの体温計では、落ち込み度が最も高いレベル4が1,994件、レベル3が1,917件とのことです。アプリの使用結果画面に相談先が表示されていますが、相談先が複数表示され、いざ、どこに連絡しようか、迷う結果となり、相談を受けるまでには至らない可能性もあります。今後、確実にメンタルケアが必要な人にケアが結びつくような遠隔相談のシステム構築を何とぞよろしくお願いいたします。
なお、KOKOROBOのアプリは利用可能でありますので、皆さんも一度利用してみてはいかがでしょうか。
次に、地域猫適正管理推進事業についてお尋ねいたします。
以下、地域猫モデル事業と呼称します。
野良猫に関する苦情件数は年々増加しており、北区でも様々なところから相談をお受けいたします。野良猫の問題を解決していくためには、安易に問題となっている野良猫を処分するか、猫の繁殖要因となる餌やりを取り締まればいいのではないかとの議論になりがちです。過去には本市でも年間600頭以上が殺処分されていましたが、一時的にいなくなったとしても、別の地域から流入してくるため、根本的な解決にはならず、現在は、動物愛護管理法で猫は愛護動物とされており、むやみな処分はできないようになっています。餌やりを取り締まったとしても、猫を世話したい方の感情を刺激し、かえって近隣トラブルが発生し、それが隠れての餌やりや他の場所での餌のばらまきにつながり、これも根本的な解決とはなりません。
よって、住民同士が話し合い、ある一定の落としどころを探っていくことが地域猫活動の特徴と言えます。つまり、地域猫活動とは、野良猫を全くなくすのではなく、ある一定数の猫は許容し、猫の世話をする方には、不妊・去勢の手術を行うことや猫のトイレを用意する、餌をやりっ放しにして放置させないなど、しっかりとしたルールを設けて、猫を管理していく活動です。このように地域猫とは、地域のルールに基づいて、適切に飼育管理し、これ以上数を増やさず、一代限りの生を全うさせる猫とされ、いわゆる野良猫とは区別されています。
このことからも、私も含めて、地域猫という考え方を正しく理解していく必要があり、そのための広報、周知がこのモデル事業と今後の展開についても非常に大事になると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
1、どの地域にどれくらいの猫がいるかという情報は、今後の事業を展開していく上で非常に重要と考えます。本市として、野良猫の実態調査を行っているのでしょうか。
2、地域猫モデル事業の募集状況はいかがでしょうか。モデル地区の選定の仕方、モデル事業提案の際の住民の方々の御意見を教えてください。
3、地域猫活動は地域住民の主体的な活動が非常に重要となると考えますが、これからの地域猫活動をどのように普及啓発していくのかをお示しください。
4、今後本格的な展開となった際に、ネックとなるものの一つに不妊・去勢手術の費用負担が挙げられます。費用面の負担についてはいかにお考えでしょうか。他都市では、動物愛護センターの獣医師が不妊去勢手術を行うことによって、無料でそれらの手術を行っているところもあるようですが、本市でもそのやり方を検討できないでしょうか。
また、地域猫活動の普及啓発の意味も込めて、ふるさと納税やクラウドファンディングで寄附金を募ることや、民間の団体との協力で資金を確保するやり方がないでしょうか。
5、本市には、動物愛護推進協議会のほかにも積極的に啓発や保護活動をしている団体が複数あり、今後は、このような団体と情報を共有するとともに、それらの団体への活動を支援していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
1から4までは健康福祉局長に、5を大西市長にお尋ねいたします。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 地域猫適正管理推進事業に対する御質問に順次お答えいたします。
本市では、令和3年度から2年間のモデル事業として、地域の合意の下に地域猫活動を行う自治会に対し、不妊去勢手術費用の助成を行うこととしております。
まず、野良猫の実態につきましては、猫が昼間は目につかない場所にいることや、また、見知らぬ人が来ると隠れてしまうことなどから、生息状況の調査が難しいため、これまでは全市的な調査を行っておりませんでしたが、この事業を通しまして、自治会により、活動地域内の実態調査を行っていただくこととしております。
次に、モデル事業につきましては、今回2つの自治会から御応募があり、野良猫による困り事を解決するという事業の趣旨を理解し、自主自立の活動ができることなどを確認した上で、両自治会をモデル地区として決定したところでございます。
また、住民の方々からは、野良猫の問題を解決するに当たって、不妊去勢手術の費用負担が課題であることから、手術費用の助成はありがたいという御意見がある一方、地域住民全体の合意を得ることが難しいとの御意見もございます。
次に、地域猫活動の普及啓発につきましては、チラシを新たに作成し、普及啓発を行い、また、活動の様子やモデル事業での成果を含めて、ホームページや市政だより、ラジオなど、様々な広報媒体を使って、地域猫活動を全市に広めてまいります。また、地域の合意形成のため、積極的に地域に出向き、住民の皆様方への働きかけを行っていきたいと考えております。
最後に、事業終了後の不妊去勢手術の費用負担につきましては、この事業で判明いたしました様々な課題や事業の成果とともに、議員御提案の手法も含めて、研究してまいりたいと考えております。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 動物愛護センターにおける犬猫の殺処分ゼロの取組など、本市の動物愛護行政に対し、これまでも動物愛護推進協議会をはじめ、様々な団体に御協力いただいてきたところでございます。
今年度から実施いたします2年間のモデル事業におきましても、積極的に啓発や保護活動をしておられる団体との連携協力は重要と考えておりまして、今後も引き続き情報共有等を行いながら、人と猫とが調和した快適な住環境の維持向上に取り組んでまいりたいと考えております。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 地域猫の現状は、地域猫と野良猫はイコールと考えている人がほとんどで、地域猫活動の考え方がまだまだ普及していないと思います。地域からは住民の合意形成が難しいとの意見があったそうですが、いかにこの地域猫活動のことを住民へ普及啓発していくかがこの活動の肝であります。
また、不妊去勢手術の資金調達の方法としては、様々な可能性を御検討ください。民間団体との連携協力の中で新たな可能性も生まれてくると考えます。
最後に、大西市長が陣頭に立つことにより、地域猫活動は大きな波が起きます。動物愛護の都市・熊本のアピールを全国に発信していくためにも何とぞよろしくお願いいたします。
最後に、市営団地についてお尋ねいたします。
北区の新地団地は、戸数1,128戸、延べ床面積は約8万6,000平方メートルで、本市での巨大団地の一つであり、くまもとアートポリス構想に基づき建築がなされた団地です。アートポリス構想の中で建築された新地団地の中でA棟が一番古くなっていますが、それでも完成から30年で、その他の棟は26年から29年となっています。現在、新地団地は、今年の3月末時点は入居率は79.2%しかなく、市営住宅の平均入居率は86.2%で約14ポイント低い状況となっています。令和3年4月末時点で空き室は307戸あり、そのうち、募集用は80戸、未修繕は206戸、その他は21戸となっており、空き室のうち未修繕の割合が非常に高くなっております。近年の入居率を見てみると、平成30年では77.9%、平成31年では75.0%であり、令和2年度末は72.9%なので、年々減少してきています。
そこで、問題となってくるのが市営団地の共益費です。市営団地は、そこに住む住民に維持管理が委ねられており、その財源は住民の皆様からの共益費で成り立っております。新地団地の共益費は、1戸当たり月1,000円、年間1万2,000円であり、入居率100%の場合と比べて、年間約370万円、市営団地の平均入居率の場合でも、約200万円収入が減少することになります。基本的に団地の維持管理は固定費であり、巨大な団地で土地が広いため、管理費用がさらにかかります。住民の皆さんは、例えばこれまで毎年やっていた清掃作業を2年に1回とするなど、清掃ペースを落とし、対応してきました。また、新たな入居者が少ないため、新地団地の高齢化が進んできており、団地の維持管理にも支障が及んできているのが現状です。コミュニティを維持していくことに大変苦労なさっています。同様な状態の団地がほかにもあると聞いております。
入居率の向上は喫緊の課題であり、このまま入居率が上がらず、下がっていく状態が続いていくならば、団地の維持管理にさらなる支障が生じてくることが予想され、抜本的な対策が必要になると考えます。さらに、入居率の低下は住民に責任がありません。
そこで、都市建設局長に5点、お尋ねいたします。
1、令和3年5月に市営団地の申込みがありましたが、新地団地の最近の申込み状況と成約状況、募集状況はどのようになっているのでしょうか。
2、新地団地の入居率については、他の市営団地の入居率と比較しても低い状況にありますが、このように市営団地の入居率が年々低下している原因とその影響について、どのようにお考えでしょうか。
3、入居率向上のために現在検討している短期的方法と長期的方法をお答えください。
4、市営団地の目的外での活用も資産マネジメントにおいて重要と考えます。現在の市営団地の目的外使用が可能な場合の使用方法についてお答えください。今後検討されている市営団地の目的外使用はありますか。
5、人気がないところは、様々な対応を行ったとしても入居率が改善されない可能性もあります。その場合、共益費を補助する基準を考えておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 市営団地に関するお尋ねについてお答えいたします。
まず、本年1月と5月に実施いたしました定期募集における新地団地の申込みと成約状況についてでございますが、1月が募集戸数27戸に対し、2次募集も含め10件の成約、5月は、募集戸数3戸に対し、昨日6月10日の2次募集期限までに2戸の応募があっているところでございます。
次に、市営団地の入居率低下につきましては、近年の申込み状況といたしまして、比較的新しい市営住宅のほか、申込み世帯が高齢化していることもあり、バリアフリー設備が整っている住宅や低層階の部屋は競争率が高く、エレベーターのない住宅の高層階などへは特に入居希望者が少なく、空室が埋まりにくい状況でございます。
また、申込み世帯の状況も単身世帯が増加傾向にあり、ファミリー層向けの仕様が多い市営住宅には、入居可能な部屋が少ないなど、市営住宅へのニーズの変化にマッチしていない面もあり、共益費の負担増などの影響を及ぼすものと認識しております。
次に、入居率向上の方法につきましては、これまでの段差解消や手すりの設置といったバリアフリー化や、居住性向上を目的とした浴室改修等を実施していきますとともに、若年層や単身世帯への入居要件の緩和や募集方法の在り方などについても検討を進めているところでございます。また、老朽化した団地の建て替えに際しては、ニーズの変化に対応できる整備を考えております。
次に、目的外使用についてでございますが、現在、留学生、ドメスティックバイオレンス、いわゆるDVや犯罪の被害者、緊急経済対策、令和2年7月豪雨による被災者につきまして、入居の取扱いを定め、運用しているところでございます。また、本年3月に国から通知がございました住まいに困窮する者の自立支援のための公営住宅の使用につきましても、住宅確保要配慮者に対し、住宅の情報提供等の事業を実施しております居住支援協議会と協議を進めているところでございます。
最後に、共益費につきましては、入居率の低下が入居者の負担増につながっている市営団地もありますことから、入居率向上に向けた取組を積極的に進め、負担増とならないよう努めてまいります。
〔8番 伊藤和仁議員 登壇〕
◆伊藤和仁 議員 入居率の向上のため、短期的には、若年層や単身世帯への入居要件の緩和や募集方法の見直し、長期的には、老朽化した団地はニーズの変化に対応できる建て替えを検討されているとのことです。さらに、市営団地の目的外使用も含めて、市営団地の入居率の向上を何とぞよろしくお願いいたします。
ただし、新地団地のように募集しても定員割れを起こしているところは、今後も入居率がさらに下がっていくことが予想されます。なおかつ、まだ建築され、30年しかたっていないので建て替えることもできません。これから人口減少や少子高齢社会を迎えるに当たり、入居率向上のために様々な対策を講じても厳しい団地も存在すると思います。その場合の共益費の在り方など、今からぜひ議論を行っていただきたいと思います。
準備した一般質問は以上となります。
最後に、一言要望させていただきたいと思います。
先日、大学生の代表と話をする機会がありました。昨年から始まった
新型コロナウイルス感染症の影響で大学生の生活が一変しました。特に一番影響を受けているのは、昨年4月に入学した学生です。具体的には、アルバイトなどで生活費を稼いでいた学生は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置でアルバイト先がなくなり、生活に困窮する学生が出てきています。授業は再びオンライン授業となり、通信料金の負担が上がっています。また、学生同士、話をする機会もなくなり、孤立化しています。本市は、県内の大学のほとんどが集中しており、大学生も市民の一人であり、今こそ大学生の実情にさらに目を向けていってもらいたいと思います。
そこで、大学生に対する通信費等の支援と大学生の現状を知る上でも、我々公明党青年局でもやっておりますが、大学生とどんどん語ろうの開催を要望させていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、一般質問を終了させていただきます。平日の午前中という大変お忙しい中、傍聴においでいただいた皆様、そして、インターネットで見ていただいた市民の皆様に心より感謝申し上げます。市民の皆様が少しでも早く日常の生活が取り戻せるよう、これからもしっかり頑張ってまいります。本当にありがとうございました。(拍手)
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○園川良二 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時06分 休憩
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午後 1時59分 再開
○原口亮志 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○原口亮志 議長 一般質問を続行いたします。
島津哲也議員の発言を許します。島津哲也議員。
〔6番 島津哲也議員 登壇 拍手〕
◆島津哲也 議員 皆さん、こんにちは。
市民連合の島津哲也でございます。
市議会議員になって3度目の一般質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員の皆様、誠に感謝申し上げます。
まずは、新型コロナウイルスに感染され、お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、治療を受けられている皆様にお見舞い申し上げます。
また、昨年の第3回定例会で一般質問をしました熊本西環状道路工事に伴う地盤沈下の申出につきましては、お困りになられている住民の皆様に対し、大西市長はじめ担当部署の方々が早急かつ真摯な対応で取り組んでいただき、今年4月7日に当該工事が地盤沈下の原因であるということが確認されました。原因を追求できたことは、住民の皆様の不安解消になったと御意見をいただいており、池上校区自治協議会の事務局長の立場もございますので、この場をお借りしまして、心からお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
今後も補償問題や道路工事の進め方など、慎重な対応がありますが、住民の皆様の声をしっかり聞いていただき、引き続き真摯かつ丁寧な対応をお願いいたします。
現在は、
新型コロナウイルス感染症の問題が本市の重要課題と感じておりますが、たくさんの議員の皆様が質問されておりますので、私からは、地域の課題と教育現場の問題に絞って、質問させていただきます。
本日も予定どおり、かなり緊張しておりますが、最後まで精一杯頑張ってまいりますので温かく見守っていただくようにお願い申し上げ、早速でありますが質問通告に沿って、質問に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
まずは、地域の課題であります鳥獣対策でございます。
この内容は、昨年の第3回定例会でも一般質問させていただき、農作物への多大なる被害だけではなく、子供たちの通学路にもイノシシが出没しているということから、住民の安全確保をお願いしたい旨を説明し、担当部署である農水局長から、出没情報による警察の巡回の強化や行政による箱わな設置の取組など、丁寧な御説明をいただきました。また、答弁の中で、行政だけで対応するには限界があるため、地域自治会の協力をお願いしたいという言葉をいただきました。
地域の安全を守るために何か取り組むことはできないかと地域の皆さんと話し合った結果、狩猟免許を取得することになりました。私も一般質問をしましたので、まずは自分が先人とならなければならないと思い、昨年の12月、第4回の定例会中ではございましたけれども、合間の時間を利用して勉強に励み、12月6日の試験に無事合格することができました。
合格通知を頂き、その後の手続を進めようと思いましたが、郵送物には説明資料など入っておらず、インターネットで調べましたがどうすればいいか分かりませんでしたので、登録元である県庁へお尋ねしました。県への狩猟登録が必要で資料を頂いたのですが、狩猟を行うためにはハンター保険に加入しなければならないという旨の説明がありました。提出資料を基に準備していたのですが、加入しなければならないハンター保険は、どこの保険会社へ聞いても個人では加入ができないと言われ、団体加入であれば受け付けるとの説明を受けました。保険加入ができない場合、3,000万円の資産証明の提出が必要となりますが、そのようなときに地域のメンバーから、熊本県猟友会の情報が入り、猟友会に入れば、ハンター保険へ加入できるのではないかと提案され、熊本県猟友会の西部支部へ問い合わせしたところ、すぐに猟友会加入の手続を行い、ハンター保険に加入することができました。約4か月の間、悩んだのは何だったのか、笑うしかありませんでした。
狩猟免許の講習会や試験は熊本県庁の管轄かと思いますが、今後、各自治会への協力依頼を行うのであれば、本市でも狩猟免許に対する支援や手続のサポートが必要と考えますが、いかがでしょうか。農水局長に御答弁をお願いします。
〔岩瀬勝二農水局長 登壇〕
◎岩瀬勝二 農水局長 狩猟免許取得に係る支援につきましては、これまで本市在住の農業者の方々を対象に、わな猟免許を取得する場合に限り、申請手数料や医師の診断書料など、2万7,000円を上限に補助してきておるところでございます。
このような中、近年住宅地でのイノシシの出没が増加しており、自治会等と連携した対策を講じていく必要がありますことから、今年度から新たに鳥獣対策事業に取り組む自治会等の加入者に対しましても免許取得に係る支援を行う予定としております。
また、狩猟免許新規取得者への手続のサポートにつきましては、免許取得後の有害鳥獣の捕獲に関する手続等を分かりやすく説明したチラシを作成し配布するなど、丁寧に行ってまいります。
〔6番 島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 御答弁ありがとうございました。
もうすぐ今年度の取得試験も始まりますので、新規取得手続のサポートのチラシ作成、早急な対応をお願いいたします。
また、わな猟の免許の取得のときの申請料や講習料は、答弁にもありましたとおり約3万円ほどかかります、結構な負担でございます。地域駆除隊の申請をする上でも、2名が狩猟免許を持っていることが条件に挙げられておりますので、その辺の金銭的な支援ができると非常に助かると思いますので、チラシ同様、早急な対応をお願いいたします。
それでは、2点目の質問に移ります。
先ほど答弁内容にもありましたとおり、以前から農作物の多大なる被害が発生していることから、農家及び農区の皆さんへ支援されているのは十分理解しております。昨年の一般質問後、鳥獣対策室より、有害鳥獣地域駆除隊事業を紹介していただきました。私自身、非常にうれしくなり、地域のメンバーと相談して、上高橋地域駆除隊を結成し、事業申請いたしました。その節は誠にお世話になりました。私も狩猟免許を取得してから、農家の皆さんや狩猟経験のある方と話し、一緒に箱わなを仕掛けることでいろんな取組が理解できるし、知識を取得していくことができております。箱わなを設置し、餌を入れておくだけで、イノシシが簡単に捕獲できるわけではありません。イノシシなどの鳥獣の動向を確認し、通り道にまき餌をしながら、箱わなの設置場所を検討していく。やっていくうちに狩猟の奥深さを実感しております。
今年の4月から地域駆除隊として活動をスタートしましたが、本市からの補助は上限が8万円でございます。使用用途もわなを仕掛けるときの餌代、鳥獣捕獲をするときの銃の弾代、わな設置に伴う第三者への保険代に利用することができます。地域駆除隊で活動する上で一番必要なのは箱わなですが、1個購入するに当たり、7万円から8万円します。複数購入するとなると、自治会の費用負担も結構大きなものになります。
私たちの駆除隊メンバーには農業者もいますので、何か補助金はないのかと調べてみたところ、熊本市夢と活力ある農業推進事業というものがありました。事業の補助項目としては多数あり、鳥獣対策のわな関係では、金額30万円を上限に3分の2を補助するというものでした。申請資料を拝見したのですが、資料もたくさんあり、初心者ではなかなかすぐに理解できるものではありませんでした。また、提出期間が4月の1か月間という短い期間でございましたので、今回は断念することにいたしました。確かに補助金の申請なのでしっかり審査体制が重要だというふうには思いますが、農業者が受けている被害状況や苦労も御理解いただき、少しでも申請の簡素化を御検討いただけないでしょうか。また、補助金の申請の簡素化が難しい場合に、今回新設しました駆除隊への補助金を増額していただき、使用用途を柔軟にしていただくことができないでしょうか。また、補助金の増額も難しい場合、本市で保有している箱わなの貸出しをしていただくことはできないでしょうか。
以上、農水局長に御答弁をお願いいたします。
〔岩瀬勝二農水局長 登壇〕
◎岩瀬勝二 農水局長 本市では、市全域の有害鳥獣捕獲活動を担う熊本市有害鳥獣駆除隊に加え、捕獲作業のさらなる効率化を推進するため、令和元年度から、地域の居住者で組織された地域駆除隊による捕獲活動が行われているところでございます。
御質問の地域駆除隊への支援に関しましては、今年度から、鳥獣対策事業に取り組む自治会等に対し、箱わなの貸与を行う予定としております。また、そのほかの支援についても、どのような支援が効果的な駆除活動につながるか、関係団体等の意見をお伺いしながら検討してまいります。
〔6番 島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 御答弁ありがとうございました。
現在、箱わなを1個購入して、次は、メンバーに溶接技術者がおりますので、手作りしようかと検討していたところなので、箱わなの貸出しは地域駆除隊にとって、非常にありがたい支援になります。
今年度に入り、上高橋駆除隊として活動を開始してから、既にうり坊を含めて3頭の捕獲をしており、箱わなを増設することでさらなる活動拡大を行っていきたいと考えております。鳥獣対策室の引き続きの御指導、御支援をお願い申し上げ、次の質問に移りたいと思います。
次は、市立高等学校・専門学校改革についてでございます。
市立高等学校・専門学校の改革につきましては、一昨年から改革検討委員会を開催スタートし、全4回、市立高校及び専門学校の現状と課題、改革への方向性、人材育成について論議をされてきました。私は、熊本市立商業高等学校、現在の千原台高校のOBでございますので、一昨年から、第3回定例会でも質問させていただき、現在の市立高等学校・専門学校改革の検討につきましては、都度確認しているところでございます。
今年の2月に市立高等学校・専門学校改革基本計画の素案を作成し、4月の末ぐらいでパブリックコメントなどを御意見としていただいているというのをお聞きしております。私も基本計画の素案資料をじっくり拝見させていただきました。熊本市教育振興基本計画を踏まえ、新たな時代に対応した魅力ある
学校づくりを目的に、自ら考え、主体的に行動し、多様な人々と協働しながら、自らの人生とよりよい社会を創造する力を育てる学校へ改革するという、すばらしい基本理念が掲げてありました。今後さらなる少子化時代へ突入する上で、選ばれる
学校づくりをしなければならないということが強く伝わってまいりました。
しかし、改革内容の中で多少疑問に感じることが数点ありましたので、御質問させていただきます。
まずは、必由館高校への附属中学校の設置でございます。現在は、熊本大学附属中学校や各私立高校には附属中学校が設置されております。私立の学校は、それぞれのブランド力を大いに発揮して、うまく運用されているように感じております。
公立中高一貫につきましては、八代、宇土、玉名の3校が取り組んでおりますが、新設時期に比べて、受験率や学力が向上していないという意見も耳にします。また、中学校までの通学に時間がかかるということもマイナス意見として上がっております。
必由館高校への附属中学校設置で魅力ある学科コースや通学の時間など、問題はどのように予想されておりますでしょうか。
教育長に御答弁をお願いいたします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 必由館高校については、グローバル・リーダーの育成に取り組む学校と位置づけ、探究的な学びとグローバル教育を系統的に実施するため、新たに附属中学校を設置する案をお示ししております。中学校段階から国際的な視野と課題意識を持った生徒を育成し、高校での探究学習のリーダーとすることで、高校段階における学校全体の学びの向上を図るほか、先進的な学習や指導方法等、得られた成果について、市内の中学校へ広く普及させることを目的としております。
一方で、附属中学校の生徒について、通学に多くの時間がかかることは安全面で課題があるため、他の附属中学校の事例も参考に、公共の交通機関を利用して、60分以内に通えることを入学条件とすること等を検討しております。
少人数クラス編成による探究的な学びを推進し、生徒が主体的に
学校づくりに参画する市立ならではの魅力ある
学校づくりを進め、今後の少子化時代におけるモデルケースとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。
必由館高校に係る改革については、教職員、生徒、同窓会より要望等をいただいていることから、改革の意義、方向性等について御意見を伺いながら、引き続き計画策定に向けた協議を行ってまいりたいと考えております。
〔6番 島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 御答弁ありがとうございました。
探究的な学びとグローバル教育に力を入れ、国際的な視野と課題意識を持った生徒を育成していくという方向性は理解できましたが、その他の中学校との大きな違いは何なのかというのがよく分かりませんでした。新設当初は恐らく受験者も多いと思われますが、数年たったときに定員割れにならないように、魅力ある附属中学校の検討をお願いいたします。
続きまして、各学校のコース設定について質問いたします。
市立高等学校・専門学校ともに現在の学科を変更し、新たな学科を検討されております。私が熊本市立商業へ通っているときは、商業科と情報処理科の2科しかありませんでしたが、珠算や簿記など、会計業務に欠かせない知識や商業マーケティングや経済状況の把握など、社会へ出る上で何かと役に立つ能力を身につけたことができたと感じているところでございます。
そのような知識や能力を生かして、県内外の企業へ就職したり、大学へ進学したりしますが、新たな学科コースを新設することで受験者が増えるのはうれしいことではありますが、企業や大学とのつながりがなくなるのは悲しいというふうに思っております。そのようなことも学校の教職員への聞き取りや意見交換などはされておりますでしょうか。
教育長へ、御答弁をお願いいたします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 企業や大学とのつながりについて、特に千原台高校についてお答えいたします。
千原台高校については、情報やビジネス、スポーツに関するスペシャリストの育成に取り組む学校と位置づけ、地域の産業やコミュニティと密接に関わり、地域の課題解決や活性化に貢献することを目指しております。これまで行ってきた資格取得への取組や企業や大学とのつながりは生かしつつ、インターンシップ等の体験学習及び探究学習をさらに充実させ、系統的なキャリア教育を実施することで、高い専門性を有し、地域を支える人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
また、教職員への聞き取りや意見交換については、令和元年度以降、ワークショップや基本計画策定に係る会議への参加、各校への個別訪問等により行っております。さらに本年度には、教育委員会事務局内に改革推進に係る検討会議を設け、全体の統括に校長が参画しているほか、教育課程や選抜等に係る専門部会に教頭や進路・教務担当の教職員が参加し検討を進めております。
〔6番 島津哲也議員 登壇〕
◆島津哲也 議員 御答弁ありがとうございました。
コース設定の見直しにつきましては、これまでの資格取得の取組、企業や大学のつながりを生かしていただけるとの答弁、また、校長や教頭及び進路・教務担当の教職員が参加し、検討会議や専門部会を開催されているとお聞きしましたので、少し安心いたしました。
今後も現場の意見や要望を大切に、よき方向で検討いただくことをお願いいたします。
3点目は、ビジネス専門学校についてでございます。
ビジネス専門学校は、全国でも2校しかない、公立のビジネス系の専門学校ですが、県内の専門学校ランキングなどを見ても、なかなか上位に学校名が挙がってこない状況でございます。
今回の改革内容を見ると、起業家育成を柱に、新たな時代に対応したビジネス教育を行う
学校づくりに取り組むという記載がありました。起業家育成とは、今までにない学科コースで魅力はありますが、専門学校2年間で知識を取得するということを果たしてできるのかが疑問です。相当な時間数とカリキュラムになりそうですが、現時点でのお考えを教えていただけないでしょうか。
教育長、御答弁お願いいたします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 ビジネス専門学校においては、起業家育成を柱に新たな時代に対応したビジネス教育を行う学校と位置づけ、これまで行ってきた資格取得に加え、起業するに当たり必要なマーケティングや会社法等の関連法令に関する学習、起業家や地元企業と連携した探究的な演習等を行うこととしております。
カリキュラムの時間数については、現在検討中ですが、2年間で約1,900単位時間を考えております。これは、現行とほぼ同程度の単位時間数ですが、文部科学省が示す卒業要件の1,700単位時間と比較すると、約200単位時間多い編成となっております。