熊本市議会 > 2020-11-02 >
令和 2年11月 2日庁舎整備に関する特別委員会-11月02日-01号
令和 2年11月 2日庁舎整備に関する特別委員会−11月02日-01号

  • "阪上浩二"(/)
ツイート シェア
  1. 熊本市議会 2020-11-02
    令和 2年11月 2日庁舎整備に関する特別委員会−11月02日-01号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-06-29
    令和 2年11月 2日庁舎整備に関する特別委員会-11月02日-01号令和 2年11月 2日庁舎整備に関する特別委員会            庁舎整備に関する特別委員会会議録 開催年月日   令和2年11月2日(月) 開催場所    予算決算委員会室 出席委員    12名         澤 田 昌 作 委員長    浜 田 大 介 副委員長         齊 藤   博 委員     日 隈   忍 委員         高 本 一 臣 委員     西 岡 誠 也 委員         藤 永   弘 委員     寺 本 義 勝 委員         村 上   博 委員     田 尻 善 裕 委員         落 水 清 弘 委員     上 野 美恵子 委員 議題・協議事項   (1)調査事項      本庁舎に求められる機能と在り方及びこれに係る諸問題に関する調査                             午後 1時00分 開会 ○澤田昌作 委員長  ただいまから庁舎整備に関する特別委員会を開きます。
     本日は、執行部より、本庁舎の耐震性能に関するこれまでの検討経緯及び「本庁舎の基礎杭及び地下連続壁の効果等に関する耐震性能検証業務」における参考人からの最終報告書の説明を聴取するため、お集まりをいただきました。  それでは、調査の方法についてお諮りいたします。  調査の方法としては、まず執行部より資料の説明の後、参考人より最終報告書の説明を聴取し、参考人に対する質疑を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。         (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○澤田昌作 委員長  御異議なしと認め、そのように執り行います。  それでは、執行部の説明を求めます。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  私のほうから資料1、これまでの本庁舎の耐震性能に関する検討経緯について御説明を申し上げます。  裏面の2ページ目でございます。  まず、平成29年度でございます。築35年経過し、設備の老朽化が進行する本庁舎につきまして長寿命化耐震性能の調査を実施したものでございます。  そして、平成30年度でございます。当時、公共施設マネジメント調査特別委員会におきまして、6月に「現行の耐震性能を満足せず、補強も実現困難」という調査結果を公表させていただきました。それに合わせて対応しようとして、「設備のみ改修」、「移転建替え」、「現地建替え」のシミュレーションを提示したものでございます。その後4名の学識経験者の方々から「調査結果は概ね妥当」という見解を得て、そのことについて9月に報告させていただいております。  次に、令和元年度でございます。市議会において、本件に特化した、この庁舎整備に関する特別委員会を設置いただきまして、その特別委員会において2人の学識経験者を参考人として招致したところでございます。左側の青塗りの欄に記載しておりますが、まず1人目で齋藤参考人でございます。その見解としては、調査結果は2度の熊本地震に耐えた本庁舎の実態と矛盾している。地下連続壁の効果や杭の密集効果を加味すれば耐震性能を満足できるといった御見解でございました。  その右側にもう1人の高橋参考人でございますが、熊本地震は益城町が震源で、過去の地震に耐えたことが将来的リスクを回避したことにはならない。本庁舎は現行の耐震性能を満たしておらず、平成29年度の調査結果は妥当といった御見解でございました。  次に、その下の青塗りの欄に記載してございます。この特別委員会の中で御議論いただく中で、齋藤参考人の見解である2点について定量的に解析することを目的に調査委託を実施したものでございます。  まず、①でございますが、本庁舎の地下を囲んでいる連続壁について、本庁舎の耐震性能に効果があるかということ、それから次に②でございますけれども、本庁舎の地下に大口径の基礎杭が密集して施工されていることで、本庁舎の耐震性能に効果があるかということでございました。  なお、括弧書きで記載をさせていただいておりますが、この調査においては公募型プロポーザルの段階で齋藤さん公認の資料等を広く公開し、それを踏まえた上で、この本庁舎を設計した株式会社山下設計さんの独自提案を含めて、解析を行ったものでございます。  一番下の欄でございますが、令和2年度になりまして、5月の熊本市議会新型コロナウイルス感染症対策会議において、市長のほうから議論を一旦中断することを表明させていただいております。そして、6月の特別委員会においてそのことを報告させていただいております。そして、前回の9月の特別委員会におきまして、私から調査の結果の速報をお伝えさせていただいております。地下連続壁の効果や杭の密集効果を加味しても、本庁舎は耐震性能が不足するという結果が判明したところでございます。  この後、株式会社山下設計の担当者の方から、報告書について直接御説明をいただくものでございます。  私からの説明は以上でございます。 ○澤田昌作 委員長  以上で説明は終わりました。  次に、参考人からの最終報告書の説明を聴取いたします。  参考人におかれましては、大変御多忙の中、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしましてお礼を申し上げますとともに、簡潔な説明をどうぞよろしくお願いいたします。 ◎阪上浩二 参考人  山下設計の阪上です。  本日はよろしくお願いいたします。  それでは、本庁舎の基礎杭並びに地下連続壁の効果等に関する耐震性能…… ○澤田昌作 委員長  阪上参考人、着座でどうぞ。 ◎阪上浩二 参考人  失礼させていただきます。  検証業務の報告をさせていただきます。  お手元のA4の資料、こちらの資料になりますが、こちらの資料に基づいて御説明させていただきます。  資料のページをめくっていただきまして、まず第1章、検証概要になります。もう1枚めくっていただきまして、1.1に目的を示してございます。本庁舎が現行の建築基準法が定める耐震性能を有しておらず、改修が困難であるという報告が「平成29年度本庁舎整備計画作成業務委託」によってなされました。この調査結果に対する「庁舎整備に関する特別委員会」に招致された参考人、以下参考人と称しますけれども、の意見を踏まえまして、本業務におきましては、基礎杭の密集効果地下連続壁に関する定量的な算出を試みることで、あらためて耐震性能を検証することを目的としてございます。  そして、本日の資料並びに説明の進行でございますが、右下にありますこのページでいきますと、3と書いてありますのが資料のページでございますので、こちらのページで進行させていただきます。  それから右上に鍵括弧の中で例えばPの1の1と青字で書いてある数字がございますが、こちらはお手元にございます報告書のページでございますので、もし資料等分からないとか、報告書のほう確認したいということがございましたら、こちらのページを御参照になって、私の説明並びに報告書を見ながら御説明を聞いていただきたいと思います。  それでは、1ページめくっていただきまして、4ページ目になります。  検証項目になりますが、(1)から(5)まで5項目載せてございます。難しい言葉をいろいろ載せてございますが、まず1つ目の検証項目といたしましては、先ほどの参考人からございました、杭の密集効果を考慮するために、難しい解析ではございますが、杭・建物と地盤、これらの3つを同時に解析する連性解析という高度な解析がございまして、こちらの解析をすることによって、密集効果というものを考慮していこうと。  それから、2つ目、3つ目の項目になりますが、先ほどの参考人の意見にもありました地下連続壁による低減効果はないかということで、2つ目の効果としては、地震時に地盤が変位することによって生じる応力の低減効果はないか。3つ目が地震時に杭に作用する地震力、水平力、水平方向の力の低減効果はないか、これらの項目を検証いたしました。  それから、4つ目、こちらは弊社からの独自の提案でございますが、熊本地震という大きな地震を受けてございますので、地下連続壁内の地盤の状況が建設した当時、それから平成29年度におきましても敷地内の建物の外で調査されておりますので、そのときの調査、それらと変わりがないか、こういったものを調査するために地盤調査を追加させていただきました。これらの1から4つの項目を総合的に判断いたしまして得られた結果に基づき、基礎杭の耐震性能の評価、杭の安全性の再確認というものを行ってまいりました。  次に、5ページ目になります。  検討方法クライテリアになります。クライテリアというのは一般的に聞き慣れない言葉でございますが、設計目標値もしくは基準というような意味合いで捉えていただければいいと思います。  まず1つ目が、地中連続壁による地震力の低減効果はないかということを検討いたしました。ここで地下連続壁並びに地中連続壁という2つの言葉が出てまいりますが、これはいずれも同じ内容でございまして、地下連続壁という表現は、本建物を設計する上で、構造図、設計図書があるんですけれども、その中に書かれていた表現で地下連続壁というものがございます。それから地中連続壁というのは、その後一般的に世間で使う言葉が地中連続壁に変わりましたので、最近では地中連続壁という表現をしてございまして、本レポートにおきましては地中連続壁という一般的な名称で報告書をまとめさせていただいております。  それで、地中連続壁に大地震時、この前ありましたような熊本地震のような大きな地震から求められます地盤の変形を作用させて、地中連続壁の安全性を確認いたしました。この作用させた応力に対して地中連続壁の安全性が確認されれば、大地震時におきましても地中連続壁は抵抗できる要素があると、いわゆる低減効果があると、それでも、もしくは地中連続壁がこれでダメージを受けて壊れてしまうような症状があれば、地中連続壁による低減効果はないという判断をするために、まず低減効果の検証をさせていただいております。  それから、6ページ目になりますが、2つ目の検討項目といたしまして、建物と地盤の動的相互作用を考慮した時刻歴応答解析を行ってございます。非常に難しい言葉が並んでおりますが、簡単に説明いたしますと、地震というものは地盤が揺れて建物を揺すります。それから、実際に揺れた建物は今度は逆に地盤を揺すっていきます。いわゆる作用反作用の法則になりますが、そういった効果があるので、建物と地盤の同時に解析を行いまして、それらのお互いの相互作用を考慮するという非常に高度な解析でございますが、それをすることによって低減効果は出せないかというのを探ってきました。  本検討におきましては、平成29年度の耐震安全性検証低減効果を目的としてございますので、大地震時のレベル2告示波を検討用地震動として検討してまいってございます。  次に、7ページ目になります。  設計クライテリアです。先ほど申しました設計の安全と判断する判断基準でございます。上部構造層間変形の100分の1以下、それから杭に関しては鉛直力支持能力を失わないという、こういった目標値を設定してございます。  上部構造層間変形角の100分の1というものにつきましては、平成29年度の耐震安全検証を基に設計させていただいております。それから杭の鉛直支持能力を失わないという表現は、こちらの内容といたしましては、平成29年の報告書と同じでございますが、昨年末に日本建築学会建築基礎構造設計指針というものが新しく改定されまして、私ども建築設計士が建物の基礎を設計する上でのバイブルとなります基準書でございますが、この中に大地震時の目標性能としてこういった鉛直支持能力という表現もございますので、そちらを使わせていただいております。表現は少し変わっておりますが、平成29年度との判定基準は同じでございます。  以上が検討方法でございます。  8ページ目になります。  こちらからが第2章ということで、地盤調査の結果になります。  9ページ目です。  まず、今回調査いたしましたのは、ボーリング調査26メートル、要は地中を26メートル掘ってございます。それから、標準貫入試験ということで、設計で用いますN値という言葉があるんですけれども、そのN値というデータを取るために試験を21回行ってございます。1メートルごとに21メートル行ってございます。それから難しい言葉が出てきておりますが、弾性波速度検層PS検層という言葉、PS検層21メートルやってございます。このPS検層というのは地震波の地中での伝搬の伝わりやすさを測定するものでございまして、PS検層から得られる値といたしましては、Vp、VsというP波の伝達速度、それからS波の伝達速度、こういったものを得ることができます。P波というのは小学校とか中学校で地震の授業で出てきておりますが、初期微動です。主要動が来る前の初期波、非常に伝搬速度が速い、縦波でございます。それからS波というのは主要動になりまして、建物を大きく揺さぶる横波、これの伝搬速度を測ることで地盤の固さを評価しようというものがPS検層になります。それを1メートル単位で21メートル行ってございます。  10ページに調査位置を載せてございます。本報告書におきましては、2-4ページに同じような絵を載せてございますが、報告書の絵でいきますと、ちょっと建物のイメージ調査位置と建物の関係が少し分かりにくい関係となってございましたので、少し加筆させていただきました。議会棟並びに行政棟の位置をプロットさせていただきまして、今回の調査、それから過去のデータでポイントとなりますボーリング3地点を載せてございます。今回調査いたしましたのは行政棟の駐車場側裏側にあります花壇の後ろにあります、ドライエリアと呼ばれます地下深くまでつながっている煙突状の空間がございます。この中にボーリングマシーンを下ろしまして、そこで調査させていただきました。  目的といたしましては、連壁内の地盤の調査をすることになりますので、ぎりぎりでございますが、この位置が連壁の中で唯一本建物で調査できる位置でございましたので、こちらの位置で調査させていただいております。  建物全部回りましたけれども、残念ながら、いろいろな配管とか設備機器がございまして、この位置でしか調査することができませんでした。右上の青いものを今回調査しましたので、R01という番号を振らせていただいております。  それから行政棟の中央でございますが、建物中央部に昭和53年の№6というボーリングがございます。それから大きく左に行きまして、議会棟から離れたところ、そこで平成29年度の調査行われておりまして、これらの3本のデータから総合的に判断させていただいてございます。  調査結果の説明でございますが、11ページからになります。  結果の報告になりますが、地層構成には3本のボーリングを見比べても大きな差異はありませんでした。それから、地盤上層に関しましては、計測機器、そういったものの進歩もございますので、地盤上層に関しては令和2年のものを基本的に使用し、不足するデータに関しては昭和53年並びに平成29年のものを補足して使っていこうという判断をいたしました。  それから、大きな目的でありました熊本地震による影響はあったかということでございますが、これは見られなかったという判断をさせていただいております。その見られなかったという判断をさせていただいた基準になりますが、12ページを御覧ください。  カラーリングをしている絵が2本ございまして、そのうちの既存の№6という柱状図、こちらは昭和53年に高層棟直下、行政棟の直下で調査した結果になります。それから右側の№R01というものがこちら、今年の令和2年に調査した結果になります。大体同じ色が同じ深度に出てきておりまして、きれいなミルフィーユ状の層をなしてございます。これが地盤に影響がある場合は少しこれが乱れたり、N値と呼ばれます図の中にあります10とか20というところにぽつぽつと点を打っておりますが、その値が同じ色で大体同じ値を示してございますので、熊本地震による影響はなかったと判断させていただきました。  それから、右の表にございますPS検層結果でございます。こちらは、先ほど申しましたPS検層で得られますVsという値のまとめた結果でございますが、その表のS53というのが昭和53年の調査時に得られましたVs値の値になります。  上から、230、150、380、220、520という値が得られました。一番右側のR2というのが令和2年でございまして、同じように、200、270、160、370、360、490という値が出てきておりまして、大体同じレベルで昭和53年と令和2年比較していきますと、大体ニアリーイコールだと、若干数字が違うところはございますが、基本的には同じ値ということで、地震による影響はないと判断してございます。この中で、今回の検討におきましては令和2年の値を基本的には採用いたします。  その中で、一番上にございます180というものがございますが、こちらは平成29年の値を使っております。こちらは実は今回の調査位置が、先ほど申しましたように、ドライエリアということで、地中深くまで大きな穴が空いてございまして、地表面の地盤がありませんので、ここはちょっと調査できなかったので、平成29年の結果を採用させていただいております。  それから、下から2つ目の220という値になりますが、昭和53年では220で、令和2年では360という値が出てきてございまして、こちらは工学的に判断させていただきまして、昭和53年の220という値を採用させていただきました。この理由というのは、左の絵を見ていただきたいんですけれども、kiと呼ばれます少しラベンダーの薄い色です。薄紫色のところのN値の値を見ていただきたいんですけれども、既存ナンバーでいきますと、N値が10から25ぐらいの値のところにプロットがされております。一方、令和2年のR01というものは40ぐらいのところに値が出てきておりまして、同じ地盤の種類ではあるんですけれども、少し固さが違うと。いろいろ過去のデータを見ていきましたところ、過去の昭和50年から53年に調査されました地盤の中で、№2というデータがございまして、そちらの№2とこの令和2年データが似ておりまして、ここはこの位置では少し固い地盤が出てくるということが分かりました。それでこの固い地盤が出てくるんで、360という値を使ってもいいんですが、行政棟直下の正しい応答値を見るためには行政棟直下のデータを使うのが適切であるという判断をさせていただきまして、こちらに関しましては工学的に判断させていただきまして、220という昭和53年の値を使って解析してございます。  以上が、ボーリング調査の結果でございます。  続きまして13ページになりますが、地中連続壁耐震性能評価について説明させていただきます。  14ページ目になります。  まず、地中連続壁に期待される低減効果ということで、地盤変異低減効果というものを少し探っていきたいと思います。イメージがなかなかつかないと思われますので、簡単なポンチ絵を作成いたしました。こちらの資料につきましては報告書にはございません。  まず、14ページにありますように、地中連続壁がない場合で地盤の変異が杭に作用すると15ページ目にありますように、大きく杭が曲がります。これが曲がってNGですという判断が出たのが、平成29年の報告書の結果になります。これでは駄目で地中連続壁があるんだから、要は地盤変異低減効果があるだろうということで参考人の意見がございましたので、16ページ、17ページを見ていただきたいんですけれども、地中連続壁が杭の前にあるので、地盤変位をかけたときに地中連続壁が杭の横の土の変形を押さえて少しは効果があるだろうということで、17ページ目にありますように、地中連続壁の外の赤い変位を地中連続壁、グレーの壁が抑制してあげて、杭に作用する地震時の地盤の変位を抑制する。こういった効果が期待できるんではないかということで考える。そういった効果を考えました。  それから、次に期待される低減効果、その2:水平力でございますが、18ページ目を御覧ください。  地中連続壁がない場合、杭に作用する地震力というものは丸々100%杭に作用します。ところが地中連続壁があると、19ページを御覧ください。地震力を地中連続壁が少し負担してくれますので、杭に作用する地震力は低減できるのではないかと、こういった効果を期待して地中連続壁の検討を行ってございます。  それでは続きまして、20ページ目になります。  こちらからが地中連続壁の概要を少し説明させていただきます。  地中連続壁というのは非常に大規模建物に用いられます特殊な工法、部材でございますので、ちょっと造り方を含めて御説明したいと思います。  まず、20ページ目が建物外周部地中連続壁がありますということで、今回行政棟の高層部、それから低層部、ぐるっと一周、地中連続壁が回ってございます。その概要ですけれども、21ページでございまして、長さ19メートル、厚さ60センチでございます。21ページ目の右側に断面図載せてございますが、地下1階部、それから地下2階部も含めまして地下外壁の一部としても利用してございます。これが本建物の特徴でございます。ただ、厚さが60センチとなってございまして、現行の建物の設計におきまして、大体地中連続壁というのは大体1メートルから1.5メートルぐらいの厚みを持たせる設計が多うございますから、古い設計でございますので、少し薄いという感覚を持つような図面でございました。  続きまして、22ページでございます。  こちらは、地中連続壁の造り方になります。1から7に従って作業を進めていくんですが、まずかまぼこ板状に地中に穴を掘りまして、その中に鉄筋と呼ばれます鉄の棒を格子状に組んだ鉄筋籠を挿入いたします。それからコンクリートを打設しまして、まず1列目のコンクリートの打設が完了します。コンクリートが固まった段階でその横を、2列目を掘削いたしまして、5番、6番ということで鉄筋籠を挿入しながらコンクリートを打設するということで、順次横方向に伸ばしていきます。したがいまして、一遍に建物の長さを打てる工法ではございませんので、かまぼこ板のような短冊状のものを横に横にどんどん増設しながら打設していきます。  したがいまして、連続壁と言っていますが、どうしても壁のある一定の長さのところで継手が出てきます。それで、その継手の詳細を説明していますのが23ページでございます。  継手には2通りございまして、横方向のつながりを鉄筋で取る場合と鉄筋で取らない場合がございます。左の絵が鉄筋が継手の位置で切れてございますので、こちらはコンクリートのみで横方向の力を伝達させようということです。こちらの絵は先ほどの地中連続壁、こういうふうに短冊状になっているものを真横にばっさりと切った絵図でございます。丸いのが縦筋、横に長いものが横筋と呼ばれまして、横に長い棒が継ぎ手位置で切れておりますので、そのエレメントと申しますそのかまぼこ板状の1本ごとの応力を伝えるにはコンクリートのみで抵抗する工法です。こちらは本庁舎の工法でございます。  それから、横方向の力を鉄筋で伝達させる工法もございまして、こちらは水平筋重ね継手ありという工法でございまして、少し施行が難しいことがありまして、平成初期に大きく普及し始めた工法でございます。本庁舎におきましてはコンクリートのみで力を伝達する工法となってございます。  それを実証するのが、24ページ目の写真でございます。こちらは管財課さんより頂いたデータでございますが、昭和54年の7月21日の施工風景でございますが、壁の一つのコンクリートを打設する長さをエレメントと呼んでございますが、このエレメントの端っこに鉄筋が横筋が伸びてきてございませんで、きれいに完結しておりますので、重ね継手の痕跡は見られないということで、先ほどの1枚戻っていただいたページの、コンクリートのみで抵抗する継手であることを確認してございます。  25ページが、地中連続壁の要は抵抗の考え方になりますが、横方向に力をかけたときに、継手で、コンクリートだけで応力が伝達できれば地中連続壁はこういった1枚の大きな紙で抵抗ができると。ところが継手位置で鉄筋がないために、コンクリートで伝達できねばばらばらになってしまいますので、先ほど申しましたように、こういった細い状態でエレメントを打ってございますので、このエレメント一本一本で抵抗していくということで、少し抵抗の機構が変わってきますので、継手の位置並びに継手の応力伝達状態を把握するということは非常に大事でございます。  25ページ目の左の図が一体で抵抗できるということでしっかりと抵抗できる。要はこういった形で横方向にもしっかりと抵抗できる抵抗の仕方で、右側の絵が細いエレメント状になりますので、少し曲がりやすくなって、少し左の絵から比べますと、抵抗する能力が少し落ちるという抵抗の仕方になります。  どちらで抵抗するかという検証を、27ページから以降の解析で検証してございます。  27ページ目に解析モデルを示してございますが、こちらで少し資料の修正がございます。東西南北のちょっと方向を弊社のほうで勘違いしてございまして、少し資料の修正を行いたいと思います。まず北面と書いております面が東面でございまして、駐車場側の面になります。それから、西面と書いているのが北面で議会棟側の面になります。南面というのが西面になりまして、電車通り側の面になります。東側の面が南面ということで、すみませんが修正をお願いいたします。  こちらで、FEM解析という解析を行ってございます。資料26ページに戻っていただきまして、通常、部材を解析するときには1枚の壁を一本の太い棒でモデル化するんですけれども、それではなかなかこういった大きな断面の応力を正確に把握できないため、FEM解析と呼ばれます有限要素解析、高度な解析ですが、こちらを行ってございます。  FEM解析のイメージでございますが、下のポンチ絵にありますように、1つの大きな面を細かく分割していきまして、それぞれに分割したものを要素と呼んでおりますが、細かい要素をくっつけ合わせて細かい位置での応力を見ていこうということになります。  それの全体像が27ページでございまして、これは建物全体の地中連続壁をFEMでモデル化したモデルになります。絵がどうしても紙面に収める関係上、粗いピッチになってございますが、長さ58メートル、65メートル、深さ19メートルのぐるっと1周回っている壁を60センチごとの要素に分けて応力解析を行ってございます。  こちらに地盤変位をかけまして応力を見ていきました。その結果が28ページになります。こちらは、紙面でいきまして西面と書いておりますので、北面の議会棟側の絵になります。色で応力を表現してございまして、赤色、それから濃い青色がございますが、こちらの色があると実は壁の耐力よりも応力が上回っているラインになります。  それで、今回継手を評価してございますので、継手の位置をピンクの三角で示してございまして、ピンクの三角で結ばれた黒い線と赤もしくは青い色が重なると、継手の位置で応力よりも耐力のほうが上回るという結果になりまして、いずれの継手の位置でも応力のほうが耐力を上回りますので、一体では抵抗できないということはこれで分かってございます。以下、東西南北同じようなことを確認いたしまして、全ての位置で一体では抵抗できないということで、資料でいきますと、25ページ目にあります、要は右側の絵で抵抗するという、要はばらばらになって1つのエレメントで抵抗するということで、地中連続壁の応力を出してきてございます。  その結果が29ページでございますが、大体写真と竣工図から見ていきますと、8.3メートルで一つのエレメントを示してございますので、幅8.3メートル、長さ19メートルの1つのかまぼこの板を想定いたしまして、こちらで応力を算出いたしました。こうしました結果、残念ながら壁の耐力というものが計算すると1メートルの幅当たり196キロニュートンメートルになります。それに対しまして発生する応力が1,771キロニュートンと非常に大きな値となりまして、応力が非常に上回ることが分かりましたので、地中連続壁というものは地震時の変位によって大きくダメージを受けるということが分かりましたので、地中連続壁による低減効果は期待できないという判断をさせていただきました。  以上が、地中連続壁による検討結果でございます。  引き続きまして、資料30ページになります。  次は、連性解析でございまして、地震時の杭・建物と地盤の動的相互作用を考慮した時刻歴応答解析でございます。ここからは非常にちょっと専門的な言葉が出てきますので、かなりブレークダウンしながら説明させていただきたいと思います。  まず、31ページ目に解析のモデルを載せてございますが、考慮する要素といたしましては、成層地盤とございますが、地盤と杭と建物でございます。こちらを右の絵にありますように地盤のモデル化したもの、それから杭と建物をモデル化したもの、それと接続する地盤の影響地盤、こういったものでくっつけてあげて同時に解析しようとするものでございます。これは多分説明しても全然分からないということになると思いますので、32ページ目以降に、平成29年、今までやったものと、今回の手法がどういうふうに違うのかというものを御説明いたします。  まず初めに、32ページからになりますが、こちらは平成29年のモデル化でございます。難しい言葉が出てきておりますが、まず地盤で振動解析を行いまして、建物の基礎の床付けと呼ばれています床付け位置レベルでの地震動を計算します。このときの地震動の加速度波形と地盤変位を2つ求めておきます。ここで得られました加速度波形を33ページにありますように、上部構造のモデルに入れまして応答値を出すと。ここで得られる上部構造の応答と、杭設計用の地震力が求められると。34ページに33ページで求められました地震力と32ページで求めた地盤変位を杭にかけて、杭が壊れているかどうかのチェックを行う。こういったものが平成29年の解析でございまして、要は3段階の解析フェーズがあると。  1段階目で設計用の地震力を決めて、2段回目で上部応答の解析を行って上部構造が七十何分の1応答が出ていると。最後にその結果を用いて杭のチェックをしたところ、かなりの杭がダメージを受けたと、こういった検証方法をしてございます。これでいきますと、上部構造の解析と杭の解析がばらばらになりますので、これでは要は杭の密集による低減効果というものが出せないために、35ページを飛ばしまして36ページでございますが、ちょっと難しい絵ではございますけれども、地盤と杭、それから地下部分、上部構造、こういったものを1つのモデルに入れてあげて、答えを出してきております。  これによりますと、地震解析の中に杭が入ってきますので、杭の密集効果を出すことができる。それからB2F、B1F、1Fとございますが、ここで地下の効果、今回の建物におきましては非常に大きな地下構造をしてございますので、これの低減効果を見ることができると。そういったことで杭と地下部分の低減効果を考慮して上部応答解析を行ったというのが今回の結果でございます。それで得られました結果が、37ページにございまして、X方向でいきますと、92分の1、Y方向でいきますと106分の1の最大の層間変形角が得られてございます。  38ページが、平成29年度との比較を載せてございますので、応答結果の低減効果を見るには38ページが非常にいいと思います。  グレーで表現しておりますのが、平成29年の結果、緑で表現しておりますのが、今回検討いたしました連成系解析、杭の密集効果を考慮した解析でございまして、X方向でいきますと、平成29年が79分の1であったものが、連性系でいきますと92分の1になると。Y方向でいきますと、78分の1が106分の1ということで、大体80%ぐらいに応答値を抑えることができるということで、ある一定の低減効果はあったんではないかという判断をさせていただいてございます。  それで、上部構造低減効果が確認できましたので、5章からが杭の安全性の検証になります。この低減効果を発揮するためにも、杭が健全でなければこの低減効果が発揮できないので、先ほどの連性系で得られた解析で得られた変位、これを杭のほうに作用させて杭が健全であるかどうかというものを見ました。そうしましたところ、全ての杭でせん断破壊、ほとんどの杭で2点ヒンジということで、鉛直支持能力を負担できない結果となりましたので、連性解析において、上部応答値の低減効果は期待できるんだけれども、そこを発揮するまでの耐力はなかったという結論でございます。  43ページ目にまとめを載せてございまして、数字的なまとめの表でございます。
     以上、結論でございますけれども、報告書6の1ページを御覧いただきたいんですが、6の1ページにつきまして、本業務の検討内容に対する検証結果を取りまとめたものでございまして、表6の1に試算表として記載してございます。  まず、1つ目ですけれども、上部構造についてまとめてございます。上部構造につきましては、杭の密集効果を考慮したことで、地震の揺れを低減するなど、一定の効果が見られました。東西方向、Y方向では目標値の100分の1を満足することになりましたが、南北方向、X方向では満足しない結果となり、結果としては上部構造については耐震安全性の目標値を満たさないという結果になりました。  2つ目は、地中連続壁についての記載をしてございまして、表1につきましては、地中連続壁の地震時の低減効果の欄にまとめている内容でございます。地中連続壁につきましては、大地震時に作用する応力が地中連続壁の耐力を上回る結果となり、地中連続壁による杭並びに建物本体への地震時の低減効果はないという結論を結びつけてございます。  次、3つ目でございますが、杭と総合的な評価について記載しているものでございまして、表6の1の杭並びに総評の欄でございます。  まず、杭につきましては、杭の密集効果を考慮した検証の結果、全ての杭が鉛直支持能力を失うことから、杭の耐震性が不足することとなってございます。以上のことから、総合的な評価といたしましては、建物全体として耐震性が不足するものとして判断させていただいてございます。  続きまして、報告書の6の2でございますが、性能評価機関の見解についてまとめてございます。  ヒアリングを行いました1つ目の性能評価機関は、一般財団法人日本建築センター、もう一つが日本ERI株式会社という2つの性能評価機関に資料をお持ちいたしまして、説明してヒアリングをさせていただきました。  性能評価機関の所在地、それから性能評価機関と打合せした内容等につきましては表に記載のとおりでございます。  今回、日本建築センターさんにおきましては、表の左側でございますが、耐震性能を満たさないケースの任意評定を行った事例はないということで、新築時の健全性を保持しているという前提の解析モデルでは、現状の建物を評価をしていることにはならず、社会的な混乱を招く恐れがあるため審査することはできず、任意評定の取得というものは不可とされました。右の欄が日本ERIさんでございますけれども、任意評定書の取得は可能と想定される回答をいただきました。今回の解析手法につきましては、任意評定の取得が見込まれる程度の一定の妥当性を有すると判断されたと思ってございます。  ただし、指定評価機関につきましては、基本的には建築基準法で定められます耐震性能を建築物が有していることを評価する機関でございますので、今回のような耐震性を満たさないケースを評価するというのは一般的ではないため、日本ERIさんにおきましても、耐震性を満たさないという結果に対しては評価しないが、そこに至るまでの過程について、いわゆる解析手法、解析結果については妥当であるという判断をいただけるという回答をいただいてございます。  以上が、私からの説明になります。  長い時間ありがとうございました。 ○澤田昌作 委員長  ありがとうございました。  以上で参考人からの最終報告書の説明は終わりました。  それでは、参考人に対する質疑をお願いいたします。  なお、念のために申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言し、委員に対する質疑はできないこととなっておりますので、御了承願います。 ◆田尻善裕 委員  質問の前にちょっと確認させていただきたいと思います。  まず、今御説明いただいたこの今日席の上に配られていた資料、これは山下設計さんが作られたのでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  そのとおりでございます。 ◆田尻善裕 委員  今、最後のほうのまとめ、43ページ、正式な報告書6-1、そこの部分での上部構造についての結果、X方向、正式な報告書では93分の1になっているんですけれども、今の配られたものは92分の1になっているんです。これはどちらが正しいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  今日の資料、92分の1が正解でございます。一度御提出させていただいたんですけれども、少しその中で計算の過程でミスがございましたので、その内容を修正させていただきまして、本日御提出しております92分の1というものが正解の報告書でございます。  以上でございます。 ◆田尻善裕 委員  今、私たちが頂いていた正式な報告書というのが間違っていたということですね。  それは今私が聞かなかったら説明がされなかったように承ったんですけれども、そこら辺はちゃんとした説明で言ってほしかったと思います。 ◎阪上浩二 参考人  私どもは92分の1の報告書を管財課さんのほうに納めてございまして、この委員会でどの資料が回っているかというのは把握してございませんので、既に業務が終了時点ではこの92分の1の報告書を提出してございますので、ちょっとどういう過程でその93分の1がここの委員会で回ったのかはちょっと把握できません。申し訳ございません。 ◆田尻善裕 委員  すみません。この山下設計さんが作られた報告書はこれは山下設計さんが作られたんではないんですか。 ◎阪上浩二 参考人  はい、そうです。 ◆田尻善裕 委員  ここに93分の1と書いてあるんですけれども、今の御発言だと、私たちは作っていないようなふうに受け取れたんですけれども。 ○澤田昌作 委員長  いいですか。  当初のこの報告書では93分の1ということで、それから訂正があって、それで管財課のほうに訂正を既にされたということでよろしいですか。 ◎阪上浩二 参考人  まさにそのとおりでございます。 ○澤田昌作 委員長  ということでございますので、我々も委員会こうやってわざわざ開いておる中で、執行部のほうにはちゃんとそういった訂正があっておるということでございますので、そこら辺はちゃんと委員の方々に説明をしていただくとか、そういったのを改めてお願いしたい。ちゃんとするべきであったと思います。  ちょっと一言どうですか、その経緯を含めて。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  大変申し訳ございません。  山下設計の方からはこの92分の1、106分の1の報告書を私どもの方で頂いておりまして、それを印刷にかける際に、我々の方で、1つ精査前のものを印刷したということでございます。大変申し訳ございませんでした。  後ほどこれは正誤表を用意させていただいて、差し替えをさせていただこうと思います。  以上でございます。 ○澤田昌作 委員長  本当に、これは重要な委員会なんで、そういったことも訂正があったらすぐにやっぱりやるべきことです。本当に委員の方も多分言いたいことはたくさんあると思いますけれども、そこはしっかり今後また対応していただきますように、お願いしたいと思います。  そのほかの件で何かございましたら。 ◆高本一臣 委員  本日はお忙しい中ありがとうございました。  私たち専門家ではないので、大変失礼な質問にもなるかもしれませんけれども、その辺のところは御容赦いただきたいと思います。  私のほうから、3点質問させていただきます。  まず、1点目がこの資料の7ページ、P.1-3、今回設計クライテリアというのを採用されて、目標値と言っておられますけれども、この目標値と現行の建築基準法の耐震基準、これは同じことを指すものでしょうか。それが1点です。  それから2つ目が、今回の検証は杭の効果、地中の連続壁の効果に関しての定量的な算出ということですが、実際に杭の被害、あるいは連続壁の被害は調査をされたのかどうか、これが2点目です。  それから3点目です。本庁の地中連続壁は、これは当時大林組さんが開発された独自工法、OWS工法であるということでありますが、これは御存じかどうか、この以上3点をお尋ねします。 ◎阪上浩二 参考人  では、ます初めに、目標値と現行基準法は同じという内容でございますが、今回、示しました目標値というものは平成29年度の報告書と同じものでございまして、建築基準法に基づいて性能評価機関が業務方法書で規定しております内容でございます。具体的には、評価の判定クライテリアといたしましては、極めてまれに発生する地震動によって、建物が倒壊並びに崩壊しないことを確かめることが必要でございまして、その一つの目標値といたしまして、層間変形100分の1というものが規定されてございます。また、基礎に関しましても鉛直支持能力を失わないというのは当然のことでございますので、御質問の答えがそれで十分かと考えてございます。  それから2つ目が調査でございますが、本業務につきましては、平成29年度の報告書の参考人意見に基づいた杭の密集効果並びに地下連続壁低減効果を検証するための業務でございますので、調査はしてございません。  3つ目でございますが、地下連続壁、大林組さんが施工するOWSと書いてあるんですけれども、一般的にはオウスと読みます。OWS工法ですが、OWS工法は非常に有名な工法でございまして熟知してございますし、大林組さんならず大手の施工業者さん、それぞれの独自工法を持ってございますので、地下連続壁というものは非常に特殊な工法で、大手施工者さんが非常に研究開発されている品質の高い工法でございまして、当然ながらそれは存じ上げてございます。  以上でございます。 ◆高本一臣 委員  ありがとうございました。  1点目ですけれども、答弁によりますと、目標値と建築基準法の耐震基準というのは同じということで理解してよろしいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  その理解で結構でございます。 ◆高本一臣 委員  ありがとうございました。 ◆齊藤博 委員  今日は耐震性能への検証業務への御報告ありがとうございます。  私のほうからは1点の質問と、それから2点参考までに教えていただきたいということで、3つお問合せさせていただきます。  まず、私の認識の中では、今までの議論の中で連続壁は工事施工のため築造された土留め壁ということであり、その連続壁による基礎杭への効果に関する構造理論、あるいは計算方法が確立されていないんだと、結果として耐震性能を図る上で、連続壁や杭が建物に及ぼす影響をはっきりと捉えることができずに、建物全体の耐震性能に対する評価に見解の相違があったと私は理解をいたしております。  今回の調査結果、いわゆる建物全体として耐震性能が不足するという御判断をお示しをいただきましたし、私も一委員として率直に申し上げて、大変分かりやすく結論を導いていただいたと感じているところであります。  ただ、素朴な質問でありますけれども、連続壁や杭が建物に及ぼす影響をはっきりと捉えることができない、すなわち構造理論や計算方法が確立されていないという今まで説明を受けてきたわけですけれども、今回そこの部分に結論づけることができたその要因というものを、改めてちょっとお示しをいただければと思います。  1つずつでよろしいでしょうか。 ○澤田昌作 委員長  はい。 ◎阪上浩二 参考人  まず、地中連続壁や杭、そういった地下構造物を評価して耐震性能を導き出す手法というものは非常に高度な解析をするものでございまして、なかなか通常の業務ではやりません。一般的にやっているというか、普通の新築の建物でそういったものを評価する場合におきましては、よほど軟弱な地盤とか、杭にダメージを受けるようなときに、杭に損傷がないかどうかを評価する目的で、杭の応答値を見る目的で使うということはよくありますが、上部構造の応答値の低減の目的でやるということはまずございません。  その中で、今回、耐震性能を不足するという判断をさせていただきましたのは、今回の結果もございますが、平成29年に上部構造だけで通常の性能評価、建築基準法の新築の構造物を設計する手法で解析している結果はございまして、この結果を見ますと、その応答値がどうしても告示波1波ではございますけれども、出てきている。それを抑え込むために、地中連続壁は結果的には効果はありませんでしたけれども、杭を連性振動を行いまして低減効果をかけましたが、その効果を見てもやはり応答値が収まらない。なおかつ、杭のダメージにつきましては減らない。こういった結論が出ましたので、耐震性に関しては平成29年の報告書並びに今回の我々の検討、それらを総合的に判断させていただきまして、結論づけさせていただきました。  以上でございます。 ◆齊藤博 委員  もう一度確認ですけれども、平成29年の調査結果を受けて、上部構造、それから杭、それから連続壁、これを一体として調査すること自体極めてまれなケースであって、今回はそれに挑戦をしたというような理解でよろしいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  まさにそのとおりでございます。  以上でございます。 ◆齊藤博 委員  それでは、別のこれは確認ですけれども、ちょっと教えていただきたいと思います。  一番最後のページ、これは報告書の方のページでございますけれども、指定性能評価機関への見解の聴取を行っておられます。これについてお伺いいたしたいと思いますが、これは観点として検証結果に関して任意評定の取得が見込まれる程度の一定の妥当性を有するかどうかということで、2つの機関にヒアリングをかけておられます。  まず、日本建築センターさん、これは結果として任意評定の取得は極めて難しいというような御見解かと思いますが、その前段で耐震性能を満たさないケースの任意評定を行った事例はないというような文言が報告書の方に上がっております。  そもそも論、この日本建築センターさんは、この熊本市役所本庁舎、耐震性能を満たしていないというのが前提の中で、あくまでも結果として任意評定の取得は不可能であるというようなことになるんでしょうか。そこをちょっと教えていただきたいんですが。 ◎阪上浩二 参考人  まず、建築センターさんの立場といたしましては、もう既に既存の建物がありまして、なおかつ熊本地震の2回の地震を受けてございますので、その建物の劣化度、それから被災度、そういったものを詳しく調べてから持ってきてくださいというのが大前提にあります。その中で、平成29年の報告書並びに今回の結果を用いまして、結果的にクライテリアを満たさないというお話をさせていただいたところ、その新築の健全な状態が前提で、仮定している解析モデルではさらに評価することはできないという回答をいただきました。  今ので回答にはなりませんか。 ◆齊藤博 委員  この日本建築センターさんにとって、もともとその前提として、任意評定の取得の台に乗らないと、ただ、その前段として、耐震性能を満たさないというところまで日本建築センターが見解として持っているわけではないということでよろしいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  まだ資料というのは全て見せておりませんので、見解は持ってございません。本日御説明しました資料のもっと抜粋版を私どもが日本建築センターさんに行って、御説明させていただいて、こういった結論になりますが、任意評定というのは取らせていただけるでしょうかという御質問をさせていただいたところ、それでは耐震性能を満たさないケースでこういった任意評定の事例はないため、発行できないという回答をいただいております。  以上でございます。 ◆齊藤博 委員  もう一つ、日本ERI株式会社さんの任意評定書に関する考え方はかなり違うだろうと思います。任意評定書そのものの取得はこれでは可能なのではないかというような見解が示されておりますけれども、今回の結論でありますと、本庁舎は耐震性能が不足するといったような結論、これについては、日本ERI株式会社さんの方に例えば構造性能評価書をお願いしたときに、ある程度結論が同じような形として推計できるのかどうか、非常に答えにくい部分もあるかもしれませんが、ちょっとその辺の御見解をいただければと思いますが。 ◎阪上浩二 参考人  日本ERIさんの考え方は、我々がやっております計算過程、それから計算内容というものが、言葉は悪いですけれども、間違っていないという評価に対しての評価書を出しましょうというのが日本ERIさんの回答でございまして、いわゆる何でこの判定基準を持ってきたかとか、何でこの地震波を採用したか、そういったものに関してはもう熊本市さんと協議した上で決めたもので、熊本市さんと決めた内容ですと説明していただいて、その結果、要はその判定基準に対して、結果はオーバーするか、オーバーしないか。オーバーすると出たときの答えが計算過程が正しいか、そういったものを任意評定で見てあげましょうというのがERIさんの内容でございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、判定基準とか、持ってきた地震波とか、そういったものが正しいという判定はしないので、安全性に対する判定はしないというそういった内容になるという御説明をさせていただきたいと思っております。  以上でございます。 ◆齊藤博 委員  少なくとも今回の解析手法についての妥当性はあるんだというようなことは、ERIさんの方がお認めになっていらっしゃるといったようなことだろうと思います。  御社につきましては、本庁舎の当初設計から、あるいは工事監理に関わっていただいた当事者といったようなこともありまして、委員の一人として、重く今回の報告を受け止めさせていただきますし、この検証結果、大変重いものがあると思っております。  本日は、時間いただきましてありがとうございました。 ◆田尻善裕 委員  今の齊藤委員の方から、評価機関についてのお尋ねがあったんで、私は報告書にありますERIの結果の基となった原本の資料を請求したいと思いますけれども、委員長、よろしいでしょうか、お配りいただいても。 ○澤田昌作 委員長  よろしいですか。  今、資料の配付の方、御要求ありましたので、ただいまより皆さんに配付させていただきたいと思います。  どうぞ。         (資料配付) ◆田尻善裕 委員  今、報告書にあります日本ERIの見解の結果というところをちょっと疑問に思ったんで、原文を見せてほしいということで資料を請求させていただきました。原本を読むと、山下設計さんと日本ERIさんが話した内容が書いてあるんですけれども、この内容というのは評価の申請の仕方をレクチャーされているだけですね、こういうやり方で申請してくださいと。  つまり日本ERIも安全や危険の判断はできないとはっきり言っていらっしゃるし、評価を行う際はこういう条件で出してくださいと、申請するための注意事項を説明受けているだけなんです、山下設計さんが、これを見ると。つまりこの報告書の内容は一切関係ないんです。  ですから、第三者の日本建築センターには社会的混乱を招くから評価できないというのと、この日本ERIさんにも評価をしてもらう前段の話が、なぜかしら報告書だけを見ると一定の妥当性を有するという印象を持つような書き方をされているんです。私としては、ちょっとこれは何か意図があるんではないかと思うような書き方になっているんです。  原文を読むと、私だけではないと思いますけれども、一切日本ERIさんもこの評価書の中身に関しては評価していないと。ですから、私としては今回の報告書というのは、調査をされて第三者がそれが妥当かどうかの判断をする結果を待っての委員会だと思っていたんで、今回のこの内容が第三者機関も民間も、この報告書に関しては評価をしていないということで理解していいんですか、判断はできないと。 ○澤田昌作 委員長  今の御意見について、参考人の方はこの資料の御理解というのはできましたでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  私がこの議事録をまとめてございますが、先ほどから私が申しておりますのは、計算課程並びにその結果の妥当性を評価するものであって、安全性や危険の判断はできないということはずっと申してございます。  それから、評価方法の手法や手続の話をしている内容がありましたが、それも先ほど申しましたように、今回の検討の目的、それから前提となる設計クライテリア、地震波、こういったものを明確にしていただきたいというのが日本ERIさんからの意見でございます。こちらにつきましては、なぜこのようなことが出てくるのかと言いますと、普通の認定並びに大臣認定を取得する評価部門におきましては、それぞれの性能評価機関で保有しております業務方法書並び業務方針書というこの基準に満足すれば、大臣認定書を出しましょうという評価基準がございます。その法的に性能評価を出さない場合につきましては、その方針書に基づいて検討書を出せばいいんですけれども、今回のような任意評価の場合、何を持って評価するのか、明確にして御説明並びに資料を提出しないと、先方の評価機関が評価できないので、目的、前提条件、仮定条件、設計クライテリア、こういったものの内容を正しく出してくださいと念押しをされているだけでございます。  私が説明したものの内容については、上の1、2、3の片括弧の3つでございますが、今まで報告書の中で説明しました内容をかいつまんで書いてございますけれども、基本的には今まで報告した内容と、一切ブレはございません。  したがいまして、特段日本ERIさんに対して何か特別な見解なりの操作をしたわけではなくて、今まで御説明している内容を報告書並びに本委員会で御説明しているものと判断してございます。  以上でございます。 ◆田尻善裕 委員  まさにそこなんですけれども、では1つお尋ねしますけれども、この報告書に書いてあるのだけ読めば、この報告書が一定の妥当性を有すると認識する人がまさにいらっしゃったわけですけれども、そういう認識を持たれるような書き方になっているんです。ところが実際ちゃんと読んでみると、申請の仕方を具体的にというような注意事項、指摘をされているだけで、日本ERIさんにこの審査をまだお願いをしていない段階です。ということは合っていますか。 ◎阪上浩二 参考人  すみません。報告書で妥当性を有するというのは、6-2の資料のどこの文言でございましょうか。
    澤田昌作 委員長  6-2、46ページの一番最後です。 ◎阪上浩二 参考人  解析手法は、です。その主語でございますが、解析手法は任意評定の取得が見込まれる程度の一定の妥当性を有すると判断されたということで、説明しております解析手法のことを述べてございますので、報告書の中身を説明しているものではございません。  以上でございます。 ◆田尻善裕 委員  確認したかったのはまさにそこです。ですから、日本ERIの見解もこの報告書に対して何ら関係ないということを確認させていただきました。  以上です。 ○澤田昌作 委員長  ほかに。 ◆寺本義勝 委員  すみません。もう本当のど素人だから、今まで詳しく説明を聞いたんですけれども、今のこの指定性能評価機関というのは、そもそも耐震性能を有している、建物の耐震性がありますというのをきちんと認めて評定する機関であって、耐震性能がない建物なんかを評定する機関ではないと私は解釈しているんだけれども、それでいいですか。 ◎阪上浩二 参考人  まさにそのとおりでございます。 ◆寺本義勝 委員  だとすれば、今回、2度にわたりこの耐震性能の調査をして、最終的にこれまで長い期間をかけて、専門家の学者お2人の意見を踏まえながら地下連続壁、地中密集杭の効果を調査するということで、それに応えていただいたのが山下設計さんであって、山下設計さんの手法はこれはきちんとした手法であるということであって、その手法を使った後に判断されたのは、もちろん山下設計さんの報告なんですけれども、我々は専門家ではないので、到底こういった調査については極力民間の専門家の業者さんの力を借りないとできないわけですから、この報告された結果というのは、我々としてはもう信頼をして頼んで、正規の手続き、正規の業者さんに頼んだわけだから、この結果が全てだとは思うんですけれども。  そもそも山下設計さんはこの建設当時から携わっていらっしゃいます。ということは、当初問題になったこの地下連続壁とか、地下密集杭というのはそれなりの意図をもって設計をされていたのか。あるいはそこの地下連続壁の目的は、私は素人だから、これは横から水が出てきたときに、止めるための止水壁か何かのために造ったのかなとしか思っていませんでしたけれども、耐震力をアップするための連続壁だったのか、あるいは周辺から水が入ってこないための止水壁だったのか。深さを見ると、連続壁の方が地中杭よりもはるかに浅いわけですから、杭を保護するためだったら、杭と同じ深さまで連続壁を造っておかんといかんだったんではないのかなという素人的な考えなんですけれども、当初設計に携わられた山下設計さんとしては、その当時の考えが分かるかどうか分かりませんけれども、そんなふうに解釈していいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  大変申し上げにくいんですが、私まだ50半ばでございまして、この建物が設計された当時は小学生でございますので、その当時のことはよく存じ上げませんが、当時の性能評価資料並びに設計図書、こういったものを見ていきますと、ある程度当時の設計の内容が把握できてございます。  本来、工事をする上で地下を掘る場合、土留め壁、並びに止水壁を設けるんですけれども、これは仮設で利用しまして、本設の躯体とは別でございますので、仮設のものが外にあって、中に本設の躯体力を利用する構造体を造るというのが本来の造り方でございます。ただ、それでいきますと、仮設材が全くお金をかけているにも関わらず、本設に利用できないので、当時の人が考えてもったいないだろうということで、本設利用するために、地中連続壁というものを工事用の止水壁と地下外壁の一部として利用するために、今回造られたんではないかと推測されます。  そのため、先ほどの御質問の中にありましたが、杭と同じ長さまでは地下連続壁は延びてございませんので、杭を保護するためとか、それから杭の変形を止めるため、こういった目的ではなくて、あくまで止水壁目的でまず連続壁があったと、その中でせっかく連続壁の壁の厚さがあるんだから、地下の躯体として利用する分には、当然コンクリートの塊だからできるだろうということで、当初の目的といたしましては、杭を守るというよりかは、地下の外壁の躯体の一部として再利用していこうという趣旨が強かったと思われます。  そのため、設計図書の中にもあるんですけれども、地下連続壁の注意事項といたしまして、地下連続壁は仮設時には山留め壁として利用し、長期荷重に対し土圧、水圧を負担し、短期荷重時には耐震壁として利用できるもので、建築物本体との接合並びに関連事項については、当時の建設省の認定を受けたものとすると表記がございますので、まさに今説明したとおりでございまして、躯体の一部として利用する目的で使われたものと考えてございます。  したがいまして、今回の参考人が御指摘されていますような地震の基礎に対する低減効果、こういったものには期待していないと判断してございます。  以上でございます。 ○澤田昌作 委員長  ほかに。 ◆上野美恵子 委員  今日はお忙しい中、ありがとうございます。  今までずっと説明を聞きまして、専門的なお話なので、私としては専門ではありませんので、ちょっと言っている中身がうまく伝わらないかもしれませんけれども、幾つか教えていただきたいと思います。  1番は、とても難しいまれな方法とかを使いながらやってきたという箇所が何個もありましたけれども、超高層の耐震設計をする場合に、一般的には前回、平成29年の解析とかされていましたけれども、ああいう建物とか基礎とか、ばらばらに解析をするというやり方が一般的だと思っていたんですけれども、その理解でいいですか。 ◎阪上浩二 参考人  まさにそのとおりでございます。平成29年のやり方がごく一般的なやり方でございます。 ◆上野美恵子 委員  今回説明がありました上部構造と基礎を一緒になって耐震を評価するという耐震設計、こういう方法を今、山下設計さんの方ではなさっているケースがあるんですか。 ◎阪上浩二 参考人  正直なところ、まずありません。その中で上部構造を普通に設計する、先ほどの平成29年の分離するやり方で解析して建てた建物で、少し杭に何かちょっと不安があるようなケースとか、ちょっと危険かな、そのやり方では危険かなとか、そういったときには補足で検証することは過去にはございますが、このような連性解析を積極的に前面に押し出した設計というのはやったことがございません。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  ないというお答えだったんですけれども、今回初めてのような形でこのやり方をされて、山下設計の中にそういうことのよく分かる方がおられるのか、それともどこか、今回初めてということで専門的な方の御意見を聞かれたのか、教えてください。 ◎阪上浩二 参考人  手前みそではございますが、私が弊社の中で一番基礎に精通してございまして、私は東京の本社のチーフエンジニアでありながら日本建築センターの基礎評定の評定委員をやってございます。それから、先ほど少し説明の中で出しました日本建築学会建築基礎構造設計指針の改定メンバーでもございまして、あと、JSCAと呼ばれます日本建築構造技術者協会の東京の技術委員会の基礎地盤系部会の主査をやってございますので、一応大学の先生とも色々面識がございまして、そういった中でいろいろ参考の資料を少しかき集めながら解析させていただきました。  また、今回使いました計算手法等につきましては、日本建築学会から出てきております参考図書がございますので、そちらの参考図書をひも解きながら、一般化された式を用いながら解析してございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  それから、今日の前に9月の時点で速報版という資料が私どもに配られました。今回最終報告というのをいただいたんですけれども、その速報版の資料8ページに、平成29年調査のときとそれから今回の山下設計さんにお願いした調査の杭の図面があったんです。今回はほとんど全ての杭が損傷するという結果になっておりましたんですけれども、杭の図面がちょっと違っていたんです。数とか何かちょっと並び方も違っていたんですけれども、なぜ、違っていたのか、分かれば教えてください。 ◎阪上浩二 参考人  建物を設計する上でよくあると言ったら語弊を招くんですけれども、設計図と竣工図という図面が、フェーズが違うものが2種類ございます。設計図と呼ばれますのは、この図を基に建物を建ててくださいと、計算しながらやっていくんですけれども、それでいきますと、建物を建設している中で、実際掘ったりしたときに、ちょっとうまいこといかなかったり微調整したり、お客さんからの要望があって少し内容を変えたりということで、設計図で工事課程に起こったいろいろな事象を踏まえて施工図があって、最後にその施工図を取りまとめた、建物が完成した状態を造ったものが竣工図というものがございます。  平成29年の検討はどうやら設計図でやられている。今回竣工図を頂きましたので、私どもは竣工図でやってございまして、設計図と竣工図を見比べたところ、杭の本数が若干変わってございましたので、その竣工図に基づいて今回の検討をさせていただいております。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  分かりました。  そうしたら、先ほど連続壁のことについて、ほかの委員から質問があっていましたけれども、要するに、もともと止水壁として造ったけれども、せっかく造ったんだから地下の躯体の一部として考えるという活用もされていたんではないかという説明だったかなと思ったんですけれども、ではこれは本体使用と思っていいんですか。 ◎阪上浩二 参考人  本体使用というか、本設利用です。  要は、仮設部材の本設利用ということで、これは設計当初からありました。したがいまして、竣工図並びに設計図におきましても同様の記載がございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  分かりました。  それから、もともとの資料の3-5ページのところに地下連続壁の継手がないから壊れるという、そういう図がありますけれども、要するにこの継手がないために、地震動が加わったときに、さっき色の違うブルーが出てきたらこの壁はここで壊れるということだという説明があったんですけれども、地下連続壁の挙動というか、これについては、要するに壊れたということがすごく私たちインパクトがあったんですけれども、実際壊れているわけではないんですね。 ◎阪上浩二 参考人  実際は調査をしてございませんので、私は判断できません。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  それから、地下連続壁のこういう検証というか、要するに実際やっていないから、コンピューターの解析だと思うんですけれども、先ほど、F1何というか、難しい珍しい解析をしたと言われたんですけれども、こういう業務を日頃なさっているんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  FEM解析、有限要素解析だと思いますが、こういったFEM解析は特殊な工法並びに建物を検証する上ではよくやってございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  今回の連性系の時刻歴応答解析について、先ほども非常に何か複雑な解析なのだという説明がありましたけれども、この結果についての検証というのはどんなふうにされたんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  検証というのは、データを見比べながら間違っていないかというのを確認していくだけになりますけれども、あとは、我々の長年構造設計をしております経験値並びにそれぞれ出てきましたアウトプットの中身を見ていきまして、これぐらいがあれば妥当かな。逓減率はこれぐらいに来るんじゃないかというのを予想しながら解析の妥当性を確認してございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  それから、本編の4-4ページというところに、今回の調査では極めてまれに発生する地震動で検証されているわけなんですけれども、まれに発生する地震動についての検証は行われなかったんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  まれに発生する地震動に関しましては行ってございません。  その理由といたしましては、今回の報告書並びに本日の資料でも載せてございますけれども、本業務の目的が平成29年の報告書の結果を踏まえて出されました参考人の意見を基に、基礎杭の密集効果並びに地下連続壁低減効果を検証するものでございまして、これがNGと出ているものは、告示波3波だけでございましたので、極めてまれに発生する告示波のみだけで検証してございます。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  国土交通省の告示では、まれに発生する地震動と極めてまれに発生する地震動の2つのレベルで検討するというのがたしか決まりではなかったかと思ったんですけれども、今回、確かに1回目の平成29年調査があっての今回の検証だということは私たちも承知をしておりますけれども、今回の調査結果が極めて大きなものとなりますので、それは両方するべきではなかったかと思ったんですけれども。 ◎阪上浩二 参考人  両方するかしないかというのは、発注されるときの発注の仕様書の中身によるもの等ございますが、今回我々が受託したときの業務仕様書におきましては、極めてまれに発生する告示波に対して行うという内容でございました。  その目的が先ほど申しましたように、平成29年の報告書を基に、参考人が出されました意見を基に、密集効果地下連続壁の定量的な低減効果を算出するための目的の業務と認識してございます。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  指定評価機関の御意見を聞かれたときに、日本建築センターのほうから自分たちがそれはできないという理由の中で、要するに、先ほど説明があったように、熊本地震の影響とかも考慮されていない検証というのは現状の建物を評価しているとはならないので、審査を受けられないというたしか回答が出たと思うんですけれども、ということは、日本建築センターさんも熊本地震という熊本が経験をしたその地震波による影響というのはすごく、それも踏まえるということを大事にお考えになっていたのかなと思ったんですけれども、その点についてのそちらのお考えはどうでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  熊本地震の影響を日本建築センターがどう評価してこのような判断をされたというのは私には分かりませんが、今回並びに平成29年の検証におきましてやっているケースというものは、新築におかれた建物の状態で検証しております。その後、建物は劣化並びに熊本地震で仮に損害とか損傷があれば、被災を受けるわけですから、さらに耐力が低下する方向に動きます。それらの被災結果や経年劣化を考慮すると、さらに悪い結果になる可能性が非常に高いですので、最も健全な状態で検証した結果でNGという判断してある以上、それ以上のことはやらなくても悪い結果にさらに振れるのではないかと考えております。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  ありがとうございます。  杭の部分に関して、前回の調査のときは一部が損傷するという結果で、今回はほとんど全ての杭が損傷すると結果が変わったわけですけれども、前回調査が間違っていたということでいいですか。 ◎阪上浩二 参考人  それは平成29年の調査の内容は私どもは把握しておりませんので、答えかねます。  ただし、今回我々が全ての杭に対してチェックをしたところ、こういう結果が出たということだけを報告させていただきます。 ◆上野美恵子 委員  杭のところで、今申し上げました全ての杭が損傷してしまうというのは、私たちも実際見たときにびっくりしたんです。みんな壊れてしまうのかという感じで、調査をするに当たって、阪上さんも大変高度な専門性をお持ちの方ですので、調査をしながら、こういう全ての杭が損傷してしまうというようなことは調査に当たって予想されていたんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  正直なところ、予想はしておりました。  というのは、もともとこれは40年ぐらい前に設計されたものですから、当時の設計というものは地震の要は水平力、地震力、力による設計だけしかしてございません。それで長年建物というものは人命に危害を及ぼすような被害を受けてございませんでしたので、そのまま水平力による設計を基礎にだけすればいいというような流れで来ておりました。  残念なことながら、1995年に兵庫県南部地震の大きな地震が起きました。このときに、建設前の杭を打っただけの建物というか、地中に杭を打っただけの杭が壊れるという現象が起きました。これはどういった現象かと言いますと、先ほどから説明していますように、大地震時、地面が揺れますと、地盤が変形すると、この変形する強制変形によって杭がダメージを受けるということが分かりました。  地震力というものは建物の荷重が乗ってから初めて作用するものですけれども、地盤変位というものは建物が建っていない状態でも作用するもので、この地盤変位というものが当初の設計では考慮されていなかった。要は知らない知見でございましたので、この地盤変位と地震力を2つかみ合わせて、昔の基礎を設計すると、まず大抵のものはダメージを受けるという判断してございます。そういう認識でございます。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  今おっしゃった、予想はしていたということで、理由を言っていただきましたけれども、熊本地震のとき、この地域も震度6強ということになったんですけれども、その地震でこの熊本市の本庁舎が致命的な損傷を受けていないということと、今回の結果で全ての杭が損傷してしまうとなったことの、何かすごく相反するような気がするんですけれども、それについてはどう思われますか。 ◎阪上浩二 参考人  熊本地震で杭が被害を受けていないという内容につきましては、報告書並びにいろいろな資料読ませていただきましたが、目視で建物を見ていったところ、大きな変形は出ていないという調査の程度であったと思います。  それで、熊本地震というものは、たしか震源が少し離れたところにありまして、直下型の地震でございますので、震度6強を経験しているとはいえ、少し震度6強でも幅がございますので、少し小さめの震度6強ではないかと判断してございます。  特に、活断層の直下型の地震で、なおかつたしか震源が浅かったと思いますので、震源近くにおきましては、大きな地震エネルギーを開放するタイプの地震と考えられますので、少し震源が離れますと、やはり減衰効果が大きく出てくると。震度6強というような計測震度は出てございますが、建物の被害状況と計測震度階、気象庁の震度階というのは、ある一定の相関関係はありますが、必ずしも結びついているものではございませんので、そういったものを考慮していくと、少し熊本地震というものは、震度6強でありながら、この建物にダメージを与えるほどの大きな震度6強ではないのかなというのが個人的な見解を持ってございます。これはあくまで個人的な見解でございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  さっき、こういう調査というのはあまりしていないと言われたんですけれども、ということは、今回たまたま初めてあったこういう調査の中で、全部の杭が損傷するとなっていますけれども、一般的にはこういうことをやる中で、全ての杭が損傷するということはないわけですね、あまり。そうだったら何か。 ◎阪上浩二 参考人  普通に設計することにおきましては、まず杭もそうですし、上部構造耐震性能を満足しない構造などというものは造りませんので、こういった耐震性能を検証する業務の中において、杭まで踏み込んだ事例がないため、こういったケースというのはまれという判断していただければいいと思います。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  そうしたら、例えば私たちが心配するのが、今回熊本市役所の庁舎の杭がこの評価によって、全ての杭が損傷するとなって、何かすごく危険なのかなという不安が私たちも含めていろいろな方々の中にあるかと思うんです。例えばこの本庁舎が場所打ちコンクリート杭で、口径が大きくて、そしてかなり密集しているということを聞いておりますが、そうすると一般的なこの本庁舎含めて周辺の比較的超高層に当たるような建物なんかについて、既成杭とかを中が空洞になったPHC杭とかを使用してあるケースが多いと思うんです。そうなると、そういういろいろな建築物について、何か杭というのは非常に危ないのかなという不安になっていくんじゃないかと思うんですけれども、そういう今回調査結果の波及する先の部分について、どんなふうに今思っていらっしゃるか、お聞かせください。 ◎阪上浩二 参考人  質問の内容につきましては、本業務の検討に関することでは全くないと考えてございますので、回答は差し控えさせていただきたいと思います。 ◆上野美恵子 委員  では、指定評価機関の意見調書についてお尋ねします。  日本建築センターさんが見解とされている、社会的な混乱を招く恐れがあるというふうな表現があるんですけれども、これについて、私たちはどのように解釈したらいいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  日本建築センターさんでは、そこの表にありますように、耐震性能を満たさないケースの任意評定は行ったことがないというのがすごい引っかかってございまして、それの言い訳として、要は被災を受けているんであるから、熊本地震の被災状況、それから経年劣化も判断した上で現状の建物の状態を正しく評価して、耐震性能評価をするべきだろうという判断をされたものと考えてございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  日本建築センターの方では耐震性能を満たさないケースの任意評価を行った事例がないという御回答だったんですけれども、日本ERI株式会社はこんなケースの任意評定をされているんですか。 ◎阪上浩二 参考人  先ほどから申しますように、日本ERIさんは耐震性能を満たさないこととか、危険とかという判断はしないで、あくまで計算過程が正しいかどうかの内容だけを判断するという回答をいただいてございます。  したがって、その中に耐震性能を満たさないものがあるかどうかというものは私どもは把握してございません。 ◆上野美恵子 委員  この2か所の指定評価機関に意見を聴取なさるに当たって、費用とかは発生しているんですか。経費とか払っているんですか。 ◎阪上浩二 参考人  あくまでヒアリングですので、費用は発生してございません。 ◆上野美恵子 委員  この2か所の指定評価機関へ意見聴取を依頼した日はそれぞれいつですか。 ◎阪上浩二 参考人  報告書の6-2ページにございますが、意見を聴取した日につきましては……。 ◆上野美恵子 委員  いや、意見聴取は2日と16日なんですけれども、意見を聞きたいんですがというお願いをされた日はいつですか。 ○澤田昌作 委員長  すみません。指名されてから挙手の上、お願いします。 ◎阪上浩二 参考人  依頼したのはたしかそれぞれ1週間前ぐらいだったと思います。  ちょっと記憶にはございません。電話で依頼しましたので。 ◆上野美恵子 委員  それぞれの1週間前ですね。 ◎阪上浩二 参考人  大体それぐらいと考えてございます。 ◆上野美恵子 委員  今回、1か所でなくて、2か所に意見を求められた理由というのは何ですか。 ◎阪上浩二 参考人  まず、日本建築センターさんの方に電話をかけまして、意見聴取を9月2日に行ってございます。その中で得られた回答が、先ほどから述べておりますように、そちらの回答でございまして、この回答で事は終わらないというか先に進まないので、ほかにできる、今回の任意評定を受けてくれるところがないかということで、次の性能評価機関ということで日本ERIさんを選んでヒアリングを行いました。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  日本建築センターは私もあまり詳しいものではないんですけれども、日本でも先駆けてこの分野で筆頭というか、そういうセンターだと思うんですけれども、こういう調査ができる事業者さんがほかにも幾つかあると思います。その中で日本建築センターともう1か所、日本ERI株式会社さんを選ばれたときの何か選定方法とか、考え方について教えてください。 ◎阪上浩二 参考人  日本建築センターにつきましては、一般財団法人となってございますが、旧建設省の頃から公益法人でございまして、こういった超高層建物のいわゆる審査を行いまして、大臣認定に導くための評定並びに当時でいきますと認定、こういったものを審査している老舗の審査機関でございます。
     一方、日本ERIさんにつきましては、2000年に確認審査業務が民間開放されまして、民間機関が確認診査を行えるようになりました。その中で、当初から日本ERIさんは株式会社として民間評価機関として立ち上げられているんですけれども、民間の中で最大手の審査機関でございまして、立ち上げ当初から高層評定のメンバーも充実されたメンバーの委員で構成されてございますので、信用に値する評価機関として民間最大の日本ERIさんを選びました。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  私たちがこの委員会に参考人として来ていただいた高橋先生もここに関わっておられるんですけれども、それは御存じだったですか。 ◎阪上浩二 参考人  それは存じ上げてございません。というか、今回ヒアリングしておりますのは事務局でございますので、直接的な委員さんとの面談等はしておりません。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  山下設計さんは既存の超高層建築物の耐震性能評価というのはなさった実績というのはあるんですか。 ◎阪上浩二 参考人  正式に何か認定証を取ったりとかそういったものはございません。自分たちでどういった性能を示しているかなということで、参考レベルに性能を調べたことはあります。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  参考は何件ぐらいあるでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  我々の社内の内容でございますので、回答は差し控えさせていただきたいと思います。 ○澤田昌作 委員長  よろしいですか。  ほかには。 ◆落水清弘 委員  今日は阪上参考人には御遠方からありがとうございます。  本当にお世話になりました。本当に多分世界で初めての解析方法ではないかという知的な阪上参考人のお話を聞かせていただいて、非常に理にかなっていると思いました。  私も実は建築をかじっておりまして、エネルギー不変の法則を耐震のときには常に考えろと習いました。エネルギー不変の法則はつまり上を強靭に造ったとしても、下の方にひずみが来る。下の方をしっかり造ったとしても上の方にひずみが来る。つまりエネルギーが来たら必ずそのエネルギーの逃げ場がどこかにないといけないというのが地震の考え方だそうです。もう随分前の話でございますけれども、そのことをつい思いながら、おっしゃられているとおりだなと、今回の上と下を組み合わせて検証されたことというのは、結局どこに一番ひずみが来るかということを考えられた結果が杭であったんだなというふうに、つくづく感銘を受けて話を聞いておりました。  そういう中で、ちょっと一、二教えていただきたいんですけれども、前回の平成29年の層間変形角のXY軸のグラフなんですけれども、これでいきますと、階数にしますと6階とか7階のところに大きく山が飛び出している。安全ラインを飛び出していると私たちは思えばいいのかと思いますけれども、この話を執行部としていたときに、要するにこれは6階とか7階が潰れる可能性があるという話をいただいたことがあります。それで、なるほど、こうやって地震のエネルギーがどこに集中するのかというものを考えていくんだなと思ったわけでございますけれども、今回の解析結果ではX方向の7階のところは92分の1というお答えをいただいておりますけれども、この92分の1というのは7階が潰れるような可能性があるという数字でしょうか。それともそこまではならないぐらいの数値でしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  正直申しまして、潰れる、潰れないという二言でいけば多分潰れないオーダーではないかと思います。それから、平成29年におきました78分の1、79分の1につきましても、今回上部構造、鉄骨造ですので、ある程度の変形能力はあると思いますから、何というか、昨日トルコとかエーゲ海で地震が起きて崩れているような現象が出てきていますけれども、ああいったことは日本の建築であれば多分ないと思います。そこは安心していただいていいと思います。  以上でございます。 ◆落水清弘 委員  ありがとうございます。  まず、建物がとても強靭に造られている。先ほど阪上参考人がおっしゃいましたように、この時代の建物は強くすることによって地震を回避する方法だという話を伺いましたけれども、それの見本のような山下設計さんが造った建物ですから、出来上がっているんだなと思った次第です。  そして、2点目がこの解析についてなんですけれども、先ほどからずっとお話を聞いていますと、世界でもまれな初めてのような最新のやり方をやっていただいたようですけれども、普通、解析をするときには当然もうパソコンなしでは今の時代できないと思いますんですけれども、どのようなソフトを使ってやられますんでしょうか。これは既製品のものがあるんでしょうか。それとも山下設計さん独自のソフトを使っていらっしゃるんでしょうか。既製品であれば何か名称を教えていただけるとほかの学者さんにも聞こうかと思いますけれども、独自のものでしたら、何も独自で結構でございます。教えていただけますでしょぅか。 ◎阪上浩二 参考人  既製品のプログラムを使っております。それで、ちょっとプログラム名を記載するのを忘れたんですが、構造計画研究所から出ていますRESP、確かSというものでしたか、ちょっとごめんなさいうろ覚えなんで申し訳ないんですが、こういう連性解析をできるプログラムがございまして、そちらを利用させていただいております。  以上でございます。 ◆落水清弘 委員  分かりました。ありがとうございます。  では、その既製品のものを阪上参考人が苦労して、応用して使われたということで、本当に頭が下がるばかりでございます。ありがとうございます。  それと、先ほどから言っています日本建築センターと日本ERIの件ですけれども、結局ここに書いてありますのは、圧縮して話しますと、答えだけ出せば、日本建築センターの方は、もっと詳しい現状のデータがなければ私どもから何か答えを出すことはできませんというニュアンスに聞こえます。それと日本ERIさんの方に関しては解析手法については一定の妥当性を有するということは認める。しかし安全や危険の判断は私どもにはできませんという意味に見えるんですけれども、これでよろしいでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  まさにそのとおりでございます。  以上です。 ◆落水清弘 委員  実は、阪上参考人、私どもは昨年だったですか、京都市役所に行きました。ここはちょうど建て替えしておりまして、御承知のように、重要文化財の建物と言われるような立派なものですけれども、この建物を壊すのはあまりにももったいないということで、京都市の議会とか市長さんは免震を取り入れられました。結局上物はどうにかそれでもたせようと。間にダンパーを入れて免震をやろうということを発想されて見事にそれをもうほとんど完成間近のときでしたけれども、本当に日本の技術は、結局昔は強靭に造ることで地震から守っていたのを、今度はそのエネルギーをダンパーによって吸収させようというこの発想がすばらしいと思いました。  私、ふと思いましたんですけれども、今、阪上参考人おっしゃったみたいに、上の建物は山下設計さんが造ったのでさすがに頑丈に立派にできているという話でございましたので、その杭が損傷すると、全ての地震のひずみはエネルギーが杭に来るんだという答えのように見えましたので、これは免震という発想は取り入れられないものでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  今の質問はちょっと今回の業務と大変違うところにありますので、これはあくまで個人的な見解という形でお答えさせていただきたいと思いますが、上部構造の耐震改修を目的とする免震レトロフィットという工法がございまして、上部構造をもたせるためにはそれは一つの手法とは考えます。ただし、免震構造の場合、地震動が来たときに、横方向、水平方向に、左右に大体四、五十センチぐらいは平気で動いてきますので、比較的敷地が大きいゆとりのある建物ではないと、その工法は使えません。  それから、上部構造は免震で守られたとしても、下部構造に入りますエネルギーは今の現状、検討しております地震エネルギーと全く変わりませんので、免震で補強しても、要は下部の基礎の補強は必ず出てくると考えますので、今回下部構造、要は基礎構造が少しダメージが大きいきらいがあるとすると、免震レトロにしても、基礎の補強というものがかなり大掛かりになるのではないかというのが、個人的意見でございます。  以上でございます。 ◆落水清弘 委員  個人的な御見解でも本当に能力の高い方の個人的な意見ですので、説得力があると思います。本当にありがとうございます。  下の杭を補強して免震をすればもしかしたらというように聞こえましたんで、私としてはその方法をまた諸外国のデータでも集めまして、活用したいと思います。  ありがとうございました。 ○澤田昌作 委員長  ほかには。 ◆田尻善裕 委員  ちょっと落水委員から解析結果について、お尋ねがありましたので、私も造った人にしか聞けないので、お尋ねをしてみたいと思います。  今回、検証結果を導き出した解析結果、X方向、Y方向です。その中のグラフを見ますと、K-ranと書いてありますので、これはランダムの意味だと思うんですけれども、92分の1です。クライテリアに達していない92分の1、これはランダム波が達していないというように見るんですけれども、ランダムというぐらいですから、何パターンかやられた中の一つと解釈してよろしいんでしょうか。 ◎阪上浩二 参考人  今回用いました告示波は、平成29年に検討していただいております告示波を参考データとしていただいてございますので、本業務では、そこの地震波は造ってございません。本業務の目的は、あくまで平成29年の報告に対する追加の検討業務と考えてございますので、そのランダム波の扱い等につきましては、どういった形で造られた、並びにどういった形で採用されたかというのはちょっと私は回答を差し控えさせていただきたいと思います。 ○澤田昌作 委員長  いいですか。 ◆田尻善裕 委員  いや、ちょっとすみません。  今回この92分の1でクライテリアに達していない1つのX方向のデータは山下設計さんがつくってはいないということなんですか。 ◎阪上浩二 参考人  このデータ、この解析は私どもがやりましたが、告示波のランダムという入力地震動を作成したのは平成29年の業務におかれて作成した波を使ってございます。  地震動、これらの振動解析を行うときには、入力地震動があって上部構造の解析モデル並びに今回の連性系のモデルがありますけれども、上部構造の解析モデル並びに下部構造の連性振動のモデルは私どもでつくってございます。しかし、地震動を変えてしまいますと、何を検証しているのか分からないきらいがございまして、地震動を変えてしまえば結果が変わり、同じ結果が出てきません。本件の業務は、平成29年の業務の低減効果を見るためのものでございますので、そのために平成29年に作成していただいた地震動を使用してございます。  以上でございます。 ◆田尻善裕 委員  つまり平成29年度のデータとこれは一緒ということですね。 ◎阪上浩二 参考人  はい、地震動につきましては一緒でございます。 ◆田尻善裕 委員  このクライテリアというのは、すみません、素人なものですからお尋ねなんですけれども、クライテリアというのは建築基準法なんですか、法律なんですか。 ◎阪上浩二 参考人  先ほどから申していますように、法律ではございませんが、現行の建築基準法で超高層の新築建物を建てるときと同じ設計クライテリアを用いてございます。  以上でございます。 ○澤田昌作 委員長  ほかには。 ◆高本一臣 委員  先ほど参考人がお話をずっとされていたときに、報告書2-5、この冊子で言えば11ページ、12ページですけれども、1か所だけ昭和53年の数値を採用されている、深さのところ、工学的に判断とたしかおっしゃったと思うんですけれども、その辺のところがちょっと私には理解できない。なぜそこの部分だけを工学的に判断して、昭和53年という古い調査の数値を使ったのかというのがどうもちょっと分からないわけでありまして、しかも杭の安全性についてはそれを採用した結果、杭中間部で曲げ構造が生じている深さがちょうど26メートル付近の固い岩、そこが応力が最大になるというようになっています。ただ、それで計算しているがためにそういう大きな応力が生じたんではないかと、ちょっとすみません、素人的に思ったものですから、それについてどういうお考えをお持ちか、お尋ねいたします。 ◎阪上浩二 参考人  詳しく申し上げますと、今回、調査しておりますのは、N値とVsでございますが、令和2年に調査しました本日の資料の青いボーリング地図でいきますと、N値が40程度出ております。N値が40程度出て360というVs値でございます。一方、解析モデル並びに昭和53年で用いましたのは、N値が10から25程度のN値でVs220という値を用いております。Vs値というものは、N値との明確な相関関係というものは分かっておりませんけれども、ある一定において、N値が大きくなればVsが大きくなる。N値が小さくなればVsが小さくなるという相関関係があるのは、分かってございます。ただし、N値が40だからといってVsが幾つあるかというところまでは関係が導き出せておりませんので、N値からVsを推測するということは非常に困難な現状でございます。  そういった状況におかれまして、今回調査した地盤調査の結果がN値40という値が出ておりまして、昭和53年のN値10並びに25と比べますと、明らかにN値の大きさが違うと。そういったN値の大きさが違うVs値を用いても、要は地盤の乗数の設定上おかしいと判断いたしまして、工学的判断という言葉を使いましたけれども、N値10から25に相当するVs値を採用するために昭和53年のVs値を採用させていただいたというのが詳しい説明でございます。  以上でございます。 ◆高本一臣 委員  非常に難しい工学的な判断ということなので、ちょっとなかなか理解し難い部分もあったんですけれども、今回、令和2年に地籍調査を行われたわけですから、私はその結果を用いて計算をする方が最も妥当じゃないかなという、すみません、これは素人の判断かもしれませんけれども、そうではないと、今回この調査をした意義が問われるんではないかと個人的に思いましたので、質問させていただきました。  答弁は要りません。  以上です。 ○澤田昌作 委員長  ほかにございませんか。         〔発言する者なし〕 ○澤田昌作 委員長  ほかに参考人に対する質疑もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたしたいと思います。  本日は大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただき、丁寧な説明を行っていただきましたことに心より感謝を申し上げます。本日は大変ありがとうございました。         〔参考人退席〕 ○澤田昌作 委員長  次に、執行部に対する質疑等ございましたらお願いをいたします。  ございませんか。 ◆上野美恵子 委員  前段、山下設計さんにいろいろお尋ねしまして、それを踏まえて何点かお尋ねしたいと思います。  まず、1番目は、平成29年度調査のときと今回の杭の図面が違うのではないかということを聞いたら設計図と竣工図と違って、今回、竣工図、実際の施行された図面を使って調査をしたという回答がありました。  そこで、私ちょっと思ったのは、前回の平成29年度調査のときもこの竣工図をきちんと安井設計に渡すべきではなかったんでしょうか。でなければ、設計図はあくまでも想定です。竣工図は実際やったものです。別物だから、結果に影響するということがあるのではないでしょうか。お尋ねします。 ◎宮崎晶兆 管財課長  平成29年度の段階で、大臣認定を取った際の設計図というものを安井さんの方にお渡しをさせていただいて、それで解析をさせていただいております。今回、山下設計の方で解析をするに際して、地下連続壁ですとか、基礎の密集効果という、特に地下連続壁というものが当時の施行状況が本当に実態としてどうなっているのかというのを詳しく見ていただくために、竣工図という形でより実態に近い形、実際に地下の中でどうなっているかという状態を見てもらうために解析をしていただいたものでございます。ですので、29年度は大臣認定のときの解析図でございます。そして、今回は地下連続壁等を踏まえた竣工図で解析をしていただいて、どちらも当然妥当性はあるものと考えているところでございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  杭の配置や実際打った杭の場所違うわけですから、全く同じにはならないと思います。私が聞いたのとちょっと答弁違っていたんですけれども、安井設計の調査のときも竣工図でやるべきではなかったんですかと、さっき山下設計さんは竣工図でやったほうが現実そうなっているんだから、より正確な調査ができるからそれを使ったと言っていらっしゃるわけだから、だったら不正確な図面をやっておいて調査してくださいと管財課はしたんですかというのを聞いているんです。そして竣工図でやった場合と設計図でやった場合で、どういう違いになってくるかという検証とかはしていますか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  設計図と竣工図で、前回の平成29年度に安井建築のやっていただいた解析というのは、大臣認定を取ったときの設計図でやっていただいた一般的なオーソドックスな解析のやり方でああいう結果になったということ、それから今回は竣工図として地下連続壁の最終的な状態まで踏まえて計算していただいて、今回の解析結果になったということでございます。ですので、平成29年度の結果と今回の結果というのが解析手法は違いますけれども、それぞれの段階での耐震性能の有無の検証ではないかと考えております。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  宮崎課長は、結果は同じだと言うけれども、違った図面を使って解析して同じなわけないでしょう。だったら山下設計さんも同じものですべきだったんじゃないですか。それはあくまでも設計図は架空のものであって、これでやる予定でしたということだったわけですね。でも実際やったらいろいろな地質の具合とかもあって、竣工図のような杭の形になって形状やら打ち方になってしまったから、今回は現庁舎はどうあるべきかという調査をしているときに、架空の話をしていてもそれは間尺に合わないでしょう。答弁絶対おかしいです。架空でもいいんだったら山下設計も架空でするべきでした。全然根拠の違うデータで2回の調査を行って、結果は同じですから結構でしょうというようなそういう答弁は世間に通用しないと思います。実際設計図というのは、建たなかったものでしょう、実際建ったものは竣工図ですから、なかったもので調査して、結果は同じだからいいでしょうなんて言ったら誰がそれを信用しますか。もうあなたたちのやっている調査自体がえらいいいかげんなものだとはたに映るでしょう。そんなふうに思わないんですか。違うものを渡しておいて、大体管財課として竣工図を持っていたんですか。持っていて出したのか、持たなくて出さなかったのか。教えてください。 ◎宮崎晶兆 管財課長  当然竣工図、それから大臣認定のときの設計図というのは当然両方持っていて、当時、安井建築設計のときもそれは検討していただいたところでございます。ただ、いわゆる設計段階と竣工段階では構造条件が何か変わっているわけではないので、いわゆる上層の建物の重量だとかそういうものは変わっているわけではないので、そういう意味では構造条件は同じ状態で、解析を29年度と今回の令和2年の山下設計でそれぞれやっていただいたと考えているところでございます。 ◆上野美恵子 委員  ちょっと専門家の方に聞いたんですけれども、今回の調査については、設計図でやっても実際の杭は違うわけだから、なかったものですね。違った建物の調査をやったということに結果的にはなりますと言われたんです。あなたが変わらないというんだったら、それはそういう答弁が今議事録に残っていますから、あとから問われることになると思います。今、ここで私もはっきりは言えません。だけれども、専門家の方に聞いたらそのように言われました。違う建物を要するに調査したことになりますということです。  もう一つここで言いたいのは、そういういいかげんなやり方で、私はちょっと今回平成29年、今回の調査というふうに拝見して、大体調査費だけでも7,000万円とか3,000万円とか、法外な委託料払ってやる調査で、根拠資料すらてんでんばらばら、ちぐはぐ、こんな調査を世間に熊本市役所が公の調査をやりましたと言っていること自体が笑われます。こんなことをやっていたら、そして、だから宮崎課長があくまでも違う資料をやって、同じ結果になっていると言い張るのであれば、本当にそこに影響がないのかということを調べて、科学的に証明してください。お願いします。  いかがですか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  平成29年度の解析においては、いわゆる建物の長寿命化、それに基づく耐震性能の有無、それに基づいて耐震改修が可能かどうかという検討をしていただいたところでございます。ですので、大臣認定時点でのその構造条件というものが非常に重要であったので、その設計段階での図面で解析していただいたものと考えております。今回は地下連続壁ですとか、基礎杭の密集効果という非常に個別具体的なものでございましたので、今回は竣工図の方をもって解析をしていただいたものと考えております。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  何回聞いても同じだから言いませんけれども、そこは今後専門家の検証をきちんとなされるべきだと思いますし、お願いをしておきます。  それから、さっき、告示波、3波、極めてまれに発生する地震動での検証が行われています。そこで、日本建築センターが、先ほど言いましたが、現地調査や熊本地震の影響が考慮されていない検証では、現状の建物を評価していることにはならないということを、日本建築センターが、今回評価を自分のところはできないという理由にされているわけです。ということは、日本でも筆頭の評価機関がこういう意見を述べるということは、そのことが重要だからです。  なのに、さっき山下設計さんの答弁では、私が何で熊本波は検証しなかったのかと言ったら、仕様書に入っていなかったからですと言われたんです。だから、仕様書が、作り方が不十分だったんでしょう。これについては、国土交通省の告示では、もともとの安井設計さんがなさったような地震動の想定波を入れることになっているのに、わざわざ今回3波に限って、日本建築センターがそれがなければ評価しても難しいというような地震波をきちんと評価対象に入れなかったのか、その理由は何ですか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  日本建築センターがおっしゃっている現状の状態というものについては、先ほど山下設計の阪上さんの方からも御答弁があったかと思うんですけれども、今回現状で経年劣化等まで含めて考えたときに、新築と同じような健全性を持って耐震性能を有していないという結果でございますので、その経年劣化まで含めるとさらに悪い結果になるということをおっしゃっていただいているかと思います。そういう意味で、現状というものを把握したとしてもさらに悪い結果になるということでございます。  そして、何で告示波のみということでございますけれども、平成29年度の段階でこの耐震性能の目標値というものを満足していなかったのが、この告示波の3波でございました。今回齋藤参考人の御意見で、地下連続壁、それから基礎杭の密集効果等を加味すれば、耐震性能がオーケーになるんではないかというような御意見を踏まえて、それを検証するためにということが今回の調査の目的でございましたので、そのオーバーをした告示波について検証していただくということにしたものでございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  齋藤参考人がおっしゃったから、こういう調査をやっているということで、あたかも齊藤参考人が今回3波によって検証したことについてオーケーかというような言い方をされましたけれども、課長がそういうことをおっしゃるのであれば、齋藤参考人にこういう地震波の設定でよかったでしょうかということを聞いていただきたいと思いますので、よろしくお願いしておきます。  後日回答をお願いいたします。  それから先ほど、業務委託の件で2か所の評定機関に意見を聞かれている。これは委託の仕様書には何か所の意見を聞くというようになっていたのでしょうか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  仕様書の中では、何か所を聞くというような箇所数は設定はしていなかったと認識しております。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  先ほど山下設計さんの御回答で、最初日本建築センターに依頼をして意見を聞いたと、そして難しいという回答が来て、2日に意見聴取なさって、その後、9月4日、2日後に建築センターさんから回答が来ております。そのように管財課のほうに確認をさせていただいております。それからそれぞれの指定評価機関に評価の依頼をされたのは、それぞれ1週間前だというふうにさっき山下設計さんはおっしゃいました。ということは、日本建築センターさんの回答が2日後に来ている。そして16日が日本ERIさんの意見聴取だったので、日本ERIさんに意見をお願いしますと山下設計さんが言われたのは、だから9日か10日頃だったと思うんです。普通だったら公平公正に一緒に発注すべきでしょう。あたかも、これは私の意見ですけれども、こっちの意見では都合が悪いから、もう1か所聞かないかんとなりましたからしましたと言わんばかりのやり方でしょう。それについてどう思いますか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  今回、指定性能評価機関からの見解聴取につきましては、この業務の中で山下設計のほうにお任せをさせていただいているところでございます。ただ、何でこの2か所を選んだのかということでは、先ほどもお話があったとおり、一般財団日本建築センターの方は公的な機関で最大手、それから日本ERI株式会社の方は民間の指定性能評価機関の最大手だったからここを選んだとは聞いておりますが、この選定、それからどういう聞き方をするかについても全て山下設計のほうに、専門業者のほうにお任せをしていたところでございます。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  私がさっき伺ったときに、評価意見を聞くときは、どこから見ても公平公正な意見を聞かないと、何かなぜというふうに私たちが伺ったときに、思うような意見では困るわけです。私はさっき日本ERIさんというのはグループ企業の中にここに参考人で来られた高橋先生が専門委員を務めておられるような会社であるので、高橋先生はとても専門的に専門性の優れた方でおられます。だから議会としてもお呼びしたわけです。だけれども、御主張というのは一貫して熊本市の建て替えを、今の本庁舎は耐震性能が不足しているのではないかという御意見を一貫して言ってこられた方です。だから、何かわざわざ数ある評定機関の中で1か所の日本建築センターは誰が聞いてもここには聞かなければいけないというのは一目瞭然です。けれども、2か所聞くにしても、もう1か所については、その選定結果というのは、さっきは日本で民間の最大手だからと言われましたけれども、でもそのことについて、どこかで何か高橋先生の関係されているところだと思われないようなところを選んでいかないと、何か知らなかったからとはおっしゃったけれども、これも周りから見たときには、本当に公平な御意見になっていたのかと。  さっき一応1つ引っかかったのは、なぜ2か所に見解を求めましたかと聞いたら、日本建築センターに依頼して結論をいただいたと、その後に、前に進むことができないので、どこかないかといったときに日本ERIにお願いをしたと言われたんです。そこにはとにかく一番評価機関の筆頭といわれるところが難しいという判断をしたにもかかわらず、熊本市が何としても任意評価を受けるという方向で進んでいかなければいけないというお考えがここに加わっていないのかという疑問を私は持ちました。
     この点について、いかがでしょうか。 ◎田中俊実 政策局長  今回のこの業務委託についてのいろいろなお尋ねでございますけれども、今回のこの追加調査につきましては、これまでの本委員会での議論を踏まえまして、補正予算を計上させていただいて、平成29年度調査と同様に全国有数の設計会社数社と協議を行いまして、公正、適正な手続の下で行政として契約を結んで行った調査でございます。  今、委員からいろいろ御心配、御懸念の声ございましたけれども、この調査結果、調査手法については正しいと認識しております。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  それでは伺いますけれども、日本建築センターは2000年までの法改正まではこの超高層、60メートルを超える建物を高層評定で審査してきた唯一の機関だったんです。すごく実績もあって、公の機関で、時刻歴応答解析建築物の性能評価業務方法書を作成するときも指導的な役割を果たしながらなさってきた機関なんです。そして公的な機関です。だから、ここが筆頭でまずはここに聞くわけです。山下設計さんも一番に聞かれたわけです。以前、平成29年の委託をしたときも、その当時安井設計さんは、その評価報告書を見ているかどうか分かりませんけれども、そこでは基礎杭の検討結果で地盤の強制変形に関わって、安井設計が判断を迷ったところがあるんです。そのときに、安井報告書の2の64ページです。ここに国土交通省の指定評価機関として日本建築センターの見解を求めているんです。そのページがあります。安井設計は日本建築センターがこう言ったからこれではちょっと心配だからもう一か所聞こうかと、安井設計さんはしなかったわけです。それはなぜかというと、国土交通省の指定評価機関として日本建築センターはもう筆頭だからです。あえて次のところに聞く必要はないと思って1か所に絞って聞かれていると思うんです。  だから、なぜここでわざわざその筆頭格の日本建築センターが難しいですと、そして私が一番最初に言ったように、社会的な影響とかも考えると軽々に意見が述べられないとおっしゃっている。このことに対して、なぜあえてそれでも先に進んでいかなければいけないとなっていったのか、この点については、行政の説明責任が必要ではないかと思います。  いかがでしょうか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  平成29年の安井さんが日本建築センターのほうに確認していただいたのは、基礎構造物について、地盤の強制変形をこの耐震性能を見る際には評価する必要がありますかということを確認しに行って、解析の条件をそのとき確認していただいたものと記憶しております。  今回の日本建築センターと日本ERIの2か所になったというところですけれども、これについては、山下設計の方に、専門の今回の解析の専門業者の方にここは全て任せておりますので、これについて我々が、熊本市側が何か意図的にしたものではございません。  以上でございます。 ◆上野美恵子 委員  では、日本建築センターさんと日本ERIさんが意見が分かれているわけです。私は申しましたように、日本建築センターというところはこういう評価機関の中でも筆頭格ですから、その御意見というのは重いと思います。だから、分かれているときにどちらを採用するのか。熊本市の考え方を教えてください。 ◎田中隆臣 都市建設局長  日本建築センターと分かれているとおっしゃいますけれども、結局任意評定の取得は、どちらともできない。今回の報告書の結果、どちらもできないですということ。日本ERIの方はこのやっている課程、要は手法については評価してもいいですということは、先ほど言われたかと思いますけれども、そういう点ではどちらとも任意評定はできないという判断はされていると我々も認識してございます。 ◆上野美恵子 委員  この日本ERIさんと建築センターさんが1日ずつ意見調整されているんですけれども、簡単なメモを拝見したんですけれども、詳細な議事録というのはないわけですね。 ◎宮崎晶兆 管財課長  我々のほうに成果品としていただいているものはそこまででございます。これ以上のものはございません。  以上でございます。 ◆田尻善裕 委員  今の田中局長のお答えのことでちょっと私からなんですけれども、そもそもこの委員会の趣旨は審査結果、最終報告書を第三者機関に見ていただいて評価してもらってからこの委員会が開かれると私は認識していたんです。  議事録をさっきひも解いてみたんですけれども、令和2年の1月20日のこの特別委員会で、落水委員と執行部とのやり取りの中で、請け負った業者の方から指定性能評価機関に耐えられるかどうか、評価していただくということにしていますと、執行部が言っている中で、落水委員が、ですから、丸かバツの答えが出ると判断されていますかと、再度お尋ねのときに、執行部が、そうでございますと答えているんです。執行部が丸かバツかの判断が出ると言っているんです、1月に。それが今回の報告書では判断されていないんです。 ◎江幸博 総合政策部長  前回の発言について、私のほうから発言したと思いますけれども、私の方としましては、あくまでも請負業者の方が丸かバツかを判断するということで、回答させていただいたところでございます。 ◆田尻善裕 委員  江さん、自分で名のられたので、言いますけれども、江さんが、少なくとも請け負った業者の方から指定性能評価機関に耐えられるかどうかという評価をしていただくことになっていますと、していただくことになっています、ですから、請け負った業者がするんではなくて、指定機関にやっていただくようになっていますと応えられているんです、江さんが。それで落水議員が、丸かバツかの答えが出ると判断されていますかというので、江さん、そうでございますと答えているんです。ですから、このやり取りを見ると、第三者機関が丸かバツかを出すと私は受け取って、今までこの委員会はその結果が出ると思っていたんです。 ◎江幸博 総合政策部長  業者の方に対しては、初めての解析手法でございますので、その手法のやり方自体が指定性能評価機関が受け取ってもらえるかどうかが分からないというようなことでしたので、そこに耐え得るような内容かどうかについて、業者自らが指定性能評価機関に確認の上、判断していただくということで、回答させていただいたところでございます。 ◆落水清弘 委員  初めての仕方をしないとよかったのだ、そんなことを言うなら。おかしいだろう、言っていることがつじつま合わんではないか、全く。世界で初めての方法というのは誰も証明をしていない方法ではないか。その方法をあなたたちがあえて採用したこと自体に、大きな最初のボタンのまた掛け違いが出てきた。世の中で当たり前に通っている手法を取ればいいわけ、まず。私は言いましたね、齋藤先生の言っていらっしゃることを論破できないならば、この問題は一歩も前に進みませんと申し上げました。  私は、今日お見えになった山下設計の阪上さん、すばらしい方だと思いました、本当に先ほどから何度も言っていますけれども。あの方はチャレンジ精神があって、非常に立派で、話を聞いていて道理にかなっている。私が申し上げましたエネルギー不変の法則という地震の大原則を真っ向から分かっていらっしゃる。もうすばらしい方です。今までここにおいでになった学者の方で、はっきり申し上げまして理路整然とおっしゃったのは齋藤先生だけでした。  私は三井先生とこの間別のところで話しましたら、三井先生、そこでお話しになったときには、本当に理路整然とお話しいただいて、三井先生も尊敬に値する方だとつくづく思いました。その三井先生がすぐに建て替えをする必要性があるかという私の問いに、いや、すぐにというわけでは決してありませんと、ゆっくり議員の先生方が御検討いただいてとちゃんとおっしゃいました。  つまり執行部が物すごく駆け足で進んでいらっしゃる姿を見て、非常に違和感を感じます。そしてあなた方は全く今回の調査結果で、私は阪上さんを100%信じています。しかし、残念ながら証明ができていないんです。齋藤先生と一緒なんです。齋藤先生は私100%信頼しています。お2方とも言っていらっしゃることは非常に道理にかなったことをおっしゃっています。全然数字のマジックであるとか、変な詭弁で話をされません。筋の通ったことをおっしゃいます。お2人ともすばらしい方です。しかし、お2人の話を聞いて、建て替えなければならないという答えにならないんです、全然。そこが問題なんです。  今日はそこに話す場ではないので、答弁は求めませんけれども。 ◎江幸博 総合政策部長  答弁求めないというようなお話でございましたけれども、最初の御指摘について、誤解がないように申し上げさせていただきますと、そもそも阪上参考人のほうからも答弁の中にあったように、平成29年の調査の手法が一般的であると、それから齋藤参考人のおっしゃられた連性解析、これについて調査すべきというようなこの委員会での御指摘がございましたので、調査の手法も含めて1月に説明をさせていただいて、この場で御了解をいただいた調査手法で調査をしたということを申し上げたいと思っております。  以上でございます。 ◆落水清弘 委員  手続論を申し上げているんではないんです、江さん。手続論を申し上げているんではない。あなたがおっしゃったことと違うことをなさったということを申し上げている、私は。議事録に書いてあるとおりですから、まず。そこは勘違いをされないでいただきたい。  2点目、証明されていないということです、今回の調査書に関して。誰もこの調査書が正しいという裏づけをしてくれなかった、残念ながら。そこは分からんといかんです。誰もこの調査書が正しいと、危険である、安全ではないということは誰も一言も言わなかったということです。それはもちろん調査機関は言います、自分たちが調査したことですから。しかしそれ以外の人間は誰も証明をしてくれなかった。それはそれぞれの学者さん方がこういう意見ですと言ったのを論破できていないのと全く一緒ですから、ですから、はっきり申し上げておきます。この調査結果が出ても、何も解決していない。一歩も前に進んでいない。その認識を持ってください。 ○澤田昌作 委員長  ほかに御意見ありますか。 ◆高本一臣 委員  すみません。  先ほど、私、OWS工法、コンクリートの件を参考人の方にお話をお尋ねしたところ、当初これは地中連続壁というのは、全くこの委員会では現れなかったんです。齊藤参考人の方から、こういうのが実は地中にありますということで、それは杭を低減する効果があるんじゃないかということで、この調査に至った経緯だと認識しています。当時は、昔のコンクリートだから品質が不明で分からないというような執行部のお答えだったんですけれども、実は今日聞いたら非常に品質の高いコンクリートであると、OWS工法で建っていると。OWS工法というのは、一般財団法人の日本建築センターの一般評定を取得していて、誰でも知っている東京スカイツリー、そういうところにも工法として使われています。今まで400万平方メートル、実績は、熊本市の面積よりも広い、そのぐらいの実績があるわけであります。  なぜそういう話をするとかというと、今回は効果がないというような調査結果が出ましたけれども、一方では、コンクリートの専門家の先生は、当時、この本庁舎の地下工事に携わった方から実際話を伺う機会があられたということで、例えばこの23ページの図、阪上参考人は多分こうなっているだろうというような話で進めていかれました。  実は、当時の方はつなぎ目には凹凸をつけて施行しているという確かな証言もされております。だから、この示された図とは若干違っている可能性もあります。  また、耐震性能における地中連続壁の効果はない。その一つの理由に先ほど寺本委員もおっしゃったんですけれども、連続壁が支持基盤まで達していないと、深さが19メートルですから、達していないからその効果がない一つの理由と、速報版では掲載されていますけれども、専門家の方の見解では、支持基盤までたとえ達していなくても、そういう必要はないとおっしゃられています。  当時の24ページの昔の写真、これで判断して、それを計算に入れてするのは正確性の担保が私は取れていないんではないかと、私的には感じました。この地中連続壁地下外壁として設計されているため、地盤の変形やあるいは地震力に対して、たとえ連続壁のコンクリートの割れが生じても問題なく、連続壁は両面が地盤に拘束された状態なので、その状態で低減効果がどの程度か検討すれば逆にいいというような意見も伺っております。  いろいろ話を聞いていると、非常にこの報告書はすばらしいものだと思いますけれども、この中で想定されたことで進んでいる部分もあるものですから、なかなかそこに疑義が生じてしまうという感じが私はしました。  そこで、今回のこの報告書、今まで安井設計さんの報告書に携わられた高橋参考人、それから熊大の3人の先生、そして齋藤参考人、この方々にぜひこの報告書、今の報告書を見せていただいて、見解を伺っていただければというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。 ◎宮崎晶兆 管財課長  管財課でございます。  こちらの報告書につきましては、山下設計から出していただいた報告書につきましては、最終報告書ができた段階で議会の方にお配りをさせていただいたタイミングで、その後、今までこちらの議会の方で御意見をいただいた熊本の3名の方、それから高橋先生、それから齋藤参考人の方には、既に報告書の方はお送りをさせていただいている状況でございます。何か御意見等あればお寄せくださいということはもうお伝えをさせていただいているところでございます。  以上でございます。 ◆高本一臣 委員  もう送っていただいているということで、ぜひ見解が来たら私たちの方にもそれを拝見させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○澤田昌作 委員長  ほかにございますか。  ないですか。 ◆寺本義勝 委員  もう本当に長いことの耐震問題に議論しているんですけれども、もう庁舎の建て替えの特別委員会じゃなくて、耐震問題検証等委員会ではないかというぐらいな感じが私はしているんですけれども、何分素人なので、市役所が発注する業務委託には多種多様ないろいろな業務委託があると思います。その業務委託の結果報告をこれだけいろいろな議論をするというのは、初めてのことなんだろうと思います。  しかしながら、これまで我々は安井設計の報告書に疑義があったから、高橋さん、齋藤さん、それぞれの学者さんを呼んで検討を重ねた結果、当委員会で再度連続壁と地中密集杭を検証しようということで委託をしたわけですから、その委託結果が山下設計の今日の報告だろうと思います。  先ほどからあっておりますように、大丈夫という学者さんもいらっしゃるし、危ないという学者さんもいらっしゃいますけれども、最終的にどちらが正しいかなんか、絶対結果は出ないと思います。世の中に学者さんが何千人いるのかは知りませんけれども、そういった中で、行政としてきちんとした手続を踏んで、ルールの下にのっとって委託をした報告書がこうであるならば、我々はそれを信じざるを得ないんではないかと思います。でなければ、異論を唱える先生方全てに調査をお願いするか、そういうことは不可能だろうと思います。  そして何より、当委員会の冒頭の会で、早い時期に委員長がまとめられたように、耐震問題はさておき、庁舎の建て替えは耐震問題だけで検討するのではなくて、それ以外の部分も含めて総合的に検討していきましょうと委員長は取りまとめたはずです。それがこの期に及んで1年もこの耐震問題で滞るというのはいかがなものだろうかと思いますので、その辺を検討いただきたいと思います。 ○澤田昌作 委員長  今、寺本委員の方から御意見ございました。  執行部というよりも、我々この委員会がどうしていくかという議論かなと思いました。  今日、様々な意見が今出されましたけれども、最終報告ということで、今回初めてこの報告書に対して議論がなされたところでございますので、一度といいますか、今回の、本日の委員会というのはこの辺でとどめさせていただきたいと思いますし、まだありますか。ちょっと待ってください、一言ちょっと今の話がありますので。その辺は今後委員会どうしていくかということは、これから各会派に持ち帰って、いろいろと議論が今回の委員会を受けてあるかと思いますので、そこら辺で各会派それぞれ各委員の方々、また検討の方を引き続きお願いしたいと思います。  その後、また委員会をどうするかということは委員長、副委員長含め、また皆さん方に相談をさせていただきながら、この委員会の運営を決めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 ◆西岡誠也 委員  熊本市の財政が非常に厳しい中で、すぐ建て替えをせよと、こういうことではなくて、ただこの問題については、一定の方向性を出さないと、このままこの庁舎を放っておいたのでは、もうかなり維持費に金がかかると思います。したがって、一定の財政の見通しがついた中で、庁舎問題をどうするかという方向だけは出さなければいかんと、私はこのように考えております。  したがって、そういう意味では執行部として、今この特別委員会は中断をして、今日はたまたま今までの調査をやっておったから特別に開いたんだけれども、この間、何もしないということにはならないと思いますから、この特別委員会を別にして、執行部としては具体的にいろいろな角度で防災の問題だとか、浸水の問題だとか、あると思いますから、その辺、いろいろな検討をやっていくべきじゃないかと思いますけれども、これについては執行部の方の見解をお尋ねしたいと思います。 ◎田中俊実 政策局長  たった今、各委員からいろいろな御意見をいただいて、一生懸命考えておるところでございますけれども、私ども執行部としましての、この特別委員会の調査の受け止めといいますか、考え方、そして今後の取組について、ちょっと御報告をさせていただければと思っております。  この平成29年度の調査、そして今回の追加調査の結果でございますけれども、やはりいずれも耐震性能が不足しているという報告をいただいたところでございます。これにつきましては、いろいろな有識者の方々からも御意見をいただいておりますし、また、委員の方からもいろいろな御意見をいただいております。それについてはしっかりと対応させていただきたいと考えておるところでございます。  しかしながら、この2つの調査でございますけれども、先ほど申し上げましたように、全国有数の設計会社との協議の結果、行政として公正、適正な手続きで契約を結んで行ったものでございます。したがいまして、執行部としましては、これらの結果を受け止めて、現庁舎が現行の建築基準法等が求めております耐震性能を有していないと改めて整理をせざるを得ないというように考えております。そして、耐震性能を有していない以上、行政の責任としましては最悪の事態に備える必要があると、対策を講じる必要があると考えておるところでございます。  そこで、先ほど西岡議員からも御指摘がありましたように、この庁舎整備の在り方につきましては今後内部での検討をさせていただきたいと、進めさせていただきたいと思っております。具体的には、水害も含めました防災、それからまちづくり、建物の経済性ですとか、財政など問題は多岐にわたっておりますので、それぞれの分野における専門家の皆様方から、在り方について客観的な御意見をいただいたり、また民間の方からもいろいろな御意見もあろうかと思いますので、そういった提案もお聞きして幅広く検討を行ってまいりたいと考えております。  そして、執行部としての考え方をしっかりまとめて整理しました上で、今議論を中断させていただいておりますが、適切な時期にこの特別委員会における議論の再開をお願いしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ◆西岡誠也 委員  私ども責任ある立場として、耐震を除いても大幅な改修をすれば222億円かかるという話も出ておりますから、これについてもいかに安く、そしていかに長持ちできるかとか、いろいろな角度で議論すべきだと思いますので、ぜひ執行部の方では検討いただきますようお願いしておきます。  以上です。 ◆上野美恵子 委員  今の田中局長の発言につきましては、議会が凍結しているというように何かいいですけれども、市長も記者会見で新型コロナの折だからこういうことについては一旦凍結をして、新型コロナが最優先だというように言っておられるので、でも今局長がおっしゃったことは、何か形ばかりは凍結をして裏では進めていきますというようになってしまうと思うんです。そういうことは、市長が凍結と公の場で言っているんだったら、それは凍結でなければおかしいです、議会も凍結しているんですから。  それより、考えることはいっぱいあるんじゃないですか。新型コロナ、みんなが生きるか死ぬか、なりわいがどうなるかと言っているときに、この建て替え、賛否両論分かれていて、そんなにすぐには建て替えなくてもいいんではないかという意見のあるものを優先でうちうちに進めるという議論というのは、私はちょっと市民の皆さんには理解は得られないだろうと思います。  そういう裏では違うやり方をするというのは変だと思いますので、それはちょっとおかしいと思います。  そして、さっき山下設計さんにも聞いたんですけれども、大体今度の調査結果、ほかの委員さんからは、出ている結果なんだからという御意見もありました。しかし、とても影響が大きいものだと私は思っています。場所打ちコンクリート杭という中空の既成杭に比べれば地震のときに支持力が極めて大きいと言われている杭が多数密集していながらその全てが損傷するという結果を、そうですねと言ってしまったら、では民間のいろいろな施設はどうなりますか。この近隣にある高い建物、古くなっているもの。うちも危ない、うちも危ないと言って、それは大ごとになってしまいます。  だから、さっきいろいろ建築の先生方が言っていることについての見解はどうだこうだという説明がありましたけれども、あまりにも影響が大きい、そのことをしっかり踏まえないと、何かこれは大ごとになります。だからさっき山下設計さんは社会的影響が大きいんではないんですかと言ったら、それはコメントができませんとおっしゃったんですけれども、それは専門家がコメントできないことを軽々に市役所が言ってしまったらとんでもないことになっていくのではないかと私は思います。  そして、1つは既存の超高層建築物の耐震性能評価というものはもともとしなくてもいいものなんです。そこから間違いが始まっているから、こんなに耐震がどうだこうだというようになっていくんです。だから、その建築基準法のもともとの定めというところに、原点に立ち戻ってこの問題考えないと、とにかく建て替えをするために性能評価をしなければいけない。危ない、危ないというような議論は極めて周りに対する市役所の見解としては影響が大きいと思います。  それで、既存の超高層建築物の耐震性能評価を行った実績について、山下設計さんはありませんと言われましたけれども、熊本市役所として全国でこういう事例がどの程度あって、どんな判断がされているのか、調査をして御報告をいただきたいと思います。  社会的な影響については、局長がどのように今お考えか、一応お聞かせください。 ◎田中隆臣 都市建設局長  今回の社会的な影響というのが、ちょっと私も先ほど聞いておりましたけれども、ほかの民間の建物にというよりも、私としてはそういうような今回のような、要は新築ではない建物の検証をするということが、建築センターもやったことがないということで、そういうのも含めての話かなとは認識しているところなんです。  例えば、この周りにいっぱい民間の建物がありますけれども、それが全て今回のこの調査結果によって危険ですとなるものではないと考えてございますし、そのほかの超高層というか、最近建ったものは当然今の新しい耐震を受けたものがほとんどでございますので、それについては多分耐震性能は有している、60メーター超のものは、熊本にあるものは全て今有していると認識してございます。 ○澤田昌作 委員長  ほかに。 ◆藤永弘 委員  先ほどの寺本委員から発言がありましたが、そろそろ委員長の方で、今、コロナ禍で、この話を一旦止めておるんですけれども、同じところの議論はもういいんではなかろうかと。建て替えと決めておるわけではない、設計のみの改修、移転建て替え、現地建て替えということでもともと出してありますので、議会からも経費を使って再度齋藤さんの言った手法で調べたらどうかということで3,000万円かけて調べたわけですから、今参考人で来られた方の話を聞いても納得いくような話ですので、次に委員会をするなら、中身の話、建て替えでもよかろう、設備のみの改修でもよかろうとか、そういう中身の話をそろそろする責任が委員会としてあるんではないかと思いますので、委員長、その辺の取りまとめをお願いします。 ○澤田昌作 委員長  ほかに。 ◆西岡誠也 委員  執行部の検討なんですけれども、いろいろ会議をするときには、いろいろな角度から検討して、資料として出してもらわないと、何もなしに検討しなさいというわけにはいかんから、そういう意味で執行部の方ではいろいろな形で検討してもらうということで、それもできないというなら、それは資料もないですから、ぜひその辺は検討していただきたいということを申し上げておきます。 ◆落水清弘 委員  私もそれは賛成なんです。地震のことだけでこれを建て替えるというのがどうしても納得いかないと、答えとして。皆さん方が残念ながらそれを論破できるだけのデータをそろえることができないわけだから。  しかし、この建物をどうにかするという話になると、またこれは別の問題です。水害の問題もある。財政の問題もある。本当に建て替えなければならないのか、それとも先ほどから言っているように、本当に経費を使って、200億円使って建て替えをせずに大規模改修をするのかとか、要するにいろいろな角度から一応メニューをそろえて精査する時期には来ているのは間違いないです。  しかし、一番大事なのは、メニューをそちらで勝手に決めてはいかん。各会派からメニューを出してくださいと。それに応じて私どもは段取りしますと持っていかんと、またあなたたちが建て替えありきで物事を言ってメニューをそろえるから、またややこしい、結局時間がかかります、そんなことをやったら。そうではなくて、議会側からどんなメニューを必要とされるかという意見を聴取した後に、あなたたちがそのメニューに沿ってちゃんと意思の疎通をしながらやっていけば、この問題はそんなに難しい問題ではないんです、はっきり言って。  ただ、今、市長が凍結とおっしゃっているから、事を進めるんであるならばまず凍結を緩やかに解除したいけれども、まずは各会派の中でどういう御意見があるのか、この問題に関して、意見を調整して出していただきたいというような話を、皆さん方から意見をもらわないと。  また、あなたたちが勝手に解除します。では行け行けどんどんで行きますと言うとまた紛糾するではないか。そうではなくて、議会は議決権があるわけですから、もう何度も言うけれども、最高議決機関は議会だから、そこのところは意思の疎通を持っていただきたい。そのことに異論はないでしょう、局長。  異論ありますか、お答えください。 ◎田中俊実 政策局長  ただいま落水委員から御指摘、御指導がございましたように、先ほど申しましたように、私どももきちんとこの委員会で様々なメニューとおっしゃいましたけれども、様々な検討の課題について、それをきちんと整理した上で、御説明できるように準備をさせていただきたいと思っております。  そして、あくまでもこの議論を中断を申しておりますのは、私ども市がコロナに注力すると、私どものこれのお願いでございますので、きちんと準備ができて、しかるべき時期に改めまして、また議論が再開できるように取組を続けさせていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○澤田昌作 委員長  よろしいですか。  それぞれ御意見いただきました。委員長の方に取りまとめをという話もございましたけれども、私のほうから皆様方に申し上げさせていただきたいと思います。  本日の委員会はこのあたりでとどめたいと思いますが、本日の委員会におきまして、基礎杭や地下連続壁の効果に関する調査、最終報告及び参考人の意見聴取を行ったわけでございますので、本日の調査内容等につきましては、今後の議会運営も含めまして、各会派においてさらに御確認をいただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。  先ほど来、局長と皆様方もありました。今コロナの影響ということで5月から市長の方から中断をされておるという状況でもございます。そういったことを見ながら、次回の当委員会の開催についてでございますけれども、改めてその状況を見ながら、そして委員の皆さん方と相談しながら、正副委員長で次回の開催というのは日程を決めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  これをもちまして、庁舎整備に関する特別委員会を終わります。                             午後 4時03分 閉会 出席説明員  〔政 策 局〕    局長       田 中 俊 実    総括審議員    井 芹 和 哉    総合政策部長   江   幸 博    政策企画課長   井 上 卓 磨    危機管理防災総室長吉 永 浩 伸  〔総 務 局〕    局長       深 水 政 彦    行政管理部長   村 上 和 美    管財課長     宮 崎 晶 兆
     〔財 政 局〕    局長       田 中 陽 礼    財務部長     原 口 誠 二    財政課長     黒 木 善 一  〔文化市民局〕    局長       井 上   学  〔経済観光局〕    局長       田 上 聖 子  〔都市建設局〕    局長       田 中 隆 臣    総括審議員兼都市政策部長                                 能 勢 和 彦    建築指導課長   小 山 博 徳    公共建築部長   東 野 洋 尚    建築保全課長   塩 田 栄一郎  〔中央区役所〕    区長       横 田 健 一...