今回の私の質問は、この本庁舎の建てかえ問題に絞った議論ではなく、本市が九州の
中核拠点都市、
熊本都市圏の
中枢中核都市として
まちづくりを進める上で、本庁舎の建てかえ問題をどのように位置づけるかという新たな観点から、市長の御意見、御見解を伺うものでございます。
さて、我が国においては現在、
少子高齢化の急速な進行と本格的な
人口減少社会を迎えるという、いまだかつて世界のいずれの国でも経験したことがない重大な課題に直面していますが、このような状況の中にありながらも、依然として人口の東京一極集中は解決されず、さらなる地方の衰退が懸念されていることは各位御承知のとおりだと存じます。
本市においても平成28年以降、死亡者数が出生数を上回る、いわゆる自然減の状態にあると同時に、10代後半から20代の若年層の首都圏や
福岡都市圏への転出超過も続いているとのことでございます。
本市のビジョンでは、2050年に70万人程度の人口を維持するとした目標が描かれておりますが、私個人としては、このままではその達成は非常に難しくなるのではないかと考えております。私は都市に活気をもたらすのは何よりも若い世代の人たちであると考えており、本市の
中心市街地の衰退を防ぎ、さらに活気のあるまちにするためには、まずもって多くの若者たちが熊本から転出していく状況を防ぐ必要があると考えております。
このように、若者たちが熊本を離れていく理由としては、進学や就職の選択肢が狭いからと言われることが多いようですが、私はこれ以外にも、若者が抱く都会への憧れに応える魅力が熊本には少ないということが、深刻な熊本離れに拍車をかけているのではないかと考えております。
高層オフィスビルに囲まれ、人気の
ブランド店、おしゃれなレストラン、映画館など娯楽施設、人気のあるコンサートや舞台が常時開催されるコンサートホールなどが集積した輝かしい都市は、若い人を強く引きつける魅力を秘めております。
本市においても、従来からの下通、新市街、上通を中心とした町並みに加え、開業を間近に控えた
熊本城ホールや
シンボルプロムナードの整備、
JR九州主導で進められている熊本駅前のビルの開発など、まちの姿は刻々と変化し始めております。私はこれらの変化というキーワードが、都市として大変重要なものであると考えております。変化を好む若者にとっては、何十年たっても変わらぬ町並みではなく、常に変化するまちであることが魅力であり、そのための継続的な投資による都市基盤の更新は、まちの魅力を維持していく上で必要不可欠なものであると言うことができます。したがって、行政としてはそれらの変化にインセンティブを与える施設を展開し続けることが重要ではないでしょうか。
このような視点から
市役所本庁舎の建てかえ問題を考えると、また違った視点が見えてくるのではないでしょうか。つまり、
市役所本庁舎は立地的にもまちの中心部に位置し、熊本のまちを代表する
ランドマークでもあります。耐震性が不足し、建てかえざるを得ない状況にあるようですが、そのあたりについては庁舎整備に関する
特別委員会での議論に委ねることとし、私としては、庁舎建てかえに伴ってまちの姿にどのように変化を与えることができるのかという視点が大事ではないかと考えております。
つまり、庁舎建てかえというだけの視点で捉えれば、
財政的負担が大きな課題となるかもしれませんが、これを
まちづくりという視点から考えれば、例えば現在地を離れて建てかえることにより、熊本城を正面にした広大な跡地が生まれ、それを生かした新たな観光資源を開拓できるのではないでしょうか。このような跡地利用は、熊本経済への大きな効果をもたらす一方で、
固定資産税を初めとする諸税の収入増は、庁舎建てかえに伴う財政負担を十分に補うことができるのではないかと考えております。
先月公表された
まちなか再生プロジェクトにおいても、
老朽建築物の建てかえ促進、昼も夜も歩いて楽しめる歩行空間の整備、高
機能オフィス等の整備誘導などを見据えた建築条件の
規制緩和等に今後取り組んでいくことが明らかにされました。こうした取り組みは地元だけでなく、地域外からの民間投資を呼び込み、まちに変化をもたらす有効な施策として、私としても大きく期待しているところでございます。ぜひ官民を挙げて、まちなかの再生、新しい熊本の顔づくりに取り組んでいきたいと思っております。
そこで大西市長にお尋ねいたします。本市住民に限らず、本市の通勤者、通学者を含めた圏域住民全体に与える都市の効果とそのあるべき姿をどのように考えておられるのか、また、
まちなか再生プロジェクトをどのように
まちづくりに活用しようとされているのか、お聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長
中心市街地はこれまで、都市を印象づける顔として、都市圏全体のにぎわいや経済成長を牽引してまいりましたが、若い世代の大都市圏への人口流出や移住者の獲得に向けた
都市間競争も激化しておりまして、さらなる魅力向上が急務だと考えております。そのような中、
都市圏経済の活性化に大きな役割を担う桜町・花畑地区と熊本駅周辺地区の2大
プロジェクトが今、まさに完成しようとしております。
今後はこの効果を最大化し、
中心市街地全体に拡大、波及させることによって、にぎわいの創出や経済効果につなげることで、熊本の若者が定着し、他都市の人々が憧れる、そのような真の九州中央の
交流拠点都市となることが目指す姿であると考えております。
また、
中心市街地では熊本地震後、被災しました建物の解体等によりまして空き地や、いわゆる
青空駐車場の増加に加え、旧
耐震建築物の築40年以上の建築物が約3割を占めておりまして、地震からの再生と防災力の向上が喫緊の課題であります。
今後、建築物の建てかえにあわせ、防災機能の強化、さらには低未利用地の活用などを総合的に推進いたしまして、災害に強く魅力と活力ある
中心市街地の創造を目指して、
まちなか再生プロジェクトを立ち上げたところです。
本
プロジェクトではその促進のため、公共貢献に応じた容積率の割り増しや高さ制限に係る
特例承認対象の拡充、さらには財政支援も検討するなど、
まちづくりの実現を後押しする3つの支援策を講じてまいります。それによりまして、付加価値の高い商業や
オフィス機能が創出され、公共貢献により、歩きやすく魅力的な都市空間となりますことから、今後ともまちの課題を的確に捉え、大胆に施策を展開し、多くの人が集う九州中央の交流とにぎわいの拠点都市の実現を目指してまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 ありがとうございました。
中心市街地のさらなる魅力の向上が急務で、2大
プロジェクトが完成するのだと、その効果を最大化し、
中心市街地全体に拡大、波及させるという答弁でありました。
また、
まちなか再生プロジェクトは一つの活性化策であることはわかっておりますが、後の質問にもありますが、何しろ財源が確保されなければ効果を上げることは難しいのではないかと思います。この後の問題でも、その財源問題についても質問していきたいと思っております。
次の質問は、ただいまの質問に密接に関連する財源問題を中心としたお尋ねをいたします。
都市基盤の整備には民間投資だけでなく、
道路整備等の公共投資も当然に必要になってきますし、そのためには財源の涵養が重要となってきます。残念なことに、本市の自主財源は全国の政令市の中で最下位の状況です。農水産業と
サービス産業以外には基盤産業がない本市としては、いたし方ないところかもしれませんが、このような中にあって、本市独自の自主財源の拡大に資する施策として最近、高まりつつある
特定複合観光施設、いわゆるIRの整備、誘致を真剣に検討する時期に来ているのではないかと考えております。
これまでもIRの誘致に関しては、平成16年の本会議において私自身が質問しておりますが、当時は
構造改革特区の導入が決定されたことを受け、
カジノ推進に賛同する東京都を初めとした6都道府県で
カジノ推進協議会が設立されたことを紹介いたしまして、また平成30年第2回定例会でも我が会派の
田中敦朗議員も同趣旨の質問をしたところでございますが、市長の答弁では、現時点では認定を申請する状況にないと、味気ない答弁でございました。
IR整備法は正式名称が
特定複合観光施設区域整備法であり、その第1条には、
国際競争力の高い魅力ある
滞在型観光を実現するため、あるいは、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的とするとうたわれております。2021年度までに国内に3カ所のIRを認めることとなっていますが、既に現時点でも、大阪を初め多くの都市で誘致に向けた動きが見えています。
このように、IRの誘致、整備は本市の現在の
まちづくりの方向性にとっても極めて合致したものであり、これらの相乗効果により本市の財源も大きな波及効果が見込まれるものでございます。私はこのようなぜいたくな財源があれば、庁舎の改築を初めとする
都市インフラの強靱化などが可能となります。先ほど述べました
まちなか再生プロジェクトにもはずみがつくことになるのではないかと考えております。
このような大きな可能性を秘めたIRの誘致に関して多角的な検討を進められてはどうかと考えていますが、この点について大西市長のお考えをお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市への
統合型リゾート、いわゆるIR(インテグレーテッド・リゾート)の整備につきましては、これまで答弁しておりますとおり、良好な生活環境の保全など、本市が目指します上質な生活都市との整合や、市民の皆様との合意形成などの課題も多く、熊本地震からの復旧・復興を最優先に取り組んでいる現時点では、認定を申請する状況にはないと考えております。
本市といたしましては、九州中央に位置する
地理的条件を生かしながら、本年12月に開業いたします
熊本城ホールを活用した戦略的な
MICE誘致や、熊本城に代表される歴史文化、豊かな自然や食などの魅力に磨きをかけ発信することで、国内外から観光客を集め、まちのにぎわいと活力を創出してまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 残念ながら、ただいま市長からは前向きな答弁はございませんでした。
繰り返しになりますが、魅力的なまちを整備していくには相当の財源が必要となります。また、上質な生活都市の創造にも財源が必要です。しかしながら、本市の現状はどうでしょうか。予算不足から幹線道路の建設は少しずつしか進んでいないとしか思えませんし、立体交差に至っては形さえも見えておりません。生活道路の舗装はひび割れしたままの状況ですし、幹線道路の緑地帯の雑草も伸び放題の状態です。
IRに関しては先月、横浜市も誘致に向けた動きを表明されたところですが、横浜市によると、市財政への貢献や
観光客増加への期待をIR誘致の理由として挙げられております。IRの稼働で年間6,300億円から1兆円規模の
経済波及効果に加え、市財政についても
法人市民税や
固定資産税、
入場料収入などで年間820億円から1,200億円の増収になると見込んでいるとのことでございます。
横浜市の平成31年度の
市税収入額は
予算ベースで8,395億円と、本市の8倍強です。人口は本市の約5倍です。いかに潤沢な自主財源を有しているかおわかりいただけると思いますが、そのような横浜市においても、今後の人口減少を見据え、誘致に手を挙げられた事実、九州でも福岡市が着々と準備をしている話も聞きますし、熊本県でも八代市が手を挙げるのではないかとの話を耳にします。そのようなことを本市としても重く受けとめるべきであると指摘し、IR以外に市長が考えておられる有利な財源があるのか、説明いただきたいと思います。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 先ほど答弁いたしましたとおり、戦略的な
MICE誘致や本市の特性を生かした観光振興によりまして、まちのにぎわいと活力を創出しますとともに、企業誘致や成長産業の振興による雇用の拡大、また地域経済を活性化することで税源を涵養し、必要な財源を確保してまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 私は、IR導入絶対主義者ではございません。ほかにかわる有効な財源確保が見当たらないので、導入を提案しておるんです。我が会派のメンバーは、将来、
少子高齢化する熊本市に借金というツケを残さないように考えております。財源が長く確保できるなら、庁舎建てかえ、市電の延伸等、大きな事業にも協力は惜しみませんが、財源が確保できなければ慎重に対応しなければならないと思っております。
次に、
公共施設等マネジメントについて、2点のお尋ねをいたします。
私はかねてより、公共施設の維持管理や更新等に関しては、直接現場に出向き、市民目線で、例えば道路の整備や
維持管理方法の見直しや小学校の統廃合など、本市の
財政負担軽減に向けた提案を行ってまいりました。今後も継続して取り組んでいくことが必要であると痛感しております。
このような中、本市においては平成31年3月に公表された施設白書の中で、これまでの取り組みとして
中央公民館や
城南まちづくりセンターの建てかえに際して、近隣の
老人福祉センターとの機能統合を実施することで、
延べ床面積を縮減したり用途廃止をした施設の一部を
地域コミュニティセンターへ転用したりするなど、効果を上げているとのことでございます。これらの見直し等を進めていく上では、市民の方々の理解と納得が不可欠であり、そのためには施設白書におけるコストや利用状況の分析に加え、例えばAI技術を活用して、
地区別人口の将来予測などを踏まえた分析が必要ではないでしょうか。
そこでお尋ねですが、今年度末までに策定される
長寿命化計画を踏まえ、2020年度以降に策定するとされていた
総合管理計画・実施計画が策定されることとなりますが、その時期はいつになるでしょうか。また、策定される実施計画はどのようなものになるか、お聞かせください。
また、
公共施設マネジメントの推進に向けて、データの整備と分析に当たっては、例えばAIを活用する手法もありますが、どのような
データ整備や分析を考えておられるのか。
以上2点について、財政局長にお尋ねします。
〔
田中陽礼財政局長 登壇〕
◎田中陽礼 財政局長
公共施設マネジメントに関するお尋ねに順次お答えいたします。
まず、
総合管理計画・実施計画の策定時期及び内容についてお答え申し上げます。
公共施設等総合管理計画の実施計画につきましては、今年度末までに策定を予定しております学校施設及び
市営住宅以外の
公共建築物に関する
長寿命化計画を踏まえまして、令和2年度中に策定する予定でございます。
また、令和3年度以降5年間の大
規模改修工事や建てかえ工事等を実施する公共施設につきまして、財政運営との整合を図りました上で、施設ごとに整備内容や
スケジュール等を明らかにしたいと考えているところでございます。
なお、施設の更新等に関する方針の決定につきましては、市民生活に影響がありますことから、説明会やワークショップを開催するなど丁寧に進めてまいります。
次に、AIを利用いたしました手法の可能性についてお答え申し上げます。
ただいま御答弁申し上げましたとおり、
公共施設マネジメントの実施に当たりましては、市民の皆様の御理解をいただきながら進めていくことが重要であると考えておりまして、そのためにはデータの整備や分析を通じ、
全市的観点から公平な視点で客観的なデータを提供できますようにすることが必要であると考えております。
AIの活用につきましては、平成30年8月に示されました国の報告書によりますと、
ビッグデータを用い、利用者数や人の流れを考慮した施設整備や
施設メンテナンスの効率化等に向けた検討も始まっている一方で、現時点においては、例えば主観に基づくデータの取り扱いなど、いまだ解決すべき課題もあるとされております。
現在、本市におきましては、まず窓口手続や簡易な生活相談などの分野でAIの導入に向けた検討を進めているところであり、今後、
公共施設マネジメントの実施におけるデータの整備や分析につきまして、国の動向を注視しつつ、他の事例も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員
公共施設マネジメントについては、コストや利用者の情報、地域別の将来人口予測、さらには建築・土木技術的な情報など、大量かつ複雑、高度な情報を組み合わせて、最適な配置等を導き出すことが求められております。そのためには、日進月歩で技術が進化しているAI技術をぜひとも活用して、効率的で効果的な
データ整理や分析を実施していただき、それによって市民の納得性を高めていただくよう努めていただきたいと思います。
私ごとでございますが、
公共施設等マネジメントについては、私は平成7年の当選以来ライフワークとして取り組み、改善、改革から民間活用、事業の中止や廃止等多くのことに言及、提案してまいりました。7年間中止を訴え続けて、新規の
市営住宅建設の中止が実現いたしました。また、維持管理も民間委託になりました。
熊本市
交通災害共済事業会計も民間に委託し、特別会計が終了いたしました。熊本市直営事業、これは
失業対策事業でございますが、平成10年度末で事業終了となることを指摘しまして解決、終了いたしました。ごみ有料化問題についても、燃やすごみ週3回を2回にして、資源ごみ、これは古紙ですが、1回減った分にそこを入れて、毎週1回収集するように提案し、燃やすごみは半分に、また
リサイクルの古紙は10倍以上にふえ、
リサイクルが進み、また職員の週40時間制も解決し、年間3億円以上の節約ができました。また、市電の150円均一運賃も提案から2年半ぐらいで実現し、大幅な利用増となって、今日の年間1,000万人の利用となっております。これらは、市長、職員の協力なしでは実現できなかったことでございますが、これからも改善、改革について提案し、熊本市並びに熊本市民のために精進してまいりたいと思っております。
次に、
市営住宅の今後の見通しについてお尋ねいたします。
これまで、機会あるごとに
市営住宅の新規建設については、厳しい財政状況を勘案し、見直しを行うように主張してまいりました。その結果、
画図重富団地を最後に新規の建設は中止するとした本市の方針が決定され、第2次
住宅マスタープランにも位置づけられたところでございます。この取り組みの成果として、平成15年度には約500億円あった
公営住宅建設事業債の残高が平成30年度には約135億円に、大きく減少いたしました。本市の
財政健全化に大きく貢献したことは、各位御承知のとおりだと存じます。
このような中、さきの熊本地震による住宅災害に対応するため、326戸の
災害公営住宅が建設されました。この背景には、未曾有の災害で住まいをなくされた方々の復旧を図るためには、一日も早く住まいの再建を図ることが重要であり、
災害公営住宅の建設はやむを得なかったとは思っております。しかしながら、この
災害公営住宅も3年を経過すれば一般の
市営住宅と同様の扱いとなり、維持管理されていくこととなります。
そこでお尋ねしますが、この
災害公営住宅の建設が、これらの
公共施設マネジメントを進めていく上でどのような影響を与えるかについて教えていただきたいと思います。
続けて、
市営住宅の総量削減についてお尋ねいたします。
平成28年度に策定された
公共施設等総合管理計画では、
公共建築物の総
延べ床面積を40年間で20%削減することとなりました。また、平成30年度に策定された
市営住宅長寿命化計画では、
市営住宅の管理戸数を40年間で20%削減する目標が掲げられています。これまで整備してきた公共施設の改修や更新、維持管理に多額の費用を要することを考えると、今後の施設の
維持更新費用を適正な水準にするためには、この20%削減に向けて取り組みを進めてほしいと考えています。
そこでお尋ねしますが、
市営住宅の管理戸数の削減に向けて、今後どのような手法を考えておられるのか。
以上2点について、
都市建設局長にお尋ねいたします。
〔
田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣
都市建設局長 災害公営住宅の
公共施設マネジメントに与える影響についてでございますが、
住生活基本計画では
市営住宅の新規建設は行わないこととしておりますが、
災害公営住宅につきましては、議員御案内のとおり、被災者の
住まい再建のため、
震災復興計画に基づき整備を実施したものです。
この整備を財政面から見ますと、通常の建設と比べ国からの補助率が45%から75%にかさ上げとなり、市の負担は少なくなります。しかしながら、
公共施設マネジメントを進めて行く上では、
災害公営住宅を含めた公共施設全体の財政運営や事業見通しを踏まえた調整を図っていく必要があると考えております。その中で
市営住宅については、長期的な視点で需要や立地利便性等から各団地の管理方針を定め、適正管理と計画的な更新を図ってまいります。
〔議長退席、副議長着席〕
次に、管理戸数の削減に向けた今後の取り組みについては、
市営住宅総量削減の方針として、建てかえ時の整備戸数の縮減や地域コミュニティに配慮した上での統合、集約、さらには需要または立地利便性が低調な団地の用途廃止等も視野に入れ取り組んでまいります。直近の具体的な事例として、旧北部町の四方寄団地は耐用年限を超過しており、立地利便性の状況等から、47戸全ての用途廃止を行ったところです。また、楠団地では、第5期の建てかえ計画を見直し、その建てかえ区域120戸の集約により、全体整備戸数の低減を図ることとしております。引き続き、
公共施設等総合管理計画にのっとり、目的であります
維持更新費用の抑制を図るため、40年後の管理戸数20%削減を目標に取り組んでまいります。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 通常の建設と比べ国からの補助率が大きく、市の負担は少ないということでございますが、326戸の建設でおよそ80億円の建設費でございました。1戸当たり2,400万円以上の費用でございます。土地はほとんどが市有地でございますので、それを入れると軽く1戸当たり3,000万円は超えると思われます。4分の3は補助ということで60億円、また20億円は市の借金でございます。市の住宅になる3年後からは、維持管理費は市の負担が出てまいります。
管理計画についても、47戸を廃止、120戸は低減するということでございますが、
市営住宅の管理戸数はおよそ1万2,000戸ぐらいあると思いますが、その20%削減ということになると2,400戸ぐらいになると思います。40年で20%削減、2,400戸と、かなり厳しい内容だと思いますが、今のやり方では達成はなかなか難しいのではないかと思います。40年後はほとんどの議員も、また市長もおられるかどうかわかりません。責任を持って対処していただきたいと思います。
次に、魅力ある学校づくりについてお尋ねいたします。
私の手元にあった資料の平成14年度当時における小学校の学級数とことしの学級数を比較してみて、その大きな開きに愕然といたしました。文部科学省の定める適正規模の12学級に満たない学校が当時は18校であったものが、たった15年で現在の30校にもふえております。
公共施設等マネジメントの観点からすると、全体の3分の1を占める学校施設について、このままではいけないと強く危惧しております。
熊本県全体で見ると、既に平成23年に学校の統廃合数が全国2位になったことがあります。その当時は単に県の周辺部における問題ということで、熊本市には関係ないことといった受け取りでございましたが、実際には平成29年に熊本市で初めて、松尾3校が小島小学校に統合されましたが、これについても問題提起してから十数年もかかってやっと実現したもので、簡単にはいかないのが実情でございます。
今後、
人口減少社会がますます進展する中、さらに児童数が減り続けることは確実で、良好な学習環境を維持していくためには今すぐ動き出すことが必要でございます。小学校が地域の核となって
まちづくりが行われていることは承知しておりますが、熊本市の未来を築いていく子供たちのことを最優先に考え、生き生きとして学習やスポーツができる環境を確保していくことが大切でございます。例えば小中一貫校を増設し、魅力的な新しい教育形態づくりとして、地域を巻き込んで進めていくことが学校規模の適正化にもつながると考えます。
この問題について、今後、教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのか、教育長にお尋ねします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 小中一貫校についてお答えいたします。
小中一貫校は、9年間を見通した系統的な教育の実施や柔軟な教育課程の編成、異学年との交流等、多くの教育効果が期待できるものであると考えております。他方、子供の減少による小中学校の小規模化は学校運営や教育効果にさまざまな影響を与えることから、本市においては、複式学級があるなど小規模化が進む学校について、学校規模の適正化を進めてきたところであります。規模の適正化とあわせた小中一貫校の導入など、新しい学校づくりを行うことで地域の魅力向上にもつながることが見込まれます。
今後も子供たちのよりよい教育環境の充実に向け、地域住民や保護者と意見交換を重ねながら、魅力ある学校づくりを進めてまいります。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 規模適正化とあわせた小中一貫校の導入という、新しい教育形態の魅力ある学校づくりを進めるとの答弁でございました。この取り組みが市内全域に広がっていけば、子供たちの教育環境の向上にも、
公共施設マネジメントの観点からも非常に有効な取り組みとなります。
現状を申し上げますと、熊本市内の小学校92校中、学年1クラスの学校が1年生で23校、2年生で19校、3年生で22校、4年生で20校、5年生で23校、6年生で24校です。全校生徒48名が2校、53名が1校、この3校に複式学級があります。また、全校生徒が100名以下の小学校が6校あります。早急な取り組みが必要でございます。
また、来年3月には校長の大量退職が予定されていると聞いておりますが、それに合わせて、もっと早くから対応してほしかったと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、歩道、街路樹、街灯についての質問とともに、4件の要望をいたします。
まず、街路樹管理のあり方についてです。
本市はこれまで、緑あふれる都市空間を演出するため、さまざまな場所への植栽を行い、道路においても幹線道路等の整備にあわせ、高木や低木等の街路樹を植樹してまいりました。しかしながら、最近の街路樹に目を向けますと、歩道の幅員が確保できないほど巨大化した街路樹の根が歩道を盛り上げて、安全な通行を妨げるようになった場所が見受けられます。また、街路樹間の距離が狭いところは、枝同士がそれぞれに伸び合って、良好な生育環境にないようなところも見受けられます。さらに、低木に関しては、子供たちの背丈ほどに伸びて、防犯上の観点から見ても問題があると思われるところがあるとともに、これらの街路樹に隣接した家屋への落ち葉、害虫被害等も無視できません。やはり、街路樹は必要なところ、必要ではないところを細かく選別し、最適な場所に最適な街路樹を植える、あるいは適切に剪定、消毒を行うなどの樹木の成長に応じた適切な管理を心がける必要がございます。
このような背景のもと、熊本県では平成29年3月に熊本益城大津線街路樹管理に関する見直し改善方針を策定し、この中で、第二空港線は空の玄関口として県民に愛されているシンボルロードであることから、将来的な価値の低下を予防し、景観の維持や街路樹の健康維持、健全な世代交代を図るとともに、道路交通の安全性を確保するため街路樹の見直し改善の基本計画を定めるとし、具体的には低木や中木については歩道幅員を2メートル確保することを基本とし、支障となる街路樹は撤去することで交通の安全性を確保する。また、高木についても、低木や中木と同様に交通の安全性を確保するとともに、街路樹の世代交代として高木の総量を2分の1程度になるよう撤去を行い、幼木の補植を検討するとされております。
この一方、熊本市では平成31年4月に熊本市道路除草等基本計画を策定し、この中で低木の剪定に関して、重点路線は年2回、その他の路線は年1回の標準剪定回数を定めているにすぎません。このようなことから、県の見直し方針を参考に、また
公共施設マネジメントの観点からも、街路樹の総量をきめ細かく抑制することによる行財政負担の軽減を図る必要があるのではないでしょうか。
さて、新熊本市民病院は来月開院しますが、新病院へのアクセスの向上を図るために、周辺の道路環境も大きく変化しました。新病院の南側市道は2車線に拡幅されて、歩道もきちんと整備され、西側の交差点付近も改良されています。そして、北側の第二空港線では、新病院への進入路設置のためにクスノキ8本を伐採し、歩道整備が行われております。
ところで、話は変わりますが、新水前寺駅の新設を含めた交通結節点改善事業で、県道熊本高森線の約350メートルの区間の道路改良工事が行われ、その中で、ここにあったイチョウや低木が撤去され、照明灯や点字ブロックの改修等がなされて、快適な歩道環境が実現いたしました。
この2例は、ともに何らかの公共事業に伴い街路樹を撤去するとともに、歩道環境の向上に取り組んだ実例です。財源を確保し、お金を投入しなければ快適な道路環境、良好な景観はつくれない実例でもあります。街路樹を撤去することに関しては賛否両論あるかと思いますが、私個人としては道路環境がよくなったと感じております。
先日、
都市建設局長より街路樹再生計画の策定に関する答弁がありましたが、この策定に当たって確認しておきたいことが2点ございます。まず第1に、
公共施設マネジメントの観点から、行財政負担の軽減を踏まえた街路樹のあり方を検討してもらえるのか。第2に、街路樹を整備する具体的な路線を選定し、照明灯や防護柵などの改修等を含めた歩道全体の整備の姿を描いていただけるのか。
以上2点について、
都市建設局長にお尋ねいたします。
〔
田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣
都市建設局長 公共施設マネジメントの観点を取り入れた街路樹等の管理については、今年度、国際スポーツ大会関連予算で防草対策を実施するなど、コスト縮減に関する改善を進めております。また、今年度策定予定の街路樹再生計画においては、適正かつ効率的な管理となるよう、行財政負担の軽減に寄与する総量適正化も含め検討を行ってまいります。
次に、歩道全体の整備の姿についてですが、今回の街路樹再生計画の策定におきましては、本市景観計画などをもとに、本市のイメージを形成する重要路線を抽出し、街路樹の剪定や植えかえ基準、さらには道路附属物の改修等も含めた歩道全体の改良についても検討することとしております。また、この検討に当たりましては、関係部局との調整はもとより、議会や市民の皆様からの御意見を伺いながら、市域全体の都市緑化にも資する計画となるよう努めてまいります。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 答弁ありがとうございました。
街路樹再生計画の策定について、行財政負担の軽減を踏まえた総量適正化を検討するということでございます。早急に対応していただきたいと思いますし、歩道全体の改良についても検討するということでございます。策定を見守りたいと思っております。
今回、市が管理する道路3,779キロメートルで、高中木、低木について調べてまいりました。東部土木センターで高中木7,004本、低木5万7,116平米、西部土木センター、高中木3,343本、低木5万3,384平米、北部土木センター、高中木3,866本、低木3万4,228平米、その他高中木714本と低木2,666平方メートル、合計で高中木1万4,927本、低木14万7,394平米。内訳としては、国道の高中木が376本、低木で5,998平米、県道で高中木6,036本、低木7万6,550平米、市道、高中木8,515本、低木6万4,846平米。このように広大な敷地、本数を管理しなければならないところでございます。国県道が高中木で43%、低木が56%でございます。市道が高中木で57%、低木で44%。
予算を見ますと、道路事業の除草、植栽、剪定等は約6億円前後でございます。高木は3年に一度剪定するとのことでございますが、1年に約5,000本、中木もありますのでアバウトですが、高木は1本10万円程度と聞いておりますが、5,000本掛ける10万円で約5億円。低木は毎年しなければならないが、14万7,000平米を1億円では不可能ではないかと思います。政令指定都市になって国県道の管理も市で行うようになり、管理費は交付税でということでございますが、内訳はわからないということでございます。
以前から第二空港線を初め多くの道路で、大木、高木の剪定要望がありましたが、本年度、第二空港線のクスの大木の剪定、伐採、伐根が行われております。内訳は、剪定212本、3,670万円、1本約17万円でございます。伐採29本、2,440万円、1本84万円、伐根9本、700万円、1本78万円ぐらいです。合計で6,810万円、伐根が20本残っておりますが、伐根はせずコンクリートで固めるということでございます。
市民病院の移転に伴う周辺道路整備事業で3億2,270万円が投入されております。市民病院周辺の景観はすばらしいものになっております。県道高森線を市役所方面から眺めていきますと、特注の街路灯の柱が整然と上下2灯で健軍終点まで並んでおります。歩道に目を向けると、市役所前はイチョウ、高さが10メートルぐらいあります高木、通町はケヤキ、大甲橋を渡るとまたイチョウ、それが延々と神水電停付近まで続きます。そこに低木のツツジ等が附帯しております。水前寺付近には民間企業の街灯が、公設の街灯と1メートルも離れないところに連なるように立っているところもあります。神水から健軍電停まではイチョウだったのですが、電線地中化工事、キャブ工事終了後は中木のハナミズキにかわり、ところどころ枯れたのか、ばらばらの状態でございます。低木は依然ツツジ等が続き、雑草が背高く茂っております。
健軍電停からは、街路灯は細い柱の上下2灯が秋津新町まで、都市計画道路新外秋津線までは街灯は交差点だけ、樹木は以前イチョウだったが、キャブ工事終了後は秋津新町までは低木のみ、それから東は新外秋津線まではハナミズキがところどころ、低木はツツジと、その東は益城町界まで高木のイチョウが林のように並んでいます。低木はツツジ、街路灯はなく、民間企業の街灯が周辺を含め40灯ぐらいありますが、企業が廃業し1灯しか点灯しておりません。益城町に入ると街路樹は1本もありません。近辺はふだん明かりがなく、夜になると真っ暗になって、雑草、雑木が人に見えることもあり、不気味な状況でございます。以前から街灯設置の要望が上がっておりますが、実現しておりません。
そこで、電線地中化で1件要望いたします。
本市が政令市に移行した平成24年以前は、熊本県がこの路線を所管しており、電線地中化については
中心市街地から東区の花立2丁目交差点までが整備され、花立2丁目交差点から益城町までの区間約1キロメートルが未整備区間となっております。
電線地中化事業は、災害に伴う電柱倒壊による通行障害や高木の間を通る電線の断線による停電などを解消するだけでなく、上空に張りめぐらされた電線を地中に埋めることで道路空間の景観が向上し、歩道の環境改善にもつながるものでございます。市において電線地中化を事業化するに当たっては、さまざまな検討がなされていることとは思いますが、当該地域における快適な道路空間を形成するためにも、熊本地震により大きな被害が生じた沼山津地区周辺の道路の安全性を向上するためにも、熊本高森線の電線地中化をぜひ検討していただきたいと思います。
また、事業が途中で中止している都市計画道路2線について要望いたします。
1つが船場神水線で、本路線は現在、市電八丁馬場電停付近から熊本市総合体育館までの区間410メートルが平成23年に供用されております。しかし、それから西側への延伸については現在、電車通りの朝夕の渋滞が顕著であることから、交通渋滞の緩和という意味では事業の推進をお願いしたいと思いますが、すぐに事業を行う予定がないということであれば、現在供用しております部分は道路幅が十分に広いと思いますので、有効活用ができないかと思っております。例えば現在、総合体育館は大きなイベント時は駐車場が満車となります。その駐車場としての活用ができないものかと考えております。
また、新外秋津線についてでありますが、これも本路線については平成30年第3回定例会でも申し上げましたが、地元では新外までの完成は難しいと思っている人が多く、せめて現在の開通区間から北側へ約500メートルの市道榎町佐土原3丁目第1号線までの早期開通を待ち望んでおられます。
以上、都市計画道路2路線について要望させていただきます。検討をお願いいたします。
あと2つの問題、要望は後でいたします。
次に、ごみ問題として、プラスチック容器包装の混入ごみの減少に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
近年、プラスチックごみ問題としては、適正に処理されることなく海洋へ大量に流出していることが懸念されており、そこから発生するマイクロプラスチックが地球規模の問題となって、緊急の対応が叫ばれております。
本市のプラスチックに目を向けると、以前、家庭から出るプラスチック製容器包装は燃やすごみとして収集され、焼却処分されていましたが、再資源化を目的として平成22年10月に分別収集を開始しており、プラスチックごみの
リサイクルに貢献しているものと認識しております。
ところが、私がごみステーションの状況を見ている限りでは、プラスチック製容器包装の中に燃やすごみとして排出されるはずの汚れているものやプラスチック製商品などの混入がしばしば見られます。その原因としては、プラスチック製容器包装の分別ルールの複雑さが、その周知が不足していることに起因しているのではないかと考えております。プラスチック製容器包装については、中間処理施設において選別され、混入ごみのほとんどが焼却処分されていると聞いているので、この選別作業を省き、効率的なごみ処理、
リサイクルを進めるためにも、もっとシンプルでわかりやすいルールであるべきではないかと考えているところでございます。この点について、環境局長のお考えをお聞かせください。
〔勝谷仁雄環境局長 登壇〕
◎勝谷仁雄 環境局長 本市では、プラスチック製の容器包装につきましては、平成22年から焼却により発生する二酸化炭素の削減や
リサイクルの推進を目的として、分別収集を行っております。議員御指摘のとおり、プラスチック製容器包装の分別ルールにつきましては複雑な点もあり、本来燃やすごみに分別されなければならない汚れているものなどが一部混入している場合も見受けられますが、その割合は分別収集開始当初と比べますと減少しており、市民の皆様に現行の分別ルールが確実に浸透してきていると認識しているところでございます。
よりわかりやすいルールにとのお尋ねでございますが、今後とも現行の分別ルールを基準とし、これまで以上に積極的に適切な分別に取り組んでいただけますよう、さまざまなツールを活用し、より具体的にわかりやすい周知に努めてまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 わかりにくい分別方法については、何事にもですが、市民にわかりやすいようにシンプルな方法を検討していただきたいと思います。また、ある新聞紙上では、ふえる廃プラを化学原料にということで載っておりました。これはもうほとんど廃プラをアンモニアやエチレンなどに、化学製品に加工して
リサイクルするということで、ほとんど処理ができるという方法でございますので、こういうことも検討していただけるならばと思います。
次に、家庭ごみの収集について要望いたします。
家庭ごみの戸別収集の導入については、昨年の第3回定例会で大石議員が、またさきの第2回定例会では我が会派の
田中敦朗議員から一般質問がなされました。大石議員の質問にあるので多くを語りませんが、以前、私たちは同じ会派で問題を共有して、有料化と同時に戸別収集を導入した八王子市役所を訪問して、八王子市役所の執行部の職員2人、現場関係の職員2人から話を伺い、4人から、有料化と同時に戸別収集を強く強調されました。以来、私を含め多くの議員が質問、要望されてきましたが、費用的な面、収集体制の面から難しい、福岡市ではどうだということを羅列し、入り口から拒否されております。
八王子市役所の職員は、自信を持って導入を勧められました。私も職員の改善、改革が必要な中で、工夫と努力で解決できると思っております。執行部からはその都度、他都市の状況を調査する、市民アンケートを実施すると答弁をしていますが、全く報告は来ておりません。全くやる気がないとしか見られないんです。東地区の自治協議会会長会の中で、高齢化世帯の見守りや安否確認が可能になるので戸別収集を実施してほしいとの意見がありましたが、担当者は即座にできませんと答えております。戸別収集を希望する自治会があるならば、モデルとして社会実験を実施するよう強く要望いたします。
次に、地下水保全のための草地の活用についてお尋ねいたします。
皆様御存じのとおり、本市は74万市民の水道水源の全てを地下水で賄っている日本一の地下水都市です。しかしながら、これまで都市化の進展や減反などの影響で湧水量が減少する状況となったことから、昭和51年の地下水保全都市宣言に始まり、昭和52年には熊本市地下水保全条例が制定されるなど、それ以降30年以上にわたるさまざまな地下水保全対策を実施されてきました。その一例を挙げると、地下水量の保全のための地下水涵養事業として、近隣自治体と協定を結び、転作田への水張り事業や水源涵養林整備など、行政を超えた市民、事業者、行政の協働による取り組みを行い、成果を上げてこられました。その一つとして、さらなる地下水の涵養のための南阿蘇村の草原の保全についてお尋ねします。
さて、本市は白川上流域にある南阿蘇村に水源涵養林整備を行っていますが、森林による涵養と同時に草原も水源涵養の機能を有していることは御承知のことと存じますが、近年、草原の保全として南阿蘇村で行っている野焼きが、人手不足等で村や地元が苦労されていると聞いております。本市として、草原保全を目的とした野焼き等への協力はできないものでしょうか。近隣自治体と連携し、協働による草原の保全は、来年10月に開催される第4回アジア・太平洋水サミットでも、地下水保全対策の一つとして大いにPRできるのではないでしょうか。
また、水源涵養林についてですが、林木を計画的に育成し、経済的に利用することを目的とした杉、ヒノキを伐採する林齢は、一般的に40年から50年と聞いておりますが、本市の水源涵養林の樹木はその目的が違うとは思いますが、昭和の時代から整備が行われているとすると相当の年数が経過した林木もあると思われます。そこで、それを伐採して売却し、その利益を分収することで双方の自治体の財政上も有益であると考えられます。これまでの整備状況と今後の取り組みについてどのように考えておられるのか。
以上2点について、大西市長のお考えをお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 1点目の草原の保全につきましては、議員御案内のとおり、水源涵養林と同様、一定の涵養能力を有しておりまして、将来にわたり白川上流域の草原が健全に維持されていくことは大変重要なことと認識しております。
これまで、西原村におきましては野焼きの区域が本市の涵養林と大部分が接しているということもあり、延焼防止対策に本市職員も従事するなど、草原の保全に協力してきたところでございます。
議員御提案の南阿蘇村におきましても、広大な草原を有しておりまして、連携中枢都市圏での協議の場などでまずは先方の御意向を確認した上で、でき得る協力を積極的に行ってまいりたいと考えております。
2点目のお尋ねの水源涵養林につきましては、本市は昭和28年の白川大水害を契機に、白川の上流域であります白水村、現在の南阿蘇村で、水土保全を目的とした流域保全林整備事業に着手いたしまして、平成元年度からは、水源涵養林として涵養機能が発揮される地域で持続性を持った森林づくりを目指し、大津町、西原村、南阿蘇村を中心とした約890ヘクタールにおきまして、土地所有者と最長100年間の分収造林契約を締結し整備を進めてまいりました。
議員から御紹介がございました、経済林としての伐採期であります45年以上の樹齢の林木は全体の約23%を占めているところでございますが、水源涵養林として涵養機能を高めるために、今後も間伐などの保育作業を適切に継続的に実施いたしまして、最終的には巨木林、複層林の形成を目指していくこととしております。その中で、間伐材の有効活用など、経済的な効果にも着目しながら森林整備を進めてまいりたいと考えております。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 南阿蘇村の草原保全については、アジア・太平洋水サミットでPR効果があるのでないかと思っております。私もグリーンストック関係の協力をしておりますが、阿蘇でも野焼きとかそういう問題で大変苦労されていると思います。阿蘇地域の涵養した水というのは熊本市が恩恵を受けるわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、涵養林の整備状況については、私は10年ほど前に西原村の水源涵養林を視察しました。そのときに、もう既に60年から70年経過している林木を目にしております。それから10年以上たっていますので、また相当大きくなっていると思いますので、そこは有効に利用した方がいいのではないかと思っております。涵養林はいろいろな目的があるので、一概には分収等までつながらないかもしれませんけれども、資源を大事にしていただきたいと思っております。
最後に、地域の緊急課題として、桜木、花立地区の浸水対策についてお尋ねいたします。
近年、全国各地で異常気象による災害、特に集中豪雨による都市型水害、浸水被害が頻発しております。近年の雨の降り方を見ていると、いつ大災害が起きてもおかしくない。それに備えた対策のさらなるスピードアップが望まれるところであります。
本市でも、桜木、花立地区は住宅地として非常に人気が高いところでありますが、その一方で、これまでたび重なる浸水被害にも悩まされています。最近ではことし6月の大雨、また9月3日、4日、5日の豪雨では短時間に浸水、冠水しております。さらには、昨年9月には桜木小学校周辺では50センチメートルを超える浸水が発生しております。このようなことから、当地区の浸水対策については、これまでも何度となく質問してきましたが、それに関し、鶯川の河川整備状況や下水道による浸水対策計画についての説明なりを受けてはおります。
しかしながら、地域の方々の安全安心に応えるためにも、早急な浸水対策の実施が強く望まれることから、改めて
都市建設局長に、現在の事業の進捗状況と今後の進め方についてお尋ねいたします。
〔
田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣
都市建設局長 桜木、花立地区の浸水対策につきましては、平成7年度から河川改修に取り組んでおりますとともに、下水道事業として新たな排水施設の整備を検討するなど、総合的な治水対策を進めております。具体的には、鶯川については、下流より順次改修を進めており、本年度末には秋津中央公園上流側の分水路工事が完成予定であるなど、着実に工事を進めております。さらに、上流側においても、今年度より雨水流出抑制対策として、鶯川調整池の改修事業にも着手することとしております。
また、下水道事業では河川改修状況を踏まえ、効果の高い施設整備に向け、放流先や排水能力など、関係機関と協議を行い、検討を進めております。今後も、河川事業と下水道事業の連携をさらに強化し、桜木、花立地区における浸水解消に向けて、スピード感を持って取り組んでまいります。
〔46番
藤山英美議員 登壇〕
◆
藤山英美 議員 ありがとうございました。
鶯川の改修については、もう長年いろいろな形で質問、提案して、協力していただいているのはわかっておりますが、なかなか進まないのが現実でございます。また、鶯川の秋津中央公園の暗渠工事についても、私が提案して協力してもらった結果、もう貫通しておりますが、もう少し延伸すれば、桜木小学校の西側の道路の下水道工事の暗渠工事とつながり、冠水対策が完成するのではないかと思っております。
幾つかの方法が同時進行されておりますけれども、1つでも完成すれば解消するのではないかと期待しております。よろしくお願いいたします。
先ほど要望のところで後回しにしました件についていたします。
1つは、公園や学校の剪定、落ち葉対策の処理でございます。これらについては苦情が多く寄せられることが多いですので、今後、補植等のあるときには、民地の境界や道路から少し内側に移してほしいものだと思っております。現場の職員の苦情対策にもなると思いますので、今すぐできるとは思いませんが、今後の補植等については配慮を願えればと思います。
また、治水対策で以前、五、六十年前の話ですが、1時間30ミリの降雨といえば、表現がバケツをひっくり返したような大雨というような表現をされておりましたが、現在は1時間100ミリを超える降水量でございます。集中豪雨、ゲリラ豪雨、線状降水帯など、新しい呼び方も出ておりますが、側溝はといえば、以前と同じような形の側溝のままであります。今後の災害対策に備えるためには、3倍以上降っているもんですから、そういうことも勘案して対処していただければと思います。簡単に3倍に広げられるものではないと思いますが、治水対策、災害対策には努力が必要ではないかなと思います。
また、ことしは特に台風とか豪雨で、冠水報道が全国的にも多かったように思っております。雨の降り方が変わってきた今、いろいろな対応を迫られますので、想定外を頭に入れて対応していただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私が用意しました質問については、以上で終了いたします。今月からインターネットに加えて、スマホ、タブレットで放映されるということで、広く市民の方々にも視聴していただけると期待しております。今後もいろいろな形で提案、質問していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
長時間にわたりまして御清聴いただきました議員各位、また傍聴いただきました傍聴席の皆さん、タブレットの端末等で視聴者された方に感謝申し上げまして、質問を終了いたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○上田芳裕 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午前11時23分 休憩
───────────
午後 2時00分 再開
○倉重徹 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
────────────────────────────
○倉重徹 議長 一般質問を続行いたします。高本一臣議員。
〔21番 高本一臣議員 登壇 拍手〕
◆高本一臣 議員 皆さん、こんにちは。自由民主党熊本市議団の高本一臣です。
今回で8回目の一般質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員の皆様方に感謝申し上げます。また、平日にもかかわらず傍聴に来ていただきました皆様、来ることができなくてパソコンやスマートフォンで視聴されている皆様にも感謝申し上げます。
さて、この4月の選挙におきまして3期目の当選を果たすことができました。当選回数を重ねますと、周りから先生、先生ともてはやされ、垂れていたこうべもだんだんと下がらなくなり、ややもすれば人相まで変わってしまうこともあります。私は当選当初から現在まで、熊本の森田健作と言われておりますので、人相は変わっていないと安心しているところであります。3期目を託された令和の新時代も、幸山前市長が常に言っておられた政治家を志したときの「初心を忘れず」を胸に、任期を全うしてまいります。
今回の質問は、まだまだ解決に至っていない課題や新たな課題を中心にお尋ねいたします。市長初め執行部の皆様には、明確な答弁を期待いたします。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
エビデンス、エビデンスは日本語で証拠という大体訳をします。エビデンスに基づく政策立案についてお尋ねいたします。
我が国の経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行政を展開することを目指すための取り組みが今求められています。エビデンスに基づく政策立案とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、さまざまな政策に本当に効果があるのかどうかについてのエビデンス、つまり証拠を信頼できるデータと分析手法によって明らかにし、その分析結果を現実の政策に反映しようとする試みです。
エビデンスに基づく政策立案が求められる背景、また推進していく意義については、1つ目に、これまでの我が国の政策決定においては局所的な事例や体験(エピソード)が重視されていた嫌いがある。また、過去の慣行で行われてきた政策は、本来の政策目標達成のため実効性に欠けるものが多いなどの問題の認識が広がる中で、限られた資源を効果的、効率的に利用し、行政の信頼性を高めるために政策を形成していくことは重要であり、このような中でエビデンスに基づく政策立案の推進が必要とされているという認識が示されています。
また、このようなエビデンスを重視することは、英国、米国を初めとして世界的な時代の流れと言えるものであるという認識も示され、関連して、我が国の政策立案能力が国際的に見て落ちているのではないかという危機感も指摘されています。
本市においても財政制約が一段と厳しくなる中で、エビデンスに基づく政策立案の重要性は今後高まっていくと予想されますが、大西市長の見解をお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 今後、人口減少、
少子高齢化が急速に進み、将来的な人手不足や財政制約の高まりが見込まれております。このような中、データなどの客観的な証拠、あるいは根拠に基づく政策立案、いわゆるEBPM、これはエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングといいますけれども、このEBPMの観点から、政策の効果を的確に評価・検証することによって有効性を高めるとともに、戦略的な展開につなげていく必要がございます。このことから、EBPMの推進は、今後の市政運営において重要な取り組みの一つであると認識をしております。
このため、平成30年度には、エビデンスに基づく政策形成能力向上のための研修を開催したところでございまして、今後も研修の開催や、内閣府が提供するRESAS、これは地域経済分析システムですけれども、このRESASの活用推進などによる職員のスキルアップに取り組んでまいります。同時に、分野横断的な分析を行いますため、市が保有いたしますデータの庁内での共有化など、EBPMの推進に向けたデータ活用環境の整備を進めてまいります。
今後も、国などの取り組みを参考としながら、EBPMの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 ただいまの市長の答弁から、エビデンスに基づく政策立案の必要性については共通の認識が確認できたところであります。既に昨年度には職員による研修も開催されており、推進に向けての積極的な取り組みも感じ取られます。大切なのは、職員の方が十分なデータと綿密な方法に基づき、そのデータの分析力、政策の効果や費用を分析する力のスキルを磨くことであります。
エビデンスに基づく政策立案は、これから本市の財政に多大な影響を及ぼすだけでなく、かつて経験したことのない
人口減少社会、
少子高齢化での事業の判断に重要な役割を果たすため、これからも政策通の大西市長をトップに積極的な推進を期待しております。
続きまして、スマート自治体の推進について、今回はICTを活用した窓口業務改革についてお尋ねいたします。
生産年齢人口の減少により、労働力不足は自治体においても大きな課題です。これまでの業務のあり方を改革し、満足度の高い行政サービスを提供し続けるためには、システムやAI等の技術による効果的で効率的な行政サービスの提供、つまりスマート自治体への転換が求められています。特に、市民に身近な区役所等においては、市民が利用しやすく、同時に職員も働きやすい窓口、つまりWin−Winな窓口を実現するための窓口改革は、行政サービスを向上させる観点から大切なことであり、本市においても平成29年度より、中央区のモデル事業を初めとして着手されております。
今後、さらなるスマート自治体の推進に向け、ICTを活用した窓口業務の取り組みとして、市民は異動情報を紙の申請書に手書きし、職員はその異動情報をシステムに手で入力する従来の作業から、市民はタブレットを利用し入力、その情報を職員の手作業を介さず、住基システムに自動入力されるシステムを導入されるようですが、そこで2点のお尋ねです。
1つ目、ICTを活用した窓口業務改革推進に向けての取り組み内容と今後のスケジュールをお尋ねいたします。
2つ目、実現することで市民にとってどのようなメリットが生まれるのか、また職員へのメリットもあわせて、市民局長にお尋ねいたします。
〔石櫃仁美市民局長 登壇〕
◎石櫃仁美 市民局長 2点の御質問に、まとめてお答えさせていただきます。
本市ではICTを活用いたしました窓口業務改革といたしまして、住民異動届出書の作成支援及び関連いたします手続をわかりやすく一覧にしました案内書を発行するシステムの開発を行っているところでございます。その内容は、市民の皆様がタブレット端末に入力した異動情報をQRコード化し、職員がそのQRコードを読み込み、RPA、いわゆるソフトや機器を使って自動化する技術を活用することによりまして、住民基本台帳システムへ自動で入力を行うものでございます。これによりまして、市民の皆様の届出書作成に係る負担の軽減、手続や待ち時間の短縮、関連します手続の明確化、職員の業務効率化などが図られるものと考えております。
なお、昨年度実施いたしました実証実験では、窓口受け付けから手続完了までの時間を約12分30秒から約3分30秒短縮することができたところでございます。
スケジュールにつきましては、今年度はQRコードを開発しておりまして、令和2年度は異動情報を自動で入力するシステムの開発を行い、秋ごろには中央区への導入を予定しております。また、その効果を検証した上で、全区への導入を予定しているところでございます。質の高い市民サービスを提供するとともに、生産性の向上につなげるために、今後さらにICTを活用した窓口業務の改革に取り組んでまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 答弁の中にはなかなかわかりづらい単語も出てきましたが、昨年度の実証実験では手続に関する時間の大幅な短縮という効果も出ているようです。
野村総合研究所によりますと、10年後から20年後には現在の国内の職業の約半分がAIやロボットで賄え、その代表的な職業が実は公務員であるとの衝撃的な報告がされております。
人口減少社会が進むと同時に生産人口も激減となれば、当然自治体の職員も不足する時代が来ることは間違いありません。ただ、一方では
少子高齢化に伴い、住民の医療、介護、教育や子育て、
まちづくりなど、市民からのニーズは年々複雑化、多様化しており、自治体の業務に対する負担は質量ともに拡大すると予想されます。ICTを活用した窓口業務改革がそれらの課題を解決し、市民の皆さん、職員の皆さんが真のWin−Winな関係となれるようお願いしておきます。
続きまして、国際情勢に伴うインバウンド対策についてお尋ねいたします。
インバウンドの取り込みは、これからの都市の成長に欠かすことのできない分野であり、国を挙げて推進を図っています。本市でも海外からの誘客を、東アジア重視から欧米、オーストラリアまで広げることを柱とした国際戦略を策定し、2023年までに外国人の
宿泊者数を年間20.8万人にふやす目標を掲げました。しかし、昨年の2018年には既に23.5万人と、早くも目標を大きく上回る喜ばしい結果が報告されました。東アジアと熊本空港を結ぶチャーター便が多く運航されたほか、東京、大阪、京都といった主要な観光地から熊本市まで足を伸ばしたことが要因となったようです。
本年も目前に迫ったラグビーのワールドカップ、あるいは世界女子ハンドボール大会のワールドクラスのスポーツイベントの開催に伴い、さらなる外国人観光客の増加が見込まれますが、ここに来て日韓関係の悪化により、その影が観光面でも出始めています。
観光庁が8月に発表したことし1月から7月の韓国からの訪日客数は、昨年同期より約20万人減少しており、本県でも8月19日から、格安航空会社のティーウェイ航空が週4往復の熊本−ソウル線を運休、同時に熊本−韓国大邱線も運休を発表されました。続いて、同じく格安航空会社のエアソウルも、10月27日以降の冬のダイヤから熊本−ソウル線の運休が発表され、熊本空港と韓国を結ぶ定期路線は全て運休することになりました。
事態は悪化する一方で歯どめがかからず、両国の関係の改善は見通しが立たない状況となっており、急速な関係回復は期待できそうにありません。ソウル線は熊本空港の国際線の主力路線であり、昨年度の利用者は、ティーウェイ航空とエアソウルの2社で合計11万6,326人に上っております。このままでは観光面に限らず、経済的にも大きく影響を及ぼすと思われますが、そこで2点のお尋ねです。
1つ目、直近の韓国人
宿泊者数はどれくらい減少しているのでしょうか。
2つ目、韓国との国際情勢の現状では、観光客の減少がさまざまな経済面での影響を及ぼすことが懸念されますが、その対策を経済観光局長にお尋ねいたします。
〔平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎 経済観光局長 まず、直近の韓国人宿泊者の減少についてでありますが、本市の韓国人
宿泊者数は2015年に初めて2万人を超えたものの、熊本地震の影響により2016年は約1万2,000人と一時的に落ち込み、その後2017年は約2万人、2018年は約3万人と増加しております。
なお、2018年の
宿泊者数約3万人は、国別では台湾、香港、中国に次いで4番目、本市の全外国人
宿泊者数に占める割合は13%でございました。
2019年8月末時点の
宿泊者数を、熊本市ホテル連絡協議会加盟の22施設に個別にお聞きし集計をしたところ、本年1月から7月までの月平均は約2,500人程度であったものが、熊本空港を発着する定期便の運休等の影響もあり、8月は約1,000人へと大幅に減少しております。
次に、経済面での影響と対策についてでございますが、本市経済への影響は、
宿泊者数の減少により、宿泊を初め飲食、買い物など観光関連の消費額の低下に直結するため、少なからず影響はあるものと考えております。そのため、韓国便が継続している福岡や鹿児島を訪れる観光客に本市を訪問してもらえるよう、県と連携し、韓国大手旅行会社に対して働きかけを行っているところでございます。
また、女子ハンドボール世界選手権の開催期間中におきましては、韓国から選手を初め関係者やファン等が多数訪れることから、この機会を通じ、おもてなしを充実させることなどにより熊本の魅力を発信し、交流が促進されることを期待しております
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 昨年の韓国からの
宿泊者数は本市約3万人で、台湾、香港、中国に次いで4番目ということでありました。本市の外国人
宿泊者数の13%という答弁でした。
県では約半分を韓国人が占めているということなので、意外と少ない印象を受けました。これは聞いてみると、韓国人の方、ゴルフをしに熊本の方にやってこられる方がほとんどということで、市外のところに宿泊されるということをお聞きしまして、本当に意外だなという印象を受けました。ただ、直近のデータによると、大幅に韓国人
宿泊者数は減少しており、日韓両国に明るい兆しが見えない限り、さらに減少が想定されます。
幸いに韓国の女子ハンドボールはアジアチャンピオンであり、多くの韓国人が訪れることが予想されます。また、韓国便が継続している福岡や鹿児島へのアプローチもされているようですので、引き続きアイデアを振り絞り集客に努めていただきたいと思います。
続きまして、適正な受益者負担のあり方について3点お尋ねいたします。
まず、都市計画税の見直しについてお尋ねいたします。
昨年は自主財源の確保の観点からお尋ねをいたしましたが、都市計画税の見直しについて、そのときの執行部の答弁は、本市の2017年度決算によると、都市計画事業費の約175億円に対しその財源の内訳は、国県支出金や起債等の特定財源が約63億円、一般財源として都市計画税が約52億円、その他の市税が約60億円という状況が報告されました。
さらに、このような中、都市計画税の税率見直しに向けて検討を進めてきたときに熊本地震が起き、被災者の住宅再建支援等に最優先で取り組んでいることから、都市計画税の見直しについては、復旧・復興の進捗状況などを見きわめる必要があり、見直し時期や手法についても適切に判断した上で示したいとの答弁でした。適正な受益者負担の観点から、本来ならば都市計画事業費には目的税である市民が納める都市計画税を中心に充てるべきで、一般財源である市税を多額に投入している状況にあるのは改善すべきだと考えます。
また、答弁から1年、熊本地震から3年5カ月が経過し、震災からの復旧・復興も確実に進んでいる状況において、見通しの時期を示す時期に来ていると考えます。昨年度の都市計画事業費の内訳を示していただき、内訳の状況から見て、また昨年から比較すると、震災から復旧・復興も確実に進んでいる中、都市計画税の見直しについて、財政局長の見解をお聞かせください。
〔
田中陽礼財政局長 登壇〕
◎田中陽礼 財政局長 都市計画税の税率の見直しの経緯につきましては、議員御案内のとおり、平成28年第1回定例会において御議論いただいたところでございます。その際、本市の都市計画税の税率は条例で0.2%と定めており、他の指定都市においては新潟市が0.28%、他の政令指定都市は制限税率であります0.3%を適用しているとお示しをしておりましたが、その後、熊本地震の発生によりまして見直しを延期していたところでございます。
お尋ねの平成30年度決算におきます本市の都市計画事業費は約192億円で、その財源内訳は国県支出金や起債等の特定財源が約85億円、都市計画税が約52億円、その他の一般財源が約55億円となっております。
税率改定の時期につきましては、復興の進捗や地域経済の動向を見きわめながら、議会の御意見はもとより、納税者の御理解をいただきながら検討を行う必要があると考えているところでございます。
都市計画税を初めといたしました自主財源の確保につきましては、健全な財政運営を行う上で重要な課題であり、本議会においても御報告をさせていただきたいと考えているところでございます。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 震災復興の進捗状況や経済動向、そして納税者の理解を得ながらの検討が必要との答弁でありました。明確な見直し時期についての答弁は、残念ながら昨年に続いてありませんでした。
答弁にもありましたように本市の都市計画税は0.2%、新潟市を除いて政令指定都市20市中18市が制限税率の0.3%を適用されています。仮に本市が他の政令指定都市と同じ0.3%に見直せば、昨年度の決算額から計算しますと、毎年26億円の増収となります。都市計画税が26億円ふえることにより、都市計画事業費に投入している一般財源が55億円から29億円に縮小され、その分がさまざまな他の事業に回せることとなります。
見直しの時期は明確にされませんでしたが、健全な財政運営の観点から重要と認識されており、今期議会においても大都市税財政制度・都市問題等
特別委員会が発足しており、委員会での前向きな議論に期待をいたしまして、次の質問に移ります。
2つ目の施設の使用料・手数料の引き上げについてお尋ねいたします。
今回、2004年以来の大幅な使用料・手数料の条例改正案が上程されていますが、議案の賛否に対して言及するものではなく、適正な受益者負担の考え方についてお尋ねいたします。例えば、動植物園の入園料は現行300円であり、この収入等では運営を賄えないために、市税が7億円程度充当されています。
公共施設の目的は、教育や健康など市民生活の向上に寄与するためにあり、その使用料は安価に設定されており、施設の維持管理や運営経費など大半の部分は税金を充てています。ひいては、市民の皆様が負担をしている状況にあります。今回の施設使用料については、ほぼ一律に10%から15%程度となる使用料の値上げが提案されていますが、施設の機能や果たす役割などによって値上げの幅があってもよいのではとの印象を抱いています。
証明書発行等手数料については、マイナンバーカードを推進する観点からも一定の理解はできますが、使用料金の改定に関しては、先ほども述べたように、各施設の財務内容は受益者負担と市税投入の比率がそれぞれ違うはずであり、また全体の使用料金も上げるのではなく、世代間の不公平感を見直すよい機会とも考えられます。
今回、ほぼ一律での施設利用料の値上げは、このようなことを踏まえ、使用料・手数料に関しての適正な受益者負担の考え方について、市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 使用料は施設の維持管理費や減価償却費に充てるべきものとして、また手数料については特定の者のためにする事務に係るサービスの対価として、地方自治法の規定に基づき徴収することができるものでございます。
使用料及び手数料の見直しにつきましては、平成30年度までを計画期間といたします第5次行財政改革計画の実施項目として掲げておりましたが、熊本地震の影響等によりまして改定を見送っていたところでございます。
議員御案内のとおり、使用料につきましてはこれまで、各施設の運営コストに対して利用者に御負担いただく割合が明確でなかったことから、今回の見直しに当たって、他都市の事例を参考に、サービスの必需性や選択性、公共性や市場性の観点から、施設の運営コストに対する受益者負担の割合を設定いたしました。また、手数料につきましては、特定の方に対する行政サービスでありますことから、その全額を受益者の負担としたところでございます。
これらの結果を踏まえまして、他都市や類似施設とのバランスを考慮し、急激な負担増とならないよう配慮したところでございます。この中で、例えば市内に点在いたします体育施設におけるプールの利用など、同じ行政サービスを利用する方からは、同額の御負担をいただくべきと判断をしたところです。
使用料及び手数料の全体的な見直しとしては15年ぶりとなりますが、料金改定の趣旨としましては、行政サービスを利用する方と利用しない方との公平性の観点から受益者負担の適正化を図るものでございまして、今後も適宜見直しを行ってまいりたいと考えております。
なお、高齢者の方に対する体育施設等の使用料の減免については、健康づくりや社会参加の促進などさまざまな観点から実施しておりまして、まずはその目的と効果について検証を行ってまいりたいと考えております。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 今回の使用料・手数料の見直しに関しては、他都市の事例などを参考に設定したとの答弁でしたが、執行部がよく使用される他都市の事例ほど根拠のないものはないと私は思います。なぜならば、歴史や文化、人口構成、面積、地域性、財政状況、周辺自治体との関係など、当たり前ではありますが、自治体の形はさまざまな面で性質が違います。
今回、市電の値上げでは消費税引き上げに伴い検討がされましたが、見送られました。受益者負担の観点からは少々ずれますが、利用料の引き上げで増収を図るのではなく、利用者をふやす工夫をして増収に結びつける策を講じることも大切だと考えます。施設の使用料・手数料については、世代間の不公平感も含め、これからの各委員会での活発な議論を注視したいと思います。
3つ目、予算から見る予防介護の推進についてお尋ねいたします。
2017年度、我が国の社会保障給付費は過去最高の120兆2,443億円で、前年度に比べて1兆8,353億円、1.6%の増加となりました。特に、介護給付が前年度に比べ4.1%増加し、ついに10兆円の大台に乗りました。団塊の世代が後期高齢者に達する6年後の2025年には、この10兆円が15兆円にも膨らむ見通しであります。
介護サービスが必要な人の割合は当然年齢とともに上昇し、85歳を超える要介護者の割合は5割を超えます。2040年には85歳以上の人口は国内で1,000万人を超え、要介護者が現在の2倍以上になり、介護給付費がさらにふえていくことは間違いないとされます。次期介護保険制度改革に向けた議論が社会保障審議会で進んでいる中において、このような数字が議論にどう影響を与えるのか、注視する必要がありそうです。
本市においては、その介護給付費を支える介護保険料は、65歳以上の方が支払う額が全国でも最大の伸び率となり、現在の基準額6,760円は7年後の2025年度で9,000円を超えると推定されます。毎月この金額を現実的に払える人がどれくらいいらっしゃるのか、今から不安がよぎるのは私だけではないと思います。
ただ、一方で、全国1,571の自治体と広域連合のうち、保険料を据え置いているのが256カ所、また90の自治体・広域連合では逆に保険料を下げており、独自で行う介護予防の取り組みが健康寿命を延ばす効果をもたらし、ひいては介護保険料の引き下げを実現しているようです。
介護を必要としない人をふやし、本当に介護が必要な人にサービスを集中させるためにも、本市としても予防介護対策が重要と考えますが、本年度予算歳出のうち予防介護が占める割合をお尋ねいたします。また、予防介護について、事業の内容と事業に係る経費を拡大して、将来負担の軽減につなげることはできないのか、健康福祉局長の見解を求めます。
〔田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志 健康福祉局長 介護予防の推進に関する2点のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、介護予防の予算及び介護保険会計に占める割合についてお答えいたします。本年度の介護保険会計予算は総額約626億円で、うち介護給付費予算額は約579億円でございまして、総額に占める割合は92.5%となっております。また、一般介護予防に係る予算額は約8,400万円でございまして、総額に占める割合につきましては0.13%となっております。
続きまして、介護予防事業の内容と費用を拡充して将来負担の軽減につなげることについてお答え申し上げます。
一般介護予防事業を含みます介護予防・日常生活支援総合事業の予算につきましては、国の地域支援事業交付金交付要綱におきまして、75歳以上の高齢者の伸び率等に応じて上限額が設定されておりますことから、この上限額を見据えまして平成29年度から事業を開始し拡充してまいりました。
議員御案内のとおり、介護給付費は年々増加をいたしておりまして、このことが介護保険料の負担増につながりますことから、本市といたしましては介護給付費の適正化ができるよう、高齢者の介護予防や健康づくりに取り組んでいるところでございます。具体的には、まず介護保険会計における介護予防の取り組みについてでございますが、くまもと元気くらぶなどの通いの場を開催いたしまして、筋力アップにつながるいきいき百歳体操などを行っており、現在56団体、約1,400名の方が登録されていただいているところでございます。また、本年10月からは基本チェックリストにより、要介護状態の予備群とされる方を早期に発見し、運動機能や口腔機能の向上、栄養改善を行う短期集中予防サービスを開始することといたしております。
さらに、介護保険会計以外の取り組みといたしましては、介護の原因となる疾病を早期に発見できるよう特定健診やがん検診等を実施しておりまして、特に70歳以上のがん検診の無料化により受診の促進を図っておりますほか、生活習慣病予防の健康教室や健康相談等に加え、今年度から健康ポイント事業も開始することといたしております。今後も、さまざまな取り組みを通しまして、将来の介護保険料の負担軽減を図ってまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 介護保険会計の予算は総額626億円、そのうちのほとんどが介護給付費に当たり、介護予防の予算は全体のわずか0.13%であることがわかりました。これでは充実した介護予防の施策は展開できないのではないかと実感いたしました。ただ、地域支援事業交付金交付要綱においての上限額が設定されているので、予算の拡充は困難だということも理解できました。
わずかな予算の中において、幅広い年齢層に対して介護予防の取り組みを答弁いただきましたが、決して現状に満足することなく、多くの方がこの取り組む事業に参加できる仕組みを構築していただきますよう、よろしくお願いいたします。
急速な高齢化に際してのさまざまな課題は、我々がかつて経験したことのないものです。金がないときは知恵を出せ、知恵が出ないときは汗をかけの精神で介護予防に取り組んでいただき、高齢化が喜んでいただける社会の実現に向けて努力していただきますようお願いいたします。
続きまして、人に対する本市独自の事業について、2つの項目をお尋ねいたします。
まず1つ目、子供医療費助成制度についてお尋ねをいたします。
子供医療費助成制度について、制度の拡充については近隣市町村のほとんどが中学3年生までを対象としている状況において、多くの子育て世代の要望に応えて、市長が就任早々に年齢の拡充を実現されました。このことには本当に評価をさせていただきます。
しかしながら、平成30年から新制度が実現したものの、3歳から小学校3年生の子供を持つ家庭においては相当の負担増となりました。具体的には、3歳から小学校3年生の子供の場合、平成29年までは1カ月500円だった自己負担額が改正後は調剤まで、薬代まで含めて1,400円となりました。2.8倍の負担増であります。この大幅な自己負担額の増加が多子世帯や子育て世代の家計を圧迫し、影響を与えるのではないかと危惧をしていました。市長は制度を改正する前に、多子世帯等に対する配慮に関する意見もあるので、今後、データの収集等を行った上で検討してまいりたいと話しておられます。
新たに平成30年12月から、小学校4年生から6年生までは自己負担を一部改正されましたが、まだまだ多くの保護者からの意見を聞くと、中学3年生までの年齢引き上げは本当に助かってはいるものの、反面、薬代の新たな負担や年齢によっては新しくなった制度が負担増となり、もっと充実させていただけたら安心して子育てができるのにという声を多く聞きます。
この子供医療費助成制度は、人に投資する本市独自の事業として市長肝いりのものでありますが、子育て政策を充実させるためにさらに改善していく必要があると考えます。
そこで、2点のお尋ねです。
1つ目、制度改正後に対象世帯等からアンケートをとって検証していらっしゃるのか、していればその結果をお尋ねいたします。また、未実施であれば、その必要性に対する見解をお尋ねいたします。
2つ目、また、さらなる制度の見直しに対して必要だと思いますが、本市の見解をお尋ねいたします。
続いて、さくらカードのあり方について、続けてお尋ねいたします。
社会参加を目的とするさくらカードは、公共交通機関の利用促進も同時に効果をもたらします。現状におきましては、70歳以上の人口は増加しておりますが、カードの利用件数は平成18年から28年までの10年間で約28%の減少であります。利用金額も同時に約14%の減少傾向にあります。
また、制度開始から20年以上が経過しており、高齢者を取り巻く環境も悪化し、さらには第5次行財政改革においても持続可能な制度となるよう見直すとのことから、制度のあり方を検討するために、おでかけICカードの利用調査と70歳以上の高齢者5,000人からのアンケート調査を平成29年7月から8月にかけて実施され、具体的な検討が行われました。結果、市民や交通事業者へ与える影響も大きいため、平成30年度に外部有識者等による検討会を別に設置し、多角的に検討を行うこととなりました。検討に当たっては、さくらカード制度のあり方に特化した検討を行うのではなく、今後ますます重要になる高齢者の健康づくりや社会参加の促進等について総合的に検討を行うこととされ、昨年から5回にわたり、高齢者及び障がい者の社会参加促進等に関する検討会において議論がされました。
多くの対象市民の方が、さくらカードの方向性を注視されています。検討会での議論を踏まえ、まずはこの事業が廃止されることはないのかも含めて、今後の方向性についてお尋ねいたします。
以上、子供医療費、さくらカードについて、健康福祉局長に答弁を求めます。
〔田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志 健康福祉局長 子供医療費助成制度及びさくらカードの方向性について順次お答え申し上げます。
まず、子供医療費助成制度につきましては、子供の健康保持及び健全な育成並びに養育者の経済的支援を図ることを目的といたしております。平成30年1月に、子供の医療費に係る自己負担を軽減することで安心して子育てできる環境確保を目指しまして、中学3年生まで対象年齢を拡充し、さらに平成30年12月に小学4年生から小学6年生の外来、保険調剤に係る自己負担限度額を引き下げますことで、小学生の負担上限額を一律とし負担軽減を図りますとともに、わかりやすい制度内容とする改正を行ったところでございます。
改正後の効果につきましては、制度改正後からの運用期間も短く、利用実績が十分に把握できていないことから現時点で分析ができておりませんが、今後、令和元年度の年間利用実績や決算などを踏まえまして、検証を行ってまいります。また、さらなる制度の見直しにつきましては、市民ニーズや意向の把握は必要と考えておりまして、その手法も含めまして今後検討してまいりたいと考えております。
続きまして、2点目のさくらカードの方向性についてお答えいたします。
さくらカードのあり方につきましては、第5次行財政改革計画の取り組み項目としまして、制度を持続可能なものとするため、高齢化やさまざまな社会情勢の変化を踏まえ、制度内容の見直しの検討を行っているところでございます。そのような中、昨年4月には、高齢者及び障がい者の社会参加促進等に関する検討会を設置いたしまして、さくらカード制度を含めた社会参加促進施策の方向性につきまして御議論をいただいたところでございます。
さくらカード制度に係る検討会の意見といたしましては、例えば「利用者の多くはこの制度に感謝をしている。できることならこの形で存続をしてほしい」との事業継続に関する意見や、「障がい者については、もっと利用者の負担を軽減してもよいのではないか」との負担軽減に関する意見、「交通網の関係で、利用しやすい方にとっては社会参加促進に貢献している一方、利用できない方もおり不公平感があるのでは」、また「利用者の立場からは拡充を求めたいが、納税者の立場からは利用できない方との公平性は気になる」との利用状況を踏まえた御意見、さらには「市及びバス事業者の財政的な負担を考慮して、それが課題となっているのであれば負担の見直しも必要」、また「事業者の負担について、社会貢献活動としての意義はあるものの、本来の事業に影響を及ぼすようになっては」との負担割合に関する意見など、さまざまな観点から御意見をいただいているところでございます。
今後のさくらカードのあり方につきましては、このような検討会での意見などを踏まえまして、制度を持続可能なものとするために引き続き検討を行ってまいります。
〔21番 高本一臣議員 登壇〕
◆高本一臣 議員 子供医療費助成制度については、制度改正から期間がまだ短いということで、今年度の実績や決算などを踏まえて検証を行うとのことでありました。また、この制度の見直しについては今後検討していきたいとの答弁でしたので、ぜひ前向きな検討をしていただけると捉えましたので、この制度検証結果を報告できる、また来年度にはお尋ねをしたいと思います。
さくらカードの方向性については、制度を持続可能なものとするために検討していくとの答弁でしたので、事業の廃止はないと判断させていただきました。2年前のアンケート調査時から、対象者の方たちが、さくらカードについては廃止されるのではないかなというような、そのような不安の声を多くの方々から伺っていましたので、安心いたしました。さくらカードの制度の目的である、高齢者が利用することにより社会参加の促進が図れるよう、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
今回質問した本市独自の人への投資は、
少子高齢化社会の課題解決に向けてとても重要な施策だと思いますので、さらなる改善に向けての努力を続けていただきますようよろしくお願い申し上げます。
続きまして、改革を続ける本市の教育の諸課題についてお尋ねいたします。
1つ目、小中一貫教育の推進についてお尋ねいたします。
午前中も質問がありましたけれども、小中学校の教員が目指す子供像を共有しながら、9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育を目的とする小中一貫教育の推進に取り組む本市教育の背景には、児童・生徒の発達の早期化、中学進学時に学習や生活に不適合を起こす中1ギャップの減少、異学年交流の減少、教育内容や教育活動の量的・質的の充実が要因と考えられます。
小中一貫教育には、1人の校長のもとで1つの教職員集団が一貫した教育課程を編成・実施する9年制の学校で教育を行う形態の義務教育学校型と、組織上独立した小学校及び中学校が義務教育学校に準ずる形で一貫した教育を施す形態の小中一貫型小中学校があります。
本市では平成28年度からモデル校を選定し、今年度から、富合小・富合中の富合校区、芳野小・芳野中の芳野校区が小中一貫校型のタイプで開校いたしました。今後、さらなる推進に向けて、小学校1校、中学校1校の連携タイプをAグループとして3校区、小学校を複数校、中学校1校の連携タイプをBグループとして17校区検討されていると伺っております。また、小中一貫校の推進によっては、施設の老朽化に伴う建てかえを検討しなければならない場合や、学校規模適正化の観点から施設の一体化を検討しなければならないなどの懸案事項も生じてきますが、あくまでも老朽化施設の対応が小中一貫校推進の目的であってはならないと考えます。
そこで、この小中一貫教育を推進することにおけるメリット・デメリットを教育長にお尋ねいたします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 小中一貫教育のメリット・デメリットについてお答えいたします。
本市では、いわゆる中1ギャップの緩和や小規模校の弊害の解消、学力の向上、教職員の意識改革等を小中一貫教育のメリットと捉え、本年度、本市初の小中一貫校を富合校区、芳野校区に設置いたしました。
デメリットについては、国の実態調査によると、小中学校の教員間での打ち合わせ時間や児童・生徒が交流する際の移動手段の確保、教員の負担感や多忙感等が課題とされております。