ただ、身近なところで現実を直視すれば、私たち議会は選挙直後でございましたので、5月からの新しい公務の始まりを迎えておりました。ほとんどの皆様がゆとりを得ることもなく、せわしい日々を送っていらっしゃったことだと推察いたしております。また、お恥ずかしながら我が家のことを申し上げれば、14歳の娘は当然のごとく大喜びで、
ヒップホップ系のダンスと
スマホいじりに熱を上げておりましたし、その隣で家内は、稼がれんし、お金がないのでどこにも行かれんとぼやいておりました。まさに我が家の悲しい現実のツケが、冷たい視線となって私に注がれ、肩身の狭い思いの連休期間でございました。
一方で、私が目にするニュースは、海外旅行を初め、さまざまなレジャーに身を寄せる人々でにぎわっておりました。ゆとりと活気が混在する中で、多くの方の幸福感が醸成される様子に安堵感を抱くとともに、日本経済の振興に期待が膨らんだところでございました。このように
大型連休の過ごし方は多種多様の様相を呈し、時代のリセットに思いをはせる国民にとっては、まさに好機であったと感じます。
そして、本市は観光都市でありますので、このようなときをチャンスと捉え、人の流れを呼び込むための魅力的なすべをつくり出し、官民こぞって
観光戦略が展開されています。特に、歴史にちなむものを中心に、音楽や踊りや洋装など、時代を超えたテーマを掲げ、創意工夫のイベントが開催されます。当然、
イベント系は天候にも左右されますことから、年間を通じた企画に携わる本市の担当部局や地域振興を図る関係者の皆様の御努力、御苦労には本当に頭が下がる思いがいたします。
下支えをする地域独自の知恵と力の結集があってこそ、県内外を問わず人々の行動はイベントを催す
中核的施設や観光地と流れが促進され、このまちの中ににぎわいが生じることになります。そして、市域内の経済は上昇し、まち全体に利益と繁栄をもたらします。
しかし、そのような中にあっても、今回の
大型連休の中で聞こえてきたまちの声は意外なものもございました。特に、営業指数が上昇すると思っていた飲食店においては、営業日と休業日の設定に大変苦慮したという声が際立ち、さらに金融機関が長期休暇の際は、運転資金やつり銭の準備など、余計に気遣いをしなければならない。無用な損失さえ生じるとの声が印象的でございました。また、夕刻から深夜にかけての
交通事業者についても同意見がございました。通常とは違う特異性のある空気の中で、それぞれが見えない期待感にあやかり、人件費などの
経営コストを増大させるか否かは大変厳しい選択であったと推察いたします。
そして、私が耳を傾けた皆さんは、そのほとんどがこのまちの中心部を支える
地域経済のかなめである
小規模事業者の皆さんです。だからこそ、それぞれの暮らしの安定も担保されるとともに地域のにぎわいが維持されなければなりません。それゆえ、私はこのように
大型連休を歓迎されるどころか、懸念される現場の声に複雑な思いを抱いたところでした。報道では目にしない現場の声を目の当たりにし、対岸の火事のように受けとめられないと痛感いたしました。そして、政治的な配慮によって生じた結果に対し、その検証の必要性を感じた次第です。
そこでお尋ねいたします。
最初に、人の流動性を促す政策誘導こそが
地域経済に寄与するという観点から申し述べますが、5月、8月、
年末年始等の
大型連休などの特定期間を
ターゲットとした本市の
観光戦略の
基本的指針は存在しているのでしょうか。どのように展開が図られているのでしょうか。本市の
観光戦略の基軸となるものは何でしょうか。
また、中心部及びその周辺域に所在する商店街や事業者の振興を図るためには、営業日や営業時間、個々のイベントなどまで含め、
事業種別ごとの経営形態の状況把握が大切です。この観点から、情報共有を深めるための
連携強化策をどのように図られていますでしょうか。
さらに、このような
大型連休期間を想定した経済振興に関する研究をどの程度必要視されているのか。お考えがあれば、お示しいただきたいと存じます。
次に、今期の定例会は前年度の決算審査に当たります。これから開会を迎える委員会等では、これまでの
観光戦略の総括が示されるものと思います。あわせて
地域経済の動きに関する
基礎的データの分析や課題も示されると思います。今後の
観光戦略並びに経済政策を立案するために、データをもとにした課題と克服策に関する取りまとめが必要です。特に、
ハード整備が著しく進む
中心市街地には、本市の強みや弱みなど、まちの特徴にも変化の兆しがあらわれると思います。それゆえ、
町並み整備や空間整備、さらに道路形態や交通状況を所管する
都市建設局や交通局との情報共有などの連携強化はさらに必要になります。
今後の研究や分析を継続的に進めるためのすべと、
組織内活動の方向性についてお聞かせください。
経済観光局長にお尋ねいたします。
〔
平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎
経済観光局長 大型連休・長期休暇の影響に関しまして順次お答えいたします。
まず、本市の
観光戦略の
基本的指針でありますが、現在、本市では第7次総合計画の交流人口の増加の取り組みといたしまして、熊本城の魅力を生かした城下町や
中心商店街との回遊性の向上のほか、県や他都市との連携による戦略的な
プロモーションや、
外国人観光客の
受け入れ態勢の強化などに取り組んでいるところでございます。
また、
大型連休などの特定期間を見据えた取り組みといたしましては、魅力ある
イベント等による集客に努めております。例えば、ことしの10連休は、
熊本城二の丸広場で
熊本城新緑祭を開催し、前年比2倍以上の13万人を超える来場者でにぎわうなど戦略的な展開を図っているところでございます。
次に、商店街や事業者との情報共有につきましては、担当職員が定期的に各商店街の会合や
イベント等に参加し、状況把握に努めており、特に中心部の9つの商店街が合同で毎月開催する定例会では、
イベント事業に対する意見交換を初め
インバウンド対応の
取り組み状況など、
各種情報共有を図っているところでございます。
続きまして、
大型連休期間を想定した経済振興に関する研究につきましては、ことしの
ゴールデンウイーク期間中の影響について、商店街等に聞き取り調査を実施したところ、観光客が多く訪れた店舗は盛況であったが、一方、平日勤務の会社員を対象としている店舗は、例年に比べ苦戦されているところもあったなど、全体的な景況把握が難しいため、データに基づく施策展開を図る上でも定期的な調査の必要性を感じたところでございます。
そのため、市内の定期的な景況把握や
大型商業施設開業後の入り込み客の回遊等を把握するための調査経費につきまして、今回の定例会に補正予算を計上しているところでございます。
最後に、研究のすべと
組織内活動の方向性についてでございますが、今回補正予算に計上しております調査につきましては、シンクタンクや
経済関係機関等の協力を得ながら、本市経済の実態把握に努めていくこととしており、調査結果につきましては関係部局とも共有してまいりたいと考えております。
〔28番
小佐井賀瑞宜議員 登壇〕
◆
小佐井賀瑞宜 議員 担当部局としては、関係者との交流も深め、情報収集にいそしんでいらっしゃることが理解できましたし、課題の分析も必要性も十分認識していらっしゃるようでございますので評価をしたいと思っております。なお、御答弁をいただきながら、改めて
観光戦略に対する期待を抱いたところでございます。
特に、ことしは5月の10連休に加え、先月8月が7連休でございました。さらに4カ月後の年末年始は最大で9連休を控えております。年末年始は正月という特異性はあるものの、このような長期にわたる休暇期間を成り行き任せという空気で見過ごしては、経済の新たな振興策を見出すことは困難と感じた上での問いかけでありましたが、現状としては、随時対応を図っていらっしゃいますので、安堵感を抱いたところです。なお、今後はいち早く動向調査にも着手しようとされていますので、結果が有意義な材料になるよう、期待したいと思っております。
また、本市ではいよいよ世界大会も開幕いたします。ビッグイベントの機運や国民の祝日を基軸にもたらされる時間軸を有益に活用するためのすべを重要視願いたいと思います。
さて、角度を変えて申し述べますが、先月16日の
都市政策研究会の講演会に赴いた折、まちの中の空間を魅力あふれるまちに進化させるための重要な視点について御紹介がございました。そのことをこの熊本市に重ね合わせたとき、この地域資源の豊富な本市には、
中心市街地活性化事業の中で、ハードの面での新たな拠点性の創出も可能であると感じたところでございます。そして、それらの魅力を持った地区を結びつけるための新しい道路網や交通網の整備が一層注目を浴びることになると思います。このような有益な土壌を生かして、変革期にある本市を日本屈指の観光都市として世界の皆様から選ばれるまちへと導いていただきたいと願うばかりであります。
そこで、今後の
観光都市づくりの要素として、特に重要視していることについて、市長に総括した御所見をいただきたいと存じます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市の観光の現状は、熊本地震で大きく落ち込んだ観光入り込み客数について、海外客の増加等により回復傾向にありますものの、依然地震前の水準には戻っていないなど、厳しい状況にあると認識しております。
そのような中、本市においては、インバウンドを初めとする
観光振興策に取り組んでおりまして、
国際スポーツ大会の開催や熊本城の特別公開、また
熊本城ホールにおける
各種コンベンションやイベントの開催など、今後多くの観光客が本市を訪れることが見込まれております。
そこで、今後本市がより多くの
観光客誘致を進めていくに当たり、多様化する観光客の嗜好や動向を分析し、データに基づいた観光施策の基本的な指針として、熊本市
観光マーケティング戦略を策定し、本市の
観光客データの詳細な調査、分析とともに
ターゲットの明確化や、重点的に行う施策などを体系的に整理してまいりたいと考えております。
今後の具体的な施策展開においては、この戦略をもとに九州中央に位置する本市の
地理的優位性も最大限に生かしながら、
オール九州一体となった国内外への
プロモーションによる認知度や、魅力ある
体験型コンテンツの充実等による観光客の満足度の向上を図ることにより、交流人口の増加による
地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〔28番
小佐井賀瑞宜議員 登壇〕
◆
小佐井賀瑞宜 議員 市長の御所見を伺い、さらに期待が募りました。
経済観光局を初めとする執行部の皆様には、重要な業務が重なり御苦労が多いことかとは存じますけれども、これからの本市には大きなチャンスがめぐってきていると感じます。今回の質問は、そのことをお伝えしたいがための問いかけでございましたので、何とぞ御奮闘を期待申し上げたいと思います。
なお、私自身ももっと研究を重ねて、時期を見て具体的な御提案も申し上げたいと思いますので、今後もおつき合いをいただければ幸いです。ちなみに、私も今回の研究を深めるに当たり、2つのテーマで資料を探しておりました。そのテーマとは、1つがまちの
にぎわい創出、もう1つが人々の余暇の過ごし方というものでございました。その結果、
国土交通省国土技術政策総合研究所では、まちの
にぎわい創出を主体とした
まちづくりの指針が示されておりました。他都市の研究報告にも興味深い報告も見受けられましたので、中からピックアップして政務調査に赴こうと考える次第でございます。
また、人々の余暇の過ごし方では、おもしろい再発見がございました。これは男性と女性とでは基本的に行動が違うということを改めて再認識いたしました。女性の1位は、やはりショッピングやカフェめぐりと、夢のある行動的な一面が示されていて、ここぞとばかりエンジョイしている輝く女性の姿が連想されました。その一方で、男性の1位は、昼は家でごろごろ寝ている、または、たまった家事や業務を行うということでございました。やはり男性は夕刻からの行動範囲が広がるのかなと勝手に想像したところでございますが、我が家の家庭を振り返りながら、その信憑性の高さを感じとったところでございました。
さて、それでは次の項目は、一部内容を削除、変更したいと思いますので、御容赦願いたいと存じます。
それでは、
地域経済の安定と発展を願う観点で、
消費税税率改定の影響についてお尋ねさせていただきます。
昨今の経済動向は上昇志向とはいえ、決して安定的とは言えない状態にあるのは御案内のとおりです。そのような中、いよいよ来月からは消費税の税率改定が実施され、国内に大きな変革をもたらされようとしております。このことは、御承知のとおり2014年、2016年と2度にわたって延期がなされ、政府見解としては、これまでの期間に
リーマンショック級の出来事が発生しない限り、税率改定は実施予定と示されてまいりました。そして、本年6月の臨時閣議において骨太の方針として明記され、その後の
参議院選挙を経て今日に至っております。
この間、政府は、景気の回復基調は維持しながら成長戦略を即時展開していくとの意向を示され、公共投資や人材育成、雇用対策など継続的な支援策が展開されています。先般示された2020年度の政府予算の概算要求も約105兆円規模にも達する見通しです。一部には、
財政規律置き去りとの厳しい論評もございますが、まずは国内経済の優先を図ろうとするトップの決断には、周囲がはかり知れない並々ならぬ決意がにじんでいるように推察いたしております。
ただ、このような中、海外ではグローバル化した経済は成熟度を増す一方で、
ブロック経済の一部崩壊も表面化し、各国の利害があらわになってまいりました。中でも
米中貿易摩擦の過激さはおさまる兆しが見えません。中東からの
エネルギー確保についても、シーレーンにかかわる我が国の死活につながる重要課題は残されたままです。
また、我が国は隣国との外交が悪化する傾向で、対外国の国民感情は複雑化の様相を呈しております。
グローバル経済を視野に入れた
観光戦略が進展していたこともあり、懸念材料は深まります。このような状況だからこそ、輸出入に依存度の高い我が国においては、今後の国内経済への影響は気がかりであります。
特に、経済のデフレ化によって、この20年はGDPの拡大が停滞ぎみであったことを振り返れば、外需の不透明感が先行しておりますので、今後の国内景気の動向は不安定な要素が気がかりとなるわけですが、そのような中にあっても県内の本年4月から6月期においては、復興や再開発の投資効果が功を奏し、製造業や食料品の需要も拡大傾向にあると聞き及びます。ちなみに、本市を中心に企業の投資額は、昨年対比で80%の増が見込まれ、
金額ベースでは九州7県内で2番目の高さで、福岡市に次ぎ970億円程度と示されていました。なお、直近の情報によりますと、県経済の2019年度の見通しは、復興需要に若干の陰りの兆しがあらわれ、県内総生産の
名目成長率はマイナス0.2%になるとの指数を
地方経済総合研究所がまとめています。
このことは、平成28年9月、ちょうど3年前、地震発生から半年後に本会議の中で、
熊本城ホールの整備上の進展をめぐって私が市長に対し、財源問題を絡めた整備推進の根拠についてお尋ねした折に、市長が3年先の経済動向の展望を含め、公共投資の必要性を示されたことに符合いたしております。今さら褒め殺しではございませんけれども、当時の市長の御所見は見事に的中していたと言えるでしょう。ただし、そのときに語られた整備の必要性を生かすためにも、担当部局においては官民連携のもとに引き続き、
熊本城ホールに対する公共投資の有益性を高めるすべをしっかりと展開していただきたいと願っております。
このように、現在も本市においては、経済を下支えする土壌が整っているがゆえに、今後も新たな投資による地域内の需要拡大に向けた政策誘導が求められているのではと考える次第であります。
しかし、そのような中で所得の大小を問わず、全ての国民に負担を強いる消費税の税率改定が始まります。
消費税創設以来の歴史を振り返れば、やはり消費の足踏みを誘発させ、需要の低下を招くことで景気の動向に大きく左右することも懸念されます。
小規模事業者の多い本市の状況のみならず、本市の観光面においても課題は残ると考えます。
そこで、まずは今回の消費税の税率改定が本市の
地域経済にもたらす影響についていかがお考えでしょうか。特に、産業面を主眼として、市長に御所見をいただきたいと存じます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 消費税が8%に引き上げられました平成26年度の本県の実質県内総生産の対前年度比は1.1%減でありまして、これは増税前の
駆け込み消費の反動減等と捉えております。
今回の増税に際した日銀の
展望レポートによりますと、減税などの
負担軽減措置分を控除した家計の正味負担の増加額は、前回が8兆円程度であったものが、今回は2兆円程度にとどまるとされております。これは国の恒久的な
負担軽減措置や
教育無償化が予定されているためで、前回の増税時に比べますと、不確実性はありますものの、成長率の
下押し効果は小幅なものになると予想されております。
また、
地方経済総合研究所が6月に発表いたしました、熊本の
消費予報調査におきましては、
キャッシュレス決済の
ポイント還元などの政府の
消費税増税の
影響緩和策により、前回の増税時に見られた
駆け込み消費を抑制している可能性もあると分析されております。
これらのことから、日銀の予想同様、本市経済に及ぼす影響は前回の増税時よりも少ないものと考えております。しかしながら、本市としては
消費税増税による市民負担への影響をより小さなものとするために、今月以降の桜町の
大型商業施設の開業、また、ラグビー、
ハンドボール等の
国際スポーツ大会の開催や、
熊本城ホールの開業等による交流人口の増加を消費につなげてまいりたいと考えております。
さらに、国の事業であります
プレミアム付商品券や
ポイント還元事業等も最大限活用することで消費の下支えを行うなど、官民挙げて
地域経済の活性化に取り組んでまいります。
〔28番
小佐井賀瑞宜議員 登壇〕
◆
小佐井賀瑞宜 議員 今後の動向については、市長も冷静な分析をされていらっしゃると感じたところでございます。同時に、対応についても具体的な指針を確認させていただきましたが、どうか市場の安定化が確認されるまで、継続的に注視していただきたいと願っております。
そこで、私が収集いたしている課題状況を述べさせていただき、次の質問に続けてまいりたいと思います。
昨年12月、閣議決定として報じられた政府の試算によりますと、今回の
消費税税率改定によって影響が及ぶとされている家計負担は、当時約2.2兆円ほどと示されておりました。これは前回2014年度時の30%程度でございます。
それゆえ、政府は経済を下火に招かないようにする対策として、総額3兆円を計上されました。この中身は、
国土強靭化対策の1.3兆円の公共事業を中心に、消費者への
ポイント還元や低所得者や
子育て世代への
プレミアム付商品券などを含んだ臨時特別の予算措置2兆円。ほかにも
住宅ローン減税等の拡充の税制上の支援が0.3兆円、そして、現在話題沸騰の幼児教育・保育の無償化等の
社会保障費充実のための0.7兆円であります。
幼児教育・
保育無償化は、教育の充実と子育てを支援する等の
社会保障充実の側面が際立つわけでありますけれども、いずれも主たる労働力を保持する方々の
家計安定化のための
経済的補助政策であることは間違いございません。なお、この予算が本市にもたらす影響額は、本市の人口比率以上の伸びが見受けられ、220億円程度が先般の議会で可決しておりますことは御承知のとおりでございます。
また、今回の
消費税税率改定に伴い、
軽減税率等の適用も実施されますので、間接的ではありますけれども、新たに生じる業務によって一時的に生産性が高まる分野も存在いたします。その上、消費税は国民の公平な負担によって拡大傾向の扶助費を補完するという趣旨が前面に示されれば、今回の税率改定は国民にとって問題視されないまま容認されるようにも思います。ただし、一部産業種別によっては意見が分かれることも否めません。しかし、不安要素として世界経済の不安定化のほか、国内では
オリンピック需要の終了に加え、働き方改革の残業規制も少なからず影響をもたらすものと感じます。
また、税率10%という数値そのものが購買時の暗算が容易になるということから、心理的インパクトの影響が追い打ちとなり、購買意欲は低下ぎみに包まれるものと想定いたします。このようなことから、実質消費の下降は否めないと不安視されますので、政府においては、経済対策には特に配慮し、2020年度の予算編成は大胆さが増しているんであろうと分析いたしております。
また、約30年前の消費税導入とともに、政府がこれまで大企業への優遇税制を柱とした税の構造改革を進められてきたことに一定の理解は示してまいりましたが、その側面で今後の消費税の税率改定によって、国税収入に占める割合が37%になる見通しでございます。
ゆえに、国民所得の格差拡大の懸念も捨て切れずにおりますので、税率改定後も政府には極力丁寧な説明に徹していただきたいと念じる次第であります。あわせて、地方都市には法人税の優遇措置以上に各論的な課題を抱えている中小企業、
小規模事業者が数多く存在している事実を直視していただきたいと願うばかりであります。
特に、今回の税率改定に伴い導入されるインボイス制度では、事業所としては軽減税率による複数税率への急速な対応が求められることが大きな悩みの種となっていることは、皆様もお聞き及びのことと存じます。価格表示はもちろんのこと、経理システムの変更を強いられるなど、関係性の深いキャッシュレス対応も急務です。
先日の共同通信社の調査では、対応完了の事業所は、いまだ40%程度との発表でございましたが、これはあくまでも大企業が対象となっている調査でございますので、中小企業、とりわけ
小規模事業者においては深刻さが増しているはずです。さらには、これから複雑化した税務申告もあり、今後少なくとも半年から1年にかけて制度に翻弄される
小規模事業者の御苦労が目に浮かびます。
ゆえに経済産業省は、消費税税務申告の1カ月延長などの要望を提出されていらっしゃいます。要は、これまで以上の業務量が発生することが最大の課題と示されています。元来、資金不足や人材不足にあえぐ
小規模事業者では、手のつけようがないと悲痛な声もお伺いいたしました。ゆえに、危機感を抱いていた全国の商工会や会議所が昨年度から具体的な調査も実施されてこられたことも伺っております。
そこで改めてお尋ねいたしますが、本市としては税率改定に伴って生じるさまざまな課題の対応に苦慮する
小規模事業者の実態をどのように把握されていらっしゃいますか。どのような支援策を展開中でしょうか。
経済観光局長にお尋ねします。
〔
平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎
経済観光局長 消費税率改定に伴う
小規模事業者への振興策についてお答えいたします。
小規模事業者におきましては消費税率引き上げに際し、軽減税率への対応や
ポイント還元事業など、キャッシュレス化への対応等が課題であると認識しているところでございます。
まず、軽減税率への対応には、複数税率対応のレジ導入が有効な取り組みでありますが、7月末時点での国の補助への申請件数は、全国平均で40%未満にとどまっていることから、各商工団体を通じての呼びかけや個別訪問、窓口での機器操作体験など、レジ導入の必要性につきまして、事業者へ理解を促しているところでございます。
その他にも軽減税率の導入による事務の複雑化やインボイス制度、税申告などが
小規模事業者には大きな負担を与えることが懸念されているところであり、きめ細やかな相談体制が求められております。これらのことから、今後とも引き続き商工団体や国、県等の関係機関と連携を図り、制度の周知を徹底することで事業者の不安を解消できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、キャッシュレス化の推進につきましては、これまでセミナーや体験会を実施し、制度の周知に努めるとともに、アンケートや実態調査、また産業版市長とドンドン語ろうなどにおいて、事業者の意見を伺ってきたところでございます。その中で、どのような決済手段または事業者を採用すべきかわからないという声が多数寄せられたところでございます。
そのため、九州経済産業局や商工会議所と連携を図りながら、個別の相談にも対応してきた結果、キャッシュレス・
ポイント還元事業に登録申請している市内事業者数は、7月末の約1,600件から8月末では約3,900件と2倍を超える増加となったところでございます。
キャッシュレス化の推進は、消費者の利便性向上のみならず、事業者の生産性向上にもつながることから、国の進める
ポイント還元事業への登録事業者数の増加など、今後とも関係機関と連携して推進してまいりたいと考えております。
〔28番
小佐井賀瑞宜議員 登壇〕
◆
小佐井賀瑞宜 議員 担当局では現在の課題を的確に捉えていらっしゃると理解いたしました。また、市長みずからが現場に赴き、情報の収集に当たっていらっしゃることは、私も商工団体を通じて耳に入っておりましたので、状況を重んじ、世情の動きに機敏に反応されていると感じ取ったところでございました。
しかしながら、
小規模事業者においては、いまだ混乱のおさまりのつかない状況でございますので事態は深刻です。この件は、国の制度変更に伴い発生した課題ではございますけれども、現場は時間的にもゆとりをなくされていらっしゃいますので、地域に密着する地方自治体が率先して、課題解消に取り組んでいただきたいと感じる次第であります。執行部の全部局において大変御苦労が多いことは存じますが、有益な対応が図られるよう何とぞお願い申し上げます。
さて、今回の問題に付随し、もう一つ大きな課題も生じております。それは
小規模事業者のみならず、熊本市内域の8つの商工会にも大変な危機が迫っていることは皆さん御承知でしょうか。商工会は、市町村合併前から行政とともに中小企業並びに
小規模事業者の経営改善普及や地域振興策を担ってきた地域の中核団体であります。そして、その中に席を持つ経営指導員が、地域の相談窓口となり、
小規模事業者の経営改善普及のそのホスト役として役割を担ってまいりました。
しかし、先ほど述べたとおり地域社会の状況が激化する中で、経営指導員の業務量は増大している一方で、もともと団体の予算上、人員体制が整っていないため、課題の対応に追われ会員のニーズが反映されにくい状況に至っております。つまり商工会のマンパワー不足による機能低下が懸念されております。
そればかりでなく、9年前の合併時から予算規模が縮小していますし、その偏在性は顕著に表面化していますので、地域
まちづくりのベースとなる地域振興事業が消滅しかねない状況に追い込まれる商工会も存在いたします。地域振興事業は、地域コミュニティの醸成に大きく影響を及ぼすことから、今後の地域力がそがれるのは間違いありません。まさに、現在の本市にあって決して誘発してはならない地域間格差と過疎化を進行させることになるのではと危惧いたしております。
この根底には、以前から懸念していたことではございますけれども、9年前の合併時、商工会の助成金について算定方式に違いが生じていたため、団体によってはこの数年間、交付金の大幅な減額が発生しておりました。そのツケが深刻化し、不安は現実味を帯びてきているということであります。この件は、既存の交付算定基準についても地域事情が含まれないことがそもそもの現況であるとして、会員からも問題視されております。
冒頭から申し述べたとおり、
消費税税率改定によって生じている課題は、経済全般のみならず、中心部以上に周辺域の商工会や
小規模事業者ほど深刻さが増している現実を直視する必要がございます。当然、そのような地域では第一次産業が主体でありますので、そこに在住する方々の暮らしにも波及し、不便さが増すことも十分考えられます。このような中期的な展望についても改めて研究を深めていただきたいと思います。
さて、国土の均衡ある発展を目指した高度経済成長期は、遠い昔のように感じておりますけれども、その時代から日本国中、中心街を問わず周辺域を含めまち全体の繁栄の先駆者的役割を担ってきたのは、まさしくものづくりの基軸にあった商工業の進展であるのは事実であります。
しかし、経済のグローバル化とともに規制緩和の流れの中で誕生した新たな
まちづくりの法律が、周辺域の商店街の消滅を促し、それとともに都市中心部のドーナツ現象を生み出し、
中心市街地の活性化の障壁となった歴史を認識している方は、行政関係者の中にどの程度おいでになるでしょうか。そして、今や事業承継の問題にまで波及し、地域の活力を損なおうとしております。それゆえ、地域事業者や商工団体は、この10年をかけてその転換を図ってまいりました。その結果、小規模企業振興基本法という特質的な法律が制定してきたわけです。この事実を重く受けとめていただきたいと感じる次第です。そして、本市においてもその理念を踏まえて条例化が実現したわけです。このことによって具体的な救いの手を伸ばすすべは得られたことを御理解いただきたいと存じます。
それでは、今までの見解を踏まえて2点お尋ねいたします。
1点目に条例の制定を受け、現実的で即効性のある支援策の具現化が急がれます。支援事業の考え方や方向性を条例に基づく基本計画にどのように定めるのか、その基本計画の策定状況をお示しいただきたいと思います。
2点目に、これまで中心部並びにこれに類似する地域の商店街に対しては、産業政策の中で商店街振興事業など、幾つかの支援メニューが創設してありましたが、市域内の8つの商工会の地域に適応するような支援制度になっていなかったのが事実でございます。今回の条例制定の背景を鑑みた場合、商工会の所在する地域において、商工会が実施する地域振興事業に対する支援制度の創設が有効的と考えられますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。例えば、地域振興事業助成制度の創設や商工会加入促進のための支援措置など、全国の先進例をもとに検討するに値すると考えますが、
経済観光局長の御所見をいただきたいと存じます。
〔
平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎
経済観光局長 条例に基づく計画の策定状況と商工会に関するお尋ねについてお答えいたします。
まず、条例に基づく基本計画は、各種振興策を計画的かつ効果的に実施するために策定するものでございます。策定に当たりましては、ことし2月に行われました中小企業・小規模事業実態調査を初め、政策条例検討会や中小企業活性化会議、また復興アドバイザー等の意見から判明した課題をもとに、5つの施策の方向性と、その方向性に沿った10の取り組みを設定することとしております。
今後は、産業版市長とドンドン語ろうなど、事業者や市民の皆様から寄せられる声を踏まえつつ、議会を初め中小企業活性化会議、その他関係機関と連携しながら、今年度中の策定に向けて準備を進めてまいります。
続きまして、地域振興事業に関する支援制度の創設についてでありますが、商業の振興を目的として組織された団体が行う地域振興事業につきましては、これまで商店街を対象にイベントや研修等の事業への助成を行ってまいりました。しかし、近年商店街が減少を続ける中、商工会が実施される地域のにぎわいやコミュニティの醸成に向けた取り組みにつきましても、既存の商店街振興事業の運用を見直すことでの支援について検討してまいりたいと考えております。
また、商工会加入促進のための支援につきましては、これまでも商工会が担っている経営支援や行政情報の発信など、加入するメリットについて商工会と連携を図りながら事業者への周知に努めているところでございます。加えて、新たに出店する事業者に対しましても、商工会への加入や地域貢献策への取り組みを促してきたところでございますが、今後もこのような取り組みを通じて加入促進に努めてまいりたいと考えております。
〔28番
小佐井賀瑞宜議員 登壇〕
◆
小佐井賀瑞宜 議員 支援のベースとなる基本計画は策定中とのことでございますので、スピード感を持った対応を望みたいと思います。なお、
小規模事業者の皆さんを中心に、市域内に所在する8つの商工会の声がしっかりと反映された計画が提示されますよう願っております。また、商工会から地域振興事業の具体的な御提案がある場合には、丁寧な御指導を賜りますよう改めてお願い申し上げます。
さて、今となっては時代の流れを押し戻すことは容易ではございませんし、失われて取り戻すことのできなかった地域力を悔やんでいても仕方ございませんが、今般制定されている小規模企業振興基本法は、ある意味、地域の特性を生かすことや事業への再チャレンジを促すために制定された特化した法律であります。ゆえに
小規模事業者の皆さんと商工会の声を受けとめていただき、その基盤づくりの糧を創出していただきますよう要望申し上げたいと存じます。
執行部におかれては、地域の違いを見越した法律をもとに、独自の制度の具現化を図ることはとても高度な行政能力が求められると感じますが、私の思いは冒頭述べたとおりでございます。重ねて申し上げますが、研究が深まり、早期に実現化しますよう念じております。
さて、次は地方行政のあり方についてお尋ねさせていただきます。
前項においては、観光と
地域経済と消費税に焦点を当てて、さまざまに波及する問題について掲げてまいりましたが、関連性の深い今後の地方財政の指針について、2点お尋ねさせていただきます。
昨年度末に地方税法と地方交付税法の改正が成立しました折、総務省では全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議の中で、自治財政局長でありました黒田武一郎氏から今後の地方財政にかかわる指針が示されております。
本市では、メッセージノートという、人生の最期をどのように迎えたいかを本人と家族で話し合い書面に残す取り組みを進めておられます。このような事前指定の取り組みは、本人、家族、救急医療に従事する人々のためにも必要なことだと思います。そこで、現在の
取り組み状況と今後の方針についてお尋ねします。
また、救急隊が到着したときにメッセージノートが傍らにあるとは限りません。救急隊が駆けつけたときにすぐ目につくように、緊急連絡先、かかりつけ医、持病の種類、メッセージノートの有無などの必要最小限の情報を記入するマグネットシート状の緊急連絡シートを作成し、独居の高齢者世帯などの冷蔵庫に張れるようにしてはいかがでしょうか。スムーズな救急搬送に少しでも役立つのではないでしょうか。
以上3点について、それぞれの担当局長にお尋ねします。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 私からは、1点目の地域支え合いセンターに関するお尋ねにお答え申し上げます。
平成28年11月に開設しました各区の地域支え合いセンターは、市民病院の看護師さんを中心に、主に仮設住宅等の入居者に対し、見守りや生活、健康相談、住まい再建等、総合的な支援を実施しているところでございます。
現在、仮設住宅等の入居世帯数はピーク時の5分の1以下となるなど、被災者の住まい再建は概ね順調に進んでいることから、今後、被災者支援は住まい再建後の支援へとシフトしていくこととなります。
そこで、今の地域支え合いセンターは、仮設住宅等の入居者への支援はもとよりでございますが、住まい再建後の孤立防止や健康維持にも積極的に取り組んでいるところでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
具体的には、仮設住宅等の退去後もフォローを継続しますとともに、健康状態などに応じまして、各区の保健師による専門的な支援や、民生委員やささえりあによる既存の地域包括ケアシステムの枠組みへのつなぎなどを行っております。
このように、地域支え合いセンターは、今後とも被災者お一人お一人に寄り添った支援を担ってまいりますが、次年度以降の体制等につきましては、先ほど申し上げた業務内容や業務量の変化等を見据えながら、関係部局等で協議を行っているところでございます。
〔萱野晃総務局長 登壇〕
◎萱野晃 総務局長 私からは、保育園、学校における看護師の配置についてお答えいたします。
市長事務部局に勤務する看護師は、保健所や各区役所の福祉課、保健子ども課等において専門知識を生かしながら業務に当たっていますが、看護師資格が必要な大部分の職場においては、臨時職員または嘱託職員で対応しており、昨今の看護師不足の中、その確保に苦慮している状況でございます。
そのため、病院局の看護師を人事異動や再任用職員として受け入れ必要な部署への配置を進めることは、業務の安定的な遂行のためにも有効であると考えております。
特に保育園への配置につきましては、児童が病気の場合など専門性を生かした支援が可能となりますとともに、保育士の負担軽減にもつながりますことから、本人の適性を踏まえながら、正職員の段階的な配置について、検討してまいりたいと考えております。
〔田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志 健康福祉局長 私からは、高齢者の救急医療体制と事前指定の啓発についてお答えいたします。
高齢者の救急搬送の増加への対応につきましては、これまでも熊本市救急災害医療協議会において検討し、重症度に応じた医療機関への搬送を行っているところでございます。また、高齢者特有の救急症例に関しましても、効率的な救急搬送の手段など、関係機関で協議を行っているところでございます。
この中でメッセージノートの必要性が議論され、患者本人の意思を尊重した人生の最終段階の医療に関する考え方の普及や、在宅医療、介護と救急医療の連携の推進を目的として、メッセージノート事業を平成28年2月から実施しているところでございます。
このメッセージノートにつきましては、これまでに各区福祉課や各ささえりあ等におきまして約3万4,000部を配付いたしております。
また、現在までに、メッセージノートの普及啓発のため128回の出前講座を行っており、延べ4,050名の方が受講されております。出前講座には地域のサロンや老人会等からの申し込みも多く、市民の皆様の関心度の高さを示しているものと考えているところでございます。
今後も、出前講座に限らず、各ささえりあや医療機関、高齢者施設とも連携し、さらなる啓発を進めてまいります。
次に、マグネットシート状の救急連絡シートの作成についてお答え申し上げます。
本市のメッセージノートには、あらかじめ人生の最終段階に受けたい医療と称したシートを添付しておりまして、記入後は自分の思いを家族などに伝える方法の一つとして、わかりやすい場所での保管を推奨しているところでございます。
このシートには延命治療の希望やかかりつけ医、緊急時の連絡先などの項目を設けておりまして、議員御提案の救急連絡シートとしての活用が可能であると考えておりますことから、今後もより使いやすいシートとなるよう工夫してまいりますとともに、活用に当たりましては、緊急時に家族や救急隊の目にとまるような保管についても周知を行ってまいります。
〔15番 山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 政策局長、総務局長、健康福祉局長、それぞれの御答弁ありがとうございました。
地域支え合いセンターが担ってきた業務は、大変よい取り組みだと思います。ぜひ、今後も目に見える形で継続していただきたいと思います。
保育園や学校への看護師の配置について、前向きな御答弁ありがとうございました。実現すれば、医療的ケアが必要な児童・生徒も、また御家族も安心感がふえることだと思います。段階的な配置からスタートし、将来的には、学校にも保育園にも、実情に応じた適切な看護師の配置がなされるよう取り組みをお願いいたします。
救急医療の課題は、熊本市だけで解決できる問題ではありません。しかし、高齢化が待ったなしに進む現在の環境では、少しでも前進した改善策をひねり出す必要があります。引き続き関係機関との協議をお願いいたします。
また、メッセージノートの取り組みは、市民の皆さんにとっても大変興味がある事柄のようです。今後も積極的な周知活動への取り組みをお願いいたします。
次に、観光政策について質問させていただきます。
今月は、国際スポーツのビッグイベントであるラグビーワールドカップが日本で開催され、ここ熊本でも2試合が行われます。私も熊本市役所ラグビー部に所属しておりましたので、一生に一度のことと大変楽しみにしております。また、11月末には女子ハンドボール世界選手権大会も県内各地で開催され、まさに来年の東京オリンピックの前哨戦のようなスポーツの国際大会を私たちは体験することができます。
熊本市役所でも、おもてなしやリスク対応等について各職場の準備が進んでいるところだと思います。今回の国際大会を契機に、さらに
外国人観光客が増加することが望まれます。
そこで、
外国人観光客へのおもてなしの考え方や、もしもの際のリスク対応についてお聞きします。
やさしい日本語を活用した取り組みが各地で進んでいます。熊本市でもやさしい日本語講座として、市役所の窓口職員や救急隊員を対象にした研修会が行われているようです。
外国人観光客へのおもてなしには、通訳や翻訳機、看板のサイン等の充実は当然必要ですが、私たちが日ごろ使っている日本語をちょっと工夫して、外国人の方にもわかるような使い方を広めるのも有効だと思います。先の研修は行政向けのものですが、商店街や一般の市民の方向けにもセミナーなどを通じてやさしい日本語の活動を広めてはいかがでしょうか。外国人旅行者の方も日本語でコミュニケーションがとれたらうれしいでしょうし、何よりも市民の方も肩の力を抜いておもてなしができるのではないでしょうか。そうすれば、例えば浴衣を着て夜市体験をするような体験型観光の発掘にもつながると思います。
リスク対応は観光政策には大変重要な課題です。リスクには、テロ対策など大きいものから、観光客の病気など身近なものまであります。
今回のような
国際スポーツ大会にサポーターとして来日される方は、試合日程の都合から比較的滞在期間が長いと聞きます。当然、滞在中に具合が悪くなったり、けがをされることもあります。その際に受診する医療機関での医療通訳者の体制はいかがでしょうか。病状を伝える、あるいは緊急手術が必要なときの同意書を書くなど、想定される場面への準備はできているのかをお聞きします。また、このことは、今後ふえることが予想される外国人就労者の方にも当てはまることだと思います。
そのほかにも、外国人旅行者の診療費の未払い問題や感染症の対策など、全国的にも課題になっています。
旅行保険に未加入の方が手術入院するとなれば、状況によっては相当高額の治療費を請求されることになります。場合によっては数百万円もの治療費となることもあるようです。旅行客が帰国してしまうと、医療機関としては手の打ちようもなく、多くが未払いのままとなっています。国でもこの問題を受け、近々実態調査を行うようです。この問題の解決方法は、
外国人観光客に旅行保険に加入してもらうしかありません。熊本に来られてからでも、旅行保険の必要性と加入を勧めるチラシなどを配付することや、保険加入の手続を案内することは可能だと思います。
感染対策では、日本人が帰国して発熱や下痢等の症状が出た場合の感染対策があります。帰国時、入国前の健康相談のほか、医療機関では渡航歴や滞在期間の聞き取りを行い、必要な場合は専門の感染症指定病院へ引き継ぐことなどがあらかじめ決められています。国際大会では、日本とは感染症の予防策が異なる国々から来られることもあります。必要以上に警戒することはありませんが、万が一のことを考えると、
外国人観光客を対象にした
感染対策マニュアル等を作成し、観光施設や医療機関に配付するなど、事前の準備を行うことは観光政策としても必要なことではないでしょうか。
多くの国から来られる
外国人観光客の皆さんに安心して楽しく過ごしていただくには、受け入れ側のリスク対応の準備はしっかりとする必要があります。
以上4点について、
経済観光局長にお尋ねします。
〔
平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎
経済観光局長 観光政策につきまして、特に
外国人観光客への対応に関する質問に順次お答えいたします。
まず、やさしい日本語の活用でございますが、
外国人観光客の満足度の向上を図るためコミュニケーションの円滑化は重要な課題であり、本市では県が作成した観光施設や飲食店向けのインバウンドガイドブックや指差し確認シートの周知により、外国人の母国語で行うコミュニケーションの円滑化に努めているところでございます。
このような中、議員御提案のやさしい日本語の活用につきましては、日本語を使いたい外国人とのコミュニケーション手法の一つとして有効と考えられることから、今後商店街や市民向けのインバウンドセミナーの中で紹介できるよう検討してまいりたいと考えております。
次に、医療通訳の体制についてでありますが、本市では、国際交流会館におきまして、旅行者を含む外国人に対し、医療を含めさまざまな情報提供や相談対応などを行っているところでございます。
また、県が運用する24時間多言語コールセンターにおきまして、本年度より登録した医療機関の利用が可能となっており、電話を通じて医療従事者と外国人患者のコミュニケーションが図られているところでございます。
次に、外国人旅行者の診療費未払い対策につきましては、観光庁が平成30年に行った訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査によりますと、訪日外国人の約3割は旅行保険に未加入であることから、本市におきましては、観光案内所で啓発チラシを配付するなど、加入を促してまいりたいと考えております。
最後に、感染症対策につきましては、
外国人観光客が例えば高熱を発症した場合の確認事項や受け入れ可能な医療機関などの情報を、文書により観光施設や宿泊施設に向け早期に通知する予定でございます。
また、医療機関に対しましても、厚生労働省が作成した外国人患者の受け入れのための医療機関向けマニュアルを本市の関係部署から配付したところであり、これらの取り組みを通じ、外国人患者の受け入れが円滑に行われるよう対処してまいります。
〔15番 山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員
経済観光局長、御答弁ありがとうございました。
やさしい日本語を観光政策に活用することで、市民レベルのおもてなしが広がるのではないかと思います。ほかの観光地と少し違った特色を出すためにも、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
医療通訳の問題は、医療政策の上でも現実的かつ重要な課題だと思います。当面は、外国人旅行者への診療がスムーズにできるよう、電話医療通訳サービスの活用についての周知と、診察から支払い、薬の受け渡しまでを多言語で記載した説明書等を観光施設や医療機関などに置くなど、対応を検討していただきたいと思います。
医療費未払い対策や感染対策についても、関係部署との緊密な連携を図り、
外国人観光客の皆さんがよい思い出を残していただけるよう、最大限の準備をお願いしたいと思います。
熊本地震から3年5カ月がたとうとしています。まだまだ復興の道は続きますが、災害を経験した熊本市だからこそ考えるべきことについてお聞きします。
まず、今後の熊本市の職員体制についてです。
熊本地震では、避難所の運営、ライフライン等の復旧維持、支援物資の展開など、多くの場面で熊本市の職員を初め多くの公務員の貢献が復旧を支えました。近年の公務員削減方針の中でぎりぎりの体制で頑張っていた姿は、市民の皆さんからも評価されたと感じています。一方、震災後に市役所の各部署を訪問すると、職員がきりきりと余裕なく働く姿が見られ、職場の雰囲気には以前のようなアットホームな様子は感じられませんでした。近年、熊本市の採用試験でも合格後の辞退者や、採用後数年での若手職員の退職がふえているようです。このことは職場環境がよくない方向に向かっている兆候ではないかと心配になります。
最近、人口減少で働き手不足が問題となる中で、いろいろなところでAIの活用が検討されています。公務職場も例外ではなく真剣に論議する必要があります。しかし、過度にAIに依存しようとすると、必要以上の人員削減を招く恐れがあり、いつの間にか、担わなければならない災害対策も十分できないようになってしまっては本末転倒です。AIの活用に当たっては、業務範囲や優先順位を間違えることがないよう、十分な議論が必要だと考えます。
今後の熊本市の職員体制のあり方とAIの活用方針について、市長のお考えをお聞きします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 人口減少社会の進展に伴い労働力不足が見込まれる中、人工知能いわゆるAIは、業務効率化や市民の利便性を向上させるとともに、働き方改革につながる有効なツールと認識しております。
そのようなことから、本市においても、昨年度AIによる道路補修箇所の把握についての実証実験を行ったところでございまして、さらに現在、窓口手続や簡易な生活相談などさまざまな分野での導入に向けた検討を進めているところです。
今後のAIを初めとしたさまざまな新技術の活用に当たっては、人員削減のツールとしてではなく、職員がこれまで以上に市民に寄り添った相談業務や、あるいは創造的な施策立案などに注力できる環境づくりを念頭に進めてまいりたいと考えております。
〔15番 山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 大西市長、御答弁ありがとうございました。
市長のお考えを聞いて大変安心いたしました。お答えのように、行政現場にもAI等の技術を取り入れるなどの方策を考えなければ、働き手不足となる中で持続的によい市民サービスを維持していくことは難しくなります。その上で、どのような分野にどこまで深く取り入れていくかについて、市民の目線で慎重に検討を行っていただきたいと思います。
そのほかに3点お聞きします。
1点目は、学校現場の防災管理体制についてです。
災害を受けた都市としては、当時の対応ノウハウをよりよいものに変えて将来につなげていく必要があります。例えば、学校が避難所として地域の受け入れ拠点となりましたし、これからもその役割は変わらないと思います。そうであれば、災害を想定した学校施設の管理能力を日常的に高める必要があります。教職員の方々に担わせるには、負担が増加します。そこで、学校主事等の施設維持を担当する職員による防災体制等の強化を行うべきと思います。
2点目は、災害対応ノウハウの維持についてです。
熊本市が経験して身につけた災害対応ノウハウは、西日本水害等での他都市への職員派遣という形で生かされています。先日の、佐賀県や福岡県を中心に起きた九州北部豪雨でも、本市消防局等からの派遣が行われました。災害大国である我が国にあって、災害を乗り越えた熊本市の使命として、これからも災害派遣を続けていく必要があると思います。また、万が一、本市に再び大災害が起こった時も即時対応することが求められます。
そこで、災害医療チーム、災害ごみ処理チーム、土木復旧チーム、給水活動チームなどを各職場において複数のチーム編成で常時名簿管理し、即応できる体制を組むべきではないかと思います。そのためには、日常的な情報収集や定期的な訓練等を実施できる組織、体制づくりが必要と考えます。
3点目は、保健師の体制についてです。
熊本地震では、被災者の方々への長期の寄り添いときめ細やかな対応が必要となりました。多くの職員がその仕事を担ってきましたが、特に保健師の役割はこれからも重要になってくると思います。少子高齢化の影響はもとより、核家族化でひとりで出産に不安を抱える妊婦さんのサポートなども必要となります。保健師の業務範囲はますます広がっていますが、絶対数が不足しているのではないでしょうか。今後の採用計画などをお聞かせください。
以上の3点について担当局長にお尋ねします。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 私からは、学校の防災体制の強化についてお答えいたします。
現在、学校避難所の運営は、それぞれの避難所担当職員と教育委員会の事務職員が担っており、学校避難所の設置が長期にわたる場合は、それぞれの組織で担当者を交代しながら運営しております。
これらの担当者は、避難所開設・運営マニュアルに従い避難所を安定的に運営できるものの、学校設備の取り扱いや備品等の管理については不案内な面もあります。
議員御提案の、学校全体を熟知した学校主事等の人材の活用による非常時に備えた避難所運営体制の充実は、有効であると考えております。
今後、大規模災害における長期に及ぶ避難所運営を想定し、避難所担当者と学校職員が連携した取り組みについて検討してまいります。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 私からは、2点目の災害対応ノウハウの維持についてお答え申し上げます。
現在、本市では、熊本地震の経験を生かした被災自治体に対する支援活動に力を入れておりまして、他地域で大規模災害が発生した場合には、速やかに情報収集活動を行うとともに、被災地や各省庁からの支援要請に応じ、政策局長を本部長とする熊本市応援本部を設置しまして、支援活動を展開することといたしております。
その際、本市では、避難所運営、家屋被害認定調査、罹災証明発行、医療・保健福祉活動などの支援活動ごとに従事する職員の名簿をあらかじめ作成しておりまして、災害発生時にはこの名簿に基づきまして、派遣チームを編成し、迅速な支援活動につなげているところでございます。
次に、日常的な情報収集や定期的な訓練等を実施できる組織、体制づくりについてお答え申し上げます。
本市では、今年度から防災減災の新たな取り組みとしまして、各局長、区長を防災・減災責任者に任命し、対策本部ごとにマニュアル整備や訓練、研修等の自主的な実施を促すなど、平常時から災害時に備える体制づくりを進めているところでございます。
今後も、本市の災害対応力の強化はもとよりでございますが、全国各地で多発する自然災害に対する迅速な被災地支援に備え、平常時からの組織体制の整備や、定期的な訓練等に積極的に取り組んでまいります。
〔萱野晃総務局長 登壇〕
◎萱野晃 総務局長 私からは、保健師の採用計画についてお答えいたします。
保健師には、これまでの保健指導に加え生活習慣病予防やメンタルヘルスケア対策、地域包括ケアシステムなど幅広い分野で重要な役割を果たすことが期待されており、本市におきましても一定数を確保していくことが必要であると考えております。
そのような中、今年度の職員配置では必要数が確保できない状況でありましたことから、来年度の採用数を大幅に増員したところであり、今後もさまざまな行政ニーズに適切に対応するため、採用計画に基づき保健師の確保に努めてまいりたいと考えております。
〔15番 山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 教育長、政策局長、総務局長、それぞれの御答弁ありがとうございました。
災害の記憶も時がたてばたつほど自然と薄れていきます。私たちは、後世にしっかりとそのときの記憶を残していくことが使命であると思います。特に、災害時の対応ノウハウは、そのときの反省を糧によりよいものに変化させ、将来に備える必要があります。たび重なる災害を経て、全国の防災体制も本市の危機管理体制も確実に強化されているようです。しかし、実際に現場に入る職員については、人事異動や退職等の要因でノウハウを持つ職員が減少したり分散したりしていきます。今後も、現場レベルの災害対応スキルを保つために、より積極的な方策に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、冠水対策に関して2点質問させていただきます。