本市でも全国の市町村と同じく、国の指針に基づきがん検診を実施しています。まず、熊本市の健康増進計画の骨格となる第2次
健康くまもと21基本計画を中心にお尋ねしていきたいと思っております。御存じのようにこの計画の理念として、全ての市民が生涯を通して、住みなれた地域でいきいきと暮らせるまちを市民と協働でつくるとしております。非常にすばらしい理念だと私は思います。私はこの理念を実現していくためには、市民の最大の健康課題であるがんと生活習慣病の対策が最も重要な課題ではないかと考えております。
我が国は死亡原因の1位はがんであり、熊本市におきましても全国の傾向と同じように死亡原因の1位はがんとなっております。熊本市では1年間に2,000名近い方ががんで命を失われておられます。WHO(世界保健機関)では、全てのがんのうち3分の1は生活習慣を変えることで予防ができる。そして、3分の1は早期発見で治療ができる。残りの3分の1は残念ながら現在の医療水準では克服はできないというふうにしております。がんで命を失わないためには、まずは生活習慣の見直しと早期発見のためのがん検診が重要であることを理解していただけるのではないかと思います。
国の指針によるがん検診では、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの実施が示されております。この5つのがん検診は検診を受けることで死亡率を減らすことができる科学的な根拠のある検診ともされておりますが、この検診によって死亡率を下げるためには、少なくとも検診の受診率が40%を超えることが必要というふうに言われております。平成25年度からスタートした
健康くまもと21は30年度までの第1次基本計画のがん検診の受診率の目標値は、がんの種類によってそれぞれ40%、または50%に設定してあります。しかし、1次計画では残念ながらその目標を達成することができませんでした。ことしから始まる2次計画では達成できなかった原因をしっかりと分析し、対策を実行することが求められております。この計画の最終目標は死亡率の減少、すなわち市民の命を救うことであります。
検診受診率向上は手段であることを決して忘れてはなりません。
まず、目標を達成するためには、現状の正確な把握が必要となりますが、熊本市のがん検診の現状について確認をしたいと思います。また、がんで命を失う方を減らすためには検診を受けるだけでは早期発見につながりません。検診を受けた後に精密検査が必要な方が医療機関で検査を受けて初めて早期発見につながってまいります。この精密検査の受診率とがん検診の受診率がこの検診の精度の維持には最も重要となってまいります。がん検診の種類ごとの検診受診率と精密検査の受診率、さらに精密検査を受けていない人たちへの受診の案内の方法についてお尋ねしたいと思っております。さらに効果的にがんを発見し、早期発見につなげていくためには、これまでにがん検診を受けたことのない市民への検診の案内が重要となります。がん検診の費用対効果を考えると、これまでに受けたことのない市民への対策こそが重要なポイントとなります。検診を受けたことのない方への対策があればお示しください。
がん検診の受診率、精密検査の受診率と受診の案内の方法、そして、がん検診、受けたことのない方への対応、以上3点につきまして、
健康福祉局長に御答弁をお願いいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 本市の
がん検診受診状況について、3点のお尋ねにお答えをいたします。
まず、がん検診の受診率につきましては、平成30年度に実施しました
市民アンケートによりますと、人間ドックや職場検診などの検診も含み、肺がん検診31%、胃がん検診38.9%、
大腸がん検診37.4%、乳がん検診48.9%、
子宮頸がん検診42.6%となっております。
次に、精密検査の受診率につきましては、平成28年度で肺がん検診94.9%、胃がん検診90.8%、
大腸がん検診86.4%、乳がん検診95.2%、となっております。なお、
子宮頸がん検診につきましては、妊婦検診で行う精密検査を含んでいないため61.1%となっております。
また、受診勧奨につきましては、
検診実施期間から郵送や電話による
個別受診勧奨を行っているところでございます。
次に、がん検診未受診者への対策についてお答えいたします。本市におきましては、受診者、未受診者にかかわらず、はがきや封書による
個別受診勧奨に力を入れているところでございます。特に
子宮頸がん罹患率の高い20代、30代、
乳がん罹患率の高い40代、50代など、ターゲット絞り、
個別受診勧奨を行っておりまして、平成28年度までの約5万3,000人から平成30年度は約4倍の約22万4,000人に拡充をしているところでございます。
今後も受診率向上に向けまして、
個別受診勧奨に力を入れてまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございます。
がん検診の受診率の根拠はアンケートによる調査によるデータのようですが、正確的な受診状況の把握のためには、やはり受診率だけでなく実際の実受診者の数字もぜひ出していただければと思っております。また、精密検査の受診率については、がんのリスクの高い方がまだ精密検査を受けていないという方が相当数おられるということになります。ぜひ検診機関と協力して対策を実行していただければと思います。また、個別の受診勧奨も積極的に対応されているようですが、1年、2年ですぐには結果は出ないと思いますので、引き続き継続した取り組みをお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
これまでお聞きしましたように、本市でもがん検診の受診率を上げるためにさまざまな対策が実施されております。その一つとして今年度から70歳以上のがん検診の料金が無料となりました。検診の無料化は大西市長のマニフェストにも入っており、受診者をふやすためには効果的な対策と考えております。今回、受診料金が無料になった70歳以上の高齢者に発がんのリスクが高いために、このような対策を実施されたということは非常に意味のあることだと評価いたします。このように年齢を決め、ターゲットを絞り込むことはがん対策の戦略として非常に重要な取り組みですが、70歳以上ではなくがん検診の初めての対象年齢となる40歳の節目の年齢の方にも無料にして検診のハードルを下げる検討が必要ではないでしょうか。これは過去に節目検診として実施した例もあり、このような戦略的なめり張りのある検診を検討できないでしょうか。
70歳以上の無料化だけでは十分な効果を上げることは難しいと思いますので、無料化以外の対策についてもお示しください。40歳節目年齢の無料化と無料化以外の対策の2点につきまして、
健康福祉局長に御答弁をお願いいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 ターゲットを絞ったがん対策の必要性についてお答えをいたします。
がん検診につきましては、受診率が70歳以上になりますと急速に低下をし、がんの罹患率は70歳代前半でピークを迎え、その後も高い率のまま推移しているという状況でございます。そこで今年度から70歳以上の方を対象にした自己負担金の無料化を開始したところであり、がんを早期発見し、早期治療につなげることで元気な高齢者の方の増加を目指してまいります。
また一方で、若い世代を対象とした取り組みといたしましては、20歳の方を対象にした
子宮頸がん検診の
無料クーポン事業、40歳の方を対象にした乳がん検診の
無料クーポン事業を実施するなど、年代や特性に応じた取り組みを行っているところでございます。
議員御提案の40歳の方の自己負担金の無料化につきましては、これらの取り組みについて検証を行いながら今後研究をしてまいりたいと思っております。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございます。
既に40歳の節目検診が行われている乳がん検診については一定の効果を上げているというふうに私は思っておりますので、ほかの乳がん検診以外についてもぜひ無料検診の導入の検討をお願いしたいというふうに思っております。
次の質問に移ります。
第2次計画の最終年度である2023年度までに目標の50%を達成するためには、さまざまな対策が必要と思われますが、私は根本的に巡回検診の方法そのものを見直す必要もあるのではないかと思っております。現在の巡回検診の方法では各地域を巡回する肺がん検診を受診した市民が主な対象となっており、肺がん検診を受診しない市民にとっては他のがん検診を受けにくい状況にあるのではないでしょうか。現在の検診の方法は30年ほど前から大きく変わっていないのではないでしょうか。肺がん検診の受診者が減少傾向を示す現在、今の検診の方法では受診率50%を達成することは困難ではないかと思います。
健康福祉局長に見解を求めます。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 がん検診体制の見直しについてお答えをいたします。
70歳以上の方の無料化以外の
受診率向上策につきましては、先ほど申し上げましたように対象や年代を絞ってはがきや封書による
個別受診勧奨を行っているところであり、今年度からは新たに70歳となる方への
個別受診勧奨を始めることとしております。このほか自宅でできる冬季、冬場でございますけれども、における大腸がんの郵送検診や、
胃内視鏡検査を実施しているほか、今年度からは
健康ポイント事業にも取り組むことといたしております。
議員からは巡回検診の方法では
がん検診受診率が50%を超えることは難しいのではないかという意見をいただいておりますけれども、肺がん、胃がん、大腸がんの巡回検診は自宅の近くで受診が可能というメリットがある一方で、決められた日程での受診となるデメリットもあると認識をしているところでございます。このため、これまで巡回車における集団検診で主に行っていた肺がん検診、胃がん検診、
大腸がん検診のうち2つ以上をセットで行う検診をセット検診と位置づけ、年間を通して実施をしているところでございます。
このほかLINEによるがん検診の啓発や
郵送検診チラシの回覧など制度の周知に力を入れ、利用促進に努めているところでございます。
今後も受診率の向上につながりますよう市民の皆様が受診しやすいがん検診の
受診環境づくりに取り組んでまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございました。
巡回検診での受診者は高齢者の割合も非常に高くて、受診者の利便性をまずは最優先になければならないというふうに考えております。1回の受診で全ての検診を近くで受診できる検診体制が最も受けやすい検診になるというふうに思っておりますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
次の質問は、
国民健康保険加入者のがん検診に移ってまいります。
国民健康保険加入者は熊本市の自営業、
農水産業従事者が中心となりますが、国保加入の方は自営の方が多く、個人事業主であるために自分自身の健康管理まで十分な対応ができていないのが現状ではないでしょうか。そのために共済加入の公務員や、
協会けんぽ加入の会社員に比べ、がん検診の受診率の低さが従来から課題となっております。
国民健康保険の加入者は自営業の方が多く、熊本市の地域活動、あるいは経済活動を支える大きな柱となっております。会社員は
労働安全衛生法で事業主の責任として健康診断の実施義務がありますが、個人事業主は個人の意思だけが頼りとなります。そのために
国民健康加入者には保険者として一段の配慮と対策が必要ではないかと思われます。その対策として、政令都市である仙台市はがん検診が受けやすいように
国民健康保険の加入者に対してがん検診の補助金を予算化しています。熊本市でもがんの早期発見のためにそのような対策を実施すべきではないでしょうか。
健康福祉局長に見解を求めます。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 国保加入者に対してのがん検診の補助金についてお答えをいたします。
本市では、40歳以上の
国民健康保険加入者に対しまして特定健診の受診券を送付する際にがん検診の案内を同封するなどの受診勧奨を行っております。また、働く世代のがん対策につきましては、40歳以上を対象とした冬期における大腸がんの郵送検診、50歳以上を対象とした
胃内視鏡検査など、利用しやすい環境の整備に努めているところでございます。
議員御提案の
国民健康保険加入者のがん検診への補助につきましては、国保加入者の負担のあり方などの課題もあり、まずは70歳以上の方の
がん検診無料化の効果などを踏まえまして、今後のがん検診のあり方について検討してまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございました。
先ほども述べましたように、
国民健康保険加入者の中でも特に働き盛りの世代に対しては受診しやすい環境づくりのために、ぜひ格段の配慮をお願いしたいと思います。
次に移ります。
社会保険の加入者の場合は、加入者本人は事業主検診としてがん検診を受診できる機会も多いと思いますが、配偶者または家族は対象外になるために別の対応が必要になってくると思います。制度上の問題もあり、切り分けが非常に難しいところもあると思いますが、熊本市民として考えると
国民健康保険加入者も
社会保険加入者も熊本市が健診データを把握し、対策を実施することが必要であると思います。
社会保険加入者の大半を占めると思われる協会けんぽとの検診に関する情報の共有など十分な連携ができているのでしょうか。協会けんぽとの連携について、
健康福祉局長からお示しください。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 協会けんぽとの検診に関する連携についてお答えをいたします。
協会けんぽとの検診に関する情報の共有につきましては、平成25年3月に協会けんぽと
健康づくり包括協定を締結し、特定健診、がん検診等の受診促進の取り組みなどについて連携、協力しているところでございます。
この取り組みの中で、協会けんぽが被扶養者の方に特定健診受診券を送付する際に同封するリーフレットに本市のがん検診の紹介や特定健診とがん検診の同時受診を促す記事を掲載していただくなど、受診率向上のための共同の取り組みを行っているところでございます。
また、協会けんぽ、熊本県、本市の3者におきまして年2回定期的に会議を開催し、お互いの状況について情報交換を行うなど交流を深めているところでございまして、今度もこうした活動によって連携強化を図ってまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございました。
協会けんぽ加入者も退職後は多くの方が熊本市の
国民健康保険に加入されることと思います。健康保険の種類に関係なく切れ目のない継続した健康管理のためにも、協会けんぽとの情報交換を密にし、連携を深めていただきたいと思っております。
次の質問に移ってまいります。
女性に特有のがんの中でも乳がん、子宮がんについては、30代の罹患が若い女性にとって大きな問題となっております。国のがん検診の指針では子宮がんについては20歳からの受診が可能ですが、乳がんついては40歳以上が検診の対象となっています。しかし、マスコミなどでも若い世代の乳がんの罹患が大きく報道をされております。そのために、その若い世代の女性は大きな不安を抱えているのではないかと想像しております。
政令指定都市の中でも仙台市は30歳以上を乳がん検診の対象者としております。熊本市としてなぜ30歳代が乳がん検診の対象にならないのか理由を明確にし、不安のある若い世代への対策として、例えば自己触診の方法を案内するなど啓発活動で不安を払拭するなど対応が必要ではないかと思います。この若い世代、特に乳がんについてどのような対応を考えておられますでしょうか。
健康福祉局長に答弁をお願いいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 40歳以下の乳がん検診についてお答えをいたします。
本市のがん検診につきましては、平成20年3月の国の通知による
がん予防重点健康教育及び
がん検診実施のための指針に基づき、がんの種別や検査方法等が推奨されている5つのがん検診を実施しているところでございます。このうち乳がん検診につきましては、この指針において対象年齢を40歳以上とされているため、本市といたしましては40歳以上の方を対象とした乳がん検診を実施しているところでございます。
一方、若い世代を含む全世代に向けて、熊本市
がん対策企業等連携協定企業と共同で開催しております乳がん講演会や
ピンクリボン月間に合わせた
街頭キャンペーン、
乳がん触診モデルなどを活用した乳がんの
セルフチェックの普及啓発のほか、幼児健診や母子手帳交付時のがん検診の受診勧奨や相談対応などを行っているところでございます。
今後特に若い世代の方に対しましては、健康に心がける習慣が根づくよう、さらなる啓発に取り組んでまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございます。
30歳代の乳がんにつきましては、マスコミが大きく報道することも大きな要因ともなっているのではないかと思いますが、乳がん検診ついては熊本市周辺の自治体でも30歳以上を検診対象としているところも多くあります。若い世代の女性の不安を取り除き、早期発見のための対策を確実に実行していただきたいと思います。
引き続き質問に移ってまいりますが、ここからは糖尿病、高血圧を中心とした生活習慣病についてお尋ねしたいと思います。
今後の熊本市の健康づくりを推進していくためには、がん対策とともに
生活習慣病対策が大きな課題となります。対策として、食生活の改善、運動習慣の改善などさまざまな対策がありますが、その中でも特定健診の受診率を上げることが最も効果的で重要な対策の一つだと思っております。国も特定健診の受診率を60%として全国の市町村に受診率向上の取り組みを求めております。熊本市でも2023年の目標を60%としております。しかしながら、全国的な傾向として人口の多い都市は特定健診の受診率が低い傾向にあり、熊本市の特定健診の受診率は27%にとどまっております。ここ数年は横ばいの状態が続いておりますが、政令都市の中でも仙台市は受診率が47%と非常に高い受診率となっております。同じ
政令指定都市でありながら大きな差が出ております。この仙台市と熊本市の受診率の違いは何が大きな原因だと考えておられますでしょうか。
健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 特定健診受診率向上の課題についてお答えをいたします。
本市の特定健診受診率につきましては、平成29年度が27.6%、
政令指定都市20市中第11位であり、1位である仙台市の受診率は47.4%でございます。
本市と仙台市を比較しますと、受診可能な医療機関数は同程度であり、電話やはがきによる受診勧奨や受診に対するインセンティブについても同様に行っているところでございます。仙台市では、以前から地域と連携して健診の啓発に力を入れていたことから、特に御高齢の方には健診を受ける習慣が根づいており、継続的に受診されている方が多いことも要因であると分析をされております。
本市におきましても、市民の皆様との協働による健康づくりをテーマとしたまちづくりに取り組んでおりまして、これまで校区イベントでの啓発活動など、さまざまな取り組みを地域と連携し行っているところでございます。
今後も健診、受診の習慣が根づいていくよう地域と連携しつつ、本市独自の
健康ポイント事業なども活用しながら一層の受診率向上に取り組んでまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございました。
健康づくりについては、仙台市には見習うべきことがたくさんあるのではないかと思っております。特に市民との協働による健康なまちづくりは、まさに熊本市が今取り組んでいることではないでしょうか。一気に仙台市と同じ水準に上げることは、これはなかなか難しいと思いますが、先進地の事例を参考にし、熊本市が対応できることから積極的な導入をよろしくお願いしたいと思います。
次に移ってまいります。
今年度から70歳以上のがん検診料金が無料となりました。特定健診の受診料金は一部の対象者を除き現在1,000円ですが、この自己負担金についてお伺いしたいと思います。
がん検診と同一で議論することは難しいと思ますが、がん、糖尿病、高血圧などの生活習慣病関連の医療費が熊本市の医療費の全体の34%を今占めております。健康寿命を延ばし、医療費を適正化するためには特定健診の受診率を上げることが最も肝要ではないかと考えております。これまでに受診率向上のためにさまざまな対策を実施されてきたと思いますが、対策の一環としてこの料金の見直しを検討してはいかがでしょうか。
政令指定都市の北九州市は自己負担金なし、福岡市は500円で受診ができるようになっております。自己負担金の見直しについて、
健康福祉局長のお考えをお伺いいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 特定健診自己負担金の見直しについてお答えをいたします。
特定健診の受診率向上に向けましては、過去の受診月や年代に合わせた電話やはがきによる受診勧奨や受診者に抽せんで賞品が当たるインセンティブ事業などの取り組みを進めているところでございます。このような取り組みの結果、平成30年度の受診率につきましては、対前年度から上昇する見込みでございます。
今年度からは、新たにAIを活用して過去の受診データから個人の傾向を抽出し、効果的に受診勧奨を行う取り組みや、特定健診受診に対してポイントを付与する
健康ポイント事業を行い、受診率のさらなる向上を図ることといたしております。
議員御提案の自己負担金の見直しにつきましては、1,000円の自己負担のある課税世帯と無料の非課税世帯とを比較して受診率には差はない状況もありますことから、当面は現在の制度を維持したいと考えております。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 御答弁ありがとうございます。
特定健診の自己負担金は無料の自治体も相当数あります。多くの自治体が無料によるメリットが大きいとの判断で対応しているのではないかというふうに考えております。ハードルをできるだけ下げて受診率を上げることは、発症の予防と重症化の予防にもつながり、医療費の適正化の道筋も見えてくるのではないかというふうに考えております。市民の健康増進と国保会計改善のためにも健診料金の見直しによる無料化をぜひ検討していただくことを希望いたします。
がん、生活習慣病に関する質問はこれで終わりますが、これまでの質問の中でも申し上げましたように、これから本格的に進んでいく少子高齢化を乗り切るためには、熊本市民にとって最も大きな健康課題であるがん対策、
生活習慣病対策を強力に推し進めることが最重要課題ではないかと考えております。市民の一人一人が安心して働けるような健康づくり対策、そして、高齢者が住みなれた地域で自立した生活をするために健康寿命を延ばす対策をダイナミックに実行しなければなりません。私はこの健康課題を解決するためには熊本市が総力を挙げて取り組まなければならないと考えております。そのためには現在の組織の見直しも必要ではないでしょうか。これからの健康づくりは全国一律の国の指針に基づく対策だけでなく、地域の実情に合った地域の声を反映した内容にすることが必要ではないでしょうか。熊本は予防医学の先進地でもあり、経験豊富な医療経験者が多数おられます。そのような方や市民病院の専門家が協力し、がんと生活習慣病の予防対策を専門に行う部署を新設することが必要な段階になっているのではないかと考えます。できるだけ早い時期に専門部署設置の検討をしていただくことを要望いたします。
次に、改正健康増進法施行に伴う受動喫煙防止対策についてお伺いいたします。
熊本市の施策について、熊本市本庁舎含め、市施設の受動喫煙防止のための準備が整えられ、受動喫煙の取り組みが進んでおります。本庁舎と足並みをそろえ議会と敷地内禁煙も7月からスタートいたします。熊本市が所有する施設の中で観光施設については敷地内禁煙の対象としない方針のようです。私はその中でも動植物園については家族連れの子供の来園も多く、子供たちへの影響などを考えると敷地内禁煙が望ましいと考えております。また、この改正法は当然、民間の業者も対象となります。民間業者への周知はどの程度進んでいるのでしょうか。
市の施設における受動喫煙防止の今後の取り組みと民間業者への周知について2点を、
健康福祉局長に御答弁をお願いいたします。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 受動喫煙防止対策について2点のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、改正健康増進法施行に伴います本市の受動喫煙防止の取り組みにつきましては、今回の法改正により学校や病院、本庁舎、区役所などの第1種施設が本年7月から原則敷地内禁煙の対象となり、その他の第2種施設につきましては、来年4月から原則施設内禁煙となります。これを踏まえまして本市の方針といたしまして、望まない受動喫煙防止の観点から原則全ての市有施設を敷地内禁煙とすることとしております。
議員お尋ねの動植物園につきましては、敷地の広さ、滞在時間の長さ、ポイ捨て等周辺への環境悪化等を考慮しまして、受動喫煙防止に配慮した場所に一定の期間喫煙所の設置を行うものでございます。今後も市民の皆様に本市の方針について理解を深めていただきつつ、受動喫煙防止の取り組みを進めてまいります。
次に、民間事業者等への周知の状況につきましては、本年4月に市政だよりの折り込み版で制度改正の周知を行ったほか、ホームページでも周知を行っているところでございます。
また、本年7月から原則敷地内禁煙となる学校、医療機関、児童福祉施設等の第1種施設については約3,000施設に通知文、リーフレット、ポスターなどを送付したところでございます。さらに、飲食店、事業所など来年4月から原則施設内禁煙とされる第2種施設につきましては、現在、食品衛生責任者養成講習会等での周知を行っており、今後も事業者団体の研修会など機会を捉えて周知、啓発を行ってまいります。
〔13番 日隈忍議員 登壇〕
◆日隈忍 議員 答弁ありがとうございます。
私は今後も市民の命を守るため、そして地域の声を市政に届けるために全力で活動を続けてまいる覚悟です。本日は御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○倉重徹 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午前11時34分 休憩
───────────
午後 2時00分 再開
○倉重徹 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
────────────────────────────
○倉重徹 議長 一般質問を続行いたします。齊藤博議員。
〔10番 齊藤博議員 登壇 拍手〕
◆齊藤博 議員 自由民主党熊本市議団の齊藤博でございます。まずは、本日登壇の機会をいただきましたことに対し、先輩議員、同僚議員の皆様方に心より感謝を申し上げます。まことにありがとうございます。令和元年、初めての定例会において一般質問の最後を務めさせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。
さきの4月7日に行われました統一地方選挙、熊本市議会議員選挙におきまして、東区より選出され、初めてこの議場に席をいただくこととなりました。議員としての責任に身の引き締まる思いでございますとともに、今後、熊本市政発展のために尽力してまいることをお約束申し上げます。私は、前職、熊本市内に本店を構えます地方銀行に籍を置いておりました。23年超にわたり熊本の地域金融、経済発展のために、そして何よりも、そこに住まう地域のお客様方のためにという思いで、全力で働いてきたつもりでございます。その間、企業理念にございました、お客様第一主義に徹すること、豊かな地域社会の実現に積極的に貢献すること、創造性に富み、自由闊達で人間尊重の文化を確立することを念頭に、ふるさと熊本のためにと思いを持って頑張ってきたつもりでございます。
今般、熊本市議会議員として、新たな一歩を踏み出したわけでありますが、今まで培ってきたふるさとへの思いは、銀行時代と何ら変わることはありませんし、むしろその思いは、地域の皆様方と改めて触れ合う中で、さらに強くなっております。市議会議員として初心を忘れることなく、今後精進してまいります。まさに今、本市においては、熊本地震の教訓も踏まえ、新たなまちづくりを推し進めております。このような時期に熊本市議会議員として席をいただいたわけでありますので、その責任の重さを自覚しつつ、今後の熊本市政の発展に積極的にかかわり、万里一空の思いを持って議員活動を続けることをお誓い申し上げます。
それでは、質問に移らせていただきます。
まず冒頭に、さきの5月28日に起きました、川崎市多摩区登戸における小学生児童ら20人殺傷事件について、一言申し上げます。小学生の女の子、そして国家公務員の男性、そのお二人が命を落としてしまうという残虐きわまりない事件が起こってしまいました。犠牲となられましたお二人に哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様の悲しみをお察し申し上げ、衷心より御冥福をお祈りいたします。そして、負傷された方々におかれましても、心よりお見舞い申し上げます。
この凶悪な事件は、容疑者死亡のまま警察の捜査が進められている状況であり、軽々に話をすることはできません。容疑者はひきこもり傾向にあったという報道がなされておりますが、安易にひきこもりと犯罪を結びつけるようなことは厳に慎むべきであると考えます。取り急ぎ、行政として取り組むべき課題もあると考え、冒頭に話をさせていただきました。
まずは、犯罪を起こした側の背景から見えてくるもの、それは社会的孤立への対応の必要性であります。事件とは直接関係なくしても、ひきこもりなどの社会的孤立への対応は急務であると考えます。社会的孤立を深めている方がどの程度おいでになるのかという現状把握、そして社会復帰に向けた支援として、有効な手だてはないのかということに行政は積極的にかかわっていくべきかと考えます。
一方で、被害者側の背景から見えてくるもの、それは子供たちの安全対策への目線であります。安全対策のつもりで行っていたであろうスクールバスでの登校が、結果的に犯罪者に狙われてしまったということに憤りを感じますが、行政としては、新たな
犯罪防止対策と同時に子供たちへの安全対策を改めて早急に講じる必要があると考えます。
そこでまず、大西市長にお伺いいたします。
子供たちへの安全対策については、先日、学校の安全管理の徹底についてという井本議員からの御質問にお答えをいただいておりますので、この件については私から質問はいたしません。私からは1点、熊本市において、ひきこもりやその傾向にある方がどのくらいおいでになるのか、そして、その方々への社会復帰支援策をどのように考え、そして行っているのか、お答えください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、ひきこもりの方の数でございますが、内閣府の調査におきましては、40歳から64歳までの全国のひきこもりの方の数は61万3,000人、これに15歳から39歳までを加えた、ひきこもりの方の総数は100万人を超えるというふうに見られておりまして、そこから本市のひきこもりの方の数を推計いたしますと6,600人以上となる可能性があります。
次に、社会復帰支援についてでありますが、ひきこもりの方はさまざまな要因の結果として社会的活動を長期的に回避し、社会生活の再開が著しく困難になっているため、福祉、医療、または教育等の関係機関が連携してさまざまなアプローチから支援を行う必要があると考えております。
本市のひきこもり支援センターりんくにつきましては、運営開始から5年が経過いたしますが、これまで約1,100人の方々の相談を受けるなど、社会復帰支援に取り組んでまいりました。
具体的には、相談に加えまして週2回、居場所提供プログラムを実施いたしまして、社会参加を促しておりますほか、医療機関や地域若者サポートステーションにつなぐなど、御本人の状況に応じた多様な支援を行っておりまして、その結果、昨年度は相談がありました292人のうち、自宅から出るようになった、あるいは、復学、就職をしたなど、何らかの改善が見られた方が48人となっております。今後も、一人一人の状況に応じて、さまざまな関係機関と連携いたしまして、ひきこもりの方の社会復帰支援に努めてまいりたいと考えております。
〔10番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 改めて、本市におけるひきこもり者の推計が6,600名とお聞きしますと早急な対応が迫られていることを痛感いたします。こころの健康センターやりんくなどの皆さんが、ひきこもり者への対応を行っておられるとのことであります。精神保健福祉士や心理士の皆さんなど、人材の確保は十分でしょうか。ぜひ、ひきこもりを含め、社会的孤立を深めていらっしゃる方々への社会復帰支援が充足するよう、人材確保を含め、万全の体制をしいていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
お尋ねしたいことは、熊本地震被災者の生活再建についてであります。
現在、熊本市では、復興を牽引する5つの重点プロジェクトを震災復興計画に掲げております。中でも、被災者の生活再建を最優先に、仮設住宅やみなし仮設住宅への入居者を対象とした看護師などによる定期的な見回りや相談、伴走型の住まい確保支援など、被災者お一人お一人に向き合い、実態に即した細やかな支援を行っております。特に、実情に応じた伴走型住まい確保支援事業は、被災により仮設住宅やみなし仮設住宅への入居を余儀なくされていらっしゃる方々への恒久的な住まいへの移行を可能なものといたしております。
このような取り組みの中にあっても、平成31年5月末現在、いまだ仮設住宅やみなし仮設住宅に入居されておられる方々は5,674名、2,650世帯でございます。ことし中には災害公営住宅も竣工する計画であり、避難生活を余儀なくされておられる方々が、お一人残らず恒久的な住まいへ移行し、地震前の生活を一日でも早く取り戻していただけるよう、努力を重ねて行く必要がございます。そして、住宅再建が整った後、被災者支援のあり方は、さらに次のステージに移行していくものと考えます。すなわち、住まい再建後の生活支援であります。恒久的な住宅へ移行された方々、特に、御高齢者の方々の中には、新たにお住まいの地域において、孤立してしまうケースがあるのではと危惧いたします。地域コミュニティの中にスムーズに溶け込めるような行政のアフターフォローが必要であることはもちろんですが、受け入れる地域において、被災者を包み込み、支える力を醸成していくこと、これが重要であると考えます。
そこでまず、政策局長にお尋ねいたします。
全ての被災者への生活再建に向けた取り組みの中で、住まい再建後に生じてくるであろう課題に対する認識と受け入れ地域の支える力の醸成手段を含めた取り組みにつて御答弁ください。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 被災者の生活再建に向けたお尋ねにお答え申し上げます。
本市におきましては、被災者の仮設住宅等からの住まい再建が進むにつれて、新たな地域で生活される方々がふえております。過去の大規模災害の事例では、住まいの再建後、なれない地域での孤立や健康状態の悪化などの課題が生じております。このことを踏まえまして、本市では、仮設住宅等に入居されておられました延べ1万1,988世帯について、地域交流の機会づくりなど、新たな地域における良好なコミュニティ形成の支援に力を入れているところでございます。また今後、さらに支援が必要な高齢者や障がいのある方々、約3,000世帯については、退去後もフォローを継続するとともに、地域での見守り体制を構築していかなければならないと考えております。
これには、被災者のニーズや状況を踏まえつつ、地域の実情に応じた取り組みを進めることが効果的であることから、各区において、復興支援自治推進経費等を活用しまして、自治会等の地域団体が行うコミュニティ形成や地域の見守り担い手の育成、地域交流事業支援等に取り組むこととしております。
また、各区の保健師による専門的な支援はもとより、民生委員やささえりあ等による見守り、相談など、地域包括ケアシステムにおける既存の福祉施策の充実を図るとともに、その福祉施策の枠組みを活用しまして、被災者の孤立防止、健康の維持に取り組むこととしております。
このように、地域と連携した取り組みを着実に進め、全ての被災者の方々が新たな地域において、健やかで生きがいを持って暮らし続けていただくことができるよう支援してまいります。
〔10番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 住まい再建後の生活支援が今後必要であろうと思われる方々は、高齢者や障がい者の方々を含め、3,000世帯ほどという回答でございました。これは大変多くの世帯数であります。地域の見守りや地域交流事業を通して、くれぐれも遺漏のない生活支援実現に全力で臨んでいただくよう改めてお願い申し上げます。あわせて、地域において、見守りなどを実施していただく方々に過度な負担がかからぬよう、地域の担い手育成にもしっかりと御対応いただきたいと思います。
次に、地域包括ケアシステムについてお伺いいたします。
被災者を包み込み、支えるための地域力向上の必要性は言うまでもありませんが、団塊の世代の方々が75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる2025年問題を見据え、ますますその地域力が問われる時代となります。
そのためには、全ての市民が住みなれた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの高度化が必要となります。特に、その担い手の中心となる医療従事者や介護従事者の人材不足感は、現状のみならず、今後ますます拡大する懸念がございます。実際に、平成31年4月の求人倍率を見てみますと、看護師などで2.06倍、介護サービス従事者では3.26倍となっている状況であります。一方で、一般事務職の求人倍率は0.33倍程度であり、業種ごと求人ミスマッチが起こっている状況でもございます。
このような現状も踏まえ、医療や介護、福祉専門職の計画的な人材確保は急務であり、熊本市がリーダーシップを発揮し、地域包括ケアシステムの担い手となる医療機関や介護事業所、福祉施設等との連携により、人材育成プログラムを作成し、実施していく必要があると考えます。また、地域包括ケアシステムのもう一つの主役である地域人材に関しても民生委員や児童委員などのなり手がなく、高齢化も進んでおります。
このような現状を鑑みますと、システム構築の理念ばかりが先行し、本来あるべき地域包括ケアシステムを持続的に運営していくことが困難となることが予想されます。地域人材の確保についても効果的な施策を迅速に実施していただく必要があると考えます。
そこで、
健康福祉局長にお尋ねします。
今後、被災者の皆様の新たな地域での生活を支えるため、さらには、2025年問題を見据え、永続的に継続して活動できる地域包括ケアシステムを構築するための医療、介護、福祉、そして地域の人材育成と確保について、今後どのように取り組まれていくおつもりなのか、御答弁ください。
〔
田端高志健康福祉局長 登壇〕
◎田端高志
健康福祉局長 地域包括ケアシステムを構成する医療や介護、福祉、地域における人材の育成と確保の取り組みについてお答えいたします。
まず、現在の医療、介護、福祉の人材の育成と確保についての取り組み状況ですが、医療分野におきましては、在宅医療を行う医療機関の増加に向けて、医師会等と連携し、在宅医養成研修や訪問看護研修を開催するなど、在宅医療に関する理解を深め、在宅医療に携わる医療職の育成と確保を行ってまいりました。
次に、介護福祉分野におきましては、介護職の確保に向けて、介護の日のイベントによる介護職の魅力の発信や介護職員処遇改善加算の適切な反映などに取り組んできたところでございます。
近年の状況といたしましては、訪問診療の実施件数は、平成26年度5,056件から平成29年度6,764件へ増加する一方、医療機関の割合は25.2%から24%と微減しております。また、熊本県では、2025年における介護職の不足数について、県内で2,055人との推計を示しており、人材確保に向けた取り組み強化が喫緊の課題となっております。
次に、地域の人材の育成と確保につきましては、介護予防サポーター養成講座を開催し、昨年度末で216人を養成しましたほか、各地域包括支援センターに配置いたしました生活支援コーディネーターによる地域の高齢者を支える担い手の発掘を行い、昨年度635人を人材リストとして登録し、活用につなげているところでございます。
また、地域福祉のかなめとなる民生委員、児童委員につきましては、慢性的な欠員が続く校区が複数あることや、平均年齢が平成22年12月の62.7歳から平成31年4月の66.4歳と高齢化していることが課題となっております。
今後の取り組みにつきましては、医療分野におきましては、医師会などとともに現在の取り組みについて検証いたしまして、在宅医療を行う医療機関の増加に向けて取り組んでまいります。
また、介護福祉分野におきましては、本年度新たに、複数の小規模事業者が協働して行う学生向けの職場説明会や人材育成研修を支援していくほか、昨年度設置いたしました関係団体との検討会におきまして、介護人材確保に向けた具体的方策について協議を進めてまいります。
さらに、地域の人材につきましては、介護予防サポーターが行う高齢者健康サロンの運営支援等に対しまして、換金できるポイントを付与することで、サポーターの活動意欲を高め、活性化を図りますほか、民生委員、児童委員の担い手確保に向け、活動をサポートする仕組みについても検討してまいります。
〔10番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 2025年における介護職の不足数は、熊本県内で2,000名を超えるとの推計紹介がございました。熊本市内では1,000名ほどの不足感となるのでしょうか。いずれにしても、これもまた大変大きな数字でございます。地域包括ケアシステムを支えていかれる看護職や介護職、そして地域の担い手となる民生委員や児童委員の育成に、関係団体の協力を仰ぎながらスピード感を持って、ぜひ対応いただきたいと思います。
続きまして、同じく、復旧・復興、地方創生に関し、熊本地震の教訓を生かした防災・減災のまちづくりについてお尋ねいたします。
まずは一昨日、6月18日に新潟県、山形県において最大震度6強の地震が発生いたしました。被災地域の皆様方に心よりお見舞い申し上げます。改めて、防災の必要性を感じたところでもございます。
さて、熊本地震では震度7クラスの揺れが2回起こり、発災時には最大で11万人もの方々が避難されたという大災害でありました。従来の地域防災計画やマニュアルだけでは対応することが困難であり、多くの不都合が起きたとも聞いております。熊本市においては、これらの経験を踏まえて、防災・減災につながるさまざまな取り組みを行ってまいりました。
例えば、熊本市地域防災計画を全面的に改定するとともに、BCPといわれる業務継続計画や初動対応マニュアルなど、各種部門計画やマニュアルなどの策定、あるいは改定、各区への防災担当職員や避難所担当職員の配置、校区防災連絡会、避難所運営委員会の設立促進、防災士の育成など、地域の防災力強化を進めてまいりました。一方で、災害の備えにはこれで万全ということはございません。常に防災・減災のための準備を強化していく姿勢が重要であります。
私は、さきの選挙でも再三、申し上げてまいりました。避難所の運営強化、非常用電源や水源の確保、指定避難所への空調完備、物資の備蓄やその搬送体制の見直し、そして何と言っても子供たちへの防災教育や地域防災訓練の実施の必要性であります。そのような防災・減災のための取り組みを通して、市民の皆さんが、自助・公助の意識を高めていくことができるとも考えます。
さきの4月20日、熊本市において、大規模地震を想定した震災対処実働訓練が行われました。参加地域は市内全校区の半数近くに上る、44校区だったと聞いております。しかしながら、逆を言えば、半数以上の校区の方々は、訓練に参加しなかったということになります。私が思いますに、参加したくても参加することができなかった校区が多いということではないでしょうか。
確かに、防災や減災は地域での取り組みが大変重要であります。熊本市においても地域への支援として、市職員を避難所担当職員に任命するなど、地域への関与に積極的であることは存じ上げております。しかし、その地域を支えてくださる担い手は、実態として各校区、各町内自治会の方々であります。高齢化が進んでおりまして、校区防災連絡会、避難所運営委員会、自主防災クラブなどなど、自治会活動とのかけ持ちでお務めいただいているのが各校区の現状ではないでしょうか。
私はそのような現状を鑑み、地域の防災や減災の担い手を早急に養成することが大切であると考えます。そのためには、市職員の協力もさることながら、民間企業の力をおかりできないかと、そんな提言をぜひさせていただきたいと思います。事前登録をしていただいた企業の従業員の皆様方に、自宅のある校区の防災や減災担当者になってもらう。ぜひ、実現をしていただきたいものであります。
政策局長にお尋ねいたします。
熊本市の防災や減災への取り組みは、熊本地震の経験を踏まえ、強化されてきたと思います。が、しかし、災害対策に万全はございません。今後、取り組むべき課題とその対策について、私からの提言も含め、後ほどお示しください。
本市においては、地域におけるソフト面の防災対策と同時に防災拠点や道路、上下水道、橋梁などのインフラの強靭化、災害時における情報環境や避難所環境整備などハード面も含めた総合的な防災・減災対策の充実を図ることが、喫緊の課題でございます。
国は、東日本大震災による未曾有の被害を契機とし、平成25年に国土強靭化基本法を制定いたしました。この国土強靭化基本法では、強さとしなやかさを備えた国土、経済社会システムの構築を目指すこととしており、その第4条には地方公共団体の責務として、国土強靭化に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を総合的かつ計画的に策定し及び実施する責務を有すると規定されております。
そこで、政策局長にお尋ねいたします。
本市においては、国土強靭化基本法の趣旨を踏まえ、どのような対応を考えておられるのか、具体的施策も含め、あわせてお示しください。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 熊本市の防災や減災の取り組みについて2点のお尋ねにお答え申し上げます。
本市では、平成28年熊本地震の教訓を踏まえまして、市民力、地域力、行政力を結集した防災・減災のまちづくりに積極的に取り組んでいるところでございます。議員が述べられました中で、現在の整備状況について申し上げますと、指定避難所となる市内全134の小中学校のうち、停電時に空調が可動可能な電源自立型空調機129校、貯水機能つき給水管が36校、多目的トイレが81校、マンホールトイレ28校など、それぞれ整備済みとなっておりまして、今後とも計画的に進めていくところでございます。
お尋ねの1点目、今後、取り組むべき課題とその対策についてでございます。
行政の災害対応力の強化はもとよりでございますが、地域防災力のさらなる向上が必要であると考えておりまして、現在、設置率約84%となっております校区防災連絡会について、全校区での設置に向けて、引き続き地域との協議を進めてまいります。加えて、地域による自主的な運営体制を構築するため、その設立後についても、それぞれの連絡会における災害発生時の役割分担や初動対応等をまとめたマニュアルづくりなどの取り組みも促進してまいりたいと考えております。
また、民間企業との連携につきましては、これまで災害協定に基づく、一時避難場所、井戸水や物資やその配送のための車両の提供などに取り組んでまいりましたが、ただいま議員が提案されました民間企業の従業員の方々が地域の防災・減災の担い手として積極的に協力していただくことは、地域防災力を強化する上で大変重要であると認識しております。そこで、私どもが調整役となって、校区防災連絡会と地域の民間企業との連携を推進してまいりますとともに、民間企業への啓発講座の開催や従業員の方々の地域活動への参加等に関する協定の締結などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、国土強靭化基本法の趣旨を踏まえた今後の取り組みについてでございますが、先ほど議員から御紹介いただきましたように、本市では熊本地震後、地域防災計画の全面改定や校区防災連絡会の設立、避難所の運営強化など、ソフト面の防災対策を優先して進めてきたところでございます。今後、安全安心なまちづくりをさらに推進していくためには、大規模災害時に被害を最小限に抑えるとともに、早期の復旧・復興が果たせるよう、経済、社会システムや都市基盤そのものを強靭かつ柔軟なものに変えていく必要があると考えております。
このようなことから本市では、現在作業を進めております総合計画の中間見直しと合わせ、国土強靭化基本法に基づく、熊本市国土強靭化地域計画の策定に着手したところでございまして、本年度末までには完了し、これに基づき災害に強い都市づくりを進めてまいりたいと考えております。
〔10番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 防災や減災への取り組みは、地域主体があるべき姿であります。しかしながら、地域において特定の方に過度な御負担が発生しないよう、十分に留意し、民間企業への協力を仰ぎながら、よりよい地域の体制づくりを推し進めていただきたいと思います。また、熊本市国土強靭化地域計画を本年度中に策定されるとの御答弁がございました。国土強靭化基本法の基本方針である人命の保護が最大限図られること、重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること、被害の最小化を図ること、迅速な復旧・復興を実現することを十分に考慮し、計画策定をお進めください。
引き続き、創造的復興へ向けた経済の活性化と地域の振興について経済観光局長にお尋ねします。
まずは、本市の経済状況が現状どのようになっているのか、正確に捉えた上で、今後の活性化策を考える必要があると思います。過去の震災を見ても、数年後には復興需要の反動減が発生しており、本市においても想定していることかと思います。熊本市の現在の経済状況及び今後への課題について、わかりやすく、でき得れば、数値などを盛り込みながらお示しください。
〔平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎 経済観光局長 本市の経済状況及び今後の課題につきましてお答えいたします。
6月6日に公表されました日銀熊本支店の金融経済概観によりますと、県内の景気の基調は、緩やかに拡大しているが、改善の動きには一服感が見られるとされており、公表資料中の4月時点の対前年度の主な指標を見てみますと、新設住宅着工戸数がマイナス6.9%、非住居用、民間の建築着工床面積がプラス49.1%、また、県内の有効求人倍率は1.65と全国平均と同率となっております。
しかし、熊本労働局が示す、本市域を含む熊本職業安定所管内の4月の有効求人倍率は1.75と全国平均を上回る状況が続いております。また、本年1月に行いました市内の中小、小規模事業者1,000社に対するアンケート調査の結果からは、熊本地震の影響があると回答された業者がいまだ3割強でございました。さらに、現在直面している課題といたしましては、人手不足と売上の減少、人件費の負担増という回答が上位を占めたところでございます。
このようなことから、今後も本市事業所の大部分を占める中小企業、小規模企業の現状把握に努め、さまざまな方向から支援を行っていくこととしております。
〔10番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 住宅着工件数は、前年比マイナス6.9%でありますが、全体の景気の減速感は今のところ大きくはないといったようなところでございますでしょうか。しかしながら、熊本地震の影響がいまだありとする事業者が3割を超えているとの結果は、今後、気になるところでございます。熊本市内の景況感にしっかりと目をお配りいただき、景気動向の推移を今後も注視していただくようにお願い申し上げます。
私は、そのまちの元気は、人が集うことから生まれるものだと思います。人が集えば、商業の集積につながり、そして産業集積にもつながってまいります。働く人がふえれば、働く場がふえ、働く場がふえれば、さらに働く人がふえる。結果としてその地域にさらなる元気が芽生える、そんな好循環型まちづくりを私は、ぜひ目指すべきであると考えております。起業、創業支援の充実、企業誘致の促進、働き手不足の解消、中小企業及び小規模企業における事業承継や後継者問題への対応などが、熊本地震の後、好循環型まちづくり対策として極めて有効であると考えます。
改めて、順次お尋ねいたします。
まずは、起業、創業支援についてであります。
起業、創業支援が充実したスタートアップ都市として真っ先に思いつきますのは、やはり福岡市でございます。国家戦略特区、グローバル創業・雇用創出特区を活用し、日本のスタートアップ創出を牽引いたしておりまして、実績として、開業率は
政令指定都市でトップをひた走っております。グローバル創業都市として勢いづく福岡市は、日本一創業しやすいまちを目指して、創業支援事業を行っており、平成29年4月には、福岡市内中心地に、官民共働型スタートアップ支援施設FukuokaGrowthNextを開設いたしております。
将来のユニコーン企業を生み出すべく、スタートアップ企業や中小企業の第二創業へ支援を行い、雇用創出や地域経済の発展に貢献するとともに、企業が新たな価値を生み出すこと、グローバルマーケットへチャレンジすることを支援しております。この施設では、ベンチャーキャピタル及び投資家との連携、メンタリングや交流会によるコミュニティ形成、インターネットインフラの無償提供、ヒューマンリソースの育成及びビジネスマッチングなど、スタートアップへのさまざまなサポートを行っておるところであります。さらに、施設内には、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェバーなどを設置しており、誰もが気軽に利用できる場所となっております。このような、起業家への視点に立ったバックアップ施策が世界に通用する新しい価値を次々と生み出す原動力となっているのではないでしょうか。
そこで、経済観光局長にお尋ねします。