熊本市議会 2019-03-08
平成31年第 1回定例会−03月08日-付録
│ │【議会】
│
│ │・
公共施設マネジメント調査特別委員会報告書(
案) │
└────────┴──────────────────────────┘
3 調査経過
第1回 平成27年6月19日
〈
調査案件〉
〇熊本市の
公共施設の現状について
〈
説明概要〉
◇国は、平成25年11月に、
インフラ長寿命化基本計画を策定し、老朽化が進む
公共施設のあり方について基本的な考え方を示すとともに、各省庁や
地方公共団体についても所有する資産を洗い出し、今後の方向性を検討するように求めている。
本市でも、今後、過去に建設された
公共施設等が大量に更新時期を迎えることや
人口減少等で
公共施設の利用需要が変化していくことなどが見込まれることから、本市の
公共施設等の課題を抽出し、その課題に対応するため、平成28年度に
公共施設等総合管理計画を策定することを目指していく。
〈
調査項目の設定〉
・本
特別委員会では、
調査項目として、まず、「1.
公共施設のあり方」として、本市が所有する
公共施設の現状把握を行うとともに、今後の方向性について調査する。次に、「2.
公共施設の
適正管理及び
有効活用」として、今後作成される
施設白書及び
公共施設等総合管理計画を調査する。最後に、「3.
公共施設の個別課題」については、
市民病院の
建て替えや花畑町別館の耐震化への対応など、必要に応じて調査する。
第2回 平成27年9月16日
〈
調査案件〉
〇
施設白書の
作成方針について
〇花畑町別館に関する
基本方針(案)について
〈
説明概要〉
◇
施設白書については、本市の
公共施設全体の状況を把握し、更新、統廃合、
長寿命化などを、長期的な視点を持って計画的に行うことにより、
財政負担を軽減、平準化するとともに、
公共施設の最適な配置を実現するため、その検討資料として作成するものである。
具体的には、各施設の老朽化の状況や利用率、
運営コストなどの現状を把握し、
類似施設間の比較を行うことで、各施設が抱える課題を明らかにするものである。
◇花畑町別館の耐震化については、平成13年に実施した
耐震診断において耐震性が劣ると診断されたことから、平成22年10月に策定された
市有建築物耐震対策基本方針にて平成27年度までに耐震化を実施する施設と位置づけられた。
これに基づき、課題の整理、検討の結果、耐震補強を行わず建物を解体すること、また、解体後は、本庁機能の集約をはじめ、執務室の最適配置や民間ビルの賃借の解消、さらには
中心市街地の活性化に向けた土地の高度利用という観点から、新たな
施設整備を行う方針をまとめた。
建て替えに当たっては、
公民連携手法の導入などにより
財政支出の平準化を図ること、また、花畑町別館の
文化的背景を踏まえ、記録保存を検討すること。さらに、本市が進めている
連携中枢都市としての機能や、地方創生のための取り組みに資する機能を充実することについて検討することとする。
〈主な
意見要望事項〉
・他都市同様に
公共施設等総合管理計画期間における
建て替えなどの経費が、総額どの程度かかるのかを
計画策定前に示すべきである。また、
公共施設を維持していくための財源分析もしっかり検討する必要がある。
・
施設白書での二
軸評価分析は、現状の
ニーズ分析であるが、現状分析だけでなく、将来ニーズが増える可能性があるという観点からの検討も必要である。
・今後、施設を評価するに当たり、コミュニティの形成維持には、どの分野に重点を置くのがいいのかという視点で検討するべきである。
・北九州市戸畑区の旧区役所については、
耐震診断の結果、一度リニューアルを断念されたが、市民からの声を受け利活用された経緯があるので、花畑町別館についても
利活用方法をもう一度詳しく検証してもらいたい。
・民間ビルや古京町別館に分散している機能の集約については、
産業文化会館があった段階で議論されるべきであった。
第3回 平成27年12月7日
〈
調査案件〉
〇熊本市の
公共施設マネジメントに向けた
基本的考え方について
〈
説明概要〉
◇
公共施設等総合管理計画について、
計画期間は平成28年度から40年間とし、対象範囲は市が保有する建物と土地とする。
財政シミュレーション結果については、インフラを除いて40年間の更新費用の推計額は、1兆240億円となり、各年度平均256億円である。これは、過去5年間に更新に費やしてきた費用実績の約2.6倍に相当する。これに対して20%延床面積を削減すれば、総額が6,364億円まで縮減し、
長寿命化を図り建物の更新周期を70年間にすると財政の
持続可能性が大きく向上すると考えている。
これを踏まえて、基本的な考えとして、資産総量の適正化、施設の
長寿命化の推進、及び
施設運営に要する総コストの削減を3つの柱とする考えである。
計画策定にあたっては、
財政部門との連携を図りつつ、また市民への説明も行いながら進めていきたい。
〈主な
意見要望事項〉
・
公共施設等総合管理計画に当たっては、今後の
人口減少及びそれによる税収減も考慮して策定するべきである。
・市債残高を増やさないことを前提にした場合は、どのくらい延床面積を削減する必要があるのかを示してもらいたい。
・過去5年間の実績として示された99.4億円という水準は、理論上の額であって、
更新費用推計で示された額と比較するに当たり、本当に適正な額かどうか分からない。
・
市民病院の
建て替えについては、市民や周辺市町の住民の利用についてそれぞれの割合などを踏まえ、市が単独で整備することだけでなく、組合立の選択肢も検討すべきである。
第4回 平成28年6月23日
〈
調査案件〉
〇
被災公共施設の早期解体について
〇熊本
地震に伴う
被災状況と
移転再建の方針について
〈
説明概要〉
◇被災した
公共施設のうち、花畑町別館、熊本駅
周辺整備事務所、
事業内職業訓練校、古京町別館、及び
中央公民館については、補修等による復旧が困難であることや、倒壊等による二次災害防止の危険性があるため早期に解体を行う。
◇熊本
地震に伴う
市民病院の
被災状況と
移転再建の方針では、新耐震基準の設定前に建設した南館について、震災後の耐震性能がさらに下がっており、施設として継続使用することが極めて危険な状況にある。北館についても、南館と類似の状況であり、今後、
病院機能としては使用できない。外来患者の診療は、管理棟で継続する。
再建については、東町への移転を考えており、今回の震災の教訓を生かし、災害に強い病院、周産
期母子医療を中心とした安心安全な病院、安定的で持続可能な経営ができるコンパクトで効率性の高い病院の3つの基本理念の基に再建を目指す。
※説明後に現地視察
第5回 平成28年6月24日
〈今後の
調査事項についてのとりまとめ〉
被災した
市民病院を取り巻く状況を喫緊の課題として、「
熊本市民病院基本計画」の策定を目途に、
市民病院再建にかかる調査を当面行っていくこととする。
〈
調査案件〉
〇
熊本市民病院の現状と課題
〇
熊本医療圏を取り巻く
医療需要
〇
熊本市民病院の再建について
〈
説明概要〉
◇
熊本市民病院の現状と課題について、経営の現状は、患者数と収益の推移は近年漸減傾向にあり、
経常収支比率は平成26年度以降100%を切る状況となっている。また、人件費が
類似病院の平均と比べて高いということが課題である。
診療の現状は、総合周産
期母子医療において、多くの
ハイリスク妊産婦、超低
出生体重児の受入れを行っている。また、
救急医療では、3つの
医療センター(済生会熊本病院、
熊本医療センター、
熊本赤十字病院)に次いで実績がある。課題としては、
産科医不足や本院の救急医が1名であることが挙げられる。
◇
熊本医療圏を取り巻く
医療需要については、
熊本県内では
熊本医療圏に医師や看護師が集中しており、周産期医療では、本院は総合周産
期母子医療センターの位置づけがなされている。また、他の
政令指定都市との比較においても本市は
医療資源について大変恵まれている。
◇
熊本市民病院の再建については、本院がこれまで担ってきた責任の重さ、特に総合周産
期母子医療の分野における役割の大きさを再認識し、市民と将来を担う
子どもたちの生命、健康を守る病院を目指すこととした。再建に当たっては、3つの方針(
地震など災害に強い病院、周産
期母子医療を中心とした安心安全な病院、安定的で持続可能な経営ができる病院)を掲げて、早期実現を目指す。
〈主な
意見要望事項〉
・
現地建て替えと
移転建て替えについて経費面、工期面、そして
事業収益面のそれぞれにおいて比較資料を示してもらいたい。その上で、メリット・デメリットを説明してもらいたい。
・
財政状況は
地震での支出を考えたときに、
赤字転落等にならないのか。中長期的な展望について示してもらいたい。
・
現地建て替えと
移転建て替えについて利便性の比較を行ってもらいたい。
・震災後の今、周産期を除き310名の患者は他の病院で収容できているのであれば、あえて
市民病院をつくる必要があるのか。
・
市民病院の場所については、どこにつくったら市民の立場から利用価値が高いかということが重要である。
・過去の経緯や
自治体病院の果たすべき基本的な役割をしっかりと押さえ、
パンデミック等の新たな対策での自衛隊や防疫関連での国との連携などを考えながら検討してもらいたい。
・
熊本県内の
政令指定都市として、県民を含めて担わなければならない診療科目はなんなのか。また、その必要数はどれほどなのかという基準や目安を示してもらいたい。
・病院の
経営状況について、他都市の
市民病院の
経営状況の情報も提供してもらいたい。
第6回 平成28年7月22日
〈
調査案件〉
〇
熊本市民病院の再建について
〈
説明概要〉
◇平成22年度に、熊本市
市有建築物耐震対策基本方針において、
市民病院の南館の耐震性が劣るということから、27年度までに耐震化を行うという方針が決定された。これを受けて24年度に市議会において、
市民病院のあり方に関する
特別委員会が設置され、
現地建て替えが妥当である旨の報告書がまとめられたが、計画を順次進める中で
建設コストの大幅な増加の見通しが出てきたことから、平成27年1月に一旦着工凍結となった。その後、計画の再検討を進めてきたところ、平成28年4月の熊本
地震が
発生した。
地震発生直後から、市民や関係機関から
地域医療の拠点としての
市民病院の役割の重要性に関する声が多くあがったことから、早期復旧と
資金不足期間の短縮の面を考慮し、
移転再建を表明することとなった。
前回の委員会のなかで、
交通利便性や拠点性についても
現地建て替えの方が優位との議論があったが、駐車場の確保や移転後の
病院敷地内へのバスの乗り入れなどにより利便性の低下を軽減していきたいと考えている。
拠点性については、消防、警察、自衛隊と隣接し、円滑な連携が可能であることに加え、ヘリポートの新設などにより災害時の対応力を高められるよう検討を進めていく。
〈主な
意見要望事項〉
・懸念されるのは費用負担の問題で、熊本
地震対応で起債を増やすなかで、国庫補助があるにせよ財政的には厳しいと思う。見通しを示してもらいたい。
・よりよい
市民病院の再建と
病院職員が早く現場復帰できるような対応を希望する。
・移転した場合の起債が一括償還で借り換え可能であっても、その旨を計画に記載するべきである。
・赤字経営をしてまで本市のみで運営するのではなく、熊本市以外の方が診療を受けた場合は、広域的に他の自治体から拠出金を出してもらうか、あるいは県が担うべき責任により
県立病院として運営してもらうかなども考えるべきではないか。
・市民のための
公的病院としての機能を維持するため、安易に病床数を減らすことは避けてもらいたい。
・熊本市の財政への影響について、
病院建設による影響について示してもらいたい。
第7回 平成28年8月5日
〈
調査案件〉
〇
公共施設マネジメント調査特別委員会資料
〇現地建替の
概算建設費の
増額要因等について
〇
熊本市民病院の再建に向けた懇談会につい
〈
説明概要〉
◇前回示した概略的な
スケジュールについて、より詳細な
スケジュール及び建設期間中の収支見込について、年間40億円程度の赤字の内訳を説明。さらに、総合周産
期母子医療センターの収支状況について平成26年度
決算ベースで、費用が約10億4千万円に対し、収益は約6億6千万円となっている状況である。
◇
市民病院の
基本方針については、「1市民の生命と健康を守る
自治体病院としての役割を発揮する。」「2
地域医療を支える公立病院としての使命を果たす。」「3質の高い医療サービスを持続安定的に提供する。」とする。
また、必要な診療科目数は、これまでの科目から診療科の統合や新設科などの影響を踏まえ27科とする。適正な病床数については、370床程度になると考えられる。
〈主な
意見要望事項〉
・歯科医師会及び熊本大学の口腔外科から、歯科口腔外科を残してほしい旨の要望書が届いており、関係機関の意見を真摯に受けとめてもらいたい。
・歯科口腔外科の対象者には、重度の心身障がいの方もおられ、一般の歯科では対応できない場合もあることから、是非とも存続を要望する。
・
移転建て替えに伴う公共交通の便数減が与える病院経営への影響についても詳しく検討してほしい。
第8回 平成28年8月22日
〈
調査案件〉
〇
熊本市民病院再建(案)概要について
〈
説明概要〉
◇
市民病院の再建について、これまでの本
特別委員会での議論や有識者による懇談会の意見などを踏まえ、次のとおり再建案をまとめた。
新
市民病院の
基本方針は、方針1「市民の生命と健康を守る
自治体病院としての役割を発揮します。」、方針2「
地域医療を支える公立病院としての使命を果たします。」、そして方針3「質の高い医療サービスを持続安定的に提供します。」である。
診療科目数は27科目とし、病床数は、一般病床380、感染症病床12、合計392床となる。そして、
施設整備方針としては、方針1「市民が利用しやすい病院」、方針2「災害に強い病院」、方針3「効率的で環境に配慮した病院」とする。
事業費については、用地取得費を除いて約234億円を予定している。
なお、
スケジュールに関しては、標準的な建設工期では、新病院開院まで約3年を要するものと想定しているが、工期短縮に努め、早期開院を目指す。
〈主な
意見要望事項〉
・公共交通を利用されている方の利便性の低下にならないように、様々な手法を検討してもらいたい。
・自衛隊と隣接し弾薬庫もあるので、安全性については、自衛隊と早めに協議してもらいたい。
・工事については、できるだけ地元業者が行えるようにしてもらいたい。
・周産期医療などの赤字を
市民病院がすべて負担することは、病院経営に大きな負担となるのではないか。一般会計の負担についても今後検討してもらいたい。
〈委員会のとりまとめ・要望事項〉
今後策定する具体的な整備計画については、現候補地での
移転建て替えを前提に進めることとする。
今後の
市民病院の再建を進めるにあたり、次の事項について委員会での議論の内容を十分に尊重し、
計画策定に向け最善をつくされることを強く要望する
・建設費の本市
財政負担の軽減について
・中長期的な経営の健全化について
・歯科口腔外科存続等の診療科目の見直しについて
・利用者の
交通利便性の向上等について
第9回 平成28年9月7日
〈
調査案件〉
〇
熊本市民病院再建(案)について
〇
被災公共施設の解体について
〇
公共施設等総合管理計画の策定方針について
〈
説明概要〉
◇
熊本市民病院再建(案)については、3つの
基本方針と3つの整備方針を踏まえ、診療科目は現在の34科目から統合や新設を踏まえて27科目とし、病床数は一般病床と感染症病床を合わせて392床となる予定。なお、事業費は土地購入費を除いて約234億円、標準的な整備期間は約3年を想定している。
◇被災した
公共施設のうち、花畑町別館をはじめとする5施設は倒壊の恐れがあり、二次被害防止の観点から、早期に解体することを予定している。解体の財源には、災害復旧事業債や国庫補助を活用し、極力本市の負担額を少なくする。また、跡地については、平成27年12月に公表した「
公共施設マネジメントに向けた
基本的考え方」を踏まえ、財源確保のために売却することを基本に検討を進めていきたい。
◇
公共施設等総合管理計画については、公表している
基本的考え方を踏まえ、11月を目途に素案をとりまとめ、パブリックコメントを経て、年度内に成案化できるように進めていきたい。
〈主な
意見要望事項〉
・今後、高齢者が増加することが見込まれる中で、入院需要が増えることが考えられるため、病床数を減らすべきではないのではないか。
・
被災公共施設の解体後の跡地利活用は、売却だけでなく定期借地も考えるべきである。
・花畑町別館について、危険除去という点からは解体以外にも対策があるのではないか。
・震災後の多額の復旧費用を要す状況から、利用可能な部分を有効的に使うために、建物の利活用について、改めて検討する必要があるのではないか。
第10回 平成28年11月28日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共施設等総合管理計画(素案)について
〈
説明概要〉
◇本市は現在約1,500施設(約4,300棟)を保有するが、今後の
更新費用推計では、これらをすべて更新すると、今後毎年度、現状の2.6倍の費用がかかる見通しである。
そのため、3つの
基本方針に「資産総量の適正化」「施設の
長寿命化の推進」「
施設運営に要する総コストの削減」を掲げ、このうち、資産総量の適正化に向けて、今後40年間で公共建築物の延床面積を20%削減することを目標とする。また、施設の
長寿命化の推進にあたり、目標耐用年数を70年とする。
分野別方針では、例えば市営住宅においては、平成30年度中に市営住宅の
長寿命化計画を改定すること、また建物更新の際は、高層化・集約化等を進め、余剰土地を創出することによって、その売却ないしは
有効活用策について考えていくことなどを記している。
計画策定後は、PDCAサイクルで進行管理を実施し、庁内での情報共有や職員の意識改革を進めていく。
〈主な
意見要望事項〉
・
更新費用推計には熊本
地震の影響が入っていない。その影響を考えたときに延床面積の削減が20%です済むのか。
・これだけの計画をどのような体制で進めていくのか。資産マネジメント推進室が中心になって各部署に働きかけるだけならば、今までと変わらないのではないか。
・市営住宅は福祉的な役割も担っているので、今後市営住宅に対するニーズも十分に研究した上で、そのあり方や
長寿命化計画を検討してもらいたい。
・市営住宅について、将来的に人口が減少したとしても安易に削減するのではなく、ニーズをしっかりと把握しながら
適正管理に努めてもらいたい。
・5年ごとの計画見直しに当たっては、あまり固定的に考えず、フレキシブルに状況に応じた評価をしてもらいたい。
第11回 平成29年2月28日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共施設等総合管理計画(案)について
〇熊本市
公民連携手法活用指針の策定について
〈
説明概要〉
◇熊本市
公共施設等総合管理計画(案)については、素案公表後にパブリックコメントを実施し、その結果や予算編成等との整合を図った上で必要な修正を行った。
◇熊本市
公民連携手法活用指針については、国の取り組みを踏まえて、人口20万人以上の
地方公共団体に、
公民連携手法の優先検討指針を整備するように要請があったことから、平成16年に策定したPFI指針を改正するものである。
〈主な
意見要望事項〉
・今後さまざまな施設の廃止については、行政の都合でどんどん進めるのではなく、市民の合意を得ながら進めてもらいたい。
・パブリックコメントを出す市民は少ないので、施設の廃止にあたっては、地域と利用者の同意が得られるように説明するべきである。
・花畑町別館については、改めて建物の価値やまちづくりへの生かし方という視点から考えていく課題であるため、解体工事の延期や
建て替え方針の撤回を強く要望する。
第12回 平成29年6月7日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共施設等総合管理計画について
〇
公共施設マネジメントに向けた今後の取り組みについて
〈
説明概要〉
◇平成29年3月に熊本市
公共施設等総合管理計画を策定した。今後は、計画の
基本方針に沿って取り組みを進めていく。なお、具体的な取り組みとしては、今後、
公共施設再編等計画を策定し、資産総量の適正化並びに運営に要する総コストの削減に努めていく。また、
長寿命化指針を策定し、耐用年数70年を目指し、
長寿命化を推進していく。
〈主な
意見要望事項〉
・計画については、素案が固まる前にも市民の意見を聞いてもらいたい。
・公園については、地域バランスや防災上の役割にも配慮してもらいたい。
・計画は総論賛成、各論反対になりやすい。早い段階から市民に参加していただくとともに、再編計画等の策定にあたっては、市民、利用者の合意形成に十分配慮し進めてもらいたい。
・施設の統廃合などについては、市民にマイナスイメージを持たれることが多いので、将来を見据えて複合的な施設など夢のあるイメージを持ってもらえるように工夫してほしい。また、市民のアイデアも計画に反映してほしい。
・延床面積20%削減や
長寿命化してもなお、
財政シミュレーションでは乖離があるため、今後いずれかの時期に、40年間かけて削減していく影響等について、財政見通しで示してもらいたい。
第13回 平成29年9月19日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共施設再編等計画の策定に当たっての
基本的考え方
〇熊本市
公共建築物長寿命化指針について
(報告)
〇
市民病院再建事業の進捗状況について
〈
説明概要〉
◇
公共施設再編等計画の掲載内容については、平成31年度から平成35年度の5年間の
スケジュールを分野毎に掲載することとしている。また、再編等手法としては、機能統合や集約化に加え、余剰地の売却や利活用についても検討していく予定である。
◇
長寿命化に関しては、今後、予防保全対象施設や対象部位の選定を行い、保全手法などについても
長寿命化指針の中に盛り込む予定である。なお、平成31年度までに個別
長寿命化計画を策定し、
財政状況等を勘案しながら計画的な保全に取り組んでいく予定である。
〈主な
意見要望事項〉
・一つ一つの施設に利用者がいるので、利用する団体等からしっかり意見を聞いた上で、施設の方向性を検討してもらいたい。
・MICE施設などの新設により延床面積は当面増加することが見込まれるので、既存の
公共施設は20%どころではなく、30%近く削減が必要になるのではないか。
・今後、数字合わせのために施設の削減が進んでいくのではないか懸念する。
・
計画策定に当たっては地域間格差についても考慮してもらいたい。
・更新費用については、中期財政見通しのようにできるだけ毎年度精査した数字を示してもらいたい。
第14回 平成30年3月8日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共建築物長寿命化指針(案)について
〇花畑町
別館跡地の利活用に関する基本構想(素案)について
〈
説明概要〉
◇熊本市
公共建築物長寿命化指針(案)については、学校施設や市営住宅、そして公営企業などを除いた施設のうち、防災拠点としての位置づけや建築基準法で定期点検対象となっているかなど一定の要件を満たすものを予防保全の対象施設とすることとした。
今後は、平成31年度中に個別
長寿命化計画、平成32年度中に5年間の見込みを示す短期保全計画を策定する予定である。
◇花畑町
別館跡地の利活用に関する基本構想(素案)については、平成27年9月の
基本方針では、早期解体すること、本庁機能集約並びに高度利用の観点から新たな
施設整備を行うこと、そして財政上の負担軽減の観点から
公民連携手法による具体的な
建て替え手法について検討していくことの3つを掲げてきた。
その後、熊本
地震を経て、倒壊の危険性があることから速やかに解体工事を行ったところである。
今回は、新たな
施設整備に当たり、現状と課題を踏まえ、3つの視点(市民サービス及び業務効率の向上と本庁舎の老朽化・耐震化への対応、熊本
地震からの復興と
中心市街地の活性化、
財政負担の軽減と平準化)から検討を行い、中央区役所等とにぎわい機能をもった商業施設などの複合施設として、隣接地権者との一体的な新
施設整備を、
公民連携手法を用いて進めていく予定。
〈主な
意見要望事項〉
・跡地の利活用に向けては、周辺商店街や地域住民の意見を聞くべきである。
・中央区役所を移すことについては、そもそも区役所にどのような機能を持たせるのかということを議論するべきである。
・基本構想ではあるが、本庁舎の将来的な機能などについて行政の考えがあまり見えてこないので、十分な議論が必要である。
・区役所の移転については、バス停の問題をはじめ市民の
交通利便性について第一に考える必要がある。
・基本
計画策定に向けては行政主導だけで進めないように求めたい。
第15回 平成30年6月5日
〈
調査案件〉
〇平成29年度に実施した熊本市本庁舎整備計画作成業務委託の調査結果について
〈
説明概要〉
◇平成29年度に実施した熊本市本庁舎整備計画作成業務委託について、その調査結果を報告。庁舎耐震性の法的整理や本庁舎(行政棟)及び議会棟の耐震性能評価、そして耐震改修に関する課題を説明。今後、防災拠点施設である本庁舎の整備の方向性について議会と連携しながら議論を深め、早急に対応を図っていくこととする。
〈主な
意見要望事項〉
・市は本庁舎以外にも多くの建築物を所有している。優先順位を付けながら考えていく必要がある。
・どのような方向性が示されることになっても多額の費用が必要となる。事業の優先順位付けをするにあたり、執行予定の事業について可能な限り、一旦、凍結や白紙とするなどの対応が必要ではないか。
・他の
政令指定都市の状況などについて、資料を提出してもらいたい。
第16回 平成30年9月11日
〈
調査案件〉
〇本庁舎の耐震化について
〇本庁舎の
地震災害対応について
〇
市有建築物の耐震化について
〈
説明概要〉
◇平成29年度の調査結果の検証については、県内外の4名の学識者から意見を聴取したところ、調査結果については、一般的な設定や手法を選択しており、概ね妥当との意見をいただいた。
◇本庁舎の耐震化に関する他都市の事例、整備に係る事業費及び合併推進事業債を活用する場合も含めた財源、本庁舎の
地震災害対応、並びに
市有建築物の耐震に関するこれまでの経緯及び考え方について報告。
〈主な
意見要望事項〉
・調査結果の検証については、数値的な部分も含めてもう少し詳細な説明を求めたい。また、議事録も出してもらいたい。
・最も重要なことは、熊本
地震後の本庁舎の状況から、全面的な
建て替えをすることが賢明かどうかという議論が必要であると思う。
・本庁舎
建て替えという重要な問題について、当委員会で方向性を定めるのは困難であり、市議会の改選後、この問題に特化して話し合うべきである。
・この施設のライフサイクルコストだけでなく、複式簿記(公会計)の観点から市全体の資産が数値的にどのようになるのか示してもらいたい。
・財源確保の観点から、基金の設置や市有財産の
有効活用も検討すべきである。
第17回 平成30年10月25日
〈
調査案件〉
〇現庁舎の建替経緯について
〇他
都市事例紹介について
〇他都市の事例等からみる検討手順・検討項目について
〇
学識経験者からの見解聴取の議事録の提出(配布のみ)
〈
説明概要〉
◇現庁舎の
建て替えの経緯については、当時老朽化や狭隘化等の課題が顕在化したことから、昭和56年10月に建設された。候補地として、市街地の4箇所が候補とされ、交通の利便性、他の官公庁などのサービス施設との位置関係並びに用地取得の容易性などの観点から、現在地が選定された。
建て替えに当たっては、昭和47年3月に議会に
特別委員会が設置され、議論を経て執行部・議会で合意形成がなされている。
なお、市民への説明等としては、
特別委員会の場において、
建て替えの前に各種団体を代表する方々による広聴会並びに一般市民を招いての広聴会が開催されている。
◇他の
政令指定都市等の本庁舎整備における整備内容や財源等、並びに検討手順・検討項目について説明。
〈主な
意見要望事項〉
・調査結果検証の議事録について、市が発言したのか、受託事業者なのか、さらには
学識経験者なのかわかりにくいので、だれが発言したのか詳細なものを提出してもらいたい。
・執行部には今後の
スケジュールを早期に示されるとともに、議会改選後に
特別委員会を設置し、より深く議論が出来る環境を整備してもらいたい。
第18回平成30年12月18日
〈
調査案件〉
〇熊本市
公共施設等総合管理計画の進め方について
〇本庁舎に関するこれまでの検討経緯と今後の検討方針(案)について
(報告)
〇新
熊本市民病院の開院予定について
〈
説明概要〉
◇「熊本市
公共施設等総合管理計画の進め方」について、これまで、
公共施設再編等計画の本年度中の策定を目指してきたが、検討過程における様々な議論や意見を踏まえ、その考え方を見直すこととした。
公共施設等総合管理計画の目的は、施設の維持管理、更新に係る費用の抑制と平準化による
財政負担の軽減であるが、そのためには、本年度中に策定する学校施設や市営住宅の個別
長寿命化計画、さらに平成31年度に策定するその他の施設全般の個別
長寿命化計画に基づき今後見込まれる更新費用等に対し、各施設分野において
公共施設等総合管理計画に掲げる3つの
基本方針に沿って様々な取組を進めていく必要がある。
そこで、これらの取組を総合的に推進していくため、庁内に
公共施設マネジメント推進本部を設置し、財政運営との整合を図りつつ、施設の計画保全や再編等に係る全庁的な総合調整と進行管理を行う仕組みとして「熊本市
公共施設マネジメントシステム」を構築する。また、このシステムにおいて検討・調整が行われた各種取組を、
公共施設再編等計画に代えて策定する「
公共施設等総合管理計画・実施計画(仮称)」に毎年度反映(ローリング)していく。なお、検討の過程で、随時、地域住民や利用者等との意見交換などを実施する予定。
◇本庁舎に関するこれまでの検討経緯と今後の検討方針(案)、及び新
熊本市民病院の開院予定について説明。
◇議会棟の耐震化については、現状では耐震補強で対応可能であり、耐震性不足に対し耐震補強を行うことも選択肢の一つである。本庁舎の耐震補強が困難な状況から、今後、本庁舎整備と議会棟の耐震化を考えていくなかで一体的な検討も必要ではないかと考えている。
〈主な
意見要望事項〉
・減築についてもさまざまなケースをより詳細に調査することが必要ではないか。現状での市の
建て替えありきの説明は拙速すぎると思う。
・
学識経験者の見解が
建て替えの根拠になるのであれば、名前の公開を再考するべきである。
・議会棟については耐震補強が可能であるということから、現時点では本庁舎
建て替えの問題とは切り離してよいと思う。
・
建て替えの是非に関し、今後、議会が判断していくためには、各委員からの疑問や要望を充足するような資料の提供に努めてもらいたい。
・今後の
公共施設等総合管理計画の進め方について、執行部より方針転換が示されたが、これまで本
特別委員会で議論してきた経緯を踏まえ、議会への報告のあり方を含め、適切に計画の推進が引き継がれるよう求めたい。
第19回 平成31年2月25日
〈
調査案件〉
〇
学識経験者からの見解聴取の議事録について
〇
調査特別委員会のこれまでの振り返り
〇
公共施設長寿命化等基金の設置(案)
〇
公共施設マネジメント調査特別委員会報告書(案)
〈
説明概要〉
◇
学識経験者からの見解聴取の議事録について、前回委員より要望のあった発言ごとに発言者名の入った議事録基データを提出。
学識経験者4人に記載内容を再確認いただき、在熊の方からは3人の総意によるものとして連名にて、また、東京の高橋氏からそれぞれ会議録に署名をいただいた。
◇今議会に提案している
公共施設長寿命化等基金について説明。今後の
公共施設の整備を計画的に進めるため、新たな基金を設置し、毎年度の事業費に応じて活用することで、今後、施設の大規模改修時期の集中等の課題に対し、中長期的に財源を工面していく。
〈主な
意見要望事項〉
・在熊の
学識経験者が述べている減築について、どの部分まで削ると基礎杭の損傷に耐えうる高さとなるかは、数値化し検証できると思うので、次回の議論の場において示してもらいたい。
・
公共施設長寿命化等基金の設置について、今後、基金への積立てに活用可能な財源をどこに求めていくのか、現状では不明確である。
4 行政視察及び本省要望活動
平成27年度(平成27年11月11日~13日)
【市川市】
・6つの機能からなる複合施設PFI事業について
【千葉市】
・千葉市
公共施設等総合管理計画について
《本省要望活動》
・
公共施設最適化事業債等の恒久化について(総務省)
・インフラや公営住宅の
老朽化対策に対する支援措置の充実について(国土交通省)
・学校施設の
老朽化対策に対する支援措置の充実(文部科学省)
平成29年度(平成29年11月6日~8日)
【横浜市】
・公民連携・PFI事業並びに瀬谷区総合庁舎及び二ツ橋公園整備事業について
【千葉県鋸南町】
・都市交流施設・道の駅保田小学校(廃校利活用)について
【渋谷区】
・ケアコミュニティ・原宿の丘(廃校利活用)について
平成30年度(平成30年8月29日~31日)
【さいたま市】
・本庁舎耐震補強事業について
【横浜市】
・横浜市立みなとみらい本町小学校(期間限定の小学校整備)について
【世田谷区】
・本庁舎整備事業について
5 まとめ
高度成長期を中心に整備してきた
公共施設の多くが老朽化にともなう更新等のタイミングを迎え、今後多額の
財政負担が見込まれる中、本市議会は、平成27年度に
公共施設マネジメント調査特別委員会を設置し、この間、「
施設白書」をとりまとめ、この中で明らかとなった課題に対応するため、
公共施設の
適正管理及び
有効活用の観点から、平成29年3月、取り組みの指針となる「
公共施設等総合管理計画」が策定された。
この計画では、下記の3つの
基本方針を掲げ、
計画期間の40年間で施設の延床面積20%削減や、施設
長寿命化により耐用期間を70年に延ばすことが目標とされている。
・方針1 資産総量の適正化
・方針2 施設の
長寿命化の推進
・方針3 施設の運営に要する総コストの削減
また、これまで19回にわたる本
特別委員会での議論において、平成28年熊本
地震の
発生等により、個別重要課題として、
市民病院の
建て替えや花畑町別館、市役所本庁舎の耐震化等の調査を行ってきたところである。
今後、執行部において、個別施設の
長寿命化計画を策定し、大規模改修や更新などの具体的な経費を積み上げていくこととなるが、
公共施設マネジメントを推進する上で、財政運営との整合を図りつつ、上記に掲げる3つの
基本方針に沿った取り組みが求められる。
本
特別委員会における調査のとりまとめにあたり、執行部においては、少子高齢化が進展する中、
公共施設等の総合的かつ計画的な管理・活用を推進し、将来の
財政負担の軽減・平準化に向け、鋭意取り組まれることを強く要望するとともに、これまでの議論の内容を踏まえ、施策ごとの主な要望事項を次のとおり示すものである。
(1)熊本市
公共施設等総合管理計画の推進について
・計画目標の達成に向けては、延床削減ありきではなく、市民や利用者の意見を十分に聞きながら、納得性を高めていくこと。
・
公共施設の配置については、地域間の均衡が図られるよう配慮すること。
・個別
長寿命化計画策定後、所要経費を積み上げ、速やかに財政見通しを示すこと。
・「
公共施設等総合管理計画・実施計画(仮称)」策定においては、検討状況等を適宜議会へ報告し、適切に意見の反映に努めること。
(2)新
熊本市民病院について
・本
特別委員会での早期再建に向けた議論の内容を踏まえ、
市民病院が担う責任と役割の大きさを十分に認識し、再建基本計画に掲げる3つの
基本方針の取り組みに最善をつくすこと。
・中長期的な経営の健全化に努めること。
(3)市役所本庁舎・花畑町別館跡地について
・耐震性不足による本庁舎
建て替えの是非を判断するにあたり、
建て替えが必要となる根拠の部分を丁寧に説明するとともに、議会及び市民への積極的かつ詳細な情報提供に努めること。
・本庁舎整備等の問題は極めて重要な案件であることから、改選後の市議会において特化した
特別委員会を設置し、さらに議論を深めていくこと。
・花畑町
別館跡地の利活用については、本庁舎整備等の論議の方向性を踏まえ、区役所と本庁舎の機能・役割分担について十分な検討を重ねること。
人口減少社会に関する
調査特別委員会
報 告 書
はじめに
我が国においては、急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、日本全体、特に地方の人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことが、喫緊の課題となっている。
このため、平成26年にまち・ひと・しごと創生法が制定され、国においては、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会を形成すること、地域社会を担う個性豊かで多様な人材について確保を図ること及び地域における魅力ある多様な就業の機会を創出することの一体的な推進(以下「地方創生」という。)を図ることとした。
また、国は、平成26年12月27日に、人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」及び今後5か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」をそれぞれ閣議決定し、地方創生に総合的に取り組むこととした。
このような国の動向を受けて、本市でも、平成26年12月に「熊本市まち・ひと・しごと創生推進本部」を立ち上げ、国や県等と一体となり、中長期的視点に立って、
人口減少の克服と本市の持続可能な発展に向けて取り組むこととし、また、市議会において少子化に伴う
人口減少社会への対策及び地方創生に関する調査を行うことを目的として、平成27年5月13日に、
人口減少社会に関する
調査特別委員会を設置した。
こうした経過の中で、本市の人口は、平成26年8月に74万人を突破したが、平成28年の熊本
地震の影響もあり、これまで僅かながら増加傾向にあった人口も、減少に転じ平成28年4月に74万人を下回った。
また、平成28年3月に策定した熊本市人口ビジョンでは、合計特殊出生率※1は1.50で全国平均を上回っているが、人口置換水準※2の2.07を大きく下回っており、全国的に
人口減少が進んでいる中で、本市においても、今後、出生率が回復しなければ、近い将来、
人口減少に転ずると予測されている。
このような状況を踏まえて、本
特別委員会では、本市の人口の現状や将来予測など
人口減少問題に関する事項や
人口減少の克服と本市の持続可能な発展に向けた取組等について、この間11回にわたり、終始熱心に議論を行ってきたところである。
ここに、今後の少子化に伴う
人口減少社会への対策及び地方創生に関して、本
特別委員会における議論ならびに各委員の意見の概要を集約し、以下に記すものである。
※1 合計特殊出生率とは、15歳から49歳までの女性の5歳年齢階級別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むこととしたときの子供の数に相当するもの。
※2 人口置換水準とは、人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準のこと。
2 調査状況
第1回(平成27年6月25日)
(1)人口ビジョンおよび総合戦略について(市長政策総室)
(2)本市人口の現状および将来推計について(市長政策総室)
〈執行部からの報告概要〉
国は、平成26年9月にまち・ひと・しごと創生本部を設置し、同年11月にまち・ひと・しごと創生法を公布し、その中で、国が総合戦略の策定を義務化、都道府県・市区町村では地方版総合戦略を策定することを努力義務と規定した。さらに、同年12月に人口問題を切り口として、今後取り組むべき将来の方向性を提示するまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと、
人口減少克服と活力ある社会を実現するためのまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定した。
熊本市においても、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案して、人口動向や将来人口推計の分析、さらに中長期の将来展望を示す人口ビジョンと、この将来展望に向けた雇用創出や人の流れの創出、そして少子化対策、地域の連携といった目標からなる総合戦略を策定する必要があることから、その方向性や
スケジュール等について報告。
〈主な意見〉
(1)人口ビジョンおよび総合戦略について
・子育て世代や障がい者等、幅広い多様な意見が反映されるような市民参画のあり方が必要。
(2)意識調査結果概要について
・調査分析をするにあたり、若い人たちの意識等を調査して、計画に反映させてもらいたい。
第2回(平成27年9月29日)
(1)人口ビジョン(たたき台)について(市長政策総室)
(2)意識調査結果概要について(市長政策総室)
(3)総合戦略の構成について(市長政策総室)
〈執行部からの報告概要〉
本市の人口ビジョン及び総合戦略について、新総合計画とあわせて策定作業を進めている。
その策定にあたっては、地域の特性や課題を把握し、地域の実情に沿った戦略とするため、人口の現状分析や市民の意識調査を実施し、総合戦略の方向性と人口の将来展望を示す人口ビジョンのたたき台をとりまとめて報告。
また、市民の意識調査として、結婚・出産・子育てに関する意識調査、移住に関する意識調査、学生の進路希望調査の3つの意識調査を実施し、その結果の概要について報告。
加えて、本市の総合戦略の構成として、誰もが安心して子どもを産み育てられるまちを実現すること、国内外から人々を惹きつけるまちをつくり雇用を創出すること、そして、多様な地域が形成され安心して暮らせる地域社会を実現すること、この3つの基本目標に向けた施策について取りまとめることを報告。
〈主な意見〉
(1)人口ビジョン(たたき台)について
・他市町村との連携も含めて、九州という視点で考える必要がある。
・子育ての時期になると熊本市に帰りたいと思えるような魅力のあるまちである必要がある。
・どこでも働くことができるという自信と能力のある人材を育成するという観点が非常に大切。
・経済力と暮らしがバランスよく構成されていることが視点として大事。
・内発型の起業者の育成や地場産業の育成に今後重きを置く必要がある。
(2)意識調査結果概要について
・特になし
(3)総合戦略の構成について
・特になし
第3回(平成28年1月25日)
(1)総合戦略(素案)について(市長政策総室)
〇熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略(素案)の概要等についての説明
〈執行部からの報告概要〉
地方版総合戦略の策定にあたっては、人口の現状分析や将来展望を踏まえ、地域の特性を考慮した戦略とするようにという国の方向性が示されており、これらを踏まえて、地域の特性を生かしながら、基本的施策をとりまとめ本市の総合戦略の素案を作成した。
また、子育てや就職、移住に関する希望調査を踏まえたとき、それぞれの取組を進めていく中で、経済環境の整備を行うことが非常に重要であることから、本市の総合戦略の方向性としては、仕事に力点を置いた地方創生に取り組むところでとりまとめ、名称を、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略とすることを報告。
〈主な意見〉
(1)総合戦略(素案)について
・中小企業であれば商工会議所、農業であればJA等、関係団体との連携や意見交換での課題の抽出による分析等をやるべき。実効性があがるかどうかはそこにかかっている。
・女性が結婚や出産を躊躇する理由をよく分析して計画を立てることが有効な手段となる。
・年間400人の転入超過を維持するとされているが、転入の理由を把握することで有効な計画になっていく。
・市民へのパブリックコメント等を行う中で、人口分析の結果や要因に基づいた目指す姿というのをきちんと示すべき。
・リーディングプロジェクトとして、雇用、仕事の場が拡大しても、質の向上をどのように図っていくのか、具体策も含めて今後整理しなければならない。
第4回(平成28年3月17日)
(1)総合戦略(案)について(市長政策総室)
〈執行部からの報告概要〉
本市の総合戦略について、これまで審議した内容と、その後、外部の熊本市まち・ひと・しごと創生総合戦略等策定委員会を開催した際の意見等とあわせて、パブリックコメントを実施した。また、総合戦略を効果的に推進していくための数値目標や重要業績成果指標について設定し、これらの内容を反映した最終案について報告。
〈主な意見〉
(1)総合戦略(案)について
・熊本版CCRCが本市にとって長期的、戦略的に目指すべきものなのかということは議論が必要。
・各地域で異なる特性を持っており、住んでいる人やそこにある企業が、その地域でこの先どのように発展していくか具体的に見据えた上で進めていただきたい。
・働く世代の意見をもっと吸い上げる仕組みが必要。
第5回(平成28年9月23日)
(1)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略について(政策局 政策企画課)
〇熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略の見直しの考え方等についての説明
〈執行部からの報告概要〉
熊本
地震の影響を踏まえた熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略の見直しの考え方や方向性について報告。
熊本
地震後の人口動態の現状、
被災状況などを踏まえて、震災に伴う
人口減少の要因を短期的な要因と中期的な要因に分け分析し、それらを改訂の視点と施策の方向性に盛り込み、創造的復興に取り組むことで震災復興による地方創生を目指すという考えで見直しを図ることを報告。
〈主な意見〉
(1)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略について
・
人口減少という視点の中で、超高齢社会にも直面しており、今後、アクティブシニア対策を含めて調査を検討していただきたい。
・熊本
地震の影響は大きくそれぞれのニーズに合わせた支援というのはまだ行き届いていない状況なので、市民の生活再建を最優先に取り組んでいただきたい。
・総合戦略の実現性を持たせるため、戦略に基づく中期的な実施計画を作成すべき。
・観光戦略については、単に東アジアから欧米からというだけでなく、もっと膨らませて戦略を考えてもらいたい。
第6回(平成28年12月19日)
(1)人口動態の現状認識について(政策局 政策企画課)
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略改訂版について(政策局 政策企画課)
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略施策体系図について
(政策局 政策企画課)
〈執行部からの報告概要〉
本市の熊本
地震後の人口動態について、平成28年7月までの直近の状況を報告。
また、これまでの
特別委員会での意見や外部の熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略検証委員会での意見を踏まえ、改訂版素案を取りまとめ、その内容について報告。
具体的な改訂の内容としては、基本戦略で基本目標を3つ掲げており、それぞれの基本目標ごとに震災を踏まえて施策や数値目標を改めた。
基本目標1では、商業や農水産業、観光産業を初めとする地域産業の多くが大きな被害を受けており、その課題解決に向けた取組を加えた。
基本目標2では、生活再建が必要な子育て家庭が安心して子供を産み育てられるような環境を整え、さらに、この
地震によって被災した
市民病院の一日も早い再建を進めることなどの取組を加えた。
基本目標3では、熊本
地震により被災した施設をできるだけ早期に復旧することや災害に強い都市基盤を形成することなどの取組を加えた。
加えて、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略施策体系について、総合戦略の具体的な取組を、総合戦略の事業に沿って事業数や予算額など体系的に報告。
〈主な意見〉
(1)人口動態の現状認識について
・特になし
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略改訂版について
・植木や城南、また東の方にも熊本市の住宅街は広がっており、
中心市街地のにぎわい創出だけでなく、各地域でのにぎわい創出も考えていく必要がある。
・熊本
地震により失業された方たちが相当数いらっしゃるが、熊本
地震に伴う離職者を含む求職者ということで、UIJターンの同じ行に並んでいることに少し違和感がある。
・今後、建設業を中心とした復興需要により、一定期間、雇用増の状況が見込まれるが、一方で、恩恵を受けない業種にも気を配っていく必要がある。
・今後、防災がしっかりするということは、市民の安心感につながるので、振り返りをきちんとして、今後の防災に備えてもらいたい。
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略施策体系図について
・特になし
第7回(平成29年3月9日)
(1)人口動態の現状認識について(政策局 政策企画課)
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略改訂版について(政策局 政策企画課)
〈執行部からの報告概要〉
総務省が公表した住民基本台帳に基づく2016年の人口移動報告の内容について、転出超過数が上位10市町村中、熊本市が3位となり、2016年の転出超過数が1,540人になった状況等を報告。
こうした人口動態や熊本
地震の影響、更にこれまでの各委員からの意見を踏まえた、最終的な熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略改訂版の概要等について報告。
〈主な意見〉
(1)人口動態の現状認識について
・特になし
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略改訂版について
・欧米豪からの誘客数の増加を図るとなっているが、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアという箇所を、アジア、中国、東南アジア等も含めて、限定的に国を示すのではなく、もっと広く表現してもらいたい。
・将来を考えた場合、安心して子どもを産み育てられる環境をつくっていかなければならない。
・ブランド化等、自分たちで新たに創造して農業をやっている人たちは後継者ができているが、全体的にならしたときに、本当に後継者がいるのかを考えなければいけない。
第8回(平成29年9月6日)
(1)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略策定の経緯等について
(政策局 政策企画課)
(2)人口動態の現状認識について(政策局 政策企画課)
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略実施計画及び体系図について
(政策局 政策企画課)
(4)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
(政策局 経済観光局 農水局)
〈執行部からの報告概要〉
熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略策定の経緯等、人口動態の現状認識、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略実施計画及び体系図について報告。
また、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況として、基本目標1「国内外から人々を引き付けるまちを創り、安心して働くことができる雇用を生み出す。~移住・定住の促進と交流の活性化~」に掲げる4つの施策の目標値の進捗状況、主な取組の内容、今後の展開方針について報告。
〈主な意見〉
(1)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略策定の経緯等について
・特になし
(2)人口動態の現状認識について
・特になし
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略実施計画及び体系図について
・特になし
(4)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
・これからの熊本市の活性化には量と質の両面から仕事が欠かせないため、雇用・就業機会の確保や賃金を含めた労働環境の改善等にしっかり取り組んでいただきたい。
・子どもを産みやすく、育てやすくしているということを、もう少し市民にアピールするべき。
・日本の場合、ひとり親世帯の貧困率が海外と比べても突出しており、しっかり予算も含めて支援をしていただきたい。
第9回(平成29年12月8日)
(1)人口動態の現状認識について(政策局 政策企画課)
(2)熊本市版CCRC構想について(政策局 政策企画課)
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
(健康福祉局・病院局・教育委員会事務局・経済観光局)
〈執行部からの報告概要〉
人口動態の現状認識について、
地震の影響等もあり前年度と比べ約1,000人程度人口が減少していることや出生数を維持していく上でこれまで以上に女性の1人当たりの出生数増加が重要であること等を報告。
総合戦略のリーディングプロジェクトの医療・福祉とコミュニティの充実による熊本市版CCRCの構想策定に当たっての基礎資料とするために実施した調査委託について結果を報告。
また、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況として、基本目標2「安心して子どもを産み育てられるまちを実現する。~少子化の克服と次世代育成~」に掲げる3つの施策の目標値の進捗状況、主な取組の内容、今後の展開方針について報告。
〈主な意見〉
(1)人口動態の現状認識について
・特になし
(2)熊本市版CCRC構想について
・定住に向かないというような、弱みの部分というのは、はっきりと検証しておくべき。
(3)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
・結婚支援については、出会いの場をつくるだけではなくて、知り合って結婚に結びついたカップルがこれまで何組あったのか、事業効果も含めて検討していただきたい。
・結婚・出産の際の経済的な不安の解消に努めていただきたい。
・保育確保(待機児童0の維持)においては、丁寧な聞き取りのもと保護者の要望に沿えるような取り組みをしていただきたい。
第10回(平成30年2月27日)
(1)人口動態の現状認識について(政策局 政策企画課)
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
(
都市建設局・財政局・市民局・健康福祉局)
〈執行部からの報告概要〉
人口動態の現状認識では、人口の推移や高齢化の進展等について報告。
また、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況として、基本目標3「多様な地域が形成され、安心して暮らせる地域社会を実現する。~地域の特性に応じた社会環境の創出~」に掲げる2つの施策の目標値の進捗状況、主な取組の内容、今後の展開方針について報告。
〈主な意見〉
(1)人口動態の現状認識について
・特になし
(2)熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略基本目標別の取組状況について
・地域のリーダー的な方の育成に力を注いでいただきたい。
・市の職員に対して研修等の実施により、地域づくりの核という意識づけをしていただきたい。
・高齢化に対する新たな交通政策については、市民の皆さんの声も広く聴取していただきたい。
第11回(平成30年11月16日)
(1)熊本市の人口動態等の現状分析と今後の施策の方向性について
(政策局 政策企画課)
〈執行部からの報告概要〉
本市の人口動態等の現状分析では、本市独自の人口分析と国の地方創生に関する有識者会議等で提出された資料交えて現状を分析し報告。
また、今後の施策の方向性では、これまでの分析結果を踏まえて、次期総合戦略の方向性について、しごと・ひと・まちの3分野で整理し報告。
〈主な意見〉
(1)熊本市の人口動態等の現状分析と今後の施策の方向性について
・人口は増減も含めてそこまで減少しないという見込みだが、転出者が多かった時があったので、なぜ転出したのかということも含めてきちんと把握すべき。
・次年度の見直しにあたっては、統計と意識調査、さらには実施計画でやってきた総括、これらをきちんと行っていく必要がある。
・熊本県の高校と大学の初任給とか収入の割合というのが、隣の福岡県と比べても随分差がある。しかし、収入は少ないけれど、税金とか保険代とか、国保とか支払う部分は多いということで、子育てをしている若者は大変な状況にある。難しいかもしれないが、お金をかけなくてもできることはあるので、しっかり知恵を出していただきたい。
・医療費助成に限らずしっかり分析して、今後の施策に反映させていただきたい。
・産みやすく育てやすくするようなまちにするために、既存の事業をもう少し周知してもらいたい。
・集落内開発制度の規制を緩めたり、地域に幹線道路を引いたりというような具体的な施策を持っていかないと、周辺市町村は人口が増えているのに本市の末端では
人口減少が進んでいくような現状なので、そういった施策を打ち出してほしい。
・外国人の研修生とか働く人たちをどのように熊本市に来ていただいて、期間限定でも、その中の人と例えば結婚して日本に住むということは検討の余地もあるで、そういうことも視野に入れた施策を検討いただきたい。
・国は「まち・ひと・しごと」にしているけれども、そこをあえて最後の「しごと」を頭に持ってきたというならば、まさに熊本市のオリジナリティーを発揮していかなければいけない。熊本市に住んでほしいという情熱を持って施策を打ち出していかなければいけない。
3 今後の方向性
(1)まとめ
平成28年3月に、本市の人口の現状や将来予測など、
人口減少問題に関する認識を市民と共有するとともに、今後、目指すべき将来の方向性や市民の希望を実現するための基本的な施策の方向性を示し、人口の現状分析と将来展望を取りまとめた、熊本市人口ビジョンを策定した。
また、同時期に熊本市人口ビジョンに掲げた本市の将来展望を踏まえて、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略を策定した。
本市の総合戦略は、熊本市人口ビジョンにおいて示した目指すべき将来の方向として掲げる基本的な施策を総合戦略の基本目標とし、特に、人口の自然減対策としても社会減対策としても重要な「しごと」に力点を置き、名称も「熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略」と設定し、「しごと」を中心に様々な施策をまとめ、多面的に展開することとしている。
その後、平成29年3月に、平成28年熊本
地震に伴い、震災復興の観点から
人口減少社会の克服につながる取組みを総合戦略へ盛り込み、「震災復興による地方創生」を目指し、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略を改定した。
こうした取組を踏まえて、少子化に伴う
人口減少社会への対策及び地方創生に関する調査として、本市の総合戦略に掲げる基本目標ごとに調査を実施した。
(2)今後の方向性
本市の総合戦略は、熊本市人口ビジョンの2050年において約70万人の人口を維持するという将来展望の達成に向けて3つの基本目標を掲げ取り組んでいる。
基本目標1の「国内外から人々を引き付けるまちを創り、安心して働くことができる雇用を生み出す。~移住・定住の促進と交流の活発化~」では、雇用の拡大や交流人口の拡大等に取り組んでいるが、今後、人手不足の解消や若年層の雇用・就業機会の更なる確保などの課題への対応が必要となってくる。
また、基本目標2の「安心して子どもを産み育てられるまちを実現する。~少子化の克服と次世代育成~」では、結婚・妊娠・出産支援や子ども・子育て支援等に取り組んでいるが、今後、晩産化・晩婚化対策や子育てしやすい職場環境整備などの課題への対応が必要となってくる。
さらに、基本目標3の「多様な地域が形成され、安心して暮らせる地域社会を実現する。~地域の特性に応じた社会環境の創出~」では、多核連携都市の実現や安心して暮らせるまちづくり等に取り組んでいるが、今後、増加する空き地・空き家の対策や高齢化対策などの課題への対応が必要となってくる。
今後、総合戦略に掲げる3つの基本目標に沿った取組を推進する上で、これまでの本
特別委員会における議論ならびに各委員の意見を踏まえ、次の点に留意すべきである。
基本目標1
「国内外から人々を引き付けるまちを創り、安心して働くことができる雇用を生み出す。~移住・定住の促進と交流の活性化~」
・これからの熊本市の活性化には量と質の両面から仕事が欠かせないため、雇用・就業機会の確保や賃金を含めた労働環境の改善等にしっかり取り組んでいただきたい。
基本目標2
「安心して子どもを産み育てられるまちを実現する。~少子化の克服と次世代育成~」
・結婚支援については、出会いの場をつくるだけではなくて、知り合って結婚に結びついたカップルがこれまで何組あったのか、事業効果も含めて検討していただきたい。
・結婚・出産の際の経済的な不安の解消に努めていただきたい。
・保育確保(待機児童0の維持)においては、丁寧な聞き取りのもと保護者の要望に沿えるような取り組みをしていただきたい。
基本目標3
「多様な地域が形成され、安心して暮らせる地域社会を実現する。~地域の特性に応じた社会環境の創出~」
・地域のリーダー的な方の育成に力を注いでいただきたい。
・市の職員に対して研修等の実施により、地域づくりの核という意識づけをしていただきたい。
・高齢化に対する新たな交通政策については、市民の皆さんの声も広く聴取していただきたい。
人口減少の克服と地方創生の取組は、一朝一夕に効果が出るものではなく、特に
人口減少の克服は構造的な課題であり、解決には長期間を要する。仮に短期間で出生率が改善しても、出生数そのものは容易に増加せず、
人口減少に歯止めがかかるまでには相当の期間が要する。一方で、解決のための選択肢は少なく、対策が後手に回れば回るほど、その影響は将来にわたって大きくなるため、市においてはこうした危機感を持って効果的な施策を展開していただきたい。
また、熊本市・熊本都市圏の経済の好循環が実現しなければ、更なる未婚化・晩婚化による少子化を招き、
人口減少を加速させるリスクが高い。こうなると、人口の減少が地域経済の縮小を招き、地域経済の縮小が
人口減少を加速させるという悪循環の連鎖に陥る可能性が高く、特に、雇用環境の停滞や
中心市街地の衰退は、本市から都市圏への若者の流出を加速させることになり、更なる
人口減少に繋がりかねない。
一方で、本市においては、首都圏にはない新鮮な農産物、職・住の接近、充実した子育て環境などの住みやすさ・暮らしやすさがある。今後、こうしたまちの魅力に更に磨きをかけるとともに、まちの魅力を若い世代や移住希望者にアピールすることで、首都圏への若い世代の流出の抑制及びUIJターンの更なる促進につなげていくことが肝要である。
このように考えると、まち・ひと・しごとの創生に向けた取組は、個々の問題事象への対症療法ではなく、「しごと」、「ひと」、「まち」の間における自律的かつ持続的な好循環の確立に繋がることが必要である。
そのためには、各局での効果的な施策の展開と、多岐にわたる施策を全庁的な連携により「総合戦略」として一体的に推進することにより、
人口減少の克服と本市の持続可能な発展に向け、今後一層取り組まれることを期待する。
4 行政視察
平成27年11月9日(月)~11日(水)
神戸市 〇移住・定住の取り組みについて
〇神戸医療産業都市について
京都市 〇まち・ひと・しごと・こころ京都創生について
精華町 〇新産業創出交流センターについて
平成30年1月22日(月)~24日(水)
千歳市 〇ちとせ版ネウボラについて
札幌市 〇さっぽろ未来創生プランについて
〇札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアムについて
平成30年11月20日(火)~21日(水)
横浜市 〇外国人留学生への就職支援について
〇横浜市版子育て世代包括支援について...