午前 9時58分 開会
○
竹原孝昭 委員長 ただいまから
北口和皇議員の
不当要求行為等に関する
調査特別委員会を開きます。
なお、
田尻清輝委員におかれましては、欠席する旨の届けがあっておりますので御了承願います。
本日は、3月2日の本会議において当
委員会に付託された「
北口和皇議員の
資格決定要求書」について審査を行うためお集まりいただきました。
なお、本件については、
北口議員から
弁明書が提出されておりますので、その写しをお手元に配付いたしております。
また、自己の資格について、弁明したい旨の申し出があっております。
それでは、本日の審査の方法についてお諮りいたします。
審査の方法としては、まず自己の資格についての
北口議員の弁明を聴取した後、
兼業禁止に関する審査を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
竹原孝昭 委員長 御異議なしと認め、そのようにとり行います。
これより、本日の審査に入ります。
まず、自己の資格について、
北口議員の弁明を許可いたします。
〔
北口和皇議員 入室〕
○
竹原孝昭 委員長 では、
北口和皇議員、弁明をどうぞ。
◆
北口和皇 議員 第1、弁明の趣旨。
私、
熊本市議会議員北口和皇は、
地方自治法第92条の2が規定する
兼業禁止規定には該当いたしません。
第2、弁明の理由。
1、初めに。
私が
代表理事を務めていた
熊本市漁協が、
地方自治法第92条の2の規定する「主として同一の行為をする法人」には当たらず、私が
兼業禁止に該当しない理由については、既に
議長宛てに平成30年3月1日付で提出いたしました
弁明書及び同月2日に本会議において私が弁明したとおりでございます。
まず、
熊本市漁協が
熊本市から直接
委託を受けていた
業務委託については、
熊本市漁協の
事業収入額全体との割合がゼロから30.88%、
賃料収入を加えて計算するとゼロから12.20%にすぎず、過去の
裁判例と照らし合わせても、主要な部分を占めるとは言い得ない低い比率であること、
業務委託料も年間で100万円にも満たない上、相当な
人件費等の経費もかかること、平成28年度以降は
委託を受けていませんが、
熊本市漁協の運営に特に支障が生じていないことなどからすれば、係る
熊本市からの
業務委託が
熊本市漁協の業務の
主要部分を占めていたとは言えず、「主として同一の行為をする法人」には該当しません。
また、内
水面漁連からの再
委託については、
裁判例や
行政実例では、下請や再
委託は
地方自治法第92条の2の「請負」には原則当たらず、
一括業務委託ではなく、
熊本市漁協への再
委託が
熊本市からの
業務委託の条件となっていたわけでもなく、当事業について私から強い
働きかけがあったわけでもないことからすれば例外にも当たらず、内
水面漁連からの再
委託分は
請負比率の計算に加えるべきではありません。
仮に、内
水面漁連からの再
委託分を加えたとしても、
賃料収入も加えて計算すれば、ゼロから26.33%にすぎず、やはり業務の
主要部分を占めていたとは言えず、「主として同一の行為をする法人」には該当しません。
今述べたような、既に弁明してきた理由から、私が
兼業禁止の規定に該当しないことは明らかですが、
前回弁明では
弁明準備が間に合わなかった点や弁明後の事情なども含めて理由を補足します。
2、熊本市漁協の業務について。
まず、最初に
熊本市漁協の業務に関して補足をいたします。
そもそも
熊本市漁協は、漁民及び
水産加工業者の
経済的社会的地位の向上と、
水産業の
生産力の増強とを図るための
協同組織です。その事業の種類は
水産業協同組合法第11条1項に列挙されており、
販売事業7号や
購買事業5号、
信用事業3号、4号などの多岐にわたりますが、1号に定められているのは
水産資源の管理及び
水産動植物の増殖、2号に定められているのは水産に関する経営及び技術の向上に関する指導です。
熊本市漁協の場合、
漁業権を有する
江津湖の
水質悪化により
商業漁業が厳しい状況にあるため
購買事業などは行っていませんが、法が定める事業の筆頭に上がっている
水産資源の管理・
増殖事業や
指導事業を中心に事業を行っています。
過去の
特別委員会等で、一部の市議は
熊本市漁協に実体がないかのように発言していますが、実際には毎年複数回にわたって、地域の小学生や中学生と一緒にウナギやアユ、モエビ、フナ、ハエなどの
稚魚放流を行ってきていますし、
外来魚駆除を兼ねた
ブラックバス釣り大会の
運営等も行ってきており、
熊本市漁協に実体があることは、このように対外的にも明らかな事業を継続してきていることからも明白です。
なお、先ほど述べたように、
江津湖の
水質悪化が原因で、現在は
商業漁業は厳しい状況にあるものの、
水質悪化以前には
商業漁業も行われていましたし、現在も魚を捕獲して自家用として食し、あるいは
飼料用として販売している
漁業者は存在しています。ただし、管理・
増殖事業は支出を伴うものの、
事業そのものから収入が上がる事業ではありません。一方で、
商業漁業が厳しい状況では、
組合員から
組合費を徴収することも難しいことから、
熊本市漁協の有する資産の
運用益で、管理・
増殖事業を維持しようと考え、
所有不動産を賃貸し、そこから上がる収益で管理・
増殖事業を維持してきたのです。
そのように、
熊本市漁協が手出しで行ってきた
稚魚放流や
外来魚駆除について、その一部に関して国や
地方公共団体等からの補助や
業務委託が認められるようになったものであり、今回の問題とされている
熊本市からの
本件業務委託はその一部にすぎません。
このような実態を踏まえれば、
熊本市からの
本件業務委託が
熊本市漁協の主要な業務を占めるはずがなく、比率を考える場合には、
熊本市漁協にとって最も大きく、かつ安定した
収入源である
不動産賃料を含めて算定されるべきです。
3、個人的な
利得等はないこと。
前回、
答弁書で指摘したとおり、
兼業禁止法人に該当するか否かは、法人の性格、請負の量などから類型的に判断すべきであり、
当該請負(
業務委託)の個別具体的な事情などは考慮すべきものではありません。しかし、
本件資格決定要求書には、私が
熊本市に対して
本件業務委託に関して不当な
働きかけをしたことが
兼業禁止の理由として記載され、これまでの
特別委員会においても、あたかも私が
私利私欲のために不当な
働きかけをしていたかのような発言がなされていることから、その点についても名誉のために反論しておきます。
私は
代表理事の間、
熊本市漁協から月額10万円の
役員報酬を得ていましたが、その金額は平成22年に内
水面漁連の再
委託を受けるようになってからも、24年に
熊本市から
外来魚捕獲業務委託等を受けるようになってからも、増額されてはいません。
つまり、これらの再
委託や
業務委託によって、私個人は何の利益も得ていません。先ほど述べたとおり、これらの再
委託や
業務委託は、もともと
熊本市漁協が
手弁当で行っていた
外来魚駆除業務について、その一部を
行政側が費用を出して行うことになったものなのであり、これらの後押しを受けて
外来魚駆除業務の規模が拡大したという側面はあっても、
熊本市漁協に直接の利益が生じるようなものではなく、
私利私欲を図ることにつながるものではないことは明らかです。
なお、
熊本市漁協は、先ほど述べたような
不動産に加え、5,000万円以上の預貯金を保有しており、
財務基盤は安定しているのであり、
熊本市からの
業務委託を受けなければ財源が枯渇するといった事情もありません。
いずれにせよ、
熊本市からの
業務委託については、私個人の利益につながるものではなく、純粋に
江津湖の
環境保全と
水産資源の増殖のための事業なのであり、その目的に不当な面は全くありません。
4、
随意契約に関して。
また、
本件業務委託が、
熊本市に対する私の不当な
働きかけによるものである事情の一つとして、
特別委員会や
個別監査報告書では、
本件業務委託契約が
随意契約であったことが問題視され、それによって不当に高額な
委託料で契約が交わされていたかのような発言がなされ、
熊本市漁協に対しては不当に高額になったということを前提とした
不当利得返還請求がなされています。この点、そもそも
不当利得返還請求についての
法的要件自体が満たされてはいませんが、そのことを措くとしても、そもそも
本件業務委託の
委託費は相当に低額なものだったのであって、
熊本市漁協が不当に利益を得るような金額とはなっていませんでした。このことは、平成29年度の
外来魚捕獲業務委託契約を確認すれば明らかです。
平成28年度以降は、
外来魚捕獲業務委託については、
熊本市漁協との
随意契約は締結されず、
競争入札で
事業者が決定しました。しかし、その金額は平成27年度の
熊本市漁協との
業務委託において、1年間で12回の
電気ショッカー船1艇を用いた
駆除等の
業務委託費が総額99万3,600円だったものに対して(
本件資格決定要求書の
添付資料)、平成29年度の
一般社団法人熊本市
造園建設業協会との
業務委託においては、1年間で20回の
電気ショッカー船1艇を用いた
駆除等の
業務委託費が総額378万円に上っています(資料13)。1回当たりの金額を算定すると、平成27年度の
熊本市漁協の
委託費は8万2,800円にすぎないのに対して、平成29年度の
一般社団法人熊本市
造園建設業協会の
委託料は18万9,000円となり、2倍以上の金額となっているのです。
先ほど述べたとおり、
熊本市漁協は
外来魚駆除事業を
手弁当で行ってきたのであり、だからこそ
競争入札価格の半分以下という極めて低廉な
委託費で、
熊本市からの
業務委託に対応してきていたのです。
そのような
業務委託費の設定に対して、増額を検討するよう
熊本市に申し入れをするのは、
熊本市漁協の
代表理事としては当然の折衝です。他の年度と対比すれば、私が不当な
働きかけなどしていないし、
熊本市漁協が不当に高額な金額で
随意契約を締結しているわけでもないことは明白なはずであり、このことは平成29年度の
業務委託契約にも携わっている
熊本市
担当職員が最も理解しているはずです。にもかかわらず、そのような説明がなされずに、あたかも私が
不当要求をしているかのような説明のみなされている状況は、
熊本市職員が、私をやめさせたいと考えている市議や市長の意向を受けて、あるいは意向をそんたくして、発言、行動しているとしか考えられません。
5、内
水面漁連からの再
委託に関して。
また、内
水面漁連からの再
委託に関しては、これを
熊本市からの請負と同視すべきではないことは、
前回弁明書で詳しく述べたとおりですが、若干補足をいたします。
まず、27年度に
熊本市から内
水面漁連に支払われていた
業務委託費は239万7,600円です。これに対して、内
水面漁連から
熊本市漁協に支払われた再
委託費は115万円、内
水面漁連から
緑川漁協に支払われていた再
委託費は65万円であり(以上について
本件資格決定要求書の
添付資料)、この2つの漁協への再
委託費を差し引いたとしても59万7,600円が内
水面漁連には残ることになります。
電気ショッカー船の
レンタル費用は内
水面漁連が負担していたものの、その金額は大きくはなく、それらの経費を差し引いても相当な額が内
水面漁連に利益として残ったことになります。
このことからも、内
水面漁連をあたかもトンネルのようにして
熊本市漁協が
委託を受けたわけではなく、内
水面漁連も
熊本市漁協もそれぞれに独立した組織として再
委託を受ける関係にあったことは明らかであり、通常の下請や再
委託と何ら異なるところはなく、そうである以上、原則に従って内
水面漁連からの再
委託分については、
熊本市からの請負と評価すべきではないことは明らかです。
6、
前回弁明の
議事録からの一部
取り消しについて。
また、私が平成30年3月2日の本会議で行った弁明に関して、同月5日に
大西熊本市長及び13名の市議が私の発言の一部について、事実と異なるという理由で、
熊本市議会議長宛てに
発言取消要求書を提出しました。これに対して、
熊本市議会議長は、私が
発言内容の
取り消しを拒否したにもかかわらず、平成30年3月6日に、その一部について
議事録からの
取り消しを命じました。
このような
取り消し要求や
取り消し命令は、憲法が保障する
適正手続の保障を理解せず、
地方自治法に違反した暴挙と言わざるを得ません。そもそも、
資格停止に関する弁明の機会の付与は、憲法が保障する
不利益処分に対する
適正手続の観点から、
地方自治法127条の2項が定める手続であり、
不利益を受ける者の言い分を十分に述べる機会を与えることで、誤った判断を防止するとともに、判断の
正当性を担保することを目的としています。
そうである以上、基本的には
弁明内容を制限することなど許されず、一部とはいえ、弁明を制限し、あるいはさかのぼって
弁明内容を取り消すというのは、
地方自治法127条2項に明らかに違反します。しかも、
弁明内容が事実であるか否かは、弁明を聞いた上で判断すべき事項です。まして、今回
取り消しの対象となったのは、議員ないし
市長等から
熊本市職員に対して不当な
働きかけがあったという発言であり、客観的事実に反しているわけでもなく、事実と異なるという
取り消し理由は、ただ単に
取り消し要求をした
大西市長や13名の市議の主張にすぎません。
そのような市長や13名の市議からの主張は無条件に受け入れられて、発言を
取り消し、職員に対する
不当要求などをしていないという私からの主張は完全に無視して、
資格決定の手続を進めようとしているのが、現在の
熊本市議会の
議会運営なのであり、このような
議会運営のもとで
資格決定手続が進められていることに強く抗議します。以上。
○
竹原孝昭 委員長 北口和皇議員に申し上げますけれども、
提出資料の中には12番までしか出してありませんけれども、ほかの資料はまた提出いただけるんですか。
◆
北口和皇 議員
参考資料も含めて。
○
竹原孝昭 委員長 はい、
参考資料です。
社団法人熊本市
造園協会とのというとこら辺は出していないですから、これについては後ほど出していただけますよね。
◆
北口和皇 議員 はい、わかりました。
○
竹原孝昭 委員長 はい、よろしくお願いします。
北口議員は除斥となりますので、退室を求めます。
〔
北口和皇議員 退室〕
○
竹原孝昭 委員長 以上で、
北口議員の弁明は終わりました。
これより、本件が
地方自治法に規定する議員の
兼業禁止に該当するかについての審査を行います。
本件については、議員の資格にかかわる重要な案件であることを
十分考慮の上、各委員におかれては、これまで本
特別委員会に提出された
資料等については熟知されていることを前提に、論点を絞って御議論いただきますようお願いいたします。
まず、
地方自治法第92条の2の要件について、順を追って議論する必要がございますので、その要件の説明を
執行部に求めます。
◎
西川公祐 総務課審議員 議員の
兼業禁止を規定した
地方自治法第92条の2の規定を改めて確認したいと思います。「
普通地方公共団体の議会の議員は、
当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその
支配人又は主として同一の行為をする法人の
無限責任社員、取締役、
執行役若しくは
監査役若しくはこれらに準ずべき者、
支配人及び
清算人たることができない。」と規定されております。
要するに、
議員個人の請負は取引の多寡に関係なく禁止されております。そして、議員が法人の役員などをしている場合は、
当該法人が主として同一の行為をする法人に該当するかで判断されます。今回の案件は、後者の事例で、さらに要件を言いますと、
委託業務が92条の2のいうところの「請負」と言えるのか、
熊本市
漁業協同組合が「主として同一の行為をする法人」に該当するのか、
代表理事が「準ずべき者」と言えるかが問題となります。
○
竹原孝昭 委員長 ただいま説明がありましたとおり、
兼業禁止に抵触しているか否かの
判断基準のポイントは、
農水局及び
上下水道局の
委託業務について、
熊本市
漁業協同組合が行った業務が「請負」に該当するか、
熊本市
漁業協同組合が「主として同一の行為をする法人」に該当するか、
熊本市
漁業協同組合の
代表理事が
無限責任社員等に「準ずべき者」に該当するかの3点でございますが、
個別外部監査報告書でも述べられているとおり、
熊本市
漁業協同組合が
農水局より受託した
委託業務については、反覆・
継続性及び
営利性・
経済性が認められるものであることから「請負」に該当し、また
熊本市
漁業協同組合の
代表理事は、同組合が適用を受ける
水産業協同組合法に照らし、
無限責任社員等に「準ずべき者」に該当するものであります。
そこで、
熊本市
漁業協同組合が「主として同一の行為をする法人」に該当するか否かについて御議論いただきたいと思います。
まず、「主として同一の行為をする法人」の意義について、
執行部の説明を求めます。
◎
西川公祐 総務課審議員 「主として同一の行為をする法人」の意義につきましては、前々回、この
委員会で
田上委員が述べられた昭和62年10月20日の
最高裁判所の判例がございます。
それによりますと、「主として同一の行為をする法人」とは、
当該普通公共団体に対する請負が
当該法人の業務の
主要部分を占め、
当該請負の
重要度が、長、判例ではそうなっていますけれども、本件では議員となります、議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度に至っている場合の
当該法人を指すと解すべきであると。
そして、その規定の意義に照らせば、少しかみ砕いて言います、第1に、市に対する
請負量が
当該法人の全体の
業務量の半分を超える場合、そのこと自体で主として同一の行為をする法人に該当します。第2に、市に対する
請負量が
当該法人の全体の
業務量の半分を超えない場合であっても、
当該請負が
当該法人の業務の
主要部分を占め、その
重要度が議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度にまで至っているような事情があるときは「主として同一の行為をする法人」に当たるとされております。
○
竹原孝昭 委員長 ただいま説明がありましたとおり、市に対する
請負量が
熊本市
漁業協同組合の全体の
業務量の半分を超えるかが
判断基準となります。
本件に関し、正確な
支払い金額が確認されている平成26年度と
北口議員の任期中に関係する平成27年度の
請負量は、
農水局に係る
委託業務の
請負比率で、平成26年度が42.65%、平成27年度が30.88%でありますが、
上下水道局に係る
委託業務を合算すると、
請負比率は平成26年度が71.47%、平成27年度が66.62%となることから、
上下水道局に係る
委託業務を
請負比率の算定に用いるか否かが重要となります。
そこで、まず
先ほど説明がございました「主として同一の行為をする法人」の解釈における「請負」について
執行部の説明を求めます。
◎
藤原利全
法制課審議員 まず、「請負」の意義につきましては、
裁判例上、民法上の請負に限定されるものではなく、広く営利的・経済的な
取引契約を含むものとされております。一例を挙げますと、
東京高裁平成15年12月25日判決では、必ずしも仕事の完成に対し報酬が支払われる狭義の
請負関係に限らず、広く営利的・経済的な
取引契約を含むものであり、業務としてなされる一定の時間
的継続性、または
反覆性を有する
取引契約であることを要するとされております。
次に、
請負比率の
判断対象となる
事業年度につきましては、
公職選挙法104条の引用する
地方自治法142条の事案についてのものですが、先ほど述べました
東京高裁判決において、選挙当時の
当該法人、本件では
熊本市漁協となりますが、その実情を正しく反映しない年度を対象とすることは不適切であり、選挙時期との
近接性や
決算資料等の
正確性を総合勘案するものとされております。
その上で、同判決は最高裁の昭和62年10月20日判決が、選挙が執行された年度を含む直近の過去5年間について判断していることについて、これは必ずしも過去5年間全体の
請負比率、あるいは過去5年間毎年の
請負比率を基準に判断すべきことまでを
判断要件としたものではない旨を述べ、過去5年のうちの2年分について、
年度ごとの
請負比率を算定しております。また、
現時点で
兼業禁止に該当している必要があるかにつきましては、
行政実例において、決定の際、同条に該当していなくても同条の決定をしなければならないとされておりまして、
現時点で
兼業禁止に該当する必要はないとされております。
次に、「
請負比率の算定に
事業外収益を含むか」につきましては、
裁判例の多くは
請負収入額を
事業収入で除して算定しておりまして、その際
事業収入に
事業外収益を含まないものとなっております。なお、今回の
農水局の
業務委託に係る
個別外部監査報告書においても同様の指摘がなされております。
最後に、「請負に下請負、あるいは再
委託を含むか」につきましては、
高松高裁、昭和51年12月20日判決において、法92条の2は
地方公共団体に対して直接請負をすることを禁止するものであって、
当該地方公共団体と直接に何らの関係も生じない下請を禁止するものではないとされており、直接に何らの関係も生じない下請負については含まない旨述べられておりますが、他方で、
行政実例において、
形式上下請負であっても、
一括請負、その他実質上元請負と異ならず、法の趣旨に適合せず適当でない場合があり得るとされておりまして、また
東京高裁平成14年4月24日判決においても、法92条の2の
請負該当性につき、
実質評価を行ったと考えられるものがございます。
○
竹原孝昭 委員長 ただいま説明がありましたとおり、「主として同一の行為をする法人」の解釈における「請負」については、反覆・
継続性及び
営利性・
経済性を有する取引であることを要し、
請負比率の判断については単年度で判断することが可能であり、その算定においては
事業外収益を含めないものであります。
上下水道局の
委託業務については、反覆・
継続性及び
営利性・
経済性が認められることから「請負」に該当し、平成26年度、平成27年度について調査すべきものであり、
熊本市
漁業協同組合の
不動産賃貸料は
事業外収益として
請負比率の算定に含めないものであります。
それでは、これより質疑を行います。
上下水道局に係る
委託業務が実質的に元請負と異ならないかについて、ただいまの説明を踏まえ、質疑及び意見をお願いします。
◆
高本一臣 委員 その前に、ちょっと先ほどの弁明をお伺いしまして、昨年の11月にこちらに来られたときには、この事実を非常に重く受けとめている、そしてしっかり反省しているとおっしゃったのにもかかわらず、今の弁明を聞いていると、同じ議員として非常に残念であるということを申し添えておきます。
きょうは、92条の2に当たるのか、そうでないのかという判断のものですので、その点について、今
委員長がおっしゃった点について端的に、私から2点お尋ねします。
前回、2月20日の
特別委員会におきましては、永目事業管理者は平成22年度の調査事業、この開始の段階において、非常に北口氏の強い
働きかけ、関与があったというふうに答弁をされておりますが、その具体的な内容について少し説明をしていただきたいと思います。
◎永目工嗣 上下水道事業管理者 ただいまの御質問については、まず資料を配付させていただきたいと思います。
〔資料配付〕
◎永目工嗣 上下水道事業管理者 「河川環境調査に関する北口内
水面漁連会長の関与について」というタイトルでございますが、この資料は平成22年度当時の管理者、下水道部長、総務部長などへの聞き取り調査の結果、または下水道部長のメモなどを整理したものでございまして、これをまとめた資料に基づき、事実関係を具体的に御説明申し上げます。
下線部分が北口内
水面漁連会長、この後は北口会長と申し上げますが、の発言でございますので、その部分を中心に述べさせていただきます。なお、当局の役職名は全て平成22年度当時のものでございます。
まず①、平成22年3月19日の内
水面漁連からの要望協議記録からでございますが、出席者は内
水面漁連から北口会長、
緑川漁協組合長ほか8漁協長、
上下水道局側から下水道部長、担当審議員ということでございます。そこで、北口会長から「浄化センターからの放流水温が高いため、外来魚が越冬し、アユやシラスを餌としている。放流水温を下げる施設をつくるか、代替案等必要な改善をしてほしい」と述べておられます。
そして、1つ飛びまして、「東部浄化センターあたりでも外来魚が多いと聞いている。確認してほしい」という発言があってございます。
そして②、平成22年6月15日、南部浄化センターでの放流水温についての説明会及び現地確認においてでございます。出席者は内
水面漁連北口会長、
緑川漁協組合長、
組合員、
上下水道局側は管理者、下水道部長ほかということでございます。
緑川漁協の
組合員が、浄化センター放流口付近の自主水温調査に関する説明に対し、一斉に納得できないと声を上げたことに対しまして、北口会長から「みんなが納得できないと言っている。市はどうするのか。何らかの方法をとるべきではないか」ということを大声で言っていたとの証言が管理者からあってございます。
その下の枠でございます。その日、帰局後、管理者と話したところ、何か対策を行う必要があると言われ、部長自身も同意したという下水道部長の証言があっております。
④、平成22年8月4日、内
水面漁連との今後の対応についての打ち合わせからでございます。場所は不明でございます。出席者は内
水面漁連北口会長、
緑川漁協組合長、
上下水道局側は管理者、総務部長でございます。
裏面でございますが、北口会長からイ、「浄化センター放流口4カ所で水温、捕獲調査を実施することは了解。調査は漁協に依頼したらどうか」という発言があっており、
上下水道局から「捕獲調査については漁協の意見を聞き判断するが、水温調査は専門の業者に直接
委託したい」と答えている。同様に、北口会長からロ、「調査期間は」に対しまして、答えとして「年4回の調査が必要と考えている。年度内に2回を予定、既決予算から流用する。新年度に2回実施したい」旨の発言。ハでございますが、北口会長から、「調査区域に
江津湖を追加すべき」という発言に対しまして、答えとして
上下水道局から「放流口しかできない」と、「これは他局で行うべき」ということ。また、北口会長からニでございますが、「調査内容に水質検査を追加すべき。浄化センターの放流水質と河川水の水質についても、第三者機関に依頼し調査すべき」という発言に対しまして、答えは「了解」。北口会長からホでございますが、「調査の詳細は内
水面漁連会長、
緑川漁協、
上下水道局の3者で決定していくこと」という発言があっておりまして、それに対しては「了解」と。こういったやりとりが、下水道部長の当時のメモから明らかになっております。
⑤、その他の北口会長の発言といたしまして、時期は不明でございますが、1つ目のポツですけれども、内
水面漁連との打ち合わせでということで、「平成22年から実施した。排水温と川の水の温度差が大きい冬から始めた方がいいという話になった」という総務部長の証言。北口会長は、外来魚がウナギの稚魚を食べているとのことであり、魚の個体調査と解体調査を早く行うようにとの主張をしていたという下水道部長の証言があっております。
そのほか、⑥では、平成22年12月2日、河川調査の打ち合わせが議会事務局であっておりまして、内
水面漁連から北口会長、
緑川漁協組合長他1名、
上下水道局からは総務部長、下水道部長、下水道維持課長などが出席しております。協議の内容についてはわかってございません。
⑨、平成23年3月16日にも魚類捕獲調査の打ち合わせが建設会館であっておりまして、内
水面漁連から北口会長、
緑川漁協組合長他1名、
上下水道局から総務部長、下水道部長、下水道維持課長が出席しております。この内容についてもわかっておりません。
以上の、当時のこのような北口会長からの要望、関与の事実を総合的、客観的に見まして、強い
働きかけと発言したものでございます。
◆
高本一臣 委員 詳しく説明をしていただきありがとうございました。
わずか半年の間にその事業が執行されるというのが、これを見て強く大声でおっしゃっていたり、要望されたりということで、その辺のところが確認できました。
それから、もう1点ですけれども、昨年の7月5日のこの
特別委員会におきましては、北口氏の特別な関与はなかったというふうに発言をされております、事業管理者。また、先ほども申しましたように、先月2月20日の
委員会では、強い
働きかけがあったというふうに発言をされておりますが、それぞれの趣旨が異なることについての御説明をお願いいたします。
◎永目工嗣 上下水道事業管理者 まず、平成29年7月5日の
特別委員会におきましては、冒頭、
委員長から議論のあり方としまして、
北口議員の
不当要求の全容を明らかにすることが目的といった旨の発言があっておりますように、
上下水道局への質問についても、終始
北口議員からの
不当要求がなかったかというお尋ねであったと認識をしております。これに対しまして、平成27年12月の全庁的な調査及び平成29年6月に河川調査に関係しました当時の幹部職員7名から聞き取りまして、それに基づいて
北口議員の
不当要求行為についてはなかった旨の答弁をいたしたところでございます。
その流れの中で、1人の委員から、
北口議員の関与はあったか否かのこの1点について絞ってお尋ねするという御質問に対しまして、特段の関与はなかったと答弁いたしましたが、この特段の関与とは、委員お尋ねの趣旨が
不当要求を指すものというふうに理解をし、
不当要求はなかったという旨の意味合いで答弁をしたものでございます。また、その後の再調査でも、
不当要求行為という要件のもとでは、その事案は出てまいりませんでした。
一方、平成30年2月20日の
特別委員会では、調査事業の開始において関与があったということでいいかというお尋ねに対しまして、強い
働きかけがあったと答弁をいたしましたが、その根拠は、先ほど、資料に基づいて具体的に事実関係をお示ししたとおりでございます。
なお、改めて申しますが、強い
働きかけとは、当時北口県内
水面漁連会長の当該調査事業に対する要望、関与の事実を総合的かつ客観的に見て申し上げたものでございます。
◆
高本一臣 委員 2つのそれぞれの趣旨が異なったということは、今の答弁でよくわかりました。認識できましたので、私からは以上です。
◆田上辰也 委員
北口議員から極めて強い
働きかけがあったという前段がありましたから、その後のいろいろな事業に反映してきたのではないかというふうに思われます。特に、
熊本県内
水面漁連に発注した魚類捕獲業務ですけれども、これについては、
北口議員が代表を務める
熊本市漁協が行っておりますところですので、
熊本市漁協がこれを実施するということを前提といいますか、当然に想定されることと認識してこれを行われたということで理解してよろしいでしょうか。
◎正代徳明 水再生課長
上下水道局では、魚類捕獲の実施場所が
熊本市漁協と
緑川漁協の
漁業権区域ということであったことから、両漁協が加盟する唯一の団体であります
熊本県内
水面漁連と契約したものでございます。
この契約の相手方の
熊本県内
水面漁連は連合会ということでありますので、その構成員であります
熊本市漁協の
組合員と
緑川漁協の
組合員が作業するのではないかという認識をしておりました。
◆田上辰也 委員 もう当然に
熊本市漁協が行うものという認識のもとに行われているということを確認いたしました。
それでは、発注当時、
熊本県内水面
漁業協同組合連合会長及び
熊本市
漁業協同組合代表理事組合長、この職にある者は同一人物であったのでしょうか。お尋ねいたします。
◎坂田憲盟 維持管理部長
熊本県内水面
漁業協同組合連合会北口
代表理事会長の任期は平成22年3月19日から平成28年6月30日まで、また
熊本市
漁業協同組合北口
代表理事組合長の任期は平成19年8月1日から平成30年1月16日まででありました。したがいまして、平成22年度から平成27年度までの捕獲業務契約期間中の代表者はいずれも
北口議員でございました。
◆田上辰也 委員 前段の強い
働きかけ、それに基づいて行われた事業の実施団体、これらが全て
北口議員であるということを確認いたしました。ありがとうございました。
◆藤永弘 委員 同
委託業務に関し、
熊本市漁協が業務を実施しているとのことですが、
委託料の支払いについてどのような事実が確認されたのでしょうか。
◎正代徳明 水再生課長 平成29年11月20日に
熊本県内
水面漁連に対しまして、「河川環境調査(魚類)に伴う魚類捕獲
業務委託における
委託料の調査について」ということで照会しましたところ、質問1としまして、「
熊本市
上下水道局が平成22年度から平成27年度まで、貴内
水面漁連に
委託した「河川環境調査に伴う魚類捕獲
業務委託」の業務の一部または全部を、
熊本市
漁業協同組合に、依頼したことはありますか」という質問に対しまして、「ある」という回答がなされております。
質問2で、「貴内
水面漁連が、
熊本市漁協に依頼した業務形態について教えてください」という問いかけに対しましては、「捕獲業務の全部または一部を再
委託した」という回答が得られております。
また、質問3としまして、「質問2で捕獲業務の全部または一部を再
委託した場合、貴内
水面漁連から
熊本市漁協へ捕獲業務に対して支払われた対価があれば、その金額と費目を」という質問に対しまして、費目としましては
指導事業支出の
環境保全活動事業と、その金額につきましては、平成26年度が135万円、平成27年度は115万円との回答が書面でございました。それに伴いまして、未払金内訳書の写しが提出されております。
さらに、
熊本市漁協へ支払われたとの説明を受けまして、同額の印字を通帳の出金欄で確認しております。
◆藤永弘 委員 ということで、書面での確認ができたということがわかりました。
◆上野美恵子 委員 私の方から1点確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど
田上委員の質問の答弁に、契約の相手方は内
水面漁連であるけれども、実際の業務は
熊本市漁協の
組合員、
緑川漁協の
組合員が作業するのではないかと認識をしていたという答弁がありましたけれども、私がこれまでの
委員会の中で申し上げてまいりましたように、内
水面漁連の貸借対照表等に、未払い金という形で
熊本市漁協とか
緑川漁協への未払い金が計上されていたこととか、内
水面漁連の構成団体とはいいましても、
熊本市漁協や
緑川漁協というのは一つの独立をした団体でもありますので、個人の
組合員が作業をしたということよりも、
熊本市漁協や
緑川漁協が実際の作業はするというふうに理解をしていたということでよろしいですか。
◎正代徳明 水再生課長 魚類捕獲業務につきましては、内
水面漁連の構成員であります
熊本市漁協の
組合員さんが作業されるのではないかという認識でおりました。この前提といいますのが、
熊本市漁協が実施することが条件という意味での前提ではございませんで、実際の作業はされるのではないかという認識ということになります。
◆上野美恵子 委員 ただ、さっき北口氏御本人が
弁明書の中でもおっしゃいましたように、内
水面漁連も
熊本市漁協も独立した組織として再
委託を受ける関係にあったというふうな御発言があったので、やはり個人個人で受けたというよりは、やはりそれぞれの漁協さんがお仕事をなさったというふうに理解すべき、本人がそうおっしゃっているので、そう理解すべきであると思うんですが、それはそれでよろしいですか。
◎正代徳明 水再生課長 作業については、個人さんがされるというものではなくて、
熊本市漁協さんと
緑川漁協さんがされるという認識でおりました。
◆上野美恵子 委員 もう1点は、今のを踏まえて、先ほど総務局からも説明がありましたけれども、
一括請負という考え方とか、本当に抵触するかという点について、請負者、元請ですね、元請が請け負った行為とか業務の内容の全部、あるいは主たる部分を下請が行った場合は、下請の
事業者が複数であっても、一括して請負をしたと解釈をするというふうなものが、国もそういうふうな考えを示しているんですけれども、それはそんなふうに理解していいんですか。
◎
西川公祐 総務課審議員 すみません、その国の通知等がちょっと今頭にないんですけれども、実質がどうだったのかということで私は判断すべきものだというふうに考えております。今のところこれだけしかちょっと答えられません。
◆上野美恵子 委員 これは国の文書の中で見たんですけれども、例えば
緑川漁協、
熊本市漁協というふうに複数の下請さんに
委託をした場合であっても、やはり主要な部分とか全体を、そこがお仕事をなさった場合というときは
一括請負というふうに考えるというふうな考え方が示してあったんですよね。
そういうふうに考えるならば、やはり先ほど
地方自治法の解釈について御説明がありましたけれども、私もきょう
特別委員会があるので、
地方自治法の逐条解説等をちょっと拝見したんですけれども、新版の逐条
地方自治法という解説の中に、下請の形でなされていても、請負者が請け負った行為や業務内容の全部を一括して請け負うものであるような
一括請負等の方法によって、実質上それが元請負と異ならない、単に名目を下請負ということにしたにすぎないような場合もあり得るのであって、このようなことは本条の趣旨を全く没却した脱法的な行為というべく、妥当を欠くものと言わざるを得ないという解説がしてありました。まさに、今回の内
水面漁連の
委託事業につきましては、私はもうこの文面に当たるものではないかと考えております。
それから、内
水面漁連への
委託については、先ほど
上下水道局の永目事業管理者の答弁からも強い
働きかけがあったということは明らかでありまして、
熊本市漁協と内
水面漁連の代表を兼務しており、再
委託をできる立場にあった
北口議員が、当初から再
委託を予定して事業実施に向けて強い
働きかけを行っていたものであると思います。
平成18年の
緑川漁協からの要望に対して、
上下水道局は明確に否定をしており、その後、21年度末に
北口議員が内
水面漁連の会長に就任後、直ちに予算を流用して、
随意契約により業務が開始されていることから、業務の開始、発端は
緑川漁協ではなくて、
北口議員からの強い
働きかけであったということを私は判断するわけです。この点も指摘をして、非常に
兼業禁止に抵触をするというふうに指摘をさせていただきます。
○
竹原孝昭 委員長 ほかに意見はございませんか。
◆
高本一臣 委員 意見としてですけれども、今の議論の中、あるいは
執行部の説明を聞きますと、
上下水道局の
業務委託が市漁協の請負とみなせるかどうか、この
業務委託については、
北口議員が代表を兼務している
熊本市漁協に、やはり当初より再
委託を予定していて、強い
働きかけによって開始されたものということで判断しますから、
執行部の説明もありましたように、
行政実例が示す実質上の元請負と異ならない場合に該当するものであるというふうに、私たちも判断をする次第であります。
◆井本正広 委員 私も、今回の
上下水道局の
業務委託は、
北口議員が内
水面漁連の会長を退く平成27年まで
随意契約により業務契約が継続をされています。元請である内
水面漁連の会長と下請である市漁協の
代表理事が同一人物であります。そして、かつ元請に
委託された事業の契約締結に、
北口議員の強い
働きかけがあったこと等の事実を鑑みますと、この下請は市と直接には何の関係も生じない下請というものではなくて、直接請け負った元請と異ならないというふうに判断できるのではないかと思います。
◆田上辰也 委員 今までの議論を踏まえますと、平成27年度という、これは今の私たちの資格にかかわる年度になります。その27年度に当選したわけですから。その27年度の
農水局と
上下水道局の
委託料の合算、これは214万3,600円であり、ところが割るところの母数ですけれども、これは
個別外部監査報告書では、同年度、27年度の
熊本市漁協の総収入額は321万7,700円とありますことから、これを計算しますと、
請負比率は66.62%となります。これは
業務量の半分を超えております。したがって、
兼業禁止に該当するというふうに私は考えます。
○
竹原孝昭 委員長 ほかに
上下水道局に係る
委託業務に関して質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
竹原孝昭 委員長 ほかになければ、以上で
上下水道局に係る
委託業務が実質的に元請負と異ならないかについての審査を終了いたします。
次に、
農水局に係る
委託業務単独で考察した場合に「主として同一の行為をする法人」に該当するか否かについて調査を行います。
同
委託業務についての
請負比率は、平成26年度が42.65%、平成27年度が30.88%と全体の
業務量の半分を超えておりませんが、
個別外部監査報告書でも、
北口議員の
不当要求行為等が認定されていることなどを踏まえ「主として同一の行為をする法人」に該当するか御議論いただきたいと思います。
まず、全体の
業務量の半分を超えない場合における「主として同一の行為をする法人」の該当要件について、
執行部の説明を求めます。
◎
藤原利全
法制課審議員 全体の
業務量の半分を超えない場合における「主として同一の行為をする法人」の該当要件について、初めに
地方自治法92条の2の趣旨について申し上げた後、判例等においてどのような
判断基準が示されているかについて申し上げます。
まず、
地方自治法92条の2の趣旨につきましては、最高裁昭和62年10月20日判決が、議員を市との間で営利的環境を有する立場から隔離し、もって議員の
職務執行の公正、適正を確保しようとするものである旨述べております。また、
東京高裁平成15年12月25日判決は、
普通地方公共団体の議会の議員や長が、
当該普通地方公共団体の公金を継続的に自己の営業上の所得とすることになると、当該議員、長による公平な議事の運営や議決権の行使、公平な担任事務の執行は望みがたく、議員、長たる地位を自己の営業の利益のために利用するおそれが生ずるので、これを未然に防止することにあると述べ、また端的な表現としては、
地方公共団体の犠牲において、その長、
議員個人の個人的な利益を図ることを防止することにあると述べております。
その上で、
請負量が
業務量の半分を超えない場合の判断に当たっては、冒頭の説明でございましたとおり、最高裁昭和62年10月20日判決は、
当該請負が
当該法人の業務の
主要部分を占め、その
重要度が議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度にまで至っているような事情があるときとしております。
この長、議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれの判断につきましては、
東京高裁平成15年12月25日判決がより詳しく述べております。その判断に当たっては、
当該法人の性格や請負契約の内容を考慮すべきであり、より具体的には、
当該法人と長、議員との個人的な関係が密接である場合には、長、議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが高いというべきであるとしております。そして、これらの事情の有無と
当該法人の
請負比率を相関的に総合判断して、
当該請負の
重要度が長、議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度に至っているかを判断すべきであるとしております。
○
竹原孝昭 委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。
農水局に係る
委託業務単独で考察した場合に「主として同一の行為をする法人」に該当するか否かについて、ただいまの説明を踏まえ、質疑及び意見をお願いします。
◆原口亮志 委員 それでは、私の方からは
農水局の
委託業務のみで判断した場合ということで、1点確認させていただきます。
個別外部監査報告書において、
外来魚駆除業務委託については既に
上下水道局より類似の業務が実施されており、
熊本市
漁業協同組合の実態が明らかでないにもかかわらず、予算化の段階から漁業振興の観点から
農水局において、
熊本市漁協ありきで同業務が開始されております。これは明らかに
北口議員の
働きかけによるものであると指摘されておりますが、間違いはございませんか。
◎西嶋英樹
農水局長 委員御指摘のとおり、そのように認識いたしております。
◆原口亮志 委員 間違いがないということでございますので、同
委託業務が
北口議員の
働きかけにより、
熊本市漁協ありきで予算化、事業化されたということは、自身が代表を務める
熊本市漁協の私的利益のため業務をつくり出したとしか判断ができません。また、
個別外部監査報告書においても、
北口議員の
働きかけにより、契約の履行確認が不十分、もしくは設計金額が課題ではなかったかとの指摘がなされ、
熊本市漁協に対し、不当利得として返還請求がなされております。さらに、
北口議員と
熊本市漁協の関係性は、
北口議員の自宅敷地内に事務所が置かれ、平成16年から十数年以上にわたり
代表理事を務めていることから、非常に密接であるというふうに言えると思います。
◆田上辰也 委員
北口議員の弁明では、本会議や
委員会での発言が、
熊本市漁協への
業務委託に直結するものではなく、その他の折衝についても
代表理事として行ったものであり、かつ不当なものではなかったとの主張をなされておられます。
これまで、私、経済
委員会でも同席しておりましたけれども、
熊本市漁協の組合長という立場で発言されることがたびたびありました。ただ、一番最も議会にとって大事な本会議の中で、私、
議事録を調べてみたところ、幾つか見受けられましたが、このことについて、まず一番大きなものとして考えられるのが、平成24年3月2日の本会議における
北口議員の発言で、「市漁協の組合長として」、こうですよ。議員として発言するならわかりますけれども、「市漁協の組合長として質問する」と、そんなことを述べられております。
そもそも議会における議員の発言は、議員の職務の公平、公正に立ったものでなければならないということは言うまでもありませんが、この
北口議員の発言は議員としての権限を逸脱した行為であり、公の場、本会議という市議会にとって一番大事なこの本会議の場を利用し、
熊本市漁協に利益を誘導するもの、利益誘導の発言です。これがなされたものです。さらに、
個別外部監査報告書では、本会議や
委員会だけでなく、それ以外の場でも、職員の皆さんを呼び出して、権限を逸脱した
働きかけがたび重なって行われております。これらを踏まえると、総合的に勘案し、問題とされているところであるというふうに私は考えます。
◆井本正広 委員
北口議員の弁明では、市からの
業務委託がなくなった平成28年度以降も問題なく運営されていることから、市からの
業務委託が重要なものではないと主張をされましたけれども、平成27年度と平成28年度の
熊本市漁協の損益計算書を比較しますと、実施業務は何ら変わっていないにもかかわらず、
熊本市からの
業務委託がなくなった平成28年度の
事業収入は28万5,100円となっております。前年度比で91.14%減少しております。このことから、
熊本市漁協は、初めから公金を当て込んだ団体であり、
委託業務が重要な収入であったと判断できると考えます。
◆上野美恵子 委員 これまでいろいろ議論がありましたように、はっきりしてきたのは、
熊本市漁協と
北口議員の関係が、さっき自民党さんからも言われましたように、組合の事務所が自宅の敷地の中にあったり、あるいは北口氏が
代表理事という支配的な立場にあったことから、その関係が極めて密接であったというふうに考えられると思います。
北口議員の弁明の中では、
兼業禁止に抵触するかを判断するに当たっては、不当な
働きかけを考慮すること自体が誤りかのように主張されましたけれども、外来魚の駆除業務についても、
個別外部監査報告書でも述べられて、この
委員会でも確認をしてまいりましたように、
北口議員の不当な
働きかけによって不適正な事務処理が行われてきたことは、もはや明らかとなっています。
さっき、
執行部の方から説明がありましたように、
請負量が
当該法人の全体の
業務量の半分を超えない場合であっても、
当該法人の業務の
主要部分や、あるいはその
重要度が議員の
職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度にまで至っているような事情があるときは、
当該法人は主として同一の行為をする法人に当たるということができるという説明があり、またその判断がそれぞれの事案の内容をもって判断をすべきだと説明がありましたけれども、北口氏、
熊本市漁協への
熊本市の
委託事業は、
北口議員の不当な
働きかけによって公正、適正を欠くような形で行われており、
北口議員の
不当要求という事情によって、
職務執行の公正、適正が損なわれていると言えると考えます。
よって、
北口議員の
不当要求のもとでは、仮に業務の
請負量が
業務量の半分を超えていなくても、議員の
職務執行の公正、適正を確保するという
地方自治法92条の2の趣旨に反しているということが明らかでありますので、その場合であっても、
兼業禁止に触れるという判断ができると考えます。
◆津田征士郎 委員 今までいろいろ議論があっておりますけれども、
外来魚駆除業務委託に関しては、
北口議員が
熊本市漁協の
代表理事として直接の利害関係にあるにもかかわらず、議会内外における不当な圧力によって、
熊本市漁協ありきの業務を開始させたことは、たとえ
請負比率が半分に満たないとしても、
地方自治法の趣旨に反しており、議員の
職務執行の、先ほどから何回も出ておりますように、公正、適正を損なうおそれが類型的に高いとしか判断できないことから、法規定の主として同一の行為をする法人に該当すると思います。
○
竹原孝昭 委員長 ほかに
農水局に係る
委託業務に関する質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
竹原孝昭 委員長 ほかになければ、
農水局に係る
委託業務単独で考察した場合に「主として同一の行為をする法人」に該当するか否かについての審査を終了いたします。
以上で本日の審査は全て終了いたしました。
これより採決を行いますが、この際、念のため申し上げます。
議員の
資格決定を行う場合、本会議では
地方自治法第127条第1項の規定に基づき、出席議員の3分の2以上の賛成を要する特別多数議決でありますが、
委員会では一般の案件と同様、過半数議決であります。
それでは、
北口和皇議員の
資格決定の件について採決いたします。
北口和皇議員の資格について、
地方自治法第92条の2の規定に該当し、議員資格を有しないとすることに賛成の委員の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○
竹原孝昭 委員長 挙手全員。
よって、
北口和皇議員の資格については議員資格を有しないとすることに決定いたしました。
なお、本
特別委員会における資格の決定につきましては、本会議最終日に
資格決定書(案)を提出するとともに、本日の審査の経過等を報告させていただきますので、御承知おき願います。
以上で当
委員会に付託を受けた議案の審査は全て終了いたしました。
それでは、これをもちまして、
北口和皇議員の
不当要求行為等に関する
調査特別委員会を閉会いたします。
午前11時20分 閉会
出席説明員
副市長 多 野 春 光
〔総 務 局〕
局長 田 畑 公 人 行政管理部長 宮 崎 裕 章
総務課長 池 田 由加利
総務課審議員 西 川 公 祐
総務課副課長 千 原 直 樹
法制課審議員 藤 原 利 全
〔農 水 局〕
局長 西 嶋 英 樹 農政部長 岩 瀬 勝 二
農業・ブランド戦略課長 水産振興センター所長
石 坂 強 廣 岡 泰 章
〔
上下水道局〕
上下水道事業管理者永 目 工 嗣 総務部長 米 村 和 哉
総務課長 船 津 浩 一 維持管理部長 坂 田 憲 盟
水再生課長 正 代 徳 明
議会事務局職員
事務局長 田 上 美智子 事務局次長 大 島 直 也
総務課長 本 田 昌 浩 議事課長 本 田 正 文...