それでは、まず
震災復興計画の策定に当たって、質問してまいります。
現在示されている
震災復興計画素案については、本市の
震災復興検討委員会での議論とあわせまして、これまで5回開催された
震災復興特別委員会でも、質疑を通じ議論されてきました。また、策定に向けては、区や局ごとでの
復興座談会、
市民アンケートにも取り組まれ、大西市長の聞く姿勢についても評価したいと思います。
さきの
特別委員会では、復旧・復興に向けた優先順位についての質疑に対し、被災者に寄り添った生活再建を最優先に、被災者の利益を守るという市長の思いが述べられました。
しかしながら、私はこの復興計画から漏れる、取り残される多くの市民の思いがあるのではと危惧します。住宅の一部損壊の被災者や、液状化や擁壁損壊などの宅地被害への救済の手だてがないなどといった状況についても議論されております。
私たちも、一人の被災者も取り残さない復興に向け、本年5月末、内閣府防災担当へ
特別措置法の制定、
被災者生活再建支援制度の拡充、断層・液状化など被災地盤の安全性確認に向けた調査の早期実施と
具体的支援の実施などを初めとした重点要望を行うとともに、被災者の生活支援として、支援額の拡大と支援基準の引き上げについても要望してきましたが、他の災害との公平性から、
被災者支援の拡充での一部損壊への支援には至っていないのが現状です。
そのような状況で、多くの市民の皆さん方は、国支援が進まない中においても、みずからの資力で多額の修繕・修理費を負担し、必死にもとの生活を取り戻そうとしておられます。ただ、年金生活や低収入の方など、なすすべのないのが現状であろうと、むなしい思いでいっぱいでございます。
本市でも再三にわたり、国への要望を行われておりますが、国が動かないなら、本市で動く、独自の支援策も講じるための検討もすべきであり、そのことが一人ひとりの暮らしを支える被災者の生活再建への
トータルケアにつながると痛感をいたします。
そこでお尋ねをいたします。
これまで一部損壊や宅地被害に遭われた市民一人一人へ支援拡充について申し上げましたが、私は熊本地震を受けて、力強い復興を市民に強くイメージしていかなければならないし、一人も取り残さない復興を目指さなければならないと思っております。そうした観点から、被災した市民、事業者などへ向けた復興・復旧策定に当たっての市長の思いについてお尋ねをいたします。
また、
復興計画策定に当たって、素案段階ではありますが、国や県、
被災自治体との連絡連携はどのように図られていたのかについて、以上2点、大西市長にお尋ねをいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 被災された市民や事業者の方々へ向けた
震災復興計画案の策定に当たっての思いというお尋ねにお答えいたします。
現在お示しをしております
震災復興計画案は、熊本地震からの早期の復旧・復興を実現するとともに、災害を乗り越え、新しい
熊本づくりを推進するため、その基本的な考え方を示すとともに、主要な施策や事業を体系的に取りまとめたものでございます。
今後、本計画案に基づき、全ての被災者が生活を再建できるよう、被災者の実情に沿ったきめ細やかな支援に取り組むとともに、市民生活を下支えする地域経済を早期に再建いたしまして、熊本の元気、活力を取り戻すために、全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
具体的には、まず、いまだ
避難所生活を余儀なくされておられる皆様方に対しまして、罹災証明の発行の迅速化、
応急仮設住宅の整備などにより、避難所から次のステップへの
早期移行支援に取り組むとともに、
仮設住宅入居者に対する継続的な戸別訪問や
個別支援プログラムの作成、さらには子供や高齢者などに対する震災で傷ついた心のケアなど、引き続き被災者の立場に立って、被災者の利益を最優先にした支援に全力を傾注してまいりたいと考えております。
また、市民生活を下支えする地域経済についても、
グループ補助金等各種の支援制度を活用した商業や農水産業、観光業などの支援はもとより、積極的な
シティセールスや中心市街地の
にぎわい創出に向けた取り組みを積極的に展開し、熊本の元気、活力を取り戻してまいりたいと考えております。
今後、本市といたしましては、全ての被災者が安全安心な暮らしを取り戻し、明日への希望を描いて歩みを進めていくことができるよう、行政はもとより市民力、地域力など熊本の総力を結集して、
復興計画案に基づく各種施策を効果的かつ迅速に進めてまいりたいと考えております。
次に、
復興計画案を策定するに当たって、国県や
被災自治体とどのように連絡連携を図ったのかというお尋ねについてでございますが、国からは
計画策定等に関する技術的な手法について、本年3月に改訂されました内閣府の復旧・
復興ハンドブック等による情報提供を受けたところでございます。
また、県や
近隣市町村とは計画案の策定段階から
実務者レベルでの情報交換に努めてきたところでございまして、8月8日には熊本県
市町村創生復旧連絡会議において、県の復旧・
復興プランの説明を受けるとともに、市町村間で情報交換を行っております。
さらに、8月24日の
県市政策連携会議においては、蒲島知事と県市の復興計画について
トップレベルで情報共有いたしまして、計画の推進などについて意見交換を行ったところでありまして、今後とも国、県、
近隣市町村とは緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 御答弁ありがとうございました。
一部損壊や宅地被害など、支援の手が届かない中で、一人も取り残さず力強く復興するためにいかにすべきか、大きく問題視すべきとの思いから、今さらながらではございますが、お尋ねを申し上げました。
大西市長からは、これまでも被災者の利益を最優先にとの思いは示されておりますが、今後の課題については、
国支援メニューの創設拡充が大きく影響するものと考えております。
県や
被災自治体との連携もお尋ねしましたが、被災者の利益を最優先にした支援の課題等についても、各自治体とも共有していただいて、取り組んでいかねばと再認識させていただきました。
財政基盤が脆弱である地方自治体がどう復興を目指すのか、長期化する復興への道筋を力強いものとするために、尽力をし合いたいと思っております。
それでは、引き続きまして、確かな復興に向けた国要望の現状と復興計画の実現に向けた財政について、特に財政に関する質問につきましては、昨日までの一般質問で触れられておりますので、一部割愛をさせていただき、お尋ねしたいと思います。
熊本地震の被害状況については、熊本県全体の民間住宅・企業・
公共インフラを含む
社会資本被害として、1兆8,000億円から3兆8,000億円と推測され、中越地震を上回る被害想定が内閣府より試算されております。
そのような中で、国は
激甚災害指定による復旧工事での
国庫補助率のかさ上げや、
災害救助法適用、さらには7,880億円の補正予算を組み、7,000億円を予備費として被災地・
被災者支援を行うとし、既に2,800億円程度が観光分野などの復興事業に充てられております。
また、今月行われます臨時国会では、この予備費を4,139億円切り崩し、2次補正予算として一般会計へ繰り込み、さらに510億円の復興基金を創設し、県内の各
被災自治体の復興事業に充当される見込みになるとも聞いております。
この間、本市でも大西市長を先頭に、
各種要望活動が行われております。しかしながら、現行の補助率のかさ上げだけでは、本市の上下水道、道路、橋梁といった都市基盤・
インフラ関係や学校・
市民利用施設といった公共施設の復旧に対しては、150億円の本市負担も生じることも、さきの
特別委員会で明らかとなりました。
あくまでも現時点の試算ということで、具体的な復旧事業を行う際には、事業費の総額が試算である1,460億円を上回り、市負担額の増も懸念されると考えます。
東日本大震災からの復興には、数多い
特別措置法や復興基金、また、阪神・淡路大震災や
新潟中越地震からの復興には、運用型の復興基金により多くの救済措置が行われ、国、もしくは
被災自治体が連携し、多額の予算が調達をされましたが、熊本地震の場合は、復旧・復興のスタートを切る今の段階において、
特別措置法の制定はなく、また、復興基金も設立されるようですが、切り崩し型の510億円という状況です。
そのような中、8月11日には熊本県は熊本地震からの県全体の
復興事業費を少なくとも約2.5兆円と推計し、県議会へ報告されております。額の大きさに驚くとともに、
本市財政負担が一体どの程度になるのか、また、
一般財源化見込みの7,000億円の国補正の予備費も、事業が指定されたいわば
ひもつき財源であろうと考えると、目指すべき復興事業が本市の裁量で行われるのか疑問がありますし、510億円の復興基金についても、
被災自治体の自由度こそあれ、県がどのように調整し、事業採択や配分されるか、本市独自では不明確であろうと考えます。
そうした見えない中において、今後復興計画から実施計画へとつなぐためには、財源確保にどう取り組むのかが前提となることは、誰もが思っていることでございます。
そのために大西市長も、4月28日の緊急要望を皮切りに延べ34回にわたり、国の各府省庁や政府与党、さらに県、
九州地方整備局等へ要望活動を行っておられます。
そこで4点お尋ねいたします。
大西市長も、これまでの
特別委員会でも国支援の拡充を訴えられておりますが、重点要望を含む要望された項目に対し、どの程度の成果が上がっているのかについて、
要望項目総数と事業内容についてお尋ねをいたします。
2点目として、要望事項において、残された多くの課題があります。そうした主な課題に対し、どのように取り組んでいかれるのかについて、特に国では
復興予備費を28年度の第2次補正予算に4,139億円組み込み、議論するとされております。そのことからは、秋の臨時国会への対応が極めて重要であると考えておりますが、市長の御所見と今後の国要望への継続した取り組みについてお尋ねをいたします。
3点目として、4年を目途とした
復興計画期間において、どの程度のことをどこまでやるかの判断も必要ではありますが、私は復興計画に記載された事項の一つひとつを早急に精査し、示すことで、今後の実施計画につながると考えます。そうしたことから、復興段階における各事業に集中期間を設定するなど、より効果的な
ロードマップをつくるべきと考えますが、市長の見解をお尋ねいたします。
4点目として、熊本地震からの復旧・復興に対し、病院事業を除く上下水道・
交通企業会計の財政、取り組みに対する影響についてお尋ねいたします。
各事業会計への影響については、これまでの
復興特別委員会において、
上下水道事業で約127億円、交通事業で約2.3億円の
公共施設被害の復旧額が試算されております。
そこでお尋ねしますけれども、熊本地震からの復旧・復興に向けては、申し上げました施設等の復旧費以外にも、利用料金の収入面や企業債の借入増、単年度収支に加え、それぞれの事業の事業計画へも影響が生じると考えますが、いかがでしょうか。熊本地震による企業会計の財政に与える影響について、各
事業管理者にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 国への要望活動の現状と今後の取り組みについて、お答えいたします。
まず、要望活動の項目数と成果についてでありますが、これまで本市ではさまざまな機会を捉えて150項目に及ぶ国への要望活動を行っておりまして、その結果、現時点で104項目について制度改正や
補正予算等、何らかの対応がなされております。
具体的に幾つか例を挙げますと、平成28年5月17日に可決されました国の
熊本地震復旧・復興のための補正予算の予備費約7,000億円において、崩落しました石垣改修や崩落を防ぐ応急措置など、熊本城の復旧に対しまして、3億6,000万円が措置をされ、被災した
商店街アーケード、事務所の復旧に対する
商店街震災復旧事業の創設等が実現したところでございます。
また、本年8月24日に閣議決定をされました平成28年度第2次補正予算におきましては、
災害公営住宅建設や
復興基金創設に伴う財源措置、
廃棄物処理施設の
復旧補助率の
かさ上げ等が認められ、
各種産業施設復旧のための
グループ補助金制度の創設や、家屋等の解体費用の補助の対象拡大、既解体分への
遡及適用等の措置も実施されているところでございます。
また、市民病院の既存施設を改修した
NICU等の整備や、移転建てかえによる再建についても、本市の要望にできるだけ沿えるような検討がなされているところでございます。
次に、残された課題と今後の取り組みについてでありますが、被災者の生活再建に向け、特に現行の
国庫補助対象とならない宅地被害の復旧に関する補助制度の創設や
液状化防止対策等については、重点要望の一つとして関係省庁に要望しております。
また、学校や
社会教育施設など早期復旧に向けたさらなる財源措置や地域公民館や未指定文化財の修復支援など、地域に密着した施設の復旧についても、国に対し予算措置などの働きかけを行っているところでございます。
本市といたしましては、一日も早い被災者の生活再建が実現できるよう、残された課題につきまして、引き続き国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
また、復興計画の
ロードマップの作成についてのお尋ねでございますが、復興に向けた主要な施策や具体的な取り組みを体系的にまとめた
震災復興計画案を、迅速かつ着実に推進していくためには、そこに掲げる一つひとつの事業を計画的に実施していくことが必要でございます。
そこで、
復興計画案を新たに加えた第7次
総合計画基本計画の改定について、市議会で議決をいただいた後に、速やかに事業の整理を行い、実施計画を取りまとめたいと考えております。
その中で、年次計画や
検証指標等を示しながら、来年度以降の計画については、新
年度予算編成等を踏まえつつ、復旧・復興に向けて最優先で取り組む事業と、直接復旧・復興と関係はないものの、市民生活の向上に必要不可欠な事業を一体となって推進してまいりたいと考えております。
〔
永目工嗣上下水道事業管理者 登壇〕
◎永目工嗣
上下水道事業管理者 私からは
上下水道事業会計への影響についてお答えを申し上げます。
議員述べられましたとおり、
上下水道事業における施設の復旧費は、総額約127億円でございます。内訳としましては、水道事業が約26億4,000万円、
工業用水道事業が約2,000万円、
下水道事業が約100億6,000万円となっております。
復旧費には、
最大限国庫補助などの財源を活用いたしますが、あわせて
災害復旧債の発行を水道事業で約3億円、
下水道事業で約34億円を今回の補正予算に計上いたしております。
また、これらの復旧・復興を最優先とするために、既存事業の再評価を行いまして、約25億円の事業の執行を先送りしたところでございます。
収入につきましては、罹災された方や濁水等に伴う料金の減免によりまして、水道事業で約8億円、
下水道事業で約7億円の減収を見込んでおりまして、さらに企業活動の一時休止や廃業等による今後の料金収入の推移を注視していく必要があると考えております。
このようなことから、今年度水道事業の実質的利益は約28億円が約10億円に、
下水道事業では約19億円が約4,000万円となる見込みでございまして、それぞれの単年度収支は下方修正となるものと考えております。
また、中期的には今回の震災の影響などを踏まえまして、事業の優先順序の見直しや前倒しなどを検討し、今年度から平成33年度を目標とした
経営基本計画の中間見直しに取り組みまして、後年度負担を見据え、財政の平準化を図り、安定した企業経営を推進してまいります。
〔
西本賢正交通事業管理者 登壇〕
◎西本賢正
交通事業管理者 私からは、震災による
交通事業会計への影響について、お答えいたします。
まず、レールの沈下やレールの破断などの軌道施設の被害額が約1億円、局舎などの
施設被害額が約1億3,000万円と見込んでおりますが、今後詳細設計などにより変動する可能性があると考えております。
また、このほか震災による運休や利用者の減少などによりまして、運賃収入が約3,000万円減少したものと試算しているところでございます。
このような中、交通局におきましては、法に基づく
経営健全化計画の完了について、本議会で報告させていただくところでございますが、その
健全化計画完了後の計画として、今年度から向こう4年間の
中期経営収支プランを策定し、引き続き経営改善に向けた取り組みを進めているところでございます。
しかしながら、今回の震災がこの
中期経営収支プランに与える影響も想定されますことから、
市長事務部局と連携を図りながら、復旧費の財源捻出などに向け、本市全体の取り組みといたしまして、国などに対し財政支援を要望するとともに、
中期経営収支プランの着実な推進を図りますことで、公営企業としての健全経営に努めてまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 それぞれから御答弁をいただきました。
これまでの
復興特別委員会でも、個別の復旧事業に対する国補助や制度的な支援など明らかになってきましたが、トータル的に150項目の要望に対し104項目の成果が何らか上がっているとのことでございました。
被災から4カ月半が経過しましたが、徐々に明らかになっていく国支援の現状をしっかり捉え、残された課題や
重点予防等を十分に精査検証いただき、国への要望強化につなげていただきたいと思います。
特に申し上げましたが、秋の臨時国会では、
復興予備費を切り崩して熊本地震の復旧事業が議論されます。大変重要な議論であり、私たち議会もそうした国会論議に対応しなければならないと考えますし、大西市長も引き続き強い姿勢で国への要望に臨んでいただきたいと思います。
また、本市の
財政見通しについては、これまでの一般質問で触れられ、質問はいたしませんでしたけれども、
復興事業費の総枠や復興基金の扱い、
中期財政計画の見通しなど、復興計画を盛り込んだ第7次総合計画の改定とリンクするようでございます。そうした本市財政に与える影響や
財政見通し等については、最大限早期での議会への報告と提案を強く要望しておきたいと思います。
また、最後に質問いたしました病院を除く各企業会計への影響については、設備、施設等の復旧事業に加え、大幅な
料金収入減があり、単年度収支にも大きく影響するようでございます。
上下水道のそれぞれの事業、第6次拡張計画や未
普及解消築造事業、交通事業における
中期経営収支プランなどへの影響なども精査いただき、各事業会計の事業復興に取り組んでいただきたいと思います。
それでは、引き続きまして、
連携中枢都市圏と
地方創生総合戦略の取り組みについて、お尋ねいたします。
復興計画素案には、本市独自での安全・安心で上質な生活都市の創造を目指すとされていることに加え、近隣16市町村で構成する
熊本連携中枢都市圏全体の復興への取り組み、さらには目標別施策の中でも
本市東部地区と
近隣自治体との
復興ビジョンの共有などの取り組みについても示されております。
また本市では
人口減少社会や地方創生を見据え、しごと・ひと・
まち創生総合戦略や
コンパクトシティを目指した
多核連携都市への取り組みもスタートしております。今後それらの具体的な取り組みを通じ、互いに補完できる復興への取り組みの第一歩を本市がリードしていただきたいとも考えますし、各
被災自治体の復興に向けた課題を共有し、国への要望や課題解決に向けて知恵を出し合うことも、長期化する復興へは必要になってくるとも考えます。
申し上げました
連携中枢都市圏、しごと・ひと・
まち創生総合戦略、さらには
多核連携都市といった取り組みの上位計画は総合計画であり、熊本地震を受け、本市では復興計画を平成28年度から31年度の
前期基本計画の中核とする第7次総合計画の見直しに着手されております。
連携中枢都市圏、
多核連携都市の取り組みについては、昨日までに質問があっており、重複を省き、
地方創生総合戦略についてお尋ねをいたします。
熊本地震を受けてしごと・ひと・
まち創生総合戦略については、
震災復興事業を軸足とした取り組みを進めることとなると考えますが、いかがでしょうか。
さらに、今後のしごと・ひと・
まち創生総合戦略の事業展開に際しても、復興事業と関連づけることで、国からの支援、補助金、交付金などもさらに見込めるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
以上1点、大西市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 しごと・ひと・
まち創生総合戦略につきましては、来るべき
人口減少社会の克服に向けまして、仕事を中心に本市の特性を生かした地方創生につなげるための各種施策を昨年度末に取りまとめ、本年度から推進することとしておりました。
そのような中で、今回の熊本地震によりまして、本市の置かれた状況が一変したことから、総合戦略の歩みは震災を踏まえたものにならざるを得ないと考えております。
このようなことから、震災復興による地方創生という新たな観点で、熊本市
震災復興計画案における
人口減少社会の克服につながる取り組みを本市総合戦略へ盛り込み、改定を進めることとしておりまして、国の地方創生に関連した財政支援についても、復旧・復興のために積極的に活用してまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 お尋ねを申し上げましたしごと・ひと・
まち創生総合戦略に加えて、
連携中枢都市圏などの取り組みも、震災からの復興という観点で今後の取り組みや取り組み方が変わってまいります。
お尋ねはしませんでしたが、
連携中枢都市圏での取り組みについては、これまで締結をされました28協約60事業の大枠の中で共有できる課題に取り組んでいかれると聞いております。
また、創生総合戦略については、復興事業と
人口減少社会への対応する事業をリンクすることで、地方創生等の交付金等の活用も行っていかれると受けとめました。
いずれの取り組みについても、各
被災自治体が共有できる取り組みや復興事業に資する事業へ知恵出しを大いに行っていただき、復興事業、さらには本市財政にプラスとなる取り組みとなるよう、大いに期待をし、次の質問に移ります。
引き続き本市の復興計画における5つの重点プロジェクトに関し、質問します。
まず1点目の今後の
被災者支援の取り組みについて、お尋ねいたします。
地震発生から4カ月半が経過いたしました。一昨日には震度5弱の地震があるなど、余震が続く中、被災した市民の皆さんは発災当時から幾多の困難や先の見えない生活再建への多くの不安を抱えながら、避難所で、被災した住居で、さらには市営住宅や民間賃貸住宅などで暮らし、また、8つの
応急仮設住宅への入居など、とりあえずの日々を送っておられるものと思います。
今後、一人一人の生活を支える生活再建に向けた
トータルケアにより、より丁寧に寄り添う対応が強く求められます。そこで、本市の対応について、特にみなし仮設を含みます
応急仮設住宅等への入居者への対応と、今後の恒久的住まいへの移行について、また、一部損壊世帯を含めた自力で生活再建が困難な方々への支援についての質問も用意をいたしましたが、昨日の那須議員の質問とも重複するところもあり、割愛して1点のみお尋ねいたします。
本市では、今回の震災を受け、今後の将来の地震発生に向けた備えの取り組みとして、個人住宅の耐震診断と耐震改修の促進に取り組むとされています。現在では、平成19年策定の建築物耐震改修促進計画に基づき、取り組みを行われておりますが、震災を受け、今後の個人住宅の耐震診断と改修をどのように進めていかれるのかについて、震災前の取り組み状況及び今後の取り組みへの課題認識とあわせて、都市建設局長にお尋ねします。
〔肝付幸治都市建設局長 登壇〕
◎肝付幸治 都市建設局長 個人住宅の耐震診断及び耐震改修の促進に向けた取り組みについて、お答えいたします。
本市では、市民の生命、身体及び財産の保護と安全で安心なまちづくりを目指すことを目的に、平成19年度に熊本市建築物耐震改修促進計画を策定し、平成20年度より戸建木造住宅の耐震診断や耐震改修の支援を行い、住宅の耐震化率を平成32年度末までに95%にするという目標に向け、耐震化の促進に取り組んでいるところでございます。
本年度は、一般診断におきまして例年の10倍を超える約1,450件の申し込みがあっておりまして、その対応として、予算と耐震診断士の確保が課題となっております。
現在、予算の確保に向けた国との協議や、熊本県建築士事務所協会等の関係機関と連携して、耐震診断士の確保を進めており、その確保ができ次第、申し込みのあった全ての方に耐震診断士を派遣し、さらに耐震化を加速してまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 御答弁ありがとうございました。
耐震診断等の取り組みについては、本市登録の耐震診断士は83名と聞いております。御答弁にもありました例年の10倍の1,450件の申し込みへの対応とあわせて、本市の補助予算の確保が大きな課題であるとの御答弁でもございました。各方面とも連携を強化していただいて、速やかに耐震化の促進に向けて取り組んでいただきたいと思います。
また、質問は割愛させていただきましたが、みなしを含みます
仮設住宅入居者や公営住宅等入居者へは、
個別支援プログラムの策定や一部損壊世帯への無作為アンケートに取り組むとされておられますが、今後恒久的な住まいへの移行を目指すには、個々の経済的な資力やニーズに加え、高齢者の入居者が多いという課題もあると思っています。
ぜひ被災者の利益を最優先とした、より丁寧な支援プログラムとなるよう要望し、次の質問に移ります。
引き続きまして、市民病院の再建に向けた重点医療に関し、お尋ねいたします。
市民病院については、現地建てかえ方針から、本年1月には建設費の高騰に加え、医業収入の低下傾向の中、独立採算性の公営企業である市民病院の経営上、極めて大きな影響を与えるとして、工事着工の延期・凍結が決定、公表されてきました。
突然の着工延期に驚きを禁じ得ませんでしたが、その後の熊本地震の発災により、これまた状況は一変し、災害時において医療拠点としての機能を失い、NICUを含む入院患者を緊急転院させざるを得ない状況に陥りました。改めて緊急転院を受け入れられた県内外の各病院の方々、さらには被災後において看護師さんなど医療従事者を受け入れておられます各病院の皆様に、私からも感謝を申し上げるところでございます。
さて、熊本地震から状況が一変した市民病院のあり方については、公共施設マネジメント
特別委員会での議論を経て、東区東町への移転新築について一定の方向性が示されております。移転新築という大事業が二転三転したことに対しましては、市長の決断の速さという半面、議会への説明不足といった大きな懸念はございますが、ここでは触れません。
現在、市民病院では、熊本地震を受けて、あるべき姿として地震等の災害に強い病院、周産期母子医療を中心とした安全安心な病院、安定的で持続可能な経営ができる病院を目指すとされています。震災直後の市民病院が目指すあるべき姿としては理解するところであり、復興のシンボルとして早期再建を目指さなければならないと考えています。
公共施設マネジメント
特別委員会でも、診療科減や病床数の大幅減というコンパクト化による影響や移転新築に対する具体的な国支援に対する懸念などが議論されておりますが、本年度内の早期着工の必要性が求められております。
しかし、私はむしろ自治体病院としての姿、役割がどうあるべきか、熊本における地域医療のありようと、市民の医療ニーズへの対応といった議論が成熟していないのではないかと考えています。
市民病院では、これまで重点医療分野として周産期母子医療、がん医療、生活習慣病医療、救急医療という4つの分野の拠点病院として医療提供が行われてきたと思っております。
しかしながら、今回熊本市民病院では、再建基本方針での重点医療として周産期母子医療、二次救急医療、地域包括ケアの推進が示されております。
そこで3点お尋ねいたします。
1点目として、現在策定中の地域医療構想や公立病院改革プランガイドラインを踏まえた自治体病院としての役割とあわせ、これまでの4つの重点医療分野と今回示されている3つの重点医療の柱について、どのように整理し、方針立てを行い、取り組んでいかれるおつもりなのかについて、お尋ねします。
また、診療科や病床数などの設定は、新たな重点医療の方針に基づき行われるべきと考えますが、診療科の再編減、病床数の減の積算根拠の整合性及び市民病院の収益に与える影響について、お尋ねをいたします。
3点目として、重点医療の一つの方針として、地域包括ケアの推進が挙げられていますが、その推進に向けては、中核医療施設としての役割が求められると考えます。現時点での地域包括ケアの推進に向けた考え方と具体的な取り組みについて、お尋ねをいたします。
以上3点について、病院
事業管理者にお尋ねいたします。
〔高田明病院
事業管理者 登壇〕
◎高田明 病院
事業管理者 まずは議員お尋ねの市民病院の基本方針にかかわる重点医療についてお答えします。
市民病院は今回の熊本地震により、病院機能の大半を失ったことから、市議会や有識者による懇談会などからの御意見をいただき、さらには公共施設マネジメント調査
特別委員会での御審議を経て、再建に向け、基本計画策定に取り組んでいるところであります。
〔議長退席、副議長着席〕
この策定の中で、重点医療についても見直しを行うこととし、具体的には将来の医療需要や必要な政策医療を踏まえ、今まで市民病院が培ってきた重点医療はもとより、新市民病院が地域における中核的な公的医療機関として果たすべき役割を検討し、3つの医療分野について重点的に取り組むこととしたところであります。
まず1点目は、市民病院がこれまで担ってきた総合周産期母子医療の分野における責任の重大さを再認識し、母と子の生命を守る周産期医療を充実すること。
2点目として、今回の熊本地震の教訓も踏まえ、市民の安心安全を24時間確保する二次救急医療体制を強化すること。
3点目として、地域の医療機関等との連携の上、地域包括ケアシステムの確立への貢献に取り組むこととしています。
これらの取り組みの中で、これまで重点医療として取り組んでまいりましたがん医療、生活習慣病医療についても、継続して積極的に取り組んでまいります。
今述べましたとおり、新病院において重点的に取り組む分野として、周産期医療の充実、二次救急医療体制の強化、地域包括ケアシステム確立への貢献を掲げ、そのために必要な診療科を抽出した上で、適切な診療体制の構築や将来の医療需要を踏まえた病床数の適正化について、検討を行いました。
まず、診療科の構成として、移行期医療も含めた周産期医療を主とする診療科を設置すること、広域的な救急医療体制を強化するため、従来の救急対応の診療科に加え、救急総合診療科を新設すること、あわせて高齢化によるがん患者の増加や女性特有のがんへの対応、政策医療として継続すべき感染症医療への対応も踏まえ、診療科の体制を考えております。
次に、病床数については、将来の医療需要予測に加え、新病院における収支予測の側面から検討を行いました。
医療需要予測の面からは、地域医療構想における熊本医療圏の2025年の必要病床数を勘案し、十分な医療サービスを提供できることを前提とした上で、過剰となる急性期病床は削減し、不足する回復期病床については新設すること、また、収支予測の面からは、建設時の一時的な負担が落ちつく新病院建設後6年目に収支がほぼ均衡する病床規模といたしました。
その結果、一般病床380床に政策医療として、引き続きその役割を維持する感染症病床12床を加えた392床を入院病床としたいと考えています。
現在の診療体制に加え、診療科数及び病床数が減少するものの、それに対しましては、診療科の統合による協力体制の構築や多職種によるチーム医療のさらなる推進、また、地域医療連携の拡充など、さまざまな医療政策に取り組み、医療資源を効果的に活用することで、質の高い医療サービスを持続安定的に提供できるものと考えております。
次に、地域包括ケアシステムについてですが、急速に進む高齢化において、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれる中、高齢者が住みなれた地域で自分らしい生活を続けていけるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるような地域包括ケアシステムの構築が求められています。
地域包括ケアシステムの医療分野では、在宅や地域の医療機関等で療養している患者が急変したときに受け入れるサブアキュート機能と、急性期は経過したものの、在宅や地域の回復機能を有する医療機関等へ移行するまでには至らない患者に対し、必要な治療やリハビリテーションを提供するポストアキュート機能が必要とされています。
新しい市民病院について、これら2つの機能を有する地域包括ケア病棟を設置することで、在宅や地域の医療機関等への円滑な移行が可能となり、地域包括ケアシステムの実現につなげていくことができると考えています。
今後、新病院の開院に向けて、地域の医療機関や関係行政機関等とも十分に協議してまいります。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 御答弁ありがとうございました。
病院事業における3つの重点医療の柱については、私は病院経営の方針そのものであり、地域医療構想の中で自治体病院としての市民病院の立ち位置等をしっかり議論すべきとの思いでお尋ねをいたしました。
御答弁では、これまでの重点医療分野であったがん医療、生活習慣病医療についても、積極的に取り組むとはされておりますが、少なくともがんや生活習慣病の拠点性はなくなりますし、再建基本計画における今後の重点医療である周産期母子医療、二次救急医療、地域包括ケアの推進に向けては、今後専門ドクターの確保・配置を含め、さきに申しましたが市民病院の経営そのものに影響するのではと、大変危惧しております。
また、新病院では、地域包括ケア病棟を設置し、急性期であるサブアキュート機能を果たされると考えておりますけれども、私は地域包括ケアの中核病院としての役割についても議論すべきだとも考えています。
新病院建設と、その後の医療方針等につきましては、現在公共施設マネジメント
特別委員会で議論されておりますので、この場ではこれ以上申し上げませんが、今後議会でしっかり議論すべき課題であろうと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
引き続きまして、熊本城復旧に向けた予算確保と観光資源としての活用についてお尋ねいたします。
熊本城については、熊本城天守閣の瓦や石垣の崩落、飯田丸五階櫓を一筋の石垣が支える姿など、マスコミ報道でも震災被害の象徴として報じられてきました。熊本城の存在は、改めて観光資源のみならず、県民市民のシンボルであると再認識させられました。
私も発災直後の4月22日に熊本城を視察させていただき、頬当御門入り口から崩壊した石垣、熊本城の天守閣など見える範囲は少なかったと記憶しておりますけれども、当時の話では被災状況も不明で、今後復旧のめどは立っていないとのことでございました。
そのような中、被災から3カ月が過ぎた7月26日、大西市長が記者会見で熊本城の復旧・復興に向けた
ロードマップを公表されました。
要約すると、熊本城全体の復旧・復興に20年、600億円を超え、石垣には相当な期間を要するが、文化的価値を損なわない丁寧な復旧を目指すとともに、復興のシンボルである天守閣については最優先で取り組み、3年で修復する目標で、修復過程の公開を行い、観光資源としても活用するとのことであったと思います。
これまた大西市長の決断の速さを感じさせるもので、加えて長期的な100年先の礎づくりの構想も示されております。私的にも大いに賛同できる
ロードマップと捉えておりまして、熊本城全体の復旧に向けた方針と、基本計画策定に総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
しかしながら、熊本城復旧も当然のことながら、その財源確保も計画の前提であり、熊本城復旧支援金という浄財はあるものの、国支援の動向が危惧されるところでございます。
また、平成31年の世界女子ハンドボールやラグビーワールドカップ等の開催までの天守閣の復旧を優先されると示されていますが、3年という期間で復旧が果たして可能なのか、疑問もあります。熊本城全体で言えば、13の国指定重要文化財、20の復元建造物があり、高度な専門技術も必要であり、市長が示す
ロードマップに対しては、専門家の意見、提言を踏まえた対応が大変重要になると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
熊本城復旧に対しては、支援金が約11億円寄せられておりますが、復旧事業費を確保するためには、国庫補助の最大化が課題であると考えます。そこでまず、熊本城の復旧に向けた国庫補助の現状と予算確保の取り組みについてお尋ねをいたします。
また、3年を目標とした天守閣の復旧については、国際大会開催の時期などを踏まえると、私も優先すべきと考えますが、高度な専門技術の必要性と、その確保に向け、専門家の意見提言が大変重要になります。天守閣優先の復興に向けた取り組み方、スケジュール管理についてお尋ねをいたします。
さらに、大西市長は、観光資源としての復活への第一段階の取り組みとして、天守閣エリアの早期公開と復旧過程の段階的公開を行うとされており、これはさきの一般質問でも触れられている事項でございます。どの時期からというものは、現時点では不明確であると考えますが、復旧過程の公開については、観光という観点に加え、教育面でも効果を発揮できるのではと大いに期待するところでございます。
現在では、災害被災跡地や戦争跡地などを観光に取り入れる取り組みがダークツーリズムと言われているそうです。観光とは一般的に娯楽性のあるレジャーの一つと言われておりますが、ダークツーリズムは学びの手段として捉えられており、さまざまに効果を上げているようでございます。私はこのダークツーリズムというべき天守閣エリアの早期公開を、被災から復興へ向かう熊本の観光策の目玉、さらには修学旅行などの誘致策として取り組むべきと考えます。
そこでお尋ねいたします。
天守閣エリアの早期公開と復旧過程の段階的公開を、復興へ向かう熊本の観光の目玉として、熊本城復興ダークツーリズムと位置づけ、民間活力を取り入れた安全かつ効果的な取り組みとして、この時期を逸することなく、できるだけ早期に取り組み方を取りまとめ、着手すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上3点について、大西市長にお尋ねします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、熊本城復旧に対する国庫補助の現状につきましては、国土交通省所管の都市公園施設等に係る災害復旧事業費補助が原則3分の2、文部科学省文化庁所管の石垣や重要文化財建造物等に係る災害復旧事業費補助が、石垣等が70%、重要文化財建造物が85%となっているところでございます。現時点で復旧事業費の総額は約600億円を超える見通しでございまして、特に復旧事業費の大部分を占める石垣や重要文化財建造物等については、現状の補助率を適用した場合でも、実際の負担額が多額となることから、文化庁に対しまして国所有の石垣等はもとより、本市所有の復元建造物についても、全額国庫負担による支援を本市単独でも求めてきたところでございます。
このような予算確保の取り組みによりまして、文化庁は
東日本大震災時を上回る措置として、熊本城復旧に対する現行補助率の5%かさ上げを行うこととしておりまして、この特別な措置に伴い、重要文化財建造物には90%の補助率が適用されるほか、自治体負担分に対しても9割を超える交付税措置が講じられるなど、実質的な本市負担は大幅に減少する見通しでありまして、文化庁を初め関係省庁の熊本城復旧への手厚い措置には大変感謝しているところでございます。
次に、天守閣の復旧工事につきましては、復旧期間の短縮を図るとともに、内部に崩落した石垣と建造物の修復を同時に進めていくという、技術的に非常に難易度が高い工事でありますことから、設計と施工を一体的に行う技術提案・交渉方式を適用いたしまして、現在民間施工業者からの技術提案を募る公募型プロポーザルの手続を進めているところでございます。
今後、技術提案内容の審査と優先的に交渉を行う施工者の選定を行う予定でございますが、その審査、選定に当たっては、文化財や建築構造の学識経験者等の専門家による選考委員会の設置を予定しているところでございまして、本年度末の着工と3年後を見据えた早期復旧を目指してまいりたいと考えております。
最後に、天守閣を含めた復旧過程の段階的公開につきましては、今後熊本城全体の復旧手順や工程を明らかにしていく中で、段階的な公開エリアの設定や安全対策等について検討を行うこととしておりまして、まずは市民の皆様を初め多くの皆様に天守閣を間近でごらんいただけるような公開に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。
また、議員御提案の考え方も含め、具体的な公開手法や民間団体等との連携についても、公開エリアの範囲設定や観覧ルートの安全対策等と並行して考えてまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 御答弁いただきましたが、熊本城の復旧に向けては、現行制度より補助率が5%かさ上げされ、石垣などに対し補助率75%、重要文化財建造物が90%、さらに本市負担分も9割を超える交付税措置が講じられる見通しということの御答弁でございました。
大西市長と県知事とが一緒になった国への要望活動の成果であると思いますし、今後100%の国庫補助による復旧というものも目指さなければならないと思っております。今後の要望活動についても、ぜひよろしくお願いしておきたいと思いますし、国支援、今、見通しということでございますので、このことを確実なものにしていくことも重要であると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、3年後をめどとしました天守閣の復旧についても、本年度末の着工も見据えられているとお聞きもしております。円滑に進められるように御尽力いただきたいと思います。
また、復興過程の公開に際しましては、安全性確保というのが最優先課題であると思いますけれども、私がお話し申し上げましたダークツーリズムとして、公開する効果が発揮できますよう、今後民間活力との協力も含めて、できるだけ早期に御検討いただいて、熊本城復興ののろしを上げていただくよう、お願い申し上げたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
引き続きまして、中小企業や地域商店街並びに本市誘致企業への支援に関し、お尋ねいたします。
熊本地震により地域経済を支える中小零細企業や農水産業を営む多くの皆さんが被災し、さらには大規模集客施設でも甚大な被害が生じております。現在では解体が進むビルや店舗、いまだ営業再開していない事業所も多く見受けられます。平成25年公表の経済センサスによると、本市には事業者数が約3万を超える3万774社あるとされており、私は果たしてどの程度の事業者が被災し、その再建がどのように進められているのかの全容が見えない状況であると考えます。
また、子飼や健軍といった地域商店街でも、商店街の中心にあり集客商業施設であるスーパーマーケットが大きく被災し、早い段階で両商店街とも多くの商店が営業を再開しておられますが、商店街全体の集客を支えるスーパーマーケットの再開まで、必死に頑張っておられるというのが現状であろうと考えます。
そうした状況から、本市でも事業再開に向けた経営相談や金融支援、施設や設備の復旧支援に加え、復興に向けた販路開拓や技術開発などの支援を行うとされています。
また、一方で国においても、中小企業等グループ補助金事業や商店街
にぎわい創出事業を含み7事業、さらには雇用調整助成金や各種金融施策等に対応が行われております。中小企業
グループ補助金制度については、一次募集で105グループの1,697社が認定されていると聞いておりますが、これが県全体であることや本市には3万を超える事業者がいることから、本市における中小企業等の被災状況の実態把握と具体的な要望への対策が求められると考えております。
さらに、本市には平成11年の企業立地促進条例の施行以降、企業誘致の取り組みが始まり、現在では60から70社程度の誘致企業はあると聞いています。事業規模については、900名の従業員がいる企業もあれば、本市居住の新規常用従業員が5名いれば対象となることもあり、大小さまざまなようでございます。
そうした誘致企業も今回の熊本地震で被災されております。そうした状況の中、本市の復興計画づくりには、経済5団体の皆さんからの緊急提言を踏まえ、策定されたとも聞いております。
そこで5点お尋ねいたします。
中小企業等の皆さんの被災の実態調査と具体的な要望の把握などを進めていく必要があると考えますが、どのように進められていますでしょうか。経済5団体の皆さんとの連携を含め、お尋ねいたします。
2点目として、地域商店街の復旧・復興に向けては、さまざまな支援、補助の制度がありますが、一部損壊の店舗兼住宅には何の支援もないのが現状でございます。そうした現状がある中、今後地域商店街の再生へ向け、どう取り組んでいかれるのかについて、本市の独自支援策の取り組みを含め、お尋ねいたします。
3点目として、誘致企業についてお尋ねいたします。
私は、本市には誘致企業数をふやすことに加え、本市が投資した誘致企業を根づかせることにより、持続ある市域経済の成長と雇用の確保や税収増などの投資効果を上げる役割があると考えています。
そこでお尋ねしますが、本市が誘致した立地企業の熊本地震からの被害状況をどのように把握されていますでしょうか。また、グループ補助金等の支援を受けることができない誘致企業に対し、本市独自の支援策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
4点目として、熊本地震を受けて、今後の企業立地補助制度の再構築を検討するとされていますが、どのように進められているのかについてお尋ねします。
最後に5点目、熊本地震による震災離職者への対応については、私ども市民連合として中小企業支援策を含めた雇用促進につながる取り組みについて、発災後の6月に要望書を提出し、対応を求めてきました。そこで本市における震災離職者の現状と課題認識についてお尋ねをいたします。
以上、経済観光局長にお尋ねいたします。
〔石櫃紳一郎経済観光局長 登壇〕
◎石櫃紳一郎 経済観光局長 中小企業と誘致企業への支援について、5点のお尋ねに順次お答えいたします。
まず、中小企業等の被災状況把握につきましては、発災1カ月後に製造、卸・小売り・サービス、観光業など分野別に市内の354社の緊急ヒアリングを行いました。さらに商工会議所や中央会、商店街、金融機関などにもヒアリングを行いまして、被災状況の把握に努めてきたところでございます。また、6月には地方経済総合研究所の事業主アンケートにも協力いたしまして、被災企業の実態把握に努めたところでもございます。
そのほか、
復興座談会での意見聴取に加えまして、商工会議所や商工会などから震災関連施策の活用状況や国・県・市などへの施策要望につきましても、随時聞き取り調査を実施しておりまして、今後の経済5団体と初め、関係機関と連携し、情報収集に努めてまいります。
2点目の地域商店街等への支援につきましては、国の商店街震災復旧等事業を初め、グループ補助金、さらには小規模事業者持続化補助金などにつきまして、市が主催しまして説明会の開催や個別相談の対応などのサポートを行ってきたところでございまして、特に商店街の復旧の支援につきましては、国の制度にあわせまして、商店街が負担する費用の一部を助成する補正予算を本議会に提案しているところでございます。
また、そのほかの市独自の支援といたしまして、中小企業向けの相談窓口の設置や支援ガイドブックを作成いたしまして、広く周知に努めましたほか、発災後直ちに特別融資を創設し、8月末現在で600件を超える利用をいただいているところでもございます。今後も地域の商店街の事業者などが具体的にどのような支援を必要としているかの把握に努めてまいります。
3点目の本市が誘致した立地企業の被害状況につきましては、4月の災害直後に68社に対しまして、電話によるヒアリング調査を実施いたしました。また5月から6月にかけまして、被害が特に大きいと見込まれます36社から、被害の想定額の聞き取り調査を行いますとともに、現在も引き続き情報交換を行っているところでございます。
また、誘致企業の復旧・復興に向けた本市の支援につきましては、グループ補助金が大企業は補助対象となりませんことや、事業継続のために一時的に市外の拠点に業務を移管した際に要した経費、こういったものが補助対象となりませんことなどから、復旧に必要な支援を受けることができない誘致企業が相当数存在しております。そういったことで、本市独自の支援策を検討いたしまして、その財源確保のため国への要望活動を行っているところでございまして、今後も引き続き努力をしてまいります。
4点目の熊本地震を受けての企業立地補助制度の再構築についてでございますが、指定都市移行時の5年間の時限措置が今年度で終了いたしますことから、次年度以降に向けまして本社機能の移転や長期の事業継続を見据えまして、積極的に資本投下を行っていただきます企業を優遇するなどの制度再構築を検討しているところでございます。
さらに、今回の地震によりまして今後苦戦が予想されます新規誘致や既存企業の市外移転防止なども視野に入れました制度を再構築いたしまして、地域経済の早期の復旧・復興につなげてまいりたいと考えております。
最後に、震災離職者の数につきましては、熊本労働局や県におきましても把握されておりません中、厚生労働省の発表では、県内の雇用保険資格喪失件数が4月15日から7月21日までの累計で、前年同期比1.10倍の2万7,384件とされておりまして、この1割の増加分には、震災の影響が強くうかがえるものと考えております。
また、4月から7月の新規求人数5万1,246人で、前年同期比106.4%と増加しております中、新規求職者数は2万9,802人と前年同期と比べまして92.3%でございまして、徐々に減少の傾向にさえございます。これは復興事業によります求人増と、雇用調整助成金の制度拡充によります一定の効果ではないかと推察されるところでございます。
このような状況の中で、本市といたしましては、5月17日に特別労働相談窓口を開設いたしました。そして、6月から震災の影響で失業されました方を臨時職員として3カ月間雇用いたしますとともに、8月末には地元企業と求職者との就職面談会の開催など、順次実施しているところでございます。
今後とも国・県など関係機関ともさらなる連携を図りながら、震災離職者の就労支援に取り組んでまいります。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 中小企業等の被災状況の把握については、本市とあわせて経済団体や研究所機関等でも行われているとのことでございます。
各企業の皆さんも企業努力の中で復旧が進んでいる状況もありますが、ぜひそうした状況把握等の結果を取りまとめていただいて、経済5団体の方々とも連携し、被災の全容把握と、残された復旧・復興への課題対処の取り組みにぜひつなげていただきたいと要望しておきたいと思います。
また、地域商店街への支援については、商店街を歩いてみますと、被災前より集客は大幅に減少している、グループ補助金等の支援制度はあるが、ハードルが高く申請はしていない、店舗兼住宅を含めて修繕は必要だが、費用負担が重く、応急的にやっているなどの声を聞きます。
御答弁では、そうした方々に対してどのような支援が必要かの把握に努めるとのことでございます。ぜひ早急に対応いただいて、個別具体的な支援策につながりますよう、強く要望しておきたいと思います。
また、本市の誘致企業の68社中36社の被害が大きく、加えて復旧に必要な支援を受けることができない誘致企業も相当数あるとの御答弁でございました。独自の支援策含めて、財源確保という大きな課題はございますけれども、ぜひ支援策の創設と本市独自の支援策が実現されますよう、本市挙げた取り組みを要望したいと思います。
また、最後にお尋ねしました震災離職者についての現状については、数値的には問題が表面化していないと感じました。ただ、震災以降半年を超える年末段階からは、失業保険や震災義援金、支援金等で生活をつないでいらっしゃる震災で職を失った方々への問題が表面化するのではないかと、大変危惧もしております。ぜひ早い段階から、そうした震災離職者への対応も準備検討されるようお願いし、次の質問に移らせていただきます。
引き続きまして、震災からの教訓と記憶をつなぐ取り組みについてお尋ねいたします。
今回の熊本地震については、本市の想定を大幅に超えるという、熊本市政でこれまで経験のない災害が突然訪れました。想定を超えた災害に直面したとき、6月に開催された
復興座談会で、数多く出された意見は本市が対応できなかったこと、今後求められていることの集積であり、私は今回の震災によって出た多くの反省が教訓につながるものと考えます。
大規模災害への行政としての備え、対応のあり方については、反省の声を一つひとつ拾い上げ、今後見直される地域防災計画へ大いに反映していただきたいと思います。
さて今回、震災の記憶を次世代につなぐことを緊急かつ重要な取り組みとしてプロジェクト化したことについて、大いに賛同するところでございます。
私はこのプロジェクトの役割は、震災からの教訓を見出し、記憶として次世代につなぐことと、他自治体等への幅広い発信することであろうと捉えております。多くの反省に基づく教訓は、これまでの全国各地で起こった大規模災害からも見出されておりますが、果たしてこの熊本地震からの教訓とはいかなるものかと考えたときに、余りに多い反省すべき課題があり、私自身整理できないのが現状でございます。
そうした震災からの教訓をしっかり見出し、市民と共有することが今後の安全安心で上質な生活都市につながると考えています。また、本市では震災による被害状況や地震のメカニズムの研究、復旧・復興のプロセスの記録保存を初めとした震災にかかわる記録を集積、発信するとしておられます。
そこでお尋ねいたします。
熊本地震からの教訓を見出していくことは、今後の安全安心で上質な生活都市
熊本づくりに大変重要であると考えますが、熊本地震からの教訓に対する現時点の大西市長の考え、御所見についてお尋ねいたします。
また、地震のメカニズムの研究、復旧・復興のプロセスの記録保存は、行政の役割として今後県や専門機関との連携で進められていくと推察いたしますけれども、震災にかかわる記録の集積と発信に向けては、幅広い市民への協力を呼びかけ、市民プロジェクトとして実施してみてはと考えています。
例えば、避難所が設置されてきた小学校や校区単位での震災の記録を収集する取り組みを行い、その集積によって震災記録の全体化を図るといったものでございます。
また、震災の経験を伝える語り部についても、市民プロジェクトと位置づけ、避難所等で支援された方々に呼びかけるといったものでございます。
そこで、2点目のお尋ねとして、震災の情報収集や語り部講話の取り組みについて、市民プロジェクトとして位置づけ、取り組むことも必要であると考えますが、いかがでしょうか。大西市長、並びに政策局長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 私の方から、熊本地震からの教訓に対する現時点の所見について、お答えいたします。
今回の熊本地震は、震度7クラスの大地震が二度にわたり発生いたしました。その後も余震が多発し、避難者数が最大時で約11万人に達するなど、未曽有の大災害となりました。
地震後の初動時におきまして、職員参集のおくれ、
避難所運営や支援物資配送の課題、避難者情報や被害情報等の錯綜など、さまざまな混乱が生じました。
今回の熊本地震を踏まえますと、危機管理という視点からは想定外の事態が起こり得ることを前提に、体制を整えておくことが重要だと改めて認識したところでございます。
また、今回のような極めて大規模な災害においては、行政による支援、いわゆる公助には限界があり、特に発生直後の数日間は、みずからの身は自分で守るという自助と、自治会を初めとする地域の力で支え合う共助とで苦境を乗り切らざるを得ないことを改めて強く実感したところでございます。
今後、熊本地震の検証を行い、復旧・復興を進めていくに当たり、行政の防災対応能力はもとより、市民の防災・減災意識を向上するとともに、日ごろから地域との連携強化を図り、大規模災害にも対応できる体制を整備し、安全安心なまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 私からは震災からの教訓と記憶をつなぐ取り組みについて、お答え申し上げます。
ただいま議員もお述べになりましたように、今回の震災の教訓は、未来へしっかり引き継いでいかなければならないと私どもも考えております。
そこで、復興計画において重点プロジェクトの一つとして掲げたところでございまして、市民の皆様、あるいは市職員の振り返りはもとより、
避難所運営に御協力いただいた方々や、応援いただいた他の自治体の職員の方々の御意見なども踏まえて、幅広く情報収集等への協力を呼びかけ、今回の震災を通して私たちが学んだことを記録として集積するとともに、広く市外へも発信してまいりたい、そのように考えております。
また、関係部局と連携しまして、学校等において子供たちの発達段階に応じた防災教育を推進し、災害時にも互いに支え合える人材の育成を図るなど、今後議員のご提案を含めまして、熊本地震の記憶が長く後世に語り継がれていくための取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 震災からの教訓について、本市が復旧・復興に向け走り出した段階でもございます。私自身も整理ができていない中で、大西市長には大変難しいお尋ねをしたのかなとも思っております。
ただ、来年へ向けて検討されます地域防災計画や復興計画を盛り込んだ第7次総合計画の改定に向けては、この教訓というところは強く意識しなければならないことだと考えております。
教訓から見出される新規事業や事業の見直し、地域防災計画に盛り込むべき事項など、大西市長には頭の片隅にでも置いておいていただきたいと思います。
また、震災にかかわる記録の集積と発信については、市民の誰しもが被災し、さまざまな状況に直面し、大変な困難に遭ってきました。そのような記録を身近な校区や地域で集積し、語り部等の情報発信を含め、市民プロジェクトにすべきと申し上げました。本市でも取り組みを進めていくというような御答弁もございましたけれども、取り組み方の問題であると思っておりますので、その推進に向けて御尽力をいただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
引き続きまして、熊本地震を踏まえた地域力の強化についてお尋ねいたします。
今回の地震では、最大時で11万もの市民の皆さんが避難するなど、想定を超える震災に対し、行政による支援の限界が明らかになったと、先ほど大西市長も御答弁をされました。いわゆる公助の限界があることから、これまで自助・公助・共助の総合力の発揮から、住民の自助・共助の重要性が注目されていると思っております。
そこで、本市では市民や地域の災害対応力の強化に向けて、ハザードマップの作成、活用、自主防災クラブの役割や活動の明確化や消防団の体制充実への支援、地域における実践的な防災訓練の実施などに取り組み、防災・減災のまちづくりを目指すとしておられます。
私も自助・共助による災害対応力の強化が求められていることから、さきに述べましたハザードマップ等の作成を含めて、それら取り組みについては、大変重要であると考えますけれども、それらを推進するためには根強い課題もあると思っています。
共助を高めるための地域組織の牽引役、推進役といった人材の発掘と育成、地域住民が一体となって取り組める体制づくりなど、災害発生時だけでなく、日ごろの地域のまちづくりと同様の課題であろうと考えております。
地域人材の育成については、今回の地震から避難所によっては運営が自治会や消防分団等であったりしておりますけれども、地域組織として総合力が発揮できたところが果たしてどれぐらいあったのか、現在アンケート調査も行われているようですが、しっかり分析をし、地域人材の育成にしっかり取り組むべきと考えております。
さらに、震災を受けた今、地域住民の防災や危機管理意識は大変高まっており、今さまざまな情報発信に加え、住民みずからが防災・減災を含めたまちづくりに向けて、より主体的に行動するきっかけづくりを本市が推進すべきだと考えております。
そこでお尋ねいたします。
今後の市民・地域の防災力強化に向けては、さまざまな取り組みが提案されておりますが、私はいざ災害時に安否確認から避難、要援護者への対応など、地域住民がいかに対応すべきかを、今回の震災の経験を生かし、住民みずからの手による住民自治安全行動計画の策定をすべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
さらに、それら取り組みの推進役として、防災士などの人材育成、配置を図り、住民自治安全行動計画を市民プロジェクトと位置づけて取り組みを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、住民自治安全行動計画の策定、地域住民の人材育成、さらにそれら取り組みの市民プロジェクト化について、政策局長にお尋ねいたします。
〔古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 それでは、私から市民・地域・行政の災害対応力の強化についてお答え申し上げます。
今回の熊本地震のような大規模地震発生時に、市民の生命や財産を守るためには、やはり地域における防災力の強化が不可欠であると考えておりまして、これまで本市においては、日ごろの訓練、あるいは防災啓発、災害時の活動内容等をまとめた自主防災クラブの手引や、わが家の防災マニュアル等を作成して、これらを活用し、地域の自主的な防災対策を促進してきたところでございますが、しかしながら、今回の震災では、それらが十分に活用されなかったところでございます。
また、今回の熊本地震では、自助・共助の重要性を再認識したことから、これらの手引やマニュアルについて、町内会や自主防災クラブアンケートの調査結果を踏まえまして、家庭や地域でのいざというときの活用が図れるよう、大幅に見直してまいりたいと考えております。
また、町内の住民の方々で地域の危険箇所や避難経路等の確認を行うとともに、これらをマップに掲載して各世帯に配布する地域版ハザードマップの作成に取り組んでおるところでございますが、今後さらに積極的に呼びかけてまいりたいと考えております。
これらの取り組みを通じて、ただいま議員が御提案された住民自治安全行動計画といった地域特性に応じた独自の行動計画等を、それぞれの地域でみずから策定されるように、地域の防災意識の向上に努めてまいりたいと考えております。
また、地域の防災力強化に向けた防災士などの人材育成、配置についてでございますが、例えば帯山西校区などでは、自治会役員みずからが計画的に防災士の資格取得に取り組まれており、今回の熊本地震でもその方々が中心となって
避難所運営に当たられた事例がございます。今後このような取り組みについて、市民防災セミナーや自主防災クラブリーダー研修会などで紹介を行いまして、他の校区への拡大を図り、地域の防災力強化、そして、地域のそういった人材育成、配置についてつなげてまいりたいと考えております。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 私はこれまで行政から与えられた自主防災クラブの手引や、わが家の防災マニュアル等が、今回の地震が有効に果たして機能したのかという疑念からお尋ねをいたしました。それら手引や防災マニュアルについては、大幅に見直すとされ、また、申し上げました住民自治安全行動計画についても、住民みずからの策定に向けて呼びかけ、取り組んでいくとのことでございます。私はそれら取り組みを積み上げ、地域での災害時要支援者への個別具体的な対応を含み、本市が策定する手引や防災マニュアルをも一体化した、住民みずからがつくり、認知し合える住民自治安全行動計画へつなげていくべきとも考えています。
そのためには、地域でのリーダーの存在も重要であり、防災士というものを引き合いに出しましたが、いずれにいたしましても、震災後間もない時期に、語弊があってはいけませんが、鉄は熱いうちに打てではありませんが、市民・地域の皆さんを巻き込んだ地域の防災力強化に向けて、早期に住民がアクションができる対応をお願いし、次の質問に移ります。
引き続きまして、市民・地域と行政の関係強化についてお尋ねいたします。
さきにも申し上げましたが、今回の震災では自助・共助といった市民・地域の災害時を含む対応できる力が重要視されております。とはいえ、地域まちづくりには、その推進に向けたサポートを初め、地域住民からの意見集約など、行政が十二分に連携していかなければならないことは周知のことでございます。
大西市長も市民の声を聞くという姿勢を、就任当時から前面に出した取り組みとして、市長みずからが出前講座や校区自治協トークなど、地域に入り、直接住民の皆さんの思いや意見を聞き、市の取り組みに生かしてこられております。
ただ、市長は1人であることや、特に震災があったことにより、さまざまに市長が判断、対応すべき取り組みが最重要課題であるということからは、市民・地域と行政の関係については、本市職員のこれまで以上の地域対応力が求められると考えております。
現在検討されている出張所等再編方針案では、(仮称)まちづくりセンターを現在の19の公設公民館に設置し、市民・地域と行政の関係を強化する体制整備を行うとされています。大いに期待するところでございますが、現在地域には各区保健子ども課に所属されます保健師の皆さんが配置され、担当校区を持ち、地域の自治協や自治会、高齢者サロンなどと密接にかかわられております。
私が住む校区・自治会においても、会議や高齢者サロンのたびに、健康づくりや高齢者福祉にかかわる情報提供、さらには相談にも対応され、より地域に密着した活動をされており、地域住民からも信頼されていると考えております。
今回の(仮称)まちづくりセンターは、地域のまちづくりの観点で取り組まれると推察もいたしますけれども、高齢の方々がふえ、地域の見守りを含めた地域諸課題のメーンは福祉であり、地域のまちづくりと行政のかかわりには福祉の役割は大変大きいと考えます。
そこでお尋ねいたします。
(仮称)まちづくりセンターについては、来年4月からの取り組みと聞いておりますけれども、その位置づけ、役割についてどのように考えられているのかについて、また、どの程度の職員配置を考えられているのかについてお尋ねします。
2点目として、私は市民・地域との行政の関係強化に向けては、より地域に密着でき、住民ニーズに対応できる体制として保健師さんを初めとした福祉職員の配置が必要であると考えますが、いかがでしょうか。現在の保健子ども課の職員の皆さんとの併任配置の考え方も含めてお尋ねをいたします。
以上、市民局長にお尋ねします。
〔西島徹郎市民局長 登壇〕
◎西島徹郎 市民局長 市民・地域と行政の関係強化のお尋ねにお答えいたします。
まず、まちづくりセンターの役割と職員配置についてでございますが、(仮称)まちづくりセンターは、地域におけるさまざまな要望、相談等の一番身近な総合窓口となり、地域課題の解決や地域のコミュニティ活動を支援し、地域の特性を踏まえた自主的で自立的なまちづくりを進める役割を担うこととしております。
職員の配置数につきましては、管轄する小学校区数に応じて配置することとしておりますが、具体的には今年度から先行配置しております北部、花園の2地区の状況を検証した上で決定することとしております。
次に、福祉職員の配置についてでございますが、今後のさらなる人口減少、少子高齢化社会において、議員御指摘のような高齢者の見守り、子育て等の地域福祉に関する問題は、ますます重要な地域課題となっていくものと認識しております。
(仮称)まちづくりセンターでは、こうした福祉の問題を初め、防犯防災、環境等のさまざまな地域課題に関して、地域住民と協働で解決に向けた取り組みを行っていくこととしているところでございます。
議員御提案の保健師等の専門性を持つ職員をこの(仮称)まちづくりセンターへ配置することにつきましては、地域課題の解決に当たり、非常に有効な手段とは考えますが、こうした専門職員の分散配置は、個々の生活支援やサービス調整等においては、十分に機能しない面もありますので、地域の福祉に関する問題につきましては、まずは地域担当職員がそれぞれの地域課題に応じまして、区役所、保健師を初め関係する職員と情報共有化を図りますとともに、地域の民生委員、児童委員や地域包括センターなどともしっかりと連携して取り組んでまいりたいと存じます。
〔26番
上田芳裕議員 登壇〕
◆上田芳裕 議員 御答弁ありがとうございました。
(仮称)まちづくりセンターへの各区保健子ども課の保健師さんの皆さん方の併任を含めた体制整備につきましては、専門職員の分散により十分に機能しないというような全体的なところもあるとの御答弁でございました。
しかしながら、私は住民や自治会等の地域からの目線から見ますと、今後のまちづくりセンターへの機能に福祉は外せないとも考えております。来年度からスタートするまちづくりセンターについては、モデル実施されている2校区の状況を踏まえ、体制整備が検討されますが、福祉分野を初めとした行政各部署との連携についても、今後進められるということでございますけれども、そうした連携の部分についても、まちづくりセンターの大きな役割だと思っておりますので、ぜひそういったことを含めて取り組みが進められるよう要望しておきたいと思います。
用意させていただいた質問は以上でございます。熊本地震からの復旧・復興を最優先に、今後総合計画を初めとした各主要な取り組みの見直しが行われます。現状とすると国や県へのさまざまな要望や対応という壁に直面し、大西市長も大変苦しい立場にあると推察もいたします。
しかしながら、この震災からの復興は、県民・市民を挙げた取り組みとしなければなりません。私も議員として最大限取り組んでまいりますし、議場におられます先輩・同僚議員の皆様方とともに、与野党関係なく力を結集していかなければならないと思っておりますので、全員で頑張ってまいりたいと思います。
以上で一般質問を終了させていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○藤岡照代 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午前11時38分 休憩
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午後 1時59分 再開
○澤田昌作 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。落水清弘議員。
〔44番 落水清弘議員 登壇 拍手〕
◆落水清弘 議員 落水清弘でございます。